くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第096回国会 本会議 第11号
昭和五十七年三月十二日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十一号
  昭和五十七年三月十二日
    正午開議
 第一 豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正す
    る法律案(災害対策特別委員長提出)
 第二 石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改
    正する法律案(内閣提出)
 第三 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する
    法律案(内閣提出)
 第四 沖縄振興開発特別措置法等の一部を改正
    する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 豪雪地帯対策特別措置法の一部を改
  正する法律案(災害対策特別委員長提出)
 日程第二 石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部
  を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
 日程第四 沖縄振興開発特別措置法等の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
 住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進
  法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣
  旨説明及び質疑
    午後零時三分開議
#2
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(福田一君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 日程第一 豪雪地帯対策特別措置法の一部を
  改正する法律案(災害対策特別委員長提出)
#5
○議長(福田一君) 日程第一、豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。災害対策特別委員長川俣健二郎君。
    ―――――――――――――
 豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔川俣健二郎君登壇〕
#6
○川俣健二郎君 ただいま議題となりました豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨とその概要を御説明申し上げます。
 特別豪雪地帯における基幹道路の整備の特例並びに公立の小学校及び中学校の施設等に対する国の負担割合の特例の措置は、昭和四十六年に議員提案により同法に追加されて以来、今日まで十年間にわたり施行されてまいりました。
 その結果、豪雪地帯における基幹的な市町村道の整備、また教育施設等の整備が実施され、相当の効果を上げており、地域住民の福祉向上に大きく寄与しているところであります。
 しかしながら、いまだ特別豪雪地帯は積雪により交通が途絶する等、冬季間恒常的に豪雪災害の状況下に置かれ、住民の生活は困難を強いられ、かつまた市町村財政は、他の地域に比べ過重な負担を負わされ、なお後進性を余儀なくされているところであります。
 したがいまして、引き続き当該地域の定住条件の整備及び国土の均衡ある発展を図るため、これらの施設の整備を推進していくことが必要となっているのであります。
 本案は、こうした現状に対処するため、両規定の有効期限をさらに十年間延長し、住民の安全と福祉の向上を図ろうとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、特別豪雪地帯における基幹的な市町村道で建設大臣が指定するものの改築を道府県が代行することができる期限を昭和六十七年三月三十一日まで十年間延長することといたしております。
 第二に、特別豪雪地帯における公立の小学校及び中学校の施設等に対する国の負担割合を三分の二とする特例措置の適用期限を昭和六十六年度まで十年間延長することとしております。
 なお、附則第二項により、第十四条に基づく基幹道路の整備に要する経費に係る国の負担または補助につきましては、地域特例の縮減措置の対象となりますが、これについては、事業の執行及び財政運営に支障の生じることのないよう財政金融上の措置が講ぜられることになっております。
 また、この法律は、公布の日から施行することといたしております。
 以上が本案の提案の趣旨並びにその概要であります。
 災害対策特別委員会におきましては、昨十一日、調査の経過及び結果を災害対策の基本問題に関する小委員長から報告を受け、その際、同小委員会の起草案が提案され、次いで、内閣の意見を聴取した後、全会一致をもって委員会提出法律案とするに決した次第であります。
 何とぞ、議員各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 石炭鉱業合理化臨時措置法等の一
  部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
#9
○議長(福田一君) 日程第二、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案、日程第三、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。石炭対策特別委員長枝村要作君。
    ―――――――――――――
 石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案及び同報告書
 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案
及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔枝村要作君登壇〕
#10
○枝村要作君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、石炭対策特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 石炭政策につきましては、昨年八月、石炭鉱業審議会から、第七次答申が提出され、石炭鉱業の現状にかんがみ、廃止期限の到来を迎えている関係法律を延長する等、石炭鉱業の自立の達成を目指して、引き続き所要の措置を講ずる必要がある旨指摘されておりますが、今回の改正は、この答申の趣旨に沿って提案されたものであります。
 まず、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、石炭鉱業合理化臨時措置法、石炭鉱業経理規制臨時措置法、産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律及び石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計法の四法律の改正を一括したものでありまして、その主な内容は、各法律の廃止期限をいずれも昭和六十二年三月三十一日まで五年間延長しようとするものであります。このうち、石炭鉱業合理化臨時措置法につきましては、さらに、石炭鉱業合理化基本計画の目標年度の変更、新エネルギー総合開発機構による電力用炭の購入及び販売に関する業務の廃止、重複鉱区における石炭掘採制限の緩和等の改正を行うものであります。
 次に、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、法律の廃止期限を昭和六十二年三月三十一日まで五年間延長しようとするものであります。
 両案は、去る二月九日当委員会に付託され、二月二十三日安倍通商産業大臣、初村労働大臣から、それぞれ提案理由の説明を聴取し、以来、参考人から意見を聴取するなど、慎重に審査を重ね、三月十一日質疑を終了、まず、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案について討論を行い、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決し、次に、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案について採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案に対し、コールセンター等の事業に対する国の機関による出資の検討、国内炭優先使用の確保、石炭再生産の維持を図るための適切な基準炭価の設定、万全の保安確保対策及び夕張炭鉱の坑内残存者の早急な収容等を内容とする附帯決議が付され、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、炭鉱離職者就労事業の計画的合理的実施等を内容とする附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(福田一君) これより採決に入ります。
 まず、日程第二につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#12
○議長(福田一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第三につき採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 沖縄振興開発特別措置法等の一部
  を改正する法律案(内閣提出)
#14
○議長(福田一君) 日程第四、沖縄振興開発特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。沖縄及び北方問題に関する特別委員長吉田之久君。
    ―――――――――――――
 沖縄振興開発特別措置法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔吉田之久君登壇〕
#15
