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1981/10/27 第95回国会 参議院 参議院会議録情報 第095回国会 文教委員会 第3号
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1981/10/27 第95回国会 参議院

参議院会議録情報 第095回国会 文教委員会 第3号

#1
第095回国会 文教委員会 第3号
昭和五十六年十月二十七日(火曜日)
   午前十時七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月二十三日
    辞任         補欠選任
     板垣  正君     藤井 裕久君
 十月二十七日
    辞任         補欠選任
     藤井 裕久君     板垣  正君
     高木健太郎君     塩出 啓典君
    ―――――――――――――
 出席者は左のとおり。
   委員長          片山 正英君
   理 事
                大島 友治君
                小野  明君
                佐藤 昭夫君
   委 員
                板垣  正君
                田沢 智治君
                仲川 幸男君
                降矢 敬義君
                松浦  功君
                本岡 昭次君
                塩出 啓典君
   国務大臣
       文 部 大 臣  田中 龍夫君
   政府委員
       文部大臣官房長  鈴木  勲君
       文部省初等中等
       教育局長     三角 哲生君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (中央教育審議会の設置及び諮問事項等の問題
 に関する件)
 (教科書検定問題に関する件)
 (前教科書協会会長が関係するゴルフ場の会員
 権取得に係る問題に関する件)
 (教科書会社による政治献金問題に関する件)
 (夜間中学問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(片山正英君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、高木健太郎君及び藤井裕久君が委員を辞任され、その補欠として塩出啓典君及び板垣正君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(片山正英君) 次に、教育、文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○小野明君 昨日通告を申し上げておりましたように、まず第十三期の中央教育審議会を設置する、こういうことが九月十二日の新聞で報道をされておるわけであります。これについて、現在一ヵ月余り時間は経過をいたしておりますが、第十三期中央教育審議会を設置するという方向で文部省は検討されておられるのかどうか、それはいつごろ発足をするのか、その見通しについて伺いたいと思います。
#5
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまの御質問の点でありますが、私ども文教政策上、いろいろと国会の御審議等を通じまして重要な案件等がございますので、できるだけこれをあくまでも厳正、公平、中正な姿において結論を出していきたい、こういうような心持ちもございます。つきましては、審議会に諮問することによりまして、この重大な案件について御審議いただいたらと、かように考えておりますが、ただいま御質問にございました中教審ということには、必ずしもまだそこまで結論を得ておりません。御案内のとおりに、本年の六月で十二回の中教審諮問を終わりまして、現在委員がすべて任期を終わっておりますけれども、中教審がよろしいか、それともさらに別個な審議会にするか、まだ結論を得ておらないというのが現状でございます。
#6
○小野明君 そういたしますと、これは新聞報道によりますと、文部大臣の考えておられるのは、教科用図書検定調査審議会、これにするか、あるいは新たに何か別途審議会を設けるか、それとも中教審にするかといろいろ検討をしたけれども、大臣としては、この際中央教育審議会がいいだろうと、こういうふうに踏み切ったと報道をされておるんですが、大臣としては懸案の諸問題について中央教育審議会に諮りたい、こういう結論はまだ得ていないということでございますか。
#7
○国務大臣(田中龍夫君) そのとおりでございまして、われわれとしましては、問題が問題でございますので、できるだけ権威のあるりっぱな諮問機関に語らなきゃならないということは考えておりますが、御質問の中教審ということに結論をまだ出しておりません。それからまた、人選等につきましても同様でありますが、さらにまた、それに付議すべき内容の問題につきましても目下いろいろと検討中でございます。
#8
○小野明君 そういたしますと、大臣、最初のお話でありますと、懸案の事項云々と、いろいろこうおっしゃる。後の御答弁では付議すべき内容もまだ決まっていないと、こういう雲をつかむような御答弁なんですが、いろんな審議会というものが考えられるわけですが、最初の御答弁からいきますと、当面の諸懸案について云々と、こういうお話がございましたが、当面の諸懸案ということについてはどのような内容をお考えなんでしょうか。
#9
○国務大臣(田中龍夫君) その点でございますが、当面の諸懸案といたす中には、もちろん文教政策上非常に重要な、あるいは教科書の問題とか制度上の問題とか、いろいろな問題がございます。そういうふうなことにつきまして、国民の総意も反映し、同時にまた、文教政策としての基本的な問題であればありますほどに、ひとつりっぱな権威のある審議会をつくりたい、こういうふうに考えておりまして、審議会をつくって真剣に検討しようということは申し上げられますが、それ以上の問題につきましては目下いろいろと考慮中でございます。
#10
○小野明君 審議をするといいますか、諮問をする器はいずれの器がよろしいかまだ決まっていない。しかし、いまの御答弁によりますと、その諮問をする内容については、まず教科書の問題というお話がございました。また、制度上の問題ということもございました。教科書の問題というのはいかなる内容を持つものでしょうか。
#11
○国務大臣(田中龍夫君) これとてもいろいろ皆さん方の御意見もございます。これを軽々に即断するということはなりませんので、やはりいろいろの御意見も考えて、そうして私どもといたしましてはりっぱなものをつくりたい、こういうふうに考えております。
#12
○小野明君 大臣どうですかね、いつも大臣は、りっぱな結論を得たいということだけを強調されまして、内容はわかっておられながら、それをこの委員会で一向にお話しにならぬ、御説明にならぬというのは非常に不可解な感じがするわけです。
 新聞の報道によりますと、九月の十一日に都内のホテルで極秘に、自民党の文教部会長、教科書問題小委員長と文部省幹部の朝食会の席上、諸澤事務次官が伝え、了承された、こういうことが中教審設置という点にかかわってあるわけです。この点についてはどうなんですか。
#13
○政府委員(鈴木勲君) ただいまの小野先生のお話でございますが、九月の十二日の新聞報道によりましてそのように報ぜられておりますけれども、文教部会の方々と文部省の幹部が打ち合わせをしたことは事実でございますけれども、それによりまして教科書の問題を中教審において審議をすることを決定したということはございませんので、種々いろいろな意見交換なり打ち合わせをしておりますけれども、これは随時やっていることでございまして、この日の朝の打ち合わせでそれを決めたというふうなことではないわけでございます。
#14
○小野明君 こういう報道を見ますと、この会合には大臣は御出席にはならなかったわけですか。
#15
○国務大臣(田中龍夫君) 私は、その日は私の非常に関係の深い人が死にまして、葬式がございましてそちらの方に参っておりましたし、この会合は最初から私自身が出る予定にもなっておりません。
#16
○小野明君 そこで、とかくこういうことになりますと、自民党の文教部会長あるいは教科書問題小委員長、こういうところと打ち合わせをされて、これが今後の重大な教育施策の検討のたたき台になる、これが基礎になっていろんな教科書問題あるいは制度上の問題が決められていくということになりますと、事は私は簡単に見過ごすことができないものがあると、こういうように思います。
 そこで、それは大臣もお気づきであろうと思いますが、大臣が当面、先ほど御答弁になりました教科書の問題については、器は決まっていないにしましても、どういう問題を次の審議会なりあるいは新しくつくるいろいろなものがございますが、どういう問題を諮問をされようというふうにお考えになりますか。
#17
○国務大臣(田中龍夫君) その問題につきましては、御案内のように、あるいは有償無償の問題について臨調の方ではそれを検討するという答申も出しておられるような次第でございまして、われわれといたしましては、あくまでも無償でいきたいということはすでに皆様がよく御承知のとおりでございますが、こういうふうな臨調の答申というものも踏まえた論議がこれからいろいろあるであろうとも存じますし、その点はいつもこちらで申し上げるとおりの気持ちを持っております。
#18
○小野明君 大臣がお諮りになろうという問題の一つには教科書無償の問題があると。これはまあいまお話がありましたように、臨調ではこの「廃止等を含め検討する。」、こういう答申になっていますわね。しかし、明年度の予算の概算要求では無償を継続をするということになっておりますね、大臣としても明年度は無償でいくと。そうすると、五十八年度からは、次にできるどういう形の審議会か知りませんが、そこに諮って、諮った上で決めていこう、そのときはあなたは大臣じゃないかもしれませんが、いまの現在の大臣の方針としてはどういうお考えでしょうか。
#19
○国務大臣(田中龍夫君) 私どもが常々申しておりますように、憲法の上から申しましても、私は、直接の教育経費のみならず、さらにそれを演舞いたしまして、教科書に対しましてもやはり無償であるべきだというわれわれの理想を貫きたいと、かように考えております。
#20
○小野明君 そういたしますと、教科書の無償問題については、これは一応形式的には審議会に語ると、こういうことになりますわね。大臣としては無償問題は憲法上の明記もあって、これはあくまでもこの方針を堅持をしてまいりたいと、こういうことだが、一応審議会に諮ってみると、こういうことですか。
