くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第096回国会 本会議 第26号
昭和五十七年六月二十一日(月曜日)
    ―――――――――――――
  昭和五十七年六月二十一日
    午後一時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 鈴木内閣総理大臣の帰国報告についての発言及
  び質疑
 議員請暇の件
    午後一時三分開議
#2
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 内閣総理大臣の発言(帰国報告について)
#3
○議長(福田一君) 内閣総理大臣から、帰国報告について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣鈴木善幸君。
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#4
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 私は、今般、国会のお許しを得て第八回主要国首脳会議及び第二回国連軍縮特別総会へ出席し、さらにその後、ペルー、ブラジル両国訪問を終えて六月十八日に帰国いたしました。
 ここに、その概要を御報告いたします。
 まず、私は、六月四日から六日までベルサイユにおいて開催された主要国首脳会議に、櫻内外務大臣、渡辺大蔵大臣及び安倍通商産業大臣とともに出席いたしました。
 今次サミットにおいて、参加各国首脳は、現在世界経済の直面する失業、インフレ、保護主義の動き等の深刻な事態をいかにして打開し、経済の再活性化を実現するかについて真剣に話し合いました。この結果、サミット宣言に示されているように、将来に向けての協力を確認するとともに、行動の目標を定めることができたことは、大きな成果であったと考えます。
 私は、会議の冒頭発言において、世界経済の深刻な現状にかんがみ、各国が協調しつつ局面打開に当たるべきことを訴え、わが国が貿易、経済政策、南北問題等の諸分野において行っている諸施策に触れつつ、科学技術の振興、国際協力が世界経済の再活性化に果たすべき役割りを強調いたしました。また、各国が固有の伝統、文化を生かしつつ、多様性の中の結束を固めていく必要性を強く訴え、各国首脳の理解と賛同を得ました。
 次に、個別の議題について御報告いたします。
 第一に、科学技術の問題について、技術革新が世界経済の活性化のため不可欠であるとの認識に立って、これに積極的に取り組むこととし、作業部会を設置し、その具体的方策について協議を行うことが合意されましたが、わが国としてもその作業に積極的に貢献していく所存であります。
 第二に、経済政策一般、通貨問題に関しては、国際協力が重要であることが指摘されました。特に、通貨の安定がきわめて重要であることについては、私からも強調いたしましたが、通貨当局間の協力の一層の強化が約され、中長期的な観点から対応策を検討すべきことが合意されました。
 第三に、貿易について、開放された多角的貿易体制の維持強化が一層重要であり、十一月に開催予定のガット閣僚会議に向けて積極的に取り組むべきことに意見の一致を見たことは、保護主義の圧力が各地で高まりつつある現在、きわめて重要な意義を持つものと考えます。私からは、わが国の市場開放措置に言及しつつ、わが国として自由貿易体制の維持強化のために最大限の努力を払っていることを強調いたしましたが、いずれの国もわが国の措置を誠意あるものとして高く評価しておりました。
 第四に、南北問題については、援助の重要性を確認するとともに、国連包括交渉の早期開始と成功が期待されることにつき見解を一にいたしました。
 第五に、東西経済関係については、西側諸国は、対ソ、東欧諸国との金融関係に関して慎重な配慮をもって取り進めることが合意されました。
 また、今次サミットの機会に、フォークランド諸島問題、中東問題、東西関係等の政治問題等についても率直な意見交換が行われましたが、レバノン問題について、独立及び主権の侵害に対する重大な憂慮を表明し、この地域の平和と安全の保全を求めるアピールが発出されたことは、時宜を得たものであったと考えます。
 私は、アジア・太平洋地域からの唯一の参加者として、ASEAN及び大洋州諸国が等しく有している先進工業国の保護主義に対する懸念を強く訴えるとともに、中国の趙紫陽総理の訪日に言及しつつ、中国が開かれた中国を指向し、穏健な路線のもと、国を挙げて真剣に近代化に取り組んでいることを指摘いたしましたが、各国首脳はこれに大きな関心を示しておりました。
 なお、私は、フランス滞在中、ミッテラン・フランス大統領、レーガン米大統領を初めサミットに参加した各国首脳と個別に親しく会談する機会を持ちました。
 以上、私はサミット諸国の連帯と協調を図り、さらに他の諸国へも多様性の中の結束の輪を広げていくとの視点に立って積極的な働きかけを行った次第でありますが、わが国としての役割りを十分果たすことができたと考えております。(拍手)同時に、私は、世界経済の諸問題にわれわれが取り組んでいくに当たり、各国のわが国に対する期待と関心はまことに大きなものがあり、わが国の施策はもとより、その対応いかんがいまやきわめて重要な要素となっていることを改めて痛感した次第であります。
 私は、このような観点より、わが国の不断の地道な努力の積み重ねが重要であるとの感を深くするとともに、今次サミットの成果を実行していく上で、わが国の国際社会における責任を十分に果たすべく、なお一層の努力を傾注していく所存であります。(拍手)
 次に、六月七日から十日まで、私は、櫻内外務大臣とともに、ニューヨークで開催中の第二回国連軍縮特別総会に出席し、六月九日に演説を行いました。
 私が今回の特別総会に出席した目的は、現在の厳しい国際情勢のもとにあって、唯一の被爆国として平和憲法のもとに非核三原則を堅持し、平和国家としての道を歩むわが国独自の立場から、核の惨禍が二度と繰り返されることのないよう核軍縮を中心とする軍縮の促進を世界の各国に訴えることにありました。
 六月九日に行った演説においては、このような基本的立場に立ち、さきに本院で採択された国会決議を踏まえ全国民的立場から、軍縮を通じる平和の三原則を提唱したのであります。
 すなわち、第一に、国家間の相互信頼を深めて、軍縮、とりわけ核軍縮を促進すること、
 第二に、軍縮により生じた余力をもって諸国民の民生の安定、経済の発展を図ること、
 第三に、国連の平和維持機能強化を図ることがそれであります。
 また、国連事務総長との会談では、世界の平和と安定のために、国連加盟国が国連の平和維持努力に対し、できる限りの協力と支援を行うことが重要であることを再確認しました。
 さらに、櫻内外務大臣は、先般国会で御承認いただいた特定通常兵器使用禁止制限条約の受諾書及び環境改変技術使用禁止条約の加入書を国連事務総長に寄託し、また、これに先立ち六月八日に生物兵器禁止条約の批准書を米国政府に寄託いたしました。
 唯一の被爆国であるわが国が軍縮分野で果たし得る役割りに対しては、ひとりわが国国民からのみならず、世界の各国から大きな期待が寄せられております。私は、今回の演説を通じて、みずから平和国家に徹し、世界の平和と軍縮促進に向けて努力しているわが国の積極的姿勢を内外に明らかにすることができたものと確信しております。(拍手)
 政府としては、今後とも国民の皆様とともに、核軍縮を初めとする軍縮の促進に向けて努力してまいる所存であります。
 次いで、六月十日から十五日まで、田澤農林大臣とともに、ペルー及びブラジルを公式訪問いたしました。両国は、中南米においてそれぞれ重要な地位を占め、その国際的地位も近年とみに向上しております。また、わが国との関係についても、経済的に相互補完関係にあり、また、多数の日系人社会を擁することもあって、きわめて緊密であります。このような両国への今次訪問は、首脳レベルの訪問がしばらくとだえていた後だけに、特に大きな意義を有するものでありました。事実、私たち一行は両国において官民挙げての歓迎を受け、訪問先各地の日系人社会よりも心のこもった歓待を受けました。
 ペルー訪問においては、ベラウンデ大統領及びウヨア首相と二国間関係及び国際問題について有益な意見交換を行うことができました。その際、私は議会制民主主義のもとで、ペルーの政府及び国民が進めている経済社会開発の努力を助けるため、わが国より各種の経済技術協力を供与する用意がある旨を表明し、また、文化交流の一層の推進を図るため、文化協定の締結に関する交渉を開始することで、ペルー側と意見の一致を見ました。
 ブラジル訪問においては、フィゲイレード大統領と二度にわたり会談し、幅広い問題について、率直な意見交換を行いました。その際、私は、同国のセラード地域の農業開発について、今後ともできる限りの協力をする用意があることを明らかにいたしました。ブラジルは膨大な食糧増産の可能性を有しておりますが、わが国の協力により未開発地域の開発が一層推進されるならば、ブラジルの経済の発展に役立つのみならず、ひいては世界の食糧問題の解決にも大きな貢献を期待できるものと信じます。また、私は、ブラジルと科学技術協力協定を締結するための交渉を進める用意がある旨表明いたしましたが、これは、私がさきにベルサイユ・サミットで明らかにした世界経済活性化についてのわが国の考え方につながるものであります。
 なお、ベラウンデ、フィゲイレード両大統領に訪日を招請いたしましたところ、両大統領ともこれを快諾されました。
 私は、今次訪問を通じ、これらの諸国とわが国との友好協力関係を一層増進することを希望しており、また同時に、それによって、広く中南米地域に対するわが国の関心と南北問題に対する積極的な姿勢を示すことをも願っておりましたが、これらの所期の目的は十分達成できたと確信いたしております。
 私は、今回の一連の旅行の帰途、ハワイに立ち寄り、太平洋の中心に位置する同地において、「太平洋時代の到来」と題する講演を行う機会を得ました。
 このスピーチにおいて、私は、太平洋地域が、世界の中でも最も活力とダイナミズムにあふれ、かつ、一層の発展の可能性を秘めた地域であり、この地域の活力及びその発展が、世界経済の再活性化、世界の平和と繁栄を確保していくための原動力となり得ることを強調いたしました。そして、そのためには、各国が現実に進めつつある協力関係を一層助長し、連帯の域にまで高める努力をする必要があることを訴えました。
 私は、今回の歴訪を通じ、わが国が国際社会の責任ある一員として、世界の平和と繁栄のためにその国力、国情にふさわしい役割りを積極的に果たしていかなければならないことを改めて強く認識するとともに、西側先進民主主義諸国の一員としての立場を堅持しつつ、あわせて、開発途上諸国のわが国に寄せる熱い期待にこたえて南北問題に一層積極的に取り組む必要性を痛感した次第であります。
 私は、今回の歴訪の成果を今後の政策運営に十分反映させていきたいと考えております。国民各位の御支援と御理解をお願いいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 内閣総理大臣の発言(帰国報告について)に対する質疑
#5
○議長(福田一君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。秋田大助君。
    〔秋田大助君登壇〕
#6
○秋田大助君 私は、自由民主党を代表し、鈴木総理の帰国報告に関連し、質問を行います。
 まず第一は、ベルサイユ・サミットの具体的成果についてであります。
 今回のサミットの最大の目的は、いかにして自由貿易体制の維持強化を図り、世界経済を再活性化させるかにあったことは申すまでもありません。これらの問題について、さきにわが党は、党内において真剣な論議を重ね、成案をまとめ、欧米の関係方面と親しく事前に懇談を行い、欧米の理解を求め、その誤解を解き、政府を側面より支援、鞭撻して、問題の解決の促進にいささか貢献したことを自負するものであります。(拍手)
 しかして、当サミット会議においては、二日間にわたる参加各国首脳の真剣な討議の結果、幾多の重要問題について前進的な合意がなされたことは、まことに同慶の至りにたえません。
 とりわけ私は、総理が、各国の利害が相対立する雰囲気の中にあって、対立でなく協調を、縮小でなく拡大を、過去ではなく未来を想望することの重要性を強調、力説して会議をリードされ、しかも、サミットの成果を先進国の枠内にとどめることなく、広く開発途上国を含む多様性の中の結束を求めて、連帯と協調の輪の拡大に努力されたことに対しては、大いなる共感を覚ゆるものであります。
 この際、サミットに対し、このような基本的姿勢をとられたことについて、総理の率直なる御意見を伺いたいと存じます。
 次いで、今回のサミットでは、世界経済の再活性化のための活路となる科学技術の発展及びそれに伴う諸問題を検討するための作業部会の設置が決まったのを初め、数々の意義深い決定がなされております。なんかんずく、米国の高金利に端を発し、危機的な様相を呈しつつある国際通貨の安定化対策は、円安のこの際、重要かつ喫緊の急務であります。その意味で、私は、今回設置が決まった国際通貨介入協議機関の役割りに多大の期待を寄せるものであります。総理は、しかもその提案者であります。提案者として、この機関の果たすべき使命、機能、そしてその実質的効果については、どのような具体的構想と展望を抱いておられるか、率直な御意見をお聞かせ願いたいと存じます。
 また、市場開放にいたしましても、経済の再活性化にいたしましても、これらは先進国の協力だけで達成できるものではありません。ともすれば、先進国中心の経済運営という疑念と批判が開発途上国の間で高まりつつある現在、わが国にとりましては、発展途上国、とりわけASEAN諸国との間に理解を深め、連帯と協調の輪を広げる努力が今日ほど要望されているときはないと考えます。総理の御所見と対策をお尋ねいたします。
 以上、このたびの会議の結果を総括するとき、私は、会議の成果を手放しで単純に喜んではおられないと存じます。すなわち、会議後の欧米東西諸国の最近の動静に照らし、事態は決して楽観を許さないものがあるからであります。
 政府は、今後世界各国が相互理解を深め、親善協力の実を上げ、世界平和と繁栄に協力一致するようどのように対処すべきか、総理のお考えを明らかにされんことを望みます。
 質問の第二は、国連軍縮特別総会における総理演説についてであります。
 総理は、この演説の中で、国連の平和維持機能の強化等軍縮を通じる平和三原則を提唱され、その実現への具体的措置として、米ソ戦略兵器削減交渉の促進、地下を含む核実験の全面禁止条約の締結、核不拡散体制の強化等六項目の提案を示されました。私もまた総理が述べられた御意向に全面的に賛成であります。しかしながら、総理、問題は今後の対応であり、実行いかんであります。総理の今回の演説を空文に終わらせてはならないと思います。
 また、一方で核兵器の第一使用放棄宣言を行いながら、他方では核の軍拡を続けるソ連の欺瞞的宣伝に惑わされることも許されません。(拍手)
 私は、結局、わが国は、総理が今回明らかにされた平和三原則、軍縮六項目提案の精神を体し、西側の一員として、平和国家としての国際的責任分担を着実に果たしつつ、軍縮を求める国際世論の形成への積極的推進者となるべきであり、ここにこそわが国が果たすべき使命があると考えるものでございます。
 今後の平和外交の展開につきましては、現に世界の各地に騒乱が生じつつあり、また、その危険の感ぜられる折から、平和外交の展開について総理の御所信を伺いたいと存ずるのでございます。
 質問の第三は、対外経済協力についてであります。
 総理は、ベルサイユ・サミットの発言の中で、南北間の建設的な対話を推進することの必要性を強調するとともに、わが国が政府開発援助を五カ年間で倍増以上とするという新しい中期目標を掲げ、対外援助の拡充に引き続き努力する旨の決意を表明されました。
 私は、今日の世界経済の不況とその沈滞の根本原因は、全人類社会における需給関係の著しい不均衡にあると存じております。すなわち、全人類の七割五分の人口を占める発展途上国がいわば貧乏で、有効需要が極度に発達した先進国の今日の生産力を消化し切れないところに問題があるのであります。このアンバランスを基本的に改善するには、先進国による対外経済協力施策の強力、有効な実施によりまして発展途上国の繁栄と安定が実現され、それらの国々の有効需要が喚起されることにあると確信いたします。
 この意味におきまして、私は、総理が御就任以来あらゆる国際会議の場をとらえ、対外経済協力問題について信念的なまでに積極的姿勢を続けられるその世界認識と卓見に対し、心から敬意と賛意を表するものであります。
 しかしながら、総理、新しい中期目標の第一年目に当たる昭和五十六年のわが国の政府開発援助の実績が、前年実績に比較して減少しているのはきわめて遺憾と言わざるを得ません。この原因のいかんを問わず、これによる援助実績の低下は見逃せないのであります。
 私は、財政状況のきわめて厳しい折からではありますが、国際責任と国際公約の重要性にかんがみ、わが国は、五十七年以降の四年間に援助実績の回復を図り、政府開発援助について五カ年倍増以上の目標達成に全力を挙げなければならないと考えるものであります。この点について、総理の御所信を伺いたいと存じます。
 質問の第四は、総理のいわゆる太平洋諸国との連帯構想についてであります。
 もちろん、私もこの考えに異論はございませんが、太平洋周辺の先進国と同時に、太平洋上の島嶼国家との連帯協調もまた当然のことであり、太平洋上に国をなすわが国にとっては特に重大なことであります。総理のこの構想の中には、言うまでもなく、これら島嶼国家のことが包含せられていると考えられますが、念のため、お尋ねをいたしておきます。
 鈴木総理、十六日間にわたる長途の諸外国歴訪の旅を終えて帰国されましたあなたは、疲れをいやすいとまもなく、臨時行政調査会の答申に基づく行政改革、昭和五十六、七年度に予想される歳入欠損問題の処理、昭和五十八年度予算の編成、ロッキード事件関連の第一審判決に絡む政治倫理の確立、公職選挙法改正法案の国会通過、不況対策等々の諸問題の解決に取り組まれなければならないのであります。
 つきましては、この際、特に留意すべきは政治倫理の確立であります。(拍手)総理は、政治は最高の道徳なりとの信念をもって、政治倫理の確立のため、公正の道を誤ることなく、もって国民の信頼に背かず、進んで健全なる民主議会政治の発展と政党政治の権威確保のため最善の努力を払うべきであります。多難な政局運営に臨む総理の方針と決意をここに明らかにしていただきたいと希望するものであります。
 いまや世界は、一大変転期に際会しております。わが国を取り巻く内外の政治情勢は、まことに多事多難であります。世界における経済大国にまで成長しましたわが国に課せられている使命と責任は重大であり、わが国は、欧米先進国とともに相携え、時と場合によりましては、その先頭に立ってこの変転期の荒波を乗り切って、世界の平和と安全と繁栄の維持促進にこたえるべき重責を果たさなければなりません。
 わが国の総理たる者は、この使命と責任の重大性を自覚し、内外の難局に当たる覚悟を新たにすべきときであります。鈴木総理の一層の精進と奮起を促し、総理が一大勇猛心を発揮して、今日の内外の難局打開に敢然として当たられんことを望むや切なるものがあります。
 一言希望を申し添え、私の質疑を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 秋田議員にお答えいたします。
 今回のサミットは、まことに厳しい国際経済情勢のもとで開催されたサミットでありましたが、私は、世界経済が現在直面する諸困難を乗り越え、将来の展望を切り開いていくためには、われわれは、各国経済の活力の回復と自由貿易体制の維持強化という二大目標に向けて強い決意をもって協力していくことが肝要であることを強調した次第であり、参加各国首脳とも同様の問題意識をもって真剣な討議を重ねた結果、お互いに将来に向けての協力姿勢を確認するとともに、科学技術、経済政策、通貨、貿易、南北問題、東西経済関係等につき行動の目標を定めることができたことは大きな成果であったと考えております。
 私は、また、伝統、文化等の面でさまざま異なる背景を持つサミット各国が、それぞれの特徴を生かしつつ、多様性の中の結束を固めていく必要性を訴えるとともに、その協力の成果を日米欧の枠にとどめることなく、開発途上国等、他の国との間にも広めていくべきことを強調いたしました。
 科学技術につきましては、科学技術の発展が、停滞した世界経済に活力を与え、経済成長の回復をもたらし、拡大均衡の達成の活路となり得ることを具体的例を挙げつつ強調いたしました。今後作業部会において検討すべき課題としては、先端技術の国際的な共同研究とその成果の交流を初めとして、開発途上国への技術移転、技術革新と雇用あるいは文化との関係等、多々あると考えますが、わが国としても、わが国の知識と経験をもってその作業に積極的に貢献してまいる所存であります。
 なお、来るガット閣僚会議は、自由貿易体制の堅持のためにもきわめて重要な会議であり、サミットにおいても同会議へ向けて積極的に取り組むべきことが確認された次第でありますが、わが国はセーフガード等の懸案や、新たな時代の要請であるサービス、投資、先端技術の検討に当たり、積極的に協力していく所存である旨を表明いたしました。政府といたしましては、今後同会議の成功のために、なお一層の努力を払っていきたいと考えております。
 秋田議員は、特に国際通貨問題の重要性を挙げられましたが、今回のサミットにおいては、国際通貨の安定が世界経済の発展のために非常に重要であること、このためサミット参加国が協力して行動する必要があり、具体的には、各国経済政策の協調、為替政策等の監視の強化、市場の混乱に対処するための介入などについて合意がありました。今後、これらの合意を実施に移すため、サミット参加国の通貨当局間で随時会合を開き、協議を行うことになっております。
 国際通貨安定に向けて各国の協力の具体的方向が打ち出されたことは、今回のサミットの重要な成果でありますが、わが国としても、通貨安定のための協議には積極的に参加していく考えであります。
 次に、秋田議員からASEANとの関係についてお話がございましたが、私もサミットにおいて、開発途上国の経済社会開発への支援が、世界経済の再活性化及び世界の平和と安定に不可欠である旨を強調するとともに、特にASEANの国々が発展への可能性を秘めつつダイナミックな結束を達成しつつあることを指摘して、サミット諸国がその協力の成果を日米欧の枠にとどめることなく、ASEAN等開発途上国との間にも広めていくことを訴えた次第であります。幸い私の発言に対しましては、サミット参加国首脳も大きな共感を寄せておりました。
 近年、わが国とASEANとの協力関係は、秋田議員も御承知のとおり著しく発展しております。政府といたしましては、今後とも広く政治、経済、貿易、文化等の諸分野において、官民双方の力を結集した総合的な関係の発展を目指して努力してまいる所存であります。
 次に、軍縮の問題についてお答えいたします。
 私は、唯一の被爆国としての立場から、核の惨禍が二度と繰り返されないことを願い、さきに国会で採択された決議を踏まえ、全国民的立場に立ってさきの国連軍縮特別総会に出席し、軍縮を通じる平和三原則を世界に向けて訴えてまいりました。幸い私の演説に対しては各国代表から御理解をいただき、みずから出席して演説を行った意義は十分あったと考えております。
 もとより、軍縮の実現は一朝一夕にして成るものではありません。現在の国際社会の平和と安全が国家間の力の均衡により保たれているということも否定することのできない現実でありまして、さればこそ、その均衡の水準を少しずつでも下げていくよう、現実の国際関係の中で実現可能な措置を一つ一つ積み重ねていくじみちな努力が肝要であります。
 私は、先般の国連軍縮特別総会での演説を常に念頭に置き、今後とも世界の軍縮の促進と平和の実現を目指し、平和憲法のもとで平和国家としての独自の道を歩んできたわが国にふさわしい努力を行っていく所存であります。
 次に、経済協力についてお答えいたします。
 わが国は、平和国家として、また、自由世界第二位の大きな経済力を有する国として、経済協力を通じて世界経済の調和ある発展及び世界の平和と安定に貢献していくこととしております。このような考え方から、わが国は昨年一月に新中期目標を設定し、今回のベルサイユ・サミットにおいても表明いたしたように、この中期目標のもとに援助の拡充に引き続き努めております。
 政府開発援助の予算につきましては、現下の厳しい財政状況をも踏まえ、援助の効果的かつ効率的実施にも配慮しつつ、今後とも中期目標のもとにその着実な拡充に努めていく所存であります。
 なお、私のハワイにおける演説についてお尋ねがございましたが、演説でも述べたとおり、私はかねてより、太平洋島嶼諸国が民主主義体制を選択して、相互間の協力を強化しつつ、その国づくりに励んでいることに大きな関心を抱いておりました。わが国といたしましては、これら諸国とも相互理解を深め、連帯のための共通の基盤を確立することに努力していきたいと考えております。
 最後に、内政について、五点御質問がございました。
 まず、臨時行政調査会の答申に基づく行政改革の実施については、行政改革は、私が総理就任以来、国政の最重要課題として取り組んできているところであり、七月末に予定されている答申につきましても、過去二回の答申と同様、誠実にその実施のために必要な施策の検討、立案及び推進に努めてまいります。
 次に、昭和五十六年度の歳入欠陥の問題であります。
 五十六年度の税収は七月上旬に確定いたしますが、現在では、当初予算額に対し一〇%台の減収が生ずることも懸念されており、このため、五十六年度の決算は相当規模の不足とならざるを得ません。
 このような状況に立ち至ったことはまことに残念でありますが、その処理は、現行制度にのっとり、国債整理基金からの繰り入れを含む決算調整資金からの繰り入れにより対処してまいりたいと考えております。
 次に、五十八年度予算の編成についてでありますが、私は、まず、歳出の一層の節減合理化に努力したいと考えます。このため、予算の要求枠、いわゆるシーリングにつきましては、昨年よりも一層厳しいものとすべく、現在、検討を指示しているところであります。
 財政再建は、現下、緊急の国民的課題であります。このため、歳出の節減合理化を中心に財政再建の努力を続けてまいりましたが、現在周囲の環境はさらに一層厳しいものがあり、俗に言う胸突き八丁に差しかかっています。しかし、ここでくじけてはなりません。将来の展望は開けません。五十八年度予算の編成に当たっても、五十九年度には特例公債依存の体質から脱却することを目標に財政の再建を推進してまいりたいと存じます。
 最後に、政治倫理、公選法改正等の政治課題についてであります。
 政治倫理の確立、政界の浄化刷新が緊急な課題であることは言うまでもありません。自由民主党も、政権政党としての自覚のもとに、国民の負託にこたえるべく、先年結党二十周年に当たって倫理憲章を制定し、政治家各人が身を正し、常に自粛自戒し国政に精励しているところであり、そのことはそれなりに国民の皆さんからも評価されていると信じております。
 また、政治倫理の確立に資するため、政治資金の明朗化や金のかからない選挙制度の改革にも取り組み、これまでも所要の法改正をいたしてまいりましたし、現在国会で御審議いただいておる参議院全国区制の改革案もまさにその一環であります。大幅な国会の会期延長をお願いいたしましたのも、長い間の懸案であった全国区制の改革の審議がせっかくここまで盛り上がったこの機会を逸しては、将来改革できなくなるのではないかと考えたからであります。ぜひとも、各党間で論議な尽くしていただき、一日も早く法案が成立することを念願いたしております。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(福田一君) 馬場昇君。
    〔馬場昇君登壇〕
#9
○馬場昇君 私は、日本社会党を代表して、鈴木総理に、国民が強く注目している緊急な重要課題について質問をいたします。
 私は、冒頭、総理の政治姿勢と政治倫理の確立についてたださなければなりません。
 総理は、行政の最高責任者として、また政権与党の最高指導者として、政権を担当するに当たって、安定した政治の運営は、国民の信頼を得て細めて実現できると述べて、政治倫理の確立を公約の第一に挙げられたのであります。
 しかるに、その後は、戦後最大の疑獄事件であり、国民の政治不信を最も深めたロッキード疑獄事件の刑事被告人であるところの元総理の勢力に屈して、その影響を最も強く受け、国政をやっておられるのであります。(拍手)また、灰色高官を党中枢の要職につけておられます。
 さらに、自民党総裁として、航空機輸入調査特別委員会も復活せず、約束した倫理委員会も設置せず、国民の政治に対する信頼を取り戻す行いは何一つ実行せず、今日に至っているのであります。(拍手)
 総理、政治家の言葉は、その裏づけになる行動、実績があって初めて生命を得るものであることは御存じのはずであります。総理の御所見を承っておきたいと思うのであります。(拍手)
 総理、六月八日の橋本、佐藤両被告に対する有罪判決は、被告人とともに総理の政治に対する倫理観が問われ、自民党の金権腐敗の体質が問われ、政界、官界、財界一体の構造疑獄が糾弾されたのであります。総理はこの判決をどのように受けとめられたのか、伺いたいのであります (拍手)
 次に、具体的にお尋ねをいたします。
 第一に、大部分の国民は、賄賂の授受を否定している政治家は真実を言っていないと思っております。民主主義は、政治家の道徳的責任の上に立って初めてりっぱに機能するものです。政治家の厚顔恥知らず、腐敗堕落は議会制民主主義を崩壊させ、ファッショ化への道を開きます。有罪を受けた佐藤孝行議員は、辞職勧告決議案の通過を待つまでもなく、即刻辞職すべきであります。(拍手)国政の最高責任者である総理の見解を明らかにしていただきたいと思います。
 第二に、灰色高官と言われる人にも黒い汚れた金が渡っていたことが、判決で事実として認定されたのであります。しかるに、灰色高官は依然としてこれを否定しております。
 総理、事実は一つしかないのであります。加藤六月議員は、証人喚問に応ずると言っております。二階堂幹事長は、昨年七月に衆議院議長に上申書を提出して、次のような趣旨、すなわち、議員を名指しで政治的道義的に責任ありと公表する以上は、その議員に、資料の検討、反論、反対立証の機会を十分保障し、国会の責任において事実の確認の手続をとる必要があると述べています。国会もその権威にかけて、両議員を証人として喚問し、真相を明らかにする責任があります。(拍手)
 しかるに、昨今の自民党の態度は、議院証言法の改正を引き延ばして、証人喚問を逃げ切ろうとしておるように見受けられます。総理は、自民党総裁として、党利党略や派利派略を超えて、国会の権威にかけて、速やかに予算委員会に証人として両議員を喚問するよう党内で措置されるべきであります。総理、どうなさいますか。(拍手)
 第三に、国会の自浄能力を高め、政治倫理を確立するために、航特委の復活、政治倫理委員会の設置、企業の政治献金禁止などを含めた政治資金規正法の改正や政治家資産公開法の制定など、直ちに自民党を指揮して野党要求に応ずる措置をとり、国民の期待にこたえるべきであります。どうですか。
 第二の課題は、反核軍縮の推進であります。
 核軍縮は、人類生存のため、今日すべてに優先する課題であります。
 ただいま報告がありましたように、総理は、第二回国連軍縮特別総会の一般演説で、軍縮をもって人類生存への行動原理としようと訴えられ、軍縮を通ずる三原則を提案されました。そして世界に公約されたのであります。
 この演説に鈴木総理を駆り立てたものは何だったのですか。核の恐怖のるつぼの中で、人類生存の危機を感じられたのですか。草の根から燃え広がり、六月十二日のニューヨークの百万人の反核集会まで盛り上がった世界の民衆の軍縮の声と、日本における八千万人の国民の署名を胸に刻み込まれた良心の発露からですか。総理の本当の心を吐露していただきたい。その上に立ってお尋ねいたしたいと思います。
 第一に、核抑止論、力の均衡論のもとで、全人類を数十回も全滅させるほどの核軍拡を招いたのであります。力の均衡、核軍拡による平和は成り立たないという決意こそ鈴木演説が生きる道と思いますが、総理の見解をただします。(拍手)
 第二に、総理は、核兵器が二度と使用されることのないように、核大国を初め各国が実効ある措置をとるべきだと演説され、核兵器不使用決議案が出れば国会決議を物差しにして判断すると言っておられます。総理、この際、日本から積極的に今次国連総会に核兵器不使用決議案を出して実現させるべきであると思いますが、総理の答弁を求めます。(拍手)
 第三に、国連における総理の軍縮の誓いは国内政治に生かさなければなりません。そのあかしは、本年度突出した防衛費を来年度は縮小することです。日本で軍事拡大をやっていながら世界に軍備縮小を訴えることは矛盾であります。世界の信用をなくします。
 第四に、総理は、自民党内の改憲派が激しく批判している憲法前文、すなわち、「諸國民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」という文言を引用されました。これは前回の軍縮総会でも園田外務大臣が引用されました。日本は、二回にわたって国際的に約束したわけであります。この約束を守るためには、今日自民党内にある非核二原則論とか、防衛費の国民総生産一%突破論とか、憲法改正論などの動きは、総裁として、憲法逸脱の行き過ぎがないよう指導力を発揮されることが国連での軍縮の誓いを生かす道であると思うが、どうでしょうか。(拍手)
 次に、第三の課題は、ベルサイユ・サミットと経済外交についてであります。
 世界経済は、国連が最近、一九三〇年以来の大きな景気後退に見舞われるおそれがあると警告したように、危機的な様相を呈しています。インフレの中で、失業者数は三〇年代の大恐慌時に迫る数であり、世界資本主義体制を揺さぶるほどの社会緊張を醸し出しています。これに対して、サミットで、総理は、軍縮で生まれる経済余力を第三世界に振り向け、先進国を含めた世界経済の再活性化を図るという方向を進めるべきであると主張されました。
 ところが、総理のハワイでの太平洋構想の演説では、経済、文化よりも政治を前面に出している印象を受けるのであります。これはアメリカの軍事戦略への追随であり、サミットにおける鈴木演説と矛盾すると思いますが、総理はどう思われますか。
 次に、貿易摩擦はいまだ基本的に解決したわけではございません。特に農水産物の輸入枠拡大、自由化の要求は、引き続き強く要求されると予想されます。政府の安易な妥協は国会決議に反し、わが国の農林水産業を破壊し、国の安全保障をも脅かします。まさか総理は、自由化要求には応ぜられるとは思いませんが、総理の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。(拍手)
 次に、第四の課題として行財政改革問題についてお尋ねいたします。
