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1981/11/26 第95回国会 参議院 参議院会議録情報 第095回国会 法務委員会 第4号
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1981/11/26 第95回国会 参議院

参議院会議録情報 第095回国会 法務委員会 第4号

#1
第095回国会 法務委員会 第4号
昭和五十六年十一月二十六日(木曜日)
   午前十時十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月二十六日
    辞任         補欠選任
     杉山 令肇君     関口 恵造君
     中山 太郎君     田沢 智治君
     平井 卓志君     川原新次郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鈴木 一弘君
    理 事
                真鍋 賢二君
                円山 雅也君
                藤原 房雄君
    委 員
                臼井 莊一君
                川原新次郎君
                関口 恵造君
                田沢 智治君
                戸塚 進也君
                八木 一郎君
                安井  謙君
                瀬谷 英行君
                近藤 忠孝君
                中山 千夏君
   国務大臣
       法 務 大 臣  奥野 誠亮君
   政府委員
       警察庁警備局長  山田 英雄君
       法務政務次官   佐野 嘉吉君
       法務大臣官房長  筧  榮一君
       法務省民事局長  中島 一郎君
       法務省刑事局長  前田  宏君
       法務省入国管理
       局長       大鷹  弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        奥村 俊光君
   説明員
       内閣官房インド
       シナ難民対策連
       絡調整会議事務
       局長       色摩 力夫君
       警察庁刑事局捜
       査第一課長    仁平 圀雄君
       警察庁警備局外
       事課長      吉野  準君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○供託法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○外国人登録法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○スパイ防止法早期制定に関する請願(第四〇号
 外一件)
○国籍法等の改正に関する請願(第一四七一号)
○スパイ防止法制定促進に関する請願(第一五五
 四号)
○継続審査要求に関する件
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 供託法の一部を改正する法律案及び外国人登録法の一部を改正する法律案を、便宜一括して議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順化御発言を願います。
#3
○瀬谷英行君 供託法の一部を改正する法律案でありますけれども、まあ利息をつけないというふうな一つの便法でありますが、これを三年というふうに期限を切ったというのは一体どういう根拠によるものなのか、その点をお伺いしたいと思うんです。
#4
○政府委員(中島一郎君) 供託金の利息につきましては、供託制度を利用しやすくするために、供託制度の実を上げるために長期間にわたって設けられてきた制度でありまして、私どもといたしましても国の財政事情さえ許すならば供託金に利息を付する制度が望ましいというふうに考えているわけでありますけれども、この利息の支払い額が年々増加をいたしまして、昭和五十六年度においては約十九億円、五十七年度においては約二十億円になることが見込まれておるわけでありまして、このため、法務行政に必要不可欠な経費を大きく圧迫する結果となってきておるわけであります。
 一方におきまして、登記需要の増加等によりまして法務行政に必要な経費は年々増加をしておりまして、法務局関係では昭和五十七年度においてそういった経費が約八億円見込まれておるわけでございます。御承知のように、財政状態によりまして歳出が厳しく抑制されまして、ゼロシーリングという枠がはめられております現況のもとにおきましては、既定の経費を縮減しない限り増加する必要経費を賄うことができない状況となっておるわけでございます。
 私どもといたしましても既定の歳出経費を厳しく見直しまして、縮減すべきものは縮減をするということに努力をいたしたわけでありますけれども、なおそれだけでは不十分であるということから、この供託金利息を停止する、昭和五十七年度から五十九年度までのいわゆる財政再建期間の三年間はこの利息を停止するということにいたしまして、国の歳出の縮減を図ることにしたという経過でございます。
 なお、この措置によりますと、昭和五十七年度においては約七億五千万、昭和五十八年度におきましては約十四億二千万、昭和五十九年度におきまして約十八億七千万、合計四十億の歳出予算の縮減を図ることができるというふうに見込んでおります。
 以上でございます。
#5
○瀬谷英行君 それならば、年限を切るというのはどういうわけかなという疑問が出るんですけれどもね。三年たってもやはり財政事情が変わらない場合にはまた考え直すのか、そのときはそのときで切りをつけるのか、どういうことになるんですか。
#6
○政府委員(中島一郎君) 先ほども申しましたように、財政状態さえ許すならば利息をつける制度が好ましいというふうに考えておるわけでありまして、法律の形式も現在の供託法の三条供託金には利息を付さなければならないというこの三条はそのままにいたしておきまして、その規定にもかかわらず三年間に限って利息を付さないと、こういう特別の条文を設けたわけでございますので、三年たてば現在の法三条が復活をいたしまして利息を付さなければならないということになろうかと考えております。
#7
○瀬谷英行君 一言で言えば、ずいぶんみみっちい話で、余り筋の通らぬ措置だと思いますよ。だけれども、これ以上言ってみてもしようがない。行革という一つの時流に迎合をするための窮余の策であろうというふうに理解をいたしますから、これ以上いまやりとりしても意味がないと思いますから、この問題はこれで終わります。
 外国人登録法の問題なんですけれども、外国人登録法には外国人を守るという一面もあるのだという意味の御趣旨の答弁を、法務大臣が十月二十三日にされているというふうにお伺いいたしておりますが、大臣、その点についてのお考えをもう一度お伺いしたいと思います。
#8
○国務大臣(奥野誠亮君) おっしゃいますように、外国人の国内滞在を明確にしてその安全を守っていくという趣旨もあろうと思っております。
#9
○瀬谷英行君 それならば、金大中氏が東京から拉致されていったという事件がございました。政治決着というわけのわからない形がいまとられておりますけれども、率直に言って、この事件について法務大臣として一体どのようにお考えになるか。金大中氏は死刑は免れたけれども拘束をされている、われわれからはどうにもならぬという状態にいまあるわけです。明らかに違法な行為で誘拐をされたわけですね、金大中氏は。だれがやったかわからぬという問題じゃない。明らかに韓国の国家権力によって誘拐されたというふうにしか考えられない。これはやはり日本政府に重大な責任があるというふうに考えてもいいんじゃないかというふうに思いますが、その点どうですか。
#10
○国務大臣(奥野誠亮君) 正規に国内に入ってきた外国人でありますから、その安全を守るにつきましてはやはり日本国に責任があると私は考えます。
 同時にまた、他国の権力が拉致したといたしますならば、それはわが国の主権を侵したということになりますから、非常に重要な問題だと思います。
#11
○瀬谷英行君 明らかにこれは日本の主権を侵したと思われます。だれか正体のわからない者に誘拐されたというふうには判断されないんですね、これは。
 そうすると、法務大臣自身が主権の侵害であるというふうにお認めになっていることでございますが、この政治決着というものは、これでこの問題を片づけていいのかどうか。やはり日本政府としても金大中氏の身柄の問題については責任を感じて、身柄の釈放といったようなことも当然要求をしなければならないんじゃないか。安全ということの保障もわれわれとしては求めるというぐらいの義務はあるのじゃないかというふうにも思われるんですが、その点についての法務大臣のお考えはどうですか。
#12
○国務大臣(奥野誠亮君) 金大中氏拉致事件につきましては、その後も捜査当局が事態の真正を解明すべく捜査を続けているという形になっておるわけでございます。他方、御承知のように、韓国との間では政治決着がつけられたわけでございますし、また、日本国内における金大中氏の行動については処罰の対象にしないというようなことも政治決着の内容に入っているのじゃないかと、こう考えておるわけでございます。私の所管することではございませんけれども、一応そういうことで政治的に決着がつけられたわけでございますので、その線に沿って私たち対応していかなきゃならないと、こう思っております。
#13
○瀬谷英行君 しかし、金大中氏自身はいまだに拘束をされたままでいるということは、きわめて不幸なことだと思う。この誘拐事件は韓国政府の犯行であるというふうに断定をしても間違いないというふうに考えられますが、その点についてはどのようにお考えになりますか。
#14
○国務大臣(奥野誠亮君) 政治決着どおりに私は理解をしたいと思います。
#15
○瀬谷英行君 政治決着そのものがきわめていいかげんであいまいだということを私は指摘をしたのでありますけれども、あなたの立場からすればそれ以上のことは言えないというのかもしれません。しかし、端的に言って、この金大中事件についてのあなたの感じ方を私は聞きたいわけなんです。日本政府のといった態度のよしあしということじゃなくて、金大中氏がこういうことになっているということについての責任というものを感じなくともよろしいのかどうかということもあわせてお伺いしたいと思うんですが、その点どうですか。
#16
○国務大臣(奥野誠亮君) 双方にとってまことに不幸な事件だったと思いますし、また二度とこういうたぐいの事件があってはならないと、こう思っております。
#17
○瀬谷英行君 金大中氏の問題に関連をしてもう一つお聞きをしたいんですが、前回寺田委員から質問がございました。金大中氏の問題について集会があり、それからデモがあった、そのデモの一員に対して機動隊が暴行をした、顔面を殴られて重傷を負ったと、こういう事件が取り上げられました。
 警察側の答弁というものははっきりいたしておりません。つまり、明らかに機動隊の行為であるということを認め、そして処罰その他の処置がとられたかどうかという点についての回答はまだはっきりいたしておりませんが、前回の寺田委員の質問に関連をして、この点について一体どういう調査が行われどういう措置が行われたのか、この点を改めてお聞きしたいと思います。
#18
○政府委員(山田英雄君) ただいまお尋ねの件につきましては、先日寺田委員からも御質問がございまして、私から詳細な事実関係についても答弁いたしておるところでございます。
 問題の事案につきましては、警視庁当局におきまして警備に従事した全警察官から詳細に事情を聴取いたしまして、私自身も警視庁警備部長からさらに詳細に事実を確認したところでございますが、また繰り返して申し上げてもよろしいのでございますが、長くなりますので、前回答弁いたしました結論だけを申し上げますれば、けがをしたという方と警察官との接触は全くなかったということでございます。
 その部分だけをかいつまんで申し上げますと、赤信号でデモ隊が進行しようとしたのを規制していた部隊、これに対して梯団が物理的に抵抗いたしまして、規制していた部隊も徐々に後退を余儀なくされておったという事情が当日あったわけですが、信号が青に変わったときに規制に当たっていた部隊が車道側に下がった、そこで梯団を進行させたわけですが、その直後に一人の男の人が、デモ行進の進行方向左側、歩道側から、部隊が規制を解除して下がった車道側と反対側から飛び出してきまして、なぜとめるのだというふうに大声でとなりながらデモの先頭部に飛び出してきた。これは、当日デモ隊は常に、部隊が赤信号その他違法行為に対して規制いたしますと、デモは車より優先するのだということを言っておったわけでございます。
 その一環として、なぜとめるのだということでデモ先頭部に飛び出してきた。そのとき警察官は車道側に下がっておるわけでございます。そのときにデモ隊が後方から大変勢いよく発進してきたために、その男の人はデモ先頭部に押し飛ばされるかっこうで、つんのめるようにガードレールのある歩道側に転倒していったということでございます。部隊はその後再びこの梯団が進行するに当たっての規制に当たりましたので、転倒後の状況については詳細承知しておらないわけでございますが、けがをしたと称する人の行動というものは以上申し上げたとおりでございまして、警察官との接触はないという事実を御答弁申し上げたわけでございます。
#19
○瀬谷英行君 要するに、機動隊の中には殴った覚えはないと、こういう話になっているんです。つまり、上司の方には報告してないということなんですよね、そういう事実は。しかし、これは冷静に考えてごらんなさい。転んで倒れて四十針も縫うようなけがをするということがあり得ることかどうかなんです。しかも、きょうは写真も持ってまいりました。小さい写真じゃわかりにくいと思いますが、この大きい写真「この男が犯人です!」と、こういう写真まであるわけです、はっきりと。
 それからこちらの方は、当時倒れた被害者の写真です。血まみれになって倒れているんですね。この写真を見ただけで、つんのめって転んで、あるいはけつまずいて転んでこんなけがをするということは常識的に考えられないでしょう。
 しかも、周囲にいた何人かの人の証言がある。そして、周囲の人たちはこの男が犯人だと言ったから、写真も素早く撮ってあるわけです。これは上から撮った写真、正面から撮った写真、横から撮った写真、後ろから撮った写真。それで、このヘルメットの数字等でもって第七機動隊の第二中隊ということまではっきりさせているんですよ。
 これはきわめて重大な問題だと思うんです。警察官が自分たちの身内のやった暴行をかばって隠そうとしたという事実を、私どもはこの事件からかぎとらなきゃいかぬ。上司は、報告がないからそんなことはないと信ずると言って済ましていいものかどうかなんです。報告がないからなかったと信ずるだけでいいんですか。本当に真剣に調べたのかどうか。写真まであるんですからね。これは一体どうなんですか。
#20
○政府委員(山田英雄君) 先ほどもお答えいたしましたとおり、報告がないからそのままにしておるということではございません。当時規制に当たった全警察官、もちろん幹部もそこに所在しておるわけですが、幹部を含めた全警察官から詳細に事情を聴取して、先ほど御答弁申し上げました事実をそれなりの心証を得て確認いたしておりますので、詳細捜査の結果、そういう事実であるということを申し上げておるわけでございます。
 なお、ただいま申されました写真その他関係者の言い分がどうであるかということは、私どもの調査した事実に照らしてみますればよくその理由がわからないわけでございますが、いずれにしましても、東京地検に刑事告発がなされておるようでございます。また、東京地裁には国家賠償の請求も出されております。私どもは、そうした地検の公正な捜査、地裁における公正な審理にまちたいと思っていますが、その場においても、ただいま申し上げました事実関係で十分に御説明してまいりたいと思っております。
#21
○瀬谷英行君 じゃ、写真なんかも見ておられるんですか。その犯人である機動隊員の写真なども見ておられるんですか、あなたは。
#22
○政府委員(山田英雄君) 私自身は、ただいま示されました写真については、報告の中でそういう写真も相手方は持っておるということは聞いております。
#23
○瀬谷英行君 私が質問したのは、見ているのかということを言っているんです。
#24
○政府委員(山田英雄君) 写真自体は見ておりません。
#25
○瀬谷英行君 写真を見ないでないと信じてしまっては、私は早計だと思うんですよ。写真というのはごまかしがきかないんですからね。
 じゃ、今度角度を変えて申し上げると、この男が犯人である、この男に殴られて四十針も縫うようなけがをしたということを言って、被害者側はこういうふうに大きな「機動隊の暴行を告発する会」というものをつくっているんですよ。もし勝手に転んで一人でけがをしたにもかかわらず、それは警官が殴ったからけがしたんだというふうに言ったとすれば、これは重大な問題ですよね、逆に言うと。警察とすれば、こっちはわからないでしょう。やった覚えもないのに、一人で転んでけがしていたにもかかわらず、こんなけがをした、この男が犯人だ、こういうふうに言って、写真まで大きく出して一般の人にも呼びかけをしているということは、逆に言うと、警察としてもこれは何らかの処置を講じなきゃならぬでしょう。
 この男を確かめるのはわけのないことです、恐らく。幾ら機動隊の数が多いからといったって、この男を呼んで、おまえは本当にやったのかやらないのか、どうなんだということを確かめて、やった覚えがないにもかかわらず、この男が傷害の犯人だというふうに決めつけられたならば、警察の方でも対応措置を講ずる必要があるというふうに私は思うんですよ。どうなんですか、その点は。
#26
○政府委員(山田英雄君) その写真の者がいかなる理由で犯人であると主張しておられるかは、私よくわかりかねるわけでございますが、しかし、いまお尋ねの点は、私どもも同じ角度で受けとめております。現に接触がないわけでございますから、暴行した事実がない。暴行した事実がないところに暴行したといった訴えを起こされた、そのことはきわめて重大であると受けとめております。
#27
○瀬谷英行君 重大であるで済まないですよ。接触がないと言うけれども、この写真なんか見ると明らかに接触していますわね。接触がないというのは、機動隊とデモ隊とが離れておった、離れ離れになっていたというのを接触がないと言うんです。この写真を見るというと、機動隊に囲まれているんです。接触がないところか、三十センチと離れてないですよ、これは。ほとんどラッシュの電車の中のような状態で、体がくっついていますよ。これでも接触がないなどと言えるかどうかですね。
 特に、もしも接触がないにもかかわらずけがをしたんだということであれば、機動隊が殴ったんだと言われたのならば、あなたの方が逆に事実を明らかにしてその黒白をつけるという行為に出なきゃならないというふうに私は思うんですよ。重大なことで済みますか。無実の罪をかぶせられて黙っていていいんですか、機動隊というのは。そうはいかないでしょう。事実がなかったにもかかわらず、殴られた、けがしたと言うのならば、これは警察としても当然対応しなければならないでしょう。もし自信があるならばですよ。どうなんですか、その点は。
#28
○政府委員(山田英雄君) もとより、当初警視庁に関係の方が見えましたときには、そういう暴行の事実はなかったということは十分に御説明しておるわけでございます。にもかかわらず、どういう理由がそういう一人の写真というものを出して、現場の写真であるならば別として、顔写真だけを出して、その男がやったということで刑事告発なり国家賠償請求をされておるわけで、その場において十分に黒白はつけられるものと私は思っております。
 それから、接触がないと言って接触しているではないかというただいまお話がございましたが、違法な行為をするデモ梯団に対しては規制をしておりますから、これは接触しております。ただ、けがをしたとおぼしき場所におけるそのけがをしたとおぼしき人との接触はなかったということを申し上げているわけでございます。
#29
○瀬谷英行君 あなたは全部報告を聞いて、その報告をうのみにしているわけです。しかし、実際には、あなたの報告にはうそがあるというふうに認めざるを得ません。だから私は言っているんですけれども、法務大臣もよく聞いてもらいたいんですよね。
 黙って転んだり、けつまずいたりして、こちらの写真にあるように四十針も縫うような重傷を負うということがあり得るのかどうか。これは力いっぱい殴られた傷だというふうに認めざるを得ませんよ。どこのだれが殴ったかわからないというんじゃない。たくさんの人間がこの現場には居合わせたんです。その状況の中にもかかわらず、警察の方では機動隊の方は接触してないと、この機動隊員をかばっているんですね、一生懸命。こういうことが、幾ら警察だからといって許されていいのかどうかなんですね。これはあいまいにしちゃいけない問題だろうと思うんです。その点、法務大臣、どういうふうにお考えになりますか。
#30
○国務大臣(奥野誠亮君) 検察当局に告発もなされているということでございますし、したがって検察当局においても事実関係は十分調査をすることだと、かように考えております。
#31
○瀬谷英行君 まず警備局長自身が写真も見てないと言うのだから、これじゃ話にならないんですけれども、やはり写真を見せてもらって、たくさんの証人の証言を聞いて、事実関係を明らかにするという必要が私はあると思うんですよ。あいまいにしてかばってうやむやにするというような態度が、いまはあると思うんです。それはいかぬと思うんですよ。これはあくまでも徹底的に事実を究明すべきです。事実を究明することができないように顔も素性もわからぬというのなら別なんですけれども、こういうふうに明確なんですね。
 もしこの人間が暴行の犯人でなかったとすると、これは逆に言うとゆゆしい問題になるんですよね。このビラ、ポスターがどの程度配布されたか私よく知りませんけれども、殴った覚えがないのにでかでかと顔写真を出されて、この男が人を殴って大けがをさしたんだというふうに宣伝されているのなら、これはたま保ったものじゃないです。事実がない、事実無根だと言うのなら、警察の方でこれは逆に訴えて白黒をつけるという行動に出ていいはずだと私は思うんですよ。自信があるならばですよ。警察の方に自信があるなら、当然やるべきだと私は思いますよ。それは重大な問題だという言葉だけで済ましていいことでは私はないと思う。
 また、今度は、場所から言うとデモのそろそろ終着地点ですよ。そんなにごたごたするような場所じゃない。間もなく解散になるというところなんだから、そんなに機動隊が目の色を変えてがたがたしなくたって、問題はもう片づくというそういう時期的なときに、この男が出てきてこんな重傷を負わせるようなけがをさせるということは、この機動隊員の性格にも大きな問題があると思う。つまり、これはかなり凶暴性を持った性格であるということになるんですよ。それは部内にそういう人間を機動隊員として温存しておいていいかどうかということも、上司として当然考えなきゃならないんじゃないですか。どうなんですか。もし事実だったならば、こういう人間を機動隊員に置いておくことに問題がある。事実でないとすれば、警察自体が問題を明らかにするために積極的にこの人間を証人に立てるとか、あるいは調べて対決させるとかという方法を講ずべきだと私は思うんですよ。その点どうですか。
#32
○政府委員(山田英雄君) その示されている顔写真の機動隊員が犯人であるという前提のもとにお話をされておるわけでございますが、私どもとしては、全くそういう事実はない、機動隊員の顔写真がパンフレットに載っているからといって、それが犯人であるという前提で議論していただくのは間違いであろうという考え方をただいま持っております。したがいまして、黒白をつけるといいますか、警察として把握しておる事実は事実として十分に御説明もし、あるいは公判の場においても、地検の行われる捜査に対しても十分に主張して御理解を得たいと思っております。
#33
○瀬谷英行君 ぼんやりして聞いてないでもらいたいんだ。私は犯人であるというふうに断定して言ったんじゃない。もし犯人であるとすれば、これは警察としてもこういう人間を機動隊に置いておくことに問題があると言ったわけです。もう一つ、犯人でなかったとすればと、こう言っているんですよ。この顔写真の男が犯人でなかったとすれば、事実関係が何もないのに、殴った覚えも何もないのにこういうふうに大きな顔写真を出されて、この男が犯人ですと言われて黙っている方がどうかしているのじゃないですかと言うんだよ。どうなんですか。私の言っていることがわかりますか。私は犯人だと断定して言ったわけじゃない。犯人であったならば問題だ、これは警察の方で処置しなきゃいかぬと。犯人でなかったとすればこれまた問題だ、当然受けて立って、そしてこの男から事情を聞いて黒白をつけるという行為に出るべきであると、こう言っているんですよ。
 私の言うことは、犯人であると断定した言い方をしているのじゃない。二通りの言い方をしているんです。その点、あなたはよく理解してない。このポスターだけを見て物を言っているんだけれども、犯人ではなかったというふうに自信を持って言うならば、当然黙っていないで事実はこうこうですと、この男を呼び出してそして事情を聞くということをやらなきゃいかぬでしょう。あなたは写真も見てないと言うんだから、そういう努力をやっていなかったのじゃないですか。
#34
○政府委員(山田英雄君) 警視庁当局においては、この問題となる梯団なり、けがをしたとおぼしき人が飛び出してきた場面の警備に従事している全警察官から詳細に事情を聴取して、暴行を加えた事実はないということを確認しておるわけでございます。したがいまして、その顔写真の機動隊員が何びとであるかは私もまだ確かめてはおりませんが、そういう個人を特定しての告発なり賠償請求というのがなされておるわけでございますから、当然それに対応した措置を警視庁当局においてもとるものと考えております。
#35
○瀬谷英行君 どうもあいまいなことを言っておりますけれども、あなたのはきわめて事務的で、その報告を受けてない、受けてないから事実もない、こういうふうに断定しておるのですよ。しかし、それは無責任だと思うんです。何もないのにこんな大けがをすることはあり得ないと言うんですよ、どう考えても。あなたの答弁をまともに聞けば、勝手に転んで勝手に大けがしたんだと、こういうふうにしか聞き取れないのですね。機動隊の方は何もしてないんだと、こういうふうに言っているわけです。しかし、証拠の写真はいっぱいある、それから一証人もいっぱいいるんですよ。
 だから、あくまでも警察側には落ち度はないんだ、機動隊員にはそれらしき人物はいないんだと言うのならば、逆にあなたの方からこの被害者に対して、被害者を相手取って逆に訴訟するなり何なりということだってやらなきゃいけないわけです。そういう措置は何もやっていないのですか、その必要はないというふうにお考えになっているんですか。相手にする必要もないと思っていらっしゃるのですか。その点はどうなんですか。
#36
○政府委員(山田英雄君) 先ほどから申し上げておりますように、民事、刑事の訴えというのを当事者の方は起こされております。その過程において事実は明らかになると思いますし、また警視庁当局においても、またいろいろ写真によって特定を受けている個人においても、しかるべき対応をするものというふうに考えております。
#37
○瀬谷英行君 私はやはり事なかれ主義はいかぬと思うんですよ。事実がはっきりしている。これは幸いにしてけがだけで済んだ、殺されないで済んだけれども、もしもこの人が樺美智子さんのように殺されたりしたということになると、なおさらこれは大きな問題になってしまう、取り返しのつかないことになってしまう。そこで、実は私も昔、安保騒動のころ機動隊に、何もしないのにけっ飛ばされたという経験があるんですよ。だから、機動隊というのは何もしないと言ったって当てにならない、こういうふうに思っているんですよね。
 それともう一つ、警察の事なかれ主義でもってやはりどうも腑に落ちないなと思う点がもう一つある。これは時間の関係でこっちの方へ話を移しますけれども、榎本三恵子という人が週刊文春に手記を書いているんです。この人の手記によると、ロッキード事件の田中角榮元総理の運転手笠原という人が自殺をしたということについて疑惑を持っているんですね。あれは自殺じゃないと、こういう考え方を持っている。それから笠原運転手の奥さんの言葉も、自殺とは思えない、こういうふうに言っているんですね。
 そうすると、事故死でなくて自殺でないということになると、他殺ということになるんです、これは。そうでしょう。他殺ということになるというと、犯人がいる。ということになる。だから、自殺であったならばこれはしようがないです。どういう動機かということは死んだ人に聞くわけにはいかないからこれはしようがないけれども、もし他殺であったとすると、警察とすればあくまでも他殺の線でもって犯人を捜さなきゃいけない、こういう義務が当然出てくると思う。
 この文春の記事をごらんになったかどうかわかりませんけれども、不審の点が幾つかあるということも指摘をされております。そして、これを一々読み上げると時間がかかりますから一々読み上げませんけれども、週刊文春の十一月十九日号「笠原運転手はなぜ「自殺」を」という欄を読んでみると、われわれが考えてみてもどうもこれはおかしいなと、こういうふうに思わざるを得ない。もし自殺という点について疑惑があるならば、当然これは調べなきゃいかぬと思うんですけれども、その調査は一体どうなっておるのか。もし他殺だったとすると、まだ殺人罪の場合は時効が来てないはずなんですから、当然これは何らかの捜査をしなきゃならぬというふうに思うんですが、その点どうですか。
#38
○説明員(仁平圀雄君) 当時、警察といたしましては、現場の見分、検察官立ち会いのもとでの検視、鑑定検査、その他所要の捜査をいたしました結果、死体の外部に全く外傷がないということ、それから着衣に乱れがなく他人と争ったような形跡が認められないこと、それから車内に物色の状況がなく所持金等は紛失していないと認められること、それから排気ガスを引き込むために用いられていましたビニールホースは、死者が自動車を購入したときにサービス品としてもらい受けたもので、その切断面とトランク内に残っておりましたホースの切断面とが一致している上に、トランク内の工具箱に収納されておりましたプライヤーにより切断されていたものであるということが判明したということなど等から、排気ガス吸引による自殺と判断したものでございまして、特に他殺の疑いがあるという状況が認められなかった関係上、他殺面の捜査を特別にやったということでないわけでございます。
#39
○瀬谷英行君 下山事件というのも、自殺か他殺かということの判定がなかなかつかないで、今日に至るもまだその点なその事件になっているんです。
 それで、私はこの笠原運転手がどういう事情にあったかということを一々申し上げませんけれども、この人がもし自殺をしたというのならば、これはもうその動機やなんかいま聞きようがないですな。他殺だったとすれば、自殺でもって片づけられたのじゃこれは浮かばれないと思うんですね。だから、もう一度これはやはり被害者の――被害者というより、この自殺した笠原さんの遺族なり、あるいは榎本三恵子さんの証言とか、あるいは記述とかということをもとにして、少しでも他殺の疑いがあるのならば、その線を調べてみるというくらいの努力は私はすべきだと思う。もし事実が違っておるというならば、書いた榎本さんの方に責任があるわけだから、余り人殺しの事件を軽々しく書かれちゃ困るわけなんですよ、これは。
 だからその点は、こういうふうに記事になって出た以上は、天下に公表された以上は、疑惑を晴らすための努力、他殺であるかもしれなかったという問題について調査をするということを私はやるべきではないかというふうに思うんですが、これは単なる週刊誌の記事として見送られていいものかどうか、そういう疑問があるからその点をお伺いしたいと思うんです。
#40
○説明員(仁平圀雄君) 週刊誌で指摘されておりますような幾つかの疑問点、つまり生前の足取りですか、八月一日の足取りがはっきりしないとか、ビニールホースの入手先がわからぬとか、ビニールホースに指紋がついていたとかいなかったとか、ドアのロックについての疑問とか、解剖しなかった理由とか、自殺の動機がはっきりしないとか、いろいろございますが、そういった面につきましても当然当時関係者から事情を聴取する等必要な捜査をいたしておるわけでございまして、その結果を総合的に判断して自殺と認定しているわけでございまして、特に問題があると、あったというふうには考えておりませんので、今後改めて捜査をするというつもりはないわけでございます。
#41
○瀬谷英行君 私がなぜこういう問題を取り上げたかというと、警察の行為というのは絶対に間違いがないというふうに外聞を取りつくろうというふうな習性があるんですよ。かつてこういう事件がありました。踏切でもってパトカーが列車にぶつけられたことがある。そのとき警察は、踏切の遮断機をおろす踏切警手を逮捕した。ところが、よく調べてみると、運転士の証言によって、遮断機をおろし忘れたのではなくて、パトカーが踏切の中に入って、そこでエンストを起こして、そこへ列車が来てぶつかったという事実があとでわかったことがあるんですよ。その謹言がなければ、エンストを起こしたパトカーはしらばっくれて踏切警手に罪をなすりつけて済ますつもりだった、こういう事実がありました。
 それから、この笠原運転手の問題も、この人も埼玉県で死体が見つかったわけですけれども、前にやはり殺人死体遺棄という事件があって、周辺の人がこれはおかしいじゃないかというにもかかわらず、警察はこれを失踪、家出として扱った。ところが、死体が見つかって、その犯人もつかまったという事件があったんです。
 問題は、その事件よりも、そのときの警察署長の談話というのが私はいまでも記憶にあるんですが、警察の処置に誤りはなかったと、こういう談話を発表しているんです。こんなばかなことはないんですね。殺人死体遺棄という事実があったにもかかわらず、それを家出として処理をしている。家出ということになりゃ、何も犯人を捜す必要はないんですから、家出として処理をして、そして死体が見つかってその点を追及されると、警察の処置に誤りはなかったなどという談話を発表するんです。この責任回避の感覚ですね、この事なかれ主義の感覚、これはやはり警察行政の中から一掃する必要があると思う。
 今回のこの機動隊に暴行された岡田さんという人は法廷で争う決意を持っているようでありますけれども、もしも事実関係が写真や証拠や証人等によって明らかになって、そしてこの機動隊員の中に犯人がいたということがはっきりしたならば、そういう事実はないと信ずるとここで答弁をした人の責任を私は追及したいと思いますよ。これは職務怠慢であるということになるんです。その点を明らかにしておきたいと思いますが、その点どうでしょう。
#42
○政府委員(山田英雄君) 先ほど来お答えいたしておりますとおり、私ども警察当局としては、暴行の事実はないと調査の結果判断しておりますので、そのことを繰り返して申し上げているわけであります。
#43
○瀬谷英行君 時間ですから終わります。
#44
○藤原房雄君 供託法につきましては、それぞれの関連いたします問題についておおよそ質疑をいたしまして、またそれに追加すべきこともございませんので、本日は外国人登録法の一部を改正する法律案、このことについて一、二の点についてお伺いをしておきたいと思うんであります。
