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1949/02/15 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 通商産業委員会 第9号
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1949/02/15 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 通商産業委員会 第9号

#1
第007回国会 通商産業委員会 第9号
昭和二十五年二月十五日(水曜日)
   午後一時二十九分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
二月十三日委員小林英三君、小杉繁安
君及び境野清雄君辞任につき、その補
欠として高橋啓君及び深川榮左エ門君
を議長において指名した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○帝国石油株式会社法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出)
○地方自治法第百五十六條第四項の規
 定に基き、電気試験所熊本支所設置
 に関し承認を求めるの件(内閣送
 付)
○派遣議員の報告
○中小企業振興に関する調査の件
 (右の件に関し証人の証言あり)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(小畑哲夫君) これより委員会を開きます。
 本日は今回本委員会に付託されました帝国石油株式会社法を廃止する法律案、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、電気試験所熊本支所設置に関し承認を求めるの件、この二件に関し政府の提案理由の説明を求め、ついで中小企業振興に関する調査の第三回として当面の繊維業の諸問題に関し、関係者の証言を聞くことにいたします。二つの案件の内、帝石法廃止法案は参議院の先議になつております。本審査で、電気試験所熊本支所設置に関し承認を求めるの件は予備審査であります。それでは大臣の提案理由の説明を求めます。
#3
○国務大臣(稻垣平太郎君) 只今議題なりました二つの法案のうち、先ず帝国石油株式会社法を廃止する法律案について、その提案の理由を御説明申上げます。
 帝国石油株式会社法は、石油資源の開発を振興するため、政府が帝国石油株式会社の資本金の半額に当る五千万円を出資し、その直接の監督と助成の下に必要な事業を営ましめるところの目的を以て、昭和十六年三日十五日法律第七十三号で公布されましたいわゆる持株会社法であります。その後同社は情勢に応じて、資本金を四億六千万に増加いたしまして、終戰を迎えたわけでありますが、企業再建整備法による特損が約三億円に達しましたので、特別経理会社の指定を受け、昭和三十四年五月十四日に持株会社整理委員会の決定指令に基くところの、保有株式の処分及び未利用鉱区の処分案を織り込みました整備計画を提出いたしまして、これは同年八月三十一日に無條件に許可になりまして、同社はそのまま在続することとなつたわけであります。
 さて持株会社整理委員会の指令に基く保有株式の処分につきましては、引続き必要な手続を経てこれが実行に当つておりましたが、昭和二十五年三月に至りまして、これらにかかるところの措置が全く終りまして、持株会社整理委員会から、終結指令の通達を受ける段階に至つたのであります。
 この間におきまして、政府は先に財政收入の確保を図るために、同社に対する政府の出資義務を解除し、政府所有の株式を処分することができるように、帝国石油株式会社法の一部改正を行なつて、この前の国会で御審議願つたのであります。以上申上げましたごとく、過度経済力集中排除法に基く諸般の措置が終りましたので、帝国石油株式会社の特殊会社としての性格を変更いたしまして、商法による会社として存続させる必要がありますので、同社を商法に適合していない事項を、同法に適合させるため、必要な定款の変更の決議をすることができるようにし、且つ帝国石油株式会社法を廃止するため、この法律案を提案する次第であります。何とぞ愼重御審議の上、速かに御可決あらんことをお願いする次第であります。
 次に電気試験所熊本支所設置について国会の承認を求めるの件の提案理由を御説明申上げます。
 本件は、国の地方行政機関を設置する場合として、地方自治法第百五十六條第四項の規定によりまして、国会の承認を必要とするのであります。
 電気試験所の行う電気計器の検定見込箇数は、昭和二十四年度百八十万箇、二十五年度二百三十万箇、二十六年度三百四十七万箇、二十七年度二百五十五万箇と年々増加の傾向にありまして、現存の設備能力では処理困難の状態であります。殊に九州地方においては、この傾向が甚だしく、要検定箇数は二十五万七千箇と見込まれるのでありますが、これは現在設置されている福岡支所の処理能力を著るしく超えるものでありますので、この際熊本市に支所を設置して、電気計器の分布状態より見て、その検定に不便を感じている南九州地方における電気計器の検定を、取敢えず年間六万箇の予定で取扱わせようとするものであります。
 又当支所においては、電気計器の検定のみでなく、電気計測器の試験と併せて電気に関する研究、調査及び技術指導をも行なつて、当該地方の電気事業の進歩発達に寄與しようとするものであります。
 以上の理由によりまして、熊本支所を設置する必要があるのでありますが、尚二十五年度予算におきましては、その設置に必要な経費千八百五十六万六千四百四十円を組んでおります。何とぞ愼重御審議の上御承認下さるようお願いいたします。
#4
○委員長(小畑哲夫君) お諮りいたします。この二件に関する質疑は次の機会に延ばして、本日は直ちに次の議題に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(小畑哲夫君) 御異議ないと認めます。
  ―――――――――――――
#6
○委員長(小畑哲夫君) それでは中小企業振興に関する調査の第三回として、繊維業の問題を研究することにいたします。
  繊維業は昨年の春生糸の統制撤廃の頃よりいろいろの問題が山積みしておりますので、この点に鑑み実は昨年の秋、閉会中ではありましたが、委員長は特に境野委員に委嘱して、個人的に関東及び新潟の各機業地を視察して貰つたのであります。境野君の視察は本日の問題と頗る密接な関係がありますので、本日は丁度よい機会ですから、この際簡單に同君の報告を願うことにしてはと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(小畑哲夫君) 御異議ないと認めます。それでは簡單に各地を御視察なされた結果について、境野君お願いたします。
#8
○委員外議員(境野清雄君) それでは只今お話のありました通り、私、昨年九月二十八日に八王子を視察いたしまして、十月三日から六日までの間、秩父、館林、佐野、足利、桐生、伊勢崎、関東の六大産地を視察いたしました。続きまして十月十九日から二十三日までに新潟県の小千谷、十日町、栃尾、見付、加茂、亀田、六大産地を視察いたしましたので、この視察いたしました経過について概略を御報告申上げたいと思います。視察した地域は丁度関東及び新潟の機業地でありまして、主として絹、人絹の産地であります。この中には佐野に若干の綿織物がありましたし、又小千谷に多少の麻織物があつたのでありますけれど、大部分は絹織物の産地でありまして、その絹織物の産地にその後人絹織物が加わつて来たというような形になつている産地のみでありまして、たまたま我が国におきます二十四年の七月一日におきまして、絹人絹力織機の登録台数は広巾に換算いたしまして十四万六千台ありますが、そのうち、私共が洞察いたしました地域は、丁度関東の七大産地におきまして二万八千九百九十三台、新潟の六大産地におきまして八千六百七十七台、合せまして三万七千六百七十台でありまして、全国比較の二六%弱の地点を廻つて来たのでありますが、これは全国的に見ましたならば、私共が参りました十三産地、それを総計したものよりもまだ上廻つている福井のごとき土地があるのでありますが、大体私共の廻りました地域の機械は、広巾よりは比較的小巾の多い地域でありまして、私共、力織機について見ましても、広巾の多い土地は桐生だけでありまして、他の土地は殆んど小巾が多いという形でありまして、広巾、小巾相半ばしておりましたのは佐野、栃尾で、伊勢崎も手機をのけまして、力織機だけでは半々になつている。その他の土地は殆んど小巾物が多い、いわゆる昔のような形になつているのであります。併しながらこの産地は殆んど小巾から完全に現実におきましては、広巾に非常な移行をしておる。最も小巾が圧倒的に多い十日町に見てみましても、戦争前におきましては広巾の割合が一三%でありましたものが、私共の視察いたしました二十四年の九月におきましては、三九%に広巾の割合が殖えておるというような形でありまして、私共の廻りました各産地共に小巾はどしどし止めまして、広巾に変つておるというような形態になつておるのであります。
 次に私共が視察いたしました時期が丁度シヤウプ勧告案が発表されまして、織物業界は多年の要望が漸く報いられまして、そうして消費税が撤廃されるという見通しを得た時期なのでありまして、後で又申上げますが、消費税の撤廃は将来においては確かに明るいものと約束されておつたのでありまするが、現実では消費税の撤廃を見越しての消費の手控えが非常に多くなつて現れており、業界は意外な苦境に立つておつた時代であつたのでありまして、このことは視察の目的がたまたま消費税撤廃による諸種の影響を調査することを目的としたことと併せて、留意さるべき点であつたと思うのであります。尚これらの地方には、いずれも織物業以外には殆んど他の産物がないということなのであります。これは先も、秩父におきましてはセメントがあるとか、或いは館林の醸造だとか、製粉、又加茂の木製品というように、若干の他産業もあるのでありますが、概して耕地が狭くて、他に見るべき産業がない所に、織物業が興つているという形であり、殊に新潟県におきましては、雪と織物の関係が密接なものがあるというような関係を持つておりまして、こういうような他に産業が少いだけに、各産地とも織物業の好不況というものに、重大な関心を土地全体が寄せておるというような状況であります。
 以上が私共の廻りました各産地の概況でありまして、個々の問題につきまして、極く簡單に御報告申上げたいと思います。先ず第一に、私共の調査いたしました消費税並びに税制の問題、これにつきましては、織物消費税については、シヤウプ勧告案は、これは生活必需品に対する課税の一つであると断定いたしまして、すべての織物消費税を完全に撤廃するように勧告とておつたのであります。そうして我々が視察いたしましたときには、すでにシヤウプ博士が心配されておりましたように、全面的な買控えが発生しておりまして、或る百貨店のごとき、私共が行つておりまするときに、電報を打ちまして、仕入れを中止しろというような例があつたのでありまして、業者の消費税の即時軽減の要望は非常に熾烈なものがあつたのであります。併し政府当局は九月まで遡及することは勿論、十一月実施の計画すらこれを行うことなく、遂に二十五年の一月から全廃するという形をとつたのでありまして、これは織物業界におきましては、稀に見る混乱を惹起することになり、多年の要望にも拘わらず、消費税撤廃が物凄い陣痛の悩みを伴つたというような結果は事実であつたのであります。
 次に価格の差益金の問題、これは価格差益金はインフレ時代の所産でありまして、公定価格の上昇に伴つて価格差益金を徴せられたことは、一見見ますと公平のように見られるのでありますが、併しこのために企業の資本力を弱小化いたしまして、次の仕入には前回と同量を仕入れるということは不可能になつており、従つて縮小再生産の過程を辿らしむる結果となつたのであります。加うるに我々が視察いたしましたときには、絹関係の統制が全面的に廃止されました影響を受けて、絹織物の価格は公定価格を下廻つておつた時期でありまして、価格差益金の未納額は強制的に徴收されるか否かということにつきましては、業者の関心は非常に強かつたのであります。蓋し公定価格が引上げられるときは、儲けるだろうという仮定の下に価格差益金を徴收するのでありますが、併し販売価格が下落の傾向にあるときには、決してその補給金を支給するということをしない。この政策の矛盾に対しまして、業者の怨嗟の声は非常に強かつたというように私共は感じておつたのであります。
 次に金融に関する諸問題、これはドツジ・ラインの強行によりまして一般的に金詰りが著しく悪くなつておつたということは、私共が説明するまでもないのでありますが、これは中小企業に皺寄せせられているということも又事実でありまして、一般に織物関係の業者が、商業といわず、工業といわず、中小企業が多いことも又事実でありますので、殊にそれは絹織物並びに人絹織物については著しく中小企業者が多いのであります。この業界における金詰りの実情は、実際私共が廻りましてひどいものがあつたのであります。このような中小企業一般の金詰りに加えまして、織物業界における金詰りの原因というものは、私共の視察した地点におきましては、三つの事実から特に深刻さを増しているのではないかというようなふうに考えておつたのでありまして、その一つは、価格差益金の徴收によりまして、資本力の弱化であり、又他の一つは、消費税の撤廃見越の買控えによつて生じた滞貨である。又もう一つの理由は、生糸の価格は夏頃に比較して、著しく昂騰しておつて、いわゆる原料高の製品安というような現象があつたので、この三つによりまして、これが非常な金詰りは、恐慌に近いものがあつたのであります。こういうような関係でありまして、特に私共が一言して置きたいというようなことは、地方銀行の問題なのであります。それは地方銀行の存在する所では金融は比較的円滑に行われておつたのでありますが、地方銀行の在在していない、概して金融の円滑を欠いている所にはどうしても地方銀行がないというようなことであります。我が国の産業の構造が、中小企業が大部分であるにも拘わらず、金融機関のみは、健全性という必要もあるにはあるでありましようが、余りにも中央集権化して、大規模化しており、中小企業の面倒を見ることが少いというようなことが、地方を視察して特に感ぜられるのであります、更に地方銀行はその預金が少いために、どうしても長期の金融に廻し得ない、資金の欠乏からいたしまして、長期の金融がやり得ない。従つて一時復金あたりから融資を受けて、漸く緒につきかけた事業が、復金の返済期限に到達しているのに、これに代るべき長期金融を受ける途が塞がれているのに、折角の事業が中途にして途方に暮れているというような例が多々あつたのであります。更に地方銀行と関連いたしまして、地方の中小企業の金融機関として、信用組合の力を無視することはでき得ないのでありますが、そうして各地方におきましても、この信用協同組合設立の計画を相当聞いておつたのでありますが、これの認可がなかなか得られそうもないという声が各地に起つておつたのであります。中小企業等の協同組合法の信用協商組合に関する條項が、別の法律によつて、全く骨拔にされようとしているような、産地方面の忿懣の声が起つているということは事実だというようなふうに見受けられるのであります。
 又次に、統制に伴う諸問題に関しましても、二十四年の六月から、生糸及び織物統制が撤廃されまして、価格の低落という事実と相俟ちまして、業界には相当の衝撃を與えたのでありますが、それが却つて後に述べますように、合理化の気運を促進し、優秀製品の生産という好結果をもたらしたということは事実であります。他面統制の廃止は自由競争でありまして、自由競争は、或意味におきましては、資本力のある者が勝つ世界である。そのために零細な企業が打撃を受けたことも事実又争い得ない、併し統制の廃止は、各人の創意を生かし、能力を十分に発揮し得るという点におきまして、歓迎されているようであります。それだけに統制の廃止されていなかつた当時の人絹とか、スフ、麻等に対して統制撤廃の声は各地において相当叫ばれておつたのであります。殊に我が国のように、絹、人絹、混ぜ織物の多い所では、一方だけ自由にいたしまして、他方を統制するということは、奇怪千万なことであつて、すべての繊維原料の統制は早晩外されなければならんということを痛感したのであります。ただ統制を外す場合に、外し方に問題があるということは勿論のことでありますが、いずれにしても、私共が廻りました際に、各種の原料糸というものの統制は、即時に撤廃して貰いたいというような意向が非常に強かつたようであります。統制をただ外すことは非常にいいのでありますが、検査を自由にするということに対しては、議論が相当分れておつたように見受けておつたのであります。視察した各産地はそれぞれ自治検査を施行しておつたのでありますが、それがいつまで続き得るかについては、組合の理事者は危惧の念を抱いておつたのであります。織物消費税のある間はこれに附随して検査も容易であるのでありますが、消費税が撤廃された後におきまして、検査を励行し得るや否やという疑問があるのであります。産地の名声を維持する上から、検査を是非とも励行して行きたいというような意向は各産地とも非常に強かつたのであります。
