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1981/10/27 第95回国会 参議院 参議院会議録情報 第095回国会 商工委員会 第3号
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1981/10/27 第95回国会 参議院

参議院会議録情報 第095回国会 商工委員会 第3号

#1
第095回国会 商工委員会 第3号
昭和五十六年十月二十七日(火曜日)
   午前十時六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月二十六日
    辞任         補欠選任
     青木 薪次君     対馬 孝且君
     市川 正一君     小笠原貞子君
 十月二十七日
    辞任         補欠選任
     田代富士男君     藤原 房雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         降矢 敬雄君
    理 事
                上田  稔君
                前田 勲男君
                村田 秀三君
    委 員
                岩本 政光君
                大木  浩君
                金丸 三郎君
                楠  正俊君
                斎藤栄三郎君
                福岡日出麿君
                松尾 官平君
                森山 眞弓君
                阿具根 登君
                高杉 廸忠君
                対馬 孝且君
                馬場  富君
                藤原 房雄君
                小笠原貞子君
                森田 重郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   田中 六助君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        山本 富雄君
       通商産業大臣官
       房審議官     斉藤 成雄君
       通商産業省立地
       公害局長     神谷 和男君
       資源エネルギー
       庁長官      小松 国男君
       資源エネルギー
       庁石炭部長    福川 伸次君
       労働大臣官房審
       議官       小粥 義朗君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
   説明員
       警察庁刑事局捜
       査第一課長    仁平 圀雄君
       労働大臣官房審
       議官       倉橋 義定君
       会計検査院事務
       総局第四局上席
       調査官      大西  実君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (派遣委員の報告)
 (北炭夕張炭鉱株式会社夕張新炭鉱における災
 害に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(降矢敬雄君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十六日、市川正一石及び青木薪次君が、また本日、田代富士男君が、それぞれ委員を辞任され、その補欠として小笠原貞子君、対馬孝且君及び藤原房雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(降矢敬雄君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査のうち、北炭夕張炭鉱株式会社夕張新炭鉱における災害に関する件を議題といたします。
 まず、先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。上田稔君。
#4
○上田稔君 報告に先立ち、このたびの北炭夕張新鉱の災害で、不幸にして亡くなられました方々の御冥福をお祈りし、御遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げますとともに、罹災されました方々に衷心からお見舞いを申し上げます。
 去る十月十六日発生いたしました北炭夕張炭鉱株式会社夕張新炭鉱における災害の実情調査のため、十月二十二日、二十三日の両日にわたって行われました委員派遣について御報告いたします。
 派遣委員は、降矢委員長、阿具根委員、馬場委員、森田委員及び私上田の五名であります。
 また、エネルギー対策特別委員会から、市川理事、井上理事及び対馬委員が派遣され、両委員会の合同調査となりました。
 なお、岩本議員、北議員、高木議員、藤原議員及び小笠原議員が現地参加されました。
 まず、調査日程について申し上げますと、十月二十二日、千歳において札幌通商産業局、札幌鉱山保安監督局及び北海道労働基準局から災害の概況及びそのとった措置について説明を聴取し、質疑を行いました。
 翌二十三日は、まず夕張炭礦病院に入院中の負傷者を見舞い、次いで夕張新炭鉱に赴き、鉱務監督官を激励、坑口の繰込神社にもうで、集中監視装置を視察、救護隊員を激励いたしました。
 さらに、夕張市民研修センターにおいて御遺族を弔問した後、会社、労働組合、職員組合及び産炭地対策夕張市民会議の代表から、それぞれ実情説明及び要望を聴取し、質疑を行いました。
 災害発生の経緯及びその後二十日までの経過につきましては、去る二十日の当委員会においてすでに説明を聴取しておりますので、御報告を省略させていただきます。
 災害発生後六日目の二十一日朝に至り、会社は坑道密閉の方法では坑内火災の消火は困難であると判断し、最終手段である注水の方法をとることを決意し、行方不明者五十九名の全家族の注水同意書を二十二日中に得た上で、札幌鉱山保安監督局のチェックを経て、二十二日同監督局に注水計画書を提出、その認可を得て、同日午後一時三十分、注水を開始いたしました。
 この注水計画によりますと、海面下八百四メートルの北第五上段ゲート冠水まで注水した場合、注水完了に三・五日、取り明け完了までに約三カ月を要することとなっており、また海面下七百五十七メートルの北第五上部坑道冠水まで注水した場合には、注水完了に六・五日、取り明け完了までに約四カ月を要することとなっております。
 なお、二十日の当委員会で聴取しなかった労働省の対策につきましては、北海道労働基準局から次のような説明がありました。
 まず、一酸化炭素中毒健診の結果は全員異常がないこと、目まい等を訴えた九名の入院患者も経過良好で、二十二日までには退院が可能であること、死亡の確認された三十四名に対する遺族補償については、二十九名には平均百五十万六千円の年金、五名には平均七百七十五万一千円の一時金が算定されており、さらに労災特別支給金三百万円及び葬祭料四十九万八千円が支給されること、以上であります。
 次に、鉱山保安監督局、会社及び労働組合との間に行われました質疑応答の主なものについて申し上げます。
 まず、監督局に対するものでありますが、今回の災害は予想外のものであったかとの質問に対しては、ガスの多い炭鉱であるだけにガス突出は当然予想されたが、その規模の大きさは予想外であったとの答弁があり、また保安上問題はなかったかとの質問に対しては、問題はあった、今後調査するとの答弁がありました。
 次に、去る四月、監督局から会社に対して発した保安上の警告はいかなる内容のものであったかとの質問に対しては、五十五年度の災害率の高いこと及び自然条件の悪化が予想されることについて、四月二日社長に警告を発したとの答弁がありました。
 次に、九月十三日、北部地域の盤下で山鳴りがし、坑道の圧縮があったといわれるが、事実かどの質問に対しては、いまデータがないので調査するとの答弁があり、先行ボーリングの実施について確認しているかとの質問に対しては、監督官が現地を見、作業日誌を見て確認しているとの答弁がありました。
 次に、監督官が最も近い時点に夕張所坑に入坑したのはいつであったかとの質問に対しては、十月八日に入坑しており、帰任の途中で今回の災害が発生した。その際、どの坑に入坑したかは調査するとの答弁があり、また災害発生時、下請、孫請も含め入坑中の人員について正確な確認ができなかったのは、平素人員の掌握ができていなかったからではないかとの質問に対しては、監督局にも人員確認の情報が入らず、遺憾であったとの答弁がありました。
 さらに、北炭夕張については、他社からの応援技術者が北炭の技術水準は低下しており、注意しても耳をかさないから大災害が起こりはしないかと危惧していた。このことについてどう考えるかとの質問に対しては、北炭夕張の技術水準については横並びの検討会、保安センター及び保安技術講習所の活用によって対処したい。ガス突出そのものを防ぐか、ガス突出が発生しても人災が起こらないようにするか専門部会で検討していきたいとの答弁がありました。
 また、一次災害発生後、誘導無線による応信のあった十五名の入坑者について、二次災害発生後応信がとだえたといわれるが、線が切れたのか、線のつながり状況を確認する装置はあるのかとの質問に対しては、線の切れる可能性はある。線の安全を確認する装置は現在のところ不可能であり、また一本坑道の場合にはバイパス設置も不可能であるとの答弁がありました。
 次に、会社との質疑応答について申し上げます。
 まず、北部区域の採炭開始予定を五十七年三月から一月に早めたことが掘進作業を急がせ、保安の無視、災害の発生につながったのではないかとの質問に対しては、掘進作業については無理をしていないとの答弁があり、また山鳴りなどの前兆については会社に通知していたという労働者の証言があるが事実か、事実だとすればなぜ対応措置をとらなかったのかとの質問に対しては、山鳴りの件については聞いていないとの答弁がありました。
 さらに、会社の行う補償については、直轄鉱員と下請鉱員との格差はつけていないかとの質問に対しては、格差はつけていないとの答弁がありました。
 次に、ガス抜きは完全にしていたと考えているかとの質問に対しては、力を入れていたが、完全にガスが抜けていなかったのではないかと考えているとの答弁があり、また林社長に対しては、北炭再建のかぎは保安確保にあるのに、会社の技術体制には欠陥があると国会で指摘されている。このことについてどう考えるかとの質問に対しては、自分の炭鉱は自分で守ることが最大限必要であると考えているとの答弁がありました。
 次に、労働組合に対する質疑応答の主なものについて申し上げます。
 まず、山鳴りなどの前兆があったのかとの質問に対しては、前兆はなかったとの答弁がありました。
 また、五十五年九月二十三日に労使間に締結されたいわゆる九・二三協定による合理化計画が安軽視につながったのではないかとの質問に対しては、九・二三協定の基本は出稼率の引き上げ及び人員配置の適正化にあるのであって、この協定と今回のガス突出との間には直接の関係はないとの答弁がありました。
 さらに、九月二十五日の石炭鉱業審議会見解を受けて、会社から生産計画達成の提案があったかとの質問に対しては、九月三十日に会社から説明があり、その後具体的な検討に入ったが、最終的な結着がついた部分とつかない部分とがあるとの答弁がありました。
 以上が鉱山保安監督局、会社及び労働組合に対する質疑応答の概要でありますが、なお労働組合側から全罹災者の早期収容、政府の専門調査団の派遣、遺家族対策、閉山回避、保安技術開発と監督指導体制の強化など、九項目にわたる要望があり、また中田夕張市長を議長とする産炭地対策夕張市民会議から被災者援護、北炭再建、中小企業者の資金対策確立及び市財政援助の四項目について陳情がありました。
 以上、御報告いたします。
#5
○委員長(降矢敬雄君) 本件に関し、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○阿具根登君 私、質問の冒頭に当たりまして、委員各位とともに現場を調査いたしました一人といたしまして、被災された方々の御冥福と御家族に対する心からなるお悔やみを申し上げて質問に入りたいと思います。
 いま、同僚上田委員から御説明のありましたとおりですが、私どもが一番感じましたことは、これだけの大災害が起こって、その原因が究明されない、あるいは会社に対してその責任の所在が明らかにされなかったとするならば恐らく炭鉱の再開というものは不可能だと思うのです。どこかに大きなミスがあった、欠陥があった、手抜かりがあった、そのためにこういう災害が起きたのであるということになれば、その欠陥を補うためにどうするかという問題から入っていき、再開が実施できる、こう思うわけです。しかし、私どもが今次災害で現場に行きまして聞きました範囲内では、まだ原因がわかるはずがありません。それは十分承知の上で、質問も私たちは極端に控えたわけです。そういうことを言う前に、五十九の体を一時間でも早く家族の方に渡すためにはどうあるべきかという問題を中心に考え、現場の方々の手をとらないように極端に注意をし、時間もしぼってきたわけです。
 ところが、たまたま私たちが行って林社長の説明を聞いておるときに、午後一時三十分、夕張市のサイレンが物悲しく鳴り響き、市民全員が起立して黙祷をささげました。もちろん調査団員全員起立して黙祷をささげてきょうが命日になるであろう方々の冥福を祈ったわけです。
 それから三日以上たちました。ただいま上田議員の報告のように、三日半たてば北第五盤下坑道は注水が完了するはずです。完了はできたのかどうか、火は消えたのかどうか、わかっておると思いますので、まずそれを最初に御質問申し上げます。
#7
○政府委員(神谷和男君) 注水再開後、現在に至りますまでの状況について御説明をいたします。
 御指摘のように、二十二日の午後一時三十分から注水を開始いたしました。昨日二十六日の十九時現在で一万二千七百五十一立米の水が注水をされました。この結果マイナス八百四メーター、したがいまして、先生御指摘の一番下の第五盤下坑道が完全に水で埋め尽くされるところまでその時点で水が注入されたわけでございます。この時点で一時注水をストップいたしましてガスのその後の状況をしばらくの間ウォッチしていこう、こういうことで内部状況をガスによって観測してまいりましたが、その後COガス、これがかなりppmが高くなり、あるいは煙の状況から判断をいたしまして完全な消火に至っていないという判断から注水の再開が必要と判断され、二十七日午前三時十分から注水を再開し、現在一万四千トン以上の水が注入されておると、こういう状況にございます。徐々に注水を行いながらさらに状況を観測していく必要があろうかと考えられます。
#8
○阿具根登君 そうしますと、きのうの午後一時に注水は一応完了した。その当時の一酸化炭素は〇・〇五四%、まあ良好な状態であったと思います。メタンは〇・四八%。ところが、いま言われましたように、けさの三時、CO、一酸化炭素が一五一四ppm、〇・一五%にふえてきた。ふえてきたということは、水を入れて火が消えたんでなくて火が強くなってきた、こういう判断をしなければならぬのじゃないか。そうすれば、この注水によって水浸しになるであろう三十三名の方々だけでなくて、その上まで注水しなければならない、こういうような状態になってきたのではないか、こう思うのですが、このCOがふえたということはどういう原因なのですか。
#9
○政府委員(神谷和男君) ただいま先生御指摘のような経緯をたどってCOが変化をいたしておりますが、その前に水を注入いたしました時点でもやはり一時的にCOがふえております。したがいまして、ここの判断は非常にむずかしいわけでございますが、いずれにいたしましても水を注入したことによって内部のガスが外部に押し出されたということは容易に予想されるわけでございまして、それによって高濃度のCOが検出されるということはあり得ると思うわけでございます。
 したがいまして、そのあたりのCOガスの変化というものは一応踏まえて、ここで注水を中止することによってそれが安定していくかどうかを見たわけでございますが、その後やはり一時的にCOがかなり高い、先生御指摘のように、一五〇〇ないし一六〇〇ppmというところまで上がっておりますので、少なくも火災が一番下の坑道のみであって注水によって鎮火ないしその方向に進みつつあると判断することは非常にむずかしい。むしろ入気斜坑の方向にやはり火源があることがかなり強く予測される。こういうことから、上部まで注水をする必要があると判断したわけでございます。
 COそのものが高くなったりある程度低くなったりというフラクチュエートすること自体、これによって直ちに火勢が強くなったという判断をするのは、必ずしも十分なデータがそろっておりませんのでやや早計かと思いますが、ただ消火ないしその方向に至っていないであろうということは判断され、それが注水の再開を必要と判断させるに至った理由と考えるものでございます。
#10
○阿具根登君 私は終戦直後からこの種の炭鉱の大災害には全部現地に行っております。だから突っ込んだ質問をしたいのですけれども、まだ五十九の体が地底にあるわけなんです。その家族の方々の気持ちを考える場合に余り悪い方にばかり質問をしてかえって遺族の方々の心を傷つけることがないように注意しながら質問をしていきたいと思っておるんですが、幌内の爆発のときは火が出まして二日ちょっと過ぎに水が入ったわけです。千メートルの七片でした。そのときは非常に岩盤が固くて、水を注水しても時間はかかるけれども遺体は必ず収容できる、こういうことで注水されたわけです。その途中で、会社は排水はやめるとは言わなかったけれども、山を閉山するということを重役会議で決めてしまった。それを政府にもお願いし、われわれも中心になって再開させたわけです。そして一年数月月だったと思いますが、遺体十三は運び出すことができました。今度の場合は炭層がきわめて弱いと言われており、いわゆる盤ぶくれが非常に強い。一週間もほっておけば通風にも異常を来すというくらい盤ぶくれがひどいと、そういうことになってくれば、注水をして一番早い期間で大体三カ月ということを言われておるわけです。そうした場合、いかなることがあってもこの体を家族に渡す覚悟があるかどうか、どういうことでもやられるかどうか、これは通産大臣にお聞きいたします。深いことは言いませんけれども、筑豊でこの例がありました。同じ質問を高碕達之助通産大臣にいたしました。これ以上のことは申し上げません。大臣の気持ちをお伺いいたします。
#11
○国務大臣(田中六助君) 私どもは、この痛ましい事故につきましては十分以上の配慮をしなければならないというふうに思っておりますし、阿具根委員の御指摘の遺体の収容ということにつきましても、できるだけの、万全を期して完遂しなければならないという信念を持っております。
#12
○阿具根登君 これは通産大臣もいち早く現場に行かれて林社長に対して強く注意をされたということも聞いておりますし、先日の国会討論会でもわが党の対馬議員から強く指摘されまして、また私ども調査団が行った場合も、非常にみんなの気持ちが憤りに燃えておりましたのは、事故が起こって十二時間そこそこ、午前二時半、それなのに社長が生きているということは考えられない、注水以外はないということを言われて、恐らくこれをテレビで見た国民の皆さんは、何と炭鉱というものは冷たいもんだろうか、われわれが医者に手を握られて死亡診断書が書かれてから二十四時間は火葬にすることができないのに、坑内で生死もわからない、それにもう水を入れてしまうというようなことは何と冷たい言い方か、炭鉱というところはそういうところかというふうな非常な憤りが国民の皆さんにあったと思うし、私もそう感じました。そういう考え方が私は今度の災害の原因の一つにあると思うのです。もう一つは技術陣の問題です。これはいろいろな炭鉱にも聞いてみました。北炭で一番欠けておるのは技術陣のことである、技術が一番幼稚である、そして政治的な行動だけが先行しておる、保安よりも出炭が優先しておる、こういうことです。
 それで、もう一つ大臣にお聞きしておきますが、これは聞かずもがなですけれども、同じくある九州の炭鉱の爆発のときに時の総理大臣にこういう質問をいたしました。保安と出炭が同じ会社の同じ人でやられており、同じ役所でやられておるから自然、営業が目的である会社は出炭を優先していく、だから会社内においての保安体制も分けるべきである、また行政でも労働と通産で分けるべきであるという質問はいつも繰り返されて、そのときも繰り返されたのですが、そのときの総理大臣は保安と出炭は車の両輪でございます、こういう答弁があって大変な問題になりましたが、まさか田中通産大臣は出炭と保安が車の両輪だとお考えではないと思いますが、一応お聞きいたします。
#13
○国務大臣(田中六助君) 保安と出炭を別々にしろという御意見、一つのこれは大きな見識だというふうに私は思います。しかし私は、生産つまり出炭をするという人は裏づけとして保安体制により以上の責任を持ってこそ特に石炭の場合は生産ができると思います、したがって、生産者は即保安の責任者ということが私は必ずしもそれが悪いことではない、むしろ生産の大きな裏づけとして保安第一ということが優先でき得るならば、私はそういう当事者が生産者であっても少しも差し支えないし、現在の鉱山保安法におきましてもやはり自助、自主的な保安体制というものを労使に課しておるわけでございまして、そういう点は労使双方が本当に保安についての大きな責任を持っていくということになれば、私は問題はきわめて少なくなるのじゃないかというふうに考えております。
#14
○阿具根登君 石炭部長にお尋ねいたしますが、いまの問題はまた後で同僚委員から質問があると思いますから先に進みますが、この北炭夕張新鉱は何年何月に着工して何年何月に営業を開始したか、お尋ねいたします。
#15
○政府委員(福川伸次君) 夕張新鉱の開発は昭和四十五年の十月に着手をいたしまして、営業出炭に入りましたのは昭和五十年の六月でございます。
#16
○阿具根登君 これは御存じないと思いますから申し上げますが、その約十年余り、営業出炭から五年余り、その間に技術の最高責任者が九名かえられておるんです。一年に一人ずつ技術の最高責任者を切りかえていって全部左遷されておるわけです。そういう炭鉱がどこにあるだろうか、だから通産省からの御指示もあったと思いますが、三井から優秀な技術者が派遣されております。そして、この前北炭が火災を起こしたときに林社長を本委員会に呼んで、その問題を御質問申し上げたのです。ところが、対馬君の質問に対しまして、わが方の技術陣営が足りないから三井から技術者を派遣してもらってそして補足してもらっております、指導をしてもらっております、こういう答弁でした。私はよく知っておりますので、その技術屋の話を聞いてみれば、何ぼ注意しても一遍も聞いてくれない、ただよそに対する言いわけのためにわれわれ呼ばれたのでは仕事はできません、こういうことを言っているわけなんです。そうして今度はどうか。これも今度の調査団の質問の中で、よその人の力をかりるよりも自分のところの技術を尊重しなければならないという意味をぬけぬけと言われたわけなんです。一番技術の低下しておる北炭――そういう考えが北炭の政治的な姿勢である。いまの社長ばかりでなくて前からそういう姿勢であったわけです。たとえば旦産四千トンの再建計画を持ってこられる、その場合に私たちも組合を通じどういう状態であるかを知っておるので、四千トンがまあ必要だけれども、コンスタントにいくなら三千五百トンぐらいにしてそして無理なくやったらどうですかという質問をいたしますと、いや四千トンなら結構出ます、こう言い切るわけです。今度もまた三千五百トンという線が出たときも思い切って三千トンぐらいに下げてそして条件がよかったならばそれ以上に出るでしょうし、そうしなければ自分で決めた目標に自分がしばられていく、こういうことになるということを申し上げたわけなんです。その前の技術屋のときも、これは対馬君もおりますけれども、いまのままで北炭がいったならば必ず大災害につながると思うということまで、非常にその当時は暴言だったかもしれません。不幸にしてそれが当たったのです。通産省としてこの技術面に対するお考えはいかがでしょうか。
#17
○政府委員(福川伸次君) 北炭の技術の問題に関しましては、いま阿具根委員が御指摘のように同業の他社を技術顧問に迎えるというような措置を講じておったことは私どもも承知をいたしております。私どももその方たちの御意見も必要に応じ聴取さしていただいておりました。ことしの三月、昨年の夏の火災事故以来再建計画をどのようにつくるかという過程ではこの技術顧問の方たちも経理審査小委員会の技術の委員の方たちとともども現地に入っていただきまして、それでこの計画の妥当性の御判断も賜り、この計画はおおむね妥当であろうという御意見をちょうだいし、その後もしかるべく御助言を与えていただくように私どもも期待いたしておったわけでございます。もちろん、技術をあるいは技術の管理者をどのようにするかということはもちろんこれは経営権の中でございますので、私どもの方でとやかく言うべきことではございませんが、もし経営の問題としてどういうような技術支援を得たいということであるならば私どももできるだけの支援はいたしたいということを会社にも申しておったわけでございます。さらに七月あるいは八月を経まして会社の方からむしろ技術計画そのものよりも現場の管理、これの改善をするための指導、診断を得たいという御意向がございまして、石炭協会にあっせんを依頼いたしましてまさに第一線の現場の管理の人たちにこの北炭に入っていただきまして九月の七日から十日まで現地の状況を診断をしていただいたわけでございます。その結果、会社側もいろいろ改善すべき点があるという点をその人たちから示唆を得たのだと思います。その後もさらに本格的な指導を得たいということでございまして、私どもも実はそのあっせんを準備いたしておったところでございます。私どももこの技術の問題という点についてはいろいろと心を配り、しかし経営の問題でございますので経営者の判断を尊重せざるを得ない。経営者がぜひこういう支援を得たいということであるならば、私どもはこれに最大御協力を申し上げる、こういう姿勢で臨んでおった次第でございます。
#18
○阿具根登君 次に進みますが、通産省は今度の予算で第七次答申案を受けて北海道で五カ所、九州で海底二カ所というのを調査するために二十億余りの予算を要求されておるようですが、これは大体どことどこなんですか。
#19
○政府委員(福川伸次君) この埋蔵炭量調査を具体的にどこの地域を選定するかということにつきましては、予算が認められました後の段階で、しかるべき委員会等外部の御専門の方たちの御意見を聞いて、最終的に決めたいというふうに思っております。大体、これから期待される有望の地域ということでございまして、対象といたしまして当面考えておりますのは、坑内採掘の対象となる地域で、かつ現在承知し得る範囲内で、理論計算した場合一千万トン以上の実収炭量が想定されるような地域等を条件といたしまして、今後その地域を選定いたしてまいりたいというふうに思っております。もちろんこれから予算の折衝の過程で、大変厳しい財政事情のもとでございますから、私どもとしてその予算の獲得には最大努力を尽くさなければならないと思っておりまするが、もしこの要求どおりに認められれば大体海域で二地域、陸で五地域程度を選定し得るのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 最終的にどこをするかは予算ができました段階で関係専門家の御意見を伺いながら委員会等で決めてまいりたいというふうに考えております。
#20
○阿具根登君 それはあくまでも第七次答申の二千万トン程度の問題だと思うのです。いままでは二千万トン以上ということでありましたけれども、今度は表現が変わって二千万トン程度ということになっておりますが、私どももそれは日本の国内資源を守るためにどうしてもやってもらいたい、こう思っておったわけです。しかし今度の災害を見る場合にこのままでいいだろうかという考えがなきにしもありません。
 ところでもう一回もとに戻しますが、いま一番急なのは何なのかといいますと、もちろん最初申し上げましたように早く体を揚げて御家庭に帰すということです。その次は何か。これだけの災害を起こして当分石炭は出ない。しかも北炭は自転車操業と言われておる。掘った石炭を売ってやっとこさ給料を払っておる。それも足らずに労働組合が労働金庫から金を借りてそうして払っておる。口の悪い人は北炭は労働組合と会社と両方から給料をもらわにゃならぬのかということまで言っておるような状態の赤字ばかりの炭鉱です。これが新聞で見るところによりますと、いますぐにでも六億の金が要る、あるいは三十億を準備しなければならない、こういうような状態下にあるということを言われておるし、林社長もあのときに言われておりましたように、注水をやり始めたら直ちに東京に金をつくりに行かにゃならぬ、こういうことを言っておるのです、そういうことができるかどうか。できなかった場合に政府としてどういう対策をお考えになっておるか、これをお聞きしたいと思います。
#21
○政府委員(福川伸次君) 私どももこの北炭夕張あるいは北炭グループの資金繰りについては、これまでもそうでございましたが、この災害を細心の注意をもって見守ってまいる所存でございます。先生御承知のように、ことしの標準炭価が、十月二日であったと思いますが、平均で千百三十五円昨年に比べまして炭価がアップされることになっております。恐らくこれは四月にさかのぼって炭価アップが行われますので、上期に納入され前年度並みで決済されておりました石炭の引き取りの部分につきましては、その差額がさかのぼって支払われる。これが十月あるいは十一月にかけて入金されるということに相なっておると思っております。したがいまして、ここ当面の北炭の資金繰りがそうすぐ行き詰まるということは私どもはないものと考えておるわけでございますが、また一方、今次の災害でいろいろな出費、支出が当然かかるわけでございます。また、操業ができないことの影響が出てまいります。いまこれが資金繰りにどの程度の影響があるかという点については、いまだ注水が続いておる、さらにまた遺体の搬出のめどももう少したたないと正確な時期を予側し得ないというようなことから、これがどのくらいの資金的な影響が出てくるかという点については、私どもいまのところ捕捉をいたす段階には至っておりません。会社も恐らくこれからある程度この災害の処理につきましてのめどがつきました段階でこの経営資金的な面の検討をいたすと思っておるわけでございますが、私どもも北炭あるいは北炭の関連会社、これの自己努力と協力、第一義的にはこれをもって対処すべきであるというふうに考えておるわけでございますが、どの程度の対応をしてくるのか、あるいはどの程度の資金支出をしてくるのか、私どももこの北炭あるいは北炭の関連グループというものの対応を見ながら、この事故の処理あるいは罹災者の救出ということに当面どのような資金繰りの問題が生ずるか、細心の注意をもって見守ってまいりたい、また、必要に応じた対応を、また要すれば関係者と協議をいたしたいというふうに考えておりますが、いまどの程度の資金対策を講じなければならないかということは、いまのところ判断する材料を入手いたしておりません。
#22
○阿具根登君 これも新聞でずいぶん報道されておるのですが、いままでの累積赤字は北炭全部でどのくらいですか。さらに夕張新鉱ではどのくらいですか。
#23
○政府委員(福川伸次君) 正確に記憶しておりませんが、北炭グループで大体千二百億程度の累積赤字になっておったと思います。
#24
○阿具根登君 夕張新鉱は。
#25
○政府委員(福川伸次君) 夕張だけとってみますると、大体五百三十億程度の累積赤字であったかと思っております。主要なものは、先生御存じのように、北炭の本社に残っております。
#26
○阿具根登君 新聞で拝見いたしますと、大体千二百六十八億、それから赤字が本社と北炭夕張新鉱も入れまして六百七、八十億ですか、そういうことになっておると思うのです。
 そうしますと、これも新聞ですけれども、通産省の方針で「新経営主体で再建肩代わりやむなし 負債処理などなお難問」、こういうのが出ておるわけなんです、まだいまここまで質問する意思はなかったんですけれども、これだけ新聞で大きく報道されれば一応お聞きしておかねばならない、こう思うのですが、どういうお考えなんですか。
#27
○政府委員(福川伸次君) いま膨大な債務を抱え、また累積の赤字があるわけでございます。これは関係者の大変な努力と協力によりましてまあこのような再建策が出ておるわけでございます。これをどのように処理するかということでございますが、私どもは今後再建するかどうかということにつきまして、私どももできることならば再建の可能性を探りたいということで問題の検討をしてまいりたいと思っておりますが、もちろんその前提といたしまして、遺体の救出、罹災者の救出、さらに災害の再発防止の措置、さらにまたその原因の究明といったようなことをいたし、それで果たして操業をさせることが可能であるかどうか、さらにまた経営上の問題として、あるいは関係債権者といった方たちがどういうような将来の展望を持っていくかということについて今後それを見定めた上で今後の方針を固めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。いまここでどういう形で将来の会社の方向を考えるかということにつきましてはまだ申し上げられる段階ではございません。
 大変申しわけございませんが、先ほど申し上げましたことで私債務とちょっと勘違いをいたしておりまして、累積の赤字という御質問でございましたといたしますと、北炭の五十五年度末で夕張の累積の赤字は大体百二十億ちょっとでございます。それから北炭グループ全体としては大体六百七十億程度というのが、累積の赤字という御質問であれば先ほど申し上げました数字はちょっと間違っておりましたので、恐縮でございますがおわびをして訂正さしていただきます。
#28
○阿具根登君 私の持ち時間が少なくなりましたので、労働省に質問いたします。
 これも新聞記事で質問をするのですが、「渡り鳥鉱員孤独の死」というのが書いてありまして、今度の災害で亡くなった下請の方々が孤独でしかも本籍地もわからなかった、そして四畳半一間で酒とテレビが友たちであった、こういうように書いてあったわけです。これを見ますと昔の炭鉱の納屋を思い出すんです。昔のタコ部屋を思い出すんです。いまタコ部屋なんというのはありませんけれども、やはり下請、孫請ともなれば、その炭鉱の一番古い住宅を借りて、たった一間で、そしてテレビと酒が相手で生活をしておる、こういうような状態が書かれておるわけです。
 そこで質問いたしますが、この夕張新炭鉱には下請がどのくらい、孫請がどのくらい、今度九十三人の被害者のうちに下請が何名か孫請が何名か、詳細にお知らせ願います。
#29
○政府委員(小粥義朗君) 私ども承知しております数字といたしましては、現在北炭夕張新鉱で約三千百名の従業員の中で、直轄が二千五百名、下請か五百九十三名というふうに把握しております。今回の被災者の中での直轄と下請の数字を申し上げますと、死亡が確認されました方については直轄が十九名、それから下請関係で十五名、合わせて三十四名。それから行方不明の方につきましては直轄が三十九名、下請が二十名というふうに承知しております。
#30
○阿具根登君 そうしますと、三千百名中五百九十二名が下請である。死亡確認の方のうち十九名が直轄で十五名が下請、不明の中でも三十九名が直轄で二十名が下請と、相当下請の数が多いですね。これは昔はほとんどこういう下請がやっておったんです。皆さん御存じないかもしれませんが、大正時代はほとんど下請でやっておったんです。女の人も坑内におったんです。その前は馬が石炭を運んでおったんです、坑内で。しかし、そういうことは現在は考えられないことでもございますが、下請も一時はなくなったんです。それがまた下請が再現してきた。下請が再現してきたというのは一体何なのか。やはり下請の方が待遇も悪い、そして人集めもできる。そのために、そういう本籍もわからぬような人、坑内で事故に遭った場合にどこに知らしていいかわからずに大変心配されたような状態があるわけなんです、こういう場所で下請とか孫請とかあるのは大体危険な場所が一番多いんです。危険な作業になるほどそれが多いと思うのです。労働省としては、そういうことはいいことであるのか、それともやはり同じ地下で働くならば同じ直轄でなぜやれないのか、その点をお聞きいたします。
#31
○政府委員(小粥義朗君) 下請関係を持つことにつきましては、現在の石炭鉱業合理化案において、あるいは関係の法律でも一応認められておりますので、そのこと自体否定をすることはできないのでございますが、そうした下請関係、特に重層的な下請関係というものがいたずらに広がりますと、これはひとり石炭鉱業に限りません、ほかの産業でも見られるケースでございますけれども、たとえば雇用関係が不明確になる、あるいは使用者責任、下請業者としての使用者責任が十分果たされないままに福利厚生あるいは労働条件その他の面でいろいろ格差が出てくるといったような弊害を伴います。したがって、私どもとしてはこれからも通産省と連携をとりまして、使用者責任というものが十分果たされるように指導を進めてまいりたいと考えております。
#32
○阿具根登君 直轄でやってさえ、いま説明がありましたように膨大な赤字が出ておるわけなんです。下請がなぜそんなにうまくいくのか。どこかにひずみがないならば私は下請がいけるわけがない。直轄でやってこれだけの赤字が出ておるんです。それなら下請はどうなのか。私が調べた範囲内においては、一番心配しておりました下請の給与が極端に低くないんです。間違いかもしれませんから下請の待遇と直轄の待遇、それから今度被災された方々の労災補償、その他を詳細お知らせください。
#33
○説明員(倉橋義定君) 今回の事故ですでにお亡くなりになり死亡が確認されました三十四名の方、及び確認された九名の方につきまして労災の適用をいたすべく、現在地元の関係監督機関におきましていろいろ申請手続等を行っているところでございますが、なお死亡確認の方の平均賃金につきましては元請、下請合わせまして平均八千二百三十二円に相なっております。
#34
○阿具根登君 八千二百三十二円と言うと、日給ですか。
#35
○説明員(倉橋義定君) 労災保険上の給付基礎日額ということでございまして、したがいまして、平均賃金と同額でございます。
#36
○阿具根登君 そうすると直轄は幾らですか。
#37
○説明員(倉橋義定君) 三十四名の方のうち北炭夕張炭鉱の直用の方でございますが、この方の平均が八千八百二十四円でございまして、下請関係の万十五名の平均は七千六百四十円に相なっております。
#38
○阿具根登君 八千八百二十四円、下請の人が七千六百四十円、千二百円ばかり下がっておるわけですね。やはり私の調査が間違っておりました。そうすると、そういう同じ労働条件であっても格差をつけていく。もちろんこれは直接採炭はやっておりませんわな。直接採炭は組夫はやることはできません。だから掘進が大部分です。これは承知の上で質問しておるんです。それをそういう格差を認めてあるのは、これはしようがないのだという考え方なんですか。それとも同じ坑内で働くのならばこれは少し矛盾があるんだ、法の改正でもやらなきゃできぬ、これは議員の責任ですよ、あなた方が決めたからそのとおりやっているんだよということなのか、それをお聞きしたいんです。
#39
○説明員(倉橋義定君) 賃金につきましては、先生御承知のように労使の関係におきまして自主的に決定されるべきものでございますし、また先ほど申し上げました数値につきましても、その作業内容さらには勤務の形態、その他の賃金の基礎となります諸条件にいろいろ違い等があろうかと思います。いずれにいたしましても、一般的に零細企業、規模の小さい企業にいくに従いまして賃金格差がある現在の実態でございますが、私どもできるだけ恵まれない階層につきましての労働条件の向上につきましては、条件の整備等によりましてできるだけ労働条件が改善されるようないろいろな対策を進めてまいりたいと思いますが、基本的な問題といたしましては、経営の安定によります労使の関係におきましてその向上を引き上げるようなことを期待しているところでございます。
#40
○阿具根登君 それはおっしゃるように仕事によっていろいろ違います。しかし、坑内の従業員を考える場合、やはり採炭夫が一番高いんです。これは当然です。それから間接夫になってくるでしょう。しかし、なべて言えば採炭夫の次は掘進夫なんです。掘進夫は、岩盤掘進その他ありますから、相当な重労働なんです。それがほとんど下請でやられておる、そして賃金はこれだけ違うと、そういうことになってきますと、だんだん会社は下請に逃げていくようになってくると思うのです、だんだん賃金の安い方に、コストが下がるように。だから、もうこのごろはほとんど掘進は下請の方がやっておられる、こういう状況だと思うのです。そうすると、ここに遺族補償その他は出ておりますからもうお尋ねいたしませんけれども、特別交付金もほとんど特別交付品目が変わらぬようなんですが、直轄夫は会社と組合でいろいろこういう場合のことを取り決めであることは御承知のとおりだと思うのです。そうすると、組夫の場合はそれがない。だから、同じように坑内で仕事をして同じような災害に遭って死んでいく方々に直轄夫とそれから間接夫、まあ間接夫、直轄夫は賃金が違うからやむを得ませんとして、下請、孫請、こういう人に対して余りに格差があり過ぎはしないか。同じ坑内で同じ条件のもとに死んでいった方にそういう格差はありませんか。これをひとつ知らせてください。
#41
○説明員(倉橋義定君) いわゆる上積み補償の問題につきまして、今回の事故によります企業関係の上積み補償関係を見てまいりますと、北炭及び三井建設につきましてはかってから上積み補償の定め、協定がある模様でございます。その他の下請関係につきましては明白な定めがないやに聞いております。私どもといたしましては、今回の事故におきまして災害をこうむられた方につきましては、できるだけ同じような条件のもとにおきまして労使の話し合いによりまして、または関係者の話し合いによりましてしかるべき措置が講じられることが望ましいと考えております。したがいまして、関係者がこの問題につきまして円満に話し合いまして一定の方向が出ることを、関係各省と連携をとりながら指導をしてまいりたいと思っております。
#42
○阿具根登君 いよいよ時間がなくなりましたが、最後に通産省にも労働省にもこれはお願いしておきたいのですけれども、当初申し上げましたように、事故が起これば必ず保安体制を見直すということは言われる。しかし、いつの場合でも通産省から保安を労働省に移すということはどの大臣も言われたことはない。また、労働省は労働省で、労働者の保安だから労働省が責任を持ちますということはまだ聞いたこともない。そして、出炭に責任を持つかわり、その真として保安の責任も持たしてもらうというのが通産省の考えであり、会社の考えなんです。
 そこで、昔は六百からの炭鉱があった。だから手も足らなかった。いまはわずかしかないんです。十幾つしかないんです。それだったら保安監督局の方からでも、恐らくこれはガスが多いなというような炭鉱には毎日係官が詰めておっても私は不思議じゃないと思うのです。できると思うのです。ガスが一番多いのは北海道なんです。だからそのくらいのことはやれないわけはないと思うのです。今度の予算でも一一・何%、通産省だけはエネルギー関係もありますから、つくような報道がされておるんです。人命に対してこういうときばかり言ってもこれはつまらぬのですけれども、もう炭鉱がわずかの数になってしまった、その中の幾つかの炭鉱がガスが非常に多い。この新炭鉱等はこれは最もいい例です。一番ガスが多いからこそ先進ボーリングもより以上やっているんです。今度も会社が言ったのは、あたりまえのボーリングよりもうんと打っておりますというんです。なぜ打つかということはガスが多いからなんです。それでも抜け切らなかった、そして爆発しちゃった、突出しちゃったと、こういう状態ならば、こういうところにこそ私は保安監督官の一名ぐらい常駐しておるのがあたりまえじゃなかろうか。そうしないと、もうこれは、現場でもある人から私は陳情を受けたんですけれども、あなたは会社ばかりやかましゅう言いなさるけれども、通産省からはやかましゅう言われ、ユーザーからはやかましゅう言われ、銀行からは責め立てられ、会社もたまったものじゃありませんよと、こういうことを私は抗議を受けたことがあるんです。だから、事故が起こってからばかりこういうことを私ども言うんじゃなくて、これだけ炭鉱の数が減ったならば、私は監督官の一名ずつぐらい配置しておっても決して無理はないと、こう思うのですが、これは通産大臣どうですか。
#43
○政府委員(神谷和男君) 御指摘のような御意見を承りましたことも何回かございますけれども、基本的に、保安を役所の方で横からウォッチされながらやらなければならないというような状況で石炭を掘っていくということでは、私どもはやはり完全な事故の防止という万全の努力というのは払えないのではないか、要するに人にウォッチされておって、それをいかにうまくすり抜けるかというような考え方で採炭が行われれば、これは重大な事故にむしろつながるおそれがかえってあるわけだろうと思います。また、一人の人間が常駐しておってすみずみまで見られるというものでもございません。むしろ複数の者が、定期的に御指摘のようなむずかしい炭鉱であれば頻度を高くしながら問題点をチェックし、監督していくという体制とともに、会社、労働組合というものが、炭を掘る以上やはり自分で万全の保安体制を敷いていくという自覚、この両者で支えられなければ安全な採炭というものは行われないのではないか。御指摘の御意見傾聴すべきものはございますけれども、だれかが常時横で監視して掘っていかなければ振れないのだというような体制の方向に持っていくという考え方よりも、やはり自主的な保安という努力を最大限に確立してもらいながら、それに対して国の方からの助言と監督というものを、これもまたできるだけ努力し前進させていくということが、基本ではなかろうかと考えております。
#44
○阿具根登君 そういうお答え聞くとやめられないようになるんです。あなたは何年からやっておられるかわかりませんけれども、昔は監督官が監督に行くときは事前通知をやっておったんです。そうすると、炭鉱の坑内できれいにしてそして監督官が来るのを待っておったんです。監督官はそれだけ見て、ああこれは大丈夫だといって帰ったものです。そして事故が起こる。だから何回も注意されて、今度は抜き打ち点検というのをやり出したんです、抜き打ちに行ってそして調べる。あなたの論理でいくなら保安監督は要らないんですよ、あなたの論理でいくならば。抜き打ち監督なんかやる場合でも、もう事前に通告なしに、ぽかっと行ってやる。経営というのは利潤追求なんです。だから、なるべく利潤が上がるようにしたいというのがこれが経営者の真情なんです。労働者もやはり自分の決められた時間は働くというのが、これは日本の労働者の一番いいところでもあるし、一番また悪いところかもしれません。しかし、それを監督官庁が、ここは危ないとかあるいはそうじゃないんだとかいうことで行くために監督官庁というのはあるのに、労使がそれをやらなきゃいかぬからというなら監督官庁は要らない。何のために監督官庁がありますか、それは、そういう言い方をするなら確かに労使が悪いです。それは確かに労使が悪い。監督官から言われなければできないような労使じゃだめです。だめだけれども、現実がそうだから監督官庁というのがあるんです。何のために監督官がおるんですか。特に、この北炭の夕張新鉱なんというのは、もうだれが見ても炭鉱の人たちも、あなた方も知らぬわけない一番ガスの多いところです。そこだけでもなぜ常駐ができないか。こういうことがあったから、ここはもう特に悪いからこれは常駐させましょうとか、南大夕張はどうだとか、あるいは幌内はどうだとか空知はどうだとか、いろいろあるでしょう。それは確かに言われるのはそのとおりかもしらぬけれども、それなら何のために行政官庁があるのか。全部現場の者が悪いだけだということで片づけられるならば、それは官庁の存在は考え直さなきゃならぬ、こういうことになってくるわけです。どうですか、あくまでもその理論でおいきになりますか。
#45
○政府委員(神谷和男君) 私、言葉足らずのところがあったかもしれませんけれども、会社と組合に保安を任せておいて、役所の方は監督も何もせぬでいいのだということを申し上げたつもりはございませんで、そのようにお受け取りになられたとしたら私の舌足らずであろうと思いますので、この点おわびをいたします。基本的にはやはり労使の自覚と役所による監督、これが両々相まってやはり保安の万全が期せるのではないかというふうに考えておるわけでございまして、現在、御承知のように、この夕張新鉱に対しましては御指摘のようなガスが非常に多い炭鉱であるということから、監督署だけではなくして、本局の職員と組みながらプロジェクトチームを構成して、きわめて重点的に監督を行い、あわせて会社の方の保安体制の自覚を待っておると、こういう形で進めてきてまいっておるわけでございます。こういう方向で進めながらも、しかし事故が起きたということはきわめて遺憾でございまして、われわれといたしましてはその原因究明に万全を期して、さらに今後いかに対処していかなければならないかということを検討しなければならないと考えております。
#46
○阿具根登君 これでやめますけれども、ほかの同僚委員からも質問があるだろうから私はやめておるんですけれども、新聞の記事を見ただけでも山鳴りを感じた、盤ぶくれでガスが多くなった、だから係員にここは振れません、ここはかえてくださいということをみんな陳情して言っているのです。それをおくれておるから、おくれでおるからといって仕事をさしておるのです。これは、恐らくほかの方々もあると思うのです、新聞にちゃんと書いてあるんですから。それでまた、それぞれ私たちもちゃんとみんなの意見を聞いてきておるのですから。そういう場合でも監督官があればこれはすぐ連絡もとれる、こういうことになるわけなんです。田中通産大臣は炭鉱の中で育っておられますからよく御承知ですからどうです、こういうガスの多いところには、たとえ一名でも二名でも常駐さすべきだということに御賛成できませんか、大臣のお考えをお聞きします。
#47
○国務大臣(田中六助君) こういう大きな大事故が起こっておりますし、率直に申し上げまして、私はもしこれが再開すると仮定した場合、経営者の陣容から、もちろん経営者だけじゃなくてつまり労使ですね、十分反省しなければなりませんけれども、私ども監督の責めにある者も、やはり根底から監督の方法について具体的な専門家の調査団、そういうものを派遣いたしまして、原因究明の際にゼロから出発するような考えで、そういう保安面の監督もそうでございますし、労使の方もあらゆる面で十分なメスを入れてみたいと、私は北海道に今回参りましたときからそういう考えを持っておりまして、これを何とか貫いてみたいという気持ちでございますし、阿具根委員の質問にあります保安監督についても、もちろん十分な検討を加えてまいりたいというふうに考えます。
#48
○阿具根登君 先般の放送討論会で大臣が最後に言われました。こういう討論をやるのも、犠牲者の家族の方から見ればどういう気持ちだろうかということを言われましたが、私も全くそれは同感です。だから、これで質問はやめますが、残った五十九名の行方不明の方々が、一日でも早く家族の手元に帰るように御努力を切にお願い申し上げまして、私の質問をやめます。ありがとうございました。
#49
○対馬孝且君 大臣の時間の関係もあるようですから、基本的な問題を先に関連でございますから明らかにしておきたいと思います。
 まず、最初に大臣にお伺いしたいのは、北炭の経営体質の中で今日の災害を生んだ原因あるいは背景というものをどのように大臣として受けとめておられるか、このことを端的にひとつお伺いします。
#50
○国務大臣(田中六助君) この災害が起こりまして、いまさらながらだれの責任だどうだこうだと言うことも、何かせんないような気もしますけれども、といって再びこういうことを起こしてはいけませんので、私どもは専門家による技術調査団、司法当局のいろんな調査もございましょうけれども、原因究明については徹底的にやらなければならないというふうに思っております。しかも、その根底にあるものは、何とか再開をしたい、あるいはするような方向を前提としての究明が、やはりいろんなことが理由としてありましょうけれども、私は本筋じゃないかと思います。したがって、何よりも問題はいろんな諸条件がございましても、経営者の態度というものが第一に問題となります。したがって、どの委員の方からも指摘されておりますように、十五名の人に対してはまだ反応があった時点で、そんなに時間もたたないときに注水をするという、何というか何とも言いようのない、そういうことを言い放つ最高の人がおるということ、これは私はどうにも言い逃れのない一つの問題だというふうに考えます。したがって、そういう点を頂点としていろんな問題を解明しつつひとつ原因追求に走ると同時に、できますならば再建、再開ということに諸条件が整うならばそういう方向で検討していきたいというふうに考えております。
#51
○対馬孝且君 いま大臣から技術調査団等も派遣をし、また保安の万全の基本的な見直しを含めながら経営主体を基本に再建をいたしてまいりたいと。その中でいままさに、生存がまだ確認しないうちに云々ということは、私もテレビ討論で申し上げたことでございまして、このことをもってしても全く人間軽視、まさに保安軽視、生産第一主義であるということをはっきり言わざるを得ません。
 大臣の基本的な態度はいまわかりましたから、そこで私はこのことだけ申し上げて、お互いに問題の姿勢を正してまいらなければならないと思っておるんですが、昭和五十一年十月十九日、参議院商工委員会の資源エネルギー対策小委員会で、萩原吉太邸当時北炭会長を呼びまして、私は二時間、阿具根先輩が約三十分質問をいたしております。これをもう一週間来ずっと私の質問を熟読玩味をいたしてまいりました。当時の大臣は河本通産大臣、私はずっとこれを読んでみまして、やはり本質的に、これはちょうど幌内炭鉱の爆発があって、その再建のために開かれた経営者側の姿勢を私は追及をしたわけであります。そのときに私はこう言っているんです。この会議録を後でごらんになっていただければわかるんでありますが、まず保安問題に対しては、やはり会社側の北炭の姿勢を正す必要がある。いま阿具根先輩も言われましたが、まず政治が優先をして、そして保安をおろそかにするという体質がある、これが今回の幌内炭鉱の昭和五十年の十一月二十七日に起きた災害の原因ではないか。いみじくも当時の萩原会長に私はこう言っています。そこであなたは政商屋だと、当時ロッキード事件の直後でありますから、あなたは政商屋という看板が通っている限り、本当に幌内炭鉱を再建するのであれば、私財をなげうつべきだ――これを読んでください、全部書いていますから。あなたの私有財産をなげうつべきである。私も炭鉱マンですから、昭和二十年来一貫して、炭鉱マンで坑内に入っていますから、私は当時の萩原会長に申し上げたんですが、忘れもしない幌内炭鉱の租鉱というのは二十八あると、私もこれしゃべっています。二十八の租鉱炭鉱があって、そこから利益が上がって、今日の三井観光株式会社というのはホテルが七つ、系列のSTVテレビ、北星ハイヤー会社を含めて会社系列だけでもって三十八社ある、私はこういうことを指摘しています。こういう三井観光が今日も存在しているというのは、まさしく北炭の租鉱二十八の炭鉱に当時トン当たり二円という莫大な租鉱料金を取って三井観光という資本を築いたのは炭鉱労働者の血と汗ではないか。その血と汗ででき上がった三井観光株式会社が、この幌内炭鉱の再建のためにはまずみずから金を投入して、自分の私有財産までなげうって幌内炭鉱を再建するという気構えに立たなければ再建することにはならない。まず基本はそこにあるということを私も阿具根先輩も実は追及をしております。そのときに萩原吉太郎が言っていることは、まさにいま対馬さんが指摘されたとおりでありますが、今回の災害要因については――ここでも北炭新鉱のことに触れています。幌内炭鉱と北炭新鉱については全くガス山である、ガスの非常に多い山である。そういう意味では全く今回のガス事故に至ったということについては、まさしくいま対馬さんが指摘したことについては私は肯定をいたします。ただ問題は、経営再建のために私有財産をなげうってと、こう言ったら、彼はやはりそのことは言葉を濁して、遺憾ながら私も一がどの経営者でありますので、この場でいま私の私有財産をかくかくしかじかのものをこうですということを言うことになれば、この会議録で言えば「落後者」であります。私はみずからここで辞表を提出しなければなりません。したがって、ここで言うことだけはひとつ勘弁をしてもらいたい。しかし、再建のために、いま御指摘ありましたが、全力を挙げてまいりたい、こういう答弁に至っておるわけです。
 なお、さらに私は追及しています。こんな抽象論ではだめだと、こんなことでは。はっきり申し上げまして、当時千歳空港の滑走路二キロ延長の用地はあれ三井観光であります。それから、かつて沼田炭鉱というのがありましたが、あそこの用地は自衛隊用地に買収されました。あれも当時三井観光の所有地であります、不動産を含めて、ロッキード事件のときに私が調べた数字でありますけれども、大体百三十億を超えるくらいのものが陰に隠されているということを私は指摘したと思っております。しかし、そういう財産はございませんと私には否定をしていますけれども、そのときの答弁の中にありますのは、北炭会社から、確かに対馬さんが指摘したとおり三千三百万円出資金としていただいております、こう言っています。これは会議録に書いてあります。しかし、それが利子を換算して今日の時点で考えれば、なるほど何十億かの金にはなるでしょう。その点では三井観光としても重大な責任を感じています。せめて炭鉱労働者の再建のために返してやりたいというような意味のことを言いました。しかし実際に、まあ石炭部長がおりますから申し上げるんでありますが、今回の再建の際にも私ははっきり申し上げていますが、三井観光と政府とやはり両方で、この際まずフィフティー・フィフティーでこの再建のために金を持ってこいと、これは石炭部長御存じのとおりです。あのときはたしか三十二億という私の記憶にあるんでありますが、北炭自身としては再建のために出す、これは後で答弁していただければいいんでありますが、そのときに三十二億の一応原則的にはフィフティー・フィフティーで金をつくると言ったはずの金がそれじゃ一体できているのか、つくったのか、このことを考えてみますと、私はこれはいまだに疑問を感じておるんでありますが、この点を通産省はどういうふうに把握されておるか別にしまして、そういう基本的な姿勢ということがいま北炭の経営体質として問われている、これがやはり私は原点だと思います。
 この点についてまずひとつ、北炭の経営体質、もちろん萩原はことしの六月をもって会長を逃げちゃった。会長はもうやめてしまった、責任はないということは私は言わせたくない、私は近く参考人として当委員会に呼んで、萩原会長に当時の私の会議録を思い出して、これを追及いたしてまいりたいと思うのでありますが、当然責任はある。今日に至らしめた責任というのは萩原当時の社長、後の会長に重大な責任があると私は感じている。それだけに私は、今後のこの問題について、通産当局としてもこの経営の再建を何が何でも願わなきゃならぬわけでありますが、その場合も、やはり先ほども阿具根先輩から出ましたが、はっきり申し上げてあした払う賃金がない。もう来月払う賃金が問題になってきている。現に夕べも電話がかかってきています。それはそうでしょう、休業補償を六〇%払わなきゃいけないんだ。それから遺族補償と、それから炭労との間に取り決めた退職規程に基づいて払う金額が正確に言うなら二十九億八千万円。それから組夫関係は、これは先ほども阿具根先輩から言われたとおりに、この間も私は、二十二日社会労働委員会で藤尾労働大臣に申し上げたが、組夫であるから直轄であるからという一切差別してはならない。大臣も、責任を持ってこれは差別をしない、藤尾労働大臣が明確な言明をいたしましたが、そういうことを考えてみますと、やはりそこらあたりに行政の立場としても、私も現にこれは言っていることですから、何も私はきょう政府だけを責めているんじゃなしに、基本的に経営者の姿勢を正す意味で五十一年以来三回私は質問している。林社長を入れて三度目だ、はっきり申し上げて。そういう問題を正していく姿勢がやはりこの際必要ではないか。この点率直に、どういうふうにお考えになっているか、ひとつお聞かせ願いたい、こう思います。
#52
○政府委員(福川伸次君) 対馬委員御指摘の北炭の経営のあり方、いろいろ御指摘の点は、前回林社長を当委員会にお呼びになられて御質疑をなさったときのことからも私ども十分承知をいたしております。私どもも大変不幸な昨年の火災事故以来、この再建をどのように進めていくかというときに、やはりまず第一は北炭あるいは北炭関連グループの自己努力こそ基本であるという姿勢で臨んだわけでございます。もちろん、御指摘の三井観光その他北炭関連のグループもそれぞれに物上保証をする、あるいは必要に応じて資金援助をするというようなことで協力をいたしたわけでございますが、私どももいまいろいろ政治的な諸問題についての御指摘がございましたが、実は昨年の火災事故以来、この再建をいたしますのに、経営的な側面、技術的な側面、もちろんその大前提としての保安の側面を尊重して、本当に経営的にやっていけるかどうか、これを根底に置いて経営計画を検討したつもりでございます。不幸にしてあのような、今回のような事故が起こったわけでございますから、私どもそれは十分反省しなければならないわけでありますが、私どもとしては会社を正し、それからまた生産計画に無理がないか、それからまた、あるいはいま対馬委員御指摘のように、政治的な意味合いで何かゆがめられているところはないかということは、実は私どもも一番意を用いて検討したところでございまして、私ども事務当局もあの新再建計画をつくる過程におきましては、本当に関係金融機関の御支援もなかなか得にくいところを説得をし、やってまいったわけでございまして、実は今回の事故は大変残念に思っておるわけでございます。私どももいま御指摘のような北炭の経営の体質、これは世間でいろいろ批判がございますことを十分承知いたしております。今回、さらに本当に残念な事故が起こったわけでありますが、これの資金繰り、当面の資金その他はやはり私どもも基本的には、第一義的には企業あるいはそれの関連グループというのが責任を負うべきものではないかというふうに思っているわけでございます。先ほど阿具根委員からの当面の資金繰りかどうかという御指摘のときにも、まず第一義的な基本的なところはそこにあるんだということを申し上げたのも、いま対馬委員が御指摘になったような経緯も踏まえて考えますれば、これはまた経済原則としても当然でありますが、なおのこと、そのような気持ちを持つわけでございます。したがいまして、今回どのような将来の展望が持ち得るのか、いろいろな問題を私どもも検討してまいりたいと思っております。もちろん保安が大前提であるということは、昨年の火災事故以来私どもも日を酸っぱくして、そこに無理が生じないかどうかというのは、実は検討してまいったわけであります。もちろん、現実に事故が起こったわけで、それなりに無理がなかったか、もう一回原因究明をしなければならないわけでありますが、その経営再建に当たって、いまおっしゃったような幾つかの問題というのは今後の経営のあり方を考える上での私どもの一つの大きなポイントであろう。したがって、いま御指摘のような点も、当面資金繰りを考えるに当たりましても、一義的には北炭あるいは北炭本社、さらに北炭関連のグループの諸会社、さらにいま御指摘の経営者の姿勢という点は私どもも十分重要なポイントになり得る、なるべきものと考えて、その対応を考えていきたいと思っております。
#53
○対馬孝且君 私は、なぜこれを言うかというと、当面問題として緊急にやはり金を一労働者の生活は労働省に責任があるわけで、殺されて、その上に賃金は七〇%より払われていない、ボーナスは五〇%より払われていない。そこへもってきて金融保証はゼロだなんといったら、あすの生活できなくなるでしょう。ましてや、殺された方々に対して、この遺族の労災補償は別にしても、いわゆる取り決められた弔慰金その他を含めて払われない、退職金も払われない。こうなった場合には、全くこれは本当にもう家族にしてみればいたたまれぬという気持ちだと思うのです。こういう問題を含めた場合に、私は基本的にはいまあなたの言ったことは、それはもう私が言っていることであって、大臣にむしろお伺いしたいのは、国が一定の出資をしているわけですから、出資というか、一応融資をしているんだから、国民の税金を使っているわけだから、その意味ではある程度この機会にもちろんこれは法律上の、民法、刑法上含めてどういうことまでいけるかということは限界はあるにしても、これは国が金を出している限り、一切合財、私に言わせるなら、三井観光を含めて北炭グループ関係全般を通じて一切洗い直してみるという、そういう態度があっていいのじゃないか、私はそういう意味で言っているんですよ。私は政府だけ責めているんじゃないんです。必ずぼくは萩原吉太郎以下、林社長以下をもう一回呼んで、ここで当時の議事録を翻して追及したいと思っているんだけれども、追及すればいいというものじゃなしに、そういう基本がはっきりしないから今日の災害につながっていった。このことは私がもう毎回ここでしゃべっていることなんです。だから、そういう意味でひとつ大臣、もう一回この北炭グループを含めて、そういう全体の見直しをして、その中からとにかくこの際、萩原は逃がさない。同時に北炭グループのとるべきことは、金をつくってこい、つくらせる、こういう強硬な、強権発動ぐらいするという姿勢をやはりとる必要がある、私はこれを率直に言いたいわけですよ。この点ひとつ所見をお伺いしたい、こう思っています。
#54
○国務大臣(田中六助君) 個人の答弁は差し控えいたしますけれども、いずれにいたしましても罹災者並びにその家族、そういう方々が困らないように、あすの糧がどうにもならないようなことは絶対にしないということで、私どもはあらゆる支援、あらゆる尽力を尽くしていくということを申し上げたいと思います。
#55
○対馬孝且君 いま大臣から、まさにありとあらゆる方法でとにかく完全にひとつ遺家族やあるいは働く皆さんに対して御迷惑をかけないようにいたしますという力強い答弁でございますから、それは私は了とします。
 ただ問題は、そういう点をはっきりしないと、これはまたもや――現実に私も夕張の市長からきのう電話を受けました。これは現地でも聞いたことなんですが、もうすでに税収だけで五億円、それから北炭再建融資だけでもって三億円、第一次。第二次が一億五千万円。そのほかに電気その他も一応滞納、延期といいますか、こういうものを含めると三億八千六百万円になる。これをこのままにされたんじゃ、まず夕張市全体がもう破滅をする、夕張財政が破滅をする状態に実はきてしまっている、しかし、それでもやはり商工団体や夕張市民の皆さんは何とかしてやろうということで、いままた自主的に資金融資を新たに考える段階にきているということで運動を展開して、近く市議会も開かれる、こういう運びに至っているので、真剣にひとつそこらあたりを、せめて当面の生活不安だけは、あるいは遺族に対する迷惑だけはかけないでもらいたい、こういうことがあったものですからいま私は申し上げているのでありまして、そういう点で万全を期してまいりたいということでありますから、当面の遺族補償と、それから働く者に対する生活不安のないように、これだけはぜひひとつ全面的な配慮をしていただきたい。このことをもう一度大臣から御確認の意味でひとつ――よろしゅうございますか。
#56
○国務大臣(田中六助君) いま対馬委員の御質問にある趣旨を十分わきまえて、それを体して善処していきたいということをお約束申し上げます。
#57
○対馬孝且君 それでは次の問題を一つ。
 私もいま、調書というと言葉はちょっと悪いんですけれども、組合員からこれだけの実は調書をとってきているんです。名前だけは言わぬでくれということですから、一応名前は伏せますけれども、いろいろ言いますと三点の問題があるんです。
 これは立地公害局長、あなたに今度は私は基本的に解明したいのだけれども、私も炭鉱マンだから言いたくないけれども、これは九月十六日に第五盤下坑道のゲート付近で実は大崩落があった。いわゆる山鳴りがして、道警はこれを山はねと、こう言っているんだけれども、山はねというのは昭和四十二年の三菱美唄炭鉱で一回ありました。山はねというのは坑道の側面から圧がかかって力のバランスでもって上下ではあんとなるというのが山はね現象と、こうわれわれ言っておるわけでありますが、昭和四十三年に三菱美唄で山はねがあって、坑内に尊い犠牲が四名、私の隣の炭鉱でありましたが、いまだに遺体が埋まったままでございます。これはもう火災が起きまして、ついに四名の遺体がいまだにここに取り残されているということであります。ところが、私が聞いた一番問題点は、道警本部としてとられた当面調査によると、九月十六日のこれは山はねである、こういうまあ新聞報道によると認定になっている。山はねがあったとするならば前兆がないわけがない、これは私も経験しておりますから。ところが前兆はなかった、こう言うわけです、これ聞きますと、会社側に聞いても、おたくの保安の出先でも、そういう山はね的な前兆は全くなかった。ところが、はっきり申し上げますが、名前は避けますけれども、現場で働いている人に九月十六日に、山鳴りまたはいわゆる山はね的な衝動的、または不測の予感をした坑内の状況がなかったかと、こういう質問を質問者がしているんです。そうしたら、いやこのことについては、ドーンという音がして大崩落ということを感じた。それで、後から聞いたら大体坑口から二千八百メーターぐらいになるがその坑道の一画が後から聞いた話では大体八十メーターぐらい崩落した。こういうことが言われているんでありますが、これは組合員が言っていることですが、この点は一体どういうふうに立地公害局は受けとめているのか。これは一カ月前ですからね。一カ月前にそういうことがあったとすれば、やはりガスが相当な危険な状態にあったということをひとつ想定しなければなりません。
 それから第二の問題、これもそうでありますが、これも調書をとって事情聴取をしてきましたが、こういうことですね。私も現地で林社長にも、それから保安監督署にも、あなた方にも質問しました。いわゆる先行ボーリングは一体どの程度やったか、さっきの報告にもありましたが、完全に先行ボーリングをされておったのかどうか、一掘進に対して七本ないし八本の先行ボーリングを打つことになっておるわけです。これも聞きますと、十月九日から十月十一日までの間に先行ボーリングを左右各四本ずつ打っています、これを聞いた中では。大体五十メーターずつに打っていって十一本打っている。これを三日間実施をいたしました。こうなっていますね。
 そこで、疑問を感じることは、ガス抜きがいままでは二十五メーターでいっていた。後半は五十メーターに変わっている。先行ボーリングが完全にされたと現地では言うんだけれども、さっきの報告にもあったけれども、あれは私の質問です。林社長は、やりましたけれども結果としてはそういうことはできなかったということについては、まことにまあ率直に認めざるを得ないということは言っているんだけれども、十月九日から十一日までの間には五十メーターのボーリングを打っていった。後半の段階では二十五メーターにポーリングの間隔が切りかえられた。これはつまり通称言われる、炭鉱用語で言うなら先行ポーリング、こう言うんですが、先行ボーリングの手抜きがあったのではないか。このことがひいては今度の災害のやはり一つの原因になっていはしないか、これは私は軽率に原因の断定はいたしません。磯部教授が言うとおり、世界の科学的な根拠の中で、ガス発生、ガス突出あるいは自然発火というのは科学的にいまだに国際的にも解明はされていないという段階ですから、私は断定はしませんが、要因としていままでの幾つかの大災害を見ると、大体常識的に原因を調べて後からわかったことは、やはりガス先行ボーリングに手抜きがあった、
 もう一つ発破です。この場合、発破をかけて四十分ぐらい間隔を置いていますね。その後に現場へ行っているんだ、この災害現場というのは。ここでどういうことを言われているかといったら、こういうことを言われているんですよ、いわゆる一つはおくれ発破による衝動的ガス突出の現象があったのではないか、おくれ発破というのは遅く発破事故が、つまり引火する時点まで四十分間を置いたけれども、それがどうしてそうなったかと言われると、ここが問題なんです。この掘進現場というのは岩石でありません。掘進に種類が二本ありまして、炭鉱用語で言うと岩石掘進と沿層掘進というわけだ。沿層というのは石炭で、岩石というのは全く名前のとおり石であります、ところが、この裏側の沿層掘進の、ここには書いてあるけど、百メートル地点の裏側の断層地点がつまり亀裂状態にあった、これは図面上です。図面上亀裂状態が出ている。そうすると、発破をかけたけれども、裏側にそういう亀裂状態の断層が出てきておって、そこらあたりにやはりおくれ発破というのは普通なら四十分で確認して大丈夫なのが、その後の五十分なり、あるいは一時間たってからおくれて発破による引火が考えられる。これはまあ磯部さんもひとつの見解で言ってます。われわれの経験でもわかる。これも聞いてみたんです、組合員の調書の中にありますがね、質問の中に出てますけど。それはいま言ったように、発破を確認してから四十分後に実は現場へ行って、間もなく今回の災害が起きているわけです、また突出になっているわけです。だから、そういうことがやはりひとつのおくれ発破の衝動があったんではないか。
 現地でも、私らの同僚の専門家である岡田利春代議士からも出ましたが、もう一つは、いわゆるバッテリーがこの現場に実は入っている。バッテリーということは火源ですからね、火源の要素がありますから。ところが、その圧によって押されてバッテリーローダーが壊れて、そこに炭じんが吸い込まれて引火をしたのではないか、この説が一つあります。しかし、これはこれからの原因究明ですから、私はそこのことを言っているんじゃなくて、そういうことに対して、こういういま幾つか具体的に挙げました、三つの問題、こういう問題に対して保安監督官の立場でどういう現場の事前調査、前兆があったのかなかったのか、あるいはガス抜きが、先行ボーリングが完全に実施されておったのかなかったのか、あるいは先ほど言ったバッテリーローダーがどういう状態にあったのか、こういう三つの問題について、率直に保安監督官の立場でどのような実態把握をされておったか、ひとつ具体的に御答弁を願います。
#58
○委員長(降矢敬雄君) 大臣、御退席いただいて結構です。
#59
○国務大臣(田中六助君) ちょっとすいませんけれども、また参ります。
#60
○政府委員(神谷和男君) 基本的には先生御承知のように、これまで救助活動に現地のエネルギーの大半が割かれておりまして、捜査並びに原因究明が必ずしも十分進んでおりません。したがいまして、先週末、さらに今週初め現地に対しまして、警察の捜査本部と密接な連絡をとりながら、支部長検事等の指揮も受けながら捜査の方向に重点を移す、しかしながら、注水に関連した保安並びに西部地域等の保安に関しても一定のスタッフにより十分配意させるようという指示を行ったところでございまして、今後精力的に原因究明が図られていくものというふうに考えております。
 したがいまして、御指摘の点に現時点ですべて的確にお答えするということは困難でございますけれども、九月の十六日の山はねの件に関しましては、私どものところでは報告は受けておりません。九月の初めに北第五上部排気立て入りのナンバー一で崩落があったという事実に関しましては報告を受け、二の地点で監督局ではガス突出の可能性の有無という点を明らかにするため、現場の調査あるいはガス解析データの検査等行いましたが、本件に関しましては、メタンガスの集中感知装置の記録によるとガスの異常湧出は認められていなかったということから、ガス突出に関連した現象ではないというふうに判断をしておるわけでございます、十六日の件につきましては今後調査をいたしたいと考えます。もし事実があって報告がないということであれば報告義務違反の問題が起こってくるのではないかというふうに考えられます。
 それから、先行ボーリングにつきましては、私が現地におります段階から救助活動の合間を見ながらボーリングの関連した書類その他のデータの収集も行っており、相合い寄りながら分析も行っておりましたが、先生のおっしゃるような点も踏まえながら、今後十分捜査をさせていきたいというふうに考えております。現時点までのところ、特にボーリングの手抜きがあったという明らかな事実は出ておりません。しかし、いずれにいたしましても、本件は非常に大事な問題でございますので、関連書類の調査並びに事情聴取その他、さらに内部が調査できるようになりましたら、それも兼ね合わせながら調査を進めてまいりたいというふうに考えております。
 発破に関しまして、おくれ発破であったかどうかという点につきましても、ガス関係の集中観測機のチャートその他の分析あるいは諸般の状況、もろもろの事情調査をいたしながら解明してまいりたいというふうに考えております。特にこの点につきましては、やはり今回のきわめて大規模なガス突出の原因究明上非常に大事な点だろうと思いますので、鋭意調査をさせていきたいと思っております。
 二次災害に関しまして、バッテリー関連が火源ではないかという御指摘がございました。確かに電源を完全に切らしておりますので火源があるはずはないわけでございます。
 御指摘のような問題点その他につきましては、これはやはり内部がある程度よくわかるような段階になりませんと、終局的な究明はむずかしいかと思いますけれども、できるだけその前にも関連した状況は収集させるようにしたいと思っております。
#61
○対馬孝且君 いま局長からありましたが、これはあれですよ、おたくの監督官が最後に入ったのは十月の八日、九日と言っているんでしょう、現地では。最後に入ったのはいつかと言ったら八日、九日に入っておると、こう言っているんでしょう。そうすると、これはうそなら別にして、これだけのガス予測前兆山はねという道警本部が断定して出したこれだけのことが、私は常識で考えて、炭鉱を経験した者であればこんな山はね的な衝動がわからなかったなんというのは、これは私に言わせれば、保安監督官は一体何をやっているかということだよ、はっきり申し上げると。ところが、それを何も知っていませんという事態がぼくはおかしいんであって、しかも道警本部の発表によれば、ガス突出でこれだけの一面トップに、しかも山はね発破と、こうなっているんだよ。ここらあたり、ぼくはお粗末どころじゃないと思うんだよ。しかもそれが全然把握されてないというんだったら問題ですよ、私に言わせれば。この点どうなんですか。しかし、会社はあったと言っているんだよ。会社は同月同日にはこれがありました。この場所とは違う、こう言うんだ。ここがちょっと食い違っているんだけれどもね。これは北第五下盤坑道のゲート付近、こうなっているわけだ。会社は下盤坑道でなくて上盤だと、こういう違いがある、層が違っていますからね。そこらあたりがちょっと違いがあるんだけれども、会社はありました、あったが、そのときの炭鉱用語でバレカタというか、鉱内の崩落の状態はそれほど大した状態ではなかった。このことがぼくはやっぱり山はね的衝動があったということになるとするならば、明らかにこれは前兆として断定しなければならないでしょう、このことだけは。これは原因を探す探さないは別にして、吟味するしないはもちろんのことだが、それをしなくたって、山はね的な前兆がもしか道警本部発表のとおりであったとするならば、これはまた私に言わせれば重大なことです。このことはどうなんだと、その後のことはこれから原因究明してもいいんだけれども、このことだけはぼくは少なくとも、社会的にも亡くなった方々に対しても明確にしなければならない問題ですよ、このくらいのことは。この点どうなんですか、もう一回。
#62
○政府委員(神谷和男君) 具体的にいろいろ報道されている事実あるいは事情聴取によって明らかになる事実等につきましては、現地の鉱務監督官が十分データを収集しておると思います。私どもといたしましては、少なくも現時点、九月十六日の案件に関しては本省の方に具体的な事実の連絡は受けていない。九月八日に、北第五上部排気立て入りナンバー一において崩落があったという事実に関しては連絡を受けていると、こういう状況でございます。ただ連絡がないからといって先生御指摘のように、その事実がなかったということになるわけではございませんで、私どもといたしましては、いずれにいたしましてもこの事故につながるような関連のものは徹底的に整理をし、あるいは状況を収集するよう、指示をいたしておるところでございます。
#63
○対馬孝且君 いま答弁があったけれども、これは私は全く不十分だと思いますよ。ただこの委員会一回で終わるわけじゃないから、先ほども言ったようにもう一定の時期に来たら、救出が完全に終わった時点では、当然林社長も来てもらわなければならぬし、労働組合の委員長も来てもらわなければならぬし、関係者全部を参考人で呼ぶという私は個人的な見解を持っています。いずれにしてもこれは対策をしなければならぬことです。しかしいま、そういう答弁だからさっき阿具根先輩が言ったように、私はこの間現地へ行って聞いたんだ。いま北海道の保安局長以下三十四名です。夕張に張りついているのはぼくはちゃんと表を持ってきているんだ。全部各地域ごとに持っていますけれども、夕張はたった二名だよ。二名のところに南大夕張、新登川、真谷地、新鉱と四つの炭鉱があるのに、監督官が私に言うんだ、いや対馬先生の言うとおりなんだけれども、私らにすれば何ぼ怒られてみたって四つの山がある場合どうやって回れますかと、これは言われるとおりだよはっきり申し上げて。四山あるうちに夕張の地は二名、岩見沢二名、はっきり申し上げて。それから北海道全体で三十四名だから話にもならぬよ。
 私は西ドイツにことしも八月に行ってきたけれども、西ドイツでは大体一万大規模になると、最低三百人ぐらいの保安監督官の指導配置になっておりますよ。フランスにもぼくは行った、いま騒いでいるポーランドの炭鉱にも入った、チェコスロバキアにも入っている。それからソビエトの炭鉱にも入ったけれども、どこへ行ったって、ぼくは言いたいことは、そういういま聞いたことさえまだ把握していないという状況で把握できるわけがないんだよ、ぼくに言わせれば。そういう保安の管理システムなり管理体制がなっていないんだ。だから私はテレビ討論でも言ったんだが、現実の問題として、いまもちろん岩見沢には防爆センターもありますが、実際問題としてこれは深部へ深部へ行っているわけでしょう、日本の炭鉱というのはドイツも同じだけれども、どこでも深部へ行っている。平均して、マイナス六百十メーターだ、いま日本の深さというのは。ほぼ西ドイツの水準に達していますけれども、今回の場合八百十メーター行っているわけだ。ところが、何が問題かと言ったら忘れもしない毎回の委員会でも、ことしの予算でも石炭部長にも予算要求のときぼくは申し上げたんだけれども、保安センターをつくれということは一貫してしゃべってきたんだ。それはなぜかというと、深部へ行った場合の開発技術センター、いま日本ではないではないかと、深部開発における研究はどこまでそれじゃされているかと。実際問題としてないでしょう、はっきり申し上げて。根本的に、諸外国にあるような深部開発センターなんてありますか。お目にかかりたいと思うんだ。そういう意味でぼくは言っているんであって、そのとき石炭部長に言ったら、いや、とても予算がなくて予算がなくて、金がなくてとかと言うんだけれども、よけいな金はあなたほかにあるんだ。私に言わせれば、それこそ当委員会でも問題になったけれども、ここに当時の楠委員長もおるが、私も理事だったけれども、世間を騒がせた日韓大陸棚なんというのは、今日ボーリング三本打ったけれども、ただの一滴も出てない。これが一本のボーリングが三十億だよ。いや、これは別にして、少なくともこういうところに金を使うのであれば、私の言いたいことは、本当に国内資源の管理体制に、何も会社のために金を使えと言っているんじゃないんだよ。保安センターの確立のためにもっと金は使うべきじゃないか、予算があってしかるべきじゃないか、このことを見直しをしないで――ぼくはいま端的な質問をしておるんだよ。要因を言うならまだたくさんあるんだが、たった三つ質問しただけでも、さっきの、山はねでないと私は思うけれども、新聞は山はねと書いてあるから、道警本部は。そういうものすら把握ができてないというんじゃこれは私に言わせれば保安体制は全くゼロですよ。そういう意味で私は言っているんであって、保安体制をこの機会に見直してみなければ見直すチャンスはないではないか。大臣はさっき答弁したから、答弁を求めてもしようがないけれども、立地公害局長はどうなんだ。そういう意味で私言っているんだよ。具体的なことを事実を挙げて、阿具根先輩も言ったとおりなんだよ。そういう意味でもう一回はっきり答弁してください。
#64
○政府委員(神谷和男君) 私、現地の監督官がこのような事実に関して全く関知していないという趣旨の答弁を申し上げたわけではございませんで、現地の監督官は、先生のおっしゃるように人数は限られておりますけれども、それなりに最大限の努力を、救助活動と捜査、原因究明活動にエネルギーを注いでおるわけでございまして、やはり調べなければならないことは徹底的に調べておるものと了解いたしております。ただ、捜査に関しまして彼らが集めたものを警察当局と連絡しながら取りまとめてはおりますけれども、それを逐一私どもの方に、こういう事情聴取をした、こういうものを聞きましたということを連絡するシステムになっておりませんので、私どもの方ではそれは現在連絡を受けていないということを申し上げたわけでございます。そういう事実に関して、どういう状況であって、どの程度調査しておるかということに関しましては、私どもの方から現地に連絡をして調べてみたいと思っております。御指摘の点、その他全般につきましては、やはり全体の捜査の終了を待ちまして、やはりいろいろな断片的な情報というものを体系的に整理した上で御説明するのが適切かというふうに考えておるわけでございます。ただ、いずれにいたしましてもこういう災害が起きておるわけでございますし、特に深部開発に伴いましてガス突出の問題というのは非常に重大な問題になってきておるわけでございますので、先生も御承知のように、私どもといたしましてはこれに対する対策委員会を設置して鋭意検討を進めておる最中にたまたまこういう事故が起きた。こういう点でまことに遺憾に思っておるわけでございます。来年度の予算におきましても、ガス突出に関連した対策の金の要求の伸びは、全体の中で、苦しい中でも非常に高くとっておるわけでございまして、私どもといたしましては、事故の解明を待ちましてさらに適切な手を打つと同時に、やはり現在問題になっておりますガス突出に関しましては並行して最大限の努力を進めてまいりたいと思っております。
#65
○対馬孝且君 まあ一応そういう認識を深めて、見直して、予算要求もいたしてまいりたいということですからあれですが、時間も一区切りになりますからこれで午前中の部は終わりますが、いずれにしましても私はこういうときでなければ保安全体の制度、システムを見直すことはできないと思う。これは世論的にもそうだし、政府だって行革、行革と言っているが、災害だけは待ったなしだから、この間鈴木総理大臣が私の質問に答えて災害だけは待ったなしですよと、こう言っているんだから、そういう意味では少なくともこの機会に抜本的な保安制度の改革、まあ後から申し上げますが、保安法規の見直しもこの際検討する段階に来ている、このことを申し上げて午前中の質問は終わりたいと思います。以上です。
#66
○委員長(降矢敬雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。午後一時まで休憩いたします。
   午後零時十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五分開会
#67
○委員長(降矢敬雄君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 産業貿易及び経済計画等に関する調査のうち、北炭夕張炭鉱株式会社夕張新炭鉱における災害に関する件を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#68
○対馬孝且君 大臣、先ほどちょっと退席された後に、各組合員の事情聴取を私なりにいたしてまいりました。名前だけ避けてくれということでしたので名前は申し上げませんでしたが、集約した問題として先ほど立地公害局長に質問して、三点あるということを私申し上げました、大きく言って。
 一つは、九月十六日の時点で、どうも会社と道警本部の現場個所の違いはありますが、山はね的衝動があった、こういうことを言われまして、先ほど立地公害局長に質問しましたが、その点はまだ十分把握されていないということなんだが、大臣も御存じのとおり、山はねということになると、炭鉱災害では落盤事故あるいは突出あるいは坑内火災、それから運搬事故、いろいろあるけれども、山はねというとこれは決定的な、その山はもう終わりですからね。一番いい例が三菱美唄、先ほど私申し上げたんですが、昭和四十三年に、隣の山でありまして、私も現地へ行ってわかっておるんですが、これは山はねになって坑内火災が一週間続いて二坑というところが全部密閉しちゃったんです、最後には。そのときからいまだに四人実は三菱美唄炭鉱の地下にわれわれの同志が眠っているんですよ。だから、山はねという言葉を簡単に、どういう意味で使っているんだか知らぬが、道警本部の捜査段階の発表なんですが、九月十六日も山はねであったとするならば、少なくとも山はね衝動が起きたとするならば、これ一たん全炭鉱、夕張新鉱を一たん作業を中断して、それこそ総点検をすべきものである。これはもう常識だと私は思うのですよ、山はね衝動があったとするならば。ところがそのことについては遺憾ながらまだ保安監督局の方では十分な把握をしていないという先ほどの答弁なんですが、しかしこれを契機に徹底的な見直しをするということだから別にしまして、第二は、やはりおくれ発破があったんじゃないか。おくれ発破という意味は、発破をかけて四十分たって本来的ならどんとくるべきものが、ちょうど掘進の裏の側壁のところに亀裂状態が実は入っておった。百メートルぐらいの亀裂の状態があった。その亀裂の状態がいわゆる先ほど言った突出の、おくれ発破による引火と相結びついたのではないか、こういう見方が二つなんですよ。
 三つ目はさっきも申し上げましたが、いわゆるバッテリーローダーが実は入っている。それによってもし山はねが本当にそういうことが事実だとするならば、そういう衝動によるバッテリーローダーが圧縮をされて、中に炭じんが全部入っていますからね、炭じんと炭じんの摩擦による引火ということは当然考えられるわけでありまして、そういう点が主なる今回の災害の一つの、これは根本的には現場を見なきゃわからぬわけですが、磯部教授などともちょっと私話してみましたけれども、大体そこらあたりが一つの問題点ではないか。ところが先ほど立地公害局長は、そういう実態はつかまなかった、十分に把握され得なかったという現実があるものですから、そこらあたりは大臣はもう炭鉱でよく御存じのとおりでありまして、山はね的衝動があったとするならばこれは大変な問題だ。そういう意味では、それこそ全山を休止して、少なくとも一斉点検をやって確認した上に立って作業の再開をすべきであったと、こういうふうに私は感じるんですが、ここらあたりを含めて、私は先ほども阿具根先輩からありました保安制度の見直し、それから出先の保安改革、もちろん労使関係が基本でありますけれども、出先の保安の見直しというものを一回考えてみる必要があるんじゃないか。それは先ほどちょっと大臣いなかったんですが、実際私もここに持ってきていますけれども、全体としてはこれは北海道は局長以下三十四名なんです。夕張の場合は二名なんですよ。しかも、大臣御存じのとおりあすこは新鉱でしょう。南大夕張でしょう、南夕、真谷地、新登川と、こう四つあるわけだ、そうすると、ぼくはこの間行ったとき監督官にも聞いたんだけれども、回りたくても回れないと言うんだよ。それでもぼくが聞いたらよく回っていますよ。特に新鉱はガス山だということがあるんで、月に大体二回か三回行っているようです。それも努力しているようです。しかし、それが精いっぱいだと言うんですよ。そうすると、どうしてもほかの山がおろそかになりますわな、これは人的に言って。だから行革も私はわかるんだけれども、先ほども申し上げたんですが、そういう意味ではこの機会に保安監督員の増強もしくは点検、そういうものを一回見直してもらいたいということをこれは私の先ほどの結びとして午前中申し上げたんですが、大臣のひとつ考え方をお聞かせ願いたいと、こう思っておるわけです。
#69
○国務大臣(田中六助君) 昭和五十一年に当時の河本通産大臣に対馬さん初め皆さんの御質問があって、その当時の通産大臣も十分保安問題については法規的にもいろんな点で善処しようということをお約束申し上げ、その後通産省といたしましてはガス突出、山はね、自然発火、それぞれの保安助成策を講じてきたわけでございますけれども、それでもいろんな事故がずっと起こっておりますし、大事故は、このようにわれわれ大きな問題にしておりますけれども、毎年落盤事故などが起こって死亡している数がずっと累積すると膨大な数に上っております。そういうことを考えますときに、やはり社労、会社側と労組側との自助努力ということもこれはもう第一に必要でございますけれども、保安監督という面もより一層強化しなくちゃいかぬということは私ども十分わかっておりますし、今回の行革におきましてもこの点のカットは一切まかりならぬと、総理もそれから中曽根長官も了承しておりますし、保安監督官を減らすことはないと思います。まあしかし、対馬委員おっしゃるように、もっと強化しろということでございますし、私どもも事故が起こって、後から気がつくなんとかやらということのないように十分これからも保安体制にいろんな強化をすると同時に、ひいてはそういう保安監督官についての増員ということも十分考えた上で対処していきたいというふうに思います。
#70
○対馬孝且君 いま、保安監督員を含めて体制の強化をひとつ見直してもらいたいという質問に対しまして、大臣は積極的に取り組んでまいりたいということですから、そのとおりひとつぜひやってもらいたいということを強く申し上げておきます。
 立地公害局長、余り知らな過ぎるのじゃないかとぼくは感ずるんだよ、あなた。だから、いま大臣がお認めになったように、ぼくが言っているのは何もいま直ちに西ドイツとか、ほかの炭鉱のようなレベルまでアップをせいということを言っているんじゃなくて、現行体制を含めて、監督体制の強化というのはどうしてもやはり必要である、こういうふうに申し上げたのであって、その点はいま大臣の答弁がございましたから、そのとおりひとつ強化をしてもらいたいと思います。
 そこでこの機会に、これは私もずいぶんいままでの災害のたびにしゃべってきたんだけれども、なかなかこれも実現方を見ないで、検討、検討でもう七年近くなるんだけれども、具体的に申し上げますけれども、石炭鉱山保安規則、いいですか、四十九条、第六節に「保安委員会」というのが設けられています。この保安委員会がどういう制度、運用になっているかということをまず冒頭にお伺いします、公害局長。
#71
○政府委員(神谷和男君) 保安委員会につきましては、労使によって構成いたしまして、全般的にその鉱山の保安統括者並びに関連する保安関係の職員と保安に関連するもろもろの状況についての全体的な運営その他に関して審議をし、必要な事項に関して調査をし、適切な保安規程の設定及び変更について提言し、助言する、こういう役割りを果たしておることと了承いたしております。
#72
○対馬孝且君 それじゃ、構成はどういう構成をされていますか。
#73
○政府委員(神谷和男君) 「保安に関する技能および経験を有する者」によりまして保安委員会を構成する、こういうことになっております。
#74
○対馬孝且君 そこで、この保安委員会の構成というのは、山によって違いはあるが、大体組合と会社の選出された委員をもって同数的に構成されている。これは、北海道の場合はほとんど同じです。問題は、ここなんだよ。保安委員というのは、これは保安の最高統括者が、四十九条によって指名されるのだが、これは現場へ行って、もちろん保安の点検はしていますよ。大事なところはどこかといいますと、この現場が危ない、あるいはガス検定器によって保安規則百二十四条にありますように、いわゆるメタンガスが一・五を超えた場合については危険状態としてみなすということがここにあるように、そういう事態に至る場合についての条件はもちろんあるんだけれども、先ほど私が言ったことですよ、前兆的な状態が続いている、たとえばガス濃度が高まってきた、あるいは山鳴りがどんどん続いている、あるいはもしこういう前兆を予測したといってもこの保安委員は上の保安統括者に対して指導を仰ぐだけですよ。しかしやはり本生の意味の末端の保安のそういう状態に対して即決即断対応しなければならぬわけですよ。これは待ったなしだから、こういう意味では諸外国の例を私もずっと調べてみたんだが、ほとんどこの保安委員という資格の場合は、危ないという状態を判断したときは保安統括者、保安管理者、最高権者と同様にその現場を中止または停止することができる。同じ資本主義の中でフランスでもイギリスでもそういう権限を与えているんです。もちろん機構的には違いがあるけれども。その点を私は前から一貫してしゃべってきておるんです。ただ保安点検をするという任務はもちろん大事だけれども、そういう危険な状態の現場を把握した場合には直ちにそこでもって中止または停止命令を発動する権限をこの保安委員会に付与することで初めて保安委員会の機能というものが、保安委員会の災害を防止するという任務が私は本当の意味で生かされると思うのですよ。いまのままでは保安委員としてただ災害の保安統括責任者が任命権者として点検をして歩けというだけの話であって、それは意味はないと言わぬが、私はやはりそのときの即決即断で、ガス状態がどうも高まってきている、一・五を超えつつある、こういう状態のときに一々上司に指令を仰ぐというのじゃなしに、即決即断、そこで直ちに対応できるという現場の最終権限の、命令権限はこの保安委員に与えるべきである、これはもう終始一貫ぼくがしゃべってきたことなんだ。こういうことがないから今回のことだってかなり前からさっき言ったように、山はね的な衝動があった、あるいはおくれ発破があったのではないか、それからさっきも言ったバッテリーローダーによる火源はないか、こういう状態を事前に保安委員が把握をされておれば、適切にそこで手を打てた。そして今回の大事故につながることはなかった。このことを私は指摘することができると思うのですよ。だからそういう点で、私はいま見直す必要があるんではないか、保安規則の一部を改正する必要があるんではないか、あるいは強化をする必要があるんではないか、このように考えますが、この点どういうふうにお考えになりますか。
#75
○政府委員(神谷和男君) 具体的に今回の事故に関連してどのような状況を関係者が把握し、どのように行動したかということも今後の捜査並びに原因究明の一環としてわれわれとしては十分調査しなければならないというふうに考えております。御指摘のように、そういう行動をとろうとしたが具体的に会社の責任者が動かなかったとかいうような事実があるのかどうかというような点、今回の原因、事故に関連するすべての状況を判断しながら、やはりわれわれといたしましても関連する規則、法規それから体制全般に関して、今後過ちを二度と繰り返さないという意味から、直すべき点があれば直していかなければならないというふうに考えております。しかし、具体的に問題は、どのようなところに問題があったのかという原因究明が第一ではないかというふうに考えております。
#76
○対馬孝且君 見直していきたいということはいいんだけれども、どのような原因といったって、原因も何もないんだよ。これは保安委員にその権限があるかないかということだって、直接の原因はいろいろそれは火源が、私が言ったことだけでなくてほかのこともあるのかもしらぬ、あるかもしらぬが、私が言っているのは、制度上の問題として権限はやはり保安委員に与える必要があるんだ。ほかの諸国でも全部やっていることなんだ。その下まで行けとぼくは言っているんじゃないんですよ。下までというのは、保安委員の下まで中止あるいは停止権を、命令する権限を委譲せいと、そんなことをぼくは言っているんじゃないんだ。少なくとも最高保安の権者が任命した者は何人いますか、あなたはっきり言って新鉱に何名いますか、具体的にお伺いするが。
#77
○政府委員(神谷和男君) 保安監督員に関しましては五名、保安監督補佐員に関しては二名おりまして、これらが保安統括者を補佐しながら保安の安全を期するための仕事に従事をいたしております。
#78
○対馬孝且君 いま言ったとおりでしょう。そんな、私の言っているのは、末端の個々の労働者に権限を与えるというのは別にして、最高の保安権者が、あなたは保安委員ですよと、しかも私と同様な、保安最高統括者と同様な権限があるという、そのくらいの権限を持って保安委員というのを任命しているんだよ。これは私、改正のときに意見を申し上げているんです。そういう意味でぼくは言っているんであって、これからこの災害を契機にぜひひとつこの点も含めて見直しを検討してもらいたい、こう言っているわけですからね。この点大臣、所見はいかがでしょう。
#79
○国務大臣(田中六助君) 先ほどから非常に保安問題についての御見解を聞いているわけでございますが、私どもも災害があったからということではなくて、やはり保安第一主義ということを打ち出していかなければなりませんし、この点に十分集約して、あらゆる再検討を加えていきたい。それは法規的にもそうでしょうし、実態面でもいろんな不備があったと思いますし、私ども万全を期したつもりで、もちろん立地公害局長その他もそういうつもりではおりますけれども、やはりこういう大事故が起こってみますと、どこかに欠陥があったんじゃないかということを、実は省内では毎日のようにいろいろ集まって立地公害局長を中心に話を進めているわけでございまして、私ども一日も早く遺体の収容ができますれば、この究明を図ると同時にそういう対策もあわせて早急に立てていきたいというふうに思っております。
#80
○対馬孝且君 いま大臣から、早急に見直しを含めてこれを検討していきたいということ。ですから、そのことを了といたします。
 時間がありませんからはしょっているわけですが、全体的に保安規則第二十二条の保安統括責任者のあり方の問題、それから百二十二条の一・五%の限界を超えた場合の保安統括者の指揮命令系統の問題、こういうことがございますけれども、これは時間がちょっとございませんから、大臣からそういう積極的な回答がありましたから、その点を含めてひとつ見直していただきたいということを申し上げておきます。
 それでは、次の問題に入りたいと思います。
 第二次災害が起きたという例は近くは三菱大夕張炭鉱の場合に、遺憾ながら第二次災害が起きました。しかも、救命隊というのは、御存じのとおり、私も炭鉱マンでありますから、これはその山で救命隊が編成されただけでなくて、全山あるいは友山等の応援を必ず求めできます。もちろん、そういう体制でなければこれは機能しませんから、やはり救命隊の強化体制の意味においても、その体制は必要だと思います。ただ、今回の場合も全く防毒マスクなしで二次災害が起きている。南大夕張の場合もこれは同じなんです。しかも、新鉱の場合は係長あるいは助手クラスが入っているでしょう、ここに。それで、救命隊が五名、それから会社の幹部、係長クラスと主任クラスを含めて五人、十名死んでいるわけだ。これは炭鉱用語では素面で入っているんだけれども、山の用語で言うならば。それが防毒マスクなしで入っていったわけだ。ところが、その救命隊が入る時点時点で状況判断をする。たとえばさっきも言ったようにメタンが何ぼあるいはCOが何ぼ、あるいは湿度が何ぼになっている、こういうことは常識のことだけれども、当然点検をしながら、それでは次の第二班が入っていっていいかどうか、いまの時点でどこまで行けるか、どこまで進行させるべきか、あるいは第三班はそれじゃ入れるか入れないか、これは常識的に炭鉱にいる限りは救命隊を入れる場合の当然の体制なんです。ところが今回の場合もそうだけれども、南大夕張もそうなんだが、必ず第二次災害のときには全然防毒面をしていないわけだ。それでぱったりいっているんですよ。だから、私はそこらあたりに、もちろん保安教育も徹底していると思うのだが、その時点時点でいわゆる救命隊の山の状況判断というものが報告されて、保安監督官もそれに対しては指示を仰いでいるんだろうが、その場合の保安監督の立場でどういう指示体制になっておったのか、今回の場合どのような状態にあったのか。少なくとも私は、二次災害だけは避けることができたのではないか。もっともっとしぼると、最悪の事態ではないんだから、当時まだ坑内から応答があったといっているんでしょう、はっきり申し上げるなら。生存者が十五名から坑内で応答しているんですよ。司令室の方に応答があったといっているわけだ。そういう状態の中で第二次災害を起こしたというのは、これは三菱大夕張の場合と違いますよ。三菱大夕張の場合はドンと突出が来て、事実上まさに救命隊が進入できない状態にあったという事件ですから、これはまだわかるんだけれども、今回はまだ坑内に生存の応答がどんどんありながら、しかも救命隊が、第一班が行って、第二班が入る時点でもうこれが酸欠をしていると、こういう状態はきわめて私に言わせれば返す返すも残念でなりません。その場合の保安監督官といわゆる鉱業権者との、救命隊に進入させる場合の対応がどういう対応であったのか、そのときの対応はどういう対処をしたのか、これは重大な問題ですから、ちょっとお伺いしておきます。
#81
○政府委員(神谷和男君) 第二次災害が起きましたことは、まことにわれわれといたしまして遺憾なことでございます。先生御承知のように、この時点で救助隊は当然ガスを排除しながら、メタンガスの濃度等もはかりながら救助活動に従事しておったものでございまして、現地の監督官においても十分慎重な救助活動体制をとるよう指示をしておるところでございますが、たまたま、本来電源等も切っておりますので、火源があるとは考えられない状況のもとにおきまして突如火災の発生あるいは小規模な爆発と見るべきか、これは原因究明をまってみなければなりませんけれども、少なくも急激な形での火災の発生があり、それによって、これも原因究明あるいは捜査の結果をまたなければなりませんけれども、恐らくメタンガスよりも別途一酸化炭素によって酸欠状態に陥ったものというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、この時点における瞬発的な火災の発生が予知できなかった、火源が存在するはずのないところにどのようにして火が出たのか、自然発火にしては時間が短か過ぎる、こういう点についてわれわれとして原因の究明を急いでまいりたいと考えております。
#82
○対馬孝且君 局長ね、いま言ったように、いままでの二次災害を発生した顕著な例というのは、三菱大夕張と茂尻炭鉱が北海道の場合はあるんですが、ところが、これは状態が今回の場合全く違うんですよ。違うというのは、予測をできなかったものじゃなくて予測し得たものだった。それなのにこういう事故が起きてしまっておるということは、本当に私が先ほど言った保安監督官とその山の保安監督統括者の指揮命令系統、こういうものの不徹底さ、そういうものとの関連が第二次災害を起こした原因であると私は断定してもいいと思うのです。そういう点でまた、今後そこらあたりをきちっと、やはり原因調査、解明の段階ではひとつ、あいまいでなく、どっちの方にあったのか、はっきり申し上げるならば保安管理者の方にあったのか、あるいは保安の最高統括者である鉱業権者の方にあったのか、この点をあいまいにしないで明確にしてもらいたい、これは一つ申し上げておきます。その点どうですか。
#83
○政府委員(神谷和男君) 基本的に救助隊の活動に関しましては、保安統括者の指揮命令のもとに動く、こういうことになっておりますが、坑内の状況について救助活動に非常な危険な状態があれば監督官として適切な指示をしなければならないというのもまた御指摘のとおりでございます。
 したがいまして、われわれとして非常な危険な状態がすでに発生していたのに救助隊が入っていったのか、あるいは先ほど申し上げましたように、瞬発的な火災によってこのような事故が惹起されたのか、これは原因究明の段階において解明しなければならないというふうに考えておりますが、われわれといたしましては危険な状態のもとに救助隊を送り込むというようなことは、保安統括者においても現地の監督官においてもそのような行動を許すということはあり得ないというふうに考えておりますので、このような状態のもとにおいてなぜ突発的に火災が起きたのか、それがもしそのようなケースの場合に防除できないものであるのかどうかというような点について今後全力を挙げて究明をしてまいりたいと考えております。
#84
○対馬孝且君 これはあいまいにしないで、問題は会社側にあったのかあるいは保安監督の方にあったのか、この点をひとつ明確に精査をして結論を出してもらいたい。これは明確にしておきます。
 そこで、前段で申し上げました件についてもう一回認識を深める意味で大臣に申し上げておきたいんでありますが、大臣の積極的な、いま山元の組合員、家族の願い、本当に夕張市民の願いを込めて再建を基本に、技術調査団あるいはその他を精査して、ひとつ真剣に検討していきたいという基本姿勢がございました。また、いま一番心配しているのは、何といっても当面の生活資金、休業補償の賃金、遺族に対する退職金その他等もございまして、その点も手当てをしてくれるという非常に力強い大臣の答弁がございましたから、私も、再建の場合にこの認識だけ持っているんですが、この点をひとつ含めて検討してもらいたい。ということはどういうことかと言いますと、ちょっとNHKのテレビ討論のときに時間がなかったものですから、制限した関係もありますから言わなかったんですが、いま通産省の統計では十億トンと出ていますね、これは石炭部長も御存じのとおり、日本の実収炭量は大体十億トン、理論炭量は二十二億トンと、こう言われている。二千万トンずつ掘ったにしても百年ということになるわけです。
 そこで問題は、それをしぼって問題点を考えていきますと、夕張來炭層、つまりあの夕張部内における層というのはどういう形成発展をしてきているか、ここが一番私は大事なところだと思うのです。そういう意味で言いますと、隣の南大夕張炭鉱がございます。現在、新鉱がある。真谷地がある。登川がある。こういう状況ですから、これはいま言った十億トンというのは全国の意味を言っているんでありますが、空知炭田に占める位置というのは夕張來炭層という層が非常にやはりウエートが高い。その下に登川來炭層、美唄來炭層というものがあるわけですが、そういう全体の層をずっと展開をしていきますと、やはり南大夕張と夕張新鉱との関連ということを重要に私は考えていく必要があるんではないか。こういう判断から立ちますと、これは南夕といえども無限にあるわけではありません。特に今回災害が起きた現場の夕張炭鉱の層というのは、先ほども阿具根先輩からありましたが、比較的軟弱な層ではあるけれども、層としては七メーター、大体七千五百から八千カロリーの高カロリーの炭層であります。これは大臣御存じのとおりでありまして、したがって言うまでもなく原料炭である。ですから、揮発分が多いからガスも発生しやすい、こういう状況を生んでいるわけでありますが、したがって問題は、私が言いたいのは、再建の場合の基本に何としても夕張全体の層のこれからの延命というものを考えた場合に、局地に問題点を限定するのではなくて、夕張全体の層としてどれだけ現有炭鉱をつぶさない、そのためにどうしたら延命することができるか、こういう次元での再建の展望というものを踏まえてもらいたい、私はこれを申し上げておきたいんです。そういう認識は、これは私は参考までに申し上げますと認識については磯部教授も変わっておりません。そういう意味で私は申し上げたので、大臣から先ほど非常に力強い答弁をいただきましたから、その点を踏まえてわれわれも決して政府におぶさればいいというものではなしに、原点はもちろんこれは会社側にあり、労使にあることも基本でありますけれども、何といってもやはりそこらあたりを――。
 私はなぜ二千万トンを強調するかと申しますと、二千万トンという意味は少なくとも現有炭鉱はつぶさない、そして少なくとも天北、釧路西部という新炭鉱の開発に今後の課題としてどうしても対処しなければならない、こういう意味で言っている。何も私は数にこだわっているんではなくて、少なくとも十億トンというベースを基準にした場合に、いわゆる二千万トン体制というのは最小限度であるなしにかかわらず、二千万トン程度ということは、やはりいまの段階ではこれを割ってそれじゃ日本のこれからのエネルギーの政策の基本というのは一体どうなるのかと、こう考えた場合に、御存じのとおり、言うまでもなく、ここにもありますけれども、日本の長期エネルギー需給暫定見通しということで、国内炭というのは昭和五十二年度では三・二%、六十年度には仮に二千万トン掘ったとしても二・五%にダウンするわけです。これは誤りないでしょう。そうしますと、外国炭は逆に一億百万トン入ってくる。それに対して二千万トンです、一億百万トンに対する。これは昭和六十年度で一億トンを超えるでしょう、海外炭というのは、政府の計画、皆さんの計画からいくならば。それともう一つは、何といっても地域社会を守る。大臣も強調してもらっているように、基本はやはり総合安全保障という基本に立って地域社会をしっかり守ってもらう。これは大平内閣時代、鈴木内閣時代も言われていることでありますが、地方の時代、地方の時代とこう言うんだから、少なくともあそこで二万人の方々が生活している。夕張経済に与える影響は八〇%である、このように市長が言っておりますように、そういう意味でひとつ私はそういうものを基本にしながら再建の方途というものをひとつ見出してもらいたい、こういう考え方を持っておるわけでありますが、こういうことについて石炭部長、それから大臣の考え方を聞いておきたい、こう思うのです。
#85
○政府委員(福川伸次君) いま御指摘のとおりに、夕張地区の石炭の炭層条件、これは上下に四層ほどございまして、いま稼行いたしております十尺層は、その中でもかなり炭層条件が一般的にはいいと言われておるわけでございまして、なお、しかしながら一方でガスが多いという特色があって、それで保安面のいろいろな問題が出ておるわけでございます。
 いま埋蔵量十億トンとおっしゃられましたのは、大体現在時点で採掘コスト三万円程度を前提にいたしました埋蔵実収炭量の推定でございまして、このような国内の石炭の開発というのがエネルギーの安全保障機能を高めるものであるという点は、石炭鉱業審議会の第七次策でも御指摘をいただいておるとおりでございます。したがいまして、そういった国内の炭層条件のいいものは、これは国内の貴重な資源でございますから、有効に活用していくというのは私どもも重要な観点であると思っております。また同時に、しかし、このエネルギーの安全保障ということに役立つとはいいながらも、経済性を全く無視していいということではなくて、その経済性と安定性との調和を図る、こういう考え方で、一応現状程度の生産の維持を基調としていこう、それで増産の可能性あらば、将来二千万トン程度を目指すというのが第七次策の考え方になっているわけでございます。私どもも、いま御指摘のそのような国内の資源の賦存状況というのは今後の石炭政策の基本的課題の一つになると考えております。また、地域社会への影響というのも、これもまた一つの大きなポイントになると思っております、
 また一方、今後の再建を考えてまいります場合には、このような開発に当たります企業、まあ現時点で私企業体制ということを前提にいたしてまいります限り、これがいまいろいろな環境の中に置かれておるわけでございますが、そういった私企業体制ということでございますので、もちろん企業の労使の意欲、それからまた、条件は一般的に埋蔵量等ではいいわけでありますが、今回の事故の究明、これを保安的にどのようなかっこうですれば防ぎ得るのかどうかという点も踏まえなければならないと思います。それからまた、この企業を取り巻きます経営的な諸環境、この企業自体も、きょう午前中に先生が御指摘になられましたような北炭の経営のいろいろな特質もございます。一体そういう経営的な側面はどうなのか、また関係債権者のお考え方はどうなのか、こういう経済的な側面も検討の対象にいたさねばならないというふうに考えております。いま御指摘のような資源の賦存状況、あるいは地域社会への影響、これはもちろん再建について検討いたしますときの重要な課題の一つないし二つ、幾つかの課題の中で当然検討の対象にすべきものであるというふうに考えております、
#86
○対馬孝且君 いま石炭部長からありましたけれども、ずばり言って、私は北炭のこの経営が信頼性がないと、あらゆる努力を労働者がしても、経営者がやる気がなかったらこれはできないんだから、経営者にその意欲があるのか。あなたが言うとおり、ユーザーあるいはそういうバックアップ体制がとれるのか、あるいは金融筋が責任を負った体制が一体とれるのかどうか。これからも根本は保安上問題を二度と繰り返さない、保安の抜本的な原因調査はもちろんでありますけれども、私が言いたいのは、仮に保安が万全であり、その採掘体制が可能である、しかし経営主体が……。実際問題としてそういう意味で私は言っているわけですよ。夕張全体の層というものと地域社会ということを考えた場合に、労働者はここで生活しなければ生きていけないんだから、しかし経営者にその経営信頼性がない、経営の能力がない、保安的に任すことができないとするならば、これはきょうは端的な話が出たからぼくは言うんだけれども、たとえば隣の三菱大夕張とか三井二山とかで夕張全体のこれからのライフ延命のために再建にあらゆる角度より検討することだって、これは一つの方策だからね。もちろんそれはいま直ちに私はそんな公社公団ができるとは思わぬし、できないとするならば、やはり私企業でも、組合員、家族あるいは夕張の地域社会を守ろうとするならば、そういう意味では夕張全体の層という中で、夕張のライフ延命という基本に立って北炭再建の方途というものを見出してもらいたい、このことを私ははっきりいま言っておきたい、こう思うのです。この点について大臣からひとつ考え方をお聞かせを願いたい、こう思っています。
#87
○国務大臣(田中六助君) はっきり申し上げまして結論を申し上げますと、非常にむずかしい問題でございまして、直ちに他の同じ同業者であっても、それを転換してどうということは私はいま言えないのでございますけれども、けさほどから申し上げておりますように、いまの経営陣に対する不信感が内外ともに非常に手厳しいものがございます。したがって、何とかかんとか言っても、私企業でございますし、経営者の主体というものが問題でございますので、ひとつそういうところも一応メスを入れてみて、どういうことなのかということからスタートしたいということを申し上げたわけでございますけれども、いまも私は経営者の主体、そういうものについてやはり大きなメスを入れて検討していきたいという考えには変わりはございません。
#88
○対馬孝且君 先ほど大臣からも確認されておりますから、そこらあたりをひとつ含めて、私はやはり延命と地域社会の再建というのはそういう基本に立っていいんじゃないか、こう思うのですよ。危ないことを、二度とこんなことを繰り返して人を殺すことはできないんだから、そのためにも大臣が、われわれも強調するように、安全を基本にして、その経営者にわれわれの人命を託すことができないとするならば、これは夕張全体それから日本の石炭政策全体という七次政策の基本に立って問題の処理をして再建を図ってもらいたい。何といっても人の命は地球より重いという言葉があるとおり、人命を基本にして再建に全力を挙げてもらいたいと、このことを申し上げておきます。
 そこで、時間も迫ってあと十分よりありませんから、労働省にひとつお伺いしたいんですが、この前、労働大臣から二十二日に私も一応の答弁をいただいていますが、一つは先ほど阿具根先輩からも出ました遺族補償の問題、それから炭労との退職協定、私の手元にあるのは、扶養家族の場合弔慰金は千七百万、それから単身者の場合は千二百七十万円、税込み、という協定がされております。これは御存じだと思いますね。それから先ほど労災の問題も出ましたけれども、基本的にはこれはどんなことを言ったって、組夫と、こういう言葉を使いたくないんだけれども、下請と直轄との差があってはならない、これはどんなことがあっても死んだことについては変わりはないんだから、同一条件、同一体制のもとに補償されるべきものであるということが一つ。
 それから二つ目は、これは一番炭鉱の経営者に対していつも腹立たしく感じるんだけれども、葬儀になるとすぐ社長が弔辞を読んで、二度とこういうことを繰り返さない、遺族に対しては全力を挙げてできる限りのことはお誓いいたしますというようなことで弔辞を読むんです。読みっ放しであって、後はさっぱり日にちがたてば雇用対策は保障されていないということがまま例が多いね。私が言いたいのは、いままで炭鉱に携わってきた経験から感ずるのは、大体子供が中学、高校です。今度の災害も、新鉱においても、四十三歳から五十歳前後というのが本当に多いわけだ、若干若い人もおりますけれども。平均年齢というと四十八・三歳ですからね。ここまでいっている限りは、大体高校生あるいは中学と、こうなるわけでしょう。ところが、ほとんど未亡人になってしまうんだ、これははっきり申し上げて。この場合大事なんだよ、この場合、私企業に任せる、あるいは企業だけに任せるというのではなくて、やはり労働省が積極的に出ていって、未亡人の再就職のための雇用を促進してやる。これが、災害直後はいいんだけれども、二年、三年たってくると、どうもそこらあたりが保障されていない。ひいてはこの前もちょっと申し上げたが、茂尻の例でいえば痛ましい事件が起きています。かつて未亡人が自殺したことがある。こういうことで、子供がまだ小さい方は再婚ということもあり得るけれども、いままでの災害の結果から見ると、もうこれは未亡人で再婚はほとんどいたしておりません。まあ中にはありますよ。だけれども、そういうことに対してひとつ労働省は会社任せだというんじゃなしに、やはり出ていって、そして一人一人の完全雇用という、将来の雇用を保障してやる、責任ある態勢でもって未亡人対策あるいは子供の就職対策等を含めて考えてもらいたい、これが二点目です。
 それから三点目は、この間も現地へ行って言われたんだけれども、災害になった途端に、まあ高校生が大変多いもんだから、進学の問題もあるというわけだ。この進学の場合の就学支度金というか、こういうものについて、往々にして途中でショックを受けちゃって、もう学校をやめてすぐどっかで働く、能力はあっても進学ができないというような、こういう状態に陥るような例が非常に多い。これはまあ市長から切々と訴えられたわけでありますが、そういう問題をどうするかということが一つ。
 それから、現実の問題として、これは先ほど大臣が答弁をされて、努力をするということですけれども、あの一帯の商店街は、大変だよ。早くて遺体上がるまで三カ月、遅けりゃ四カ月ですよ。実際にこれはまあ果たして操業再開がどこまでいくかということになれば、あの回りの商店街はもうこれは商売にならないというよりも、とにかく店を閉じなきゃならないという実態を率直にわれわれに訴えられたわけだ。こういう方々に対しては、もちろん国民金融公庫、中小企業金融公庫もございますけれども、まあこういう場合はひとつ最優先的に自営業者に対する低金利の金融措置をとってもらいたい、このことを、これはまあ通産省の関係になりますけれども、ぜひひとつやってもらいたい。こういう問題についてまずお伺いして答弁を得たい、こう思います。
#89
○説明員(倉橋義定君) 私から、いま先生のお話の中の、一点目と三点目につきましてお答え申し上げます。
 いわゆる上積み補償、国の労災保険制度につきましては、御承知のように一定の基準に基づきまして、下請の労働者も一定の条件におきまして給付が確保されているわけでございます。上積み補償につきましては、労使の話し合い、関係者の話し合いによって、その内容が決せられるべき性質のものでございますが、同一の事故によりまして被災を受けられました今回の犠牲者の方々につきましては、やはり一定の条件によりまして公正に確保されることが望ましいと考えております。したがいまして、私ども関係者の話し合いによりまして、上積み補償問題ができるだけこの線に沿いまして、話がまとまりますよう期待しているところでございまして、そういう考えを持ちまして関係省庁と連携を密にいたしまして指導に努めてまいりたいと思います。
 それから、三点目の一家の支柱の方が亡くなられたために進学を断念するとか、学業を途中で放棄せざるを得ないというような事態に見舞われることはあろうかと思います。したがいまして、私ども労災保険制度の中で労災福祉事業といたしまして、労災就学援護費という福祉事業を営んでいるわけでございます。今回死亡された方の御遺族の家族構成を見ますと、相当の世帯におきまして学校に進学されている遺族子弟をお持ちのように把握しております。したがいまして、私ども就学援護費を学校の区分に応じまして、たとえば小学生については月額四千五百円、大学生につきましては一万五千円ということに現在なっておりますが、できるだけ迅速にこのような援護金を支給するよう、御遺族に御相談をしてできるだけ早く支給が確保できるようにいたしてまいりたいと思っております。
#90
○政府委員(小粥義朗君) 遺族の方々の再就職のあっせんにつきましては、過去にも九州の方で大きな炭鉱災害が起きた際に、現地に相談所を設けるとか、あるいは各種の援護措置を活用して職業安定機関としてその対応をやった経緯もございます。そうしたものを参考にしながら、今度の場合も遺族の方々の再就職にできるだけ万全を期してやってまいりたいと思っております。
#91
○政府委員(福川伸次君) 関連中小企業等に関しましては、私どもも現在中小企業庁とも連絡をとり、また地元の通産局でもその周辺商店街、その他の関連企業等につきましては、たとえば信用保証等々の措置を準備するように、いますでに北海道庁あるいは札幌通産局と連絡をとって遺憾なきを期したいというふうに思っております。
 なお、今後事態の推移を十分に見守りまして所要の対策を準備いたしたいと思っております。
#92
○対馬孝且君 いま申し上げました問題について、皆さん方の御理解をいただいているわけでありますが、ひとつ最終的にこういう問題については、当面何といってもこれは山を残す、そして全体のいろんな見方はあるけれども協力を願うということで、最後に大臣の方から一言考え方をお聞かせ願って、私の質問はこれで終わりたいと思います。
 以上です。
#93
○国務大臣(田中六助君) 地域社会に及ぼす諸影響がいろいろ指摘されております。並びに罹災者の遺族に対するいろんな諸規定による補償、そういうものも含めまして、私どもあらゆる力を振りしぼって皆様と御相談しつつ、これの完遂に全力を尽くしたいというふうに考えております。
#94
○対馬孝且君 終わります。
#95
○上田稔君 質問に先立ちまして、今回の夕張新鉱の災害によりまして、不幸にしてお亡くなりになりました方々に対しまして、心から御冥福をお祈りいたします。また、御遺族の方々に対しまして、心からお悔やみを申し上げます。また、被災者の方々に対しましては、衷心からお見舞いを申し上げたいと存じます。
 私ども調査団が、ちょうどこの注水の前日、現地入りをいたしたのでございますが、注水承諾書を前にせられまして、家族の方々が子供たちを集めて父ちゃんごめんね、さようならと涙とともに捺印をされたという話をお聞きいたしまして、ちょうど注水開始のブザーが鳴りまして、私どもも黙祷をささげたのでございますが、この御家族の御心中をお察し申し上げますと、涙が流れ出るのをとめることができませんでした。本当に悲惨な災害であると存ずる次第でございます。
 そこで、突出の前兆について同僚、先輩の委員から非常に適切な御質問がございました。私もあの場に参りまして、会社の幹部の方々また労働組合の方々と会見を申し上げましてお聞きをしたときにおきましては、北五地区におきましては、前兆と思われるような山鳴りであるとか、あるいはまたガスの噴出等、そういうものはなかったと、こういうことをお聞きいたしました。しかしながら、一方地元の新聞を見ますと氏名まで挙げて、そうして鉱夫の方々からいろいろ前兆と思われるものがあったということを見たのでございます。また、対馬議員から非常に詳細に鉱夫の方々から聞かれた前兆と思われるような事件を先ほどお述べになられました。こういうことを考えますと、会社の方、また労働組合の方々もその前兆というふうに書かれた、あるいはまた、対馬議員がお調べになったそういう事件、これはこの災害に直接関係がないと思われてそういうものがなかったと言われたのかもしれませんけれども、こういうことが会社の方に、また鉱山の保安監督局の方に報告がされてないということでありますと、私はこれは非常に重要な問題であると思うのであります。いままで鉱山というのは非常に災害が多いということでございますので、こういったようなことについては十分にもう体制がとれておると思っておったのでありますけれども、どうも先ほどからのやりとりをお聞きいたしておりましても、何だがこの体制が十分にとれておられないのではなかろうかというような心配をいたしておるのであります。
 大臣の御答弁によりますと、この保安体制というものについてはこれを機会に検討をするというお言葉がございました。これはもうしていただかなければもちろんならないのでございますけれども、こういう体制というものは当然早くから決定されてあるべきものだと思うのでございますが、通産の方の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#96
○政府委員(神谷和男君) まず、ガス突出に関しての前兆と考えられるものがあったのかどうか、さらに、あったにもかかわらずそれが、たとえば監督官のところに報告されないような状況になっておるのかどうかという御趣旨と考えられますが、われわれの承知する限りにおいては、前兆と考えられるようなものがあれば当然報告されるものと考えますし、先ほど来御質問にもございましたし、われわれの方からも御説明しておりますように、この山に関しましては、特にガス突出の問題等に重点を置きながら、他の山の三倍に及ぶほどの監督、調査を行っておるわけでございます。しかも、それも本局と共同してプロジェクトチームを組みながら監督に当たっておるわけでございますので、そのような事実があれば当然監督官の耳に入るなり、あるいはその他のデータからも十分認知し得るものというふうに考えておるわけでございます。ただ、それにもかかわらず新聞報道等でそういうものが報道されておるというのはわれわれも承知しておるわけでございまして、ガス突出の前兆としてのいろいろな兆候としては山鳴りであるとか、あるいはガスの湧出量の急変といったようなものが挙げられるわけでございますが、ただ一般的に、山鳴りそれ自体が直ちにガス突出に結びつくとは限らないというのは先生御承知のとおりでございまして、一般的に岩盤、炭層に何らかの変化を生じているときに発生するものでございますので、具体的にどのような事実があったのかということをやはり捜査の段階でよく調査をいたしませんと、具体的に前兆があった、ないと、われわれの場合にはいろいろな事情聴取なり、あるいは客観的データを総合して判断を下さなければならないと思いますので、いま私どもとして報道があったからといってあったのではないかという形での御答弁ができないわけでございます。
 報道されたような山鳴りの事実があったのかどうか、また仮に山鳴りがあったとして、それがガス突出の前兆としての山鳴りであったのか、一般的な岩盤等の変化を示す徴候の一つであったのかどうかというような点につきましては、少なくもいままでの調査では明らかになっておりません。したがって、今後御指摘の点を踏まえて調査の中で事実関係を究明してまいりたいと存じます。
#97
○上田稔君 まあ事件が起こりましてから現地は相当混乱をいたしておりますし、また、監督官の方でも混乱をしておられると思うのであります。したがいまして、そういう報告が記載されておったのかどうかというようなことを調べるといういとまもあるいはなかったのではなかろうかとは思いますけれども、まあ現地で調べられた同僚議員の話と食い違っておる点がずいぶんたくさんあります。これはいま言われたように、もし前兆とは関係がないので言わなかったのだということであればこれは結構でございますけれども、そういう食い違いがないような体制というものは、これは私はとっておくべきだと思うのであります。一番大事なところだと思うのであります。したがいまして、こういうことについては十分に改めていただきたい。ほかの炭鉱においてももしこういう状態であるのなら、私は炭鉱は非常にこれは危険であると思うのであります。こういう点でひとつ御注意をいただきたいと思います。
 専門調査団を編成をして、そうして調べに行くということをおっしゃっておられますので非常にありがたいことだと存じます。現地の方におきましても、専門調査団に一日も早く来ていただいて、原因究明に当たっていただきたいというお話がございました。まあなるほどいま注水の最中でありますから、調査団が行ってもなかなか中には入れないという状態でこれはわからないかもしれませんが、時期が参りましたら即刻行っていただいて、人心の安定ということもありますから早く行っていただきたいと思う次第でございます。
 それから、次に保安施設の強化についてお伺いをしたいと思うのであります。わが国の炭鉱のように地下千メートルも掘っておるという炭鉱におきましては、しかも良質炭が出るというところにおきましては、良質炭にはやはりガスが相当含まれておるということをお聞きをいたしますが、したがって、ガスを抜きましても、ガス突出だとかあるいは火災の発生というようなことは、完全防止ということはこれはなかなか不可能ではなかろうかと思うのでございます。そして、また今回のような突出ということになりますと予知もなかなか困難であると思うのでありますが、まあ人命を守るためには保安施設というものを私は完全にしておかなければいけないのではなかろうかと思うのでございますが、保安施設の研究ということは通産としてはどういうふうにしておられるのでしょうか、ひとつお伺いをいたします。
#98
○政府委員(神谷和男君) 御承知のように、深部化いたします際に、特に問題になります事故の中には、先ほど来御指摘の山はねであるとかあるいはガス突出等がございますが、特にガス突出につきましては、現段階においてそのメカニズムが完全に究明されていないというような問題もございますし、最近深部化いたしましてこの関連の事故が目立ちますので、われわれといたしましてはガス突出防止のための対策を中央及び地方で実は最近さらに充実させるべく研究のための委員会を発足させたところでございます。今回の事故がその段階において起きましたことはまことに遺憾でございますが、事故が発生いたしました以上、この事実を厳粛に受けとめまして、対策の確立に努めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 基本的にはやはり自然条件の事前の十分なる把握というのが第一でございますし、集中監視の測定項目、測定点数の充実、あるいは温度対策等作業環境の改善といったようなものに十分の措置がなされるならば事故は防げるものと確信しておるわけでございますが、先生御指摘のように、万全を期しましても事故が一〇〇%避けられない可能性があるということでございますと、やはり事故が起きた場合にも人命に影響を及ぼさないような形でのいろいろな対策が講じられねばなりませんし、それについての研究開発も必要であろうというふうに考えております。現時点でも、緊急脱出用の簡易救命機器の開発といったようなものにも着手し、ある程度それが進みつつある段階でございましたが、まだこれも実用化に至らない段階で今回の事故が起きましたことはまことに残念でございます。
 そのようなもろもろの点、技術開発を含めまして、来年度予算では石炭生産安全化技術開発委託費ということで本年より二割以上の伸びの要求を行っておるところでございまして、関連した技術の開発とそれによる保安関連の設備の充実並びに全般的な保安体制の強化ということで、将来にわたって事故の再発を最大限の努力をもって防いでまいりたいと考えております。
#99
○上田稔君 ことしのそういう研究費というものは一体幾らぐらいあるのか、またいつごろからそういう研究費をつけておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
#100
○政府委員(神谷和男君) 本年度二億五千万でございます。予算そのもののスタートした時期は、もう十数年たっております、
#101
○上田稔君 ちょっとはっきりしなかったのですが、いつごろからついているのですか。
#102
○政府委員(神谷和男君) 十数年前からついております。
#103
○上田稔君 十数年前から御研究になっておるとすると、その簡易救命具というような、ビニールハウスでいまおつくりになっておられるんではなかろうかと思うのですが、そういう火災の発生するようなところにビニールハウスでつくっても、これは非常に危険なのではないでしょうか。
#104
○政府委員(神谷和男君) 確かにビニールは火災に関しては御指摘のように対抗力がございません。ビニールハウスに関しましてはむしろガスあるいは酸素欠乏に対して酸素の供給を外部から圧搾空気で行うという趣旨で行われておるものでございまして、火災対策としての目的は十分たせるものではないと考えます。
#105
○上田稔君 研究費がもう何年もにわたってついておるにもかかわらず、どうもまだそういう簡易救命具というふうなものでビニールハウスぐらいしか考えがつかないということになりますと、私は非常に不安に思うのでございますが、もっと抜本的なものをお考えいただけないだろうかと思うのであります。これは思いつきでございますけれども、たとえば注水をされたときにおいてでもぱっと浮かび上がってくるようなそういったようなものを、ガス突出でございまして、坑道が埋まるのかもしれませんが、アッシュ、灰みたいな石炭の粉の中で埋まってしまうわけですから、そういう中をずっと抜けて出てこられるような、水を含んだアッシュの中を抜けて出られる、そういったようなものを考えるということはお考えになりませんか。
#106
○政府委員(神谷和男君) 救命関係の器具につきましては、いろいろな現在の技術水準でございますので、考え方もあろうかと思います。ただ、非常に複雑な形状、状況の坑道の中でございますので、私も技術的にどういうものがいいというのはいまお答えするわけにはまいりませんけれども、先生の御指摘の問題点等含めまして、やはり今後できるだけ専門家の意見をよく聞きながら、効率的でしかもいろいろな状況に対処し得るような救命器具というものの開発も進めていかなければならないと考えております。
#107
○上田稔君 私は、十五名の方が炭鉱の一番奥のところにおいて簡易救命具にやっと取りついて、そして命を長らえておられる、そこに、途中におけるこの突出したものが発火をするというようなことになって命を恐らく失われたのではなかろうかと思うのでございますけれども、そういう中に入ったときのその方々のお気持ちというものは一番私は悲惨だと思うのであります。したがいまして、そういうことに対してはお金を使っても私はいいんではなかろうか、これは国から補助をしてでも、あるいは全額出してでもそういう保安施設というものをつくってあげるということが必要なんじゃなかろうかと思うのであります。炭鉱の坑内の構造についてはわかりませんので、私としてはこれがいいというようなことは申し上げられませんけれども、レールでも引いてそのレールに沿ってすうっと上がってくるようなそういったようなことができないだろうかと思うのでございますが、ひとつ抜本的な改造をお願いしたいと思うのであります。
 それから次に、災害発生個所の明示でございますけれども、この災害発生個所、せっかくこの北五地区におきましては誘導無線が引いてあるそうでございますが、その誘導無線がガスの突出では切れなかったようですが、発火とともにとだえてしまった、こういうことになったと思うのでございます。その切れたのが、燃えてしまって切れたのか、その場所が一体どこなのかということになると――あるいは切れてないのかもしれない。そういうことについては今回の場合にはわからなかったようでありますが、そのとおりでございますか。
#108
○政府委員(神谷和男君) 切れたであろうと推定はされますが、原因の究明を待ちませんと、現段階ではわかっておりません。
#109
○上田稔君 現在のそういう電気関係というものは非常に進んでおりますから、どの場所でというか、どの区間で切れたかというようなことについてはいまわかるようになっているのではなかろうかと思うのです。たとえばこれは送電線の場合でございますけれども、どこかで切れますとその場所が大体わかるというような装置になっておるのでございますが、炭鉱なんかではやはり、どこが切れたか、どこが原因かということがわかりますと、まあ今回の場合はいたし方がないかもしれませんが、あるいはまた、救出につきましてもいろんな対策が打てるのではなかろうかと思うのでありますが、そういうようなことは考えられないのでしょうか。
#110
○政府委員(神谷和男君) 本炭鉱に関しまして、その個所が外部からわかるような状況にはなっておりません、したがって、具体的にどの段階で、どこで、どのような事故が発生したのか、無線管理ということに関しましては、いろいろな今後の事情聴取、あるいは最終的には現地の検証によって明らかにしていかざるを得ないと思っておりますが、現段階では残念ながらそのような形になっておりません。
#111
○上田稔君 無線管理ではなくて、線がどこで切れたかということがわかるような装置を考えていただければいいんであって、ですからそうお金もかからないし、装置も大きなものではないと思うのでございます。そういったようなことをぜひとも私はお考えいただきたいと思いますが、こういう施設の改良ということにも力を入れていただけるかどうかお伺いをいたします。
#112
○政府委員(神谷和男君) 御承知のように、この炭鉱各部門にセンサーを置き、それが集中管理されておるわけでありますけれども、今回の事故の反省で、やはりこういう点がこうあったらというような問題が専門家の中でも別の部門でもいろいろ出ております。御指摘のような問題等につきましても、事故の原因調査、それを踏まえて各分野の専門家の御意見を聞きながら、所要の対策を講じてまいりたいと考えております。
#113
○上田稔君 十分にひとつ御検討をいただきたいと思います。
 次に、通産の二千万トン増産についてちょっとお伺いをいたしたいのでございます。
 先ほど対馬委員からも御質問があったようでございますが、この二千万トン増産につきましては、何か新聞紙上によりますと、非常に通産の圧力が会社にかかって、そして二千万トン増産ということは国全体でございますけれども、その線に沿わなくちゃいけないということで、非常に苦慮をしておるというように書かれておりますけれども、どうもそうでもないように思われますが、通産の方のその二千万トン増産ということを、各会社に対してはどの程度の御指示にしておられるのか、ちょっとお伺いをいたしたいと思います。
#114
○政府委員(福川伸次君) 八月に、石炭鉱業審議会におきまして第七次の石炭政策の御答申をお出しいただいたわけでございますが、この答申におきましては、現在程度の生産水準の維持を基調とする。さらに、今後需給関係等環境が改善をすれば増産の可能性もあり得る、そのようなことを考えれば、将来において二千万トン程度の出炭ということを関係企業あるいは政府あるいは需要業界の努力と協力の目標として考えるべしという御答申をいただいておるわけでございます。したがいまして、第六次政策は二千万トン以上という表現でございましたが、一応、現在の状況から現存程度の、約千八百万トン程度の維持というのが基調であるということが考え方の根底にあるわけでございます。その考え方の背景には、現在の国内炭、これはさらに最近輸入炭との対比におきまして国際競争力等がかなり改善してきておるというようなことがございまして、現在よりも内外炭の格差が悪化しないでその程度のものが維持できるのではないかと、その根底にそのような考え方があったわけでございます。で、五十六年度におきましては、第六次政策の最終年度ではございますが、ことしの生産の見通しは千八百十万トンという見通しを立ててございます。この見通しのベースとなっておりますのは、石炭の各企業がその生産計画を、技術面、保安面、労務面等を十分配慮いたしまして生産可能な数量を集計いたしまして出した数字でございまして、したがいまして二千万トンを必ず出すために各会社に生産を割り当てるというようなことはないわけでございます。
 また、この北炭に関しましては私どももこのような事故で大変胸を痛めておるわけでございますけれども、三月に新しい再建計画を承認するに当たりまして、石炭鉱業審議会の経理審査小委員会では、会社側が作成してまいりました生産計画を、再三にわたり下方に修正をしたわけでございます。
 当初、たとえば五十六年度をとってみますと、この夕張炭鉱は従来の計画は日産四千五百トンということでできておりまして、今回、昨年の火災によりまして、なるべく事前に十分な骨格構造の展開を図るようにというようなことでこれを見直すということで、当初四千二百二十トンの日産量にいたしました。その後十一月にこれをさらに四千七十トンに下げさせ、さらに検討を加えて三千九百十トンというようなかっこうに下げさせていろいろ検討を重ね、技術関係の委員の方々の御判断もあってこの計画にしたわけでございます。
 五十八年度の出炭をとりますと、会社は、当初日産五千百トンと言っておりましたのを、最終では四千二百三十トンというふうにむしろ下げさせたわけでございます。しかしながら事故が起こった現実というのは私どももこれは本当に反省の糧にしなければならないわけでございますが、このように当時といたしましては、私どもの全スタッフを挙げ、また関係の専門家の御意見も拝聴し、また同業他社の技術の専門家の診断もいただいた上でそのように、今度こそ達成可能ではないかということでこれを会社にも再三確かめ、また労働組合とも十分協議して、本当に無理なものでないなということは確認の上にも確認をして実はやらせたわけでございまして、しかしながらこのような事故が発生したということにつきまして私どもも非常に残念に思っているわけでございます。したがいまして、いま二千万トン体制ということを通じましていろいろ御批判がございますが、私どもとしてはできる限りの余裕を持った体制に、また委員御質問のように二千万トンを強制的に割り当てて出炭させたというような指導はいたしておりませんことは御了解いただきたいと思います。
#115
○上田稔君 火災が起こりまして、その結果ことしの上半期の出炭というものが相当減った。それから九月二十五日でございましたか、石炭鉱業審議会の審査を経てそして新しい計画をお立てになったということで、これを何か九月三十日に組合の方にお諮りをいただいた。組合の方では、それを受けてそして会社の方とまだ話し合い中であるということはこの報告にも実は載せさせていただいておりますが、そういうことがございました。そうすると、まだそういう圧力は何にもかかってなかったのじゃなかろうかと私は推定するのでございますけれども、新聞やそういうマスコミの方では二千万トン体制というものが非常に圧力をかけたんだ、災害につながっているんだというような書き方をしておられるのでございますが、これは通産の方のもう少しPRが足りないためにこういうことが起こるのじゃなかろうか。災害の際に余りにも地元の方々に不安を与えてはいけないと思いますので、こういう点は十分にひとつ御説明をいただいて、そういう誤解のないようにしていただきたいと思うのでありますが、いかがでございますか。
#116
○政府委員(福川伸次君) いま上田委員が御指摘のように、上半期は先ほど申しましたように会社労使が、これは何としてでも達成可能ですと言って持ってまいりました計画を一〇%強ほど実は下回っておったわけでございまして、御承知のようにこの北炭夕張につきましては多くの関係債権者が多大の支援を行っておるわけでございまして、この計画が達成できないということにつきまして、経営上いかがなもんであろうかという実は不安の声もあったわけでございます。
 したがいまして、九月二十五日に石炭鉱業審議会の経理審査小委員会をお願いいたしまして、会社の社長にも来ていただきまして、上期の実績のフォローをいたしたわけでございます。
 それで、先ほど申しましたような経緯でございまして、会社の社長の方からは、上期は西部の方で思わざる断層にぶち当たる等々のことがあって出炭は落ちましたが、下期は計画まではあるいは無理であってもそれに近いことで努力をいたします、こういうことでございまして、このときに特に経営上、その計画自身を具体的に変更を承認するというようなことではなくて、その再建計画のフォローという形で委員会の御見解をまとめていただきまして、そして、御承知のように上期の計画の未達ということは委員会としては遺憾であると。この原因を十分反省、究明して、そして保安にも十分留意しながら技術管理あるいは指揮命令系統等にいろいろ問題があることも指摘されておりましたために労務管理等についての改善を講じるということを言われたわけでございます。それで、委員会が終わりました後、その委員会の意向を受けまして、私自身、会社の社長に委員会の意見をお伝えいたしました。その際、私どもはむしろその計画どおりに実行できない原因はどこにあるかということを十分反省してくれということを特に申したわけでございます。
 それで、午前中にもお答え申し上げましたように、九月の七日から十日まで同業他社の現場の専門家に入っていただいて現場の管理等の診断をしていただきました。そこでかなり改善すべき点があるという御判断を会社に報告をされたようでございました。
 そのようなことで、もしこの北炭の技術能力を補完するために同業他社の支援を得たいということであるならば、私どもも石炭協会を通じてそのあっせんの労をとるのにいどうものではないということを申しまして、会社の方にその技術面での改善あるいは労務管理面でのいろいろな改善策を他社の知恵もかりるということにつきましてはなるべく早く会社としての考えをまとめてもらいたいということを申してこの改善策を講じてもらうようにいたしたわけでございます。会社側といたしましてはそのような意向を受けて、御指摘のように九月二十五日の経理審査小委員会の意も受けまして、九月の三十日に労使間でお話をし、さらに十月の六日にも交渉をしたというふうに聞いております。
 その後十月の十五日、事故の前日でございますが、いま申しましたように技術改善の指導を関係他社から得たいという御意向をおまとめになられまして、石炭協会にもその事故のありました週の前半にお申し入れになられたようでございまして、それで事故の前日に私のところにもお見えになりまして、その技術の支援について石炭協会に申し入れるのであっせん願いたい、こういうことでございました。
 その際、労使の、いまお話しの九月三十日、それから十月六日の交渉につきましては、これは話し合いはまだ最終的な結論には至っておりませんという御報告は聴取をいたしたわけでございます。
 なお、一点つけ加えさしていただきますと、これもまたいろいろな点で御指摘がございまして、私どももさらに事情は調べてみたいとは思っておりますが、この北部第五地区の出炭を三月から一月に繰り上げたという御指摘がありまして、私どももその点いろいろ事情を調査いたしてみております。これは本来、北部第五地区の掘削に当たります準備作業は三月の再建計画の時点から準備は十二月中に終わるという計画で進めてまいっておりまして、今回経理審査小委員会の二十五日の意を受けて繰り上げたという事実はございません。本来の計画でございますと、一月から三月までは予備切り羽ということで置いておく、こういう計画になっておりましたものを、これを西部地区が断層があったということから、その出炭を本来予備切り羽で余裕を持って置いておくはずでありましたものを三月を一月に繰り上げたということで、準備作業自体につきましては従来の予定どおりで操業を進めておったわけでございます。
 このことはすでに六月に会社側に確かめますと、労働組合と経営安定委員会を開いたところでお話をしているようでございまして、したがいまして私どもとしてはこの災害が起こったことは大変遺憾に存じますが、いま委員がお話しになりましたようなことで、九月二十五日のあれで出炭を急がせたというようなことではございませんが、ただその計画が計画どおりに行われなかったということにつきましては、技術的な面あるいは指揮命令系統等の労務管理の面、ここらを根源的に改善しなければならないという点は会社として十分反省し、原因の究明と同時にその改善策を講じてもらいたいということを申したわけでございまして、関係者あるいは政府の多額な支援を受けながらやっておる企業でございますので、その点私どもとしても会社も十分反省し、直すべき点があればいろいろな人の意見を聞いて直してもらいたいというつもりからそのようなことをいたした次第でございます。
#117
○上田稔君 もう時間が来てしまったのでございますが、山本副大臣さんに御出席をいただいておりますが、副大臣さんにおかれましては、どうぞひとついまお聞きのとおりいろいろな問題点が、素人の私がちょっとお聞きをしただけでもあると思うのでございます。したがいまして、こういったような点を深く関係の者に調査をさせていただきまして、そうして万全の策を早くとっていただきたいと思うのでございます、
 それから、そのほか地元の方からいろいろ御要望がございましたのですが、これについてはもう申し上げることができませんが、項目だけを申し上げますと、被災者の援護につきまして遺族対策として生活資金対策あるいは住宅、就労援助というようなことをひとつぜひとも考えていただきたい。
 それからまた北炭の再建、これはもうやっていただかないと夕張市民全体に影響が及ぶ、夕張市の市民の方々も市を通じてでございますけれども、この会社の援助のためにお金もすでに出しておられるような状態でもありますのでお考えをいただきたい。
 それから、これは自治省の方にも来ていただいておるのでございますが、質問もうできませんのでお願いだけしておきますが、市の財政が非常に苦しくなっておりますので、交付税その他でぜひともお考えをいただきたい。対馬議員からもお話がございましたが、私の方からもひとつお願いをいたしたいと思います。
 以上でございます。終わります。
#118
○政府委員(山本富雄君) 早速現場へおいでになりました先生が目でごらんになり、あるいははだで感じられた点を踏まえられて、先ほど来いろいろな観点からの御指摘がございました。私ども災害対策本部を挙げまして、また通産省挙げまして本問題に取り組んでまいりたい。御要望の趣旨等もよく承知をしておりますので万全の配慮をして進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
#119
○藤原房雄君 過日、衆参の調査団の一員として参加さしていただきました。つぶさにまた関係の方々とのお話し合い、事情聴取をさしていただきました。そういうことで、痛ましい犠牲者の方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、きょうも午前中からいろいろ質疑があったわけでございますが、これらのことが今後のひとつの大きな保安体制の確立というか、今後の災害防止のために大きな効果を上げることを心から期待せずにはおられないのであります。
 最初に私は、午前中、午後にわたりまして同僚委員からもいろいろ御指摘がございましたが、大臣がいらっしゃらないようで、いらっしゃいましたらまた改めてお聞き申し上げますが、政務次官も実際この問題については最初からいろいろタッチしていらっしゃって、また政府の取り組みもいままでにない対策本部を設けてなさっておるようであります。大臣もいち早く現場にいらっしゃったようでございまして、率直なひとつ政務次官のこのたびの災害に対しての御感想、私どもとしましてはあってはならないことが起きたということでございます。本当にこういう災害というのは、今後の技術開発とかいろんなことで防ぎ得るものなのかどうか、皆さんのお話を聞きますと、こんなふうにやっております、ああいうふうにやっております、そういうお話ですと、もう起こるべきではないことなのかもしれません。しかし、自然を相手のことでございますから、まだまだ未知なものもたくさんあるだろうと思いますし、そういうことでこのたびの災害にあたりまして率直に政務次官がお感じになっておること、そしてまた地元といたしましては何としても唯一の産業でもございますし、山が動かなくなるということは、もう街が半分灯が消えることになるわけでございまして、一山の問題ではないという、非常な重要な産業であるという見地の上からいたしまして、私どもも地元のいろいろな方々のお話を聞くにつけ、また現状を考えるにつきまして、何としても再建の方途を見出さにゃならぬという、こういう気持ちでおるわけでありますけれども、それらのことを含めまして政務次官の御所見をまずお伺いしておきたいと思います。
#120
○政府委員(山本富雄君) ただいま大臣がいらっしゃいましたけれども、この間来大臣からもこの席でお話がございましたとおり、まあ起きてはならない事件が起こった、非常に痛ましい事件でございまして、私ども罹災者の方々には衷心からお見舞いを申し上げたいという気持ちでいっぱいでございます。
 また、先生いま御指摘のとおり対策本部を早速設けまして、大臣みずから現場に早速飛ぶというふうなこと、いままでにない素早い対応をしていることもおわかり願えると思うのでございますが、いずれにいたしましても、委員会で終始御指摘がございました先生方の意向を十分対策本部といたしましては踏まえまして、そして本部長である大臣を中心にして罹災者の救済対策を初めといたしまして原因の究明等々、今後万全を期してまいりたい。
 また、このような事故が再び起きないようにこれまた措置を講じていかなければならない、こういうふうに考えておるところでございます、
#121
○藤原房雄君 せっかく大臣がいらっしゃいましたので大臣に最初にお伺いをするわけでありますが、大臣はこのたび事故に際しましてはいち早く現場に参りまして、その事情等についてはつぶさに御調査をなさったようでございます。その間について報道されることにつきましては私どももそれなりに見聞きをしているわけでありますが、この北炭――去年の八月の坑内火災のときに、林社長や組合の委員長がいらっしゃいまして、また大臣もいらっしゃいまして、北炭をどうするかということが議論になりまして、私も、あの地域の唯一の産業である北炭の再建を政府もぜひひとつ力を尽くしてバックアップしてもらいたい、こういう意向を申し上げたわけでありますが、それから一年有半、このような大きな災害が起きるとは本当に考えてもみなかったことであります。新聞報道によりますと、大臣はこの北炭夕張新鉱につきましては問題の山で再三警告をしてきたんだと、こういうことを御発言なさっていらっしゃる。それは午前中からもいろいろ質疑がございましたが、それらの話の中にも出ておったことかと思いますが、ひとつ整理をいたしまして、いままで北炭新鉱に対しまして大臣が率直に危惧しておったことは一体どういうことだったのか、しかし、それはそれとしまして夕張の山は再建をしなきゃならぬということもお話なさっていらっしゃいます。いまも私、政務次官に申し上げたのでありますが、夕張にとりましては唯一の産業でございますし、この新鉱が不幸なことになるということになりますと、街の半分が灯が消えるという非常に、原料山としての炭が良質であるということもさることながら、この地域に及ぼす影響というのもまた非常に重大である。こういうことを考えるにつきまして、大臣の、山の再建は全力を尽くさにゃならぬというお言葉、これは私どももそうあるべきだと思います。しかし、そのためには相当な決意の上に立って取り組みをいたしませんと山の再建は非常にむずかしいことだろうと思います。しかしながら、それを担当大臣として強く強調なさっていらっしゃるということについては私ども非常に力強さを感ずるんでありますが、これから考えられます諸問題、何と言っても現在遺体の収容ということが最大の課題だろうと思います。そして山の灯を消してはならぬということに対しての今後の諸施策、こういうことに対しまして大臣の率直な御決意といいますか、お考えといいますか、これを最初にまずお述べいただきたいものだと思うのであります。
#122
○国務大臣(田中六助君) 先ほど山本政務次官が答えたとおりでございます。私どもこれは本当に言うはやすく行うはかたいということで、通産省挙げて、私ども全員が、いまいろいろな内外の諸問題が通産省としては横行しておりますけれども、一番やはり頭の痛い問題でございまして、いろいろな予見と申しますか、いろいろな条件があるわけで、再開ということが至上命題といたしましても、たとえば労使双方の自助努力がどうかとか、あるいは債権者がどうだとか、その関連の企業がどうするとか、エネルギー全体の安全保障あるいはまたいろいろな条件というものをずっと並べ立てておるわけでございますけれども、どれ一つをもってしても実を申しますと非常に困難な問題です。しかし、この炭鉱がどうなるかということは夕張市民も挙げて生活がかかっている問題でもありますし、全体的に私どもはこれをもう閉山してやろうというようなことを心に描いてそれに集中して持っていくということは全く考えていませず、再開するにはどうするかということなんですけれども、率直に申し上げまして再開はしたわ、また事故が起こったわでは本当に申しわけないことになりかねないものですから、あらゆる意味でいまの遺体の収容の作業が終わると同時に原因究明、これは専門家によってやるということで、専門家によるのも実はいままで何度も過去この炭鉱はやってきておりますし、私ども、いろいろなことを言われておりますけれども、保安第一ということからプロジェクトチームまでつくって、よその炭鉱が月に一回検査するところは三回するとかいうこともやってきましたけれども、こういう事故が起こっておるわけでございまして、保安第一、生命安全が第一ということに焦点を合わしていかなければならないという考えでおります。
#123
○藤原房雄君 原因の究明とか、それから、その後の対処というのは、これはこれからの、いま大臣も言われる専門調査団、これらの方々が行ってからということになるんだろうと思いますけれども、いま大臣の頭の中に描いていらっしゃる専門調査団、どの時点でどういう方々といいますか、固有名詞を挙げて人の名前というのじゃなくて、考えていらっしゃる調査団の編成といいますか、構成といいますか、そしてまたどの時点で、そしてまたどのぐらいの期間でこういうものをまとめて今後のことについて検討しようとするのか、どういうシステム、手順を経てという、こういうことでこれは今後、午前中からいろんな質疑がございましたが、結局原因究明の上でということが非常に一つの隘路になっておりまして、そこへまいりますと話が進まぬ、そういうことになりますと、原因究明のための専門調査団というのは非常に大きなウエートを占める立場になるわけでありますから、そういうことから言いましても、これは当然専門調査団によりまして徹底的な究明が必要であることは論をまちませんけれども、いかなる時点で、どのくらいの、どういう構成で、そしてどのくらいの時間をかけて、またそれを具体化するためには、審議会等あるわけでございますけれども、どういう手順を経てというそこらのことについてお伺いしたいと思います。
#124
○政府委員(神谷和男君) 専門家による技術調査団の構成につきましては、各方面の御意見も伺いながら十分慎重を期さなければならないと思っておりますが、やはり鉱山関係の専門の方々、従来大学の先生等でこの方面いろいろ御活躍の先生方がいらっしゃいます、私どもの研究機関の中にもその専門家がおりますし、したがいまして、慎重に現在人選の草案を内部で議論しておるところでございますけれども、やはり数名ないし十名内外の純粋に専門的な方々から成る専門技術調査団を構成いたしまして、東京において、要すれば、今後どういう問題をやはりあらかじめ押さえておく必要があるか等々の準備的議論をしていただくと同時に、捜査の一定の進行がございませんと、現地に行っていただきましても、先生方が引き落とされるデータ等も整理されておらない、こういう状況になると思いますので、第一段階といたしましては、現在の注水作業あるいはそれに関連したもろもろの救出作業が一段落をし、かつ捜査が一定段階まで進んだ段階で、やはり現地に赴いていただき、ここで十分の調査をしていただき、分析をしていただくことが中間的に第一段階だろうと思います。さらに最終的には、やはり水を揚げ、遺体の救出等も終わりまして、現場確認等ができ得る状態になりました段階で専門の先生方に具体的に状況を調べていただきまして、これらを総合的にまとめて、事故の原因究明、さらに今後の対策についての御見解を取りまとめていただきたいと、現在、大筋そのように考えております。
#125
○藤原房雄君 最初に大臣にも申し上げたんですが、この夕張新鉱に対しまして問題の山だということで再三警告を発しておったというか、注意をしておったというようなことを大臣も言っておりましたけれども、どういうことを御懸念なさってそのような御発言をなさったのかということ、先ほどちょっとお聞きしたんですけれども、お話がなかったんですがね。
#126
○国務大臣(田中六助君) これは非常に、非常にということじゃないんですけれども、多少デリケートな問題とも絡むと思いますけれども、率直に申し上げまして、私自身、当選以来二十年近くすっと石炭特別委員会の委員をやっておりましたし、党でも石特の委員長をやってまいりましたが、やはり全体的に見まして、非常に経営者の態度と申しますか、そういうものがこの北炭は気になっておったわけでございます。したがって、そういうことをずっと一年生議員のときから私はある程度追及してまいった点がございまして、それが常に頭に現在も二十年近くなりますけれども、残っておって、それが余り改善されていないという、まあ率直に言って、多少経営者に対する不信感というものがあったのは事実でしょう。
 それからもう一つは自然条件でございますが、これはもう人為的にどうにもならない点があるんじゃないか。非常に地盤が緩い、それからガス山であるということ、そういうことを常に気にしておりまして、人為的な面でも、それからまた自然条件という点から、気にするなど言っても、日本の炭鉱の中で、山の中で一番気になることであったということを率直に申し上げたいと思います。
#127
○藤原房雄君 この経営者の問題については先ほど同僚委員からもいろいろお話がございましたし、また今回の処置なんかを見ましても、私どもは本当に憤りを感ずるようなこともありました。人命軽視という上からいきまして、こんな判断をしてという、そういうこともありましたし、また私も四十三年以来石炭の特別委員会にも所属させていただいて、いろいろ現地にも参りましたし、いろいろな調査もさしていただきましたが、このことについてはいま大臣が率直に不信感というお話でございましたが、それなりに心を配り、そしてまたよかれという気持ちがあればこそ心を注いでいらっしゃったんだろうと思うのでありますが、自然条件が悪いということ、これは現在の保安基準等でいろいろ規制があるわけでありますけれども、これはやはり山はそれぞれ条件が違いますから、そういう中で最低基準といいますか、必要なことについての保安基準が定められているんだろうと思います。大臣の率直な御意見、お話がございましたけれども、こういう自然条件の非常に悪い山だということで今回の事故を見た場合に、悪い山なら山なりにいろいろな対策が講じられなければならない。これは当然のことでありますが、私どもはこういう自然条件の悪いところであるから、当然経営者としましては最大の注意を払って、保安には万全を期さなければならぬと思いますけれども、それはもう当然のこととしまして、保安基準というものが最近はだんだん深部化しておるという条件の中で、深い山には山のように保安基準等もやはり見直さなければならない。また今回の事故発生で午前中からお話がありましたように、それぞれいろいろな問題提起をされました。私も一々並べますと、これは時間がありませんからあれですが、こういうことで基準に合致しているということであれば事故が起きなかったのかという問題でありますけれども、条件の厳しい山がこれからだんだん多くなるということを勘案しますと、現在のこの保安基準というものでいいのかどうか、こういうこともあわせて、これはまあ調査をして専門調査団等で実態がわかった段階で、またいろいろ御検討なさるのだろうと思いますけれども、当面こういうかってない、最近の著しい科学技術の大きな発達の中にありまして、こんな痛ましい事故が起きたということにつきましては、これはやはり保安基準等につきましては改めて総点検をしてみる必要があるのではないか、このように感ぜざるを得ないのであります。この山だけがということじゃなくて、最近はそういう方向にあるんだということ。このたびの多くの犠牲者を出したこの犠牲者の喪に服するためにも二度と同じことを繰り返してはならない。そのために私どもとしましては、あらゆる角度から論議をいたしまして最大の効果のある対策を講じなきゃならぬというこういう観点からしますと、保安基準というのは、午前中もいろいろ具体的な問題についてお話ございましたけれども、もう一回これは検討しなきゃならないときにきているのではないかと思いますが、いかがでしょう。
#128
○国務大臣(田中六助君) もちろんあらゆる角度から検討するということで、保安を第一に私どももいま感じておるわけでございまして、現実に専門家による調査団を派遣することはもちろんでございますけれども、私ども自身やはり大所高所から保安というものを、法律的にもまた整備しなければいかぬことは国会の皆様にお願いしますし、現実にいろいろ対処しなければいけない問題は処理していく、すでに私ども今回の事故で、事故の後にそんなことをしても意味がないというおしかりも受けるかもわかりませんけれども、事故前もこの炭鉱は先ほどから申しますように、よその炭鉱に比べて何度もそういうチェックはしておりますが、その後も私ども十九日にこの山だけじゃなくて全鉱山に対しまして総点検を会社と労働組合が一致してやるように、それから私どももまた監督官を動員してチェックをすると、そういうことを命じておりますし、事後も折に触れ保安のことにつきましては総点検はもちろん、チェックするということについては十分な配慮をしていかなければならないという考えを持っております。
#129
○藤原房雄君 事務当局としては、どう考えているんですか。
#130
○政府委員(神谷和男君) 先生御指摘のように、深部化等条件が年々厳しくなってくるわけでございますので、傾向的には基準そのものもいろいろな機会に反省をし、あるいは御意見を伺いながら逐次強化されておることは事実でございます。今回の事故の原因究明を待って、反省すべき点等十分反省しながら、こういうものもこの目で見直していくということは必要だろうと思いますが、その前に現時点におきましても先ほど大臣から御説明いたしましたように、他の鉱山等も非常にむずかしい条件にあるわけでございますので、自然条件をできるだけ事前に把握をして、その自然条件に合った予知、予防対策、山ごとにその特殊性に応じた対策というものも講じさせるよう指導してまいりたいと思っておりますし、先般の通達におきましても、その点特に強調をしたところでございます。
#131
○藤原房雄君 これは大臣からお話があって、各鉱山の総点検をする、総点検のチェックポイントというのはどういうところに置いてこのたび指示を出したんでしょうが。
#132
○政府委員(神谷和男君) 基本的には保安全般の総点検でございますけれども、やはりガス突出に関連したところに特に重点を置くこと、それから繰り返しになりますが、出の自然条件をできるだけ事前に把握させ、それに合った対策というものをもう一度見直し、強化させる、こういうところに重点を置いております。
#133
○藤原房雄君 これは今後の課題としまして、ぜひ具体的な問題についてはひとつ御検討いただきたいものだと思います。規則とか基準とか、こういうものができてそれでいいのじゃございませんで、大臣がお話ししておりましたように、経営者に対する不信感というのはこれは非常に大きな問題だろうと思います。物ができても魂が入ってないようなことではならぬわけでありますから、要するに実際に運用する立場にある人たちに対しての、教育といっても何か教えるということじゃなくて、指導的な立場にある人たちの意識というものがなければ一行の法律で縛りつけようということですべてがおさまるわけじゃ決してないだろうと思います。今日までも技術者に対しましては、保安センターとかそれから講習とかいろいろなものがあるんですけれども、やはり中堅になる幹部に対して指導するといいますか、再教育をするとか、何かそういう機会というのはこれは必要じゃないでしょうか。中堅以上というか、実際現場の方々に対してはいろいろなことがあるんですけれども、こう考えてみますと、現場で働く方々の技術、保安センターでいろいろな訓練を受けるということもさることながら、中堅以上の方々に対して再教育といいますか、そういうものも必要ではないか。資本主義の中にありましては、経営者というのは経営に全責任があるわけでありますから、事故があってはならないという上に立って当然それは自己管理しなければならないことなのかもしれません。しかしながら先ほど来お話にありましたように会社の経営ということにどうしても発破がかかるといいますか、そちらの方にウエートがかかる。保安の方を置き去りにした、投げやりにしたわけじゃ決してないだろうと思いますけれども、経営の実態が実態であるだけに生産性を上げなきゃならぬという急務が先に出てしまうということはどうしても出てくるんだろうと思いますけれども、先ほど来石炭部長のお話ございましたけれども、審議会におきましていろいろな問題について討議をし、それで生産目標も落としたとは言っておりましたけれども、やはり生産を上げるための指導というか、行政的な立場からのお話はあったようでありますが、決してそのときに保安はどうでもいいんだと言うわけはもちろんありませんけれども、そういう一面とまた保安に対しての注意を喚起する、そういうものが相伴ってなければならぬのじゃないかと思いますね。経営という上からいきますとどうしてもそちらの方にウエートがかかってしまう。人間というのは忘れやすいということじゃないのかもしれませんけれども、二つも三つも集中するということはなかなかむずかしいことでありまして、こういうことから、もう少し行政としてということがどういう立場が、これはお考えいただきたいと思うのでありますけれども、中堅以上の方々に対してやはり行政がしかるべきそういう立場から再教育といいますか、注意を喚起するような機会といいますか、そういうものが必要ではないかというふうに思うのでありますけれども、どうでしょうか。
#134
○政府委員(神谷和男君) 御指摘のように、法律あるいは規則を守っておれば事故が起きないということにはならぬわけでございまして、基本的にどういう心構えで対処していくのかというところが、目に見えないところですが非常に大事なところであろうというふうに存じます。ただ今回の事故にも見られますように、やはり大きな災害を起こしましたら、むしろ山そのもの、経営そのものが危殆に瀕するというのが実情でございまして、その本質を十分理解すれば、保安をないがしろにして生産に励むというようなことはあり得ないはずでございますけれども、しかしいろいろな現象が出てまいりますと、経営の立場にあられる方あるいは管理の立場におられる方々も冷静にその辺の判断を常にできるという保証もございませんので、われわれといたしましては常時やはりそういう意識について啓発していくことが必要であろうというふうに考えております。御指摘の点。御意見を踏まえましてどういう機会がよいか考えながら、問題の本質をよくつかんで、保安を第一にして生産を行っていくよう指導してまいりたいと考えております。
#135
○藤原房雄君 三十九年の三月ですか、行政管理庁から行政監察がございまして、「鉱山行政監察」、これは鉱山全般にわたってのことなんで非常に長いんですけれども、その中で「鉱山保安指導」という項目があるわけですが、「事業者の自主的保安体制については、いまだ十分整備されていないものがあり、これが災害発生の誘因とみられる面もあるので、とくに経営首脳者の保安に関する認識と理解を深める措置を講ずるとともに、次の諸点につき改善を加え、事業者の保安体制を整備・強化するよう指導の要がある。(1) 保安委員会・保安監督員・保安技術職員等の保安管理機構の整備と運営の適正化を図ること。(2) 的確な保安図の提出の励行を図るとともに、保安規程の整備ならびにその周知措置を講ずること。(3) 労働者に対する保安教育を計画的に実施すること。また、とくに請負組労働者に対する教育の徹底を図ること。」こういう鉱山保安指導が出ておるわけでありますが、これに対しては通産省の回答もあるんですけれども、三十九年ですからいまからもう十五、六年前のことでありますけれども、これはいまもこの勧告がきちっと、これは全然古いものだというんじゃなくて、古くて新しいといいますか、やはり現在も考えてみなきゃならないことがこの中にはあるように思うのですね。これは三十九年の三月ですから、もうその後この勧告に沿っていろいろ御検討なさったり、または改善されたりなさって、いまの局長さん当時まだこういうことについてはタッチしてなくて別の部門であったのかもしれませんけれども、こういう指摘になったことに対しまして、それなりに改善をされておると思うのですけれども、現在読みましても、まだまだ十何年たってもやはり変わってないなという感じもするんですけれども、当然これは通産省においても御存じのことだと思うのですが、どうでしょうか。
#136
○政府委員(神谷和男君) われわれ保安に関しましては、監督官、監督局を通じまして、限られた要員の中で最大限の努力をしながら監督をし、指導をしておるところでございますが、基本は自主保安というのが第一でございまして、そのためにただいま御指摘になったような考え方というものが強調されておるんだと思います。先生御承知のように、現在の体系では保安統轄者、さらに保安技術者、係員、それから御指摘の保安委員会が対馬先生の御指摘にもございましたように全体を見ておりますし、監督職員等も特にこの夕張等では五名という形で非常に重点的に配置任命されておるわけでございます。こういう形でむしろ経営と保安は切り離せないといいますか、採掘と保安は切り離せないという考え方から、山を見る責任者が保安の責任者になり、一連の体系ができ上がっておるわけでございまして、その間所要の保安法の改正等も行われてきたわけでございます。ただ御指摘のようにこの問題、いま読み上げていただきましても、やはり留意しなければならない問題であるということは事実でございます。今回の事故の経験というものを十分分析しながら、それらの点その他の問題も含めて、すべて現在の体制を十分よく見直してまいりたいと考えております。
#137
○藤原房雄君 それから「鉱山災害防止対策について」ということで、「鉱山災害の防止対策については、関係機関の協力体制がいまだ十分確立されておらず、総合性に欠けるものがあるので、安部局と鉱山部局との連けいを強化するほか、次の諸点につき改善を図り、速かに総合的災害防止対策を確立する要がある。(1) 鉱山保安行政と労働行政の協力・調整を強化するため、中央・地方を通じ両省間の連絡事項・連絡方法等を明確にし、常時の連絡体制を確立すること。(2) 災害原因の究明に当たっては、直接の発生原因にとどまらず、その誘因とみられる事業者の経営事情・労務面等についても、総合的に検討を加え、根本原因の究明につとめること。(3) 鉱山保安協議会の運営を活発化し、鉱山保安行政の総合的運営に寄与せしめること。」こういうことが、三十九年当時あるわけなんですが、このことにつきましても、私ども災害がございますと、鉱山保安監督署がまず一義的には原因究明とかいろんな問題については指示なさる。労災関係の方はどっちかと言うと遺族の方とか何かそういう問題が中心になります。そしてまたもちろん労働省としての所管の事項についての問題については、これはいろいろ検討なさるわけですが、その総合性ということについては私もいままで何度かいろいろな災害に直面しまして、そこから総合的な根本的な原因の究明ということになると、やはり物理的、科学的な究明ということが先行しておるというように感ずるんですね。これは三十九年当時、こういうことが言われ、これを受けて当然通産省としましてもいろいろ御検討なさったんだろうと思いますけれども、これは決して古いことではなくて、現在においてもこういう考え方というのは必要なことではないかと思いますし、またこれは労働省としましても労務面ということから、これは項目とか何かでは確かに労働省担当で、そういう項目や何かも述べられるんでありますけれども、連絡体制というようなことについては一体現在どうなっておるのか、こういう総合性ということについては現在そういう体制がとられているのかどうか。どうもいままではそれぞれの災害があって、私ども現地に参りましていろいろなお話を聞く。そしてそこではいろいろな教訓として何らかの一歩でも前進ということでお話があるわけですが、総合性にどうも欠けているような感じがするんですが、現状、こういうことについてはどういうふうになっていらっしゃるのか。また今後どういうふうにお取り組みになるお考えなのか。これは通産と労働とそれぞれの立場でひとつお述べいただきたいと思いますが。
#138
○政府委員(神谷和男君) 通産省といたしましても、鉱山保安行政を推進していくにあたりまして労働省と密接な連携を必要な事項についてはとっていくことが重要であるということは十分認識をいたしておるところでございます。したがいまして、最近におきましてもじん肺、粉じん対策であるとか、静電気の災害防止対策とかいったような諸対策につきまして、労働省と協力しながら一緒になって取り組んでおるわけでございますし、さらには労働大臣等からの勧告につきましてもいままで何回かいただいております、ごく最近でも五十一年にいただいておりますが、これらの勧告をいただきました場合には所要の手当てといったものを規則その他において行っておるわけでございます。今後ともこのような形で、労働省の御意見等があった場合には連絡調整をとりながら、その趣旨にのっとって所要の措置を講じてまいりたいと考えております。
#139
○説明員(倉橋義定君) 三十九年に行政管理庁から鉱山保安行政と労働行政の協力調整を図るべき旨の指摘を受けたわけでございますが、労働省といたしましても労働者の命と健康を守る立場から、災害発生時におきまして、調査、原因分析、そういうような面におきまして通産省と十分連絡をとり合いましてその実施をしてきたところでございます。また、ただいま通産の方からお話がありましたように鉱山保安上必要と認める場合につきましては勧告等の措置を講じてきておりまして、この勧告が出た以降、勧告につきましても五回ほど行っているところでございます。さらに鉱山災害の防止を図る観点から鉱業労働災害防止協会を設立させまして、通産、労働両省の共管によりまして事業者の自主的労働災害防止の活動を促進するための指導、援助をともに行ってきているところでございます。今後とも本省及び地方の関係機関におきまして相互連携を密にいたしまして鉱山災害の防止につきまして努力してまいりたいと思っております。
#140
○藤原房雄君 労働大臣の勧告が五回ですか何かあったと言うけれども、私どもも確かにこういう勧告の制度はあることは存じでおるんですけれども、余り勧告というのはないというのが実態じゃないかと思うのですが、まあ数年に一回か何か。最近ではどんなことがあったのかちょっとひとつお述べいただきたいものだと思うのですが、労働大臣の勧告。
#141
○説明員(倉橋義定君) 勧告前に二回行いまして、その後先ほど申しましたように五回、計七回にわたりまして労働基準局長ないし労働大臣から勧告を申し上げているわけでございます。昭和五十一年二月十六日に三井砂川炭鉱のガス爆発に関連いたしまして勧告をしたのが一番最近のものでございますが、この内容は詳細にわたっておりますが、いろいろガス突出のおそれの多い作業場におきます発破作業の方法などに関しましてその整備を図るように等を含めました要請をいたしておるところでございます。
#142
○藤原房雄君 先ほど同僚委員の質問に対して石炭審議会のことをいろいろお話ししておりましたけれども、結局あのお話の内容は経営面のことが主体になっておりましたですね、累積赤字がどうで、経営がどうでということで。しかし、この山は先ほど大臣からもお話がございました自然状況が非常に悪いということで、ガス山であるということや、また八百メートルの大変な深部にあるということや、湿度が非常に高い、それからまた高温であるという、こういう労働条件の非常に劣悪な状況の中で出勤率も非常に悪い、八〇%を切るとか、ようようであるとか、いろいろなことを言われておりましたですね。こういう中で、能率を上げる施策をしなきゃならないのは当然でありますけれども、石炭審議会等でいろいろな審議をするときには、労働省のそういう専門的な立場からの労働条件とか環境条件とか専門的な方もそこにお入りになって意見等を述べられるんですか、そうでなくて経営上のことだけが論議になるんですか、どうなんですか。
#143
○政府委員(福川伸次君) 石炭鉱業審議会におきましては学識経験者にお集まりいただいておるわけでございまして関係官庁の職員は参画はいたしていただいておりませんが、もちろん労働組合の方そのほか労働関係の御専門の方にも御参加を願っているわけでございます。したがいまして、いま御指摘のように生産面ばかりで議論をするということではございませんし、また第七次政策でも答申の中に保安の確保は石炭生産のすべての基礎であるということで強い位置づけをいたしてございますし、また今回北炭の三月の再建計画におきましても具体的な指示事項の中では保安を第一に挙げまして、もちろん自然発火、ガス突出、ガス爆発等も例示をいたしましてそれにつきましての対策は十分とるようにということをしたわけでございます。何も文章の中でだけあればいいというわけではございませんで、もちろんそれぞれ監督行政の立場あるいは労使の取り組みという中でそれを十分生かさねばならないという点で私どもも非常に今回の事件は深刻に受けとめておるわけでございますが、審議会自身におきましてはいま申し上げましたような運用をいたしております。もとより答申等をつくりますときには別途関係官庁の御意見も伺うというようなことで、答申の取りまとめをその途中の過程ではいたすというような運用をさしていただいております。
#144
○藤原房雄君 最初申し上げましたが、だんだん深部になって非常に条件が悪くなっておるわけでありますが、聞くところによりますと、こういう地圧の高い深部のことについてまだまだ未知数といいますか解明し得ない問題があるのだということもよく聞くわけであります。現在国としましても予算をつけまして、深部についての調査、こういうことを一生懸命やっているようでありますが、現在考えられることは、一つは石炭技術研究所ですか、あと通産省の工業技術院、それから大学、こういうところで深部に対しましてのいろいろな技術研究とか技術開発とか、こういうことが試みられているんだろうと思います。先ほどどなたかのお話の中にもありましたけれども、こんなに日本でロボットが発達した中で、産業ロボット、こういうもので代替のできるようなことも、実はこれは現在のところはほとんど研究とかそういうことはなさってないんだろうと思いますけれども、こういうことにつきましても、やはり危険が伴うところであれば、また十分なメカニズムの解明がなされていないという深部におきましては、どうしてもそこに携わらなければならぬということでありますと並行して技術開発というものがなされなければならないのだろうと思うのですが、この石炭技術の研究に対しまして現在どのぐらいことしの予算でなされているのか、そしてまた今後の研究開発に対しまして、大臣の御努力によりましてほとんどゼロシーリングという中で何%か来年にも上積みがなされるようになっているようですけれども、これは今回の痛ましい事故ということから考えますと、至上命題として、また日本の今後の炭鉱のあり方としましても相当力を入れて研究開発をしなきゃならない大事な部門ではないかと思うのでありますが、ただこの金額が多いとか少ないとかいうことだけじゃないんですけれども、今後の取り組みとか、こういうことでいいのか、今回のことを踏まえてさらにまた新しい考えの上に立って進めなきゃならないのか。私はもう当然これは、いままでもそれなりに研究に携わってきたんだろうと思いますけれども、いままでのやり方ではちょっとおぼつかないのではないか。相当自信を持っておったんだろうと思うのですけれども、こういうことになったということです。
 石炭技術につきましては、利用とか液化とかこういう方面の研究も相伴っているようですけれども、鉱山保安技術、こういう面についての調査委託、それから鉱山保安センター事業の事業費、こういうものについてもいろいろ予算づけがなされているのでありますが、現在どういう部門について御検討をなさっていらっしゃるのか、また今回のことを考えて一つの大きな考え方の転換をしなければならぬのじゃないかと思うのですが、研究開発、こういうことについて通産省として、まあ自分のところには工業技術院というものがあるわけでありますし、また石炭技術研究所、こういうものも補助金を出してやっているわけですけれども、こういう中でこれらの問題については今後どういうふうにお考えになっていこうとなさるのか、現在までまたそういうお考えがありましたらひとつお聞かせいただきたいと思います。
#145
○政府委員(神谷和男君) 御指摘のように、工試研であるとかあるいは石炭技研という機関がございますし、これらが共同して研究をしておる。さらには大学等に研究を依頼いたしたり、これらの全体の研究の成果といったものを取りまとめて鉱山保安技術検討委員会あるいは地方での保安技術対策委員会等で十分総合的に検討していただきまして現場の適用可能技術というものを決定をし、技術基準の改定あるいは現場への普及といった形で進めておるわけでございます。
 御指摘のように、深部化してまいりますと、ガス突出であるとかあるいは山はねといったような非常に重大災害を引き起こすような事故が起こる可能性がどうしても高くなりますので、私どもといたしましては、全般的な石炭の生産の安全技術の開発といったような恒久的な問題に加えまして、当面の問題といたしましてこれらのガス突出あるいは山はね等に対しての防止対策の検討のための部会というものを設けまして、中央では九月にこの部会を開催いたしまして、先進ポーリングによる徹底的な危険区域あるいは炭層の事前把握であるとか、あるいは各種計測の推進であるとか、あるいは救命機器の開発といったような問題を検討をしていただきましたし、さらにこの検討を受けて札幌で三回、福岡で一回と、おのおのの専門部会を開催しながらこれらの問題についての検討を行ってきたわけでございます。私どもといたしまして、こういう部会で検討中の段階に、これらの成果を踏まえることができずにこういう事故が発生いたしましたことまことに遺憾でございますが、今回の事故の反省も加え、さらに所要の検討を鋭意進めてまいりたいと考えております。技術開発につきましても、先ほども御説明いたしましたように、たとえば石炭技研への技術開発の委託費等、二二%の伸びの要求を五十七年度行っておるわけでございまして、これら全般的な冒頭に申し上げました各方面のエネルギーといったものを総合して、状況がむずかしくなってまいります自然条件に対処し、保安の万全を期するよう、さらに努力を続けてまいりたいと考えております。
#146
○藤原房雄君 最後になりますが、保安強化について同僚委員にもお答えしておりましたが、これは原子力発電所につきましては、原子力安全委員会というものがチェック機関を設ける。アメリカとかヨーロッパは日本とシステムが違いますから、数が多いとか、それから強化対策がどうだとか、これも一つの大きな議論の対象にはなっておるんですけれども、やはり私は会社経営の中でそれなりの自助努力というものが必要だということは当然でありますけれども、人間の弱さといいますか、そういうものの中からこの保安面についてはいままでのこういう体制でいいか、もっとチェック機関というものを強化する必要があるのではないかと思います。大臣からも何か前向きのお話がありましたが、それらのものも含めてひとつ御検討をいただきたいものだと思うのです。
 最後に、遺族への十分な補償、この点についても大臣からも十分なお話がございました、全力を尽くすということでありますが、何か新聞等を見ますと、ずいぶん子供さんが多いようなんで、これは現在だけでもう二十人ぐらいですか、また地底からいらっしゃるのをお待ちしておるのが六十人とか何か言われておりますけれども、こんな大きな災害、一ころならいざ知らず、こういう時代、背景の中でこんなに多くの十八歳未満の児童の方々が出られるということは、国としても何らかの対策を講じなきゃならないだろう。これは労働省としましても何かお考えになっておるのだと思いますが、交通遺児やいろいろなことが言われておりますけれども、これらの問題についてもひとつ今後御検討いただきたいと思いますし、それから何と言っても、この地域にとりまして、冒頭申し上げたように、大きな産業のウエートを占めておるということで、もう実際いままでの状況を見ますと、この対策というのは言うはやすくて非常にむずかしいいろいろな問題があろうかと思いますが、これは山の再建ということと相伴って地域の中小商工業者、これらの方々の対策というものもあわせ考えなければならないんだろうと思います。また地方自治体としての現状、こういうことについてもいろいろお話ございましたが、これらのものも含めて大臣のひとつ忌憚のない御所見をお伺いしまして、私質問を終わりたいと思います。
#147
○国務大臣(田中六助君) この山の遺家族対策、小さな子供さんたちも含めての対策でございますが、それからこの山をどうするかということにつきましても、先ほどから申しますように、私どもも何とかこれをいい方向にということ、それから夕張市全体の町ぐるみの問題でもございますし、金融、財政、あるいは税、あらゆる観点からこれをライトを浴びせて十分検討して、それぞれの人が十分といかなくとも、少なくとも正常な状態に戻り得るような体制をとることが私どもの大きな責めであるというふうに考えております。
   〔委員長退席、理事上田稔君着席〕
#148
○馬場富君 最初に、国のエネルギー需給の中での国内炭の一つは二千万トン体制のあり方について説明していただきたいと思います。
#149
○政府委員(福川伸次君) まず国内の二千万トンの生産のあり方がどうであるかというお話でございます。
 私どもといたしましては、従来の石油依存から順次石油代替エネルギーに依存をしていくということで、その基本的な柱といたしましてその石油の依存度を順次下げていく、そのために石炭、原子力、LNGといった代替エネルギーの開発を積極的に進めていこう、こういうことで考えておるわけでございます。現在立てております長期エネルギーの需給暫定見通しによりますと、現在国内炭のウエートは総エネルギー供給の三%前後でございますが、昭和六十年度あたりに仮に二千万トン程度の生産で、全体が石油換算で五・八億キロリットル程度の生産ということになりますと二・五%、さらに六十五年度では七億キロリットル程度の全エネルギー供給に対しまして二千万トンの生産と仮にいたしますと二%ということになっておりますが、現在このエネルギーの需給暫定見通しの改定の作業中でございますので、この辺の数字は若干変わってくるかとは思っておりますが、今後石炭自身につきましては、代替エネルギーの一つの柱と考えておるわけでございます。
 国内の生産の考え方でございますが、国内の石炭と申しますのは数少ない国産エネルギーでございまして貴重な国内資源であるという認識を持っておるわけでございます。本年の八月に石炭鉱業審議会から第七次の石炭政策のお考えを答申としてちょうだいいたしたわけでございますが、当面現存炭鉱における現在程度の生産の維持を基調とし、今後の石炭企業の経営体質や需給環境の改善に応じて、生産の拡大も期待しつつ、わが国の石炭鉱業の自立を目指していく必要があるということでございます。今後環境がよくなれば将来において二千万トン程度の生産を、今後の関係者の努力あるいは協力の考え方とするように、こういうことでございますが、国内炭につきましては、先ほどの貴重な国内資源であるという考え方と同時に、国内エネルギー供給の安定性に役立つという視点があり、また特に一般炭に関して見ればそれなりの供給のウエートを持っておるということで国内炭の活用を図っていくべきである、しかしながら、ただその場合に経済性を全く無視していいということではなくて、それなりに経済性と安定性との調和の点に立って、いま申した国内の資源の活用ということを図っていくべきである、このような位置づけをちょうだいいたしたわけでございまして、そのような考え方に立って、先ほどございましたように、当面現存程度の推進の維持を基調にしていく、将来環境がよくなれば二千万トン程度も努力、協力のめどとすべきだ、こういう考え方をちょうだいいたしておるわけでございます。
#150
○馬場富君 そこで大臣にお尋ねいたしますが、エネルギー需給の立場から当初は二千万トン体制というのは達成は可能とお考えになっておったかどうか、この点についてお尋ねいたします。
#151
○国務大臣(田中六助君) 第七次答申は、二千万トン程度ということを生産目標、努力目標にしているわけでございまして、将来新鉱の開発とか旧鉱のチェックとかいうようなことが可能ならば、私どもはやはり二千万トンということの可能性は十分あると思いますけれども、といって現実に千八百万トンをちょっと上回る程度の生産しかできてないわけでございまして、これを無理やりに、二千万トン程度というふうに規定しておるからとなると、どうしても生産第一主義みたいなことになりかねないわけでございまして、私どもはカニは平らに似せて穴を掘るということもございますが、やはり現実を十分把握した上で対処していきたいというふうに考えております。
#152
○馬場富君 それでは、この二千万トン体制の中での夕張新鉱の占める位置というのはどんな立場ですか。
#153
○政府委員(福川伸次君) 先ほど申しましたように、大体現状では千八百万トン程度でございますが、北炭の夕張が当初の会社の計画どおり出炭ができるといたしますと、夕張新鉱だけでございますと約百十万トン、それからそのほか北炭グループには幌内と真谷地と二つの炭鉱がございますが、これを三山合わせますと三百万トン程度ということになっておるわけでございます。したがいまして、大体三グループで申しますと千八百万トンのうちの三百万トン程度と、こういうウエートになっております。
#154
○馬場富君 いま説明のように、実質は千八百万トンという中でやはり三百万トンを一つは期待をかけられた、目標を立てたということについては、大きいウエートがこの夕張にかかっておったということが言えると思うのです。
 そこで、夕張が昨年の夏に自然火災を起こしました。その後に通産省に提出された同社の再建計画がございます。この再建計画の中ではどのように採炭計画、たとえば日産等でどのくらいの計画を提示しておりましたか御説明いただきたいと思います。
#155
○政府委員(福川伸次君) 夕張につきましては当初計画では、昭和五十五年度は日産約四千五百トン、五十六年度の上期は三千九百四十トン程度の生産の計画をつくっておったわけでございます。これは夕張でございます。
#156
○馬場富君 そこで、これは石炭鉱業審議会の経理審査小委員会等でもこの目標にはちょっと無理があるんじゃないかということで、修正方を指示しておるわけですよ。こういうような状況の中でやはりこの目標は、いま、同社が立てた計画どおり達成されてないと、こういうふうに私たちは現地でもまたいろいろな資料からも推察できるわけですよ。この点はどうですか、
#157
○政府委員(福川伸次君) 五十六年度に例をとってみますと、実はこの火災の前の修正再建計画では日産四千五百トンでございましたのを、昨年の火災のときには四千二百二十トンという計画を持ってまいりました。
   〔理事上田稔君退席、委員長着席〕
その後いろいろ検討に検討を重ねまして、幾たびかこれを修正させまして、途中の段階では四千七十トンという計画もございました。それで、五十六年の三月に最終的には――先ほどちょっと失礼いたしました三千九百十トンの日産に変更をさしたわけでございます。その後、五十六年度の上期で見てみますと、これが大体一二%程度下回った水準で推移をいたしたということでございます。
#158
○馬場富君 いや、だから、最初のいろいろな会社から提示された再建計画ですね、火災発生後ですよ、火災発生等もあったからこういうふうにやりましょうということで通産省に提示した日産の出炭計画ですね、それから最終出炭がされたときにはかなり下回った数字になってきておる。ここで私は、時間もございませんので簡単に言いますが、この面につきましてはいろいろな新聞等でも報道されておりますが、当局はそのように圧力をかけたとはおっしゃっていませんけれども、現場での会社の状況やらそういう点で、この点についてはかなりプレッシャーになっておったんではないか。まあこれは、私たちが現場に行きまして質問したときも、やはり社長の言葉の中にも北部開発については焦りがあったということをはっきりと言っておるんですね。この点、通産大臣はどのようにお考えでしょうか、現場の問題として社長はそう言っていますが。
#159
○国務大臣(田中六助君) いま福川部長が答えましたように、生産計画そのものについては、具体的に申し上げますと、北の五号地区でございますけれども、これは準備工事完了というのが、ことしの十二月にはもう準備完了という報告があっておったわけでございます。しかし、予備切り羽という考え方から、一、二月はそういう予備切り羽の開発ということで、三月がいいだろうということになっておったんですが、それを一月に繰り上げるという会社の自主的な判断もあったわけです。と申しますのは、明らかにこれは下期の出炭が五十八万トンぐらいの考えが五十一万トンというようなことで、それが一月になったというふうに言われておりますけれども、それとてもすでに下方修正を常にずっとしておりまして、たとえば五十六年におきましては、私ども当初四千二百二十トン、その程度をまた四千七十トンに修正し、それからさらに三千九百というふうに下方修正をしておりますし、先ほど申しましたように、準備工事完了というのは十二月でもいいということさえ言ってきておったわけでございまして、まあそれを一月ということになったわけでございます。
 ただ、経営者の心理状態といたしまして、おまえは生産目標をやらなかったじゃないかと言われれば、どうしても心理的な圧迫でいろいろ言いわけもありましょうし、やらにゃいかぬというようなことになりかねないと思います。これは私も率直に言って、そういうことが心理的な圧迫になっただろうと。なり得るという可能性はございますし、現に皆様の質問に対して社長がそういうことが圧迫になったようなことを言っているわけで、本当は私は内心けしからぬとは思います。私が行ったときは、いろいろなことを各角度から聞いたわけでございますけれども、そういうことは言ってなかったわけですけれども、皆さんに言ったことが、これがうそではなくて、案外本音を吐いておるんじゃないかということは率直に認めますけれども、言いわけではございませんが、ただいま申したように、私どもは十分なる余裕、十分なる安全性、そういうものを考えた上であったこともまたこれは事実でございます。
#160
○馬場富君 そこで、私はもちろん通産省が圧力をかけたということを聞いておるんじゃなくて、やはり現場の社長自体がそのように私たちの質問に対して率直に答えだということは、北部についてはかなり会社側としても、二千万トン体制の中の重要な地位を占める夕張の立場としてそういう焦りがあったという点を私は理解したわけです。
 そこで、この二千万トン体制というのは、先ほども説明があったように、エネルギー需給の中の一つはやはり代替エネルギー、特に国産エネルギーの安全確保、そういうところに焦点が合った非常に重要な問題点ですね。やはりそのためにはこれについて安全な目標を達成するために、これに対する体制あるいは資金の調達というのを検討されて、体制を組まなければならなかったんじゃないか、そういう点について私は通産の取り組みについて、そういう検討等についての甘さがあるんではないかと、こう思いますが、この点どうでしょうか。
#161
○政府委員(福川伸次君) この北炭の再建計画、御指摘の昨年の夏の自然火災以後の再建計画の取り組みにつきましては、実は私どもも本当に真剣にスタッフを挙げて検討をいたしたわけでございます。もちろん、いま大臣がお答え申し上げましたように、過去の経験にもかんがみまして、無理のない計画に何とかつくり上げたいということでございます。
 先生も御記憶のとおり、実は五十年の幌内災害以後、この会社は幾たびか再建計画をつくり、それがまたそのとおり実行できずにまた修正再建計画をし、また自然火災を起こすということを繰り返したわけでございます。で、私どもも、もう一度事故があればこの夕張の行方はどうなるかわからぬという危機感も持っておりました。したがいまして、私どもも関係の企業の意見は十分聞き、また同時に、労働組合の方たちにも、前の計画が無理であるならば今度こそ本当に自分らでやってできるものを会社に交渉するなり、意見を言うなりしてくれということを私どもも直接に労働組合の委員長にも申してまいりました。その結果出てきたものも、さらに客観的に見るとまだ若干無理があるというところから、けさ午前中にもございましたように、関係企業から招いております技術顧問の人たち、あるいは石炭鉱業審議会の技術の人たちにも参画をしていただいて診断をし、これならできるだろうということでつくった計画でございまして、申すまでもなく実はこれは相当膨大な負債を抱えておるわけでございます。それを元利たな上げというような措置を関係企業にもお願いをいたしましてやるわけでございまして、政府ももとより相当膨大な資金をつぎ込むということでございまして、そういった両方のぎりぎりの点でつくったつもりでございまして、いま資金の点もございましたが、一応この程度ならできるんではないだろうかという客観的な判断のもとに立ちました資金計画をこれに組んだわけでございます、それで、これが上期いま先生が御指摘のように、そのとおり実行ができなかったということも現実になってまいりましたために、そこで、それは果たしてそもそも計画が無理であるのか、あるいは技術管理面あるいは指揮命令系統その他に問題があるかどうかということを私どもも十分検討をいたしたいということで、関係方面の協力を得て、診断、指導等もいたしたわけでございます、もちろん上期の減産分というのは資金がショートをいたしたわけでございまして、この部分は自己努力によって賄ったわけでありますが、一応そういう私どもとしては、大変口幅ったい言い方でございますが、いま大臣もお答えいたしましたようなことで、余裕があり得ると、保安体制など手抜かりしないでもやれる計画という前提で実は資金計画を組んでおったわけでございます。しかし現実にこういう事故が起こったわけでございまして、その点は原因究明の上で、私どもも反省すべき点があれば反省をしなければならぬと思いますが、そういうことで、いまこの計画についての資金ということにつきましては、本当に民間関係金融機関の御協力も得、また財政としてもぎりぎりのところまでつくった資金計画であったということは御理解いただきたいと思います。
#162
○馬場富君 たとえばこの夕張の開鉱の二年前に着工しました三菱の大夕張の開鉱は、その準備制の資金は八〇%まで補助金が出ておるわけですが、その点について夕張の場合は予算の関係上五〇%に削減されておる。私たちが調べた結果そういうふうになっておるわけですけれども、このように財政的に困難なら困難のような状況のもとでやるなら、それに見合う出炭計画なり出炭目標にしなきゃならないんじゃないか、ここにやはり財政と出炭量というのは無理があってはならないんじゃないか、そこに保安というものがきちっとされてなければならないんじゃないか、こういうものについての検討やそういうことについては、私はこれは不十分だと、こういうふうに理解するしかないんですが、その点どうでしょうか。
#163
○政府委員(福川伸次君) いま南大夕張との対比におきましての財政資金との関係がお話がございました。新鉱を開きましたこのときには、開発資金の融資実績を見ますと、これはいろいろ実は計算の仕方がございまして、開発資金の対象設備に対します融資の実績を見ますると、南大夕張については六二それから夕張新鉱については六四さらに有明については五三というような数字もございます。しかしながら開発全設備投資等について見ますると、ちょうどこのときに肩がわり制度等が実行されましたために、全体として見ますと、いま先生が御指摘のような南大夕張の資金が多くなったということが結果的に出てまいっておるわけでございますが、これはその肩がわりという一つの別の政策の観点でそのような結果に相なったわけでございます。
 夕張新鉱につきましては、これはときどき開発途上におきまして自然条件の厳しさとか湧水あるいはガス湧出等がございましたために工事がかなり難渋いたしまして、別に資金がかかったというような結果も開発段階ではあったわけでございますが、全体として見まして、いまいろいろな政策、制度等からいきまして、私どももこの新鉱開発に決して資金的に無理がある、あるいは手抜き工事をするというようなことのないような体制は準備をいたしてきたつもりでございます。まあ最近特にこういった事故が起こり、さらに昨年の火災事故が起こったわけでございますが、特に最近におきましては、いま申し上げましたように、私どもも十分いろいろな点に配慮しながら実はやってきたつもりでございます。
#164
○馬場富君 もう時間がありませんので、最後に一問だけ大臣に聞きまして質問を終わりたいと思いますが、この二千万トン体制について、通産が中心となってこの体制を進められてきた、これについては石炭鉱業審議会等についても、このガスも、深いところで掘らなきゃならぬ、こういうような状況の中で石炭の採取については大変危険性のあることを答申しておりますし、意見も述べております。今回これが一つの事故となって、このような悲劇が展開されたわけでございますが、再開を焦る余り再びこれを繰り返すようなことがあってはならない、こう考えるわけでございます。そういう点について、今後の石炭政策のこれから行われることに当たりまして、大臣として何を重点的にこの石炭対策に臨まれるか、この所信をひとつお聞かせいただきたいと思います。
#165
○国務大臣(田中六助君) 日本のエネルギー政策、総合安全政策というような観点から、石炭というものを石油の代替エネルギーの中枢として考えておるわけでございます。しかし、そういうエネルギー等は大事なものとは言いながらも、やはり人間の命というものには、これはかえられないと思います。私どもはあくまで安全第一主義、それをモットーとしてこれからも対処していかなければならないと心に誓っておりますし、そういう観点から今後の対策も進めていきたいというふうに考えます。
#166
○馬場富君 大臣に、あわせてですね、この問題はただ単に夕張新鉱が一会社の利潤のためにやったんじゃなくて、やはりあくまでも今回、国はエネルギー対策の立場から、また地域である夕張市が経済的な発展のためにも、また雇用安定のためにも一つは重要政策として取り組まれた問題なんですね。だから、大臣はいままでの答弁の中でも、また種々の回答の中でも、基本の中で大変検討してみえるとは思いますが、この点についての、再建の見通しについてどのようなお考えか、現在の時点に立って御答弁をいただきたいと思います。
#167
○国務大臣(田中六助君) 再建の見通しでございますが、石炭部長から、あるいはいろいろお答えいたしましたとおり、何回も私どもはチェックをした上で、災害があるたびにあるいは災害の前に、これでもか、これでもかというような方式で、実はこの夕張新鉱につきましては対処してきたわけでございまして、それが経営者に対してかえって大きな圧迫になった点もあるんじゃないかという反省もございますけれども、やはりその点はより以上私はしっかりした気持ちで経営者もやっていただかなければなりませんし、労働組合も、もちろんそうでございます。それで、それならどういうふうにしてやっていくかということでございますけれども、やはりこれは閉山ということを目標に置いて進めていくということは私としては考えていませず、何とか再開できる方向であらゆる諸条件をチェックしていくという考えでございまして、そこら辺の兼ね合いがいろいろむずかしゅうございますけれども、専門家の技術調査団とかいろいろなことも考えておりますし、そういう結果を待たなければなりませんけれども、基本の大きなバックボーンとしては、やはり再開ということを頭に描きつつ問題の解決を進めていきたいというふうに考えます、
#168
○小笠原貞子君 五月七日に当委員会で北炭の保安問題について私が質問をいたしましたとき、大臣が、何か事故につながるような予感もしますという御発言がございました。また、先ほども御発言あったわけですけれども、大臣もそう不安を感じていらっしゃる以上に、坑内で働いている労働者は自分の生命に関することでございますから、非常に不安を持っているということはもう申すまでもないことでございます。しかし、ただ不安があるというだけで、ただ言っていてもしようがない。具体的にどういう問題が不安であるのかということで実態調査をしょうではないかと山の仲間たちがアンケート調査をいたしました。いろいろな項目に分けてアンケート調査をいたしました。そしてその結果、「炭鉱の民報」という、こういう新聞を出しまして、そのアンケートの結果を三月の十四日、そして三月の二十八日というように連続出してまいりました。
 このアンケートの結果、ここに出ていますのは七項目にわたっての告発が載っているわけでございますが、これは共産党がやったからとか、共産党が一方的に言っているのではなくて、期せずして今度の災害において「赤旗しだけではない、これを言っていたその事実が、地元の新聞なり中央各新聞社がこのとおりの中身を出しているわけでございますね。そういうことで、三月にこのアンケート調査をいたしました。そしてその事実に基づきまして五月七日、私がここで質問をしたわけでございます。そしてまた、それだけでは足りませんで、七月に衆議院の小沢議員と私と、そしてこちらの関係の方の調査団を派遣いたしまして、そして私は女だから入れてもらえませんでしたけれども、小沢議員なんかも坑内に入りました。そしていろいろと実情を調査いたしまして、会社や保安監督局や通産局に、こういう心配があるというふうに言われているから、ぜひこれについて配慮をしていただきたい、十分注意していただきたいと。そして亡くなりましたわが党の田口市会議員も、その後また中央に出てまいりまして、中央本省にもこの保安についての具体的な問題についての対策を立てていただきたいということを申しましたし、また八月に衆議院の石特で小沢議員が同様にこの問題を追及をしているわけでございます。いまになってしまえばもう返らぬことでございますけれども、こうした事実を本当に受けとめて、そして手を打っていただいたならば、こういう事故にまで至らなかったのではないかということを私はもう本当にしみじみ考えさせられているわけでございます。
 先ほど大臣、はからずもおっしゃいました。この前のときもそうでございますけれども、二十数年、私は北炭の経営者の態度に先ほど率直におっしゃいました、不信感を持たざるを得ないということをおっしゃっておりました。そして自然条件が悪いということで心配なすっているということをおっしゃったわけでございますけれども、私たちはこういう事実に基づいて、そして調査をして、アンケートをとって申し入れをいたしましたところが、これが北炭の体質をあらわしていると思うのでございますけれども、これに対しまして私のところに抗議が参りました。こんなのは事実無根だという抗議が来たわけでございます。そのときに、北炭新夕張の鈴木常務取締役とそれから新鉱労働組合副委員長の木村昭夫さん、そして炭労中央委員で道炭労の事務局次長をしていらっしゃいます北川和夫さんと、三人で私のところに抗議にいらっしゃいました。これを取り消せ、こういうわけでございます。しかし私たちは事実を申し上げて、これについて対処してほしいということでございますから、私の方は取り消すわけにはいきません。そして、回答も私の方で申し上げました。そして、この間、山へ事故がありましてすぐ飛んでまいりました。林社長が開口一番、先生にいろいろ御指摘をいただいていたけれども、こういう事故になりまして申しわけございませんと頭を下げられたんですが、私に頭を下げられても事は済みませんと私はあのときに率直に御意見具申し上げたのになぜそれをお取り上げにならなかったか、それどころか私の方に抗議に来るとは何事だと、この抗議について取り消せということをはっきり申しましたら、林社長がまことに申しわけございませんでした、あのときの抗議は取り消しますと、こうおっしゃったわけなんです。こういういきさつから考えまして、私は本当にもうつらいですね。こういうことが仕方なく起こされ、自然に起きたんではなくてやはり予期せざるんじゃなくて、こういうことをやっておいてくださればここまでこないで済んだのではないかということをもう本当に痛感させられているわけでございます。
 それから、大臣に直接私お答えいただきたいと思うのでございますけれども、私きょうはこの黒と白の服しか着てくる気になれなかったんですよね。女だから感情的になるとおっしゃるかもしれないけれども、あの方たちのことを考えたら私は本当にいたたまれない気持ちでこの一週間北海道で過ごしてまいりました。この間、日曜日のテレビ討論会を聞いておりました。そしたら、大臣がそんなにベルが鳴って危険だったら逃げて出りゃいいじゃないかというふうな御発言がございました。私はあのとき本当に胸を突き刺されるような痛みを感じました。もう御承知のように、坑内で危険だからといって一人で飛び出せるようなシステムではございません。そんなことをやったらまた処罰になるばかりでございます。できることでない。あれはきっと大臣、口を滑らせてあそこまでおっしゃったんだと思いますけれども、死者にむち打つような、そんな危険があったら出ればいいじゃないかというあの華言葉だけは何としても私はきょう取り消していただきたいと、大臣どうぞお取り消しいただきたいと思います。
#169
○国務大臣(田中六助君) あれは前後の言葉があるんです。というのは鎖でつながれた奴隷のような現状ではないわけで、危険のブザーが、一・五以上はブザーが鳴るわけですね。そういうブザーを聞きながら作業をするというようなことがあるならば、それは直ちに働いている人は経営者なり、いまは職員組合どこでも自分たち自身の労働組合に訴えていいシステムになっておりますし、そういうことは私は率直に言って危険のブザー、メタンガスが一・五以上あってブーブー鳴っている中で作業をしておるということはいまだに考えられないし、信じていないんです。したがって、そういうことを言われましたときに、そういうことがあるならばみずから、自分の命が一番大切なんですから出て、言えばいいんじゃないか、今回のこともさることながら前からのずっと連続的なことを言っているわけでございまして、私はそれを指摘しただけでございまして、別に死者にむち打つというような精神は全くゼロ、全く皆無でございまして、その点ははっきり申し上げておきたいと思います。
#170
○小笠原貞子君 それはいまのお言葉で訂正になったと思います。あのとき聞いていましたらね、やはりそういう危険なところに働いていることはないと、だから奴隷じゃあるまいし、つながれているわけじゃないし、出ていけばいいじゃないかというような御発言になったんですよね。いまおっしゃったように、そういう事情があるならば、これはもう当然保安係員に連絡して、そして確認して上司に報告して、上司の調査と判断、指示というものを受けて行動しなければなりませんですよね、あの中に入っている者にとっては。だから短絡的にそれこそ、そういう危険なところで働いているんじゃなくて逃げればいいじゃないかというような短絡的な受け方をされました、皆さんにも。だからそういう点についてはそういう趣旨ではなかったというふうに御訂正になったというふうに私いまの御答弁承ったんですが、そういう御趣旨でございますね。
#171
○国務大臣(田中六助君) 修正した、しないはあなたの御自由な解釈でございますが、私の趣旨はただいま申し上げたとおりのことでございます。
#172
○小笠原貞子君 御趣旨としてはそういう意味ではなかったというふうにこれは客観的に私承っていきたいと思います。
 それでは質問に入らせていただきますけれども、今度の災害の背景を考えますと、やはり先ほどから言われておりますように生産第一、増産の姿勢というものが大きく横たわっていると言わざるを得ないわけです。三月の再建計画承認に当たりましてもこういうふうに言われているわけでございますね。これは三月二十日、石鉱害の経理審査小委員会でございますけれども、この中に五から七の方にかけてこう書いてございます。将来の不測の事態に備えて再建の早期達成を図るため、本計画を上回る企業目標を設定し、計画の超過達成に努めること。もはやこれ以上の支援はあり得ない。異例中の異例の措置をやってきているのである。計画未達成が生じた場合に企業みずからがその存続に関し経営上の責任を明らかにすべきであると。先ほどから聞いていますと、そんな無理しなくてもいいというようないきさつに伺ったけれども、そんなのであれば無理しなかったんですよね。しかし、ここに書かれておりますように、非常に厳しい指摘がされているということを私は指摘しなければならないと思います。強い指摘を受けました。ところが、五十六年上期で、先ほどから出ていますように生産計画から七万トン以上の減産でございますね。非常に増産計画を下げさせたにもかかわらず七万トン以上の未達成があるということで、今度は九月二十五日でございます、九月二十五日、これも石鉱害の経理小委員会でございますけれども、ここに林社長が呼ばれました、通産省から新たな指摘をされたと。具体的にどのような指摘をされたか。そして五十六年下期の実施計画は当初の計画より大きな変化があったのではないかと、こう思うのですけれども、どういうような御指摘をなさいましたでしょうか。
#173
○政府委員(福川伸次君) まず前段の御質問の三月の経理審査小委員会の点に関しましては、御指摘のとおりに、社内目標としてはこの再建計画を上回る目標を努力目標として置いて、できる限り会社の自立をして尽くしてもらいたい、こういうことは申してございます。先ほども申し上げましたように、五十年に幌内で災害があり、これが再建に向けて五十三年に再建計画ができましたが、半年ばかりいたしましてさらにこれをまた修正される、こういうことになってまいりました。関係金融機関からの莫大な支援も受けた、こういうことでございました。この当時も実は関係者の非常な努力によるので労使は一生懸命やってもらいたいということは実は関係者がみんなこいねがったところでございます。不幸にして災害、火災が昨年また起こりました。これをまた再建できるかどうかという点につきましては、実は正直申しまして各債権者はもうこれは無理だということを言ったわけでございます。それを先ほど申しましたような経緯でいろいろ会社も努力し、労働組合とも相談をし、また関係金融機関の説得をいたしましてつくった計画でございますので、私どもとしては、あるいは経理審査小委員会としてはぜひこれは達成をしていただきたい、これ以上債務も本当に相当膨大な支援を受けてやっておるものでございますから、今回のこの再建計画はぜひ実現をしてもらいたい、こういうことを労使にお願いをしたわけでございます。
 さらに九月の点につきまして、いかなる指摘をしたかということでございますが、九月の経理審査小委員会は主として上期の実施状況のレビューということでいたしまして、会社からそのような御説明をちょうだいをいたしたわけでございます。若干下期の計画等につきましてのお話もございましたが、これはまだ会社自身といたしまして十分下期の計画の見直しを計画の形で説明をするということではございませんで、まだこのとおり実行できるかどうかわからないがということでございましたのが下期五十八万一千トンという生産計画を持ってまいりました。しかし、これが果たしてどういう形で実施するかどうかという点につきましては、これのいい悪いということの審査をいたしたわけではございません。ただ、上期のレビューをいたしました段階で十二万トン程度の減産が見込まれる、こういうことでございましたので、当初計画がいま先ほど申しましたようなことでできておりますので、これは関係者の協力の上に成り立っておるのでその程度はぜひ実行してもらいたいという願いを込めまして、このような減産の事態になったのは遺憾だという表現は使っております。しかしそれと同時に、じゃなぜ下がったかということがむしろ問題でございまして、これを何もいろいろな事情を無視してただ増産をしろと、こう言ったわけではありませんで、計画未達の原因を徹底的に究明、反省してもらいたい。その上に立って保安の確保を図りながら生産技術面、労務管理面等に改善の努力をしてもらいたい、こういうことの指摘がしてございます。
#174
○小笠原貞子君 済みません、時間がありませんから簡潔に。大体もうわかっておりますから。
#175
○政府委員(福川伸次君) はい。それで後、私社長を呼びまして、もし技術面等で改善すべきこと、他にならうべきことがあれば幾らでもあっせんするから、いつでもなるべく早く言ってきてもらいたい、こういうことをしたわけでございます。長くなって失礼しました。
#176
○小笠原貞子君 いろいろおっしゃいましてね、まことにそのとおりだというふうに思われますけれども、そんな簡単なものじゃないんですよ。そんな温情あふれるような、そんなものじゃないですね。これは夕張新鉱労組の執行委員会の資料として私がいただいたわけですけれども、これがことしの十月十二日に出されているんですけれども、この中で、労使安定委員会というものがございまして、「労使安定委員会経過について」というのがここで報告されているわけです。ここの中に、労使安定委員会で、「冒頭林社長は、九月二五日の石鉱害経理小委員会、九月二九日の債権者会議に出席、昭和五六年上期の新再建計画の実施状況並に下期の実施見込みについて説明したが、上期の出炭不振等について稲葉、円城寺委員を初め通産、三井グループ、開発銀行、事業団より徹底的な指摘、批判を受けた。」と。これはもう大変なきつい批判ですね。いまおたくがおっしゃったようなそんなものじゃないんです。非常に強い指摘を受けた。だからこそ林社長は会社に戻るなり非常事態宣言というのを出そうとしたわけですね。そして災害の現場である北部第五盤下の、あの当初の計画の採炭開始が先ほどから言われているように三月予定を一月というふうに二カ月を早めているわけです。このことによって相当急ピッチで北部第五区域における掘進作業を強いることになるのではないかというのが一つの問題点でございます。それはどうお考えになりますか。決してそんななまやさしい指摘じゃない。厳しい指摘、もう大変な指摘をされているんです。だから掘進を早めなきゃならないというような大きな無理を強いることになったと思いますけれども、その点どうですか。簡単にね、もう時間がないんです。
#177
○政府委員(福川伸次君) 西の第二、第三、第四を想像いたしておりましたが、西の第二が断層があることがわかりまして、これを早期に撤収するということになりまして、主力を北に移していきたいということを会社は考えたというお話は承りました。それをこれから恐らく労働組合といろいろ相談をしながら、その具体化を図っていくわけでございます。いま、三月、一月の点につきましては、私どもは北の第五の第一切り羽はこれは十二月までに準備作業は終わって、しばらく二カ月ばかり予備切り羽を置いて、三月の出炭ということになっておりましたが、これを一月の出炭に繰り上げたということにつきましては、九月になったのではなくて、三月からそういう計画で実施をしておりました。もちろん予備切り羽を早く動かそうとしたということでございますから、その意味ではそれなりの作業の繰り上げ的な要素はないわけじゃありませんが、準備の完了というのは十二月末にできたということでございます。以後、第二切り羽、第三切り羽というものを順次恐らく北で準備をいたしていく計画でございまして、西の第二をやめましたものを早く撤収することになりましたその人を繰り入れまして、第二切り羽あるいは第三切り羽の準備を進めたいということを会社が考えたものと考えております。
#178
○小笠原貞子君 そうせざるを得ないということで会社もそう考えたんだというふうに思わざるを得ないわけですね。坑道ですから、そっちのものがこっちへ来て、一遍にざあっとやるなんて、そんなものじゃないですから、そんな簡単な説明じゃ私は納得いかないんです。
 時間がありませんから具体的にお伺いいたしますけれども、五十六年下期の掘進計画は何メートルになっていますか。
#179
○政府委員(福川伸次君) 岩石掘進につきましては、本来再建計画では三千五百メートル程度を予定いたしておりました。これを会社の方としては、下期には人員をふやすことによりまして五千五百メートル程度にしたいということを計画としては内々持っておったように聞いております。
#180
○小笠原貞子君 実施見込みは何メートルですか。
#181
○政府委員(福川伸次君) 会社自身としてこれを実施したいという数字でございます、
#182
○小笠原貞子君 それは何メートルになっていますか。
#183
○政府委員(福川伸次君) それが五千五百メートルばかりでございます。
#184
○小笠原貞子君 五十六年の下期の掘進計画は、岩石切り羽と、それから沿層掘進、これを合わせまして八千五百九十二メートルというような計画を立てているわけでしょう。それで、五千七百十四メートルというのが十月以降三月下期の計画になっているわけですよね、数字でね。そうすると、結局一・五倍掘らなきゃならないということですよね。これは非常に大きな数字ですよ。簡単に数字で言いますけれども、一・五倍、五千七百十四メートルのところを八千五百九十二メートル掘進しなければならないというと、これは一・五倍のスピードをかけなければならない。大変な作業になるわけですね。これはもう本当に、ちょっと考えても私は無理な生産を強要しているということに通じると思うのですよ。無理をして、そして十月から開始するという、そして十六日に災害ということになるわけですわね、経過的に言いますと。そういう無理に掘進させるためには、これは相当な人も入れなきゃいけないというようなことで、これを見ましても、三井建設株式会社の増員により急速掘進を実施というふうに、相当無理な掘進をやるということになるわけでございましょう。それを無理だというふうにお思いになりませんでしたか、こういうのは。
#185
○政府委員(福川伸次君) これは先ほど申しましたように、九月の下旬に持ってまいりました段階では、まだ、先ほど申しましたように五十八万トン程度の生産計画を前提にしたものでございまして、これはいま、当時会社としてはその時点でその程度実行をしたいということで考えておりまして、先ほど申しましたように三井建設等の人手を多くする、あるいは西の第二を早く閉めましたことによって、さらに掘進の人手を回していく、こういうことで会社としては努力をいたしたいということでございましたが、私どもとしてこれはまだすぐ、下期の計画として、あるいは計画の修正として認めるという段階まで会社の計画が煮詰まったものではございませんと考えておりました。これは私どもとしては果たしてこれが可能かどうかという判断をまだいたす段階には至っていない会社の実施の見込みであったわけでございます。
#186
○小笠原貞子君 そういう大変無理な、一・五倍掘進を進めなきゃならない、そういうために急速掘進を実施する。非常に急速にこれを進めなきゃならないということを会社がやはりやらざるを得なくなってきているわけですよね。それはもう先ほどから何度も言われているように、そんな、保安第一だよ、無理をしないで一生懸命やればよろしいよというのであればこういう無理な計画は立てなかったと思う。だけどもう呼ばれてきゅうきゅうやられてとなったら、保安を考えないわけじゃないけれども、やはり先行するのは、これをやらなければ山は残れないんだという合理化への協力の姿勢というものになっていったということは私は否めない事実だと思うのですよね。そして、これが今度十月から開始するわけでございますけれども、この組合の資料によってもこうなっているんですよね、北第五十尺上層上添え掘進再開についてですが、十月八日より掘進を再開する、こういうわけですね。そうしますと、このためには非常に不安な条件があるというので、再開するに当たって岩盤状態のよい個所にボーリング座を掘り、炭層状況を調査する、そして、ロング面の位置、炭層状況の把握検討の上決定する。排気立ち入りナンバー一と上添え分岐部は別手により拡大するというようにいろいろ調査をするという条件をつけてそして始めるということになっているわけなんですね。しかし、これがやられていなかったんじゃないですか。岩盤のよい個所にボーリング座を堀り炭層を調査するということを言っているんだけれども、それはやられていなかったのではないかというふうに私は思うのですけれども、いかがでございますか。
#187
○政府委員(福川伸次君) そのボーリング座をどこにつけたかという点につきましては、私ども把握をいたしておりません。また、これはまさに相当深部でやっていることでございますので、原因究明の過程でその辺は明らかにいたさねばならないと思っております。
#188
○小笠原貞子君 いま私時間がないからぱっぱと飛ばしながら言いましたけれども、言いたいことは、やはり事故は自然に起きたのではなくて非常に無理があったということを言わざるを得ないという裏づけで資料なども出したわけなんですね。
 それでは次に、原因というものをどう考えるかというふうなことからお伺いしたいと思います。
 一つに、事故の起きる、先ほどから話が出ておりましたけれども、一カ月前の九月八日にやはり北部第五区域で坑道三十メートルから五十メートルにわたって崩落を起こしたという事実がございましたね。それをお調べになった。その場所、原因、その対策をどういうふうになすっていらっしゃるか、簡単に御説明いただきたいと思います。
#189
○政府委員(神谷和男君) 御指摘の九月八日の崩落につきましては、九月九日巡回検査のために夕張新炭鉱に入山中の札幌の本局及び夕張監督署員に対して報告がございましたので調査をいたしましたが、主としてガス突出ではないかとの疑いから現場調査、ガス解析、データの検査等を行ったわけでございますけれども、ガスの異常湧出は認められていないということからガス突出ではないというふうに判断をいたしております。現場の状況は、坑道の下盤が軟弱でございまして、現場付近に断層の存在が確認されていること等から、断層の影響による盤圧の変化によって生じた崩落現象というふうに見ております。これに対する対策といたしましては、会社側といたしましては断層による地圧の影響に対応するため、まず断層の影響があると想定される個所の掘進については支保を強化して枠間を詰めて掘進をする。それから、枠と枠との間のつなぎを強化するといったような措置を講じたと承知しております。
#190
○小笠原貞子君 この九月八日の崩落というものが非常に私は重大な前触れというふうに考えざるを得ないと思うわけなんですよ。それで、これは先ほども言いましたけれども、九片十日の執行委員会でこの問題がやはり取り上げられているわけですね。その内容を先に私言っちゃったんですけれどもね。そのときに組合の説明、つまり会社側の見解と同じなんですけれども、断層のおそれがあるというふうに言っています。それから水が漏れていると。これは非常に大きな問題だということが言われているわけなんですね、組合と会社側との見解、考え方で。で、断層があるということになると、ガス突出のおそれがあるということも考えられるわけでございましょう。ましてや崩落場所が北第五十尺上添え上層というところで起こっていて、(図面を示す)これはもう御承知のとおりだと思いますけれども、この九月八日に起きたのは北第五上段ロング上添えというところで崩落が起きているわけですね。十六日のこの災害というのは、北第五盤下坑道の盤下立ち入りナンバー一のこの近所というふうにいま言われているわけですね。そうすると、ここを掘進していって、ここも掘進していって、ここをつなぐわけですね。そして、ここからこう入っていくわけでしょう。そうすると、ここの九月八日の場所というのはちょうどこれの上部に当たっていて、そして断層があってというような点から考えると、この事故というのを非常に簡単にガスをはかったら大丈夫でございましたというような調査で終わっているということが、私は非常に不安に思ったわけなんですね、この地図でずっと見ましてもね。
 で、そういうことから、これを再開するに当たって、先ほども言いましたように、ポーリング座を掘り、炭層状況を調査するというようなことをやって、そしてここのところから再開しようということになっていたわけなんですね。それがやられていないということなわけなんですね、その辺のところは非常に私は不十分だと思うのですけれども、どうお考えになりますか。
#191
○政府委員(神谷和男君) 御指摘のように、今回のガス突出の現場は、もちろん現場に立ち入ることができませんのであくまでも推定でございますが、先生御指摘のように、北第五盤下坑道からの立て入りナンバー一ロングゲート付近と推定されておるわけでございます。これが御指摘のような九月八日の崩落と関係があるかどうかという問題につきましては、これは基本的に原因究明を徹底的に行いませんと、いま軽々に、いろいろな現象が坑道の中で起きますので、それとこれがつながってこうなったのではないかというようなことを調査の段階で私ども申し上げるわけにはまいりませんので、原因究明を待って、御指摘のような点があるのかどうかも含めて、特に専門家の意見も聞きながら、解明いたしたいと思います。
#192
○小笠原貞子君 私たちいろいろ専門家の方なんかにも聞きましたけども、やはりここの事故と今度の事故というのが非常に関連性がある、危険があるというふうな見方をなすっていらっしゃる方がたくさんあるわけですよ。だから、今度、いまはそこまでは究明できないとおっしゃるだろうと思いますけども、これからの究明に当たって、ここのときの事故との関係を十分御留意いただいて究明をする必要があると思いますので、再度その点は確認しておきたいと思います。そういう立場で、そういう観点から……
#193
○政府委員(神谷和男君) きわめて重大な事故でございますので、私どもといたしましては、専門家の英知を集めていただきまして、関係される方々すべてのいろいろな御意見も伺いながら、原因究明に努めてまいりたいと思います。
#194
○小笠原貞子君 警察庁にお伺いしたいと思いますが、いま申しましたように、この崩落場所と今回の災害の場所とは今年じゅうにこうつながっていくべきところでございますね。当然この災害との関連というのは、いま私が言いましたように、重大な関心を持っていただきたいと思うのですが、この点について警察庁としても重大な関心を持って調査、捜査というようなこともお考えになっていらっしゃるとは思うのですけれども、その点いかがでございますか。
#195
○説明員(仁平圀雄君) 警察といたしましては、現在いろいろ考えられる可能性につきまして、すべてこれを対象にいたしまして捜査を進めているところでございまして、御指摘のような九月八日の事故につきましても当然念頭に置いて捜査を進めていく考え方でございます。
#196
○小笠原貞子君 次、二つ目なんですけれども、ガス突出現場のすぐ近くの北第五盤下立ち入りナンバー一で事故の起きる直前ですね、十五日、三番方に異常な出来事が起こっている。先ほども申されましたけれども、山鳴りが数回にわたって起きている。鐘のような異常な音という人もあれば、いろいろ表現ありますけれども、ドーンとかガーンとかと鳴り、現場労働者も大変すごい音であったというふうなことを言って発言をしております。さらにガス抜きボーリング中にガスの異常低下が起きているというのも、これも報道されているので、御承知のとおりだと思います。本来ガスの自噴で一定量あるガスがすうっと引いたというようなことも言われているわけなんですね。こうしたガス突出の前兆と言われている現象というものが十六日の一番方の直前に起きているということですね。その十六日の一番方の直前に起きているという、こういうものを御存じになっていたかどうかという問題をお伺いしたい。
 それから、ガス突出問題には非常に慎重に、できるだけ慎重にするという意味からも、現場労働者の指摘を受けたら当然取り上げて調べていただきたいんだけれども、これは結果的には会社の方でも無視されていたわけですね、そういう点から見ると、非常に私は会社としての責任は重大だというふうに言わざるを得ないのでございますけれども、いかがでございますか。十六日の一番方の直前に起きているのを御存じでいらっしゃいましたか。
#197
○政府委員(神谷和男君) 御承知のように、現地においては、先週末から今週にかけまして原因究明と捜査に重点を移行しつつある段階でございます。したがいまして、私どもといたしましては、いま先生の御指摘の点はまさに、いろいろ原因調査に当たって聴取し、取り調べ、あるいは整理しなければならない問題でございます。したがって、そういうものがあれば、技術検討委員会等で議論していただくわけでございますけれども、現時点において、われわれの方としてはそういう事実があったという報告は受けておりません。したがいまして、御指摘のような問題があったのかないのかという問題につきましても今後の調査にまつということになろうかと思います。
#198
○小笠原貞子君 まあ、先ほどから知らなかったとおっしゃってそういう御答弁になったとは思うのですけれども、やはり知らなかったというところがこういう問題を、急にガスがすうっと引いていったということは突出の前兆だというふうに、労働者は体で知っているわけだから、それを言ったにもかかわらず会社は取り上げなかった。当然監督官の方にも言わなかった。だから御存じないということにつながってくるわけでございますよね。そこのところがもういろいろと抜けちゃっているということなんですけれども、これは田中大臣が石特の委員でいらっしゃいました五十年の七月二十二日の議事録でございますけれども、ちょうど五十年の七月六日に北炭でガスが突出いたしまして五名亡くなりましたですね。そして、二泊三日で調査にいらっしゃいまして、それで大臣がこのときの報告をなすっていらっしゃるわけでございます。その事故がありまして御報告なさって、そして、その後会社と労働組合とで取り決めが行われているわけですね。
 それはどういう取り決めかというのは、たくさんございますが、ガスのボーリングに関してですけれども、ボーリング孔からの自噴圧の測定値が極度に変動のある場合、というふうに書いてあるわけですよね。こういうような場合は非常に注意しなければならないし、上記に該当するときには掘進を一時中止して、ボーリング座より前記個所まで坑道を包囲する十二本以上のガス抜きポーリングを実施する、こういうふうに五十年の五人死んだ、その教訓でこういうふうになっているわけなんですね。それが結局、知らなかったというようなことから、全くこれが行われていないということは、やはり私は、行われていなかったとすれば、一体どこに責任があるのか。この点も徹底的に追及をしていただかなければならない点だと思うのですが、いかがでございますか。
#199
○政府委員(神谷和男君) 私、知らなかったといいますか、承知しないという表現をとりましたが、知らなかったということは、あったにもかかわらず知らなかったということを申し上げておるわけではございませんで、あったかないかということをこれから調べると、こう申し上げておるわけでございます、したがいまして、あって先生御指摘のような状況になったら、ここはどこが手が抜けているのかというふうな点を調べ、対策を打たなければなりませんし、なくて事故が起きたのなら、ほかに何があるのかということを調べにゃいかぬと、こういうふうに思っております。
#200
○小笠原貞子君 それじゃ、労働者が何にもないのにガスが一時きっと引いたよというようなことをつくり話するはずないですよね。私は労働者の信頼の問題だと思うのだけれども、そういうことを言っているというこの事実、これをやはり私は大事にしてもらいたいわけですよ。一番具体的に命の危険にさらされている労働者でしょう。それで、下手に騒いだら会社がつぶれるということは百も承知ですよね。その中で労働者の、こういう心配があるという声は、私はそれを率直に受けとめなければ、もうあと何の教訓もおとりにならないと言わざるを得ないと思いますよ。だから、その点はっきり御調査もいただきたいと思います。
 警察庁にまた伺うのですけれども、この問題についても相当関心を持っていらっしゃると思うのですけれども、下請の方や現場の労働者の意見をお聞きになって御調査なさると思うのですけれども、いかがでございますか。
#201
○説明員(仁平圀雄君) 現段階では、捜査を始めたばかりでございまして、下請関係の方の事情聴取はどの程度行われているかわかりませんが、すでに警察といたしましては、百十四名の関係者から事情を聴取しておるということでございまして、今後、事件に関係あると思われる方々につきましては、逐次事情聴取をしてまいりたいと思います。
#202
○小笠原貞子君 三番目の問題なんですけれども、北第五盤下坑道で、十五日の三番方で、坑道を走る電車についているガス警報器がこれまた鳴りっ放しだということがございました。そして、現場の労働者が係員に聞いたら、これは移動式だから正確でない、心配ないと、こう言われているわけでございますが、これも厳正に、この事実があったかどうかを聞いて、なぜそういう処置をしたのかという点についての御調査をいただきたいと思います。これ、警察庁と両方に御答弁いただきたいと思います。
#203
○政府委員(神谷和男君) 御指摘の点につきましては、すべてやはり疑問と思われる点につきましては徹底的に調査をすることが必要と思いますので、そのようにいたしたいと思います。
#204
○説明員(仁平圀雄君) 警察といたしましても同様に考えております。
#205
○小笠原貞子君 保安を確保するためにということで補助金が相当出されておりますけれども、夕張新鉱に対する保安の補助金の内訳と金額、教えていただきたいんですが。
#206
○政府委員(神谷和男君) 五十五年度の夕張新鉱に対する保安補助金交付実績でございますが、八億五千三百万円でございます。内容は、ガス抜きボーリング、充てん、密閉、保安専用……
#207
○小笠原貞子君 もうちょっとはっきり言ってください、
#208
○政府委員(神谷和男君) ガス抜きボーリング及び先進ボーリング、充てん、密閉、保安専用機器、仕繰り拡大、以上でございます、
#209
○小笠原貞子君 それで八億。
#210
○政府委員(神谷和男君) 八億五千三百万円でございます。
#211
○小笠原貞子君 いま三つおっしゃったけれども、ガス抜きボーリングと先進とそれから仕繰り……
#212
○政府委員(神谷和男君) ガス抜きボーリング、先進含めまして二億五千万強でございます。充てん七千万、密閉六千七百万、保安専用機器四千六百万、仕繰り拡大四億一千七百万、以上でございます。
#213
○小笠原貞子君 ガス抜きボーリングの補助金ですけれども、この補助金がこれだけあるんですけれども、一メートル当たりにしますと幾らという単価になってまいりますか。
#214
○政府委員(神谷和男君) 五十五年度、メートル当たり千六百七十円でございます。
#215
○小笠原貞子君 ガス抜きボーリングの問題なんですけれども、この新鉱の場合下請がやっていますね、全部とは言いません、直轄もやっていますけれども。やはり下請にやらせるということは経済との関係で下請にやらしているということになるわけですよね。下請にやらした方が経済になるということになるわけですわ。そうすると、下請の方も仕事をもらってもうけなければならないということになりますと、これはやはりそこのところでもうけなきゃならないということから、ガス抜きでなくて手抜きが行われるというようなことが心配されるんですけれども、その点についてはどうお考えになっていますか。
#216
○政府委員(神谷和男君) ガス抜きのボーリングを下請にやらせることはなぜかということにつきましては、これは総合的にいろいろな点を勘案して行われるものと思いますが、一つにはやはり専門的で、下請の技術、経験その他を利用することが適切である場合もございましょうということで、一概に御指摘のような形になっておるのかどうか、私はやはり全般を総合して勘案されるものというふうに考えております。もちろん日本の経済におきましてすべて株式会社でございますから、やはり利潤を上げ、賃金を払うというために仕事をやっておるわけでございますが、それだからと言ってすべて手抜きになるということはあり得ないというふうに考えます。また、会社の方でも、あるいは監督局の方でもボーリングがどのように行われているかということは調査をしていくわけでございますので、下請にやらせたから即手抜きになるということには直ちにならないのではないかというふうに考えております。
#217
○小笠原貞子君 下請にやらしたから全部手抜きになるとは私言っていないんですよ。手抜きになるおそれがあるということを指摘しているわけですね。そうしたらあなたはそういうおそれはない、下請は技術が高いと、これは札幌の千歳で聞いたときもあすこの石炭部長さんもかえって下請の方が技術が高いんですよ、直轄よりも技術が高いんだと、こうおっしゃるの。北炭の直轄の技術がそんなに低いんだったら、これまた一つの問題ですよ。そこのところも考えてもらいたいと思う。そして、下請に出したから手抜きはあり得ないと、いまのところそう考えていらっしゃるわけですね。
#218
○政府委員(神谷和男君) 私も自分の答弁を振り返ってみまして、どう申し上げたかを完全にフォローするのはむずかしいんですが、下請に出したから手抜きはあり得ないとは申し上げておりません。下請に出したから直ちに手抜きになるということはないだろうと申し上げておるわけでございまして、したがって、この辺は事実関係を調べて、基本的には常時の検査で調べておるわけでございますが、何しろ事故が起きたわけでございますから、事故の原因究明の中からボーリングがどうであったかということはよく調べなければならないと思っております。
#219
○小笠原貞子君 いま忙しいからすぐには調べられない――だから私が言いたいんです。こういう問題はいま始まったことじゃないんですよ。それで、あなた、この問題調べると言うけれども、どういう調べ方なさいますか。下請の人に直接話を聞くんですか。会社から聞くんですか。どういう調べ方なさる。
#220
○政府委員(神谷和男君) まず基本的には、従来御説明しておりますように、この山にはほかの山の三倍以上検査に入っておるわけでございます。したがいまして、常時われわれといたしましては調べられることは調べておるわけでございまして、ただ今回事故が起きましたので、その原因究明のためにはさらにいろいろな問題、直前の問題等も調べなければならぬ、そのためにどう調べるか、これは保安監督局長の判断と、さらには警察当局と私ども一緒になって現地の検事の指揮を受けながら捜査活動も行っておるわけでございますから、その判断によるわけでございますが、当然のこととして考えられる事情はすべて調査し、調べられるものはすべて調べる、こういう考え方だろうと思います。
#221
○小笠原貞子君 下請の問題はいろいろ問題があるわけですよね。そして、これはいま始まったことではないんですよ、この下請の問題というのはね。非常に心配されている問題なんです。たとえばいまポーリングの問題についても手抜きがあるとは考えたくないというお考えですよね。まあそんなことはないだろうというふうにお思いになっていらっしゃるところが問題なんですよ。事実を御存じないということなんですよ。だから、おたくが御調査なすっても、この前の五月七日の委員会で言いましたけれども、たとえば監督官が二月二十六日から四月の三十日までに厳重に注意をされている、勧告をされているんです。何回やられたかと言ったら八回厳重注意、勧告をやられているんです。八回やられて、勧告を受けた次の日とか次の次の日とかその日とかに八人死んでいるんですよ。だから、労働者は言っているんです。お役所が監督に来たって会社は馬耳東風と受け流すと、そしてお調べになるのはその会社からお聞きになる、そしてできた書類でお聞きになる。本当にその中で自分の命をかけている労働者の本当の声を聞いたことがないと言うんです、聞いてくれないと。こういうのが労働者の本当に男泣きしながら訴えられることなんですよ。ガス抜きボーリングも、どこの組のだれが――自分でガス抜きボーリングをやっていて、五十メートルやらなきゃならないんだけれども、私自身それだけやってないと証言する人いますよ、そんな事実知っていますか。そういうことがあると思っていらっしゃいましたか、いままで。
#222
○政府委員(神谷和男君) 具体的に自分でこれしかやらなかったという証言があれば、これは私どもの監督官なり警察の捜査本部の方によく御説明をいただきたいと思います。私どもといたしましては、やはりガス抜きが十分でなければこういう深部においてはガス突出が起きるわけでございますので、それが会社の経営全体を覆すような状況になるわけでございますので、会社が下請にそのまま任せるというような状況は通常であれば考えられないと思いますし、私どもの監督官も書面によって調査しておるだけではございませんで、御承知のようにプロジェクトチームを組みながら全坑検査を行っておるわけでございます。したがいまして、それによってなお見出し得ないものがあったのかどうか、これは原因究明が完全に終わらぬときに胸を張って申し上げるべきものではございませんので、私どもは調査の結果を待って問題点があればそれを解明し改善していく努力を続けていかなければならないと思っております。
#223
○小笠原貞子君 あと五分しかございませんけれども、先ほどから自主保安が基本だとおっしゃいました。確かに自主保安が基本だと思いますよ。だけれども、自主保安ができるような関係にあるかないかという、そこまで目を配られたことがありますか。
 労働者がいろいろと悩みを持ってアンケートをとったり、そして私らが聞いたらいっぱい出てくるんですわ。だけれども、それがなぜいままで出てこなかったんですか。そんなことを言ったら自分の職場を追われるんですよ。おまえは合理化に反対だ、山つぶす気かというふうに言われるんです。だから、言えないんですよ、いままで。だから、われわれの調査に対してあれだけたくさん出てきた。そしたらこれは共産党の一方的だというふうな見解を大臣もおっしゃった、しかしどうです、先ほども言ったように、今度の事故で各社が全部行って聞いて書いているじゃありませんか。なぜ今度はあっと各社が取材できたか、私は現場にずっと一週間行っていてわかりましたよ。もう現場はてんやわんやですよ。てんやわんやの中だから、どの新聞社がだれに聞いたなんてだれもチェックできないですよ。だから、本当の声が聞けたんですわ。あなたいまそういう人がいたら通告してくれればちゃんと調べるなんて、通告したらその組は仕事をもらえなくなりますよ。そしてその人は働けなくなりますよ。というような状態だということさえも御存じないとすれば、私は非常に残念ですね。非常に不安ですわ。この後また何度も何度も再びこういうことがないようにと災害のたびにおっしゃるけれども、何度出したんですか、こういう災害を。私はその責任を本当に遺族の立場を考えたら声を荒くして追及したいと思いますよ。労働者の本当の生の声を聞いてないじゃないですか。下請のどんな苦労があって、どんな仕事をしているかということだって本当につかんでないじゃないですか、その立場しっかりやってもらいたいと思います。
 時間がございません。最後に会計検査院の方にお伺いしたいと思います。
 補助金が出されておりまして、補助金が出されていることについて会計検査院としてはそれは当然正当に使われているかどうかということをお調べになったと思いますが、いつ、どういうお調べをなさいましたでしょうか。
#224
○説明員(大西実君) 北炭夕張炭鉱株式会社の実地検査につきましては、本年六月に四名をもって二日間実施いたしました。ただいま御指摘のガス抜きボーリングにつきましては、その際化の補助金、貸付金、そういったものとともに会社の書類等によりまして経理の面から検討いたしました。その結果でございますが、特に指摘した事項はございませんでした。
#225
○小笠原貞子君 会計検査院としてはそういうふうにお調べになったと思いますけれども、これは坑内に入って実地に調べるというわけにいきませんね。ガス抜きボーリングしちゃった。それで後からとういうふうにやられたかなんて、つぶれちゃっているかもしれないし、一々坑内へ入って五十メートル掘ったところに物差し入れてはかるなんというわけにもいかない。そうすると出てきている報告書、書類で調査するということで全力を挙げていただくということになるわけですけれども、ここのところも私はまた一つ非常に心配なんですね。そういうことをやるときには会社もよく知っています。時間がないから言えませんけれども、下請と会社とどういうふうな関係でどういう契約をしているかというのもずっと調べてみれば大変驚くことがございますけれども、そうしますと、先ほど大臣がおっしゃった、この会社の経営体質というものに不信感を持っていると。まさに大臣が不信を持たれるような中身が蓄積してきているわけです。
 だから、もう時間がございませんので、最後に大臣から御所見を承りたいと思うのです。私がいろいろ申し上げました点について、本当に自主保安というならば自主保安ができるような体制になっているかどうか。そしていろいろと問題が起きてきたけれども、一つ一つがチェックされていなかったという問題についても、また補助金に対しての会計検査院の、それこそ全力挙げてやってくだすったと思うけれども、やはり書類面での検査しかできない、実際の場合にはきちっとした具体的な検査もできないというような隆路もございます。それらの問題についてどう考えていらっしゃるかということを含めて御所見を承って終わりにしたいと思います。
#226
○国務大臣(田中六助君) 小笠原委員がおっしゃるように、警報は鳴りっ放しで作業をさせる、あるいはガス抜きのボーリングは手を抜いておる、あるいは崩落があって、それに関連して何ら対策をとっていない、そういうデータが全部真実ならば、この再開というようなものは専門家でなくてもこれはだめです。したがって私どもは、それがまず事実かどうかということ、それから働く人が自分の生命を大事にしなければならない立場で、警報は鳴りっ放しで、ガス抜きは全然手を抜いて、それでも働かなければいけないという環境がこの炭鉱にあるとするならば、それこそ二十世紀の後半で、しかも日本においては重大問題です。したがって私どもは、それが事実かどうかという判定は、当然事実とは考えられません。したがって、十分その点も確かめた上で対処していきたいというふうに思います。
#227
○小笠原貞子君 最後の一言。
 いや、いま大臣は本当に短絡していますね、いまの言葉。崩落があったって調査は全部やってない、ガス抜きも全部やってないで手抜きをやっていると、私はそんなこと言っているんじゃないですよ。そういう事実があったということを言っているのです。いま大臣の言うそんなすごい山だったらもうどっかへ飛んでいますよね、そういう受け取り方をなさるんなら。その辺はあんまりそう短絡しておっしゃらないで、私が言ったことをきちっとお考えいただいて、そして事実を究明していただきたいということを重ねて申し上げて終わりたいと思います。
#228
○委員長(降矢敬雄君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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