 前回もお話しございましたように、このたびの供託法にいたしましても外国人登録法の一部改正にいたしましても、行革がらみといいますか、こういう中での問題でありますので、そういう点につきましての合理的な運用、簡素化、こういうことを中心にして過日いろいろお尋ねをしたわけでありますが、これは業務の簡素化とか行政上の手続の簡便さとか、こういうことでいろいろ御努力なさってこのたびの法案の提出があったわけでありますが、この外国人登録法に関しましては昭和五十年の七十五国会におきまして、許可、認可等の整理に関する法律案、これが出されましたときに、在留資格とか在留期間についての職権変更登録制度ですね、この問題が行政管理庁の方から提起があり、法案の中にもこの在留資格、在留期間につきましては職権変更登録制度というものが採用されておった。
 これは国会の中で衆議院を通過しましたが、参議院で未了になったわけでありますが、その後出された法案には、この職権変更登録制度というのは削除されておったわけですね。三、四年の間に、こういう行政管理庁という中でいろいろ検討した、そしてこの行政改革、行政の簡素化というこういう中で、職権変更登録制度でいいじゃないかというこういう結論が出て法案までつくられておったものが、通過しなかったというその後のいろんな事情があったにいたしましても、これが削られたということは、三年、四年の間にどういう検討がなされてこれが削られることになったのか。
 また、行政の簡素化からいいますと、当然これはそのまま採用してしかるべきだと思うんでありますけれども、そうならなかった理由、部内でのいろんな検討、行政管理庁とまた法務省との立場の相違、こういうことがあったんだろうと思いますけれども、そこら辺のことについて御説明いただきたいと思います。
#45
○政府委員(大鷹弘君) ただいまの藤原委員がお取り上げになりました点につきましては、確かに外国人登録事務の簡素化という見地からは望ましいと考えておりました。現にそういうことで、私どもとしてはそういう提案を国会にお諮りしたこともあるわけでございます。しかし、その際、これは入管当局が登録事務に介入するものだという強い反対論があったものでございます。したがって、そういうことも背景にございますので、私どもとしてはいろいろ検討はしたけれども、それを再び国会にお諮りすることは断念するということで今日に至っております。
   〔委員長退席、理事真鍋賢二君着席〕
#46
○藤原房雄君 反対のあったことも私ども十分に聞いておるわけでありますけれども、今回のこういう事務の簡素化ということの中で、一度断念したことだからこれは触れるべきことではないということなのか、これは一応検討の課題としていろいろ御検討なさって、やはりこれは好ましくないということでこのたびの法案の中には入らなかったのか、その間はどうなんですか。
 また、この職権変更ということになりますと、どのくらいの事務量の軽減ということになるんでしょうか。その辺のところはどうでしょうか。
#47
○政府委員(大鷹弘君) 今度の国会に外国人登録事務の簡素化、合理化の具体的な提案をいたしますに先立ちまして、私どもとしては、どういう具体的な手だてというものがあり得るのか、広く検討をしたわけでございます。その一環といたしまして、ただいま藤原委員が御指摘になっていらっしゃいます点も、当然私どもとしては考慮はしたわけでございます。しかし、当時の国会における非常に強い反対論というものも考えまして、私どもとしては今度の臨時国会にこれを提案するということは断念した、そういう経緯がございます。
 なお、この職権による在留資格、それから在留期間の変更をやるということによってどのくらいの事務量が節減できるかということについては、具体的な数字は持っておりません。
#48
○藤原房雄君 前の国会で難民認定法をいろいろ審議をいたしました。奥野法務大臣在任中――間もなくいろいろ催されるようでありますが、とにかくこの難民問題というか、流民問題につきましては、非常に身近なこととしまして、国際的な問題としてこれは提起されたわけであります。その中で、大臣もずいぶんこの問題については、いままでの閣議了解になっておりましたものを一歩も二歩も進めるような御発言があり、またそういう処置をとられたというこのようなことで、さらにいろいろなケースがございますので、そういう個々のケースについては非常にむずかしい問題もありますが、人道上に沿ってということで大臣からも御配慮いただいた面もあるようであります。
 いずれにしましても、この難民認定法もいよいよ来年の一月一日からこれは施行ということになるわけでありますが、いままでいろいろな準備をしたり、また検討なさってきたんだろうと思います。私どももこの法案を成立さしたという責任の上からも、部内でのいろいろな検討、また、一月一日からの施行に当たりましての問題について二、三触れてみたいと思うんであります。
 最初に、インドシナ難民の現況ですね、最近の一番新しい時点での難民の定住者数とか、その国籍別、また一時滞在難民の上陸者数とか出国者数、残留者数、その現況について簡単に御説明いただきたいと思いますが。
#49
○説明員(色摩力夫君) お答えいたします。
   〔理事真鍋賢二君退席、委員長着席〕
 定住難民に関しまして、これは十一月二十日現在の統計によりますが、定住許可総数二千五百三十名。定住許可実数一と申しますのは、このうち、定住を申請して取り下げということが間々ありますので、許可実数が千七百九十四名。そのうち、実際に本邦に入国しまして定住したと認められる難民が千六百五十四名。
 そのうち、国籍別に申しますと、ベトナム人が九百五十四名、ラオス人が四百八十三名、カンボジア人が二百十七名というのが定住難民の現況でございます。
 次に、一時滞在難民を申し上げますと、これも十一月二十日現在の統計に基づいて申し上げます。現在、全国いろいろなところに約三十ばかりの一時滞在難民の収容施設がございますが、そこに現に滞在している難民総数は、この時点におきまして千八百二十九名でございます。
 この中身でございますが、これは複雑になります。というのは、一時滞在難民の受け入れの開始が昭和五十年でございます。それから各年にわたりまして上陸者数、それからその後の出生数、それから定住許可を得てステータスが変わった難民、それから死亡数、出国者数、いろいろ複雑な関係になります。
 ことしの昭和五十六年について一つの例として申し上げますと、上陸者数が千十九名、上陸後の出生者数が七名、出国者数、つまり希望に基づきまして第三国、これはアメリカとかオーストラリアとかフランスとかカナダとかそういう国々でございますが、そこに引き取られて出国した難民が三十名、残留者数が九百九十六名、それが概況でございます。
#50
○藤原房雄君 年度的に見ますと、上陸者数、要するに、日本の国にとどまるこの残留者数がどうかということが、一つの目安といいますか対策上問題になるのだろうと思うんですが、統計的に見ますと、やっぱりこの上陸者数とそれから出国者数、それが残留者数になるんだと思いますが、ふえる傾向にありますね。これは各国のいろんな様子等についても報じられておりますけれども、こういうふえる傾向にあるということは昨年あたりから多いように見受けられるんですけれども、こういう傾向にあるということは言えると思いますが、どうでしょう。
#51
○説明員(色摩力夫君) 先生御指摘のとおりに、年々入国者数がはるかに出国者数を上回っておりますので、これが累積するという傾向がございます。これがいま難民政策と申しますか難民対策ということでいろいろなむずかしい問題ございますが、その大きな難問の一つとなっていることは事実でございます。
#52
○藤原房雄君 いままでとは違ってそういう傾向にあるということは、その理由はどこにあるんでしょう。
#53
○説明員(色摩力夫君) 一つは、どうして入国者数がふえるのかという問題、それから第二は、どうして出国者数がかくも低いのかという二つの面があると思います。
 第一の問題に関しましては、これはよくわかりません。よくわからないと申しますのは、インドシナ難民、つまりベトナム、カンボジア、ラオス、この三国から難民として現地で外に出る難民の数は明らかに減っております。総数において減っております。
 ただし、その中でベトナムの場合、つまりこれは大部分がボートピープルということで海上に脱出するわけですが、この数は、それにもかかわらず、少なくとも昨年と比べて減っておりません。むしろふえぎみという統計が出ております。ベトナムだけがどうしてふえているのか、これは的確な理由が、各国の難民関係者いろいろ機会あるごとに意見を交換するのですが、よくわかりません。しかし、事実としてそういう傾向があるということでございます。
 第二の、どうして出国者が数が少ないのかと申しますと、これは大きな理由として二つ指摘したいと思います。
 一つは、いままでの体験によりますと、わが国の一時滞在施設に滞在している一時滞在難民の大部分が積極的に日本に定住したいという意志を持たない、あるいは示さない。大部分が第三国、特にアメリカに行きたいという強い希望を持っているということが、現象の説明でございますけれども、一つ指摘できると思います。
 それから第二は、それでは希望をされた国々、たとえばアメリカとかヨーロッパの諸国あるいはカナダ、オーストラリアという国々の引き受けの政策と申しますか、その全般の傾向でございますが、大胆に割り切って申しますと、多少変化が認められます。その変化は、縮小という方向に向かっていると判断せざるを得ない。縮小ということは、量的なつまり枠というものを下げるという形であらわれたり、定住引き受けの条件をきつくしたり、あるいは制度としてきつくしなくても運用において制限的になされていると、そういうことが指摘されると思います。
#54
○藤原房雄君 きょうは時間もありませんから、このことだけで、いろいろお尋ねし、そしてまた、それに対する問題いろいろお聞きしたいと思っておったんですが、これはまた後日に譲りたいと思います。
 さしあたっての問題としましては、先ほど申し上げましたように、難民認定法の施行ということで難民を認定する、こういうことの作業が具体的に行われることになるわけでありますが、この難民認定の条件というのはあるわけであります。しかし、これは非常に微妙といいますかむずかしい問題で、果たして現在、この難民に認定される方はいいんですけれども、認定漏れになった方々はどうなるのかということ。およそこの難民と言われる方々が、現在決めておりますこの国の方針に沿いまして、どのくらい認定になるというふうに推測していらっしゃるのか。
 また、認定にならない、認定は非常にむずかしいんじゃないかというふうな感じの方々も非常に多いように――多いというか、現在のこういう状況から見ますと、非常に認定もむずかしいというふうなことも報じられているわけですけれども、この施行に当たりまして、運用面で現実これはどういうことに推移するというふうにお考えになっていらっしゃるか。もうこれは一部新聞等にも報じられておりますが、本委員会におきましてもそういう法案の審議をしたということもございまして、現状としてどのように把握していらっしゃるか、その点のことについて概略御説明いただきたいと思いますが、どうでしょう。
#55
○政府委員(大鷹弘君) 難民の認定手続は、来年の一月一日から発足するわけでございます。この場合、この難民認定の申請をする人たちの大部分はインドシナからの難民であろうと私ども考えております。その中でも、特にわが国に定住のために来ている難民、いわゆる定住難民の人たちが多いのじゃないかと、こういうふうに見ているわけでございます。
 ところで、こういう方々が認定を申請されましたときに、一体結果がどうなるだろうかということですけれども、この見通しは非常にむずかしいのでございます。藤原委員も御承知のとおり、難民であるかどうかの尺度は、難民条約に掲げております定義定義に合うかどうかということになるわけです。
 具体的には、申請をした人がその祖国で迫害をされた、あるいは迫害を受ける可能性がある、おそれがあるかどうかということになるわけです。そういう認定の申請をした人につきましては、私ども入念に調査をして、もしそういう迫害の事実があれば、当然そういう方々は難民条約にいう難民として認定されることになります。他方におきまして、認定漏れになる人も出てくるかと思います。たとえば具体的には、いわゆる経済難民と言われているような方々でございます。もし本当にもう少し経済的にましな生活をしたいということだけで本国を脱出したという人がある場合には、いわゆる経済難民でございますけれども、こういう方につきましては、これは条約上にいう難民とは認定できないということになります。
 ところで、それでは、そういうことで認定を受けることができなかった人たちの処遇をどうするかという問題がございます。インドシナ半島から脱出してきたいわゆるインドシナ難民のうちで、わが国に定住のために来ております人たちにつきましては、すでにインドシナ難民対策連絡調整会議、内閣官房の調整会議におきまして、難民として認定されない者に対しても可能な限り難民条約でいう難民に準じて処遇するよう配慮するということが方針として決まっております。
 そこで、私ども法務省といたしましてもこの方針にのっとりまして、私どもの所管の事柄につきましては、できるだけ難民漏れ、難民認定に漏れた人たちについても難民認定された人との間に処遇の差が余り起きないように配慮したいと、こういうふうに考えているわけでございます。
#56
○藤原房雄君 難民条約を締結しておる国々におきましては、それぞれの尺度でこれは難民認定というのはするわけでありますから、日本の国では認定にならないけれどもほかの国へ行ったら認定になるなんということはないんだろうと思うのですけれども、それはどうですか。
#57
○政府委員(大鷹弘君) 認定の基準はどこまでも難民条約にいう定義でございますから、認定手続はどこの国で行いましても、同じ定義によっている限り結果は同じはずでございます。
#58
○藤原房雄君 同じはずなんですね。しかし、今後の運用面のことについて、いまお話ありました経済難民ということも言われておるわけですけれども、現状につきましては非常に厳しいいろんな諸問題があるようでありまして、認定漏れになった方々の処遇をどうするかということが、やっぱりここで一番問題になるんだろうと思います、難民に準じた処遇をするというこういう方針、閣議の了解等もあるようでございますから。しかし、それは具体的にどういうことをするのかという、まあやはり難民といいますか、こういう形で日本の国へ入ってきたという方はそれなりに家族的に、または社会的にいろんな事情があるのだろうと思いますね。
 そういうことを十分に参酌し、人道的な判断の上に立ってやっぱり処遇といいますか、こういう問題を考えませんと、難民認定しないからということで大きな処遇の差があったり、それからまた、できるだけこの運用面で、こういう定住というものについて積極的に認めていくという方針なのか、または第三国への出国、こういうことを積極的といいますか、そういうあっせん等について力を入れるといいますか、そっちの方にウエートがかかるのか、認定漏れの方々の処遇というのは非常に今後は問題になるんだろうと思います。
 こういうことで、具体的なことについていまからどうします、こうしますというわけにはいかないのかもしれませんけれども、これは今日までもいろんな角度から論じられておりますように、人道的な見地の上に立ってこれは運用面については難民に準ずる処遇、こういうことを十分に配慮すべきだと思うわけですけれども、このことについてはいかがお考えでしょうか。
#59
○政府委員(大鷹弘君) 難民の認定を受けられた人とそれから受けることができなかった人との間の処遇につきまして一番のポイントになるのは、その人たちがわが国に滞在できるかどうかという点でございます。国によりましては、条約上の難民はこれは滞在を認めるけれども、難民と認定されなかった者、難民と考えられない者につきましては本国に帰ってもらう、あるいは第三国に移ってもらう、こういう政策をとっている国もあるようでございます。
 ところで、わが国の場合でございますけれども、インドシナ難民に関する限り、難民認定の申請を行います者の大部分は定住難民であろうかと思われます。ところで、この定住難民につきましては、条約上の難民であると認定されようがされまいが、わが国といたしましては、わが国における滞在、在留を認める方針でございます。したがって、条約上の難民であることが認定された人は、当然これはもちろんわが国に在留できるわけでございますけれども、定住難民としてわが国に入ってきていて、しかも難民認定の申請をしたけれどもいろいろな理由から認定漏れになった人たちにつきましても、在留は引き続き認めていくというそういう考え方でございますので、したがって、その点で何ら懸念はないわけでございます。
 そのほか、在留の問題以外に、たとえばわが国に在留している間、海外に渡航できるかどうかという問題がございます。難民の場合に、難民条約に定めております難民旅行証明書というものをわが国の場合にも発給することにしております。しかし、難民と認定されなかった人たちにつきましても、再入国許可書というのを発給という形で、海外渡航の道は開かれているということでございます。
 その次に、永住でございますけれども、この永住へのプロセスに関しましても、難民と認定された人あるいはされなかった人との間に処遇の差が生じないように具体的に配慮していきたいと、こう考えておるわけでございます。
#60
○藤原房雄君 じゃ、流民のことも、これは前国会でいろいろ質疑を申し上げましたし、またいろいろ御配慮もいただいたわけであります。ことしの五月ですか、流民に対する三つの方針、こういうこともお決めいただいたわけでありますが、流民処遇の新方針に基づいて特別在留許可を与えられた人数と、それから与えられなかった人数、これ、わかりましたらちょっと――そして特別許可が与えられなかった場合には、どういう理由でこれを与えられなかったのかという、その間のことについて御説明いただきたいと思います。
#61
○政府委員(大鷹弘君) 五月に流民につきまして新しい処遇方針を定めて、これを国会の場で明らかにさせていただいたわけでございますが、それ以来、法務大臣の在留特別許可を与えられた員数は合わせて八名でございます。
 国籍別の内訳を申し上げますと、ラオス人が一名、それからタイ人が二名、中国、これは台湾でございますけれども、系の人が五名でございます。この八名のほかに、アメリカへの入国が認められて近く日本を出国する予定にしております中国人――台湾系統ですけれども、一名に対しまして短期九十日の在留特別許可を与えた、そういう事例がございます。
 他方におきまして、この間にわが国のこの新しい処遇方針に該当しないということで退去強制令書を発行された事案は二つございます。中国――台湾の国籍を持った人が二人いるわけでございます。なぜこの人たちが、それではほかの八名に比してわが国での在留特別許可の対象にならなかったのかと申しますと、この二人とも、いずれも台湾に帰って居住することができると私どもは考えた次第でございます。先ほどの八名の在留特別許可が与えられた人につきましては、行き先がないということで私どもはそういう許可をしたわけでございますけれども、この二人につきましては、一人はもうすでに三年半台湾に住んだというそういう実績がございますし、それからもう一人につきましては、何度も台湾と日本の間をいままで往復していると、そういうこともわかっております。したがいまして、この二人につきましては新しい処遇方針の適用はできないということで、現在退去強制令書が発行されて、収容所に送還待ちになっているという状況でございます。
#62
○藤原房雄君 時間がありませんので粗々のことだけお聞きしましたが、過日警察庁の方にもいろいろお尋ねを申し上げまして、外国人登録証の不携帯のことについてお尋ねを申し上げました。いろいろ統計的な数字的なことについてお答えありました。不携帯の今日までの検挙といいますか、そういうのはおよそ三千七百五十五人ですか、こういう数的なことや、その中でまた逮捕者が百名近いと、こういうお話もあったわけであります。
 いろんなことをお尋ねしたいと思いますが、もう時間もありませんから一つだけ申し上げておきたいんですが、過日も申し上げましたように、留学生の方がたまたま大阪からこちらへ来て、不携帯だったということでいろいろ調べられたということでありますが、まじめな学生であったようでございまして、その方がいろいろな取り調べ、署内に入りまして手錠をかけられたということで非常に不快感を持ち、それが日本の国に対するそういう認識といいますか、そういうことをされたということで非常にショックを受けたという、こんな話を聞いておるわけでありますが、署内で手錠をかけるというのは、どういうときにどういう目的でかけるのかということ、それから不携帯は確かに悪いというか、法を守らなかったということにはなるんですけれども、学生でありますと学生証とかその人の身分を何らかの形で明らかにすることができるということであれば、そう厳しい取り扱いをされなくてもよろしいのじゃないかという、こんな気がしてならないわけであります。
 国際化の進むこういう中で、日本に入ってきます外国人も多くなる。そうしますと、こういう事例もだんだん多くなるのかもしれません。あってはならないことかもしれませんけれども、しかし、本当に意図的なことではなくして、たまたまミスといいますか、こういうことのために、厳しい取り調べのために日本に対する不信感といいますか、嫌悪感といいますか、そういうものを強く抱く。これはやはり日本に来た人、そしてまた、留学生のようにやがてはその国の指導的な立場に立つという方々にそういう感情を抱かせるということは非常にまずいことだということで、何かこういうものに対しての対策といいますか、考え方というものを検討しなきゃならないんじゃないかと思います。
 こういうことは、非常に検挙数が多いということ等も考えあわせまして、一時にはできないかもしれませんが、署内では当然この国際化の進展の中で厳しくしなきゃならない一面でありながら、また留学生というか、そういう特殊な方々に対してはそれなりの配慮もしなければならない。また、対応につきましては、それなりにいままでとは違った第一線の警察官の方々の対応、こういうことも十分に配慮しなければならないんじゃないかと思うわけですが、こういうことについて、これから外国人に接する機会も多くなり、その第一線の警官の行動が、日本の国の入国の時点でもそうですけれども、そういう強い印象を与える。こういうことを考えますと、十分な教育ということが必要じゃないかと私思うんです。
 こういうことについて部内での検討がなされているのか、また今後についてそういうことも十分に考えた上で対処をしていくお考えなのか、その辺のことについて、警察庁の見解をちょっとお聞きしておきたいと思います。
#63
○説明員(吉野準君) お尋ねの第一点でございますが、署内でどういう場合に手錠をかけるかというお尋ねでございますが、これは署から署の外へ必要がありまして一時出す場合は当然かけますし、署内におきましても、たとえば留置場から取り調べ室へ移すという、これは短い移動でございますが、この場合におきましても逃走であるとか、あるいは自殺等の事故、こういうものを防止するために手錠をかけて、取り調べ室へ着いた段階で外すというふうになっております。
 それから、お尋ねの事案は、ことしの九月の十五日の午前一時ごろ、深夜でございますが、都内の富坂署の管内で富坂署員が警戒中、路上を無灯火の自転車で信号を無視して通過してきた男がございましたので、当該警察官がこれをとめて職務質問したところが外国人であると、具体的には中国人であるということがわかりましたので、当然のこととして外国人登録証の呈示を求めたのでありますけれども、持っていないと、どこにあるのかと聞きましたら大阪に忘れてきたと、こういう話でございましたので、当人を外登法違反でもって逮捕いたしまして、翌朝都内にいる友人を呼び寄せまして、この友人に依頼させまして、大阪へ行って本人の外国人登録証を持ってきてもらいまして、確認した上でその日の夕方釈放いたしています。したがいまして、私どもとしてはまことに適正妥当な処置だったというふうに考えているわけでございます。
 こういう場合に学生証で代用できないかというお尋ねでございますが、御案内のように、学生証と外国人登録証とは目的もそれから中に書いてあることも全く違うわけでございまして、ちょっと代用にはいたしかねると思います。ただ、こういう場合に、可能ならば学校当局へ連絡する、連絡した後で学校の関係者からすぐ持ってきてもらって、それを確認した上で済ませるというような弾力的な措置はとっておるつもりでございます。
 それから、一般論としまして、外国人の取り扱いの問題でございますが、確かに外国人の取り扱いというものは言語の違い、それから風俗、習慣の違い等もございまして、大変むずかしいものがございます。一方では、取り締まるべきものはきちんと取り締まらなければいかぬという要請がございますし、一方では、無用の誤解を与える必要はないということもございます。その辺の兼ね合いが非常にむずかしいわけでございまして、私どもとしてはかねがねその辺につきまして、機会をとらえて第一線の警察官に教養しているところでございますけれども、おっしゃるとおり、国際化と言われる時代を迎えまして事案もふえてくると思いますので、今後とも一層指導、教養に努めてまいりたいというふうに考えております。
#64
○藤原房雄君 最後になりますが、大臣、難民条約あるいは難民認定法、いよいよ一月からということであります。また、流民の問題、またただいまの問題等、日本に参ります外国人の方も非常に多い、また非常に複雑、いろんな国際的な問題、こういうのが絡んでおるわけでありますが、法の運用、しかし、その大前提にはやっぱり人道といいますか、そこに一人の人がいるということで、十分に事情といいますか、その状況判断といいますか、そういう問題については判断しなければならぬだろうというふうに思います。
 こういうことで、大臣もいままでいろいろお取り組みをいただいたわけでありますけれども、最度にひとつ大臣の御所見をお伺いしまして、終わりたいと思います。
#65
○国務大臣(奥野誠亮君) 国際交流もだんだん多くなってまいりますし、また、特に難民が日本にたどり着いてくるという数も、先ほど来お話しのように多くなってまいっております。これらに対して日本がどう対応するかということは、日本について海外の人たちが見る目が変わってくるわけでございます。日本の将来の安泰にもつながる問題でございますので、抜かりのないようにしていかなきゃなりませんけれども、同時に悪感情を抱かせないような対応が大切だと、こう考えております。
 いまお話しの難民の問題につきましても、難民調査官というものが新しく生まれたわけでございますし、したがいまして、そういう人たちの今後の勉強の問題もございますし、また、大村に難民一時庇護センターをつくるわけでございまして、二月からは現実に運営が始まるわけでございますので、そういう点につきましてもいろいろ準備を整えているところでございまして、ぜひこれからの日本のあり方につきまして国際社会においても十分理解されるように努力していかなければならない、かように考えているところであります。
#66
○近藤忠孝君 前回に引き続きまして、わが国に入国した外国人の資格外活動について若干お伺いします。
 最近の傾向として問題になっておりますのは、一つは、フィリピンから入ってくる女性の問題だと思うんです。そこでお伺いしますが、フィリピンから興業ビザと観光ビザで入国した人員、この五年間でどうなっているか、ちょっと御報告願いたいと思います。
#67
○政府委員(大鷹弘君) フィリピンから観光ビザまたは興業ビザで過去五年間に入ってきた人数について申し上げます。
 昭和五十一年でございますけれども、観光ビザで入った者が三千五百七十四名、興業ビザで入った者が二千八百六十二名。五十二年、観光ビザで入った者五千百十五名、興業ビザで入った者三千三十四名。五十三年、観光ビザで入った者七千四百五十五名、興業ビザで入った者三千八百九十八名。五十四年、観光ビザで入った者六千四百八十二名、興業ビザで入った者六千三百十三名。五十五年、観光ビザで入った者が八千九百八十二名、興業ビザで入った者が八千五百五名でございます。
#68
○近藤忠孝君 私は、このうち特に興業ビザの問題を重視する必要があると思うんです。これは法務省からいただいた資料によりますと、韓国それから中風、この場合台湾ですが、それと比較してみますと、昭和五十一年を一〇〇とした場合に、興業ビザの場合にはフィリピンの場合には二九七、それから韓国の場合には一六三、台湾は二〇〇であります。しかし、台湾の場合は数は大変少ない。観光の場合もフィリピンの場合大変多いんですが、しかし台湾の場合には特に観光が多い。また、これは別の事情だと思うんですけれども、一つの特色があると思うんですね。
 要するに、これは商売として入ってきているとしか見られないわけであります。そして、それは国内でのいろいろな調査とか、あるいは警察へのそれらの検挙、また週刊誌、また新聞、そういう記事を見ましても、これらが国内で売春とかその他の違法行為、あるいは人身売買の対象になっている、暴力団などのえじきになっている、二つの面において大変重要な問題をいま持ってきているんじゃないかというぐあいに考えるわけであります。
 そこで、その辺の認識、そしてそれが実際資格外活動として摘発された人員、それからその分布、恐らくこれは全都道府県に及んでおると思うんですが、その分布、それからその処分の内容、これについて御報告願いたいと思います。
#69
○政府委員(大鷹弘君) 最近の興業ビザで入ってきた人たちの資格外活動の状況についてお尋ねがあったわけでございます。こういう資格外活動の具体的な形といたしましては、芸能人として入ってきた人がキャバレーとかバーとかでホステスのような仕事をする。それから、その中で場合によっては売春行為をやっているというような人も相当いるということでございます。こういう資格外活動の事案というものは、昭和四十年代に入ってから外国人の入国者数がふえるのに伴いまして毎年増加してきているわけでございます。
 資格外活動をやったために退去強制手続がとられた者の数のここ数年の推移を見ますと、昭和五十二年には二百七十四名、五十四年には六百六十七名、五十五年には七百四十二名でございまして、ことしは六月末現在で四百六十名となっております。この資格外活動によって退去強制手続を受けた者は、これはもう興業ビザで入った者だけじゃなくて、観光ビザで入った者も入っておるわけでございます。
 こういう資格外活動の現在の傾向を見ますと、大体東南アジア諸国、特に台湾とかフィリピン、それからタイ、こういう人たちで大部分が占められております。
 それから、こういう人たちの大半は女性でございまして、初めから出かせぎを目的として観光客を装って入国し、あるいは興業ビザで芸能人として入国したというもので、ほとんどが遊興飲食関係業者のところで稼働しているものでございます。
 なお、少数でございますが、男性もおりますが、その場合には工場とか建築工事現場で稼働する等、職種はかなり広くなっております。
 それから地域でございますけれども、こういう資格外活動をやっております地域も、大都市からだんだん最近は地方都市の方に移る傾向がございまして、いわゆる広域化現象というものが起きているというわけでございます。
#70
○近藤忠孝君 その広域化現象では、たとえば私も長野県のかなり山奥の温泉街に行きましたら、そこにもおるので、ここまで浸透しているのかということで懐然とした覚えがあるんですけれども、まさにそういう状況ですね。
 私はもう一つ法務省の認識をお伺いしたいのは、その場合、一応興業主の方から、あるいは招致した方からそれなりに金が払われておりますね、恐らく一人十数万ぐらの金、あるいはもうちょっと多いかもしれません。しかし、本人に渡るときには大変少ないんですね。十万あるいは十万を切っている、あるいはもっと少ない場合がある、途中の搾取がありますね。そして、どうしても売春に走らざるを得ないような仕組みにもなっている。そんな実態が新聞――これは朝日や読売、あるいは各週刊誌でもかなり最近詳細に報道されるようになっていますね。その辺はどうつかんでおりますか。
#71
○政府委員(大鷹弘君) 私どもの方では、入国してから資格外活動で摘発されたケースにつきまして必要な調査をしておるわけでございますが、なかなか実態がつかめない。彼らもそう簡単にはこちらの尋問に対して本当のことを言ってくれないという面がございます。しかし、そういうこともあるようには聞いておりますが、なかなか具体的な裏づけというものはむずかしいと、そういう状況でございます。
#72
○近藤忠孝君 しかし、報道されている実態はもう大変なものでありますし、私は国の方の調査がうまくいかぬということであれば、そういう情報もやはり十分尊重し、対処を図るべきだと思うんです。
 前回、私の質問に対して入管局長の方からは、いわば水際作戦、入ってくるときにそこでチェックをするということでありました。しかし、入ってくるときに果たして本当にうまくいくのだろうか。たとえば興業ビザの場合にはそれなりに一応チェックもある程度できると思うんですね、できない部分も相当ありますけれども。そこで最近、これは十一月十一日の報道によりますと、フィリピン女性に売春させたのが逮捕されたのですが、この場合には労働ビザで入っているんですね。しかし、労働ビザといいますと、これは出入国管理令四条一号の十三によって「もつぱら熟練労働に従事しようとする者」、「もつぱら熟練労働」というと、普通に入ってくる飲食店あるいはキャバレー等で働く女性を「もつぱら熟練労働」とは言わぬと思うんですよ。
 となれば、その辺で私はチェックのしようがあるんじゃないか。そういう点では、私は入ってくるときのチェックが必ずしも十分行われてないのじゃないか。もちろんむずかしい面はありますよ。外国人に対して不快な思いをさせないという配慮もありますから、必ずしも全部がそううまくはいかぬだろうけれども、もう少し入り口のところのチェックを考えますと対処できるのではない一が、こういう印象を持っておるんです。その点、どうですか。
#73
○政府委員(大鷹弘君) こういう資格外活動の規制につきましては、まず水際でやりたいというのが私どもの方針でございます。
 そこで、こういう人たちが入ってくる経路は二つございます。一つは、観光ビザで入ってくる人たち、もう一つは、興業ビザで入ってくる連中でございます。観光ビザで入ってくる人の場合には、これはビザの取得が非常に容易でございますのでなかなかチェックができない。そこで、日本に入国の際、空港でできるだけ調査をすることにしております。たとえば二週間日本にいて観光したい、そのために来たのだというようなケースであるけれども、しかし、私どもの方で資格外活動をやる心配があるのじゃないかというときには、いろいろな質問をそこで入国審査官がやっております。たとえばその人たちが二週間の間にどういう観光日程を組んでいるのか、それから二週間の観光旅行に必要な経費というものを果たしてその場合携帯して持っているのかというようなことも調べるわけでございます。
 そういうことでございますけれども、しかし、先方も最近は手口が巧妙になっていてなかなかそれだけのことではチェックできない、われわれの網の目をくぐって入国してしまうケースもあるわけでございます。
 それから、興業ビザで入ってくる人たちでございますけれども、こういう人たちにつきましては、私どもは非常に注意深く事前の審査をやっております。たとえば芸能人として入ってきたいという場合、スポンサーと申しますか、その日本の招聘先でございますが、そこにつきましても私どもとしてはいろいろとチェックをいたしまして、本当に保証能力があるのか、また管理能力があるのか、そういうことも確かめた上で許可をすることにしております。それから、ただいま近藤委員が御指摘になりました熟練労働のビザを持って入ったというケースでございますけれども、もちろんバーとかキャバレーのホステスとして入ってくる人たちを私どもは熟練労働者とは考えておりませんので、そういう人たちに対してはそういう労働ビザというものは発給されているはずはないのでございます。御承知のように、たとえば中国料理店のコックさんであるとか、こういうわが国で大体できないようなそういう技能を持った人、これは熟練労働として入ってくるケースがありますけれども、御指摘のような場合には、私どもとしてはとうてい労働ビザの対象としては考えていないというわけでございます。
    ―――――――――――――
#74
○委員長(鈴木一弘君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、杉山令肇君、平井卓忠君及び中山太郎君が委員を辞任され、その補欠として関口恵造君、川原新次郎君及び田沢智治君が選任されました。
    ―――――――――――――
#75
○近藤忠孝君 確かに巧妙でありまして、観光ピサの場合に金の面を調べようとすると、興業主の方であらかじめ金を与えておいて、それでそこをパスしたらば取り上げてしまうとかいろいろやっておるようですね。しかし私は、向こうが巧妙であれば、反対にこちらはそれを上回る対応策を立てなければ、全くこれは野放しになってしまうと思うんです。現に労働ビザで入ってくるはずはないと言いますけれども、これは毎日新聞ですが、十一月十一日の記事では、ちゃんと入ってきてそれで売春で逮捕されておるわけですから、やはり手抜かりがあるのじゃないかと思うんですね。
 一つ指摘したいのは、これも出入国管理令七条一項の二によりますと「申請に係る在留資格が虚偽のものでなく、且つ、第四条第一項各号の一に該当すること。」それからさらに「前項の審査を受ける外国人は、同項各号に掲げる上陸のための条件に適合していることを自ら立証しなければならない。」――立証責任を持った場合は、私、弁護士ですけれどもこれは大変な話ですよね。まずちょっとこれを厳格にやられたら、立証が困難な人は相当出てくるのじゃないかと思います。私は水際作戦でのその辺の対応策の強化によってある程度は可能ではないかと思いますし、もしそれが現行制度で不可能であれば、何らかの立法を考える必要があるんじゃないが。かなりむずかしい面はあると思いますけれども、そういう準備が必要じゃないかと、こう思います。
 ということは、私はそういう売春行為その他が放置されるというわが国の風俗や秩序にとって問題だけじゃなくて、現に国内で大変な人身売買的なわが国における人権侵害、これが行われておるわけです。現に、たまたまそういう女性に救出を求められてそれを救助しようと思ったらば、いかつい男に囲まれて、うちの商品に手をつけるのかとか、あるいは実際暴力団から暴力団に売り飛ばされて、それでもう全くその管理下に置かれてひどい目に遭うとか、一定期間でまた帰されるようでありますけれども、そういう人身売買が行われておるということも報じられておるんですね。
   〔委員長退席、理事藤原房雄君着席〕
そういう状況が先ほどの局長の答弁ではまだ十分つかめてないとなりますと、私は一つは人員の問題があろうかと、こう思うんです。そういう面はどうでしょうか。
#76
○政府委員(大鷹弘君) 暴力団が絡んだ事件というものは確かにあるわけでございます。私どもといたしましては、たとえば興業ビザで入国しようという人たちにつきましては、その人たちは本当に芸能人としての資格があるのかどうかということも十分見きわめます。それから、そういう人たちを招聘する側が、ちゃんとした人たちであるのかということもチェックいたします。たまたまその招聘先の人たちがかつて暴力犯の絡むような事件を引き起こしたとか、あるいは売春行為をあっせんしたとか、そういうことがあったということがわかりますと、当然私どもとしては、そういう人たちが申請したケースについては入国を認めないというそういう措置をとっているわけでございます。
 いずれにいたしましても、私どもがわかっておりますケースにつきましては、そういうことで適宜対処しております。
 なお、この職員の数でございますけれども、入国審査官それから入国警備官、合わせてそれぞれ六百数十名でございます。決して私どもとしては多い人数とは考えておりません。しかし、現在のこういう財政事情のもとにおきましては、ふやしてはいただきたいと思いますけれども、なかなか思うようにいかない。そこで、できるだけ与えられたそういう人数のもとで効率的にこういう人たちに働いてもらって、私どもとしては十分その目的を達したいと、こう考えておるわけでございます。
   〔理事藤原房雄君退席、委員長着席〕
#77
○近藤忠孝君 立法の面とか、あるいはそういう具体的な先ほど言った立証責任の問題ですね、その辺の問題の対応としてはどうでしょうか。
#78
○政府委員(大鷹弘君) こういういわゆる資格外活動、それがまた売春、人身売買のそういうことにもつながるという御心配、私どももこういう社会的な現象が起きているということについては憂慮すべきことであると考えておりますし、私どもといたしましては、できるだけそういうものに適切に対応していきたいと考えておるわけでございます。
 ただ、新しい立法をもってこれに対処するということが果たして有効なことなのかどうか、それにつきましてはもう少し検討さしていただきたいと思います。
#79
○近藤忠孝君 時間も来ましたので、もう一言指摘をさせてもらいますと、これは最近発行になったフォーカスという雑誌に、密着取材して写真まで出ていますね。一見してこれ、わかるようなものですよ。現に迎えに来た興業主の方が、大体おまえたち踊り子であれば衣装が足りないじゃないかと、ほとんど衣装も持ってこないで来たというのですね。だから私は、たとえば先ほど観光ビザの場合、お金を持っているかどうかで考えると言ったのですが、もし興業であればそういうものをどうするのか。興業に必要な衣装とか道具とか当然あれば――この場合には、なしろ迎えに行った連中が、本人たち暑いフィリピンから半そでで来て、見つかってしまいやしないかと思ってひやひやしながら迎えに行ったという、そんな話までありまして、ごく気軽に入ってくるんですね。
 となれば、そういうものの取り締まりをずっと対応してくれば、一つの類型が出てくるはずですよ。法務省がつかんだ類型を、また向こうがもう一回り知恵を働かすかもしれぬけれど、それは知恵比べかもしれませんけれども、私はそういう面は対応が可能だと思うんですね。もちろん人数が少ないと、私たち報告を受けたところでは、大変な少ない人数でやっていることは承知しております。しかし、そういう面で、もっともっとこれは真剣に取り組むべきじゃないかということを、ひとつ局長に御答弁いただきたい。
 それから、最後に大臣に、こういう事態についてどういう感想を持っているか、この感想について私は大臣にそれ以上追及はいたしませんから、恐らくいい感想が出てくるんじゃないかと思いますけれども、ひとつ大臣に率直な御感想をお聞きしたい。それで質問を終わります。
#80
○政府委員(大鷹弘君) 興業ビザで入ってきます人たちにつきましては、本当にまじめな意味で興業する人たちなのかどうかということにつきましては私どもはいろいろな角度から事前に審査しております。もちろん、たとえば踊り子でいながら本人または興業主が衣装も持ってないというのはこれは大いに問題だろうと思いますし、それからたとえばどこかのステージに立つという場合に本当にそういうステージがあるのか、その設備というものはちゃんとしているのかということも一応チェックするわけでございます。そういうことで、果たしてまじめな芸能人として、アーチストとして活動するつもりなのかどうかが非常に疑わしいという場合には、私どもは入国を認めないということでやってきております。
#81
○国務大臣(奥野誠亮君) アジアには貧しい国が特に多い、貧富の懸隔、同時に日本人が急に経済力に恵まれてきた、海外に出ましての日本人の立ち居振る舞い、これもいろいろな批判の対象になっているようでございます。また、海外から日本へ来ていろいろな行動をする、日本人のモラルの問題もいろいろ批判の対象になるようでございます。いろいろな角度から今後の日本のあり方、みんなで反省をし、進むべき道を深く考えていかなきゃならない重要な時期にあるのじゃないだろうかな、こう思っております。
#82
○中山千夏君 外国人登録法の一部改正案について、少し御質問したいと思います。
 まず、外国人と結婚をして日本にいる日本女性というのは、何人ぐらいの数になりますでしょうか。
#83
○政府委員(大鷹弘君) いわゆる欧米人と結婚している日本婦人の数は約五千名、それから韓国人とかそういうアジア系統の方々を入れますと、全部で十万人ぐらいに達するのじゃないかというふうに承知しておます。
#84
○中山千夏君 アジアの方と結婚している方もそのグループの中におられたんですけれども、外国人と結婚されている婦人の方たちから、外国人登録証に関して訴えがありました。それは、その方たちの子供が十四歳以上になるといつも外国人登録証を持って歩かなければならない。その外国人登録証に母親の名前が書いてない。これは非常に不便なので、母親の名前をその国籍名と一緒に明記してほしいのだというお話を伺ったんです。
 それで、この間ちょっと来ていただいてお話を聞きましたら、なぜ母親の名前が書いてないと不便なのかよくわからないというふうにそちらの方でお話があったので、また問い合わせてみました、お母さんたちに。聞いてみましたら、たとえば一つには就学手続、保育園とか小学校とか中学校で、その公的機関へ入学手続をするときに、母子関係の説明に大変不便だと言うんですね。たとえば、特に保育園の入園手続の場合なんかには、お母さんが働いているということが条件になっているので、手続のときの説明に非常に時間がかかる。それから登録証にお父さんの氏名が書いてあっても、多くの場合お母さんが手続に行くものですから、窓口ではお父さんとの関係というものから説明するのが必要になってくると言うんですね。
 考えてみましたら、これはどうもこのお母さんたちの側から見た事務手続の合理化、簡素化なんですね。外国人登録法の一部改正というのは簡素化、合理化ということをねらっているわけだけれども、こちらの側の簡素化、合理化も大切ですけれども、やっぱり手続をして回ったりいろいろする一般の方たち、個人の方たちもそれなりに簡素化、合理化というのを求めていらっしゃるんであろうし、この問題についてはどんなふうにお考えになっているのか。それで、これは改善の余地はあるのかどうかということをちょっとお伺いしたいんですが。
#85
○政府委員(大鷹弘君) ただいま中山委員がお取り上げになりましたことにつきましては、「国際結婚を考える会」で提案されたということは、私どもよく承知しておるわけでございます。
 ただ、中山委員御自身からお話がありましたとおり、現在私どもは外国人登録事務をできるだけ簡素化、合理化したいと考えておるやさきでございまして、外国人登録証明書というのはもうすでに二十項目も記載項目があるわけでございます。これをむしろ減らす方向で考えなきゃならぬと思っておりますので、そこに一つこういう母親の名前というものを加えることが本当に妥当であるかどうかということには、そういうことはもう少し考えさしていただきたいと思っておるのでございます。
 特に、この外国人登録証明書につきましては、これをできるだけ小型化してほしいという要望も非常に強いわけです。たとえば自動車運転免許証と同じぐらいのサイズにしてもらいたい、これはなかなかむずかしい話なのでございますけれども、そういう強い要請もあるわけでございまして、そうなりますと、こういう母親の名前というものを国籍名に併記するということはなかなかむずかしいことじゃないかというふうに考えております。ただ、どうしてもこれが本当に必要なのかどうかということにつきましては、引き続き考えてみたいとは思います。
 そこで、一体そういうことをやらなければならない理由がどこにあるのか、やればどういう大きな利点があるのかということについても、もう少し研究さしていただきたいと思います。
#86
○中山千夏君 二十項目も記入事項がある、それから小型化が求められているということもこの間ちょっとお話をお伺いしたんですけれども、この登録証明書というのを見ますと、何か少しどこか譲れば、たとえば「記載事項書換欄」というんですか、こういうところが少し狭くなれば、一つ名前ぐらい入るのじゃないかとか素人目には考えるわけなんですけれども、恐らく二十項目ある必要度というのを考えるときに、どうしてもやはり国が管理していく上で必要という部分が先になるのだろうと思うんです。
 確かに、国際結婚している女の方たちからの申し出は、その方たち自身が困るんだという問題で、非常に大きなところから大ざっぱに考えてしまうと、そんなに不便ではないのじゃないかということがあるかもしれませんけれども、その個人個人の人たちにしてみれば、その人たちなりの事務の簡素化、合理化が必要であったり、またそれぞれのお宅で財政再建の必要もあったりするのじゃないかと思うんです。だから、その辺を余り軽視しないで今後この問題を考えてみていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#87
○政府委員(大鷹弘君) こういう問題は、結局、政府の仕事の簡素化、合理化とそれからサービス面での配慮、これをどういうふうにうまくかみ合わせていくかということだろうと思います。
 簡素化、合理化という点について申し上げますと、登録証明書の項目の数をふやすということがむずかしいというほかに、仮に母親の名前を入れることになりますと、当然、それが正しい記載であるかどうかということを外国人登録を扱っている人たちはチェックしなければならぬわけでございます。したがって、そこにやはり目に見えない仕事の量の増大ということが出てくるわけでございます。他方におきまして、サービス面の方でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、いま先生が御提案になりました方をとった場合に一体どういう利益があるか、とらなかった場合に非常に困るかということについては、もう少し研究さしていただきたいと思います。現に、この外国人登録証明書の中には本人の世帯主、家族の世帯主の名前と、それからその世帯主との続柄、これも記載されることになっております。
 そこで、いま御指摘になっているような国際結婚の場合にそれだけで不十分かどうか、もし不十分であった場合に、市区町村の窓口に行ってそういう母親と子供との関係を証明してもらう手続が余りにも煩瑣なものであるかどうか、そういうことを総合的にやはり考えなきゃならない問題であろうかと思っております。
#88
○中山千夏君 それから、その際に指紋をとる、十四歳になると子供の指紋をとる、そのことが、これは余り論理的なというよりも感情的な問題なんですけれども、子供にとっては非常にショック。であるということをお母さんたちがおっしゃっているんですね。その指紋というのは、日本人の場合ですと、何か犯罪に関係をしたとかそういうときにしかとられないわけなんですけれども、この指紋をとるということは、お母さんたちは全外国人の指紋義務を廃止してほしいというようなことをおっしゃっているんですが、この点についてはどうお考えですか。
#89
○政府委員(大鷹弘君) 現在は、十四歳以上の外国人の方々につきましては指紋の押捺をしていただいているわけです。これを廃止することができるかどうかということでございますけれども、率直に申し上げて、それはできないというふうに考えております。
 と申しますのは、やはり適正な在留外国人の公正な管理と申しますか、それに資するために外国人登録ということを行っているわけでございますけれども、もっと具体的に言うと、不法入国者というものをチェックするためには、どうしても外国人の方々に外国人登録証明書を携帯していただく。しかも、その方が本人であるということをはっきり最終的に確認するためには、やはり指紋以外に頼るところがない。写真というのも一つの手段でございますけれども、これは非常に確実な方法ではない。最終的にはやはり指紋ということになります。したがって、そういうことで私どもといたしましては、指紋の押捺それ自身をやめるということは全然考えていないわけです。
 他方におきまして、十四歳という年齢が果たしていいのかどうかということにつきましては、これは私どもといたしましても考慮の余地があると思っているわけです。現実問題として、これをもう少し引き上げることができないかどうかということについて現在検討しておりまして、十四歳から十六歳ぐらいまでに引き上げる可能性を現在具体的に検討しておりまして、もし政府部内での方針が決まった場合には、来年の通常国会にその線でお諮りしたいと考えておるわけです。
#90
○中山千夏君 外国人登録証に母親の名前を書いてほしいというお話を伺って、いろいろお母さんたちの立場になって事情を伺ったり考えたりしているときに、戸籍の問題というのも一緒に持ってこられたんですけれども、やっぱり日本人の母の戸籍の方に子供の名前が記載されていない、そのことが何となく気分的にも外国人登録証にもないということにつながって出てきている部分もあるんじゃないか、何となく頼りないというような感じがあるのじゃないかというようなことを私は感じたんですね。
 事実、日本人・母の戸籍の方に日本人。母を持つ外国籍の子供の名が記載されていないということは、またその方たち自身にとって、非常にいろいろ不便な問題があるようなんです。住民基本台帳というのも日本人だけが対象とされていて、そのために親子関係の立証が、母親・子供関係の立証がすごく繁雑で、学校の入学手続などに戸籍、外国人登録済み証明書、出生証明書など多数の書類を必要とする。さしあたりこの方たちの要求は、すでに外国人との婚姻、外国人の認知、養子などが記載されている戸籍の身分事項欄に、この出生記録を記載することを早急に実施するようにという要求を出していらっしゃるんですけれども、このことについてはどういうふうにお考えか。
#91
○政府委員(中島一郎君) 御承知のように、戸籍は日本国民につきましてその身分関係を登録し公証をするという制度でありますので、日本人についてのみ戸籍をつくる、そして日本人の戸籍につきましてはその入籍事項、それから除籍事項のほかに身分事項を書くことになっておりますけれども、その身分事項というのは、身分行為を中心にして書くということになっておるわけでございます。
 でありますから、日本人・女の戸籍については、外国人との婚姻あるいは縁組み事項というようなものは記載いたしますけれども、それは日本人の身分行為であるからということになるわけであります。これに対して 日本人・女による外国人・子の出産は書かないという取り扱いになってきておるわけでありまして、それは母にとっては出産というのは身分行為ではなしに単なる事実にすぎないということでもあろうかと思います。
 よほどの必要がなければこの取り扱いを変えるのは相当でないというふうに考えておるわけでありまして、ただいまお話を伺っておりますと、日本人・女について外国人・子がおります場合の母子関係の立証が証明方法として何か不十分であるということでありましたのですけれども、そういうことであればまた別途の方法があるわけでありますから、そのために戸籍の記載を変える、変更するということは現在のところ考えておらないわけでございます。
 そういった場合の母子関係の立証、証明方法ということになりますと、先ほどもちょっとお話ありました出生証明書というような問題もあろうかと思います。あるいは母子手帳というようなこともあろうかと思いますけれども、私どもの若干所管に関係のあることで申しますと、出生届がありますと、市町村長はその届け書に基づく戸籍の記載はいたしませんけれども、届け書は受理地の市町村において保存するということになっておりますので、届け出人あるいは関係者から申請がありますれば、その記載事項証明というのを発行することになっております。この方法によって母子関係の証明をしていただくということになろうかと思います。
#92
○中山千夏君 なるほど、お話を伺っていますと、国の方の事務の合理化、簡素化もむずかしいですけれども、国にかかわる個人個人の事務の簡素化、合理化というものもなかなか素人が考えるようには簡単にはいきそうもないなということがわかりました。けれども、何とか、先ほども後々考えていきたいということを言ってくだすったので、もし外国人登録証明書の書式の中で、今後母親の名前を入れられるというような余地ができたら、その辺について考えていっていただきたいとお願いして、質問を終わります。
#93
○委員長(鈴木一弘君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#94
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより両案に対する討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 供託法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#95
○委員長(鈴木一弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、外国人登録法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#96
○委員長(鈴木一弘君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#97
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#98
○委員長(鈴木一弘君) これより請願の審査を行います。
 第四〇号スパイ防止法早期制定に関する請願外三件を議題といたします。
 今期国会中本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおりでございます。
 理事会で協議の結果、第一四七一号国籍法等の改正に関する請願は、願意のうち「外国人配偶者の帰化条件における男女差を解消するよう改めること。」の部分を除き妥当と認められるので、今後内閣において検討の上実現に努められたい旨の意見書案を審査報告書に付して、議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものとし、第四〇号スパイ防止法早期制定に関する請願外二件は保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#99
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。
 なお、審査報告書並びに意見書案の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#100
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#101
○委員長(鈴木一弘君) 継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。
 集団代表訴訟に関する法律案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#102
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願たいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#103
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#104
○委員長(鈴木一弘君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#105
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございません
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#106
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#107
○委員長(鈴木一弘君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査のため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#108
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#109
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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