○吉田之久君 ただいま議題となりました沖縄振興開発特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして、沖縄及び北方問題に関する特別委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 昭和四十七年、沖縄県の本土復帰に伴い、沖縄振興開発特別措置法が制定され、これに基づいて総合的な沖縄振興開発計画を策定し、自来、十年にわたって公共事業を初めとして各般の施策が進められてまいりましたところ、復帰時において著しく立ちおくれておりました社会資本の整備等は逐次進展し、総体的に沖縄県の経済社会は大きな発展を遂げたのでございますが、社会福祉を初め、保健医療、生活環境の整備等、県民生活に密着した分野の整備はいまだ相当のおくれをとっており、本土との間に大きな格差がありますことを否定することはできない現状にあります。昭和五十五年度における一人当たり県民所得を見ましても、国民所得の六八・六%にすぎません。
 また、産業構造は、復帰時とほとんど変わっておりません。特に、第二次産業の不振が雇用の拡大に結びつかず、したがいまして、完全失業率は、本土の二%に対して五・一%と実に二・五倍以上となっているのでありまして、社会資本の整備が進む中で、一面においては沖縄の経済社会は依然として厳しい状況に置かれております。
 本案は、このような沖縄の状況にかんがみ、振興開発の諸施策を今後とも引き続き推進する必要があるという見地から、法律の有効期限、特例措置の適用期限等の延長並びに公庫業務の拡大等を図って対応しようとするもので、その主たる内容は次のとおりでございます。
 まず第一に、沖縄振興開発特別措置法の有効期限を十年延長して昭和六十七年三月三十一日までとし、新たに昭和五十七年度を初年度として十カ年にわたる沖縄振興開発計画を策定すること。
 また、昭和五十五年四月から沖縄にも過疎地域振興特別措置法が適用されたことに伴いまして、市町村における基幹道路の整備等の規定について所要の整理を行うとともに、新たに辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律を適用することにしているのであります。
 第二は、県民生活等への影響を考慮して、沖縄県産酒類に係る酒税の軽減措置等の内国消費税に関する特例措置及び製造用原料品に係る軽減措置等の関税に関する特例措置の適用期限をそれぞれ五年延長するため、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を改正することにしております。
 第三は、住宅金融公庫法の改正に対応して、沖縄振興開発金融公庫の業務について、宅地造成事業に係る貸付対象を拡大するとともに、現行の宅地債券制度にかえて、新たに住宅または宅地の取得の促進を図るため、住宅宅地債券制度を創設することにしております。
 本案は、去る二月十七日本委員会に付託され、翌十八日田邊沖縄開発庁長官から提案理由の説明を聴取し、また、三月二日には参考人各位から貴重な意見を聴取するなど、慎重に審査を進めてまいりましたところ、昨十一日質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致をもちまして原案のとおり可決すべきものと決した次第でございます。
 なお、本案に対し、全会一致の附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#18
○議長(福田一君) この際、内閣提出、住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。建設大臣始関伊平君。
    〔国務大臣始関伊平君登壇〕
#19
○国務大臣(始関伊平君) 住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 住宅金融公庫は、昭和二十五年設立以来国民大衆の住宅建設に必要な資金等を融通することにより、国民の住生活の安定と社会福祉の増進に寄与してまいったところでありますが、今後なお一層国民の良質な住宅の取得の促進と良好な居住環境の確保を図っていくためには、住宅金融公庫の融資について、その効率化にも配慮しつつ、諸般の改善措置を講ずることが必要であると考えられます。
 この法律案は、以上のような観点から、今国会に提出された昭和五十七年度予算案に盛り込まれている住宅金融公庫の業務に係る貸付制度の改善等に関して、住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法に所要の改正を行おうとするものであります。
 次に、その要旨を申し上げます。
 第一に、良質な宅地の供給を促進するため、宅地造成資金貸し付けの対象事業として、借地方式による宅地造成事業、特定土地区画整理事業以外の土地区画整理事業等を追加することといたしております。
 第二に、簡易耐火構造の住宅に一定の耐火性能を有する構造の住宅を加え、住宅金融公庫の貸付内容の充実を図ることといたしております。
 第三に、土地担保賃貸住宅資金貸し付けの対象建築物について、階数が三階以上とされている要件を緩和することといたしております。
 第四に、規模の大きい住宅に対する国民の要望にこたえ、良質な住宅の取得の促進を図るため、個人住宅資金貸し付けに係る貸付金について、住宅の規模に応じて異なった貸付金額及び利率で貸し付ける規模別貸付制度を導入することとし、これに伴い一定の規模の個人住宅に係る貸付金の利率の特例を設けることといたしております。
 第五に、個人住宅建設資金貸し付け及び賃貸住宅資金貸し付けの貸付金について、貸し付けの日から十年経過後においては、当初十年間の利率の上限とは異なる利率を上限とする段階金利制を導入することといたしております。
 なお、所得が低額であり、かつ、居住の安定を図る必要がある者については、貸し付け後十一年目以降においても当初十年間における利率を適用することができるよう措置することといたしております。
 第六に、適切な住みかえを促進し、住宅の有効利用を図るため、既存住宅の購入に係る貸付金の利率を引き下げるとともに、貸付条件を法律で定めることといたしております。
 第七に、住宅積立郵便貯金の預金者に対する貸し付けについて、通常貸付分と割り増し貸付分とを分離して貸付金の利率を定めるとともに、みずから居住するため施設建築物内の住宅を購入する場合を貸し付けの対象に加えることといたしております。
 第八に、計画的な貯蓄による住宅または宅地の取得を推進するため、現行の宅地債券制度にかえて、住宅金融公庫住宅宅地債券制度を創設するとともに、債券引受者に対して割り増し貸し付け等を行うことといたしております。
 第九に、公庫融資に係る賃貸住宅の家賃限度額を算定するに当たり、著しい建築物価の変動等が生じた場合において参酌すべき費用に関する規定を整備することといたしております。
 第十に、住宅金融公庫の昭和五十七年度から昭和五十九年度までの各年度の特別損失について、後年度に国が交付金を交付して補てんすることといたしております。第十一に、これらの改正に伴い、所要の規定の整備を行うことといたしております。
 以上が住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#20
○議長(福田一君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。小野信一君。
    〔小野信一君登壇〕
#21
○小野信一君 日本社会党を代表して、住宅金融公庫法の一部を改正する法案に若干の質問をいたします。
 西ドイツの首相アデナウアーは、敗戦直後ケルンの瓦れきの上に立って、すべてを住宅建設へと訴え、その解決を政治の最重要課題にいたしました。
 いまから四十八年前、一九三四年、アメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトは、国民の三分の一が貧しい身なりをし、貧しい食べ物をとり、貧しい住宅に住んでいるのを私は知っている。国は、このようなことが正義でないことを知っており、かつ理解して、この根絶に乗り出そうとしていると述べ、国民が貧しい衣食住の中に生活することは正義の原則に反すると強調し、住宅問題を政治の重要課題の一つに取り上げ、ニューディールの重要政策といたしました。
 具体的には、精緻な住宅金融制度をつくり、住宅供給価格に占める金利を極端に抑え、富の少数者への偏在と貧しい人々の住生活水準の低下を防ぎました。その結果、アメリカの住宅規模は、一九七〇年現在、新築の持ち家の平均部屋数は五・七、借り家のそれは四・一で、一世帯用住宅の平均面積は百十平方メートル以上が七〇%以上を占めるに至りました。一世帯用住宅の平均価格は二万三千四百ドルで、平均世帯年収の二・五倍、連邦政府の保証保険つき住宅は平均一万九千二百ドルで、平均世帯年収の二倍で入手可能です。
 わが国のある総理は、高度成長期の折、ムジナだって自分の穴は自分で掘る、まして人間が自分の住まいを自分でつくるのは当然なことだと言い切りました。自分の住まいは自分の力で、これがわが国の戦後の住宅政策の基本でありました。この結果、わが国では、住宅を購入するのに現在七年と六カ月分に近い賃金を犠牲にしなければなりません。この傾向は、今後さらに強まることでありましよう。
 政府にしてみれば、金がかかる公営公団住宅に比べて、住宅金融公庫の融資枠を拡大したり、融資額を引き上げるといった財投資金の利用で住宅建設計画の数字合わせができ、しかも景気刺激に即効的な効果があるのですから、こんな楽な政策はありません。
 このわが国の住宅事情を昭和五十四年度の建設白書は次のように説明しております。わが国の住宅問題は、これまでの高度成長を通じて量的には解決され、質の面でも、客観的な指標によれば改善は著しいが、主観的な意識の面ではよりよい住環境への希望が先行して、そのために困窮感が依然として去らないと書いてあります。しかし、住宅実態調査によりますと、世帯数の三八・九%が困窮し、借り家階層では五〇%以上の人々が何とかしなければならないと非常に困窮感を持っております。量の解決が質を伴わなかったために、現実には量の解決にはならず、建設白書のロジックと国民感情とは全くかけ離れたものになっております。
 以上のような分析と考え方に立って、最初に経済企画庁長官にお尋ねいたします。
 昭和五十七年度の経済見通しでは、百三十万戸の住宅建設、そして投資額は前年対比一〇・四%の増加が見込まれていますが、物価と地価の上昇をどの程度見込み、勤労者の実質所得増をいかほどに算定し、金利変動の要素をどのように加味したのか、そしてこの目標の達成のためには、可処分所得と金利変動についてどんな見解を持っておるのか、具体的な説明と、その所見をお伺いいたします。
 質問の第二は、経済活動と地価との関係についてです。
 私どもは、これからの日本経済の展望を切り開くためには、住宅土地問題の解決が決定的な条件となると考えております。そのために、国土利用計画法の改正や土地評価制度の一元化等を再三提起してまいりました。
 そこでお伺いしますが、世界でも比類のない地価上昇を続けるわが国の土地問題は、近年、わが国の経済政策の遂行の上にどんな悪影響を与えてきたのか、そして今後の経済運営にどのような影響が想定され、さらに物価と地価とはどんな関係にあるとき望ましいパターンと考えておるのか、長官の所見をお伺いいたします。(拍手)
