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#1
第096回国会 本会議 第8号
昭和五十七年二月二十三日(火曜日)
    ―――――――――――――
  昭和五十七年二月二十三日
    午後一時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 世耕自治大臣の昭和五十七年度地方財政計画に
  ついての発言並びに地方税法及び国有資産等
  所在市町村交付金及び納付金に関する法律の
  一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方
  交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提
  出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時七分開議
#2
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(昭和五十七年度地方財政計画について)並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#3
○議長(福田一君) この際、昭和五十七年度地方財政計画についての発言並びに内閣提出、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。自治大臣世耕政隆君。
    〔国務大臣世耕政隆君登壇〕
#4
○国務大臣(世耕政隆君) 昭和五十七年度の地方財政計画の概要並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 昭和五十七年度の地方財政につきましては、引き続き厳しい状況にあることにかんがみ、おおむね国と同一の基調により財政の健全化を促進することを目途として、歳入面におきましては、地方税源の充実と地方税負担の適正化を図るとともに、地方交付税の所要額を確保することとし、歳出面におきましては、経費全般について徹底した節減合理化を行うという抑制的基調のもとで、住民生活に直結した社会資本の整備を計画的に推進し、あわせて地域経済の安定的な発展に資するため必要な地方単独事業費の規模の確保に配意する等、限られた財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹し、節度ある財政運営を行うことを基本としております。
 昭和五十七年度の地方財政計画は、このような考え方を基本として策定しておりますが、以下、この策定方針について申し上げます。
 第一に、地方財政の実情と地方税負担の現状とを勘案し、法人の住民税及び事業税について徴収猶予割合を縮減するとともに、市街化区域農地に係る固定資産税及び都市計画税の課税の適正化措置等について所要の措置を講ずる一方、個人住民税所得割について、低所得者層の税負担に配慮するため、その非課税限度額を引き上げること等により、地方税源の充実と地方税負担の適正化を図ることとしております。
 第二に、地方交付税について、昭和五十七年度の地方財政の円滑な運営のために必要な額を確保し、あわせて中長期的な財政の健全化に資するための措置を講ずることとしているほか、地方債について、施設整備等に必要な額の確保を図りつつ、全体としてはその発行規模を縮減するとともに、資金の質の改善を図ることとしております。
 第三に、抑制的基調のもとにおいても、地域住民の福祉の充実、住民生活に直結した社会資本の計画的整備及び地域経済の振興等を図るための諸施策を実施することとしております。このため、投資的経費に係る地方単独事業費の所要額を確保するとともに、福祉施策の充実、教育振興対策等の推進を図ることとし、また、過疎地域等に対する財政措置を充実することとしております。
 第四に、地方行財政運営の合理化と財政秩序の確立を図るため、定員管理の合理化、一般行政経費の抑制及び国庫補助負担基準の改善を図るほか、年度途中における事情の変化に弾力的に対応できるよう必要な措置を講じることとしております。
 以上の方針のもとに、昭和五十七年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は四十七兆五百四十二億円となり、前年度に対し二兆五千三十三億円、五・六%の増加となっております。
 次に、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 明年度の地方税制の改正に当たりましては、地方税負担の現状にかんがみ、地方財政の実情を勘案しつつ、住民負担の軽減合理化を図るとともに、地方税源の充実と地方税負担の適正化を図ることを基本としております。
 以下、その概要について御説明申し上げます。
 第一に、地方税法の改正であります。
 まず、個人住民税について、低所得者層の税負担の実情にかんがみ、所得割の非課税限度額を引き上げることとしております。
 また、料理飲食等消費税及びガス税について、住民負担の軽減を図るため、それぞれ免税点を引き上げることとしております。
 さらに、固定資産税について、評価がえに伴う税負担の調整を図るため、評価額の上昇割合の実態に応じたきめ細かな負担調整措置を講ずることとしております。
 次に、固定資産税、特別土地保有税等につき、市街化区域農地に対する課税の適正化措置等、土地税制についての所要の措置を講ずることとしております。
 また、不動産取得税等に係る非課税等の特別措置のうち三十五件について整理合理化を行うこととしております。
 そのほか、地方税源の充実を図るため、法人の住民税及び事業税の徴収猶予割合の縮減を行うこととしております。
 第二に、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の改正でありますが、日本国有鉄道の公害防止設備に係る市町村納付金の特例措置の適用期限を二年延長することとしております。
 これらの改正により、明年度におきましては、三百十億円の増収となる見込みであります。
 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 第一に、昭和五十七年度分の地方交付税の総額は、現行の法定額と交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金二千九十八億円との合算額から千百三十五億円を減額したものとすることとしました結果、九兆三千三百億円となり、前年度当初に対し六千百三十四億円、七・〇%の増加となっております。
 また、この減額した千百三十五億円については、これに相当する額を昭和五十九年度から昭和六十一年度までの各年度の地方交付税の総額に加算するとともに、借入金二千九十八億円については、その十分の十に相当する額を昭和六十三年度から昭和七十二年度までの各年度において、臨時地方特例交付金として当該各年度の地方交付税の総額に加算することとしております。
 さらに、昭和五十七年度の普通交付税の算定については、下水道、公園、都市計画施設、清掃施設等の公共施設の整備及び維持管理に要する経費、教育水準の向上、福祉施策の充実等に要する経費の財源を措置するほか、財源対策債による措置を廃止することに伴い、これに対応する投資的経費を基準財政需要額に算入するため、単位費用の改定等を行っております。
 第二に、激甚災害に係る小災害債の元利補給制度を廃止し、当該地方債の元利償還に要する経費を基準財政需要額に算入するため、所要の改正を行うこととしております。
 以上が、昭和五十七年度の地方財政計画の概要並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(昭和五十七年度地方財政計画について)並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#5
○議長(福田一君) ただいまの地方財政計画についての発言及び二法律案の趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。五十嵐広三君。
    〔五十嵐広三君登壇〕
#6
○五十嵐広三君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十七年度の地方財政計画並びに地方税法、地方交付税法の一部を改正する法律案について、総理及び大蔵、自治両大臣に御質問申し上げたいと思います。(拍手)
 まず、地方税についてであります。
 五十七年度政府経済見通しが甘過ぎるということは、すでに予算委員会等でも論じ尽くされているとおりであります。五十七年度地方税の約二兆円の自然増収は、その高過ぎる政府見通しに基づくものであって、また地方交付税も同様でありまして、自治省の概算要求額を三千六百億円も上回って決まる結果となっているのであります。これが五十七年度地方財政収支均衡と言われる原因であります。
 正直なところ、自治省もやむなく押しつけられたものの、その見通しにつきましては、恐らく真っ暗であろうと思うのでありますが、自治大臣、地方税収入に自信がありますか。
 次に、地方交付税ですが、法本則の規定によって算定した額は九兆二千三百九億円、伸び率は一四%ですが、地方財政計画に示された交付額は九兆三千三百億円で、伸び率は七%になっております。実に七%相当額が縮減されているのであります。
 すなわち、政府は、臨時地方特例交付金が五十七年度において地方債の利子差額補給分千九十八億円、利子配当課税の特例措置に伴う住民税の減収補給分一千億円の合計二千九十八億円を一般会計から支出すべきところ、これを取りやめて、資金運用部から借り入れさせることにしたわけであります。またさらに、本来、法の規定に基づいて一般会計から交付税会計に繰り入れるべき額のうち一千百三十五億円を借り入れることとして、一般会計負担を軽減する措置を講じているのであります。国の財政再建のために地方財政を供したものであることは申すまでもありません。
 そして政府は、これまで地方財政の財源不足を補てんするため、地方交付税法第六条の規定によることなく附則八条を設け、財源不足額の半分を国が負担することとしてまいりましたのを、今度はその附則も改めて、特例交付金を廃止し、交付税特別会計の借り入れによって措置するようにしたのであります。このようなやり方は、地方交付税法の趣旨を破り、事実上第二補助金化して地方財政の独自性を著しく損なうものであることは申すまでもありません。
 また、地方団体固有の財源である地方交付税を地方団体の意思を問うこともなく一方的にその本質を曲げることは、地方自治の本旨に反し、地方自治を軽視するものと思うが、自治大臣、いかがでありますか。(拍手)
 政府は、五十八年度において三兆三千七百億円の要調整額があると述べておりますが、それをひねり出すために、さらに地方交付税の縮減をねらうようなことは断じてあってはならないと思うが、自治大臣、大蔵大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思うのであります。
 さらに、地方交付税が法第一条に言うように、地方団体の独立性を強化することを目的とした地方団体固有の財源であり、自主財源であることは、昭和四十四年の福田大蔵大臣の答弁を初め、しばしば確認されてきているところではありますが、念のために、この際、総理の地方交付税の基本認識についてお聞かせをいただきたいと思うのであります。
 さて、政府が申しますように、国に貸すほど地方に財政の余裕があるというのなら、まず第一に、長い間問題になっている個人住民税の課税最低限の引き下げを行うべきであります。今日、所得税減税は国民の統一的最大の要求でありますが、住民税は、その所得税の課税最低額をさらに大きく下回っているのであって、深刻な生活苦にあえぐ低所得者に広く深く突き刺さっているのであります。非課税限度額を生活保護基準に合わせるために、わずかに十二、三億円の減税でお茶を濁すことは許されるものではありません。国に召し捕られるお金があるのならば、それを財源にして大幅な住民税減税が可能でありますから、強くこれを要求するものでありますが、自治大臣いかがでありますか。
 自治大臣、実は私は先ごろから自治省に対して、幾たびか五十七年度地方税の非課税措置についての資料を求めているのでありますが、残念ながらいまだいただくことができないでいるのであります。特定法人などに対する税の非課税特例措置は、およそ税や財政を論ずるすべての機関が常に批判を重ね、その廃止を強く求めているものであります。しかるに五十六年度は、そのような世論とは反対に実に前年比八百五十八億円も非課税額が増加する結果となり、これを私は昨年指摘し、追及したものでありました。しかし今年こそは、調査会や臨調の答申もあり、また総理御自身の是正発言もあることでありますから、税の公平を期して必ず改善されるものと確信しているのでありますが、いまだその内容を確認することはできないのであります。簡単で結構であります。非課税措置は減ったのかふえたのか、大体どのぐらいの金額になるのか、この場でお教えをいただければ幸いと思います。(拍手)
 第二臨調最大の山場である基本答申は、地方行財政の改革も含めて、主要課題の検討作業が鋭意進められているようであります。聞くところによりますと、最近臨調の内部では、日増しに増税なし路線の貫徹は不可能という意見が強まって、土光会長の路線との内部対立が深まっていて、しかもその背景には、政府・自民党の強い働きかけや、総理周辺から臨調事務局への指示が流れているというようなことも伝えられているのであります。
 そこで、この際、改めて総理にお伺いいたしますが、総理の増税なき財政を貫くという決意には変わりありませんか。また、五十八年度以降もゼロシーリング、大幅歳出カットを続行する決心なのでありますか。それともまた、最近の厳しい経済情勢などを勘案して、行革の既定方針や日程に弾力性を持つ必要を感じておられるのかどうか、お答えをいただきたいのであります。
 昨年末、経団連や関西経連から道州制、地方庁制度が相次いで提案され、第二臨調もこれらを検討課題に含めているようであります。一方、地方制度調査会は、この動きに対応してこれを論議した結果、昨年の十一月、公選知事を中心とする現在の府県制度は、すでに三十五年の歳月を経て、国民の生活及び意識の中に強く定着しており、住民の意識や行政需要の動向とかかわりなく府県制度の改廃を考えることは重大な問題であるとして、これを否定しているのであります。
 私も、このような住民生活や行政制度の根本に触れることを、限られた利便や効率を中心に軽々に論ずべきものでないと考えます。まして、知事官選論のごときは論外で、時代錯誤もきわまるものと思いますが、このような問題では、単に臨調任せではなくて、責任ある立場で、総理は明快な見解を出すべきものと存じますが、いかがでありますか。
 また、総理は、第二臨調の審議を尊重することはもとより大切なことでありますが、しかし同じ総理の諮問機関として第十九次に至る長い歴史の厚みを持つ地方制度調査会の意見についても同様に十分尊重すべきと思うが、いかがでありますか。
 両調査会の答申にもし重大な差異が生ずることがあった場合に、このような場合、総理はその軽重をどう判断するお考えであるか、伺いたいのであります。(拍手)
 さらに、この際、総理のお気持ちをぜひ聞きたいことがあります。
 昨今いわゆる談合問題あるいはこれにかかわる天下り官僚や政治倫理の問題は、中央地方を問わず国民の大きな批判を浴び、政局の重大な焦点となっているところであります。本来、これらの問題は、行政の公正を期す上で行政改革の重要な課題であるべきものであり、これらの検討こそ臨調審議の第一でないかとも思うのであります。(拍手)臨調に対する諮問者の立場である総理は、これをどのようにお考えになっておられるか、どのような期待を持っておられるのか、お聞かせいただきたい。
 また、談合問題、天下り利権問題等についての総理の見解も、この際いただきたいと思うのであります。(拍手)
 最後に、総理、私どもは、残念ながら今日まで、あなたの地方に対する基本的な考え方を御披露いただいたことがないのであります。
 故大平前総理は、三全総の目の玉に定住圏構想を描き、田園都市を唱えられました。フランスのミッテラン大統領の地方分権化法、アメリカのレーガン大統領の新連邦主義など、地方分権はいまや世界の潮流であります。しかし、総理の所信表明をお聞きいたしましても、昨年も今年も、地方政策に当たる分がない。御就任以来の一年半を通じて全く見るべき地方政策が出ていないのであります。地方の時代と言われる今日、総理にその理念を見出すことができないことは、国民にとってまことに不幸なことであり、さびしいことであります。(拍手)
 今日、地方の現状は、ローカル線の廃止、農業破壊、地域特例の削減など、むしろ地域社会を崩壊に導き、地方受難の感があるのであります。総理、効率主義だけでは地方を育てることはできないのであって、今日の政府の地方にかかわる諸施策は定住圏構想に逆行し、地域における定住の条件をつくるどころか、逆に、これを壊していると言わなければなりません。総理、この際、あなたに地方への愛情と政策があるのならば、お言葉を得たいものであります。
 「足元を掘れ、さらば泉わかん」とはゲーテの言葉でありますが、よき地方をつくることがよき国を築くことであることをここに強く主張して、代表質問を終えたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 五十嵐議員にお答えをいたします。
 最初に、地方交付税は地方の固有財源であるとの御意見がありましたが、地方交付税につきましては、法により国税三税の一定割合をもって交付税とするものとされており、それが地方団体に法律上当然に帰属するという意味において、地方の固有財源であると言って差し支えないと存じます。
 昭和五十七年度におきましては、地方交付税の一部を減額し、これを後年度の地方交付税に加算することとしておりますが、これは交付税特別会計借入金の将来の償還金の負担を軽減し、地方財政の中長期的な健全化を確保する必要があること及び国の財政がきわめて厳しい状況にあることなどを総合的に勘案いたしまして、国、地方を通じ、全体として円滑な財政運営を図るためにとった措置でございます。
 次に、増税なき財政再建についてお尋ねがありましたが、財政再建を進めるに当たっては、何よりも歳出の節減合理化を第一に考えてまいりたいというのが従来からの考えでございます。したがって、まず大型増税は念頭に置くことなく、歳出の節減合理化に最大限の努力を傾けてまいる決意であります。
 次に、道州制の問題について御意見がありましたが、私も、道州制の問題は地方制度の根幹にかかわるきわめて重要な基本的課題であると考えております。臨時行政調査会においては、行政制度及び行政運営の基本的事項について御審議をお願いいだしておりますが、道州制について答申が出された場合には、それが地方自治制度の重要事項に関係するときは地方制度調査会の答申を得るなど、各方面の御意見も伺いつつ、その趣旨を尊重してまいりたいと存じます。
 なお、知事官選論については、今日ではごく一部の人の意見であって、慎重な検討を要する問題かと存じます。
 談合問題、天下り問題について臨時行政調査会における審議を期待しているかとのお尋ねでございましたが、今日国民の注目を集めている問題でありますので、臨調がもろもろの御検討を行われる際に、当然そのような問題についても考慮されるのではないかと思います。
 最後に、地方政策をどう考えているのかとのお尋ねでございますが、私は、健全な日本の社会を建設していくためには、それぞれの地方において、その地方の特性を生かした豊かな産業、文化を築いていくことが肝要であると思います。そのためには、それぞれの地方や地域の人々が主体性を持って地域の振興に取り組めるよう、過度の集権化を排し、地方自治の一層の充実に努めることが必要であり、また、そのような時代に入りつつあると考えております。
 残余の問題につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#8
○国務大臣(渡辺美智雄君) 地方交付税は本来地方の固有財源かという性格論の問題ですが、ただいま総理の答弁のとおりでございます。
 第二番目、五十八年度さらに地方交付税の削減をするつもりか。これは国と地方は車の両輪でございまして、地方が法人税収入等が非常に落ち込んだ、少ないというときには、国債を発行してまでも地方の財源のために国が手当てをしたこともございます。ことしなどは逆に、国の財政事情が非常に苦しいという状態のために、地方からお手伝いを受けておるわけでございます。目下、地方交付税を削減する考えは持っておりませんが、いずれにしても、国、地方というものは敵対関係じゃございませんから、お互いに車の両輪でございますから助け合っていかなければならぬ、そう思っております。
 それから、明年度以降、増税なき財政再建ということについては、これも総理からいま答弁があったとおりでございまして、問題は、歳出のカットができないということになりますと、これは要調整額が残るということになりますから、極力歳出カットをやっていきたい、そう思っておるわけでございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣世耕政隆君登壇〕
#9
○国務大臣(世耕政隆君) 五十嵐議員にお答えいたします。
 五十六年度の地方税における税収不足額の見込みはどうか、また、不足を生じたときどうするか、こういう御質問でございますが、十二月末の地方税収入の動向をまず都道府県の方から見ますと、法人関係税については伸び悩みがあるのですが、個人住民税、それから自動車関係税などが順調に伸びておりますので、地方税全体としては何とか当初の計画額を確保することができるのではないかと期待しながら今後の推移を見守っているところでございます。
 なお、法人関係税について当初見込まれた額を確保することが困難となる地方団体が出たような場合にはどうするか、そうした地方団体に対しては、必要に応じて減収補てん債による財源措置を含め、適切に対処していきたいと存じております。
 次に、五十七年度について経済成長見通しが甘いのじゃないか、その結果、地方税及び地方交付税が過大に見積もられていはしないか、そういう御質問でございましたが、昭和五十七年度の地方財政計画に計上されている地方税収入の見込み額は、政府において経済の諸情勢などを十分考えて策定した経済見通しを基礎としておりまして、最も適切な方法で見積もったものであります。また、地方交付税についても、その算定の基礎となる国税三税の収入見込み額は、同様な方法によって国税当局によって見込まれたものであります。現段階ではいずれも十分確保できるものと考えております。
 次に、五十七年度の地方交付税について減額留保、それから臨時地方特例交付金の不計上などが行われて、こんなに余裕があるのなら個人住民税の課税最低限の引き上げ措置を行うべきではないか、こういう御質問でございましたが、昭和五十七年度の地方交付税については、その一つとして、従来から措置されていた臨時地方特例交付金に相当するものを交付税特別会計で借り入れ、その償還は全額国が負担することにしております。
 次に、法定分にこの借入金を加えた交付税の総額から一部を減額し、その減額相当分を交付税特別会計借入金の償還が始まる昭和五十九年度以降の交付税に加算することとしております。
 これらの措置は、昭和五十七年度の地方交付税の所要額を確保する一方で、中長期的な地方財政の健全化に資するためにとった措置でございます。このような措置は、なお多額の借入金を抱えている地方財政の厳しい状況に対応して講じたものでありまして、個人住民税の課税最低限の引き上げを行い得るような余裕があることを意味するものではございません。
 なお、個人住民税については、低所得層の税負担に配慮して、明年度においても非課税限度額の引き上げ措置を講じているところでございます。
 次に、五十七年度について、国の財政の都合によって事実上地方交付税が削減されている、地方交付税は本来地方の固有財源ではないか、こういう趣旨の御質問でございます。
 地方交付税は、国と地方の事務配分と経費負担区分に見合って、国と地方との間の税源配分の一環として設けられているものであります。地方団体固有の財源であると考えております。
 昭和五十七年度において、地方交付税の一部を減額して、これを後年度の地方交付税に加算することといたしましたが、これは五十七年度、五十八年度においては交付税特別会計借入金の償還がなく、昭和五十九年度から償還が始まることなどを総合的に考えまして、昭和五十七年度の地方財政の運営に支障を生じない範囲内で、中長期的な観点から、地方財政の健全化のためにとった措置であります。地方交付税が地方団体固有の財源であるという趣旨に反する措置ではないと考えております。
 次に、五十七年度の地方税の非課税措置は減ったか、どれくらいの金額になるか、発表がないではないか、こういう御質問でございましたが、地方税の非課税特別措置について、昭和五十七年度においては、廃止が十一件であります。縮減が二十四件、計三十五件の整理合理化を図ることにしております。なお、新たに設けようとするものは三件であります。
 また、この制度改正によって、整理合理化による増収額は約二億円であります。漁船に対する課税標準の特例措置の拡充などを中心とした減収額は、約六億円であります。差し引き約四億円の減収となる見込みであります。
 なお、既存の非課税措置等についての金額を含めた全体の減収額は、ただいま取りまとめ中でございますが、約五千三百億円となるものと見込まれております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(福田一君) 武田一夫君。
    〔武田一夫君登壇〕
#11
○武田一夫君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま趣旨説明のありました昭和五十七年度地方財政計画並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 まず初めに、地方財政についてお伺いいたします。
 昭和五十七年度の地方財政計画の規模は、総額四十七兆五百四十二億円であり、対前年度の伸び率は五・六%となっております。昭和五十年度以来七年間にわたって続いてきた大型財政赤字から、一転して、逆に国に対して一千百億円を貸し付けております。昭和五十四年度の四兆円を上回る財政赤字が生じたことから見れば、表面上は確かに財政状況はよくなっております。しかし、その中身が問題であります。それは大幅な地方税の伸びを見込んでおり、また歳出の面においても、行政経費を中心に思い切った切り詰めを行い、超緊縮型となっており、いわば歳入の過大見積もりと、大幅な歳出カットの上に成り立った計画と言わざるを得ません。果たしてこのような財政見積もりで地方自治体の健全な財政運営ができるかどうか、はなはだ疑問であります。
 地方財政の基礎となる経済見通しを誤ると、地方財政運営に多大なる影響を与えることになるわけであり、地方税及び地方交付税の算定の基礎となる五十七年度の経済見通しについてお伺いいたしたいのであります。
 当面、景気情勢は依然として停滞をきわめております。このままで推移しますと、五十六年度の実質経済成長率は、実績見込み四・一%の達成すらおぼつかないと言わざるを得ません。さらにまた、五十七年度経済も、政府見通しの実現はとうてい困難と見ざるを得ないのであります。
 政府の公約する内需主導の景気回復が実現しないとするならば、税の減収が予想され、年度内に再び地方交付税の減額措置が避けられないばかりか、五十七年度においても同様の事態を想定せざるを得ないのであります。
 そこで、総理は、当面する景気情勢をどのように認識されておられるのか。また、五十六年度の実績見込み、五十七年度の内需を中心とした実質五・二%の目標実現についていかなる見通しをお持ちか、御見解を承りたいのであります。また、地方交付税等についても計画どおりの財源の確保が可能なのかどうか、この際、しかと確認しておきたいと思います。
 なお、国の五十六年度予算案において、国税三千七百億円の減収に対して補正措置がとられたばかりでありますが、これ以上の歳入欠陥は生じないものか、また、もし歳入欠陥が出た場合の地方財政への影響についてはどのように考え、どのように対応するつもりか、御見解をお聞かせ願いたいのであります。
 ところで、五十七年度の地方財政の目玉となっている地方単独事業についてお尋ねいたします。
 最近数年間の地方単独事業についての財政計画と決算との関係を見ますと、毎年決算は計画より約一兆円以上下回っており、予定された単独事業が消化されないままに計画倒れとなっております。五十七年度は、この単独事業に対して八・五%の伸びを計画しておりますが、これまでの例から見て、このような大幅な伸びを示している単独事業を消化できるのかどうか、非常に疑問であります。五十七年度にこれを達成できるという裏づけは何なのか、明確なる答弁を求めるものであります。
 次に、国、地方間の行財政改革についてお伺いいたしたいのであります。
 今日の国、地方の財政構造は、税収では国が二、地方が一であるのに対し、歳出面では全く逆転しております。また、地方自治発足以来、一貫して機関委任事務が補助金行政の拡大などをとり続けてきたのが実態であり、国主導型の行財政構造の大改革が今日の地方自治を改革する上での最大の課題となっております。
 現在の社会経済情勢を見るとき、国民の価値観の多様性と住民要求の多面化がますます高まっております。こうした事態に対処するためには、現在のような中央政府の画一行政では、自治体の対応が不可能な事態を迎え、地域の実情に沿った行政運営を推進しなければなりません。そのためには、権限、財源の地方分権化をその基本に置かなければなりません。
 昭和五十年度以来、国、地方とも財政難にあえいでおり、この改革のために、昨年臨時行政調査会を発足させ、国を挙げて行財政改革に取り組んでいるのであります。昨年の臨調の答申に引き続き、本年は本格的答申が出されることになっており、いわば行財政改革の本番を迎えることになっているわけであります。こうしたときに当たって、長年懸案であった地方分権を基本とした行財政改革を実施すべきチャンスであると考えるものであります。
 そこで、総理にお伺いいたしたいのであります。
 総理が考えておられる地方自治制度とは一体どのようなものか、まず明らかにしていただきたいのであります。
 また、この行政改革の機会をとらえ、地方分権化を基本とした行財政改革を進めるべきであると思うのでありますが、これに対する見解をお聞かせ願いたいと思います。
 さらに、国に偏重している税制構造をこの際抜本的に見直し、国、地方の税源配分を当面一対一にまで高め、税源を地方に移譲すべきであると思いますが、この点についてもお答えをいただきたいと思います。
 次に、地方税についてお伺いいたします。
 その第一は、住民税の減税についてであります。
 五十七年度の地方税制の改正では、五十六年度に引き続き、従来とられてきた課税最低限の引き上げを行わず、生活保護費の引き上げに伴って非課税の限度額をわずかに引き上げるにとどまり、全く小手先の措置に終わっております。五年間にわたる所得税の減税見送りとともに、引き続く住民税減税の見送りによって、国民は増税を余儀なくされており、可処分所得の減収を招いている人も少なくありません。
 また、昨年来の景気の停滞を考えたとき、政府の言う内需の拡大を図るためには、いまどうしても実現しなければならないのは、国民の実質所得の増大による消費の拡大、そして景気の盛り上げではありませんか。したがって、住民税においては、課税最低限を現行の百五十八万四千円から百八十五万円程度に引き上げ、総額で約三千億円程度の減税を断行すべきであります。
 総理は、財源難を理由に減税に対して余りにも消極的でありますが、不公平税制の是正など、減税を実施するための財源は捻出できないはずはありません。成らぬは人のなさぬなりけりではありませんか。減税に対する総理の前向きの姿勢を切に要求するとともに、この点に対する決意のほどをお聞きしたいと思います。
 地方税の第二点は、租税特別措置等の問題についての質問であります。
 国の経済政策のために地方税は各種の減免措置がとられており、このために、地方税の減収はほぼ五千億円にも上っております。中でも、産業用電気税は、これまで抜本的な洗い直しが見送られているために、一千四百億円を超える税が非課税となっております。このような制度は、税の公平感を欠くとともに、地方自治体の課税自主権をも損ねるものであります。
 また、現行の国の租税特別措置等により、国税を減免した場合、地方税もその影響を受け減収する仕組みになっております。したがって、産業用電気税の洗い直しを初めとした地方税の減免措置の見直しを行うとともに、国の租税特別措置等による地方税の減収を遮断すべきでありますが、これに対する見解をお伺いいたします。
 地方税に対する第三の点は、土地税制についてであります。
