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1981/10/27 第95回国会 参議院 参議院会議録情報 第095回国会 地方行政委員会 第5号
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1981/10/27 第95回国会 参議院

参議院会議録情報 第095回国会 地方行政委員会 第5号

#1
第095回国会 地方行政委員会 第5号
昭和五十六年十月二十七日(火曜日)
   午前十時三十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月二十二日
    辞任         補欠選任
     和田 静夫君     小谷  守君
 十月二十三日
    辞任         補欠選任
     藤井 孝男君     金井 元彦君
     梶原  清君     斎藤 十朗君
 十月二十六日
    辞任         補欠選任
     後藤 正夫君     江島  淳君
     杉山 令肇君     岩崎 純三君
十月二十七日
    辞任         補欠選任
     岩崎 純三君     井上  裕君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         上條 勝久君
    理 事
                亀長 友義君
                名尾 良孝君
                志苫  裕君
                伊藤 郁男君
    委 員
                井上  裕君
                岩上 二郎君
                江島  淳君
                加藤 武徳君
                金井 元彦君
                原 文兵衛君
                福田 宏一君
                小山 一平君
                佐藤 三吾君
                和泉 照雄君
                大川 清幸君
                神谷信之助君
                美濃部亮吉君
    国務大臣
        自 治 大 臣 安孫子藤吉君
    政府委員
        人事院事務総局
        管理局長    加藤 圭朗君
        人事院事務総局
        任用局長    斧 誠之助君
        総理府人事局次
        長       廣瀬  勝君
        自治省行政局長 砂子田 隆君
        自治省行政局公
        務員部長    大嶋  孝君
        自治省財政局長 土屋 佳照君
    事務局側
        常任委員会専門
        員       高池 忠和君
    説明員
        総理府人事局参
        事官      橋本 顕信君
        自治省行政局公
        務員部公務員第
        一課長     片山虎之助君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方公務員法の一部を改正する法律案(第九十
 三回国会内閣提出、第九十四回国会衆議院送
 付)(継続案件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(上條勝久君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 去る二十二日、和田静夫君が委員を辞任され、その補欠として小谷守君が選任されました。
 また、去る二十三日、藤井孝男君及び梶原清君が委員を辞任され、その補欠として金井元彦君及び斎藤十朗君が選任されました。
 また、昨二十六日、後藤正夫君及び杉山令肇君が委員を辞任され、その補欠として江島淳君及び岩崎純三君が選任されました。
 また、本日、岩崎純三君が委員を辞任され、その補欠として井上裕君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(上條勝久君) 地方公務員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○大川清幸君 まず最初に、御承知のとおり、本年七月十日に第二次臨調で、「行政改革に関する第一次答申」というのが出ておりますが、この答申の中で、「行政の合理化、効率化の推進」を大きな柱の一つとしておりまして、国、地方を通じて行政の減量化を求め、地方公務員については、「定数の合理化、適正化」、あるいは「給料、退職手当等の適正化等」と並んで、今回問題になっております地方公務員の「定年制の早期導入」について触れておるわけでありますが、臨調の答申のこの一番初めのところを見ますと、「地方公務員の定数、給与等については、基本的には、各地方公共団体における自律機能の発揮によって改善されることが期待される。」と、こういう前提条件がついていますが、今回のこの臨調の第一次答申の受けとめ方についてはどのように考えておられますか。
#5
○政府委員(大嶋孝君) 御指摘のように、現在、国、地方を通じまして行政改革あるいは財政再建といったものが大きな課題になっておるわけでございます。そこで、地方公共団体の定数の適正な管理あるいは給与の適正なあり方、それから定年制の早期導入といったことは、これは当然必要であるというふうに考えております。
 地方公務員の定数の問題につきましては、地方公共団体の定員の増加をもたらすような国の施策の抑制、それから職員配置に関します国の規制なりあるいは関与の見直しといったようなことを行いますとともに、地方公共団体におきましても適正な定員管理をさらに一層推進するように指導を進めてまいりたいと考えております。
 地方公務員の給与の適正化につきましては、従来からその指導を進めてきたところでございますけれども、去る八月二十五日に閣議決定をいたしました「行財政改革に関する当面の基本方針」というものにのっとりまして、御指摘のように基本的には各地方公共団体の自律的な機能の発揮によりまして改善されるということを期待しながらその促進を図るための指導を積極的に講じていくという考えでございます。
 地方公務員に対します定年制の導入につきましては、早期に国会で御賛同いただけることを期待しておるところでございます。
#6
○大川清幸君 ここでちょっと状況についてお伺いをいたしておきたいと思うんですが、前回の質問でも政府委員からお答えがあったんですが、この定数の状況です。五十五年四月までの一年間の地方公務員の増員数が約五万ですか、そこで前回の答弁では五十五年四月一日現在でお答えになりまして、三百十六万余ということで五十二年と対比して十三年間に八十万七千人増加したと、こういう御答弁があった。一部には、地方公務員もふくれ過ぎではないかという御批判もあるんですが、このときの政府委員の答弁では、八〇%が教育、警察、消防それから福祉関係、いわゆる国の配置基準等に伴ってふえたものが八〇%で、このほかに公営企業部門関係で六万九千、これが約九%前後ですね。そうすると、地方公務員の増加は大変大きい数字になるんですが、実質的に見ると一一%前後であるから、十三年間で一一%の増員ということはそう批判を受けるような増員の規模ではないように思われるんですけれども、この職員の定数の抑制の指導等の必要があるという御判断は、実際、この十三年間の間にそうした抑制指導等の必要があるような具体的な事例が起こっていたのかどうか。この一一%というのは私は妥当な感じがするんだけれど、いかがですかね、これは。
#7
○政府委員(大嶋孝君) 御指摘のように、教育、警察あるいは消防、それから福祉関係で、国の配置基準に関係するもの、わりとはっきりしたもので、要するに国の関与がはっきりしたもので御指摘のように約八割を占めておるわけでございます。そのほかいろんな国の施策、そのときそのときの国の施策がございます。それに応じてふえざるを得なかった部分も私はあるだろうと思います。
 したがいまして、地方公務員の定数抑制ということになりますと、先ほどもお答え申し上げましたように、国の規制なり関与といったものを根本的に見直していただかなければ、私は地方公共団体の定数の抑制というのは、これは非常にむずかしい問題であろうと、かように考えております。ただ、地方公共団体自身で全くその努力をする必要はないかというと、私は必ずしもそうではないと思っておりますし、わずかの範囲ではございますけれども、その中でもやはり団体によりましては一生懸命定数を抑制しているところもあるわけでございまして、そういうようなところを見習いながら私は全体的に抑制を考えていっていただきたい、かように考えておるわけでございます。
 そのための参考の資料といたしまして定員モデルといったものも現在研究を進めておるわけでございますが、そういうものができましたら、また、それも参考にしていただきながら、全体としてやはり減量経営と申しますか、そういう努力を続けていっていただきたい、かように考えておるところでございます。
#8
○大川清幸君 ふくらんだんじゃこれはまた国民の負担が大変ですから、国も地方公共団体も、いたずらに定数がふくらむようなことはこれは避けなきゃいかぬことは御答弁のとおりでございますが。
 ところで、法令によって国が地方公共団体の職員配置基準を定めている事項が多いですね。この点については、ただいまの御答弁から言うと、地方公共団体の長の自主性等を阻害しない立場で抑制をする、方法については、いまの御答弁から言うとお考えになっておるわけでございますか、どうですか。
#9
○政府委員(大嶋孝君) 御指摘のように、地方公共団体の定員管理につきましては、地方公共団体自身が全般にわたりまして自主的に行うということが望ましいわけでございます。しかしながら、いま御指摘がございましたが、全国的な水準の維持確保の要請から、一つは法令で職員の配置規模といったものを定めておるものとしては、教育、警察部門がございます。また、住民のニーズの強い福祉等の分野につきましても、先ほど申し上げましたように、国が職員配置について、規制なり関与を行っているというような実態でございます。そういった福祉等の分野におきます職員増が著しいこと。それから、規制、関与が多岐にわたっておりますために、地方公共団体の自主的な、あるいは効率的な定員管理を推進する上で困難を来しておるという面があるのも事実でございますので、その見直し等の改善措置を講じてもらいますように、私どもとしては関係各省庁に対しまして強く要請をいたしておるところでございます。
#10
○大川清幸君 それでは、念のためにお伺いいたしますが、国の配置基準等によって住民に対する福祉サービスその他を低下させてはいけないので、これは確保しなければならないんですが、ただいま論議になっておりますように、国の方でも、この点についての配置基準等のことを含めまして見直しの必要があるような御答弁があったんですが、地方公共団体の実情に即して自主的に運営し得るような改善策というものについては、具体的にどうなさるおつもりですか。これは大臣から御答弁いただきましょうか。
#11
○国務大臣(安孫子藤吉君) 定員抑制につきましては、主として国の関係で増加になっておるので、地方団体の努力というものは限界があると思います。しかし、各地方団体におきましても、いま部長から申し上げましたとおりに、非常にこの点について努力をしているところもございますが、その点について、若干緩やかなところもないわけではございません。
 そこで、今後におきましては、この臨調答申に基づきまして、各地域におけるところの実情に即して、また、似たような団体間におきまして公平であるように一つのモデルをつくりまして、それを準拠として、ひとつ十分地方自治団体においても自己規制をするなり自律機能を発揮するようにしてもらいたい、そういう標準をつくることが大変大切じゃないか、こういう考えで、そんなことをいま検討しておる、こういう段階でございます。そういう方向で行きたいと思っております。
#12
○大川清幸君 次に、高齢職員の新陳代謝、これは職場、組織においても当然必要な条件であろうと思うんです。ただ問題は、どのように円滑にこれを運営していくかというところにあろうかと思います。
 新陳代謝には三つの方策があると言われておりまして、一つは定年制、二つ目には退職勧奨の方法、それから三つ目には分限による免職、こういうような仕組みになっておるわけですが、この最初の定年制の問題は、現行法のもとではこれが実行できないということでございまして、いま申し上げた退職勧奨ないしは一方的な方法による、何というんですか、免職ですか、この方法によってきたということだろうと思うんですが、これらが比較的円滑にいっていない事情があるというようなことが今回の提案の一つの要素にもなっているように聞いておるんですが、この辺の状況はどうなっておりますか。
#13
○政府委員(大嶋孝君) 御案内のように、地方公務員法二十八条におきまして、第一項第一号から第四号まで分限免職ができる場合の事由について規定しておるところでございますけれども、職員が高齢であるということだけをもっていたしましてはこの法定事由に該当いたしませんので、一般的には分限免職を行うことはできないということでございます。したがいまして、高齢職員の新陳代謝は、定年制がございません現在におきましては、勢い退職勧奨ということによらざるを得ない状況でございます。
 昭和五十四年度におきます退職勧奨の運用につきまして、状況を申し上げますと、勧奨退職率では都道府県が八九・四%、市が七七・九%、町村で八九・七%、地方団体全体では八六・四%というような状況になっております。また、退職勧奨制度を設けております団体につきましては、都道府県は四十七すべて設けております。市で九八・一%、六百五十六の団体が退職勧奨を行っておるようでございます。また、町村におきましては二千四百二十六、九三%の団体が退職勧奨制度を設けておるわけでございます。退職勧奨の年齢等につきましてはそれぞれ団体によって異なるわけでございますが、大体五十七、八歳から六十歳ぐらいまでというような状況になっております。
#14
○大川清幸君 状況はわかりましたけれども、実際にそうした努力を各地方公共団体でおやりになっておって、勧奨退職や一方的な免職、これが必ずしもうまくいっていないというような事例はあるんですか。
#15
○政府委員(大嶋孝君) 退職を勧奨いたしましてもなかなかそれに応じてもらえないというようなところもかなりございまして、たとえば市で申し上げますと、五十四年度でございますが、全く応諾者がないというような団体が九つございます。それから、五〇%以上六〇%未満の応諾率しかないというような団体が三十一、四・八%ございまして、その間にございます各団体を総合いたしますと、一三・八%、約八十八の団体が六割未満の応諾率であるというような状況でございまして、もちろん団体によっても違いますけれども、現在退職勧奨が機能しておるところもございますけれども、いま申し上げましたように、退職を勧奨いたしましても、それを受けて退職をしていただく方が非常に少ないというような実態もあるわけでございます。
#16
○大川清幸君 そこで、個別の自治体でいろいろいま事例を挙げていただいたような事情で円滑な運営ができていないところがあるようなんですが、それにはそれなりのいろいろな事情があると思うんですけれども、それはさておきまして、過去において、地方公務員の退職に関する問題については、昭和三十一年と四十三年に法案が出て、これは問題にならずに消えておるわけですが、それから今日までこうした地方公共団体で職員の退職その他についての御努力をして、定数の抑制その他の努力をしてきたわけですが、こうした経過を考えてみて、今日定年制を御提案になった状況を考えてみますと、過去の三十一年のとき、時期もまだ熟さなかったし、年金その他の法律も整わなかったといういろいろな事情もあるようでございますが、大きな状況の変化としてはどんなものが挙げられますか。
#17
○政府委員(大嶋孝君) 大変むずかしい御質問でございますけれども、一般的な背景といたしましては、当時は現在のような高齢化社会と言われるような状況ではなかったろうと思います。また、公務員を含めました国民の生活水準につきましても、現在と異なりまして、まだまだといったような状態であったろうと思います。それから、地方団体の人事管理上の背景として考えられますことは、地方公共団体によりまして高齢職員を多く抱えておりまして人事の停滞を招いておる団体、あるいは必ずしもそうでもないというふうなところもあったろうと思います。それから、一般的に比較的年齢の高い中途採用者が多く見られたのであろう、かように当時の状況を考えておるところでございます。
#18
○大川清幸君 それでは次に、勤務の延長、再任用についての御質問をする前に、地方公務員の退職者の再就職の状況ですね。これは、前回どなただったか、政府委員宮尾さんの御答弁だったかどうか、再就職の状況、この希望されている三九・三%のうちで就職が九〇%余ですから、ほとんど再就職をなさっている実情にあるようでございます。前回もちょっとお聞きしたんですが、定年制が六十歳で施行された場合に、この再就職の希望者等は減少してくる傾向というのは見られるだろうと思うんですね。それはとにかくとして、何といいますか、年金で老後の生活が現状からいってやっていける状態なのかどうか。再就職をしたほかに、しない人も出てくるでしょうが、その人たちの生活の見通しというようなのはどのように判断をされておりますか。
#19
○政府委員(大嶋孝君) 私ども、年金受給者の生活状況といったことの実態を把握いたしますために、昭和五十年以来、各共済組合を通じまして郵便によるアンケートの調査を行ってきておるところでございます。最近におきましては、五十五年の三月現在で退職年金の受給者の実態について調査したのがございますので、それにつきまして申し上げたいと思います。
 この調査の対象でございます退職年金受給者について見ますと、調査時点の平均年齢は六十四・九歳でございます。退職時の平均年齢は五十七・三歳ということになっておりまして、退職してから平均経過年数は七・七年ということになっております。
 そこで、再就職の状況でございますけれども、四一%程度の人が何らかの仕事についております。仕事の内容につきましては、パートを含む被用者が六三%程度ということになっておりまして、残りは自営業等でございます。
 その平均の受給年金額でございますけれども、これが百六十八万八千円ということになっております。
 世帯主であります年金受給者につきまして、世帯の生計を営む上でどのような収入によって生活費を賄っておるかというのを見てみますと、年金と自分の収入で暮らしている人が三一・三%、年金だけで暮らしている人が二二・四%、年金と子供の収入で暮らしている人が一七・三%、それから年金と財産収入で暮らしておるという人が一一%でございまして、合計八三%の方々が年金収入を生活の支えとしておるというように私どもの実態調査の結果では出ておるところでございます。
#20
○大川清幸君 それでは次に、勤務の延長、再任用の場合ですね、それらの更新の手続について伺いたいんですが、まず、発令等については具体的にどのようなことになりますか。
#21
○政府委員(大嶋孝君) 勤務延長の場合、改正法案の二十八条の三でございますが、勤務延長をしようとする場合には、まず、勤務延長が必要かどうかということにつきまして任命権者が意思決定を行いまして、職員にその旨を通知いたしまして、本人の同意を確認をいたしまして、本人が退職する前に発令をするという手順になろうと、こういうふうに考えております。
 同じ改正法案の二十八条の四の再任用の場合でございますが、当該地方公共団体を退職した方につきまして、公務の能率的運営を確保するため特に必要があると認めるときに採用することができるものでございまして、これは地方公務員法十七条に規定いたします職員の任命の一つの方法といたしましての採用に該当するわけでございます。したがいまして、採用の方法については地方公務員法の三章二節にございます「任用」の規定が適用されるということになるわけでございます。
#22
○大川清幸君 その「任用」の規定によって処理をするんですが、勤務の延長、再任用の必要を判断する基準みたいなものについては特に考えておられないわけですか。従来の慣行でやらせるということですか。
#23
○政府委員(大嶋孝君) その理由につきましては、まず任命権者が、定年に達した職員が退職するということになる場合におきまして、その職員の職務の特殊性またはその職員の職務の遂行上の特別の事情というようなことから見まして、その退職により公務の運営に著しい支障が生ずるというような十分な理由があるときには勤務延長をするということでございます。それから、再任用の場合におきましては、地方公共団体を退職した人等につきまして、その人の能力それから経験といったものを考慮いたしまして、公務の能率的な運営を確保するために特に必要があるということを認めるときに再任用をするわけでございます。
#24
○大川清幸君 そこで、再任用のケースですが、これは一たん退職をしてまた採用になると、こういう形をとるわけです。この場合、何日以内に採用するようなことになるのか、その辺の幅ですね、これがはっきりしていないわけです。一方、再任用にしても延長にしても、大体任期みたいなものは大枠決まっていますわな、片一方で。任用の時期と何日以内かということについて明確でないと、今度は職員の方から考えて、生活もかかっていることだしちょっと心配もあろうと思うので、その辺はどうなりますか。
#25
○政府委員(大嶋孝君) 再任用の場合には、一つは退職手当の関係が出てくると考えております。したがいまして、再任用者に不利にならないようなことを、それをまず考えなきゃいかぬと思います。したがいまして、退職日の翌々日以降に採用するということになるのが普通ではなかろうかと、このように考えます。ただ、地方公共団体の必要性というものもあるわけでございますから一概に申し上げるわけにもいきませんけれども、少なくとも再任用される人にとって退職手当上不利にならないというようなことは十分配慮しながら採用していかなきゃならぬ問題であろう、かように考えるところでございます。
#26
○大川清幸君 次に、勤務の延長、再任用、これの特別規定によって処理されることになるわけですが、法が施行された場合、それぞれの退職者のうちどの程度が残ることになるか、この予想は立ちますかな。――無理かな。推定はしておりますか。
#27
○政府委員(大嶋孝君) それは、各地方公共団体それぞれの事由があると思いますので、一概に私ども想定は大変むずかしいと思いますし、また、想定した数字も持っていないところでございます。
#28
○大川清幸君 それでは、この勤務の延長、再任用で措置されるケースが出てくる場合、従来自治体によって行われている退職した職員による委嘱等の、非常勤職員等の絡みがございますが、この関係はどう調整なさるお考えですか。
#29
○政府委員(大嶋孝君) ただいま御指摘がありましたように、現在、地方公共団体におきます勧奨退職者の中で、再就職の希望者につきましては、約四割弱が六ヵ月以内に当該地方公共団体に再就職をしておる状況でございます。その形態は、いまお話がありましたように、特別職の嘱託員といったような形で再雇用されている例がほとんどでございます。
 今回の改正案におきましては、勤務延長それから再任用を行うことができるということになっておるわけでございまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、勤務延長といったものは公務上の強い必要性を事由として運用されるものでございまして、現在の嘱託職員といったような人たちとの関係は実際上ほとんどないだろうと、こういうふうに思います。
 そこで、現在、地方公共団体におきまして退職者を嘱託職員といったような非常勤特別職として一定期間雇用しておるところが少なくないわけでございます。このような地方公共団体にありましては、そういった職員が定数外で取り扱われているということ、それから報酬の定め方いかんによりましては、現在のように非常勤特別職として再雇用する方が経費が少なくて済むといったようなことなどによりまして、現在と同様の再雇用制度を選択することもあろうと考えます。しかし、具体的に任用する職によりましては、本来的に常勤の一般職の職員をもって充てるべきものであるというものがあるわけでございます。そういった職につきましては、再任用制度を積極的に活用していくということが全般的な人事管理上からも望ましいと思います。私どもとしては、そうした観点から指導してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
#30
○大川清幸君 そこで、先ほど御答弁をいただいた問題の中で、現在の勧奨退職のやり方のもとでは必ずしも応諾をしなかったり、いろいろ事情があって、むずかしい状況も、一部の地方公共団体にはあるようでございますが、中にはいろいろな問題があって、七十歳、八十歳を超えている方がいるとか、いろいろな状況が報告をされておるわけですが、正規な職員となっている者の中で六十歳以上あるいは六十五歳以上、七十歳以上、七十五歳以上、あるいは八十歳以上、この状況については把握をなさっておりますか。状況がおわかりなれば御報告をいただきたいと思います。
#31
○政府委員(大嶋孝君) 私ども、いま持っておりますのは、若干幅がございますが、七十歳以上の職員が二千四百二十九名、それから六十六歳から六十九歳までの職員が四千二百七十六名、六十五歳が千七百六十九名、六十二歳から六十四歳までが七千六百五十六名、六十一歳が三千四百三十二名、それから六十歳が四千八百六十九名。六十歳以上の職員をとらえてみますとこういうような状況でございます。
#32
○大川清幸君 最高の高齢者のデータ等はおわかりになりますか。
#33
○政府委員(大嶋孝君) 御指摘の、全国最高年齢の職員の資料はまだ私どもつかんでいないところでございます。
#34
○大川清幸君 ただいま年齢別に在職数の御報告があったんですが、これらの平均給与等は状況がおわかりになりますか。
#35
○政府委員(大嶋孝君) ただいま申し上げましたように、全地方公共団体の七十歳以上の職員が二千四百二十九人ということでございます。その中で、私どもが平均給料月額を調査をしております部分は一般行政職の関係でございまして、この一般行政職につきましては百七十四人が在職をしておるという状況でございます。その平均給料月額は二十三万九千五百九十円ということでございます。それから、技能・労務職員は八百八十四人在職をいたしておりまして、平均給料月額は二十万七百五十四円、こういうような調査がございます。
#36
○大川清幸君 そこで、これらの高齢職員が勧奨退職しない事情については、個人の生活のこともあるんだろうと思われるわけですが、職場の空気等もいろいろあったりするのにそう突っ張って勤めているというのはなかなか大変なことだろうと思うんですが、応諾しない主なる理由はどういうことですか。
#37
○政府委員(大嶋孝君) 昭和五十四年度に退職の勧奨を受けた人が約五万三千人ほどございます。正確には五万二千八百三人でございます。そのうち勧奨に応じなかった人、これが一三・七%に当たります七千二百人余ということでございます。
 その応じない具体的な理由といたしましては、まず、まだ十分働くことができるためというような理由の方が三千九百人余でございまして五四・六%、最も多いわけでございます。その次には、退職年金の受給年限にまだ達していないというような理由の人が千二十二人、一四・二%、それから子供の教育中でありますので経済的に困難となるためという方が七%、五百五十六人ございます。それから、退職年金の額が少ないという理由の方が百七十八人、二・五%。それから、転職――再就職でございますけれども、そういう職がないためという方が百十七人、一・六%。それから、退職手当の額が少ないためという方が八十八人、一・二%。こういうような順になっておる状況でございます。
#38
○大川清幸君 ですから、現状、地方公共団体の長や人事管理の当事者はいろいろ状況を考えながら勧奨退職を進めておられると思うんです。もし、今回この六十歳定年制が実施された場合も、ただいま挙げられたような状況というのは残るのではなかろうか、生活に関する返り。この点どうお考えですか。
#39
○政府委員(大嶋孝君) 一つは、勧奨退職年齢といいますのは、たとえばいままで五十七、八歳というところに非常に多かったということがありまして、これが今回六十歳になるということが一つあろうと思います。その点は大分助かるといいますか、そんな感じがするわけでございます。しかしながら、やはり退職する方の中には、いろいろ理由があって退職したくないといいますか、というような方もあろうと思います。そういう方々につきまして、やはり各地方公共団体もできる限りの再就職のあっせんなりといったようなことを考えていくというふうに私ども考えておりますし、定年に達したからもうあなたは知らないよというようなことはこれは言わぬであろうと思っておりますし、また、長年地方団体に勤務をしてきた方々でございますし、定年年齢に達したということだけをもって退職をされるわけでございますので、それなりに地方団体としてもいろんな努力を払うということが行われるであろうし、またそれが必要であろうと、こういうふうに考えております。
#40
○大川清幸君 そこで、高齢化社会に向かっていくことはきわめて明確な状況でございまして、職員の定年制が決まり、また、職種によっては勤務の延長あるいは再任用等もあるわけですが、現在の一般年齢からいって、健康状態が非常によくなってかなり高齢になってもしっかりしておりますので、それなりに住民サービス等はやっていただけるだろうと思うんですが、個人差もありますし、やっぱり高齢化する中で職務や職場の開発、そのための訓練、教育の制度等は一応は対応はしておいた方がよろしいんじゃないかと思いますが、これらについては自治省として中高年齢者の職務の開発等の御研究、あるいはその対応についてはどのようにお考えになっておりますか。
#41
○政府委員(大嶋孝君) 御指摘のことは、今後高齢化社会に向かっていきます中で、大変重要なごとだと考えております。現在のところは、具体的に中高年齢者の職務の開発につきまして自治省として特段の検討を行ってきたというようなことはないわけでございまして、各地方公共団体におきまして、それぞれの職員の年齢構成といったような実情に応じた職員配置のあり方というものを研究いたしまして、その上に立ちまして効果的な人事管理の確保に努めてきたわけでございます。今後は、いま御指摘がありましたように、自治省としても高齢者の職務の開発、どういうものがいいのかといったようなものも含めまして私どもも検討してまいらなきゃならぬ重要な問題であろう、こういうふうに考えておるところでございます。
#42
○大川清幸君 次に、国公法第八十一条の五、内閣総理大臣の「定年に関する事務の調整等」の規定を置き、「内閣総理大臣は、職員の定年に関する事務の適正な運営を確保するため、各行政機関が行う当該事務の運営に関し必要な調整を行うほか、職員の定年に関する制度の実施に関する施策を調査研究し、その権限に属する事項について適切な方策を講ずるものとする。」ということになっておりますが、これはどういう意味を持っておるんですか。
#43
○説明員(橋本顕信君) お答え申し上げます。
 さきの国会で改正追加されました国家公務員法第八十一条の五の意味についてのお尋ねでございますが、何分定年制度は新しく設けられる制度で、また、公務員制度の根幹の一つをなすものでございます。これを円滑に実施に移し、安定した制度として定着させ運営していくためには、実施するまでの間の諸般の準備行為についてはもとよりでございますが、実施された後における運営につきましても、制度全体を総合的に調整することが必要でございます。
 このため、先ほどお取り上げになりました第八十一条の五でございますが、前段におきましては、中央人事行政機関たる内閣総理大臣が、各行政機関の行います定年制度の運営、たとえば定年退職日の指定、勤務延長制度の運用、再任用制度の運用などがございますが、こういうものに係ります個別具体的な事務について必要な調整を行うという趣旨と解しております。また、第八十一条の五の後段でございますが、これも内閣総理大臣が、同じく中央人事行政機関としての立場から、定年制度の実施に関する諸般の施策、たとえば、長期的人事計画のあり方、退職準備プログラムなどにつきまして調査研究いたしまして適切な方策を講ずるという趣旨と考えておるわけでございます。
#44
○大川清幸君 いま御説明のあったような大事にかかわるいろいろな問題は、地方公共団体等でも同様だろうと思います。
 ところで、地公法には、この国公法の第八十一条の五に類する規定というのは特に置いていないのですが、これはどういうことですか。
#45
○政府委員(大嶋孝君) 御指摘のように、定年制度の実施に当たりましては、各任命者間におきまして均衡のとれた事務の運営がなされる必要がある、かように考えます。
 地方公務員法の中にこのような規定を設けなかった理由といたしましては、一つには、地方公共団体の長には条例、予算などにつきまして他の執行機関にはない権限が与えられておるわけでございます。また、地方公共団体の各執行機関は、長の所轄のもとに連絡調整を図るべく地方自治法の百三十八条の三で位置づけられておるといったことなどによりまして、地方団体内の統一性のある運用が長の所轄のもとに保障されておるということでございます。また、法制的に申しましても、地方自治法百八十条の四の規定がございまして、それによって対処できる分野が大きい、こういうふうに判断をしたことによりまして同様の規定を置かなかったということでございます。
#46
○大川清幸君 そうしますと、その地方の長のもとで、いま挙げられたような地方自治法の規定によって処理をされるのですが、地方自治体間の定年に関する事務の調整、こういうようなものは必要ないのですか。この前ちょっと質問でも言ったとおり、必ずしも条例を決めないとかなんとかという地方公共団体が出る可能性もあるわね。そうなるかどうかわからないけれども。その辺はどうですか。
#47
○政府委員(大嶋孝君) 各地方団体間の相互の問題といいますか、各地方公共団体間の横並びの問題と申しますか、そういうようなことにつきましては、各都道府県内の問題につきましてはこれは都道府県知事であろうと思いますし、また、全体的には自治省の問題であろうと思いますので、そういったことに支障を来さないように私ども十分注意をして指導をしてまいりたい、かように考えております。
#48
○大川清幸君 これ、なかなかむずかしいですよ。
 次に、国公法の附則第二条では、「人事院及び内閣総理大臣は、それぞれの権限に応じ、任命権者の行う準備に関し必要な連絡、調整その他の措置を講ずるものとする。」としているわけです。地公法ではこの部分が「地方公共団体の長は、」となっているわけでして、地方公共団体に関連する人事委員会、公平委員会等は入っていないんですが、これは何か特別な事情があったんですか。
#49
○政府委員(大嶋孝君) 公平委員会はちょっと別の問題でございますけれども、人事委員会につきましては、もともと地方公務員法の八条一項の規定によりまして、定年制度に関する必要な準備措置についてその権限を行使することができるというふうに考えております。と申しますのは、人事委員会は、いま申し上げました規定に基づいて定年制度の実施に関する事項に関し研究を行い、その成果を議会または任命権者に提出をしたり、意見の申し出等ができるわけでございます。これらの権限を通じましての積極的な役割りが期待できるところでございます。さらにまた、地方公共団体が定年制度の実施に係ります条例を制定するに当たりましては、同じ地方公務員法五条二項の規定によりまして、「議会において、人事委員会の意見を聞かなければならない。」こととされておるわけでございます。この段階におきましても人事委員会の意見の表明が期待されるところでございます。
 したがいまして、改正法案附則第二条におきまして特に人事委員会の権限を明記しなかったということによりまして人事委員会の関与を排除する趣旨ではもちろんございませんで、私どもは当然できるものだと、このように理解をしておるところでございます。
#50
○大川清幸君 次に、勧奨退職はほとんどの団体で実施している実情にあるわけですが、勧奨退職の年齢を過ぎてもなお在職している方々の処遇がいろいろ現場で問題になっておりまして、これはいわば年功序列型の制度のもとで高い給与と退職金があるために、そういうようなことが言われるんだろうと思うんですが、こうした勧奨年齢を過ぎても在職している職員に対する給与、退職金については、実態というのはどうなっておりますか。
#51
○政府委員(大嶋孝君) その実態につきましては、私ども正確につかんでおるわけではございません。自治省といたしましては、高齢職員の給与対策として、国家公務員の場合に五十六歳になりますと昇給延伸をいたします、五十八歳以上になりますと昇給停止をいたしますというような措置が講じられておるわけでございまして、これにかんがみまして、地方公務員についても同様の措置をとるように指導をしておるところでございます。
 各地方公共団体におきましては、独自に、退職手当につきましては勧奨退職扱いによる優遇措置をやめる、そして普通退職扱いにする、あるいは一定年齢を超えた後の在職期間は支給率算定の基礎としないといったような措置を講じておるようにも私ども伺っておりますけれども、これはすべての団体がそうだというわけでございませんで、正確に申し上げますと、すべての団体を通じての実態というものをつかんでいないというのが正直なところでございます。
#52
○大川清幸君 それでは時間が来ましたからあれですが、本年の八月七日の人事院の「給与勧告についての説明」の中で、「定年制度も動き出す昭和六十年を実施の目途として、行政環境の変化、行政効率化の要請等をも踏まえて、給与制度をはじめ、高学歴化等に対応した採用試験の再編成、昇進管理に関する制度の整備、研修のあり方その他人事行政諸制度上の課題全般にわたる検討を精力的に進めていきたいと考えている。」と、こういうふうに説明をされておるわけでありますが、定年制の実施をも考慮した号俸構成あるいは昇給制度のあり方などを検討するとしているわけですけれども、これはどういうことを意味しているんでしょう。
#53
○政府委員(加藤圭朗君) お答え申し上げます。
 現在の公務員制度が、戦後、新しい公務員制度になりまして今日まで約三十年余になるわけでございますが、その間、近代的な公務員制度の原理でありますところの成績主義の原則に基づいた制度がその趣旨に従って着実に運用されてきておるというふうに思っているわけでございますけれども、近時におきますわが国の社会経済情勢、たとえば高学歴化あるいは高齢化といったような状況が非常に顕著でございます。さらには、行政需要の多様化を中心といたします行政環境の変化というのが非常に著しいものがございますので、人事行政制度につきましても、これらの変化への対応ということを考えていかなければいけない状況にあるというふうに判断をいたしたわけでございまして、実は、昨年の給与の勧告に際しまして、このような人事行政をめぐりますいろんな条件の変化に適切に対応した長期的かつ安定的な人事行政諸施策を策定する必要があるということを表明をしたところでございます。その昨年表明いたしました新しい長期的な人事行政施策を検討していくことのめどというのが大体昭和六十年ごろに実施をしていきたいと、そういうめどを持っておったところでございます。
 かねがね、定年制の関係につきましても昭和六十年から実施をするといったような趣旨の意見というものを人事院といたしましても表明をしておったところでございまして、今回、さきの国会におきまして国家公務員に六十年六十歳定年制の実施ということが予定されることに相なったわけでございます。このような定年制度というものが実施されますれば、やはり各省庁におきまして今後の計画的な人事管理の展開ということが一層可能になると、そういう情勢になるわけでございます。われわれの考えております総合的な検討というものもちょうど六十年ということでございまして、六十年の定年制実施とあわせましてそういった検討を続けてまいりたい、こういう趣旨でございます。
#54
○大川清幸君 それでは最後に、国公法の、国家公務員の定年に関して人事院の規則で定めようとしている項目ですが、これは具体的に報告できますか。
 それから、定年制度に関して、人事院規則で定めることとされている事項についての基本的考え方というのはさっきありましたけれども、これはどういう内容を指しているんですか。
#55
○政府委員(斧誠之助君) 国家公務員法の改正法で、定年制度に関しまして「人事院規則で定める」とされております事項は、一つは特例定年に関します医師の勤務機関、診療機関の指定の問題でございます。それからもう一つは、庁務職員等の職務の範囲の指定の問題でございます。それからもう一つは、改正法で定められております職務の特殊性、それから欠員補充の困難性等の状況がある官職につきましてこれを指定するという、そういう規則でございます。それからもう一点は、再任用に関しまして人事院がその基準を定めるという、そういう作業がございます。
 内容的に申しますと、医師の関係につきましては、先生資料をお持ちのようでございますけれども、これは参議院の内閣委員会の資料要求で提出したものでございますが、その基本的な考え方としましては、医師につきましては、研究職とか、あるいは行政医師ということではなくて、実際に診療業務に従事しているそういう機関を、これから精査して指定しようということでございます。
 それから、庁務職員につきましては、例示的には守衛、巡視等を挙げておるのでございますが、そのほかに労務作業員等、これに類するものがございますので、その範囲を指定するということでございます。
 それから、特例定年の職務と責任の特殊性、それから欠員補充の困難性のある官職といたしましては、考え方として、一つは、職務内容が非常に特殊で、当該官職の職務遂行をする能力のある者が非常に少ない。そのために人事ローテーションを組むこともむずかしい。――実は、この関係につきましては若干御了承を得たいんですが、いま現在、各省とか、それから職員団体、それから研究職の方々の団体でありますとか、高専の校長会でありますとか、そういう関係団体の方々の意見とか要望を承りまして、その職務について一々精査しておるところでございます。
 それで、基本的な考え方は、第一点はいま申し上げましたですが、第二点は、当該官職につくために相当高い資格を必要とするということで、公務員に入ってくるのが相当高齢になってからであるというような官職、これは例で申し上げますと、海難審判の審判官、理事官というような方は、船長経験を経た後でなければ任用資格がないわけでございます。
 それから三番目に、当該官職を遂行するために長期間の研修とか公務経験が必要である。それに基づく豊富な知識、経験、そういうものがなお長期間公務に活用することがむしろ能率的であるというような職務、これは例示的に申し。上げますと、外務公務員のように、特にこれは在外公館に勤務する外交官でございますが、この方たちは、語学には非常に長い期間の養成が要りますし、それから在外公館で勤務するためには、その土地の事情を十分に国民感情も含めて知らなくちゃいかぬという、非常に長い経験を必要とする。
 それから四番目に、業務遂行上、長年の豊富な知識、経験が要求されるために、適任者が高齢者に多いというような官職、例示的に申し上げますと、特定の研究所の所長さんというような方は、たとえば水俣病の研究所の所長さんというのは、内部から上げるのではなくて、交代のときは外部から相当の権威者を持ってくるわけでございます。
 そういうことで、これから各機関の、あるいは各関係者の要望について精査をしたいと、こう思っておるところでございます。
#56
○委員長(上條勝久君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#57
○委員長(上條勝久君) 速記を起こして。
#58
○神谷信之助君 いま議題になっております地方公務員法の改正案というのは、私は地方自治の観点からいうときわめて重要な内容を持った法案だというように思うんです。そういう観点からきょうは議論をしたいと思うわけですが、午前中は三十分足らずですから、ひとつ総論的な点でお伺いをしておきたいというように思います。
 地方自治の確立が叫ばれて非常に長いわけですが、このためには御承知のように財政の自主性といいますか、これが伴わなければ実際問題としてはこれは有名無実になろうかと思うんです。そういう意味でちょっと大臣にお伺いしたいんですが、この間の、この国会の初めにありました十月二日の参議院の本会議ですがね。地方の自主財源をもっとふやすべきだということで、党によっては第二交付税をつくってやったらどうかという、そういう意見をお持ちの党もあるわけで、それに関する渡辺大蔵大臣の答弁なんですが、こういう言い方をなさっておるんですね。「社会保障、文教、公共事業、農政といういろいろ重大な柱がありますが、まとめてどかっとやるといっても、幾ら定着したといっても、そうでなくても市町村長さんなどは、私は文教を一生懸命やるんだという人もあるし、私は社会保障が大好きよという人もあります。したがって、いまの予算制度でもやはり教育に熱心な人あるいは公共事業に熱心な人、いまでもあるのです。それが、まとめてさらに第二交付税のようなものをくれると、そこにはずみがつくということも十分に考えられるわけでございますので、やはり市町村によって余り社会保障に差がついてしまう、道路や学校なんというのも市町村によってうんと差がつき過ぎるということはいかがなものかというふうに考えております」というような答弁をなさっているんですが、これは自治大臣お聞きになっていて、どのような感想をお持ちでしょうか。
#59
○国務大臣(安孫子藤吉君) この問題は、やはりナショナルミニマムと申しますか、そういうものを確保しようという国の一つの基本的な政策と申しますか、考え方もあるわけです。一方、自治体の方からいいますと、独立的な運用をしたいと、こういう要望があるわけですね。そこの間をどう調整するかという問題、基本的にはそういう問題だろうと、こう思っておるわけでございます。
 そこで、大蔵大臣の発言のことでございまするが、主としてナショナルミニマム的な観点から国の全体の立て方といたしまして最小限度のものを保持したいという観点に立っての立論だろうと思うんです。自治体の方から申しますというと、それはそれとしてわかるけれども、やはり各自治体の特色というものもあるんだから、それは自主性を認めてもらわにゃならぬと、こういう主張になるだろうと思うんですが、両極端の問題というものはこれはとるべきではないのであって、やはりある程度のナショナルミニマム的なものを保持しながらも、なおかつ、その間において地方の自主性というものを認めていくというようなことで現実的には対応していくべきではなかろうか、そういう性質の問題じゃないかと、こう思っておるところでございます。大蔵大臣の発言もそういう観点からの発言だろうと思っております。
#60
○神谷信之助君 これは、この間の本会議で初めておっしゃったんじゃないんですね、大体。しばしば聞いています。大蔵大臣の持論みたいなものです。だから、自治体にようけ金渡したら、自由に使える財源、いわゆる自主財源を渡したら、それぞれの長が好みに応じて勝手なことをやるから困るという認識なんですよね。その人が国の財政を握って、そしてやっているんですからね。自主財源をふやして、そうして自治を確立をしていくという点では、これは大変大きな障害になる、壁になってくるんじゃないかと思いますがね。
 さらに私は、これは非常にけしからぬというように思うんですが、学校を一生懸命建てる人もあれば、社会保障を一生懸命やっている人もある、アンバランスができるという、そういう発想自身が地方自治あるいは民主主義という観点から正しいのかどうか、この点はいかがですか。
#61
○国務大臣(安孫子藤吉君) それぞれの地域社会の抱えている問題というのは千差万別だろうと思います。したがいまして、それに対応いたしまして、地方自治体の責任者はこれに対応する政策を遂行していくだろうと思います。したがいまして、原則といたしましては地方の自主性というものを認めるということが正しいだろうと思うんです。
 しかし、一方におきまして、やはり国全体といたしましての統一性も保持したいということも全然わからぬわけではございませんが、現在はその後者の方に重点がかかっておる。したがいまして、今後はできるだけ地方の自主性というものを尊重していく方向に切りかえていくことが地方自治としては一番重要な問題だと、こう思っております。
#62
○神谷信之助君 そうしますと、そういう中央で統一をしていくという方向よりも、今後は地方の自主性を尊重していくという方向に進めていかないかぬというお答えですね、いまのは。
 ところが、今回出ているやついどうなのか。三十一年法や四十三年法は、自治体で条例をつくることができるということで、もっとそれぞれの自治体の自主性というものを尊重するたてまえでそういう法案を提案をいたしました。今度は、もう国の方で決めたから、その六十歳というものを基準にしてやりなさい、自治体で条例をつくる場合は六十歳が基準ですよと。うちの自治体は七十歳にしますとか五十八歳にしますとか、そんなことはいけませんよと。自主性を尊重するんじゃなしに、中央からの統一的指導といいますか、中央の権力による強制がこの法案に出ているわけなんですが、いまの大臣の答弁と私は違うと思うんですが、どうですか。
#63
○国務大臣(安孫子藤吉君) 地方自治体も日本の国内の組織でございますから、やはり基本的な問題については法律をもって制定をするということに御承知のようになっておるわけでございます。
 そこで、定年制の問題でございますが、これは国家公務員についても今度は施行されておるわけでございます。したがって、地方公務員も大体性格的には同じようなものだと思うんですね。そこで、そういう均衡の問題もありますから、これはやはり基本的な問題は定年制としてこれを導入する、しかし、細部の問題については地方自治体の判断もありますから、これは条例に任せる点があると、こういうことで今回の定年制度というものをぜひ実行いたしたいと、こう考えておるところであります。
#64
○神谷信之助君 具体的な中身の問題はまた午後やります。時間が限られていますからね、午前は。
 私は、その大臣の説明はちょっと納得できないわけですよ。それじゃ中央で枠を決めなきゃならぬ、統一的にやらなきゃいかぬというならば、三十一年、四十三年のときはどうだったか。今度は国家公務員法で決めたからそのまま右へならえ、これは自主性の尊重という観点から言ってどういうことになりますか。この辺は大臣の先ほどの答弁とは一貫性がない、矛盾をしたいまの答弁になっていると思いますが、どうですか。
#65
○国務大臣(安孫子藤吉君) 自主性と申しましても、やはり基本的な問題はこれは法律をもって決めると、こういうことになっておりまするので、この点は自主性に抵触するものじゃない、こういうふうに私は理解しております。
#66
○政府委員(大嶋孝君) 若干補足をして申し上げたいと思いますけれども、神谷先生御案内のとおりでございますが、地方公務員法は、要するに、憲法九十二条の「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」、こういう規定に基づきまして一般職の地方公務員の身分の取り扱いといったものを定めておるところでございます。これらに関します制度の導入なりあるいは枠組みといった基本的な事項につきましては法律で定めまして、その制度の具体的な実施に関する事項につきましては地方公共団体の実情に応じて地方団体の条例で定めるということにしておるわけでございます。保今回の改正法案の立案に当たりましても、このような基本的な考え方に立ちまして、また、定年制度が職員の身分保障という一つの公務員制度の基本にかかわる分限の制度であることにかんがみまして、制度の導入なりあるいは定年年齢の定め方なり定年退職日の定め方、勤務延長、それから再任用制度の枠組みといった基本的な事項につきましては国家公務員の定年制度との整合性に配意しながら法律で定めるということにしておるわけでございます。これに対しまして、特例定年を初めといたしまして、具体的な定年年齢あるいは定年退職日、勤務延長あるいは再任用の具体的手続といったような制度の実施に関する事項につきましては、地方自治の本旨にのっとりまして各地方団体がそれぞれの事情に応じて条例で定めるということにしておるわけでございます。したがいまして、今回の改正案は地方自治の本旨に反するものではないと私ども考えております。
 そこで、先ほど御指摘のありました、要するに、三十一年法案それから四十三年法案ではもっと幅が広かったではないか、こういう御指摘だと思うのでございます。そのときには、国家公務員につきまして、御案内のとおり、特定の職を除きますれば一般的には定年制がなかったわけでございます。そういった中で、地方公共団体の職員につきまして定年制を導入しようということでございまして、そういうことから当時のような規定の仕方になったと私は思います。
 今回は、国家公務員法にも同様に定年という制度ができるわけでございますので、先ほど大臣からお答えございましたように、同じような仕事をやっておるわけでございますので、それらとの整合性といったものにも十分配意しながら今回の法案が立案されておるものと、かように私ども理解をいたしておるところでございます。
#67
○神谷信之助君 委員長、これ議論をやると切れなくなりますから……。
#68
○委員長(上條勝久君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#69
○委員長(上條勝久君) 速記を起こして。
 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時五十分まで休憩いたします。
   午前十一時四十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後零時五十六分開会
#70
○委員長(上條勝久君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 地方公務員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 午前中に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#71
○神谷信之助君 午前中の質疑で申し上げましたが、本法案がとにかく地方自治に対する重大な介入といいますか規制といいますか、それの突破口になる、そういう性質を持った重要な法案だというように私どもは考えています。したがって、そういう角度からこれからずっと質問をしていきたいというように思うんですが、まず定年制導入に至る経過についてお尋ねをしていきたいというように思うんです。
 総理府の方にお伺いしますが、前国会、今国会を通じて議論になっている国公法、地公法の定年制導入に至ったそのルーツといいますか、最初に閣議で定年制問題を検討するという決定を行ったというのはいつになりますか。
#72
○政府委員(廣瀬勝君) 五十二年の十二月二十三日でございます。
#73
○神谷信之助君 五十二年の十二月の二十三日の閣議決定、これはどういう内容ですか。
#74
○政府委員(廣瀬勝君) 「国家公務員に定年制を導入するものとする。」といった内容となっております。
#75
○神谷信之助君 「国家公務員に定年商を導入するものとする。このための具体的準備及びこれに関連する現行諸制度の見直しを行う。」というわけでしょう。
#76
○政府委員(廣瀬勝君) はい、そうでございます。
#77
○神谷信之助君 では、それ以前はこの問題についてどういうように考えていたわけですか。
#78
○政府委員(廣瀬勝君) 五十年代に入りまして高齢化現象が顕著になってまいりました。公務部門におきましても、いわゆる中ぶくれ層というものの年齢がだんだん高まってまいりまして、そういった対策が課題となっておったわけでございます。そういう意味におきましては、もうつとに定年制の可否といいますか、高齢者対策としてどういったことが必要であろうかというようなことは、部内において検討は進められておったというふうに了解をいたしております。
#79
○神谷信之助君 したがって、五十二年の十二月二十三日の閣議決定に至るまでの段階で、すでに政府の方では、「高齢職員の離職促進等人事管理上の諸問題の解決を図るため、段階的にこれを進めるべく、現行諸制度の見直しや新しい諸施策の導入について準備を行う。」と、そういう段階だったわけですね、いまの説明は。
#80
○政府委員(廣瀬勝君) そうでございます。
#81
○神谷信之助君 そこで、ちょうどそういう段階に、五十年以降大体そういう気風といいますか、そういう準備を政府の方で進めている段階に、五十二年の七月に経団連が提言を行っていますが、これは御存じですか。
#82
○政府委員(廣瀬勝君) いま存じ上げておりません。
#83
○神谷信之助君 いや、いま言うたからちょっとそうすぐわからぬということだと思うんですが、五十二年の七月に経団連は、「国、地方を通じて高齢の在職者については、給与制度、定年制等、その処遇を検討すべきである。」、こういう提言をまず行っていますね。
 それから、引き続いて十月になりますと日経連が、「公務員に対する身分保障は、全職員一律の年齢による退職によって損われるものではないので、すみやかに定年制を実施すべきである。」という提言を行っておる。このことは、総理府なり自治省の方はどちらも御存じありませんか、そういう状況があったことは。
#84
○政府委員(大嶋孝君) 御指摘のことはあるようでございます。
#85
○神谷信之助君 私は、日経連あるいは経団連のそういう提言があって、国会の議事録をずっと見てみますと、ちょうどそれにこたえるかのように、十一月十七日の衆議院の内閣委員会で当時の西村行管庁長官が質問に答えて、「常識的には六十歳が退職勧奨年齢であり、現在各省庁でばらばらの年齢を一定化した後法制化して、時代とともに定年制の方向に持っていきたい」、委員会ではそういう答弁になっています。こう述べた後、記者会見をなさっているんですね。「各省庁の退職勧奨年齢を五十三年度中に一本化し、五十四年度に法制化することで総務長官とも一致している」という説明をなさって、定年制を導入する考え方を閣僚といいますか、大臣としては公然と公表をなさったというように、記録を見るとそうなっているんですが、その辺についてはいかがですか。
#86
○政府委員(廣瀬勝君) 過去の経緯としてはそのようになっていると思います。
#87
○神谷信之助君 ですから、定年制の問題がわが国の財界の大御所といいますか、の団体である経団連や日経連のそういう提言にこたえて当時の内閣が、特に行管庁を中心にして定年制の準備といいますか、導入の方向を決め、そして十二月二十三日の閣議決定に至ったというように経過は示しているというように思うんです。
 ちょうど十二月二十三日の閣議決定をする前に、これを受けて十二月十四日には自民党の行財政調査会ですか、ここで第二次行政改革案のたたき台というのを作成をして、その中で国家公務員の定年制について、「経過措置を講じたうえで、六年後に六十歳定年制を導入する。ただし医者などについては多少差をつける」という意見書をまとめておられるわけですね。だから、そういうように財界の提言に基づいてそれを受けて自民党の方でも、また閣議の方でも準備を進めてこられたという、そういう経過があります。
 そこで、その次にお伺いしたいのは、この十二月二十三日の閣議決定を受けて、五十三年の二月三日に総務長官が人事院総裁に対して見解を求めておられますが、これはどういう内容ですか。
#88
○政府委員(廣瀬勝君) 定年制は国家公務員の身分保障に関します重大な問題でございますので、これをいわば中立的な専門機関でございます人事院に御意見を求めるのが至当であろうということで、総務長官から人事院総裁に書簡を出したわけでございます。「職員の分限に係る問題として貴院の見解を承ることとしておりましたので、貴意を得たく御検討願います。」と、そういったような文言になっております。
#89
○神谷信之助君 それに対して人事院の方は、どういうように対処をされましたか。
#90
○政府委員(斧誠之助君) 人事院としましても、従来から定年制導入の可否という問題につきましては検討しておりました。ただいま人事局次長の方からも申されましたように、人事管理官会議などでは高齢者対策ということの要望が毎年のように出されておりまして、そういうこともあって研究をしておったわけでございますが、五十三年の二月にこの書簡をいただきまして、従来の検討にさらに綿密な検討を加えていこうということにしたわけでございますが、その際、人事院としましては、これは職員の身分に関する重要事項でもあるし、それから高齢者の雇用、福祉、そういう関係の問題もあるということで、これは慎重に検討した上で結論を出したいということで対処したわけでございます。
#91
○神谷信之助君 これに対して、人事院任用局長が、いまおっしゃったように、慎重にやっぱり対処せないかぬという趣旨の談話を発表されましたね。そして二月八日に各省庁担当課長会議ですか、これが開かれて準備が進むわけですが、この点については、この二月八日の担当課長会議ではどういう状況だったんですか。
#92
○政府委員(廣瀬勝君) 人事院総裁からの書簡をお待ちしておる段階でございますので、その準備段階としての検討を行った程度で、余り具体的な話はなかったというふうに伺っております。
#93
○神谷信之助君 各省庁の担当課長会議で人事院に対する要望、これがまとめられて、そして各省庁の実情を踏まえて具体的な準備を進めるということが指摘をされて、人事院の事務総長の方も、ことしは民間における定年制について調査を行う、それから高年齢の職員の処遇のあるべき姿について真剣に検討を進めていきたいという、言うなれば今後の人事院の取り組む方向が一応出されていますね。そういうことで、慎重に実情も十分調査をし、民間の状態も調査をして検討をしていくと、そういう方向だったと思うんです。
 さらに、日本経済調査協議会、これは財界の調査研究機関でありますが、これが「財政危機克服のために」というのを同年の二月二十一日に発表しています。その中で、人件費の圧縮のためには、「定年制を実施することによって人事の刷新をはかるとともに、行政サービスの重点の変化に応じて、配置転換が円滑に行ないうるように、再教育の実施および制度の改革が考えられなければならない。」という提言を行っています。これは、この趣旨が今度の法案の説明の中でも大体生かされているといいますか、というように私は思っているんですが、そういう日経連、経団連の提言を受けて日経調の方が、さらに促進をしていく、その中身の問題について提言をしたというのが二月の二十一日です。
 さらに、行政監理委員会がそれを受けて、「今後における行政改革の推進について」というのを四月の十二日に決定をして、国家公務員への定年制導入については早急にその具体化を図れということを提起をしています。
 そういう動きが外で、財界やあるいは行政監理委員会その他でずっと行われてきたわけですが、八月二十日に人事院の外郭団体、前事務総長の尾崎さんが理事長を務めている日本人事行政研究所ですね、これが、「平均寿命七十歳時代に相応しい新人事管理制度の方向」について発表しておりますが、その提言の主なもの、これは御存じでし
 ようか。
#94
○政府委員(斧誠之助君) 日本の人口構成というのはますます高齢化している、そういう状況のもとで、雇用関係というのは、従来の低い定年ではとても日本の経済状況それから高齢化の状況には立ち向かえない、したがって将来展望としては六十五歳までの雇用を、それは必ずしも常勤雇用に限りませんが、いろんな形での雇用を考えていくべきである、その場合に給与とか退職金とか、そういうものもそういう六十五歳までの雇用にたえられるような方向に持っていくべきであるというような内容であったわけです。
#95
○神谷信之助君 いまおっしゃったそういう趣旨と、それからもう一つは、「公務には極めて多数の異った職種があり、定年制の設定に当たっては、それらの特殊性を考慮して合理的に定める必要があるということなどをあわせ考えると、今直ちに定年制を統一的体系的に制定してゆくということには、時期的にも内容的にも問題が多いと思われるので、当面は定年制そのものの制定に努めるよりも、実態的に、定年制によって退職する民間労働者との処遇の均衡を図ってゆくようにすることが緊要と考えられる。」、言うなれば、余り拙速に走るな、実態的にやっぱり十分検討して慎重にやりなさいと。言うなれば、人事院の方は見解を求められて、任用局長の談話で、それは非常に重要な問題だから慎重に検討せないかぬという態度ですね。それを援護射撃をする形で日本人事行政研究所の提言というのが出ている。片一方では財界その他から早くやれと。そういう動きに対して、言うなれば援護射撃的な、先ほど局長が言った部分とあわせて提言をなさったように私は理解しているのですが、いかがですか。
#96
○政府委員(斧誠之助君) 人事院、あるいは公務員制度そのものへの援護射撃であったのかどうかということは、研究所の考え方でございますのでわかりませんが、研究所でいろいろ民間の状況あるいは社会経済状況、そういうことをこの土台に立って考えれば、研究所としてはそれが適切であるという意見をお持ちになったわけでございまして、人事院としてはそれを、何といいますか、バックにして何かを主張しようというような、そういう立場であったわけではございません。
#97
○神谷信之助君 そういうようにおっしゃるけれども、その前に、八月十一日に給与勧告をなさっていますわね。そのときに、中間報告ということですか、定年制の概況、五十三年の民間企業での定年制等の概況を報告した上で、作業の状態について中間報告をなさっていますわね。この内容はどういう内容ですか。
#98
○政府委員(斧誠之助君) その年に、民間給与実態調査で民間の定年制の状況を調査いたしまして、民間の状況はこういうことである、公務員についてはなお検討を必要とするので、公務員の実情、それから公務の能率向上の見地、それから職員の退職後の生活実態、そういうものをきめ細かに検討することとしておりますという中間報告を出しております。
#99
○神谷信之助君 まあきめ細かく検討をしていくということで、具体的には、各省庁における高齢職員の在職状況、退職管理等の実態、それから民間企業における定年制等の運用状況、諸外国の公務員の定年制等について詳細に調査をする、そしてきめ細かくやると、こういう内容ですね。
 そうやって具体的に外国の定年制に至るまで全般的にわたって調査もし、きめ細かく検討するという態度をとっておられたわけですが、さらに財界の側は、十一月になりますと今度は、経済同友会の経済方策審議会が、「新しい雇用秩序のあり方」についての提起を行って、「公務員は定年制、年金等の点で従来も民間に比べてかなり高水準にあり、さらに今後平均寿命が延びるにつれ、この格差はますます開く傾向にある。この際、政府としてもこの点に注目し、比較的早い時期に年金制度につき、政府・民間を含めてその調整を図る必要がある」という形で、定年制及び年金を含めた調整を提言をする。
 そして、十二月の二十八日には、さらに今度は行政監理委員会が委員長談話を出して、「公務員に定年制を導入するなど人事管理の適正化」というものを政府に対して要請をするということが行われている。
 そして、五十四年の一月十六日に、「行政の簡素、効率化の推進について」という閣議了解がなされましたが、この内容はどういう内容ですか。
#100
○政府委員(廣瀬勝君) 「適正な人事管理の推進」という項目の中で、「国家公務員に対する定年制の導入問題については、人事院に対し意見を求めているところであるが、政府部内においても、現行の関連諸制度の見直しを含め、その導入についての準備検討を進める。」という旨の了解になっております。
#101
○神谷信之助君 この閣議了解のねらいといいますか、意図というのは、一体どういうものですか。
#102
○政府委員(廣瀬勝君) 行政の簡素効率化の趣旨から、いわば民主的な能率ある行政を行っていくという視点で定年制の導入問題について準備的な検討を進める。人事院にすでに御意見を承っている段階でございますから、これはあくまでも準備的行為でございますけれども、勉強を進めるという趣旨であると了解をいたしております。
#103
○神谷信之助君 人事院の方は、先ほど言いましたように、国内はもとより国際的にも十分な調査をやって慎重にきめ細かい検討をやるんだという態度で八月段階へきているわけですね。それに対して、いま言ったように、経済同友会あるいは行政監理委員会の委員長談話というように、その年の後半に定年制の促進の動きがさらに強まってくる。これを受けて当時の大平内閣の一月十六日でしたかの閣議了解、これは、人事院の見解がまだ出ていないけれども、言うなればそれを片一方では促進をしながら、その受け入れ体制といいますか、これを片一方でも進めていこうということになってきているというように思うんですよ。
 だから、そういう客観情勢の推移を受けて五十四年の八月九日の書簡の送付ということになってきたと思うんですが、人事院の方で、当然そういう慎重に十分な調査をし、検討をやって、その上でこの書簡は出ているというように思うんだけれども、初めの任用局長の談話なりあるいは五十二年の八月の中間報告なりから言うと、非常にスピードアップされたような私は感じを受けるんですが、この点はいかがですか。
#104
○政府委員(斧誠之助君) 従前から定年制については、たとえば退職公務具年金受給者の生活実態調査というようなものは、もう従前から、四十七年退職者などについて追跡調査もやっておるというようなことで研究をしておったわけでございます。そこへ総務長官からの書簡が五十三年の二月に参ったということで、それで本格的な研究に取りかかるきっかけになったことは事実でございます。
 それ以後いろいろ研究をしまして、スピードを上げるとかおくらせるとかというような意識ではなくて、研究の成果が得られましたら、これを意見として提出しようということで進めてまいりました結果が、この五十四年の八月には結論が得られたので、これを書簡として総務長官あてにお送りしたという次第でございます。
#105
○神谷信之助君 それじゃ、諸外国の公務員の定年制等についての調査の結果はどういうことになっていますか。
#106
○政府委員(斧誠之助君) 外国政府機関二十ヵ国を調査いたしまして、そのうち、幅で申し上げますと五十五歳から六十五歳ぐらいまでに散らばっておりますが、主力は六十五歳のところでございまして、これが十ヵ国でございます。この十ヵ国の国を申し上げますと、カナダ、西ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、オーストリア、それからオランダ等、大体西欧先進国は六十五歳。アメリカは定年制は廃止になっておるというような状況でございます。
#107
○神谷信之助君 それから、定年制を導入する場合には、特に高齢者の雇用の問題、福祉の問題、これを十分検討する必要があるということを当初から申されていますが、この点についての検討はどういうことになっていますか。
#108
○政府委員(斧誠之助君) 高齢者の雇用の問題は、政府としてもいろいろな施策でもって推進をしておるわけでございますが、民間の実態というものが五十五歳を中心とする定年制が一般的である、それを六十歳に持っていこうということで努力をしておるわけでして、公務員の場合も、そういう日本全体の高齢者雇用の状況の中で公務員の定年制を導入する場合の定年年齢はいかにあるべきかということの検討をしたわけでございます。当初、先生も御存じかと思いますが、五十八歳説もかなり有力な説としてありましたわけですが、高齢者雇用の関係も考慮すれば、やはり日本の現在の現状の中では六十歳が最も適当であるということで、六十歳を原則定年年齢とするということの見解を述べたわけでございます。
#109
○神谷信之助君 ちょっと、質問の答えにはなっていないね。六十歳の年齢の問題は後でまた議論しますがね。雇用やあるいは福祉の問題の解決を図らなきゃならぬと、定年制を導入する場合に、その関連を明らかにしなきゃいかぬということだったんですが、それはどういうように結論をつけられたのか、こういうことです。
#110
○政府委員(斧誠之助君) 労働者の雇用を人事院みずからがどう解決するということではないのでございますが、人事院が定年制を導入するかしないかということを考える場合に、現在の公務員の在職状況、それから現在の在職状況から推定される将来の状態、そういうものを考えます場合に、やはり公務能率上の見地からは、定年制導入は、これは意義のあることであるということを判断したわけでございまして、その場合に、高齢者雇用との関係で定年年齢を何歳にするかということが非常に問題になるということでございます。
 それから福祉の関係につきましては、年金の支給年齢というのはこれは非常に関係があるわけでして、退職しても年金がもらえないという状態、そういう期間を生じたのでは福祉の観点から言って大変どうも問題があるということで、年金の支給年齢というものも考慮しましたし、それから勤続年数の関係で年金の受けられないような職員というのは一体いるのかいないのか。そういう者が出ました場合にどういう対策を講じたらよかろうかというようなことを研究したわけでございます。
#111
○神谷信之助君 任用局長談話では、高齢化社会における高齢者の雇用、福祉のあり方とも絡む問題でもあるので、きめ細かい検討をしたいと。それで雇用の関係では大体六十歳がいいだろう、年金は六十でなにですから六十でいいだろうと、こういう説明ですわね、いまのは。六十なら再就職もできるし、ええ牛やと、そういう判断ですか。雇用の問題で言うならば。
#112
○政府委員(斧誠之助君) 雇用関係につきましては、公務員だけではなくて、日本の労働者全体の問題として高年者の雇用ということは考えられていくべきはずのものだと思っております。
 人事院としましては国家公務員の人事管理についておあずかりしておるわけでございますが、その場合に、国家公務員の立場というのは、職員の利益が保護されなきゃならぬという立場は当然ございます。そういう意味で、雇用の関係、福祉の関係は当然人事院はこれは考えなくちゃいかぬということでございます。それからもう一面は、人事管理を通じまして公務能率が発揮できるようなシステムをやっぱり人事院として考えていかなくちゃいかぬという、そういう面も持っておるわけでございます。
 そういう両面から考えまして、定年制の導入には意義があるという結論に達したということでございます。
#113
○神谷信之助君 大体以上が経過ですが、私は、冒頭から言いましたように、ずっと経過を見ますと、結局財界の側の発議で定年制の導入というのが進められ、それを受けて与党の自民党の方の調査会でもそういう結論を出し、それでまたそれを政府が受けて人事院に一これは人事院の意見を聞かなきゃなりませんからね、当然。分限に係る事項だから。だから人事院の見解を求める。なかなかそれが暇がかかるという場合には、盛んに外部からもいろんな声が出て、そうして五十四年の八月に書簡が出たという経過を見ますと、今度の公務員に対する定年制の導入のルーツというか犯人というか、それは財界の要望なんだと、財界の希望なんだというように、経過を見ると私は感ぜざるを得ない。この辺がこの法案の審議をする場合に非常に重要な一つの問題ではないかというように思っております。
 そこで、次に話を進めますが、自治省の方に聞きますが、現在の地公法が定年制を排除しています。これはどういう理由によるものですか。
#114
○政府委員(大嶋孝君) 現在の地方公務員法におきまして定年制が認められていないという、その制定の経過といいますか、経緯につきましては、私十分存じておりませんけれども、少なくとも地方公務員は、地方公務員法二十八条のいわゆる分限事項に該当しない限り身分が保障されておるというところから来ておるものだと考えております。
#115
○神谷信之助君 これは当委員会で同僚議員からもしばしば問題にされておるわけですが、どうも自治省側の答弁を聞いていますと納得ができないんですよね。これは、当時八百八十八団体が定年制を持っていたといいますか、条例を持っていた、そういう状況である。国家公務員の方は定年制はなかった。だから、そういう現実から、国家公務員には定年制がないというのはわかりますわね。地方公務員の方は、現実にあのときは一万余りの団体のうちの八百八十八ですから、全体に占める率は少ないかもわかりませんが、いわゆる主要な都市は大体持っておる、こうなっておりますね。そういう実態がありながら地公法に定年制を導入しなかった理由、それは、いまの答弁ですと、言うなれば終身雇用制、その身分を保障している、そして分限で決められた事由以外には本人の意に反してやめさせられないといいますか、そういう身分保障をしている。そういったてまえから定年制はなかったという理解でいいわけですか。
#116
○政府委員(大嶋孝君) 先ほど申し上げましたように、地方公務員法が制定されました当時、八百八十八の団体が条例で定年制度を設けておったということになっております。それが、地方公務員法が制定されますときになぜ定年制が採用されなかったということにつきましては、人事院総裁等もその経緯は必ずしも完全には御記憶がないようでございますし、私どももいろいろ調べましてもその経緯がわからないわけでございますが、少なくとも現在の地方公務員法のたてまえにおきましては、二十八条の分限事項に該当しない限り、その意に反して免職されることはないということから、定年制というものは地方公務員については条例をもってしても置くことができないというような解釈になっておることは事実でございます。
#117
○神谷信之助君 だから、そういう日本の公務員制度については定年制を導入するということはなじまないということで現行法がずっと来ている。それを今回導入をするというのは、その点では、日本の公務員制度はある意味で言うと終身雇用制といいますか、その身分の保障に一定の規制を加えるといいますか、制限を導入するという大きな変化になると思うんだけれども、その点はいかがですか。
#118
○政府委員(大嶋孝君) 現行法におきまして定年制度を設けられないというのは地公法の二十八条であるということを申し上げたわけでございまして、それが日本の公務員制度に定年制がなじまないということの意味で申し上げたわけではございません。と同時に、御指摘のように、定年制度を設けるということは、職員の身分にとってはもちろん重要なことでございます。
#119
○神谷信之助君 それじゃ、地公法の第十五条、この「任用の根本基準」はどうなっていますか。
#120
○政府委員(大嶋孝君) 地公法十五条の趣旨は、能力実証主義でございまして、受験成績なり、勤務成績その他の能力の実証に基づいて任用を行わなければならない、こういう趣旨でございます。
#121
○神谷信之助君 能力実証主義が任用の根本基準になっている。ですから、その能力実証主義から言うと、年齢で一律に制限をする、解雇するあるいは退職を強制するということとはそぐわないわけでしょう。
#122
○政府委員(大嶋孝君) たとえば年齢に対応する能力と申しますか、これについてはいろいろ個人差があると思います。思いますが、一般的に申し上げれば、年齢を経るに従いまして能力的には落ちていくというのが一般的な問題であろうと思います。そういう意味合いにおきまして、職員の新陳代謝を促進をする、そして組織の活力を維持するというようなことは、公務員の人事管理上やはり必要なことであろうと思います。と同時に、民間におきましてもかなり定年制が普及してきておる状況でございます。そういう中で定年制を設けるということは私は意義がある問題であろう、かように考えておるところでございます。
#123
○神谷信之助君 一般に六十になると能力が低下するというわけですか、個人差はあるにしても。それはわかります。それは個人差がありますから、人によってはそういう人もあるかもしれぬ。しかし、一般に六十になったら何で能力が低下するのか、六十になったら。六十一歳で能力が低下しない人もいるでしょう。六十五になっても能力低下しない人もいる。大臣なんかもうとうに超えていますわね。能力低下しておらへん。一般的にと言って、そんな全部を一まとめに言われたら、今日、昔の人生五十年と言われた時代とはうんと違うでしょう。われわれが子供のころは、五十超えたような人はおじいさんやと思いましたけれども、いまは、五十、六十というのははなたれ小僧と言われている時代やから。何で六十になったら一般的に能力が落ちると、そういうことになるんですか。
#124
○政府委員(大嶋孝君) 私が申し上げましたのは、一般論として、一定年齢以上になれば能力が低下するということを申し上げたわけでございます。六十を境にして能力が低下する、しないという意味で申し上げたわけではございません。六十歳を定年としたということにつきましては、またそれなりの問題であろうと、こういうふうに考えておりまして、一般論を申し上げたわけでございます。
#125
○神谷信之助君 だから、一般論で申し上げるというのは、その根拠は何ですか。一般論としておっしゃるその根拠は何ですか。
#126
○政府委員(大嶋孝君) 社会通念上私はそういうふうに考えられておるものだと思いますし、特に六十歳を境にしてということで申し上げておる趣旨ではございませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
#127
○神谷信之助君 六十歳という線を切ったのは、そういう一般論から切ったのではないということですか、おっしゃる趣旨は。
#128
○政府委員(大嶋孝君) まあ、それに近い趣旨で申し上げているつもりでございます。
#129
○神谷信之助君 昭和五十一年の五月二十一日の最高裁判決があるんです。その最高裁判決を見ますと、「もっとも一般に定年制それ自体が公務員の身分保障の趣旨に必ずしもなじまないものではないことは、外国の例やわが国の定年制が認められている特定の公務員の例からも推認でき、」、すなわち国家公務員の一部、定年制をしいていますからね、そのことを言っていると思うんです。「推認でき、職員についても老齢による労働能力の逓減は一般的に否定できないが、」と、あなたのおっしゃる点も最高裁判決は少し肯定はしていますね。「地公法は、この点について、職員が、営利追求の原則として自由な民間企業の場合と異なり、「地方公共団体の住民全体の奉仕者として実質的にはこれに対して労務提供義務を負うという特殊な地位を有し、かつその労務の内容は、公務の遂行すなわち直接公共の利益のための活動の一環をなすという公共的性質を有する」うえ、その職務の内容も種々雑多で一律に定年制を定めることが困難なことに鑑み、保定年制によってではなく」、いわゆる二十八条の分限ですね、この「運用によって個々的に解決しようとしたものと解すべきである」と、こう言っているんです。
 だから、最高裁判決は、言うなればあなたのおっしゃる能力の低下によって公務労働が不可能になってきたという場合には、分限の条項がありますね。それで処理ができるんですよ。だから何も一律に年齢を切るということは、民間ではそういう場合はあるけれども、それとは公共団体の場合は違うんですよと。言うなれば日本の公務員制度の中では、現在の地公法の分限条項を含めて考えるならば、年齢で一律に切るのはなじまないといいますか、そういう趣旨の最高裁判決が出ているんですよ。いかがですか、それについては。
#130
○政府委員(大嶋孝君) ただいま御指摘の裁判所の判決は、現在の地方公務員法のいわゆる分限条項の解釈として出てくるものであろうと思います。ただ、それが公務員法上定年制を設けることができないかできるかというような立法論では私はないんじゃないかと思います。あくまでも現在の地公法の解釈といたしましては、二十八条の分限条項に該当する、そういう場合に免職の処分ができるということでございます。なお、その同じ条文の解釈といたしましては、ただ年齢が高齢になったということだけの理由によって分限条項が適用されるものとは受けとめていないわけでございます。
#131
○神谷信之助君 違うんだよ。年齢が高くなっただけの問題ではないですよ。しかし、あなたが先ほど一般的に年齢が高くなれば能力が減退をすると、こうおっしゃるわけだ。そして能力が減退をして実際に公務労働に適さない、やれないという状態になれば、これは分限条項があるでしょう。だからそうなればやったらいいんだ。何も六十で線を引かなくても、その人の条件で五十三でも公務労働にたえられないということになればできますわね、「心身の故障」その他というやつがあるでしょう。あるいは七十でも公務労働にたえ得るならそれは免職することはできない、身分保障をするのはあたりまえだと、これが地公法のたてまえでしょうが。そこに今度異質のものを入れるわけですよ。年齢というもので一律に線を引くという、そのこと自身がいまの公務員法のたてまえから言うたら異質のものを導入する、木に竹を接いだようなものになって、これはどうもなじまない。そうお考えになりませんかと言っているんです。
#132
○政府委員(大嶋孝君) この地公法二十八条の分限条項は、それぞれ個人的な問題があるということは御指摘のとおりだと思います。したがいまして、二十八条によりまして一律的な処分というのはできないということでございます。
 ところで、定年制という問題につきましては、御案内のように、現在多くの地方公共団体におきまして、高齢職員につきまして退職勧奨制度を実施しておりまして、それによりまして職員の新陳代謝を図っておるわけでございます。そういうことをやっておりますけれども、勧奨退職というのは、御案内のように、最終的には職員の意思にかかっておるわけでございまして、一定の年齢に達すれば職員が必ず退職するというような制度的な保証に欠けておるわけでございます。そういたしますと、その制度だけに頼っておりましては、長期的かつまた計画的な人事管理はなかなか行えないということでございますし、また、職員間に不公平を生ずるというおそれがあるわけでございます。
 そういうような見地から、地方公務員につきましてはかねてから定年制度を創設してほしいということが望まれてきたわけでございます。今回、国家公務員につきましても定年制度を導入するということにされましたので、地方公務員についても同様の制度を設けるということでございまして、その間において、一定の年齢に達すれば退職をするわけでございますから、職員間の公平ということは考えられると思います。
#133
○神谷信之助君 どうもこの法案を提案されている側ですからね、なじまないというようなことを認めたら撤回せないかぬということになりますから、なかなかうんとおっしゃらないんだけれども、しかし、いまのあなたの論理もおかしいんですよ。退職勧奨をやってもなかなかやめない人がある、究極的には本人が同意をしなきゃだめなんだ、だからそれで不公平が起こるんだと、こうおっしゃっているわけだ。だからひとつ年齢でやれば公平になるでしょうと、それがいまあなたの答弁の内容ですね。
 ところが、午前中の同僚議員の質問で、六十歳以上の人たちの数を報告されましたね、七十歳以上が二千四百二十九名か、六十六から六十九が四千二百七十六とかというように。先ほどのやつずっと見ていますと、六十歳以上の人が約二万五千人ぐらいでしょう。二万五千足らず、二万一千ぐらいですか。全体の公務員労働者というのは三百十六万余りでしょう。あなたの言うように、不公平に、本人はがんばって六十歳以上でもなお働いている、そういう面では自分だけいい目しておるということになるのかしらぬけれども、そういう不都合な人間というのは二万一千人。三百十六万余りに対して二万一千人、これ一体何%になるのか。
 それから、もう繰り返しませんけれども、先ほど午前中も、それぞれの理由は一体何やと言えば、それは、中身を見ますと、まだ働けるという人が五四・六%ですか、あるいはまだ年金がもらえないという人が一四・二%というように、あるいは子供さんがおるので経済的に大変だという、それぞれの理由があってがんばってはるわけですね。だから、ある意味で言うたら、それは自分の家庭の条件といいますか生活の条件で、いつまで働いているのやというような気を持っている仲間も中にはおるかもわからぬ中で、働かざるを得ないわけです、生活のために。そういう人が三百十六万余りの中にわずかいる。それがおるのが不公平だから六十歳定年制を導入するというのは一体どういうことなんだ。理屈にならぬやないか。いかがですか。
#134
○政府委員(砂子田隆君) 先ほどから、定年制というのは地方公務員になじまないんじゃないかというお話がございました。これは先般も人事院の総裁がお見えになられましたときもお話を申し上げましたが、要するに、戦前におきましても慣習で定年というのをやっておられたことは御案内のとおりであります。今回のこの定年制の場合におきましては、憲法の議論もやはりあるだろうと思いますけれども、要するに、地方公共団体の組織なり運営というのは地方自治の本旨に従って法律で定めると、こう規定をしてあるわけであります。したがいまして、職員の身分、取り扱いに関する一定の事項を法律で定めるというのは許されることではないだろうか。そこで、そのほかの問題に関しては実情に応じて公共団体が条例で定めていいじゃないか。
 そこで、一定の法律事項というのは何であろうかという議論になって、そこはやはり定年制度を導入するということではなかろうか。あるいは勤務延長をするとか再任用をするとか、そういうこともあろうと思うんです。それ以外のことというのは、ある程度国家公務員との整合性を見ながら公共団体が条例で定める。たとえば退職の日をどうするとか、あるいは定年は条例で定めるとか、そういう部分は公共団体に任せられているけれども。そういう法律の構成にしてあるわけであります。
 ですから、その部分については六十歳がいいかという議論はいろいろありますが、定年制度を導入した後の国家公務員と地方公務員との職務の形態、そういうことをいろいろ考えますと、国家公務員と余り違う方式もとれないだろう。特に同じ職種をやる場合には、あとう限り同じ方式である方が望ましいんじゃないか、そういう議論もあろうと思います。そういう意味で、たまたま国が六十ということで決めたということもありますから、地方公務員としても、非常に職種が違うという合理的な理由がある、そういうことでもない限りは、あとう限りやはり国家公務員と同じにしていく方がこれからの公務員制度というものを維持する上でも望ましい。そういう意味で一応六十というふうに決めたとここでうたっているわけでございます。
#135
○神谷信之助君 憲法の地方自治の本旨との関係の問題は、後でまた議論をしたいと思うんです。いまは、定年制の導入そのものがいまの公務員法の全体の流れ、法体系というか法の流れからふさわしいのかどうかという問題を議論しているんですがね。
 そこで、もう一つちょっと角度を変えるんですけれども、これは改正条文の第二十八条の二でいわゆる定年制の導入になるわけですね。「職員は、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の三月三十一日までの間において、条例で定める日に退職する。」となっていますが、この「退職」という言葉の意味ですが、これは当該職員が定年に達したときに、そのときに自主的に退職をするという意味でお使いになっているわけですか。
#136
○政府委員(大嶋孝君) 定年に達しました日以後におけるその条例で定める日に自動的に退職をするということでございます。
#137
○神谷信之助君 だから自動的にでしょう、あなたのいま言ったのは。私が聞いているのは、本人が自主的に退職するという意味ですか。
#138
○政府委員(大嶋孝君) 自主的に退職するということではなくて、自動的に退職をするということでございます。
#139
○神谷信之助君 だから自主的ではないわけですね。現行の二十八条の見出しは「分限」になっていますが、それを改正案では「降任、免職、休職等」として、二十八条の二は「定年による退職」という見出しがついて、それで「分限」という見出しがなくなるわけですね。これは、二十八条それから二十八条の一とも分限について規定をしているというように考えていいのか。あるいは、結論的に言いますと、これはいままでの答弁にも出ていますが、念のために聞きますが、定年による退職というのは分限事項として扱っているわけですか。
#140
○政府委員(大嶋孝君) 定年による退職も広い意味における分限というふうに考えております。ただ、二十八条で言う処分を要する分限ではないというふうに考えておるわけでございます。
#141
○神谷信之助君 いま御答弁になったように、二十八条の方は、いわゆる「意に反して」といいますか、処分的なそういう規定ですね。だから、いままでも御答弁になっていますが、分限というのは一般に身分保障がなされていることが前提で、特別の場合を特定してその意に反して降任あるいは免職、休職を行い得る規定であって、だからこの場合は当然本人の意に反して職を失うということが強制されるわけですね、この二十八条の方は。
 ところが、二十八条の二の方の「退職する。」という表現、これは強制力を伴った離職という意味になるわけでしょう、あなたのおっしゃる自動的に退職という意味は。本人がいやだと思っておっても、それは六十歳に達したら三月三十一日までにやめないかぬということで、強制力を伴った離職というように理解するのですね。
#142
○政府委員(大嶋孝君) 二十八条の二は、定年に達したときに条例で定める日に当然退職をする、強制とか強制でないということでなくて……
#143
○神谷信之助君 強制するわけだ。
#144
○政府委員(大嶋孝君) 強制ということでなくて、たとえば選挙で選ばれておられる方々が任期が満了いたしますと当然その職でなくなるということと同じように理解をいたしております。したがいまして、定年まではほかの事由に該当しない限り身分の保障がある、そうして定年に達したときに条例で定める日に何らの行為を要することなく当然に退職をする、こういうことだと理解をいたしております。
#145
○神谷信之助君 いま一つよくわからないんですがね。いまの勧奨退職制度ですと、それでやめようという場合は一応本人の意思ですね。したがって辞表といいますか退職願というか、それを出してやめるわけでしょう。ところが定年の場合は、これは自分はやめたくない。現に二万一千人からの人が六十歳以上でも働いている方が全国にあるわけですね。そういう人が当然今後もあるでしょう。だから、本人はやめたくない。したがって、これはどうなんですか、辞表提出義務というやつは必要でないわけでしょう、この定年の場合は。本人もやめたくないから辞表出しませんわな。自分から定年になりますからやめますという退職願も出さない、こうなるわけでしょう。
 そうすると、定年というのは本人の意思による退職でもなく、辞職でもないし免職でもない。さっき議員のことを言われたけれども、これは任期満了であって退職じゃないんですよ、あれは。定年退職とは違うんです。だから、退職でもない、辞職でもない、免職でもない、それをなぜ退職と言うのか。通常退職と言う場合は本人の意思で職を退くわけですね。本人の意思によらないで首を切られるやつは、解雇とか馘首とか言うわけでしょう。退職という言葉の方は、それは本人の意思によって職をやめるわけです、あるいは辞職とか退職とかは。そういう使い方じゃないんですか。
 だからこの点は私は、「退職する。」といういかにも本人も承認をしたような表現を法律用語で使っていますけれども、この法律あるいは法文の意図するところはそうじゃない。それを退職という言葉でごまかしているんじゃないか。少なくともあいまいさがあるんじゃないか。この辺はいかがですか。
#146
○政府委員(大嶋孝君) 御指摘のように、定年というのはその本人の意思いかんにかかわらず、一定年齢に達したこと、そのことだけをもってその職にとどまらなくなるということでございまして、退職というのは本人の意思によることをいうのかどうかというのは私いささか疑問がございますが、当然その職から退くという意味の私は退職という使い方であろうと思います。
 まあ余談になりますけれども、たとえば大学の先生が定年になってやめて、退官の最後の講演をやるとか講義をするとかというような話もあるわけでございますが、そういう意味合いで職から退くから「退職」というふうに書いてあるのではなかろうかと思います。別にこれが、本人の意思によって退くというごまかしのためにここに「退職」という言葉を使ったのではないと私は思います。
#147
○神谷信之助君 いろいろ調べてみたんですよ。たとえば地公法制定以前にあった定年制のいわゆる規程ですね、これは「東京都傭員規程(昭十八・七月東京都訓令甲第十一号)」ですか、これでは退職という言い方はしていないですね。「傭員左ノ各号ノ一二該当スルトキハ之ヲ解傭ス」とあって、八号に「年齢」という項を起こして、「事務助手」何々「ヲ陰クノ外五十五年ニ達シタルトキ」とかいうように、あるいは特別の者は「六十年ニ達スル迄トス」という規定があるんですよね。これは、定年でやめるというのを退職というあいまいな言い方ではなしに、明確に「解傭」、すなわち解雇というんですかね、いまの言い方で言えば。いわゆる法律による強制力を伴う措置だということを当時は明らかにしているんです。
 だから、定年退職というと何かいかにも後進に道を譲るためのような、そういう体裁を整えながら、いやでもやめさせられるというのをうまくカムフラージュしているという、そういうように思うわけです。
 あの四十三年法を見ますと、第二十七条ですか、「分限及び懲戒の基準」の次に「離職」という条項を第二十七条の一として設けて、「分限免職」、「懲戒免職」などのほかに、同条第四号に、「定年に達したとき。」と規定をして、定年を理由とする場合、離職として扱うという扱い方をしていますね。
 だから、そういう点で言いますと、昔の古い言葉では「解傭」という言葉が使われたり、四十三年法のときには「離職」という言葉になっていたんですが、あえてこの「退職」という用語をお使いになったという点ですね、私はこの辺が、細かいような問題だけれども、年齢によっていやおうなしに首を切るというやつですから、気安く退職というきれいな言葉を使うてもらったら困ると私は思うんだけれども、その辺いかがですか。
#148
○政府委員(大嶋孝君) 先ほどから申し上げましたけれども、定年によります退職といいますのは、一定の年齢に達したことによりまして自動的に職員としての身分を失うということでございまして、この点におきまして行政処分を行って職員としての身分を失なわせるという免職とは違うわけでございます。したがって、その免職という言葉はまず用いていない。離職という言葉でございますけれども、これにつきましては、現在の地方公務員法上用いられておりませんが、職員としての身分を失うこととなる一切の形態を言うわけでございます。
 そこで、四十三年法は「離職」ということで、分限免職というものを含めて「離職」というような表現をとっておったことは御承知のとおりだと思います。そういたしまして、免職や失職、任期満了による退職あるいは本人の都合による辞職といったような、すべてを含む概念が離職ということであろうと思います。
#149
○神谷信之助君 離職を今度退職とした理由ですよ、それは。
#150
○政府委員(砂子田隆君) 定年による退職というのがそういういろんな意味で使われておるということを申し上げましたが、いま公務員部長から申し上げましたのは、職員が要するに職員でなくなるという、離職という、職を離れるという一つの形態があります。その中に、いま二十七条で定められているようにいろんなやり方がございます。そのほかに新たなものをつくりましたというのが「定年による退職」というわけでありまして、中身は、定年に達したらやめますというだけの話ですから、それは離職の中の一つの態様であるというふうにお考えいただければ大変ありがたいと思います。
#151
○神谷信之助君 言葉じりをつかまえるようだけれども、定年になったらやめますということじゃないんですね。定年になったらやめさせますというんですよ。やめますといったら自分からやめるんだ。やめさせますと、やめてもらいますと、いやおうなしに首を切りますということでしょう。だから問題ではないかと言うんですよ。
#152
○政府委員(砂子田隆君) 分限というのは、この間からもいろいろお話がございましたが、本人の非違によってやめる、責任をとってやめるということのほかに、そういう事項に該当しなければやめる必要がないというメリットが常に分限には存在しているわけであります。離職というのも、少なくともその年齢に達するまではやめなくてもいいという権利がやはり職員側に存在をしておる。そういうのが常に退職にあるわけであります。定年による退職というのは、先ほど公務員部長が申し上げておりますように、その年齢に達したら自動的にその職を離れることだと、こう申し上げているわけであります。
 ですから、分限の中でいろんな意味合いがありましても、それは職員にとってやはりどう見ましても半分はメリットがありますし、半分はいろんな問題があってやめさせるということがありますし、また、そういう自動的な、定年年齢に達したときにやめていくというのもありますから、要するにそういう態様が総体的に職を離れる一つの形態である。そこでは見出しとしてたまたま「定年による退職」という見出しをつけているだけでありまして、その中身は、二十八条の二の本文全体がその「定年による退職」の中身であるというふうに御理解願えればありがたいと思います。
#153
○神谷信之助君 いや、私が言っているのは本文ですよ。見出しもそうだし、本文にも「日に退職する。」と書いているでしょう。満六十歳になった日、「条例で定める」何やらかんや「に退職する。」と書いてある、本文に。だから、それも含めてこの用語については少なくとも適当ではない、意に反してやめさせるわけです、定年が来たら。六十になったらやめさせる。いやだと言ってもやめさせるんだ。
 だから、それはもういままでの、分限で本人に非違があった場合にやめなきゃならぬというやつがありますね。これは本人の意に反しようと何しようとそれは本人の責任なんだからということでそれはある。そのかわりに、まじめに働いている限りちゃんと保障しますよと、ちゃんとメリットがある。今度の場合は、六十歳になったらもうとにかくやめさせるわけよ、いやおうなしに。これはメリットは一つもないわけです、六十以降は。いやおうなしにやめさせるんだから。ということで、だからその線ではほかの問題とはちょっと違うんじゃないですかということなんです。こればかり言っておっても仕方ありませんから、だからあなた方の説明だけでは私はこの問題はまだ納得できないということを申し上げておきます。
 次の問題へ移りますが、先ほどから憲法の九十二条でしたか、地方自治の本旨の問題で、先ほどから一生懸命おっしゃりかけていましたが、いよいよその問題に入ろうと思うんですけれども、いまの公務員法の体系から言うと、定年制度の導入というのはいままで言っていましたように私はなじまないものではないか。だから、現行法の「分限」という見出しも外してお分けになったんだろうというように思うんですけれども、それでも木に竹を接いだようなものだと思うんです。仮に一歩譲ってそれはいいとして、「地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」というあの憲法規定との関連で、三十一年法なり四十三年法のように条例でそれを定めるということにすれば足りるのではないのか。それを今度は国の基準という、国家公務員の六十歳をそのまま法制化するというところまで、いわゆる運営その他の問題ありますね、これは法律で定めると。その中に基準まで入れてしまうということがこの地方自治という観点から適当なのかどうかという点ですね。この点は、先ほどの答弁では大分検討をなさったようなんだけれども、なぜそれは入れるのがいいということになったのか、その点もう一遍理由をはっきりしてもらいたい。
#154
○政府委員(大嶋孝君) 昭和三十一年法案あるいは四十三年法案におきましては、定年制度を導入するかどうかということを各地方公共団体の判断にまかせる方式をとっていたことは御指摘のとおりでございます。
 これにつきましての理由といたしましては、当時、国家公務員につきまして一部の例外を除きまして定年制度が設けられていなかったわけでございます。国の場合、定年制度を設ける場合には国家公務員法の改正という立法措置を講ずることによって可能であるのに対しまして、地方公共団体の場合には、地方公務員法上の分限規定のたてまえから、この法律を改正しない限り条例をもってしても導入できないという事情にあったわけでございます。このために、定年制度の導入を必要とするという団体がありますとすれば、自主的判断に基づいて条例により導入することができるという道を開いておくべきであるというのが基本的な考え方であったと私は承知をいたしております。
 これに対しまして、御指摘のように、今回の改正法案におきましてはすべての地方公共団体に対して一律に導入をするということにしておるわけでございます。この理由といたしましては、定年制度が職員の身分保障の根幹にかかわる制度でございます。国家公務員法の一部改正によりまして定年制度を導入する、そして一般職の国家公務員のすべてについて適用されることとされました現在におきましては、同じ公務員であります地方公務員につきましてもすべてひとしく適用するということが、公務員の身分保障に係る分限制度全体の整合性を確保するという観点からもより適切な措置であるというふうに考えられたためでございます。
 しかしながら、公務員の身分保障の整合性を確保すると同時に、また、地方公共団体が人事管理上弾力的に対応することができるように配慮をするということは必要であることはもちろんでございます。その点につきましても、今回の改正法案におきましては、一つには定年制度の導入、定年年齢の定め方、定年退職日の定め方等々、基本的な事項につきましては国家公務員の定年制度との整合性に配慮しながら法律で定めるということにしておるわけでございますが、これに対しまして特例定年を初めといたしまして具体的な定年年齢なり定年退職日なりあるいは勤務延長、再任用、具体的手続といった制度の実施に関する事項につきましては、地方公共団体の条例で定めるということにしておるわけでございます。
 したがいまして、三十一年法、四十三年法との違いというのはそういう背景の違いということもございますけれども、私どもとしては地方自治を尊重するといったてまえに立ちながらこういう法案を御提案申し上げているというところでございます。
#155
○神谷信之助君 そうしますと、四十二年法と今度で違って、六十歳という基準年齢といいますか、基準を法制化するという点の最大の理由は結局何ですか。整合性ですな。国家公務員がそうしたから地方公務員もそうすると、そういうことになるんですか。
#156
○政府委員(大嶋孝君) 民間におきましても定年が大分定められておるわけでございまして、政府といたしましてはそれを六十歳定年に持っていくようにいま指導しておるという事情が一つございます。そういう民町の状況、それから、現在勧奨退職が行われておりますところにおきましても五十七、八歳というのが勧奨年齢の主たるところだろうと思います。そういう状況。それから、御指摘の国家公務員法の定年の問題。そういったものを勘案をいたして決めておるところでございます。
#157
○神谷信之助君 いや、民間の状況とかそれから勧奨退職の年齢の実態、これは六十歳という基準年齢を法制化しなきゃならぬ理由じゃないでしょう。六十というのに線を引っ張った理由、法制化する理由というのは、六十という基準年齢を法制化するという理由は国家公務員がそうなっているから右へならえしたと、こういうことでしょう。
#158
○政府委員(大嶋孝君) 一つには、この定年制度というのが職員の身分保障の根幹をなすものでございまして、それについてはやはり整合性が必要であるということが一つでございます。もう一つには、同じ公務部内の職員でございますので、国家公務員との整合性というのももちろん考えなきゃならぬ問題だということで、国の定年年齢を原則としておる、こういうことでございます。
#159
○神谷信之助君 国の方がそうなったから、したがって地方公務員の方も六十で統一するということですね。だから法制化します、こうなっておる。三千団体を超える地方自治体を全部なぜ統一しなければいかぬのか、この辺はどうですか。定年制を設けるかどうかという四十三年法のときに、この間も出ましたが、当時の野田自治大臣の提案理由の説明では、この改正法の施行を契機としてすべて当然に定年制に関する条例を設けなければならないものではなく、あくまでも当該団体における人事管理の実情から見て必要と認める場合において条例で定めることができると、こうしたんですね。だから、この点ではそれぞれの自治体の自主性、これは保障されていますわね。国家公務員はない、定年制はなかったわけです、当時。国家公務員法にないわけです。ないけれども、定年制をつくりたいというところは条例でできますよという、その道を四十三年の改正のときには考えたわけです。だから、これは国家公務員に右へならえしたわけじゃない。そのことのよしあしは別にしても、当時の法案は、提案の理由を見ましても、定年制の条例をつくろうとつくるまいと自由ですよ、しかしつくる道は開いておきましょうという趣旨ですわな。だからこの点では自治体の自主性が認められた。
 今度はどうだといったら、国が決めたからその整合性の上において六十は決めておきましょう、あといろいろ手続は条例でやりなさい、これでは自主性があるというわけにはいかぬじゃないですか。ここへ行きなさいともう決めといて、それで右寄りの端を歩くか左寄りの端を歩くか真ん中を歩くかは別だと、しかしこの道は通らないかぬよということでは自主性も何もないわけです。この点はいかがですか。
#160
○政府委員(大嶋孝君) 先ほどの御答弁を繰り返すようでございますけれども、当時の状況としては、御指摘のように、国家公務員につきましては一般的には定年制というのは導入されていなかったし、また、そういう法案も準備されていなかった状況でございます。そういう中で地方公務員につきましては、昭和二十七年ごろから定年制をつくってほしいという要望が相当相次いできたわけでございます。そういった中で、先ほど申し上げました現在の地方公務員法の二十八条の分限というものとの絡みで定年制を設けるということであれば、どうしてもその部分の改正であるとかあるいはそれに対する定年制度の条文をつくらなければいかぬというようなことから、ああいう改正法案ができたと思います。
 現在、高齢化がかなり進んでまいりまして、民間におきましても定年制というのが普及してきておる、また国家公務員につきましても定年制というのがつくられてきたという状況の中で、同じ公務部内の公務員といたしまして、余り各団体ばらばらであるということもこれまたいささか整合性を失する話でございますので、この際、国の定年制というものを加味いたしまして、地方公務員についても同じような定年制というものをここに考えてきたということでございます。
#161
○神谷信之助君 それではもう少し聞きますがね、この二十八条の二の二項「前項の定年は、国の職員につき定められている定年を基準として条例で定めるものとする。」、こういうようになっているんですけれども、そういう国の制度を基準とするという規定というのはほかにありますか。
#162
○政府委員(大嶋孝君) 教育公務員特例法に、「公立学校の教育公務員の給与の種類及びその額は、当分の間、国立学校の教育公務員の給与の種類及びその額を基準として定めるものとする。」、こういうような規定がございます。
#163
○神谷信之助君 それがただ一つですわな、「基準として定めるものとする。」というのは。
 一般に、国の制度の関係で言及されているのを調べてみると、地公法の第二十三条「職階制の根本基準」、その第九項はどうなっているかというと、「職階制に関する計画を定め、及び実施するに当っては、国及び他の地方公共団体の職階制に照応するように適当な考慮が払われなければならない。」、だから、「適当な考慮」というやつが入っていますわね。イコールではないわけです。それから二十四条、これは、「給與、勤務時間その他の勤務条件の根本基準」、これの第三項も、「その他の事情を考慮して定められなければならない。」ということでしょう。第五項も同じように、「国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。」、それから四十三条、これは「共済制度」の第四項ですね、これも「国の制度との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。」、だから、イコールというのはいまあなたがおっしゃった公立学校のやつだけなんですよ。全体としては、地方公務員法そのものの中では、基準とする、それにイコールだという規定というのは、今度入るのが初めてなんです、地方公務員法の中では。そのことは間違いないですね。
#164
○政府委員(大嶋孝君) そのとおりだと思います。
#165
○神谷信之君 これは地方公務員法が提案されたときの提案理由、これを見れば私は明らかだと思うんですが、当時の岡野自治庁長官が提案理由の中でこう述べているんですよね。「本法案は、地方公共団体の人事行政に関する各般の根本基準を確立することにより、地方公共団体の住民に対して行政の民主的且つ能率的な運営を保障し、以て地方自治の本旨の実現に資することを目的とするものであります。同じく全体の奉仕者たる公務員として、国家公務員との間に本質的差異のない地方公務員の制度を樹立するに当りましては、国家公務員法において具現されております近代的公務員制度の理念は、これを当然に導入しなければならないことは申すまでもありませんが、本法におきまして余りにも煩瑣にわたる規定を設けますことは、地方公共団体の自主性或いは多様性を阻害いたし、地方自治の本旨にも副わないのではないかと存ぜられますし、」ということですね。だから、換言いたしますならば、本法の目的は、近代的民主的な公務員制度の理念はこれを導入しつつ、地方公共団体の自主性を確保し、あわせて地方公共団体の多様性に即応せしめることに配意するというのが地方公務員法ができるときの提案理由の説明ですわな。
 だから、国家公務員法に出ておる理念というものは導入するけれども、それと同一的な規制はやらないということで、先ほど言ったように、「根本基準」というところでも、全部考慮を払うというようなことであってイコールではない、自治体が考えなさいと、こうなっているんですよね。今度初めて六十歳という定年制、年齢基準というもの、これが国とイコールで入ってくる。だから、地方公務員法の当初の提案の理由、自主性を最大限尊重する、理念は導入するけれども実際のやり方は自治体それぞれ自主的にやりなさい、地方自治の本旨に基づいてやりなさい、こういうところに異質のものが今度一つ入ってくるわけです。私はこれは非常に重要だと思うんですよね。
 地方自治法なり地方公務員法なり、これらは、そういう憲法の、「地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」という、法律を単に定めるというのじゃなしに、「地方自治の本旨に基いて」定めるという憲法規定を最大限に尊重し、生かしてきたのがいままでの自治法であり地方公務員法ではなかったか。自治法は大分ゆがめられてきていますけれども、少なくとも公務員法は、その点はいままではそれで来ているわけなんです。今度初めてストレートに国とイコールですよという強制的な内容が導入されてくる。私は、その点でこれは地方自治に対する重大な新しい侵害の第一歩だというふうに思うんですが、この点ひとつ、大臣いかがにお考えですか。
#166
○国務大臣(安孫子藤吉君) 定年制の、自治法違反じゃないかという点が御質問の要点だと思いますが、先ほども申し上げましたとおりに、地方団体の運営あるいは基本的な問題については法律をもって定めるということになっておるので、今回その法律案を出しているわけでございます。したがいまして、御承認を受ければ地方自治を侵害するようなことにはならないと、こう考えております。
#167
○神谷信之助君 いまのは答弁になりませんな。途中経過を聞いてないからなんですけれども、これはちょっとかなわぬな。生理的要求だから退席をこれは当然認めざるを得ぬわけなんだけれども、ちょっとうまいこと、経過言ってください。時間もったいないから……。
 地方公務員法には、国家公務員を基準といいますか、標準にするというやつ、規定は幾つもあるんですよ。しかし、それは全部いろいろ考慮を払わなきゃならぬとか、均衡を失しないようにとかといって、ストレートにイコールではない規定になっている、全部。地方公務員法の中で見ますとね。今度初めてイコールという規定が入るわけです。国が六十だから地方も六十にしなさいと。これは地方公務員法制定のときの提案理由の説明でも、国家公務員の方の理念は導入するけれども、実際のやり方は地方自治の本旨に基づいて多様性というやつを保障、あるいは自主性を保障せないかぬというのが本法の趣旨でございますという当時の岡野長官の提案理由説明なんですね。それでずっと来ているんだけれども、今度初めてイコールというやつが出てきている。国と同じだ、それ以外はいかぬぞというやつが出ておる。幅は若干ありますわね、しかし、この道は通らないかぬよ。右の端歩くか、左を歩くか、真ん中通るか、それはいいけどと、こうなっている。いままでとは違うわけだね。これは私は地方自治に対する、国に右へならえと言いますか、国の方針をストレートにいよいよ地方公務員法に持ち込まれてきた、そういう意味では非常に重要な地方自治に対する侵害ではないか、その第一歩ではないかという観点でいままで議論をしているわけです。もう一度ひとつ、そういう点で大臣お願いします。
#168
○国務大臣(安孫子藤吉君) その辺は、事務当局も大変苦労したところだと思います。しかしながら、全体の情勢から申しまして、また、現下の必要性から申しまして、同一に扱うことが適当であろう、こういう判断をいたしまして今回の提案をしているわけでございます。これは各方面から検討いたしましたが、地方自治法の違反になるとか、その趣旨を没却しているものだというような認識は私ども持っておりません。
#169
○神谷信之助君 大臣、はしなくもいまおっしゃいましたけれども、事務当局は苦労なさっただろうと思いますよ、ちょっと異質なんだから。しかしまあ政治判断で、六十歳と書いてなくても、基準で全部やるんだというやつがちゃんとあるからね、それでまあこれは入ってきたんだろうと思うんですよ。提案をなさっている以上、これは地方自治に反する項目でございますという答弁は言えませんわな、だれも。だから反しません反しませんと言う以外ないというだけの話であって、議論を通じて、あるいはいまの大臣の言葉の中にはしなくも出たけれども、事務当局は苦労して、地方事治の本旨に反しないようにどうするかというのでいろいろ苦労なさっていることはわかる。事ほどさように、私は、地方自治破壊の、あるいは侵害の第一歩とも言える問題ではないかというように思うんです。
 そこで、私はそういう地方自治に対する強権的な介入というものがだんだん最近はひどくなってきているという点とあわせて、今回の法案の内容の、自治侵害といいますか、規制というか、そういう点に重大な懸念を持っているわけです。少しそういう意味で、いわゆる地方自治に対して自治省がいろんな御指導をなさっているんだが、実はそれが非常に私は実際上の指導という形で、行政指導という形でいろんな抑制をする、規制をするということをやる。そしてとうとう今度は、定年制の問題ではまさに国と一律の同じものを導入する。地方公務員法とは全体から言ってもそぐわない異質のものを持ち込もうとしているという観点から、少し最近の自治省の給与なり定員なりについての指導の問題について触れてみたいと思うんです。
 この公務員二法が行革の一環としてこの国会に出され議論されていることはもう御承知のとおりですし、その中には、定員の問題あるいは給与の抑制、こういったものが臨調答申の中にも、あるいは行政改革大綱ですか、この中にも出てきています。ですから、そういう面とあわせてひとつやっていきたいというように思うんです。
 まず、行革大綱には、「国家公務員の水準を著しく上回る地方公共団体に対し、」「財政上の措置について検討する。」と、こういうのがありますが、この具体的な内容はどういうことをお考えになっているんですか。あるいは予想をされているわけですか。
#170
○政府委員(土屋佳照君) 臨調の答申にも同じような趣旨がございまして、また、改革大綱においてもいまお示しのようなことがあるわけでございますが、給与水準が著しく高い団体についてはいろいろ批判もあるわけでございます。そこらを適正化すべきであるという声は非常に広範にあるわけでございますが、私どもとしては、まず、やはり基本的には当該団体が計画的にみずから適正化を図っていくということが基本であろうと思っておるわけでございまして、したがいまして、今後の私どもの考えとしては、地方団体のそういった給与についての運用状況等について報告を求めまして、当該団体みずからが適正化を図るように、できれば個別に指導もしていきたいと思っておるわけでございます。
 そういった過程において、計画的に進められておる過程において、私どもとしても必要があれば財政上の措置を講じたいと思っておるわけでございますが、具体的にどういった形でやるかということになりますと、率直に申しまして、まず、著しく給与水準が高いとはどこらからを言うのかとか、こういう非常に細かい問題をずっと詰めていかなきゃなりませんので、そういった方向としては様子を見ながら措置を講ずるつもりではおりますが、具体的にその内容についてどうするかということは、なお多くの研究すべき問題もございますので、目下検討中でございます。まだ結論が出ておりません。
#171
○神谷信之助君 まだ結論は出ていないということですがね、具体的に考えられる財政措置というのは、いままでも若干議論したことがありますが、特別交付税のカットとか起債の制限といいますか、そういう措置が考えられるんじゃないんですか。
#172
○政府委員(土屋佳照君) 中身の問題でございますが、私どもとしては、地方団体の財政については毎年御承知のように地方財政計画の中でバランスをとっておるわけでございます。地方財政計画の中では、いわば国家公務員並みの給与の財源しか見ていないわけでございます。そこで、個々の団体の運用というものが非常に問題になってくるわけでございまして、そこでその中身についてどういうような方法をとるかとなると、勢い現在の法的体系の中で考えますと、やはり財政的に余裕があるからそういうことになっておるんだという判断に立たざるを得ない。そうなってまいりますと、具体的にはまだ決まっておりませんから申し上げられませんけれども、特別交付税の場合における判断ということはあり得るだろうと思いますが、どの程度どういう中身でやるかということは、そういった問題は、すべていま申しました一定の手順等いろいろ具体的な問題の研究を通じてはっきりさしていきたいと思っております。
#173
○神谷信之助君 プラスアルファに対して特交をカットするという問題で、前に当委員会で私大分やったわけですが、国家公務員並みの人件費しか見ないで基準財政需要額を計算をして、それに応じて交付税を配付しているわけですね、それでこれをどう使うかは自由なんでしょう。だから、それを人件費にプラスするのか、ほかの事業にプラスするのか、それは自治体の自由に使える財源として交付税制度というのが存在するのだ。それは人件費にようけ使うのはけしからぬ、ほかのところへ使わぬのはけしからぬとかどうとか言えた問題ではない。財政力が豊かかどうかによってプラスになるのではなしに、どのような政策をとるのかということで決まるわけです。財政力が豊かであろうとなかろうと、一定の財布の中でどういう金の使い方をするかというだけの話です。それをけしからぬといってカットをするというのは私は間違いだというように思うんですね。これはもう前にも議論をしてわかっているから、きょうはこれは生じゃありませんから、そういう点は指摘をしておきます。
 ただ、人件費も国並みにせいということになってくる、さらにその次は、福祉の水準も国並みにしなさい――いま衆議院でやっています老人保健法ですな。老人の医療費の無料化を国の基準を上回ってやっているところについて、これは当委員会でも大臣お答えになっていましたけれども、抑制をするということでないけれども、将来の財政事情やその他十分考えてもらわぬと、ということ。で、奨励をするというよりはきわめて慎重な意見をおっしゃっている。それでこれはしたがって人件費も国並みにしなさい、その次は福祉も国並みにしなさいということで、どんどんどんどん自治体が、その地域の住民の暮らしを守る組織としての独自性、自主性、これが失われる、そういう危険を私は感ずるわけですが、だから私はそういう問題としてこういう方向は改める必要がある、考え直してもらいたいというように思うんですがいかがでしょう。これは大臣、どうですかね。
#174
○国務大臣(安孫子藤吉君) 私はむしろ反対の考え方を持っているのでございまして、給与の問題というのは、非常にでこぼこがある、著しく高いところがある、こういうことでありましては、ほかの団体に対する影響もございまするし、また、地方自治体に対する信頼感という問題もあります。原則的にはその地方の住民の判断にまつべき面が大変あるわけでございまするけれども、こうした状況というものはできるだけ是正をしてもらわにゃいかぬ、こういう考え方をむしろとっているものでございます。
#175
○神谷信之助君 私はその意見には反対ですね。いろいろの考え方はありますよね。人数をうんと減らしながら給与の水準は高くして、そして公務労働、住民に対するサービスをうんとやってもらう、それにこたえるような給与を与えるというやり方もあるでしょう。あるいは、ずっと薄くばらまくという方法もあるでしょう。だから人件費をどう決めるか、どういうように給与水準を保つかというのは、それぞれのその地域の住民の理解の上で長が議会と一緒に決める問題で、すなわち当局と労働者の間の団体交渉を含めてそういうものを決められてきているし、また、決められるのがあたりまえなんです。それがいかぬというのは、住民が主人公ですからね、それは批判が起こるでしょう。だから、そういう問題であって、自治省が規制をするというのは私は問題だというように思うんです。
 そこで、特に私はこれは大変なことじゃないかと思うんですが、八月の十八日ですか、自治省の方で人事委員会の事務局長会議を招集されていますが、このときに行政局長及び財政局長が指導をなさっているわけですね。その指導の内容を、どういう指導をなさったのか、それぞれお答えをいただきたいと思います。
#176
○政府委員(砂子田隆君) 人事委員会の事務局長会議におきます指導というのは、別にこれは改まったわけではございませんで、例年やっていることの問題でございます。人事院の勧告が五・二三%ということで示されまして、それに従って公共団体がどういうふうに今後事務を進めていくかということについてのお話でありまして、しかも臨調の答申がございましたから、そういう臨調の答申の動向等もお伝えをし、公共団体の中で、いまお話がございましたが、著しい高い団体があるということで全体の公共団体がみんな悪いように受け取られているのは非常に遺憾だ、少なくとも、だれが悪いかは自分でわかっておるわけですから、やはり高いと思われる人はみずから直すという自律的機能が発揮されなければいかぬのじゃなかろうか、そして、他の公共団体に迷惑を及ぼすというようなことはこれは避けてほしいということを私から申し上げております。
 なお、こういう人事委員会の勧告に当たりましては、地方公務員法にもありますとおり、民間なり国の公務員の給与というものを考慮してこれを決めなきゃいけませんので、そういう点もよく調査をして、少なくとも住民から批判をされるようなことがあってはならないというようなお話を私はいたしたつもりでございます。
#177
○政府委員(土屋佳照君) お示しの十八日の人事委員会事務局長の会議に、私出席はいたしておりませんが、翌日全国の総務部長会議がありましたときに出席をいたしまして、給与の問題についても、たまたま臨調の答申後の問題でございますから、国保の問題とかいろいろございますが、給与水準についても、ただいま申しましたように、臨調でこういうこともあるし、本来私としてはいろいろな指摘を待つまでもなく、法の考え方に従って、地方団体自体が著しく高いところはひとつ自主的に適正化を進めるべきだということを強調いたしました。それに応じて必要がある場合は今後財政上の措置の問題も検討せざるを得ないだろうということを翌日の総務部長会議で申した記憶がございます。
#178
○神谷信之助君 行政局長、いまその当時の新聞の切り抜きを持ってきているんだけれども、人事委員会が給与の勧告をすることは自滅行為だと。自殺行為だというお話をなさっているんですね。これは一つだけの新聞でなしに、ここに持ってきているのは朝日、毎日、あるいは自治日報、これらが、毎日は自殺行為だし、自治日報は自滅行為ですね。朝日も自滅行為。こういうお話をなさったわけですか。
#179
○政府委員(砂子田隆君) 私が話をしたのは、定かではありませんが、新聞にそう書いてあるとすればそういうお話を申し上げたのかもしれません。
 というのは、要するにこういうことだと思います。ある府県の中で少なくとも公民格差、要するに給与の是正をどうするか、勧告をどうするかというのは、公民格差をどうするかということによって給与を適正化をしていくということでありますが、公民格差を比較したところが、いずれも自分の公共団体の方が高いということを自分で調査をして出しながら、なおかつそれよりも引き上げるというようなことをやっていると、人事委員会自身が適正化の方向に動いているのではなくて、単に国に準じて給与の勧告をしているということにしかならないのではないか。そんなことばかりしておると、人事委員会というのは存在価値というのが失われるのじゃないか。ですから、少なくとも自分が調査をしたものはちゃんと調査をしたなりに報告をすべきである。そういうものにいろいろな政策的な意味を加えたりなんかをするというのはむしろ望ましくないのだということを私が申し上げたのだと思います。
#180
○神谷信之助君 自治省が人事委員会の事務局長を集めてそういう指導をするというのはどういう法的根拠に基づくんですか。
#181
○政府委員(砂子田隆君) これは、地方公務員法の五十九条に、自治省は公共団体の公務員制度一般に関して技術的な助言、指導ができるという規定がございます。それに従ってやっているわけであります。
#182
○神谷信之助君 それでは、人事委員会というのは、各府県の知事なり指定都市の市長なりその関係ではどうなんですか。上下の関係にあるんですか。
#183
○政府委員(砂子田隆君) 一般的に行政委員会というのは独立の原則でありますが、長に総合調整権があることは地方自治法上明確にされております。
#184
○神谷信之助君 総合調整権があるということで、だからたとえば県の人事委員会ですと知事の意を体してやるわけですか、人事委員会の仕事というのは。
#185
○政府委員(砂子田隆君) 私が申し上げておりますのは、私の方が申し上げたのは、地方公務員法の五十九条の規定の、公務員制度一般に対する指導監督の権限、それによって人事委員会の方にお話を申し上げているわけでして、長の権限をどうこうしようとして申し上げているわけではありません。
#186
○神谷信之助君 人事委員会は自治省の指導のもとにあるわけですか。
#187
○政府委員(砂子田隆君) 公務員制度に関する技術的指導ということに関しましては当然に自治省にあると法律に書いてありますから、そういう点で指導ができる、それから、それで要するに総務部長を招集をして総務部長をしてやらしめたというのであればいま神谷先生がおっしゃったようなことになると思いますが、私たちのは大変それを注意をいたしておりまして、人事委員会の事務局長を集め一つの会議をやり総務部長を集めて一つの会議をやる、こういう形をその意味でとっているわけであります。
#188
○神谷信之助君 いや、どうも私はそれが納得できないんですね。
 それじゃ、人事委員会という制度というのは本来どういう必要のためにできたわけですか。
#189
○政府委員(大嶋孝君) 御案内のとおりでございますけれども、人事委員会は、地方公務員法の八条の規定によりまして、職員の給与それからその他の勤務条件等職員に関する制度につきまして研究を行い、その成果を地方公共団体の議会なり長に提出する、そして条例の制定等に関しまして地方公共団体の議会及び長に意見を申し出ることができるというふうにされておるわけでございます。それで、給与につきましては所要の勧告を行うものとされておるわけでございます。
 そういう意味合いにおきまして人事行政の公正の確保、それから職員の利益保護といったもののためにきわめて重要な役割りを担っているものでございます。人事委員会は、今後ともにこの人事行政の公正の確保あるいは職員の利益保護といった使命を遂行するためにその機能を果たすべきものであるというふうに考えております。
#190
○神谷信之助君 だから、地公法の二十六条で給与についての勧告権が人事委員会にありますわね。それは確かに長が任命をするけれども、「議会の同意を得て、」ということで任命をされる、それで、事務局長というのは人事委員会が任命をする、こういうことになっていますわね。それでいわゆる行政当局からの独立性、これを確保する、こうなっているわけでしょう。
 それに対して、いまの勧告すること自身がいいとか悪いとかそういうことをやるということが、あなたのおっしゃる公務員法上の自治省の指導の内容と言えるのかどうか。逆に言うと、人事委員会自身がその権限に基づいて外部からの何らの圧力も受けないで適正な勧告をする権利を持っておるのだし、また、義務も持っておる、そのことを行使をするということがいいのであって、それで、そういう公正中立というか、その権限を保障するために勝手に長の恣意的な罷免がなかなかできない仕組みになっているでしょう。そういうように保障をされているものですわな。
 それで、自治省というのは片一方では自治体に対して指導、助言をしているわけだ。給与の問題でも抑制の説明があった。それは総務部長会議をやったり人事課長会議をやるのはわかります。だから、それは行き過ぎにならぬようにというのはわれわれが強く言っておるところです。地方自治、自治権の侵害にならないように指導、助言をしなさいよと言っているわけだ。片一方、独立機関であるそれに対して、公務員制度の問題で指導することができると言っても財源や給与の勧告のやり方に至るまで指導するというのは、これはまさに人事委員会の独立性、自主性というものを自治省というえらいところ、権限を持ったところが介入をするということです。そういうことになりませんか。
#191
○政府委員(砂子田隆君) 私たちは、いまお話を申し上げましたとおり、勧告をするなとかしろとかいうことの御指導を申し上げたつもりは毛頭ございません。要するに、世の中でいろんな批判があります、その中で、少なくともいま申し上げましたように、公民比較をするというのが法律に書いてある趣旨でありますから、法律の趣旨どおりやってくださいということを申し上げているわけでして、そういうときに、調査のとおりやらないでいろんな政策的な意味を加味するようなことがあるとむしろそれは人事委員会自身のいろんな権威にかかわる問題だということを申し上げたわけでありまして、勧告の内容についてとか、あるいは勧告をするしないとか、そういうことについて私が申し上げたつもりは毛頭ございません。
#192
○神谷信之助君 そんなひっかかるようなことはなかなかそれはあなたおっしゃるはずはないんだけれども、言外にやっぱりそういうことを含めながらおっしゃっているところが私は重要だと思いますよ。だから、新聞では、国を上回るような自治体は給与改定を見送りなさいというような見出しをつけているところもおりますね。私はそんなつもりで言ったのではないとおっしゃるかもしらぬけれども。だけれども、報道はそうなっているわけだ。そう受け取れる発言をなさっているわけですよ。給与改定の勧告をやるかやらないかというようなことを自治省はどうのこうの言う筋合いはないと私は思うんだ。だからそれは、傍聴をしてへんかどうい至言い方をしているか知りませんが、従わねば制裁だということで見出しも出てくるということになりますと、私は、これはまさに人事委員会制度を崩壊、壊滅させるというか、崩すものである。公務員から争議権を取って、それでその代償機関といいますか、身分保障を行う機関として、公平な第三者機関としてつくられているものに対して、府県、市町村を指導している自治省がその独立の機関に対して、いろいろと差し出がましいことを言うこと自身が私は問題だと思う。
 この点では、人事院、人事院と人事委員会とは直接の上下関係も何もないわけですね。しかし人事院は、国家公務員に対して、言うなれば代償機関としての、そしてまたその点では公務員の身分を保障し、利益を守る、そういう役割りをしている。人事委員会は、それぞれの自治体の地方公務員のをやっている。若干権限の違いはありますけれども、責任というやつは大体似たようなところがあるわけです。人事院の方がもう一つ大きい権限を持っていますけれども、そういうものはある。そういう点で、お互いが言わば経験を交流をしたり何なりするということは、これは一般的に常識的にわかる。法律的にあるいは組織的に上下関係とかそういうものはないにしても。片一方の自治省の方は、言うなら府県、市町村――自治体に対する指導をやっているところですからね。それが言うならば独立をしてやっている機関に対して、集めていろいろと差し出がましいことを言うというのはどうなのか。それだったら人事委員会制度そのものの存在意義をなくしてしまうのじゃないか。私はそういうように思うんですが、いかがですか。人事院の方もひとつ見解を言ってください。
#193
○政府委員(砂子田隆君) 私たちは、むしろその新聞にも書いてありますとおり、人事委員会の権威を高めようというつもりでお話を申し上げているわけでございます。これをつぶそうとかつぶすまいとかいう話では毛頭ないのでありまして、私がそういうことを申し上げておりますのも、その前の新聞をごらんになるとわかりますが、そういうことをやっている人事委員会があるのはけしからぬというそういう新聞記事もあるわけであります。そういうことを読んでみますと、やはり社会一般的にはそういう地公法に反するような勧告をするというのがそもそも問題ではないかというのが問題意識としてあるわけですから、その問題意識について、そういう会議で御披露を申し上げるというのは私たちのむしろ義務だと思っております。別に人事委員会の職務に対して私たちが干渉したりというわけではございませんで、そういう人事委員会のあり方、あるいは今後の公務員制度全体について、住民から信頼を受けるような制度として確立をしていくということのためには、やはり住民の指弾でありますとか、マスコミからの批判だとかそういういろんなことがないことの方が望ましいわけでありますから、なるべくそういうような方向へ持っていきたいという私たちの願望でもありますから、そういう方向で指導申し上げているということでございます。
#194
○政府委員(斧誠之助君) いま先生がおっしゃいましたように、人事院は、国家公務員法で独立機関として設置されたものでございます。専門的第三者機関としまして、人事行政の公正の確保、それから職員の利益の保護、そういう任に当たっております。地方の人事委員会も性質としては同じであろうと思っております。
 その間に、こちらは国家公務員法のもとでの設置機関でありますし、人事委員会は地方公務員法のもとでの設置機関でございますので、職務権限でありますとか、あるいは監督、指導の関係などは一切ございません。ただ、同じような人事行政の仕事をしておりますので、当然その間の情報交換とか、あるいは意見交換とかというのは物によってやっておるわけです。
 たとえて申しますと、私の方で所管しております採用試験の実施の方法でありますとか、あるいは採用試験の出題分野をどうするかとかというようなことの協議などはやっておるところでございます。
#195
○神谷信之助君 いま行政局長が、善意でいろいろと御指導申し上げましたと、こうおっしゃるのですがね。しかし私は、この報道を見る限り善意というわけにはいかない。そういう給与勧告権そのものに対して、それは間違っておると、適正であるとか適正でないとかいう判断を含めたものをなさっているというところに私は問題を感じているわけです。給与の問題――給与の抑制というのを何度か冒頭に言いましたように、財界やらあるいは政府の願いどおりに自治体にもやらせようという、そういう意識の余り、私はそういう点では一つの行き過ぎというものがあったというように判断しているわけですね、いろいろ説明を聞きまして。それは、そういうつもりでやりましたという言葉をおっしゃるはずはない。だから、やっぱり人事委員会の独立性というのを断固として保持してもらわないと困る。給与の制限も、先ほどおっしゃったように、財政措置、制裁措置をもって自治体に対する規制を行うという、そういうこと自身が私は地方自治に対する侵害になると思う。自治体の主人公というのはその地域の住民ですから、問題は、そこのところをもっと自治意識を高めて、そして自分自身の責任で自治体の行財政そのものをみずから正していくという、そういうことが必要なんであって、自治省という権力、力で、あるいは財政措置を加える制裁措置をやるということでやったんでは昔の内務省に戻ってしまうということを私は特に注意をしておきたいというように思います。
 やはり同じようなことが定員の問題にもあるのですね。モデル定数の問題ですが、これはやっぱり気になるわけです。自治省の方では、このモデル定数をつくる作業というのは、いままでどういうところにきているのですか。ちょっと報告してもらいたいと思います。
#196
○政府委員(大嶋孝君) 定数モデルにつきましては、私ども、研究会をつくっていろいろと研究をしております。研究をしておりますが、まだ具体的にどういう形のものになるかという段階まで煮詰まっておりません。まず、モデルをつくります場合に、どういうものを基準にしてモデルをつくったのが一番地方公共団体としては役に立つものかどうかということを十分検討した上で、それでモデルをつくりたい、こういうふうに思っております。したがいまして、結論が出ますのはまだかなり先のことであろうと思っております。
#197
○神谷信之助君 この定員の抑制も、これは臨調答申なり行革大綱にも出てきているわけですが、モデルをつくる問題も提起をされてきています。そういうことで定員管理研究会ですかをおつくりになって研究されているようですが、先ほど同僚議員の質問の中にもありましたけれども、地方公務員がこの十三年間に約八十万でしたかね、ふえている、その八割はいわゆる国の基準に基づいてふえたものだ、こういうお話でしたが、この国の基準というのは、たとえば福祉関係ですと、いろいろ、保育所なら保育所の配置基準がありますね、それに基づいた数が八割ということですか。実際は自治体によっては配置基準を上回って職員を置いていますね。その部分を含めて八割という数になるのか。計算の基礎はどっちになっていますか。あるいは、先ほど言った十何%、一一%でしたか、自治体で独自にふやしている分があるというやつが、配置基準を上回っている数字がそっちに入っているのか、どっちですか。
#198
○政府委員(大嶋孝君) 私が先ほど申し上げましたのは、要するに、法律なり政令なりあるいは補助金等、いろいろ国の関与する制度があるわけでございますけれども、それらに関する部分でふえておるのが八割であるということを申し上げたわけでございます。したがいまして、たとえば社会福祉をとらえてみますと、社会福祉部門の配置基準というのがあるだろうと思います。その中で、仮に地方団体が独自でふやしておるというものがあるといたしますと、その中に含まれておるということは考えられます。ただ、これは明らかに国がいろんな形で配置基準を設けておるという分野に関するものでございまして、そのほかに国の施策等によりまして増員を余儀なくせざるを得ないというものもまた別途横にはあるだろうと、こういうふうな形で申し上げたわけでございます。したがいまして、その国が関与しておる分野におきます増員が、増員のうちの約八割である、こういうことを申し上げたわけでございます。
#199
○神谷信之助君 たとえば、学校の教員の数ですと、一定の標準の数のほかに同和加配やその他の加配がありますわね。それ以外に府県によってはさらにそれを上回って教員を採用しているというところがありますわな。これも国の法令に基づいた配置ですわね。だから、これらを全部集めて、それが八割の中に入っているということですね。保母さんの場合もそうだと。
 そこで、あなた方のいまやられるモデル定数の考え方ですが、どのくらいの規模にするとかどうとかというのもいろいろありますが、いずれにしても基準財政需要額の計算では一定の人員をはじき出しているわけでしょう。それから、市町村の類型でそれぞれの一定の平均数値というのがとってありますわな。だから、それらとの関係ではモデル定数というのはどういうことになりますか。
#200
○政府委員(大嶋孝君) 現在私どもが研究を進めておりますモデル定数につきましては、一応それらとは切り離した形で研究を行っておるわけでございます。
 それで、地方公共団体は御案内のとおりそれぞれ立地条件を異にしておりますし、また住民のニーズなりあるいは各団体の行政施策というものがあるわけでございまして、その重点が必ずしも一様でないわけでございます。しかし、地方団体が行います事務事業の大部分というものは、やはり各地方公共団体それぞれに共通するものであるというふうに私どもは考えておるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、地方公共団体の職員の総数なり、あるいは部門別の配置状況といったものを相互に比較分析をする、そうして定員管理を行うということは、これは意義があることだろうと思います。したがいまして、たとえば地方団体の面積の広さでありますとか、あるいは産業の状態でありますとか、そういったものを総合的に分析して、そして地方団体の参考になるような一つの指標というものをつくり出したいということをわれわれ研究をしておる状況でございます。
#201
○神谷信之助君 モデル定数というのは、何をつくろうとしているのかもう一つようわからぬのですよね、私は。
 たとえば、私は京都ですから京都府下で見ますと、京都近郊の向日市というようなところは、ここは比較的保育所が多い。それで、その隣の長岡京市になると少ない。同じように人口急増地帯ですわね・それで、何でそういう違いが出てきたかというと、向日市の場合は、まだ市にならない町の時代からどんどん若いお母さん方がずっと移ってきて、子供さんが小さいという状況の中で、保育所の運動というか要求が強くなって、それでできてきておるわけでしょう。ところが長岡京の場合は、これは向日市よりも先に市ですし、工場が多いところですから、そういう条件の中ですから、そういう点では向日市とは条件が違って、これは比較的保育所が少ない。そういう歴史的経過がありますわね。それで、いまは長岡京の方も保育所をつくる要求というのはだんだん強まっていますよ。しかし、こっちは逆に学童保育の方が多いですよね。そういう差があります、それぞれ地域地域に。
 これは住民の置かれている条件から出てくる要求に基づいて、それにこたえて行政が行われ、対応しているわけでしょう。それを一定の基準に当てはめるというのはどうやってできるんだろう。だから、実態はわかっている。類型別に応じて、それぞれの数字をはじき出して、平均値が出てくる。これが実態ですわ。それとモデルというのとはどういう関係になるのか。あるいはいま言ったような、頭の中で、保育所には何人でないといかぬとか、人口何ぼに対してどうでないといかぬというようなことが言えるのかどうか。これもそう簡単にいかぬ問題でしょう。
 たとえば消防はわかりますわね。消防力の基準がありますから、これは一定の数字がそれなりに研究されておってはじき出されている。こっちの方の、住民の生活環境に基づく要求にこたえる行政実態、それに必要な職員数、定員数、こんなものが頭の中で出てくるんだろうかという点はどうなんですか。
#202
○政府委員(大嶋孝君) 御指摘の点がまさに私どもが大変苦労しておるところでございまして、たとえば一万の町なら五十人の職員でいいよというようなことが簡単に言えれば、これは別にどうということはないわけでございますけれども、いまお話しのように各地方公共団体にはいろんな事情がございます。そういうものを十分加味した上で、なおかつ地方公共団体の標準的な姿としてはこれぐらいのものかというものを、ある程度その誤差を小さくしてつくりたいというふうに考えておるわけでございまして、いままさにいろんな点御指摘ございましたけれども、それをどのようにデータとして取り入れ、それから出てくる結果がどういうものになるかという点が最も、私いまいろいろと考え悩んでおるのが事実でございますけれども、何とかして少なくとも地方公共団体の参考に十分供し得るというようなものをつくり上げたいというのが、いまの研究の状態でございます。
#203
○神谷信之助君 私は、どうも、参考に供するならば、三千三百の実態を調査をして、平均値なり、そういうものが出てくる特殊性なりというのを調べて出してあげたらいいでしょう。モデルをつくるというのがわからぬわけだ。というのは、あなた方のおっしゃるように、三千を超える自治団体というのは多様性を持っているわけでしょう。それぞれでかいのもあれば小さいのもあるし、農村もあれば都市もあるし、都市でもいろんな都市の形態があるんだし、そういう違いのあるやつを一定の鋳型にはめ込もうという、その発想に私は一つ問題があると思っているわけです。先ほど、給与についても抑制をするということで、いろいろ財政措置も加えて、定数の方も定数の方でモデルを決めて鋳型にはめ込もうとする。そうやりまんのやということは言わはらへん、それで、地方自治を私は守るんです、参考に供したいんです、こうおっしゃるけれども、実際にそれが出てきたら、あなた方のつくられた意図いかんにかかわらず、これが基準になる、これが物差しになって出てくると、こういうものになっていますね。
 給与でもそうでしょう。国家公務員との間にこうでなければならぬと書いてないんです。均衡を失しないようにというようになっているわけです。ところが、それで多過ぎるとか高過ぎるとかいうことでいろいろ制裁を加えようという。まさに自治体に対する、自治体の自治に対する、地方自治に対する行政行為に基づく介入が現実に行われている、私はそう解せざるを得ぬのです。
 というのは、実際そういうものができるのか、モデル定数というようなものが。できたらもう自治体でなくなるんですよ。国の出先機関になりますよ、できるとすれば。一つの方針に基づいて、考え方に基づいて数というのは出てくるんですからね。勝手にさいころ振って数が出てくるんじゃないんです。一定の考え方に基づいて数字というのは出てくる、定数が。そういう考え方に基づいたモデル定数で自治体を指導するということになるわけです。参考だと言いながら指導になる。だから、私はそこのところにじわじわと地方自治が破壊をされる、侵害をされている実態というのを感ずるわけですよ。
 そして、いよいよ大臣の出番ですが、そういう状況があるわけでしょう。この間もちょっと同僚委員が聞きましたが、老人保健法案の中に出てくるように、いわゆる老人医療費の無料制度の上積み分について、これを規制をするというか、あるいは禁止をするというか、そういう傾向というのが出だしてきているわけです。人件費も国並みにするし、人間の数の方も国並みにしていくし、福祉も国並みにする。まさに自治権に対する重大な侵害がじわじわと進んできているというように考え、非常に危険に思っているわけですよね。この点についてはどうお考えですか。
#204
○国務大臣(安孫子藤吉君) 実際問題として、各地方団体も、自分のところの類似団体の人員が一体どれくらいになっているかというようなことは、いろいろ関心を持っておるんです。それで実際問題として、おまえのところはどうだ、おれのところはどうだというような話をいろいろやっているわけですね。その場合に、モデル定員数というようなものを決めますと、やっぱりそれも一つの重要な参考としまして、各自治体におきましてはいろいろ行政をやる上においての重要な資料になるわけのものなんですね。だから、そういう意味においては大変むずかしい問題でございますけれども私はその意味もあるだろうと、こう思っているわけでございます。
 それから、いろいろな点を考えるというと自治体の自治権への侵害になる徴候が出ておる、この点は警戒をすべきじゃないかというお尋ねもあったように思いますけれども、この点は、私どもも十分に配意をしておるつもりでございますが、地方自治体は、一つの自主性を持っていると同時に自律性も持っているわけですね。したがいまして、どうしても自主性というのが強調されますけれども、自律性という問題もやはり十分にひとつ認識を持ってもらって、社会的批判にたえ得るような自治体行政が円滑に行われるように努力をしてもらわにゃならぬと、こういうふうに考えているところでございます。
#205
○神谷信之助君 鈴木内閣の閣僚の一員ですから、いまの答弁以上には言えないのかもしれませんが、自治大臣たる者は地方自治に対するそういう介入なりあるいは侵害という問題について、もっと神経質にといいますか、厳しく対処してもらうということが私は大事だというふうに思うんですよ。いま自治体自身の自律性の問題もおっしゃいましたけれども、それは住民自身がそういう点では決めればいいわけですね。
   〔委員長退席、理事名尾良孝君着席〕
 午前中の質疑の冒頭に言いました渡辺大蔵大臣のあの発言というのは、私はそういう点ではけしからぬと思っているんですよ。何か好みに応じて自治体の行政をやっているかのような、あるいはまた、そういう能力しかない人が市長さんや町長さんになっているかのような、ある意味で言うたらまさに人を侮辱するのもはなはだしい話ですよ。実際にそういうことをやって、住民が気に入らなきゃこれはリコールもできるし選挙で落とすこともできるわけです。これがいまの地方自治制度でしょう。そういう点で、住民が主人公であるという立場を確立しているわけです。それは行き過ぎた人もあったり怠けている人もあったりするでしょう。それは、それに対しての批判が起こるのはあたりまえなんです。そういう意味では、自律性というのはそこで保障されるんですよね。保
 だから、いまの話、定数の問題でもそうなんで、類似団体におまえのところどうやといって参考にする、これは当然あるでしょう。ただ、モデルという問題になると私はいかぬと思う。大嶋部長がいかに頭が明晰であろうと、そんな簡単には考えられないし、もし考えるとしたら、それは一定の政策なり方針に基づいてしか出てこないものです。幼児の場合ですと、保母さんがいま六人に一人だけれども、やっぱりそれは三人に一人の保母がいないと危険だというので三人に一人の保母を置くようにするか、九人になったときに二人にするとかいうように――現行はそうですわな、そういうふうにするのがいいのか、それで十分なのかどうかというのは、これは現実の問題ともう一つは実は政策決定の問題になってきますからね。それに基づいて数は決まってくるんだから、そう簡単に、私はモデルというものは出てこないと思う。だから、そのモデルが出てくれば、それは逆に言うたら、そういう政策に基づいた数を強制をして、自治体の自主性というやつはその分だけ狭められる、侵害をされる、こういうことになるんじゃないですか、大嶋さん、どうですか。
#206
○政府委員(大嶋孝君) 私が申し上げておりますのは、そういういろんな各地方団体において部門別の政策というのはやはりあるだろうと思います。
   〔理事名尾良孝君退席、委員長着席〕
思いますが、では、その中でどの程度までがこの団体としては適当なところであるかというような一つの目安というものをやはり地方団体としても欲しいだろうと思いますし、また、それは私どもとしても大体こんなものなんだよということを、各部門いろいろあると思いますけれども、そういうものをやはりつくってやる責務というのがあるだろうと思います。そういう意味合いにおきまして、先ほど来申し上げておりますように、いろんな要素があるわけでございますから、それをどのような形で参酌をし、どのような形でデータとして取り込み、それからどのような形でそれをもとにして数字をはじき出すかということに、正直申し上げまして大変いま頭が痛い状況でございます。われわれといたしましては、ただ出せばいいという問題じゃございませんので、あくまでも十分地方団体の参考になり得るいいものをつくりたいということで目下鋭意研究中であるということで御理解をいただきたいと思います。
#207
○神谷信之助君 いや、研究をなさるのは御自由ですと言いたいですけれども、私は研究をすること自身がむだなことである、税金のむだ遣いだと。だってやったってできっこないもの。あるいは、できたとすれば、それは自治体に対する強制力を持つものになる。だから、そんなことは地方自治を守る上からはすべきでないと思う。現実の実態をいろいろ分析をしたりして参考に供する、それが必要なことでしょうということを言っているのですよ。そういう点を申し上げておきたいと思います。むだ遣いですよという点を含めて。
 次に、もう一つ次の問題に移りますが、先ほどもちょっと触れましたけれども、今度はいよいよ直接に議論をしたいと思うのは、六十歳という基準の根拠です。この問題についてまず伺いたいと思います。
#208
○政府委員(大嶋孝君) 国家公務員法におきましては、定年年齢について人事院の見解を踏まえながら各省庁における退職管理の実態なり、あるいは職員の年齢構成の推移、それから公務部内におきます高齢職員の在職状況、それから民間企業におきます定年制の動向といった諸般の事情を総合的に判断した上で、原則六十歳定年ということにしておるわけでございます。
 地方公務員につきましても、地方公共団体の人事管理の実態やその雇用環境というものは国における場合と基本的には同様であると思います。したがいまして、その定年年齢については、特別の合理的な理由がない限り原則六十歳とするのが望ましいというふうに考えまして、今回の改正案におきましては、国の職員の定年年齢を基準として職員の定年年齢を条例で定めるということにしたわけでございます。
#209
○神谷信之助君 いまの説明ですと、民間の状態やら勧奨退職の状況やら、それから国が六十歳にしたということ、こういったことでしょう、言うたら。科学的な合理性はどこにありますか。それは現実はそうなっているというだけの話であって。逆に言いますと、いまおっしゃった理由の中には、人間の労働力の向上といいますか、あるいは労働能力といいますか、そういうものの向上という観点というのが私はないんじゃないかと思うんですよ。先ほどもちょっと触れましたけれども、人生五十年と言われている時代から、いまは七十歳、八十歳という平均寿命がそこへ来ているわけでしょう。七十歳を超えていますね。七十三と女子が七十九でしたか、というところまで来ているわけでしょう。そうしたら、昔の五十歳の人の労働能力と現在の五十歳の人の労働能力とはうんと違ってきている。そういう観点というのは一体どうなんですか。
#210
○政府委員(大嶋孝君) 高齢者でありましても、その人の能力あるいは勤労意欲というものは個人差があるわけでございます。また、いま御指摘のように、平均寿命の延びなり、あるいは健康管理の発達ということによりまして就労可能な年齢も高まっていることは事実でございます。しかし、一般的に申し上げますと、人の能力というのは一定年齢以後は減退していくということでございますし、高年齢者は働き盛りの職員に比べますと、程度の差はございましても事務処理上の能率が低下するということは私は否めないだろうと思います。したがいまして、高年齢者の新陳代謝というものが、これはやはり円滑に行われない場合には人事の停滞をもたらしますし、組織全体としての士気、能率が低下することになるというふうに思うわけでございます。そういうことで、職員の新陳代謝を促進いたしまして組織としての能率の維持、向上を図るということで、この退職管理制度を整備するということは、人事管理上必要不可欠であると、このように思っております。
 定年をどのように設定するかということにつきましては、先ほども申し上げましたけれども、現在の地方公務員の勧奨退職年齢というのがおおむね五十八歳であるわけでございます。人口構造の高齢化が進む中におきまして、就労可能年齢が高まっている、それからもう一つは、民間企業におきます定年が昭和六十年六十歳ということを目標にして漸次高まりつつあるということ等を総合的に考慮いたしまして、基本的には六十歳を定年とするという制度を設けることが適当であろう、このように考えておるところでございます。
#211
○神谷信之助君 いろいろ聞き方を変えても同じ答弁が出てくるんで、書いてあるのをそれしか言わぬというようなことじゃ議論にならぬわけね。
 いまおっしゃった中に、個人差があるという話がありました。その点で一つ言いますと、健康の面でもあるいは精神状態においても、判断能力においても、六十になってもきわめてまだ健全だと、そういう人を、六十になったからやめてもらうということよりも、その能力、経験を生かしてさらに公務に尽くしてもらうというのは、これは住民の利益にもなるわけでしょう。そういうことはどうなんですか。そういうことは考えもれないというんですか。
#212
○政府委員(大嶋孝君) 地方公共団体も組織体でございますので、組織の活力を維持するということにおきましては、やはり適当な新陳代謝というのは図っていかなければならぬだろうと思います。そういう意味合いにおきましてこの定年制度というのができるわけでございます。
 特定の個人の能力、これをどうしても生かしていきたい、生かさなきゃならぬというような特別の事情があるというような場合につきましては再任用というような制度もあるわけでございまして、そういう中で活用していくべきものということのように考えております。
#213
○神谷信之助君 新陳代謝という点で言うと、これは普通の一般的な状態ですと、一定の年齢が来たらやめていくわけでしょう。現在でも退職勧奨をやられて五十八歳前後でやめていっているわけですね。六十歳以上でまだ職場で働いている人は、先ほどあったように一%にも満たないわずかな人間ですね。全国の自治体で。そうでしょう、二万一千人くらいだから。そういうわずかな人ですね。だから、大体そうやって回転はしているわけです。
 問題は、いま年齢の高い人たちが全体の中で比較的多い、いわゆる中ぶくれというのですか、こぶというか、そういう事情が起こっているのは、戦後の特殊な条件から出てきているわけでしょう、そうですね。それから最近でもそうですよ。毎年の地方公務員の増加数を見ますと、五十年四月というのは前年に比べたらごぼっと大分ふえていますね。だから四十九年から五十年にかけてふえている。最近五十四年くらいまでのを見ますと、そこだけがふえてきているというのは、恐らく福祉施設やらいろんなやつがだっとふえたということにあるんでしょう。だからそれぞれそのときどきの条件に応じて人を採用する。その場合に中高年齢層を採用するという場合も出てくる。清掃業務とかそういうのがふえてきて――というのは大体そういう方々が多いわけですからね。片一方では、財政上の理由で新規採用をやらない時期がある。そういうのが相まって中高年齢層が比較的多くなり若年層が少なくなっているという状況が、しかもいびつに、でこぼこが起こるような状況が生まれているわけでしょう。
 これは定年制をつくらなくても現実にやめていっているんだから、五十八歳前後であるいは、先ほどもあなたが言ったように、六十以上というのは二万一千人しかいないのだから。全体としてはそうなっているんですよ。だから定年制をつくらなくてもそういうように新陳代謝をしよるわけだ。あなたが言うように活力ある人事管理というのができるわけなんです。その点はいかがですか。
#214
○政府委員(大嶋孝君) 現在におきまして、いわゆる勧奨退職の制度というのがそれなりに活用されておるといいますか、それなりに退職管理について機能をしておるということは私は言えると思います。しかし、今後におきまして、御案内のとおり、日本は非常な高齢化社会を迎えてくるわけでございます。そういった中で円滑な退職管理というものを考えてまいりますときに、やはり定年による退職というものがセットされなければ、このまま勧奨退職というのがずっと円滑に活用されていくという保証はないわけでございます。同時にまた、この勧奨退職という制度が十分機能していないというふうに見られる部分もあるわけでございます。そういった意味合いにおきまして、ここで地方公務員につきましても定年制度を設けるということは私は意味があることだと、このように考えておるところでございます。
#215
○神谷信之助君 現在、大体五十八歳ぐらいでやめる人が多いというわけですね。これはさらに高齢化社会が進むにつれて六十になり六十三になっていくというようにだんだんぼくは上がっていくだろうと思うんです。働く能力は、このごろ皆さんもジョギングをやったりいろいろ運動をなさっていますしね。健康管理もやられているし、平均寿命が上がるわけですからね。だからやっぱり働く力を持っている限りは働きたいし、働く限りはそれはいままでやってきたなれた仕事をやる方が経験を生かすことができると、こういうことになりますからね。
 だから、退職勧奨制度は確かに本人が応じなければだめですから、そういう意味ではだんだんと年齢は上がっていくでしょう。これはしかしあたりまえじゃないですか。いかぬことですか、悪いことですか。高齢化社会には当然起こる現象だし、そうしなければならないんじゃないですか。いかがですか。
#216
○政府委員(大嶋孝君) 健康管理等のことによりまして、だんだん高齢者でも元気よく働くということはあろうと思いますけれども、しかし、このまま勧奨退職年齢がどんどん上がっていくということになりますと、やはり先ほど申し上げましたように、組織の活力なりあるいは職員の年齢構成というものがうまく動かない、動かないと申しますか、うまい形にならないというような問題がいろいろ出てくるだろうと思います。したがいまして、ここで原則六十歳定年ということを設けておきますと、本人自身も少なくとも六十歳までは働ける、それから先どうするかということは、地方団体の努力も含めましてまた一つ設計ができるのではないか。同時に、地方団体としても退職管理というのがスムーズに機能していくということが考えられるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、定年制度を設けるということについて私は大きな意味がある、こういうふうに考えておるところでございます。
#217
○神谷信之助君 それじゃ言いますが、定年制度を設けることによって自分自身が早く生活設計ができる、老後の設計をすることができるという御趣旨のお話ですね。具体的にそれは、定年制が六十年から実施をされるということになる、それまでは一応準備期間になりますわね。ですから、そういう設計を立てやすいようにするためにいろんなことをお考えになっているようですが、具体的にはどういう準備をなさるわけですか。
#218
○政府委員(大嶋孝君) 六十年に六十歳定年ができる、この法案が通ればそういうことになるわけでございます。それに合わせまして各地方公共団体としては、いままでいろんな年齢で勧奨をやっておったわけでございますが、六十年に六十歳定年というものができることを前提にいたしまして、長期的な人事配置なりあるいは退職管理なりというものについていろいろ考えていくということになろうかと思います。
#219
○神谷信之助君 これは、人事院の方では、国家公務員についてはどういうことをお考えになっていますか。
#220
○政府委員(斧誠之助君) 定年制がしかれますというと、高校卒で入れば定年まで勤めるとすれば何年、あるいは大学卒で入れば何年というような目安ができるわけです。そういうもとで任用制度、給与制度も計画的な一つのプランが成り立つであろうということがございます。同時に、職員に対しましては、定年退職後の生活問題というのは当然であるわけでございまして、この点について、これは人事院だけが所管する話ではございませんが、総理府ともいろいろ協力しながら今後研究を進めたいと思っておるところでございます。
 職員に対して退職準備プログラムという、これは外国でここ数年前から老後対策として進められている制度ですが、中身は退職後の生活設計はどのようにしたら生きがいを持って生活できるか、それからいろいろ社会活動に参加する方法についての講習をやるとか、あるいは退職後再就職する場合の能力開発について、自助努力に対して使用者側もこれを援助するとかというような、そういうものが可能かどうかということの研究を進めたいと実は思っておるわけでございます。日本ではまだ余り各企業で採用しているところはございませんで、まだいろんな研究団体で研究開発をしているという状況でございますが、そのような状況も調査しながら研究したいと思っておるところでございます。
#221
○神谷信之助君 総理府の方、国家公務員のいまのやつ、人事院の方ではああいうことなんだけれども、具体的には総理府が中心になって実施をしていくということになるだろうと思うんですが、そういう点ではどんな計画をお持ちですか。
#222
○政府委員(廣瀬勝君) 確かに定年制度が実施されますと、個人的な事情のいかんにかかわりませず一定年齢になると退職するということになるわけでございます。したがいまして、職員の側の事情、たとえば生計、健康管理、余暇の過ごし方などにつきましても、役所の側においてもよく理解を示してあげる必要があるのじゃないか。欧米ではこういったようなことで、先ほどもお話ございましたように、すでにいろんなプログラムが開発されております。そういったことも勉強いたしながら、たとえば退職に関する問題についての相談の制度でございますとか、あるいは退職準備のための講習会、退職予定者のガイドブックの配布、あるいは再就職のための能力開発、そういったようなことなどにつきましていろいろ勉強をしてまいりたいということで、今後六十年に定年制がしかれるわけでございますが、それまでにはそういった定年について何らかの結論を得てまいりたいというふうに考えております。
#223
○神谷信之助君 自治省の方では、自治体に対してそういうことをやりなさい、研究しなさいと言うんだが、自治省自身はどんなことをやるんですか。
#224
○政府委員(大嶋孝君) 現在までのところ、具体的にそういう研究を行ったということはないわけでございますが、自治省といたしましても、これから高齢者という問題が出てくるわけでございます。そういう高齢者がどういう職場で働くのがいいのか、あるいはそのための開発というものをどういうふうに考えたらいいのかということは、当然私どもとしても研究してまいらなきゃならぬ問題だと思います。いま総理府の方からもお答えがありましたように、あるいは人事院からもお答えがありましたように、国の方でもいろいろ御検討なさるようでございますし、私どもとしても、当然いろんな角度から検討をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#225
○神谷信之助君 ここのところが問題なんですね。人事院の方は、国家公務員の方は前国会で定年制は成立しましたけれども、この定年制を実施をするためには高齢化社会における雇用の問題や福祉のあり方も十分検討せないかぬ、先ほど言ったように。任用局長の談話が出た。ところが実際には、六十で首を切るということだけは早く決めて、そしてあと五年あるからゆっくりやりますと言うけれども、実際にそういう体制ができるのかどうか、十分期待にこたえられるかどうかという保証はない。ということで、勧告だけ、書簡だけは出ている、法律はできている。自治省の方も同じで、国に右へならえで、六十で首を切るというやつは、その方は一生懸命つくる、だけれども、やめた人は一体どうなるのかという点についてはこれから研究するんだと。しかもそれは主体的には自治体がそれぞれやりなさいよと、こうなっているんですね。
 私はそこに、まさに何といいますか、非清ないまの政府のやり方といいますか、一生懸命働かすだけ働かせて六十になったらはいさようならと、後のことは知りませんよということと同じなんですよ。あと五年ありますから十分研究をいたしますと言ったって、五年後にちゃんとそれができるという保証はないという問題でしょう。私は、あなた方がいかにおっしゃろうともそこが一つ問題だと思います。
 仮に、六十年に六十歳定年制が実施されたとして、いまの年金制度で生活が可能かどうかという問題です。これは共済組合法の審議のときに、私もそうですし各党の議員からも、年金額自身が低いし、しかも給与ベースのアップに対して一年おくれではないかといった問題を含めて追及をされているわけですが、この共済法の改善について具体的な手順なり到達目標をお考えになっていますか。
#226
○政府委員(大嶋孝君) 年金の問題につきましては、これはその職員の勤務年数の長短というような問題もありまして、すべての職員が同じような年金をもらうわけではないということはもちろん申すまでもないわけでございます。一般的に申し上げますればまあまあの年金水準ではないかと私は思っております。それでもなおかつ低いという御意見もありましょうと思いますけれども、一般的に申せばそういうことではないかと思っております。
 ただ、六十歳で定年退職をするという職員で、年金がつかないというような職員の方もあろうかと思います。これらにつきましては私どもとしても十分研究をしてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
#227
○神谷信之助君 年金のつかない人に対しては十分研究をしてみたいということですが、具体的に言うとどういうことを考えているんですか。年金がつくまで勤務延長をするという意味を言っておられるんですか、それともどういうことですか。
#228
○政府委員(大嶋孝君) 定年制が施行されました場合に、在職する職員が定年で退職するという場合におきまして、退職年金あるいは通算退職年金の受給資格を持たないというときの取り扱いにつきましては、国家公務員の場合と共通の問題になるわけでございます。ですが、厚生年金、そういった民間におきます特例措置を参酌いたしまして、その範囲内におきまして経過的な共済法上の措置によって対処いたしたいということで、関係省庁と協議しながら検討を進めてまいりたいと、このように考えております。
#229
○神谷信之助君 年金の受給資格に達しない場合には、金額は減るけれども少しでも出せるようにしようと、そういうことを研究しようと、いまの話はそういうことですか、ざっくばらんに言うたら。
#230
○政府委員(大嶋孝君) それらにつきまして、いま申し上げましたように、厚生年金等の特例措置といったものを考えながら研究してまいりたいと……
#231
○神谷信之助君 だから、具体的に言うたらそういうことかと言っている。受給資格がなくても払えるようにしようということを研究するんでしょう。
#232
○政府委員(大嶋孝君) 御参考までに申し上げますと、たとえば厚生年金制度におきます特例と申しますのは、被保険者期間十年以上二十年未満の人が、被保険者でなくなった場合におきまして、本人の申し出によりまして、継続して保険料を老齢年金の最短年限に達するまで納付することが認められておるわけでございます。また、もう一つには、四十歳に達した月以後被保険者期間が十五年以上である人が、六十歳に達した後に被保険者の資格を喪失する、あるいはまた、被保険者の資格を喪失した後に被保険者となることなく六十歳に達したときには、老齢年金の受給権が生ずるというような規定がございます。こういう制度を参酌しながら、国家公務員と共通の問題でございますので、十分関係省庁と協議して検討をいたしたいと、このような趣旨で申し上げておるわけでございます。
#233
○神谷信之助君 むずかしゅう言わぬでも、要するに受給資格になってへんでも出せるような方法をいろいろ研究するということでしょう。
 そこで先ほどのやつでいきますと、あなたの報告ですと、年金だけで生活している人が約二二%ぐらい、二割余りおるわけですね、それから今度は、年金と何らかの収入といいますか、パートなども含めての収入で生活をしている人が三一%余りあるわけですね。そういう報告ですわな。だから、年金だけで生活ができないとなると働かなきゃならぬ、就職しなきゃいかぬ。したがって雇用の促進の問題ですね。これに一体どう取り組むのかという問題です。特に地方公務員の場合は、任命権者が知事であったり、委員会のなにであったりとかいうようにいろいろありますわね。教員は教育委員会だしというようにいろいろありますから。そういう点では非常に複雑になると思うんです。そこで、そういう複雑な状況ではあるけれども、本人かも言うと、働く力を持っているし、また働きたいという、そういう希望がありながら、意に反して首を切られるわけですからやめざるを得ぬと、こう追い込まれているわけですから、この再就職について一般的にこれは自治体に任せるということでは、私はこれは不当ではないか、おかしいではないか。この点についての各自治体に対する一定の義務づけといいますか、もう無理やりやめてもらうのやから、それについての責任というか義務というか、この点を考えるべきではないかというように思うんですが、この点はどうですか。
#234
○政府委員(大嶋孝君) 一つには、任命権者が地方団体においていろいろ違うと、その間むずかしい問題があるではないかという点につきましては、確かに御指摘のとおり、地方団体の中にも任命権者がいろいろあるわけでございます。しかし、現在の地方団体の勧奨退職の場合におきまして、いろいろ再就職というような努力が地方団体でなされておるわけでございます。そういうときには、これは任命権者が首長でないから、地方団体としてはその任命権者の方で何とかしなさいというようなことは私は言っていないと思うんです。やはり知事なり市町村長なりあるいはその部下の職員というのが一生懸命、あるいはもちろん退職する御本人も含めましていろいろと再就職の努力というものは私はなされておるのが実態であると承知をいたしております。現在、五十七、八歳におきまして勧奨が行われておるわけでございますが、その実態から見ましても、私がいま申し上げたようなことであると思います。
 したがいまして、今後におきまして定年制ができた後におきましても、やはり長年地方団体に勤めて、そして退職をされるわけでございますから、その努力というのはやはり地方団体で十分努力をされるものだと私考えております。と同時に、先ほど申し上げましたように、自治省としても、高齢職員の就職の場というのはどういう適当なものがあるのかといったことにつきましても研究を進めてまいりたい、このように先ほど中し上一げたところでございます。
#235
○神谷信之助君 いろいろ調べてみたんですが、いま退職勧奨制度をやっていますが、そのためにそれに対応して就職あっせんの機関を設けている自治体数というのはどのくらいありますか。
#236
○政府委員(大嶋孝君) 就職あっせんのための機関をどれだけの団体が設けておるかということにつきましては私承知をしておりませんけれども、先ほどから申し上げましたように、地方団体、知事なり市町村長なりという方々が一生懸命努力されておるということが実態であるというふうに承知をいたしております。
#237
○神谷信之助君 一例言いますと、山口県で副知事を委員長上して、退職職員の就職あっせん協議会ですか委員会ですか、そういうものをつくって努力をなさっているわけですよ。その就職あっせんの状況を聞いてみますと、昭和五十二年から五十五年にかけて大体毎年百人から百五十人前後退職、平均のあっせん率は五八%だといいますね。四二%はあっせんが成功しなかった、こういう状態になっているわけです。これは勧奨退職ですからね、本人も同意して、だから本人自身の努力もあるでしょうが、とにかくあっせんを頼んだ、何とかしてくれという中での成功率というのは五八%という報告なんですね。
 今度はそうじゃなしに強制退職ですからね、意に反してやめざるを得ないという問題ですから、本当に就職のあっせんがまじめにやられるだろうか。いまのところは勧奨退職ですからね、それならあっせんをしましょうと、行く先があればやめてもいいと、こうなりますから、やめてもらおうというところでは一生懸命就職先を探しますわ、今度はもういやおうなしにやめるんですからね。就職あっせんなんかせぬでももう六十になったらやめてもらうのやと、こうなってきますと、実際それだけの努力をするかどうか、この点に疑問があるわけですよ。
 だから、実効あるそういう制度なり措置を本当にやられるような保障、あるいは制度的な保障にするかどうするかありますけれども、そういうことを考えないと実際には進まないんじゃないか。それでなくても高齢化社会で中高年齢層の雇用問題というのはますますむずかしくなってきていることはもう御承知のとおりでしょう。それに公務員やめた人というのはそう融通がきくわけしゃないですからね。そういう面も出てくる。そういう意味では、再訓練という問題もあるでしょうけれども、そういう、まあ義務的にするかどうかは別にしても、何かそういうものをしないと、実際に再就職のあっせんというのは本当に真剣にやられるだろうかという心配を持つんですが、いかがですか。
#238
○政府委員(大嶋孝君) 再就職のあっせんに当たりまして、その地域の経済情勢なりあるいは民間なりあるいは民間でないたとえば団体なりというものの人を求めるニーズというのがいろいろあるだろうと思います。そこで私は、一〇〇%うまくいくということを申し上げておるのではございませんけれども、少なくとも長年公務に携わって定年によりまして、円満にというのは語弊がありますけれども、退職をされていかれるという方について、それは定年退職だから地方団体としてはあずかり知らぬでもいいよというようなことは私は任命権者の方で考えられないだろうと、こういうふうに思っておるわけでございます。それは、いままでは勧奨ですから、本人の同意がなければやめさせられないわけでございますので、そのための努力というのももちろんあったかもしれませんけれども、私はやはり長年その地方公共団体に奉職がし、そこでやめるということでございますので、当然私は地方公共団体としてできる限りの努力というのはなされるものだというふうに理解をいたしておりますし、また私も地方団体におりました経験上、定年というのはもちろんございませんでしたけれども、それなりの努力はしてきたつもりでございます。そういう意味合いにおきまして、私は地方団体というものをある程度は、ある程度といいますか、その努力というものを信用いたしたいと思っておるところでございます。
#239
○神谷信之助君 現実にはあなたのおっしゃるようにはなかなかいかないんですよね、しかも高級職員と一般職員とではまたこの就職の状況というのは歴然とした違いが出てくるんですよね。
 たとえば大阪府の場合ですけれども、五十四年度に大阪府を退職した課長級以上の方は九十二名なんです。それで、これを追跡しますと、外郭団体へ天下りした者が三十二名、民間企業などへの就職者が五十八名、合計九十名、だから二人残っておるだけなんです。残っておる二人というのは、病気などで再就職ができなかったということですから、まあ言うたら課長級以上ですと実際は一〇〇%就職できておるわけですね。ところが、課長代理になりますと、これは三十六人やめられているんですけれども、外郭団体に行ったのは十二名、それから非常勤職員として再雇用されたのが六人、民間に就職されたのが九人、合わせて二十七人です、就職率は七五%、課長代理で。こういう状況ですね。それから一般職員になりますと一これは係長、主事などの方で百四十三名が五十四年度に大阪府で退職されておるんですが、外郭団体に行かれた人が十二名、非常勤として残られた人が四十名、合計五十二名、就職率は三六%とこうなります。残り九十一名の人はどないなっているのやと聞いたけれども、これは大阪府でも把握できていない、こういう状況なんですね。このうち三十名は女性の職員です。この三十名の女性職員はほとんどもう就職はできなかった、こういう状況なんですよね。それじゃ勧奨退職でやめてもいいから就職のあっせんをしてもらいたいという条件をつけてやめたんだけれども、なかなかそうはいかないというのが現状ですね。これは大阪府です。
 市町村段階を言いますと、これは岸和田市の場合ですが、五十四年度に二十一名退職されたんですが、一般職八名のうち非常勤嘱託になったのが三名、民間に行った人が一人、自宅自営が四名であります。技術職二名は、外郭団体及び自営となっております。それから現業職は十一名がやめられたんですけれども、この場合は民間に一名が就職できただけで残りの十名は就職できなかったんですね、就職したくても。ここでも、一般職もだけれども、現業職になるとさらにもう一つ就職率が悪くなっているという状況があるわけなんです。これは皆勧奨退職の状況ですよ。
 今度はもういやおうなしに六十歳になったらやめてもらうと、こういう定年制になってきますと、これはまさに下級職員にとっては厳しい現実になってくると言わざるを得ないんですね。まして現業職員だったらますます大変だという状況になる。だから勧奨退職の場合は、先ほどのなにがありましたけれども、七十歳以上の場合、単労といいますか単純労務者の人が非常に多いですよね、八百何ぼ。片一方は百何ぼ。非現業の方は、一般職はそうなっていますわね。だからやめたんではもう次働くところがないし、生活ができない。しかも中年採用が多いですから、年金の受給資格もないという状況の中で、七十まで働かざるを得ないという、そういう実態が先ほどの数字の中にも私は出ていると思うんです。これがいやおうなしに首切られるということになりますと、これは私は大変な問題だというように思うんです。
 その点の研究はこれから五年近くの間でやりますというように、研究されるわけですよね。こういう状態がなくなるという保障がありますか。再就職を希望している人たちに本当に保障ができるのか。いわゆる課長級以上は一〇〇%大阪府の場合できるんですからね。しかし一般職だったらあかんし、さらに現業になったらもうさっぱりやという状態が改善されるんだという保障がありますか。この点いかがですか。
#240
○政府委員(大嶋孝君) 先生御案内だと思いますけれども、私どもの調査、退職勧奨によりまして退職をする、そこで再就職を希望する人の約九三・七%、九四%の方は何らかの形で再就職をしておるという調査がございます。これは五十四年度でございます。
 いま御指摘のような、団体によりましていろいろあるだろうと思いますけれども、それが定年によって退職をした人がすべて完全に再就職できるというような保障があるかというような御質問であれば、それはいろいろ努力はいたしますけれども、一〇〇%再就職できるというような保障は私はないと申し上げざるを得ないと思うわけでございます。
#241
○神谷信之助君 そうすると、この六十歳で線を引いて、六十になったらやめなさいというやり方というのは、その点ではまさに何というか、情け容赦のないやり方じゃないかと言わざるを得ぬのですよね。あなた方の方のおとりになっている数字では九十何%というんだけれども、就職できなかった人は就職の希望がなかったということになれば何ぼでもパーセントは上がるんで、現実に何名おって、そして何名退職して、そのうち何名就職希望者があってどうなのかというのを、われわれいま言ったところは直接調べてみたんですが、いずれにしてもやめるときのポストによって就職条件というものの有利不利、これが存在するのはもう常識だと思うんですね。だからそういう意味では、勧奨退職ならばそういう保障がなければ、生活に困るという状況の場合にはどうしてもやっぱり年が六十を超えても働かざるを得ぬということで、先ほど言ったように二万一千人ほどの人がいま働いておるわけです、三百十六万の中でね。こういう状況ですね。わずかそれだけの人しかいない、いま現在では六十以上の人は。その人たちにやめてもらう、将来、若干はふえていくでしょうけれども、それだけのわずかな人たちの首を切るために定年制をしく。しかも、強制的に首を切りながら就職のあっせんの見通しはない。しかし研究をすると言われる。いろいろな研究をすると、いかにもなさるようなことをおっしゃるけれども、それは研究は研究であって、必ずそういう点が成功するという保証はない。私は、その点ではもう本当に不当な首切りだというように思うんですが、いかがですか。
#242
○政府委員(大嶋孝君) 先ほど来申し上げておりますように、定年制度というのは組織としての新陳代謝なり活力を維持するということで設けられるべきものでございます。したがいまして、そういう点におきましては、本人の意思にかかわりなく定年を迎えますと退職をするのはそれは御指摘のとおりでございます。
 そこで、先ほど来繰り返して申し上げますけれども、地方団体としては、従来は勧奨でありましたけれども、いろいろと再就職のあっせんを努力をしておるわけでございます。そういう中で、先ほど申し上げましたように、いままでは希望する人の九三・七%という人が何らかの形で再就職をしておるというような実態でございます。そういうようなことでございますので、もちろん退職される本人も六十歳に達すればやめるということは今後ははっきりしておるわけでございますので、それなりの職場の開拓ということもお考えになりましょうし、また、地方団体としても、六十歳になる方が今後幾らあるということはわかるわけでございますので、それなりの職場の開拓なり高齢者の仕事のあり方といったものをやはり研究をしていく、また、私どもも研究をしてまいりたい、このように申し上げておるわけでございます。
#243
○神谷信之助君 それは、まあ失礼な言い方かもしれぬけれども、あなた方のようにそういうエキスパートたちでちゃんと新幹線に乗っておる組は大体いいわけだ。しかし、そうでない人たちというのは大変なことになるわけですよ。だから、これは私はいまの答弁でも無責任だというように思いますね。納得できないと思うんです。
 そこで、次の問題に移りますが、この定年制の問題は、分限であると同時にまた勤務条件にも係る問題だというようにお答えになっていると思いますが、その点は確認してよろしいですか。
#244
○政府委員(大嶋孝君) そのとおりでございます。
#245
○神谷信之助君 そうしますと、この地公法の二十四条の勤務条件に係るものというように考えていいわけですね。
#246
○政府委員(大嶋孝君) 勤務条件の性格を持っておることは事実でございます。
#247
○神谷信之助君 そこで、地公法の五十五条の第一項は、「地方公共団体の当局は、登録を受けた職員団体から、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、」ちょっと飛ばしますが、「適法な交渉の申入れがあった場合においては、その申入れに応ずべき地位に立つものとする。」、したがって、勤務条件というのは交渉の対象になるということも間違いないですね。
#248
○政府委員(大嶋孝君) 御指摘のとおり交渉の対象になります。
#249
○神谷信之助君 そこで、非現業の地方公務員の場合は、地方公務員法の五十五条の二項で、交渉はできるが団体協約を結ぶことはできないということになっていますね。しかし第九項の方では、「法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程にてい触しない限りにおいて、当該地方公共団体の当局と書面による協定を結ぶことができる。」というようにありますね。この点も間違いありませんね。
#250
○政府委員(大嶋孝君) そのとおりでございます。
#251
○神谷信之助君 これを受けて十項では、「前項の協定は、当該地方団体の当局及び職員団体の双方において、誠意と責任をもって履行しなければならない。」、すなわち、言うなれば実質上の団体協約を結ぶことができると、実際上は、というように解していいと思うんですが、いかがですか。
#252
○政府委員(大嶋孝君) 法的にはそのとおりでございます。この地公法の解釈と申しますか、そういうことではそのとおりでございますが、法的な拘束力ということはございません。その点御了解いただきたいと思います。
#253
○神谷信之助君 法的な拘束力はない、しかし、「誠意と責任をもって履行しなければならない。」という点はいかがですか。
#254
○政府委員(大嶋孝君) 道義的に、誠意と責任を持って履行しなければならないのは、そのとおりでございます。
#255
○神谷信之助君 ですから、非現業の職員でも勤務条件については交渉できるし、書面による協定も可能である、その点では、法的拘束力を持つか、道義的な範囲内なのか、若干食い違いがあるようですけれども、いずれにしてもそういうことは可能である。
 ところで、その次は現業職員の方ですが、公営企業労働関係法の適用を受けて団体交渉ができるし、また、地公労法の第七条で「団体交渉の範囲」を規定しておりますが、その範囲にはどんなものが入っていますか。
#256
○説明員(片山虎之助君) 定年制度なども「その他」の勤務条件でございますから、団体交渉の対象になります。
#257
○神谷信之助君 地公労法の適用職員は当然労働協約を結ぶことができると思いますが、そうですね。
#258
○説明員(片山虎之助君) 御指摘のとおりでございます。
#259
○神谷信之助君 しかも、地公労法の場合は、協定が条例に抵触をする内容である場合は、第八条の一項で条例を改めなさいという規定になっていると思うんですが、いかがですか。
#260
○説明員(片山虎之助君) そのとおりでございます。
#261
○神谷信之助君 したがって、労働協約というのが勤務条件に関して第一義的なものになると思うわけです。そこで定年制についても当然この交渉の対象になると、こういうことになりますと、定年制の導入が団体交渉の対象になるし、それについて労働協約を結ぶことができるわけですから、そしてそれに基づいて条例をつくることができるわけです。つまり、地公労法の適用職員については団体交渉で決めることができるということになると思うんだけれども、どうですが。そしてそれを条例化すればいいということになるわけでしょう。
#262
○説明員(片山虎之助君) 団体協約の内容に一応ある程度拘束されまして、それに従って場合によっては条例の改正案を議会に出す必要がありますけれども、最終的には議会の判断でございまして、条例と協約が抵触しますと条例の方が優先いたします。
#263
○神谷信之助君 それは、議会の判断というのはまた別の問題でありますがね。しかし、それは抵触する場合には、長は協約に基づいて議会に提案をしなければならないということになりますわね。
 そこで、今度はこれ具体的に少し入りますが、四十三年法のときですね、このときは、議事録によりますと、自治省の政府委員の答弁では、定年制に関する条例についてはその性質上から地方公共個体の長が議会に提案をすることが常例であると思います。長が定年制に関します条例案を作成するに当たりましては、当然職員の意向を聞くことでもありますし職員団体との交渉の対象になるもの、このように私どもは考えております。したがって、その際に職員の希望が十分に反映されるものと、そういうふうに私どもは考えております、というのが自治省の当時の政府委員の答弁ですね。だから前のときは、条例を定めることができるようになっておるのだと。今度はこれができなくなるわけでしょう。
#264
○説明員(片山虎之助君) 何度も御答弁いたしておりますように、法律で基本的な枠組みを決めておりますから、その枠組みに違反しない範囲で条例事項につきましては交渉の対象になります。
#265
○神谷信之助君 それじゃ、具体的に言うと、もう六十歳は変えられぬということでしょう、団体交渉では。
#266
○説明員(片山虎之助君) 国の定年年齢を基準としてと、こう言っておりますから、自治省の方の解釈では、この基準は非常に厳重な基準、厳格な基準と解しておりますけれども、合理的な理由がありまして全くこれと同じでないという場合も想定されないわけではありませんけれども、原則としては六十歳、国の基準年齢と同じにしていただく、こういう考え方でございます。
#267
○神谷信之助君 そうすると、ほかの特例の問題は別にしまして、その一般的原則六十というやつは、それぞれの地域の条件なり何なりそういった状況によっては職員団体との交渉なども含めまして、あるいは議会の意向も含めて、六十歳にこだわらなくてもいい場合もあり得るということですか、いまのやつは。
#268
○説明員(片山虎之助君) 国の基準と申しますと六十歳でございますけれども、六十歳定年制度をとることがむしろ新陳代謝や活力の維持にとってマイナスになる、そういうケースがあるとしますれば、必ずしも六十歳でなくてもいいと、こういう解釈でございます。
#269
○神谷信之助君 なかなか微妙な言い方をなさるんで、もっと具体的に言いますが、五十八歳ならいいけれども六十五歳だったらいかぬと、こういう意味ですか、いまのは。
#270
○説明員(片山虎之助君) それぞれ当該団体の事情が異なりますから一律には申し上げられませんけれども、いま言いましたように、六十歳がむしろマイナスである、公務能率の向上その他新陳代謝、そういう観点から総合的に考えましてマイナスであるというような場合には、他の年齢であることもあり得ると、こういうふうに……
#271
○神谷信之助君 だから、五十八はいいけれども六十五だったらいかぬというのかと聞いておる。
#272
○説明員(片山虎之助君) 仮定のお尋ねでございますので、どの場合こうということはちょっと申し上げられないと思います。
#273
○神谷信之助君 そうすると、一応これは基準とするということであって、私が先ほどずっと質問してイコールという意味で言ったんだけれども、地公法上の他のいろんな条件を付して、均衡を失しないとか、いろいろ配慮するとか考慮するとかいう規定になっていますわね、ほかのところは。そういう意味も含まれている基準ですか。六十歳でないといかぬというように初めのうちは聞いておったけれども、いまの課長の答弁ですと、合理的な理由があるならばそれにこだわらなくてもいいと、新陳代謝が行われ活力をもたらすというんですからね。それはやっぱりその地域の条件なり何なりで六十三なら六十三あるいは六十五なら六十五まで保障した方がみんなが生きがいを感じてそして活力ある職場をつくってくれる、そういう能力や経験を生かすことができるという判断に立ては、そしてそのことが交渉のときに確立し、議会も同意をするならばそれは別にそうなってもよろしいということですか。
#274
○説明員(片山虎之助君) 完全なイコールではございませんけれども、「基準として」と書いてありますから完全なイコールではございませんけれども、実態その他を考えますとほとんどイコールに近くなるだろう、こういうふうに考えております。
#275
○神谷信之助君 なかなか切妙な答え方で、イコールに近くなるだろうというわけですか。しかし完全なイコールではないということははっきりしました。
 そこで、個別の自治体での交渉というやつは、したがって仮に法律がこのまま成立をするということになると行われるということになりますが、その段階で、それぞれその限りにおいて自主性といいますか、それぞれの自治というのはそれは保障するのだということにもなると思うのですが、私はこの問題というのは、本来先ほどもありましたように直接地方公務員に重大な影響を与えるわけですわね、もう六十になったらやめてもらうと、こうなるのですから。この点について労働者の意見をお聞きになったんですか。あるいはこのことについての協議というものは行われたんですか。
#276
○説明員(片山虎之助君) 職員団体の連合体の方々から、御要望がある都度お会いしまして、十分意見を聞いております。
#277
○神谷信之助君 それで、その意見を聞いて、その意見はどこに生かされていますか。
#278
○説明員(片山虎之助君) その意見も踏まえながら総合的に勘案して、この制度としての案を山さしていただいた次第でございます。
#279
○神谷信之助君 その意見というのには、六十歳を基準とするというやつも含まれておるわけですか。それは同意されておるのですが。
#280
○政府委員(大嶋孝君) いろいろありますが、私がここで承知しておりますのは、全官公におきまして活動方針の中で大要次のような見解を持っておるわけでございます。全官公でございますけれども、定年制には基本的には反対であるが、あえて定年制を法制化するならば六十五歳とすべきであり、当面六十歳とするというような意見も含まれておる状況でございます。
#281
○神谷信之助君 全官公というのはどこの組織ですか。
#282
○説明員(片山虎之助君) 全官公という職員団体の連合体がございます。
#283
○神谷信之助君 ほかには公務員労働者の労働団体はないんですか、職員団体の連合会というのま。
#284
○説明員(片山虎之助君) ほかにもございますけれども、まあ反対の立場をとられておる連合体もございます。
#285
○神谷信之助君 だから、賛成の職員団体の意見だけいま言わはりましたやろ。そのまま知らぬ者が聞いていれば、公務員の職員団体、全国的な職員団体は、六十五歳が望ましいけれども、当面は六十歳でよろしいと、オーケー言いましたと。違うのですよ。全官公というその職員団体は何名ですか、組合員は。
#286
○政府委員(大嶋孝君) その組合員数は後ほどお答えいたしますけれども、いま私は、一例としてということで申し上げたつもりでおりまして、すべての労働団体がそうであるという意味で申し上げたつもりはございません。その点は御了解いただきたいと思います。
#287
○説明員(片山虎之助君) 数として正確なところちょっとあれでございますので、後ほどお答え申し上げます。
#288
○神谷信之助君 地方公務員労働者といいますか、自治体労働者、この大多数を組織している労働組合は、あるいは職員団体というのはどれですか。
#289
○説明員(片山虎之助君) 自治労でございます。
#290
○神谷信之助君 自治労は反対なんでしょう。全官公というのはうんと数は少ないでしょう、これは。賛成だという労働組合、職員団体の一例を挙げて自治体労働者の一部で組織している、しかも国家公務員も含めてですわねあれは。自治体労働者の部分で言うたらほんのごく一部ですよ。それの意見を一例としてと言って、それが賛成やいっていかにも職員団体が賛成をしているかのように言うのはまさにペテンですよ。だから私は、この点ではそういう答弁というのは、何といいますか、ごまかしの答弁で、非常に不愉快です。正直に答えてもらわぬと困る。
#291
○政府委員(大嶋孝君) 先ほど申し上げましたのは、そういう意味合いではございませんで、自治労等におきましては絶対に反対である、こういう意見でもございます。
#292
○神谷信之助君 それから、盛んにこの定年制を導入するについて地方団体の長がそういうことを要望しているということをおっしゃっているんですが、その理由は一体どこにあるんですか。
#293
○説明員(片山虎之助君) すでに何度もお答え申し上げましたように、最近の高齢化現象にかんがみまして、退職管理が非常にむずかしくなってくる。何度も申し上げますが、将来を含めて新陳代謝を図り、活力を維持し、全体として住民に対する公務能率の維持、向上を図るためには定年制度導入が適当だろう、こういう考えであろうと思います。
#294
○神谷信之助君 そこに私は重大な怠慢といいますか、無責任さがあると思うんですよ。高齢化社会が進むわけでしょう。だから、やめても再就職する機会というのは非常に少ないし、しかも年金は少ないし、だからうっかりやめられないし、インフレの傾向というのはますます続くであろう。社会情勢というのは、安定をしているようだけれども三年先、五年先というのはわからぬ。それで寿命は伸びていく、健康体は維持していく。それで、やめても生きがいを求めることができる人はいいですわね。ボランティア活動をやったりいろいろな社会奉仕の仕事をやっておられる方もある。それはそれなりの生活できる条件がある。そういう条件のない人はやめたくてもやめられないわけですよ。そっちの方の問題を抜きにして、定年制をつくれば、これはもう一々めんどくさい話し合いなんかしなくてもいい。一律にばっと首切れる。それは小さい市町村長さんは楽でいいと、こうなりますよ。新陳代謝だとか活力やとか、いいかっこと言うけれども、本心は違うんです、本音は。私はそこのところが非常に問題だと思うんですよ。本当に活力のある新陳代謝をやり、また、活力を生み出そうとすれば、その職場の労働意欲を燃やせる、そういう指導なり条件をつくればいい。そこに問題がある。首を切って若くすることによって活力が出るものではないんだ。そうでしょう。違いますか。
#295
○説明員(片山虎之助君) 活力の維持向上につきましては、職場環境その他いろんな観点からの御議論があろうと思いますけれども、しかし、適正な、長期的な、安定的な人事管理をやるためには、やはり退職管理がしっかりしておる、こういうことが必要であろうと思います。個人的にはいろんな御事情があることもあろうと思いますけれども、全体として組織が高齢化してその結果公務サービスが低下する、こういうことはやはり問題ではなかろうかと思います。
#296
○神谷信之助君 私は、どうもそこのところは納得しません。活力があるようにしようとするというのは、そういう条件をつくればいい。問題は、そうやって六十歳なら六十歳で線を引いてほうり出す、しかもそうした方が楽なんだからということだけなんです。ほうり出される方はどうや言うたら、自治体の長自身も御心配になっておるように、これから高齢化社会に向かっていって、ますます働きにくくなり、やめにくくなる条件というやつが強まるわけです。そこをほうり出すわけですよ。だから、話し合いによって、納得と理解によって勧奨退職制度をやっていくよりも、もうまさに年齢で線を引っ張って問答無用でやめさせる、その方が薬やさかい。後はこれからますます大変な世の中になっていくということは知ってはるわけで、知ってお力ながら、働くだけ働かし一で、六十になったらもうはいお払い箱と、こういうことになるんですよ。私はそういう考えが根底にある。地方自治体の長からの定年制を早くやってくれという、そういう要望にこたえましたという自治省も同罪やというように思うんですが、何か抗弁する点ありますか。
#297
○説明員(片山虎之助君) 先ほど部長もお答えしましたけれども、現在の勧奨退職の中心は五十七、八でございまして、将来の高齢化動向を見ながら六十年六十歳定年と。このままいきますと、退職勧奨の応諾率が下がってきてなかなか勧奨退職が進まない。そうしますと結果的には次へ来られます若い方の職場がそれだけ狭まるわけでございまして、しかも、その結果として、仮に公務能率が落ちてくるということになりますと、住民サービスとの関係でどうであろうかと、こういう考え方でございます。
#298
○神谷信之助君 若い人を採用する――だが、いずれにしてもあなた方の方は、財政事情から新規採用をやめてみたりしてきているわけですわね。それで、急に人が要る場合には中年採用もしてきているわけよ。そのツケをいまになって、高齢化社会に向かうのとちょうど重なったという面もありますけれども、定年制にしてしまうというのは、私はこれ納得できぬですよ。先ほど申し上げましたけれども、やめていく人たちの就職の場もあらへんわ、年金も改善をされへんわ、そういうのはほったらかしのままで、定年制だけをあえて強制をするということについて、これは自治大臣どうですか。私は本当にそういう対象者には重大な、五年後から実施をするという案ですけれども、これは五年後になるともっともっと再就職の条件というのはますますむずかしくなるでしょう。年々むずかしくなってきているんだから。そういう状況の中で、本当に何としてもこの六十歳定年制をしくんだという、そういう点について、私は人間として忍びないし、そういうひどいことをやるということは、政治家としても忍びないのじゃないかというように思うんですがね。大臣のひとつ見解を聞きたいと思うんです。
#299
○国務大臣(安孫子藤吉君) 定年制の問題は、ひとり自治体とか官界だけの問題じゃないんで、民間では実際行われているわけであります。そして、定年に達した人の行く末の問題について考えますと、むしろ官の方がいろいろと配慮をいたしまして、そして再就職率なんていうのは私は高いのじゃないかと、こう思っておるんです。
 そこで、官あるいは地方団体におきまして定年制をしいたと、そうしますと、再就職の問題は、これは勧奨退職の場合と同様、またそれ以上に計画的に、理事者、責任者はいろいろと苦労いたしましてその措置を講ずると、こういうふうに私は思っております。恐らく各自治体の責任者もそういうことを考えておると思うんです。しかも、それは計画的にできるわけでございます。それで二年なり三年なりの計画に従いまして、その辺のことを考えていく。おっしゃるとおりに課長級と一般職員との間に差のあることも事実だと思います。しかし、一般職の場合につきましては、たとえば課長でありますとか部長あたりがいろいろと努力をしてそれなりの成果を上げておる面もあるわけでございます。この辺は、勧奨退職の場合と定年制度をしいた場合とで、そう変わるものじゃないと、こういうふうに思っております。
 そういうことで、今度は積極的な面から申しますと、しばしば申し上げておりまするように、やはり組織体としての活力の維持という点からいいますと、適当な新陳代謝が行われるということがきわめて重要だと思っております。それを保障するものが定年制度である、そういうふうに考えておりますので、全体を考えますと、今後の高齢化社会におきましても定年制をしくということが自治体の活力の保持の面からはきわめて重要な問題だと、こういうふうに認識をいたしております。
#300
○神谷信之助君 それでも退職勧奨されてもなかなかやめられないということで――これは少ないんですよね、実際問題として六十歳以上というのは。二万一千人ぐらいでしょう。現在、三百十六万のうち二万一千人だけですよ、六十歳以上で働いておる人は。さっきの話ではね。それだけの人がおるから新陳代謝ができないということになるんですか。三百十六万の中に二万一千人六十歳以上の人がいる、それがおるさかい新陳代謝ができないとはどうしたって考えられないですよ。これだけでは新陳代謝にならぬ、五十歳で線引いてやめいというんだったらわかりますよ。どさっとやめるんですからね。それでごぼっと新しい人を採用すると新陳代謝ということになるんでしょう。いまの現状で言えば二万一千人でしょう。三百十六万、その中のわずかな数ですよ。その二万一千人の首を切らぬことには新陳代謝ができないというのは、これはどうも話にならぬ。いかがですか。
#301
○政府委員(大嶋孝君) この定年制度と申しますのは、現在六十歳以上の職員の退職を進めるというためにつくる制度ではございません。今後高齢化社会を迎えていく、そういう中で公務員の新陳代謝、あるいは先ほどから繰り返して申し上げますように、活力の維持といったものに対処するということでつくるわけでございます。現在、六十歳以上の職員が二万一千幾らおるわけでございますけれども、その人のためにこの制度をつくるということではございませんので、その辺はひとつ御了解をいただきたいと思います。
#302
○神谷信之助君 それじゃ聞きますが、六十年に六十歳定年制を実施するんでしょう。そうすると、六十歳以上の人はどのぐらいになるんですか。
#303
○説明員(片山虎之助君) 正確な数字は、これはまた後ほど申し上げますけれども、約十九万人でございます。現在五十五歳以上。
 それで、参考までに申し上げますと、ただいま部長が申し上げましたように、現在四十歳以上の方の全体に占める割合は四一・八%でございます。現在と申しますのは五十五年四月一日でございますが。それから、五十歳以上の方のパーセンテージが一八・二%、それから五十五歳以上の方が約六%、五・八%でございまして、十九万弱でございます。これは四十二年に比べますと、全体として相当四十歳以上の方の比率が上がっております。
#304
○神谷信之助君 四十二年はどうですか。
#305
○説明員(片山虎之助君) 四十二年を申し上げますと、四十歳以上の方の比率が三六・四%、五十歳以上の方の比率が一三・一%、五十五歳以上の方の比率が五・四%でございます。
#306
○神谷信之助君 いまのもう一遍、四十歳以上というのは四十から四十九までのことですか。
#307
○説明員(片山虎之助君) いや、四十歳から上は青天井と申しますか、おられる万全部でございまして、七十何歳の方がおられればそれを含めての話で、四十歳以上の方の全員の比率でございます。
#308
○神谷信之助君 これが四十二年と五十五年、十三年かかっているわけね。十三年かかって三六・四から四一・八まできている。ざっと五%比率がふえたわけですね、四十歳以上の人が。それから五十五以上でいくと、これは〇・四%ふえただけだ。だから四十歳代の人が相当多いと、こういうことを意味するわけですか。
#309
○説明員(片山虎之助君) 比率の伸びだけ申し上げますと、五十歳以上の方の比率の伸びが一番大きい、こういうことが言えるかと思うんです。一三・一が一八・二になったわけでありますから五・一%ということです。
#310
○委員長(上條勝久君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#311
○委員長(上條勝久君) 速記を起こして。
#312
○神谷信之助君 これは原因はどこにあるんですか、そうやってだんだんふえてくるというのは。
#313
○説明員(片山虎之助君) 正確なことをあるいは言えるかどうかと思いますけれども、恐らく、五十歳代の方は、終戦直後に外地から引き揚げてこられたり、あるいは適当な職場がなくて――それもちょっと語弊がございますけれども、役所に入られた方が非常に多い。いま、全体として五十二、三をピークに職員の年齢構成ができておりますので、そういう感じがいたすわけであります。
#314
○神谷信之助君 そうすると、今度の六十歳の定年制というのは、大体いま五十二歳前後のそのピークをねらった長期計画ですか。
#315
○政府委員(大嶋孝君) 格別とのピークをねらってこの定年制をつくったということではございません。再々申し上げておりますように、今後の高齢化社会の到来というものを控えまして、地方団体、国も同様でございますけれども、その組織の活力を維持していくというために、円滑な退職管理の制度というものを考慮いたしまして御提案申し上げておるわけでございます。特にどの部分をねらったとか、あるいは中ぶくれをねらったというようなことでは決してないというふうに私は理解をいたしております。長期的な展望に立った問題だと私は考えております。
#316
○神谷信之助君 高齢化社会といいますか、社会の情勢の変化では、六十の定年制が将来六十三になったり六十五になったりするということは当然予想されるわけでしょう、高齢化社会ではいかがですか。
#317
○政府委員(大嶋孝君) 今後の社会情勢の推移なり等々から、国家公務員も同様でございますけれども、未来永劫六十歳というものが不動のものであるということには考えておりません。
#318
○神谷信之助君 そうすると、いま非常に多い五十二歳という人が六十になるのは大体八年後でしょう。八年後に六十歳になって定年制で首を切られると、こうなるんですね。これ、八年後といえばどうなりますか。高齢化社会、あるいはその状況における雇用条件というのは。
#319
○説明員(片山虎之助君) これは推計でございますけれども、厚生省等の推計によりますと、五十五年国調で大体六十五歳以上の方が九・一%、こういうことでございますが、二十年後には大体一四、五%、さらに二十年後、いまから四十年後には二〇%に近づこうと。そういう全体的な趨勢と無縁ではなかろう。ただ、具体的に公務員の場合どうかといいますと、データがございませんので直接はお答えできかねます。
#320
○神谷信之助君 ですから、そういう高齢者がずっとふえていくわけですわね。その高齢者対策の上からも、したがって高齢者の雇用、いま労働省は六十歳を、民間でも定年制は六十まで引き上げるようにいろいろ指導しているわけやね、なかなか言うこと聞いてもらえぬので大分暇がかかっているけれども。そうですよ。それで、それは六十歳にとまるかというと、そうじゃなしに、六十五にしていくというのが新経済社会七ヵ年計画の中にも出てきていますわね。中高年齢者の雇用の推進を追求せないかぬと。そういう方向にいくわけでしょう。そのときに、いま、五年後に、六十年に六十歳という、そういう線を引いて、そして一律に進めていくというそのことが適当なのかどうか、適当であるという根拠は一体どこにあるのか、この辺はいかがですか。
#321
○説明員(片山虎之助君) 先生御指摘のように、雇用対策基本計画なり新経済社会七ヵ年計画におきましては、六十年に六十歳の官民における定年制度の定着、こういうことは一つの目標にしておりますが、そのほかについてはなお検討課題であろう、こういうふうに言っておりますので、われわれも大体同じ認識でございます。
#322
○神谷信之助君 その高齢化社会における高齢者対策の基本というのは、やはり働く力を持っている人にはできるだけ働く場所を与えるということが基本なんでしょう。私もまだ両親は元気にしていますがね。見ていると、七十幾つ一おやじの場合は七十二、三でやめましたか、やめると途端に体力も後退するし、思考力も後退しますわね。いまもう八十過ぎています。ぼつぼつ老人ぼけになってきつつあるところです。これは職人ですけれども、働いている限りは七十過ぎまで全然体力の後退もなかったわけです。だから、高齢化社会というのは、生きがい、働きがい、あるいは労働能力、体を動かすあるいは思考力を使う、こういうことを考えていかないと老人ぼけはどんどんどんどんふえていくわけです。これはいま社会にとって非常に重要な問題になってきているわけですね。
 そういう状況の中で、六十年、五年先に六十で線を引く、そして実際に役所をやめて、働く意欲も持っているし働く力を持っているけれども、働くところが得られるのかどうか、そういう保障はできるのかどうか。これはもうそれこそ何といいますか、見通しは全くない、ますますなくなってくるという状況だと思うんですよ。
 私はそういう点について、単に公務員労働者の定年制といいますか、労働条件に関する問題だというだけじゃなしに、高齢化社会に向かう日本の雇用政策あるいは老人対策といいますか、高齢者対策、この見地からもこの問題は検討されなければならぬと思うんですけれども、その辺についてはどういうように検討をなさっていらっしゃいますか。
#323
○政府委員(大嶋孝君) 全体として高齢者対策というのは、やはり老人に、老人と申しますか、高齢者の方にも生きがいを与えなきゃならぬという問題は御指摘のとおりだと思います。ただ、それが公務員という組織の中において、大変高齢になった方を組織としての職場を与えなきゃならぬという問題とは私は違うと思います。公務員という組織体の中におきます定年制というのは、先ほどから繰り返し申し上げておりますように、組織の活力ということは上がっていかなきゃならぬ。他方、働く意欲のある方が働く職場がないということもこれまた実態であろうと思いますけれども、そういうものは高齢者対策の総合的な中で検討をされていかなきゃならぬ問題だと、私はかように考えておるところであります。
#324
○神谷信之助君 いまの部長の言葉じりをとらえるような言い方になるけれども、大変高齢な方を役所で抱えておるというような言い方は、もう六十で大変高齢というのだったら、あなた、六十五ぐらいでもう死ななきゃいかぬ。私が言うのは、大変高齢でない六十歳だから問題にしている。そうでしょう。六十歳といったらまさにまだ書いまの社会はぼくらの子供のときの社会通念とは違うんですよ、六十歳というのは。一般的にはまだ十分労働力を持ち、思考力も判断力も持った、そういう年代なんだということなんですよ。だから、何でそこで線を引くのか。先ほど課長は、六十というのは「基準とし」やから、いろんな条件をつけてあるけれども、とにかく自治体で若干の、大幅かどうかしらぬが、年齢を決めることはできますという趣旨の話をされたけれども、そういうことであればいまの勧奨制度でやっていける。
 いまの大体五十八歳ぐらいを中心にした勧奨退職制度というのはいつからできましたか。
#325
○政府委員(大嶋孝君) 具体的に勧奨年齢が五十七、八歳になったのはいつかということは、私承知をいたしておりません。勧奨年齢そのものが次第に延びてきておると申しますか、遅くなっておるというような実態はあると思います。
#326
○神谷信之助君 これは、いま五十二歳前後の人というのは、二十五年余りになりますか、役所に勤めておられるわけです。戦後の引揚者なんかの人で入っている方もあれば、そのころに大量採用しましたからね、県税事務所やそういう役所がざあっとふえましたからね。だから、あの二十五年ないし二十七年の時期に大量採用していますからね。そういう方がずっといままできている。それからさらには高度成長の中で新しい住民要求がどんどんふえてくる。特に福祉とか清掃とかそういうところの要求がふえて、そういう方々が中年採用で入ってきているという人も相当おりますわね。それから学校の調理員さんや用務員さんというのも、そういう層が多いというのが一つでしょう。それでふえているわけです。片一方では財政難で新規採用をしなかった時期が、飛び飛びではあるけれども、相当続いていますからね。そういう意味では全体の職員の中での若い層というものの比率が毎年新規採用するよりは減っていくわけですね。比率が低い。そういう状況がある。
 同時に、平均寿命が延び、また働かざるを得ないという社会的条件の中で、いまやだんだん退職勧奨の年齢も、初めできたころは三十年代だと思いますがね。五十二、三から五十五の間で勧奨退職していますよね。それがいま大体五十八ぐらいに平均なってきている。これはいまの社会の情勢の中で、それに適合して発展をしてきた一定のそういう合理性を持った基準としてあるんじゃないですか。
 だから、私が言いたいのは、そういうことで機能してきているわけですから、それをいまそういう客観的な条件というものを一切抜きにして、一律パーで六十歳と決めるということは、これからさらに高齢化社会の進行していくという状況の中で全く適当しない。あるいは公務員労働者から言うと酷なやり方ですね。そういう年いっている人が仕事の能率が落ちるとか住民サービスが落ちるとか、そういうことが一般的に言えるのかどうか。現実にいま現在の社会的情勢の中で、六十歳になったらもう途端にそういうふうな能力が落ちるということが言い得る根拠があるのかどうか。これ聞いてもなかなかあんたおっしゃらないでしよう。だからどうしても納得できないんですよ、この辺は。こういう状況になってきたのは、いままでの経過から、あるいは自治体当局や自治省の、あるいは政府の指導の中でそういう人事管理の状態が出てきている。そのツケを今度は六十歳で線を引っ張って労働者に一方的にしわ寄せをする、犠牲にするというのは、これは納得できないと思うんですが、いかがですか。
#327
○政府委員(大嶋孝君) 神谷先生の御意見でございますけれども、一つには、先ほどから申し上げましたように、民間におきましても定年は五十五、六歳でございますか、それを六十年に六十歳まで持っていくようにというような政府の指導もございます。
 それから、御指摘のように勧奨退職というのが現在五十七、八歳というのが中心的な年齢だと私ども理解をいたしております。それを六十年に原則六十歳というような形で定年制度をしこうというわけでございますので、必ずしも非常に不合理であるというようなことは私はないと考えております。将来の円滑な退職管理制度というものを考えますときに、やはりどうしても定年制度というのは私は必要である、こういうふうにいまお答え申し上げざるを得ないわけでございまして、その辺御理解をいただきたいと思います。
#328
○神谷信之助君 ちょっと、具体的なやつでもう少し聞いておきますが、勤務延長ですね、それから再延長、再々延長とありますが、それともう一つ再任用もそうですが、これは交渉事項になるわけですか。
#329
○説明員(片山虎之助君) 管理運営事項に属しますものを除けば交渉事項でございます。
#330
○神谷信之助君 管理運営事項に関するものを除くという、この管理運営事項というのは具体的にどういうことを言っているんですか。
#331
○説明員(片山虎之助君) 勤務延長でございますと、だれそれをどれだけの勤務延長にする、こういうのが本来の任命権の行使でございますから、管理運営事項として交渉の対象にならないわけでございます。
 それから、任用は全般に管理運営事項というふうにいま観念されておりますので、再任用の場合の一再任用も任用でございますけれども、再任用の場合のたとえば給与をどうするか等は、これは交渉事項になると思いますけれども、それ以外は管理運営事項でございます。
#332
○神谷信之助君 いま現実に勧奨退職制度があってやっていますが、それでいろいろその人の生活条件やら、あるいは年金の受給資格なり何かを考慮して、さつきのように、六十歳以上でもそのまま定数外職員としておる人もあれば、一たんそこで退職という形になって嘱託名義で働いている人もある、こういう状況がありますわね。これは勤務の延長なり再延長なり再共延長という場合、年金の受給資格があと一年足らぬとか、子供さんが学校を出るまでもう一年二年待ってくれと――六十歳になったときですよ、という場合、いわゆる交渉事項として、この人ということじゃなしに、そういう特殊な事情のある場合については考慮することができるというような形で、これを勤務延長なんかの方式で運用することも可能なことになるのかどうか、この点はいかがですか。まあいろいろな条件は一応出ていますよ、出ているけれども、それはそれとして、実際の運用の点ではそういうことも可能になるのかどうか。この点はいかがですか。
#333
○説明員(片山虎之助君) 勤務延長の場合は、これは公務の必要性、公務の強い必要性からどうしてもこの人でなけりゃいかぬと、残ってもらいたいと、こういうケースでございますから、この場合には該当しないと思いますけれども、再任用の場合には、その人の能力や経験を勘案しまして、残した方が公務の能率的な運営に資する、こういう場合には再任用の措置がとれると、こういうことになっているわけでございます。
 ただ、先生御指摘のケースは、先ほど部長が答弁しましたように、共済年金制度サイドの方で救済すべき問題かと思います。
#334
○神谷信之助君 だけどね、先ほどからやかましく言っているけれども、再就職の先をちゃんとあっせんをしてもらって、できればいいですわね。そうすれば先ほどもあったように年金とその収入とで生活の保障がある程度できるかもしれない。そういうことがなかなか困難になった場合ですが、それらについての何といいますか、運用上のいろんな措置というのは独自に考えろということなのですか。この制度、再任用なり、勤務延長なりというような、そんな方法を使わないでやりなさいという趣旨になるわけですか。
#335
○説明員(片山虎之助君) 再任用の制度自身は、やはり公務の能率的な運営に資するかどうかというところがポイントでございまして、共済年金の受給年限が若干足りない、そういう人を救済するというのが制度のたてまえじゃございませんので、それは先ほど言いましたように、通算年金制度等厚生年金にもありますので、そういう制度等をにらみながら関係省庁で検討しながら結論を出す、こういうことになっておるわけでございます。
#336
○神谷信之助君 それはやっぱり関係省庁と相談、検討して、そして一律の基準をつくっていくということになるわけですか。
#337
○政府委員(大嶋孝君) 共済年金の問題といたしましては、御指摘のとおりでございます。
#338
○神谷信之助君 年金で解決できないでしょう。いずれに、しても受給年限に達しない状況ですから。いわゆる年限に達したときにもらえる金額よりは少なくなりますからね。年金額自身も、しばしば当委員会でも言っているように、もっと引き上げるというのは附帯決議にも出たりしているわけですわね。そういう現状から言いますと、私は大変なことではないかというように思うんですよ。だから、年金だけで生活している人は二割ぐらいでしょう。あとは何らかの労働による収入、あるいは子供さんの世話になる、そういうことでやっているという数字ですわね。だから結局、年金だけで生活できるというのは非常に、そういう意味では困難になるという状況ですわな。この点の改善というやつが、一つは年金額そのものの引き上げ、それからもう一つは受給資格のない人たちに対する措置、これは他の共済との関係もあるから、それは検討するということはあるでしょう、あるいは調整するということになるでしょう。しかし事はそれだけで済まぬと言うんですよ。その点はいかがですか。
#339
○政府委員(大嶋孝君) 先ほど申し上げましたように、地方団体といたしましては、退職をされた方がいずれかの形で職を見つけていただくように、そのための努力というのを私は一生懸命やるだろうというふうに申し上げたわけでございます。実際の場合におきまして、どうしても職がない、しかし働かなきゃならぬというような職員が仮にあるといたしますと、それはそれなりに地方団体としてやはり考えるところがあるのじゃないかというふうに考えておるところでございます。
#340
○神谷信之助君 それは、地方団体として考えるところがあるであろう、だから何らかの措置を当然すべきであろうという意味のように聞き取ったわけですけれども、そういう意味ですか。何らかの措置を……。
#341
○政府委員(大嶋孝君) 私は、具体的に再任用であるとか、勤務延長であるとかいうことを申し上げたわけではございません。これはこれなりに法律上の事由に該当するもの、それが再任用あるいは勤務延長というようなものの対象になるわけでございます。その他のことにおきましてもいろいろと地方団体としてはお考えになるであろう、このようにいま申し上げておるところでございます。
#342
○神谷信之助君 大臣、ずっと具体的にいろいろな角度からいままで議論をしてきたわけですけれども、私は冒頭にも申し上げましたけれども、この地方公務員法というのは、国家公務員法がある、それで、同じ公務員である地方公務員だけれども、地方公務員法というのは、国家公務員法の理念は導入するけれども、具体的な中身については、国家公務員とは違って細かくは規定はしない。それは、憲法の地方自治の本旨にのっとるといったてまえがあるし、そして自治体というものは多様な組織だからというのが地方公務員法ができたときの当時の岡野自治庁長官の提案理由の説明ですね。それで、実際そういう基調に立って地方公務員法というのはできている。
 したがって、先ほども申し上げましたけれども、給与の条件や勤務条件その他共済組合法の問題にいたしましても、それは国のものを基準としながらも、民間の問題やらいろいろ考慮してそして決める。いわゆるイコールではない。それで、それぞれの自治体の判断、これが保障されているのが地方公務員法ですね。
 ところが、ここに今度は、国の定年の年齢を基準とするということで、六十歳をそのままストレートに持ってきて法制化をして、そして自治体に強制をする、こういう状況になっている。これは三十一年法や四十三年法とは違うわけです。まさにそういう意味では地方公務員法のできたときの趣旨から言っても異質のものが今度は加わってくる、これが一点です。しかも、それは法律というものをもって自治体を規制するというやり方なんですね。こういうものがやられる。
 それで、現実に進められているのは、先ほども大分議論しましたけれども、人件費、これをできるだけ抑えて国並みにしようと、そういうことで、言うことを聞かなければ特別交付税あるいは起債、これらで制裁措置をするかもしれぬ、あるいは人事委員会の事務局長を集めて、国の基準を上回っているところで、相変わらず人事院勧告に従って右へならえして勧告をするとはけしからぬ、それは自殺行為だ、自滅行為だという形で人事委員会に対してもそういう規制をしようとする。そうして、先ほど言いました、今度は定数でしょう。モデル定数というようなものを現実に従ってつくっていくのか、どうもそれがはっきりしない。しかし、いずれにしても、たとえば保育所の保母さんは子供何人に対して何ほどか、学校の教員はどうやとかいう、あるいは水道なら水道、あるいは人口何万に対してどれだけの道路の技術者、土木の技術者は何名要るかとかいうのをずっとつくってモデルにして、それでやっていこうと。これはできれば数字というのは、根拠のある数字ですから、一定の政策意図といいますか、それが反映をして数字が出てくる。これは何ぼ参考やと言ってもそれが基準になっていき、それで全体をくくっていく、この点でも地方自治に対する重大な規制であり、また侵害になってくる。こういう状況が相重なってずっと私は出てきていると思う。
 その上に、いま出てきている保のは、老人保健法、あの法案にあるように、福祉も国並みにせいと、こういうのがだんだん声が大きくなってきている。それはばらまき福祉やとかいう批判をしたり、いろんな角度で公表されていますけれども、そういうような状況を考えると、今度の地公法に定年制を導入するというのは、単に地方公務員労働者に対する問題だけではなしに、いよいよ自治体に対する規制あるいは自治権の規制、これが法律でもって行われようとするその第一歩の問題として私は重視をしている。
 それで、大臣自身も反対をされているように、例の国保の府県負担の問題、あるいは特別児童扶養手当及び児童扶養手当の問題、あれも自治体で持てとかいうようなことをやってくるわけでしょう。だから、自主財源を確立をして自治権を強めていくという方向じゃなしに、国自身の仕事に対しても自治体から金を出させよう、負担をさせよう、ツケを回そうというようなことを含めまして、私は今日地方自治はきわめて危険な方向に進んでいると考えざるを得ないわけですよ。そういう意味で冒頭に例のあの渡辺大蔵大臣の発言も持ち出したわけですけれども、そういう点について、自治大臣というのはやっぱり自治体を擁護し、地方自治を守るために、そして地方分権化の方向を進めていくということをいままで答弁されていますが、そういう立場から見て、この問題全体をどういうようにお考えがお聞きをしておきたいと思います。
#343
○国務大臣(安孫子藤吉君) 総括的な御質問でございますが、いろいろと背景について一々御指摘がございましたが、この点につきましては、たとえば人事管理の面とか、あるいは人事委員会の問題とか、定数の問題とか、これはやはり自治体にとりましてきわめて重要な問題でありますが、やはり全体からながめますと、ある程度の指示をするとか、あるいは措置をするとかというようなことが必要な状況にあることはこれは私は事実だと思っております。これに適応していかなくちゃいかぬ、そういうことで自治省もいろいろと検討をいたしまして、それなりの対応をしておるのがいままで論ぜられた一点でございます。
 問題は、非常に地方自治が危機に瀕しているんじゃないか、こういうのが総括的な御意見でございますが、いろいろ問題のあることだけは事実でございます。しかしながら、この問題に対して、私どもは地方自治という立場に立ってこれを処理をしていくといったてまえでもって各般の施策を講じておるところでございます。この点は御理解をいただける一点だろうと思います。
 定年法の問題でございますけれども、これは率直に私申し上げますと、現在、勧奨退職というのは五十七、八歳でやっておるわけでございます。それが六十歳まで保障されるわけでございまするから、これはいろいろ議論があるだろうと思いますけれども、私は地方公務員にとってブラスの面があると思っておるんです。それをお話しのように六十五にしたらどうかなんとかいろいろな御意見もありますが、やはり問題というものは一歩前進、一歩前進でいくわけでございまして、いますぐに六十五というわけにもいかぬ、これは社会常識だろうと思うんです。そういうことで、基準という問題に大変こだわっておられるようでございまするが、基準は私どもは六十歳と考えておるわけでございます。
 大変率直な意見を申し述べましたが、要するに地方自治についてはいろいろ問題がいま山積をいたしております。この中におきまして、自治省としましてもその問題に適当に、適当にと申しますか、適切に対処いたしまして今後の地方自治の発展に寄与するために一生懸命職員はやっておる、こういうことだけはひとつ御理解を願いたいと思います。
#344
○神谷信之助君 いま五十八歳ぐらいで勧奨退職をやっておるんだから六十に決めるのはまだプラスだという話でしょう。それなら、わざわざ心配されぬでいいわけですよ。事務当局がさっきから言っておられるのは、だんだん勧奨退職が五十八からもっと上に上がってくる、あるいは五十八ぐらいでやめてもらおうと思ってもなかなかやめぬ人がふえてくる、だから早いこと六十で決めていかぬといかぬのだという話を言っておられるんですよ。
 ぼくは、大臣みたいなお考えだったら、何も法律で六十に決めぬでも、一歩譲って定年制を入れるとしても、その年齢はそれぞれの自治体の実情に応じて決めなさい、条例で決めなさいと。だから、三十一年法なりあるいは四十三年法の手法、やり方を入れたらいいだけなんです。そうしたら、これこそそのときどきの情勢に応じて、あるいはその地域の労働条件なり労働状況あるいは雇用状況やらそういうもの、あるいは産業の振興その他の状況を考えて、あるところでは五十八にするかもしらぬ、あるところでは六十三にまでいけるというところもあるかもしれぬし、それはそれで出てくるでしょう。その方がより現実的で具体的な対応になるわけですよ。本来自治体というのはそういうことが可能なところに自治体の存在理由があるんだから、それができなきゃ国の出先機関になってしまうじゃないですか。その根本のところが私はどうも納得がいかぬのですが、いかがですか。
#345
○国務大臣(安孫子藤吉君) やっぱり定年制につきましては国家公務員との関係もございます。したがいまして、基準だけは合わせる、そしてその具体的な問題については条例で定めると。この点はずいぶんと自治省の職員は苦労した一点なんです。そういうことでひとつこの点は理解をいただきたいと思います。
#346
○神谷信之助君 どの点が苦労したんですか。苦労したのはどの点ですか。
#347
○国務大臣(安孫子藤吉君) 六十歳と書かないところが大変苦労したところです。
#348
○神谷信之助君 そういうことだろうと思うんですね。
 そうすると、さっきの課長の方の答弁というのは、いまの話と一緒にすれば、連動すれば意味はわかるわけだ。そういうことですね。もう一遍ちょっと念押しておきます。そういうことですね。
#349
○国務大臣(安孫子藤吉君) 「基準として」というのは大体六十歳だと、こういうわれわれは認識を持っておるわけです。
#350
○神谷信之助君 国家公務員の方が、六十歳という定年制法案が前国会で成立したわけですね。それが現実にある。だから、現実そういう状況になっておりますよと、後はひとつ自治体でというように解していいわけですか。
#351
○政府委員(大嶋孝君) これは、従来もいろいろと御議論があったわけでございますが、特別の事由がない限りは国の定年年齢と同一のものである、こういうふうに私ども理解をし、かつまた、そういうふうにいままでも御答弁を申し上げてきたというふうに理解をいたしております。
#352
○神谷信之助君 そう言われると、もうちょっと聞かなきゃいかぬ。
 それじゃ、特別の事由のない限りと言うのだけれども、特別の事由というのは一体どういうことになりますか。
#353
○説明員(片山虎之助君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、国と同一の年齢をとることがむしろ当該団体の退職管理あるいは長期的な人事管理にマイナスになるようなケースでございます。
#354
○神谷信之助君 そのマイナスになるようなケースというのはどんなケースですか。ちょっとわからぬ。どういうことを想定されているのですか。
#355
○説明員(片山虎之助君) これは想定で申し上げますから、実際の具体的な団体の例とは違うと思いますけれども、たとえば、現在勧奨が五十五であるというわけでございますけれども、それを六十年に六十歳にすることは、新陳代謝ができなくなる、新規採用ができなくなる、こういうケースの場合には、過渡的に、たとえば六十年に五十八歳、何年か後に六十歳にする、こういうことも想定されるわけでございます。想定のお話でございますけれども。
#356
○神谷信之助君 そうすると、さっき聞いた六十より下の話やね。六十より上というのは、あなたの想定、いわゆる特別な事由の中にはないわけか。
#357
○説明員(片山虎之助君) 一般的には六十歳以上のケースは想定できないかと思います。
#358
○神谷信之助君 それじゃ、あんた、大臣の言う「基準として」というのは、いかにも自治体の自主性が保障されているかのような言い方をなさったけれども、そうじゃない。国の基準よりも下ならばよろしいと、六十歳以上だったらいかぬと。そんなおかしな話ないじゃないですか。それじゃますます自主性が――「基準として」というのに苦労した、六十と書かなかったところが苦労のありどころやと、こうおっしゃる意味がもうひとつよく理解ができないわけですがね、いかがですか。
#359
○政府委員(砂子田隆君) どうも、あるいは前後の脈絡でどういうことであったのかよくわかりませんが、私は、この間も申し上げましたように、「基準として」というのは、やはりそれは守らなきゃならぬ厳格な意味の基準だというふうに考えておりますが、ただそれは一体何かという御質問があるのかもしりませんが、非常に合理的な理由、どうしても公共団体にしかない職種がありましたり、国とどうしても比べものにならなかったり、いろんなものが私はやっぱりいろいろ職種を調べれば出てくると思います。それについて合理的な理由がもしあれば、六十歳以上を超えて定めるということは私はあり得ると思います。だからいま、じゃ合理的な理由がある職種をすぐ出せと言われましても、すぐこれだというお答えをすることは大変むずかしいわけですが、国の決め方、国のいろんな基準の決め方などを見まして、そういうのを少し私たちの方も、この法律を通していただきますならば、国自身も国家公務員に対するいろんな規則をおつくりになると思いますから、そういうものと比較し均衡を考えながら、公共団体自体のいろいろな仕事の流れ、業務、そういうものを考えて、合理的な理由が出てきたということであれば、それなりに私たちの方は対処していきたい、これはもう前から御答弁を申し上げているとおりでございます。
#360
○神谷信之助君 いや、局長、いま議論しているのはその問題と違うんだよ。そういう特別の問題についてはもう書いてあるんだから、別に考えるやつはあるわけでしょう。それである意味では条例事項になったりするんですわ。そのことを言っているんじゃない。一般基準です。一般的基準としてどうやと。そしたら、課長は、五十八か五十七、それで何年か後に六十にしていくということもあり得ますと、こう言う。それで六十以上はあらへんのやというわけよ。それじゃあんた、おかしいじゃないか。「基準として」ということでそういう意味のやつがあるとすれば、同じようなこと――想定ですからね、実際問題としてはどうなるかわかりませんが、五十五、五十八と決めてもいいというなら、六十三と決めてもいいし、六十五と決めてもいいじゃないか。これはあたりまえ、あるじゃないか。まあ想定やから、そんな理由は考えられへんと言われるなら別だけれども、わからぬわね、これは。そういうこともあり得るやもしれぬ。しかし、課長の説明やったら、六十以下しかあきまへんと、こう言っているわけだ。それ。じゃおかしいじゃないか。
#361
○政府委員(大嶋孝君) 先ほどから御論議があるわけでございますけれども、私は、国家公務員法につきまして原則六十歳であります。例外的に六十五歳でありますとか、六十三歳でありますとか、あるいは人事院規則で定めるものについて六十から六十五歳で定められますと、こういうようなことがございます。これは原則定年の中に私は入ると思います。
 そこで、じゃ合理的な理由というのは具体的に何があるかと、こういう御質問でございますけれども、私、いま思いつけば申し上げるところでございますが、ちょっといま、どういうものがあるかということにつきまして、将来いろいろ出てくるかもしれませんけれども、現在のところ、たとえばこういうものがございますというふうには正確に申し上げることができないのははなはだ恐縮に存じております。
#362
○神谷信之助君 それじゃ、もう一つ聞いておきますが、合理的な理由がある場合には、いまの説明では六十歳以下という話だけれども、合理的な理由であるとかないとかという判断はどこでしますか。
#363
○説明員(片山虎之助君) 制度が、分限、身分保障の制度でございますから、身分保障の基本的な考え方に背馳しない、それからいま言いましたように、人事管理、退職管理の観点から物を考えるべきであろうと思います。
#364
○神谷信之助君 いや、その判断をする機関。なるほどおまえのところは五十八歳でよろしい、おまえのところは六十三歳で条例づくってよろしいという判断をする機関というのはどこになりますか。
#365
○説明員(片山虎之助君) それは各地方団体でございます。条例を提出する際の各地方団体でございます。
#366
○神谷信之助君 そうすると、各地方団体がそれぞれの条件に応じて、うちでは六十歳を定年にするよりも六十二の方が人事管理上よろしい、活力を持たせられる、あるいは五十八の方がよろしいと、こういう判断は各団体でやるわけですね。そういうようにいまの答えは聞いていいわけですね。
#367
○説明員(片山虎之助君) 先ほど申し上げましたが、定年制度の趣旨に照らしまして、合理性があるかどうかの判断を各地方団体にお願いすると、こういうわけでございます。
#368
○神谷信之助君 定年制度の趣旨というのは、新陳代謝があって活力を持たせると、こういうことでしょう。それで、年齢はどこで線引っ張るか。それは国は六十歳と決められた、それで、いま出ている法案にはそれを「基準とする」と、こう書いてある。それで実際に、それぞれ当該の自治体は、うちの場合は六十三とするか、五十八とするか、六十にするか、これは言ったら、その目的である活力を与え、新陳代謝ができるという判断に立ては、自治体の長がそういう条例をつくってもいいと、あなたの答弁やったらそういうことになりますよ。
#369
○政府委員(大嶋孝君) 国の定年につきまして定められておりますものに関します限りは、私は国の定年と同じ定年だというふうに理解をしておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、合理的な理由というのがどういうものがあるかということにつきまして、私は、ただいまこういうものですということが例示できないということを申し上げたわけでございます。今後どういうものが出てまいりますかわかりませんが、それは客観的に見て合理的な理由がある、そして、しかも国家公務員なり他の地方公共団体との均衡を失しないというようなものがあればというようなことで公務員一課長も申し上げておるところでございます。
#370
○神谷信之助君 だから、公務員一課長はどういうものを想定をしているかと言うたら、たとえば勧奨年齢が五十五やと、一遍に六十にするのはちょっと余りにも激し過ぎると、だから激変緩和の措置で間に何年か入れようと、こういう場合が考えられると、こう言っているわけだね。だから、それだったら六十一にする、六十三にするといって決めてもいいじゃないか。それは、いや定年制の目的を達しなければいかぬとこうおっしゃる。だから、その判断はだれがするのかと言うたら、それは自治体の長やと。合理性があるかどうかという判断は自治体の長がやると言っている、あなた方は。そうしたら、自治体の長は、自分のところの職場の中に活力を与え、そしてしかも新陳代謝ができると。そして国が基準で六十というのを決めているから、全然決めぬというわけにいかぬさかいにといって、わしのところはそれなら六十三にしようと。それの方がより合理的だと判断するわけです。それはいかぬということにならぬわけでしょう、あなたの答弁だと。
#371
○説明員(片山虎之助君) 先ほど、どういうケースが想定できるかという御質問でございましたので御答弁申し上げたわけでありますけれども、一般的には六十歳以上のケースというのはなかなか想定できないだろうと、こう思いますけれども、いろんな団体にいろんな事情があるわけでございますから、なおその点につきましては、客観性ある合理的な理由があるのかないのか当局としても研究いたしたいと思います。
#372
○神谷信之助君 あなたのところが研究するのか。さっきの答弁は、合理的な理由があるかどうかという判断はだれがするのかと言うたら、自治体の長だと言うたやないか。あなたのところが判断するとは言ってへんやないか。自治大臣が判断するのか。それは違うでしょう。指導、助言はできるけれども、判断する主体は自治体の長でしょう。
#373
○説明員(片山虎之助君) ちょっと言葉が足りずに失礼いたしましたけれども、もとより指導、助言する場合等の考え方の何か尺度が必要ではなかろうかと、こういう考えでございます。
#374
○神谷信之助君 そうすると、自治体の長が、合理的な理由がある、すなわち六十三なら六十三でいいですわね、あるいは六十五なら六十五で線を引こうと。うちの職場の実態や、あるいは年齢別の構成状況や、あるいは地域の産業の振興の状態や、あるいは高年齢の人たちの雇用、使用の問題やら、いろんな点を勘案して、六十二なら六十三、六十五なら六十五、これがその地域の人々の理解と納得も得られるし、そして新陳代謝も進み、活力ある職場をつくることができる。生きがいを与えて、ひとつ大いにがんばろうと、こういう意欲を燃やすことができると、こう自治体の長が判断して、そういう条例を提案をして議会が認める、そういう場合には、自治省の方は、指導、助言に物を言わせて、そんなやつはいかぬと、けしからぬということになるわけですか。これは地方公務員法に違反をするという、そういうことになるんですか。
#375
○説明員(片山虎之助君) 先ほども御答弁申し上げましたが、この「基準」というのは非常に厳格、厳重に解釈運用をいたしたい。法律の所管は自治省でございまして、その解釈権があるわけでございますが、そういう趣旨のことを申し上げたわけであります。地方団体によってばらばらでもいいではないか、それで活力の保持ができるならばいいではないかという御指摘もございましたが、これは何度も申し上げますように、基本的な公務員の身分保障の制度でございまして、よっぽどの合理的なきちっとした理由がない限り国の基準に合わせていただく、これが何度も申し上げているところでございます。
#376
○神谷信之助君 聞けば聞くほどややこしくなってくるね。そうすると、問題は、国が決めたからそうするというだけやな、簡単に言うたら。六十にしているというのは。それは厳しくやるのだと、こういうことですか。
#377
○政府委員(大嶋孝君) 国が決めたからということよりも、要するに、地方公務員も国家公務員も同じ公務員としての仕事をしておるわけでございます。その中で、国の原則定年は六十歳であります。それに対して、いろんな例外というのがございまして、たとえば六十五歳であるとか六十三歳でありますとか、その他人事院規則で定めるものがあるわけでございます。そういうものにつきましては、地方も同じような定年年齢を定めるこういうことで御答弁を申し上げておるところでございまして、そのほかの合理的な理由というのは、繰り返して申し上げますように、いま具体的にどういうものかということがちょっとここで思いつかないというような状況でございます。いろいろとまた私どもとしても検討していかなければならないものである、こういうふうに考えておるところでございます。
#378
○神谷信之助君 そうすると、まだこれから検討しやはるのやから、それだったらそれが出てこなかったら審議できへんやないか。ちょっと早う検討してもろうて、もう一遍検討の結果を報告してもらって、それで改めて審議せなしょうがない。
#379
○政府委員(砂子田隆君) いろいろと問い詰められておりますからいろんなことを申し上げているんだろうと思いますが、何回も申し上げておりますとおり、基本的には国と全く同じにやるんだというのがこの「基準」の意味であります。ですから、一番先に申し上げましたように、きわめて厳格に解釈をするのだということを何回も申し上げているわけであります。ですから、よほど国と何か違っておるというものが出てきたときにどうするかという議論は別としまして、一般的にはもう六十で決めていただく。先ほど大臣が申し上げましたように、この法律をつくるときにも、六十ということを法律上はっきり書くべきだという、こういう議論があったわけであります。しかし、私たちといたしまして、やはり最終的にこれを決めるのは公共団体だから、やはり議会の協賛を得てやるというのが筋だということで条例ということに直したわけでありますから、そういう点を御理解を願いますれば、ここに書いてある自治省の真意がおわかりいただけるというふうに、お考えいただきたいと思います。
#380
○神谷信之助君 そこで自治省の真意を私はさっきから聞いているわけですよ。いま御答弁でわかったことは、六十と法律で明記をするということもあったけれども、しかし自治体はちゃんと議会があるのだから議会で条例を決めてもらうということで六十という数字は書かなかった、こういうことでしょう。だから、その点では、議会が、あるいは長がどういう条例案を出すか、あるいは議会がそれに対してどういう結論を出すか、ここにかかっているのであって、そこで先ほどの話じゃないけれども、五十八という結論が出るか、六十三という結論が出ようが、これは法律には違反しないわけでしょう。六十と書かなかったのだから。
#381
○国務大臣(安孫子藤吉君) 結局、この問題は国と同じということが真意なんです。そこで、それ以上ということは、いろいろ言いますけれども、将来研究するなんて言いますけれども、研究する必要は私はないだろうと思っているのです。恐らくそういう事案は出てこないと考えておるのです、法律の趣旨から申しまして。
 そこで、原則でありますが、この基準というのは六十歳と考えておいていただきたい。またそういう指導、助言もしたい。これが本当の考え方でございます。
#382
○神谷信之助君 ちょっと、大臣の本当の考えと、そっちのくみ取ってほしい真意というのが食い違っているじゃないか。
#383
○政府委員(砂子田隆君) 私が答弁をしていることと、大臣が答弁をしていることは全く同じことでございまして、ただ言葉のニュアンスが若干違っている、それはあろうかもしれませんが、一貫してここで皆様に、お答えをいたしておりますのは、基準というのはあくまでも厳格に解釈をしているのです。ですから、国と同様にするということが第一義ですということを何回も申し上げているわけです。ですから、それじゃ初めから六十歳というふうに法律で書いたらいいじゃないかという御議論がありますから、それはやっぱりそういうものではないだろうと。やはり公共団体がある以上は、条例でそれを決めていただくというところに公共団体としての責務も出てくるわけでありますから、そういう意味で、条例で基準に従って決めるということを書いてあるわけですから、その辺はひとつおわかりをいただきたいと存じます。
#384
○神谷信之助君 もう一遍はっきりしますがね、先ほどの答弁では、この二十八条の二の二項、これは六十年というか六十歳というか、そう書くという意見もあったけれども、しかしこれはやっぱり議会もあるんだと、自治体なんだと、だからそうは言わないで、「定年を基準として条例で定めるものとする。」と、こうなったと、こうわけですね。それでその意図は国とイコールですよと、同じにしてくださいよということだけれども、それは法律にはないわね。明文化していませんわね。国と同じ年齢にしなさいよということは書いてない。「基準として条例で定める」と書いてありますね。基準として条例で定めるんですから、そういう点では、自治体の長がどういう条例案をつくろうと、あるいは議会でそれをどう修正したり何しようと、これについて、そういうことをやれば地公法二十八条の二の二項違反であると言うわけにはいかぬでしょう。どうですか。
#385
○政府委員(砂子田隆君) この二十八条の二の、「基準として条例で定める」というのは、何回も申し上げておりますとおり、この「基準」というのはきわめて厳格に解釈をするんですと、こう申し上げているわけです。厳格に解するというのは、国と同じにするんです、基本的には同じなんです、しかし、それを国自身が法律の中で地方公務員の定年をぴしゃりと決めてしまうのはいかがであろうがということがありますから、それは地方自治というものを守るという意味から言いますと、やはり公共団体に任せて条例で決めるというのが望ましいというふうに考えておるわけですから、「基準として」という意味はきわめて厳格に解釈をすることであります。
#386
○神谷信之助君 だから聞いているんですよ。五十八歳とか六十二歳とか六十三歳とか、自治体の長と議会の中で議論をして、そうして条例が決められた、これを認めざるを得ぬでしょう。特に地方自治を確立しなければいかぬと言っている自治大臣の立場、あるいは自治省の立場からいったら、けしからぬと、勝手なことをしたと言うわけにはいかぬでしょう、適法に地方議会でその条例が可決されれば。どうですか。
#387
○政府委員(砂子田隆君) これは一般的に言えることでありますが、公共団体の職種というのは国の公務員の職種と、これは何回も申し上げているとおり、大変類似をしているわけであります。それなるがゆえに、いろんな勤務条件そのほかにつきましても国と同じような決め方をいままでやってきたわけであります。ですから、国と何ら異なることがないという一般的な基準の中では、やはり国が六十という一般的な基準であれば、地方も一般的な基準としては六十だと。しかし、先ほど申し上げておる、そこが非常にまた論議を呼んで誤解を招くもとになるのですが、だれが見ても客観的にそれは全く合理的だというものがもしあるとすれば、それはそれなりの判断をせざるを得ないだろうと申し上げているわけであります。
#388
○神谷信之助君 だから、合理的なものであるということが判断できれば、それは認めざるを得ないだろう。それで合理的なものという判断はだれだと言うたら、提案をする条例の提案者である長であるし、あるいはそれを審議して決定する議会である、こういうことになるわけですね。
#389
○政府委員(砂子田隆君) もちろん第一義的には公共団体がそれを判断するでありましょう。しかし、この法律の主管省なり、法律に対する解釈をするのもまた国の役目であります。ですから、一義的に公共団体でそういう判断をなさり、そうしてわれわれもそうだというふうに考えられない限り、やはりそのものは法律に対して少し問題が残るということになると思います。
#390
○神谷信之助君 そうすると、結局自治省がこの法律の主管省やから、自治省がオーケーと言わなければそれは認められないと、こういうことになるわけですか。
#391
○政府委員(砂子田隆君) 一般的に六十ということを決めない以上はそういう判断が自治省にあるということであります
#392
○神谷信之助君 だから、その点がまさに自治体に対する、いわゆる自治権に対する支配、介入と言わざるを得ぬのですよね。いかにそれぞれの自治体がそれぞれの条件でいろんなことをやろうと考えても、自治省がうんと言わなかったら許さぬぞということでしょう。そこが問題なんですよ、私は。
#393
○政府委員(砂子田隆君) いま申し上げておりますのは、その法律の解釈といいますか、法律を所管をしているといいますか、そういう意味で申し上げているわけでして、いたずらに自治に干渉しようということを申し上げているわけではないわけであります。それは、ほかの給与条例を決めているそういう姿を見てもおわかりのとおりでありまして、それがだれから見てもきわめて不当であるとか、著しくそれが法律の規定に違反をしているとか、そういういろんなことが土台になっているわけでありますから、そういう指導というのは、やはり全体的な、公共団体全体の幸福を願うのであれば、そういうことも考えなきゃいかぬだろうということであります。
#394
○神谷信之助君 問題はそこのところですよ。あなた方の方が給与の問題にしろ、定員の問題にしろ、この定年制の問題にしろ、指導、助言ということでいろいろと注文をつけるという問題ですわね。
 それで、何でそれはそうなってくるのか。一般的な世論であるかのように言っているけれども、実際は、たとえばきょう午後の冒頭に言いましたように、定年制導入に至る経緯を見てみると、まず財界がそのことを要求してくるというところから始まってきているわけです。いまやられている臨調答申に基づく行革の問題もそうですね。財界の親分連中が集まってそうしてやっているわけでしょう。その基礎になった提言というやつは、もうちゃんと出ているわけだ。産業経済懇談会でしたか、そこの方針がそのまま、言うならば臨調の答申になり、そしてそれを受けていま衆議院でやっておるわけでしょう。そういう形でやりながらやっている。
 だから、安上がりの政府、そしてできるだけ地方自治体の方も安上がりにして、その余った財源は、われわれから言わしたらまさに戦争のために使っていこうと、こうなるわけです。これはまたこっちへ来たらやりますがね。事実そうなんだ。四十人学級でも六十億ぐらいの財源しか必要としないわけだ。だからP3C半分あったらできるわけ、凍結せぬでも。だから、そういうことを中心にして、そこを基礎にして、私は先ほど言うように、この定年制の問題にしても給与の問題にしてもずうっと出てきているわけですわな。だから、私は、そういう意図というものが太い線で流れていて、それがこういう現象としてあらわれてきているんですけどね。しかし、それはやっぱり矛盾が起こっているんですよ、私は。
 先ほどから、国家公務員と地方公務員を同じようにせないかぬと盛んにおっしゃるんだけれども、国家公務員法と地方公務員法とでは提案理由の説明のところにあるように違うんですよね、考え方は。理念は導入するけれども、やり方は自主性に任せるんだというのを最大限に尊重しながら、したがって給与の条件にしても服務の条件にしても全部そういう意味では自治体の判断といいますか、自主制というものを保障するようになっている。これが地方公務員法ですよ。
 だから、そういう全体の地方公務員法の体系から言うたら、「基準として条例で定めるものとする。」ということは、これは自治体の長と議会とで自主的に決めることが可能である、それをしてはいけないということにはならない。ここはだから、そういう意味では私は自治省が苦心をなさったところだと思いますよ。これ真っすぐ定年を六十歳とするというように決めておけば、そう書いてあれば、ますますもって地方公務員法全体の中の異分子であるということがはっきりしてしまうし、法の体系自身を乱すことに私はなると思う。だから、自治体の自主性を、やっぱりこういうものを導入する場合でも保障せないかぬ。そういうことを考慮せざるを得ないというのはわかる。だからこそ「基準として条例で定めるものとする。」という苦心の作ができた。しかし、これを、いかに法令解釈権が主管省である自治省にあるとしても、文章自身からは、こうしなきゃならぬ、そういう以外の何しちゃいかぬというのはない。それで、合理的な理由というやつは長が判断をする、こうなっている。あるいはまた議会が判断すると。言うなれば、主人公である地域住民が判断をするわけです。そういうことでしょう、地方自治の本来の姿から言えば。
 ですから、先ほどはしなくも課長が、そういう意味では、五十五の勧奨退職をとっているところで、五十八にし、六十へ向けて激変緩和の措置をやるということも想定されますと。それは、そうやった方が活力を持ち新陳代謝ができる、こういう意味からだと、こう言う。目的はそこだから、活力ある新陳代謝が可能だということであれば、それぞれの自治体の条件に応じて六十三もあれば六十五もあってあたりまえだと。それをだれが判断するのかと言ったら長だとおっしゃる。それに対して今度は局長は、いや第一義的にはそっちだけれども、第二義判断は私のところだと、私の言うことを聞いてもらわなければ困ると、こうおっしゃれば、まさに自治権の侵害じゃないかと、こういうことになるでしょう。そういうように私は思うんですよ。
 ですから、この点、もう予定時間が来ましたから何ですが、これは非常に私はそういう意味で、先ほどから何遍も言いますように、公然と国の基準をそのまま持ってくる、そして自治体の自主性を奪い取ってしまうようなこういう公務員法の改悪というのはきわめて重大だと。いままで法律でそういう形でストレートにこの公務員法の中にほうり込んでくるということはなかった。曲がりなりにも、いままでの三十一年法や四十三年法は、「条例で」「定めることができる」と、いった相当の、つくろうとつくるまいと自由だといったそういう状態から、まさに重要な変化である。それは何でそういう変化が起こるのかと言えば、それは高齢化社会の到来その他といろいろおっしゃっていますけれども、それは全体として自治体の、何といいますか、住民の要求がどんどんと深まっていますから、そういう中で行政の対応を要求される、それに対応するのについて勝手気ままなことは許せないという、いわゆるそういう立場からの自治権の侵害というのがあらゆる面で出てきているというように私は思うんです。
 そういうことをきょうは最後に申し上げて、大体予定の時間ですから以上で終わります。
#395
○委員長(上條勝久君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時四十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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