 質問の第三は、住宅金利と建設戸数と経済成長との関係についてです。
 長官は、前の臨時国会で、住宅金利の引き上げは経済情勢からして好ましいものではないことを再三述べておりました。二段階制とはいえ、新たな事態である金利の引き上げについて長官の所見をお伺いすると同時に、建設戸数と今後の経済への影響をどのように分析しておるのか、答弁を求めます。
 第四は、建設大臣にです。
 住宅政策にいま要求されているのは、長期にして不変の基本方針であり、そのために必要な理念であります。このために、歴代の建設大臣は、何度も住宅基本法の制定について、この本会議場で質問を受けました。
 改めて大臣にお尋ねします。あなたの在任中に、住宅基本法を国会に提出する意欲がございますか。そして、かねてからの約束である野党との協議を行い、早急に決定する御意思がありませんか。大臣の答弁を求めます。(拍手)
 質問の第五は、土地供給の見通しについてです。
 本年度を初年度として六十五年度までの十年間の宅地需給長期見通し計画がありますが、五十七年の土地税制の改正によって、具体的にどの程度を期待し、五十六年度に比して何%の供給増を見、特に初年度ですでに大きく落ち込んでいる三大都市圏の前期計画三万二百ヘクタール、後期二万九千百ヘクタールの推計にそごが生じていないのかどうか、答弁を求めます。
 六つ目は、二段階金利の導入と公庫の財政問題についてです。
 建設省は、すでに五十六年度に、公庫への利子補給金のうち六百六十一億円を財投から借り入れており、五十七年度でも、五百十七億円の借り入れが見込まれております。この償還については、建設省は、利用者には迷惑をかけないとしてきましたが、今日、金利の引き上げで負担増をもたらそうとしております。
 そこでお尋ねしますが、五十七年度以降の財政再建期間中に、公庫に対する利子補給金はどの程度見込み、そのうち財投からの借り入れは幾らになるのか。そして、その償還方法と、その計画の説明を求めます。
 また、二段階金利制は十一年目からですが、今日の財政事情からすれば、むしろ再び金利の引き上げの動きの方が心配です。建設省の住宅金利に対しての考え方と、その対策について、大臣の決意のほどをお伺いいたします。
 第七の質問は、法改正と家賃との関係についてです。
 この公庫法の改正によって、公庫融資を受けて建設される賃貸住宅、具体的には地方住宅供給公社の賃貸住宅約十二万戸の家賃が値上げになります。現行制度でも、公社住宅家賃は、維持修繕費については値上げができることになっており、現実にも公社と住民との話し合いで行われてまいりました。
 ところが、今回の改正では、物価が上昇すれば家賃が値上げできるようになります。他の公共料金と同様、政策的に抑制措置がとられている公共住宅家賃を物価に連動させるのは、公共住宅の性格に反するものです。同時に、公社住宅家賃は公庫融資償還の性格を持つものであり、それ以外の要素を家賃に混入させることは、いわれなき負担と言わざるを得ません。
 また、住宅宅地審議会答申でも、公正で民主的な家賃変更のルールをつくるように指摘されているにもかかわらず、これを無視して、法律で家賃を強制的に引き上げようとするのは問題です。審議会の答申と行政の責任との関係について、建設大臣の所信をただします。
 最後に、総理にお尋ねいたします。
 昨年の秋、行革特例法の審議中、第十七条の公庫金利の政令加算制度について大きな議論があり、建設大臣はもとより、大蔵大臣、経済企画庁長官、そして総理も、その所信を表明いたしました。そのときの共通の認識は、住宅建設の落ち込みと住宅改善への強い要望を勘案すれば、金利の引き上げは好ましいものではなく、極力実施しないように努力することであったはずです。また、昨年の秋、すでに二段階金利制の導入もうわさされましたが、大蔵大臣はこれを強く否定いたしました。しかし、現実には、予算案の決定の際に、特例法第十七条はもとより、二段階金利制の導入を初めとする公庫法の改正が決定されました。短期間に二回も金利制度を手直ししたのに、一方では、住宅融資という性格からして好ましくない措置と、これらの一連の発言と政策決定とのそごについて、総理の所見を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 小野信一議員にお答えをいたします。
 さきの臨時国会で成立をした行革関連特例法におきまして、公庫金利の弾力化を図った趣旨は、特例適用期間中において、貸付金利の見直しが機動的かつ円滑に実施できるよう体制の整備を行おうとするものでありまして、具体的に政令を制定する際には、公庫融資の社会的、経済的必要性と財政負担との調和が図られるよう進めてまいりたいと考えております。
 昭和五十七年度予算では、個人住宅等の主要な貸し付けにつきましては、行革関連特例法による金利引き上げを行わないことといたしております。
 なお、段階金利制の導入についてでありますが、これは借入後十年間も経過すれば、所得の増などもあって返済負担が軽減されることとなりましょうから、財政援助の効率化を図って、今後の公庫融資が円滑に実施できますよう体制整備を行おうとするものでありまして、臨時国会における論議とそごを来すものではないと思います。
 残余の質問につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣始関伊平君登壇〕
