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1981/11/12 第95回国会 参議院 参議院会議録情報 第095回国会 行財政改革に関する特別委員会公聴会 第1号
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1981/11/12 第95回国会 参議院

参議院会議録情報 第095回国会 行財政改革に関する特別委員会公聴会 第1号

#1
第095回国会 行財政改革に関する特別委員会公聴会 第1号
昭和五十六年十一月十二日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月十二日
    辞任         補欠選任
    大河原太一郎君     江島  淳君
     鈴木 和美君     山田  譲君
     秦   豊君     森田 重郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         玉置 和郎君
    理 事
                坂野 重信君
                嶋崎  均君
                平井 卓志君
                降矢 敬義君
                小柳  勇君
                野田  哲君
                峯山 昭範君
    委 員
                江島  淳君
                大木  浩君
                梶原  清君
                楠  正俊君
                後藤 正夫君
                下条進一郎君
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                高木 正明君
                谷川 寛三君
                成相 善十君
                藤井 孝男君
                三浦 八水君
                穐山  篤君
                鈴木 和美君
                本岡 昭次君
                安恒 良一君
                山田  譲君
                塩出 啓典君
                中野  明君
                中野 鉄造君
                山中 郁子君
                伊藤 郁男君
                柳澤 錬造君
                森田 重郎君
   政府委員
       行政管理庁長官
       官房審議官    門田 英郎君
       行政管理庁行政
       管理局長     佐倉  尚君
       行政管理庁行政
       管理局審議官   古橋源六郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 源三君
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   公述人
       経済団体連合会
       副会長      石田 正實君
       神奈川県高齢者
       退職者の会事務
       局長       林  嘉十君
       成蹊大学教授   肥後 和夫君
       立命館大学教授  坂寄 俊雄君
       中央大学講師   多田  実君
       立教大学教授   和田 八束君
       文教大学教授   菊池 幸子君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一
 環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の
 特例措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(玉置和郎君) ただいまから行財政改革に関する特別委員会公聴会を開会いたします。
 本日は、行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案につきまして、お手元の名簿の七名の公述人の方々から御意見を拝聴いたします。
 午前中に御意見をお述べいただく四名の公述人を御紹介いたします。
 経済団体連合会副会長石田正實君、神奈川県高齢者退職者の会事務局長林嘉十君、成蹊大学教授肥後和夫君、立命館大学教授坂寄俊雄君、以上でございます。
 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様には御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の本法律案審査の参考にいたしたいと存じております。
 次に、会議の進め方について申し上げます。
 まず、お一人十五分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたく存じます。
 それでは、まず石田公述人にお願いをいたします。
#3
○公述人(石田正實君) 私、ただいま御紹介いただきました経団連の副会長で、しかも経団連の中に行政改革特別委員会というのがございまして、その委員長をしている石田でございます。
 きょうは、行政改革問題につきまして意見を述べる機会を与えていただきましたので、若干の所見を申し上げたいと思います。
 まず第一に、臨調設置の意義と行政改革の基本理念につきまして申し上げたいと思います。
 このたび、政府が臨時行政調査会を設置いたしまして、本格的な行財政改革に着手し、国会においても特別委員会を設置して本格的な審議を進められていることを国民全体が高く評価しているわけでございます。行政改革の推進には二つの大きな意義があると思います。その第一は、わが国を取り巻く内外情勢が大きく変貌しつつある状況のもとで、国を挙げてこの環境変化に適切に対応していかなければ、二十一世紀に向けての経済社会の着実な発展は望み得ないという点でございます。
 特に、わが国が高度成長から低成長への移行を余儀なくされる中で、政府部門が依然として肥大化しつつあるわけでございまして、その結果、世界に例を見ない厳しい財政危機に陥っているという現実を厳正に受けとめる必要があると考えられます。欧米各国は、程度の差こそあれ、いずれもいわゆる先進国病にかかっておりまして、政府の肥大化に伴う経済活動の停滞とインフレの共存に悩まされている現状でございます。わが国がその轍を踏まないためにも、この機会をとらえて行政改革を断行し、民間の活力や創意工夫が十分発揮できる活力ある社会の建設に努める必要があると考えるわけでございます。
 第二は、行政改革には外部からの力が必要であるという点でございます。
 民間企業が血のにじむ努力によりまして、石油危機とその後の厳しい経済環境に対処してきましたのに対しまして、行政の方は高度成長時代の体質がそのまま残されております。率直に申し上げて、民間企業の積年の努力に比べまして、政府の合理化、効率化への努力はきわめて不十分であるとの印象はぬぐえないところでございます。
 これは、民間企業が厳しい経営環境と激しい競争のもとで、絶えざる合理化努力を余儀なくされているのに対しまして、政府におきましては、市場における競争という合理化促進要因が働かないことに由来すると考えられます。また、企業の合理化努力の成果は企業の業績という形で明確にあらわれるのに対しまして、行政の効率化努力をはかる物差しが存在しないわけでございます。言いかえれば、行政の効率化を求める自動的なメカニズムが存在しないということでございます。したがいまして、行政改革のためにはどうしても意識的な努力を払う必要がございますし、このため国民各層の代表により構成される臨調を設置いたしまして、国民の英知を結集して行政のあり方を検討し、行政改革を断行していくことになったものと考えられます。われわれ経済界が行政改革の推進に積極的な努力を惜しまないのも、それがいまや国民的な課題であると考えるからでございます。
 次に、臨調の第一次答申と行革特例法案について所見を申し上げたいと思います。
 一、財政再建が差し迫った課題であるだけに、行政改革もそれだけ緊急性を帯びております。その意味で、臨調が五十七年度の予算編成に関連しまして、歳出の抑制を緊急の課題としてとらえまして、第一次答申を取りまとめたことはきわめて意義があることだと考えております。従来行政改革というと、りっぱな答申は出されますけれども、実行されないというきらいがあったわけでございます。第一次答申が本格的な行政改革のための突破口でございますし、緊急の外科手術として位置づけられていると考えられます。仮に第一次答申の内容も実現できないようであれば、その後の本格的な行政改革などはとうてい望み得ないと考えられます。その意味で、臨調の第一次答申の完全実施と、そのための行革特例法案の成立を強く希望する次第でございます。
 なお、特例法案は三年間の時限立法となっておりますが、六十年度以降それが効力を失うというのでは意味がございません。その間、臨調等におきまして抜本的な対策を検討しまして、新制度にスムーズに移行できるようにするのが今後の課題であると考えます。
 二、ところで、当面の焦点は増税なき五十七年度の予算編成でございます。あらゆる増税を回避した増税なき予算編成は、政府部門の肥大化を抑制し、行政改革を着実に実行する上でも不可欠の条件でありますし、また、五十八年度以降についても同様の基本方針で臨むべきであると考えます。そのためには、単に行革特例法案の成立を期するだけではなくして、引き続き歳出構造全般にメスを入れまして、徹底して歳出を削減すべきであると考えます。
 そもそも行財政改革は苦痛を伴うものでありまして、それは国民一人一人がひとしく分から合うべきものであると考えます。国民や政府、国会もその例外ではあり得ないはずでございます。すでに経済界は、財政再建あるいは不公平税制是正の名のもとに、五十一年度以降租税特別措置の縮減、法人税率の引き上げ、あるいは公共事業の抑制等、いろいろな形でいわば行財政改革の洗礼を受けてきました。今回の措置には福祉切り捨て等の批判もあるようでございますが、活力ある福祉社会を建設し、それを永続させるためにはどうしても通過しなければならない道程であると考えます。むしろ、むだを排除し、効率的な予算編成を行うことによって、初めて本来の意味での福祉の質的充実を図ることが可能であると考えます。
 私個人の希望を申し上げますれば、行政改革を推進するに当たりましては、増税を回避するだけではなくして、さらに一歩進んで減税をも可能ならしめるぐらいの気魄を持って取り組んでほしいと考えておるところでございます。
 三、本格的な行政改革への期待につきまして。
 先ほど申し上げましたとおり、臨調の第一次答申は、あくまで本格的な行政改革のための突破口として位置づけられておりますし、われわれは来年に予定されている臨調の基本答申に大きな期待をかけているわけでございます。
 (一) われわれとしましては、先ほど申し上げましたように、歳出構造全般にわたり引き続き見直すとともに、国の出先機関、特殊法人の整理、三公社五現業、また地方の行財政改革についても、積極的に取り組むことを期待しておるわけでございます。この際、あえて申し上げますれば、たとえば国と地方の関係については、四十年代ごろから多くの議論と提言がなされました。国の出先機関については閣議決定すら行われているにもかかわらず、一向に実現しておりません。これは公務員があくまで既存の制度や権限に執着するためでありまするが、現下の財政危機のもとにあっては、国、地方を問わず、公務員自身が率先して行革に本腰を入れて取り組むべきであると思います。
 (二)臨調の基本答申は、行政改革に関連した広範囲な問題を取り上げることとなると思います。予想される検討課題についてここで一々コメントすることはできませんが、近く本格審議が行われる許認可につきまして、一言申し上げておきたいと思います。
 行政改革におきましては、官と民の責任分野を明確にすることが出発点でございます。この官と民の接点にあるのが許認可、報告、届け出、検査、検定等と呼ばれているものでございまして、その数は約一万件あると言われております。許認可等を通じて過度の行政介入が行われますれば、行政を受ける側である企業や国民の自主性、自己責任が損なわれ、ひいては大きな社会的コストを払うことになるわけでございます。許認可等の改革は、今後行政改革を推進していく際、ぜひとも重点を置いてもらいたいポイントの一つでございます。
 経団連では最近、会員の企業、団体を対象に許認可等に関する改善要望を調査しましたが、延べ三千五百件もの要望が寄せられましたということは、許認可改革に対する要望の強さをあらわしていると考えられます。アンケート調査結果は一応の整理が終わった段階でございまして、これから十分検討した上で経団連としての意見を固めていく方針でございますが、1 時代の変遷に伴って不要になった許認可等の廃止。2 複数の官庁、法律による重複規制の排除。3 手続の簡素化、迅速化。4 規制基準の明確化など、抜本的な改革を推進していただきたいと思っております。特に、貿易摩擦など通商問題が深刻化しております現在、外国から見ますれば非関税障壁とも映る輸入関連の許認可、行政指導の改革を早急に進める必要のあることを指摘しておきたいと思います。
 四、行政改革への協力につきまして。
 最後に、行政改革は究極的には人間の精神の問題に帰着すると思うので、この点を指摘して私の意見陳述を終わりたいと思います。
 行政の肥大化に歯どめをかけることは、いままでそのような行政サービスを受けている人たちにある程度の負担を求めることになるわけでございます。これは、各個人あるいは各企業が行政に依存せずに、自分で自分の生活や事業を支えていくということでございます。たとえば許認可の改革は、企業の自己責任の確立が前提でなければなりません。また福祉につきましても、真に福祉を必要とする人に手厚い措置をとるべきことはもちろんでございますが、行き過ぎた福祉が社会の停滞をもたらすことは、いわゆる先進国病を見ても明らかでございます。行政を受ける側でのこのような自立性がない限り、行政の肥大化は避けられません。行政改革とは、とどのつまり精神運動とも言えるのではないかと思われます。
 最後に、これに関連して、三Kの例などを見ると、行政というよりも、むしろ政治が大きな要因となりまして問題を深刻化させている面があることは否定できません。行政改革は政治改革につながるものであるわけでございまして、この点はよろしく御理解を得たいと思います。
 以上をもって公述を終わります。(拍手)
#4
○委員長(玉置和郎君) 次に、林公述人にお願いをいたします。
#5
○公述人(林嘉十君) 私は、神奈川県で高齢者の世話活動をしております者でございます。
 私は、戦前戦後を通しまして現場の一労働者として働き、三十五年勤めまして、昭和四十五年に五十五歳で定年退職をしました。余り日の当たらない道を歩み、苦しい生活をしてきた一労働者であります。ですから、むずかしいことやうまいことはなかなか申し上げられませんが、多くの仲間の現況を代弁いたしまして申し上げてみたいと思うのです。
 当時の私たち退職金は、三十年勤続で三百五十万円程度でした。現在でも民間大手企業の退職金は、三十年勤務で平均は一千万から千二百万円といわれています。定年退職後は、再就職しようとしても適当な職場がなく、あったとしても劣悪な労働条件、賃金は現役時代の五〇%程度であります。だからといって、生活費が簡単に詰められるものではありません。この間には、公共料金を初めとして物価の上昇、社会の風習であります冠婚葬祭等の交際費は、現役でないからといって削ることはできません。年々増大の傾向にあります。収入は少なく、支出はふえてくるという生活のやりくり、足りないところはわずかばかりの退職金で食いつないできたのが現状ですが、それにも限度があります。やれ年金が受給できる年代になり、六十歳を過ぎると就職の道も閉ざされがちとなり、年とともに健康状態も思うに任せなくなり、厳しい生活を強いられているのが多くの高齢者の実態だということを、まず御承知おき願いたいと思うのです。
 その多くの人々を代表する意味で意見を申し述べさせていただきます。
 行政改革法案の趣旨説明を読ませていただきましたが、国民が期待していた行政改革には何ら触れず、緊急避難的な財政処置に尽きており、しかも、最も安易な道を選び、一番切りやすいところへの攻撃、年金、児童手当あるいは教育費等、国庫負担の削減は国民生活を大きく崩すものであります。これらの国庫負担は単なる補助金ではなくして、労使、国との共同責任であるのであります。しかも政府は、国会審議の中で公務員の仲裁裁定、人事院勧告の完全実施を渋りながら、これを道具に使い、法案の成立を企てているように見受けられます。これから多くの行政改革を断行しようとする政府として、本当の姿でないと言わざるを得ません。
 私は、行政改革そのものに反対するものではありませんし、やるべき多くの問題もあると思います。昨日の新聞を見ますと、脱税二千億円突破という記事が掲載されていました。また、談合入札など公然と行われ、役員の天下り高給という社会機構の中で、私たちはわずかな年金をもらっても、法律により所得税が天引きされ、それを基本に住民税や国保の保険料が算出されてくる片手落ちを放置し、苦しい生活を強いられている庶民に、さらに追い打ちをかける法案には絶対に反対であります。
 行政改革関連一括法案については、多くの高齢者、そして現役で働いている者を含めて、深刻な不安を感じさせています。たくさんの法案が俎上にのせられていますが、特に、老人福祉法で言う長年にわたり社会の発展に寄与した高齢者の尊厳と、次代を担う子供たちの健やかな育成に大きな歯どめをかけられようとしている点を重視しています。
 政府は事あるごとに、日本の社会保障は欧米諸国の水準を超えるまでになった、過剰福祉だと宣伝をしています。何を基準に比較してそのようなことが言えるのでしょうか。行革一括法案は、高齢者の老後所得保障、児童の健全育成がすでに十分な水準に達しているという前提に立っての法案だと理解をされます。しかし、実態はどうか。
 私どもの退職者の会員は、大企業に勤務し、五十五歳定年で、昭和四十一年退職者、現在七十一歳になっております者から四十六年退職者、現在六十五歳の者が約三百人ほどおります。当時の賃金も全国平均を上回っておりましたが、厚生省発表のモデル額には達しません。最高の三十五年被保険者でようやく到達する程度であります。厚生省が五十六年三月末でまとめた資料によりますと、男子受給者百十五万二千余人の平均月額は十一万一千百五十一円で、六万円から十万円が四〇%、十万円から十四万円が三二%、十四万円以上が二八%であって、これを見ても、いかに生活できない年金であるかがおわかりいただけると思います。
 厚生年金受給者はまだよいとしても、これよりさらに低い国民、福祉年金受給者は全体の八
〇%、八百万人を超えています。そのほか障害、遺族、母子年金受給者がいることを忘れるわけにはいきません。行革法案に条件つき賛成者はいても、もろ手を挙げて賛成する者はいないと思います。その要因は何だろうか。二万円台からの年金受給者、その他弱い者へのしわ寄せがひど過ぎる反面、行革本質に触れていないからです。
 法律案の第二条から七条は同様趣旨のものですから、私は厚生年金にしぼって意見を申し述べます。
 負担金の縮減については、三年たったら返す、私たちの厚生省交渉の中でも、三年間借りるだけだ、三年たったら利子をつけて返すと繰り返すのみです。第二条の二については、きわめてつかみどころのない、あいまいの文章であります。追及されてから返すということでなく、法律ですから、もっと計画性を持って、返済方法を明確にして提出するのが筋でありましょう。白紙で政府を信頼しろと言われても、それはむちゃというものです。
 いま大蔵省と厚生省は、共済年金基本構想研究会、社会保障長期計画懇談会を通じて、六十年前後を目標に年金制度の大改革をもくろんでいると言われています。いままでも年金水準の切り下げを提案してきており、したがって六十年には改悪で縮減分は穴埋めという、最悪の事態を危惧せざるを得ません。さらに、本日の新聞を読みますと、厚生省は厚生年金の切り下げ方向を打ち出したということが報じられております。政府はこの際、年金受給者、後に続く人たちのためにも、現行水準は低下しないという確約をし、国民の危惧、不安感を一掃するよう望みます。
 次に、物価スライドの問題でありますが、国庫の負担は給付に対するもので、スライドの実施時期を五ヵ月おくらせれば、この間の負担は打ち切りであります。法律では十一月でありますが、四十九年、五十年、五十一年は八月、五十二年から五十六年までは六月と、八年間特例により実施されてきました。その背景にはその必要性があってのことで、前年度物価上昇率ですから四月実施というのが本来の姿であります。すでに八年間続いており、法律を盾にとるなら、法律を改めなかった政府の怠慢であり、責任でもあります。政府見通しの五・五%上昇で、モデル額で五カ月間では三万六千円ぐらいの減収になります。大きな問題です。物価上昇率だけでは年金生活者の生活は維持できず、年々低下を来しています。生活の中に定着したものであり、政府も給付は低下させないと言っているのですから、スライドの実施時期は現行どおりとする。そのための特例法を出すという確約をしてもらいたい。
 児童手当の所得制限の強化、削減については、昨年九月十日、中央児童福祉審議会が具体的なあり方について厚生大臣に具申したものに逆行するものであります。高齢化社会は、子供の出生率の低い点にも起因しています。子供を育てることは、金も手もかかり、大変なことであります。人口政策も考えあわせ、児童手当については一段の配慮の必要を痛感します。
 一括法案にはありませんが、高齢者にとって大きな関心を呼んでいるのが老人保健法案であります。
 政府や自民党は、老人は治療代が無料だから病院をサロン化しているなどと言って、体が弱ってきている年寄りを攻撃していますが、年をとると病気がちになるのは必然であります。だれも空気の悪い病院に遊びに行く者がありますか。朝早くから病院に行くのは大変なことなのです。老人は血圧で医者にかかり、薬を飲み出すとやめられないのです。有料化を柱とした老人保健法案は、薬づけ、検査づけの不安と医療費高騰の原因を克服せず、一部負担の導入を図ろうとしているが、これは四十八年から実施され、生活の中に定着したものです。七十歳を過ぎても国民保険に加入し、老人にとっては高額の保険料を払っているわけで、三割無料であります。
 これは一つの例ですが、実例を申し上げます。私はいま血圧で医者にかかっています。投薬代が二週間分で四千百五十二円かかります。これは三割負担ですから、国保から病院に支払われる額は、九千六百八十八円支払われることになります。そのほか診察料、検査によっては一万円取られる検査もあります。薬も、果たしてそれだけ必要なのかどうか。要するに薬づけ、検査づけが医療費高騰の要因であります。なまじ七十歳を過ぎた人から金を取るよりも、この辺にメスを入れて健全化すれば、老人泣かせをしなくても運営できる問題でしょう。
 老人福祉法の精神を根底から踏みにじるような行為はやめ、現行医療制度体系を総合的に抜本的に改革し、いつでも、どこでも、だれでもよい医療が受けられるよう道を開き、健やかな老後を本人負担なしの保険制度を確立してもらいたい。有料化導入には絶対に反対であります。
 以上をもって終わります。(拍手)
#6
○委員長(玉置和郎君) 次に、肥後公述人にお願いをいたします。
#7
○公述人(肥後和夫君) 非常に長い名前の法案でございますので、行政改革関連の一括法案と略称させていただきまして、この法案に関する意見を陳述いたしたいと思います。
 この行政改革関連の一括法案は、臨時行政調査会が去る七月に行いました行政改革に関する第一次答申を受けまして、さしあたり五十七年度予算編成上予想されている財政再建上の緊急な課題に対処するための措置の一環であると私は理解しております。
 つまり、五十六年度予算で五兆五千億円を予定されております特例公債の発行額を、五十九年度までにゼロにするという政府の財政再建に関する大方針に基づきまして、五十七年度予算編成においては、約一兆八千億円の特例公債を新規の増税なしで減額する方針が決定されておりますために、大蔵省の国の一般会計の中期財政展望によりますと、一般歳出面で二兆八千億円の経費を節減することが必要になっているわけでございますが、この法案もその一環でありまして、これによって、厚生年金の国庫負担や特定地域に係るかさ上げ補助率等の引き下げを初めとする九項目にわたる措置によって、約二千五百億円の経費の節減を図ろうとするものであると理解されます。総額二兆八千億円の節減の課題は、各省の概算要求段階、公共事業費の据え置き、臨調答申外でも事務事業費等の据え置きが図られましたこと等によりまして、残るところが約四千億円となり、これを補助金原則一割カットと、この一括法案による経費節減によって対処しようとするものと解しているのであります。
 この一括法案に関する私の意見でございますが、その前に、財政再建と行政改革の関連、及び財政再建の必要性に関する私の考え方を申し上げたいと思います。
 まず第一に、財政再建と行政改革の関係でございますが、両者は表裏一体のものでなければならないはずであります。国の政策に関する考え方、その制度、実施体制の合理化を進めることが行政改革であり、これを貨幣の尺度で措置すると財政再建になるということであります。表から進めるか、裏から進めるかという違いでございますが、日本の政治状況から言えば、金がありません、何とかしないと大変ですと訴えることがむしろ実際的で有効なのではないかと、私自身いろいろな審議会に参加したささやかな経験で考えている次第でございます。
 中期財政展望に関連して申しますと、五十六年度までの制度を変更しないという前提で歳出面の積み上げ計算をし、歳入面でも、新規の増税なしで毎年度約一兆八千億円の特例公債の減額を続ける方針のもとに収入を見積もったところ、五十七年度は約二兆八千億円、五十八年度は約五兆円、五十七年度は六兆八千億円の収入が不足するという結果が出ているのでございます。この収入不足を解決しないことには特例公債の減額もできないわけでございますから、したがって財政再建の当面の大方針も達成できなくなります。しかし、この収入不足が生じた主たる理由は、現行制度を前提にして計算したことにあるわけでございますから、収入不足を根本的に解決するためには、制度を改革し、政策全体の整合性を回復する必要があるということになるはずでございます。真の財政再建を達成するためには、給付と負担の関連における現行制度の根本的な改革が必要であり、これこそ行政改革の望ましい姿でなければなりません。
 次に第二に、財政の再建は、国民経済の活力を維持し、国民の暮らしを今後とも向上させていくために、現在取り組むべききわめて重大な緊急課題ではないかと思っております。と申しますのは、公債の増発によって国民の公共サービスに対するニードを充足していく方式は、五十四年度からこの方、大きな壁にぶつかっているからでございます。
 現世代の国民の公共サービスに対するニードがどんどんふくらんでいきまして、しかも負担は後代に回していって便益と負担の関連のけじめが薄れていくことは、資源の配分を非効率にして、日本経済の長い目で見た活力をそぐ結果になるでございましょうし、また、大量の公債を無理をして市場に押し込む現在のようなやり方を続けることによって金融機構の基盤がむしばまれつつあり、放置いたしますと、インフレによる経済基盤の破壊に道を開くおそれが高じつつあります。その意味で、短期的にいわゆる行革デフレ効果も多少は出ると思いますが、長期的な日本経済の発展の基盤を固めるためには、制度や政策の根本的な洗い直しが必要であり、その時期としては、経済が比較的好調であり、国民生活も比較的に安定しているいまならしばらくの間がまんもしやすいだろうし、世論もまた行政改革を支持する方向で盛り上がっているという意味で、現在は絶好の機会ではないかと思います。
 緊縮政策は景気を悪化させるから悪い政策であり、積極政策は景気を回復させるからよい政策であると一般に言われますが、長期的な観点から見ますと、両者を別々に評価するという見方は妥当なものかどうか、問題であります。明治十年代に松方蔵相による厳しい引き締めがあって、経済基盤の整備がなされましたからこそ、それ以後の経済の発展は可能でありました。また昭和初期、井上財政の引き締めで合理化が進んだからこそ、その後の高橋財政によって日本経済は劇的な大不況からの脱出を成し得たのではないかと言われております。経済のたがも、締めるべきときにはしっかり締める努力をしませんと、その後の経済の活力を期待できないのではないかと考える次第でございます。
 以上のような次第で、私は財政再建に取り組む必要性を重視する立場をとるものでありますが、しかし、五十七年度の目標達成についても、そして五十八年度以降につきましてはなおさら、その達成は容易ではないと感じております。
 と申しますのは、財政の中期展望が政府の立場上基準にしなければならない経済社会七カ年計画のGNP最終目標値と、五十六年度予算の基調になっている経済見通しを、直線で結んだ結果として算出されました名目GNP平均成長率一一・七%が、ここ数年の実績や五十六年度の推移から見まして、あるいは達成できないのではないかという懸念が出てきているからでございます。もしそうであるといたしますと、第一に五十六年度の税収が予算を下回ることになりましょうし、五十七年度の税収はまた、五十六年度の低い実績と低いGNP成長率によって一層低くなるわけでございます。現在の公債減額方針を貫くつもりでありますなら、現行税制のもとで徴税の努力をして、給与所得以外の税源を充実するとともに、歳出の一層の節減が必要になります。
 臨調の第一次答申を受けた五十七年度予算編成におきましては、当面の二兆八千億円対策として、ゼロシーリングの概算要求提出に各省が協力した事実は高く評価しなければならないにしましても、制度の抜本的改革によらない後年度への負担繰り延べ、財投計画や地方公共団体へのツケ回しによる当座しのぎと認められる面もあることが目につくのでありまして、さらに一段と経費の節減を図ることは、各省庁や関係圧力団体等の大きな抵抗があろうかと思われる次第でございます。
 最後に、この法案に対する意見を申し述べたいと思います。
 これまで申し上げました私の基本的認識からすれば、この一括法案に含まれる九項目にわたる措置は、五十七年度の財政再建対策の一環であるという意味では支持されなければなりません。しかしその措置は、緊急避難のための当面の措置とされ、制度の根本に触れる措置ではありません。たとえば、厚生年金保険や共済保険の財政は今後に重大な危機や課題をはらんでおりますが、取り上げられているのは国庫負担の削減だけであり、不徹底であります。臨調の第二次答申に期待したいと思います。
 関連して申し上げたいと思いますが、福祉国家における財政再建は、国民生活に苦痛を与えることは避けられません。それでも国民にがまんを求め、協力してもらおうとするためには、東京都の財政再建に委員として参加いたしましたささやかな私自身の経験からしましても、政府自身の厳しい内部努力と負担の公平に関する厳しい自己抑制が必要だと思うのでございます。この点について、臨調の第二次答申とこれを受けた政府の真剣な取り組みに期待したいと思っております。
 以上で意見の陳述を終わります。(拍手)
#8
○委員長(玉置和郎君) 次に、坂寄公述人にお願いをいたします。
#9
○公述人(坂寄俊雄君) 坂寄でございます。
 まず最初に、私の意見の視点を申し上げたいと思います。
 第一次答申を見ますと、その初めのところに「行政改革の最大の眼目は、行政の在り方を大きく改めることを通じて、国家と国民を合わせた国全体の歩みを、より望ましい方向に変えていこう」というふうに書いてありますし、また、いわゆる第三章に当たる部分だと思いますが、そこにおきましては「今後の検討方針」で、第一次答申を踏まえて「国民生活と行政とのかかわり方を抜本的に見直すことが必要である。」というふうに述べられております。このようなことからいたしますと、それは、憲法によって認められております基本的人権を現実的なものにするということでなければならないのではないかというふうに考えます。
 それは憲法第十二条で、この憲法が保障する自由及び人権は、国民不断の努力によって保持しなければならないというふうに十二条には書いてございます。こういうようなことからしまして、より望ましい方向に変えるということは、憲法で規定されておりますことを行政の上に実現していくことにほかならないというふうに考えてもよろしいのじゃないかと思っております。そのようなことからしまして、第一次答申とこの一括法案について、憲法とのかかわり合いにおきまして、以下意見を申し上げたいと思います。
 まず第一でございますけれども、第一次答申の「支出に関する個別的方策」のところを見ますと、その(1)で「国民生活と行政」の項がございますが、そこにおきまして「真に救済を必要とする者への福祉の水準は堅持しつつも、国民の自立・自助の活動、自己責任の気風を最大限に尊重し、関係行政の縮減、効率化を図る。」というふうに書かれておるわけでございます。
   〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕
 ここで「真に救済を必要とする者」ということには明確に規定がされておりませんけれども、一般的常識的に考えますと、生活保護を受けざるを得ないような方々ですね、それからひとり暮らしの寝たきり老人のような方々、あるいは重度身障者のような方が少なくとも「真に救済を必要とする」というところに入るのではないかというふうに申し上げてよろしいのじゃないかと思います。そうしますと、このような人については福祉の水準を維持していくのだということですが、そのほかの者については関係行政の縮減を図るということになりますと、一般的には福祉の縮減だということになります。そうなりますと、これは憲法二十五条の第一項及び第二項での、国の責任によります最低限度の生活を保障いたします社会福祉、社会保障、公衆衛生などが一般的には縮減されるということからしまして、憲法二十五条にかかわった問題が基本的にはあるのではないかというふうに考えられるわけでございます。
 また、具体的な問題でございますけれども、「老人保健医療」の問題の第二項の後段におきまして、「なお、老人保健制度において患者一部負担を導入した趣旨にかんがみ、地方公共団体は、単独事業としての老人医療無料化ないし軽減措置を廃止すべきである。」というふうに書いてございます。ですけれども、都道府県あるいは市町村が単独事業で行いまするのは、これは憲法九十二条及び九十四条で認められております地方自治の手続を踏まえ、また、地方自治法の規定を踏まえてやられていることでございます。そういうことからしますと、これは国が、答申が廃止すべきだと言うことは、いま申しました憲法の問題に私は触れるのではないかというふうに考えるわけでございます。
 それからもう一点、文教の項の関連で「義務教育教科書無償給与制度については、廃止等を含め検討する。」ということになっておりますけれども、これは憲法第二十六条第二項では「義務教育は、これを無償とする。」ということになっておるわけです。義務教育を無償とするとしますと、義務教育をやっていくには先生と教室と、それから教科書がなければ小中学校の教育は保障できない。義務教育を保障する。そうすると、その中の教科書が有料化されるということは二十六条の第二項の問題に触れるのじゃないかというふうに思っております。
 こういうようなことからしまして、この第一次答申が基本的に憲法に触れるような、あるいは抵触するといいますか、そういう問題を含んでいることについて、私はぜひお考えいただきたいというふうに思っております。
 それは一括法案との関係で申しますと、一括法案の中で「第一次答申を最大限に尊重し、速やかに所要の施策を実施に移すとの基本方針を決定いたしました。」というふうに、いただきました資料の中に出てまいるわけでございますが、そういうようなことからしまして、いまお話し申し上げました答申の基本的性格との関連において非常に重要な問題があるんだというふうに考えております。そういうようなことからしましては、私は、七項目ですか、そういうような形で一括にしてやるということは事実上無理があるのじゃないかというふうに思ってわります。
 第二番目に、特例措置の問題について少し具体的に申し上げますと、一番目には、厚生年金とのかかわり合いで国庫負担金の繰り入れ等の特例を行うのだということが述べられておるわけでございますが、その中で、ここにおいては確かに繰り入れを延ばすのだということですが、答申を見ていただきますとわかりますように、受給年齢を六十五歳に延ばすのだという問題とか、保険料を引き上げる問題とか、そういうようなもろもろの問題と関連して国庫負担の削減が出ているわけでございますから、ぜひ厚生年金の繰り入れの問題も、そういうような答申に出ておりますもろもろの問題と関連づけて御審議いただきたいことを切にお願いしたいわけでございます。
 この繰り入れの国庫負担の問題でございますけれども、衆議院の公述人の小玉一郎さんが、厚生年金保険法の八十条の国庫負担の規定というのは、単なる財政的な補助をするのではなくして、国の責任ということが含まれているんだということを申されておりますが、私も全く小玉先生と同じ見解を持っております。まさにそのとおりじゃないかというふうに思っておるわけですが、給付費の二〇%ないし二五%をするといっておりますけれども、実際上から見ますと、保険料に対しまして一一%しかなっておらないという点では非常にわずかなものでございますけれども、わずかといっても非常に私は重要な意味を持っているというふうに考えます。
   〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕
 そういうようなことでございますが、そういう問題について、財政再建の期間が終わった後で、経過後に利子をつけて繰り入れるというような形になっておりますけれども、いま肥後先生が言われましたように、五十八年度以降の財政状況からいいますと、繰り入れるという抽象的な表現では、私は非常に何といいますか、むずかしい問題がある。あるいは繰り入れられないような財政状況を考えざるを得ないわけでございます。そういうところからしましては、昭和六十年度において繰り入れるということを明確にしていただく必要があるのじゃないかというふうに思います。
 なお、厚生年金の老齢年金水準が低いことにつきましては、林さんが非常に具体的に言っていただきましたので、私は省かせていただきますが、一言申し上げますと、生活保護法の一級地の生活保護費ですね、これ以下の方たちが相当あるんだという実態がございます。そういうようなことからしましては、掛金を描けているわけですから、最低限、生活保護費を上回るようなものが支給されなくちゃいけないという点だけを申し上げておきたいというふうに思います。
 それから児童手当についてでございますけれども、所得制限の問題が出ておるわけでございます。
 所得制限につきまして、法律が制定されました段階で、厚生事務次官の坂元さんが「児童手当法の解説」という本をお出しになっていらっしゃる中で、所得制限については、その当時の勤労者の収入に見合った形、具体的に言うと、お役所の課長さん以上の人については制限する程度なんだというふうに御説明されております。ですけれども、今度はそういうような基準を改めて、老齢福祉年金ですね、それとの関連で変えていくという形になっておりますが、こうなりますと、勤労者の生活という面から大きく質的な変化を来すと思いますので、この点はぜひ御検討いただきたいし、事実この五十六年度で、今度の案で三百九十一万円、これを五人換算でずっと計算してみますと、五十一年度には三百五十二万六千円だったわけですが、それが五十二年、五十三年、五十四年が据え置きで、五十五年が三百十五万円に減り、それで三百九十一万円というのは、五人家族に換算しますと二百六十七万円で、五十一年度に対しまして二四・三%の実質的な減額に所得制限がなっていくという形で、非常に多くの受給者が外れていくという危険を持っております。
 そういうようなことが答申にもございますけれども、この児童手当を見直す中で、児童扶養手当、特別児童扶養手当、これは母子世帯の音あるいは重度心身障害者に対する手当でございますが、これがもしいま申し上げたような児童手当の給付の引き下げというような中でやられるとしますと、本当に母子世帯あるいは重度心身障害者を抱えられている御家族の不安というのは重大なものがあるんじゃないかというふうに思いますので、そこも含めてぜひ御審議いただきたいというふうに思ってわります。
 政府の貸付金利の問題との関連で、七章のところに出てきておりますが、この中で住宅公庫の金利の問題が出てきますけれども、これとの関連で、これがもし上がりますと、現在任宅ローンを借りておりますのは勤労者の約半数になっているそうでございますが、総理府統計局の貯蓄動向調査によりますと、六十五歳以上の方々で平均してなお二百五十万円からの住宅の負債が残っているというようなことからしますと、この金利が上がるということは、まさに二世代ローンで、高齢者の方々の生活が老後の段階に入って非常に脅かされるという問題があります。
 それから最後に一言申し上げますと、日本の社会保障の水準というのは、ILOの後進国のための社会保障の最低基準に関する条約の水準を九つのうち、四つしか満たしておらないわけでございます。これは、批准時において国会で厚生省の方が御説明されたとおりなわけですが、そうやって非常一におくれているという問題があります。
 それから、高齢化の問題について一言申し上げますと、国全体としては昨年度において九%でございますけれども、その段階で九%を超える府県というのは、何と三十六府県にわたっております。それを今度市町村で見ますと、すでに市町村段階では高齢人口が三〇%を超えているところがありますし、二〇%を超えているのは非常にたくさん見られるわけでございます。
 時間がございませんので、これで終わらせていただきますけれども、以上、国民生活にとりまして、社会保障、社会福祉の問題は不可欠な重要性を持っておりますので、ぜひ慎重な御審議をお願いしたいと思います。(拍手)
#10
○委員長(玉置和郎君) 以上で、公述人各位の御意見の陳述は終わりました。
 それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#11
○坂野重信君 石田先生に若干お尋ねといいますか、御意見を重ねてお伺いいたしたいと思います。
 先ほどお話を伺いますと、臨調の設置に対する意義であるとか行政改革の理念ということにつきましては、私ども全く同感でございまして、大変傾聴いたしました。また、行革に対する今後の財界としての期待といいますか、そういう度合いが非常に大きい。
 そこで、大変石田先生の理論といいますか、考え方については敬服したわけでございますが、行革はまだまだ本当に序の口でございまして、まあ冨士さんならばまさに一合目を登ったか登らぬかという程度であって、第一次答申は、さっき肥後先生もおっしゃいましたが、まさに緊急避難的なものだ。そういうことで、本格的な行政機構の改革というような問題はこれから始まるわけでございまして、当面は、この第一次答申に盛られた内容あるいは今度の法案に盛られた内容というようなものは、いわば制度面において財政の切り詰めというようなものが重点になっておると思うわけでございます。そういう意味で、私ども国会におきましても、政府の努力と相まって、他力本願で臨調任せというようなことじゃなくて、本当にわれわれが真剣にこの問題を検討し、そして力強く推進する努力というものをお互いがやっていかなければならぬと思います。
 特に、先ほどおっしゃいました国民の各層の、何と言いますか、精神的な問題、これはもうお互いが考えなければいかぬ問題でございまして、長い間の惰性といいますか、そういう中で、いわゆる各方面で親方日の丸というような考え方というものがいつの間にか私どもに浸透してきている。先ほど肥後先生もおっしゃいましたが、給付と負担といいますか、そういうものの調整も大事だというようなこと、私も非常に傾聴したわけでございます。
 そこで、さっきも話がございましたが、今度の行革がどうも一部で財界主導型ではないかというようなことがかなり強く指摘されております。駅頭等におきましてもそういうパンフレットが配布されたり、そういう事実があるわけでございますが、それに対して石田先生はどういうような考え方を持っておられるのか、ひとつお述べいただきたいと思います。
#12
○公述人(石田正實君) お答えします。
 新聞等でもよく今度の臨調の答申は財界主導型だ、こう言われておりますけれども、御承知のとおり、あの委員の方を見られましても、それからまた、あと参与、専門委員の方、そういうメンバーをごらんになりましても大体わかると思いますけれども、これは財界からも出ておりますけれども、労働団体の方からも相当出ておられますし、それからまた官僚出身の方も相当おられますし、報道関係の方もおられますし、その他国民全般を代表するというふうに私見ていいのじゃないかと思うわけでございます。
 ただ、会長の土光さんが前に経団連の会長もやっておりましたし、そういう意味で財界主導型というような印象を与えるのじゃないかと思いますけれども、私は土光さん自身は非常に公平無私な、清廉潔白な人だと考えておりますし、皆さんもそう言っておられる方でございまして、そういう意味で、決してあの臨調の答申をごらんになっても、これは財界主導型というのでなくて、やはり国民本位といいますか、むしろもう一つは国家本位といいますか、そういうもので私はできていると思うわけでございまして、決して財界主導型ではない、そういうふうに確信しているわけでございます。
#13
○坂野重信君 時間の関係もございますので、余りたくさんの質問はできぬわけでございますが、もう一点、この第一次答申の中にも盛られておりますが、民間の活力を大いに期待したいということでございます。いわゆる役所側の機構というものが簡素になり、小さな政府になってくればくるほど、民間側のウエート、役割り、そういうものは非常に大きくなってくると思います。
 そこで従来、先ほど説明がありましたように、財界側としてはもちろん自主的ないろんな構造改善といいますか、経営改善というような努力はされておりまして、そしてその中心になって石田先生活躍しておられるようでございますが、こういう行革を踏まえて、今後ますますそういう民間の活力の期待というものが大きくなってくると思います。たとえば第三セクターの問題等についても、政府と半官半民といいますか、そういうような形においてまたそういうものを推進していくということも多々いろいろあろうかと思いますけれども、そういう民間の活力をどういうぐあいに上げていくかというような問題について、財界で今後どういう努力を具体的になさろうとされているのか、この辺をお述べ願いたいと思います。
#14
○公述人(石田正實君) お答えいたします。
 御承知のとおり、高度成長のときにはわれわれも非常に膨大に伸びたわけでございますけれども、第一次石油ショック以後、非常に日本――世界全体でございますけれども、経済界は非常に大きな変動を来しまして、われわれは血のにじむような努力をしたわけでございます。人間を減らすとか、それから機構はもちろん減らすし、事業も縮小する、いわゆる減量経営というものをやって、そして幸いに日本経済というものは御承知のとおり世界的に注目され、しかも日本の経営のあり方というものがまた非常に世界的に注目されるというような時代になってきまして、これはわれわれ経済界のあれでございますけれども、しかしやっぱりこれは日本全体といいますか、そういう日本の国土といいますか、そういうものからこの日本の経営というのは生まれてきているわけでございまして、ここら辺がやはり日本の歴史的な考え方なり、そういうものが今日の経済界の世界的に非常に伸びた一つの大きな根本問題じゃないかと思います。
 ことにまた、よく労使問題なんかも言われますけれども、向こうが横のつながりになっているのに、日本はいわゆる企業内組合というようなことで、ここら辺が結局あのロボットの採用を非常に容易にしたというようなことで、ここら辺は私たちの日本の経営、労使一体となったところが今日の日本の経済の発展を来した一番大きな原因じゃないかと思うわけでございます。そういう意味で今後われわれは大いにやらなきゃならない、また世界からも期待されておるわけでございますので、そういうふうにやっていきたいと思います。
 また、行政改革の問題につきましても、そういうわれわれの石油ショック以後の血のにじむ経験、そういうものを踏まえて提言しているようなわけでございますので、今後とも業界としては活力ある社会というものをつくることに万全の努力をしたいと思います。
#15
○坂野重信君 それでは、時間がありませんので、肥後先生に一点だけお伺いしたいと思います。
 先ほど行革デフレ論に触れられましたが、各方面でそういうことが心配されておりまして、特にいま御案内のとおりに、中小企業等の倒産件数もかなりに上がっております。そこで、こういうデフレというようなことが本当に進行してまいりますと、自然増収というような問題に効いてくる。そうすると財政計画そのものに、行革が一つの引き金になって、そういう破綻を来すというので、非常に厳しい条件になるような心配もあるのじゃないかということが世上指摘されております。これは、どこの国でもそういう厳しいときにこそ行革を行うべきで、行革を行ったからデフレということにつながるとは思いませんけれども、非常に心配されている向きがございますので、時間もございませんが、もう一度簡明にひとつお答えいただきたいと思います。
#16
○公述人(肥後和夫君) お答えします。
 需要の面からいきまして、政府の経費を抑制いたします、公共事業費も据え置きということになるわけでございますし、それから、税の方は名目価値にかかってまいりますから可処分所得の伸びが悪くなるということも指摘されておりますから、そういう面で、需要面でやはりデフレ効果が短期的に出てくるということは、これは避けられないのではないかと私は思います。ただ、最近民間の経済がかなり回復基調にありますので、そういう面でかなりカバーしてくれるのじゃないか、そういうような期待を持っているわけですが、長い目で見ますと、こういう短期の積み重ねでは、いつでも締めれば景気は悪くなるということで結局根本的な見直しができないということになってまいりますので、そういうことがないように、やはりこの際やるべきことはやるということにすべきじゃなかろうかと思っております。
#17
○坂野重信君 どうもありがとうございました。以上で終わります。
#18
○安恒良一君 各公述人の先生方、お忙しいところ本日大変貴重な意見を聞かせていただきまして、ありがとうございました。私に与えられております時間は往復で三十分なのでございますから、簡潔に関係の先生に御質問したいと思いますので、お答えをお願いしたいと思います。
 私は、時間を節約する意味で三人の先生に一括質問をいたしまして、順次お答えをお願いできればと、こういうふうに考えます。
 まず石田正實先生にお尋ねをしたいのでありますが、今回の行財政改革の必要性を説かれて、国民がひとしく痛みを分から合わなければならぬ、こういうことでございまして、私もその点について異論はないわけでありますが、今日この行財政機構が肥大化をして非能率化した、国庫支出に問題がある、それを直すことも私は異議あるわけではありません。しかし今日の行財政改革は、財政再建だけでまた達せられるとも考えられないのでありますが、それと同時に、私は、今日の財政赤字の責任がどこにあるかということを明らかにしておかなければならぬと思うわけであります。
 たとえば、私は過去政府・自民党がとった財政金融政策に対する反省、責任ということも追及しなければいかぬのじゃないか。御承知のように、高度経済成長政策が終わって第一次石油ショック以降、経済の成長、これは財界を含めて景気上昇を期待をされてその政策が展開された。私ども社会党は、そのときに赤字公債の発行には非常に慎重な意見を言ったのでありますが、確固たる国債政策の方針を樹立することなく、野放図に国債発行を継続した。それが今日の八十二兆円と、こうなったわけなんであります。
 そのことになりますと、私は政府・自民党だけでなくて、財界の皆さんも責任の一端は免れないと思います。そういう意味で、この際痛みを分けるならば財界の皆さんも痛みを分けていただかなきゃならぬと思いますが、石町先生の御意見を聞きますと、もうおれたちは先にやったんだ、法人税も引き上げたし、租税特別措置法もやった、だから今度は財界を除いた国民の番だというふうにあなたの公述は聞こえるのでありますが、私はそこに問題があると思うんです。ですから、私がお聞きしたいのは、財界の皆さん方の痛みはこれから何によって国民と同じように分かとうとされているのか、そのことをひとつ石田さんにお聞きをしたいと思います。
 それから第二番目には、歳出のカットをいろいろ言われましたが、抽象的でよくわかりませんでしたから、歳出のカットはどのような部分を必要とされているのか、もしくは希望されるのか、このことについて石田先生にお聞きを申し上げます。
 それから肥後先生にお聞きをしたいのは、いろいろ社会保障問題にも意見を述べられましたが、御承知のように、昭和四十八年を福祉元年としましたわが国の政策は、それまでの高度経済政策に対する反省、いわゆる財政投資だけではいけないんだ、そして内需を拡大もしていかなきゃならぬ、こういうことで、福祉元年ということで急速に福祉に重点を置いてきたと思います。それが肥後先生は誤りだったというふうにお考えなのでしょうか、どうでしょうか。どうもお聞きをしますと給付と負担の公平ということをいろいろ強調されましたが、四十八年以降の社会保障政策に重点を置いて、これは政府みずからもその方向に方向転換をしたわけでありますが、私たちも強く主張しましたが、そのことについて肥後先生はどういうふうにお考えなんでありましょうか。
 それから、公平の負担ということを言われました。私も非常に必要に思うんです。肥後先生もやはり税制面に触れられましたが、給与所得者を除いてと言われました。いま給与所得者が、かなり税においてサラリーマンが重税感を持っていることは事実でありますから、それ以外の税の公平負担については私はどうしてもやらなければならぬと思いますが、肥後先生としてはどういうどころをお考えになっているのでしょうか。たとえば交際費の課税であるとか、広告税でありますとか、フランスではミッテラン政権になって富裕税か決められました。ミッテラン政権のもとにおける富裕税等も決められましたが、肥後先生として、いわゆるその公平の負担において税制面でどういうところを直せばいいというふうにお考えなのか。先生は、臨調に期待する、臨調がこういうのを出せばいい、負担の公平も臨調が出せばいいとか、政府自身の努力もと、こう言われましたが、臨調に期待されることはわかりますが、あなた自身としてそういうところはどのようにお考えなのかということをお聞かせいただきたいと思います。
 それから林先生にお聞きをしたいのでありますが、老人医療のことについていろいろ述べられました。
 私はあなたと同じ意見で、今日、薬づけ、検査づけではいけないと思いますが、これは単なる財政政策だけではないのじゃないだろうか。あなたのささやかな経験も言われましたが、今日お年寄りが成人病にかかられています。脳卒中であるとか心臓疾患であるとか、また不幸にがんであるとか、いろいろあります。この病気はほとんど完治することのない長期慢性疾患だと思います。そういたしますと、薬剤だけに依存しますとかえって逆効果がある。そこで、お年寄りの病気というのは日常生活の中で食事、運動、休養のバランスを改善することによって疾病をコントロールする、わかりやすく言いますと、生活療法と私ども呼んでいますが、こういうことが必要じゃないか。
 そうしますと、かかりつけのお医者さんですね、いつでも相談できるお医者さん、こんなのが必要ではないでしょうか。イギリス流ではホームドクターと呼んでいますが、そういうことにしなければいけない。そうしますと、いまのような現物給付、出来高払いではなくして、かかりつけのお医者さんというものが決まれば、いわゆるホームドクターになじむような医療費の支払い方法に変えていく、そのことが医療費を大きく節減するごとにもなりますと同時に、お年寄りの病気を治すのには一番いい方法ではないかと思いますが、そういう点についての考え方をお聞かせ願いたいと思います。
 それから坂寄先生に一つお聞きしておきたいのですが、児童手当は非常に重要なことでありますが、今回の児童手当の中でいわゆるサラリーマン、労働者とそれから事業主が所得によって格差がつけられています。支給率は同じになっています。このことは私は憲法から見ましても、法のもとにおける平等という意味から違反するのではないだろうかということを思っていますが、以上の点を各先生方に御質問申し上げまして、お答えをいただきたいと思います。
#19
○公述人(石田正實君) お答えします。
 財界としましても、もちろん今度の行財政改革につきましては、これは負担すべきものは当然負担すべきという考え方でおるわけでございまして、ただ先ほど申し上げましたのは、昨年は法人税が上げられるし、それから租税特別措置の方もその前年度は減らされる、それかも退職金の方も積立金も減らされるというような事実があったことを述べたわけでございまして、実際に五十年から赤字国債というものが出されましたけれども、これはしかし財界だけじゃなくて、それによっていわゆる公共事業というものも起こされるし、あの石油ショック後の経済の危機というものを乗り切ったわけでございます。御承知のとおり日本の成長率というのは、高度成長の当時は別としましてやっぱり四、五%の成長を続けておるというこの事実、それからもう一つは失業率が非常に少ないというこの事実ですね、こういうのは、あのときに世界に類例を見ないような赤字国債が出されて、そして現在は建設国債を合わせて八十二兆というような大きな数字になりましたけれども、しかし、そういうものはやっぱりこれは国全体といいますか、国民全体に均てんしたものではなかったかというふうに私たちは考えているわけでございます。
 しかし、今後の大蔵省から出している中期展望を見ましても、毎年大体五兆円ぐらいの自然増収というような数字を見てまして、それが基本になって六十年度まで見てあるわけでございます。この五兆円の自然増収というものをどういうふうに図っていくかということは、これは活力ある経済社会というものが中心にならなければならないし、それからまた企業の成長といいますか、そういうある程度の高度成長とそれから企業の活力、こういうものが両々相まって初めてこういう自然増収というものが可能になると思います。簡単に言いますというと、やっぱり鶏に相当の栄養をやっておかないと私は卵は生まないと思うわけでございまして、そういう意味からも、やはり企業を活力あるものにしていただきたいということを念願しておるわけでございます。決してそれによって企業のやるべきことを回避するというような意味じゃございませんので、ひとつ御了承願いたいと思います。
#20
○公述人(肥後和夫君) いま御質問のありました四十八年の福祉元年の政策をどう考えるかということと、公平な負担を税制面で実現するための方策をどう考えているかという二点をお答えいたしたいと思います。
 四十八年の社会保障給付の大幅改善のときに、私は社会保険審議会の委員をしておりました。安恒先生もちょうど同じ委員をしていられまして、審議会のたびに大変に勉強された御高説を拝聴していたものでございます。
 そこで、そのときの当局の答弁その他から、私はやはりそのときの社会保障給付の大幅な改善は、高度成長が今後も続くのだということを前提にして、税収の大きな伸びと賃金の大きな伸びに伴うところの社会保険料収入の大きな伸びを前提にして一応構築されていた。その限りでは、国民の福祉を向上させるような施策を、自分の手でそういう制度を改革するということは、当局者にとってもこれは大変なやはり気負いのあることであったと思うんですが、ただ、石油ショックという思いがけない事態以降、高度成長ではなくて、成長率が半減したという事態になってみますと、やはり高度成長を前提にした制度では収支が結局償っていかないことがはっきりしているわけでございます。したがいまして、給付と負担の関係で根本的に見直しをする必要があるのではないかと思っております。
 ただその場合に、整合性のある見直しをしなければならない。特にその場合に、今後老齢化が進んで年金がふえるということとの見合いで医療費の問題が重要になるわけでございますが、この点につきまして私は率直な意見を申しますと、臨調におきましても医療費の現物給付、出来高払い方式の改善について言及していられるわけでございますけれども、今回のその臨調答申絡みで概算要求がゼロベースになった段階で、たとえば国保の府県分負担二千五百億というようなものがありますが、緊急対策がどういうふうになるかは別としまして、この問題はやはり医療制度の根本的な改革を伴うことなしにはとてもいい姿にはならないのではないかと思っております。
 次に、公平な税負担をどう考えるかということですが、先ほど給与所得を除いてと申しましたのは、給与所得は黙っていても税負担はふえるからでございます。もちろん減税ができれば一番いいわけでございますが、先ほど公述いたしましたように、五十七年度を含めまして今後の税収の見通しは非常に厳しいものがあるということを前提にしまして、しかも増税は来年度はしないというふうな政府の、総理の言明もありますので、その中でどうするかということになりますと、やはり給与所得だけに税負担をかぶせていくようなあり方はよくないという意味で、もちろん交際費課税あるいは企業関連の特別措置の見直しも必要でありますが、そのほかに事業所得の課税あるいは資産所得の課税等について一段の努力が必要であろう。
 それで、イギリスのミード委員会で、直接税体系と社会保障を総合しました非常に野心的な、第二のビバリッジ報告といったようなものを意図した改革案を出しているのでございますが、この間、国際財政学会でワイズマン教授が参りましたので聞きましたら、あれはいいけれども、とても実行できないよというような話でございまして、理念として私は逆所得税といったようなものを非常に考えたこともありますけれども、率直な意見としては、五十四年度に私ども、安恒先生も税調の委員であられますが、私も特別委員として一般消費税の審議に参加したわけでございますけれども、所得税あるいは直接税がたてまえとしてはいいのだけれども、実際問題として非常に不公平になっているという現実を考えますと、やはりもう一回一般消費税を御検討になってもいいのではないか。
 その時期は、それはしかし徹底的に経費の切り詰めに努力をされた上で、国民が、よくやった、それじゃ少し政府の言い分も聞いてみようじゃないかというような雰囲気が出たときでなければ出せないと思いますけれども、そうなりましたら、やはり一般消費税をもう一度改めて検討されて、もしこれが十分な額になりましたならば、一挙に十分な額になるような導入は不可能だと思いますが、なりましたならば、それとの見合いで給与所得のあり方をもう一度見直すとか、あるいは福祉の財源をそれによって考えるとか、そういうことをするのが、私は現段階では実現の可能性がありそうな方策ではないかと思っております。
#21
○公述人(林嘉十君) それでは安恒先生の御質問にお答えをします。先ほどちょっと時間を気にしましたので早口で述べましたし、それから言い足りない点が若干ありますので、その点を補足する意味を含めて答弁したいと思います。
 老人の医療の問題について、薬づけという問題、でありますけれども、私たち年寄りの中で話し合うと、医者に行って薬をもらってくるけれども、それがなかなか飲み切れないというのが実態はわけです。しかしこれは非常に昔と違いまして、昔は先生が全部調合して、薬剤師が調合してくれたのですが、いまはもう薬局の者がストレートでカプセルに入ったものを何種類か積み重ねてくるわけですね。それを一つずつあけるのですから、これは飲むのにも大変な手間がかかるし、なかなか飲み切れないというのが実態なわけです。そういう点ではこれは患者も、七十歳以上は別として患者も相当のこれに対する負担をしているわけですね。何か薬をせっかくもらって高い金を払ってきても、それを捨ててしまうというような実態があるわけです。ですから、そういう点についてやはり十分考えてみる必要があるのじゃないか。
 それから検査についても、昔の心電図というのは、よく心臓なんかをとりますけれども、これですと非常に安くとれるんですけれども、いま医学が進歩したと申しますか、機械に頼るというか、超音波心電図なんというのがあるんですね。これでとると九千円から一万円くらいの費用を取られるわけです。ですから非常に高価な検査になるわけです。実際問題としてその必要があるのかどうか。まあ医学が進歩したということは結構ですし、そういう面での、お年寄りがふえてきた、長生きがふえてきたということも言えるのじゃないかと思うんです。
 そこで御質問の、薬づけあるいは検査づけだけで一体どうなのかという問題についてですけれども、私はやはり先生がおっしゃいますように、食餌療法と申しますか、そういうものが必要だと思うんです。私も当時七十五キロありました。しかし、いろいろ病院との打ち合わせをして、食餌療法によっていま六十五キロまで減らすことができた。先生はもう五キロ減らせと言うのですけれども、これはなかなかあれです。しかしこれは、下手なことをやりますと体全体を悪くしてしまうというあれがありますので、そういう意味では、やはり十分話し合える先生、医院というのは必要ではないかというふうに思っております。しかし、いまの病院というのは、何か非常に患者が多いものですかる、もう適当に処置をして薬をくれる、こういうきらいがなきにしもあらずだという面で、先生の御指摘のとおりだというふうに思います。
 以上です、
#22
○公述人(坂寄俊雄君) お答えさせていただきます。
 この所得要件のところで、先ほど御紹介いたしましたように、厚生事務次官の方の御本によりますと、はっきり給与所得者の昭和四十五年の収入というものを勘案して所得要件を決めることにしたんだというふうにお書きになっていらっしゃるわけですが、そこのところの後に、低所得者に対する児童手当ではないのだということをはっきり書いてくださっているわけです。そういう面かるしまして、今度老人福祉法といいますと、さっき数字でちょっと申し上げましたけれども、それでいきますと、実質的には低所得者に対する児童手当に変質するのじゃないかということを恐れたわけでございます。
 それから先生のおっしゃいました給与所得者ですね、これを上げることは非常に適切だというふうに、先生と同じように考えております。ただ、自営者につきまして、これは確かに捕捉という問題がございますけれども、お知りのように零細自営者その他がございますので、それだからといって捕捉の問題からのみ据え置く、あるいは低めていいということではないのじゃないかというふうに考えております。
#23
○安恒良一君 もう四十三分までしかありませんから、石田さんに、一つは、歳出カットの御希望を言われましたから、どのような部分を歳出カットすればいいのか、もしくは御希望される項目があればお知らせを願いたいということを質問したのですが、その点の御回答がありませんでしたから。
 それと同時に、私は公共投資が雇用を拡大し国民生活を上げたこと、そういうことも知っているわけです。そういう上に立って、たとえば公共投資一つも、やはりこれは財界としての景気維持のための御希望もあったのですから、赤字公債、建設公債、それから金融政策等々が続けられて、その中で第一次ショック、第二次石油ショックを乗り切られたわけですね。ですから、あなたの御意見を聞きますと、企業自体が血のにじむような努力を労使でしたと言われています。それはそうですが、それを助ける政策としてのいわゆる公共投資があったし、それから公債政策があったし、それから金融政策もあったわけなんです。そういう中で今日、日本の財界が乗り切ってこられているわけですから、そこでこれからお互いに痛みを分けようとするときに、財界自体としての痛みを分けられる点ほどの点を御負担されようとしているのか。どうもあなたの御意見を聞きますと、企業が活力を持って、活力を持てば税収もふえるからということのように聞こえますが、一方、国民側はずばりずばり切られるところがあるわけですから、私は財界自身も少し自分の身を切って、そのとき初めて公平というのが出てくると思いますから、重ねてそこのところをお聞きをして、私の持ち時間になりますから終わりたいと思います。
#24
○公述人(石田正實君) どうも答えが足りなかったかもわかりませんが、第一点の問題でございますけれども、どういう点をカットするかというお話でございますけれども、大蔵省の方からは、いろいろ新聞あたりにも出ておりますのは、いわゆる租税特別措置を減額するとかいうような問題がある。それかう最近は何か、社交費を課税したらどうかというような話もございます。それから一部、退職金の積立金を減らしたらどうかというふうな意見もちらほらしているようでございます。われわれ財界からはどれがいいかというようなことをちょっと率直に申し上げかねるのですけれども、租税特別措置なんというのは、御承知のとおり、約一兆円ぐらいの金がいまされておるわけでございますけれども、しかし大部分、そのうちの八千億というのは、大体これはマル優だとか保険だとか、そういうものに使われている。あと二千億ぐらいのものがありますけれども、そのうちの、二千億の中でも大部分、もうこれは中小企業の関係が非常に多いわけですね。大企業関係で見ると、技術関係とか、それから公害問題とかいうもの、そういう方面に出ているわけでございまして、直接これは企業に対する補助といいますか、救済というふうな意味じゃ私はないと考えております。
 それから社交費の問題でございますけれども、社交費は大体いままでの徴税から見ましても、相当なものが否認されて税金がかかっておるわけでございまして、まあしかしここら辺は、あえて言うならばいままでは資本金なんというようなことを考えにしておりますけれども、これはもちろん大体販売ということが主体でございますから、そちらの方を主体に置いて抜本的に考え直す必要があるのじゃないかというような意見もちらほら出ておりますけれども、別にわれわれはそれでコンセンサスを得たわけじゃございません。
 退職金の方も、これはこの前、一昨年これがありまして、ここら辺なども全体のあと働いている給与所得者に対する一つの保証金みたいなものでして、事業というものは、私は石油業界なんですけれども、石油業界なんというのは今度えらい四、五千億ぐらいの赤字を一遍に抱えてしまったのですけれども、そういう問題もありますと、退職金の積み立てなんというのは相当やっておかないと、給与所得者に対する生活の保障ということが非常にむずかしいと思うんですね。やっぱりそこら辺もひとつ考えてやるべきじゃないかというふうに考えております。
 それから第二点でございますけれども、私ども決して赤字国債を出していただいて業界が潤っていないということは申し上げてないわけで、もちろんそれでいろいろな公共事業が行われるし、われわれの企業にも回るし、それから金融政策でもいろいろ助けていただいて、そういう意味から第一次、第二次の石油ショックというものを乗り切ってきたわけでございまして、その点はわれわれは恩恵を受けていないということは絶対申し上げない。これはもう当分そういうものであったということは事実でございますし、またそれが全体の高度成長をさせたし、それから失業率が世界各国から見て非常に少ない、こういうような事実になってきているわけでございまして、これは一企業だけじゃなくして国民全体がやっぱり潤っていくのじゃないかということでございますので、そういう意味で申し上げたわけでございます。
#25
○安恒良一君 終わります。
#26
○峯山昭範君 まず、公述人の皆さんにごあいさつを申し上げます。本日は大変お忙しいところを当委員会においでをいただきまして、本当にありがとうございました。私は公明党・国民会議の峯山でございます。大変短い時間でございますので、端的に二、三御意見をお伺いしておきたいと思います。
 初めに石田公述人にお伺いをいたします。
 まず一つは、先ほどのお話の中でいろいろとお伺いしたいこともありますけれども、真に救済を必要とする者へのいわゆる福祉という問題がございますね。この問題は、実は後ほど肥後先生にも一緒にお答えいただきたいと思っておりますが、この考え方、今度の答申の中での考え方でございますが、これは私たち何回かいままで当委員会でも話を聞き、また主張もしてまいったわけでございますけれども、こういう考え方で福祉行政というものを進めていっていいかどうかという問題があるわけです。
 といいますのは、これはもう肥後先生御専門だそうでございますが、社会保障制度審議会の方で、これはずいぶん昔でありますが、昭和二十五年ごろでございまして、戦後間もなく社会保障という問題を社会保障制度審議会で取り上げられましたときに、こういうふうな問題が議題になりまして、援助を真に必要とする人々に援助をするのであって、それ以外の人はという考え方があったわけです。しかしながら最近は、教科書の問題にいたしましても、あるいは児童手当の問題にいたしましても、ただ単にそれだけではなくて、日本の将来という問題を考えて福祉という問題に取り組んでいかなければいけない、そういうふうな考え方になってきているのではないかと私は思うんです。こういう点について石田公述人はどういうふうにお考えか。
 その点を一つと、それからもう一点、当然増税なき財政再建ということでやってまいりますので、苦痛を伴うべきものは当然国民ひとしく苦痛を受ける、これはもう当然そういうふうに言われておりますし、国民がひとしくこの痛みを分かたなければならない、こういうことになってくるわけでございますが、私たちはやっぱりこの苦痛を受ける順番というのがあるのじゃないか。要するに、今度の第一次答申では福祉とか教育という面に非常に切り込みが大きいわけでございまして、そういう意味では非清に厳しい内容の答申になっております。私たち法案に賛成はいたしておりますけれども、これは先ほど公述人もおっしゃいましたように、これからの行革を進めるという上でどうしても必要だ、これを突破しなければ本格的な行革は進められないという意味で賛成しているわけでございますが、この苦痛を受ける順番ということについては、これは端的で結構です、どういうふうにお考えか。この二点、まずお伺いしておきます。
#27
○公述人(石田正實君) お答えします。
 第一の問題でございますけれども、真に救済を必要とする人というのは、これは抽象的な言葉でございますが、これは林さんからも先ほどるる申し上げられたようなことでございまして、今度の行政改革というのは福祉社会、ただし活力ある福祉社会ということをわれわれ考えておりますし、そういうふうに今度の答申もなっておると思うわけでございます。
 それで、私たちは決して福祉そのものを否定しておるわけじゃございません。ただ問題は、いろいるこの福祉の内容に少し入ってみますというと、もう過保護になっているような面がかなり見られるわけでございまして、そういう点はむしろこの際にカットすべきじゃないか。まあ人間というものは、一回物をもらいますともう決してそれを離さないというような、これはお互いにそういう感覚を持っているわけなんですけれども、しかし、こういう国全体が非常な危機、ことに八十何兆というような世界に類例を見ないような国債を抱えている時代でございますので、これはもう必要なものは当然やるべきでありますが、しかしただいままでもらっておったから従来どおり当然必要だというような考え方は、この際やっぱり一応捨てなければいかぬのじゃないか、そういうふうに言っているわけでございます。人間というものは一遍なれできますと、ついついそれになれてしまうという傾向があるわけなんです。
 それから第二点でございますけれども、まあしかし順序ということは、先ほども申しましたように私たちは退職金の積み立ても減らされるし、租税特別措置の方もまた減らされるし、それから昨年はまた法人税も上げられるというようなことで、その意味では、私たちはもう順番はとうに済んでいるとは申しませんけれども、一番先に洗礼を受けたというふうに私たちは考えているわけでございまして、これは全体に何よりも公平にやっていくということが一番大事なことでしょうから、その意味ではやっぱり全般的にどういうふうにやっていくかということをやらないと、これはちょっと一部の者がしんぼうしたからといって済むようないまの財政状態じゃないと考えます。
 以上でございます。
#28
○峯山昭範君 きょうは議論をするあれではございませんので。いずれにしても痛みを分かつという場合は、公平という面からいきましても、みんな公平にというのじゃなくて、社会的に強い人たちが先に痛みを受けて、それであってこそやっぱり社会的に弱い立場の人たちも了解をする、国民の理解も得られる、こう考えているわけです。それはあと結構です。
 それで、肥後先生にお伺いをしたいのでございますが、先ほどもいろいろと中期財政展望等を引いてお話がございました。今年度の税収も予定より大分減収になるんじゃないかという話も実際あるわけです。そういうふうになりますと、今年度が減収ということになりますと、来年もまたさらに厳しい情勢は続くと私は思いますね。そうしますと、先生はさらに歳出カットが必要だということも先ほどおっしゃっておりますが、また歳出カットをすればさらに景気が後退する、だんだんだんだんじり貧になっていく感じもするわけでありますし、またさらに行革デフレなんというような言葉も最近何回か聞くわけでありますが、そういうふうな心配があるわけですが、この点についてはどういうふうにお考えかというのが第一点です。
 それから第二点は、先ほど福祉の問題でお伺いをいたしました。この点について先生のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 それから時間がございませんので、最後に坂寄公述人に一言だけお伺いしておきたいと思います。
 まあ公述人のおっしゃることはよくわかるわけであります。法案の中身についてそれぞれ鋭く指摘をしておられました。それはそのとおりなんでございます。われわれとちょっと考えの違うところはございますが、そういう指摘ももっともだと私は思いますけれども、実際にそれでは行革についてどう進めたらいいのか。行革はしなければいかぬわけです。また財政再建もしなければいけないわけです。それじゃ、どう具体的に財政再建をやり、行革に取り組んでいけばいいのか、この点ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
 以上です。
#29
○公述人(肥後和夫君) 行政改革を進めていくとこれがデフレ効果を伴い、それに伴う税の減収というようなことで悪循環があるのじゃないか、これをどう思うかという点と、福祉について先ほど石田公述人に御質問になられた点についておまえはどう思うかという二点であったと思うわけですが、一応将来に対してかなり厳しい見通しもなされるわけでございますけれども、一方では景気がことしの後半にかなり明るくなるというような期待もあるわけでございまして、そういうことで、当面この行革デフレを先に出すことによって行政改革のエネルギーを弱めるということはしない方がいいのじゃないか。やはり日本の開国以来いま一番繁栄している時代でございますので、こういう中で一応民間の活力等にも期待しながら、当面やるべきことを先にやみということが先じゃなかろうかというふうに思っているわけでございます。
 それから第二の福祉についてでございますが、いま社会保障制度に関する根本的な見直しが必要になっておりますのは、先ほども安恒先生の御質問に対してお答えしましたように、前提にしておりました高度成長が、石油ショックを境にしてあっという間に幕をおろしてしまった。そこで期待した税収も保険料収入の伸びもないということからきているわけでございます。特に財政面では、要するに社会保障につき込む公費負担が今後それほど大きく伸ばせない。伸ばせないと申しましても、たとえば西ドイツの老齢人口比率に到達するのにあと二十年しか問はないというふうに予想されておりますが、その段階で、西ドイツの現在の国民所得に対する租税及び社会保障負担率は五割を超えているわけでございます。日本は三割でございますから、三割の負担で一体西ドイツ並みの社会保障制度を維持していけるのかということになりますと、これはやはり悲観的にならざるを得ない。
 したがいまして、現行制度で、現在は負担の方はそういうふうに景気に敏感に反応しまして、税収も保険料の伸びも悪くなっているわけでございますが、給付だけは伸びているわけでございますから、要するに政策の整合性がないということが社会保障財政の危機というシグナルになってあらわれているわけでございまして、これはやはり国民の生活を本当に守るために、私どもはもう一度給付と負担の関係を正面から見直しをしなければならない。その場合にやはり国民の最低生活は守るのだ、保障するのだという社会保障の本来の原点に立ち返って、制度全体の見直しをとにかく踏み込んでやる必要がある。その関連では特に医療費等が現在一番緊急な課題ではなかろうか、そういうふうに思っております。
#30
○公述人(坂寄俊雄君) 抽象的なお答えよりも、例を挙げて簡単に御説明申し上げた方がいいと思いますので一つ申し上げますけれども、医療の問題ですね、これは非常に老人医療ばかりではなく問題ですけれども、昭和三十年の有病率に対しまして高度経済成長の中で三倍以上に有病率が上がってきたというのは、国民健康調査で厚生省が明らかにしておられるとおりです。こういうような非常に有病率が高くなったら、医療保険制度は破綻せざるを得ないというふうに私思っております。そういう点では、保健施策をもっと徹底して有病率を下げる政策が必要だろう。
 それのための財源でございますけれども、具体的には、私はたとえば老人との関連で言えば厚生年金の積立金ですね、これは老齢保障、身体障害者保障、それから遺族、そういうものとして金を集めた問題ですから、これを高齢者の保健対策に利用していくというようなことが具体的には考えられていいのじゃないか。それを利用した問題について、そうすると利子の問題が出てきますけれども、それについては利子補給というようなことをやって、何しろ病人を減らすことと関連したそういうような施策が一つ考えられる。ほかにも幾つか考えている点がありますけれども、時間がないようでございますので、簡単にお答えしておきます。
#31
○峯山昭範君 もう時間がございませんので、あと三分ほどですから一言だけ。
 肥後先生にもう一つお尋ねしておきたいのですが、先生も先ほど、今回の第一次答申は緊急避難的なものであるということで、第二次答申に期待をするというふうな意味のお話がございましたが、私たち第二次答申の中でこういうこととこういうこととこういうことはやらなくちゃいけないということは、何回かここで言っているわけでございますが、先生のいま頭の中にある、来年の夏の第二次答申の中でこれだけはやっていただきたいとお考えになっていらっしゃることがもしございましたら、お答えいただきたいと思います。
#32
○公述人(肥後和夫君) 大きな問題を突きつけられましていささかあわてているわけでございますけれども、たとえば社会保障に関連いたしましては、医療の問題について臨調答申で触れた程度のことには踏み込んでいただきたいと思います。
 それから、先ほども公述の際に最後に申しましたように、こういういまのような福祉国家で経費を切り詰めるということは、これはやはり国民全体に非常に苦痛を与えることは否定できないわけで、それでもとにかく納得してもらうためには、やはり内部努力から真っ先にしなけりゃならない。金額的には大きくなくても、これに踏み込まなくちゃならぬ。そういう意味で、政府の関連についていろいろ臨調で取り上げられているような問題についてもう少し、まあ臨調は第一次答申はむしろ五十七年度に焦点を合わせておりますけれども、五十七年度以降、特殊法人の問題とかあるいはその他の問題にぜひ踏み込んでいただいて、そしてその実績をもとにしてやはり制度全般について、先ほど申しましたような給付と負担の整合性がないという点について踏み込んでいきませんと、これは財政再建のための緊急避難と申しましても、いつまでもそんなことをやっておれるものではないと思っている次第でございます。
#33
○峯山昭範君 ありがとうございました。
#34
○山中郁子君 共産党の山中でございます。参考人の皆さんには貴重な御意見をありがとうございました。私どもはより限られた時間でございますので、ごく二、三の点についてお尋ねをさせていただきます。
 初めに坂寄先生にお尋ねをいたしますが、先ほどの公述の中では時間の関係がおありだったと思いますが、項目的に最後にお触れになっただけでしたので、いわゆる人口構成の老齢化の問題について、もう一歩踏み込んだお考えを伺いたいと思います。これは特に高齢化が進んでいることは常識化していると思いますけれども、したがって将来の問題という位置づけではもちろんだめなので、特にこの点について私がお尋ねをしたいと思いますのは、女性の場合により深刻なんですね。独身女性あるいはまた未亡人、そうした方々が年をとられた時点での問題というのは大変より深刻でございますので、そういうことも含めて御意見を拝聴したいと思います。
#35
○公述人(坂寄俊雄君) 先ほどちょっと触れさせていただきましたけれども、府県段階では九%ではなくして、島根県などは一三・五%というふうになっておりますし、高知なんかも一三%。これはフランス並みの高齢化が進んできているというふうに申し上げていいと思うんですね。先ほどもちょっと触れましたけれども、山口県の東和町、これは島のところでございますが、人口七千人のところでありながら六十五歳の人口比率が三一・五%と、総理府統計局の今度の発表の中を見ますと出てきているわけです。それから一番高齢化が進んでおります島根県を見ますと、二〇%以上の町村が何と十五にも達しているわけです。国で最高が東ドイツの一六%でございますから、そうすると二〇%とか三〇%というのはまさに異常な形で高齢化が進んでいるということがあるわけでございます。この点からしまして、この九%が二十一世紀になって十何%という問題じゃなくして、いまやらなければ大変なことになるというふうに考えているわけです。
 その中で、いま山中先生から御指摘のありましたように、その半数以上は女性なんですね。女性でございます。その女性の方々が、総理府統計局の調査なんかによりますと、就業から排除されていって、パートとか、その他男のやるような仕事を土木現場で見ますとやっていられますですね、ああいうような形で生活を保っていかなくちゃいけないということがあります。そういう点ではもっと女性の高齢者に対する施策がなければいけないし、それから先ほど生活保護以下的な方が受給者の中に非常に多いということを申しましたけれども、低いところは女性の賃金が安いものですから、人数そのものは女子労働者というのは受給者権利を持っていらっしゃる方は少ないですけれども、非常に多くそこに位置しているんじゃないかというふうに考えまして、この女性問題というのが非常に大事だと考えます。
 最後に一言申し上げますと、いま六十五歳とか七十とかの女性というのは、戦争中非常に銃後の守りで身を粉にされたという方々ですし、それから敗戦後は自分の衣類を売って米にかえて、それでやってこられたというような方たちが圧倒的に多いんだと思います。そういうことから考えますと、いろんな財政問題がありますけれども、そういうお年寄りの老後に対して、私は何としても政府が人間性を失わずにやっていただくことを念願しておるわけでございます。
#36
○山中郁子君 ありがとうございました。
 あと一点、肥後先生にお尋ねをしたいのですが、御承知のように臨調答申では、老人医療の問題で「地方公共団体は、単独事業としての老人医療無料化ないし軽減措置を廃止すべきである。」というように答申をしております。これは、実際には多くの地方自治体が独自に国の水準を上回って実施している老人医療費無料化の上積み措置の廃止を求めているということになると思いますが、この点について肥後先生が「週刊社会保障」という雑誌の十一月九日号に、「社会保障における国と地方」ということで論評をされていらっしゃる中で御意見を述べておられるんですが、「それぞれの地域がその責任において地域の特殊性を反映したサービスを行うことが望ましい場合には、単独事業はまさにその役割をになうことができる政策手段なのである。」という、こうした御意見を開陳されておられます。こういう立場から、いま私が申し上げました臨調が政府に地方の単独事業を廃止することを求めている、このことについての御意見をお尋ねしたいと思います。
#37
○公述人(肥後和夫君) ごく理念的なお答えを申し上げたいと思うんですが、社会保障の中にもいろいろございますが、全国を通じて一定の規格で実施すべきものについては、これはやはり一律の給付がよろしいのではないか。そうでないと、これは現在の地方制度が選挙をもとにしているとか、隣がやっているのに自分のところがやらないと、首長にもなれないし、議員さんにもなれないというようなことでございますので、そういう面でやはり社会保障で全国的に一定の基準で実施すべきものはそうした方がいい。その点について単独事業でいろいろ積み増しをするということは、私はどうかというふうに思っております。
 ただ、社会保障の中でも特にパーソナル・ソシアル・サービス、対人的な社会福祉サービスのようなものでいろいろきめの細かいサービスをしなくちゃならない、それも地域の実情に対応したサービスをしなければならない、そういう場合にはその地域独自のいろいろな対応の仕方があるだろうと思います。ただその場合に、やはり給付と負担の関係もありますが、その単独事業については、基本的にはその単独事業による給付の積み増しがその地域の住民の負担において行なわれる、こういうことが保証されるならば一応よろしいのではなかろうか、そういうふうに思っております。
#38
○山中郁子君 そうすると、端的にお尋ねするんですけれども、……
#39
○委員長(玉置和郎君) 時間です。
#40
○山中郁子君 老人医療費無料化制度の問題については、臨調答申のこうした求め方は不適切であるというお考えかどうか、一言で結構でございますので。
#41
○委員長(玉置和郎君) 時間が来ておりますので、簡単に。
#42
○公述人(肥後和夫君) 私は一応、臨調答申の線はやむを得ないと思っております。その方向が適当じゃないかと思っております。
#43
○柳澤錬造君 公述人の先生方には本当に御苦労。さまでございます。私は民社党の柳澤でございます。
 私がお聞きしたいのは肥後先生お一人でございますので、肥後先生だけよろしくお願いしたいと思います。
 最初にお聞きしたいことは、先ほどの御見解の中で、国民にがまんをしてもらうならば政府も厳しく自己抑制をしなくてはいけないとおっしゃられた。そのとおりだと思うんです。そういう観点に立つと、この特例期間の三年間中は政府も増税をしないでやるくらいの決意を持たなくてはいけないと思うんですが、その点についての先生の御見解をお聞きしたいのですが。
#44
○公述人(肥後和夫君) 御質問の御趣旨はよくわかるのでございますが、正直なところを申しまして、五十八年度に増税なしでやっていけるのだろうか、私はどうも財政を専門にしている者としてはなかなかそう言い切れません。そういう意味で、三年間増税なしでやっていくように努力をする、十分にそういう意味でむだを省く努力をすべきであるというふうに思いますが、それでやっていけるかというふうに御質問いただきますと、はっきりお答えできない。非常に、できないのではないかというような感じで私は見ているんですが。
#45
○柳澤錬造君 続いてお聞きしたいことは、財政再建と行革は表裏一体のものだとして、いろいろと財政の中期展望にお触れになられました。確かにあの中期展望では、本年度が五兆六千億の赤字国債を出して、五十九年度はゼロという展望の中で数字を書いてあるわけです。ただ先生に払お聞きしたいのは、五十九年度で赤字国債は確かにゼロにしているんです。しかし国債費は九兆五千五百億出すわけです。それで片方では、通常の建設国債の方が六兆五千億ちょっと出してくるわけなんです。九兆五千五百億というのは、国債の利子を払うわけですから、この国債の利子を払うのは税金で埋めておいて、それで今度は別に出してきた国債で公共投資をするから、これで赤字国債がゼロになったということは、それは数字の合わせだけであって、私は少なくとも国債の利払いに使うために国債を出していく以上は、それは赤字国債がゼロになったということは言えないではないかといってここでも私は質問したのですけれども、その点についての先生の御見解はいかがでしょうか。
#46
○公述人(肥後和夫君) 当面の財政再建の目標としては、五十九年度に特例公債発行額をゼロにできれば一応達成されるということでございまして、理想的な財政再建の姿といたしましては、私はやはり現在発行されている建設公債、まあ公共事業費については建設公債で賄うということになっておりますが、その半分ぐらいは経常収入で賄う。そして現在とても財政に景気を支える力はございませんが、やはり二年ぐらいは公債発行をして景気を支えることができるような体質にしておくのが本来の財政再建ではなかろうか。そういう意味では本当の財政再建はまだ達成されていない。五十九年度に仮にその目標が達成された場合を考えても、それはあくまでも暫定的な目標の達成であるというふうに考えております。
#47
○柳澤錬造君 先ほど峯山先生も言われましたけれども、私も別にこれは議論するわけではございませんで、ただ先生、民間企業の場合には、社債を出してお金が入ってきた。それを人件費や何かで食っちゃう場合と、別に工場を建てた、それでこれだけ借金ができてもこれだけの資産が残るからバランスがとれて、そこに国で言う建設国債か赤字国債かの遠いがあると思うんです。しかし私は国家経済の場合は、そのお金をどこへ使おうが、問題はいまで言うなら来年三月は八十二兆円になっちゃいます、その利払いだけで一日百五十億のお金が要るんですという、それが国家経済でたえられるかどうかが問題だと思うんです。それをどこへ使おうかなんていうことは、もう国になったら関係ないことだと思うんです。そういう点でお聞きをしたのですけれども、結構です。
 あともう一つだけ。先ほどから私聞いていて、行革デフレというふうになるかもしれないと先生はおっしゃられたのですけれども、本当に先生のお考えでは行革デフレになるという見通しをお持ちなのかどうか、これも大変大事な点なのでちょっとお聞きしたいのですが。
#48
○公述人(肥後和夫君) まず、先ほどの御質問の点で私、建設公債の事業費は建設公債でいま賄いますけれども、その元利の支払いは国債費として経常費に計上されておりますから、経常費の不足が特例公債の発行で賄われているという意味では特例公債の発行はゼロになるということは、一応国債費は、要するに過去に発行した国債の元利償還費は税金で賄うようになっているんだということではなかろうかと思っております。
 それから行革デフレですが、先ほども申しましたように、やはりことしの後半から景気が大分明るくなるという見通しもありますので、それに期待したいと思っているわけでございます。ただ、政府の支出が減るわけでございますから、公共部門の需要が減るという意味ではそれは需要面でデフレ効果を持つと思いますが、もし民間部門の需要が伸びるのでありましたら、それは打ち消されるわけでございますね。ただ、まあそういう面でも必ずしもそう楽観はできないだろうと思います。ただ、それでもやはりやるべきだと思うんです。
#49
○柳澤錬造君 ありがとうございます。終わります。
#50
○森田重郎君 新政クラブの森田重郎でございます。
 五分間でございますので、一分ほど質問をさせていただきまして、四分間ひとつ石田さんから御答弁をちょうだいいたしたいと思います。
 実は、先ほど石田先生の公述をずっと伺っておりまして、最後の締めくくりが、今回の行革は政治改革につながる、こういう実は公述があったわけでございますが、裏を返して言いますと、政治改革があっての行政改革ということにもなろうかと思いますので、石田先生のおっしゃいました政治改革というのはどういうものであるかということが第一点。
 それから第二点は、財界は現在、経団連さんあり、同友会さんあり、また日経連さんあり、あるいはまた商工会議所、さらにまた日本貿易会とか、非常に日本の経済的風土の中でそれぞれの諸団体が大変合理的に機能をされておる。がしかし、私は財界の中にも行政改革があっていいのではないかというような感じがいたします。それから、今回の財界の行革を見る見方というのも、ある意味では総論賛成、各論反対というような点もあろうかと思いますので、この点につきまして石田先生の御所見を伺いたいと思います。
#51
○公述人(石田正實君) お答えします。
 第一点でございますけれども、先ほど申しましたのは、いわゆる三Kですね、国鉄、それから米、健康保険、そういうものを私たちもいま関係の方に来てもらって突っ込んで調査したり研究したりしているわけなんですけれども、国鉄の問題なども二、三回関係の方から聞いたわけです。それからきのうは電信電話公社の真藤氏も呼んで聞いたわけです。そういうものを聞いて、私たち最後の結論じゃないのですけれども、しかし、相当政治というものがああいうものに絡んでおるということを非常に痛感するわけですね。だからその意味で、行政改革というと何かこう行政官庁だけが相手のように思われますけれども、これはやっぱり政治がその背後にあるということですね。
 この前、いつか国鉄総裁からも意見を聞いたのですけれども、そのときにも、実は私には当事者能力がないんですよというような言葉を言われまして、そうなると、どこが当事者能力を持っているのか。これは国会が持っていることになっていると思うんですけれども、そういうようなことを考えると、やっぱり国会といえば政治でございますし、そこら辺が問題があるんじゃないかという気がするわけでございます。だから、単に行政官庁だけの問題じゃなくて、政治がそこにあるということをぜひひとつお考えいただきたいというふうに、私どもそう思うわけでございます。
 それから第二点でございますけれども、これはもちろんわれわれ民間側でも行政改革というのは大いにやらなければならないし、ことに企業なんというのは常に、国内の競争もありますけれども、国際競争があるわけでございまして、いかにしてこの国際競争を乗り切っていくかというのは、技術を革新し、それから人を育てていく、そして組織を近代化していくというような、常に一日一日が競争でございますから、そういう意味から行政改革というのは、一番先に触れましたように、われわれはもう常にそういう周囲から圧力を加えられておるし、それからまたバランスシートといいますか、年に二回の中間決算をしますと、そこにすぐ会社の結果というのは出てくるわけでございまして、そういう意味で私たちはもう常に行政改革に迫られておるというわけでございます。
 最後に、総論賛成、各論反対じゃないかというようなことがありますが、これは確かにわれわれの業界から見ますと、公共事業が減りますと建設業界なんというのは常に困りますし、薬の値下げの問題があるというと医薬品業界の方ではすぐ反対するというふうなことで、直接自分の身に関してきますとそれぞれ各論反対の声が出ますけれども、そこら辺は大局的に立って考えるということをやらないと、このような大きな行政改革というのはできないだろう、そういうふうに考えるわけでございます。
#52
○委員長(玉置和郎君) ありがとうございました。
 質疑はまだあろうかと思いますが、時間の関係もありますので、午前中の公述人に対する質疑はこの程度といたします。
 公述人の方々に一言お礼を申し上げます。皆様には長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
#53
○委員長(玉置和郎君) ただいまから行財政改革に関する特別委員会公聴会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案につきまして、午後は三名の公述人の方々から御意見を拝聴いたします。
 公述人の方を御紹介いたします。中央大学講師多田実君、立教大学教授和田八束君、文教大学教授菊池幸子君、以上でございます。
 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様には御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の本法律案審議の参考にいたしたいと存じております。
 次に、会議の進め方について申し上げます。
 まず、お一人十五分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 それでは、まず多田公述人にお願いいたします。
#54
○公述人(多田実君) 多田実でございます。
 僭越ではございますけれども、ただいま御審議中の行政改革に関する臨時特例法案につきまして、私の意見を申し述べさせていただきます。
 私は、専門的というよりも、むしろ、まず最初に一般的な問題について私の考える点を申し上げたいと思います。
 最初に、本法案の性格といわゆる行政改革との関係でありますが、本法案は、すでにもういろいろ申し上げるまでもなく、いままでの先生方の国会審議で明らかになりましたように、第二臨調を設置しての当初の目標としました抜本的な行政改革とは、やや異質のものでございます。したがいまして、政府がこの一年近くにわたって大いに主張し、さらに国民の多くが、行政みずからがその肥大した部分を縮減し、時代と国民の要請にこたえる新しい行政制度と行政運営の方式を求めるという、そういった意味での行政改革とも、この法案だけに限定いたしますと異なっておりまして、あくまでも政府支出を補助金を中心にしまして削減し、財政再建をともかくもことしからレールに乗せる、そのための行革の一各論ではありますけれども、臨時緊急の措置というふうに言ってよいかと思います。
 そのことは、この法案が三年間のいわば時限立法であるということからも立証できるのではないかと思いますが、本来ならば、中曽根主管大臣も言っておりますように、行政改革は行政全般を一年なり二年なりかけまして洗い直しまして、その上で行革の基本方針を定め、さらにその結果、不要不急等々の政府の仕事をやめまして、その仕事をやめた結果としまして、整理した結果としまして機構を整理簡素化し、その結果として人員が簡素化され、さらに経費が節約されるという順番になるべきものであったろうと思います。
 しかしながら、御案内のとおりの目下の財政体質の悪化もありまして、途中からこの法案が行革の、さながらと言っては失礼ですが、焦点のようににわかに登場してきたものだと思います。したがいまして、この法案に「行政改革を推進するため」云々と冠することはやや妥当を欠くかとも思われますが、ただ、そういった形態をとりましたことは、この緊急で非常に重要な財政再建のレールに乗せる、こういったことの重要性も考えまして、政治上の配慮から行われたものだと、こう考えます。もちろん、内容的にも行政改革といいましょうか、行政全般に関係することは多いわけでして、少なくとも第二臨調は、第一次答申においてそういった認識、行政改革と関連するという認識のもとに答申をされたと思います。したがいまして、大局的に言いますと、本法案は一見補助金カット、財政再建のための時限立法に見えますが、やはり本格行革と重要に関連、連動するものであるというふうに考えていいのではないかと思います。したがいまして、今国会の審議が本特例法案の審議のみならず、広く来年に予定されております本格行政改革の方向について審議されるのは、これまた当然の帰結になろうかと思います。
 ところが、この本格行革に関する政府側の答弁は、私の承知している限りでは、いままでのところ第二臨調の答申を極力尊重し、鋭意その実現を図るといった域を出ておらないように思われます。これはいささか国民に対して退嬰的な印象を与えるのではないかと、こう考える次第です。なぜかと言いますと、政府が第二臨調をつくって、行政制度、行政運営の全般について抜本的な改革を意図し、決意した以上、政府はそれなりの具体的理由と抱負があったはずであるからであります。事実、行政に対する不満なり問題点の指摘あるいは改革の提言は、臨調の結論をすべて待つまでもなく、いままでいろいろの機会にたくさん行われまして山積しておるわけでして、問題の所在の大方は、決して出尽くしているわけではありませんが、かなり出そろっているというふうに言えると思います。それにこたえるのは政治、政府のやはり不断の責任であって、一日も絶えることのない責任であろうと、こう思います。すべてそれを第二臨調に任せまして、それまでは一語も語らず、何事も改革せずというふうに見えるのは、政府にとっても不本意であり、政治の責任を果たすことにならないのではないかと、こう懸念いたします。
 しかも第二臨調は、すでに本法案の基礎になりました第一次答申におきまして、「今後の検討方針」という一項を最後に立てております。そこでかなり具体的に今後取り上げるべき点を明示しております。もちろん具体案は臨調の来年の本格答申にまつべきでありますが、最小限いま申し上げた程度の範囲内においては、政府はその抱負を国会の場で明らかにしていく責任があるのではないかと、こういうふうに考えます。また同時に、国会こそ国民の代表の集まるところでありまして、事前に国会において国民のコンセンサスの方向の端緒でももし発見されるならば、それは臨調の審議にも好ましい結果を生み、政府の行革実現に対しても好ましい影響を生むだろうと考えられます。そういう意味で、今後の本法案の審議に期待したいことは、大変僣越でありますが、さらに工夫をこらしていただきまして、政府の本格行革への具体的抱負をなお一層明らかに解明していってほしい、そう願うものであります。
 次に、本法案及びこれに基づきます昭和五十七年度予算の概算要求に見られます財政再建の手段、方法の問題点と、行政改革で究明してほしいと思います点について一言触れます。
 その第一は、本法案とこれにリンクします五十七年度予算案編成の方向ですが、問題は、名目的に歳出を制限しましても、学級編制など一部を除きましては、この法案に盛られている点だけでも、ほとんどが負担の肩がわりによって、よく言われているところですが、数字のつじつま合わせに近い形になっているという点です。その態様は、所得制限を含みまして受益者負担、さらには地方公共団体への負担の転嫁、後年度負担への持ち越し、特別会計、財投への転嫁といろいろありますが、いずれも国が当座歳出を縮減したように見えましても、実はだれかがいつかはその負担をしなければならないという仕組みになっていることです。あるいは政府に戻ってくるということです。これでは本当の財政体質の改革にならないのではないかと若干の疑問が残ります。また、負担能力の弱い部門の場合には、つまり一般に社会的弱者と言われます部門、層でありますが、国の政策の犠牲になることもあるいはありはしないか。今度の法案で直ちに大変な犠牲が出るとは申し上げませんけれども、そういうことも将来にわたって考えますと若干の心配が残ります。
 特に受益者負担、一番最初に申し上げました転嫁の第一方式の受益者負担は、結局公共料金等の大幅の国民の負担の増大につながりまして、今回の法案の原点に横たわっておりました増税なき財政再建、増税なくしかも特例公債を減額して五十七年度予算を編成するということ、これが本来の目標であったはずですが、それが増税なき国民負担の増大、つまり増税といったような、と一口で言われるような予算になりはしないか。つまり、増税という形の国民負担の増大はないけれども、公共料金等々の負担の増大によって国民負担が同様にあらわれるという結果になりはしないかという懸念が若干いたします。
 次に、これを第二臨調の答申と、これをといいますのは、この今回の法案並びに五十七年度予算の概算要求の問題を第二臨調の第一次答申と読み合わせてみますと、この懸念が一層明白になってきてはいないかと思われます。それは、もっと本質的な点で第二臨調の答申あるいは政府の姿勢から、行政改革の眼目とも言うべき思想が何か一つ流れているように看取されるからです。つまり、経済の高度成長を背景に伸長してまいりまして、わが国の、どちらかといえば先進諸国におくれておりました部門、つまり社会保障、社会福祉あるいは教育の一部、あるいは社会資本、公共事業に対する政府公共支出の増大に、これに対しまして低位の成長と財政難を理由にストップをかけまして、逆に国民個人個人あるいは家庭、あるいは地域社会、あるいは相対的な意味での民間の自力による福祉の増進という方にウエートを変えていこう、ふやしていこうという思想が流れているのではないかと思われます、この当否は別問題ですが。
 確かに、日本経済が今日の強力な国際競争力を身につけましたのは、日本人の勤労意欲あるいは高い生産性等々のいわゆる個人、民間の活力からくることは事実だと思います。しかし、福祉一つをとりましても、福祉元年と言われましたのはついこの間のことです。まだまだ先進諸国に比べまして決して高い水準というわけにはまいりません。しかも、間もなく高齢化社会がやってまいります。高齢化社会というのはこれは避けられない事態でして、そういう意味では高齢化社会の面一つとりましても、社会福祉、社会保障の面は構造的に公共支出、政府支出が増大せざるを得ないという側面を持っていると思います。それを、たとえば具体例に入って恐縮ですが、すべて今後ももしゼロシーリングといった思想で貫くとすれば、そこに無理が発生しはしないだろうかという点がございます。
 さらに、自立自助によって活力を生み出す、こういうわけですが、自立自助が不可能な層、部門も国民の弱い部門にはあるはずでございます。たとえば社会的弱者と言われますのは、一般的には老人、病人あるいは一つの代表を出しますと、欠損家庭といいましょうか、母子家庭といいましょうか等々でございますが、これは自己に起因する原因以外で社会的に困窮するという立場に立たされる層のことだと思いますが、こういう人々は、一概に自立自助といいましてもなかなか困難な面があろうかと思います。そういう意味で、いままでの御審議でもかなりの明快になった点もございますが、なお一層、一体真に守るべき社会的弱者は何であるか。たとえば社会的弱者、真に守るべきものは生活保護世帯だけであるということでは、余りにも悲惨である。福祉国家を目ざす日本にとって悲惨であろうというふうに思われます。そういう意味で、真に守るべきものは何であるかということをさらに御審議の過程で明快にしていっていただきたい、こうお願いするものでございます。
 さらに、もう一つの問題は、行政改革に当たって国民の協力を得、あるいは国民のコンセンサスを得るという意味で、それを実現に取り運ぶために非常に重要なことは、本来行政改革は、いずれにしろ国民の各面各層に犠牲を若干ずつ強いることになるものです。そういう意味で、まず公平の原則、公正の原則が一番大事だろうと思います。
 具体的に申し上げますと、行政改革に当たりましては、第一に、初めから聖域をつくる、この点は触れてはならない、臨調の審議にいたしましても、初めから聖域を政府がつくり、あるいは臨調みずからがつくり、あるいは国会がつくり、どこがつくることであろうが、初めからつくるということは避けてほしい。結果として凹凸ができる、優先順位ができるというのは当然です。そういう意味で、最近の読売新聞の世論調査によりますと、防衛費のカットを望むという声が、行政改革の声の中でぬきんでてトップだったと記憶しております。そういう意味で、防衛費、私は現在の国際情勢下の日本においてはこれを整備していくのは当然であろうと思っておりますが、そういう点も御考慮を願いたい。
 それから第二番目には、答申の虫食いを避けてほしいということ。これはこれからの本格答申にも関係いたすことでございますが、答申の虫食いは避けてほしいということです。
 それから三番目には、もう一つ非常に重要なことは、歳出ばかりを対象にしないで歳入にも触れてほしい。歳入、特に税制等については政府サイドに触れないでほしいという圧力が、たとえば臨調にもかかっているやに聞きますが、そういうことではなく、歳入に不公平問題が集中している感じが若干いたします。そういう意味で、これは毎日新聞の世論調査ですが、行政改革でやってほしいもののトップが、御案内のとおり不公平税制の是正でございました。そういうふうに御留意を願いたいと思います。
 あと、各論につきましてはもし時間がありましたら後ほど申し上げたいと思いますが、最後に私は、この法案そのものに対する私の考えでございますが、決して、いままで申し上げましたように、この法案と法案を取り巻く問題について十分満足するものではございませんけれども、特に第一に、いままで聖域視されておりました補助金の一部であれ切り込むことができたということと、それから第二番目には、具体的には財政再建のレールがこれによって一応めどがついた、こういうこと。あるいはいままでの話と若干矛盾するかもしれませんが、三番目としまして、遠い将来を見通しますときに、いわゆる先進国病予防に対する配意といいましょうか、着眼がちらちらと見えるというようなことを含めまして、この法案に賛意を表するものでございます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
#55
○委員長(玉置和郎君) 次に、和田公述人にお願いをいたします。
#56
○公述人(和田八束君) 立教大学の和田でございます。私は、立教大学では財政学を担当しております。
 最初に、行政改革につきまして私の考え方を、まず基本的な考え方といいますか、立場といいますかを申し上げておきたいのですけれども、現在わが国において行政改革を実行するということには私は賛成でございます。しかし、いわゆる第二臨調の第一次答申を拝見しました限りでは、いささか問題点があるのではないかという印象を持ちましたし、今回国会に出されておりますいわゆる行革法案につきましては賛同しかねるというのが私の考え方でございます。
 以下、そうした基本的姿勢に立ちまして若干問題点を申し上げたいと思うのです。
 行政改革につきましては、これが財界主導型ではなかろうかという評価も行われており、そのような性格もあるように思いますけれども、しかし、やはり最近のいろいろな事情を見てみますと、広い国民の声であったということは否定できないと思います。つまり、そこでは行政の簡素化、それから行政の効率化、それから行政の分権化というようなことが、まだほかにもございますでしょうけれども、そういったようなことが強く求められて、そこから行政改革という問題が出てきたわけでありまして、いわば中央集権的な官僚システムに対していろいろな批判が出てきたということだろうと思います。そしてまた、低成長経済の時代を迎え、また高齢化社会を迎えて、新しい社会的システムを求める国民の声といいますか、あるいは声なき声といいますか、こうしたものが広範にあった、ここのところはやはりはっきりと押さえておかなければならないところではなかろうかというふうに考えます。
 したがって、いま行政改革の問題を議論するに当たりまして、一番必要なことは、今後わが国がどのような方向に進むのか、こういうビジョンといいますか、そうしたものじゃなかろうかと思うのです。確かに現在のわが国の国民生活を見てみますと、それなりに安定をしておりますし、世界各国の中ではかなりレベルの高いところに到達しているということは事実でありますけれども、何分将来に対するビジョンといいますか、見通しといいますか、こういうものが欠けているように思うわけです。私なども職業柄、若い人たちに接する機会が多いわけですけれども、どうもその辺のところがないわけでありまして、現時点での利害得失ということは考えるわけですけれども、将来に対する抱負といいますか、あるいはアンビシャスなところといいますか、こういうふうなものがないということがあるわけでありまして、やはり行政改革につきましてもそういった点が求められているのではないか。
 こういう点で、第二臨調が冒頭に理念を掲げているところは評価できるところであります。そしてまた、その理念として活力ある福祉社会、それから国際平和への貢献というふうなことを掲げているところは、私もそのような理念の基本方向については同意したいところであります。ただ、中身につきましてはいささか具体性を欠いているところがございますけれども、方向としまして福祉国家を目指していくということ、それから平和国家を目指すということは非常に重要なところでありまして、この点にやはり国民の期待が大いにあるところであろうというふうに思います。
 それからもう一つつけ加えるとすれば、第二臨調答申にはございませんでしたけれども、理念としてつけ加えるとすれば、分権型の行財政というものを特にこの際強調をしておきたいと思います。この点について、ただ理念だけではなくて、その理念をいかに具体化していくかということを今後の臨調の審議には望みたいというふうに思います。
 ところで、行政改革の問題は、もう一つは、直接的にはいわゆる財政再建の問題から出ていたということが言えようかと思います。この点について現在見てみますと、かつての、かつてといいますか、つい二、三年前ですけれども、赤字財政の改善は予想よりも早いテンポで進んでいるということが言えるわけです。もちろん、完全によくなっているというわけではございませんし、現時点においてなおいろいろな問題があるということは言うまでもないところでありますけれども、財政収支試算の推移などを見てまいりましてもかなり見通しが持てるのではないかという、そういうところまで来ているように思いますので、この際、ただ収支の均衡を早める、あるいは国債の発行を何が何でも急速に減少させていくというだけではなくて、行財政あるいは税財政政策について全般的な見地から考えるべきではなかろうか。つまり国民の税負担、それから経済動向、それから支出の優先度というふうな長期的、総合的な観点も必要ではなかろうかというふうに思います。それから財政再建につきましては、ただ収支の均衡というだけではなくて、いわゆる高度成長型財政を改める、それを改革していくという面も非常に重要でありまして、それらの観点というものを明確にしていくべきではないかというふうに思います。
 こういうふうな基準に照らしてみますと、当面の財政再建といたしましては、次のような課題があるように思います。
 一つは、物価調整減税を行って、負担の公平を保ちながら、当面の景気政策をも配慮していくということが重要ではなかろうかと思うのです。これらの税負担の問題あるいは経済政策の問題、それから収支の均衡を回復するという問題とはやはり総合的に判断して、何が何でも国債の減額、収支の均衡のためにほかのものはすべて犠牲にするという考え方は、税財政政策として適当ではないのではないかというのが私の考え方であります。
 その次に、高度成長型の財政構造あるいは税制構造というものをこの際改めるということについても、十分に配慮をしてもらいたい。このことがまた財政の体質改善、また財政の収支改善にもつながってくるわけでありまして、たとえて申し上げますと、公共事業費というのがございますけれども、これはやはり戦後の高度成長時代の花形でございましたし、それから現時点で他の諸外国と比較してみましても、わが国の公共事業費のウエートというのは非常に高い、こういうふうなこと、それから公共事業費というものが、ほとんどが補助金として地方自治体に行っているというふうなこと、それから公共事業費がとかく経済界あるいは業界との経済的なつながりといいますか、利害関係というものが大きいというふうな諸事情というものを考えまして、やはり高度成長型財政体質の改善の重要な柱であろうというふうに思いますので、さしあたって公共事業費を大幅に削減ないし凍結していくということが重視されなければならないと思います。中でも大型プロジェクトの凍結というのは必要なことでありまして、たとえば新幹線工事などはもはや不要ではなかろうかというふうに思いますし、本四架橋事業というものも大幅に縮減するというふうなことがございますけれども、その他大型プロジェクト、中型プロジェクトを含めまして公共事業費を再検討すると同時に、大幅に縮減するということが必要であり、それによって財源が当然ここで出てくるというふうに考えるわけであります。
 その他農林関係、それから企業、産業関係への補助金というふうなものの整理など重要なところがございます。それから財政上もう一つは、防衛費の伸び率を抑制するということが必要でありまして、さきの臨調答中でも平和国家ということがうたわれているという点から考えましても、軍縮ということを平和憲法を持っているわが国としては積極的に打ち出していく、この点をやはり行財政改革の柱にしていくということが重要ではなかろうかと思います。
 それからその次には、社会保障制度の効率化、制度の見直しということを徹底してやるべきではなかろうか。行革法案でも社会保障関係のものが出されており、また予算編成の中でも幾つか取り上げられておりますけれども、部分的な手直してはなくて、やはり制度全体の手直しと効率化によりましていわゆる福祉国家の基礎づくりをする、福祉国家としての体制をここでつくっていくんだという意味合いで、社会保障制度の確立という観点からの再検討、見直しをしてもらいたいというふうに思うわけであります。
 以上のような点から行革法案を見てみますと、今回の行革がいわゆる行革法案だけではなくて、ゼロシーリングも含めまして予算編成全体の中で行われているようでありますけれども、私は、いままで言いましたようなビジョンの点でありますとか、あるいは高度成長型財政からの転換等の観点から申し上げますと、かなり隔たりがあるのではなかろうか。第一着手である、あるいは行革への第一歩である、こういうふうに言われているのですけれども、どうも第一着手あるいは第一歩としてこれが本格的な行革につながっていくというふうなところが理解しにくいわけであります。
 部分的には、地域特例の廃止など私は見るべきところもあるというふうに考えるわけでありますが、しかし地域特例の廃止などを含める場合には、やはり地方財政に対する配慮といいますか、地方への税源移譲というふうなことがそれに先行して行われなければならないわけでありまして、そうした順序という点からいって問題がある。そしてまた、これらの事項、ここで挙げられている事項が現時点で最重要であるかどうかということが疑問でありますし、果たして福祉国家としての充実ということがこれで図られるのかということになりますと、大いに不安があるわけであります。
 要するに、私はこれらの問題といいますのは、当面の財政の収支の均衡、赤字財政からの脱却という、こういう短期的な目標とそれから長期的な行政改革とが混同されているのではないか。同一視されているといいますか、むしろ混同されている、それがはっきりと区別されて出されていない、すべてが行政改革ということでくくられているというところに問題があり、ボタンのかけ違いがあるのではなかろうかというふうに思います。
 最後に申し上げますが、現在の日本は新しい経済的条件に置かれるようになっておりまして、社会的な諸環境もいろいろと変わってきておりますので、行財政全般にわたる改革が必要になってきているということはさきに申し上げたとおりであります。また、財政の規模自体も次第に大型化してきている、国民負担も増大してきているというところから言いましても、効率ある行財政、それから公正な制度というものに転換されなければならないわけであります。こういう点を十分に認識した上で、第二臨調が国民的行革という立場から今後審議を続けていかれるということを期待し、また、国会におきます行財政改革の論議におきましても、福祉、平和、分権という、こういう基本的な観点から行われるということを期待し、要望しておきたいというふうに思うわけであります。
 簡単ではございますが、私の考えを申し上げた次第でございます。(拍手)
#57
○委員長(玉置和郎君) 次に、菊池公述人にお願いをいたします。
#58
○公述人(菊池幸子君) 文教大学の菊池でございます。
 時間が限られておりますので、初めに行革関連特例法案の全体について私の感想を申し上げ、それから次には、私の専門と関連づきます社会保障の分野に入りまして、厚生年金保険事業等に係る国庫負担金の問題とか、それから児童手当の支給要件等に関する問題について申し上げたいと思います。なお時間がありますれば、公立小学校の学級編制の問題等にも触れてみたいと思うわけでございます。
 行政改革が緊急の必要性があるということについては、私も国民の一人として十分理解をしているわけでございます。高度成長によって肥大化した行政機構の縮小とか運営の仕方あるいは人員の削減等にかかわる改革と、それに伴う財政の合理化のために第二次臨調が組織され、その第一次の答申が出されて法制化され、政策化されるということにつきましては、大変価値のあることとして大いに期待を持ったわけでございます。これで効率の上がる小さな政府、そして活力のある福祉社会に近づく、一歩でも前進できるというふうに喜んでいる者の一人でございます。
 ところが、今回出されました法案は、大変に緊急を要するからではありましょうけれども、昭和五十七年度の予算編成にまつわる支出予算の切り詰めという形でしか出されておりませんで、鈴木内閣の行政改革の全体像をこの中からくみ取ることが全くできないのは、大変残念なことであると言わなければならないと思います。したがって、私どもは今回の法案につきましては、大変消極的ではありますけれども、条件づき賛成ということしか申し上げられないわけでございます。この条件につきまして、これから申し上げてみたいと思うわけでございます。
 本来ならば、第二次臨調の役割りというのは、たとえば私がこれから申し上げます社会保障に関係する年金その他の問題につきましても、これは一年か二年じっくりと時間をかけて、基本的な制度にまつわるあり方とまず取り組む、そして全体の展望のもとに全体像を明らかにしていただいて、その上で部分的にこの面の財政の切り詰めが必要であるからぜひ国民に納得してほしいということであれば、私ども頭の回りが悪い国民でもよくわかるわけでございます。それを今回はいきなり昭和五十七年度の予算切り詰めに必要な部分的な法案が出されたわけですし、しかも拝見いたしますと、その八割方これは国民の生活と直接密接に連なっております福祉、文教の分野の削減で占められているわけでございます。このことについては私どもは大変疑問を持たざるを得ないと言わざるを得ません。内容的にも財政の帳じり合わせ的な支出削減が目立っているのに、これについては厳しい条件をつけて、政府の誠意のある同答を伺うまで国会で審議を尽くしていただきたいということを切にお願い申し上げるわけでございます。
 それでは、社会保障に関します厚生年金保険事業等にかかわる問題に入ってまいります。
 現在、日本に人口の高齢化が予想以上の速度で進行しているということについてはどなたも御承知でいらっしゃるわけですけれども、この高齢化社会というのは、これは国連の規定によりますと、六十五歳以上の高齢者の比率が七%以上を占めて、それが次第に増加してくるときに高齢化社会と、こう言われております。日本では、この高齢化社会に入りましたのが昭和四十五年ごろからでございますが、それが毎年加速度的に増加しているわけでございます。本年九月現在で六十五歳以上の人口は一千九十万人という形、総人口の九・三%と言われております。政府の予測ではたしか推定が九・一%と出されていたわけでございますが、これよりも実質的には上回って、非常に急速度で進行しているということをおわかりいただきたいわけでございます。この数年のうちには九・五%、さらにはもう間もなく一〇%を超えて非常に高速度で進んでいくわけでございますので、高齢化の進行に対応するためには、政府の政策は寸刻の猶予もなく、これに緊急な対策を施していかなければならないわけでございます。
 しかし、現在の日本の年金制度は、御承知のように八種類、九種類と非常に乱立しておりまして、制度間のアンバランスが激しいわけでございます。しかも、職域単位に仕組まれておりますので、その制度間の調整がなかなかできないという状態の中で高齢化を迎えなければならないわけでございます。私どもは、年金制度の改革と申しますならば、まず年金のナショナルミニマムの水準を決めて、すべてのお年寄りが最低の生活を年金で賄えるような国民基本年金制度を制定すべく、その方向に向かって抜本的な改正を進めていくというのが社会保障の前進であるというふうに考えるわけでございます。
 ところが、今回の法案は、特例措置といたしまして、五十七年から三年間の特例期間中現行規定による国庫負担額の四分の一を基準として減額すると言っておりますし、そのための財政効果等は一千九百億円だというわけでございます。もちろん、これによって年金事業の安定が失われないように、適用期間が終わったら国の財政状況を勘案しつつ減額分に相当する額を繰り入れる、こう法案では申しておりますけれども、その繰り入れの返済の期間とかあるいは返済の方法等につきましては全く決まっておりません。返済に関する条件が非常に不明確であると言わなければならないわけでございます。
 特に、法案の中にございます「国の財政状況を勘案」してという言葉は、大変微妙なニュアンスを持っておりまして、解釈によりましては、三年たってもし国の財政状況が再建できなかったら返還しなくともよいのかどうか、このところに国民は非常な不安を持つわけでございます。特に、年金を受給して暮らしを立てていこうとするお年寄りにとっては不安がつのるばかりで、老後の生活が暗くなってしまうのではないかと懸念するわけでございます。
 もともと日本の年金制度は皆、仕組みが異なっておりまして、厚生年金というのは年金保険のみのものでございまして、これは原則二〇%の国庫補助金を受けておりますが、共済組合法は、これは御承知のように長期掛金、短期掛金と分かれておりまして、疾病保険と年金保険が包括されている総合保険であります。そして事業主の負担分を除きますと、国庫負担は一五・八五%というふうになっております。このほかに船員保険法でも私立学校共済組合法でも農林漁業団体共済組合法等も、すべて一つ一つ仕組みが違ってつくられているものを、このたびこれを一括して老齢年金の国庫負担についてだけ論じるというのは、はなはだ制度上からもおかしいのではないかと思われるわけでございます。非常に無理があるのではないかと思われるわけでございます。
 こういう点につきまして、年金制度の改革と言うならば、まずこれら制度の間のアンバランスの調整をやらなければならない。そしてナショナルミニマムを算定して、国民基本年金制度をつくる。いますぐつくれるとは考えませんけれども、つくる方向に向かって改革を進めていかなければならないと思うわけでございますが、そういう意味で考えますと、今度の法案の出し方は、どうしても制度改革から少し後退していると言わざるを得ないのではないかと思います。それでも私ども国民は、政府が財政再建のためにどうしても必要だと言うならば、これをのんでもよろしいと思うわけでございますけれども、したがって、この適用期間、経過措置が過ぎた後の返済方法を明確にし、その実行方を確約していただきたいということをお願い申し上げたいわけでございます。
 それから同じく保険にかかわることですけれども、これは公的保険にかかわる事務費の一般会計からの繰り入れを停止するという件につきましても、このことによって保険基金の運用に少なからぬ影響がくるであろうということは、当然予想されるわけでございます。その補てんといたしまして、たとえば社会保険料の値上げなどということがもし行われるといたしますと、これは泣きをみるのは国民、特に勤労者ばかりということになりますので、ぜひこういうことのないように十分御配慮をいただきたいと思うわけでございます。
 その次は、児童手当の所得制限強化の問題でございますが、これは児童手当は昭和四十七年に制定されましたときから、私どもは非常に未成熟な制度である、決して完結された児童手当ではないと考えてまいりました。もしも社会保障の原点に立って、ナショナルミニマムの確立という点からこの児童手当を考えてまいりますならば、児童の人権保障という意味から、すべての子供に一律に支給されるのが当然であるかと考えます。
 ところが、日本では第三子から、しかも親の所得に制限をつけて、月額五千円程度という形で決められたわけでございます。いま各家庭にどのくらいの数の子供がいるか御存じでいらっしゃるかと存じますけれども、ちょっと申し上げてみますと、戦前の日本では平均五人の子供を持つというのが実質でございまして、その場合には第三子から児童手当がついてもかなり効果を奏するかと存じますけれども、終戦直後はそれが三人になり、二人になり、そして現在では平均一・七人という子供の数になっております。こういうふうに子供の数が減少してまいりますと、第三子からの児童手当というのはほとんど効果がなく、全く対象がなくなって形骸化していってしまう。このままで置きますと、児童手当は自然消滅というところへ行かざるを得ないのではないかと懸念するわけでございます。
 その次には、児童手当は必ずしも子供の問題ばかりではなくて、いま非常に急速に進行しつつあります高齢化社会への対応ということとタイアップして考えなければならないというわけでございますが、日本に高齢化が急速に進行しております要因は、これは医学の進歩による長寿化と、それから出生率の低下というふうに言われております。前者の場合はともかくといたしまして、後者の出生率の低下ということにつきましては、これは児童が生産年齢に達したときは、当然若年労働力の不足という現象が出てまいります。それに従って労働力の高齢化を招くわけでございますが、これが生産性を低めるということにつきましては、私が申し上げるまでもないわけでございます。
 こういう意味で、活力のある福祉社会を到来させるというのであれば、当然、子供たちの成長に対して社会全体が責任を持っていかなければならないというのは申すまでもございません。現在の児童手当は、厚生大臣もおっしゃっていらっしゃいますように、これは人口対策としての児童手当ではないということでございます。ですけれども、いま急速に進行している高齢化社会に対応するためにも、児童手当を非常に重要な社会保障の一部として考えなければならないのではないでしょうか。
 ところが、今回の特例法案では、明らかに人口の変動に逆行する行き方をとっていると言わなければならないと思います。まず、すべての児童に一律に支給されるはずのものを、被用者の家庭の子供と自営業者の家庭の子供とを区分して、差別してしまった。いままでは四百五十万円でありましたものを、所得制限を被用者は五百六十万円に、自営業者は三百九十一万円にと区分して、そのことによって約六十億円の財政効果があると言われております。私どもは、この児童手当については抜本的に改革を考えるといわれておりますので、ぜひまず児童手当制度を存続させるということ、それから存続した上で、財政の状況が好転したときにはナショナルミニマムの実現に向かって前進させていただくということをぜひお願い申し上げたいと思うわけでございます。
 時間も参りましたけれども、最後に、財政の中期展望によりますと、五十七年度の要調整額は二兆七千七百億円と伺っておりますが、今度の特例法案で五十七年度の概算要求の支出削減でできるのは約二千四百八十一億円でございまして、これは十分の一にすぎないわけでございます。その他の調整分についてはいかがなさることでございましょうか、私どもは非常に関心を持って懸念するわけでございます。
 私ども国民は、福祉や文教関係というものを決して聖域とは考えておりません。これは必要に応じていかようにでも分析し、また収縮していただいて結構なわけではございますけれども、この分野につきましては、直接国民の生活と連なる面が非常に多いわけでございますので、今回はこれ以上福祉、文教を削減するということはぜひなさらないように、ひとつほかの分野の、行政改革の本来の分野にメスを入れていただくように十分お願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
#59
○委員長(玉置和郎君) 以上で公述人各位の御意見の陳述は終わりました。
 それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#60
○大木浩君 自民党の大木浩でございます。ただいまは、三人の公述人の先生方から大変貴重な御意見を承りましてまことにありがとうございました。
 私のいただいている時間が往復で十分でございますので、お一人お一人から細かく質問させていただきたいのですけれども、まず最初に私の質問申し上げます基本的な立場と申しますか、それから多少私の関心事項というものを申し上げまして、それらを適宜先生の方で取捨選択していただきまして、お一人二、三分ずつしていただきますと、ちょうどそれでもう十分でございますので、そういう進め方にさせていただきたいと思っております。
 先ほど多田先生もおっしゃいましたように、現在の行革法案というものは、これまさしく現在さしあたっての臨時的な措置と申しますか、したがって将来へのビジョンにつながらなければいけないということは、まことにごもっともだと思います。
   〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕
たまたま現在臨調の方でいろいろ検討もしておるというようなことで、政府として非常に具体的な将来へのビジョンというものは出しておりませんけれども、やはり私は現在のこの行政改革というものは、単に当面の節約を考えるといったような消極的な面ばかりでなく、将来へ向かっての発展のビジョンがなければいけないと思うわけでございまして、現在の行政改革は多少現在の節約というような面に主眼が置かれて、一時身を縮めるということはありましても、さらに将来への飛躍というものにつながっておるのだろうかと考えますと、行政改革の長期的な目的と申しますのは、日本のこれからの、現在の経済的な繁栄というものをさらに維持し発展させる、そういうことでなければ今後いろいろな行政上の要請に見合うだけの原資が出てこないわけでございますから、やはりこれは現在私どもが享受しております、いままでも享受してまいりました経済的な繁栄というものを維持し、さらに発展させるという立場から考えなければならないと思うわけでございます。言うなれば今後中長期的に、経済的にあるいは社会的に拡大再生産と申しますか、そういった形が維持されなければならないというふうに考えるわけでございます。
 具体的にそういった拡大再生産に臨みながらいろいろと調整をしていくわけでございますけれども、いろいろ具体的にそれを実現させるための、あるいは現在の時点におきましても具体的な政策の見直しと申しますか、手直しと申しますか、そういったものを進めていくためにいろいろなことが言われております。
 多少まとめて考えてみますと、まず第一に、多くの方々から現在の中央政府と地方自治体の関係ということについていろいろと言われております。先ほど和田先生も地方分権型の行財政ということを言われましたわけでございますけれども、これは確かに理念としては地方に分権させて、できるだけ地方の活力を活用するということは抽象的には好ましいわけでございますけれども、やはり現在の経済社会状態、発展、あるいは交通とか通信の発展といったような面も考えますと、なかなか地方の小さな単位がばらばらに行政を進めるということではかえって能率の悪い面もあるのではないか、また問題によりましては、国内での地域格差の解消と申しますか、そういったような問題もあるということになりますと、やはりこれは全国的なナショナルな立場で問題を見ていくということが必要であろう。したがいまして、特に和田先生あたりからお話伺いたいのですけれども、先ほどおっしゃいました地方分権型の行財政ということで具体的にはどういうことをお考えになっているのか、お教えをいただきたいと思います。
 次に、先ほどこれも各先生方からお話が出たと思いますけれども、国際社会における日本の立場ということを考えますと、これは非常にむずかしい状況にあるわけでございます。経済的には非常に伸びて経済大国と言われる立場になりましたけれども、その反面、いろいろと責任も増大しておる、風当たりも強いという状況でございます。そういった中で、しかしやはり日本の、先ほども申し上げました総体的な経済発展というものを維持するためにはそれ相応の工夫が要るというわけでございまして、あえて申せば、私は従来からの日本の経済政策といったものは、そういったものに焦点をかなり合わせて発展してきたというふうに感ずるわけでございまして、たとえばいろいろと現在の補助金の見直しにつきまして、財政補助のための企業に対する補助金というのはもっと見直せというようなこともございますけれども、これもやはり国際競争力というようなものを維持するためには必要じゃないかということを考えるわけでございます。そういった面で国際競争力を維持しながら、しかし国内的に公正なる配分ということを考えていくためにはどうする必要があるのか。私は必ずしも現在の立場というものを大きく変えるということについてはかなり疑問があると思いますが、その点についても御意見を伺いたいと思います。
 次に、時間がございませんのでこれはごく簡単に申し上げますけれども、現在いろいろと行政についての批判がある中で、一つの問題は非常に縦割り行政があるということで、縦割り行政の結果非常にいろいろと国民の側から見ますと問題が多い。これをもう少し集中してもらえないかというようなことがございますので、その点についても御意見を伺いたいと思います。
 それから第四番に、民間の活力を生かすということについて。具体的に民間の活力を生かすと申しましても、やはり公共事業あるいはいわゆる公共の企業というようなもので行いませんとなかなかできないという問題もあるわけでございますが、先ほどたとえば、もう新幹線など要らぬじゃないかということがございましたけれども、これについてもやはりおのずから公共の企業と民間の企業との分担があるんじゃないか、そういうことにつきまして適宜ひとつ御意見を伺いたいと思います。
 大変質問が長くなりましたので、お答えいただく時間がございませんけれども、ひとつ各先生方から二、三分ずつよろしくお願いしたいと思います。
#61
○公述人(和田八束君) では簡単にお答えいたします。
 いまのお話で、特に地方分権の問題でお話がございましたけれども、確かに地方が余りばらばらであるということは、こういう近代国家では好ましいことでないところもございますし、地域間格差の解消というのが必要なこともおっしゃられるとおりだと思いますが、ただ、第二臨調の答申にもございますように、福祉というのは非常に活力あるものとして市民なり住民なりの参加を得て行われることが望ましいということでありますと、やっぱり受けざらとしては地域といいますか、地方自治体というのが基本になる、そういう点が非常に重要ではなかろうかというふうに思います。
 それから、先生も縦割りというふうなことでおっしゃいましたけれども、やはり縦割り行政というのはいろいろ弊害を持っておりまして、むしろ地域の特性を持って、ばらばらと言うとぐあい悪いのですけれども、特性を持った独自な行き方といいますか、こういった点がもっと発揮できるような方向というのが考えられるべきではなかろうか。それから、地方自治体というのはどうも国に比べまして能力の点でやや落ちるのではないかというふうな印象もないわけではないのですけれども、従来の実績から言いますと、むしろ行政改革につきましても地方自治体が先行してやっているわけでありますし、それから地方自治体のそういう努力なり、あるいは住民の関心というものも非常に高まってきていて、地方自治というものが発展している現段階でありますので、もっと地方自治体の能力というものに大きな期待を持つということが必要ではなかろうか、そういう点で私は分権型というふうに申し上げているわけです。
 一つの考え方として申し上げれば、所得再分配政策のようなものは中央政府がやるということで、それからいろいろ福祉の施設などがございますけれども、そういう施設面というのは主として都道府県がいいのではないか。それからサービス行政の面になりますと、きめの細かい、あるいは住民参加というふうなことを考えまして市町村に主として主体を置く、こういうふうなことが考えられるのではなかろうかというふうに考えます。
 それから第二点として、民間の活力というふうなことでお話がございましたけれども、私は現在の先進工業国というのは大なり小なり混合体制といいますか、公私の混合体制として成り立っているわけでありまして、これをもっと活用していく。私企業なら全部効率がいい、安企業だと効率が悪い、私企業はもうかるけれども安企業はもうからないというふうなのは、幾分私は偏見があるように思いまして、やはり私企業と安企業との競争というものがもっと図られてよろしいと思いますし、それから安企業の中にわいても経営の、何といいますか、活性化といいますか、こういうのが図られるということで、混合体制のメリットというものをむしろ発揮するような社会を考えていくべきではなかろうかと、このように考えているわけであります。
#62
○理事(嶋崎均君) 菊池公述人には御遠慮願って、多田公述人にお願いします。
#63
○公述人(多田実君) 中央と地方との関係でございますけれども、私はやはり地方の活力を民間の活力と同様にこれから重く見るべきだと思います。特に、関連しまして縦割り行政の問題が出ましたけれども、縦割り行政、たとえば縦割り行政の弊害は地方に対する補助金などでよくあらわれておりますので、そういう関連から地方の補助金の効率を悪くしているという面もございます。そういう意味で地方の活力をもっと重要視して、極力補助金を縮減する一方で、一般財源化していくという方向を順次取り入れていった方がいいのではないかと考えます。
 それからもう一つ、企業に対する企業の研究開発等の補助、助成の問題ではなかろうかと思いますが、その問題については、企業の競争力に対して日本の場合、官庁行政の持つ役割りはいままでかなり大きかったのではないかと思います。その場合、だんだん民間に移譲していくということは必要であろうと思いますが、絶対必要なものはやはりなお残しまして、ただし、確認はしておりませんが、たとえばインスタント食品にまで研究開発費の助成が出ているというような点は洗い直しの結果改めてほしい、こういうふうに考えております。
#64
○大木浩君 終わります。
#65
○穐山篤君 社会党の穐山篤です。きょうはどうも御苦労さまです。時間の関係がありますので一括してお伺いをしますので、御了解いただきたいと思います。
 最初に多田先生にお願いしますが、先ほど聖域をつくるな、答申の虫食いを避けろ、歳出削減のみならず歳入に力を入れてほしいと具体的な提案がありまして、非常に感謝いたします。
 そこで、聖域をつくるなどいう問題ですが、五十七年度予算編成に当たりまして、一般費につきましてはゼロシーリングです。ただし、防衛、それからエネルギー、国際協力、これはいずれも七・五%以上、一一%に上っているわけですね。われわれとしては、痛みを全体が分から合うというならばそういう聖域をつくってもらっては困る、こういう主張をしているわけです。いまの状況でいきますと、防衛費につきましても五十六年中業とか、あるいは後年度負担ということでどんどんどんどん後ろの方に負担がふえていく仕組みになっているわけですが、具体的に聖域をつくるなどいう一般論は十分わかりますが、いまのような問題についてどういうふうにお考えですか、お答えをいただきたいと思います。
 それから、歳入対策に力を入れなさい、当然だと思うんです。その前に、ちまたには不公正税制について大分厳しい注文があるわけですね。重税感が非常に強い。それから先ほど和田先生からもお話がありましたが、もうこの辺で物価調整減税をやれというふうな広範囲なお話が出たわけですが、この歳入対策の一環として不公正税制などについてどういうふうにお考えであるか、特に具体的にもし御意見を伺うことができるならばお願いしたいと思いますが、たとえばギャンブルにつきまして、競馬は国庫に入ります。しかし、その他のギャンブルにつきましては直接国庫に入らないという仕組みになっています。そういうものについて国民の皆さんから、もうこれだけ厳しい財政ならば歳入対策の一環として考えたらどうか、あるいは広告税などもひとつ研究してみたらどうかという具体的な提案もあるわけですが、その点についてお伺いします。
 それから和田先生にお伺いしますが、御案内のように、新経済社会七カ年計画が提示をされておりますが、三回にわたって手直しが行われたわけです。その手直しは、いずれも高目に修正をするのでなくして、低目にフォローアップしているわけです。結論から言いますと、国民総生産にしろ国民所得にしろ、そういうものがずうっと当初計画よりも下がるわけですね。あるいは公共事業などは、合計で二百四十兆円と想定しましたが、百九十兆円にしかならない。言いかえてみますと、当初考えました国の景気あるいは財政状況というものは、やや悲観的に予測されることになるわけです。そういたしますと、昭和六十年だけをとりましても国債の残高が百二十兆円という膨大なものになりますので、財政再建期間中の苦しみもさりながら、六十年以降の問題を長期的な問題として私どもは対応せざるを得ないと思うのです。長期的な問題につきまして、財政の専門家でありますので、その点をひとつ御明示をいただきたいと思うんです。
 それから先ほどもお話を申し上げましたが、物価調整減税を行えと。御案内のように、名目所得は上がっておりますが、可処分所得は非常に小さく、最近ではマイナスに食い込んでいるわけです。課税最低限二百一万円がそのままになっておりますので、サラリーマン、勤労者としては非常に重税、事実上の増税という状況にあるわけですが、それらを踏まえて物価調整減税というお話があったのですが、物価調整減税の方法などについて、もしお考えがあればお伺いをしておきたいというふうに思います。
 それから、先生は幾つかの本に不公正税制について大分指摘をされておりまして、私どもも読んでいるわけですが、少なくともこの財政再建期間中だけでもぜひやってほしいなと思うこの不公正税制ですね、不公正税制の項目あるいは内容、そういうものについてお考えがあればいただきたいと思うのです。
 それから菊池先生にお願いをいたしますが、一つは、先ほど基本年金制度を導入するように検討をしたらどうか、こういうお話がありまして、年金のナショナルミニマムというものが当然前提として必要になるわけですが、このミニマムにつきまして先生のお考えがあればぜひお教えをいただきたいと思うのです。
 教育問題に触れておりませんでしたので私の方からお伺いをしますが、御案内のように、教育委員会の委員長の承認、任命につきましては、それぞれ都道府県の長あるいは文部大臣というふうなことになっているわけです。戦後三十有余年経ている今日、もうこの辺で文部大臣が教育長の任命をするあるいは承認をするというようなことは、もはや必要がないではないかというふうに思いますが、その点についてのお考えがあれば御明示をいただきたい。
 以上です。
#66
○公述人(多田実君) お答えいたします。
 最初に、聖域をつくるなの第一としまして防衛費の問題をお挙げになったと思いますが、私は、聖域をつくるなく言う場合に、主として念頭にありましたのは、第二臨調のいままでの答申、それからこれから行われます答申、これを主として念頭に置いたわけでございまして、今回の第一次答申の場合を見ますと、臨調も政府の方針を事前に子としまして、それに沿った防衛費について抑制措置をむしろ後退させた答申をしているという点が問題があるわけでして、そういう意味では答申に期待したいのは、答申は純粋にすっきりした答申を、合理的な答申をしていただきたいと思います。日本と西欧とは全く条件が違いますが、西欧もただいま、欧米すべての先進国で行政改革、行財政改革と取り組んでおりますが、その中には幾つかの国は、日本よりはるかに強大な軍事力を持っているためでありますけれども、軍事費の実質削減もしくは抑制に踏み切っている国もあるわけでして、そういう意味で、臨調段階では少なくともそういう配慮がほしいということがまず第一であります。
 それから、私はしかし政府がそれをどう受けとめるか、受け取って政策の選択をするかは、これはまたおのずから別でいいというふうに、非常に矛盾するようですが、考えます。私個人としてはある程度の防衛力の強化というのはやむを得ない。私は、たとえばシーレーンの完全防衛などということはとうてい日本の力をもってしては軍事的に不可能だと思いますが、しかし防衛力の強化そのものはやむを得ない。むしろ日本だけで――大変失礼になるかもしれませんが、日本だけで日本の軍事力をなかなか決定しにくい国際環境の中に日本は現在置かれている。そういう意味で、暴論になりますが、日本の防衛費もある意味では総合安全保障政策の中の国際協力費的色彩を一部含むようになってきたというふうに考えます。純粋に軍事的に見ますと不可能なことであっても、防衛力をある程度整備する必要が発生してくるというふうにも考える次第でございます。
 それから広告税についての御質問でございましたが、私は広告税については余り研究しておりませんのでお答えできませんが、諸外国の例等を十分勘案いたしまして、研究いたしまして、研究に値する問題ではあるというふうには考える次第でございます。
#67
○公述人(和田八束君) 三点ぐらいだったと思うのですけれども、まず新経済社会七カ年計画の点でお話がございましたけれども、私も今後どうなるかということについてはっきり考えを持っているわけではございませんし、まあ計画といいましてもかなり、従来の計画もそうだったわけですけれども、いろいろな事情で変化するというのが資本主義下における計画でございますので、これはやはりいろいろな諸条件というものを見ながら修正していかなければならないと思うんですが、ただ現時点で申し上げられることは、やはり政策的に、何といいますか、総合的長期的観点といいますか、が必要ではないかという、この点は言えると思うんです。
 先ほど私もちょっと言いましたけれども、余りにも現在の財政政策は国債減額というところにだけ集中し過ぎている。やはり経済面あるいは今後の経済の動きということを考えますと、国民の税負担の問題、それから景気状況、それからその他社会的諸環境の整備というふうなものを総合的に勘案していかなければならないわけでありまして、ある場合にはやはり減税が必要であり、ある場合には赤字国債も必要である時期もあるでしょうし、それらについてはもう少し広い立場から、そしてまた国民生活にとって何がプラスになるかという点から検討すべきではなかろうか。余りにもいまの財政政策はちょっと偏り過ぎているというのが私の考え方であります。
 第二点として、GNPの伸びの関係で租税負担率が高くなるということはほぼ予想できるところでありまして、低目に修正されているというようなお話がございましたけれども、租税負担率は必ずしも低目に修正されていないわけでありまして、このまま推移いたしますとご六%以上になるということは明らかになってきておりまして、そうしますと、社会保険料負担も入れますと三〇%近くなるということになるわけであります。これはやはり現在の日本の公共サービス等の水準から言いますとやや高いレベルでありまして、大きな負担である、負担が大きいということが言えるわけでありまして、やはり租税負担率二四%くらいのところで当分据え置くというふうな見込みで減税を行うなり、あるいは租税政策の手直しをするということが必要だろうと思うのです。
 その次の物価調整減税というのもそれに関係してくるわけでありますが、その方法はいかんという御質問でしたけれども、細かい点は私も十分に考えているわけではないのですけれども、やはり物価上昇が継続している状況のもとにおいては、スライド方式といいますか、インデクセーションというふうにも言っていますけれども、そういうやり方というものを導入する必要があるのではないか。アメリカもレーガン政権では今後そのスライド方式といいますか、インデクセーション方式をとるということを決めておりますし、ヨーロッパ諸国においてもかなり多くの国々で実施されているということからかんがみまして必要であろう。
 ただ、日本の場合には、昭和五十三年から課税最低限の引き上げが行われていない。それは四十九年以降税率の改定が行われていないということで、過去の分の方が実は多いわけでありまして、今後はそれほど大幅な物価上昇があるというふうには考えられないのですが、過去の物価上昇下において調整されていないという分がございますので、スライド導入もさりながら、過去の何といいますか、救済措置といいますか、修正といいますか、これを緊急にやるべきだ。昭和五十七年度予算におきましては、過去の蓄積された分、これを修正する意味で課税最低限の引き上げ、それから適当な税率ですね、税率構成の修正ということをやるべきであろうということであります。金額については調べてみないとわかりませんけれども、私の感じでは少なくとも数千億円以上の規模でなければならないであろうというふうに思います。これが非常な現在の税制上の不公平をもたらしているということは言うまでもないところでありますし、それだけではなくて、可処分所得の実質減ということで経済の沈滞というところにも関係がございますので、やはり当面の財政政策としては一つの重要な課題ではなかろうかと考えます。
 その次に不公平税制という問題でありますけれども、不公平とは何か、何を不公平と言うかということはいろいろ中身がございますけれども、俗にクロヨンというふうなことも言われているわけでありますけれども、特に給与所得者の税負担が不公平であるということがつとに指摘されているところであります。しかし、給与所得者と事業所得者との不均衡、あるいは給与所得とその他の所得との不均衡というのは、単にクロヨンというふうな捕捉率、つまりどれだけキャッチされているかというその問題だけではないわけで、むしろそれだけにしぼってしまいますと幾分問題が小さくなってしまうのではないかという感じがいたします。
 もちろん、当然意識的あるいは非意識的な脱税、あるいは捕捉の逃れというものは修正されなければならないわけでありますけれども、それ以外に事業所得者と給与所得者との関係でいいますと、必要経費ですね、これについての考え方が基本的に違うわけでありまして、給与所得者は収入額は全部所得であるというふうなそういう考え方になってしまうわけでありますし、事業所得者はその事業所得を上げるのに必要であった経費、必要経費を除いたものが所得であるという、ここのスタートのところでもう決定的な違いがあるわけであります。
 それからその次に個人と企業との関係というものがございまして、給与所得者は裸一貫、もう自分でかせぐ以外にないわけでありますけれども、企業の場合には個人と企業と両方でかせぐといいますか、言い方が悪いかもしれませんけれども、その使い分けがともかくできるという点で有利である。あるいは個人事業の場合には家族全体で働いているという側面もありますけれども、また所得を家族全体に分散し得るというメリットもあるわけでありまして、そういう仕組みの問題が次にあると思うのです。
 それから、その他の給与所得以外の所得でいいますと、資産性所得とかその他給与所得以外の所得においては、制度上租税特別措置その他によって有利に計らっているというふうになるわけでありまして、不公平税制の内容といいますのは、いま申し上げました三つないし四つぐらいの点がございまして、クロヨンという問題はそのうちのごく一部、トーゴーサンといいますか、これは一部であって、それだけでもうこれはやるんだということがいま言われたりしておりますけれども、これがどこまで行われるかわかりませんけれども、仮にクロヨンの調査などが行われたにしても、これはごく一部であって、もっといろいろと根本的な問題があるということを申し上げておきたいわけです。
 それでは不公平是正としてどういうことをやるべきかということにつきましては、すでにいろいろな提案なり提言あるいは考え方というものがいままでも出されておりまして、私もそれほどそうした議論と違いがあるわけではないのですけれども、ごく大まかに申し上げますと、一つは資産性所得ですね、これはやっぱり厳密にやるべきだ、つまり不労所得でございますから。それで利子配当課税の総合課税、それから株式等有価証券の譲渡所得に対する課税、あるいはその他資産の譲渡所得に対する課税の強化というふうな点がまず必要だと思います。
 それでその次は資産そのものに対する課税といいますか、これはやっぱり厳格にやるということでありまして、そのためには富裕税の導入というふうなことが具体的に考えられるべきであろうというふうに思います。高額所得者に対しては税率が高いので、むしろ税率の引き下げ等を行う必要があるのではないかとか、あるいは税率の引き下げを行った方がむしろ収入がふえるのではないかというふうな議論もあるやに聞いておりますけれども、現在の税制において高額所得者のところで税率を引き下げるということについて、何らそういうプラスの効果はないわけでございまして、むしろ税制の不公平を増大するだけであります。もし仮にそうした税率の面において修正が行われるとすれば、そうした高額所得者の部分につきましては、当然資産家であるという関係からも、資産に対して課税が行われる富裕税を導入するということで厳格にしないとむしろ不公平税制が強化されると思いますので、そうした個人所得については是正が必要であろう。
 それから、かなり不公平是正として対象になり得るのは企業課税の面でありまして、これはやはり非常に長い間いろいろな点が蓄積されておりまして、特別措置と言われるものもいわゆる政策減税の面だけではなくて、制度そのものから来る不公平といいますか、特別減税部分といいますか、こういうものがあるわけであります。それで、いわゆる法人擬制説的な税制というところにも企業課税に対する優遇がございますし、そのような企業課税に対する根本的な改革というのが必要であろうというふうに考えております。
 若干長くなりましたけれども、以上でございます。
#68
○公述人(菊池幸子君) ナショナルミニマムについての考えを示せということでございますので、簡単にお答え申し上げます。
 活力のある福祉社会を実現するということの基本原理は、自由と平等の調和ということにあるわけでございますが、ナショナルミニマムはこの平等の方に係ってくる原理でございます。国民だれでも多くの生活要求を持っておりまして、それをいかに充足するかということによってその社会体制がどうなっているかにかかわってくるわけでございますけれども、すべての生活要求を充足するとなれば、これは限りなく要求は拡大してまいりますが、最低の生活を保障するという線でそろえるわけでございます。たとえば先ほどお話しいたしました年金の問題につきまして、高齢化が進んできて、六十五歳以上すべての職を去ってから老後をどう過ごすかといった場合に、公的年金に頼って生きるとしますと、物価から考えてこれは一般的に幾らあれば満たされるであろうか、ぜいたくはしない、それから住宅は借家住まいであっても幾らあればと。私はいつも五万から六万あれば何とか生きられるのではないでしょうかというふうなことを申します。それをもとにしながら、すべての国民が生活できる水準というのを算定していくのがナショナルミニマムというふうに考えているわけでございます。それに加えて、各個人の要求を充足する、これは自由の分野に入ってまいりますので、その人の能力、それから生活環境の条件等によって加算されていくものだというふうに考えております。
 それからもう一つの御質問は教育委員会の問題でございますが、これは教育委員が任命制か公選制がというふうな御質問と受け取ってよろしいわけでございますね。――そういたしますと、かつては公選制でございましたが、途中から任命制に切りかわってまいりました。いまどちらがいいか悪いかということについて、はっきり結論的なことは申し上げにくいわけでございますけれども、ちょうどいま地方の時代が進んでまいりまして、教育委員会は、これはどうしても教育の地域性を生かして推進されていかなければならない行政の部門でございますので、地域の住民の推薦によってまず人選されていく、そこの地域の住民の人選が非常に精密に誠実に行われているとしますと、あとはそれを取り上げて文部大臣が任命したとしても、教育にそれほど大きな影響はないのでは極いかというふうに考えております。ちょうど最近行われました中野の準公選制などというのも、一保つの例になるかと思います。
 以上でございます。
#69
○理事(嶋崎均君) 簡単にお願いいたします。
#70
○山田譲君 時間もありません。ごく簡単に和田先生に二つほどお伺いしたいのですが、一つは、先ほどちょっと、最近天の声というふうなことで、中央集権的な官僚システムに対する不満が出てきたというふうなことをおっしゃいましたけれども、先生の中央集権的と言われるのはどの辺のことを言っておられるかということを伺いたいと思います。
 それからもう一つは、ちょっとお話の中に、最近赤字財政の改善が予想よりもよくなってきているというふうなお話、ちょっとありましたけれども、それはどういうことかということでございます。
 それから菊池先生に二つほどお伺いしたいのは、最初に高度成長によって肥大化した行政機構というふうなことを言われましたけれども、一体どの辺が肥大化しているのか、先生のお考えがもしありましたらお伺いしたいと思うのです。
 それからさっき先生は、言葉じりをとらえるようで申しわけないんですが、条件つきで賛成をされるというふうなことを言っておられましたけれども、お話をずっと聞いておりますと、どうも条件つきではなくて、全面的に反対というふうな受け取り方をせざるを得ないわけでございますけれども、せいぜい条件としてこれがそうかなというふうに考えたのは、交付金を減らすのを三年後にまた財政状況を見て返すというふうなことを言っておるけれども、これははっきりさせてもらいたいというふうなことをおっしゃったわけですが、せいぜいその辺が条件として考えておられるかどうか。そうでないとすると、ほとんど全面的に反対の立場というふうに私ども考えざるを得ないのですけれども、どこかほかに、私がいま申し上げたこと以外に条件というふうなものがあるとすればどんなことかということでございます。
 それからもう一つ、いま同僚委員が言われました教育長の任命のことでございます、教育委員じゃなくて。教育長というのは明らかに都道府県の、県の公務員である。その公務員の任命に対してわざわざどうして文部大臣が承認しなければならないか、こういう問題意識だと思いますけれども、ひとつその辺を御返事いただければありがたいと思います。
#71
○理事(嶋崎均君) 公述人の方にお願いいたします。時間が限られておりますので、答弁は簡単にお願いいたします。
#72
○公述人(和田八束君) それでは簡単に。
 まあ中央集権的には、これは申し上げれば相当いろんなところにございますが、私は一つは財源が集中されているというところであって、圧倒的に、三割自治というふうに前から言われておりますように、七割を国が財源を確保している、こういう財源の集中、それからそれに対して権限の集中でございまして、地方自治体はあらゆる点で中央政府の権限によって制約されているということがございます。それから財政支出の面ですね、財政支出の面においては実質的には地方財政が担当しているものが多いわけでありますけれども、実際にはその支出が地方自治体の自主性あるいは自主権限によって行われるのではなくて、機関委任事務等が相当広範囲にございますし、それから財源自体は補助金というふうな形で参りますし、それから地方交付税というふうな一般財源でありましてもかなり制約があるというふうなことで、いずれを見ましても相当中央集権的な色彩が強く、それが官僚的システムによって基礎づけられているというのが私の感想であります。
 それから赤字財政の改善につきましては、これは昭和五十二年、五十三年度ごろに比べまして公債依存度がかなり順調に低下してきているということですね。五十五年度ベースの大蔵省の財政収支試算によりますと、昭和六十年度において国債の発行を十二兆二千七百億円にしたいということで計画を立てていたわけなんですけれども、これがもうすでに五十六年度ベースになりますと、この五十六年度予算で十二兆二千七百億円という規模になっていて、この点だけから見ますと、すでに四年間繰り上がっているということであります。もちろん赤字国債自体は残っているわけでありますけれども、そういう点ですね。だから、公債依存度は低下しているということ、それから財政計画上かなり早くなってきているということ、それから同時に、そのことを裏づけるものでありますけれども、自然増収が相当、まあ来年度はまだちょっとよくわかりませんけれども、従来までのところでは順調にきているのではないかと、こういうことであります。
#73
○公述人(菊池幸子君) 御質問が三つございましたけれども、簡単にお答え申し上げたいと思います。
 まず第一は、肥大化した行政機構はどこにあるかというふうな御質問でございますが、これは御承知のように、特殊法人その他。公団、公社、いろいろあるかと思います、詳しく申し上げる時間がございませんけれども。
 それからもう一つは、縦割り行政におきまして、たとえば具体的にいま国民がサービスを受ける立場に立ちますと、一人の老人のサービスにつきましても、保険はこちら、それから年金の方はこちら、住宅はこちら、それからホームサービスはこちらと、全然別々の行政体の方にたらい回しにされているというふうなことですね。これをもっと、受けるのは一人の人間でございますので、合理化して、サービスを受ける方が非常に気分よく受けられるというふうな行政機構はないものであろうか。これは諸外国などを見てまいりますと、かなりそういう面を反省して合理化している点があるわけでございます。そのことを申し上げました。
 それから二番目の御質問は、条件づきで賛成というけれども、全面的に反対ではないかという御質問でございますが、私が言葉の表現がまずかったのかもしれませんけれども、決して全面的に反対ではございません。行政改革ということについてはもろ手を挙げて賛成いたしますと、まず申し上げました。それから、進行しております今年度五十七年度の予算編成につきまして、支出予算の切り詰めというところにだけしわ寄せが来ていて、しかもその中で八割方福祉と文教によっているということについては疑問を持つけれども、基本的な問題については反対とは申し上げていないわけでございます。条件と申しましたのは、そういうふうに福祉や文教にしわ寄せされたところをぜひ三年後、経過措置が終わったときに是正できみような形で条件をお願いしたいと申し上げたわけでございます。
 それから最後の御質問は、教育委員ではなくて教育長であるそうでございますが、これは教育長も教育委員の一人でございますね。そういう形で選ばれて、そして最終的に文部大臣の認可を受けるということについて、それほど大きな抵抗を感じないわけでございますけれども。
 以上でございます。
#74
○山田譲君 ありがとうございました。
#75
○塩出啓典君 公述人の皆さん、本日は御多忙の中をわざわざ当委員会にお越しいただきまして、大変示唆に富む御意見を承りましたことを厚く御礼申し上げます。私は、公明党・国民会議の塩出啓典でございますが、各先生方に一問ぐらいずつお尋ねをしたいと思います。
 まず多田先生にお尋ねしたいのですが、聖域をつくるな、防衛予算も聖域であってはならない、これは私も非常に同感であります。ただ、防衛力をさらに増強せよという、こういう点には多少意見の違いはあると思いますが、私は、防衛予算もやっぱり国民の皆さんがその内容を理解し、本当に国を守るためには必要である、そういう国民的なコンセンサスがあってこそ非常に価値があるのではないか。そういう意味で、臨調も今回は防衛費については専門的分野だから余り触れるのはむずかしいような、そういう御意見でありますが、私は第二臨調においても十分これを論議して、そして国民の本当に共感と理解を得るような内容でないと、たとえ防衛力を増強するにしても余り効果はないのじゃないか。また、そういう効率的なやはり防衛力の整備という点からも臨調の審議の対象にした方がいいのじゃないか、当然すべきではないか、こういう意見について先生の御意見を承りたいと思います。
 それから和田先生には、地方分権、分権型の行財政という、こういうお話でございまして、私たちも非常に賛成であります。今回の特例法案等には全然そういう本来の行政改革とも言うべき地方分権、権限の移譲というものがないわけでありますが、そういう点で先生の御意見に私は全く同意であります。
 ただ、その件について、いままでたとえば社会保険事務所とかあるいは地方事務官、こういうものが昭和三十九年の第一次臨調答申以来全然進んでいない。その中にはやはり中央の地方自治に対する不信というものがあると思うんですけれどもね。確かにきのうの委員会においても民社党の委員の方が、地方公務員の給与の実態、諸手当の実態等のお話がありまして、しかも地方公務員の給与が国家公務員よりも非常に高いところがあると。そういう点を見ると、やっぱり地方というものに任せておくと心配だなという点は確かにあるんですけれどもね、それはやはり住民監視ということが、さらに地方自治が成長していけば、おのずから一つの試行錯誤を通して前進していくのではないか。そういう意味で思い切って地方分権を進めるべきであるという私の意見ですけれども、その点についての先生の御意見を承りたい。
 それから最後に、菊池先生はきょうの御発言の一番最初に、時間があれば公立小中学校の学級編制の標準等に関する経過措置の特例についても触れたいとおっしゃって、時間がなくて触れられなかったわけですが、いま御存じのように校内暴力、そういう点で教育のあり方が非常に大きな問題になっておるわけであります。そういう中で九十一国会、昭和五十五年の国会において成立をした昭和六十六年に四十人学級を目指すという、こういうものが一年後に変更されようとしている。昭和六十六年という終点は変わらないようでありますが、こういう処置が教育の面にどういう影響を及ぼすのか、長年教育の現場で非常に経験を積まれ、またスウェーデン等にも行かれて大変そういう面では研究されている第一線の立場から先生の御意見を承りたいと思います。
#76
○公述人(多田実君) お答えいたします。
 防衛力の問題につきまして、効率的な防衛力であるべきではないかという御指摘がございましたが、私はまことに同感でございます。効率的な防衛力であるべきだという点は、先ほどちらりと言葉不足ですが、触れましたが、たとえ外的条件の変化があったとしましても過大な防衛力を抑制すべき点とともに当然のことだろうと思います。その意味では、鈴木総理大臣が最近本法案の審議に絡みまして、GNPの一%以内を当面変えるつもりはないという趣旨の見解を出されたことは、現在の政治情勢下では現実的なものと評価できると思います。
#77
○公述人(和田八束君) 主として分権型行財政ということですけれども、先ほどもちょっと申し上げましたように、第二臨調の議論の中で福祉、平和というふうなことは言われているわけでありますけれども、分権型と地方自治の強化ということがかなり弱いのではないかという点で私は不満といいますか、問題点を感じているわけであります。今後その辺のところを十分に詰めていただきたいというふうに考えているわけでありますけれども、第一次臨調のときには相当この地方財政について、あるいは国と地方との関係といいますかについて議論がなされたようでありますし、それからその後も地方制度調査会その他においてかなり具体的なところが出ておりまして、何が問題で何をやるべきかということは相当出ておりますので、その辺のところは地方分権という立場からやっていただきたいということであります。
 お話しのように、地方に対する不信というのは確かにございます。昭和二十年代あるいは昭和三十年代というふうなところに比べて、現在地方自治が相当進んできている、それから住民の自覚もかなり高まってきているということは言うまでもないところであって、かつてのような、昭和二十年代あるいは三十年代の初めのような、いわばむちゃくちゃというふうなところがもうなくなったということは評価されなければならないわけでありまして、私としては、全体といたしますと地方の行政レベルというのは相当上がっているというふうに思っております。特に府県のレベルというのは相当高いわけであって、信頼ができるというふうに思います。
 ただ、地方自治の中で、やはり住民の参加あるいは住民の地方自治に対する熱意というのがまだまだ不足しているところがございまして、こういう点は行政レベルから言いましても強化されなければならないのと同時に、行政レベルにおける自治の発達というのに比べて議会の役割りというのがまだ十分ではないのではないかという感じがいたします。その点で人件費等の問題もございましたけれども、やはりこれは住民なり議会というふうなものが良識を持って判断すべきものであって、民間の賃金のように労働市場で決まるという客観的なものがございませんわけですから、この点は議会なり住民なりが十分に監視するということが必要だろうと思います。
 それから、汚職とか不正問題というのが地方自治体レベルでよく起こるわけで、これも地方自治体に対する不信、特に住民レベルからする不信のもとでありますけれども、これはもちろんいけないことだと思いますけれども、すべて地方自治体だけの責任であるかどうか、果たして中央政府あるいは中央レベルにおける財政の、何といいますか、政治構造といいますか、そういうものが問題がないのかどうか。私は先ほど公共事業についても若干問題点を申し上げましたけれども、汚職なり不正なりが出てくる一番多いのは、公共事業に関する用地取得とかあるいは建設土木事業というふうな、そういう公共事業にかかわるところが多いわけでありまして、現実に最近などにおいては知事レベルにおいてもこういう問題が出ているということはきわめて問題があるところであって、これはただ地方自治体の、この地方自治の問題というだけではなくて、中央、地方を含めた政治、行政全体の問題として考えるべきところであろうと、こういうふうに思います。
#78
○公述人(菊池幸子君) 小中学校の学級編制と、それに伴う教職員定数の確保につきましては、御質問にありましたように、昭和六十六年までに十二年間かけて、法律で定める標準となるように近づけていくというのが現行法でございますのに、特例法では特例期間中の三年間は国の財政事情を考慮して、結局四十人学級に近づけることを抑制し、停滞するという結果になるわけでございます。
 私どもがこれを考えます場合に、現在の教育現場では何が起こっているかと申しますと、先ほどもお話ありましたように、まず校内暴力、家庭内暴力、非行の増加、それの裏には受験地獄という、学校では背負い切れないほどの多くの問題を抱え込んでいて、教育はもう荒廃し切っている。「学校は死んだ」などという本を書いた人もいるくらいで、教育は荒廃し切っておりまして、一刻も早くその再建が望まれているわけでございます。
 私どもは、もちろん四十人学級を実施したからといってすぐに校内暴力や非行がなくなるわけではございませんし、そういう保証はどこにもございません。しかし、一人一人の教師が、その自分一人の担当する児童生徒数が少ないほどこれはゆとりのある指導ができるし、生徒一人一人との密接な人間交流を行って、教育効果が浸透していくものであるということは、私が述べるまでもないわけでございます。教員一人当たりの生徒の負担数というもの、ヨーロッパ、特に福祉国家と言われておりますスウェーデンなどと比較してみますと、大体十五人から十九人以下というのが常識でございますけれども、日本では二十人以上というのが普通になっております。それから一学級の学級編制数も二十人ぐらいがいいところということでございまして、
   〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕
これはそのために、最近生まれております特殊学級などをつくらずに、特殊児童もなるべく普通学級に編入して、統合教育を行うというのが世界的な傾向になっているわけでございますけれども、わが国では四十人以上、五十人近い学級編制をしているところがざらにございます。こういう形で校内暴力をなくしろ、受験の成果を上げよといいましても、一人の教員が負担する負担量というのは大変なものでございますので、これをできるだけ早く解消しなければならないというふうに考えるわけでございます。
 教育と申しますのは御承知のように、一年や二年で効果があらわれてまいりません。最低三年、長ければ十年、二十年という長い年月の中でようやく効果が出てくるものと言われておりますので、この三年間の停滞期間が、何年かたった後に非常にマイナスの影響としてあらわれるのではないかと私どもは心配をしているわけでございます。そういう意味で、今度の法案につきましては、これ条件づき賛成でございますので、やむを得ないということでのむといたしましても、ぜひこの取り返しをできるだけ早くやっていただきたいとお願いするものでございます。
 以上でございます。
#79
○塩出啓典君 それでは、あと一問だけ和田先生にお尋ねします。
 先生は、政府のいまの予算編成にしても、余りにも財政再建、赤字減らしということに偏って、総合的なやはり景気政策をやるべきであると。確かに五・五%の成長が一つの条件で、年間四、五兆円の財政収入があるということが再建のもとになっておるわけですけれども、しかしそれが非常に憂慮されておる。しかし、減税にしても景気対策にしても全部財源が要るわけですね。そのあたりが具体的な問題としては非常に厳しいわけでありますが、特に不公平税制の是正という点で、たとえば会社臨時特別税というのを前にやったわけですけれども、そういう点についての御意見はどうか、それだけ承っておきます。
#80
○公述人(和田八束君) まず、一番最後の会社臨時特別税的なものということで、私はかねがね賛成でありまして、これは臨時ではなくて超過利潤税という形で恒常的に法人税のプラスアルファとして設けるべきである、こういうふうに考えております。しかし、それだけで現在必要な物価調整減税の財源なり、あるいは景気政策的観点からの財政運営ということからいって十分かどうかということはちょっとわかりませんし、それから当面、来年度すぐにそれが会社臨時特別、超過利潤税を採用するとも思いませんので、これは別途もう少し即効性のある不公平税制是正による財政収入の面を考えるとか、あるいは先ほど公共事業のことについてもちょっと申し上げましたけれども、それらを含めて補助金等の再編と整理というふうなことで、歳出面についてももう少し厳しくカットするというところをつくるなりしてやるべきではないか。特に、不公平税制の是正につきましては、増税なき財政再建というふうに言われておりますけれども、当然従来不公平であった部分が増税されるということは考えられるといいますか、含めて考えるべきであって、それをしも増税なき財政再建という範疇には入らないのではなかろうかというふうに私は考えております。
#81
○塩出啓典君 どうもありがとうございました。
#82
○山中郁子君 公述人の皆さんには貴重な御意見をありがとうございました。共産党の山中郁子でございます。
 初めに、菊池先生に御意見を承りたいと思います。
 行政改革は全面的に賛成だが、今回の法案にはさまざまな点でかなり批判的な御意見と承りました。そこで私どもも、真のあるべき行政改革を進めていかなければならないということは、これは当然のことである。しかし、今回出された一括処理法案、またそれのもとになっております臨調答申は、行政改革という真の意味とは似て非なるものであるということを私たちは委員会の中でもいろいろな面から指摘もし、審議も進めてまいりました。
 そういう立場で一つお伺いしたいことは、先ほど先生もお触れになりました社会保障の問題等なんですが、臨調答申では「自立・自助の精神、自己責任の気風を妨げるような過剰な関与を厳に慎むという行政の新しい在り方が明確にされなければならない。」と、こう述べておりまして、行政の過剰な関与が自立自助の精神を損ない、活力ある福祉社会への道を遠ざけているというように理解できる考え方になっております。答申はこういう観点から、「医療、年金、福祉、文教等について」「制度の根本に立ち返った検討を行う必要がある。」と、こうしております。私はこれはやはりかなり根本的な問題であるというように考えておりますけれども、つまり枝葉の問題でなくて根本の問題である、したがって臨調答申並びにそこから出てきております今度の三十六本の一括処理法案の重大な柱になっていると、考え方としてもこのように考えておりますけれども、先生の御見解をお伺いしたいと思います。
#83
○公述人(菊池幸子君) 行政改革につきましては、基本的に先ほど申しましたように、たとえば年金制度であれば年金の制度間のアンバランスを調整するとか、児童手当であればナショナルミニマムという観点に立って児童の人権保障という形で、抜本的に制度を改革していかなければならないというのは当然でございますし、私ども行財政改革についてもそこに期待するわけでございますけれども、私が条件づきで賛成しておりますことの意味は、将来はそういう方向に向かって当然行政改革が行われるものであるし、また国会の先生方はそういう形でなし遂げてくださるであろうという期待のもとに、今回はとにもかくにも五十七年度予算の編成に当たって、いま概算要求が出ておりますけれども、財政再建という立場でつくり上げなければならない予算だから条件をつけて賛成している。そのかわり暫定措置期間が終わったら、これをぜひ取り返すような形で、方法論、それから期限を明確にしてほしいということを再三申し上げているわけでございます。
 ですから、そういう意味では、将来は医療の問題にしましても、年金それから福祉サービスにしても、根本的なところに向かって抜本的な改正が行われるという期待のもとに申し上げているわけでございます。それでよろしゅうございますか。
#84
○山中郁子君 もう一点、菊池先生にお尋ねしたいのですけれども、実は先日も臨調の役員、土光さん、圓城寺さんをお招きいたしまして、当委員会で参考人質疑が行われました。そのときにも私、圓城寺さんにただしたのですが、実は今度の臨調メンバーの中には、委員九名中女性は一人もいないのですよね。それからまた専門委員は二十一名中一人しかいない。そして参与は、これまあ数が不特定な面はありますけれども、五十人中二人という状況で、人口の半数以上を占める女性が、機械的なことを私は考えているわけじゃないのですけれども、こういう状況では余りにも問題があり過ぎるのではないかということを圓城寺さんにもお伺いをしたところなんですけれども、ひとつ女性の立場から先生の御意見をお伺いしたいと思います。
#85
○公述人(菊池幸子君) いまの御質問は、政党とか思想的な立場を超えて、女性の問題としてお答えしなければならないのかと存じます。
 私は、よくいろいろなところに顔を出してしゃべったりはいたしますけれども、常に女性としてではなくて、その問題に関して正面からぶつかっているという立場が多うございますし、何でもかんでも女性、人口の半分が女性だから女性を入れなければならないという立場はとっておりませんけれども、今度の行政改革、特に国民の生活に関連する面につきましては、女性が非常に深くかかわっている場合がございます。これは地域活動でもそうでございますし、消費生活の面につきましても、大変僭越ではございますけれども、場合によりますと男性以上に女性の方が深い知識、幅広い見解を持っていることもございます。こういう面を御配慮いただきまして、行政改革、臨調などには、今度改革の時点がありましたら、ぜひ女性も入れていただければもっと幅広い公平な審議ができるのではないかと思うわけでございます。これはよろしくお願いいたします。
#86
○山中郁子君 いま菊池先生おっしゃいましたように、私も、問題自身も女性にかかわることが大変多いという観点からも重要なことだというふうに思っております。
 和田先生にお尋ねをいたしますが、先生は先ほどの御意見の中で、将来に対するビジョンの関係で、第二臨調の理念ですね、この点についてのいわゆる活力ある福祉社会、それから国際社会への貢献、これは賛成だとおっしゃっておられますし、また先生がお書きになったものの中にもそういう御意見が開陳されていることを承っておりますが、この審議の中でもいろいろ問題にもなっておりますし、この軍事力の拡大、まあ防衛費を聖域にする、これはいろんな議論があるところですけれども、私は臨調で言っている理念の中のこの問題が、先生がさっきおっしゃったように、それは賛成だけれども抽象的なんだという御指摘だったのですが、私はそうではなくて――そういうふうに理解したので間違っていたらまた御意見を承りたいわけですけれども、私はやはり防衛費の問題などをとってみましても、まさにこういう理念という形で打ち出されているものが具体的に国民生活を圧迫し、また防衛費を聖域化し、軍事大国への道を走る土台になっている、そういう危険な要素があるというように論議が進められてきているわけです。いろんな意見がありますけれども、私どももそういう意見を申し上げてきているわけですけれども、その点についての先生の御意見を承りたいと思います。つまり、抽象的なものではない実際の危険な内容としてこれが作用しているのではないかということなんですけれども。
#87
○公述人(和田八束君) おっしゃるような面もあると思いますね。ですから理念というふうに掲げているけれども、具体的なところは少しも具体的になっていない。あるいは日本における平和というのは具体的にいかにあるべきか、平和国家としてはいかにあるべきかということが明らかになってない。アメリカと日本との関係についても具体的になってない。あるいは国際的関係についても十分なリアルな検討が行われてはいない等々の面におきまして、そういう点もあると思いますけれども、また逆にストレートにわが国が軍拡に巻き込まれていて、それがいわば第二臨調答申ないし検討が隠れみのになっているというふうにも、そういうふうにも私は思いません。いろいろなものがかなり複雑にあるということは感じておりますし、それらいろいろな面というのがそれなりに説明できるというふうには思いますけれども、すべてがこれがこうだというふうに、単色といいますか、ストレートに説明するには、まだちょっといろいろな面を検討しないといけないのじゃないかということで、私もしゃべる場所だとかあるいは書くところによって幾分違いを持っているということは自分で承知しながら、あるときにはある面を強調し、あるときにはある面を強調しながら、しかし第二臨調というものがともかくまじめに議論をしているという限りにおいては、その掲げている理念はそのものとして尊重する立場で注文をつけていきたい、そういう気持ちもございますので先ほどのようなことを申し上げたと、こういうことです。
#88
○山中郁子君 ありがとうございました。
#89
○柳澤錬造君 民社党の柳澤でございます。公述人の先生方には、大変貴重な御意見をお聞かせいただいたことを感謝を申し上げます。持ち時間が十分しかございませんので、簡潔にお答えいただきたいと思います。
 最初に多田先生にお聞きをしてまいります。
 先ほど、政府は不断の努力をすべきなのにしないで第二臨調に任せているという御見解がありまして、これは全くそのとおりで、私もここの委員会で確かめたのですが、第二臨調には実現可能なものを答申してくれという注文をつけているわけです。それで今度、片や国民に向かっては第二臨調からこういう答申が出たのだからという言い方をされているわけなんです。そこのところは先生の御見解のとおりなんですが、私が、いまお聞きしたいのは、一番最後に言われました、答申の虫食いをさせてはいけないということです。主要な点でどういう点を気をつけろというふうにお考えなのかをお聞かせいただきたいと思います。
#90
○公述人(多田実君) お答えいたします。
 最初の一般論の方にちょっと触れますが、政府が政治の指導権を、指導性を発揮しませんと、これが正確であるかどうか確認はいたしておりませんが、一般に言われておりますのは、臨調の第一次答申に際しまして臨調と大蔵省と当該官庁間で事前に話し合いが行われて、実現可能なものが主として拾い上げられたというふうに、新聞報道等ではほぼ一致して報道されております。今後の第二臨調の本格答申に当たって政治が指導性を発揮しませんと、またそういう轍を踏みはしないかということが心配だという点でございます。
 第二の点は、これから本格答申についてはまだわかりませんけれども、第一次答申で見る限りにおきましては、たとえば第一次答申の場合に、医療費の明細、内容を明記すべしという答申があったわけでございますが、それにつきましては、今回そのような措置をとるような動きが、全くと言っていいかどうかわかりませんが、見られないわけです。たとえて言いますとそういう点でございまして、臨調の答申全体と今回の法案を比べますと、やはりそこに若干の虫食い症状があらわれているということでございます。
#91
○柳澤錬造君 次に、和田先生の方にお聞きをしてまいりますが、先ほど御見解の中で、短期的な赤字財政からの脱却と長期的財政再建のこれを混同している、いまの日本は行財政改革に根本的に取り組まなければいけないんだと、大変重要な御見解が述べられたわけなんですけれども、その重要なポイントはどういう点を気をつけろというふうにお考えなのか、そこの点をお聞きをしたいのです。
#92
○公述人(和田八束君) 大事なところといいますか、そこのところが具体的には実際にはむずかしいところだと思います。具体的な予算編成をするとかあるいは財政運営をするとかいう現場現場といいますか、実際はむずかしいところだと思いますけれども、注文をつけるとすれば、一方の局面だけからではなくて、いろいろ社会的な側面、それから経済、景気上の側面、それから国民負担の側面、それから財政の収支バランスというふうなものを総合的に判断して、その時点でどれが優先度を持つべきかというふうなことを総合的に判断していくべきであろう、こういうことであります。それが短期的な財政運営の一つの基本だろうと思います。それから長期的な点で言いますと、やはりこれから将来に対する日本の長期的な経済のあり方、それから社会的には福祉国家としてのあり方というふうなものをとらえて、そうした観点で従来の財政の体質を改めていく、こういう課題があると思うのですね。そこのところはやっぱり問題が違うと思いますし、違うのだけれども、この両方を重視してやっていくという方法論を考えていただきたいということであります。そういう意味で現在は、やや収支改善ということに偏り過ぎているというのが、私の判断といいますか、見方なんです。
#93
○柳澤錬造君 菊池先生にお聞きしたいのですが、先ほど、行政改革賛成です、それで小さな政府、活力ある福祉社会ができるというので喜んでいたら、今度のこの特例法案はどうも五十七年度の予算編成に向けてのことしか書いてないではないでしょうかという御見解を述べられまして、私が先生にお聞きしたいのは、その小さな政府ということなんです。先生がごらんになって、それは大変なことだと思うので小さな政府にするためにこういうものは要らないのですというところを、一つでも二つでも、何かお気づきの点がありましたらお聞きをしたいのです。
#94
○公述人(菊池幸子君) 時間がございませんので、一つだけ例を挙げさせていただきたいと思いますが、私、ヨーロッパをあちこち歩いておりまして、特にスウェーデンに滞在しておりまして、この場合に小さな政府というのはこういうものだなあということをつくづく感じましたのは、中央官庁が霞が関官庁街などというように何十軒も軒を並べてはおりませんで、省庁の中心になる部分だけが一つあって、あと出先のように局によって分かれている。それで非常に何か官僚制度といういかめしさがなくて、国民と密接な関係を持っているということにおいて、私どもが訪ねていきましても、非常に親しみを感じて資料を求めたりお話し合いができたりする。これは小さな政府の一つの例ではないかと思うわけでございます。スウェーデン、何も私の理想でもございませんし、日本もそうしなければならないと思っているわけではございませんけれども、学ぶべきことは一つの例として学んでよろしいのではないかというふうに考えているわけでございます。
 お時間がございませんので……。
#95
○柳澤錬造君 終わります。
#96
○委員長(玉置和郎君) 御協力ありがとうございます。
#97
○森田重郎君 新政クラブの森田重郎でございます。きょうは多田先生、和田先生、そしてまた菊池先生、大変御苦労さまでございました。
 私は、五分でございますので、多田実先生に二点ほど御質問をさせていただきたいと思います。
 まず第一点は、多田先生はかつて読売新聞の名記者として鳴らし、政治部長、編集局長、論説委員等を歴任されて、大変政治の裏表に精通された方だと思います。そこで、今回の臨調答申を踏まえまして、行革を推進するに当たりまして特に政府に要望することがございましたらお聞かせいただきたい。
 それから第二点は、先ほど公述要旨の中で、虫食い論がちょっと柳澤先生から出ましたけれども、その後で、今回の行革そのものはまさに財政改革というか、行政経費の削減、補助金カット、そこにどうも中心が置かれておるようだ、歳入の面についてもう少し検討する必要がある、かような公述をなさったようでございますけれども、何か歳入面についてチェックをすると申しましょうか、その辺につきまして多田先生の御意見等がございましたらお聞かせをいただきたいと思います。
 以上二点でございます。
#98
○公述人(多田実君) お答えいたします。
 臨調答申、これからの第二答申、本格答申についての御質問であろうかと思いますが、政府に望みたいことは、行政改革というのは何といいましても各分野、各方面、各国民に犠牲を分から合うといいましょうか、痛みを与えるものであります。そういう意味で何よりも大事なのは、公平公正な改革の姿勢を貫くということが第一だろうと思います。
 それからもう一つは、たくさん言いたいこともありますが、筋を通す。というと政治記者みたいな言葉になりますけれども、筋を通すというのは、つまりある関係の業界の力が非常に政治的に強いから、したがってそこは避けようとか、さらには各省間で昔から交渉したけれども話し合いがつかない、したがってこれは非常に困難な問題であるから避けるとか、そういう点を今回は考えないで臨調にも政府にもやっていただきたい、そういうふうに考えます。
 もう一つ、三番目には、何といいましても、行革フィーバーと言われましたような大変なことしの春以降からの行革旋風でありまして、これは政府サイドの抜群の政治キャンペーンの、政治演出力の成果だろうと思いますけれども、確かにこれも必要だろうと思います。政策を実現するためには必要だと思いますが、こういう機会は恐らくめったに来ない。したがいまして、こういう機会を活用しまして、いままで懸案として、アタックしても、しようと思ってもできなかった重要なむずかしい問題をこの機会にぜひとも打開していただきたい、この三つをお願いしたいと思います。
 それから次の虫食いの問題ですけれども、これは歳入面についてでございますが、やはり不公平税制の是正であろうかと思います。これは極論をいたしますと、増税は財政再建期間中はしないという方向は何となく出てまいりましたけれども、極論をいたしますと、不公平を是正する過程で部分的に増税、あるいは言葉をかえると増徴になる部分があってもやむを得ない、全体的な増税が行われないならば、そして不公平税制の是正が行われるならば、それてもやむを得ないというぐらいの気持ちで不公平税制の是正に取り組んでいただきたい。先ほど申し上げましためったにできないというチャンスの中には、この不公平税制の是正も含まれておると御理解いただきたいと思います。
#99
○委員長(玉置和郎君) ありがとうございました。
 以上をもちまして、公述人に対する質疑はこの程度といたします。
 公述人の方々に一言お礼を申し上げます。
 皆様には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
 これをもちまして公聴会を散会いたします。
   午後三時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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