くにさくロゴ
1949/12/23 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 通商産業委員会 第2号
姉妹サイト
 
1949/12/23 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 通商産業委員会 第2号

#1
第007回国会 通商産業委員会 第2号
昭和二十四年十二月二十三日(金曜
日)
   午後二時四分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
十二月二十日(火曜日)委員平岡市三
君辞任につき、その補欠として荒井八
郎君を議長において指名した。
十二月二十一日(水曜日)委員中川以
良君辞任につき、その補欠として小林
米三郎君を議長において指名した。
十二月二十二日(木曜日)委員宿谷榮
一君辞任につき、その補欠として川上
嘉市君を議長において指名した。
十二月二十三日(金曜日)委員川上嘉
市君辞任につき、その補欠として宿谷
榮一君を議長において指名した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○派遣議員の報告に関する件
○電力問題に関する調査の件(自家用
 火力の取扱いに関する件及び電力調
 整規則に関する件)
○中小企業振興に関する調査の件(中
 小商工業所得税更正決定に関する
 件)
  ―――――――――――――
#2
○理事(玉置吉之丞君) 只今より通商産業委員会を開きます。本日は小畑委員長が御不在でありますから、私が職務を代行いたします。
 本日の議題は、公報に載つております順序に従いたいと思います。先ず第一に派遣議員の報告に関する件、この問題につきまして派遣議員の鎌田君から御報告願いたいと思います。
#3
○鎌田逸郎君 それでは特別鉱害調査に対しまして、この度島委員、それから廣瀬委員、鎌田委員、三名現地に行きました調査の結果を御報告申上げます。
 去る十二月十日正午近くに福岡県の折尾駅に到着いたしまして、官民多数の出迎えを受けてそのまま三菱化成黒崎工場に到りました。その場合には福岡県知事並びに福岡石炭局長並びに八幡市長、或いは被害者代表が参集されまして、つぶさにその説明並びに陳情を受けたのであります。それから三菱化成黒崎工場の工業用水ダムを視察いたしました。まだ鉱害を発生しているわけではありませんが、将来日炭と高松炭鉱との間に起り得べき事前の問題として、曾て当委員会に採り上げて陳情を聽いておつた次第もありましたので視察を行つたのであります。それより引続きまして、日炭と高松に到り説明を聽取、水洗三十町歩と称する被害地と隣接し、目下残柱式によつて五〇%の採炭を実施中の彼我の比較を見て大辻附近に到り、戰時中市街地を移転して採炭をなし、六尺以上の陥落を生じ、復旧工事施行中なるも、プール制度廃止に伴つて工事中止中の実情を見まして、新入附近へと視察を続行したのであります。何等主観を交えずに言つても、新入附近の田畑、民家、道路、橋梁等の被害は、附近住民の陳情と共に胸を打つものがあつた。泥海と化した地表面の部分、或いは墓地は埋没して、僅かに墓碑の尖端が水上に見え、又電柱などもその頂上を尺余ばかの水面に現しており、民家は傾斜し、その地揚げ工事中をも見たのであるが、五、六尺の地揚げをなしていたようであつたなど、鉱害の少なからざるを痛感したのであります。即ち戰前水田の耕地整理を実施した箇所を、採炭のため再度数十町歩の陥落を生じたところであります。
 翌十一日は目尾附近の古河鉱業の鉱害を見たのであるが、田畑、住宅、鉄道線路等の被害は新入附近に劣らざるものであつたのであります。プール資金により復旧を行いつつあつたが、旧制度の廃止により目下工事中途にして中止を余儀なくされておる現状であります。午後は二瀬町を視察しましたが、ここは戰時中の残りの総拂いの採炭をした所であります。この被害は水田堤防に加えましで、先般の台風に上る洪水によつて一名の死者を出した所で、今年の夏陛下も行幸された所であります。新二瀬駅附近一帶の鉄道沈下の状況、駅舎が路線よりも二メートル沈下して降雨期には営業不能になるとのことであつたのであります。
 十二日は飯塚より博多を経由して博多より大牟田に到り、大牟田市附近における被害状況を視察し、今日まで視察した郡部と比較して市街地の沈下もその度甚しく、河川の補強、田園の排水等当事者の苦心の程が窺われたのであります。
 それより熊本県荒尾市に至り三池炭坑関係の防波堤の沈下による被害を視察しました。ここは干満の度の甚しい有明海に面して一面の堤防を構築して海水の浸入を防止しましたが、危機に曝されている状況を市長以下の陳情を聽いたのであります。
 この日夕刻より我々一行は三池炭坑三川坑の地下千五百尺、海底一海里に下つて、つぶさに坑内切羽の状況を視察し、いわゆる残柱式、長壁式などと称する採炭方法を実地に視察し、これが鉱害の関係について体験を得て来たのであります。
 十三日は大牟田より福岡に帰り、福岡石炭局において午後一時より特別鉱害に関する官民懇談会を開いたのであります。福岡県、熊本県、長崎県、佐賀県の四県の関係者即ち加害炭鉱、被害者、地方自治団体、石炭局など九十名が参加して四時十分まで約三時間に亘つて真劍なる論議が交されたのでありますが、その全部を申上げることは差控えて、結論のみを言えば、全会一致を以て前国会に提案されていた「特別鉱害復旧臨時措置法案」の無修正通過を一日も早くやつて貰いたいとのことであつたのであります。
 十四日午前、福岡市郊外の早良炭鉱を視察しました。当坑の特別鉱害地は、戰前一般鉱害地を復旧耕地整理施行後の田面を、戰時強行採掘によつて再度陥落せしめたるもので、面積は約七十町歩に及ぶという説明であつたのであります。
 同行程を予定通り終了して、十四日博多を発つて帰京した次第であります。
 以上視察状況を日程に従つて極めて簡單に申上げた次第でありますが、結論としまして、一、特別鉱害の惨状と被害地域の広大なること。二、特別鉱害は個別の書面形式血命令のみによつたものでなく、査察使の口頭指示もあつた由であります。
 以上簡單でありますが、御報告申上げます。
#4
○理事(玉置吉之丞君) 何か御質問ございませんか……御質問がないようでありますから、この際電力調査の問題の中の、自家用火力発電設備の動員並びに損失補償に関する陳情等につきまして、パルプ関係の方がお見えになつておりますが、この陳情をお聽きすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○理事(玉置吉之丞君) それでは陳情団の代表の方と思われます關さんから一つお話を願いたいと思います。
#6
○参考人(関義城君) 一応御説明申上げたいと思います。この紙パルプ産業、これは平和産業でございます。その割当を受けております電力というのは、総体の産業の中では相当な上の方の地位にあるようでございまするが、紙パルプの生産というものが逐次向上を来しております。これは割当以外のいろいろの特配の電力とか、或いは深夜間というようなものを利用しました結果、次第に向上はしておるのでございまするが、最近の傾向といたしまして、この全産業に対する総枠から見まして、紙パルプに割当てられたる数量、その比率が次第に下つて来ておるというような傾向にあるのでありまして、この点は非常に紙バルブとして遺憾に思つているわけなんであります。それで最近の電力はこの第四・四半期などになりますと非常な渇水期になりまして、その割当電力も非常に少くなつて、産業としましては割当の僅か平均五割以下というような状態になるのでありまして、こうなりますというと、勢い生産計画を遂行するというのに非常な支障を来すことになります。これを補うためには、紙パルプ工場の一部に持つておりますところの自家発電設備、これを活用しまして、幾らかでも生産を挙げて行きたいというのが我々業界としての希望なのでございます。それでここに陳情申上げたのは皆さんお手許に差上げてあります通りでございまして、自己発電をやるということになりまするというと、従来の買電に比べますと相当な経費が掛かるのであります。それで我々の希望としましては、買電、それに対する不足分の生産を完遂するための不足の電力を自己発電で一部やるとしますれば、これは割当以外に工場で勝手に使わして頂きたいというのが我々の希望なんでございます。若しいろいろの計画上、どうしても枠内に自己発電を入れるというようなことになりますと、工場でやりました電力を一旦配電会社に買つて頂きまして、そうして従来の割当の量によつて工場へ割当てて貰いたいというのがこの大体の趣旨なんでございます。
#7
○理事(玉置吉之丞君) 他にお話はないんですか、只今の御説明で盡きたんですか。
#8
○参考人(関義城君) 大体この陳情の趣旨はそういう点でございます。
#9
○理事(玉置吉之丞君) 何か一つこの問題に対して政府の方からお話を願いたいと思います。
#10
○説明員(武内謙二君) 私紙業課長の武内でございます。只今の陳情の御趣旨に対しまして、我々通産省の紙業課として感じておりますことは、割当の減少につきましては、むしろこれは供給源というものは全体に問題になるところでありますし、その全体量を決めますのは経済安定本部におきまして決めるということになつております。従いまして紙業課といたしましては、経済安定本部のうちの動力局の方に縷々事情を説明いたしまして、そうして全体の枠の方の増加方を従来よりも更正いたしますし、尚現状におきましても更にこれを継続しておるというような状況でございます。それから自家発電の問題につきましては、これは従来より自家発電を使用して造られるところの紙やパルプというものにつきましては、これは当然公定価格があるわけでございますので、公定価格の中にこれを自家発電でやつて使つた電力というものは、買電との間に相当大きな差がある。この陳情の趣旨では数倍の差があるということが出ておりますが、そういう関係のもののその料金が公定価格の中に織込んでおられないという点につきまして、我々は物価庁に従来より再三再四交渉しておつたという経過もあるわけでございます。それから最近になりまして、今の自家発電をなさつた所が、それを自由に使うというお考え方は、勿論これは我々としましては当然だと思つております。併しながら最近の渇水期になりまして、これが相局大巾に電力の枠というものを安本において削減せられましたものでございますから、取敢えずは、この一月の問題といたしましては、従来より継続的に自家発をなさつておられる工場につきましては、概ね二割というものを一応御協力を頂きたいということをお願いをしておつたような次第でございますが、これも電力の増配方を尚安本に今交渉しておりますので、これが増加次第そういう問題は解消される、そういうふうに我々は考えております。
#11
○政府委員(武内征平君) 紙パルプに対しまする第四・四半期の割当は、昨年の四・四半期に加へまして、大体九六・七%ということになつております。先程もこちらへ参ります前に、静岡の東部の紙パルプの方々のお話を承つたのでありますが、何か需要の半分くらいしかないということでありましたが、いろいろ実地を伺つて見ますと、生産計画が大分上つて来た、それに割当におきましては、使用実績というものが或る程度需要のフアクターとして考慮せられるということで、昨年の四・四半期の計画におきましては、殆んど僅かに三・二%しか通つておらんわけであります。昨年の第四・四半期というのは、御承知のように異常の豊水でございましたので、それに対しまして本年三・三くらいの減というものは、各産業を通じて見ますれば、率としてはよろしい部類に入つております。恐らくこの生産計画と使用実績といつたような面、又紙パルプ内部におきましても各工場に対する配分という、いずれかの点において今非常に、そんなに半分というようなことでございますれば、そういう点に何か更に研究する面があるのではないかというふうに考えられます。自家発の問題につきましては、これの割当としましては、各産業に対しまして大枠の電力を差上げるときに、各産業の自家発というものを一応計算しまして、認可出力ということがございますが、認可出力の範囲内におきまして、適当な自家発能力を算定して、曾ての自家発を焚きます実績、又可能発電力というものを想定いたしまして、従いまして或る程度はアロワンスを置きまして、自家発の発電量を引いて、そうして各産業に対する大枠を決める、こういうことであります。その、大枠が決まりますと、今度は各電気局、例えば紙パルプで申しますならば、紙業課におきまして各工場を睨みまして、その工場が自家発を持つておるかどうかということで考慮せられるかどうかは、これは原局たる紙業課の措置ということになります。電力局乃至安本といたしましては、各産業に対する自家発の扱いは以上のようであります。
#12
○理事(玉置吉之丞君) 何か御質問は……。
#13
○栗山良夫君 この紙パルプ関係の自家用発電設備というのはどれくらいあるのか。そうして実際に電力の所要量はどれくらいになつておるか、その点をお聞かせ願いたい。
#14
○説明員(武内謙二君) 現在の紙パルプの自家発設備は、水力と火力と分けて申上げますと、先ず水力では、水力が七工場、認可出力が三万一千七百四十六キロ、火力が九工場五万三千百キロ、そういうふうになつております。そうして紙の方の現在の生産計画から申しまして、必要とする電力は約二億一千万、三ケ月に二億一千万キロワツト、そういうふうになつております。
#15
○栗山良夫君 ここで自家発を全部動員すれば水力七工場、火力九工場は、大体全部自給自足できるようになつておりますか。
#16
○説明員(武内謙二君) 私が只今申上げました二億一千万キロワツトという所要量は、現在動いております火力を差引いた所要量であります。それがこの第四・四半期の紙パルプに対する大口電力の割当量が八千五百二十六キロワツトになつております。そうしてそれが前期の第三・四半期の割当量に比較いたしますと、約二七%の減少を生じております。
#17
○栗山良夫君 その火力の九工場の方は、五万三千キロワツトフルに運転すれば大体自給自足できるわけですか。
#18
○説明員(武内謙二君) 大体この火力の自家発を持つておりまするおのおのの工場につきましては大体自給自足できますが、それ以外の工場に対して供給することはできない状態ですから、全体としては紙パルプの所要量及び自家発の問題で考えますと不足いたします。
#19
○栗山良夫君 不足するのですね。そうすると電力局へお伺いしたいのは、これは物価庁……、安定本部の方が本当かも知れませんが、この陳情は自家発を動員すれば火力原価が非常に高くなる。それは若し火力発電がなければ、配電会社或いは日発から指定するのだから一般需要をそれだけ喰い込むことになる。そこで自家発を持つておるということは間接的には日本の電力状況に非常に貢献しておるのだから、もう少し補給源を出して呉れ、こういうような形になつておりますが、こういうことについてのお考を伺つて置きたいと思います。若し今日その関係の方がお見えになつていなければ、又改めて別な機会にいたしてもよろしゆうございます。
#20
○理事(玉置吉之丞君) 栗山委員に申上げますが、今専門員が何か、言付けと言つてはおかしいが、こういうことを申上げて置いて呉れということがあるようですから……。
#21
○栗山良夫君 誰が言付けたのですか。
#22
○専門員(林誠一君) ちよつと申上げます。第三部長が司令部に呼ばれていてどうしても都合が付きませんで、自動車を待たして帰つたのですが、それでは動員に対する補助というものは今後はどういう方針かということを聽きましたら、新料金制になつてからは動員火力に対する補助ということは全然考えない。司令部の方でもその意図は全然ない、そういう結論です。
#23
○栗山良夫君 それで私はそこから質問を始めたのは、この紙パルプもそうなんですけれども、水力の工場と火力の工場とは恐らく競争はできなくなると思いますが、今度の地域料金でも、同じ例えば繊維工場にしても、九州と東京とはこれは競争できなくなるだろうと思います。そういうことから火力の紙パルプの問題もこうなんで、そういうことの方が自由経済上いいという現政府の方針が動かないものとすれば、この陳情の趣旨は私は通らないと思いますが、この種のことをこの間から明らかにしたいと思つておりまして質問いたしておりますが、まだ要点に達しないと思うんですがね。
#24
○理事(玉置吉之丞君) ちよつと政府委員に申上げますが、今栗山委員からの御質問の趣旨お分りになると思いますが、この際答弁をお願いいたしたいと思います。それでは速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#25
○理事(玉置吉之丞君) 速記をつけて。
#26
○栗山良夫君 石炭の安いときに作つた自家発電であり、事業者から売電するよりは経費が節約できるという観点で作つた発電所だから、今ここで仮に補給金を出すというようなことは若干無理である、こういうふうな言い廻しをされたのですけれども、大体今の炭の値段というものが、この間も申上げたように一般の物価の上昇から非常に飛び離れて格段に高い異常現象を呈しているので、こういうふうな異常現象を呈しているのを安定本部が修正されないで、そうしてそのままその皺をこういう非常な基礎産業の原価に影響されるところへ生で解放されるという、そういう自由経済というものはないと思うのですが、そこのところを一つ安本方から聽きたい……。
 今日は来ていらつしやらないのですか。それではよしましよう。
#27
○理事(玉置吉之丞君) それでは陳情に来られた方、只今政府委員の方から、あなた方の陳情に対してそれぞれのお話がありましたが、これに対して何かお聽きしたいことがあれば遠慮なく発言して頂きたい。
#28
○参考人(関義城君) ちよつと伺いますが、例えば火力発電設備を持つております関東配電の方におきましては、大体その担当しております事業家で以て適当にこれを処置できるというお考でありますか。実は河川関係でありますが、こちらの方の様子を伺いますと、やはり自家発電を持つている設備に対しましては、適当に何ら制限を受けないでやるというようなことをちよつと聞いておりますから、その担当担当で適当な処理ができるものなのでございますか、その点一つ伺います。
#29
○説明員(武内謙二君) 私共の方では今まで河川の問題というのは、そういう実は噂は聞いておりますが、真相がどうであるかということは実は私は存じません。これは今の規則では私の方は実はできない、そういうふうに考えております。
#30
○参考人(関義城君) それからもう一つございますが、産業別大口電力割当につきまして、今年の一月以降総体の各産業の総枠に較べまして紙パルプの比率がいくらかずつ下つて来ているというように感ずるのでございますが、この点紙産業としても、そういうふうな重要度を持つておりますに拘わらず下つて来るという点に、我々はちよつと理解に苦しんでいる次第でございます。例を申上げますれば、二十三年度の四・四半期の総枠に対する紙パルプの割当の比率が三・五四、それから二十四年度の一・四半期が三・六五、二十四年度の二・四半期が三・五六、二十四年度の三・四半期が三・六〇、今度の割当が三・四三というふうに大分下つて来ているのです。これがどういう点でこういう比率になつて来ているのでございますか。
#31
○栗山良夫君 今の具体的な細かい数字の内容は、時間も相当急ぐし、皆さんもそうだろうと思いますので、そういう数字的なお問合は一つ政府の方で適切に事務的におやり願うということにして、陳情の御趣旨もよく分りましたし、私も関心を持つておりますから、今後ご趣旨に対していろいろ質して行きたいと思います。その点御了解願つて議事進行を願いたい。
#32
○理事(玉置吉之丞君) それでは只今栗山委員から御注意がありましたが、電力調整規則について一つ御説明願いたいと思います。割当が料金に大きな影響を及ぼすことになりましたので、これに対して従来の電気需給調整規則とどう変るか、これについて……。
#33
○政府委員(武内征平君) お手許に電気需給調整規則並に関連告示改正要綱というのを差上げてございますが、これに従いまして一応御説明申上げます。
 趣旨といたしまして、電気料金制度の改正に伴いまして従来の超過加算料金制度を廃止し、新たな超過料金……、火力料金制度の下に電気の需給調整を行うため、電気需給調整規則並びに関連告示の改正、これは御説明するまでもなく従来超過加算料金というものは罰金でございまして、謂わば罰金で、科料みたいな性質になつております。本来の性質は火力料金であります。これは電気事業者の収入になるというところが違うわけであります。第二に改正の要点でありますが、1といたしまして従来の割当制度は使用の限度を割当て、超過すれば罰金的な性質を持つた超過加算料金、一キロワツト時十五円を普通料金の外に課しまして、これを政府の収入といたしておりました。超過使用者には送電停止の罰則をも適用しておつたのであります。併しながら今回の改正によりまして一応使用制限はこれを廃止いたしたのでありまして、水力と適当な火力を勘案いたしまして供給力を出し、これに応ずる低料金率の使用量を割当てまして、これを超えた場合には火力発電の経費を支弁するに足る超過料金、火力料金を支拂えばよいということになりまして、従来の意味におきましての制限は廃止いたしました。併しながら発電設備その他の意味で、異常渇水期において火力料金の供給力にも応じ切れない場合は通商産業大臣が特に指定いたしまして制限をすることができることとする。ここは一応説明はつきますけれども矛盾しておるようなところでありまして、我々もこの調整規則を改正いたしますときに非常に理論的に矛盾を感じた点であります。今回は一応この普通の標準料金と申しますか、標準料金で一応告示によつてその割当のキロワツト及びキロワツト・アワーが決まつておるものと個々の割当によつて決まるものとございますが、何れも従来の意味の割当によつてこれ以上使つてはいけませんという制限の割当ではございませんので、標準料金を適用するキロワツト及びキロワット・アワーの数量であります。併しながらこれを割当てますにつきましては、やはり各産業の重要度と言つたような面を考慮いたしますことは、従来と同様であります。然らば火力料金を拂うならば無制限に使つてよろしいかということになりますと、それは制度の趣旨から申しますとさようでございます。けれども野放しにして置きますと一現在の需給状況におきましては、特にこれから渇水期に向います時におきましては、非常に緊急の停電といつたものが起り得る可能性が多いのであります。従いまして、一応この統制は撤廃したというような形でございますが、需給の状況によつて特に必要なときはこれを制限するということに相成るわけでありまして、従いましてこの需給調整規則においても、その通産大臣の権限は一応留保しておく。勿論今回の料金制度の改訂によりまして、一定限度以上使いますと火力料金が適用になりますので、おのずから需給がバランスされるであろうという考え方も強いのでありますが、併しながら料金制度が改訂になりましても、直ちに電力の供給の絶対数が殖えるわけではございませんので、この新しい料金制度のみによつて需要が完全にバランスできるということは、必ずしも保し難いところであろうと思います。従いまして、かような趣旨の制限をすることができるという條文はこれを残して置いたわけでありますが、この辺が一番今回の改正に当つてのむずかしいところであつたのであります。
 小さい2といたしまして、小口従量電燈、定額電燈(家庭用、業務用電燈、但し大口電燈を除く)については、従来の使用基準による割当制を廃止し、物価庁告示による一律の使用基準により低料金率を適用し、超過使用に対しては超過料金を支拂えばよいこととした。これは特に御説明をする必要もないと思います。
 3といたしまして、従来は特殊電力は常時電力(常時供給を確保するもの)の他に、一応供給力は見通し得るが、連続的でなく、出水状況に応じて供給し得るものを割当て、なお超えるものを余剰としていましたが、今回の改正で特殊電力の割当を廃止いたしまして、常時電力と超過料金を支拂う超過使用電力以外のもの(従来の特殊電力と余剩電力)を全部特殊電力として各配電会社、各需用者間の契約により自由に使用せしめることとした。これはちよつとややこしいのでありますが、従来は常時電力というものがありまして、それに期間常時といつたようなものがある。それに更に不時の出水のあつた場合に特殊電力、こういう三段構えになつておつたのですが、今回はもう常時電力で平均のものを割当てますと、それ以外はすべて余剩電力として扱いまして、これは一キロワツト・アワー三十銭くらいになつておりましてすべて余剩電力の操作によつてできるということになります。従いまして、これの分につきましては特に発券はしないでこの余剩電力が出ましたときにおきましては、各配電会社、需用者間の契約でこれをやつて頂く。ただこの余剩電力は非常にお安いので、余剩電力を使うという、例えばメーターでありますとか、或る特定のそれに対する設備があるとかいう、余剩電力を使つたということが後で調べて分る程度の設備がないといけないということになつておりますが、そういうふうになつております。従いまして、切符で参りますものは最初の割当だけで、後の余剩につきましては、もう配電会社とそうして需用家の間で自由に取引をしてよろしい、これに対しては発券いたしません。この辺が従来と大部違つたところであります。
 4といたしまして禁止需用でありますが、従来電気ボイラー、電気冷房装置、暖房用、調理用電熱等は原則として使用を禁止し、特に通商産業大臣が許可したものに限り使用を認めておつたのでありまするが、今回の改正によりまして、原則として自由に使つて差支ないことにいたしました。併しながら需給状況が逼迫した場合におきましては、通商産業大臣は特に指定いたしまして使用を禁止することができるのであります。これらの禁止需用の大部分は常時電力としての割当をしない。尚禁止需用の新規受電認可は制約する。従来は頭から電気ボイラーとか、こういうものは禁止しておりましたが、今度の趣旨からいたしまして、使つて差支ない。ただ必要な場合にこちらが禁止するということで、例えば電気製塩等は豊水期以外はやはり使つて頂くと非常に困りますから、そういう、ものは需用を常時電力として割当をいたさないということになつております。ただ今回の料金制度の趣旨からいたしまして、表と裏から見たのでありまして、この実体は同じであります。
 5といたしまして、従来の超過料金制度は取止める、但しこの規則の改正前のものについては、尚従来通り徴收する。これは先程御説明いたしました。
 6といたしまして、大口電燈、総合電力等の住宅用、業務用の大口の電燈は、従来業種別用途別に一キロワツトあたり六十、七十等としておりましたが、今回の改正で一律に一キロワツトあたり五十キロワツト・アワーといたしました。これは小口従量電燈の一律に二十キロワツト時と見合うものであると書いてありますが、それと見合うためであります。冬におきましては、小口従量電燈は一律に二十キロワツト時でありますので、大口電燈、総合電力……総合電力というのは、御承知の通り電燈と電力が一緒になつておりますので総合と申しますが、これとのパリティの関係上、従来六十、七十になつておつたものを一律に五十キロワツト・アワーとする、こういうことであります。
 7、小口電力は、従来次の算式によつて割当てておりましたが、この算式によつては相当低くなる場合がありますので、大口電燈、総合電力等を一律に五十にしたため、これらと見合い、最低量を一キロワツトあたり六十キロワツトとして計算をいたしたのであります。従来こういう算式でやつておりますが、少くとも最低量を一キロワツトあたり六十キロワツト時とするというふうにいたしたのであります。
 8といたしまして、従来定額電燈の晝間使用の禁止については、供給力の不足の現状からいたしまして、当然晝間使用は自粛さるべきでありますが、今回の料金改訂で、料金面よりも二十四時間供給を基礎としておるため、使用禁止は廃止いたしました。今度の定額電燈は五割上つておりますが、これはやはり書夜間送電という建前を取つておりますので、晝間使つてはいかんということは廃止いたしました。併しながら今度の需給調整規則によりましても、電気を大切にせよというのは一貫した精神でありまして、定額電燈というものは晝夜間の料金を拂うような状況になつておりますが、無駄に晝間要らないのに使つて欲しいいうことではないのでありましで、以上の八点が従来の統制規則と比べまして変つた点であります。お分りにくい点かあつたならば一応御質問願いまして更に御説明いたしたいと思います。……
#34
○理事(玉置吉之丞君) 只今の電気需給調整規則等につきまして、政府の説明に対して何か御質問ありませんか
#35
○栗山良夫君 大口電力の問題は今度の需給調整規則の中には明記されないのですか。
#36
○政府委員(武内征平君) 大口電力につきましては、扱いは従来と同じでございます。従いまして割当をいたします。
#37
○栗山良夫君 そうしますと、実際の仕事をおやりになる内容をちよつと伺つておきたいのですが、今までは大口電力は私現地でタツチしたこともありますが、一応各工場の需用電力量というもの、或いは需用電力は国の生産計画、生産面、そういうものを基準にして査定をせられておつたように聞いております。ですから当局としても恐らくそれを唯一の根拠にして大体万人が納得するような査定が行われておつたと思います。ところが今度は、先程も紙パルプの問題が起きましたように、統制がどんどん外ずれて吉田内閣は来年一月から全面的に統制撤廃をやると言つておりますが、そうすると産業というものはもう政府は與り知らない、それができてからでないと分らない、完全な自由生産になりますから、そうなるかも知れません。そういうときに需用者から申し出た電力量というものは一体どこが一番重要であるか、そういうことを何を目安にしてお決めになるのか、その点を私ははつきりと伺つておきたいと思います。従来の調整規則とお変えにならんというならばそこのところをはつきり……。
#38
○政府委員(武内征平君) 恐らく………配給と生産とありますが、生産についてのやはり計画というものは、一応これは従来の意味の計画とは或いは違うかも知れませんけれども、各原局、安本生産局等につきまして今分つておる……例えば石炭につきましては統制が撤廃になつても、来年度の目標は或いは四千万トンというものがありますので、恐らくそれを……勿論栗山議員の御指摘のような趣旨ほど明確には或いはないかも知れませんが、併しながら事実の問題としては、この生産を預つております原局といたしましては生産計画というものは持つておると思うのであります。それに基きまして要求して来られると思います。その際に又大局的見地から安本等でこの需用等を勘案されて行くことだろうと思います。一応我々といたしましてはさように考えております。
#39
○理事(玉置吉之丞君) ちよつと申上げますが、安本の動力局の電力課長さんがお見えになつておりますから、何か御質問があれば………
#40
○栗山良夫君 今の問題で、私の伺つておることとちよつと違うのです。というのは、なるほど物を作るのですから、工場の方も生産計画を立てるでしよう。併しその生産計画は自主的なものであつて、いわゆる工場からずつと統制の本元である安本の方へ来るわけです。ところが今までのやつは国の生産計画なんだから、安本で生産目標を決めて、そうして業態別に、これはどれだけやろう、それを全国の工場へ上から割当てて、そうして流して行くわけです。それですから電力の総元締をやつている安本の電力割当量と各種物資の生産量とマツチし得るような電力計画というものは立つたわけですね。その枠内において各産業への振り向けの電力の割当を個々の工場へ全部上から下しで行くのですから……特に今度はそうではなくつて、下からやつて行くのだから、現在の調整規則では政府は査定のしようがないのじやないか、そういうことを申上げておる。これは安定本部の方がおいでになつたら伺つてもいい。ここが私質問の残つているところですからお願をいたしたい。
#41
○説明員(澤田達君) 安本の電力課長でございます。局長ちよつと差支がありましたので代理に参りました。只今の御質疑の点、御答弁申上げます。従来のアロケーシヨンから今度の新料金に移りましたにつきまして、過渡期の処置といたしまして、安本としては安いスタンダード・レートのアロケートをする段階でございまして、御指摘の点誠に仰せの通りの筋があると存じまするが、安本といたしましては大口のアロケーシヨンは五百キロ以上の工場でございます。一方諸物資の統制が外ずれましたけれども、大体国の経済の動向を一応の計画の下に過去並びに将来に対してエステイメートしておりますので、統制は外ずれたけれども、国全体のあり方というエステイメートした構造を見つつ、まあ大口工場でございますので、各原局も従来通りその工場の状況はよく掌握できていると存じましたので、両方相俟つてこの過渡期の処置を何とか、成るべく公正に実情に副うように続けて行きたい、かように考えております。
#42
○栗山良夫君 私は大口の需用家だからこそ問題にしているのですよ。而も大口の需用家で、理論的に生産割当の査定のできないような状況になつていて、現地の当局と需用家との間にいろいろ話合いがあつて、そうして割当の枠が或一つのはつきりした理論的の根拠を持たないものに査定をされて行く、そういうことになつた場合は、電力が不足の状態にあるのだから、あれは決まつているわけです。そうして特定の産業にどんどん流れたときには中小企業が全部混乱状態になつて来るのですよ。緊急停電の形や或いは料金の形や何かで来る。そうして特定産業の枠を沢山取れば産業の電力料金というものの負担は少くなる。各大口産業は躍起になつて割当を取ることに狂奔されると思います。それを抑さえる理論的根拠はないのですか。生産命令はなくなつたのだから、それだから、私は過渡的の処置だからというのでは了承できないので、それは大口の産業の割当の方法をもう少し合理的に、これだけ画期的な料金制度を確立されてそうして電力の統制撤廃を断行されたのだから、その際に何を措いてもやつて貰わなければ、非常な摩擦が起きると、こういうふうに考えている。その点はこの間青木長官も説明されたのですけれども、その点はどうしても了解できないのです。その点もまだ質問しておりませんけれども……第一点の通商産業大臣が査定して制限することができるというこの理論的根拠もはつきりしない。今お話申上げましたように、そういう点を考えて……。
#43
○説明員(澤田達君) もう少し補足いたしますると、大体その大口と小口とのバランスの問題も取れると思います。容量におきましても、大体大口と小口、業務用、住宅用等のバランスの点を、まあでき得る限り配慮した筈でございます。産業につきまして申しますと、五百キロ以下の小口は、今まで告示によりましていちいち、申請を待たず、或る物指しで算定したわけであります。これに対しまして、前期、或いはそれ前の期に対しまして、今期はどの程度苦しくなるかということと、それから大口産業、五百キロ以上の大口産業につきまして、一応統制が外ずれつつありまするが、一応掌握しておる産業の計画、工場の実情等を見て、必要量に対してどの程度窮屈になるかという、これが両方大体バランスの取れるように大口に行くアロケーシヨンと小口に行くアロケーシヨンと考慮した次第でございますが、大口の方にまあ無制限に、陳情その他で多量に流れるというようなことは、まあ安本の計画としてはしなかつたつもりでおるわけであります。
#44
○栗山良夫君 それはあなた責任をもちますか、実際に……。それで実際の現場にあなたの言われるようにできるということを、今度の式で今あなたの言われた通りにですね、過渡期がうまく切抜けられて行かれるという考ですかね。
#45
○説明員(澤田達君) まあ過渡期の処置としてですね、安本としてアロケートするときには、その点はでき得る限り考慮したということを申上げまして、小口にですね。安本のアロケート自体において、不当に小口の方が圧迫になるというようなことは考えなかつたつもりですが、ただ御指摘の点、過渡期におきまして、まあ現地において相当問題か起り得るとはですね、想像しておりますけれども、まあでき得る限りの善処はしたつもりであります。
#46
○栗山良夫君 どうも下手すると運用の議論と、筋の議論とが混同してしまつて、私悩まされて困つておるのでありますがね、結局統制経済というのは、一つの筋の議論なんですね。それを解いて行くというのですからそれを解くときも、運用と混乱してしまつたのでは非常に混乱を起すことはお分り願えると思います。解くときは完全に解いてしまわないで、完全に一つの筋を通して解いて行かないと必ず困ると思います。その最も悪い弊害は、電力統制から来ておると思うから、今の一点が一番心配しておることなんですがね。今日まだちよつと了解しませんけれども、次に年が明けましてでも、又委員会においてですね、もう少し実情を掴んで頂いて、私御無理を申上げるわけでもありませんから、一つよく得心の行くように調べて頂きたい。そこで需給調整規則の大口割当の問題がもう少し合理的に皆が納得できるような工合に改変できる余地があるならば、適当にお考を願いたいと思います。明日にでも混乱が起きることは、目に見えるように今までの体験を通じて感ずるものだから、この間から繰返しこのことを申し上げているのだけれども、今のところちよつとその点お答を得られない。その点はそれで終りまして……。
#47
○結城安次君 栗山委員の質問に関連して、ちよつと伺つておきたい。
#48
○理事(玉置吉之丞君) どうぞ。
#49
○結城安次君 私の心得違いかも存じませんが、アロケーシヨンは 安本は各種産業別の枠を取つておる。その産業別の枠を、仮に繊維局なら通産省の繊維局とか、鉄鋼なら鉄鋼に分けて、各大口も小口もそこで細かに分けると思つていたが、それは違いますか。
#50
○説明員(澤田達君) お答え申上げます。人体各産業におきまして、五百キロ以上の産業、工場の容量が五百キロ以上の産業、これは大口産業と申しますが、これの御需用家は、各工場から各原局までアロケーションの申請書が来るわけであります。各現局はこの申請書を先程ちよつと申上げましたが、統制が外ずれつつありますが、一応国家としての産業上の考慮に基いた生産予定量等から考慮して、一工場別の申請量を査定いたしまして、例えば繊維で申しますと、輸出等のことを考慮いたしまして、一これだけの量は繊維に要るという原局においてエステイメートして、原局は工場の内容はそこで打切つて、繊維全体としてこれだけ要るというのが安本に参つて、一方小品産業と一家庭用、業務用につきましては、これは電気事業を通産局の地方通産局、中央の通産省の電力局、ここで査定いたしまして、業務用にはこれだけ、小口産業用にはこれだけという量がまとまつて安本に来るわけであります。安本といたしましては、供給力を、水と火力とを査定いたしまして、その枠内で先程申上げましたように過去の実績、いろいろの資料に基きまして業務用にはこれだけ、小口用にはこれだけ、大口産業用にはこれだけという大きい線を先ず引きます。然る後に大口産業用の中で、繊維にはこれだけ、パルプにはこれだけという線を引きまして、これを電力局並びに各原局に示します。そうしますと繊維局なら繊維局は安本から示されました繊維の枠に従いまして、予てから出ております各工場の申請書を重視しつつ、政府の計画遂行を考慮しつつ、工場別の仮の割当を原局はいたします。五百キロ以上のものはその仮の割当を電力局に一括通知いたしますと、電力局は地方の電力部と一体となりまして、電気的な專門の眼で、この割当が妥当であるかどうか。例えば、工場の設備から言いましてこれだけの量はちよつと呑めないというような数も電力以外の原局で査定になることはあり得るものですから、一応電力局の眼で工場の設備等から見て、この割当が電気的に妥当であるかどうかをチエツクいたしまして、そうして電力の部門から正式の切符を切りまして、これが需用家に渡る。そうしますと五百キロ以上はさようでありますが、五百キロ以下の工場は、これは大きい枠内におきまして、例えば東京の小口産業用ならば幾らというようの通知が参りまして、その枠内におきまして各工場に告示に基いた物指しによつて切符が切られると、かような段取になつております次第でございます。
#51
○結城安次君 分りました。
#52
○理事(玉置吉之丞君) ちよつと関連して私から伺いますが、只今のような話であると、五百キロ以上のものが大体原局に集つて来て、原局がそれを産業別に、繊維なら繊維、鉄鋼なら鉄鋼という枠に割当てるのですが、その時五百キロ以下のものに対しては、電力局においてこれを地方通産局に移して、そこが又一様に割ると、こういうことになるのですか。
#53
○説明員(澤田達君) 大体その告示のAの産業は工場の使用量一キロ当り幾らという物指しがちやんと定つております。その物指しによりまして公平に切符を切ると、こういうことであります。個々の申請事情を考慮する余地がないという原則であります。
#54
○理事(玉置吉之丞君) 物指しというのはどういう物指しですか。
#55
○説明員(澤田達君) 使用基準と申しまして、例えば告示を……ちよつと電力局の担当者の方から説明して頂きます。
#56
○説明員(有馬駿二君) 小口電力の割当について御説明申上げます。小口電力と申しますのは、その工場の契約電力が五百キロワツト以下の工場を申します。この電力につきましては、一例を申上げますと、電気事業法に基きますところの電気需給調整規則がございまして、これによりまして業種別に使用基準というものが決まつております。一例を申上げますと、機械工業、機械工業のうちの炭鉱機械、炭鉱機械というものに対しましては八十という計数が一応決まつております。この八十という計数によりまして、例えばその工場の契約電力が六十キロワツトであつた場合には八十に六十を掛けます。八十と申しますのはどういうのかと申しますと、その工場が一キロワツトの電力で以て一ケ月間に八十時間に使う電力ということであります。従いまして大十キロワツトの契約の所でございますと、その八十キロワツト・アワーに六十を乗じますと四千八百という数字が出て参ります。この四千八百という数字がその月の使用の基準になるわけでございます。これだけですと、一つの業種で炭鉱機械と申しましてもいろいろな工場がございまして、工場間に相当の使用量の開きがございます。これを実績で以て調整するということにいたしております。その実績とこの二つの、只今申上げましたところの、計算したところの四千八百との和の平均を取りまして、平均を取りましたものに対しまして、工場設備、工場の重要度によりまして需要区分というものが決まつておりまして全部の工場に対しまして甲類、乙類、丙類いうふうに工場にまあ等級がついておるわけでございます。そのうちの丙類につきましてはそのままの数字を適用いたしますが、乙類については一割増、甲類の工場につきましては二割増ということになるわけでございます。そういうふうに割当の計算が出るのでございますが、この割当の全工場に対するトータルを出しまして、これに対しましてどれくらいの電力を使うであろうかということを過去の実績その他から計算するわけでございます。これによりまして供給力がどれくらいあるかということを一方の方から計算いたしまして、この供給力と割当に対する使用推定量との比を取りまして、例えば、このような渇水期でございますと供給量が非常に少いので、そういう場合には計算量に対して一律の圧縮を加えるわけでございます。一例を言いますと、第四・四半期に対してはこの圧縮計算が八〇%ということになつております。従いましてお手許に差してございますところの規則改正要綱の七という所に算式が書いてございます。ここに書いてございます別表(一)の業種別使用基準と申しますのが只今申上げました炭鉱機械に対する八十という計数であります。受電電力の容量というのが契約の容量でございます。それに使用電力の実績を加えまして、その二分の一を取る。それに只今申上げました甲乙丙の種類によります…要度率と申しておりますが、これが乙ならば一割増、甲は二割増、この合計に対しまして一律に圧縮率を加えるという結果になります。
#57
○栗山良夫君 そういう工合にして出て来ました消費電力量でございますね、その消費電力量というのは従来の実績の量と大体同じ幅にしようというお考ですね。例えば、設備も操業も何も変らなかつた同一コンデイシヨンの場合ですね。
#58
○説明員(有馬駿二君) 只今申上げました計数と申しますのが、過去の実績の同一工場の、沢山の工場の平均値を取つております。従つてそういうのが平均値であると申します。それとその工場の特殊性を考えました実績というものを考えまして、渇水期でございますとそれを若干下廻る、放水期であると大体それだけを差上げられるということであります。
#59
○栗山良夫君 そういたしますと、一般電燈は一家二十キロワツトと抑えられております。そうすると実際に平均した使用数字は二十五キロくらいになつております。その差の五キロだけは……本当ならば二十五キロ割当てられれば標準料金で行けるが、そこで切られたから五キロだけは割高の料金も拂わなければならん。一般工場でも今あなたのお話で行けば、火力量を含めたところの必要量だけ査定される形になつておりますが、それは不合理はありませんか。やはり小口も大口も全部そこで標準料金のバンドと、それから超過料金のバンドと、当然出て来なければならんが、今のお話を聞いておると大口はなお楽になりますが、小口だけでも一応圧縮率を掛けてこう出されれば、去年の状態とすべての同一の状態で使用電力量が出されて、而もそれが標準料金の対象なるということになれば非常に不合理ではありませんか。
#60
○説明員(有馬駿二君) ちよつと御説明が足りなかつたかと思いますが、その供給力と申しますのは定料金による供給力であります。従つて石炭九十万トンに応じた供給力ということになつております。従つてそれに対して実績を考慮いたしまして八〇%ということになりますと、実績量までお使いになる場合は大体二割くらいの不足になるわけでございます。従つてその二割について火力料金をお拂いになる、こういうことであります。
#61
○結城安次君 今年の第四・四半期の割当をやつておるようですが、昨年の第四・四半期と今年の二十四年度の第四・四半期の割当総量はどういうふうに違いますか。つまり去年使つたやつと今年の割当……
#62
○説明員(澤田達君) 御答弁申上げます。今年の供給量は石炭を九十万トン織り込みまして、今年はスタンダード・レートを適用してアロケーシヨンする。去年は全体の供給力をアロケーシヨンするということで、状況が違いますが、昨年度は供給力一杯をアロケーシヨンした数、今年は石炭九十万トン切りまして普通料金を適用するアワー・アロケーシヨンすると、状況が違いますが、その数を対比いたしますと、水火力を合せまして今年は六十九億九千九百万。それから去年の四・四が七十一億六千万キロワツト・アワー、損失を差引きまして、切符を切りましたアロケーシヨンいたしました数が今年は四十七億四千八百万キロワツト・アワー、去年の四・四が四十九億七千五百万キロワツトアワーで、この切符を切りました内訳をちよつと拾いますと、進駐軍と業務用、住宅用と、小口、大口に分れておりますが、進駐軍用は今年は二億七千七百万キロワツト、去年の四・四が三億四千四百万キロワツト、それから業務用、住宅用が今年は十億三千九百万、去年は十一億、これが減つておりますのは、今年はスタンダード・レートを適用して、一軒当り二十キロしかアロケーシヨンの計算面では出ておらないから減つておるわけであります。これが従つて火力料金になるのであります。それから小口が九億四千五百万キロワツト・アワー、去年が九億八千三百万キロワツト・アワー、大口が今年は二十四億八千五百万、去年は二十五億三千九百万、かような数になつております。去年と大口、小口共大体同じようでございますが、去年と変つたのは、去年一ケ年産業の伸びがありまして、今年はこれ以上は火力料金が適用されるという状況の変化があつたためでございます。
#63
○結城安次君 重ねてお伺いしまするが、そうすると去年と今年とが全く状況が同じだつたと仮定した場合は、今年は三割何ぼか料金が上つて、その上に二億三千万キロワツト・アワーというものが増加しますが、これが超過、つまり石炭を焚いた料金を拂わなくちやならんということになりますか。去年は七十一億六千万ですが、今年は六十九億九千万。去年と全く同じ状態ならば七十一億六千万出る筈なんです。それで今年は料金の値上げをやつておる。その上に二億三千万の差がある。二億三千万だけは高い料金で取られるということになりますか。
#64
○政府委員(武内征平君) 火力料金はどこで起算するかは別といたしまして、トータルにおいてはそういうことになります。
#65
○結城安次君 分りました。
#66
○栗山良夫君 それからもう一つ、需給調整規則の中へ当然織込まれるのか、或いはこの現行の改正告示で以て運用できるのか、その点を承つて置きたい。例えば電気化学工業だとか、或いは農業用の電力だとか、その他まだ微細に亘るといろいろな問題があると思いますが、こういうものの割高になつたことに対しての措置につきまして、各大臣は、運用の面において善処をいたしたい、それで而も割当電力量を殖やして、超過料金の火力料金の適用を成るべく避けるようにして救つて行きたいということを述べておられますが、そういうことは需給調整規則の今度改正されたもので運用ができますのか、或いはこれを更に改正しなければできないのか、その辺を伺つて置きたいと思います。
#67
○政府委員(武内征平君) 火力の例の一キロワツト・アワーの取り方が多いということを聞きますが、実はこの需給調整規則は先程申上げましたように、いろいろ矛盾がありますので、根本的には四月以降に改正をいたしたいと考えております。勿論四半期或いはその後の現在料金による実施の状況も勘案いたしまして、従いましてその際に告示に先程栗山委員のお示しになつた点も入れたいと思つておりますが、只今は差当り通牒で運用いたしておりますが、この改正も決して我々は恒久的なものだとは考えておりません。ただ十三日に施行する、それと同時にこれが行かなければならんという関係からいたしまして、止むを得ざる最小限度の改正ということでやつておりますから、その点御了解を願いたいと思います。
#68
○栗山良夫君 その点は私よく分つておりますので、火急におやりになつたから間にあわなかつた点はわかりますけれども、私はいろいろな理屈をはつきりと通してやつて置いて頂けば私は異議ないんですが、理屈の点ではつきりしないでそのまま運用に入つて行かれると非常に混乱を招くので、その点を明らかにしたいと思つて伺つたわけであります。
 それからもう一点伺つて置きたい点は、特殊電力の解釈なんでありますが、特殊電力というものは私よくまだ内容を掴んでおりませんが、これは夏季の豊水期だけのものですか、或いは冬の渇水期にもあるものですか、どういうんですか。
#69
○説明員(澤田達君) 御答弁申上げます。まだ期間常時と特殊につきましては、その後若干の折衝を残しておるわけでありますが、現状におきましては期間常時、特殊というものがなくなりまして、サープラスというものだけが残つております。サープラスというのは夏も冬もございます。四・四におきましても、一月と三月に合計約五千七百万はかりのサープラスというものがついております。それからオフ・ピークというものは夏にはございますが、これが従来の特殊などと全然同じものではございませんが、従来の特殊のようなものも混じるように思いますが、要するに従来の特殊、期間常時を廃しましてサープラスとオフ・ピークというものに変りました。併し特殊と期間常時につきましては、こちらの実情の説明をする余地も残つておりまするので、引続き折衝をいたして、期間常時等は三月末から始まるわけでございますので、それまでには話をうけるべく今いたしておる次第でございます。
#70
○栗山良夫君 オフ・ピークというのがここで訳されておる特殊電力ということであり、サープラスというのは余剩電力であるということでございますか。
#71
○説明員(澤田達君) ここにお配りしてあるのには、いわゆるサープラスというのは一応特殊ということになりまして、オフ・ピークというのは非尖頭ということになつております。
#72
○栗山良夫君 分りました。そうすると今おつしやつた中の特殊電力というのは冬の渇水期の時にもあり得る、こういうことに理解してよろしいんですね。
#73
○説明員(澤田達君) そういうふうになつておりまして、安本の計画にも約五千七百万を見てございます。それは御承知のように流量カーブを取りまして、火力料金で常時化されるものは、大体百六十二万トン・ラインくらいが最高限度と思いますが、それ以上に残るものをサープラスといたしまして計画に載せたわけでございます。
#74
○理事(玉置吉之丞君) 電力問題に関して他に御質問ございませんか。
#75
○栗山良夫君 伺うところによりますと、まだ日発、配電会社の卸売料金が決定しないではつきりしないことになつてるらしいのですが、これで行きますと、一月に渇水が出たり何かすると又その石炭の使い方が加減されたりいろいろなことが起きて、国民の納得し得ないような事態が起きやしないかと思つて心配しておりますが、そういう心配はされていないかどうかということと、そういう点が若し起きたとしたらば、皆が又国民からやかましゆう言われないような一応の態勢ができておるのかどうか。その点がいつ大体決定されるのか、そういう点を少し見通しを伺つて置きたいと思いますが、これは物価庁の所管でございますか。
#76
○政府委員(武内征平君) 物価庁の所管でございますが、実は従来も卸売料金は必ずしも物価庁で決めておるというわけではないので、今回は新しいこの電気行政機構、レギユラトリイ・ボデイというものによる考え方に即しまして、配電と日発で、一つお話合で決めてくれ、それを承認しようじやないかという一応態度を採つておりますから、これがどうしても決まらないということになれば、大体決めようといことで、只今話合を進めておるのであります。あまり長く決まらないと栗山委員の今お示しになつたようなことになりますので、暫く時期を見ようということに考えております。
#77
○委員外議員(田村文吉君) 番外で質問お許し頂けますか。
#78
○理事(玉置吉之丞君) よろしゆうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○理事(玉置吉之丞君) それでは番外で一つ御質問下さい。
#80
○委員外議員(田村文吉君) 物価庁にお伺いしたいのですが、今物価庁がおいでにならんでも結構です。通産省の電気庁の関係で結構ですが、今の四・四に対する現在の新しい料金というのは決まつたのでありますが、これはずつと四・四以降もこの料金をお続けになる大体意向になつているのですか。或いは四・四でお切りになつて、改めて又考えられることになるのでありますか。その点或いはお分りになつていないでしようか。
#81
○政府委員(武内征平君) 今回の料金につきましては、これは勿論新しい制度でありまして、この実施状況を見まして現在でも改正を要するのじやないかというような点も考えられておりますので今研究いたしております。従いましで修正は今後あると思いますけれども、現在の電気料金の体系は当分続くのじやないか、ただ單にこの料金のレートばかりでなしに、割当ということが、標準料金で幾らを割当るかということが非常に重大問題でありますので、これとも見合せて参りますけれども、この制度はたびたび修正はあると思いますけれども、やはりこれは科学的な料金体系であるということで研究された結果でございますから、当分続くのじやないかというふうに考えております。
#82
○理事(玉置吉之丞君) よろしゆうございますか。
#83
○委員外議員(田村文吉君) もうよろしゆうございます。
#84
○理事(玉置吉之丞君) それではこの際お諮りいたしたいと思うことがございます。先般特別鉱害地の視察について成るべく早く行つた方がよいという御意見と、それから法案が再び提出された上というような御意見もありましたので、すでに九州班と山口班との二つに分れまして、九州班の方は視察を済まされましてお帰りになつたのであります。その後特別鉱害復旧法案は今月の十三日に関係方面のオー・ケーをとつて提出の準備ができておるそうでありますが、まだ提出になつておりません。併しながら法案提出を待つておりますと、休会を利用しての視察が不可能になるのじやないかと思いますので、この点も改めてお諮りしたいと思います。法案の提出がなくとも休会中にいわゆる派遣しようというのでありまするならば、九州班の内容報告を最前伺つたのでありますが、山口班の御相談をしたいと思いますが、御承知の通り山口班は二名であつて、日程は六日間というのでありますが、本日中に委員長等に申出を願つて議員派遣のための手続を全部御一任願いたいと思いますが、この点をお諮りいたしたいと思います。よろしゆうございますか。
#85
○島清君 それは山口班は、行かれる方はもう決まつておるわけですか。
#86
○理事(玉置吉之丞君) その点は専門員から……。
#87
○専門員(林誠一君) まだ法定はいたしておりません。根本方針をお諮りして、あと御相談を願いたいと思つておりますが……
#88
○理事(玉置吉之丞君) 法案がまだ出ておりませんので、おいでになるのなら休会中が御便利だと思います。このまま抛って置けば休会中には行けなくなつてしまう。
#89
○島清君 いや、何か私が年内視察を主張した場合にえらい反対をされて、それから山口班は正月明けに行かれるということですね。何かそこに妥協が成り立つたように私は記憶しておるのですが、更に強硬に反対をされて、年内に特別に視察をしなければならないという理由がその後発生したかどうかなんですね。
#90
○理事(玉置吉之丞君) お答えいたしますが、無論年明けて行くのですが、今手続をし、置かなければいかんというのです。本日中に本会議の承認を受けなければならんのです。視察の方はおいでになるのは年明けてからです。如何でしようか。山口の方に行くということは前に決まつておるのですが、おいでになる人は、中川君は御希望のようですが、その他のことについて何かお心当りがありますか、或いは御希望者があれば、この際お申出を願いたいと思います。
#91
○島清君 手続は取つて置かれた方が便利でしようね。
#92
○理事(玉置吉之丞君) それでは手続を取るということで、委員長にお任せ願うということで御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#93
○理事(玉置吉之丞君) それではさよう取計らうことで御承知おき願います。
#94
○理事(玉置吉之丞君) この際お諮りいたしますが、通産省の政務次官もお見えになつておりますし、中小企業庁の振興部長もおいでになつておりますが、随分長くから中小商工業者の年末税の更正問題について陳情があるので、これを一つお聽き願うということに諮りたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#95
○理事(玉置吉之丞君) それではまだ国税庁長官がお見えにならんですが、国税庁長官がお見えにならん前に一つ振興部長並びに通産省の政務次官に対して窮情を伺つて置きたいと思います。それではどうか陳情の方、順次おいでになつておる方は、今申上げた通り、通産省の政務次官、それから中小企業庁の振興部長さんがお見えになつておりますから、このお二人についてあなた方の現下の窮情を御陳情を願いたいと思います。御発言の前に御自分のお名前をおつしやつて頂きたい。速記をとつておりますから。
#96
○参考人(佐藤卯吉君) 私は北区におります佐藤と申しまして小さな零細企業者の納税準備貯金組合の会をやつておりますものであります。今月の上旬に私共業者に一列一帶に税務署の方から仮更正決定が参つたのでございますが、この結論から申上げますと、この仮更正決定をこの年末年始にかけて強行に徴税されますことは、私共がもう破産をする、店じまいをしなければならんといようなことになりますので、これをなんとか、もう幾日もなく一年分の我々の計数が出るのですから、その計数が出て来月は確定申告をする時期になつておりますので、その申告に基いて調査の上、正しい税金をかけて頂く。そうして徴税して頂くということに、つまりこの現在の仮更正決定の徴税を延期して頂く。これが陳情の結論なのでございます。
 それでその延期して頂く理由を申上げますが、政府の方の御意見、昨日も、それから一昨日も衆議院の大蔵委員会で国税庁長官の答弁されております言は、私共に全く納得の行くことを答弁されておるのであります。ところがこれは上層部の、いわゆる徴税方面の上層部の意見でありまして、実際我々から徴税する第一線の税務署は、恐らくはこの国税庁長官の御声明の正反対のことを現在実行しておる次第なのであります。それはどういうことかと申しますと、今年は天降り的な目標を定めないということと、それから納税者の実態を把握せずして割当課税を絶対しないということ、若しするような税務官吏があつたならば、嚴重に処罰するとまで言つておるのでありますが、事実はこれと全然正反対でありまして、どこからどこまで全部期待倍数と称する目標額を机の上で押付けておるわけなんです。でお手許にありますとのほんの一部の、私共会員の二三十の資料をとつただけでも、如何に無謀な割当課税をやつておるかということのこれは証拠になると思うわけなのです。ここに書いてあります通り、昨年中に全然廃業してしまつた者に、やはり営業を継続しておるものとして仮更正を寄越とたり、それから、一々申上げると長くなりますので、これを見て頂けば分りますが、このあとにありますこの表を御覧になれば、如何にその実情に即しないところの課税をしておるかということが分るわけなのです。で新聞とかラジオなんかで常に発表されますことは、業者は申告納税制度化なつてから申告納税が低調である、業者はすべて嘘を言つて申告する、こういうことを政府側では言つておられますが、この表を御覧になればはつきりするわけだと思います。それは二十三年度の分でありますが、一番上の方の段が業者の申告した額でございます。それからその次にありますのは、これに対して今言う机の上で割当てて来たいわゆる更正決定の額でございます。それで私共はこれでは到底耐え得られませんので、昨年はもう一生懸命税務署に通いましで、約半年かかりましてやつと実情を調査せしめまして、実情に即して最終決定をしましたのは下から二番目の額でございます。この額を対照して頂けば如何に更生決定は無謀なものであるか、我々業者は如何に正面に申告しておるかということがはつきりするわけでございます。それに対しまして一番下の段にありますのが、本年の今言う仮更正決定でございます。殆んど昨年の更正決定より上廻つたものがかけられておるわけなのです。これを本当に、国税庁長官が言われるように実際を調査せられて、我々が最低生活をして営業を守つて行かれる程度に何とか手心を加えて頂かなければ、私共はもう一列一帯に参つてしまうわけなのです。何とか一つお取計らい願いたい、これが陳情の趣旨なのでございます。この外このためにいろいろな悲劇が起つておりますので、これは外の材料で外の方から申上げますが、是非確定申告を見て、それを実際に調査してから決定して頂きたいということをお願いする次第でございます。
#97
○理事(玉置吉之丞君) どうか外の方からも御遠慮なく……。
#98
○参考人(川島健吉君) 私台東区の写真撮影業を営んでおります川島でございます。私達も、只今前者からいろいろお話がございましたが、今前者の申されました通り、台東区内におきまして私共の業種、写真撮影業を行う者で、昨年一軒始めて、これはもう間もなく廃業し、あと一軒は御徒町の駅のそばでやつております。これは東京でもチエーンストア式になつておりまして、亀甲館と称して御存じの方もあると思いますけれども、御徒町だけは有望だから残して置くのだと戰前に心がけて残して置いた御徒町駅の前にありました亀甲館も、昨年の更生決定によりまして、遂に止むを得なく文京区に店を売つて移転してしまつた。過日会いましたときにも、私も文京区に行つて、だからよかつたが、恐らく今年になつたならば文京区へ逃げることすらできなかつたでしよう。こうまで申されておる実情で、私は谷中の台東区におきましての最も場末で、今その人の実情と比較いたしまして、このくらいの税ならば無理ではないというところが来ておりましても、やつて行けないというところが実情なのでございます。それからこの点におきましては、私非常に遺憾に思つておりますのですけれども、現在の税法を非難するわけではありませんけれども、併し実態はどうにもこの更生決定そのものが、免税点が非常に低過ぎるために悲劇を齎しておるのじやないかと思うのです。数日前台東区におきましても、これは私共の会へ入つておつた者でございますけれども、これは業態は違います。汁粉だとか、ラムネ、サイダーを販売しておる者でございますけれども、台東区の神吉町の三十七番地の福永嘉一、この人は十二月十四日十一時に、女房が使いに出て配給米を取りに行つたあとで首を縊つて死んでおります。この原因は申すまでもなく税金であつた。これは新聞にも出たかと思いますが、私は見ませんでした。この新聞に出ます実情を見ましても、今月になりましても、一週間ばかり前読売新聞の夕刊にも、外にも事情はあつたらしいけれども、とにかく税金が原因で自殺をした人間が一日に二件あつたと思います。こういうようなものは数え上げれば枚挙に遑がない程だと思うのですが、これは新聞に出たもののみのことで、出ないものがどのくらいあるか、これは台東区にも最近未遂に終つたものもあります。ねこいらずを飲んで、これは早くに処置がよかつたので生命は取り止めたそうでありますが、こういうふうな実例は非常に多いのでございます。それで私は一番痛感いたしまするのが免税点の非常に低過ぎる点ではないかと思うのであります。そうしますと、低過ぎるが故に帳尻を合わさなければならん。合わせるというと、それで税務署からは追究する、追究してそうして明快なる返答ができない。そうすると直ちに更生決定を押付けられても、それに対して異議の申告をも受入れられん、これであると思います。最も私の例で申しますと、私が昭和十五年度に開業いたしましたときは、写真の材料の乾板を買いますと、当時免税点が千二百円でありましたが、千二百円出しますと一ダースの乾板が二円二十五銭でありまして、五銭から七銭、或いは十銭くらいは割引きして貰えるのでありまして、千二百円で五百ダース購入することができたのであります。併し今日パンクロ乾板を購入いたしますときに、公定価格として九百五十何円しております。これは仮に九百五十円といたしましても四十七万何がしになるわけで、又冨士フイルムでできておりますカツトフイルムという乾板でありますが、この場合におきましても公定価格が七百二十四円いたしておりますから、五百ダース購入する場合におきまして、仮に七百円といたしましても三十五万円かかつておるのであります。諸物価に比しましで、風呂銭が百倍、葉書その他を数え上げましても、はつきり数字に示されておる点でございまするが、この際免税点が他に比較して非常に低過ぎるのではないかと思うのでありまして、これか最大の理由になつておるのではないかと思うのであります。この点を十分皆さんにおかれましても、今後におかれてこの悲劇を少くして、税による悲劇をなくして頂くのに御努力を願いたいということをお願いする。この暮でございまして、先程こちらからも申されました通り、この年末の売出し、或いは年始の売出し、これも非常に手加減しておる実情であります。これで全く国家の再建ということについては、私達は甚だ疑問を持つのでございます。これは安心して営業のでき得るように御助力を願いたいとお願いする次第であります。
#99
○参考人(河野貞三郎君) 私東京古書籍小売商業組合の常任理事をしております河野貞三郎であります。全く今度の戰後の新らしい納税制度になりましてから、大勢の納税者が、税金が納められないために、殊に更生決定を受けた等の場合は大変な悲劇を繰返しておるわけでございます。この原因はそれはいろいろあると思いますが、なかんずく最も多い原因は、税務当局がよく調査しないで、ないところへ更生決定を出しておるというようなことが一番大きい、而も数の多い原因ではなかろうかと思います。例えば最近の一例でございますが、これはまあ名前は憚りますが、中野区の大工職でこういう例がございます。これは地方税に関係しております。それで区役所の方から事業税が参りまして、三千何がしだつたそうでありますが、それが納められないために、而も又この方はいろいろ、教育程度の関係もあると思いますが、税金のことが詳しく分らなかつたために、どうしても納めなければならない、又このために差押等を受けることは嫌だと考えましたので、若い娘さんを亀戸とかへ売りまして三千円の金を支度しまして、中野区役所へ持参しましたそうであります。そうしましたところが、中野区役所においてその話をし、こういうわけで金を作つて持つて来たと言つたところが、中野区役所の税務係は、それはお気の毒だ、区役所としてそういう金は受取るわけに行かない。それだから早速この金を持つて帰つて娘さんを呼び戻して貰いたいというので、訳の分つた話をして呉れましたので、早速持つて帰つて娘さんは無傷のうちに家へ連れて来た。それまでは誠に結構なんでございますが、そこへもつて参りまして、中野税務署から更生決定が参つたというのであります。こういう事実は仮に親切な調査等ができ、又組合等に相談しまして、営業者の状態、或いは職人でしたら職人さんの状態をよく税務署がお調べ願いますならば、こういうような悲劇に対する更に理解のない方法は採られなくても済むのじやないかと思うわけでございます。これは一例でございますが、最近も、今話しされておりました自殺とか、その他いろいろな原因を考えて見ますと、こういうような余り調査をなさらないで、而も実情に即さないような徴税法のいろいろな不備があるにも拘わらず、極めて冷酷な態度によつて徴税をなさろうとするところに、こういう同じ国民同士でありながら、一方においては無理な税のために悲しむべき実情に置かれるという国民が多数生ずるのじやないかと思いまして、私共も日夜そのために大勢の組合員を指導しておる立場上まあ胸を痛めておるわけでございます。一方又最近の中小商工業者の実情を考えますと、私古書籍小売商業組合の常任理事といたしまして、東京中の古本屋の状況をよく見ておるのでございますが、本年一月現在、一月の総会のときに千三百余名の正規の組合員を擁しておりました。ところが十二月一日現在この組合員数を調べて見ますと九百七名に減つております。三百何十名が大体正式に廃業しておるわけであります。この業者は一面無理な徴税法によつて取締られておりますので、加入等につきましては可なり厳重な資格を要するために脱退等は簡單にやつておらないのであります。然るに三割以上の人が廃めるということは、大体におきまして不景気、一般的金詰り、そういつたこともございますが、税金のためにやり切れないというところから廃めるわけであります。こういうような状態はひとり私共古書籍業者に限らず、あらゆる中小商工業者の面におきまして現在現われておる状態でございます。こういうことが繰返して続けられますならば、日本の中小商工業は全く自滅するより外ないということになると思いますので、大局的にこういうことをお考え願いまして、その原因が税金であるといたしますならば、この税金について、まあ只今も御発言がございましたような基礎控除の面、その他徴税のいろいろな技術の面、そういう点を私共中小商工業者、分けても国民の大多数が占めておりまするところのこういう階層が生活のできますような税法に一つ持つて行つて頂きたいということをお願いする次第でございます。先程もございましたが、全く現在の税法上の基礎控除の少い点、それから扶養控除の少い点、それから今度シヤウプ案によりまして、非常に記帳の義務等が厳重に規定されて参るわけでございますが、現在の中小商工業者の生活の状態では、今後シヤウプ案によるところの記帳の義務等が極めて煩瑣になりましても、これは行われないような実情にあると思うのでございます。例えば現在の小売商業者等は、朝大概六時、七時頃から店舗を開けております。そうして夜は十時、十一時頃まで商売をしなければ生活できないような状態でございます。こういうような状態のところへもつて来て、果してこの計理士の方や税務代理士の方がお作りになりますような手記、帳簿、例えば今度青色申告で示めされておりますところの帳簿の冊数は、大体六冊ぐらいになつておりますが、こういう複雑な帳簿をつけるかどうかということはちよつとお考え願えば分ると思うのでございます。これが現実の問題として、一月二日から実施しなければならんということになりますと、これは現在の中小商工業者にとつて何より大きい負担になると思うのでございます。従いましてこういう点を、まだこの弊害というものは現われておりませんが、先を見越しまして、こういう点に対しても手を打つて頂きたいということをお願いする次第でございます。以上を以ちまして私の意見を終る次第であります。
#100
○参考人(野村由二君) 私は東京写真材料商組合の野村でございます。今までいろいろ陳情されました通り、税務署の官吏の調査が全然徹底しないで、そうして大きな悲劇を起す。その悲劇を起させるようなこの調査はどんなようなことをやつておるかと申しますと、ここに一、二実例があるのでございますが、これは目黒の税務署の例でございます。十二月の三日に一斉に発送されました仮更正決定は、平均五割増或いは多いものは昨年の二倍以上に上る大きなものであります。そのうち最高四十万円から最低十六万円で、昨年の二倍以上の決定を受けた目黒の時計商業組合は、去る先月の五日に代表十名が目黒の税務署に同業担当の三浦という事務官を訪れまして、最低生活の保障を要求しましたところ、その事務官の申しますには、上野の地下道の生活も最低生活だと一蹴されましたので、二十六日の朝、祐天寺に総会を催しまして、この天下り決定をどうしても呑めというならば、全員は廃業止むなきに至るという悲痛な決心をしたのでございます。それからもう一つ、十月の十八日の午前八時頃、中三公民館というのが目黒にございますが、そこで自転車組合の目黒支部の会員約二十二名、それから碑文谷支部の会長、副会長が傍聴で、税務署説明会を行なつたのであります。そのとき出席して来た係官の小倉という事務官は、自分は下町で九年間もやつて来たから大体のことは知つている。山の手は初めてであるから御指導されたい。自分の親父は金持であるから、いつ首切られても構わん。なかなか首にならないので困つておる。だから君達業者の味方になるから安心して呉れ。先ず業者を安心させ、政府の方針に協力するために一挙に申告するのによい案があつたら提示して呉れと要求しましたが、組合員より、これによる良案を出さなかつたので、それではこちらから案を出すと言つて、それを組合から古い方を四人を選んで、それと組合長、合計五名で序列決定の上、これを密封して提出して呉れ。自分はこれを参考にして各業者の実情調査を行うと、組合員序列決定を要求いたしたのでございます。方碑文谷支部の方も翌十月の十九日午前九時から前記の場所で開きまして、小倉氏の考えた序列案を提出、無記名投票を行なつたところ、全員二十一名のうち十二対六ということで否決となりましたのです。現在の業者の内幕は非常に複雑なものでございますから外部から判定するのは困難であるとの理由でこれが否決になつたのであります。ところが同総会に出席した小倉事務官は、自分の案が否決されたため憤然と席を立つて俺の案を否決した以上はこちらは徹底的にやる、その結果店が潰れて明日から食えなくなろうと、家を売ろうと、女房や娘を女郎に売るようなことになろうが一切知らない。俺がとことんまでやればこんなことぐらいはわけはないと、ものすごい脅かしをかけたため業者は縮み上つて再び投票の結果、十対八で小倉氏の提出した序列案を可決したのでございます。後日目黒支部はかかる小倉氏の態度に強く反対の気持を示しまして、序列決定を無記名投票で否決した、そのため小倉氏は碑文谷は俺の案を入れたから四十八%増ぐらいで済むが、目黒はどのくらいになるか分らないと脅かしておるのでございます。こういうような非常に我々が聞きますともう恐ろしくてどうしたらいいのか分らんというような脅かしをする税務官吏は、これは目黒だけではなく、各地で相当沢山あるのでございます。これは方々からいろいろの実例を聞いておりますが、こういうような脅かしをかけられましてそれに強引に更正決定を呑めというようなことでございますから、結局先程から申上げましたようにいろいろな悲劇が起つておるのでございます。何とぞよろしく…。
#101
○参考人(田村東洋彦君) 東京商工団体協議会の田村と申します。私主として現在の少額所得者のいわゆる小商人の税金の負担の実体がどういうふうになつているかということを御参考に申上げまして見たいと思うのでございます。
 これはやはり上目黒におりますお菓子屋と、それからお茶をやつております三人世帯の営業者でございます。戰災に遭いまして、里の方から金を貰つて家を建てて商売を始めたというような実情でございますが、今年の六月予定申告は約十万五千円ばかりの申告をしたのでございます。それに対しまして税務署の方から所得の見積額として示されたのは十八万円でございます。ということでございまして十八万円ということにしますと、所得税の負担額は丁度五万山千六百五十円でございます。その外昨年の実績によりまして課税され、今年拂わなければならない事業税が一万四千四百円、それから家屋税、都民税、その他五千八百円ばかりでありまして、合計税金として七万二千円ばかりのものを拂わなければならない実情なんです。それでまあ家計簿をずつと大体一杯につけておるのでございますが、家計簿は大体九月までずつとついている。月の平均は大体丁度一万八千三百二十八円でございます。大体まあ月に一万八千円ぐらいかかるというような実情でございます。で、これで行きますと、大体一ケ月間一万八千円、年にしましても二十一万六千円というものが、そう贅沢しなくてもぎりぎりのところどうしても必要だというような状態なんです。そうしまして前の税金の七万四千円ばかりのものと合計しますと、二十八万七千円ばかりのものがどうしても税金と生活費に出てしまう。で、これが税務署の決定が、見積りが十八万円こういうことですと、これは若しこれだけの税金を負担して行けるのでしたら、どうしても実際の所得は二十八万以上なければどうしてもやれないというような実情なのです。それでまあ申告は十二万まで殖やしてやりましたのですが、十二万といたしましても、所得税の税額は現在の税法で二万六千九百円、それから今度は課税いたされまして幾らか逓減されるものとしても、約二万円程度のものを負担しなければなりませんので、どうしても実際一年間の負担は二十五万はどうしても下らないというような実情で、税務署の決定と、自分の実際の負担とに非常に苦しんでおるようなわけであります。こういうような実情です弘ら、まあぎりぎりのところを申告をしてもなかなか実際の自分の実所得とは合わない。そういう点で非常に良心的なつもりですが、非常に業者というものは弱い引け目を感じておる実情です。それともう一つ申上げて置きたいのは、いろいろそういう事情で滞納が多くなりますので、今年も差押とか公売が行われると思うのでございますが、その差押公売は税務署の方の言分ですと、要するに見せしめのためにやるということでございますが、これが非常に出たらめにやたらに行われるために、これによつて業者が非常な損害を蒙むる。と言いますのは大森の方では、去年の税金ですが、三月の二十六日に完納しておりますものを七月の上旬になつて公売に付されてしまつた。こういう事実が私共耳にしただけでも二件ございます。それから差押えになりまして公売の何らの通知もなくていきなり公売によつて落札した古物商がやつて参りまして金を請求する。それでびつくりしてそれに対して幾ばくの手数料を拂つて買戻すという実状ですが、公売が税務署との間で非常に不明朗な点がありまして、公売の売却決定通知書には何らの金額が記入されていないで古物商に渡されたけれども、古物商はそれを二三軒転売してその中間に入つた者が段々せり上つて行つて不当な利益を取られる。こういうような実状が目黒で以てはつきりいたしております。それでその外差押については、これは目黒の大工さんなんですが、六人家族で左の手を怪我しまして失職いたしまして生活保護法の適用を現在受けておるわけですが、こういう状態に対して二十三年度の滞納で家屋、たつた七年半のバラツクを差押えられておる。そういうようなひどい状態があるのです。滞納もいろいろな原因で起ると思いますけれども、当局のやる差押、公売は非常にそういう点でこの実情を無視したものがあるという一例を申上げて置きたいと思います。
#102
○参考人(海老根重雄君) 私は馬喰町、横山町の一隅に進駐軍向けその他の工芸品の雑貨を営んでおります海老根と申すものでございます。私共馬喰町、横山町の問屋と申しますと非常に世間からは感じよく思われておりますし、又事実この商店街の中心部でございます。それでございますけれども実際はなかなかそういうものではないのでございまして、全部殆んど自分達も、又自分の家から比べまして自分以上の方を聞いて見ると、あそこの家はいいというお家が何百万という借財で赤字になつております。実際は税金苦のために現金の徴收を受けまして、仕入れる方はもう全部仕入れていないという状態にまで行つております。又税金の割当というものは実に、先程も先輩諸氏が申上げました通り非常に不合理極まるものでありまして、又問屋町だというと、お前達はそんなことを言つても、税金々々というけれども、これだけの家が建つているじやないかということをよく税務署の方から言われて脅やかされるのでございますけれども、それは商人という立場から申しますと多少体裁というものをいたしませんと、ここに商品の売上げというものは現実に見えて減つて参ります。そのために或る場合にはもう借金をして、又無盡会社から借金をするとかいう、そういう面でやり繰り算段で現在客を吸收しておりますのですが、それでも実際は売上げは上つて参りません。そこで止むを得ないから福引でもやろうじやないかというので問屋街連合で福引をしてやる例もございます。そうしますと税務署は査定とか何とかいうものを超越いたしましてその福引券の枚数によつてその家々に対して税金の割当をする。こういうような不合理も現在あるのでございます。併し我々問屋といたしまして、我々は微細のものでございますけれども、実際は原価を切つて売つてやつておるという始末でございます。併しそれに対する税金の割当というものは実に想像以上のものがございます。私共では私と六歳になる子供と家内、それから現在は学校に行つております店の者が一人、これは毎日五時から学校に行つております。それだけの家族でやつておりまして、想像してもお分りになるようにそういうものに対して先日ちよつと税務署の方が店の先に参りまして、ものの三十分も立たないうちに査定をしまして、お前の家は百五十万円だ、こういうことを言われていきなり頭から驚かされましたので、自分も聊か憤慨してしまいまして黙つてしまいました。そうしましたらそのうちにいろいろ伝票だの何だの出して、これが不合理だ、との計算が合わないということを突込まれましたが、大体先程も申上げました通り今日商売を小人数でやつている者に対して税務署が算盤的に実際に経理の苦心をなすつている方が我々の店に参りまして、きつちり合うということは恐らく神以外にはでき得ないことだと思つております。それに対してそういうような專門的な穴埋めを見付けまして、それに対して何でもこれで服従しろ、俺は税務署に八年間もいたのだというような強盗恐喝的のような態度に出るのであります。併し又それはこちらが強く出ますと、その半面弱くなるという例も近所から聞いております。併し自分といたしましては、ただ唖然といたしましてよろしいようにして頂きましよう。明日来い、こういうようなお話も伺いましたので、明日参りましたところが、丁度他の客がおりましていろいろ聴いて見ましたところが、百万円ぐらいで君のところはいいだろう、株利もそれくらいあるだろうということを言われました。その前は六十万円で、これも無理押しに自己申請をいたされまして免れでやつたのですけれども、今度はそれを上廻つてそういうようなことを言つて未だにそれで解決が付かずにおりまするが、恐らくそういう問題は別といたしまして、横山町、馬喰町の問屋街を、税務署で税を取るために育てておるのであるか、又育てておいて税を取るものであるかということを考えて頂きたいと思うのであります。過去の逸話のように仁徳天皇が高きより望み見ればというようなお話のような気持で税務署でやつて頂いたならば、これは恐らく伸び伸びとして売る物は売れるだけ商売をして自分から税金を納めて行くということができるのではないかと思つております。併し現在の状態ではそうではありません。無理算段をして双葉の出たところを根をちよん切り葉をちよん切りしてやるのではないかと私は思つております。どうかお願いであります。働くだけの余裕を與えて頂きたいと思います。働く余裕を與えないで取るものを取るということは、恐らく私共といたしましては不合理な点じやないかと思つております。今日自分がここに来てこういうことを皆さんに聽いて頂くということは、自分としては実に嬉しく思つております。と同時にどうか皆様方の方におかれましてもよくお考えを頂きまして、何かのお恵みを頂きたいと思つております。現在私もそういうような過分の税金を取られますので、もう更正も何もそういうことを考えていません。引受けます。併し明日からは店もしまうつもりでございます。先日も業者の方の借金に対して、こういうわけだから君達我慢して貰いたいということを言いましたところが、私共のメーカーのものが、それでは困る、お宅が潰れてしまつたのでは私共食つては行けないから、私達の物をはいでもいいから共にやつて行けるような方法でやつて貰いたいということを言われたので、よく考えましたところが、自分のところ一軒潰れますと、自分に連繋している十軒余りのメーカーのものを皆んな裸にしなければなりません。その意味では、自分では立上れるだけ立上り、皆さんと一緒に手を繋いでやりましようということを考えまして、先般からいろいろと考えた結果、現在施行されております企業組合という形態で以てやつて行こうということを思つておりますが、それも現在は実際は規則はよくできておりますが、今の税法のような不合理なことではでき得ないのではないかと思つておりますが、一つやるだけは頑張つて見ますが、その意味で笑えないナンセンスがあるのであります。というのは、昔はよく子供が泣きますと、お巡りさんが来るから泣いちやいけないということを言われたものですが、現在はそうではありません。税務署が来るから泣くんじやないと言うと、子供が黙つてしまつた例が多々あるのであります。というのはどういうのかというと、私の近所に一軒問屋がございます。その問屋さんが滞納処分で全都子供の机まで持つて行かれた例があります。それからというものは、子供が泣くと、今度税務署が来ると持つて行かれるぞと言つて黙らした例は幾つもあるといろ笑えないナンセンスがあるのであります。どうかその点十分お察し願いまして、何分とも我々が商売で売つて売りまくつて、働いて自分から税が買つて出られるような公平な割当のできる方法を、皆さんの方でどうかお考え願いたいと思つております。ただそれだけでございます。何分どうぞよろしくお願い申上げます。
#103
○参考人(川島健吉君) ちよつとお願いがございます。よろしうございますか。
#104
○理事(玉置吉之丞君) どうぞ。
#105
○参考人(川島健吉君) 私さつき重大な問題を落しておりましたので、お聽き願いたいと思います。只今税金のかけ方は、調査をしてかけるということになつておりますが、実際は今までは目標額というものが出ております。何の商売では今年はこのくらい拂うべきだという目標額があり、それが国税局の方から税務署の方へ来ておりまして、それに基いて税金をかけておつたのが今までの実情でございます。本年の場合はそれが期待倍数という名前になりまして、大体この業種は昨年の決定の七割増しとか、或いは委託加工業は十割増しとか、こういうような形で大体それが標準になつて課税されております。そして平均はその期待倍数が本年は東京国税局の場合は昨年の決定の六割七分増しということで来ております。ですから本年の六月末又は七月の初めに一応自分の所得を決定いたしまして申告したものが、その申告額が少かつたということによつて、今度税務署の方から仮更正決定が出ておりますが、その少かつたという標準が、昨年の六割七分に達しなかつたということによつて更正決定されておるのでございます。御承知の通り今中小商工業ばかりではございません。あらゆる方面におきまして金詰りとそれから輸出その他国内の購買力が低下しておる。そういうようなもので、もう統計的に日本の殊に中小商工業者の営業状態が非常に悪くなつているということは、どなたもお認めになつて頂いていると思います。大体街でよく聞きますのは、昨年より三割方悪いとか、昨年の半分だとか、殊に現在のこの暮に参りまして、私共が何とか暮に商売して税金も納め、そうして正月を迎えたいと思つておりましたところのこの暮が、非常に悪いわけです。例えば街々で聞くのでございますが、終戰後初めての福引売出しをやつて、これによつて挽回策を考えたのでありますが、福引をやり始めた途端に、十五日、二十日からとにかく営業状態が非常に悪くなつた。平生の日の半分も売れなかつたというような、笑えない福引風景があるのであります。そこへ持つて来て六割七分増しというような期待倍数を押付けて来られるということは、どうも私共として納得行かないわけでありますが、こういう点は政府、大蔵当局といたしましては、どういうふうな根拠によつてこういう数字が割出されるのか、私共は非常に疑問に思つておるわけであります。
 話に聞きますれば、六割七分増しの数字が出た根拠というものは、税務署から、調査した結果そういう報告があつたから、一応の基準を立てたと言うのでございますが、税務署の調査に無理があるのではないかと思うのであります。ただ一つの目標を作つたためにそういうようなことをやつておるのではないかと思われますし、又一面予算という面につきましては、私共詳しい点は分りませんが、それが仮に昨年の七割増しの予算でありましたならば、予算に合致させて徴税をするということになつておるのではないかと思うわけなんであります。ですから、飽くまでも中小商工業者が金詰り、不景気で苦しんでおるという実情を見て課税して頂くということを、一つ皆さん方の御努力によりまして実現できますようにお願いしたいと思うわけでございます。
#106
○宿谷榮一君 大分時間も遅くなつておりますし、大体共通な御趣旨だろうと思いますから、この辺で一つ…。
#107
○理事(玉置吉之丞君) 大変皆さんの悲痛な御陳情で、当局の方でもお聽きになつてお分りしなつたと思いますが、参議院の通産委員会が特に税の問題を取上げて、本日ここに皆さんの陳情を聽きました理由は、如何にも現在の世相の中に徴税旋風なるものが湧き上つて悲惨な光景を呈しておるということは、只今縷々お述べになつた以外にも我々は耳に、いたしております。
 尚幾多の犠牲者を出しておるという点等につきましても、私は特に補正予算の本会議における討議の際にも、特に総理大臣並びに大蔵大臣にも申上げて置いたのでありますが、ひとりこれは大蔵省とかそういうところの問題でなくして、現内閣としては産業というものの面、そうして日本の国家の再建、産業の自立というような面から考えても、如何にも税金に偏して力を入れ過ぎておるかのごとき観がある。ということは、すでに税金が重く我々の上に重圧が加わつておるということは、昭和九年頃に比べて、通貨が十五六億だつたのが今は三千億に達しておる。又物価指数を凡そ二百倍と見るとすると、それが妥当であろうと思われますが、税金に関する限りは、国の財政が七千億近くなつておるのでありますから、四百倍以上、その重圧が我々の上に加わつておる。だから税金が重いということは御辛抱願わなければならんと思うのでありますが、ただ昨年と比べまして、即ち去年の年末においては通貨が三千六百億程度であつたということ自体が…、二十二年の末において二千三百億であつた通貨が三千六百億にもなつたということは、一ケ年間において千三百億の札が殖えたのでありますから、これは即ち一つのインフレーシヨンになるのであつて、物も売れるし値も上るし、これは商売人が何と泣言を申しても、儲かつておつたと我々には思われるのであります。併しながら本年の末において、大蔵大臣は、私が予算総会においてお尋ねしたとき、三千五六百億出ることは覚悟はしておるということを申しておりましたけれども、これは三千億の札がまだ出ないという一つの大きな事実が、如何に世の中が不景気になり金が詰まつておるかという面から考えられるわけであります。
 それに対し工只今皆さんのお手許から、はつきり名前を列記してここに出された本年度の仮更決定を見ますと、お話の通り、或いは六割とか七割とか、甚だしいのは二倍、三倍というような、お名前を列記してはつきり出ておりますから、これは事実であると思います。然らば去年の暮の状況に比べて、この一ケ年の間に如何なる面を大所高所より公平に判断しても、六割も七割も税金を納められる所得があつたということは私共は考えられない。これは確かにその事実も如実に物語つておるのでありますから、これに対して、幸いここに政府当局即ち国税庁の長官の高橋さんが見えておりますので、これに対して、一体こういうことをやるということが大所高所から眺めてこれが公正妥当なるものであるか、税金を取る必要上こういうことをやつておるのであるか。これがあなたの良心に考えて …只今縷々悲痛なる陳情をお聞きになりましたが、こういうことに対してもつと産業というものの必要、又中小商工業者の立場で、すでに店を閉つて親三代の商売を廃めなければならん、或いは娘を売らなければならんという事態が起つておるということを考えるときには、少しく…、あなたとして税金を取るというお役目からして御尤もの点もあるかと考えるのでありますが、少くとも去年の暮と今年の暮と我が国の財政経済の全体の状況を眺めて六割も七割も倍も取られるということを考えるときに、非常な無理があろうかと思うのでありますが、この点に対して先ずこの際ここに陳情に来られておる方々の得心の行くような御説明を願いたいと思います。特にこれは国税庁の長官にお願いいたします。
#108
○説明員(高橋衛君) 今日特に今年度の税の負担が非常に重いということは私共も十分認めております。と申しますのは、税率におきましては二十三年度よりも二十四年度におきましては基礎控除その他の面において平年度化するということによつて、幾分基礎控除が、例えば一万三百二十五円から一万五千円に上つておるという一面の軽減があつたのでありますが、併しながら他面におきましては、今までは相当にインフレが進行しておりました。インフレの進行の過程におきましてはいずれも税の決定並びに徴税が大体六ケ月乃至一ケ年はその所得のときとはズレておるというような事情がありましたために、税率は相当高かつたのでありますが、実際の納税をせられる方々にとつてその負担がそれ程重く感ぜられなかつた点があつたと思うのであります。二十四年におきましては、こういうようにインフレの進行が止つたといいますか、正真正銘の、税法に規定された通りに負担がお互い国民の上にかかつて来るのでありますから、本年度の税が非常に重く感ぜられたということは、税法の建前上当然であろうと思うのであります。尚更正決定につきまして、或いは六、七倍、七割余であるとか、又は倍であるとかというお話を伺うのでありますが、実は今年度におきましては、何とかしてこの仮更正決定をやめて、皆さんの御納得を得て税の徴收をやつて行きたいということを念願しております。そのために大月と十月分二回に申告に対して昨年に比べれば非常な熱心さで以て各税務署でやつて貰つたのであります。併しながらその成績は甚だ残念ながら私共の期待には副わなかつたのであります。一例を申上げて見ますると、勤労所得税は全部源泉で徴收されておるのでありますが、この勤労所得税につきましては、十二月十日現在の予算に対する收入実績は六八・九%になるのであります。ところが事業所得、即ち申告納税にかかる分につきましては、十月十日現在で僅かに三五%にしか過ぎないのであります。どつちかと申しますと非常に低調なのであります。この予算の基礎に対しましては、先般の臨時国会においても何故にこの程度の予算が確保できるかというような面につきまして十分御審議を願つて御検討を願つたことと思うのでありますが、とにかく年間の予算に対しましてかくのごとき非常な成績の差異がある。そういうことになりますと、俸給生活者におきましては当初貰うものからおのずから差引かれて、税を差引いた金で苦しい生活をやつて頂いておるということを我々はやつておるのでありますが、一般の事業所得の方々におきましては、結局事後において 更正決定によつて納めて頂くということのために、今日私共の生活は非常に苦しいのでありますので、金を持つておれば自然に使い込んでしまうというようなことのために、年末に近くなつて非常な困難を感ぜられるということが多いのじやないかと思うのであります。又先程期待倍数についてお話がありましたが、六月の申告をお願いいたしまする際に、どの程度申告をお願いしたらよいかということについて、やはり何らかの目安がなければ御申告もいたし難がろうというようなことからいたしまして、各業態ごとに部分的に相当数の方の調査をいたしました。その調査によつて、昨年に対してこの業態においては二割である、この業態においては七割であるというような業態別の調査をいたしまして、大体税務署で抜打的に納税者の方々の帳簿について調べて見ました結果がこの通りになつておりますから、この程度の大体同じ業態であるならば、それだけの所得があるのじやないかと思う。その意味で御申告を願いたい、こういうふうにお願いしたのであります。又十月の修正予定申告の際に当りましては、それまでに更に実額調査を相当私共は進めて参りました。従つて期待倍数とは違つたところの、期待倍数を修正されたところのものによりまして各実額調査をやると共に、その他の方々につきましては概定標準でありますとかいうようなものを、いろいろな間接資料を集めまして、それの大体の推計をいたしまして修正申告を出して頂きますようにお願いをすることにいたしたのであります。併しながらそういうふうにいろいろ申告をお願いしたのでありますけれども、総体的な結果としてはその成績か余りよくないのであります。税務当月といたしましては、このまま推移する場合におきましては基礎になるところの所得はある 併しながら税收入は今年度確保できないという羽目に陷らざるを得ないのでありまして、どうしても税法の命ずる通りに早期に仮更正決定をする必要を痛感したのであります。従いまして当初は仮更正決定をできれば避けて行きたいと考えていたにも拘わらず、十一月から十二月にかけまして皆さんの方に仮更正決定をお願いしました。勿論その基礎になりまするところの調査は、一割なり一割五分程度の納税者についてしか調査ができておりません。従つてその他のことにつきましては、先程お話しいたしましたように、間接資料でありますとか、又は従業員の数とか、店の構えとか、売上げその他のものの調査に基きまして推算いたして差上げたのであります。所得税については、言うまでもなく七月から十二月までの実際の所得について課税されるのでありまして、その他については確定申告の際に実際の数字をお示し願えば、更に税務署において調査をいたしまして、その修正をするごとに吝かでないのであります。何分人手も下足でありまするし、又税務官吏自体が未経験の者が多い状態でありますので、今年度の仮更正決定が必ずしも当を得てないというものもときにはあろうかと思いますが、それらのものにつきましては、審査の請求をせられるなりその他いろいろな方法をお願いいたしたいと思うのであります。尚この機会に是非お願いいたしたいと思いますのは帳簿の記載の問題でありますが、従来は單に税務の見地からのみならず、例えば経済統制違反等をなされるという御理由も十分にあつたと思うのでありますが、帳簿の記載が実に不正確でありましで、本当に信用してよいところの帳簿が割合に少い。そういうことからいたしまして、私共としても実相を把握するのに非常な困難を嘗めて参つたのであります。もうそういうふうな経済統制関係も相当廃止されて参りましたので、後は税の問題のみくらいになりはしないかと思うのであります。シヤウプ勧告においても言つておりますように、何とかして正確な帳簿をつけて頂きまして、十分に御納得の行くようなふうにして申告をして頂き、又更正決定の場合におきましても、そういう帳簿を出して頂きたい。こう考えております。先般の臨時国会におきまして、その帳簿に関する規定の一部が法御に規定されましたので、先般大蔵省令並びに国税庁の告示を以ちまして詳しい規定を発表したのでありますが、規定の面そのものは割合詳しく見えますが、私共といたしましては法人については或る程度正確なと申しますか、成規な帳簿を要件としておりますが、個人につきましては、それ程成規な帳簿でなくとも、とにかく正確に記帳して頂きまして、或る程度監査し得るところの帳簿であれば、それでよいという建前になつておりますので、是非来年からは一つ十分にできるだけ多数の人が帳簿をつけて頂くようにお願いいたしたいと思うのであります。
 尚税務官吏の態度等につきまして、いろいろお話がありましたのでありますが、先程もお話しましたように、何分にも平均の年齢が二十三年七ケ月でありまして、そういうふうな非常に若い者が多いのであります。又平均年数においては三年未満のものが七割を占めるという状況でありますから、私共はそれらの税務官吏の訓練、教育等につきましては、日夜非常に苦心しておるのであります。本年度におきましては、昨年より画期的に教育機関も拡充いたしておりますし、又教育機関を通じることができないものにつきましては、税務官吏のうち一万人につきましては、通信教育の方法を以て税法についても十分勉強いたさせますし、その他の方面におきましても、識見を高めるように、教養を高めるような施策を講じております。尚本年の八月には本庁に苦情相談所を設けまして、態度の悪い者、或いは非違のある者等につきましては、なかなかその税務署に行つてお出でになりますと、後難を恐れると言いますか、何か江戸の仇を長崎で討たれるというような気持がありまして、なかなかお申出でにくいと思つておりますので、そういう成るべく御本人に迷惑を掛けるようなここが絶対にないようにして、具体的の税務官吏の行動、非違等について、態度等についてのお話を伺つて、それに基いて私共としては処分をいたしますし、又軽微の者につきましては、十分訓戒いたしまして、そういうことを繰返さないように努力して行きたいと思つておりまして、常々申しておるのでありますが、本年は先程お話しいたしましたように、恐らくは今までに曾てないところの税の重さの感じられる年であり、納税者の方も血の出る思いをして納めて頂いてやつておるのでありますから、私共といたしましても、税務官吏が各納税者の事情を十分洞察いたしまして、本当に同情を以て、文親切にいろいろとお話をし、応対して行くようにするということを繰返し訓示をしておるのであります。それらの点を十分一つ御了承願いまして、勿論これらのことは一日にして成るものではありません。毎日そういう努力を続けまして、段々よくなる性質のものであろうと思うのでありますが、とにかく私共としては一生懸命そういう面の改善を図つて参りたいと思つておりますので、そういう点特に御了承願いたいと思つております。
#109
○宿谷榮一君 先程からいろいろ陳情を伺つておりますが、誠に貴重な社会の苦しい実相に触れたことを我々は伺いまして、非常に感銘の深いものがありますが、これは東京都だけの問題ではなく、全国的に中小商工業者、或いは農村に関してもこういう共通の苦しみを今抱いておるであろう。そこでこのまま推移して行き、この暮になつてから徴税を強行し、正月早々松のとれないうちに差押えする、公売するというようなことが生じて来ましたら、政府を信頼しなくなるし、協力しなくなる。又国会も信頼しなくなるというような思想を培養して行くようなこととなろうと思います。そこで今日本も再建途上にありまするし、多くの国民の協力を我々求めて国の再建を期さなければならんときに来ておるのですが、商工業の関係についての直接的な主務官庁の通産省では、これに対してどういうお考えを持つておられますか、御見解を伺いたいと思います。
#110
○政府委員(宮幡靖君) 税の直接の取立て及び一般の行政をやつております国税庁の長官からは、国税庁としてのお立場の説明がありました。これは陳情の方々にも御了解願えた面と願えない面が恐らくあろうと思います。御陳情の方々の御意見を聞いておりますと、根本問題は税法の悪いことであります。生活費を引きました残りに税がかかるならば、これは百%かかりましても敗けた国民といたしましての本当の心構えに立ち返るならば御辛抱も願えるかも知れません。食つた残りでなく、生活費に費えたものもやはり課税の対象となりまする現在の税法、世界的に見まして生活費を控除した後の残額、これに税をかけるという制度は只今のところではないのでありまして、私の知つておりまする限りでは、過去にもないように思つておりますが、制度としては悪い制度でありながら、まあ世界的に見て一応止むを得なのじやないかということになりますわけであります。根本は生計費のうちに占めます飲食物費の割合ということになるのでありまして、戰前におきまする日本の平常の経済の場合におきましては、生計費のうちに占めます飲食物費の割合は概ね四〇%程度でありました。ところが経験後の一番甚だしいときになりますと、六八%乃至七五%、極端な個人生活を指摘いたしますと、八〇%を超えております。これが百%になれば乞食と同じ裸でありまして、ただ命をつなぐために生きておる、これが生活の全部になります。従いましてもう七五%というようなことになりまするというと、これも全く乞食に近いという生活を強いられておる。而もその消費された七五%も若干の基礎控除以外は税の対象になる、これでは食べられないわけです。結局申告に嘘をいたさなければならない、こういう羽目になつて参ります。━━━━━━━━━━。従つて皆さんの御陳情の点は非常によく分るわけでありまして、若しこういう公開の席上でなかつたならば、私個人といたしましてももつと鋭い考えと、もつと正確な材料を持つておるわけでありますけれども、これは又言い過ぎになつてもいけませんから差控えますが、要するに皆さんの御陳情は極めてよく分るのであります。さりとて、と申しまして国家が若し税收入に多大の欠減を生じたといたしましたならば、国家財政はもとより国の行政は行えないことになりますので、これも又併せ考えなければならない。結局むずかしいことは運用によつて片付けるということになりまして、税法の運用の上におきまして私共も嘘を言わない。若し利益がこれだけあると正確に生活費まで含んで中小商工業者が申告いたしますと、私共の勘定によりますと、百円の利益に対して大体東京都あたりでは百六十三円八十銭くらい税金を納めなければならん。これは利益以上にかかるじやないかといえばその通りであります。実際はそうであります。そのうち損金として処理されます地方税的なものはありますけれども、概ね損金として処理されない所得税が根幹であります。そういうことで段々インフレ進行時代で、名目の所得が累加されて参るときには、この所得でどうやら賄い切れたのでありますが、インフレが停止し、或いは極端に申せばデフレ的傾向濃厚であります。先般も大蔵大臣に私は個人といたしまして産業資金梗塞打開の一構想という書面を出しました。又総理にも出しましたし、我々知つておりますところへ全部ばらまきました。そうしてこの年末金融に対しまする措置を講じて貰い、金詰りの原因をいろいろと申しますが、單なるデブレとかいうものではないのでありまして、実は今まで昨年までの間は專門家でない限り或いは御存じないかも知れませんが、アメリカの援助資金にかかります物資が国内に放出されまして、その国民の購買力から吸收いたしました通貨を、又再び輸入補給金なり或いは価格調整費なんというような面を持ちましてこれを国民のこの財政的資金の中に撒いておつたのでありますが、これは今度は対日援助見返資金特別会計というようなことで別個になつておりまして、現在私の方の省で担当しております数字で大体八百五六十億の積立てはしております。ところがこれが放出されておりまするものは二百十六億、二百二十億ぐらいでありますが、差額の六百億以上というものは皆さんのお用いになつておる札を取上げまして、悪い言葉ですが取上げまして、そうしてここにあるぞということを見せておる。有効なものに貸してやるぞということになつておりますが、これが最大の金詰りの原因であります。これを放出いたしまして、物のついた購買力を伴つておりまするところの通貨でありますので、速かに回転せしめて、これを大なる電気の発電事業であるとか、或いは鉄道だとか通信というようなものに、長期投資というようなものに限定すべきではない、即ちこれは民間の金融に流れ込むような間接投資をやるべきだということを私は力説しております。この間接投資なるものは証券市場を通じまするところの現在の株もたれということで、事業者が増資いたしましても、社債を発行いたしましても消化力がありません。消化力のないことによつて自己資金の調達ができなければ、そこにすべての産業を通じまするところの国民経済の循環ということに支障が起きて参るわけであります。これを力説いたしまして幸いにして、容れられまして昨日あたりの措置といたしまして取敢えず預金部資金から百億の金を各銀行に紐付き的に差上げまして、各今お組みになつておりますが、見返資金の一部金額はここで申しかねますが、これと併せならしまして年末の金融梗塞の打開に当ると、かようなことをとつております。併しながら現在の金融は金融国営主義のようなことからは程遠い金融の民主化を狙つておりますので、飽くまでもこれは市中銀行の自由操作でありまして、大蔵大臣に強権があつたり、監督権を発動するというようなことはこれはできないような状態でありますので、ここにも又むずかしい問題があります。特に先程国税庁の長官からお話がありましたが、私共納得いたさない点がありますが、皆さんも納得いたさないと思います。私は政府間の意見の不一致を申すのではなくて実情を申すのでありますが、我々が中小企業庁を中心として中小企業方面を眺めまするというと、先ず税の面で、一家三人くらい、これの的確な数字を持つておりませんから厘毛以内の数字をここで申上げかねますが、一家三人くらいで若しその家庭の御生活が月に一万円で足りることを想定いたしますと、その一万円の生活費を償うための所得というものは勤労者の面におきましては大体二十万円の所得があれば税も拂つてやつて行けるのであります。源泉徴收で、先程成績のよいというその所得税が拂つて行けるのであります。ところがこれが中小企業の商人になりますと、小さなお仕事をなすつておる方でありまするというと逆に三十五万円の所得がなければ月一万円の暮しの費用が出て来ないというのが…。現在の税は決して勤労階級に重くして商工業者に軽いという観念をお持ちになつたら、これは国税庁長官を前において申して甚だ失礼でありますが、大きな間違いである。これ程中小企業に無理なものがかかつておるのであります。何故これを無理なままに今までやつて来たかというと、今までの申告が皆嘘でありました。皆嘘であります。大体正直に申しますれば、我々柳か税のことを裏をよく知つておりますが、百円儲かつて従来の観念で五十円の申告をしておる人は私は良心的だとお褒めしてよろしいのじやないかと思います。かように考えております。大体申告納税になりましても六、七割乃至八割の申告を若し自発的におやりになつたら、これは税に対する本当の神様であります。制度の上から言つたら表彰できませんが、精神の上から言つてその人を表彰したいくらいに思つておる。これは今まではそれで通つて来たが、先程来陳情の方からも帳簿の話があり、国税庁の長官からもお話がありましたけれども、帳簿の問題は今からつけ始めるということは、これは大変であります。到底なかなか皆さんに…。我々の方も青色申告用紙に適応しますところの帳簿書式を経済安定本部の方で作りまして、一月から早々街頭に出まして皆さんに是非お使い下さるようにと宣伝し、普及することを計画の中に入れております。こんなものをとこぼすかも知れません。今からつけるのは無理だと、そのお気持は分りますが、それよりもつと一歩越えて頂きたい。これは逆に陳情者に対して妙なお言葉を申上げるようなことになるかも知れませんが、帳面をつけないでやつて来たという商売の行き方というものが、今になつて漸く帳面をつけることを覚えなければならないことになつたという、この二つを思い合せて頂けば、御無理でありましてもこれは是非帳面をおつけ願う、殊に今度はシヤウプ勧告案にはいろいろ日本に適応しない税制がございますことは私共も否めない事実と存じておりまするが、その中でやはり一年の財産の、個人においても総ざらいをやらなければならない。理屈を言えば貸借対照表を作ると書いてあります。つまり借金と財産の総ざらいを年一回やりまして、そうして実際資産が殖えておるとか、減つておるというところにおいて儲かつたか儲らないかということを勘案する状況になつております。而も所得税、相続税、今度又地方の譲渡所得と相続税が入つております。いろいろな四税が相交錯いたしましてこの純資産が殖えて行つたか行かないかということを絡み合いまして、今までのように帳面を書いて置くよりも税務署の役人なんかに頼んだりして、俺の方に百円あるけれども、五十円、八十円で落ち着くだろうというので、帳面を書くのを止めて置きましたその慣習からどうしても税逃れがありますが、今度四つの税の交錯がありますから、これはもうただ今までのように書いて置かない方が、案外税務官吏にうまく頭を下げて一つごまかしてやつたら何とか、まあ百円儲かつておるが八十円で済むだろうというような気持が帳面をつけない本当の気持なんである。これをおやりになりますと、重税であるととは、国税庁長官がもう本年は一番重税の極点でありますとおつしやる通りであります。だけれどもその上にこの手を打ちますと、これはとんでもない。それは全く店を閉めなければならないことになつて来る。又お示しのような悲劇や煩わしいことが起つて来るとも当然であります。これは是非困難でありますが、帳面をつけること、先ずこの主要な税種のものにおいてはどうしても皆さんにおやりを願わなければならない問題だと思います。抜目のないようになつておるのが今度の税でありまして、どつかで何か嘘をいたしましたと仮定いたしましても、実際は百円あるけれども、俺のところは三十円だと言つたところで、どつかで必ず絡み合つて浮いて来るのが今度の税でありますから、これは一層一つ御注意をお願いいたしたいのであります。現在り制度につきまして述べられることは、通商産業省は御存じのように一殊に中小企業庁をもつてやつておりますように、中小企業のともすれば倒壊したり、倒れんとしております実情を是非とも押し立てまして、日本の輸出産業振興の先ず基礎的な産業といたしたい、かように考えておりますので一政府当局間の連絡といたしましてはここで申上げかねる点が沢山ありますので差控えまするけれども、この税の運用及び軽減並びに制度の改善におきましては切々と実は申入をいたしております。私も柳か税には自分の体験を持つております関係上、これは可なり無遠慮なことを大蔵大臣にも申します。主税局長にもお願いいたします。国税庁の長官とはまだお互いに忙しい立場でゆつくりこういう問題は話したことはございませんけれども、十分これは皆さんの利益でもあり、日本の中小工業のために、中小企業のために是非一つ頑張つて頂きたい。併しこういうことが漸次改善されて行くには時の流れがありまして、今御陳情の趣旨御尤も千万と心得ながら、至極皆さんに適切なる回答を與えることができないことは誠に申訳ないのでおりますが、これは皆さんにも十分お分りのことと思います。今日は中小企業庁の振興部長も作つておりますので、若し尚御質問願うことがありましたならば、時間の関係でこの席が不適当でございましたら中小企業庁へどうぞお出掛け下さいまして実情をお知らせ下さいまして、政府とり連絡は極めて緊密にして、どうかして官民が力を一体としまして、納税旋風と言われますが、どうしても然るべしそれだけの税を取つて行かなければ国の財政は賄えない。この危機を一つ乗り切るようにいたしたいと考えておりますから、御遠慮なく一つ御苦情を一つお聽かせ願いたい。これについては可なりの手配はいたしておるわけでありますが、ここで我々の方で考えることは、大蔵省の方では時には気に入らないという面もございますので、さようなことを一々ここで対照的に申上げることは無効だと思いまするから申上げません。お心持はよく分りますので、委員長及び参議院の各委員の方方の御要望も体しまして、中小企業庁としてでき得る最大の努力を拂わして頂くことを、御陳情に対しまする誠にささやかなお答えでありますけれども、誠意を披瀝して本日の皆さんの御陳情にお報いしたいと、かように考えております。
#111
○説明員(高橋衛君) 先程申上げることを言い落しましたので、一言だけ附け加えさして頂きたいと思います。陳情の方のお話にもあります通り、又その他各般の面に、私共もこの年末が非常な金詰りであるということとは十分了承しておりますので、年末年始の期間だけは万止むを得ない場合を除く外は強制徴收を一応取止めることにいたしたいと思つております。勿論これは年末年始の期間だけでございます。併しながら一方いろいろ数字を見て見ますると、預金の増加はなかなか成績がいいのであります。又酒の売行きは昨年に比較いたしまして相当よくなつて参りました。当初の予算は六百五十億円でありまりたが、今日の現在までの売行きの状況から見て見ますと、恐らくは八百億になるのじやないか、そう思われる状況であります。従いまして、非常な金詰りの方と相当の余裕を持つておられる方と双方あるということを私共は認めておるのであります。従いまして傘はあるけれども、それを廻すことによつて何とかうまくやつて行こうと言われるような方々に対しましては、これは税の強行をやつて行くことが、これは社会の正義に合致するゆえんでありまして、どうしてもそれらの方々に対しては強制徴收をいつでもやつて行くことにいたしたいと思うのであります。併しながら一般的にはこういうふうな非常に窮屈な伊勢にあるということも又同時に認識いたしておりますので、年末年始の期間だけは強制徴收を一応差控えたいと、そう考えております。
 尚念のために申上げて置きますが、何といたしましても、この前の臨時国会におきまして御審議願つた通りの千七百六億円でありますかの本年度は申告所得税の予算でありますが、この予算はいろいろな数字から見まして、十分に所得としてあり得る数字であり、又十分に歳入としても歳入されなければならない金額であります。従いまして何とあつても本年度内においてはこれだけの金額を全部歳入いたしたいと考えております。そうすることによつて初めてシヤウプ勧告の線以上に今回実は税の軽減が行われることに決定したのでありますが、それらの事柄も、すべてこれだけの税が今年度内に必ず收入し得るのだということを前提にして初めて認められておる事柄でありますので、その面につきましてはそのことをよく御了承を願いまして、この上とも納税について、納税者各位の衷心からの御協力をお願いいたしたいと考えるのであります。
#112
○宿谷榮一君 政府に対しての意見は委員長が先程縷々お述べになつたので、大体我々の意向というものも反映しているだろうと思います。御通産省の方からもいろいろな御見解及び国民に対するお願いやら、又希望などが述べられて、又国税庁の方からは年末年始の強制徴收を一応取止めるという御発表があつて、誠に我々としても陳情を受けた立場として非常に明るいものを実は感ずるのです。先程国税庁のお話によりますと、税務官吏の指導をやつておられる、これは非常に好ましい、大いに喜びに堪えないところでありますが、併し徴税するに当つて納税者全部、即ち国民を全部嘘を言つておるのだという態度で臨むところに税務署及び国税庁と国民との間に大きな溝が出て来る。お話を伺つて見ますると、これは事実でしようが、申告も信用ができない、信用ができないからこちらの方も外郭から見て目見当で更正決定をやつて行くというところに見解の違うものがあつて、やはり国民全部善人であるという態度で臨んでこそ、国民と政府との間に円満な、政府が信頼され、又国会も信頼され、官吏が尊敬される状態が生れて来るのだと思いますが、どうも国民すべてが嘘をつくのだということですべての企画をおやりになりますと、なかなか日本の経済の立直りというところへ大きなひびが入つて来る、この点一つ十分部下の御指導に対して御留意を一層お願いしたいと思います。尚非常にいいお話を伺つたんですが、年末年始の強行徴税は一応止むを得ないもの以外に対してはやらんという御方針をお立てになつたようですが、年始といつても我々常識的に考えますと松の内ということになるんですが、一月一杯ぐらいを予定されておりますか、そういう点をついでに一つお漏し願いたいと思います。
#113
○説明員(高橋衛君) お話のありました通り、実は納税者を信用してかからないという態度は甚だ好ましくないと考えるのであります。御承知の通り申告納税制度は自分で自分の所得を計算して申告して頂くということが根本になつております。ところが昨年度におけるところの結果を見て見ますると、昨年度におきましては納税者の方の御申告を、これは確定申告の場合でありますが。そのまま税務署でこれで結構でありますといつて是認をいたしました方々の数は僅かに二〇%であります。言い換えますならば後の八〇%の方は、調査して見た結果、どうしても税務署として納得が行かない、こういう状況であります。本来すべての制度は、少くとも半数以上の方がそれについて来るのでなければ、その制度について成功したとは言えないのであります。むしろ民度に副わないといつて然るべきものじやないかと思います。併しながら昨年においては二〇%であつたことから、この申告納税制度を止めるべきであるというふうなことは、私共としては考えていない。何となれば、最も民主的な、最も進んだところの制度でありますから、我々も何とかこの理想に向つて進んで行きまして、納税者の方にも努力して頂きますし、又税務官吏としてもその方向にあらゆる努力を傾注いたしまして、何とかこの理想に到達するように進んで行きたいういうふうに考えておるのであります。遺憾ながら実績がどうしても調べて見ますると、御申告より多く出て来る。そんな結果といたしまして、税務官吏といたしましては、ここも出て来るだろう、ここも出て来るだろうという気分になるのも、これは又止むを得ない一面を持つておるということも御了承を願いたいと思うのであります。
 尚年末年始と申してもいつまでかというお尋ねでありますが、実は先程お話いたしましたように、十二月十日現在の成績が僅かに三五%でありますので、これはそう長期間に亘つてそれを止めておりますると、税の收入を年度内に確保するという自信が到底持てませんので、従つてこれはそう長くそれを止めるということは到底できないかと思うのであります。正月松の内早々に差押えに行く、或いは強制をやるということだけは止めたいという程度に御了承を願いたいと思います。
#114
○宿谷榮一君 成るべくここで一月一杯猶予するとかいうようなことは国税庁の立場としても言明できないでしようけれども、そういう含みである旨を、一つ御通牒をできる限り願いたい、これは希望です。一ケ月待つといつたら又ズレるじやないかという御心配が起つて来るが、これは当然です。併し国民も国会で決められただけの額の税金は納めなければならんということは、皆これは承知しておりますが、ただ課税する場合に当つて非常に更正決定なるものの内容が合理的に、科学的にすべてができておるとは言い難いのであります。そういう点の調査の期間だけでも御猶予願いたい、そういうような一つ措置をおとり願いたい。こういうことを重ねて希望申上げて置きます。
#115
○説明員(高橋衛君) どうも一月一杯というふうな含みを持つてやるということはこの際むしろ否定をさして頂きたいのでございますが、それから強制徴收をいたします場合におきましても、審査の請求等があつていろいろ紛争になつている程度の金額につきましては、税務所側の調査が相当自信があるものでなければ最後の処分であるところの競売処分はなさないようにということを厳重に言つておりますから、そのような点は何とかして皆さんの実状に副うように、又そう無理な悲惨なことが起らないようにということは常常注意いたしております。御了承願いたいと思います。
#116
○理事(玉置吉之丞君) 如何ですか、大体御陳情の趣旨に基いて今回税庁の長官からも縷々お話がありましたし、又宮幡政務次官からもいろいろと御懇切なお話があつたのですが、これで私共は、まあこの次の問題として青票の申告ということに大いに期待を持つておるものですが、ただ勤労所得税はぎりぎり取れてよろしいが、又農村所得も比較的把握できておるようだが、個人事業所得ということについては非常な悩みがあり、宮幡君御指摘の通りこの生活費という問題に絡んで相当難色があるから、我々立法府に参加しておる者は大いにこの税制改革について、この問題については考えなきやならん問題であると思いますが、尚国税庁におきまして個人の事業所得ということについての今日までのにがい経験を土台にして而してシヤウプ勧告に基く青色申告、あれはまああの線でどうしても押進めなきやいかんと思うが、それに加え実際宮幡君のお話の通りの勤労所得者年額二十万円所得と、そうして個人事業の二十万円とそこに多少の差があるという、いろんなことは理論的に研究したら分るでありましようが、こういうことにおいてよく何かこういう悩みを再び繰返すことのないように、絶無とはできないか知れんが、何とかこれを緩和し、少くするということについて一つ国税庁長官からも個人事業所得については特に御留意願つて直ちに考えて頂きたいと、この際我々から特に希望して置きます。それから何か御発言ありますか。
#117
○参考人(川島健吉君) 高橋国税庁長官にお伺いしたいのでございますが、先程も申上げました通り、私共中小商工業者は確かに或いは税法の面から行きましてどのくらいの所得があつたから又当然これは拂うべき税金の額であるかも知れませんが、現在のような経済情勢の下において食つてしまつて担税力がないということが沢山あるのだと思います。私共が本日ここに伺つておりますのも、大体におきまして先程申上げた通り税法の不備、殊にこの基礎控除の少い点、そういう点が絡み合つて現在まあ非常に納税困難になつておるわけでございますが、そういう点につきまして高橋国税庁長官はどういうふうにお考えになつておるか。我々中小商工業者が今後やつて行けないという点についてどういうふうに御留意願つておるか、一つお聽かせ頂きたいと思うのでございます。
#118
○説明員(高橋衛君) 先程勤労所得とそれから事業所得との負担の均衡がとれていないというお話でございましたが、それはシヤウプ勧告の線に副いまして、今度の新らしい案におきましては勤労所得を一五%にいたしました。今まで二五%でありましたので、そういうことによりまして相当にその差が少くなります。従つて今回の税制の改正によりまして、一番大きな負担の軽減になるのは事業所得であります。只今のお話の所得はあつたけれども使い込んでしまつてどうにもならんという問題につきましては、税の執行に当ります私共といたしましては何とも方法のつけようがございません。これは御承知かと思いますが国税庁ができましたのは今年の六月でありますが、司令部の指令に基きましてできた官庁でありますが、そのできました趣旨はもと主税局で以て税法の改正と税法の執行と双方とも主管しておつたのでありますが、税法の改正というものは非常に政治的な性格を持つております。それぞれ業種により、又は職業により又は地域によりいろいろ税法の決め方によりまして負担の不公平ができる。従つてこの税法の改正ということは勿論大きな政治問題になるのでありますが、税法の実施という面はこれはどこまでも機械的に税法の命ずる通りに、税法の精神の通りに執行する、どこまでも私共としては所得の実態を把握し、それを執行して行くという外には途がないのであります。従つて現在所得があるといろ実態が掴める以上、その人に対して相当するところの課税をせざるを得ないのであります。又代執行処分等の法規におきましても確実に無資力になつたということがはつきりするまではその税の徴收をしなければならんところの税務官吏は責任を持つておるのであります。これは税務官吏に対する絶対に免除されていないところのものでありまして、若しもそれを怠れば必ず会計検査院から指摘を受けて、その官吏は不当の処分をしておるということで責任を追及される立場にあるのであります。従つてこういう問題につきましては、一方において立法措置を以て何らかの方策を講じなければならん。又はここに通商産業省の方々がおられますが、それらの面で、資金的な面で、又はその他いろいろな方面で以て御処置を煩うというより外に方法がないかと考えております。
#119
○参考人(川島健吉君) 今高橋国税庁長官のお話で、税法の命ずるところにより執行するというお話でありますが、実際申しますと、税法通りにやつていないところの税務署が多いのじやないかと思います。例えば必要経費を認めるということになつておりましても、その必要経費を一小部分しか認めないところに所得の完全な捕捉ということが科学的になされておらんのじやないかと思います。まあ簡単に申しますと、そういうようなことによつてこの税金の問題、税金が高過ぎるという問題が起つて来るのだと思います。親切に所得というものはこの利益の中から更にこれこれの必要経費を完全に引いた亀のが税金の対象になる所得だということをやつて下さればよいのでありますが、実際におきましてはそういうことをやつておらないというところに今の税金の重い一面があるのであります。そういう点を一つお考え願いたいと思います。
#120
○理事(玉置吉之丞君) この程度で大体終つたと思いますから、散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#121
○理事(玉置吉之丞君) それでは本日はこれを以て散会いたします。
   午後五時二十八分散会
 出席者は左の通り
   理事
           玉置吉之丞君
           島   清君
   委員
           栗山 良夫君
           下條 恭兵君
           小杉 繁安君
           境野 清雄君
           阿竹齋次郎君
           鎌田 逸郎君
           宇都宮 登君
           宿谷 榮一君
           結城 安次君
           兼岩 傳一君
           駒井 藤平君
  委員外議員
           田村 文吉君
  政府委員
   通商産業政務次
   官       宮幡  靖君
   通商産業事務官
   (資源庁電力局
   長)      武内 征平君
  説明員
   国税庁長官   高橋  衛君
   経済安定事務官
   (動力局電力課
   長)      澤田  達君
   通商産業事務官
   (通商雑貨局紙
   業課長)    武内 謙二君
   通商産業事務官
   (資源庁電力局
   需給調整課勤
   務)      有馬 駿二君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       林  誠一君
  参考人
   紙パルプ連合会
   電力委員長   関  義城君
   東京古書籍小売
   商業組合常任理
   事       河野貞三郎君
   納税準備貯金組
   合員      佐藤 卯吉君
   写真撮影業   川島 健吉君
   東京写真材料商
   組合員     野村 由二君
   東京商工団体協
   議会員     田村東洋彦君
   工業品雑貨商  海老根重雄君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト