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1981/10/30 第95回国会 参議院 参議院会議録情報 第095回国会 地方行政委員会 第7号
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1981/10/30 第95回国会 参議院

参議院会議録情報 第095回国会 地方行政委員会 第7号

#1
第095回国会 地方行政委員会 第7号
昭和五十六年十月三十日(金曜日)
   午後二時二十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         上條 勝久君
    理事
                亀長 友義君
                名尾 良孝君
                志苫  裕君
                伊藤 郁男君
    委 員
                井上  孝君
                岩上 二郎君
                加藤 武徳君
                金井 元彦君
                後藤 正夫君
                杉山 令肇君
                原 文兵衛君
                福田 宏一君
                小山 一平君
                佐藤 三吾君
                和田 静夫君
                和泉 照雄君
                大川 清幸君
                神谷信之助君
                美濃部亮吉君
   国務大臣
       内閣総理大臣   鈴木 善幸君
       自 治 大 臣  安孫子藤吉君
   政府委員
       防衛庁防衛局長  塩田  章君
       外務省経済協力
       局長       柳  健一君
       外務省国際連合
       局長       門田 省三君
       大蔵省主計局次
       長        窪田  弘君
       労働省職業安定
       局長       関  英夫君
       自治大臣官房長  石原 信雄君
       自治省行政局長  砂子田 隆君
       自治省行政局公
       務員部長     大嶋  孝君
       自治省財政局長  土屋 佳照君
       自治省税務局長  関根 則之君
       消防庁長官    石見 隆三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方公務員法の一部を改正する法律案(第九十
 三回国会内閣提出、第九十四回国会衆議院送付
 )(継続案件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(上條勝久君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 地方公務員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言口を願います。
#3
○志苫裕君 総理、おいでいただきましたが、本題に入ります前にちょっとお伺いいたします。
 伝えられるところによりますと、奥野法務大臣は、本日の閣議後の記者会見におきまして、二十八日の東京地裁で開かれたロッキード事件丸紅ルート公判の法廷における榎本三恵子検察側証人の証言に触れて、検察当局は人の道をわきまえてやるべきで、人倫に反することはしない方がよいと発言をされたそうであります。これは明らかに検察側の公判維持に対する干渉でありまして、事実上の指揮権の発動であります、検察庁法では、その十四条において法務大臣に個別指揮権を与えてはおりません。にもかかわらずこの発言が行われておることはまことに不当であり、不法である、このように考えるのですが、総理の所見を伺いたい。
#4
○国務大臣(鈴木善幸君) いま志苫さんからお話がございました奥野法務大臣の記者会見における発言、実は私も、ここへ出る直前に秘書官からそういうテレビ放送がなされたということで、初めて承知をしたわけでございます。したがいまして、法務大臣にその真意を聞いておりません。おりませんが、私は、検察が、現に行われておる公判維持のためにとっておる措置というものは、これは当然必要の上に立ってなされておることでございましょうし、それに対して行政府がとやかく注文をつけたり介入をしたり、そういうようなことはすべきものではない、このように私自身は承知をいたしておるわけでございます。
 奥野法務大臣もそういう点は十分心得ての発言とは思いますが、いずれにしても、その発言の真意がどうであるのか、私まだはっきり本人から聞いておりませんから、私の考えだけを申し述べて御答弁にかえます。
#5
○志苫裕君 先ほどのいまですから、恐らく総理はつまびらかにしていないと、そのような御答弁があるだろうと私も想定をいたしておりましたが、いま総理お話しありましたように、検察がとっておる措置はそれなりの必要に基づいてやっているんだろうから、政府がとやかく言うべきものではないと、私もそうだと思う。
 ただ、後段にありましたように、法務大臣もその辺は十分心得ての発言だと思うがというのですが、これは全く心得ておらぬのですね、この発言を見る限り。私も現場にいたわけじゃありませんが、信頼できるマスコミ関係者から聞きますと、私の触れた発言のくだりに誤りはないようです。しかも、その前段では、証人を呼ぶ場合は社会一般に支持を受ける方法がよいと思うということもあるようでありますが、恐らく奥野さんの認識の中には、あの証言は社会一般に支持を得ていない、困ったものだと思っているんでしょう。これはまことに不当の限りでありまして、このままに済まされてよいという問題ではない、このように思います。
 総理は真意を確かめていないと言うのにそう深追いはできませんが、あなたは真意を確かめられるでしょう。私は発言に修飾を加えていないつもりでありますが、このとおりの発言、この発言が事実といたしますと、どのような対処をなされますか。
#6
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま御答弁申し上げたとおりでございますので、いずれ本人から真意をよくお聞きした上で判断をしたいと、こう思います。
#7
○志苫裕君 真意を聞いて判断をしたいと、
 いずれにいたしましても、われわれの判断ではまことに不当で、総理が真意を確かめた上で、事実を確かめた上で厳しい対処をすることが、今日総理もしばしば言っておりますように、あるいはまた行革の課題でも述べておりますように、政治の信頼を回復をするということに私はつながる道だと考えます。この点について再度総理の明快な御判断をお述べいただきたい。
#8
○国務大臣(鈴木善幸君) 私も同様に認識をしております。そういう心構えてこの問題にも対処したいと思います。
#9
○志苫裕君 ただいまの質問ではこれ以上私には詰められませんが、幸いにして総理は内閣委員会にお出になると伺っております。内閣委員会では同僚の議員から恐らく質問がなされるであろうと、このように考えますので、それまでの間にでも真意を確かめて、適正な対処ができる御用意を願いたいということをこの機会に付言をして、本題の質問に入ります。
