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1981/10/29 第95回国会 参議院 参議院会議録情報 第095回国会 内閣委員会 第6号
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1981/10/29 第95回国会 参議院

参議院会議録情報 第095回国会 内閣委員会 第6号

#1
第095回国会 内閣委員会 第6号
昭和五十六年十月二十九日(木曜日)
   午前十時三十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月二十八日
    辞任         補欠選任
     田沢 智治君     岡田  広君
     仲川 幸男君     林  寛子君
     三治 重信君     柄谷 道一君
 十月二十九日
    辞任         補欠選任
     岡田  広君     内藤  健君
     野田  哲君     大木 正吾君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤  要君
    理 事
                伊江 朝雄君
                林  ゆう君
                矢田部 理君
                柄谷 道一君
    委 員
                板垣  正君
                源田  実君
                関口 恵造君
                竹内  潔君
                内藤  健君
                桧垣徳太郎君
                堀江 正夫君
                大木 正吾君
                片岡 勝治君
                野田  哲君
                山崎  昇君
                中尾 辰義君
                峯山 昭範君
                安武 洋子君
                秦   豊君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       中山 太郎君
   政府委員
       人事院総裁    藤井 貞夫君
       人事院事務総局
       給与局長     長橋  進君
       内閣総理大臣官
       房総務審議官   柳川 成顕君
       総理府人事局長  山地  進君
       行政管理庁行政
       管理局審議官   古橋源六郎君
       自治省行政局公
       務員部長     大嶋  孝君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 源三君
   説明員
       大蔵省主計局給
       与課長      水谷 文彦君
       林野庁職員部長  関口  尚君
       労働省労働基準
       局賃金福祉部企
       画課長      八島 靖夫君
       労働省職業安定
       局雇用保険課長  小野 進一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律
 の一部を改正する法律案(第九十三回国会内閣
 提出、第九十四回国会衆議院送付)(継続案件
 )
    ―――――――――――――
#2
○委員長(遠藤要君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、田沢智治君、仲川幸男君及び三治重信君が委員を辞任され、その補欠として岡田広君、林寛子君及び柄谷道一君が選任されました。
 また、本日、岡田広君が委員を辞任され、その補欠として内藤健君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(遠藤要君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(遠藤要君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に柄谷道一君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(遠藤要君) 国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○安武洋子君 私は、まず最初に、昨日の新聞報道についてちょっとお伺いをいたしておきたいんです。
 昨日の新聞報道でございますけれども、人事院勧告の取り扱いについて政府・自民党は二十七日までに、一つ、給与ベアは人事院勧告どおり四月にさかのぼって実施をする。二つ目は、しかし今年度の期末・勤勉手当四・九ヵ月分にはベアをはね返らせず、現行の五十五年度給与ベースで計算する。三番目は、このベア実施のための給与改正法案は十二月、通常国会冒頭で処理すると、こういう基本方針を固めたという記事がございます。
 一面のトップ記事でもございますし、相当確信を持った確度の高いところからの情報ではなかろうかというふうに推測するわけですけれども、これが政府・自民党の方針だとしますと、給与担当大臣の中山長官がこれに関与をなさっていないわけはないというふうに思うわけでございますが、こういう基本方針を政府・自民党は固められたのでしょうか、そのことをお伺いいたします。
#7
○国務大臣(中山太郎君) 昨日の朝刊の記事に関してお尋ねでございますが、実は私もその記事を見ましてびっくりをいたしました。こういうことをどこでだれがしゃべったのか、私には全く知らないことでございまして、担当の大臣としては本当に驚愕をしたというのが実情でございます。
#8
○安武洋子君 大臣の驚愕をされたような記事が載ったということなんですが、期末・勤勉手当の支給率と申しますのは、これは七五年度まで支給率が五・二ヵ月分でございました。これが七六年から五ヵ月になり、それから七八年から四・九ヵ月に削減をされました。七六年のときには、御存じのように衆参の内閣委員会で、可及的速やかに従来の月数に回復するというふうな附帯決議がなされております。今度の人事院の民間調査でも公務員の方が民間の四・九八ヵ月より低いということがはっきりしているわけですから、切り下げるどころか逆に引き上げなければならないと、こういうことになろうかと思うんです。
 これまで政府は、公務員の給与というのは民間準拠であると繰り返し繰り返し述べてこられております。大臣は知らないとおっしゃいますので人事院総裁にお伺いいたしますが、こういうことが政府の方針だというふうなことになりますと、これは最近の財政事情が口実になったりとかいろんなことで、公務員のいろいろさまざまな形での給与抑制というふうなことが言われまして、公務員の代償機関として設けられた人事院制度が民間準拠であるというようなことになっているのに、このたてまえさえ崩されてしまうということに私はなりかねないと思うわけなんです。一つのこういう記事が出たという仮定ではございますけれども、人事院総裁としてはいま私が申し上げたことにどういう御見解をお持ちでございましょうか。
#9
○政府委員(藤井貞夫君) 内閣における担当の責任大臣であります総務長官がおっしゃったことでございますから、これは間違いがないことだろうと思っております。
 私といたしましては、日ごろ申し上げておりますように、人事院の制度、性格、意義というものにつきましては、これが大変乱はりっぱな制度ではないか。自分から言うのは何ですが、りっぱな制度だというふうに思っておりまして、人事院が申し上げる勧告というものは、従来から国会において御尊重をいただいておりますし、これが大変りっぱな慣行になってきておる。これはやはりそのまま存続していただくことがわが国の公務員をめぐる労使関係というものにおける最大の要点ではないかという確信を常に抱いておるわけでございまして、いろいろこれをめぐって諸般の情勢の展開というものがございますし、いろいろの情勢についての批判、またそれに対する再批判というものもございますけれども、やはり基本は、人事院勧告というものは御尊重をいただくということが一番正しい道ではないか。これは私の常日ごろから持っておりまする確信でございます。
#10
○安武洋子君 いまの御答弁がございましたように、私はくれぐれもこの新聞報道のようなことがないようにということを大臣に御要望申し上げまして、生涯賃金の官民格差の問題について質問を続けてまいりたいと思います。
 最近、公務員に対する給与抑制のさまざまな攻撃が行われておりますけれども、その一つに、官と民との生涯賃金の比較ということで比べてみると、賃金とか一時金とか退職手当とか年金など、こういうものを一緒にして公務員の生涯賃金、これは民間と比べてみたら民間より高いので抑制すべきなんだと、こういう論法が出ております。この論法を最初に持ち出してきましたのは日経連でございます。今度の臨調の答申の中でも、「給与、退職手当及び年金については、生涯を通じた処遇管理の確立、官民の均衡の確保等の観点を含め引き続き検討する」と、こういうことが書かれ、打ち出されているわけです。二十七日の新聞では、臨調では早速この生涯賃金の官民比較が論議をされたと、そこに山地局長もおいでになって、二十六日に日経連の官民比較などについてお話をされてこられたというふうなことでございますけれども、山地局長、どのようなことをお話しになってこられたのでしょうか、お伺いを申し上げます。
#11
○政府委員(山地進君) 常々人事院総裁が生涯給与論についてお考えをお述べになっておりますが、私どもも人事院総裁と意見を同じくするわけでございます。
 私の理解している限りでは、生涯給与というものの比較については理屈上非常にむずかしい点がある。たとえて申し上げますと、私も公務員生活を三十年やっておるわけでございますが、私と同じような学歴を持ったような人が民間にいたらどうだということが官民比較だと思うのでございますが、そうすると、まず思い当たりますのは、私がずっと昭和二十六年から今日まで給与をもらってきたという、時系列的に比べるということがまず思い当たるわけでございますが、そういう方法もある。
 それからもう一つは、現在の俸給表というのがございます。現在、初任給は幾らもらう、係長になったら幾らもらうというようなことで一つの昇進のモデルをつくりまして、それで私の地位――局長に来るまでに一体どれくらいの給与があるか、クロスセクションという発想でございますが、そういったことで役人の方を調べてみる。そうすると、会社にはそういった俸給表というものが役所みたいに完備してないとそういうクロスセクションというものはとれない。そういうような問題がございまして、一つは、自分が幾ら給与をもらうかということについての比較が必ずしも理屈上うまくいかない。
 それから年金あるいは退職手当についても、どんな人を標準的に選ぶのかというようなことによって非常に差が出てくる。現に日経連は高校出、大学出、いろいろやっておられるわけでございますが、そのモデルになったような方というのは役人の中ではきわめて珍しいケース、つまり非常に出世の速い人で代表的な例にはならないというような欠点があることは、日経連自身もよく知っている点であるわけでございます。
 そこで、生涯給与の比較というのは非常にむずかしい問題であるということを私の方も臨調に説明いたしまして、これは日経連の資料というものがそのまま一人歩きしているけれども、これについて反論するというのもなかなかまたむずかしい点がある。たとえば、そういった理論的にむずかしいことを並べてやる場合に、仮に私どもがつくってみたら、給与が同じで退職金が同じで年金が同じというようなことはあり得ない。どこかがへっこんだり出っ張ったりすれば、へっこんでいるのは何でへっこんでいるのかという議論が起こるし、出っ張っていれば出っ張っているで氏よりか高いじゃないかという議論がある。そういう意味で、非常に公定版というのはつくりにくいということも御説明いたしました。
 いずれにしても、そういうことから導き出される結論というのは、給与は給与、年金は年金、退職金は退職金ということでそれぞれ比較してその調整を図るというのがやはり現実的な方法ではないだろうか、かようなことを御説明いたしたわけでございます。
#12
○安武洋子君 私は日経連資料、これは臨調がどのように検討材料になさるのか知りませんけれども、しかし日経連のこの資料を検討材料にするというのは、やはり財界主導と言われている臨調らしいやり方だというふうに思っているわけです。
 臨調の公務員給与抑制攻撃に関連をいたしまして、これは日本賃金研究センター所長の金子美雄氏が雑誌「賃金実務」、これは八一年九月十五日号でございますが、その中で書いておられます。「公務員給与抑制措置の背後には、多分に日経連などの主張する公務員給与高位説が影響しているらしい」というふうなことを書いてなさいますが、私はこれは的を射ているというふうに思います。公務員給与である退職手当の削減も関連している。これは当然でございますから、私はこういうところから退職手当の削減ということも出てきていると思いますのでお伺いをいたしますが、賃金とか退職金とか年金とか総合的に比較する方法という、こういうものは学会とかそれから賃金統計の専門家とか、こういう間で手法は確立しているのでしょうか、その点お伺い申し上げます。
#13
○政府委員(長橋進君) 給与、退職金、年金などについての比較の手法が確立しておるかというお尋ねでございますけれども、給与につきましては、これはいわゆる日本におきます賃金決定の要素といたしまして職務、学歴、勤続年数、性別、そういうものからなっておりますから、比較の方法としては大体同じような比較の方法をとっていると思いますけれども、しかしその場合において、やはり比較します場合には条件をそろえるということでございまして、どの程度近似的にそろえるかということになりますと、現在の官民給与比較におきます場合には人事院の職種別比較方式、これが一番先行した形になっておるのではなかろうかというふうに自信を持っております。
 それから、退職手当につきましてはいろいろな比較をしてございますけれども、退職手当そのものにつきましては、いろいろな事情がございますし、なかなか比較方式として定着したものがあるというふうにはとれないのではなかろうかというふうに思います。
 それから、年金なんかにつきましても、職員の在職中におけるいろいろな問題等を含めた上で比較をしなければなりませんから、これもいわゆるいまの給与比較方式に比べますと、そういう意味では制度その他においてなお今後研究、検討しなければならない範囲の問題ではなかろうかというふうに考えております。
#14
○安武洋子君 ですから、いまの御答弁は、総合的に私は比較検討する方式があるのか、そういう手法が確立しているのかとお尋ねいたしましたので、要するにそういうことはまだ確立をしていないという御答弁ということになりますが、比較方法はこれは幾つかあるようでございます。よく使われておりますのが一時点方式――クロスセクションとか申しますね、それから遡及方式ですね、タイムシリーズ。こういうものが代表的にあるというふうに聞いておりますけれども、それぞれ特徴もある、同時に問題点もあるというふうに思います。
 そこで私は、一時点方式――一点でとまっているというこの一時点方式の特徴そしてそこから出てくる問題点、どういうふうに把握をなさっていらっしゃるでしょうか、お伺いをいたします。
#15
○政府委員(長橋進君) 経年的なものを積み上げて集計するという場合に、いわゆるクロスセクションといいますか一時点方式がとられておりますが、しかし、これはある時点、いわゆる時点を固定いたしまして、その時点における分布状況というものを一つの経年的なもので置きかえて集計するわけでございますから、そういう点から申しますと、大体同じような傾向とか方向をとっている場合については、そういうことで大体の傾向というものはつかめようかと思いますけれども、その経年的な過程でいろいろ状況の変化とかそれから制度の変更などがございますと、なかなか果たしてそれを経年的に集積したものが現時点におけるいわゆる過去からさかのぼった積み上げの集積率と間違いなく相当するかどうかということになりますと、これはいろいろ問題があろうと思います。
 いま給与の話に関連して申し上げますと、給与そのものがある種の条件を固定しまして、たとえば物価とかそういった条件を固定しまして、大体賃金が上昇傾向にあるような場合には、経年的ないまのいわゆる一時点方式をとられまして大体の傾向というのはわかっておりますけれども、それ以外の方法になるとなかなかむずかしいんじゃないか。しかし、その場合にもいわゆる過程で制度の変更その他がございますので、果たしてそういう要素というものをどのように正確に織り込めるかということになりますと、やはりそれでも問題があるように考えております。
#16
○安武洋子君 一時点方式につきましては、これは専門家のお一人である、しかも労働省の賃金統計課の北山一郎さんでございますね、七八年の二月号に「労働統計調査月報」、ここで論文をお書きになっておりますけれども、「生涯賃金に関する一考察」、こういうことで、その数値は遡及積み上げ方式、つまり、過去に得た賃金を積み上げて計算する方式で出た数値よりも、この一時点方式でやりますと二倍強の数値が出ると試算をなさって述べておられます。それからまた、遡及方式で得た数値は、現在の生計費指数とかあるいは消費物価指数で換算をする遡及生計費方式、これよりも三割近くも高く出たともここで述べておられます。
 一時点方式の結果がこういう傾向にあるということは、これは大体常識になっておりますので、先ほどの御答弁からも推測するところではこういうことは御存じだろうというふうに思いますけれども、要するに一時点方式、この比較の方法は、比較の方法としてはありますけれども、その数値は高く出ると、また実態的に見ましても、いま退職する人がいまの給与水準で入省以来ずっと賃金を得てきたものでないというのはもうはっきりしていることですから、いまの給与水準で計算して、この人の給与は何億円ももらってきたんだというふうな結果を導き出すということになるということは、これは現実的な数値でないということはだれにもわかることだと思います。ですから、労働省の北山氏の論文でも、一時点方式というのはとまっている状態だから静態的未来的生涯賃金と、こういうふうに性格づけをなさっていらっしゃいますけれども、私もそうだと思いますし、空想的と申し上げても言い過ぎじゃないというふうに思っているわけです。
 比較方法が十分検証されていない、こういうときでは、どのような目的で一体やるのか、それから比較方法はどれを用いるのか、それからモデルはどのように置くのか、こういうことで結果の数値がうんと変わってくるということは歪みがたい事実であろうと思うんです。いまの御質問、わかっていただけますでしょうか。比較方式は確立していない、だからどういう比較方法を用いるんだとか目的は何なのだとかモデルをどのように置くんだとかと、こういうことで結果の数値というのは本当に大きな数値の差が出てくる、こういうことは否定はなさらないと思いますが、念のために伺っておきます。いかがでしょうか。
#17
○政府委員(長橋進君) 御指摘のとおりでございまして、比較する場合のモデルをどうとるかということは、きわめて結果に重要な影響を及ぼすものでございます。御指摘のとおりでございます。
#18
○安武洋子君 そのとおりなんですよね。本当にモデルのとり方とか比較方式とか、こういうことは重要なことになるんです。
 そこで、日経連のこの「生涯賃金の官民格差」の資料ですけれども、これを見てみますと、六十歳退職の場合です、民間を一〇〇といたしますと、高校卒業者で国家公務員は一〇一になる、大学卒業者は一〇七になるというこういう指数になってございます。五十五歳退職でも高卒者は民間に比べて一〇四の指数を示し大卒者は一〇八と、公務員が高い数値を示しております。これにつきましては人事院総裁も国会で御答弁もなさっていらっしゃいますし、私はここに「人事院月報」、これは三百六十五号ですね、これを持ってまいっておりますが、ここの中には直接日経連の資料と名指しは出てはおりません。しかし、名指しはしていないにしても、「官民の比較を実際に数字で示し」云々というふうなことで、国家公務員の生涯給与が民間のそれより高いという根拠にされている資料ということになりまして、この日経連の資料なわけなんですけれども、日経連のこのような生涯賃金の官民格差について私はある程度御研究をなさっているからこそこういうことをお書きになっていらっしゃると思います。
 この日経連の資料についてお伺いするわけですが、給与の比較につきまして、勤続年数、年齢、扶養家族、こういうことを条件にしまして民間の方では実在者モデルをとっているわけですね。民間は勤続年数、年齢、扶養家族、こういうことを条件にして実在者モデル。公務員の方は、ここでも日経連の方で至言っておられますけれども、これは理論モデルを使った、公務員の給与制度に基づいた理論モデルを使ったと。退職金についても民間は実在者モデルである、公務員は理論モデル、これであると。年金は民間は厚生年金、公務員は共済年金、それぞれの理論モデルをとっているというふうに私は思っておりますが、これは間違いございませんね。
#19
○政府委員(長橋進君) その日経連の発表した資料でございますけれども、別に設定条件その他を明確には公表しておりませんけれども、いろいろ私ども研究した限りにおきましては、公務員につきましては理論モデルを使いましたということ、それから民間については実在者モデルを使ったというふうに承知しております。
 ただ、実際問題として、関東経営者協会の資料をもとにしているようでございますので、実在者モデルと申しましても企業によっては、たとえば給与表がないとかあるいは長期実在者がいないということもありまして、あるいは推定を使っているところもあるんじゃなかろうかと思いますので、ある程度大まかに申しますと、公務員の場合は理論モデルを使い民間の場合実在者モデルを使っているということでございましょうけれども、民間につきましては多少は実在者と理論とを折衷したものも入っているんじゃなかろうかなという気もいたしますけれども、大まかにおいてはそのように理解しております。
#20
○安武洋子君 いまの御答弁のように、日経連が民間給与ということで用いている資料、これは関東経営者協会が調査している定期賃金調査の結果と。ここに調査方法が出てございます。私は一つ持ってきておりますけれども、御答弁のように確かに学歴、年齢、勤続年数別モデル賃金は、これは正常に進学し、学校卒業後直ちに入社し、その後普通に昇進し昇格した者について、標準に合致するような条件、学歴、年齢、勤続、扶養家族を設定する、これに該当する者を出せということになっております。ただ、これに該当する者がいない場合については、これは該当する者の所定の労働時間内賃金をモデル賃金とせよということで、該当者がいない場合にはモデル条件に最も近い実在者から推定した理論賃金を記入してもらったと、こう書いてあるわけです。
 だから、これは先ほども申し上げましたように実在者の学歴、年齢、勤続年数別のモデル賃金というのは、正常に進学してそれで学校卒業後直ちに入ったと、そして普通に昇進し昇格して標準に合致するような条件――学歴、年齢、勤続年数、扶養家族ですね、これの設定者の所定の労働時間内賃金であると。もしこれがなかった場合にはこれに一番近い実在者と、そういう人のを推定して理論賃金を記入するということですからね。これは私は一口に言って実在者モデルと言っても間違いないと思います。ですから、日経連の民間モデルというのは、大変標準的な人で実在する労働者を基本にしているということになりますね。これもう一回確認しますけれども、そういうことでしょう、いま御答弁いろいろいろいろ言われましたが。
#21
○政府委員(長橋進君) 後段の方で多少細かい注釈を入れましたけれども、基本的にはそういうことでございます。
#22
○安武洋子君 余り細かい注釈は要らないのね、ややこしくなるから。片方は実在者モデルですよ。一方、公務員については日経連調査部の熊懐さんとおっしゃるんでしょうか、この方が雑誌「経営者」の二月号で、一九七九年の分ですが、「公務員の場合は「等級別資格基準表」に定める等級別の標準滞留年数や各等級別(最終学歴別)の平均年齢などを参考にしてモデルを設定した。」と、こう書いてなさいますから、向こうが書いてなさることですから間違いないわけです。ということは、片方は実在者モデル、それから公務員の場合は退職手当、年金の計算の基礎にこの最終の俸給月額はなるということになりますから、日経連が用いたというのは公務員のあくまでもモデルを設定したと。この設定したモデルがどのように昇給していくか、昇格していくかということは、生涯賃金を決定する上で一番のキーポイントになってくろということになるわけです。
 そこで伺いますけれども、一般の公務員の昇格、昇給の仕組みですね。どのようになっていくのか、簡単にわかりやすく説明してください。
#23
○政府委員(長橋進君) 簡単にわかりやすくということでございますが、公務員の職務内容は御存じのとおり大変多種多様でございます。公務員の給与につきましては「職務と責任に応じてこれをなす。」ということになっておりますので、分類いたしまして俸給表というものをつくっております。
#24
○安武洋子君 一般的な公務員。
#25
○政府委員(長橋進君) はい。その八種類十六表の俸給表がございますが、その中で、五十万人の一般職公務員のうち二十四万人が適用されておるのが代表的でございますので、行政職俸給表(一)について申し上げます。
 行政職俸給表(一)の職につきまして申し上げますと、公務員の任用は競争試験を原則としておりますので、競争試験によって採用されるということになります。試験の種類としましては、上級試験それから中級試験、初級試験というふうに、大まかに分けまして三つの試験がございます。
 そこで、その俸給表は等級とそれから号俸によって構成されております。行政職俸給表ですと一等級から第八等級まで、八等級編成でございます。それから各等級ごとに号俸というものが設けられております。その職務の種類、標準的な職務を申し上げますと、一等級と申しますのは本省の局次長とか部長等でございます。それから二等級と申しますのは、本省庁で言いますと課長、それから管区機関で言いますと部長、三等級が本省の課長補佐、管区機関で言いますと課長、それから四等級が本省の課長補佐、管区機関で言いますと課長と課長補佐ということになります。五等級が係長、これは管区機関も係長でございます。六等級が主任、それから七等級が高度の知識を必要とする係員ということでございます。それから八等級が定型的な業務に従事する職員ということになっております。
 そこで、高校を卒業しまして初級試験に合格しました人は、職務の等級としては八等級に決定されます。その初任給は、これは各試験によりまして、採用される人の正規の試験による初任給の決定方法というのが規則で規定されておりまして、高校卒で試験の結果直採用になりますと八等級の三号俸ということからスタートするわけでございます。その後普通昇給、特別昇給という制度がございますが、一般的に申し上げまして、一年間勤務成績良好でございますれば一年たつごとに号俸が一つずつ上がっていくということになります。
 それから、次に昇格の問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように職務に応じて等級を決定することになっておりますから、したがいまして、上位の職務に従事しましたときに昇格という事態になるわけでございますが、ただ、その昇格につきましては、各機関におきます職務内容というものを精査し分析いたしまして、各ポストにつきまして等級決定というものをやっております。それをくくったものが等級別定数というものでございますが、そういう等級別定数に欠員があり、かつ職員が上位の職務に従事した場合に昇格ということが行われます。つまり、ただいま申し上げました高校卒八等級の職員で申し上げますと、八等級三号からスタートして一年ごとに号俸が上がってきまして、数年経過して上位の職務等級に欠員ができましたということになりますと昇格ということになっていくわけでございます。そういうような経過を踏みまして職員の昇給、昇格というものが行われるという仕組みになっております。
#26
○安武洋子君 いまのは余りわかりやすくはないわけなんですけれども、日経連は、各等級別の平均滞留事情なども考慮したというふうに書いてございます。ところが日経連のは、高率者、大卒者とも八等級、七等級というふうなところから位置づけしていくわけですけれども、各等級から上位の等級に上がるとき、これはいまいろいろおっしゃいましたけれども、そうでなくて、理論的な昇格基準の最短スピード、さっきの等級枠があるとかホストがあるとか、そんなことは全く無関係に最短距離で、超スピードで昇格させている。平均滞留年数は考慮に入るどころか全く考慮に入れていない、こういうことになると思うんです。
 それで、年齢とか退職金の額から逆算いたしますと、六十歳まで働いた場合、高卒者のモデルは最終的には二等級十六号俸になる。二等級の最高です。それから大卒者のモデルは一等級の十一号俸になる。日経連の最終格づけというのはこういうことで間違いないと思いますが、いかがですか。
#27
○政府委員(長橋進君) 日経連の計算方法は、おそらく、いまおっしゃいましたように、上位の等級の初号にダブるところで昇格をさしていくという方法をとったものと考えられます。
#28
○安武洋子君 下位等級から上位等級に昇格するときに、資格基準だけを最低満たせば最短コースでどんどんどんどん上がっていくという公務員が一人もいないとは私は申しませんよ。しかしそういう、理論的にあり得て、ごく一部の人が上がっていくというふうなケースというのは珍しいケースであるというふうなことだと思うんです。
 私も公務員の経験を持っておりますけれども、私の勤めていたような出先機関ではこんなの全く皆無です。いま、こういう出先機関の人たちに、あなた高校卒業したんだから六十歳まで勤めると二等級の十六になるよ、大卒なら一等級の十一になるよなんと言ったら、みんな目を回してびっくりしますよ、どこにそんな話があるんだとね。それぐらい現実的でない話なんですね。
 先ほどもおっしゃっていましたけれども、高卒モデルの最終格づけ、二等級十六号俸ということになりますと、高率で、卒業さえして日経連の計算どおりすっすっすっすっといくとみんな本省の課長になっちゃう。管区で言えばみんな部長になる。大卒の一等級十一号俸ということになりますので、一等級は本省の部長ですから、大学さえ卒業して入省すればみんな大体本省の部長か、管区で言えば最高の機関の長になる。これも一等級、二等級という大変高い号俸ですけれども、結局こういうことになる。日経連の計算ではなるわけです。そして民間は、標準に近い昇進、昇格をした者という条件をつけて調査をしたと。ところが公務員は、入省さえすればさっき言ったように二等級十六号俸、みんなが本省の課長並みになっていく、大卒になればみんなが本省の部長並みになっていく、これがモデルだと。私は、こういうモデルが公務員の生涯賃金を検討するに当たってふさわしい公務員の代表たり得るのかというふうに疑問を持ちますけれども、総裁、いかがお考えでございましょうか。
#29
○政府委員(藤井貞夫君) この点につきましては、安武委員がおっしゃることと私の考え方は全く同意見と申してよいと思います。
 日経連のこと、いま私がここの場で詳細に申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、いま御論議になっておるとおりでございまして、公務員の場合は大変モデルといっても全般的に見て非常にパーセントの低い、それを当然のこととして比較しておるということからそういう結果が出るんだということになります。
 そこで、これは人事院といたしましても実は大変承服しがたいというふうに思いまして、この数字が発表されましたときから鋭意調査もし検討もいたしまして、当時の日経連、これを担当したのは調査部長さんですが、これに対してうちの専門家を派遣をいたしましていろいろ論議もさせ、向こうは実ははっきり誤りを認めたわけです。誤りを認めましたが、いまその名前をここで申し上げることは差し控えます。その方、特に故人になられました。そういうようなこともございまして、ここで名前を申し上げることは差し控えますが、何かの機会にその点はやっぱり是正をしたいということを言っておられました。で、私たちもそれを心待ちに待っておったわけでございますが、遺憾ながらその機会がなくて今日まで来ております。
 先生も御承知のように、こういう統計とか資料とかいうものは、何か非常に公式に一方で出ますと、それに対して公式に別の資料が出ない限りはそれがまかり通るという一つの習性がございます。そういうことで、われわれといたしましても極力その是正を求めてやるべきことはやっておりますが、しかし一般に一たん出たものに対して、それに対する反論というものが同じ価値でもって報道される、あるいは取り上げられるというようなことはなかなかむずかしいというような点があって、その点私といたしましても大変努力不足を遺憾に思っておるわけでございますけれども、しかしいま御指摘になりましたようなことはわれわれも同感でございまして、たとえば公務員になれば必ず次官になるんだというようなそういう前提、これは大変な間違いでありまして、それと民間の比較をやっていくと、それによって結論を出すということはもう大変な間違いの感じを民間の、あるいは国民一般に与えるのではないかということで大変危惧をいたしておりまして、その是正措置にはいままでもやってきておりますが、大して効果がない、これに対してはさらに努力をしなけりゃならぬのではないかなというふうに考えておる次第でございます。
#30
○安武洋子君 長官、いま人事院総裁が苦衷を述べられましたが、私の論議をいままでお聞きと思いますが、長官は一体どういうふうな御感想をお持ちなんでしょうか。
#31
○国務大臣(中山太郎君) 私は人事院総裁の見解と全く一緒でございます。
#32
○安武洋子君 それでは、もう少し突っ込んでお伺いをいたします。
 最短基準コースで昇格する人が全然いないことはないと、一部でもあるだろうというふうなことでこれは代表にはなりませんけれども、こういう人たちが全体の中で一体どれくらいの比率を占めているのかということで聞きたいんですが、高卒で二等級在扱者ですね、この数は幾らで、そしてそれは高卒者全体の何%を占めているのでしょうか。
#33
○政府委員(長橋進君) 行政職俸給表(一)の二等級、高卒者は約七百人でございまして、全体が十五万人でございますので約〇・五%ぐらいになろうかということでございます。
#34
○安武洋子君 では、同じ行(一)の大卒者で一等級の在職者数、それと大卒者のさっき言いました一等級、これは大卒者の全体の何%を占めているのでしょうか。
#35
○政府委員(長橋進君) いまの高卒者と同じような計算方法で申し上げますと、大卒の者約五万五千人、そのうち一等級の者約一千人でございますのでおよそ二%でございます。
#36
○安武洋子君 いまの御答弁ではっきりしたことは、日経連のモデルというのは、高卒者の二等級在職者が〇・五%で、美、して大卒者が二%ぐらい、こういう御答弁をいただいたわけです。
 私ここでもう少し突っ込んで伺いたいんですが、日経連のモデルというのは単なる二等級ということでなく、二等級の十六号俸、二等級としては一番高いところに格づけされているわけです。ですから、一等級の中にも高卒者もいると思います。それで二等級の十六号俸以上、一等級の高卒者と合わせると私の推計では約百四十人で、高卒者のうちの〇・〇九%ということになるのじゃなかろうかと。大卒者の場合は一等級の十一号俸、これがモデルになっておりますから、それ以上の人というのは、これも推計にすぎませんが約四十人で大学卒業者のうちの〇・〇七%、砂の中でダイヤモンドを見つけるようなものだとまでは言いませんけれども大体それに近い数字になるのじゃなかろうかと思いますが、この推計数字というのは大体間違いございませんか。
#37
○政府委員(長橋進君) 私どももいろいろ計算しておりますけれども、いまお示しのような条件のもとにおいてはお見込みのような数字になるように理解しております。
#38
○安武洋子君 ということで、長官もお聞きいただきたいわけですがね。砂の中のダイヤモンドとまでは言いませんよ。しかし、それに近いものを公務員の代表であるということで、そして一方民間はどうかといいますと、民間は普通に昇進し昇格した者という条件で調査をして実在者モデルなんです。ということで公務員と民間との生涯賃金を比較して、そして公務員の方が高いのだというこういう結論を出してきているということは、比較方法をごまかしたと、意図的に、公務員は高いのだと、生涯賃金を高く見せようとしているのだというふうにつくったと私は言ってもこれは言い過ぎじゃないというふうに思うんです。
 人事院総裁は先ほど、こういうやり方は承服しがたいのだというふうなことで調査部長の方に専門家を派遣して論議もしたと、そして向こうは誤りを認めたと、しかし故人にもなっておられるので、故人の名前は出せないし、そしてもっと是正をしなければいけないと努力をしてきたけれども、その機会がないのだと。私は、やっぱり人事院総裁名できちっとした形でもう一度はっきりと物申していただきたいということを人事院総裁にお願いして、後で御答弁をいただきたいと思いますけれども、総務長官も私はここで、ひとつ給与担当大臣ですから、これがいま国民の中にもずいぶん広がってしまっている。もういま公務員は高いんですね高いんですね、いまみんな大体これが基礎になって宣伝をされて、広く広くこれが浸透してしまっている。ここで中山長官の役割りがあるわけなんですよね。砂の中のダイヤモンドに等しいようなものと一般的なものと比べて公務員が高いと言われることについて、総務長官としても日経連に対して何らかの方法できちっとやっぱり物を言っていただくことが必要ではないでしょうか。
#39
○国務大臣(中山太郎君) 先生のお話で、給与担当の大臣として私が日経連に何か物を申せということでございますけれども、政府は法律の定めによって第三者中立機関として人事院の設置をいたしております。政府は、人事院の勧告によってすべて公務員の給与等あるいは退職手当等につきましてもその意見を尊重してまいるという一貫した姿勢をとっておりますので、日経連の問題につきましては人事院がすべて判断をし、そうして日経連が誤りがあれば謝るというようなことは日経連のことでございまして、政府との関係というものはあくまでも人事院の勧告というものを私は基本にしたい、また人事院の調査というものを政府は一貫して信頼する立場になければならないと考えております。
#40
○安武洋子君 長官は公務員の給与を担当なさっている大臣なんです。その公務員給与に対して私は批判をしてはいけないと、そういうことを言っているんではないんです。批判するならフェアに批判をすると、ちゃんと比較検討するのは公平にやらなければいけないと。しかし、こういうことでやってはだめだということをやっぱり物申すというぐらいのことは、政府としておやりになるのはあたりまえのことじゃなかろうかと思います。
 それで私は、まだ続いて申し上げますけれども、公務員と民間と同じように標準的にモデルを設定したら一体どういうふうになるのかということで検討してみました。これは毎年一号俸ずつ昇格するということを前提にしております。それで、等級別号俸別の人員分布表、これを使いまして、各等級の一番大ぜいいる号俸が急に一号上がったら急激に人数が減るということは上位等級に昇格したことになるわけでしょうから、ここで一番多くの人が昇格したとこう見て、この号俸を昇格する平均とみなした計算をやっているんですけれども、これはかなり実情を正確に反映すると思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
#41
○政府委員(長橋進君) 昇給、昇格につきましては人事院はいろいろ基準を決めておりますので、それぞれ各省において昇格等を決定され運用されるわけでございますので、したがって、どういう号俸から昇格していくかということにつきましてはいろんな見方があるであろうというふうに考えられます。いま先生のおっしゃった、要するに号俸別の在職状況数からの数の変動、がくんと減っているところから多分上がっていくだろうという想定のもとに一応の数字を出されたということも一つの方法であろう、考え方であろうというふうに思います。
#42
○安武洋子君 こういうことで正確に事実を反映している、ぴったりだとは申しませんよ。しかし、かなり正確に反映しているからこそこういう分布図が出ている。この計算でいきますと、高卒者の最終号俸というのは四の二十一号俸です。私の実感といたしましては、過去は非常に公務員のこういうようなのは悪かったから、四の二十一号俸になるというのはかなり早い昇進だというふうに思います。それで大卒者の場合、計算いたしますと三の二十号俸です。大体これぐらいになるのではなかろうかというふうに思いますけれども、これについてもほぼ間違いございませんでしょう。
#43
○政府委員(長橋進君) おおよその見当としてはその程度だろうと思います。
#44
○安武洋子君 そして、これで本俸が出ますということですと、この本俸に対しまして調整手当八%、日経連に合わせないといけませんので、扶養手当とか住宅手当は日経連資料に合わせて二十七歳からつけるというふうな、そしてもう一つは、日経連と合わせるために一時点方式、これには批判ありますけれども、一時点方式を用いて試算をして見たんです。すると、日経連の公務員賃金を一〇〇といたしますと、国家公務員高卒で八七という数字になります。大卒では八〇、こういうふうに大幅に下がってしまうわけです。日経連の出している民間生涯賃金よりも低くなる、逆転してしまうんですね、官民逆転が生じると。人事院はこういう結果については一体どうお思いでございましょうか。
#45
○政府委員(長橋進君) 先般からたびたび申し上げておりますように、モデルをどうとるかによって結果がいろいろ違ってくるわけでございます。個々の給与の計算に当たりまして退職手当、年金をどうするか等、結果としてはいろいろ問題が出てくるわけでございますけれども、一応いままでの先生おっしゃったような昇格、昇給の状況、退職状況、そういう状況を設定いたしまして計算いたしますと、このような数字になろうかと思います。
#46
○安武洋子君 いま人事院お認めになりましたけれども、ほぼ標準的な形で昇格させただけで官民が逆転すると。これは賃金研究センター所長の金子氏が、日経連の資料はもう比較にたえ得るものではないと言っているのにまつまでもないと思うんですけれども、標準的モデルよりももっともっと実態に近い形の標準的な公務員の給与の算出方法としては、私はこれは国家公務員給与の実態調査を用いた方がいいと思うんですよ。学歴別、経験年数別の平均月額から、日経連と合わせまして調整手当、扶養家族手当、特別調整額などこう算出いたしますと、これで日経連の民間給与水準と比較をいたしますと、これも公務員の方が日経連の資料の高卒者一〇〇に対して八二、日経連の大卒者一〇〇に対して七七という指数が出てくると。これは実際に得ている給与に基づいているはずだから数値の誤差はさっきよりももっと小さくなると、こういうふうに思いますけれども、これも間違いございませんでしょう。
#47
○政府委員(長橋進君) 結果としての、そこに御例示になりました数値についてはそのとおりでございます。
 ただ、原因となりますのはいろいろな事情があると思いますけれども、数字としてはそのような結果になるであろうと思います。
#48
○安武洋子君 これも一時点方式ですから総額が非常に高く出るんですね。過去を振り返ってみますと、昭和四十四年までの間に、人事院勧告がなされましてもそれを値切られて実施をされなかった期間というのが五十ヵ月もあるわけですよ。だからこれは含まれていないわけです。だから私は誤解を招かないために、指数ということで実額を出さないで申し上げてきたわけなんです。
 私は生涯賃金の問題でいろいろ述べましたけれども、長官、さっきも私が申し上げましたように、この日経連の先ほどの資料というのがもうひとり歩きして国民の中に浸透してしまっている。だから、人事院総裁がいろいろやられても、最初に出た日経連のように報道もされなければ国民の中に浸透したのを払拭するというのは大変むずかしいですよ。だから、臨調の答申の中にまでこういう誤った意図でやられたものが盛り込まれてきていると、このことは非常に重大なんです。私は、こうした問題を人事院としても見過ごしにできないということで一定の努力をされているということは高く買うわけですけれども、先ほど御答弁いただけなかったので、もう一度人事院としてもきちっとした形で物を申していただきたいと思いますが、人事院総裁の見解を承ります。
#49
○政府委員(藤井貞夫君) その点については私も大変責任を痛感をいたしておる点でございます。ちょうど日経連については、私ごとで恐縮でございますが、専務理事をやっております松崎君というのが私と同期でございます。そういうことでときどき会ってお話をする機会もあるわけですが、そういう点から問題が深刻になっておるようだから、そういう点の疑点をひとつ晴らすために私が出てもいいよと、公開討論会みたいなことはやってもいいよということを、これは私的な関係ではなはだ恐縮でございますが、言っておりますけれども、先刻申し上げましたようないろいろいきさつがございまして、そこまで上層部全体が知っているわけではありません。
 そういうこともございまして、私がさあどうかどうかというようなことで言うわけにもまいりませんということもございますが、しかし誤った考え方、誤った傾向というものがそのまま何か真実であるかのごとく一般の国民に思われるということになりましては、これはやはり国民の対公務員感情というものにも影響する大変重大な問題でございます。といって、私は何も公務員側で何ら非がないんだというふうなことを申し上げるつもりはないんでありまして、公務の場においても反省すべき点はたくさんございます。そういう点で、是正をしなきゃならぬという点は常日ごろ考えて各省庁に御協力をお願いをいたしておる次第でございますけれども、それはそれとして、やっぱり正しいことは正しい、そのままの現状は現状として御認識をいただくということの努力は今後とも積極的に続けていかなければなるまいなというふうに考えております。
#50
○安武洋子君 大臣、私は公務員の批判をしてはいけないなんて言ってはおりません。やるならフェアに、公平な資料に基づいてやっぱりやるべきだということなんですね。だから、世論に大きな誤りを与えてしまっているこういう現状になったときには、給与担当大臣として黙って見過ごすということは誤った公務員批判を容認しておくということにつながります。だから給与担当大臣として、本当の実態はこうであるんだよということを何らかの形でやっぱり日経連に言っていただかぬとだめだ、おっしゃっていただきたい、このことを重ねて御要望いたしますが、いかがでしょうか。
#51
○国務大臣(中山太郎君) 私も、人事院の考え方と日経連の考え方、あるいは計算、数値の違いというものについては、いまいろいろ先生がデータをお示してございますけれども、公的な政府の立場として、やはりこの人事院の勧告とか人事院の調査というものに絶対に信頼を置かなければ政府としては成り立たないと、私はそのような考えに立っております。いろんな労働関係の調査機関もございます。あるいは経営者団体もございまして、いろいろの意見を申し述べておりますけれども、政府はやはり何と申しましても、この厳正な中立機関と言われる人事院が調査をし、人事院が物を言ったことに対して、政府は絶対信頼をしなければならない、そういう立場におると思います。
 こういうふうな日経連の調査が間違っているとかどうかという御批判は、この国会の場で先生が先生の立場で党を代表してお述べいただくということで、十分この論争を通じてやはり国民の前には問題点が明らかになっている。私は、総裁が言われたように、公務員がむやみに批判をされないように――私は公務員を信じています。ただ、国民の中には公務員に対して批判を激しくしておる人たちもおることは事実でございますが、それはやはり政府といたしましても、八月二十五日の閣議決定の際も、綱紀の厳正といってとあるいは公務に精励をするべきだということを申しておりますので、どうかその点は御理解を願いたいと思っております。
#52
○安武洋子君 私は、大臣、間違った世論が横行している、そのときにそれを正すべく物を申されるというのはこれは必要なことです。さっきの御答弁は、人事院を信頼してと、それは結構です。そのとおりでなければいけませんけれども、大変公平そうに見えますけれども、やっぱりそうじゃない。こちらで間違った世論がいっぱい出ている、総理府は世論調査もいろいろなさるわけなんですが。そして私が問題提起したからといって、私が言ったのが、大臣がおっしゃったように、マスコミが全部書いてあしたから世論が訂正されるならそれはいいことですよ。しかし、そうはならないですよ。いまの給与を担当なさっている責任者、これはあくまでも大臣なんですから、この論戦を通じて、なるほど人事院もこれは困るとおっしゃっているんだから、やはり大臣としても世論を是正しようというふうなお立場に立たないと、私は日経連寄りだというふうに言われなされても仕方がないと思いますよ。
 私は、日経連のこのような公務員攻撃というのは、これは公務員だけの問題ではなくて全労働者の問題だと思っております。といいますのは、こういうふうな資料を出してきて日経連が公務員は高い高いと攻撃する。国民はそう思わせられる。民間労働者と公務員の間が裂かれてしまう。そして公務員の給与というのは、公務員の周辺の労働者、それだけでなくもう広く民間にも賃金ということで影響を与えていくわけですから、公務員の賃金を低く抑えておくと日経連などの経営者は労働者に高い賃金を払わなくてもいい、低い給与水準に抑え込んでおける、こういうことになるわけですから、私は、これは日経連にとって公務員労働者を攻撃して安い賃金にしておくというのは大変都合のいいことだと。だから、公務員だけでなく労働者全体の労働条件を低く抑えることでこういうことがなされているということを御認識いただいて、大臣が本当に公務員労働者のことを私は信頼してちゃんとあれしていますとおっしゃるなら、やはりこれぐらいは物申していただかなければいけないということを重ねて、まあ押し問答になっちゃいますから次の問題に移りますけれども、よく心得ておいて、心にとめて努力をしてください。
 次は、退職後の生活保障の問題に移ってまいります。
#53
○国務大臣(中山太郎君) 委員長、ちょっと一言。
 先生の御主張もよく私拝聴さしていただいております。ただ、給与関係の担当大臣として、例年給与関係閣僚会議で、やはり人事院勧告が出されて、その勧告を政府が受けてどうするかということの協議の場には、日経連のいわゆるデータなどというものは紙一枚出ておりません。あくまでも中立機関である人事院の勧告の資料のみでございますので、その点はひとつ、われわれは人事院が中心である、これが第三者機関として公正、厳正なものという立場は今後とも貫いていかなければならないと、そのように思っておりますので、その点はひとつ人事院の立場も御信用いただいて、私は冷静な世論は必ず正しいものに味方すると、このように信じております。
#54
○安武洋子君 そんなところに私、日経連の資料を持ち出して給与関係閣僚会議が開かれて――そんなことを思っておりませんので、御答弁にならないが、もう次に移ります。
 私は、公務員の退職手当金のふさわしい水準というふうなことは、これは民間の労働者に比べて高くて当然だなんて、そんなことは言いませんけれども、しかし仮に官民の比較をするという手法が確立していたとしても、短絡的に民間と比べて高いからそれはだめなんだとかというふうな、金額だけを合わせてよいものかどうかということに私は疑問を持っております。額が参考になるということは当然なんですよ。でも、幾つかの側面を見なければならないということで、今度の国会のいろいろこの論議の中でも、長期勤続の報償とかあるいは賃金の後払いの性格があるんだとか、老後の生活保障の面があるんだとかというふうな御答弁ですので、たとえば退職後の生活保障という側面から見てみました場合に、公務員の退職手当は、退職後の生活が一体公務員はどうなっているんだ、それからその後の就労状況はどうなっているんだ、それで退職金はどのように使われているんだと。民間の労働者と公務員の間にそういう点で重要な相違があるのかないのか。あるいは、こういうことがいろいろと検討されて、それでも退職手当は同額であってよいのか、あるいはもっと何らかの条件を反映させなければならないのかというふうなことが検討をされるというふうにならなければいけない。こういうことは検討の重要なポイントだと思いますけれども、御見解を伺います。
#55
○政府委員(山地進君) 先ほど来、官民比較の方法が確立していないといいますか、今後さらにそういうものは直さなければいけない点があるという人事院の御見解もございました。私どもも、官民の比較ということについて、退職金に限って申し上げればまだまだいろいろと研究すべき点はあろうかと思います。
 いま先生の御指摘の中心は、そういった手法の問題と同時に、絡んで公務員の特殊性というものも考えるべきじゃないだろうかというようなふうに私承ったわけでございますが、いまのもう一つの側面、生活保障的だということ、これも民間も生活保障的な点は退職金にあるわけでございまして、退職金の持っているのが報償があるいは賃金の後払いかとか、いろいろ議論はあるわけでございますけれども、現在、官も民も退職手当が持っている意味というのはやはり大差ないんじゃないだろうかというふうに私どもは理解しているわけでございます。
#56
○安武洋子君 その点について論議をさせていただきます。
 その前に、公務員の生活実態についてお伺いいたしますけれども、退職手当の使途という問題ですね、これはどのように把握されているか、お答えください。
#57
○政府委員(長橋進君) 退職手当の使途につきましては、四十七年度の調査とそれから五十二年度の調査、二回調査がございまして、その調査結果によりますと、四十七年度の調査におきましては、退職手当の使途割合でございますが、住宅宅地の取得に三一%、借金の返済に三%、生活費に二三%、子弟の教育、結婚に一一%、事業資金一%、その他四%、当分の間使う予定なしというのが二七%になっております。それから五十三年度の調査におきましては、住宅宅地の取得が二六%、借金返済が三%、生活費が二二%、子弟の教育、結婚が一二%、事業資金が二%、その他一〇%、当分の間使う予定なしというのが二五%というかっこうになっております。
#58
○安武洋子君 いまお伺いした数字というのは、代表的な使途というのが住宅資金とかあるいは子女の結婚とか子供の教育費とかというふうなことをお挙げになりましたけれども、一年もたつと退職手当の約半分近くが手元からなくなっているというふうなことなんですけれども、いまお挙げになったような住宅とかあるいは生活費とか子供の教育費とかというふうなこういうものの値上がり、上昇ですね、こういうものと退職手当の伸び、こういうものを調査されたことはございますか。
#59
○政府委員(長橋進君) 遺憾ながら調査したことはございません。
#60
○安武洋子君 それが困るんですよね。だから私調べてみました。住宅の場合です。これは、住宅は都市開発協会の民間企業による宅地建物供給実績調査報告書、これ見ましたけれども、これによりますと、民間の建て売り住宅一戸当たりの平均の分譲価格の推移ですけれども、昭和五十一年で千九百六十三万円、それが昭和五十五年になりますと三千六十五万円、一・五六倍に上がっております。
 教育です。文部省の調べによります。これは私立大学の学生が入学する年度に必要な納付金の、これ全私大の平均ですけれども、推移を見てみますと、昭和五十一年は授業料が約二十二万二千円、入学料が十二万二千円、施設設備費、これが十万三千円、合計四十四万七千円です。ところが昭和五十五年になりますと、授業料が三十五万五千円、入学料が十九万円、施設設備費が十六万円と、先ほど申しました四十四万七千円が今度は合計七十万五千円と、こういうことで一・五八倍に引き上がっております。
 それから結婚費用です。これは三和銀行のホームコンサルタントが挙式前後の出納簿という調査結果を出しておりますが、一組当たりの平均結婚費用の推移を見てみますと、昭和五十一年四百三十二万五千円、それから五十六年には六百六十四万円、これも一・五四倍と、それぞれどれを見てみましても主な分は一・五倍以上の上昇があらわれているわけです。
 これに対して、では公務員の退職手当の伸びはどうかと、たとえば代表的な退職するときの俸給を四等級の二十号俸といたしますと、昭和五十一年には一千六百五十三万円、昭和五十五年で二千五十五万円ということになりますと一・二四倍。先ほどの主なのは一・五倍以上なんですよ。退職金は一・二四倍と、現実の出費の伸びに比べまして退職金が追いついていないわけです。これは給与の伸びが物価に追いついていないということにも起因をしているわけですけれども、これが現実の退職手当の姿なんですね。
 このように、退職手当を使途の面から見てみますと、すなわち退職後の生活の関連で見てみますと、今日の段階では削減するどころかふやしていかなければならないんだと、とうてい削減、レベルダウンをするということが頭に浮かぶ状態ではないというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#61
○政府委員(山地進君) 先ほど私御答弁申し上げましたとおり、この退職金というのが生活保障的であるという、これは先生がるるいま御説明になったとおりだと思うわけでございますが、いまのような実態というのは、民間も官も退職手当の持っている意味は同じじゃないだろうかというふうに私どもかねがね思っているわけでございまして、いまのようなことが官だけに起こっているというわけではないことは先生の御説明の中にはうかがわれるわけでございます。私は、そういうことであるならば、やはり官と民というものをどういうふうに直していったらいいのかということを考えざるを得ないんじゃないだろうかというふうに考えております。
#62
○安武洋子君 一番最初にお断りしたように、私は官と民と比較するということが正しい公務員の退職手当の水準だと思わないと、だから官にも民にも起こっているということであれば、私は、このいまの生活実態に比べ削減をするというのはおかしいですよということで、いまのはちょっと御答弁外れております。
 それで、私は公務員のことよくわかりますけれども、退職手当額をこれもう幾ら幾らというふうに計算をしまして、たとえばこれを共済の方から退職金に見合うような住宅購入をしてしまっている人、あるいはしようとしている人というふうな人もあるわけですね。そういう人は、物価に追いつかないというこの退職手当の目減りの上に、今度は削減されてしまうというふうなことになるとどういうことになるんでしょうか。あるいは結婚資金をもう先に借りてしまっているという人もあるはずなんですね。こういう人から百五十万、二百万なんて、あなたたちにすればはした金かもしれませんけれども、一般公務員が百五十万、二百万、そんなお金を本当に受け取るということはないわけですよ。こういう人たちの心境をお考えになったことがあるでしょうか。その公務員労働者の労働を支えてきた家族の心境を思われたことがあるでしょうか。物価のスライドよりも退職金のスライドが高くなっているというなら、それは納得もできましょう。しかし、いま言ったように、何をとってみてもいまの段階でレベルダウンをさすような状態ではないというふうなことがある中であなたたちはそういうことをしようとしていらっしゃるということを申し上げた、抗議を込めて申し上げているわけです。
 それで、さらにまた伺いますけれども、退職後の就業状況についてお伺いをいたします。退職した公務員の就業状況というのは、五十二年退職者と四十七年退職者で聞きたいと思いますので、お答えいただきたいんです。
#63
○政府委員(長橋進君) 就業率は、四十七年の退職者につきましては四四%でございます。退職者のうち四四%が就業しております。それから五十三年の調査におきましては就業率は四七%ということでございます。
#64
○安武洋子君 五十二年は確かに四七%、それから四十七年の場合は四四%と、そういうふうになっております。五十二年の退職者の一年後の調査を見てみますと、平均年金月額は十五万円です。これに対して家計の支出は二十二万円です。この差を給与、事業で埋めているというのが平均した姿のようです。収入での年金の依存率から逆算をしてみますと、平均収入一ヵ月は二十三万八千円のうち年金が六三%ですから、これを計算しますと十五万円ということになります。そうすると、給与や事業による収入が一九%ですから、平均的に見てみますと約四万五千円程度というふうになるわけです。この四万五千円を先ほどの就業率をお伺いした四七%で割ってみますと、就業者一人当たりの平均の給与あるいは事業収入というのが逆算できるわけですけれども、これが何と九万六千円です。
 言葉をかえれば、公務員は退職して一年たつとどこかに就職している人、この人の平均月額は九万六千円、ボーナスなし、こういう状態におられる。中には隠居をなさっていらっしゃる、まあ年金で暮らそうかという人もそれはおありでございましょう。しかし、半数以上の人は仕事にもついていない状態である。さらに、この資料を見ますと病気がちな人は二三%、こういうことですから、四人に一人は病気がちということになるわけです。調査結果から見てみますと、五十三年の場合、退職後の公務員の平均的な姿はこういう姿になってくる。これ数字ですから、数字を否定はなさらないと思いますけれども、公務員がこんな姿であるということをあなた方は御存じなのか、お認めになるんでしょうか、ちょっとお伺いをしておきます。
#65
○政府委員(長橋進君) 退職者につきまして人事院が調査した結果につきましては、ただいま先生の方からお示しになりました数字のとおりでございます。
#66
○安武洋子君 何とも私は哀れな姿ではなかろうかというふうに思いますよ。
 それでは労働省に聞きます。
 労働省では、昭和三十九年以降五回にわたって定年到達者調査、これを実施されておられます。この昭和五十四年に調査された結果について順次私はお伺いをしてまいりたいと思います。いずれも男子の結果のみで結構です。
 まず、昭和五十三年定年到達者のうち翌年の調査で就業されている人の率は一体何%なのでしょうか。それから、まだ就業していない人のうち求職者は何割になるのでしょうか、両方お答えください。
#67
○説明員(八島靖夫君) ただいま先生の御紹介ございました私どもの定年到達者調査報告でございますが、この調査報告の結果によりますと、昭和五十三年度に定年に到達して退職した方々が調査時点におきまして就業しております方の割合、これは六八・九%でございます。すなわち、定年到達者の七割弱が就業しているということに相なります。
 なお、残りの方々約三割が就業しておらない方でございますが、その三割の方々を一〇〇といたしますと、そのうち求職しておる方々、職を探しておられる方々は七二%でございます。
#68
○安武洋子君 ということは、一年経過をしたら就業者は約七割、不就業者は約三割、そのうち職を求めている人は、失業状態ということですね、これは大体七割を占めているということになるわけです。
 念のために聞きますけれども、五十二年の定年到達者で翌年調査までに一度でも失業を経験されたという方の比率はどれぐらいになるんでしょうか。
#69
○説明員(八島靖夫君) 三六%でございます。
#70
○安武洋子君 では、その方々の平均失業期間はどれぐらいになるんでしょうか。
#71
○説明員(八島靖夫君) 平均数字は出してございませんけれども、一番多いのが六ヵ月以上一年未満失業しておったということでございまして、六ヵ月以上一年未満失業しておった者の割合は約四七%でございます。
#72
○安武洋子君 私も調べたんですけれども、三分の二以上が六ヵ月以上失業しているというふうなことが出ておりますが、この退職後失業したという人たちが職業安定所を利用するという率はどれぐらいなんでしょう。
#73
○説明員(八島靖夫君) これは約七三%でございます。
#74
○安武洋子君 退職して一年後の就業率、これは民間の場合は六八・九%、公務員は四七%、ずいぶん公務員の場合の就業率が低いわけです。
 それで、公務員の不就労者の五三%、こういう人たちのうち求職状態におられる人、これは一体どれぐらいおられるんでしょうか。――お調べになっていないですか。
#75
○政府委員(長橋進君) ちょっと私、所管しておりませんので、問い合わせた上で後刻御報告申し上げたいと思います。
#76
○安武洋子君 これはお調べになっていらっしゃらないということなんですが、民間の場合は不就労者のうち七二%が求職者、公務員の場合は仮に同じ程度の求職者がいると一推計ですからこう見ないとしようがないわけですけれども、こういう計算をしますと、公務員の不就労者は〇・五三ですからそれに掛ける〇・七二ということで〇・三八、すなわち退職後一年たつと三八%の求職者がいるということになる。一年たつと四割近い人々が失業状態だということがわかるわけです。民間の場合、不就労者のうちの求職者が二二%、公務員三八%ということになると、非常に違った数が出てくるわけですね。なぜ公務員がこういう高い状態にあるというふうに思われているんでしょうか。
#77
○政府委員(長橋進君) 公務員の場合ですと、六十歳ということでございますので、年齢が高いということであろうと思います。
#78
○安武洋子君 公務員法をごらんいただきたいんですよ。そういう要素もそれは一つあるかもしれません。しかし、民間の会社の場合は子会社とか関連会社へとか就職あっせんなども行われております。皆さん方が全然おやりにならないとは言いませんよ。しかし、一部の高級官僚の天下り――国民の批判に遭っておりますが、退職後のポストは安定いたしておりますけれども、一般の公務員は兼業の禁止があるじゃありませんか。それから私企業からの隔離があるじゃありませんか。法律で縛られれば職務上在職中に就職運動をどんどんやるというふうなことはできないわけでしょう。ですから、こういう勤務の特殊性ということで退職後の就職率も低くなっているということで、政府もやはり責任を感じていただかなくちゃ、こういう法律があるんですから。私は官民の比較をする場合にやっぱりこういうことも考慮に入れるべきではないかというふうに思いますけれども、いかがなんでしょうか。就職しにくいんですよ。
#79
○政府委員(山地進君) いま人事院の方でお答えいたしましたように、これは定年の問題がやっぱり官民比較の場合に従来の統計には出てなかったようなことがあるんじゃないかと思います。
 それから、いまのような、確かに公務員でいる間のいろいろ制限があるわけでございますけれども、公務員をやめた後も自分の設計については制限について若干ございますけれども、今後は私どもとしても退職準備プログラムというようなことを導入して、さらにその公務員生活をやめた後の生活についてはいろいろ考えていきたい、かように考えております。
#80
○安武洋子君 だから、いまからは考えると。しかし、いままではこういう法律の制限があるからこそ私はやっぱりこういう失業率が高く出ていると。しかも、あなたたちはこういう法律をいまお変えになるあれはありませんでしょう。公務員の兼業の禁止、私企業からの隔離というふうなことは、いまの汚職が発生している、一般公務員にはほとんどありませんけれどもね、高級官僚ですけれども、やっぱりこういうことは必要になってくるわけなんでしょう。
 労働省に聞きますけれども、定年到達者の調査の中で、民間労働者の雇用保険受給者のうち雇用保険が家族収入の中でどのような割合を占めているか伺いたいんです。これは、雇用保険が家族収入の中でほぼ全額を占めているケースは何%かということでお答えください。
#81
○説明員(八島靖夫君) 雇用保険が家族全体の収入のほぼ全体を占めているものの割合、これは二六・三%という調査結果になっています。
#82
○安武洋子君 同じように五〇%を占めているケースは何%ぐらいですか。
#83
○説明員(八島靖夫君) 六〇%でございます。
#84
○安武洋子君 ずいぶんと民間労働者の雇用保険が家族収入の中で占める割合は高いということをこの数字でおわかりいただけると思うんですよ。仮に公務員の四等級の十六から十七号俸の給与水準の人ですね、この水準を持つ民間労働者、これが退職後に雇用保険給付を受ける、こういうことになりますと、受給額というのは一体どれぐらいになるんでしょうか。
#85
○説明員(小野進一君) 大体年収を四百五十万円程度に想定いたしますと、雇用保険の給付日額は離職日前の半年間の給与で計算いたしますので、ボーナスも入りますから、ボーナスの支給月、支給額、それから、それと離職の日にちとの関係によって違ってまいろうかと思いますが、算術的に二で割って計算いたしますと、四百五十万円程度の年収のある方でございますと、日額六千六百七十円の給付日額になります。
#86
○安武洋子君 基本が六千六百七十円。訓練延長給付を含めて七百日受給すると、これは四百六十六万九千円、こういうことになりますね。
#87
○説明員(小野進一君) 年齢の設定によりますが、五十五歳以上で退職いたした場合の雇用保険の給付日数は基本的には三百日でございます。ただ、給付の途中で職業訓練を受けましたような場合に、先生御指摘の給付延長があって、長い場合に二年程度になるということでございます。その場合にはその六千六百七十円の二年分でございますので、約四百八十万ほどになろうかと思います。それは安定所長の指示があって職業訓練を受けている場合でございます。
#88
○安武洋子君 訓練を受けていない場合でも最長ケース三百六十日、訓練を受けた場合はいまおっしゃったようなことになるわけですけれども、保険料の労働者の負担分は千分の五・五ですね、だから、先ほどの年収が四百五十万円程度の人の一年間の保険料負担、これは二万五千円程度になると思いますけれども、どうなんでしょうか。
#89
○説明員(小野進一君) 年収四百五十万円と想定いたしますと、雇用保険料の料率は全体としては千分の十四・五でございますので、年間で六万五千円ほどいただきますが、そのうち労働者の負担分は千分の五・五に相当する額でございますので、先生御指摘のとおり、年間で二万五千円ほどでございます。
#90
○安武洋子君 年間二万五千円、仮にいまの金額のまま過去三十年、そんなこと絶対あり得ませんから、ずいぶんと昔は給料安かったから、だけれども、いまの二万五千円のまま三十年さかのぼるとしたら、これは七十五万円ということになります。最高に見積もって七十五万円になりますね。――でしょう、計算では。
#91
○説明員(小野進一君) 経年的に推計するのは大変むずかしいと思いますが、単純に二十五年なり三十年すれば労働者の負担分はその額になろうかと思います。ただ、多しの間の推移その他を考えて、そういうふうにしてよろしいかどうかちょっとわかりかねます。
#92
○安武洋子君 料率が変わっていることも、給料がもうどんなに悪かったかということも私よく承知した上で言っております。
 公務員はこの雇用保険がないわけなんですよね。公務員は雇用保険の被保険者となっていない。これはどういう理由からそういうふうになっているんでしょうか。
#93
○説明員(小野進一君) 先生御案内のように、公務員の身分は法律的にも保障されておりまして、民間の労働者に比べまして安定しておりますし、したがって雇用保険が本来的に給付の対象といたしております景気変動による失業も起こりがたいわけでございますし、また、先ほど来御議論になっております退職給与の負担と雇用保険の負担と、二重に国民の負担に課せられるというようなこともあって、従来から、すなわち雇用保険法以前の失業保険法時代から公務員については適用除外になっているわけでございます。
#94
○安武洋子君 それでは退職手当法の十条、失業者の退職手当の規定、これについて説明してください。これはどうなっていますか。
#95
○政府委員(山地進君) この規定は雇用保険法との関係において設けられていろものでございまして、雇用保険法がその目的として、いま労働省の方から御説明ございましたように、「労働者が失業した場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資する」ということのために掲げているわけでございますが、この雇用保険制度は社会保険制度の仕組みとなっており、被保険者、事業主は保険料を負担することになっているわけでございます。
 公務員等につきましては、地位が安定していること等によりまして対象になってないわけでございまして、常勤の公務員あるいは三公社職員については雇用保険法の適用がないわけでございます。ただ、常勤職員と同様の勤務形態にある非常勤職員については雇用保険法が適用されるわけでございます。このように、国家公務員や三公社の職員については雇用保険法の適用はきわめて限定されているわけでございます。
 しかし、雇用保険が社会保険であることにかんがみまして、これら職員といえども最低雇用保険法による給付程度のものはこれを保障する必要があるということから、退職手当法上は、一般の退職手当が雇用保険法に定める給与水準にまで達しない場合、その差額を退職手当として雇用保険法の基本手当の支給の条件に従って公共職業安定所を通じて支給することにしているものでございます。
#96
○安武洋子君 いまの御説明によりますと、結局国家公務員が退職した、敗退と申しますけれども、これは失業給付に満たない退職手当しか受け取らない場合は給付との差額を出すと。逆に、退職手当の額が給付額より上回っておれば出さないということなのだから、退職手当法の体系から見ましても、退職手当の中に雇用保険の給付に該当するこの見合うものが含まれていると、こういうことになりますね、当然。
#97
○政府委員(山地進君) そのように私も理解しております。
#98
○安武洋子君 これは歴史的に見てみましても、二十四年の退職手当の臨時措置法に関する政令でポツダム政令として公布されたときも、退職手当が解雇予告手当やそれから失業保険相当額を退職手当の内に内包的に包摂するという措置がとられたとか、いろいろいままでも言われているわけですから、明らかに公務員の退職手当の中にはこの雇用保険に相当する分が含まれているということになるわけです。ということになると、官民比較に当たって、この雇用保険との関係についていままでどのように考えて、どのように反映をさせてこられたのか。人事院は民間の退職金の調査をされるわけですけれども、この雇用保険との関連に着目した調査をされたことがあるんでしょうか。
#99
○政府委員(長橋進君) 民間におきます退職手当につきましては企業が退職手当として支給するものでございますから、したがいまして雇用保険法による給付ということとはやはり性格が違うものというふうに理解しております。
#100
○安武洋子君 いまの論議をお聞きいただかないとだめなんですよ。歴史的にも、それからこの条文から読んでも、公務員の退職手当の中には雇用保険に見合う額が含まれているんだということになっているから、官民比較をするに当たってはこの雇用保険が公務員の退職手当の中に含まれている、このことをどういうふうに反映させようかということで調査をしなければおかしくなるわけですから、そういう調査をされましたかとお伺いしております。
#101
○政府委員(長橋進君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、退職手当の調査におきましては、雇用保険法による給付は調査をいたしておりません。その考え方は申し上げたとおりでございます。
#102
○安武洋子君 だから、おかしいわけなんです。仮に一年失業した場合、民間と同じ千八百万円余の退職金をもらったと、こういう人の場合は民間では雇用保険で四百五十万もらうわけです。この格差がつくんです。この格差を考えるなら、官民で八・三%の公務員が高いというこれは帳消しになってしまいますよ。この点についてどうお考えでしょう。
#103
○政府委員(長橋進君) いまのお尋ねの主たる点は官民比較においてのことかと思いますので、人事院としましては、民間の退職手当の調査につきましては、企業におきまして支給した退職手当の金額を調査したということでございます。
#104
○安武洋子君 それはわかっている。だから、公務員の退職手当をそれと比較する場合に、公務員の方には雇用保険の額が内包されていると。そうすると、この内包している分を除外して退職手当というものを両方比較するべきだと。それでなかったら八・三%というこんな数字は出てこないんです。私はこれを念のために申し上げますけれども、雇用保険を全部こういうふうに計算して、額を合わせて八・三%がどうだのこうだのとそんなことを言ってはおりませんけれども、考慮さるべき大きな一要因ではないか。
 しかも申し上げます。この雇用保険というのは、これは収入でないということで税金がかりません。しかし退職金には税金がかります、累進税ですからね。公務員が本当にもう一生営々として働いてきてもらうところの退職金に大きな税金もかかるわけですよ。この違いまでもやっぱりあると。ここら辺までもあなた方は検討されて八・三%なんという数字をお出しになるなら、この雇用保険が内包されている、税金の点でも違う、このことをなぜ考慮なさらないんですか。納得できないじゃありませんか。
#105
○政府委員(山地進君) 従来雇用保険法が適用にならなかったということについては、先ほどは労働省の方からお答えがあったわけでございますが、一つは公務員法には身分保障の規定がございます。言ってみれば定年がないということで、そういった民間との違いというのが明らかであったということが根本的なこういった仕組みの違いであろうかと思うんです。
 そこで、最低保障といいますか雇用保険に比べて退職手当が低い人、これは若い方が短期間でやめる場合のことでございまして、この場合には雇用保険に達するような退職手当が出ない。先ほど先生からの御指摘のございましたように、退職手当が出ないという場合には、やはり雇用保険法の程度の退職手当というものを保障するということが官と民のバランス上要るのではないだろうか、こういう考え方でいまの退職手当法というものが成り立っていると、私はそのように考えております。
#106
○安武洋子君 御答弁にならないわけなんです。私は、この公務員の退職手当の中に雇用保険相当額が内包されているというのは、これは歴史的にもそうですよということを申し上げました。二十四年のポツダム政令として公布されたときのいきさつの中にちゃんとこのことがうたわれております。それから、雇用保険法の先ほどの御説明もいただきました。これは保険法の給付水準に満たない場合はその差を支給するということになっておりますから、逆に読めば明らかに、雇用保険の額を上回れば雇用保険は支給しない、中に含まれているんだということになりましょう。ですから私は、何とおっしゃってもそのことを無視してこういうことをやられるということは、余りにもこれは不十分ではないか、このことを申し上げております。もう一度御答弁を求めます。
#107
○政府委員(山地進君) 公務員の制度というのが定年がない、それから国家公務員法で身分保障がある、それから民間の場合には定年があるということで、民間の場合にしかもその身分保障というものが公務員ほど確立されてないということで雇用保険法というものが成立しておるわけでございまして、ただそういった制度の上に立った民間の制度というのが雇用保険法と退職手当というもので両方でカバーはしているような形になっておるわけでございますが、そういったものと公務員の退職手当というものを支給する場合に若年でやめる方についての制度上の調整というのが要るということで、雇用保険の給付の金額に達しない人についてはそこまで上げるという、つまり失業保険的な制度を公務員の退職手当の方に導入しているわけでございますが、しかし先生のおっしゃるように、したがってそれが入っているから上の人についてはどうのこうのという議論にはならないんじゃないだろうかというふうに私思うんです。先生のおっしゃるのは、そこが若い人には入っているんだから、したがって上の人は払わない、私は雇用保険法の給付に上回っている人には払わないというのは、それは調整が要らないというふうに考えるからだというふうに思います。
#108
○安武洋子君 そんなおかしなことどこにあるんでしょう。この十条の規定というのは、雇用保険に満たない退職金ということになればその差額を出しましょうと、だから計算をしてみてそれを上回る人には出さないということは、これが基礎になっているということはこんなものは素人が考えたってわかるし、歴史的にも先ほど申し上げましたポツダム政令のときにそれを包含するものであるというふうにちゃんとなっていると。だから私申し上げたいんです。いろいろいろいろおっしゃるけれども、これは検討の中からあなた方は抜かしてなさる、大変ずさんな検討だと、ですから私は額の面から見てはいけないということを再三申し上げているんです。ですから、雇用保険の分をどう公務員の退職手当に反映させるか、こういう検討は必要だと、いままでのやり方というのは安易過ぎると。ですから、こういう検討はいまからでも遅くありません、計算しようと思えばすぐ出るわけですから検討し直して、私はこの審議が終わるまでに当委員会に対してこの検討し直した結論をお出しになるべきだと、そして、まず何よりもこういうずさんなものであるので、とりあえず撤回をしてから出し直してきていただきたい、こういうことで、午前中一応こういう時間がめどということになっておりますので、休憩に入らしていただきます。
#109
○委員長(遠藤要君) 午後は一時十五分に再開することとして、休憩いたします。
   午後零時十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十七分開会
#110
○委員長(遠藤要君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、野田哲君が委員を辞任され、その補欠として大木正吾君が選任されました。
    ―――――――――――――
#111
○委員長(遠藤要君) 休憩前に引き続き、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#112
○安武洋子君 私、退職手当金の官民比較、とりわけ加算金の問題についていまからはお伺いをしてまいります。
 退職手当法の改正に当たりまして、私けさから何度も申し上げておりますけれども、ただ官民の額だけを比較して、それでこれがふさわしいんだというふうなことではなくて、公務員の方々にとって退職金というのがどういうものがふさわしいんであろうかという水準というのは、これは改正の基本において考えられなければならないし、それにはいろんな要素が加味されなければならないということを申し上げてまいりましたが、その一つとして加算金の問題を取り上げとうございます。
 今回の改正案は、これは昭和五十二年当時の公務員の退職手当の水準、これと民間の退職手当の水準を実額を比較してみて、公務員の方が高いので民間の水準に合わせるために八・三%削減する、こういうことで提案をされていると思います。そこで伺いますけれども、公務員の退職手当を決めるのに民間の支給水準、支給額、これを唯一の基準としている理由というのは一体側でございましょうか、お伺いをいたします。
#113
○政府委員(山地進君) 退職手当で、いま御質問がありましたように実額を公務員の場合にとっております。公務員の場合の実額というのは法律に決められておりますから、それ以外の退職手当というのは出てないわけでございます。したがって、退職手当法に基づいて実際に支給された額を私どもの方で個々の個人に当たりまして調べておるわけでございます。これに対する官民の比較をする民間側につきましては、民間側というのはいろいろと制度が、いわゆる退職金ということのほかに功労加算金あるいは定年加算金あるいは功績加算金、いろいろな名前で退職金が出ておるものでございますから、それらについて人事院の方にお願いし実額を把握して、いま先生のおっしゃったように実額と実額を比較するということが公平であろう、かように考えて、人事院には退職手当のほかに加算金というものを克明にお調べいただいている、こういうことでございます。
#114
○安武洋子君 ちょっと御答弁すれ違うわけ。私は、私の論拠として、公務員の退職金にふさわしいというのにはいろいろな要素を加味しなければならないんではないかということで、けさほどからもいろいろな例を挙げさせていただいておりますけれども、おたくたちの方はそうではなくて、公務員の退職手当の水準を決めるのは民間の支給額、これを唯一の基準になさっていらっしゃるわけです。ですから、なぜこの民間の支給額だけを唯一の基準になさるんですかと、その根拠は何なんですかということをお伺いいたしておきます。
#115
○政府委員(山地進君) 官民の比較、いま申し上げましたとおり、退職金と退職金を比較するといってとが一番大事であろうというので、実額と実額の比較ということで、根拠とおっしゃるのは法律的な根拠とかそういうことではないんだろうと思うんでございますけれども、やはり私どもとしては、公務員の退職手当というのが国民の税金から出ていることもございまして、国民の広く納得のいく方法で退職手当というものを決めるということが必要であろう、かように考えて官民比較と、民間と比較するということが一番国民の納得を得られるという考え方から実額を比較する、こういうことでございます。
#116
○安武洋子君 官民を比較して実額を合わせてそれでぴったり一緒だと、それが広く国民の納得が得られるかどうかという点は、私はこれはずいぶん疑問があると思います。けさほどからもその点でいろいろ例を挙げさせていただいておりますけれども、ひとつ、これは民間の方にもそういうことがはね返っているんだと御答弁でおっしゃるでしょうけれども、しかし給与一つを官民比較する場合でも、これはやはり額だけというふうなことで考える場合、生計費、こういうものも考慮に入れなければならないというふうになっておりますし、国公法の二十八条、ここは「勤務条件に関する基礎事項」云々と、「一般の情勢に適応するように」というふうなことも言われて、それを人事院は勧告しなさいよと、これを怠ってはいけませんよというふうにも言われているわけですから、何も実額だけをぴしゃっと民間の支給額に合わせるということが、私は、唯一の基準にしてこれが国民が納得するんだというふうなことにはならないというふうに思います。
 そのことで順次お伺いいたしますけれども、民間の退職手当の実態調査、これは人事院がなさっておりますけれども、この調査はわが国の退職手当の調査の規模としてはいままでに比して大きいと思います。しかし、大きいと言いましても、全国百人以上の民間企業約二万五千と私は思っておりますけれども、二万五千のうちわずか九百二十九社ということで、人事院が行う民間給与調査の実施事業所ですね、これは給与のときには七千二百九十五社をなさったと聞いております。ところが、今度は規模は大きいとしても、退職手当の調査というのは九百二十九社、七分の一足らずということになります。しかも、これはただ昭和五十二年の時点一回だけで行われている。たった一回で九百二十九社を調べたと、給与を調べられる七分の一ですよね。それだけで二百万公務員の生活にかかわる、家族も含めますと約一千万に近いようなそういう人たちの生活にかかわる退職金の手当の水準決定の唯一の指標にするというふうなことは、私はこれは不十分であるというそしりを免れないのではなかろうかと思うのです。
 しかも、この手当額につきましては比較の手法上、代表例ということで公務員の高卒行(一)の事務員と対応する民間の高卒事務員の調査に限られてしまっていろわけです。ということは、これは全部じゃなくてその中の代表例だということに一応して、こういうところを比べているということにもなるわけですから、規模の面からも、こういう調査する対象からもということになりますと、だんだん数が限られてきているということになるのです。この全体の限られた一部分で比較調査をして、それで物事を全部推しはかる。いままでの御答弁の中であなた方は、総理から国鉄の駅員さんまでという言葉をよく使っておられますけれども、こういう人たちに一律に影響が及ぶような削減をするというふうな結論を出してよいものかどうか。私はこれは余りにも不十分過ぎる、でたらめとは言いませんよ、不十分過ぎるのではないか。こういう調査方式、比較方法、こういうのをやろうとお考えになったのは一体総理府なんですか、それとも人事院なんですか、その点お伺いいたします。
#117
○政府委員(長橋進君) 確かに、調査方法につきましては今後もなおいろいろと手法、技法等について検討しなければならないものがあると思います。しかし、人事院が三十六年以来ほぼ五年ごとに退職手当の民間の動向調査をしてまいりましたのは、御承知のとおり退職手当制度につきましては総理府の所管ではございますが、何回かるる申し上げましたように、公務員の勤務条件ということで重要なかかわりを持っているということでございますので、やはりその動向等というものを把握しておく必要があるということで、人事院としましては三十六年以来ほぼ五年ごとに民間の動向を把握するということで調査をしてまいっておるということでございます。
#118
○安武洋子君 動向把握は結構でございます。しかし、私がさっき申し上げたのは、あなた方の言葉ですけれども、総理から国鉄の駅員さんまで二百万公務員、家族も含めると一千万近い人たちに一律に影響を及ぼすようなこういう調査が、給与の調査をなさるときには七千二百九十五社、しかし今度は百人以上の民間企業二万五千社のうちのわずか九百二十九社、こういうことで調査をされた。しかも、その中の公務員の高卒の行(一)の事務員と対応する民間の高卒の事務員の調査に限られている。そして、ただ五十二年の時点で一回やられてもう一回五十二年にもやってみましょうかという、そういうことでなくてこういう結論を出されている。私は不十分だと申し上げている。
 御答弁をいただきたいのは、こういう不十分な調査をやろうとか比較方法をやろうとかいうのは、総理府が一体お考えになったことなんですか、人事院がお考えになったことなんですかということをお伺いをいたしております。不十分かどうかということもお答えいただいたら大変結構ですが。
#119
○政府委員(山地進君) この調査は、先ほど人事院の方から御答弁ありましたように、過去長くやっておられるわけでございまして、四十六年の調査も同じような方法によりまして官民の比較をして、そして二割高かったということで直したわけでございますので、今回も同じ方法で適当じゃないだろうかというふうに考えて、私どもとしては特にその点については人事院に変えるとか何とかということはお願いをしなかったわけでございます。
 ただ、今回の法律の中には見直しの規定というのがございますので、今後は、こういった四十八年の法律のいま先生御承知のとおり附則で当分の間二割上げるというものを一割上げるというふうに変えるわけでございますが、そういった方法でいいのかどうか、もう少し根本的に考えたいと私どもは思っているわけでございまして、その中にはそういう調査方法についてもいろいろな御意見がございますでしょうから、また人事院ともよく相談してその点については考えていきたいと、かように考えております。
#120
○安武洋子君 ということは、人事院に相談をなさるということは、こういう手法を人事院はなさっていることをよく知っておりますよね。でも五年前なんですね。前のときは公務員の方が低いから上げると、これは職員の団体であるこことも話し合いが私はつかなかったなんて聞いておりませんよ。私たちは、原則的にこういう労働条件の変更については合意に達することが何よりも必要だと言っている。今度は達していないからこそ問題で言っているわけで、こういう調査方法とか比較方法。では、一体どちらがこういうことをやろうというふうなことでお考えになったのかということでいま最初から御質問申し上げておりますので、もう一度御答弁ください。
#121
○政府委員(山地進君) 私どもとしては、先ほど大臣から御答弁ございましたように、人事院がこういった民間の給与なりあるいは退職手当の調査ということについては専門でございますので、人事院の調査に私どもとしても信頼を置いているわけで、したがって人事院の過去やっておられた調査というものを信頼して、比較方法を四十八年もやったと。私どもとしては五十二年の調査においてもそれをそのままやってきたわけでございます。
 ただ、これは退職手当法が始まって以来、三十四年でございますか、はっきりできたのが。これが四十八年まで十四年間でございますか、そういった官民の比較ということをやったことがない。それを四十八年に初めて言ってみればそういうことを考えてやったわけでございまして、今回の五十二年のを入れて二回でございます。それらについて、二回やったことについての御批判というのはいろいろあるわけでございますから、今後はそういうことについてさらに見直しの規定等も設けておりますので、そういう比較の方法、比較全体が、単に手法の問題じゃございませんで、どういうふうに比較したらいいかというようなことも含めまして、十分私どもとしては検討していかなきゃならないということを考えているわけです。
 先生の御指摘の、そういった人事院の比較方法については一体どっちが言い出したのかということについて申し上げれば、過去人事院の方が何の、何といいますか作為もなくやっておられたものを十分利用させていただいているということでございます。
#122
○安武洋子君 見直す必要があると、どう比較するのか検討する必要があると、そのことをお認めになるなら、なぜいまこういう削減の法律をお出しになるんですか。こういうことを十分検討されてから法案をお出しになるのが至当じゃありませんか。やっぱり何とだれが言っても、私が先ほど申し上げたように、給与のときに七千二百九十五社もやりながら今度はわずか千社も足らないとか、それからごく一部の限られたところだけだというふうな手法というのは、考えても納得できないわけです。
 それで、調査外ということで、行。とかあるいは三公五現の職員に対応するようなところを労働省とか中労委の資料を修正値を掛けて出しておられます。今後も引き続き民間調査をやるというふうなこと、それからそれとの比較をするということも検討するんだというふうなことでございますから、それなら調査の規模を拡大しなければだめですよ。それから行(一)高卒事務だけでなく、もっとたくさんの柱を立てるべきじゃないですか。行(一)の大卒もあります。それから行(二)だって医療職だって、対応するところ、国立病院と一般の民間の病院とか、そこの医師とか看護婦の比較とか、そういうこともできましょうし、三公五現に類似したところというのもたくさんあるわけですから、そういうところの比較等々幾らでも柱を立てられると。だから今後おやりになる、検討をなさるというなら、柱を幾つかきちっと立てる、そして二年ぐらいはせめて慎重に連続しておやりになると、これぐらいなことはおやりにたるべきではありませんか、いかがでしょうか。
#123
○政府委員(山地進君) 給与と違って退職手当というのが、俸給月額掛ける支給率と、非常に単純な方式をとっているわけでございます。したがって、そういう方式をとっている退職手当の比較というのを、一体どことどういうふうにやったらいいんだというのが根本的にあるわけなんです。いま先生の御引用になりましたように、総理大臣から国鉄の駅員さんまで全部同じ方式でやっていたというのは、やはり戦前からそういう退職手当の方式というのはかなり定着してきている。それから、先ほど来いろいろと御質問のありましたような失業手当とかそういった問題あるいは共済年金の問題とか、複雑に絡んで現在の退職手当法に統一されてきているわけでございまして、それを今後白紙からその退職手当をどういうふうにやるかという場合はともかくといたしまして、やはり退職手当というこういう制度が公務員等の間に定着し、また民間の方にも、民間は民間でまたこの戦前の失業手当という色彩の濃いものから現在は生活保障的なものになってきているという現実があるわけでございまして、この大集団同士をどうやって比較するのか、私どもとしても大変むずかしい問題であるということはよくわかっておるわけでございまして、四十八年と今回というのは同じ方法で高校卒ということでやったわけでございますけれども、今後はまた比較の方法もいろいろとあろうかと思いますので、私どもとしても十分検討してまいりたいと、かように考えております。
#124
○安武洋子君 おっしゃるとおり大集団同士の比較だから、その中の本当に一つまみだけを比較するというのは、これはやっぱり正しい比較というのが出てこないということはおわかりでございましょうし、ただ一回やっただけだと、その単年度だけね。それでなしに、やっぱり重ねてやっていくほどの慎重さが要るというのも御答弁の中の大集団同士の比較なら私は必要だろうと。しかも私が申し上げたように、公務員の退職手当の中から百五十万なり二百万なりという大変なお金が影響していくわけですから、それほどの慎重さ、これは私は何も特別慎重過ぎるとは思いません、これぐらいのことは当然だと思います。それぐらいなやっぱり規模で今後は規模も拡大し、社もふやしておやりになっていただきたい。この点について人事院の御見解も伺っておきます。
#125
○政府委員(長橋進君) 今後におきます退職金の調査につきましては、いろいろ拝聴させていただきました御意見等も十分取り入れたかっこうで、至急的確に実態を把握できるような方法等についても十分検討してまいりたいと思っております。
#126
○安武洋子君 その御答弁は大変結構で、取り入れていただきたいと思いますけれどもね。それならそれで、しつこいようですけれども、そういうことをちゃんと検討して、もっとちゃんと慎重にしてからこういう法案をお出しになるべきで、こういう法案をお出しになるということは、余りにも私はずさんなやり方だということをここでも強く申し上げておきます。
 そして人事院は、今度調査をなさったと。その結果を総理府にお渡しになるときに、この見方についてのコメントをつけられたということを聞いておりますが、一体どのような内容のコメントをおつけになったんでしょうか、総裁にお伺いいたします。
#127
○政府委員(長橋進君) コメントと申しましても、きわめて事務的な話でございまして、たとえばモデルで調査した結果の見方、とり方につきましては、モデルというものはこういう性格のものですから、そういうものも十分考慮に入れて数字をお読みになったらよろしいんじゃないでしょうかと、あるいは四十七年当時に調査したものと今回とではこの部分が違いますとか、それから四十七年当時には若干こういう経緯がございましたといったようなことでございまして、きわめて事務的な説明ということでございます。
#128
○安武洋子君 事務的な説明で結構なんですけれども、モデルのとり方、見方には「こういう性格のもの」もございますって、「こういう」というのがよくわかりませんので、「こういう」とはどういうことなのか、もうちょっと正確におっしゃってください。
#129
○政府委員(長橋進君) モデルのとり方、読み方につきましては、ここの委員会の席上でも申し上げたことがあるかと思いますけれども、モデルをとる場合には、たとえば同期の職員が数人おりました場合にも、長期間在職しておりますと給与等についても差が出てまいりますから、したがってどれをとるかということによって違ってまいりますとか、あるいはモデルは一社一人ということでございますので、したがって人員の多少によるウエートが入ってまいりませんから、そういう点もモデルの数字を扱う場合にはお考えになったらよろしいでしょうとか、あるいは実額支給とモデルとを比較いたします場合の違いといたしまして、モデルの場合にはなかなか属性的なものがつかみにくい。たとえば加算金のようなものがございますけれども、功労加算金のような場合にはモデル調査ではなかなかその実態をつかみにくいということもございますというようなお話をしてございます。
#130
○安武洋子君 それでは、そういうコメントを総理府はどういうふうに受け取って、どういうふうに処置をなさったんでしょうか。
#131
○政府委員(山地進君) 私どもはその数字を見る場合に、これはどんな意味があるのだということについては注意深く見なければいけないわけでございまして、人事院の方のいろんなお話というのは、何も文書だけじゃなくて、こういうものについてはどう見るんだということは時々刻々人事院にもいろいろ御意見を承りながら、それぞれの比較をやってきた、こういうことでございます。
#132
○安武洋子君 私が申し上げたいのは、今回の調査というのは、先ほどからもう繰り返し申し上げておりますように、まことに不十分だと思うんですよ。御承知のように、ほかにも民間の退職金の調査があります。手法の違いはありますけれども、同じように無作為抽出で調査した結果です。それぞれ違う結果が出ております。高卒、事務だけという限られた調査でないので、対象というのはむずかしいですけれども、しかし企業全体の制度的なものなら他との比較もしやすいということで一例を挙げます。
 たとえば加算金制度です。これは恐らく人事院の調査でも、加算金をお考えになるときに結婚退職加算金とか出産退職加算金とか、こういうことはお考えになっていらっしゃらないと思いますので、これは除外します。私が例に挙げますのは、労務行政研究所が二年ごとにやっております退職金、年金事情調査と比較をいたしました。これも人事院の二分の一ぐらいの事業所数は調査をなさっていらっしゃるわけです。その中の特別加算金の調査を見てみますと、定年加算の実施事業所は、五十三年で、一千人以上の規模の事業所で四二・〇%です。これは人事院の同じ一千人以上の規模の定年加算の実施事業所の数と比べてみますと、これは二六・九%。一方の方は四二・〇%です。人事院は二六・九%。これは一千人以下でどうなっているかと。労務行政研究所では三〇・八%です。人事院では一〇%です。三分の一ね。ずいぶん大きな差が出てまいります。
 先ほど申し上げたように、ここの労務行政研究所は一回きりじゃないんですね。二年ごとにやっておられますから、五十五年も調査をされているんです。こちらの労務行政研究所の方で大きな差が出ておれば別なんですけれども、定年加算は千人以上で四二・九%、それから千人以下で三一・九%と、ほとんどこの比率は変わっていないわけですよ。それは何か指標のとらえ方が違うんだと、こういうふうにおっしゃるかもわかりませんけれども、功労加算金などに比べましてかなりこの定年加算というのは性格がはっきりしておりますからね。
 こういう定年加算でこのように――それはわずか少しの差だというなら話は別ですけれども、人事院の調査と労務行政研究所の二年ごとに行う調査で定年加算の実施事業所の食い違いの数が一・五倍から三倍も出るというのは、私は余りにもこれは差が大き過ぎると思う。これは一体どういうことなんでしょう。この点をどうお考えになるんでしょうか、御質問申し上げます。
#133
○政府委員(長橋進君) 労務行政研究所の調査結果と人事院の調査の対比でお尋ねでございますけれども、労務行政研究所はまた労務行政研究所で調査された結果だと思いますが、私どもとしましては御案内のとおり、千五百社につきまして調査しました結果をまとめたものでございまして、何ら作為は加えていないわけでございますから、私どもは私どもの調査につきましては自信を持ってこれが正確な調査結果であるというふうに考えております。
#134
○安武洋子君 私は何も人事院がごまかして調査をしているとは言いませんけれども、民間の二年ごとにやる調査とわずか〇・一%か〇・三%の相違なら、それはそれでいいですよ。しかし、これは同じ手法を確立して二年ごとにやっているというこの民間の調査に比べて一・五倍から三倍も、定年加算のようにはっきりとらまえられるこういうものでも、こんな大きな食い違いが出てくるということは、だれが考えたって疑問に思いますよ。それでは人事院は定年加算がないところばかり集めたのか、そういうところが偶然に集まってきたのか、こういうことになるんでしょうかね。
#135
○政府委員(長橋進君) 人事院の調査結果につきましては総理府に御連絡したとおりでございまして、労務行政研究所の調査結果に対してどうこうということについては、これは何とも申し上げようがないということでございます。
#136
○安武洋子君 民間の調査とそれだけ違うのに疑問もお持ちにならないというのはおかしいということをひとつ申し上げておいて、まださらにお伺いいたします。
 四十六年と五十三年の調査のとき、退職金の中に占める加算金の比率についてお伺いしたいと思うんです。それぞれどうなっているかということで、四十六年の実施企業の中で退職金の中に占める加算金の比率、これは五十三年と両方お答えいただきます。
#137
○政府委員(長橋進君) 四十六年の調査におきます退職金に対する加算金の率は一九%ということでございました。それから五十三年の調査におきましては、退職金の中に占める加算金の割合というのは一三%ということでございます。
#138
○安武洋子君 ということは、四十六年と比較して五十三年はマイナス六%、こういう数字が出てきますね。しかし四十六年の実施事業所は七〇%ぐらい、加算金の占める比率二七%、だから約二〇%が出てくるわけですね。ですから、ざっと言えば七%の激減が出てくるわけですよ。四十六年に対して五十三年は、加算金の実施事業所が。これはあなたたちが衆議院ですでにお答えになって、議事録に出ているところですから御否定はなさらないと思います。四十六年から五十二年の約五年余り、こういう年月が過ぎますと、退職金の中に占める加算金の比率というのが数字で見たら七%近くも減っている。そうすると今回の比較で、五年間に官民の差が八・三%開いたということであれば――いろいろな要素があるということは私もわかりますよ、否定はいたしません。しかし、その大部分というのが、この民間の退職金の中の加算金の減少の分、あるいはこの加算金が停滞している分、この中によって生じたということになると思いますが、いかがですか。
#139
○政府委員(長橋進君) 加算金の割合が六%減ってきておるということについて、じゃ、どういう理由で減ってきたのかということでございましょうけれども、それはその期間、四十六年調査から五十二年調査までの過程におきますいろいろ退職金等についての制度的な、もちろん民間会社におきます話でございますから、そういう動きというものが反映されたのではなかろうか。ただ、どの部分がどうということはわかりかねますけれども、一般的にはそういうことではなかろうかというふうに考えております。
#140
○安武洋子君 いや、そんなことをお伺いしていないんですよ。四十六年から五十二年の五年余りの間に、あなたたちの調査によると約六%加算金を実施している事業所の数が減ったんだと。そうすると今度、官民格差が五年間の間に八・三%開いたんだと。じゃ、その八・三%というのはこの加算金減少、この中の数字とほぼ対比できるわけですから、この加算金が減ったということで生じたというふうに数字上なりますねという私の質問です。
#141
○政府委員(長橋進君) これは退職手当金そのものの取り扱いについてどういうふうに変わってきておるかということも当然考慮にならなければならないと思いますけれども、たとえて申し上げますと、四十六年の調査ですと退職一時金制度のみというのが六〇%でございまして、それが五十三年の調査では三九%になっておる。それから企業年金制度のみというのが、これはもう大した数字の変動ございませんが、一時金と年金併用しておるというところが四十六年の調査では三三%でございましたけれども、五十三年の調査では五四%になっておるということもございまして、そういうような退職金制度そのものの仕組みにつきまして民間の方でいろいろ変わってきておるということの結果、加算金などの取り扱いについても影響してきたのではなかろうかというふうに推測しているわけでございます。
#142
○安武洋子君 だから、官民格差が開いたというのは、この数字から推測すると、加算金の最も基本的な部分を占める定年加算金の実施事業所数が非常に六%減ったと、ここで生じてきたというふうになると思うんですよ。私は、先ほども申しましたように、手抜きとかごまかしとか、そんなことは言いません。しかし、民間の企業が調べたのとこれだけの違いがあるということになると、民間の実態を正確に把握できていなかったのかという疑問をあなたたちはお持ちになるのがあたりまえじゃなかろうかと思うんですよ。官民の差が生じてきた根本にかかわる問題でしょう、これは。ですから、仮に五十三年に実際はもっと多くのところで加算金を実施していたというふうになりますと、四十六年に二〇%を占めていたものが五十三年には一三%に激減するということにはならなかったと、官民格差が八・三%というふうな数字も出てこなかったんではないかと、こういう数字が、私は先ほども申し上げたように二%や三%なら問題にいたしません。しかしこれが何と一・五倍から三倍も違うというふうなことなら、これは余りにも極端過ぎる。
 この点について私は人事院総裁にもお伺いしたいし、私はごまかしとは言いませんけれども、なぜこういうことに疑問をお持ちにならないんですか。民間調査が二年ごとにこうやって、そしてこういう加算金の額はこれだけも違ってきていると。わずかのパーセンテージじゃありませんですよね。そしてこの数字が、ほとんどあなたたちが官民格差だと言われる八・三%、それに近い数字が出てきてしまっている、こういうことについてどうお思いですか。
#143
○政府委員(藤井貞夫君) 官民格差の関係は、累次いままでもたびたび申し上げておりますように、これは所管の責任官庁である総理府でおやりになっていることでございまして、私がこの席上でいろいろ申し上げる筋合いではございません。私の方は民間の退職手当の実態を調べて、それを総理府に御送付申し上げたということでございます。
 それにつけ加えて申し上げたいと思いますのは、私たち、相当年月が経過をしておりまして、いろいろのことについての実態調査の手法なりやり方なりその結果なりについてはいささか自負をいたしております。完璧だというそういう言い方は少し大げさですから、それは差し控えさせていただきますが、こういう自信のある調査というものはほかではやれないし、やっておらない。それほど正確なことでやっておるというふうに自負いたしております。
 ただ、給与の調査というのは毎年やっておりまして、その手法も技法も非常に確立したやり方で来ております。それと比べて、退職手当の調査の方法というのは大体五年ぐらいということでございますし、また先生が先刻から御指摘になっておりますように、対象が給与の場合と比べて少ないというような点がございます。したがって、これをさらに給与調査並みにやればどういうことになるかということは、これは仮定の問題ですから断定はできません。したがって、そういう御批判がいろいろあるというふうなことについては私は否定をいたしませんけれども、われわれは、与えられた条件のもとにおいてやっておるこのやり方については、これはそれなりの自信を持っておるということについてはいささかも疑問を持っておりませんので、その結果について総理府に御連絡を申し上げたということでございます。
 ただ、いろいろ問題がございまするし、特に退職手当については、民間の事業所においても非常にその取り扱い方というものが変化をしつつある現在の状況でございます。民間のそういう調査等もわれわれ十分参考にいたしておりますが、そういうものを見てもわかりますように、いま非常に流動期にございまして、これが非常に変化をしておるということは事実でございます。したがいまして、六十年目途にさらにこれについては詳細に技法等も考えた上で調査をし、結論を出していきたいということになっておるわけでございますので、人事院といたしましても、恐らく総理府の方からも御依頼がございましょうし、その点十分に連絡を緊密にしながら、このやり方、方法等につきましては、もっとわれわれとして確信の持てる精細なものはどういうものかというような点についても考慮しながら検討を続けたいという気持ちは持っております。
#144
○安武洋子君 自負を持っていただくのは結構ですけれども、その裏づけがなくちゃいけないと思います。民間を何だか無視されたような、それはそれだというふうな御答弁ですけれども、民間でもこれは二回の調査で共通した結果を出しております。しかも、民間の二千社前後の事業所に調査票を出して回答の来たところを集計するという規模の大きさも持っております。数次にわたって調査もして、手法も確立もいたしております。
 ならば私はお伺いをしたい。さきに、二万五千社もあるうちからわずか九百二十九社、対象もごくごく限定されてしまっている、こういう欠陥があるということで検討し直さなければいけないんだというふうな御答弁もあるわけなんですよね。私、他にも人事院の結果に似通った調査があるなら資料として提出をしていただきたいですが、そういう資料はございますか。
#145
○政府委員(長橋進君) ちょっと御質問を聞き漏らしたのでございますけれども、似通った調査ということでございましょうか。
#146
○安武洋子君 人事院が、もう自分のところには絶対の自信、自負を持っていると、こうおっしゃった。しかし民間と比べて三分の一、三分の二というふうな大きな違いが出てくる。で、私が何でだと言ったら、民間の方は民間でございますとおっしゃるけれども、それならほかの民間の規模の大きさも申し上げました。調査の手法の確定しているということも申し上げました。ここで類似した数を二回出していると。それで、人事院がそうおっしゃるなら、ほかにまだ調査でもあって、人事院の調査に似通ったようなものがあるんでしょうか、そういうことで自負をお持ちなのでしょうかということでお伺いいたしております。
#147
○政府委員(長橋進君) 民間の方は民間の方でいろいろ御調査なさっていると思います。私どもはその民間の調査はどうのこうのということは別に申し上げておるわけではございませんで、人事院の調査自体は人事院の調査としまして自信は持っておりますということでございます。
#148
○安武洋子君 何度でも繰り返しますけれども、民間と余りにも違い過ぎるんですね。民間がこれだけ二回もやりとか、規模も言いましたよね。繰り返すのは時間が惜しいですからあれですけれども、そういうことにあなたたちは疑問をお持ちにならないといけない。
 それで、ならば申し上げます、民間は民間だとおっしゃいますから。調査対象が必ずしも一致はしませんけれども、いま一例を挙げますと、東京都の労働経済局です。これは五十三年の七月末に「中小企業の賃金・退職金事情」、こういう調査です。これは都内の三十人から五十人規模の中小企業を対象に一千社余りを調査いたしております。この調査でも、百人から二百九十九人規模の事業所百七十社のうち特別加算金実施企業の調査を行っておりますけれども、人事院調査の百人から四百九十九人の加算金実施事業所と比べてみますと、東京都労働経済局の定年加算が一九・四%、人事院は九・六%、それから功労加算金を調べてみますと、東京都の労働経済局は四八・二%、人事院は二八・八%、東京労働経済局の役付加算は一二・四%、人事院は六・四%。数字を繰り返して申し上げるまでもなく、それぞれ人事院の方が二分の一近い数字になっているわけです。これは都内の中小企業だけに調査がなっておりますから、それは多少平均値が高いとおっしゃるかもしれませんけれども、しかし規模は人事院の方が大きなところの規模も加えて調査をなさっていると。ですからこういう一般的な傾向、何も一つだけの民間の調査だけでなしに、東京都の労働経済局の調査も挙げました。
 こういう一般的な傾向から考えて、人事院がこの加算金がかなりこういう民間と比べて二分の一とかあるいは三分の二とかというふうなことになってしまっているということになぜ疑問をお持ちにならないのかと、これは私は非常に不思議に思います。いまの私が挙げました東京都の労働経済局の調査結果と人事院の調査結果をお比べになってどういう御感想をお持ちでございますか。
#149
○政府委員(長橋進君) 繰り返しになるようなお答えで恐縮でございますけれども、やはりその調査につきましては、その調査の前提となりますいろんな条件というものも違いましょうし、また調査に当たりまして回収率の状況はどうかということもございましょうし、いろいろの事情がございますから一概にどうこうということは申し上げかねると思いますけれども、今後調査に当たりましては、そういう事情の違いというもの、あるいは結果の違いというものを十分検討しながら取り組んでまいりたいと、このように考えております。
#150
○安武洋子君 わずかの差ならあれですけれども、回収率の違いということになれば、人事院にはこういう加算をしていない事業所ばかりからざあっと回答が出てきたとしか考えられないというふうになりますので、私はたから慎重にこういうことはやるべきだと、こういうことを慎重にも慎重を重ねた上で法案をお出しになるべきだと、くどいようですけれども申し上げるわけです。
 定年加算だけに限らないんですよ。こんなことは言いたくありませんけれども、功労加算でもそうなんですよ。人事院の調査は、五十三年に三二・一%の企業が行っていると、こうなっております。労務行政研究所の同じ五十三年の調査では四五・一%という結果が出ているんです。功労加算は、私が申し上げるまでもなく、性格のとらまえ方が大変むずかしいという加算なのです。これでもこういうふうに違ってしまっている、こういう結果が出ているわけです。
 ですから、私がここで結論的に申し上げたいのは――大臣どこに行かれたんでしょう、おられないの、困っちゃうわね。私がるる申し上げてきたのは、民間調査とめちゃくちゃに違うのですよ、大臣。公務員の実情を反映するのに大変不十分である。だから私は、私どもが納得できるような一私は納得できないのですよ、そういう調査の事例も早急に調べてください。それで人事院も総理府の方も、この審議が終わるまでにそういう私どもが納得できるような資料をこの委員会に提出をしていただきたい、このことを御要望いたします。
 大臣、あなたこんな重要なときに度外されて大変困りますからね。私は大臣に民間調査と人事院の調査がいかに違うかということをるる申し上げているので、ここでひとつそれは大変申しわけなかったと、こういうときに法案を出したのはまずかったので撤回しますと、こういう御答弁をいただかなくちゃいけないのですけれども、まあおられなかったということは大目に見るとして、今後そんなことをしてもらったら困りますので、そういう答弁を本来はするところなのだけれども、おられなかったということにして、次の質問に時間的な問題があるので移っていきます。(「遠慮せぬでもいいよ」と呼ぶ者あり)あんな声があるから、じゃ撤回するという答弁、特に頼みますわ。
#151
○国務大臣(中山太郎君) せっかくのおしかりでございますが、ひとつ法案を撤回するということはどうも私の方でいたしかねるということでございます。
#152
○安武洋子君 いたしかねたら困るのですよ。でたらめだから撤回するというのは、これはもう理の当然なんだから、だからそういう何でもいいからごり押しをしようという態度を改めていただかなければいけない。
 まだそれで追い打ちかけます。
 賃金の後払いの性格から見たときにどうなるかということですけれども、退職手当が長期勤続者に対する在職中の労働に対する後払い賃金的な性格を持つのだというあなた方の御答弁です。それで、いま勧奨時期を迎えて退職をなされるという人たちが、いままでどういう労働条件のもとでお勤めになってこられたかということを頭に思い浮かべていただきたいのですよ。これを度外視して、そういう長年勤めてこられた方に対する報償的なものだということは言えないと思います。いま勧奨期を迎えられている方、これは戦後間もなく公務員として入省されたと、そして当時は公務員は低所得者の代表みたいに言われてきたわけですよ。御近所にも恥ずかしいというふうな状況だったわけです。加えて二十九年から三十四年まではこれは勧告なしでしょう、人勧の。そして、三十五年から勧告したけれども、十年にわたって勧告は実施をされなかった、おくらされてきた。この人たちはいままで大変御苦労されてこられているわけです、こういう条件の中で。そういう御苦労について大臣は一体いかがお考えでございますか。
#153
○国務大臣(中山太郎君) 先生の御指摘の時代は日本のいわば復興期でございまして、民間もまた公務員の方々も大変やっぱり苦しい戦後ということではなかったかと思います。せっかく労使双方の苦労で、苦労が実って四十五年から完全実施というような形になってまいった、その一つの戦後の過程であったというふうに認識をしております。
#154
○安武洋子君 全部国民は苦労していますけれども、その中でも公務員は低賃金の代表者と、公務員が共働きしてもあるところに勤めてなさる方の収入にも追いつかぬというふうな、大変公務員は逆境時代を経てきているわけですよ。そこで働かれた人がいま勧奨退職というふうなことに当たっているのです。その御苦労に対して、やっぱり大変な目をかけたということぐらいはおっしゃるべきじゃないですか。そういうお考えはお持ちじゃないんですか。
#155
○国務大臣(中山太郎君) 公務員の方々がそういう何といいますか、戦後の疲弊の時代に大変御苦労をいただいたということは私もよく認識をいたしております。
#156
○安武洋子君 それで、そういう人たちがいま退職を迎えるというふうなことで、ここは全商工の方が御苦労なさって、退職期を迎えられる標準的な公務員、これと同じような民間労働者との比較を行ってなさる。過去からの賃金の総計の比較です、これはね。モデルじゃありませんよ。標準的な公務員というのは、御自分がずっと源泉徴収票を持っておられた。だからそれからちゃんと出しておられるわけです。ですから、大正十五年生まれ、ある管区に勤務される、二十三年に入省、扶養家族は四人、現在四等級の二十数号俸、男性、こういうことなんです。民間例は、労働省の賃金構造統計調査に準拠して、十人以上の全規模計の民間製造業の事務部門の労働者の賃金を遡及方式で出している。各年度ごとに公務員代表の方と同年齢者の年収額でとらえて算出する。こういうふうに、多少実態よりも低目に出るかもわかりませんけれども、ほぼ民間労働者の平均的な各賃金を算出しているわけなんです。これで公務員と対比をされている。さらに、これを昭和五十五年を一〇〇とする消費者物価指数で各年の年収を実質賃金総額になるように総計もされている。
 これによりますと、昭和二十三年から五十四年までの三十二年間に七百五十四万円も公務員の方が賃金総額が低いという数字が出ている。公務員の方が低いんですよ長官、七百五十四万円。そしてこの賃金統計によりますと、平均賃金は、高齢者ほど途中で入る人が多いので、入社の影響などもありますから、実際には継続して勤務している人よりも低目に出るようになっておりますので、実際の格差というのは私はもっとあるというふうに実感的にもそう思います。しかし、これくらいの差はあるというふうに思いますけれども、人事院、これはいかがでしょうか。これは不当でしょうか、大体こういうことになると思いますが。
#157
○政府委員(長橋進君) 実際の在職者につきましていろいろ経年的に集計された上での賃金の実態比較でございますので、その点から申しますと、特に私どもの方としてはその結果が別に間違っているということは申し上げかねるということでございます。多分そうであろうと思います。
#158
○安武洋子君 こういう過去の賃金格差七百五十四万、少な目に見積もっても。これは救済のされようがありませんでしょう。そうすると、長い間お勤めしてくださって本当に御苦労さまでした、苦しい時代を経ていただきましたということであれば、あなたたちが長い間勤めた報償的な意味ですよと言うなら、これを救済し、そしてちゃんと苦労に報いなければならないのに、これは救済しない。それどころか退職金は削減するんだと、これでは私はおかし過ぎると。こういう過去の例を考えると、少々公務員が高くても国民の合意は得られていくんだ、こういうことになるわけなんです。
 それで、何も生涯賃金の立場から言うというふうなことではありませんけれども、長い間格差を強いられた。それで今日を迎えた。そして退職金の削減に遭う。こういう公務員の人たちに対して、長官はどういうことでこの人たちに対してこの退職金は報償的な意味合いがあるんですというふうにおっしゃるんでしょうか。ここで直ちに私はこういうことを直して、本当に報償的な意味であるなら、この人たちのこの償われない報償に対して償いもし、そして退職金の削減などをやめるべきと思いますが、御答弁をいただきます。
#159
○国務大臣(中山太郎君) 生涯給与ということで先生はお話しでございますが、政府としては、年金は年金、あるいはまた給与は給与というふうに分けて考えていくことが適当であるという一つの方針で今日までやってまいったようなことでございます。民間から言わせれば、公務員は結構だというふうな声も相当高いこともこれまた事実なんでございまして、私どもとしてはやはり人事院の調査に基づいて、いわゆる長期勤続に対する報償ということで民間に準拠した退職手当を差し上げることが一つの理にかなった筋道であろうと、このように考えてやってまいっておるところでございます。
#160
○安武洋子君 最後に一問。
#161
○委員長(遠藤要君) 持ち時間が超過しておりますので、簡明にひとつお願いします。
#162
○安武洋子君 まだ、ちょうどジャストです。
 それで……
#163
○委員長(遠藤要君) いや、超過しておりますので簡明に願います。
#164
○安武洋子君 私はいまの御答弁満足しませんので、さらに続けて追及をさせていただきたいと思います。
 まだ、六十年の退職金の見直し問題あるいは特殊法人の退職手当問題、指定職の退職手当の問題それから防衛庁の関係の退職手当の問題、それから男女の賃金格差が非常にありますので、それから生じる退職手当の問題と、これだけお伺いしたいので、この次にお伺いいたしますので、そのときにちゃんとした御答弁をいただきたいということで、きょうの質問は一応これで終わります。
#165
○柄谷道一君 私は、定年制導入に関する質疑の中で、それが公務員の定年制だけの問題ではなく、公務員の生涯賃金そのものを見直す契機であると指摘したところでございます。その意味で、高級官僚の処遇につきましてもこの際国民が納得する処理が行われなければならない、こう思います。
 そこでまず第一に、指定職等の高級職員については、政府は新陳代謝を早めて組織の効率的運営を図る必要がある、そのため、本人によほどの事情がない限り定年年齢以前に勧奨退職することが今後もその通例となるであろう、こう御答弁をされたわけでございます。そこでその場合、勧奨退職制度の加算ということは今後も継続されるのかどうか、お伺いします。
#166
○政府委員(山地進君) 従来もこの退職手当法というのは、これは別に法律で定年を定めている個所もございますから、定年制とそれから勧奨退職というのは並列して同列な扱いをしてきた。片方は定年ということでやはり新陳代謝でかわられる、それから勧奨退職も新陳代謝ということでかわられる、性質的には同じであるというのが従来の考え方であったろうと思うんです。したがって、今後も勧奨退職のある場合には同じような扱いでいいのではないだろうかと現在は考えている次第でございます。
#167
○柄谷道一君 逆に確認をいたしますが、定年退職は今後五条関係で処理をする、こういう方向は間違いないわけですね。
#168
○政府委員(山地進君) ただいまの退職手当法には勤続年数によりまして差がございまして、定年につきましても四条、五条ということであるわけでございますから、五条だけではございませんが、とにかく年定ということにつきましては現在の規定をそのまま置いていきたいと、かように考えております。
#169
○柄谷道一君 次に、退職手当の計算基礎額でございますけれども、一般職員の場合は給与総額の約三分の二に相当する基本給がその基礎になっております。しかし指定職の場合は、管理職手当、扶養手当、通勤手当等の諸手当部分がすべて組み込まれた本俸が基礎額になっているわけでございます。ここに必然的に官官格差というものを生じていると思うのでございますが、御見解はいかがでございますか。
#170
○政府委員(山地進君) 退職手当は俸給に支給率を掛けるということでございまして、俸給につきましては、指定職についてはいま御指摘のような計算方法に違いがございます。これは、俸給そのものの決め方については人事院の方で御見解があるわけでございますけれども、私の承知しているところでは、民間の方々との比較においてその指定職の方々の責任の度合いに応じてそういう俸給を決めているということでございます。
#171
○柄谷道一君 俸給掛ける月数ですよね、退職手当は。したがって、その俸給に三分の二と三分の三、いわゆる一〇〇%の差があるわけですから、ここに指定職とその他の者との間には当然退職手当の支給額に差が出るという現実はお認めになりますね。
#172
○政府委員(山地進君) いまのその俸給の基本給といいますか、その俸給の基本給が俸給月額であるというふうにとるかどうかというところが問題かと思いますので、私どもとじて、指定職というものの俸給の立て方は、これは現在の退職手当法に言う俸給ということに当たるというふうに理解しているわけでございます。
#173
○柄谷道一君 これも、この問題ばかりやりとりしておってもしようがないんですけれども、私は問題点の一つとしてここに明らかに指摘をいたしておきたいと思います。
 次に、指定職以上のいわゆる勧奨退職ということは、これはいわば言葉のあやではないか。実態は、次の職場である特殊法人や民間会社への就職先が内定してから勧奨退職を受けるというのが実態ではないかと、こう認識をいたしております。特に特殊法人につきましては、現在百十一に及ぶ特殊法人の職員数は昭和四十二年以降六万人も純憎いたしております。しかもその役員は常勤だけで七百九十七人、しかもその六割以上がいわゆる高級官僚の天下りであり、総裁、理事長のポストは全体の八五%が彼らによって占められている、これが特殊法人の実態でございます。
 そこで、特別の法律に基づき、民力を培養し民間の人材を登用して活力ある事業を行う、これが特殊法人設立の目的でございます。しかし、その特殊法人というものが、いま申し上げましたような実態からすれば、本来の性格から外れていわゆる官僚の天下り機関になっていると国民は厳しく指摘をいたしておるわけでございます。このことに対して総務長官どう認識されますか、国務大臣としての大臣にお伺いいたします。
#174
○国務大臣(中山太郎君) 民間人が登用されずに公務員のいわゆる高級官僚が新設された外郭団体に出ていっておるということは、私はこれは否定できない事実であろうと思います。ただ、一概に行った者が皆悪いというふうに決めてかかることは私はどうかと思います。いろいろと長い官僚生活の中で身についた行政機構の仕組みあるいは予算編成等、いわゆる一般民間会社では想像もつかないような法律や行政機構と予算編成の特殊な手順というものは、全部民間人がこれにかかった場合には大変なやっぱり運営上の困難が出てくるだろうと、こういうことで、適当な比率にまでいわゆる官僚OBが就任していくことにはそれなりの意味があるだろうと考えておりますけれども、一定限度を超えて、常識を超えたようなことは国民のサイドから見れば許されることではないと、このように理解しております。
#175
○柄谷道一君 私はすべて天下りは悪いと言っているわけではないんです。いま大臣は一定の割合を超えてと、こう言われたわけですが、現実は一定の割合を超えているというのがこれ実態ですから、いわゆる特殊法人設立の目的、これに合致しない姿に変貌しておるということは言い得ると思うんです。そこは同感ですね。
#176
○国務大臣(中山太郎君) 御指摘のとおりだろうと思います。
#177
○柄谷道一君 そこで、これは七九年十二月十九日にサンケイ新聞に報道された記事でございますが、特殊法人の常勤役員給与は年平均千三百万円、賞与を合わせますと役員人件費は年百億円を超すと、このように聞いているわけでございます。また、このむだと非効率がたびたび指摘を受けております特殊法人について、財政硬直化という現在の実態に照らして、その廃統合、効率的運営、これを図ると同時に役員給与のあり方、その退職手当のあり方についてもこの際抜本的に見直す必要があると、こう考えるのですが、いかがでございましょうか。
#178
○国務大臣(中山太郎君) 第二臨調等においても当然これは再評価されるべき対象であろうと思いますし、また国会においても常時御批判を受けて国民の信託にこたえるべき対象であろうと考えております。
#179
○柄谷道一君 大蔵省は来ていらっしゃいますか。――私も率直にお伺いするわけでございますが、いまの長官の御答弁からして、私は、公務員が特殊法人に天下りいたしまして役員となった場合の退職金、これにはいろいろの方法があろうと思うんですが、たとえば特殊法人役員在任中の共済年金の支給を停止するという方法、また、公務員としての退職手当の支給を受けて共済年金の支給を受ける特殊法人常勤役員の退職手当につきましては、退職手当の制度を適用せずに功労金の支給程度にとどめるという方法、また、公務員から特殊法人の常勤役員となった者は、退職手当の二重支給方式をやめまして、勤務年数の通算方式を検討して、特殊法人役員を退任する際に一括して退職手当を支給するという方法、また、それらのすべてが当面直ちに実施できないという場合、とりあえず少なくとも算定方法を月数から年数に改めるという方法、いろいろ検討していけば、この改革の方法、手法というものはたくさんあると思うんですね。こうした見直しと改革、これはぜひその検討に着手すべきであると思いますが、大蔵省にその用意ございますか。
#180
○説明員(水谷文彦君) 特殊法人の退職金問題でございますけれども、いろいろいままで議論をされてまいりまして、しかもただいま幾つかの御提案がございました。
 それで、問題は特殊法人というものを基本的にどのように考えるかということがまず大前提であろうかと思います。それで私どもは、いままでは特殊法人というものは国から独立した企業体として、その役員というものは民間役員に準ずるようなそういう役割りを果たしているということで観念をしてきてまいっているわけでございます。したがいまして、現在、お話にございましたような国家公務員をやめて特殊法人に行った役員であっても、あるいは内部登用をされまして、あるいは民間登用をされまして当該法人の役員になられた方というものとやはり性格的には同じであろうということを思っているわけでございます。と同時に、国家公務員をやめまして出される退職金というものは、基本的には国家公務員の在職期間にあるいは在職に対する報償として渡されるんであろうと思いますし、また年金につきましては、基本的には損金の見返りというような性格を持っているんであろうと思います。
 したがいまして、基本的には特殊法人のあり方というものをどう考えるかということと、それから第二番目には、ただいま申し上げましたような国家公務員の退職金あるいは共済の年金、それから特殊法人としての退職金といったものをどう考えるかということについての基本的な考え方を明らかにしなければ、なかなかその間の調整というものは、考え方としましてもまた技術的にもいろいろむずかしい問題があるんではないかと、このように考えているわけでございます。
 したがいまして、現在私どもといたしましては、国家公務員の退職金もあるいは共済年金もそれぞれ民間と対応したような形で支給をされておりますので、特殊法人の役員の退職金の方も基本的には民間との間で均衡をとったらいいんではないかということでこれまでやってきているわけでございます。ただ、そこでお断りをしておきたいと申しますのは、現在の支給方式は、御承知のように報酬月額に支給率を掛けるというような方法をとっておりまして、その支給率のところを民間と合わせております。つまり、現在百分の三十六でございますけれども、そこの支給率のところを合わせておりますが、したがいまして、実を申しますと、実額ベースの比較はやっておらないわけでございます。
 と申しますのは、実額ベースの比較をしますと、基本的には報酬月額の差というものが出てまいります。私ども、特殊法人の月給を民間とそのまま比較しますと、たとえば現在私ども大蔵省が所管しております約七十くらいの特殊法人の協議を受けておりますけれども、それと人事院がお調べをいただいております民間の常勤役員との報酬月額の比較をしますと、数字的には実質的に約三分の二くらいになっております。したがって、その三分の二を除外しまして実額どおりに比較しますと、現在の退職金よりつまり三分の一分だけ上積みしなければいけないというような状況になってまいりますので、そこのところは報酬月額の低いところに対して支給率を掛けているということで、比較的抑制的な姿にさしておっていただくわけでございます。そういったことで、現在私ども、いろいろ御議論がございますので、毎年の給与改定におきましてもそれなりに抑制をさしておっていただきますし、また先ほど申し上げました百分の三十六というものも、五十二年までは百分の四十六でございましたものを二割をカットしまして現行の百分の三十六にいたしております。
 そういったことで、今後とも民間の実態をよく精査をしながら、かつ御提案にありましたようないろんなことも考えながら、そしてまた、現在臨調におきまして特殊法人問題というのはいろんな角度から検討されております。そういったことも含めまして、今後ともこの特殊法人役員の退職金問題については引き続き適正化を図るという見地から検討をさせていただきたいと、かように考えております。
#181
○柄谷道一君 ただいまの答弁を聞いておりましたら、これは技術論からの答弁でございます。
 いま国民が率直に考えておりますのは、いわゆる、たとえば高級公務員については再就職の保証つき勧奨退職だという実態だ。しかも退職金計算基礎は一般公務員に比べてきわめて優遇されている。さらに、再就職いたしました特殊法人の給料が非常に高い。しかも厚生年金であれば当然不支給ないしは減額年金の対象になるわけでございますが、いわゆる年金つき天下りである。さらに、たとえば民間に再就職した場合は、新たにそこで厚生年金支給の対象となるわけでありまして、ここに二重年金支給の可能性が生まれてくる。しかも、いわゆる俗に言う渡り鳥。いわば至れり尽くせりの処遇をしておるということに対して、国民はいかがなものかという反発を持っておる。これはもう事実でございます。ひとつ政治家として、政治論でこのような実態に対して改革の要を大臣はお考えになりますか。
#182
○国務大臣(中山太郎君) 改革の必要があると考えております。
#183
○柄谷道一君 ぜひ閣内におきましても、率直な国民の世論というものを背景にいたしまして、この検討のメスを深く入れていただきたい、このことを要望いたしておきます。
 次に、過去十年間政府が行ってまいりました特殊法人の廃統合、これを一覧表でながめてみますと、そのほとんどが衣がえ行革でございます。実質的な整理合理化は遅々として進んでいないということが過去の実績からあらわれていると思うのでございます。
 また政府は、昭和五十年に整理合理化方針を打ち出しまして昭和五十一年以降の新設をストップされましたけれども、そのかわりに、逆に九十四もの許可法人や公益法人という名の隠れ特殊法人が急憎いたしております。また、特別法に基づく特殊認可法人は三十五年には九つしかなかったのでありますが、五十四年には五十四、いわゆる六倍にも増大いたしておるわけでございます。そのほかに公益法人は一万七千五百、地方公社は千四百に及んでおります。これらが多額の補助金や政府出資を受けて、またその反面、官僚の天下り機関となっていることにつきましては特殊法人と大差がない、こう思うのでございます。
 そこで私は、現在行財政の改革が強く叫ばれておるこのさなか、単に特殊法人のみならず、こうした隠れ特殊法人を含めて、その機構について、単に臨調の答申を座して待つというのではなくて、政府みずからが真剣な検討を行っていく、そしてその改革に着手する、これがきわめて肝要なことであると、こう認識するのでございますが――行管、来ておられますか。どうでしょう。
#184
○政府委員(古橋源六郎君) まず最初に、特殊法人の最近におきます整理状況が進んでいないじゃないか、こういうお話がございました。それを最初にお話し申し上げたいと思いますが、これは五十四年の十二月末の閣議決定におきまして、十八法人の特殊法人を縮減をするということでございまして、現在政府はそれを着実に実行いたしておるところでございます。いままで、五十六年十月までで七法人の縮減を実施いたしております。さらに三法人縮減のための法律案が成立いたしまして、五十六年度中に縮減をするということにいたしております。当面は、これらの計画の中で未実施のものについてさらに実施を推進していきたい、こういうふうに考えております。また、現在国会におきましても法律案を提案をいたしておりますので、それの審議を進めていただきたい、こういうふうに念願しておるところでございます。二番目に、いま認可法人――国の強制設立によって行われたものではなくて、所管大臣の認可によってつくられている認可法人があるではないかということでございますが、これは所管大臣の認可でございますけれども、民間の方々の関係者の発意によりまして設立されたものでございますし、いわゆる国の強制設立によったものと違うわけでございまして、行政管理庁といたしましてそれに対する権限というものは現在持たされていないわけでございます。あえてこの認可法人について意見を求めるということでございまするならば、今後とも認可法人につきましては、予算あるいは役員の承認等、各省所管大臣が持っておられますので、それを通じまして法律の目的に沿った運営がなされるということを期待いたしたいと思います。
 さらにまた、もう一つ民法上の公益法人についてのお尋ねがございましたけれども、これは民法三十四条の規定によりまして主務大臣の許可を受けて設立されたものでございまして、これも同じく、私どもは国家行政組織法上の国家行政組織というものを管理をいたしております役所でございますので、これらにつきましては各主務大臣において適切にそれを管理していただくということが必要なのではないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#185
○柄谷道一君 特殊法人の内容については私もつまびらかに承知いたしておりますが、ひとつここで要求したいんですけれども、それでは公益法人及び特殊認可法人、これの中にいわゆる天下りが何名おられるとか、その賃金の実態と退職金の実態、これを資料として私の方に御提出いただきたいと思いますが、お約束いただけますか。
#186
○政府委員(古橋源六郎君) 私どもは、行管といたしましてはそういう権限もございませんので、そういうものにつきましての資料は持っておりません。したがいまして、私の方で提出するというお約束はできないと思います。
#187
○柄谷道一君 それじゃ長官、国務大臣として各省に連絡を願いまして、みんなこれ各省が認可したものですから、その資料は各省から集めれば容易に資料は出ると思うんですが、この御努力を願えますか。
#188
○国務大臣(中山太郎君) 総務長官として一応連絡はいたしますが、国会の権威において、ひとつ理事会等で御相談いただいて委員長の手から資料請求していただくことが第一の筋道ではなかろうかというふうに考えております。
#189
○柄谷道一君 本日官房長官をお呼びいたしておりませんので、この件につきましては委員長、理事会でまた御相談を願いたいと思います。
 そこで次に、退職手当の性格についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。退職手当の性格につきましては、政府は、国家公務員が長期勤続して退職する場合の勤続報償と考えている、こう総務長官は国会で御答弁になっておるわけでございますが、その考え方に変わりはございませんか。
#190
○国務大臣(中山太郎君) 御指摘のとおりでございます。
#191
○柄谷道一君 私は、民間の場合私自身も経験があるわけでございますけれども、労働組合側は賃金後払い説、老後の生活保障説、公的年金の補完説等を主張し、使用者側は功労報償説を主張いたします。しかし、結局そのいずれとも性格づけを行うことは困難でございまして、結局それらが混合され総合されたものとして団体交渉で退職金が決まっておる、これが実態であろう。そして、その混合された性格づけのもとに自己希望退職、結婚退職、定年退職、会社都合による退職、業務上、業務外死傷病による退職など退職事由別の支給率または定年、長勤続等の加算が協議決定されている、これが民間の実態なんですね。そして、どちらかというと生活保障的な性格が民間においては強いというのが一般的な見方ではなかろうかと、こう私は認識いたしておるわけでございます。
 そうすると、長官の御答弁は、いわゆる民間における使用者側の主張そのものでございます。民間の実態とは相当乖離しているという認識を私は持たざるを得ません。そこで、情勢適応の原則、民間準拠という視点に立つならば、当然退職手当の性格についてもこうした民間の実態を把握されて再考されてしかるべきではないかと、こう思うんでございます。いかがでしょう。
#192
○政府委員(山地進君) 民間の経験のある柄谷先生のお話でございますから、そのとおりなんだろうと思うんですけれども、私がちょっと読んだ本で、民間の退職手当の決め方というのがどうなっているのかというのを読みましたときに、労働協約で退職手当が決まっているのは三分の一であり、三分の二は就業規則で決まっているというふうに書いてあった本がございまして、統計的な話でございますので実感というのと違うのかもしれませんが、どうも私がその本から得た感じでは、やはり民間でも功労報償的なものが依然としてあるんじゃないだろうか。
 それからもう一つ、労働基準法の規定を見ましても、八十九条でございますか、そこに、退職手当の定めをする場合にはその退職手当というものを就業規則に書くというふうなことが書かれておるわけでございまして、どうも一律に民間の場合も労働協約で決めているというふうにはなっていないんじゃないかなということが一つ私は感じるわけでございます。
#193
○柄谷道一君 それは、民間というのは労働組合が組織されてないところも多いんですね、組織率が三分の一ですよ。私の言っておりますのは、少なくとも労働組合が組織されておるところ、これはその大部分が団体交渉によって退職金を決めておる、これが実態なんですよね。労働組合のないところでも就業規則は従業員の過半数以上の同意でございますから、実質的には労働者が参画をしていわゆる同意というその行為を通じて話し合いを行っておる、こういうことでしょう。
 この点、大臣、功労報償説に余りこだわらないで、民間準拠民間準拠と言うんですから、もう一回民間の退職手当の性格をよく勉強されて、五十七年に見直しがあるわけでございますから、そのときは長官をやっておられるかどうか私はわかりませんが、ぜひ申し送りをしていただいて、この退職手当にふさわしい性格というものを政府において確立されるようにお願いをしておきたい、人事院にもまたその検討と実態の把握をお願いしておきたい、こう思います。よろしゅうございますか。
#194
○国務大臣(中山太郎君) 十分勉強さしていただきたいと思います。
#195
○柄谷道一君 そこでまた、民間では、退職金は最近公的年金支給までのつなぎとか、またさらに退職一時金や厚生年金の低さをカバーするという意味での退職金の年金化を図るという方向、いわゆる一時金と年金との併用ということが最近大きな特徴としてあらわれつつあるわけでございます。これは人事院もよく御承知の傾向であろうと思います。とすれば、私はこの際、ただ退職金だけを横並びに比較するとかいうことではなくて、退職手当と共済年金、これを合わせたいわゆる生涯賃金的な視点から官民の対比を行っていく、そういう時代をこれから迎えるんではないか、またそういう見方をする必要があるのではないか。今回は間に合いません。そういう方向は是認されますか。
#196
○国務大臣(中山太郎君) 公務員の諸君のいわゆる引退――引退といいますか退職後の生活の中で、退職手当金とそれから年金というものによる負担の率というものは非常に高いだろうと私は思うんです。そういう中で、現在いわゆる年金と退職金とそれの計算で大体まあ退職時の給料、そういうものとの生活条件というようなものがある程度こう比較検討されているというふうに考えておりますけれども、これからのやはり高齢化社会対策からも、この公務員の諸君の退職後のいわゆる年金と退職金との絡みの問題、この問題はきわめて重要な検討事項であろうと、そのように考えております。
#197
○柄谷道一君 次に、国家公務員法二十八条には公務員の給与について情勢適応の原則が定められております。しかし、退職手当法には類似の規定がございません。したがって、法律的には退職手当は情勢適応の原則は適用にならないとも読み取れるわけでございます。それでは実態はどうか。今回の法案は民間準拠という思想に基づいて提案されているわけでございます。とすれば、私は退職手当法にも明らかに情勢適応の原則というものを明文化する必要があるのではないかと、こう思うんですが、いかがでしょう。
#198
○政府委員(山地進君) 御指摘のように、従来退職手当法には改正の動機といいますか原則というものは書いてないわけでございます。法律というのは、恐らくどんな場合でも経済情勢といいますか、そういう情勢に適応していくというのが前提になっているんだろうと思うわけでございまして、そういう意味では退職手当法もそういう規定がなくても国会において御審議いただけるものとは思うわけでございますが、今後のルールといいますか――として退職手当をどういうふうに改正していったらいいのかということにつきましては、今後の見直しの規定が今度入っておりますので、その見直しの規定に基づいて検討する際に十分考えていきたいと、かように考えております。
#199
○柄谷道一君 私は、勤務条件というものは、就職すなわち労働を提供する場合に、本人がみずからの意思を決定し判断する重要な要件ということが言えると思うのでございます。したがって退職手当は、賃金や労働時間等とともに、そこに労働を提供するかどうかを判断する重要な要件である。そういう意味からすればそれは勤務要件であると言えると私は思います。そこで、民間ではさきに指摘いたしましたように、退職金の性格について労使の見解は一致しなくても、労働組合の組織されているところは勤務条件として団体交渉事項として取り扱われている、これが実態なんです。
 そこで、三公社五現業など労働三権を持っている労働組合は、当然そのような意味におきまして、賃金と同様団体交渉により決定するというのが筋ではないか、こう思うんでございますが、これをあえて法定とするゆえんを簡潔にお述べいただきたい。
#200
○政府委員(山地進君) 大変簡潔に言いにくい話なんでございますけれども、こういった退職手当という制度が、やはり戦前から戦後の過程を経まして退職手当法に行くまでにはかなりの議論があったわけでございます。昔をたどれば、官吏には恩給という制度はあるけれども退職手当はなかった時代もございます。それが民間において失業手当ということも兼ねてこの退職という問題がほうはいとして起こってきている。それから、官の側でも国鉄の雇用人といいますか、そういう者に対して恩給じゃない形で退職手当というものができてきた。つまり、こういった退職手当ができるまでには、年金とかあるいは失業の手当とか、そういうものと絡みながら形成されてきたというのが過去の歴史であろうかと思うわけでございます。
 この退職手当法ができるに際しましても、公務員等の共済組合法あるいは公企体の共済組合法というものと密接に関連しながら退職手当法ができてきたというのが事実でございます。御指摘の公労法の規定を見ますと、形式的には賃金その他の給与ということで団体交渉ができるという考え方もあろうかと思うわけでございますけれども、もし団体交渉で決めるというのであれば、この法律としてはむしろ退職手当法から除外する、退職手当法の対象にしないということに結果的にはしなければ、法律的には整合性が欠けるわけでございます。
 片や、いま申し上げましたとおり、退職手当法に入れてあるというためには共済組合法との関係も十分考えなければいけなかったのが過去の事実でございますし、今後も年金、退職金とは先生の御指摘のように非常に関連しているわけでございますから、共済組合の方はいまや一本化しようか、国家公務員と公企体を一本化しようかという動きがあるわけです。片や退職金は分解の方に行くんだと、これは非常にむずかしい政策判断の問題であろうと私は考えております。
#201
○柄谷道一君 私は、前々からの政府の答弁を聞いていると、こういう姿勢に要約されると思うんですね。それは、退職手当については特別職から一般職、国会や裁判所の職員、三公社五現業の職員等を全部含んだ統一的な取り扱いにしてきたという沿革的な理由がある。団体交渉で個別に決定するということによって団体ごとの退職手当に格差が生ずるということは好ましいことではない。そこで、退職手当を法定主義にするか否かはいわゆる立法政策上の問題である、こういう答弁に尽きると思うんですね。
 しかし、私はさきに質問しました際に人事院総裁もうなずいておられましたように、退職手当が重要な勤務要件であるということは動かし得ない現実でございます。事実でございます。とするならば、私は少なくとも労働組合の意見を事前に十分聴取して、その反映に努めるということは当然なさねばならぬことではないだろうか、こう思うことが一つ。
 次に、さらに進んで退職手当につきましては、三公社五現業を含めて統一的に法定するということにすれば、そこに団体交渉権を制約するわけでございますから、その代償措置として人事院の所管といたしまして、その勧告により決定する。そういう代償措置を考慮するということでなければならない、こう思うのでございます。
 これは、本法案の審議中にそのことに対して右、左の答えを政府として出すということはむずかしいことは十分承知しておりますが、私はいま数点から指摘いたしましたように、この問題について現行のあり方、システムをただ無条件に是とするのではなくて、広範な視野からの検討というものが加えられてしかるべきであろう、こう思います。いかがでございましょう。政治論からひとつ大臣お答えください。
#202
○国務大臣(中山太郎君) 現在の時点でこれが是であるとか非であるとかということを申せば、法案を提出しておる担当者としてははなはだ立場に苦しむわけでございまして、現時点ではあくまでも是であるという確信に立って法案の御審議をお願いしておりますが、今後の問題としては十分検討していかなければならない問題だろうと考えております。
#203
○柄谷道一君 次に、総理府は、行政職(一)の適用を受ける職員の退職手当を国の代表的な退職手当とみなして官民比較を行っておられるわけでございますが、私は、三公社五現業の事務系、技術系列に民間と対比して果たして官民にどれだけの格差が存在しているのか、これははなはだ問題が含まれていると思うわけでございます。この点についていかがでございましょうか。
#204
○政府委員(山地進君) 官の場合に代表選手として行政職のけの高校出を選んだのは、いつも御説明しておりますように、行政職(一)というものの中の六〇%が高校卒であるということ。しかも、その行政職の(一)というのが二十四万ぐらいおりまして、公務員の中の五十万の約半分でございまして、その五十万の中で高校卒を見ればこれもやはり五〇%ぐらいは高校卒でございます。そういったことで過半数を占めているということと、しかも事務職でございますから、勤務の特殊性ということについては比較的民間と比較しやすいということで行政職の(一)の高校出の方を官側の代表にし、民間の方も高校卒の事務職の方を比較して、二十五年、三十年、三十五年という勤務年限で、官の方は勧奨退職、民の方は定年退職ということで比較をするというのが、いろいろのバラエティーのある集団の代表としては一番適切ではないかということで比較したわけでございます。
 ところで、三公社五現についてはどうなんだと。私どもとしても、これが非常にかけ離れていてはやはり代表選手として比較しにくいということで、三公社並びに五現につきましてその人員構成を調べますと中学卒の方が大部分でございます。そこで、三公社五現それぞれにつきまして、労働省の統計あるいは中労委でございますか、統計等で中卒のいわゆる生産労働者という方の定年退職というものと三公社五現の勧奨退職の方の中卒の方というものも比較してございます。比較してみると、やはり数字はそれぞれ違うわけでございますけれども、官の方が高いということが結果的に出ているということで、やはりこれは検証として使っているわけですから、私どもの方の調査でやったわけではございません、民の方は。したがって、それで十分だとは思いませんけれども、検証的な意味では民が低いという結果が出ておりますので、これでいけるのではないだろうかと、かように考えているわけでございます。
#205
○柄谷道一君 三公社五現業は、退職手当の基礎になる賃金については労使間交渉によって決められております。したがって、賃金体系をまず労使が定め、その賃金配分を行っているわけでございます。したがって、それぞれの企業の特殊性が給与体系の中に反映されてくるということは当然の帰着でございます。そこで、退職手当の基礎額である給与体系の差、退職時の賃金の格差というものが退職手当の官官格差となって反映されてくる、これは自然の道理でございます。
 そこで、林野庁長官いらっしゃっておりますか。――お伺いしたいんですが、たとえば林野の場合、同じ長官のもとに一般会計所属の国家公務員と特別会計所属の公務員がともに働いているわけでございます。林野庁では定期的に両会計間の人事異動を実施しておられます。昭和五十一年から五十五年の間に百七十二人の方がこの会計間の異動を行っているわけでございますが、そのうち一般会計へ異動したことにより賃金が上がった者、または特別会計へ異動させられて賃金が下がった者、やはり結果的には一般会計の方が賃金がよかったという者が百五十人、実に八七%を占めているわけでございます。中には五十歳の人が特別会計に移ったために五万六千円賃金が下がった、また逆に五十四歳の人が一般会計に移って六万二千円賃金が上がったという事例もあると承知いたしております。いわば栄転であっても、特別会計に異動することによって賃金は下がるわけです。いわばこれは涙の栄転劇ですね。これがもろに退職金に響いてくる。これは明らかに一般公務員と特別会計で処理している者との間の賃金に段差があるということを立証しておると思うんでございます。
 しかも林野の場合は、会計間を異動した後も同じ職務を担当している者が多い。にもかかわらず賃金が大きな差がある。これは明らかに矛盾であり、問題として放置できないことではないのか。一般会計に移れるチャンスのある者はいいですけれども、そうでない者のこうした現実、これ同じ職場で同じ仕事をしておって賃金も違う、退職金も違う。これは理屈じゃなくて、感情ではとうていわからぬことですね。そういう事態を放置しておったのでは職員の不満もうっせきをしますし、そのことが職務に対する責任感、職務意欲にも影響してこれが低下の一因になるのではないか。もちろん、賃金体系というのは労使が交渉いたしまして長い伝統の上に積み重ねられたものでございますから、一挙に退職金の基礎額の同一化を図る、これはできないかもしれません。しかし、この矛盾を少なくとも解決するといういわゆる前向きの調整は今後真剣に行われてしかるべきであろう、こう思うんですが、いかがでございましょうか。
#206
○説明員(関口尚君) この賃金格差問題につきましては現在労使間で協議を続けているところでございますが、林野庁といたしましては、基本的には、林野の特別会計の所属の職員の給与水準が一般公務員のそれと比較いたしまして著しく均衡を失することは、給与特例法の精神からいっても好ましくないと考えております。一方、国有林野事業が厳しい経営状態でございます。経営改善に努力している最中でもありますので、これらの情勢を踏まえましてさらに研究、検討を深めてまいりたい、このように存じてお句ます。
#207
○柄谷道一君 林野の現状がいま財政的に苦しい、これはもう現実でございます。しかし、これは果たして職員の生産意欲が低いために生じておる赤字であろうか。戦後わが国の復興時、材木を伐採して復興に寄与いたしました。黒字を出したわけですね。これは一般会計に入れておるわけですね。国家財政に寄与してきたわけです。現在切るべき木がない、外材が入ってくる、住宅建設のブームが低下する、そして値が立たない。こういう労使の努力を超えた要因というものが相当含まれて現在の林野関係財政を大きく圧迫しておると、こう私は思うんです。長期のわが国の将来の林業のあり方を展望した総合政策の樹立や労使間の真剣な努力、これが要請されることは当然でございますけれども、ただ、現在赤字であるから賃金にも退職金にも格差があって当然だということは私はどうも理解いたすことができないわけでございます。
 そこで、大蔵省に聞きますけれども、いま労使で真剣な協議が行われているという御答弁でしたけれども、その団体交渉の結果は尊重されますね。
#208
○説明員(水谷文彦君) 現在の労働関係法規あるいは予算関係法規によりますと、給与総額制等の制約が法的にあるわけでございます。したがいまして、そういった現行法の労働関係法規、予算法規等の制約の中で解決すべき問題であると理解をしております。
#209
○柄谷道一君 そこで、国側は予算で制約されることは事実ですね。しかし、労働側には労働側の主張があるわけです。それが調整されるのが団体交渉であり、場合によれば仲裁に持ち込まれるわけでございますから、現在のこうした問題について労使が真剣に協議してそこに一致した解決点が見られるならば、仲裁裁定完全実施ではございませんけれども、そこに団体交渉の結実という、結果というものを尊重して政府がこれに対して配慮をする、これが仲裁裁定の持つ意味ではないんですか。私はこのことを特に強調をいたしておきたいと思います。大臣、いまの言葉ひとつ記憶の中に深く刻みおいていただきたいと、こう思います。
 そこで次に、昭和四十六年四月二十二日給実印三六二号、これは後ほど五十五年二月十二日給実印四九八号で改正されておりますけれども、通達が出されております。その通達には、勧奨により退職する場合の特別昇給では別に定める日、これは五十七年三月三十一日までの間と、こうなっておりますが、勤務成績が特に優良な職員のうち勤続期間が十年以上の職員は一号俸、その期間が二十年以上の場合は二号俸退職時に昇給させることができると、こうなっているわけですね。そこに特記されておりますのは、勤務成績が優良な職員に限定されておるというのがこの通達の精神でございます。現在これの適用者は該当する勤続者の中で何%を占めているんですか。
#210
○政府委員(長橋進君) この特別昇給も特別昇給でございますから、やはりその勤務成績が特に優秀な者という条件はかぶるわけでございます。そういうもとにおきましてそれぞれ各省の長が運用されているということでございますが、五十五年について申し上げますと約五割ということでございます。
#211
○柄谷道一君 すると、これは全部が全部につけているんではなくて、厳正にこの通達は守られていると、こう確信を持ってお答えになることができますか。
#212
○政府委員(長橋進君) 各省庁におかれましてもその制度の趣旨に沿って運用されているというふうに思います。
#213
○柄谷道一君 この問題につきましては、後ほどの附帯決議の中でまた私たちの要望をいたしておきたい、こう思いますのでこれ以上の問題は突きませんけれども、本当にこのやはり臨調の、成績主義の採用でまじめに勤務する公務員が報われる、そういう趣旨に反しないように、この点につきましてはより厳正な実施というものを要望いたしておきたい、こう思います。
 そこで、たびたびいままでの同僚議員の質問にも出てきたわけでございますが、退職手当が民間に準拠して決定されるとすれば、五十七年時点で再び次の退職金の官民格差が比較されるわけでございます。その比較の手法につきましては、私も官官格差の一例を申し上げましたけれども、現在までの単純な比較の方法が果たして妥当かどうか、このことに対しましては深くメスを入れて、大方の公務員が、三公社五現業も含めて理解できるようなやはり対比が必要であろう、そのための根本的な検討というものをやると言われるのですから、それに期待しておきましょう。
 そこで、そうした対比の中でいわゆる仮に官民逆格差が生じたというような場合、もしくは三公社五現業の中で部分的に官民の逆格差が生じた、こういう場合には可及的速やかにその是正措置が講ぜられるということが筋ではないか、こう思うんでございます。そのとおり理解してよろしゅうございますか。
#214
○政府委員(山地進君) 私どもの調査の結果が判明いたしまして官民格差がある場合には、直ちに是正をするということが必要であるというふうに考えております。
 ただいま先生の御指摘の三公社等に部分的にという場合の部分的な把握というのが、これも官民格差の比較方法の中であるいは研究すべき問題かと思いますけれども、部分的な格差ということが直ちに発見できるかどうかということについては、現在の段階ではちょっとわかりかねておるわけでございます。
#215
○柄谷道一君 私は、その他本法案についてはただすべき問題はほかにも多々あろうと思います。たとえば、公務員の退職手当水準は民間労働者との均衡の確保に力点が置かれておりますけれども、しかし他面、公務員が公共サービスという面での機能、すなわち安定した清潔で政治的中立な公務を確保するために貢献しなければならぬという公務運営全体に対する効果と配慮を、民間対比と並べてどの程度、どのように配慮していくのかということも今後の大きな問題点であろう。
 さらに、現行退職手当制度は長期勤続を重点としての民間対比を行っておりますけれども、中途退職または中短期勤続者の民間対比は一体どうなっているのか、定年を待たずに退職をして第二の人生設計、転身を可能にするために、また有能な人材を中途で採用することを可能にするために、短中期勤続者の退職手当というものについても見直す必要が生じてくるのではないかなど、五年ごとに行われる退職手当の見直し、これは次回は昭和五十七年でございますけれども、私は広範な視野から検討を深め、そして改めるべきは改めていく、その基本的姿勢というものが重要であろう、こう思うのでございます。
 最後に、国務大臣としてのこの問題に対する明快な所信を求めまして、私の質問を終わります。
#216
○国務大臣(中山太郎君) 公務員は申すまでもなく厳正中立な立場を堅持して国民のために公務に奉仕するということが原則でございます。これを乱す者があれば厳重な処罰をする。また、成績の優秀な者については成績を中心にいろいろの点を配慮すべきである。それが国民が信頼して政府の公務というものに対する支持を得る私は基本であろうと思っておりまして、これから五十七年度、また退職手当制度を含めて六十年度にかけていろいろと公務員の給与あるいは全般の問題が再検討されると思いますが、きょう御指摘の点を十分政府としても含みましてこれからの検討課題に当たってまいりたいと、このように考えております。
#217
○秦豊君 委員会の質問も、私あたりまで来ると大体論点が尽くされてくる。いまも柄谷質問に若干あったんだけれども、私はあえて退職手当の性格にしぼってみたい。また同時に、私は賛成法案でもあるし、四十分マイナスアルファで進めてみたいと思う。
 藤井総裁、あなたたしか先日の委員会で退職手当の性格にちょっと触れられまして、私のもし聞き違いでなければ、確かに退手については諸説があると、さまざまあるが、まず給与の後払い説それから長期勤続に対する報償説があって、しぼれば二つですね、どっちかと言えば第二の説の立場の方がより強いと、もし仮に最初の方の後払い説をとった場合には、毎月の賃金と一体どういう関係があるのか、もっと言えばその支給率をどうするのかなと、むずかしい問題が提起されるという趣旨の答弁をされましたね。その答弁のお考えの背景とか根拠というのはどういうことなんですか。
#218
○政府委員(藤井貞夫君) 退職手当の法的性格というものにつきましては、いままでもいろいろな角度から御論議をいただいておるわけでございます。私自身もこの問題について実は明確にかくかくでありますというふうに言うべきが道であろうかという考えもいたしますけれども、現実問題といたしましては、これはやはりいろいろ性格があるというのがいわば一般的な定説みたいになっておりまして、判例等におきましても、全体として見れば判例もそういう立場に立っておるのではないかという感じがいたしております。率直に申して、やはりこの退職手当というものは勤続に対する報償という性格あるいは給与の後払い的な性格あるいは退職後の生活保障的な性格、いろんな面でもってそれぞれ意味を持っておると、兼ね合わせておるという面があるということが私は実態的なものではないかというふうに思っております。保ただいま御指摘もございましたように、給与の後払いということになりますと、これはやはりいろいろしからばということで開き直って考えてまいりますと、いろいろな問題がこれは出ます。給与ということになりますと、たとえば退職時におけるそれこそ退職手当の基礎なんかにどういうふうに反映させるのであるかとか、中途退職の場合はどうであるとかというようなことにもなりますし、そもそもそういうような性格を持っているものとして、民間の対比というものが果たして正確に行われるのであろうかというような点等あわせ考えてまいりますと、これはやはり一方的に断定することには非常な無理があるという感じがいたします。
 したがいまして、現実の沿革その他から見ましても、毎月の生活の種となります給与は給与、それから年金は年金、それから退職手当は退職手当というふうに分けて、それを全体として見て、まとめて勤務条件の三本柱というふうにはいたしますけれども、しかし、それぞれのやっぱり性格というものが特徴がございますので、給与は給与、退職手当は退職手当、年金は年金というふうに分けて対比をしていく、また取り扱いをしていくというのが一番現実的で、またわかりやすいということではないかという意味から、私としての見解を従来から申し述べている次第でございます。
#219
○秦豊君 実は総裁それから総理府、私は何も安全保障と憲法の連関だから解釈を確定せよなんという立場じゃないんだ。そうじゃなくて、賃金の後払い説というのは無理じゃないかなあという立論を以下ちょっとしてみたいんでね。やっぱり退職手当あるいは退職手当法はやがて見直しの時期が必ず来ると思うんで、そのための一助としてあえて提起してみたいんだが、仮にこの退手を賃金の後払いというふうに説明をいたしますと、後払いならばしからば毎月支払われる賃金、つまり給与ですな、これは一定の割合を退手の原資として控除されているというかっこうに論理的にはなりますね。ならば、賃金の控除が一体法的に認められているのかという問題とたちまちぶつかりますよ。これは山地さんにちょっと聞いてみようかな。
#220
○政府委員(山地進君) 確かに、その後払い説の一番の欠点というのは、まずは組合ともあろうものが賃金をいまもらえるものを何でいまもらわないんだというのが最大の欠点だと言われているわけなんです。それは普通の政治論でございますが、いまの法律論として、一体その一部を払うものを払わないで控除するということが――これは法律上団体協約等があればできるということはあるんだと思いますが、了解がなくてはそういうものができないというのが原則だろうと思うんです。したがって、その点について法律的に問題があるというふうに私は聞いております。
 それから、これも先生の御指摘が今後あるのかもしれませんけれども、いろんな説の中には、経済合理性がどこかにないかということを勉強した人がいまして、年功序列というのが日本の給与体系だと。そうすると、若いうちは年寄りのために働いているんだから、若いころに自分が取り損なったものを退職金でもらうんだ、これは経済的に合理性があるというような説を唱える方もいます。きょうはわりと自由な立場で申し上げておりますが、そういうことの説もあるんですが、その欠点は、じゃ年とったときには若い者の分についてまたもらっちゃっているわけですね。若いころは損しているんだけれども、年とったら今度若い人から吸い上げているんだから、そうするとトータル一生を見るとプラス・マイナス・ゼロじゃないかというと、退職金としてもらうという理由はないんじゃないかなあという気もいたしまして、いろいろ理論的に見るとどれもびたりとこないということは先生の御指摘のとおりであろうと思います。
#221
○秦豊君 局長が非常に肩の力を抜くのは大変結構だ。しかし、ところどころ価値観によっては刺激的な日本語も使っているからね。私は賛成法案だからわりと通しているんだがね。
 そこで、いまあなたの言われたこと、それから総裁の言われたこと、ちょっとさらに違った観点からやってみると、労働基準法の第二十四条というのがありますな。これは賃金の支払いについてもうぱちっと表現をしている、直接労働者にその全額を支払わねばならぬと。これ明文規定ですよね。これが原則であって、もちろん例外がないわけではない。それは当然です、あらゆる法の性格です。ところが、ただし書きには、法令に別段の定めがあるときは賃金の一部控除支給を認めている。その例示として、厚生年金保険法のたとえば第八十四条、健康保険法の七十八条、労働保険の保険料の徴収等に関する法律第三十一条、あとは船員保険法の六十二条等がありましてね。ただし、その場合は賃金から一部控除を受けるのは保険料なんですよ、これは。
 ところが国家公務員の場合には、もう言うまでもなく労働基準法の二十四条は適用除外ですな。そうではあっても、基準法二十四条の立法の趣旨というのは、同じ働く者という立場を分かち合っている国家公務員にとってもこれは当てはまるんじゃないですか。これは違いますか、人事院。
#222
○政府委員(藤井貞夫君) 法律自体は国家公務員には適用はございませんが、その精神は当然適用さるべきであるというふうに考えておりますし、また事実そういう制度の運営で今日まで来ております。
#223
○秦豊君 いま挙げたのはたまたま一つ二つの例にすぎないんだけれども、この一つ二つの例だけでも私は後払い説は矛盾を来すと思いますよ。
 それから、さらにこれを演繹すれば、賃金の後払いだといたしますと、退手法の第四条を見ると、長期勤続者には退手の支給率が増大するというのは、このことを別な観点から見ると、それだけつまり控除をした金額の支給がおくれた、遅延したということに対するおくれた遅延利息分であるというふうな解釈も成立しないわけではないでしょう。そう思う。
 それから、さらに第三条の第二項を見ると、勤続期間が一年以上五年以下は六割の支給だ、それから六年以上十年以下は七割五分としておりますのは、法律上は、自分の都合によってやめたんだからこのように低い支給率にしておるんであろう、これは世俗的な常識ですわな。しかし、これをも賃金の後払いだとすると私は説明がむずかしゅうなりはせぬかと思うが、総裁、簡潔に。
#224
○政府委員(藤井貞夫君) お説のとおりだと私も思っております。
 それから、もう一点つけ加えさせていただきますと、税制の関係、これは制度ですから立法論としていかようにもできる筋合いのものでございますが、あえてこれを援用いたしますると、これは先生御承知のように、現在一般の給与と退職手当の税制上の取り扱いと全く違っております。退職手当はいわゆる分離課税というふうにやっておりまして、そういう面からもやはり給与の後払いという説をとることはなかなかむずかしい面が多々あるんではないかというふうに私も考えております。
#225
○秦豊君 これは条文に即して一々やると、これ非常にこれでもかこれでもか式にたくさんあるんだけれども、時間を省く観点から言えば、たとえば第七条をちょっと見ていただきたいんだが、勤続期間の計算を規定してありますね。これを「職員としての引き続いた在職期間」というふうに定めてあります。で、もし退手について賃金の後払い説を仮に支持するとするならば、その場合の在職期間というのが職員としての引き続いた期間であるという必要はないんじゃないかと私は思うんですよ。これはどうでしょう。
#226
○政府委員(山地進君) 退職手当法の原則は、まさに勤務が継続しているということが原則でございまして、附則等においていろんな場合のことを考えて、特に公務員でなかった人も入れている場合もあるわけでございますけれども、この勤続しているということに非常にこだわっているというのが事実であろうと思います。
#227
○秦豊君 同じような観点を少し角度を変えて見ると、さらにぼくは私が主張する論理の正当性が裏づけられると思うんだけれども、たとえば第八条で退職手当の支給制限について決めておりまして、一、国家公務員法第八十二条の規定により懲戒免職の処分またはこれに準ずる処分を受けた者。二、同法第七十六条の規定、つまり公務員の欠格事由に該当することまたはこれに準ずる退職をした者。三、同法九十八条第三項の規定に該当し、つまりストをしたということですね、退職をさせられた者またはこれに準ずる者にはすべて退手は支給しないということを定めてあります。
 一般的には、私が引用した条項は国家公務員を退職させる事由としては一応の根拠がある。ただし、ストをしたために退職の対象になったという条項に私多分に問題があると思っていますけれども、いま申し上げたことを詰めて言えば、少なくとも退職手当というものが賃金の後払いであるという議論を当てはめるとたちまちはみ出してしまう、むずかしい、無理だという私は実証の一つだと思うが、この点についてもあなた方の見解を求めておきたい。
#228
○政府委員(山地進君) 後払い説が非常にむずかしいという根拠にこの規定がよく引用されるということは私どもも承知しております。私もそうだろうと思います。
#229
○秦豊君 では論理的な発展のために言いますけれども、論理の発展のために。後払い説はどうも私はそうした意味では精彩が乏しいと。じゃ私のように勤続報償説をとれば次のごとくかなり明快に説明ができるという例証として、たとえば法第三条の第二項では自己都合退職者というのがあります。これには、勤続期間が一年以上五年以下の者は四割減、それから勤続期間六年以上十年以下の者は二割五分減とされています。まさにここですよ。この規定の立法の趣旨というのは、自分の都合で公務員をやめようという者は、つまりこれは国家に対するロイアルティーが希薄なんだと。こういう解釈があるからこそ低い評価にしかならぬ、当然。これに対して、法の第四条を見ると、長期勤続後の退職手当について相当の割り増し支給率を明示してあります。これはちょっとさっき触れた第三条第二項の場合のうらはらです。逆の見解、規定であって、たとえば二十五年というふうな、四半世紀というふうな長い間にわたって勤務をしたということは、それだけ国家とか所属の官庁に対する、職場に対するロイアルティーがきわめて濃密である。ほむべきである。こういう勤続報償説の立場から先に述べたような割り増し支給が定められていると。こうなるときわめてぴたっとくっつきますわな。私の言う勤続報償説の立場からすれば、まさにこの条項などは生き生きと引用できると思いますが、いかがですか。
#230
○政府委員(山地進君) この規定の成り立ちといいますか構成は、先生の御指摘のような点があるということは私ども存じております。
#231
○秦豊君 あとで中山長官、ちょっとあなたに特に伺いたいこともありますので、しばらく待ってください。
 いろいろと私申し上げてきたんですけれども、あとちょっと煩瑣になるからあえて控えますけれども、先般社会党の山崎委員が退手の性格をいろいろと引用されたんです、私も興味があったのでいろんな資料を見てみたら、先生が引かれたのは八つ、九つ引かれましたな、あのとおりなんです。それに関連しまして民法学者の末広厳太郎氏がこういうことを言っているんです。のれん分けの伝統に由来するものと。退職金とか退職手当を、まさに江戸時代のしにせののれん分けじゃないけれども、のれん分けの伝統に由来するという、同じ民法学者でもなかなか厳粛主義をとらないあの方らしい野人味あふるる日本語だろうと思うんだが、私はこれはうがっていると思うんです。
 ところが喜ぶのはまだ早いんで、現在の国家公務員の退職手当法というのは、私はずばり申し上げてそんなに近代化されていない、すっきりしてないと。論理的に一〇〇%すっきりしていないという意味合いを踏まえて、いま申し上げたような。つまり前近代的な労使関係というものの残りかす。むずかしく言えば残滓をとどめた制度、あり方じゃないかということを私は申し上げねばならぬ。
 そういう観点に私が立つ以上、当然私は公務員制度全般の総括責任者である総理府総務長官とか人事院の藤井総裁とか局長含めて、両者に対しては、まさに公務員制度全体の見直し、あるいは藩閥政権以来の行政機構の見直しというふうな大きな転機にあるいま、私はこういうものを含めて見直すと、柄谷委員もちょっとお触れになっておったようだが、私はそういうことに共感するわけです。ねばならぬと思うわけです。私は、やっぱりいろんな説は山崎先生言われたようにあるんだけれども、その一つ一つを代数のように代入してみても答えが出ない。はみ出すか帯に短したすきに長しでどうもすっきりしない。だから、やっぱりそういう中では私の申し上げた長期勤続報償説が一番論理的整合性を持つ唯一の有力な論ではないかと、あえて思います。
 そこで中山大臣、この人事院という存在、私は大変苦労の多い存在で、むしろ公労委や中労委よりもむずかしいと思うのだな、あり方自体がですよ、存立の。権威を保つのも容易ではない。ともすれば風にそよぐアシだ。卓然自立した行政委員会的なものかなと思ったら、歴代保守党政権によって必ずしもそうではない処遇に追い詰められている。そういう中にあってなお背骨を伸ばすということははなはだむずかしい。だから当委員会における審議でも遠慮しちゃいかぬ、はばかってはいかぬ。むしろ藤井総裁が持っている機能を出し惜しみしておる、怠慢だというふうな議論がああいうふうに鋭く浴びせられるのも当然でしょう。
 そこで中山大臣、ぼく自身は、全体の見直し機運だからではなくて、やっぱり人事院というあり方は労働基本権、公務員にスト権を認めるなら、これは明快。まさに明快ですっきりしてぼくら大拍手を送りますよ。しかし、それは保守党政権があと十年続いても無理だと思うな。入れかわり立ちかわりやっても無理だと思う。そうなれば人事院のあり方を見直す以外にはない。そうでしょう。ならばその一助として、たとえば人事官の任命権、いま愛川さんたちがやっておるあれ。人事官の任命権、それから人事院が持っているこういう幅の広い権限があるでしょう。藤井総裁、あの予算権限のあり方それから人事院の権限が逆に余りにも広いんだと、機能がないんじゃなくて広過ぎるから問題なんだという意見の人も少なくはない。それから逆に、人勧人勧と言うけれども、いつも局面局面の政治上のアイテムとバーゲニングの対象になると、純粋性が希薄だと。これはやっぱりいかぬと。勧告だからそういう憂き目に遭うのだ、法的拘束力を持たしたまえという意見だって公法学者からありますよ、これは。別に昨今の議論じゃありませんよ。
 そういうことを含めまして、私は行革論議全体の中で人事院のあり方について改めて思いをひそめよ、深めよと。いま言ったような幾つかの論点を含めて、中山大臣は所管上はばかられることもあるかもしれないが、あなたなら逆に言い得る。科学技術行政についても宇宙科学技術行政についても一家言のあるあなただから、いわんや人事院のあり方については身近な問題として、私の提起した問題点についてどうお考えですか。
#232
○国務大臣(中山太郎君) 率直に申し上げて、人事院の制度がつくられた歴史というものには、並み並みならぬ多くの方々の御苦労あるいはまた知恵の集積が人事院制度というものの設立に大変大きな効果があった、貢献されたというふうに私は認識をしております。そして、その当時の方々の御意見もよく伺ってまいりましたが、この制度ができたから、またできるために大変八年近いいろんな方々の会合も開かれてきた。そうしてみんなが一番いいものをつくろうとして努力した結果今日の人事院制度というものができたんだ。だから、この存在というものを決して軽々しく扱ってはならない。
 また、この人事院というものが、今日までの歴史の中で勧告というものの実現が初めてされた昭和四十五年の当時の佐藤総理と、その当時質問された、たしか受田新吉先生だったと思いますけれども、あるいは衆議院の大出俊先生の佐藤総理に対する人事院勧告の完全実施の際のいわゆる質問と答弁、その議事録も私は許しく読ましていただきました。大変血のにじむような苦労の中で、組合それから人事院、政府と、この三者の努力がいわゆるその後の十年間の安定した日本の労使関係というものの育成に大変大きな貢献をしてまいったし、それがまた世界から見ても大変評価されているような今日の日本の発展の基礎をなしている。
 私はそのように実は見ておりまして、先ほど先生は風にそよぐアシのようなかっこうになっているんじゃないかと、こういうような人事院に対して、総裁が聞いたら怒るような話でございますが、私は藤井総裁の毅然たる態度というものは、風にそよぐアシどころか野中の一本杉のようにきちっと立っておる。そういう態度こそ私はこの法の精神、またこの人事院がつくられてきたまでの苦労の結集に対する総裁としての責任であろう、実はそのように考えております。
 その意味からも、誠意を持って人事院勧告の実現に努力をしてまいらなければならない、こうみずからにも言い聞かしておるのでございまして、これから先どういうことになるかということにつきましては、公務員の制度全般の見直しというものが六十年度までに行われますから、あらゆる問題を国民が納得いくように、あらゆる識者の意見を集めて新しい社会のために検討していくということは必要であろうと考えております。
#233
○秦豊君 これを最後の質問にあえてしたいと思いますが、藤井総裁、あなたはお怒りになってもいいんですよ。私は私の印象なんですよね。やっぱり戦後のいわゆる公務員制度全体、人事院のできたとき、ずっと歴史、蓄積ですよね、歴史的な。時の政府によって並び代表、代表権を持ったのが二人いるような感じじゃないけれども、やっぱり総理が人事院の方にぐっと入ってきた歴史が厳としてあるから、御苦労が多かろうという意味で風にそよぐアシというやや情緒的な表現をしたんだが、中山さんはさすがに行き届いた気持ちいい心配りをして野中の一本杉だなんて言ったけれども、私は最後の質問と申し上げた意味は、いまのことについての総裁の御答弁をあえて求めておきたいのと、つまり人事院のあり方論、それから最後に、いまあなた方が手をつけていらっしゃる公務員制度全体の見直し、総括、再検討。これはたしか明年を一つのメルクマールにしていらっしゃるようだけれども、いまどの辺まで進んでいてどんな順序でやっていらっしゃるのか、何を力点にされているのかをあわせて伺って、質問の終わりにしたいと思います。
#234
○政府委員(藤井貞夫君) 大変御激励をいただきまして、私といたしましても感激をいたしております。
 この席上でるる申し上げる必要はございませんが、人事院というのは、申し上げますまでもなく人事行政の公正を確保するということ、それから公務員にはいい人が来てくれなきゃ困りますから、行政の安定性、継続性を確保する意味からも職員の地位を安泰ならしめなければいけない、利益と福祉を保護する、この二つの大きな使命を持っております。
 私から言って口幅ったいようでありますけれども、先刻総務長官も申されましたように、実は現在の公務員制度というものは私は世界に冠たるものであるというふうに自負いたしております。事実、そういう評価を各国ではやっております。その中で、勧告ということもこれも大変大事なことでございますけれども、それと並行してまさるとも劣らないというのは、やはり人事行政の公正の確保、すなわちスポイルシステムというものを排除して成績主義の原則を貫いていく、この点だろうと思っておりまして、この点もうまくいっておるというふうに思っておりますためにそれほど論議の対象にはなっておりませんけれども、これは一つの空気みたいなもので、私はそれなりの大きな作用をなして今日の日本のあり方というものにも相当程度貢献ができておるのではないかという感じをいたしております。
 そこで、立場といたしましていろいろつらい立場がときどきございます。どちらを見ても余りほめられないというようなこともございまして、非難というものがむしろ多い。国民の側から見てもまた別の意味で組合の側から見ても、どちらにやってもやはりいろいろ非難はごうごうでございますけれども、立場は立場として堅持をしていってこれを貫いていくということが、わが国の公務員制度ないしは日本の政治、行政の根本として一番大事なことではないかという私は確信を持っております。そういう意味で、今後とも皆様方の御後援を得て職責の遂行には万全を期したいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 それから、いまの全体の見通しの問題でございますが、ことしから実態調査に入ります。もうすでに調査も準備も着々と終わりましてやっておるわけでございますが、この調査を本年度いっぱいかけてやります。それから来年度はそれの集計と問題点の整理、それから整理をしていく際に出てまいりまする点について補足的な調査をする必要もあると思います。これをやりました上で、五十八年度からは本格的な問題点の整理とあり方についての構想をまとめていくという段階に移りたいというふうに考えております。
 これは御指摘にもございましたように、人事行政全般にわたって任用、給与、それからあるいは職員の厚生、福祉の関係、それから研修の関係、またよく最近問題にされておりまする成績主義の原則を貫きながら信賞必罰というような点も柱を立てていくというような点を重点にいたしまして、全般的に見直しをいたしたいということで着々といまやっておる段階でございまして、そのうち大体の構想がまとまってまいりますれば、こういう点について問題がある、こういう点についてはこういう態度でいきたいというようなことについては当委員会にも適宜御報告を申し上げたい、また御批判も受けたいというふうに考えております。
#235
○秦豊君 終わります。
#236
○峯山昭範君 もう同僚議員がいろいろと質問しておられまして、私が質問しようと思っていた問題も大分やられたようでございますので、私は三点だけ端的にお伺いをいたします。
 まず第一点は、人事院勧告の問題ですけれども、これは大臣、仲裁の方は大体全部解決したようでございますが、先日の新聞報道等によりますと、基本給の完全実施ですか、そして期末手当については本年度の給与額をもとにして期末手当改定分をはね返らさないというような話がございましたが、新聞にそう載っておりましたが、いわゆる人事院勧告についてはこれからどういうふうに取り扱いをされるのか、この点についてちょっとお伺いをしておきたい。
#237
○国務大臣(中山太郎君) 先日の新聞の報道がいろいろと話題になっておりますけれども、新聞報道は一切政府は関知をいたしておりません。また、そのような事実が給与関係閣僚会議で論議されたことは一度もございません。これからの扱いにつきましては、先般も当委員会で御答弁申し上げましたが、国のその後の歳入状況、そういうものを財務当局から説明を求める必要があると私は考えております。それを見きわめた上で給与関係閣僚会議としていかなる処置をするか、われわれは安定した労使関係というものを維持するために誠意を持ってやっぱり努力していく、こういう方針には毫も変わりがないのでございます。
#238
○峯山昭範君 大体わかりますけれども、時期的な問題はどうですか。
#239
○国務大臣(中山太郎君) 時期につきましては、できるだけ速やかに第三回の給与関係閣僚会議を開催いたしたいと考えておりまして、目下いろいろと連絡をしておる最中でございます。
#240
○峯山昭範君 ぜひこの問題、やっぱりこれ年末までに少なくとも処理しなけりゃならない問題であると思いますので、前の委員会のときにもできるだけ早い時期という御答弁がございましたが、これはぜひ早く処理をしていただきたいと思います。
 次に、もう一点。今回このかさ上げしている退職金を減額するということでございますから、本来われわれそういうような法案にはいままで反対をしてまいりました。しかし、ただ反対しているだけではどうしようもないということもありますので、今回の法案、やはり激変緩和ということで、私たちの党や民社党さん、それから新自由クラブさんや社会民主連合さん等と協議をいたしまして、修正をして私たち賛成をしたいきさつがあるわけであります。しかし、そういうような点、考えてみますと、これはいろいろと当時のいきさつや、あるいは先ほどから人事院の方でも説明をしておられるように、これからの調査の動向等もあわせていろいろとお伺いをしたいのでありますが、きょうは時間の関係等もありますので、端的にお伺いをしてみたいと思うんです。
 実際問題として、初め政府の方から出された法案というのは五十六年の四月一日実施だったわけでございますね。そして、この法案の審議の過程で五十七年の一月一日、そして五十八年、五十九年というように法案の修正が行われたわけでございますけれども、この法案の通過というのは大分おくれてまいりまして、これはもうきょうは二十九日でございまして、いよいよあしたは三十日、そしてもう十一月、あと十一、十二月と二ヵ月しかないわけです。そういうふうな意味では、私たちはいろんな観点から検討もし、またいろいろとやってまいりましたんですけれども、来年の一月一日から実施の人がずいぶんいるわけでございますが、この点についてはあれですか、この実施日をさらに三ヵ月ほど延長して、それで四月一日というふうなことは考えられないのかどうか。――こわい顔をしていますけれども、これはやっぱりそういうことを考えてもいいんじゃないかということもあるわけですが、これはもちろん三年間にわたって激変緩和をやっているわけでございますが、そういうことは考えられないのかどうか。その点もちょっと一遍お伺いをしておきたいと思います。
#241
○政府委員(山地進君) いま峯山先生の御指摘になりましたように、政府としては五十六年四月一日から実施して年間五百億にわたる財政効果があるということであったわけでございますが、それよりも何よりもやはり民間に早く並ぶということが大事だろうと思ったわけでございます。そこで、衆議院段階でいま先生のお述べになられたようにいろいろと経緯があって、国会の方の御判断で二回で私どもは下げると言っていたものを三回にしたらどうだろうかということで激変緩和したわけでございまして、私どもとしても院の御決定でございますのでやむなくそれに従ったわけでございまして、政府といたしましてはやはり五十六年度中に実施をすると、これによりまして約六十億の財政効果があるというふうに考えておりますので、この形で実施さしていただきたいと、かように考えております。
#242
○峯山昭範君 これは、われわれとしては何とか少しでもそういうふうな激変緩和という問題でいろいろな角度から検討もし、議論もしてきているわけであります。この点ぜひ検討できないかという点があるわけですが、それは当然重要な問題でありますからそう簡単にできるような問題だろうとは思っておりませんが、これは大臣どうですか、あきませんかな、やっぱり。
#243
○国務大臣(中山太郎君) そう簡単にお答えできない問題でございます。
#244
○峯山昭範君 それでは、この問題はもうそのぐらいにしまして、もう一点だけお伺いして私の質問を終わりたいと思っております。これは先ほどから柄谷議員が全部質問されたそうでございますので、ダブらないところだけ一言聞いておきたいと思います。
 それは、特殊法人の皆さんの退職金というのは、やっぱり高いと私は思うんです、これは。何で高いかというと、それは先ほど説明もあったそうです。答弁も先ほど聞かせていただきました。が、それでも私は高いと思います。そこでこれ、現在そういう人たちの退職金をいただく方程式、これはどういうふうになっているのか、一週簡単で結構です、説明していただけますか。
#245
○政府委員(山地進君) 特殊法人の役員の退職金については大蔵省の所管でございますが、私、大蔵省のいろいろ資料を持っておりますので、それについて御説明いたします。
 役員の退職金の計算式というのがございますが、これは退職時の俸給月額に役員の在職月数一やめるまでの月数でございます。それに支給率というのを掛けるわけでございます。この支給率というのが昭和三十三年には〇・七、それから三十三年四月から四十五年までは〇・六五、四十五年二月から〇・四五、五十三年四月から〇・三六ということでございます。この支給率ということにつきましては、民間の方もおおむね退職時の俸給月額掛ける役員在職月数掛ける支給率ということでございまして、この支給率だけを取り出して民間の調査をいたしたところ、五十二年には〇・三七八でございまして、最近またそれを調査いたしましたところ今回も〇・三七六ということで、民間における支給率には余り変更がない。つまり、〇・三七六という支給率自体については民間と変わらない。つまり、特殊法人の役員の退職金について民間と同じような方式をとるとすれば、大体支給率については同じだろうと。
 なお、大蔵省の説明によりますと、退職時の俸給月額ということについては、民間と特殊法人の俸給月額自体は特殊法人の方が低いから、恐らく計算をした、同心月数だけ勤めた役員同士で比較すれば実額は特殊法人の役員の方が低いであろうと、このような説明がありました。
#246
○峯山昭範君 きょうは大蔵省を呼んでおりませんので、いまの説明、大臣インチキなんですよ。いまのそのとおりなんですけれども、インチキなんです。何でインチキかといいますと、要するに〇・三七八、それで〇・三七六、いま率をおっしゃいましたが、これは要するにその人の退職時の給与のそういう率ですね。ところが先ほど説明ありましたように退職時の俸給掛ける――これは私の手元にもこの式がありますが、いわゆる昭和四十五年一月三十一日以前の在職月数につきましては百分の六十五掛けるわけですな、これ。それから昭和五十二年四月一日以前の俸給月額には百分の三十六、その前が百分の四十五というように段階的になっているわけですね。ところが、たとえば昭和四十五年の一月三十一日以前の在職月数の百分の六十五、その当時月給が四十万円であって、その次五十三年の四月一日以前が六十万円であって現在が百万円であったと、こういたしますと、四十万円については百分の六十五、六十万円については百分の四十五というようにするんではなくて、要するに現在の百万円に百分の六十五なんです、昭和四十五年以前の分については。そうでしょう、違いますか。
#247
○政府委員(山地進君) いま私資料を持っておりませんけれども、経過規定の関係で恐らくそういうふうに六十五と、あるいは四十五というものが、その当時から続けて役員になっている者はそういうふうになっているだろうと思います。
#248
○峯山昭範君 いや、ですから局長、それならその当時の給料の百分の六十五にすればいいんですよ。ところがそうじゃなくて、現在の給料の百分の六十五ということになっておるから、そうなんでしょう、これ。この資料が違っておればあれなんですが、これは人事院総裁そうでしょう、違いますか。御存じですね。きょうは大蔵省おりませんので、総裁一遍答えてください。この方程式が合っているかどうか、合っていますでしょう、これ。
#249
○政府委員(藤井貞夫君) 私、責任を持って申し上げるわけにはまいりませんが、いま先生がお述べになったとおりの取り扱いでやっていると思います。
#250
○峯山昭範君 ですから大臣、いま局長がおっしゃるように、率は〇・三七八とかいうけれども、それならそれはそれでいいわけですよ。それで全部そうしてもらいたいわけ。初めから終わりまで全部そうしてもらいたい。ところが、その現在の給料で昭和四十五年までの分は百分の六十五で、高い分を現在の給料を加算するわけです。そして、百分の四十五というように落ちた分も、それまでの分については全部高い方で計算するから、トータルとしてはこの百分の三十六よりぐわっと上がるわけですよ。それはごまかしです。こんなインチキしたらいけません。
 やっぱりここら辺のところは、きょうは大蔵省をちょっと呼ぶのを忘れておりまして非常にあれだったんですが、そういうふうなことだけでもおかしいと思いますし、またそれ以外のことを考えましても、そういうふうなたとえば、もうすでに柄谷さんの方からも御指摘あったかもわかりませんが、この間の私の方の中尾さんの質問でも、国務大臣が、大臣が今度おやめになるかどうか私知りませんが、一年五ヵ月ですか何ヵ月になりますね、それでやめられると退職金が六十七万何ぼかという話がありました。ところが、特殊法人の方がもし大臣と同じ給料であったとすれば、退職金は六百十万ぐらいになるんですね。十倍です、これは。民間の方が高いとかなんとか言いながら、やっぱりこういうふうなおかしいところはばっさりやると、そしてそういうこともきちっと解決すると、そういうふうな方向でなければどうしようもないと私は思います。したがってこの問題について、多少管轄は違うかもしれませんが、大臣の御答弁をいただいて、私の質問は終わりにしたいと思います。
#251
○国務大臣(中山太郎君) 全く先生の御指摘の点は、やはり国民がみんなこれに関心を持っているところだろうと思います。行政改革に聖域はない、こういうことでございますが、こういう問題についても当然改革の対象になるべきものと。やはりこれからの社会、そういう中で納税者が納得して税金の納められるようなシステムというものをつくることが必要であろう、私はそのように信じております。
#252
○矢田部理君 退職手当の問題に入る前に、いま同僚議員からも触れられましたが、今国会の大きな社会問題、政治課題として人事院勧告の即時完全実施をするかどうかということが重要な焦点になってきております。この点は何度か長官に答弁をいただいているわけでありますが、少し具体的に何点か触れてみたいと思います。
 一つには、早い機会に給与関係閣僚会議を持ってできるだけ問題を煮詰めるというお話がありましたが、これはいつごろ持たれる御予定ですか。
#253
○国務大臣(中山太郎君) できるだけ早い機会に持ちたいと、このように考えております。
#254
○矢田部理君 この委員会の始まった時期から、できるだけ早い機会にと言っておられるんですが、いまだ早い機会が定まりませんか。
#255
○国務大臣(中山太郎君) 先生も御案内のように、この国会で仲裁の問題がお話し合いができて、これを受けて政府としてはいつでも準備をせなければならない、こういうことが先般来続いておったわけでございまして、この問題も各党の御努力によって一応の結論が出たやに承っておりますので、私どもとしてはそういう問題をさらに踏まえてできるだけ早く処理に努力をしたいと、このように考えております。
#256
○矢田部理君 ちょっとくどいようですが、給与関係閣僚会議は来月上旬にも持つ予定、考え方ですか。
#257
○国務大臣(中山太郎君) きょうの段階でとにかくいつ、上旬、下旬とか、そういうことじゃなしに、できるだけ早く持たしていただきたいと、このように考えております。
#258
○矢田部理君 大臣の任期がいつまであるかわかりませんが、やっぱり大臣の責任としては、いつになるかわからぬ、ただできるだけ早くという抽象論ではなしに、ある種のめどをつけて努力をしてしかるべきだというふうに思いますので、その点はもう少し明快な答弁をしていただきたいという点が一点と、もう一つは、なかなか事が運ばない最大の理由として財政見通しというようなことを再三にわたって述べておられるわけでありますが、この給与問題は財政問題にかからしめる、そういうことになるわけでしょうか。つまり見通しがたたない、あるいは見通しがわかっても財政が楽でないということになると完全実施にはいかないという趣旨で述べておられるのでしょうか。
#259
○国務大臣(中山太郎君) 政府といたしましては人事院勧告をすでに八月七日に受けているわけでございますから、それを踏まえて、とにかく国家としてのやはり経営の一つでございます、これは。そういう中でいわゆる国の税収がどうかということは、昨年度も同様な経過をたどって、去年は先生方も御承知のような結果になっております。同じことをただいま努力しておるのでございまして、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
#260
○矢田部理君 関連して、もう一点だけこの点は伺っておきたいと思うんでありますが、財政がそう急速に楽観的な状況になるというふうには一般的には考えられないわけですね。しかし財政は厳しくても、所管の大臣としては何とかやっぱり完全実施のために努力をするということは考えておられるわけでしょう。
#261
○国務大臣(中山太郎君) 財政が苦しいことはもうすでに先般御承知のとおりでございます。私もそのように答弁をいたしておりますが、たとえ苦しくても見通しが立つ段階ということがやはり給与関係閣僚会議にとってはきわめて重大なポイントになろうかと、そのように思っておりますのでひとつ御理解をいただきたいと思います。
#262
○矢田部理君 もう一つの完全実施をめぐるブレーキとして、臨調の第一次答申が問題に供されております。つまり、適正な抑制措置を講じてはというあの答申になっておるわけでありますが、この点は長官としてどう考えておられるか。一方では臨調よりもはるかに重みを持つ人事院勧告があるわけです。憲法上の制度、憲法レベルの制度として存在をしているわけでありますけれども、その関係をどういうふうにお考えになっているのか、その点を伺っておきたいと思います。
#263
○国務大臣(中山太郎君) 人事院勧告は労働基本権制約の代償措置という本来の使命を持っておるわけでございます。その勧告を受けた政府が現在あるわけでございますが、一方、国会の御議決によって設置されたいわゆる第二臨調というもの、答申を尊重しなければならないという条項が一文入った臨調からの答申をいただいた政府は、八月二十五日に「行財政改革に関する当面の基本方針」という閣議決定を行っておりますので、そういうあらゆる条件の中で私どもとしては安定した労使関係を維持するために全力を尽くすと、これが私どもの変わらざる考え方でございます。
#264
○矢田部理君 時期的な問題も含めてなんでありますが、仲裁裁定の実施が決まりました。ということになりますと、残るもう一つの課題である人事院勧告について、せっかく国会が開かれているわけでありますから、せめて今国会中ぐらいにはめどづけをする、決着の方向を明らかにするというぐらいのことはしてしかるべきだと考えるわけでありますが、長官として完全実施するためにそういう方向で努力するということは言い得ませんか。
#265
○国務大臣(中山太郎君) 昨年もちょうど八月に人事院勧告をいただきましたが、それが去年の十月二十八日に最終的な結論が出たわけでございます。当然、給与担当閣僚としましては、一日も早くこの結論を出したいというのが私の考え方でございます。
#266
○矢田部理君 退職金の問題に入ります。
 退職金の問題につきましては、大筋二つの問題というふうに考えられるわけです。従来から当委員会でも議論をされてまいりましたように、退職金の性格、経済的意味や法律的性格も含めて、をめぐる問題が一つ。それからもう一つは、削減問題が提起をされておるわけでありますから、官民比較をめぐる問題点、柱としては以上二つをめぐる論議がずっと各委員からも重ねられてきているわけでありますけれども、きょう私の方では、退職金の性格をめぐる問題を従来幾つか指摘をされておるし、大方触れられてきておるわけでありますけれども、私なりに整理をして、確認的な意味も込めて何点かについて逐次伺っていきたいと考えているわけであります。
 先ほども議論もありましたが、退職金の性格については功労報償説、賃金後払い説、生活保障説等々三本ぐらいの見解があるわけでありますし、それからまたそのいずれとも断定しがたい、柱はこれだというような議論もあるわけでありますが、私の目から見ますと、これらの諸説はいずれもその経済的な性格に着目をした見解である。実定法上どう見るか、法的性格をどう考えるかということとは少しく問題の焦点が違うというふうに実は受けとめているわけであります。その点で、三説のいずれにすべきかというような議論を長々と続けるつもりはなくて、むしろその法的性格なり実定法上の意味合いをどういうふうに考えるかということに少しく焦点をしぼって伺っていきたいと考えます。
 そのポイントは、退職金を労働力提供の対価と考えることができるかどうかということに基本があるだろうというふうに思っているわけであります。改めて指摘をするまでもありませんが、昭和四十三年の三月十二日、最高裁の小法廷で電電公社事件について御承知のような判決があります。退職金は労働の対償と見るべきである。したがって賃金である。特に労働基準法十一条に言うところの賃金であるというふうに指摘をしているわけでありますが、この見解は総理府あるいは人事院としてお認めになるのでしょうか。
#267
○政府委員(山地進君) このいま御指摘になりました最高裁の判決理由の前段の方で「勤続を報償する趣旨で支給されるものであって、必ずしもその経済的性格が給与の後払の趣旨のみを有するものではないと解されるが、」として、後の方に「その法律上の性質は労働基準法一一条にいう「労働の対償」としての賃金に該当し、」というふうに書いてあるわけでございますが、その後に「したがって、退職者に対する支払については、その性質の許すかぎり、同法二四条一項本文の規定が適用ないし準用されるものと解するのが相当である。」というふうに書いてございますので、ずばり何といいますか、賃金であるというふうなことまで言っておられないような気もいたします。
#268
○政府委員(長橋進君) 長期間勤続ということを前提にして退職手当というのは支給されるわけでございますから、そういう意味から申しますと、要するに労務の提供ということを基礎にした一種の広い意味の給与であるというふうに考えております。
#269
○矢田部理君 人事院は大筋最高裁の判例、あそこの指摘したところに従っているように見受けられるわけですが、山地さんはちょっと歯切れが悪い。もう一度、見解が違うのか同じなのか、違うとすればどこが違うのかを明確にしてほしい。
#270
○政府委員(山地進君) 最高裁の判決でございますから、十一条に言う法律上の性格は労働の対債であるというふうに書いてあることは私も存じております。
#271
○矢田部理君 ちょっとそこでもはっきりしないんですね。最高裁の判決がそう書いてあることは認めるという答弁でしょう。正確に総理府として労働の対償、したがって賃金、労働基準法十一条に言う賃金だとお認めになりますか、イエスかノーかで答えてください。
#272
○政府委員(山地進君) 最高裁では労働基準法十一条に言う労働の対償としての賃金に該当しているということを言っておられるし、私どももそう思います。
#273
○矢田部理君 そう言っていただけば何問も質問しなくてもよろしいわけであります。
 そこで、労働省に伺っておきたいと思います。
 労働省は二つほど戦後見解を出しておられます。一つは、昭和二十二年九月基発十七号というところで労働省の見解を出しておられるわけですが、これは要約いたしますと、退職金等の恩恵的給付は原則として賃金とみなさない。ただし、この支給条件等が労働協約とか就業規則等で明確になっておればこの限りでない。つまり、支給条件が明確になればどういうわけか賃金に変質をするというような向きの見解が二十二年の段階で示されます。そして二十六年にもう一つ出るわけですね、基発八百四十一号という。ここではいろいろ前段がありますが、臨時的な事由に基づき支払われる賃金であるという見解が出されておるわけでありますが、これは従来とってきた見解を二十六年に変更したものでしょうか、それともこの両見解の中には違いがないのでしょうか。ひとつ歯切れが悪いので、ここも明確にしておきたいと思うものですから、もう一度お伺いしておきたいと思います。
#274
○説明員(八島靖夫君) 変更ございません。
#275
○矢田部理君 そういたしますと、二十二年の見解も二十六年の見解も同じ趣旨である。つまり本来的に退職金は恩恵的給付であると。ただし、支払い条件等が明らかになった段階で賃金になる、こういう見解を今日でもお持ちなのでしょうか。
#276
○説明員(八島靖夫君) 私どもの考え方はこの通達、いま先生の御指摘ございました二つの通達と現在も変わってございません。すなわち退職金と名前のつくものにはいろいろなものがあると思います。中には全く恩恵的なものもあるのかもしれません。しかし、一たびそれが労働協約、就業規則、労働契約等によりまして支給条件が明確に定められました以上は、それは労働基準法上の賃金に該当するわけでございます。
#277
○矢田部理君 支給条件が明確になれば恩恵的なものが賃金的なものに変わる、こういう説明は率直に言うと説得力がないのです。本来的にそれは賃金的性質が内在をしている、それが条件等で明確になるという説明の方が実は率直なのでありまして、ただ昔ののれん分けのときのように、あるいはその後の歴史的経過が示すように、いろいろ苦労かけたから金一封といって渡すものとはおのずから退職金というのはやっぱり性格が違うものであります。その点で恩恵論に依然として立っているという労働省の考え方には、きわめてその後の退職金の歴史的経過、民間労働運動等で積み上げてきた経過を含めて踏まえが弱いというふうに言わざるを得ないわけでありますが、そこで、それならば最高裁判決について労働省はどのように受けとめておられるのかということを聞いておきたいと思います。
#278
○説明員(八島靖夫君) 繰り返して申し上げておりますように、私どもは退職金の支給条件が労働協約等で明確にされました場合には、それは労働基準法上の賃金に該当すると解しておるわけでございまして、その限りにおきまして、電電公社の事件に関します最高裁判決は私どもと全く同じ立場であると思っております。
#279
○矢田部理君 そうしますと、総理府、人事院、それから労働省三者に伺いたいと思いますが、今日の国家公務員等の退職金、退職手当は、労働基準法十一条に言う賃金、労働の対償というふうに法的には位置づけてよろしいわけですね。その点、三者に確認的に伺います。
#280
○政府委員(山地進君) 労働基準法上の賃金であるということは最高裁の御判断でございます。そこで、この御判断というのがどこまで及んでいるのかということになろうかと思うわけでございますが、まず公労法の規定で賃金その他の給与ということにこの規定が恐らく及ぶだろうと、公労法には。ただし国家公務員法には、賃金というのはこの法律で定める給与というふうに断ってあるので、国家公務員法の手続といいますか法にはこの退職金の観念は及んでこないんじゃないかと、こういうふうに考えております。
#281
○政府委員(長橋進君) 労働基準法上の賃金という中に該当するかどうかということでございますけれども、これは労働基準法の解釈の問題になるので差し控えたいと思いますけれども、この退職手当を基本的な性格としてどう受けとめるかということになりますと、やはり労働関係、役務の提供関係を前提として支払う給与ということでございますから、そういう意味合いから申しまして、やはり労働に対する対価という一面を持った広い意味の給与の一種であるというふうに理解いたしたいと思います。
#282
○矢田部理君 労働基準法は国家公務員には適用がありませんから、労働基準法の賃金と即同じかという趣旨だとあるいは山地さんみたいな答えになるのかどうか知りませんが、要するにそういう本質、性質を持ったものとして受けとめているかという質問に対しても山地さんは先ほどと同じでしょうか。人事院と少しく見解が依然として食い違っているように受けとめられてならないのですが、再度答弁を求めます。
#283
○政府委員(山地進君) まず、先生の御質問の趣旨、あるいは私の方が理解してないのかもしれませんけれども、退職手当法上の――退職手当法というのは国家公務員と公共企業体にまたがっている。そういたしますと、この法律体系というのは、国家公務員法の体系と、それから労働基準法と公労法の体系とが、二つがちょうど合流しているわけでございますね、その退職手当法に。というのは、両方の職員が入っているわけですから。
 そこで私は、いまの御質問で、退職手当法の退職手当というのは労働基準法に言う労働の対価である、ここまでは最高裁は言っているわけですけれども、じゃ、その法律を受ける体系が違う職員全部について労働の対価ということが言えるのか、ここは、いま先生も御指摘になったように、労働基準法は国家公務員法には適用にならないことから、この観念がそのままいくかどうかということは、そうはいかないんじゃないだろうか。国家公務員法は国家公務員法、公労法は公労法関係の観念があるんじゃないだろうか、こういうことを申し上げた――あるいは先生の御質問の趣旨とちょっとすれ違っているのかもしれません、
#284
○矢田部理君 一点は、先ほど人事院が述べた見解と違うのかどうかということ。それから、あなたの答弁によると、この「国家公務員等」で、国家公務員だけでなしに三公社五現も含む、言うならば、退職手当法になっているわけですね。そうすると、同じ退職手当法に規定されていながら、国家公務員の部分とたとえば三公社の部分は性質が違うとでもおっしゃる趣旨なのか。以上二点、もう一度。
#285
○政府委員(山地進君) 経済的な性格ということでございますれば、これは勤続報償であっても労働の対償であるということは、これは書いてあるわけですから、経済的な性格というのは労働の対価という百を持っておる。人事院の見解と私は同じだろうと思います。
#286
○矢田部理君 労働の対償、したがって賃金という見解であるというふうに確認できますか。
#287
○政府委員(山地進君) ここらはむずかしいところで、整理をしてお答えしなきゃならないわけですが、まず私これ、最高裁のを読んで、十一条に言う労働の対償であるということを言っているわけでございますから、そこは私も法律上の性格は労働の対償である。ただ、それじゃすべての退職手当がそうなのか。これは国家公務員もそれから公企体の職員も同じ退職手当法で受けるわけですから、観念としては労働の対償であるということにはなろうと思うんですけれども、ただ、それから先に進んで、労働の対償という性格から今度は賃金であるということになってくると、国家公務員法の賃金もそうなんだなという先生の御質問が続けてあるであろうから、そうなると、そこは違うんじゃないかということを申し上げたわけでございます。
#288
○矢田部理君 そこが私は何度聞いておってもはっきりしないからきょうは詳しく聞くわけですが、最高裁の判例は、これは電電公社の事件ですけれども、労働基準法十一条に言う労働の対償としての賃金に該当すると言っているんですね。で、あなたの方は、前段は受けるようだけれども、対償としての賃金に該当するという後段は否定的に受けとめられているようなんですが、そうなんでしょうか。
#289
○政府委員(山地進君) 賃金という観念、何といいますか一般的な観念と、それから法律にあらわれている給与ということと、二ついま前にあるんだと思います。一般的に労働の対価としての賃金に該当するだろうというのは最高裁でも言っておるわけですから、恐らくそうなんだと思うんです。ただ、賃金に該当するから、じゃ国家公務員法の給与なのかと言われると、私の方はそうじゃないということをさきに申し上げておるわけなんで、賃金であるというところまでは最高裁で昼言っておられるから、そこは問題ないんじゃないかと思います。
#290
○矢田部理君 そこまではっきり言ってくださいよ、同じような質問を余りさせないで。私は、したがって給与じゃないかというところまではまだ質問してないんだから。
 それから二番目の法律論として、退職手当は恩恵的な給付でしょうか、それとも労働者の権利でしょうか。総理府、人事院いかがでしょう。
#291
○政府委員(山地進君) 先ほど先生御質問に当たって、経済的な問題じゃなく実定法上の問題だというふうにお限りになって御質問を始めておられると思うんです。実定法上の問題としては退職手当法というのがございまして、退職手当法ということがどんな性格であろうと、一定の基準に該当する者にとっては権利として主張できるということでございます。
#292
○政府委員(長橋進君) 退職手当法に基づきまして決められた一定の支給条件に該当するという場合には、これは支給しなければならない給付でございます。そういう意味から申しまして、支給するかしないかは自由裁量に任されているということとは本質的に性格が違うのではないかと考えております。
#293
○矢田部理君 権利だとすればいかなる性質の権利なのかということが次の問いになるわけでありますが、もちろん通常の賃金と違って定期的に支払われることにはならないわけでありますが、権利の性質をめぐってこれまた幾つかの見解があります。一つは、退職を不確定期限とした賃金債権という考え方。もう一つは停止条件つき債権説、つまり退職という条件成就によって初めて債権の効力が発生するというような考え方。そのほかにも幾つか考え方があり得るわけでありますが、その点ではどういう考え方に総理府や人事院は立っておられるのでしょうか。あるいは労働省も含めて三者に伺います。
#294
○政府委員(山地進君) いまの御質問は、私どもとして別にどの説ということもございませんで、先ほど私が答弁申し上げたとおり、この法律に適合するような条件が成就すれば支払いの権利が発生する、たとえば途中で懲戒があればその権利についてはなくなるわけでございますから、ある一定の条件が満たされればその者に権利が発生するというふうに単純に考えております。
#295
○政府委員(長橋進君) 法律の専門家ではございませんので、なかなかむずかしい問題でございますので、学説上の分類はともかくといたしまして、退職の時点におきまして法律に定められた要件というものを充足すれば、そのときにおいて受給権が発生する権利であるというふうに理解しております。
#296
○説明員(八島靖夫君) 労働省といたしましては、先ほど先生から御紹介がございました昭和二十六年の基発第八百四十一号通達に明記してございますように、臨時的な事由に基づき支払われる賃金である、こういう解釈をとっておるわけでございます。
#297
○矢田部理君 そうしますと、退職金債権の発生時期はいつになるんでしょうか。つまり労働を提供している段階でずっと成立をしてきておるのか、退職という時点で効力が発生するのか、成立時期と発生時期を別々に区分けしてお考えになっているのか、それとももともと発生したものをまとめて退職時にもらうという性質のものとして考えているのか、その辺はいかがでしょうか。
#298
○政府委員(山地進君) これは賃金後払い説みたいな感じの御質問のように思うのですけれども、私どもとしては、これまた単純に退職あるいは死亡したときに発生するわけで、その前に一々その権利が発生していたかどうかということについては余り関係は持っておりません。
#299
○政府委員(長橋進君) 支払い関係は別といたしまして、受給基本権は退職した時期に発生するというふうに考えております。
#300
○矢田部理君 大体考え方はわかりましたが、要するに停止条件つき債権説に立っているように私は受けとめられるんですが、そういたしますと、先ほど労働の対償としての賃金だという見解と矛盾することになりませんか。つまり、退職という事由の発生によって改めて退職金債権が出てくるという考え方に立つと、退職事由いかんによっては発生しないということにもなるわけです。ところが、労働の対償としての賃金だという議論になりますれば、退職事由のいかんにかかわらずそれは発生している、発生すべきものというふうに理解をしないと統一的にならないという考え方になるわけでありますが、この辺いかがお考えでしょうか。
#301
○政府委員(山地進君) 大変むずかしい御質問で、私も余り自信はございませんけれども、賃金として払うのは労働省の方のお答えにありましたように、一回に払うか臨時的に払うかということになるわけでございまして、ただ長年勤続するという事実に着目して払うわけでございますので、発生の権利というのは停止条件つき債権、いま先生がおっしゃったように、やめた日に発生する単純な債権であろうと思うわけでございまして、それが何でそのときに債権としてできるのかというのはまさに実定法から出てくるわけで、その実定法が何でそれじゃそういうようなことを認めているのかということの理由になるわけでございまして、それはしかし長年働いていたということで払うということしか私どもとしてはお答えできないように思います。
#302
○矢田部理君 余り法律的に整理された見解ではなさそうですが、もともと退職金債権というのはいろんな見解があります。年ごとに発生したものが累積して、あるいは基本権みたいなものがあって、支分権的に年ごとに積み上げていったものが最終的に払われるんだというような見解も学者の一部にはあるわけでありますが、労働の対債としての賃金だということが本質だとするならば、労働の提供という事実関係がずっと続いている限り、退職金債権は顕在化はしないにしても発生している。それが退職という事実によっていわば期限が成就する、あるいは期限が到来をするということで、不確定期限つき債権だという説が有力なのですが、そういう見解には立たないわけですか。
#303
○政府委員(山地進君) 学説としていろいろ理解するのにわかりやすい学説というのは、私どものいろいろ行政実務についても非常に有益であるわけでございますけれども、私どもとしては、この退職手当法というのが過去の各時点において労働の対価として権利が発生していたんだというところまで詳細に詰めなくても、現在私どもとしてはこういう退職手当というものが長期勤続、しかもこの法律においては継続的な勤務という形でとらえているわけでございますので、その間における労働の提供があったという事実はあろうかと思いますが、ただしその各時点で権利が発生していたというふうなところまでは、この法律としては考えてないといいますか、それを評価してないというふうに思います。
#304
○矢田部理君 では、観点を変えて伺います。
 たとえば、最近では住宅金融のために退職金を事実上担保に入れるというようなことがかなり広く行われているわけでありますが、それは、退職事由発生前に少なくともやっぱり権利性が社会的に相当程度認められていなければそういう制度は世の中に広まらないわけであります。そういう一事をもってしてもやっぱり権利性ありと、それが不確定期限だというところにもう一つの特徴があるわけであります。そういうことをどういうふうに説明されるんですか。
#305
○政府委員(山地進君) 私も、その退職金債権といいますか、いまの、まだ債権じゃないと思うんですけれども、そういったものを担保にするということが法律的にできるというふうには思っておりません。事実上その人がもらうであろうということをかなり確実に思ってお金を貸す人がいるということはあろうかと思いますけれども、法律上これを担保に供するというようなことは私はよく存じておりません。
#306
○矢田部理君 そんなことありませんよ。公務員なり勤労者の世界には広く行われている状況ですよ。ただ、賃金的なものとして考えた場合に、直接払いの原則が適用になるから、その担保権の実行に当たってその担保権者に払うことができるかどうかという法律問題は依然として残っているわけでありますけれども、その種の機能を事実上果たしているということが第一点。
 それからもう一つ、やっぱり問題点を出してみますと、この退職手当の支給制限条項がこの法律には八条に規定をされております。もう申し上げるまでもありませんが、国公法八十二条の懲戒免職になった場合とかあるいは三十八条の欠格事由、まあ全部ではありませんが、等々になった場合については退職手当を支給しないと、こういう規定になっておるわけでありますが、その根拠はどこにあるんでしょう。
#307
○政府委員(山地進君) それは、先ほど来いろいろ御議論がございましたように、やはり退職手当というものが報償的なものであると普通は言われている点でございます。
#308
○矢田部理君 そこが私は違うんですよね。そのために前段少し執拗に確認をしてきたのは、労働の報酬であり賃金であるという性質を基本的に持っているとすれば、懲戒事由が発生した、欠格事由が出てきたということだけでゼロにする、支給をしないという議論にはならないと思う。あなた方も労働の報酬だと、労務提供の対価だということを認めた以上、いまの見解とは矛盾するんじゃありませんか。
#309
○政府委員(山地進君) これは何といいますか、考え方、賃金だというふうに先ほどの最高裁の判断に戻るわけでございますけれども、この判断というのは、やはり退職金の請求権というものの譲渡の規定を考える場合に、その法律上の性格が賃金であるから、それをどういうふうに守るとか何かという点からは賃金であると言っているだろうと私は思うんです。で、その意味で、「法律上の性質は「労働の対償」としての賃金に該当し、したがって、退職者に対する支払については、その性質の許すかぎり」と、こういうふうなお考えが示されているんだと思うんです。
 ですから、私はこういう考え方では、労働の対価としてそういうものがあるということはわかるわけでございますけれども、退職手当法というものをつくるときにそういった観念をこの法律にどう結びつけるかというのがまさに立法の問題でございまして、その立法の問題について、こういったことで退職手当というものを規律していこうというのが国会の御意思であろうかと思うわけでございます。
#310
○矢田部理君 前段にいろいろ確認的に伺ったのは、この辺に問題がある、非常に大きく横たわっているから申し上げているわけでありまして、つまり一方では労働の対償、賃金ですと、法律上の性格はそこにありますということを確認をしてきたわけですから。それが懲戒事由が発生した、欠格事由が生じたということでたちどころに全部消えるということにはならない、労働の対償であれば。その対償として支払い義務が理論上残るというふうに考えるのが論理的な筋なのでありまして、もちろん、たとえば懲戒事由の中に当該公務員が損害を与えたというようなことであるとすれば、それはやっぱりその損害賠償の過怠として官側が持つべき損害賠償請求権みたいなものはあるかもしれません。一方的に労働の対償としての、あるいは賃金としての退職金債権が消えることはないというふうに考えるわけです。
 同時にまた、恩恵的給付だというふうに考えれば、懲戒事由に当たったんだからそういうものは没収だという議論もあるかもしれません。恩恵的給付か権利かという問いに対しては権利ですと、こう答えてきているわけですから、なおさらその懲戒事由として全面的に支給を禁止すると、支給しないというやり方はいかにもおかしいというふうに思うのですが、その辺、人事院なりあるいは総理府としてどう考えておられるか。
#311
○政府委員(山地進君) 私も何といいますか、いまから労働基準法なりあるいは退職手当法をつくるときに、そういった議論をもってどういうふうに矛盾なく各法を統一的に理解するようにつくっていくかということについては、それは考えなきゃいけないことであろうかと思うんです。
 実定法の議論ということでお始めいただいているわけでございますが、もうすでにこの退職手当法というものも公労法もあるいは労働基準法も長い歴史を持っております。いまのお話でそれらの法律間に矛盾があるというお話であれば、これまたいろいろとその改正をするということで考えなきゃいけない点があるわけでございますが、私どもとしては、別に各法律それぞれにまさに適切に運用されておりまして、いまのようなお考えに基づいて非常に矛盾が生じているというふうには考えておりません。
#312
○矢田部理君 人事院どうですか。
#313
○政府委員(長橋進君) 現行退職手当法の解釈につきましては、人事局長の方から、所管当局からお答えのとおりでございますが、この退職手当そのものについていろいろ問題があるんではないかと、今後どうしなきゃならぬじゃないかということになりますと、そういうことにつきましては現実定法を離れていろいろ今後検討しなきゃならない課題ではなかろうかと、こういうふうに思っております。
#314
○矢田部理君 私が申し上げたいのも、いままで総理府なりの見解をずっと伺っておりますと、退職金の経済的性格と法的性質を混線させて、言うならばときどきに都合のいい説明を山地人事局長を中心にしてきた。しかし、ずっと一貫して法的性格という点からながめてみれば、やっぱり労働の報償、賃金ということで一貫させていくと幾つかの矛盾に突き当たっていく。その点で一貫性を一つは持たせるべきだ、賃金論で貫くべきだという考え方を基本的にしているので切ってきているわけでありますが……。
 そこで、どうしても問題点になるのは、やっぱり懲戒免職あるいは欠格事由というところに大きな問題点がこの法律の中で残されているということを痛切に感じているわけです。たとえば刑事事件で禁錮以上の刑に処せられた者というものは、たしか公務員法では欠格事由になっています。これは、執行猶予はついてもそうなるわけですね。ところが、刑事事件というのも千差万別でありまして、贈収賄をしたとか横領したとかということならばそれなりにわからないわけではないのでありますが、最近非常に多いのはやっぱり交通事犯なんですね。軽微な過失であっても、たとえば人身事故を起こしてしまった、特に相手を死亡させてしまったなどという場合には必ず起訴される。執行猶予はつく例が間々あるわけですが、執行猶予がついても全部この欠格事由で退職金はゼロになってしまうというようなことがしばしば私どもも経験をするわけでありますが、これでいいんだろうか。
 仮に長期勤続の報償という考え方に立ったとして、賃金論に立ては当然のこととして、これで全部がゼロになってしまうということで実はいいんだろうかということをしみじみ感じているわけです。その点で、もともとこの懲戒規定はおかしいという議論もあるわけでありますが、立法論的に見ても退職金の不支給事由についてはいささか再検討する時期に来ているのではないか、考える必要があるのではないかというふうに思っているのですが、いかがでしょうか。
#315
○政府委員(山地進君) 私どもの方といたしましては、今後、退職手当のいろいろ見直しをしようと思っております。いまの点を非常に意識して見直しということではございませんけれども、見直しの中にはいろいろの問題も含めて見直してまいりたいと思います。確かに、三十四年ごろと現在のようなモータリゼーションの違いというのは非常にはっきりしている点もございますが、それらの点については各方面の御意見も伺いながら考えていきたいと思います。
#316
○矢田部理君 次の問題に入りますが、次に第三番目の法律問題としまして、これは人事院総裁もお答えになっているわけでありますが、退職手当は労働条件、公務員法で言う勤務条件だというふうに前回答弁なされておりますが、その点は総理府もそうお考えになるわけですね。
#317
○政府委員(山地進君) 勤務条件ということが自分の職業を選択するに当たって考慮しなければならない諸条件であるという意味では、広い意味の勤務条件であろうかと思います。
#318
○矢田部理君 そうなりますと、一般的な労使関係、民間というふうに考えてもいいと思いますが、ここでは当然のことながら団体交渉事項というふうに考えてよろしゅうございますね。
#319
○政府委員(山地進君) 団体交渉事項というのは限定がどこまであるか私もよく存じませんが、団体交渉をできるだろうと思います。
#320
○矢田部理君 三公社五現業では、公労法八条に言う――退職手当法というのをちょっと別に置いておきますと、団体交渉事項、団交事項に当たると考えられますか。
#321
○政府委員(山地進君) 公労委の仲裁裁定その他でもこの退職手当が、八条二号とか一号とかございますが、その「賃金その他の給与」に当たることは疑いがないというふうに述べておるのが多いように思います。
#322
○矢田部理君 公労法八条の団交事項に当たる。したがってまた、本来ならば三公五現について言えば団交協約事項ということになるわけでありますが、にもかかわらず法制化してしまう。言うならば団交権を否認したというのはいかなる理由、根拠によるのでしょうか。
#323
○政府委員(山地進君) これは立法論だと思うんです。もし団交権で残したいというのであれば、退職手当法の適用から除くという単純なことを考えればいいわけでございまして、それはむしろ退職手当法というこの歴史の中で、まあいろいろ二十八年ぐらいまで調停とか仲裁とかございましたけれども、そこらのことは立法政策的にいろいろ御判断になって今日に至っていると私は理解しております。
#324
○矢田部理君 この法制化については、それは歴史的な経過があったことは私も知らないわけではありませんが、ただ、団交事項である、団体交渉権の対象であるということになっていたものを、この団交権をやっぱり否定をするということになれば、憲法上の基本的な権利でありますからそれなりの合理的な理由がなきゃならぬでしょう。それをどういうところに求めたのかということです。
#325
○政府委員(山地進君) やはり国会で法定するというところに求めたんだと思います。
#326
○矢田部理君 国会で法律で決めれば憲法制約は可能なんだという論理は明治憲法下の論理であって、いまはそうなっておらないわけですから、実質的な理由が必要でしょう。
#327
○政府委員(山地進君) まさにそれは団交事項であるということは公労法の規定から見ても明らかなわけなんで、そのときにその法律と並行して退職手当法というものをおつくりになったわけで、これはやはり長い歴史の中でそういう判断が下されたわけだと思うんです。ですから、これはむしろ制限しているんじゃなくて、そういうことで法定をしているという方にむしろ意味があるんじゃないかと私は思います。
#328
○矢田部理君 そうすると、依然として団体交渉権は残っているというふうにお考えになるわけですか。
#329
○政府委員(山地進君) 観念的には残っていると。ただし、交渉をして何らかの締結をしても、法律で決められていることと矛盾するようなことは、それを決めてもそれは実行できないということだと思います。
#330
○矢田部理君 ちょっと意味がわかりませんね。もともと団体交渉事項である。団体交渉権の対象である。これは労働者にとっては基本的な憲法上の権利でしょう。それを法制化によって奪うということになれば、奪うためのしかるべき根拠、労働基本権剥奪の根拠が必要でしょう。立法化されたからそうなったとか、観念的には残っているという説明ではちょっと説明がつかないように思いますがね。
#331
○政府委員(山地進君) 労働基本権の制限ということではございませんで、公労法と並行してまさにそういうことが国会の場において決められているわけでございまして、それを一体労働協約締結権の制限と思うんだったら、それなりに従来争われておっておかしくないわけでございますね。それ二十八年以降、そういったことについて私は寡聞にして争われているということは余り存じません。そういうことを何で制限しちゃったんだという御議論もあろうかと思いますけれども、何で制限したんだという議論があれば、それこそ退職手当法が三十四年にできたときにこれは大問題になっておかしくないわけです。やはりそれは、そういったことについてはこういうことでいくという政策的な決断があったんだろうと思います。それが桎梏であるのかあるいはフェーバーであるのかというのは違いがある、思い方に違いがあるだろうと思います。
#332
○矢田部理君 従来クレームがつかなかった争いはない、だからいいんですということには必ずしもならないわけですが、いずれにしてもここの議論の締めくくりとして、あなたも観念的には団交権は依然として残っているんだということでありますから、今後やはりこの法の改廃に当たっては十分その趣旨を尊重してやるということは言い得るわけですね。
#333
○政府委員(山地進君) 団交権の保障、団体協約の締結権を十分に認めるという場合には、単純に退職手当法から外すということが一番簡単な方法になるわけでございます。ただ、そういったことをするには、いままでの歴史から見ると、これは国家公務員の共済組合法あるいは公企体の組合法と、つまり年金、退職金というものを非常に関係さしてきたという判断、これをどうするんだという問題も非常に関係してくるわけです。ですから、公労法の規定をそのまま十分生かすため、団交権を生かすために単純に外すと、これは法技術的にはそういうことになるわけですけれども、そういったことをするのがいいのかどうかという政策的判断というのはかなりむずかしいだろうと思う。ただし、今後の見直しの規定ということに関連して、私は退職手当法とすべての問題についていろいろな角度からいろいろの御意見を聞いてやるべきであるというふうに考えております。
#334
○矢田部理君 もう一つ、これは自治省もお見えになっているわけでありますが、三公五現は本来公労法で団交事項、協約事項になっているにもかかわらず、本法律案に一本化した。ところが地方自治体、その中における地方公営企業とか現業、これは依然として団体交渉事項、協約事項ということで扱われているように思われますが、そのとおりでしょうか。
#335
○政府委員(大嶋孝君) 管理運営事項に関するものを除き、そのとおりでございます。
#336
○矢田部理君 管理運営事項云々でなくて、退職金問題についてという趣旨です。
#337
○政府委員(大嶋孝君) 交渉事項になっておるところでございます。
#338
○矢田部理君 そうしますと、地方の場合には非現業と、それから地方公営企業、現業では区別をしているわけですね。非現業については条例で、他については団交協約方式でそういうふうに扱っているのでしょうか。
#339
○政府委員(大嶋孝君) 非現業職員につきましては条例で定めるわけでございますし、それから公営企業職員、単純労務職員につきましては、企業管理規程あるいは協約ということで定めるということになっておるところでございます。
#340
○矢田部理君 総理府でも自治省でもいい、また両者から伺いたいわけですが、国家公務員等々の場合と地方の場合ではどうしてこういう違いが出てきたのでしょう。
#341
○政府委員(大嶋孝君) 地方公務員内部のことで申し上げますけれども、地方公営企業職員それから単純労務職員につきましては、その職務の実態に着目をいたしまして、できるだけその能率性を反映させる、また、その職務が民間企業に類似しているといったことのために、服務規程あるいは勤務条件等の点につきまして一般職員と企業職員につきまして差がついておるということが原因ではなかろうかと考えております。
#342
○政府委員(山地進君) 退職手当法は、先ほど来申し上げますように、国家公務員の中の制度として今日まで練り上げられたものでございまして、地方は地方の御事情でそういうふうにお決めいただいているのだろうと思います。
#343
○矢田部理君 ちょっと説明になったようなならぬような話なんですが、やはり本来的に言えば、地方での扱いが私はまともだと思うんです、歴史的な経過は知らないわけじゃありませんけれども。特に国家公務員等退職手当法ということで、国家公務員だけではなくて三公社五現業から裁判所までくくって、外交官までまとめて一本の退職手当法にしている。法制的に言えば、公労法の関係では団体交渉、協約、場合によっては公労委というコースです。国家公務員については、改めて申し上げるまでもなく人事院という関係が労働条件、勤務条件についてはあるわけです。それから裁判官などについてはそういう制度的保障は何もないわけです。異なった位置にいる人たちをどうしてこんなに一本にまとめてしまったのか、そこが依然として私には納得をしかねているわけでありますが、その点はいかがでしょう。
#344
○政府委員(山地進君) やはり歴史的な問題だと思うので、戦前から恩給法というのがあって、それで恩給法というものがあるかわりに退職手当がないというのがいわゆる高等官といいますか、いまでいう高級官僚の制度で、そのほかに雇用人というのがいて、それが言ってみれば官僚群というのを形成して、その官僚群の中には現在でいう公企体も入っていて、たとえば国鉄で言えばやはり国鉄の幹部は高等官であった、恩給法の適用もある。そういう公務員社会の歴史があって、それで戦後の民間の退職手当というものの形成というものに相呼応してそういうものが一つの集団をなして退職手当法をつくったということでございますので、そのことを現在論理的にどう考えていくのかということは、やはりいままでの現実を踏まえて物事を考えなければいけないのではないかと思います。
#345
○矢田部理君 たとえば一点、裁判官について伺いますが、裁判官については憲法上報酬についての規定があるわけですね。「下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」と、これは司法の独立とか身分保障、裁判官の職権の独立ということを裏打ちするために憲法上わざわざその規定を置いたわけです。それを受ける形で裁判官報酬法という法律をつくり、報酬についてはもちろんのこと、手当と言われるものも全部そこで仕切る仕掛けになっている。退職手当だけどうしてここにくくってしまったか、これも解せないところなんです。いずれにしても勤務条件、労働条件だということになり、それらの扱いについては異なった体系でずっと処理されてきているものを退職手当についてだけ一本にまとめるというのは、歴史的経過だけではどうもやっぱり整合性がないんじゃないか、問題が多過ぎはしまいかという感じがしているのですが、その辺について再度見解を伺っておきたいと思います。
#346
○政府委員(山地進君) やはり私は歴史的なものだというふうに再度申し上げざるを得ないのでございまして、そういった過程でできているものを立法政策的にどういうふうに持っていったらいいかということは、まだまだいろいろな御意見があろうと思いますし、また改革の方法というものを考えなきゃいけないと思うわけでございますが、やはり退職手当法というのがいまおっしゃったような裁判官の報酬法以外に併存して長い歴史を築いてきているわけでございまして、これをどういうふうに改革していったらいいのかということについてはまた別途考えなきゃいけない問題かもしれませんけれども、私どもとしてはやはり現実にいままで持ってきたこの法律の重みというものを考えていかなければいけないだろうと思います。
#347
○矢田部理君 そこで、人事院との関係について問題を発展させていきたいと思うわけでありますが、この退職手当法が総理府の所管になっている根拠は何ですか。
#348
○政府委員(山地進君) 退職手当に関する事務というのは、これは従来から戦後、退職手当法の管理というのは政府にあったわけでございます。政府のどこにあったかといえば大蔵省にあったわけでございます。これは国家公務員だけでございません、先ほど来申し上げているように広く三公社五現も含むようなことでございますので、政府で所管する、行政府で所管するということでございまして、それが四十年に総理府に移管されたということでございまして、人事院は人事院の業務をされる、退職手当は政府のどこか別のところでやる、たまたま四十年にそれが総理府の方に来た、こういうことでございます。
#349
○矢田部理君 人事院に伺いますが、国公法の三条で人事院の権限といいますか職務の内容について規定をされておりますが、人事院が設置されたときから退職金というのは人事院の所管外だったんでしょうか。つまり、この三条の規定を読んでみますと、「人事院は、法律の定めるところに従い、給与その他の勤務条件の改善等々に関する事務をつかさどる」とあるわけですが、この三条に言う「勤務条件」の中には退職金をもともと除外して考えておられたのでしょうか。
#350
○政府委員(長橋進君) 三条の人事院の権限に関する事項が現行法のような規定に改められましたのは四十年の改正でございますが、それ以前の状態はどうであったかということでございますと、国家公務員法の人事院の所掌に関する事項の考え方としましては、退職手当に関しては人事院の所管外であったというふうに理解しておりました。
 それから現行法の三条二項でございますが、「人事院は、法律の定めるところに従い、」ということでございまして、したがって三条のその「勤務条件」、いわゆる文言だけを取り出して読んだ場合と、三条の二項全体といいますか、「この法律の定めるところに従い、」ということで読みますと、やはり退職手当の問題については現在人事院の所管事項外とされておるというふうに理解をいたしております。
#351
○矢田部理君 そこで、前回の室井教授との議論にもかかわるわけでありますが、中段に確認をしましたように重要な勤務条件だという理解に立っているわけですね。重要な勤務条件については代償機能を果たすためにも人事院は勧告制度をとっている。そのことによって公務員の労働基本権制限の一つの理由づけ、裏打ちにしているということもあるわけでありますが、この重要な勤務条件をなぜ外したのか、なぜ入れなかったのか。われわれはここでも入り得るというふうに読めますけれども、あなた方の見解によると、もともと入っていなかったんだというふうを言い方もされるわけでありますが、どういう理由で外したんですか。
#352
○政府委員(長橋進君) 四十年の国家公務員法の改正の際におきましては、退職手当に関する取り扱いにつきましては従前どおりのものをそのまま踏襲するといったてまえで行われたものと思います。ただ、この退職手当というものが重要な勤務条件であるという立場から考えまして、法制的に不備でないかというような御趣旨かと思いますけれども、現行の国家公務員法のもとにおきます退職手当に関する人事院の対応の姿勢といたしましては、二十三条に基づく意見の申し出制度もございますし、それから二十八条に基づく勧告制度もございます。そういう現行の実定法をたてまえにしてどうかということになりますれば、二十三条の規定に基づく意見の申し出ということは可能であろうというふうに思っております。
#353
○矢田部理君 二十三条とそれから二十八条とはおのずから性質が少しく違うわけでありますが、公務員労働者の争議権、労働基本権を剥奪する一つの口実、理由として、代償機構を置きかつ代償機能を果たさせるということが基本的な考え方だったわけですね、立法上。そうだとすれば、その中で、先ほど総裁も言われたように、給与、年金それから退職金というのは公務員労働者のやっぱり生活保障的な問題から見れば基本の柱だと、しかも重要な勤務条件だと言っているのになぜそれを取り込まなかったのか。歴史的な理由ですか、これも。歴史的な理由だけでは少なくともその点は説明できないというふうに思うわけです。つまり、退職金については重要な労働条件、勤務条件であるにもかかわらず代償機能が働かないということになるわけでありますが、その点、総裁としてどうお考えでしょうか。
#354
○政府委員(藤井貞夫君) しばしば申し上げておりますように、私は退職手当というものは重要な勤務条件の一つであるというふうに考えております。ただ実定法上の問題、取り扱いといたしましては、先刻来るる人事局長の方からも御答弁がございますように、いろいろその沿革、歴史というものがあるわけでございまして、その間退職手当についてははっきりと総理府設置法でもって退職手当の所管というものをうたっております。国家公務員法の方ではいろいろ勤務条件ということを書いておりますけれども、これはおのずからやはり法律でもって決められている事項、明定されておる事項というものに限定をして解釈をしていかざるを得ないという一つの限界がございます。
 そういうことで、現行法上はこれは退職手当の所管は総理府ということになっておりますので、おのずからわれわれの方で申し上げたいというような事柄についてもそこに限界線があるということを言っておるわけでございます。ただ、大変重要な勤務条件の一つであるという認識は持っておりますために、われわれといたしましては定期的に民間の実態調査等もやっておりますし、また退職公務員等で実際にどういうような退職金の使い方をやっているんだろうかというような生活実態についても調査をいたしておるという面もございます。したがいまして、こういう点についてはさらに今後とも重大関心を持って対処してまいる所存でございますけれども、現行法上はやはり二十八条の勤務条件の中には入らないという考え方に立っておりまして、あえてやるということになりますれば、やはり二十三条の法律の改廃についての意見の申し出という方法を援用いたしまして、これによってやりますことはむろん可能であるというふうに考えております。
 ただ、われわれの方で御承知のようにいろいろ長中期の対策を今後講じてまいりたいということでいま準備にかかっておりますが、その間におきましては、やはりこの退職手当というのは、先刻来矢田部先生いろいろの点を御指摘になっておりますが、問題点は私はいろいろな面でやっぱりあると思います。そういう点も含めまして、所管のこととは別問題として、公務員のやはり勤務条件の重要な一環でございますので、その点は権限を侵さない範囲内で総理府とも十分連絡をとりながら、これはこれで、われわれの方の土俵の中に上ってくるものといたしましては重大関心を持って対処をしていくという積極的な姿勢はひとつ貫いてまいりたいというふうに思っております。
#355
○矢田部理君 総理府、人事院の双方に伺いますが、あれほど総理府設置法の六条の三では総理府の所管ということになっておるわけでありますが、総理府が退職手当法を所管するどいことと、その改廃等々に当たって人事院から勧告を受けることは相矛盾しますか、並立する余地があるんじゃないかというふうに思うわけでありますが、改廃をするに当たって人事院から勧告を受けてやるという方式は。その点はどうお考えでしょうか。
#356
○政府委員(山地進君) 人事院は国家公務員のみを所管するわけでございますので、退職手当法というのは国家公務員、公企体を含んでいるわけでございます。したがって、まず実体的に退職手当法の対象になる一部についてどのようなことを人事院ができるかというのが実体的な問題。それからもう一つは、法律的に国家公務員法上の勧告ということが一二十三条は意見の申し出でございましたですね、ですから勧告という制度に乗らないんじゃないだろうか。この二点が私の感じでございます。
#357
○矢田部理君 そこの矛盾は、あなたから今度は逃げの議論として説明されちゃ困るんですよ。いっぱいいろんなのを合わせているから勧告はなじまないんだ、人事院との関係は親しまないんだという議論で、事実上公務員に対する代償措置があるいは代償機能がその限りで働かないというところに実は着目すべきなんです。
 もともと三公社五現、裁判官や外交官、いろんな法体系の違った人たちを一緒くたに退手法でくくったことにやっぱり問題があるわけなんです。その問題があることを今度は根拠にして人事院に切り返す、人事院からあれこむ言ってもらっちゃ困るという対応はかえってよろしくないし、より本質的に言えば、そのために国家公務員のスト権剥奪の代償措置としての機能が少なくともその限りで働かないということになれば、憲法上の問題にまで発展をするということにも実はなりかねないわけでありまして、あわせて歴史的にどう読むかあるいは見るかという経過はあるにしても、国家公務員法による労働条件、勤務条件の中には退職手当は当然入らないんだという読み方は、いかにも歴史的な問題にやっぱりこだわり過ぎた読み方ではないのか。重要な労働条件でありますれば十分入る、明示の排斥の規定はないわけでありますというふうな読み方も実はここで可能なのであります。
 その両論がある場合に、どちらに加担すべきか、どちらをとるべきかは、むしろやっぱり人事院制度ができた趣旨、代償機能としての役割り等々から実質的に判断するのが筋だというふうに思うわけでありますが、その点、今後の運用の問題としてどういうふうにお考えになっておられるか。
 それからもう一つは、二十八条の勧告にはなじまないけれども、二十三条で法令の制定改廃に関する意見の申し出等は考えていきたいということのお話でありました。そうだとすれば今回はなぜその種のことをやらなかったのか、特段のまた理由でもおありなのか、以上二つをまとめてお聞きをしておきたいと思います。
#358
○政府委員(藤井貞夫君) 私は、実定法上の解釈論といたしましては、退職手当は人事院の所管には入らないというふうに考えております。従来そういう運用でやってまいりましたし、立法論、立法政策としてはこれは別問題がございましょう。先刻来いろいろ大変傾聴に値する御意見を承っておるわけでございますが、そういう点は検討に値する問題だと思っておりますが、現在の実定法上の解釈としては、やはり退職手当は総理府の所管であって人事院の所管に入らない、あえてやろうとすれば二十三条でやり得るということではあるまいかという観点に立っておるわけでございます。
 ただ、これも前の委員会の席上でも若干申し上げたと思いますが、現行法制上やはり総理府の所管ということに明定をされておりますので、それをあえてこちらからしゃしゃり出るというのもいかがかというそういう感じもございます。しかし、実質上大変重要な勤務条件であるという認識は持っておりますので、与えられた範囲内においてできる限りのことはやっておるつもりでございまして、これからの検討の中において、いま御指摘になりましたような点も含めて、さらに積極的にひとつ検討を加えたいというふうに考えております。
#359
○矢田部理君 そろそろ時間ですからあと一、二点で終わりますが、たとえば寒冷地手当法というのがあります。これは議員立法で昭和二十四年に成立をしております。これについては人事院勧告というのがむしろ明示されているわけですね。これも大事ではありますけれども、あのようなものなんかよりははるかに大きな意味を持つ退職金について、総裁、人事院が代償機能としてやっぱり役割りを果たしていないという事実はお認めになるわけでしょう。また本来果たすべき性質のものである、立法上は別として。その点が私どもにはきわめて不満であり、問題だ。特に総理府のように、対象がいろいろ入っているから人事院は関係ないんだという言い方は、対象をそれは公務員に限定してやってもいいですよ。
 もう一つは、どうも御両者から出てくるのは、何となくなわ張りがあって、総理府の方のなわ張りだから私たちは口出ししない方がよろしい。役所のなわ張りみたいな議論であの問題を説かれるとすれば、それはやっぱりよろしくない。つまり、人事院の役割りというのは代償機能としての働きを十分にやるかどうかということにポイントが置かれるべきなんであって、その点、質問終わりますが、総務長官として、こういう問題についてはもっと積極的にやっぱり人事院の勧告、せめて今日的な意見具申論で人事院側が対応しようとしているわけですが、それは積極的に受け入れて、今後これは官民比較の問題ももうちょっと幾つか問題点あるわけでありますが、人事院の意向を十二分に徴してこの問題を進める、人事院としてもなわ張りがそちらだからといって黙っている手はないという点でより機能を働かせるべく努力をしてほしいということでありますので、長官及び総裁から最後に一言ずつ見解を承って、きょうの質問は終わりたいと思います。
#360
○国務大臣(中山太郎君) きょうは矢田部先生からまことに貴重な御意見を賜りました。総理府といたしましても十分今後この問題についても研究をさしていただきたいと思います。
#361
○政府委員(藤井貞夫君) 先刻も御指摘がございましたように、寒冷地手当については法の明文がございまして、人事院の権限がはっきり書かれております。そのほかでも、これも釈迦に説法ということでございますけれども、育児休業なんかについても、給与措置については人事院がひとつ意見を出すということは法律上の明文がございます。さらに、最近まで非常に各委員方にも御心痛をわずらわしましたが、例の義務教育諸学校の職員等を中心とする人材確保法、こういうものにも人事院の勧告権限というものは明記されております。
 そういうふうにそれぞれ必要に応じて明記されているものについて、これはもちろん問題はないわけなんですが、退職手当については、るる申し上げておるようないきさつでもって、いまのところ私の方で直接それは当然の権限として物を申すというかっこうにはなっておりません。立法政策としてはこれは別問題でございまして、それらも含めて、私といたしましてもやはり総理府とよく御相談を申しながら検討の対象にはしてまいりたい、こう思っております。
#362
○委員長(遠藤要君) 本案に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれをもって散会いたします。
   午後五時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
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