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1981/10/20 第95回国会 参議院 参議院会議録情報 第095回国会 内閣委員会 第3号
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1981/10/20 第95回国会 参議院

参議院会議録情報 第095回国会 内閣委員会 第3号

#1
第095回国会 内閣委員会 第3号
昭和五十六年十月二十日(火曜日)
   午後一時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月十六日
    辞任         補欠選任
     大木  浩君     山内 一郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤  要君
    理 事
                伊江 朝雄君
                林  ゆう君
                矢田部 理君
                柄谷 道一君
    委 員
                板垣  正君
                岡田  広君
                源田  実君
                竹内  潔君
                林  寛子君
                桧垣徳太郎君
                堀江 正夫君
                片岡 勝治君
                野田  哲君
                中尾 辰義君
                峯山 昭範君
                安武 洋子君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       宮澤 喜一君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       中山 太郎君
   政府委員
       人事院総裁    藤井 貞夫君
       人事院事務総局
       給与局長     長橋  進君
       総理府人事局長  山地  進君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 源三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律
 の一部を改正する法律案(第九十三回国会内閣
 提出、第九十四回国会衆議院送付)(継続案
 件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(遠藤要君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、大木浩君が委員を辞任され、その補欠として山内一郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(遠藤要君) 国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案は、第九十四回国会においてすでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入りますが、質疑に先立って、中山総理府総務長官より発言を求められておりますので、この際、これを許します。中山総理府総務長官。
#4
○国務大臣(中山太郎君) 先日、委員長より、人事院勧告の取り扱いにつきまして早期に決定するよう申し入れがございましたが、委員長のお申し入れの趣旨を踏まえて、政府といたしましては誠意を持って対処してまいりたいと考えております。
#5
○委員長(遠藤要君) 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○野田哲君 まず冒頭に、官房長官にも出席を求めて政府全体としての見解を伺いたいと思っておりますが、総務長官に対して、きょう、自由民主党から仲裁裁定の取り扱いと人事院勧告の取り扱いについて各党にその考え方が示されています。この仲裁裁定の取り扱い、人事院勧告の取り扱いというのは、これは退職手当の基礎になる俸給月額、これがどう決まるか、つまり退職手当の前提となる給与の問題でございますので、これについて、まず、本日午前中の問題でございましたので、冒頭にお伺いをいたしたいと思います。
 この自由民主党から示されたメモによりますと、
  仲裁裁定については配分交渉の準備を政府に要請したいと存じます。
  具体的な手続きについては今後総理の帰国までの間に鋭意つめてまいりたいと存じます。
  次回国対委員長会談までにより明確にご回答をしたいと存じます。
  人事院勧告の取扱いについては政府に対しすみやかに措置するよう、さらに要請する。
こういうふうになっております。
 政府全体の問題については、後ほど官房長官が出席された段階で仲裁裁定の問題を含めて伺いたいと思いますが、人事院勧告の取り扱いについては、直接の担当である総務長官にまずこの点について伺いたいと思いますが、「政府に対しすみやかに措置するよう、さらに要請する。」と、こうなっておりますが、要請がございましたか。この点いかがですか。
#7
○国務大臣(中山太郎君) 各党の国対に対して、党間で行われたメモというふうに、私いまメモを拝見して、ただいま先生のお読みいただいた文書を伺いながら、まだ正式に私に対して人事院勧告の実施に関する速やかな結論を急ぐようにという御連絡ございませんけれども、先ほど委員会開会に当たりまして、内閣委員長からのお申し入れに対して、政府としてはできるだけ速やかにこの問題の解決ができるように誠意を持って当たるという心構えを表明させていただいたので、それでひとつ御理解を賜りたいと思っております。
#8
○野田哲君 そうすると、きょうの自由民主党の各党に対して示したこの見解については、まだ総務長官のところには来ていないと、こういうことですが、いま読み上げた文書、「人事院勧告の取扱いについては政府に対しすみやかに措置するよう、さらに要請する。」と、こうなっていますね。「すみやかに措置する」というのは、つまり勧告どおりのものを法案にしてこの国会に提案をすると、こういうふうに私どもは受けとめるわけですが、総務長官の現段階における心境をまず伺いたいと思います。
#9
○国務大臣(中山太郎君) このメモの御趣旨が党から政府にございましたならば、給与関係閣僚会議を開きまして、誠意を持ってこの問題の処理に当たるように努力を続けさせていただきたいと、そのように考えております。
#10
○野田哲君 人事院にまず伺いたいと思います。
 今回の退職手当の改正案については、昭和五十二年に総理府の方の要請を受けて人事院が民間との比較を行ったその報告に基づいている、こうなっているわけですけれども、人事院としてはどのような方法でどういう比較を行われたのか、まずその内容を御説明をいただきたいと思います。
#11
○政府委員(長橋進君) 調査の概要につきまして申し上げます。
 昭和五十二年度の民間の定年退職者につきまして昭和五十二年に調査をいたしましたものでございます。調査の概要は前回とほぼ同様でございまして、大卒、高卒の事務・技術者につきまして調査をいたしまして、調査対象事業所は千人以上が五百社、それから五百人から九百九十九人が五百社、それから百人から四百九十九人が五百社、合計千五百社につきまして調査をいたしました。千人以上の企業につきましては実地調査をいたしまして、それ以外の千人未満の企業につきましては通信調査をいたしました。
 調査の内容でございますが、一つには退職金制度についての調査でございます。それから、二つ目はモデル調査でございます。それから、三つ目には実際に支払われました退職金についての実支給額の調査をいたしました。そして、調査結果を総理府の方に御連絡をいたしました。いまお尋ねがございました比較方法は人事院でやっておりませんけれども、民間におきます調査の結果を御連絡したということでございます。
#12
○野田哲君 調査の結果は総理府に報告をしたということですが、この調査の結果の資料はなぜ公開してないんですか。人事院勧告なんかの場合にはかなり具体的な内容を勧告の附属資料として公開をされているわけですけれども、今回のこの調査、比較については全く資料が明らかにされておりませんが、これはなぜですか。
#13
○政府委員(長橋進君) お答え申し上げます。
 退職金の民間調査につきましては、昭和三十六年以来おおむね五年ごとに調査をしてまいっておりますが、この調査結果につきましては、給与勧告におきますようなかっこうで公表はいままでいたしておりません。
 それから今回の調査につきましては、総理府の依頼もございました関係上、やはり調査結果につきましては総理府に御報告いたしまして、その資料の取り扱いにつきましては総理府の方にお任せいたした方が適当であろうというふうに考えまして、人事院として独自に調査結果を公表していないということでございます。
#14
○野田哲君 この調査に当たって、民間の企業の企業年金、あるいは退職に当たって退職手当という形ではないけれども、その他の退職の条件等についても調査をされていますか。
#15
○政府委員(長橋進君) 調査に当たりましては、ただいまお尋ねがございましたが、退職一時金のほかに企業年金、つまり退職一時金に相当すると認められる企業年金についても調査をいたしました。それから退職金につきましても、大体勤続年数に一定の支給率を掛ける、基礎給与に支給率を掛けるということになっておりますが、そのほかに各種の加算金等についてもあわせて調査をいたしました。
#16
○野田哲君 この退職手当あるいは退職金という形のもの以外に、民間の企業では企業年金というのがありますね。それ以外にはどんな――一切ございませんか。あるいは退職に当たって何かの措置がありますか。どうですが。
#17
○政府委員(長橋進君) 今回の調査におきましては、定年退職者につきまして退職の際に支給される退職一時金等を調査いたした関係もございまして、それ以外にどのような給付が行われておるかということは調査してございません。
#18
○野田哲君 たとえば下請あるいは関連企業への就職、あるいは企業によっては子弟を優先採用するとか、そういう問題があるわけですね。そういうのは調査されておりませんか。
#19
○政府委員(長橋進君) 今回の調査対象事項には含まれておりません。
#20
○野田哲君 人事院の総裁に伺いたいと思うんです。
 退職手当、これは当然法律によって明らかなごとく、俸給月額、これが前提になっているわけです。この退職手当の計算の基礎になる俸給月額について、現段階では昭和五十六年の四月からの俸給月額がいまだに決定をされていないわけですね。決定をされていない。決定されているのは勧告以前の状態が続いているわけです。さらに臨時行政調査会は、公務員の給与についての抑制措置をとれということを政府に申し入れています。さらに人事院自体は、いま公務員の労働条件全体について総合的な再検討をやる、こういうふうな作業を進めている、こういうふうに聞いているわけです。
 そこで、まず第一に人事院の総裁に伺いたいのは、私の認識では、公務員の給与について抑制措置をとれということを臨時行政調査会が述べているけれども、公務員の給与についての何らかの措置をとろうとする限りにおいては、それは人事院が勧告をする、そのことによる以外には公務員の給与を抑制することはできないはずだと、こういうふうに考えるわけです。
 そこで、まず第一に、臨時行政調査会が公務員の給与の抑制措置を行えということを言っていることに対して、人事院の総裁はこれをどういうふうに受けとめておられるのか。これからどういうふうな措置をとろうと考えておられるのか。まず、その点から伺いたいと思います。
#21
○政府委員(藤井貞夫君) 第二次臨調ができまして活動を開始いたしまするかなり初期の段階、すなわち五月の十一日であったと思いますが、臨調の方から、人事院の所管業務、なかんずく公務員の給与の問題について総裁の説明を聞きたいという御連絡がございました。私も、この問題について、大変重要な事柄ですから物事の本質を誤解してもらっては困る、正しい認識を持った上で適切な判断をしていただかなければならぬということで、私自身もお呼び出しがなくても御連絡をして、ぜひ出席の機会を与えてもらいたいという気持ちを持っておりました。ちょうどお呼び出しがございましたので喜んで参上いたしました。
 この席上でいろいろ申し上げましたことをこの際御紹介を申し上げることは繁多でもございまするし、臨調の席上の問題でもございますので、詳細はここでは申し上げませんが、そのときに申し上げました骨子は、公務員制度というものの成り立ち、仕組み、それが日本の制度の上でどのような位置づけをなさるべきものであるか、なかんずくこの給与の勧告というものの位置づけ、しかもこのときに私特に強調いたしましたのは、給与勧告の問題、給与をめぐる問題というのはとりわけて重要な労働問題にほかならない。要するに、労働基本権というものは公務員の特質から言って制約をされておりますけれども、それの代償的な機能を果たすものとしてこの勧告制度があるんだと。これはあくまで民間における――要するに最も典型的な労働問題。労働問題というのは、これはやはり過去の着実な労使の積み上げ、積み重ねによってだんだんとできているものである。人事院勧告についても、過去いろいろないきさつはあったけれども、大方の御理解と各方面の御協力によって四十五年から完全実施、時期も含めて完全実施ということになって今日まで来ております。これは大変重要な問題です。この点の認識を深めていただいて、これについては、やはり軽々に取り扱うことは困ります、きわめて慎重にやっていただかなければ困ります。これが基礎で、いままで私の評価でも、やはり公務員における労使の関係というものは大変良好に推移をしていると見ております。
 私が人事院にお世話になるのは二回目でございますけれども、前の事務総長を拝命をいたしました際には、非常にこれは労使関係が先鋭化しておりまして、私も役所に登庁をいたしましても、勧告時期になりますと廊下を人を分けて通らなければいけない、座り込みをしておりましたから。そういう状況のもとで仕事をやったということを思い出します。こういうことはやっぱりあってはいけないことなんで、そういう点はせっかくの良好な労使関係というものの貢献度として給与勧告というものがやはり大変重要な柱であるということはくれぐれも御認識をいただかなければいけませんということを主体にして申し上げました。
 ところで、その後いろいろな御議論がございましたけれども、結局、各方面において何回も取り上げられておりますように、給与の問題については、労働基本権の制約その他の諸条件というものを勘案をして、適切な抑制措置を本年度においては講ずるべきであるということが出ております。これは臨調自体のたてまえがございますから、私が、従来もそうですし、この席上でこれに対してあからさまにいろいろな批判を申し上げることは差し控えさしていただきます。
 臨調の答申自体、あり方自体というものも、これは閣議でもって最大限の尊重をしていくという方針があるわけでもございますので、これについての私自身の批判は差し控えさしていただきますけれども、これはいままでも累次機会のあることに申し上げておりますように、やはり給与に関する人事院勧告というものはあくまで労働基本権制約の代償機能でありまして、これはいまの仕組み自体が、財政問題とは切り離して、それはいろいろな事情であるかもしらぬけれども、やはり人事院としてはそういうことではなくて、民間の諸事情の変更に応じて、情勢に適応してやっていくというのが基本的なたてまえである、その線は私は堅持してまいります、いまの制度がある限りは堅持しなければならないと考えておりますという立場ははっきりと打ち出してきておりますし、その態度は私は変えるつもりはございません。
 したがいまして、七月十日でございましたが、臨調の答申が出ましたが、それはそれとして、私といたしましては人事院を指揮する立場といたしまして、例年どおりのペースで仕事を進めまして、八月七日に同じようなペースで本年も勧告を出したということは先刻御承知のとおりでございまして、基本線は、私としていまの制度がある限り、これは貫き通すことが一番大事なことではないかというふうに確信いたしております。
#22
○野田哲君 人事院自体が六十年を目途にして自主的に公務員の給与制度、労働条件全般について合的な見直しを行うということを決めておられま総すね。これは、六十年実施ということであれば五十八年ぐらいには成案を得るという、そういうテンポで進めているのだということを伺ったことがありますが、これは大体いまもそういうつもりで全般的な検討をやっておられるわけですか。
#23
○政府委員(藤井貞夫君) いまお述べになりましたように、私たちといたしましてはおおむねその線によって準備もし、仕事も進めております。本年度から本格的な調査、資料の収集に当たりまして、来年度は本年の調査を見ながらさらに補足的に調査を補充しなければならぬものも出てまいると思いますけれども、本格的な調査は本年で大体のことは終わって、来年度は調査と検討、立案の作業を並行していく。そういうことで、私としては定年制が動き出します六十年度を目途にそういう線を打ち出してまいりたいと考えておりますので、それに間に合わせるためにはやはり五十八年度には大体の成案を得ていく、それから恐らく立法作業その他がございますので、めどとしてはその程度をめどにして仕事を進めるということが適切ではないかということで、大体そういう順序で事柄を進めております。
#24
○野田哲君 その検討項目については、退職手当もこの検討項目の中には入りますか。この点どうですか。
#25
○政府委員(藤井貞夫君) 退職手当は、これは累次御検討いただいておりますように、また御理解いただいておりますように、現在のところは総理府の所管ということになっております。いろんな従来のいきさつその他沿革がございまして、総理府所管ということに相なっておるわけでございます。ただ、退職手当というのは、やはり公務員の退職時に支給される勤続報償的な性格を持つ給与でございますし、大変重要なウエートを持っておるものでございますので、われわれといたしましても、やはり勤務条件の大変重要な一環として、これに対しては大きな関心を持っております。
 そういうことで従来からもやってきておりまするし、具体的に申せば、退職手当についての調査というものは、私どもの方にスタッフがそろっておりますから、大体五年目途にいままでもやってきておって、特に今回の法案の基礎になっておりまする調査につきましては、総理府の方から御依頼もございましたことですから、これを受けて調査をし、調査の結果を申し上げたのでございます。したがいまして、われわれとしては給与の一環として大変関心を持っておりますために、いろんな角度からやはり調べるべきことは調べ、また検討すべきことは検討をしていきたいというふうに思っておりますけれども、しかし、あくまでいまのところは、これは総理府所管ということでございますから、私の方の問題として正式に、本格的にということもこれは若干口幅ったい点がございますので、そういう点は節度を守りながら大きな関心を持って進めていくということにしております。
 したがいまして、ごく形式的に申せば、退職手当自体についてわれわれの方でいまのところ提言を申し上げると、勧告制度というものは現在のところございません。あえてやろうと思えばできないことはないのは、例の、野田さんも大変お詳しいですから御承知のように、二十二条でございますか、法令の改廃に関する意見の申し出というところでやってできないことはないと思います。と思いますけれども、本来的なわれわれの職務権限からはいまのところは外れておりますので、そういう点をやはり節度を守りながら、検討の対象にはしてまいりますけれども、明らかにこの退職手当自身を検討の対象にするということはいまのところは考えておりません。
 ただ、本手当法の附則でございましたか、附則で六十年目途に、さらに民間の事情その他が大きく動いているときだから再検討をするということにうたわれております。したがいまして、また実際にどういうことになっておるかという実態の調査なりその他の問題については、恐らく総理府の方からも御連絡があろうかと思います。そういう点も踏まえて、この問題には実質的には大きな関心を持って取り組んでいきたいというふうに考えております。
#26
○野田哲君 退職手当の性格については、また後ほど見解を伺いたいと思うんですが、いま総裁が述べられました公務員の給与、労働条件等の中で、退職手当だけが総理府の直接の所管になって人事院の勧告事項に入っていない。これはどういう理由によるものなんですか、総裁の見解としてこれはいかがですか。これ、私は退職手当といえども重要な公務員の労働条件、だから当然勧告の対象になるべきじゃないかと思うんですが、この点いかがですか。
#27
○政府委員(藤井貞夫君) これは私自身、退職手当法の立案に参画をいたす機会がございませんでしたので確信を持って申し上げるわけにはまいらないと思いますけれども、退職手当がこういうふうな取り扱い、制度の仕組みになっておることの一番重要な点は、何といっても給与に関する勧告は、これは本来的には、第一次的には一般職公務員、われわれの管轄をいたしておりまする公務員に関するものでございます。しかし、退職手当につきましては、むろん一般職というものが一番大事な比重を占めるわけでございますけれども、この退職手当法の対象といたしておりますのは、一般職公務員だけではなくて、そのほかに特別職も入っておる。なかんずく特別職の中でも、これはもういわゆる役職のある偉い人だけという意味ではなくて、裁判官も検察官も入っておる。また、その他の三公五現と言われる中で、三公社についてもこれが対象になっておるというようないきさつがございまして、恐らく退職手当についてはこれらを通じてやはり一本の同じルールでもって処理することが適当ではないかというふうに考えられたせいであろうと思います。
 そういう結果から、全部やはり網羅してやる、そのためにはやはり人事院が云々ということでなくて、全体の制度の仕組みからいって、それをまとめるものとしては、共通するものとしては、やはり総理府で所管することが適当ではないかというふうに取り扱いがなされたのではないかというふうに推測をいたしております。
#28
○野田哲君 官房長官に御出席をいただきましたので、官房長官に伺いたいと思います。
 きょう、三公社五現業に対する仲裁裁定の取り扱い、それから人事院勧告の取り扱いについて、私どもは自由民主党の見解をメモという形で提示をされたわけです。
 それによりますと、
  仲裁裁定については配分交渉の準備を政府に
 要請したいと存じます。
  具体的な手続きについては今後総理の帰国までの間に鋭意つめてまいりたいと存じます。
  次回国対委員長会談までにより明確にご回答をしたいと存じます。
  人事院勧告の取扱いについては政府に対しすみやかに措置するよう、さらに要請する。
こういうふうになっているわけですが、これは長官のところに与党自由民主党の方からこの趣旨は要請がありましたか。この点いかがですか。
#29
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま仰せられました趣旨はすでに連絡を受けております。
#30
○野田哲君 要請があったということですか。
#31
○国務大臣(宮澤喜一君) 存じております。
#32
○野田哲君 まず、そういたしますと、「総理の帰国までの間に鋭意つめてまいりたいと存じます。」と、こういうことですが、総理の帰国と言えば二十六日ですが、そのころまでには大体仲裁裁定の取り扱いについては配分交渉を進め最終的な結論を出すと、こういうことになるわけですか。
#33
○国務大臣(宮澤喜一君) 何分先ほど連絡を受けたばかりでございますので具体的に十分考えてはおりませんが、公党間の国対委員長の間のお話であるということでございますから、政府としても十分これは尊重して考えなければならないと思っております。そして、お話のように「総理の帰国までの間に鋭意つめてまいりたい」ということも申し上げておるわけでございますから、そのようにいたさなければならないと思っております。ただ、ただいまどういう対応でどうするかということを、急なことでございますから、まだ十分細かく考えてはおりません。しかし、この趣旨は十分尊重をしなければならないというふうに思っております。
#34
○野田哲君 仲裁裁定につきましては、すでに国会に出されて前国会からの継続案件になっているわけですから、これから政府の対応とあわせて国会での各党の協議と、こういうことになるわけですが、この趣旨を尊重されるということですからそれによって進んでいくと思うんですが、人事院勧告の扱いについては、これはまさに政府が法案を出さなければ国会として対応のしようがないわけですが、「人事院勧告の取扱いについては政府に対しすみやかに措置するよう、さらに要請する。」と、こうなっております。
 先ほど直接、担当の総務長官に伺いましたところ、きょうのことだからまだ具体的に党の方から総務長官としては受けていないということですが、官房長官は給与関係閣僚会議を主宰される立場にあって、この問題については今後どういうふうに取り扱っていこうと考えておられるのか。これを、きょう自由民主党の見解が示された段階で、この間、この席で官房長官からまだ検討中だということを伺ったわけですけれども、きょうの段階で官房長官の政府を代表する考え方をお聞かせいただきたいと思うんです。
#35
○国務大臣(宮澤喜一君) 後段の問題につきましては、私から総務長官にまだ御連絡を申し上げる暇が実はなかったのでございましたが、すでに総務長官もお答えになられたと存じますが、従来幾たびか給与関係閣僚会議を開いております。この間の事情も何度も申し上げましたから省略をいたしますが、大蔵大臣はことしの経済の動向あるいは税収の推移等々を確かめたいということを何度か言っておられまして、それもごもっともなことであります。したがいまして、誠意を持ってこの検討を続けております。しかるべき機会に給与関係閣僚会議を再度開かなければならないと考えておりますけれども、いつまでにどうこうということは、ただいま申しわけないことでございますが、はっきり申し上げることができません。誠意を持って検討を続けてまいりますことはお約束を申し上げます。
#36
○野田哲君 官房長官、申すまでもないことですが、人事院の勧告の取り扱いというのは、これは公務員の俸給月額を決めるわけです。いま審議している、当委員会の議題になっている退職手当、これは俸給月額に対して勤務年数、退職事由等による一定率を掛けて計算をされることになっているわけです。ですから、政府に対しても要望いたしたいし委員長にも要望いたしたいと思うんですが、退職手当を審議している期間中に給与法の結論を出して国会に提出をしてもらいたい、こういうふうに私は思うんです。なぜかと言えば、退職手当法の方が先行して決まって、政府原案どおり決まった後で公務員の給与について大幅な、巷間伝えられているような形での実施時期の削減等が行われた場合には、退職手当法の審議の前提条件が変わってくるわけでありますから、私は退職手当法の審議期間中にこれは結論を出していただきたい。このことを要望いたしまして、官房長官お忙しいようでございますから、これは要望だけにして、次の問題に入っていきたいと思います。
 そこで、長橋給与局長に伺いますけれども、五十二年退職者の調査ですね、この比較を行って報告を総理府にいたしているわけですけれども、その結果によって退職手当の法改正を行おうということになると、当然それ以降の民間の企業の労働者の賃金と公務員の給与については、民間準拠という原則に従って、並行した形で給与がそれ以降も現在も準拠していると、こういうことでなければ、いまのこの比較の結果に基づく退職手当の改正というのは整合性が失われてくると思うんです。
 そこでまず、そういう立場に立って伺いたいのは、この五十二年に退職した方々の場合に、人事院規則で二十年以上勤務した場合に退職時の特別昇給の制度がありますね、人事院規則で。これは五十七年の三月三十一日で終わりになるようになっていますが、この人事院規則に基づく特別昇給、これは当然この五十二年退職者の官民比較のときには比較の中に含まれていると、こう考えていいわけですね。その点いかがですか。
#37
○政府委員(長橋進君) ただいまのお尋ねの中のまず前半部分に該当するかと思われますが、現在、確かに退職手当につきましては俸給月額に連動して決められておるという関係にございます。しかし、今回調査をいたしましたのは、そういう計算方法ではなくて、実際に退職手当として実額幾らが支給されておるかということで比較する方が正確ではなかろうかということでやったわけでございまして、したがいまして、そういった連動していくかどうか、あるいは並行していくかどうかという点になりますと、今後におきます民間の退職手当の動き、動向、そういったようなものも把握して考えていかなくてはならないことであろうというふうに考えております。それから、御質問の後半部分に当たるかと思いますが、退職手当につきまして比較する場合に退職時の特昇をカウントしたかどうかということでございますが、これは冒頭に申し上げましたとおり、官民の比較は人事院としてやっておりません。つまり、退職手当につきましては総理府で所管されております関係もございまして、その実態というものを正確に把握しておられるということでございますので、私どもとしましては民間につきましての実支給額を調査して御報告して、それ以降の比較につきましては総理府の方で作業をしていただいているということでございますので、総理府の方からお答えいただくのが適当ではなかろうかというふうに考えております。
#38
○野田哲君 山地人事局長、いまの問題ですが、人事院が民間の調査を行って、そのデータをあなたの――当時はあなたいなか一たんだけれども、総理府の人事局に出すと。そこで、それと公務員の退職手当の制度とを比較をして公務員の方が高いんだと、こういう結論を出されたということなんですか。あなたの方で公務員の退職手当を比較する場合に、いまの人事院規則による退職時の特別昇給、これは五十二年の比較で当然入っていたわけでしょう。どうですか。
#39
○政府委員(山地進君) 当然のことながら、実額の比較でございますから、五十二年にやめた方がこの人事院規則の該当者である場合には、二号俸アップということが行われるわけでございます。全部の人が二号俸アップであるわけではないわけですけれども、この人事院規則の四十二条の規定に基づく特別昇給という規定が適用になる方については、当然そういうものが行われたであろうと思います。
 ただ、付言させていただきますと、民間の方もその後老齢者の扱いについては下げるということが公務員と並行して行われております。たとえば鉄鋼八社におきましては、六十歳定年というものを導入したときには三十五年勤続の人も三十年というふうに横にすうっと寝かしておりますから、これは官民ともに寝ているというふうに私どもは理解しております。
#40
○野田哲君 それはあなたの勘で、あるいはつまみ食いであって正確なデータはないんで、まあ条件のある人は入っているだろうと言われましたけれども、特昇二号というのは、二十年以上の場合は欠格条項でもない限りは入るわけですよね、該当するわけでしょう。そうすると、あなたの方で比較したデータというのは二十五年、三十年、三十五年と、こういうことで比較をした資料があるわけだから、その比較の中では大体この二号というのは入っていたわけだね。結局これは昭和五十七年三月三十一日、つまり今年度で終わるわけですね。だから、いまのこの審議している退職手当法がこれから、いま衆議院から送付された内容では五十七年一月施行ということになっていますから、その施行後三ヵ月たつと、この公務員の方が高いということの一つの要素になっていた特別昇給制度が来年の四月以降はなくなる。そうすると、そこでまず第一に、法を変えなくても実額が下がる要因があると、こういうことになるわけです。そうですわ。
 そこで、この二号の昇給がなくなると二十五年勤続の人はどのくらい下がることになりますか、まあ大ざっぱな見当でいいですから。いかがですか。
#41
○政府委員(山地進君) 人事院規則の解釈なものですから、私どもの方で申し上げるべきかどうかちょっと問題があるわけですが、もし間違えていたら人事院の方で御訂正いただきたいと思うんです。
 人事院規則の九−八というものの三十九条では、勤務成績の特に良好な職員で次の各号に該当する場合には一号俸上げていいよということを言ってあるわけです。その中に、いま先生のおっしゃったのは、三号に「二十年以上勤続して退職する場合」と、ほかの場合には研修を受けるとかなんか、成績がとてもいいとか表彰されるとかでないと、これは退職を前提にしてないわけです。ただし、この「二十年以上勤続して退職する場合」と、これは退職が要件でございます。それから二十年以上、これは一号俸アップするわけです。この規定は五十七年三月三十一日以後でも続くわけでございます。したがって、二号俸アップの問題はなくなるけれども、一号俸アップの規定はそのまま生きているというのがまず第一でございます。
 それから、いまおっしゃった五十七年の三月三十一日までの規定というのは、「特別の場合の特別昇給」で四十二条でございます。ただし、この四十二条に基づきまして通達が人事院の方から出ていて、この中に二号俸アップされる人というのが、いわゆる昇給延伸の方と昇給のストップの方にあるわけです。ただし、そのストップされる人も、この人たちがいろいろ延伸措置や何かの経過規定がございまして、必ずしもすぐは落ちない。たとえば十八ヵ月が二十四ヵ月に延びるという人についても、現にこの法律が施行されるときにもうその年齢に達していた人は二十四ヵ月にならないで十八ヵ月というような規定があるわけです。そういうようなことを全部ひっくるめてみますと、全部の人が直ちに五十七年までに二号俸失うかというと、四十二条の方では一号俸失う人が出てくるかもしれない、これは年齢にも関係するわけです。現在、五十五年のときにこれが施行されたわけですが、そのときに何歳であったかということ、それから幾つでやめるかということも関係してくるわけです。しかし微細に見ますと全部が全部二号俸下がることはない。そうすると、一号俸しか下がらない人についてはさっきの三十九条で一号だけアップできますから、この人は帳消しになっちゃいますね。それから片方で下がる人が一部いると。私はさっき一部下がる人がいるでしょうと申し上げましたが、そういう人については、確かに五十七年三月三十一日以後影響が出てくるということでございます。
 したがって、私の申し上げたいことは、計算するとせいぜい一号俸だけの差が生ずる、それも全部の人でなくて一部の人である。こういう前提で、仮にその人たちの一号俸が下がったと仮定して計算するとどれくらいになるかという計算はできるわけでございます。その計算をちょっと申し上げますと、ということで計算をしてみますと、これが二十五年の場合とそれから三十年の場合、三十五年の場合それぞれあるわけですが、この二十五年の勤続の人の平均の退職金額というのが出ておりますから、その退職金額の俸給月額からそれぞれ号俸を計算する。そうすると二十五年、三十年、三十五年それぞれについて申し上げますと、二十五年については五等級の二十号あるいは四等級の十三号、これによって昇給間格差が違ってきます。それから三十年の場合には、四等級の十八号か三等級の十二号でございますか、三十五年の場合には四等級の枠外号俸あるいは三等級の十五号、これらにそれぞれ、まあすべての人がこういうわけじゃございません、平均的に言うとこんなところでございます。そういうことで計算してみますと、最初の六つの計算ですが、最初が十五万円、それから三十三万円、三十万円、四十三万円、二十五万円、四十九万円、これらはそれぞれの月給に比較いたしますと一%から三%ぐらいの範囲内になってくるということでございます。それぞれの所得、俸給で割りますと、パーセントとしては一%から三%くらいじゃないか。ただ、くれぐれも誤解をしないように申し上げますと、全部の人ではない、一部の人であるということだけは重ねて申し上げておきます。
#42
○野田哲君 全部ではない一部と言うが、それは大体何%ぐらいかわかりますか。
#43
○政府委員(山地進君) これは追跡調査をすればわからないことはないと思うんでございますけれども、五十二年の退職された方々というのはわかっておるわけでございますが、現在のところ追跡調査をしておりませんけれども、先ほど申し上げたように一部の人であろうかというふうに推定しております。
#44
○野田哲君 人事院の給与局長に伺いますが、いま、公務員の給与についての抑制措置をということが臨時行政調査会などで言われているわけです。それから、ことしの勧告についてもいまだに結論が出ていない。そういう状態で、これから先々の公務員の給与制度がどうなっていくかわからないと、こういう不安定要素が幾つもあるわけですね。そういう状態の中で私たちがいま退職手当法の審議をやっているわけですが、昭和四十四年までの間、公務員の給与に関する人事院勧告は完全実施をされていなかったときが長く続いておりますね。
 そこで、その状態を私は伺いたいと思うんですが、なぜそのことを蒸し返すかといいますと、年度の途中で給与の引き上げが行われるというような措置をとったときには、全く同じ条件の人が六月に退職をするのと七月に退職をすることによってそこに大変な退職手当それから年金等の格差が生じてくる、こういうことが生まれてくるんじゃないかと思うわけなんです。そこで、この昭和四十四年までの人事院勧告が完全に実施されていなかったときの状態というのを、どういう状態で人事院勧告が完全に実施されないで取り扱われていったのか、その経過を伺いたいと思うんです。
#45
○政府委員(長橋進君) いまのお尋ねは、主として実施時期の問題でなかろうかと考えられますので、その点で申し上げますと、実施時期を明示いたしましたのは昭和三十五年でございまして、それまでは「すみやかに」とか「なるべくすみやかに」ということになっておりまして、したがいまして三十五年から四十四年まで十年間、つまり人事院が実施時期を明示してから完全実施――四十五年が完全実施でございますので、それに至るまでの四十四年までの十年間について経緯を申し上げます。
 まず三十五年は、勧告による実施月は五月でございます、三十五年の五月。これに対して、実施されましたのは三十五年の十月ということでございますので、勧告に盛られた実施時期よりも五ヵ月おくれておるということでございます。それから、そのことの当然の結果といたしまして、特別給への影響もございますから、それが一月分ということで六ヵ月と。以下同じような計算をしてまいりますと、つまり三十六年、三十七年は勧告実施時期が五月、それに対して実施が十月、三十八年まで十月が続きまして、三十九年、四十年、四十一年、これは九月実施ということで実施時期四ヵ月のおくれがございます。それから四十二年は五月に対して八月でございましたので、三ヵ月のおくれ。四十三年は七月実施で二ヵ月のおくれ。四十四年は六月実施で一ヵ月のおくれということになっております。これを特別給への影響等も全部カウントいたしまして計算いたしますと、月数にして五十一・二月分ということになるわけでございます。
#46
○野田哲君 五十一・二月分ということは、つまり四年を超すぐらい延べにすると勧告が削減をされていると、こういうことですね。金額は貨幣価値が違いますから比較しようもないと思うんですけれども、これはかなりの金額になると思うし、それから当然この在職二十五年とか、三十年とか、三十五年とかいうような形でいま比較されておりますが、これからそういう形で、いま退職手当法の改正が出ている二十年以上の勤務という人たちは、ちょうどこの十年間削減をされていたときがまるまる入っていると、こういうことになるわけですね。
 ですから、よく生涯給与というような形で、最近週刊誌などに民間と公務員とが比較されたりなどすることがあるわけですし、年金の議論なんかでも生涯給与という形で公務員と民間の労働者を対比することが往々にしてあるわけですけれども、いまこれから二十年以上の勤務という形の人が退職する場合の生涯給与ということになると、私はやはりこの五十ヵ月を超える賃上げが削除されていた被害というものは、当然生涯給与から考えていけば大変なこれは大きなことになると思うんですよ。だから、結局そういう人たちは、ちょうどいまから十年前まで、十年間というものをそういう形で上がるべきものが上がらない状態が続き、そして今度は、これから退職する場合には退職手当の切り下げ、こういう形で生涯の間大変な影響を受けることになると思うんですね。
 そして、しかも人事院勧告が実施時期を削減をされて実施をされていくということになると、退職の時点によって退職手当や年金が大きく影響を受ける。しかも七月実施あるいは九月実施とか十月実施というようなことになるのは、退職する時点では本人にはわからないわけですね。六月退職、七月退職の人はわからないわけですよ。やめてみて、そして秋ごろになって人事院勧告の取り扱いが決まってみると、上がるべきものが上がっていなかったと、退職金が予定よりも少なかったと、こういうことになるわけです。やめた後から追い打ちをかけられる、こういうことになるわけですね。
 そこで私は、いま人事院の勧告をめぐってさまざまな情報がある、どういう形で公務員の給与にかんなをかけるか、なたを入れるかということが議論されているやに聞いているわけです。そうすると、当然私どもは退職手当の問題を検討する場合に、ここ二、三年ぐらいの間の公務員の退職が何月にどういう形で退職をしているのか、高級公務員の場合には通常国会が終わった段階でやめていくという例がかなり多いわけですけれども。それから三公社五現業の場合は労働協約、労使間の交渉によってやめる月が決まっている場合もあるんじゃないかというふうに伺っているわけですね。そういうふうな、まず三公社五現業、労使間の交渉で一定の年齢に達したときにやめる月が決まっている場合はどういう形で決まっているか。それから一般の公務員で大体いつ退職をするのか、月別の数字がわかれば示していただきたいと思うんです。これはわかりますか。
#47
○政府委員(山地進君) 比較的わかりやすい法五条の勧奨退職のところを申し上げた方が一番いいかと思うんですが、これが一番多いのが四月で、これは一般職の公務員でございますけれども、四千五百人ぐらいが四月でございます。それから、その次に多いのが六月で三千三百人ぐらいです。それから七月が二千人ぐらいです。それから、その次に千人を超えますのが三月の二千三百人ぐらいでございます。つまり四月、六月、七月、三月というのがピークでございます。
 それから三公社の方でございますけれども、三公社につきましては五条勧奨というようなことに分けてございませんけれども、約二万二千人の五十二年の実績でございますが、四月が一万一千三百人、それから三月が五千五百人でございまして、あとの月は千人を切っております。以上でございます。――大変失礼いたしました。いま、五現は国家公務員の中へ入っている数字でございます。
#48
○野田哲君 いま人事局長が読み上げられた資料は、これはぜひひとつ提出をしていただきたいと思うんです。
#49
○政府委員(山地進君) はい。
#50
○野田哲君 そこで、いま述べられたような形で各月にずっと退職者がいる。その退職者が、ことしの十二月まではまず該当ないわけだから、いまの改正案がこれから来年以降もし施行になったとすると、そういう状態の中でもし勧告が年度の途中で実施された場合、勧告が実施されない月にやめた人は、それだけでまた法律とは別な形で人事院勧告の完全実施ということの中でこの率が下がるわけですね。法律の、いまの改正案の施行以前、現在の状態においても、人事院勧告が見送りになった場合には、そのことによって今度の改正案とは別の要因で、法改正を待つまでもなくこの退職手当の切り下げが行われる結果になるわけですね。これは人事局長、今度の勧告で平均的な人の場合はどのくらい下がることになりますか、勧告が実施されないときに退職した場合。
#51
○政府委員(山地進君) 俸給掛ける支給率でございますから、その人の支給率は本人でございますと変わらないわけです。そうすると、俸給が仮に五・二三%アップすると、これはそれぞれの自分の俸給によって必ずしも五・二三%にならないかもしれないけれども、いわゆる俸給のアップ率がそのまま退職手当には効いてくるというのが普通でございます。
#52
○野田哲君 だからアップ類が、二十五年とか三十年ぐらいの勤務でやめる人の場合は一万円を超えていますよね。一万二、三千円から一万五千円ぐらいになっている。一万五千円ということになると、それだけで八十万から九十万ぐらい下がるということになるわけですね。どうですか。
#53
○政府委員(山地進君) 支給率が六十ヵ月というようなことになれば、一万五千円掛ける六十ヵ月が九十万円ということになります。
#54
○野田哲君 総務長官、この辺で伺いたいと思うんですが、だから私は先ほど官房長官がおられるところでも要望したわけですが、この法案を審議をする前提としては、人事院勧告は完全実施をするということが前提でなければ、私はこの法案の整合性のある審議はできないと思うんですよ。年度の途中から人事院勧告を実施するなんということになったときは、その前の人と後の人では、これは金額がうんと変わってくるわけですからね、いまのこの比較そのものが狂ってくるわけです。だから私は、この法案の審議の中で人事院勧告の実施態度も明らかにされなければ、これは整合性のある審議はできないじゃないか。これは、委員長もよく聞いておいてもらいたいと思うんですよ。そうなるんですよ。
 同時にもう一つは、民間準拠ということの形を原則としてきちっと踏まえなければ、私は、このいま出されている法案の整合性のある審議はできないと思うんですよ。勧告を値切ったりあるいは臨時行政調査会が言っているような形で抑制措置をとれと、こういうことになって退職手当の計算のもとになる俸給月額が、これから民間とは準拠しないでどんどん抑制されていくということになるのであれば、いまの退職手当法というのは整合性を失ってくるんです。その見解、いかがですか。
#55
○政府委員(山地進君) 大臣のお答えをいただく前にちょっと事実関係を申し上げたいと思うんでございますが、まず、いまの退職手当にこのベースアップの時期が関係してくるというのは、年度どこにやろうとも必ず効いてくるわけです。それは四月に実施、四月一日というので、まあ四月一日なり何なりでやめる方が多い理由の一つにはなっているわけです。先ほど申し上げました三公社に四月が一万何千人、三月が五千人、あとは大したことないというようなことは、やはり年度内にやめるという慣習と、それからもう一つは四月一日に賃金が上がるということによってそういうことが起こり得るわけでございまして、これらについてはどこにベースアップの時期をするのかということによって、前の日にやめる人と後、その次の日にやめる人によって差ができる、これはいかんともしがたいことではないかと思います。
 それからもう一つ、ベースアップそのものを決めないという場合の問題でございますが、これは民間準拠ということで私どもが、いま先生も御議論されているわけでございますけれども、私どもの五十二年度の調査というのは、どんなふうな形で民間が金を支払っているのか、あるいは役所の方がどんな制度でやっているのかという、方式の問題を比較しているわけではないわけでございます。民間が千五百万円払っておる、役人の方は千六百万円払っておる。先ほど先生のお尋ねのように、民間の場合には功労加算金だとか定年加算金だとか勤続加算金だとか、いろいろな加算金があります。役所の方は退職手当法で五割増しとかいろいろなことがございます。それから、先ほど申しました特別昇給の二号俸の問題もございます。制度がずいぶん違っているわけでございます。
 そこで、民間の方ではどんなことが行われているかというと、ベースアップというものは給与で反映させるけれども退職手当に反映させないということについて、これは五十年以降非常に民間の方ではそれについて研究をし、実施も進んでいるわけでございます。今回の退職手当法の問題についても、世論の一部には、公務員の給与のベースアップというのが常に退職手当に反映されるということについて批判が一つあるわけでございます。私どもとしては、そういう批判があるけれども、実額の比較でございますから、それはそれで比較していく。これは退職手当を民間準拠にする方法論としてどういうのがいいか。私もいまのが完全であるとは思いませんけれども、どういうふうに比較したら国民の皆さんの納得を得られるかという意味では今後も検討すべきであろうと思うのでございますけれども、民間でも、ベースアップを反映させないというようなことも現に行われているわけです。
 それから、五十二年に私どもの調査したのでは、すでに一〇%ばかり――八%でございますか、上回っているということが現在も続いているわけでございます。それらを考えて、私どもとしてはこの退職手当法の審議というものは従来どおりの方法でやっていただきたいと、かように考えているわけでございます。ちょっと事実関係だけ申し上げました。
#56
○野田哲君 長官のお答えになる前に、私はいまの山地局長の発言についてちょっと異論を述べておきたいと思う。
 それは、ベースアップがいつから行われるか、あるいは退職手当の切り下げがどういう形で行われるか、切り方によっていつでもそれはどこかで影響が出るんだ、こう言われましたけれども、それは局長、私は総理府の人事局長らしからぬ詭弁だと思うんですよ。それはなぜかと言えば、やめていく人は、いま公務員で退職する人は、みんなもう十年間も定着したんだから、ベースアップというものは政府が完全実施を行って、民間と同じように四月に行われるものだと、こういうことはみんなそういう常識を持った上で退職していると思うんですよ。今日では、いままで十年間定着したんですから、ベースアップが七月から行われるとか十月から行われるとかということを予想して自分で退職の時期を決めた人はいないと思うんですよ。だから、それは私は切り方でどこかで食い違いが出るというのは詭弁だと思うんですよ。そういう前提でひとつ私は見解を伺いたいと思うんですよ。もし完全実施でないというようなことなら、それによって私はやはり退職手当のこの今回の法案の審議は別の観点に立たなければいけないと思うんですよ。
 そこで、先ほどの私のこの見解、つまりこの退職手当法と――恐らく衆議院で審議されたときには、今日のように人事院の勧告が完全実施ではないというような議論が、これほど政府や自民党の中でそういう空気があるということは予想しないで衆議院ではこれを決めてこっちへ送ってきたと思うんですが、四月実施でなくて十月実施であるとか、あるいは一説によると一月実施などということを唱える人もいるようだ。あるいはまた、率を下げる方法を検討されているやに聞いているわけですよ。五・二三%の人事院の勧告の率を三%に切るか二%に切るかというような、そういう方法があるかというようなことも検討されているやに聞いているわけです。そうなってくると、これは根本的に角度が変わってきますよ。だから私は、退職手当法の審議の経過の中で人事院勧告の扱いについても見解を明らかにしてもらわなければ審議ができないんじゃないか、こういうふうに考えるんですが、長官どうですか。
#57
○国務大臣(中山太郎君) 人事院勧告の完全実施に対する政府の給与法の一部改正に関する法律案の国会提案ということがなければ退職手当法案というものは審議できないじゃないかという御議論、私は先生のお考えというものが一つの考え方として提示されているというふうに理解をいたします。
 政府といたしましては、退職手当法の一部改正というものは、昭和五十二年の民間のいわゆる退職手当と官側の退職手当の実際の状況を人事院にお願いをして調査の結果、官側の方が一割高い。四十七年の調査の結果は二割低かったわけでございまして、やはり民間準拠にしてこれは二割上げるべきだ、こういうことで二割上げたわけでございますが、今回は五十二年の調査によって一割高いといういわゆる調査の結果が出たために、政府は民間準拠にするという原則に基づいて退職手当法の一部改正の御審議を願う、これも、原案といたしましては今年の四月一日にさかのぼって実施するということでございましたが、衆議院の御審議の中でいろいろの点が指摘されまして、五十七年の一月一日というふうに修正されて参議院に送付されて、いわゆる審議未了で審議が十分尽くせずに継続審議となってこの臨時国会に継続されてきたような過程でございまして、政府といたしましては、人事院勧告とこの退職手当との関係というものは、たまたま今回そのような結果が国会の御審議の中で起こってまいった、こういうふうに実は理解をしておるわけでございます。
 人事院勧告に関する政府の考え方を完全実施という形で直ちに国会に給与法の改正を提案しろという御意思、お考えにつきましては、政府としては、なるほど十年間、昭和四十五年以来完全実施というまあ慣行といいますか、それがずっと続いてきた。そういう中で、人事院勧告が出れば完全実施するんだ、こういうふうな一つの何といいますか十年にわたる歴史がわれわれに、人事院勧告が出れば完全実施だなあ、こういうふうな印象を与えてきたことも私は否めない事実だろうと思います。
 しかし、完全実施をせよとか、人事院勧告が出れば即そのまま国会に法案を出せばいい、こういうことになれば、またこれは給与関係閣僚会議というものの開催も必要がなくなるわけで、やはりその財源を担当しておる歳入の所管大臣である大蔵大臣が、国の財政事情は今年はどうなるかということを真剣に国の経済運営の中で考えていく、それを給与関係閣僚会議の構成員の一人として歳入状況を報告し、それによって政府が総合的に判断をして、公務員諸君の安定した公務への勤務ということができるように誠意を持って努力をしていく、こういうのが私はわれわれのとるべき態度だろう、このように考えて今日も今後とも誠意を持って努力をいたしたい、このようにかねがね申し上げているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
#58
○野田哲君 中山総務長官の誠意は誠意として、問題は、現実的な数字が出てこなければこの種の問題は私は素直に受けとめることはできないんです。
 そこで、人事局長に伺いますが、あなたは総理府人事局長になる前は運輸省の鉄監局長で、公労協の連中ともつき合いもあるし、公労法についても承知をされていると思うんだけれども、先ほども人事院の方で答えられましたけれども、なぜこの人事院勧告の対象になってないのかと、こういう質問に対しては、特別職や裁判官や三公社五現業も含まれているから人事院の勧告の対象にはなってないんじゃないかという意味のことも言われたわけですね。「国家公務員等」というこの「等」の中に三公社五現業が含まれているわけですが、三公社五現業の場合は、公労法によって当然これは団体交渉の対象になるべきじゃないかと思うんですけれども、その問題の前に、まず前提として伺っておきたいと思うのは、退職手当というのはそもそもどういう性格のものだと考えておられるんですか。
#59
○政府委員(山地進君) 先ほど人事院総裁が申されましたとおり、長期勤続に対する報酬であるというふうにわれわれは考えております。
#60
○野田哲君 長期勤続に対する報酬、それだけではないと思うんですね。勤務年数によって計算をされているというよう方形からすれば、私はやはり賃金の後払い的な性格も含まれていると思うんですが、しかし、まず長期勤続に対する報酬であろうとあるいは賃金の後払い的な性格であろうとも、いずれにしても三公社五現業の場合は、退職の場合、何歳になったらやめていくというのも労使間で交渉をして一定のルールを決めているわけでありますから、当然退職手当についてもこれは労使間の交渉事項、こういう性格を持っていると思うんですが、この問題については三公社五現業のそれぞれの労働組合との間では合意を得る交渉などの手順は踏まれたわけですか。いかがですか。
#61
○政府委員(山地進君) いまの問題、大変むずかしい問題であると私も理解しておりまして、ただ私もいろいろ調べてみたわけでございます。そうすると、この退職制度に関する紛争といいますか、仲裁とか調停とか、そういうのが起こっているのは二十八年以前、つまり退職手当の暫定措置法というのがございますが、そういったものができる前の紛争が主でございます。国鉄の仲裁裁定もございます。その仲裁裁定の中には、公労法八条の賃金その他のものに当たるのでこれは当然交渉の対象になるというような考え方も述べられているのは事実でございます。
 しかし、その後この退職手当法というのは、沿革から申し上げますと若干長くなりますけれども、戦前においては官吏と雇用人というように公務員が二つに分かれておりまして、官吏についてはそもそもが恩給法だけであると、それが官吏の処遇が若干低下してきたころから、高等官に対する賞与支給の問題が出まして、大正七年ぐらいから官吏については賞与という形で退職手当相当のものが出てきたと。そういったものが官吏以外の非現業の雇用人については賞与としての退職手当、これはわりと制度としては完備されない形で並行して行われてきたのも事実のようでございます。ところが、現業の方でございますけれども、現業の方につきましては、国鉄が主となって国鉄の従業者に対しまして退職手当というのが設立された。
 ところが、そういった官吏、雇用人、あるいは現業の人たちの退職手当というものが戦後どうなったかというと、物すごいインフレのもとで、恐らく各企業がそれぞれ払うということについては非常にむずかしくなってきたんだろうと思うんです。それが二十一年に、言ってみれば全体を統一するような形で「退官、退職手当支給要綱」というのが二十一年にできて、それが二十四年には退職手当の臨時措置に関する政令、それから二十五年には国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律と、こういうようなものが逐次出てきて、言ってみればパッチワークで毎年の退職手当を辛うじて払うというような状態が起きてきたわけです。
 そこで、何が問題だったのかということを調べてみますと、恩給とそれから官吏の俸給令に基づく賞与といいますか、そういったものとか、共済組合の退職給付あるいは労働基準法による解雇手当あるいは失業保険法の退職手当、こういった性格のそれぞれ違うものがごろごろしていまして、その間の整合性がないというのがこういった退職手当をまとめるのに大変難点だったように私どもは理解しております。
 ところが、三十三年に五現業の職員と非現業の雇用人に対しまして国家公務員共済組合法というのができて、長期給付の制度ができてきた。それで、退職手当法を改善して、長期給付とそれから退職手当というものの整合性を認めて、非現業の官吏を除く五現業の職員とそれから非現の雇用人というものに三十三年に退職手当法というものを改善した。それで、三十四年に、国家公務員共済組合法ができた機会に非現業の全体を退職手当法に包含すると同時に、三公社についても共済組合法ができているのでこれを一緒にするというような、非常に歴史的な背景があって、その後今日まで至っている。
 その間、先ほど申し上げましたように、二十八年までの暫定措置の時代、非常に不安定でかつ退職手当が少ない時代には、これを団体交渉すべきであるというような議論もあり、それから二十八年には大蔵委員会の御決議、これは共済組合法のできるときには退職手当について三公社についてよく考えるべきじゃないかというような御決議もあるわけです。ところが、三十四年の退職手当法ができたとき、つまり共済組合法が別途できたとき以後は、こういったお話というのは一切ない。つまり私どもとしては、共済組合法、これは三公社それから国家公務員、それぞれ共済組合があるわけです、その共済組合の制度とこの退職手当というのが整合性があるものとして今日まで綿々と続いてきているということでございまして、立法論的には、二十八年の大蔵委員会の御決議があるように、どういうふうな扱いをしたらいいかというのは立法政策の問題もあろうかと思いますけれども、私どもとしては、この退職手当法というものが完備されているという意味で、現在のままで進むべきではないだろうか、かように考えております。
#62
○野田哲君 沿革をるる述べられたわけですが、そうすると結論としては、この退職手当については公労法適用組合といえども交渉事項ではないと、こういうふうに考えておられるわけですか。その結論はどうなんで促すか。
#63
○政府委員(山地進君) 退職手当法は、先ほど人事院総裁も申し上げましたとおり、特別職から三公社五現業、それから非現の一般職と、同じ方式でやっておるわけでございます。そこで、その法律の適用を受ける限りは、いろいろのパートで、三公社あるいはわれわれも組合の意見というものを聞いております。そういう意味では、いろんな意見というものが出てくるのはいいわけでございますけれども、どこそこかで団体交渉した結果、それで全体を動かすというわけにはいかないんじゃないかと。したがって、団体交渉するという前提には、いい悪いは別にいたしまして、理屈の上からは、退職手当法の適用のない団体というものがあればそれはいいわけです。ところが、では民間の方はどうなっているのかという話、これはまた御質問にこたえてお答えすべきなのかもしれませんけれども、民間の場合でも就業規則とそれから労働協約と、二つあるわけでございますが、三分の一は労働協約、あと三分の二は就業規則になる。それで、先生の御承知のとおり、労基法の就業規則に掲載するのは退職手当を定めた場合ということで、必ず定めるということにはなっていないということから考えても、必ずしもすべての場合に団体交渉の対象にはしてないんじゃないかなという気はしております。
#64
○野田哲君 いや、退職手当については一本の法律になって、一般職の国家公務員も特別職も、それから五現業も三公社もみんな一つの法律になっているんだからこの交渉は必要ないんだと、こういうふうに言われますけれども、たとえば夏期手当や年末手当などの特別給ですね、法律はそれぞれ別々になっておりますけれども、実際は、支給率は一般職の国家公務員も三公社五現業も同じ支給率で決まっているわけですね。あなた、首を横に振っているが、三公社五現業も国家公務員の給与法に決められたものを、その率を学使間の交渉で確認をして決めているわけでしょう。あなたは、首を振ったとすれば、それとは別の率で出している場合もあるということをあるいは言いたいのかもしれませんけれども、国家公務員の率以上のものを出していることについては、電電公社などについて目くじら立てて問題にしたじゃないですか。だから、やはりそういうふうにならそうとされているわけです。だから当然私は、退職手当についても、重要なこれは退職の条件なんですからやはり労使間の交渉で合意を得る、こういう角度で扱うべきではないかと思うんですね。
 特に今日の経済情勢の中では、ずっと以前の戦前の官僚制度の中ではあるいはこの退職手当というのも長期勤続に対する報償的な性格の度合いが強かったかもわかりませんけれども、今月では、これはもう賃金の後払い的な性格を持って、退職後の生活設計の大きな要素になっていると思うんですよ。たとえば住宅の支払いに充てるとか子供の学資に充てるとか、あるいは退職後の新しい生活設計のための小商売の元手にするとか、いろいろそういう面では老後の生活設計の重要なファクターになっていると思うんですが、この退職した後の退職手当をどのような形で受けた人が使っているのか、あるいは退職した公務員の退職後の生活の状態等について、たしかあれ人事院ですか総理府ですか、追跡調査をやられた例があるんじゃないかと思うんですが、これはやっておられる例がありますか。
#65
○政府委員(長橋進君) 退職者につきまして、退職後の生活実態についての追跡調査をいたしております。
#66
○委員長(遠藤要君) 午後四時から委員会を再開することとし、休憩いたします。
   午後二時四十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時三分開会
#67
○委員長(遠藤要君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#68
○野田哲君 退職金の使途、使い道ですね、それから性格、先ほど来の報償説それから後払い説等々諸説があるわけですけれども、退職金のデフレーターという試算があるわけです。これは総務長官、よく念頭に置いていただきたいと思うわけですけれども、これはどういうデータかといいますと、昭和三十一年から五十年までの間で退職金の値打ちがどのように変わっていったかというデータであります。
 まず、地価を例にとりますと、昭和三十一年に地価を一〇〇といたしますと、昭和五十年で三三九五、こういう数値が出ています。それから建物の場合です。昭和三十一年を一〇〇といたしますと、昭和五十年、二十年の間で建物の場合六一七・七。それから教育費、これを昭和三十一年を一〇〇といたしますと昭和五十年で五六九。そういたしますと、退職金の場合は、昭和三十一年を一〇〇といたしますと逆にこれは昭和五十年は八五、こういう数値になってきているわけであります。
 こういう形で、実質価値はこの二十年の間に一〇〇から八五に下がっている、こういう状態になっているわけですけれども、退職手当が、退職後、退職者によってどのように使われているのか、どういう割合で使われているのか、その傾向についてたしか人事院では追跡調査をやられていると思いますので、その状況について御報告をいただきたいと思います。
#69
○政府委員(長橋進君) 追跡調査の結果につきまして御報告申し上げます。
 これは、四十七年度の退職者とそれから五十二年度の退職者につきましてやっております。四十七年度の退職者から申し上げますと、四十七年度の退職者のうち一般職の国家公務員、これは五現業も含めてでございますが、退職年金受給者一万九百十八人につきまして退職手当の使途について調査をいたしました。これはパーセンテージでございますが、退職手当使途、これを一〇〇といたしました場合に、住宅宅地に三一%、それから借金の返済に三%、生活費に二三%、子弟の教育、結婚、この費用に一一%、それから事業資金に一%、その他四%となっております。なお、当分の間使う予定なしというのが二七%でございます。
 それから、五十三年度の退職者につきまして、五十四年の調査結果でございますが、これは給与法適用職員でございますので、先ほどの四十八年の調査では五現業が入っておりましたけれども、これは入っておりません。給与法適用職員で退職年金受給者七千五百五十九人につきまして調査した結果でございますが、退職手当の使途を一〇〇といたしました場合に、項目別使途を割合で見ますと、住宅宅地に二六%、それから借金返済に三%、生活費に二二%、子弟の教育、結婚に一二%、事業資金に二%、その他一〇%、それから当分の間使う予定なしというのが二五%の割合というぐあいになっております。
#70
○野田哲君 やっぱりこう見てくると、この退職手当の性格というのは、功労報償的な性格というのはないと思うんです。少なくとも、当分の間使う予定がないというものが五〇%を上回るぐらいでないとこの報償的な意味はないと思うんで、やっぱりこれは賃金の後払い的な性格を示していると思うんですね。特に住宅宅地の取得に二六%、四十七年の場合は二二%、生活費がその次に大きな分野を占めて二〇%を超えている。こういう状況を見れば、やはり賃金後払い的な性格が非常に強いと思うんですね。
 特に先ほど申し上げましたように、住宅宅地の取得に使うウエートが非常に高いということは、これはデフレーターから見ると、やはり最も指数が高くなっている土地それから建物、これに充てる費用が一番高いわけでありますから、結局は実質的な退職金の指数というのが土地建物の価格の高騰によってどんどん下がっているということを示していると思うんです。
 それで、この指数からいくと、仮に一平米当たり十万円ということになってきますと、いまの退職金額で買える宅地百四十平米、三十年代の初めには八百平方メートル買えたものがいまは百四十平米しか買えない、こういう割合になるわけでありまして、特にこの追跡調査の中で、土地建物の取得に充てる率が高ければ高いほど実額は下がっていくと、こういう数値を示していると思うんですね。
 そこで、そういう傾向の中で、民間企業の場合にこの五十二年の調査の中で企業年金の制度というのが相当拡大しつつある。これは一つは税制との関係もあると思うんですが、この実態はどのように人事院では把握をされたわけですか。
#71
○政府委員(長橋進君) 五十三年度の調査で集計企業数は九百二十五でございます。千五百社を対象にいたしましたが、集計いたしましたのは九百二十五社でございますが、そのうち企業年金制度ありというのが五百六十一社、それから企業年金制度なしというのは三百六十四社でございまして、構成比を申し上げますと、企業年金制度ありというのが六〇・六%、六割ということになっております。
 さらに、この企業年金制度の中の内訳を見ますと、調整年金百七十九社、それから適格年金三百三社、自社年金三十一社、それから、いま申し上げました年金のうち二つ以上の年金を併用しておるというところが四十八社ございました。
#72
○野田哲君 この企業年金については、その後さらに増加する傾向にあるということが労働省の調査などでも示されているんですが、これは比較の中ではどのように取り入れたわけですか。やはり企業年金という名前にはなっておりますけれども、退職した後の生活保障的なものとしては、やはり退職金と、それから公的年金と、そしていま言われたような企業年金、これが民間の場合には退職後の生活の手段の大きな要素を占めているわけですが、公務員の場合にはこの企業年金的なものはないわけですね。いま労働組合などで自主的に組織をつくってやっている例はありますけれども、使用者側がつくった制度としての企業年金制度というのはないわけですから、そうすると、当然民間企業の中で六〇%を超える割合で企業年金制度があるとすれば、これは比較のときには当然取り入れられなければならないし、さらに、いまずっとふえつつあるということからすれば、当然これはそういう扱いをされなければならないと思うんですが、これはどういうふうに把握をされ、比較をされているわけですか。
#73
○政府委員(山地進君) 比較の場合には、この企業年金というものを現価に戻しまして、退職金として払われた場合に幾らになるという計算をいたしまして退職金の方に入れているというのが、まあ大ざっぱに言うとそういうことなんでございますが、企業年金でも組合員が出してやるものもあるかと思うんでございますけれども、ほとんどは企業の方で負担するというのが大部分かと思います。いずれにしても、その企業で負担している額を退職金の方に換算していく。
 と申しますのは、最近の傾向というのは企業の方で退職手当を出す、つまりこれは企業負担でやるわけでございますけれども、それがかさむ場合に、選択制で退職一時金にするのか退職年金にするのかということが、企業の方としても、あるいは社員といいますか組合員としてもそれを好む傾向にあるというようなことで、負担は企業がいずれにしてもする額が一定だと、一時に出すよりも長期にわたって出した方がいいという企業側の考え方、それから組合員としても一時金としてある程度もらって、それ以後は老後の年金としてもらう方がいい、こういったような考え方から企業年金ということが行われている関係もございますので、公務員の退職金と比較する場合には、企業年金の企業負担部分について現価に戻して退職金の中に合わせて官民の比較をするというふうなことをやっておるわけでございます。
#74
○野田哲君 民間の企業年金の制度というものが広がりつつあると、そして退職後の生活の保障の重要なウエートを占めている。そういうことも含めて、先ほど人事院の給与局長から報告のあった状態、あるいは私がい主アークを述べたような状態で、この退職手当の性格というものは、従前の報償的な意味合いからやはり生活給的な意味合い、生活保障的な意味合い、賃金の後払い的な性格、こういう性格がだんだん強くなっているし、特に退職者の追跡調査に見られるその使途の傾向からしても、これは当然もう重要な給与の一部分をなすものではないか、こういうふうに思うわけです。それが、いまの制度で言えば退職手当法という形で三公社五現業も特別職も含めて一本の法律になっている、そのことを理由にして人事院の勧告の対象から外している、あるいは三公社五現業の場合は労使交渉の対象から外している、これはやはりどう考えてもおかしいんではないか、こういうふうに思うんですね。
 それで、労働基準法のたてまえからすれば、民間の場合の退職手当というのは、やはり臨時的な理由に基づいて支払われる賃金、こういうことにみなされているんではないでしょうか。労働基準法では、労働条件の一つとして退職金についての定めをした場合には、労働基準法八十九条によって必ず就業規則に記載すべきもの、こういうふうな規定をしていると思うんですが、労働基準法で、民間の労働者の退職手当についてはそういうふうな臨時的な賃金、こういうふうにみなしている以上は、公務員や三公社五現業の職員の場合も、公務員については人事院が勧告の対象にする、三公社五現業の場合には労使間の交渉の対象にする、こういう措置がとられることが当然なんじゃないでしょうか。いまのそういう点について制度の改正を行うべきではないかと思うんですが、人事院と総理府、それぞれの見解をこの点について聞かせてもらいたいと思います。
#75
○政府委員(山地進君) いま御指摘になりましたのは、労働基準法の二十四条に「(賃金の支払)」というのがございます。それからもう一つ、労働基準法十一条は、「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」と、こういう規定であるわけでございますけれども、支払いの規定で、賃金というのは、一部を控除する場合には組合の協定がある場合には一部控除できるけれども、控除できないということが第一項に書いてございまして、第二項には「毎月一回以上、一定の期月を定めて支払わなければならない。」と、ただし書きの方にいま言われた、「臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので命令で定める賃金については、この限りでない。」と、毎月一回しゃなくてもよろしい。そこで「命令で定める」ということが賃金についてあるわけでございますが、労働省の命令で規則がございまして、これには「一箇月を超える期間の出勤成績によって支給される精勤手当」、それからもう一つ、いろいろございますが、「勤続手当」「奨励加給又は能率手当」と、こういうふうになっております。
 そこで、これではまだよくわからないので、労働省の方の通達がございまして、それで通達の中に書いてございますのは、退職手当とか結婚祝とか、そういうものは一般的には賃金には入らない。ただし、いま先生の御指摘になりましたように、これは八十九条でございましたか、就業規則に定めたものについてはこれは賃金だというふうなことが書いてあります。どうもその辺のことが、労働省にこれをお確かめいただいた方がいいわけでございますけれども、やはり賃金というのは請求権がなければ賃金にならない。そうすると、就業規則に定めてあればこれは賃金として請求ができる。つまり、いま先生のお読みになった、たしか八十九条だったと思うのでございますけれども、定めた場合にはと、こう書いてあります。この就業規則のところに、「退職手当その他の手当、賞与及び最低賃金額の定をする場合においては、これに関する事項」、つまり就業規則に必ず書かれるとは書いてないんです。ですから、退職手当というものを就業規則で書いた場合には賃金になる。だから、一般的に退職手当が賃金になるのかと言ったら、やはりならないというふうなことにこの解釈ではなるんではないだろうかというふうに読めるのでございます。
 これは私、労働基準法の専門家でございませんから、もう少し、いまの点は私の解釈が間違っているのかもしれませんけれども、私、こうすうっと読んでみまして、いまの点についてそういうふうに読めるのじゃないかというふうに思います。(「三百代言だ、そう読めない」と呼ぶ者あり)
#76
○政府委員(藤井貞夫君) 退職手当については所管が総理府でございますから、私は余り差し出がましいことは差し控える方がいいんじゃないかと思いますが、せっかくのお尋ねでございまするし、また御意見の開陳がございましたので、私なりの考え方を若干申し上げておきたいと思いますが、いま人事局長さんも御答弁になりましたように、退職手当というのはそもそもその性格は何かということについては、現行法上、法制のたてまえからも即断できない。これこれであるというふうに定義づけて、それ以外のことは考えられないのだというところまでは実は熟していないと思うんです。これは確かだと思います。したがって、学説もそうですし、われわれの取り扱いあるいは判例の一部等におきましても、退職手当は賃金の後払い的な性格を持っておるというようなことを主張する向きもあるし、またわれわれ人事院あるいは総理府において申し上げておるように、勤続に対する報償的な性格を持っておるものだ、そういうふうなことを言っておりまして、それぞれ私はもっともなところはあるというふうに思います。
 しかし、それはそれとして、いま野田さんもおっしゃっておるように、これはやはり退職手当というものが実質上、非常に生活設計上、特に退職後の生活設計等をやる場合に大変重要な要素であるということは、これは間違いのないことであります。勤続報償的なものであるからそんなものはどうでもいいんだというような性質のものじゃない。すべて、やはり大体やめるような時期になりますれば、その方は、自分の退職手当は大体どのぐらいになるだろうなということは数年前あるいはもっと前から考えておりまして、それを頭に描きつついろいろなことを計画していくというのが現実の問題だと思います。それほどこの問題はやはり大変重要な意味を持っておって、私ははっきり言えば、毎月毎月の生活の糧になる俸給というものとそれから退職手当、退職時にもらう一時金というものと、それからその後の年金と、この三つは同じような重要性を持っておると、私は、いまやもうそういうふうに言うべきじゃないか、またそういう実感を持って対処しないと事柄の本質に迫り得ないという感じを持っております。
 したがって、先刻の御質問に対しても申し上げましたように、私も、やはり人事院としても退職手当は大変重要視していますと、そういうような角度からこれをながめておるつもりでございます。ただ、現行の法制のたてまえからは、いろいろな事情がございまして、総理府所管ということになっております。それなりの理由があると思っておりますし、私の立場から、何か管轄争いみたいに、ほかの所管があるのにそれを私が何か取りにいくというようなそういう印象を与えることは、まことにこれはおもしろくないことでございますし、また仁義にも反することでございますので、これは申し上げません。申し上げませんが、しかし大変重要なことに思っておることは確かでございまして、そういう意味から、実質上これについての取り扱いというものは、人事院としても健全な常識を持って、しかも深刻な考え方を持って対処していかなければならぬというふうに思っております。
#77
○野田哲君 先ほどの総理府の人事局長の説明ですけれども、これはこっちの方から三百何とかという不規則発言がありましたが、これはやっぱり詭弁的なにおいが強いですよね。民間企業の場合、就業規則に書いてあれば請求権もあるし、これは臨時的に払われる賃金とみなされる、就業規則に書いてなければそうでない一とこの企業だって、退職手当を払うのに何の規則もなしに、つかみ金でその都度その都度何のよりどころもなしに払うなんというのはあり得ないことですよ。やっぱり何らかの規則を定めているか、労働協約に定めているか、それによってやっているわけでありますから、私はやはり臨時的な賃金、こういうふうに考えるべきだと思うんですが、そういう点からすれば、昭和二十六年の十二月二十七日の基発八百四十一号、こういう通達によってこれは臨時的に支払われる賃金ということできわめて明快な解釈をされていると思うんです。
 民間の場合にそういう性格を持っていあとすれば、この三公社五現業の場合、先ほど公務員一般については人事院の藤井総裁も遠慮しながら一定の見解を述べられたんで、私もそういうことだろうと思うんですけれども、三公社五現業の場合、公労法の八条はどうなっておりますか、局長。
#78
○政府委員(山地進君) 八条の規定でございますけれども、「第十一条及び第十二条第二項に規定するもののほか、職員に関する次に掲げる事項は、団体交渉の対象とし、これに関し労働協約を締結することができる。」と、ここで一から四まであるわけですが、「賃金その他の給与、労働時間、休憩、休日及び休暇に関する事項」。で、お尋ねの「賃金その他の給与」ということで労働協約の対象になるのじゃないだろうか一これは先ほど私が御答弁いたしました中で申し上げましたように、二十四、五年ごろでございますか、国労等が調停委員会に持っていった際にも、仲裁委員会の方ではこの八条の時その当時は二項と言っていたんですね、一項、二項が分かれていたらしい。二項の「賃金その他の給与」に該当するということで、労働協約の締結ができるんだという解釈がございます。そういうふうなことで調停をされた例もあるわけでございますけれども、その結果は、その当時の法律に何ら影響することなくそのまま終わっているという事例があるわけでございます。それで、やはり二十八年以降、そういった労働協約の対象にするというような話というものがなくて今日まで来ている。つまり、この退職手当法というものが、よく使われる言葉で言えば慣行なり慣熟しているというようなことは確かにあるんだろうと思うんです。
 それで、公企体等それから公務員と一緒にしていることが何でそのまま定着しているのかという裏には、やはり賃金というものをファクターの一つに挙げている。賃金は仲裁で決まってくる。あるいは人勧で決まってくる。それぞれの由来があってそれが定着してきているから、その根っこについてはかなり安定したものがあるということが一つあろうかと思います。そういうことで、では、この規定とこの規定が団体交渉できる、片一方の法律が決めているということについてどっちが優先するのかということが一つあるわけです。それで、公労法をつくるときにそういったことがどんなふうに議論されたかというのは私もよく知らないわけですが、他の法律の適用除外ということで四十条に、これは給特法の関係でございますけれども、五現業について適用除外の規定があるわけです。これは国家公務員法の適用除外でございますけれども、これがあるなら何で退職手当にも適用除外がなかったのかという疑問も起こらないではないんですが、まあ、よくまた三百代言で言えば、適用除外を決めてある法律はちゃんと明確なんだから、ここに書いてない法律は適用除外なのかな、適用除外にならないのかなとか、いろいろなことが起こるわけです。
 それからもう一つ、これも立法上の経緯の問題でございますけれども、二十八年ごろの法律には、この法律以外では退職手当は支給しないという規定があったんです。それがその後退職手当法になったときには、退職手当の基準を定めるということで、この退職手当法の第一条には「退職手当の基準を定める」ということになって、基準を定めるといった以上、これはかなり強行法的なにおいがあるんではないだろうかというようなことで今日まで推移しているというのが実情だろうと思います。
 ただ、これも先ほど申し上げたとおり、一体年金についても、国家公務員法の共済年金もあるし、公企体の年金は別だし、これで言えば五現業は公務員の共済組合に入って公企体は公企体だけであるというそれぞれのやはり経緯があるんだろうと思うんですね。それぞれについて別々にするんだったら、なぜ年金はじゃ団体交渉にならないのかということでもあるのかもしれませんし、やはりいろいろな分野でいろいろな歴史を持って今日まで運営してきて、かつそれが妥当なものとして運営されている。しかも年金との間に整合性を持って生まれてきているというので、やはりこれは退職手当法以外には退職手当は払わないというのがいまの法秩序ではないだろうかと、かように考えております。
#79
○野田哲君 三公社五現業の場合に、ずっと昔交渉事項という主張があったが、その後あんまり問題にならずに二十何年以上も経過をしたと、だから現状でいいんじゃないかというような意味合いのことを言われたんですけれども、これが問題にならなかったのは、その間は切り下げるような事態が起こらなかったから問題が起こらなかったんです。こういう状態は、二十数年間の中で初めてですよね。だからいま問題が起こっているわけですよ。だから私は、先ほどいろいろな例を引用いたしましたけれども、やはり重要な労働条件ですよ、これはね。だとすれば公労法の八条の四項ですか、やはり交渉事項の対象にすべきではないか、こういうことを今後制度問題として考えていくべきではないか、こういうふうに思うんです。
 先ほど局長は共済組合の共済年金の問題等も引き合いに出されましたけれども、そもそも総務長官、いろいろ昔からの沿革、歴史、それに縄張り、こういうものがあって、公務員の場合の退職後の生活設計と言えばやはり退職手当と共済年金、そして現職の間は給与、こういう形で成り立っているわけでしょう。それが給与は人事院、退職金については総理府、そして、しかも総理府だけでは実態の把握ができないから調査については人事院に頼むと、そして所管は総理府だと、共済年金の方は大蔵省だと、こういう形でばらばらに所管されている。こういう状態こそ、まさにこれは行政改革のぼくは問題として一元化をすべきことを考えなければいけないんじゃないか。そして、三公社五現業についてはやはり労使間の交渉事項にしていく。そうすると、交渉事項にすれば高いところや低いところができるんじゃないかというようなことを懸念されているようですけれども、いまの夏冬のボーナスだってそれぞれが交渉で決めているけれども、ちゃんとその基準というのは、国家公務員のボーナスを基準にして労使間で交渉して確認され、判を押しているわけです。退職手当だけが、交渉事項にしたからといって電電公社がべらぼうな金額になったり、国鉄が大貧乏だからべらぼうな低い金額になったりするというようなことは、これは常識ある労使間で交渉されればあり得ないことです。
 問題は、制度として、いつまでもいまのようなやり方で昔の報償的な恩着せがましい意味を持った制度のままで存続をしておくことがいいのか。いまの追跡調査の結果に見られるように、生活保障の重要な分野を占めているんですから、今日の状態に見合ったように制度を改めていくと、こういうふうにされた方がいいんじゃないかと思うんですが、せっかく人事院でも公務員の給与制度等全体の見直しを行うということをやっておられるし、あるいはまた行政改革の問題がいま国政上の大きな課題になっているわけですから、やはりそういう面は考えていくべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか、長官。
#80
○国務大臣(中山太郎君) いろいろな制度にそれぞれの歴史がある、こういうことは先ほどからの御議論の中でよく私も認識をいたしております。かつて人事院制度をつくるときに、八年近い論議の末人事院という制度ができ上がってきて、今日こうして公務員のいわゆる労働基本権の制約の代償機能として、中立機関的な存在として公務員の生活を守っている。しかし、いま御指摘のように、退職手当が総理府の所管であり、給与の勧告については人事院制度がその機能を発揮する、年金は大蔵が共済年金を持っているというようなことでは今後新しい時代に対応していくのにはいかがかという御質問だろうと思います。
 この間の衆議院の行革委員会及び予算委員会で、やはりこの年金の一元化ということが盛んに各党からも御意見が出ておりました。総理も年金の一元化については前向きにこれから取り組んでまいる、こういうことでございますし、かねがね当委員会でも昭和六十年をめどに公務員制度の全般について見直しを行うという答弁も出ております。そういうことを勘案いたしますと、先生御指摘のように、一度この行政改革の絶好の時期でもございますから、全般の見直しということについては与党も野党もそれぞれ御意見がございましょうが、ひとつ十分御論議をいただいて、よりよい制度が日本に定着できるようなことが迎えられれば何よりのことだと私は考えております。
#81
○野田哲君 人事院の総裁に伺いますが、先ほど来所管の問題について遠慮しながら総裁は見解を述べられたんですが、しかし、人事院も国公法の二十三条ですか、法律の改廃等について政府に対しての意見を述べることができる、こういうこともあるわけですから、現行制度のもとでも私はやはり必要なことを言える立場にあると思うんですが、この退職の問題については、この現行のもとでの国公法二十三条の対象としては全く考えておられないということなんですか。
#82
○政府委員(藤井貞夫君) これは、先刻の御質問に対してもちょっと申し上げたかと思いますが、私は、制度的には二十二条を援用していまお話しのあるような点はやろうと思えばできると思います、これは。できると思いますが、物事にはやはりそれぞれ沿革なり歴史というものがございますし、それと実質上一般職公務員だけの問題ではなくて、現行の退職手当法はその他の特別職あるいは三公社等についてもその対象としておるというような点がございますので、それらの点はやはり慎重に考えていかなければならぬということだろうと思っております。
 しかし、この重要性については、これも先刻お触れ申し上げましたような点で私は大変重要な問題だというふうに思っておりますので、恐らく行革あたりでもこういう問題も論議をされることになるかもしれませんし、われわれの方で長中期にわたる全般的な見直し作業というものを進めていきます。その過程におきまして、これらの問題についても十分ある程度の方向が打ち出されてくるという状況になりますれば、所管の総理府とも緊密に連絡をとりながら、所要の措置というものをでき得るならば考えていくという前向きの姿勢でもって取り組みたいというふうに思っております。
#83
○野田哲君 なぜ私がこの問題について、総理府だけの扱いでなくて人事院で取り扱ったらどうかということをくどく主張するかといいますと、総理府の方で、この人事院の調査の結果を報告を受けて退職手当解説の、この改正の資料をつくっておりますね、一枚の簡単なものですよね。恐らく、人事院として二十三条に基づいて法律の改正について意見を述べるとか、あるいは勧告ということであれば、こんな一枚の簡単なものでは済まないと思うんですよ。やっぱり調査の結果はこうでありましたという、調査の内容を詳細に資料として出されたと思うんです。総理府でつくっているこの参考資料、これを見てもわからないですね、これ。信用できないですよ、こんなわずかの簡単な資料では。なぜ、これもっと人事院があなたの方へ渡した民間の実態についての詳しい資料が私どものところに示されないんですか。
#84
○政府委員(山地進君) 簡単な資料ということでございますけれども、もし御必要がございますれば、より詳しい資料というものをお出しすることについて、私ども何か隠しているわけではございませんで、当面私どもの議論をするのに必要にして十分な資料というものはこの程度であろうということで、人事院のお調べいただいたものから作成したのがこれでございます。私ども、いろいろ御説明するのにはこの程度あれば十分御説明できるんではないだろうかというふうに考えておるわけでございまして、先生の方でまたいろいろとこういう資料が必要であるということであれば、私どもとしては喜んでお出ししたいと思います。
#85
○野田哲君 これはひとつ喜んでぜひ出してもらいたいと思うんです。それでないと、たとえば先ほど局長が説明された企業年金はどう扱ったんですかと言ったら、それは退職手当に引き直してデータの中に入れてあるんだとこう言われたけれども、どういうふうに引き直してどういうふうに計算に入れているのか、さっぱりわからぬですよ、本当に。こんなもので審議しろというんだったら私はお断りしたいぐらいなもので、委員長がやろうやろうと言うから私応じているんでね。それはぜひひとつ資料は出してもらいたい。これは、委員長としてもひとつそういうふうな処置をとってもらいたいと思うんです。
 なぜ私が官民比較をいろいろ言うかといいますと、官民比較を行うという場合には、年齢とかあるいは学歴とか、勤続年数とか性別とか役職とか、こういうふうに、人事院が行っている給与の勧告ではこの点をかなり細かくやっているわけですね。いまの総理府の資料では、この官民比較がどのような条件を設定をして比較したものか、これは全くわからないですよ。これはどういうふうに比較をしたわけですか、いま申し上げたような点は。
#86
○政府委員(山地進君) 各委員の方にお配りした資料に言及されての御質問かと思うわけでございますが、まず、この法律の対象になる職員の数は、全部で約二百万の在職者がこの対象になるわけでございます。国家公務員が百二十万、そのうち五現業が三十五万、それから三公社が約八十万、これらの二百万の人の在職者がいるわけですが、そのうち退職者というのが、お手元の資料にありますように、九万三千人が退職している。国家公務員が七万一千人、それから五現業が一万人、三公社が二万二千人。
 そこで、こういった人たちの相手にどういうような官民の比較をしたらいいか。人事院の方でおやりになるのはラスパイレスで民間の企業と比較される、これは非常に精巧な方式だと思います。しかし、これだけの二百万の大世帯で、かつ、いろんな方が入っている場合に、比較の方法というのはどんなのがあるだろうかというので、四十八年に初めて官民比較ということで法改正をやられたわけですが、前からそういった比較を何回も続けているわけですが、私どもの採用いたしましたのは、一番比較しやすいもの、しかも多数を占めているものというのは何だろうかということで着目いたしましたのが、まずはいろいろの現業の方とか何かになりますと特殊性があるから通俗的に申し上げ得ないけれども、ホワイトカラーの人の比較というのがわりと官民の比較というのはやさしいのではないか。
 それで、ホワイトカラーで一体公務員の中でマジョリティーを占めているのはどういうものかと言いますと、行(一)が約二十四万人ぐらいおるわけでございますが、これはホワイトカラーでございますが、その中で、在職者の約五〇%を占めているのは高校卒でございます。退職者に至っては六〇%が高校卒でございます。そこで、高校卒の行(一)の人を官公労グループの代表といいますか典型的な例といたしまして、民間の高校卒のホワイトカラーの方と比較をする、そういたしますと、ホワイトカラーとホワイトカラーで比較すれば、公務員グループの代表ですから、このグループは何も複雑な計算をしなくて俸給掛ける支給率という画一的な方法をやっているわけです。この公務員グループ約二百万の民間との比較というものは判定できるのじゃないだろうか。これは、四十八年に二割安いということを決めた方法で、二割高くしたのも同じ方法によっておるわけですが、今回も同じ方法で比較をするということで、もう一度申し上げますと、行(一)の高校卒の二十年以上勤続して退職された方と、会社の高校卒の事務職の定年でやめた方と、こういうことで民間の代表のグループとそれから公務員グループの代表と、こういうものを比較して、これは四十八年の法律改正のときと同じ方法でやっておるわけです。そういうことで今回の比較をしたということでございます。
#87
○野田哲君 人事院の給与局長に伺いますが、民間の場合の調査で、たとえば株、その企業の株がいろんな便法によって渡されているというような例はありませんか。
#88
○政府委員(長橋進君) 株というのは、株主の株でございますか。
#89
○野田哲君 そうそう。
#90
○政府委員(長橋進君) 私ども、話には株を従業員に公開している企業があるということは聞いておりますけれども、しかし今回の調査におきましては、要するに退職一時金として支給された実態を調査するということでございますので、したがって、その株が渡されているかどうかということについては、実は調査しておりません。
#91
○野田哲君 それは、やはりいま話がありましたとおり、従業員の持ち株制度というような運用の中でかなり有利な条件が与えられている、こういう点もやはり私は厳密に調査をしていくべき事項だと、こういうふうに思うんですが、そういう点は全然人事院では思いつかなかったですか。
#92
○政府委員(長橋進君) 四十七年の調査の時点では、これはモデル調査をしたわけでございますけれども、経験にかんがみましてやはりこれは実収額を調査すべきだということで、今回の調査では若干その点が改善になったわけでございます。したがいまして、私どもとしましては今後も引き続き定期的に退職金の動向について調査をしてまいりたいと思っておりますけれども、その調査に際しましては、手法その他いろいろ検討して改善すべきものは改善してまいりたいと、このように考えております。
#93
○野田哲君 いま、総理府の方でいろいろ比較の対象について述べられたわけですが、この点について人事院に伺いますけれども、高卒で勤続二十五年とそれから比較から言えば三十年と三十五年、これを比較されているわけですが、高卒で公務員になった場合に二十五年、三十年、三十五年、こういう形で進んでいくと二十五年の場合はどうなりますか。役職としては大体どういうポストにつくことになるわけですか。等級はどうなるわけですか。
#94
○政府委員(長橋進君) 考えられますのは、二十五年勤続となりますと課長補佐になっておる方もおられると思いますが、その場合には四等級ということになろうかと思います。それから、場合によっては特に三等級に彩られる方もおられるかもしれませんけれども、大体二十五年勤続ですと課長補佐になっておられるのではなかろうかと思います。
#95
○野田哲君 そうすると、標準的に言えば等級で四等級の何号ぐらいになるわけですか。
#96
○政府委員(長橋進君) ちょっといま資料を用意いたします。
 いま、経験は二十五年というお話でございますけれども、大体直採用で申しますと、年齢と経験と相関関係がございますから、年齢で調べた資料によりますと、制度的に四等級にいった場合、つまり下位の等級からオーバーラップしている金額のところで上がっていきまして、しかしまあ終局的には四等級であろうということで考えました場合に四十三歳、つまり十八歳で採用されまして二十五年、四十三歳で四等級の十一号俸ということでございましょうということでございます。これはもちろん制度的に追求していった号俸でございます。
#97
○野田哲君 これ三十年になると、いろいろそのころになると年齢によって大分差が出てくると思うんですが、高卒で入って三十年たつと大体どの辺にいるわけですか、等級としては。
#98
○政府委員(長橋進君) 先ほど二十五年のところで四等級と申し上げましたけれども、ちょっと高こうございまして訂正さしていただきたいと思いますが、平均年齢、行(一)についてでございますが、四十五歳のところですと大体五等級ということになろうかと思います。
 それから三十年といいますと、それにさらに足すわけでございますから、三十年のところで四等級に近い線ということであろうと思います。
#99
○野田哲君 二十五年で五等級、三十年で四等級、号俸は大体どのぐらいのところにいくわけですか。
#100
○政府委員(山地進君) 今回の退職手当を調査いたしましたのは、高校卒の行(一)の方々の二十五年、三十年、三十五年という方々、これらについて退職手当というものの金額というのはわかっているわけです。その金額から退職したときの俸給を逆算するという方法が一つあります。それからもう一つは、お手元の資料にお配りしてある中に「勤続年数別等級別退職者数調」というのもございます。これは実際の五十二年に調査したときの、二十五年の勤続でやめた人は高校卒の行(一)の方でどういうところにおったかということがわかるわけです。
 この表でいきますと、二十五年の方で一番多いのは五等級、それから三十年では四等級、それから三十五年になりますと三等級、これはかなりばらつきがあるわけです。ですから、この三等級にいる人が何号俸にいたかということは、これは別途調べればわかるわけでございますが、いまの典型的に三十五年、三十年、二十五年の人の退職金から逆算したらどうなるのかということをやりますと、五十二年度の退職手当から見ますと、二十五年の方は四等級の十二号があるいは五等級の二十号であろう、それから三十年の方は三等級の十二号か四等級の十八号であろう、それから三十五年の方は四等級の枠外か三等級の十五号であろう。ただし、これは退職金の平均から割り出した数字でございますから、実際に退職金を受けた方がどんな等級でやめたかというのは、実際のばらつき、この千四百人のばらつきをごらんいただくということになろうかと思います。さらに、この方々がどの等級の何号俸であったかということは、必要がございますれば私どもの方として資料の提出はできるかと思います。
#101
○野田哲君 いまの説明によると、この五十二年の調査のときに、ここに出ているこの比較の対象になった退職者、高卒の場合で四等級の十三号ですか、大体いま四等級の十三、十四、この辺になると。今度の勧告でいきますと、引き上げ幅が一万二千二百円から一万二千六百円ぐらい、五%の引き上げになっていますね。そうすると、もう一回これは休憩前の議論に戻るわけですけれども、もしあの人事院勧告を実施時期をおくらせて七月実施あるいは十月実施、こういう中途半端な時期に実施をしたと、こういうことになりますと、人事院勧告の実施以前に、直前に退職した人とそれから実施後に退職した人とでは、わずか一カ月の違いでも、給与の低い人の方が退職手当の受取額はかなり高くなる、こういう逆転現象が起きますね。そうなるでしょう。どうでしょうか。
#102
○政府委員(山地進君) 仮定の話でございまして、そういうことが起こるかどうかというのは、いま給与関係閣僚会議等で御議論あっているわけでございますから、余り仮定の議論で申し上げるのもいかがかと思いますけれども、いま先生のおっしゃるような設問をすれば、仮に七月実施という場合に、六月にやめる人と七月にやめる人の間では、これは差が出るのは先ほど申し上げたとおりであろうと思います。五%賃上げをするということが――そのパーセントとして、仮にいま五・二三%ですから五・二三%と申し上げた方がいいかもしれませんが、それが六月にはベースアップにならない、つまりその方の本俸は改正ベースアップ前の給料でございますから、七月以後にやめる方は五%上がっているわけです。そうすると退職手当は、同じ給料をもらっている人が二人いて、六月にやめて七月にやめるとなれば、その方の間に差が出るということは御指摘のとおりであろうと思います。
#103
○野田哲君 これは逆転なんですよ、まさに。逆転現象が起きるということです。低い人の方が高くなる。年度の途中で引き上げが実施されたとすれば、その直後にやめた人の場合、差が出るだけではないんですよ、退職時期によって逆転現象が起きる。これがやはり一番問題だと思うし、それを特に、あり得る場合を考えてみますと、その辺については昇給が一万二千円ぐらいありますね、だから、もし人事院勧告の実施が七月に行われたとすると、七月昇給期に当たっている人は、勧告による一万二千円ぐらいと昇給による一万二千円ぐらい、二万四千円ぐらい、それによって、高い俸給額によって退職手当の支給が受けられる、こうなるわけでしょう。そうなってくると、六月にやめた人との間には百万円以上の差ができてくる、こういう現象が起きるんじゃないでしょうか。それはそのとおりですね。
#104
○政府委員(山地進君) 先ほど申し上げましたとおり、退職時の選定によっては、いまの昇給のこともいろいろ考えて退職する方ももちろんおられると思います、非常に大事なことでございますから。そういった点も上の者としてもいろいろ配慮してそういうことをやる場合もあろうかと思いますけれども、必ずしも昇給のときの直後にやめるというのが通例ではないと思いますが、いろいろの計算の過程としては、昇給時期にかつベースアップがあってそのときにやめるという方と、昇給もないときにやめられる方の差はそういうことが出るかと思いますが、しかし仮定の話としては、昇給もあるけれどもベースアップもない人というような人も中にはいる、計算の過程では出ようかと思います。先生の仮定でいけばそういうようなことが起こると思います。
#105
○野田哲君 これはやはり総務長官、いまのことはよく考えておいてもらわなければいけないと思うんですよ。あなた方の方の人事院勧告を値切ろうとするさじかげんによって、もし七月実施ということになった場合には、六月にやめる人と七月にやめる人とでそういう大きな損得というか差異が生じる。これは、やはり公務員にとっては重要なことなんです。これはぜひひとつ十分認識をしておいていただきたいと思うんです。
 それからもう一つ、そのことと関連をして、衆議院から送付されてきたこの改正案では、実施時期の問題が一月から三段階に分かれて施行されるようになっていますね。これもやはり私はこの一月という中途半端なところでやられると、もしこの人事院の勧告の実施時期が私どもが心配しているような形で年度の途中になる、そんなことはあってはならないと思うのですが、そういう形になる、そしていまのままでこの改正案が通るとすれば、昭和五十六年度についてはこの退職金の条件が三段階に分かれることになるわけですね。そうなるんですよ。これもやはり私は大変に問題が多いと思うのです。そういう点は総理府としてはやはり考慮しなければならないことではないかと思う。だから私は、やはりこの問題の審議に当たっては、この実施期日、施行期日の問題も含めて、人事院勧告の出方によって大変な問題が発生する、こういうふうに考えているので、どうですか、その点。一緒に審議をするということで早く出されたらどうですか。問題あるですよ、そういうふうに。
#106
○国務大臣(中山太郎君) 大変先生から重要な点について御指摘をいただきましたので、総理府としても今後十分その点については留意をしてまいりたいと考えております。
 一日も早く出せと、こういうことでございますが、私どもも一日も早く出せるようにただいま努力をしている最中でございますので、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
#107
○野田哲君 めどをもう一回伺いますが、この一日も早くという、どうですか。
#108
○国務大臣(中山太郎君) きょうは給与関係閣僚会議の座長である宮沢官房長官も先ほど御答弁申し上げておりますが、これはもう幾ら重ねてお尋ねいただきましても答えは一つでございまして、われわれといたしましては、一日も早く第三回の給与関係閣僚会議を開いて、その後の国の歳入状況、税収状況がどのようになってまいるか、そういうことを中心にこの給与関係閣僚会議で誠意を持って努力をいたしてまいりたいと、このように考えておりますので、暫時お待ちをいただきたいと思います。
#109
○野田哲君 暫時待ちますがね、それは。出してこないんだから待つしかないんで暫時待ちますが、いま巷間伝えられるところによると、休憩前にもちょっと触れましたけれども、率を下げるのか月を切るのか、あるいは手当のはね返りを切るのか、こういう説がいろいろ出ていますね。私も給与制度についてはある程度かじっておりますから、方法としてはいろいろあることはわかるのです。ところが、月を切ることと率を切ることによってはこの退職手当の計算の仕方も変わってくるわけですね。率は切らない、これはまず確認していいことなんですか、どうでしょうか。
#110
○国務大臣(中山太郎君) 私がここで確認をするということの立場にはまいらないと思いますが、衆議院の委員会におきましての率を切るのかどうかという渡辺大蔵大臣に対する御質問の中で、大蔵大臣が、率を切るということはいたさない、こういう答弁をいたしております。私も現場におりまして聞いておりましたので、率は切らないという方向で動いていくものと考えております。
#111
○野田哲君 いや、それは総務長官、率を切るか切らないかという問題は、これは作業をするのはおたくの隣におる山地人事局長のもとでやるわけですよ。月にかんなをかけるのか、率にかんなをかけるのか。そうすれば、総務長官としては率についてはかんなはかけないと、この点はまず私は明快にしてもらいたいと思うんですが、いかがですか。
#112
○国務大臣(中山太郎君) きわめて重要な問題でございますし、渡辺大蔵大臣の答弁をいま参照させていただいたようなことでございますが、給与担当大臣としては、給与関係閣僚会議でこの問題が詰まった時点で明快なお答えをさしていただきたい、このように考えております。
#113
○野田哲君 山地局長、俸給表は行政職が(一)表(二)表、税務職、公安職が(一)表(二)表、海事職が(一)表(二)表、教育職が(一)(二)(三)(四)、研究職、医療職が(一)(二)(三)、指定職、これだけ複雑な構成の俸給表がありますね。あなたのところにはとても率に手をつけるだけのスタッフもなければ――能力はないとは言いませんよ、あなたは優秀な局長だから。しかしスタッフがいないでしょう、これだけの作業をやるのに。その点は間違いないですね、どうですか。
#114
○政府委員(山地進君) まだ私どもどんなふうに進むのか聞いておりませんので、そういったことについてはまだ検討はしていませんので、どんなにむずかしいかということについても私は余りよく存じません。
#115
○野田哲君 総務長官、これはぜひよく認識をしておいてもらいたいと思うんですが、率にかんなをかければ、これはいまの法案そのものの前提条件が全面的に計算が変わってきます。変わってくるです。それから、実施期日にかんなをかけて、なたで実施期日をたたき割るというようなことで、年度の途中から実施をするということになると、これまた、いまの退職金制度が、わずか月が変わったことによって俸給月額では下の人がうんと退職手当は多くなる、こういう大きな矛盾点が起こってくるわけですね。そういう点等を考えて、これはやっぱり総務長官、整合性を求めるというところからすれば完全実施、これしかない。
 それからもう一つは、いま衆議院から送付されてきたせっかく修正された実施期日がありますよ、この退職手当法について。これも年度の途中というのは、一月というのはこれはいろいろ問題が起きますよ、やっぱり。これも私どもとしてはもう問題があり、だからこれをどうこうしろということではなくて、やはり全面的な再検討をすべきだ、こういうふうに考えているんですが、どういう方法をとってみても制度上矛盾が出てきます。
 そこで、いま人事院の方も公務員の給与制度等全体の見直しを五十八年、再来年にはやる、結論を出すと、こう言っているんですから、これはもうここでやめて、やはり総合的に人事院の五十八年ごろに出てくるものにゆだねる、こういうことが私はいいんじゃないかと思うんですが、どうですか総務長官。
#116
○国務大臣(中山太郎君) すべて国権の最高機関である国会に御審議をお任せしておりますので、国会の御決定に従いたいと考えております。
#117
○委員長(遠藤要君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。
 これにて散会いたします。
   午後五時二十六分散会
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ソース: 国立国会図書館
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