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1981/11/12 第95回国会 参議院 参議院会議録情報 第095回国会 法務委員会 第3号
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1981/11/12 第95回国会 参議院

参議院会議録情報 第095回国会 法務委員会 第3号

#1
第095回国会 法務委員会 第3号
昭和五十六年十一月十二日(木曜日)
   午前十時六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鈴木 一弘君
    理 事
                真鍋 賢二君
                円山 雅也君
                寺田 熊雄君
                藤原 房雄君
    委 員
                臼井 莊一君
                杉山 令肇君
                戸塚 進也君
                八木 一郎君
                瀬谷 英行君
                近藤 忠孝君
                中山 千夏君
   国務大臣
       法 務 大 臣  奥野 誠亮君
   政府委員
       警察庁警備局長  山田 英雄君
       法務大臣官房長  筧  榮一君
       法務省民事局長  中島 一郎君
       法務省刑事局長  前田  宏君
       法務省入国管理
       局長       大鷹  弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        奥村 俊光君
   説明員
       内閣官房インド
       シナ難民対策連
       絡調整会議事務
       局長       色摩 力夫君
       警察庁警備局外
       事課長      吉野  準君
       法務省民事局第
       四課長      筧  康生君
       法務省入国管理
       局登録課長    亀井 靖嘉君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○供託法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○外国人登録法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 供託法の一部を改正する法律案及び外国人登録法の一部を改正する法律案を、便宜一括して議題といたします。
 これより両案についての質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○寺田熊雄君 協定永住該当者、これは日韓地位協定に基づくものでありますが、懲役七年以上の刑に処せられた者、無期は当然でありまして、それから法律一二六号該当者、これは一年以上の懲役刑を受けた場合、刑期を務めました後に強制退去の対象となるわけであります。
 ただ、日本人の妻を持つ音あるいは日本永住の外国人と結婚をしている者、そうして日本に生活の根拠を持つ者、こういう者を、その犯罪のゆえに必ず送り返すということが人道的な見地から果たしてどうだろうかというような批判がいままでもあって、この点御検討を願っておったと思うのでありますけれども、これらについて最近特例永住の道を開くのだ、そういう方針をおとりになったというふうな報道もあるわけであります。これらについて、入管の局長からちょっと御説明をいただきたい。
#4
○政府委員(大鷹弘君) ただいま寺田委員から御指摘がございました点につきましては、協定永住それから一二六−二−六系統の者を含めまして九月末現在で、現在七十六名ほどの者が退去強制令書を発布されて残っているわけでございます。
 この人たちにつきましては、そのうちの八名についてきようまでに在留特別許可が与えられております。残りの者につきましても、順次検討してまいるつもりでございますけれども、最終的に何名が許可になるか、いまの時点では何とも申し上げられません。しかし、この七十六名のうち、半数近くは考慮の余地があるのではないかと考えております。もしこういう人たちについても特別在留許可が出れば、当然特例永住申請の資格を持つことになります。
#5
○寺田熊雄君 そうすると、すでに八名については特別在留許可が出ておる、こういうことですね。約半数近い者についてはそういう可能性があると、そういうことですな。これはあとの半数は残るということになりますが、その両者を区別する基準といいますか、それはどこに求めておられますか。
#6
○政府委員(大鷹弘君) 特にはっきりした基準というほどのものはございませんけれども、検討いたします際に私どもが着目いたす点を若干申し述べてみますと、本人の家族状況、年齢、それから刑期、犯罪内容、犯歴、つまり前科があるかどうか、それから更生の期待可能性とか、あるいは送還先での生活の難易、生活がうまくできるかどうかというような点を含めて私どもは検討することにしております。
#7
○寺田熊雄君 次は、難民収容所の問題についてお尋ねをしたいわけです。
 これは、前回難民条約の批准に伴って国内法制が整備せられたわけであります。私どももそういう点から先般沖縄に参りまして、沖縄の、名称は国際友好センターということになっておるようですが、俗な言葉で言うと難民収容所、難民収容施設、これを視察いたしまして、その運営の実態をやや知ることができたわけであります。もともと日赤がその運営を任されておる。日赤の方では沖縄県那覇市に土地の貸与ということを申し込んだのだけれども、なかなか得られなかった。それで、本部町の海洋博当時のコンパニオンの宿舎、これをいま利用して収容しておるということであります。
 その運営に当たる職員の人々からいろいろの事情を聞いてみますと、さまざまな職務遂行上の困難があるということを訴えられた。そして、中央にそういう困難についての善処を求めたんだけれども一向にらちが明かない、何らの応答がない、もちろん指示もない、援財もない、そういうことで困っておるということでありましたが、これについて内閣にこういう施設についての審議会があり事務局があるということでありますが、審議会、事務局の責任者は、こういう難民収容所の実態を果たして把握しておるのかどうか。どの程度、実態に触れて仕事をしておられるのか。まず、この点についてお答えをいただきたいと思います。
#8
○説明員(色摩力夫君) いま内閣官房にインドシナ難民対策連絡調整会議という組織がございます。これはどういう組織かと申しますと、難民対策一般については主務官庁がございません。そのために、主務官庁にかわるものということで、内閣官房に十二省庁から成る合議体の機関をつくったわけでございます。そして、その事務局が内閣官房に常設してございまして、その会議の事務をとるという体制になっております。それが組織の実態でございます。
 先生御指摘の、難民収各所の実態についていろんな問題があるということは、私どもよく承知しております。これは単に沖縄の本部の国際友好センターの問題だけではなく、全国に一時滞在難民、俗にボートピープルと呼んでいる人たち、そういう難民の方々を収容するための施設が約三十ございますが、その約三十の施設に共通した問題、それは程度の差はございますけれども、共通の問題が幾つかございます。そのいずれも、その実態は収容所を管理運営している団体の本部、先生御指摘の日本赤十字社あるいはカトリックの社会事業をするための団体であるカリタス・ジャパンその他ありますが、そういう本部にその問題は速やかに提起されて、その本部自体が十分に承知しているわけでございます。
 そして、それでは私ども政府の機関とどういう関係になっているかということでございますが、月に一回あるいは二回、施設連絡者会議という事実上の連絡調整機関の場を設けまして、政府からは私ども、それから外務省あるいは法務省、必要によって各省、それから国連のUNHCR――国連難民高等弁務官事務所の東京事務所の代表が出席して随時協議しております。
 問題点は具体的に把握しているわけでございますが、問題の性質上、一義的に合理的に直ちに解決がもたらされるような簡単な問題ではないというところに問題の核心があるものと私どもでは認識しております。しかし、これは放置するわけにいきませんから、一義的に合理的にと申しましたけれども、一刀両断ということはないということは百も承知でありながら、何とかしなければいけない、つまり試行錯誤の形でいま努力をしている最中でございます。
#9
○寺田熊雄君 私も、きのうこの事務に当たっている若い政府委員から説明を聞いたのでありますけれども、何分にもこの問題を取り扱う主務官庁のようなものがはっきりしない、難民関係の事務がたくさんに分かれておる、それぞれの省庁がその分かれておる部分的なものを取り扱っているということでありますので、そこであなたのような連絡調整のお仕事をなさる方がおられるわけですね。
 だから、難民収容施設の事務をとる者がいろいろ職務上の困難に遭遇した場合に、それを訴えるのはやっぱりあなたになりますか。それとも、これはどこの省庁であろうというようなことを決めてその省庁に直訴するのか、それともやっぱりあなたの方に行って、あなたの方からそのお取り扱いを願うのか、どちらですか。
#10
○説明員(色摩力夫君) お答えいたします。
 一時滞在難民の保護につきまして、基本的な構造と申しますか、それから御説明いたしますが、これは国連の難民高等弁務官事務所――UNHCRの保護下にある難民を、日本政府が難民としての入国という形で処理をいたしまして、実際の居所は、先生御指摘のとおり、各団体、民間団体あるいは日本赤十字社のような特殊な団体の運営する収容施設にいるわけでございますが、その関係は、UNHCRとその施設を管理運営している団体との契約に基づいて行われております。
 したがって、すべての問題は、UNHCRと各施設との関係でまず一義的に処理せらるべきものでございますが、しかし、問題の性質上、官民のインドシナ難民に対する保護、援護という見地から当然調整すべき問題がたくさんございますので、私どもが随時問題を聴取いたしまして、特にその契約の当事者の間で解決できない問題は、随時その双方から問題の提起がございますので、問題の性質に従って、どこの省庁にお願いしたらよろしいかという問題意識を持って処理しているのが実態でございます。
#11
○寺田熊雄君 確かに、高等弁務官府と日赤なら日赤との間の契約によるということはわかるけれども、各省庁がそれぞれやはり職務上の関連もあるし、その関連する範囲内においては職責というものを持っておるのだから、手をこまねいて傍観しておるわけにはいかない、やはりその職責を果たしていかなければいかぬ。その職責を果たす面においてのあなた方は連絡調整をなさるわけでしょう。だから、その収容施設の方が官の援助を求めたい、あるいはそういう困難の除去に御協力を願いたいという要望事項なり、あるいはそういう援助を求める場合などは、やはりあなたのところへ言っていく以外にはないんじゃないでしょうか。その点、いかがですか。
#12
○説明員(色摩力夫君) 先生御指摘のとおり、私どもの職責と心得ております、
#13
○寺田熊雄君 そこで、難民収容施設の諸君の訴えを聞きますと、幾らあなたの方に連絡してもさっぱり御返事がない、音さたがない、こう言うんだけれども、これはどういうふうに理解したらいいのだろうか。あなたがサボっているなんということは私、言いませんよ。そんなことは言わないけれども、しかし、片っ方の方では、一向に音さたないです、困っておりますと。しかも、国会からいらっしゃるその方々にお訴えしても一向に音さたがないのですと、こういうことなんですから、これはあなた方の方もよほどふんどしを締めてがんばっていただかなければいかぬわけでしょう。いかがです。
#14
○説明員(色摩力夫君) 先生のおっしゃるとおりだと思います。
 具体的には、本部の問題では、先生御念頭に持っておられるいろいろな具体的な問題点がおありと思いますけれども、その問題は日赤の本部に問題が提起されておりまして、その問題については、先ほど御説明申し上げました施設連絡者会議――私どももメンバーになっておりますが、そこで具体案を何回か討議しております。しかし、問題の性質が余りにも複雑で深刻なので、正直のところ抜本的にこれはという解決案をまだ見出していないというのが実情でございます。
 また、本部の問題に関しましても、私自身ことしの六月の末から七月にかけて視察に参りまして、施設関係者から聴取しております。
#15
○寺田熊雄君 私が現地で聞きました苦情の中には、確かにあなたのおっしゃるようになかなかむずかしいものもありますが、しかし、そうでもないと思われるものもある。統一された難民対策がどうもはっきりしないという訴え、たとえば高等弁務官事務所から現地に来る場合に、一応現地の日赤の事務担当者を通じていただけないかというような要望がある。全然知らないうちにぽっと来て、それで難民の方々と話をしてしまうということではやはり事務所は困るから、自分たちを通してほしいというような訴えは、これはあなた方の努力でどうにでもなるんじゃないだろうか。たとえば難民高等弁務官府というのは、現地に飛ぶ場合に何らかの省庁に連絡なしに独自の行動をとるのか、それとも、やる場合はおれの方に相談してくれということをひとつ要望して連絡さえとっておけば、動向がわかるでしょう。わかったらすぐ現地にあなたの方が知らせてやれば、そういう不満はすぐ解消してしまうでしょう。だから、そういう点はもうちょっと御努力なさったらどうだろうか。
 それから、収容人員が定員が三百名のところ三百二十五名になっておる。満杯の状況であるということですね。これはどうも子算を伴うから、いま財政難の折から非常に困難だと思うけれども、しかし、処理が不可能なことじゃない。
 それから、通訳が不足しておる。三百二十五名収容の難民の収容所に通訳がいま三名、ときとして二名になる。これは病人が三百名のうち二百名おって、毎日二、三十名通院しておるので、それに一緒に行ったり何かしていると、それはとても通訳というものが不足してどうにもならない。言葉の関係上、通訳はおのずから難民の指導者のような形になって団交の当事者になる。それから、中にどうしても政党みたいな派閥ができる。そうすると、派閥抗争の中心人物に通訳がなるというようなことになる。こういう点、何とか通訳についてもうちょっとその獲得、教育等にあなたの方が知恵をしぼっていただけないだろうかという訴えですね。
 それから、難民の中には規律を乱す者もある。これに対してわれわれの方には全然懲罰する権限がないのですが、これは何とかならぬでしょうかと。とけ込むための教育も必要であるし技術教育も必要だけれども、われわれにはそういう手もないし金もない。きのう政府委員の若い人が来て、規律を乱したら警察に出したらいかがでしょうかと。警察に出すと、そんな簡単なものじゃないだろう。警察に引っ張られるような非行ならもちろんそれは簡単だが、そこまでに至る段階でいろいろ規律を乱すという行為があるんだから、そこもやはりあなた方の御指導が必要じゃないだろうか、こういうふうに思いますね。
 それから、一時滞在の目的で収容しておるんだけれども、これはなかなか高等弁務官府あるいは外務省等の永住先が見つからない、引受手がないということで、二年以上の長期滞在になった者が四十一名もある、これをどうしたらいいのか。このままいりまでも、何年もほっておくのか。こういう点の基本的な方針をやはり考えてほしいということですね。
 それから、地域住民とのトラブルがとかく発生しやすい。難民もこれはできるだけ基本的人権を守らなきゃいけない。そこで、自由に外出し市民的な活動を営むということになるけれども、日本の風俗、習慣との間にギャップがあるので、たとえば海で魚をとる。漁業権がなければとり得ないという点について理解がないから、地元の漁師との間にトラブルを起こす。いろいろなことで事務を扱う人が奔命に疲れている。こういう点については、やっぱりあなた方が非常に国家的な見地からこれを指導して、そういうトラブルの解消にお努めになる方がいいと思いますね。
 いま私がお尋ねしたことについて、一括してお答えをいただければ幸いです。
#16
○説明員(色摩力夫君) お答えいたします。
 先生、具体的に幾つかの問題点を指摘されたもので、順次できる限り、私の知る限りでお答えいたしたいと思います。
 第一に、UNHCRの担当官が面接その他で行く場合に連絡の不十分ということを御指摘になりました。実は私は多少驚いたのですが、そういう実態があるとすれば、いかなる意味でも不都合でございますので、これはそういうことのないように善処したいと思います。特に、UNHCRどこの場合には赤十字社でございますから、日本赤十字社との契約関係の範疇にございますので、少なくとも日赤本社には十分通報し、協議の上行くように申し入れたいと思います。
 次の問題は通訳の問題でございますが、これは本当に名案がございませんで、われわれ非常に困っている問題点の一つでございます回この問題は、やはりUNHCRと施設との契約上、UNHCRの費用負担において雇うと、そういう関係になっております。つまり、雇用問題という形であらわれますから、したがって希望者、それから雇用者側から言えば適格者という形であらわれない限り確保することは非常にむずかしい、そういう関係になっております。実態は、適格者と思われる通訳の候補者が余りいないということでございます。たとえば本部の場合、三百名の収容人員――実際三百名を超えていますが、ありますから、UNHCRの大体の標準から言えば、五十名に一人はUNHCRの費用負担において雇ってよろしいという枠があるはずでございます。しかし、これは満たしておりません。どうして満たしていないのかと申しますと、先ほど申し上げましたように、基本的には適当な人がいないということでございます。これは多かれ少なかれ、全国各地にある収容施設の共通の問題でございます。
 それから次は、内部規律が乱れていて管理運営上非常にぐあいが悪い、困惑していると。これも、各収容施設に多かれ少なかれ共通の問題となっております。先生御指摘のように、これが刑事問題だとか、当然警察の対象になるべきものである場合には、難民であるという特別のステータスを考慮する問題ではございませんから、一般の行政の尺度で処理さるべきもので、これは問題ございません。問題は、それに至らない内部の、つまり団体生活をしているわけでございますが、その間の規律が守られていない、ひいては先生最後に御指摘なさいましたけれども、地域住民とのトラブルもその一環かと思います。これは何分、収容施設が特別な権力関係と申しますか、被収容者と収容施設の管理者の間にはそういう関係はございません。したがって、相当な罰則とか、そういう基礎を確保しながら管理運営に当たるというわけにはいかないのが、事の性質上当然であるわけでございます。したがって、基本的には難民の良識に期待する以外にない、これ以外に処理の方法、問題の解決の方法がない、ぎりぎり煮詰めればそういう関係になると思います。
 しかし、それにしても、各収容施設共通の問題になっておりますので、先ほど申し上げました施設連絡者会議において問題が提起されまして、ここでひとつ管理準則と申しますか、モデル規則と申しますか、そういうものを起案しよう、それで協議しようということで、これはUNHCR側がたたき台をつくりまして何回か討議したわけでございます。実態は、討議の結果、詰めていく結果、非常に理想的なものを、つまり管理運営者側にとって理想的なものをつくろうとすれば、罰則を伴わないので余り現実的ではないという認識が管理運営者側の方から指摘がございまして、結局得た成案は、非常に精神訓話的なものに落ちついてしまった。それでもモデル規則というのができましたので、これはUNHCRから各管理運営者に、御参考までということで、最近、この夏送付した、そういう措置をとっております。しかし、これで抜本的な問題は解消しないだろうということは、先生御指摘のとおりでございます。
 それから、一時滞在難民というカテゴリーでございますが、二年以上あるいは三年という方もございます。これは最終的にはどう解決すべきものかという御指摘でございますが、これはまさに一時滞在難民対策の難問中の難問、問題の核心をなすものと私どもは心得ております。なぜならば、一時滞在難民は自分の希望によって定住先を選ぶという形になっております。しかし、個々の一時滞在難民が希望する定住先、たとえばアメリカとかフランスとかオーストラリア、カナダといった国は、当然これは自画の難民問題でございません。他国にいる難民を難民という形で受け入れる。つまり、他国の難民政策に協力するという形で難民政策をこの問題に関してはやっておりますので、日本にいる一時滞在難民に関しては、当然のことながら無条件、無制限に受け入れるわけでございません。おのおの条件を設定しておりますし、また、数量的な制限もやっているのが実態でございます。
 したがって、希望とそれから実際の引き取りが一致する保証はどこにもございません。一致しないケースは、当然のことながら時の推移とともに累積的に生じてくるのが問題の実態でございます。また、それでは一時滞在難民の最終的な解決の一つとして、第三国定住ではなくて、わが国に、日本に定住を希望し許可されるという可能性もございます。こういう形で解決するのも一時滞在難民の解決の主たるポイントでございますから、この点、希望者は従来少ないと言われておりましたけれども、これは恐らく日本の実態を知らないで、日本の制度を知らないで希望しないというケースも多かろうと思いまして、いままで定住適格者調査団というものをアジア福祉教育財団の難民事業本部というところに委託いたしまして、従来は国外における、たとえばタイとかマレーシアとか香港などの収容施設に行きまして適格者を選定する作業をしていたわけですが、ことしの夏からは、国内の一時滞在難民収容施設にも順次訪問して啓蒙するということを始めております、その結果、多少ではございますが、従来のケースとはかなり違った結果が出ております。
 以上のとおりでございます。
#17
○寺田熊雄君 そうすると、余りにも長期に滞在するようになる難民に対しては、技術教育とか、そのほかの教育を施して、日本に永住できるような生活設計を立てさせるというような手だても現に講じておられるわけですか。それとも、これから講じるというんですか。その点、どうですか。
#18
○説明員(色摩力夫君) その点に関しましては、現在定住を希望する難民に対する援護という問題に関しましては、一つは政府の事業として、先ほど申し上げましたアジア福祉教育財団の難民事業本部に委託している形でございますが、全国に二カ所の定住促進センターというものを設けまして、そこで日本語の教育と、それから就職のあっせん、あるいは適当な機関があれば職業訓練のあっせんという形で行っております。もちろん、この二カ所でございますし、収容能力というのはそう大きくございません。非常に大規模に希望者が出てきましたならば、その収容施設の限界、それから回転その他から、これだけでは解決できないということも明らかでございます。
 そこで、政策としての考え方といたしましては、日本に定住を希望する方々の大宗が定住促進センターに入るべきもの、入ることが期待されるもの、そこで大部分は定住促進という事業で処理するべきものとは考えておりません。これは政府のイニシアチブで、一つの模範例として二カ所運営しているという認識でございます。先生御承知のとおり、難民の問題の最終的解決というのは個々の地域社会が受け入れてこれを吸収する体制、そういうことにならなければ確保できないわけでございますので、地域社会のイニシアチブというのを実は期待し啓蒙し、その萌芽があれば育成したい、そういうふうに考えておる次第でございます。
 それから、もう一つの問題の側面は、それではいまのような制度で本当に二年、三年と長期化して、第三国にも客観的には行けそうもない、しかし依然として日本の定住も希望しないという難民、そういう方々をどう解決するのかという問題がやはり残ります。これは名案はございません。いまの制度であれば、その個々の難民が積極的に明示的に日本に定住したいという意志を表明しない限り、定住手続に乗りません。しかし、乗らないで事実上第三国にも行けず、いわゆる宙ぶらりんになって長期化するというケースは十分想定されます。これを長期的にはどう処理すべきものか、どう解決すべきものか。これはいろんな要因がありまして複雑な問題でございまして、実は非常にわれわれが難民問題の基本的解決の最も難問中の難問の一つと心得ております。
#19
○寺田熊雄君 難問であることは確かにわかるけれども、難問でありますと言って済ませておられても困るんですね。
 それで、いま現に日本が引き受ける定住枠のうち、どの程度現実に難民が日本に定住するに至ったのか、その点ちょっと説明してください。
#20
○説明員(色摩力夫君) インドシナ難民の定住の実績でございますが、定住枠――枠というのは非常に誤解を招くのですが、一応のめどと心得ております。ことしの春、千を三千に広げまして、現在三千をめどに定住対策をやっておる、そういう状態でございます。
 そこで、現在までにどういう実績があるかと申しますと、すでにインドシナ難民対策発足の時点で、留学生その他で日本にすでに入国して日本に居住しておられた方々、その方々がやはり同じような理由で本国に入るわけにいかないということで、一括していわゆる定住という概念でございますけれども、長期滞在の一般外国人としてそのステータスを認められた方々が七百四十二名おります。それからインドシナ難民対策として、定住の対策として、その時点からいろいろな経過を経て日本に定住を完了し、そのステータスを付与された方々が現在までのところ八百八十八名でございます。したがって、現在、三千の枠に見合う実績は千六百三十名ということになります。
#21
○寺田熊雄君 余り細かいことをくどくどお話をしてもしようがないから、先ほど収容人員が三百名のところ三百二十五名で満杯であるという訴えについてもお尋ねをしたわけだけれども、こうい点も放置しておいていいのか、それとも、あなた方がやっぱり御努力になって、何とかこの問題の解決に手を打たれるのか、そういう点も十分考慮してほしいと思うんですね。
 それから、われわれがああいう場所に視察に参りまして、懇談をして、そこでいろいろと訴えを聞くということ、これはわれわれのやはり国政調査権の上で役には立ちますけれども、本来的には決して望ましいことではないわけで、やはりあなた方がしょっちゅう現地においでになりまして、現地の状況をよく把握して、それで随時適切な手を打っておられれば、私どもがそういう訴えなり陳情を聞く必要がなくなるわけでしょう。事は国際問題でもあるし、人道的な考慮というものを非常に必要とする仕事でもありますから、今後も事務局長、あなたは、あなた御自身でも、あなたの信頼できる部下、職員でもいいから、現地にしばしば行かせて、そういう運営の実態を十分把握して、随時適切な手を打たれるように私として希望しておきますが、いかがでしょうか。
#22
○説明員(色摩力夫君) 先生の御示唆はまことにごもっともと思いますので、その線に沿ってなお努力を継続したいと思います。
#23
○寺田熊雄君 私はあなたに対するお尋ねは終わりましたから、結構です。
 それから、これは入管の局長にお尋ねをするけれども、難民対策、難民認定事務というのはあなたの御所管ですか。――これは前国会で法律ができて、認定のためのあなた方のお仕事、準備、これはどの程度進捗しておるんでしょうか、ちょっと御説明いただきたい。
#24
○政府委員(大鷹弘君) この難民認定手続は、来年の一月一日から発足することになっております。それに向けまして、現在鋭意準備を進めているところでございます。
 まず第一に、私どもは、最近の難民のたくさん出てきている地域の状況がどうなのか、それから各国の難民に対する政策はどうなのか、こういう一般的な背景に関する情報を集めております。
 それから第二番目に、具体的な各国の難民認定の手続、それからその結果がどんなものであるかということを、参考のために調査しております。現に、私どもの方の担当官が現在欧米を回って調査をしているところでございます。
 それから第三番目に、この認定手続が発足いたしますと、それなりの機構が必要になります。そこで、その機構、人員につきまして予算要求をしておりますけれども、同時に、その線に沿ってすでに調査官の人選を進めております。難民調査官は全部で全国に十四名配置するつもりにしておりますけれども、問題が非常に大事でかつむずかしいということなので、やはり識見の豊かな経験を積んだ人たち、しかも語学の能力のある方々、こういう人たちを任命したいということで人選をやっております。そして、こういう人々につきましては十分な研修をさせる必要がありますので、すでに今月の終わりに東京に全部集めまして中央研修を施すつもりにしております。
 こういうふうにして、一月にこの仕事が始まりました後でも万々遺漏がないように、いろいろ準備を進めているところでございます。
#25
○寺田熊雄君 法務大臣にお尋ねをしますが、これはきょうの新聞で拝見したんですが、行特委員会において、わが党の委員から玉置委員長に、法務大臣の例の人の道発言に関連して、何か玉置委員長預かりになっておるというようなことで委員長に質問をしましたところが、委員長は、法務大臣はこの発言でいろいろ誤解を生じたことを御反省になって、そして今後そういう誤解を招かないように言動を慎重にするように深く配慮する決意を固めておるというような趣旨の委員長から御答弁があったようですが、委員長に対して、法務大臣からそういうお話をなさったことが事実なんでしょうか。また、法務大臣もそういう御心境でいまおられるわけでしょうか。その点、ちょっとお答えいただきたいと思うんです。
#26
○国務大臣(奥野誠亮君) 行革の特別委員会で私の発言問題があったわけでございまして、最終的に何かお尋ねをいただけば私はこういうお答えをしますよということは、玉置委員長に申し上げておったわけでございます。そのことを、きのう質問に答えて委員長から述べられたようでございます。
 その内容を、寺田さん、どういうことかといま私にお尋ねになったように伺うのですが、そうでございましょうか。
#27
○寺田熊雄君 そういうことですね。
#28
○国務大臣(奥野誠亮君) 私が玉置委員長に、最終的に私の考え方を問われればこうお答えしますよと申し上げておりますことを、重ねてここで御披露させていただきます。
 記者会見における私の発言は、進行中の裁判に関する批判ではないことを明確にしたうえ、あくまで一般論として、常日ごろ検察の姿勢として大切ではないかと考えている点を述べたものであります。そのことは私なりに注意したつもりでありますが、いろいろの見方もあり、ご批判も出ておりますので今後とも言動には十分慎重を期し将来ご批判を受けないよう深く留意して参ります。
こういうことは申し上げますよということを連絡しておったわけでございまして、そのことを報告されたようでございました。
#29
○寺田熊雄君 行特なり国対がこの問題をどういうふうに扱うかということは私どもの全く関知しないところでありますが、ただ、法務委員会としては、大臣のそういうこの問題に関する最終的な取りまとめの御意見、これをお伺いしなければいけませんのでお伺いしたわけですが、そうすると大臣、一言で言いますと、大臣がこの問題に関していまお持ちになっておるお気持ちというのは、いま大臣がお読みになりましたその一文の中に尽きておると、こういうことになりますか。
#30
○国務大臣(奥野誠亮君) そのとおりであります。
#31
○寺田熊雄君 警察庁の警備局長来ていらっしゃいますか。――
 これは、私の方に警察官の人権じゅうりん事件として訴えのあった問題なんでありますが、五十六年の五月二十二日、「金大中氏らを殺すな 首都圏緊急運動」と題しまして、「自由光州一周年−光州民衆決起を忘れない 日韓連帯大デモ」というデモが行われたそうであります。このデモが清水谷公園から数寄屋橋を経て東京駅の八重洲南口に至りましたときに、一警察官がデモ隊の一員を殴打して、デモ隊の一人が重傷を負ったという、そういう訴えてあります。これについては、デモ隊の関係者が警視庁の方にずいぶん折衝もしたようであります。現在、何か民事訴訟も提起されているということでありますが、局長はこれについてどういう報告を受けておられますか。
#32
○政府委員(山田英雄君) 私が警視庁から受けております報告内容についてお答えいたしたいと思いますが、ただいま御指摘の集会デモ警備につきまして、それに従事したすべての警察官から警視庁が事情を聴取して、御指摘の事案についての事実を確認しておりますが、結論は、御指摘のような暴行事案はなかったという報告を受けております。
 やや調査内容につきまして事実関係を詳細にお答え申し上げたいと思いますが、本件デモは約五百名の参加者がございまして、清水谷公園から二様団に分かれて出発しておるようでございます。第二梯団約二百名、この中には極左の第四インター系に属する者も参加していたわけでございますが、出発当初から、赤坂見附交差点に進入した際に、三つのグループに分かれて激しいデモ行進、蛇行進を交差点で展開いたしまして、一般交通が著しく妨害された。そこで警察部隊が再三警告しても従いませんので、デモ隊の隊列の片側に併進規制いたしまして正常行進に戻したわけですが、日枝神社の入り口の交差点では赤信号を無視して進行しました。特許庁前では駆け足で突っ走るという動きもございまして、その都度、部隊で規制しております。
 虎ノ門交差点から土橋、これは部隊でずっと併進しておりましたが、車道側に大きくふくらむということで、部隊に突き当たる動向が終始見られたわけでございます。数寄屋橋交差点の手前の信号で、赤信号のところで前に出ようといたしますので部隊で停止させましたが、何をとめるのだ、デモは車より優先するのだという怒号がデモの梯団から多数がかったようでございます。数寄屋橋交差点が青信号になりまして、交差点の中でまた三つのグループに分かれて交差点いっぱいに蛇行進をする。これは部隊で規制いたしました。鍛冶橋の交差点でも、同じように二百名の者が三つのグループに分かれて激しいスクラムによる蛇行進をしました。これも部隊で規制いたしました。
 そこで、御指摘の夜の九時十三分ごろ、八重州口付近にいま申し上げたような経過を経て差しかかったわけですが、そのとき前方の信号が赤信号でございましたので、第二梯団をここで、第二梯団の動向はそれも無視して進行するということでございましたので、危険防止と交通確保のため、デモの先頭を部隊で一時停止させました。そのときにも、やはりなぜとめるのだ、車よりデモが優先するのだ、機動隊はどけということで怒号もあり、具体的な実力による抵抗もあったようでございます。その際には、非常にデモ先頭部が後方からずっと進んできましてせり上がるような状態で、部隊も徐々に後ろに下がることを余儀なくされたようですが、信号が青に変わりましたので、デモ隊の前でデモ隊の前に進む動きをとめておりました部隊が、車道側に下がりまして梯団を進行させたわけでございます。
 その直後に一人の男の人が、デモ行進の進行方向から左側、歩道側でございますが、歩道側から飛び出してまいりまして、なぜとめるのだということを大声でとなりながら飛び出してきたようであります。そのとき、ちょうど規制を解除された第二梯団が激しい勢いで信号の方に発進してきましたので、その男の人は、歩道側からどなりながら出てきたときに、デモ梯団の先頭部に押し飛ばされるかっこうで、ガードレールのある歩道方向に転倒していったようであります。そのとき、警察部隊は再び梯団の規制をいたしたわけでございます。激しく前に突き進んだわけでございますので、先頭部を一時停止させたという行動をとっておりますので、転倒後の状況は確認していないようでございますが、その男の人と警察官との接触は全くなかったという事実を確認したという報告を受けております。
 以上でございます。
#33
○寺田熊雄君 私も法律家として、こういう人権じゅうりんの訴えをおびただしい数受けております。かつ、自分が代理人になって事件を扱ったこともあるのですけれども、こういう事案は警察の言い分と、それから被害を受けた民衆との言い分とが百八十度違うことが一般なんであります。ちょうどそれは、不当労働行為において経営者と労働者との間の主張がまるっきり食い違う。離婚事件で夫と妻との主張が食い違うというのと、全く軌を一にしておるわけでありますね。
 私どもの経験では、警察側も絶対そういうことはありませんということを言い切っても、裁判所で警察の非が認められたということが、やっぱり何件かあるわけですね。そういう場合、結局上に立っていらっしゃる方は部下の言い分をそのまま御信用になる。部下の方は、もう自分たちの非を隠すために虚偽の事実を上の方に上げるということも、それがどちらかというと裁判所で警察の非が認められた場合の血一型的な例のように思います。だから、もうちょっと局長もそういう言い分をうのみにしないで、事実をよく調べていただきたいと思うのです。
 私の経験から言いますと、人権じゅうりんで、交番で警察官に胸をげんこつで突かれ腹部をけられて大変な傷害を受けた大衆の事件、これは損害賠償として、国家賠償として訴える事件では、警察官が三人証人に立って宣誓して、そういう暴行は全くございません、それは酔っぱらっていたから道で転んだんでしょうというような陳弁をした。
 ところが、裁判所は間違いなく警察官の暴行によるということを認定しましたら、その後で監察官がもう一偏調べたところが、三人の警察官はみんなぞろぞろぞろっと自白して、それで結局、警察本部の警務部長も私のところへ謝りに来ましたし、それから次席検事から、そうなると偽証罪になりますからね、それから警察官暴行陵虐罪にもなる。これをやはりやらなければいかぬけれども、もうすでに免官になって、わかったから免官にしちゃったんですね。免官になったんで勘弁してやってくださいという依頼があったので、私はそこまで追及せずに、一人が免官し、一人が一カ月の停職でしたかね、一人は戒告、そういうようなことでおさめたことがあるのですけれども、警察官が私はやりましたというようなことを言う例はないのですよ、こういう事例で。しかし、判断すべき国家の機関が判断すると、やっぱり警察官にそういう事実があったという判決が何件かあるわけで、そこをやはり局長も考慮していかなければいかぬ。
 いま局長の御答弁によりますと、しばしば赤信号を無視して進行したとか、デモ隊が広がったとかというようなことで規制をしたんだとおっしゃるけれども、もうすでに弁慶橋付近から、横を規制したというよりは、そのデモ隊の訴えによると、あなたのおっしゃるように二つに分かれた。その二つに分かれておるそれぞれの隊の前面に宣伝車がおるのですが、その宣伝車と隊との間に警官が入り込む。それから第一隊と二隊との間に入り込んで、それで隊と隊とを分けさしてしまう。そういう方針をとっておるように見受けたと。そして、しまいには第一隊と第二隊との間の距離が五百メートル以上も開いてしまったと、そういう訴えがあるわけです。
 それは、局長の言われるように、信号のある場所でも混雑した場所でもないので、もう何らの原因がないのに指揮官が命じて入り込む、それから指揮官がよしと言うとぱっと規制をなくしてしまう、これはやはりあなたのおっしゃるように、あなた方が過激派とおっしゃる、私はもう過激派であろうが過激派でなかろうが、そういうことを問うておるのではありません。私どもはいかなる人間にも基本的人権があるから、基本的人権が侵害された場合には私どもは守らなきゃいかぬという立場で取り上げておるわけです。何か警察の方では、過激派だからやっつけてやろうというような、初めからそういう先入主を持って規制をなさったんではなかろうか、そういうふうな印象を受けるのですが、あなた方の方は、やっぱり第一線の警察官は、過激派だ、こんちくしょうというような考えが、初めから敵意があって、そして自然にそれがにじみ出るというんじゃないでしょうかね。その点いかがです。
