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#1
第096回国会 本会議 第33号
昭和五十七年八月十八日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三十七号
  昭和五十七年八月十八日
    午後二時開議
 第一 厚生省設置法の一部を改正する法律案(
    内閣提出)
 第二 民事訴訟法及び民事調停法の一部を改正
    する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第三 行政書士法の一部を改正する法律案(地
    方行政委員長提出)
 第四 公職選挙法の一部を改正する法律案(参
    議院提出、第九十五回国会参法第一号)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 鈴木内閣不信任決議案(竹入義勝君外三名提
  出)
 日程第一 厚生省設置法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 日程第二 民事訴訟法及び民事調停法の一部を
  改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第三 行政書士法の一部を改正する法律案
  (地方行政委員長提出)
 日程第四 公職選挙法の一部を改正する法律案
  (参議院提出、第九十五回国会参法第一号)
 天災による被害農林漁業者等に対する資金の融
  通に関する暫定措置法及び激甚(じん)災害
  に対処するための特別の財政援助等に関する
  法律の一部を改正する法律案(災害対策特別
  委員長提出)
 国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの
  件
 電波監理審議会委員任命につき同意を求めるの
  件
    午後二時三分開議
#2
○議長(福田一君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○小里貞利君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、竹入義勝君外三名提出、鈴木内閣不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略して、この際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。(退場する者あり)
#4
○議長(福田一君) 小里貞利君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 鈴木内閣不信任決議案(竹入義勝君外三名提出)
#6
○議長(福田一君) 鈴木内閣不信任決議案を議題といたします。
 提出者の趣旨弁明を許します。竹入義勝君。
    ―――――――――――――
 鈴木内閣不信任決議案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔竹入義勝君登壇〕
#7
○竹入義勝君 私は、公明党・国民会議及び日本共産党を代表し、ただいま議題となりました鈴木内閣不信任決議案の趣旨説明をいたします。(拍手)
 まず、決議案文を朗読いたします。
  本院は、鈴木内閣を信任せず。
  右決議する。
    〔拍手〕
 私は、本年一月、鈴木総理の施政方針演説に対し代表質問を行い、特に政治の浄化、政治倫理の確立を要求し、総理みずからが執念を燃やしている参議院全国区拘束名簿式比例代表制導入の違憲性、党利党略的立法の不当性を指摘し、重大な警告をいたしました。
 また、米国の軍事力肩がわりをわが国に求める防衛力増強の道をとることに断固反対し、GNPに対する軍事支出の比率を現在以上高めるよりは、発展途上国を初め、近隣諸国に対し政府開発援助の増大、技術協力、市場開放、その他平和的手段で貢献できる分野に日本は格段の努力をし、平和な国際環境を構築することを内閣の方針として内外に表明すべきである。厳しい財政事情の中で防衛予算の伸び率を突出させることが軍事力増強路線を強く印象づけ、国民に不安と政治に対する不信感を高めている。五六中業の実施等により、政府方針としてきた防衛費のGNP一彩以内とする歯どめを突破することはもはや時間の問題である。したがって、一般会計の伸び率を超える部分については、政府がみずから削減することを強く要求したのであります。
 一方、政府の経済見通しの甘さと経済運営の無策を指摘し、とりわけ個人消費の喚起と財政負担の公平化が、内需拡大による景気回復と行財政改革による財政再建を同時に遂行する基本的要件であることから、所得税、住民税を合わせて一兆円規模となる減税実施の英断を強く総理に求めたのであります。しかしながら、国民世論を背景にわれわれが誠意を尽くしたこれらの要求は、ことごとく退けられたのであります。
 こうした中で、参議院全国区拘束名簿式比例代表制導入の公選法改正案の成立を目的として、政府・自民党が九十四日間の長期異例の会期延長を行い、社会党が政治倫理確立など重要課題よりも参議院全国区制改悪を党略的立場から優先させ、同法案のため結果として自民党に手をかしたことは、国民周知のことであります。(拍手)野党第一党の責任は一体いずれに行ってしまったのか、まことに理解に苦しむところであります。
 しかも、この間、三公社五現業労働者賃上げ仲裁裁定議決案件も審議に至らず、人事院勧告の完全実施も予測しがたい状況となっているのであります。のみならず、防衛力増強路線、教科書改ざん問題、総理、閣僚の靖国神社への公式参拝等が、自民党の改憲画策とともに着々と右傾化路線の構築が進められております。
 以下、鈴木内閣を信任しない理由について具体的に述べるものであります。
 第一に、今国会の最重要課題の一つは、六・八判決が改めて提起したロッキード疑獄の真相解明と構造汚職の根絶など、政治倫理の確立であります。にもかかわらず、鈴木内閣は、証人喚問、佐藤孝行議員辞職勧告決議の実現などに対し、その真相解明を恐れ、きわめて消極的姿勢に終始して国民の期待を裏切ったことであります。
 御存じのとおり、ロッキード判決は、政治家二被告に対する検察側の起訴事実を全面的に認め、金銭の授受、請託の存在とともに、ロッキード資金の賄賂性を明確にし、有罪判決を下しました。確かに、六・八判決は、政治家二被告に対する判決であります。しかしながら、その持つ意味は、政治に携わる者すべてに強烈な反省を促しました。
 鈴木総理、あなたは政権政党の総裁として、この判決を最も真摯に受けとめなければならない立場にあることは言うまでもありません。
 鈴木総理、あなたは就任直後の所信表明演説で、政治倫理の確立と綱紀の粛正を公約されながら、その後、この公約実行のために何ら前向きな姿勢を示してこられなかったではありませんか。国民の多くは、これまであなたの後ろ向き姿勢に失望しつつも、今度こそはと期待をつないだのは当然であります。
 ところが、鈴木総理は、今回もまた国民の切なる要望と期待を完全に裏切ったのであります。すなわち、真相究明のための証人喚問を回避するために、議院証言法の改正というハードルを設けた上、この議院証言法改正を阻むため、われわれがとうてい認めることのできない国政調査権や国民の知る権利を制約する改悪条項を新たに持ち出し、時間切れを待って意図的に改正作業をおくれさせたのであります。
 こうした過程の中で、野党が一致して提出した佐藤孝行議員の辞職勧告決議案さえも葬り去ろうとしている意図さえ見えるのであります。発言とはうらはらに、証人喚問についてきわめて消極的態度をとり続けた鈴木総理の姿勢は、国民に背を向けた許しがたいロッキード隠しそのものであり、断じてこれを容認することはできないのであります。(拍手)これはまさに政治倫理確立の公約に真っ向から違反するものであります。
 第二は、経済、財政運営に失敗し、多大な歳入欠陥を生じさせ、増税なき財政再建、五十九年度赤字国債ゼロの公約を事実上不可能に陥れていることであります。この鈴木内閣の責任は重大であります。
 昭和五十六年度の歳入欠陥は二兆五千億円の巨額に上りました。本年度の税収不足もそれを上回ることは必至の情勢であり、もはや五十九年度赤字国債発行ゼロは画餅に帰したのであります。
 財政再建の名のもとに福祉を後退させ、社会保障負担の増大など、国民大衆にその負担を押しつけ、国民生活に多くの犠牲を強いる一方、内需拡大に対しては何ら政策努力をせず、いまだ財政再建のめどすらつかない鈴木内閣には、財政再建を論ずる資格さえないと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 第三は、国民的要求である大幅所得減税を拒否し、消費不況に対する対策を何ら講ぜず、不況を長引かせ、いたずらに国民の不安を増大させ、しかも課税の不公平を拡大させていることであります。
 政府は、五十六年度当初において、内需主導の景気回復を公約し、実質経済成長率五・三%の達成を掲げたのであります。われわれは、こうした見通しが全くの希望的観測であることを指摘し、内需主導の回復を実現するには大幅所得減税を断行し、消費不況を打開するよう鈴木総理の英断を訴えたのであります。
 ところが、鈴木内閣は、われわれの主張に耳を傾けるどころか、昨年五月には景気底離れ宣言をし、みずからその見通しの甘さを示したのであります。果たして五十六年度の実質経済成長率は二・七%にとどまり、不況は一層深刻化の様相を呈しつつあることは周知のとおりであります。歳入欠陥は、不況の長期化によってもたらされたものであることは言うまでもありません。五十六年度にこのような失敗をしながら鈴木内閣は、五十七年度も国民的要求である大幅所得税減税を再び拒否する硬直的態度を繰り返し、とりわけ勤労大衆の実質増税による増収を図ったのであります。
 景気の停滞はいまや看過できない状態にあり、中小企業の倒産は増加の一途をたどり、雇用情勢も一層厳しさを増しております。大幅所得税減税を拒否し、不況を長期化させている鈴木内閣の政治責任を国民にかわって糾弾するものであります。(拍手)
 さらに鈴木内閣は、公選法改悪法案の成立に狂奔し、延長国会の重要な課題である仲裁裁定と人事院勧告の完全実施について今国会の議決を見送ってしまったのであります。このような行為は、現行法で保障されている労働者の権利に対する侵害であり、断じて容認できるものではありません。(拍手)
 第四は、教科書検定問題、防衛力増強政策、靖国神社の事実上の公式参拝問題などに見られる鈴木内閣の目に余る右傾化であります。
 中国、韓国を初めとする東南アジア諸国から厳しい批判にさらされている教科書検定問題は、歴史的事実を歪曲し、かつての軍国主義の侵略行為を正当化しようとするものと言わざるを得ません。(拍手)平和憲法のもとにあってわが国は、過去の過ちは過ちとして、事実は事実として認め、その反省の上に立って世界平和に寄与すべきであり、同時にそれを後代に正確に引き継いでいくことが世界各国の信頼と友好を確立する道であります。
 また、防衛予算の異常突出に見られる防衛力増強政策は、いまや看過できないところまで来ていると言わざるを得ません。総理は、再三にわたって、わが国は平和憲法のもと軍事大国にはならないと言明しております。しかしながら、厳しい財政状況の中にあって防衛予算を聖域化し、防衛費のGNP一%枠さえも形骸化しようとする態度は、防衛力増強政策以外の何物でもなく、この延長線上では憲法第九条の改悪と直結していると考えざるを得ません。
 また、鈴木内閣は、終戦記念日である去る八月十五日、私人の資格を実質的に否定した事実上の靖国神社への公式参拝を行ったのであります。このような行為は、昭和五十五年十一月、政府みずから憲法第二十条第三項との関係で問題があるとした統一見解をなし崩しにし、憲法の精神をじゅうりんするものであり、教科書検定問題、防衛力増強政策と並んで絶対に容認できるものではありません。(拍手)
 第五は、主権を持つ国民の被選挙権、参政権を不当に制約する憲法違反、反民主主義的な公選法改悪を党利党略的発想と多数の論理によって強引に成立を図ろうとしていることであります。
 参議院全国区に拘束名簿式比例代表制を導入しようとする自民党の公選法改正案は、個人の立候補を不可能にし、有権者と候補者の直接的結びつきを否定するばかりではなく、参議院の機能を失わしめ、憲法で規定された二院制そのものを実質的に否定するものであり、憲法上重大な疑義が存在することは、かねてより指摘したとおりであります。われわれは、このような改正案を断じて認めることはできません。
 総理、あなたは、就任の際、選挙制度は各党の大枠の一致が必要と発言されました。選挙制度は、主権在民の民主主義の原則を具体的に保障する制度であり、憲法に次ぐ重要な法律であります。したがって、総理就任当時の見識は、けだし当然なのであります。にもかかわらず、九十四日間という異常な大幅会期延長を行った上、参議院における委員会の強行採決を初め、全く不正常な形でこのような憲法上疑義のある改正案の強引な成立を図ろうとしている態度は、国民主権をじゅうりんするものと断ぜざるを得ず、その暴挙は絶対に認めることはできないのであります。(拍手)
 以上、何点かにわたって明確に指摘したとおり、鈴木内閣の負うべき責任はきわめて重大であります。鈴木内閣は、その責任を明らかにするために、みずから進退を決し、総辞職することが当然と考えるのであります。(拍手)
 同僚諸君の御賛成を願い、鈴木内閣不信任決議案の提案理由の説明を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(福田一君) 討論の通告があります。順次これを許します。谷川和穗君。
    〔谷川和穗君登壇〕
#9
○谷川和穗君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました鈴木内閣不信任決議案に対し、断固反対の討論を行わんとするものであります。
 そもそも内閣に対する不信任案は、実際に政権を担当する能力と気魄に満ちた政党が、内閣に著しい失政のある場合に提案し、これが可決せられれば、みずからもって政権を担当する用意と決意のもとに行われて初めて意義あると考えるのであります。(発言する者あり)
 しかるに、今回の不信任案は、平素全く政治路線において相反する公明、共産両党共同提案のものであって、ごらんください、他の野党の賛同すら得られない、不信任案賛成者は、これを合わせても五十九名という内閣不信任案であります。(発言する者あり)
 そもそも今国会の会期がこれほど長期に会期延長を見たのは、参議院の全国区制の改正にあったことは国民すべての知るところであり、衆議院に付託されてからもすでに四十三時間を超える委員会審議を経て採決され、本会議に上程されようとしているのであって、国会の国政審議権に基づく議員立法の内容に反対だとして内閣を不信任するという今回の公明、共産両党の不信任案提出は、まことに理解に苦しむものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 政治倫理の確立と綱紀の粛正、特に公正で金のかからない選挙制度の実現は、常にわが自由民主党内閣の目指してきたところであります。
 全国区制の改正は、恐らく戦後選挙制度改革の最大のものと存じますが、これを機に選挙運動の規制、選挙の公営化の拡大等、実効ある選挙改革を築き上げ、その中で政治の浄化、選挙の公営化を目指していくことこそ、まことに重要な課題であると考えるのであります。
 わが党のまとめ上げた議院証言法の改正案について申せば、証人や補佐人の人権を守りながら国会の権威を高めようとするものであり、すでに本院において議会制度協議会に提出され、本国会の会期中、幾たびかの審議を経て議長の手元に報告されたのであります。
 司法に属する進行中の裁判は、裁判所の公正な判断に任せるとともに、国会における証言の制度は、国会審議の過程において必要とする真実を求める行為であるがゆえに、与野党が十分話し合って、よりよき制度の確立を図るべきものであって、今後の議会制度のあり方等から考えてみましても、いたずらに内閣に責任を転嫁するなど、まさに議会制度の本質を外れた議論と言わなければならないと思うのであります。(拍手)
 提案理由の第二は、鈴木内閣の財政経済運営についてであります。
 まさにわが国は、いま国債の発行残高九十三兆円を抱え、財政再建の正念場に立ち至っていることは間違いない事実であります。しかしながら、昭和四十八年以降のオイルショックの後の世界一安定した日本経済は、まさにこの財政の出動があったからこそ実現し得たものであり、国民の勤勉さ、世界一を誇る貯蓄性向、生産性の向上によって初めて可能な政策でありますが、わが国経済が二度の石油ショックにもめげず、しかも、物価を抑制しつつ、世界の総生産の十分の一を上げる国家へ成長したことを見れば、私は、わが党政府によるこの財政政策は、断じて間違っていなかったと確信するものであります。(拍手)
 引き続いて、今後わが国が迎える高齢化社会、二十一世紀の、あすの明るい日本を考えて、二度の石油ショックがようやく安定しかかったこの機をとらえて、一気に財政の再建を図れという国民的コンセンサスに基づき打ち出された政策が財政再建の政策であるのであります。
 第三の理由として、所得税減税を行わなかったことをもって、景気の停滞と不況の原因と断定しているのでありますが、現在の国民所得に対する租税負担プラス社会保障負担比率は、欧米先進国と比較してなお比較的低位にあり、国民の公的負担を維持しながら将来の活力ある福祉国家を創造していくことは、これからのわが国の政治課題でありますが、減税について言えば、こうした将来の日本の姿を描きながら、現在、衆議院大蔵委員会において熱心に議論がなされているところであります。
 景気対策について言えば、上期七七・三%の公共事業を執行、続いて下期について、財政金融政策を機動的に展開して民間活力の再生を図り、景気を浮揚させるという内閣の基本姿勢は、すでに公にされておるのであります。
 このたび提案された不信任決議案の内容は、いままでの経緯に触れず、しかも今後の経済運営にそごを来し、かつ、経済の活力をそぐ結果に陥るであろうものが含まれていると存じ、断じて賛成しがたいのであります。
 第四は、教科書問題であります。
 わが国が歴史的、地理的に深い関係を有する近隣諸国と今後とも平和を分かち合い、友好のきずなを確かめつつ繁栄し合っていくことは当然のことと考えるのであります。こうした観点に立って、これらの国々の誤解を解き、批判された点については率直に反省すべきことは当然であります。(発言する者あり)
 故大平総理が日中友好の橋のことをうたい、続いて鈴木総理が、アジア諸国の大公使を通じて、アジアの声をサミットへまで反映しようと努力されたアジア重視の姿勢、ベルサイユ・サミットの帰途、ハワイにおいて行われたアジアの連帯と協調の演説の中のテーゼ、これから推して、鈴木総理が、アジアの一員としての日本、アジアとともに繁栄する日本を念頭に置いて政治を担当しておられることを私は毫も疑いません。(拍手)
 今回の教科書問題は、現内閣のこの姿勢にみじんも揺るぎがない限り、必ず近隣諸国の理解を得て、解決の日が決して遠くはないと確信いたすものであります。
 防衛力の強化や靖国神社参拝をもって右傾化と断じておられますが、自由と民主主義の政治体制のもと、日本民族が毅然としてみずから歩む道を決めることがどうして右傾化なのか、私にはどうしても理解できないのであります。(発言する者あり)
 第五の仲裁裁定、人事院勧告の完全実施についてでありますが、本問題の解決は、今後とも十分話し合いが行われる問題でありまして、関係の委員会などを中心に現に本日も熱心な論議が続けられているではありませんか。
 この問題に関連して申せば、国の財政を再建しようという大命題を掲げ、先般、米価問題の解決で農民に大きな負担をお願いいたしました。すべて公務員は全体の奉仕者であることにかんがみれば、公務員諸君にも苦しみを分かち合おうということを率直に訴えるべきであるという議論があって少しも不思議ではなく、このことは国会において討論さるべき課題であり、内閣不信任の理由としては正鵠を得ない議論と存ずるのであります。
 以上のごとく、本内閣不信任案を検討してまいりますと、本案はまことに理にかなわない、党利党略、矛盾撞着の決議案と断定せざるを得ません。(拍手)圧倒的多数をもって直ちに否決されるのが至当と考え、本不信任案に断固反対の理由を申し述べて、私の討論を終わります。(拍手)
#10
○議長(福田一君) 金子満広君。
    〔金子満広君登壇〕
#11
○金子満広君 私は、日本共産党を代表して、鈴木内閣不信任決議案に対し、賛成の討論を行います。(拍手)
 言うまでもないことでありますが、いまわが国政治に課せられている最大の責務は、金権腐敗政治の徹底的な究明であり、核戦争の阻止と軍縮、国民生活の安定と日本経済の危機の打開であります。
 しかるに、発足以来二年、鈴木政治の実態は、この責務にことごとく背を向け、世紀の疑獄ロッキード事件の真相の隠蔽であり、党利党略に基づく公職選挙法の改悪の強行であり、そしてレーガン戦略に直結した空前の大軍拡、そして国家財政を破局に導く恐るべき歳入の欠陥であります。
 すでにわが党は、この六月二十一日、本院における瀬長副委員長の質問で鈴木内閣の退陣を要求しましたが、いまやこの悪政に対する国民の怒りは、世論調査の結果によっても支持率わずかに三〇%、国民はすでに鈴木内閣に対する不信任を表明しているのであります。(拍手)
 以下、私は具体的に不信任の理由を申し述べます。
 その第一は、成立以来鈴木内閣は、口では綱紀粛正や政治倫理の確立を唱えてきましたが、実際にやってきたのは、自民党政府みずからが、ロッキード事件のその資金の受領者として国会に報告したいわゆる灰色高官について、その政治的道義的責任の追及をことごとく避け、逆に灰色高官の擁護と黒い高官の弁護であり、構造汚職を温存するということでありました。
 特に、鈴木総理は、自民党総裁として、その灰色高官を重要な役職である与党の幹事長に任命したのであります。
 その上、政府・自民党は、六月八日、ロッキード事件全日空ルート判決で、二階堂幹事長の資金受領が明白になったにもかかわらず、その証人喚問をかたくなに拒否しているのであります。しかも、現行議院証言法で証人喚問ができるのに、そして現に過去三十五年間にわたってこの法律によって証人喚問を行ってきたのに、いよいよ問題が核心に迫るや、突如としてその改悪を提起し、これにすべての野党が同調しないなどということを喚問拒否の理由にしていることは言語道断であり、断じて許すことはできないのであります。(拍手)有罪判決を受けた佐藤孝行君の辞職勧告決議案の本会議への上程を拒み、握りつぶすことなども、国民に対するあからさまな挑戦であります。
 不信任に賛成する第二の理由は、鈴木内閣が議会制民主主義をじゅうりんし、憲法改悪をたくらむ恐るべき政権だということであります。
 その最たるものが、鈴木内閣と自民党が今国会の最優先課題として四回にわたる強行採決を繰り返してきた参議院全国区制度の改悪であります。
 本来、民主主義の根幹にかかわる選挙制度の改革は、各党各会派の合意のもとに進められるべきものであり、総理自身がつい先日までこのことを主張していたのであります。いま公職選挙法の改正について言うならば、何よりも参議院地方区及び衆議院選挙区における定数不均衡の是正であり、選挙活動自由の拡大であります。同時に、参議院の全国区制については、主権者である国民の意思が真に民主的に反映する比例代表制の導入であり、一切の差別を排除するということであります。
 ところが、自民党案は、国民の参政権及び法のもとに平等をうたった憲法の大原則に反して、少数政党や無党派の人々から立候補の権利を奪い去るというものであり、政治活動、言論の自由を大きく圧迫するものであります。しかも、そのねらいが自民党の多数議席の確保であり、むき出しの党利党略であることは改めて指摘するまでもないことであります。したがって、わが党は抜本的修正案を提起してまいりましたが、総理は初めから修正を拒否し、本院公選法の特別委員会でも自民党が強引な採決を行ってきたことは、断じて容認できるものではありません。(拍手)
 さらに指摘しなければならない問題は、自民党鈴木総裁のもとで憲法改悪の作業が現に公然と進められているという事実であります。これは歴史の歯車を逆転させ、圧倒的多数の国民の憲法改悪反対の声に敵対するものであり、絶対に許すことはできません。いま内外から厳しい非難にさらされている教科書の書きかえ問題及び靖国神社への閣僚の集団的な参拝も、この憲法改悪のたくらみと軌を一にするものであり、問われているのは鈴木内閣それ自体の政治的な責任であります。
 不信任賛成の第三は、鈴木内閣がレーガン政権の核戦争政策に従い、際限なき軍拡を国民生活の犠牲の上に強行しているということであります。これは日本を限定核戦争に巻き込むという民族の存亡にかかわる重大問題であります。昨年五月鈴木・レーガン会談における日米同盟の合意は、今年度予算における軍事費の異常な突出としてあらわれました。そして、日米共同作戦の強化、さらには五六中業に見られるように総額十六兆円を超える大軍拡計画の強行へと拡大してきているではありませんか。しかも、鈴木内閣は、国会の決議と八千万人署名に示された核兵器の廃絶と核兵器使用禁止への国民の総意を無視して、昨年の秋の国連総会における核不使用決議の反対に引き続いて、先般の軍縮総会においてもこの課題に背く態度をとり続け、さらにアメリカ政府の核先制使用を容認する発言などは、世界唯一の被爆国民としてとうてい許せるものではありません。(拍手)
 不信任の第四の理由は、財政再建の看板を掲げながら財政危機を一層破局に導いてきているということであります。総理は、五十九年度赤字国債脱却に政治生命をかけると幾たびも公言をしてまいりました。しかし、すでに五十六年度の二兆五千億円に続き、五十七年度にはさらに四兆ないし五兆円という歳入欠陥が出ることは不可避であります。この歳入欠陥を生んだ原因が、アメリカ従属、大企業奉仕、勤労者への実質増税、福祉、教育の切り捨てなど、鈴木内閣の経済政策がもたらした消費不況にあることは、いまや覆うべくもない事実であります。(拍手)
 事態は、鈴木内閣が一日長く存在すればするほど国の安全と国民の生活はさらに深刻となり、金権腐敗政治は温存され、政治不信は一層広がるであろうことは明白であります。(拍手)
 総理、あなたがいま国民に奉仕する道はただ一つ、潔くみずから退陣することであります。(拍手)
 最後に、私は、広範な国民の鈴木内閣に対する非難と糾弾の声が高まっているまさにこのとき、同僚議員諸君が党派を超えてこの国民の声に正しく耳を傾け、鈴木内閣不信任決議案に賛成されることを訴えて、私の討論を終わるものであります。(拍手)
#12
○議長(福田一君) これにて討論は終局いたしました。
#13
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#14
○議長(福田一君) 起立少数。よって、鈴木内閣不信任決議案は否決されました。(拍手)
     ――――◇―――――
#15
○議長(福田一君) この際、暫時休憩いたします。
    午後二時四十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時十三分開議
#16
○議長(福田一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 厚生省設置法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
#17
○議長(福田一君) 日程第一、厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長石井一君。
    ―――――――――――――
 厚生省設置法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔石井一君登壇〕
#18
○石井一君 ただいま議題となりました厚生省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案の主な内容は、老人保健対策を総合的に推進するため、公衆衛生局に老人保健部を設置するとともに、医務局次長を廃止しようとするものであります。
 本案は、二月十日本委員会に付託され、八月十日森下厚生大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑に入り、これを終了し、採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#20
○議長(福田一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
    ―――――――――――――
 日程第二 民事訴訟法及び民事調停法の一部
  を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
#21
○議長(福田一君) 日程第二、民事訴訟法及び民事調停法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長羽田野忠文君。
    ―――――――――――――
 民事訴訟法及び民事調停法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔羽田野忠文君登壇〕
#22
○羽田野忠文君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、民事訴訟手続等の適正、円滑な進行を図るため、民事訴訟法等の一部を改正しようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、送達を受けるべき者の住所、居所等が知れないとき、またはその場所において送達をするにつき支障があるときは、送達は、これを受けるべき者の就業場所においてもすることができるものとすること、
 第二に、訴訟が裁判によらずに完結した場合においては、原則として、証人調書等の作成を省略することができるものとすること、
 第三に、判決書の事実摘示欄中に証拠に関する事項を記載するには、訴訟記録中の証拠の標目を引用することができるものとすること、
 第四に、証人の不出頭に対する制裁としての過料及び罰金等民事訴訟法及び民事調停法中の過料及び罰金の多額を相当額に改定すること等であります。
 本案は、参議院先議に係るもので、五月十四日本院に送付されたものであります。
 委員会においては、八月三日提案理由の説明を聴取した後、慎重審査を行い、十日質疑を終了し、去る十三日討論に付したところ、日本共産党から反対の意見が述べられ、次いで採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し、附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#24
○議長(福田一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#25
○議長(福田一君) 日程第三は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 日程第三 行政書士法の一部を改正する法律案(地方行政委員長提出)
#27
○議長(福田一君) 日程第三、行政書士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。地方行政委員長中山利生君。
    ―――――――――――――
 行政書士法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔中山利生君登壇〕
#28
○中山利生君 ただいま議題となりました行政書士法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の趣旨及びその内容の概要を御説明申し上げます。
 本案は、行政書士制度の実情等にかんがみ、その改善を図り、行政書士業務の適正化に資するため、
 第一に、行政書士となる資格が付与されることとなる公務員としての行政事務担当期間を二十年以上とすることといたしております。
 ただし、高等学校を卒業した者等にあっては、その期間を十七年以上とすることといたしております。
 第二に、行政書士試験を国家試験とするとともに、自治大臣は、行政書士試験に関する事務を都道府県知事に委任するものとするほか、行政書士試験に合格した者は、いずれの都道府県においても行政書士となる資格を有するものとすることといたしております。
 第三に、行政書士は、行政書士会に登録されたときに、当然、当該行政書士会の会員となるものとするとともに、行政書士が、他の都道府県の区域内に事務所を移転しようとするときは、登録を移転するものとすることといたしております。
 本案は、昨十七日、地方行政委員会において全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決定いたしたものであります。
 何とぞ、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#29
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 公職選挙法の一部を改正する法律案 (参議院提出、第九十五回国会参法第一
  号)
#31
○議長(福田一君) 日程第四、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。公職選挙法改正に関する調査特別委員長久野忠治君。
    ―――――――――――――
 公職選挙法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔久野忠治君登壇〕
#32
○久野忠治君 ただいま議題となりました参議院提出、公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、公職選挙法改正に関する調査特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、参議院全国選出議員の選挙の現状等にかんがみ、現行の参議院議員の選挙制度を、比例代表選出議員の選挙と選挙区選出議員の選挙から成る参議院議員の選挙制度に改めようとするものであります。
 まず、比例代表選出議員の選挙につきましては、
 第一に、候補者に順位を付して記載した名簿は、五人以上の所属の国会議員を有するか、直近の衆議院議員総選挙または参議院議員通常選挙において、全有効投票の四%以上の得票を得たものであるか、または、十人以上の所属の比例代表選出議員候補者及び選挙区選出議員候補者を有するか、いずれか一つの要件を備えた政党その他の政治団体に限り、届け出ることができるものといたしております。
 第二に、候補者名簿を届け出ようとする政党その他の政治団体は、名簿登載者一人当たり四百万円の額を供託しなければならないものといたしております。
 なお、その他の選挙につきましても、供託金の額を現行の二倍に引き上げることといたしております。
 第三に、投票は、比例代表選出議員の選挙及び選挙区選出議員の選挙ごとに、それぞれ一票を投票するものとし、比例代表選出議員の選挙においては、政党その他の政治団体の名称を記載して行うことといたしております。
 第四に、候補者名簿を届け出た政党その他の政治団体の得票数に比例して、ドント式により、当選人の数を決定し、それぞれの候補者名簿に記載された順位により当選人を定めることといたしております。
 なお、比例代表選出議員に欠員が生じた場合には、その候補者名簿の次順位の者を繰り上げるものといたしております。
 第五に、比例代表選出議員の選挙における選挙運動につきましては、候補者名簿を届け出た政党その他の政治団体が行うものとし、公営による新聞広告、ラジオ及びテレビの政見放送並びに選挙公報による選挙運動を行うものといたしております。
 第六に、候補者名簿を届け出た政党その他の政治団体は、確認団体としての政治活動及び選挙運動を行うことができるものといたしております。
 施行日は公布の日からとし、施行後初めて行われる参議院議員の通常選挙から適用することといたしております。
 以上が比例代表選出議員の選挙制度の概要でありますが、選挙区選出議員の選挙につきましては、現行の地方区の選挙の例によるものといたしております。
 本案は、去る七月十六日に参議院から送付され、同月二十七日本委員会に付託されました。
 委員会においては、翌二十八日提出者を代表して参議院議員金丸三郎君から提案理由の説明を聴取した後、従来の定例日にとらわれず、週四回程度の審議を行い、しかも、長時間にわたり委員各位の熱心な質疑が行われました。
 さらに、中央公聴会を東京に開き、及び地方公聴会を大阪で開催し、合計十二人に及ぶ学識経験者の公述人等より、それぞれの立場から貴重な意見が述べられ、また、委員各位より公述人等に対し熱心な質疑が行われました。
 特に参考人として、いまだかつて国会史上行われたことのない参議院全国区選出議員の出席を願い、貴重な体験に基づく意見を聴取し、また、熱心な質疑が行われました。
 また、審議の過程におきまして、名簿届け出政党等の要件の緩和、供託金の軽減と没収規定の緩和、投票方式の改正、議席配分方式の改正、選挙運動の拡充等の諸点について、次のような見解が述べられました。
 名簿を届け出ることができる政党等の要件につきましては、二人または三人以上の所属国会議員を有するか、直近の国政選挙で全有効投票の一%または二%以上の得票を得たものであるか、参議院議員選挙で三人または五人以上の候補者を有するものであるかとするように緩和すべきである、また、このような要件を設けず、現行の個人立候補の制度も存置すべきである。
 供託金につきましては、名簿登載者一人当たり二百万円または三百万円に軽減する、政党ごとに一定額とする、供託金の没収規定につきましては、当選人の主ないし四倍程度の数の名簿登載者までは供託金を没収しない、おおむね現行制度にならい緩和すべきである。
 投票方式につきましては、記号式投票を採用すべきである。
 議席配分方式につきましては、修正サン・ラグ式、サン・ラグ式、単純比例方式に変更すべきである。
 選挙運動につきましては、現行の選挙運動の三分の一程度もしくはおおむね現行どおりの選挙運動を認めるべきである、また、本案の公営による選挙運動の二倍程度を認めるよう拡充すべきであるなどの提言や意見の開陳がありました。
 最後に、内閣総理大臣に対する質疑を行うなど慎重な審議に徹し、連日にわたり賛否両論にわたる討議が行われました。
 なお、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合から、それぞれ修正案が提出されました。
 かくて、昨十七日本案及び本案に対する両修正案の質疑を終了いたしました。
 次いで、本案及び両修正案を一括して討論を行い、採決いたしましたところ、両修正案はいずれも否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 本法律案はわが国選挙制度上の画期的大改正ともいうべきものであります。
 そのことは審議に当たって種々の問題点が指摘されたことによっても明らかであります。よって、理事会の申し合わせにより、次のごとき附帯決議が付されました。
  選挙制度の持つ特性にかんがみ、当委員会における審議並びに公述人及び参考人の意見をも反映し、妥当と認められる事項については、速やかに所要の措置をとるものとする。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#33
○議長(福田一君) 討論の通告があります。順次これを許します。小林恒人君。
    〔小林恒人君登壇〕
#34
○小林恒人君 日本社会党を代表して、ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。(拍手)
 議会制度は、政党があって初めて円滑にその機能を発揮することは近代政治学のいまや常識であり、その政党は、中の議員個人が入れかわろうと国民に約束した政策は政党が存在する限り永遠に責任を持つわけで、その意味で政党の役割りは大変重要であります。
 それゆえに、議会制度の長い歴史を持つヨーロッパ各国では、選挙は政党によって国民の前に政策論争として行われています。そこには、政党自体が国民に責任を負う。所属議員がたとえば贈収賄事件を起こせば、個人の責任はもとより政党の責任であります。それゆえに、政党自体に自浄作用が生まれ、議会制民主主義を発展させているのであります。
 国民と議会を結ぶ選挙は、国民の意思を最大限に反映する鏡でなければなりませんが、金権選挙の温床ともなり得る個人本位の選挙を政党本位の政策によって国民が選択できる制度に改めることにより、議会制民主主義の発展を期するべきであると考えるのであります。
 このことは、昭和四十五年六月二十四日最高裁大法廷は、憲法の定める議会制民主主義は、政党を無視してはとうていその円滑な運用を期待することはできないのであるから、憲法は政党の存在を当然視し、政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素である、と同時に、政党は国民の政治意思を形成する最も有力な媒体であるから、政党のあり方いかんは国民として重大な関心事でなければならないと判示して、現行憲法の議会制民主主義のもとにおける政党の役割り、政党政治の重要性を明らかにいたしているのであります。
 参議院議員選挙の全国区制については、選挙の都度、候補者の側からは、選挙費用の過重な負担ときわめて過酷な労力を費やし、一方、国民の側からは、政党が示す政策にプラスして候補者個人の政見や人格をより身近に知ろうとしても、現実は、候補者が多数であるためきわめて困難であり、全国区制発足以来、よりベターな改革を求める世論は参議院議員選挙ごとに高まっております。
 しかしながら、全国区制の改正は、憲法が規定する二院制のあり方、議会制民主主義のあり方など、選挙制度の基本に関するものであり、単に一政党や候補者個人の事情のみで判断すべきものではありません。護憲を党是とする日本社会党は、憲法を最大限に尊重しつつ、なお議会制民主主義のより大きな発展を求めるため、かねてから改革の方策を模索してまいりました。すでに六年前、拘束名簿式比例代表制の導入を提唱し、各党の動向を注視してまいったのであります。
 しかるに自民党は、第九十四回通常国会に参議院全国区制度の改正案を提出し、秋の九十五回臨時国会に再提出、継続審議となっておりました。今国会ではその成立を図ろうとしている状況にかんがみ、本来、選挙制度の基本的な仕組みを改正するに当たっては、他党の十分な理解を求めることは当然でありますが、緊急差し迫った重要議題であり、野党第一党として、わが党は年来の主張を法的に具体化し、社会党独自の改革案を提出したのであります。(拍手)拘束名簿式比例代表制を基本としつつも、自由民主党案との相違点はきわめて明確であります。
 こうした視点から、自民党提案の公職選挙法の一部を改正する法律案に反対する幾つかの点について指摘しなければなりません。
 その第一は、名簿登載者たる候補者の選挙運動を厳しく規制していることであります。
 わが国における今日までの個人本位の選挙を初めて政党本位に変えるに当たっては、過渡的にもう少し有権者の知る権利を残しておくべきであります。政党本位の選挙の本旨にもとらない範囲で、名簿登載者の選挙運動は認めるべきであると考えるのであります。
 第二は、比例代表選出議員の候補者に順位を付して記載した候補者名簿は、一定の要件を備えた政党及び政治団体に限り届け出ることができるとする件についてであります。
 名簿を提出することのできる政党要件を、国会議員五名以上有すること、直近の国政選挙において全有効投票の四%以上の得票を得たものであること、加えて、十名以上の所属の参議院議員選挙候補者を有することのいずれかの条件を満たすものとしております。これはきわめて厳し過ぎる要件と言わなければなりません。
 公聴会における参考人の意見や委員会審議でも数多くの意見が提起されたところであり、わが党は、拘束名簿式比例代表制を採用するに当たり、一人一党候補の禁止は政党本位の選挙という趣旨に反するのでやむを得ないものとしても、比例代表制による国民各層の幅広い意見が最大限国政に反映される立場から、その政党要件は、三名、二%、五名とし、当選人の配分方法も、少数政党により有利な修正サン・ラグ式を提起してきたのであります。
 民主主義のルールの基本は、多数決であると同時に、少数意見をいかに尊重するかの理念は大切にされなければなりません。(拍手)少数党、小会派の圧殺を意図した自民党案は、党利党略案と批判されてもいたし方ありません。
 第三は、名簿登録順位によって当選者を決定しますが、次点者の取り扱いが問題であります。
 従来の選挙法は、欠員が生じた場合九十日以内の次点者繰り上げは存在しますが、本法においては、何と実に六年間次点の権利を有することであります。したがって、三年後には、一方で次点者としての権利を有しつつ再び名簿登載者となることができるわけで、何とも奇妙な二重の権利を認めることになります。
 第四は、供託金の問題です。名簿登載者一人四百万円に引き上げることについては、選挙公営の費用が多額になっていることなど、わからないわけではありません。しかし、政党要件をきわめて厳しく規制した上で、なお供託金を大幅に引き上げることは、まさに国民を財産権で差別するがごとき内容であり、われわれはくみすることはできません。
 国会と国民、有権者をつなぐ接点は選挙を出発点とします。また、主権在民を真っ正面からとらえて、両院における審議が有効性を持つことの重要性は論を待ちません。
 しかし、今日、参議院のあり方及びその政党化を批判する意見があります。したがって、本法案と並行して参議院改革小委員会が設けられ、有効な審議の場としていくための議論を進めてきたわけです。しかし、ここでも与党自由民主党は議論を棚上げしてしまいました。きわめて遺憾であります。選挙制度の改革とあわせて大切な部分が片手落ちとなった責任はきわめて重大と言わなければなりません。
 八千二百万人になんなんとする有権者と国会を結ぶもの、いままで指摘したもののほかにも、一票の重みに象徴される定数是正の問題金権腐敗選挙の解消問題と政治資金規正法の改正など、緊急に措置しなければならない課題が山積していることであります。これらは本改正案の中に全く示されていないのであります。
 重ねて欠陥を指摘し、本改正案に反対の意思を明らかにして、討論を終わります。(拍手)
#35
○議長(福田一君) 浜田卓二郎君。
    〔浜田卓二郎君登壇〕
#36
○浜田卓二郎君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりましたわが党提出の公職選挙法の一部を改正する法律案に対して、賛成の討論を行うものであります。(拍手)
 現行の参議院議員選挙制度が昭和二十二年新憲法のもとに創設されまして以来、すでに三十五年を経過いたしました。この間、参議院全国区制度につきましては、その発足の当初からさまざまな問題点が論議されてまいりました。選挙制度審議会におきましても、第五次以来第七次に至るまで、比例代表制案を初めとして幾つかの改正意見が出されてまいりました。わが党においては、このような過去の経緯を踏まえ、ここ十年近く党内において綿密に研究討議を重ねてまいった結果、ここにこの改正案を提出するに至ったものであります。
 私は、以下、現行全国区制についてその問題点を指摘するとともに、この法律案に対して各党から提起された諸問題並びにわが党がこの改正案を提出するに至った理由及びその内容について、順次明らかにしてまいりたいと思います。
 現行全国区制度は、国全体という広大な地域を選挙区とし、また八千二百万人の有権者が百人前後の候補者の中から一人を選び出すという世界にも類を見ない選挙制度であります。有権者にとりましては候補者の選択が著しく困難であると同時に、多くの候補者にとりましても莫大な費用と過酷な労力が必要とされているのが実情であります。候補者一人が選挙に費やす費用は数億円近くにも達すると言われており、また、過酷な労力を消耗する結果、選挙の後で何人かの方々が不幸にも病に倒れるという事態が毎回のように生じております。この結果、全国区制のもとで当選できる人はごく限られた一部の人ということになり、全国区制が開かれた選挙制度とはとうてい言いがたい実情にあると考えざるを得ません。
 以上の問題点とあわせて、参議院の機能と役割りという面からも考えなければなりません。
 参議院は、本来、第一院たる衆議院に対して、抑制と均衡の機能を果たす機関であります。したがって、専門的知識に基づく理の政治を行うことによって、衆議院に助言と警告を与える役割りを期待されているのであります。
 このような参議院の本来の機能を十二分に発揮せしめるためには、その構成員たる議員として、より有為の人材を得やすいようにしなければなりません。いわゆる出たい人より出したい人を良識の府たる参議院により多く送り込む工夫をしなければならないと考えるのであります。
 加えて、今日、政党が議会制民主主義において不可欠の要素となっており、また国民の政治的意思形成の媒体として重要な機能を果たしている現状を勘案いたしますとき、現在の全国区制度を個人本位の選挙制度から政党本位の選挙制度に改め、それにより、ただいま指摘してまいりました多くの問題点を解消しようとする今回の改正案は、まことに時宜を得たものと考えるのであります。
 次に、この法律案に対して各党から提起されてまいりました諸問題について意見を申し述べます。
 第一に、本案は多数政党に有利な選挙制度を実現するための党利党略ではないかという点であります。
 今回わが党が提案いたしております拘束名簿式比例代表制の特色としては、第一に、個人中心の選挙から政党中心の選挙に変えるため、候補者個人が莫大な資金を必要とする事態が避けられること、第二に、各政党の得票数に応じて議席が配分されるため、いわゆる死票が減少し、有権者の民意を正確に議席に反映させることができること、第三に、出たい人より出したい人、すなわち良識の府にふさわしいすぐれた人材を選び出しやすくなること、第四に、有権者による候補者の選択の困難性が解消されること、そして第五に、政党が政策本位で選挙を戦うため、政党のより一層の健全な発達が促されることなどの点にあると言われております。
 比例代表制は、本来、いかなる政党にもその得票数に応じて公正に議席を配分する制度であり、多数政党や特定政党にとって有利になるような制度ではありません。
 第二に、参議院に政党本位の選挙制度を導入することは、その政党化を促進し、参議院本来の趣旨に反するという批判であります。
 確かに、参議院全国区は、発足当初、政党の枠を離れた有識者登用の意味があったことは事実であります。しかし、当時は戦後間もない、政党が未成熟の時代であったのであります。その後、政党の成熟とともに、議会制民主主義の担い手として政党の果たす役割りと責任はますます増大しつつあるのであり、その現実を無視しては、今日の議会政治は語り得ないのであります。参議院の機能を十二分に発揮せしめるための方途とその政党化とは、決して相入れざるものではないはずであり、むしろそのためにこそ、政党本位の選挙によって、より有為な人材を確保することが必要であると考えるのであります。
 第三に、本改正案をめぐる憲法問題についてであります。衆参両院を通じて多くの憲法問題が論じられてまいりましたが、ここでは個人の立候補制限についてのみ触れたいと思います。
 すなわち、個人立候補の制限は、国民の重要な基本的人権の一つである選挙権、被選挙権を制限し、憲法第十四条、同第二十一条に違反するのではないかという点についてであります。
 選挙権、被選挙権が基本的人権の一つである参政権の重要な中身であることは言うまでもありませんが、それは決して自然権のように超法規的、超国家的なものではありません。国家が憲法の委任に基づいて選挙権、被選挙権の具体的内容を法律でどのように定めるかは立法政策上の問題であり、憲法第四十四条は、この点について「兩議院の議員及びその選擧人の資格は、法律でこれを定める。」と明文で規定いたしております。
 また、憲法第十四条の法のもとの平等に反しないかという点につきましては、個々の権利も、より大きな公益上の目的、すなわち、いわゆる公共の福祉のためにこれに制約を加えることは、その目的が合理的であると認められる限りにおいては許容されるものと考えます。個人本位の選挙制度を政党本位の選挙に改めることは、さきにも述べましたとおり、大きな公益上の利益を有しているのであり、その結果として個人の権利を制約するとしてもそれはやむを得ないものと考えるのであります。
 さらに、憲法第二十一条の結社の自由に反しないかという点についてでありますが、今回の改正案は、結社しなければ立候補できないということにすぎず、結社しないでいる自由は依然として保障されているのであります。(発言する者あり)
 最後に、今回の改正案について、衆参両院の公選法特別委員会において行われた審議の中で、改正案の具体的中身に関して交わされた主要な論議について言及しておきたいと思います。
 第一に、名簿届け出政党の要件についてでありますが、本法案における名簿届け出政党要件のうち、第一の所属の国会議員を五人以上有することは、政治資金規正法上の政党に関する規定から、また第二の参議院議員通常選挙において所属の候補者を十人以上有することは、公職選挙法上の確認団体に関する規定をそれぞれ参考として定めたものであり、さらに第三の直近の国政選挙において全有効投票の四%以上の得票を得たものであることとする要件は、すでに述べました第一及び第二の要件との均衡を勘案して定めたものであります。
 以上三つの要件に対して、その内容が少数政党に厳し過ぎるものであるとし、それぞれの条件を緩和すべきであるという意見が出されましたが、さきに述べましたとおり、公職選挙法や政治資金規正法上の規定との整合性を保つため、また政党本位の選挙である以上、政党らしい政党を選ぶという意味からも、わが党案における条件が適切であると考えるものであります。
 第二に、供託金の額は現行の二倍に引き上げるとともに、名簿登載者の数に応じた額を供託することといたしておりますが、これに対して、供託金は政党を単位として一律に課すべきであるという意見や、引き上げ幅を抑えるべきだとする意見が出されましたが、名簿登載者の過剰登載や売名行為を防止するためには、登載者の数に応じて課すことが妥当であり、また供託金の額については、前回の改正時からの貨幣価値の変動を勘案いたしますと、この程度の引き上げはやむを得ないものと考えるものであります。
 第三に、投票方式を自書式でなく記号式にせよという意見がありましたが、何分にも全く新しい制度であり、どの程度の数の政党が名簿を届け出るか予想のつかない現段階においては、これを記号式にすることはにわかには賛同しがたいものと考えます。
 第四に、当選人の決定方式について、ドント式を他の方式に改めよという意見がありましたが、できる限り一般国民にわかりやすい方式を採用するということからこの方式を採用したものであると考えます。
 第五に、本改正案では、比例代表選挙における政党の選挙運動としては、新聞広告、ラジオ、テレビの政見放送及び選挙公報による選挙運動のみを認めておりますが、これに対して、運動のできる方法と範囲をもっと拡大すべきであるという意見がありました。しかし、お金のかからない選挙を実現するため、選挙運動の方法と範囲をこの程度に限定することが適当と考えるものであります。
 以上のほか、本法案については、さまざまな観点から真剣なる審議が行われてまいりました。特に、本案の審議過程におきましては、この法案の重要性にかんがみ、慎重審議に徹するという基本方針をとるとともに、参議院における審議に見られなかった審議として、まず第一に地方公聴会を開催し、次には参考人として参議院全国区議員の御出席を願って貴重な体験的意見を聴取いたしましたほか、内閣総理大臣に対する質疑を行うなど、多角的な審議を行ってきた次第であります。
 以上のような慎重審議された本改正案は、過去における公職選挙法の改正の歴史の中でもきわめて画期的なものであり、その国政に資するところは大なるものがあると思います。
 議会政治の意義が改めて問われている今日、この改正によって参議院に新たなる活力が生まれ、真に国民の厳粛な信託にこたえ得る機能と権威が確立することを確信してやまないものであります。
 各党間における意見の相違は相違として、わが国の政党政治の着実なる前進のために、ともに努力してまいらなければならないと考えるのであります。
 以上をもちまして、私の本案に対する賛成討論を終わります。(拍手)
#37
○議長(福田一君) 石田幸四郎君。
    〔石田幸四郎君登壇〕
#38
○石田幸四郎君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました自由民主党提案の公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、断固反対の討論を行うものであります。(拍手)
 選挙制度は議会制民主主義の基本ルールであり、その改革のいかんによっては民主主義の破壊にもつながりかねないきわめて重大な問題であることは言うまでもありませんが、本法案はまさに民主主義の破壊を促進していると言わざるを得ません。
 参議院全国区制を廃止し、拘束名簿式比例代表制を採用する本法案を見るとき、その改革の意図及び内容は大政党にのみ有利であり、その意味で党利党略そのものと言え、両院制を基本とするわが国の憲法構成、だれ人も遵守しなければならない憲法の精神を踏みにじる、きわめて非民主的な大改革案であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 さて、私は、議会制及び両院制の擁護と堅持を強く望む立場から、本法案の欠陥を申し述べ、国民の前に反対の理由を明らかにするものであります。
 最も基本的な問題は、憲法の規定に反する両院制の破壊、選挙の原則を破ることを意図している点であります。
 わが国憲法は、議会制及び選挙については、それぞれ両院制を規定するとともに、もう一つは、普通、平等、直接、秘密、自由の原則が憲法上構成されているのであります。
 ところが、自民党案は、これまでの選挙法の改定の際にも決して崩したことのないこれらの諸原則を突き破ってしまうような改悪案であります。
 すなわち、政党政治、数の政治の衆議院に対し、参議院は良識の府、理性の府とされ、衆議院の行き過ぎをチェックする機能、役割りを持つとされてきました。そのために、政党の介在を極力避け、全国的に有名有為の高度の専門意見を代表させることといたしており、その意味で全国区こそが参議院の機能を果たす中心的役割りを担っているのであります。今回の改革案は、参議院の政党化を決定的にし、これらの機能を喪失せしめてしまう改悪案と言わざるを得ないと思います。
 また、選挙の原則のかかわりで言えば、自民党案は拘束名簿を提出できる政党、政治団体の要件として、三つの要件を挙げているのでありますが、この要件の厳しさのため、政党、政治団体に属さない個人は立候補できなくなってしまうのであります。それは明らかに少数政党あるいは個人を差別して扱うことであり、普通の原則、平等の原則に反し、そして政党が名簿を作成することから直接の原則にも疑義が持たれ、さらには立候補制限という意味において自由の原則に反するのであります。
 自民党は、政党本位の選挙制度に変えたから無所属の立候補制限はやむを得ないと言っておりますが、たとえ政党中心主義の選挙に変えるとしても、無所属、小会派の立候補を認めることは技術的にも可能であり、これら無所属候補等を締め出す合理的理由は全く見当たらないと思うのであります。
 しかも、全国区選挙では一貫して諸派や無所属は多くの候補を占め、五十五年通常選挙ではその得票率は一七%、九百七十万票にも達しておりますが、これらの国民の意思を生かす努力をせず、問答無用と切り捨ててしまった罪はまことに大きいと言わざるを得ません。
 それだけではなく、また本法案は、国民の意思を結果的に踏みにじる欠陥を内在しているのであります。たとえば、ある政党が提出名簿以上の議席数の得票を得た場合、有権者の意思に関係なく他の政党の当選者を生むことになり、また、当選した議員が他党に移籍した場合も、有権者の意思を大幅に制限することになります。自民党はこれをもまたやむなしとして、有権者の権利を圧殺しているのでありまして、その意味で、本法案は全く法律の体をなしていないと言わざるを得ないのであります。
 このように、憲法に違反し、最も尊重すべき国民の声をいとも簡単に切り捨て、あるいはいささかの配慮の跡も見られない自民党案は、選ぶ側よりも選ばれる側の論理に終始しているのであり、断じて許すわけにはまいりません。(拍手)
 次に、個別的な本法案の矛盾点及び法制上の欠陥について申し上げたいと思うのであります。
 一つは、選挙運動についてであります。
 名簿提出政党は、名簿提出の日から選挙運動ができることとなっておりますが、選挙期間以外の政治活動と選挙期間中の選挙運動との区別が明確でないため、有権者の間に多くの混乱を生じせしめることが心配をされるのであります。
 二つには、繰り上げ補充できない場合の規定が被選挙権の喪失、除名、離党及び取り下げだけになっており、他の選挙に立候補した場合について何ら規定されていないため、まことに奇妙な現象が起こり得るのであります。
 たとえば、名簿登載者は県知事に当選してもなお全国区候補、衆議院議員に当選してもなお全国区候補となり得るのでありまして、このようないわばかけ持ち立候補ができるのは法の不備、不合理と言うべきであります。
 三つには、政党に対する行政の介入の危険性であります。
 さきにわが党の坂井委員が政党要件の問題で指摘したように、衆議院の解散時には衆議院議員の数は算定不可能であり、それを政令で算定できるように読みかえようとしているのでありますが、これは法案作成上の重大な誤りであります。
 なぜこのことが大切かと言えば、それは政党要件を政令で定めたとき、政党の認定を政府が行うことになり、行政が政党に介入する結果となって、三権分立の根幹にもかかわる重大問題であるからであります。
 さらに、公選法は、ポスターの大きさ、運動員の食事の数まで、きわめて細かい規定を政令でなく法律として記載しているのが最も大きな特徴であります。行政が政党に介入するという重要事項を法律ではなく政令とするということは、公選法の性格上からも絶対に許さるべきことではなく、われわれはこの書き直しを要求するものであります。
 四つには、名簿登載者の選定及び順位の決定については各党の任意とされており、有権者の意思が反映する仕組みになっておりません。このことは、名簿作成の段階で多額の政治献金が予測され、金がかからないという保証も、金権選挙の払拭も、この過程でもろくも崩れ去るおそれがまことに大きいのであります。
 さらにまた、大阪における公聴会で供託金の必要の有無が指摘されましたけれども、この供託金制度は個人選挙に適用され得るもので、政党本位の選挙には全く不要のものであります。そして、その額をさらに大幅に引き上げることは、政党要件で縛った上にさらに供託金で縛るという、立候補を制限するというものがさらに強化されることであり、無所属を締め出そうとする大政党の党利党略以外の何物でもないと思わざるを得ません。
 以上、本法案の矛盾点について述べましたが、審議の過程についても一言触れないわけにはまいりません。
 参議院において、自民党による委員会の強行採決及び本会議強行という異常な形で通過させたことは、まことに遺憾であります。衆議院では、公明党の反対意見を無視し、複数政党の協力によって一見静々と進んだかに見えますが、これだけの欠陥法案を附帯決議程度でお茶を濁し、無修正のまま通過さすことは、きわめて不可解であります。また、それを促進したとも思える社会党の態度についても、きわめて不可解と言わざるを得ないのであります。(拍手)
 さらに、ここであえて申し上げなければならないことは、この公選法の成立の陰にロッキード追及が隠され、政治倫理の確立が葬り去られたことであります。
 わが党は、かねてより野党第一党の社会党に対し、公選法の審議促進よりもロッキード追及、証人喚問を優先させるべきであることを要請し、野党第一党の見識を期待してまいりました。しかるに、今国会での一連の態度を拝見するに、究極的には社会党は公選法をすべてに優先させたということはいまや天下に明白であり、その責任はきわめて重大と言わざるを得ないのであります。(拍手)
 議院証言法の改正について言えば、与野党間で六項目について合意され、わが党は八項目に賛成の立場をとっておりましたが、自民党は議院証言法改正を阻むため、国政調査権の制約、国民の知る権利、報道の自由の抑制を内容とする、とうてい容認できない改革項目を追加してきたのであります。まさに証人隠しと言わざるを得ないのであります。
 さらに問題なのは、証言法改正について社会、公明、民社三党で自民党に対し、補佐人の代理人的性格、さらにテレビ、ラジオの取材禁止の二項目の撤回を申し入れたにもかかわらず、わが党に何の相談もなく勝手に態度を変更し、自民党との間にわけのわからぬ合意をいたしたことであります。これが果たして野党第一党のとるべき態度でありましょうか。(発言する者あり、拍手)
 最後に申し上げたい。民主主義にとってきわめて危険なこの公選法改革のたどる道は、やがて小選挙区制への道に続き、そしてそれは憲法改悪へとつながるおそれなしとしないことを私たちは銘記しなければなりません。護憲の道か改憲の道か、今回の公選法の改革はまさにその踏み絵であります。このことによって政治家の見識がいま問い直されていることをお互いに肝に銘ずべきであります。
 提案者である自民党に猛省を促し、私の反対討論を終わるものであります。(拍手)
#39
○議長(福田一君) 岡田正勝君。
    〔岡田正勝君登壇〕
#40
○岡田正勝君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました参議院提出の公職選挙法一部改正法律案に対しまして、反対の立場から討論をいたします。(拍手)
 反対の第一の理由は、この法案は、全国区の選挙を個人本位から政党本位の選挙に変えようとするものでありまして、個人の立候補はだめ、少数派、無所属の締め出し、表現の自由や選ぶ側の権利の制限等々、憲法違反の疑いが限りなくクロに近いのであります。(拍手)
 第二は、いまでさえ衆議院のカーボンコピーと悪口を言われておる今日、この法案は参議院を完全に政党化してしまうものであります。衆議院は数と力の政治を行いますが、それに対して参議院はこれをチェックし、調整する和の政治、すなわち理の政治を行うためにこそ必要だとされておるのであります。こういう政党化が進めば、第二院としての存在意義は完全に消滅をし、参議院無用論に拍車をかけることになるからであります。(拍手)しかも、この法案が可決された結果は、恐らくや参議院の自殺行為を告げたときであろうと思います。
 第三は、提案理由の三大根拠であります、第一は金がかかる、第二は広過ぎてしんどい、第三は広過ぎて有権者に知ってもらえないの問題であります。
 第一の金がかかるという事実は、幾ら審議をいたしましても、その事実は明らかにならないままに終わってしまいました。しかも、今度の改正で金がかからなくなるという保証はどこにもないのであります。しかして、結果的には地方区の激戦をあおり立て、片や全国区は野放しの費用の使い放し、しかもその経理は党の経理へ隠れ込んでしまって、これぐらい不明朗きわまることはありません。むしろ公営費用の枠を拡大をしていくことの方が本筋ではないのでありましょうか。
 第二に、広過ぎてしんどいとおっしゃいますが、しんどい点では、言うては済みませんが、われわれ衆議院の方がいつ解散があるかわからない。金帰火来の往復でありまして、われわれこそ一番しんどいんじゃないでしょうか。(拍手)解散もなく、六年間の長期間にわたりまして安定して政治活動に専念ができる、こういう全国区はむしろ幸せに過ぎると言うべきではないでしょうか。(拍手)
 第三に、広過ぎて有権者にわかってもらえないと言いますが、そんなら、いっそのこと地方区も全国区も全廃をして、ブロック制にして選挙を行えばいかがでございましょうか。(拍手)さすれば地方区の定数是正も一挙に解決をし、無所属や少数派の人々も当選が可能となってくるではありませんか。かくのごとく、三大理由はいずれも納得のできないものであります。
 まして、これからの日本は、国も地方も待ったなしと言われる行革に国民のすべての人たちが大なり小なりその痛みを分かち合うことを避けることはできないと言われる今日ですよ。こんなに無理をしてまで名簿による議員を百名もなぜつくらなければならぬのでしょうか。わが国の人口の二倍、国土面積の二十五倍のあのアメリカでさえ、わが国の参議院に匹敵する上院はわずか百名の定員であります。しかも、全国区制をとっております国は、世界百六十六カ国の中でグアテマラ、イスラエルなど人口二百万か三百万の小さな小さな国が三つあるだけであります。国会みずから範を示せという国民の素朴な声にどうこたえますか。こたえようがないでしょう。
 第四は、全国区はいままでと違いまして政党が候補者となるわけですから、政治活動と選挙運動の関係があいまいになっていることなのであります。政党に投票してもらうためには、日常活動を通して政党を知ってもらうことになるのでありますが、特に政党の入党促進活動や機関紙誌の販売活動、こういうものがそのまま事前運動とみなされるおそれがあり、その当否は取り締まり当局の判断によることになるのであります。本改正案が政党の自由な日常活動、政治活動を制限しないという根拠はどこにもないからであります。
 第五は、参議院の選挙制度に関する最大かつ緊急の課題であります地方区の定数是正や政党の法的位置づけを明確にし、自由な政治活動を保障する、そういう政党法の制定を行わないでおいて、本改正案を提案してきたということは、どだい本末転倒ではありませんか。(拍手)
 以上、わが党が本案に反対する理由を申し述べてまいりましたが、本案は、自民党と社会党の両党のあうんの呼吸で、仲よく二人三脚をしてここまで来たのですから、恐らく可決をされるであろうと思います。
 しかしながら、提案者でさえもベストのものとは思いませんと再三にわたって言明されております。仮に本案が可決されるとなれば、実施に至るまでの間、最低限次の修正を行うべきであります。
 第一は、投票の方法についてであります。
 政党名を自分で書くということは、わが国では初めての投票方法であります。さまざまなトラブルを引き起こし、多くの無効票が出るおそれがあります。現在、投票に自書式を採用している国は、自慢ではありませんが、韓国とわが日本の二つだけであります。有権者の戸惑いをなくし、わかりやすい選挙とするためにも、自書式を改めて、あらかじめ投票用紙に記載された政党名に丸をつける記号式に改めるべきであります。
 第二は、政党間の選挙運動を平等かつ公正なものにすべき点であります。
 少数政党は可能な限り地方区に候補者を立てなければ、全国区の選挙運動は皆無に等しいのであります。せめて確認団体の政治活動用の自動車は各都道府県ごとに一台ずつ配置すべきではないでしょうか。
 また、名簿登載者の数に比例して、新聞の広告、選挙の公報、テレビ、ラジオ、そのすべてが縮められていく比例配分の方法になっております。まさに大政党にのみ有利な結果となり、いやしくも政党選挙と言う限り、平等に扱わなければ、公正な選挙運動とは言えないではありませんか。
 第三は、供託金についてであります。
 政党を信頼し、政党本位の選挙を行うというのであるならば、政党としての要件を満たしていればよいのであって、選挙らしい具体的な活動もできない全国区から供託金を取る必要は全くありません。しかも、名簿の数に応じて取るなんということは、これまた本末転倒もはなはだしいと言わねばなりません。
 どうしても供託金の規定を設けようとするのであるなら、全国区は選挙運動をしないのですから地方区の半額程度とし、政党選挙であって個人選挙ではないんですから、供託金の没収規定はなしとすべきであります。どうしても取るというんなら、当選者の二倍という線を四倍ぐらいに緩めるべきではないかと思うのであります。
 大政党のみが圧倒的に有利に戦える本案は民主主義の芽を摘んでしまうことになりかねません。多数派の人たちは、われわれは何者も裏切ってはおらぬとおっしゃいますが、自分の良心を裏切ってはおりませんか。民主主義がもし守り切れなくなったときには、全体主義の台頭を許すときであります。莫大な犠牲を払ってわれわれが手に入れたこの民主主義を命をかけて守り抜いていくということが、われわれ現代政治家に与えられた最大の責務じゃないでしょうか。(拍手)
 以上、反対の理由と意見を述べてまいりましたが、提案者の自民党は、幾ら多数だからとはいえ、本案が一党のみの提案であるということを自覚をしていただきまして、議会制民主主義の発展のためにも、附帯決議案の趣旨にのっとって速やかに対応すべきことを付言をいたしまして、私の反対討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)
#41
○議長(福田一君) 安藤巖君。
    〔安藤巖君登壇〕
#42
○安藤巖君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました自由民主党提出の公職選挙法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。(拍手)
 私は去る七月二十七日の本会議において、国民がこの国会に最も期待している課題は、ロッキード疑獄事件にかかわる政治家の政治的道義的責任の追及であり、灰色政治家の証人喚問、有罪議員に対する辞職勧告決議案こそ真っ先に取り上げるべきこと、そしてこれを事実上棚上げしたまま、党利党略的な公選法の審議だけを強行に次ぐ強行で進めることは、議会制民主主義の根幹を揺るがし、国民の期待を裏切るものであると強く指摘いたしました。
 ところが、自民党と社会党、民社党、新自由クラブ・民主連合三会派は、党利党略の本案は成立させるが、今国会での証人喚問を事実上見送ることを合意したのであります。私は、この反対討論を行うに当たり、まず金権腐敗政治を糾弾する国民の声を代表して、強く抗議するものであります。(拍手、発言する者あり)
 本法案の審議過程も不当であります。公職選挙法特別委員会は、十三日の総理質問後、理事会で審議日程を協議中であったにもかかわらず、委員長が突如職権で委員会開会を強行したのであります。自民党が同日中にも強行採決を行う意図であったことは、このことからも明らかであります。わが党は、次の日程を決めないまま委員会を開会することに強く反対をしてきました。にもかかわらず、社会、民社、新自連三会派は、委員会の強行開会に当初反発しながらも、なし崩しに審議に加わり、委員会運営についても自民党に同調することになったのであります。(発言する者あり)
 選挙制度は、言うまでもなく議会制民主主義の土台をなすものであり、公職選挙法の改定に当たっては、慎重の上にも慎重を期し、内容、手続ともに国民の納得のいくものにするのは当然のことであります。
 自民党が参議院の委員会において、前例のない単独強行採決を行ったこと、衆議院の審議権を無視し、欠陥法案であることを認め、法案の中身にまで立ち入るという二重、三重の越権行為をした参議院議長の議長所信に国民が激しい怒りの声を上げたのは記憶に新しいところであります。(発言する者あり)これに引き続く本院公選法特別委員会での裏取引採決は、文字どおり議会制民主主義を破滅させるものと言わなければなりません。
 次に、本法案に対する反対理由を申し上げます。
 第一の理由は、この法案が比例代表制を導入することを理由に、政党に厳しい資格要件を設けて、少数政党、無党派を選挙そのものから排除していることであります。
 これは基本的人権である国民の選挙権、被選挙権の著しい侵害であり、明らかな憲法違反であります。だからこそ、わが党は主権在民と基本的人権尊重の立場に立ち、国民の声を正しく議席に反映させるために、拘束名簿式比例代表制の導入と、すべての政党の参加と無所属立候補を認めた抜本的修正案を提出したのであります。(発言する者あり)
 反対の第二の理由は、本法案が、全国区選挙において、選挙公報、政見放送、新聞広告など公営以外の選挙運動を全面的に禁止し、一層暗やみ選挙を強行しようという大改悪である点であります。
 選挙運動、政治活動については、政党本位の選挙制度である以上、政党の選挙活動を最大限に保障すべきであって、戸別訪問の禁止を初め、言論規制、確認団体制度など、選挙活動や選挙時の政治活動をがんじがらめに規制した現行公選法の抜本的な検討が必要であることは言うまでもありません。わが党の修正案は、この立場に立ち、当面の措置として、現行全国区での候補者の選挙活動の態様と規模を政党の選挙活動として保障するものであります。これこそが国民の知る権利にこたえるものであります。
 さらに、本法案は、供託金の二倍引き上げ、厳しい没収規定、名簿登載者の数による選挙運動の規制等々、少数政党に対して差別を押しつけ、大政党の党利党略をむき出しにしていることを指摘しなければなりません。
 本法案が自民党の党利党略を押し通そうとするものであることは、報道機関を初め世論が強く糾弾をしているところであり、このことは本院の委員会においても、公述人が的確に指摘しているではありませんか。わが党提出の抜本的修正案こそ憲法に合致し、世論と道理にもかなっているものと確信するものであります。(発言する者あり)にもかかわらず、自民党が頑迷固陋にも一切の修正に応じようとしないのは、国会を悪法成立の道具にしようとする反国民的姿勢のあらわれ以外の何物でもありません。(拍手)
 最後に、金のかからない選挙という本案提出のうたい文句についてであります。金のかからない選挙は、自民党が金権体質をなくすことによってこそ実現ができるのであります。(拍手)
 ところが、政府・自民党は政治資金規正法の改正を怠っているばかりか、最近の事例によっても、大手建設企業から違法な政治献金を受け取っているという金権体質を持続しているではありませんか。この体質を改めることをせずに、金がかかるのを選挙制度のせいにするのは欺瞞もはなはだしいと言うべきであります。
 以上、法案の内容について反対の理由を述べてまいりましたが、自民党は選挙制度調査会において小選挙区制の検討作業を開始しているとの報道もありますように、本法案が自民党の党利党略を一層むき出しにした選挙制度の改悪に道を開こうとする意図を持つ点からも強く反対するものであります。
 わが党は、議会制民主主義の根本原則をあくまで守る立場を堅持し、本法案を撤回することを求めるとともに、選挙制度の民主化のため今後とも奮闘することを表明して、反対の討論を終わるものであります。(拍手)
#43
○議長(福田一君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#44
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#45
○議長(福田一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#46
○小里貞利君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、災害対策特別委員長提出、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法及び激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略して、この際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#47
○議長(福田一君) 小里貞利君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#48
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法及び激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案(災害対策特別委員長提出)
#49
○議長(福田一君) 天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法及び激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。災害対策特別委員長川俣健二郎君。
    ―――――――――――――
天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法及び激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔川俣健二郎君登壇〕
#50
○川俣健二郎君 ただいま議題となりました天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法及び激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨とその概要を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、わが国は世界でも有数の災害国であり、毎年自然災害により幾多のとうとい人命と貴重な財産が失われておりますことは、まことに遺憾にたえないところであります。
 特に、さきの七月における梅雨前線豪雨及び八月初めの台風第十号によって九州地方と近畿、東海、関東、北陸及び東北地方にわたる広範な地域において、中小企業者、農林漁業者等が甚大な被害を受け、今日の社会経済情勢の中で、その事業と生活の再建は、きわめて深刻な事態となっているのであります。
 このような被災者に対する救済策としては、天災融資法及び激甚災害法がありますが、最近における農林漁業者、中小企業者等の経営の動向及び経済規模の拡大等から見て、現行の被害農林漁業者、被害中小企業者等に対する貸付金の限度額では、災害時に必要とする経営再建のための資金需要に対して、十分に対応し得ている状態ではないのであります。
 以上の観点から、今回の激甚災害を機に、農林漁業者、中小企業者等の災害による資金需要の増大に対処するため、これらの者に貸し付けられる資金に係る貸付限度額の引き上げを内容とする法律案を提出することとした次第であります。
 以下、内容を申し上げます。
 まず、天災融資法の改正でありますが、
 第一点は、被害農林漁業者に貸し付けられる経営資金の貸付限度額の引き上げについてであります。
 すなわち、従来、都府県にあっては百六十万円、北海道にあっては二百八十万円、政令で定める資金の場合は四百万円、政令で定める法人に貸し付けられる場合は二千万円、さらに漁具の購入資金の場合は四千万円と定められている貸付限度額を、いずれも二五%引き上げるものとし、それぞれ二百万円、三百五十万円、五百万円、二千五百万円、五千万円とすることであります。
 第二点は、被害を受けた農業協同組合、森林組合、水産業協同組合等に貸し付けられる事業資金の貸付限度額の引き上げについてであります。
 すなわち、従来、単位組合にあっては二千万円、連合会にあっては四千万円と定められている貸付限度額を、いずれも二五%引き上げるものとし、それぞれ二千五百万円、五千万円とすることであります。
 次に、激甚災害法の改正でありますが、
 その第一点は、激甚災害における天災融資法の特例措置に関する規定を改め、激甚災害の場合の経営資金及び事業資金の貸付限度額についても、それぞれ従来の二五%引き上げるものとし、経営資金につき、都府県にあっては二百五十万円、北海道にあっては四百万円、政令で定める資金の場合は六百万円、政令で定める法人に貸し付けられる場合は二千五百万円、漁具の購入資金の場合は五千万円とすることとし、事業資金につき、単位組合にあっては五千万円、連合会にあっては七千五百万円とすることであります。
 第二点は、中小企業者等に対する資金の融通に関する規定を改め、従来、激甚災害を受けた中小企業者については八百万円、協業組合及び中小企業等協同組合その他の団体については二千四百万円と定められている特利を適用する貸付限度額を、いずれも二五%引き上げるものとし、それぞれ一千万円、三千万円とすることであります。
 なお、この法律は公布の日から施行し、改正後の天災融資法及び激甚災害法の規定は、昭和五十七年七月五日以後に発生した天災または災害につき適用することといたしております。
 以上が本案の提案の趣旨並びにその概要であります。
 災害対策特別委員会におきましては、本日、調査の経過及び結果を災害対策の基本問題に関する小委員長から報告を受け、その際、同小委員会の起草案が提案され、次いで、内閣の意見を聴取した後、全会一致をもって委員会提出法律案とするに決した次第であります。
 何とぞ、議員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#51
○議長(福田一君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#52
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの件
 電波監理審議会委員任命につき同意を求めるの件
#53
○議長(福田一君) お諮りいたします。
 内閣から、
 国家公安委員会委員に大塚喜一郎君を、
 電波監理審議会委員に芦部信喜君を
任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。
 まず、国家公安委員会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#54
○議長(福田一君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。
 次に、電波監理審議会委員の任命について、申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
#56
○議長(福田一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十一分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  鈴木 善幸君
        法 務 大 臣 坂田 道太君
        外 務 大 臣 櫻内 義雄君
        大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君
        文 部 大 臣 小川 平二君
        厚 生 大 臣 森下 元晴君
        農林水産大臣  田澤 吉郎君
        通商産業大臣  安倍晋太郎君
        運 輸 大 臣 小坂徳三郎君
        郵 政 大 臣 箕輪  登君
        労 働 大 臣 初村滝一郎君
        建 設 大 臣 始関 伊平君
        自 治 大 臣 世耕 政隆君
        国 務 大 臣 伊藤宗一郎君
        国 務 大 臣 河本 敏夫君
        国 務 大 臣 田邉 國男君
        国 務 大 臣 中川 一郎君
        国 務 大 臣 中曽根康弘君
        国 務 大 臣 原 文兵衛君
        国 務 大 臣 松野 幸泰君
        国 務 大 臣 宮澤 喜一君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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