#21
○国務大臣(田中龍夫君) この問題とても、ゼロシーリングの現在の大蔵省の態度並びに今回の概算要求の来年度の折衝等々の問題、必ずしもすべて問題が解決しておるということにはなっておりません。そういう点で、われわれも非常に警戒と言っちゃおかしゅうございますが、これは政府当局内部の問題でございますが、やはり臨調のああいう答申というものは、いろいろと論議を呼ぶであろうということも考えられますので、かたい決意のもとにこの問題を処理していかなきゃならない、かように考えております。
#22
○政府委員(鈴木勲君) ちょっと大臣のお答えを補足させていただきますが、小野先生御指摘のように、第二臨調の第一次答申におきましては、「義務教育教科書無償給与制度については、廃止等を含め検討する。」というふうになっておりまして、いずれにいたしましても廃止等を含め教科書無償制度については検討しなければならない筋合いになっておりますので、文部省といたしましては、いま大臣がお答え申し上げましたように、とりあえず五十七年度の予算要求におきましては、臨調の答申はございますけれども、無償制度を堅持するという方針で概算要求を出させていただいておりますが、さらにその「廃止等を含め検討する。」ということがございますので、何らかの形で検討しなければならない。その検討の際にいかなる審議会、いかなる方法でやるかということについてはいろいろな考え方があろうかと思いますけれども、あるいは中央教育審議会等で検討される場合に、そういうテーマも一つの審議の項目になるのではないかというふうなことを大臣の方からお答えした次第でございます。
#23
○小野明君 そういたしますと、教科書の無償問題が検討の素材になるということが一つですね、大臣。
 その他にはどういうものがございますか。
#24
○国務大臣(田中龍夫君) なお幾多の教育上の根本問題がございますが、いま審議会にこれとこれとをかけるということをはっきりと申し上げる段階ではまだございませんので、いまの先生の御質問の中の一つとして、私が例示いたしました教科書の問題を申し上げた次第でございます。
#25
○小野明君 巷間これはいろいろ報道され、伝えられている問題でありますし、自民党の教科書問題小委員会というのが一つの方向を出しているわけですね。それを私から提起をいたしまして、大臣の御所見を伺いたいと思うんですが、自民党の教科書問題小委員会としては、これは報道されているところですが、教科書の採択に影響を持っている日教組の影響を排除すると、そういうことが基本ベースで流れておりまして、それが一つ。さらに、これは教科書問題に限って検定を厳正にする。さらに学習指導要領の再検討、最後は、これ非常に重要でありますが、検定、採択、発行、供給をまとめた教科書法ですね、これは当然この教科書の広域採択制を含むと思いますが、この教科書法の制定、これらが挙げられておるのであります。
 そういたしますと、教科書問題の小委員会としてはこれだけの問題が挙げられているわけですが、次にできる審議会に対しては無償問題と同時に、いま私が挙げましたような、たとえば広域採択を中心にする教科書法の制定、こういう問題について大臣はどのようにお考えですか。
#26
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま御質問のような問題につきましては、私は全くいまだ考えておりません。
#27
○小野明君 そういたしますと、これは念を押すようですが、広域採択制を基礎にする教科書法の制定という問題については、検定とか、あるいは供給、発行、これらを一連つないだ教科書法の制定ということは、次の審議会には諮問もしないし、新たに制定することもない、このように受け取ってよろしいですか。
#28
○国務大臣(田中龍夫君) それは私がたびたび申し上げておるように、全く考えておりません。そういう議論がいろいろ巷間で伝えられておりますことも存じておりますけれども、私の念頭にはただいまございません。
#29
○小野明君 それでは、いずれ審議会はつくるけれども、次期の審議会に諮るべき内容としてはこの教科書無償問題だけである、こういう理解をしてよろしいですか。
#30
○国務大臣(田中龍夫君) いま私は、さっき申し上げたように一つの例として申し上げたのが教科書の無償の問題でございますが、それ以外にもいろいろございましょうが、それはまだいろいろの問題をよく慎重に考えまして今後進めていきたい、かように考えております。
#31
○小野明君 そのほかにもいろいろございましょうがというところがどうも私にはひっかかるわけですが、当面は教科書法の制定等は考えていないというふうに理解をしてよろしいですね。
#32
○国務大臣(田中龍夫君) 再三申し上げたとおりであります。
#33
○小野明君 それでは次に、先ほどの御答弁にもございましたが、制度上の問題ということがございますが、教育制度上の問題といいますとどういう内容になるんでございましょうか。
#34
○国務大臣(田中龍夫君) いろいろと巷間の御論議がございますから申したのでございますが、私といたしましてはまだ白紙でございます。
#35
○小野明君 しかし大臣、先ほどの最初のところの御答弁では、一つは教科書の問題、もう一つは制度上の問題。私は、制度上の問題といいますと、まあ教科書法の問題もあるでしょうけれどもこれは否定をなさった。六・三・三・四という一つの大きな制度の問題もございます。あるいはこれを意味するかなというふうに推測をいたしたわけですが、この点はどうなんですか。
#36
○国務大臣(田中龍夫君) さような基本的な問題もいろいろと各方面からお話は耳にいたしますけれども、私はただいま考えておりませんで、まだいまの審議会に付議すべき内容につきましてもこれから慎重に考えてまいりたい、かように考えております。
#37
○小野明君 そうすると、ほとんどその内容というのは大臣の構想の中にはないと、しかし、次の何らかの審議会はこしらえなきゃならぬだろう、こういうふうな漠とした受けとめ方ができるわけですが、そうすると、それらがないとするならば、次の中教審も何も新たに構想する必要は当面ないんじゃないでしょうか。そのようにしか受け取れませんが、いかがですか。
#38
○国務大臣(田中龍夫君) まだ何も固まっておりませんので、そういうお答えしかできません。なお、新聞等でいろいろ書いてくだすっておりますけれども、それは私の方から申したわけではございません。
 なお、いろいろと御質問の点、さらにまたいろいろの御意見等々も、もちろん御専門の先生方でございますからございましょうと存じますが、今日の段階におきましてはただいまお答えしたような次第でございます。
#39
○小野明君 それでは次の問題に入りたいと思いますが、教科書の検定の問題ですが、まず一つは高等学校の歴史の教科書ですが、これはいま初中局長、検定をされておるんですか。
#40
○政府委員(三角哲生君) 高等学校の歴史の教科書の検定でございますが、昭和五十五年度に日本史について二点、それから世界史について四点検定を行いまして、それらの全部が合格になっておりますが、今年度におきましてさらに日本史、世界史それぞれ約十点が検定申請が出されておりまして、目下検定を実施中でございます。
#41
○小野明君 その中で、これはソウルの有力朝刊紙と書いてありますが、朝鮮日報、この中で、日本の文部省が来年から使用される高等学校の歴史教科書で、一九一〇年から朝鮮を統治、植民地支配をいたしましたね、そういう中で、日本語を強制しなかった、神社の参拝を強制しなかった、こういう記述をさせておる、こういうことを大々的にトップ扱いで報道しておる、こういうことが報道されているわけであります。この点は、日本語と神社参拝を強制したという点を検定で改変をさせたという事実は初中局長あるんですか。
#42
○政府委員(三角哲生君) 非常に細部の点にわたってはなかなかこういう場で申し上げにくい点がございますけれども、私がただいま理解しておる限りでは、いま御指摘のような関係の事柄につきまして教科書会社の方である記述をしておったわけでございますけれども、いまおっしゃいました戦前におきます日本側の朝鮮に対するいろいろな施策の上で、日本語の問題と神社参拝の問題をいまお取り上げになっておるわけでございますが、まあ一九一〇年以来、相当長い期間があったわけでございまして、そしてその二つの事柄に対します当時の日本側の現地当局のいろいろな意味の定めなり、あるいはその定めに基づく何と申しますか、行政なり指導なりのあり方がどうであったかということは、かなり長い期間であったので、その時期時期において状況が異なっておったようでございます。たとえば神社につきましては、当初はむしろ朝鮮の人たちが神社に来られるのを、むしろ排除すると申しますか、禁止すると申しますか、そういうようなポリシーの時代もあったようでございますし、それから日本語の教育の問題についても、これを強制したかどうかということについては必ずしも当時の定めがどうなっておったかということが明らかでない面がございます。
 いずれにしましても、朝鮮統治の初期、それから中期、それから終戦の間際の状況、それらについては必ずしも一様ではない。だから、教科書にこれを書きまず場合にそこのところをどの程度きちっと正確に書けるかということはなかなかむずかしい点がございます。そして、私どもは検定の過程でここをどういうふうに直すとかいうことはなかったようでございまして、より正確な資料を調べていただいて、そしてその資料に基づいてこうだということを示してもらうような、そういう要請はいたしたようでございますが、なかなかその辺のところは、現在なお確実な資料というものが得にくかったり、それから当時の方々の信頼すべき話と申しますか、そういう情報というものも得にくかったようでございまして、その結果として教科書の発行会社側において当初の原稿を若干修正しておまとめになった、こういうふうに理解しているのでございます。
#43
○小野明君 確かに、それは朝鮮統治の時期、いろんな施策がなされたと思うんですが、事はこれは国際問題になるわけですね。同時に、教科書というものは、やっぱり事実を正確に書いてなければこれは教科書たるに値しないと私は思います。現に日本の朝鮮半島支配時代の事実というのは、日本語の教育を強制された人たち、あるいは神社参拝を拒否して投獄された人たちが韓国ではたくさん生き残っておる。これは、そういう事実の中で、日本語と神社参拝を強制をされたということはそれらの人によって身にしみるほど鮮烈な記憶になっているわけですね。鮮烈な記憶になって残っている。それをことさらにねじ曲げて書き直させる、こういうことはこれは適当ではない。書き方は、これは確かに非常にむずかしい問題を含むんでありましょうが、これは事実をねじ曲げて検定が行われる、こういうことはきわめて大きな問題ではないかと私は思うんです。