 尚次に合理化の進展状況はどうか、こういう問題を調査したのでありますが、合理化の目標は優秀品を廉価に製織するという点にあるのでありまして、この点において合理化について、各産地の業者はいずれも異常な熱意を持つておつたのであります。併しそれを実現するのには幾多の困難があるのじやないかというように見受けたのであります。
 原価を引下ることの困難の第一は操業率がまだ低いということであります。我々の見たところでは絹、人絹織物については約七八割の操業をしておつたのでありますが、綿織物につきましては、百五六十台の織機がありましても、僅かに二十台ぐらいしか動いておらないというようなのがあつたのであります。絹、人絹織物についても前述のように、原料糸の保有高が少ないために、いつ休業の憂目を見なければならないかというような不安は相当否定でき得ない事実であります。
 第二の困難は機械が非常に古くなつておるというような問題でありまして、これは企業整備が鉄製品の供出に主眼を置きましたので、どうしても旧式のものが多く残つておつたというきらいがあります。戦後におきまして政府の特別の考慮の下に、優秀機械の復元が行われて来たのでありますが、その代置はまだ十分とは言えない、こういうふうに見受けたのであります。各工場思い思いの機械を入れてその種類が千差万別のために、輸出商品のごとき大量齊一な製品を要求される場合に、これに応じ得ないというような欠点が多々あるように見受けたのであります。原価を引下げましでも製品の規格を引下げれば合理化の効果はないのでありますが、製品の優秀化について業者の努力は最近大いに上つて来たように思うのであります。こういうような点から見ましても、徐々に従来の企業経営の合理化というものは、相当伸張をしておるように思われたのでありますが併し幾多の困難もまだまだあるのであります。その一つといたしましては染料が非常に悪いということであります。戦後の染料は非常に粗悪でありまして、褪色が甚だしいことは輸出は勿論のこと、内地向きについても大いにこの点は考慮しなければならんのじやないか、この方面に対する政府の段の努力を我々は希望するものであります。
 その第二は各産地の中には産地独特の製品を持たない。いわゆる製品の種類が刻々に変化するために、技術の向上が阻止されておることであります。産地なり工場なりは伝統的な特産品を持ちまして、これに専念しておるところでは、戰前に劣らないような製品を持つておるものがありますが、これが反対に戦争の余波を受けまして崩れ去つておる産地、工場では優秀製品がなかなか生れて来ないというような欠点があるのであります。
 その第三は業者の中には統制時代の安易感が抜切らないで、織りさえすれば何とか売れるのじやないかというような考えの下に、まだ合理化に対する熱意が足りないのではないかと思われるものもあつたのであります。併し安易感が漸次去りまして優秀品を廉価に生産するという方向に業界が強く動いておるということは事実なんであります。
 最後に当時私共の廻りました主眼といたしておりました協同組合の問題に関しまして一言申上げますと、中小企業等協同組合法が公布されて間もない頃でありまして、新らしい法律による組合への移行が論議される時期であつたことと、我々の視察が主といたしまして協同組合の配慮の下に行われたために、至る所で協同組合の問題に対します活発な議論を聞くことができたのであります。端的にいえば協同組合はいわゆる従来の統制組合から真の協同組合への移行の過程にあり、それに幾多の悩みを見たのであります。その一つは新らしい法律によりまして、雇用従業員、百人を超える業者は、新らしい協同組合員になれるかどうかというような点にあつたのであります。我々の視察いたしました地方では、かかる大きな業者は数にしてそう多くはないのでありまして、又このくらいの大きさのものならば、恐らく新法でも加入を認められるだろうという程度であつたのでありますが、若しそれらの比較的大きな業者が除外されるような場合には、組合の運営は大いに変化を受けなければならないというような心配は各所にあつたのであります。問題はむしろ又別のところにもあるのでありましで、それは統制がなくなりまして、消費税が撤廃されれば組合の事業がこの二つを中心に動いていたことから見まして、組合の中心事業がなくなつてしまうことなのであります。組合は利便を主としておるのでありまして、何かの利益がなければ現在の業者は加入しない。組合に加入する魅力がどこに生れて来るだろうかというような点が、非常に心配の種であつたように観察したのであります。併し中小企業者は元来一本立ちのでき得ないところに問題があるのでありまして、大勢が寄り集つて組合をつくる、協同の力で以てみずからの事業を運営いたしまして、大企業の圧迫に耐えて行こうとするところに協同組合の必要性が生れて来るのでありますから、協同組合は中小企業に最も必要なものもある。従つて協同組合が俄かに無力になり消滅するとは思えないのでありまするが、私共の見ました観点によりますと、協同組合が強化されて行くような産地が繁栄いたしまして、然らざる所は没落するのではないかというような観方をして参つたのであります。協同組合の事業といたしましては、生産面と販売面の二方面が強く感ぜられたのでありますが、生産面では共同施設であります。例えばメリヤスの起毛設備とか或いは生糸の撚糸設備等であります。併し撚糸とか或いは製糸その他では実質は組合の事業と言えるのでありますが、更に広く資本を集めるために、株式会社形態を採つているものが少くなかつたのであります。秩父蚕糸であるとか、或いは十日町輸出絹撚、栃尾輸出織物、五泉の精練工業等の各株式会社は、実質的にそれぞれの織物業者が共同して設立したものでありまするが、企業形態としては株式会社となつているのであります。伊勢崎のごとき最も小規模の業者の多い所でも、協同組合をつくろうという機運が非常に濃厚に見られたのであります。このようにいたしまして中小企業がバラバラから脱しまして、共同の事業を通じて大企業的な利益を收めようとする機運が至る所に見受けられたのであります。これが組合の将来と合せて如何なる運命を迫るかということは大きな問題であろう。こんなようなふうに観察したのであります。
 販売面におきましては、二十四年の秋に冬物の宣伝会を各産地の組合の事業として始めたようでありますが、それまでは統制のためにその必要かなかつたわけでありまするか、二十四年の秋からこれか大々的に行われ、組合事業の重要なる一環となりつつあつたのであります。中小企業か販売面におきまして非常に無力で、それか共同の力で打開されなければならないことは申すまでもないのでありまするか、輸出が盲貿易であると言われておるのと同じように、輸出ばかりでかくメリヤスにおいてさえ盲貿易、盲生産であると言つてよいのが現状ではないかというようなふうに観察したのであります。或る産地では問屋が昔の勢力を失墜して機屋の指導が十分でないと嘆いている所もあるのであります。市場開拓は従来問屋の任務であつたのでありまするが、それが往昔の実力を持たんとすれば、織物業者はみずからの力によつてそれは協同組合を通じて切り拓いて行かたけれげならないのであります。
 金融問題からの必要に迫られてではありますが、秩父の組合が十月から共同販売の実施に乘り出したというようなことは、注目すべき事実ではなかつたかと観察したのであります。
 金融面についての組合の直接の事業は前述の秩父の他には見るべきものがなかつたのでありますが、いずれも信用協同組合の設立を切実に考えておる。地方銀行に対しての金融斡旋も組合の努力が非常に見られたのであります。
 以上が私共の廻りました各産地を通じて問題となつた事項を簡單に申述べたのでありまして、恐らく今日これから記入各位の御証言にも、大部分これに関するものが多いだろうと思いますので、極く簡單に御報告申上げて置きます。要するに絹、人絹を中心とする関東、新潟の機業地は、中小企業として苦しい立場にある上に、統制廃止、消費税撤廃をいたしまして、過渡的に困難な問題に直面しておるということを、委員各位におかれましても十二分に御認識願いまして、今後の機業危機に対する格段のお力添えを賜わりたいと思う次第であります。以上簡單でありまするが御報告申上げます。
#9
○委員長(小畑哲夫君) 只今御報告に関し、御質問もおありかと存じますが、これは証人の方の証言を伺つてから合せて質疑を行うことにいたしたいと思います。
  ―――――――――――――
#10
○委員長(小畑哲夫君) それでは証人の証言を求めることにいたします。この際証人の方に申上げます。本日は天気の悪いところを、遠路わざわざ御出頭願いまして恐縮に存じます。国会における証人について、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の第三條によりまして、宣誓書を朗読させ、且署名捺印させることになつておりますので、御発言の順序によりまして宣誓書に捺印をお願いします。
   〔証人宣誓書に捺印〕
#11
○委員長(小畑哲夫君) それでは証言を承わることにいたします。時間の関係上、成るべく簡明率直に一つ御発言願いたいと思います。それでは最初に日本繊維協議会の理事長奥さんにお願いいたします。
#12
○証人(奧正助君) 私只今御紹介にあずかりました、繊維協議会理事長奥であります。本日は中小企業、特に繊維関係について、本委員会で諸々の問題を取上げて、何らかの対策を講じようということでお招きを頂きましたが、財界の不況は御承知の通りに、繊維産業ばかりでなしに全般的のものでありまして、誠に悲しむべき現象だと思つておりますが、御承知の通りに繊維産業は、日本経済の自立に最も必要である貿易、いわゆる輸出産業でございまして、ただ現況が不況であるから止むを得ないというので、このまま放つておいたならば、後日必らず日本の立場といたしましても、悔いを残すことがあるだろうということで、私共はただ窮迫に直面しているばかりでなしに、将来のことを非常に憂えておつた次第でありますが、本日この問題を本委員会でお取上げ願いましたことは、全く時宜を得た処置だと考えまして、我々関係者は衷心から感謝いたし、又敬意を表している次第であります。只今境野議員からご視察の結果を具さに私共拜聽いたしましたか、全くその調査の行き届いていることに感服したばかりでなしに、そういつた面について、すでに国会の一員として境野氏がお調べ願つたことは、我々非常に幸いと思つております。只今お話の件は、皆一々我々の納得し又同感し、誠にそのポイントに触れられたことについて感服しているような次第でございまして、我々の今後の説明は、或いは不明ではないかと思うくらいに考えておつたのであります。何と申しましても今の繊維業界の不況は、これは他産業と同じように、金融問題か先ず取上げられなければならんのでありまして、その金融難は境野さんかお話しになりましたように、ドツジ・ラインによる均衡予算からくる金詰り、又価格差益金の徴收によつてくる逼迫、又消費税廃止に伴なうところの関係、更に進みましては、これは言うてよろしいかどうか知りませんが、徴税攻勢が余りに甚だしいといつたような面、その他いろいろの理由で、全くこの金詰りのために仕事が廻らんといつたような状態に押し込められておるのであります。この問題につきましては、後程原氏からお話があることと思います。
 次に価格差益金の問題でございますが、価格差益金は、シヤウプ勧告案によりまして、やつと十二月一日からその徴收制度か廃止されましたが、私共は随分以前から、この価格差益金徴收というものの不合理を述べて来たのであります。物が騰貴する場合に、マル公改変によつて或る差益ができる。が併しながらそれは確かに帳面上の利益ではあるが、決して実質上の利益ではないけれども、これも後日マル公が下げられたときに、業者が損失すればそれを補償して呉れるという何らかの條件があれば、何とか耐え忍ぶ方法もできたでありましようか、そういう価格補償の制度は採らず、ただ架空的に儲かつたものを利益として算出しまして、
   〔委員長退席、理事廣瀬與兵衛君委員長席に着く〕
 それを現実にナマの現金を持つて来るということは、これは必らず大きな問題を起すであろうというので、前年から価格差益金徴收の廃止を願つておつたのでありますが、遂にそれは容れられずに、昨年の、二月一日から廃止されましたが、それはすべての繊維におきましては、殆んど全部の価格差益金の問題が起らなくなつたときに廃められたのでありまして、何らこれは得るところがなかつたのであります。ただ過去の差益金が、皆さん御承知の通りに、すべての商品が暴落した際に、改めて昔の架空利益を納めなければならんといつたようなことになつておるのであります。これは業者に取つては非常に大きな痛手であるのであります。
 尚消費税の問題は、今境野さんからもお話がありましたが、消費税を九月頃に撤廃されたならば、財界はそれ程の混乱を起さなかつたでしようが、延びて十一月には廃止されると言つたのが、遂に一番大事な十二月までに消費税廃止がされなくて、而もそれが本年の一月一日から廃止されるということになりましたので、業者は徒らに消費税を納めなければならん。併しながら持つておる品物は消費税をこめた品物を持つて、それを安く売らなければならん。こういつたことになりましたので、これら財界に非常な痛手を與えたのであります。そこで、以前消費税が増額されましたときには、追徴として業界から政府はこれを取り上げておつたのでありますが、そういつたように消費税が要らなくなつた時期においては、その納めた消費税は戻して貰いたいということも言いたいのであります。併しそれは理屈を抜きにいたしまして、業界はこの消費税を納めた品物を抱えて、全く路頭に迷っておるような状態でありますので、これに対して何らかの措置を講じて頂きたいと、こう考えておる次第であります。
 尚、組合の問題でございますが、協同組合はできておりますが、これは只今境野さんから御指摘になりましたように、その構成が実際に即しておりませんために、余り業界は進んでこれを組織しようといつた機運に向かつておりません。この組合制度は金融問題、又今後……、今不振なるところの輸出振興の面においても相当役立つところの組織でありますので、私共はまずこの組合制度を改正して頂きたいという希望を持つておるのであります。
 それから先ほどちよつと申しましたが、只今の徴税攻勢は相当深刻でございまして、我々はいわゆる産業の上を切つて税金を納めなければならんといつたような状態でありまして、これは只今のところは何とかして身を剥いででも税金を納めることができますが、こういうような状態では結局徴税の源を漏らしてしまうというように考えております。その源が漏れてしまつたならば、最後に税金も取れなくなり、日本の行先は一体どうなるのであろうかという心配も実は持つておるのであります。シヤウプ勧告によつてその制度はやや緩和されるように我々は考えておつたのでありますが、今問題となつております地方税、いわゆる不動産税と附加価値税の問題、これも決して税金は安くなるどころか、我々の見るところでは、ますます多くなるというような状態になりそうなことになつております。この問題についても国会で十分に御検討を願いたい、こう思つておる次第でございます。尚統制撤廃によるところの財界の混乱、これはすでに絹織物のときに我々は具さに味わつておるところであります。現在におきまして、残つておる統制品目は綿に関するものでありますが、これも私共の見るところでは、遠からず解除せられる機運にあるのではないかと思つております。これは非常に広汎に亘つておりますために、これをただのつけのままに解除するということになりますと、いろいろな問題が起りますので、この統制解除に当りましては、十分な用意が必要じやないかと思つております。とに角今までの統制解除の様子を見ますと、統制をしたからこれを解きさえすればよいといつたような考えでありますが、統制をするときよりも統制を解く場合の方が財界に最も混乱を與えるといつたような点を十分御考慮願いまして、今後の統制解除に当りましては、十分の御配慮を頂きたい、こう考えております。又これも大変細かいことではありまするが、今境野委員からもお話がありました染料、染料に対しまして今後関税が引き上げられる、いわゆる関税の計算方法が変る関係上、これが引き上げられるような状態になつておりますが、日本の輸出の繊維製品の大半を占めておりますところの、色物の材料であるところの染料が、今輸入関税が高められますと、それだけ輸出が不振になるといつたようなことで、我々業界としてはこの問題について、しばしば政府当局にもお願いしておるのでありますが、これは大変な大きな問題でございますので、この点も国会で十分な御検討を煩したいと思つておるような次第であります。
 尚電力の問題でありますが、これは大きな企業者にも問題があるというのですが、今中小企業は御承知の通り、五十キロ以下ということになつておりまして、これの供給量が非常に少い。ところが繊維産業の大部分を占めるところのものは中小企業でございます。これに対する電力供給が他の不急不用の産業と同じような割当方針であるとどれだけ影響するかということは御想像できると思いますが、この点についても尚国会において十分に御考慮をお願いしたいと思つておるような次第であります。問題の要点だけを私から一応述べまして、その各部門についてはそれぞれ今日御出席になつておりますからその方から詳しくお話を願うことにいたします。甚だ簡單でございますが……。
#13
○理事(廣瀬與兵衞君) 有難うございました。御質疑もございましようと存じますが、引続いて証言をお願いいたしまして、終つてから御質疑をお願いすることにいたしたいと思いますが、御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○理事(廣瀬與兵衞君) では引続いて綿スフ企業界常務理事の原與一郎さんにお願いいたします。
#15
○証人(原與一郎君) 私は中小企業の金融のことにつきまして私見を述べると同時に、皆様の何分の御援助を願いたい、こういうように考えるわけでございます。今日の中小企業が陥落の一歩手前まで来ているということについての最大の原因は、中小企業が金融機関から相手にされないということが一番大きい理由だと思うのであります。地方銀行は戰時中にそれぞれ合同しまして大銀行になり、若干地方的の色彩を帶びておつた。例えて申しますと、埼玉銀行というような銀行ですらも、大企業の金融難の影響を受けましてこれももう中央銀行になつているわけであります。今日の情勢では余程の特色があるか、いい条件を持つて行かないと銀行では中小企業を相手にせん、こういうような事情に置かれております。それでお手許にあるのですが、実態の一例というやつを一つ御覧願いたいと思うのであります。これは綿スフ企業界で綿スフ織物製造業についてどのくらい現状において、金融上困つておるかということを示した一覧表でございます。工場数は全国で五千五百工場あります。これの持つておりますところの織機台数が十四万台あるわけであります。この十四万台の織機が昨年の輸出統計を見ますと、輸出総額の金額において二十八%を占めるところの輸出第一位の綿織物の製造をしておる。その総額の四割に当る生産量をこの十四万台が受け持つているわけであります。でこれらの工場の従業員が七万五千、大体これが綿スフ織物製造業の全貌でございます。それでその生産量が、そこに書いてありますように年間……これは昭和二十四年度と書いてありますが、昭和二十四年度中の誤りでございます。大体一月から十二月までの累計数字です。それが四億六千万平方ヤールの生産量を持つているわけなんです。これに対しましての運転資金が、大体これは回転によるのでありますが、今まで実績から割出して見ますと、二十一億円の運転資金を要するのであります。大体において一ケ月半くらいな回転率を以て原料及び主資材に要する運転資金、これを累計しますと、二十一億円になります。このうちで約二割のものが自己調達ができておるわけなんです。そこにあります八千六百万円というのは自己資金なんです。これはまあ自分の金と申しますよりも、自分の信用度によつて獲得し得る運転資金でございまして、その左に融資と書いた、字句はまずいんですが、この十二億九千五百七十九万なにがしというこの運転資金が綿、スフ織物製造業では、現状においては調弁ができないわけです。これは全然調弁ができないわけです。それから只今申上げましたのは運転資金でありまして、その外に設備の改善資金というものが当然必要になつて来るわけでありまして、長い間の戰争のために世界随一といわれておつた綿織物業も現在の状態では、世界水準から大体十ケ年間その生産効率の面から遅れておるように識者にいわれておるわけなんです。この十ケ年間を取戻すためには、現在の設備に相当の改善を加えて行かなければならんと、それにつきましては私共の方で大体改善計画を立ててやつておるんでございますが、この改善計画に要する総費用が十四万台の織機に対して二十億円の必要とするのであります。この二十億円を使つたなら世界水準になるかというと、これはとてもまだならないので、大体十年遅れているところの三年分程を取返すに必要な資金が二十億要るんであります。これは二十四年中には何とかして全体の二割ぐらいの改善はできたわけなんでありますが、二十五年中に必要とする総額は八億円要る。三ケ年分ぐらい取返すに要る改善費が八億円要ると、そのうちでその一割だけしか自己調弁の見通しはつかんくらいなんです。従つて後の九割というものが全然融資の途がないわけであります。この運転資金の十二億と設備改善の七億と合計した二十億円というものが綿、スフ織物製造業者にとつては何ともできない金なんです。而も皆さんもそうお思いになると思いますが、中小工業者の中には綿・スフ織物製造業は比較的優位な立場にある筈なんです。そんなに思われておる綿・スフ製造業ですらこの二十億という金が何とも今のところ算段ができんと、こういうことを以て見るならば、外の中小企業がどのくらい今金融に迫られておるか、従つて陥落しておるかということは蜷川長官の言明によらずしてもこれははつきり分ることなんであります。それでこういうような状態になつております。中小企業はどうするかと申しますと、設備の改善ということは一応思切る。設備の改善を思切つて、何とかして運転だけはやらなければならんということで、運転資金に狂奔しておるわけなんであります。その結果は中小企業は、結局大企業の賃仕事に落込まれておるわけなんです。商業資本家、工業資本家、そのいずれを問わずして大企業の面から賃仕事に落ちて来た。つまり中小企業はその企業の独立性を失つて来かけて来ておるわけなんであります。それでこの賃仕事を中小工業はやつておるわけですが、それをさしておるところの大企業の方は金融難が緩和されておるかということになるわけでありますが、私共の想像では大企業といえども金融難の時代はまだ去つておらん。それにも拘らずなぜに賃仕事を大企業がさすかというところに中小企業が出血をする大きい原因がおるのであります。即ち大企業の方から見ると賃仕事をさした方がうま味がある。利潤を追求する上においても、又労働問題なんかのうるささから逃れる意味においても、責任事をさした方がいいという面が相当あるんじやないかと思うのであります。それは中小企業にとりましては、相当高い銀行の金利の何倍かが工賃から天引されておるということが、取りも直さず採算を割つてその営業を続けておる、こういうような状態になつておりますので、ますます銀行の方から信用がなくなつて来る。従つて最初に申上げましたように、現存銀行からは締め出しをされておると、こういうことを何回か繰返しておるうちに、中小企業は全く一般の労働者と少しも変らないような貧困さに追い込まれるというような傾向にあるわけなんでありまして、現に綿スフ織物業者の中にも思想的に非常に左の方に寄つておることは、何らかの方法で御調査になればそれぞれ分ると思います。そういうような状態にあります。中小企業で我々にとりましては一番力にしておりますのは、どの政党におかれましても中小企業を維持育成するということが共通の題目になつておるわけなんでありますから、何とかこういう窮状に対せられまして、課税の軽減をやつて頂くのと並行しまして、金融の途を小手先ではなく、政治的に大きい解決の途を取つて頂けるだろうと、こういうように非常に虫がいいかも知れませんが、そういうことを国会の方に期待して心待ちにしておるわけなんであります。それでそれじやどうしたらいいかという問題なんですが、そのことを左の方にお願いとしておるところに一応書いたのです。それは第一番に中小企業が以上のような状態なんで、決つた額を大企業の方に持つて行かれるために小企業の方では信用度は相当あるし、国家的に見ても、国際的に見ても、その工場なり企業を育成する方がいいというようなものでも、大企業の方に資金が吸われるということがありますので、中小企業の方に各層に亘つて年間なり半ケ年分の需要量を一つ取つて頂きまして、これは行政官庁なり国会においてそれを十分に精査されまして、供給量と睨み合せて、大体中小企業はこのくらいに育てるためには、このくらいに中小企業の枠はとらなければいかん、こういうことをやつて頂きたいと思うのであります。これは国会でないと、他のところではできない仕事でありまして、是非ともこのことをお願いしたいと思うのです。そういう方法を先ず取つて頂きまして、それでは供給源はどうするかということについては、いろいろあると思うのでありますが、一応、現在中小企業のために拓いて頂いております途が四つか五つあるわけなんですが、主なるものを拾い出しますと三つあるわけなんであります。
 その一つとしては、日銀に中小企業枠がありまして、二十四年は三十三億というものが中金、興銀及び勧銀からそれぞれ出されておりますが、この三十三億というものを増額して頂きたい、こういうことが一つのお願いであります。
 それからもう一つは見返資金が、これは私共ははつきり分からないのですが、聞くところによると大体千八億ある、この中でいろいろなものに使われているようでありますが、私企業に廻されるものが二百五十億今年あると聞いております。それで、その二百五十億の中の僅か三億だけが中小企業の方に廻るようになつておるのであります。中小企業を維持育成するというようなことを言われておるのに、二百五十億の私企業の中から、僅かに三億しか中小企業の方へ廻していないというところに我々の了解に苦しむところがあるわけなんであります。それで尚二百五十億の中には、三十五億という未決定のものがあるそうですから、それは全部中小企業の方に廻して貰えんだろうかということと、二十五年は、私企業の方へ四百億ぐらい廻るように聞いておりまするので、それだけ増額されるならば、中小企業の方へ大巾に枠を留保しておいて頂きたいと、こういうことをお願いするわけなんであります。
 それからもう一つは、中央商工金庫のことなんでありますが、これは我々の方でも、この中金の増資と、貸出限度を拡大するということについては、昨年来から国会の方へは度々陳情書も出し、お願いしておつたのですが、皆さんのお力によつてこれが実現するように聞きましたので、非常に我々としては喜んでおるわけなんであります。喜んでおるわけなんでありますが、この十億に増資して二百億の貸出限度にすると……、併しそれは商工債権を発行することによつてというようなお話を聞いておるわけなんでありまして、これも大体聞いたところによりますと、商工債権は七分五厘だというようなことも言われておるのでありますが、七分五厘の商工債権では、とても二百億に近い金は消化はできないと思いますので、どうしても預金部資金をこれへ充当して頂くようにお骨折りが願いたいと考えておるわけであります。
 それから貸出限度は、一応二百億くらいになるそうでありますが、これももつと増やして頂きたいということであります。それから中金の金利は三銭五厘というふうに、一般の市中銀行よりも高いのであります。これにはいろいろ事情があるようでありますが、これも、折角中小企業を育てて行こうという場合であるならば、半高利貸しのようなことにしないで、市中銀行並みにやつて頂きたいとお願いするのであります。
 それからこれはあとで又別の方からお願いするのでありますが、協同組合の、これは商工中央金庫が二百億くらい貸して貰えるということになると、一応今までの十倍ぐらいに潤つて来る。併しこれを借りるのには協同組合でなければいかん。ところがその協同組合は使用者百名以上になると非常にむつかしい。嚴密にいうと五十名で抑えておるわけなんです。この点につきましてはこの協同組合方が国会で審議されるときに、国会ではたしか二百名を限度にするということで御奮闘して頂いたように聞いております。我々もこの二百名の原案が通つておりますならば、この二のことを書く必要はないのでありますが、残念ながらそれが急に司令部の方のメモランダムによつて撤回されて、五十名を原則、百名くらいは一応よろしいというように筋を引かれておるのでありまして、それがために協同組合を結成する中心人物になる者がいないというところに、この協同組合が骨抜きになつておるわけなのであります。ですからこの原則論は別として、例えば綿・スフ織物の製造業でありますと、世界的の紡績会社を相手にするわけであります。絹機織においても、同様にその原糸を作るところの製糸工場は大資本家であるわけでありまして、協同組合を作つて一応統制ある経済行為をやつて行こうとする場合には、やはり中心人物を置かなければいかん、中心人物を置くためには使用者の数をもう少し殖やして貰わないと、協同組合へ入ろうたつて入れないというようなところに苦しみがあるわけなのであります。この協同組合の加入条件は原則は別として、公職の方と十分な打合せをして頂きまして、その運用の面において政治的にうまく解決して頂きたいということをお願いするわけなのであります。以上私はお願いすることを申上げましたが、この中小枠を拡大して頂きたいということの、その拡大する目標はどこにあるかと言えば、一応中小企業全体の資金需要量を取つて頂いて、それを審査して中小企業の本当の需要量を測定して頂く、こういうようにしてそれから見返資金なり、中小枠なり、中金の貸出限度なりというものを決めて頂きたいと、かように思うわけであります。以上のように一つお願いするわけであります。
#16
○理事(廣瀬與兵衞君) 有難うございました。引続いてお願いしたいのですいますが、十五分以内に一つお願いしませんと……、引続きまして日本絹人絹織物同業界理事の安井さんに一つお願いします。
#17
○証人(安井睦美君) 先程境野議員殿が我々絹入絹織物業界の最も重要産地の一つである関東地区の諸産地及び新潟県の諸産地を御視察頂きまして、詳細な御調査の御報告に相成り、又適切な視察についての御意見を承わりまして、誠に敬服し又感謝しておる次第であります。従つて私からこの上喋々申上げることもないわけでありますが、時に日頃業者としまして、念願要望申上げておる事項の一、二につきまして、その中でも中小企業協同組合の問題、輸出振興対策について私見を申上げたい。こう考えます。境野さんの御発言の中にもあり今又前者のお方の中にもありました通り中小企業は共の力を持つて初めて大企業に対しての力を発揮しえるのでありまして、そこに企業協同組合の重要なる使命がありますのですが、現在の加入資格が中小企業等協同組合法の第六條の第一項に常時使用する従事員を百名という限界を定めておりますが、我々繊維業績とつて申上げますと、設備の割に従業員は多いのであります。こうした事情をもお含みになりまして、業種ごとに、又地方の実情に応じて大巾にこれが緩和せられるように、何分の国会御当局の御配慮、御奮闘を頂きたい、こういうふうに考えておる次第であります。
 又統制経済から自由経済に修行するに従いまして、又もう一つ輸出織物の振興のためにも我々業体は、戰争中から設備その他非常に老朽化しておりますので、速かに設備の改善等をなさなければならんし、又企業合理北というものを緊急になさなければならん事情にありますが、先程からお話がありました通り中小業者としましては金融の方面において非常に窮屈な実情にありますので、どうしても共同施設によつてそうした点を補わなければならんと考えるのであります。そうした間からいいまして、是非協同組合における共同施設に対しては何分の御援助と、融資の途を開いて頂きたいと思います。我々絹人絹織物業の実例をとつて見ますれば、最近織物の高級化のために共同して撚糸設備を殖さなければならん。或いは製品の最後仕上を完うするためには最初の染色と最後の精練、加工、仕上というために精錬の問題をどうしても重要視しなければならん。又輸送その他梱包、或いは検査というようなことも重要なことでありますが、これらにつきましては共同においてやるより方法がないと思いますので、こうした問題について特別の御援助を頂くために補助金の増加とか、融資の面において緊急に円滑に融資願えるようにお願いしたいと、こう考えておるのであります。
 次に輸出振興対策の問題でありますが、日本の再建のために輸出振興よりは外ないことは喋々するまでもないことでありまして、殊に我々中小企業者としてこの点について非常に深い関心を持つておるのでありますが、これを我々絹人絹業、殊に絹織物について申上げますれば、最も大きな問題になりますのは、生糸の価格の不安定になつておることが、輸出の織物の振興に非常に阻害しておるという事実は常に現われておるのでありまして、そのために生糸の価格の安定を是非望んでおるのでありまして、その方はすでに問題になりましておりますが、生糸取引所の設置を速やかに実地せられるよう御配慮頂きたいと思います。又生糸の価格の変動が非常な烈しいことがあらゆる面に影響しておるのでありますから、そうした騰落を防ぐために一部蚕糸業界あたりで唱えておりますが、蚕糸公社というような制度を設けられまして、急激な騰落のあつたときに、そういう問題を処理して頂くようなこと、それから現在輸出の状況は全くめくら貿易と申しましようか、海外の事情に非常に疎く、それを入手するのに困難な事情にありますので、ここにあります通り海外における事情を調査する事務所を設置して頂くようにお願いしたい。これはすでに商務官、或いはそうした国家施設が設けられておりますが、民間のそうした設備を設けることにつきまして、もつと手続を簡素に自由にできるように御配慮頂きたい。こういうふうに考えるのであります。更にこの技術者の海外渡航というのは、すでに貿易業者、商人としての海外渡航はかなり自由に、又迅速に進んでおるようでありますが、技術者の海外視察を認められまして、戰争中遅れております我々繊維業界の実体が、海外と比較しましてどうであるか、どういうふうに改良しなければならんということを、技術者の派遣によつて恢復できると思います。こういう点もお考え願いたいと思います。その他、業者の調査団の派遣、或いは文献その他情報並に製品見本の蒐集等について特別の御配慮を頂きたい。こういうふうに考えます。
 それからこうした織物の海外輸出振興のために品質の向上と、技術の向上改善これが最も重要であり、又新しい織物の研究が必要であると思いますので、現在そのためにはいろいろな方法が講ぜられておりますが、その中でも輸出につきましては、現在検査方法といたしましては通産省の検査機構がありますが、この検査機構は現在は肉眼による検査で、要するに第六感に訴える検査になつておりますが、この検査方法をもつと科学的にいろいろ研究せられまして、いつ、どこでどういうふうに検査されても同じ物が同じ等級になるように、そうすることによつて製品の向上に資せられるように御配慮頂きたいと思います。又海外における商品の宣伝につきましては、いろいろ御工夫を頂いておることは承知しておりますが、更にもつと徹底したものとして常識的なものを御考慮頂きたい。例えて言えば重要仕向け地に常設的の見本或いは現品の展示場を設けるなど、こういうようなことを是非御考慮頂きたいと思います。
 それから関税の問題につきましては先程ありましたので省略いたしますが、輸出業者につきましても、国会においていろいろ御研究頂いておりますが、不当なダンピング、或いは海外からの不当な圧迫を防止するという見地から、独占禁止法の関係もありましようが、輸出という特殊の事情をお考え頂きまして、輸出業法というものを是非御制定頂きたい。こういうふうに考えるのであります。尚我々繊維業の最も大きな海外仕向け先は、戰前においては東亜圏であつたが、いわゆるスターリング、ブロツクであつたことは事実でありますが、こうした問題については現在まだいろいろの事情ではかばかしく進んでおらないようでありますが、その間思想問題、いろいろな問題等もありましようが、そうした思想問題を別にいたしまして、経済的にこれを御解決頂きまして、東亜諸地域における輸出の促進に特別に国会の御協力、御配慮を頂きたいと、かように考えておる次第であります。仰せに従いまして、極く簡單に表題を読み上げるという程度にいたしまして申訳ない次第でありますが、要は中小企業は最も大企業に対して弱い力を持つておりますが、反面日本の現状から見まして、社会施設が非常に他の国に比較して遅れておるように考えておる日本といたしまして、この中小企業が社会施設を補うという点では、或る作用をいたしておると我々は考えておるのであります。そういう点から見まして、中小企業の育成につきましては、国会の特別の御配慮を頂きたいということを附加えまして、私の話を閉じたいと思います。
#18
○理事(廣瀬與兵衞君) ありがとうございました。次に日本絹人絹織物商協会專務理事の沼田義雄君にお願いいたします。
#19
○証人(沼田義雄君) 私は価格差益金の問題と、織物消費税の善後措置の問題につきまして御説明申上げます。
 差詰めの問題といたしまして、価格差益金の問題でございますが、一手買取り、一手販売というような織物統制会社、若しくは衣料品配給統制会社という時代に起りました差益金は別といたしまして、それから後の問題につきまして、個々の業者が支弁することに相成りましたものにつきましての問題でございます。その第一回に起りました差益金は、昭和二十二年の九月の下旬頃でございまして、新物価体系によるところの差益金、こう言われております。これは非常に大巾に引上げられまして、絹織物につきましては大体四・五倍から五倍、人絹織物につきましては七倍から八倍、その他各種織物も同様の率に引上げを見たわけであります。次は昭和二十三年九月のこれも下旬でございまして、これはいわゆる補正体系によるところの価格の引上げということで、このときは大体倍額の引上げを見ておるわけでございます。それから本年に入りまして為替レートの変更によりまして、八月から九月にかけて価格の引上げがございました。こういうふうに三回の引上げがあつたわけでございますが、只今焦眉の問題として我々が非常に困窮いたしております問題は、昭和二十二年の新物価体系によるところの価格の引上げと、二十三年の補正体系によるところの価格の引上げのこの二つでございます。昨年の六月に絹織物並びに生糸等の統制の撤廃を契機といたしまして、絹織物の価格は可なりの下落をいたしました。それに引ずられまして、その他の繊維もいずれも下り歩調に転じたのでございます。この当時から価格差益金に対しまする納付の困難が各方面で論議されるようになりまして、八月頃調査をいたした数字をここで申上げますと、絹、人絹の織物並びに毛織物、その他第二次製品等合計いたしまして、昭和二十三年、いわゆる補正体系によるところの価格引上げによつて生じました差益金は、三十三億四千百七十万円を計上いたしております。その当時の相場の下落から、この差益金の納付に対しましては非常に困難な状態になつて参りましたことをお考えを頂きまして、十月の七日に当時の衆議院商工委員会の繊維対策小委員会でこの差益金の問題を採上げて、我々やはり公述人として出頭を命ぜられましてお話を申上げたわけでありますが、その席におきまして関係業者いずれもその苦衷を述べたのでございます。その席で御出席になつておられました物価庁の第一部長から、こうしたお話がありました。それはその当時価格差益金の納期が非常に遅れているということによつて、督促状を出すという話が專らでありましたので、その件につきましてお伺いをいたしましたところが、価格差益金の生じた後において、財界の状況、繊維業界の有様が非常に悪くなつたというのであるならば、納期の点については、一旦決めたことではあるけれども、尚改めて御相談をしよう、それから価格の差益は申上げるまでもなく価格の改訂がありますると同時に、在庫を大体のあらましを掴みまして、そうして予定報告というのをいたします。それからそれを販売いたしました後に補正報告というのをいたしまして、価格差益金の全額が決定するという建前になつているわけでございますが、一応予定報告をいたしました後におきまして、補正報告においてそれが少くなつて来た、或いは予定報告につて差益金を納付したために納め過ぎになつてしまつたというようなものについては、特別に取計つて、これを拂戻し若しくは差益金の是正をしようというようなお話もあつたのでございますが、我々が一番有難く思いましたのは、納期の問題について又改めてよく話合いをしようということであつたのでございます。然るに最近伝えられるところによりますると、昭和二十二年の差益金は三月末日を以て督促状を出す、二十三年の差益金については四月末日を以て督促状を出すということに決定をしたように承つております。督促状が出されますと、一日日歩二十銭の督促料を加算される、従つて一年半そのまま置いておけば差益金と同じ額の督促料が付くという状態に相成るわけでございますが、そこで今日の業界はどうであるかと申しますと、お手許の方に差上げてございますが、ここに一例を申上げますと、「主要絹織物価格の動き」というのを差上げてございます。一番最初に銘仙を挙げてございますが、銘仙の二号が昭和二十二年九月、いわゆる新物価体系によつて引上げられましたときのマル公、公定価格が千五十四円ということになつております。それから二十三年の補正体系によつて引上げられました価格が二千二百三十六円十銭、こういうことになつております。ところが三十四年の六月、昨年の生糸並びに絹製品の統制が解除されました当時は二千円、約一一%の下落をいたしております。二十四年の九月、昨年織物消費税の問題が、シヤウプ勧告の概要が発表になりました直後、そのときの価格が千六百五十円から千八百円、二七%から一九%の下落をいたしております。更に昨年の十二月、これは千百円となりまして、実に二十三年九月新マル公に比較いたしますと、五一%の暴落をいたしているのでございます。更に又本年の二月、今日現在の状態におきましては実に九百円というような状態で、六〇%の下落をいたしております。先程境野議員からお話のありました両毛並びに関東産地等におきましては、本年の一月から今日までに少くとも一割五分の下落をしている、かような状態でございます。こういうような状態でございまして、特に昨年の暮から本年の初めにかけて新聞にデパートの広告が出ておりますが、あのデパートの広告では、盡く繊維を客引きに使つている。例えば銘仙のごときにいたしましても、千円以上のものは載つておりません。千円のものを九百円、五百円に値下げをして、つい最近も京都のデパートにおきましても、一ダース五十円の靴下を売つている、紙より安い靴下というので売つている。これは人絹の靴下でございます。さような状態で、絹、人絹のみならず他の第二次製品、その他の繊維業界におきましても著しい暴落の状態でございまして、昨年の八月においてすら納期の問題については考慮しようと仰せられたにも拘わりませず、かような悲境のどん底になるべき三月、四月に督速状を出されるということは、到底業者の忍び得ないところでございます。この問題は非常に大きな問題となつて、今業界は沸いているような始末です。よろしくこの点御考慮をお願いいたしたいと存じます。
 尚この差益金処理規則の面につきまして、先程日本繊維協議会の奥理事長からもちよつとお話がございましたが、価格差益金の処理規則は、昭和二十一年の三月の三日に公布せられまして、爾来六回に亘つて改正が加えられておるわけでございますが、この処理規則の内容を一々検討いたしますと、非常に不備な点があるのでございますが、最も主な点を申上げますと、この処理規則は、価格が一本調子に上ることのみを考慮に入れて、そればかりを考えて作つた規則でございます。従つてそれによつて波及するところの、或いはマル公が外され、或いはマル公がありましても、価格がマル公以下になつた場合のことは少しも考慮せられておらない。例えば今まで千円のものが五千円に値上りをした。そうしてそれを販売いたしまして、その卸売業者におきましては五分の四、生産者におきましては三分の二を差益金として政府に納付いたすわけでございますが、その卸売業者の場合におきまして、千円のものが五千円に値上りをする。マル公の引上げがあつた。そういたしますと、四千円を差益金として政府に納付してしまう。残りましたのは資本金の千円と、それから五分の一の交付金の千円、この二千円でございます。それを以てその二千円の仕入金では従来の商売の量の五分の二しかできないという形になる。これに対して何ら金融的万策も講ぜられておりません。業者は必然的に生れました差益金の納付を延期せざるを得ない形に追い込まれざるを得ない。
 尚もう一つといたしましては、価格差益金が、価格が下りました際に、一向これに対して補助するという途が開かれておりません。この価格差益金処理規則は昨年の十二月一日を以て一応廃止されたようでございますが、先程奥理事長の申されましたように、いわゆる名目的利益を現金で納めてしまう。その後において現実に損をしたわけでございまして、その件につきましても何らかの方策を講ぜられますよう、お願いいたします。要するに価格差益金の問題に関しましては、現在業界焦眉の問題となつております。三月末、四月末の督促状の問題、併せて価格差益金処理規則の不備の点を補正する意味におきまして、何らかの対策をお願いいたしたい。かように存ずる次第でございます。
 続いて織物消費税の撤廃後の状況につきまして公述をいたします。織物消費税並びにメリヤス製品の物品印税の撤廃は、業界が多年要望いたして参りましたところでございまして、特に数年来これが貫徹を業界を挙げて関係当局に対して強力に要請をして参つたのでございますが、昨年のシヤウプ博士の勧告に基きまして本年一月から現実に撤廃を見るに至りましたことは、いわゆる国民の負担を軽減すると共に、織物類のいわゆる輸出向き、内地向きを共通化せしむるという点におきまして、国家経済上文業者の面におきましても、誠に同慶に堪えない次第であるのであります。このことを、織物消費税がなくなつた、このこと自体は業界多年の要望が実現をいたしましたのでございまして、誠に喜ばしいところなのでございますが、その反面誠に遺憾な点がシヤウプ博士の勧告文が余りにも早く発表されましたために、業界に幾多の波紋を生じ、又派生的に生じたいろいろな悪事業が業界に與えました影響の実に夥しいものがあつたのでありますが、我々業者といたましては、この当然起るであろうところの惡事象を予測いたしまして、昨年八月二十七日シヤウプ博士の勧告の概要が発表になりますと同時に、行動を起しまして引下げ若くは撤廃の早く実施せられること、併せて実施日の前の日における、実施の前日における販売業者の手持品に対する撤廃税額に相当する補助金の交付につきまして関係要路に要請し、併せて第六臨時国会にも陳情を続けて参りました、この早く実施して貰うということにつきましては、シヤウプ勧告の発表以来、同勧告文に明示されておりました九月一日に遡つてもよろしい、或いはできるだけ早く実施してもよろしいという、そうしたことと、更に政府が第六臨時国会に実施日を本年一月一日ということに発表されました、このシヤウプ勧告にあります最後の一月一日まで放置されておきますと、第一番目に一般消費者が織物消費税のなくなる後まで極力買控えに出まして、取扱業者も亦同様買澁りに終始して取引が停滞してしまう。第二に取引の停滯によつて生産者が苦しまぎれに脱税品を出荷をして来なければ余儀ないような状態になつてしまう。第三に脱税品が出廻つて参りますと正常な取引価格が自然、税なしの価格に引ずられて参りますので、業界に無用の混乱を引起して收拾のつかない状態になるい第四に脱税品が出廻つて参りますと、いわゆるまじめな業者はグレシヤムの法則に則りまして市場外に駆逐されてしまう。この四つの理由を挙げて一刻も早く実施されるよう運動して参つたのであります。然るに、この問題は遂に実を結ぶに至りませんで、政府提案の通り一月一日実施ということになりましたことは、誠に遺憾の極みというべきでありまして、今日の実情は我々が正に予測いたしました通りの結果を生んでおるのでございます。特に絹、人絹織物は先程価格差益金のところで申上げましたように、大暴落をいたしておりまして、現在問屋業者の手持ちをいたしておりますものの値下りは実に二十億を超えるのではないか、こういうふうに言われております。尚値下りによるところの小売業者、若しくは輸送団体からの返品が殆んど応接に遑のないような状態でございまして、実に業界は今や激を蔽うような惨状を呈しておるのでございます。この早く実施してくれという問題と併せて我々業者がお願いをいたして参りました実施日前日におけるところの業者の手持品に対する撤廃税額に相当する補助金の交付方の問題も、まだ今月に至るも解決をしないでいる有様でございます。この撤廃税額に相当する補助金をなぜ我々は廃止してくれと主張するのかと申上げますと、織物消費税並びにメリヤス製品の物品税は消費者が負担すべきものであります。それが徴税が容易であるというような便宜的の理由から倉出税になつておるのであります。従つて生産者、販売業者が代拂いをいたしておるのでございまして、これが撤廃されました曉には、未回收の代拂税額を、その代拂したものに返還するということは、余りにも当然であると考えます。これが即ち我々が補償金な交付しろと主張する理由の第一でございます。去る昭和二十一年の九月一日に従来一割五分でございました絹人絹織物、或いは毛織物又麻織物というようなものの消費税が、一気に四割に引上げられまして、又メリヤス製品の物品税の三割が倉出税に変更されました際に、その日現在における販売業者の動向を精密に調査をされまして、その引上税差額をストツク課税として徴收されました絹人絹織物のみでも、その当時五億三千七百万円の税差額を政府に納付いたしたのでございます。この、現実に聽しましても消費税が引下げられ若しくは撤廃されました際には、そのストツク品に対しまして、その税額を返納すべきは当然であると考えます。これが我々が補償金を交付せよと主張する理由の第二でございます。織物消費税の撤廃は政府の行政措置によるものでございまして、政府が行政措置の変更によつて善意の第三者に不測の損害を及ぼしたということでありまするから、これによるところの損失は政府が補償すべきでありまして、新憲法の下封建思想のいわゆる切捨御免は断じて許されないと私は主張いたします。これが私共補償金を交付せよと主張する理由の第三でございます。
 尚終戰後酒造税の引上げが行われました後に、供米農家へ報償用として酒を安く配給しなければならん、そうした故を以ちましてその税差額を業者に返還したそうでございますが、この前例を以ていたしましても、戻税若しくは補償金の交付はできない理由はないと考えます。これが補償金を交付せよと主張する第四の理由でございます。
 そこで然らばストツクの量並びに税相当額は幾らかと申しますと、税撤廃日の前日であります昨年の十二月三十一日現在の販売業者の在庫額を調査いたしまして、只今集計中でございますが、絹人絹織物のみで約三十億円、手織物が五億九千万円、これに右の絹人絹、毛織物を主材といたしました第二次製品並びにメリヤス製品を加えますと、その総在庫額は約八十八億円に上ります。そこでこれが税相当額は幾らに当るかと申しますと、まだ集計ができておりませんので概算を申上げますと、絹人絹織物だけで約八億円、毛織物で一億六千五百万円、その他を合せまして第二次製品若しくは小売業者の手持品、そうしたものを合せまして約二十五億円に税額が上るという形になつております。かような巨額な損失は到底業者の負担に堪えないところでございます。特にそのストツクの大部分は政府の命令生産によりまして業者が無理に作らされた、無理に背負わされた、品質の極めて粗惡なものでございまして、我々は決してこの失政によつて蒙つた損害の全部を補償せよとは申上げません。是非税額に相当する金額の交付だけはお願いをいたしまして、損失の幾分を補償されるようお願いいたすのでございます。
 尚この問題は先程申上げましたように、昨年の九月以来大蔵省並びに第六臨時国会に運動を続けて参つたわけでございますが、これに対しまする大蔵省の御意見はどういうことであるかと申上げますと、第一に事情は誠に尤もである。尤もだ、お気の毒である。併し在庫の調査並びに税の調査が技術的に困難だからできない。それから今一つは消費税、それから物品税を撤廃することによつて、果してその価格が下落するかどうか甚だ疑問だ。税の撤廃によつて購買力を刺戟して価格は却つて逆に高くなろう、こう思つているくらいであつて価格が下らんのも補償金を交付するということはおかしい。この二つの理由を下に我々の言うことに少しも耳を藉して頂けなかつたのでございます。この第一の調査の困難だという問題につきましては、これはこの問題を回避しようとする逃言葉であると我々は考えられます。即ち去る昭和二十一年九月一日の引上げの際に、業者をしてあの面倒な技術的な操作を敢えて行わしめた当局のお考え方からするならば、決してむずかしいものではございません。この調査に関しましては誰もが納得し得られるように完全な調査を行うべく、関係各団体おのおのの立場におきまして、その調査方法を立案いたしまして、その案を以て当局に折衝をいたしたのでございますが、遂に何らの協力を得るに至りませんでしたので、協会独身の立場におきまして、その案に基きまして十二月三十一日現在を以て調査をいたしたのであります。試みにここに絹、人絹織物卸売業者の在庫調査並びに税額算定の方法を簡單に申上げますと、お手許に差上げてありますこうした印刷物によつて調査をいたしたのでありますが、その方法は全国を十五の地区に分けまして、その地区ごとにその地区を管轄いたします税務官吏に御参加を願い、そうして業者の代表若干名を以ちまして在庫調査会というものを組織いたしまして、在庫の調査並びに税額の算定並びに本件に関する一切の処理をする。それから消費税撤廃日以降必要の期間商品の受入れ、受渡しを停止いたしまして在庫の調査を行いました。尚補償金の対象となる、いわゆる調査の対象となりますものは、絹、人絹織物につきましては原反に納税印章を押捺してありますが、並びに後染加工等によりまして止むを得ないもので、納税印章の消滅したものについては納税証明書を添付する。尚税額の算定方法といたしましては、絹織物のごとく価格統制の解除されたものの税額査定は、在庫調査会がこれを評定をするということになつております。尚人絹織物及び交織織物等マル公のあるものの税額は、マル公価格を基礎として在庫調査会が評定をする、こういう方法で、御協力を得ませんでしたので、独自の立場で調査をいたしました。この調査の結果、只今集計中、概算の数字が先程申上げた数字でございます。
   〔理事廣瀬與兵衞君退席、委員長着席〕
 次に大蔵省のおつしやるいわゆる第二の消費税及び物品税を廃止しても、果して価格が下るかどうか疑問であるという件につきましては、昨年十一月各方面にこの陳情を行いました当時、すでに消費税問題の未解決によりまして、極端な買控えと取引の停滞、更にこれに加うるに安値の脱税品の出廻りによりまして、自由価艦の絹織物は消費税問題の公表前に比較いたしまして、甚しきは五割以上少なくとも二、三割方の暴落を来しております。今日におきましては前に述べましたように大暴落の参上を呈するに至つておるのであります。実情かくのごとくでありますが、併し税を撤廃しても、価格が下らんから保証金を交付する要がないという言い方は何としても納得をいたしかねるところでございまして、税を引下げたとき、税差額を増徴した。尚代拂いをした税金なんでございますから、それを引下げたとき、その価格の騰落如何に拘わらず返還するのは当然である、かように我々は考えております。
 尚本件につきをしては、通産省の繊維局におかれましては、この税の撤廃によりまして、業者のストツクに対する損失をどうして軽減させるかということについて非常に関心を寄せられまして、昨年の八月以来熱心に御心配を頂きまして、直接大蔵当局に対しまして折衝に当つて頂く一方、ストツクを少しでも多く売抜けさせようという親心から、これが対策として、昨年九月二十一日から四割課税のものに限りまして、特に暫定措置として衣料切符の対象からこれを外しまして、購買力の喚起に資するという措置をお採り願つたことは、すでに皆様御承知の通りであります。尚又二重価格制度を設けまして、この損失をカヴアーしてやることを考慮されたのでございます。この二重価格制度と申しますのは、消費税撤廃と同時に、生産者のマル公を消費税なしの価格に改めまして、販売業者のマル公は税込みの従来の価格に当分の間据置こうという案でございまして、マル公のありますものにつきましてはこれが実施せられておりますけれども、事実は税金の安いものがあとから出て参りますと自然それに馴致されまして、この効果が予期の目的を挙げ得ないような実情になつているのでございます。こういうような非常に繊維局の方で熱心にあれこれといろいろ御心配を願つておりますのは、直接業者に接触しておられます関係から業界の窮状をつぶさに御承知になつておらるる結果に外ならないと存じます。これに対しまして大蔵御当局のお考え方は、この成行きを余りにも甘く御覧になつておられるのじやないか、つい先月も或る会合で国税庁の或る課長の方が、消費税撤廃の日が判然としておるのに、そんなに商品を抱えておるということは、商売のやり方が下手なんだという御意見がありましたが、販売業者特に問屋というようなものは、商品を多くタンクいたしまして、消費者又は小売業者の需めに応じまして選択買をさせることが職務であり、又生産者と相協力いたしましてその生産を指導育成して、その生産品を引受けて供給する、そうした金融的役割をすることが本来の使命であります。特に時あたかも秋冬物の需要期と正月を前に控えたという季節的関係がこうした多くの品物を抱えさせることを余儀なくせしめた結果なんでございます。
 以上いろいろ申上げましたが、要は高率な消費税を一気に撤廃するに際しまして、政府御当局がその善後処理に対して愼重さを欠いたという点に問題は基因いたしております。何とぞ特別の御審議をお願いいたしまして、補償金の交付せられるよう、公述と併せてお願事申上げる次第でございます。
#20
○委員長(小畑哲夫君) 引続き東洋紡績株式会社経済研究所の渡邊さん、一つお願いいたします。
#21
○証人(渡邊進君) 今回の税制改革に関しましては、地方税の改革が実業界の一般の重大な関心事となつておりますので、特に地方税すなわちその重要な項目でありますところの附加価値税と、固定資産税について意見を申上げたいと存じます。
 まず総体的に今回の地方税改革を眺めますと、地方税の増徴の大きい部分が新しく工業の肩にかかつて来るのではないかということが、只今一般に憂慮せられておるのであります。その理由といたしましては、第一に固定資産税は従来の地租、家屋税、且つ更に拡大せられまして全く新らしい税金として工業の機械類にかかる、この機械類にかかるということは、農業、商業では全く関係のないことであります。それから附加価値税にいたしましても、附加価値税は一種の経費税というような性格を持つておりまして、どうしても人間の労働力に多く頼らざるを得ないところの工業におきましては、他の業種に比して非常に沢山の負担がかかつて来るということにならざるを得ないのであります。そこで地方が自治の振興のために地方財源を確保しなければならないということは、一面十分に理解できるのでありますが、他面現在の日本経済の実態に鑑みまして、工業というものに非常な急激な重税を課して、これを耐えることのできないものにするということは如何なものであるかということを感ずる次第であります。この地方税が若し転嫁が可能なものであるとするならば問題の重要性はかなり軽減されるのでありますが、周知のごとく現在におきましては、非常な増税を蒙つた場合に、その前進的な転嫁も又後進的な転嫁も至つて困難な実態にあるわけであります。特に輸出産業としての繊維工業の立場から眺めますと、地方税の非常な増徴というものは、輸出競争力を阻害するのではないかということが憂慮せられておる現状であります。
 第二は附加価値税及び固定資産税の税率について申上げます。この附加価値税の税率は地方自治庁案によりますれば、現在四%ということに相成つております。我々の狭い見解に基くところの調査でありますが、最近関西経済連合会におきましてその所属のメンバーたる二十二の会社だけをとりまして、ここではその二十二社の支拂つておる賃銀額を合計いたしまして、一カ年分の賃銀額を算定し、これに四%の税率をかけたのでありますが、附加価値税では賃銀のみならず、利益金額その他の項目も含まれておりますので非常に内輪な計算となるのでありますが、その結果は約税金が十億円となります。徴税矛定額が四百四十億円でありますから、單に関西にある二十二社、これが支拂給與額をベースとして、四%の税率を計算いたしましても徴税予定額の四十四分の一を負担するということに相成りますわけで、この点我々としては税率が非常に高いのではないかと考えておる次第であります。我々の考えによれば附加価値税の税率は三・五%以下でも十分なのではないか、こういう工合に感ずる次第であります。次に固定資産税の税率一・七五%というものは、これは更に苛酷な税率であると考えるのでありまして、土地家屋につきまして賃貸価格を一千倍し、それに一七・五%を乘じますというと、徴税予定額の五百二十億の大部分というものが、この地租家屋税で賄える計算になる筈であります。然るに今回の固定資産税は、土地家屋のみならず、機械にもこれを拡張しようというのでありますからして、一・七五%の税率でもつて計算するならば、非常な歳入超過になるのではないか。財政というものは元々出ずるを量つて入るを制すべき性質のものでありまして、取れるだけ取つて使うべき項目を後で考えるというような性質のものではない筈であります。この点我々の考えでは一%以下に引下げ得るのではないかという感じを持つております。
 第三は附加価値税の捕捉の問題でありますが、附加価値の計算方法といたしまし工は、地方自治庁案によるならば、非常に一種独特の計算方法がとられておりますために、業界といたしましては甚だ迷惑いたすのであります。と申しますのは、二つの点についてでありまして、一つは理論的な不都合、第二は実務上の不都合を生ずるのであります。第一の理論的な不都合と申しますのは、今回の地方自治庁案による附加価値の把捉の方法と申しますのは、固定資産につきましては、新規に購入した固定資産は売上からこれを控除する、又新規に購入した棚卸資産は売上から控除して附加価値を把捉するのでありますが、現在工業がすでに持つておるところの固定資産及び棚卸資産については、附加価値税法上一切これを考慮しないのであります。というと、どういうことになるかと申しますと、現在持つておる生産設備でもつて工業は生産をし、そうして附加価値を生んでおるのでありますが、現有の固定資産が附加価値計算上一切無視せられるということは、これはそこに架室の附加価値が計算せられるということになるわけでありまして、インフレ時代においで価格差益納付金というものが、非常に矛盾したものであるということが唱えられておつたのは、それは架空の利益に対して課税をせられておつたからであります。それと同じことがこのデフレ期におきまして附加価値の計算上架空の附加価値を捉まえて課税をしようという結果にならざるを得ないのであります。第二に実際上り不都合といたしましては、御承知のように現在の企業というものは、総て法人税法上の損益計算、又原価計算の便宜のために勘定科目が設定せられておりますし、又帳簿の組織が組立てられております。今回は附加価値の算定上売上から控除さるべきものは他の企業に支拂つたところの物品代であるという方式でありまして、そういたしますと、企業といたしましては新らしい見地から、これが控除されるべき物品であるかないかということを標準として帳付けをしなければならない、従来とは全く別個の帳簿を付けなければならないということに相成るわけであります。その面倒のみならず、或る項目が附加価値計算上控除項目であるかどうかということにつきまして、これは地方税でありますから、府県税でありますので、府県と企業との間に絶えずこれが控除すべきである、控除すべきでないということに関してトラブルを生ずると思うのであります。で我々の考えによれば、附加価値税を課すとするならば、従来の法人税法上の損益というものと、それから支拂い給與額というような大掴みの項目を捕えて、これを課税標準とすべきであるということを主張いたしたいのであります。
 第四に、固定資産税に関してでありますが、先程申上げましたように、一・七五の税率は高いのでありますし、それから機械類につきましては、全く新らしい税金がこれから始まろうとするわけでありまして、実業界においても、又担税力のない、若しこれを地租家屋税と同じ税率で以て機械税を課するとするならば、非常な税金の負担上の変更が生ずるわけありますので、機械に対して課税することが止むを得ないとするならば、従来の地租家屋税とは区別いたしまして、機械には更に一段と低い課税をせられるごとく措置されたいと考えるのであります。結論といたしましてすべて税制改革の問題は、先ず納税者が納得がいく税金でなければ、うまく行かないと思うのであります。理論的に考え、又実務上におきましても、納税者がこれは止むを得ない税金であるということを納得して納めるのと、納ないのとでは非常に違いが生ずると思うのでありまして、この点財界側からも種々意見書が発表せられておりますので、この点お汲取りを願いまして措置して頂きたいと考える次第であります。それから最後に税收を予定する場合の捕捉率の問題でありますが、例えば固定資産税の中の機械税を徴收する場合に、当局の御計算では、その捕捉率事五〇%として御計算になつておるように承つておるのでありますが、捕捉率が、税金の捕捉率が五〇%というがごときは、これは国民を甚だ愚弄するところのやり方でありまして、それではまじめに税金を納める者のみが損をするということになるのであります。税の要諦は、私の考えによりますれば、なるべく税を低くして、その捕捉率を百%にして頂きたい、こういう考えであります。簡單でありますが、私の考えを申述べさして頂きました。
#22
○委員長(小畑哲夫君) 以上で五人の方の証言を終りました。尚染料関税、或いは電力問題、還流クーポン制の問題についてもお伺いしたいのでありますが、ここでちよつと区切りをつけまして、これまで出ております諸問題について、政府側の答弁なり、対策を聞いたらどうかと存じます。只今見えております政府側は、繊維局長と、中小企業庁の振興部長と、大蔵省の調査課長が見えております。物価庁の第一部長は只今関係方面へ行つておりまして、四時には来られるだろうということであります。そこで別に順序はありませんが、一つ税関係について調査課長の方からお話を願いたいと思います。
#23
○説明員(忠佐市君) 詳細只今お話しがございまして、内容は大体只今のお話に則つてお答え申上げればよいかと考えます。それで全体の問題といたしましては、第六国会におきまして、ここにお見えになつております、油井委員が大蔵委員会でいろいろお骨折りがございまして、問題は徹底的に取り上げてございます。ただいろいろ事情がございまして、皆さんの御期待に副うことができなかつたという事情がございます。それから見通しといたしましては、これは甚だ独断で恐縮でございますが、将来この問題が好転するという見通しは余り立ちにくいと、まあかように思つておる次第でございまするが、そういうことを前提といたしまして、先ず第一点は、消費税は、これは消費者負担としてこれが挙げられておる性質のものであるから、この税が撤廃になつたあと、その価格の中の税が含められないとすれば、これは当然値下りの分について税を返すべきではないかという御意見でございまするが、これは理論といたしましては、一応正しいと思います。併し実際といたしますると、消費税が税金と別に価格ができておるのではありませんので、価格の中に税そのものが入つておる、価格の中にいろいろな構成要素がございまするが、それは一応自由価格なら自由価格を以て、最も代表的な価格形成の方式として考えてみますると、経済の需要供給の関係によつて決まつて行く、税がその中に入りまして課税が行われましたことによつて、その税がそのまま経済価格の外に加わります場合、税の外にいろいろの要素によつて利潤が殖える場合と、減る場合がある、税が全体の利潤を増したり、或いは食つたりするということが考えられるところでありまして、只今の減税の場合、それからの大巾の税金の廃止の場合におきましては、これは又多少問題が違つて来る、実際面において問題が違つて来るということを考えて行かなければならんという面もあると思います。この点は、理論では簡單に割切れない問題がそこにある、かような前提が一つ必要だと思います。
 その次に、先ず只今お話がありましたように、最初は絹人絹を一〇%に減税して、然る後ちに四月に全部を廃止する、そこで三割の減税が行われることになりますが、それについての税金を落すということを考えて見ようということで問題を取止げましたのですが、それが途中で一部減税、次いで税の廃止という問題が一挙に本年一月から消費税を廃止するという方向に参つて、多少問題の行き方が違つて参りましたが、先ず最初に取上げられたのは、減税の場合の戻税という問題でありまして、このことは結局税の廃止の場合の戻税の場合と同じ問題でございまするから、多少趣は異にいたしますけれども、関連して一体としてお話を申上げた方がいいと思います。この点につきましては、只今お話がありましたように、前に増税をいたしました場合には、ストツク課税として税金の差額を製造者並びに卸しの方等に対しまして負担を負わしておる、これはこの通りでございます。従いまして、税金を廃止する場合には今度はやはり製造者と卸し売業者と全部に対して、その手持ちの商品について減税をする、これが一応筋であろうと思います。そこでそういう方向について研究をいたして見ましたのですが、織物の消費税といたしましてはすでに御承知のように、標準価格というようなものがございまして、或る標準によつて織物価格を決めて課税をいたす、織物の倉出量というものも非常に大量でありますが、そういう技術的な方法によつて課税が行われておつて、一つ一つの品物についてそれを届けさすというともが困難な事情にある。それから倉出しされた当時の原型のままで、その商品が各業者の間に手持ちにされておるのですと、これは直ぐに分るかも知れませんのですが、その原型がいろいろ変わつておる、特に二次製品となつておるというようなものにつきましての、納税の実態の把握が非常に困難である。それから尚いろいろな状況からいたしまして、課税されてあるものか、課税されてないものか必ずしも不明な状況にあつた。そういうものが若干考えられておつた、さようないろいろな関係もございまして、手持ち商品の調査はこれは可能でございますが、その手持商品についての課税が果して如何であつたか、それについて正当に戻税をするということについて、これは技術的に困難を感ずる、かような結果に相成りました次第でございます、従つて、最も正確に納税の事実が分るものについてだけ戻税をするというようなところまで考えを進めて参りましたのですが、これは多少不公平を伴うというようなことも考えられまして、この技術的な困難性というものが、この問題についで非常に大きな影響を持つておつたということが、こういうことが一つ言えると思うのであります。これが第一面であります。
 尚考えられますることは、只今お話にありましたように、全部の製品について戻税をいたしますと、二十五億という御推定だろうと思われますが、私共も大体それに近い推定をいたしておつたような次第でございます。従いまして、この二十億前後の戻税金額は、いずれ消費税の減少となつて参りまするか、或いは国庫から支出するものとして歳出の面に出るか、とにかく昭和二十四年度以降における財政負担となつて、予算の方に影響を及すということが考えられます。この影響は何によつて補填するかという予算的措置の面がございます。これは考えようによりますと、国家で、二十億円の必要の経費がございまして、それを何によつて埋めるかという問題でございまするので、織物消費税の減つた分を、何かのよその税によつて賄うということになります。このよその税は何が考えられるかと申しますと、一様に負担の加重を訴えております現状におきまして、そうやすやすとその財源が生み出せるものではない、結局は全体の国民の上にその二十億なら二十億の負担がかかつて来るということになります。織物の消費税の廃止による負担を、国民全体として背負つて行くかという問題を考えて見て、この問題が織物そのものに関係しておるものというふうに限定して参りますと、織物の消費者と、織物の生産販売に関係しておるものとの間において二十億円消化できるものであるならば、それが一つの考え方である。いずれにせよその二十億円の金が必要なのですから、その二十億の金を現在ストツクされておる織物を買入れようという消費者と、何らの関係のない一般の国民がそれを背負つて行くが、それともその織物によつて何らか消費を充そうという消費者と、それから業者との間において解決を出た方がいいのか、こういう問題になると思いますが、そういう点を考えますと、将来の生産、消費の状況、現在の生産、消費の状況等から見まして、価格面において大体統制が外れておる、それから配給面におきましても、衣料切符の撤廃その他の措置によつて、相当業者の経営面において考慮を拂う面が殖えておる。さようなところから、業者の手腕と、それから消費者の消費事情によつてこの二十億円の金が吸收できるのであれば、一般国民に迷惑をかけなくても済む問題である、いろいろな観点を突き混ぜて考えました結果、この消費税を戻すという問題は全体の考え方の方から、この際非常に業界の方には御迷惑であるが、取止めようというかような結論に達した次第であります。これに関係するいろいろの見解、それに対する対案という問題につきましては、私共通産省初め各方面と長い間接触を保つて研究を進めて、でき得る程度の解決を図ろうと努力いたしておつた次第であります。何分にも事情が熟さない、かような関係がありまして、この問題は只今申上げました予算に関連する問題が相当大きな要素を占めるということが考えられますので、いろいろ事情が存在いたしておりまするが、見通しとしてはこの際あまり楽観はできない、かように考えておる次第でございます。その点につきましては、私より民主党の油井委員の方がよく御存じで、昨年の改正法通過の際には、御心配頂いて御奔走を頂いておつた次第でございまして、この点は私も敬服いたしておる次第であります。大体概況とお見通しを、たどたどしい申上げようで恐縮でございますが、御了解を願います。
#24
○委員長(小畑哲夫君) 委員外議員として油井君が発言を求めておられますが、許可して御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○委員長(小畑哲夫君) 御異議ないものと認めます。油井君。
#26
○委員外議員(油井賢太郎君) 本日通産委員会で繊維関係の会合があるので大蔵委員長に、先程非常に関連が多い問題があるから大蔵委員からも出席あるようにというお話があつたので出た次第であります。先般来消費税のことについていろいろお話がございました。私共は先般の消費税撤廃についての法案が出ましたけれども、何とかして業者の負担にしないで、合理的に解決ができないかと種々奔走した次第でありまして、それについては只今調査課長から縷々御説明があつたのでありますが、政治的には池田大蔵大臣が何とかその解決を民主党の大屋台を背負つておる自分としてやつて行きたいという話があつたのであります。今日大蔵大臣が御出席になると思つたら御出席にならず、調査課長がお出になつたので御立場は大変お苦しいと思いますが、只今私に転嫁された責任について一言ちよつと申上げますと、私はこの法律案を実は委員会において全面的に拒否してしまつたのです。いわゆる賛成しなかつた。ところが本会議におきましては、私は棄権をいたしまして採択に加わらなかつたのでありますが、今更廃止される法律案に反対をいたしたということになると、多年業界が要望した織物消費税撤廃そのものに反対したという恰好になりますので、委員会においては反対の意思表示をいたしましたが、本会議においては採択に加わらなかつた、かような次第であります。そふいう点を前提といたしまして調査課長にお伺いしておきたい点は、十二月に織物消費税の徴收額はおよそ三億七千五百万見当だつたのであります。それについて主税局長、或いは大蔵大臣にこれだけの消費税を果してとる可能性があるかどうか念を押して聞いたのでありますが、必ずとれるという御回答があつたはずであります。併し私の調査によりますと十二月の織物消費税の徴收は相当低かつたはずでありますが、この数字を取敢えず調査課長からお聽きしたい。予算ははつきりと三億七千五百万、補正予算で組まれておるのですが、その補正予算が実際にはとられてなかつたということなら、その差額は一体どこから出てどこから補充されておるか。先程のお話によりますと大体二十億のいろいろ費用が、織物消費税の交付金が掛るとすれば、それに対する財源がないというお話であつたのですが、額は多少違つても、やはり予算と実際の面とで違つたその差額をどこから出したか。こういう点も先ず第一にお伺いいたしておきたいと思います。
#27
○説明員(忠佐市君) 十分なお答えになるかどうかということを心配しておりますが、十二月におきまする織物消費税の課税高につきましては、私共も多少心配しておりました問題で、予算もそう多く考えておらなかつた次第でございますが、実際は七億円程の課税でございまして、これは予想外に品物が出た、かような実情になつておるわけでございます。
#28
○委員外議員(油井賢太郎君) 今の七億というのは、恐らく十月或いは十一月あたりの担保を入れておいて、未徴收になつた分の納税を含んでおるのではないかと思われますが、その点をはつきり……。
#29
○説明員(忠佐市君) これは国税庁におきまして歳出したものを課税の決定をいたした数字を集めておりますので、現金が入つて来た数字ではございませんのであります。
#30
○委員外議員(油井賢太郎君) その点は尚又あなたの方でも御調査願いたいと思います。私の方とちよつと食い違いますので。
 次には我が日本の憲法におきましては、憲法第三章に国民の権利及び義務という規定が設けられておつて、その憲法の中で第十一條に「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。」とはつきりした條文が入つておるのであります。ひとり繊維業者だけが国家の他の国民のために犠牲になつてひどい損害を蒙るというようなことを看過することは、我々のどうしても納得いかない点でありまして、やはり大蔵省たるものは、この憲法の趣旨通りに法の運営を誤らないようにするのが至当ではないかと考えられるのであります。よつて今日の繊維業界の苦衷を察しまして大蔵省当局におかれましても、何とか善処策を考究さるべきであると思うのであります。徒らに方法がないとか或いは技術的に困難である。予算的にどうであるというようなことでなしに、なんとかこの打開を真剣にお取上げになつて、基本的人権の尊重を飽くまでも大蔵当局も尊重されて頂きたい。かように私は希望する者であります。いずれこの点に関しましては業者の方も命がけの仕事でありまして、最高裁判所にも検討して貰つて、この点を追求するという熱意に燃えておる筈であります。そういう点につきましても、大蔵省は今から一つ御善処の途を講じて置いて頂きたい。尚調査課長は大蔵省内でも非常に堪能の方であることはよく分つております。それについて大蔵大臣或いは次官等とこの点についてもつともつと深く掘り下げて御研究があつたかどうか、これを一つ御回答願いたい。
#31
○説明員(忠佐市君) その当時におきまして通産省の方からいろいろ御意見がございまして、検討をいたして見ましたことは事実でございます。その検討の結果出ましたいろいろの案が実行上支障が非常に多くて実行に至らなかつたのでございまして、その内容につきまして申上げられないのは甚だ申訳ないのですが、御了承願います。
#32
○委員外議員(油井賢太郎君) すでにこれは日本の繊維界の大きな事件でありまして、繊維局長が幸い御出席になつておられるから、これについての繊維局長としての御見解をこの際お聞かせ願つて置きたい。尚これは政府の方針と違つた回答をしたからどうのこうのというようなことでなしに、若しなんでしたら速記を止め秘密会でも結構ですから御見解を聞かせて頂きたい。
#33
○政府委員(近藤止文君) 大変むずかしい御質問でございまして御答えのしようがないのでありますが、この問題が起りました当時におきまして、繊維局としましてどういうふうに考えたかということを申上げまして御参考にいたしたいと思います。この織物消費税の撤廃の問題につきましては、繊維関係を担当心たしておりますものといたしましては、日頃関心の深い、而も場合によりましては業界に甚大な影響を及すということが起つて参りましたので、この撤廃に関しましてはできるだけ影響の少い方法で、而も全般的に見まして業界が安定して行けるような方向で、これを措置いたしたいというように考えまして、実はシヤウプ勧告案が、出ました後に、相当消費税撤廃の行き方が変りましたので、非常にその間に持つて行き方としましてはむずかしい点があつたのでございますが、私共の根本の考え方といたしましては、先ず一割程度の税額を残しまして、四割を一割ぐらいに下げまして、而もそれにつきましてその際に戻税を起す。これをできるだけ早期に行いまして、その当時考えましたのは大体今年の三月末日ぐらいまでに一割程度の税額を撤廃する。こういつた行き方が最も順調に処理できるのではないかという考えの下に消費税に対する実は対策というものを立てました。それが一月から全部撤廃いたしまして、而も戻税その他の問題につきましては見送りになつてしまつたというような結論になりまして、現局といたしましてはもう少し何らかの手を打つて欲しかつたという気がします。
#34
○委員外議員(油井賢太郎君) 是非一つ繊維局長もこの件については、業者の真の味方として将来御奔走を特にお願いして置きます。尚調査課長にも将来とも御善処方をお願いいたします。
#35
○委員長(小畑哲夫君) 尚大蔵省の方で附加価値税、固定資産税についてお話がございますか。先程の証人のお話でもシヤウプ案そのままを基礎にしてお話になつたが、その後大分いろいろ研究されておると思うのですが、若しお話がありましたら一つお願いいたします。余程緩和して来ておるように我々も承知しております。又あなた方もお考えになつておると思うのでありますが……。
#36
○証人(渡邊進君) あの附加価値税の方はシヤウプ勧告の方は六%が原則でありまして、地方自治庁案では四%がであります。固定資産税というものはシヤウプ案通りということを伺つておりまして、非常に不可解であります。緩和し得るにも拘わらず一向緩和していないように感じます。
#37
○委員長(小畑哲夫君) それじやその問題は地方自治庁の方は、今日出席がありませんので保留して置きます。
 輸出振興対策とか合理化、還流クーポン制をどうするとか、染料関税、電力問題を一括して近藤局長……。
 それでは中小企業庁の振興部長に金融対策に関連してお話を願うことにいたします。
#38
○政府委員(記内角一君) 中小企業の金融問題について我々のやつておりますることを申上げたいと思います。
 先ず第一にお話になりました日銀の中小企業の月枠の問題でございます。御承知の通り去年の五六月から始まつたわけでございますが、その当時は二十五億程度にしたいということを目標に進めておりましたが、結果におきまして昨年末が、年末で三十四億、この一月末に三十三億まで至つております。今後とも融資の状況を見ましてこれを増加したい、増額方を要求したいと思つておりますが、大体或る程度の増額は認められるのじやないかというふうに見通しております。尚この資金は短期の資金でありまして、これはもう枠として三十三億でありますが、これが半期で回転いたしておりますので、例えば現在の三十三億を据え置くとしましても、年に三回転すれば百億になるということになりますので、現在でも相当役立つているかと思います。尚今後共増額方を取運びたいというように考えているわけであります。
 見返資金のうち、中小企業に対してこの三月までに三億円を融資するということに相成つておりますが、これは今の話合いといたしましては、更に今年の三月から来年の三月までの十五ケ月間に十五億の見返資金を、銀行を通じて融資をするということに相成つております。併しこれは何分一月からスタートしたばかりでございまして、今折角融資の斡旋等を努めているわけでありますから、大いにこれを融資を努力いたしまして、その結果によつては更にこれを繰上げて、十五億を来年の三月までというよりも、これを六ケ月或いは十ケ月というふうに繰上げてやりたい、即ち結論においては、もつとこれを増額したいというふうに考えております。差当りとしましては、三億で取敢ずスタートして、その結果を見たいというふうに考えている次第でございます。
 商工中金の増資の問題等につきましては、新聞でも御承知かと思いますが、銀行等の債券発行等の特例に関する法律というのが閣議でも決定になりまして、近く関係方面の了解を得て議会にも提案されると存ずるわけでありますが、これによりまして商工中金は、現在一億五千万円の資本金でありますが、これを民間資本五億円に増資いたしまして、更にそれに合せまして、見返資金の方から五億円を出資して、合計商工中金の資本金を十億にする。尚現在債権整備の関係上、債券を発行することは、一応差し止められておりますが、これを解除して頂きまして、今後出資金十億円の二十倍までの債券及び預金を扱うようにしたい、そういたしますと、商工中金としましては、十億の二十倍、二百億までの資金が運用できるという態勢になるわけであります。
 尚商工債券の引受についても、できるだけ預金部資金等を活用させるということで、関係方面と折衝を続けておるわけであります。我々としてはこれは近く解決するものと見通しておるのであります。そういたしますと商工中金の資本金が十億に、債券及び預金で二百億ということになりまして、今よりも飛躍的な資金量で以て、活躍ができるということになりますので、我々としても非常な期待を持つておる次第でございます。尚貸出限度の増大、これは商工中金の総代会で一応の枠が決定しておるのでありますが、必要に応じまして逐次大蔵省並びに通産省の承認を得まして、増大されることになつておりますので、現在相当多額の金が組合に融資されておる実情もございますので、これは勿論貸出限度の増大の問題についても検討いたしますが、具体的の問題については、個々に又折衝も可能であろうというふうに考えております。
 尚金利の引下げという問題でございますが、これはあとにありますように、新規貸出について調査費用というような形で、むしろ少々金利は高くても金を融通して貰いたいというふうな希望も一部にあるわけであります。これは資金量の増大と睨合せまして、今後善処して参りたいというふうに考えております。
 尚協同組合の加入條件の緩和、協同組合法の改正といたしまして、現在百人未満でなければ加入できないというふうに一応なつておるようでありますが、これについては百人未満の業者であれば、一応無條件に加入できるが、百人以上の業者を有する企業者が協同組合に入つたときには、公正委員会に届出をしなければならんという制限があるだけでありまして、その際に特に不都合と思われる場合に、公正取引委員会から脱退の勧告だとか命令というふうな処置がなされるかどうかというだけでありまして、今のところは届出だけで差支えないことになつておりますので、必ずしもこの組合法を改正する必要も差当りはないのじやないかと思われる節もあるのでございます。とにかくそういう不便な点もありますので、この緩和についても今後とも検討を加えたいと思つております。勿論これは関係方面の意向が相当強いものでありまして、果してこれを持出した方がいいかどうかということについて疑問がありますので、或いはこれは事実問題として解決した方が得策ではないかというふうにも考えているような次第であります。
 共同施設の補助金の増額の問題につきましては、今年度は、二十四年度は協同組合に対しまして一千万円でございましたが、二十五年度の予算におきましてはこれを一億円、但しそのうち七千万円は自転車振興という意味で、自転車関係の協同組合に補助されることになつておりまして、一般には三千万円というここになつておりますが、とにもかくにも二十四年度よりも一躍一億円まで増大されておりますので、差当つてはこれで我慢せざるを得ない状態になつておりますが、尚我々といたしましては、今後組合の改組或いは設立の状況に応じて、更にこの増額をやりたいというふうに考えておるような次第でございます。
 尚調査費用を借り方から取立てたらどうかという御意見もありますが、我々もこの点について検討をいたしておりますが、金融機関の方面で賛否両論がございまして、我々も尚決し兼ねておるような次第でありますけれども、この点については検討を加えて参りたいというふうに考えております。
 信用補償協会につきましては、これを法制化するという面が一番重要な部面でありますが、事業者団体法との関係がありまして未だに解決を見ないのを我々残念に思つておるわけであります。併し実際問題としましては、財団法人で目下黙認されておるような恰好で、協会によつては非常に活動もいたしておる面がございます。今後相互の間に検討を加えまして、一層活動できるような体制に持つて参りたいというふうに考えておる次第でございます。
 尚信用協同組合の設立の問題でございますが、これの主管は大蔵省の方で主管いたしておりまして、我々の方としましては、中小企業者に取つて、殊に零細な小さな業者に取りましてこれを組合化する、殊に信用協同組合を作つて金融の面の打開の一助にしたいということで、絶えず大蔵省と緊密に連絡を取つておるわけであります。ただ大蔵省としましてはやはり預金を集めるというふうな性格を持つております組合でありますので、一応健全金融機関という体制を取る必要がある、殊に最近のようなコストの、人件費の高い時代におきまして、コスト割れのしない、即ち組合として採算のとれる体制を取る必要があるということについて愼重に考慮を拂つておるようであります。新組合の加入は現在三十ばかり行われておりますし、まだ正式の認可が出たものはつい最近に一組合だけでありまして、我々これは捗らないことを非常に残念に思つておるわけでありますけれども、そういうふうな経緯もありまして、我々としましては目下大蔵省と絶えず緊密な連絡を取つて話合を進めておるような次第であります。ただ大蔵省としましても、まあ法律はできてから相当な日数にはなりますが、一般的な方針というふうなものはちよつと立てにくいような事情にありますので、個々の問題として検討して行きたいということで検討を加えておるわけであります。何分にも中央で認可する、或いはそれが地方の機関を通ずるその間にいろいろ経緯もありまして、誤解もあつたようでありますし、まだ十分な活発な動きまで至らないことを我々非常に残念に思つておるわけであります。尚今後も大蔵省の方と折衝を遂げまして、この問題の解決に当りたいというふうに考えておるような次第でございます。大体中小企業庁と関連しましてお話の出ましたことについては以上のようなことであります。
#39
○高橋啓君 この中小企業と協同組合法の問題ですね。これは各業種で、困つておる問題なんですが、今の百人以上云々という制限が届出の事務に対してこのような制限をしたというような考え方でなくてこれは絶対に百人が條件だと考えておる人達が多いわけですね。それで新規の手続というのはどういうような形式でどの程度の組織でやるものですか、若し百人以上の人を使つて業者が協同組合に入つた場合、届出る、ところがそれが大企業であるかどうかという判定は、新規手続でやるということになつておりますが、それが簡單に向うでやるのか、それとも随分面倒な手続でそれを決定するか、どういうことになるんですか。
#40
○政府委員(記内角一君) この問題今まで我々の了解しておりますところでは、従来一つも事件が起つておりません。それで我々としては特に問題が起きれば取上げる、入れるかどうかというときはそのときになつて考えるという大体態度でいるようでありますが、必ずしも届出でたから直ぐたたかれるとか、調べてこれにいい、悪いの返事をするというようなことにはならないように我々了解しているわけであります。従つて百人以上で入つているから直ぐ解散を命ぜられるとか、脱退を命ぜられるとかいうようなことは御心配にならなくて結構だと思うわけであります。ただその組合が百人以上のものが組合をリードして、まあその組合の名に隠れて横暴をするというふうなことにでもなりますと問題になりますが、そうでない限りは公正取引委員会もこれを問題として採上げるということはないこういうふうに考えておる次第でございます。
#41
○高橋啓君 それはまあ建前としては協同組合に入ることがいいんだ。ただ届出の結果の問題という程度の指導でないと、非常にきつい指導をしているところは、絶対的にこれは入つちやいかん、入つている場合はこれは出さなければいかんという、こういうふうに末端の方で指導している官庁もあるわけなんです。そうして業種によつて百名以下では物にならん業種もある。そこのところの末端までそれが徹底するようにしないと、協同組合が組織されるのが遅れるのじやないか、こういうふうに考えます。
#42
○委員長(小畑哲夫君) それでは引続き官庁側の対策をお聞きしてから質疑に移りたいと思いますので、残る問題を繊維局長から願います。
#43
○政府委員(近藤止文君) 税の問題、中小企業の問題につきましては、それぞれ担当の政府委員から、或いは係官から御報告申上げましたので、残りの問題は非常に散漫になつておりますが、それを一括いたしまして私からお答え申上げたいと思います。但しその中には私の方で所管をいたしておりません事項もございますので、これは私共の方が聞き知つております程度におきまして御報告を申上げる程度になるかと存じますが、この点も御了解を願いたいと思います。
 企業合理化の問題、特に中小企業の問題につきましては、只今中小企業振興部長から申上げましたように、新らしい協同組合法の改正によりまして、現在それぞれの組合が新法による組織換の際中でございます。この新らしい協同組合によりまして中小の工業、商業というものにつきましては、今後強力にこれらの組合の協同施設なり、或いは融資の問題なり、或いは技術の向上の問題なりそういつた点を採上げまして、強力に推進して参りたいというふうに考えておるわけでございまして、二十五年度の予算におきましても多少その点が増額されて参つて来ておりますし、又融資の問題につきましても、この国会に法律案が出まして商工中金の大巾な融資の枠の拡大ということも行われる予定でございますので、これら中小企業庁の施策と密接な連絡をいたしまして、繊維に関する中小企業につきましての個々の業体の合理化という問題と、それから業界全体につきまして、これらの協同組合というような組織を中心にいたしまして、その合理化という問題を取上げて参りたいと、かように思つておるわけでありまして、今後の繊維の行政の主要な部面はこういつた方面に注がれることになるというように考えおる次第でございます。
 尚、この問題に関連いたしまして、輸出の振興対策の問題につきまして、先程いろいろな問題が提示されましたのでございますが、第二に海外の市場の状況を常に調査し、又いろいろ見本なりその他製品の展示所を設け、積極的に海外に対しまして、こちらが呼び掛けて参るということにつきましては、極めて重要であることは前から分つておるのでございます。最近漸くアメリカに対しましても日本の外交官並びに通産省の係官が駐在できるような運びになつて参りまして、この問題に引続きまして、或いはパキスタンなり、インドなり、そういつた南洋市場の関係につきましても、逐次そういつた施設ができると思いますし、又相当広汎に或いは中南米なりその他の市場におきましても、そういうことができると思うのでありますが、何分にもこれは外交上の問題を控えておりますので私共が予想しております程急速に実現を見ておりませんので、誠に遺憾に存じておるわけであります。殊に業界の方々が海外市場の状況を把握されるという問題につきましては、只今のところ、漸く随時向こうの市場を視察して帰つて参るというような程度でございまして、常設的なものを海外に持つというところまでは行つておりませんので、これらの実現につきましては、早急にこれが運びますように努力いたしたいと思つておるわけであります。併し最近の情勢では、逐次こういつた方面も改善されて参るというように思うのでございます。それからこの海外市場の状況の調査或いは見本等の展示というような問題に関連いたしまして、最近相当製品の品質の問題につきまして、海外からクレームのついて参るものが多くなつて参りました。結局現在行われておりまする輸出品取締法によります検査につきまして、不徹底な嫌い十分あるのでありまして、この問題につきましても、急速に改善をする必要があるのでありますが、戰争中にこれらの輸出検査の制度が廃止されておりましたので、実は本年度までは検査所の建物を作るとか、その施設をいたしますのに相当の予算なり時間がかかりまして、十分なことができなかつたのでありまして、今尚品物によりましては肉眼検査というようなことをやつておりまして、天候の如何、或いは検査する時間の如何によりまして、非常にその結果が違つて来るというような極めて原始的検査によらざるを得ない場合もあるのであります。二十五年度におきましては、こういつた検査所の施設は一応完了いたしましたので、今後は検査器具なり検査装置なり、そういつたものに相当の予算を注ぎ込むことができるということになりまして、只今国会に出ておりまする二十五年度の予算にはそういつた関係の予算が盛込まれておるのでございますが、いずれにいたしましても非常に窮屈な予算でございまして、十分とは参りませんが逐次そういつたことで検査施設の充実ということに努力して参りたいと考えるわけであります。それから、この輸出を振興いたします大きな問題、特に繊維につきましては、実は満韓支の貿易が再開するという問題が非常に望ましいことでございまして、勿論中共の関係等もございまして、そう急速にはこの問題は解決いたさないと思いますが、結論といたしまして日本の繊維の輸出が一定の線まで達しまして、これが経常的に維持されるということになりますためには、どうしても満韓支に対して相当の貿易ができるということが先決問題でございまして、現在のようにポンドブロツクとの間の貿易なり、或いは中南米関係その他アフリカとか、そういつた方面との貿易の関係は原則といたしましてバーター貿易になつておりまして、結局相当のものを買わなければ、こちらから相当のものは出せないということになつておりまして、繊維の割込む余地は実はあまり多くないのであります。ところが満韓支の貿易が若し開けるということになりますれば、これは当時の実績に鑑みまして、相当先ず二割五分から三割程度の輸出というものは従来これらの市場を対象にして行われておつたのでございますので、この満韓支に対する貿易が再開されるということは、繊維貿易にとりましては極めて望ましいのでございますが、只今のような状況におきましては、ごく一部分或いは香港を経由いたしますとか、或いはアメリカのバイヤーによりましてごく例外的に取引が成立するという状況でございまして、いつ頃になりましたら、又どういう方法で中共方面との貿易が復活するかという問題につきましては、只今のところ見通しはないのでございますが、繊維の輸出といたしましては、極めて重要な市場であるということを特に痛感いたしておるわけでありまして、思想問題は別にいたしましても、私共も満韓支向けの輸出は相当振興する、ということを大いに期待しておるわけでございます。
 尚輸出振興の問題に関連いたしまして、先程輸出業法につきましてのお話がございましたが、この輸出業法の制定の問題につきましては、実は通産省といたしましても、又国会方面におきましてもいろいろ検討をされておるのでございますが、只今のところ急速にこの実現を見るということが非常に困雑なような情勢にあるわけであります。特に輸出業法の眼目といたしますところは、カルテル的な機能を持たなければ実際は意味がないわけでございまして、そういつたことになりますと、やはり独占禁止法等の法令の関係もございまして、なかなか只今のところで実現の見込みは乏しいのではないかというように思われるのでございますが、私共といたしましては、何らかのこの輸出に関しまして特に最近は殆んど協定貿易でございますので、これを有利に実行するよような方法を考えなければならん、というように考えておりまして、尚今後できるだけ関係方面とも折衝をいたしてみたいというように考えておるわけであります。それから輸出振興の問題に関連いたしまして、生糸の糸価の安定問題が今お話が出ましたのでございますがこれは直接所管いたしておりますのは農林省でございますが、私共も織物その地製品にいたします関係で、非常に深い感心を持つておるのでございまして、恐らくこの国会に提案になると思つておるのでございますが、商品取引所法につきましての改正法律案というものが大体でき上つておるようでございまして、この改正法律案が通過いたしますれば、生糸につきましては、比較的早い機会に横浜、神戸等におきまして、生糸の取引所が設立されるということになろうかと思つております。ただ生糸の問題につきましては、そういつた取引所等におきましての設置の問題でなく、根本的に繭の増産の問題、同時に而かもそれが輸出に適する繭作るという問題がございまして、この根本的な問題が解決いたしませんと結局非常に不合理と申しますか、おかしな値段が常に起るといふように思われるのてございまして、これは生糸或いは絹製品の今後における外国市場の見通しと睨み合せまして、繭の生産計画というものを確立する必要があるというように考えておるのでございます。
 尚この輸出振興の問題に関連いたしておりますのが、あとの方に輸入染料の関税の問題が出ておりますので、今日は大蔵省の関係の方が見えておりませんので、この輸入関税の問題につきまして私が存じております程度で御報告を申上げたいと思います。最初大蔵省の方の話といたしまして、この国会に例の関税定率法を改正いたしまして、その改正法律案を出したいという話で、いろいろ通産省からの意見を求められたのでございまして、その場合に繊維に関しましては、原材料につきましてこれを輸入に仰がなければならんものにつきまして、国内産業の維持育成という問題から、輸入税を課けるか課けないかという問題があつたのであります。これは染料も一つの例でございますが、人絹パルプのようなものもその例でございまして、将来におきましては十分国内で生産ができるというものにつきましても、現在生産コストの関係等から生産されておらない或いは設備の関係から生産されておらないというようなものにつきまして、差当り若しこういつたものに高率の輸入税を課けます場合には、現在の輸出の価格を到底維持することができない。そうなりますと、結局輸入税を課けることによつて、現在のドルなりポンドを稼いで来る輸出を止めなければならんという問題が起つて参りますので、そういつたものにつきましては、実は通産省といたしましては、国産で十分原価を賄い得るようになるまでにおきましては、それらの原材料につきまして輸入税を一時的に課けないという方法でやつて欲しいということを大蔵省の方に申入いたしてございます。ところがその後、実は大蔵省が関係方面と折衝いたしております過程におきまして、一時的にどうやらこの関税定率法の改正の問題が、棚上げになつておるような状況にございまして、急速に関税定率法の改正法律案が提案されるかどうかということにつきまして、現在は極めて悲観的な見通しになつておるようでございまして今後大蔵省とになるか分かりませんが、兎に角現在のところ一応ペンディングになつておるといたしましては、染料にいたしましても、或いはその他の輸出原材料にいたしましても、国産で十分に輸出の面を賄い得るというところになりますまでは、できるだけそういつたものに輸入税を課けずにできるだけ安い原材料を入れまして、そうして輸出の増進を計りたい。かように考えておるわけでございまして、そういつた方針の下に大蔵省とは従来折衝いたしております。
 それから次に電力の問題につきまして、ここに御意見が出ておるのでございますが、これは資源庁の電力庁で所管をいたしております事項でございますが、御承知のようにこの第四・四半期から電力料金の決め方が根本的に変りまして、超過電力量を拂えばいくらでも無制限に電力は使える。超過電力料と申しますのはその代り普通の電力料の大体十倍くらいの高いものになつておる。そこで第四・四半期にこの電力料が決められまして発足をいたして見ましたところが、一月は相当に出水が多うございまして、予想いたしましたよりも一億キロワツトアワー以上の出水増ということになつたわけでございます。それで資源庁といたしましては、非常に今の水の状態がいいので、電力の割当の総量を増加して貰いたいということを関係方面と折衝いたしておつたのでございますが、一月におきましてはどうしても関係方面の承認を得ることができませんで、一月の割当につきましては、遂に敏正を見ないでそのまま経過いたしたのでございますが、二月に入りましても、実は一月以上の出水増がございまして、現在、所によりましては、水をただ流しておるというような状況の起つておる所もあるのでございます。そこでこの二月の電力の割当増量の問題につきまして、資源庁から関係方面にたびたび折衝いたしておりまして、確か昨日かと思いますが、或いは本日だつたかも知れませんが、或る程度の割当量を増量するということに決定をいたしたようでございます。そうしてこの決定いたしました増加量につきましては通産省の意見といたしましては、特に中小の企業に対します電力の割当が、ここにもございますように、非常に不合理と申しますか、契約電力料に機械的に比例するような割当になつておりまして、甚だしいものは従来の実績の二十五%、六%程度しか行かないという所もございますので、特に中小企業に重点的に増配をいたすという方針でこの増量の問題を処理するということに相成つておるのでございまして、これはいずれ資源庁の方からはつきりしたことが出ると思つておりますが、そういうように考えております。それから尚この五十万キロ未満というような小さな工場に対する割当方式にたいしましては、非常に古い実績を採用しておりましたのですが、これをできるだけ最近の実績に切替えるということに方針が決定いたしまして、これはそれぞれ地方通産局におきましてその割当替と申しますか、処理をすることに相成つておりまするので、その点も併せて御報告を申上げておきます。
 それから最後に還流クーポン制の問題につきまして問題が出ておるのでございますが、実は還流クーポン制という制度は最近に始めたものではございませんで、御承知のように繊維につきましては大分前におきましては設備等によりまして、割当をするという方向を取つておつたのでございますが、それが逐次出荷にリンクする、出荷実績によつて割当をするという方向応変りまして、それからその次に還流して参りました切符に対してリンクして原材料を割当てるということに方針の大原則は実はなつてきておるのであります。そこで実は繊維の統制の関係の問題を申上げないとはつきりしないと思うのでございますが、御承知のように繊維で現在統制の残つておりますのは綿とスフでございますが、ステープル・フアイプアーにつきましては、極く近い機会にその配給統制が解除される大体見通しがついて参つております。これは先般確か安本長官が国会で答弁申上げておる中によりましても、三月頃には解除になるということを言われておりますし、大体そういう方向で行くということを考えておりますが、そうなると綿だけが昭和二十五年度におきまして、これらの中の残る唯一の繊維ということになるわけであります。ところが次々といろいろの繊維の統制が解除されて参つておりますし、同時に先程から絹、人絹関係でも非常に危機に遭遇しておられるようなお話もございましたように、実はマル公どころではない。マル公を割つてもなかなか売れないというくらいに値段も下りますが、同時に数量も相当沢山国民の方に対して流れて来ておるというような状態になつてきておるわけでありまして、綿というものの統制が一体いつまで続くかということが将来の大きな問題になつておるわけであります。ただこの綿の統制につきましては、この統制がいつ頃解除されるか、又解除される見込があるかどうかということにつきましては、只今のところ予想は非常に困難な問題で、ございまして、私は恐らく食糧の問題は、余り時間が違わずに行われるというように思うのであります。と申しますのは、国内用の綿の大部分は御承知のようにアメリカの援助資金によりまして賄われておるのでございまして、つまりアメリカの税金によりまして我々が国内用の綿製品を貰つておるという関係にございますので、その統制を解除することができるかどうか、又それがいつ頃になるかということは見通しの非常に困難な問題でございますが、まだ相当期間は続くというように考えざるを得ないと思うのであります。併し只今までのような情勢が一般に繊維界に残つておるといたしますれば、いずれは解除されるという機会が参ると思うのであります。その時期になりまして業界がその解除の際に最も影響の少いような態勢を続けておるということが、こういつた末期的な統制の時期におきましては一番適当ではないかというようなことから、実はすべての綿の関係につきまして還流クーポン制というもののを採用することが、その場合には解除されたときの状態と一番近似しておる状態になるというようなことで、この問題を考えて見たわけであるます。但し或る特定の品種のものにつきましては、御承知のように昨年の三月頃にいわゆる集中生産というような問題が起ったりいたしまして、従来の出荷リンク制なり、還流クーポン制を設備割当に一部切替えされたというような事例もございまして、これらを勘案いたしますと、還流クーポン制をいつからどの程度徹底して行うかということは現在の繊維の需給の実状と申しますか、取引の実態から見まして相当考慮を要する問題であると思うのであります。この点は私共も一日も早く急いでしやにむにこの制度を実行しておるというふうには考えておらんのでありまして、いろいろ関係業界の実情を十分徴しました上で、とに角将来これはいつになるか分りませんが、統制の解除されましたときに、そのままの形で統制がなくなつたという状態にただ一つ残つております綿の統制のあり方を持つて参りたい、かように考えまして、この問題を検討いたしておるわけにあります。いろいろ業界から陳情もございますし、それから又製品の種類によりまして個々に事情が違うようでございますので、それらの点をできるだけ調整いたしまして、あまり無理のない切換をして参りたい、こういうように考えておるわけであります。ただ問題は根本的にもう綿の統制もそう長くはない、これは止めざるを得ないという認識の方もありますし、又これはそう簡単には解除されないという認識で綿を考えられる方もございますので、そういつたように根本的に実は未決定でございますので、いろいろ議論が分れるということになるのでございます。特に最近の金詰りの状態と、それから一般の講買力の減少しておる状態から考えて見ますと、第二次製品というようなものにつきましては、実は統制があるけれども軌道に乘つて切符制の行われておるものは、その半分以下であるというような実情もございまして、そういうところでいろいろ認識の問題が違つて来るということになると思うのであります。ただ原則といたしまして従来の機械設備等によりまして、一方的に割当を受けるというようなことが現在の統制の段階におきましては、適当であるかどうかということは根本的に今検討する必要があると思われるのでございまして、私共の考え方といたしましては還流クーポン制によりまして、要するに需要者というものを直結するような企業の状態をできるだけ早くここに作上げるということが、一番適当だというように思うのでございますが、この問題は尚具体的の実行問題については検討いたしておるわけであります。
#44
○委員長(小畑哲夫君) 何か後質疑がございましたら……。
#45
○証人(原與一郎君) 企業庁の方はお帰りになつたようですが、中小企業庁の振興部長さんから金融の問題についてお答えを頂いたわけなんですが、見返り資金を二十五年中には、十五億というお話があつたのでありますが、先程お願いしましたように大体私共が仄聞しているところによりますと、数企業に四百億出す、その四百億の中から十五億というのは、どうしても僕らの方では了解に苦しむわけなんでして、これは余程大巾に引伸ばして貰いたい、こういうようにお願いするわけであります。それでそういうことを殖やしてくれいと結局言つても限度が分らないのでありまして、恐らく中小企業庁では全国の中小企業がどのくらい資金が枯渇しておるかということが十分に分らんのではないかと思います。そういう意味から言つて、中小企業の方の本当の資金需要額というものを早急に調べて頂きたい。それから国家財政から出し得る供給力、それから中小企業をどの程度この機会に救い上げるかという尺度を持つて、それで供給力をそれぞれの部門に割当をして頂く。その方法は中金なり、その他の機関によつてやつて頂く、こういうようなことを是非お願いしたいわけであります。中小企業庁の方には勿論私共の方からもお願いしますが、こういう機会に皆様の方へ特にお願いする次第であります。
#46
○委員長(小畑哲夫君) よく御趣旨は伝えて善処することにいたします。ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#47
○委員長(小畑哲夫君) 速記を始めて、実は明日電力の特別委員会の委員長並びに理事それから当通産委員会の委員長並びに理事との打合会を開いて、今後電気に関する諸問題をどういうふうに両委員会で審議して行くかということについいて相談をしたいという申入があつたのでありますが、これをこちらからも同調するという申入をして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#48
○委員長(小畑哲夫君) 御異議ないと認めましてさよう決定いたします。尚特別鉱害復旧臨時措置法の審議につきまして衆議院との関係もありますし、尚先般公聴会を開きました公述人の記録が金曜日にはでき上ると思いますので、お手許に配布いたしますが、その後の審議の計画につきましては委員長並びに専門室の方に御一任願いますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#49
○委員長(小畑哲夫君) 御異議ないと認めましてさよう計画いたしますから、どうぞその通り御承認願います。
 それでは本日の委員会をこれで閉じたいと思いますが、最後に再び証人のお方にお礼を申上げます。長時間に亘りまして有効適切な御意見を拜聽しましたが、尚皆さん方の御期待に添い得ますこともありましようし、添い得ない点もあるか分りませんけれども、今後当委員会としましては、官庁方面とも十分折衝いたしまして善処したいと思います。大変有難うございました。これを以て委員会を閉じます。
   午後四時四十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     小畑 哲夫君
   理事
           島   清君
           廣瀬與兵衞君
   委員
           下條 恭兵君
           中川 以良君
           高橋  啓君
          深川榮左エ門君
           阿竹齋次郎君
           鎌田 逸郎君
           駒井 藤平君
  委員外議員
           境野 清雄君
           油井賢太郎君
  国務大臣
   通商産業大臣  稻垣平太郎君
  政府委員
   通商産業事務官
   (中小企業庁振
   興局長)    記内 角一君
   通商産業事務官
   (通商繊維局
   長)      近藤 止文君
  説明員
   大蔵事務官
   (主税局調査課
   長)      忠  佐市君
  証人
   日本繊維協議会
   理事長     奧  正助君
   綿スフ機業会常
   務理事     原 與一郎君
   日本絹人絹織物
   同業会理事   安井 睦美君
   日本絹人絹織物
  商協会専務理事  沼田 義雄君
   東洋紡績株式会
   社経済研究所  渡邊  進君
ソース: 国立国会図書館
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