くにさくロゴ
1981/10/23 第95回国会 参議院 参議院会議録情報 第095回国会 決算委員会 第2号
姉妹サイト
 
1981/10/23 第95回国会 参議院

参議院会議録情報 第095回国会 決算委員会 第2号

#1
第095回国会 決算委員会 第2号
昭和五十六年十月二十三日(金曜日)
   午後零時三十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月二十一日
    辞任         補欠選任
     山中 郁子君     安武 洋子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         和田 静夫君
    理 事
                井上  孝君
                亀井 久興君
                高橋 圭三君
                佐藤 三吾君
                峯山 昭範君
    委 員
               大河原太一郎君
                河本嘉久蔵君
                塚田十一郎君
                仲川 幸男君
                成相 善十君
                福岡日出麿君
                福田 宏一君
                円山 雅也君
                森山 眞弓君
                穐山  篤君
                粕谷 照美君
                丸谷 金保君
                鶴岡  洋君
                安武 洋子君
                柄谷 道一君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君
        ―――――
       会計検査院長   大村 筆雄君
        ―――――
   政府委員
       内閣法制局第一
       部長       味村  治君
       宮内庁次長    山本  悟君
       皇室経済主管   宮尾  盤君
       大蔵大臣官房審
       議官       矢澤富太郎君
       大蔵大臣官房審
       議官       水野  勝君
       大蔵大臣官房審
       議官       吉田 正輝君
       大蔵省主計局次
       長        宍倉 宗夫君
       大蔵省理財局長  吉本  宏君
       大蔵省銀行局長  宮本 保孝君
       国税庁直税部長  吉田 哲朗君
       国税庁間税部長  篠原 忠良君
       国税庁調査査察
       部長       岸田 俊輔君
       農林水産省構造
       改善局長     森実 孝郎君
       資源エネルギー
       庁長官      小松 国男君
   事務局側
       事 務 総 長  前川  清君
       常任委員会専門
       員        丸山 利雄君
   裁判官弾劾裁判所事務局側
       事 務 局 長  西村 健一君
   裁判官訴追委員会事務局側
       事 務 局 長  青山  達君
   国立国会図書館側
       館     長  植木 正張君
   説明員
       公正取引委員会
       事務局取引部景
       品表示指導課長  波光  巖君
       中小企業庁長官
       官房総務課長   宇田川治宣君
       中小企業庁長官
       官房調査課長   稲川 泰弘君
       中小企業庁小規
       模企業部小規模
       企業政策課長   藤沢  修君
       会計検査院事務
       総局次長     肥後 昭一君
       会計検査院事務
       総局第一局長   佐藤 雅信君
       日本専売公社総
       裁        泉 美之松君
   参考人
       国民金融公庫総
       裁        大倉 真隆君
       日本開発銀行総
       裁        吉瀬 維哉君
       日本輸出入銀行
       総裁       竹内 道雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算、昭和五
 十三年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十三年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和五十三
 年度政府関係機関決算書(第九十一回国会内閣
 提出)(継続案件)
○昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第九十一回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和五十三年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第九十一回国会内閣提出)(継続案件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(和田静夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 まず委員の異動について御報告いたします。
 十月二十一日、山中郁子君が委員を辞任され、その補欠として安武洋子君が選任されました。
#3
○委員長(和田静夫君) 次に、昭和五十三年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、皇室費、国会、会計検査院、大蔵省、日本専売公社、国民金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行の決算について審査を行います。
#4
○委員長(和田静夫君) この際、お諮りいたします。
 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(和田静夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#6
○委員長(和田静夫君) 質疑通告のない植木国立国会図書館長、青山裁判官訴追委員会事務局長、西村裁判官弾劾裁判所事務局長、泉日本専売公社総裁、大倉国民金融公庫総裁、吉瀬日本開発銀行総裁及び竹内日本輸出入銀行総裁は退席していただいて結構です。
 なお、前川参議院事務総長は後刻再び出席していただくこととし、一時退席していただいて結構です。
 それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○佐藤三吾君 まず皇室の問題でお聞きしておきたいと思うんですが、五十四年の決算だと思いますが、私は、外国元首から皇室にいただく贈答品、それから天皇初め皇室が外国に行った際に贈る同種の問題を取り上げたんでありますが、それは当時御承知のとおりに、アメリカのニクソン大統領の失脚事件がございまして、その際にも外国元首の贈答の問題が国民の批判を受けておりました。日本の場合もこういった問題についてはやはり明らかにした方がいいんじゃないか、こういう観点で国会で質問したんでありますが、その後イギリスの皇太子の結婚の例がございまして、チャールズ皇太子の結婚式に、各国の元首からいただいた贈答品を、その結婚式終了後に国民に公開して、まあ共有の財産というんですか、そういう所要の措置をとったというのが新閥で報道されております。したがって、この問題についてそれ以後どう処理をしておるのか、まずその問題について宮内庁にお聞きしたいと思います。
#8
○政府委員(山本悟君) 五十四年にこの問題につきまして先生から御質問のあったことをよく覚えているわけでございますが、当時も御説明申し上げましたように、外国御訪問の際、あるいは外国の元首等が来訪をいたしました際に、皇室の方々がお受けになった品物につきましては、その都度どういう物の贈答があったと、こちらからどういう物を差し上げ、向こうからどういう物をいただいたかというようなことは、新聞等におきましても品名、こういう物というようなことを公表をいたしているところでございます。これらの贈り物は国際儀礼にかかわるものでもございますし、贈ってくれた相手方の感じ方といったようないろいろなこともございます。また、その品物そのものは相当に個人的な色彩の強い、こういう方だからこういう物を贈ってくるというような感じの物がいただく方についてはずいぶんございます。そういったようないろいろな事情がございますところから、一部の物を除きまして、ある期間はお身の回りに置いておりますが、その後宮内庁の侍従職なり、あるいは東宮職なりにおきまして厳重に保管をしておる、こういう状況だという御説明を申し上げたところだと存じます。その状況というのは、基本的には変わっていないわけでございまして、その後たとえば先ほどお触れになりましたように、イギリスのチャールズ皇太子の御成婚の際には、各国からの贈答品が公開されたと私も聞いております。約二ヵ月ぐらいの間にわたりまして、恐らく向こうの離宮に相当する宮殿だろうと思いますが、そういうところで並べて一般公開した。これは何か入場料を取りまして、その入場料の上がりは寄付するんだというようなことも新聞等において聞いているところでございますが、そういうようなことが、そういった御成婚というような機会に行われたと、こういうようなことは聞いております。
 その他の国のことにつきまして、私ども直接ではございませんが、いろいろお調べになったところでは、宮殿なり、あるいは大統領府なりといったような建物の中で飾るとか、そういったようなことが行われているところは聞いているわけでございますが、一般的に常に公開というようなことは、普通の国でも余りないんじゃないかというように存じております。そういったような点いろいろ考え合わせてまいりますと、何かの機会というようなときに、そういったものをどう扱うかということは、研究を大いに要する問題じゃないかというように存じておりますが、いま直ちにこれを一般に公開するというところまでは機が熟してないというような感じを持っているところでございます。
 いずれにいたしましても、外国から国際儀礼上贈られた物につきましては、外部にそれが散逸するというようなことのないように、宮内庁の侍従職並びに東宮職におきまして、厳重に保管をいたしている、かような状況でございます。
#9
○佐藤三吾君 私は、一体天皇や皇太子などが各国の元首に贈答品を贈る際に、どこから出されておるのかということで、その後調べてまいりますと、宮廷費の中から贈答品の場合出していますね。内廷費は天皇、皇太子個人の私費かもしれません。しかし、恐らく各国の場合でも私はそうだと思うんですね。宮廷費となりますとこれは公費です。そうすれば、やっぱりイギリスのチャールズ皇太子のように、皇室の結婚式であろうが、公費の問題ですから、これはやっぱり国民の共有の財産として、一緒に喜びをかみしめる、こういう姿が私は自然じゃないかと思うんです。そういう観点で、天皇の場合でもやはり公費で贈答品を贈っておるということは、逆に言えばもらっておる、贈答を受けている場合もやっぱり公費という判断が正しいとするならば、やっぱり国民の共有の財産として公開して、そして国民とともにそれを喜びを分から合う、こういう姿勢であってほしい、そういうように思うんですが、そこら辺はひとつ宮内庁の中でそういうふうに判断できないのかどうか。どういう価値があるから厳重に保管するのかわかりませんが、ぼくはやっぱりそこら辺は素直に憲法に沿った天皇のあり方と含めて考えてみたらどうだろう、こう思うんですが、いかがですか。
#10
○政府委員(山本悟君) 一つのお考えであることは十分に承知をいたしているわけでございますが、厳重に保管していると申しますのは、要するに散逸をしてしまうというようなことのないようにという意味で厳重にと、こう申し上げたところでございまして、何らかの機会にそういうようなことが考えられぬのかどうかということは、私どもとしてもいろいろ研究しなきゃならぬという気持ちは持っているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、チャールズ皇太子という場合にもそういう機会をとらえていらっしゃるというようなこともやはり一つの研究課題であろうというようにも存ずるわけでございます。常にということはいささかしにくい。しかし、どういうものが贈答されたかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、いまの日本でございますから、マスコミを通じましてそれは公表いたしているというようなことでございまして、どういう物をどなたからいただいたかということは、これは明らかに国民の方々にもお知らせを申し上げているというようなことでやっているわけでございます。
#11
○佐藤三吾君 ぜひそういう意味で、新憲法のもとにおける天皇のあり方と含めて、そういう国民の共有の財産としての受け取り方をできるような、所要の措置をひとつこの機会に検討していただきたいと思いますのは、たとえば天皇だけじゃなくて、総理大臣以下各閣僚の場合でもそうですし、衆参両院議長の場合でもそうですし、公式に各国を訪問する場合、もしくは各国と交流する場合に、やっぱり公費でもってみやげを持っていくというのが通例の場合もあるようですし、そういう場合にはやっぱりこれは国民の共有の財産だという、逆の意味で贈答の場合でも、そういったあり方が、私はある意味で、アメリカみたいに百ドル以上は全部申告しなきゃならぬのだという、そういう制度をわが国の場合にはまだ敷いていない。各国の政界のいろんな癒着の問題、たとえば、イランのパーレビ国王がキッシンジャーにダイヤのあれを贈ったと、こういうことが失脚後に問題になりましたように、そういうことをひとつ先例的に示していく、こういう意味でも私は大事だと思いますので、その点ひとつぜひ検討してもらいたい、こういうふうに思っております。
 次に聞きたいのは、皇室予算についてでございますが、私の手元の決算を見ますと、どうもわからないのは、科目の流用の問題ですが、四十九年度以降すっと五十四年度までを調べてみますと、各所修繕費というのが、五十二年度を除いて毎年、たとえば四十九年度に二千二百一万円ですか、これが落ちまして、そしてそれが四十九年度は報償費ですか、そこに千六百五十五万とか、外国旅費に五百四十五万とかいうことで流用なさっている。これは四十九年度だけかと見ると、そうじゃなくて、五十年度が百七十万、それから五十一年度が二千二百四十五万、五十二年度はないようですが、五十三年度になると千五万ですか、それから五十四年度が四千三百二十七万、これが落とされて、他の費目にそれぞれ流用されていっておる。恐らく私は宮内庁にも予備費があると思うんですね。ですから、予備費は予算を組むときに、他に予測できがたい問題についての所要の措置ができるように予備費というのは計上されておると思うんですが、こういう科目流用をやっておるということは一体どういうことなのか。たとえば各所修繕という費目の、これは四十九年度に八億八千四十六万ですか、この予算計上をしておるのは何も当てっぽうに計上したんじゃなかろうと思う、ちゃんとこれには基礎があると思う。そうすると、その二千二百万を年度途中で削った分が、結果的にはその年度は先送りになるか、実現できてないか、何かの所要の措置をとられておると思うんですね。これが毎年毎年こういう措置がとられるということになると、この予算そのものを国会で審議をしてみたって、余り意味がない結果になる、そういうような感じがするので、この点は一体いかなる理由でこういう方法をとっておるのか、会計規則上云々と言うんじゃないんです。予算常識から言っておかしいと思うので、中身があれば聞かしていただきたいと思うんです。
#12
○政府委員(山本悟君) 御指摘の点、確かに宮廷費の中で目の流用ということがある程度行われていることは御指摘のとおりでございます。ただいまお示しになりました報償費の関係でございますが、宮廷費の中の目の報償費、この大部分は皇族の外国御訪問、あるいは国・公賓の接遇等の国際親善関係のための贈品とか、贈答、接待費とか、支度料とか、こういったようなものが主たる内容をなしているわけでございます。したがいまして、これらの内容の性格から申し上げまして、実を言いますと、予算編成の際に翌年一年度間を完全に見通しまして、どれだけのものを組むということは、事実上からいきましても非常にむずかしい点がございますので、具体的にいまどこからだれが何人来られる、あるいはどこにだれがいつ行かれるということが決まっているわけではございませんので、過去の実績等をもとにいたしまして、一応の見込みによりまして計上されるというのが通例になっているわけでございます。したがいまして、予算の実行に当たりましては、具体に外国の国賓がいつ来られる、公費が何件来られるというようなことがだんだん決まってまいりましても、多少の誤差というものは避けられない実情にございます。このために、従来からこの目でございます報償費に不足が生じました場合には、同じ項でございます宮廷費の枠内で処理が可能な場合には流用により、不足額が多額に上りまして枠内での処理がどうしてもできないという場合には予備費の使用を決めていただく、こういうようなかっこうで処理をいたしてきているわけでございます。ただいま法令上のことを聞くわけではないとおっしゃいましたが、日間の流用でございますので、予算の弾力的な執行等の観点から、財政法上認められていることは御案内のとおりでございまして、財政法第三十三条第二項の規定に基づきまして、大蔵大臣の承認を得て行っているところなわけでございます。
 こういうような次第でございますので、この外国関係の諸行事というのは、いささか予算のときにはやはり過去の実績等の一定水準というもので組まざるを得ない、その点が一点でございます。
 それからもう一つ、それじゃ修繕費の方は一体どうなんだ、こういうことが御疑問になるわけでございますが、修繕費、これは皇室財産全体の関係でございますから、ただいま四十九年の金額約八億八千万、そのとおりでございますし、現在で申しますと約十億強ぐらいの金額がこの各所修繕費というものであるわけでございます。これは非常に何千万というオーダーの大きな工事から、非常に小さな工事まで非常に雑多であるわけでございまして、そのときどきに応じましてある程度の計画をつくり、その優先順位をとりまして執行いたしているわけでございますが、この約十億の中で申し上げますと、やはりその年度でぜひともしなきゃならないもの、多少他に優先順位を譲ってもやむを得ないもの、いろいろなランクがあるわけでございますので、そういったようなものを常に配慮しながら、この程度のものは財政法上認められた流用でやむを得ない、しかし、それを超してしまうような大きなものは、やはりこれは予備費の使用をお願いしなきゃならない、こういうような二段構えでいたしているような関係がございますので、ただいま御指摘のような点になるわけで、なるべくは流用というものを避けてまいりたい、これは当然のことでございますけれども、具体の予算の執行としましては、ある程度のものはやむを得ないんじゃないかというように存じておるところでございます。
#13
○佐藤三吾君 常識的に考えれば、各所修繕費というのは、その年度に予算計上する際には、どうしても当年度でやらなきゃならないものについてのみ計上するはずなんですよ。大蔵省が財政危機だと言っているけれども、皇室関係については別だと、ふんだんに使いなさいと、こういうことなら後でまた大臣に聞きますが、修繕費というのは私はそういう性格のものだと思う。だから、そういう意味では私は問題が一つあるのと、たとえばこれを見ておかしいと思いますのは、四十九年度は、三笠宮がエジプト・アラブ共和国訪問に伴い必要経費として一方を削除して回したと、こうなっているんですね。それから今度は五十三年度を見ると、皇太子、皇太子妃のブラジル連邦共和国及びパラグアイ共和国訪問のため報償費、外国旅費、各所修繕費から流用と、こうなっている。一方、天皇、皇后のアメリカ合衆国訪問のために予備費を使用と、こうなっている、これは五十年度です。それから五十一年度は天皇在位五十周年記念行事のため予備独を使用と、こうなっている。天皇の場合には予備費を使用して、皇太子の場合には流用すると、こういう仕組みになっているわけですよ。きわめて私はいいかげんな流用をやっているような感じを受けるんですよ。外国訪問を皇室がする場合には、少なくとも予測はできますよね。予算編成のときにできるはずですよ。仮にできなければ、予測しがたいために計上しておるこの予備費の中から出すのがこれは順当であって、限られた予算の中で、そして修繕費というものの、今年度中にやらなきゃならぬということで積算して計上した中から削って持っていったりするということは、ぼくは常識じゃないと思う。そういう意味で疑問に思うから提起しておるわけですから、ここら辺の流用についてはもう少し私は慎重にすべきじゃないか、そう思うんですが、いかがですか。
#14
○政府委員(山本悟君) 御指摘ごもっともな点が多々あるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、予算の積算といたしましては、天皇また皇太子の外国御旅行は年一回ぐらいあるだろう、それから皇族も一回ぐらいあるだろう、あるいは国賓は何回、公賓の方は何回ぐらい来られるだろうと、こういう想定で予算積算をいたしているわけでございまして、それが国際親善費の基礎になっているわけでございます。したがって、たとえば予算編成されます前年の十二月、十一月、あるいは予算要求をいたします八月というような時期に、明年度皇族が何人外国に行くだろう、あるいは皇太子がどこに行くだろう、あるいは両陛下が行かれるか行かれないかということは、これははっきり申し上げまして、全く決まっていないというふうに申し上げざるを得ないわけです。したがって、積算といたしましては先ほど申し上げましたようなかっこうでの見込みによりまして、一応のものを計上をいたし、それによってなるべく賄う。しかし、両陛下がいらっしゃるというような大事業になりますと、それではとてもということになりますものですから、ただいま申し上げましたような予備費というようなこともお願い申し上げるというようなことでございまして、年度の初めから公・国賓その他がずっと来る、あるいは皇族も外国に行くというようなのをずっとやってまいりまして、最後になってどうしても足らなくなったときに、ある程度その時点におきまして、これは御指摘があったわけでございまして、必ずしもいいことではございませんけれども、翌年に事業を少し繰り延べて、やむを得ないもので回し得るものがあれば回すと。それでもどうしても足らないというときには予備費をお願いせざるを得ないと、こういうような段階を経てやっているのが実情でございまして、なるべくこういうかっこうじゃなくて、それはそれぞれで済むようにという御指摘はそのとおりだと思うんでございまして、その努力はしないといけないとは存じますが、予算の立て方といたしまして、ある程度のものはやむを得ない場合があり得る。先ほどおっしゃいましたように、確かに修繕費というのも、やみくもに要らないものを計上さしてもらっているわけじゃございませんわけですから、そうなりますと、その分だけずれずれになっていくという御指摘そのとおりでございまして、そういうことをなるべく避けたいということは当然でございます。そういう努力をしてまいりたいと存じますが、過去のものにつきましてそういうことが、予算の組み方、執行の仕方、そういうもので法令上許されておるものをやってまいったということでございます。
#15
○佐藤三吾君 おたくにしてみれば予備費を使うと大蔵省がなかなかやかましいということで、こういう逃げ方をするんだろうと思うんですがね。やっぱりそれぞれ積算して予算は計上しておるわけですからね。そこら辺は何でもかんでも目については流用できるんだからということでするということは、予算会計上私は正しくないと思う。それなら当初国会で審議するこの予算というそのものがおかしくなってくると思うんで、そこら辺はひとつ厳に今後は留意していただいて、そうして、もしたとえば皇太子が突然外国に行かなきゃならないと、こういう場合には、当然これは予備費の中から、天皇、皇后の場合は予備費から出ておるわけですから、そういう所要の措置を止るというのが順当だと思うんで、そこら辺はひとつぜひ留意していただいて、慎重な執行をお願いしておきたいと思います。この問題時間がございませんから、この程度にとどめておきます。
 そこで次の問題で、せっかく検査院長もおいでになっておりますから聞いておきたいと思いますが、会計検査院の院法の改正の問題ですね。これはもう九十四国会でも警告決議されてその後努力をいただいておると思うんですが、内閣との調整が一体どうなってきておるのか。本来なら官房長官がきょう来てもらうとなおよかったんですが、あなたからお聞きしておきたいと思うんです。
 御承知のとおりに、ロッキード事件の再発防止、こういう観点から取り上げられた問題で、総理裁判の方は順調に進行していっておるのに、再発防止の一環として取り上げられたこの院法改正問題が、衆参両院であれだけ決議を毎年毎年やりながら、しかもこの福田、大平、鈴木三代の総理が努力を約束しながらできないということについては、私はもう非常識の段階に来ておるんじゃないかと思うんで、院長、警告決議を含めてどういうふうな経過になったのか、まず聞かしていただきたいと思うんです。
#16
○会計検査院長(大村筆雄君) 五十二年以来衆参両院におかれまして何回も会計検査院の権限拡大、機能の充実強化等につきまして御決議をいただき、当時の内閣総理大臣より、会計検査院より検討の上意見を求めることを期待するという御趣旨の御答弁を受けまして、五十二年、検査院法の改正案の検討にかかりまして、その結果、両院の御決議に沿った、かつまた政府関係各省の御意見も勘案し、法的にも検討の上、最善の案と信ずるものを五十四年五月、内閣に提出いたしたのであります。その後内閣におかれまして種々御検討いただかれたものと存じまするが、最近までの官房長官の御意見によりますと、会計検査院の考えるどころと、関係各省との考えの間に大きな隔たりがあって、調整がなかなか困難でありますという趣旨の御答弁をなさっておいでであります。したがいまして、院法改正案そのものにつきましては、その後事態の進展を見ていないというのが実態でございますが、最近内閣におかれまして、政府関係金融機関を監督いたしております関係各省庁に対しまして、会計検査院の肩越し検査に協力するように慫慂するようにとの御通知をなさっていらっしゃるようでございます。
 肩越し検査につきましては、かねて申し上げておりますように、政府関係金融機関に対しましてはもちろんこれは検査権限はございますが、その貸付先に対しましては現在の会計検査院法では検査権限はございませんので、当該金融機関が貸付先に対して持っております調査権限の上に乗っかる形で、いわゆる肩越し検査と称しておりますが、そういう検査を必要に応じてやっております。その結果、不当な事項がございますと、毎年検査報告に掲記して、御報告しておるところでございますが、何分にも肩越し検査と申しますのは、当該政府関係金融機関の協力を前提といたしております関係で、ごく一部の政府関係金融機関におかれましては、そういう法的権限のない肩越し検査というものに対しては協力いたしかねるということで、十分な検査協力をいただいていないのでありますが、今回の内閣側の監督官庁を通じての慫慂によりまして、そういう従来肩越し検査を御協力いただいてなかった一部の政府関係金融機関において御協力いただけますれば、従来に比べまして事態は一歩前進したことになるかと存じます。しかし、肩越し検査はあくまでも当該政府関係金融機関の協力を前提といたしております関係上、自主的検査の徹底という点から考えますと、必ずしも十分な検査が行い得ない場合もあるかと存じます。しかしながら、いままで協力を拒否されていた政府関係金融機関が、内閣側のそういう御連絡によりまして、今後協力していただけるかどうか、それは今後の問題でございますが、協力していただけるといたしますと、事態は一歩前進したことになろうかと存じます。
#17
○佐藤三吾君 肩越し検査の問題について、これは前に理事会で各省庁呼んでいろいろ議論したことがあるんですが、そういう中で一歩前進という評価がございますが、しかし、そのことと院法の改正の趣旨というのは基本的に違うわけであって、そこら辺はひとつ明確にせなきゃいかぬと思うんですよ。ですから、これはそのことによってもう院法の趣旨が生かされるんだという発想は私はあり得ないと、そういうふうに思うんで、その点はひとつ院長確認しておきたいと思うんです。よろしいですね。
#18
○会計検査院長(大村筆雄君) 先ほども御答弁の中で申し上げましたように、肩越し検査と申しますのは、当該政府関係金融機関の協力を前提としての検査でございますから、肩越し検査につきまして、おのずから検査の限度というものがあり得るわけでございます、事実問題として。したがいまして、自主的な検査を徹底してやろうということになりますると、やはり調査権限が必要になってくると、そういう違いは確かにあるわけでございます。
#19
○佐藤三吾君 ぜひそういう観点でさらにひとつ努力してほしいと思います。
 そこで、ちょうど大蔵大臣も来ていますが、この問題で内閣調整が一番壁になっておるのは、先般の理事会で、竹下大蔵大臣のときだったと思いますが、やった経緯の中で、どうもやっぱり大蔵省が一番がんになっておる。これは大蔵省の理由も聞きましたが、たとえば、商工会議所であるとか、農業団体であるとか、そういうところから検査体制ができてないので困る、また会計検査院が入ってくると何か借りづらい点が出てくるとか、いろいろございました。しかし私どもが各地の商工会議所もしくは商店その他や農業団体等に聞いてみますと、いやそんなことはないと、農林省に聞いてみますと、事実上肩越し検査を農林省の方は全部拒否することなく受けておると、こういうことで、どうもそれはやっぱり輸出入銀行、こういうところについての大企業に原因がある。こういうふうに私どもは当時その理由を突き詰めたことがあるんでありますが、これはやはりそこからロッキード事件やダグラス・グラマン事件等も起こっておる経緯もあるわけだから、ですから衆参両院で与野党含めて決議をしたという経緯もあるわけだから、これは大蔵大臣ひとつ、あなたはなかなかそこら辺はすっきりする方だから、ここら辺はひとつ院法改正については説得をして、そうしてむしろ大蔵省が進んで受けると、こういう立場を私は堅持してもらいたいと思うんですが、いかがですか。できればそういうことで次期通常国会に出されると、こういうひとつ努力をお願いしたいと思うんですが、どうですか。
#20
○国務大臣(渡辺美智雄君) まあこういう時期でもございまして、余りこの検査機構その他が過大になるということはいかがなものか。ことに開銀とか、それから国民公庫にしても、農林中金にしても、どこか一つの銀行だけというわけになかなかいかない。やるとすれば全部同じようなことにすると、そうすると借りる方はそういうことについては喜ばない。これも事実なんです。中小企業者も喜ばない。農民もいやがっている。そんなめんどうくさいなら要らないというふうなことにもなる。したがって、何か問題があるというようなものについて、いま会計検査院からお話があったように、そういう問題がどうも考えられるというものについては、制度としてでなく、いわゆる協力によって肩越し検査をやってもらうと、そういうようなことでやることの方が、全体騒がして結局反対されるよりも、問題は全部に問題があるわけじゃありませんから、どこかそういうところだけを肩越し検査ができるように協力していくということの方がいいんじゃないかというふうに私は考えております。
#21
○佐藤三吾君 あなたのところ時間があればこれも議論したいと思うんですが、たとえば国際脱税が急増して手をやいておられる、多国籍企業的なものには、ほとんど政府の、たとえば海外漁業協力財団であるとか、輸出入銀行であるとか、そういうところから金が出ておる、政府資金の融資を受けておる企業が多い。そういったところが脱税や腐敗や癒着、こういうものを引き起こしていることも承知なんですから、ですから、そういう観点でもこの際ひとつ、いまあなたがおっしゃったような論理じゃなくて、院法改正を通じて検査院にも協力をしてもらう、こういう姿勢にはなれませんか。
#22
○政府委員(宮本保孝君) 先生御指摘の点、もっともな点も多々あるわけでございますけれども、私どもといたしましては、法律の改正によりまして権限を与えてしまうという点につきまして非常に疑問視しているわけでございまして、検査の実を発揮さしていくという点につきましては、私どもも十分御協力申し上げるということで、輸・開銀その他政府関係金融機関といたしましても、肩越し検査等に対します協力につきましては十分指導いたしているわけでございまして、とりあえずそういう方向で運営の実を期してまいりたい、こう思っておるわけでございます。
#23
○佐藤三吾君 いまあなたの答えを聞くと、いままでは協力していなかったのかということになるわけだ。この院法改正問題が提起されて、そうして国会で議論をされて、予算委員会で何回ですか答弁をいただいた。そのときは協力していなかったということになるわけです、いまのあなたの論理から言えば。しかし、そういうものではなくて、やはり政府機関の融資先の企業まで金の流れを追っていかなければ、ダグラス・グラマン事件が起こったり、ロッキード事件が起こったりするという、そういうことが、当時この議論の発端になった出発点なんだから、そのことを福田さんも認めて早急に検討しましょうと、大平さんは再発防止の一環としてこれを取り上げたわけだから、ですから、それが鈴木さんになってきたら、それで十分協力できると、こういう論理にどう説明したらなるんですか。なるはずがないじゃないですか。ですから、そういうような議論ではなくて、なぜそれが院法改正、ごく内容的には、私は、非常に検査院も部内討議のときに意見を徴したのだと思いますよ、そこら辺を十分配慮した、私どもから見ると、むしろもっとやっぱり積極的にやるべきじゃないかという部分を落としてつくり上げた院法改正案が、五十四年以来内閣でたなざらしに遭って国会に出てこない。このことの責任をもっと私は痛感しなければいかぬのじゃないかと思うんです。そうしなければ、ロッキード裁判が終わっても、再発防止対策ができないわけですから、次々にまた事件が続発してくると思うんです。そういう点はひとつ、あなたの意見ということはずいぶん聞きましたが、そんなことでは通用しないということを前提として、この院法改正が取り上げられておるわけですから、そこら辺は院長においても決意を持って私はやってほしいということを、きょうはもうこれ以上追及しませんが、指摘しておきたいと思います。
 それから次に移りますが、大臣、郵貯懇の答申の問題をめぐって、金利一元化ですね、この問題で、あなたと郵政大臣、官房長官の三者が統一見解を出されたようでありますが、二十一日の日に郵政大臣にここでこの内容について尋ねましたところ、郵政大臣は、いや、いろいろ新聞等で書かれたけれども、三者の結論は一元化については従来どおりということで確認をしたんだ。したがって、いま郵貯三百万が限度になっております無税の定額貯金、これを五百万に拡大するとか、それからシルバー貯金一千万を新設するとか、郵貯から財投に回っておる資金の自主運用の問題とか、こういった問題については、年末までに大蔵省と話を詰めて実現するように努力したいと、こういうお話だったんですが、そういうふうに受けとめてよろしいんですか。
#24
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私の方といたしましては、三大臣が集まって協議をいたしました結果、十月の二日に閣議に報告いたしました。その内容は、「民間金融機関の預金金利が決定、変更される場合には、郵便貯金金利について、郵政、大蔵両省は十分な意思疎通を図り、整合性を重んじて機動的に対処する」と、こういうことにいたします。これによって、国民経済上の必要に応じて預貯金金利の改定が現在よりも円滑に行われ、金融政策の機動的運営が確保されるものになると、そういうように思っておりますから、いままでと全く同じだというようには考えておりません。
#25
○佐藤三吾君 どこがどう違うんですか。
#26
○国務大臣(渡辺美智雄君) 要するに三大臣において、郵政、大蔵両省は意思疎通を図って、整合性を重んじて機動的にやりましょうということに決まったわけですから、だから、いままでもそういう機動的にうまくやったこともあるし、あるいは時間がかかって、かなりおくれたこともございます。したがって、今度はおくれることがなくなると。うまく早く進んだこともありますから、そういうふうに早くできるようになるのでないかというように私は考えております。
#27
○佐藤三吾君 しかし、郵政大臣は、いままで大臣になって二回だったか、公定歩合の金利引き下げの問題は。私の大臣の就任当時は円滑にやっておりますと、しかしやれないときもあるでしょうと、その辺については従来どおりですと、こういうことですから、そう言えば、やっぱり従来どおりと、こう理解するのが正しいんじゃないですか。どっかこことここが違うという点があるなら言ってください。
#28
○政府委員(宮本保孝君) 確かに、郵政大臣が言われておりますように、今回の場合には法律の改正とか、制度の改正を伴わないということでございますので、その限りにおきましては、あるいはいままでと変わりないのかもしれませんけれども、運営におきまして、郵政大臣言われておりますのは、確かに同時に現在行われているじゃないか、自分の在職中二回か三回あったけれども、決しておかしなことはないんだというふうなことを言っておられるようでございますけれども、実はその前のいろいろな事前の折衝過程におきましても、かなりいろんな意見の食い違い等がございまして、なかなかスムーズに運ばなかったような面も多々あるわけでございまして、今回三大臣の合意で、ここに整合性を重んじて、かつ機動的にやるんだということが合意されたという点につきましては、いままでよりはずいぶん違ってまいる、一歩も二歩も前進ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#29
○佐藤三吾君 どうもよくわからぬけれどもね。その問題また聞く機会もあるでしょうが、そこで大臣、あなたは十月の十五日に地方銀行の大会に行って、郵貯問題は、ほうっておくと信用金庫、農協、信用組合、相互銀行の経営ががたがたになる、それから銀行は政治にいままで近寄ってないが、それでは事態は済まないのじゃないか、法律を通すためには国会、自民党の承認を得なきゃならない、理用でなくて数の世界だ、皆さんの言うとおりになる議員は何人おるのか、努力する者が勝つんだ、なかなかこの郵貯問題で勇ましい発言をしておるんですが、これは事実ですか。
#30
○国務大臣(渡辺美智雄君) そのようにとられるような発言をしたことは事実でございます。
#31
○佐藤三吾君 どういう意味ですか。
#32
○国務大臣(渡辺美智雄君) 一つは、この郵政の問題で、仮に郵政当局が各地区の郵便局で、非常にあっちこっち大変な署名運動を展開して、三百数十名の国会議員の署名をいただいて、それで運動をしておる。一方、民間金融機関は何もやってない。地方議会等においても、要するに金利一元化反対というような意味の決議が何百という市町村で行われている。片方、民間金融機関の方は、何にもする動きがないということになると、表面上から見れば金利一元化がいいんだ、やはり金融というものは一元的に運営されなければ、非常にぐあいのまずいことが起きると幾らわれわれが言ってみても、地方議会は別なことを決議をし、議員が三百人も別なことを賛成だということになるとすれば、それは大蔵大臣がこのことはいいんですよと言っても、これは通用しない。やはりあなた方の主張も正しいと思うんであるならば、そういうことをちゃんと他の人に知っていただいて、一人でも多くの理解者と協力者がいる方がいい、その方が現実の世界においては自分の主張が国会等で通るということになるんじゃありませんかと、ですから、そういうように自分の主張を正しく理解をして、賛成して動いてくれる国会議員なり、県会議員なり、市町村会議員なり、そういう者を獲得する努力があってしかるべきではないかということを申し上げた、そういう意味で申し上げたわけでございます。
#33
○佐藤三吾君 いまその結果を聞いてみると、制度は従来どおりで、郵政大臣は運営においても従来どおり、こういう結果に終わっておるわけですがね。
 何ですか。自民党の中はどうか知りませんよ。しかし、国会というところは理屈が通らぬところですか。言うなら、法案というのは理屈は通らぬで、数の力でぽんと行くところですか。そういう理解をあなたは持っておるんですか。
#34
○国務大臣(渡辺美智雄君) そういう意味ではございません。私の申し上げているのは、理屈を通すにしても、その理屈がいい理屈であることを多くの人に認めていただかなければだめなわけですから、少なくとも過半数以上の人にその理屈は正当な理屈だというように認めてもらう、そういう努力をする。理屈が通る、通らぬということは、理屈というのは自分の主張のことを私言っているわけですよ。自分の主張が通るためには、より多くたくさんの同調者があった方がいい、そういう意味でございます。
#35
○佐藤三吾君 それは、一連のあなたの発言の趣旨は事実と認めたんだけれども、これを見るとそういうふうにはとれませんよ。ぼくは、やっぱり一元化がいいか、現行の制度がいいのか、また、郵貯が悪で民が善なのか、そういった問題は国会は良識をもって議論すると思うんです。運動によって左右されないと思うんですよ、そういう問題は。それがやっぱり国会の正常なあり方じゃないですか。運動によって、理屈もヘチマもあったものじゃない、そういう国会というふうなイメージを、あなたはこの中で与えておるというふうに、私非常に不信でたえないんです。そうじゃないですか。私は、あなたのこの発言の中で、国会に対する国民に与える影響を含めて、きわめてやっぱり冒涜したものがあるんじゃないかと思う。もっとそこら辺は正しく国民に明らかにするのが国務大臣の私は義務だと思うんですよ。だから、そこら辺は私はもしこれが事実なら、きちっとこの場でひとつ訂正してもらって、そして、正常な金融機関のあり方を指導してもらいたい、そう思うんです。あなたもこの中でも言ってますよ。必要以上の大きな豪華な店舗を建てたり、それからパリかどこかのデザインの服を着せたり、そんなことをするよりも、もっと庶民に親しまれる銀行でなきゃならぬということもあなたは言っておる。そこなんですよ。いままでの銀行というのは、日本の場合には主として産業の方に重点を置いておって、ほとんど庶民金融については触れてない。むしろそこは高利のサラ金に金を貸して、あくどいもうけをやっておる、こういう事実がやっぱり私は庶民性等を含めて郵便貯金が伸びていったと思うんですよ。そういうことはいいにしても、こういうあなたが事実と認めた発言というのは不謹慎じゃないですか、いかがですか。
#36
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはとり方でございます。私といたしましては、本来地方議会も国会も議会は同じでございますから、一切の陳情、請願、デモ、そういうものは一切関係なく、議員だけがどんな圧力があろうと、どんな運動があろうと、一切そういうものは考慮されないで決められる、これも一つの私はりっぱな考え方でございますし、これはむしろ国会というところ、地方議会というところはそうありたい、私はむしろそれが理想かもしれないと思います。
