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1981/11/26 第95回国会 参議院 参議院会議録情報 第095回国会 商工委員会 第5号
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1981/11/26 第95回国会 参議院

参議院会議録情報 第095回国会 商工委員会 第5号

#1
第095回国会 商工委員会 第5号
昭和五十六年十一月二十六日(木曜日)
   午前十時五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月二十日
    辞任         補欠選任
     馬場  富君     多田 省吾君
 十一月二十六日
    辞任         補欠選任
     川原新次郎君     平井 卓志君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         降矢 敬雄君
    理 事
                上田  稔君
                前田 勲男君
                村田 秀三君
                市川 正一君
    委 員
                岩本 政光君
                大木  浩君
                金丸 三郎君
                川原新次郎君
                楠  正俊君
                斎藤栄三郎君
                松尾 官平君
                森山 眞弓君
                阿具根 登君
                青木 薪次君
                高杉 廸忠君
                田代富士男君
                井上  計君
   政府委員
       通商産業省基礎
       産業局長     真野  温君
       通商産業省生活
       産業局長     志賀  学君
       資源エネルギー
       庁公益事業部長  石井 賢吾君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
   参考人
       社団法人日本ア
       ルミニウム連盟
       会長       松永 義正君
       日本製紙連合会
       会長       田中 文雄君
       産業構造審議会
       紙パルプ部会長  辻村江太郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (アルミニウム産業及び紙パルプ産業の現況等
 に関する件)
○灯油価格の抑制等に関する請願(第二四七号外
 二件)
○休廃止鉱山鉱害防止対策の促進に関する請願
 (第八七二号外一件)
○大規模小売店舗法等の改正に関する請願(第八
七八号)
○アルミニウム産業に対する行政指導に関する請
 願(第一三八四号外九件)
○大型店出店規制強化の反対に関する請願(第一
 六二二号外一件)
○継続審査要求に関する件
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(降矢敬雄君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十日、馬場富君が委員を辞任され、その補欠として多田省吾君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(降矢敬雄君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。
 本日は参考人の方々に御出席をいただき、わが国の基礎素材産業部門、とりわけそのうちの代表的業種であるアルミ及び紙パルプ産業の現状と問題点について調査を進めてまいりたいと存じます。
 本日御出席の参考人は、社団法人日本アルミニウム連盟会長松永義正君、日本製紙連合会会長田中文雄君及び産業構造審議会紙パルプ部会長辻村江太郎君、以上三名の方々であります。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、皆様には御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。御周知のとおり、今日の日本経済は高度経済成長期から安定成長期への移行に伴う産業構造の変化、相次ぐオイルショックによる石油価格、原材料価格の高騰、あるいは急速な技術革新の進行などにより大きな変動の時代を迎えております。このような中にあって、わが国の基盤産業とも言うべき基礎素材産業部門、とりわけアルミ、紙パルプ産業が現在どのような状況に直面しておるのか、また今後どのような対策を講じていったらよいのか等々につきまして、皆様方の忌憚のない御所見をお聞かせ願いたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 つきましては、会議の進め方について申し上げます。まず、参考人の方々から順次それぞれ二十分程度の陳述をお願いし、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 それでは、まず松永参考人にお願いをいたします。
#4
○参考人(松永義正君) 日本アルミニウム連盟の会長をしております松永でございます。同時に、日本軽金属の社長をしておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、ただいまからアルミニウム産業の現状につきまして、特に当面問題のありますアルミニウム製錬業につきましてお話を申し上げたいと存じます。
 まず結論から申し上げますと、わが国のアルミニウム製錬が直面しております問題は、エネルギーコスト高に尽きると言って過言ではないと存じます。本日は、まずエネルギーコストの問題と、その結果生ずる外国からのスポット地金の輸入圧力及び製錬業界の業績悪化の実態について申し上げ、最後に国内製錬存続のための必要な対策について御願い申し上げたいと存じます。
 アルミニウム一トンつくりますには、世界一原単位のすぐれているわが国で約一万五千キロワットアワーを使います。アメリカやカナダの先進国でも約一万七千五百キロワットアワーの電力を使っておりますので、日本の原単位は非常にすぐれているわけでございます。
 まず、お配りした資料の一ページ目に電力価格の国別の比較を差し上げでありますが、わが国の電力は飛び抜けて高いのであります。電力の国際比較の数字としまして、お手元には差し上げてございませんが、ことしの五月に開かれました国際アルミニウム製錬協会――われわれIPAIと申しますが、で発表されました数字によりますと、自由世界のアルミニウム製錬に使われております電力の平均価格が十八・五ミルと言われております。これを現在の二百二十円の為替レートで掛けてみますと、円換算一キロワットアワー四円ということでございます。これに比べ、わが国の電力費は重油火力で十六円ないし十七円、あるいは水力まで入れました全体の平均価格で約十五円となっておりますので、大きな開きがございます。
 一ページに製錬用電力の電源別構成比を差し上げでありますが、よその地域あるいは自由世界平均に比べて日本では石油への依存比率が高いのが特徴でございます。この結果、現在の国産地金のコストはトン当たり約五十一万円程度となっております。御承知のとおり、海外からのスポット地金に押されまして国産地金が在庫に積み上げられていくという状態が現在も引き続いておるのでございます。
 次に申し上げたいことは、それでも国内製錬はどうしても必要だということでございます。これは、さきの産業構造審議会アルミニウム部会の議論の出発点として、ユーザーの立場からも、一定規模の国内製錬はぜひ必要だと強く主張されたのでございます。国産のアルミニウム新地金でなければ製品の品質を守ることができない、そういう関係のものが昭和六十年の需要の中で約四十万トンあるという具体的な指摘もございました。わが国の製錬技術は世界でも最高の水準にあり、きめ細かい現場の操業と相まって電線用、箔用または印刷版向け、あるいは表面仕上がりを重要視するその他の圧延製品などでは、ユーザーさん御自身国産地金でないと困るという主張があったわけでございます。このほか、納期の保証など輸入に頼り切ることは問題があるというような部分を加え、かつ二ページにございますような国内製錬の役割りを考慮いたしまして、昭和六十年度の新地金需要の三分の一程度はどうしても維持するべきだという答申になったのでございます。
 次に、海外スポット地金の輸入圧力について申し上げます。
 わが国の製錬業がエネルギーコスト高によって疲弊すると申しますのは、結局、海外のスポット地金が市況の緩んだ時期にどっと流れ込んで、国産地金が売れなくなってくるからでございます。この圧力の中で最近最も顕著な例はアメリカからの輸入であります。アメリカは本来アルミニウムの輸入国というポジションに立っているのでありますが、内需の低迷と高金利政策が重なって余った地金を日本に向けてきたのでございます。これが量的にきわめて多いことが問題でございます。五十三年度にはわずか八万トン弱だったのでありますが、五十五年度には実に三十五万トンもアメリカから入ってきたのでございます。
 そういたしますと次の問題は、このようなスポット地金の圧力をはねのけて国内製錬七十万トン体制は維持できるのかという点になろうかと存じます。一つには、産業構造審議会の見通しにもございますように、世界的に新設工場のコストが次第に高くなり、華々しく打ち上げられた新設諸計画が最近になって延期もしくは中止となるケースが出てまいりました。したがって、今後アルミニウムは世界市場においてタイトになっていくということが予想されます。このような環境はあるにしましても、七十万トン体制を守ることはまことに容易なことではございませんが、業界の努力に加えて、当面の危機救済策が実現すれば、見通しはございます。
 第一に、業界は以前から開発輸入に力を入れておりまして、エネルギーコストの安い海外において海外工場を合弁で建設することによって国産品と合わせた全体の平均コストを国際価格に近づけるような努力を続けております。昭和六十年には、製錬会社の開発輸入と長期契約輸入が約六十五万トン程度になる計画でございます。この量はすなわち国産量と同じ程度になるということでございます。ここで当面の危機的状況を切り抜けるための支援策がもしいただければ、私どもの試算では、ほかのいろいろの努力とあわせて経常収支では六十年度からとんとんの線になると見ております。
 ほかの努力と申し上げた中で大きなものは、エネルギー源を重油から石炭に転換することでございます。このエネルギー転換によって電力のコストを三円程度下げることができます。さらにユーザーの御協力あるいは関連グループ会社の支援、協力も見逃すことはできません。国内での取引価格は国際標準価格に比べてやや高目で買っていただけるという協力もいただいております。余剰人員の吸収、金融支援など関連グループの支援態勢もでき上がっております。しかし、業界は今年度六百五十億円程度の経常損失を出す見込みであります。五十六年度末の累積損失は九百億円ないし一千億円に達するものと思っております。このような非常事態にあるわけでございます。
 さらに、現在までの段階におきまして百六十四万トンの設備から百十万トン体制に来るまでに約五百十億円の設備費用が予定されております。また、新たに百十万トンから七十万トン体制に移行するために約四百五十億円の処理負担が加わるわけでございます。合計で九百六十億円という実際考えてもぞっとするような巨額の費用がかかるわけでございます。したがいまして、当面昭和六十年あたりまでの危機的な状態を回避するために諸対策をお願い申し上げているわけでございます。電力コスト低減並びにアルミニウム地金関税割り当て等の諸対策でございます。
 中でも開発輸入及び長期契約輸入メタルの関税免除を目途としたアルミニウム地金関税割り当て制度の導入は地金長期安定輸入の促進、国内地金コストの低減あるいは巨額の設備処理負担の軽減に役立ち、アルミニウム製錬業が自立の基盤になることを十分御理解いただき、実現方御配慮いただきますよう、切に切に切望する次第でございます。せっかくの機会を設けていただきましたことについてわれわれ一同大変感謝しております。
 最後に、自立を確かなものにするために諸対策の具体化をお願い申し上げまして、アルミニウム製錬業を代表いたしまして私の発言を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#5
○委員長(降矢敬雄君) ありがとうございました。
 次に、田中参考人にお願いをいたします。
#6
○参考人(田中文雄君) ただいま御指名を受けました日本製紙連合会長の田中でございます。
 本日は貴重なお時間をちょうだいいたしまして紙パルプ産業の現状や問題点についてお話し申し上げる機会を与えられましたことに対して厚くお礼申し上げます。
 わが国の紙パルプ産業の出荷額は、その加工品を含めますと年間約六兆円で、製造業全体のほぼ三%を占めております。このうち加工品を除く狭義の紙パルプ産業の出荷額は二兆七千億円で、企業数約五百十社、従業員約七万人でございます。製品としての紙・板紙の需要は、大別すると、新聞、出版、教育、事務用等の文化用、情報媒体や放送用、段ボール箱、袋等の産業用、トイレットペーパー、ちり紙等の家庭用と国民生活のあらゆる分野できわめて重要な機能と役割りを担っている基礎資材であります。
 昨年のわが国の紙・板紙の生産量は約千八百万トンで、米国に次いで世界第二位、世界の総生産のおよそ一〇%を占める枢要な製紙国であります。また、昨年の紙・板紙の国内需要は約千八百万トンでありましたが、このうち輸入は約二・八%、輸出が約三・六%であることからおわかりのように、わが国の必要とする紙・板紙の需要のほとんどを国産品によって安定的に供給し続けてきました。
 紙・板紙の主原料は木材パルプが六〇%、故紙四〇%となっております。パルプのうち約一五%は輸入し、八五%を国内生産しております。しかし、パルプを生産するための木材チップはその四五%は海外から調達しておりますので、紙・板紙の主原料のおよそ三分の一は輸入に依存しております。
 また、主原料のほか大量にエネルギー等を使用しますが、その大部分が輸入に依存しているにもかかわらず、世界第二の生産国となった背景には、設備、技術の進歩と、未利用広葉樹や廃材チップ使用技術の開発、故紙の高度利用に成功したからであります。特に日本の製紙技術は悪い原料から良質の紙を製造する、そういう技術と公害対策は世界第一というふうに言われております。
 次に、紙パルプ産業の現況について申し上げます。
 第一次オイルショック以来、わが国経済は低成長経済へと軌道修正されつつありますが、わが国の紙パルプ産業は、一時的仮需に刺激されて必要以上に生産設備を拡大したところ、実需は従来の伸び率が半減したため過剰設備が顕在化し、製品価格は大幅に下落する反面、原燃料は高騰し、また減産や在庫増による費用負担が増高する等によって企業収支は大幅に悪化し、倒産や経営危機を招くなど大きな打撃を受け、また今夏を中心に七十七社、延べ十六万人を対象に一時帰休制の実施を強いられるなど、かつてない苦境が続いております。
 現在わが紙パルプ産業は戦後最大の不況局面にありますが、このような状況に立ち至った背景にはおおよそ次のような要因があったと考えております。
 その一つは、紙・板紙の需要の低迷が著しいということであります。わが国の紙・板紙の需要の伸びは三十八年から四十八年までの高度成長期では年平均九・八%でしたが、石油危機後の四十八年から五十五年のそれは一・八%と大幅に低下していきました。このような縮小傾向は国民経済の減速化とその需要構造の変化による影響もありますが、紙自体におきましても、この間、包装の簡略化、軽量化、グレートダウン、その他工業製品への代替等が進んで、紙の使われ方にも変化が生じてきたことによるものであります。
 その二は、紙パルプのコストに大きな比重を占める原燃料費の高騰を挙げることができます。石油危機を契機にエネルギー価格が大幅に持続的に上昇したことに加え、北米からの輸入木材チップの価格は、現地での建築不振から製材生産が激減したため、そのくず材から生産されるチップが需給逼迫し、五十五年四−六月期には前年同期比一挙に三倍近くに急騰し、それが内外の木材チップや故紙価格の高騰をも誘発し、紙パルプ企業の経営を大きく圧迫することとなりました。その後北米チップ価格は、多少需給の緩和を反映し、値下がりを見ましたが、依然高い水準にとどまり、コスト高の大きな要因となっております。
 第三は、過剰能力と過剰生産の問題であります。
 最近の紙・板紙の需要の基調は、さきに申し上げましたように、力強さに欠け、成長率が大きく鈍化してきましたが、このような事情の変化にもかかわらず紙・板紙の設備能力は引き続き増加が著しく、四十八年度比五十五年度には三〇%程度増加した反面、需要はその間一・四%増にすぎないという大きなギャップを生じました。
 その四は、自己資本率が低く、多くを借入金に依存している等、財務体質が脆弱なために不況に対する抵抗力が弱く、固定費の軽減を急ぐの余り、勢い生産の過剰を招きやすく、次いで市況の下落、企業経営の悪化といった悪循環に入ってしまったということであります。以上のような状況に対処し、現在次のような需給調整措置がとられております。
 まず、不況カルテルの結成でございます。需給、市況の悪化の著しい上級紙、コーテッド紙、クラフト紙の、紙の主要三品種について、独禁法による不況カルテルを本年五月及び六月より実施し、減産によって需給の早期立て直しに努めております。
 次に、通産省の行政指導による抄紙機の新増設抑制措置であります。過剰設備問題解決の一助として、本年九月、紙・板紙抄紙機の新増設について、今後着工ベースで二年程度通産省の行政指導による自粛措置がとられることとなりました。
 最後に、業界といたしましての要望をお願い申し上げ、お力をいただきたいと存じます。
 第一のお願いは、十一月末期限の上級紙やコーテッド紙について、不況カルテルの延長方を再びお認め願いたいということであります。そういう手続を進めておりますので、どうぞひとつ御支援をいただきたいと思います。
 その理由は、いずれも在庫調整が十分でない上に、年末から一、二月にかけては紙の最不需要期に当たり、もしカルテルの支えが失われますと、再び需給の混乱を生ずるおそれが多いからであります。
 第二は、過剰設備の処理対策として特定不況産業安定臨時措置法の改正と、それまでの間政府の適切な指導によって需給の均衡を図っていくことをお願い申し上げます。
 すなわち、私ども業界では、当面の需給対策の円滑な遂行のほか、事態の本質的な改善のため業界内に組織を設け過剰設備の削減について検討を急いでまいりましたが、ようやく大筋としての方向が決まり、法の改正を待って健全な生産構造に改造することとなりました。
 第三は、資源エネルギーにかかわる問題であります。
 わが国の紙パルプ産業の原料基盤は脆弱であり、その不安定性を克服するため努力を重ねていますが、国際化時代に対応し、自立していくためには、まず原料取得構造の強化が緊急なことだと考えています。業界といたしましては、さきの通産省産業構造審議会紙パルプ部会の答申を受けて、成長がきわめて早い南方諸地域を中心に海外造林事業を実施し、資源ソースの多角化とその供給の安定を図ることといたしております。
 しかし、この種の事業は長期、多額の資金を要し、またリスクも多い実情でありますので、たとえば政府間投資保証協定の締結や海外投資保険制度の拡充強化、長期で低利な政府融資の道を切り開いていただけるよう希望しております。
 また、エネルギー問題につきましても、いまや紙・板紙の出荷価格の約二〇%程度を占める重要なコスト項目でありますので、業界といたしましても、省エネルギーやエネルギー転換努力を不断に続けておりますが、C重油価格がその他の油や国際水準に比較して不当に高いので、適正な水準まで引き下げる等、政府の御高配を願っております。
 以上、私どもの業界は自助努力を重ねて活力を取り戻す覚悟でありますが、ただいま申し上げましたとおり、異常事態克服のためには政府並びに国会の実効的、適切な支援措置をぜひともお願いしたいと考えておりますので、何分よろしくお願いいたします。
 大変御清聴ありがとうございました。
#7
○委員長(降矢敬雄君) ありがとうございました。
 次に、辻村参考人にお願いをいたします。
#8
○参考人(辻村江太郎君) 産業構造審議会紙パルプ部会長をしております辻村でございます。
 それでは、現状と問題点について申し上げます。
 ただいまお聞き及びのように、紙パルプ産業はわが国の経済におきまして、生産額で申しますと製造業の中の三・一%を占めております。そして、従業員数で申しますと約二・七%、それから生産額並びに従業員から見ましても紙パルプ産業はわが国の産業の中で重要な地位を占めておりますけれども、そればかりでなく、この紙パルプ産業が日本の産業全体の中でどのような地位を占めているかというのを、やや専門的でありますが、産業連関表の感応度係数ではかってみますと二・二六という数字が出てまいります。この数字は一より大きいということが、他産業とのかかわりが深いということを意味いたしますけれども、この二・二六という数字は製造業の中では基礎化学製品に次いで第二位の数字になります。つまり、ほかの産業とのかかわりにおいて紙パルプ産業というのは重要な位置を占めているということであります。そういう意味で、紙パルプ産業は日本の文化並びに経済の発展と密接な関係を持っておりまして、その安定的な発展は国民生活の安定向上のために欠くことができないというふうに言えるかと思います。
 現状と問題点について申し上げますと、これは産業構造審議会紙パルプ部会の答申にも盛ってありますけれども、紙パルプ産業の状況は、先ほどお聞き及びのように、ただいま苦しい状況にあります。
 その一つは、供給が需要を超過しているということでありまして、在庫がふえて、そして価格が低落しているということ、そのために各企業の経営が苦しくなりまして、倒産とか経営危機というようなものが表面化してきているということであります。その状況を数字で申し上げますと、在庫が、昭和五十四年度には七十九万トン強、それから五十五年度になりますと百二十四万トン、ことしの前半では百十万トンというふうに在庫がふえております。そして、経営の動向を売上高の経常利益率で見ますと、昭和五十四年度は二・三%でありましたけれども、それが五十五年度には一・三%に低下しております。そして、今年度の上期の見込みでは、赤字に転落するということが予想されております。
 このように直接に見ますと、供給が超過していて経営が苦しいということでありますけれども、これの一つの原因といたしましては、先ほどお話がありましたように、原料価格の上昇があるわけです。で、主要な原料のチップの価格で見ますと、単位当たりで見まして、昭和五十四年には五五ドルであったものが、五十五年に百三十七・五ドル、そしてことしになりますと百一・八ドル、やや下がっておりますけれども、以前に比べますと非常な高騰ということになっているわけであります。このように原料価格が高騰しますから、当然これはコストが圧迫されるわけでありまして、先ほどの需給関係とのつながりで経営が苦しくなるという一つの原因になっております。
 それではその供給超過の原因が何にあるかということでありますけれども、これも先ほどのお話に出てまいりましたけれども、生産の数量が需要に対してかなり超過してしまって、これは過去における設備投資が需要予測から見ると多過ぎたということになるわけであります。設備投資が大きかったために、これは金利の支払い等の固定費を増大させているわけです。固定費が増大いたしますから、操業度を下げますと、その分単位当たりコストが上がってしまって苦しい。したがって、無理にも操業水準を高く維持しようと努力するわけですけれども、それは結局市場に対する供給量を過剰にしてしまって値崩れを招くという形になっているわけであります。紙パルプに対します需要の伸びは、これも先ほどお話がありましたけれども、高度成長期に比べますと、ずっと需要の伸びが落ちるということは明らかなわけでありまして、現在の供給能力と比べますと、当分の間供給能力の過剰が続くというふうに見られるわけであります。
 そのような状況にありますにもかかわらず、先ほどお聞き及びのように、この紙パルプ産業は企業数が約五百十社というふうに非常に企業数の多い産業でありまして、ごく普通の意味での競争度というのがわが国製造業の中では非常に高い産業であります。つまり、多くの企業に市場が細分されておりますために、各企業の行動というのが市場全体の規模との関係でコントロールがきかないというようなところがあるわけであります。そのために市場全体としては設備投資意欲が、供給が過剰だということがわかっておりますけれども、個別の企業では設備投資の意欲が最近まで強くて、それはシェア競争の意識につながるわけでありますけれども、その結果として、産業全体としては設備が多過ぎる。設備が多過ぎますと、先ほど申しましたように、稼働率を維持するために供給が過剰になって値崩れするということを繰り返しているわけであります。このことは結局長期的な原材料の確保ですとか、あるいは国際競争力ですとか、市場の動向等につきましての明確な展望が欠けていたということからくるわけであります。
 そこで、今後の投資について考えますと、いままで申し上げましたように、設備能力をふやすような投資はしばらくの間できないという状況にありまして、結局この調整期におきましては、能力の増加を抑えて、そのかわりに、投資をする場合には、エネルギー節約のための投資とか、生産性向上の投資とか、研究開発等のそういう質的な向上を目的とする設備投資に重点を移行させなければならないということになります。言い方によりましては、このような状況は競争が行き過ぎているというふうにも見られるわけでありますけれども、第三者から見ますと、紙パルプ産業の経営というのがやはり長期的な視野を欠いていた結果だということにもなるわけでありますので、経営意識が変革されなければならないというふうな要素もあるわけであります。
 もう一つは、設備投資が、能力増投資が多過ぎるということは、今後の市況をさらに悪化させましてそして経営がより苦しくなる、そういたしますと、倒産などがふえる場合には失業発生の危険が高まるわけであります。ですから、失業発生を未然に防ぐためには現在の状況を何らかの形でやわらげなければならないということになります。一つは、先ごろ紙パルプ部会の答申で指摘いたしましたように、生産能力をふやすような投資はしばらくの間自粛するという形での行政指導が必要だ。これは先ほど申しましたように、企業数が非常にたくさんに細分されております関係上全体的な視野を一つ一つの企業が持ちにくいということから来るわけであります。もう一つは、原材料の安定確保という点で、この点で、たとえば海外の原木の資源を確保するというような観点についてやはり国家的な視野からの配慮が必要であろうということもあるわけであります。
 このように、現在の紙パルプ産業は苦しい状況にありまして、放置いたしますと企業倒産とか失業がふえるおそれがありますので、それなりの政策的な配慮が必要だということになります。
 元来自由経済体制のもとでは企業の自主努力というのが基本でありまして、むやみに政府が産業の動向に介入すべきではないという原則が一つあるわけでありますけれども、長い目で見て市場の競争性を確保いたしますためには、それに参加する企業が何とか生き延びていかなければならない。つまり競争と申しますけれども、それはリターンマッチのきく競争でなければならない。つまり、つぶれてしまいますとそれは競争の場面から消えていくわけですけれども、そのようなことが積み重なりますと、結果的には、究極的には競争性そのものが失われるということがあります。ですから、現在産業構造審議会紙パルプ部会がやっておりますような設備の新増設を規制するような行政指導というようなものは一種の、まあスポーツで言えばレフリーストップのようなものでありまして、ダメージがいき過ぎない程度に競争を維持させるという政策であります。自由競争とか自由貿易の原則というのが最も大事でありますし、その基本は個別企業の活力にあって、その自助努力にまたなければならないということでありますけれども、現在の状況では、これまで紙パルプ部会が答申いたしました程度の産業政策的な介入が必要であろうというのが現在の見解でございます。
 以上でございます。
#9
○委員長(降矢敬雄君) ありがとうございました。
 以上で各参考人の意見の開陳は終了をいたしました。
 これより参考人に対しまして質疑を行いますが、実は、質問者の持ち時間は参考人の御答弁を含めて十五分ないし二十分に申し合わせておりますので、参考人の方々には、要を得て簡にひとつ御答弁をいただければありがたいと存じます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#10
○阿具根登君 参考人の方御苦労さまでした。
 いまアルミとパルプの御説明を伺いましたが、非常に深刻な状況であることはわかりましたが、非常に深刻であるとはいいながら、アルミの会社を考えてみますと、六社の会社で、しかもエネルギーが中心になって外国との問題で非常に苦しんでおられる。一方紙パルプの方を聞いてみますと、五百十社というたくさんの会社があって、しかもこれは、エネルギー問題も主にはなっておりますけれども国内需給が中心になっておって、国内需給の減退で大変なことだと。それで双方の話を聞いてみますと、深刻さはいずれも深刻であるけれども、よって来るところはずいぶん違うんじゃないか、こういうふうに考えるわけです。
 それでまずアルミの方にお聞きしますが、問題はエネルギーの問題と関税の問題であろうと、私はこう思うんです。
 これは、エネルギー革命だと言われましたころ日本の石炭は五千五百万トンほどピーク時には出ておりました。それを政府の政策によって千八百万トン、いまは二千万トン程度ということになっておりますが、大体千八百万トンしか出ない、こういう状況になっておるわけです。そのときの第一の原因は何であったかと考えてみますと、油が安くて石炭が高いから石炭を極端にきらった。そして、もう徹底的に電力会社その他が油、油、油と言って油をエネルギーの中心にしてやってきた。そして今日になってまいりますと油が高くなったから石炭だ、こういうような状況になってきたわけです。
 それで、アルミの方ではアメリカのスポット物が一番日本に入ってくる場合に大きな脅威になるのだ、こう思っておるわけです。しかし産構審の答申を見てみますと、ことしはまだ百万トン台出ておりますが、それが五十八年には七十二万トン、六十年は六十五万トン、それさえどうかというような御心配があるようですが、そのためには関税は一体どうあるべきか――先ほどのちょっと続きになりますけれども、石炭の場合は、石油に対する関税を特別会計で油と石炭に振り分けでやってきた。しかし鉱山の場合は別なんです、鉱石に対して関税をかけなかった。だから国内の鉱石と大きな開きができた。それを、関税をかけてない利益を回して、そして鉱山を助けてきた、こういう状態になっておることは御承知のことだと思うんです。そうしますと、関税を後者の方にいま政府の方は考えておられると思うのです、これは通産省で後で説明を願います。これに対してどういうふうに会社はお考えをお持ちであるか、これをひとつお伺いしておきたいと思います。
 それから、いろいろ言っておられますけれども、やはり石炭に転換しなければならない。石炭転換するまでを一体どうすればいいのか。とすると、六社のうちに二社は石炭なり水力を相当使っておられるからそう深刻ではないと私は思っております。しかし、あとの四社というものは相当深刻な状態になってきはしないか。そうした場合に、電力は共同火力を使っておられて、これはほとんど油であるからコストが非常に高い。もともとアルミは電気のかん詰めと言われるくらいで、大体五〇%ぐらいコストに占めておると私は聞いておるわけです。そうした場合に、一体この問題をどう解決するか。石炭に転換するとしても相当な資金が必要であり、期間も必要である。しかし、そうしなければならないならば、一体政府に対してどういう御要求をお持ちであるかどうかということをお尋ねしたいと思います。
 まあいろいろありますけれども、次の方もありますし、私は往復十五分ですから、紙パルプの方にも今度はそれと別な意味でお尋ねを申し上げたいと思うんです。
 先ほど申し上げましたように五百十社ある。そしてまあ辻村会長さんのお話を聞いてみると、口ではおっしゃいませんけれども、何か、私たちが非常に苦しんだ時代がありまして、いまもそうですけれども、たとえば先ほど申しましたように、炭鉱はもう何百という炭鉱をまるでずたずたに切ってしまった。そのかわり莫大なやはり政府の協力資金を出していただいた。
 さらに、たとえば紡績ですね、紡績は、御承知のようにあの機械を二十数万円で政府が買い上げて、その機械を使わないように、あれはポンコツで全部ぶっ壊して買ったものです。そこまでやったことがございます。そういうことを考えてみますと、能力を抑えるんだ、抑えるんだという陰には何かそういうことを考えておられるんじゃないかという気が、ちょっと心配がしたわけなんです。これは国内の問題でございまして、外国から安い紙がどんどん入ってくる、アルミの材料みたいにどんどん安いのが入ってきて、日本の企業はつぶれるんだというのとちょっと違うような気がするんです。
 確かに、エネルギーの問題は、これはいろいろあります。C重油が高いとおっしゃることはよくわかります。それだけだろうか、自助努力ということもおっしゃいました。しかし、それだけだろうか、もっと何か解決の方法はないだろうかというような気がするんですが、私は、紙パルプの方もアルミの方も大体全国歩いて働く人からの意見を聞いております。その深刻さが身にしみておるからこういう質問をしておるわけです。どうぞひとつお答えをお願いいたします。
#11
○参考人(松永義正君) 阿具根先生からの御質問、アルミニウム産業についていろいろ御心配いただいてありがたいんです。
 三つの点にしぼられるのだと思いますが、私が冒頭に申しました問題は、やはりこれは技術もいいし原単位もいいのですが、電力価格にしぼられるわけでございます。したがいまして、電力価格をどうするかということに一にかかるわけですが、現在までのところ、われわれもいままでのように昼夜間フラットに使うということを、今回からは技術的に非常にむずかしいことでございますが、アルミニウムの湯というのは溶融塩と言いまして、しばらくしますと固まってしまう、そういういわゆる水のようなものでなく固まるということで、なかなか技術的にむずかしいんですが、まああえて昼間を少なく使う、電力会社のピーク時を少なく使うとか、あるいは夏のような非常にシャープなピークのときには全停電するとか、そういうようなことで今度やっていただいたわけでございます、電力会社との協力において。
 もう一つは、共同火力でございますので、われわれの共同火力の、たとえば、五〇で使うという約束のものが、われわれの生産量が減りますと五
○が二〇なり一五になるということですからそこに空き間ができるわけでございますので、空き間を電力会社に使っていただきたい。電力会社はもうどんどん設備投資しているぐらいですから能力を増強しなきゃならぬ。その空き間を使っていただくことによってわれわれの五〇負担していた固定費を、空き間を使っていただいた分を負担していただくと、そういうようなことが今回の電力会社とのメモでやっておるわけですが、基本的にはやはり電力の料金体系の見直しとか、先ほど田中さんがおっしゃったように、油の価格体系の見直しとか、特にC重油の問題の価格についてはいろいろ今後考慮していただくように、これはアルミ産業だけで申し上げてもなかなかむずかしい問題でございますので、アルミ産業以外のエネルギー多消費産業と合同で、経団連ベースで、今後基本的な電力体系の見直しとか、あるいは油の価格体系の見直しとか、あるいは原子力の利用とか、そういうものは今後まあ相当努力していかなきゃならぬ。ただ、これはなかなか時間のかかることでございますので、緊急にはとても間に合わない。現在危機なんでございますので、その間関税割り当て制度で三年間何とかお助け願いたいということで関税割り当て制度をお願いしたわけです。
 われわれの業界は過去においてもカルテルをやったこともございますが、現在カルテルをやるわけにはいかない。それはなぜかというと、こちらで生産制限すればますます入ってくるというようなことでカルテルもできないというような状態でございます。関税割り当て制度をお願いしているというのは、かなりの量をわれわれ自身が開発輸入をしておりますし、われわれ自身が長期契約を外国としておりますので、せめてそれの関税を免除していただきたいということでございます。
 この理由は、われわれが百六十四万トンを七十万トンにするということは四二%になるわけですが、その間自然増として関税が九十数万トンの分が自然に入ってきちゃうというようなことになりますので、これは大蔵省の財源としては結構なことなんですが、これを何とか還元してもらえないか、ほかの一般会計に使われるのじゃなく、そういうことをお願いしているというのが実情でございます。
 それから、石炭転換の問題をちょっとおっしゃったのですが、確かに水力を使っている会社、石炭を使っている会社以外は全部石炭転換を考えております。しかし、先ほども申しましたように、石炭転換では、現状ではまあせいぜい三円程度の料金しか下がりませんので、やはり十円以下の電気にするためには抜本策が必要だ。ただ、関税割り当て制度とか、石炭転換とかあるいは海外メタル開発による安いメタルとかミックスしまして何とか国際競争力を持っていこうということで、石炭転換だけでは生きていけない、いろんな政策をミックスしながらやっていきたいというのがわれわれの自主努力でございます。
 それでよろしゅうございますでしょうか…。
#12
○参考人(田中文雄君) 先生のお話の要点は、五百十社もあって過当競争をやっておるという、それに対する対策はどんなふうに考えておるかということが一つだと思います。なかなかこれが業界の一番大きな問題となっておる上に、独禁法上これを業界としていろいろの話し合いをやるというようなことができない、そういうことになっておりますので、いわゆる共同事業化あるいは企業別のグループ化というようなことをやりながら、順次企業数も適正数になるようなぐあいにしたい、こういうことで、これは相当時間がかかると思いますが、そういう方向で努力して、いろいろと現実に国策パルプと山陽パルプとが合併したとか、そういう企業合併もありますが、共同事業化も進めております。現に、この不況に入ってからの東洋パルプの行き詰まり並びに大竹製紙の倒産、これに対して通産省は、従来自由競争に負けた企業は会社更生法でまた復活する、企業数はちっとも整理されないというようなことで、構造改善に沿うような再建を図りたい、こういうことで、大竹製紙については王子、十條、本州、神崎並びに国策パルプが何とか再建を図る。それから東洋パルプについては王子製紙が何とか再建できるように協力する、こういうふうな方法で順次秩序ある競争が行われる業界にしたいと、こういうふうに考えています。
 それからエネルギー対策、紙パルプもやはりエネルギー多消費型の産業ですから、現在すでに行っているのはエネルギー原単位の引き下げということももちろんですけれども、かつて持っておった石炭ボイラーは全部復活して石炭に切りかえています。しかし、さらに石炭に切りかえるというのは、新しいボイラーを据えつけて、しかも紙パルプについては公害対策が非常に重要だと、そういう面を考えますと当面は高い油でつくった電力を買った方が安い、こういうことですから、経営内容も先ほど申し上げたような状況ですから、しかし、いずれは油から石炭その他に切りかえていく、こういうことでいろいろと勉強はしている、こういう状況であります。
#13
○青木薪次君 どうも御苦労さまでございます。
 松永参考人にちょっとお伺いいたしたいと思いますけれども、いわゆるアルミ関係の不況の原因というのは電力コストの上昇にある、この電力コストの上昇ということについて、松永参考人は日本軽金属の社長さんだということをお伺いしたんですけれども、私、生まれが清水市なんです。おたくの広大な三万坪だったか四万坪だったかちょっと忘れましたけれども、中部電力がLNGを輸入してここに貯蔵するということなんですけれども、これを直接におたくの電力コストを低減させるために何か提携するというようなお心持ちがあるかどうか、あるいはまた業界全体として今度は違った観点で設備廃棄は何%ぐらいお考えになっておられるのか。とにかく設備廃棄をするとアメリカからスポット物が入ってくる。そこで、仕方がないから政府の協力を得て開発輸入だというようなことなんですけれども、そのことだけでは解決できない。たとえば不況の原因が主体的にはとにかく住宅投資が停滞しているということも直接的な動機だと思うのですけれども、そういった問題についてその二点を時間がありませんので簡単にお伺いいたしたいと思います。
 それから田中参考人にお伺いいたしたいと思うのでありますが、大手の紙パルプメーカーの十六社が今月の十三日に社長会で、上級紙、コート紙、それからクラフト紙の主力三品種について現有能力の二〇%をめどに設備処理に踏み切ることで合意した、これはアルミに次いでの合意だと、こういうふうに報道されておりますね。これら三品種の需給ギャップが最も大きいところから、業界としてやむを得ない措置であろうかと推察はいたしているのでありますが、仮に二割の設備廃棄をいたしますと、現在三〇ないし四〇%ぐらいあると言われております需給ギャップですね、この幅を解消することができるだろうかどうだろうかということが第一点。第二点は、十三日の社長会に参加したメーカー以外でこれらの三品種を製造しているメーカーがあるかないか。あるとすればその会社との調整はどうするのか。三つ目が、この二割の設備廃棄によって雇用面にも相当影響してくると思うんです。これは辻村先生もおっしゃったのですけれども、こういう問題について雇用転換というような問題についてお考えになっておられるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思うわけでございます。
 それから、辻村先生にお伺いいたしたいと思うのでありますが、ニーズの多様化、高度化に伴いまして、取引の小口ロット化が進んでおります。規格の多様化に対応いたしまして、わが国にも紙加工専業の中小企業の台頭が目覚ましいのであります。今日では、国民生活の各種分野に広く浸透してきております。こうした紙加工高付加価値分野に着目いたしまして、最近では大手の紙パルプ企業が新規参入しているんですね。一部にはもう既存の中小企業との間に、小さなシェアをめぐってトラブルが実は生じているんです。
 こうした時代に私たちは、非常に苦しい苦境に悩んでいる中小企業が自立の活路を求めてやっていることに対しての進出先分野が中小企業性の強い分野であることから非常に問題化しているし、先日もこの委員会で中小企業分野確保上の問題についていろいろ議論が出たところでありますけれども、大手紙パ産業の進むべき望ましい進路としてはどういうものがあるのか。先生の高度の立場から、産業構造の観点から御意見をお伺いいたしたいと思うのでありますが、時間がございませんから、結論をなるべく簡単にしながら要領よく御答弁をいただきたい、このように思います。
#14
○委員長(降矢敬雄君) 参考人、お願いをいたします。まず松永参考人。
#15
○参考人(松永義正君) 清水の中部電力のLNG発電所のことで私どもの土地を約十万坪をお譲りしたということをおっしゃったのだと思いますが、これは確かにおっしゃるとおり、将来は使わしてもらう可能性はあると思います。ただ、LNGのコストというのは石油とそう変わりありません――。公害とかそういう面では非常に有効でございます。ただ、LNGというのは夜間とめられない、原子力と同じ夜間とめられないという性格を持っておりますので、原子力あるいはLNGがふえるにつれて夜間電力をどうやって使わせるかという問題になりますと、われわれは夜間電力を使う大きな企業ですから、そういう意味で協力体制が出てくるので、将来LNGだとか原子力がうんとふえますと今度は夜間とめられないということで、またわれわれの産業を誘致しなきゃならぬとか、そういうような夜間電力を使うような産業をつくっていかなきゃならぬという問題に当然当面するわけでございます。そういうような関係が進みますとそういうことになります。
 それから輸入の問題でございますが、確かに海外開発もやっておりますが、やはりナショナリズムとか外国との金利差とかいろいろな問題でだんだんこれもむずかしくなりますので、長い目で見ますと、現在でも原子力の電力を使わしてくれればりっぱに生きていけるわけですから、原子力の立地の場所にわれわれも工場を持っていって、海外へ持っていくよりリスクはありませんし、原子力の電力を使わしてもらうということも骨子の中に入っております。ただ、いずれにしてもリードタイムが相当長いということが問題がある。時間がかかりますのでいま言った関税割り当て制度でつないでいただくというような考え方でございます。
 それから、アルミ産業が国内的にいま非常に困っているというのは、需要がやはり停滞しておりますので、おっしゃるとおり、アルミ産業はむしろエネルギーを使わないマテリアルとして、軽量化とかそういうようなことで輸送関係にどんどんふえております。しかし、住宅関係が一番大きなウエートを占めておりますので、この百二十万戸を割るという状態は、アルミニウム産業としては今年度だけで見ましても約十五万トンぐらいの大きな量が住宅産業のことによって減るということで非常に問題がありますし、先ほど田中さんがおっしゃったように、住宅産業は百五十万戸ベースぐらいの設備がありますから、過当競争になってまたこれ値下がりをするというような問題がございます。したがいまして、住宅政策はぜひともお願いしたいというのがわれわれのお願いでございます。
 それでよろしゅうございますか。
#16
○青木薪次君 はい。
#17
○参考人(田中文雄君) 需給ギャップ三〇%ないし四〇%もあるが、それに対してどういう措置をとるかと。いずれは需要もふえるであろうから、いまの九〇%ぐらいまでは持っていていいだろう。しかし、九〇%にしても二〇%ぐらいは余るわけですから、それをひとつ思い切って、生産は絶対できないならもう破棄あるいはその他の措置をとりたい、こういうことで板紙がすでに一八%を破棄して成功しましたので、その次に不況の、いまの不況カルテルの三品種についてそういうことをやろうということで、パーセンテージその他これからいろいろと具体的に詰めていくということで、二〇%というようなことはまだ決まっておりません。
 それから、アウトサイダー対策。これはしんぼう強く話し合いをして同調していただくということをするわけですが、いずれは特定不況産業安定臨時措置法の中にも指定された産業のアウトサイダーについて、実効ある方策をお願いしたい、こういうふうに考えております。
 それから、従業員はいま現在三〇%なりの操短をやっていますけれども、御承知のように終身雇用制ですから、皆抱えながら関連産業その他のためにいろいろと活用していく、こういうことでありますから、当然そういう方向でいろいろと対策を講じていく、こういう考え方であります。
#18
○参考人(辻村江太郎君) 私への御質問は、小規模企業市場への大規模企業の参入の問題だったと思いますけれども、紙パルプ部会はこれまで紙パルプ産業一本の問題で手いっぱいでございまして、業界内の競争の問題はいままでまだ手がけておりません。今後そういう課題が出てくると思いますので、その際によく検討いたしたいと思います。
#19
○岩本政光君 時間がありませんので、簡単に質問をさせていただきたいと思います。
 参考人の皆様方、大変御苦労さまでございました。先ほどからいろいろお話がありましたけれども、アルミにつきましても国民生活の中に非常に大きな関連をしております。また、紙パの問題につきましても長い歴史と経済、文化、まさにバロメーターとまで言われる、そういう中で生活の向上に大きな役割りをしておられます。また、実は私北海道なものですから、両方とも地方振興の基幹産業でもありまして、大変この問題に関心を持っております。そんな中で若干の質問をさせていただきたいと思います。
 まず松永参考人に対しまして御質問をさしていただきたいと思う次第でございます。
 この際、党の話を申し上げて恐縮ですが、私たちの関連部会でもすでにこの問題についてはいまのような立場で非常な関心を持って論議をつい先般したところでございまして、これから再度詰めるという段階にございます。その内容もすでに御存じだと思いますが、とにかくアルミニウムの問題につきましては国民経済上の基礎素材だから、何としてもこの七十万トン体制を確立していくことで全力を挙げてみたい、こんな話をしているところでございます。また、具体的にこの対策について電力業界の協力も得たいし、また総合のコストの低下ということで関税上の措置もしてみたいし、また電力の、原子力の話もいまありましたような、そんなことでひとつどこから手をつけられるのか。きょうは、できれば政治あるいはまた政府が何ができるのだということで、いままでいろいろと主張されてきたと思うんですが、それらについて簡単にひとつ御指摘をいただきたいと思います。
 一番最初の問題点は、七十万トン体制ということになります。この問題について、先ほど三分の一というような話もございましたし、そういう中でこの体制を具体的にやっていかなければならない。その辺、業界としてはもう間違いなくこの辺さえやっていただければこういう見通しになるんだというような具体的な話をちょっと聞かしていただければ、非常にこれからの主張に対してありがたいと思いますし、また何かそういうことで御意見があったらつけ足さしていただきたいと思う次第でございます。
 それから、苫小牧などで共同電力の話も先ほど出ておりましたが、電力コストが非常に高い。アルミ自体はもう何といいましても電気のかたまりだというぐらいに言われておりますが、実はあそこにコールセンターもできる状態になっておりますけれども、そういう状態の中で転換ということについて非常に時間がかかる。そういうことについての不安がなんかお持ちであったら、その辺の問題についてもひとつ、政府にどんなことをしてもらったらそれが促進するのか、そういうようなことについてお聞かせ願えれば非常に幸いだと思います。
 それから開発輸入の問題について、促進等の対策の話も先ほどちょっと説明がありましたけれども、この点の問題について何か気になるといいますか、この際お話をしておいて、さらに追加されておいた方がいいというようなことがあればぜひお聞かせを願いたいと思います。
 それから、ちょっと私、地元の話をして申しわけありませんが、縮小や何かをしますと地元で非常に不安感、これは紙パの場合もそうなんですけれども、ございますが、地域経済等についてこれはお願いでございますがいろいろとひとつ御連絡をとっていただけますと、地域の中でもいろいろとお話をしやすいというような、そういうことがあると思いますので、いずれにいたしましてももしもこの業界が壊滅すれば、日本としては非常に大きな損失であるというふうに私は考えておるところであります。
 ただ、ちょっと私、参考人の御説明の中で気になったことがあるんですが、六十年度、つまりこの辺でタイトの方向に向かっていくだろう――少し甘くはないか。この際だから政府や何かに不安感も含めて、体制をはっきり要望されておく方がいいのではないかという感じがちょっとしたもんですから、もしその点、お差し支えなかったら、ひとつお話を聞かしていただきたいなと思う次第でございます。
 もう一つちょっと、前の関税割り当て制度がうまくいったのかどうか、そのままでいいのかどうか、何かそれに工夫をしなければだめなのか、これもお願いいたします。
 続きまして、田中参考人にお願いをしたいと思います。
 紙パの問題なんですが、第一の問題につきましては、不況カルテルということについて認めてほしい、この点についてはよくわかりましたんですが、第二の過剰設備の対策について若干お聞かせを願いたいと思います。
 これは特交法の改正を要望しているんだというふうに考えているのですが、この問題についてはこのまま単純な改正ということなんですか、もっと中身といいますか、幅広い改正等についてお考えなのか、その過去との関連をちょっとお話をしていただければ、具体的な法律改正に役立つかと思いますものですから、この辺の御意見についてお聞かせ願えれば幸いだと思います。
 それから二つ目に、私、ちょっとわからないのですが、政府側で手伝えること、つまり、政治的に手伝えるということで資本の借金体制というような問題について非常に大きな問題であるというお話を先ほどしておられたように記憶をしているんですが、それは自助努力でおやりになった方がいいのか、あるいは政治的にそういうものを手伝う必要があるのかどうか。非常に大きな問題なものですから、こんな中で御意見をお聞かせいただければ非常に幸いだと思う次第でございます。
 それから、これは辻村参考人にお聞きした方がいいのかどうかわかりませんが、いまはバランスをしているチップ等の問題で、アメリカということになるかと思いますが、将来の長期戦略、つまり、木材が非常に枯渇してくる長いテンポの先で、そういうところにおきましてカリフォルニアが一つずつなくなっていくというぐらい非常に荒廃していきます。もちろんほかのものに転換をしていくんですが、そういう中での競争と、それから枯渇と、それから日本の紙パのあり方という将来展望についてどのような認識をしているのか、ちょっと参考のためにお聞かせを願えれば非常に幸いだと思う次第でございます。
 最後に、これまた辻村参考人にお願いをしたいのですが、過剰設備処理の問題ですが、スムーズにといいますか、そういう形でやっていくのにつきまして、何か私どもに御意見がありましたらお聞かせをいただければ大変参考になると思います。
 時間が参りましたので大体このぐらいでいっぱいかと思いますから、要点だけで結構でございますから御指導いただきたいと思います。
#20
○参考人(松永義正君) お答えいたします。
 まず具体的に七十万トンは実際維持できるのかどうかという問題、それから苫小牧の石炭転換の問題、それから開発輸入の問題、それから六十年度でタイトになるというような問題、それからまた関税関係にどんな工夫が必要かという問題、これだけだったと思いますので、非常に項目も多いので簡単にお答えいたします。
 七十万トン体制というのは、もともと産構審で最初から議論された問題でございまして、これにはわれわれ製錬メーカーは発言権がないのです。むしろ中立の方とかユーザーの方の発言が中心でございます。中立の方というのは、やはり先生方とかあるいはジャーナリストあるいは銀行の方とか、そういう方が中心でございます。それから電力会社ももちろん入っております。それからユーザーの方は、自動車会社、電機メーカー、それから電線メーカー、それから圧延メーカーあるいはそれを使ったサッシメーカー、そういうようなものがいま言ったユーザーでございます。その方々がいろいろ議論しまして、これが極端な例は二十万トンでもいいじゃないかという人もいますし、百万トンぐらい置かなければ危ないという人もいますが、その間のコンセンサスで大体多数意見というのが七十万トンであったから七十万トンでわれわれが仕方がなく覚悟をしたということではないかと思います。受け身の立場でございます。
 それから、もう一つは七十万トンのうちの二十万トンは水力とか石炭ですから何とか生きられるから五十万トンについて、これは自助努力ももちろんしますけれども、生きられないわけですよ。これについて何か生き延びるための施策をお願いしたというのが現在の状態でございますので、いま要望している施策は御承知のとおりでございますが、これが要するにいろいろの事情でカットされるとか削減されるとか、そういうことになりますと、おのずから自力では生きていけませんのでこの量は下がってしまうというようなことではないかと思います。現在、もうすでに六十万トン体制ぐらいの段階まで操短しておりますが、これは別の理由でございまして、在庫がふえたために金融圧迫が出たということでテンポラリーにやっていることでございます。
 したがいまして、政策がしっかりしますとそういうようなことができると思っております。ただ、ここで政府の政策をしっかり出してもらわないと、われわれ六社全部が金融不安に陥るわけです。銀行もユーザーも、みんな政府の施策について注目しておりますので、これが非常に大きな焦点ではないかと思いますし、これがうまくいきませんと、直ちに金融不安が起きて、アルミ業界を大変な状態に陥れるという問題につながることですから、ひとつよろしくお願いします。
 それから苫小牧の石炭ヤードの問題も聞いておりますので、あれができますればわれわれ自体が石炭ヤードをつくる必要もありませんから、かなり建設費節減になります。したがって、そういうベースでこれから研究していかなければならぬ。いままでも北電さんといろいろお話をしましたが、そのころ苫小牧の量は十三万トンでございますので、約二十五万キロぐらい使うわけですが、今度の産構審の結果、われわれも縮減しなければならぬので、この量が決まらないうちに先にコミットするわけにいかなかった。今後この量が決まればコミットする方法もございますし、また石炭ヤードを使わしていただくことで建設費を削減されるということでございます。
 ただ、このリードタイムが三年、五年かかるというのは、主にやはり公害アセスメントの問題の方が時間がかかる、要するに設備をつくることよりも地元対策とかそういうものの方が、なかなか原子力と同じで、いまでも石炭転換すると言ったら急に反対だというような空気も出ておりますので、そういうことが非常に大きな時間のロスになるわけですから、その点を十分御援助いただかなきゃならぬ問題だと、そういうことでよろしゅうございますか。
 それから開発輸入でございますが、これもだんだんむずかしい問題が起きております。たとえば国家的なナショナルプロジェクトというようなインドネシアであるとかあるいはブラジルであるとか、これはお互いの国同士のナショナルプロジェクトでございますが、これは金利も輸銀それからまた国際協力基金のお金を使うとか、それからブラジルなりアサハン、インドネシアの方も大体金利を同じベースぐらいに国家的な資金を使ってくれるんですが、プライベートベースですといまなかなか問題があるわけです。外国の金利が一七%から一八%でこっちが八%というとつじつまが合わない。同時にオーストラリアなんかは五一%は自分の国の資本家を集めろということですが、その資本家に対するリターンが一七%、一八%のリターンで企業が成り立つかどうかというようなことでなかなかむずかしくなってきつつある。いままでやっている分でも計画しながらドロップしたところが幾つも出てくるというような状態でございますので、これはやはりいまやっているものはできますが、これからそう簡単ではない。特に水力の資源は非常に少ない。石炭にすれば石炭がどんどん上がっていっちゃう。外国でもそういうような問題がございまして、なかなかむずかしいと思いますので、長い目で原子力というようなこともお願いしているのはそこにあるわけでございます。
 それから、六十年度はタイトになるだろうというのは、いままでまあ御承知のとおりオーストラリアあたりは百万トン体制が近いうちにできるというようなことを言っていろいろやっていたんですが、これはさっきのような事情でだんだんドロップするようなことになりますから、恐らく五十万トン以下になってしまうとかそういうようなことになりますと、やはり世界的にタイトになるということと、もう一つは、いまは世界じゅうのアルミニウムのスメルターが変動原価を割るような値段になってしまった。フルコストじゃなく変動原価すら賄えないような値段になってしまって物すごい操短が起こっております。いま現在集計しますと、少なくとも百五十万トン程度の操短が行われておりますので、タイトな状態が近いうちに来る。いまはもうじゃぶじゃぶに在庫がありますが、そういうような操短に陥るとタイトな状態になって価格もある程度復元する可能性はあるというわけでございます。しかし、価格が復元しても日本のコストまでくるというようなことはあり得ないから、そこに問題があるということでございます。
 それから関税割り当て制度についての工夫でございますが、これは私が言うことではございませんで、むしろ通産省の真野局長さんにいろいろお聞きいただいた方が、私がなまじっか言いますとなかなか問題があると思いますので、そういう点はひとつよろしく。私が逃げるわけではございませんが、私がそういうような政策問題の中身を云々するわけにはまいりませんので、それでお許し願いたいと思います。
#21
○参考人(田中文雄君) ただいまの過剰設備問題に対する自助努力等の御質問でしたが、この問題は業界の全体の設備処理の問題ですから、いわゆるそういう立場でやらねばいかぬが話し合いではできない、こういうことですから、やはり合法的にやるのにはいまある特定不況産業臨時措置法によらなければできない、その改正を四つの点についてお願いしたい。
 一つは、あの法律は時限立法で、しかもその施行後一年以内に指定を受けないとできない、こういうことになっておりますので、まずそれを改正してもらわなければその活用ができない。
 その次が、改正されても法律そのものがあと一年でなくなっちゃうわけですから、あと一年ではとてもできないので、この延長等をひとつぜひお願いしたい。
 それからアウトサイダー規制があの法律によってはいわゆる行政指導によることができるというような附帯決議になっておるわけですけれども、それではなかなか効果も薄いので、アウトサイダー規制についてもひとつ一項入れていただきたい。
 それからもう一つが破棄の方法ですね。これが非常に厳しいので、しかもこの問題は業界の大方のものが参加しないと効果がないわけですから、大方の企業が参加できるような方法にこれは緩和というか、とにかく実効あればいいわけですから、いまの方法ではなかなかそれを見ておそれをなして参加しないというおそれがありますので、この四点をぜひ改正していただきたい、こういうことであります。
 それから次の御質問がちょっと私、聞き取れませんで……
#22
○岩本政光君 借金体制の割合について……
#23
○参考人(田中文雄君) 政府のですね。
#24
○岩本政光君 ええ。
#25
○参考人(田中文雄君) これはわれわれ国内における現在の平常の業については別に要請しているわけじゃないですが、外地における造林投資、これは二十年も三十年もかかるわけですから、その間に政変等、あるいはまたいろいろ問題がイランのごとく起こり得るのですから、そういう保障を国同士でやってもらうということが一つと、そういう造林という特別な長期投資に対しては政府の低利融資をお願いしたいと、こういうことでございます。
#26
○参考人(辻村江太郎君) 御質問は原料枯渇の問題と設備処理の問題と思うんですが、原料枯渇に関しては御指摘のとおりで、長期的に見ますとまあすり減る一方という感じでございますけども、当面は開発輸入の促進と、それから海外原料を輸入しますときの多角化ですね、相手を一つにしぼらないということを考えております。
 長期的には結局森林資源はいつか枯渇いたしますから、まあ石油化学製品に移るとか、あるいはコンピューターエージですので、字で一々印刷しないでコンピューターのテープに入っているものをブラウン管で読むような時代が来るかもしれない。少しそれは長い話になります。
 それから設備処理の方ですけれども、これは第三者から、それからほかの業界の経営者の方なんかからの感想を伺ってみましても、現在の過剰設備というのは経営の見通しの甘さからきているという感じが私などには強いわけです。ですから安易に設備処理を認めるべきでないという感じでおります。紙パ産業は、先ほど申しましたように、非常に苦境にありますけれども、これは一つはやはりその見通しの甘い設備投資をやり過ぎた結果でありますので、それを一々国がめんどうを見るというのは自助努力の原則からいってよくないというふうに思っております。
#27
○岩本政光君 ありがとうございました。
#28
○田代富士男君 じゃ、まとめてお尋ねをいたします。
 最初に松永参考人にお尋ねいたしますが、ただいま御説明のありましたアルミニウム製錬業の救済策の中心は何といっても電力問題の解決にある、このようなことでございます。まず、産構審においては電力の政策価格が見送られたのですが、これについて松永参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
 第二点ですが、コスト低減策の一つといたしまして余剰電力の活用があると思われますけれども、余剰電力の活用については電力会社間ではよく行われるところでございます、御承知のとおりだと思いますが。これをアルミ業界全体を見渡した場合には、どの程度活用されていると言えるのか、お伺いしたいと思います。また、余剰電力の一〇〇%活用によりまして業界はどの程度の負担軽減となるのか、また、そのためには通産省や電力業界にどのような要望があるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 第三点には、自家発電と共同火力についてでございますが、自家発電、共同火力発電の価格が電力会社からの買電価格よりもキロアワー当たり三円ほど高くつくと言われておりますけれども、石油が安く入っていた時代につくった自家発電や共同火力が、石油価格の高騰によりましてコスト面で裏目に出ているというのが現状ではないかと思います。しかも業界にとって、この自家発電、共同火力が全使用電力の九〇%を占めているというのが実情ではないかと私は理解をしておりますけれども、ただいまも議題となっておりました国産を七十万トンにまで縮減していくといたしましても、その主力を占める自家発電、共同火力などで電力供給体制が整備されなければこれを維持していくことも困難ではないか。だから一説によれば、電力問題が解決しなければ石炭火力発電に直結している二十万トン体制までこれは縮減すると言われておりますけれども、松永参考人は電力供給問題についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。
 次に、割り高の共同火力をもし電力会社に引き取ってもらうとした場合に、電力会社には公益事業としての性格が強く、御承知のとおりでございますが、結局は広く一般国民の負担となるのではないか、そこにはね返ってくる、そういうことからどうなるのか。また、発電所従業員の身分をどうするのかという問題も残されておりますけれども、このような問題についての参考人の御意見をお尋ねしたい。と思います。
 次に、設備廃棄についてでございますが、いまも少しばかりそめ御意見が出ておりました。設備廃棄については、私の調べたところではすでに五百十億円をかけられたと言われておりますし、今後さらに四百五十億円が必要とされておりますけれども、アルミ業界としては、せっかくの設備を廃棄することは、生き延びていくためとはいえ、まことにつらいことではないかと思われるわけでございます。ところで、造船業界の例に当てはまるかどうかはわかりませんが、造船業界では好不況がほぼ一定の波で繰り返されてきておりますけれども、造船施設の廃棄に際しても論議されたところでありますけれども、アルミニウム製錬業界として今後再び増産体制に移ることはないと踏んでいられるのかどうかお尋ねしたいと思いますし、また、設備廃棄後の用地その他の有効利用はどのようにお考えになっていらっしゃるのかお尋ねをいたします。
 次に、田中参考人にお尋ねいたしますが、ただいまも議論となっておりましたが、仮需によって設備過剰を招来したということでございますけれども、設備過剰につながる紙パ業界特有の体質というか、宿命みたいなものを感じられますけれども、その点どのように考えていらっしゃるのか。またあわせて、そうした体質の業界から見た独禁政策への提言なり要望がありますならばお述べいただきたいと思います。
 次に、カルテルや行政指導が行われているうちは何とかなるが、その支えをなくした場合には行き詰まりを生ずると言われるようなそういう業界の体質がございますけれども、それは業界の意識を変革する必要があるのではないかと私は思うのでございますが、これに対するお考えをお尋ねいたします。
 次に、原料の木材チップがアメリカなどの住宅需要によって左右されるということでは、安定した供給が望めないわけでありますが、原料の安定供給について業界としてどのように取り組んでいらっしゃるのかお聞かせいただきたいと思います。
 それから、原材料の問題が一番大きいと思いますが、その他にエネルギーや加工品などについて今後技術革新の余地はないのか、これもあわせてお尋ねをいたします。
 最後に辻村参考人にお尋ねいたしますが、自由主義経済にありまして、為替や金融事情の変動あるいは資源制約、技術革新などによりまして経済が受ける影響は非常に大きいです。これは御承知のとおりだと思いますが。わが国においては素材産業がいまその波にのまれようとしておりますけれども、経済の変動する過渡期において、素材産業特有の現象であるのか、それともこうした時期にはどのような産業分野にも危機は起こり得ると思われるのか、また、そうした場合のために常に国や産業界はどのように備えていけばよいと思われるのか、構想でもお持ちでありましたならばお聞かせいただきたい。
 また、田中参考人にもお尋ねいたしましたが、独禁政策についてでございますが、産構審の紙パ部会長というお立場から、この問題についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
 まとめて御質問をいたしました。
#29
○参考人(松永義正君) お答えいたします。
 質問ちょっと私も定かでございませんが、今度の産構審がらみで政策料金ということがあったわけですが、どの程度現在時点でやられているかということが第一の御質問だと思います。
 第二の質問というのは、共同火力は油が安いときにはメリットがあったと、しかし現在は買電の方が安いんだという、それについてどう考えるかと、そういう御質問だと思います。
 それから三番目には、共発が九〇%もあるので、どうやって維持していくかという問題だと思いますが、割り高な共発を電力会社に引き取ってもらうとか、いろんな問題が介在するわけですが、この問題だと思います。
 それから最後は、設備廃棄の問題の造船業界みたいなアイデアは出ないのかというような御質問だと思います。そういうふうにお聞き取りして、それについてお答えいたしたいと思います。
#30
○田代富士男君 用地の有効利用、そういうことですね。
#31
○参考人(松永義正君) 政策料金のことは、先ほども申しましたが、私どももいままでのような電気の使い方じゃなく、かなり工夫して、夜間電力をよけい使って昼間を少なくするというような対策、いわゆる負荷調整という言葉で私は言っていますが、毎日電力会社としてはピークがあるわけですから、大体昼間一時から三時までとか、四時までとか、そういうときは少なくして、夜よけい使わしてもらう、そういうことが負荷調整。負荷遮断というのは、御承知のとおり夏なんかの物すごいピークのときに、一斉にクーラーなどを使うので、ピークが来ていてパンクしちゃうというときには、もう全部停電してしまう。まあ何時間かそのピークを、何%じゃなく全部停電する。これを負荷遮断と言っておりますが、そういうことについては今度進めていただきまして、これを実施していただくということになりました。
 それからもう一つさっきの共発の分は、共発の空き間利用の問題は、今度は固定費を負担をふやしてもらったということでやったわけですが、もう一つ最後に、いわゆる電力会社の余剰電力の経済融通という問題がございます。経済融通というのは、AとBとの発電所のどっちがコストが安いかという問題。石炭をたいた方が油より安いという、しかも石炭の方は夜使わないで余っちゃったというときには、石炭をたいて油の方はやめるというようなことの経済融通、こういうことも契約上できております。そういうようなことですが、これはやはり広域経済融通となりますと、たとえば東電が余ったときに北海道へ持っていくとか、そういうことはまだなかなか実施が困難ですが、だんだんそういうような範囲が広がっていくように努力してもらわなきゃならぬと思います。
 そういうようなことで、その段階ででき上がったのが、大体平均しまして一円二十銭ぐらいの電力料が下がって、年間で来年度のケースで百億から百二十億ぐらいの電力コストの低減は、現在の時点でできてきたということでございますが、そのほかの、先ほど申しました料金体系とか、それから油の、要するに価格体系とかという問題は今後にゆだねざるを得なかったというのが実情でございます。それこそ、おっしゃるとおりの政策料金とか、そういう政策価格とかというほどのものではない、現在の料金体系の中で、電力会社にもメリットがあり、こっちにもメリットがあって、工夫してもらったという程度でございます。
 それから第二の問題、共発をやめて買電に切りかえるという問題もわれわれ考えたんですが、共発も幾つもございます。石炭転換をして使っていこうという種類の共発と、共発も、もう古くて使命が終わったから、これはもうシャットダウンして買電に切りかえたいというものと、また共発が非常に新しくて、まだ償却も十分整っていないで非常に固定費が高いというような問題と、いろいろその共発によって違った場面がございます。
 で、一番お願いしているのは、古くて償却も済んで、金利も払っちゃったというようなものは、もう近いうちにシャットダウンしようということが起こるわけですが、これはいまの固定費が、ほとんどが人件費なんですね。それで、共発というのは元来電力会社の人たちがオペレートしてくれていたんですが、長い時間を経過しますと、もうそういう人たちが退職してプロパーの人が入ってきているから、その人たちをどういうふうに処遇するか、要するにやめてもらわなきゃならぬというような問題がありますんで、これはもう非常に大問題でございますので、これは何か転換策を相互に考えて、雇用問題につながらないように工夫しなきゃなりませんので、引き取ってもらうと、電力会社でそれをみんな首切りしなきゃならぬというようなことになりますと、非常に大きな電力会社としての負担がかかりますので、そこら辺のところが問題だと思います。それから、石炭転換しようとするところは、共発を切りかえるわけにいきませんので、やはり共発を、固定費をうんと使わない部分を持ってもらって、実質的には共発のシェアを変えていただいて、それでつないでいくというような考え方でやっております。
 それから、非常に新しい共発で、なかなか固定費も高いというのが非常にやはりむずかしい問題があると思います。固定費を持ってもらうといっても、なかなか大変な負担になりますので、そういう問題もございますので、個々のケースとしていろいろ共発の問題はやっているというのが実情でございます。
 それから設備処理の問題でございますが、もし、造船業界のように非常にりっぱな会社と小さい中小企業があるというようなことで格差がかなりあるときには、相当体力のある会社が設備を保証するとか、そういうような中で調整ができるわけですが、われわれの六社はほとんど同じような、スケールも同じようですし、体力も同じようです。だれが強いというような、生き残ったのが得をするというような、体力の差はないのでございます。だから、だれかが生き残るというより、みんな生き残るか、みんな死んでしまうかというような状態にございますので、業界内でそういうような問題をやるのは非常に困難でございます。それから、先生が御指摘になったように、九百六十億という膨大な要するに帳簿価額がございますが、これを、公認会計士は、やめればすぐ撤去しろと、要するにブックから消す、帳簿から消すには撤去しろとなりますと、この撤去費用がちょうどそれくらい、約一千億ぐらいかかるのじゃないかと思います。だから、要するに九百六十億の倍ぐらいの費用がかかると、そういうことではないかと思いますので、中身の設備を撤去して、建屋とか、できるだけそういうインフラその他を利用して転換するということが普通行われております。それから、私どもの新潟みたいに全く撤去して、土地を売ってしまうというケースもございます。これも転換できれば転換した方がいいわけですが、アルミは、御承知のとおり、加工の方は斜陽ではございませんので、時間さえかければそういう転換をして、製錬から加工にスイッチしていくということも考えていかなきゃ雇用の問題は解決しないのではないかと思います。土地の価格が非常に高い都市とかそういう所ですと、撤去して土地を売るという考え方もあり得ると思いますが、そういうことは非常にまれなケースではないかと思います。
#32
○参考人(田中文雄君) 最初の、過剰設備を来した一つの大きな理由は需要見通しが甘かったんではないかと。辻村先生も御指摘なさいましたが、そういう面ももちろんあったわけでありますが、そうなった一つの理由は、四十八年の第一次オイルショック並びに第二次オイルショック直後仮需が出て、そういう面で需要見通しが少しぼやかされたということが一つ。それからもう一つは、対外競争力と新しい時代に処するために、設備の近代化、あるいは付加価値の高い紙への転換と、それがいずれも一割から二割近い増産能力を来した、こういうものが重なり合って大幅過剰になった、こういうことであります。それを自助努力だけでできないのか、こういうことでありますが、五百十社もありまして、しかも、お互いが業界としてそういう話し合いをすることが禁じられている、しかも弱小の企業が多いということで、いずれも自転車操業ということですから、とにかく余っておることがわかっておるけれども、当面の支払いその他から生産を続けなきゃならぬ、こういうこともあってなかなか需給の調整がとれなかった、こういうことであります。したがって、目下のところ、特定不況産業臨時措置法あるいは行政指導というような力もかりて、そして自助努力でできるような構造をまず健全にしなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
 それから独禁法についてどうかと。これはなかなかいろいろの問題があるので、私が申し上げるのはどうかと思いますけれども、われわれの経験から特に強く感じているのは、日本は終身雇用ですから、外国のように、需要が減ったからすぐ従業員もレイオフあるいは退職させるというようなことができないので、どうしてもそういう場合における業界としての対策ができるような何かないか。これはまあ行政指導というようなことになると思いますけれども、この辺はまたいろいろと専門的な立場から議論があるところじゃないか、こう思っております。
 それからカルテル後の対策、これは先ほども申し上げましたとおり、カルテル後もすぐに構造改善にはならぬ。特に今度のカルテルを結成するについては構造改善、まあ具体的に申し上げて設備問題をその間に解決しなさいというような希望が外部からもあるし、内部にもある。こういうことでありますので、カルテル後すぐに需給のバランスというようなことに、供給力と需要とのバランスがとれるということになりませんので、どうしても設備問題を解決したい。それには特定不況産業臨時措置法というものを改正してもらいたい。それがなかなか間に合わない場合は行政指導、こういうようなことで、何としても今度の不況を機会に構造を健全化させたい、こう考えております。
 それから原料供給対策については、まずもって国内の資源をさらに一層活用を図りたいということで、まず故紙の活用を一層図りたい。現在四十数%活用しているわけですが、物理的に活用できるのは六〇%と、こう言われておるわけです。経済を無視して集めれば集められる量は六〇%と、こう言われておるわけですから、あとわずかですけれども、そのわずかでも貴重な資源だから故紙をさらにいろいろ活用できる手を使いたい。さらに森林資源、これも間伐材とかマツクイムシによる被害木だとか、その他一応経済を無視すれば使えるわけですから、それを新しい技術開発をして、コマーシャルベースに乗るような技術開発をして使うような努力をしたい。国内についてはそういう対策を構ずると同時に、海外のいわゆる木材生産の自然条件に非常に恵まれた南方に、いまある森林を開発輸入するだけでなく、その跡地に造林して長期供給安定対策もやりたいと。そのためにはまず試験研究からやらねばいかぬということで、もう数年前からやって、技術的にはできる見通しがついた。ついては、これから具体化するのにはどうしたらいいかということできょうちょっといろいろ申し上げたような次第であります。
 エネルギーについては、原単位の引き下げあるいは代替燃料の対策等をやりまして、現在大体五十年度に比較すると二二・三%の節減になっております。しかし、今後さらにやるということになると、原単位の引き下げ努力も引き続きやると同時に、石炭への切りかえ、さらにはその石炭そのものの確保について海外から輸入をどういうふうにしてやったらいいか。業界として、一方を抜かしてやるのがいいか、あるいは石炭業界と共同した方がいいのか、あるいはまた現在需要エネルギー多消費型産業がいろいろ自主的にやっておりますが、そういう人たちと共同でやるのがいいのかというようなことをいろいろと研究してやっていきたい、こう考えております。
#33
○参考人(辻村江太郎君) 外部条件の変化に対して企業並びに国がどのように対応するかという御質問だったかと思いますが、原則論といたしましては、自由経済体制の利点というのは、各企業が先を見通して先手をとるというのが自由企業の活力だと思っておりますから、条件変化というのは絶えず各企業とも考えているわけでありまして、そして、現在アルミ産業と紙パルプ産業を比較いたしましても条件変化のあり方は非常に違っているわけです。ですから、現在日本の商品を分類いたしますと、荒く分類して五千種類あるわけです。五千種類の商品をつくっている企業があるわけで、その一つ一つについて全部見通すということは国としてむずかしい。ですから、原則としては企業の自助努力というのが最大の眼目になると思います。そして、それでもまだやはり先ほど申しました趣旨から国が各産業を見なければならない部分が残るわけでありまして、それを一括して産業政策というふうに呼べば、産業政策には二種類あると思います。
 一つは、昭和三十年代から四十年代にかけまして鉄鋼業とか石油化学産業とかいうのを財政金融政策で育てたわけでありますけれども、そのような前向きの産業政策というのが現在の日本の工業製品の国際競争力のもとになったという意味では非常な成果を上げたわけであります。ですけれども、もう一つ、前向きの産業政策は、産業構造審議会が生産性上昇基準というのと市場拡大基準というのを置きまして将来を見通しながら民間企業の拡大、産業の拡大を助けたわけであります。それに対して後ろ向きの産業政策というのは、何か困難が起こって、その困難の苦痛を一時的にやわらげるためにやるのが後ろ向きの産業政策だと思いますけれども、後ろ向きの産業政策はできるだけ少なくやるのがいい。たとえば第一次石油危機以後スウェーデンのとった政策は、失業発生防止のために基幹産業をまる抱えして国有化した、あるいはそれに準ずる措置をとったわけです。それをやりますと国の財政が破綻して、そして資本収支も破綻して非常にまずい結果になったわけであります。日本が第一次、第二次の石油危機を乗り切りました最大の原因は、企業の減量経営という自動努力を最小限の国の助けによって切り抜けさせたという点にあったと思います。たとえば雇用保険法のようなものがそうですけれども。ですから、後ろ向きの産業政策というのは必要最小限に限るのが原則だというふうに考えております。
 それでよろしゅうございましょうか。
#34
○田代富士男君 独禁法……。
#35
○参考人(辻村江太郎君) 産業政策と独禁法というのは自由経済体制を維持していくために車の両輪のようなものだと思っております。ですから、必ず二つの原則というのはぶつかり合いますけれども、これははさみの二つの刃のようなもので、両方拮抗させながら市場を維持するというのがいい形であって、拮抗させないでどちらかだけとるということはできないと思います。
#36
○市川正一君 お昼を過ぎましたが、まことに恐縮でありますが、簡単にお伺いいたします。
 まず松永参考人にお伺いしたいのでありますが、アルミの国内生産の七十万トン体制の根拠であります。先ほど参考人は、この七十万トン体制については産構審の方でやったので発言権がなかったと、こうお答えになりましたけれども、しかし、業界としてはその根拠をどう認識なさっていらっしゃるのか。たとえば算出の根拠として、住宅建設あるいは自動車、電線など、そういう需要予測を積み上げて、そしてトータル的に算出したものということなのか、あるいは国内の総需要の中から開発輸入や長期契約輸入の見通しを差し引いたそういう数字なのか、それとも業界の抱えている過剰設備のうち減価償却が済んだものや効率の悪い設備を除いていくとこの数字になるのだというようないろいろ見方があると思うんですが、私は私なりの一定の見解を持っておりますけれども、業界としてこの七十万トンという算出をどう認識なすっていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
 あわせてこれのいわば見通しといいますか、将来の問題でありますが、御承知のように、昭和五十八年度の国内生産は百十一万トンで輸入は百五万トン、これが今日七十二万五千トンで百二十二万五千トンというふうに三年足らずの間に大きく狂ってきているわけですね。そうしますと、今回のこの七十万トンという答申の数字についても私は大いに疑問を抱かざるを得ないのであります。特に、国内産と輸入物との価格差がかなり開いているときに、私は業界として地金輸入に傾斜して、結局は国内製錬を削減する方向に動く危険性があるんではないかということを率直に言って感ずるのでありますが、業界としてこの七十万トン体制との関連でどの方向に持っていこうとなすっていらっしゃるのですか。そういう点を意向としてお伺いしたいというのが松永参考人に対する御質問であります。
 次に、田中、辻村両参考人に伺いたいのでありますが、今日の紙パルプ業界の不振の原因は確かに内需の低滞、原材料の高騰、いろいろ原因があると思いますけれども、私は詰めて言いますと、結局最大の原因として業界の過当競争をやはり指摘せざるを得ぬのであります。これについて私いろいろお聞きしたいことがあるんですけれども、私はもうこれは質問からおろします。
 そこで、先ほど田中参考人もおっしゃいました故紙の回収利用の問題ですね。これについて伺いたいのでありますが、これは言うまでもなく原材料の安定確保、それから省エネルギー、廃棄物の減量、それから森林資源の保護等々から見ましてもきわめて重要な課題だと私は思います。こういう立場から消費者サイドも積極的な運動を起こしておりますけれども、しかしながら国の規模で制度的な保障がないという状況のために、また価格が非常に不安定だということのために回収に当たっている零細な業者の生活というのが非常に深刻な事態に立ち至っております。
 先日、私京都の業者の方々のお話を伺ったのでありますが、一日十時間以上夫婦で働いて、それで結局一カ月で十万円になればいい方だという状況であります。業界はそういう実情を御存じなのかどうだろうか。そしてまた、本来これは政府としても取り組むべき課題ではありますけれども、製紙業界としても、また産構審の部会の方としてもこれに携わっておられる方々の生活を保障するということを踏まえ、また国内資源の活用という立場から技術的な開発も含めた故紙の回収利用に大いに積極的に取り組む必要があるんじゃないかと、こう思うのでありますが、この点について御見解を承りたいと思います。
 最後に松永、田中両参考人にお伺いしたいのでありますけれども、今後設備の凍結とかあるいは廃棄、こういったいわゆる合理化が具体化されてくることが予想されると思うのでありますが、私はそのことの是非は別といたしまして、その際に、そこで働く労働者とかあるいは関連の下請中小企業、そういうところに犠牲を転嫁するといいますか、しわ寄せするというか、さらにまた業界や企業をこれまで支えてきた地域経済に打撃を与えるようなやり方は断じてとるべきではない、こう思うのでありますが、この点での両参考人の見解と申しますか、決意のほどをお伺いいたしたいと存ずる次第であります。
 以上であります。
#37
○参考人(松永義正君) 七十万トン体制の問題をまずどういうふうに見るかということが一つと、それじゃそれは実際問題維持できるのかどうかという問題、最後の廃棄その他地域産業、それから雇用の関係はどう考えるのかと、そういうことでよろしゅうございますね。
#38
○市川正一君 はい。
#39
○参考人(松永義正君) 七十万トン体制は、先ほど申しましたように、われわれ発言権がないというのはむしろ被告の立場にあったわけですから……。そういうような、需要家側が要らないというものをわれわれがやりたいと言っても買ってもらえないわけですから、そういう問題があったということで申し上げたわけです。特に中小企業がかなり需要家側にあるわけです。これはなかなか開発輸入もできませんし、それから長期契約もできませんし、インベントリーの関係があって輸入するとかなりまとめて買わなきゃならぬから、そういう資金の問題もありますから、特に中小企業はなかなかそういう問題について関心が深かったというふうに私は思います。それから大メーカーはある程度自分の力もあるから開発輸入も長期契約輸入もできるわけですが、品質とか、またこの二年ぐらい前は輸入が、もう極端に事業がタイトになっていて輸入はできなくて、要するにわれわれの国内値段より十万円も高いものを買わされたとか、そういう経験もございますし、やはり安定ということが考えられてきたというふうに思います。だからその両面から来たのではないかと思いますが、アルミは斜陽族じゃございませんから、需要の方は大体GNPと弾性値が同じだと言われるくらいに用途があるわけです。特に省エネルギー関係で使いますものですから二百十万トンとか二百十五万トンとかを想定できるわけです、昭和六十年度の需要が。そのときのバランスが、お手元に差し上げたと思いますが、国産が設備で七十万トンということは六十五万トン程度、それから開発輸入が七十万トン程度、それから長期契約が五十万トン程度、それから三十万程度のスポット輸入があるだろう、そういうような見方が常識的に想定されるわけですから、そういうようなことから七十万トンぐらいは維持しなきゃならぬという側面がございます。もしそれをなくしちゃうと何かそういう手当てをまださらにしなきゃならぬということになりますと、国際的にもなかなかそれだけの余裕もないことですからとんでもない高いもので買わされるとか、そういう問題があります。要するに価格、バーゲニングパワーというのですか、そういうものも失ってしまう、そういうような観点もございますので七十万トンということで決心したというふうにお考えいただきたいと思います。
 それから維持できるかどうかの問題は、先ほど申しましたように、ここで何もしないとすれば来年度中ぐらいに二十万トンぐらいになってしまうという状況にあるわけですね。
   〔委員長退席、理事上田稔君着席〕
だからここで政府の政策をお願いするのはその五十万トン程度を維持するためにいろいろ政策をお願いしたいというのがわれわれの考えでございます。先ほど申しましたように、百二十億程度の電力のコスト削減はある程度できましたが、何しろ六百五十億とかそういう赤字ですからなかなかそれだけではやっていけないというのでわれわれの関税を免除してもらいたいというようなことを先ほども申しましたようなことでやっていくわけでございます。ただ、これには大きな関連がございます。それは国際需給バランスの問題でございます。国際需給バランスがいまのような状態ですとなかなかむずかしい。国際需給バランスがある程度タイトになれば国際価格も上がりますから国際需給バランスとの関係もございますし、それから円高だとか円安とかございますね。その円安ということは非常に期待薄でございますが、円高が極端にいきますと輸入のメタルがますます安くなって、われわれのコストは変わりないですからますます格差が広くなるという国際通貨の問題もかなり関連がございます。そういうようなことでございますから、そういうことをいろいろ想定しながら七十万トンを維持していきたいと、そういうふうに考えておるわけでございます。
   〔理事上田稔君退席、委員長着席〕
 それからもう一つは、廃棄設備の負担とかそういうことについては申し上げたわけですが、われわれもアルミニウム加工の方は斜陽ではございませんので、逐次加工の方へ進んでこの余剰人員を転用していくという考え方が中心でございます。ただ、会社がだめになっちゃったというような場合はこれはもう論外になってしまうものですから、何とか存続できるようなことになってもらわないと困るというふうに思いますし、海外製錬にしてもかなりの投資をしたり国家の援助をいただいているのですが、もう母体になるわれわれがいなくなるとこれはまた国際問題でえらい問題が起きるというようなことでございますので、そういう点がございます。ただ、いろいろの受けざらを考えながらやっておりますが、受けざらを考えるにしてもかなりリードタイムがございますので、その間はやはりいまの制度の中で労働関係のいろいろの補給金をもらいながらつないでいくよりしようがないのだというふうに思っております。それでよろしゅうございますか。
#40
○市川正一君 意見は別として、ありがとうございました。
#41
○参考人(田中文雄君) 故紙の活用については先生と全く同じ考え方に立っております。そして現在も集める方の対策、これはやはり集める方も使う方も一番問題は安定供給、要るときにはばかに値段を高く買うが要らなくなったらもう振り向きもしないようなことじゃだめだ、こういういろいろの問題がありましたので、故紙回収センターというものをつくりまして不況のときにはそういう共同備蓄場を設けてそして平均的に集めたい、これをやってみましたが、規模が小さ過ぎてとても共同備蓄場じゃどうにもならなくなったものですから、大メーカーが所要量のいわゆる適正在庫の二倍ぐらいまでは持とうというようなことで極力集める方の皆さんの御希望にこたえるようなことにしております。それからさらには、いまばらばらに個人的な収集業者が多いわけですけれども、それを共同収集というようなこともできないかということも考えております。それから、それと同時に使う方ですね。よりよけい使う方法として脱墨技術の改善あるいはホットメルト法というような新しい使う技術の開発というような、使う方の技術も一層開発してよけい使えるようなぐあいにしたいと、こういうことをやっております。故紙業者のいろいろの実態は、先生のおっしゃるようなこともわれわれもよく承知しております。しかし、まだ不十分である、こういう状況ではないかと思います。
 それから、合理化設備、廃棄等やったときのいわゆる従業員、これは先ほどもちょっと触れましたが、いずれは必要な要員だ、こういうふうに考えているし、また終身雇用制というような考え方の従業員ですから、いまのところ行き詰まった会社以外はいずれもいろいろの工夫をして、たとえば新規採用を抑えるとか関連企業への応援に出すとかいうようなことで雇用を維持しておりますが、今後ともあらゆる努力をして抱えながら、いずれまた必要な要員ですからそのときに備えたいと、こういうふうに考えております。
#42
○市川正一君 もし辻村先生に何かございましたら……。
#43
○参考人(辻村江太郎君) 故紙の重要性につきましては、全く御指摘のとおりだと思います。資源小国の日本では経済的な安全保障のために資源の備蓄というのが非常に大きな要素ですけれども、故紙の場合は単なる備蓄でなくて資源のリサイクルという意味で、紙パ業界はこの点では模範的なことを始めたというふうに思っております。ただ、この運営につきましては、いまお話しがありましたように、貯蔵場所ですとかあるいは在庫資金のつなぎをどうするかとかいう技術的な問題がたくさんございまして、紙パ部会でも強い関心を持っておりますし、それから通産省の紙業課で現在そういう細かい点の検討を鋭意行っております。
#44
○市川正一君 ありがとうございました。
#45
○井上計君 皆さん方のお答えも大体もう出尽くしておりますし、時間もありません。それから私自身が去る三月から当委員会あるいは予算委員会の分科会等で基礎産業の不況対策についてはしばしば提言をしたりあるいは質疑を行っておりますし、またわが党では去る三月からすでに素材産業不況対策特別委員会を設けまして、政府に対しましてまた各方面に対しましても要望を立て、またアルミ、特に紙パルプにつきましての不況対策の政策もつくっておりますから、いろいろと私お聞きすることはないわけであります。ただ、時間もありませんけれども、ここでお答えというよりもむしろ私はお三方参考人、特に松永参考人と田中参考人には大変御無礼でありますけれどもあえて苦言を呈して、まあお答えをいただければお答えをいただいて結構でありますが、申し上げたいと思います。
 大変表現が適切かどうかは別ですが、病気にたとえますと、もうアルミ業界は危篤と言うと失礼でありますからあえて重体と申し上げておきましょう。それから紙パ業界は重症で、まだ重体には陥っていないかと、こう思います。しかし、いずれにしてもある日突然こういう問題がやってきたわけじゃないわけなんですね。すでにこういう事態の起きることは数年前から当然予測されておったと、こう思うのです。特にアルミ業界は一番大きな問題は電力の問題でありますが、電力費等については先般もアルミ業界からわれわれに対する要望としては、キロワット大体八円ならやっていけると、ぜひ八円の線をということで労使双方の御要請がありました。しかし、いま八円にすることはこれは不可能なわけですよ。ところがそういう状態が来ることはもう数年前から予測されておったのです。もちろんいろんな事情としては不可避的な問題もあったと思いますけれども、しかし石油価格の値上がりについて特にアルミ業界はやはり見通しを誤られた、あるいはそれについての対応策がおくれておった、あるいは自助努力がおくれておったということが私は現在この事態を招いておる大きな理由だというふうに、いままで何回か皆さん方ともお話し合いをし、あるいは直接アルミ工場も見学をさしていただいて、その結果私はそういうふうな判断をしておるのです。といっていまさら死んだ子の年齢を数えても仕方がありませんからそれをどうとかこうとかと言いませんけれども、しかしこれからどうやっていくかという中には、やはり従来の反省の上に立ったそれこそもう一歩も退くことができないという自助努力をもっとお考えいただく必要がある、こう思うのですね。先ほどから松永参考人のお答え、御説明を聞いておりますと、とにかくいまのアルミ業界を救済するためには、政策をあるいは政治のあり方をということが多いわけでありますけれども、やはりもっと自助努力をどうするのか、これからの対応策をどうするのか、さらにこれからの先取りをどうするのかということをもっとお考えをいただく必要があるんではなかろうかというふうに思います。これ以上申し上げると御無礼でありますから、これ以上申し上げません。
 そこでもう一つ、自助努力を怠ったということについて、私、これは申し上げたいと思いますが、先般も労使双方、特に労働組合からの御要請の中に、とにかく電力費さえ安くすればわれわれの雇用が守れる、こういう御要望があったんですね。それで、私その労働組合の代表に申し上げたのですけれども、あなたたちは電力費を安くしてくれという要望をされる。一面では、別の運動ではありますけれども、電力費を高くする運動をやっているではないか、こう私はあえて指摘をしたわけですよ。すなわち原子力発電の反対をしておる、そういう運動に参加しておられる労働組合がアルミ業界にあるわけですよね。この反省はやはりすべきですよということをあえて申し上げました。先ほどから松永参考人は原子力発電によるコストの低減以外にないということを言っておられます。したがって、そういう面についても業界自体がもっと御努力をしていただく必要があるんではなかろうか。あえてこのことを、ひとつせっかくの機会であります、失礼でありますけれども、松永参考人に御要望をし、苦言を呈しておきます。
 田中参考人にでありますが、紙パのことは私も内輪みたいなものでありますから詳しく申し上げていると切りがありませんし、また先ほど来のお答えについては大体いままでのである程度承知をしておることでありますが、しかし、需要の見通しについて、先ほど田中参考人が、これから需要はふえるであろう、とすると九〇%程度の操業が可能だというふうな、そういう意味のお答えがありましたが、失礼ですが、ちょっと田中参考人甘いのじゃないですかね。と言いますのは、私は御承知のような立場、ユーザーの立場で考えて、需要はそんなにふえない。やはり現状の大体三%程度、ふえても四%程度しか今後需要は伸びぬであろう。逆に減る要因があるんですね。先ほど辻村先生が、先のことであるけれども、今後の印刷媒体としての紙がほかのものにかわっていくというようなお話がありましたが、私はマイコンの普及によってかなり事務用品は減っていくであろう、こう思います。それからやはり書籍のフィルム化というものは今後四、五年の間に急速に進むのではなかろうか。そういうことを考えると、やはり紙の印刷用紙の需要は、私はそう多くは望めない、需要増は望めないのではなかろうか。とすると、今後需要がそのうちにふえるであろう、ふえれば現在の操短をかなり緩和できるというふうなお考えがあるとするといささかどうであろうかなという気が実はいたしております。
 それからもう一つは、不況カルテルに余りにも依存し過ぎておられる。先般も業界のトップの方に申し上げましたけれども、やはり不況カルテルは緊急避難としてやむを得ないわけでありますけれども、しかしいつまでも不況カルテルに頼らなければ業界の体質改善あるいは過当競争がなかなか御し切れないんだということになると、私はいささかどうであろうか、こう思います。辻村先生は五百十一社という非常に大きな数の企業があるから、なかなか内部体制もうまくいかぬという、産構審の紙パ部会長としての立場でそういうふうなお話がありました。私は五百社や六百社なんというのはちっとも多くない。中小企業の場合はもっともっと膨大な数の業者数を持った団体が非常に多いわけですね。中小企業がもしこういう事態になれば、世間ではあるいは政府でもこれは中小企業の放漫経営である、誤りであるというようなことで、一切救済措置を考えてくれぬわけです。それから考えると、両業界はまだまだ幸せだと、こう思うんですね。そういう意味では、ひとつもっとその点については十分なる自助努力をお願いいたしたい、こう思います。
 それからもう一つ、先ほど青木委員からの御質問でありましたか、製紙メーカーの印刷あるいは紙器分野への進出であります。従来から一貫作業によって付加価値を高めるというお考えで紙器並びに印刷分野へ進出しておられる大メーカーが非常に多いです。これは結果においては自分で自分の首を締めるという結果になっておるわけですね。特にクラフト需要が大幅にポリ袋に変わった原因の一つは、全部とは言いません、一つはやはり製紙業者がクラフトを使う紙袋に大幅に進出された。そのために紙袋、紙器の中小業者はどうしてもメーカーの一貫作業に対抗し得ませんから、したがってポリ袋等の転換のための技術研究あるいは印刷機の開発、それらをやったことがある程度クラフトの需要減をもたらしておる、私はこう判断しておるんです。したがいまして、今後やはり素材メーカーとしては素材メーカーとしての分野を守っていただく。自分で自分の首を締めるような、いわば関連するそのような印刷、紙器分野等への進出は自粛をお願いいたしたい。たびたび申し上げていることでありますけれども、せっかくの機会でありますから、このことを申し上げておきます。
 それからもう一つ、きょうは通産の両局長お見えでありますが、局長にまだいまお答えを聞くことは差し控えますけれども、特交法の改正、見直し等について私は四月の当商工委員会で当時の産政局長にそのことを提言したわけです。当時、産政局長は特交法の見直しの必要はない、個別対策によってやっていく、こういうふうな御答弁があったわけですね。その後、通産省はどう変わっておるか知りませんけれども、私はこれは両局長への要望でありますけれども、ぜひ特交法の見直しをやっていただかなければ、紙パだけではありません。紙パのほかにも重要な基礎産業で、非常に特交法によらなければ問題の解決はできないという業種が幾つもほかにあるわけでありますから、そういう面につきましては通産省、政府内でその問題についてもぜひひとつ御検討を、御努力をいただきたい。これは要望であります。時間もありませんし、もうあえて、冒頭申し上げましたように苦言ということで申し上げましたので、特にお答えを求めませんが、もし松永参考人、田中参考人あるいは辻村参考人、お三方何かお答えいただくことがあればお答えいただければ結構でございます。以上です。
#46
○参考人(松永義正君) 時間がありませんので、一つだけ弁解を申し上げますが、おっしゃるとおり見通しが甘かったというのは前回の、五十三年の産構審で百十一万トンにしたときの昭和五十八年の電力価格が八円ないし九円ということで決まったわけですね。それに対する対策を講じたわけですが、これが御承知のように五十五年、六年で十五円にもなったというのは、やはり第二次のオイルショックのインパクトがその当時ステディーに上がっていくだろうと、毎年何%か、そういうような計算をしたわけですが、これはイラン問題も、いろいろあるんですが、いきなり二倍半ぐらいぼこっと上がったというのが、これは本当におっしゃるとおりそういうことが起こるということの想定がそのころなかったということで……
#47
○井上計君 ちょっといま何ですが、私は五十三年に石油の輸入価格が当時十三ドル程度でしたかね、二十五ドルから三十ドルになるということを当委員会でやったことがあるわけですよ。そういう空気は当時あったわけですね。これはもう時間がありませんから、だからあえて細かい点はもう結構でありますけれども、いろんな総合的な見通しの誤りというものがあったということも十分御反省をいただきたい、こういうことです。
#48
○参考人(松永義正君) それだけちょっと、要するにミスジャッジしたということでございます。
#49
○参考人(辻村江太郎君) いまのお話の中で、紙パルプ部会長という立場上とおっしゃいましたけれども、紙パルプ部会長というのは私の職業ではありませんで、私は経済学者ですから、公益の立場から考えております。
 五百十社と申しましたけれども、これは同一の市場に参加する企業数としては多いわけです。零細多数の小企業はありますけれども、それは地域で限られている場合が多いのであって、一つの市場に参加する社数として五百十社というのは多いと申し上げたわけです。
 それから、私は一度も過当競争という言葉は使わなかったつもりです。ですから、その点だけ申し上げておきます。
#50
○井上計君 はい、わかりました。
#51
○参考人(田中文雄君) 需要予測が甘かったと、御指摘のとおりです。したがって今度の設備の調整問題は、まず需要予測をがっちり実態に合ったものにしなきゃいかぬということで従来の方式を変えまして、みずからいろいろ予測すると同時に、その数字をもってユーザー側にも意見をいただいて、相当時間をかけてやっております。
 それから、紙器業者の方に、素材メーカーはその分野から余り出ないように、これはわれわれの方もお得意さんでもあるし、場合によると、いまおっしゃるとおり、自分で自分の首を絞めるというようなことにもなるわけですから、極力気をつけながら、共栄するように、まあ双方、お互いに努力していきます。
#52
○委員長(降矢敬雄君) 他に御発言がなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。
 参考人の方々にお礼を申し上げます。
 大変御多用中、長時間にわたりまして御出席をいただき、貴重な、しかも有益な御意見を拝聴させていただきましてまことにありがとうございました。委員一同を代表いたしまして心からお礼を申し上げます。
 参考人の方々にはどうぞ御退席をいただきたいと思います。
    ―――――――――――――
#53
○委員長(降矢敬雄君) これより請願の審査を行います。
 第二四七号灯油価格の抑制等に関する請願外十七件を一括して議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会におきまして慎重に検討いたしました結果、いずれも保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上理事会の申し合わせのとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○委員長(降矢敬雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#55
○委員長(降矢敬雄君) 次に、継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。
 下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○委員長(降矢敬雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#57
○委員長(降矢敬雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#58
○委員長(降矢敬雄君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 産業貿易及び経済計画等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#59
○委員長(降矢敬雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○委員長(降矢敬雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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