 ここに報道されるところではこのようになっておりますね。「学校教育での朝鮮語と朝鮮文字の使用を禁止され、日本語の使用が義務化された。さらに神社参拝も強制された」、こう記述されておる原文に対して、検定では「朝鮮語とともに日本語が公用語として使用され、神社参拝も奨励された」と、微妙にニュアンスを変えているわけですね。これは変えさせたと思うんです。これが韓国で非常に大きな批判を呼んだところなんですが、この点についてはどうですか。
#44
○政府委員(三角哲生君) 先ほども少し申し上げたわけでございますけれども、私どもとしましては、いま御引用になりました部分について言いますと、「学校教育での朝鮮語と朝鮮文字の使用を禁止され」とありますが、この辺がちょっと事実と違っているんじゃないか。日本語が公用語として使われまして、そしてその使用が義務づけられたということはあったと思うんでございますけれども、全体として正確でないんではないか。それから、神社の参拝も、さっきも申し上げましたが、ここの教科書の記述は明治四十三年、一九一〇年以降こうだと、こういうふうに書いてございますけれども、かなりその間にはいろいろな意味のこういった事柄についての、進めぐあいと申しますか、実施のぐあいについては歴史的推移もあったようでございますので、その辺のところをもう少しやはり正確に、きちんと調べて書いていただく必要があるんじゃないか、そういうことでそういう要請をしたわけでございまして、事実を変えて書くという、そういうような意味合いでの検定は、この場所につきましてもその他の部分につきましても私どもはしておりませんので、したがいまして、今度は著者の側でそこのところは必ずしもきちっと調べ切れないという状況で、こういった記述について、しかし現在持っている情報の範囲内で書こうということでこういう現在の本の姿になっていると、こういうふうに理解しておりまして、それはいろいろと調べがつきました場合には、その持っております信頼すべき材料を基礎に、また検定なりないしは私どもとしての検討はこれは行うことができるわけでございますが、いま御引用になりましたくだりについて申します限りはそういった事情があるのでございます。
#45
○小野明君 記述というと非常に微妙な書き方になっておりますが、問題は、日本の朝鮮統治の場合に、日本語を強制しなかった、あるいは神社参拝を強制しなかった、この二点がはっきり日本統治の歴史として言えるのかどうか。現に、韓国人の中にはそれを拒否して投獄された人たちも多く生きておる。日本語は全然強制されなかったか、あるいは神社参拝も強要されなかったか、この二点は一体事実なのかどうか、これはどうなんですか。
#46
○政府委員(三角哲生君) 日本語のことなり、あるいは神社参拝のことなりにつきまして、当時いわば制度として、制度上どういうふうに決まっておったかということが一つなければなりません。私どもも極力そういう点は調べなければいけないと思いますが、ですから会社の方にも求めたわけでございますが、その辺のところはいまひとつどうもはっきりした資料が得られない。
 それから、果たして事実上強制があったかなかったかということでございますけれども、それは小野委員御指摘のように、あったかもしれないと思うのでございますが、その辺のところにつきましては、やはりどの程度であったか、部分的にあるいは地域によって、そこにたまたま配置されておった、どういう人になるかわかりませんけれども、場合によっては学校の教員なりあるいは行政の現場を預かる人が事実上そういう強制にわたるような行為をされたかどうか。それは可能性はあると存じますけれども、ですから、そういう経験のあった韓国の方もおありかと思いますけれども、それがどの程度の状況で、広がりで行われたかというようなことにつきましても、いまひとつはっきりとした情報というものがないといううらみがございまして、そしてこれはやはり教科書でございますので、その辺のところはできるだけしっかりと調べた上で正確な事実に即して記述をしてもらうということが必要であると、こういうことで現在御指摘のような形になっておる、そういうふうに理解しておるのでございます。
#47
○小野明君 これは、いま私が申し上げましたね、日本語の強制はなかったのか、あるいは神社参拝の強要はなかったのか。この点を、あったにもかかわらず教科書は書きかえさせられておる、これはなかったかのように緩和されて書きかえておる。この二つの事実があったからこそ、韓国人の間に大きな日本の教科書に対する批判といいますか、日本の朝鮮統治をねじ曲げたと、こういう批判が上がっておるんですから、この点は事実は事実としてきちんと書きませんと、事実は認めないと……。認めた上でこれに改ざんを加える、検定ではない、もう検閲と言うに等しい行為だと私は思うのですけれども、この点を踏まえて、それは三角局長もいまそれはあったかもしれないと、こういうふうに言われるわけですから、やっぱりその点をきちっと踏まえた上でその検定に臨むなら臨む、こういうことでないと、これは大きな問題になりますよ。もうすでになっているわけですがね。その点で、どうもはっきりした御答弁がないんですが、この事実はあったんじゃないですか。
#48
○政府委員(三角哲生君) さっきも申し上げたわけでございますが、朝鮮語、朝鮮文学の使用禁止という事実はなかったというふうに理解しております。ただ、日本語が公用語として使用されまして、そういった意味合いで日本語の使用が義務づけられたということはございます。
 それから、神社の参拝についても、これは先ほど申し上げましたように、地域によってはそういうことがあったかもしれないと思いますし、特に前大戦の末期におきましてはいろいろな面で厳しい状況が展開されたように私も聞いたりしておることはありますけれども、教科書でこういった
 「一九一〇年の日韓併合後」ということで、概括してこういう記述をするということについてはやはりいろいろ問題がございますし、その辺のところを私どもは、なお検定する側としてもいろいろ調べるけれども、調べが届かない場合には、やはり著作をした側にも十分に正確な事実関係の資料なり情報なりをきちんとそろえていただいて記述をしていただくという意味合いで要請をいたしたわけでございまして、私どもは、事実を曲げてこれを改ざんするというふうにおっしゃいましたけれども、そういうようなことはいたしておらないのでございます。
 なお、私どもとしては、なお韓国大使館等の御協力も得まして、その辺のところは適切な資料、情報が得られれば、それをいただいて私どもなりに検討はいたしたいと思っておりますが、会社の側においてもそういう努力をしていただいて、なおこの辺の記述というものが、より事実に即して教科書としてきちっと書けるという状況になれば、それはそれでまたこの点についての改善を図るということはできると思っております。
#49
○小野明君 そうすると、この問題はいま初中局長の御答弁ですと、現地の大使館等とも連絡をとり、事実を確かめると、こういうふうに御答弁になったわけですが、そのとおりなさいますか。
#50
○政府委員(三角哲生君) まあ第一義的には、こういう記述をする場合に、当然、不確実な前提で記述をしていただくことは困りますので、その点をやはり教科書会社の方に、このときも言っておるわけでございますけれども、この際、十分お調べいただきたいと思いますが、私どももそれを受けて検定の作業をする立場でございますので、できるだけ朝鮮統治関係につきましても具体的な資料が得られれば望ましいと、こう思っておるわけでございまして、なかなか制度面あるいはそのときの状況についての資料が必ずしもそうたやすく得られないという実態がありますので、その辺についてはなおいろいろな意味で努力をしてまいらなければならないと、こう思っております。
#51
○小野明君 それで私も終わろうと思ったんだけれども、あなたの方も適切な資料が得られないと、非常にあいまいな中で教科書を、これは修正意見をつけたと思いますが、そういうことはこれは大きな問題じゃないんですか。向こうはもうすでに日本語と神社参拝の強制については事実としてある、あったんだと。現地が言っているんですから間違いない。しかも、そのために投獄された人たちなどがある。ところが、その事実はまだ明らかでないのにそれをさも事実でないかのように書きかえさせた。これは修正意見をつけたんでしょうが、そういうこと自体が局長、非常に問題じゃないですか。
#52
○政府委員(三角哲生君) ここの記述はせいぜい四行がそこらの記述なんでございますけれども、日韓併合後、全体を概括して書いてあるわけですけれども、先ほどもちょっと申し上げましたように、当初は神社というのはごく限られた場所にこちらから行っている日本人のために建てたというようなのがそもそもだったようでございます。ただ、それが長い統治期間の間にそういったポリシーがどういうぐあいに移り変わっていったか。先ほども申し上げましたように、戦争末期になりましてかなり厳しい状況があちこちに見られたんじゃないかという、そういう話もあるわけでございますけれども、その辺のところは、やはりよく調べた上で正確に書いておく必要があろうと、特にこれは教科書でございますから。それと、たとえば朝鮮語と朝鮮文学の使用禁止ということじゃなくて、学校教育を展開する上で、やはりこれも戦争末期に教室の中では使うなというような、そういう指導をした先生もいただろうというふうな話がございます。その辺のところもきちっと確かめて記述をする必要がありますし、朝鮮語を禁止したんじゃなくて、戦争末期には、いま聞きますと、選択科目みたいなことにしたために事実上朝鮮語を学校で勉強する人がいないという、そういう学校も出てきた、こういうようなことはあるようでございますけれども、その辺のところを、時系列的にも、それから全体の状況的にも正確に把握した上で記述をいたしませんと、このように概括的に、しかも正確な資料に基づかないで記述するということは、教科書の著作の仕方としては好ましくございませんので、そういう意味での要請を申し上げたのでございまして、とにかく、事実を変えて記述をするというような、そういうやり方は、教科書検定の上からはあってはならないし、これまでもやっておりませんので、私どもは、先ほど来申し上げておりますように、さらに的確な記述ができれば、それはそういう方向で検定を進めることにいささかもやぶさかではございません。
#53
○小野明君 そうすると、この問題はまだ結論を得ていないんだと、こういうことでしょうか。
#54
○政府委員(三角哲生君) やはり教科書の記述というのは、できるだけ、その時点時点で一番きちっと調べもつきまして、そうして、その事柄について、いわば一つの定説に落ちついておりますような事柄を記載していくということが基本でございますが、事柄によりましては、その後にいろいろまた新しい発見なり研究なり進むということもございまして、その場合には当然、教科書会社は常に改訂を心がける、こういうことになっておりますので、いま御指摘の事柄についてもそれと扱いは同じであると思います。
#55
○小野明君 しかしこの問題は、日本語と神社参拝の強制という点については、局長、その修正意見をつけて教科書社会に差し戻したんじゃないですか。
#56
○政府委員(三角哲生君) ちょっといま私はっきり確認しておりませんけれども、多分修正意見であろうと思います。ただこれは、先ほど来御説明申し上げておりますが、必ずしも確定してない史料、情報に基づいて断定的な記述は避ける、こういう検定の方針に基づいての意見であり、かつ、そこのところをもう少し十分に調査をしてほしいという要請をした、こういうふうに理解しております。
#57
○小野明君 これは大臣にちょっとお尋ねせにゃいかぬと思いますが、この朝鮮――韓国ですね。朝鮮統治の問題というのは、これは、日本の教科書の問題であると同時に、日本と韓国との国際問題でもあるわけですね。そうですね。それで、いま現地の韓国では、まあ朝鮮語は禁止されたかどうかは知りませんが、日本語を強制され、神社参拝は強制されていた、そういう事実があるんだと、そう言う韓国人が多い。そのために投獄もされた人がおる。それをそのまま書いているにもかかわらず、これに修正意見をつけ、そしてそのためにこの表現は、「朝鮮語とともに日本語が公用語として使用され、神社参拝も奨励された」、こういうふうに非常に緩和された朝鮮統治の政策を表現する用語になっているわけですよ。修正意見をつけてこのように書きかえさせた、これは私は、いま三角局長の答弁でも事実関係がはっきりしていないと、そういう中で強制的な修正意見をつけるということは、これは私は行き過ぎじゃないか。韓国の問題ですから、もっと慎重に韓国人の残っておる史実等も調べた上でこの問題については対処すべきではなかったか。私は慎重さを欠く意見のつけ方だと、こう思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
#58
○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおりに、文部省といたしましては、教科書の検定等につきまして、学習指導要領に基づくなり検定基準に照らしまして、あくまでも中正な立場から、教育的に、日本国の教科書といたしましてりっぱなものができまするように検定に最善の努力を払っておるところでございます。
#59
○小野明君 まあそれはそうでなきゃならぬです。しかし、事はもう、私が指摘をしておりますのは具体的な問題なんですよね、具体的な問題。ですから三角局長、ここに修正意見をつけるということは、これは慎重さを欠いておるんではないですか。あなたの言うのは、史実ははっきりしていないと。しかもこれに修正をつけるということはおかしいんじゃないですか。
#60
○政府委員(三角哲生君) 私どもの検定の考え方は先ほど来いろいろ申し上げたわけでございますが、もう一度要約して申し上げますと、教科書に何を取り上げるかということは、これは著者なり発行者の考えてお決めになることでございます。そして、何を取り上げるかを決めて記述をする場合には、やはり十分に調査をした上で、きちんとした資料なり情報なりを持ちまして、そしてそれに基づいて書いていただく。御指摘のものにつきましても、先ほども申し上げましたが、これは分量も少ないわけでございますが、日韓併合後の全体を一気に概括して書いておりますし、それから朝鮮半島全体の広がりの上でどういうぐあいであったかというようなことも明らかな書き方にはできておりませんし、したがいまして、きちっとした材料がない場合には、私どもとしては記述の上で非常に断定的な記述をすることはどうかということで、検定の際に御意見を申し上げて、そうして発行者の側で再考をされて現在御指摘のような記述になっておる、こういう状況でございますので、さらにそういった面がより状況がはっきり把握できるような状況になりましたら、またそれはその前提で私どもとしては拝見をさせていただき検討させていただく、こういうふうに考えておるのでございます。
#61
○小野明君 著者や教科書会社、編集される人は一つの史実に基づいて書いておる。ところがあなたは、断定して書いてはどうかと、こう言われるけれども、そうではないという別の断定をして修正意見としてこれをつけて突き返した。修正させた。ところが、その修正をさせた結果が、これが現地の韓国人の間で日本統治の状況と異なるということで憤激をされておる。それはあなたが別の断定をされておるんじゃないですか、文部省は。誤った断定をされておる。日本統治の実情と異なる断定をして一教科書会社にあるいは著者に修正を求めたということが今日の結果を呼んでおるのではないですか。
 この問題はこれとして次に行きますが、これは同じく朝鮮問題なんですが、今度は歴史の教科書だけではなくて高校国語II、これも朝鮮を取り扱った問題で差しかえ指示をやっておりますね。これは高史明さんという在日朝鮮人の作家ですが、「失われた私の朝鮮を求めて 私にとっての日本語」、これは大体単元としては、高史明さんの少年時代の親子の苦しみ、父親が朝鮮語しか話せない、高さんの兄弟は日本語を強制されていますから日本語しか話せない。「ことばと民族」という単元で十三ページを費やしておるんですが、これは長過ぎる、ほかの作品に取りかえよ、こういう指示をしたというんですが、国語の教科書についてもこの朝鮮問題については異例の差しかえをやらせておる。しかも、高史明さんというと在日朝鮮人の作家で、朝鮮、韓国への理解が大事と思うのに足元のところを閉ざそうとした検定のやり方だ、こういうふうに批判をしておりますが、この点はどうなんですか、事実関係は。
#62
○政府委員(三角哲生君) ただいま御指摘の問題は、これは国語の教科書についての事柄でございますので、さきの歴史の教科書の記述の問題とはまた、検定にいたしましても教科書のあり方にしましても、若干角度が――若干というか、教科の違いということから、若干ではございません、全くまた角度の違う事柄であると思います。そういうことで、国語の教科書としてのあり方がどういうことが望ましいか、適切であるかという観点の話になるわけでございますけれども、ただ御指摘の教科書は、目下まさに検定の実施の最中でございますので、御質問ではございますけれども、ここでその事柄につきまして立ち入って申し上げることはこれは控えさせていただきたい、こういうふうに思うのでございます。
#63
○小野明君 教科書検定という角度から物事を見ますならば、歴史の教科書であろうと国語の教科書であろうとそれは同じものじゃないですか。歴史のところではこれはかなり局長も意見を言われたが、国語のところでは意見を言われない、これはどういうことですか。
#64
○政府委員(三角哲生君) 国語のは、いま申し上げましたように目下検定のプロセスの中にある問題でございますので控えさせていただきたい、こう申し上げた次第でございます。
 それから、これは小野委員にこういうことを申し上げるのはいささか恐縮でございますけれども、国語の教科書の教材としては、やはり国語という教科の目的に照らしていろいろな文章というものを取り上げまして構成していって一つの教材にする、そういうことでございまして、そういう意味で歴史的な史実がどうこうと、こういう関係の問題とは、教科書のあり方なり検定のやり方について角度が違う、こういうふうに申し上げたのでございます。
#65
○小野明君 それはどういう意味ですか。それは国語と歴史という違いはあるでしょう。しかし、その朝鮮の問題についてあるいは韓国の問題について、国語と歴史という見方は違うにしても、事実あるいは感情の表現という問題についてはこれは同じものではないですか。これについては高史明さんの「失われた私の朝鮮を求めて」と、こういうエッセイについては、これは局長、修正意見をつけたわけですか、削除を求めたわけですか。
#66
○政府委員(三角哲生君) これは再々申し上げておりますように、検定のいまただ中でございますので、立ち入って具体的に申し上げることを控えさせていただきたい、こう思うのでございます。
 ただ、検定の場合の一つの考え方として申し上げますと、やはり教科書というのは限られた分量の中に必要な素材というものを盛り込んでいくということでございますので、やはりいろいろな作品を国語の教科書に載せるにいたしましても、その分量あるいはそれを扱う場合に考えられる授業の時間数といったものを考えなければなりませんし、それから、一つの教材としてある作品を取り上げます場合にも、取り上げるぐあいによりましてはいろいろな説明なり手引きというようなものを必要とする場合もございます。それから、これは特にこの文章について私申し上げるつもりではございませんけれども、やはり国語の教科書でございますから文章としても十分にしっかりとした練れた文章で、そして余り拙劣なところがないような文章をやはり編集者としては選ぶといったような、そういう配慮を求めるということはあるわけでございます。それから、特定の文学作品の場合に、これを部分的に取り上げるとかあるいは部分を外すとかいうような、分量の上からいってそういうことがやりにくいという場合も著者との間柄で出てくる場合も考えられます。そういった場合には、また日本の文学作品なり、あるいは時事的な文章なりエッセーなり、あるいは古典などの中には非常にたくさんのいろいろな材料があるわけでございますので、その辺のところは編集者の方で適切に総合的に考えていただくと、そういう経過というものはあるのでございます。
#67
○小野明君 国語の素材というものは、それはあらゆる面から多方面的に、国語であれ歴史であれ取り上げられてこなければならぬと思います。しかしながら、この高史明さんのこれが、いま文部省の差しかえ指示に会っておるということに対して、作家の李恢成さんの意見として次のような談話が載っておるわけですね。
 これまで日本の教科書に、北であれ南であれ在日であれ、朝鮮の作家の文章が載せられたことは一度もなかったはずだ。高さんのエッセイを通じて今の青少年が在日朝鮮人のものの見方を知る良いチャンスだったと思うのに、教科書から消えるとするなら残念なことだ。私自身、中学時代に教科書で魯迅の「故郷」に触れ、中国や中国人を知る契機となった。文部省の調査官は反省し、高さんの文章を復活させてほしい。
こういう談話が載せられております。私も「失われた私の朝鮮を求めて」というこの文章は非常に印象深く受けとめたわけですが、「私にとっての日本語」と、次のようになっておるのですね。
 もしも今日、この日本の大地から一切の日本語が追放されるという事態が発生したら、いったい何が起こるだろうか。恐らくすべての日本人が激しい決死の反対に立ち上がり、未曾有の大混乱が起こるだろう。何人もそれを疑うことはできない。
こういう書き出しになっているわけです。高史明さんの父親は朝鮮語しか話せない、高さんの兄弟は日本語を強制されていますから日本語しか話せない。そういう作家であり一人の人間としての苦しみ、日本の朝鮮統治に対する厳しい反省というか、事実に立ったエッセイが日本の高校の国語の教科書から消えるということは私自身も非常にこれは残念に思う。ぜひひとつこれは、植民地統治をされた朝鮮人の心情を描いたものとして私は残すべきではないのか、自国語を失わされた者の悲しみの一文として私は残すべきではないのかと、このように思いますが、局長はどのようにお考えでしょうか。
#68
○政府委員(三角哲生君) この新聞に載っております李さんという作家の御意見をただいま御引用になったわけでございますが、私どもは今回、こういう文章が一度もこれまでなかったのが今度載るのが、またそれが載らなくなるというふうな談話のようでございますが、高さんの文章はこれと別の違う文章がございますけれども、中学校の教科書で出ておりまして、今回最初の事柄というわけではございません。念のためにちょっと申し上げておきます。
 それから、高さんは在日朝鮮人としてお育ちになったわけでございまして、先刻来御指摘の、戦前の日本の統治下で朝鮮語が選択科目になったという、そういう状況とは御関係のないお立場でございます。これも念のため申し上げます。
 それで、いろいろのこれを復活させようという御趣旨の御主張でございますが、それは私どもただいま承りましたわけでございまして、御主張は御主張として承らせていただきますけれども、やはりこれは、先ほど来申し上げておりますように、いままさに検定のプロセスのただ中にございますので、いろいろな意味で私どもは、教科書調査官ないし教科用図書検定調査審議会におきましては、やはり先ほど大臣からも申し上げましたように、学習指導要領、検定基準に基づいて、できるだけ中正に検定を取り進めたいと思っておりますので、こういうプロセスの間で何らかの意味の、何と申しますか、プレッシャーと言うと語弊があるかと存じますけれども、そういう点にはできるだけとらわれずに、規則、基準に基づいた検定を取り進めたいと、こういうふうに申し上げさせていただきたいのでございます。
#69
○小野明君 ぜひひとつ残すように私から要望しておきます。
 それから次は、前回の委員会から問題になっております教科書協会の政治献金の問題について若干お尋ねをいたしたいと思います。
 私ども社会党としましては、証人として稲垣前教科書協会会長、佐久間副会長、それから日下教科書協会事務局長、それから佐藤比呂志蓬庵会会計責任者、それから諸澤事務次官、この五名の方を証人として本委員会に喚問をするように要求をいたしておりました。ところが、自民党の反対によってこの証人の喚問が意見一致を見ないものですから実現ができないと、こういう事態に立ち至っているわけであります。
 そこで大臣、諸澤次官の場合は、諸澤次官を出すか出さないかということはこれは大臣の御判断でできることではないのかというふうに思いますが、大臣は諸澤次官を証人としてはもちろん、あるいは参考人としても、あるいは説明員としてもこの委員会に出席をさせないということであるのかどうか御答弁をいただきたいと思います。
#70
○国務大臣(田中龍夫君) 事務次官は御案内のとおり政府委員ではございませんので、その説明を求められるということであるならば証人としての喚問と同様のことでございますが、その問題は当委員会におかれまして御協議いただいて御判断される事柄であろうと、かように考えております。
#71
○小野明君 次官の場合は、これは他の委員会でもあることでございますが、しからば説明員としての出席というのは、これは例のあることなんですね。説明員として諸澤次官を出席させる、その点についてはいかがですか。
#72
○国務大臣(田中龍夫君) 私は本件に関しまして、いわゆる政府委員としての説明員ということで行政上の内容の問題なら別でございますが、これは単なる事務次官としての個人的な問題であるばかりではなく、事務次官がゴルフ場の会員権を購入したということについては、これは個人的な売買の契約の問題でありまして、何ら私はそこには――正当な意味のものである、決してそこには不正、不当のことは断じてないと、かような気持ちでおりますので、かような意味から、これについては私は出席をさせる必要はないと、かように考えております。
#73
○小野明君 会員権を購入した問題、それももちろん事実を確かめなければわからぬ問題だと私は思います。ただ、私がお聞きをしたいのはそれだけではないわけですね。次官自身が記者会見で記者の質問に答えて、李下に冠を正さず、あるいはもうあそこの千葉の何とかいうゴルフ場ではプレーをしないと、こういう反省の弁が語られているわけですよ。ですから、そういう反省の弁を語るくらいであれば、むしろこの委員会の場に進んで出られて、進んで出席をして、そして国民の疑惑にこたえる、われわれの質問に答える、そのことが私は次官のとるべき道ではなかったのか、大臣がまた次官に対してとらせるべき方途ではなかったのか。いたずらにかばってガードを固めるというようなことになりますと、これはむしろ大臣、逆に疑惑を深めるばかりの結果しか生まないと私は思いますが、大臣は政治家としてどのようにお考えですか。
#74
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまも申し上げたように、この問題は事務次官の個人的な問題でございまして、私が文教当局の最高責任者といたしまして、次官の件につきまして何らそこにはやましいところは断じてないという確信を持っておるので、出席をする必要はない、かように考えております。
#75
○小野明君 個人的な問題と、こういうふうにおっしゃいますが、それは私は個人的な問題であると同時に、千葉の真名のゴルフ場で、教科書協会の前協会長が常任理事をなさっておる、そこで何回か一緒にプレーをされたというふうな報道もされておるわけですね。これはそこに、教科書協会、それから次官というところで何らかのいろんな問題について話し合われるという機会があったのではないか。あるいは次官という立場から、たとえばいま三角局長がいろいろ言われておるように、教科書の書きかえ等の指示と、こういうことも、役人は強いですからやられるわけですよ。ですから、決して個人的な問題ではないと。さらに私は、それらのことが憶測されていきますならば、次官として適格であるのかどうかと、適格性を私は問題にしなければならぬような事態でもあると思うんです。ですから、大臣が言われるように、決してこれは個人的な問題だというふうに言って、はいそうですかと言う国民は、これはほとんどいないんじゃないですか。むしろそういうくされ縁というものを、言葉は悪いかもしれませんが、何とかしてカバーして、事実を隠蔽してしまうという意図が余りにも見え過ぎて、これは私は大臣のとるべき方途ではないんではないかと、こういうふうに思えて仕方がないわけです。重ねて、くどいようですが大臣の見解を伺います。
#76
○国務大臣(田中龍夫君) いろいろと御好意のあるお話ありがとうございました。私は、全く個人的な問題であるし、何らそこでプレーをすることにつきましても個人の自由でございますし、それから、それ以上決して忌まわしいことは断じてございません。私が信じておる次第でございます。そういうことから、ただいまのお話におきましても、せっかくの御好意でございますが、それをお受けをいたすことはできないと、さように考えております。
#77
○小野明君 それでは、一連の事実については、大臣はこの諸澤次官を監督する立場にありますが、その立場で究明なさったわけでしょうか。その上でおやりになっておるんでしょうか。
#78
○政府委員(鈴木勲君) 大臣のお答えの前に、事実関係につきましては私が大臣の指示を受けまして、新聞報道にございますような件についていろいろと調べましたので、その点お答えをさせていただきたいわけでございます。
 一つは、稲垣前会長と真名でプレーをしたかどうかということについては、プレーはしていないと言っております。
 それから、情報交換というふうな報道がなされましたが、事務次官が職務上必要があれば文部省へ呼んで、稲垣会長にいろいろと向こうの考えなどを聞いたり指示をすることはできるわけでございますので、ことさらに、真名ゴルフ場でプレーをしながら報道交換をしなければならないというふうなことはないわけでございます。たまたま食堂等で会いまして、時候のあいさつなどを交わし、最近の社長さん方は教科書をよく読んでいるかねというふうな話をしたことが、情報交換をしたというふうにとられたのではないかというふうなことでございまして、事実関係は、小野先生が二、三お挙げになりましたような事柄につきましても、大臣の指示を受けて私どもが調査をいたしました結果では、このように異なっているわけでございます。
#79
○小野明君 官房長、それはあなたもたびたび次官と一緒に真名のゴルフ場に行っておるんでしょう。そのあなたが、あなたがだね、次官にそういうことを尋ねると。これは同じ穴のムジナ同士で物を聞くようなものじゃないか。そんなばかな話があるか。私が聞くのは、大臣が、直接ちゃんと諸澤次官に言っておるかと、このことを言っておるんだ。
#80
○政府委員(鈴木勲君) いま小野先生のお挙げになりました例は、私どもとしては納得できないわけで、これは非常に遺憾なことでございますけれども、プレーをしに参ったことはたびたびございますけれども、そのプレーをしたことと次官の報道されました事実とは、これはおのずから異なっておりますので、私どもは、報道されたような事柄がどうであったかということは、これは大臣の指示を受けまして、適正に調べた結果を申し上げたわけでございます。
#81
○小野明君 それは、同じ穴のムジナ同士でと言うと言葉は悪いではないかと、こういうふうに言われるかもしれぬが、これはげすの勘ぐりかもしらぬ、それはね。謙虚に私も物を言っておるつもりですが、しかし大臣ね、大臣が直接に、私は、諸澤次官にですね、事実はどうだと、当然これはあってしかるべきことじゃないですか。これは官房長がどうだこうだと、一緒にあなたゴルフ仲間でですよ、一緒に遊んでおる仲間が、終われば一杯飲むことはわかっておるんだが、そういう仲間が、しかも上司に向かってどうだこうだと、そういうのはこれはおかしな話。これは大臣がじかにきちっと諸澤次官に確かめられて――諸澤次官自身も言っておるじゃないですか、全くもう今後はプレーはせぬと、これはもうプレーをせぬと、あるいは李下に冠を正さずというようなことを言っておるんです。次官自身ももうこれは反省をしておるわけですよ。大臣自身がどうしてきちっとあなた問い詰めないんですか。上司として資格ないじゃないですか。
#82
○国務大臣(田中龍夫君) お話のとおりでございまして、私、新聞に出た直後、次官を呼びまして、篤と話を聞きまして、ぴしっとその点は明確に、一切そういうことがないということを確認いたしております。
#83
○小野明君 それならばそれで、どうして大臣、あなたが初めから言わぬのですか。それが私はおかしい。官房長がかわりに答えたり、それはそういうあり方が私非常におかしいと思うんです。
 そして、諸澤次官は大臣にはどのようにおっしゃったわけですか。
#84
○国務大臣(田中龍夫君) 断じてそういうことはございません。
#85
○小野明君 この問題で、いま一つ大臣にですね、非常に私はこの前から不思議に思っておることがある。これはうちの本岡委員がいろいろ質問をし、他の委員も質問をしておりますが、これで、教科書協会から政治献金がなされたと。これは至極あたりまえのことである、ね、大臣。当然のことであって、むしろ奨励すべきことなんだというような印象さえ受けるわけです。この協会からの政治献金ということは、大臣はそういうお気持ちですか。何らおかしくない、どんどんやってよろしいと、そういうことですか。
#86
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまのお話でございますが、企業体から政党に対しましての献金がありましても、これは政治資金規正法によります規制に何ら抵触してないのでございまして、しかし、ただいまの御質問の中で、私があたかも奨励したがごときことをおっしゃいましたが、奨励なんでいうことは私は断じていたしておりません。ただ、事実の問題につきまして、役所としてそういう問題に介入する限りでないという限界の問題を申しただけでございます。
#87
○小野明君 私は、政治献金をする以上は何か目的がなければならぬと、このように思います。政治献金そのものは届け出られておるものは氷山の一角と、それが大体の常識だというふうにも受け取ってよろしいかとも思うんですが、これはいわゆる教科書無償というものを圧力にして、そして無償にしてやるから教科書はこういうふうに書きかえいというふうに、そういうような意図さえあるのではないかと。これがあったら大変だと私は思うんですが、その政治献金の目的というものですね、これは大臣はどのように見ておられますか。
#88
○国務大臣(田中龍夫君) 政治献金の目的というふうな問題については、私は一切関知し得ないところでございまして、また答弁の限りでもございません。
#89
○小野明君 それでは先ほどの質問に戻りますが、大臣はこの政治献金を奨励しているんではないと。そうであるならば、今回のこの世間を瞠目させた事件というものについては大臣としてはどういうふうに見ておられるんですか、それをお聞きしたいですね。
#90
○国務大臣(田中龍夫君) 教科書会社の寄付行為につきましては、その会社として常識を持って、また賢明な配慮のもとに自主的に判断をすべきでございまして、われわれの方から何らそこに容喙の限りではない、かように考えます。
#91
○小野明君 大臣の方から、自主的な判断であって大臣の方からは何ら容喙の限りではない、こういうふうにおっしゃるわけですが、この教科書協会というのは、これは社団法人ですわね。いわば大臣の管理監督下にある公益法人ですね。ただこれは、この協会には文部省から国としての補助金は出ていない。しかしながら、補助金は出ていないが大臣の管理監督下にある公益法人である。これがあれだけの大問題になる政治献金をやったということについて、大臣が何らおれは知らぬ、容喙をしないと、むしろこれはあたりまえのことだと、こういうふうに開き直っておられること自体に私は非常に疑問を感ずるんですよ。これ大臣どうですか。
#92
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまの御質問の中の政治団体への寄付は、教科書会社が自主的に行ったものでございまして、教科書協会が関与して行われたものではないということはあえて申しておきます。
 なおまた、文部省といたしまして教科書行政に関しましては、これは法律に基づいて教科書の検定及び教科書の定価の認可の権限は有しておりますが、教科書会社に対しましての教科書の製造、供給が完全に行われる上での権限を有するのみでございまして、それ以外何ら――これは当然の教科書を納入する限りにおきましては、それ以上のことはあえて何ら関係ございません。
#93
○小野明君 教科書会社が自主的にやったものだと、こういうふうに大臣は言われるわけですが、なるほど政治資金の報告書になると各社別になっておりますわね。それから見るとこれはそういう形だと、こう見なければならぬかもしれませんが、それではなぜそういうことであるならば教科書協会の稲垣会長が辞任をし省ければならなかったのか。それであるならば何もやめる必要がないじゃないですか。これは、教科書協会を代表する理事、幹事社十七社が協議をして、教科書の売上額に応じて献金額を割り当てて、そして政治献金をやったと、こういうことですよ。ですから、形は各社になっておるけれども、政治献金そのものは教科書協会として割り当てて行ったと。それでなきゃ何も稲垣前会長は辞任をする必要はないじゃないですか。大臣はその辺を、辞任をされたということをどういうふうに受けとめておられますか。
#94
○国務大臣(田中龍夫君) 稲垣さんの辞任の問題につきましては、御自身のお考えがあってのことかも存じませんが、私の方は何らそれに対して関知するところではございません。
#95
○小野明君 そんなあなた、そういう無責任な話は、これはおかしいですよ。それは管理監督下――供給とか発行部数とか、それについて管理監督をしなければならぬ、これはもう当然だけれども、教科書協会のあり方について、会長辞任というような重大な事態、これについて大臣が稲垣前会長に、あるいは佐久間という副会長もおられるわけですから、一体どういうことだと、あなた自身この教科書協会の今回の一連の行動について、何といいますか、取り調べるといいますか、これは検警のやるあれではないかもしれませんが、この事実関係をきちっと押さえようとされたことがあるのか、調べたことがあるのかどうか、それが聞きたいですね。
#96
○国務大臣(田中龍夫君) 先ほど来申し上げておりますように、教科書会社の寄付につきましての問題につきましては、各会社においての配慮なり、あるいはまた判断に基づいて行われたのでありますが、それについて協会の会長であります稲垣さんの出処進退につきましては、これは文部省といたしましては調査をする立場でもございません。なお今後もそれを調査する気持ちも持っておりません。
#97
○小野明君 全く大臣、これは話になりませんね。これだけ疑惑のある問題について――稲垣さんが何かほかの理由でやめられたのならば、それはいまの大臣の答弁でいいかもしれない。今後献金はしない、そういう道義的な責任を感じてやめられたと私は思うんですよ。にもかかわらず大臣は献金はあたりまえだと、やめたのは何かほかの理由でしょうなんという答弁は、これは大臣通らぬですよ。あなたは文教行政に本当に熱心じゃないよ、そういうことをおやりになるなら。ずれた答弁をしないで、もっと明確にきちんと私の質問に答えてくださいよ。
#98
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまの御質問に関しましては、るる申し上げたような次第でございまして、法的に申しましても何ら私が御答弁を申し上げる限りではございません。これは明確に申し上げておきます。
#99
○小野明君 そうすると大臣、政治献金にかかわる問題、これについて、教科書協会のあり方については一点の疑いも差しはさむ余地はないと、むしろこれは正当な行為であって、こういう行為は非難さるべきことではないというふうにお考えですか。
#100
○国務大臣(田中龍夫君) その件につきましては企業と政党の問題でございます。
#101
○小野明君 私がお尋ねをしておりますのは、今回の教科書協会のこの事件について、前会長は、今後献金をしませんと、こういうことで国民に表明をして辞任をされた。これは企業の問題であって、文部大臣としては監督権がある、監督権があるにもかかわらずこの点については何ら意見は言わないと、こういう無責任な発言、答弁でよろしいんですか。
#102
○国務大臣(田中龍夫君) まことに御質問に対して申しわけない話でございますが、いまの政党に対する企業の献金の問題に尽きますることがまず第一点でありまして、それから稲垣さんの進退の問題は個人の問題でございまして、関知する限りではございません。なおまた、いまの教科書会社に対するそういうふうな包括的な権限は持っておらないということも明確なことでございます。
#103
○小野明君 時間も来たようですから質問を終わらなければなりませんが、非常に私は不明朗なものを感ずるのですよ。これは大臣も、どう答えなきゃならぬかということは、あなたが政治家である限りは、そして文部大臣である限りは、これはおわかりだと思うんです。何とかしてこの急場をどうやって逃げるか、そういうことはかり考えて、逃げてはかりおられる。こういうことでは、私は、あなたは文教行政の最高責任者としての責任を放棄しておる、こうとしかもう言いようがありませんね。協会のこの献金問題にしても奨励をするようなこれは御態度。で、私企業と政党の問題であるから何らこれは関与しない。これは政党の問題であろうと何であろうと、事教育にかかわる問題であれば、あなたは政治家としてやっぱりわれわれを納得させるに足る見解をここでお述べになってしかるべきだ。ところが、私の質問に対しましては、するりするりと何かウナギをつかんだような感じだな、のらりくらりと逃げてしまう。逃げることをもって文教行政の範とするというような感じじか私は受けませんね。そういうことでは、私は文部大臣としては全く不満である、なっておらぬと、こういうふうに申し上げざるを得ないです。これだけ申し上げておきます。
#104
○国務大臣(田中龍夫君) 私は、文部大臣としての立場からお答えを申し上げております。なお、私が先ほど来るる明確に申し上げたことに対しまして、どうぞ先生におかれましても御納得をいただきますようにお願いを申し上げます。
#105
○佐藤昭夫君 先ほど来、小野委員も、教科書の政治献金問題、また諸澤氏のゴルフ会員権取得をめぐる業界との癒着、疑惑、こういう点についてるる指摘をされておるわけですけれども、すでにわが党としても衆議院の行革特別委員会で正森、山原両議員がいろいろ質問をしておりますし、私、持ち時間が少ないのでもうこれを繰り返すことは避けますが、ただいまの指摘、全く同感ですということを申し上げて、ただ少し角度を変えて、諸澤氏が果たして今日文部省の最高役職として適格かどうか、これを疑わせる発言が多いので、この機会に文部大臣の見解をお尋ねしておきたいと思います。
 その一つは、九月の十三日、大阪の国際貿易センターで開かれた大阪府教育委員会後援の教育公開討論会、ここにおいてこういう発言を諸澤氏が行っているわけであります。
 最近の教科書は日本武尊や仁徳天皇などに関する記述が余りに簡単で、古代人の生き生きとした人物像が浮かんでこない、本当の愛国心を子供に教えるためにも今後歴史教育の見直しと充実が必要だ、こういう発言を行っておるわけですけれども、大臣、文部省の最高役職としてふさわしい発言だというふうに思われますか。
#106
○国務大臣(田中龍夫君) この九月十三日の国際貿易センターにおきます討論会の席上のことでございますが、私は寡聞にして存じておりません。歴史教育の問題でもございまするし、担当の局長からお答えさせます。
#107
○政府委員(三角哲生君) お尋ねの件でございますが、九月の十三日に諸澤事務次官が大阪青年会議所主催の学校教育に関する公開討論会という催しにおきまして講演をいたしまして、その際に、小学校の歴史学習に関連して、教科書における神話、伝承の取り扱いについて触れられたようでございますが、その触れられた事柄と申しますのは、子供たちに対しましていかにしたらわが国の歴史に対する関心と愛情というものを持たせていくことができるかということについて考えを述べたものであるというふうに聞いておりまして、何ら問題はない講演であったというふうに思っております。
#108
○佐藤昭夫君 何ら問題のない発言だということを、なぜ局長のあなたが次官の発言に対してそういう評価をできる地位にあるんですか。大体おこがましいですよ。大臣ちょっと退席をしておりますのであれですが、大臣は知らないと言っていますけれども、大臣である限り、この発言が適切な発言だというふうには公然とはこの席上では言えないから、私は答弁をああいう形で逃げているんだと思うんですよ。まだ幾つかの事実がありますけれども、財団法人協和協会、ここがその機関紙第二号で、「教育改革の提言」というのを、ことしの五月の十八日に発表をした、その内容が機関紙に文書で報道をされておるわけですけれども、その中で、「国民が公正なものと信頼していた文部省検定教科書に、意外にも問題点が多い」「特に、国語・国史・公民・道徳教育等の欠陥を是正して、伝統的精神・愛国心を高揚し、国を守る気概を育成すべきである。早急に、現行教科書・指導書の不適正部分を指摘して世論を喚起するとともに、適正な副読本及び教師用書の作成・活用を図るべきである。」ということをこの提言の中で述べておるわけでありますけれども、この財団法人協和協会、これに諸澤事務次官は入会をしている。そして、このことが話し合われておるその会に出席をしておるということでありますが――ちょっと二人ともいないからやめます、ちょっと中断。
#109
○国務大臣(田中龍夫君) 失礼しました。
#110
○佐藤昭夫君 大臣戻られましたので大臣に申し上げます。
 先ほどの、冒頭の私の質問に対して事実をよく知らぬというお答えでありましたけれども、私は、いやしくも事務次官という立場にある人があのような発言を公然とやるということについては、これはもう議論の余地なく、ふさわしくない問題だということだと思うんですね。
 ただ、私指摘したいのはそのこと一つだけじゃない。いまも言いかけておったわけですけれども、財団法人協和協会、こういう会の「教育改革の提言」というこの文書、この中では、たとえば現在の検定教科書には意外にも問題点が多いと、こういう書き出しで始まって、愛国心を高揚し、国を守る気概を育成をするために「適正な副読本及び教師用書の作成・活用を図るべきである。」ということを述べておるわけでありますけれども、これは少なくとも文部省の公式の見解ではありませんね。このことが一つと、こういう協和協会に事務次官が正式に入会をする、このことについて、事務次官という立場の人間として、そういう行為というのは妥当と考えられるかどうか、大臣のお答えをいただきたい。
#111
○国務大臣(田中龍夫君) この協和協会の提言するもの、これも事実をよく存じません。そこで、その間の事情は官房長からお答えをいたさせます。
#112
○佐藤昭夫君 いや、官房長、いいです。
#113
○政府委員(鈴木勲君) 大臣の御発言ですから……。
#114
○佐藤昭夫君 私はきのう質問通告して、きょう突然この話出しているわけじゃない。きのう、このことについて聞きますよということで、わざわざ質問取りに来られた方に申し上げているじゃないですか。大臣、当然通告をしているんですから、よく研究をしてここで答弁があってしかるべきじゃないですか。
#115
○国務大臣(田中龍夫君) 本件につきまして、メモとしては存じておりますが、しかし、その協和協会なるものの実体、あるいはまたその間におきまする文書等につきましては、事実を政府委員から答えさせます。
#116
○委員長(片山正英君) 補足説明。鈴木官房長。
#117
○政府委員(鈴木勲君) この財団法人協和協会につきまして、「提言」という機関紙がございまして、これには確かに「財団法人協和協会会員・出席者名簿」というのがございまして、そこに諸澤次官の名前が入っておりますが、いま申し上げましたように、「会員・出席者名簿」ということでございまして、これは会員のみならず出席した者の名前がここに書いてあるということでございます。
 諸澤次官が出席いたしましたのは、同協会の依頼によりまして一度講演をしたことがございまして、そのことによって出席をしたということでございまして、会員でもなければ、またしたがって同協会の「提言」についても関与していないということでございます。
#118
○佐藤昭夫君 補足説明をすると言いながら補足説明になっていないですよ。事務次官として、こういう先ほど私が引用しておるような提言、教育の改革と称する提言、この提言に事務次官も同意をしておるということは、およそ妥当なことではないじゃないか、ふさわしくないことじゃないかということを言っておる、その点については何も答弁がない。やっぱり答弁がしにくいから答弁がないわけでしょう。どうですか。
#119
○国務大臣(田中龍夫君) この問題につきまして、冒頭申し上げたように、詳細に事情を聴取する時間もないのでありますが、しかし、事務当局の方で事務次官がこれに関与しておらないということを申しておる次第でございまして、その関与しておらないという事実行為につきましてさらに御説明が必要なら、説明員をしてお答えいたさせます。
#120
○佐藤昭夫君 そのように言われようとも、大臣としては次官にただしたわけではないと、事務当局の報告によればと、こういうお話ですね。ですから、私はいまの大臣の答弁では依然として納得ができません。
 昨年の十月の十五日、奥野法務大臣が、いわゆる愛国心教育――愛国心なるものの教育の問題で衆議院の法務委員会で発言をして以来、このことが国会でも何回か問題になってきたというわけでありますけれども、この奥野発言の導火線の役目を果たしたのがこれまた諸澤事務次官であったということは明白な事実になっていると思うんです。
 まあ時間の関係で、ほかにもいろいろたくさん事例はあるわけですけれども、若干の事例を指摘したわけですけれども、教科書業界との癒着という点で見ても、また公の席上における諸澤氏の発言という点から見ても、文部省の最高役職として果たして適切な人物かどうか、ふさわしくない人物じゃないかという問題が数々浮上をしてきていると思うんです。
 そこで文部大臣に、先ほど小野さんも尋ねておられましたけれども、私どもも諸澤氏の証人喚問要求、そして質問に対する説明員として、答弁者としてこの委員会に出席すべきだということを繰り返し主張をしてきているわけですけれども、文部省として、この判断をされる土台として、他の委員会では事務次官が答弁者、説明員として出席をしておる事例をどういうふうにつかんでおられますか。
#121
○国務大臣(田中龍夫君) 他の委員会で事務次官が出たという例があるかも存じません。それは具体的には存じません。が、しかしそういうケース・バイ・ケースでありまして、今回のような何ら、個人的に考えましても、それに対して説明に出席をさせるような内容でも今回はございませんし、また、それが証人として出てこいという委員会の御下令ならば、それはまた私の方のお答えをする限りではないのでありまして、当委員会において証人としてお呼びになるということにつきましては御判断を賜る以外にはございません。私といたしましては、次官は出る必要はないと、かように考えております。
#122
○佐藤昭夫君 諸澤氏をここへ出席をさせないという二つ理由を挙げているわけでしょう、あなた方の方は。一つは、この文教委員会としてそういう例がないから。それから諸澤氏に別にやましいところがあるというふうに考えてないから。やましいところがあるのかないのかという、こういう問題は、諸澤氏を含めていろいろただす中ではっきりしてくる問題でしょう。問題は、国会の運営というのは先例を尊重しなくちゃならぬ。他の委員会では事務次官を呼んでおるという現に例があるじゃないか、こう聞けば、よく知りませんけれども、調べていませんけれどもという大臣の答弁です。こういうことで一体答弁として道理が立ちますか。
#123
○政府委員(鈴木勲君) いま大臣のお答えいたしましたのは、事柄として私的な個人的な事柄に関することであれば、参考人であっても説明員であっても証人の喚問と実質的に同じであるから、これは委員会でお決めになることでございますということでございます。
 それから、先例云々のことは、これは理事会等におきまして御議論がございまして、それは委員会として御決定になる際の一つの御判断としてその点があったわけでございまして、文部省の方から先例云々ということを申し上げたわけではないわけでございます。
#124
○佐藤昭夫君 もういまの文部省の態度では、これ以上繰り返しておっても積極的答弁はちょっと期待がむずかしいので、委員長、この扱いについては、私のいろいろ調べましたところでは、内閣委員会、逓信委員会、運輸委員会、決算委員会、この四つの委員会で事務次官を説明員として出席をさせたというはっきりした例があるわけですから、当然これだけ問題になってきたこの諸澤氏を説明員として文教委員会に呼ぶと、出席をさせるということを、ぜひ委員会として諮っていただきたいということを委員長に要請をしておきます。よろしいですか。
#125
○委員長(片山正英君) 理事会においてこの問題については意見の一致を見ておりませんが、引き続き検討をいたします。
#126
○佐藤昭夫君 それではあと、いわゆる今日の焦点になっております行政改革問題、この教育に対するあらわれが、たとえば四十人学級の凍結とか教職員定数の抑制とか、こういう問題として、教育に対する攻撃としてあらわれてくる、ここらの問題については追って当委員会としてもしかるべき時期に突っ込んで議論がされる問題であろうと思いますので、その問題はさておきますけれども、ただ、この行政改革問題とかかわって、昨今大きな社会的な注目を浴びております夜間中学の問題について少しお尋ねをしておきたいと思います。
 いまも触れましたように、この夜間中学問題というのはテレビでも放映をされたり、図書も発行されるとか、映画の制作も計画をされておるなど大きな注目を浴びておるわけですけれども、本来、憲法の定めるところによれば、すべての国民は法律の定めるところによって、その能力に応じてひとしく教育を受ける権利を有すると規定をして、いわゆる教育を受ける権利を基本的人権として憲法で保障しておるわけでありますけれども、ところが、今日さまざまな理由で不就学または義務教育未修のまま中高年齢に至ってしまった人たち、あるいは海外からの引揚者、在日朝鮮人、障害児学級卒業者、こういう人々が夜間中学に就学をしておるわけでありますけれども、ただ、こういう人々が、先日もテレビで紹介をされましたように、夜間中学に学ぶことによって人間としての生きる力を自覚し、感動的に学校を巣立つでいっている姿、これも御存じのところであろうと思いますけれども、この夜間中学問題を文部大臣としてはどういうふうに今日の教育の中で位置づけをされておるか、理解をされておるか、まずこの点をお尋ねをしたい。
#127
○国務大臣(田中龍夫君) これは、終戦の後に教育を受くべかりし方々が、学校においでになる、通学をする機会がなかったということに対しましての救済策として開設されるようになったのが沿革でございますが、中学校の夜間学級につきましては、これは教職員の定数上、通常の学級と同様に取り扱っておるほかに、教科書もこれまた同様に無償で配付いたしておるところでございます。こうした措置は今後ともに続けるとともに、関係の教育委員会に対しましても適切な対処をお願いいたしておるわけでございまして、今日五十六年の五月現在では三十一校、二千五百七十三名の生徒さんが学んでおられ、学校の先生も二百二十八名という多数に相なっております。文部省としての考え方はただいまお答え申し上げたとおりでございます。
#128
○佐藤昭夫君 いま大臣が言われた数字はどこの数字です。非常に限られた部分じゃないですか。
#129
○政府委員(三角哲生君) どこの数字というのはどういうあれかよくわかりませんけれども、私どもが調べた数字でございます。
#130
○佐藤昭夫君 戦後新学制が発足をして以来、さまざまな理由で義務教育を修了できなかった人たち、これは今日約百四十万人いるというふうに言われているわけです。これらの人たちが、今日の日本の高学歴社会において、小学校や中学校、義務教育の卒業資格も持っていないということのためにさまざまな困難や不利益を受けているわけであります。
 ところで、時間がないので話を進めますが、行政改革の問題にかかわって鈴木総理は、文教、福祉も例外なしに見直しが必要だが、社会的経済的に見て弱い立場の人たちのために真に必要な施策は確保するというふうに九月三十日の衆議院本会議でも答弁をされているわけですけれども、文部大臣も鈴木内閣の閣僚の一員として、本当にこの弱い立場の人々に対する施策、これは引き続き継続をし、さらに一層の充実を図っていくと、こういう基本的見解だと理解してよろしいんでしょうね。
#131
○国務大臣(田中龍夫君) 基本的な考え方と申しますものは、これは鈴木総理の言っておられることと全く同様でございます。特にまた、ただいま御指摘のように、私が冒頭申し上げたように、戦後におきましての非常な教育の施設やあれが不備な時代に勉強ができなかった方、特に夜間中学の場合におきましては、高齢者と申しますか、相当な年輩の方がやはり再就学しておられるのでありまして、こういう方々に対する教育というものは特に大事なものである、かように考えております。
#132
○佐藤昭夫君 東京都の夜間中学校研究会という組織がありますが、ここの調査によりますと、新学制発足以来の義務教育未修了者は百四十六万人だと、今日もなお毎年五万人を超える長期欠席児童生徒がおり、年々義務教育未修了者というのがふえている、こういうことが報告をされておりますし、現在全国に三十二校の夜間中学があります。これらはいずれも教師の熱意と自治体の協力などで始められ、また維持をされているものであるわけですけれども、先ほどの大臣の答弁のそういう見地に立って、この義務教育未修了者の教育保障の場としての夜間中学を援助していく措置としては、文部省はいまどういう施策を考えておられますか。
#133
○政府委員(三角哲生君) 夜間中学というものは、先ほど大臣から申し上げましたように、戦後間もなくのころから、当時の生活困窮家庭の長欠生徒救済対策として事実上開設されるようになったことから始まっておりますが、現在もなおそれが続いておるわけで、そして委員御指摘のように高齢者が多い。先ほど私どもの調べで現在の在学者数を二千五百七十三名と申し上げましたけれども、そのうちの約半数は五十一歳以上の年齢層の方々で、学齢の子供さんは八人、二十歳までの人を入れてもその八人のほかにあと百八十三人、こういう状況でございます。でございますが、私どもといたしましては、実態がそういうわけで、昼間の通常の学級とは異なるわけでございますけれども、これまでの経緯並びにそういった方々に対する配慮ということを考えまして、教職員の定数上は通常の学級と同様の取り扱いを行っております。でございますから、中学校夜間学級につきましても標準学級数を算定いたしまして、これを教職員定数算定の基礎にしているところでございます。
 なお、いま申し上げましたいわゆる定数標準法上の教職員定数というものは、各都道府県ごとの教職員の総数を定めておるものでございまして、これの各学校への具体的な配置基準等につきましては、それぞれ各都道府県が定めている、こういうものでございます。
#134
○佐藤昭夫君 ところが、実際教職員の定数上の配置の実情は、先日教育テレビで放映された荒川区立第九中学校の場合、昼間の十七学級に一般教員数は二十六人、こういう状況で、併設をされておる夜間中学はどうなっているかと言えば、三学級に対して八人の一般教員、四人の時間講師、事務職員、用務員、これがそれぞれ一人配置をされている。つまり、東京都が一般教員三・四人、それで四人の時間講師、事務職員、用務主事各一人を独自に負担をしている、こういう実情になっており、ところがこの独自負担というのが今日非常に財政的に全国的に困難になってきているという実情にあるわけですね。たとえば私の住んでいます京都市の場合でありますと、昭和二十年代の当時は夜間中学が十四校あった。ところが現在は一校だけになってきている。この背景にはいろんな財政上の困難というものが一つの重要な原因になってきているわけです。
 ところで、臨調答申によりますと、こういうふうに書いているわけですね。国の法令で定める定数を超えて配置をされておる教職員については是正を指導する、すなわちこういうものはできるだけ打ち切っていくんだ、自治体が独自に配置しているものは。こういう方向を打ち出しておるわけですけれども、もしもこのようなことが機械的に行われるならば、たとえば夜間中学というものの維持についてはますます困難になってくる。ですから、文部省としては、こういう臨調答申の方向があるわけですけれども、これを機械的に受けとめることなく、むしろ弱い層に対する援助措置は積極的にやっていくんだというこの基本的観点、こういう点から言って、夜間中学などの一層の充実を図る方向でむしろ文部省の施策は考えていくという方向でやっていく必要が今日あるんじゃないかということを痛感をするわけですけれども、この点についてお尋ねをしたいと思う。
#135
○政府委員(三角哲生君) 先ほども申し上げましたけれども、私どもは夜間中学につきましても通常の中学校と同様の取り扱いで定数を配置をしておりまして、そして、これは従来からの経緯もございますことと思いますが、非常に生徒数が少ない場合には、通常の昼間の学級でございますと複式の編制をするような場合においても、状況によりましては都道府県の判断でこれを単式の編制をするとか、そういうようなやり方もなお続いているというようないろんな理由から、いま御指摘のように、都道府県レベルの単独負担で教員を配置するというか、あるいは全体の定数の中で配置のやりくりをする。これは先ほども御説明申し上げましたところで、これは各都道府県が独自に定めるところでございます。
 いま御指摘の臨調との関連は、私はこの問題とは直接にはかかわってこないんではないか、こういうふうに考えておりますので、そのようにお答えさせていただきます。
#136
○委員長(片山正英君) 質問者、時間が大体来ておりますから……。
#137
○佐藤昭夫君 臨調とは直接のかかわりがないというふうにおっしゃっているけれども、臨調では、国の基準を超えていろいろ配置しているものについてはこれを抑制をするんだ、こういう方向を打ち出しているわけですね。ですから、ただいまの答弁は、文部省としてはそういうことは来させない、御安心ください、せっかく関係者や自治体の努力によってやられておる夜間中学、これが廃校の憂き目になるような、そういう事態は来させない、むしろ充実を図っていくんだという、これが文部省の見解だというふうに理解をしていいんですか。
#138
○政府委員(三角哲生君) 御指摘の事柄は、これはそれぞれの都道府県のレベルで御検討いただき、御判断いただくことでございまして、私ども国のレベルで都道府県に措置をしております定数配置の問題とは別個の事柄でございまして、私どもからの定数配置は定数法の基準に従って夜間中学をも今後もこれを対象として実施をしていく、そういうつもりでございます。
#139
○佐藤昭夫君 それなら、文部省は方針ないということでしょう。引き続きやっていきます。
#140
○委員長(片山正英君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後零時三十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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