 本法の審議のほぼ最終の段階だという認識がありますが、総理においで願いましたが、恐らく詳しい審議経過は御存じないだろうと思います。ですから、少し私の方から問題点を整理をして申し上げまして、後刻御答弁をいただきたいと思っております。
 地方公務員に定年制を導入しようという試みは昭和三十年ごろからございまして、国会に提出されただけでも今回を含めて三回にわたります。それぞれの時代的な背景を持ちながらも、とにかく長い論議が続けられたものでありまして、古いことはともかくといたしますが、九十四国会以来の本法の審議を通じて私どもが指摘をしておることは、第一に、本来公務員制度において排除されておる定年の概念を新たに持ち込もうというのであれば、公務員制度全般にわたる見直しを行うべきである、こういう主張をいたしておるわけです。地公法制定当時のいきさつはなおつまびらかでないところもありますが、公務員には職務の特殊性があるから勤労者としての労働基本権などが一面で制約を受ける、その代償として身分保障がなされておって、義務違反でもない限り身分は失わない、こういうことになっておりますが、自然年齢がある年齢に達したからといって、一律にその職を解かれるという概念は入る余地がなかったわけであります。そこへ定年制を持ち込もうというわけですから、自然に職員の労働権や基本権などのかかわりにおいて公務員制度の見直しを行い、公務の特殊性と勤労者の立場との整合性を図って定年制の合理性というものを確立をすべきだろうということを第一に指摘をしてきたところであります。
 第二は、定年制と地方自治との関係ですが、総理も御存じのように、内閣が行政権を持つと同じように、地方公共団体もまた、憲法上の行政執行機能を持っております、職員の身分は当該地方公共団体の住民の意思に根源を置いておりまして、その人事管理、退職管理は紛れもない自治体の事務で、地方自治の本旨にのっとって、言うならば国の干渉及び法律による画一的な拘束を排除する事柄に属すると思います、ところが、本法は事実上法律をもって画一的に地方公共団体を拘束をして、自治体の裁量権を著しく制限をしようとしております。自治省が言いますように、定年制という新しい身分条項を公務員制度に盛り込もうとするんだから、制度の一体性、すべての職員の身分保障という見地から、法律で大きな枠組みを定めるのが相当だという見解、これもあながち否定はいたしません。しかし、その論拠に立つといたしましても、法の拘束と自治体の選択や裁量というものが矛盾なく併存することは私は可能だと思います。そうした方法を真剣に講ずべきではないか、こういう点についていろいろただしてきたところであります。
 この際、総理にも申し上げますが、私は、公務員は幾つになってもやめない特権があるんだとか、人倫社会の交代のルールや世間並みの常識を無視してよろしいなどということを言っておるのではございません。あくまでも公務と勤労者の権利との調和、法と地方自治との両立というものを真剣に探るべきだということを言っておるのであります。少なくとも、財政再建だとか行政整理だとか、あるいは時の政治の恣意に便宜的にこの種問題が扱われてはならないということをいろいろと指摘をして今日に至りました。
 以上、審議にかかわる問題点を私なりに整理をいたしまして、総理の判断材料を提供した上で二、三の点についてお伺いをいたします。
 第一点は、今回の地方公務員法改正案は、定年制の導入につきまして国家公務員法の規定を絶対的基準としており、地方公共団体の自主性を損なう危険性も持っております、地方自治は憲法が明文をもって保障する重要な政治原理であり、最大限に尊重されなければならないことは周知のとおりであります。
 地方公務員に定年制を導入するに際しまして、この点についてどのような配慮をなされておりましたか、まず、総理にお伺いをいたします。
#10
○国務大臣(鈴木善幸君) 地方自治は憲法の明文で保障されておるところでありまして、政府といたしましてもこれを最大限に尊重していかなければならない、このように考えております。
 今回の定年制の導入に関する地方公務員法の改正案におきましては、定年制度の導入及び定年制度の基本的枠組みは法律で定め、定年制度の実施に関する事項は地方公共団体が条例で定めることといたしております。このようにいたしておりますのは、公務員制度と地方自治の本旨との調和を配慮いたしたからでございます。
#11
○志苫裕君 公正で民主的な公務の遂行を確保するためには、その担い手である公務員の身分保障を含めた公務員制度が万全なものとして確立をされておらなければなりません。しかるに、本地公法改正案をめぐる論議の過程でも明らかにしましたように、私が先ほども申し上げましたように、現行公務員制度は多くの問題を抱えております。これをそのままにして定年制が導入されますことはまことに不合理だと思いますし、早急な制度の検討が望まれる、このように考えますが、総理の見解はいかがですか。
#12
○国務大臣(鈴木善幸君) 公正にして民主的な行政の運営ということは、正しい公務員制度の存在が必要であるということは御指摘のとおりでございまして、私もそのように考えております。したがって、公務員制度のあり方につきましては、今後とも関係緒機関の意見を十分にお聞きをいたしまして、検討を続けてまいる考えでございます。
#13
○志苫裕君 関係機関の御意見を伺うことは当然ですが、私どもの意見も大いにまた聞いてもらいたいと思います。
 次に、現行公務員制度の中で最も問題とすべきことは、労働基本権の否認一制約と政治活動の自由に対する制限です。ただいま総理がお答えの、公務員制度の検討の中心をなすものとしてこれらの課題がある、このように受けとめてよろしいですね、
#14
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいまのような御意見は、しばしば国会の諸先生等からも御指摘がございまして、私どもも傾聴して承知をいたしておるところでございます。
 いずれにいたしましても、今後御意見の存するところを十分その趣旨も踏まえ、また、公務員の地位及び職務の特殊性ということも勘案をしながら対処してまいりたいと、このように考えております。
#15
○志苫裕君 終わります。
#16
○和泉照雄君 私は、本案について総理大臣にお伺いをいたしますが、それは定年退職後の再就職の問題でございます。
 昨年の十月に総理府が行いました「年金問題・高齢化問題に関する世論調査」によりますと、何歳ぐらいまで現役で働いていたいかという問いに対しまして、六十五歳までというのが二五%、七十歳ぐらいまでが一四%、一生というのが一二%で、六十五歳以上現役で働きたいという方々が多いという数字になっております。
 このように、高齢になっても現役で働きたいという希望が多いのですけれども、六十歳定年制がしかれますと、再就職の門は非常に狭くなるのじゃないか、こういうように思うわけでございますが、労働意欲がありかつ能力がある定年退職者の再就職についてどのように考え、また、どのような援助をしていこうとお考えか、お伺いをいたします。
#17
○国務大臣(鈴木善幸君) 今日までも、勧奨退職等がなされました場合におきましては、再就職につきましてできるだけのお世話をする、こういうことにいたしておったわけでございます。
 今度法律の改正が実現をいたしました暁におきましても、その再就職につきましては、引き続いて十分な配慮をしてまいりたいと、このように考えておるわけでございます。改正案で新設される再任用制度の適切な運用等を通じまして、再雇用についてきめの細かな配慮を行うように政府としても適切な指導をしてまいりたい、こう考えております。
#18
○和泉照雄君 次は、南北サミットについてお伺いをいたします。
 十月二十四日、メキシコにおける南北サミットは終わったわけでございますが、総理は二十六日にお帰りになったのでございますが、過去における南北対話は、ともすれば不毛の対立に終わった例が多かったのでありますけれども、今回も南北の格差の是正ということについては、成果については大分厳しい批評があったようでございますけれども、総理は、この成果についてはどのような受けとめ方をしお帰りになったか、お聞かせ願いたいと思います。
#19
○国務大臣(鈴木善幸君) 今回のカンクンにおきますいわゆる南北サミットは、先進国並びに開発途上国二十二カ国の首脳が一堂に会しまして、開発と協力に関する問題をテーマといたしまして腹蔵のない率直な意見の交換をしたわけでございます。
 今日、この南北問題は、世界の平和と安定の見地からいたしましても、また、世界経済が当面しております困難な状況を打開いたしまして国際経済の再活性化を図る、こういう観点からも、先進国が開発途上国に対して積極的な協力を行っていく、連帯と協調の精神の上に立って開発途上国を支援をしていくということが私は非常に大事である、そういう精神がカンクンの会議で横溢をいたしました。
 その結果、従来問題になっておりましたところの、国連で七九年に決議をされながら停滞をいたしておりましたところの包括交渉、グローバル・ネゴシエーションの問題につきましても、これを国連総会において早急にその開始ができるようにすべきである、こういうことが合意をされたわけでございます。
 私は、そういう意味で今回の南北サミットは非常な前進を見ることができた、このように考えておるわけであります。
 わが国は、自由陣営における経済力の大きな国の一つでありますが、その経済力、技術力をもつて開発途上国に手をかしまして、そして開発途上国の経済、社会の開発、民生の安定、福祉の向上に役立てたい、また、それを通じて世界の平和と安定に寄与したい、こういう立場で、私もカンクンの会議におきましては積極的に発言もし、また、努力もいたしたような次第でございます。
#20
○和泉照雄君 わが国は従来、世界各国と比較しましてかなり経済協力がおくれておる、こういうふうに言われておりましたけれども、一九七八年から三年同で約三十三億ドルと、倍増以上までに実績を伸ばしたことは評価されておるようでございますが、今後五年間の政府開発援助を過去の五年間の実績の二倍に持っていこうという新中期目標が定められて努力しておられるようでございますけれども、その初年度であることしは、その滑り出しはどうなのか。これは国際公約でありますので、お伺いしておきたいと思います。
#21
○国務大臣(鈴木善幸君) おっしゃるとおり、わが国といたしましては、国力、国情にふさわしい国際的な貢献をしなければならない、こういうような考えに基づきまして、一九七八年から八〇年まで三年間にODAの予算を倍増をいたしたわけでございます。さらに今年の一月に、七〇年代後半の実績、それを八〇年代前半五カ年間に倍増したい、こういう中期目標を設定をいたしまして努力をいたしておるわけでありますが、五十七年度予算の編成をただいま政府としては、国会に関係法案の御審議もお願いを申し上げておりますと同時に、シーリングも決めまして、子算の編成にいま着手をしておるところでございます。そのシーリングの中では、いまのような趣旨を踏まえまして、前年度対比一一・四%ぐらい、そのようなシーリングでこれを実現しようということで努力をいたしておるところでございます。
#22
○和泉照雄君 地球上の人口の約四分の三を占める南側の人々、特に一人当たりの平均年間所得が百ドルにも満たない後進開発途上国では、毎日のパン一切れにも事欠く絶対的貧困者七億五千万の人々の声や、原油価格の高騰で財政的に破綻をして、薬も配られずに多数の乳幼児の死亡が防げない最貧国の窮状など、南北サミットに反映されなかったと報道されておるようでございます、これらの人々の援助のための食糧増産、農業開発、一次産品の価格安定、南北及び南南間の貿易の拡大等、幾つものテーマが南北サミットのテーマであったわけでございますけれども、また、鈴木総理自身も演説の中で、開発途上国の人口の三分の二を占める農民の生活基盤を改善する農村、農業開発の援助に一層ガを入れていく考えであるとこのように表明をしておられるところでございます。
 ところが、日本の過剰米や大豊作のアメリカの小麦を南側の最貧国地帯へ振り向けようという話は出なかった、このように報道されておりますけれども、食糧援助、これを一番南側の人たちは願っているところではなかったかと思います、この願いをわずかながらでもかなえてあげるというのが今度の南北サミットではなかったかと思うのでございます。また、わが国の今年度の米の作柄がよくないという報道もなされておる関係もありますけれども、在庫はまだ相当多いと思うわけでございます。米の現物の援助を含めて、農業開発に協力するという内容について御所見を承りたいと思います。
#23
○国務大臣(鈴木善幸君) 先般の南北サミットは、開発と協力の問題が主たる課題になりました。その中でも食糧の増産、そして農業の振興、農村の開発、これが一番具体的な課題として取り上げられた次第でございます。
 いま、最貧国に対する食糧援助のお話がございましたが、これにつきましては、当面の緊急の措置として取り上げる問題でございまして、食糧の恒久的な増産とその基盤をしっかりとつくる二とについて南北が協力をしていくという問題に重点が置かれたわけでございます。
 しかし、わが国といたしましては、従来から、あるいはパキスタンでありますとか、バングラデシュでありますとか、あるいはその他の国々に対しましても、食糧の緊急援助をやってまいりました。これは無償援助の形でもやってまいりましたし、あるいは有償でそういう資金的な面の協力もやってまいったところでございます。
 私は、カンクンにおきましても、タンザニアのニエレレ大統領その他とも個別にお会いをいたしました。いま申し上げましたように、食糧の緊急援助についての御要請も受けました。こういう点についても前向きに対処したいということで、食糧の主な生産国であります国々とも協議をいたしまして、これらの問題を御要望に沿うように日本としても御協力を申し上げていきたいと、このように考えております。
#24
○和泉照雄君 最後に御質問申し上げますが一十月の二十日に国連軍縮問題専門家グループ、これが「軍縮と開発の関係」という報告書を国連総会に提出しておるのでございますが、これによりますと、軍事費の増加を極力抑えればGNPがそれだけ増加する、軍事費をふやすとGNPが減少するということを報告しておるようでございます。たとえてみますと、いまの軍事費の増加を抑えれば、西暦二〇〇〇年には世界のGNPが三・七%増加するということを言っておるようでございます。
 総理も南北サミットでは演説の中で軍縮を強調しておられるようでございますが、この軍縮を実行して、ということは、軍事費を抑えて、GNPを上げて、国内の福祉、海外援助等に振り向ける額を多くしてということになりますけれども、このことについてはどのようにお考えでしょうか、
#25
○国務大臣(鈴木善幸君) いまお触れになりましたレポート、二〇〇〇年の時代に軍縮が着実に進められた場合に、経済成長、GNPは相当伸びる、三%ないし四%ぐらい伸びるだろう、こういうレポートが出ておるということも私お聞きしておるわけでございます。
 その中身をいま私どうこう申し上げるものではございませんが、私自身もカンクンにおける冒頭の演説におきまして、軍備管理あるいは軍縮の必要性を強調をいたしました。いま現実の国際社会は、東西の力の均衡の上に平和と安定が保持されておるということもこれは無視できない現実でございますけれども、しかし、軍縮を話し合いによって進めることによりまして、軍備に投入しておりますところの資源をできるだけ低位にこれを抑え、その資源を開放することによって経済の開発発展、民生の向上等にこれを振り向けるということが必要であるという観点に立ちまして、実は私はそういう主張をやったわけでございます。私も、開発途上国の国々の指導者から、その会議の後で大変あの主張はよかったと言ってお励ましをいただいたようなことでございます。
 今後ともわが国といたしましては、必要最小限度の防衛上の努力はいたします。いたしますが、私はその日本のやっているような必要最小限度の防衛努力というような前提の上に立ちますならば、決して世界の国々に劣るような、経済成長においておくれをとるようなこともございませんし、また、そのために福祉等の面で国民の皆さんに不満を与えるということにはならない。私は、わが国の必要最小限度の防衛努力、そしてこれが十分な経済成長、あるいは雇用の確保、あるいは国民生活の維持安定ということは十分やっていける、こういうような考え方で取り組んでおる次第でございます。
#26
○神谷信之助君 私は、まず地方自治の問題について総理の見解を聞きたいと思うんです。
 先ほども同僚議員が指摘をいたしましたように、今日の憲法の中で規定されておる地方自治、これはきわめて重要な政治原理だと思います。そしてまた、この地方自治は民主主義の基礎であり土台である、この地方自治の発展こそ民主主義の土台をつくるものとしてきわめて重視をしなければならない課題ではないか。したがって、関係者、政府も、地方自治の確立を目指して努力なさっているというように私は考えているんですが、いかがですか。
#27
○国務大臣(鈴木善幸君) 国家公務員の制度と地方公務員の制度、これは車の両輪とも……
#28
○神谷信之助君 その問題の前、地方自治そのものについて。
#29
○国務大臣(鈴木善幸君) 地方自治は、先ほども志苫さんにお答えを申し上げましたように、これは憲法上明記されておる基本的な原理でございまして、私はこれは最大限に政府としては尊重していかなければいけない。そういう前提に立って地方公務員制度、地方公務員の処遇、そういうものも考えていかなければいけない、このように考えております。
#30
○神谷信之助君 しかし、現実には地方自治の確立がいまだしという状態で、その大きな原因の中には、地方財源の自主的な確立という状況がいまだに完了していないといいますか、いわゆる三割自治という状況の中にあるということが非常に重要な問題になっているんです。きょうはその問題を議論することはいたしませんが、そういう状況の中で、私はおよそ地方自治に対する介入あるいは侵害、これは厳に戒めなければならない、こういうように思います、
 そこで、戦後、戦前の天皇制官僚時代から、戦後の近代的公務員制度を導入する、そういう状況の中で地方公務員法が誕生したわけでありますが、もちろん当時アメリカの占領軍支配のもとでありましたので、いわゆる政令二百一号による公務員労働者の基本的権利に対する制限やあるいは政治活動の自由の制限、こういった点がありましたが、少なくとも自治体が自主的に判断をし、そして選択をする、そういう余地は地方公務員法全体に流れてきているわけです。これは当時、岡野自治庁長官が提案理由の説明の中で述べておりますが、国家公務員法でいろいろ細々と細かい点まで規定をしておるけれども、この地方公務員法では、国家公務員法の理念は導入するが、自治体の自主性や多様性を考えて自由裁量の余地を十分に残しておりますと、そういう提案の理由を説明をしております。そういう状況ですから、したがって、たとえば勤務条件とか労働条件とかあるいは共済制度の問題とか、いろいろな点について、国の基準という言葉が入ってまいりますが、しかし同時に、地方の実態あるいは民間との関係とかいろいろなものを常に考慮して決めなさい、こうなっています。すなわち、現行の地方公務員法のたてまえは、国の基準はあるけれども、しかしそれをイコールにする必要はない、それぞれの地域の特殊性、条件、あるいは住民の意識状況、それらを考えて自主的に決めなさい、これが原則になっている。
 ところが、今度の定年制は、この点に真っ向から質の違うものを持ち込んできているわけです。すなわち、六十歳になったらいやおうなしにやめなさい、これは国の制度ですから国の制度にそのまま右へならえしなさい、こういうのが持ち込まれているんです。もちろん、先ほど御答弁なさったように、その他の条件は自主的に決めることができるようになさっている。しかし、原則的には六十、これは厳しく指導しますというように答弁されておりますから、それは国の方針を貫徹をする、こういう内容が今度の改正案の特徴であります。
 これは私は、現行の地方公務員法の中に最大限残されているところの自治体の自主性といいますか、選択の自由というか、こういったものを奪う、新しい地方公務員法のそういう自治を破壊する悪い方向への転換の第一歩であるというように考えているわけです。この点について総理の見解を聞きたいと思います。
#31
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、国の公務員制度、そして地方の公務員制度、この間には整合性が保たれなければならないというような趣旨で今日まで指導もされてきておるし、中央、地方がそのような方向で行政の運営にも当たってきておると、このように見ておるわけでございます。
 もとより地方は自主性もございます。条例等におきまして、それぞれの地方の独自の裁量というものができるように相なっておるわけでありますが、今回の定年制の導入におきましても、国との整合性を保ちながら、やはり条例等において、地方のそういう特殊な事情なり裁量というものは十分生かせるように配慮もされておると、このように考えるわけでございまして、行政の実際上の運営の面で地方自治の本旨を生かすようにやっていただきたいと、このように考えておりますし、政府もそういう考えで指導をしていきたいと、こう思っております。
#32
○神谷信之助君 それでは、国の定める年齢を基準としてこれを条例で定めるものとするという今回の改正は、いまの総理のお言葉で言うと、それぞれの自治体が自主的に条例で決めればよろしいというように理解をしていいわけですか。
#33
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど申し上げましたように、やはり国家公務員、地方公務員制度の間には、私は整合性があってしかるべきだと、こう考えております。でありますから、法律でもって一応基準を定めまして、その上に立って、地方の裁量、配慮というものが生かせるように条例等において対処していただきたいと、こういう考えでございます。
#34
○神谷信之助君 自治体の長が今日まで持っているところの人事管理の権限ですね、人事管理権といいますか。これに、もう六十になったら何が何でもやめてもらうという、そういう原則を強制するわけです。ですから、いかにその他の、その点を除いての部分的な裁量の余地があるとしても、私は、それはまさに自治権に対する法律による強制、侵害、介入であるというように言わざるを得ないと思うんです。
 その次の問題に移りますが、六十年に六十歳の定年制を実施をするということになっています。しかし、御承知のように、今日高齢化社会に向かっているわけです。高齢者の雇用というのはますます厳しくなる条件にあります。したがって、審議を通じてお尋ねいたしますと、六十年を目指して退職後の生活の指導なり、そういった問題ですね、退職後のガイドブックなんかをつくる、そういう準備を進めるために研究を進めるとおっしゃっている。
 そこで総理にお尋ねしますが、昭和六十年になりますとこの制度が始まるわけです。ですから、いまよりますます高齢者の雇用条件というのは厳しくなる。しかし、これから研究をなさる雇用対策、これは六十年に定年制が実現をするときには、完全に成果を上げて、そうして退職後、働く力を持ち、働きたいという意欲を持っている人が、さらに平均寿命の延びた今日、生きがいを持って人生を生きていけるという条件をつくり得ると、そういう点について確信をお持ちになっておられるのかどうかという点について、総理の見解をお聞きしておきたいと思います。
#35
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、先ほどもお答えをいたしましたように、政府が、定年退職者の再就職の問題でありますとか、いろいろの退職後の生活についてのあっせんをし、また、できるだけのお世話をすると、こういうことをいたしますと同時に、無年金者というものが生ずるわけでありますが、実際上それが、その時期までに共済法上の特例措置というものを政府としては最大の努力をいたしまして、いま御指摘がございましたようなことが救済される、措置されるようにいたしたいと、こう考えております。
#36
○神谷信之助君 無年金者について年金の特例を実施をする、できるようにするというお答えもお聞きをしています。しかし、現行の年金受給者がもらう年金でさえもその額は低いということで、毎年共済組合法の法案の審議ではわれわれ指摘をしているわけです。無年金者がもらう年金というのは、それよりさらに少ないわけです。だから、働く条件も保障されないし、年金も保障されない。その見通しもないのに首を切る方だけは先に決めてしまう。私はこれは血も涙もない鈴木内閣のやり方だというように言わざるを得ないと思うんです。
 最後に、もう一つお聞きをいたしますが、きょうの本会議でも与党の議員から質問があったりしておりましたけれども、地方公務員の給与が高いと、そういうことで自治省は、国に右へならえ、言うことを聞かなければ特別交付税をやらぬぞとかいような制裁、おどしをかけてくる。それから今度はモデル定員をつくる、人数も国並みにやれ、人件費もそれから数も国で統一をしていく、規制をしていくという方向がいま強まってきています。そこへ今度は定年制、これも国並みに右へならえですね。今度はこれはいよいよ法律でもって規制をする。言うことを聞かなければ、罰則はないけれども、そういう財政措置その他で強制をすることが可能だ、そういう指導もほのめかされる。そうしてその上に、いまこの国会で審議をされています老人保健法案、これは老人の医療費の無料化を国の水準より上げているところについては、好ましくない、財政事情を考えて自分でよう考えよと。ということは、逆に言えばおやめなさいということであります、だから、福祉も右へならえと。いまは公務員労働者に定年制を強制をするということをやりますけれども、しかもそれを自治体の自主性にゆだねるのじゃなしに、法制化して法律で規制をする。そして給与も人件費もいま公務員に対してそういう形で攻撃しながら、そして片一方では、福祉も右へならえ、国の水準を上回るようなことは許さないぞ、この徴候がいま出てきているんです。
 私は、その第一歩がこの今回の公務員法の改悪、こういうように思う。この道を許すならば、まさに自治体というものは名前だけで、昔の天皇制官僚時代に逆戻りしてしまう、そういう危険な状況さえ予想せざるを得ないような、そういう重大な今度は公務員制度あるいは公務員法体系に対する介入、国家権力の介入だというようように思うわけです。したがって、こういう立場から私はさらに審議を継続することを要求もしておりますが、同時に、総理に対しては、ぜひこの法案を再検討する、そして再提出するということを望みたいわけですが、総理の見解をお聞きしたいと思います。
#37
○国務大臣(鈴木善幸君) これは、先ほど来御答弁を申し上げておりますように、中央、地方一つの方向、整合性をもちまして定年制その他の措置を進めようとするものでございまして、画一的に強制はいたしませんけれども、この基準に準じて地方団体においてもやっていただきたい、こういうことを政府としては要請をいたしておるところでございまして、あらゆる角度から検討した結果のこれは成案でございますので、何とぞ御理解を賜りまして、できるだけ早く成立ができますように御協力を賜りたいと、こう思うわけであります。
#38
○伊藤郁男君 私は、政治倫理の確立を高く掲げられました鈴木総理でございますので、最初にお伺いをしておきたいんですが、これは、私は昨日も自治大臣に見解をただしたところであります。それから、けさの新聞も、ちょっと広げてみますと、やっぱり地方公務員の汚職の問題が大きく報道をされているという状況であります。上乱れれば下乱るという言葉もございますが、全国の新聞をずっと毎日見ておりますと、地方公務員の汚職、これが報道をされない新聞はないくらいの状況であります。こういう状況を放置しておきますと、それは数は少ないかもしれませんが、しかし、これがやっぱり行政への住民不信を増幅させまして、やがて地方自治をゆがめ、そして民主政治、民主的な行政、それがゆるんでくると、こういうように私は思うんですが、総理はこれに対してどのように考えられておりますか。また、このようなことを根絶させるためにはどのような方法があるとお考えになりますか。
#39
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま伊藤さんから御指摘がございましたように、公務員の中に、数は少ないわけでございますけれども、国民の指弾を受けるような汚職事件等が発生をいたしておりますことは、まことに遺憾にたえないところでございます。
 今回の行財政改革に当たりましても、納税者の立場に立ってできるだけ負担を軽減する、そして御負担を願った税金等は、これをむだのないように効率的に運用する、特に、それが正しく公正に使われる、そこに疑惑を受けるようなことがあってはいけない、こういうことが私は行財政改革の基本であろう。そして、国民から信頼をされる、国民との間に血の通った行政の確立、これが国民の求めておる行財政改革であろうと私は考えておるわけでありまして、そういう観点から、今後とも行財政の抜本的な見直し、それから公務員並びに政治家の倫理の確立、綱紀の振粛、そういうことを政府としてもさらに一層意を用いて努力してまいりたいと、このように考えております。
#40
○伊藤郁男君 私は、今国会の質疑を通じて見ましても、国は、地方団体の財政運営に対して一種の不信感を抱いているのではないか、このようにどうしても思えてならないわけです。言うならば、地方団体の希望に従って一般財源として交付してもすぐ食ってしまう、だから、むしろ補助負担金というひもをつけて交付した方が税金を効率的に使うこととなるのではないかという認識が中央に根強く存在しているのではないかと、こういうように思えてならないわけです。
 これに関連いたしまして、わが党はかねてから、普通建設補助金の一括交付、第二交付税の創設というものを主張いたしまして質疑をやってきたところであります、
 ところが、大蔵大臣はしばしば、そんなことをすれば、道路の好きな首長は道路ばっかりつくってしまう、住宅の好きな者は住宅ばっかりつくってしまう、こういうような発言をされているわけであります。これはまさに地方不信を明瞭に私は示している例ではないか、こういうように思います。のみならず、そんな道路が好きだから道路ばっかりつくるなんていうことが、果たしていまの民主的な制度の中でできるのかどうか、そんなことはとても不可能。したがいまして、この議会制民主主義を否定する大蔵大臣の発言は暴論ではないか、このようにさえ私は考えておるわけでありますが、総理大臣も大蔵大臣の見解と同じですか、お伺いをいたします。
#41
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、国、地方を通じまして、教育とかあるいは基本になる福祉制度でありますとか、あるいは公共の施設であるとか、そういうものはできるだけ整合性をもって行われることが望ましい、このように考えるものでございます。
 しかし、伊藤さんも御指摘になりましたように、そういう中におきましても、それぞれの地方の特色を生かして、その補助金なりを地方の実情に沿うように使えば、もっと経済効果がある、効率的にそれが使用できる、こういうものもあるわけでございます。私どもは、今回の行財政改革におきまして、補助金の統合メニュー化というようなものも配慮しながら地方のニーズにこたえる、地方の特色に応ずるような補助金等の執行ができるように配慮もしていきたいと、このように考えておるわけでございます。
#42
○伊藤郁男君 ここ数年、地方の時代という言葉が出てまいりまして、私は、もうこれは流行語のようなものだと思うんですね。中身は何なのかさっぱりわからない。そうして地方の段階においても、いよいよわれわれ地方の時代が来たなんていう認識を持っている者は本当に少ないというように考えているわけであります。きょうの本会議の中でも質疑がありましたけれども、これはやっぱり理想ですね、地方自治の理想とたてまえとは逆に、行政が余りにも中央集権化し過ぎて、その結果、各種の矛盾と弊害が地方に生じてきた。それへの再反省としての地方の時代というスローガンが流行してきたのではないか。まあその程度の意味ではないか。その程度という意味は、そういうスローガン的な意味という意味でありますが、この地方の時代という言葉の持つ背景というものはそういうところにあるのではないか。特に、地方の自主性を阻害しているものは、私はやっぱり地方財政の中で四〇%を占める国庫補助金とか負担金であると思うんですね。この補助金負担金行政、その交付を通じて各種の条件が付される、これが常に全部ひもつきになっている。そして、行政の中身を画一化し、統制し、そして地方自治体行政の内容を著しく規制をしている、こういうのが実態ではないか。ときにはこの補助金負担金行政を通じて人事権への介入も行われている。あるいは、単価が不足してもそれにお構いなく一定の分量の仕事を国が命ずる。そこで超過負担が大きな問題として浮かび上がってきている、こういうのが現実ではないか。したがって、こういう現実の中で、地方としては地域の個性を生かした住民の自発的な町づくり、そういうことが不可能になりつつあるというのが現実ではないか、こういうように思うわけであります。
 そこで、第十七次地方制度調査会は、この国庫補助金行政の大幅な改善を内容とする答申を出しているわけでありますが、この地方制度調査会の答申に対する総理の御見解をお伺いをしておきます。
#43
○国務大臣(鈴木善幸君) いま御指摘がございました、地方制度調査会の答申、私はここでその資料も持っておりませんし、つまびらかにいたしておりませんが、しかし、御指摘のように、やはり地方の財政というものを中央が十分配慮をして、そして中央、地方が十分相連携し、また、役割り分担等も行いまして、そして国土の均衡のある発展ができるように行政を進めていくことが必要である、そのように考えるものでございます。
 わが国は、ここで申し上げるまでもなしに、首都圏その他に相当人口が集中もいたしております。また、産業もそこに集まっておるというようなことからいたしまして、財源がどうしても偏るわけでございます。それを地方交付税制度におきまして是正をし、また、財政的な均衡を保持しながら地方の全体の均衡ある発展を図るようにやっていこうと、こういうことでございます。
 しかし、そういうことであるからといって、それを通じて中央政府が地方をすべてコントロールする、それを規制をするというようなことでは真の地方の発展はあり得ない、地方自治の確立ができないわけでございまして、私は、地方制度調査会もそういう精神で政府に対して今後の行政の推進についての御提言をいただいておるものと、このように考えておるわけでございます。
#44
○伊藤郁男君 もう時間が参りました。
 地方制度調査会は総理の諮問機関ですから、それを内容を承知していないなんということはこれは余りにも無責任だと思うんですよね。だから、この中には大変将来の地方自治のあり方に対していい提言をされておるわけですから、その点を十分熟読玩味して、誤りのなきように対処をしていただきたい、このことを要望して終わります。
#45
○委員長(上條勝久君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#46
○委員長(上條勝久君) 速記を起こして。
 これをもちまして、質疑を終局したものと認めて御異議ございませんか。(「異議なし」「委員長、委員長」と呼ぶ者あり、その他発言する者あり)
#47
○神谷信之助君 委員長、一言発言。
 ただいまの総理に対する質疑でも触れましたが、いままでの質疑を通じて一番重要な、法律に基づく自治権に対する介入の問題、しかもそれをめぐって自治体がどの程度の自主性あるいは選択の余地があるのか。この点は、先般の私の質疑の中でも、自治省当局としてもニュアンスの相違ということを認めざるを得ない、まだ食い違いが私はあると思う。さらに、退職後の生活保障等の問題についても、これはこれから研究することであって、その結論がまだ出ない、そういう段階でありますから、この点についても明らかにしなきゃならぬのです。
 さらにまた、公務員労働者の基本権と地方自治の問題、あるいは今回の公務員法にこのような自治権に対する法律による規制を導入することの可否の問題、あるいは公務員労働者の基本的な労働権の問題……
#48
○委員長(上條勝久君) 簡潔に願います。
#49
○神谷信之助君 こういった問題について、参考人の意見も聞く必要があります。
 きわめて重要な改正ですから、審議を尽くし、そして国会としての権威を確立をするためにもいまの委員長の提案の終局の提起については反対であります。
#50
○委員長(上條勝久君) 質疑を終局することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#51
○委員長(上條勝久君) 多数と認めます。よって、質疑は終局することに決しました。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
#52
○佐藤三吾君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました地方公務員法の一部を改正する法律案に対し反対の立場から討論を行うものであります。
 戦後のわが国の公務員制度は、ごく一時期を除けば、マッカーサー指令による政令二百一号以来きわめて不当な状態に置かれたまま今日に至っております。憲法で保障された労働基本権が、個別法たる国家公務員法、地方公務員法等で否認されている状態は、自衛隊の存在と同様にわが国憲法がいかに軽視されているかを物語るものであります。政府及び自治体当局と公務員労働者との間の労使関係が常にぎくしゃくし、正常な関係の確立がなされていない根源は、まさにここに由来していると言えます。
 本改正案による公務員の定年制問題は、こうした基本問題の裏返しの問題であります。公務員労働者の定年制は、わが国公務員の社会的地位と任務が戦前の天皇制奉仕から根本的に転換したことに見合って、憲法が求める理念を公務員制度に実現する具体的問題として議論されなければならないのであります。にもかかわらず、自民党政府は、これまであるときは財政再建の便法とし、またあるときは行政整理を事として、そしていままた行政改革の露払いとして定年制を提案するなど、この問題をきわめて政治的に歪曲化しております。それゆえに、過去定年制法案は廃案を余儀なくされたのであります。
 今回もまた、こうした公務員制度のあり方に何ら触れることなくその成立を図ろうとすることは、決して正しい態度とは言えません。公務員労働者をスケープゴートとして進める政府の行政改革が、民主、公正、効率的な行政の実現という行政改革とは全く無縁なものであることをみずから証明するものであります。
 以上のような基本的立場から本改正案を見ますと、幾つかの重大な問題が指摘されるところであります。
 第一は、すでに申し上げたように、定年制を公務員制度全体を改革するという視点からではなく、木に竹を接ぐがごとき態度で導入しようとしていることであります。
 地方公務員法は、その制定当時の議論に明らかなように、近代酌公務員制度の理念としては定年制を明確に排除することを立法趣旨として制定されたのであります、この地方公務員法に定年制を持ち込むことは、こうした趣旨及び制度に抵触するものであり、仮に持ち込む場合においては、地方公務員法の根幹をなす身分保障、労働基本権、政治的権利などとのかかわりにおいて再検討されるべきものであります。これら重要事項を不問にしたままひとり定年制を導入しようとすることは、全く不当な措置と言わなければなりません。
 第二に、本改正案は定年制度が重要な勤務条件であることをきわめて軽視していることであります。
 重要な勤務条件の一つである職員の退職に係る事項は、本来、民間におけると同様に、労使間の団体交渉により、双方の合意に基づいて決定することが原則であります。しかしながら、本改正案においては本人の意思や条件とかかわりなく一方的、画一的に法律でもって退職を強制しようとするものであり、近代的労使関係の基本原則から容認することはできません。
 もちろんこうした主張は終身雇用を意味するものでないことは御承知のとおりであります。たびたびの政府答弁でも明らかなように、労使間合意による現行の勧奨退職制度において円滑な新陳代謝が図られていることは実態的にも証明されております。すなわち退職管理においても団体交渉によることが最も有効であり、かつ、労働基本権保障にも合致するものであり、この面からも本改正案の根拠はないものと言わざるを得ません。
 第三に、本改正案は地方自治の本旨とは両立し得ないものであります。
 本改正案による定年制の実施は条例によることとしておりますが、定年年齢など基本的な事項について、そのほとんどが国を基準としていることから、自治体の条例制定権は単なる手続規定とされ、その自主性は著しく制限、制約されているのであります。地方自治法を空洞化するがごとき、こうした法制定は、今回の臨調第一次答申による行革関連法案を指摘するまでもなく、政府がいかに地方自治を軽視しているかを示すものと言えます。
 以上のような基本問題に加え、私は、本改正案が、創意ある人事管理という団体自治の面のみならず、住民自治の発展にとっても不可欠な要因である職員の自発性、創意性を損ない、住民と自治体職員との協調と緊張関係を失わせるであろうことは目に見えたことであります。それは結局国民生活における自治体の役割りを低下させていくであろうことを強く指摘しておきたいと存じます。
 以上、地方公務員法の一部を改正する法律案について反対の意見を申し上げ、私の反対討論を終わります、
#53
○亀長友義君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となっております地方公務員法の一部を改正する法律案に対し、賛成の意見を表明いたすものであります。
 御案内のとおり、この法律案は、地方公務員について定年制度を導入しようとするものであります。
 現在、多くの地方公共団体においては、職員の新陳代謝を図るため、高齢職員の退職勧奨を行っておりますが、この退職勧奨制度は、最終的には退職が職員の意思に係るものであるため、二五年齢に達すれば必ず退職するという制度的保障に欠けており、この措置をもってしては、高齢化社会の到来の中で今後一層職員の高齢化が進む状況にある地方公共団体において、適正にしてかつ計画的な人事管理の確保が困難であることは自明のところであります。
 このような事態を回避するためには、定年制度を導入することによって職員の新陳代謝を促進し、もって長期的展望に立った計画的かつ安定した適正は人事管理を各地方公共団体が確立することが何よりも要請されるところであり、それは広く国民の要望にもこたえるものと信じます、
 本法律案による地方公務員の定年は、前国会においてすでに成立を見た国家公務員法の一部を改正する法律の規定により国の職員について定められている定年を基準として各地方公共団体の条例で定めるものとされているなど、地方自治の本旨に基づいて十分なる配慮がなされております。
 また、その基準となる定年年齢は原則六十歳でありますが、これは民間企業における定年制度の今日の実態及び今後の動向を踏まえたものでありまして、国の雇用政策との関連においてその整合性が保たれているほか、地方公務員に対する身分保障について十分考慮されております。
 以上、本法律案は、職員の高齢化に対する措置としてまさに時宜を得、かつ適切なものと考え、司法律案に賛意を表するものであります。
#54
○神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、地方公務員法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
 この改正案は、第一に地方自治体に対する定年制を強制し制度化するものであります。
 いわゆる昭和三十一年法案、四十三年法案は、定年制導入の是非や定年とする年齢などについて地方自治体が選択し得る余地を残していましたが、今回の改正案は、すべての地方自治体に定年制を強要するものとなっています。
 定年の年齢についても、国の国家公務員に対する定年を基準とする枠をはめ、国の六十歳を選択の余地なく地方自治体に押しつけるものであることは、この委員会の審議を通じて明白となっています。
 戦後、地方公務員法提案に際して、当時の岡野自治庁長官は、国家公務員法と違って、自主性、多様性を保障していることを強調しています。したがって、地方公務員法では、国の基準を考慮して定めるとする規定はあっても、この定年制のように、国の基準をそのまま地方の基準としなければならないような規定はかってないことであり、自治体の長の人事管理権を奪う、自治体の自主性に対する重大な介入であります。わが党は、このような明白な地方自治の侵害を容認することはできないのであります。
 第二に、定年制の導入は、現行地方公務員法の身分保障制度に一方的な後退をもたらすことであります。
 昭和二十五年に制定された地方公務員法は、当時の占領軍によって、スト権を初めとする労働基本権を奪い、公務員の政治活動を規制するという重大な否定的な内容を含むものとなりました。したがって、その代償として、一定の身分保障制度を取り入れざるを得なかった経過があり、定年制についても、当時八百八十八の地方団体で実施していましたが、これを地方公務員法に定めることは見送ったものであります。
 にもかかわらず、公務員の労働基本権と政治活動の自由とは剥奪したままで、その代償としての身分保障制度を一方的に後退させることは決して許されるべきものではありません。
 第三に、今回の定年制導入には何らの合理的な理由もなく、また、仮に導入するとしても、その前提となる雇用対策や年金水準が十分に配慮されたものとなっていないことであります。
 まず、人の労働能力を一律に年齢で区切ることは不可能であり、公務にたえるかどうかは個々の職員について判定すべきものであります。地方公務員法が今日まで定年制を排除してきたのは、こうした年齢による画一性が公務員制度の重要な理念の一つである能力実証主義に反するからにほかなりません。
 政府は、定年制導入の理由として、職員の新陳代謝による組織の活力の創出を挙げています。私どもも、行政の効率化を図るために、何らかの制度を設けて新陳代謝を図ることの必要性を否定するものではありませんが、だからといって、定年即解雇という手段を必然とするものではないのであります。現に、多くの地方自治体で退職勧奨制度によって円滑に新陳代謝が図られているではありませんか。本来、住民に奉仕すべき公務員労働者の基本的な立場と効率的な人事運営を期すべき自治体当局との立場は決して相入れないものではなく、民主的な協議により相協調し得るものであります。
 また、三百十六万の地方公務員中、種々の当然の理由による六十歳以上の在職高齢職員がわずか二万一千人余にすぎないようなこの事実を過大に宣伝し、これをもって定年制の口実とすることは国民を欺く卑劣な手段であります。逆に、在職高齢職員の数が全体の一%にもはるかに満たない事実は、勧奨退職制度が機能し、定年制導入の不必要なことを証明しています。
 さらに、雇用対策、年金水準の改善の問題は、高齢者社会を迎える現段階において速急に確立すべきものであります。したがって、仮に定年制を導入するとすれば、それ以前に当然解決しておかなければならない問題です。
 なお能力のある者に対する新しい職場の提供と、年金生活に入る者に対する生活していける年金が完全に保障されなければなりません。私は、この審議の中でも、高級公務員と違って一般公務員、現業公務員の再就職の困難さについて指摘したところでありますが、さらに今後の高齢化社会を迎えるに当たって、このことはますます必要かつ深刻な課題となっています
 しかるに政府は、こうした準備も不完全なまま、財界の要望にこたえて解雇だけは先行させる定年制の導入を急いでいるのであります。このような政府の姿勢は、まさに本末転倒と言うべきものであります。
 最後に、私は、この定年制の導入が、鈴木内閣の行政改革の一環として行われようとしている問題であります。
 臨調答申、行革大綱、行革一括法案、来年度予算の概算要求に見られる鈴木内閣の行政改革は、公務員攻撃を前面に打ち出し、給与において、定員において国並みの低水準を地方自治体に押しつけるだけでなく、いわゆる上乗せ福祉と言われる国の水準を超えた福祉の単独事業の禁止を問題とするなど、福祉にまで地方自治体への干渉を露骨にしています。定年制の導入は、こうした地方自治に対する攻撃の突破口であることを指摘いたしまして、反対討論を終わります。
#55
○委員長(上條勝久君) これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○委員長(上條勝久君) 御異議ないと認めます、
 これより採決に入ります。
 地方公務員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#57
○委員長(上條勝久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、志苫裕君から発言を求められておりますので、これを許します、志苫君。
#58
○志苫裕君 私は、ただいま可決されました地方公務員法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読します。
   地方公務員法の一部を改正する法律秦に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、左記事項について善処すべきである。
 一 将来、地方公務員について定年年齢の改正が必要とされる場合には、改めて検討するものとする。
 二 定年制度が制定されるに至った趣旨にかんがみ、本法の施行後においては、定年年齢以下の年齢における組織的、集団的な退職勧奨はなくなるよう指導するものとする。
 三 定年による退職の特例および定年退職者の再任用の運用に当たっては、勤務実績および関係職員団体の意見を反映する等運用の公正さを確保するものとする。
 四 本法の運用に当たっては、本法の施行時に在職する者について、通算退職年金を含む年金の受給資格の有無につき配慮するものとする。
 五 本法の施行に関する国の指導に当たっては、地方公共団体の自主性を損うことのないよう配慮するものとする。
  右決議する。
 以上であります。
 何とぞ、御賛同いただきますようお願いいたします。
#59
○委員長(上條勝久君) ただいま志苫裕君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#60
○委員長(上條勝久君) 全会一致と認めます。よって、志苫裕君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。
 ただいまの決議に対し、安孫子自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。安孫子自治大臣。
#61
○国務大臣(安孫子藤吉君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして善処してまいりたいと考えております。
#62
○委員長(上條勝久君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○委員長(上條勝久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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