 第一に、総理、五十六年度三兆円以上、このまま推移すれば、五十七年度は四兆円ないし五兆円以上の歳入欠陥が出ることは確実と言われていますが、どうですか。その原因については、物価の安定が原因などと言って責任を感じられない発言がありますが、要するに、見通しを含めて財政運営に誤りがあったことは間違いないのであります。(拍手)結果として政府は、粉飾予算を組んだのであります。その責任はまことに重大でございます。与党からさえ責任追及の声が上がっています。総理の政治責任を明らかにしていただくとともに、その対策はどうなさるのですか、お答えいただきたいと思います。(拍手)
 第二として、政府は、本年度財政見通しとして、実質五・二%の経済成長を見込んでいますが、昨年の例を見ると、当初見込みの五・三%が、結果はその半分の二・七%成長になったのであります。本年度五・二%の成長をどのようにして達成されるのか、具体的にお聞かせ願いたいと思います。
 第三に、総理は、サミットで内需拡大を約束されましたが、どのような手段で内需を拡大して景気を浮揚させるのか、国民の納得のいく説明を求めたいと思います。(拍手)一兆円減税を中心に勤労国民の減税や、仲裁裁定の完全実施や、中小未組織労働者の賃金の大幅引き上げなどで消費を拡大して景気に刺激を与え、税の自然増収を図るべきではありませんか。どうですか。
 第四点として、五十七年度の補正予算について伺います。
 補正予算はこの延長国会に提出されるのですか。その提出時期を明らかにしてください。伝えられるように、自民党総裁選挙前に財政運営のミスを表面化させたくないとして補正予算をおくらすというのであれば、国民にとっての緊急、差し迫った対策を私利私欲のために責任を放棄する態度と言わなければなりません。(拍手)総理はホノルルで、自民党総裁の再選に意欲を示されたと伝えられていますが、その心境を含めて責任ある答弁をお願いいたします。(拍手)
 第五に、総理は、この本会議場においても、本年二月の予算委員会においても、五十九年度末までに赤字国債をゼロにすることができない場合には政治責任をとるとかたく約束されました。それに二言はございませんでしょうね。念のために、本当に成算があるのか、本音の答弁を承りたいと思います。
 次に、来年度予算編成についてお聞きします。
 現状のまま推移すると、財政再建期間を繰り延べするか、赤字国債を増発するか、または増税なしには予算は組めないのではありませんか。予算編成の見通しを承りたいのであります。
 次に、行政改革の臨調の目的、任務についてお尋ねいたします。
 第一部会の行政理念によれば、政策のすべてを見直すとして、国家目標の設定にまで任務を拡大しています。
 総理、臨調は行政調査会であって、国政調査会ではないのであります。臨調の行き過ぎは是正すべきであります。公共事業を財界に売り渡す民営論、福祉、教育切り捨て、軍事費突出のための臨調路線には絶対に反対であります。
 最後に、総理、今日の日本に危険なものを感じませんか。いままで述べた政治、経済だけではなしに、教育、文化、司法、マスコミ、あらゆるところで反動化が進み、まさに昭和初期の戦争前夜を思わせるものがあります。
 そのような中で、十八日右翼による日教組本部襲撃事件が起きました。威圧やおどしによる集会、結社、表現の侵害が、ついにテロの前兆、ファッショ化の足音がするところまで来ました。
 総理、あなたこそ、この日本の重大かつ深刻な情勢をつくり出している最高責任者でございます。その最高責任者としての自覚を持っておられますか。どうですか。
 憲法を守り、平和、人権、民主主義を貫く平和日本をつくるための、総理の強い決意を確かめて、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#10
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 最初に、政治倫理について一連の御意見、御質問がございました。
 私は、就任以来、政治倫理の確立は緊要な課題であるとしばしば申し上げてまいりましたし、そのための努力もいたしてまいったのであります。政治倫理の確立は、元来、政治に携わる者一人一人の自覚と良識にまつべきものであると思いますが、制度面からもそれを前進させるため、政治資金規正法や公職選挙法の改正などを行ってきているところでありまして、馬場議員の何一つしていないという指摘は納得できません。
 次に、先日のいわゆる全日空ルートの判決についてでありますが、判決は、司法当局が長い間慎重な審理を重ねた結果下したものであり、厳粛に受けとめております。
 判決の内容については、行政府の責任者である私が論評することは適当でないと思います。
 また、佐藤孝行議員の辞職勧告の問題につきましても、これは事柄の性質上本人が判断すべきものであって、他から強制すべきことではないと思います。この問題も、国会議員の身分に関することでありますので、行政府の責任者としては意見を申し上げるのは差し控えたいと存じます。
 次に、証人喚問の問題についてでありますが、この問題については、現行の議院証言法は人権上種々の問題があって、ここ数年来各党間で論議されていることは御承知のとおりであります。私は、自由民主党の総裁として、かねてから党執行部に対し、倫理委員会と議院証言法の検討などを要請いたしておりますが、この問題は国会の事項でありますので、議院運営委員会や議会制度協議会において、各党間で御協議を願って結論を出すべき問題であると考えております。
 また、航特委の復活、政治倫理委員会の設置、政治家資産公開法の制定など、いろいろ御提案がありましたが、これらの問題につきましても各党間で協議していただきたいと思います。
 次に、軍縮の問題についてお答えいたします。
 私は、かねてより、過剰殺戮の域に達したと言われる核時代の現状を深く憂慮いたし、核の惨禍が二度と繰り返されるようなことがあってはならない、核兵器のない世界を実現することを願う被爆国日本国民の悲願に思いをいたし、さきに国会で採択された決議を踏まえ、全国民的な立場に立って第二回国連軍縮特別総会に出席をし、軍縮を通じる平和の三原則を強く世界に訴えた次第であります。
 わが国は、核軍縮を初めとする軍縮の促進のため、あらゆる努力を払ってきているところでありますが、他方、現実の国際社会の平和と安全が力の均衡の上に保たれているということも否定し得ざるところであります。私は、かかる現実を踏まえつつ、この均衡の水準を少しずつでも引き下げていくよう、現実の国際関係の中で実現の可能な措置を一つ一つ積み重ねていくじみちな努力が肝要であると考えます。
 次に、いわゆる核不使用の問題についてお尋ねがございましたが、私は、世界の各国がこぞって軍縮に取り組み、核兵器が二度と使われることのないよう、実効ある措置を一歩一歩着実に積み重ねていくことが肝要であると考えております。このような努力を行うことによってこそ、世界の諸国民の願望である核不使用を確かなものにすることが可能になると申せましょう。
 私は、このような考えに立って、さきの国連軍縮特別総会で、米ソ間の戦略核兵器の制限及び削減交渉、中距離核戦力交渉の実質的進展を訴え、また、核実験の全面禁止条約の成立の促進、核不拡散条約の普遍性の確保などを訴えてまいりました。
 また、軍縮に関する諸決議につきましては、わが国も従来から国連等の場において、たとえば核実験の全面禁止条約の審議促進を求める決議案及び兵器用核分裂性物質の生産停止決議案等を率先して提案し、右決議案は多くの非核兵器国の支持を得て採択されるなど、積極的な努力を行ってきているところであります。
 なお、非核地帯構想に関しましては、一般的に適切な条件がそろっている地域において、その地域の国々の提唱により非核地帯が設置されることは、核拡散防止の目的に資し得るものと考えますが、その地域の政治、軍事情勢など地域的特性が十分勘案されなくてはならないと考えます。
 次に、私の国連での軍縮演説とわが国防衛費との関係についてお尋ねがありました。
 軍縮演説の中でも述べましたように、今日の国際社会においては、その平和と安全が国家間の力の均衡により保たれていることは否定し得ないところであります。すなわち、今日の国際社会におきましては、各国はみずからの防衛力によって、あるいは他国の協力を得てみずからの安全を確保せざるを得ないのが現実でありまして、わが国の場合、専守防衛に徹する必要最小限度の防衛力を保持するとともに、米国との安全保障体制を堅持することによって国の安全を確保することとしていることは、一貫して国民の皆さんにも申し上げてまいったところであります。
 このような観点から、わが国の防衛費につきましては、「防衛計画の大綱」に従い、必要最小限度の経費を計上してきているところであり、今後ともこのような方針のもとに経済、財政その他各般の施策との整合性を確保しつつ、防衛費の規模を適切なものとしてまいります。
 もとより、わが国の平和と安全は国際社会の平和と安全のもとにこそ確保できるものであります。わが国は、そのための努力の重要な一環として、今後とも国連等の場を通じ、国際的な軍縮、軍備管理の促進を強く訴えてまいる所存であります。
 次に、憲法前文に触れつつ、非核三原則、防衛費のGNP一%以内の原則及び現行憲法のそれぞれの堅持について御要請がありました。
 私は、これまでも国会で再三再四明らかにしておりますように、鈴木内閣におきましては、現行憲法並びに非核三原則を堅持してまいりますし、防衛関係費が当面GNPの一%を超えないことをめどとすることという昭和五十一年の閣議決定を現在変更することは考えておりません。
 次に、私のハワイでの演説についてのお尋ねがございましたが、あの演説は、太平洋地域の大きな可能性を世界全体の平和と繁栄のために最大限に引き出していくには、この地域諸国の連帯と協力が必要であることを訴えたものであり、米国の軍事戦略への追従といった趣旨のものでは全くありません。誤解なきようにお願いをいたします。
 次に、農水産物の自由化についてのお尋ねでありますが、これは関係国との友好関係に留意しながら、わが国の農業、漁業の健全な発展と調和のとれた形で行われることが必要であります。
 このため、相手国に、まずもってわが国農業、漁業の実情をよく知ってもらわなければなりません。また、わが国がこれまでに行ってきた市場開放措置もよく理解してもらわなければなりません。そして、相手国の理解を得ながら適切に対処してまいりますが、その際、食糧自給力強化に関する決議の趣旨を踏まえ努力してまいりますことは当然でございます。
 次に、財政問題に関する御質問にお答えいたします。
 まず、五十六年度税収でありますが、御指摘のとおりかなりの規模の減収を覚悟しなければなりません。まことに残念な事態でありますが、これは長期に及ぶ世界経済の停滞、予想外の円安、物価の安定など経済情勢が著しく変化したことによるものであります。
 粉飾というようなお言葉がありましたが、税収見積もりをいいかげんにしておいて、いたずらに歳出をふくらませたというようなことなら粉飾と言われてもいたし方ないと思いますが、五十六年度も五十七年度も、この二十年来例を見ないほど歳出増の抑制に努めているのでありますから、そのような御批判は当たらないと存じます。
 行財政改革の目的は、高度成長下で肥大体質になった行財政の体質改善であります。したがって、最も重要なことは歳出の抑制でありまして、経済情勢の変動から財政収支の改善が一時的に思うように進まないからといって、行財政の合理化、歳出の膨張の抑制という本来の目的を見失うようなことのないよう努力を続けてまいる所存であります。
 当面五十六年度の歳入不足については、現行制度にのっとり、国債整理基金からの繰り入れを含む決算調整資金からの繰り入れによって対処してまいります。
 また、五十七年度予算につきましては、五十六年度税収の落ち込みが五十七年度税収にも影響することは否定できないと思いますが、何分にも五十七年度はまだ始まったばっかりでありますから、税収動向について論議し得る段階に至っておりません。今後の経済動向を見守ってまいりたいと存じます。
 次に、経済成長に関する御質問でありますが、五十七年度のわが国経済を取り巻く内外環境を見ますと、国際的には多くの先進工業国において、ようやくインフレの収束と景気の回復が見込まれております。
 また、国内的にも物価の安定を背景として、個人消費を中心に明るさを取り戻してきており、第二次石油危機の影響が強く残った昨年度と比べて、内需を中心とした経済成長を可能とする条件が整ってきていると思います。しかしながら、先般発表になった五十七年度一―三月期の国民所得統計速報を見ますと、まだ景気回復のテンポは緩やかなものにとどまっている状況でありまして、政府としては、先般五十七年度の公共事業等について上半期の契約割合の目途を七七・三%とするなど内需の回復を図って経済運営を行ってきておりますが、今後とも経済動向に応じた機敏かつ適切な対応を図り、国内民間需要を中心とした着実な景気の維持拡大に取り組んでまいりたいと存じます。
 御指摘の所得税減税については、わが国財政の現状及び個人所得に対する所得税負担の割合が国際的にはなお低位にあることなどを考え合わせなければなりませんが、いずれにせよこの問題は、衆議院大蔵委員会に設置された減税問題に関する特別小委員会において検討が行われているところであります。
 なお、仲裁裁定につきましては、先般国会に付議して御審議をお願いしているところでありますし、賃金の引き上げにつきましては、労使が自主的に決定すべきものであります。
 次に、五十七年度補正予算をこの延長国会に提出するかとのお尋ねでありますが、技術的にも困難でありますし、五十七年度に入ったばかりの現段階で予算補正の時期を申し上げることは困難でありますが、いずれにせよ、今後の経済情勢を慎重に見定め、必要があれば適切に対処いたしたいと考えます。
 なお、先日、私が自由民主党の総裁選挙に意欲を示したと伝えられた件につきましては、今回の外遊の帰国に先立って行われた記者会見で、総裁選挙に関する質問がありましたので、党の総裁公選規程の手続を説明するとともに、この問題は党員が決めることであり、自分は自然体で、一切党員の皆さんに任せる、それよりも、むずかしい問題が山積している国政に毎日全力投球をしていきたいという趣旨のことを述べたまででございます。
 次に、五十九年度に特例公債依存の体質からの脱却という政府の基本方針に変わりはありません。五十八年度予算の編成に当たっても、その実現に向け最大限の努力をいたしたいと存じます。
 五十八年度予算の編成に際しては、何よりもまず歳出の一層の節減合理化に努力する必要があると考えます。このため、予算要求枠については昨年よりも一層厳しいものとするよう検討を指示しているところであります。
 また、税外収入など、歳入面におきましても広く見直し、検討に努力してまいりたいと存じます。
 臨時行政調査会の審議に行き過ぎがあるのではないかとのお尋ねでありますが、臨調は行政の制度及び運営について抜本的改革案を策定することを任務としており、その審議に当たっては、行政施策の基本的あり方についても、行政全般の立場に立った総合的見地から検討することが必要であると考えます。したがって、臨調の審議姿勢について問題があるとは思いません。
 最後に、総理・総裁として、平和憲法に貫かれた政治を行うことを約束しろとの御意見でありますが、自由民主党は、政権を担当して以来、ずっと一貫して憲法を遵守し、誠実に実施し、その結果、世界にも誇り得る平和で自由な国家の形成に寄与することができたことを誇りとしております。また、国民の皆さんからも、そのように評価していただいていると確信いたしております。自由民主党が政権を担当する限り、平和と民主主義、基本的人権の尊重の基本理念を掲げる現行憲法にのっとり、誠実に政治を行ってまいりますので、馬場議員の御懸念は無用かと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(福田一君) 矢野絢也君。
    〔矢野絢也君登壇〕
#12
○矢野絢也君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題になりました総理の報告とあわせ、当面するわが国の重要政治課題について総理の見解を求めます。
 サミット、国連軍縮総会ですけれども、まず、総理、大変御苦労さまでしたと申し上げたいと思います。
 しかし、総理、あなたの帰国を待っているわが国の政局はきわめて厳しく、鈴木内閣の正念場と言ってよいぐらいの重要課題がたくさんあります。このままでは国民の政治への信頼がますます失われ、また景気の低迷も破局的状況を迎え、財政再建もきわめて困難なものとなってしまいます。
 まず、ロッキード判決についてでありますが、この判決は、検察側の起訴事実をほぼ全面的に認め、金銭の授受、請託の存在とともに、ロッキード資金の賄賂性を明確にしたものと受けとめられています。鈴木総理は、政府・自民党の最高責任者として、今回の判決をどのように受けとめておられるか、御所見を伺いたいと思います。
 また、そこで有罪判決を受けた佐藤孝行君は、国会議員としての重要な公的立場を深く自覚されるべきであります。みずから議員を辞職されるべきであります。鈴木総理の御所感を伺いたいのであります。
 また、中道三会派は共同して同君の議員辞職勧告決議を本院に提出いたしましたが、総理はこの決議案に御賛成の立場をおとりになりますか。もし御賛成でない場合は、いかなる理由によるものかを御説明いただきたいと思います。
 また、検察側は、刑の執行猶予は納得できないとして、控訴すべきだとの意見もあるやに仄聞をいたしております。
 法務大臣に伺いたいと思いますが、この判決をどう受けとめ、今後控訴する意向があるかどうか、御判断をお聞かせいただきたいと思います。
