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1981/10/01 第95回国会 参議院 参議院会議録情報 第095回国会 本会議 第4号
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1981/10/01 第95回国会 参議院

参議院会議録情報 第095回国会 本会議 第4号

#1
第095回国会 本会議 第4号
昭和五十六年十月一日(木曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  昭和五十六年十月一日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、裁判官訴追委員及び同予備員辞任の件
 一、裁判官訴追委員、同予備員及び北海道開発
  審議会委員の選挙
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(徳永正利君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 片山正英君、河本嘉久蔵君から裁判官訴追委員を、降矢敬雄君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(徳永正利君) つきましては、この際、
 裁判官訴追委員二名、同予備員、
 北海道開発審議会委員各一名の選挙を行います。
#6
○堀内俊夫君 各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、これを議長に一任することの動議を提出いたします。
#7
○小山一平君 私は、ただいまの堀内君の動議に賛成いたします。
#8
○議長(徳永正利君) 堀内君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、裁判官訴追委員に小澤太郎君、鈴木省吾君を、
 同予備員に三浦八水君を、
 北海道開発審議会委員に川村清一君を、それぞれ指名いたします。
 なお、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、三浦八水君を第二順位とし、第二順位の予備員である前田勲男君を第一順位といたします。
     ―――――・―――――
#10
○議長(徳永正利君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る九月二十人目の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。小谷守君。
   〔小谷守君登壇、拍手〕
#11
○小谷守君 私は、日本社会党を代表いたしまして、鈴木総理の所信表明に対し、また現下国政の重要事項について、総理初め各大臣に御質問を申し上げたいと存じます。
 鈴木総理は、大平前総理御急逝の後を受けて、「和の政治」ということを信条に政権を担当されたのでありますが、あれから早くも一年三カ月が経過いたしました。「和の政治」という御提唱は、温厚で実直な鈴木総理の人柄にふさわしいものとして、多くの国民が共感と期待を寄せたと思うのであります。しかしながら、一年三カ月の鈴木政治の足跡を見まするときに、「和の政治」という旗印は変色し、足取りはよろめき、国民に大きな失望感を与えていることも否めないところであろうと存じます。
 特に、第二次臨調を発足せしめたころからだと思いますが、まだ答申も出ない先から答申の全面尊重を約束したり、明けても暮れても臨調臨調、御熱意のほどはわからぬわけではありませんが、いささかものの怪につかれたような御様子でありまして、行革に命をかけるというふうな時代がかったことを言われるのはまだしも、国会を召集する前から、「一党や二党が反対しても力で成立させてみせる」というふうな暴言を吐かれるに至っては、傲慢不遜もはなはだしいと申し上げなくてはなりません。このような発言をした総理が過去にあったでありましょうか。行政府の長として口にしてはならぬ不謹慎な御発言であると申し上げなくてはなりませんが、私は鈴木総理のために深く惜しむ竜のであります。総理は三のような御反省をお持ちになっておりましょうか、まず御所見を伺いたいところでございます。
 さて、鈴木総理は去る九月二十八日の本会議において、行革国会と呼ばれる今期国会に臨む所信表明演説をされたのであります。私どもも十分敬意を持って拝聴したところでございますが、残念なことに、鈴木総理の目指す行政改革の理念や構想等につきましては何一つ伺うことができなかったのであります。まして、国民の前に一筋のともしびすら点じ得なかったことは、各新聞が一斉に社説を掲げて指摘をし、厳しく批判をしているとおりでございます。
 そこで、私は、いまこの議場を通じて、総理が抱いておられる行政改革の理念と全体構想、ないしは将来展望につきまして御説明を願いたいと思う次第でございます。
 大変失礼な言葉になりますが、第二臨調と政府の行政改革は第一ボタンをかけ違えたのではなかろうか。すなわち、政府は財政再建が行政改革の突破口になるという答申の発想を是認し、肝心の行政本来のあり方を探る長期課題は今後検討すると逃げ、まことに本末転倒の五十七年度予算編成に向け、その露払いの作業を押しつけたと言わざるを得ないのであります。これは要するに臨調を隠れみのにしたにすぎず、結局は財界主導による行政サービスの切り下げと負担の増大を国民大衆に押しつける意図にほかならぬと見るのでありますが、総理の御反論があれば承りたいところであります。
 さて、私は、いたずらに政府を追及して能事終われりとするものではありません。ここで日本社会党が具体的に提案してまいりました行政改革の要点を申し上げておきたいと存じます。
 われわれは、行政改革の基本的な理念を福祉社会の建設と軍縮平和の世界創造を目標として高く掲げ、国民の参加できる行政の民主化を基本に、民主、公正、効率の三原則で改革を不断に進めるものといたします。そして、その具体的方法としては、まず腐敗の構造を徹底的に改革するとともに、一部の特権やむだをなくし、また防衛費の縮減を図るとともに、不公平な税制を是正し、情報の公開制度や行政の監察制度を確立し、あわせて中央集権の閉鎖的な官僚政治を住民の参加し得る地方分権に改めることによって、国民生活に密着する福祉や教育なおの充実を図って、国民生活のための公共サービスを向上させることにあると存じます。
 以上が社会党の提起する行政改革のきわめて現実的な構想でございます。これに対し、総理の御所見を承りたいものと存じます。
 さて次に、私は、財政再建にかかわる諸問題について取り上げ、政府に抜本的な政策の転換を求めたいのでございます。
 周知のように、政府の提出された一括法案なるものは、その最初の名前が示すとおり、補助金等の縮減に関する臨時措置法案にすぎません。どんなに長い名前に変えても、これは来年度予算編成のための歳出削減法案にすぎないのであります。
 総理、あなたは「増税なき財政再建」をうたい文句としておりますが、これには二つの偽りがあることを指摘しなければなりません。その一つは、昭和五十二年度から五十五年度に至る四年間の民間所得の伸びは一八・四%でありますが、一方、この間、課税最低限の二百一万五千円はそのまま据え置かれたために、税収は四八・七%も上昇しておることであります。これは増税という断りのない大増税にほかならないのであります。
 いま一つは、企業優遇税制の取り扱いであります。これについては、五十五年度に若干の見直しは行われましたけれども、もし本当の洗い直しをするといたしますならば、二兆円を超える税収を見込むことが可能であります。これになぜ手をつけようとしないのか。この二点について総理及び大蔵大臣の的確な御所見を承りたいところでございます。
 また、第二臨調の答申においても税負担の公平化や防衛費の圧縮に触れておるのでありますけれども、政府はこれを無視して、福祉や教育など弱い者いじめにだけ御熱心のようであります。私はこの点について根本的に再考を求めたいのであります。
 特に見逃すことができない点は、仲裁裁定の実行をサボり、人事院勧告を無視しておるところの政府の態度であります。
 過日の放送討論会において、宮澤官房長官は政府部内の関係閣僚の意見不一致を言われ、その理由を二点挙げておいでになります。その一は、財源の見通しがつきかねること、その二は、臨調答申の中で何らかの抑制措置を求められておることを挙げておられますが、これは道理をねじ曲げた見解であります。憲法の認める労働基本権を抑制した代償制度である人事院勧告の完全実施は政府の義務でありまして、金があるときは実行し、ふところぐあいの悪いときはやらなくてもいいというような伸縮自在なものではないはずであります。また、抑制措置云々の臨調勧告は、厳たる法律である人事院勧告制度を超える力を持つものでないことは明々白々たることではありませんか。以上の点について、総理及び総務長官の確たる御答弁を求めるものであります。
 次に、今回の措置で重大な問題は、国が地方に対する負担転嫁によって地方自治への侵害を深くしております。政府は、臨調の答申に基づいて、地方公務員の給与の抑制、国民健康保険給付費の地方負担、公共事業の地域特例の引き下げ等、地方公共団体のいやがることを押しつけようとしております。これはいわば幕府が諸国大名に命じて幕府の財政建て直しをさせるという一種の幕藩思想とも言えないでしょうか。
 答申には、老人医療の無料化や軽減措置を廃止すべしとし、政府もその線を地方公共団体に要請しようとしていますが、これらのことから見て、地方公共団体が地域住民との接点で苦しんでいる実感について、臨調も政府もよく把握していないのではないでしょうか。また、今度各省補助金の一律一割削減が実施されようとしておりますが、削減額の大きいところは、文部省四百二十九億円、厚生省四百八十二億円、農林省四百三十四億円で、合計千六百億円余というところであります。
 以上の措置が受益者や地域住民に影響を与えないようにするためには、その分だけ地方公共団体が負担を肩がわりするか、給付や事業量を減らさねばなりません。地方公共団体の事業量が減らされることになれば、その地域の産業経済に打撃を与え、特に中小企業の死活の問題にも発展するでありましょう。地方公共団体が肩がわりをすれば地方財政がなおのこと圧迫されます。これら地方財源による肩がわり部分は起債で賄うというのが政府の言いぐさかもわかりませんけれども、これもおのずから限度があろうし、または後年度の国の財政負担になることは目に見えております。政府は、国の財政の身勝手によって、国と地方との行政の守備範囲の見直しもほうっておいて、何ら優先順位も考えず、有無を言わせず補助金を削減したり、勝手に地方への肩がわりを決めたりすることは言語道断であると思いますが、この点について、総理、大蔵大臣の御見解を伺いたいと思うのであります。
