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1981/10/30 第95回国会 参議院 参議院会議録情報 第095回国会 内閣委員会 第7号
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1981/10/30 第95回国会 参議院

参議院会議録情報 第095回国会 内閣委員会 第7号

#1
第095回国会 内閣委員会 第7号
昭和五十六年十月三十日(金曜日)
   午後一時三十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月三十日
    辞任         補欠選任
     桧垣徳太郎君     梶原  清君
     林  寛子君     高木 正明君
     大木 正吾君     野田  哲君
     片岡 勝治君     高杉 廸忠君
    ―――――――――――――
 出席者は左のとおり。
   委員長          遠藤  要君
   理 事
                伊江 朝雄君
                林  ゆう君
                矢田部 理君
                柄谷 道一君
   委 員
                板垣  正君
                梶原  清君
                源田  実君
                関口 恵造君
                高木 正明君
                竹内  潔君
                内藤  健君
                堀江 正夫君
                高杉 廸忠君
                野田  哲君
                山崎  昇君
                中尾 辰義君
                峯山 昭範君
                安武 洋子君
                秦   豊君
   国務大臣
       内閣総理大臣   鈴木 善幸君
       法 務 大 臣  奥野 誠亮君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       中山 太郎君
   政府委員
       人事院総裁    藤井 貞夫君
       人事院事務総局
       管理局長     加藤 圭朗君
       人事院事務総局
       給与局長     長橋  進君
       内閣総理大臣官
       房総務審議官   柳川 成顕君
       総理府人事局長  山地  進君
       総理府恩給局長  島村 史郎君
       臨時行政調査会
       事務局首席調査
       員        山本 貞雄君
       行政管理庁行政
       管理局長     佐倉  尚君
       防衛庁防衛局長  塩田  章君
       外務省北米局長  淺尾新一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 源三君
   説明員
       自治省行政局公
       務員部給与課長  柿本 善也君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律
 の一部を改正する法律案(第九十三回国会内閣
 提出、第九十四回国会衆議院送付)(継続案件
 )
    ―――――――――――――
#2
○委員長(遠藤要君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、大木正吾君、桧垣徳太郎君及び林寛子君が委員を辞任され、その補欠として野田哲君、梶原清君及び高木正明君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(遠藤要君) 国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○矢田部理君 総理府に引き続き伺いますが、退職手当の削減、これは言うまでもなく労働条件、勤務条件の不利益変更であるというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。
#5
○政府委員(山地進君) 退職手当法の四十八年の改正の際に官民の比較をした結果、官が二割低かったということで、退職手当法の附則におきまして、当分の間計算した額を百分の百二十にするという措置を暫定的にとったわけでございますが、五年後の五十二年に調査をした結果、それが官が高くなったということで百分の百十にするということでございまして、その間の基本的な退職手当の全文を改めるわけでございませんで、金額を官民比較して調整するということでございますから、単なる不利益処分というふうには理解できないのではないかと思います。
#6
○矢田部理君 百分の百二十ということが退職手当として支給されるあるいは支給を受けることが、言うならば権利性を持っている。期待権だと言う人もないわけではないし、権利の発生時期等についても議論がないわけではありませんけれども、その百分の百二十を支給される権利、請求する権利、これが百分の百十というところに減じられるわけでありますから、労働条件、勤務条件が従来から比べれば比較の問題として不利益になってくるということは、言うならば周知の事実ではありませんか。労働条件というのは、事実問題に着目して問題を見るわけであります。もう一度答弁をいただきます。
#7
○政府委員(山地進君) まさに労働条件といいますか広い意味で労働条件だと思うわけでございますが、その期待権といいますか権利性の問題、御指摘の点でございますが、いま御説明いたしましたように、附則において当分の間ということが明示してあるということがやはり期待権、もちろん期待されるということはあったと思いますけれども、当分の間という臨時的な要素というものがあるということは、やはり今後変動するという要素があるということであろうかと思いますので、一般的なふうに期待権の損失というふうに私どもとしては理解しない。むしろ、やはり官と民とは調整するのであるといったてまえでこの退職手当が運営される。それが国民の理解を得られる唯一の道であるという意味では、今回の改正というのはそういう方向に沿ったものであるというふうに考えております。
#8
○矢田部理君 その当分の間という規定からもともと変動要素があるということを導き出し、したがって下がる場合も上がる場合もあるんだから、しかもそれは当初から予定をしているんだから不利益変更でないかのような説明をされるけれども、それはちょっと違うんですね。もともと退職金にせよ給与にせよ、当分の間をつけようとつけまいと、変動要素があることは本質的なものです。いまのインフレとか物価上昇とかということを考えてみれば、一定の水準で上がっていくということがずっと経済の状況になってきているわけでありますから。したがって、それはいずれにしても比較の問題ですね。当分の間という措置で、上がったものが下がるということは労働条件の変更には間違いないでしょう。勤務条件の変更として受けとめるのは当然でしょう。人事院、それはいかがですか。
#9
○政府委員(藤井貞夫君) それはそのとおりだと思います。ただ、情勢の変化ということで、一たん決まったことはそれを切り下げたりすることは一切まかりならぬということにはならないということは、基本的には私はそのとおりだというふうに思っております。当分の間とかなんとかということは余りこだわる必要はないと思います。
#10
○矢田部理君 と人事院総裁もおっしゃっておられるが、もう一度いかがですか。
#11
○政府委員(山地進君) 大先輩であられる人事院総裁のことでございますから、全くそのとおりかと思います。
#12
○矢田部理君 きのうからどうも逆らうものだから同じような質問を繰り返さざるを得ないわけでありますが、総裁の言われた後段については、まだ私は質問も問題提起もしていないわけです。
 いずれにしましても、退職手当の削減は勤務条件、一般的に言えば労働条件の不利益変更であると。そうすると、その不利益変更がいつでもどこでも単純にできるのかという次の課題についての質問に入るわけであります。
 人事院総裁は少しく先走ってその点までにもお触れになりましたけれども、私は、まず公務員とか民間とかということを抜きにして、一般の労働法理論から言えば、勤務条件ないし労働条件の不利益変更は労働者保護の見地から一方的にはできない、こういう法理論を一般的には承認するでしょうか。少なくとも合理的な理由がなければできないというもう一つの見解もあるわけでありますが、その前段、後段含めて、まず一般的にこういう理論を承認するかどうか、山地人事局長。
#13
○政府委員(山地進君) いかなる場合でも合理的な理由があるということ、それから、広く意見を承るということが行政の姿勢であろうかと思います。
#14
○矢田部理君 最高裁も昭和四十三年の十二月の秋北バス事件の判決で次のように述べています。
 これは五十五歳定年制を新たに定めた就業規則の改正の効力ということを中身とするものでありまして、その中身を読んでみますと、「新たな就業規則の作成又は変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として、許されないと解すべきである」、こういう原則は承認されるわけでしょうか。
#15
○政府委員(山地進君) 就業規則に関するお話であろうかと思うんでございますけれども、いまの一般的というのは、就業規則一般ということであればそうなんでしょうし、それ以外のものについてはそれぞれいろいろ決め方について態様がございますので、一般的にというふうな御質問の意味がもう少し具体化されないと、先生の御質問でございますので、そうだというふうにいかないんでございますけれども……。
#16
○矢田部理君 質問が不十分だったかもしれませんが、一般的な労働法理論としてこの原則は肯定をされるかということを伺っているわけです。
#17
○政府委員(山地進君) まあ、いろいろな今後御質問がございますので、なるだけ、ただしとか端的にとか抽象的にとかということでうんとつけさしていただかないと、先生の御質問ですからストレートにはあれでございますが、一般的にはさようかと思います。
#18
○矢田部理君 そう警戒せぬでもいい。
#19
○委員長(遠藤要君) 委員長から政府側に要請しておきたいのは、質疑者の時間も相当圧縮に御協力を願っております。さような点で、答弁はひとつ何分明快な答弁をしていただくように強く要請しておきます。
#20
○矢田部理君 そこで、次の質問に入るわけでありますが、いま申し上げた一般的な労働法理論あるいは最高裁が指摘をした原則確認も認められたわけでありますが、少なくともこの見地は法改正をするに当たっても考慮すべきものだと、配意すべきものだというふうに考えますが、その点はいかがですか。
#21
○政府委員(山地進君) 一般的にはさようかと思います。
#22
○矢田部理君 そこで、今度の法改正に当たっていかなる配慮、考慮をされたでしょうか。
#23
○政府委員(山地進君) 法案を提出する以前並びに提出後におきましても、関係の団体と話をするということを開催しております。
#24
○矢田部理君 自治省に伺っていきたいと思います。
 地公労法適用の職員、地方公営企業とか現業ですか、につきましては昨日も伺ってきているところでありますが、その退職金の根拠は、職員団体等があるところでは団体交渉−協約というコースで決まっていきます。同時に、それがないところでは一般反間と同じように就業規則、まあ管理規程などと言っているところもあるようでありますが、それで仕切られるということになりますと、今後中央で退職金問題が削減ということになった結果、地方に一定の波及をする可能性がある。その際、この地公労法適用職員に対して、就業規則や協約で決まっているわけでありますから、これを一方的に改悪するというか不利益変更することはできないという原則に当然なるわけでありますが、その点どういう認識を持っておられるか、伺ってみたいと思います。
#25
○説明員(柿本善也君) 御質問にございましたように、地公労法適用職員はその種類と基準が条例で定められまして、その細部規定は企業管理規程あるいは労働協約によって定められることになっております。ただ、その実体的な給与決定の部分につきましては、地方公営企業法三十八条の規定によりまして、生計費それから同一類似の職種であります国及び地方公共団体の職員、あるいは民間事業の従業者の給与、あるいは公営企業の経営状況その他の事情を考慮して定めると、こういうことになっているわけでございます。したがいまして、今回の退職手当の改正につきましては、民間との均衡あるいは国の類似の職種との均衡ということから、同法が、国の退職手当法が改正された場合にはこれに準じた措置をとるべきものと考えます、ただ、手続につきましては、先ほど申し上げたような手続でそれが決まってくると、そういうふうに考えております。
#26
○矢田部理君 その先ほど申し上げた手続というのをもう一度おっしゃってください。
#27
○説明員(柿本善也君) お尋ねにもございましたように、条例で定める種類、基準の範囲内で企業管理規程または労働協約によって決められると、したがってそれを改めるという手続によって同様の措置がとられるものと理解しておるわけでございます。
#28
○矢田部理君 自治省の指導は、退職金については準則みたいなものあるいはその指針みたいなものを出しておられまして、いわば条例事項になってないんですよ。地方公営企業については除くというふうに指導指針がなっているわけであります。条例にかかわらしむる議論はちょっと私は理解に苦しむんですが、その点もう少し説明してください。
#29
○説明員(柿本善也君) これは、地公労法の適用を受ける職員につきましては地方公営企業法三十八条という規定がございまして、その規定の四項に――これは企業職員が本則になってその他はいわば準用されるわけですが、「企業職員の給与の種類及び基準は、条例で定める。」ということになっております。この条例の範囲内で企業管理規程あるいは協定がつくられると、こういうふうな仕組みになってございます。
#30
○矢田部理君 給与の話はわからないわけではないが、私は退職手当の話をしている。その言うところの給与に退職手当は入るという趣旨で答弁されているんでしょうか。
#31
○説明員(柿本善也君) 同じ引用いたしました三十八条の一項で、「企業職員の給与は、給料及び手当とする。」という規定がございます。したがいまして、退職手当も給与には含まれるというふうに解釈しております、給与に含まれると。
#32
○矢田部理君 そうしますと、国家公務員法も地公法も同じような文言になっているわけですが、一方では給与の中に退職手当が入るという理解、それから総理府の方は給与の中には退手は含まれないという見解、これはどこからそういう違いが出てくるのか、少しく説明ができませんか。どちらからでも結構です。
#33
○政府委員(山地進君) 先日、矢田部先生から御質問ございましたように、最高裁の判決等で賃金に当たるということでございますので、公労法の賃金その他の給与ということには退職手当が入ると、ここはそのとおりだろうと思います。それから国家公務員の給与の場合には、この法律で定める給与というふうな表現がとられておりますので、退職手当はこの法律で定めてないから給与には入らないと、私はそのように理解しておるわけでございまして、地公労法等につきましては自治省の方が有権的な御解釈があったと思います。
#34
○政府委員(藤井貞夫君) よけいなことかもしれませんが、私、地方公務員法の関係も若干――若干といいますか立案に参画をいたしましたので、それらの点にある程度の知識を持っておりますから申し上げたいと思います。
 お隣に山崎さんがいらっしゃるんで、もっと私より詳しいわけなんですが、国家公務員法と地方公務員法というのは同じ理念に基づいて成立しておりますことは、これはもう無論申し上げるまでもないわけなんですが、多少ニュアンスのやっぱり違いはある。この点は私もこの委員会でも申し上げたかもしれませんけれども、地方団体というのは、当時制定をいたしました場合は一万数千にわたる自治団体があったわけです、町村合併前ですから。といたしますと、一番これ頭を痛めましたことは、憲法上の要請である地方団体の自主性をどのように尊重するかということと、それから多様性――いろいろ種類がございます、県、市町村、大変な多様性がございますのでこれに対してどのように対処するかということ、それと近代的公務員制度の理念というものをどういうふうに調和させるかということが一番の眼目であったわけでございます。
 そういう意味で、国家公務員法というものをにらみながら、その原則、基本的理念というものは踏まえながら地方団体の実態に合わせるにはどうすればいいかということを実は考えたわけでございます。そういうことである程度違った面も出てきております。
 最も具体的な点で申しますれば、たとえば労働基準法の適用関係について申しますと、これは国家公務員法の場合は全面適用排除というふうになっておりますが、地方公務員法の場合は現業その他職種の現実から見まして、むしろやはり職員の利益保護という面から言えば原則的には適用があるんだというふうにした方がわかりやすいんじゃないかというようなことでニュアンスを変えている面もございます。
 したがいまして、ときどき問題になりますが、取り扱いの違いというものはそういう点の配慮から出てきておるものでございまして、そういう意味で整合性を欠くんじゃないかという御批判は私はあると思うんですが、むしろやっぱり地方公務員法の場合は、そういう地方団体の実態というものを踏まえてそれに適応するような措置というものを講ずるためにはどうしたらいいかというようなことを考えた結果、いまのような体制になってきておるというふうに思っております。
 手当の問題、特に退職手当等の問題につきましても、立法論なりあるべき姿としては、これは給与として包括的に把握して対処したらいいんじゃないかという議論は確かにございます。ただ、その点については従来のいきさつもあって、ここでいろいろ御論議がございましたようなことで、いわゆる本俸たる給与というものと退職手当の取り扱いは異にして今日まで来ておるわけですが、地方公務員の場合はその必要はないと、一緒に考えていっても何らというか大して差し支えないというような認識に立ちましてそういう規制の仕方をしたわけでございまして、それなりの合理性は私はあるというふうに考えておりまして、多少ニュアンスの相違があるということは、前法、後法という関係もございますし、地方団体のやはり特異性というものもございまして、その点のある程度のニュアンスの違いがあるということはやむを得ないことでもあり、それなりの合理性があるというふうに私自身は解釈をいたしております。
#35
○山崎昇君 ちょっと関連して、整理をさせてもらいたいと思うんですが、いま総裁から言われましたように、国家公務員法は全面的に労働基準法というものを適用排除しているんですね。ところが地方公務員法の方は、たしか第五十八条だと思いましたが、就業規則の項その他二、三排除しておりますけれども、原則的には労働基準法適用になるんですね。したがって、さきおととい来議論になっております第十一条の賃金の定義につきましても、地方公務員はこれ十一条の適用を受けますから、当然この中に入ってくるんですね。
 そういう意味では、私が一遍、この委員会で亡くなられた佐藤総裁と一般論として給与法の論戦をしたときに、あの給与法をずっとながめますと、何のためにどういうことでこのものは支給するということを書いているものと、全くそういうものが全然書かれないでいきなり次の基準によって支給するものと、こういろいろあるものですから、したがって、たとえば扶養手当にいたしましても期末手当にいたしましても、その性格が不明確なんですね。それは一時ここで大分議論になりまして、繰り返しませんけれども、いずれまたこれはやらなきゃならぬのではないかという気がいたします。
 そこで、いま問題になっております給与の問題について言えば、きのう私からも申し上げましたように、佐藤達夫さんの解説によれば、退職手当というのは退職者に対する生活保障の意味でそれは一時金である、給与である、こういう規定の仕方をして、あなた認めたわけですから、したがって退職手当は当然給与に入る。それから矢田部委員から再三法律論を展開されておりますように、最高裁の判決等々と関連をして言えば、当然これは労基法で言えば第十一条の賃金に該当する、こうなってくるわけですね。
 そこで、いま問題になっている給与、なぜ国公法で言う給与の中に退手が入らないのかと言えば、これは行政機関の権限として私はあの規定を見る必要があるのではないか。だから、同じ給与でありましても人事院の扱う給与という意味の中には退手は含まっておりませんで、それは総理府で扱う給与になっておりますという、言うならば行政機関の権限の分割についてのあり方の問題であって、給与そのものに退手が入るということについては異議のないことじゃないんだろうか、そう私ども実は考えておるわけです。
 それから地方公務員法につきましては、これまたたくさんの問題があるわけですけれども、たとえば国家公務員法に準じてといいましても、これは何も地方公務員法上では規定がないんですね。ただ、国家公務員の状況を見なさいとか生計費を見さないとか、他府県の状況を見なさいということでありまして、これは自主的にある意味では決め得るんです。だから全国の人事委員会の勧告を見ますと、東京都の人事委員会の勧告とたとえば北海道が違ってみたり、あるいは札幌市の人事委員会の勧告が違ってみたり、さまざまな場面があったんですね。ただ、ならし方としては、国家公務員をほぼ右へならえしちゃって、そのとおり準則みたいな形で規制はいたしておりますけれども、本来それは法規論がら言えばおかしいことなんですね。そういう意味で私ども理解をしております。
 したがって、いま関連質問でありますが、いま総裁の言われた人事院で扱う給与の中には退手は入っておりません、それは総理府で扱っております、しかし一般的にいう給与という性質のものの中には退職手当は入るんです、それが地方公務員は一緒に扱っておるんです、こういうふうに私理解するんですが、間違いありませんか。
#36
○政府委員(藤井貞夫君) 一般的にはそのとおりです。ただ、正確に申しますと、労働基準法自体が国家公務員には適用はございませんので、労働基準法自体における十一条とかあるいは二十四条は直にそのまま当てはめるというわけにはいかない。ただ、これは労働基準法というのは、勤労者の勤務条件に関する基本法ですから、そういう意味では実質的には当然これはそれに該当をするという意味で申し上げておるのでありまして、いまの御説のとおりだと思います。
#37
○矢田部理君 話が大分広がったり基本論に戻ったりしておりますので、整理をする意味でもう一度自治省の点に戻していきたいと思うんでありますが、地方公務員の場合には給与の中に一般論に従って退職手当が入る。したがって、地方公営企業の場合にも、言うならば条例で定められるその内容に準じて地公労法適用の職員の退職金等も仕切られるというような向きにとられたんですが、その点をもう一度確認的な意味を込めて御説明いただけますか。
#38
○説明員(柿本善也君) ちょっと一般論はむずかしいのでそれはおきまして、実定法上の話で申し上げますが、地方公務員の場合、地方公務員法の適用を受ける職員につきましては、これは地方公務員法に従いまして条例で定めることになっております。それに対しまして、地公労法適用の企業職員等につきましては条例で、先ほど申し上げた規定によりまして種類と基準を定めまして、その他は企業管理規程なり協定で定めると、こういう違いがございます。
#39
○矢田部理君 種類と基準は条例であるが、そうでない退職金にかかわる問題については就業規則とか、場合によっては労働協約で決める、こういうふうに伺ってよろしいわけですか。
#40
○説明員(柿本善也君) 適当な言葉がどうかわかりませんが、条例で種類、基準を定めて、その他の細目はおっしゃるように企業管理規程とか協定で定められる、こういう二段の定め方に企業職員等はなっている、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
#41
○矢田部理君 そこで、昭和二十八年に自治省が出した「職員の退職手当に関する条例案」なるものがあります。この第一条によりますと、「この条例は、職員(地方公営企業労働関係法第三条第二項の職員及び単純な労務に雇用される一般職の職員を除く。)」と、つまり非現の職員の退職手当に関する事項を定めることを目的とするということで、言うならば、非現と現業あるいは公営企業等の職員を分けて条例をつくるように指示、指導がなされているわけでありますが、この点との関係はどうなりますか。
#42
○説明員(柿本善也君) 先ほど御答弁申し上げましたように、いわゆる地方公務員法の適用を受ける職員とそれから地方公営企業法の適用を受ける職員とは、われわれとしての指導は、条例は別の準則を示して指導しているわけでございまして、まあ別条例というのが原則かと思います。
#43
○矢田部理君 もともと地公労法の適用を受ける職員については団体交渉事項でしょう、協約事項でしょう。職員団体がない場合には就業規則で決めるべきことを、どうして条例で基準と種類は示すことになるのでしょうか。その意味で団体交渉権なり交渉事項、協約権を制約していることになりはしませんか。その点いかがですか。
#44
○説明員(柿本善也君) 少し私の所管からも外れますので正確なお答えはできないかもしれませんが、やはり地方公営企業職員といえども地方公務員の一環でございますし、そういう関係で企業職員ないしは地公労法適用職員の特殊性ということは当然配慮されるとしても、やはりそれなりにその根本になる種類と基準程度は条例で定めて議会の御判断をいただくと、こういう考え方があったのではないかと、これは推測で大変申しわけございませんが、考える次第でございます。
#45
○矢田部理君 事実経過はそうなのかもしらぬですが、一方は公労法体系ですよ。もう一つは公務員法体系で来ているわけですね。これは勤務条件条例決定主義といいますか条例で仕切る。他方はその原則がかぶらない、一般労働法とやや趣を異にしますが、一般労働法に近い法体系で仕切られている。そこへ条例問題をかぶせるというのは少しく混乱があるんじゃありませんか。
#46
○説明員(柿本善也君) ちょっと正確な答えになるかどうかわかりませんが、たとえば企業職員におきましても、最終的に議会で予算を議決していただいたり、そういう形で、たとえば予算につきましては議会の議決がなければ執行できませんし、そういうある程度骨組みとなる部分についてはやはり地方議会の決定を経るという考え方があったのではないかと考える次第でございます。
#47
○矢田部理君 では、こう伺いましょう。地公労法適用職員の場合に、退職金の率を上げるとか下げるとかということはどこで決めますか。
#48
○説明員(柿本善也君) 三十八条四項の趣旨から言いますと、基準的なことは条例で定められていると思いますが、額等につきましては、企業管理規程あるいは協定で最終的には定められるのが趣旨かと思います。
#49
○矢田部理君 そうしますと、いまここで審議をしている退職手当の削減、つまり百分の百二十を百分の百十にするとかということは、企業管理規程――法的性格は就業規則ですね、そこで決める。職員団体等があれば団体交渉あるいはそのまとめとしての協約で仕切る、こういうふうに伺ってよろしいわけですね。
#50
○説明員(柿本善也君) ちょっと細部まであらゆる規定がそうなるかどうかわかりませんが、基準に該当しない限りそういうことになろうかと思います。
#51
○矢田部理君 いや、削減するかふやすかということは、管理規程といいますか就業規則で仕切ると言うから次の質問に入るわけで、基準に該当しない限りという答弁ではまたもとに戻るんで、質問はその次へ行っているわけです。
#52
○説明員(柿本善也君) その基準の考え方でございまして、法律上は「基準」としか書いてございませんので、その解釈の問題かと思いますので断定的にお答えするのをちょっと差し控えておるわけでございますが、額その他については、解釈上は企業管理規程あるいは協定で定められるものが趣旨であるというような解釈をしていると思います。
#53
○矢田部理君 そうなりますと、当然のことながら、その一方的な変更、とりわけ重要な勤務条件である退職金の率を減らすというような不利益変更については、関係団体、職員組合の同意なしには労働協約がある場合はできませんね。
#54
○説明員(柿本善也君) 労働協約がある場合でございますが、企業管理規程の場合もございますが、労働協約も法的に認められた期限内なり生きている限りはそういうことになろうかと思いますが、実際のことを申し上げますと、やはりそれなりの組合との話し合いとか交渉があって定まるべきところに定まってくるものではないかと考えております。
#55
○矢田部理君 それは、経過はそうかもしらぬが、言うならば労働協約の一方的変更は、これはあたりまえの話でありますが、両当事者間で契約といいますか中身を詰め、文書で判こを押し合ったものを一方的に同意なしには変更できないことは自明の理でしょう。
#56
○説明員(柿本善也君) 最初に申し上げたとおり、地方公営企業法三十八条の規定によりまして、こういう地公労法適用職員といえどもやはり同一の国の職員とか民間企業との均衡ということを考えて定めるという実体規定がございますので、その範囲内でという実体面がございますが、手続面につきましてはいまお尋ねのとおりであろうと思います。
#57
○矢田部理君 管理規程といいますか、就業規則と言った方がいいでしょう、の場合はどうなるかという点でありますが、それはきょうの前段にお話をしましたように、あるいは最高裁も言っておりますように、「新たな就業規則の作成又は変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として、許されない」と。したがって、就業規則の一方的な変更、特に労働条件の低下を伴う不利益変更、これはできないというふうに考えられるわけでありますが、自治省もその見解に従うことになりますね。
#58
○説明員(柿本善也君) 企業管理規程で定めている場合、国の今回の法律が通りましたらそれに準ずる改正をすればお尋ねのとおりになるかと思いますが、それにつきましては、やはり意見を聞くとかそれなりの手続は必要かと思いますが、その結果はそれぞれの手続を経た形で決まってくるべきものと、そういうふうに考えております。
#59
○矢田部理君 それは、就業規則の作成または変更には労働者側の意見を聞かなきゃならぬというのは基準法上決まっているわけでありますが、そういう手続論じゃなくて中身の問題として、労働条件の一方的な不利益変更はできない、そういう就業規則の改廃はできないというふうに最高裁も言っているわけです。それが原則なんだと、こう言っているわけです。その原則に従うことに実質的にはなりませんか、あるいは従うのが当然ではありませんかと言っているんですが、その点についての答弁をもう一度お願いしましょう。
#60
○説明員(柿本善也君) 退職手当の水準がどうあるべきかという問題だろうと思いますが、これはやはりそれなりに、地方公務員法の場合もあるいは地公労法適用職員の場合も、国の職員あるいは地方団体の職員、民間との均衡を考えて定まるべきものでございますので、その実体規定に従って上がる場合でも下がる場合でも所要の手続をして定めるのが至当であって、実体面についてこういう場合はできないということには必ずしもならないのではないかと思います。
#61
○矢田部理君 これはもうここでいろんな議論をしているんですが、最高裁の見解には従うのが行政府の立場だと、こうみんな言っているんですよ。あなただけ従わないかのような立場をとるから同じような質問になるわけでありますが、この就業規則の法的性質については規範説とかあるいは契約説とかいろいろありますが、指摘をしている問題点は、一たん定めた就業規則、そこで決められた内容は、いろんな法理論がありますけれども、基本的には労働契約、個々の労働者の労働契約の内容になって定着をする。したがって、後になってあのときの退職金は高過ぎだから今度はカットしますよということは、すでに労働者の個々の労働契約の既得権として定着をした以上は一方的にはできないんだと、労働条件の不利益変更は就業規則の一方的改廃ではできないんだということを原則的に最高裁は指摘をしているわけですよ。
 だから、その原則にはあなたも従うことになるんじゃありませんかと言っておる。また従わざるを得ないんじゃありませんかと。ところが、あなたの答弁はそれに逆らっているような、従わないかのような答弁になっているから同じ質問を繰り返すことになるんですが、その最高裁の見解には原則的には従いますか。
#62
○説明員(柿本善也君) 最高裁でお示しいただいた見解に反論するような大それたことを答弁申し上げておるわけではございませんが、就業規則といいますか企業管理規程と申し上げますか、それに定まっている事項につきましては、先ほど申し上げたように、改める場合は労働組合の意見を求めてする手続が必要でございますが、就業規則あるいは企業管理規程も同じだと思いますが、を改正する場合は、やはり合理的な範囲内でなされるべきだという点はお尋ねのとおりでございます。
#63
○矢田部理君 私は実体面で問題を指摘する。それから最高裁も実体に即して問題の原則的提起をしているわけですね。ところがあなたは手続面で答えられる。就業規則の改廃は当然のことながら労働者側の意見を求めなきゃならぬですね。しかし、それは意見を求めればいいという解釈もあって、その意見に従わなきゃならぬとか意見に逆らって改廃はできないとかという議論にまでは就業規則は残念ながらなっていないわけです。だから意見を求めればいいとかという議論では私の質問に対する答弁にはならぬのでありまして……。
 いずれにしても、最高裁が原則的に指摘をした労働条件の改廃、特に問題点になっておりますのは不利益変更。先ほど人事院総裁も不利益変更だと言っているわけですから、この退職金の削減は。これは一方的にはできないと、しないという議論には一応敬意を表することになるわけでしょう、最高裁ですから。
#64
○説明員(柿本善也君) 実体面から申し上げますと、やはり今回の退職手当法の改正が成立しました場合は、われわれの立場からいたしますと民間との均衡あるいは国との類似の職種の均衡からもこれに準じた措置がとられるべきものとは考えておりますが、それが私の申し上げている実体面でございましょうけれども、いまのお尋ねにつきましては、やはり良好な労使慣行という見地からいたしますと、改正につきましては労働組合の交渉を受けてその中で決まっていくということが本来望ましい姿ではあろうと思います。
 手続面につきましては繰り返しませんが、先ほどから申し上げておるとおりでございます。
#65
○矢田部理君 あなた側の立場を説明しているんじゃなくて、客観的に労働条件の不利益変更はできないと、就業規則の改廃によってできない、これが就業規則問題をとらえる原則だと、そこは認められないんですか、そこを。
#66
○説明員(柿本善也君) やはり就業規則あるいはわれわれの方から言いますと企業管理規程でございますが、これがずっと未来永劫改められないということをおっしゃっているんじゃないかと思いますが、そういうことではないと思いますが、やはり合理的な範囲内ではその時代の事情に合わせて変更ということは行われるということになろうかと思います。
#67
○矢田部理君 あなたは先まで行っているわけですが、もう一回読みますよ。これは判決そのものを読むから。「おもうに、新たな就業規則の作成又は変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として、許されないと解すべきである」。この指摘はまず最高裁が言っているんですから、そのとおりだということになりますね。
#68
○説明員(柿本善也君) その点はそうでございますが、この御指摘の判旨につきましてはその他の部分もあるようでございます。それを含めまして、私は最高裁の判決に特段の議論を申し上げるつもりはございません。
#69
○矢田部理君 わかりました。
 そうしてその後で、その原則を確認した上で――あなたが少しく先走って否定の側面を強く出すから私とやり合うことになるわけであるが。同時に、これは法理論上はいろいろ問題があるわけでありますが、仮に改廃をするとしてもそこには相当な理由、合理性が必要だということが、これについてはいろんなまた批判があるわけでありますが、出てくるわけです。ところが、私は前段を言いあなたは後段をしゃべるから意見がかみ合わないと、こういう一そう前段だけで引っかけようとは思っていないんだから安心して聞いてください。
 そこで、もう一点ついでに伺っておきますけれども、仮にこの最高裁の後段が示すように合理的な理由があって就業規則の改廃をしたとしても、すでに雇用されている職員、労働者にはその就業規則の改正の効果は及ばない、それ以後雇われる人たちにのみ機能する。こういう見解があるわけだし、また事実、私が先ほど指摘をしておりますように、一たん就業規則ができるあるいは労働協約が締結をされるということになりますと、そこで定められた内容は個々の労働者にとっては労働契約の内容になるという議論があるわけでありますけれども、その点についてあなたの見解はどうでしょう。
#70
○説明員(柿本善也君) 就業規則というものはすべての職員を通じて適用されるわけでございまして、すでにいる職員について当然合理的な理由というのは制約はあるかと思いますが、全く改められないと、こういうことにはならないと思います。
#71
○矢田部理君 どうもはっきりしないわけでありますが、いずれにしても、これは法律で決めるにせよ条例で仕切るにせよ、あるいは労働協約や就業規則で行うにせよ、労働者のやはり労働条件の切り下げになる、不利益変更になるわけでありますから、今後国も地方も含めてそういう際にはきわめて慎重に、とりわけ職員団体等があるような場合については十分に職員団体と協議をして行うべきであるし、まして労働協約の改定というようなことになりますれば、当然のことながら労働組合の合意がなければできないわけでありますから、その点にやっぱり留意して対応していただきたいというふうに思うわけであります。
 もう一点だけ伺っておきたいのは、最高裁が原則的な指摘をした上で、合理的な理由があればできるかのような指摘ももう一方であるわけであります。これについてはいろいろな議論がまた同時にあるわけでありますが、今度の切り下げの合理的理由というのは一体何でしょうか。自治省のさっきの話によると、国の方でも下げるようだと、あっちもこうなるというような向きの話をされたが、そういうことなのでしょうか。これは総理府と自治省と両面から伺っておきたい。
#72
○政府委員(山地進君) 合理的な理由は、毎回御説明しておりますように官民格差を是正するということが合理的理由でございます。
#73
○説明員(柿本善也君) 地方団体の場合は職員の種類は二つございますが、いずれも先ほどから申し上げているような規定に従って、民間との均衡、あるいは国との均衡という条文がございますので、その規定に従って行うべきものと考えております。
#74
○矢田部理君 民間準拠論は退職手当について即合理的な理由になるのかどうかということについては、私はいささか疑問があります。
 給与と違って特別な裏打ちの規定もございません。特に労働条件ということになりますと、私のところの企業よりももっと安い企業があるから、それにならって下げるんだというのは余り合理的理由にならぬのですよ、労働条件の不利益変更というものは、たとえで言えばですね。
 関連してもう一点だけ伺っておきますが、財源が足りないんだということで財源論というのがあるのですか、この合理的な理由の中に。
#75
○政府委員(山地進君) 退職手当について財源論が直ちに出ているわけではございませんけれども、理屈上はあり得るだろうと思います。
#76
○矢田部理君 民間準拠が主で財源論は直接的ではない。財源論問題は本件の合理的理由の中身ではないというふうに伺っていいわけですか。
#77
○政府委員(山地進君) 現在は財源を問題にしてはおりません。
#78
○矢田部理君 退職手当の切り下げとその不利益変更の是非というふうなことを議論してきたわけでありますが、最高裁も言っておるように、やっぱり不利益変更というのは原則的にできないという指摘が、原則論としてあるいはたてまえとして出されているわけでありますから、今後特に地方自治体などがどういうふうに動くのか私は存じませんけれども、上がやったから下もやらなきゃならぬなんという性質のものではないと思います。まして地方公営企業等についてはさっき言ったような議論があるわけです。そういう論議を十分に踏まえてこの種問題について慎重に扱うべきだし、少なくとも職員団体等の意向も十分に聴取をし、協議を重ねるなどして、一方的にこれを強行したり進めたりすることについてはやめてほしいということを特に要望して、この問題の質問を終わりたいと思います。
#79
○政府委員(山地進君) 御説については私どももそのように考えております。
#80
○矢田部理君 人事院に伺います。
 公務員制度全般についての見直し、特に人事管理制度全般の見直しということがかねてから人事院より明らかにされているわけでありますが、見直すための問題点、作業の手順、それから進行状況等々について冒頭に伺っておきたいと思います。
#81
○政府委員(藤井貞夫君) 人事行政諸制度の長期的再検討というものにつきましては、昨年の八月における給与勧告の際に報告といたしまして方針を明らかにいたしました。それ以来、私たちといたしましては、はっきり問題意識を持ちましてこれに対処をしてまいってきております。特に、ことしの勧告における報告におきましても、その点をさらに一歩を進めまして、こういう点について問題点があるのでこれを掘り下げて検討したいということも具体的に申し上げておる次第でございまして、これはすでに御承知のとおりだろうと思っております。
 私たちの基本的な考え方は、現行の公務員制度というものは、法律にも書いてありますように、要するに民主的、能率的な公務員制度ということで、そのための大きな柱といたしましては、公務の公正な運営というものとそれから能率的な効果のある運営ということだろうというふうに思っておりまして、いままではその趣旨に沿って相当程度の効果は上げてきたのではないかというふうに考えております。
 ただ、その後における社会経済情勢全般につきましては、大きな変動が行われてきつつあるのであります。これを詳しく申し上げるつもりもございませんが、私は端的に申して高年齢化、高学歴化という非常に大きな変動要素というものが急激に高まってきつつあるのではないかという認識に立っております。そういう面から見て、戦後三十年における人事行政諸制度というものについていろいろやはり考え直さなきゃならない面が出てきておるという認識に立っております。
 具体的にいろいろ申し上げることは、時間の御制約もあるようでございますので詳しくは申し上げませんが、たとえば試験のあり方等について見ましても、これもあるいはいつか御説明をしたことも記憶をいたしておりますけれども、現在上級、中級あるいは初級という試験区分でやっておりますけれども、最近は短大対象の中級試験というものについて、その大部分がむしろ大学卒業、短大ではなくして大学卒業程度の人がこれに殺到しておるという現実がございます。さらに初級試験、これは高校対象なんですが、高校対象の初級試験にまで志願者というものが大学卒業、四年制の大学卒業の人が大変ふえてきておる、そういう現実の姿がございます。これをどういうふうに考えていくべきか、試験制度の区分けの問題等についてもすでに限界が来ておるので、何かやっぱりやらないと非常に問題を残すということになってくると思います。
 と申しますのは、初級試験で、たとえば大学卒の人が当然のこととしていい成績で入ってくるというふうになりました場合に、初めのうちはそれでいいわけです。本人はそういうつもりで入ってきたわけですからそれでいいんですが、これが五年、十年というふうに経過をいたしますと、同じ大学卒業なのにどうも取り扱い方がまずいではないか、不公正ではないかというようなそういう人事管理処遇上の問題が当然出てくるだろうという感じもいたします。
 また、それに関連をして、先生も御承知のように、現在制度上は昇任試験というものがございますけれども、この昇任試験はいままで実際上はうまく選考でもって何とかやってまいりましたので、大して問題はないので今日まで来ておりまして、それはそれでよかったわけですが、いまのやり方というものがずっと進んでまいりますと、当然ある程度の昇任の試験のあり方というものも、適正に考えてこれを導入していかないとどうにもならないというような時期が来るんじゃないかという感じもいたします。任用制度だけについて申しましてもそういういろいろな問題がございますが、その他給与の問題あるいは研修のあり方、職員の利益、福祉の問題万般についてやはり現在の情勢あるいは将来の展望を踏まえた再検討が必要ではないかということをしみじみと感じておるわけでございます。したがって、これらについていろいろな資料も染め、問題点を整理をして、これに対する対策を考えたいというのがわれわれの主張でございます。
 そこで、去年そういうふうに方針を明らかにいたしまして、引き続いて内部的に非常に精力的に仕事をやっておりますが、私といたしましては、本年度が基本的な調査、来年度はやはり本年度の調査の結果を踏まえてもう少しこの点を補足しなきゃならぬというような問題も出てくると思いますが、そういう補足調査というものと問題点の整理、立案ということに並行して着手をしてまいりたい、かように考えておりまして、大体私どものめどといたしましては、五十八年度を目途といたしまして、大体の問題点とそれに対する対処の基本的な方策というものについての輪郭をまとめてまいりたいというふうに考えておる次第でございまして、この点は組合の関係の方々とも十分連絡をとってまいりますし、また必要がございますれば、また御要請もございますれば、国会においてもその具体的な進捗の状況等につきましては随時御報告を申し上げて御批判もいただきたいというふうに考えております。
#82
○矢田部理君 詳細な論議は後に残すことにいたしまして、当然のことながら、年齢構成の高齢化あるいは職員の高学歴化というような状況に対応して、給与制度等もやっぱり本格的な検討に入るということになろうかと思うのですが、同時にまた、きょう行管庁においでいただいて、あるいは臨調の事務局長においでいただいているわけでありますが、臨調の方でも第一次答申によりますと、「国の行政部門の合理化、効率化方策」という項目の中に、とりわけ「国家公務員の給与等の合理化」という規定と部分が置かれておりまして、この問題にいま手をつけようということになっている模様だし、一部内容も指摘があるわけでありますが、これはどういう考え方で、あるいはどういう問題意識でこれから作業を進められることになるのでしょうか。
#83
○政府委員(山本貞雄君) 臨時行政調査会は、法律に基づきまして「行政の実態に全般的な検討を加え、行政制度及び行政運営の改善に関する基本的事項を調査審議する。」と、かようになっておるわけでございます。公務員制度につきましてもこの行政制度及び行政運営の一環といたしまして基本的な事項を審議すると、こういうことになっております。
#84
○矢田部理君 少し抽象的でわかりにくいんだけれども、いま人事院が、全部ではありませんが、その概況を説明した。それとの対応関係で、臨調としてあるいはその事務方としての行管としては、公務員制度、特に給与問題等にも手を触れようということであるならば、どんな視点、どんな問題意識で取り組もうとしているのか、もうちょっと具体的に話してくれませんか。
#85
○政府委員(山本貞雄君) ただいま申し上げたわけでございますが、臨調におきましては特にこの問題は第二部会で取り扱うことになっておりまして、先般、特に公務員制度につきまして十月の十九日に公務員制度の問題に関する分科会を設置いたしまして、これまで二回の会合を重ねてまいったわけでございますが、現段階におきましては、とりあえず年内は総括官庁から一通りの話を聞きまして、そこで今後どのような問題点を具体的に取り上げるかを詰めてまいりたい、こういうことでございます。
 先生ただいま御指摘の給与の問題につきましては、これはすでに第一次答申におきまして問題意識として指摘しておりますのは、一つはいわゆる生涯賃金と申しますか、そういった観点からの検討、それからもう一つはいわゆる官民格差の是正、こういった点を二点を掲げておるわけでございますが、なおこういった点も加えましてこの分科会でさらに総合的に今後検討が進めてまいられる、こういうことでございます。
#86
○矢田部理君 どうも臨調の方はこれからいろいろ開いて問題点を整理したいというようなことで、言うならば認識が浅いように率直に言って見受けられるわけでありますが、いま臨調の方から指摘をされた生涯賃金の問題とか官民格差の是正問題は現に人事院自身も手をつけておられるのではないのか、そういうことも含めて検討課題にしているのではないのかという点が一点。
 それからもう一点は、総裁がたしかことしの五月十一日に臨調に出向いていって臨調第七回調査会でいろいろ説明をされているように思われますが、そのときの説明の主な柱、内容は一体どういうものであったのか、以上二点を総裁に伺っておきたいと思います。
#87
○政府委員(藤井貞夫君) 第一点に関連してでございますが、臨調の公務員制度に関する御検討。と、私たちが去年打ち出しました中長期の展望に基づく公務員制度全般にわたっての検討ということが、これは並立していま行われるというかっこうになっておるわけです。先生の御指摘の点も、むしろはっきり申せば、その関係はどうなるんだと、具体的に。そういう点に対する一つの御疑問の点が背後にあるんじゃないかというふうに思いまして、その点ごもっともだと思います。
 そこで私は、先般衆議院でもそれと類した御質問がございまして、それに対してお答えをいたしましたことを簡単に申し上げますと、人事院は人事院として三十年にわたる経験がございますので、いささか自負しておる面もございます。専門的に申して、これはやはりわれわれでなければできないというふうに考えておる面もございまして、そういう意味から問題を提起して、これに対する解決策を考えていきたいというふうに思っているわけでございます。
 臨調は臨調として、別に問題が限定的に法律上決められているわけでなくて、いろんな角度からおやりになっていただくといったてまえになっておるわけですから、人事院として、われわれはこうやるからよけいなことをやるなというそういう偏狭なことは考えておりません。自由な立場からいろいろ率直なまた傾聴に値する御意見が出ることは、そのこと自体は非常に結構な話でございますのでそれは歓迎をいたしますけれども、しかし何か問題が非常にちぐはぐになってまた能率が上がらないということになりますれば、これは最も能率を上げなきゃならぬ臨調とわれわれの関係でそれこそやはりおもしろくないことでございますので、そういう意味の重複を避けるというような意味で、私たちはこういう立場でこういう点を検討いたしますということは、これは常時臨調の事務局とも緊密に連携をとりましてそういう点の連絡はいたしております。
 恐らく臨調でも、そういう点はやはりそういうことを踏まえて議論をする対象なり何なりというものはいろいろ検討をされていくことになるのではないだろうかというふうに思っております。私たちは私たちとして、従来の実際上の推移というものを踏まえまして、検討すべきことは検討していくという態度は崩さずに貫いてまいりたいという所存でございます。その点が一点でございます。
 それからもう一点、去る五月十一日でございましたが、臨調から、一遍出てきて問題点、特に公務員の給与の問題についてどういう考え方を持っているか説明をしてもらいたいということがございました。私もお呼び出しがなくてもむしろこちらから御連絡申して、重要なことですから、これはひとつ聞いていただきたいという思いは非常に胸いっぱいでございましたので、喜んで参上いたしました。その席上で、大変時間をいだたきまして一時間半ぐらいにわたってるる申し述べました。これは公務員制度というものの概要と成り立ちの経緯というもの、それから諸外国との比較というようなことを前提にいたしますとともに、なかんずく向こうからの御要請もありました給与問題について、これを中心に詳しく申し述べた次第でございます。
 その際に私が申し上げましたのは、これはよくもうこの委員会においても御論議されておりますように、人事院の給与に関する勧告というものは労働基本権制約の代償機能である、これはもう二番大事なことであって、これを忘れてもらっては困りますよと、事柄は財政問題ではありません、そのために人事院というものはあるんですよということと、給与の問題は、とりわけて一番大事なことはこれは労働問題なんですと、労働問題。それは長い間のいろいろいきさつはございましたけれども、その積み重ねで今日まで来ておって、見る人によってはいろいろ立場はございますけれども、幸い、私はやはり日本の公務における労使関係というものは最近きわめて安定したいいかっこうで推移しておるというふうに考えております。
 それは、全部人事院の勧告がその支柱であるという言い方はいたしませんけれども、しかし、これが大きな要因であることは間違いのないことではあるまいか。これは長い間の非常に着実な積み重ねで今日まで来ておることであるからして、これを簡単に財政状況その他でもって覆すということは悔いを千載に残すことになります。私はそういうふうに信じておりますので、この点は特にやはり御考慮を賜りたいところでございますということを中心にして、るる制度の沿革なり制度のたてまえなりというものを御説明を申し上げた次第でございます。
#88
○矢田部理君 本来ならば時間があればもう少し伺いたいわけでありますが、私の持ち時間があと十分ちょっとというところでありますから各論的な話はしませんが、人事院の見解は私ももっともだと思っております。もちろん、人事院がこれから全般的な見直しをするに当たっては、民主的な人事管理制度の確立という立場からいろいろな意見が私どもないわけではありませんで、そういう人事院の立場に対して、どうも臨調側あるいは行管庁側は少しく立場を異にしているんではないか。
 三十年来の人事問題の積み上げということを言われましたが、どちらかといえばこちらが本職です、パートの方がいろいろ最近口出しを始めた。その問題指摘がまだ十分な整理ができていないというところで先ほど答弁をいただいたわけでありますが、どうも私が受けとめるところによれば、臨調は全体として問題認識が浅い。公務員制度を本質的にどうするのか、さっき言われた高学歴化とか高年齢化に備えてどう対応していくべきなのかというような本質的な問題のとらえ方に沿った新しい人事管理制度の全般的な見直しというより、いかにして数を減らし、給与等を抑え、出費を少なくするかという観点で問題を押し切ろうとしている。そういう点でやはり臨調そのものに非常に問題がある。
 特に、この臨調が始まる前から、公務員制度の本格的な見直しを人事院がやっているわけであります。それに任せたらいいんじゃないかと私は思うんです。これは総務長官にも聞いておいていただきたいわけであります。特に人事院の場合には、総裁からもすでにお話がありましたように、人事院というのは一般の行政機関とは違って独立機関ですね。予算面で独立し、それから立法権を持ち、あるいは準司法的な機能をも持っているということで、一般行政機関に対する改革論とは少しく質が違う、扱いを異にしなければならぬ性質のものだというふうに思うわけですよ。
 そういう内閣から独立した機関、みずから問題を意識し、あるいは長い経験に基づいて本格的な五十八年なり六十年に向けて対応をしていこうということでありますから、その作業をやはり待つべきなんだ。臨調の方からあれこれ口出しをすべきではないのではないか。とりわけ、先ほどのような立場で問題をながめるとすればなおさら問題であるというふうに私は思うのですが、もう一度、人事院それから臨調そして最後に長官の見解を伺っておきたいと思います。
 簡単にしてください。あとまた二、三問質問がありますから。
#89
○政府委員(山本貞雄君) 臨時行政調査会は、惰性的な行財政の運営から脱却いたしまして、新しい国家的あるいは国民的な課題に対応し得るような簡素で効率的な行政の制度及び行政運営はどうあるべきかということを課題として、二十年に一度ということで設置されたわけでございます。したがいまして臨時行政調査会は、あらゆる国の行政の制度、運営全般の問題につきまして基本的な検討を加えるということでございまして、公務員制度もその一環として取り上げるということになっております。
 具体的には、四月の十七日の臨時行政調査会におきまして、公務倫理の向上と新たな情勢に対応した公務員制度の確立について、具体的な課題といたしまして公務員の範囲等の基本的なあり方、公務倫理の向上と公務能率の増進、採用及び任用制度の改善、人事交流とかいろいろな問題がありますが、さらに給与制度の改善、退手、年金等を含むと、こういうふうになっておるわけでございます。
 なお、具体的な検討に当たりましては人事院と十分連絡をとりまして、十分人事院のお考えも伺いながら臨調で総合的に検討してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#90
○政府委員(藤井貞夫君) つけ加えることもございませんですが、人事院は人事院としての立場がございます。臨調は臨調としての使命というものがあるわけでございまして、それぞれの立場から仕事を進めていくということ自体は何ら差し支えのないことで、私としてとかく注文がましいことは申し上げるつもりはございません。
 ただ、公務員制度というものを考える場合に、先刻先生もちょっと御指摘になりましたように、やはり公務員制度全般といいますか総合的な見地において物事を処理しませんと、ただ単に人件費という観点、そういうことだけでやりますと事柄を誤る可能性があるのではないか。したがって、労働基本権の制約の問題なり人事院というものの役所の性格なり、それらをみんなひっくるめて考えてもらいませんと、大変そこにひずみが起きる可能性があるということから、やはり広範な見地から整合性のあるお考えを承るということについてはわれわれとしてもそれを傾聴するにやぶさかではございませんけれども、ぜひともそういう広域的な広い視野というものからの御見解というものがあれば、承ることは大変結構だなという感じは持っております。
#91
○国務大臣(中山太郎君) 人事院自身に任せたらどうかという御意見を承ったわけでありますが、組織として見た場合に、人事院の長い経験あるいは考え方というものが絶えず前向きに動いていることは私は否定するものではございません。
 しかし、制度そのものが根本的にどう改革するべきかとか、あるいはその制度が十分機能しているかどうかということは、むしろ第三者的に検討を加えることも必要であろう。こういうことで私は、人事院は人事院としてみずからの制度、そういうものについてよりよきものを求めていくということにも一つの理念があるでありましょうし、また片方、第三者として臨調が人事院制度がいかにあるべきかということについていわゆる評価することもきわめて国家のために必要であろう、このように考えております。
#92
○矢田部理君 第三者的にとおっしゃいますが、公務員制度全般から見れば人事院は第三者ですよ。だから、長官の意見とは違うわけでありますが、いずれにしても全体的視野、長期的な観点それから従来のいろいろな経験等をやはり積み上げている人事院を中心にしてこの問題を扱っていくべきである。もちろん、人事院のやり方そのものに全面的に私どもは賛成という。わけではありません。いろんな意見は別の機会に申し上げたいと思いますが、さっき私が言ったように、臨調が単なる人件費抑制というような観点を中心にして問題を扱うことは非常に間違いを起こしやすい、問題があるということを繰り返し申し上げて、少しく時間が参りましたので、最後の質問に入りたいと思います。
 二、三点申し上げたいと思うわけでありますが、退職手当の削減法についていろんな論議を重ねてきました。私としては最後の質問になるわけでありますが、一つは、官民比較がずっと問題に供されてきました。いろんな矛盾や問題点も指摘をされました。そこで今後、たとえば五十七年調査六十年見直しということは言われているわけでありますが、その際にはもう少し全体的な調査を行うべきである。あるいは科学的、客観的に納得されるような比較をすべきである。その点で調査の対象や方法等にもさらにやはり工夫を必要とするということを含めて、官民比較については全面的な再検討を求めていきたいというのが第一点です。その中身は時間がありませんから言いません。
 それから二番目には、人事院制度の活用といいますか運用についてでありますが、公務員等については勧告、意見具申等人事院としては退職手当についても代償機能を果たすべきだ、これだけ外すというのはいかにも制度の運用としておかしいということを痛感をいたしております。その点で人事院の役割りを期待すると同時に、総理府としてもなわ張りを捨ててこれを積極的に受け入れるべきであるというふうに私は考えております。
 それからもう一点、この退手法については、これまた先般来の議論でありますが、非現業の公務員だけではなくて三公社五現、あるいは裁判官等も含めて、あるいは国会の秘書なども含めて広範囲に一つの法律でくくっている。ところが、公務員の場合には人事院制度という代償機能がある。三公社五現業については別の法体系、公労法体系になっている。そういうものを一本にくくったためにいろんな問題点や矛盾が噴出をしているわけであります。その矛盾を解決する一つの方法として、従来はどちらかというと私は不十分であったと思いますが、関係職員団体等との協議、積極的な意見の聴取、交渉をやっぱり展開をして、その合意の中から次へのステップを考えるべきであるというふうに思いますが、この点についての見解を伺っておきたい。
 そして最後になりますが、退職手当削減法が成立をするということになりますと、六十年までを考えてみましても、公務員等の不利益がいろいろ想定をされるわけであります。官民を比較をしたのは五十二年でありますが、その当時存在をした定期昇給が、その後一定年齢で定期昇給をしないというストップ措置がとられた。さらには特昇制度の廃止というようなことが考えられている。こういうことになりますと、五十二年比較の前提の一部が欠落をすることになります。その結果生ずるであろうところのマイナスを補うためには、今後の運用に当たってはその方途を何らかの形で配慮をしてしかるべきだというふうにも考えておるところであります。その点で総理府ないし人事院の以上四点にわたる見解を求めて、私の質問を終わりたいと思います。
#93
○政府委員(山地進君) 第一点の全面的な再検討でございますが、私どもといたしましても、できるだけ広く意見を聞いてよりよいものにするという努力を重ねたいと思います。
 二番目の退手の代償機能は、人事院の方からお答えいただけると思います。
 それから三公五現と公務員とわたっているので、対象が広く多いから意見を十分聴取すべきであるということにつきましては、私どもとしても今後とも関係組合の御意見は十分聴取してまいりたいと思います。
 それから特昇制度その他の点につきましては、これは官民比較そのものの問題で結果的に出てくる問題でございまして、五十七年度の結果を見て、この特昇問題ということではございませんけれども、いろいろの制度という問題はいずれ考えなければいけないだろうと思います。
#94
○政府委員(長橋進君) 退職手当の調査の件につきましては、いろいろと御指摘いただきました問題点を参考にしながら、またみずからも努力し、総理府とも十分連絡し、関係者団体の意見も十分聞きながら今後改善の方向に向かって努力してまいりたいと思っております。
 それから特昇の問題につきましては、やはり一方において制度の合理化というものを前提としつつ職員の勤務条件というものを検討してまいりたい、このように考えております。
#95
○野田哲君 まず私は、総理府に対して少し苦言を呈しておきたいと思うんです。
 それは、私と片岡委員が今回のこの改正案について、そのもとになっている昭和五十二年における民間企業退職金等実態調査、この具体的な比較検討できる資料を提出をしてもらいたいということで強く前回要求をして、人事院の給与局からかなり詳細な資料の提出がありました。しかし、残念ながら最後の幕引きのときにこれが出されてきたということなんです。長い審議の中で、こういう資料が総理府においてもっと積極的に審議の資料に供するためにわれわれの要求に対して出されていればもっと充実した議論ができたはずなんです。だから、出せる資料は当初からもっと審議に積極的に資料として供するような努力をやってもらいたい。このことをまず苦言として申し上げておきたいと思うんです。
 そこで、資料が出ましたから、幾つがこの資料に基づいて人事院と総理府に伺いたいと思うんです。
 まず、このモデル値と実態という問題について人事院に伺いたいと思うんですが、昭和五十二年の調査と昭和四十六年の調査、この相違は、昭和四十六年の場合にはモデル退職金のみでやられていたと思うんです。今回の五十二年の場合にはモデルと実支給退職金の調査を行っておられる、ここに前回とちょっと違うところがあると思うんです。
 そこで、今回の法案についてはモデルではなくて実態値を基礎データにして行っているんだと、こういうふうに考えていいのかどうか。この点、これは総理府ですか人事院ですか、まず見解を伺いたいと思うんです。
#96
○政府委員(山地進君) まず、前回の四十六年にはモデルが主でございまして、今回は実額の比較ということで私どもはやったわけでございますが、モデルの場合というのは、まずモデルというのが一つの会社一つになるわけでございますが、それで一体何人ぐらい退職金の実績があるのかということについて定かでないわけでございます。それから加算金等もございますけれども、制度があるけれども、民間の制度というのは若干緩やかでございますから、実際に払われるのは一体どのくらいなのかということについても、モデルというのは何といいますか、こういう資料として使うときには若干不安定な要素があるというようなことがございますので、私どもとしては実額の比較をした方がいいんじゃないだろうか、特に中小企業等になりますと、モデルはあってもなかなか退職者の人たちが年限が長い人というのはいない、企業自体もかなり変動が激しいものでございますから、そういうことからいってモデルということはこういう場合にはなかなか安定性がないんじゃないだろうか、かように考えて実額の比較に踏み切ったわけでございます。
#97
○野田哲君 人事院に伺いたいと思うんですが、提供された資料によりますと、十一ページのモデル退職金、それから十三ページに実支給退職金、これが出ているわけですが、これはかなり差がある。人事院としてはこの差はどういうふうに見ているのか、要因はどこにあると考えておられるのか、その点を人事院から説明願いたいと思います。
#98
○政府委員(長橋進君) これは、モデル支給額と実支給額を調査しました場合に、なぜ実支給額を調査したか、踏み切った理由にも通ずることであろうかと思いますけれども、どれが何%どれが幾らということではございませんけれども、やはり実支給額の場合でございますと、企業のウエートといいますか効いてまいりますので、退職金等が整備されているというようなところは企業格差から申し上げて大企業が多うございますから、そういうものも効いてくるでしょうし、それからあとは加算金制度、そういったもの、つまり功労加算になりますと、これはとてもモデルではなかなか正確な調査はつかめませんということもございます。そういったようなものがやはり実支給額のときには効いてきておるというふうに理解をしております。
 その他、それのみではございません、ほかに要素はあると思いますけれども、大体そういうところが中心ではなかろうかと考えております。
#99
○野田哲君 モデルの退職金と実額との間には差がある、実態値をとる方がより正確だと、こういうことだと思うんですが、そこで往々にして、モデルで比較をして、そして公務員は高いんだというようなことがよく日経連などで資料が公開されて、何回かごの委員会でも取り上げられた経過があるんですが、特に日経連の生涯賃金論、これは典型的にモデルを比較をして、実態とは異なった比較を行っている。この関東経営者協会の調査が一つの例だと思うんですが、そこで、こういう比較のもとになっているモデルが全然根拠がないとは言わないわけですけれども、やはりモデルでは実態を正確に反映していない、こういうことがこの資料では言えると思うんですが、そういう理解でいいわけですね。
#100
○政府委員(長橋進君) モデルについてだけ申しましても、先日来いろいろ御議論がございますように、理論モデルをとるか実在者モデルをとるかということによって違いが出るわけでございますけれども、実支給額を調査するということとモデルをとるということになりますと、実態により近い水準ということから申しますと、やはり実在者について調査するということであろうと思います。
#101
○野田哲君 民間の大学卒業者と高校卒業者の退職金の比較の方法について伺いたいと思うんですが、この十三ページの表を見ていくと、十三ページ以降すっと表があるわけですが、大卒と高卒とではかなり差がある。特に民間の場合の大卒と高卒どの差は公務員以上に大きな差があるんじゃないかというふうにこの表では見受けられるわけです。たとえば十六ページですか、勤続三十五年で大卒は二千二百四十八万円、高卒は千六百八十三万円、五百六十五万円の差が出ている。で、高卒の場合との比較で、就業年数を四年見ても、三十九年で高卒の場合千八百四万円、やはり二千二首四十八万円との間には四百四十四万円の差が出てくる。こういうふうに、民間の場合の実態を見ると高卒者と大卒者の間には非常な差がある、これはどういうふうに考えればいいんですか。
#102
○政府委員(長橋進君) これはきわめて一般的な話でございますけれども、退職金の計算方法につきましては、基礎給、それから性別、勤続年数、学歴、そういったようなものをもとにして一つの指数を掛けているというのがいままでの一般的な傾向でございまして、したがいまして、民間の場合におきましてはやはりそういったこれまでのパターンといいますか、そういう退職金の計算についてのパターン、そのままそれが反映されたんではなかろうかというふうに考えております。ただ、将来は高学歴化傾向が進行いたしますとこれがどう変わっていくかということは予測はできませんけれども、いままでは大体パターンとしてはそういう傾向が反映されたんではなかろうかというふうに考えております。
#103
○野田哲君 総理府に伺いたいと思うんですが、今回のこのいま審議している法改正、これは高校卒を中心にして比較をされている。で、それによって八・三%の引き下げということになっているわけでありますけれども、この比較の方法について、高校卒と大学卒、これをミックスして加重平均、そういう形で官民比較を行うというやり方はできなかったのかどうか、この点を伺いたいと思うんです。
#104
○政府委員(山地進君) 大学卒の方々の定年退職者というものの民間の実態でございますけれども、今回のサンプル調査で見ますと、たとえば百人から五百人までの企業では大学卒という方の定年退職という方で二十五年から三十五年の間というのはゼロでございます。それから五百人から千人までの間でも非常に少ない。まあ大学卒の定年退職という方の民間における実態は大企業しかない。私どもとしては、やはり企業の規模に相当散らばっている層というものをつかまえて比較するということがいいのではないかと思いまして、大学卒というのは、今後もちろん検討すべきことだと思いますけれども、今回の調査に当たりましては大学卒を比較するということは適切でないんじゃないだろうかということで、高校卒だけで今回の法案の御審議をいただいているわけでございます。
#105
○野田哲君 また重ねて人事院に伺いたいと思うんですが、今回の審議を通じていろんな資料を検討して明らかになった点は、民間企業の場合には企業年金による傾向というものが非常にふえてきている。一時金と企業年金との併用、あるいは企業年金オンリー、こういうのもあって漸次企業年金の持つ比重というものが高まってくる、こういう傾向にあると思うんです。五十二年の調査でも、退職一時金と企業年金の併用が五四・八%ですか、こういうふうになっているわけです。この企業年金部分について、比較調査において一時金に取り込んで引き直して比較したんだと、こういうふうになっているわけですが、この企業年金を一時金に引き直すというやり方、現価方式というんですか、これは正確を期そうとすればどういうやり方をとっているわけなんですか。
#106
○政府委員(長橋進君) 年金現価の換算、利率が中心になるところではなかろうかと思いますけれども、今回の調査におきましてはいわゆる企業年金制度をとうているのが約六割ございまして、そのうち九割が選択一時金でとっておりまして、実際私ども個票に当たってまいりましたけれども、そのほとんどが選択一時金としてもらっておるという率が多うございます。したがいまして、全部ではございませんけれども、九割のうち一部が年金としてもらっているというような状況でございまして、そういう点から申しますと、企業の方で書き入れてくれた年金部分の金額、一時金に直した場合の金額、それから計算していただ。いた金額、それをそのままこちらの方で集計して、まず大体のところは間違いないだろうというふうに考えております。
 なお、念のために調査に当たりましては関係省庁に伺ってまいりましたけれども、いわゆる厚生省それから国税庁の資料も、大体利率としては五分五厘ということで行政指導をしておるようでございます。
#107
○野田哲君 最近の傾向として、いま現価方式についての説明がありましたが、やはり全体として企業年金が増加していく傾向にある。さらにまた民間の調査を見ると、加算金等いろいろ複雑な要素が複合した形で退職に対する制度ができてきているわけです。さらに早期退職優遇制度などというようなものも生まれつつあるということで、退職金のあり方が従前の通念のように一時的に退職するときに金をぼんと積むという単純な形ではなくなりつつある、このことがこの審議を通じて明らかになってきたと思うんです。
 このような傾向が拡大をしていく傾向にあるときに、一体現在、いままでやってきたような官民比較方式、ただ年金を現価方式だけで正確に把握することができるかどうか。近くまた再調査を行って再検討を行うというようなことも予定をされておりますので、特にその点からも一つの懸念が出てくるわけであります。
 そこで現行の退職一時金、これを中心にした退職手当の考え方と、もう一つは民間企業等の多様化する企業年金の方向、こういう民間のやり方と一律に並列して調査することで正しい把握ができるかどうか、ちょっとやはり疑問に思えるんじゃないかと思うんです。
 民間と公務員とにおいては、どうしても退職金や年金について公務員では民間に準拠できない制度の違い、たとえば加算金とか企業年金とかいうものは公務員の場合は準拠できないわけでありますから、今後の問題として調査の方法、それから民間準拠の一点張りではちょっと把握が正しくできない時代が来るんじゃないか、こういうふうに思うわけですが、しかし民間準拠というものを一つのたてまえにしている限りにおいては、この企業年金、年金化の方向というものを正しく把握していかなければ正しい措置がとれないんではないか、こういうふうに思いますので、その点についての特段の人事院における検討を要請をいたしたいと思うので、この点について最後に人事院の見解を伺っておきたいと思うんです。
#108
○政府委員(藤井貞夫君) いま御指摘になりましたことは全くそのとおりであるというふうに私も考えております。いま民間における退職手当制度というものは、企業年金というものが大変重要性を帯びてくるというようなことを中心として、大きく変動をいたしております。この変動の推移、状況というものを正確に把握いたしませんと、官民比較と申しましても、そこにはやはりいろいろな問題が出てくるということは明らかなように思われます。
 したがいまして、私たちもいまの状況の推移というものを見きわめながら、次の機会にはやっぱり退職手当の調査技法というものについては相当徹底した再検討を加えまして、いまやっておることよりもっといい精密な方法があるかないか、そういう点を含めて検討をすべき時期に来ておるのではないかという自覚を持っております。御指摘の点はごもっともでございますので、そういう方向に向かってわれわれとしてもひとつ積極的にこの問題に対応してまいりたい、かように考えております。
#109
○委員長(遠藤要君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#110
○委員長(遠藤要君) 速記を起こしてください。
 鈴木総理大臣が出席されましたので、質疑者のそれぞれの持ち時間の範囲内で発言を許します。
#111
○矢田部理君 きょうは、質問に先立って、総理及び法務大臣に御出席をいただきましたので、法務大臣のきわめて重大な発言について冒頭ただしておきたいと思います。
 去る十月二十八日の日に、ロッキード公判で、榎本前夫人が五億円の受領を認める趣旨の証言を東京地裁で行いました。これに対して、法務大臣が次のような発言をしたと伝えられています。個々の事件に深入りして発言するつもりはないし、検察当局も十分考えながらやっていることだと思うが、証人を呼ぶ場合には社会一般には支持を受けるような方法がよいと思う。検察当局は人の道をわきまえてやるべきで、人倫に反することはしない方がよいと。大変な発言であります。こういう発言をされたのかどうか、まず法務大臣に伺っておきたいと思います。
#112
○国務大臣(奥野誠亮君) けさ閣議がございまして、閣議後の記者会見で、私から閣議の模様などをお話しした後で、記者の方から、榎本前夫人を証人に呼んでいる、こういう問題についてどう考えるかというお尋ねがございました。それに対しまして私からは、検察庁のことについて批判はいたしません、同時にまた、事件の内容に干渉することもいたしません、こう申し上げまして、検察庁の一般的な姿勢を二つ挙げたわけであります。
 その一つは、検察庁の姿勢は国民から広く支えられるものでなければならない。これを突き詰めて言えば厳正公平ということになるのかもしれません。同時に、人の道に反しないように心がけていかなきゃならないと思いますよと、こう申し上げました。
 とかく、検察庁は冷たいところだと、こう言われます。それをあえて温かいところになろうとしますとまた間違いを起こすかもしれませんけれども、やはり人の道は外さないように心がけていく。私は常日ごろ、検察庁の姿勢としてはこの二つが大切じゃないかと思いますから、聞かれるところに従って私の平素考えているところを申し上げたわけであります。
 さらに加えて、また誤解を起こしちゃいけませんから、私は今度の問題について批判をしているわけじゃないんですよ、一般論として申し上げているんですよということを繰り返し注釈を加えたわけでございました。
#113
○矢田部理君 おおむね発言の趣旨を認められました。
 なるほど、前置きを置いて、個々の事件について言うわけではないと弁解をしながらも、質問の趣旨とあなたの発言をあわせて考えれば、榎本前夫人を東京地裁に証人喚問をしたこと、あるいはそれを請求した検察当局に対して干渉、介入をしていると受け取られてもいたし方ないような発言の内容になっています。検察当局は人道をわきまえてやるべきで、人倫に反することはしない方がいいと。離婚された前夫人を証人として請求すること、あるいは裁判所としてそれを決定することがあたかも人倫の道に反している、こういう重大な発言をされているわけであります。
 裁判は独立です。法務大臣がこれに容喙すべきでないことはもとより、検察についても、全体としての指揮はあるかもしれませんけれども、個々の事件に関連して発言すべきは厳に慎むべきことであることは改めて指摘するまでもありません。ところが、もともとの質問が、ロッキード裁判で榎本前夫人が出廷し、五億円の授受を認める証言をしたこと、それについての感想を聞かれているわけであります。それとあわせてこれを考えるならば、あなたのやった言動は事実上の指揮権発動にも似た内容になっているわけでありまして、きわめて重大であります。
 この点について鈴木総理は、地行委員会で、まだ法務大臣から発言の内容を確かめていないのでしかるべき答弁ができない、確かめさせてほしいということを繰り返し答弁をされたようでありますが、いま、法務大臣のお話と私の質疑の内容を受けとめて、どういうふうにお考えでしょうか。
#114
○国務大臣(鈴木善幸君) いま、初めて奥野法務大臣から記者会見における発言の要旨をお聞きをいたしました。また、御質問の御趣旨も伺ったわけでございます。
 私は、法務大臣が、いろんな条件や前提を置いて非常に直接的に問題に介入するというようなことを避けてのお話をされておるように伺うわけでございまして、私は、法務大臣が、この現に行われておる裁判に介入をしようとか、これをある方向に誘導しようとか、そういう気持ちのないことは、私もいまの発言からそのとおりに受けとめておるわけでございます。ただ、裁判が進行中の問題に関連をされて質問されておるというような状況等からいたしまして誤解を与えたのではないかと、このように思うわけでございまして、この点は十分今後においても言動を慎重にしなければならないものと、このように考えるわけでございます。
#115
○矢田部理君 慎重さを欠いた、誤解を受けるような発言であったという御認識のように承りますけれども、どうも私が受けとめた内容は、それを超えて、言うならば検察庁の証人申請が人倫に反している、道をわきまえていない、こういうことを述べられたんじゃありませんか。それだけでなくて、この証人は検察庁の申請に係るものでありますが、同時に、裁判所の決定によって喚問したものであります。単に検察に対する事実上の指揮権発動というだけでなしに、司法の独立に対してもやっぱりくちばしを入れるきわめて重大な発言と見ざるを得ないわけでありまして、その点、言葉の行き違いがあった、単なる誤解だと、慎重さを欠いて軽率であったという質を超えているのではないでしょうか。
 それは、前後の弁解が非常に大きいと、個々の事件には深入りするつもりはない、一般的な見解だということを強調すること自体が、かえって問題の本質を明確に浮き彫りにしているように思えてならないわけでありまして、奥野大臣、発言の内容とあわせてこの発言の結果や響きについてどう考えているか、もう一度答弁を求めます。
#116
○国務大臣(奥野誠亮君) せっかくのお尋ねでありましても答えないというのも一つかもしれませんけれども、私は常日ごろなるだけ率直にお答えをしておった方がいいと、こう思っておりますし、また、私は検察庁の姿勢はどうあるべきかということについては責任を持っている者でもございますので、常日ごろいま申し上げましたようなことを考えておるものでございますので、誤解を与えないように私なりに注意しながら二点を挙げたわけでございました。
 しかし、いま総理からもお話がございますので、それはいろいろな見方があるわけでございまするので、今後も一層慎重に言葉を慎んでいかなきゃならないと思っております。
#117
○矢田部理君 総理、奥野法務大臣の発言は、もう就任以来、再三にわたって単なる誤解を超えてきわめて政治的意図を持った発言がずっと続いてきておるわけです。前科を重ねているわけでありまして、その点でいまの発言も、いま程度の反省、いま程度の対応では私どもは断じて許すわけにいかぬ、やっぱり厳正にこの問題に対しては処置をすべきだというふうに考えますが、再度総理の見解を求めたいと思います。
#118
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま法務大臣から重ねて自分の発言の真意というものについて述べられたところでございます。私は、決して司法に介入をしたり影響力を及ぼしたり、そういうような気持ちは全然なかったということをそのとおりに私も受けとめておるわけでございます。しかし、今後におきまして政治の場における者、そしてそういう立場にある者はとかくいろいろ誤解を受けるようなことがありがちでございますので、十分私どもは相ともに反省をし、慎重に言動もしなければいけない、このように自分を含めて反省をいたしておるところでございます。
#119
○矢田部理君 きょうのところは問題を指摘し、十分にやっぱり責任をとってほしいという希望を述べて、一応次の質問に入っていきたいと思います。したがって法務大臣結構です。
 そこで引き続き総理にお尋ねをしたいと思いますが、仲裁裁定が完全に実施される、こういう方向が明らかになりました。引き続き人事院勧告問題が政治の焦点の重要な一つになってきているわけでありますが、どうも仲裁裁定や人事院勧告の取り扱いが余りにも政治の道具にされ過ぎていはしないのかという感を深めざるを得ないのであります。たとえば、朝日の社説をちょっと私はメモ書きしてきたのでありますが、「政府・自民党の抑制論は、財政事情を理由にした政治的思惑が強すぎはしないか。将来の労使関係への視点と、労働基本権の制約という制度上の問題点への配慮に乏しく、政治的争点にしすぎている。」高級官僚はともかくとして、「一般職公務員にまで完全実施のルールをくずすことは妥当だろうか。」と、この問題の扱いや対応について重大な疑問を実は投げかけています。
 事実として、仲裁裁定や人事院勧告を行革特別法の仕上がりぐあいや公務員二法の成立問題とバーターしようという動きは、政治を、あるいは政治の基本をゆがめるものではないだろうかというふうに私自身受けとめているわけであります。人事院勧告や仲裁裁定という制度本来の趣旨、その重み、生活権保障という視点に立ち長年にわたり確立してきた完全実施の方針は、財政上の事情が苦しくても使用者としてその実現にあらゆる努力をするというのが政府の責任ではないのであろうかと、今後この種問題を政治の駆け引きの材料にしたり、断じて政争の具にしてならないというふうに私自身考えているわけでありますが、まず総理のこの問題についての御見解を承っておきたいと思います。
#120
○国務大臣(鈴木善幸君) この人事院勧告あるいは裁定の実施の問題、この問題と行革関連法案あるいはその他の公務員二法、そういうものは本来独自の立場に立って審議さるべき問題でございます。でございますから、政府といたしましては、こういうものを政治の取引の具に供するなどというそういう不謹慎なことは毛頭考えておりません。この点は明確に申し上げておきます。
#121
○矢田部理君 労働者の賃金というものをどういうふうに考えるかということについて私なりの受けとめ方を少しく述べてみたいと思うんでありますが、本来、労働者の賃金というのは他に優先して支払うべきであるという原則が、言うならば労働法制の形成以前に日本でも確立してきております。たとえば民法等に規定をされております賃金の先取り特権という規定がございます。これは使用者がどんなに経営事情が苦しくても他の債務に優先して支払わなければならない。先取り特権があるということが民法上も明記をされております。言うならば労働法制以前の問題点であります。労働契約論から見ましても、四月一日以降は労務の提供は求めるけれども、その対価としての賃金は決めない。いかにもこれはやっぱりひど過ぎるという感じがしているわけでありまして、契約の初歩的な問題ですらあるというふうに思うわけでありますが、その点について総理として賃金の問題をいかがお考えなのか、所信をいただきたいと思います。
#122
○国務大臣(鈴木善幸君) 政府におきましても、公務員の給与の問題、これは人事院の勧告でもございますし、非常に重大に受けとめております。したがいまして、給与関係閣僚会議を二度にわたって開きまして、真剣に誠意を持ってあらゆる角度からいま検討を続けておるところでございます。
 一方において、国の財政事情も想像以上に苦しい状況にございます。私は、きのうも大蔵当局から、今年度のその後における税収の推移、今後の見通し等につきまして報告を受けたところでございますが、相当、予定の税収額から見まして大変な落ち込みの現状にございます。もう少し、十一月の下旬等になりませんとそのめども立たないような現況でございます。
 しかし政府としては、いま矢田部さんがおっしゃったように公務員の給与、人事院勧告、これは非常に重大なことでございますから、私どもはそういう厳しい中におきましても何とかこれをできないかということで誠意を持って検討を進めておると、こういう状況にございます。
#123
○矢田部理君 いま総理も触れられましたように、どうも財政事情に重きを置き過ぎていはしないのか、大蔵当局の意向に振り回されていはしないのか、ここで時期も大分秋深くなってきたわけでありますから、総理の指導性なり決断を発揮すべきときが来ているのではないかというふうに私は思うわけでありますが、経過的に見ましても、たとえばことしの予算編成であります。政府は毎年度予算編成の際には歳入見積もりを行います。その際に全勤労者の所得の伸び率を、本年の場合にはこれを七・一%と見込んできました。にもかかわらず、公務員給与改定の財源はわずかに一%しか計上しなかった。一%などという数値でこれが賄えるものでないことは、もうだれの目にも実は明らかなんです。従来は六九年以来ずっと五%程度見込んできたわけでありますが、こんな数値を実は最初にしたことがそもそも問題の発端ではなかったのか。その点で財政当局の見解に政府全体がおもね過ぎている感じがしないではないわけでありますが、この点、総理としてどうお考えでしょうか。
#124
○国務大臣(鈴木善幸君) 五十六年度予算編成当時にさかのぼっての御叱正でございますが、御承知のように、五十六年度予算から五十九年度までの間に特例公債、赤字公債からの脱却を図りたい。こういうようなことで、昭和三十一年以来かつてないことでございますが、実質四・三%の伸び率、そして一方におきましてなお法人税、酒税その他一兆四千億の増税も国民の皆さんにお願いをする、こういうようなことをいたしまして特例公債二兆円の発行減額を行ったわけでございます。
 そういうような厳しい予算であったわけでございまして、やむを得ざることであった、こう思っておりますが、しかしそれはそれといたしまして、先ほど来申し上げますように、人事院からああいう勧告が出ております。したがいまして、政府としてはいかにしてこれを実施するかということで誠意を持ち、最善を尽くしておるというのが現在の政府の立場でございます。
#125
○矢田部理君 私は、この問題は繰り返しませんけれども、少なくとも当初予算で一%程度の計上ということは問題を軽く扱い過ぎているというふうに受けとめています。従来とってきた、せめて五%程度は当初予算にもやっぱり計上するような方向を今後総理としてもぜひとってほしいという要請をして、次の質問に入りたいと思いますが、この点はいまも総理が触れられましたように、最高裁の判決があります。人事院の代償機能としての役割りを評価をしておる。とりわけ、本筋ではありませんけれども、またそれに私は直ちに従うわけでもありませんけれども、労働基本権制限が合憲性を持つと。その根拠として、公務員は法律によりその重要な勤務条件が定められ、身分保障がなされているほか適切な代償措置が講じられている。このことを基本権制限の合理的な根拠づけ、重要な理由の一つとしているということから見ましても、人事院の代償機能の重み、人事院勧告の重大さをやっぱり認識してしかるべきだと思います。
 同時にまた、政府自身が、御承知のようにILO等に対してこの見解をすでに再三にわたって表明をしているわけであります。ここに七三年の結社の自由委員会における日本政府の総括意見が簡単にメモをしてありますが、「争議行為の禁止に見合う必要な代償措置は完全である。」と、こういうことを国際的にも正式見解として政府は実は述べているわけでありまして、こういう最高裁の見解や政府の対国際関係における正式発言から見ても、完全実施はどんなに無理をしてもやっぱりやらなきゃならぬというのが政治的決断だと私は思うわけであります。
 人事院勧告問題の最後の質問になりますが、そういう立場に立って問題を考えたときに、総務長官や座長の宮澤官房長官等にもおいでいただいて、再三にわたって当委員会ではこの問題が議論をされておりますし、同時にまた、退職金計算の基礎としても賃金は確定をしなきゃならぬ、こういう立場で問題を指摘をしているわけでありますが、いまだに時期的なめどさえも明らかにしない。少なくとも今国会に処理するというようなことも含めて時期的なめどづけ、内容をどうするのかということについて、総理からひとつ意のあるところをお答えいただきたいというふうに思います。
#126
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほども申し上げましたように、せっかく政府としても努力中でございます。税収その他、やはりこれを実施いたします場合におきましては、その財源の裏づけにつきましてもはっきりした裏づけをしなければなりません。そういうようなことから、もう少し時間をおかしをいただきたい、こう思うわけでございます。
#127
○矢田部理君 できるだけ速やかにとか、もう少しとかというのは、実は当委員会が始まった今国会当初のころから言ってこられたことなのです。そのめどづけぐらいは、少なくとも総理でありますからこの段階で明らかにしてもいいのではないでしょうか。その点、重ねて伺いたいのですが。
#128
○国務大臣(鈴木善幸君) 財政のめど、これは十一月の下旬、終わりころにはどうしても出すようにということを私からきのう財政当局にも指示してございます。そういう諸般の条件を踏まえながら、できるだけ早く判断を下したい、こう思っています。
#129
○野田哲君 関連して、総理に伺いたいと思いますが、ただいまの総理の御見解で十一月の末ごろにはと、こういう総理の発言で一つの時期のめどがほぼ立ったと思うので、私からもこれは要望しておきたいと思いますが、公務員諸君もそれぞれ生活のやりくりを年末にはやっているわけでありまして、特に最近の公務員諸君の、高級公務員はともかくとして一般の大多数の公務員は、たとえば借金をして家を買ったとか、あるいは地方ではもう公務員諸君も車は勤務する上では不可欠の条件になっているような状態でありますが、車のローンとかそういうそれぞれの支払いに対して、年末手当やそれから人事院勧告に基づいての差額の清算が年末までには行われるということで、それを予定をしたローンの支払い契約になっている実情も非常に多いわけであります。
 そういう実情にある公務員諸君が、年末になって予定どおりの車の支払いができないということで車を返したり、あるいは大型家具の支払いができないということでこれがキャンセルされたり、こういうことにならないように、これは年末までには差額清算ができる、こういうことでひとつぜひ進めていただきたい、このことを先ほどの総理の御答弁に対して重ねて要望をしておきたいと思います。
 続いて、今回の議題になっている退職手当の問題について、これは担当大臣だけではなくて、政府全体として取り組むべきではないかと思われる課題が幾つかありますので、その点についてこの審議の中で明らかになった点を申し上げて今後の政府としての対処を要望しておきたいし、総理の見解を伺っておきたいと思うんです。
 まず第一は、今回の退職手当法、減額措置の審議の中で明らかになった点は、一つは退職手当というものが一体どういう性格のものであるのか、一定期間勤務した者に対する報償的な恩恵的なものであるのか、あるいは賃金の後払い的な性格、労働者の債権的な性格、こういう性格のものであるのか、この点が非常にあいまいであります。
 現行の退職手当の制度を見るとかなり報償的な色彩が強い。しかし労働省の、この問題、民間における退職手当の労働債権等の問題についての取り扱いから言えば、やはり賃金の後払い的な面の性格が非常に強い。こういう点からして、民間に準拠して上げたり下げたりするということでありますから、それならばこの退職手当というものの性格についても、やはり民間の労働者に対する退職手当について労働省が見解を通達等で明らかにしている、あるいは裁判等の例もあるわけでありますから、性格についても民間に準拠して、賃金の後払い的性格に統一をして制度の整合性を図っていく、その方向がぜひ私は必要ではないか、こういうふうに感じているところであります。総理のこの点についての今後の見解を承っておきたいと思います。
#130
○政府委員(山地進君) この委員会でいろいろ御説が出ていたのは、いま委員から御指摘のあったとおりでございますが、私どもとしては、現在、室井先生あたりはこういった三つの性格を持っている、生活保障の面も持っているという御説でございまして、その説自体がまた問題であるわけでございますが、私どもとしては、現在の退職手当法の一貫して流れている性格は勤続報償的なものであるというふうに理解しておるわけでございます。
#131
○野田哲君 その点を私は、この審議の中で問題になっている点でありますから、今後検討してもらいたい、こういう点を指摘をしているんです。
 もう一つは、この退職手当法の審議の中で問題になった点として、もともと給与制度の違う裁判官と一般の公務員、それから労働法の適用の異なる三公社五現業、こういうふうな、裁判官の給与法の適用を受ける裁判官、それから一般職の国家公務員の給与法の適用を受ける一般の公務員、そして公労法の適用を受ける三公社五現業、それぞれ制度の異なったものについて一括して一本の法律で取り扱っていく、これはやはり制度上非常に無理があるんじゃないかという点を審議の過程で私どもは感じているわけであります。
 近くまた、これは再検討ということも、人事院は人事院としてあるいは政府は政府として言っているわけでありますから、ここはやはりそういう点についてそれぞれの、裁判官は裁判官、公務員は公務員、三公社五現業は三公社五現業、こういう形でそれぞれ制度や法律の適用に応じた形で、三公社五現業については労使の交渉事項にする、あるいはまた一般の公務員についても、基本的には労使の交渉事項にするが、しかし当面の公務員法のもとでは人事院の取り扱い、勧告事項にするとか、こういうふうにそれぞれ適用されている基本の法律や労働法、給与法に応じた形で制度を整合性のある形に整えるべきじゃないか、こういうふうに考えるわけでありますけれども、この点についての見解を伺っておきたいと思います。
#132
○国務大臣(中山太郎君) 先生御指摘の点は、その御指摘のとおり、現行の退職手当法は戦前からの諸事情がございます。それに基づいて今日まで運用されてきておりますが、六十年度に際しての見直しの際に、いまの御議論あるいは問題点等を踏まえまして、このような事情も踏まえて各方面の御意見も聞きながら対処してまいりたいと、このように考えております。
#133
○山崎昇君 関連して二、三点総理に申し上げておきたいと思うんですが、いま野田委員から退職手当の性格についての意見がありました。しかし、これはきのうの議論の中で最高裁の判決、労働省の労働基準法に対する解釈、人事院によります解釈等々を参考にしまして私どもが意見一致したと思っておりますのは、勤続報償的な性格もありますけれども、退職手当は労働に対する対価である、これは。労働基準法第十一条に言う賃金であるという点はほぼ明確になった点であります。そこで、この点から関連をしまして、当然団体交渉事項になるわけでありますから、今回のように人事院の調査だけで一方的に法律を提案されるというやり方に対してはとうてい納得できない。したがって、今後再検討も結構でありますが、最終的にいまの制度では法定主義をとっておりますから法律として確定しなきゃなりませんけれども、それに至りますまでの間、十分団体交渉事項としてこれは組合側と交渉して、そして意見が一致したもので提案をしてくる、そういうシステムというものをきちんとしてもらいたいというのが第一点です。
 それから第二点は、これも私も指摘した事項でありますが、今度の改正案でまいりますというと、実は同一の人間がいまやめるのと来年の四片一日でやめるのとではかなりな差が出てまいりまして、八・三%の減額では終わりません。私は、これ指摘したわけでありますが、来年の四月一日でやめたら同一人間は八・四%の減額になります。言うならば民間水準を下回るんです。そして、百分の百十になる昭和五十九年の一月一日になりますと一二・四%ぐらいの減額になります。明らかに民間より相当低下するということは、もはやこれは予見をされている点でございまして、そういう意味では今度のこの法律の出し方というのはきわめて私ども遺憾だという点を第二として指摘をしておきたいと思うんです。
 それから、第三点として指摘をしておきたいと思いますのは、これも人事院のある研究者の研究でもありますけれども、一体退職手当というのはどういうふうに使われているんだろうか、やめた公務員というのはどういう暮らし向きをやっているんだろうかという一つの研究がありました。これも私はこの委員会で指摘をしたわけでありますが、政府の出しました実はモデル、三十五年勤続でこれは千八百三十七万円という数字が出されたんです。ところが、この研究者の研究によりますというと、どういうことに大体退職手当が使われるかといえば、住居関係が三〇・五%、貯金や生活費に充てるものが約四九%、その他多少の問題ございますが、それらを考えますというと、老後の退職後の生活の補給金としてこの退職手当が使われる、これが大半なんですね。
 そういう意味で言うと、退職手当を減額するということは老後の生活を保障するという一つの退職手当の性格がぼけてくる、そういう点は明確に私はしておかなきゃならぬと思うんです。特に金額的に申せば、あの逓信委員会等で郵便年金が議論されたときに、一応のめどとして老夫婦二人の生活は十六万円程度と答弁されています。また、総理府の統計によりますというと、七十歳程度の老夫婦の生活が十七万円という。では、いま公務員の実態はどうなっているかというと、共済組合法でもらいます年金は、平均でありますけれども、年額百五十六万、月額にして十三万程度にしかなりません。したがって、これは三十二年在職で平均年齢六十・一歳、言うならば、そういうことを考えますというとこれでは生活できませんから、当然退職手当をそれに充当しなければならぬわけです。
 また、私はこれもこの間申し上げましたけれども、日本人事行政研究所というのがありまして、ここでいま高齢者の再就職についていろいろ検討されています。これを見ますというと、大体厚生年金も含めまして二十万というのが相場だと言われております。そういう点を考えるというと、この退職手当というものは減額すべき筋合いのものではない。
 そういう点等々を私ども具体的にいま指摘したわけなんですが、どうかひとつ総理、そういういま公務員の現況にある。ただ官民の格差是正だけで一方的に労働者の見解あるいは同意を得ないままに、法定主義だというんで法律で規制するというやり方は改めてもらいたい。この点だけは、私は繰り返しここで質問した一人でありますけれども、せっかく総理が御出席でありますから、五十七年は五年目でありまして、人事院は民間の調査を行います。あるいはまた、六十年めどに再検討ということもございます。いずれにいたしましても、退職手当の重要性というのは老後の生活保障的性格を持っているわけでありますから、そういう点を十分ひとつ総理に私から申し上げておきますので、総理としても十分これは御検討願っておいていただきたい。これについて総理から決意を述べていただければ幸いだと思うんです。
#134
○国務大臣(鈴木善幸君) 公務員諸君の生活につきましてのいま具体的な計数等を挙げて御説明がございましたが、私も、公務員の方々が退職金並びに共済年金の制度、そういうようなものによって退職後の生活を守っていこうと、こういうことでございますから、この退職金制度のあり方ということにつきましては十分その重要性を考えて、今後の六十年の見直しの際におきましてはあらゆる角度から検討を進めてまいりたいと、こう思っております。
#135
○山崎昇君 最後に、先ほど矢田部委員からもまた野田委員からも人事院勧告の実施について要望がありました。私からも、もうこれで終わりでありますが、重ねて申し上げておきたいと思いますのは、たとえ春闘で民間の諸君が低いアップ率でありましても、四月から新賃金でもう生活がやられておる。また、大変おくれましたけれども、きょう恐らく仲裁裁定についてはこの参議院の委員会でもあるいは本会議でも議決になるのではないか。言うならば労使間の交渉に入っていき、遅かったといえども仲裁裁定に関する公労協の諸君もまた新しい賃金に向かって動き出してまいりました。残されましたのは、司法、検察等々も含めまして一般の公務員諸君だけが取り残されております。これは私はやっぱりゆゆしい問題であって、一日も早くこれは解決しなければなりません。
 また反面、臨調等で言っております公務の能率という点から考えてみましても、一般公務員だけ毎日本満で、毎日一体どうなるのかというこういう職場にしておいて公務の能率を上げろと言うことは、私は不当ではないかと思う。そういう意味では、先ほど十一月の末がめどというお話でございましたけれども、どうぞひとつこの臨時国会中にこれらの諸君の不安を除いて、そしてやはり世間並みの賃金で生活ができるような仕組みに総理の決断というものを私は促しておきたい、こう思うんですが、重ねてひとつ総理の意見を聞いて、社会党としての質問を終えておきたいと思うんです。
#136
○国務大臣(鈴木善幸君) お三人の御質問、十分拝聴いたしました。政府としてもできるだけ誠意を持って努力してまいりたいと思います。
    ―――――――――――――
#137
○委員長(遠藤要君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、片岡勝治君が委員を辞任され、その補欠として高杉廸忠君が選任されました。
    ―――――――――――――
#138
○中尾辰義君 総理にお伺いしますが、きょうの新聞報道によりますと、鈴木総理は、今後の財政運営に関連して、臨時行政調査会に対して、一つは財政再建期間中は大型間接税を導入するような大規模な新税の創設はしないと。二つ目は、来年の夏の答申の中で五十八年度予算案編成にかかわる歳出歳入策に触れても差し支えない、こういうような意向が伝えられていることが明らかになった。これは朝日新聞ですが、そういうような記事が出ておるわけです。
 そこで、お伺いしますけれども、先国会あるいは今国会におきまして、いままで国会における総理の答弁の中で、昭和五十八年度以降財政再建中は財政運営方針については増税なしともあるとも明確な態度は表明をされてなかった。ところが、国会の場を差しおいて、この新聞にあるように、臨調にこのような内容を伝えられる事態はまことに私どもとしては遺憾に思うわけですが、財政再建期間中は増税を行わないのかどうか、この点、総理に確認をしておきます。
#139
○国務大臣(鈴木善幸君) 新聞の報道につきましては私責任を持つわけにまいりませんが、また臨調の首脳部に対して私最近お会いしてもおりません。
 ただ、今後の財政の再建についての基本的な私の考えでございますが、どうしても五十九年度までに特例公債依存の現在の脆弱な財政体質というものを改善をしたい、脱却をしたい、このように考えております。それを進めるに当たりましては、道は大きく分けまして二つあるわけでございます。一つは相当大型の、大衆の皆さんの御負担を願うような大型増税、そういうところに財源を求めて特例公債からの脱却を図ると。第二の道は、今日まで高度経済成長時代に肥大化してまいりましたところの行財政を思い切ってこの際縮減合理化を図りまして、それによって財政の再建を図ると、道は二つしかないと。私は後者を選ぼうと、こういうことを決意をいたしまして、五十七年度予算におきましてもゼロシーリングを設定をし、また臨調に対しましても五十七年度予算に生かすべき当面の対策について中間答申を求めて、それを法案として国会に御審議をいただいておる、こういうことでございます。
 五十八年度以降におきましても、私は、納税者である国民の皆さんの立場というものを考えて、できるだけ国民の皆さんに御負担をかけないように、また御負担を願ったところの原資につきましては、これをむだのないように効率的に使う、そして行政サービスもできるだけ落とさないようにしていきたい、こういう形で財政再建をしたい、これが私の基本的な考え方でございます。
 したがいまして、新聞に報道されたことにつきましては私は責任は持ちませんけれども、基本的に私はそのように考えておるということを申し上げておきます。
#140
○中尾辰義君 基本的に考えているということは、再度お伺いしますけれども、財政再建期間中は増税をしないと、こういうことでございますか。
#141
○国務大臣(鈴木善幸君) いま、納税者の立場に立ちまして、私はそういう心構えで財政再建を今後も続けていこうと、こういうことでございます。
#142
○中尾辰義君 そういう心構えでということでございますから、増税はないものと思います。またあってはならない。増税をしないために行政改革をやるわけでして、増税をしながら行革、これでは余り意味がないわけでございますから、その点は増税なきものと理解しておきますが。
 そこで、これはくどいようですが、いま新聞報道については責任は持てぬというようなことでございますけれども、この五十七年度の予算編成にかかわる歳入歳出についての臨調への答申をお願いしたと。ところが、新聞報道によりますと、五十八年度の予算編成についても、これにかかわる歳入歳出策について答申をお願いするということをしたと、こういうように出ておりますが、これも責任が持てないかもしれませんが、確認の意味で言いますけれども、こういうことを臨調に対して答申を求めておりまして、これは臨調設置法のもう枠を超えて、内閣の政策決定そのものを左右する機関となってくるような感じがするわけでございまして、どっちかと言いますと、政府あるいは国会の委員会が果たすべき役割りを実質的に代行することになりはしないかと、そういうように思うんですが、いかがですか。
#143
○国務大臣(鈴木善幸君) 臨調は、もうここで申し上げるまでもなしに、国会の御承認を得て法律に基づいて設置をした諮問機関でございます。この中には、その答申は、政府はこれを尊重をするということがうたわれておるわけでございます。しかし、あくまでそれは諮問機関でございますから、政府におきましては、その答申を政府の責任においてそれに必要な制度の改善をするあるいは立法化をする、そういうことをいたしまして、国会の今度は御審議を経て初めてそれが実現をすると、こういうことでございまして、国会や政府の上に臨調が存在するものでもないということはきわめて明確なことでございます。あくまで政府の責任において国会に対して提案をし、国会の御審議を求めて、これを国民に対して責任を果たしていくと、こういう立場でございます。
#144
○中尾辰義君 それから総理、これは当委員会でも同僚委員からも質問があって指摘されたんですけれども、重大な働きをしている臨調の会議録ですね、これが全然国民には知らされていないわけでございまして、これは会議録自体、私たち国会にも当然これを明らかにすべきものじゃなかろうかと思いますが、いかがでしょうか。
#145
○政府委員(山本貞雄君) お答えいたします。
 臨調もやはりただいま総理が申されましたように諮問機関の一つでございまして、各委員が自由で公正な意見を申し述べるためには、これは非公開とするのが適当であるということでございます。したがいまして、議事録もその一環でございまして、これは非公開とさしていただいておる次第でございます。
#146
○中尾辰義君 時間がありませんから、それでは次にいきます。
 防衛庁の中央指揮所について、これに関連してお伺いしますが、鈴木総理は自衛隊の最高指揮官であられるわけですが、当然、現在中央指揮所が建設中であることは御承知だろうと思います。この中央指揮所は、陸上自衛隊の通信連絡網である防衛マイクロ回線、横須賀にある自衛艦隊司令部を中心とした自衛艦隊指揮支援、航空自衛隊のバッジシステムとを連結させることによって情報の収集、提供及び命令の伝達を一元的に行うことを目的としたものであろうと思います。いま建設中というのは、場所は、これは防衛庁の檜町の敷地内に九十億円で地上二階、地下三階の建物ができるそうでございますが、これは当然最高指揮権を有する総理官邸ともホットラインを結ばれることとなると思いますので、この中央指揮所の果たす役割りは、自衛隊の命令系統の中枢をなすものと思われるわけであります。
 そこでお伺いしたいのは、この中央指揮所の自衛隊法上の位置づけ、これはどういうようになっておるのか、その辺のところをちょっとお伺いしたいと思います。
#147
○政府委員(塩田章君) いま御指摘がございましたようなバッジでありますとかSFシステムでありますとかマイクロ回線等々は当然つなぐつもりでおりますが、自衛隊法上の位置づけと言われます点につきましては、私どもは、この中央指摘所は、いま御指摘のように長官が一元的な指揮運用ができる、情報の収集ができるということを目標にしてつくっておるわけでございますが、新しく組織というようなものをつくる意味ではございませんで、あくまでも建物並びにその建物に設置されましたいま申し上げたようないろんな通信機能、こういうものをつくるということで、自衛隊としての別な機関をつくるという意味ではございません。そういう意味で、新しく自衛隊法上何らかの位置づけをした機関にするというつもりは現在のところございません。
#148
○中尾辰義君 これは、もうひとつ明確な答弁でないんですが、いままでの防衛庁の答弁は、自衛隊法の改正の必要もない、こういう答弁があったんですが、これはなぜ必要でないのか、私どもは理解に苦しむ。中央指揮所をあなたがいまおっしゃったように単なる施設として考えられているからではないかと私ども思うんです。その果たすべき役割りから見て、これは統幕権限の結びつきからも、どうしても自衛隊法を改正して中央指揮所の位置づけというものを明確にすべきだろうと思いますが、総理の中央指揮所に対する認識はどうなっておるのか。ただ施設なのか、その辺をもうちょっと明確にする必要があると思うんですが、いかがでしょう。
#149
○政府委員(塩田章君) 私ども、単なる施設という言い方は適当かどうかわかりませんけれども、この中央指揮所の機能そのものは、いま申し上げましたような施設面での機能を持っておるわけでございまして、新しく一定の権限を持ったそこに一つの組織をつくるというものではございません。
 いま御指摘の、こういうものができれば統合幕僚会議の機能といったようなこととどう結びつけるか考える必要があるではないかという点につきましては、これは私どもは、中央指揮所をつくるかつくらないかに関係なく、防衛研究におきまして統幕会議の議長の長官に対する補佐のあり方等を含めた研究はせにゃいかぬと思って有事法制の検討項目の中で入れておるわけでございますけれども、そのことと、今度こういった施設としての中央指揮所ができることとは、一応私どもは別個のことであって、それは統幕会議議長の補佐権限のあり方の問題とは別個に検討いたしますが、中央指揮所をつくることによって法律を改正する必要は、少なくともいまの時点では私どもはないんではないかというふうに考えております。
#150
○中尾辰義君 また後でお伺いしますことにして、時間がありませんので。
 人事院勧告についても、公明党としてもこれは全面的に支持をしてはおりますので一言だけお伺いするんですが、一番遺憾なことは、先ほどからるる質問がございましたように、もう勧告が出てから三ヵ月になっておる、年末も近い。そこで、一番よくないことは、政府の態度が、どうも決めないで、国対の道具にされておる。行政改革一括法案を政治的に駆け引きの道具にしておる。そういうことが見え隠れしておるわけです。総理は、そういうことはございません、こうおっしゃっておるんですけれども、実際は、これはわれわれも長年国会におるんですから、国対の動き等を見てみても、国対は国対であって政府ではないとおっしゃるかしれませんが、自民党と政府は一体のものですから、われわれとしては非常にこれは残念に思うわけです。
 それで総理、私は何も総理に説教をしようとは思いませんが、これは労働基本権の代償としてあるわけですから、いつごろこの完全実施をされるのか。先ほど十一月というようなお話がありましたけれども、この込もうひとつ余り明確でなかったようですが、十一月の末ごろにはめどがつくんですか、いつごろになるのか、この辺再度確認しておきます。
#151
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど社会党の三委員の先生方に申し上げたと同じでございますが、政府としては、この問題につきましては給与関係閣僚会議を再々開きまして、何とかこの人事院勧告というものを円満に実施をし、そして良好な労使関係というものを壊さないようにしていきたい、こういうような観点から誠意を持って努力をいたしてきておるところでございます。
 ただ、想像以上に国の財政事情が厳しい、税収の落ち込みが非常に明らかである、こういうようなことから、きのうも私、大蔵大臣ほか財政当局を呼びまして、その報告を受けますと同時に、督励もいたしたところでございます。十一月の下旬ころには何とかその見通しが報告ができると、こういうことでございますから、それを踏まえましてできるだけ早くこの人勧の実施についての結論を出したい、このように考えておるところでございます。
#152
○中尾辰義君 それでは、十一月の末ごろ財政事情の見通しがつくからそれをめどにして努力したいと、こういうことで理解してよろしいですか……。
 それでは最後に一問だけ。これはいままでも議論されたんですが、せっかく総理がおいでになったから。
 退職手当制度の見直しのことでございますが、本法案の中には、退職手当の基準などについて昭和六十年度まで再検討を行うべしとの再検討条項が盛られておるわけでありますが、これは退職手当の基準のみでなく、現行の退職手当制度全体にわたって再検討すべきじゃないかと、こういうふうに思っております。
 それで、この退職手当法の中にはいろんな問題点があるわけです。一つは、上の方は総理大臣それから国務大臣、あるいは国会の承認人事となっているいわゆる政務官的な職にある特別職それから一般職の職員、さらに裁判官、外交官、それから完全な労働協約締約権を持つ三公社の職員それから五現業の職員、これを全部一括して退職手当法が規定をされておるわけですが、これから高齢化社会などを迎えるとすると、わが国におきまして、年金はもちろんのこと、退職手当の問題が官民を問わず大きな問題となってくると思うわけでありますが、将来の立法政策の問題として現行法の見直しをぜひ取り上げるべきだと思いますが、御意見を伺って終わります。
#153
○国務大臣(中山太郎君) 現行退職手当法は、戦前からの諸事情等に基づきまして御指摘のような広範な適用対象になっておりますし、また国家公務員等の共済組合の制度と相まって今日まで安定した運用を続けてまいっておりますが、昭和六十年めどにこの制度の見直しが行われることになっておりますので、その際には御指摘の点も十分踏まえ、各方面の御意見を聞きながら慎重に対処してまいりたいと考えております。
#154
○中尾辰義君 終わります。
#155
○委員長(遠藤要君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#156
○委員長(遠藤要君) 速記を起こして。
#157
○安武洋子君 法務大臣にお伺いをいたしますが、法務大臣、先ほどのロッキード公判の榎本前夫人の証言の問題で、一般的な意味で検察の心得として言ったということで、検察がやっていることも社会一般から支持され、人の道に外れぬよう留意する必要があるというふうなことを申されました。社会一般から支持されということになりますと、私どもは榎本前夫人の証言というのは、これはほんとによく言ったと社会一般もそう思っておりますし、女の立場から、ほんとに女性の身であってよく言ったと、こう思うわけです。
 人の道に外れぬように留意する必要があると言う法務大臣にお伺いいたしますけれど、元総理が五億円もらったりあるいは証拠を隠そうとする、こういうことは社会一般の支持が一体得られるのでしょうか、人の道。に外れていないのでしょうか、お伺いをいたします。
#158
○国務大臣(奥野誠亮君) 事件は検察庁が公訴を提起しているわけでございますので、公訴の維持に万全を期しているものだと考えております。同時に、被告側は無罪だと確信していろいろな議論をされているわけでございます。これは、やはり裁判所が両者の意見を聞きまして公正な判断を下すものと考えておるわけでございますので、私たちはそれを待つべきだと。私がどうだこうだということを結論づけて申し上げることは慎まなければならない、こう思っております。
#159
○安武洋子君 どうだこうだって、こういう榎本前夫人の重言に基づいて、それを前提としながらあなたは検察にだけこういうことを言われた。検察に対して、何と言われようと圧力になりますよ。
 そうすると、検察にはそういうことを望まれながら、元総理が五億円をもらってその証拠を隠そうとする、こういうことは人の道に外れないんですか。検察に言われるように、社会一般の支持が得られるとお思いなんですか。私はそのことを質問しております。
#160
○国務大臣(奥野誠亮君) 日本は、できる限りそれぞれの人種を尊重するということを厳格に守っていく、私は非常に重要な点だと、こう考えておるわけでございます。
 したがいまして、裁判につきましても三審制度までとられているわけでございますので、あくまでも検察側は公訴の提起に万全を期する。私はそれを守っていかなきゃならないと思います。
 同時にまた、被告側が十分に裁判、法廷においてその所信を述べる、これも私は国として守っていかなきゃならない、こう思うわけでございまして、両者の意見を聞いて裁判所が公正な判断を示す。最終的にはそこで私は決まっていくものだと、こう考えておりますので、よいとか悪いとかというような批判的なことは私は慎んでいかなきゃならない。
 先ほど矢田部さんの質問にお答えしましたように、私は、検察庁のあり方、どうなければならないかということは常日ごろ考えているつもりでございまして、質問がございましたので、できる限り具体の問題にさわらないような私なりの留意をしながら二点を申し上げたわけでございますけれども、先ほどのようないろいろな御注意もございましたので、なお一層注意していかなきゃならぬと思っておりますけれども、一つの事件についてよいとか悪いとか言ったつもりはございません。
#161
○安武洋子君 検察に対しては、具体的にあなたはそういうことを発言なさっていらっしゃる。そして一方、元総理が五億円もらったり、その証拠を隠そうとしたりすることが人の道に外れるかどうかというふうなことは、私が質問してもお答えにならないで答弁をそらしておしまいになるというふうに、大変検察にだけ圧力をかける立場にお立ちになりながら、反省もじつかりなさっていらっしゃらない。
 総理は、こういう法務大臣の態度をいかがお考えでございましょう。
#162
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、いま法務大臣と安武さんの応答をお聞きしておりまして、法務大臣は、具体のこの事件に対して検察に圧力をかけたりあるいは介入したり、もう毫もそういう考えは持ってないと、これだけは繰り返し明確に先ほど来お話しなさっておる。私はそのとおりだと、こう思うわけでございます。しかし、とかくこういう問題は誤解を受けるようなことがありがちでございますから、私ども政治家は、私を含めまして慎重に言動はしていかなければならないと、こういう反省をいたしておるところでございます。
#163
○安武洋子君 どちらにしても、五億円もらったり、証拠を隠そうとするのは人の道にも外れるし、それから社会一般から支持をされないということは、しっかりこれは法務大臣も総理も心に銘じておいていただきたいと思います。
 時間の関係で私は次に進みますけれども、総理大臣、本当はまだ総理をお迎えして私どもの委員会は総理に質問するような状態になっていないわけなんですよ。私は、円満な中で総理に質問したかった。だから、私がお伺いすることで総理がもしおわかりにならないというのは、質疑のまだ結論が出ていないんだということで踏まえていただいてお答えをいただきたいです。
 公務員の労働基本権を奪って、その代償措置として人事院を設けていると。ところが、人事院勧告がなされて日がたっているのに、これがまだ財政事情が持ち出されて実施されていないと。で、二十九日も総理と大蔵大臣の会談で、公務員給与を完全に実施すると四千億の人件費が増額になるから、この分だけ概算要求を削らなければならない。私は、これは逆立ちした理論だと思うんです。当初の予算に一%しか組んでおりませんでしょう。物価上昇はちゃんと五・五%と見通していると。人件費のこの皆増部分をちゃんと当初予算に組むという常識的なことをおやりになっておればこういうことはないはずですし、人事院勧告を受けてすぐに実施をできるんです。だから私は、十一月末にならないと財政の見通しがつかないとか云々とかいうふうなことは許されないと思うんです。
 ですから、この公務員の労働基本権の代償措置である人事院の勧告、これはもう十数年来きちっと実施をされてきた。歴代内閣がやってきたことなんです。この鈴木内閣になってこれをお崩しになるんですか。私は、鈴木内閣がこういう歴代の内閣がやってきたことをここで崩してはいけないと思うんです。ですから総理、この臨時国会の終末までには鈴木内閣として、総理として責任を持って人事院勧告を実施してください。
#164
○国務大臣(中山太郎君) 総理がお答えになる前に一言申し上げておきます。
 歴代内閣がやってきたことを鈴木内閣でやらないのかと、こう御指摘でございますが、昨年度鈴木内閣が成立以来、やはり人事院勧告を受けました八月の以降、給与関係閣僚会議を四回にわたって開きまして、昨年の一昨日、実は第四回の給与関係閣僚会議で決着を見たわけでございまして、政府は引き続き今年も誠意を持ってこの安定した労使関係を維持するために現在努力中でございますので、そのように御理解を賜りたいと思います。
#165
○安武洋子君 総理、だから今国会末までにお出しいただきたいと。ほかに責任をなするんでなくて、当初予算でやはりそういうことをきちっとやっていないというその責めが出ているわけですから、その点はひとつ責任を持って今国中にやるんだという御答弁をいただきとうございます。
#166
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来、社会党さんや公明党さんに御答弁申し上げたとおり、政府としては本当に誠意を持ってこれに取り組んでおるわけでございます。御了承いただきたい。
#167
○安武洋子君 私はそんな誠意ないと思いますけれども、しかし時間の関係上、この退職手当の削減の問題についてお伺いをいたしますけれども、私は、私の質疑を通じて幾つかの問題点を提起しております。
 たとえば、退職手当の変更は明らかに労使交渉の範囲である。だから関係団体との合意もなく一方的に削減を強行するのは不当である。それから二番目としては、人事院の民間の退職金調査の結果が、他の自治体そして民間調査機関の調査結果の傾向と比べまして、加算金の部分で極端に低い数値が出ているわけです。それから、これは政府の答弁でもお認めでございますけれども、公務員の退職手当には民間の雇用保険受給に見合う額が含まれている。それにもかかわらず、官民の退職金の手当を比較するに当たってこれが全く配慮されていない、こういう問題があります。そのほかにも問題ありますけれども、まあ挙げただけでもこれだけの重要な点で解明すべき点が山積しているのがこの本法案の持つ内容なんです。
 だから私は総理にお伺いいたしますけれども、こういう削減を受ける人という、公務員というのは、戦後本当に困難な時期に入省した。公務員というのは低賃金の代名詞みたいに言われてきましたよ。本当に暮らしがたい中で暮らしてきた。そして人事院勧告は長くなされなかった。人事院勧告がなされても、その人事院勧告が実施を十分にされないで削減されて、その期間というのは五十ヵ月もあった。そういうことが全然報われもせずに、犠牲を強いられっ放しでいま退職期を迎えておられる人。その人たちが営々として行政を支えてきたわけなんです。こういう人たちの苦労に報いるのに、私は、本当に総理はこの人たちの苦労をどう思っておられるのか。途中の損失も償えない、こういうことに対して胸を痛められていないのか。低賃金でずっと抑えてきた長い歴史、このことについて胸を痛めておられないのか。一体、こんな削減でしか報いることがないのか。そのことをお伺いいたします。
#168
○国務大臣(中山太郎君) 退職手当の法案の一部改正は、先生も御案内のとおりに、五年ごとの人事院の調査に基づいてやっておりまして、前回は民間と比べて公務員の退職手当が二割安いと、こういうことで二割の引き上げをこの国会で承認していただいたわけでございますが、今回も五年目の人事院の調査で、前回と同じシステムで調査の結果、民間よりも一割高いという結果が出ましたので今回法案の修正をお願いしているところでございまして、決して公務員の諸君の行苦労を忘れることなく、絶えずわれわれは、まじめな公務員に対しては、国民の信託にこたえるように働いていただけばそれだけのことを十分誠意を持って行うという精神に徹しております。
#169
○国務大臣(鈴木善幸君) いま長官から申し上げたとおりでございまして、それゆえにこそ私どもは給与関係閣僚会議をしばしば開きまして、誠意を尽くして何とかこれを円満に実施をしたいということで努力をしておる。この政府の謝意はひとつ御了承賜りたい、こう思います。
#170
○柄谷道一君 言うまでもなく、行政は国民のためのものであり、国民に支持され、納得されなければならない、それが民主主義の原則であろうと思います。
 今回の国家公務員等の退職手当法の一部を改正する法律案につきましては、退職手当が国民の税金により賄われるものであり、その水準について納税者の理解と納得が得られなければならない。従来の方法に従って官民比較を行い、その是正を図るために削減をする、これはやむを得ないことであろう。また、われわれの主張が入れられまして激変緩和の修正が行われた。こういう見地から私たちは賛成するものでありますが、総理にお伺いいたしたいことは、しかし、さきに述べましたような、行政は国民のためのものである、こういう観点に立ては、現行の公務員制度の上で、国民の側から大いに問題があるのではないか、こう感じておることは、遵法の姿勢を堅持いたしましてまじめに公務に献身している者もそうでない者も同じように処遇されているといういわゆる悪平等の現実ではないかと、こう思うのでございます。
 私は、全力を尽くして公共の福祉を増進するために努力する、そういう職員に対しては十分これを評価し、そうでない者に対しては厳しい態度で臨むといういわゆる信賞必罰、成績主義の原則の徹底を図らない限り、公務員のモラルの向上もまた士気の高揚も期待できない、このように考えておるものでございます。
 そのためには、たとえば給与体系の見直し、職務遂行能力の適正な評定制度の確立、違法スト参加者に対する処分の徹底、また小さな問題ではございますが、タイムカードの必置やまた勤務時間内に職場を離れる場合の届け出の義務づけなど、職場規律の確立を図るなど多くの点での改革が必要ではなかろうかと思うものでございます。信賞必罰に関する総理の基本的姿勢と、今後の方向について明らかにしていただきたい。
#171
○国務大臣(鈴木善幸君) いま柄谷さんが述べられた点は、恐らく国民ひとしく共感しておられる点であろう、このように思います。
 公務員は国民の奉仕者としてそのようでなければならないし、私は大部分の公務員は、本当に公務員としての立場に徹しまして努力をしてくれておると思います。しかし、あくまでやはり公務員は、成績主義あるいは信賞必罰という厳しい職場規律なり、そういう職場に立って働いていかなければいけない、このように思うわけでございます。
 人事院の総裁が先般私のところに見えまして、今年度の人事院勧告を私に手渡すと同時に、人事院におきましては、いまお話しになったような立場に立っていろいろの面で改善策を検討中である、信賞必罰、成績第一主義、そういう点を十分反映するような制度に改善をしていきたい、こういうことをあわせて報告をいたしておるわけでございます。政府としても、この人事院総裁の御意見に十分私も賛意を表しまして、ぜひそういう方向で努力してもらいたい、こういうことをお願いしてあるわけでございます。
#172
○柄谷道一君 次に、公務員制度の見直しに関連をしてお伺いいたしたいと思います。
 さきに、通常国会で国家公務員の定年制法案が成立いたしまして、昭和六十年から実施されることになりました。私は、これは明治以来、わが国百年を超える公務員制度の上でまさに画期的なことであったと思うのでございます。
 そこで、ただいま総理も触れられましたように、本委員会の質疑を通じ、またただいま総理も、人事院は近年における公務内外の諸情勢に対応して、新たな公務員制度のあり方について総合的な検討を開始しておるということが明らかになりましたし、また臨調においても公務員制度の検討がその課題の一つとなっております。
 私は、このように現在各方面において新しい公務員制度のあり方について検討が進められておるということは、この昭和五十年代の後半、昭和六十年までの間は、わが国の公務員制度の大きな転換期として未来に記録される年代になるのではないか、こういう感じを持つものでございます。そこで、この際総理に、今後どのような公務員制度のあり方を目指していこうとしておられるのか、明らかにお考えを述べていただきたいと思います。
#173
○国務大臣(鈴木善幸君) 御承知のように、現在日本は内外にわたりまして大変大きな転換期を迎えておるわけでございます。私どもは、この新しい時代を迎え、将来に機動的に対応できますために行財政の思い切った改革を断行しよう、こういうことで国会の御協力をいただきながらこれを進めておるところでございます。
 そういう中におきまして、私は、国民の奉仕者である公務員、そしてそれを支える公務員制度、これはやはり時代の要請にこたえるものでなければならない、このように考えます。許認可制度の改善、合理化の問題もその一つでございましょう。あるいは職制あるいは中央、地方の職の役割りの分担の問題もその一つでございましょう。いろんな面から現在の公務員制度というものを見直すべき段階であり、そして公正と能率、そうして国民に信頼される公務員制度、公務員でなければならない、このように考えるわけでございまして、そういう方向で今後とも国会の御協力を得ながら公務員制度を見直しをしていきたい、このように考えております。
#174
○柄谷道一君 次に総理のお考えをお伺いしたいことは、わが国の労使関係の安定の重要性とこれを踏まえた人事院勧告の取り扱いについてでございます。
 すでに多くの委員から指摘されたところでございますが、今般与野党間の話し合いによって公労委の仲裁裁定について完全実施を図る議決が衆議院で行われ、本日参議院においても行われようとしておることは評価するものであります。しかし、なお人事院勧告の取り扱いについては、政府は誠意を持って対処するというお言葉のみで、結論が出ていないというのが現状でございます。
 私がここで言うまでもないことでございますけれども、労働基本権の制約を受ける官公労働者にとって、それは、その制約の代償として認められている制度であり、仲裁については昭和三十二年以来、人事院勧告については四十五年以来、その完全実施が図られているわけでございます。この完全実施というよい慣行のもとに、総理御自身も認めておられるような安定した、良好な労使関係が形成され、これが社会の安定にも大きく寄与しておることは言うまでもないと思います。また、民間においてわが国の安定した労使関係がわが国の産業に大きく寄与しておることも繰り返す必要がないことだと思うわけでございます。
 今日、人事院勧告の取り扱いについて、政府の部内に財政事情や臨調答申の存在を理由にその不完全実施を説く向きがあるようでございますけれども、これは労使関係の重要性という視点から許されない私は議論ではなかろうかとすら思います。
 総理は、公務員の労使関係の重要性をどう認識しておられるのか。また、良好な労使関係を保つために人事院勧告は早期に、かつ完全に実施すべきである、このように考えますが、改めてその決意をお伺いいたしたいと思います。
#175
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、公務員は、この人事院制度というものに守られ、そうして労働基本権を犠牲にして、そうして給与その他のことを人事院の勧告ということでこれを守ってもらおう、こういう制度の中に今日まで来ておるわけでございます。先ほど来申し上げるように、政府としてもそういう立場というものを十分認識もしております。したがいまして、何とかこの人事院勧告というものを尊重し、円滑に実施をしたいという気持ちで給与関係閣僚会議等を開いて努力をいたしておるところでございます。
 しかし、一方においてまた大変な、これはいずれ発表いたしますけれども、税収の落ち込みというのがこれはもう本当に深刻なものを持っております。財政事情等から財政当局はもう少しそのめとが立つまで時間をかしてほしい、こういう意見でございまして、これも無理からぬことでございます。裏づけがなければこれを実施することができません。こういうことで、先ほど来申し上げましたように、十一月の下旬ころにはその大体税収等のめどもつく、大蔵当局のそういう報告でございます。そういう点を踏まえまして、できるだけ早い機会にこれに対する結論を出したい、誠意を持って努力をいたすことを申し上げておきます。
#176
○柄谷道一君 終わります。
#177
○秦豊君 せっかくこの無慮十三分を活用しましょう。
 総理、これは言うまでもなく自明のことなんだけれども、本法案と行革は実は深々と絡み合っているし、あなた方が熱望している防衛力の増強と行革の進め方は、またこれいよいよもって絡み合ってくる。小さな政府というものと防衛力の一定の水準というのは、本来二律背反なんです。それほど国家財政は硬直の極に達している、これが私どもの認識。したがって、あなた方は相当むずかしい局面に来年度以降追い込まれていくであろうと私は思う。
 そこで、具体的な質問だけれども、総理、いま吉田茂総理の再評価ブームで少しにぎやか過ぎるけれども、保守本流と言われる系譜に列する人々は、在来伝統的に防衛施策について一つの体さばきで特徴がある。つまり、アメリカから要求が来る、共感と理解を示しながら、いざ実行という段になるとそれを薄めていく、かわしていく、特有の体さばきを持っている。いわゆる経済第一、防衛第二と言われる体さばき。あなたも保守本流につながるとしかと言われているんだけれども、あなたはどういうお考えなんですか。
#178
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、国の安全を確保するということは、防衛力の整備ということ、またその他の国民生活の安定ということ、あるいは資源その他の確保の問題、食糧の問題、いろんな総合的な安全保障という観点から国の安全が確保されるものである、このように考えておるわけでございます。そういう中における一環として、私は憲法及び基本的な防衛政策にのっとりまして、わが国としては自主的に、着実に防衛力の整備を進めていきたい、このように考えております。
#179
○秦豊君 総理、こういうことはどうですか。わが国には憲法が厳存をする、憲法の制約が厳として存在をする、この上に立ってあくまで日本としての独自な平和戦略を推進するのであると。このことを敷衍すれば非核軍事小国経済大国路線、こういう範疇にくくれると思うんです。そういう路線をあなたは厳として踏襲されようとするのか。
 あるいは、いま明らかに条件は変わった、フルパートナーたるべく要請をされている、ワシントンからは。そこで、いまや環境が変わったから、日米間の関係において、特にソビエトを意識して、一定の防衛協力と分担はもはや避けがたい同盟国としての義務なんだと。したがって、同盟国としての新たな条件と責任を果たすためには、この際率直にかつ大胆に国民に向かってその実態を訴えて、そして皆さんの合意と共感を得たいというふうな方向に踏み出されるのかどうか、この辺をちょっと今後のためにも伺っておきたい。
#180
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、わが国の防衛はわが国の自主的な防衛努力、そして一方におきましては日米安保体制の円滑な効率的な運営、これによってわが国並びにアジアの平和と安定を確保する、こういうことにはっきりと方針を立てておるわけでございます。米側におきましても、わが国が平和憲法を持ち、そして専守防衛に徹し、日米安保条約の円滑な運営、実施ということに対して誠意を持って努力をしておる、こういう点はよく理解をしていただいておるところでございまして、日本がそれ以上の軍事大国になることなどを求めてはいない。私は、日米首脳会談等を通じまして、この点ははっきりと米国の最高責任者からもそのことを確認をいたしておるわけでございます。私は、憲法並びに基本的な防衛政策に基づきまして着実に日本の防衛力はこれを整備を図っていく、このようにしたいと思っています。
#181
○秦豊君 総理、これは隣に中山さんいらっしゃるから、実は当委員会で生まれたんだけれども、防衛についての大々的な国民の世論動向の把握、これは私の提案を入れて、近く年内に一万サンプルという大規模な世論調査を全国的に行うと。それは単に、自衛隊の存在を認めますか、認めませんかというふうなああいう単純素朴な調査ではなくて、むしろ防衛をめぐる条件が全く変わっている、日米共同防衛、きな臭くなっている。有事法制、ガイドライン、リムパックへの参加、シーレーンの防衛等々、防衛の環境はまさに変わって、いまや極東有事の共同作戦研究が進められようとしている。
 そこで総理に、今後の資料にするために、あと行革の委員会あたりで深めたい論議なんだけれども、総理の私見の中では防衛についての国民合意はすでに完熟をしているという御認識なのか、あるいは昭和二十五年朝鮮戦争直後以来の実績と積み重ねの中で、なおかつ私が申し上げたような新たな防衛環境、たとえば日米共同防衛路線、応分の責任分担、防衛力増強、そうして極東有事への対応、自衛隊を単なる存在から戦闘集団への脱皮、転換、強化というふうなことを踏まえての国民世論というのは果たして熟成しているとお考えなのか、あるいはこの点は時間をかけねばならぬと、自衛隊の存在は相当高率で認知をされている、八十数%。それは自明のことであるが、私の申し上げたような環境変化を踏まえた国民世論はなおなお完熟はしていないから焦ってはならぬ、引っ張ってはいけない、こういう御認識なのか、肝心なところだからぜひ伺っておきたい。
#182
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、国民の世論というものは、それはおっしゃるように情勢によりまして幾らか変わっていくと思います。しかし、わが国の防衛、安全保障の問題、平和国家に徹してやっていこう、こういう国民の気持ちというものは私は変わってない、このように受けとめておるわけでございます。
 私は、そういう中におきまして、先ほど来申し上げるような基本的な考え方で国民のコンセンサスを得ながらわが国の防衛努力、着実な必要最小限度の防衛力は持つんだと、こういう方向で努力をしてまいりたい、こう思っております。
#183
○秦豊君 総理、防衛局長も北米局長もいらっしゃるけれども、あえて総理に伺いますが、ことしの夏以来、特にハワイ会談等を通じまして、いわゆるアメリカによる日本に対する防衛力増強要請、これをプレッシャーと端的にとらえる人もあれば、待っていましたと言う人もある、いろいろある。あるけれども、総理としては国防会議議長、自衛隊の最高指揮権を持つべき人、持っている人、頂点に立つ人、重い人、その重い存在のあなたは、そういうアメリカ側のいわゆる対日要求、これは政府は否定するんだ、公式にはなかったんだと、幻だと言っている。ところが現実にはあったんです。ところが、これをアメリカの単なる過大な圧力というふうにお受けとめなのか、あるいはそれともそんな問題とは次元が違うと、わが国として独自に備えるべき防衛力の範囲を超えていないというふうにお受けとめなんですか。
#184
○国務大臣(鈴木善幸君) 最後におっしゃったように、わが国はわが国の自主的な判断で防衛努力は進めていくということでございます。私も皆さんから推されて国の最高の責任の立場にあるわけでありますが、その私とレーガン大統領との間には、こういう要求がましい、圧力がましいそういうことは一切ございません。
#185
○秦豊君 まだ二分もありますから。
 去る十月二十二日のアメリカ上院本会議におきましてヘルムズ上院議員が提出をした決議案がある。正確には提出をしかかった決議案、幻である。つまり、日米安保条約に関する決議案と言って、日本の防衛支出の増大を端的に求め、アメリカ大統領はできるだけ早い時期に日本政府との間でフルパートナーシップと、より緊密な協力関係を確立して共通の防衛を担い、かつ負担を分担するために日米安保条約の改定交渉に入るという計画を公然と発表すべきだと。大分院内折衝があって、おもんぱかって取り下げちゃった、さっとね。
 ところが、すぐ追っかけるようにして今度は下院の方で、ニールという下院議員が、日本は明らかに怠慢である、鈴木総理の言うことを含めて怠慢である、日本はアメリカに対して、セキュリティーを保障されているんだから安全保障税を出すべきであるというふうな、これはまあ非常に荒唐無稽な、一見非常に歯車のかみ合わない決議案もすでに準備に入った。
 これは、アメリカの中間選挙が来年の秋にある、日本の対米黒字が百六十億ドルに近づきつつある、この瞬間にも近づいている。だから、かなり反応がエモーショナルであることは私もよく見据えている。にもかかわらず、こういう決議案はこれからくしの歯のように、櫛比するように次々に日本側に対するいわゆるブラフを含めて浴びせられてくる、アメリカの一つのストラティジーだと私は思う、テクニックだと思う。
 総理、こういうことがなぜ生まれてくるのか。また端的にはセネター・ヘルムズの幻の決議案、こういうものを、総理、あなたはどういうふうに受けとめていらっしゃいますか、認識をちょっと聞かしてください。
#186
○国務大臣(鈴木善幸君) 日本にもいろいろのお考えの方がおありになりますと同じように、アメリカの方にも、民間にもあるいは議会方面にも、あるいは学者にも言論人にも、いろいろの考え方をお持ちになる方があろうかと思います。私はそういう点を全然無関心ではおりませんけれども、しかし私は、大勢といたしましては、アメリカの政府首脳というものは、日米の揺るぎない信頼関係の上に立ってわが国の努力、これは防衛だけでございません。世界の国々に対する経済協力なり、そういう世界の平和安定への貢献、そういう点も評価もいたし、期待もいたしておる。いろんな考え方が私はあろうかと思うんでありまして、そういうものに一喜一憂したりするようなことは、私は責任者としてとらないところでございます。
#187
○委員長(遠藤要君) 総理、御退席願って結構でございます。
 以上をもちまして質疑を終局することに賛成の方の挙手を願います。(発言する者あり)
   〔賛成者挙手〕
#188
○委員長(遠藤要君) 多数と認めます。よって、質疑は終局いたしました。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#189
○矢田部理君 私は、日本社会党を代表して、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対し反対する立場を明確にし、討論に参加したい一と思います。
 そもそも、この国家公務員等の退職手当の引き下げ案が提出されるに至った経緯は、五十四年十月二十二日の閣議決定にあります。この閣議において、政府は、人事院勧告の完全実施と引きかえに、退職手当の見直しと次期通常国会への提出の検討を決定したのであります。人事院制度が公務員労働者から労働基本権を奪った代償措置として設置されている以上、勧告を完全実施するのは政府の当然の責務であります。にもかかわらず、この人事院勧告の完全実施を行うかわりに退職手当を人質にとるという政府のやり方は、理不尽の一語に尽き、認めることはできません。
 公務員労働者の重大な勤務条件が、政府の政治的意図、恣意でもって左右されることはあるまじきことであり、もしそういうことが許されるならば、公務員労働者の生活と権利はどのように保障されるというの保でしょうか。
 さらに、つけ加えて言うならば、本年度の人事院勧告について、すでに勧告から二ヵ月以上を経過した今日、政府はいまだにこの勧告の取り扱いについて態度決定を行っておりません。まことに遺憾なことと言わざるを得ないのであります。速やかに人事院勧告の完全実施の閣議決定と給与法の提出を強く要請する次第であります。
 退職手当は重要な勤務条件です。このことは本委員会の質疑でも明確になったことであります。にもかかわらず、この重要な勤務条件を政府の政治的恣意と一片の法律で引き下げるということはまことに問題であります。関係組合と十分なる団体交渉が持たれてしかるべきでありましょう。
 現行退職手当法は、一般職公務員のみならず、三公社五現業職員を含み、総理府の所管とすることによって事実上公労法八条に規定する団体交渉権を否定する一方、一般職公務員につきましても、国家公務員法第三条に規定する人事院の所掌及び勧告権を否定しているところに問題の本質があります。この退職手当法の立法上の矛盾、不整合性は本委員会でも確認されているところであります。憲法二十八条の規定と公労法、公務員法の精神にのっとり、退職手当に関する官公労働者の権利が保障される立法的整備が強く望まれるところであります。
 定年制の導入と保ともに、退職手当の引き下げは、公務員労働者の退職後の生活をきわめて不安に陥れ、急速に高齢化社会を迎えつつある今日、退職後及び老後の生活保障は重大な社会問題になってまいります。財源問題、抑制の観点からのみ働く者の賃金、退職手当を抑制するのではなく、広く今日的、社会的視野に立って、定年、退職手当、年金等に検討、改善が加えられるべきであると思います。
 以上、退職手当に関する立法上の問題点、公務員労働者の権利保障及び退職後の生活保障の観点から、ただいま議題になっている国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に反対する立場を重ねて表明し、討論を終わります。(拍手)
#190
○伊江朝雄君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対して賛成の討論を行いたいと思います。
 行政改革の推進はいまや国民の声であり、国政の最重要課題となっております。現に国会においても行財政改革に関する特別委員会が両院に設置され、行政改革関連法案の審議が行われていることは御承知のとおりであります。
 本法案も、行政改革の一環として、すでに成立した定年制法とともに第九十一回国会に提出され、第九十三回国会に再提出されたものでありまして、いわば行政改革法案の先行列車であります。
 しかも、本法案は単に行革法案の一環であるばかりでなく、そもそも国家公務員等の退職手当については民間との対比において五年ごとに見直しされることになっており、すでに現行の国家公務員等退職手当法は昭和四十八年に二割増しの改正を行い今日に及んでいるのでありますが、これを昭和五十二年の人事院における官民比較の実態調査で公務員の方が民間に比べて八・三%高いということが判明したことから、今回これを是正するとともに、今後定年制の施行される昭和六十年度までに退職手当の基準などについて総合的な再検討を行おうとするものであります。
 国家財政が窮迫を告げる折、民間に比べ高い退職金が公務員に支払われているということは当然是正されなければなりません。これが行政改革の一環であると言うゆえんであります。したがって、今回の改正措置も納税者としての国民の理解を得るものと確信をいたしております。
 一方、退職手当の削減対象となる職員の立場を考慮して、衆議院段階で付せられた緩和措置もまことに当を得たものと思うのであります。
 最後に、本法案審査中に触れられました現行退職手当制度の種々の問題点については、今後高齢化社会を迎えようとするわが国においての立法政策上の問題と私たちも考えますので、政府においても定年制施行とあわせ考え、御検討のほどを要望して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#191
○安武洋子君 私は、日本共産党を代表して、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
 まず最初に、本日の委員会開会と本法案の質疑打ち切りの強行は、本国会会期末まで十分な審議日数を残しているにもかかわらず、委員長職権で定例日外に強行されるというきわめて異例なものであり、しかも私自身の質疑要求時間、質疑項目あるいは質疑に対する疑問点についても不問に付されたまま質疑打ち切りを強行するという議会制民主主義を踏みにじるきわめて不当なものであり、私は断固これに抗議するものであります。
 以下、本法案に対する反対の理由を申し述べます。
 本法案は、長期勤続の国家公務員と三公社職員の退職手当を一方的に削減しようとすることを内容とするものであります。退職手当の削減、変更は、本委員会の審議でも明らかになったように、重大な労働条件の切り下げであるとともに、退職手当の法律上り性質が最高裁判決でも明らかになったように、労働基準法十一条に言う労働の対償としての賃金であることから見て、現行法のもとでの関係職員団体との交渉事項であることは明白であり、労使合意が前提であるにもかかわらず、関係者の合意を何ら得ることなく削減するという不当なものであります。
 官民比較の内容についても多くの問題が残されております。民間退職手当の調査を見ても、民間給与調査に比べて七分の一という調査企業の規模の上でも、高卒、事務労働者に限定された調査対象の上でも、きわめて不十分なものであります。この不十分さは、官民格差と言われる八・三%が生じた大きな要因と推測される特別加算金の調査結果で、その実施企業数が他の自治体調査や民間調査に比べてきわめて低い数字しか把握されていないことにも端的にあらわれています。
 また、比較の方法の上でも、単に官民の支給実額のみを対比して同一額に水準を合わせるという短絡で乱暴な手法で行われています。退職手当の性格に照らして、官民労働者の退職後の生活実態の相違や在職中の賃金差など、当然着目すべき比較項目に目をつぶるばかりか、戦後の退職手当をめぐる経緯からも、また法体系上からも、明らかに公務員の退職手当に包摂されている雇用保険給付分について何ら考慮されていないなど、実態とかけ離れたきわめてずさんな比較であると断ぜざるを得ません。これら官民比較をめぐる問題は、本法案による退職手当削減の根拠にかかわる問題であり、この解明をせずして採決の強行は許されるものではありません。
 政府・自民党と財界は、反国民的な臨調行革を推進する上で、公務員問題をそのてことして最大限に利用するとともに、人事院勧告の延期、削減の策動、定年制の導入、国民サービス部門での定員削減など公務員労働者の生活と権利に攻撃の矛先を向けております。本法案による退職手当の一方的削減という既得権侵害が、これら公務員攻撃の一環であることは明白であります。同時に、公務員給与がわが国の低賃金構造を支える重要な柱として機能しているように、本法案による退職手当削減は日本の労働者全体の労働条件の低位平準化をねらうものであります。
 むだを省くというなら軍事、弾圧部門や大企業向け補助金などにメスを入れるべきであり、退職手当について言えば、一般公務員にのみ多大の犠牲を強いるのでなく、勤続十年で数千万円から一億円にも上る特殊法人役員などの法外な高額退職金こそ抜本的に是正すべきであります。
 最後に、私は本退職手当削減法案を撤回し、関係職員団体と十分交渉を尽くすように重ねて要求し、日本共産党を代表して本法案に反対であることを表明し、討論を終わります。
#192
○峯山昭範君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。
 言うまでもなく、本案の内容は、昭和四十六年の民間退職金の調査に基づき昭和四十八年の改正で長期勤続者等の退職手当の額を二割増にする特例を、昭和五十二年の調査に基づき官民格差を是正するため八・三%引き下げることを主たるものとしております。
 わが党としても、退職金を削減するということは、退職後の公務員等の生活設計に対して大きな影響を与え、大変耐えがたいことは十分理解できるのでありますが、第三者機関である人事院の調査結果は尊重しなければならないところであると思っております。しかし、退職金は老後の生活資金、住宅の増改築ローンの返済、子供の教育資金等に組み込まれており、それを急激に削減するということは老後の生活設計を脅かすものであり、政府が提案しておりました削減計画については、かねがね、急激過ぎるということで何らかの激変緩和の措置が必要ではないかということを主張してまいりました。その結果、十分満足のいく内容ではありませんが、さきの国会での衆議院における修正はそれなりの努力が実ったものであると判断し、またわが党の主張も取り入れられたものと評価をいたしております。
 以上の理由により、本法律案に賛成することを表明して、私の討論を終わります。(拍手)
#193
○柄谷道一君 私は、民社党・国民連合を代表して、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対し賛成の討論を行うと同時に、今後の運営に関し若干の要望を申し上げるものであります。
 行財政改革の推進は、いまや国政の最重要課題であり、国民の総力を挙げて取り組まなければならない課題となっております。行財政の改革が今後進行していく中で、国家公務員等が既得の条件にくるまっていることは許されません。従来の手法によって民間と比較し、国家公務員等の退職手当を適正化することは当然のことであります。
 このような基本的な立場に立ち、かつ現実に退職される公務員の生活の急激な変化を緩和する適切な修正措置を講じた本法案は、当を得たものであり、民社党・国民連合はこれに賛成するものであります。
 次に、今後の国家公務員の退職手当制度のあり方及びその運用について二、三要望を申し上げておきます。
 第一は、定年制の導入、公務員の高齢化の進行などの状況に対応し、退職手当を含めた公務員給与制度の抜本的見直しを図る必要があるということであります。
 御承知のように、民間企業においては、高齢化社会の到来に対応し、定年を延長するために五十歳以降の昇給の停止、退職金にはね返らない第二基本給の導入、退職一時金の一部年金化等々、この減速経済の中で企業の存続をかけて労使が血みどろの努力をしている実態にあります。公務能率の一層の向上が求められ、かつ民間以上に高齢化が進んでいる公務員においては、民間の実態を教訓とし、昭和六十年度までの再検討に当たって公務員給与、退職手当制度等の抜本的見直しを行うべきであります。
 第二は、今後退職手当制度を改革するに当たっては、事前に関係職員団体と話し合い、了解を求める努力をすべきではないかということであります。
 言うまでもなく、公務員は労働基本権が確立されておらず、法律によって身分保障が図られております。しかし、これは法律至上主義を意味するものではありません。それは公務員の生存権擁護のために労働基本権の保障にかわる措置として設けられているものであり、労働基本権を奪うに足る関係者の努力が尽くされることを前提としております。公務員の基本的な勤務条件である退職手当については、官官格差の是正問題も含め、人事院制度の活用等そのあり方について検討するとともに、関係職員団体と事前に十分話し合い、了解を求めることに最大限の努力を尽くすべきであります。
 第三は、退職時にかかわる特別昇給制度について成績主義に基づいて厳正な運用を図ること、また一部に見られる退職手当の官官格差の是正など、退職手当制度の公正な運営に一層努力されることが必要であります。
 以上、要望を申し上げ、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#194
○委員長(遠藤要君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#195
○委員長(遠藤要君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#196
○委員長(遠藤要君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、矢田部君から発言を求められておりますので、これを許します。矢田部君。
#197
○矢田部理君 私は、ただいま可決されました国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新政クラブの共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
    国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項に留意し、善処するよう要望する。
 一、昭和六十年度までの見直しに当たっては、民間における退職金等の実態を十分把握し、退職手当の官民比較の方法など退職手当制度全般につき検討するものとすること。
 一、退職手当制度の見直しに当たっては、関係職員団体の意向を十分に聴取するものとすること。
 一、定年制の実施されるまでの間における勧奨退職の実施に当たっては、その運営が円滑に行われるよう十分に配慮するものとすること。
 右決議する。
 以上でございます。
 委員各位の御賛同をお願いいたします。
#198
○委員長(遠藤要君) ただいま矢田部君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#199
○委員長(遠藤要君) 全会一致と認めます。よって、矢田部君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、中山総理府総務長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中山総理府総務長官。
#200
○国務大臣(中山太郎君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を踏まえつつ今後十分検討してまいる所存でございます。
#201
○委員長(遠藤要君) なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#202
○委員長(遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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