 今回、土地税制については、譲渡所得税の大幅緩和を初めとした改正を行おうとしておりますが、土地税制の大きな改正の目的は、宅地の供給であります。今回の譲渡所得の緩和により、どのような効果が期待されると見ておられるのか、まずこの点についてお尋ねをいたします。
 また、税制改正では、三大都市圏の特定市街化区域のいわゆる宅地並み課税の改正が行われることになっております。政府案によりますと、十年間営農を継続する人に対して、五年間ごとの見直しを行うこととして一般農地並み課税としております。しかし、政府案の言うように、十年間の期限とはいうものの、実質的には五年間の営農義務を課すだけで、果たして宅地並み課税の本来の目的である宅地の供給が可能であるかどうか、またこの効果をどの程度期待できるものか、あわせて明快なる答弁を求めるものであります。
 以上、地方行財政制度の重要な課題を質問いたしましたが、地方の時代を実りあるものにするためにも、総理を初め、関係大臣の率直にして納得のいく答弁を期待して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#12
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 武田議員にお答えをいたします。
 まず、最近のわが国経済の状況についてでありますが、物価が安定的に推移しているほか、これまで景気回復をおくらせてきた在庫調整もすでにほぼ終了していると見られることなど、経済環境も好転してきております。このため、五十六年度の実質経済成長率は四・一%程度になると見込んでおります。
 五十七年度におきましては、多くの先進諸国において、本年後半にはインフレの収束と景気の回復が見込まれます。第二次石油ショック直後の五十五年度、五十六年度に比べ、高い成長を可能とする条件が整ってきていると見ております。
 需要項目別に見ましても、個人消費については、物価の安定を基礎として、実質所得の増加により、相当程度伸びが高まること。住宅投資については、実質所得の回復等に加えて、住宅金融の充実、宅地供給の促進など、諸般の対策のきめ細かな推進により、今後回復に向かうと見られること。設備投資については、大企業はもとより、中小企業においても、内需の回復などを背景として増加テンポが高まることなど、景気の回復は着実に進み、五・二%程度の実質成長が見込まれると考えております。
 今後とも、民間活力が最大限に発揮されるよう環境の維持整備を図るなど、景気の維持拡大に努めてまいりたいと存じます。
 なお、地方財政につきましては、五十六年度の地方税収については、全体としてはおおむね見込み額を確保できるのではないかと期待いたしております。
 五十七年度の地方税及び地方交付税につきましては、先ほど申し上げた政府の経済見通しによる諸指標などを基礎として、最も適切な方法により見積もりを行ったものでありまして、現段階では十分確保できるものと考えております。
 税収見積もりの問題でありますが、これは見積もりの時点における利用可能な資料に基づいて、専門家たちが最大限の努力を傾注した結果であります。見積もりの時点で入手可能なデータには一定の限度がありますから、必ずしも結果が見積もりどおりになるとは限らないというのが過去の例でありますが、五十六年度の補正後予算における税収見積もりも、現段階において最善の努力を行った結果であることは御理解願いたいと存じます。
 次に、地方自治制度をどう考えるかという観点からお尋ねがありましたが、私は、地方自治は憲法に基づく民主政治の基盤であり、国と地方公共団体はそれぞれの果たすべき役割りを踏まえつつ、相協力して国民の福祉の向上に努めていかなければならないものと考えております。
 このためには、地方公共団体の自主性と自律性が発揮できるよう十分配慮する必要があると考えており、今後行政改革を進めるに当たっては、住民の生活に密着する行政は、できる限り住民の身近なととろで執行するという考え方に立って進めてまいりたいと存じます。
 また、国と地方の税源配分の問題は、国、地方を通ずる事務の配分など、地方行財政制度全般のあり方と関連する問題でありますので、今後、各方面の意見を聞きながら十分検討してまいりたいと考えております。
 最後に、住民税の減税についてでありますが、五十七年度の地方財政は、歳出の抑制合理化に努めることとした結果、ようやく収支の均衡を図ることができましたが、なお巨額の公債や借入金の残高を抱えている厳しい状況から考えれば、五十七年度において、住民税について大幅な減税を実施できる状況にはないと考えております。
 残余の問題につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣世耕政隆君登壇〕
#13
○国務大臣(世耕政隆君) 武田議員にお答え申し上げます。
 五十七年度の単独事業でありますが、これを完全に消化できるかどうか、こういう御質問でございました。また、五十七年度においてこれを達成できるとする裏づけを示せ、こういう御質問でございました。
 地方単独事業費については、近年、地方財政計画と決算との間に統計上の取り扱いの相違がありまして、乖離状態が見られているのは事実でございます。しかしながら、昭和五十六年度の地方単独事業の予算措置状況について見ますと、地方財政計画の伸び率が八%であるのに対して、都道府県では一〇・六%増しとなっておりまして、積極的な予算計上が行われているところでございます。
 昭和五十七年度地方財政計画においては、社会資本の計画的整備と地域経済の安定的な発展のため、引き続き地方単独事業を拡充すべきであるという地方団体からの強い御要望がございます。それを踏まえて、抑制的な基調のもとではありますが、地方単独事業費については八・五%の伸びを確保したものでございます。
 今後、この地方財政計画に即して、地方団体に対して、地方交付税及び地方債により所要の財源措置を講ずる一方で、地方団体においても、財源の重点的配分により積極的な単独事業の実施に努めるよう指導することによって、地方単独事業の円滑な実施を期してまいりたいと存じております。
 次に、地方税の減免措置の見直しを行うとともに、国の租税特別措置などによる地方税の減収を遮断すべきではないか、こういう御質問でございました。
 地方税の非課税等特別措置については、従来から既得権や慢性化の排除に努めるという観点から見直しを行っておりまして、特に昭和五十一年度以降は、課税の公平をより重視するという立場から、その整理合理化を進めてきたところでございます。昭和五十七年度においてもできる限りの整理合理化を行うこととしております。
 また、国の租税特別措置の地方税への影響は、これをできるだけ回避すべきものと考えておりますが、ただ、国の租税特別措置の中には、地方税においても同様の軽減を行った方が適当であるものもございます。また、国の租税特別措置を地方税で回避することが課税技術上困難なものもございます。したがって、これらの地方税への影響をすべて遮断することはできないことも御理解いただきたいと存ずる次第でございます。
 次に、土地税制における譲渡所得の緩和は宅地供給面でどんな効果が出てくるのか、期待できるのか、また、実質的には五年間の営農義務を課すだけで宅地並み課税の本来の目的である宅地の供給が可能になるかどうか、こういう御質問でございました。
 まず第一番に、宅地の供給を図り住宅建設を促進するということが現在のわが国の重要な政策課題となっておりますのは、議員御承知のとおりでございます。今回の改正では、税負担の公平にも配慮いたしまして、長期安定的な住宅土地税制を確立することによって、このような政策課題に税制面からも配慮をしようとするものでございます。
 次の問題としては、長期譲渡所得について、譲渡益四千万円を超える部分は一律二分の一総合課税とするなどの措置を講ずるとともに、市街化区域農地の課税についても一定のC農地に拡大するなどの措置を講ずることとしております。これらの措置は、他の諸政策と相まって土地の安定的供給に寄与できるものではないか、このように考えておる次第でございます。
 なお、現在の市街化区域農地に係る減額制度は、三年以上農地として保全することが適当であると認められる農地について、毎年度の税額を減額してまいりました。これに対して、今回の徴収猶予制度においては、十年以上営農を継続することが適当であると認められる農地について、五年ずつ徴収を猶予して、長期営農者に対する配慮を行いましたが、一方、途中で転用した場合には、徴収猶予を取り消して、原則として直ちに徴収猶予税額をさかのぼって徴収することとしております。現行制度に比べて課税の強化を図ったものでございます。以上、お答えいたしました。
    ―――――――――――――
#14
○議長(福田一君) 青山丘君。
    〔青山丘君登壇〕
#15
○青山丘君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました昭和五十七年度地方財政計画並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 今日の地方行政を取り巻く環境は、きわめて厳しい状況にあると言わなければなりません。すなわち、一方においては、住民要求は、各分野において以前にも増して高まってまいりました。福祉、医療、住宅、教育など諸般にわたるきめ細かい対応が求められております。他方では、財政的な制約から行政改革を進めて歳出を抑制し、同時に、住民負担となるいわゆる受益者負担の導入を図るなど、住民への協力を呼びかける努力が地方自治体に強く求められているのであります。このような中にあって、政府は、地方自治体のあるべき姿、また地方自治確立のための具体的な政策についていかなる提案をしてきたというのでありましょうか。
 わが党は、一貫して地方分権と自治の確立を基本政策として、第二交付税を初め幾多の提言を行ってまいりました。しかしながら、政府は何らの見るべき施策をも実行してこなかったと言っても過言ではありません。それどころか、むしろ多大な権限と補助金によって地方を縛りながら、住民の期待にこたえようとする地方自治体の施策を大きく阻害し続けてきたではありませんか。(拍手)
 御承知のとおり、アメリカでは、レーガン政権が新連邦主義を打ち出しました。連邦政府の権限と財源の抜本的改革によって、地方自治体の権限を一層強化しようとしております。
 鈴木総理、あなたがいま進めておられる行政改革の中で、国と地方の関係は基本的にどうあるべきと考えておられますか。総理の基本的な認識をまず伺いたいのであります。
 次に、昭和五十七年度の地方財政対策について伺います。
 政府は、地方交付税額九兆三千三百億円を見込むに当たり、一方で資金運用部より二千九十八億円を借り入れ、他方で減額留保分として一千百三十五億円を国の一般会計に貸し付けるという社会通念上理解できない、まことに不可解な方法をとっているのであります。二千億借り、一千億貸す、この貸し借りの合計三千二百三十三億円は、本来国の一般会計から支出すべき経費ではありませんか。にもかかわらず、他会計に負担をさせることは、まさに赤字国債の発行にも匹敵するものであります。歳出の節減合理化によって国債が減額されるのであれば、財政は健全化の方向とみなし得るわけであります。しかし、他会計から借り入れを受けながら国債が減額されるというのは、単なる収支のつじつま合わせにすぎません。今回の地方交付税法の改正はまさにそれであります。一般会計の収支のつじつま合わせのために地方交付税法の改正が求められているのではありませんか。
 総理、あなたは、昭和五十九年度までに赤字国債をゼロにし、財政再建を達成すると公約しておられますが、地方交付税等、他の会計に負担を転嫁して収支のつじつま合わせをする、このような他に負担を転嫁する財政再建策を今後とも推し進めようとされるのか、お尋ねをいたします。
 また、昭和五十七年度の地方財政対策では、昭和五十年以来続いてきました地方の財源不足が昭和五十七年度には解消するという認識を政府はお持ちのようでありますが、仮に百歩譲って、五十七年度に収支が均衡するとしても、地方財政はなお四十兆円にも上る多額の債務を抱えております。中長期的に見れば、依然として危機的状況にあると考えるのであります。これについてどう受けとめておられますか。
 また、このような危機を打開するために、地方財政をどのように改革するお考えなのか、総理並びに自治大臣の御見解をいただきたいのであります。
 次に、地方財政計画における単独事業費について伺います。
 公共事業費が抑制基調にある中で、地方単独事業が八・五%の伸びを確保したことは、もとより地方団体にとっては喜ばしいことではあります。しかし、これらの事業費を完全に消化することなくしては景気対策にも重大な影響を及ぼす、こう考えるのであります。すなわち、大蔵省は、国の財政が苦しいからということで、今度は地方に公共事業等を負担させようとはかったのではありませんか。また、自治省は、地方単独事業を円滑に行うために、地方自治体に対してどのような財政措置を考えておられますか。大蔵大臣と自治大臣にそれぞれお答えを願いたいのであります。
 次に、地方税制の改正についてお尋ねをいたします。
 わが党は、わが国経済の発展と国民生活の安定を図る立場から、来年度予算においては、行財政改革の断行と減税の実施による内需拡大型の予算を編成するよう強く主張してまいりました。しかるに政府は、いまや緊急かつ最大の国民的要望となっている所得税、住民税の減税を全く無視して、本格的な行財政改革に着手しないまま、財政再建の美名のもとに国民の負担を増大させることも辞さないという方針を出されたことはきわめて遺憾であります。
 特に、私は、所得税減税についてはもちろんのこと、ともすれば無視されがちな住民税減税について、政府に強くその実現を求めるものであります。
 御承知のように、住民税の課税最低限は、すでに昨年において生活保護基準額が住民税の課税最低限を上回るという逆転現象を生じるに至ったのであります。政府はこれを回避するために、昨年度限りの措置として、非課税限度額の引き上げという小手先の操作を行ったのでありますが、本年度もまた、これと同じ措置を講じようとしております。政府は、このような場当たり的な対応をいつまで続けていこうとされるのか。
 また、現在、所得税と住民税の課税最低限との間には、実に四十三万一千円の開きがあります。庶民生活の実感からすれば、住民税を納める負担が所得税よりも重く感じているのが実情であります。自治大臣は、なぜ、これらの点を主張して、住民税の減税を実行に移そうとされないのか。
 たとえば、わが党が主張するように、各人的控除を三万円ずつ引き上げても、それに要する財源は三千億円弱であります。地方財政計画四十七兆円の規模の中で、しかも一千億円以上を国に貸し付けておきながら、自治大臣は、たった三千億円の財源を減税に回すことができないとおっしゃるのでしょうか、お聞きいたしたいのであります。
 また、今後所得税減税が行われる場合には、住民税の減税も同時に行う用意があるのかどうか、総理に御答弁を求めるものであります。
 最後に、行政改革についてお聞きいたします。
 言うまでもなく、行政改革は今日最大の政治課題であります。政府は、財政再建の一環として、幾多の紆余曲折を経て行政改革への本格的取り組みに、遅まきながらその一歩を踏み出そうとしております。片や地方自治体においては、早くから行政改革を時代の要請であると認識して、その対応を進めてきたととろであります。
 しかし、そのたびごとに地方団体の行政改革を阻む大きな壁に突き当たってきたところであります。改革を阻む最も大きな壁は、国の制度及び国の行政指導に関するものでありました。現行の行財政のシステムは、国と地方の機能分担があたかも集積回路のように複雑に組み合わされて、行政改革を行おうとすればするほど、その仕組みとの調整が大きな障害となってまいります。
 具体的には、道路整備を行うにも、福祉施策を推進するにも国の許可を必要としております。そのために多大な事務手続と費用を費やしてきました。のみならず、地方自治体の自主性を著しく損なうものとなっているのであります。
 民社党は、地方自治体が公共事業を実施するに当たって、地域の実情を無視したまま不当に国が介入することを改めるため、これらの補助金を地方に一括交付し、国の計画との調整を行いつつ、地方が自主的に財政運営を行い得る体制を整備する、いわゆる第二交付税制度の実現を再三再四主張しているのでありますが、これについては、地方分権を進める立場にある自治大臣の御見解はいかがでありましょうか。
 また、政府は、補助金の整理合理化あるいは統合メニュー化方式などに加えて、さらに一歩前進した補助金制度の抜本的改革を行うべきであると考えるのでありますが、総理の前向きな御答弁を求めるものであります。
 次に、地方公務員の給与問題についてであります。
 私は、地方行政に対する不信感が国民の間に芽生えてきている最大のものは、国に比べてさえ著しく高い地方公務員の給与にあると考えるのであります。今日、地方行政の減量化、経費の節減等が厳しく求められている中にあって、国より二〇%も上回る給与の支給を行う地方団体があります。四千万円、五千万円にも上る退職金を支給する地方自治体が存在する事実は、国民の不信を買い、財界の一部で言われるような地方財政余裕論すら出てきているのであります。
 自治省は、昨年、地方団体の給与実態を公表せよと通達を出されましたが、現実にはなお多くの地方団体において公表が実施されておりません。また、公表されても、その内容は単なる年齢と職員給の一覧にすぎません。肝心の地元企業との比較、あるいは条例に違反したやみ手当やわたり、昇給短縮といった不正な給与支給実態を国民の目に明らかにしなければ、何ら問題の解決にはなりません。(拍手)
 自治大臣は、今後給与の実態公表についてさらに改善を進め、真に実のあるものにするためにどのような指導を行っていかれるのか、自治大臣のかたい決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 青山議員にお答えをいたします。
 最初に、国と地方の関係をどう考えていくのかとのお尋ねがございましたが、私は、地方自治は憲法に基づく民主政治の基盤であり、国と地方公共団体は、それぞれの果たすべき役割りを踏まえながら、相協力して国民の福祉の向上に努めていかなければならないと考えております。
 このため、政府としては、地方自治の尊重、中央地方を通ずる行政の簡素合理化の推進という観点から、従来から国と地方の間の事務配分の適正化と、それに見合う適正な財源の配分、補助金の統合メニュー化などの措置を講じてきたところであります。今後の行政改革を進めるに当たりましても、住民の生活に密着する行政は、できる限り住民の身近なところで進めることが必要であると考えており、地方公共団体の自主性、自律性が十分発揮できますよう一層配慮していく必要があると考えております。
 昭和五十七年度予算における地方財政対策についてのお尋ねでありますが、国の厳しい財政状況のもとで、地方財政の中期的な健全性の確保に配慮しながら、国、地方を通じ、円滑な財政運営を図るという観点に立って行われたものでありまして、単なる収支のつじつま合わせではないことを御理解願いたいと存じます。
 次に、補助金の問題でありますが、補助金は、国が一定の行政水準を維持するなどの各般の施策を推進する上で重要な政策手段としての機能を持っていることは、御承知のとおりでありますが、他方、補助金の既得権益化、惰性的運用といった弊害も指摘されておりますので、行財政の効率化、地方公共団体の自主性の尊重などの見地に立って、その整理合理化には特段の努力を重ねてきております。
 なお、今後とも整理統合メニュー化など、補助金についての見直し、合理化につきましては一層努力を傾けてまいりたいと存じます。
 以上、お答えいたしましたが、残余の点につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#17
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 地方単独事業八・五%の伸びを地方に押しつけたのじゃないか、これは押しつけたのじゃなくて、地方団体からの強い要望があったわけでございます。それとともに、経済の動向に配慮して、国全体としての、国の方の公共事業は抑えてありますが、地方の方を、特に地方にかげりがあるという話もございますので、経済運営に配意した結果である。さようでございます。(拍手)
    〔国務大臣世耕政隆君登壇〕
#18
○国務大臣(世耕政隆君) 青山議員にお答えいたします。
 第一番の五十七年度の中長期的な地方財源の展望でございますが、ただいま総理からもおっしゃられましたし、大蔵大臣からもおっしゃられましたが、若干補足さしていただきます。
 地方財政は、昭和五十七年度は単年度としては収支が均衡する見込みになりましたが、一方、昭和五十七年度末においては三十四兆円の地方債が残ります。また、約八兆円の交付税特別会計借入金残高があります。合わせて総額四十二兆円になりまして、かなりの巨額の借入金の残高を残すことになります。
 今後、地方行財政に課せられた責務を適切に果たしていきながら、こうした巨額の借入金の償還に対処することのできるような健全な財政構造を確立していくのには非常な今後の努力を要するものと考えます。したがって、今後、国、地方を通ずる行財政の簡素効率化、それから事務配分に即した適切な税財源の配分に積極的に努める必要がございます。
 地方公共団体においても、国と同様の基調に立って、みずから積極的に行政改革を推進し、歳出の節減合理化、定員及び給与の適正化等を図り、効率的な財政運営に努めることが必要であると思います。これらによって、地方財政の健全化を一層進めていかなければならないと考えているところでございます。
 次に、地方単独事業の円滑な実施を図るために、地方自治体に対してどのような財政措置を行う考えがあるか、こういう御質問でございましたが、昭和五十七年度の地方財政計画において、社会資本の計画的な整備と地域経済の安定的な発展に資するために、地方単独事業費を増額しております。地方単独事業の円滑な実施を図るために、この地方財政計画に即して、地方交付税及び地方債により、地方団体に対して所要の財源措置を講じていく考えております。また、地方団体に対しては、一般行政経費の節減による財源の捻出を図りながら、地方単独事業費に財源の重点的配分を行うことによって、積極的な単独事業の実施に努めていただくように指導してまいる所存でございます。
 次に、住民税について御質問がございました。非課税限度額の引き上げという小手先の操作ばかり行っておって、場当たり的な対応をいつまで続けるのか、また、国民の実感として住民税の負担感がより強いものになっておる、どうするか、交付税を一千億円以上も減額留保するという状況下で、三千億円の減税がなぜできないか、所得税減税がなされるなら住民税の減税もあわせて行う用意があるか、こういうような御質問でございました。
 明年度の地方財政は非常に厳しい状況にありますので、高額所得者にも減税効果が及ぶ課税最低減の引き上げを行うことは困難であると思います。しかしながら、低所得者層の税負担について配慮を加えるため、非課税限度額を引き上げているところでございます。今後、非課税制度をどうするかは、課税最低限のあり方と関連する問題であります。地方財政の動向と税制全般の中で、十分今後検討してまいりたいと存じております。
 なお、昭和五十七年度において、御提案のような巨額の住民税減税を行う財源的余裕はございません。
 次に、補助金を地方に一括交付して、地方が自主的に財政運営を行う体制を整備するため、第二交付税制度の実現を御主張になっておられる。これについて、地方分権を進める立場に立つ私どもの見解はどうであるか、こういうような御質問をいただきました。
 御提案のように、たとえば公共事業関係補助金のすべてを第二交付税として一括交付することについては、その御趣旨はよく理解できるところでございます。しかしながら、一方、御提案の内容は国と地方の役割り分担のあり方につながる事柄でございまして、同時に、道路、河川の整備など一定の国策を実現するという国庫補助負担金制度の意義を大きく変革していくことにもなってまいります。そこで慎重に今後対処する必要があると考えております。しかしながら、地方の自主性、自律性を高めるとともに、国庫補助金制度の弊害を極力除去していくため、補助金の統合メニュー化、さらには総合補助金の導入などを進めるとともに、補助金に係る手続の簡素化を積極的に推進してまいる必要があると考えております。
 最後に、自治省が昨年給与実態の公表についての通達を出していながら、公表した内容は余り十分ではない、まだ未実施のところもある、これをどうするか、こういう御質問でございましたが、地方自治体の職員給与などの公表は、地域住民の税負担によって賄われている職員給与の実態を住民が身近に知り得る状態にすることによって、地域住民のより一層の納得と支持が得られるようにする一助として行うものでございます。
 今回の給与公表の状況については、現在調査中でございますが、その結果を見て、まだ公表を実施していない地方団体などについては、給与公表の趣旨に沿って公表を行うよう強力に指導してまいりたいと思っております。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
#19
○議長(福田一君) 岩佐恵美君。
    〔岩佐恵美君登壇〕
#20
○岩佐恵美君 私は、日本共産党を代表して、昭和五十七年度地方財政計画、地方交付税法改正案、地方税法改正案に関して、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 まず、総理に伺いたいと思いますが、憲法では、地方自治体の自治権尊重が明確にうたわれています。しかし、臨調第一次答申及び現在作業が進められている基本答申の検討課題では、口では地方自治を唱えながら、実際には国の財政危機を地方自治体に転嫁し、住民サービスの低下を押しつけるとともに、府県の廃止、道州制の実施など、地方自治制度の根本的改悪が盛り込まれています。
    〔議長退席、副議長着席〕
 総理は、地方自治尊重の立場に立たれるのか、それとも臨調路線で地方自治破壊の立場に立たれるのか、基本認識について伺いたいと思います。(拍手)
 臨調第一次答申は、老人医療の無料化制度の自治体による上積み措置の廃止を求めました。これこそ地方自治体独自の努力による福祉充実に対する攻撃であり、自治権侵害の最たるものと言わなければなりません。昨年秋の臨時国会においては、当時の村山厚生大臣は自治権にかかわる問題で、地方の判断にまたざるを得ないと述べているところでもあります。
 自治大臣、自治権を尊重して、老人医療上積み措置の廃止を自治体に強要しないと約束されるかどうか、はっきりと答弁願います。
 政府は、自治体に働く職員の人減らしを強引に推し進めようとし、自治省がその先頭に立っています。
 自治大臣に伺いますが、先日のホテル・ニュージャパンの火災は、現場に駆けつけた消防職員の、みずからの安全を顧みない献身的な働きにもかかわらず、あのような大惨事を引き起こしました。それは予防、査察、消火のどの面をとっても、現在の消防体制が大きく立ち遅れていることを明らかにしたのであります。だからこそ、石見消防庁長官は、現行の消防力基準を引き下げようとは考えていないし、現在七八%にすぎない達成率を一〇〇%に引き上げるために全力を挙げると国会で答弁してきたのであります。
 自治大臣、あなたのお考えはいかがですか。消防職員の増員は必要なのではありませんか。せめて一〇〇%にするための人員三万三千人の増員は早急に確保すべきだと思いますが、いかがですか。
 自治大臣、もし消防職員の増員が国民の生命と財産を守るために必要であるとお考えであるならば、国民の安全と健康を守るすべての分野における職員の配置についても、同じ考え方が貫かれるべきであります。臨調第一次答申は、消防職員を初め小中学校の教員、保育所の保母、看護婦、保健所職員など、すべての自治体職員の配置基準の引き下げ、人員の抑制を求めておりますが、これらについてどうなのか、この際、あわせて答弁を求めるものであります。(拍手)
 次に、五十七年度の地方財政計画について伺います。
 五十七年度地方財政計画の最大の特徴は、八年ぶりに収支均衡を回復し、財源不足がゼロになるという地方財政余裕論に立っていることであります。問題は、果たしてこれが事実に立脚したものかどうかということであります。国家財政と比べて地方財政は楽だというような認識にない、交付税率の引き上げをしなければならない状況である、これはわずか四カ月前の安孫子前自治大臣の国会答弁であります。自治大臣、深刻な消費不況で、国の税収が空前の歳入欠陥に落ち込もうとしているにもかかわらず、ひとり地方財政だけが四カ月間で急速に好転するような、どんな事情の変化があったのでしょうか、国民にはっきりと説明していただきたいと思います。(拍手)
 地方財政計画をよく見れば、収支均衡が無理やりにつくり出されたものであることは明らかであります。まず指摘しなければならないのは、住民負担の強化と国庫補助の大幅削減によって強引な抑制が図られていることであります。
 地方財政計画は、使用料及び手数料の伸びを、歳入全体の増加率五・六%を大きく上回る七・八%としておりますが、これを受けて多くの自治体が、公立高校の授業料、保育料、地方公営交通の運賃、上下水道料金、公営住宅家賃、国民健康保険料など、公共料金の軒並み値上げを打ち出しているのであります。また、小中学校の整備費は、三百校分に当たる九百五十億円の削減、公営住宅についても一千戸分八百八十億円の削減、こうした住民の暮らしの基本にかかわる事業費が大きく削り込まれているのであります。
 総理並びに自治大臣、行政水準を下げれば歳出が減るのはあたりまえであります。地方財政を豊かにするために、住民サービスは切り下げれば切り下げるほどよいとでもお考えなのでしょうか、はっきりとお答え願います。
 さらに、歳入面でも過大見積もりをしているという問題があります。地方税収は前年度比一一・七%増とされていますが、この計画の基礎となる五十六年度の国税収入に一兆円単位の大穴があくことは、予算委員会における私の追及に対して、政府が否定できなかったことでも明らかであります。自治省近藤事務次官自身が、五十七年度は前年度以上に厳しい環境にあり、税収、特に法人税収の見通しには難点がある旨発言しておりますが、自治大臣は事務次官のこの発言と同じ見解なのかどうか、それとも事務次官が間違ったことを言ったと言われるのか、明らかにしていただきたいと思います。
 地方税収が地方財政計画に比べて大きく落ち込むようなことになれば、地方自治体に収拾のつかない混乱をもたらすことは必至であります。大蔵大臣は、税収欠陥が出れば政治責任をとると表明されておりますが、地方税収に巨額の欠陥が出た場合、担当大臣である自治大臣、最高責任者である総理大臣は、それぞれどう責任をおとりになるのか、明快な答弁を求めるものであります。(拍手)
 地方税収を過大に見積もった結果、政府は、地方の財源が余るという口実で、一千百三十五億円に上る地方交付税の国への一方的な借り上げ措置さえとろうとしています。総理は、予算委員会での私の質問に、交付税率の引き下げは考えていないと答弁されましたが、こうした借り上げという方法が繰り返しとられるならば、事実上の交付税の引き下げになるわけであります。
 しかも、政府は、それに加えて、来年度予算編成に際して、自治体と国民の猛反対で断念せざるを得なかった国民健康保険給付費、児童扶養手当、特別児童扶養手当の一部都道府県肩がわりを引き続きたくらんでいるのであります。自治大臣、あなたは大蔵大臣との間で今後検討する旨の合意文書を交わされたそうでありますが、それは肩がわりもあり得るということを意味するのでしょうか。安孫子前自治大臣は、地方財政法にも反するよこしまな道であると明言されました。あなたはそのよこしまな道を歩むおつもりなのかどうか、はっきり答えてください。(拍手)
 所得税とあわせて、三年連続の住民税減税の見送りによる実質増税、固定資産の評価がえや農地の宅地並み課税による大増税と、来年度は大きな税負担が住民にかけられてきます。だからこそ、国民は、所得税減税とあわせて住民税の減税を強く求めているのです。
 ところが、政府は、来年度またしても住民税減税をしないで、非課税限度額の引き上げというこそくなやり方で、生活保護基準とのつじつま合わせをしようとしています。この非課税方式は、課税最低限をそのままにしているため、限度額を超えた途端税負担が急増するという矛盾があり、これを重ねれば重ねるほど、その矛盾が激しくなることは明らかであります。しかも、昨年この方式を初めて採用したとき、自治大臣は、今年限りの措置だから認めてほしいと述べましたが、一体この約束はどうなったのでしょうか。
 また、五十七年度の十三万円引き上げを五十八年度にも繰り返せば、住民税非課税限度額は所得税課税最低限とちょうど一致する二百一万五千円となり、五十九年には逆転することになります。それでも所得税減税はあくまで拒否されるのかどうか。
 以上、二点について総理に答弁を求めるものです。
 最後に、わが党は、国の工事を受注している業者から、鈴木総理を初め多数の閣僚、議員が違法献金を受け取っていた容疑を提起しました。同様のことが、鈴木東京都知事、岸大阪府知事など自治体首長に対しても行われていた疑いが、わが党の調査によって明らかになっています。このような大企業との不明瞭な関係、財界奉仕の体質に、国のレベルでも、自治体のレベルでも大胆なメスを入れ、行政の責任者の姿勢を正すことが地方政治の民主的な発展、住民サービス向上の重要な条件であります。
 自治大臣の所見を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#21
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 岩佐議員にお答えをいたします。
 地方自治制度のあり方を検討する場合には、地方公共団体の自主性と自律性が発揮できるように十分配慮していく必要があると思います。今後、行政改革を進めていくに当たっては、国、地方を通ずる行財政の簡素効率化及び地方自治の尊重という観点に立って対処してまいりたいと考えております。
 次に、五十七年度の地方財政計画についていろいろ御意見がありましたが、五十七年度の地方財政については、必要な単独事業費などの確保を図りながらも、おおむね国と同様の抑制的な基調のもとに、歳出全般について節減合理化に努めることとし、一方、歳入面においては、地方税の増収、地方交付税の増加などによる収入の増加が見込まれましたので、全体として収支均衡する見込みとなったものであります。
 なお、地方財政計画に計上している地方税収の、見込み額は、現段階では十分確保できるものと考えております。
 最後に、所得税減税の問題でありますが、お尋ねの住民税の非課税限度額と所得税の課税最低限とは性格が異なるものでありますから、単純に両者を比較して論ずるのはどうかと思われますし、また、わが国の所得税負担の現状及び現下の厳しい財政事情からすれば、所得税減税は見合わせざるを得ないということは、いろいろな機会に申し上げてきているとおりであります。
 以上申し上げましたが、以下の質問につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣世耕政隆君登壇〕
#22
○国務大臣(世耕政隆君) 岩佐議員に申し上げます。
 地方団体が行っている老人医療の単独無料化についてのあれでございましたが、それに対しては、現在地方自治体が行っている所得制限の緩和と対象年齢の引き下げなどの措置は、単独事業として地方団体が自主的な判断で行っているものであります。このような単独事業については、その必要性と行政効果、将来の財政負担の有無、住民相互間の負担の公平、国の施策の動向などを総合的に考えながら慎重に行うべきものと当方では考えております。今後ともこのような方針で指導してまいります。
 次に、ホテル火災が大きな社会問題となっているが、消防の職員のあれはどうか、こういう御質問でございましたが、全国の消防職員の数は、各消防本部が現在保有している車両を基礎に算定すれば、昭和五十三年四月一日現在、七七・八%の充足状況にあります。ただ、この数値は、消防庁が示した消防力の基準、これを参考にして、各消防本部が達成目標としている職員数と対比したものでございます。
 昭和五十七年度地方財政計画において、消防職員については、新規常備化をすることと都市部の科学消防力の強化を中心とすること、これを中心にしまして、九百七十九人の増員を措置したところでございます。これによって、それぞれ消防本部の実態に応じて適切な人員配置がなされるものと期待しております。今後とも、地域の実情に即した人員配置等について、市町村の指導に努めるとともに、財政措置についても重点的整備が図られるよう十分配慮してまいりたいと思っております。
 次に、臨調路線を踏まえて職員定数の削減、配置基準の引き下げ等が図られているが、教員、保母についての削減等を行うべきではない、どうするか、こういう御質問でございましたが、地方公共団体における教育、福祉の部門は、地域住民の充実の要請も強く、今後とも行政水準の低下を招いてはならないと考えております。しかしながら、現在の厳しい情勢にかんがみて、地方公共団体が自主的、効率的な定員管理を行うことができるようにするために、法令などによる職員の配置基準の見直しなどを関係省庁に要請しているところでございます。
 次に、五十七年度地財計画では収支が均衡しているが、これは歳入歳出両面で無理な押し込みをやった結果ではないか、特に税収の過大見積もりが懸念される、こういう御質問でございましたが、五十七年度の地方財政については、おおむね国と同じような基調によって、歳出面においては、地方単独事業費等必要な経費の確保に配慮しながら、歳出全般にわたって節減合理化に努めてまいったところであります。一方、歳入面においても、地方税及び地方交付税については、自然増収にあわせて税制改正による増収が見込まれるほか、地方交付税について法定額に特例的な増額措置を講ずることとしたことなどによって、収支が均衡する見込みとなったものでございます。
 また、五十七年度の地方財政計画における地方税収の見込み額は、政府の経済見通しを基礎としながら、一つには国税における法人税等の見込み額、もう一つは最近までの各税目の課税状況、さらには、建設統計月報などによる各種統計資料を総合的に勘案して積算したものでございます。十分確保できるものと考えております。
 次に、国民健康保険、児童扶養手当、特別児童扶養手当の肩がわり問題云々について御質問がございました。今後引き続き検討することとしているが、どんな方向で検討を進めるか、こういう御質問でございました。
 昭和五十七年度における国民健康保険療養給付費などに対する地方負担の導入は行わないこととなりました。しかしながら、今後とも単なる負担の転嫁は行うべきではないと考えております。したがって、私はよこしまな考えは持っておりません。国民健康保険等の制度のあり方については、今後、所管省である厚生省を中心として検討がなされると思われますが、その際には、地方団体の意見を十分踏まえまして、関係省と協議してまいりたいと存じております。
 次に、住民税について御質問がございました。
 課税最低限の引き上げを行うべきではないか、こういう御質問でございましたが、明年度の地方財政は厳しい状況になおありますので、大幅な減収につながる課税最低限の引き上げを行うことはきわめて困難でございます。しかしながら、低所得者層の税負担について配慮を加える必要があるため、非課税措置を存続し、その非課税限度額を引き上げることとしているものでございます。
 また、今後非課税制度をどうするかは、課税最低限のあり方とも関連する問題であり、いまはっきりした見通しを述べることは困難でございますが、いずれにしても、地方財政の動向のほか、所得税を含めた税制度全体の中で、しかるべき結論が得られますよう十分検討してまいる所存でございます。
 最後に、選挙に関する寄附制限違反のことについて御質問がございましたが、選挙に関する寄附制限については御承知のようなところでございます。御指摘の点につきましては事実関係を承知しておりませんが、選挙が公明でかつ適正に行われるためには、候補者、選挙人等が法の内容を十分承知して、これを遵守していただくことが必要であり、今後ともその周知徹底については一層の努力をしてまいりたいと思っております。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○副議長(岡田春夫君) 田島衞君。
    〔田島衞君登壇〕
#24
○田島衞君 ただいま議題となっております地方交付税法等の一部を改正する法律案及び地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案について、新自由クラブ・民主連合を代表し、若干の意見を加えながら、数点にわたり質問をいたします。
 まず、地方交付税法の改正についてでありますが、過去数年来、地方交付税の総額の算出に当たりまして、地方自治体の一般財源不足との間に著しい差額があるにもかかわらず、その補てんは交付税率の引き上げによって行うことなく、もっぱら交付税特別会計の借り入れと基準財政需要額の起債振りかえ等によって、一時的対策により措置されてきていることは周知の事実であります。そして、今回の改正の内容もまたしかりであります。
 しかし、地方交付税法上では、地方自治体の一般財源不足額に対して普通交付税の総額が引き続き著しく異なる場合には、制度の改正または交付税率の引き上げを行うことと明文をもって決められているはずであります。引き続きとは大体どのぐらいかと政府側に聞くと、大体三年程度だ、こういうことでありますから、そのような解釈からすれば、当然、政府みずから法の趣旨、目的に照らし、あるいは法六条三項の条文に照らしても、いつまでもその場しのぎの改正を繰り返すのではなく、抜本的制度の見直しをするなり、あるいは交付税率の改定を行うなりすべきだと思いますけれども、この点についてお考えはいかがか、お聞きしたいと思います。
 一つの例を取り上げてみますと、いまの都道府県段階での不交付団体といいますか、交付を受けていない団体は東京都ただ一つであります。その東京都が、では黒字団体かというとそうではない、ずっと赤字団体であります。であるにもかかわらず、その東京都が不交付団体としてたった一つ残されている。残していなければ地方交付税法そのものの存在に大きな問題が起きるからでもありましょうけれども、その東京都は大都市特有の財政需要を抱えていることは皆様も御承知のとおりであります。
 その大都市特有の財政需要について、もしそれ十分なる認識がされ、そして特有の財政需要について認められることがあるとすれば、恐らく東京都もまた交付団体になることは必至だろうと思います。そうすると、もう都道府県団体では不交付団体は一つも存在をしないということになるわけであります。それでは地方交付税法そのものの存在に大きな問題が起きるということのために、何となく無理やりに不交付団体の一つとして残されているという感じであります。
 しかし、その東京都は不交付団体であるということのために、毎年赤字財政を余儀なくされているにもかかわらず、大変な不利な立場に立たされている。たとえば、富裕団体とみなされたがゆえに、義務教育教職員の給与費国庫負担金や地方道路譲与税等についてまで減額措置を受けているわけであります。
 しかし、地方交付税の算定上、財源超過団体であることをもって直ちに富裕団体ときめつけることは大変な間違いだと思うわけであります。特に義務教育教職員の給与費国庫負担金のごときは、これは地方財政法に基づくところの国庫負担金として、その団体の財政状況がどうであろうと、それにかかわりなく国が当然支出すべきものだと思いますけれども、そのことについても大変な不利益処分を受けている。
 また、電電公社等の国有施設等の所在市町村交付金等においても、一般府県方式で算定されたものの額の十分の三に抑えられているというこの事実を一つの例として申し上げたいわけでありますけれども、要するに、長い間この地方交付税法における総額の算出において無理をしておる。そのことがいま申し上げましたような幾つかの問題を生み出しておるわけでありますだけに、もうそろそろ小手先だけの、毎年決まり切ったような改正ではなくて、抜本的に地方交付税法そのものの制度の改正なり、あるいはまた税率の引き上げなりをやらなければいけないと思いますけれども、その点について、ぜひとも明確なお答えをいただきたいと思うわけであります。
 第二点は、地方財政計画についてでありますが、このことについては、もうすでにほかの質問者からもいろいろ出ておるようでありますので重複は避けますが、明らかにつくられた数字の計画だと言わざるを得ない。歳入面においても歳出面においても、その点を明らかに感ずるわけでありますが、もしそれ、後日においてこの数字に大変な誤りがあるとわかった場合には、どのような措置をされるのか、今後どのように改められるのか、その点だけをお伺いしたいと思うわけであります。
 第三点は、地方税法の改正についてでありますが、この地方税法の改正について、具体的な内容については申し上げませんけれども、およそ税というものは、必ずその反対給付を約束するものであることは言うまでもないことであります。
 そういうことを考えてみたときに、従来、国民が納めるところの租税総額の国と地方の配分状況を考えてみますと、年度によって多少の差はありますけれども、おおむね最終的には地方団体が全体の約八〇%ぐらいを使って仕事をしているにもかかわらず、国が徴収する割合は約六〇%以上であります。本来、納税者が税金を納め、納める以上は、その税の反対給付として何かの仕事をしてもらいたいというその仕事を地方団体が八〇%やっておるとすれば、理屈どおり言えば八〇%を地方が徴収をしてもいいということにもなるでしょうけれども、それは一概に言っても無理だろうと思いますが、いずれにいたしましても、地方が租税総額の八〇%を使って住民の負託にこたえた仕事をしているにもかかわらず、六〇%以上を国が租税徴収をしているということについては、やはりそこに不合理性があるものだと考えますだけに、ぜひ国と地方の税配分の再検討をしていただきたいと思うが、その点についての政府側のお答えをいただきたいと思うわけであります。(拍手)
 よく地方自治は政治の原点だと言われます。憲法以下あらゆる法律に地方自治の本旨ということがうたわれる。うたわれるだけで、なかなかその地方自治の本旨は守られないという現状の中で、その地方自治体運営の自主性を高め、地方自治の本旨を貫くために、ぜひこの税配分の問題、地方交付税法の制度の再検討あるいは税率の問題等について検討をしていただきたいと思うだけに御質問を申し上げた次第であります。(拍手)
 それからもう一つ、増税の負担の中で苦しむ住民の立場というのは、たとえその税金が国税であろうと地方税であろうといささかも変わりはないと思いますが、国の財政事情が苦しいということのために、その影響を受けて地方行財政へのしわ寄せが行われる。そのしわ寄せの中で、地方税がいろんな形で増税をされるということは、これもまた一つの増税だと思うわけであります。このことについてもいろいろお話が出たようでありますから重複は避けたいと思いますけれども、たとえば固定資産の評価がえにしても、一体評価がえをしなければならぬ理由がどこにあるのか。何のことはない、評価がえという形で増税をしているだけだと思うわけでありますし、その評価がえをすれば必ず土地は上がる。土地が上がればそれに伴ってあらゆるところに影響が出てくるのは当然でありますけれども、これもまたお考えをいただかなければならないところだと考えるわけであります。
 最後に、総理にお伺いをしたいと思いますが、申し上げましたとおり、地方自治というものが大切なものだとすれば、その大切な地方自治の本旨を守るために、現行の地方交付税法あるいは地方税法、地方財政計画等、あらゆる面で行き詰まり、不合理性を発揮しておると思いますが、そのような現行制度の不合理性、行き詰まりに対して、総理としてどのような立場で、どのようなお考えを持って地方自治の本旨をお守りいただこうとするのか、ぜひお聞かせをいただいて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 田島議員にお答えをいたします。
 地方自治は、憲法に基づく民主政治の基盤であり、地方公共団体の自主性、自律性が十分発揮できるように制度を定め、運用していく必要があると考えます。
 このため、地方公共団体の行財政に関連する諸施策の推進に当たっては、従来から、地方自治の尊重及び中央地方を通ずる行政の簡素合理化の観点から、国と地方公共団体の事務の適正な配分と、それに見合う適正な財源配分など、各種の施策を講じているところであります。今後とも住民の生活に密着する行政は、できる限り住民の身近なところで執行するという考え方に立って検討を進めてまいりたいと考えております。
 残余の問題につきましては、所管大臣から答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#26
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 地方交付税の税率をもっと上げられないかということでございますが、これは御承知のとおり、国の方が財政事情が苦しいわけでございまして、国の方が人件費も地方よりも少ないというような事情ですから、目下上げることはできません。
 それから、税の配分について再検討しろというお話でございます。地方自治体におきましても、やはり歳出の徹底的な節減合理化、これは国並みにやってもらわなければならない。それから、国と地方との仕事の分担を、これは行管等で再見直しをやっているわけですから、そういう問題との絡みもあろうかと存じます。
 御承知のとおり、税の財源の問題については、地方には地方税がある、地方交付税がある、地方譲与税制度がある、それから国庫からの支出金というものがあるわけでありまして、同じような名前のものがいろいろあるわけでございますが、今後これをどういうふうにするかは、国と地方との事務配分という中で検討させていただきたい、かように考えております。(拍手)
    〔国務大臣世耕政隆君登壇〕
#27
○国務大臣(世耕政隆君) 田島議員にお答えいたします。
 現在の地方交付税制度、交付税の率を引き上げること、抜本的改正を行うべきではないか、こういう御質問でございましたが、地方交付税につきましては、地方団体間の財源の均衡化を図る、もう一つは地方行政の計画的な運営を保障する、こういう制度の趣旨に基づきまして、毎年度その所要額の確保を図って、適切な運用に努めているところであります。今後とも、大都市から過疎地域までさまざまな条件下にある地方団体の財政需要に的確に対処できるように努力してまいりたいと考えております。
 なお、地方交付税率は、国、地方の財源配分の基本にかかわる事柄でもあり、今後の国、地方間の機能分担と、これに対応する事務配分のあり方などと関係しておりますので、それを踏まえながら慎重に検討すべき問題であると考えております。
 次に、五十七年度の地方財政計画は、国の財政事情に影響された無理な計画になっているのではないか、こういう御質問でございました。
 五十七年度の地財計画で、歳出面では、地方単独事業費について、社会資本の整備と地域経済の振興に資するため必要な規模の確保に配慮するなど、それぞれの歳出項目について所要額を見込んでおります。
 また、歳入面においては、地方税を初めとする各種の歳入について、政府の経済見通しなどを基礎として算定を行ったものであり、歳入歳出全般にわたって最も適切な方法によって見積もりを行ったところでございます。
 次に、地方自治体について、その実施する事務事業に比べて税源の配分が十分でない、税源配分を抜本的に再検討すべきではないか、こういう御質問でございましたが、御指摘のように、地方団体の事務事業は非常に広範にわたっているものであります。生活環境の整備とか、社会福祉の充実などの公共サービスの確保は、社会的要請として今後なおますます増大していくものと思われます。
 このようなときに対処して、地方財政の健全性の回復を図りながら、しかも新しい社会経済情勢に即応して地方団体の自主性、自律性を高め、充実した地域社会を形成していくためには、さらに地方税源の充実を図っていくことが必要であると考えます。
 国と地方の税源配分は、国、地方を通ずる事務配分など、地方行財政制度全般のあり方と関係する問題でありますので、今後、その方法について税制調査会、地方制度調査会などの御審議を煩わしながら地方税源の充実強化に向かって努力してまいりたいと思っております。
 次に、国の財政危機の結果、地方財政への負担のしわ寄せが目立つ、地方税の実質的増税に結びつくのではないか、こういう御質問でございましたが、国と地方の間の税財源の配分は、事務配分のあり方に基づいて行われているものでありまして、国の財政事情のみを理由に、単なる地方財政への負担のしわ寄せがあってはならないと考えております。
 一方、地方税は地方財源の中枢をなす自主財源であります。地方財源を拡充し、また地方行財政運営の自主性を高めるため、従来から住民負担の適正合理化を図りながら充実に努めてきたところであります。今後ともその観点に立って努力を重ねてまいりたいと思います。
 次に、固定資産の再評価は形を変えた増税ではないか、土地価格の値上がりが各方面に悪い影響を出しはしないか、こういう御質問でございますが、固定資産税は、固定資産の所有者に対して、その資産の価格に応じて税負担を求める税制であります。資産価値の増加に伴い税額が増加することはやむを得ないものと考えております。今回の評価がえによって、土地及び家屋の評価額が上昇しましたのは、最近における地価等の上昇の結果によるものであります。評価がえが土地価格の値上がりを促進するものではないと考えております。
 なお、評価がえに伴う税負担の増加を緩和するために、毎年度の税負担の増加が一定の範囲内にとどまるよう、負担調整措置を講ずることとしております。今回の評価の上昇状況などにかんがみまして、負担調整の刻み方を細かくして、税負担増の緩和にさらに配慮していくことにいたします。
 以上、お答え申し上げました。(拍手)
#28
○副議長(岡田春夫君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#29
○副議長(岡田春夫君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十二分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内 閣総理大臣 鈴木 善幸君
        大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君
        自 治 大 臣 世耕 政隆君
 出席政府委員
        自治省財政局長 土屋 佳照君
        自治省税務局長 関根 則之君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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