 また、防衛費の後年度負担の増大は重大な問題であります。米国や西ドイツの防衛費削減をよそに、ひとり日本政府のみが防衛費の増強を図り、五十八年度以降の支出を伴う後年度負担が二兆円を超えて、雪だるま式に増大の一途をたどっておるのであります。こうした防衛予算のみを聖域化し、先取りすることは、国民の断じて許さざるところであります。総理の猛省を促したいのでありますが、御所見はいかがでございましょうか。
 さてそこで、私は国の財政再建の方途について、すでにわが日本社会党から再三にわたって具体的に提案してまいりましたように、利子配当の総合課税や、法人税の段階税制等の導入を初め、クロヨンと言われている不公平税制の改革、大企業や大金持ち、大地主に偏重した優遇措置の撤廃、不要不急な補助金等の削減と外部団体等の整理、そして防衛費の縮減、行財政の地方分権化などによって、十分かつ国民に納得のいく財政の再建、あわせて行政の改革が行われていくものと確信をいたします。また、これによって福祉や教育を犠牲にせずとも赤字国債をゼロにすることが可能であると確信いたしますが、総理、大蔵大臣の明確な御所見をお示し願いたいと思います。
 次に、私は、当面の外交に関する若干の問題点について政府の姿勢をただしたいと存じます。
 最近、日米や日韓などの政府間の話し合いの中で耳ざわりな点が一つあります。よく国際情勢の基本的な認識や考え方で一致するという表現が用いられております。そして、にもかかわらず日本は別な道を行くのだとも受け取られるようなニュアンスの言動を続けておるのでありますが、これは最近の特殊な外交用語としてもきわめてあいまいで不明朗であり、しばしば問題を醸しているところであります。私は率直に言って、日米や日韓の間には、基本的認識においても、国益の点からも、またこれに基づく政策におきましても、大分大きな違いがあってしかるべしと思います。現に、西側の一員とか同盟などと政府が強調しようとも、西欧諸国の国際的な対応を見れば、こうした言葉がいかに空虚なものであり、もっと各国独自の道が強調され推進されておるのであり、日本とて例外ではあり得ないのであります。
 こうした意味で、総理、あなたが出席を予定している十月二十二日、三日の南北サミットは特に重要であろうと思います。あなたの所信演説でも、開発途上国の国づくりを基本とすることが重要であるとの決意を表明されておりますが、私は若干の意見を申し述べ、所信を伺っておきたいのであります。
 その第一は、対外援助を絶対に軍事戦略の道具にしてはならないこと、このことを誇るべき平和憲法を持つ日本の立場から主張し、実践していただきたいことでございます。特に食糧問題、エネルギー問題、国際金融問題などに、西独やフランス等と協力して積極的な発言と行動とを約束していただきたいのであります。
 また、国連の試算によると、当面緊急に必要な援助は、南の人口の半分を対象に小学校の新設など五十五億ドル、飢えをなくする食糧供給に五十億ドル等、約百五十億ドル程度であると言われておりますが、こうした人道的立場に立って、国際機関を通じた政府開発援助に重点を置き、平和憲法の高い理念のもとでのわが国の国際的責任を果たす姿勢を明確にしていただきたいのであります。米ソで年間三千億ドルもの軍事費を使っての軍拡競争にくみするようなことなく、徹底した人道的立場を優先させた平和戦略に立つ政府開発援助に徹していただきたいのでありますが、この点について総理の御決意を明らかにしていただきたいのであります。
 次に、外務大臣に伺います。
 いま日本外交の直面する難問の一つは、韓国の驚くべき防衛分担的な経済援助要求にいかに対処するかということにあり、ここに内外の視線が注がれておるのであります。韓国政府が六十億ドル、円に換算して一兆数千億円にも上る途方もない政府開発援助を要求する背景には、日米共同声明における韓国条項や、日米韓の間における情勢の共通認識などが挙げられておりますが、この点こそ重大な問題でありますが、それ以外に何か韓国側のこうした高飛車で執拗な言動を許すような、政府・与党や財界などに弱みでもあるのではないかと考えたくもなるのでありますが、いかがでしょう。日韓外相会談あるいは日韓関係閣僚会議等の経過を踏まえて、この対韓援助問題に対する外務大臣のお考えを明白にしていただきたい。
 もしも安全保障の代償といった政治的要求をいささかでも認めるようなことがあれば、日本の対外政策は、事対外援助の問題にとどまることなく、取り返しのつかぬことになると思いますが、いかがでしょうか。韓国に対する援助は、実質的には軍事援助となり、結果として朝鮮の自主的平和統一を阻害し、朝鮮半島の緊張を逆に激化させることになると思うのでありますが、これらの点について外務大臣の率直な御見解を賜りたいと存じます。
 また、昨日から今朝にかけてのニュースによりまするというと、中国政府は台湾に対してきわめて柔軟な呼びかけを行ったようであります。日本政府は、この中国政府の呼びかけをどう評価されておるのでありましょうか、また、どう対応しようとしておられるのでありましょうか。この点もあわせて外務大臣からお伺いをいたしたいと存じます。
 次に、わが国社会の最も恥ずべき因習であります部落差別問題についてお尋ねいたします。
 五十六年度末で期限の切れる同和対策特別措置法の強化延長を実現することは緊急を要する政治課題であります。わが党は、部落問題の根本的解決を図るための一環として、特別措置法の延長を今期臨時国会で決断されることを強く政府に求めておるのでありますが、鈴木総理は、昨日の衆議院における飛鳥田社会党委員長の代表質問に対して、「来年度以降も引き続き一定の措置が必要である」と答えられ、今後の施策の必要を認められました。そのことは、その裏づけとして何らかの法的措置が必要であろうと受けとめるわけであります。しかしながら、特別措置法は今年度末をもって期限切れとなります。総理が同和対策協議会の答申を尊重されるのは、その立場を踏まえた上でこそ尊重されるものと理解いたしますが、いかがでございましょうか。
 同和対策事業特別措置法は、わが国におけるいわば「人権法」の中軸であり、諸外国からも動向が注目されております。「法」の打ち切りは、同和対策初め人権行政の大きな後退となることは明らかであります。「法」の存続について、総理の英断を強く求め、御決意を伺うものであります。
 また、かねて所管大臣として部落差別根絶のために誠意を傾けて御苦労になっておりまする中山総務長官からも御所見を承りたいところでございます。
 続いて教育について触れたいと存じます。
 総理、教育は福祉とともに政府行革の最大のいけにえにされようとしております。言うまでもなく、政府の教育行政における責務は教育諸条件の整備確立であります。ところが政府は、やってはならないことをやり、やるべきことをやらない、すなわち「金は出さないが、口は出す」という本末転倒の姿勢を続けておるのであります。文部省の概算要求では約四百三十億円に上る補助金の一律削減を押しつけられ、その大部分が小中学校新増設の補助金のカットであります。現在、教育荒廃が深刻な社会問題となり、その克服が叫ばれております。政府のこの問題に対する任務は、受験地獄をなくするとともに、行き届いた教育のための条件を整備することであります。その根本である施設の整備を大幅に削減するなど許されることではありません。
 また、長年の国民の願いであった四十人学級がようやく昨年度からスタートしたやさきに、その抑制を図るというがごときことは国民を愚弄するものであります。総理、この四十人学級計画が十二年の長期計画であるために、出発に当たって「おおむね三年後に計画を見直す」ことが予算修正時における自民党と社公民三党とで合意され、また衆参の文教委員会で決議されておることは先刻御承知のことでありましょう。政府の方針はこれらの合意をほごにするものであり、断じて容認できるものではなく、その責任を厳しく問うものであります。
 また、義務教育諸学校の教科書無償制度を崩すような恥ずかしいことを考えてもらってはなりません。同時に、この無償と教科書の制度問題を政治的に絡ませてはならないことを強く申し上げておきます。総理並びに文部大臣の明確な御見解を賜りたいと思います。
 さて、私は、質問を終わるに当たり、総理にぜひかみしめていただきたいことがございます。それは英国の政治学者ラスキーが残した次のような言葉であります。すなわち「政治のよしあしを見分けるには多くのことを見る必要はない、たった二つの点を見れば足りる」というのであります。その二つとは、老いたる者を見よ、幼き者を見よ、これがラスキーの言葉であります。老人が大切にされておるかどうか、子供たちが政治の中で本当にかわいがられておるかどうか、ここを見れば政治のよしあしは直ちに判別できると言っておるのであります。総理、まことに味わい深い見識ではないでしょうか。今日あなたは、財政再建の名のもとに、長年積み上げてきた老人の福祉を後退させ、国民の命の延長である子供たちのための施策を後退させようとしておられるのであります。ラスキーの言葉に照らして総理はどのような御感想をお持ちになっておるでありましょうか。鈴木総理の率直な御反省と政策の転換を強く進言して、私の質問を終わる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えをいたします。
 御質問の第一点は、私の政治姿勢についてでありますが、和の政治という私の政治姿勢は、就任以来一貫して変わっておりません。私は、かねてから国会は話し合いの場であり、対立抗争の場であってはならないと考えており、あくまで論議を尽くし、話し合いによって国民の納得する結論を出すことが議会制民主主義の本旨であると考えております。このような意味合いにおきまして、私は今国会におきましても、議会制民主主義のルールにのっとり、行財政改革を中心とする重要な諸案件の成立を図り、国民の負託にこたえていく決意であります。
 次に、私の行財政改革の理念、全体構想等についての御質問がございましたが、私は就任以来三度にわたる所信表明を通じ、常に行財政改革の重要性を説き、鈴木内閣は現下の最重要課題としてこの問題を取り上げる旨を国民の前に明らかにしてまいりました。幸い国民の皆様には行財政改革の必要性についての認識が高まり、いまや行財政改革の断行は国民全体の願いであると申しても過言ではございません。
 先般の所信表明におきましては、私は臨調の第一次答申に基づき、当面今国会で緊急に実現すべきものと、引き続いて昭和五十七年度予算の編成に当たりどのように行財政改革を進めるかを明らかにし、国民の皆様の御理解と御協力をお願いしたところであります。私は、長期課題も検討しつつ、当面着手し得る改革事項は着実に進めるという手法をとっておるのであります。抽象的な理念のみを語って実行がおくれるというようなことは避けねばならないと考えておるものであります。
 日本社会党が策定した「国民のための行財政改革をめざして」は私も拝見いたしましたし、また、先般日本社会党から行財政改革に関する申し入れをちょうだいいたしました。しかし、いずれも行政の簡素合理化、財政の健全性の回復という観点からきわめて問題が多いと思われます。いずれにせよ、行財政改革に関する建設的な御提言は大いに歓迎いたしますし、また謙虚に検討させていただきます。
 私は、行財政改革によって、国内にあっては活力ある福祉社会を実現し、対外的には国際社会に一層貢献するための基盤を確かなものとしたいと考えております。行財政改革のような国家百年の大計とも言うべき国民的課題を達成するためには、広く国民各層の理解のもとに政府と国民が一体となって事に当たらなければならないと存じます。その過程におきまして、産業なり国民生活の各分野なりでいろいろ痛みを伴う事柄のあることも承知しております。しかし、私たちはいま、最近における内外の厳しい環境を踏まえながら、新しい時代に対応できる簡素で効率的な行政の確立と財政の健全性と対応力の回復とを目指して、行財政改革を推進しているのでありますから、その過程における痛みは、よりよいあしたを築くための産みの痛みであると耐えていかねばならず、また耐える価値のあるものであると考えるのであります。
 今回の法案は、実際は当初の名称どおり補助金等の縮減を内容とするものにすぎないのではないかとの御質問がありましたが、臨時行政調査会の第一次答申も指摘しておりますように、財政の再建は行政改革の突破口として位置づけられるものであります。この法案は、同答申に即して補助金等の縮減その他の特例措置を実施しようとするものでありまして、当面の行財政改革を推進する上で、第一段階として必要不可欠な方策であると考えます。
 増税なき財政再建について小谷さんの御見解が述べられましたが、政府の所見を申し述べますと、まず歳出面から申し上げますが、財政再建を進めるためには思い切った歳出の抑制が必要であり、このためあらゆる歳出について、異常な大量公債発行下においてもなお行うべき施策かどうかという観点から、臨調答申指摘事項の織り込みなど厳しい洗い直しを進めることがぜひ必要と考えます。
 この場合、防衛関係費につきましても、一般の経費と区別することなく経費の節減合理化を図り、真に必要な経費に限って予算計上する方針のもとに、憲法及び基本的防衛政策に従い、自衛のため必要最小限度の防衛力を着実に整備してまいる所存であります。
 また、福祉については、社会的、経済的に見て弱い立場にある方々に対して真に必要な施策は確保していく考えでありますが、同時に、社会保障の給付と負担の両面にわたり適正な見直しを進める必要があると考えております。
 所得税減税の問題でありますが、これは今後特例公債脱却の明白な目途がつくという事態にならない限り、なかなか困難な選択であると考えております。
 また、租税特別措置につきましては、税負担の公平確保の観点からこれまでに徹底した見直しを行ってきておりますが、昭和五十七年度におきましても、その見直しに一層の努力を図ってまいる所存でございます。
 仲裁裁定の取り扱いについては、現在までのところ、国会に付議した当時の状況に格別の変化が認められない状況にございます。つきましては、引き続き国会の御判断にゆだねることといたしたいと思います。
 また、人事院勧告の取り扱いにつきましては、これまで維持されてきた良好な労使関係、現下の厳しい財政事情など諸般の事情を総合的に勘案して慎重に判断する必要がありますので、引き続き給与関係閣僚会議において検討を行うこととしております。
 次に、今回の行財政改革と地方財政との関係についてお尋ねがありました。
 今回の行財政改革を進めるに当たっては、特定地域に係る国の負担、補助の特例措置のように、地方団体にも協力をお願いしなければならないものもありますが、この点につきましては、対象となる都道府県、指定都市に対しまして、その事業の執行や財政運営に支障を生ずることのないよう財政金融上の措置を講ずることといたしております。今後とも地方財政につきましては、その円滑な運営が図られますよう十分配慮してまいる所存であります。
 防衛費の後年度負担について御質問がありましたが、艦艇、航空機等の主要装備品はその性質上、製造などに多年を要しますので、後年度負担を伴うことは避けられないのであります。五十七年度予算編成に当たりましては、財政再建が現在の緊急課題であること、また他方において、防衛計画の大綱の水準に一日も早く近づけるよう防衛力の整備充実を図っていく必要があることなどを総合的に勘案しまして、防衛費の後年度負担についても、今後の予算編成の過程で十分慎重に検討した上で、適切な規模のものとしてまいりたいと考えております。
 いずれにしても、わが国の防衛は憲法及び基本的な防衛政策に従い、かつ国民の合意のもとに他の諸施策との調和を図りつつ着実に努めることを基本方針としており、御指摘のような批判は当たらないと思います。
 次に、社会党が具体的に提案している国の財政再建の方途について、私と大蔵大臣の所見を示せとのことでありましたが、この点につきましては後ほど大蔵大臣からまとめて答弁をいたさせます。
 南北問題は、現在人類社会が直面する最大の課題の一つであります。各国間の相互依存関係は近年ますます深まっており、開発途上国の経済的、社会的発展は、単に開発途上国の利益であるばかりでなく、世界経済の調和のとれた拡大的発展、ひいては世界の平和と繁栄にとっても不可欠となっております。このような認識のもとに、わが国は南北問題の解決に積極的に貢献していくことをもって基本方針としております。さきの所信表明においても述べたとおり、来る南北サミットに際しては、国会の御了承を得て私自身これに出席し、その際私より経済協力に取り組むわが国の積極的な姿勢を明らかにするとともに、特に食糧増産、農業開発などの施策が開発途上国の国づくりの基本として重要であることを訴えるつもりであります。
 次に、同和対策事業特別措置法を強化延長せよとの御意見がありましたが、政府としては同法が期限切れとなる昭和五十七年度以降においても、関係施策を再検討し、その適正化と効率化を図りつつ、なお一定期間所要の施策を講ずることといたしております。その場合の財政措置の内容及び法律問題につきましては、同和対策協議会の最終意見を見きわめつつ、関係各方面との意見の調整を図りながら検討してまいる所存であります。
 教育問題についての御質問にお答えいたします。
 四十人学級などの計画については、自民党と三党との合意及び昨年の衆参両院の文教委員会における決議において、おおむね三年後に各般の状況を勘案してその後の計画につき検討をすることとされていることは、私も承知しております。しかしながら、財政再建に対処する方針について、今回臨調の第一次答申が出されるなど昭和五十五年当時から見ると新たな事態が生じておりますので、このような国の財政の非常事態を踏まえて対処せざるを得ないものと考えます。
 次に、義務教育教科書の無償給与につきましては、昭和五十六年度予算においても存続することとしておりますが、臨時行政調査会の第一次答申において、廃止などを含め検討するとされているので、さらに各界の意見に耳を傾けつつ、今後のあり方について検討してまいる所存であります。
 なお、小中学校の施設整備については、小中学校児童生徒数の増減とのかかわりもありますので、文部大臣より答弁いたさせます。
 以上お答えいたしましたが、残余の点につきましては所管の大臣から答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 一つは、五十二年から課税最低限を据え置きにしておるから増税になっているではないか。これは御承知のとおり、その間、所得がふえれば税金がふえます。これは事実でございます。二百一万五千円以下の標準家庭は無税でございますが、十万円所得がふえれば五千円とか七千円とか所得税がふえます。しかし、残りの所得もふえる、これは事実でございます。御承知のとおり、日本の場台は諸外国と比べて所得に対する所得税率が非常に少ない。所得に対しての所得税負担の割合は、日本は四・五%、アメリカは一一%、イギリスは一二・六%ということでございますから、確かに税納め額はふえておりますが、所得もそれ以上にふえておるわけで、これを全体と比べれば、日本の所得税は諸外国と比べてきついということではございません。
 それから企業税制の扱いについて、本当に企業優遇税制を洗い直しすれば二兆円の税収が出てくるのじゃないか、そうすればそれでうまくいくのじゃないかというお話でございますが、そうはなかなかうまくは私はいかないのじゃないかと実は思うのです。御承知のとおり、企業税制といわれましてもいろいろございまして、特別措置法のことをすぐ言うわけでございますが、これはもうほとんど大部分が個人所得に関するものであります。それはマル優の減税とか、それからいろいろな公害関係とか生命保険控除とか住宅取得控除とかというものでございまして、企業関係は二千億円程度しかございません。そのうち大部分は中小企業関係のものでございまして、これをなくしたからといって二兆円という金は出てまいりません。しかしながら、これはいろいろな退職給与引当金とか準備金とか、こういうものも含めて皆洗い直せと、こういうあるいは御趣意かと存じます。しかし、これはいままでも実は引当金等については実態に合わせて引当額を減額してきております。今後ともこれらについては実態に見合ったことを考えていかなければならぬと、そう思っておるわけでございます。
 それからその次は利子配当の総合課税、これをやれと。これはグリーンカードを昭和五十九年から実施するという方向で準備をいたしておりますので、これは御主張のようなことにいずれなるわけでございます。
 それから段階別の法人税率を導入しろということでございますが、これはちょっとむずかしい問題でございます。それは御承知のとおり、社会党の案は、たとえば現行税率は四二%だが、所得一億円以下の者は三七にしろ、一億円と十億円の間は四二にしろ、十億円超は四七にしろと、こういうふうなことではないかというように私理解をいたしております。しかしながら、所得だけで税率に差をつけるということはいろいろな問題がある。たとえば一千億円の会社が仮に百億円もうけたとしても資本金の一割でございます。百億円の会社が十億円もうけても資本金の一割でございまして、これがうんときつい税率になる、十億円以上だからと。ところが、五千万円の会社が仮に一億円もうければ資本金の二倍もうけたことになる。しかし、それは一億円以下だから安い税率だということはいかがなものであるか。資本金が大きければ配当も大きく出さなければならぬわけですから、所得の額が大きく出るのは当然でございまして、資本金に関係なく所得だけによって税率を高くするのだということは実情に合わない。であるならば、資本金に比例して超過累進のような所得をつくったらどうかという議論も一方ございますが、これは資本金の小さいものほど実はもうけの率が高いというのが実情でございまして、そうすると、中小企業の方によけい税率が高くなってしまうという矛盾がある。そういうような点から、なかなか法人税では段階税率を設けるというのは実態にそぐわないというように私どもは考えておるわけでございます。
 それから優遇税制の話は先ほど申し上げたとおりでございます。
 それからクロヨンのこともここに書いてございますが、不公正を直すと言うてすぐクロヨンという話があるのですが、九とは、給与所得者は一〇%控除になるから九だ、あと六、四というのは何だと、よくわからないのですが、いままで普通言われたことは、まあ六は事業所得者、四は農家というようなことが終戦後言われたことがございます。しかし、現在はそういうことはほとんどないのじゃないか。たとえば農業所得の場合、四割しか所得の捕捉ができない、あと六割は脱税になっているというようには私思っておらないのでございまして、たんぼや畑を隠してしまうといっても、これは非常にむずかしい問題でございますし、収穫高は大体いまはきちんとつかまれておるので、どうしても抜け道が仮にあるとすれば、都市周辺で野菜などをつくっておる農家の所得把握が完全にいっているかどうかというような点で、一〇〇%いっているかと言われると私も自身がないわけでございますが、大部分の農家の所得はほぼ完全に把握をされておるというように考えます。
 それから中小企業初めいわゆる事業所得者のものでございますが、これも青色申告がかなり普及をいたしてきておりますし、一部にはまあ反税的に徒党を組んで調査をさせないというような団体もあるやに聞いておりますが、しかしながら、これも全体から見れば私はそんなにたくさん脱税しているというふうに思わない。ただ、個別案件としては中に脱税をしている者がときどきあるわけでございまして、これについてはさらに調査の深度を深めて、そういうような者がまかり通らないようにきちんとこれは執行面からもやってまいりたいと、そう考えております。制度面等についても層一層いろいろな点から工夫をいたしまして、不公平と思われないように少なくともしなければならぬというようにわれわれは考えておる次第でございます。
 それから不急不要の補助金等は極力整理をしろと。ごもっともなことでございまして、われわれといたしましては、そういう点について皆さんの御理解を得ながら極力整理をしてまいりたい。
 防衛費の問題につきましても、総理がおっしゃいましたように決して聖域ではございませんので、これは真に必要やむべからざるものだけを見ていくということで、決して聖域扱いはいたしません。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(中山太郎君) 小谷議員にお答えを申し上げたいと思います。
 まず第一の人事院勧告に関する問題でございますが、この問題につきましては総理からすでに御答弁がございました。
 政府は、昨年度も人事院勧告の完全実施をめぐりまして、大変財源の乏しい中で、いかにして健全な労使関係を維持するかという基本的な考え方の中で、昨年十月二十八日まで四回給与関係閣僚会議を開き、乏しい財源ではございましたが、誠意をもって努力をしてきた経過がございます。今年も昨年に比べて財源はきわめて厳しい。大蔵大臣も給与関係閣僚会議においては税収の見通しが現在では立ちにくいというような苦しい状態の中で、給与の担当大臣といたしましては、過去十年間のこの日本のいわゆる安定した労使関係というものが社会に大変大きな貢献をしてきたということで、私どもとしては非常に厳しい状態の中で、できるだけ誠意をもって給与関係閣僚会議でこの問題の取り扱いに努力をいたしてまいりたい、このように考えておりますので御理解を賜りたいと考えております。
 第二の同和関係の問題でございますが、すでにこの問題も総理から御答弁がございました。
 政府は、この同和対策事業特別措置法が施行されて以来ちょうど十三年になりますが、十三年間に国費を一兆四千四百億円投入いたし、そうしてこの部落の差別問題というものの解消に努力をしてきたことも御承知のとおりでございます。
 今年八月十八日に同和対策協議会からの中間答申がございまして、この対策事業というものをある一定期間さらにやるべきであるという答申を踏まえて、政府は八月二十八日に関係閣僚の協議の結果、総理大臣の御承認をいただいて、ただいま答弁がございましたような、今後一定期間、効率的な適正ないわゆる同和対策事業というものをさらにやるという方針を決定いたしたようなことでございます。
 なお、法律の問題につきましては、同和対策協議会から法制そのものについてまだ答申をいただいておらない段階でございますので、政府といたしましては、同和対策協議会の今後の答申を十分伺いつつ、また各方面の御意見を聴取しながら、この問題の方針を決定してまいりたいと、このように考えております。(拍手)
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。
 隣国の友邦たる韓国が経済的、社会的な困難に直面しながら新しい国づくりに努力していることを考慮し、わが国としては経済協力の基本方針のもとに、できる範囲の経済協力をすべきものであると考えております。しかしながら、いまのところ両国の立場や意見に非常に大きな開きがございます。したがって、今後韓国側の要請に関する具体的な説明を受けながら、外交経路等を通じて話し合いを進めていく所存であります。その際、政府としては日本側の立場を十分韓国側に説明し、お互いに納得のいく形の解決を図るよう努める所存でございます。
 経済協力が軍事費の肩がわり等に使われてはならぬことは、御発言のとおりでございます。なお、このような経済協力の基本方針のもとに、韓国に対する経済協力が南北間の緊張を助長したことはないと信じております。
 次に、昨日午後一時、中国は台湾に対する呼びかけを行い、台湾はこれに対して拒絶の声明を出しました。それぞれ立場の違う微妙な問題でありますから、幾ら親しい仲とは言いながら、日本政府や日本の外務大臣がこれにとかく言うことは私は軽率であると存じますので、この答弁はお許しを願いたいと存じます。ただ、お互いに理解を深め、話し合いという方向でいくということは歓迎をいたします。(拍手)
   〔国務大臣田中龍夫君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(田中龍夫君) お答えをいたします。
 文教関係におきまする三つの御質問がございましたが、その中で教科書の無償制度の存続の問題につきましては総理大臣から明確に詳細にお答えがございましたので、後段の、教科書の検定の問題と無償制度の問題が何らのそこには政治的な絡み合いもないということだけを明確にいたしておきたいと、かように存ずるのであります。
 御案内のとおりに、憲法第二十六条に掲げます義務教育の無償の精神を広く実現するための施策がこの義務教育教科書の無償問題でありますが、教科書の検定の問題は、学校教育におきます重要な役割りを果たしております教科書につきまして、客観的で公正な記述となりまするように文教政策といたしましては努力を続けてまいります。
 次に、概算要求におきます公立学校の施設整備費の縮減でございますが、これは小中学校の新増設費を四百二十七億円程度の減額要求を行いました点でございますが、これは小学校の児童数が昭和五十六年度をピークといたしまして、以後減少に転じてまいります。かようなことから、市町村におきます小学校校舎等の新増設計画の減少が見込まれることと相なっておるのでございます。
 次に、四十人学級の問題でございますが、教職員定数改善計画につきましては、自民党が社会党、公明党、民社党の三党に対しまして、おおむね三年後に各般の状況を勘案しその後の計画について検討をする旨の回答がなされましたこと、また、昨年いわゆる教職員定数標準法の改正に際しまして、衆議院及び参議院の文教委員会におかれまして同趣旨の決議が行われておりますことは、よく承知をいたしております。しかしながら、財政再建に対処いたしまする方針につきまして、今回臨時行政調査会の答申が出されるなど、五十五年度から見ますると新たな事態が生じております。このような事態を踏まえまして、財政再建期間中の国の歳出の縮減策の一環といたしまして、教職員定数増につきましても大幅な抑制をなさざるを得ないということは御承知のとおりでございます。
 以上、三点お答えをいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(徳永正利君) 梶木又三君。
   〔梶木又三君登壇、拍手〕
#18
○梶木又三君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、行財政改革を中心に当面する重要問題について、総理並びに関係閣僚に若干の質問をいたします。
 質問に先立ち、先般の大雨、台風等により甚大な被害を受け、たっとい人命までが失われましたことに対し、心からお見舞いを申し上げますとともに、御冥福をお祈りいたしたいと存じます。
 さて、鈴木内閣誕生後一年を振り返って、外交面では、ASEAN五カ国の訪問、レーガン大統領との会談、欧州各国の歴訪、オタワ・サミットなど各国首脳と胸襟を開いた世界外交を強力に展開されております。一方、内政面にあっては、財政再建のための二兆円の公債減額の断行、景気の立て直し、物価の安定、行財政改革に取り組む強い姿勢を示され、厳しい内外環境の中で誠実な政策運営を図られていることを高く評価するものでございます。
 さらに、今日世界が直面している最大の課題は、開発途上諸国の経済自立に対する主要先進諸国の協力強化にあると思います。その意味で、今月下旬、総理がメキシコにおける南北サミットに参加を予定していることは、世界の相互依存体制の中で、わが国が新しい南北関係の前進に大いに寄与するものとして歓迎すべきことであり、国会開会中ではありますが、ぜひ会議に出席されますことを心から希望いたします。
 さて、臨時国会は、さきの臨時行政調査会の答申を受けた行財政改革、財政再建、このための一括法案を初めとして、人事院勧告の取り扱い、仲裁裁定の処理、参議院における継続審査中の国家公務員退職手当法及び地方公務員の定年法の両改正案、さらにはわが党の議員立法である全国区制改革法案など、従来の国会においてかつてない重要法案がメジロ押しの状況であります。
 総理は、就任後、「和」をその政治信条とされて政局担当に臨んでおられます。私も、「和の精神」すなわち信頼に基づく話し合いの政治が民主政治の根幹をなすものとして大事であると全く同じ考えを持つものでありますが、これとあわせて、模索と激動の八〇年代に対処するためには、将来を見通す先見性と時期を失しないタイミング、果敢なる決断を踏まえた将来に向かっての攻めもまた必要ではないかと考えるものであります。今回の重要案件はいずれも各党各会派ごとにその立場、態度はさまざまであり、全会一致で目指す結論を求めることにはきわめて厳しい事態が想定されます。われわれは、昨年の同日選挙における衆参を通じた安定多数におごるべきではありませんが、国民の審判にあらわれた期待に背くことはできません。
 まず、今後の政局担当及び国会運営に臨む総理の御決意を伺っておきたいと存じます。
 次に、かねてからそのあり方が問われている全国区制の改正であります。
 わが党では昨年来鋭意検討し、ようやく拘束名簿式比例代表制として取りまとめ、前国会に提出しましたが、残念ながら審議に入れず廃案のやむなきに至ったのであります。もとより選挙制度は各党各派の共通の土俵であり、その帰趨いかんは党の死活問題であるだけに、できるだけその合意点を見出すべきが筋であり、わが党としても前国会提出前の段階で各党へ種々御説明申し上げ、納得いただけるよう努めたのであります。しかしながら、現行全国区制の存続や、地方区を全廃して全国区にかわるブロック制を主張される向きもあり、これでは選挙に金のかかる点が一向に是正されません。また、本院創設の趣旨にも反することから見て、われわれはやむなく単独提案に踏み切ったのであります。
 しかしながら、行財政改革が強く叫ばれております今日、巨額の金のかかる全国区制改正の必要性はさらに一層増しており、国民の強い声となっておるわけでございます。わが党は今国会にも再度提出し、強くその成立を期しておるところでありますが、自民党総裁としての総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、経済問題であります。
 経済企画庁では経済活動は緩やかに回復していると説明していますが、実態は依然として企業の倒産は多く、失業率も高水準にあって、どうも力強さが感ぜられません。これは、期待していた個人消費や住宅建設などの内需がいずれも伸び悩みの状況にあり、住宅産業を初めとして石油産業、アルミなどの素材産業などは深刻な状況となっております。また、これまで景気振興の明るい材料でありました設備投資もはかばかしくなく、特に中小企業については前年度より下回っておるほか、地域間の景気ばらつきも目立っております。現在、景気は輸出によってどうにかカバーしているのでありますが、これとてふえ過ぎればまた諸外国との貿易摩擦の問題が生じ、政治問題となるおそれがあります。いまやるべき景気対策は、外需に頼らない内需の振興を図るべきであって、これには産業間、企業規模間、地域間の格差を解消した均衡のとれた経済運営が必要ではないでしょうか。
 いまわが国経済は、厳しい財政事情の中で大量の公債発行問題を抱え、さらに米国の高金利による影響もあり、従来のような財政面、金融面による需要拡大のための大がかりな景気対策は求め得べくもありませんので、それぞれの実態に応じた個別的なきめ細かい対策が必要と思います。
   〔議長退席、副議長着席〕
政府は景気動向をどのように認識し、これに対処するのか、その方針を伺いたいと思います。
 次に、今期国会の重要課題であります行財政改革について伺います。
 国民の福祉を増大させ、正しい民主政治を定着させるための最も重要なことは、行政の運営が適正であり効率的でなければなりません。国民の税金によりその給与が賄われている公務員や公共企業体の職員が、国民への奉仕者としてその責務を果たすためには最小限の定員で最大限の能率を発揮し、国民の利益に十分こたえるべきであります。果たして現状はこの要請にこたえているかと問われれば、残念ながら否定的にならざるを得ません。
 これまで社会の発展、経済の高度成長につれて新たな行政需要が続々発生し、また社会の複雑化に伴って行政はますます専門化し、分化せざるを得なくなりました。このため行政機構は年々膨大化の一途をたどっております。その結果、国家公務員と政府関係機関職員、地方公務員の総数は実に五百万人を超え、その人件費は約二十五兆円という巨額に達しております。
 このような社会経済情勢の変化は、当然に社会規範としての法律や政令を細分化し、その件数はますます増加の傾向にあって、いまや法律の数は実効性を喪失した四百七十四件を含み千九百八十六件、政令は千六百六十四件、省令は二千三百三十三件、それに旧憲法下の勅令百三十四件、閣令十八件、締めて六千百三十五件の多きに達して、行政の複雑化はますます制度をわかりにくくし、国民の負担を重くしております。すなわち、いま求められる行政改革は、この肥大化した行財政のぜい肉を思い切って削ることにより、簡素で能率的な活力ある行政の制度、機構に改めることであります。これがひいては新しい国づくりの基礎となることと信ずるのであります。
 総理は、大平時代の五十五年行革をさらに前進させ、これを内閣の最重要課題として取り上げ、みずからこれに政治生命をかけると言明されました。中曾根長官も同調されました。
 さて、去る三月、土光さんを会長として発足した第二次臨時行政調査会は、七月十日、当面緊急に措置すべき問題点を取りまとめた第一次答申を発表いたしました。これは増税なき財政再建のため、とりわけ来年度予算編成を行政改革の観点から方向づけるガイドラインを示すものであって、いわば緊急課題を調査会発足以来精力的な審議でまとめられた努力の結晶でありまして、本格的な制度改正を含む行政の減量化の問題は来年以降答申をお願いしておるところであります。
 これに対し、一部に本質的な制度論での答申でなく、初めから来年度予算という政策論から入り、財政対策にウエートが置かれたものであるから反対であるとする向きがあります。しかし、われわれとしては、すぐやるべき必要のあるものをまず求めることは、あたりまえであると思うのでありますが、改めて総理及び行政管理庁長官より答申に対する決意及びこの間の経緯について説明をお願いしたいと思います。
 これとあわせて、これから本番と言われる今後の行財政改革について、どういう問題をいつごろ答申を求めるのか、今後のスケジュールについてもお示しいただきたいと思います。
 行政改革を行うに最も効果があり、国民にわかりやすいものは仕事減らし、人減らしであります。この意味で、今回の臨調答申の国家公務員の五カ年間五%の人員削減はまさに時宜を得た提言であると思います。内閣ではこれを受けて、去る九月十一日、五十七年度から五年間で、五現業を含めた国家公務員の定員を五%、病院、大学も聖域なしの四万四千八百八十六人削減する第六次定員削減計画を発表いたしました。
 総定員法制定後の四十三年度から五十六年度までの国家公務員の総数の推移を見ますと、この間約九千人の純減となっており、地方公務員の大幅増と比べるとそれなりの努力を多とするのでありますが、五十六年度の純減はわずか百一名であります。第六次削減計画の中で今後も増員要求は強く出てくると思いますが、それは真に国策の重要性に応じた必要最小限のものに限定して厳しく査定し、実質削減の効果が出るようにすべきと思うのでありますが、政府の方針を伺います。
 一方、各省庁では正規職員のほかに膨大な数の非常勤職員、いわゆる臨時職員を抱えており、これについては答申は触れておりません。今回の定員削減計画の改定の強化が行政合理化の最大の柱であるからには、表に出ないこの非常勤職員に関する人事管理に徹底した断行なかりせば、せっかくの第六次計画そのものが空念仏に終わるのではありませんか。この際、この非常勤職員の実態と今後の対策について明確な答弁を求めたいと思います。
 国と地方は車の両輪であり、地方自治体はその行政施策が直接住民サービス、住民の福祉に結びつくだけに、地方行政の合理化、効率化もまた急務であります。今回の臨調答申においては、地方自治の原則との関連から明確な指摘はありませんが、特に取り上げられた地方公務員の定数及び給与、退職金については、自主的な抑制措置を強く要請いたすものであります。
 これまで地方公務員の定数につきましては毎年増加傾向を示し、四十二年度以降八十万人も増加し、三百十六万人の人件費は十四兆八千億円の巨額に上っております。臨調では地方公務員の定数管理のための標準モデルの活用、職員給与の実態の住民への公表、あるいは国の給与水準、退職金水準を上回る地方公共団体に対する財政措置等を講ずると答申されておりますが、これの舌の根も乾かぬうちに高い給与をさらに引き上げる動きがあります。臨調答申を完全に無視している状況が見受けられますが、政府として今回の臨調答申をどのように地方公共団体に徹底させ、これを完全に実行させるのか、その具体策をお伺いいたしたいのであります。
 あわせて、財政措置を講ずる場合の基準、方法をどのように考えているのか。地方交付税で制裁措置をとるべきであると考えますが、いかがなものかお答えいただきたいと思います。
 さて、今年度末には公債発行残高八十二兆円、その利払いに要する費用等は六兆六千億円以上であり、これは国民生活に密着する公共事業関係費とほぼ同額となっております。こうした財政状況になった原因は、主に石油ショック後の各種公共サービスの拡充にあり、当時の経済社会情勢を背景にして考えれば真にやむを得ないものがあったと思いますが、かかる状況を放置しておくととは、今後新しい政策要請にこたえられないだけでなく、インフレを招く原因になるなど将来きわめて問題があると言わざるを得ません。
 この不健全な国債依存の財政体質から早く脱却するため、いま目指しているのが行政改革の一環としての財政再建であります。われわれは、五十九年度までに赤字国債の発行をゼロにするため、五十六年度は法人税、物品税の増税をお願いして、政策の優先順位のもとに二兆円の公債減額を断行して、歳出の伸び率を二十二年ぶりに一けたに抑えました。五十七年度は総理の大英断により、ゼロシーリングのもとに臨調答申を尊重して増税なき予算編成を行うことにいたしております。
 さて、これを受けた来年度の概算要求は四十九兆四千六百六十一億円、その伸び率は五・七%と、かつてない低いものとなっており、増税なき財政再建へ大きく踏み出す努力を多とするものであります。しかしながら、今年度の税収が伸び悩む状況の中で、大蔵当局が中期財政展望で想定する来年度四兆七千億円の自然増収が確保できるのかという問題、また、現時点では今年度の人事院勧告の取り扱いは未定でありますが、これの平年度化の問題、さらには年末の予算編成時までその調整を持ち越した国民健康保険医療費の地元負担の問題など、その推移いかんによっては歳入減の中での歳出膨張という厳しい事態が懸念されます。
 これらを考えるならば、現在の概算要求からさらに数千億円歳出切り込みなかりせば、中期財政展望で示す一兆八千億円の国債減額は不可能でありましょう。これらについて政府はどのように受けとめ、来年度の予算編成を行うのか、総理並びに大蔵大臣の御所見を伺いたいのであります。
 以上、厳しい財政事情のもとで来年度以降予算編成を行うことになるのでありますが、他面、「例外のない法則はない」という言葉があるとおり、その行財政改革にも一律に処理してならない領域があると思います。それは、防衛、 エネルギー問題を含めた科学技術の振興、食糧、これら三つを基軸とする国の基本的存立にかかわる総合安全保障政策であります。これらにつき順次お伺いいたします。
 まず防衛問題であります。
 わが国の防衛問題を考えるに当たって、まずわれわれが肝に銘ずべきことは、わが国が戦後三十六年間、世界における大小さまざまの局地戦争に一切巻き込まれることなく繁栄を享受し、経済的には世界経済の一割のGNPを占めるまでに発展を遂げたことは、日米安全保障体制のもとで、わが国の安全保障を確保してきたことに負うものであるということであります。
 いま西側は、ソ連の驚異的ともいえる著しい軍事力増強に直面しております。わが国も、いまこそ西側の一員として、その置かれている国際軍事情勢を的確に分析し、長年の安保ただ乗りの汚名を率先解消すべく、自国の平和と安全は自国で責任をとるとの決意を身をもって示すべきであります。アメリカがその相対的な国力、軍事力の低下の中でソ連の世界戦略に強い姿勢を打ち出しているとき、西側の一員としてのわが国も応分の責任と役割り分担を果たすべきは当然のことであり、これなかりせば、やがて日米安全保障体制そのものが空洞化しないとも限りません。
 国の安全確保の問題は民族の生存にかかわるものであり、行財政改革の問題にも増して、より重大な政府に課された責務であると思います。極東ソ連軍の増強を初めとする現下の厳しい国際情勢や、わが国の防衛努力が諸外国に比しきわめて低い水準にあることを考慮すれば、財政再建下とはいえ、わが国も西側の一員として応分の負担に積極的に応じていくべきものと考えますが、総理はわが国の防衛努力について今後どのように進めていくお考えなのか、また、来年度予算についていかに対処するお考えなのか、伺っておきたいと思います。
 エネルギー問題は世界の死命を制する重要な課題であり、とりわけわが国にとっては深刻な問題であります。この問題を解決するためには、省エネルギーと代替エネルギーの開発に全力を挙げる以外ありません。そして、このことは科学技術の振興以外の何ものでもないと思います。まさに、科学技術は経済社会発展の原動力であり、その成果は子孫に受け継がれていく国民共通の財産であります。国土が狭く資源に乏しいわが国が、今後とも経済社会の発展を維持し、豊かな国民生活を築いていくためには、国民の英知と努力を結集し、自主技術の開発を初めとする科学技術の振興に全力を傾注していかなければならないと思います。
 従来、わが国の研究開発は民間企業にその多くを依存してきましたが、今日、原子力、宇宙、遺伝子組みかえ等に代表されるように、研究開発のリスクが大型化するとともに、革新的技術を創出するための基礎研究の重要性が増大しており、国の果たすべき役割りはいよいよ大きくなってきております。したがって、財政事情厳しき折ではありますが、科学技術振興の重要性にかんがみ、政府は研究開発を強力に推進すべきであると考えますが、総理及び科学技術庁長官の御所見を伺いたいと思います。
 次は食糧問題ですが、その前に冒頭申し上げました災害についてお伺いいたします。
 八月上旬の北海道の大雨及び十五号台風等により、水稲を初めとし、種々の農作物あるいは農地、農業用施設等に大きな被害が生じ、農家に深刻な打撃を与えております。
 特に北海道、東北、関東が被害甚大で、二十五日発表の農林水産省の水稲作柄概況を見ても、総理の御出身地の岩手県は八三%、これを筆頭に北海道、青森、宮城の道県はいずれも九〇%以下という著しい不作であります。昨年の大冷害と二年続きの不作であります。この深刻な事態にかんがみ、被災農家の窮状を打開し、来季の営農に安んじて取り組むことのできるよう、激甚災害法の指定及び天災融資法の発動を含めて早急に対策を講ずべきだと思いますが、総理の御所見を伺います。
 世界の食糧の需給動向を見ますと、需要は毎年着実に伸びているのに対し、生産は異常気象等により豊凶変動の振幅が大きくなっておりまして、かつての過剰基調から不安定基調にさま変わりしております。そして、長期的には特に開発途上国で食糧不足が深刻になると予測されております。したがいまして、わが国は世界の食糧需給が不足基調に陥る事態になっても、これに対処できる備えを持たなければなりません。一たん不足基調が顕在化すれば、わが国が札びらを切って食糧を先取りすることは困難になり、独立自主外交はむずかしくなりましょう。
 やはり、わが国の食糧の安全保障を確保するには、何といっても農村を活力あるものとし、そして健全な農業を育成して、不足基調に陥っても、しのげるだけの食糧自給力の強化を図っておかなければならないと思います。このために、最も基礎的なものが生産基盤の整備であり、かつ農村の環境整備であると思いますが、これらのことにつき、総理及び農林水産大臣の御所見を伺います。
 次に人事院勧告について伺います。
 私は、公務員の労働基本権制約の代償措置として人事院勧告の持つ意義を十分理解しておりますし、また、昭和四十五年以来これが完全実施され、安定した労使関係の維持に寄与していることも十分認識しているものであります。しかしながら、現下の厳しい諸情勢にかんがみれば、臨調答申にもあるように、給与の改定に当たっては、労働基本権問題や労使関係への配慮とともに、社会経済情勢、財政事情、国民世論の動向等の諸事情が広く考慮されてしかるべきと思います。
 財政再建に当たって、あらゆる歳出について見直しが行われているとき、人件費とて聖域ではなく、定員の削減とともに給与等の合理化が検討されなければ国民の理解を得ることは困難ではないかと思います。アメリカでレーガン大統領が、一九入二年度の連邦公務員の賃上げ率について、一五・一%の勧告率を三分の一、四・八%に削減して議会の承認を求めていること、イギリス及び西独においても同様の措置がとられていることが伝えられておりますが、大蔵大臣としてどう受けとめておられるか、御所見をお伺いしたいと存じます。
 本年度の勧告を実施するには、追加所要額として一般会計分で約二千八百億円の多額に上ります。本年度の財政事情を見ますと、財源面では従来補正財源の大宗を賄っておりました税の自然増収や公債の追加発行に期待することは困難でありましょう。他方、追加財政需要については、災害等かなり多額に上るものと予想されます。このように見ますと、いまだ年度半ばで確定的なことは申せないまでも、本年度の給与改定についての財源的なめどは容易に立てられないというのが実情ではないでしょうか。
 私は、以上述べたような観点から、この問題については基本的には抑制するという方針に立ちつつ、きわめて厳しい現下の財政事情を検討の上、十分時間をかけて慎重に結論を出す必要があると考えます。総理並びに大蔵大臣の御所見を伺います。
 最後に、私は五十八年度以降の財政再建の進め方について考えてみたいと思います。
 私は行財政改革の重要性を毛頭否定するものではありません。むしろ人一倍その必要性を痛感しているものであります。過去の惰性のもとに継続している緊急性の乏しい行政経費については、今後とも鋭いメスを入れ、時宜に適した効率的な行財政構造とする努力を不断に行うことは当然であります。
 しかし、一方では、激動する現代社会において、個人の自己責任では解決の道がなく、その結果国家として果たすことが期待される業務がふえていることも事実であります。また、先刻も申し上げたとおり、国の総合安全保障政策として積極的に努めなければならぬ分野もありましょう。さらに、わが国が今日の経済大国となった結果、国際的な責任分担を果たすための経費増もあります。
 私が申し上げているのは、いわゆる各論反対ではありません。個々の経費についてぎりぎりの見直しを行い、なおかつ、こうした要因によって国家財政がふくらまざるを得ない場合、どのようにするのかということであります。
 歳出を切れ、こう言うことは容易なことであります。しかし、その多くは国家の存立並びに国民生活に直結しているものばかりで、このような意見は部外者の無責任さのあらわれと言えましょう。五十七年度予算はいわばぎりぎりの歳出削減を行うこととしているわけでございますが、五十八年度以降については、「国家とは何か」「財政とは何か」、冷静に国民一人一人が考え、総理も所信表明で述べておられる税負担の公平の確保とともに、歳入の確保の方途についても検討し、真に財政再建のあり方を考える必要がありましょう。この点について、総理並びに大蔵大臣の率直なひとつ御所見を承りたいと思います。
 終わりに、わが党は世界の政治史上かつてない長期政権を担当して、今日の国力の充実と平和維持を果たしてきました。長過ぎれば飽きがくる、これはこの世の常でありますのに、これまで国民各位の強い御支持をいただいておるのであります。
 この理由は何か、その秘密は何か。これは、申すまでもなく政権を担当している責任政党として、財政的裏づけのない非現実的な人気取りに終始することなく、「できること、できないこと」、これをはっきりさせ、誠実をもって国民の理解と協力を求めたためであり、また、独断的なイデオロギーにこり固まらず、将来を見通して時代の変化に柔軟に適応したからであります。
 これからいよいよスタートする本格的な行財政改革は、まさにこれまであった制度、仕組みにメスが入るのでありますから、各界各層の多くの方には大きな影響、痛みがありましょう。しかしながら、将来の日本を立て直すにはこれ以外にございません。国民の皆さん、どうか苦しみをともに分かち合ってこの危機を乗り切ろうではありませんか。われわれも公正な信念を持った政治の展開により、この苦難を早く切り開き、平和と幸せに恵まれた健全な国づくりに一層精進することをここにお誓いいたしまして、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(鈴木善幸君) 梶木議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、今後の政局担当及び国会運営に臨む私の政治姿勢と決意についてお尋ねがございました。
 御質問でも触れられておりますとおり、私は、かねてから国会は話し合いの場であって、対立、闘争の場であってはならない、あくまで論議を尽くし、話し合いにより国民の納得する結論を出すことが議会制民主主義の本旨である、このように考えております。これがすなわち私の和の政治でありますが、それは話し合いを求めていく積極的な姿勢であって、話し合いが避けられたり、いたずらに結論が延ばされたりする場合にも手をこまねいているような消極的な姿勢とは異なるものであります。このような観点から、今国会におきましても議会制民主主義のルールにのっとり、国家百年の計とも言うべき行財政改革を推進してまいるよう決意をいたしておるところでございます。
 次に、参議院の全国区改正案についてでありますが、私はかねてから全国区制の改善は実現を急ぐべき課題であると考え、その旨しばしば申し上げてきたところであります。自由民主党がまずこの問題を取り上げ、昨年来いろいろな観点から検討を重ねられ、改正案を取りまとめられた御労苦を多とするものであります。各党各会派におかれましてもいろいろ検討を行っていると承っておりますので、改正案につきまして十分論議を尽くしていただき、可及的速やかに全国区制の改善が実現されますよう心から念願をいたすものであります。
 次に、経済問題についてでありますが、いまやるべき対策は、外需に頼らない内需の振興を図るべきであって、産業間、企業間、また規模間、地域間の格差に留意した、均衡のとれた経済運営が必要であるとの梶木さんの御指摘には全面的に賛成でございます。
 現在、わが国経済は緩やかな回復基調にありますが、その内容は外需中心で、内需拡大の足取りが緩慢であり、業種別、地域別、規模別の跛行性が見られるのが実情であります。このような状況にかんがみまして、わが国経済を中長期的安定成長路線に定着させ、息の長い成長を持続させるよう、現在政府部内で当面の経済運営につき、物価安定、均衡ある内需回復、不況産業対策、貿易の拡大均衡などに関する具体策を検討中であり、明日の経済対策閣僚会議で決定することといたしております。
 次に、行財政改革に関連した御質問にお答えいたします。
 まず、先般の臨調第一次答申に関連して、すぐやるべき必要のあるものをまず求めることはあたりまえではないかとのお考えが述べられましたが、私もそのとおりに思います。
 行財政改革は国家百年の大計とも言うべき大事業でありますが、同時に、一歩でも進めばそれだけの価値のある仕事であります。私が臨時行政調査会に対し、特に昭和五十七年度の予算編成に向けて当面の要請にこたえる具体的な改革案の提出をお願いいたしましたのも、二年間にわたる臨調での御論議の間、政府が手をこまねいて待っているということであってはならないと考えたからであります。
 鈴木内閣の行財政改革は理念を欠くとか、本質的制度論を欠くとかの御批判もありますが、私は、行財政改革のような仕事で最も注意しなければならないことは、花だけ咲いて実がならない結果に終わることであると思います。私は、臨調の第一次答申を誠実に受けとめ、その内容の実現に全力を尽くすとともに、今後、第二次、第三次の答申を得て行財政改革を着実に進める決意でございます。
 非常勤職員の実態についてお尋ねがありましたが、この点に関しましては後ほど中曾根行管長官から御答弁を申し上げます。
 次に、地方公務員の定数及び給与の抑制措置についてお尋ねがありました。
 地方公務員の定数及び給与については、基本的には各地方公共団体の自律機能の発揮によって改善さるべきものと考えます。
 定数の抑制につきましては、地方公共団体の定員増をもたらすような国の施策の抑制とか、職員配置に関する国の関与の見直しなどを行うとともに、他方、地方公共団体においても適正な定員管理を一層推進するようさらに指導を進めてまいる所存であります。
 給与及び退職手当の適正化につきましても、給与の実態を住民にわかりやすく公表するとか、給与水準が著しく高い地方公共団体から報告を求め、個別に指導してまいりたいと考えております。また、これら地方公共団体における計画的な給与の適正化の状況を見ながら、必要に応じて財政上の措置を講じていくことも検討しているところであります。
 来年度の予算編成についてのお尋ねがございました。
 来年度税収につきましては、来年度の経済見通しもいまだはっきりしない段階では何とも申し上げられないというのが現状であります。
 歳出面では、御承知のとおり原則伸び率ゼロで概算要求がなされておりますが、今年度国家公務員の給与改善が行われるとすれば、それに伴う実質的な上乗せ要因が加わるなどの事情があり、また税収の動向という問題もありますので、いずれにしても要求をさらに削減しなければとうてい予算編成ができないという事態も予想されます。このため、五十七年度予算編成に当たっては、臨調答申事項について極力その実現を図るなど歳出の削減に最大限の努力を傾け、増税に頼らない財政再建を進めたいと存じます。
 次に、わが国の防衛努力をどのように進めるのかとのお尋ねがございました。
 最近の国際情勢を見ますと、ソ連は軍事的増強に努めてきており、これに対して米国は、みずからの国防力の強化に着手するとともに、わが国を初めとする西側諸国に対しても応分の防衛努力を行うことについて期待を表明しております。わが国といたしましては、憲法及び基本的な防衛政策に従い、国力国情に応じて、自主的判断に基づき防衛努力を行っていく所存であります。
 また、防衛力の整備については、防衛計画の大綱に定める防衛力を可及的速やかに達成する必要があることは、前国会におきましてもしばしば御答弁申し上げたとおりであります。このため、五十七年度においては、厳しい財政事情等を勘案し、防衛力の整備、運用における効率化、合理化にも配意して、できる限りの努力を行ってまいる所存でございます。
 エネルギー問題を含め科学技術の振興についてお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、科学技術の進歩は経済発展、生活向上の基盤であり、民族発展の可能性を切り開き、世界の進歩に貢献するかぎであります。鈴木内閣におきましては、このような観点から科学技術の振興を最重要施策の一つとして位置づけ、官民それぞれの役割りに応じて、原子力、宇宙の開発から生命科学に及ぶ広い分野にわたり、また、基礎から実用化に至る各段階の研究の連携を保ちつつ、精力的に研究開発の推進を図っているところであります。この場合、民間活力の活用という観点からも民間自身の手による研究開発はもとより重要でありますが、御指摘の研究開発に伴うリスクの大型化等の事態にもかんがみ、政府としても引き続き強力に研究開発の推進を図ってまいる所存であります。
 次に、今年の災害対策についてお尋ねがありました。
 本年八月の北海道、東北地方を襲った大雨や台風による農作物や農地、農業用施設等の被害につきましては、政府としては八月上旬の北海道の大雨について天災融資法及び激甚災害法の発動を行ったところであり、また、台風十五号につきましては、被害の実情に即し適切に対処すべく検討することといたしておりますので、御了承を賜りたいと存じます。
 次に、食糧問題でありますが、御指摘のとおり、農業基盤整備事業は、食糧自給力の向上と農業及び農村の健全な発展を図る上で最も重要な事業でございますので、今後とも農政の重要施策としてその推進に努めてまいりたいと存じます。
 人事院勧告の取り扱いについては、これまで維持されてきた良好な労使関係、現下の厳しい財政事情など諸般の事情を総合的に勘案して慎重に判断する必要がありますので、引き続き給与関係閣僚会議において検討を行うことといたしております。
 五十八年度以降の財政再建の進め方でありますが、具体的な方策については、毎年度の予算編成において財政の関与すべき分野、行政サービス水準と負担のあり方などについて幅広い角度から検討を行い、国民各位の御理解を得ながら着実に財政再建を進めてまいりたいと考えております。
 その際、歳入面についても幅広い角度から検討をする必要がありますが、中でも税負担の公平を確保するため、制度面、執行面において一層の努力を払ってまいる所存でございます。
 以上、私の答弁を終わりますが、残余の問題につきましては所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(中曽根康弘君) 政府は、七月十日に臨時行政調査会の第一次答申をいただきまして、これを最大限に尊重して速やかに実行に移す、これを決定いたしました。次いで八月二十五日に、これを実行に移すために当面の基本方針を閣議決定いたしまして、それに基づきまして今次国会におきまして法案を提出した次第でございます。
 この閣議決定におきまする方針は、一つは、当面の財政に対する緊急措置としての対策を講ずる。そういう意味におきまして、補助金の削減あるいは国務大臣の給与の自粛等々を盛り込みまして法案を提出し、お願いしているところであります。また、一面におきまして、行政改革の面におきましては、国及び地方における公務員の定員問題、あるいは給与の抑制問題、あるいは特殊法人の役員の整理問題等をこれは閣議決定といたしまして推進することを行い、いま実行している最中でございます。
 いずれもこれは第一次答申を受けまして、当面の緊急措置として、特に自民党政府が公約いたしました来印度増税を伴わない予算編成を行う、それから相当量の国債を減らす、この二つを実行するために、これを主として法案その他において審議をお願いしているわけなのでございます。
 なお、行革の一番中心線は行政機構や公務員制度簡素効率化等々でございますが、そのために臨時行政調査会の次の答申を待っておる状態であります。
 臨時行政調査会は、九月に入って新しい編成替えを行いまして、第一部会において、新しい行政の体系及び理念、あるいは個別的重要問題である土地問題、あるいは安全保障問題、科学技術問題等々を第一部会において取り上げ、第二部会におきましては、中央省庁の統廃合問題、あるいは地方出先機関問題、公務員制度の問題、これを取り上げ、第三部会におきましては、官業と民業との限界点、あるいは中央と地方の機能分担、あるいは規制、許認可、保護行政等に対する見直し、これを第三部会で行い、第四部会におきましては、三公社五現業、特殊法人を見直す、こういうことで作業が始まっておりまして、われわれといたしましては、来年の初夏ごろ答申をいただいて、これを検討の上断行すべく決意しているところでございます。
 次に、公務員の定数削減の問題でございますが、今度五年間に五%、これを縮減するということを決めまして、いま各省庁に対して割り振りを実行しておるところです。この実数は四万四千八百八十六人になりまして、非現業で二万七千百七十九人、五現業で一万七千七百七人の縮減を実行する予定であります。地方公務員におかれましても、これに準じてやっていただくように自治省に指導をお願いしておりますが、実はこの十三年間に、国家公務員につきましては、総定員法を実行して凍結した結果、約一万人弱実数が減っております。しかし、地方公務員の場合は約八十万以上ふえております。
 中央の国家公務員につきましては、新しい大学ができるとか、あるいは国立医科大学を各地につくるとか、あるいは二百海里の海上保安要員、あるいは各地にジェット飛行場ができて航空管制員が要るとか、そういう方面へ増強する必要がありまして、一般行政職は国家公務員においては二万七千余人減らしておるのであります。このために各省庁も相当犠牲を受けておるわけであります。しかし、この間において地方公共団体においては、その八十数万人ふえた中で、警察、消防、教員、それから社会福祉関係を除いて、行政職でふえた分が約九万強あります、九万五千人近くございます。このことを見ましても、特に今回は自治省にお願いいたしまして、地方公共団体の御理解を得て、これらの一般行政職の縮減について大いに努力していただく予定なのでございます。
 第二に、非常勤職員の点でございますが、昭和五十五年七月の数字では、委員、顧問等を除き十七万五千人ばかりおります。これは五十二年に比較して約一万五千人減らしております。
 非常勤職員の対象は、主として保護司であるとか、あるいは大学の講師、助手、あるいは統計調査等の補助員等でございます。これらは仕事の内容からきておるので、臨時的なものやあるいは流動性を持ったものをやっておりまして、必ずしも定員を逃げるために非常勤職員をふやしているという性格のものでもございません。しかし、今後とも厳正にこれを抑制していく方針でございます。
 以上で御答弁を終わることにいたします。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 まず、五十七年度予算の中で、中期財政展望で想定する来年度四兆七千億円余の自然増収が確保できるかと。これは、現在の時点では来年の経済見通しがわかりませんから、正直なところわからないということでございますが、何とかそういうものが確保できるようにしていかないと、さらに歳出カットを進めなければならぬということになるわけでございます。
 なお、現時点で、ことしの人事院勧告の取り扱いの問題でございますが、仮にこれを認めるということになればどうなるか。これは仮にの話でございますが、勧告どおりということにすると、来年度で約四千億円ぐらいの影響が出てまいりますから、ゼロシーリングの中でさらにそれを最優先させるということになると、ほかのものと人件費を入れかえしなければならぬ、さらに現在概算要求されたものを四千億円切り込んでいかなければならないという問題が出てまいります。
 健康保険の府県負担の問題でございますが、この問題につきましてはまだ結論が出ておりませんので、政府内部においてさらに検討し、できるだけ早い時期に結論を出したいと、かように考えております。
 それからアメリカなどでレーガン大統領が一九八二年度の連邦公務員の賃上げ率を一五%の勧告に対して三分の一の四・八にカットしたということだが、ドイツ・イギリス同様の措置がとられたというのだが、内容はどうだ、大蔵大臣はどういう考えだと。これは外国の話でありますから、われわれはそのとおりするというわけではもちろんございませんし、制度が全く同じというわけでもございません。
 ただ、アメリカと日本とはかなりよく似ているということは言えるわけでございまして、あそこでは一応給与代理人という制度があって、それらが連邦職員の給与審議会等の意見を全部取りまとめて、給与の専門家であるところの連邦給与諮問委員会に勧告する、諮問委員会が大統領に勧告する、大統領は、そのままの場合はそのままのんじまうということですが、それに意見がある場合は、削減したりふやしたりして議会の方へ回してやる。最終的には議会の判断ということになるのでありますが、過去数年間見てみますと、ニクソン時代には大体勧告どおり決定をした。フォードの前期、七四年まではそうでありますが、フォード大統領の七五年からずうっと――七七年には一回勧告どおりということがありましたが、あとは勧告よりも切られて決定をされているというのが多いわけであります。カーター時代に、七八年でも八・四%の勧告に対して五・五とか、七九年が一〇・四の勧告で七とか、あるいは八〇年は一三・五ということで給与代理人が出したら、諮問委員会が九・五にカットして、大統領が九・一にしたという経過がございます。八一年のレーガン大統領では、八一年度予算、ことしの十月から実施をするわけでございますが、一五・一%の諮問委員会の勧告に対して、大統領はとてもできないということで、これを四・八ということで議会の方におろすということをやったわけであります。ところが、アメリカの消費者物価は御承知のとおり七月現在で一〇・七というような二けた物価でございまして、米国の賃金指数は民間は大体五月で九・三というような状態の中で、公務員を四・八にしようというのですから、かなりドライなものであるということは言えると思います。
 イギリスの方は、これはスト権はアメリカと違ってあるわけでございます。アメリカは公務員はスト権がありませんが、イギリスはスト権がある。これもいろいろ労働組合等もごたごたやってきたわけでございますが、ことしの五月に入って向こうの賃金指数は民間が大体二二・二というような状態でございます。消費者物価はイギリスは七月で一〇・九というようなことでございますが、サッチャーはあえて七月三十日に七・五というように公務員のベアを決めたということも、これも事実でございます。
 西ドイツは、物価は大変これは日本並みでよろしゅうございますが、それでも七月では五・八。わが国は七月は四・四という状況ですが、五・八という消費者物価の中でドイツは公務員ベアを、賃金指数が五・三だけれども、これを四・三に五月に決めたということも事実でございます。さらに、来年の一月から一%それをさらに切り込みたいというようなことが新聞で報ぜられておるわけであります。
 どこの国でも非常な財政事情が苦しい中でそういうようなことが行われておるという現実があることは事実でございます。したがって、人事院勧告の取り扱いはどうするかという問題につきましては、これは、結論はいま総理大臣が申し上げたのと余く同じでございますので省略をさせていただきます。
 それから五十八年度以降の税収の見通し等につきましては、これも総理大臣の答弁のとおりでございます。
 ただ、一つ言えることは、老齢化社会を迎えて、これは大変喜ぶべき現象でございますが、日本人の寿命が長くなって老人の数が着実にふえるという大変喜ばしい現象があるということは事実でございます。そのかわり、それに対する年金、それから医療費というものも着実にこれは伸びるであろう。それを歳出カットだけで全部うまく賄えるのかどうなのか。これらのことは今後の問題として十分検討させていただきたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣中川一郎君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(中川一郎君) 財政の厳しいときではあるけれども、将来に向かって科学技術は大事だからしっかりやるように、御意見はいかがかという御質問でございます。
 御承知のように、戦後廃墟と化した日本が、国土が狭く、エネルギーその他の資源に恵まれていないにもかかわらず、今日自由世界第二位の経済大国と言われるまでの地位を築くことに成功しましたのは、科学技術の力によるところがきわめて大きいと言われております。エネルギーを初め、資源有限時代を迎えて、今後とも経済の安定成長、国民生活の向上を図っていくためには、従来にも増して国民の英知と努力を結集し、科学技術立国を目指していくことがきわめて重要であると考えております。
 ただ、従来のわが国の科学技術は、外国の技術を積極的に導入し、これを吸収消化して、その高い水準を達成してきたことに特徴がございますが、今後は世界的な技術革新の停滞、また、わが国の技術導入型体質への国際的批判もありまして、今後安易に外国の技術を導入するというわけにはまいらない状況となっておりますし、一方、わが国は国際社会において先進国の一つとして、科学技術の面においても大きく貢献をしなければならないという責任も出てまいりました。
 このような状況に対処して、御指摘のとおり、民間に任せるだけではなく、国が積極的に研究開発を推進する必要があり、基礎的研究の推進、独創性に富んだ自主技術の開発を初めとする科学技術の振興に全力を傾注してまいりたいと存じます。
 このため、昭和五十六年度からは科学技術会議の組織の強化を図り、この科学技術会議の総合調整のもとに、一番目は研究投資の拡大、二番目は産官学の有機的連携の強化、三番目には人材の育成確保、四番目には国際協力の積極的展開を基本の柱として、厳しい財政の事情のもとではありますが、積極的に取り組んでいきたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣亀岡高夫君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(亀岡高夫君) お答えいたします。
 災害につきましては総理から御答弁申し上げたとおりでございますが、八月の北海道の分につきましては、すでに天災融資法の政令公布をいたしておりまするし、激甚災法の適用もいたしておりまして、この方面はすでに査定も始め、施設災害につきましては降雪前にできるだけ工事をやって、来年の植えつけに支障のないようにしたいということで急がせております。
 十五号台風につきましては、目下被害の調査中でございまして、大体今月の半ばころに天災融資法の適用、激甚災の発動ができるように準備を進めておるところでございます。
 以上、総理の答弁につけ加えさせていただきます。
 次に、食糧問題でございますが、梶木議員の指摘したとおりでございまして、何としても昨年の本院で議決を賜りました食糧自給力強化に関する決議の趣旨、これが私は日本農政の基本であろうと、こう考えまして、それにのっとって需要の動向に応じた農業生産の再編成を促進いたしますとともに、地域農業の組織化と生産性向上を推進するためには、やっぱり何としてもその土地条件もよくしていかなければなりません。生産基盤もよくしていかなければなりません。いままでも計画的に土地基盤の整備を積極的に進めてきたゆえんもそこにあるわけでございます。したがいまして、五十七年度の概算要求をいたすに当たりましても、いわゆる農業関係者、全国の農民が常に基盤整備の予算九千億という悲願を持っておったわけでありますが、概算要求の中に、非常に厳しい事情ではありますけれども、九千億台、九千億という声を聞けるような内容を持った概算要求をいたしておりますことをもって、ひとつ政府の農業基盤整備強化に関する熱意を御理解いただきたいと思うわけであります。
 また、御指摘のように、農村地域への人口の定着を図り、農業の中核的担い手を育成確保していくためには、いま申し上げた生産基盤の整備とあわせまして、農村在住者に魅力ある生活基盤の整備をやってまいりますことが重要であることは御指摘のとおりでございます。政府といたしましても、今後とも農業を取り巻く諸状況の変化に対応しながら、農政の重要施策としてその推進に努めてまいりたいと思います。
 戦後、今日まで農村の地域社会の果たしてまいりました役割り、私は、これは一億国民の立場から大きくひとつ御理解していただきたいと思うわけであります。食糧問題について一度も一億国民に心配をかけさせないで今日までやってきた、これがわが国発展の私は静かなる根源であると、こう思うわけでございます。したがいまして、今後も何としても農村の地域社会の果たしてきた役割りはこれからはますます大きくなろうと、こう確信をいたしておるわけでございますので、農家の信頼を受ける農政確立のために、食糧対策の確立に万全を期していきたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
#24
○副議長(秋山長造君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○副議長(秋山長造君) 御異議ないと認めます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後零時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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