 また、今回の判決では、いわゆる灰色高官とされておる諸君の実名が示され、金銭の授受があったとされているわけでありますが、灰色高官とされた諸君は、事の真相を明らかにするため、国会で証言されるべきであります。この際、総理は自民党総裁として、国会任せとか、あるいはいまの御答弁を聞いておりますと、まるで議長任せのような言い方をしておられますが、みずから証人喚問の実現についてリーダーシップを発揮されるべきであります。そのお考えがあるかどうかを伺いたいと思います。(拍手)
 総理、あなたは就任直後の所信表明演説で、政治倫理の確立と綱紀の粛正を公約されました。しかし、その後、その公約は残念ながら守られておりません。この際、航空機輸入調査特別委員会の復活、総理の公約でもある政治倫理委員会の設置、また、企業献金を禁止する政治資金規正法の改正を強く要求するものであります。総理の御見解を伺いたいと思います。
 次の質問に移りますが、選挙制度は、言うまでもなく主権在民の民主主義の原則を具体的に保障しておる制度であります。つまり、有権者の気持ちを政治に反映するルールであるだけに、いわば憲法に次ぐ重要な法規であるとも言えます。しかし、いま問題となっている参議院全国区制度改悪案は、いささか常識を無視したむちゃなものであります。無党派議員を締め出し、個人の立候補が不可能となり、有権者と候補者の直接的な結びつきが否定され、有権者が個人を選ぶことができず、政党に投票することとなり、参議院を衆議院より政党化してしまい、参議院が、失礼ながらミニ衆議院化してしまい、二院制そのものの存在が揺らいでしまいます。(拍手)これは自民党などのいわゆる大政党の間の身勝手な不況カルテルとも言うべきものであり、良識ある諸君の反省を促したいと思います。(拍手)
 総理、あなたは就任のとき、選挙制度は各党の大枠の一致が必要と発言されました。しかし、現在総理は、各党の意見の一致を待たず、無理やりに成立を指示されております。これは変身というのか、食言というのか、理解に苦しむところであります。同法案の撤回を強く要求し、かつ、私が指摘した諸点についての答弁を求めるものでございます。(拍手)
 次に、巨額な歳入欠陥、深刻な内需不振を中心に経済、財政問題について伺います。
 総理、あなたの政策の失敗は、大増税、国債増発、所得や福祉の目減り、中小企業不況、あるいは土地や住宅の無策など、国民生活に多大な実害を与えているのであります。
 昭和五十六年度の歳入欠陥は三兆円もの巨額に上ることが確実であり、また、本年度もさらにそれを上回ることが明らかであります。財政再建の名のもとに、福祉の切り捨て、負担の増大など、国民生活に多くの犠牲を強いながらも、なお財政再建のめどすらついておらない、その場しのぎの無為無策。民間企業の経営者なら、これはもう直ちに総辞職ものでございます。総理はこの責任をどのようにとられるのか、明確な答弁を求めます。
 また、渡辺大蔵大臣、あなたは歳入欠陥について、経済は生き物だからとか、経済情勢の変化だとか、まことに気楽な、太平楽な、無責任な発言を豊かな饒舌でされておるわけであります。大蔵大臣、あなたは財政再建の直接の責任大臣です。財政収支の見積もりを誤った、その責任をどうとられるのか、けじめのある答弁を求めます。(拍手)
 五十六年度、五十七年度の巨額な税収不足が確実な状況で、総理の公約である赤字国債の減額計画は、事実上崩壊したと言わざるを得ません。総理が政治生命をかけたとされる増税なき財政再建と五十九年度の赤字国債発行ゼロは達成できるとお考えか。先ほどの答弁では、目標だとか方針だとかという言葉にすりかえておられましたが、あなたは、それが破綻すれば政治責任をとると発言されたのであります。その決意はいまでも変わりはございませんか。
 現状の財政、経済、つまり五十六、七年度の税収不足と経済不況を前提にして、増税はしない、五十九年度赤字国債発行をゼロにするための五十九年度に至る財政再建の具体的方策を明確に示していただきたい。さらに、五十八年度予算編成に関する総理の方針を、この歳入欠陥をどのようにして穴埋めするか、補正予算をするのか、しないのか、こういったことを含めて明らかにしていただきたいのであります。
 次に、本年度の政府経済の見通し、実質成長率五・二%の達成は、大変残念なことでありますが、どうやら不可能と見られています。政府は、この見通しがいまでも実現できるとお考えであるか、総理及び経済企画庁長官の御答弁を求めたいと思います。
 また、設備、住宅投資などのマイナス成長、実質賃金の目減り、消費の低迷など、依然として内需不振の様相は変わっておりませんが、これをどう認識し、対応されるおつもりか、お答え願いたいと思います。
 現状のままでは、わが国経済が縮小均衡に陥り、財政も歳入欠陥がさらに深刻化することは確実と考えます。したがって、内需の拡大を目指し、まず個人消費を拡大するため、また税の不公平是正のために、政府みずから大幅の所得税減税を速やかに実施すべきであります。また、投資効率を重視した公共事業の追加を行うこと、さらに、中小企業の設備投資を喚起するため、中小企業に対する投資減税の時限措置を講ずることを提案いたします。これらについての総理の誠意ある御答弁を承りたい。
 次に、行政改革は、役人天国と言われるぐらい肥大化しており、全く非能率化しておる面が多いこの行政を、今日の国民のニーズから見ていかに再編成していくかが最大の眼目であり、この意味において、わが党は行政改革に最大の助力を惜しむものではございません。ただ、臨調部会報告の中で、社会保障負担の増大、政府の防衛費増強政策をバックアップするかのごとき表現が見られ、これは国民のニーズに逆行するもので、今後わが党は臨調に再考を求めたいと考えております。しかし、省庁の統合、国鉄などの公社問題、補助金のあり方などをめぐり、国民のニーズからの行政改革というよりも、政権政党としてのニーズや行政の既得権を守るというニーズから、すでに臨調部会報告をめぐり、政府内部や自民党あるいは一部の野党から待ったがかかり始めております。総理は、臨調基本答申について不退転の姿勢で取り組む決意があるのか、まず明確にしていただきたい。
 さらに、臨調答申がどの程度の財政的効果があると報告を受けておられるのか、さらに、基本答申を受けての政府の手順、計画をこの際明らかにしていただきたいと存じます。
 最後に、サミット、軍縮問題について伺いますが、世界経済の停滞の原因であるアメリカの高金利是正の見通しはつきましたか、また、貿易問題では、わが国の市場開放策は評価されましたのか、さらにまた、わが国の市場開放策第三弾ともいうべき厳しい事態は予想しなくてもいいのかなどについて、御見解を伺いたいと思います。
 次に、東西貿易につきましては、対ソ公的信用供与制限問題がアメリカ、ヨーロッパの間で厳しく対立し、共同宣言も極端な玉虫色の表現になっております。そこで、今後の政府の対ソ信用供与に対する基本方針について、ここでお伺いをしておきたいと思います。
 また、公明、民社、新自由クラブ、社民連、同盟の五つの団体が、すべての国のすべての核に反対、核廃絶は相互的、段階的に実効ある措置が必要という立場で、千六百万人を超える反核軍縮を求める署名を集めました。その署名簿をデクエヤル国連事務総長に提出し、同総長は、これを軍縮総会にぜひ反映させたいと確約をしてくれました。微力でありますけれども、いささかの成果を上げ得たと自負をいたしております。
 しかし、核廃絶、軍縮への道はまだまだ遠く、私たちは、反核軍縮運動はこれからますます重要であると考え、その運動の中核として闘っていかなくちゃならないと決心をいたしております。
 総理が、世界で唯一の核被爆国の首相、総理として国連軍縮特別総会で軍縮演説をされましたことは、大変意義があることであるとして評価いたします。しかし、残念ながら、その内容には余り具体性があるとは言えません。
 総理は、演説で、軍縮促進の前提は国家間に相互信頼関係を醸成することであると指摘されました。まさに同感です。しかし、そのためにわが国政府が果たすべき具体的役割りとは何か。また、軍縮によってつくり出された余力を発展途上国の援助に充てるべきであることも主張されました。これまた同感でございます。しかし、そのための方途について具体的にどうするのか、明確ではございません。ここでお考えをお示しいただきたい。
 核兵器の不使用について実効ある措置をとることを訴えられたのであります。しかし、これまで国連通常総会で行われてきました核兵器不使用決議などには今後賛成するのかどうか、また、核兵器の先制的不使用を内容とする協定は必要であるとお考えかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
 また、私たち中道四党、同盟、この五団体がワインバーガー・アメリカ国防総省長官と会談しましたときに、同氏は、日本の平和憲法のことは承知しております、日本の防衛は日本自身が自主的に決めることなどとしながらも、同氏は、鈴木総理が約束された日本本土の防衛、周辺海域、シーレーン防衛の役割りは日本国憲法の枠内でできることであり、これの実行は重要、この役割りを果たすためには、アメリカ国防総省の試算では、毎年一〇%以上の伸び、GNP一%以上の防衛予算が必要ということになり、この試算をホノルルの日米会談で日本側に説明したい、また技術交流も求めたいという意味の発言をワインバーガー氏はこの五団体にされたわけであります。これは押しつけではないと、前提を念入りに置いておられましたけれども、平和日本の今後のあり方にとってきわめて重大な問題提起で、私たちは賛成できません。ホノルル日米会談でこれにどう対処されるかを伺いたいと思います。
 総理は、演説で、わが国は憲法のもと軍事大国にならないと述べられました。その言やまさによしということです。しかし、毎年の防衛費の著しい伸びとこの御発言との関係は一体どういうことになるのか。たとえば五十八年度予算において防衛費は別枠扱いということになるのか。これでは言葉倒れになってしまいます。ひとつ納得のいく御答弁を求める次第であります。
 総理並びに関係大臣が信念を持って国民に語りかける御答弁を強く期待いたしまして、以上で、私の質問を終わらしていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#13
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 最初に、今回の判決に関連して政治倫理の問題について種々御意見がありました。
 まず判決についてでありますが、これは司法当局が慎重な審理を重ねた結果下したものであり、厳粛に受けとめております。私は、政治倫理を確立し、政界の浄化を図り、政治に対する国民の信頼を確保することが議会制民主主義を守っていく原点であると考え、先ほど来申し上げましたように所要の法改正もいたしております。過去において国民の皆さんから御批判を受けるような事態が発生したことは遺憾なことでありますが、私も含めて政治家は、それを反省の糧として、各人が身を正し、常に自粛自戒して努力していくことが必要であると考えております。
 次に、佐藤孝行議員の辞職勧告案につきましては、先ほど申し上げたとおり本人自身が判断すべき問題であって、他から強制すべきことではないと考えます。
 なお、この問題は、国会議員の身分に関することでありますから、行政府の責任者である私が意見を申し上げるのは適当ではないと存じますので、御了解を願いたいと存じます。
 次に、証人喚問と倫理委員会の設置につきましては、これも先ほど申し上げましたように、私は自由民主党総裁として、かねてから党執行部に対し倫理委員会の設置と議院証言法の検討などを要請しておりますが、この問題はまさに国会の重要事項でございますので、各党間で御協議をいただきたいと存じます。
 なお、航特委の復活については、いわゆる航空機輸入に関連して指摘された疑惑に関しては司法当局においてすでに解明が終わったと承知いたしておりますが、復活問題は引き続き議院運営委員会で協議するとの了解になっている由、伺っておりますので、各党間で御協議いただきたいと存じます。
 次に、企業献金を禁止するように政治資金規正法を改正せよというお話でありますが、企業も一つの社会的実在としてその政治活動の自由は保障されているのでありますから、最初から企業献金が悪であると決めてかかるのはいかがかと存じます。
 企業献金の問題も含め政治献金のあり方の問題は、選挙制度のあり方の問題と密接な関係を持っているだけでなく、各党のよって立つ財政基盤がそれぞれに異なっておりますから、現実問題として、今後の各党の政治活動そのものに直接関連してくる問題でございます。したがいまして、まず各党間で十分議論を煮詰めていただきたいと考えるものであります。
 次に、参議院全国区制の改革についてでありますが、私は、就任以来、政治倫理の確立を図るためには金のかからない選挙制度の実現が急務であると考え、その一環として、参議院全国区制の改革につき各党各会派の大局的な立場での検討をお願いいたしてまいりました。その後、御指摘のような問題についても十分検討を行った上で、自由民主党案が現在国会に提出されており、社会党案も提出されているのは御承知のとおりであります。また、他の各党におかれてもこれまで鋭意検討がなされてきていると承知しており、今後さらに各党各会派で討議が重ねられ、金のかからない選挙制度の実現、ひいては政治倫理確立の一助として、ぜひとも今国会で参議院全国区制の改正が実現されますように切望いたすものであります。
 なお、今国会の大幅な会期延長をお願いいたしましたのも、それにより各党各会派の十分な討議が行われるよう念願したためであります。
 次に、経済財政問題についてでありますが、深刻な世界的景気後退の中にあって、各国とも成長の停滞、インフレ、失業、財政赤字の拡大等に悩まされております。このため、サミットでは、世界経済をいかにして再活性化するかについて真剣な議論が行われたのでありますが、総体的に見ますればわが国経済の情勢は最も良好であり、先進諸国もこれを評価しておるところであります。その中にあって、御指摘の歳入欠陥の問題など財政状況だけは他の先進諸国に比して悪い状態にありまして、就任以来財政再建に全力を注いでいるのもそのためであります。
 しかしながら、先ほども申し上げましたとおり、高度成長下で肥大化した歳出の抑制については成果を上げてきておりまして、その努力は、五十八年度予算編成に当たってもさらに一段と強めてまいりたいと考えております。
 なお、財政再建の名のもとに福祉の切り捨てをするとかの御批判がございましたが、第一次石油ショックによる景気停滞、税収の落ち込みの中にあって、公債の大量発行によって福祉政策をさらに推進した結果が、今日の財政の窮状の一因となっていることも否めない事実ではないかと思います。しかし、厳しい財政事情の中にあっても、社会的、経済的に真に恵まれない立場にある人々に対しては一層きめ細かな配慮をしていきたいと考えております。
 五十九年度に特例公債依存の体質から脱却するという考えは政府の基本方針であり、その実現に向け最大限の努力をしてまいります。現段階で五十九年度までの財政事情をお示しすることは困難ではありますが、いずれにせよ、財政再建を進めるに当たっては、何よりも歳出の節減合理化を第一に考えてまいります。したがって、まず、大型増税などは念頭に置くことなく、歳出の節減合理化に最大限の努力を傾けたいと考えます。また、税外収入等歳入面においても広く見直し、検討に努力してまいりたいと存じます。
 五十八年度予算編成に当たっても、ただいま申し上げた方針と同様に考えておりまして、当面予算要求枠につきましては、昨年よりも一層厳しいものとするよう検討、指示いたしております。
 経済見通し、内需不振の様相についての認識、またこれにどう対処するかとの御質問がございましたが、先ほど馬場議員の御質問にお答えいたしましたとおりでありますので、詳細は河本経企庁長官から、また渡辺大蔵大臣から答弁をいたさせます。
 次に、行政改革の問題でありますが、お尋ねの部会報告は、臨調内部の報告でありまして、政府に対するものではありません。部会報告につきましては、調査会において慎重に審議を進めている段階でありますので、財政効果の点を含め、いまの時点で政府としてコメントすることは差し控えたいと存じます。
 なお、七月に予定されている答申につきましては、答申を受けた段階で速やかに政府としての施策の検討を急ぎ、所要の施策について、その立案、推進に取り組んでまいります。
 次に、わが国の市場開放対策に関連して、いわゆる第三弾はあるのかというお尋ねがございましたが、わが国がこれまでとってきた一連の市場開放対策は、ベルサイユ・サミットにおいても、出席した各国首脳から誠意ある行動として高く評価されたところであります。私は、現在重要なことは、これら市場開放対策が所期の成果を上げるよう十分フォローアップをしていくことであると考えており、今後はできるだけガットの場などでの多国間の協議に重点を置いていくべきであると考えております。
 なお、対ソ信用供与制限の問題についてお尋ねがございましたが、今回のサミットにおいては、昨年のオタワ・サミットにおけると同様、東西経済関係を西側の政治、安全保障上の利益と合致した形で進めること、さらに、このため各国は戦略物資の輸出規制制度の改善のための協力、輸出信用を制限するに当たっての商業上の慎重さの必要を含め、ソ連、東欧諸国との金融関係を健全な経済的基盤に基づいて注意深く取り進めることについて合意を見ております。
 次に、反核運動についての私の考えについてお尋ねがございました。
 私としては、多くの日本国民が平和、軍縮運動に熱心に取り組んでいることを真摯に受けとめており、御指摘の各団体の運動についても、核兵器のない世界を実現することを願う日本国民の悲願の表明であると受けとめております。
 私は、第二回国連軍縮特別総会においても、このような国民の強い願望を体して、核軍縮を中心とする軍縮の促進を世界に向けて強く訴えてまいったところであります。
 次に、矢野議員より、先般の私の国連での演説に触れて、国家間の相互信頼関係の醸成に係るわが国の役割りについてお尋ねがございました。
 わが国は、平和憲法のもと、非核三原則を堅持し、軍事大国にならないことを決意し、平和国家としての道を歩んできております。
 わが国は、このような独自の立場に立って、世界経済の発展、南北問題や第三世界における地域的紛争の解決などの面で、国力、国情にふさわしい貢献を行い、また、国際的な軍縮に向けて外交を展開してきておりますが、かくすることにより、わが国自身が安定した平和国家として各国からの信頼を得、その結果、ひいては世界的な意味での国家間の相互信頼関係の醸成にもつながるものと考えております。
 次に、軍縮で生じた余力を経済開発に向けよという私の主張についてお尋ねがございました。
 今日の世界では、一方では莫大な軍事支出が行われ、各国の社会、経済に大きな負担となっている反面、他方において極端な貧困が存在し、社会不安や地域紛争の誘因となりかねない状況となっています。私は、世界的な相互依存関係の深まりの中で、開発途上国の発展と世界経済の調和のとれた拡大を図り、ひいては世界の平和と安定を図るべきであると考えるものであります。
 私は、今次国連における総会においても、国際社会全体がこのような認識に立って軍縮を推し進めるよう訴えてまいりました。わが国としても、自由世界第二位の大きな経済力を有する国として、世界経済の発展及び世界の平和と安定に貢献するとの観点から、今後とも新中期目標のもとに経済協力の着実な拡充に努めていく所存であります。
 私としては、核兵器が二度と使用されることのないようにするためには、核軍縮のための実効ある措置を一つ一つ積み重ねていくことが肝要であると考えます。
 かかる観点から、さきの国連における演説においても、米ソ間の戦略核兵器の制限及び削減交渉並びに中距離核兵器に関する交渉の実質的進展を訴えるとともに、核実験の全面禁止の早期実現及び核不拡散体制の強化を訴えてまいりました。私は、このような着実な努力を積み重ねていくことが、核兵器の先制的不使用を含め、核の不使用を確かなものにしていくゆえんであると考えております。
 御指摘の核兵器不使用決議につきましては、このような考え方に立ちつつ、具体的な提案の内容を検討した上で適切に対処していく所存であります。
 次に、今年八月予定のいわゆる日米ハワイ会談に臨む方針についてでありますが、米国がわが国の防衛努力について期待表明をしていることは御承知のとおりであります。わが国としては、わが国が防衛努力を行っていくに当たっては、米国の期待を念頭に置きつつも、憲法及び基本的な防衛政策に従い、あくまでも自主的に進めていく考えでありますが、防衛、安全保障問題について、日米で意思の疎通を図り、相互理解を深めていくことは重要なことでありますので、今後とも憲法及び基本的防衛政策を踏まえ、率直な意見交換をしてほしいと思っております。
 最後に、防衛費についてお尋ねがございました。
 防衛力の整備に当たっては、憲法及び基本的な防衛政策に従い、そのときどきの経済、財政事情などを勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、質の高い防衛力を着実に整備することとしております。五十八年度予算の編成に当たっても、このような基本方針のもとに「防衛計画の大綱」の水準をできるだけ早く達成する必要があること、財政再建が緊急の課題であることなどを総合的に勘案しながら慎重な検討を行い、わが国防衛のために必要最小限度の経費を計上してまいるつもりであります。
 残余の質問につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣坂田道太君登壇〕
#14
○国務大臣(坂田道太君) 矢野君にお答えをいたします。
 去る六月八日、東京地方裁判所において言い渡しのありましたいわゆるロッキード事件全日空ルートの判決は、裁判所が約五年半にわたる慎重な審理を行った上でなされたものと承知しております。
 この判決につきましては、すでに橋本、佐藤両氏から控訴の申し立てがなされておりますが、お尋ねのように執行猶予の言い渡しがなされている点について、検察官からも控訴の申し立てをするかどうかは、現在検察当局において検討中であると聞いておりますが、いずれ公正に対処するものと考えております。
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#15
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 通告はたくさんあったのですが、時間の関係で割愛されたようでございますので、一つだけお答えを申し上げます。
 一つは、歳入欠陥問題でございますが、この問題について、どうして見通しがうまくいかないのか、責任はどうするのだというお話でございます。御承知のとおり、五十六年度の税収見積もりというものにつきましては、当初三十二兆円程度のものを見込んだわけでありまして、御承知のとおり、この当時は旧ベース、つまり四十五年基準の経済見通しで名目で九・一、五十年基準で八・〇、こういうふうなことを土台にいたしまして、そこにいろいろ多少のことはやるわけではありますが、そこでやった結果が、名目成長が五・二、それから実質成長四・七、五十年基準で四・七のものが二・七というようなことで、経済の非常に激動する中で変わりがあった。経済成長が税収に影響するのは当然でございます。これは裏と表みたいなものでございます。
 しかし、当時といたしましては、三十二兆円では足りないではないか、税収が見積もり過小である、もっと見積もれるはずだというような御議論もあったわけでございまして、そういうようなことで、経済の状況というものは生き物でございますから、これは見通しといってもそのとおりになるということは、現実の問題として世界じゅうなかなかそういっていないわけでございます。
 残念ながら、そういうような点で、税収にうまく見積もりが最後までぴしっといかなかったということは事実でございまして、この点はわれわれも率直に認めておるわけでございます。この理由はいま言ったとおりでございます。
 それで、これに対する対策はどうするかということでございますが、この対策につきましては、五十六年度については、御承知のとおり決算調整資金、国債整理基金というようなものが、万一そういうような事態があると困るということで設けられておるわけでございますので、それによって処置をして、五十六年度の収支についてはきちんと決着をつけてまいりたい、かように考えております。
 五十七年度の問題については、これは先ほど総理から答弁がございましたように、常識的に言うと、去年の発射台のベースが低くなればその次の年も低くなるのではないか、こういうふうな議論は当然あるわけです。あるわけでございますが、一体、世界経済がどうなるのか、内需喚起その他をやって、現在の経済見通しを変更しなければならないのかどうかというようなことは、経済企画庁とも相談をしなければなりません。したがって、それがまだ見通しを変更するような見通しができる段階になっておりません。例年九月末に一応見通しというものの改定をやるわけでございますから、いまの段階においてどう直すということは、ただいま申し上げることはできません。われわれとしては、できるだけ公共事業の前倒しを初め景気の持続向上というものに努力をしてまいりたい、かように考えているわけでございます。
 以上でございまして、あとは総理がお答えをしてありますので省略します。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣河本敏夫君登壇〕
#16
○国務大臣(河本敏夫君) 五十七年度の経済見通しはどうか、こういう御質問でございますが、五十六年度の経済の実績がようやく今月の十一日に判明したばかりでございますので、五十七年度は始まったばかりでございますから、全貌の見通しを正確にするということはむずかしい点もございますが、御参考までに五十六年度経済の特徴を申し上げますと、第一は、実質可処分所得が昨年はずっとマイナスであったということであります。
 それから第二は、いまも御指摘がございましたが、中小企業の状態が相当悪くて、当初想定をしておりました中小企業の投資計画が相当大幅に減少しておるということであります。
 第三は、昨年の秋以降、世界不況のために輸出貿易がずっとマイナスに転じておる。
 この三つが、私は五十六年度経済の特徴であったと思いますが、それを受けまして五十七年度の展望をいたしますと、実質可処分所得は、ことしになりましてから物価が非常に安定をいたしまして二%台に安定をしておりますので、現在は若干のプラスに転じております。この状態はしばらく続くのではないか、このように判断をしております。
 また、中小企業の投資は、昨年に引き続き現在も政府の想定よりも若干減少しておりますが、これはやはりアメリカの高金利のために、政府は金融政策をいま全然機動的に実行できない、こういう状況にもございますので、この点が今後どのようになるか、十分見守っていきたいと考えておるところでございます。
 なお、世界経済につきましては、先ほど総理からも御答弁がございましたが、ようやくインフレは峠を越しましたし、石油の小康状態も続いておりますし、世界的に見た場合に、在庫調整がおおむね終了に近づきつつある、こういうこと等がございますので、アメリカの高金利問題はございますけれども、後半ある程度の回復に向かうであろう、このように言われております。そういたしますと、現在落ち込んでおります輸出も、マイナスがプラスに転ずるのではなかろうか、このように考えております。
 そこで、先ほど五十六年度経済のことを申し上げましたが、これをGNPで申し上げますと、当初政府は二百五十五兆強のGNPを想定をしておりましたが、これが二百五十一兆強、約四兆円ばかり最終需要が落ち込んでおります。ただ、第四・四半期、これはこの一月から三月までのことでございますが、これは年率三・三%見当の成長でございます。政府の目標と約二%ばかりの差がございまして、これを最終需要で申しますと、約五兆円の差ということになります。ことしのGNPは二百七十兆強と想定をしておりますので、それに近づけるためには最終需要が一−三月の現状よりも約五兆増加することが必要である、このように考えられます。
 そこで、とりあえずこの四月から、中央地方を通じまして約二十四兆の公共事業を八〇%弱、技術的に可能な限り最大限前倒しをいたしまして、民間の最終需要が拡大をするような誘い水にしたい、このような政策をいま進めておるところでございます。
 幸いにいたしまして、政府の計画どおり、また期待をしておりますとおり、民間の経済がある程度力を回復いたしまして、最終需要が民間だけで拡大をするということになりますと、これはもう大変結構でございますが、もしそのとおりいかないという場合には、当然ある程度の財政資金の追加も必要でなかろうか、このように考えておりますが、現時点はもう少し様子を見たいというのが現在の段階でございまして、いずれにいたしましても、経済の実情に応じまして、有効で適切かつ機敏に対策を進めてまいりたいと考えております。
 したがいまして、現時点におきまして、政策努力、政策の工夫いかんによりまして五%強の成長を達成するということは決して不可能ではない、これからの努力いかんにかかっておる、このように私どもは理解をいたしております。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(福田一君) 塚本三郎君。
    〔塚本三郎君登壇〕
#18
○塚本三郎君 私は、民社党・国民連合を代表して、当面する内外の重要課題に対して、四点にしぼって質問をいたします。
 その第一は、行政改革と歳入欠陥についてであります。
 本年二月、本院予算委員会において、総理は、行政改革について第二臨調の答申が出されたら、それを法制化し、実行に移すと言明され、さらに、それが実現のために政治生命をかけると私に答えられましたが、いまもその約束に変わりはありませんか。
 第二臨調は、国鉄、電電公社、専売公社の三公社等に対して、いまや大胆な基本答申が出されるものと予想されます。このとき、政府・自民党及び一部野党からは、実行不可能として、妨害とも受け取られるがごときさまざまな動きがあります。総理は、いまこそ政治生命をかけても、官僚及び与党内の答申妨害の動きを封ずべきであると思いますが、いかがでありましょう。(拍手)
 また、増税なき財政再建を明言され、さらに五十九年度末には赤字国債をゼロにするとの御答弁も、いまなお変更なきものと受け取ってよろしいか。
 以上三点を実行することは、きわめて困難を伴い、失敗すれば明らかに総理の政治責任も問わねばなりません。
 そこで、お聞きしなければならぬことは、すでに五十六年度の歳入欠陥が三兆円を超えるのみならず、五十七年度に至っては、さらに大きな歳入の欠陥が予想される事態であります。伝え聞くところによれば、最終的には赤字国債をもって穴埋めする以外に他に方法がないと考えられているようであります。補正予算後になおこれほどの欠陥を招き、借金で穴埋めすることは完全に粉飾決算であり、政府の重大な責任と言わなければなりません。(拍手)
 これに対して、渡辺大蔵大臣は、物価が落ちつき過ぎたから税収が少なかった、物価が高くなれば税金ももっとたくさん入って、こんなことにはならずに済んだ、予測は当たるにこしたことはないが、物価が落ちついたから歳入欠陥も仕方がないではないかと他人事のごとく、しかも各方面で語っておられるのであります。
 総理が政治生命をかけておられる行政改革の真の目的は、この借金財政を改めるところに主眼が置かれたはずであります。税収三十兆余に対し、借金八十二兆はいかにも多過ぎるのであります。そして、やがて返済の時期が迫っております。だからこそ、赤字国債をまず減らすことに最大の関心を払い、ゼロシーリングを強行して約二兆円の赤字国債を減らす予算を組まれたのではありませんか。その二兆円の減額すら、補正予算では守り切れませんでした。その上、三兆円を超す大失態の赤字を生みながら、物価が落ちつき過ぎたという大蔵大臣の表現は、経済の何たるかを知っての発言とはどうしても思えないのであります。
 私ども民社党は、しばしば、赤字国債を急速に減らせば景気の停滞を招き、結果として税収不足を来し、財政再建はむしろ遠のくと政府に忠告してまいりました。その場当たりの耳ざわりのよい空約束だけで時を過ごした鈴木内閣の二年間の経済政策の失敗が、鈴木総理、いま重苦しくあなたの頭上にのしかかってきておることであります。
 物価の安定こそ経済の拡大と消費の増大を招き、ひいては豊かな国民生活と安定した財政運営ができると叫び続けてこられたのは、歴代自民党内閣の悲願と自負であったと私は思っております。渡辺大蔵大臣のこのマンガチックな一片の言いわけで帳消しにしてよいものでありましょうか。総理は、これは明らかに経済政策の大失敗だとお認めになるべきであります。
 今日の日本経済は、中小企業の破産、倒産が相次ぎ、構造的不況産業は、その数を増すばかりであります。その結果、補正予算を組んでもなおかつ三兆円を超える歳入の欠陥を招いたではありませんか。政府は、この際、景気対策と財政対策のために秋には臨時国会を開かねば切り抜けられないとの声がありますが、どうなされるおつもりでありましょうか。
 さりとて、これ以上公共投資に成長の道を求めることは財政上困難と見られております。要は、民間の持てる資金と活力を注入せしめる以外に道はないのではありませんか。とりわけ、国民生活の中で、住宅だけはいまだ文明各国の水準に比べておくれをとり過ぎております。住宅建設は総合産業であり、あらゆる分野に刺激を与えずにはおかないはずであります。
 それがためには、土地問題にかかわる市、県、国の縦割り行政から来る許可、認可の複雑な官僚行政を徹底的に改め、土地購入から四年も五年も待たなければ開発許可が出なかったり、持てる土地の五〇%以上を市に供給しなければ許可をしないという驚くべき行政の実態を、いま直ちに洗い直すことを提言いたします。
 質問の第二は、先進国首脳会議についてであります。
 世界経済が停滞を続ける中で、不況の長期化、失業者の記録的な増大、高まる保護貿易主義、アメリカの高金利、各国の経済政策の相違など、その対策について西側の足並みは決して整ったものにはならなかったと思います。しかし、厳しい世界経済の中にあって、わが日本が世界経済再活性化の牽引車となるべく、自他ともに期待されての会談でもありました。それは当然のごとく内需の拡大、すなわち五・二%の経済成長の達成が柱となるべきでありましょう。だが、残念ながら、今日の日本経済は五・二%どころか三%台にも届かないと見るのが常識となっております。私がさきに経済政策の失敗を指摘するのもこの点にあります。
 日本が置かれた立場からは、成長率の達成は、ひとり日本国民に対する約束のみならず、国際社会に対する配慮をも含んでいると見るべきでありましょう。この際、政府は、万難を排して経済成長の目標達成に取り組むべきだと思います。
 一方、アメリカの高金利の是正を求めねばなりません。サミット出席の各国がレーガン大統領に対して高金利の是正を求めたと伝えられるが、それに対していかなる回答が得られたのか、明らかにしていただきたい。
 アメリカ政府の財政逼迫から、高金利によって世界から金を集めざるを得ないという手法は、ひとりドル高を招くのみならず、アメリカ政府そのものがサラ金財政と化し、その結果、世界通貨は大混乱を来しております。サミットの直後に、前川日銀総裁さえも、なぜドルが高く円がかくも安いのか理由がわからぬと述べておられます。かくして、サミット出席の各国首脳が口をそろえて、アメリカの金利是正の要求をいたしましたのに対し、それをあざ笑うがごとく、逆に円は二百五十円を突き抜け、二百六十円に近づきつつあります。
 鈴木総理、一体今回のサミットは成功であったのか失敗であったのか、どちらと判断されるのでありましょうか。そしてまた、一体サミットとは何であったのか、その意義と使命はどうなってしまったのか、改めて問われるときが来たと思うのであります。
 質問の第三は、核兵器の廃絶と軍備縮小の問題であります。
 私ども中道四党は、同盟を加えた五団体として、ニューヨークにおける国連の軍縮特別総会に向けて、署名約千六百万余を携えて、日本国民の平和への強い意思を伝えてまいりました。しかるに、本日の新聞によれば、ソ連が空前の規模の総合核兵器実験を行ったと、アメリカ国務長官が異例の暴露声明を発表いたしました。第二回国連軍縮特別総会で、核軍縮と核の先制不使用を強調したソ連ブレジネフ共産党書記長のメッセージを読み上げた直後にこれが行われたことをアメリカは指摘し、世界への約束を行為で裏切っていると言行不一致を強く非難しておるのであります。このソ連の行為を政府はどう受けとめておられるのか、所信のほどを伺いたいのであります。(拍手)
 また、欧州に向けて配備されたソ連のSS20なるものは、その攻撃範囲が約五千キロにして、誤差はわずか二百メートルと聞いております。これが核弾頭をつけて飛べば、全欧州はその傘のもとにすっぽりとおさめられてしまいます。アメリカがこれに対抗するためのパーシングIIの配備をめぐって、核に対する恐怖が全ヨーロッパに広がって反核軍縮の大きなうねりとなったことは、政府も御承知のとおりであります。
 そこで触れねばならぬ第一は、欧州に向けられたSS20が、米ソ交渉によって彼らからはるか遠いわれら東の方に移動させられたとすれば、欧州の安全はすなわちアジアの恐怖を増大せしめることに連動するという点であります。
 さらに今日、沿海州を中心に、すでにSS20が日本に照準を向けて二十ないし三十は配備されているという事実であります。日本は非核を宣言している平和国家であります。総理は、過日国連に行かれたとき、ソ連代表にSS20の撤去についてどんな要求をされたのか、お伺いしたいのであります。
 また、総理は、国連において、非核地帯の設置を適正な条件のあるところから目指すべきではないかと注目すべき発言をなされましたが、一体それは何が適切で、どういう条件で、どの程度の地域と範囲を想定しておられるのか、その描かれている予想図を示していただきたい。
 また、国連の平和維持機能の強化を主張しておられます。フォークランド紛争、中東戦争、アフガン問題等々、戦争に対して国連の機能がきわめて悲観的に見られる折から、国連の機能の強化は、世界すべての国の期待するところでもありましょう。しかし、果たして日本は、これに対して何ができると考えられるのでありましょうか。平和維持のために、具体的にたとえば自衛隊の派遣とか、医療班の派遣とか、科学技術の供与とか、そんなことでも想定しておられての発言でありましょうか。はたまた経済協力のみにとどめるのか、その真意のほどを伺っておくべきだと信じます。
 最後に、私は、政治倫理の確立について論及いたします。
 鈴木総理は、昭和五十五年七月、就任後の初の記者会見で、政界浄化、政治道義確立に関する特別委員会の国会設置を提唱し、政治倫理に取り組む意欲を国民に印象づけられました。しかし、今日までこれが実現のための指導力を発揮された形跡はみじんも見られません。(拍手)大変失礼な表現でありますが、口で唱えて実行はあなた任せの自然体の二年間でありました。
 かくて、今回のロッキード事件における六月八日の判決は、ひとり佐藤孝行議員に対する判決と申すよりも、自民党の金権政治そのものに下された判決と私どもは失礼ですけれども受けとめております。(拍手)
 もしそれ、与党自民党が、佐藤議員及び判決文の中に名前を出された議員とは無縁の事件であると総理御自身が言い切れるだけの倫理観をお持ちならば、この際、厳然として政権党としての権威あるけじめをおつけになるべきだと思うが、いかがでありましょうか(拍手)
 思えば昨年十一月、鈴木総理は、灰色高官二名を党の中枢に据え、また、党の外にあるとはいえ、裁判中の元総理をして、直接、党及び内閣に影響力を行使でき得る人事配置をなさったのであります。そこへ、八日の判決が、佐藤、橋本両氏が有罪となったのみならず、灰色高官名さえ判決文に登場して、事態の深刻さを浮き彫りにいたしました。
 総理にとっては、政治倫理を立てれば政局運営に支障を来し、政局を無事に運営しようとすれば政治倫理をないがしろにせざるを得ない立場に、みずからを置かれたと言うべきでありましょう。一体、総理はどちらを選択されるのか、明確にお答えを願いたいのであります。
 また、佐藤議員の判決は、第一審とはいえ、有罪と断定された以上、みずから政治的道義的責任をおとりになるべきで、議会の数によってやめさせられたり守られたりすべき筋合いのものではないと思います。
 民社党は、判決以来、議員みずからが処すべきこととして、辞任勧告を差し控えてまいりました。しかるに、去る十五日、本人がみずから責任をとらぬと開き直られた以上、やむなく中道三派とともに辞職勧告の決議を上程することに決しました。
 また、灰色高官に対する金銭授受の事実が判決文から読み取れます。とりわけ、二階堂幹事長が去る五十六年六月本院に提出されました上申書と、今回の判決文との間には、内容が明らかに相違いたしております。さすれば、議院証言法に基づいて御本人の所信を改めて本院で語っていただくことは、ひとり野党のみならず、与党のためにも必要であると信じます。(拍手)幸い、ほかに名指しされた加藤六月議員のごとく、みずから証言を名のり出ておられる節もありとせば、速やかに疑惑を解明すべきことは、国会議員全体の名誉のためにも必要ではありませんか。
 もし、今国会において証人喚問と事態の解明が実現せざれば、国会全体が灰色に包まれ、政治不信は極度に拡大されるでありましょう。
 鈴木総理は、先ほど申されたごとく、事態解明は議会に任された、議長のもとで処理するであろうと、解決を気楽に避けられて、与党議員をして証言法の改正に新たな難問を持ち込んだり、内容を骨抜きになさることがあれば、それは議会運営のかぎを握っておられる鈴木内閣の汚名を末代まで残すことになるでありましょう。
 鈴木総理は、政治倫理の確立を約束されて二年、いまこそその約束を果たされるときが参ったと信じております。これはひとりわれわれ野党議員のみならず、本議場におられる心ある与党議員の良心でもあると私は信じて疑いません。(拍手)大義親を滅すという総理のお好きな言葉がいまや生かされるときが来たことを付言して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#19
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) お答え申し上げます。
 まず、行政改革に対する私の決意に変わりはないかとのお尋ねでありました。
 私は、行政改革と財政再建は、わが国の将来を確かなものにするため、避けて通れない国民的課題であると考えております。その達成のため全力を尽くすとの考えに変わりはございません。
 三公社問題について、臨調の答申に反対の動きがあるとのことでありましたが、御承知のとおり、まだ部会報告が出された段階でありまして、臨調で検討が行われている最中であります。政府としては臨調での検討を静かに見守っているところでありますが、答申をいただけば、これを最大限尊重していくという政府の基本姿勢に変わりはございません。
 次に、増税なき財政再建と五十九年度赤字公債脱却という二つの方針に変更はないかとのお尋ねがありました。
 財政再建を進めるに当たっては、たびたび申し上げておりますとおり、何よりも歳出の節減合理化を第一に考えてまいります。大型増税は念頭に置くことなく、行政の思い切った改革、歳出の見直し、その努力を最大限尽くし、それによって得た財源で特例公債発行の減額をやっていくことを基本に、最善を尽くしてまいります。六十年度から特例公債の支払いが始まるわけでありますから、五十九年度に特例公債依存の体質から脱却するとの方針は、政府の基本方針でありますので、引き続きその実現に向け最大限の努力をしてまいります。
 次に、歳入欠陥にどう対処しようとしているのかとの御質問でありますが、五十六年度の税収は七月上旬にならなければ確たることは判明いたしませんが、現状では、当初予算に対し一〇%台の減収が生ずることも懸念される状況にありまして、私としてもまことに残念であります。その処理でありますが、現行制度にのっとり、国債整理基金からの繰り入れを含む決算調整資金からの繰り入れによって対処してまいる所存であります。
 秋に臨時国会を開かなければ、景気対策、財政対策の上で困るのではないかとのお尋ねでありましたが、五十七年度に入ったばかりの現段階で予算補正の時期を申し上げることは困難であります。いずれにせよ、今後の経済情勢を慎重に見定め、必要があれば適切に対処してまいりたいと考えます。
 次に、サミットについてお答えいたします。
 今回のサミットは、きわめて厳しい国際経済情勢のもとに開催されたサミットでありまして、私は、世界経済が現在直面する諸困難を乗り越えて将来の展望を切り開いていくためには、われわれは、各国経済の活力の回復と自由貿易体制の維持強化という二大目標に向けて、強い決意を持って協力していくことが肝要であることを強調した次第であります。参加各国首脳とも、同様の問題意識を持って真剣な討議を重ねた結果、お互いに将来に向けての協力の姿勢を確認するとともに、科学技術、経済政策、通貨、貿易、南北問題、東西経済関係等につき、行動の目標を定めることができたことは大きな成果であったと考えております。
 なお、塚本議員御指摘の通貨問題につきましても、高金利問題も含め真剣な話し合いが行われた次第でありますが、実質金利の引き下げを達成するためにも慎重な金融政策を追求し、財政赤字の一層の抑制を達成することが必要であるということにつき、首脳間の意見が一致を見たところであります。また、特に国際通貨の安定が重要であるとの認識のもとに、今後各国通貨当局間で一層緊密な協力を進めていくことについて合意が得られたのであります。
 わが国といたしましては、今後サミットの諸合意を受け、経済の動向も踏まえつつ、いかなる協力が可能か、各国と真剣に検討してまいる所存であります。
 なお、ソ連の大規模な核実験の実施につきましては、私も報道により承知しております。もしもこれが事実とするならば、世界に向かって核軍縮を説く傍らで核の実験を進めているという言行不一致以外の何物でもなく、まことに遺憾なことと言わなければなりません。
 次に、いわゆる非核地帯の設置についてであります。
 わが国としては、一般的に適切な条件がそろっている地域において、その地域の国々の提唱により非核地帯が設置されることは、核拡散防止の目的に資し得るものと考えております。なお、非核地帯設置構想に関しては、その地域の政治軍事情勢など、地域的特性が十分に勘案されなくてはならないことは申すまでもありませんが、条件としては、たとえば核兵器国を含む関係諸国のすべての同意があること、特に当該域内諸国のイニシアチブを基礎とすること及び査察、検証を含む適切な保障措置を伴うことなどが必要であろうと考えます。
 次に、国連の平和維持機能の強化についてであります。
 これは私のさきの国連における演説でも触れたところでありますが、具体的には、たとえば世界及び各地域の軍事情勢を把握し、その実態を適宜公表するような機構の設置の可能性、国連の事実調査機能の強化の方策、国連が国際紛争に臨機に対応し得るような各国における国連平和維持活動への協力体制の諸態様、平和維持活動に関する国連による研修計画等について検討することなどが重要と考えられます。
 わが国は、国連の平和維持活動を国際の平和と安全の維持に資するものとして高く評価をし、これに対し従来より財政の分野で積極的に協力してきております。わが国としては、国連の平和維持活動にさらに積極的に貢献するために、従来から実施している財政面での協力に加え、いかなる形での協力がなし得るか、具体的検討を始めさしておるところであります。
 最後に、今回のいわゆる全日空ルートの判決に関連して一連の御意見がありました。
 私は、就任以来、政治倫理の確立と政治の浄化は、議会制民主主義を支える柱であり、国民の政治に対する信頼確保の基盤であるとしばしば申し上げてまいりましたし、今日もこの考えに変わりはございません。
 政治倫理の確立は、元来政治に携わる者個々人の自覚と良識にまつべきものであると思いますが、制度の面から一歩でも前進させようと考え、政治資金の明朗化を図るための政治資金規正法の改正や、選挙運動のあり方を規制する公選法の改正を国会にお願いして、その実現を見たところであります。先ほど御答弁申し上げたように、現在国会で御審議いただいておる参議院全国区制の改革も、まさにその一環の問題であるとの認識を持っております。
 いずれにしても、政治に携わる者は、私を含めて、政治を志した初心を忘れることなく、常に自粛自戒して努力をしていくことが肝要であると考えております。
 なお、今日の政局運営を他の人にゆだねているかのごとき御発言がありましたが、そのようなことは断じてないことを明確に申し上げておきます。
 次に、佐藤孝行議員の政治責任についてのお尋ねでありましたが、この問題は、あくまで議員個人が判断すべきことであって、他人が強制すべきことではないと考えております。いずれにいたしましても、国会議員の身分に関することでありますから、行政府の責任者である私が意見を述べることは適当でないと思いますので、御了解を賜りたいと思います。
 最後に、証人喚問の問題についてでありますが、この問題について、現行の議院証言法は、人権上の種々の問題があって、ここ数年来各党間で論議されていることは御承知のとおりであります。私は、自由民主党の総裁として、かねてから党執行部に対し、倫理委員会の設置と議院証言法の検討などを要請いたしておりますが、この問題は、まさに国会議員の規律に関することであり、国会の事項でございます。事柄の性質上、議院運営委員会や議会制度協議会において、各党間で御協議を願って結論を出すべきものと考えております。
 残余の問題につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#20
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 まず、増税なき財政再建の約束の変更、これにつきましては、ただいま総理が詳しく御答弁申し上げたので、そのとおりでございます。
 それから、五十九年度赤字国債の脱却の方針、これも変わらないということ、ただいま総理が答弁したとおりでございます。
 その次は、五十六年度の歳入欠陥三兆円の問題、これにつきましても、いまそういうような心配が多い、それの対策としては決算の調整資金その他というお話がありました。はっきりしたことは七月上旬にならなければわからぬが、そういう懸念があるというようなお答え、そのとおりでございます。
 そこで一つ、物価の問題と税収見積もりの話で、私が物価が安定したために税収見積もりに食い違いがあったということを言って歩いているんじゃないかというお話でございました。
 これはもちろん物価だけではございません。ございませんが、物価というものが非常に名目成長に影響がございます。名目成長というものは税収にかなり影響がございます。税金は実質で課税をいたしません。名目課税でございます。
 そこで、過去の例を見ますと、たとえば昭和四十八年のように狂乱物価のときには、名目成長一六と考えたら二一になった。卸売物価が一番敏感ですから、当初卸売物価が二%ぐらいと思ったら二〇%も上がった。こういうようなときには、非常に興味あることには税収が二〇・六%も当初見込みよりもふえたという現実がございますし、同じ四十九年は、やはりGNP一二・九と見たら一八・四、この中には、卸売物価一四・六と見たら二三・五、こういうようなときにやはり一〇%近い九・数%の税収増になっておる。
 ところが、それと正反対に、昭和五十年の場合は、名目成長一五・九、約一六と見たら、これが一〇%減ってしまった。このときは、卸売物価は七・九%が一・九に非常に見込みより下がってしまった。こういうときには当初の見積もり違いが約二〇%出ております。そして三兆五千億円の見積もり違いが出ている。
 そういうように非常に大きな関係がありますということを……(発言する者あり)言いわけじゃなく事実関係を私は申し上げておるわけでありまして、たとえば、今回も最初九・一%の名目の見積もりを立てたが実際は五・二というようなことで、卸売物価が四・一ぐらいで年度間推移すると思ったが一・四、これは実はありがたいことでございまして、非常にいいことである。したがって、そういう中で、しかもアメリカあたりが物価を安定させるために物すごい高金利政策をとって、その結果失業もふえておる。そういうような中で、今後もまたさらに失業がふえそうだという状態、そういう中で日本では二・四%、確かに多少ふえておりますけれども、イギリスの一一%、アメリカの九・三%とか、そういうようなものと違って、日本は失業の状況も、ほかの国と違って、同じ石油を使いながら非常にいい状態にある。したがって、サミットなどでも、日本は大変模範としなければならぬというようなことを言う人までありまして、私は経済政策が大失敗だというようには考えておりません。残念ながら税収に見込み違いがあったことは事実でございます。
 それから、その次は高金利の問題……(発言する者あり)ちょっとそこ静かにお願いします。高金利の問題についてお話しいたします。
 アメリカの高金利についてサミットで何か約束ができたかできないかということでございますが、これはもう本当に世界じゅうまいっておりまして、アメリカももう六%台まで物価が鎮静したんだから、何もいまさら一六・五%というようなプライムレートはなくたっていいじゃないか、預金金利も一三よりもっと下げたっていいじゃないか、これは世界じゅうから非常に強く言われたことは事実でございます。
 しかしながら、これに対して向こうの言うのは、言っていいのかどうかわかりませんが、要するに、これは政府が高金利にしているんじゃないんだ、これは連邦銀行がやっているんだ、われわれもそれによって被害を受けているんだ、自動車は売れないし、住宅は建たないしということをおっしゃいまして、問題は、要するに赤字財政だからだ、結局膨大な財政赤字ということで、国家資金が優先的に市場から金を吸い上げるというような状況があるために金利が下がらないんだ、いま議会と話をして歳出カットを徹底的にやっていく、歳出カットが終われば、金利はともかくそのうち何とかなるだろうというようなお話だけであって、きちんと金利を下げますとかどうとかというようなことまで取り決めができなかったということは事実でございます。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣河本敏夫君登壇〕
#21
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほど民間経済を拡大すべし、こういうお話がございまして、その中で特に住宅政策を重視せよとの御指摘がございました。
 住宅政策につきましては、今年度も経済政策の最重点政策と私どもは心得まして、幾つかの政策を積極的に展開をいたしました。まず住宅金融政策、土地税制政策、中古住宅政策、これなどは相当思い切った内容を進めたのでございます。しかしながら、土地政策については不十分ではないか、こういう御指摘でございまして、残念ながらその点は残っておると思います。これからの課題として十分検討させていただきたい、このように考えております。
 それから第二点は、五・二%を達成するためにあらゆる努力を集中すべし、こういうお話がございました。実は三%成長が続きますと幾つかの問題が発生をいたしますが、その第一が雇用情勢が悪くなります。現在もうすでに若干影響が出ております。第二点は、税収不足が当然起こってまいります。第三点は、内需が不振でありますから、その分貿易の拡大に努力をするという結果になりまして、貿易摩擦が拡大する、こういう諸問題が発生をいたしますので、そこで政府の方では、政策努力を加味することによりまして五%成長を達成し、同時に、以上申し上げました三点の問題点を解決するように努力をしたいと考えておる次第でございまして、もう少し経済情勢を見まして、政府の考えておりますように後半民間経済の力が回復するということになりますと、それは大変結構でございますが、どうもそのとおりいかぬということになりますと、当然適切な政策を追加していかなければならぬ、このように考えております。その時期とか方法につきましては、今後政府部内で十分調整をしたい、このように考えておるところでございます。(拍手)
    〔国務大臣櫻内義雄君登壇〕
#22
○国務大臣(櫻内義雄君) ソ連のSS20配備に憂慮されての御質問がございました。
 現在米ソ間において行われている中距離核戦力削減交渉で、米国は、ソ連が欧州のみならず極東を含むソ連全土においてSS20を初め地上発射式中距離ミサイルをなくすならば、米国も地上発射のパーシングII及び巡航ミサイルの配備計画を取りやめる旨提案しておることは御承知だと思います。
 わが国としては、御指摘のように、本件交渉の結果、欧州に配備されているSS20が極東に移されるようなことがあってはならないとの考えから、米国の提案を支持しておるところでございます。
 また、ソ連に対しては、同国による中距離核戦力の極東配備は遺憾なことであるとの考えに立って、本年一月の日ソ事務レベル協議の際に、ソ連全土における削減、撤廃を求め、また、先般ニューヨークにおいて行われました私とグロムイコ外務大臣との会談において、極東配備のSS20について厳しく非難をいたしたところであります。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(福田一君) 瀬長亀次郎君。
    〔議一長退席、副議長着席〕
    〔瀬長亀次郎君登壇〕
#24
○瀬長亀次郎君 私は、日本共産党を代表して、国連軍縮特別総会等についての帰国報告の機会に、総理に内政、外交問題に関して質問いたします。(拍手)
 四年前の第一回軍縮特別総会は、核軍拡競争の激化に厳しい警告を行いましたが、今日レーガン政権が打ち出した限定核戦争構想によって、世界の諸国民は核戦争の現実的な脅威にさらされています。この限定核戦争構想は、日本列島を含むアジアをも対象としたもので、まさにわが国にとって民族の存亡にかかわる重大事態と言わなければなりません。だからこそ、核兵器の無条件全面禁止を求める反核署名も数千万に達したのであります。
 総理、あなたは、この国民の核兵器全面禁止の要求を無条件の課題として国連で訴えることが重大な責務であったはずであります。
 それだけではありません。国会決議に基づいて、あなたは、核兵器の全面禁止と使用禁止を今日の緊急課題として実現する義務を担っていたのであります。総理は、国会で、国連では国会決議に沿って努力すると言明されたし、わが党との党首会談でも、国会決議に沿った国連演説を行うと重ねて約束されました。総理の国連演説は、先ほど国会決議を踏まえて行ったと言われましたが、しかし重大な点で国会決議に反するものであります。
 そもそもこの国会決議は、前回の決議にあった「核兵器の窮極的廃絶」から「窮極的」という文言を削除したことによって核兵器の廃絶を今日の緊急課題としたし、また、核兵器の使用禁止についても、「実効ある国際的措置をとることを強く訴えること」を明記しているのであります。この「措置」とは、外務委員会理事会でわが党委員が確認したように、明らかに今回の国連特別総会での措置を求めたものであります。
 しかるに、総理演説は、この国会決議の趣旨をゆがめたものと言わなければなりません。
 第一に、核兵器の全面禁止についてでありますが、その前提として、核軍縮措置の積み重ねの必要を強調することによって、あなたは、今日の緊急課題ではなく、再び究極的な目標に遠ざけてしまったのであります。
 第二に、核兵器使用禁止については、「核兵器が二度と使われることのないよう実効ある国際的措置をとる」との国会決議の表現を使いながらも、そのためにはまず核兵器の削減が必要だとして、国会決議が核兵器の不使用措置を本特別総会に求めた趣旨に反する逃げ道をつくったのであります。
 一連の非同盟諸国は、総会がまとめる文書の中に、核兵器使用禁止国際条約の実現の緊急性を盛り込むよう主張していますが、この主張について、総理、日本政府は具体的にどういう態度をとるのか、賛成をするのかどうか、明確に答弁を求めます。
 第三に、総理は、国会決議には全くない力の均衡論の立場から、アメリカの核配備強化計画についてこれを弁護したのであります。だからこそ、ニューヨーク・タイムズは「日本、国連で防衛力増強政策を説明」との見出しで報道したのではありませんか。
 これら三点は、国会決議に反するだけではなく、アメリカの核もソ連の核も含めて核兵器の全面禁止を求めた何千万という署名に背を向けるものではないでしょうか。(拍手)総理はその重大な責任を何と考えるのか。また、最近レーガン政権は、核先制攻撃を行うことがあり得ることを改めて明らかにしました。日本政府としては、国会決議の立場から当然これに抗議すべきであると思いますが、総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 次に、重大な事態となっている歳入欠陥問題についてであります。
 五十六年度三兆円、五十七年度四ないし六兆円という空前の歳入欠陥は、現在でも世界に類を見ないわが国の財政破局を決定的に拡大するものであります。それが単に両年度にとどまらず、今後長期にわたって予算編成、財政政策の前提を崩壊させることは確実であります。しかもそれは、国債価格の暴落、長期金利の急騰の形ですでにあらわれているように、金融政策の手をも縛り、日本経済全体を混乱の渦に投げ込み、新たな耐えがたい犠牲と負担を国民に強いるものであります。
 このような事態は当然予測できたことでありませんか。現にわが党は、昨年十二月以来、巨額の税収不足が必至であり、それを土台とした五十七年度予算も年度途中に破綻が避けられないことになると警告し続けてきました。
 ところが、総理は、予算審議を通じて、この粉飾予算を最善なものと強弁し、税収不足は起こり得ない、専門家の計算だから間違いないなどと、うそにうそを重ね、国会と国民を欺いてきました。総理、あなたが政治生命をかけると公言した五十九年度赤字国債ゼロの公約はもはや完全に吹き飛びましたが、一体その責任をあなたはどのようにとるつもりでありますか。
 歳入欠陥の直接最大の原因が、いわゆる臨調路線に基づく軍拡財源の確保のため国民に犠牲を強要することにあることは、いまやだれの目にも明らかであります。まして、核戦争反対、平和と軍縮を求める声が全世界から沸き起こっている今日、福祉、教育予算を削って、レーガン戦略に従って軍備増強に回すなどということは絶対に許されません。総理、それでもあなたは、来年度予算シーリングに当たって、軍事費をまたもや聖域として特別枠を設けようとするのでありますか。この際、はっきりとお答えください。
 第三の問題は、ロッキード疑獄事件についてであります。
 さきの全日空ルート判決は、全面否認を続けてきた橋本登美三郎、佐藤孝行に有罪の判決を下しただけではなく、二階堂進自民党幹事長を初め、加藤六月君、田中角榮らに三十ユニット資金が流れたことを明らかにしました。特に今回の判決は、二階堂君への黒い金の交付状況などを具体的に供述している伊藤証言を採用し、しかも、伊藤証人には虚構を捏造してまで証言しなければならない事情は全く認められないと認定しております。
 ところが、黒い金を受け取ったことは動かしがたいとされている二階堂君は、国民にわびる気持ちはさらさらないと開き直り、証人喚問を否定するばかりか裁判批判まで行って、国民世論に挑戦しているのであります。
 総理は二年前、国民のごうごうたる非難の中で二階堂君を総務会長に起用する際、三回の選挙で国民の審判をクリアしたなどと述べ、灰色高官の復権に公然と力をかしました。そして、いまでは政権与党の幹事長に据えるなど、ロッキード疑獄最大の刑事被告人田中角榮と田中派に党と政局の運営をゆだねているのであります。
 ロッキード判決とその後の二階堂君の言動は、同君を総務会長、幹事長につけた鈴木総理の政治責任が改めて厳しく問われているのであります。(拍手)総理、判決を見た今でも、二階堂君の問題は決着済みと考えているのか、明確にお答えください。
 総理も賛成されたロッキード問題に関する国会決議は、すべての疑惑を解明することが国民の要望にこたえる道と述べ、二階堂君みずから衆議院議長にあてた上申書においても、国会の責任において事実の確認をとる必要があると述べております。国会が二階堂君らを証人として喚問し、国民の前に事実を明らかにするのは、国会決議に基づく当然の責務ではないでしょうか。(拍手)また、あなたは、自民党総裁としてこれを推進する重大な責任があるのではありませんか。
 しかるに、自民党は、いま航特委の復活を拒否する一方、議院証言法の改定やそれを前提にした政治倫理委員会の設置など、証人喚問回避のための口実を次から次へと設け、黒色、灰色政治家の政治的道義的責任の究明を妨害し続けております。この中心的責任をとらなければならない立場にあるのが幹事長なのであります。本来、政治的道義的責任を真っ先に追及される人物を、よりによって幹事長の職に置くという驚くべき事態を総理はこのまま放置されるつもりでありますか。三木元首相でさえ、帰国したあなたに、現在の自民党が田中角榮君に支配されている姿は正常ではないと直言しているほどではありませんか。
 鈴木総理、あなたの総裁としての重大な責任、資格を問われる問題として明確な答弁を求めます。
 以上、総理は、内外の反核反戦の世論に背を向け、核兵器使用禁止を緊急課題とせず、民族の死活にかかわる限定核戦争構想にも反対していません。それどころか、レーガンの核軍拡政策の一翼を担い、膨大な歳入欠陥の中で国民生活を顧みず、軍拡予算を一層推し進めようとさえしています。これだけでも、総理に国民の安全と生活を守る資格がないものと言わなければなりません。
 さらに、ロッキード事件にあらわれた総理の政治姿勢はとうてい許すことができるものではありません。いま総理に求められているととは、みずからの政治責任をごまかすのではなく、潔く退陣して、平和と国民生活向上、清潔な政治に道を開くことではないでしょうか。(拍手)
 日本共産党は総理の退陣を強く主張して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 まず、軍縮の問題についてであります。
 私は、さきの国連軍縮特別総会において、先般国会において採択された決議を体し、国民の総意を代表して、核の惨禍が二度と繰り返されることのないよう、核兵器のない世界を実現することが被爆国日本の悲願であることを改めて世界に向けて訴えてまいりました。また、この強い国民的願望を早急に実現するためには、まず何よりも核軍縮の推進が大切であり、そのためには核軍縮に向けて具体的な措置を着実に積み重ね、核兵器国を初めとする世界各国が実効ある措置をとるべきことを強く訴えた次第であります。
 なお、核不使用の問題についてお話がございましたが、核兵器所有国が核兵器を使用しないという相互取り決めについては、その実効性及び安全保障上の意味合いを考慮する必要があるものと考えられます。また、第二回国連軍縮特別総会において、核兵器使用禁止条約に関する決議案が提出される場合には、提出された段階で、その内容を見た上で、国会決議をも踏まえ、適切に対処していく所存であります。
 次に、いわゆる力の均衡についてのお尋ねがございます。
 さきに、第二回国連軍縮特別総会において、私は、核軍縮を初めとする軍縮の促進を強く訴えたところでありますが、他方、今日の国際社会の平和と安全が国家間の力の均衡により保たれていることは否定し得ないところであり、この点は、私の国連演説でも触れたところであります。したがって、実際に軍縮を進めるに当たっては、このような国際社会の現実を踏まえつつ、この均衡の水準をできるだけ低位に抑制していくよう努めていくことが必要であります。
 次に、核先制攻撃の問題でありますが、米国は、いかなる攻撃に対しても、これに対応し得る有効な態勢をとることをその抑止力の基本としているとわれわれは理解しています。
 現実の問題として、たとえば欧州の場合のように、ソ連が通常戦力の分野で圧倒的に優位に立っている状況において、米国が核の先制使用を一切行わない旨表明することは、米国が持つ柔軟かつ有効な防戦態勢に対する信頼性を失わしめ、もってその抑止力を損なうことになるというのが、米国を含む西側諸国の一致した基本認識でありまして、わが国としてもこれを理解しているところであります。
 次に、歳入欠陥の問題でありますが、税収の伸びの急激な鈍化の結果、財政再建の環境が悪くなっていることは、残念なことであります。しかし、これにひるむことなく、今後とも一層の歳出削減を中心に、五十九年度に特例公債依存体質から脱却するという政府の基本方針の実現のため、最大の努力を尽くしてまいります。
 歳入欠陥の要因は、税収の伸びの急激な鈍化でありまして、防衛費の増加が主因であるとは思いませんし、来年度の予算要求枠の設定に当たっては、全体として五十七年度より一層厳しい取り扱いを検討いたしております。
 次に、先般のロッキード事件全日空ルートの判決に関連してお尋ねがありましたが、まず、今回の判決理由の中に二階堂自由民主党幹事長の名前が出たからといって、それは二階堂幹事長等に対する判決ではありませんから、司法的にはすでに決着済みであると考えております。
 二階堂幹事長らを証人喚問することは自由民中党総裁としての私の責任ではないかとのことでありますが、この問題については、先ほど塚本議員にもお答えいたしましたとおりでありまして、事柄の性質上、各党間で御協議を願って結論を出すべきものと考えております。
 政治的道義的責任を追及さるべき人物が幹事長の職にあることを放置しているとの御意見でありますが、基本的には、これは政党の人事の問題であり、党員多数の合意によって選任されたものであります。
 しかしながら、私は、御本人も世論を謙虚に受けとめ、誠心誠意、国のため、また自由民主党のため献身的に努力されており、また選挙民の皆さんの支持を得て、選挙でも連続当選しているところでありますから、そのことは正当に評価すべきものと考えます。(拍手、発言する者あり)
 最後に、私に退陣せよとのお話でありましたが、共産党から内閣不信任案が提出されているということは、まだ私はお聞きいたしておりません。(拍手)したがって、お答えすることはできません。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○副議長(岡田春夫君) 山口敏夫君。
    〔山口敏夫君登壇〕
#27
○山口敏夫君 私は、新自由クラブ・民主連合を代表し、当面の政局の諸問題について、総理に質問を申し上げます。
 ベルサイユ・サミット、国連軍縮特別総会など、まず、このたびの外遊に対して、鈴木総理に対し敬意と御慰労を申し上げる次第でございます。
 総理の帰国後の政局は、財政再建、歳入欠陥、行政改革、ロッキード判決を初め政治倫理問題等、重要な政治問題が山積しておりますが、総理は今後、秋に向けての政局をどう運営していくおつもりか、まず伺いたいと存じます。
 特に私は、国際軍縮と政治倫理の二つの問題を中心に、さらに総理の現実的かつ具体的な見解を国民の前に明らかにするよう求めたいと存じます。
 国連軍縮特別総会で、レーガン大統領は地上発射中距離ミサイルの全廃ほかの四提案、ブレジネフ・ソ連書記長は国連へのメッセージの中で提案した核兵器先制不使用宣言など、鈴木総理にはこのような具体的な発言こそありませんでしたが、核廃絶を願う日本国民の決意と、国会の決議をも踏まえた総理の平和三原則を基調とする演説は、国際的にも支持を得たと、ニューヨークにおりました私も受けとめて帰ってまいりました。
 しかし、総理の演説に多くの国の人々の共感があったのは、不戦を誓ったわが国の平和憲法、兵器としての核を拒絶した非核三原則、軍事大国の道を選ばない日本の今日までの不動の姿勢があったればこそと考えるものであります。総理はこの点をどう考えられたか、先人の意思をさらに発展する決意があるか否か、伺いたい。
 日本は、平和国家としての実績を踏みながら世界平和に貢献をしていかなければなりません。特に今日の世界の軍事的現状を考えるならば、その感は一層深いものがございます。かつて日本に投下された原爆の百万倍の破壊力を持つ核兵器の存在。四十億人類を七回にも八回にもわたって焼き殺しても余りある殺戮兵器の規模。ことしの、今年度の世界の軍事費総額が六千五百億ドル、日本円にして百六十兆円に上ると言われております。そして、その額は、世界の飢餓、疾病を含む貧しき国々の五十カ国、十五億人分の国民所得にも相当するのであります。鈴木総理、あなたはこうした世界の現状を認識しつつ、どう国際軍縮に貢献すべきと考えておられるか。
 あなたは国連において、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持すべく決意していると表明されました。国際舞台での発言は単なる演説コンテストであってはならないことは当然のことであります。外にあっては軍縮を唱え、内にあっては防衛費の別枠扱いをされる総理に矛盾はないか。五十八年度予算、防衛問題に取り組む姿勢、まずその方針を承っておきたいと存じます。
 また、総理は、日本国平和憲法の一部を引用しつつ、総理の政治理念をうたい上げておられましたが、与党内の改憲論のオクターブが上がってきている今日、断固これにくみしないという決意と受けとめてよろしいか否か、その見解を改めて伺いたい。
 さらに、人類の悲願とも言うべき軍縮の主役はアメリカとソ連であり、両国の合意なしには真の軍縮は進展しないのが世界の現状であります。核大国は、核の先制不使用から無条件の不使用、そして大幅な削減へと進まねばなりません。
 今日、米ソ外相会談も粘り強く続けられておりますが、日本政府は、米ソ両国にそれぞれ、第一番目に核兵器を使用する国にはならない約束を取りつけるべく呼びかける意思があるか否か、また、国連での核不使用決議に反対しているのはなぜか、速やかに政策変更をする考えがあるか否か、あわせてお伺いをしたいと思います。
 また、広島、長崎の日本として、軍縮構想センターの設置等、政府の肝いりでつくる考えがあるか否か。
 さらに、唯一の被爆国として、被爆の実態を広く人々に知らせることは意義あることであります。私たち新自由クラブ・民主連合におきましても、同僚議員の菅直人君は国内各地で、河野洋平議員はニューヨークやモスクワで、資料や写真の展示、また原爆映画会等、現在各地で同様の組織的運動を続けております。首相自身も国連本部において、原爆被害に関するわが国の資料を備えつけることを提案しておりましたが、これをいつ、どういう形で実行するのか、具体的方針を確認しておきたいと存じます。
 首相は、今回の成果を踏まえて、帰国後においてもその平和哲学を貫いてもらいたいと考えます。特に国内の一部にある軍備拡張論、たとえば、レーガン政権の対ソ対決姿勢に勢いを得て、防衛費のGNP一%突破論であるとか、非核二・五原則論とか、安保改定論から改憲論に至るまでの政治勢力に対し、鈴木内閣をまとめ切り、総理の哲学を周知徹底できるか否か、その決意もさらに伺っておきたいと存じます。
 さて、鈴木首相の帰国待ちということで事実上は棚上げともなっておりました、ロッキード事件における政治家の有罪判決と、これに関連する政治倫理の問題であります。
 総理は、各党の代表質問に対し、相変わらず別世界の人のような答弁に終始されておりますが、外遊でお疲れなのか、時差ぼけで多少野党質問の趣旨がのみ込めないのか、本気で政治改革に取り組む意思がないのか、総理の真意がはかり知れないわけであります。総理、好むと好まざるとにかかわらず、われわれ国会議員も含めて、現職の政治家はだれもこの問題からは逃れられないのであります。
 国会におきましても、与野党協議の中で、航空機輸入調査特別委員会の復活、政治倫理委員会の新設、議院証言法の改正を初め、福田議長のもとでの議会制度協議会なども含めて、詰めの作業には入っておりますが、いまだに政治倫理の確立は見られず、国会は国民への責任を果たしておりません。
 もとはといえば鈴木総理、あなたが就任後、何度も国会に政治倫理委員会を設けると公約しながら、いまだにそれを実現していないからであります。その政治責任をどうお考えなのか。国政調査権がある国会は、いまだに真相を求める国民の期待にこたえられない状態をどう反省しているのか。今日の状態でもなおロッキード事件と自分とは無関係、政治倫理の問題は国会に任せると言い続けるあなたの発言こそ、あなたがかばってやまない人たちが一層の疑惑を深めてしまうということを、総理、忘れないでください。
 政権党の総裁として、いまこそリーダーシップを発揮し、議院証言法の改正も倫理委員会の設置もこの国会で実現し、政治家の証人喚問も含め、政治の責任を果たされることが大事なことだと考えますが、いかがでございますか。
 また、判決で一審有罪になった同僚国会議員、佐藤孝行議員の進退の問題であります。
 法の原則から言うならば、確かに一審有罪すなわち議員辞職を意味するものではありません。特に過去の歴史を見るまでもなく、政治には権力の介入がつきものでありますし、総理もたびたび御発言のように、安易に国会議員の身分を失わしめることは問題があります。まして、自由と民主主義の象徴とも言うべき国会において、本来ならば、政敵とも言うべき野党の決議によって辞任を求められるなどということは、決して好ましい形のものではありません。しかるに、御本人は、政治的道義的責任をとり、みずから職を辞し、国民に釈明する決断にいまだに立っておられないということであります。まことに遺憾と言わねばなりません。
 国民が自民党に安定多数を与えた二年前の衆参同時選挙は、大平前首相が政治道義を国民に公約し、政治姿勢を問われていた同僚与党議員に対しても、あえて泣いて馬謖を斬った、その真摯な、まじめな政治態度が国民の支持を受け、自民党大勝の一因にもつながったことを、大平首相の後継者である鈴木総理は、もはやお忘れになったのでしょうか。政党が自浄作用を実行に移し、勇断を下さねばならない。私は、総理が判決をどう受けとめ、どういう処置をおとりになろうとしておられるのか、さらに承っておきたいと思います。
 田中元総理が、かつて法廷の場において、起訴されただけでも万死に値する、国民に深くおわびし、政界から身を引くことも考えたと、指導的政治家が疑惑を受けたことの重大性を吐露しておりましたが、今日では、総裁派の鈴木派の三倍に近い派閥を擁し、絶大な影響力を駆使しております。当然なさねばならない政界の浄化、有罪議員の自発的国会議員の辞職、裁判中の政治家の活動の自粛などが行われていない現状は、ウォーターゲート事件の教訓を生かしているアメリカの議会ではとうてい考えられないことであります。
 ここのところ、現在の政局は、自民党員によって選ばれた総裁が内閣総理大臣でもあります。そして、幸か不幸か、歴代のおのおのの総理大臣は、引退して後輩に後事を託すということは全然ない。世代交代もないから自浄作用もない。旧態依然たるボス感覚で今日の政治に生臭く存在し、支配している感じなのであります。そうした与党内における長老支配、派閥政治というものが一層権力抗争を激しいものとし、ひいては議会政治の機能まで危うくし、今日、見過ごすことのできない場面をもつくり出しているのではないでしょうか。(拍手)
 鈴木総理は、それら政治の悪循環を断ち切る決意があるか否か、お答えをいただきたい。
 主権者たる国民への外遊報告は後回し、派閥の実力者の自宅を訪問し、みずから率先して派閥政治を是認しているのではありませんか。総理みずからが派閥政治の弊害を除去する決意が必要と考えます。いかがなものでしょうか。
 国会議員の七十歳定年制もさることながら、こういう不透明な政治状況を断ち切るために、政界の浄化刷新の出発点と考え、みずからの出処進退を含め、それぞれの元総理大臣や衆議院議長等々の要職にあった、いわゆる実力者の総退陣をこの際提言してみる勇気がおありかどうか伺いたい。
 最後に、新自由クラブ・民主連合として、国民の政治の信頼を回復するため、政治を公明正大なガラス張りにするためにも、法律制度改革の必要性がある四項目について改めて提案したいと存じます。
 すなわち、議員の資産公開法、倫理法の確立、そして政治資金規正法の企業献金の総量規制の枠を緩和させないということ、主権者たる国民が常に必要な情報を請求することができる情報公開法の制定であります。
 これら四点につき、鈴木総理は実現に向けてどう取り組まれるか、どう努力されるか、具体的、実際的なその方法についてお伺いしたいと存じます。
 財政再建計画の見直し、歳入欠陥問題、行革に対する内閣不統一、行革つぶし等々の問題につきましては、予算委員会の場で鈴木総理の見解を伺うこととし、私の質問を終える次第でございます。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#28
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 まず、軍縮に関連して、防衛予算に取り組む姿勢についてお尋ねがございました。
 御承知のとおり、防衛力の整備に当たっては、憲法及び基本的な防衛政策に従い、そのときどきの経済、財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りながら、質の高い防衛力を着実に整備することといたしております。
 五十八年度予算の編成に当たっても、このような基本方針のもとに、財政再建が緊急の課題であること、「防衛計画の大綱」の水準をできるだけ早く達成する必要があることなどを総合的に勘案しながら、防衛費についても慎重な検討を行い、わが国の防衛のために必要最小限度の経費を計上してまいる考えであります。
 改憲論にくみしない決意を聞きたいとのことでありましたが、鈴木内閣においては憲法改正を考えていないことは、これまで繰り返し申し述べておるとおりであります。
 次に、米ソ両国に対し、第一番目に核兵器を使用する国にならないという約束を取りつけるよう呼びかけるべしとのことでありましたが、核兵器の先制不使用については、全面完全軍縮の一環として、核兵器の生産禁止、貯蔵の削減等の具体的軍縮措置の裏づけがあって初めて実効性が確保できるものであると考えます。
 私は、国連軍縮特別総会において、このような考え方に立ち、核軍縮実現のためには、核兵器の大幅削減のため米ソを初めとする核兵器国が実効ある措置を積み重ねていくよう訴えた次第であります。
 次に、核の不使用決議についてでありますが、私としては、核兵器が二度と使用されることのないようにするためには核軍縮のための実効ある措置を一つ一つ積み重ねていくことが肝要であると考えます。
 かかる観点から、さきの国連における演説においても、米ソ間の戦略核兵器の制限及び削減交渉並びに中距離核兵器に関する交渉の実質的進展を訴え、また核実験の全面禁止の早期実現及び核不拡散体制の強化を訴えてまいりました。私は、このような着実な努力を積み重ねていくことこそが諸国民の願望である核の不使用を確かなものにしていくゆえんであると考えます。
 御指摘の核兵器の不使用決議等については、このような考え方に立って具体的提案の内容を十分検討した上で適切に対処していく所存であります。
 私としては、国連事務総長が、その国連憲章に定められた職責からして、軍縮条約の検証分野において重要な役割りを果たすことが適当であると考えます。したがって、将来の目標としては、国連の枠内で軍縮条約の検証を包括的に確保する国際的な検証機関の設置が望ましいと考えますが、現在世界各国のコンセンサスを取りつけ、直ちにこのような検証機関を設置することには実際上困難があると考えられますので、当面は、たとえば国連軍縮センターに条約の検証、履行に関する情報や知識を集積していくことから着手していくことが適当と考えます。
 なお、原爆に関する広報についてでありますが、世界軍縮キャンペーンに関する国連専門家グループ報告も、軍縮広報のための国連視聴覚ライブラリー構想を示唆しております。わが国は、同ライブラリーに広島、長崎を中心にわが国が保有する豊富な原爆関連資料が備えつけられるよう国連に対する働きかけを含め、かかる構想の実現を目指し、協力していく所存であります。
 私の平和に対する考え方で鈴木内閣をまとめ切れるかとのお尋ねがありましたが、鈴木内閣の各閣僚は、もちろん私の考えをよく理解されて、それぞれの所管行政に当たられております。
 次に、今回の判決と政治倫理の問題についてであります。
 先般来申し上げておりますように、私は、就任以来、政治倫理の確立と政治の浄化は議会制民主主義を支える柱であると考え、自由民主党総裁として、かねてから党執行部に対し、倫理委員会の設置と議院証言法の検討などを要請いたしておりますが、この問題はまさに国会議員の規律に関することであり、国会の重要な事項でありますから、各党間で御協議願うのが筋であると考えます。
 同様に、証人喚問の問題につきましても、現行の議院証言法やその運営のあり方について、いままさに国会の場で御論議をいただいているところであります。
 次に、今回の判決につきましては、厳粛に受けとめ、私も含め政治家各人は自粛自戒し、誠心誠意国政に精励し、国民の負託にこたえていかなければならないと考えております。
 また、佐藤孝行議員に対する辞職勧告問題については、先ほど御答弁申し上げましたように、行政府の責任者である私が意見を申し上げるのは適当でないと考えます。
 次に、日本の最高指導者ともいうべき政治家の出処進退について、米国などの例を引いて御意見がありましたが、日本と外国とでは選挙制度や政治的慣行も異なりますので、御意見として承っておきたいと存じます。御承知のように、アメリカは大統領制であり、国民の直接選挙でございますし、日本の総理大臣は議院によって選挙されるものであることは御承知のとおりであります。
 なお、自由民主党の運営のあり方についてあれこれ御批判をいただきましたが、自由民主党は、結党以来、政権政党として国民の負託にこたえ、国家、国民のため国政に精励し、国民の皆さんからも評価されていると信じております。今後とも国民の皆さんの御意見に謙虚に耳を傾け、その意見を酌み取り、努力してまいる所存であります。
 また、政治倫理に関して議員の資産公開法の制定や倫理法の確立、企業献金をめぐる政治資金規正法の改正などの御提言がありましたが、これらの問題は、いずれも政党政治のあり方に関する事柄であり、各党間で論議を尽くして結論を出すべきものと考えるものであります。
 最後に、情報公開法の制定についてお尋ねがありましたが、この問題は、目下臨時行政調査会において検討中でありますので、その答申を待って適切に対処いたしたいと存じます。
 以上、御答弁を申し上げます。(拍手)
#29
○副議長(岡田春夫君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#30
○副議長(岡田春夫君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 浦野烋興君、岸田文武君、佐々木義武君及び浜野剛君から、六月二十二日より三十日まで九日間、粟山明君から、六月二十三日より七月一日まで九日間、三浦隆君から、六月二十四日より七月三日まで十日間、不破哲三君から、六月二十四日より七月四日まで十一日間、山本幸雄君から、六月二十六日より七月四日まで九日間、佐藤一郎君、谷川和穗君及び松本十郎君から、六月二十六日より七月五日まで十日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○副議長(岡田春夫君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。
     ――――◇―――――
#32
○副議長(岡田春夫君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十九分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  鈴木 善幸君
        法 務 大 臣 坂田 道太君
        外 務 大 臣 櫻内 義雄君
        大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君
        国 務 大 臣 河本 敏夫君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 角田禮次郎君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト