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1949/03/04 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 通商産業委員会 第12号
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1949/03/04 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 通商産業委員会 第12号

#1
第007回国会 通商産業委員会 第12号
昭和二十五年三月四日(土曜日)
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○中小企業振興に関する調査の件(中
 小企業問題に関する大蔵大臣兼通商
 産業大臣の談話に関する件)
  ―――――――――――――
   午前十時五十九分開会
#2
○委員長(高橋啓君) これから委員会を開催いたします。
 三月二日の新聞に掲載されました一日の記者団との会見における大蔵大臣の談話について、世上に相当な衝動を與えたのでありますが、部門を担当する本委員会としてはこれに対する措置として特に理事会に諮りまして、特にこの委員会を持つた次第であります。
 この中小企業の現状は賃金不拂の問題、税金滯納の問題、その他幾多の資料に基いて判断いたしますと容易ならんものがあるのでありまして、而もこれに対する対策は寸時も傍観を許さない状態にあると思います。この際この委員会を十分活用されまして、非常に困つている中小企業者のために何らかの道を開くことができますならば、非常に本委員会としてその目的が達せられることと思うのでございます。先ずこの問題に対する通産大臣の御説明を求めたいと思います。
#3
○國務大臣(池田勇人君) 先般大蔵省関係の新聞記者諸君との会談の際におきまして中小対策の一環といたしまして、いろいろなことが話題に上つたのでありますが、その機会に、その際に中小企業者の一部におきまして没落する人があるのは止むを得ないということが新聞に出まして、それが国会並びに世間に非常な話題の種をまき、悪影響を及ぼしたということにつきましては私も誠に遺憾に存じておる次第であります。併し私の気持といたしましては、昨日本院本会議において申述べましたように、過去のインフレ高進時代或いは又統制経済時代から、急速に安定経済への施策を講じて行きます場合におきまして、各方面にいろいろな困難な問題が起つて来ることは、当然予期しなければならないことであるのであります。自分といたしましては、この困難をできるだけ少く又できるだけ願わくんばなくして、円滑にこれを処理して行くように日夜努力いたしておるのであります。併し何と申しましても非常な変化でございますので、我々としては渾身の努力をいたしまして、勤労階級、農業者は勿論のこと、中小商工業者においても特に外の階級よりも衝撃を受けることが多いのでございまするので、金融面におきまして、又租税面におきまして、特段の措置を日夜講じつつあるのでありまするが、数多い中でありましてそういうことの絶無を期待してやつておるのでありまするが、若しそういうふうな場合が極く少部分に起りましたときに、これはもう残念ながらいたし方がないので、自分としてはそういうふうなことが予期できるような場合におきましては、これを絶滅するように努力しておるけれども、万が一起つた場合においてはいたし方ない、残念であるがいたし方がないという気持を持ておるのであります。それがたまたま一番仕舞のところが特に取上げられまして、世間を騒がしたということにつきましては、誠に申訳けないと考えておるのであります。将来中小企業が産業の中核をなすものであるということは、万人異論のないところでありまして、而うしていろいろな施策もこれに重点をおくことにつきましても、当然のことであるのであります。私はこの意味におきまして従来から努力いたしておるのでありまするが、今後はこういう問題を契機といたしまして、一層中小企業の育成発達に力を向けていきたいというふうに考える次第でございます。
 以上先般の新聞記事の問題につきまして、一応私の心持ちをお話申上げて、皆さんの御了解を得たいと存ずる次第であります。
#4
○委員長(高橋啓君) 予算委員会と衆議院の方から、できるだけ早くということでありますが、これから通産大臣に対する御質疑を願います。
#5
○島清君 どうもお聞きしたいことは沢山あるし、他委員の方におかれましても沢山あることと思いまするので、一人で自分だけとるのは本意ではありませんので、私は端的にお聞きしたいのでありまするが、池田さんは日本経済建直しのためには、多少の犠牲者もこれ又残念ながら止むを得ないのだ、こういう表現をしておられまするが、その止むを得ないということは、いわゆる池田さんが大臣として自分の実力が足らないので、これは止むを得ないという言い方なのか、それとも又日本の独占資本主義をますます強化するためには、中小企業のごときは潰れても、尚且つ止むを得ないのだというような意味なのか、その真意をちよつとお聞きしたいのです。
#6
○國務大臣(池田勇人君) 安定経済の過渡期におきまして、万民が皆な円滑にこれを切抜けるだけの力がありますれば、これは何も申すことはないのであります。若しそういうふうなことがありましたならば、それは為政者としての責任の問題も起ると思います。併し責任の程度に至りましては、これはいろいろな考え方があると思うのであります。
 次に独占資本の犠牲に中小企業者をする、こういう考え方は毛頭持つていないのであります。中小企業も大事業も、ともにともに私はこの難関を切抜けるよう努力しなければならんと考えております。
#7
○島清君 只今の御答弁のうち又昨日の本会議の御答弁の中に我々が理解に苦しむ点があるのでありますが、一体通産大臣並びに大蔵大臣を兼任しておられまする池田さんぼ如何なる重点に立つて中小企業者の対策を講じようとしておられるのであるか、そのお考えをちよつとお聞きしたいのです。
#8
○国務大臣(池田勇人君) 中小企業対策の考え方はこれはやはり経済全般の建直しの一環として考えなければならんと思います。我が国の経済問題で中小企業問題、農村問題、共に最も重要なことでございます。経済対策の根幹をなす問題と考えておるのであります。私としてはあの崩壊せんとする経済を建直す、而して建直しの根幹は中小企業農村問題にあることは十分承知いたしておるのであります。全体的にこれをうまく移らそうとしておるのであります。そういう場合におきまして最も困難なる問題が中小企業にしわ寄せになるのは、これはもう今までどこでも見られる現象であります。重点的には中小企業の方に力を入れて行く建前で行つておるのであります。
 中小企業問題を解決いたしますのは、当面金融問題が第一であろうと思います。金融問題につきましても長期資金と短期資金との問題がありますが、長期資金の問題が主として重点的に論議されておることも、これは当然だと考えておるのであります。
 次に金融問題以外におきましては、やはり税も重要な問題であろうと考えております。従いまして徴税につきましてもそういう問題を心してやらなければならんと同時に、税制改革におきましてもできるだけ中小企業の方面の重圧を少くするように考えなければならんと思つておる次第であるのであります。
 で、どうしてもそういう金融をして税負担を軽くすると同時に、積極的にやはり中小企業者がいろいろな方式例えば協同組合の方式を作るとか、中小企業者をして確固たる地盤を持たすようなことも又積極的にやつて行かなければならん問題と考えるのであります。こういう三点で中小企業の問題の解決に当りたいと思つております。
#9
○島清君 私達の見るところでは、又は中小企業の問題に関心を寄せておる識者間の間においても、中小企業の問題は純経済的問題であるというよりも政治問題であり社会問題の性格を持つておると、こういうことが大きく取上げられて指摘されておるのでありますが、只今通産大臣の御答弁を承わつておりますると、こういう問題は一考をもされないで純経済的の問題として考えておられるようですが、政治問題、或いは社会問題としての観点から中小企業の問題を考えておられないのかどか、その点を一つ。
#10
○國務大臣(池田勇人君) 先程のお答えの中で申上げましたように、財政経済問題といたしましては、農村問題、中小企業問題がその中心をなすものであると考えておるのであります。従いましてその点から申しますると、政治問題であり、社会問題であると言い得ると思うのであります。ただ観点をどこに置いて行くかということになりますと、先程私は中小企業の経済的発展助成を中心にお答えいたしましたために、そういうような誤解を受けたのじやないかと思うのでありまするが、数におきまして国民の相当部分を占めております中小企業の経済問題は即社会問題であり、政治問題であるということは私も十分承知いたしております。