#23
○国務大臣(始関伊平君) お答えいたします。
 まず第一に、住宅基本法についてのお尋ねでありますが、住宅基本法につきましては、住宅政策の目標を初め基本的事項について検討を進めておりますが、住宅政策の体系及び具体的施策については、なお第二次臨時行政調査会の審議経過等を踏まえて広範な検討を行い、その上で諸方面との調整を行って、法案の国会提出に努めてまいりたいと考えております。
 次に、土地税制改正の効果及び宅地需給の見通しについての御質問でありますが、現行土地税制の基本的部分は、昭和四十七、八年当時の異常な土地投機の状況を背景に整備されたものでありますが、このような投機が鎮静化した今日においては、これが土地の流動化を阻害し、近年の宅地供給停滞の一因になっておると考えられます。
 このような状況を踏まえ、今回の土地税制の改正は、良好な住宅宅地供給の促進、住みかえの促進等の見地から、個人の譲渡所得課税の改善を初め所要の改善を行うこととしたものであり、これらの改正による効果については、経済情勢等の影響もあり、数量的に言うことはむずかしいのでありますが、土地の流動化の促進を通じて、住宅宅地供給の促進に相当の効果を上げるものと期待しております。
 なお、建設省としては、土地税制の改正とあわせて各種施策を総合的、積極的に推進する所存であり、これにより、御指摘の宅地需給見通しに示した程度の必要な宅地供給が行われるものと期待いたしております。
 次に、財政再建期間中の公庫補給金につきましては、昭和五十七年度は約三千三百億円であり、昭和五十八、五十九年度の両年度においては、額は確定しておりませんが、これを上回るものと見込まれております。今回提出しております公庫法の改正案では、これらの補給金のうち、一定の範囲内で政令で定める金額を繰り延べることができることとして、昭和五十七年度は五百十七億円を繰り延べることとしております。
 また、これらの繰り延べた金額の補てんについては、昭和六十年度から昭和六十六年度までの間において、毎年度予算で定めるところにより交付金の交付を行うこととしております。
 なお、二段階金利制との関係において再び金利引き上げの動きがあるのではないかということでございますが、そのような話は聞いておりませんし、建設省としては、今回提案している金利体系の維持が適切であると考えております。
 最後に、公共賃貸住宅の家賃についての御質問でございますが、昭和五十六年八月六日に、住宅宅地審議会から家賃制度についての答申をいただいております。本答申では、公共賃貸住宅の家賃のあり方について、第一に、家賃がそれぞれの施策対象層にとっておおむね適正な家賃支出の限度内にあり、第二に、家賃が新旧住宅相互間、公共賃貸住宅相互間で不均衡が生じないようにする必要があるとして、公社賃貸住宅の既存家賃の変更制度を見直す必要があるとするとともに、具体的な公共賃貸住宅家賃の変更に当たっては、適切な手続に基づく必要なルールづくりを行い、公正かつ円滑に変更が行われるよう配慮する必要があるとしております。
 今回の公庫法の改正は、このような公共賃貸住宅のあり方に照らし、公社賃貸住宅の家賃の限度額の算定制度を見直すこととしたものであります。
 今後、各管理主体が家賃の変更を行うに当たっては、以上の答申の趣旨に沿って、それぞれの地域の実情に即しながら、限度額の範囲内で公正、妥当かつ円滑に行われるよう指導してまいる所存であります。(拍手)
    〔国務大臣河本敏夫君登壇〕
#24
○国務大臣(河本敏夫君) 宅地価格についてどう考えるか、こういうお話でございますが、いま住宅価格が上がっております最大の原因はここにあるわけでございますが、しかし全国的に宅地の不足は約五%と言われております。大都会では約一〇%と言われておりまして、この宅地の供給不足が宅地価格の上昇を招いておるわけでございまして、そこで、今回の住宅政策におきましては、宅地供給がふえるようなあらゆる政策を動員をしておりますので、今後は、需給関係が緩和をすることによりまして、宅地の価格の上昇はある程度小幅になるであろう、このように私どもは考えております。
 それから第二は、所得はどのようにふえると考えておるかということでございますが、五十七年度におきましては、一人当たりの雇用者所得の伸びは六・九%、雇用者全体の所得の伸びは八・六%と想定をいたしております。
 なお、二段階金利につきましては、先ほど御答弁がございましたから、省略をいたします。(拍手)
#25
○議長(福田一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#26
○議長(福田一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十一分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  鈴木 善幸君
        通商産業大臣  安倍晋太郎君
        労 働 大 臣 初村滝一郎君
        建 設 大 臣 始関 伊平君
        国 務 大 臣 河本 敏夫君
        国 務 大 臣 田邉 國男君
        国 務 大 臣 松野 幸泰君
 出席政府委員
        建設省住宅局長 豊蔵  一君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト