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#1
第096回国会 本会議 第29号
昭和五十七年七月二十七日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三十三号
  昭和五十七年七月二十七日
    午後一時開議
 第一 千九百八十年の国際ココア協定の締結に
    ついて承認を求めるの件(参議院送付)
 第二 千九百八十一年九月二十五日に国際コー
    ヒー理事会決議によって承認された千九
    百七十六年の国際コーヒー協定の有効期
    間の延長の受諾について承認を求めるの
    件(参議院送付)
 第三 日本国政府とスペイン政府との間の文化
    協定の締結について承認を求めるの件
    (参議院送付)
 第四 日本国政府とバングラデシュ人民共和国
    政府との間の文化協定の締結について承
    認を求めるの件(参議院送付)
    …………………………………
  一 公職選挙法の一部を改正する法律案(参
    議院提出、第九十五回国会参法第一号)
    の趣旨説明
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 公職選挙法の一部を改正する法律案(参議院提
  出、第九十五回国会参法第一号)の趣旨説明
  及び質疑
    午後一時三分開議
#2
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○小里貞利君 議事日程第一ないし第四は延期されんことを望みます。
#4
○議長(福田一君) 小里貞利君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、議事日程第一ないし第四は延期するに決しました。
    ―――――――――――――
 公職選挙法の一部を改正する法律案(参議院提出、第九十五回国会参法第一号)の趣旨説明
#6
○議長(福田一君) この際、参議院提出、第九十五回国会参法第一号、公職選挙法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。提出者参議院議員金丸三郎君。
    〔参議院議員金丸三郎君登壇〕
#7
○参議院議員(金丸三郎君) ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及びその概要を御説明申し上げます。
 参議院議員選挙制度につきましては、ここ十年以上にわたり各界各層において論議されてまいりましたが、全国区制度につきましては改革を要するとするのが大方の一致した意見であると存じます。
 われわれも、ここ数年にわたり全国区制度の改革について綿密なる研究討議を重ねてまいりました。そして成案を得るに至りましたので、法律案として提出するに至った次第でございます。
 全国区制度の改正につきましては、まず参議院にふさわしい人を、より得やすい制度にすることが必要だと考えるのであります。さらに、現在の全国区制度が国全体という広大な地域を選挙区とし、八千万人の有権者を対象とする個人本位の選挙となっておりますので、有権者にとりまして候補者の選択が著しく困難であること、また、多くの候補者にとって膨大な経費を要することなど、これらの問題点の解消を図ることが必要であると考えます。加えて、政党が議会制民主主義を支える不可欠の要素となっており、また、国民の政治的意思形成の媒介として重要な機能を果たしている現状に眼を向ける必要もあると存じます。これらの諸点を総合的に勘案して、現在の個人本位の選挙制度から政党本位の選挙制度に改めることが適当であるとの結論に達したのであります。
 この結論のもとに、現行の参議院議員の選挙制度の仕組みを根本的に改めることとし、都道府県を単位とする選挙区選挙と拘束名簿式比例代表制選挙とから成る新しい参議院議員選挙制度を設けることといたしました。
 参議院議員選挙にこの比例代表制選挙を導入することにより、従来の全国区制度が個人本位の選挙制度であったことから生ずる各種の弊害を是正することができ、さらに、比例代表制選挙における候補者名簿に登載することにより参議院議員にふさわしい人材を得ることが、より可能になり、また有権者の意思を適正に国政に反映することができるようになるものと考えるのであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 その第一は、候補者名簿についてであります。
 比例代表選出議員の候補者を順位を付して記載した候補者名簿は、一定の要件を備えた政党その他の政治団体に限り、届け出ることができるものといたしております。
 一定の要件とは、五人以上の所属の国会議員を有すること、直近の衆議院議員総選挙または参議院議員通常選挙において全有効投票の四%以上の得票を得たものであること、十人以上の所属の比例代表選出議員候補者及び選挙区選出議員候補者を有することの三つのいずれかの一つに該当することであります。
 候補者名簿に登載されることができる者は、参議院議員の被選挙権を有し、かつ、当該政党その他の政治団体に所属する者であるか、所属しない者でありましても当該政党その他の政治団体が推薦する者であればよいこととしております。
 名簿登載者の選定及びその順位の決定は、当該政党その他の政治団体が任意に行うことといたしておりますが、拘束名簿式比例代表制における名簿作成の重要性にかんがみまして、政党その他の政治団体は、名簿登載者の選定機関に関する必要な事項を届け出なければならないものといたしております。
 第二は、供託金についてであります。
 まず、比例代表選出議員の選挙における供託金の額を名簿候補者一人につき四百万円とし、政党その他の政治団体がこれを供託しなければならないものといたしました。
 なお、各種の選挙につきましても、供託金の額を現行の二倍に引き上げることといたしております。
 第三は、投票の方法についてであります。
 投票は、選挙区選出議員選挙及び比例代表選出議員選挙ごとに、それぞれ一票を投票するものとし、比例代表選出議員選挙におきましては、政党その他の政治団体の名称を記載して行うことといたしております。
 第四は、当選人の決定についてであります。
 これにつきましては、候補者名簿を届け出た政党その他の政治団体の得票数に比例して、ドント式により、それらの政党その他の政治団体ごとに当選人数を決定し、それぞれの候補者名簿に記載された順位により当選人を定めることといたしております。なお、比例代表選出議員に欠員が生じました場合には、当該候補者名簿の次順位の者を繰り上げるものといたしております。
 第五は、選挙運動についてであります。
 比例代表選出議員の選挙における選挙運動は、候補者名簿を届け出た政党その他の政治団体が行うものとし、公営によるテレビ及びラジオの放送、新聞広告並びに選挙公報によるものといたしております。
 なお、選挙区選出議員の選挙に係る選挙運動が、公職選挙法において許される態様において比例代表選出議員の選挙に係る選挙運動にわたることができるものといたしました。
 第六は、公職選挙法上のいわゆる確認団体についてであります。
 まず、候補者名簿を届け出た政党その他の政治団体を確認団体とすることにいたしました。
 次に、この政党その他の政治団体は、確認団体の政治活動として認められているポスター及びビラを、当該政党その他の政治団体の選挙運動のために使用することができるものといたしました。また、確認団体の政治活動として認められている政談演説会及び街頭政談演説において、当該政党その他の政治団体の選挙運動のための演説をもすることができるものといたしております。
 以上、比例代表選出議員選挙制度の概要を申し上げましたが、選挙区選出議員の選挙につきましては、現行の地方区の選挙制度の例によるものといたしております。
 最後に、施行期日につきましては、この法律は、公布の日から施行し、改正後の公職選挙法の規定は、施行後初めて行われる参議院議員の通常選挙から適用するものといたしました。
 以上、公職選挙法の一部を改正する法律案の提案理由及びその趣旨を御説明申し上げた次第でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 公職選挙法の一部を改正する法律案(参議院提出、第九十五回国会参法第一号)の趣旨説明に対する質疑
#8
○議長(福田一君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。片岡清一君。
    〔片岡清一君登壇〕
#9
○片岡清一君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま提案されました公職選挙法の一部を改正する法律案について、鈴木総理、世耕自治大臣及びこの改正案の提案者に対し、若干の点について質問をいたしたいと思います。
 このたびの改正法案は、世界に類例を見ない日本全国を一選挙区とする参議院の全国区の改正でありますが、この全国区制は、選挙運動に金がかかり過ぎる、候補者の選挙運動に費やす労力は人力の限界を超えている、これを選挙する有権者の側も、顔も経歴もろくろく知らない何十人という候補者の中から、だれに投票していいか選定に迷うということで、「銭酷区」とか「残酷区」とかと悪口を言われて、昭和二十二年、この制度による選挙が行われた当初から批判の多かった制度であります。
 このような制度では、真に良識の府と言われるにふさわしい高邁な識見を持ったりっぱな人はなかなか出てきにくいのが実情であります。かねてからこの制度に大きな疑問を持っておりました私としては、このたびの拘束名簿式比例代表制への改正には、双手を挙げて賛成するものであります。したがって、この画期的な大改革に精魂を打ち込んでこられ、みごとな成案を得られた金丸参議院議員を中心とする提案者の方々に深い敬意を表するものであります。
 しかしながら、このたびの改正は、何といってもわが国の議会制民主主義史上画期的な変革をもたらすものでありますので、慎重の上にも慎重を期し、その審議に万全を期すべきものと思うので、そうした立場から、この制度の基本的な問題二、三について鈴木総理に御質問を申し上げたいと存じます。
 まず第一に、総理のこの法案提出についての御所見をお伺いしたいのであります。
 総理は日ごろ、選挙制度は議会制民主主義の根幹に関する問題で、各党派が選挙戦を戦う共通の土俵を決めるものであるから、各党派間で十分な協議を尽くすべきであるとの考えを述べておられるのであります。ところが、今回の改正案は、残念ながら自由民主党一党から提案されたものであることについて、いかなる所感をお持ちでありますか、お伺いいたしたいのであります。
 もちろん、選挙制度は各党の命運をかけての戦いの土俵づくりでありますから、それぞれ、いわゆる党利党略で完全な一致を見ないことがあることは私は十分理解できるのであります。参議院における審議に際しても、社会党案初め、各党からそれぞれ独自の改正案が提出せられたようでありますが、結局、自由民主党案だけが衆議院に送付されてきたのであります。
 これらの点を踏まえて、総理は、このことについていかなる御所見をお持ちであるかをお伺いいたしたいのであります。
 次には、現行の全国区制にはいろいろの問題のあることは趣旨説明でも述べられましたし、私が先ほど指摘したとおりでありますが、しかし公職選挙法全体の改正問題を考えますときには、この全国区制問題もさることながら、いわゆる一票の重みの問題をめぐって衆参両院の選挙区における定数是正の問題がしばしば世論の中心に上っております。
 のみならず、昭和五十一年四月十四日の最高裁判決で、衆議院選挙区での議員一人当たり有権者数の格差が最大約五対一に達したものは違憲であると言い、また、最近、昭和五十五年十二月の東京高裁判決でも、格差二対一を超える場合は違憲であるとの判決が出ておるのであります。
 こうした事情を考えたとき、定数是正の問題も、いつまでも放置しておけない問題であると思うのであります。これを差しおいて全国区制の改正を急がれた理由は那辺にあるのか。しかも、総理はこのたびの改正案の成立に異常な執念をお持ちになり、今国会においてぜひ成立を図りたいということで会期の大幅延長を意図せられたと聞いておりますが、これらについての総理の御所信を承りたいのであります。
 もう一つ総理にお伺いいたしたいことは、選挙制度と政界の浄化、政治倫理の確立についての問題であります。
 選挙制度は、前述したとおり議会制民主主義の根幹であり、選挙が公正明朗に行われるか否かは、直ちに政治の浄化と政界の刷新を期し得るか否かに直結する前提条件であります。したがいまして、選挙にはできるだけ金のかからぬようにし、明朗濶達に選挙が行われるようにすることが何より肝要であると思うのであります。清廉潔白な政治姿勢を堅持し、政界の浄化刷新に政治生命をかけられた故松村謙三先生の衣鉢を継がしていただいた私としては、政界の浄化と政治倫理の確立には異常な執念を持っている一人であります。(拍手)
 私は、国会に出さしていただいて以来、金のかからぬ選挙の実現のために、終始変わらぬ使命感を持って努力を重ねてまいりました。こうした立場から、私は、テレビタレントや労働組合幹部のような一部の例外の人たちを除いては、どんなに節約しても数億、十数億という巨額の選挙資金を必要とする全国区制は、政界浄化の立場から最も大きな問題を残す制度であって、一日も早く改革せらるべきものであると信じ、わが党の選挙制度調査会の段階においても、私なりの努力を重ねてまいったところであります。
 この改正案は、いままでの候補者個人中心の選挙から政党を中心とする選挙に移行するものでありますから、その点では政界浄化に向かって一歩大きく前進するものでありましょう。その意味で、私はこの改正案を高く評価するものでありますが、この拘束名簿式比例代表制は、政党というものに非常に大きな国家的使命を負わせているという点を重視する必要があると思います。
 その最たるものは、選挙に臨む候補者の名簿をつくり、その順位を決めて選挙民に提示する任務であります。常に投票の行方を気にしながら、狭い地域の利害に追いまくられて、とかく国家的立場や長期的な視野に立っての国政論議がおろそかになりがちな衆議院の立場を抑制、補完するのが参議院本来のあり方であり、それにふさわしい良識の人を名簿に登載するというのが最大の責務であります。この点で、政党は従来以上に大きな国家的な責務を果たすことになったのであります。
 そもそも政党とは、今日のような複雑多岐にわたる国民のニーズを特定の政治的意思に統合するために、自由で継続的な協力をする公の任務を遂行するものでありますが、いまやさらに、議会の構成員を選出するための名簿づくりという、より明らかな国家的機能を果たす公的機関となったのであります。この改正案で、名簿登載者を選ぶ権限の行使に関係した者に対しては贈収賄罪の適用が規定せられているのも、そのことを象徴しているものと思います。
 このような見地から考えますと、いまや政党は、国民の任意の拠出による政治資金の寄附によってのみ党活動をすることは不適当であると思うのであります。これからは、党の政治資金の一部を国家財政から支出することとし、そのかわり党の収支に対する国家の監督を一部加えて、その透明度を進める措置を講ずることが政治浄化の立場からも必要不可欠であると思うのであります。
 私は、政党本位の選挙が行われることとなるこの際、政治資金規正法を見直して、政党に対してだけは、他の政治資金団体と区別して民間の寄附の枠を少し拡大するとともに、その収支もより明朗化することが時代の要請にかなった方法であると思っております。
 かつて政治資金を法人や団体から集めることは諸悪の根源であるという考え方から、個人の寄附に改めるよう政治資金規正法が改正せられましたことは御承知のとおりであります。この改正法は、昨年一月末を期してその見直し作業をするように法定化されておるのであります。この見直し規定に基づいて当時一応つくり上げましたところの規制を、その後の経済情勢に即するようさらに新しく見直し、個人本位の選挙にかえて政党本位の選挙が十分行えるようにするとともに、政治資金というものをより透明度の高いものにすることが、かえって政界浄化の目的に合致するものであると信ずるのであります。
 この見地から、私は、西ドイツ政党法のような政党法の制定をここに強く要望いたしたいのであります。この政党法によって政党の政治資金の一部を国庫で負担するような制度をこの際創設することをあえて提案したいと思うのであります。
 私のこの考え方に対し、総理及び自治大臣はいかなるお考えをお持ちでございますか、御所見をお伺いいたしたいのであります。
 次に、本法の提案者に対し御質問いたします。
 第一の点は、拘束名簿式比例代表制のもとにおいては、国民は政党の候補者名簿に登載されなければ立候補できない、また反面、選挙民はその名簿に登載されている人以外の人に投票ができないということになっておる点についてであります。
 このような制度は、一つには個人としての立候補を禁じていることになり、これは法のもとの平等を保障している憲法第十四条第一項に違反しているのではないか、また二つには、選挙する人も選挙される人も「人種、信條、性別、社會的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない。」としている憲法第四十四条に違反しているのではないかという疑問が出てきておるのであります。
 私は、この違憲論には賛成できません。なぜなれば、選挙権や被選挙権は、表現の自由などと同様な、法律によっても侵し得ない、いわゆる人間固有の基本的人権であるとする見解には賛成できないからであります。この見解は、憲法第十五条第一項に、公務員を選定、罷免することは国民固有の権利であるとあるのを根拠としている主張でありますが、しかし現にすべての国民が選挙権を有する選挙人であるわけではなく、法律によってその資格要件は決められているのであり、また被選挙人の条件も、その地位の必要上、年齢等に条件が付せられていること等から見ましても、絶対不可侵の基本的人権と考えることは無理でありましょう。したがって、私は、この改正法で立候補者や選挙人に対して一定の条件を付したとしても違憲とはならないという考え方を持っておるのであります。
 しかしながら、昭和三十年二月九日の最高裁判決が、公職の選挙権は国民の最も重要な基本的権利の一つであると述べ、その後、別の昭和四十三年十二月四日の最高裁判決でも、これもまた憲法十五条一項の保障する重要な基本的人権の一つと解すべきであると言っておるのであります。
 そこで私は、提案者はこの問題をどういうふうにしてクリアされるおつもりであるか、その論拠を承りたいと思います。
 さらに、このたびの改正案は、候補者個人中心の選挙から政党中心の選挙に切りかわるのでありますから、参議院の政党化を一層進めることになり、衆議院の行き過ぎに対してチェック・アンド・バランスの機能を果たさせるべき参議院の本来の使命はますます薄れていき、衆議院のコピーのような数の政治に堕してしまうことを恐れるのであります。これはひいては参議院の不要論に拍車をかける結果にならないかを心配いたすのでありますが、これに対して提案者の御所見を伺わしていただきたいのであります。
 最後に、自治大臣にお伺いいたします。
 改正案は、わが国に初めて比例代表制を導入する画期的なものであります。政党名を書いた投票をしてもらうという制度を採用したこと等、わが国の選挙人にとってはなじみのない制度であります。来年の実施まで日時もわずかしかありませんが、実施に当たる自治大臣として、それまでの間にこの制度が国民に十分理解され、支障なく選挙が執行される御自信がおありかどうか、その辺の御決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔参議院議員金丸三郎君登壇〕
#10
○参議院議員(金丸三郎君) お答え申し上げます。
 ただいまの御質問は、憲法第十四条、四十四条あるいは十五条等に関連をいたしまして、憲法に違反するのではないかという意見があるけれども、自分はそうは思わない、提案者はどのように考えておるかという御趣旨の御質問でございます。
 この点は、参議院の本会議、委員会を通じまして非常に論議された点でございますが、私どもは、選挙権、被選挙権は自然権的な超国家的な人権ではなく、憲法第十五条の第一項が規定しております国民の基本的な参政権であり、その具体的な選挙権あるいは被選挙権、立候補は、憲法第四十四条によりまして法律をもって規定されるところであると、基本的にこのように考えております。
 したがいまして、今回の私どもの提案をいたしております比例代表制は、全国区の持つ諸種の弊害を是正しつつ、現在わが国におきまして国政を動かしておるものは政党でございます。昭和二十二年の第一回の参議院の選挙以来、全国区におきましても政党化が進んでまいりました。これは自然の趨勢であると私どもは考えております。この趨勢にかんがみ、現在わが国の政治に責任を持つております政党が責任を持って名簿をつくり、国民の批判を受ける拘束名簿式比例代表制が憲法の容認する合理的な選挙制度である、かように考えるのであります。
 このような合理的な制度でございますので、選挙権、被選挙権等につきまして制約が起こるといたしましても、私どもは、憲法の許容する合理的な制約として認められるものである、憲法に違反するようなことは絶対にない、かように考えておるところでございます。
 次に、第二の参議院の政党化の問題でございます。この点も参議院の審議の際にたびたび論議されたところでございますが、先ほど来申し上げますように、私どもは、参議院の政党化は、議会制民主主義をとり、全国区という制度が設けられて、そして直接選挙という制度をとります以上は避けられない、ある意味ではまた自然の傾向であるというふうに考えております。このたびの法律案は、このような現実を踏まえまして、国民の政治的な意思を国会に最も適正に反映させようというものでございます。
 このたびの改正案が参議院の独自の機能を失わせるのではないかという御懸念でございますけれども、私どもはそのように考えておらないのでございまして、むしろ、先ほど提案理由で御説明を申し上げましたように、名簿に登載できる候補者は政党の所属員に限定をいたしておらないのであります。私どもは、各党が参議院議員としてふさわしい人を名簿に登載しますならば、参議院議員としてふさわしい人がより得やすくなるのではなかろうか、これは参議院の独自性にも資するものと考えております。
 なお、参議院の独自的な機能を確保するという問題は、選挙制度の面からと参議院の機構や運営の両面から達成すべき課題でございまして、その意味におきまして、現在、参議院の改革協議会におきましても種々検討中でございます。私どもは、機構や運営の改善によりまして参議院が独自の機能を発揮することができますように極力努めてまいらなければならない、かように考えておる次第でございます。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 片岡議員にお答えいたします。
 最初に、自由民主党の改正案がそのまま衆議院に回付されてきたことについて御質問がございましたが、選挙制度の問題につきましては、これまでもしばしば申し上げてまいりましたように、各党間で十分論議を尽くした上で改善していくことが望ましいというのが基本的な考え方であることに変わりはございません。
 ただ、現行の全国区制につきましては、これまで各方面から多くの問題点が指摘されてきたところであり、各党におかれても、その改善策についてこれまで種々検討がなされてきた経緯もございますので、まずこの問題を取り上げて御論議を願うことが必要ではないかと考えた次第であります。そして、自由民主党において取りまとめた改正案を昨年来国会に提案し、長期間の御論議の末、先般参議院において議決されたのでありますが、その間の経緯につきましては御承知のとおりであります。
 衆議院におかれましても精力的に御審議をいただき、速やかにその改善が実現されまするよう切望いたすものであります。
 次に、御指摘の国会議員の定数問題につきましては、もとより、きわめて重要な問題であると考えておりますが、現在審議に付されております全国区制の問題は、とりわけ早急に解決を迫られている多くの課題を抱えていることは御存じのとおりであります。せっかく会期も大幅に延長されたところでありますし、また、全国区制の改革の機運が盛り上がったこの機会を逸しては、将来その改革も困難になるのではないかと思いますので、ぜひとも今国会においてその改善が実現されるよう念願している次第であります。
 最後に、西ドイツの例を引用されて、政党法の制定について御意見がありました。
 政界の浄化のため、あるいは現代民主主義国家において果たしている政党の使命にかんがみまして、政党法を制定し、政党に対する補助制度を設けることは、政党本位の選挙を実現するために検討すべき重要な課題の一つであると考えております。ただ、何分この問題は、議会制民主主義なり政党政治の根幹に触れるきわめて重大な問題でありますだけに、今後の選挙制度や政治資金規制のあり方との関連において、各党間で十分議論をし、その動向を踏まえて慎重に検討すべきものと考えております。
 残余の問題につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣世耕政隆君登壇〕
#12
○国務大臣(世耕政隆君) 政治資金につきまして法人や団体からの寄附の枠をもっと広げてはどうか、それから政党法を制定して政治資金の一部を国庫で負担するような制度をしてはどうか、こういう御質問でございました。
 企業献金のあり方についてはいろいろ御意見のあるところでございますが、企業も一つの社会的な実在としてその政治活動は保障されて、自由であるところであります。ただ、企業献金も含めまして政治献金のあり方は、選挙制度のあり方と密接な関係を持っております。また、各党のよって立つ財政的な基盤がそれぞれ異なっておりますので、現実には、今後の各党の政治活動そのものに直接関係してくる問題でございますので、寄附の枠、収支の明確化、これを含めまして、まず各党間で十分議論を煮詰めていただきたいと考えているものでございます。
 次に、政党法を制定して、政党の政治資金の一部を国庫で負担する制度を創設してはどうか、こういう御意見でございますが、この点に関しましては、ただいま総理からもお答えがございましたとおり、何分、議会制民主主義、政党制度の根幹に触れるきわめて重大な問題でございますので、わが国における政党の現状、選挙制度及び政治資金規制のあり方との関連におきまして、これも各党間で十分な論議をお願いして、その動向を踏まえて慎重に検討すべきものと考えておるものでございます。
 次に、今回の改正法によって、比例代表制について選挙する人はなじみがないから、来年までに理解を得ることができるかどうか、こういう御質問でございました。
 何分、御指摘のように、個人本位から政党本位の選挙へ移行するという大きな改革でございますので、法案がもし成立した場合には、政府としてはもちろん、報道機関の皆様方の御協力を得ながら、来年の参議院通常選挙に間に合うように、制度の趣旨、投票の方法の周知徹底、啓発に全力を尽くしまして、新制度の円滑な管理執行に万全を期する所存でございます。
 以上でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
#13
○議長(福田一君) 堀昌雄君。
    〔堀昌雄君登壇〕
#14
○堀昌雄君 このたび、長崎県を中心に集中豪雨が参りまして、多数の皆さんが犠牲になられました。命をなくされた方々に心から御冥福を祈りますとともに、被災者の皆さんにお見舞いを申し上げておきたいと思います。政府は、ひとつこの際、国会とも十分連携をとりながら、適切な対策を講じられることを要望して、本題の質問に入らせていただきます。(拍手)
 私は、ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案について、提案者並びに鈴木内閣総理大臣に日本社会党を代表して質問をいたします。
 最初に、この法案の基本的な考え方について私の意見を申し述べ、その後でこの法案の内容についてお尋ねをいたしたい、こう考えているわけでございます。
 そこで、この法案の参議院における公職選挙特別委員会の採決のあり方は、きわめて遺憾なことでありました。それだけに、本院においては、すべての国民に納得のいただけるよう十分に慎重な審議を行い、第一院としての良識を広く国民に理解されるよう真剣な努力をしなければならないと考えているのでございます。(拍手)
 そこで、この選挙の基本的な考え方は、御承知のように、過去における個人本位の選挙から、政党本位の選挙、政策本位の選挙への移行を実は土台としているのでありますが、少し私は、日本の国政選挙における過去の状態を振り返ってみて、なぜ個人本位の選挙というものが長く今日まで日本にあるのか、同時に、欧米諸国においては、つとに政党本位、政策本位の選挙制度に変わってきているのか、この問題について基本的な考え方を少し申し上げておきたいと思うのであります。
 わが国の選挙法は、明治二十二年、一八八九年、法律第三号によって初めて国民に選挙権が与えられることになりました。当時は選挙権は二十五歳、被選挙権は三十歳、十五円以上の直接国税を一年以上支払って、同一府県に一年以上在住した者が選挙権が持てるのでありました。当時の人口は約四千万人、この制限された条件のために、有権者は約四十五万人でありました。そうして議員定数は三百名で、この有権者は人口のわずか一・一%にしかすぎない状態でありました。四十五万人の有権者が三百人の代議士を選ぶということは、千五百人が一人の代議士を選んでいるわけでありますから、まさにここでは、個人が千五百人の代表として選ばれたというのが歴史的な経過であったと思うのであります。
 その後だんだんと日本においても民主主義が発展をしてまいりまして、幾多の改正がその間ありましたけれども、一九二五年、大正十四年、ついにこの納税その他の条件が撤廃をされて、普通選挙が行われることになったのであります。当時は人口が約六千万、有権者は、この条件の撤廃によって千二百四十万人にふえました。人口の二二%となったのであります。定数が四百六十六人でありましたから、一人当たり二万六千六百人が有権者として出てまいったのであります。
 その後、昭和二十年、法律第四十二号、一九四五年に、敗戦の後で選挙法が改正をされまして、新たに女子の選挙権が認められることになり、選挙権の年齢が二十五歳から二十歳に、被選挙権が三十歳から二十五歳に引き下げられることになりました。当時、人口は七千三百万人、それに対して有権者は三千六百八十万人でありますから、言うならば五〇%が実は有権者になったのであります。
 今日の状態はどうかといいますと、五十五年六月の選挙で有権者は八千九十二万人、人口が一億一千七百万人でありまして、人口の六九%が実は有権者となり、そうして一人当たりの議員に対して十五万八千三百人が有権者となってきたのであります。
 このことはどういうことかといいますと、要するに個人の政治家を選ぶということから、民主主義の発展に伴って、そこで必然的に政党が生まれてきたわけであります。その政党が生まれてきた過程を通じて、世界の各国において政党本位の選挙にと移行が行われてきたわけであります。
 少なくとも、西欧の例を申し上げますと……(発言する者あり)黙って聞け。比例代表は、一八五五年にデンマーク、一八九九年にベルギー、一九〇六年にフィンランド、一九〇七年スウェーデン、一九一八年スイス、その後、西独、イタリーと、欧州の諸国においては、御承知のように比例代表を中心とした政党本位の選挙になってきたのであります。
 そこで、現在のこの選挙法の問題というのは、本来、選挙制度審議会では、衆議院で個人から政党本位の選挙へという審議が行われてきていたわけでありますけれども、衆議院の問題は今日までそのままになって、参議院の全国区にこれを導入することになったというのが今回の経緯であります。
 そこで、われわれ衆議院の段階で考えてみますと、いま金帰火来と称してわれわれは選挙区へしょっちゅう帰っておる。それはなぜか。要するに有権者と人間的な義理人情、あるいは後援会による結びつき、個人的な結びつきをつくらなければ現在の選挙は非常に困難である。特に自民党の場合には全選挙区複数でありますから、われわれとの争いよりも、自民党内部の争いになる。そのために起こるものは何か。必要な資金をたくさんに集めなければならないというのが結果的に起こってくる。これが皆さん、今日のロッキード問題を中心とする、今回の国会における証言法改正やその他の問題に連なっているのであります。(拍手)
 ですから、問題は、やはり西欧先進諸国がすでに行っておるように、衆議院を含めて政党本位の選挙、政策本位の選挙を争うことでなければ、私は、日本の将来というものは非常に大きな問題があると考えているのであります。
 なぜかと言えば、これまで日本は前にモデルがありました。これに追いついてきて、いまやわれわれが一番前に立っておる。われわれの前にはモデルはないのでありますから、われわれがモデルをつくらなければなりません。それには政治家が最も責任を持たなければならないのでありますが、金帰火来で勉強しないために、官僚のお世話にならなければ国政が運営できていないというのが現状ではないでしょうか。やはり私は、政党が指導性を持って、官僚を指導しながら政治をわれわれの手で運営できるようにしなければなりませんが、そのためには、政党本位の選挙はどうしても欠くことができない選挙制度であると考えているのであります。
 そういう意味で、私たちは基本的に――共産党の方はがたがた言っていますけれども、比例代表、賛成だと言っているんじゃないですか。比例代表、賛成。問題はどこにあるかと言えば、今回の法案の中にあるのは、無所属……(発言する者あり)静かに聞け。無所属、少数会派の皆さんをどのように処理するかということが、実は今回のこの法案における最も重要な問題点なのであります。
 そこで私は、以後、質問に入るのでありますけれども、まず提案者に対してお伺いをいたします。
 参議院における審議の過程で、無所属、小会派を締め出すということが強く意見が出されておるのであります。これらの問題は、私がいま申し上げました、わが党は基本的な立場を踏まえ、さらに無所属、小会派の立場を尊重した社会党案の提案を参議院でいたしていたのでありますけれども、残念ながらこの法案は否決されたのであります。そこで、提案者は一体この問題について、特に社会党提案についてどのように評価をし、どのように考えておるかということを、まず提案者からお答えをいただきたいと思うのであります。(拍手)
 二番目は、先ほども申したように、選挙制度審議会は政党本位の選挙をまず衆議院に導入しよう、こう考えて審議が行われ、第七次審議会で初めて政党本位の具体的な対応を問うという諮問が出されましたが、これはちょうど最終の時期に衆議院が解散をされて、答申を見るに至らず今日に至っているのであります。
 そこで、この参議院の比例代表の問題は今回の課題になっておるのでありますけれども、政党本位の選挙制度を衆議院に導入するという問題については、私は比例代表が基本でなければ金権の問題は遮断ができない、こう考えているのでありまして、政党本位の選挙とは、私が言っておるのは比例代表であることによって初めて金権の関係が遮断をされる、少なくともこれを実行することを通じて私は日本の政治が健全な政治になると考えておりますが、提案者はどう考えておられるかをお尋ねをいたすのであります。
 その次に、今回の改正案では、参議院の定数是正については何ら触れられていないのであります。参議院における公職選挙法の取り扱いについては、これまで定数是正を行うことが主要な課題でありまして、そうしてこの全国区の問題は二の次に置かれていたのであります。にもかかわらず、今回は参議院における定数是正の問題が何ら議題となっていないのであります。この点について、提案者は一体どのように考えてこの全国区比例代表だけを提案をされたのかをお尋ねをいたしたいと思うのであります。
 次に、総理大臣にお伺いをいたします。
 衆議院は、過去において二回定数是正を政府の提案によって行ってまいりました。しかし、いま総理がお答えになっておりますけれども、こちらの方が重要であったから実はこちらを先にしたというお答えでありましたけれども、私は、国民が考えておりますものは、確かにこの法案も大事でありますが、参議院における定数是正もきわめて重要な課題である、こう考えているのでありまして、政府提案としてこの参議院の定数是正にどのように対応されるのかをお伺いをいたしたいのであります。
 さらに五十五年十一月十日の衆議院の公職選挙特別委員会で、私がこの政党本位の選挙制度を衆議院にも導入する問題について提案したのに対してあなたはこのように答えられているのであります。「堀さん御指摘のように、選挙制度並びに選挙運動等のあり方、これはわが国の議会制民主主義が健全に発展できるかどうかという基本の問題でございます。私も真剣に取り組んでまいります。」こう公式に答弁をしておられるのであります。総理大臣は、一体この答弁と今日の状態をどう考えておられるのか。
 あなたは少なくとも、私がいま提案をしたように、いまの日本の国政の中で衆議院の選挙法を政党本位にするか否かは、いまの金権問題を遮断するかどうか、これはもちろん個人の問題も含んでおりますけれども、私はやはり制度の問題を改めることによって、そのような可能性を遮断することがきわめて重要であり、議員がしっかり勉強して政治をわれわれの手に取り戻すためにもこのことが重要であるということを申し上げたのでありまして、そういう点を含めてひとつ総理大臣の御答弁をお願いをして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔参議院議員金丸三郎君登壇〕
#15
○参議院議員(金丸三郎君) 堀議員にお答え申し上げます。
 第一のお尋ねは、無所属、少数会派の問題についてでございます。この点は、参議院の本会議、委員会を通じまして非常に論議された点の一つでございます。
 昭和二十一年に参議院議員の選挙法が帝国議会で審議されましたことは御承知のとおりでございます。私、この際、試みに当時の質疑を読んでみました。その指摘に、この制度は個人本位でこの広大な選挙区で選挙をやることになるので必ず政党化するよ、これが一つでございます。もう一つは、非常に金がかかりますよ、これがもう一つでございます。それからもう一つは、全国的な識見のある人が得やすいというようなことを言われておるけれども、有権者から見まして、これぐらい候補者のわからない選挙制度はない、したがって、双葉山とか常陸山とか、あるいは浪花節で有名な奈良丸とか、大衆的な作家とか、そういう人が出てくるようになりますよということが昭和二十一年の段階において言われておるのでございます。
 私どもは、やはり直接選挙を前提にいたします全国区の制度を考えます場合、やはり振り返ってこの点も考えてみなければならないというふうに思うのでございます。先ほど片岡議員の御質問にお答えを申し上げましたように、今日、全国区の改正は与野党のほとんど一致するところでございます。いま申し上げましたような弊害がございますからこそ、ブロック制にしてはどうかとか、社会党も私どもと同じような拘束名簿式の比例代表制を主張しておられ、また共産党でも、基本的には比例代表制を否定するものではないという、こういう御見解のようでございます。全国区の改正につきましてはほとんど与野党一致した意見であり、具体的にどのように改正するかという方法について意見が分かれておるのでございます。
 私は、先ほど御説明申し上げましたように、全国区とする考え方は一方において残しながら、選挙民にとりましては候補者の選択の困難、候補者にとりましては選挙運動に伴います費用の膨大さ、労力の過酷という全国区制の持っております問題点を解消いたしますと同時に、政党が議会制民主主義を支える不可欠の要素となっております現実、国民の政治的な意思形成の媒体として重要な機能を果たしておるという現実、これらに着目しつつ、かつ参議院にふさわしい人をより得やすくするために拘束名簿式の比例代表の選挙制度の採用が適当である、私どもはこのような結論になったわけでございます。
 この案は、選挙が公正に行われ、かつ国民の政治的な意思が適正に国会に反映することになりますので、私どもは憲法の許容する合理的な選挙制度である、こういうことができると考えております。したがいまして、これに伴いますところの無所属の方々などに対します制約は憲法の許容する合理的なものであり、やむを得ないものである、かように考える次第でございます。
 第二に、社会党案の評価についてのお尋ねでございます。
 私どもは、政党が主体となって名簿を作成し、政策を掲げ、国民によって投票による審判を仰ぐわけでございますから、やはり政党らしい政党が適当なのではなかろうか。そのために、現行の法制との関連を考えまして政党の要件を定めたわけでございます。
 社会党案は、もっとより小さな政党、少数の政治的な集団に対しても、いわば名簿を提出することを認めてはどうか、こういうお考えでございます。私どもも、確かに一つの御見識であると思っておりますので、今後この点につきまして十分な御論議をいただきたいと思っておる次第でございます。
 次に、第三のお尋ねでございますが、これは昭和四十七年十月の二十日、第七次選挙制度審議会の第一委員会の委員長の中間報告についての御指摘かと思います。私どもは、この中間報告におきましては確定的な意見は述べられていなかったように承知いたしております。
 いずれにいたしましても、衆議院の選挙制度はわが国の国政の根本の根本にかかわる問題でございますので、私どもの提案をいたしておりますこの法案とは別個に、各党におかれまして慎重な御検討をお願いいたしたい、かように考える次第でございます。
 第四に、参議院の地方区の定数是正の問題でございます。
 私どもも、この問題は緊急を要する重要な課題と考えております。年来、参議院の自民党におきましても検討を重ねてまいっております。私は、自民党といたしましても結論を出し、できるだけ速やかに定数の是正を行うようにいたさなければならない、かように考えておる次第でございます。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) このたびの長崎県初め北九州地方を襲った集中豪雨により災害を受けられた被災者の方々に対し、衷心よりお見舞いを申し上げます。
 政府におきましては、直ちに災害対策本部を設置し、地元長崎県等と緊密な連携をとりながら、民生対策、災害復旧対策に万全を期しておるところでございます。
 堀議員にお答えを申し上げます。
 最初に、政府は速やかに参議院の定数是正を行うべきであるとの御意見がございました。御指摘のように、衆議院の定数改正がこれまで政府提案の形で行われてきたことはそのとおりでありますが、実際には、提案に至るまでの間において、まず各党間で御協議を願い、その御協議の調った線に沿って提案されてきたものであることは御承知のとおりであります。
 もちろん参議院の定数問題につきましても、衆議院の定数問題と同様に重要な問題であると認識いたしておりますが、この問題は、まず地方区の総定数をどうするかという問題にとどまらず、地方区の持つ地域代表的性格なり半数改選制をどのように考えているのかといった基本的問題との関連を十分考慮してかからなければなりませんので、各党間でさらに論議を尽くしていただき、その合意に基づいて、政府提案とするか、あるいは議員提案とするかを含めて結論を出してまいることが最も民主的かつ現実的な方法であろうと存ずるのであります。
 次に、一昨年十一月の衆議院の公職選挙法特別委員会において、堀議員と私との間の議論を引用してお尋ねがありました。
 そのとき堀議員から、政治倫理の確立のためには、長期的視野に立って、衆議院こそ政党本位の選挙制度を導入する必要があるのではないかとの御意見があり、これに対して私から、選挙制度及び選挙運動のあり方は、議会制民主主義が健全に発展できるかどうかの基本問題であるので、真剣に取り組んでまいりたいとお答えをいたしましたが、その考えは現在でも変わっておりません。
 ただ、現行の衆議院の選挙制度を改め、政党本位の選挙制度に移行するための方策につきましては、堀議員が最もよく御承知のとおり、かつて選挙制度審議会においても長期間にわたる論議にもかかわらず、結局結論を得るに至らなかったという経緯もございます。この問題は、結局は当事者である各政党御自身がみずからの問題として真剣に取り組んでいただくことこそが御意見を実現する最も現実的な方法であると考えておりますし、今後とも各党間の御検討を急いでいただくようお願いを申し上げる次第でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
#17
○議長(福田一君) 中井洽君。
    〔中井洽君登壇〕
#18
○中井洽君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま提案となりました公職選挙法の一部を改正する法律案に関し、提案者並びに鈴木総理大臣以下関係閣僚に質問を行います。
 質問に入る前に、今回長崎を中心とする九州各地で集中豪雨により未曽有の被害に見舞われた多くの方々に対し、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。政府が一刻も早く万全の対策をとられるよう強く要請をいたします。(拍手)
 さて、そもそも選挙法は、民主政治の基本的ルールを定めたものであります。一党一派が自分の党の有利、不利だけで勝手にルールを変更すべきものではありません。
 今回の公職選挙法の一部を改正する法律案は、わが国、国政選挙の内容を変更するだけでなく、現在の参議院の形態や内容をも一変せしめる大変重要なものであります。したがって、その審議には十分な議論がなされ、また、大半の政党の基本的な合意があり、なおかつ選ぶ側の国民の理解を得て成立を期するのが当然であろうと考えるのであります。
 しかるに、提案者や自民党は、一方的にその成立を急ぎ、結果、参議院における審議は中途で打ち切られ、また本会議における採決も、幾つかの会派が欠席の中で行われました。
 わが党は、議会制民主主義の政党として、あえて参議院本会議に出席をし、反対の立場を国民に明確にいたしましたが、このような状況下で法案が衆議院に送付され、本日、公明党が欠席のこの本会議で質疑が行われ、二十日余りの日程で審議をしなければならないのは、この法案の重要さから見て非常に残念なことであります。
 提案者は、この法案の参議院通過の状態をどうお考えでしょうか。重要な選挙法の改正が一党で提案され、一党だけの賛成で成立して、本当に民主的な話し合いでルールづくりができるとお考えかどうか、お尋ねをいたします。
 また、鈴木総理は、今国会における本法案の成立を自民党総裁として強く希望されたと聞いておりますが、多くの政党の合意なしでもその成立を望まれるのでしょうか、お尋ねをいたします。
 私が言うまでもなく、現在の選挙制度に国民の大多数は大きな不信と不満を持っております。議会人たるわれわれは、率先していろいろな改革を断行していかなければなりません。長年各政党間で話し合いが行われた結果、一番重要な、また急を要する改革案として一致したのは、衆参両院の定数是正であります。その次が政治資金規正法の改正であり、そして次が参議院全国区の改正であります。しかるに、定数是正や政治資金規正法の改正がなおざりにされ、全国区の改正案だけが提出されたことに大きな不信を抱くものであります。
 いま衆参両院で仮に機械的に選挙区の定数を変更しようとするとき、たとえば衆議院で議員一人当たりの有権者が少ない順、十の選挙区を見ますと、党派別当選者は、自民党二十三人、社会党九人、他の政党三人であります。多い順、十の選挙区を見ますと、自民党十六人、社会党八人、他の政党十三人であります。
 このことは、現在の選挙区や定数がきわめて自民党に有利であるので、定数是正には手をつけず、自民党にとって金がかかり戦いにくくなっている参議院の全国区の改正にだけ踏み切り、その内容を大政党にだけきわめて有利なものとして提案されているのがこの法案であります。自民党の余りにも党利党略的な姿勢に強く反省を求めるものであります。
 そこで、提案者は定数是正問題をどのように御認識をされているのか、お答えを願います。
 また、政府は定数是正の法案を早急に国会に提出されるべきと考えますが、自治大臣、いかがでしょうか。
 次に、この法案と憲法との関係についてお尋ねをいたします。
 平素憲法問題で大きく立場や解釈の方法が異なる自民党や社会党が、拘束名簿式比例代表制という制度については一致して合憲とされておりますので、あえて制度の合憲についてはお尋ねをいたしません。しかし、その中身の中心であります個人が比例代表区に立候補できない、また、有権者は個人名を書けないという点は、わが党を初め多くの会派、また国民の多数が違憲であると主張しております。参議院でも議論がなされましたが、全くすれ違いの議論で審議が終わりました。この際、憲法に抵触しないという提言者の明確な根拠をお尋ねをいたします。
 次に、いわゆる政党の要件についてお尋ねをいたします。
 すなわち、五人以上の議員を有するか、直近の選挙で四%の得票率を得るか、十名以上の立候補者を有するという三つは、それぞれどういう根拠で提案をされたのか、きわめてあいまいであります。今回の法案のように政党選挙を提言するならば、まず、何年かかってでも政党法をつくる努力をすることが先決であります。参議院選挙の、しかも全国区制にだけ適用するような政党の要件という発想に、私は政党人の一人として納得ができません。提言者にこの政党の要件の根拠や考えを明確に御説明願います。
 また、鈴木総理は、日本の現在の政治風土の中で政党の存在をどう思われておられるのか、また、政党法というものが必要とお考えになっていらっしゃらないかどうか、お尋ねをいたします。
 また、政党の要件とともに自由な立候補の制限になると思われるものに、供託金の引き上げ並びに没収のきわめて厳しい規定があります。これらは、個人の立候補ができず、あえてきつい要件を満たしながら政党を新しくつくり、政治に参加しようとする人々を金銭面から締め出すと同時に、当選者の少ない小政党をいじめ抜く発想と言わざるを得ません。
 そこで、提案者にお尋ねいたしますが、供託金の引き上げ率をもっと緩やかにする考えをなぜおとりにならなかったのか。また、現在、参議院全国区の供託金の没収は有効投票総数割る五十掛ける十分の一、すなわち、ほぼ当選票の十分の一を獲得すれば没収されないのに、なぜ、どういう計算でこのようにきつい没収規定をあえて設けられたのか。さらに、政党を選ぶ選挙で当選者を出した政党から、政党の出した供託金を没収するというのはどういう発想に基づくのか、これらの点について明確にお答えをいただきます。
 次に、選挙運動のあり方について、二つの観点からお尋ねをいたします。
 第一は、名簿の候補者は比例代表制の一切の選挙運動ができないとされています。この改正点は、現在のお金を莫大に要すると言われる全国区の悪癖を直すために提案されたと考えますが、しかし地方区の候補者は比例代表制の選挙運動ができると法案にあります。したがって、地方区の候補者の数が多いほど選挙運動において圧倒的に有利になるのであります。地方区に候補者を立て得ない、あるいは少ない小政党にきわめて不利な改正であり、あえて地方区の候補者を多数擁立すれば、いままでより小政党にとっては一層金のかかる改正となるのであります。大政党のエゴイズムまる出しの法案と言っても過言ではありません。提案者は、このあからさまな不平等をどのように考えられておられるのか、お尋ねをいたします。
 他の一点は、政党の日常活動と選挙運動とをどのように区別するかという点であります。
 法案の流れを考えますと、選挙期間中あるいは事前運動期間中も日常政党活動は制限されないようでありますが、往々にして法律は、一たん成立しますとひとり歩きをいたします。提案者は、政党の自由な日常活動がどこにどのように保障されているのか明らかに願います。私は、各政党間で政党の日常活動の自由の保障や選挙運動との区別を明確にすべきと考えますが、提案者はいかがお考えでしょうか。
 また、自治大臣、国家公安委員長は、選管並びに取り締まり当局に対し、もしこの法案が成立すればその内容をどのように徹底さし、あるいは国会の論議や合意を生かして取り締まりの実施等を行いになるのか、お考えを承ります。
 また、関連してお尋ねいたしますが、この法案の中に名簿届け出政党に対して罰則が設けられております。わが党は、これは政党の自由な活動に対し、権力の不当な介入を招くおそれがあると強く警告を発します。提案者の釈明を求めます。
 次に、議員の資格についてお尋ねをいたします。
 名簿により当選した議員は、離党、除名等で所属する政党から離れても議員資格を剥奪されないとあります。憲法に保障されている議員の身分や発言からこのような考えが出てきたものと思いますが、一方では憲法で保障された個人の立候補を禁止して、他方で当選後は無所属で構わないという制度では大きな矛盾ではないでしょうか。議長、副議長の当選後の党籍離脱という慣例もありましょうが、この点をどのように御説明いただけるのでしょうか。またあわせて、政党の離合集散の場合の資格並びに名簿の扱いはどのように考えておられるのか、また、名簿が六年間も有効であるという点の根拠についても御説明を願います。
 以上、わが党から見て、この法案の重要な問題点を提起してまいりました。本来、選挙法の改正は、選ぶ側の国民の立場から判断すべきものでもあります。現在の選挙制度の改革を国民が強く望んでいるのは事実であります。しかし、拘束名簿式比例代表制度というわかりにくい制度で、なじまない政党投票を強要される今回の改正を望んでいないのも事実であろうと私は考えます。提案者は、世論調査等で批判の多いこの制度を、どのように国民の声を組み入れていかれるおつもりか、お尋ねをいたします。
 また、この法案がよしんば成立したとしても、国民にとって非常にわかりにくい点が数多くあるのも事実であります。現在国政選挙で最も無効投票率の多いのは全国区の選挙でありますが、もしこの法案が通り、新しい選挙が行われれば、第一回全国区選挙の無効投票率一四・七二%を大きく上回る無効票や棄権票が出るのは目に見えているのであります。せめて、間違いやすい自書式を改めて記号式を導入し、無効票を少しでも少なくするなり、ドント方式という説明しにくい分配方式をわかりやすい単純比例配分に変える等、いろいろな点で国民に理解を求める努力が必要と考えますが、いかがでございましょうか。
 また、選挙制度の改革と同時に、参議院のあり方についても議論がなされなければなりません。鈴木総理は、参議院のあり方について、国会の二院制についてどのようなお考えをお持ちであるのか、また、国民の大多数が参議院の理想の姿をどう思っていると御認識をされているのか、お尋ねをいたします。
 また、提案者は、この改正が実施されれば国民や憲法の理想とする参議院のあり方とずいぶんかけ離れた参議院になるのではないかという心配にどうお答えになるのか、お聞かせを願います。
 以上、申し上げてまいりましたように、本改正案には幾つかの重大な問題点があり、大政党にだけ有利な法案であり、このままではわが党はとうてい容認することはできません。政治のルールづくりである選挙制度改正に当たり、提案者は、あくまでもこの不合理な原案に固執され、一党の賛成だけであえて成立を望まれるのか、あるいは従来の各公職選挙法改正法案のように、あるいはまた提案者が参議院においてたびたびベストじゃないんだベターだ、こういったことをおっしゃっておられますが、そういった姿勢を貫いて各党と十分話し合い、修正等に応じられる用意がおありなのかどうかを最後にお尋ねをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔参議院議員金丸三郎君登壇〕
#19
○参議院議員(金丸三郎君) 中井議員の御質問にお答え申し上げます。
 第一のお尋ねの点は、このたびの改正案の審議経過等につきましてどう考えるかという点でございます。
 参議院におきましては、参考人の意見聴取でございますとか公聴会の開催でございますとか、私どもは十分な御審議をいただいたものと考えておりますけれども、各党の御理解、御賛同を得られませんでしたことはまことに残念に存じております。衆議院におきましては、より十分な御審議をいただき、各党の御理解を得たいものと考えております。
 第二のお尋ねは、定数是正についてのお尋ねでございます。
 この点につきましては先ほどもお答えを申し上げたところでございますが、私どもも緊急を要する重要な課題と思っております。できるだけ早く結論を得、この問題の実現を図りたい、かように考えておる次第でございます。
 次のお尋ねは、個人の立候補の自由の制約に関するお尋ねでございます。
 この点も先ほどお答えを申し上げたところでございますが、憲法第十五条第一項に基づきます基本的人権としての参政権の一内容でございますけれども、その具体的なものは選挙制度におきまして現実に確保されなければならないものであり、その際、合理的な選挙制度に由来する制約でございますならば、私どもはその制約に服さなければならないものと、かように基本的に考えておるわけでございます。
 このたびの比例代表制は、現行の全国区制の弊害を除去し、かつ政党が議会制民主主義の不可欠な要素であり、国民の政治的意思形成の媒体としての重要な機能を果たしているという現実を踏まえまして、国民の政治的意思を適正に国会に反映させようとする目的をもって行おうとするものでございまして、全国民の代表を選ぶのにふさわしい選挙制度の採用である、こういうふうに考えておるわけでございます。このような合理的な理由から、個人としての立候補の自由の制約がございましても、私どもはやはり制約されることもやむを得ない、また、憲法上見ましても合憲である、憲法の許容するところであると考えておる次第でございます。
 次の政党の要件についてのお尋ねでございますが、私どもはやはり政党らしい政党であることが望ましい。政党らしい政党とは何かと考えますと、政治資金規正法に政党に関する規定がございます。公職選挙法に御承知のように確認団体の規定がございます。いわゆる国会議員五名、候補者十名というものでございます。この二つの要件とこれらとの関連を考えまして、直近の総選挙あるいは通常選挙における得票四%というものを政党の要件と考えたわけでございます。
 次に、供託金についてのお尋ねでございますが、供託金の額の引き上げにつきましては、昭和五十年の前回の引き上げ以来、物価水準の動向あるいは従前の供託金額の引き上げ等の例にかんがみまして、すべての選挙を一律に倍額としようとするものでございます。
 供託金の没収についての御意見でございますが、このたびの比例代表の選挙におきます供託金の制度の目的は、野方図な名簿登載者を擁立するととを防止するということでございます。したがいまして、現行法の没収の手法では制度の目的は達成することができません。したがいまして、当選人の数という選挙の結果と名簿登載者の数とを結びつけまして没収の手法を採用いたしたわけでございます。
 次に、このたびの改正法案第百七十八条の三の規定についてのお尋ねでございますが、この規定は、名簿届け出政党等に所属する選挙区選出議員候補者が、みずからの選挙運動として、自己の属しております政党への支持を訴えますことは自然の現象でございまして、これを禁止するととはとうてい事実に反して、私どもは余りにも不自然だと考え、比例代表制の選挙運動をも行うごとができるという現実的な解決を図っただけでございます。決して大政党に有利な改正というものではございません。比例代表選挙と地方区の選挙が同時に行われますので、地方区、いわゆる選挙区の選挙運動が自然に行われるように法で措置をいたしたにすぎないわけでございます。
 次のお尋ねは、選定罪についてでございます。
 私どもは、名簿の作成が今回の拘束名簿式比例代表制のきわめて重要な点でございますので、本来ならば政党に全部任せてもいいわけでございますけれども、やはり国民の立場から名簿の作成が公正に行われることを担保いたしますために、最小限度の罰則規定を設けたものでございます。とれによって政党に対する干渉ということは私どもは万ないと、かように信じております。
 次に、当選後の議員の離党につきましてのお尋ねでございます。
 拘束名簿式でございますけれども、政党名を書いて投票いたしましても、当選人として国会議員になってまいりますのは自然人である候補者でございます。そして法律的に議員としての身分を取得するわけでございますから、当選後政党の所属を離れることがございましても、議員の身分がそれによって左右されるべきものではない、これが私どもの基本的な考えでございます。
 政党の離合集散の場合につきましても、私は同様に考えてよろしいかと思います。ただ、名簿の取り下げの規定を設けて、繰り上げ補充の対象とはいたさないことにいたしております。
 繰り上げ補充の期間の問題でございますが、これにつきましてはいろいろお考えがございましょうけれども、拘束名簿式は、政党に与えられた議席を維持するという意味合いから考えまして、任期の六年間繰り上げ補充ができるようにいたすことが妥当だと、私どもはかように考えたからでございます。
 次に、国民になじまない政党投票をすることはどうかという趣旨のお尋ねでございました。
 私どもも、この点は十分に今後とも考えてまいらなければならないところであると思っております。確かに、わが国は個人投票本位で、政党投票にはなかなかなじまないという心理が国民の中にあると思います。だんだんと理解は深まってまいると思いますけれども、この点は十分に考え、もしこの法律が成立をいたしましたならば、政党におきましても、あるいは政府におかれましても、この制度の趣旨を国民に徹底させ、そしてこの制度にふさわしい投票が行われますように努めてまいりますことが大事であると、かように考えておる次第でございます。
 次に、わかりやすい選挙制度についてのお尋ねでございますが、投票の方法につきまして私どもが自書式を採用いたしますのは、有権者が投票に当たりまして慎重に考慮して決断するということが適当ではないかということ、また、選挙の管理、執行上の問題もございますので、自書式を採用することがやはり妥当ではなかろうかと、かように考えた次第でございます。
 次に、ドント式を採用いたしますことにつきましてのお尋ねでございます。
 ドント式は、得票数に比例させる方法の一つでございます。私どもは、ドント式は、端数の処理におきまして単純比例式における場合のような矛盾も生じませんし、最も合理的な制度であり、日本国民として最もわかりやすい制度であると、かように考えて、この制度を採用することといたしたのでございます。
 次に、この選挙制度施行後の参議院のあり方についてのお尋ねでございます。
 私どもも、参議院がチェックの機能を発揮し、また、できるだけ長期的な視野に基づいて国政を審議するということが望ましいということは、十分に考えております。参議院の独自性の発揮には、選挙制度の面からと、先ほどもお答え申し上げましたように、参議院の運営の改善あるいは制度の改善、この両面から目的を達成するように努力をしてまいるべきであろうと、かように考えておる次第でございます。この点、参議院に現在籍を置いております私どもとしては、十分な責任を感じて、そのような努力を払ってまいらなければならないと、かように考えておる次第でございます。
 最後に、修正についてのお尋ねでございますが、私どもは、参議院の委員会等におきましても繰り返しお答えを申し上げましたように、私どもの案が決してベストとは思っておりません。十分に御意見をお聞かせいただき、本案に対しまして衆議院におきまして慎重な御審議を心からお願いをいたしておる次第でございます。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#20
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 中井議員にお答えを申し上げます。
 最初に、公選法の国会審議のあり方についてお尋ねがありましたが、選挙制度の改正につきましては、その性格上、各党間において十分に論議を尽くした上で改善していくことが望ましいと考えておりますが、現行の全国区制は、先ほどから申し上げておりますように、とりわけ早急に解決を迫られている多くの課題を抱えております。また、各党におかれても、その改善策について種々検討されてきた経緯がございますので、現在審議に付されております改正案は、参議院において、各党各会派の間において長時間にわたる論議の末、議決されたものと承知いたしておりますが、衆議院におかれましても、精力的に御審議をいただき、速やかに改善が実現されますよう切望しております。
 次に、政党法について御意見がありましたが、今日の議会制民主政治のもとにおいて、政党は、国民の前にその政策を提示し、国民の政治的意思の形成に協力するとともに、国民の間に存在するさまざまの政治的意思を国会に反映するというきわめて重要な機能を有しており、わが国の政党も、それなりに十分その機能を果たしてきていると思います。
 政党本位の選挙の導入に当たって、政党法の制定に関する御論議があることは承知いたしておりますが、今回の改正案は、これまで各方面から特に批判の多かった全国区制の問題をまず取り上げて、政党本位の方向でその抜本的見直しを行おうとするものであり、当面その実施のために必要な政党等に関する最小限の規定を改正案に盛り込んでいると承知いたしております。
 御指摘の政党法ということになりますと、議会制民主政治の根幹に触れるきわめて重大な問題でありますだけに、その処理に当たっては、政党制度や選挙制度の基本的なあり方に関連してきますし、慎重に検討しなければならない問題が多いと思いますので、今後各党間で十分御論議を賜りたいと存じます。
 最後に、参議院のあり方、国会の二院制についてどのように考えているのかというお尋ねがございました。
 参議院は、二院制のもとにおける良識の府として、衆議院と相補完して国民の負託にこたえるという重要な機能を有しているものと考えており、国民の期待もまたその点にあると考えておりますが、このような参議院の本来の役割りを十分に果たすためには、選挙制度の面では、長年各方面から指摘されてきた弊害を除去するとともに、衆議院に対する独自性をも発揮し得るような選挙制度を採用する必要があり、今回の改正案も、そのような立場に立って提案されたものと承知いたしております。
 もちろん、参議院本来の機能を十分に発揮するためには、選挙制度面だけでなく、運営面における改善も不可欠であると思いますし、先般来、参議院御自身において種々検討を重ねられた御努力を多とするものであります。選挙制度面の改善と運営面の改善と相まって、参議院の独自性が発揮されることを念願いたしております。
 残余の点につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣世耕政隆君登壇〕
#21
○国務大臣(世耕政隆君) お答えいたします。
 一番最初に、衆参両院の定数是正のための法安を早急に出すかどうか、こういう御質問でございました。
 定数問題については、選挙制度上きわめて重要な問題であると存じております。ただ、この問題は選挙制度の根本にかかわるものでございまして、これまでも各党間の合意に基づいて是正が行われてきているところでございます。今後とも客党間において十分論議を尽くしていただきたいと存ずるのであります。その合意に基づいて改善していくことが最も民主的であり、かつ現実的な方法であると存じております。自治省といたしましても、その動向を見きわめながら検討を進めてまいりたいと存じております。
 次に、改正案が成立した場合に、自治大臣及び国家公安委員長として、選挙運動等のルールの変更について、各方面にどのような周知徹底をするかという意味のお尋ねがございました。
 改正案は、現行の参議院全国区制の抱える種々の弊害を抜本的に解消するために、個人中心から政党を中心とする選挙法を行う仕組みに転換しようとしているものでございまして、改正案が成立した場合には、その仕組みなり選挙運動のルールについて、国会における御論議の趣旨を十分踏まえながら、関係各方面に十分周知徹底いたしまして、これまで同様に厳正公正な取り締まりを行いながら、選挙が円滑に行われるよう万全を期してまいりたいと存じております。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(福田一君) 安藤巌君。
    〔安藤巌君登壇〕
#23
○安藤巖君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 まず、私は、今回の九州の豪雨災害の被災者の方々に心からお見舞いを申し上げ、総理が万全の措置をとられることを強く要求をして、質問に入ります。(拍手)
 最初に総理に伺いたいのは、今国会の重大な緊急課題は何かということであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
 私は、いま国民がこの国会に期待している最も重大な課題は、平和、核軍縮への努力とともに、ロッキード事件にかかわる政治家の政治的道義的責任の追及であると考えます。(拍手)その真相を解明し、責任を明らかにすることは、衆参両院の本会議決議、全政党の党首会談の所産である両院議長見解などを通じて、すべての党派の一致して確認したところでありました。国会は、いま灰色政治家の証人喚問、有罪議員に対する辞職勧告決議案こそ真っ先に取り上げなければなりません。これを事実上、棚上げしたまま、党利党略的な公選法の審議だけを強行に次ぐ強行で進めるというととは、議会制民主主義の根幹を揺るがし、国民の期待を全く裏切るものではありませんか。自民党総裁としての明確な答弁を求めます。
 灰色政治家の証人喚問について、自民党は、いまなお議院証言法の改定を前提にしています。しかも、各党ですでに二年前に合意した六項目以外の点に固執し、新しい問題点も追加しています。自民党のこの態度が改まらない限り、今国会での証言法改定も証人喚問も不可能であります。
 総理、この態度を改める考えはありませんか。わが党が最初から主張し、参議院では野党各党がそろって主張したように、現行法で証人喚問を行うべきではありませんか。三木、福田両元総理も、現行法でも証人喚問できると述べていることも考えあわせ、自民党総裁としてはっきりお答えください。
 発議者並びに総理は、本法案が金のかからない選挙を目指したものであるかのように宣伝をしています。しかし、金権腐敗選挙として世論の批判を浴びているのは、自民党自身ではありませんか。現に、ロッキード被告人であり、田中角榮議員の秘書であった榎本敏夫は、検事調書で、この献金は、自民党が来るべき参議院選挙を有利に戦うため、党の政治活動費として、党の総裁としての田中先生が献金を受けるものだという認識であったと供述しています。これは外国の団体から政治活動に関する寄附を受けてはならないとする政治資金規正法に違反すると思いますが、自治大臣の答弁を求めます。
 清潔で金のかからない選挙をと言うのであれば、このような金権体質をみずから一掃することこそ必要ではありませんか。総理の答弁を求めるものであります。
 次に、本法案の参議院における審議の経過についてであります。
 参議院公選法特別委員会における単独強行採決は、前例のない違法なものであります。委員長は、理事会の途中で突然委員会室に飛び込み、委員会の定足数も満たされないまま開会するという違法を犯し、その上、次の質疑予定者である車いすの前島議員が物理的に入場も着席もできない状態であるのを知りながら、同議員に質疑を促す指名をし、発言なきものとして質疑権を奪い、さらに、自民党案に対する討論を省略して採決を強行したのであります。これは明らかに議会制民主主義の乱暴な侵害であり、まさにわが国会史上に重大な汚点を残したものであります。総理は、このような違法、異例の採決を一体どのように考えるのか、承りたい。
 総理、あなたは、選挙制度については各党間で十分な審議を尽くし、結論を出すべきものと再三述べてきました。本法案の参議院審議において、わが党は独自の案を提出し、審議日程についても各党の話し合いがなされていたのであります。ところが、一事不再議の原則を逆用したこの強行採決で、わが党案の審議を封じ込めてしまったのであります。このような不当なことは断じて許されません。
 総理、あなたは自民党の総裁として、本院においては十分審議を尽くし、強行採決は絶対行わないと約束するかどうか、はっきりとお答えください。次に、本院にとって重大な問題は、議会制民主主義を乱暴に踏みにじった参議院委員会での強行採決問題を収拾するとしてなされた参議院議長の議長所信なるものについてであります。この所信は、いまだ成立もしていない本法案をすでに成立したかのように扱い、昭和六十一年の参議院通常選挙終了後に必要により本制度に検討を加えるものとするとしております。これは明らかに衆議院の審議権を無視したものであり、また、この法案が手直しの必要な欠陥法案であることを認めた上、法案の中身にまで立ち入るという二重の越権行為であります。(拍手)当然のことながら、本院においてこの所信に何ら拘束されず審議が自由かつ慎重に行われるべきものと考えますが、発議者並びに総理の明確な答弁を求めるものであります。
 次に、改正案の内容について伺います。
 選挙制度は、憲法の民主的精神に沿ったものであると同時に、主権在民の原則を踏まえ、基本的人権を尊重し、国民の意思を議席に正確に反映し得るものでなければならないことは言うまでもありません。
 わが党は、戦後一貫して、選挙制度の民主的改革の方向として比例代表制の採用を主張してまいりました。この制度こそ、主権者である国民の選択を議席に正確に反映し得る制度と考えるからであります。
 わが党は、この立場に立ち、参議院において独自の改正案を提出したのであります。わが党の案は、憲法が規定する国民主権と基本的人権尊重の原則に基づき、国民の意思の公正な反映を目指す比例代表制本来の目的を正しく実現することを最大の眼目として、拘束名簿式比例代表制を全国区制に採用するものでありますが、同時に、一切の政党規制を設けず、無所属の立候補をも保障しようとするものであります。
 ところが、本法案は、候補者名簿を提出できる政党等について厳しい資格要件を設けているのであります。これは、政党に属さない者から被選挙権を奪い取るものであり、これまで参議院で少なからぬ役割りを果たしてきた無党派議員を制度的に一掃しようとするファッショ的暴挙であり、法律で信条などによって国民の選挙権、被選挙権を差別することができないとする憲法第四十四条に明らかに違反するものであります。
 発議者は、この明白な憲法違反の内容を公共の福祉論によって言い逃れようとしています。しかし、憲法第十三条は、国民の権利について「公共の福祉に反しない限り、立法その他の國政の上で、最大の尊重を必要とする。」と定めているのであって、公共の福祉さえ持ち出せば基本的人権の制限が許されるなどというのは、幾らでも基本的人権を抑圧できるきわめて危険な憲法解釈であり、国民の基本的人権にかかわる事柄であります。発議者並びに総理の明確な答弁を求めるものであります。
 さらに発議者は、参議院における答弁で、「選挙権はいわゆる基本的人権ではありません。わが国の過去を見ましても、婦人には参政権が与えられておりませんでした。また、納税資格が選挙権の要件であったこともございます。」と述べています。およそ国民の基本的人権を認めなかった明治憲法下の考えをそのまま現在の選挙制度に適用しようとする恐るべき時代錯誤の議論と言わざるを得ないではありませんか。憲法第四十四条は、そのただし書きで、法律によっても信条や性別、財産または収入等によって選挙資格を差別できないとしています。憲法第十五条は、選挙権は国民の基本的人権であることを明らかにしています。発議者並びに総理の見解を求めます。
 次に、政党本位の選挙制度である以上、政党の選挙活動を最大限に保障すべきであります。戸別訪問の禁止を初め言論統制、確認団体制度など、選挙活動や選挙時の政治活動をがんじがらめに規制した現行公選法の抜本的な検討が必要であります。
 わが党の改正案は、この立場に立ちつつ、当然の措置として、現行全国区での候補者の選挙運動の態様と規模を政党の選挙活動として保障することを基本としております。
 ところが、本法案は、全国区での選挙運動を選挙公報や政見放送など、ごく限られた公営の枠内に閉じ込め、従来候補者に認められていた選挙用自動車、拡声機、ポスター、はがき、ビラ、個人演説会の開催などを全面的に禁止する大改悪を行っております。政党本位の選挙を口実に現行の運動を禁止したりすることは絶対に許されません。
 本法案の規制は、一九七五年、八一年と相次いで強行された選挙中の機関紙号外規制、機関紙宣伝車と政策宣伝のための拡声機の使用禁止など言論規制を中心とする公選法改悪に続き、現行のべからず選挙法に新たに重大な改悪を持ち込むものであり、国民の知る権利を奪い、一層暗やみ選挙に追い込むものであります。(拍手)
 これでは、政党本位の選挙だと言いながら、国民は政党の政策、主張をほとんど知らされないまま投票しなければならないことになるではありませんか。発議者の答弁を求めます。
 さらに私は、本法案の作成、提出に当たって、自民党が党利党略の立場に立っていることを指摘したいのであります。
 当初、自民党は、無所属候補を認めた案を決定していたのであります。ところが、わが党が入手した文書によれば、本法案づくりの過程で、個人本位の選挙運動を政党本位に切りかえて選挙に勝てるかどうかが制度改正のキーポイントであると強調し、無所属締め出しの政党要件や全国区での選挙運動をほとんど全面的に禁止し、自民党に有利な選挙にするという党利党略を貫くものにしたことが明らかであります。選挙制度の改定をこのような党利党略で行ってよいと考えているのか。発議者並びに総理の明確な答弁を求めるものであります。
 最後に、今回の全国区制改悪を入り口として、最終目標は衆議院への小選挙区制導入だという議論が自民党の中で行われております。現に、自民党の選挙制度調査会は、衆議院小選挙区制の検討など選挙制度の全般的改悪の作業を新たに開始しているではありませんか。
 総理、この際、小選挙区制導入は絶対にしないと約束できますか。総理の明快な答弁を求めるものであります。
 わが党は、改悪案成立阻止に全力を挙げ、選挙制度の民主化と議会制民主主義擁護を目指して闘うことを表明して、私の質問を終わるものであります。(拍手)
    〔参議院議員金丸三郎君登壇〕
#24
○参議院議員(金丸三郎君) お答えを申し上げますが、先ほどの中井議員の御質問に対する答弁漏れがございましたので、冒頭にお答えを申し上げさせていただきます。
 政党本位の選挙におきまする選挙運動、政治活動の問題でございます。
 この法律案におきましては、政党の日常活動につきましては何ら制限をいたしておりません。ただ、選挙運動と政治活動との関係は微妙な問題でございますので、今後委員会等におきまして十分な御審議をいただき、御理解をいただきたいと存じておる次第でございます。
 次に、安藤議員の御質問にお答えを申し上げます。
 第一は、参議院におきます審議のあり方についてのお尋ねでございます。
 この点につきましても、先ほどもお答えを申し上げたところでございますが、私どもといたしましては、公述人の意見を聴取いたしますとか、公聴会を開きますとか、十分に審議は尽くしていただいたつもりでございますけれども、自民党の単独で採決をいたすようなことになった次第でございます。私どもも、できるだけ、選挙法でございますので、各党の御理解をいただきたいと、かように念願をいたしておりました。衆議院におきましては、ぜひ慎重に御審議をくださいますようにお願いを申し上げる次第でございます。
 次に、本法案のいわゆる政党要件について憲法違反ではないかという趣旨のお尋ねでございます。
 この点につきましても、先ほど来再々お答えを申し上げたように存じます。私どもは、憲法の十四条でございますとか、あるいは二十一条でございますとか、関係の規定がございますが、選挙権、被選挙権に関する規定としては、憲法第十五条の第一項が基本的な規定だと考えており、また通説もそのように考えております。ただ、十五条の第一項を私どもは国民の重要なる基本的参政権であるとは考えますけれども、自然権的な超国家的な権利を規定したものではないと考えております。これがまた、私どもはわが国における通説であると思います。この基本規定を受けて、選挙人の資格あるいは被選挙人の資格、投票の方法等は、憲法の四十七条及び四十四条で法律をもって規定すると規定されておるわけでございます。私どもは、十五条を根拠としつつ、具体的な選挙権の問題、あるいは立候補の問題、そういうものは法律によって規定されることが憲法上容認されておるのである、こういうような基本の考えでございます。したがいまして、政党要件については、先ほど申し上げましたように、これが合理的なわが国の政党選挙の基礎になりますものであり、名簿式の比例代表制によりまして、現在の参議院の全国区の制度の持っております弊害を除去するのであれば、私どもは、合理的な制度として憲法が許容するところであり、個人の立候補が制約をされることになりましても、憲法が合理的として認める制約にほかならない、かように考える次第でございます。
 次に、今回の私どもの法律案が党利党略ではないかという趣旨の御質問でございます。
 私どもは、ほぼ十年ほど党内でも検討いたしてまいった案でございまして、私どもが十分に検討を重ねました結果、また比例代表制というのは、大政党といわず少数政党といわず、国民の支持を正確に議席に反映させる制度でございますので、私どもが提案をいたしますことが決して党利党略でないということは御理解をいただけるもの、かように存ずる次第でございます。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 安藤議員にお答えをいたします。
 最初に、議員辞職勧告案や証人喚問を棚上げして公選法の審議を強行するのはおかしいとの御意見がありましたが、それらの問題については、先般来、本院議院運営委員会なり議会制度協議会において協議が進められていることは、御承知のとおりであります。棚上げしているという御意見は当たらないと存じます。
 なお、現行の議院証言法のもとで証人喚問をせよとの御意見につきましては、実際問題として、現に議会制度協議会において改正案の成案を得るべく各党間で熱心に論議されている最中でございますので、それを見守ることが適当であると考えております。
 次に、参議院全国区制について、余りにも金がかかり過ぎる、肉体的にも体力の限界を超えるという批判は、程度の差はあっても各党間に共通の認識であるのではないかと思います。今回の改正案も、まさにその点を是正しようとするものであります。
 なお、自由民主党の体質についての御意見は、承っておきます。
 次に、公選法の強行採決をどう考えているのかとのお尋ねがありましたが、国会の審議は、政党間の対立の場であってはならず、また、多数の力で押しまくるということでなく、各党間で論議を尽くし、意見の一致を見ることが望ましい姿であると考えており、これまでも自由民主党は一貫してこのような考え方のもとに国会の運営に当たってきております。今回の公選法改正案につきましては、参議院において十分慎重審議の上可決されたものでありますので、衆議院におかれても、各党の間で十分論議を尽くされ、早急に改正案が成立することを念願いたしております。
 最後に、衆議院の小選挙区制の問題につきましては、選挙のルールづくりの問題として各党間で論議すべきものであると考えておりますが、これまでもお答えしてきたとおり、現時点ではいまだその機が熟していないという認識を持っております。
 残余の点につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣世耕政隆君登壇〕
#26
○国務大臣(世耕政隆君) 安藤議員の御指摘のロッキード事件に関するお尋ねの中で、外国からの政治資金の授受が政治資金規正法に違反するのではないかという御質問をいただいておりました。
 外国人、それから外国法人などから政治献金を受領することは、まず政治資金規正法第二十二条の五の規定によって禁止されておるところでございます。しかしながら、昭和五十年の政治資金規正法の改正前におきましては、選挙に関して受領する寄附についてのみ禁止されているところでございます。この点は御承知のとおりと存じます。
 さらに、御指摘の件につきましては、現在公判中でございますので、自治省としては事実関係について判断する立場にないことを御理解願いたいと存じます。
    ―――――――――――――
#27
○副議長(岡田春夫君) 小杉隆君。
    〔小杉隆君登壇〕
#28
○小杉隆君 私は、新自由クラブ・民主連合を代表して、ただいま議題となっております公職選挙法の一部を改正する法律案について、提出者並びに総理及び関係大臣に質問をいたします。
 本議案については、すでに参議院で、比例代表制と憲法とのかかわり合い、参議院の機能と役割りなど、いわゆる総論的な論議が行われましたし、また本院でも、先ほど来各党から質疑が行われておりますので、私は、観点を変え、できるだけ論点をしぼって質問をしたいと思います。
 第一に、全国区の定数削減と地方区の定数是正についてであります。
 私たちは、行政改革の必要性が叫ばれる中、行政改革の推進に説得力を持つには、国会議員みずからが率先垂範してみずからの姿勢を正すべきだとして、国会議員の定数削減並びに是正、国会議員への行き過ぎた特権の廃止、議会運営の充実と効率化などを提唱してまいりました。
 中でも国会議員の削減については、衆議院は公職選挙法第四条の本則どおり四百七十一人に戻し、四十人削減とする、参議院全国区についても二十人の定数削減を提唱してまいりました。
 今回の参議院選挙制度改正の一環として、選挙の公正を確保するため、地方区の定数の不均衡も是正すべきと考えます。
 五十五年国勢調査によれば、一票の重みは、たとえば神奈川県と鳥取県のように、最大一対五・七三となっております。特に逆転区の問題は深刻であります。すなわち、北海道は人口五百五十七万六千人で定数四であるのに対し、大阪府は人口八百四十七万三千人、愛知県人口は六百二十二万二千人と北海道よりも多いのにかかわらず、定数は三であり、わけても神奈川県に至っては、人口六百九十二万四千人に対し定数はわずか二でしかありません。そのほかにも逆転現象の生じている区は少なくありません。こうした定数の不均衡は、改めて憲法を持ち出すまでもなく不合理であり、早急に是正されなければなりません。
 総理は、この定数削減及び定数是正の問題に関し、一向に熱意が見られないのでありますが、どう対処されるおつもりか、明確にお答えをいただきたい。
 また、自治大臣に対しては、これらの問題に具体的にどう対応し、検討されているのか、明らかにされたいと思います。
 第二に、政党要件の緩和について伺います。
 本改正案での政党及びその他の政治団体の要件は、五人以上の国会議員を有すること、直近の国政選挙で四%以上の得票を得たこと、十人以上の候補者を有することのいずれか一つに該当する政党などとなっております。
 このような政党の要件は、実態としては、少数会派や無所属候補などを明らかに規制するものであり、憲法十四条における法のもとの平等、同四十四条による選挙人資格の差別禁止の定めにも違反するおそれがあります。国民意識が多様化し、多党化の傾向にある今日、政党要件を緩和すべきと思いますが、どのようにお考えになっておられるか、承りたいのであります。
 第三は、投票方式についてであります。
 改正案では、投票用紙に政党などの名称を自書すると定めておりますが、このような投票形態を採用すると、大量の疑問票や無効票が予想されます。また、たとえば「民主党」「自由党」「社民党」など、紛らわしい名称の政党が出ないという保証もありません。これらの事態に対応して、あらかじめ政党名、政治団体名を印刷した投票用紙にマル・バツをつける方式に変えるべきだと考えますが、その点いかがお考えですか、御所見を伺います。
 第四は、議席の比例配分方式であります。
 本改正案ではドント方式を採用しておりますが、西欧各国の実情を見るまでもなく、明らかに大政党有利の党略としか考えられません。どのような根拠でドント方式を採用したのか。
 また、西欧各国で主流をなしている修正サン・ラグ方式、ヘアー方式などについても検討されたのかどうか、検討したとすればどんな見解をお持ちなのか、明らかにしていただきたい。
 第五は、供託金についてであります。
 本案では、売名候補や泡沫候補を抑えるため、さらに、物価上昇にスライドさせて一律二倍に引き上げるとして、全国区四百万円、地方区二百万円としておりますが、いままでの個人本位の選挙から政党本位の選挙に移行するというならば、個人の供託金はゼロであってもいいのではないでしょうか。また、全国区がなぜ地方区の二倍になるのかも不可解であります。高額の供託金を課することは、財産や収入によって差別してはならないという憲法四十四条から考えても疑問であります。さらに、選挙の公営化拡大という時代の趨勢からも逆行する考えではないでしょうか。
 以上の点についても、どのようにお考えか、明らかにしていただきたい。
 最後に、参議院において自民党が行った民主主義をじゅうりんする強行採決は、断じて許すまじき行為であります。民主政治のルールをつくる選挙制度の改正であることを十分認識して、各党の意見にも幅広く耳を傾け、慎重で十二分の審議を尽くすべきと考えます。
 特に今回の改正は、いわば初体験の拘束名簿式比例代表制という制度であるだけに、提出者も十分検討した上での提案と言っておりますが、まだまだ検討の余地は十分にあり得ますし、参議院でも、その審議経過を見ると、各論についてとことん論議を尽くしたとは考えられません。これからの衆議院の審議の中で、修正すべき点が多々出てくることが予想されます。こうした修正の具体的な提案や建設的な意見に対して、謙虚に耳を傾け、修正に応ずる心構えを持つべきであると考えますが、先ほど来の答弁によりますと、修正に含みを持たせた答弁が行われております。残された二十五日間の衆議院の会期の中で、具体的に修正に応ずる用意があるのかどうか、あるいは今回は修正案を審議をして、来期成立をさせるというもくろみであるのか、具体的なスケジュールについて、腹構えについてお答えをいただきたいと思います。
 以上をもちまして私の質問を終わります。(拍手)
    〔参議院議員金丸三郎君登壇〕
#29
○参議院議員(金丸三郎君) 先ほど安藤議員の御質問に答弁漏れがございまして、申しわけございませんでした。
 選挙運動の制限が憲法違反ではないかという趣旨のお尋ねでございます。
 比例代表選挙におきましても、選挙の公正を確保する必要があることは申すまでもございません。政党の行います日常の政治活動は、先ほどもお答え申し上げましたように自由なわけでございます。本案で認めております選挙運動がそれに加わるわけでございます。今後政党本位の選挙運動になるといたしますというと、平素政治活動として各党の活動は自由にできるわけでございますので、選挙に際しまして、選挙の公正を確保するためのある程度の制限をいたしましても、これが憲法に違反するようなことには私どもは万ならない、かように考えておる次第でございます。
 次に、小杉議員の御質問にお答えを申し上げます。
 第一点は、政党要件の緩和の点でございます。
 私どもが提案をいたしております政党要件につきましては、先ほどその根拠を私より御説明を申し上げました。私どもは、これに対しまする社会党のお考えにつきましては十分に傾聴いたす点がある、かように考え、これは参議院でもしばしばそのようにお答えを申し上げたところでございますが、衆議院においてせっかく御審議中でございますので、十分な御審議をいただきたい、かように考えておる次第でございます。
 第二点は、投票方式でございます。いわゆる記号式の投票をとった方が現在の自書式よりもいいのではないかという趣旨のお尋ねでございます。
 この点につきましても、先ほど私どもの考えを申し上げたのでございますが、私どもは、政党が候補者を選びまして、そして数十名の各党の候補者に恐らくなろうと思います。有権者は、政党の政策を見、聞き、また、政党が国民に対しまして提示いたしております候補者を見て、どの党に入れるかの判断、決意をなさることになろうかと思います。私どもは、有権者が慎重に考慮していずれの党に投票するか決意なさるためには、記号式よりも自書式の方がベターではなかろうか、こういうように考えておるわけでございます。また、記号式にいたしますと、名簿を届け出る政党の数がどのくらいになるかわかりませんけれども、投票用紙の作成でございますとか、いろいろと選挙事務の管理上の問題もあるわけでございます。そういう点も勘案をいたしまして現行の自書式の方がよかろう、このような結論に到達いたした次第でございます。
 次に、議席の配分の方法でございます。
 これは御承知のように、いろいろな方法がたくさんあるわけでございます。私どもは、比例代表の議席配分の方法は、結局は端数の処理をいかにするか、その方法によっていろいろな方式が生まれておるわけでございますが、ドント式は、先ほども御説明を申し上げましたように、一議席当たりの支持者の多寡によりまして議席を配分するのに最も合理的であり、かつ正確である、このように考えております。また、八千数百万の有権者が日本はあるわけでございまして、有権者の立場から見ましても、これが最もわかりやすい比例配分の方法であると考えます。
 サン・ラグ方式や修正サン・ラグ方式は、このドント式の合理性は認めつつ、意図的に少数政党に有利となるように考案された方式でございます。私どもは、これがヨーロッパの主流とは考えておりません。デンマークとかスウェーデンとかノルウェーとか、いわゆる北欧の三カ国に採用されておる制度でございます。わが国の実情から考えますというと、やはりドント式の方が一番妥当ではなかろうか、かように考えたのでございます。
 次に、供託金についてのお尋ねでございます。
 供託金は、現在までほぼ五年ごとに引き上げてまいっております。今回の場合も、前回五十年の改正の考え方に立ちまして、物価上昇等諸般の実情を考慮し、二倍に引き上げることにいたしております。これは国会議員の選挙のみならず、地方の選挙につきましても同様に引き上げることにいたしておるわけでございます。
 なお、全国区と地方区の供託金は、昭和三十一年以降全国区は地方区の二倍になっておりますので、比例代表の今回の制度につきましても、この差を踏襲することが適当と考えた次第でございます。比例代表の選挙では、供託金は政党がもちろん払うことになるわけでございます。しかし、供託金という制度は、やはり乱立候補の防止ということが一つの目標でございますので、政党が候補者を立てることにいたしましても、やはり野方図な名簿への登載を避けるという意味で、供託金の制度を設けた方が適当ではなかろうか。また、諸外国には選挙公営という制度は余りございません。その負担ということも供託金という制度の中に私どもは含めて考えてよかろうと思っておるのでございます。
 このような趣旨から、政党本位の選挙制度、拘束名簿式の比例代表の選挙制度ということにいたしておりますけれども、やはり政党が供託金を供託するという制度をとりますことが妥当であろう、こういうふうに考えた次第でございます。
 なお、今後の衆議院におきます審議あるいは採決等についてのお尋ねでございますが、衆議院におきます日程の許します限り慎重に御審議に相なりまして、法案について長短等もよく御吟味くださいまして、私どもとしては、一日も早く御賛成をいただきたい、かように思っておる次第でございます。(拍手)
    〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇〕
#30
○内閣総理大臣(鈴木善幸君) 小杉議員にお答えをいたします。
 御指摘のございました参議院の定数問題につきましては、選挙制度上きわめて重要な問題であると認識いたしております。また、この問題をめぐって新自由クラブでは前々から議員定数の削減を提唱されてきていることも承知いたしておりますが、事柄は参議院の構成そのものにかかわる問題でありますだけに、選挙の基本的なルールづくりの問題として各党間でさらに論議を尽くしていただき、その動向を見きわめながら結論を出すべきものであると考えております。
 この問題につきましては、なお自治大臣からも御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣世耕政隆君登壇〕
#31
○国務大臣(世耕政隆君) お答えいたします。
 地方区の定数是正についてのお尋ねでございますが、御指摘の参議院地方区の定数問題につきましては十分な関心を持っているところでございます。また、御指摘の逆転現象もきわめてゆゆしい問題と考えております。
 ただ、この問題は、ただいま総理からお答えがございましたように、総定数をどうするかという問題のほかに、地方区の持っている地域代表的な性格、さらに、半数改選制といった特殊な事情をどのように考えるかといった基本的な問題との関連を十分考慮してかかりませんと、なかなか解決がつかないところであろうと思います。
 そこで、各党間でさらに論議を尽くしていただきまして、自治省としても、その動向を見きわめた上で検討を進めてまいりたいと考えておる所存でございます。(拍手)
#32
○副議長(岡田春夫君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#33
○副議長(岡田春夫君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十二分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  鈴木 善幸君
        自 治 大 臣 世耕 政隆君
 出席参議院議員
                金丸 三郎君
                松浦  功君
 出席政府委員
        自治省行政局長 大林 勝臣君
        参議院法制局長 浅野 一郎君
        参議院法制局第
        二部長     三宅 将夫君
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ソース: 国立国会図書館
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