 というのは、この国会の議面の前がありますね、陳情がよくある、請願デモがある、請願デモを私どもは目の前に置きまして一度見た経験は、盾がありますね、盾を警察官が、やはりデモ隊の足にガジャンとやって、それでデモ隊が怒ると、すっとほかの隊員の後ろに隠れたのを私、この目で見たんです。実見したんです。ああ、やっぱりああいう諸君はいたずら気分なのだろうか、それともデモ隊に対する反感があるんだろうか、ああいうことをしちゃいかぬなというふうに思ったんだけれども、第一線の若い諸君にはやはりそういうものがあるんじゃなかろうか。これはよほど局長のような全体を統括なさる立場にある方は、それはやはり考慮していただかなきゃいけません。いかがです。
#34
○政府委員(山田英雄君) 警察の責務といいますのは、違法行為を的確に規制、検挙することであろうかと思いますが、ただいま御指摘のデモにつきましても、先生御指摘の一隊と二隊が分かれたというのは、五百人の集会からデモに出るに際して三百名と二百名の梯団に分かれたわけでございますから、第一梯団は数寄屋橋交差点で若干広がったということで交通確保のために規制しただけで、後は秩序正しく行進されたようでございます。第二梯団の五百メートルの間といいますのは、そもそも赤坂見附の交差点で交差点いっぱいになるような三つのグループに分かれて蛇行進があった。それを規制するために部隊が出たわけでございまして、そのための時間が手間取りますれば、第一梯団は秩序正しく行進しておるわけですから、間があくのは当然のことになるわけでございまして、具体的事例に即して申し上げればそういうことだと思います。
 極左について特に敵意があるかというお尋ねでございますが、これは違法行為を規制、検挙するという立場から、極左はほかの集団より警戒すべき対象だとは思っております。現実のデモにおきましても、経験則上、いろいろな違法行為あるいは警察官に対する公務執行妨害行為等あるわけでございますから、むしろ警察を敵視しておるのは極左でございまして、そうした違法行動をいかに的確に規制するかが、われわれ大変いつも警備の幹部として念頭にある問題点でございます。
 技術上のことにつきましては、本件の併進規制にしましても実力で規制するわけでございますから、それに抵抗する者を正常な行進に戻すわけですから、双方にけが人なく行うためには、それ相応の専門的技術が要るわけでございます。そういうことで、平素から技術を訓練によって練磨して、沈着冷静に、双方にけが人のないように、現場で的確な規制ができるように努めさせるようにわれわれかねがね思い、各都道府県警察にも言っておるところでございます。そうして現場でもけが人のないように、どなたの目から見ても正々堂々たる警備ができるように努力さしておるということを、特に申し上げておきたいと思います。
#35
○寺田熊雄君 あなた方としては、まさにそういうお気持ちで部下を教育なさらなければいかぬのだけれども、それが徹底しておらないのですね。第一線の部下の諸君の中には感情に徹して、そしてわれわれが考えてどうかなと思うような行動をおとりになる方がやっぱりあるんですね。私も現に見たんだから。だから、一遍あなた方もその点は相当御注意になっていただかなければいかぬ。
 ところで、このデモを規制した部隊というのは第七機動隊第二中隊というものであったことは間違いありませんか。
#36
○政府委員(山田英雄君) そのとおりでございます。そして、一人の男の人が突然出てきたという現場には当該中隊長もおりまして、その都度、規制を直接指揮し状況を見ておるわけでございます。先ほど申し上げました事実関係も、そうした幹部の重言というものもわれわれ十分に聞いておりましてまとめられた結果を申し上げておるわけでございます。
#37
○寺田熊雄君 第二中隊長は現場を見ていると言われた。その中隊長という人は何と言われる人で、どういう位階の人ですか。これは秘密じゃないでしょう。
#38
○政府委員(山田英雄君) 機動隊の中隊長でございますので、階級は警部の者でございます。
#39
○寺田熊雄君 お名前は。
#40
○政府委員(山田英雄君) いまちょっと私、手元に持ち合わせておりません。
#41
○寺田熊雄君 その名前をいま控えておられないという意味ですか。それとも、秘密だという意味ですか。
#42
○政府委員(山田英雄君) いまちょっと名前まで特定した材料を持ち合わせておりませんので……。
#43
○寺田熊雄君 秘密ではないでしょうから、後日、わかったら私に知らせてください。
 それから、この事件が起きたときの状況を当事者から私が聴取したところによりますと、デモ隊のいわば整理に当たっていた岡田理君という人でありますけれども、この人は元来歩道を歩いておって、それでデモのいわば整理役という任務についておった。これが、機動隊員がデモ隊の進路に立って前の自動車との間に立ちふさがってしまうと進めないというところから、もういいかげんにしてほしい、進路を妨害しないでほしいということをそれを一人の機動隊員に訴えたところが、生意気言うなということでいきなり口のところを右手で殴ったと、そういう状況なんであります。こういうことは、つくってつくり得ることじゃありません。そして二、三メートル飛ばされて、口がぱっくり裂けてしまうという傷害を受けた、そういう事件であります。
 これは、すぐ東大附属病院に行って四十針も縫った。通院は三週間であるけれども、全治に十カ月を要するという大変な重傷で、これは目撃者も相当おるわけで、私、当事者から訴えを受け、大体われわれのその鑑定というか事件の見通しというか、これは私も司法の事務に四十五年携わり、裁判官にもなり、弁護士もやり、こういう事件をたくさん扱って、まずいままでにわれわれの眼力に狂いはない。これは警備局長、あなたは善意でいらっしゃるかもしれませんが、あなたの部下があなたに正直な報告をしておるとは考えられない。これはもうあなた方の言い分は裁判所では私通らぬと思いますよ、私はあえて私ども職務経験からくる推論を申し上げると。
 したがって、私はもう一遍あなたがよく部下の方をさらに慎重に調査をなさって、それで無益な抗弁というものをおやめになって、そうして当事者に謝罪をし、この事件をおおさめになった方がよろしいと私は考えるんだけれども、どうですか。
#44
○政府委員(山田英雄君) 先ほどお答え申し上げました、警察において、私自身において確認している事実関係は申し上げたとおりでございますが、私自身も警視庁の警備部長から直接事実関係について問いただしております。したがいまして、警察といたしましては、先ほど申し上げましたように、一人の男の人が倒れたことについて警察官との接触は全くないというふうに考えております。なぜ地検に刑事事件として告訴され一また東京地裁に国家賠償請求をされておられるのか、そのことがわかりかねるぐらいでございまして、しかしながら、事実は先ほどお答え申し上げたとおりと確認しておりますが、刑事事件としての告訴もございますし、国家賠償請求事件としての訴訟もございますので、そうした公正な捜査、公平な審理の結果にまちたいと思っております。
#45
○寺田熊雄君 法務省の刑事局長にお尋ねをしますけれども、いま私が警察庁の警備局長にいろいろとお尋ねをしておりました事件は、被害者から五十六年の七月二十九日――殴打した警察官というのは、これは名前がデモ隊にはわかりません。そこで、みんなが写真を撮っていますから、この男に間違いないということで、その写真を添付して機動隊のこの人ですと。これは氏名不詳者であります。それを被告訴人にして東京地検に告訴しております。この事件の捜査はどういういま状況にありますか、ちょっとお答えいただきたい。
#46
○政府委員(前田宏君) ただいま寺田委員から御指摘のございましたように、本年の七月末に岡田という方から告訴が出ておりまして、東京地検の特別捜査部で捜査中でございます。まだ結論は出ていないようでございますし、いま御議論もございましたようになかなか事実関係の認定にむずかしい点もあるようでございますが、検察当局におきましては所要の捜査を尽くしまして適切な処理をすると、かように考えております。
#47
○寺田熊雄君 われわれも警察官の非違をただすという、それはわれわれのやっぱり基本的人権を守る、そういう義務感から出ております。警察官に対して反感を持ったりなんというそういうことでないことは、あなた方も理解していただけると思うんです。ただ、こういう事件では、とかく警察の方では仲間意識から、やはり事件を隠そう隠そうとする傾向があることは、これは否定できないと思うんですね。それから検察官も、やっぱり昔は司法・刑事警察についていろいろ指揮する立場におありであった。いまは独立捜査権といって、いわば対等の立場に立つけれども、しかし、それでもやはり一般的な指揮権というのは警察に対して持っていらっしゃると思う。
 そうすると、やっぱりある意味では、部下と言っちゃ悪いけれども、職務上指揮をする立場にある、そういう仲間意識がやっぱり検察官にもおありになる。そこで、こういう事件で、われわれはどうもやはり検察官の捜査が、警察官を被疑者とする場合にはすっきりしないんです。どうもやっぱり御遠慮になっておられるという印象を受けることが間々ある。それでは困るので、警察の方もやっぱり部下だからといってかばってはかりおったのじゃ、こういう人権じゅうりんの事件が一向になくならない。いつまでも改まらない。それを厳しくたださなければいかぬ。検察官の方も遠慮しておったのでは、いつまでもこういう事件がなくならない。
 ですから。警備局長におかれても、仲間をかばうということでなくて、やっぱり理非曲直を明らかにするという立場を貫いていただきたい。それから検察官の方も、やはりそういうお気持ちで検察権の行使をお願いしたいと、こう思います。御両者いかがでしょうか。
#48
○政府委員(山田英雄君) 現場の警察官の活動が適正であることは、われわれかねがね指導しておるところでございまして、いま申されたように決してかばうとかいうことではございません。
 事実関係につきましては、的確に解明するということは私の考え方でもございます。そうした考え方に基づいて本件について確認した事実を先ほどお答えしたわけでございますが、今後とも人権尊重の立場から、いろいろな事実関係については公正に解明するという努力は続けるつもりでございます。
#49
○政府委員(前田宏君) 検察当局といたしまして、あらゆる事件につきまして公正な立場で捜査に当たり処理をするということは当然のことでございまして、寺田委員のような見方もあるかもしれませんけれども、やはり事件は事件で証拠に基づきまして認定をするわけでございますから、双方の言い分なり、その裏づけ証拠なりを十分検討いたしまして適正な処理をするものと、かように考えております。
#50
○寺田熊雄君 それじゃ、午前中はこれで終わります。
#51
○委員長(鈴木一弘君) 午前の質疑はこの程度とし、午後零時三十分まで休憩いたします。
   午前十一時二十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後零時四十一分開会
#52
○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、供託法の一部を改正する法律案及び外国人登録法の一部を改正する法律案を、便宜一括して議題とし質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#53
○藤原房雄君 前回に引き続きまして供託法、この法律の成立当時の趣旨、それから今日に至ります経緯、いろいろ御質疑いたしたわけでございますが、現状は、現在この法律が当委員会に付託になってお帆まずその趣旨は、行政改革というその中でのことでありますから、それが中心課題でなければならないわけでありますが、何せ八十年の長い歴史の中で今日まで来ておりまして、そういう中での現状が、成立当時から見まして、立法の趣旨が今日妥当であるかどうかという、こんなことの危惧を抱く点が二、三点ありますので、そういう点について供託法に関連することとして二、三点だけお尋ねを申し上げたいと思うんであります。
 一つは、最近供託全体の統計といいますか、こういう見方からいたしますと、弁済供託が一番件数としては多いわけですが、件数そのものは横ばい状態といいますか、それに伴います金額の方はやはり伸びておるようですね。そうしますと、一件当たりの金額が非常に多くなっているという、こういうことだろうと思うんですけれども、現在の供託の種類別に見まして、ここ数年の間の推移といいますか、こういうことについて概略御説明いただきたいと思いますが、いかがでしょう。
#54
○説明員(筧康生君) 供託事件全体として見てまいりますと、ただいま御指摘もありましたように、全体の件数というものはおおむね横ばいないしはやや減少ぎみにあるということが言えるわけでございます。
 一方、これを金額的に見てまいりますと、供託金の受け入れ金額、払い高金額、さらにまた、その結果といたしまして国が預かっておりますところのそのときどきの残高は、これはいずれも増加の傾向に見られるわけでございます。
 この増加の傾向に見られます原因といたしましては、これはいろいろなものが重なって金額的には増加しておるということでございまして、その内訳等の必ずしもつまびらかな資料は持っておりませんが、弁済供託におきましても一件ずつの金額が増加しつつある、あるいはまた、各種の営業保証金等の金額、これは各省令にゆだねられているわけでございますが、その金額が多くなっておる。多くなっているものが出てきておるということの結果として、金額の増加の傾向を呈しておるということが言えると思います。
#55
○藤原房雄君 過日質疑のときにも申し上げたかもしれませんが、そういう傾向がございます。このたびのこの処置は三年に限るということでありますけれども、利子を付さないという、三年間ではありますが、限定されたものではありますけれども、そういう傾向の中にありまして、いろんな立場の方々がいらっしゃるわけですけれども、そういうことによりまして供託をなさろうという方に不都合感がないのかどうか、こういうことについてはいろんな立場の方々、御検討なさったろうと思うんですけれども。当局としましてこの法案を提出するに当たりまして、どこにどういう影響があるのかという、こういうことでの御検討の経緯なり、また、こういうことなんだということがございましたら御説明いただきたいと思いますが、いかがでしょう。
#56
○政府委員(中島一郎君) 供託金の利息につきましては、すでに申し上げましたように、供託金の性格から必然的に発生しなければならない、発生するという性質のものではないというふうに考えておりますけれども、八十年の期間、利息がつけられてきたというような事実もございますので、私どもといたしましてもこれを停止するということにつきましては、その影響の有無等につきまして慎重に検討をいたした次第でございます。
 従来、供託者の方に、あるいは被供託者の方に払われておりました利息というものが払われないということになりますと、その関係では不利益を与えるといいましょうか、不利益が生ずるということは、これは否定することができないことであろうというふうに考えておるわけでありますけれども、その程度ということになりますと、あるいは有価証券供託によってその不利益を免れるような方法もあるわけでありまして、それにしてもなお残る若干の不利益につきましては、国家財政の状況というものにかんがみてがまんをしていただきたいと。こういうような結論に達しまして、この法案を提出することになった次第でございます。
#57
○藤原房雄君 一般的にはいまお話しのとおりだろうと思うし。がまんしていただきたいという「我慢」の二字でお話ございましたけれども、具体的な立場の方々について私どもそれなりに承知はいたしておりますが、それがどの程度という程度とか、はかる尺度ということになりますとなかなかむずかしいことですから、これはひどいじゃないかという、そういうことを直接的に私申し上げるつもりもないんですけれども、大きな影響はないという、こういう判断の上に立ったということなんだと思いますね。
 具体的な問題についてもいろいろ御検討なさっての上のことだろうと思いますが、そのことはそれで子といたしますが、次に、これは大臣または法務省にお尋ねして明快なる御回答をいただけるとは思っておりませんけれども、結局、供託する根拠法令は百三十ほどございまして、これはそれぞれの所属の省庁での法律でありますから、それぞれに必要性があって、それを法務省のそれぞれの窓口で法務局、出張所、供託所、そういうところで預かり供託をするということですから、法務省はそれは供託を受ける立場でありまして、窓口ということであって、この根拠法まで入りまして云々するという、そこまでのことを答弁を求めるのはどうかと思うんですが、しかし、大臣は内閣の一員ということでありまして、内閣全体についてもやっぱりそれなりの責任ある立場でもございますので、ぜひこれはお尋ねを申し上げたいと思うんです。
 八十年の長い歴史、戦後といいましてももう四十年近い、こういう時間を経過しているわけでありますから、現実にそぐわない点が何点か、これは私、百三十の一つ一つ全部当たったわけじゃ決してございませんけれども、行政改革ということからいって、法の成立、立法当時の状況から考えて、これはいかがかなと思うような問題もあります、また、私どもの気のつかない部分も一つ一つ当たってみるとあるのかもしれません。
 一つは、宅建法によります営業保証、これは三百万の供託ということになっておりますが、現実には保証協会に入っておりますと、これは六十万で営業できるということになっています。これは、だからどうだということじゃないんですけれども、こういう一つの方法がとられているわけであります。
 それから、家畜商ですね。これは農林水産省になるのだろうと思うんでありますが、家畜商と家畜の取引の契約を締結する者のその契約によって生ずる債権を担保するためという、こういう目的で供託をすることになっておるわけでありますが、この金額、供託のその条件ですね、これは営業する者につきましては一人一万円ですか、これは成立当時から、この問題についてはこの法が制定されたときのいろんな質疑を見ますと、一万じゃ少ないんじゃないかというようなお話もあり、その根拠はどうなんだというようないろんな論議があったようであります。
 いずれにしましても、当時の議事録なんか見ますと、「家畜商の信用能力を最小限度において補完して家畜の取引の安全を確保するとともに、事故が生じた場合には、家畜商の取引の相手方の債権の保護をはかることを目的として営業保証金の供託に関する制度を設けた」ということでこの法律の成立当時に説明がありまして、結局これは「従事する者の数に応じ一人である場合には二万円、一人をこえる場合には一万円にそのこえる数に相当する数を乗じて得た額を二万円に加えて得た額」というこの金額が定められているわけですね。
 こういう法律の趣旨から申しますと、二万とか一万とかというのはちょっと現状にはそぐわないんじゃないですか。いまは子牛一頭、生まれたての子牛、これは和牛とか乳用牛とかそれによっても違いますけれども、乳用牛なんかは三万か四万ぐらい。乳用牛ですと、乳をしぼる方の牛ですと、これは半年ぐらいたって十五万かそこらぐらい、和牛ですともっと金額が張りますけれども。こういうことを見ますと、これは当時でさえちょっとこれは金額が少ないじゃないかということが議論になっているんですけれども、現状から見ますと、これはちょっとそういう法に定められた供託金というのは役割りを担っているのかどうか。そういうことであるならば、こういう複雑な手続をすることはこれはいいのか悪いのか検討の課題になるんじゃないかという、そんな気がしてならないんです。
 この問題、このことだけでございませんが、そのほかにもいろいろあるんだろうと思います。これは家畜商のことを一つ見ましても、金額だけで云々できない面もあるかもしれませんけれども、こういうようなことを百三十の根拠法ずっと当たりますと、少なしとしないという感じを持つわけですが、そういう問題にろいてはこれはいますぐどうということではないかもしれませんが、行政改革というこういうときであれば、どこかの部局、どこかの担当でやはり見直すときが来ているのじゃないかという気がしてならないんですけれども、大臣どうでしょうか。
#58
○国務大臣(奥野誠亮君) 御指摘いただきましたように、営業保証などのために供託制度を利用している、その場合に営業の種類あるいは性格あるいはまた、その制度が設けられた時期等によりまして供託金の額が区々になっている、まさに混乱しているじゃないかという御指摘、私にもごもっとものように思えるわけでございます。また、業界の信用を確保していくために業者全体で信用を守る、そういう意味で保証協会の制度などがだんだん確立されてまいりまして、供託制度がいささか必要性が薄くなってきているというようなものもあろうかと、こう思います。
 いずれにいたしましても、営業者と取引関係に立つ人たちを守るためにいろんな仕組みがとられている、その一つが供託制度だと思うわけでございます。
 御指摘のように、供託法につきましても根本的に見直す時期を迎えてきているのじゃないかと思うわけでございまして、そういう場合には、関係省庁にも連絡をとって、ある程度バランスのとれた供託金であることが望ましいのじゃないかと、私もそう思いますので一そういう際には、関係省庁にもう一遍御留意をいただく機会を法務省としても持つべきじゃないかな、かように考えますので、そのような心づもりで今後も進んでまいるようにいたしたいと思います。
#59
○藤原房雄君 これは本当は、百三十の根拠法に関係する関係の方々をお呼びして一つ一つただせばいいのかもしれませんが、確かにいま大臣の御答弁にもありました。これは三十六年の法律ですからまだあれですけれども、昭和二十四、五年当時のものですともっともっとそういうことがあるのかもしれません。私もそれを一つ一つ当たる時間もございませんけれども、ひとつこれは今後の課題として行政改革ということの上からも見てい。ただきたいものだと思うんであります。
 それから、もう一つは公証人の問題ですけれども、公証人の身元保証ということで、公証人というのは十一条によりまして法務大臣が任命することになっているわけですけれども、この公証人は手数料とか郵便料とか日当とか旅費とか受け取ることになっておりますが、一応国家公務員という。こういうことになるのだろうと思うんですが、いかがでしょうか。
#60
○政府委員(中島一郎君) 国家公務員と言います場合に、いわゆる国家公務員法の適用のある国家公務員であるかと申しますと、そうではないということになろうかと思うわけでありまして、そういう意味では、形式的な意義での国家公務員ではないということになるわけでありますけれども、その実質は、法務大臣の任命によって公務をつかさどるという意味におきまして、実質的な意義の国家公務員ということが言えるかと思います。
#61
○藤原房雄君 いろいろ今日までもそういうことについての公のものがあるようです、国家賠償法とか何か。そういう問題でもいろいろ論議され、またそういうことに対しての発表もあり、東京地裁判決の中にもありますから、実質上の国家公務員というこういうことが定説のようでありますが、この公証人の身元保証金ですね、これはどういう性格のものかということになるんですが、これは金額が少ないから、何も法の精神にそぐわないとかなんとか、金額だけで云々できないのかもしれませんけれども、この公証人の身元保証金の制度の目的、そして地域によって、東京都とか大阪とかこういうところは三万、七万以上の都市については二万、保その他は一方、こういうことになっていますね。
 こういう金額的なこととあわせまして、これは二十四年にできたやつですから、今日の時点でこの法の精神に照らしてこれが妥当なものであるのかどうか。いや、これはもっと高くしようかなんという、私そういうことを言っているわけではありませんが、こういうことで今日まで来て何ら支障がないということなのか、やっぱりこういう問題についても、複雑な供託の手続の中でこういうことが、先ほど来家畜商法の問題等と同じように、いろいろ仕事を複雑にし多くしている一つの問題であるということになれば、これはやっぱり考えてみなければならないことだ、こういうふうに思うんですけれども、公証人の身元保証金、このことについてどうでしょう。
#62
○政府委員(中島一郎君) 公証人の身元保証金につきましては、現在の公証人法の前身であります公証人規則というものが明治十九年に制定をされまして、身元保証金は管轄の始審裁判所に差し入れるということになっておったわけでございます。その後、明治二十三年に供託法の前身である供託規則が制定されまして、供託制度が発足をしたわけでありますけれども、公証人の身元保証金につきましては、すでにそれ以前から別個の制度として存在しておりまして、改めて供託制度を利用したものに変える必要もないということで実は今日に至っておるわけでありまして、供託制度は利用しておらないわけでございます。
 そういうことでございますが、身元保証金の性格ということでお尋ねございましたのですが、身元保証金というのは、やはり先ほど申しましたように、公証人というのは実質的な意義における国家公務員ということになりますので、国との間に一種の継続的な法律関係が発生するということになろうかと思います。
 それで、その法律関係における公証人の身元を保証する、こういう制度の性格を持つのではなかろうかというふうに考えるわけでありまして、その継続的な法律関係の継続中にいろいろ国の側において債権を取得するというような場合には、その債権を身元保証金の中から取りまして、そして残額があれば継続的な法律関係の終了の際にその残額を返す。ちょうど敷金のようなものだというようなことを考える説が、今日においては多数説というふうに申し上げていいかと思うわけでございます。
 ただ、それにいたしましても、公証人の身元保証金は、現在の貨幣価値のもとにおきましては、御指摘ありましたように、きわめて低額でありまして、国の求償権の担保その他、本来の目的を十分に達していないというような面もあろうと思いますので、廃止することも含めて検討の余地があろうというふうに考えております。
#63
○藤原房雄君 いま御説明ありましたように、これは確かに保証金ではないのは当然ですけれども、まあ敷金というふうに考えればということですけれども、それにしましても、現在そのことのためにトラブルといいますか、金額がこういう現状の中でトラブルが起きたということではないのかどうか。そういうことであれば、確かにいま局長のおっしゃったように、こういう制度が事務を複雑にするだけのことであって、実質的にはそういう立法当時の役割りをしていないということであれば、そういう大きな一つの検討の課題であるだろうと私も思います。そういうことも法務局ではいろんな、八十年、戦後を見ましても二十四、五年ごろ立法したものにつきましては、もう三十年、四十年の期間的な経緯もあり、また経済の大きな変動、財政的な大きな変化の中で、当然検討しなければならぬ問題が多々あるんだろうと思います。その中の一つとして、ぜひ御検討いただきたいものだと思うんです。
 それからもう一つ、利息を付すから、付さないからということではないんですが、供託金というものとそれから供託以外の保管金ですね、これはそれぞれの根拠法によって成っているわけですけれどもい何については供託金という形にするのか、何については保管金にするのかというこの基準といいますか、考え方の基本にあるものが、皆さんの説明はいろいろあるのかもしれませんけれども、どうも明確でないような気がしてならないんですけれども、これはやっぱり今日こういう状況の中で一つは検討に値することじゃないか、こう思うんですけれども、供託金それから供託以外の保管金、こういうものについて、これは他省庁にわたる問題について法務省が口を出すということじゃなくて、これは国全体の行政上のあり方として、社会の大きな変化の中で検討する課題ではないかという気がするんですが、このあたりどうでしょう。
#64
○政府委員(中島一郎君) 供託制度を利用するかどうかということは、そのそれぞれの根拠法令の所管されます省庁の第一次的に判断をされる事柄であろうかと思うわけであります。私どもといたしましては、その省庁が今回の問題について供託制度を利用したいということで御相談がありましたときに、供託制度になじむものであるならばそういうことを申し上げ、なじまないものであるならばそういう趣旨のお返事をするというような形でこの問題に関係をするというような立場にあるわけでございます。
 そういう意味で、直接私どもの方の所管の仕事ではないわけでありますけれども、供託金とそれから供託金以外の保管金というようなことでいろいろ区々になっておるというような面もございます。先ほど大臣は供託金についてお答え申し上げたわけでございますけれども、その他の保管金にわたりましても、いろいろと検討しなければならない点はあろうかと思うわけでありまして、機会をとらえてそういう方向で進んでまいりたいと考えております。
#65
○藤原房雄君 実際その事務手続は、皆法務省の窓口に来るわけですからね。行政改革のこういう機会でもございますから、これは本当に積極的にしなければならぬ。しかし、あす、あさってといってできることでは決してないわけで、ぜひひとつ機会を見て、大臣、これは大臣がやっぱり中心になっていただきませんと、法務省だけでできることではないだろうと思うんであります。
 それから、最近法務省の供託所の統廃合とか、こういうことを進められていることは私どもよく承知しておるわけですが、最近共働きとか、それから供託ということにつきましても銀行振り込みの制度ですね、こういうことによって、よりやりやすいような形というものも考えなければならぬことだろうと思うんですが、このことについては衆議院の法務委員会でいろいろ局長もお述べになっていらっしゃるようですけれども、銀行振り込みの制度というのは非常にむずかしいんだという、無理が多いというようなこういう御答弁をなさっておるようなんですけれども、いろいろな問題あるのはあるでしょう。しかし、これは具体的に法務省としてもいろいろ検討した経緯があるのか、また、その経緯の中でどういう点が問題になったのか、今後も引き続いて検討する余地があるのか、とてもこういう制度はもうなじまないんだというふうにお考えなのか、この辺はどうでしょう。
#66
○政府委員(中島一郎君) 供託金を銀行振り込みをするというようなことも、利用者の側からとれば非常に容易に制度を利用するという意味では好ましい事柄であろうかというふうに考えるわけでありますが、何分供託制度ということになりますと、まず供託書という書面を書いていただきまして、それに供託をする要件があるかどうかということを記載してもらうわけであります。そして、供託官がそれを審査いたしまして、これは供託の要件があるかどうかということの判断をし決定をするわけでありまして、もし供託の要件がないということでありますれば、これを申請を却下しなければならない、こういう形になっておりますので、その手続を省いて銀行振り込みで供託をするということは、現在の供託制度にはなじまないのではないかというふうに考えておるわけであります。
 そういった供託官の判断というものを残して、しかも銀行振り込みをとって、しかも利用者に負担のかからないような方法はあるのかないのかということが検討の対象になるわけでありますが、私ども現在のところでは、これといった具体的な案を準備するに至っておりませんけれども、供託制度を国民の皆様に利用されやすい制度に変えていくという基本的な姿勢につきましては、私ども常に心がけておるわけでありまして、今後とも銀行振り込みの問題も含めて検討してまいりたいと思っております。
#67
○藤原房雄君 供託の問題については、一応これで終わらしていただきます。
 外国人登録法の方に入らしていただくわけでありますが、今回のこの改正というのは、外国人登録法の一部を改正する法律案、法務省としていま行政改革の中で頭を痛められ、これは国全体のこととして、政府部内でのことでありますけれども、補助金の一律一割カット、こういうことの中で法務省は一億円カットしなさいということで、そういたしますという、こういうことでいろいろお取り組みになっているようでありますが、この補助金の削減一億円というこういうことと、このたびの外国人登録法の一部を改正する法律案、これが一割カットからくるこのたびのことなのか、それとは全然別に、外国人登録法のことについてはいままでも考えてきたところのものであって、行政改革とたまたま軌を一にしたということなのか。外国人登録法のことは、これは補助金というよりも事務委託費ということが中心ですね。そういうことからいうと、これは補助金云々とは違うのじゃないかというような気がするんですけれども、どうでしょう。
#68
○政府委員(大鷹弘君) 今度の私どもいま国会にお諮りしております三つの措置を合わせまして、大体年間一億九千万円の委託費が節約できることになっております。この委託費は、いわゆる一部補助金をなすものでございます。一億九千万円の補助金であるこの委託費を節約するということは、もちろん現在の補助金一割カットの枠の中で考えられていることでございます。それはしかし、それだけではございません、もともと今度お諮りしました措置、いわゆる簡素化、合理化の措置というものは、かねてからその必要を私ども考えておりまして、いずれお諮りしたいと考えていたところでございます。したがいまして、結局今度の措置は補助金の一割カットの大枠の中の措置であると同時に、私どもはいままで従来考えてきていた簡素化、合理化の措置の一環をなすものでもあるというふうにお答えすべきだろうと思います。
#69
○藤原房雄君 農林水産省の四百三十四億、厚生省の四百八十二億、文部省の四百二十九億、こういう大きい省庁を見ますと、ずっと補助金ということでいろんなことをやっておりますね。しかし、法務省はこれは事務委託費ということであって、補助金ということの、こういうほかの省庁との性格の上からいいますと、そういう範疇ではないのではないかと思うんですね。これは各省庁それぞれひとつ奮励努力せよということでこういう目標を定められた――目標というより金額が定められたのかもしれませんけれども、本来からいいますと、私は法務委員で法務省のことを言うと、何か肩を持っているみたいな言い方になるのかもしれません。そんなことじゃなくて、法務省のは、他省庁なんかで見ます補助金とは性格的にこれは違うのじゃないかという気がするんですね。
 一生懸命努力しようということは、それは力を合わせていかなきゃならないのは当然なことだろうと思いますけれども、たまたま外国人登録法、いままでも改正しようというようなことでいろいろ検討を進めておった、そういう中でのことでありますから、幸いこれでひとつ何とか補助金をということなのかもしれませんが、今度の行政改革、これは国の財政の非常に窮迫の中でのことですから、最大の知恵をしぼってやらなきゃならないことだろうと思うんですが、幸いこれはこういうことで事務手続上簡素化できるということがあったからいいんですが、これをお引き受けいたすには、大臣としてもやっぱりいろいろなお考えがあったのだろうと思うんですけれども、どうでしょう。
#70
○国務大臣(奥野誠亮君) 御指摘のとおりでございます。法務省は補助金に多くを依存しているわけじゃございませんで、法務行政、大体みずから行っているわけでございます。しかし、各省庁を通じます一律的な方針を決められたものでございますので、法務省としてもできる限りこれに協力するのが筋道だろうというようなことで、あえて外国人登録法、供託法の改正まで行って、そういう一律的な方針に即応していこう、こういう姿勢をとったわけでございます。
 したがいまして、臨調の答申の中にも入っておりませんけれども、補助金を一割減らすということになりますと、どうしてもこういう方法をとらざるを得ない。とっても、しかし財政再建という大きな命題に対しまして法務省としても協力していくことは大切でございますので、あえてこの道を選ばせていただいたということでございます。
#71
○藤原房雄君 外国人登録法につきましてはこのことだけじゃございませんで、いろいろ検討していらっしゃる。私ども新聞報道を見る限りにおきましては、相当御検討の結論がまとまりつつあるように伺っておるわけでありますが、今回この行政改革の一環ということですから、このたびのこの三つの項目といいますか、三点に集約して法案を出されたんだろうと思います。今後、現在検討中のもの、また検討中のことですね、これは私どもも前国会においていろいろ質疑をいたしたところでもありますし、これは深く聞くつもりもないんですけれども、現在お考えになっていらっしゃる、次の通常国会までにはという目標でいろいろ御検討なさっているように承っているわけですが、その粗々のことでも結構ですが、御説明いただければと思いますが。
#72
○政府委員(大鷹弘君) ただいまの藤原委員のお尋ねにつきましては、現在私どもは次の通常国会に提出を予定している改正点、約六点ございます。この六点の部内の検討状況についてお耳に入れておきます。
 第一点は、新規登録等の申請に際して写真を提出しなければならない最低年限の引き上げでございます。現行法のもとではこれが十四歳になっておりますが、これをもう少し引き上げる余地がないかという視点から現在検討しております。具体的には、私どもは現在のところこれを十六歳に引き上げてはどうかというふうに考えております。
 それから第二点は、登録事項の確認申請についてでございますが、確認申請の期間が現在三年でございます。これをもう少し延ばすことができないかということを検討しております。具体的には、これを三年から五年に伸長してはどうかという案をいま検討しております。また、同じ登録事項の確認申請についてでございますが、現在私どもはある一定の最低年齢に達するまでは確認申請をしなくてもいいような制度にできないかということを検討しております。その関連で、具体的には、十六歳未満の者について確認申請義務を免除し、十六歳に達したときに確認申請をすればよいということにしてはどうかと考えているわけでございます。
 第三点は、登録証明書の携帯義務年齢についてでございます。現行法ではこの義務年齢が十四歳以上となっておりますけれども、これをもう少し引き上げることを考えてみてはどうかということで、具体的にはこれを十六歳に引き上げてはどうかという考えでございます。
 それから第四点は、指紋の押捺でございます。現行法では指紋の押捺年齢は十四歳となっておりますけれども、これをもう少し引き上げてはどうかということで考えておりますが、私どもの現在の案では、これを十六歳に引き上げてはどうかというふうに考えております。また、指紋の押捺の機会をできるだけ減らすということで、この可能性も現在検討しておりますが、具体的には、現行法のもとでは四つの指紋を押捺しなければならないのですが、これを一つ減らして三つにできないかということを検討しております。
 それから第五点は、登録申請、登録証明書の受領等の際における本人の出頭義務年齢でございます。現行法ではこの年齢は十四歳となっておりますけれども、これももう少し引き上げる余地はないかと考えております。具体的には、これも十六歳に引き上げてはどうかという考えでございます。
 最後に第六点でございますが、これは罰則の整理に関する点でございます。現行法の罰則はやや画一的に過ぎるという御批判もいただいておりますので、もう少しこれをきめ細かく決めることができないかという視点から現在具体的に検討を進めておる、こういう状況でございます。
#73
○藤原房雄君 きょうは法案ということでありますから、いまいろいろお話しいただいたこと、後日また中身に立ち入って触れさせていただきたいと思います。きょうは一応差し控えさしていただきます。
 次の問題に移りますが、法務省の事務電算化という言葉、これも、入管白書なんか見ますと、外国人登録記録処理の電算化ということで一項目設けていろいろ報告されておりますけれども、五十年度からですか、現状分析とかいろんなことを進めてきているようです。詳しいお話は結構ですから、概略的に事務電算化ですね、外国人登録記録処理に関します現状、それから今後のことについてお話しいただければと思いますが。
#74
○説明員(亀井靖嘉君) 入国管理局の電算は、大きく分けましていまのところ三つの方向と申し上げてよろしいかと思います。一つは、いま改正法案にも関係のあります外国人登録記録の電算と、それからもう一つは、出入国する人たちの記録に関する電算、それに事務所における小さな電算、こういう方向で進んでいるかと思うのです。
 そのうち、今度の外国人登録法改正に絡みまして、都道府県の写票が廃止されるというふうなことがございますが、それとの関連で現在登録課において登録記録の電算ということを計画しておりまして、今年度予算要求約一億ということで、これは移行経費として要求するわけで、もしこの移行経費が認められれば、直ちに登録記録の電算作業というものが始まるわけでございます。
 ここ数年来、要するに研究開発費として予算はいただいておりまして、研究開発を続けてきたわけでございますが、この約一億の移行経費がいただければ電算化が進みまして、いまのところ五十九年の春にはこの登録記録の電算化というのが本格化する。その過程で電算ももちろん動きますけれども、本格化は五十九年の初めからという計画で進められております。
 いずれにしましても、これはその移行経費の一億というものが五十七年度の予算要求で認められればということでございますが、登録の電算の問題としては御理解いただけるのじゃないかというふうに考えているわけです。
 もう一つの出入国記録の方は、すでに作動しておりまして、これも登録課で所管する記録の整理でございますけれども、出入国した人たちの記録を電算に入れておりますけれども、概略申し上げますと、ややこの電算処理というのは現在不十分と申しますか、バッチ処理と申しますか、オンライン化していないわけでございまして、直ちに記録が出てこない。この照会が現在年間八万件ぐらいあるわけでございますが、それがどんどん増加の傾向にある。その照会回答がおくれるというのではぐあいが悪いということで、いま申し上げました登録記録の電算化と、この出入国記録の現在行っている電算処理を結合いたしまして、オンラインでこの記録が速やかに取り出せるようにしたいと、こういう計画も進めているわけでございます。
 現在、入国管理局の電算化計画は大体以上のようなものでございます。
#75
○藤原房雄君 それから、事務委託費の予算ですね、これは昭和五十六年は約十一億七千九百万になっているわけですけれども、これの配賦基準とかなんか、事務委託費を各都道府県、市町村に分けるに当たりましては、それなりの根拠があって、これは大蔵になるのだろうと思うんですけれども、それぞれの算定方式によっていろいろ算定なさって、事務委託費としてなさっているわけですけれども、自治省を中心といたしまして地方財政の立場から見ますと、今日までもいろいろ超過負担ということが大きな問題になっておるわけです。
 この事務委託費の人件費がほとんど余り見られてないというようなこと等で、超過負担だというようなことで、自治省からも五十七年度の地方財政措置、こういうことで法務省に対しまして、市町村外国人登録事務委託費の改普及び外国人登録に係る都道府県への委任事務の廃止という項目で「外国人登録事務の都道府県への委任については、登録写票に係る事務等の委任を廃止されたいこと。」これは今回実施になるわけですけれども、そのことの前に「外国人登録事務に要する市町村委託費については、専任職員が置かれている実態等に即して所要の人件費をその積算基礎に含められたい」という、事務委託費をいただきましても人件費が入ってない。結局は人件費が主な一主なといいますか、人件費分だけ超過負担になるという、こういうことが今日までも訴えられておりました。
 これは自治省としても大蔵省との間でいろんな話し合いになっているんだと思いますが、今度都道府県でも五十五人ですか、担当の方が、今回のこの措置によりまして都道府県職員五十五名減ずることができるというふうに言われているんですけれども、いままでの事務の中で、これは自治省、大蔵省、こういう担当の方々がいらっしゃってお話ししなきゃならないことなのかもしれませんけれども、いままでこの事務委託費がそういう地方財政にそれなりの実情にそぐわない面があったんだという、法務省としてはこういう点はお認めになるのか、また、こういう問題についてはどのように受けとめていらっしゃるのか、その間のことについて詳しいお話は結構ですから、簡単で結構ですが、御説明いただければと思います。
#76
○政府委員(大鷹弘君) ただいま藤原委員が御指摘になったのは、いわゆる超過負担の問題であろうかと思います。法務省といたしましては、この外国人登録事務を機関委任しております都道府県知事、それから市区町外長、こういう方々がこの事務に必要な経費で赤字を生じないように、毎年必要な経費を予算要求して手当てしているところでございます。現在の時点においては、私どもはこの超過負担の問題はないと考えております。ただ、いろいろな事情から、やはりこういう経費の増額が必要であるというような場合がいろいろございます。
 たとえば、ただいま藤原委員が御指摘になりました市町村における外国人登録事務、これが人件費積算方式になっていない。大部分が超過勤務手当であるというあれがございましたけれども、こういうものにつきましてもできるだけその実態を把握いたしまして、人件費積算方式が必要であると考えられれば、そういう手も打ってきているわけでございます。現在、市町村における人件費積算方式は七七・五六%に達しております。そういうことで、私どもといたしましては、今日までも常に実態の把握に努めてきまして、実態の把握の結果がどうしても増額が必要であるというときには、そのとおり予算上のいろんな措置をとってきております。今後におきましても、やはりいろいろとこういう市町村、都道府県における事務の実態というものを的確につかんで、必要であればこの事務委託費をふやしていくというための努力をしたい、こう考えておるわけでございます。
#77
○藤原房雄君 行政改革で補助金さえますますカットしようという中ですから、これはお金のことを何か言うのはどうかという気もするんですが、しかし、これはそういう適正化ということの中で、それは適正なことであるかどうかという、超過負担ということが今日までも叫ばれ、ずいぶん是正もされつつあるわけですけれども、地方自治体から見ますと、また私もあちこち行っていろいろ聞きますと、やっぱりある程度の、五十万前後ぐらいになりますと、もう専任の、市町村で五十万前後になると市ですけれども、そういうところですと、やっぱり専任の方を置かなきゃならぬ。市町村でもそれぞれの担当の方がいらっしゃる。そういう事務的なことについては、いっそのこと、もう県単位でやってもらった方がという、極論みたいな問題ですね。
 そうすれば、市町村では、そういう問題は県単位で登録事務や何から全部をやってもらったらという、これは実際でき得ることではないだろうと思うんですけれども、事務の簡素化ということだけ考えますと、集約的なそういう仕事は、できるならばそういう形が望ましいのかもしれません。しかし、現状というものをよくひとつ御賢察いただきまして、実態に合ったような形で進めていただきたいと思うんです。
 要するに、今回の改正は三点あるわけですけれども、この改正によりまして、原票は都道府県にあるわけですが、写票は県を経由して法務大臣ということですね。実際そういうことで、県に写票を送るだけということですから、それなりの事務の簡素化はできるということですけれども、経由するその県で、それをただ法務大臣に送るだけではなくて、やっぱり県としましても、自分の都道府県の中にどういう方々がいらっしゃるかということを、数字だけでいいというわけではないだろうし、やっぱり事務的なことについてはそれなりの配慮がなけりゃならぬということになると、今回のこの改正で県としてはどういう事務が残るんだろうかという、こういう感じがしてならないんです。
 現実この法改正が通過して実施になるという段階になりますと、県としては、いままであった仕事はどういうことで、これが改正になりますと、こういうこととこういうことだけ県としてしなきゃならない仕事として残りますと、こういう比較の上でちょっとお話しいただきたいと思うんですけれども、どうでしょうか。
#78
○政府委員(大鷹弘君) 都道府県知事の登録事務におきます仕事というのは、法務大臣と市区町村長の中間にございまして、市区町村長の仕事を指揮監督するということが中心でございます。いわゆる中間監督機関としての仕事でございます。で、今度お諮りしております三つの具体的な措置の一つとして、都道府県知事が写票を保管して分類整理するという仕事を廃止することになります。それじゃ、そういう写票を都道府県知事が持たないことによってこの中間的監督機関としての仕事に支障を来さないか、また、都道府県知事の仕事がどうなってしまうのか、こういうのがお尋ねの趣旨だろうと思うのであります。
 ところで、都道府県知事のこの指揮監督の権限というものは二つの法律から来ております。一つは、地方自治法でございます。これは都道府県知事の登録事務に関する包括的な指揮監督権を規定しております。この包括的な指揮監督権に基づいて都道府県知事はいろいろな仕事をしているわけでございますけれども、たとえばその一つとして、市区町村長に対する通達とか通知を発すること、それから研修を実施すること、さらに委託費の配賦を行うこと、それからいろいろな必要な物品の配付を行うこと、こういうことがございます。もちろん、この都道府県知事が保管する写票というものが廃止されるということによって、こういう意味の都道府県知事の指揮監督の仕事にはいささかも影響はないわけでございます。
 その次に、都道府県知事の指揮監督権は、具体的に外国人登録法及びその施行規則に根拠を持っております。いろいろなことが規定されておりますけれども、一言にして言えば、先ほど藤原委員がお触れになりました、市区町村長から法務大臣に送る写票でございますね、これも都道府県知事を経由するということになっております。この写票のみならず、いろいろな報告であるとかその他の手続がすべて都道府県知事を経由するということになっておりますので、都道府県知事としては登録の実態についていつでもこれを把握してチェックすることができる立場にございます。
 さらに、それのみならず、都道府県知事は市区町村長に対して外国人登録事務の監査を行う権限を持っております。また、必要があれば、都道府県知事は市区町村長が持っている写票を利用してチェックすることもできます。こういうことから考えまして、今度都道府県知事が保管しております写票を廃止しても、都道府県知事の仕事の中心的な部分を占めております市区町村長に対する指揮監督権には何らの影響はないと考えております。
 そこで、そういう場合、それじゃ都道府県知事の仕事はどう変わるかということでございますが、今度の簡素化、合理化措置によって、都道府県知事が写票を保管して整理分類する仕事がなくなりますし、それに関連する仕事がなくなります。そういうことで、そのほか不要になった登録証明書を法務大臣に送るということも必要なくなるということになりますので、こうなりますと、その中間的な地位にございました都道府県知事の仕事も減る。こういうことで、簡素化、合理化の結果、手間は省ける、しかし仕事の大きな、一番大事な仕事である指揮監督権の行使というものは残る。しかも、それは今度の写票の廃止によって少しも支障を受けない、支障は来さないと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#79
○藤原房雄君 これは事務的なことですから、私も実務を詳しく存じておるわけじゃございませんからあれですが、もちろん指揮監督の上において、支障なく行えるような範囲内での今回の行政改革でありましょう。いまお話しのことは大体私も理解するんですけれども、それによって都道府県では五十五名の人員減ができるという、こういう算定基準というのはどこから出てくるのか。手間が省けるといっても、確かに省けることは省けるんですけれども、どのぐらいのことなのかというそこらあたりをちょっと、いろいろむずかしい計算をなさって出てきたのだろうと思うんですけれども、そこまでの効果というのは実質的にあるのかどうかという、まあそんな素朴な感じがするものですからいろいろお尋ね申し上げたわけですけれども、ちょっと実際的にはそこまでのことができるのかなという、こう懸念といいますか、そんな感じも抱かないわけじゃないんですけれどもね。
 次に、これは九十一国会で外国人登録法改正のあの審議の中で、衆議院の法務委員会でも意見が出されました変更登録申請について「「職業」及び「勤務所又は事務所の名称及び所在地」」、こういうものについては必要ないのではないかという行政監理委員会の答申がございましたですね。これについて委員会でも今後検討してもらいたいというお話ございましたですね。これはまだ何年もたったわけじゃないからあれなんですけれども、これは国会での質疑もあり、また御答弁にもなっているわけでありますから、これはそのときの議事録に四点、それから三項目についてありましたですけれどもね。これは行政監理委員会でいろいろ検討して出されたことでありますから、それなりの見識はあるのだろうと私は思うんですけれども、今度もこういう行政改革というようなことの中で、やっぱり検討しなきゃならない課題ではあったのではないかと思うんですけれども、これはどういうふうに御検討なさって、また現在どういう状況になっておるのか、このことについてちょっと御説明いただきたいと思いますが、どうでしょうか。
#80
○政府委員(大鷹弘君) ただいま藤原委員がお取り上げになりました点は、行政監理委員会の勧告にも入っているし、それから昨年の国会でもいろいろとここで、国会の場で質疑にもなった問題でございます。
 そこで、私どもといたしましては、この職業、勤務先の変更登録義務緩和の可能性について検討いたしました。しかしながら結論から申し上げますと、この緩和はむずかしいというふうに考えております。
 それじゃ、それはなぜかということでございますが、理由は二つあると思います。もともと外国人登録法というものは在留外国人の身分関係、居住関係を把握して、そうして在留外国人の公正な管理に資するということが目的になっておりますけれども、この職業、勤務先というものは外国人の身分関係の重要な部分をなしております。そこで、その外国人の身分関係、居住関係を直接かつ即時に把握できるためには、どうしてもこの身分関係の重要な部分をなす職業と、それに関連する勤務先というものは、やはり変更があった場合には十四日以内に登録してもらわなければ、われわれとしては行政的に困ると、こういうふうに考えております。これが第一の理由でございます。
 それから第二に、この職業それから勤務先というものは、ただに在留外国人管理行政、これは特に資格外活動の規制等に関連するものでございますけれども、そういうことや、それから税務行政、これは税の賦課徴収にかかわるいろんな調査でございますけれども、こういうことにとって大事なばかりでなく、特に労働行政上、非常に重要な意義がございます。早急に外国人の職業とか勤務先を登録に反映させなければ、いわゆる外国人労働者の流入阻止を当面の大きな国策としております国の政策に沿った行政が実行できなくなると、こういう面がございます。
 したがいまして、そういうせっかくいろいろな御意見は出ましたけれども、私どもといたしましては、この点については変更登録義務の緩和はきわめて困難というふうに現在考えているわけでございます。
#81
○藤原房雄君 まあ、行政監理委員会の勧告は五十年ですかね。しかし、行政監理委員会としましてはそれなりの見識といいますか、それなりの角度から、もちろん管理責任といいますか、担当いたしております法務省の皆さん方の立場も考えずに一方的に行政上からこういうものが出されたものじゃないんだろう。やっぱりいま何点かの、緩和は非常にむずかしいと理由を挙げられましたけれども、そういう問題についてもいろいろ検討した上でのこの五十年の勧告だったんだろうと思います。それから、そんな大きな社会情勢の変化や何かがあったわけじゃございませんで、やっぱり勧告する側とそれを受ける側との見方の違いなのか責任の違いなのか。
 もう時間もございませんから、このことだけで御質疑することもできませんが、また後日、時間ございましたときに、これらのものも含めてまたさしていただきたいと思いますが、最後に、登録証明書の常時携帯または呈示義務の問題ですね。
 この登録のことについていまお話が進んできたので、この一点だけちょっとお伺いして終わりたいと思うんでありますが、この常時携帯、呈示義務という、これはしばしばトラブルの多いことでありますけれども、これも当委員会におきましてもいろいろ質疑もあり、いろいろな問題についてはもう当局の方がよく御存じのことだと思うんですけれども、現実これを現場で実施――実施といいますか、こういうことに携わるのは警察当局ということでありますから、今日まで警察庁としまして常時携帯とか呈示義務とか、こういうことで違反した件数ですね、これはここ数年、もしそういうデータがございましたらお述べいただきたいと思いますし、この常時携帯また呈示義務のことについて、現場でのいろんな御意見がありましたらお伺いしたいものだと思うんですが、いかがでしょう。
#82
○説明員(吉野準君) 登録証明書の不携帯で検挙いたしました数は、昭和五十五年中、三千七百七十人になっております。五十四年中は検挙した人員が三千百七十二人、五十三年中に検挙した人員が三千六百二十二人でございます。
#83
○藤原房雄君 今日までもいろいろ問題提起になっておりまして、きょうは時間もありませんから、詳しいことを一々申し述べるのは差し控えさしていただきたいと思いますが、この五十五年、五十四年、五十三年、この三年間ちょっとお話いただいたわけですが、これは国別にはおわかりになるでしょうか。わかったら、ちょっとお述べいただきたいと思いますが。
#84
○説明員(吉野準君) 五十五年中に限って申し上げますと、三千七百七十人検挙したうちで、韓国及び朝鮮の数が三千五百二十人でございます。それから中国、これが百三十五人、フィリピン五人、インドネシア一人、それからアメリカ十七人、主なところはこういうところでございます。
#85
○藤原房雄君 絶対数から言いますと、確かに韓国、朝鮮というのは人数が多いわけですからあれですけれども、いろんなこういう問題に関心のある方、またはいろんなところに携わる方々のお話を聞きますと、やっぱり東洋人といいますかが圧倒的に多い。このデータを見ましても、アメリカ人が十七人となっておりますけれども、警察官が第一線で声をかけたり、または何か尋問するのには、やっぱり東洋人というのはかけやすいからかけるのじゃないかというような、こういうことも言われておるんですけれどもね。英語ができなければ外人、アメリカ人をつかまえても、アメリカ人に聞こうかなと思ってもなかなか英語もわからなきゃ聞けないし、フランス人であるとフラン又語がわからなきゃ声もかけられないという、こういうことで、どうも東南アジアの方に気安くと言うとあれですが、声をかける率が多いのではないかということです。
 そういうことのために、本当ならばこれは検挙といいますか、違反の方の数でしょうから、違反にならない方というのはこれの何倍かあるわけなんでしょう。そういうことから、不快感を抱かせることが非常に多いということも言われております。そんなことは警察当局も十分に御存じのことかもしれませんけれども、登録証明書の常時携帯とか呈示義務とか、このことについても国会等でいろいろ論議がございますし、そういう中でやっぱり不快感を持たせるようなことが絶対ないとは言われないかもしれませんが、何らかの処置といいますか、緩和の方向で検討しなきゃならぬという議論はいろいろあるわけでありますけれども、そういうことをここで論議になりましても、現場の第一線の警察官というのになかなか徹底するというのはむずかしい。
 そういうことで、警察当局として常時携帯や呈示義務、こういうことに対して、どういうときにはどうするかというごとについてのいろんな指導というか、こういうものはいろいろなさっているんだろうと思いますけれども、現場の警察官に対しての指導というのはどういうふうになさっていらっしゃるのか。これは詳しいことは結構ですけれども、概略的な、簡単で結構ですけれども、どうでしょうか。
#86
○説明員(吉野準君) 警察の仕事というのはなかなかむずかしい面もございまして、外国人の取り締まりに限らず、内国人の取り締まりにつきましても、やはり立場上、職務質問をせざるを得ないという場面がしばしばございまして、これは質問を受けた方は不愉快に思われる場合もあろうかと思いますけれども、たてまえはあくまで任意で御協力を願って必要な事項について伺うと、こういう立場で外国人につきましても内国人につきましてもやっているわけでございます。外国人につきましては外国人登録法によるいろいろな取り締まりがあるわけでございますけれども、やはり一言で申し上げまして、私どもは社会通念上、妥当な方法で取り締まりを具体的に指示いたしております。
 なお、先ほど申し上げました五十五年中の取り締まり人員三千七百七十人でございますけれども、このうち逮捕した者の数が百六人でございまして、残り三千六百六十四人につきましては任意捜査でやっております、
 また、この統計には出てまいりませんけれども、ほんの軽微なものにつきましては、その場で警告する、あるいは注意をするということで帰している者が相当数あるというのが実態でございます。
#87
○藤原房雄君 そういう現状もあれですけれども、現場の警察官にどういうふうにこれを指導しているのかということで、社会通念上ということですけれども、私は若い方々なんか日本へ参りまして、特に留学生みたいな方ですと、これもよく留学生の問題はいろいろな角度から言われるわけですが、日本にいらっしゃる留学生というのは、もう国へ帰りますと相当な社会的な地位に立つ方ですね、何年間がたって振り返ってみますと、日本に留学なさった方々は東南アジアヘ帰りますと。そういう指導的な立場に立った方々が非常に反目的な気持ちが強いという、こんなことがずいぶんいろいろな角度から議論されて、何もこのことだけじゃないんですけれども、それはまあ私どもとしましては、受け入れる日本側としましても、日本に勉強に来て、やがて国へ帰りまして指導的な立場に立つ方にそういう感情を――反目感情といいますか、不快感を抱かせて、それが指導的な立場に立つということは、これは国益の上から見ましても非常に大きな問題であることはもう当然のことであります。
 これは、予算委員会とかいろいろなところでそれぞれの立場で議論されておりますけれども、やむを得ずしなければならない場合ももちろんあるわけでありますけれども、やっぱりそのときに対しましても、いま課長さん、社会通念上、妥当なというお話でありますけれども、生活環境が違いますし、慣習的なものも違いますからですけれども、日本は特にこういうことについては厳しい現状にあります。それだけに、対応とかそれなりの状況判断とかということが非常に大事なことになるのじゃないかと思うんですね。
 それから、常時携帯とか呈示義務、こういうものをどうでもいいんだなんて私、言っているわけじゃ決してないんですけれども、このことだけじゃなくて、交通違反なんかでつかまりまして不携帯ということになりますと、合併罪といいますか、大変な重い罪に処せられるという、こういうこと等もございまして、常時携帯とか呈示義務とかということについては、これはもう少し私どもも考えてみなきゃならない今後の大きな課題だなと思っております。
 きょうは時間もありませんから、後日にこの問題等についてはいろいろ申し述べたいと思っておるんですけれども、いずれにしましても、ひとつ法務省と警察庁といろいろ協議をいたしまして、こういうことについての第一線のあり方についてはお話し合いはなさっていると思うんですけれども、日本にいらっしゃった方々がそういう感情を抱いて帰国なさるなんということのないよう、ぜひひとつ、こういう点についてはもっと合理的な対応策というものを御検討いただきたい。具体的なことはまだ後日申し上げたいと思いますけれども、ぜひひとつ、これは慎重な御配慮をいただかなければならないことだと私は思うんです。これは第一線では大変な御苦労をなさっているとは思うんでありますけれども、こういうことについてきょうはいろいろ御質疑申し上げたわけであります。
 外国人登録法の一部改正というこのたびの法案そのものにつきましては、私どももこれは妥当なことだろうと思うわけでありますが、これにまつわります今後の課題というのは非常に山積いたしておる、こういうことで、当局としましてもひとつ各方面について真剣な御討議をいただきたいものだと思います。また、早い機会に改正案、先ほど局長からるるございましたけれども、こういう問題についてもぜひ国際社会の一員として、日本の国が、やはりほかの国とは違う社会環境にあることはもちろんでありますけれども、余り隔たった状況のないような面につきまして、国際化の進展する中にありまして日本だけが孤立するようなことじゃなくて、ぜひひとついろんな出入国管理、この問題につきましても御検討いただきたいものだと、こう思うわけであります。
 一応、この問題については、私は最後に大臣に御所見をお伺いしまして、質疑を終わりたいと思います。
#88
○国務大臣(奥野誠亮君) 国際間の交流がふえていることもございますし、外国人に対する日本の処遇のあり方というものは国際間の評価にも直接つながってくる重要な課題だと思います。たびたび国会におきましてもいろいろ御意見をちょうだいしているわけでございまして、そういうことを踏まえまして、さらに来春、外国人登録法の改正案を国会に提出したいということで準備を進めているわけでございます。警察当局ともいろいろ打ち合わせもしているわけでございまして、おおむね悪感情はできる限り排除していきたいというような考え方に立って努力を続けているわけでございますので、来春には御意見等を十分踏まえた上で改正案を提出させていただきたいと思っております。
#89
○近藤忠孝君 前回に引き続きまして、供託法の問題について質問をしたいと思います。
 この法案が、法務省苦心の作であるということを認めるのにやぶさかじゃありません。全体の行政改革に対応するということで、一生懸命探し出したものだと認めることにやぶさかじゃありませんが、しかし、これはきのうも申し上げたように、日銀という範囲で見ると、国民から見れば、やはり金利がついているんですから、それをいわば横取りするような形なんです、そういう点では国民犠牲の行革という、いま全体で出されている行革関連法案と一体のものだということで、これは残念ながら反対せざるを得ないということを最初に表明して、あとは実務的な問題について入っていきたいと思うんです。
 一つは、弁済供託の場合、場所によって受理されたときに法的効果が生ずるということになるんですが、なかなか素人ですからうまくいかない。あるいは郵送による供託ということも事実上認められているものですから、そうなりますと、せっかく本人は一生懸命やったけれども、法的知識や、あるいはふなれなために効果が生じないで、せっかくの与えられている権利が保護されないと、こういう場合も起こり得ると思うんですね。これは私は、法的にはしゃくし定規にやるべきことではなくて実務上の対応でできることじゃないか、救済できることじゃないかと、こう思うんですが、その点についてはどうでしょう。
#90
○政府委員(中島一郎君) 供託申請につきましては、本人がみずから申請をするというケースが大部分でありますので、窓口での相談には親切に応答するようにということで職員を指導いたしております。
 ただいま御質問にもございましたように、少し注意すれば有効な供託ができたのに、素人でふなれなために、あるいは知識が乏しいために、当然有効にされるべきであった供託がそのために無効になるとか、瑕疵があるとかというようなことのないように、たとえば供託書の記載に不備があってそれの補正が可能であるというような場合には、補正をさせるとかというような取り扱いをいたしております。
#91
○近藤忠孝君 時間あるいは人の関係がありましてぎりぎり持っていった、しかし不備であるということで、そのときに効果が生じておれば法的な救済が得られたのにという、しかし、なかなかそのとき補正がむずかしいというような事例もぎりぎり起きる可能性があると思うんですね。こんな場合に、やはり持っていったときに、後の補正がきわめて事務的なものであれば、正式な受理はどう評価するかはまた別な問題で、なかなかその辺はあうんの呼吸があると思うんですけれども、その辺はこれはうまく配慮はできるものでしょうか。
#92
○政府委員(中島一郎君) 具体的なケース・ケースによって解決をされるべき問題であろうかというふうに考えておりますけれども、ただ、供託者の便宜ということだけを考えるというわけにもまいらないというような面があろうかというふうに考えております。供託要件が具備しておるかどうかということは、御承知のように供託書の記載だけによって判断をするということになりますので、係官がこういう形であれば供託できますということで余りに誘導をいたしますと、事実に異なる記載が供託書にされると、そのために実体に合わない供託がされるというようなこともありますので、その取り扱いについてはきわめて慎重にやらなきゃならぬことじゃないかというふうにも考えておるわけでございます。
#93
○近藤忠孝君 いまの民事局長の答弁からしますと、この問題は余り詰めない方がよろしいように見えますので、一応余りしゃくし定規にやらずに、その辺は法的知識あるいはふなれな国民を相手にしている、そういう仕事だということを十分考えて処理をするように御指導いただきたいと、こう思います。
 その関係で、職員が親切に対応するということが必要なんですが、ただ、なかなか人員の関係等で窓口の事務が多くて対応し切れない、したがって不親切になる。私たちもよく窓口へ行きますと、おろおろしている素人というのが結構おるわけですね。しかし、なかなかそれに対応し切れない、書類を突っ返すという場合も間々あるわけです。特に小さな法務局ですと、かなり高度の法的知識を要求される事務でありながら、何でもやらなければいかぬ、そうすると、すべてに精通しているということはなかなかむずかしいことだと思うんですね。その辺の指導や対応、これはどうなっておりますか。
#94
○政府委員(中島一郎君) 法務局の取り扱う事務、いずれもそうでありますけれども、なかんずく供託事務というのはかなり法律的な処理を要する事柄でございます。そのために、供託事務に当たります職員には、そういった経験者をなるべく充てるようにということにいたしておりますし、また、担当者に対しましては、絶えず研修等の機会を多くすることによりまして十分仕事に対応できるようにというようなことを心がけておるわけでありますが、それとは別に、法務局の窓口におきましては、供託手続に必要な各種の供託書あるいは払い渡し請求書の用紙を備えておきまして、それに請求の都度無料で用紙を交付しましてその記載をしてもらう。そして、記載方法は、それぞれの供託類型ごとに詳細な記載例を備えておきまして、記入方法等についての質問については窓口において十分相談に応ずるようにというようなことで取り扱っておるわけでございます。
#95
○近藤忠孝君 そうなっているのは私も実際目撃しておりますから十分承知しているんですが、しかし、あそこへ行きまして、記載例と自分の事例とが同じかどうか結構戸惑うんですね。これは、われわれ資格のある弁護士が行きましても、それを見ながらいろいろやるんですけれども、結構時間がかかるんですよ。なれればいいんですけれども、なれなければ結構時間がかかりますね、中には、荘然としている人もたくさんおるんですよ。かといって、今度職員の側も、時間があいていればそれはそれなりにやってあげられるんでしょうけれども、人間だれしも仕事がたくさんある場合には、人のことは構っておれないんです。来れば、うるさいから突っ返すというそういうことだと。
 一つは窓口の親切の問題と、もう一つは人員の問題があると思うんです。特に人口が急増したところとか、事務が急激にふえている、そういうところでは、果たして十分にいまの人員で対応し切れているんだろうか。その点はどうですか。
#96
○政府委員(中島一郎君) 大変繁忙なときには、確かに不親切であるというような印象を与えるようなこともあろうかと思いますけれども、私どもとしては、極力そういうことのないようにということで指導しておるわけでございます。
 それから、現在の人員の点でございますけれども、供託事件の受理件数その他が先ほども申し上げましたように必ずしも増加しておらない、横ばい、あるいは若干減少傾向というようなことでありますので、供託部門に対する増員もままならないというような現状にあるわけでありますけれども、個々具体的なケースに応じまして、必要なところに必要な人的な対応を考えるということでまいりたいと思っております。
#97
○近藤忠孝君 そういう親切の問題と、もう一つは、私は全体の統一の問題があると思うんです。これは指導の問題だと思うんですがね。たとえば、サラ金関係で元金十万未満の供託をする場合、場所によって金利を二割書かせるところと、それから一割八分書かせるところがあるというんです。そういう状況は御承知ですか。
#98
○説明員(筧康生君) 具体的な取り扱い等、そこまで詳しく承知しておりません。
#99
○近藤忠孝君 これは実際、東京、大阪では一割八分、それから京都では二割。同じ関西で、京都へ持っていったら二割納めなければいかぬし、大阪だったら一割八分というのは、大変戸惑うわけですね。だれしも一割八分がいいわけですから、ここで低い方へひとつ統一をしてほしいと、こう思いますが、どうですか。
#100
○説明員(筧康生君) 利息制限法を詳細に検討いたしまして、また各地方の実情を若干調査いたしまして、そのような不統一のないように処理したいと思います。
#101
○近藤忠孝君 それからもう一つの問題は、五十七年度は三年に一回の固定資産税の評価がえの時期であります。いま固定資産税は大幅の上昇になると、こういう見通しで、公示価格で見てみますとこの三年間、全国平均で住宅地が二六・八%、東京圏だけですと四六・八%と、こういう急上昇で、しかも開発が進行している地区、国鉄、地下鉄の新駅が新設された場所などは三年間で五〇%以上の土地の高騰ですね。そうなりますと、当然固定資産税がぐっと上がるんですね。
 そのことは供託と直接関係ありませんけれども、しかし、大体地代、家賃の値上げのチャンスは、この固定資産税値上げの時期なんです。その機会に一斉にやってまいりまして、すると、それを当然みんな払い切れないから反対する。そこで紛争が起きて、そして供託へと、こうなってくるのは、私は実務上の体験で出てくることです。ですから、この固定資産税の時期が私は統計上も供託件数がふえていると思うんですが、その辺の統計はどうなっていますか。
#102
○政府委員(中島一郎君) 過去の年度別の供託受け入れ件数を見てみますと、供託件数は先ほども申し上げましたように、おおむね横ばい傾向ということになっておりまして、特に固定資産税評価額が改定された年度に受け入れ件数あるいは受け入れ金額が格段に増加したというような事実はなかったように見受けられます。
#103
○近藤忠孝君 多少紛争ですから時期がずれますから、その年にということでは私はないと思いますけれども、しかし、私は用意にこしたことはないので、こういう方向が、五十七年から五十八年にかけてそういう傾向が出てくる可能性があるということで、ひとつその心構えといいますか、対応をいまから準備をお願いしたいと思います。
 それからもう一つ、これも実務上の問題ですが、先ほどは外国人登録関係等でのコンピューターの話があったんですが、供託関係でもいまコンピューターをかなり使っていると思うんです。その使用の状況を御説明いただきたいと思います。
#104
○説明員(筧康生君) 供託関係におきましても、一部でございますけれどもコンピューターを使用し供託金の管理、それから利息の計算に役立てております。
 システムといたしましては、東京法務局と大阪法務局におのおの中型のコンピューターを配置いたしまして、東京法務局の関係では八王子、武蔵野、府中、横浜など十一の供託所に端末機を設置しております。また、大阪法務局関係につきましては堺、岸和田、東大阪等に十二の端末機を設置いたしております。
 なお、大阪法務局関係の一部につきましては、この端末機と本体とをオンラインで接続するというシステムになっておりますが、東京法務局管内のものはそういう仕組みにはなっておらない、いわゆるバッチシステムという形で利用しておるという実情でございます。
#105
○近藤忠孝君 最近コンピューター犯罪が新聞をにぎわしておりまして、銀行できわめて大金がいとも容易に一容易かどうかわかりませんけれども引き出せると、こういう状況であります。幸いいまのところ、法務局関係ではそういう事故は起きていないと、こう聞いておるんですけれども、しかし、ミスは起こると思いますね、犯罪に対する一応それは対応策もあると思いますが、それはさておいて、それももちろん対応策は十分対応してほしいと思いますけれども、問題は、それよりもやはり機械と人間の関係ですから、そのときのちょっとしたことでミスが起きる可能性があるわけですね。それがきわめて大きな結果になるということが、今回の一連のコンピューター犯罪が示していると思います。
 そうなりますと、そういう事故が起きた場合に、現場での職員のミスはそんな大きなミスではない、ちょっとしたミスだと思うんですね。その結果、その責任はどこに行くのか、こういう問題が出てくると思うんです。どうですか。
#106
○説明員(筧康生君) まず、御質問の前提といたしまして、このコンピューターを利用する際、そのコンピューターによるミスというものをできるだけ少なくするという対応策をとっておるということを申し上げておきたいと思います。
 その対応策というのですか、実際上供託所のコンピューターにはなかなかミスが入りにくいということの第一は、たとえば銀行等でございますと、カード等一番コンピューターの末端のところは利用者自身が操作するという過程が入り込んでくるわけでございますが、供託所のコンピューターというのは、すべて職員が操作するということが、まず何よりもミスの発生を防止しておるという実情になっております。
 さらに、実際上の供託の中でミスが生じてまいるということになりますと、払い渡し金額が過大である、あるいは過小であるという事態が予想されるわけでございますが、払い渡し手続の際には、これは現金は払いませんで、必ず小切手でもって払い出しをするということになっておりまして、その小切手の金額を切る際には、コンピューターから出てまいりましたデータのみではなく、もう一度供託所の複本というものをチェックする。なお、私どものコンピューターというのは、すべてのデータがコンピューターに入っておるわけではございますが、別にもう一つ、供託所複本というものを用意しておるというシステムになっておりますので、その複本をチェックするということによって、機械のミスというものもチェックできるというシステムになっておるわけでございます。
 なお、そのほか、オンラインシステムの端末機のチェックはその都度行っております上、二日の事務終了後、コンピューターによる計算と小切手の原符の突合を行って、その異同がないかどうかということをチェックするなどいたしまして、コンピューターの間違いというものを早期にチェックできるというようないろいろなシステムをとっておるわけでございます。しかし、現在までのところ、コンピューターが故障し、あるいは他人が不正な操作をするというようなことで利用者に迷惑をかけたというような事例は一つもないわけでございますけれども、機械あるいは人間の操作というものでございますので、あるいは誤りが絶無ということはあり得ない、こう思うわけでございます。
 その際の責任というのがどういうふうになるかということは、これはそのコンピューターミスが生じてまいりましたところの原因がどこにあるかということと切り離しては考えがたいことでございますので、一般論としてだれが責任を負うのかというようなことは、なかなか申し上げにくいというように考えております。
#107
○近藤忠孝君 事故を起こさないための万全の措置をとっているということは大変結構なことだと思うんですが、それは銀行だって同じだと思うんですね。銀行は特に商売ですから、事故が起きたらよけい大変で、そういう意味じゃ必死になってやっていると思うんですが、それでも事故が起きる。問題は、私は結果が大きいということですね。よって来たところということはそれは当然ですけれども、しかし、よって来たところずっといった場合、第一線の現場職員ということにそれはやっぱりなる場合があると思います。
 そうした場合、結果が大きい場合、けた一つでも二つでも間違ったら大変な話ですね。そういう場合に、いわば現場の職員は一生働いたって退職金は幾らもないんですから、それはとてもその人の負担を超えるものになっていくと思うんです。そういう点の配慮はされているんですか。
#108
○説明員(筧康生君) そのような具体的な事案に遭遇したことはございませんので、具体的にどういうことになるのかということも詰めて考えたことはないわけでございますけれども、いわゆる公務に関する損害が国民との間に生じました場合には、現在の国家賠償法のたてまえといたしましては国がその責任を負う。ただ、国が責任を負った後で、その責任の発生事由というものが当該公務員の故意または重過失ということに由来する場合には、求償権が行使できるというような事態になっておりまして、その意味で公務における責任というものは、一般の場合よりもある意味では軽減されておるというような事態になっておるのではないかと思っております。
#109
○近藤忠孝君 それは法律の規定と解釈があって、問題は後の配慮の問題だと思うのですね。それはこの場所では、ひとついま言った過当な、余りにも過当な負担は避けることが必要であろう。もちろん故意の場合は違いますけれども、過失の場合にはそういう配慮が必要だろうということを申し上げて、次に入りたいと思います。
 次は、外国人登録法の改正案についてですが、今回の法案が一億八千万円の委託費を削減することと五十五人減らすという点で、問題は、先ほども出たとおり、そのこととの関係で都道府県に負担を強いることにならないかという問題であります。いままでの答弁ではそうはならないということですが、しかし、たしか東京なんかの場合のように専任がおって、あとアルバイトを使っているという場合には、事務量が減った分だけ後の操作の監督業務だけですからそれは比較的単純にそういくだろうと思うんです。ところが、調べてみますと大阪、神奈川、長野、こういう府県では地域割りというんですか、担当が地域割りになっておる。
 そうなりますと、人数が減れば、たしか一部の今回の事務は減りますが、しかし、そのほかの監督事務との関係で、今度は担当範囲がふえるわけでしょう。そうなりますと、法務省の考えているように、そのまま単純計算でいくとやはり超過負担が出てくるんじゃなかろうか。こういう問題はどうですか。
#110
○政府委員(大鷹弘君) ただいまの問題でございますけれども、まず今度私どもがお諮りしております三つの措置によって節約される金額は年間一億九千万円でございます。これは近藤先生ただいま御指摘になりましたように、都道府県の職員五十五名分の委託費に当たるわけでございます。
 この一億九千万円を減らすことが都道府県の超過負担を生むことになりはせぬかという御心配でありますけれども、私どもはそうはならないと考えております。なぜかと申しますと、この一億九千万円というのは、今度の措置によって廃止される事務のために必要な経費でございます。それ以上のものではございません。そうは言っても、いま先生おっしゃいましたように、一部の人員は張りつけになっているから、したがって実質的に超過負担になりはせぬかというのは、また先生の御心配の点かと思うのでございますけれども、この点は私どもといたしましては、これは都道府県の方の問題だと思いますが、委託費がこういったように事務の簡素化、合理化によって減ったという場合に、いま抱えておられる人員をどういうふうに合理的に配置するか、あるいは再配置するかという問題であろうと思います。私どもとしては、都道府県の方で、その点は十分に新しい事態に即して、不都合が生じないように図られるものと考えておるわけでございます。
#111
○近藤忠孝君 そうしますと、府県任せということになるのですが、それでもやはり超過負担は出てくる可能性は私はやっているうちにあるんじゃないかと思うのですよ。現にそういう心配をしておるのですね。これは衆議院の答弁以来、超過負担が起きそうな場合には速やかに措置をとると、こう言っておるわけですから、私は地域割りの関係でいろんな不都合や超過負担が出てきた場合にはいろいろ対応策があると思いますけれども、何らかの対応をすべきだと思うのですが、そういう考えはありますか。
#112
○政府委員(大鷹弘君) 外国人登録に関する事務に要する経費は国が負担すべきであるということは、地方財政法で規定されていることは御承知のとおりでございます。したがって、私どもといたしましては、毎年都道府県それから市町村に対する委託費を予算で要求しまして、そしてこれを配賦している、こういう状況なのでございます。
   〔委員長退席、理事藤原房雄君着席〕
 ところで、この地方財政法の意味するところは何かといいますと、私どもは外国人登録に要する標準的な経費であるというふうに考えております。標準的な経費というのは、通常必要とされるような人件費であるとか物件費あるいは旅費、こういうものだろうと思います。
 それでは、いま先生がおっしゃいましたケースについて超過負担が生じないかどうかということでございますけれども、私どもとしては、先ほど申し上げたように、仕事が減れば当然人員は減るはずである。その余剰人員は都道府県の方で合理的に再配置すべきものである。それがもし行われないで、仕事が減ったのに同じ数の人員がいるということでは、これは言うなれば冗員がいるということでございまして、私どもが考えている標準的な経費の中には入ってこないわけでございます。したがって、そういうものにつきましては、これを私どもは超過負担とは考えておりません。
 もちろん超過負担、私どもも当然この実態を調査した結果、これは必要であるというような超過負担になりそうなそういう問題につきましては、私どもとしてはなるべく早くこれに対する必要な手段を講ずると、この立場、この姿勢には変わりはございません。
#113
○近藤忠孝君 じゃ、いまの一番最後の発言のところを私は受けとめて、そうしてほしいということを求めたいと思います。
 それから次は、この外国人登録法全体の問題、また、その前の段階として出入国管理令というのがありますが、順序からいきますと、まず入ってきた場合には出入国管理令の対象になりますね。そして、やがて外国人登録法の対象になる。この二つの法令の関係はどうなっておるんですか、一般的な問題について。
#114
○政府委員(大鷹弘君) これは外国人登録法にも規定されておりますけれども、外国人登録法というのは、言うなれば出入国管理令に奉仕する、そういう役目を担った法律でございます。それは外国人登録法にもはっきり書いてございますけれども、登録法の目的は、外国人の身分関係それから居住関係を的確につかんで、そして在留外国人の公正な管理に資するということになっているわけでございます。そういう意味で、外国人登録法とそれから出入国管理令、こういうものは一体となって公正な在留外国人の管理に役立っている、こういう関係だろうと思います。
#115
○近藤忠孝君 順序から申しますと、まず上陸の要件です。それぞれの入国条件で入ってきますね。そして、その後一定の期間を経たらば今度は登録しなきゃいかぬ、こういうんですが、しかし、入ってきたそのときの条件でそのまま登録というわけにはいかぬわけでしょう、その辺。
 たとえば最近の新聞ですと、労働ビザで入ってきて、それでそれが売春その他のことで逮捕されましたね。そんなのが今度、これは逮捕されたんですが、長くいた場合、その間の法的関係はどうなっているんですか。
#116
○政府委員(大鷹弘君) 非常にわかりやすく申し上げれば、出入国管理令では、外国人がわが国に入ります場合には、すべて何らかの在留資格と在留期間を持って入ってくるわけでございます。いま御指摘になったようなケースの場合には、観光ビザで入ってくる場合もありましょうし、興業ビザで入ってくる場合もございましょう。こういうそれぞれの資格と期間を持って入ってくるのでございますけれども、外国人登録の対象になるのは、すべての外国人ではないわけでございます。これはたとえば、滞在期間が九十日以下の場合には、外国人登録の対象にはならないということでございます。そのほかに、外交官であるとか、あるいは公用旅券を持った人たちとか、こういうのは初めから国際礼儀上の点で外されております。
 ところで、九十日以上日本に在留する者は、そこで外国人登録をしなければなりません。その外国人登録をする際に、いろいろな登録事項というものがございます。その登録事項の中に「在留資格」と「在留期間」という、そういうものが入っております。したがいまして、その外国人は、わが国に入りましたときに持っていた在留資格、在留期間、それは入国後、更新変更された場合には更新変更されたものによって置きかえられるわけでございますけれども、それを外国人登録原票の中に正確に反映させなきゃならない、こういうことになっているわけでございます。
#117
○近藤忠孝君 そうしますと、順序からいくと二つあると思うんですね。最初、入国条件、上陸条件、そしてその条件で長期滞在する場合、果たしてそれでできるかどうかという問題、変更が必要かどうかという問題、そしてその上で登録できるかどうかと、そういう問題になろうと思いますが、そう考えてよろしいでしょうか。
#118
○政府委員(大鷹弘君) 在留資格の変更というのは、出入国管理令上の手続によって行われるわけでございます。他方、外国人登録は、その外国人がそのときに持っている資格を正確にそのとおり登録するわけです。出入国管理令上の資格の変更とかそういうものがあった場合には、当然、外国人登録法上もこれは変更されなければなりません。したがって、二つのことは、一応別の手続でございますけれども、お互いに関連しているということは言えようかと思います。
   〔理事藤原房雄君退席、委員長着席〕
#119
○近藤忠孝君 そういう点で、一体のものとして運用されておりますし、これも先ほどの藤原委員の御指摘のとおり、大変国際的な問題を持って、これからの国際化の中で外国人登録法の運用や出入国管理行政の執行というものは大変慎重かつ重要な問題だと、こう思うんです。
 そこで、法務大臣、質問がおくれて大変失礼しましたけれども、お伺いするんですが、上陸の要件と関係しまして、上陸拒否の具体的要件がこれは出入国管理令第五条第一項に列挙されていますわ。それは具体的な要件ですから特に問題ないと思いますが、ただその十四号に、その他ということで「法務大臣において日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある」場合には、こういう者を上陸をさしちゃいかぬと、こういう規定があるわけです。この中身は「日本国の利益」とか、あるいは「公安」とか、あるいは「虞がある」とか、「相当の理由」とか、大変これは判断が広範にわたり、しかも主観的な判断や誤った判断をしますとこれは国際的な問題にまで発展しかねない、こういう問題だと思うんです。
 これは「法務大臣において」ということですから、まさに大臣の権限そのものでありますので、この条項をひとつ執行するに当たっての大臣の心構えをお聞きしたいと思うんです。
#120
○国務大臣(奥野誠亮君) 「日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる」ということでございますので、法務大臣だけで考えることではなくて、特に諸外国との関係においても外務大臣の考え方を尊重する必要がございますし、また、公安ということになりますと、国家公安委員会の考え方を尊重する必要もあるということではなかろうかと、こう思います。
#121
○近藤忠孝君 きわめて国際的な問題ですから、私は大臣の言動によっては思わぬ結果が起きると思うんですね。その場合、私は一般的な発言だとか、あるいは自分は相手を批判するつもりはなかったとか、こう言っても、これはおさまらぬですわね、国際的な紛争が起きてしまった場合。当然これは大臣として責任を負ってもらわなきゃいかぬと、こういうことになると思うんです。政治はまさにそういうものだと思うんです。
 そこで、私は先ほど寺田委員がお聞きになった問題に戻りたいと思うんです。国内問題でもこれだけ大問題が起きるんですから、そういう意味で私は大臣のひとつ本当の真意なり決意をお聞きしたいと、こういう意味で、先ほど大臣お読みになったこの文章ですね、これについて若干お聞きをしたいと思います。
 私なりに注意したつもりでありますが、いるいろの見方もあり、ご批判も出ておりますので今後とも言動には十分慎重を期し将来ご批判を受けないよう深く留意して参ります。
こういう発言であります。私、素直ですから、これを受けとめますと、大臣、やはり過去の一連の発言について反省をされたからこのような表現をされたのだと、こう思うんです。
 そうだといたしますと、どこの部分についてどういう反省をされたのか、率直にひとつおっしゃっていただきたいと思います。
#122
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、またこれを申し上げているつもりはございませんで、先ほど寺田委員から行革の委員長との間でどういう話があったのかというお尋ねでございましたので、実はこういうお話をしておりますということを申し上げたわけでございます。
#123
○近藤忠孝君 そうなりますと、しかし、また求められればこういう発言をするんでしょう。
#124
○国務大臣(奥野誠亮君) よく考えてまいります。
#125
○近藤忠孝君 よくわからないんですが、そうすると、条件によっては、また相手の出方によってはこういう表現もしないということですか。そうすると、なぜ先ほど寺田委員にああいうことで読み上げたんでしょうか。
#126
○国務大臣(奥野誠亮君) 行革の委員長の玉置委員長がきのう行革の委員会で、法務大臣の意向をただしたらこういうことであったということであったと、それはどういうことか、こういうお話でございましたので、それでこういうことを申し上げております、話が最終的になって意向を求められたらどういう意向を表明するかということであるから、その場合にはこういうことは申し上げて結構でございますよという御連絡はしておりますということです。
#127
○近藤忠孝君 ですから、申し上げて結構だということは、やっぱり真意だということですよね。それはもう当然のことだと思うんです。しかし私は、こういう表現をする以上、やはり大臣なりにいままでの発言について反省があったんでしょう。それだけ一つお聞きしましょう。
#128
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、いろいろな御意見につきまして謙虚に受けとめますと申し上げております。
#129
○近藤忠孝君 謙虚に受けとめることと、要するに人の言葉が自分の体へ入った場合と、それと自分でどう評価して次の行動を起こすかと、これは違うと思うんですね。問題は、いままでやっぱり大臣のこの人の道発言は、大臣の発言としては不相当だから反省を求める――反省もしないから、とうとう罷免要求まで打っちゃうわけでしょう、だから、みんなが求めたのはそこのところなんです、しかし、その後の、一昨日もそうですし、昨日も行財政特別委員会における下田委員に対する大臣の答弁を見ましても、私はどうも反省された場面は全然出てないものですから、一方こういう文書が出ているものですから、一体どうなっているのか。私は、これは国内問題ですけれども、外国ではちょっと通用しないようなことだと思うんですね、こういうちょっとよくわからぬこと。そこでお聞きしておるんです。どうなんでしょうか。
#130
○国務大臣(奥野誠亮君) そういうお話になってくるから、私はこんなことを申し上げておりませんと、こういう言い方になっておったわけであります。もともと私はこの委員会でも、私が一〇〇%正しいというようなことを夢にも思っていない、また、お互いいろんな考え方があるのだから、謙虚にお互いの意見を交換し合いながら前進させていきたいと思うのだと。
 何か言うとすぐ罷免と、共産党さんがそうおっしゃるけれども、そうじゃなしに、やっぱり意見を交換していきたいと、こう言っているわけでございまして、きのうもまた罷免とおっしゃっているわけです。その前提に立ってあなたは私にお聞きになっているから、私はまだこんなことを申し上げておりませんよと。寺田さんがお聞きになったのは、行革委員長との間でどういう話があるのかとおっしゃるから、私は率直に何もかも申し上げているわけでございまして、そうしたらまたこれを基礎にして非難してこられるわけですから、私は、話がつきましたときにはこういうことは申し上げるつもりでおりましたということを、率直に申し上げているわけでございます。
#131
○近藤忠孝君 共産党が罷免要求したのは、きのう初めてです。それまでは反省を求め、むしろ御自分で辞任された方がいいのじゃないかと、こういう指摘をしておったんです。
 その議論をしても仕方ありませんから次へ進まなければいけませんが、ただ、きのうの下田質問に対して大臣はこういう発言をされておるんですね。これは一番最後の方ですが、証人を申請するのは検察だから、証人にだれが望ましいということについて発言することは私の監督に属する問題だと、こう発言されたんです。これは、私は恐らく大臣が人の道の発言――その前段にもう一つあるということは十分承知しての上ですが、あの発言をなさったときに、要するにこれは自分の権限に関する問題だということは十分承知をして、それについて発言する場合には、それは一般的指揮権の問題じゃなくて具体的指揮権の問題だということを十分承知して、それで発言されたんでしょう。
#132
○国務大臣(奥野誠亮君) きのう下田さんは私に、司法権への介入じゃないかと、こうおっしゃったのですよ。それで私は、司法権への介入ではありませんよと、こういう意味で申し上げたわけでございまして、検察庁法には、法務大臣は「検察官を一般に指揮監督することができる。」と、こう書いてあるわけでございまして、そういう意味においては、検察官はどういう訴訟活動をするのが一番望ましいかということにつきましても、国民の批判があります場合には、その批判を受けないような姿勢をとるように注意していく必要があるのじゃないかと、こう思って、私は証人の問題について何か意見を言うとしても、それは司法権への介入になるわけじゃございませんよと、こういう意味で答えたわけであります。
#133
○近藤忠孝君 下田さんは法律の専門家でありませんから、私も聞いておって、多少省略があったようですよ。要するに、大体検察庁法十四条というのは、検察と司法というのは大変密接不可分のものだから、そこに対して法務大臣が不当な圧力を加えると、そのことを通じて司法への介入になるということに関連して出てきた法律ですね。それを下田さん自身は一緒くたにのみ込んで、それで司法への介入と言われた、そのことで出てきた答弁であることは私は十分承知しています。
 ただ問題は、その答弁で出てきたことが、だれを証人に呼ぶかは私の監督下にあるということですから、私はいま改めてお聞きするのは――これは改めての質問です。ただ、大臣が人の道の発言をされたときには、当然そのことが自分のいわば監督に属する問題だと、こういう御認識をお持ちの上で発言されたわけでしょう。
#134
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、別に個々のことを考えているのじゃなしに、検察庁のとった訴訟活動につきまして感想を求められたわけでございました。そこで私は、検察庁はこういう姿勢であることが望ましいのだという意味で二つを申し上げたわけでございまして、個々のことを念頭に置いて申し上げておったわけではございません。
#135
○近藤忠孝君 余り繰り返しても仕方ないんですが、ただ私は改めて指摘をしたいのは、そういう発言があったことは間違いないわけですね。としますと、大臣がいかにこれは一般論だとか、私は批判する気持ちはありませんよと言ったところで、これは外国には通用しないと同じように、司法との関係で見てみますと、あるいは全般、国、政治全体の関係から見てみますと、まず第一には、自分の指揮監督下にある証人申請の問題についてということがまず第一点ですね。
 第二番目に、その証人申請である検察の榎本前夫人に関する証人申請についての感想を聞かれた、これが第二の問題です。
 そして第三の問題として、その証人申請は親子、夫婦間の人情に反すると非難した田中弁護団と同じ趣旨の発言だと。しかも、それは大垣はそのことを知らないで、弁護団がどういう発言をしたか知らないで全く同じ発言をした、そのことは重大問題だということは指摘をしたとおりです。
 第四番目に、その後も、他に証人を求める道があるならば他の人が好ましいとか、感情の起伏の激しい人は証人に好ましくないという、いわばこれはだんだん――自分の職務の権限、監督の範囲だとすれば、いわばますますエスカレートしてきた、それこそ具体的な指揮権の問題、そうは言わぬけれども、客観的にはそういう問題だ。
 私は、国際問題と比較してみますと、いかに大臣が弁解しようとどんどんそういうことがエスカレートしていけば、外国からはこれは非難を受ける、大問題になってくる。戦争まではいかぬような問題かもしれませんけれども、事と次第によってはそういう問題に発展しかねない。そういう重要な地位にある大臣の発言ですから、私は国内問題でもこの辺をすっきりしてほしいんですよ。それほど影響を与えたのなら素直に、大臣、先ほどは自分が正しいとばかり言わぬとおっしゃったんですから、それはやっぱり率直に、こことこことで私は言い過ぎがあったとか、それは仮に自分の真意でないという前提を置いても結構ですけれども、しかし、やっぱり具体的にこういう発言はまずかったから、そういう発言はこれから改めますとか、そういうふうに言いませんと国民は納得しないんです。
 だから、引き継ぎ引き継ぎとの委員会でも、各委員もこれはやっぱり心配だから言うわけです。どうでしょうか。
#136
○国務大臣(奥野誠亮君) きのう下田さんにも申し上げたのですけれども、いまの近藤さんのお尋ねを聞いておりましても、何か私がロッキード裁判について特定の方向へ引っ張っていこうと努力をしている、心がけていると、こう言わんばかりのお尋ねのように思うのです。いま証人の問題でも、きのう私は行革の委員会で申し上げました。寺田さんが検察庁のとった態度をよいと思うか悪いと思うかと、こうおっしゃったけれども、私はそれは差し控えますと、こう申し上げたものだから、一般論として離婚した妻が夫のことについて証人に立つことをどう思うかと、こうお尋ねになって答えたのですよと申し上げた。そうしたらまた、榎本前夫人のことを言われるものだから、榎本前夫人は特定の事件の進行の過程に出てくる特定の人ですよ、寺田さんの尋ねられたのは抽象的な一般論なんですよ、事件の進行、背景も何もない全くの抽象化された証人についての意見を求められたのですと。それを、一緒くたにまた持っていかれる回何か特定の方向へ持っていこう、持っていこうとされるじゃありませんかと私は申し上げたのですけれども、同じ私はお答えをいまの近藤さんにもお返ししたいなと、こう思うのです。
 同時に、きのうも私は率直にお答えしたのですけれども、なぜ私があれだけマスコミの批判を受けなきゃならないのか、前田刑事局長を呼びまして、あなたが批判しているマスコミの立場に立って私の言動を考えた場合に、どうして私が批判を受けるのかということをひとつ教えてくれないだろうかと、こう聞いたときに、あるいは被告弁護団が人情かなんか言ったそれと同じように受け取ったのじゃないでしょうか、そういう立場で発言したのじゃないのだろうかと受け取ったのじゃないでしょうかなというお話があった。詳しいことはきのうは言いませんでしたけれども、前段は言いませんでしたけれども、私なりにそういう反省もしているのです。マスコミの立場に立ってぼくをひとつ批判をしてくれと、そうなったらどこがぼくの言ったことが批判の的になるのかということを教えてくれないかと言ってまで聞いたわけでございまして、全く別なことでございました。
 同時に、証人がどうのこうのというよりも、証人を申請するのは検察官であるし、検察官のあり方ということは究極的には私の責任にもかかわってくるものだから、それは司法権の介入じゃないのですよ、それは私の責任に属することなのですよと、こういう意味合いで申し上げているわけでございます。
 もちろん、いろいろな御意見を国会でいただくことはありがたいことでございまして、その都度、私たちも振り返り反省をしながらよりよい道を求めていかなきゃならないと思いますし、事、法務行政のことでございますから、国民の皆さん方の信頼を得なければとてもこれを円滑にやっていくことはできない大事なことでございます。より以上、私は批判には耳も傾けていかなきゃならない、こう思っております。
#137
○近藤忠孝君 その発言によっても、まだ私は、大臣が検察庁法十四条を正確に理解してないのじゃないかという、こういう疑問は消えないんです。
 そこで、刑事局長にお伺いしますけれども、検察庁の中に処分請訓規程というのがありますね。これは大変重要な問題については、事前に大臣に請訓して指揮を受けるというのがある。これはすでに国会答弁もあります。伊藤榮樹さんが書かれた検察庁法第十四条、これは検事総長と法務大臣との意見が食い違うことは大変不幸なことだから、そうでないようなあらゆる努力をすると、こう書いております、私は、処分請訓規程はその一つだと思いますし、そこに列挙されたきわめて重要な問題以外にも、事柄の重大性にかんがみて検察の行うべき措置については、検察の方からその発意によって法務大臣に請訓をして指揮を受けることがあるという、私は検察と法務大臣とは日常そういう関係であるんだろうということが一つの質問です。
 それからもう一つは、これも前回の寺田委員の質問に対して、ロッキード・丸紅事件については一応検察としての立証は終えたという答弁があったんですが、それはいまの段階であって、その後の新聞記事によれば田中側も反証をやっておるようですし、控訴審になれば当然また新たな反証があると思いますね。一方、榎本前夫人は、自分がしゃべったことは五分の一程度であって、まだまだたくさん重大なことがあると、たとえば、私は再び榎本夫人が証人として出てくる可能性、また必要とする可能性は出てくるんだろう、こう思いますが、その辺はいかがですか、
#138
○政府委員(前田宏君) 検察当局と法務大臣の関係は、法律上は検察庁法十四条に明記されているところでございまして、その精神にのっとって運用がなされているわけでございます。したがいまして、検察当局の考え方によって事柄に応じて大臣にも御連絡を申し上げ、また御報告をするということはよくあることでございます。
 第二点の、反証といいますか再立証と申しますか、その点でございますが、この前のお尋ねのときにも申しましたと思いますけれども、今後の推移にもよるがということはつけ加えて申したつもりでございます。
#139
○近藤忠孝君 そうしますと、一つは、また榎本前夫人の証人喚問ということは訴訟の過程であり得ることです。それからいま私が指摘したように、また刑事局長から答弁のあったように、検察庁、特に検事総長と法務大臣、そういう関係があるんですね。やはり常に大臣の意思なり発言というものは、きわめて重大な意味を持っておるわけですよ。だから、それが一般論あるいは検察を批判する気はないぞと言いながら中身が批判するものになっておれば、それは検察人としては大臣との意思が違うのかどうか、大変苦慮するわけです。何とかそこが、かつて指揮権発動が具体的にあったように、犬養法務大臣がやったようなことは避けたい、また避けるようにしたいというのは、私は検察側の趣旨でもあると思いますね。
 そうであれば、私は大臣の言動、どんな前提を置こうとも、その結果がこれほど大きな問題になった場合には、もっと率直にそれは反省の態度があってしかるべきじゃないか。それがないと、やっぱり法務大臣としては、その点は一体真意はどうなんだろうか、次の榎本再喚問についてあの発言はどういう意味を持つんだろうか、いまだにそういう関係が尾を引くということ、そういう気持ちは全然お持ちにならないでしょうか、
#140
○国務大臣(奥野誠亮君) 近藤さんは官界の生活をしてきておられませんし、私は官界の生活をしてきた者でございますから、官界の実態をよく承知しているつもりでございます。官界で、上司の言うがままに唯々諾々として行動をするような者は信用できません。やはり上司の意見につきましても、違った意見を持っている場合には堂々と言い合っていく。最終的には、もちろん上司の指図に従う心構えは官界人は持っておりますけれども、そんなに唯々諾々として従っていくというものではない。みんなやっぱり社会のために何かのお役に立ちたいと思って官界に入ってきている者でございますから、社会のためにお役に立つにはこうでなければならないとそれぞれ考え方を持っているものです。
 いわんや、検察というものは司法権につながるものでございますから、身分保証もなされておりますし独立性を半ば保証される。法務省におきましてもそういう考え方で運用しているわけでございまして、でございますから、個々の事件の取り調べ及び処分については法務大臣は検事総長のみを指揮することができる、わざわざそういう規定まで置いているわけでございます。また、事と場合によっては、指揮されても違う意見を持っています場合には堂々と言うでしょうし、最終的には従う場合であっても、検察庁は反対の意見を持っておったけれども従ったのだということで、その意見を公にまでするわけでございます。こういう慣例も生まれてきているわけでございます。
 したがいまして、私が何か言うたからそのとおり検察人はずっとみんな右へならえしていくのだ、そんな私は腑抜けた日本の検察陣容ではないと確信いたしております。
#141
○近藤忠孝君 私は、そのこと自身が検察庁法十四条を正確に理解していないまた新たな証拠だと思うんです。確かに、この本にもありますように、検事総長、法務大臣と意見が違った場合、盲従するかどうか、直ちに盲従しなくていいと書いてあるんです。検察首脳はそう言っていますよね。それは大臣がよく言われる検察はそんな弱いものでないと、そういうことだと思うんです。また、それが実態だと思いますよね。だから、今回の人の道発言についても、すぐ検察庁はそれに反発する態度を示してい。ます、新聞記事によれば。
 問題はそこじゃないんです。法務大臣という地位にある人がそういう影響を持つ可能性を持った発言をすること、その場合、もちろん検察は従わないかもしれない。しかし、そういうことが一般論という前置きであっても、そういう影響を持つ可能性を持った発言が行われ、それが放置され、どんどん続いていくとなれば、それはやっぱり一つの法務大臣の立場ということになり、ひいては検察に次の場合には影響を与えるかもしれない、そうであれば、それは法務大臣としてきわめて不適格である。
 しかも、先ほど来申し上げているとおり、特に出入国管理令では、やっぱり外国に対する影響を持つような「相当の理由」ということの判断もしなきゃいかぬ。となりますと、この検察庁法十四条を正確に理解しないまま、検察はそんなに弱いものではないという発言を押し通していまだに反省もされない、そういうことでは私はそれこそ大臣は不適格であると、こう思わざるを得ないんです。いま私が指摘したことについて、その可能性の問題ですね、これはどうですか。
#142
○国務大臣(奥野誠亮君) さきにもどなたかの質問にお答えいたしましたように、検察庁も人の道に外れるようなことをやる意思は持っておりません。人の道に外れないように、また広く国民から支えられるように、常に考えながら私は訴訟活動を行っておるものだと、こう思っております。
 しかし、その訴訟活動に対しまして、ときには国会におきましても、たびたび申し上げましたように、検察ファッショであるとか、検察は不正追及に対して眠っているじゃないかとかいろんな批判が起こるわけであります。そういうことにつきましては、やっぱり行政の一環でありますから内閣が責任を負うのだと、こう申し上げておるわけでございまして、内閣の中でこの仕事を分担するのは法務大臣だと、こういうわけでございまして、私は法務大臣が検察官のあり方について意見を言うことが何か干渉だとおっしゃることがよくわからない。個々の事件については検事総長のみを指揮することができる、そういう姿勢でなければならない、検察官は人の道に外れるようなことがあってはならない、あるいは広く国民の支持を受けるような者でなければならない、こういう一般的なことは法務大臣が軽々に言うべきでないということは私は納得がいかない。
 ただ、この間は、たまたま榎本前夫人の問題で大きく世間を騒がしたことでございましたから、それはそのときにそのような発言をしますと誤解を招く。だから、私なりに十分注意をして言うたつもりでございまして、くどいようでございますけれども、検察のやっていることを私は批判する気持ちはないよ、また介入する意思もないよ、一般論として言えばこういうことであると、しかし、今度のことはこれに当たるとか当たらないとか言っているわけじゃありませんよと、こうまでずいぶん念を押して言うたつもりでありますけれども、しかし、結果としては誤解を受けたようでございました。でございますから、私としても将来とも言動には慎重でなければならないと、こう考えております。
#143
○近藤忠孝君 もう時間が来てしまったので残念ですが、本当は、いまの大臣の国際的にも大きな影響を持つということを認識してもらった上で、実は最近大変出入国をめぐって大問題になっている、特にフィリピンとか台湾とか、この国々から観光とか、あるいは労働ビザなどで入ってきて、そして国内でいろいろな売春その他の行為を行っている、あるいはまた、それを食い物にしている、大変な問題になっておるんだけれども、なかなかこれは入り口でストップできない。こういう問題がある点について、本当は具体的にたくさん質問したかったんですが、時間が来てしまいました。あるいは次回に回さなきゃいけないかもしれませんが、局長、一言で結構です。こういう問題に対応する姿勢について御答弁いただいて、質問を終わります。
#144
○政府委員(大鷹弘君) ただいまの近藤委員の御質問は、いま新聞紙上、マスコミ等で、いわゆる資格外活動で問題になっているケースがたくさんあるけれども、入管としてはこれにどう対処するつもりかということだろうと思います。
 この資格外活動と申しますのは、具体的には入管令上二通りの資格を経由して行われているわけです。一つは、観光ビザを持ってきて、そうして資格外活動をする。その中にはキャバレーみたいなところで働いたり、そういうことでございます、それからもう一つは興行ビザ、芸能人として入ってきて、そして同様バーとかキャバレーで働くとか、そういうことでございます。こういうのを私どもは資格外活動と言いまして、これを取り締まるということになっております。
 大体のあれを見ておりますと、この資格外活動の対象になっている人は大半は女性でございまして、しかもこれが東南アジアの方からの人たちです。フィリピンであるとかタイであるとか台湾とか、そういう人たちが多いようでございます。
 どうしたらこういうあれを防げるかということについて、私ども日ごろ頭を悩ましておるわけですけれども、まず第一義的には水際でこれを阻止したいと考えておるわけです。そのためには、入国審査の段階でいろいろ疑わしいと思われる人に対しては必要な質問も行いますし、十分それで先方が疎明できない場合には入国を拒否するという、そういうこともございます。それからその次には、入国後、期間の延長であるとか、いろんなそういう更新手続をとる人がいます。この段階で、私どもはいろいろ問題になりそうなケースについては、十分に吟味してそういう更新を許可するかどうかを検討いたします。それから、最終的にはこのケースが非常に多いんですけれども、摘発に至ります通報であるとか情報提供、そういうものによりまして、私どもは入国警備官を動員してそういう人たちを逮捕いたします。そうして終局的には、そういう人たちは強制退去手続に乗せられるわけです。
 こういういろいろな段階でのいろんな手段があるわけでございますけれども、いずれにしましても、こういう問題は現在私どもは片や不法入国者の問題、片や資格外活動の問題、この二つが非常に頭の痛い問題で、できるだけの私どもの持っている手段を使ってこういうものを防止し摘発していきたい、こう考えておるわけでございます、
#145
○委員長(鈴木一弘君) 法務大臣の発言に対し、寺田委員より発言を求められましたので、これを許します。寺田君。
#146
○寺田熊雄君 法務大臣、先ほどの近藤委員との質疑応答を聞いておりまして、もう一度ちょっと大臣にお尋ねしたいと思ったんですが、私が午前中お尋ねしたのは、行特委員会でわが党の本岡委員が玉置委員長に質問をしまして、玉置委員長が法務大臣に聞いたところ。法務大臣としてはこういういま心境であるということで、先ほど大臣が午前中お読みになりましたあの文案を読まれたわけです。
 私が午前中それを大臣に確認しました。そして、大臣はそれをお認めになったので、私としましては、大臣のこの問題についての総括的といいますか、取りまとめての御意見あるいは御心境、そういうものはいまおっしゃったことに尽きるわけですねといってお尋ねして、大臣はそのとおりであるというふうにお答えになりましたでしょう。それは間違いないですな。
#147
○国務大臣(奥野誠亮君) そのとおりの心境でございます。
#148
○寺田熊雄君 そうしますと、大臣、あなたは大変賢明な方でいらっしゃるのでもう十分おわかりと思いますけれども、大臣の御意図が一般的なことを言ったというお気持ちでおっしゃったとしましても、その言葉がひとり歩きしまして、そしてその言葉の持つ意味といいますか、それが人々にそれぞれの理解を与えて、これはやっぱり大臣が検察庁に干渉しようとする意図がそこにひそんでいるとか、あるいは田中被告をやっぱり助けたいと思う気持ちがあるからそういうことになる、御発言になるんだというふうに、それぞれ受ける人によって理解が異なりますね。したがって、いろんな批判が巻き起こるでしょう。
 そこで大臣は、そういう批判を謙虚にお受けとめになる、それで今後はそういうこともよく考えて言動を慎重に自分はいたしますと、こうおっしゃったわけでしょう。それは間違いないでしょう。いかがでしょうか。
#149
○国務大臣(奥野誠亮君) たびたび申し上げておりますように、御批判は謙虚に受けとめますということを申し上げてまいりましたし、私は一〇〇%自分が常に正しいのだというふうなうぬぼれた考え方は持っておりませんということも申し上げましたし、また、言動は一層慎重でありたいということも申し上げてまいったわけでございまして、総合的に、強いて一口にまとめればああいう言葉になるのじゃないかなという意味で、玉置委員長に書いたものを渡しておいたわけでございました。
#150
○寺田熊雄君 ですから、そういう意味においては、やっぱり大臣はそういう意味における御反省はなさっていらっしゃるのだというふうに受けとめてもいいんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。それはやっぱりそういう御反省の結果になるんでしょうか。
#151
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、常に反省を繰り返しているつもりでございまして、反省をしないというふうなそういうかたくなな人間ではないつもりであります。
#152
○委員長(鈴木一弘君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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