#11
○島清君 そういたしますと、池田さんの御答弁の中からは純経済問題といつてこれを取上げまする場合には、日本の経済再建のためには多少の犠牲者も止むを得ないんだと、併しこれを社会問題として把握して、これが解決に当る場合には如何なる方策をお持もになつてこの問題に対処されんとしておるか、これを一つお聞きしたい。
#12
○国務大臣(池田勇人君) 経済転換期におきまして、経営不如意に陷りまして業を廃止されるような方が万一起つた場合におきまして、これは社会問題といたしまして生活保護法、その他いろいろな政治の施策によつて救済しなければならんことは当然であるのであります。それは私が今経済問題としてそういうことのないように、又どうしても避けられない場合におきましてはできるだけ少くするように努力して行くべきだと考えておるのであります。
#13
○島清君 大変にどうもどこに重点を置いて池田さんの御答弁を理解していいか、非常に理解に苦しむのでありまするが、二日の新聞記者会談におけるところの池田さんの談話の発表の中に、大変に国民の憤激を買つておるようでありまするが、池田さんは憲法二十五條の規定を大臣としてどういうふうに理解しておられるか、ちよつとお聞きしたい。
#14
○國務大臣(池田勇人君) 国民の生活権を擁護するということは、憲法に明記しておるのであります。この趣旨によりまして政府はあらゆる施策を講じておるのであります。
#15
○島清君 大変にどうも抽象的で、憲法二十五條の精神を本当に大臣として把握しておられるならば、憲法二十五條が明記しておる通り、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」この権利を有する者に対して犠牲者が出るのは、これは止むを得んことだということはちよつと言えないと思うのでありますが、こういつたような憲法の條章を本当に心から認識された上でああいつたような放言がされたのであるか。それとも誤つてこういう憲法の條章の規定があるということを迂闊に等閑に付されて放言されたのであるか、ちよつとお聞きしたい。
#16
○國務大臣(池田勇人君) 憲法のこの規定は十分承知いたしております。ただいろいろな場合におきまして倒産する人があるということは経済の転換期におきまして、成るべくできるだけ避けなければならん問題でありまするが、結果としてそういうふうなことが起つた場合に、これは何と申しまするか、これはもう力及ばず止むを得ないと言うより外にないのであります。従つてこの倒産する方があつたからといつて憲法の二十五條に私は抵触するものとは考えておりません。
#17
○島清君 更に憲法二十五條の後段においては「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衞生の向上及び増進に努めなければならない」とこう規定されております。若し酒田さんの理論に百歩を讓つて我我がそれを承認するといたしましても、国は当然に国民に対して社会保障制度によつてその生活を向上せしめなければならんという義務付けが規定されておる。若しそれを否定されまして死んでもよろしいというような放言はこの憲法の條章からは出て来ないはずなんですが、これをどういうふうに理解しておられるか。
#18
○國務大臣(池田勇人君) 社会保障制度その他国民の福祉を増進するためにいろいろな施策を講じ、又特に社会保障制度につきましては委員会を設けまして、この制度の拡充発展を期しておるのであります。而して今の死んでもよいというふうにお取り下さることは私は誠に遺憾であるのでありまして、そういうことは一人もないことを望んでおるのであります。若しこういう自殺された事実があつたときに社会保障制度等の関係をどう説明するかということになりますと、これは我々といたしましては国としてできるだけ国民の福祉を増進するようにしなくちやならんという建前の下に、そういう方が一人もないように努力しなければならん、こういう結論になると思うのであります。
#19
○島清君 方向を変えまして、大臣は昨日の本会議の席上におきましてその税金の問題について苦情があるならば、大臣たる自分のところに大勢で押掛けて来てもいいのではないかと、それを自分は希望するのだというようなことを言つておられたんですが、その中には税金が妥当に課税されておると大臣の所まで押掛けて行く必要もないのでして、大臣のところまで押掛けて来れば何とかそこに方法もあるのだというようなことが言外に言い含ままれておるのですが、大臣はそれとなく課税が妥当に査定されてないということをお認めになつての上の発言であつたかどうか。
#20
○國務大臣(池田勇人君) あのお話は税金のために死ぬるような人がおるとこういう話でありましたが、そんなに思い詰めにならなくとも、若しそういうふうなことがあれば自分としては進んでお会いいたしまして事情を承わるとこういうつもりであるのであります。従いまして今直ちに異議の申立が出ている方につきまして、全部会うということは物理的にも不可能であります。ただ大蔵大臣といたしましての私の心構えを申上げた次第であるのであります。で税務署の決定が全部が全部適法に妥当であるということは私は考えておりません。今までにおきましても異議の申立が出まして訂正する場合も相当あつたのでございまするから、私は税務署の決定が全部が全部いいとは思つておりません。中には見込み違い、間違いが相当あることは承知いたしておるのであります。それがそのうちで死ぬる程の思いをなさるような方があつたならば、私はそういう方に対してできるだけ一つ御相談に応じます用意がある、自分でできない場合には代理か国税庁長官その他の者に十分事情をお開きするようにして行くつもりであります。問題の間違つたものが税務署にないかと申しますと、これは数多い中でありますから或いはあるということは存じております。従いまして今後そういうふうな場合におきましては、只今国会で審議を願つておりますところの税法改正で、異議を申立てられた場合には特に早く処理する機関を設けて、そして国民の要望に副いたいと考えておる次第であります。
#21
○島清君 大変恐縮ですがもう一点だけ、時間の関係上お聞ききしたいことは沢山あるのでございますが、もう一点だけお許しを願つて聞きたいのです。政治の要諦というものは声なき国民の声に耳を傾けて、政治をする者は先に憂えて後に楽しむというのが我々政治をやる者の心しなければならんことだというて昔からいわれておる政治り哲理であります。而も我々は今日の情勢に置かれまして、連合国の占領軍と雖も、我々日本人に対して犠牲者が出るのは止むを得ないという放言を私達寡聞にしてまだ耳にしていないのであります。然るに日本であるあなたが………連合軍ですら言えない、而も軍国主義時代にすら暖衣飽食を許さず、一人の徒食者も許さない、こういうことがあの国民の顰蹙を買いました軍国主義政治指導者の人々からも言われた言葉なんです。その人々からをも聞き得なかつたところの、今日文化国家、民主民義国家だと言われておりまするところの、而もその中小商工業者の対策を責任を持つておられる池田さんがああいう放言をされるということについては、経済的な事情がどうあろうとも、今日その経営に塗炭の苦しみをやつておりますところの中小企業者の諸君に対して精神的な自殺を強要したにも等しいと私達はそう断ぜざるを得ないのであります。こういうような観点に立ちまして、池田さんはどういつたような良心的な責任を感じておられるか、あなたの政治家としての政治的な一応の形式的な立場は、昨日の本会議でも今日の只今の御答弁にも伺つて私達は頗る遺憾に思うのでありまするが、良心的な立場において如何なる考えを持つておられるかどうかちよつどお聞きしたい。
#22
○國務大臣(池田勇人君) 私は今お話なされましたような気持でやつたのではないのであります。それは昨日の本会議でもここでの質問応答でもお分り願うと思うのでありますが、私は極力あらゆる対策を講じまして、そうして中小商工業者において一人でもそういうことのないように努力する外ないように思います。これが私の気持であるのであります。
#23
○下條恭兵君 私は中小企業の問題が非常に重大化している最近、たまたま池田大蔵大臣から一日の記者団談話において問題を投げているということにつきまして、この大蔵大臣の談話は單なる導火線と考えておりまするので、今日は吉田総理若しくは林副総理の御出席を願つてお尋ねしたい点を用意して参つたのでありますが、まだ総理も副総理もお出でがないようでありますから、池田通産大臣に対しまして具体的な二、三の点についてだけお尋ねいたしまして、池田通産大臣に対する質問を終りたいと考えるのであります。
 先ず第一に昨日の本院の緊急質問並びに答弁もずつと承わつておりましたし、衆議院の方でもいろいろあの問題に対して質疑は聞いておりますのでこの点は措きまして、昨日本会議で池田大蔵大臣兼通産大臣が答弁なすつた中で、一ついいことをおつしやつて頂いたので私は非常に感謝しておるのであります。その一つというのは税金の納められない場合には差押えして、併し公売だけはしないようにしてやろうという、こういうお言葉であつたのですが、これに税金旋風で全く自殺もしかねない程一般中小商工業者が苦しんでいる際でありますから、誠に温かいお心持、これは感謝いたしますが、併しここに一つ問題があると思いまするのは、大体そういう非常に重い税金、無理な税金であることを承知してかけて置いて、それをまあ切羽詰つた状況に至つたからとはいいながら、一国の大蔵大臣が本会議の議場で税金延納の分だけを堂々と説明されるのは如何かと思うのです。
 そこで私は具体的に市民が最も気にしている点を一つお聽きしたいんですが、一体今の市中の中小商工業者の状態は、延納を一月や二月やつて貰つても税金はなかなか調達できないという実情にある面が非常に多いと私は思うのです。昨日本会議で御説明なすつたような方法で延納を認めて下さるとしたならば、期限は一体どれくらい待つて下さるのか、これは中小商工業者の最も知りたい点と思いますからお答え願いたいと思います。
#24
○國務大臣(池田勇人君) 従来金融政策といたしまして納税のための金融はつけない方針でありますが、昨年から納税のために金融をつけてほしいという考えの下に苦慮いたしておるのであります。而して新聞に論じましたから私は本会議で申上げたのでありまするが、只今の租税制度におきましては延滯金とか加算税とかいうものが可なり高いのであります。これは今回の国会において改正いたしますが非常に高いのであります。このためにお困りの方も相当あるのであります。そこで私といたしましては金繰りがつかない、銀行も貸して呉れないこいうときにはこういう措置を取つて、とにかく納税者に御迷惑を與えることを少くする一つり方法であるということを私は諸君に申上げたのでありまして、而してそういう場合にいつまで延納するかということは個々の事例で判断して行くより外にいたし方がないと考えております。成るべくお互いに差押をしたり、或いは受けたりすることはいいことでないので、成るべく早く納めて頂くようにして、個々の問題で解決しなければならんと考えております。
#25
○下條恭兵君 そうしますと、この具体的なことについては、これは重要なものだと思つてお尋ねして置きますが、相当期間は公売などの措置を取らずに、事情によつては猶予して下さると、こういうふうに了解してよろしいでしようか。
#26
○國務大臣(池田勇人君) 事情によつて考えなければならんと思うのであります。実は公売処分の措置をやらないということにすれば税法の建前から如何かと思いますが、今実際問題として非常に金詰りのひどいときは、やはり税務行政といたしましても臨機応変の措置を取るのが必要であると私は考えまして、過日の局長会議で課税について無理の行かない、又納税者が納税にお困りのときにはできるだけの温かい気持を以て公売処分なんかは暫く見合せるようにしたらどうかと、金融がもつと楽になるのを待つのも一つの方法だということを言つておるのであります。いつまで待つかということは言うことはできませんが、成るべく早く納めて頂くという趣旨の下に納税者の都合を考えるべきだと考えます。
#27
○下條恭兵君 次に私は見返資金の問題についてちよつとお尋ねしたいと思うのでありますが、見返資金は中小商工業に対して月額一億づつですか出ることになつておりますが、これは市中銀行が半額負担の見返資金から考える、こういうことになつておると思います。これは誠に制度としては立派だと思うのでありますが、この制度が実際に見返資金を必要とするような中小商工業者に、現実にはなかなか金が入らん制度になつておると私は考えておるのです、なぜかと申しますと、この百万なり百五十万の金を市中銀行から調達できる信用のある者は、中小商工業者の中では非常に上部の方に属すると思うのであります。でありますから本当に金に困つておる、現在差押えて貰つて、税金を延納する手段を講じなければならんという、そういう本当に困つておる自殺の一歩手前にあるような中小商工業者を救うための資金としては、この制度ではなかなか私はいかんと思うのですが、この制度を全額見返資金にするか、或いは市中銀行に出すものに対しては国家が保証を與える方法を講じない限りは、なかなかその方法が円滑に行かないと思いますが、この点御所見を伺いたい。
#28
○國務大臣(池田勇人君) 見返資金から直換に中小企業に出す制度は、昨年の十二月に方針が決りまして一月から動き出したのであります。結局お話の通りに半分見返資金が出すのであります。回収のときは銀行が先取りということになつておりますから、或る程度保証の意味も持つておるのであります。この資金は一―三月で三億円というのでありますが、大体これが目安でありまして、私はこれを相当殖やして行けると考えております。今までの出ようは施行当初でありますから十分活溌に行つておりませんが、二月末におきまして五千二百万円程度に大体見返資金から出ておる、三月におきまして又二千七、八百万円出ることにここ四、五日のうちになつております。私といたしましては今後は全国の銀行が努力いたしておりますので、相当今後活溌に動き出すと考えております。余り十分動かないときは興銀とか勧銀とか商工中金を通じましてこれが活溌に動いて行き、実続が上つて来れば月一億は又殖やすという方針で行つておるのであります。ただお話の中小商工業者に対しまして政府が貸付金に対して保証するということは、これは財政負担にもなりますので今直ちに実施することはできないのであります。余程研究を要する問題だと考えております。
#29
○下條恭兵君 私が力説したいのはその点なんであります。実は只今も同僚島委員からもいろいろ申しましたが、とにかく今大臣のおつしやるような方法で行きますと、私が指摘するように、本当に困らん或る程度困つておるが本当に困らん範囲に資金が廻つて来る。こういうことに相成つておるので、一つこの点十分お考えを願いたいと思うのであります。
 もう一つ大臣にお尋ねいたしますが、第三次吉田内閣が成立以来我が党の諸君を初めといたしまして、野党各派からしきりに今日の事態が必然に生じて来るという議論をやつたのでありますが、政府は最近になるまで大臣は自信満々大丈夫だと言つておられるが、私はこの超健全財政を強行する限りにおいては、この中小企業のこういう問題が起きて来るのは必然の姿であるから、これは当然起きて来たものと考えるのであります。大臣はいろいろ中小企業が日本産業の中核だとおつしやつているけれども、現在のドツジ・ラインを基本にしたこの財政政策というものは、どうもそういうふうにはどの角度から見ても私共には見られない。議論はとにかくとして現実にこういう問題が起きつつあるという事態に対して、大臣はまだ所信をお変えになつていらつしやらないのかどうか、この点をお尋ねいたします。
#30
○國務大臣(池田勇人君) 私は日本の経済か安定期に入つて行つたと考えております。而して又今後どんどん復興していくことを期待し又確信いたしておるのであります。先程来申上げましたように崩壊に瀕するようなあのインフレを一挙にして止めます場合におきまして、各方面にいろいろなしわが寄つて来ることはやむを得ないことであります、このしわを我々は少くすると同時に、我々国民全般の努力によつて難なくこれを越えようといたしておるのであります。最近の経済情勢は、国の経済全般から申し三すると、私は予想通りに行つておると考えておるのであります。何と申しましてもこの切拔け、自立経済の確立におきましては、中小企業の方々は勿論勤労階級の方もなかなか楽ではないのであります、農村の方も私はそう安閑としてはおられない、併しこれが自立経済を建てる場合の試練であるのであります。この試練は十分乗越えられる、又乗り越え得るように政府はあらゆる施策を講じようといたしておるのであります。
#31
○玉置吉之丞君 関連してお尋ねしたいのですが、例の税金の問題で一昨日でしたか桐生、足利方面の機業の人が、例の分納の問題について陳情に来たのでありますが、この際通産大臣として池田さんの、中小企業に対して税金の分納制度ということを、只今おつしやつたようた、加算税なり追徴税の改革について何かお考えになつておりますか。
#32
○国務大臣(池田勇人君) 御承知のように申告納税の分は年に三回で納めることになつているのでありますが、なかなか三回に分割して納められません、分割いたしましても結局翌年の三月にしわがよるようになるのであります。農業ならばこれは収穫が秋でございますからいたし方がございませんが、中小企業におきましてはそういうことは理論的にはあり得ないのでありますけれども、実際的にはこういうふうになつて来ておるのであります。これを分割して納めると申しましても、それでは年に三回の原則がずつとこわれて参りますし、どういうふうに分割するかという問題になりますと困難な問題になるのであります。甲というものは初めから申告して三回に分割して納める、乙というものは十万円納めるのに一期、二期は一万円、三期を八万円、その八万円を又翌年の五、大月頃に出すことは非常に困難なことだろうと思うのであります。従いまして今回は税法におきましては、前年の決定に対しましては原則として前年の決定通り、事情の変更のあるものにつきましてはそれによらなくていい、こういうことをシヤウプが是非実行して欲しいという勧告案がありまして、今度の税制改正におきましてはこの分割納付ということが問題にならないように制度の改革がされるのでありますが、今度の問題につきましては、今から法律でどうこうというわけには行きませんが、納税困難なものにつきましては私はその事情によつて税務署で手心を加えて行くべきだと思います。
#33
○玉置吉之丞君 只今のお話で大体の筋は分るのでありますが、この際あなたが通産大臣を兼務されたのでありますが、立場を変えて中小企業の実態とい、ものをもう少し把握して頂いて、税法改正の方に一つ御考慮願いたい。これは答弁要りませんが特に我々としてその御研究を要望いたして置きます。
#34
○委員長(高橋啓君) 大変不十分でありまして結論までにまだ道が遠いと思うのでありますが、予算委員会との関係がありまして今日は通産大臣の質問はこの程度にいたしたいと思います。
#35
○島清君 それは又後日でも明日でもやつて貰いたいですね。あまりどうも大臣の都合が悪いというのに食下つて時間をあれするというのはどうかと思うので、聞きたいのも随分省いているのです。
#36
○委員長(高橋啓君) 中小企業振興に関する調査の一環の中で今後ずつと結論を得るまでやりたいと、こう思います。ただ大臣は兼務されておりまして、通産委員会の方は予算委員会があると、ないがしろにされるような傾向がありますから、しつかりこちらに落着いておられるようなときをお約束してそうしてやりたいと思いますから……。
#37
○島清君 今、の下條委員の御質問に関連してお聞きしたいのですが、延滯利子を免れる便法として差押をして貰うということについて、桐生辺りでは非常に不納者が多くて税務署の方は悲鳴を上げているのですが、池田さんそれはどう思つておりますか。
#38
○下條恭兵君 もつと続けていいなら続けますが、同僚の予算委員諸君が、向うで非常に待つておるのですから今日は遠慮したのですけれども、若しこうゆつくりしておられるというなら、私は中小企業の問題は大臣が火をつけて呉れたので、非常に迅速になつて急を要すると思いますから、私共至急やりたいと思いますが、予算委員も同様と思いますから今日はこれで遠慮しますけれども……。
#39
○委員長(高橋啓君) そういうことにして通産大臣に対する質問はこれで打切ります。それでさつきあなたから申し出がありました総理大臣でなければ副総理ということでありまするが、総理大臣は約束がすでにあつたのでできない、副総理も通知をしていないそうでこの委員会には間に合わないと思います。
 それでお諮りいたしますが、今日はこの程度で散会して如何でしようか。
   〔「異議なし」「止むを得ない」と呼ぶ者あり〕
#40
○委員長(高橋啓君) ではこれで散会いたします。
 次回は向うと交渉いたしまして落着いてやるようにしたいと思います。
   午前十一時四十六分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     高橋  啓君
   理事
           島   清君
           廣瀬與兵衞君
           玉置吉之丞君
   委員
           下條 恭兵君
           平岡 市三君
           中川 以良君
           鎌田 逸郎君
           結城 安次君
           駒井 藤平君
  国務大臣
   通商産業大臣  池田 勇人君
  政府委員
   大蔵事務官
   (主計局長)  河野 一久君
   通商産業事務官
   (大臣官房長) 永山 時雄君
   通商産業事務官
   (中小企業庁振
   興部長)    記内 角一君
ソース: 国立国会図書館
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