 しかし、現実の問題として、たとえば数百という地方議会において、金利一元化反対の決議がどんどんされて送らさってくる。そういうような場合には、やはり金利一元化がいいのか、それとも反対なのか、ここらのことについて、必ずしも正しい理解の上でそういう決議がどんどん行われているかどうか、やはり問題があるんではないか。やはり片方だけの意見を聞いてもこれはまずいことでございますから、両方の意見を聞くことが必要だ、その点においては、他方だけが陳情、請願をしておって、民間金融機関の方が一切何もやらぬで手をこまぬいて見てだけいると、そういうことについて、私としては、自分たちの主張が国のためになると、また正しいと思うならば、やはり地方議会等にも出向いて、そうして自分たちの主張はこういう主張なんだと、それは入れてほしいということを陳情されるということも、民主政治においては許されることでございますから、私はそういうふうな努力も必要ではないのかという意味を申し上げたのでございます。そのいろいろな雰囲気とか、話の仕方とか、こういうふうな会議という国会の席ではございませんから、雑な言葉でわかりやすく言ったという点がいろいろ誤解を生んでいる点があろうかと存じますが、私の言わんとする趣旨は、そういう趣旨を申し上げたわけでございます。
#37
○佐藤三吾君 ぼくは、そういう大衆団体なり、地方銀行の皆さんが自主的に主張し、運動するということについてとやかく言っておるわけでない。大蔵大臣であるあなたがこういうところに行って、一元化問題というのは、何もあなたが言う一元化の方針が正しいとは限らない。むしろ庶民金融を守るという意味合いも含めて、郵政省の主張することも、ぼくはやっぱりこれは正しいと思っておるんです。ですから、そこら辺の問題は、運動のよしあしの問題でなくて、国会で議論できる性格のものですよ。それを事かけてあなたがこういう発言をするということについては、私はどうしても許されないと思う。だから、そこら辺は、ひとつ指導監督に当たるあなたの立場からいっても、国務大臣という立場からいっても、こういう不謹慎な発言はすべきじゃない、こういうふうに思うんで、そこら辺は時間があればまたしますが、時間がございませんので私から強く求めておきたいと思います。
 大蔵大臣なかなか答弁が長いものだから時間が来てしまいましたので、国会関係と脱税関係については時間切れでできませんので、また次回やることにします。
#38
○丸谷金保君 まず最初に、北炭夕張の事故に関連する問題について、大蔵大臣の所見を伺いたいんですが、それを伺う前に、エネルギー庁の方から先にひとつ御答弁をお願いいたしたいと思います。
 北炭の事故につきましては、これはもう戦後でも非常に大きな災害ということで、国の内外挙げて悲しみに包まれておるし、山に入りますと、その悲しみの空気の漂いというものは、はだでひたひたと感じるようなすさまじいものでございます。しかし、それにもかかわらず、昨日、炭坑の中に水を入れることを家族が承諾した。これはもう、生存確認されないまま水を入れるということに対し、承諾をした家族の気持ち、痛いほど私ども地元の者としてはわかるんです。それはなぜか。国のエネルギー政策の一端として、七次答申におきましても二千万トンという一つの旧標を掲げて、石炭産業全体が努力をし、その目玉の一つである北炭夕張新鉱であるだけに、早く火を消して、早く再開をしてもらいたい、そのためには家族は遺体確認されなくても水を入れるのはやむを得ない、こういう悲しみの中に決断をしたというように受け取っていいと思うんです。
 そこで、エネルギー庁の長官にお伺いいたしますが、石炭二千万トン計画このものは現段階でまだ改められてはいないというふうに理解いたしますが、それでよろしゅうございますか。
#39
○政府委員(小松国男君) 先般七次答申におきまして、最近の石灰鉱業をめぐる環境が徐々に改善し、特に石油との関係では石炭がかなり条件的にも優位になってきている、そういう環境変化の中で労使協力し、また政府の施策よろしきを得れば、現状程度の出炭は可能である、さらに今後事態が改善してまいりますれば、さらにその上に乗せた意味での増産も可能ということで、将来の目標として二千万トン体制を掲げたわけでございますが、そういう段階で今回北炭夕張の事故が起こったということで、まことに残念でございますけれども、石炭をめぐる全体的な環境、これは変わっておりませんし、北炭夕張の事故につきましては、今後原因究明を急がなければなりませんけれども、現段階において七次答申の基本的な考え方には影響はない、むしろ、今後とも努力して七次答申の線を維持すべく努めてまいりたい、かように考えております。
#40
○丸谷金保君 大臣、そこで、事務当局としてはいまのような考え方を持っているんです。二千万トン目標というのは努力していきたいと。それから通産大臣も、夕張新鉱についてはいろいろ技術的な問題の詰めがあるけれども、そういう技術的な詰めで再開できるものであれば再開したい、このような趣旨の新聞発表を現地でもしておりますし、その後も国会答弁等でもやっておるところだと思います。ただし、それには、技術的にどうにもならない場合にはいたし方がないというのはこれは当然のことですが、可能な限り再開に努力していく。ただ、北海道で大変心配しておりますのは、にもかかわらず、もう閉山が決まったんじゃないかというような心配を始めているんです。と言うのはこういうことなんです。多分大臣も出ておられたと思うんですが、これは十九日か二十日の閣議だと思いますが、中川科学技術庁長官が、北炭の採炭体制に無理があったのではないか、原子力の方が安全で、そちらの方を変わって推進する必要があるのではないかと、こういう発言をしておることが新聞で報道されております。田中通産相は、それに対して、専門家を派遣して調査をして、慎重に保安体制その他考えていきたい、こういうふうな発言を閣議でしておりますという新聞報道です。これは、東京の新聞ではこういうふうに全体の流れとして出ておるんです。ところが、北海道、たとえば「道新」になりますと、中川長官の方のやつが二段見出しで大きく出ているんです。そして、その下の方に田中通産大臣のやつが小さく出ている。ですから、科学技術庁長官はその自分の所管事項の立場で物を言ったと思うんですが、北海道における影響、受けとめ方というのは逆になって、所管大臣以上に大きなショックを与える。そこで、これはやはり当然通産大臣所管ですから、通産省で詰めて、再建の問題というのはどうするかというのが出てくると思います。出てきたところで、財布のひもを握っているのは大蔵大臣でございますから、大蔵大臣がいやそれはもうやめた方がいいんでないかというふうなお考えをお持ちになるとすると、大変なことになるというのが、また現地の心配の一つでございます。ですから、やるとかやめるとかというお答えは所管でございませんからないと思いますが、少なくても所管の通産省で、山を再建するというふうなことについての技術的な結論が出た場合に、現在すでに石特の、特別会計の中で、それらに要する財源というのは、一部電源開発その他電気税等上げたことによって措置することになっておりますので、引き続いてやはりそういう通産の意見は尊重して処置するということを、ひとつこの機会に大臣から見解として御発表願えると、大変山の方では現段階において非常に心強い支えになるんじゃないか。いまとにかく死亡の確認されないまま、死体も確認されないまま、やっぱし山を守らなきゃならないという気持ちもあって、悲しみの中に判をついた遺族たち、そういうものもそんたくして、ひとつこの件についての大蔵大臣、財布を握っておる大臣としてのひとつ御所見を承りたいと思うんです。
#41
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま通産省の事務当局から答弁がございましたように、今後の再建問題については、いろいろな調査検討をしなければなりません。したがって、その調査検討を踏まえまして、通産省は専門的な立場からいろいろと協議があるものと存じます。その協議に対しましては、連絡を密にしてやってまいりたいと考えております。
#42
○丸谷金保君 大臣もう一つ、連絡を密にして、そしてやはり従来の閣議決定しているエネルギー政策ですから、それをそのまま進めていくという基本的な方針が通産で固まったならば、それらの方針は尊重するわけにはまいりませんか、どうでしょう。
#43
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大蔵省といたしましては、各省の要求は全部承知をみんなしちゃうとなかなかいかない場合もございます、金目の話もありますから。しかしながら、できるだけ協力をしてまいりたいと考えております。
#44
○丸谷金保君 次に、ワインの問題について少しお話しをいたしたいと思うんですが、実は自治体ワインがこのところあちこちで旗上げをしてまいりました。これはもう大変結構なことで、できるだけそういうものが各地にできて、バラエティーに富んだ味のワインが各地で生産されることは大変結構なことと思うんです。ただ、これがまた逆に言うと、大々的に発表されて、うまくいかないようなことになるとこれは大変だと、そういう面で私どもは心配をしてぶる一人でございます。たまたま昨年からことしにかけて、神戸ワインというのができてまいりました。まあ大変地域的にも期待されて新聞等にも出ております。詳しい経緯を私も調査いたしまして、何とかよくやってもらいたいという立場で御質問をしたいと思うのがございます。
 まず最初に、これはちょっとどうかなと思う点がありますので、国税当局にお聞きしたいんですが、五十六年の八月三十一日に、神戸市の神戸国際会議場で国と兵庫県の関係者約三百五十人を招いて、神戸ワインの試飲会をやっておるんです。試飲会と称してやっておるわけですが、試験醸造免許でございますから試飲ということだと思うんですが、これは国というからには当然税務署関係の方も必ず出ておられると思うんです。当然出ておると思うんですが、実はもう大分古い話になりますが、私どもが十勝ワインを開発したときに、試験醸造免許をもらってやはり二年後に、議会の終了したときに町議員さんたちと一緒に試飲をしたことがある、三十名くらいで。これはどうも試験醸造免許の趣旨からいって、試験醸造免許は無税ですから、ちょっと行き過ぎでないかというおしかりを受けて税を払ったんです。そのときはその程度のことでも少し行き過ぎだというおしかりを受けた上で税を払ったんです。税金を払ってくれればいいよということではなかったんです、後からおこられましてね。ところが、この神戸の場合はおこられた気配はないんですね。税は払っているようです。一体単価を幾らにしたかしれませんけれども、税は払っているようですが、これだけ大々的にやることが試験醸造免許の許可の基準から言って、税金さえもらえばいいというふうに国税庁は方針を変えたのかどうか、ここのところをひとつお聞かせ願いたい。
#45
○政府委員(篠原忠良君) お答え申し上げます。
 神戸のワインにつきましては、ただいま試験製造免許を付与いたしておりまして、先般八月三十一日、試験製造中のワインの試飲会が行われましたことは、先生のお話のとおりでございまして、その際の試飲の催しのさせ方につきまして、大阪国税局からは神戸税務署を通じまして、関係の部内の方々でのあくまでも試飲であって、一部新聞が取り上げておりましたような、販売PRを目的とするような試飲会であってはなりませんということを再三御注意いたしてございます。そしてまた、三百人ほどの試飲会になった模様でございますが、その催し物の趣旨を取り違えた開催にならないようにということで、神戸税務署を通じて大阪局におきましては指示、注意を申し上げております点で、この点は十勝ワインの池田町で試験製造をいたしておりました際に、札幌国税局において御指導申し上げたことと一貫して変わらない方針でまいっております。
 それからもう一つ。神戸ワインの方では、やはりそういう試飲会での蔵出しと申しますか、試飲に供したフィンの数量につきましては、九月十日に申告をいたさしておりまして、二百十六リットルの蔵出しで、所用の税金を納付いたしております。
#46
○丸谷金保君 一点だけ聞きますが、それ幾ら、税金は。
#47
○政府委員(篠原忠良君) 七千九百円でございます。
#48
○丸谷金保君 ちょっとそれは不公平過ぎませんかな。私のところ、三十人で三百本、そんな飲みませんよ。そのときにやっぱり一万円くらいの税払っているんですよ。大体あれから言うと十分の一の税ですね。これはまあ一つ問題あります。幾らに評価したのかね、その三百本の酒を。恐らく税務署も招待されていたので、そういう金額になったのかもしれませんけれども、ちょっとそこら辺は時間の関係で、問題としてはあるということ。
 それから同時に、試験醸造免許の許可の要件、これはもう恐らくこういうふうにしてつくるということで申請が出てきて、許可していると思います。ただ、もう一つ問題点は、このときにこういう神戸でもって醸造用品種をつくって、酒をつくりますという許可申請のときの要件、実際にあそこでは前年四十キロしかとれていないですよね。四十キロの原料では酒にしてどんなにしたって三百本なんてできるどころか、三十本もなかなか大変だと思うんですわね。ですから、そこら辺の要件の問題がもう一つございます。
 それから私はびっくりしたんですが、これには構造改善事業、その他でもって相当の助成が出ている、補助金が出ているし、融資も行われてやっているんです。農林省の方に聞いてみましても、これが農家の経営ときちっと結びつくような形の産業になるかどうかという点について責任持ってるところがどうもどこにもないんです。それで実は心配なんです。いま植えておるセイベルというふうな種類というのは、多収穫品種じゃないんですよ。極端に言いますと、一トン以上ならせたらいい酒にならないという世界的な一つの定説があります。特にこれは申し上げておかなきゃならないのは、しかも、その指導したのが池田の元研究所長、新聞では生みの親と言っているけれども、とんでもない、栽培なんかの方の技術屋ではないんで、栽培に口出すんで困るんで、うちではやめてもらった人が、これが生みの親ということで出かけて行って指導している。これがもしうまくいかないと、何だ池田ということでわれわれも恨まれかねないんです。それだけにしっかりやってもらわなきゃならぬと思うんだけれども、これは補助を出した農林省側としては、心配なくここは園地経営ちゃんとなって、醸造用品種が農家のプラスになるような形で普及しますという自信を持って補助を出して、園地経営させたのかどうかということをひとつ簡明にお願いします。
#49
○政府委員(森実孝郎君) この事業計画は、土地改良事業自体は完成しておりますけれども、現在構造改善事業はことしから果樹だなの施設整備について助成を行ったという段階でございます。当然構造改善事業の採択に当たりましても、土地改良事業の採択に当たりましても、営農計画については審査しておりまして、先生御指摘の品種でございまして、営農計画としては私ども最終時点では一・五トン程度の反収を期待して、十アール当たり二十五万から三十万ぐらいの農家所得という形で予定した計画と聞いております。また、ブドウの引き取りにつきましては、神戸市が中心となりましたいわゆる機構をつくりまして、一定の建て値で契約取引をするという安定取引という形で進めているわけでございます。ただ専門的な、非常にこの問題にお詳しい先生からの御指摘でございます。私どもも具体的によく当たってみる必要があると反省しているところでございまして、さらにそういった御指摘も頭におきまして、営農計画なり、これからの事業の進め方については、十分地元からも話を聞き、また専門家の意見も徴してまいりたいと思っております。
#50
○丸谷金保君 私もこの栽培の専門家ではないんですね。実際自分で植えてつくっているだけですから、余りりっぱなことも言えませんが、十勝ワインの生みの親だという人が来て指導したのにこのざまだというときのツケだけこちらに回さないように、農林省ひとつお願いしたい。
 それから、たとえばセイベルなんというのは、これは確かに十勝平野ではわれわれこれの改良品種つくって成功しております。それを暖かい神戸まで持って行ってどうかなということも心配ですし、もっと高級な、あのあたりだとカベルネだとか、そういうふうな品種も何とかなるんでないか。逆に言いますと、もっといい酒をつくる原料ができるんではないかという気もしますんで、ひとつ事業済んでしまえばそれでいいんだということでなくて、それから、大蔵省の方も醸造の免許出せば、後それがうまくいこうがいくまいがそのことはわれわれの責任でないというんでなくて、やはりせっかく誕生した自治体フィンですから、農林省と大蔵省の間でキャッチボールしないで、両方でドッキングして、やはりいいワインができてくるようにひとつ努力をしていただきたいと、こう思うんです。そうでないと、全体の自治体ワインのイメージダウンにつながりかねないんで、ひとつ特にこの点指摘しておきたいと思います。
 それから次に、表示の問題で公取にお聞きしたいんですが、実はいいワインをつくるということで、ワイナリーを中心にしてそれぞれワイン業界も表示その他で協議をし、努力をしております。そういう時期ですので、その表示の問題で私かねがね疑問に思っていたんですが、東京でつくって、それから原料ももちろん東京のものではありませんね。北海道のものでもないんですが、サッポロビールというのがあるんです。これはもう全く原料も北海道から運ぶわけでないし、醸造から何から全部東京でしょう。それでサッポロビールなんですよ。これは一体表示のあれからいっておかしくないですか、どうでしょう。東京ビールならわかるんですけれどもね。
#51
○説明員(波光巖君) サッポロビールの表示についてでございますが、サッポロビールの商標でございますが、その商標によりまして、実際にそれが東京で製造されているものでございましても、その商品が札幌で製造されているというように一般消費者は認識していないと思います。また、あるいは札幌で製造されているからその商品は優良であるとも一般消費者は認識していないんではないかと思います。したがいまして、御質問の件は、景品表示法上は何ら問題はないと考えております。
#52
○丸谷金保君 それでそれが問題のないところに実は問題があるんで、これはおたくの方の関係としては問題がないと思います。実は大臣ね、これから大臣の知恵をかりたいんですが、十勝川いかだ流しをやっている冒険野郎、青年グループが北海道の十勝地方にいるんです。いかだに自分ら乗って十勝川上からずっと下るんです。危ないんですよ。その危ないのがいいと、こういうことでこれは定着しました。マスコミにも載りますし。この人たちがことしは世界一長いベンチをつくったんです、帯広に。四百メートルのベンチ、これも新聞にも出てましたり、ギネスブックにも載るくらいで、世界で一番長いベンチなんです。公園のベンチです。公園のベンチは普通は一間か二間のものでしょう。ところが、四百メートルのベンチなんですよ。このグループがソーセージだとかハムを自分のところで、豚を養って自分でつくり出したんです。いま売っているハムやソーセージはいろんな物が入っていてあれだと。本物指向なんです。私にもとてもうまいからごちそうしてやるから来いということで行ったんですよ。ところが、それはねらいが別にあったんです。実は十勝地方にはホップの野生がたくさんあるんです。これを使ってビールをつくりたいから私に協力せいということで、ソーセージでつられたわけですわね。いやそれはだめだと。ビールはこれは許可が要るからだめだと、こう言いましたら、いろいろ言っていました。たとえば、一%以下ならそれはいいのかとか、許可をもらえばいいんだなとか。というのは、それぞれが自前のソーセージをごしらえて持ち寄って、野生のホップを使ってビールをつくってお祭りをやろう、こういうことなんですよ、一年に一回、盛大な。これは全国から若い者が集まるぞと。ところが、それはいまの酒税法ではできないんです。許可にもなかなか。なりません。ただ、神事として神社なんかでつくっているところありますから、お祭りならいいんじゃないかと彼ら考えたんですが、これもなかなかむずかしいんです。
 そこで、私困ったことは、これは丸谷さん憲法違反じゃないかと、こういう話が出てきてはたと困ったんです。というのは、憲法十二条に、幸福追求に対する権利というのがあるんです。これに違反する。というのは、いまのビールの問題で、それはサッポロビールが東京でつくろうが九州でつくろうがそれはいいんです。ただ、問題は中身なんですよ。ビールというのはそもそもホップと麦でつくるのが本物だとわれわれ思っている。ところが、いまの日本のビールは、ホップも麦も使っているか知らぬけれども、くず米やコーンスターチまで使っているじゃないかと、こんなものは本物じゃない、われわれが本物を飲みたくても飲めないでいるんだから、本物を自分たちでつくろうというのは当然憲法十三条の幸福を追求する権利だと、公共の福祉というふうなことで剥脱できるような理由はどこにもないじゃないかと、こういうことなんです。これは現行法制から言うとだめだということになりますからね。憲法論議ですから法制局に来ていただいているんですが、法制局の方の見解ひとつ、憲法十三条との関連で。実際に飲みたいと思っても彼らが言ういわゆる本物のビールないんですから、いま日本にやってるところは。
#53
○政府委員(味村治君) お酒を楽しむ自由と申しますか、そういうものが憲法上の人権に当たるかどうかということについては、いろいろ学説上議論があるところでございますけれど、やはりお酒を楽しむ自由というのを制限するからには、公共の福祉のために必要だということがなければならぬというのが一般的な考え方であろうかと存じます。現在、酒税法によりまして、酒につきましては免許制度をとっております関係上、御指摘のようなことができないということになっているわけでございますが、これはやはり酒税の確保とかいったような公益上の、公共上の目的、そういったもののために、そういった自由を制限しているということでございまして、憲法上問題はないものと考えております。
#54
○丸谷金保君 そこで国税庁にお伺いしますが、いま日本のビールのメーカーというのは四社ですか。
#55
○政府委員(篠原忠良君) はい、さようでございます。もう一つ沖縄にオリオンという地域の限定されたものがございますが、沖縄を除く本州におきましては四社でございます。
#56
○丸谷金保君 それらでつくっているビールというのは、先ほど私の指摘したように、麦とホップでなくて、その他いろいろ入れたものしか出ておりませんわね。
#57
○政府委員(篠原忠良君) さようでございます。法律のビールの定義の中に、「イ」と「口」がございまして、「口」の方に「麦芽、ホップ、水及び米その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの。」、これもビールと言うことに相なっております。
#58
○丸谷金保君 これは、一つは原料の国内産の米や麦の消費の問題で、純米清酒の問題なんかともつながってくるんですけれど、非常にそういう点で製造免許というのは厳しい制限がございますね。そのためにこういう憲法十三条で幸福追求する権利を持っている若い者たちが、そういう楽しみを行うことができないような強権力を持っている。それほど大変厳しいものなんですがね。大臣ね、こういうふうな一時的にぱっとこうやるようなものについて、何かいい、憲法十三条を積極的に生かすようなことというのは考えられないでしょうかな。これはいまの渡辺大蔵大臣でなきゃなかなか相談にも乗ってくれそうもない問題なんですがね。大蔵大臣ならわかるでしょう。
#59
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私はずぶの素人ですから、勉強もしておりませんし、それは丸谷先生はその方の専門家ですから、何かいい知恵があったらば、そちらでひとつ検討してもらって、何かうまいことがないかどうか。神社仏閣には、これは神様にささげるんだからいいんだそうで、人が飲むんではだめだということになってるんだそうでございます。(「後は飲むんですよ」と呼ぶ者あり)後はどうなるのか私もよく知りませんがね。いずれにいたしましても、初めての御質問でございますから、いろいろ研究はさしてもらいたいと思っております。名案はございません。
#60
○丸谷金保君 ことしの春質問したときに、それぞれの地域の米の消費拡大、そういう意味で純水清酒、いい酒をつくっても、なかなか小売屋さん扱ってくれないと、流通系統の中で。そういうのは限定して、その県に限って、新潟の米でつくった新潟のお酒ですというふうなのは、新潟どこでも売れると、こういうようなシステムを考えていただきたいと申し上げたんですが、それは前向きに検討するという当時答弁ございましたね。そのことについては事務当局の方では、大臣の答弁を受けて、何か少し具体的にそういう方途に進んでおりますか。
#61
○政府委員(篠原忠良君) お答えいたします。
 前九十四国会で御質問があり、大臣からお答え申し上げた経緯、そのとおりでございまして、お尋ねの御趣旨の各地域におけます、いわゆる土地のお酒――地酒をつくることをさらに奨励するのみならず、それらの地酒をもっと販売するに当たって便宜を図る方法はないかと、こういう御趣旨のように承り、私どももそのことについては検討いたしてございます。
 お答え申し上げますと、ただいま地酒一般という形ではなかなか、すでに製造されておる地域の酒並びに酒産地の酒、さまざまの販売の面において一定のただいまの需給状況というのがございまして、それらがいろいろな形で都市の発展、地域の発展等で需給状況が流動的でございますから、それに見合わせながらお酒の流通が滞りなくまいるように、販売の店舗の免許ということも行っておるわけですが、それとは別に、特別の臨時的あるいは季節的に各地域に催し物等があって、観光客が集まるという臨時的な季節的な需要というものに見合う供給も図る必要があるという観点から、さような観光地等において季節的、臨時的に人の大ぜいお集まりになる地域にさらに土地のお酒などに限定し、かつ容器を一定の容器に限定いたしまして販売ができる免許の仕方をただいまとっております。そのことと先生のお尋ねの、地酒である限り何らかの方法で既存の酒販店以外に売る方法はないかというお尋ねに関しては、まだ十分お答えできる形になっておりませんが、ただいま私申し上げたような性格、性質、状況のものについては、土地のものに限って、そしてまた容器もある程度限定いたしまして、みやげ物風の容器、つまり容積も余り大きくなく、一リットル未満、あるいは七百二十ミリとかいう限定をいたしますが、手だてが施されるように勉強いたしております。
#62
○丸谷金保君 観光地については、いわゆる観光免許というのがあることを私も最近知ったんですが、ただ、そこで非常に疑問に思うことは、いろんな基準をこしらえて、酒販の免許でもそれによって行政許可を出しておりますわね。そうすると、これがまたいつの間にかいろんなこういうのも出す、ああいうのも出す、こういうのはだめだというふうなことが公示されないままに、内部の規定で行われるんでしょう。たとえばいま関税部長のおっしゃった観光免許、これはどういう根拠でお出しになっておるんですか。
#63
○政府委員(篠原忠良君) 製造並びに販売の免許につきまして、法律、政令を受けまして、国税庁長官通達として定めてございますもののうち「酒類の販売業免許等の取扱について」という通達で公開いたされてございます。
#64
○丸谷金保君 そうすると、それは公開されているんですか。
#65
○政府委員(篠原忠良君) はい。
#66
○丸谷金保君 それじゃ、それは資料としてお届け願いたいと思いますが、それと同時にここでその要件を一つ、どういう場合に観光免許を出すのか。
#67
○政府委員(篠原忠良君) 御説明申し上げます。
 お酒の小売の免許についての第三という規定の中の一項目でございますが、国立公園もしくは国定公園等の観光地またはバスターミナルで、現在酒類販売場がないため観光客が酒類の購入に不便であり、これら観光客を対象とする酒類小売業の免許について特例を認める必要があると認められる場所において、みやげ品もしくは清涼飲料等の売店または山の家等の経営者から酒類小売業の免許申請があった場合は、一般的な酒類の需給関係に支障を来さないことが確実である場合に限り、その酒類小売業が必要と認める最小限度の範囲内にとどまるように酒類の限定などを施して免許を与えても差し支えないことという趣旨で明定されてございます。
#68
○丸谷金保君 それで、「等」ですね。この「等」がいつでもくせ者なんですよね。この「等」というのはどんなの入ります。どんなものが想定されるんですか、入れる気になれば何でも入りますか。
#69
○政府委員(篠原忠良君) 限定的に書いてございませんので、これらはいろいろ事情、状況等によってそれに相当するかどうかという角度で考えなければいけない点だと思いますが、いずれにしろ観光客、往来等人の寄り集まるような状況の場所というものであれば、それに即して理解してまいらなければいけないものだと思います。
#70
○丸谷金保君 わかりました。そうしますと、結局あとは行政判断ということに尽きるわけですね、いまの御答弁聞いているとね。どうなんでしょう。
#71
○政府委員(篠原忠良君) あくまでも常識的な客観的に納得できる判断でその「等」についての状況を見てまいらなければいけないと思いまして、一担当の判断ということではなく、その中身そのものが、大方の納得を得る公正なものでなければならないと思います。
#72
○丸谷金保君 その場合、たとえば大方の納得というのが、往々にして既存の小売業界の同意ということと同意語にとられる可能性が非常に多いことが一点と、したがって、国税庁の方針としてはできるだけふやさない方針だというように一般に受け取られておる。このことについてひとつ御説明を願いたい。
#73
○政府委員(篠原忠良君) お尋ねの点はこの「等」というところとちょっと趣旨の違う御指摘のように思いますが、さような「等」の地域において小売店舗を出すことについては、もう一つ私申し上げましたように、「一般的な酒類の需給関係に支障をきたさないことが確実である場合に限り、」という、そのことの御指摘ではなかろうかと思われますが、あくまでも地酒等の酒を観光地で季節的に臨時的に、観光客の大ぜい寄り集まるところの需要、ニーズにこたえ得る、また得る必要のあるところであり、その場合であってという趣旨でございまして、先生いまお話の中にございましたこの表現を用いて、既販の小売業者の同意云々を得ることをせしめているものではないかというお尋ねでございますが、そのことと一切がかわりのない扱いになっております。
#74
○丸谷金保君 そうすると、既存の小売商協組合がございますね、酒販組合が。これらの意見によって左右されるものでない、あくまで常識的な行政判断に基づいて許可を出す、このように理解してよろしゅうございますか。
#75
○政府委員(篠原忠良君) そう御理解いただいてよろしい扱いになっております。
#76
○丸谷金保君 私もそのとおりだと思うんですよ。ところが、酒類小売商業協同組合というのがございますね。それから、小売酒販政治連盟というのがあるんです。これは表と裏みたいなものです。酒販の組合というのはちょうどひっくり返せば即政治連盟、これの会費を集めるときに、よくこういう会費及び政治献金をするのは、これ以上酒屋さんをふやして小売屋さんを困らせないためなんだから出してくれという、そういう形の集め方がしばしば行われていることを御存じですか。
#77
○政府委員(篠原忠良君) つまびらかに承知いたしておりません。
#78
○丸谷金保君 そう言うよりないですわね。ところが、これはもう本当にどこか無作為に部長一緒に歩いてみましょうか、全然知らぬふりして。そして私と一緒に行って、この話聞いたら、ええそうですよ、だから出してますよと簡単に返ってきますよ。そういううわさは耳にしたことあると思うんですが、全くそういう事実がないとは否定し切れませんでしょう、どうなんです。
#79
○政府委員(篠原忠良君) 先生のお話のようなものに類似する風風は聞いておることはございます。
#80
○丸谷金保君 この風間で集約されてくる政治資金の金額、これは組合の方と違って、大蔵省所管ではございませんわね。だから全く関係ないということになるんですが、小売屋さんの組合と大体同じ屋根の下にいるんですよ。これらはそういう風聞を裏づけするというか、それが信憑性を持つ大きな原因になっていくんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。私は大変残念なことだと思うんですが。
#81
○政府委員(篠原忠良君) 小売業界の中におきまして、酒販組合とは別個の団体組織で、小売酒販業務とは別個の政治活動等その他のことを進めておりましても、先生御指摘のとおり、小売酒販組合の業務の範囲外のことでありますと、私どもの直接目に届く、あるいは指導する分野でございませんので、御指摘のとおりでございます。しかし、さようなことによるさまざまの懸念なしとしないかということでございますので、その点について、私どもの事務上の心構えとして、それぞれの地域の酒販組合の意見を判断の一部に聞くことがあっても、それを考慮の中に置いてもよろしいが、それにかかわることではなく、適正な、大方の納得の得られる需給条件にかなった免許業務を行うことであるぞという指示を徹底さしておりまして、先生の御心配の御懸念はないものと理解しております。
#82
○丸谷金保君 小売屋さんの組合の方は酒団法によって国税庁の方で監督権限ございますね。それと同じ屋根の下で、幹部から何からひっくり返せばちょんというふうな形で政治連盟があって、これの方は全く関知するところでない。末端に行けば、いや小売屋をふやされたら困るから献金しているんだという、きわめて単純な、素朴な答えが返ってくる。いまこういう構造なんです。
 これは私は、国税庁の酒類の免許というものは、ある程度合理性と、それから大方が納得する理由がなければなかなか出さぬということはよくわかってます。ただ、なかなか出さないことがそういう形に悪用をされている。だから、酒税を確保するという形の中で、小売免許という制度を設けた当時といまもうがらっと情勢が変わっておりまして、小売屋さんがたくさんできたから酒税確保ができなくなるというふうな状態の社会情勢でないにもかかわらず、いまだにその点が厳しい。これはこの前「現代」に秦さんが書いておりましたが、戦前に比べて小売屋さん三分の一なんです。酒の売り上げの伸びは数倍以上に達しているんですよ、その中で小売屋さんの数はうんと減ってきているというふうなことの中で、もう少し酒を売る人たちをふやした方が酒税確保の面からは成績を上げ得るんでないか。この点についてひとつ、やはり小売免許というのは、裁判だとかいろいろなことを言われております、また、いろいろな意見が出ておりますが、ある程度、酒税確保という観点からつくった一つの規制であるなら、現状に合ったような、これをもう少し広げるという面についてのお考えは国税庁としてはないんですか。小売屋さんはもうこれでいいんだ、地域的に新興地や何かで不便なところだけはあれするけれども、あとは要らないんだというふうなお考えなのか。もう少し積極的に、それでないと、いい酒づくって小ちゃなところで売ろうと思っても、なかなか売ってくれる人が見つからなかったり、そういうのを酒の小売屋さんが売りますと、一方では大きな消流関係の中で、それじゃよく売れているどこどこの何という酒なんかおまえのところへはもう売らぬぞ、その酒を売るならというふうな、いろいろなそういう話も聞きますんで、何かもう少しそこのところを広げる方向で御検討願えないものかどうか。そうするといまのとかくの風評も消えるんです。
#83
○政府委員(篠原忠良君) お答え申し上げます。
 まず、結論を先に申し上げますと、小売の店舗数はここ最近時もずっと年々ふえてございます。年間に付与いたします件数は約三千件弱でございます。五十五年では二千八百八十九件免許を交付いたしてございます。
 それから、いま戦前の三分の一になっているのではないかという御趣旨のお話がございましたので、その点に関して申し上げますと、この小売の免許制度ができましたのは昭和十三年でございます。それ以前は約三十五、六万ほどの小売りの酒を扱うお店があったようでございますが、免許制でないために、だれでも取り扱えるということで、酒屋さん、米屋さん、八百屋さん、雑貨屋さん、どこでも扱えた。そのために酒のメーカーの方で卸しました酒代金の回収が非常に大変であった。中には回収ができないもの等も非常にふえたというようなこと等々ございまして、十三年に免許制が行われまして、それで私の一番手元にある数字で申しますと、戦中、昭和十九年ですと八万七千軒でございます。自来、二十五年で約九万、四十年で十二万、五十年は十五万というようなテンポで、いまの小売酒販店が免許されておる次第でございます。さような意味で御理解いただけると思いますが、順次ふやされてまいっておる。
 今後も地域のいろいろ都市の形成、集落の状況、人口の寄り集まりの状況等を見ながら、申請があれば、需給状況の均衡を維持できるように、サービスが行き届かないような不自由な地域がないように、流通秩序を正常に進めていく上にとりましても、必要な店舗は申請があれば免許いたしてまいるという方針でやっております。
#84
○峯山昭範君 私は、きょうは特に年末も近づいてまいりましたので、中小企業の金融対策を初めにお伺いをしたいと思います。きょうは通産省の方にもお見えいただいておりますので、初めに最近の中小企業の倒産の傾向についてお伺いをいたします。
 私の手元にもいろいろ資料が入っておりますけれども、最近の、特に中小零細企業――中小零細企業といいますよりも、企業の倒産の傾向について、現在どういうような状態になっているのか。それから、これから年末にかけての見通し等も含めましてお伺いいたします。
#85
○説明員(稲川泰弘君) お答え申し上げます。
 最近の中小企業の倒産件数は、四月以降も高水準で推移しました後、七月以降幾分鎮静化の兆しは見られておりますが、九月には千四百二十二件と、八月に比べ増勢を示すなど、なお必ずしも楽観しがたい状況が続いております。負債金額について見ますと、近時大型の倒産が比較的少ないということもありまして、一件当たりの負債金額の小口化の傾向が見られております。業種別に申し上げますと、建設業、商業の比重が大きく、特に建設業につきましては、倒産件数の水準が次お高い状況にございます。
 今後の見通しについて申し上げることは非常に困難でございますが、年末も控えまして倒産の件数が一般的に増加する傾向を持つ時期でもあり、また中小企業をめぐります最近の景気動向は、七月以降幾分改善の傾向は示してはおりますけれども、回復のテンポがきわめて緩慢でございまして、したがいまして、今後の動向を十分注視していかねばならぬと、こういうように考えております。
#86
○峯山昭範君 私の手元にございます東京商工リサーチの倒産のことしのデータによりますと、ただいま御報告のあったとおりでありますけれども、特にこの中でも倒産の中身ですね。いまお話ございましたけれども、負債総額が減少している。逆に言いますと、小規模の企業の倒産がふえている。特に中小零細企業の経営がだんだんむずかしくなってきていると、こういうふうな傾向があるんではないかと思います。そこでこの倒産の原因ですけどね、これは先ほど少しだけお述べになりましたけれども、これはどういうふうに分析していらっしゃいますか。
#87
○説明員(稲川泰弘君) 先生御指摘の、商工リサーチの方の統計でまいりますと、最近の倒産件数の原因別で分けました内容で申し上げますと、連鎖倒産は既往のしわ寄せ等のものがございますが、多くは最近の景気情勢を反映いたしました販売不振によるものが非常に大きく、比率といたしますと約四割強を占めております。
#88
○峯山昭範君 そこで大臣にお伺いをしたいんですが、年末にかけまして、特に中小企業の倒産という問題、特に大企業あるいは中企業ではなくて、小企業あるいは零細企業の倒産というのがこれから大分ふえてきそうでありますし、ことしの傾向としてそういう傾向があるわけでございますが、中小企業の日本の産業の中に占める役割り、これは大臣、どういうふうにお考えでございますか。
#89
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは申すまでもなく、日本の経済全体の中に占める中小企業のウエートというのは、事業者数で九九%、従業員数で八一%、製造出荷額で五三%というような大きな役割りを占めておるわけですから、日本の経済にとっては欠くことのできない主要な分野であると、このように考えております。
#90
○峯山昭範君 私も大臣と同じように、中小企業の役割りの重大さというのを非常に大事にしているわけでありますけれども、中小企業が非常に大変な状況にあるわけであります。そこで初めに通産省にこれもお伺いしておきたいと思うのですが、昭和五十七年度の概算要求の中で、いわゆる中小企業の対策費、その関係をどのくらい要求していらっしゃるのか、概要で結構ですからお伺いしたいと思います。
#91
○説明員(宇田川治宣君) 御説明いたします。
 去る七月十日に、行われました第二次臨時行政調査会の中間答申というものがございますが、その中間答申の中におきまして、五十七年度中小企業対策予算につきましては、補助金あるいは出資金の節減、ないし合理化を行うことによりまして、前年度すなわち五十六年度の予算と同額以下ということに抑制すべきであるということが中間答申にうたわれております。私どもといたしましては、先生御指摘のように、中小企業を取り巻く環境というものが依然として厳しいという状況にございますので、中小企業対策というものをより一層拡充強化すべきであるというふうに考えておりますが、他方いま御説明いたしました臨時行政調査会の中間答申を踏まえまして、昭和五十七年度の一般会計におきます中小企業対策費というものの概算要求額は、前年度と同額の千八百十三億円にとどめて、このためにその内容を極力節減合理化を行った次第でございます。
 しかしながら、その内容といたしましては、中小企業を取り巻く厳しい環境変化に、中小企業の方々が柔軟に対応し得るよう、企業力を強化するという観点から、技術力の強化、あるいは人材養成、情報化対策、エネルギー対策というものの各種の施策を講ずることとしておりまして、また中小企業の経営安定及び中小企業が置かれております不利の是正というものを図る観点から、政府系の中小企業金融三機関の融資の拡充等、金融対策の充実というものを図りますとともに、倒産防止対策あるいは下請の中小企業対策、中小の小売商業対策というものを引き続き充実をするということを考えております。
 特に中小企業者の約八割を占めます小規模企業対策につきましては、中小企業予算全体が、いま御説明いたしましたように五十六年度と横ばいということにいたしております中で、一定の伸びを確保するという配慮を行っております。
 こういう内容にいたしてございますので、私どもといたしましては、全国五百八十万の中小企業の活力というものが損なわれないようなかっこうで予算を組んでいきたい、かように考えて概算要求をいたしている次第でございます。
#92
○峯山昭範君 大体、概要はわかってまいりましたが、その中でただいまもお話しございました、特に小規模企業の対策、これは非常に私は重要であると思います。
 そこで、小企業等経営改善資金融資制度というやつですね、いわゆるマル経資金についてお伺いをしたいんですけれども、この問題は、私は大阪ですから特に中小零細企業の皆さんが大変多いわけでありますが、そういうふうな中で、これがどういうふうに現在活用されているのか、その現在までの実績がどういうふうになっているのか、その点ちょっとお伺いしておきたいと思います。
#93
○説明員(藤沢修君) 貸付実績につきまして御説明いたします。
 貸付実績は、五十二年度に三千五百八十二億円、五十四年度に三千六百十九億円、五十五年度には対前年比三二・五%増の四千七百九十四億円となっておりまして、現在までのところ貸付残高は五十五年度末で六千三百億円に達している次第でございます。
 マル経資金の予算貸付枠に対する消化率で見ましても、五十三年度は七〇%でございますが、五十四年度七一%になりまして、昨年五十五年度におきましては九四%に達しているというふうに活用されている次第でございます。
#94
○峯山昭範君 昨年度の貸付消化率ですか、九四%ということでございますが、五十五年度までの貸付実績の総額ですね、これは大体どのくらいになりますか。
#95
○説明員(藤沢修君) 貸付残高といたしましては、六千三百億円になっている次第でございます。
#96
○峯山昭範君 それは残高でしょう。貸付総額です。
#97
○説明員(藤沢修君) ただいま合計した数字を持ってきておりませんので、各マル経資金の発足以降の実績を申し述べさしていただきます。
 四十八年度には二百九十五億円、四十九年度には千百八十九億円、五十年度には二千三百四十四億円、五十一年度には二千七百九十八億円、五十二年度には三千三百億円、五十三年度には三千五百八十二億円、五十四年度には三千六百十九億円、五十五年度には四千七百九十四億円でございます。
#98
○峯山昭範君 大臣、いまの数字そのとおりなんですけれどもね、いまの数字を全部総合計いたしますと二兆一千九百二十一億、まあ二兆二千億近くのお金が動いているわけであります。そして、案外これ良好に回転をいたしておりまして、現在の残高が六千五百六十億と、こういうふうな実情であります。これは結局、中小零細企業の皆さん方の方からすれば、この数字の中身を見ていただいてもわかりますように、中小の中という字は抜いてもいいんじゃないかと思いますが、いわゆる小規模零細企業の皆さんにとりましては、これは大変喜ばれていると、そういうふうに考えていいんじゃないかと思います。また、これから年末にかけましては、大変この資金の需要もふえてくるんではないかと、そういうふうに考えているわけであります。
 そこで、大臣にお伺いしたいわけでありますが、先ほど通産省の方からもお話しございましたが、中小企業対策費として、臨調の答申の中でも「前年度と同額以下」、そういうふうな話もあるわけであります。全体としてはその程度にいたしましても、私はやっぱりこういうふうな小規模零細企業の皆さん方が喜んで利用しておりますような、こういうふうなマル経資金のようなものにつきましては、いわゆる利息を上げるという話があるわけです。ここら辺のところはある程度いろんな面で配慮していただきたい、私たち行革そのものについては、これは進めなくちゃいけないということで、私たちも一生懸命に取り組んでいるわけでありますけれども、こういうところにはやっぱりある程度の配慮をしてあげた方がいいんじゃないかと、そういうふうに考えているわけであります。特にこの点につきまして、大臣の方からも御答弁をちょっとお伺いしておきたいと思います。
#99
○政府委員(宍倉宗夫君) マル経資金についてのお尋ねでございますが、御承知のように、ただいま五十七年度の予算編成は、あらゆる事項につきまして聖域というものを設けないで、制度の根幹から見直しをしていこうと、そういうことでないとなかなか予算編成ができないのではなかろうかと、一生懸命作業をしているところでございます。
 マル経資金につきましては、先ほど来御質疑がございましたように、かねてからその改善を図ってきたところでございます。そういったことを踏まえまして、五十七年度予算の編成作業におきましては、私どもといたしましても、過去のいきさつ等も念頭に置きながら、厳しい財政事情の中で、慎重に対処してまいりたいと思います。
 いまお尋ねの、金利を上げるのかどうかということにつきましては、いまこの段階で確たることを申し上げられない状況でございます。もう少し作業が進んでまいりませんとはっきりとしたお答えができないことを御理解賜りたいと存じます。
#100
○峯山昭範君 まず、それじゃ通産省の方にお伺いしておきたいと思いますが、昭和五十年にスタートをいたしましたときには、設備資金が二百万だったですか、運転資金百万だったですかでスタートしたわけでございますが、現在はこれが三百五十万と三百万ですか、これはことしはどういうふうな要求になっていますか。
#101
○説明員(藤沢修君) 来年度の要求におきましては、運転資金につきまして貸付限度三百五十万円ということで、設備資金の貸し付けと同額まで拡大したいという要求をいたしております。
#102
○峯山昭範君 それから、もう一点お伺いしておきたいのでありますが、大蔵省、これは具体的に御答弁できないかもしれませんが、実際問題としてこのマル経資金、いろんな角度で非常に有効に活用していると私は思います。
 そこで、これは設備、運転とも三百五十万という話が実際出てまいっております。これは先ほど次長からも答弁ございましたように、利息の問題等もやっぱり同じカテゴリーに入ると思いますので、いまここで直接御答弁はできないと私は思いますが、これは大臣、もう私これ以上この問題について余り質問したくないんですが、いずれにしましても、先ほども大臣がお述べになりましたように、中小、零細企業の置かれた立場、あるいは日本の産業に活力を加えるという点、あるいは全体の制度そのものが良好に運用をしているという点等から考えまして、こういう点についてもやっぱり十分中小企業庁、あるいは通産省の意向を踏まえて対処していただきたい、こういうふうに私考えるんですが、大臣の御所見をちょっとお伺いしておきたいと思います。
#103
○国務大臣(渡辺美智雄君) できる限り私どもとしても中小企業には配慮をしていきたい。したがいまして、民間の長期プライムレートも十一月一日から引き上げられるということで、きょう発表されると思いますが、この政府三機関等については、できるだけ年内は据え置くというようなことなど、十分に配慮していきたいと考えております。
#104
○峯山昭範君 それから、もう一点大臣にお伺いしておきたいのですが、いわゆる中小企業の相続税の問題であります。これはもう大臣、何回も質疑を受けていらっしゃると思いますし、御存じの問題でありますが、特に中小企業、戦後三十数年たちまして、相続税の問題がいま大きな問題になりつつあるわけであります。この問題につきまして、やっぱり現在の法体系のままでは、特に中小、零細企業の皆さん方が相続して事業をやっていく場合にいろんな問題がある、乱そういうふうに思います。
 そこで、この問題につきましては、具体的に調査をし、あるいはこの問題について御検討を加えていただきたい、こういうふうに考えております。
 そこで初めに、通産省はこの問題についてどういうふうに考えているのか、具体的にどういうケースがあるのか、これを一遍お答えいただいて、その後大臣の方からこの問題につきましてのお考えを御答弁いただきたいと思います。
#105
○説明員(宇田川治宣君) 御説明さしていただきます。
 ただいま先生御指摘のように、中小企業の事業経営の継続、後継者への円滑な承継というものを図るために、中小企業の方々から現行の相続税制度を改善してほしいという声がかなり前からございましたけれども、最近とみに高まっているという状況にございます。
 その背景といたしましては二つございますが、一つは中小企業の経営者が非常に高齢化しているということで、世代交代の時期を迎えているということが一つの背景になっているかと思います。それからもう一つは、近年におきます土地価格の高騰というようなことに伴いまして、相続税の負担が非常に増大しているということが考えられる要因でございます。
 こういった事情を背景といたしまして、私どもといたしましては、来年度の税制改正におきまして、二つ相続税の問題について御要望を申し上げているところでございまして、一つは中小の企業者が相続いたしますいわゆる取引相場のない株式の評価、この株式の評価方法を改善していただきたいということが一つでございます。もう一つは、一定面積以下の事業用または居住用の土地の相続税の課税価格、これは現在八〇%評価ということになっておりますが、それを二五%評価、四分の一に課税価格の評価を軽減していただきたいという二つの要求をしているところでございます。
 私どもといたしましては、最近の状況にかんがみまして、むずかしい状況ではございますが、何らかの形で改善を図っていきたいと、かように考えておる次第でございます。
#106
○峯山昭範君 通産省の意向わかりました。それで大臣どうですか。
#107
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはもう所得税の減税もできないというようなことをいま言っている時期でございます。したがいまして、来年度相続税をいじるかどうかということについては、実はいまのところ考えにはないわけでございます。中小企業の地価の高騰等によって財産の評価額がふえたと、税率もしばらくいじってないというようなこともあって、相続税がみんなかかるようになって大変だということは、私も十分承知はいたしております。しかし、当面これについては相続税の延納制度というのがございまして、まあ不動産なら十五年、五・四%の金利とか、不動産以外のものでも十年なら六%の金利とか、いろいろな制度もございますから、こういうようなものを活用をしていただく。それから評価、特に株式の評価等についていろんなことが言われておるわけでございますが、それらの評価については、事業が継続できないほど多額の税金を取るというようなことでなくて、そういうような延納との組み合わせ等をすれば、事業が継続して世代交代の所有権、財産の移転が行われるというようにはしていきたいと、こう思っておるわけでございます。かなり日本の相続税の税率もきつい税率ですからね、いずれ財政的に余裕が出てくる段階においては見直さなければならない時期もそう遠くないうちに一遍あるんじゃないかと、そう思っております。
#108
○峯山昭範君 この間の予算委員会での答弁も、いまと同じような答弁を大臣しておられました。大臣おっしゃる意味もよくわかります。所得税も減税しない時代に、相続税に手をつけるなんてとんでもないという感じなんですけれども、これは先ほど通産省の方もおっしゃっておりましたけれども、特にまあ小規模零細企業ですね、相続という問題が出てきて、企業の継続は困難である、そういうようなときに、これは相続税は十五年間の延納ができるとはいいましても、これはやっぱり延納しなきゃならないわけですから、しかも利息がついてやるわけですから、要するに、戦後あるいは戦前から長年続いてまいりましたこの伝統のある小規模零細企業、大臣が先ほど従業員数で言えば九九%以上を占めるとおっしゃっておりましたこの小規模零細企業、そういうふうな意味では何とかこれは検討をする余地があるんじゃないか。たとえいまは所得税の減税とか、あるいはそういう相続税に手をつけられないにしても、やっぱりいま非常に大事な時期に来ている。そういう人たちが倒産というふうなときに、もう少し何らかの措置ができないのか。いま通産省の方もあらゆる検討を続けていらっしゃると思いますけれども、それにはある程度乗っていただいて、御検討をいただけないか。重ねての質問で申しわけないですが、この点ちょっともう一回お伺いしておきたいと思います。
#109
○国務大臣(渡辺美智雄君) 来年の経済見通し、税収の見込みというふうなものもまだわかってない段階でございますので、予算の規模それ自体も確定をしたわけではございません。しかし、現在のような状態の経済の動き方であるならば、明年度に相続税の減税案を出すということは非常に困難ではないかという見通してございます。しかし、せっかくの御意見でございますし、われわれも相続税については当分いじってないので、近い将来において所得税が直されるようなときに、これは一緒に検討せらるべきものであると、さように考えております。
#110
○峯山昭範君 それでは、次に財政投融資の問題について、特に行政改革と絡んで二、三お伺いしておきたいと思います。
 初めにお伺いいたしますが、財政投融資について、その財投の目的、あるいは財投の意義、それから役割り、これはどういうふうに考えていらっしゃるか、その所信について初めにお伺いします。
#111
○政府委員(吉本宏君) 財政投融資の目的、趣旨でございますが、御案内のように、現在国の制度あるいは信用を基礎といたしまして、郵便貯金あるいは厚生年金などが資金運用部に預託をされております。この資金運用部の資金を中心といたしまして、簡保資金あるいは産業投資特別会計、政府保証債、こういったものによって集められた資金を財政投融資計画として、国あるいは公社、公団、公庫、こういったものに融資をしているわけであります。言うなれば、投融資として金融的機能を持っておりますと同時に、やや長期運用の資金でございますので、資源配分的な機能もあわせ持っていると、このように考えていいかと思います。
#112
○峯山昭範君 何か法的な根拠なんというのはあるんですか。
#113
○政府委員(吉本宏君) 法的な根拠といたしましては、特に資金運用部資金並びに簡保資金の五年以上の運用につきまして、長期運用法というのがございまして、これによって法律の基礎を持っていると、このように考えております。
 なお、産業投資特別会計の投融資につきましては、これは産業投資特別会計の予算の歳出として計上をされております。
#114
○峯山昭範君 それでは財投の繰越額、不用額について伺っておきたいと思います。
 財投計画総額に対するいわゆる未消化比率、これが昭和四十年代でどの程度の水準であったのかということと、それから五十年代に入ってその比率が、私の調査によりますと大きくなってきているようでありますが、それは現在どの程度になっているのかということ。それから繰越額、不用額が、私の調査によると四十年代と五十年代では大分パーセントで言いましてもふえてきているようでありますが、この増加してきた原因は那辺にあるかということ、この二点についてお伺いします。
#115
○政府委員(吉本宏君) まず不用額について申し上げます。財政投融資の不用額と申しますのは、計画に計上をしていたところが、結果として融資が行われなかったという額でございます。これは昭和四十年代について見ますと、〇・四%、あるいは〇・七%、一%というようなことで、比較的一%前後の不用額にとどまっておりまして、それが四十七年度について見ますと、これはやはり金融の超緩慢期でございまして、運用が必ずしもスムーズにいかなかったということもございまして、四十七年が五・三%、四十八年が一・七、四十九年度が〇・七、五十年代に入りましてから、五十年度が〇・九、五十一年度が一・三、五十二年度が三・四、五十三年度が八・五、五十四年度が三・六、五十五年度が〇・七と、こういう数字の推移を示しております。特に、ここでごらんいただきまするように、五十三年度の不用額がかなり多うございます。この理由は何かと申しますと、この五十三年度という時代は、非常に金融の超緩慢期でございまして、日銀の公定歩合が三・五%というような時期でございまして、そういう背景のもとに投融資に対する資金需要が必ずしもスムーズでなかったということが原因であったのではないかと思います。これがただいま申し上げましたように、五十四年度、五十五年度――五十五年度は特に〇・七、不用額が千五百二十九億円という程度でございまして、この点はかなり改善されてきているのではないか、このように考えております。
 さらに繰越額でございますが、この繰越額と申しますのは、財政投融資の計画に計上をされまして、その年度に使われないで、翌年度に繰り越されるものというふうに御理解を賜りたいと思います。これは予算でも公共事業の繰り越しというものがあるわけでございますが、特に、この財政投融資につきましては、投融資の性格上弾力性が認められておりまして、先ほど申し上げました長期運用法にもこの弾力性の規定がございます。特に地方団体の場合は、通例地方債を起債する場合に、翌年度の出納整理期間、四月ないし五月に起債をする場合が多うございます。そういったことで、地方債の起債額投融資というものを中心にして、この繰越額がかなり多額に上っているわけでございます。ちょっと数字で申し上げますと、四十年代は大体一二、三%程度でございます。これが最近の数字で申し上げますと、五十年度が一三・九、五十一年度が一四・一、五十二年度が一六・八、五十三年度が一七・八、五十三年度は先ほど申し上げました不用と同様に、繰越額もかなり多額に上っているわけであります。五十四年度は一四・六、五十五年度は一四・七ということで、これはただいま申し上げましたように、地方債を中心とするやや技術的な意味における繰り越しというふうに御理解をいただきたいと思います。
#116
○峯山昭範君 こういうふうに繰越額、不用額がふえてきた原因というのを一遍後で御答弁いただきたいと思うんですが、それと同時に、余り時間がございませんので先に進んでおきますが、特にこの資金運用部資金の損益計算書を見てみますと、五十二、五十四年度は赤字になっておりますね。この赤字の原因はどこら辺にあるのか、それも一遍ちょっと御答弁いただきたいと思います。
 それから、先ほど御答弁の中にもございましたが、私の調査による新聞情報によりましても、五十五年度では財投の使い残しが大幅に減少して、資金運用部資金の特別会計も五士三年度以来二年連続赤字だったのが黒字に戻っていると、こういうように伝えられております。こういうふうに赤字が解消された理由ですね、これは当然聞かぬでもわかってはおりますけれども、お聞きしておきたいと思います。
 そこで、今後この財政投融資計画をつくる際に、いわゆる未消化の発生を防止するために、もう少しきめの細かい計画、そういうふうなものがあっていいんじゃないか。要するに繰り延べが、繰り越しができるからとか、いろいろ理由はおっしゃっておりますけれども、計画そのものがやっぱり多少ずさんなところがあるんじゃないか、もう少しきめの細かい計画が必要なんじゃないかということを、これ見て感じているわけですが、そこら辺のところも含めまして御答弁をいただきたいと思います。
#117
○政府委員(吉本宏君) 御指摘のとおり、資金運用部特別会計の収支は、五十三年度と五十四年度が赤字になっております。五十三年度が二百六十九億円の赤字、五十四年度が二百八億円の赤字であります。五十五年度は五十六億円の黒字に転化しております。
 御案内のように、資金運用部資金は郵便貯金等も預かって、これをお貸しするわけでございますが、この資金コストと運用利回り、預かった利率とそれをお貸しする利率がイコールでございます。利ざやがございません。したがいまして、そういう意味で非常に採算面ではぎりぎりの運用をしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、金融が非常に緩慢な時期は、借入需要が非常に衰える、借入需要が低下いたします。そういたしますと、郵便貯金を、毎月毎月集まったお金を運用部に預託してまいりますと、金利は毎月お払いをしなきゃいかぬ、ところが、これを運用する面ではなかなか借りにこない、こういう預託と運用のずれというものが出てくるわけであります。これが資金の超緩慢期というようなときには、特にそういった現象が強く出てまいりまして、収支面で非常に苦しい運用になる、運営になるということでございます。私どもとしては、こういったことをできるだけ赤字というようなことにならないように、最大限の運用の努力をしなければいかぬと、このように考えておりますが、そういった問題点があることを御理解いただきたいと思います。
 それから財投計画でございますが、何かもう少しきめの細かい配慮が要るんではないかという御指摘でございます。これは私どもも特に常々戒心をしなければいかぬ、心がけなければいかぬというふうに考えておりまして、特に五十四年度、あるいは五十五年度の財投計画の策定に当たりましては、かなり厳しく査定をいたしまして、いやしくも資金がだぶつくとか、あるいは非常に不要なものを計上するとか、そういうことのないように特に心がけているところでございます。
 五十七年度ということになりますと、特に郵便貯金が最近余り状況がよくございませんで、当初計画に計上した八兆九千億が一兆減るというようなことも言われておりまして、来年度の見込みも必ずしも多額のものを期待できないというようなこともございますので、財投計画の策定に当たりましては、特に厳しく内容を精査いたしまして、不用等を出さないように特に気をつけてまいりたいと、このように考えております。
#118
○峯山昭範君 局長さんね、実際問題として、金融の超緩慢期に当たっていたからこうなったというふうなことだけで、これを処理できるのかどうかということは、私ちょっと問題だと思うんです。したがって、それだけではなくて、もっとほかに原因があるんじゃないか、そういうように私は感じているわけです。特に、財政投融資計画の総額はいま幾らですか、十九兆四千八百九十七億円ですか、私の手元の資料によりますとそういうふうになっておりますが、一般会計の四十六兆から言いましても、約半分弱に達しているわけです。こういうふうに見てまいりますと、これはもういま財投そのものについていろんな問題が出てきつつあります。
 そこで、こういうふうな財投の問題、ただ赤字だけじゃないんです。これからの財投計画そのものについての問題もあるわけですが、これはやっぱり構造的な原因あるいは要因があるんじゃないか、そういうように考えているわけです。この点について、特に昭和四十年代初めのいわゆる高度経済成長時代の財投と、石油ショック以後の現在の財投というのは、特に経済金融情勢というのは一変していると、そういうふうに考えていいんじゃないかと私思います。そういうような意味で、財投そのもののあり方も、もう少し過去の惰性を脱して、新しい体制で財投計画を立てないといけないんじゃないかと、こういうふうに考えているわけですけれども、ここら辺についてはどういうふうにお考えでしょうか。
#119
○政府委員(吉本宏君) 御指摘の点でございますが、財政投融資は、昭和二十八年から作成が始まっております。当時は戦後の復興段階でございまして、この財政投融資の内容を見ますと、大体基幹産業に対する投融資というものが中心になっております。その後、昭和三十年代から四十年代にかけまして、御指摘の高度成長の時期には、経済の振興、輸出の振興、あるいは国土の開発、水資源の開発、道路、住宅、中小企業、こういうものを中心にいたしまして活発な投融資が行われたわけであります。第二の予算というようなことを言われて、財政投融資の機能が非常に重視をされておったわけであります。最近の状況で見ますと、たとえば資金運用部資金の運用計画について申し上げますと、五十六年度でございますが、たとえば国債が三兆五千億円、地方債が二兆五千六百億円、中小企業金融三機関が三兆二千九百五十一億円、住宅公庫が三兆二千四百七十一億円、住宅公団が八千六百十二億円と、こういうぐあいに、内容的には国債、地方債、中小金融、住宅と、こういうものに非常に重点が置かれまして運用が行われているわけであります。そういった意味におきまして、御指摘のように昭和三十年代から四十年代にかけての高度成長期と、現在の財政投融資の内容はかなり変わってきておるということは言えるかと思います。したがいまして、私どもといたしましては、こういった住宅とか、中小金融とか、地方団体に対する融資とか、そういうものを中心にいたしまして、今後もきめの細かい配慮をしながら財政投融資の策定に当たってまいりたいと、このように考えているわけであります。
#120
○峯山昭範君 多少時間的な問題がありますので、はしょりますが、私の手元にあります日銀の資料等を見ましても、これは過去の政府部門に対する資金の集中度、あるいは民間部門の集中度等を見ますと、大分変わってきていると私は思いますね、いま御答弁あったとおり。もう一つは、金利の面ですね、これも大分金利面だけ考えてみましてもその果たす役割りというのは大分変わってきているように私は思います。これはいいといたしまして、特に先ほどからございます財政投融資資金を受けている公団、公庫等の諸機関、これは特に政策上貸出金利が低く抑えられている部門がありますね。これについて、特に一般会計から利子補給、あるいは資金コスト低減のために同じく一般会計から出されております出資金がありますね。こういうふうなものが、補給金並びに出資金、合わせて現在どのくらいになるのか、五十五年度で結構ですから一遍ちょっと数字だけ、簡単で結構です、教えていただきたいと思います。
#121
○政府委員(宍倉宗夫君) 五十五年度におきます財投対象機関に一般会計から補給金、出資金を出しております額を申し上げます。補給金の額が七千六百七十五億、出資金の額が二千四百四十七億円、合計いたしまして一兆百二十二億円ということでございます。
#122
○峯山昭範君 大臣、これは聞いていただきましたように、特に財投といえども、一般会計から約一兆円以上を超える資金が出されているわけであります。むしろこれは財投といえども、一般会計との絡みで、いま行革が進められているわけでありますけれども、これは非常に重要な要素ではないかと私は考えております。そこで、特に行革法案の中には、御存じのとおり住宅金融公庫等の法定貸付金利の弾力化等が盛り込まれているわけでありますけれども、いま一般会計からの補給金の削減を考えて、現在法案等が出されているわけでありますけれども、基本的には財投そのものについて具体的に検討をすべきではないか、そして、財投のあり方そのものについても手を加えるべきではないか、そういうふうに私は考えるわけであります。
 その点ともう一点あわせまして、特に大臣、今回の行政改革の臨調の答申の中に、財投の問題について中身が余り触れられていないようでありますが、ここら辺のところを大臣どういうふうにお考えでございましょうか。
#123
○政府委員(吉本宏君) ただいま住宅公庫の利子補給の問題についてお尋ねがございましたが、資金運用部と申しますのは、郵便貯金等を預かって、先ほど申し上げましたように、七・五%の金利で預かったものを、七・五%で住宅公庫にお貸ししているわけでありまして、それを五・五%で住宅公庫がお貸しをするという場合に、利子補給を一般会計から仰がなければならないということは、これは制度の仕組み上やむを得ないのではないかというふうに考えております。
 それから、臨調で財政投融資の問題について触れられていないという御指摘でございます。私どもとしては、臨調の答申の中に、特にいわゆる公社等の見直しと申しますか、そういった今後公社等を含め、公庫、公団、事業団等の内容につきまして、臨調で十分御審議をいただきまして、いやしくも歴史的な機能をすでにかなり終わっておるというものがありとすれば、それはきちっとした制度の改革を必要とするのではないか。私どもといたしましても、五十七年度の財政投融資の策定に当たりまして、その辺の論議も踏まえまして、十分慎重な審議ないし査定を加えてまいりたい、このように考えております。
#124
○峯山昭範君 それではもう一点、これは先ほども質問がございましたが、院法政正の問題について質問をしておきたいと思います。
 これ大臣、先ほど私、佐藤さんの質問を聞いておりまして、銀行局長さんが御答弁になりました院法改正の問題につきましては、これはわれわれ非常に重要な問題でありますし、きょうはもう時間的な関係がありますので、会計検査院の方にも詳細に御答弁いただく時間がないわけでありますが、これ実は私たちの手元にあります資料を見てみましても、相当長期間にわたりまして会計検査院のいわゆる権限の拡大等を相当議論をいたしました。また、当決算委員会におきましても、この委員会の決議といたしましたし、また本会議におきましても衆参あわせまして、いままで何回となく決議をしているわけであります。
 それで、先ほど大蔵大臣の答弁の後で銀行局長の答弁聞いておりましたら、要するに法律を改正して権限を与えてしまうことに危惧を持っていると、こういう答弁がありました。これはその前後に多少はありましたけれども、こういう趣旨の答弁がありました。これは非常にけしからぬ答弁だと私は思います。大臣はどういうふうに答弁されたかといいますと、実質的に肩越し検査ができるようにすると、それが実質的だからその方がいいんじゃないか、こう大臣はおっしゃっているわけです。しかし、大臣、これ実質的に肩越し検査ができるぐらいなら、われわれはいままでそういうことを言っていなかったわけです。いままで肩越し検査が肝心のところでできないから、院法改正をして、十分なチェックができるようにお願いしたいと、こう言ってきたわけです。ところが、これは逆さまになりまして、法律を改正して検査院の力を強めるということが、そのことに危惧を持っているなんということは、これは一体どういうことなのか。やっぱり私は、肩越し検査でうやむやに全部済ませてしまいたい、そういうことは考えていないにしても、それに近い考え方で処理しようとしているんではないか。そうじゃなくて、院法改正についてのこの院の決議がこれだけあるわけですから、院法改正について本気で取り組んでいくべきではないか、そういう方向で進めるべきではないかと、私こう思います。この問題についてまず初めに院長の御答弁をいただきたい。
#125
○会計検査院長(大村筆雄君) 先ほど佐藤委員に御答弁申し上げましたとおり、肩越し検査の場合に、いままで御協力をいただかなかった一部の金融機関において、今後全面的に御協力いただきますれば、従来に比べて一歩前進になるかと思いますけれども、およそ肩越し検査と申しますのは当該政府関係金融機関の御協力を前提としての検査でございますから、そこにおのずから協力の度合いによりましては検査の限界というものがございます。したがいまして、自主的な検査の徹底という面からいきますと、十分な検査が行い得ない場合があるいはあろうかと思います。そういう点が実は事実違うわけでございます。
#126
○峯山昭範君 確かにおっしゃるように一歩前進であることは間違いないと私は思いますね。だからそのことで、院法改正そのものをやらなくてもいいんじゃないか、そういうわけには払いかないんじゃないか。とりあえず院法改正まではいわゆる肩越し検査で処理をすると、しかし、本質的にはやっぱりきちっとした院法改正をやって、そして業務がスムーズに進むようにするというのが筋ではないか、大臣、私はこう思うんですけれども、大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
#127
○国務大臣(渡辺美智雄君) 実はいろいろ議論をしてきたわけでございますが、政府としては与党との相談もしなければならない。そこで、ことしの三月に自民党政調会の中に、院法改正に関する懇談会というものを設けて、そこでいろいろ相談をした結果、院法改正は慎重であるべきだという結論に出たわけであります。それを踏まえまして、一方やはり会計検査に対する何か問題のあったようなものの全面協力という点も必要だというような観点から、ことしの七月二十三日に内閣官房においては、各省庁大臣に対しておふれを出したわけです。それは結局会計検査院と各省庁との間では、非常にむずかしい問題なんで、引き続き検討をするようにしてくださいと、いまの状態で法改正を提案することは困難でございますと、しかしながら、いまあなたのおっしゃったように、法改正ができないというその間においても、会計検査院の検査機能の充実を図るために、政府関係金融機関を所管する各省庁の間で、次のような実行上の措置を申し合わして、検査への一層の徹底を図ってくれという中の一つに、いわゆる肩越し検査への協力というものがございまして、個々の検査の実情に応じ必要な協力を行うと、それから、調査依頼の協力として、会計検査院から各関係機関に対し検査の必要上その調査依頼があった場合には、できるだけこれにこたえていく、こういうようなことがあったものですから、あるいは資料の提出ということについて大蔵省からも今度は大蔵省の所管の輸出入銀行、開発銀行、国民公庫、これらに対しては銀行局長名で内閣から言ってこられたことを下に徹底をさして、それでその間においても検査機能の充実を図っていくように努めようということをいまやっておる最中でございます。
 それからついでに、私の先ほど答弁をいたしました中で、ちょっと誤解されては困るようなことがあったものですから言い直しておきますが、きょう夕方発表される予定のいわゆる金利の改定と、長期プライムの改定という中で、基準金利については年内堀え置きをこのものについては考えますと言った中で、政府三機関と私が言ったと思うんですが、正確に申しますと、そうではなくて、国民公庫、中小公庫のほか環衛公庫、医療公庫、北東公庫の中小向け等について年内金利の据え置きと、商工中金はそれには入らないということでございますから、訂正をいたしておきます。
#128
○峯山昭範君 もう時間参りましたのでこれで終わりますが、大臣いまおっしゃる意味はよくわかりました。わかりましたが、会計検査院の検査機能の充実という意味で、これは自民党も含めまして、全会一致で本会議だけでも八回決議しているわけです。そういうような意味では、私はこれは自由民主党の政調会の中で院法改正は慎重にということになったということとはこれは矛盾するわけです。ですから、私はこれは何でそういうことになったのか、やっぱり詳しくお聞かせいただかなければ、これ院の決議にも反するわけですし、具体的にきちっと処理をしていただきたいということがあるわけであります。この問題は大臣だけの問題でもございませんので、これは場所を改めて質問さしていただきたいと、そういうふうに思っております。
 きょうはこれで終わります。
#129
○柄谷道一君 佐藤、峯山両委員からの質問にもございましたが、私からも視点を変えて、会計検査院制度の拡充について御質問したいと思います。
 まず、検査院長にお伺いいたしますが、会計検査院は発足以来ことしで百一年目を迎えております。私は、その歴史を振り返りまして、今日まで検査院が果たしてきたその実績というものを高く評価するものでございますが、しかし、行財政の改革が国民的な課題となっておる今日、不正経理の指摘と、厳正な会計経理の執行をチェックする会計検査院の責務はますます重大である。国民の期待もまた大きいものと認識をいたしております。
 まず、冒頭検査院長としての基本的な御認識をお伺いいたしたい。
   〔委員長退席、理事亀井久興君着席〕
#130
○会計検査院長(大村筆雄君) 大変御理解のあるお言葉をいただきまして、ありがたく拝聴いたしました。
 私、検査官を拝命して以来、この六年間検査活動を見てまいっているわけでございますけれども、憲法上の機関として、内閣に対する独立機関として、国民の負託に応じた任務をそれ相応に果たしてまいっておると存じますが、先般五十二年以来、国会の御議決にございますように、会計検査院の機能強化、充実という点につきまして、国民の各界からの御期待も相当高い状況であります。
 それから、また最近の行財政改革をめぐる動き等から考えまして、今後臨調等におきますところの検査院の成果の活用、あるいは臨調における行財政成果を確保するための検査院の活動に対する御期待も相当大きいのではないか。そういう意味におきまして、先般設置いたしました基本問題懇談会の場を通じまして、今後の会計検査院の機能の充実、強化につきまして、十分検討して、御期待に沿うよう努力してまいりたい、かように考えております。
#131
○柄谷道一君 院長の御決意の点は、当然そうあるべきだと思うんでございますが、しかし、実態を見てみますと、実地検査の施行率は八%、きわめて低い施行率でございます。しかも、五十六年予算定員は千二百二十二名でございますけれども、この人員で年間七千万枚に近い書類に目を通して検査しなければならぬ。これがまた率直な実態でもございます。しかも、ただいまの御決意ではございますけれども、五十七年度の予算概算要求を見ますと、職員の増員は十名増ということにとどまっております。しかも、これが全員認められるかどうかは今後の問題でございます。私は、このことは過去八回に及ぶ国会決議の中でも指摘され、ただいま検査院長の答弁でも触れられました会計検査院の職責の重要性と、その態勢の強化という国民の期待から見てほど遠いものがあると、こう言わざるを得ないわけでございますが、いかがでございましょう。
   〔理事亀井久興君退席、委員長着席〕
#132
○会計検査院長(大村筆雄君) 御指摘のとおり、検査の施行率は八%でございます。人員につきましても、終戦直後新憲法下新会計検査院が発足したときに、大幅の増員は認められましたが、そのときの千二百五十五名にもいまや下回っている現状でございまして、戦後一貫いたしまして、業務量が相当増大したにかかわらず、きわめてつましい人員でもって努力しておるという点をひとつ御理解いただきたいと思うんでありまするが、来年度の予算の要求におきましても、私どもは会計検査院という立場から考えまして、現在の財政状況にかんがみまして、必要最小限度の要求にとどめた次第でございますが、先ほど申し上げましたような財政の危機的症状下、あるいは行財政改革の必要な現状下におきまして、すべてそういう事態を改善するためには、今後相当長期間私どもは検査活動を続けねばならぬという前提で、施行率をせめて一割は確保いたしたい。そのために必要最小限度の人員を確保したいということで、きわめてつましい要求でございますが、そういう要求を政府にお願いしておる次第でございます。
#133
○柄谷道一君 具体的にそれではお伺いいたしたいと思いますが、過去十年間検査院の定員は何名増加されましたか。
#134
○説明員(肥後昭一君) 昭和三十九年に千二百十二名になりまして、それ以来十年間掘え置きまして、昭和五十年度から平均二名ずつ、現在十四名ふえまして千二百二十六名でございます。
#135
○柄谷道一君 それではその千二百二十二名、これ予算定員より四名多いということでございますけれども、そのうち調査官は何名いらっしゃいますか、またその調査官は過去十年間何名ふえられましたか。
#136
○説明員(肥後昭一君) 先生おっしゃいました千二百二十二名は、特別職の検査官と秘書官を除いております。私が言いましたのは全員でございます。調査官の現員は七百三名でございます。過去十年間に総定員では十四名増と先ほど申し上げましたが、調査官は五十三名の増でございます。
#137
○柄谷道一君 実在調査官は定員を満たしておられますか。
#138
○説明員(肥後昭一君) 年度の当初ではほぼ満たしておりますが、私ども、いま院長が申し上げましたが、昭和二十二年から一挙に四百人から千二百人にふえましたもので、そのときに大量に採用した、そのときは若い職員でございますが、現在高齢化して相当数毎年やめております。中途の採用ができませんので、年度中途では減員になっております。また、やめたときに、若い職員を調査官に昇格させるわけでございますけれども、旧来、前の数年間は余り退職者がございませんで、採用者が少なかった関係上、調査官のこまが途中では不足しているという段階でございます。
#139
○柄谷道一君 私は、国家公務員中級採用者で、調査官補になるまでに約五年、さらに調査官になるまでに三年、八年の経験を要すると承知いたしております。しかし、過去十年新規採用が抑えられてきた。また、いま御答弁にもございましたように、昭和二十二、三年ごろの採用者が近く退職の時期を迎える。また、昭和六十年度からは定年制が採用される。こういった一連の状況を考えますと、今後調査官の定員と実在人員の差というものが乖離しまして、検査官の質の問題も含めまして、検査院の機能を低下させるおそれがあるんではないか。院長の御決意とは逆の現象が今後あらわれてくるというおそれがあるわけでございますけれども、その点についてはいかがお考えでございますか。
#140
○説明員(肥後昭一君) 先生おっしゃいましたとおり、調査官の定員は多少割ってございますが、検査院の検査を行う者は調査官だけではございませんで、調査官は検査を行う人間が大体うちに九百何人ございますが、そのうちの最も中堅となる職員でございます。それ以外にも検査を行う職員が二石何名おるわけでございますが、その人間はまだ検査の経験の浅い者もございますが、それに対して十分な研修または実施訓練を行いまして、なるべく早く検査の経験を積ませて、その間のギャップを埋めたいと、そういうふうに考えております。
#141
○柄谷道一君 少なくとも公務員に対する定年制が昭和六十年から実施されるわけでございますから、私はその都度その都度の定員増をどうあるべきかということではなくて、やはり検査院の機能、たとえば施行率を将来目標としてどこに置くのか。いま当面一〇%に置いて十名増員ということはわかりますけれども、そういった将来の検査院の機能強化の展望といいますか、目標と、これに対応する質的、量的検査官の確保、こういうものについてはもう少し長期的展望を持って、その定員及び補充のあり方というものに対して態度を打ち出していくと、またこれを実現していくということでないと、いま院長の言われました、なかなか今後の拡充というものがむずかしいんではないか、こう思わざるを得ないわけでございますが、院長いかがでございましょう。
#142
○会計検査院長(大村筆雄君) 御指摘のとおり、終戦直後大量採用いたしました調査官が高齢化いたしまして、最近数年大量に退職しておる実情でございまして、その穴を埋めるべき若い職員が必ずしもまだ調査官になる適齢期に達していないと、そういう点で、御指摘のように、検査機能の低下を招くものではないかという御指摘でございますので、この点は先ほど次長から御答弁申し上げましたように、研修の充実等によりまして、できるだけ機能を低下いたさないように当面配慮いたしておりまするが、さらに長期的に見まして、定員構成どうあるべきかという点非常に大事な点でございますので、都内で先般来内々検討さしておりまするが、当面施行率一割といたしまして何名必要かという、その間において私ども、先ほど申しましたように、会計検査院でございますものですから、できるだけ余剰のある人員を内部でもって生み出すことによって調査官の充実を図ってまいりたい、その上で必要最小限度の人員増をお願いしたい。しかも、一挙にそういうことをお願いするわけにまいりませんので、ある程度の年数をかけて、逐次充実してまいりたいと、そういうふうに考えておる次第でございます。
#143
○柄谷道一君 大臣にお伺いしたいと思います。
 検査院長の意欲と決意のほどはお伺いいたしました。しかしその体制の実態についてはお聞きのとおりでございます。私はこの行財政の改革は当面の国家的課題とされておる。また憲法九十条に基づいて設置されております会計検査院が、独立の地位を利用いたしまして、財政監督機能の拡充をしてもらいたい。これは強い国民の世論であろうと思うのでございます。私は前回税務官吏の定数の問題にも触れたわけでございますけれども、この会計検査院の質、量ともの充実によって、不正な経理支出がチェックされ、適正な会計運営が行われる、そのことによって得る利益――メリットというものを考えるならば、私は会計検査院の定員問題というものについては、他の官庁とまた違った視点というものがとられてしかるべきではないか。私はそれは相対的に大きな国家財政にプラスを生み出すものと考えるわけでございます。
 そこで、これはむしろ大蔵大臣というよりも、国務大臣として、この検査院の体制強化、機能の充実、院法問題は後ほど御質問申し上げますので、触れていただかなくて結構でございますが、どういうお考えをお持ちなのか、国務大臣としての明確なひとつ御所見をこの際お伺いいたしておきたいと思います。
#144
○国務大臣(渡辺美智雄君) 会計検査院の機能が充実をして、有効に働くことは大変結構なことでございます。しかし、こういうような行財政改革の時期でございますから、会計検査院だけを人数をうんとふやすということは、なかなか言うべくしてむずかしい問題もございます。一番いいのは、これは納税問題と同じことでございまして、納税者が正しい申告をするということが一番で、この根本が間違っていれば、幾ら税務署員をふやしたからと言ったって、脱税の取り締まりのしようがない。ですから、まず何を置いても納税者の道義の高揚、それを図るということが根本であるということは私は終始言っておるわけでございます。それと同時に、やはり一罰百戒ということもございますから、非常に事務量が膨大になったその納税組織で、非常に人手が足らないと、これをふやすということにも努力はしておるわけでございます。似たようなことでございますが、会計検査院は収入を上げるというよりも、むだな支出をつくらないということのために、目を見張っていてもらう大事な機関でございますから、これも仕事がうんとふえるということですが、しかし各省庁も綱紀が採るんでおれば、これは幾ら検査をすると言ったって、全部の検査のしようがないわけでございますから、何といってもやはり各省庁の綱紀粛正、士気の高揚、こういうものが根本問題だと私は思っておるわけです。したがって、まず大蔵等においても、予算の個所づけ、予算をつける場合等においても、その点は厳重にそれはもうやかましく言って、むだな要求とか、そういうものには大いに目を光らしていくし、各省庁でもそれぞれの機関において、チェック機能がみんなあるわけですから、会計検査院に検査をされたときも、ともかくみんなフリーパスというようになれば、これまた半分でもいいという話になるわけですから、したがって、問題は、そういうような各省庁のまずチェック機能というものと、道義の高揚ということが先決じゃないか、そう思って、今度の行管の答申等を踏まえて、せいぜい会計検査院のお世話にならなくとも済むように、まずそれぞれの各省庁がやってもらいたいと、かように国務大臣としては考えております。
#145
○柄谷道一君 原則諭として各省庁が綱紀を大いに粛正し、姿勢を正してチェック機能を拡充する、これはもう当然のことですよ。それで、ずっと各歴代内閣はやってこられたわけですね。しかし、会計検査院のわが決算委員会に対して報告される不正事項の指摘は、にもかかわらず減っているかというと減ってないんですよ。ということは、憲法九十条に定められた会計検査院というものの機能を、もっと充実する必要があるということを現実は示していると、こう思うんですね。したがって、これは同時にいかなければならない。とすれば私は会計検査院、これ独立の機能を持っておられるわけですけれども、内閣としてもこの機能を今後行財政改革の断行という中でどう強化していくべきか、これは真剣な内閣の一つの政治課題として取り組まれるべき問題ではないか。特に財政を握られる大蔵大臣として、やはり閣内に対する意見の反映を強く求めておきたい。要請にこれはかえておきたいと思います。
 そこで、検査院に伺いますが、体制強化の問題とあわせて、その権限強化の問題についてお伺いしたいと思います。
 現在行われておりますいわゆる肩越し検査で検査を拒否され、または適正な検査を阻害されておる実例はございますか。
#146
○会計検査院長(大村筆雄君) 政府関係金融機関幾つかございますが、その貸付先に対しましては、現在の会計検査院法では御承知のとおり検査権限は及ばないわけでございます。ところが、御承知のとおり、一般会計等から出資金とか、補給金というような租税資金、あるいは財投資金を使っての低利政策融資でございますから、当然のこととしてこれに対してのチェック機能が働かざるを得ないわけでございまして、そういう必要上必要に応じて私どもで肩越し検査を実施してまいっております。大半の機関におきましては、それにいままで十分御協力いただいておるわけでございますが、残念ながら一部機関におきましては、それに対して御協力いただいてないという事態がございました。
#147
○柄谷道一君 去る三月二十五日、当決算委員会は理事懇の場に官房長官、会計検査院長及び関係省庁に御出席いただきまして、いろいろ質疑をいたしました。私は、そのときに一番感じましたのは、いま検査院長は非常に慎重なお言葉で一部と言われたんでございますが、明らかになりましたのは、開銀、輸出入銀行等大蔵関係の機関であったと記憶いたしております。
 そこで、そのために会計検査院としては、院法の改正に関する法律案要綱を出されておるわけでございますけれども、ちょっと具体的にお教えいただきたいのですが、その検査院の実査権限を政府関係機関の融資先まで及ぼす必要があるという点について、それは院法二十二条一項三号の、財政援助には公庫等が民間の基準金利より低く融資しているいわゆる特利の場合、これは財政援助に含まれると、こういう考え方に基づいていると、こう理解してよろしゅうございますか。
#148
○会計検査院長(大村筆雄君) 会計検査院法二十三条第一項三号は、国または公社が直接または間接に貸し付ける場合、その貸付先に対してでございまするから、その間国は当該政府関係金融機関に貸すわけでございます。その貸したお金を原資といたしまして、あるいはそのほか一般会計等から出しました出資金とか、あるいは補給金等も原資にいたしまして、低利の政策融資を当該機関の判断で行うわけでございますので、当然のこととして会計検査院法二十三条第一項第三号の適用はないわけでございます。ただ、現在はそういう特殊法人の融資でございまするが、その前には国の特別会計において貸し付けていた時代がございました。その場合は、当然のこととして検査院法二十三条第一項三号による国の直接の貸し付けになりますので、その場合は貸付先に対しまして当然のこととして検査権限が及ぶわけでございます。それが特別会計をやめまして公庫になった途端に、それが及ばないという事態になりました。しかし、その原資は、一般会計から出資金とか、補給金とかいう租税資金、あるいは財投資金が原資でございますから、何らかの財政的なチェックが行われなければなりません。そこで肩越し検査という形で、必要な場合に貸付先に対しての融資のチェックが行われておる次第でございます。
#149
○柄谷道一君 それでは、住宅金融公庫法三十七条で住宅金融公庫にだけは検査院が貸付先に検査に行けると、こういう規定があるわけですね。これは住宅金融公庫の融資額は金利が低いから、したがって、これは財政援助であると、こういう解釈に基づいているのではないかと、私は法律専門家ではございませんけれども、そう思うわけですね。すると他にもたくさん特利はあるわけですよ。これはどう考えればいいんですか。
#150
○会計検査院長(大村筆雄君) 住宅金融公庫法の三十七条貸付先に対する会計検査の規定でございますが、これは法律自身は大蔵省と建設省の共管の法令でございますから、所管省においてお答えいただくのが妥当かと存じまするが、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、低利の政策融資やしかも財政資金を原資として行われておる。したがいまして、現実に着目されての規定だというふうに理解しております。したがいまして、ほかのそういう規定のない政府関係金融機関におきましても、立法諭としてはそういう規定があり得ると、かように考えております。
#151
○柄谷道一君 私はここで立法論を闘わそうと思わないわけですけれども、国民の率直な印象からすれば、住宅融資だけは検査院の検査の対象になる。これは特利だ。しかしたくさんほかにも特利はあるわけですね。なぜ一部だけが検査の対象になって、他は法律上検査の対象にならないのか、これは素朴な私は国民の疑問だと思います。こういう点も私は院法改正をしなければならぬという一つの根拠といいますか、前提にあるんではないか、こう思うんです。この点は私の指摘にとどめておきたいと思います。
 そこで、過般の三月二十五日の決算理事懇の際一番問題になりましたのは、特に大蔵省が強く主張しましたのは、いわゆる公権限が民間経済にどこまで踏み込むべきか、そのことに対して公権力の介入が行われることは好ましいことではないというのが、一言で言えば大蔵省の姿勢であり、他の官庁は非常に検査院の院法改正法案要綱に対して理解を示す態度であったというのが当日の実態だろう、こう思うんです。
 そこで、検査を行う場合、民間経済にどこまで踏み込むべきか、そのことに対する判断基準と、権限行使の制約というものは、当然立法技術としてこれは明確にしなければならぬと思うんですが、その基本的なお考えはいかがでしょう。
#152
○会計検査院長(大村筆雄君) 立法論的には財政資金を原資とする低利の政策融資でございますから、必要な場合は貸付先に対しましても検査機能が及び得るものだと理解しておりまするが、民間の貸付先に対する公権力の行使でございますから、あくまでこれは慎重でなければならないと存じます。したがいまして、私どもが内閣に提出しております院法改正案につきましても、これは検査権と称しておりません。調査権という設定でございます。しかも何ら罰則を伴わない、したがいまして強制調査権ではございません。強制調査権ではございませんけれども、任意の調査権でございますけれども、それでなおかつこれは軽々しく発動すべきではないというふうに私どもは考えておりまして、当該金融機関に参りまして貸付状況を検査いたしまして、当該金融機関で十分な御説明いただけますれば、もう貸付先に対して、たとえ不当な貸し出しがございましても、貸付先に対しまして検査に行く考えはございません。ただ、当該金融機関において十分な御説明いただけない、どうしても貸付先に行かなければそういうどうも不当のおそれのある貸出状況が解明できないという場合に限って参ることにいたしまするが、その場合もいきなり調査権を発動するのではございませんで、まず肩越し検査ということで参りたい。ただ、何らかの理由で当該金融機関におきまして、政策金融機関におきまして、肩越し検査の御協力が得られないという場合に、初めて調査権の発動ということになりますが、出先の調査官にいきなり調査権を発動させるようなことはいたさせません。これは院法の法律案におきましても、部内の最高意思決定機関でございます検査官会議に諮りまして、その必要性ありや否やを十分に検討いたしまして、貸出先に対する調査権の発動をいたすと、そういうようにいたしております。
 そのほか調査に参ります場合も、いきなり行くようなことをいたしませないで、事前に連絡するとか、あるいはその場合に当該金融機関の立ち合いを求める、そういう数々の慎重なる措置を講じておる次第でございます。
#153
○柄谷道一君 私も五十四年四月九日の検査官会議決定による院法改正法律案要綱を拝読いたしまして、官権力の民間介入ということについて、きわめて慎重な配慮が行われていると、こう読み取るわけでございます。一部には、これで十分な検査ができるのかという、なまぬるいのではないかという声すら出ておるほど慎重な配慮を行っておる。私は国会のたび重なる決議や、こうした要綱を見ますと、民間介入けしからぬという大蔵省のお考えが那辺に基づくものか、どうしても理解しがたいものがございますし、一回決議に全会一致で参加されました与党で、この問題に対して問題が蒸し返される、まことに私は立法府の意思というものが無視されるもはなはだしい、こう言わざるを得ません。この点は答弁不必要でございますから、指摘にとどめ、私はこの院法改正されるまで、何回でもこの問題は機会を得て追及をいたしていきたい、こう思っております。
 そこで、次の問題でございますが、これは検査院の法律案要綱の中に含まれていない問題でございますけれども、昭和四十年ころから、大蔵省と検査院との間に定期協議が行われていると承知いたしております。そうした運営によって、検査院の検査結果が予算上反映されていると、こう検査院は認識されていらっしゃいますか。
#154
○説明員(肥後昭一君) ただいま先生がおっしゃいましたとおり、昭和四十年に大蔵省と協定いたしまして、年二回大蔵省との連絡会を開くことにしております。これが私どもとしては本院の検査結果を予算に反映する手段として、非常にいい手段であるというふうに考えております。その連絡会は八月と三月の二回やりまして、八月にはわれわれの検査結果を大蔵省側に申し上げまして、大蔵省がちょうど予算の概算の作成の時期でございますので、それに直ちに取り入れてもらうようにしておるわけでございます。それから、三月には大蔵省から予算の編成の説明を聞くと同時に、大蔵省からの調査依頼とか、要望とかいうものを聞くことにしております。その結果、われわれとしては非常に良好に反映されていると考えております。
 この五年間のことを申し上げますと、この五年間でわれわれが連絡会で大蔵省に、検査した結果、こういう点は予算で減額した方がいいんではないか、予算のつけ方を変えた方がいいんではないかというふうに申し上げたところ、三十件ほどが予算に反映されております。
#155
○柄谷道一君 これは私は持論として、本決算委員会における審議結果、また検査院の検査結果、これと予算というものが密接に関連づけられる、それはきわめて必要なことだというふうに考えております。この本質的な解決は、いま参議院改革協議会が持たれておりますが、この場を通じて、本質的なあり方については突っ込んだ議論がなされるべきであろう、こう思うものでございますが、それは横に置きまして、しかし、いま少なくとも検査結果を予算に生かす方法としてとられておるこの定期協議の問題を、院法改正を機会に制度化、もしくは法制化する必要があるんではないか。それが検査結果と予算を関連づける有効な一つの手法ではないか、こう思うんでございますが、いかがでございましょうか。
#156
○会計検査院長(大村筆雄君) 決算の結果を予算に反映することを法的、制度的に担保するために法改正をすべきではないかという一つの御見識だと存じます。ただ、やるといたしますと、予算編成の根拠法規は財政法でございますから、財政法でおやりになるのが至当だと存じます。ただ、私どもから申しますと、大蔵省の主計局なり、理財局がそれぞれ国の予算なり、財投計画、いわゆる財投予算と言っておりますが、そういうものをおつくりになるときに、検査結果をある程度といいますか、私どもの申し上げた結果は十分御活用いただいておるようでございまするし、また国会の予算委員会の審議の際にも、検査院の見解を求められることもございまするので、ただいまのところはそういう検査結果の反映という点は、法律改正をまつまでもなく、事実上十分行われているのではないかというふうに考えております。
#157
○柄谷道一君 これはひとつ大蔵省の宿題として私問題提起をいたしておきますので、前向きに省内において御検討をいただきたい。また、検討されました結果が明らかになれば、別途の機会に御連絡を願いたい。このことを求めておきます。
 そこで私は、いままでの質疑を通じまして、検査院としてのお考えは、院法を改正して検査の範囲、対象を拡大し、それを常時会計検査し、会計経理を監督することによって、国家資金の使途に対する検査の徹底を図ることができる。そのために必要最小限の調査が融資先に及ぶことは検査上欠かすことができない。しかし、検査の徹底を期すという立場と、融資先の立場とは、立法政策上十分その調整を図る必要がある。これが一言で言えば検査院の意思だと思うんですね。ところが、検査院には法律の提出権がないわけです。そしていま、内閣の調整に手間取り、国会決議や、さらに五十四年に検査院から提案された法律案要綱がまだ日の目を見ない。日の目を見ないところか、内閣提出予定・法律案条約要旨調、これを一遍私見ましたら、その中の検討中の法律案、条約件名にも院法改正の件名は載せられておりません。このことは、いかに内閣というものが院法改正に対して消極的であり、立法府や検査院の意思を無視していることを物語るものではないかと思うんです。これは検討中なら検討中の法律要綱の件名の中に入れておくべきです。入っていないということは検討してないということにも形式上言えるのではないかとすら私は言わざるを得ません。私は、院法改正に対して大蔵省は批判的な御意見が強いようでございますけれども、この際改めて大臣に院法改正に対するお考えをお伺いしたい。
 あわせて、院法改正までの間、今日まで肩越し検査を渋っておられました開銀及び輸出入銀行に対する肩越し検査については、他の省庁と同様にお認めになりますか、いかがですか。
#158
○国務大臣(渡辺美智雄君) われわれは、内閣の通達もございますから、実行上の問題として、必要なものについてのいわゆる肩越し検査については、個々の実情に応じて協力してもらうように話をいたします。
 それから、院法改正の問題につきましては、これは大蔵省だけの問題ではございませんし、各省庁とも皆関係のある問題でございますから、今後とも引き続き検討していきたい、そう考えております。
#159
○柄谷道一君 次に、問題を転じまして、実は時間があれば、四月から八月までの一般会計税収累積額の実態、今後の見通し等にも触れ、本年度の税収見通しはどうなるのか、また五十七年度の財政事情の試算による中期展望に三十六億九千九百億円が記載されておるわけですが、その確保は可能なのか、こういう点につきましても深く議論いたしたいと思っておりましたが、時間の関係からこの質問は省略をいたしまして、また改めての機会に税収の展望とその対応策については御質問いたしたいと思います。
 そこで私は、それは横へ置くとして、現在の個人消費の低迷を分析する上で見逃すことができないのは、低い賃金上昇と、高い税負担であろうと思います。名目賃金増加率は五十五年の各四半期の伸び率が大体七ないし八%であったのに対しまして、五十六年の一−三月は六・一%増、四−六月期は五・四%増にとどまっております。また、このように名目賃金の伸びが鈍化する中で、税金や、社会保障の負担率は高まり、可処分所得は低下の一途をたどっているわけでございます。
 去る十月十九日、国税庁がまとめました国民給与の実態調査によりますと、民間サラリーマンの昨年の平均年収は物価上昇に追いつかず、実質減収になっている上、税金は容赦なくふえて、過去十年間で最高の税負担率を記録しておることが明らかになっております。また、低いベースアップと、五十二年以来物価上昇に見合う所得減税を行っていないために、サラリーマンの生活がレベルダウンしておることをこの白書は指摘をいたしております。また、朝日新聞が、この先二、三年所得税減税が実施されなかったらどうなるのかということについて、その試算結果を新聞に発表いたしておりますが、これによりましても、きわめて深刻な事態になることが試算結果として明らかになっておるわけでございます。
 私は、このような現況が、消費者の消費マインドを萎縮させ、個人消費のブレーキになり、物価が安定すれば消費は復活すると政府が一貫して言ってこられました予測を大きく狂わしている要因ではないかと思います。事実このことは、経済企画庁が五十六年度経済見通し暫定試算で、民間最終消費支出について、年度当初見通し名目九・九%、実質四・九%としたものを、それぞれ七・八%、二・七%と下方修正しておることがこの事実を物語っていると思うのでございます。
 大臣、五十七年に所得税減税をやるということは、大臣の立場から言えないということはよく知っておりますけれども、このような実態の中で、所得税の課税最低限の引き上げが必要であるということは、定説だろうと思うんです。大臣いかがでございましょう。
#160
○国務大臣(渡辺美智雄君) 課税最低限が数年間掘え置きになっておりますから、そういう点で、その間、物価の上昇もありますし、できることならばそれは引き上げたいという気持ちは私ども持っております。しかしながら、このような各国に例のないほどの日本の財政窮乏の状況という点から考えると、現在課税最低限は日本は二百一方、アメリカが百六十万、イギリス百十万というような状態から考えますと、ほかとの比べからすると日本は非常に高いという状況にないことも、これも事実でございます。したがいまして、ともかくそれらのいま言ったアメリカやイギリス、ドイツなどよりも、日本の国債依存率は非常に置く、政府だけが税金で賄うべきものを税金を取らないで借金で賄ってきた、その結果が現在の財政悪化を招いたわけでございますから、まことに残念ではございますが、遺憾ではありますが、いま直ちに課税最低限を引き上げるというほどの余裕がないというのも実情でございます。
#161
○柄谷道一君 これは諸外国の比較、単純な課税最低限の比較も一つの見方でございましょうけれども、私は、制度上サラリーマンは節税手段を持っていないわけなんですね、そのことが節税手段を持つ自営者との間に一層税負担の不公平を招いておる、この一面を重視しなければならぬと思うんです。臨調答申の中にも不公平税制の是正、これは大きく取り上げられている問題でございますから、当然これはいつの時期にか取り上げなければならぬ課題であろう。われわれは、明年度これを実施すべしという意見を持っておりますが、これに対してイエスというお考えは大臣はされないでしょう。われわれの要求は要求として、それでは大臣、五十七年がだめと言われるならば、一体いつごろを目途にこの見直しと是正を図るお考えをお持ちなんですか。
#162
○国務大臣(渡辺美智雄君) これもいつごろとこう言われましても、私もいまの段階でいつごろということを明示できない。問題は、経済は生き物でございますから、来年の経済見通しがどうなるのか、世界の経済がどういうふうに動いていくのか、この見通しがわからないと本当はわからぬわけです。しかし、仮に中期展望に示されたような税の自然増収がある、確保できるという中で、ゼロシーリングが毎年続けられれば、それは減税財源が出てまいります。それの国会での御了解が得られるかどうか、非常にそこが問題なわけでございまして、まず、私は、五十七年度予算に向かってのゼロシーリング予算の成立、これを一遍どうしてもやらないことには、これができないようではとても減税どころの騒ぎではないというように考えております。
#163
○柄谷道一君 この問題は本臨時国会が終わって、次の通常国会の最大のテーマになると、こう思いますから、その際また改めて経済と、税収と、所得税減税の関連について、わが見ないしは私の意見を申し上げていきたいと、こう思います。
 そこで、時間がまいりましたので、最後にお伺いするわけでございますが、新聞を見ますと、最近大蔵省では各種の増収対策というものがとられていると、こう報道されているわけでございます。
 たとえばギャンブル税の創設の問題、これは五十五年十一月七日の税制調査会の中期税制答申の中にも含まれておる項目でございまして、これを受けての検討であろうかと思いますけれども、新聞には大きくこの問題が取り上げられております。
 また、青色申告制の悪用。たとえば、妻に二千五百万円もの給料を出して節税を図っておるというあるお医者さんの実例も挙げつつ、この悪用というものを防止するために国税庁として厳しい監査を指示し、この是正に努めるという記事も報道されております。
 さらには、自営業の正確な所得の把握を行うために、自営業者に売り上げや仕入れなどの帳簿、記帳を提出させることを義務づけるという所得税法の改正に取り組んでいるとも報道されております。
 さらに、交際費課税につきましても、定額を除き、一〇〇%課税するという交際費独化の方針を大蔵省は定めたと、こう書かれているわけです。
 これらの問題については、いずれも新聞報道でございますから、この際大蔵省として、不公平税制の是正という視点から、どういう問題にいま具体的にかつ積極的に取り組んでおられるのか、このことをお伺いいたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わりたいと思います。
#164
○政府委員(矢澤富太郎君) ただいま先生から御指摘のございました新聞報道は御指摘のとおりでございます。
 来年度の税制改正の作業でございますが、私どもとしてはまだいろいろと勉強中の段階でございまして、具体的にこれをどうする、あれをどうするという段階には至っておりません。ただ、歳出面におきまして、福祉、文教等、聖域なしの見直しが行われ、痛みを分から合うという予算をめざして編成をしておるわけでございますので、税におきましても、制度面の不公平是正につきましては、それと同じようなバランスで厳しく見直しを行っていく必要があろうかと思っております。
 ところで、どういうものが対象になるかという点でございますが、これはただいま先生が御指摘なさいましたように、ギャンブル税、あるいは記帳水準の向上、交際費課税の強化、貸し倒れ引当金、退職金引当金の損金繰り入れ率の見直しといったようにことが話題になっておるわけでございますが、これらはいずれも昨年の中期答申におきまして、引き続き検討すべきであるというふうな提言をいただいておる事項でございますので、私どもとしては継続的に検討をしているということでございまして、実際問題として五十七年度に一体どういうようなものを盛り込んで御提案するかというのは、これからの勉強をしばらくお持ちいただきたいと思っております。
#165
○安武洋子君 個人企業の専従者控除の問題についてお伺いをいたします。
 専従者控除の適用内容につきましては、白の場合は現在四十万という一定額法定制でございます。それから、青色の場合はこれは完全給与制というふうなことで明白な違いがございます。
 最初にお伺いしておきますけれども、こういう専従者控除といいますのは、所得税法の五十七条の特例、これが設けられました趣旨ですね。これは家族の労働が事業主たる経営者一人の活動の中に埋没してしまう。これでは他人を雇った場合と比べて大変矛盾があるというふうなことでぐあいが悪いから、家族専従者の給与所得に当たる収入分、これはすなわち家族労働報酬ですね、これは必要経費として控除を認めようと、こういうところにあると思いますけれども、この点いかがでございましょうか。
#166
○国務大臣(渡辺美智雄君) そのとおりだと思います。
#167
○安武洋子君 ところで、白色の専従者控除額が過去七年間据え置かれたままでございます。片方は完全給与制でございますので、青色との差がぐんぐん開いてまいっております。ことし三月に出されております国税庁の申告所得の実態、この報告を拝見いたしますと、昭和五十四年の青色事業専従者の平均給与額、これは百二十二万六千円になっております。一方、白色は四十万のままです。その差というのが三倍以上になっております。それから、これは報道でございますが、推計として出ておりますのは、昭和五十五年には青色の平均給与というのは百六十二万八千円になるだろう、これですと四倍強になるわけです。なぜこんな開きが出てきているのかということをお伺いいたします。
#168
○政府委員(矢澤富太郎君) 技術的な問題もございますので、私から説明さしていただきますけれども、まず、専従者控除の青と白の違いでございますが、一つは、その背景といたしまして、青色申告者というのは申すまでもなく帳簿をつけているわけでございますね。したがいまして、帳簿の上で企業と家計が分離されている。御家族の専従者がいて、月給を引かれれば、それは帳簿の上ではっきりと確認をされるものでございます。
 これに対して、白色申告者というのは帳簿がない。つまり、企業と家計部分が分離されていないということでございます。したがいまして、白色の場合には幾ら家族従業者に月給を払ったか、これは資料によって確認することができないわけでございますので、そこに基本的な違いがあるということでございます。しかるに、青色の場合でございますが、帳簿を記帳することによりまして、企業と家計が分離できていると、それはまた個人企業といえども企業の近代化に役立つことでございますし、先ほど御指摘のございましたように、家事労働を分離すると申しますか、家事労働に対して正当な報酬を認めるという近代的な考え方に即するものでございますので、かつては定額で控除を認めていたものでございますが、四十二年からその給与が相当な範囲のものであれば、完全給与制と申しますか、実際に払った金額が全額給与として、その事業主の所得から必要経費として控除できるという思想、考え方をとっているわけでございます。
 ところで、白色の場合には帳簿そのものがないわけでございますので、これは幾ら月給を取ったかということがわからないわけでございます。ただ、それにしても家事従業者が何分かの貢献をしているということは確かでございますから、白色の場合には従業者一人当たり四十万円、実際に四十万円の給与の支払いがあったか、あるいはなかったかということに関係なしに、四十万円を必要経費として認めているという関係でございます。
#169
○安武洋子君 そこはわかって質問しているわけですよ。ですから、私がいま聞いたのは、五十四年には大体青色の方では百二十二万六千円と、それから五十五年になるとそれが一挙に百六十二万八千円、推定でございますけれども、こういうふうに報道されている。そうすると、白色との差が、五十四年は三倍であったのに、五十五年は四倍になると、どうしてこういう一挙に開きが出てきたというふうに国税庁としてはお思いなのでしょうかと、こういうことを聞いております。
#170
○政府委員(吉田哲朗君) 数字のお尋ねでございますので私どもの係数を申し上げますと、まず、五十五年分でありますが、青色専従者一人当たりの給与額は百十八万六千円ということになっております。ただ、青色事業者一人につきまして平均一・四人を雇っていると、こういう統計になりますので、百十八万六千円の一・四倍ということで百六十二万八千円と、こういう数字が出ているわけでございます。
#171
○安武洋子君 それでは一挙にはね上がっておりますでしょう、五十四年から五十五年ね。そのことを本当はお尋ねしているわけです。後で一緒に御答弁いただいたらいいですけれども。
 次の御質問は、白色の控除が最初に設けられましたのは昭和三十六年ですね。そのときは青色は十二万円、白色は七万円です。だから約一・七倍の差です。ここに表をわかりやすいので持ってきましたけれども、これが最初の出発ですね、昭和三十六年。それから以後、青色が完全給与制に四十二年に移るわけですけれども、四十二年までほとんど差がないわけです。それから、この差というのが一・五倍から一・六倍ぐらいで推移してきた。これが四十二年以後にはぐんぐんぐんぐん開いてくるわけですね。ですから、五十年には白色が四十万に引き上げられて、ちょっと是正をされるわけです。しかし、現在据え置かれたままなので、ついに三倍以上、そして先ほどのあれでは四倍以上という、こういう開きが出てきております。そうすると、これはこのままでいきますと、ますます開いていくということにならざるを得ないわけですね。こういうことが出てきているわけです。ですから、私が申し上げたいのは、昭和五十年以来長期間にわたってこの四十万が据え置かれているので、やっぱりこのままでは矛盾しているのではなかろうかというふうなこと、これをお伺いしているわけなんですが、さっきの点とこれ士含めてちょっとお答えをいただきます。
#172
○政府委員(吉田哲朗君) いま手元にある数字で申し上げますと、先ほど一・四人ということを申し上げましたが、一人当たりで直してみますと、五十一年分は九十二万円でございます。それが先ほども申し上げましたように、五十五年分ですと百十八万六千円ということでございますから、九十二万から百十八万までこの四年間で上がっていると、こういう結果になっております。なお、五十四年との比較で申し上げますと、五十四年分は百十一万二千円ですから、五十五年分はそれが百十八万六千円までふえたと、こういうことでございます。
#173
○安武洋子君 先ほどもちょっと出ておりましたけれども、青と白の格差があるというふうなことで、私は類推いたしますけれども、青色申告の完全給与制の盲点を利用しまして、家族従業者の給与が三千万というふうなことが新聞に報道されているわけですよね。ですから、こういう本当に法外な申告というものは、まじめに申告をしている人たちにやっぱり申告全体があいまいなものではないかというふうな印象を与えてしまうのではなかろうかというふうに私は思うわけなんです。ですから、こういう点について、一体どのようにお考えになっていらっしゃるのか、どういうふうに処置をしようとなさっていらっしゃるのか、具体的に聞かせていただきたいです。
 そして、こういうこととともに、やっぱり朝から晩まで身を粉にして働いても、白色申告の控除の場合は四十万のまま据え置かれてしまっていると、私はこれは両方とも是正されなければならないと、こういうふうに思いますけれども、その点いかがでございましょうか。
#174
○政府委員(吉田哲朗君) 御質問の前半の点についてお答えを申し上げますが、先生御承知のように、青色事業専従者給与は、所得税法及び施行令の規定によりまして、支払った金額が専従者の労務の対価として相当と認められるものに限って必要経費に算入されるわけでございます。必要経費として算入すべき金額が相当であるかどうかというのは、まずは納税者御自身がそれぞれの実態に応じて良識的に御判断されるべき問題であろうと思います。
 そこで、私どもの統計を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、青色専従者一人当たりの平均給与額は、五十五年分で百十八万円でございますから、私ども考えますに、ほとんどの青色申告者は常識の範囲にとどまっているというふうに考えられます。ただ、時たま社会常識を超える非常に高額な給与を支払っているケースが見受けられることも事実でございます。そこで、こういうものを放置しておきますときは、青色申告制度の適正な運用という点で望ましくないわけでありますし、制度に対する信頼を損うということになりますので、そういうきわめて異例の極端なケースにつきましては、今後実態の把握にさらに努めまして、これを適正化させる、そういう指導を強く行っていきたいと、かように考えるところでございます。
#175
○安武洋子君 私は青色の方が良識的になさっていらっしゃるということを否定するものではないし、そのとおりだと思います。ただ、三千万なんというのはやはり法外なものではなかろうかと、これはごく一部の人だろうと思うわけです。いまもこういうものについては、十分に調査をしてというふうにおっしゃいましたけれども、じゃ具体的にどのようになさろうとしていらっしゃるのか、もう少し具体的に聞かせていただけないでしょうか。そして、先ほどの私の質問の中に、こういうことと比べて、朝から晩まで身を粉にして働いても、四十万がずっと据え置きっ放しというのは、これも私は是正をされなければならないのではなかろうかというふうに思っておりますので、両方もう一度お答えをいただきます。
#176
○政府委員(吉田哲朗君) 御承知のように、専従者給与の額が適正かどうかということを判断する基準としましては、所得税法と施行令にかなり詳しい規定があるわけであります。御案内であると思いますので、くどくどと申し上げませんが、労務に従事した期間であるとか、労務の性質であるとか、あるいは提供の程度、あるいはその事業に従事しているほかの使用人の給与の額、あるいは類似業種の使用人が受けている給与の額、事業の規模、そういったものを総合的に判断して、相当と認める額を決めるわけでございます。ただ、具体的に幾らというような数字で決まっているわけではありませんので、いろいろ判定にむずかしいところがあるのは事実だと思います。しかしながら、どれだけ法令ではっきりした基準が決められているからには、私どもはやはり不適正なものはこれを是正させる努力をしなければいかぬ。そういったことで現在各国税局において努力してもらっておる、そういう段階でございます。
#177
○政府委員(矢澤富太郎君) 後段の点でございますが、この問題は青色申告に移っていただければ、完全給与制に移行できるわけでございます。したがいまして、白色の申告者が青色申告に移る場合に、非常に複雑な手間がかかるということでは、私どもの方に責任があるわけでございますが、私どもといたしましても、いろいろと記帳方法を考えまして、非常に簡単な方法で青色申告に移っていただける方法を講じております。しかも、税の執行面の不公平税制と言われている問題がございますが、これを是正するためには、いまの民主的な申告納税制度のもとでは、納税者の方に正しい記録をとっていただいて、正しい申告をしていただくというのが基本でございますので、そういう意味からも青色申告に移っていただきたいという気持ちがあるわけでございます。
 そういう意味で、四十万以外にもう道がないという問題ではございませんので、青色申告に移ることによって、完全給与制を利用していただきたいというのが私どもの率直な気持ちでございます。
#178
○安武洋子君 私は青色の移り方をお伺いしているわけじゃございません。白色を認めてなければそれはいまおっしゃるようなこともありましょう。しかし、白色を選択している人の問題でお伺いをしているわけです。ですから、白色を選択するということになれば、それは帳面をつけがたい。本当に町の八百屋さん、お魚屋さんが帳面をつけがたいという、いろんな理由があるからこそ白色を選択されているんでしょうから、白色の選択を認めている以上は、その問題についてお伺いをしているのですから、その問題でお答えをいただかなければいけないわけなんです。ですから、白色の問題で私は四十万が据え置きというのは、これは余りにも、こういう青色との分で見てもこれはだんだん開いていくばかりです、片一方は完全給与制とっておりますし、片一方は法定主義で四十万据え置きというのはね。だから、いつかは是正をしなければいけない、もう是正をしなければ時期に来ている、そういうことで申し上げているわけです。
 そこで、これは白色の控除、額の引き上げが求められているというのは、私はこの青色のバランスで申し上げましたけれども、それだけではないんですね。これが、白色の専従者控除額が昭和三十六年に七万円に決められたという主要な目安というのは、これは農家の労賃というか、農家の家族労働報酬、これが使われているわけですね。これは以来五十年当時までは参考にされてこられておりますけれども、最近ではこれさえされておられない。ちなみに指標の一つとして見てきた農村の物価賃金統計の農家臨時賃金の推移を見てみますと、昭和五十年、男子一日で三千六百四十円です。女子は二千八百六十七円です。それが五十四年になりますと、男子は三千六百四十円が四千七百八十九円、一・三二倍にふえております。女子は三千七百二十円で一・三倍にふえております。食糧庁が米価資料として発表しております推計数字で、ことしの六月では男子は五千四百九円、一・四九倍になっております。女子は四千三百十二円、一・五倍になっております。つまり青色の控除のバランス、それとか、実際の労賃の上昇とか、こういう両方から照らしてみても、私はいま引き上げが求められているのは当然ではなかろうか、こういうふうに思います。大臣いかがでございますか。
#179
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先生のおっしゃるのも一つの考え方で、一つの御意見だと私は思っております。しかし、先ほど事務当局から言っておったように、白色の場合は記帳をしてないと。記帳をしない方が記帳をするよりも有利な場合もあるかもしれないわけでございますから、だから選択制になっておるわけです。そこで、仮に、記帳をしない方が税務署から見つからないでその方が有利だというときに、その人の方の控除額だけをどんとここで上げるということになれば、当然に扶養家族、配偶者控除も上げろ、基礎控除も上げろというような話が出てきてもおかしくないわけでございます。それはいまできるような状態には財政上ないと、これも事実でございます。そういうような観点から、本当に四十万円で上げないのはけしからぬとおっしゃる方は、その救済策として、簡単でいいわけですから青色申告に転換をする。そのかわり売り上げも表に出しますと、そのかわりわれわれの月給も世間並みにだけ経費として認めてくださいよと、そうすればいいわけですから、そういうような救済措置がちゃんと片一方にあるわけですから、ですから、そこらの点をよくお考えいただきたい。数年間上げないで青色の方だけ上げたんじゃないかという理屈もあるんですけれども、青色でない方が税金が少なくていいという人もあるかもしらぬですね、そこが問題なんですよ。
#180
○安武洋子君 大臣、そんなことを言ってもらったら困るんです。私は、これは予算委員会の中で、当時の坊大蔵大臣に対して御質問したことがございます。これは業者夫人の問題を例に引いていろいろ申し上げました。いかに業者夫人たちが朝から晩まで身を粉にして働いて、帳面をつける間もないかというふうなことで、坊大蔵大臣は、なるほど帳面つける間もないというところはたくさんありましょう、そういう方が白色で申告されているということは、これはわが国は白色を認めているんだから、それは前提として話しましょうということで答弁をいただいているんですよ。やっぱり、わが国が白色認めてないなら別ですけれども、白色があるんだから、そしてその白色の制度がせっかくありながらどんと上げるって、大臣、どんと長いごと上がってないから問題で、もうここらで少しは上げなくっちゃ、これはどんどん開いていって、制度としても大変ですよ。そして、この一番最初の趣旨に立ち返っても、農村の物価賃金の統計の推移というのを目標にしてきたけれども、これだってこうなっているじゃないか、青色だけの差しゃありませんよ。ですから、一つの税制としてこういうのがある限りは、そこはやっぱりちゃんと四十万というのを長年据え置かないで、ここらでもう四十万というのは考え直していただかなくっちゃいけないのではなかろうか、私はこういうことで御質問申し上げておりますので、そこのところを踏まえてもう一度御答弁ください。
#181
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはそういうお考えも決して私は否定はしておらないわけです。しかし、私の言ったようなことも事実あるということも御理解をいただきたいと思います。
#182
○安武洋子君 論議はかみ合いませんが、結局、青色に全部が移れるようなら、青色でどんどん完全賃金で認められる、そして、それをしたいというふうなことにもなりましょうけれども、そうならない実情というのが中小零細企業にいっぱいあるというふうな点も私は認識していただかなければいけない。底辺にやっぱりそういう温かい配慮というのが要るんじゃなかろうかというふうに思います。それで、やっぱり家族労働の報酬というのが家業の中に埋没してしまう、こういう矛盾を打開しようということで最初これがつくられたわけです。こういう必要経費を控除していこうというのが専従者控除の趣旨であって、実態的にも当初の農村の労働報酬、これを基準にしてきた。それが全然もういまはやられていない。何といったって矛盾だらけになってしまっているということで、私はずうっと国会の中でこれを再三再四追及させていただいておりますけれども、変わってきているということは大変不満に思っているわけです。一番最初は、私が国会の中で追及させてもらいましたときに、いろんな家族労働の中席をとってその額を決めているんだと、こういう御答弁がございました。ところがいまは、他の人的控除とのバランスの問題とか、それから配偶者控除と扶養控除の中間の額に決めているんだというふうに変わってもきているんです。これは家族報酬の取り扱いの問題という側面を、やっぱり私は意識的に軽視した答弁に変わってきてしまっていると思うんです。いまの大臣の御答弁というのは、まだそれよりも、もう何だ、青色に行ったらいいじゃないかということで、これはもう正直なところ御答弁にならないですよね、白色の問題を私は言っているわけですからね。ですから、私はもうちょっと白色のことで御答弁をいただかないといけないと思うんです。
 配偶者控除と、それから扶養控除の中間に白色の控除額が決められていたというのは、これは石油ショック以前の話なんですね。それ以後は労賃の急速な上昇がありますからね、やっぱり専従者控除は独自な上昇を続けてきているわけですよ。ですから、専従者控除が家族労働報酬の取り扱いの問題と異質だというふうな考え方というのを、私はやっぱり改めていただかなければならない。ですから、家族労働の報酬に見合う経費分を控除するという位置づけというのが、最初に確認させていただいたように、変わっていないわけですから、他の制度とのバランス上も不当に低く抑えられてしまっていると、こういう白色申告の専従者控除四十万を、やっぱり長期に据え置かないで、この際上げていただきたい。このことで大臣の私は御答弁を求めたいと思います。
#183
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは先ほど言ったように、収入との関係もあるわけですよね。要するによく農家の人とか、事業者の人は、所得の捕捉がよくわからないと、サラリーマンは所得が捕捉されると、したがって、サラリーマン減税を行えとか、サラリーマン控除を上げろとかという声が非常に強い、これも事実です。この白色で一番多いのは何かと言ったら、恐らく農村でしょう。それは事業主というよりも、農家の方が圧倒的に多いでしょう。農家で青色申告している家はごくまれでございますから。これについて、ところが農家は所得税を納めてないじゃないかという御質問も非常に多いこともこれも事実でございます。そこで、この控除を引き上げれば、一層納める人が少なくなるのも、これも事実でございます。問題は所得の捕捉の問題との絡みもございますし、いろいろこれはあるわけですよね。本当にもう所得が捕捉される、売り上げがはっきりわかるということになれば、それはもう安武先生のおっしゃるとおりなんです、これは。だからその捕捉の方はそのままにしておいて、ここだけを上げるということになると、やはり基礎控除も扶養控除も配偶者控除もという話にすぐになるという可能性もあるわけです、これは。そうなると、所得税の大幅減税という話と同じ話に実はなってくるわけです。
 そこで私といたしましては、先生の話わかるんです、私は。決してわからないんじゃない、よくわかるんです。いつまでもこうしておくわけにはいかぬと私も思います。思いますが、当面ここだけをいじるということは、現在の財政事情からちょっとむずかしいということでございます。
#184
○安武洋子君 私の話がわかると、こうおっしゃっていただくのは大変ありがたいことで、それはそのとおりで、筋は通っていると思うんですよね。私は、一番最初のこの専従者控除がつくられたその基本の問題とか、あるいは指標にしてきた問題とかと、そういうものとのバランスが崩れてしまっているということで申し上げているわけですから、いろいろなことをおっしゃいますけれ声もね、私はやはりこれを是正するのはどうすればいいかという検討だけはやっぱりお始めいただきたい。そういう検討を始めていただきたいと思いますけれども、その御答弁を求めまして、時間が参りましたので質問を終わりたいと思いますので、話がわかるなら、大臣、検討はしてください。いかがでしょうか。
#185
○国務大臣(渡辺美智雄君) ちゃんと頭の中に入っております。
#186
○委員長(和田静夫君) 他に発言もないようですから、皇室費、国会、会計検査院、大蔵省、日本専売公社、国民金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行の決算については、一応この程度とし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト