くにさくロゴ
1981/10/02 第95回国会 参議院 参議院会議録情報 第095回国会 本会議 第5号
姉妹サイト
 
1981/10/02 第95回国会 参議院

参議院会議録情報 第095回国会 本会議 第5号

#1
第095回国会 本会議 第5号
昭和五十六年十月二日(金曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
  昭和五十六年十月二日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 一、日程第一
 一、故議員石破二朗君に対し弔詞贈呈の件
 一、故議員石破二朗君に対する追悼の辞
     ―――――・―――――
#3
○議長(徳永正利君) これより会議を開きます。
 この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、中央社会保険医療協議会委員に高橋勝好君を、
 電波監理審議会委員に岡村総吾君、舘野繁君を任命したことについて、それぞれ本院の承認または同意を求めてまいりました。
 まず、中央社会保険医療協議会委員及び電波監理審議会委員のうち岡村総吾君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも承認または同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#4
○議長(徳永正利君) 過半数と認めます。
 よって、いずれも承認または同意することに決しました。
 次に、電波監理審議会委員のうち舘野繁君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#5
○議長(徳永正利君) 過半数と認めます。
 よって、これに同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#6
○議長(徳永正利君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。多田省吾君。
   〔多田省吾君登壇、拍手〕
#7
○多田省吾君 私は、公明党・国民会議を代表して、総理の所信表明演説に対して質問を行います。
 初めに、当面の災害問題についてお伺いします。
 このたびの十五号台風や異常豪雨などによる被災者の皆様に心からのお見舞いを申し上げます。
 政府は、被災地の要望にこたえ、速やかに激甚災害の指定を急ぎ、被災市町村への特別交付税の増額、中小企業の救済、農家に対する天災融資法の早期発動と融資、共済の特別配慮を急いでいただきたいと思います。
 特に、長野県須坂市の集中豪雨によるすさまじい土石流の被害はまことに甚大でありました。この恐ろしい土石流の激甚災害は、毎年集中豪雨のたびに全国各地に数回ずつ続けざまに起こっております。建設省の調査でも、土石流の起こるおそれのある危険渓流は全国に六万二千カ所もあり、早く砂防ダム等の防災工事を行い、警戒避難体制を強化していく必要がありますが、どのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
 また、茨城県竜ケ崎市の小貝川の決壊も大被害を出しましたが、放水路建設のおくれや水門のひび割れによる人災だという声もあり、その原因調査、改良復旧を行うとともに、広範な流域に大きな被害を与えた北海道石狩川水系の総合治水対策を含めて、全国の河川の総点検と対応策を要求いたします。
 さらに、北海道と東北各県、特に青森県、岩手県等は、減反が重なる中で二年続きの大凶作に襲われ、被災農家の方々は生活苦に陥り、地元商工業も大変苦しくなっておりますが、政府の温かい対策を要望いたします。
 さて、本国会最大の課題である行財政改革についてでありますが、私は行財政改革を行うに当たって、あくまでも国民本位の立場から行政の簡素化、能率化を図り、本格的な改革を進めるとともに、「増税なき財政再建」を図らなければならないと思います。五十七年度予算編成におきましても、特に国民生活の実態の上から、公正な優先度をもって支出を削減し、一方、収入面では不公平税制の是正を徹底して行い、法人、個人を通じて国民の負担を公正にすべきであります。
 そうした中で重要なことは、福祉や教育に力を入れ、社会的に弱い立場にある方々を守り、福祉社会の実現への将来展望をはっきりと国民の前に示し、行財政改革に対する国民の理解と協力を得ることが大切であると思うのであります。その意味から、行財政改革はまさに国民的課題であり、改革への第一歩でつまずけば、今後予定される本格的な改革に大きな支障を来すことになり、再び大衆増税が台頭するおそれもあります。したがって、政府は私どもの要求を積極的に受けとめ、十分これに応じて、国民の納得が得られる行財政改革を進めていかれることを強く要求いたすものであります。
 以上の行財政改革に臨む総理の基本精神と、将来展望に対する決意及び私どもの要求に対する総理のお考えをまずお伺いしたいと思います。
 以下、具体的な問題についてお尋ねいたします。
 その第一点は、行財政改革においてきわめて重要な補助金等の削減についてであります。
 総理は、生活保護費を除く補助金の一割削減を指示しておりますが、十四兆五千億円に及ぶ補助金等を整理合理化することは大変な難事業であり、あくまでも国民生活の実態を踏まえ、優先度をつけて、大企業向けの必要のない補助金等は削減し、福祉、教育等にしわ寄せしないよう留意すべきだと思いますが、いかがですか。
 補助金の中には同じ目的を持つものが多く、たとえば各省庁にまたがる複合施設をつくるのに、各省ごとに設計が変わり、大変使用しにくい、金のかかる建物ができてしまうというようなことが多いので、そのような補助金は統合メニュー化、総合化し、自治体の自主的な事業達成に役立たせるべきだと思います。
 また、少額の補助金を受け取るのに何回も上京したり、少額補助金を消化しないと大口補助金の申請ができない等の苦情が多くあります。零細補助金や地方に定着した事業の補助金は、第二交付税のようにして、地方の一般財源化する必要があります。補助金の申請、交付に際しての事務手続の簡素合理化はぜひ実行すべきであると思いますが、どうですか。
 第二点は、行財政改革のかなめとも言うべき地方分権についてであります。
 国民に身近な行政は、できるだけ国民の身近な地方自治体で民主的に能率的に行うべきであります。地方分権化の方向で、地方出先機関は整理して自治体に移し、国の税金を大幅に地方に配分し、補助金はひもつきなしの地方財源化に努めて、住民福祉の現場である自治体で効率的な行政を行うべきであると思いますが、いかがですか。特に、国民健康保険給付費や児童扶養手当などの一部を都道府県へ肩がわりさせることは、単に国の財政上の帳じり合わせにすぎず、行うべきではないと思いますが、これについてもお答えいただきたい。
 第三点は、行財政改革と国民福祉の関連であります。
 総理は、臨調答申を受けて、「活力ある福祉社会の実現」を基本精神としておられますが、行政の本来の目的は国民が公正な福利を享受することであり、国民福祉最低水準、すなわちナショナルミニマムを確保することは、憲法の「健康で文化的な最低限度の生活」を保障することに当たり、全く政治の責任であり、使命であります。わが国の福祉行政は、制度はともかく、内容はまだまだ低い水準にあり、社会保障給付費の国民所得に対する割合を見ましても、ILOの調査では、昭和四十九年でスウェーデン三一%、西独二五%、フランス二五%に対し、日本はわずか七・九%であり、昭和五十四年でようやく一二・三%になったにすぎません。また、老人福祉、身障者福祉などは特に立ちおくれております。したがって、国民福祉をいかに充実するかに努力を尽くすときであり、福祉、教育等を切り捨てて防衛費等を聖域化するような行財政改革は、国民の納得が得られないと思います。いまは国民福祉、ナショナルミニマムを確保し、その上に国民諸階層の福祉向上を一日指すべきときだと思いますが、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
 ここで、福祉を守る立場から、行革関連特例法案について二、三伺います。
 同法案の歳出削減額は二千四百八十二億円であり、政府の予算編成の要調整額のごく一部に当たりますが、福祉、教育等にしわ寄せされております。厚生年金等の国庫負担金の減額については、制度の重大な変更で疑問が多く、少なくとも六十年度以降の一般会計からの繰り入れ措置を、運用利子収入相当分を含めて速やかに返還すべきであります。また、各種年金は、社会保障制度審議会の答申にもあるとおり、二階建ての基本年金制度に移行するなど、抜本的な見直しが必要であると思いますが、いかがですか。
 児童手当は、本来、その重要性にかんがみ、中央児童福祉審議会の意見のように、原則として第一子より支給すべきものであります。今回は勤労世帯と自営業の間の不公平是正を図ったとしておりますが、内容は後退であり、児童手当の切り捨てを図る伏線とも受け取られかねません。総理は、国民福祉の重要な柱である児童手当制度の堅持と改善を約束すべきであると思いますが、いかがですか。
 その他、教育、住宅問題についても、少なくとも中道四党合意の共同要求を取り入れるべきであります。
 また、国民の生命と健康を守る大事な医療の問題ですが、国民のための医療の充実及び適正化についてどのようにお考えか、その方策をお伺いしたい。さらに、総医療費に占める薬代が相変わらず三十数%を占めており、薬価基準の引き下げが求められておりますが、どうなさいますか。今後も政府は老人医療費無料制度を堅持するとともに、国民健康保険は事業主体の広域化再編を進めるべきではありませんか。総理の明確な答弁を求めます。
 第四点は、臨調答申に盛り込まれた不公平税制の是正と所得税減税についてであります。
 大企業を優遇すると批判されている各種準備金や貸し倒れ引当金、退職給与引当金などの適正化を実施するなど幅広い是正とともに、所得捕捉格差の是正を強く要求いたします。一方、所得税は、昭和五十二年度以降、課税最低限度額が据え置かれ、給与所得者には大変な実質増税となり、生活費の目減りとなってあらわれております。給与所得の勤労者の課税人口は、昭和五十二年から五十五年まで四年間で、実に三百三十八万人も増加しているのであります。これに関しては、第二臨調の土光会長は昭和五十九年度に減税できると言い、河本経企庁長官は五十八年度に減税を行うべきだと言っております。しかし、私どもは何としても国民生活を守る上からも、景気維持のためにも、五十七年度から所得税の課税最低限度額の引き上げを行い、少なくとも物価調整減税は必ず行うべきであると強く要求いたしますが、総理、大蔵大臣、経企庁長官の答弁を求めます。
 第五点は、国家公務員給与の人事院勧告の完全実施を速やかに実行されるよう強く要求いたします。また、三公社五現業の給与改定要求に対する公労委の仲裁裁定につきましても、公労法の精神を尊重して完全実施をなすべきであると主張いたします。本来、人事院勧告は国家公務員の労働基本権の規制の代償制度として設けられたものであり、過去十年余にわたり給与改定勧告の四月完全実施が定着している中で、人事院勧告を軽視することは許されません。再度、人事院勧告と仲裁裁定に対するお考えをお伺いしたい。
 なお、国家公務員の定数削減は、人件費の抑制、行政の合理化、効率化という観点から純減を目指して行うべきであります。
 第六点は、景気維持についてであります。
 行財政改革の途上で景気を維持することは、自然増収、歳入確保と国民生活の安定のために不可欠であります。しかし、景気の現状は貿易摩擦を起こす輸出依存型の経済成長であり、個人消費などの内需は落ち込んでおります。内需拡大によって景気を維持するためには、物価の安定、福祉の充実、雇用不安の解消、所得税減税の実施がぜひとも必要であります。特に、公共事業の質的充実を図り、土地代がかからない生活関連の老朽木造の学校校舎や公的住宅を建てかえること、また、老人、身障者の方々の福祉施設や病院、幼稚園、保育所、図書館などを建設することを中心として、中小企業、地元産業の景気回復を図ることが大切であると思いますが、いかがですか。内需拡大による景気維持策、中小企業の振興策、不況産業対策について、総理、経企庁長官の答弁を求めます。
 次に、国民生活にとって大事な目下の課題について、重点的にお伺いいたします。
 まず、労働、雇用問題についてお聞きしたいと思います。
 雇用不安が再燃の兆しを見せ、八月の完全失業者は百三十三万人と過去の最高となり、特に失業者の多くは中高年男子と既婚婦人であります。八月発表の「高齢化社会に対応する労働政策の総合的推進」をどのように実行していきますか。六十歳定年制の法制化を急ぐべきではありませんか。週休二日制実施など労働時間の短縮をどうされるのか、あわせてお伺いいたします。
 また、身体障害者の方々の雇用は、国際障害者年の本年も目標を達成しておりません。法定雇用率を達成していない大企業等に対しては、いかなる指導を行っていくか。また、政府関係機関の特殊法人等の雇用を促進する具体策をお伺いしたい。九月に出された身障者雇用審議会の答申では、雇用納付金の引き上げを明年四月一日より実施せよという意向ですが、引き上げ額と実施時期を明確にしていただきたいと思います。また、より充実した就業のため、身障者職業訓練校の整備充実を要望いたします。さらに、労働省が八月に発表した総合的な心身障害者対策について、いかなる決意をもって実行されるか、お伺いしたいと思います。
 次に、働く婦人は一家の苦しい家計を支えるために増加し続け、特に主婦のパートタイマーの増加は著しく、希望者も三百九十万人と言われております。しかし、悪い労働条件と低賃金など多くの課題を抱えております。懸案である雇用と待遇の男女平等の確立、そしてパートタイマーの労働条件改善のために労基法の改正はいつまでを目途に実現していこうとなされるのか、お伺いしたい。同時に、女性独自のライフサイクルを踏まえた職場の受け入れ体制の整備、御主人を亡くされた方々の寡婦雇用促進法の早期制定などはわが党の長年の主張でありますが、政府の決意はいかがでありますか、お伺いしたいと思います。
 次に、環境対策についてお伺いいたします。
 国民の生命と健康を守り、自然環境、生活環境を保全するために、公害の最もひどいわが国の環境行政は、ますます重要であります。しかしながら、わが国の環境行政は、環境庁発足十年を迎えた今日でも財界等の圧力による後退が心配され、自民党の一部からは環境庁不要論まで飛び出し、まさに危機に瀕しております。総理及び環境庁長官は今後の環境行政をどのように考えておられますか。また、中央公害対策審議会の答申より後退している環境アセスメント法案を国民本位に改善して提出し直す考えがあるかどうか、お尋ねしたい。
 次に、先日、被害者側に勝訴の判決が下ったクロム職業病訴訟に関してお伺いいたします。
 判決では胃がんの一部も職業病と認定したわけですが、この点について政府の見解を伺いたい。また、今後の被害者の方々の救済と会社側の企業責任に対する行政指導をどのように考えておられるのか、お尋ねしたい。さらに、多くの環境発がん物質の汚染と各種がんの因果関係を究明し、対策を確立する必要があります。また、クロムなどの土壌汚染についても法の適用対象とすべきだと思いますが、見解を承りたい。
 次に、湖や沼の汚染を防ぐ湖沼法案についてであります。
 国民の飲料水であり、貴重な財産である湖や沼は、琵琶湖、霞ケ浦、諏訪湖など大変に汚染され、湖や沼の約六割が環境基準をオーバーしております。初めこの法案は、周辺の環境保全をも考えた湖沼環境保全特別措置法案が予定されましたが、各省の抵抗で環境保全の条項を削除した湖沼水質保全法案となり、さらに湖沼周辺の新設工場等の規制適用をめぐって政府内の折衝が難航し、結局法案提出は見送られたのであります。公明党は、三月に独自の特定湖沼環境保全特別措置法案を発表し、八月に大津市で湖沼の危機と環境保全をテーマにシンポジウムを開催し、環境庁長官に今国会への法案提出を申し入れました。湖あるいは沼周辺の環境保全を含めた法案を早急に提出すべきだと思いますが、いかがですか。
 また、空きかん公害が問題になっております。現在、かん飲料の生産は年間百億個に達し、うち十億個の空きかんは残念ながら散乱しております。各地の観光地や町の中では自然と美観が損なわれ、回収の費用がかさみ、京都市では空きかん回収条例が提案されました。自治体や住民任せの回収には限界があり、国の総合対策が強く望まれます。自然保護と貴重な資源の再利用という面からも環境庁の空きかん回収対策を強く要望いたしますが、いかがですか。
 次に、奥鬼怒スーパー林道計画について尋ねます。
 奥鬼怒スーパー林道は過疎地振興等の目的で計画されたわけですが、国立公園を横切り、尾瀬沼にも通ずるもので、地元の自然保護住民団体等から自然破壊であると強い反対運動が起こっております。環境庁長官も先日視察なされましたが、旧ルートから新ルートヘの変更の問題、森林開発公団の工法の問題、自然環境を破壊しても林道を通す意味があるのかどうか、今後の環境行政の姿勢も問われることでもあり、具体的な対応をお伺いしたいと思います。
 さて、総理は「対外的に国際社会に一層貢献する」と言われましたが、外交及び国際協力について伺います。
 わが国外交の最大の課題は核軍縮であり、唯一の核被爆国として、平和憲法を守り非核三原則を堅持するわが国は、核軍縮実現に重大な使命があると思います。最近、米ソ両国の核軍拡は異常とも言える方向に向かっており、なかんずくレーガン米大統領の中性子爆弾生産決定は、西独、イタリアを初め全欧州に深刻な衝撃を与え、ソ連も対抗手段として中性子爆弾生産の意向をほのめかしたことは、ますます核兵器の拡大を招き、人類絶滅の脅威を一層増幅しております。
 今回、園田外相が国連総会の一般討論演説で軍縮のための米ソ対話を切望し、核軍縮の必要性を訴えられたことは評価するものでありますが、さらに具体的な提言が望まれたのではないでしょうか。たとえば核兵器全廃のための首脳会議の提唱とか、核不使用協定の締結の提唱とか、また核保有国を除くアジア・太平洋地域の非核武装地帯宣言を提唱するなど、率先して具体的な提言を行うべきであったのではありませんか。中性子爆弾の生産決定についての見解とあわせて御答弁をお願いしたいと思います。
 次に、国連協力隊構想について伺います。
 政府は、かねてから国連の平和維持活動に人的貢献の面でも積極的に参加すべきだとの判断に立ち、特に非戦闘員に限定し、通信、医療などを担当するとの検討をしていると言われます。しかし、元自衛官を中心に構成するとの考えもあるようですが、その経過と実情について答弁願いたいと思います。
 また、国連主要機関の基金に対するわが国の拠出金は年々増加しておりますが、国連分担金は第三位なのに、重要な意義と歴史を持つユニセフ、すなわち国連児童基金などは第九位にあって、拠出金の割り振りには疑問があります。誤解を与えないよう改善すべきだと思いますが、いかがですか。
 次に、十月にメキシコで開催される南北サミットに総理が出席されるわけですが、先進諸国と発展途上国との間の諸問題解決のために、また、石油、食糧、資源をほとんど輸入に頼り、平和でなければ生きていけないわが国の総合安全保障の立場からもきわめて重要であります。南北サミットに総理はいかなる決意と具体策を持って各国首脳と話し合われ、また、わが国の経済協力についても相変わらず、ひもつきだ、利益追求的だというような多くの非難がありますが、これにどうこたえ、発展途上国に対する協力のあり方をどのように改善されるのか、お伺いしたいと思います。
 最後に、政治資金及び選挙制度等についてお伺いいたします。
 政治と選挙から不正な金の問題を断ち切ることはまことに重要でありますが、政府・自民党は、政治資金規正法附則八条の見直しを全く行おうとせず、個人献金に移行するという法の趣旨に逆行して、企業献金の制限緩和の声が次第に強まって、まさに政治姿勢は全く逆戻りしておりますが、総理はどのように対処するのか、お伺いしたい。
 また、金のかからない選挙の実現というふれ込みで、自民党は今国会に参議院全国区を廃止して拘束名簿式比例代表制を導入する改悪案を一党のみの議員立法で再提出し、成立を図る予定と聞いておりますが、この改悪案には大変な欠陥と弊害がございます。
 次に、問題点を幾つか挙げてみます。すなわち、この拘束比例代表制では事実上無所属候補は不当な制約があるため立候補できなくなり、法のもとの平等や議員資格の差別禁止条項に照らし憲法違反の疑いが強いのであります。また、衆議院以上に参議院の政党化を強め、参議院の本質や自主性を破壊いたします。投票では個人名が書けずに政党名だけを記入し、有権者が名簿順の変更もできないという完全拘束式比例代表制は全世界にも例がなく、全く非民主的であります。第一党の自民党にのみ極端に有利であります。名簿の順位づけは現役優先になりやすく、老齢化を生じます。有権者と候補者の対話が全くできなくなります。そのほか、全地方区に立候補しない小会派はほとんど運動ができない、このようなきわめて弊害と欠陥の多い改悪案であります。
 選挙制度は議会制民主主義の根幹であり、拙速に一党が数を頼んで強行するのは悔いを千載に残すことになります。総理は、選挙制度等は各党各会派の話し合いでと言っておられるのでありますから、多くの会派が強く反対する拘束比例制は再提出なさらずに撤回されて、改めて全国区改革は各会派が一致できるよう慎重に話し合い、検討すべきであると思いますが、いかがですか。
 現行全国区制で選挙運動方法を改善し、公営を広げ、金のかからないものにするという方策もありましょうし、また地方区の定数不均衡是正をもともに解決するような方策もありましょうし、その他、各会派が知恵をしぼって最高の方策を一致して考え出せるよう慎重に行うべきだと思います。全国区でも金をほとんどかけないで当選している議員も多いのです。反対に、衆議院選に全国区以上の金をかけている候補も多いことは御承知のとおりであります。むしろ、政治資金規正法を改正して、選挙に金をかけないようにすることが先決ではありませんか。
 さらに、選挙制度で緊急に改善すべきこととしてお伺いしたいのは、高裁判決で一対二以上の定数不均衡は憲法違反という判決のあった衆議院の定数不均衡が、もはや四・五四倍に及び、参議院地方区も五・七三倍になっておりますが、このような定数不均衡は、最高裁判所判決の前に早く解決すべきではありませんか。また、戸別訪問の自由化を何らかの形で認め、明るい選挙運動を確立すべきだと思いますが、いかがですか。さらに、選挙裁判の迅速化や買収事犯の罰則強化など実効のある腐敗防止措置を図る必要がありますが、総理の所信をお伺いしたいと思います。
 また、自民党は、参議院全国区の拘束比例代表制の改悪案を成立させることができたら、今度は衆議院に非民主的な小選挙区制を導入しようというお考えがあるやに聞いておりますが、総理のお考えをお伺いしたいと思います。
 以上、行財政改革を初め当面する課題に対し、総理及び関係大臣の明確な答弁を要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(鈴木善幸君) 多田議員にお答えいたします。
 最初に、災害対策についてでありますが、政府といたしましては、各担当大臣が被災地に赴くとともに、関係省庁による対策会議を開催し、復旧対策に全力を傾注いたしますとともに、被災中小企業者に対する災害融資、普通交付税の繰り上げ、被災農業者に対する共済金の早期支払い措置など所要の対策をすでに講じたところであります。
 激甚災害の指定及び天災融資法の発動につきましては、被害の実情に即し適切に対処すべく目下検討を進めているところであります。
 御指摘の石狩川や小貝川の災害の実態にかんがみまして、治水対策につきましては今後とも万全を期してまいる所存であります。特に土石流危険渓流対策、警戒避難体制につきましては、その整備を図ってまいります。
 また、北海道、東北地方の農家や地元商工業者につきましては、御指摘のように、昨年の冷夏に続いて本年の長雨、台風によって打撃を受けており、政府としては被害の実情に即して所要の対策を実施し、被災農家の経営の安定と再生産の確保及び商工業の救済を図ってまいる所存であります。
 次に、行財政改革につきまして広範な御質問をいただきましたが、そのうち行財政改革の基本精神と将来展望、行財政改革の中での国民福祉向上への取り組み方、行革関連法案に関連する問題のうち、特に私の考えを求められた児童手当の問題、人事院勧告と仲裁裁定の問題について私から御答弁を申し上げ、その他の御質問には大蔵大臣及び経企庁長官から御答弁を申し上げます。
 まず第一に、行財政改革の基本精神と将来展望でございますが、最近における資源エネルギー及び環境の制約、人口構成の高齢化、国際社会での役割りの増大など新たな時代の要請に応じた簡素で効率的な行政を確立し、また財政の健全性の回復を図って新しい政策課題に対する行財政の対応力を回復強化することは、わが国の将来発展の基盤を固める上で欠くことのできないものであります。このため、私は組閣以来、すべての国政の中で特に緊要な課題として不退転の決意で行財政の改革に取り組んでまいりました。今国会では行革関連特例法案等を提出し御審議をお願いしているところであります。
 申すまでもなく、今般取りまとめた改革措置は行財政改革に関するいわば第一次の着手と言うべきものであり、今後引き続き二次、三次と行財政の抜本的改革問題に取り組む決意でありますが、行財政改革の達成により、国内的には活力ある福祉社会を実現し、対外的には国際社会に一層貢献していくための基盤を固めたいと考えております。
 公明党を初めとする四党の、行財政改革に関する当面の基本方針等に対する四党共同要求の内容は私も拝見いたしました。見解を異にする部分もございますが、きわめて示唆に富んだ御提言でございます。いずれにせよ、行財政改革に関する建設的な御提言は大いに歓迎いたしますし、また謙虚に検討させていただきます。
 次に、行財政改革と福祉の問題でありますが、私は、先ほど申し上げましたとおり、活力ある福祉社会の実現を目指して行財政改革に取り組んでおります。この点は多田議員にも御理解いただいているところであります。目指すところが活力ある福祉社会であるということは、とりもなおさず、わが国民福祉の重要性をよく認識して事に当たっているということであります。
 ただ、私は、福祉といえどもむだは省かなければならないと思います。したがって、福祉といえども行財政改革に当たって聖域視することはできません。私は、今後日本人の持つ自立自助の精神、また家庭や近隣での連帯の心などを生かしながら、真に福祉を必要としている社会的、経済的に弱い立場にある人々に対しては、重点的に福祉を充実し、活力ある民間活動と、簡素で合理的な政府を持つ社会を築いてまいりたいと考えております。
 次に、児童手当制度の堅持と改善を約束せよとの御意見がございましたが、今回の特例措置は三年間の時限的措置であり、また児童手当制度のあり方につきましては、従来から種々の意見が出されているということもありまして、制度全般について検討を行い、その結果、三年後を目途として所要の措置を講ずることとしております。この旨は今回の法案でも明記されております。
 次に、仲裁裁定の取り扱いでありますが、再々申し上げておりますとおり、現在までのところ、国会に付議した当時の状況に格別の変化が認められませんので、引き続き国会の御判断にゆだねることとしております。
 人事院勧告の取り扱いについては、これまた再々申し上げておりますが、これまで維持されてきた良好な労使関係、現下の厳しい財政事情など諸般の事情を総合的に勘案して慎重に判断する必要がありますので、引き続き給与関係閣僚会議において検討を行うことといたしております。
 公務員の削減計画は純減とせよとの御提言がございました。
 御承知のとおり、政府は今般第六次定員削減計画により五カ年で五%の削減をいたしまして、定員削減計画の強化を図ったところであります。国家公務員数については、少数精鋭主義に基づき必要最小限度にとどめるべきであると考えており、増員要請については厳しく抑制してまいりたいと考えております。
 次に、労働、雇用についての御質問にお答え申し上げます。
 まず、高齢化社会における労働政策の総合的推進についてでありますが、現在、わが国は急速に高齢化社会に向かって進んでおり、労働面においても、昭和七十五年には全体の労働力人口のうち四十五歳以上の層が約二分の一を占めると予測されております。このような人口高齢化に対処するため、六十歳定年実現のための積極的指導など高齢者の雇用安定対策の充実、生涯を通じた能力の開発向上など活力ある高齢化社会の実現のための総合的な施策を推進してまいりたいと存じます。また、政府としては六十歳定年の早期実現に向けて全力を挙げて行政指導に取り組んでまいります。
 定年延長の法制化問題につきましては、本年一月十九日に提出された雇用審議会答申において「今後、定年延長の進展の動向を見極めつつ検討を続けること」とされており、同審議会の検討結果を踏まえて対処してまいる所存であります。
 労働時間の短縮の問題がありますが、わが国の労働時間の水準を欧米主要国並みの水準に近づけるように、労使の自主的努力を基盤としつつ、行政指導を積極的に進めてまいりたいと存じます。
 次に、身体障害者の方々の雇用について御質問がございました。
 法定雇用率未達成大企業や特殊法人に対しては、身体障害者の雇い入れ計画の作成命令や勧告を行うとともに、特に未達成の特殊法人を集めて数度にわたり達成方を要請するなど、積極的な指導を行っているところでありますが、今後は個別にさらに強力な行政指導を行うことにより、その早期達成を図ることといたしております。
 身体障害者雇用納付金の額でありますが、先般、身体障害者雇用審議会の答申を踏まえて政令改正を行い、従来の一人当たり月額三万円を四万円に引き上げることとし、これを昭和五十七年四月一日から施行することといたしました。
 心身障害者の雇用の促進を図ることはきわめて重要な課題であるので、身体障害者職業訓練校等の充実につきましても鋭意努力してまいります。
 次に、雇用における男女平等の確保のための今後の方策については、婦人少年問題審議会などの審議を経た上で具体的に検討してまいることとしております。また、パートタイマーの労働条件の確保につきましては、これらの者にも労働基準法が適用されますので、その周知徹底を十分図ってまいりたいと思います。
 婦人のライフサイクルの変化に伴い就業する婦人がふえておりますが、これらの者がその労働能力を有効に発揮できるよう労働環境の整備を図ってまいります。
 また、寡婦の雇用については、保育など家庭生活上の制約、職業経験や技能の不足などが障害となっており、これらの障害を実質的に取り除くことが先決であって、法律による雇用の義務づけではなく、職業相談機能の充実、職業訓練の実施等により、これらの者の雇用の促進を図ってまいりたいと存じます。
 次に 環境庁及び環境影響評価法案についてでありますが、環境庁は、公害の防止と自然環境の保全等を図り、国民の健康で文化的な生活を確保するという重要な使命を有する環境行政を総合的、一元的に遂行するため十年前に設けられたのでありまして、その役割りの重要性は現在も今後も全く変わらないと考えております。また、環境影響評価法案につきましては、十分検討の上取りまとめられたものでございまして、環境影響評価の手続などを確立する上で適切なものでございますから、早急に国会で御審議の上、成立させていただきますようお願い申し上げます。
 クロム訴訟につきましては、基本的に民事上の問題でございますが、職業病の労災補償との関連から、政府としては労働省に専門家会議を設け、胃がん等を含めてクロム障害に関する医学的、科学的検討を進めておりまして、その結果を踏まえて、クロム障害に対する労災補償の適正な実施を図っていく所存でございます。また、職場における六価クロムによる障害を防止するため、法令の整備など対策の強化を図ってまいります。
 わが国は、核軍縮を軍縮分野の最優先課題として取り組んでおりますが、多田議員が述べられましたような提案よりも、実際に現実の国際関係において実現可能な具体的措置を一歩一歩進めていくとの基本的考え方に立ち、当面、包括的核実験禁止の実現を目指して積極的努力を行ってきております。
 核軍備競争の強化に対する強い懸念については、私も多田議員と考えをともにするものでありまして、政府といたしましては、御指摘の中性子爆弾を含むあらゆる核兵器の究極的廃絶を目指して、今後とも核軍縮のための努力を一層強化してまいる所存であります。
 来る南北サミットに際しましては、さきの所信表明でも述べましたとおり、国会の御了承を得て、私みずからがこれに出席し、経済協力に取り組むわが国の積極的な姿勢を明らかにするとともに、特に食糧増産、農業開発などの施策が開発途上国の国づくりの基本として重要であることを訴える方針であります。
 わが国は、平和国家として、また自由世界第二位の大きな経済力を有する国として、経済協力を通じて、世界経済の発展及び世界の平和と安定の維持に貢献していくべきものと考えております。このような考え方に基づき、政府は去る一月に設定した新中期目標のもとで、今後さらに政府開発援助の積極的拡充に努めていくことといたしております。
 最後に、政治資金、選挙制度についてであります。
 政治献金のあり方につきましては、政治資金規正法附則八条が個人献金への移行を一つの希望的な方向として述べていることは承知しておりますが、企業も一つの社会的な実在としてその政治活動の自由は保障されており、最初から企業献金が悪であると決めてかかるのはどうかと思います。
 この問題は、選挙制度のあり方の問題と密接な関係を持っているだけでなく、また現実問題として、各党のよって立つ財政基盤がそれぞれに異なっておりますので、今後とも各党間で十分論議を煮詰めていただきたいと考えます。
 また、選挙制度について一連の御提言がありましたが、自由民主党では、参議院全国区制のあり方について昨年来鋭意検討を重ねてきた結果、一つの改正案を取りまとめております。各党におかれてもいろいろ検討を行ってこられていると承っておりますので、改正案について十分論議を尽くしていただき、可及的速やかに全国区制の改善が実現されるよう心から念願しております。
 また、衆参両院の定数是正、戸別訪問の自由化、罰則の強化、選挙裁判の促進の問題は、これまでも懸案事項として各党間で論議され、検討されてきた問題でありますが、事柄が、国会の構成なり選挙運動のあり方や訴訟制度の基本にかかわる問題でありますので、いまだ各党間の御意見が煮詰まった段階には至っていないと伺っております。同様に、衆議院小選挙区制の問題につきましても、いまだ各党間で話し合いが行われるまでに至っておらないようであります。
 いずれにしても、これらの問題は選挙の基本に関するきわめて重要な問題であるので、今後とも各党間において論議を尽くしていただきたいと考えております。
 残余の点につきましては所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(渡辺美智雄君) 十数項目に上る御質問でございますので、簡潔に答弁をさせていただきます。
 まず、補助金の削減について、整理合理化に当たっては優先度をつけて行えと、そのとおりでございます。極力そのようにしたいと考えております。ことに、臨調の第一次答申で具体的な整理合理化方策が個別に明らかにされておるものにつきましては、極力そのように実現をしてまいりたいと考えております。
 また、その他の補助金について、生活保護の補助金あるいは教育、そういうようなものにしわ寄せをしないようにしろと、しわ寄せはしないようにするつもりでございます。決してわれわれはものによって聖域をつくるという考えは持っておりません。
 補助金の一割削減というのは、補助金全体で約十四兆円ございますが、そのうち十一兆円ぐらいのものが法律事項になっておる、そういうことなので、十一兆円ぐらいのものは別に個別検討。生活保護、これも法律で決まっていますが、これも個別検討、一兆五千億円ございますが。それを引き算しますと、一割削減の対象になるものが約一兆八千億円弱、そこで一兆七千五百億円ぐらいかなと。それから調整措置のあるものを引いて、さらに一割削減ということになると、大体千六百億円ぐらいの削減を一割削減として節約したいと、さように考えております。
 それから同じような目的を有する補助金については統合メニュー化、総合化を図って簡素化しなさいと、御趣旨ごもっともでございますから、積極的にそのようにしたいと考えております。
 補助金の申請、交付手続をもっと簡素化しろという御要請でございますが、ごもっともでございますので、それは御要請に応じて極力努力をしたいと考えております。
 零細補助金や地方に定着した事業の補助金は、第二交付税のようにしてまとめてどかっと渡せと、これは残念ながら御要請に応じられないと思います。と申しますのは、社会保障、文教、公共事業、農政といういろいろ重大な柱がありますが、まとめてどかっとやるといっても、幾ら定着したといっても、そうでなくても市町村長さんなどは、私は文教を一生懸命やるんだという人もあるし、私は社会保障が大好きよという人もあります。したがって、いまの予算制度でもやはり教育に熱心な人あるいは公共事業に熱心な人、いまでもあるのです。それが、まとめてさらに第二交付税のようなものをくれると、そこにはずみがつくということも十分に考えられるわけでございますので、やはり市町村によって余り社会保障に差がついてしまう、道路や学校なんというのも市町村によってうんと差がつき過ぎるということはいかがなものかというふうに考えておりますので、残念ながら第二交付税の提案には賛成いたしかねるわけでございます。
 それから行財政のかなめとも言うべき地方分権について、国の税金を大幅に地方に分けてあげなさいということでございますが、国は御承知のように二六%以上の公債収入依存度ということで、地方財政はまだ九・六%ぐらいの公債依存度でございますが、国はその二倍以上の依存度でございますので、そのような事情にございますから、いま財源をよけいに分けてやるということは、そのゆとりがございません。やっぱり国、地方とも現在のような困難な財政事情から脱却をしなければならないということで、これは両方で仕事の減量化、歳出の抑制というものをお互いやっていく必要があるのじゃないか。その上でさらにこれは国がやった方がいいのか地方がやった方がいいのかというような、事務の配分というような問題が取り上げられて、その後において財源をどう分けるかというようなことは慎重に検討する問題である、さように考えておる次第でございます。
 それから国民健康保険給付費、児童扶養手当、特別児童扶養手当の一部を都道府県へ肩がわりさせるということは単に国の財政上の帳じり合わせじゃないか、それをやめろという話でございます。これはそう簡単に私も引っ込むわけには実はいかないのでございます。この臨調答申の中で、国民健康保険について一部を――地域保険としての性格が国民健康保険はあります、それから法律上都道府県はその運営について指導、監査の責任を持っていますと。しかしながら赤字がふえてもお金は払わなくてもいいと。国民健康保険が赤字になれば市町村長さんは大変だ。どうしたって一般会計からかなり持ち出ししていかなければならぬ。国の方もそれに伴って何割という補助率がありますからどんどんふえてくる。府県だけは赤字になっても余り法律上は関係ない。そこで、本当に適正な医療の内容監査、指導等を徹底的にやっていただくのならいいが、どうも監査というものはほとんどない。
 いまから数年前に私が厚生大臣をやった当時は、医療機関万に三つぐらいの監査しかない。そういう状態では、とてもじゃないが、悪用する者があった場合は非常にこの増大する医療費に追いついていけない、もっと府県も関心を持ってもらいたいということを口を酸っぱくして実は言ってきたわけでございまして、そういうような医療費の監査権限、市町村長はないわけです。市町村長は取られるだけです。非常に関心を持っているのだけれども監査権限がない。府県はある。ですから、そういう点も考えると、医療費の適正化を図る上に府県も少しぐらい持ってもらった方がいいのじゃないかなというような気もいたしておるわけでございます。
 また、児童扶養手当、特別児童扶養手当については、これは本来国とともに地方公共団体も責務を負っております。現に、これらの手当に類似する福祉手当の支給等については地方も一部負担をしておることでございます。こういうような点から、福祉手当については地方も負担する、児童扶養手当、特別児童扶養手当については負担しないということがいいのかどうなのか。これらもちょっと似たようなところもありますから、もう少し勉強させてもらいたい。財源問題もあるので、政府内部でお互いに検討し合って、できるだけ速やかに結論を出してまいりたい、かように考えております。
 それから行革関連法案について、厚生年金等の国庫負担減額の質問がございます。また、抜本的な基本年金制度を確立せよというような御質問もあって、本来厚生大臣からお答えをしていただいた方が適当だと思うのでございますが、質問大臣数の限定といいますか制限もあるようなことで私がお名指しをいただいておるわけでございますから、あえて答えさせていただきます。
 今回の厚生年金の国庫負担の一部削減の問題につきましては、これは臨時特例の措置でございまして、恒久的に年金制度を変えるというものではございません。これは、この措置において年金財政の安定を損なうことのないように、特例適用期間経過後において、国の財政状況を勘案しつつ減額分の繰り入れその他適正な措置を講ずること、こういうことになっておるわけでございまして、これはどこまでも臨時特例の措置であるということでございますから、そのようにひとつお考えをいただきたいと存じます。
 基本年金構想につきましては、現行制度からの円滑な移行をどのように行ったらいいのか、新たに必要とされる多額の費用負担はだれがどこで持ったらいいのかというような問題もございますので、一つのお考え、一つの御意見として十分参考にさせていただきたいと思っておりますが、いま直ちにそれを採用して実施に移すというようなことは考えておりません。
 それから教育問題で中道四党合意の共同要求を取り入れる考えはないか。これは四十人学級の改善についての御質問でございますが、これは財政再建期間中、国の財政事情を考慮して抑制するということにしておるのであって、昭和六十六年度までに全体計画を達成することについては実は変更してないのです。この財政再建期間中だけ抑制する。したがって六十六年までの全体計画は変更を考えておりません。
 では、中でどういうように抑制を具体的にやるのですかということについては、まだ決まってないのです、これから具体的に決めていこうと。御承知のとおり、実は日本の学級編制基準というのは先進諸国に比べて少し落ちているということは事実でございますが、では先生一人当たりの生徒の受け持ちはどうなんだということになると、これは大体先進国並みにほぼいっているのです。なぜそういう問題が起きるかというと、図画の先生、唱歌の先生、体操の先生、別に担当なしでもいるという場合がありましたりしておりますから、先生一人当たりからすると持っている生徒の数はそんなに遜色ないという問題もございますので、どういうようなふうにするか、そこらのところは、全体としてはわれわれは六十六年度の四十人学級というものは忘れないのです、ちゃんとやろうと思っておるわけですが、この期間だけどういうふうにするかを検討させていただきたい。(「うそをつくな」と呼ぶ者あり)いや、これは本当のことを申し上げているわけでございます。
 それから住宅問題について中道四党合意の共同要求を取り入れる考えはないか。この問題につきましては、行革関連特例法案というのは国の財政収支の改善に寄与するための特例措置を設けたものでございますから、その一環として住宅金融公庫の貸付金利の見直しが機動的かつ円滑に実施できるような体制の整備を図りたい、そのために現行貸付金利の上限を変更をすることができるようにしたというものでありまして、これは財投金利が高いというような場合に、五・五だけでいつもくぎづけということになると財政負担が非常に大変である。したがって、コストがうんと高くなったときには、多少の変更ができるようにしていこうということが考えられておるわけでございます。これは公庫の貸付金利については、法律の制定後、政令を策定する段階で社会的、経済的必要性と国の財政負担との調和が図られるように進めてまいりたいと、こう考えておる次第でございます。
 それから医療の充実と合理化の対応はどうするのか。これはもう非常に大きな問題でございますからなかなか一口ではお答えしにくいわけでございますが、今後とも老齢化社会が進むということになれば、当然この医療もふえると見るのが世界的な傾向でございます。しかしながら、やはり医療の問題についても、いまのようなことでなくて、もっと供給体制も整備する必要がありますし、地域の医療計画というものもきちっと立てて進めていく必要がございます。と同時に、やはり医療費の適正化ということも必要であって、幾らふえてもいいと言っても負担する方はもう容易なものじゃないということでございますから、そこらのところはやはり負担する方のことも考えて、医療費がむだに使われないように十分の細心の注意をもって合理化、効率化を図っていくことが大切だと、さように考えております。
 薬価基準について引き下げをどうするのかという御質問については、本年六月に一八・六%の引き下げを図ったところであって、今後とも適正化には注意してまいるということでございます。
 老人医療制度については、老人保健法の成立がぜひとも厚生省としては必要だということを言っております。私もそう思います。
 現在、市町村が実施している国民健康保険事業に対する広域地方公共団体としての都道府県の役割りについては、さらにこれは議論を深めてまいりたいと、こう思っております。
 大企業を優遇すると批判されている各種準備金、貸し倒れ引当金、退職給与引当金等、これをどうするのか、もっと適正にしていけということでございますが、いままでも特別措置法の整理合理化については、五十一年以来かなり徹底したことをやってまいりました。したがいまして、非常にもう少なくなっておるわけでございます。今後ともこの見直しというものは進めてまいるつもりでございます。したがって、五十一年の改正前の九十八項目について、大体整理合理化というものについては五十一年から五十六年に八十三項目の整理合理化をやった。整理合理化割合は八四・七%、その結果は措置法の減収額の法人税収入に占める割合というのが四十七年は九%だったものが、五十六年では一・九%というように、非常にもう措置法も少なくなってしまって、減収額も非常に少ないというところまできておりますということをいま申し上げた次第でございますが、その見直しについては絶えず怠らないようにしていきたいと思っております。
 引当金等のいろいろな問題については、これは私は優遇税制だと思っておりません。思っておりませんが、たとえば労働協約によって退職金は何年たったら何ぼもらえるということが決まっておった、会社にそれだけ債務が発生したといたしましても、現実にやめていかないのだから、やめていかない以上は余裕があるわけですから、労働協約で幾ら債務が発生したとしても、現実にやめないということになると、その繰入率が実情に合っているか合っていないかということはこれは会計原則だけというわけにはいかないことであって、やっぱりこの見直しというものをある程度考えるということは、私は今後とも注意してまいりたいと思っておるわけでございます。
 それから所得税の実質増税になっているじゃないか、だから物価調整減税をやれということでございますが、これは昭和五十二年から五十六年の間で、仮に三百万円の年収の人がこの四年間に三〇%ベースアップがあったと仮定をいたしてみると、これについては、税引き後の名目所得については、それは三百九十万円になるが税金がふえる、十一万三千円が二十四万六千円に税金がふえるから、手取りが三百六十五万四千円になる。しかし、これは名目では二六%やっぱり所得の方も伸びるわけでございまして、物価もふえるじゃないか、物価を引き算しろと。物価の引き算をやりますと、それでも手取り額は大体三・三%実質賃金がふえるという計算になっております。五百万円の場合も、大体同じような条件のもとだと、わずかであるが、二%ぐらいは実質手取りがふえる計算になります。ただ、一千万を超しますと、高額所得者の方になると、名目で二〇%ぐらい仮に伸びても、これは実質手取り額は減るという計算になってくるわけでございます。
 これは、各国とも非常なインフレという問題の中で賃金とインフレということはいろいろ問題になっておりますが、幸い日本の方は物価の安定ということが世界先進国の中で一番落ちついて、一けたで、しかも四%台まで下がってきたというような状況でもございますし、一方財政は非常に苦しい中でいろいろやっていかなければならぬという状態でございますので、まことに残念でございますが、この御要請には応じがたいということでございますので御了承を願いたいと存じます。
 最後に、人事院勧告及び仲裁裁定の完全実施の問題でございます。
 これにつきましては、結論から先に申し上げますと、人事院勧告の取り扱いについては、八月二十五日の閣議決定「行財政改革に関する当面の基本方針」を踏まえつつ、これまで維持されてきた良好な労使関係、現下の厳しい財政事情等諸般の事情を総合的に勘案して慎重に判断する必要があるので、引き続き給与関係閣僚会議において検討を行うこととしている、これは総理大臣答弁と全く同じでございます。これは違ったことはなかなか言えないわけでございます。
 そこで、中身について少し御説明を申し上げますと、実は、たとえば人事院勧告が仮に五・二三%、これの所要額がことしで三千四百十億円ぐらいが考えられる。給与改善費としては一%、六百三十億円しか見ていない。したがって、二千七百八十億円の不足があるということでございます。それだけではなくて、仮にこれをそのままのむということになれば、来年度予算で四千億円ぐらいのさらに新規財源が必要になって、それはゼロシーリング概算要求をちょうだいしているわけでございますから、その中で処理するということになれば、さらにゼロシーリングに四千億円程度どこかを詰めなければならないという問題が出てくるということでございます。
 一方、財源面を検討いたしておりますが、ことしの年度内の自然増収というものは見込まれない。それは、八月末のいままでの現実の税金の徴収ぐあい、入った状況というものを去年とことしと比へると、去年よりも一・数%実は少ないわけでございまして、予算に計上しただけの税収が果たしてきちっとあるかどうかさえも安心できない。したがって、それよりももっと多いというものはなかなかいまの状態では見込めない。しかし、御承知のとおり、予算成立後まだ五カ月ぐらいしか過ぎておりませんから断定的なことは申し上げません。もう少し様子を見ないと何とも申し上げられませんが、それにしても余り緩やかな見方はできないという現実でございます。
 公債の追加発行は減らそうということで、すでに公債の利息が五兆七千億円、公共事業費に近づこうというぐらいのところまできておるわけでございますので、公債の追加発行というようなものはとてもできないし、消化面からも制約がございます。剰余金については四百八十四億円ございますが、これは議長裁定というものがありまして国会の方にお預けをしてあるわけで、政府としては千の届かないところにございますから、剰余金は給与財源には政府としては見込むことができません。既定経費の節約という問題がございますが、これはもう五十六年度の予算はかなり緊縮予算を夫は組んでおりまして、目いっぱい仮に節約をさせるとしても五百億円が限界ではないだろうか、このように考えております。一方、予備費の残が二千四百億円あるじゃないかと言われますが、これについては、まあせいぜい見込んでも三千億円ぐらいしか見込めないのじゃないか。ところが、そのほかに追加財政需要というものが、災害を含めて五千億円ぐらいどうしても考えられるわけでございます。そうすると、とてもそれにすら追いつかないというような状態が、そういう背景があるということを御参考までに申し上げた次第でございます。以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(河本敏夫君) 私に対する御質問は二点ございまして、その第一点は、所得減税を速やかに実施すべしと、そういう御意見でございますが、現在のその背景を申し上げますと、最近は個人消費が相当伸び悩んでおります。本日の経済対策閣僚会議におきましても、ことしの個人消費の伸びを四・九と想定しておりましたが、それを相当大幅に下方修正いたしまして二・七と、この目標に置きかえたのでございます。これはやはり所得が伸びないということがその背景にあると考えております。それから第二点は、貯蓄の落ち込みも相当目立ってきております。それから第三点は、先般総理府で国民の生活意識調査をしておられましたが、それを見ますと、約二五%の方々が昨年に比べて生活が苦しくなっておると、そういう回答をしておられます。
 そういうことをいろいろ総合的に判断をいたしますと、ただいま所得減税を直ちにやれというその御趣旨はよく理解できます。ただし、現在は財政再建の途中でもございますし、所得減税をするためには条件が整備されなければなりません。やはりそれだけの条件がありませんと、やりたくてもやれない、こういうことでございますから、政府といたしましては、所得減税が実現できるようなそういう条件を一刻も早く整備する、それが緊急の課題であろうと、このように考えております。
 それから第二点は、公共事業を質的に充実せよ、内需の拡大によって中小企業と不況業種対策をしっかりやれ、こういうお話でございますが、本日、政府は経済対策閣僚会議におきまして、ことしの下半期の経済運営の基本方針といたしまして、第一に物価の安定、第二に均衡ある内需の回復、それから第三に不況業種対策の推進、それから第四に貿易の拡大均衡、この四項目を決定いたしまして、不半期の経済運営の指針にしたいと考えております。
 そして、公共事業につきましては、これまでも国民生活に関係ある公共事業に対しては優先的に配慮してきております。それからまた、中小企業対策それから構造不況業種対策、これに対しましても、やはり当面大きな課題でございますから積極的に取り組んでいきたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣鯨岡兵輔君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(鯨岡兵輔君) 私にいただいた質問は六つあります。環境庁の環境行政についての基本的な考え方、それから国会に継続審議を願っているアセス法案、それから環境中の発がん物質への取り組み、それから湖沼法案の問題、空きかんの問題、奥鬼怒スーパー林道の問題、この六つでありますが、本会議のことでもありますから、きわめて簡単に要点だけを申し上げたいと思います。
 環境行政についての基本的な考え、これは総理から先ほど詳細に申し上げたとおりであります。環境庁発足十年になります。けれども、公害で体を傷めた人、命を失った人――命を失った人は当然のことながら、体を傷めていまだに苦しんでいる人がおるわけであります。こういう方に対する対策はしなければなりませんし、また認定業務というようなものもあります。それから二度と再びそういうことを起こさないために、たとえば水に、空気に、土壌にそれぞれ基準を設けて、そういう基準を守るということがあります。さらに今日では、もっと快適な環境をわれわれ人間は享受すべきではないかという問題もあります。さらに、いまから十年ほど前、御承知のローマ・クラブから発足してストックホルムの会議に発展していった地球的規模の問題があります。現在四十二億の人口は西暦二〇〇〇年で六十三億になるとかそういうような問題があります。そういうことでございますから、環境行政についてちょっとも目を緩めていくことはできないというのがわれわれの考え方でございます。
 それからアセス問題について申し上げますが、アセス法案は、御承知のとおり前の国会に提出して継続審議にしていただいているわけでありますから、一日も早く御審議をいただいて、信頼ある、権威ある法律をつくっていきたいと、こう考えておりますのでよろしくお願いをいたしたいと思います。
 それから環境中の発がんの問題については総理からお話がありましたので、その他の問題について申し上げたいと思いますが、たとえば重金属が農地を汚染したという場合には土壌汚染防止法で対策を立てる。それから市街地の方がたとえば六価クロムのようなもので汚染されたという場合には、昭和四十五年にお決めいただいた廃棄物の処理及び清掃に関する法律でこれに対処していく。ですから、この問題で、都市には新たには出ないだろうと私は期待をしているわけでありますが、もし万一のときには、関係地方団体と非常に密接な連絡のもとに対処していくことになっております。
 次に御質問いただいた問題は、湖沼法案の問題であります。これは去る一月でしたか、中央公害審議会の方から答申をいただきまして、この湖沼の汚れは看過すべきものではないと。ですから、総合的な法律をつくらなければいかぬというととで、われわれいま骨を折っているわけでございますが、やはり各省庁ありますから、それぞれの分野で努力しているのですから、その省庁との間で十分の連絡をとらなければならないことは言うまでもないことであります。
 基準があるのですが、その基準を満たしている状態は、水の場合、海は点数で言えば八十点、川は六十五点から七十点、ところが湖沼は閉鎖性水域であるためか四十点にしかならないのです。ところが、たとえば琵琶湖で言えば、その水を一千三百万の京阪神の人たちは飲んでいるわけですから、これをこのままにしておいていいというわけにはまいらないわけでございますので、せっかく関係方面と協議を重ねて、この国会ではどうしてもひとつ法案を御審議いただきたいと努力をいたしておるわけでございます。
 それから空きかんの問題について御心配をいただきましたが、空きかんは、私、就任以来一生懸命になってこれを国民の皆様に理解していただこうと思ってやってまいりました。空きかんが消費されるのは何と全部で百億本なんです。二十億本がアルミかんで、八十億本が鉄かんなんです。そのアルミかんをつくるのだって大変な電気を要するわけですから、資源の問題としてもこれは大変な問題です。環境の問題としても各地方団体がそれはもう一生懸命にやってくれております。条例をつくるところもあれば、現実にいろいろなことをやっているところもあります。たとえば九州なんかは、空きかんを集める専門の自動車なんかをつくったところもあるくらいであります。
 そこで、私どもの方としては、もう過ぎましたが、九月一日の時点で、去年と比べてどうだということをいま鋭意調査しているわけであります。そこで、その結果に基づいて、私の方としては、十一省庁の連絡協議会がありますから、その十一省庁の連絡協議会で結論を出してこれを地方に流していきたい、こう考えているわけであります。業者などもここまでくればやはり責任を持ってもらわなければならぬというふうに考え、業者もそのつもりでいるのですから、何も責任をとらないと言っているわけじゃないのですから、みんなで努力してこの空きかん問題は解決していきたい、こう考えているわけであります。
 奥鬼怒スーパー林道について申し上げます。私の基本の考え方は――(「簡潔に」と呼ぶ者あり)十分簡潔にやっているつもりであります。私の基本の考え方は、やはり国立公園などというものはできるだけ自然の状態を保存しておきたい、これが私の考えであります。国立公園ばかりじゃありません。日本の自然環境はわれわれの子孫からの預かり物である、できるだけ手を加えないで子孫に返していきたい。われわれの代でこれを壊してしまうということは十分考えなければならぬことだと考えておりますが、林道ということになりますと、やはり必要なこともあります、林道ということになりますれば。
 それから私がこの間出張させていただいたことについても御言及ですが、私が行ったところは栃木県の塩谷郡栗山村というところです。学生時代からよく知っているところですが、非常にあれは過疎のところです。だから、こういう面について何か考えながら、自然を壊さないというのはどうしたらいいのか、いま一生懸命考えているところでございますので御了承願いたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。
 国連の平和維持活動の一環として、決議に基づき、紛争地またはその地域に参加国をもって編成する要員を派遣し、事の処理、推進、監視等をやっている。この場合に、これに参加し、平和維持活動に参加しているわが日本も参加することは当然の責任であると考えております。が、わが国は憲法、国内法の枠がございますので、その枠内で派遣できないものと派遣できるものとを検討しているわけであります。たとえばナミビアの独立について、国連の監視のもとに選挙を通じて平和裏に独立させようという目的のために、ナミビア独立の支援グループが派遣される場合には、選挙監視要員としてわが国も派遣をするということを明らかにしているところでございます。
 次に、国連に対する拠出、これが経済重点であって、文化、福祉、こういうものに重点が置かれていないのはおかしい、こちらに重点を変えるべきだとの発言はまさに私もそのとおりに考えておりまして、文化、福祉あるいはその他の問題に逐次拠出金をふやしておるところでございます。今後も人道上あるいは福祉の関係から、国連難民高等弁務官計画、国連人口活動基金、ユネスコあるいは国連児童基金等、福祉、文化の交流のために拠出をするように相努める次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(徳永正利君) 上田耕一郎君。
   〔上田耕一郎君登壇、拍手〕
#14
○上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 まず、総理の所信表明が避けて通った重要問題として、今日の危機的な国際情勢に対する認識と対処についてただしたい。
 八〇年代に入るや、国際緊張はにわかに激化し、核軍拡競争が進行の度を速めています。ワルトハイム国連事務総長は、最近の年次報告で「人類の存亡の危機がもたらされつつある」と深い懸念を表明しました。総理は、この事態をどう考えておられるか。
   〔議長退席、副議長着席〕
 その直接の原因は、中東危機を利用したアメリカの力の政策の強化と、それに絶好の口実を与えたソ連のアフガニスタン軍事介入にありました。同時に、事態の根底には、米ソを中心とする軍事同盟の対抗と、それが生み出している核軍拡競争の悪循環があることはきわめて明白であります。だとすれば、安定した平和をかち取るためには、アメリカの中東介入の中止、アフガニスタンからのソ連軍撤退とともに、より根本的な課題として、核兵器廃絶を最優先にした軍縮、すべての軍事同盟の解消がどうしても必要であります。
 こうして、来年の第二回国連軍縮特別総会はますますその意義を重くしております。総理は、衆議院の答弁では、核軍縮というあいまいな態度しか示しませんでした。私は、世界唯一の被爆国である日本の政府は、核戦争から人類文明を救う事業の先頭に立ち、アメリカの中性子爆弾開発の中止はもちろんのこと、核兵器全面禁止、使用禁止条約の締結、すべての軍事同盟の解消を提唱する国際的任務を担っていると思うがどうか。
 ところが、自民党政府は、驚くべきことに、昨年の国連総会では核使用の禁止決議にアメリカやNATO諸国とともに反対票を投じ、日米安保条約のもとで核持ち込み隠しの態度に出ています。前国会でわが党が追及した岩国基地のMWWU1に続いて、沖繩の辺野古基地に同じく核専門部隊NOPが存在している事実が明らかとなりました。わが国をアジアにおける戦域核戦争の拠点とさせないために、私は、両基地からの核専門部隊の即時撤去と、国是としての非核三原則の立法化とを強く要求したいと思います。これは、アジア、ヨーロッパの非核武装地帯化の誇りある国際的突破口となるでしょう。
 以上の諸問題について、総理並びに外務大臣の責任ある答弁を求めるものであります。
 次に、本国会の中心課題とされている行政改革なるものについて質問します。
 その第一は、さきに触れた国際的な危険な軍備拡張とのかかわりであります。
 私がいまあえて「行政改革なるもの」と言ったのは、臨時行政調査会答申に基づく鈴木・土光行政改革が、国民が望んでいる清潔、公正、簡素で効率的な行政の改革とは全く似て非なるものとなり、国民の生活と権利、地方自治に対する全面的攻撃となっているからであります。
 こういうごまかしはどうして生まれたのでしょうか。それは、フランスのミッテラン政権を例外として、イギリスのサッチャー、アメリカのレーガン、そして日本の鈴木政権が、世界の資本主義諸国が落ち込んでいる深刻な構造的危機からの反動的活路を、軍備拡張と国民生活への攻撃という二つに求めようとしているからであります。鈴木総理は、みずから日米共同声明以上の重要発言と称した日米首脳会談第二日目の発言で、防衛予算増強に関して、「自分としては、財政再建に政治生命をかけている。もし一九八四年までに公債依存を脱却できれば、財政運用は楽になる」と述べたと外務省が公表しています。
 総理、あなたは国民には隠しながらレーガン米大統領には本当のことを述べている。あなたの行政改革も、所信表明で「財政再建の中核」とされた「特例公債からの脱却」も、軍事予算ひねり出しが目的なのですね。園田外相は国連総会で軍縮演説をしてみせたけれども、口先で軍縮、実行は軍拡というのが鈴木内閣の姿であり、行政改革はその手段にすぎないではありませんか。総理の明確な答弁を要求します。
 その第二は、軍拡の中身とアメリカの内政干渉の問題であります。
 総理は、特別扱いしないと昨日答弁されましたが、それならなぜことしの概算要求で軍事費だけを突出させ、前年度比七・五%増としたのですか。一機百五億円のF15を四十三機、一機何と百十億円のP3Cを十七機と、繰り上げ発注まで行い、後年度負担は実に六七%増、ついに二兆円を超えました。これでどうしてGNPの一%を超えないと言えますか。しかし、P3C十七機分だけで実に一括処理法案中最大の厚生年金などの国庫負担削減分千九百億円に見合うのです。このような巨額の軍事予算を削って減税や国民生活擁護に回すことこそ行政改革の最大の眼目ではありませんか。
 重大なことは、これがアメリカの不当な内政干渉と結びついていることです。ハワイでの事務レベル協議では、米側が、護衛艦八十隻、原子力潜水艦十隻を含む潜水艦四十隻、P3C百機、F15二百機など、防衛計画大綱の数字をはるかに上回った、園田外相の形容によると「平家建てをいきなり十階建てにせよ」というがごとき数字を示したと報道されています。この種の事実があったのかどうか、大村防衛庁長官、重大な問題なので明らかにしていただきたい。
 ここで指摘しておきたいことは、総理自身の対米誓約に重大な責任があることであります。
 総理はワシントンのナショナル・プレスクラブで、わが国の広大な周辺海域を庭先とみなし「固有の自衛のため防衛する」と述べました。ことしの防衛白書も、総理の言明どおり、初めて公然と「周辺海域の防衛」と書いています。これまで日本の防衛対象区域は領土、領空、領海としてきた政府の基本態度をなぜあなたは覆し拡大したのか。その国際法上の根拠はどこにあるのか。レーガン政権が、あなたのこの言明につけ込んで、周辺海域防衛に必要な装備の数字を挙げてきたのは明白であります。私は、日本の国会にも諮らず、重大きわまりない対米誓約を行った総理の責任を追及し、憲法違反の明白な、国際法違反の疑いも濃い周辺海域自衛という発言の公式の取り消しを要求するものであります。
 関連して、こうした許しがたい対米追随が生み出す問題について、外務大臣と防衛庁長官に質問したい。
 一つは、日昇丸当て逃げ事件についての米側最終報告書の問題です。多くの疑問点をはらむ、附属文書を含め英文で四百十六ページにのぼる膨大な文書の詳細な検討なしに、なぜ政府は即日了承という国辱的態度をとったのか。
 一つは、日米共同声明以来、ますます拡大されている日米共同演習の問題です。七月末の陸海空三自衛隊の統合演習、それに続く最近の三自衛隊と米軍の大規模な共同演習の隠されたシナリオの中身は何か、明らかにしていただきたい。
 臨調路線をめぐる第三の問題は、政府の行革大綱とそれによる一括処理法案、補助金カットの中身についてであります。
 一括処理法案による削減額二千四百八十二億円、補助金一律カット千六百三十六億円、合計四千百十八億円は、大臣給与の一部返上だけを除いて全額、福祉、教育、地方自治に、サラ金財政のツケを一方的に回したものとなっています。年金、保険の国庫負担にせよ、児童手当、四十人学級、地域特例のかさ上げ補助にせよ、厚生省、文部省、農林省関係の補助金にせよ、切り捨ての対象となった一項目一項目は、長年にわたる国民の要求運動、国会の審議を通してようやく実った国民的成果にほかなりません。それを一片の作文で一挙に覆し、しかも国会の審議権を奪う一括法案で処理しようとし、強行採決までほのめかすに至っては、ファッショ的暴挙と言うほかなく、わが党は、国民とともに断固として糾弾し、撤回を要求するものであります。
 他方、大企業に対しては、厚顔無恥の手厚い保護ぶりであります。
 たとえば、各省庁から臨調に提出された資料では、大企業への補助金総額は二千三百億円に達しているのに、第一次答申も、政府の行革大綱も、一指も触れていないのはなぜなのか。それどころか、概算要求では、造船、航空機、コンピューター産業などへの補助金は増額されています。一千二百億円の経常利益を上げている日立製作所や三百億円台の利益を上げている富士通、日本電気などの巨大企業になぜ補助金を渡さなければならないのですか。ここに言われる正体がくっきりと浮き彫りになっています。なぜ大企業への補助金には手をつけず、福祉、教育を平然と切り捨て、一般国民にだけ負担を負わせるのか。総理の所信表明は、国際障害者年のことし、障害者問題に一言も言及がなかったのはなぜか。これが「等しく痛みを分かち合う」ことなのか。総理並びに行管庁長官の誠意ある答弁を求めたい。
 第四の問題は、臨調路線の今後であります。
 行革大綱による措置は、第一次答申の二割程度にすぎず、完全実施されれば、来年度には二兆円以上、実質増税を加えると五兆円もの負担増が国民に押しつけられようとしている。「増税なき財政再建」は真っ赤なうそと言わざるを得ません。
 さらに、第二次答申により「国全体の歩みを変える」ことがたくらまれております。
 臨調答申と所信表明が挙げている「国内的には活力ある福祉社会」「対外的には国際社会への貢献増大」という二つの理念とは、わかりやすく言えば、政府は手を引いて、福祉は個人の自力に任せ、大企業には勝手に活力をふるわせる社会のことであり、アメリカの言いなりの軍事大国化と海外援助ということであります。このような「国家百年の計」とは、再び日本国民を大きな不幸に突き落とすこととならざるを得ません。そうならない保証があるというのなら国民の前に明らかにしていただきたい。
 次に、参議院全国区制度の問題であります。総理が先ほども速やかな実現を願った自民党の案は、政党法的規制の導入、無所属立候補の事実上の禁止などを含む反民主主義的内容の改悪であります。私は、憲法違反の疑いの強いこの法案を提出しないよう、鈴木自民党総裁に要求するものであります。
 なお、政党活動の自由と関連して、昨年の予算委員会で「厳正に捜査する」と総理が答弁したわが党幹部宅への盗聴問題についても、総理並びに法務大臣にお尋ねしたい。報道によりますと、この事件の捜査で参考人として呼ばれた創価学会の山崎正友元顧問弁護士は、宮本委員長宅の盗聴事件についても全容を供述したとのことであります。これらの盗聴事件のその後の捜査結果はどうなっているのか。
 最後に、総理、あなたが追随しているレーガン政権の「小さい政府、強いアメリカ」という政策は、ベトナム反戦デモ以来というワシントンでの五十万の反対デモ、莫大な追加削減、株式の大暴落などが示すように、イギリスのサッチャー政権の惨たんたる失敗の轍を早くも踏みつつあります。鈴木内閣のにせ行革、臨調路線も必ず破綻するということを、私は確信を持って予言し、日本共産党は、行政改革に名をかりた鈴木内閣の反動攻勢を阻止し、国民とともに真の行政改革を目指して奮闘するという決意を表明して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(鈴木善幸君) 上田さんにお答えをいたします。
 まず、国際問題についてであります。
 今日の国際情勢については、御指摘を待つまでもなく、まことに厳しいものがあるということは万人の認めるところであります。国際社会がその直面する諸困難を克服し、安定的な平和と繁栄への道を切り開いていくためには、国際社会を構成するすべての国家、とりわけ米ソを初めとする核保有国が協力し、また節度と責任を持って行動することがますます必要となってきていると言えましょう。政府はこのような基本的認識のもとに、今後とも引き続き日米安保体制の円滑かつ効果的な運用及び節度ある質の高い防衛力の整備に努めつつ、わが国の平和と安全の確保に遺漏なきを期するとともに、米ソを中心とする関係国の軍備管理、軍縮への努力を強く働きかけるなど、平和国家としての役割りを一層積極的に果たしてまいる所存であります。
 核軍縮につきましては、私は、明年の第二回軍縮特別総会があらゆる核兵器の究極的廃絶を目指して関係国が一層真剣な努力を行う契機となることを強く期待するものであり、わが国も同総会に向けて積極的に努力を行ってまいりたいと考えます。
 中性子爆弾の製造問題につきましては、昨日の国会でも御説明いたしましたとおり、現在の国際軍事情勢において、核兵器の中から特定の兵器のみを取り出して製造中止を云々することは必ずしも適当ではないということであります。そのほか、核の不使用提案等の問題について、私の考え方につきましては、昨日も共産党の村上議員の御質問に対しお答えしたところでありまして、それにより御理解を賜りたいと存じます。
 また、軍事同盟の解消につきましても、究極的にはこれを必要としない平和な時代が訪れることが人類の理想でありましょうが、現実の問題として、国際の平和と安全が核を含む力のバランスにも依存しているという事実を無視できない現下の国際社会においては、御指摘のごときすべての軍事同盟解消などの考え方を直ちにとり得ないことも明らかであります。
 岩国基地と沖繩の辺野古基地の問題につきましては、これまでも国会において政府の考え方をたびたび御説明してきているところでありますが、改めて外務大臣より答弁をいたさせます。
 また、非核三原則の法制化問題についての政府の考え方につきましては、昨日、村上さんにもお答えをいたしましたが、非核三原則を堅持していくことはわが国の国策とも国是とも言うべきものでありまして、国会でも決議をされ、内外に宣明されているところであり、改めて法制化を要しないものと考えております。
 私の言う行財政改革も、特例公債からの脱却も、防衛予算増強、軍備拡張を目的とするのではないかとの疑いをお持ちのようでありますが、私は国家民族の将来のため、純粋に特例公債からの脱却、行財政改革に取り組み、日夜努力しているものでありまして、どうか素直にお受け取りをいただきたいのであります。
 上田議員御指摘のナショナル・プレスクラブにおける私の発言は、わが国は、わが国周辺数百海里、航路帯を設ける場合はおおむね一千海里程度の海域において海上交通の保護を行うことができることを目標として、憲法を踏まえつつ自衛の範囲内で海上防衛力を整備しているということを述べたものであり、とのような政府の考え方は、これまで国会においてたびたび御説明してきているところであります。
 また、わが国が自衛権の行使としてわが国を防衛するため必要最小限度の実力を行使することのできる地理的範囲は、必ずしもわが国の領土、領海、領空に限られるものではないということにつきましても、政府は従来からたびたび御説明いたしておるところであります。
 補助金等の額は五十六年度予算で十四兆五千億円程度でありますが、そのうち二千三百億円程度が大企業に支出されているとの御指摘がありました。行財政改革に際して聖域なき見直しを行っておりますので、御指摘の補助金につきましてももちろん例外とはいたしません。
 国際障害者年に当たっての私の所信は、今年年頭の施政方針演説の中で申し述べました。今回の所信表明において障害者問題に触れないのは行財政改革に論点をしぼったからでありまして、年頭の施政方針演説の精神はいささかも失われておりません。
 今後のわが国の進路を展望するとき、活力ある福祉社会の実現と国際社会への一層の貢献とが国民的国家的課題であると考えますが、その趣旨は、民間の創造的活力と自立自助の精神に依拠しつつ、政府がこれを適切に補完することによって、長期にわたる経済発展と福祉の充実を図ろうということであり、またわが国みずからの判断のもとに、その能力を生かした国際社会への平和的貢献によって、わが国の平和と安全及び国際的地位の向上を目指そうということであります。御指摘のような大企業優先あるいは米国の言いなりの軍事大国化などを考えているものではありません。
 大企業優先や米国追随の軍事大国にならない保証がどこにあるかということでありますが、わが国は議会制民主主義の国であり、選挙を通じて常に民意に問い、国民の信託を受けて国政を担っておるものでありますから、このことが最大の保証でなくて何でありましょう。明確に申し上げておきます。
 最後に、自由民主党の参議院全国区制改正案についてでありますが、私はかねてから、参議院全国区制の改善は実現を急ぐべき課題であると考えており、自由民主党において取りまとめた改正案は、憲法問題を含めてあらゆる観点から検討を重ねて結論を出したものと承知しており、自由民主党の改正案が違憲であるとの上田議員の御意見は当たらないと思います。各党におかれても、いろいろ検討を行ってこられていると承っておりますので、改正案について十分論議を尽くしていただき、可及的速やかに全国区制の改善が実現されるよう心から念願をいたしております。
 以上、お答えいたしましたが、残余の点は関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。
 日昇丸最終報告は、マンスフィールド大使が持参をし、口頭によって詳細かつ真剣に問題点について報告がありました。かつまた、本件事故の全責任を認め、遺憾の意を表明し、陳謝をされたものであります。その後、文書を検討した上、米側が誠意を示したことを評価し、二度とこのような事件が起きないよう、かつ補償が速やかに円満に解決するよう要求した上で、この米側の率直かつ真摯な気持ちを国民の方に知っていただきたいと考えたわけであります。
 次に、岩国、沖繩の基地に核兵器を整備する能力を有するごく一部の部隊があることは私も承知しておりますが、能力を有することと実際に核兵器が存在するということは全く別個の問題でありますので、これらの部隊があることと非核三原則が背反するものではないと考えます。したがって、これらの部隊を撤去するよう米国に要求する考えはございません。(拍手)
   〔国務大臣大村襄治君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(大村襄治君) 上田議員の御質問に対しお答えいたします。
 まず第一に、ハワイの事務レベル協議についてお尋ねがございました。この協議におきまして、米側から、わが国の防衛力に関し、日米間の対話を行うための一つの試案として、一部数字を交えて意見が出されたことは事実でありますが、その具体的内容を明らかにすることにつきましては、米側との約束もあり差し控えさせていただきたいと存じます。
 なお、防衛庁といたしましては、憲法並びに国防の諸原則に従い、防衛計画の大綱にのっとりながら防衛力の整備を図っておるところでございますので、念のため申し添えます。
 次に、米軍との共同訓練についてのお尋ねでございますが、自衛隊といたしましては、精強な部隊を育成するために三自衛隊の統合演習のほか、陸海空自衛隊がそれぞれ通信訓練、対潜訓練、防空訓練等の日米共同訓練を実施してきたところでございます。このような訓練におきましては、いずれもわが部隊に対する空からの攻撃、海からの攻撃等必要な範囲における各種戦術場面を想定して訓練を行っているところでございまして、御指摘のような想定というようなものはございません。防衛庁といたしましては、今後とも部隊の練度向上のため、より一層充実した戦術想定に基づき演練に励むこととしてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(中曽根康弘君) まず、行革関連特例法案を撤回する意思はございません。現段階におきましては最善のものであると確信しております。上田さんの行革に対する御議論を謹んで拝承いたしましたが、非常に独断に満ちた点があるように伺いました。
 次に、大企業に対する補助金について御言及になりましたけれども、中小企業につきましてはさらに細かい配慮をいろいろしております。またそれに関連して、コンピューター、航空機等に対する補助金を御指摘になりましたが、との分野は日本が先進工業国として他の先進工業国と技術を競っている大事な部面でございまして、これに補助金を与えることは必ずしも不当ではない、自己資本を中心にして懸命に技術を開発しているところへ国家が助成をして、それを増幅するということは、私は妥当な政策であると考えております。(拍手)
   〔国務大臣奥野誠亮君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(奥野誠亮君) 電話盗聴事件についてお答えを申し上げます。
 昭和四十五年発生いたしました宮本委員長宅盗聴事件につきましては、遺憾ながら犯人不明のまま昭和五十年八月二十日、時効完成になっております。自来六年でございます。
 昨年六月発生いたしました日本共産党関係の電話盗聴事件につきましては、現在、東京地方検察庁において鋭意捜査中でございます。元創価学会顧問弁護士で、現在恐喝事件の被告人であります山崎正友氏らが自分らの犯行である旨供述しておりますのは、この時効になりました昭和四十五年の宮本委員長宅盗聴事件についてでございまして、昨年の盗聴事件についてもみずからの犯行であるとは語っていないようでございます。(拍手)
#20
○副議長(秋山長造君) これにて休憩いたします。
   午後零時十分休憩
     ―――――・―――――
   午後零時五十八分開議
#21
○議長(徳永正利君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 御報告いたします。
 議員石破二朗君は、去る九月十六日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 同君に対しましては、すでに弔詞を贈呈いたしました。
 ここにその弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院は議員正三位勲一等石破二朗君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
    ―――――――――――――
#22
○議長(徳永正利君) 上條勝久君から発言を求められております。この際、発言を許します。上條勝久君。
   〔上條勝久君登壇〕
#23
○上條勝久君 本院議員石破二朗君は、去る九月十六日鳥取県立中央病院において逝去されました。
 昨年十二月、病に倒れ、自治大臣兼国家公安委員会委員長の激務を辞し、一意療養に努められておりましたが、御家族を初め周囲の御期待もむなしく、肝性昏睡のため、ついに不帰の客となられたのであります。まことに痛惜哀悼の念にたえません。
 私は、ここに、皆様の御同意により議員一同を代表して正三位勲一等故石破二朗君のみたまに謹んで哀悼の言葉をささげます。
 石破二朗君は、明治四十一年七月鳥取県八頭郡郡家町に生まれ、鳥取県立第一中学校、高知高等学校を経て、昭和七年東京帝国大学法学部を卒業し内務省に就職、戦後、建設省都市局長、官房長を歴任し、昭和三十年建設事務次官に昇任されました。
 昭和三十三年官界を去って鳥取県知事選挙に出馬し、みごと栄冠をかち取り、その後再選を重ねること三度、通算十五年余にわたって県政の指導者として力量を発揮されたのであります。
 昭和四十九年参議院選挙に鳥取県地方区から当選、参議院外務委員長を経て、昭和五十五年に再選、同年七月鈴木内閣の国務大臣に就任、自治大臣兼国家公安委員会委員長に任命されました。
 中央、地方における豊かな行政経験を生かし、台閣にあって、時代の要請である地方自治を振興し、また治安の万全に志を達せられようとしたやさき、突然病魔に冒され、大臣辞任のやむなきに至り、痛恨いかばかりか察するに余りあります。
 君は、つとに俊秀の誉れ高く、また、郷土を舞台とした名作「暗夜行路」に傾倒するなど多感な青春時代を送り、社会に出てからは、その生涯を官界と政界に身を投じ、国家並びに県政の発展に貢献されたのであります。
 二十七年に及ぶ官界生活においては、戦前は若き内務官僚として衆望を担い、社会保険、警察、教育、南方司政など幅広く縦横に活躍し、戦後は、戦災復興院にあって文字どおり焦土と化した国土の復興に情熱を傾け、また特別調達庁においては渉外業務を円滑に処理、信望を集められました。
 復興建設事業をめぐりさまざまな社会的不正が摘発された時期に建設省に移られた君は、首席監察官として綱紀の粛正に際立った手腕を発揮し、その敏腕は今日なお語り継がれております。
 官房長、事務次官のころ、内政における最も緊急な課題は、国民生活において、衣食に比べ著しく復興の立ちおくれていた住宅問題であります。君は鳩山内閣の看板政策であった住宅建設の拡充対策に取り組み、画期的とも言える住宅建設十カ年計画を取りまとめ、昭和三十年度四十二万戸建設を裏づける予算を実現、建設省に石破ありの名声を博されたのであります。今日における住宅建設の三大支柱である公営、公庫融資、公団による住宅建設の手法の基礎を確立した業績も特筆されなければなりません。
 君は、また、今日においても重要な活躍を続けている日本道路公団、公営企業金融公庫、日本住宅公団などの設立に携わり、行政分野の新たな展開に大きなとびらを開かれました。
 鳥取県知事としては、「県政の後進性の打破」を旗印に、建設省時代に培われた豊かな知識と経験を生かし、道路、河川、港湾、土地改良、都市整備等基盤整備投資を積極的に進め、雇用機会の増大を図り、県民福祉の向上に全力をささげられました。その功績は、石破県政の名のもとに県民の脳裏に強くとどめられております。
 大臣に就任した君は、選挙制度の改革に積極的姿勢を示す反面、地方自治には国のきめ細かな対応を、治安には第一線の士気の高揚をと、控え目な抱負を語っておられます。それは、金のかからない選挙制度にしたいという信念とともに、後進県の行政水準を引き上げて国土の均衡ある発展を図るためには、じみちな行政の積み上げこそ肝要であるとの信条に出るものであったと存じます。道半ばにして大臣を辞するに至りましたが、君の志は後々に引き継がれ、将来に必ずや花開き、実るものと信じて疑いません。
 豊かな行政経験と澄んだ政治信念によって一言一言かみしめるように質疑者に対応し、また、相手を射抜くような鋭い眼光の裏に限りなき温情をたたえておられた君のありし日の姿は、いまもまぶたに浮かぶ思いであります。
 石破二朗君の誠実温厚な人柄と業績をしのび、院を代表して謹んで哀悼の意を表します。
 御冥福を心からお祈りいたします。
     ―――――・―――――
#24
○議長(徳永正利君) 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。栗林卓司君。
   〔栗林卓司君登壇、拍手〕
#25
○栗林卓司君 私は、民社党・国民連合を代表して、総理の所信表明演説に対し若干の質問をいたします。
 政府は、この臨時国会に対し行革関連特例法案を提出されるようであります。予想に反して余りに少ない歳出削減額の問題はさておき、内訳を見ると、三十六本もの法改正を一本化したとはいうものの、厚生年金などの国庫負担の減額千九百億円、公共事業地域特例の引き下げ四百六十億円の二つが中心であり、この二つだけで全体の九五%に当たります。しかし、この二つは、国の支払いを厚生年金や地方団体に肩がわりして払ってもらおうというものでありますから、要するに借金のツケ回し以外の何物でもありません。しかも、この借金は、やがて国が返しましょうという約束が進んでいるようでありますから、しょせん当座の急場をしのぐだけのものであります。一体このどこに行政改革がありますか。
 加えて、この法律案は三年間の時限立法であります。時限立法、すなわち三年間という財政再建期間に限って法律が適用されるということは、この期間が過ぎてしまえばもとのもくあみになってしまうということではありませんか。しょせん財政の帳じり合わせのための法律案であります。この法律案に対して行革の名前をかぶせることは、羊頭を掲げて狗肉を売るというたぐいを越えて、もはや良心の問題であります。われわれ民社党・国民連合は、かねてより鈴木内閣の行政改革に対して、与野党の差を超えて徹底的に協力することを表明してまいりました。しかし、最近の推移をながめておりますと、期待を裏切られた失望感と将来への心もとなさを感じないわけにはまいりません。
 臨時行政調査会は、以下第二臨調とはしょって申し上げますが、「増税なき財政再建を貫くことが行政改革の突破口である」と言っております。しかし、だからといって、行政改革と財政再建を一緒くたにし、その結果、行政改革を矮小化することがもしあったとしたら重大な問題だと言わなければなりません。総理も言われたように財政の再建と行政の改革は同じ盾の裏表であります。しかし、反面、改革作業そのものの性格を比べた場合、行政改革と財政再建とは全く異質なのであります。安易に行財政改革という言葉を使うべきではないと思いますが、いかがでしょうか。
 そこで、改めて行政改革、財政再建それぞれについての今後の進路についてお尋ねをいたします。
 まず、財政再建について。
 「増税なき財政再建」という基本路線は、財政再建期間中、すなわち昭和五十九年度まで変わることはないと理解してよろしいでしょうか。
 同様に、財政再建期間中、予算を前年度よりふやさないといういわゆるゼロシーリング及び補助金の一割削減の方向は引き続いて推進されると考えてよろしいでしょうか。
 その際、防衛費は常にゼロシーリングの枠外となり続けるのでありましょうか。
 また、健康保険、年金、医療費など厚生省所管の経費については、常にゼロシーリングの対象になり続けるのでありましょうか。
 総理も所信表明で指摘されましたように、現在わが国は人口構成の高齢化、国際社会での役割りの増大など根本的な対応を必要とする諸課題に直面しております。そのそれぞれが政府並びに国民に対し著しい負担を迫っている問題であります。中でも人口構成の高齢化の問題は、年金など社会保障制度の成熟と相まって社会保障費を年々増大させる方向にあります。現在でさえ社会保障にかかわる当然増経費は毎年七千億円を超えております。こうした当然増経費に対しては、医療費の問題を初め、むだのないよう厳しく管理することが必要であり、かつ当然のことであります。しかし、どれほど努力したところで、社会保障費が増大するという基本的方向まで食いとめることはできません。そして、むしろこの負担増に何としてでも耐えていかなければならないのがこれからの国の責務なのではありませんか。すなわち、この意味で厚生省所管経費をゼロシーリングの対象とすること自体が基本的な間違いなのであります。
 現在、厚生省は、国民健康保険への都道府県負担の導入二千四百十億円、児童扶養手当、特別児童扶養手当への地方負担の導入三百二十億円、高額療養費の自己負担限度額の引き上げ七十億円などを内容とする概算要求を提出しております。しかし、こうした問題は厚生省所管経費をゼロシーリングの対象としたことから起こった無理ではなかったのでしょうか。
 年金の場合、現在は現役の労働者八人が一人のお年寄りの生活を支えております。しかし、十年後は五人で一人、二十年後は四人で一人を支えるのであります。こうした避けがたい変化に対して、ゼロシーリングとか、地方へのツケ回しとか、こそくな手段で対応できるはずはありません。すなわち、社会保障費以外の部分に対して徹底してメスを入れ、全体としての政府予算の拡大を防ぐ以外に道はないのであります。そして、いま進めようとしている行政改革とは、まさにそのための行政改革ではなかったのでありましょうか。厚生省所管経費をゼロシーリングの対象としたということは、私には認識が逆立ちしているように思えるのですが、いかがでしょうか。
 私は、ここで、総理に行政改革に対する基本理念を伺いたいと思います。
 また、厚生大臣に対し、なぜ安易にゼロシーリングを引き受けたのか、その理由をお尋ねしたいと思います。
 また、あわせて、国民健康保険への都道府県負担の導入、児童扶養手当などへの地方負担の導入及び高額療養費の自己負担限度額の引き上げについて、仮に実施をされれば地方団体と国民に対し著しい負担を強いる問題でありますので、御所見を伺います。
 次に、大蔵大臣にお尋ねをします。
 政府並びに第二臨調は、昭和五十七年度から五十九年度までの三年間を増税を伴わない財政再建期間としているようであります。したがって、大蔵省としては、この期間に対応する新しい財政再建計画を作成し、国会と国民に提示する義務があります。では、いつまでにこの財政再建計画がいただけるのか、お答えをいただきたいと思います。
 次に、行政改革について伺います。
 第二臨調の本格的な答申はこれからであります。したがって、現在総理としては「その趣旨を尊重し、順次実行する決意である」としか言いようはないのかもしれません。しかし、それでは総理が考えている行政改革の輪郭が国民にもわれわれにもわかりません。
 そこで、具体例を挙げてお尋ねをします。もし次の内容の第二臨調答申が出された場合、総理はどうなさいますか。一、地方事務官制の廃止、二、国の地方出先機関について大幅な地方委譲と徹底的な整理統合、三、個別補助金の整理及び補助手続その他運用面の抜本的改革、四、行政機構の統廃合。以上は私が第一次臨調の意見の中から抜き出したものであります。もちろん、第一次臨調と第二臨調とは違います。しかし、それぞれ行政改革の入り口の問題であり、第二臨調もこの問題を避けては通れないはずであります。
 次に、行管庁長官に伺います。
 第二臨調は、第一次答申の中でゼロシーリングとか補助金の一割カットとか、あるいは公務員の定員削減の問題などに触れております。しかし、本来の行政改革の立場からするとこれはおかしいのではありますまいか。行政改革とは、端的に言えば仕事を減らすことであります。したがって、その結果として人が減り、行政費用が縮減するということはあっても、出発点はあくまでも個々の仕事に対する個別審査であります。それなのに、各省庁別経費あるいは補助金あるいは定員について、総体の枠をしぼるところから仕事を始めるというのは、行政改革のやり方として邪道ではないのでしょうか。行管庁長官として第二臨調にどんな仕事を期待されているのか、御所見を伺いたいと思います。
 ところで、補助金の一割削減というのは確かに勇気ある決断だったかもしれません。しかし、補助金総額十四兆五千億円のうち、一割削減の対象となったのは、その約一割の一兆六千億円であります。したがって、補助金の一割削減といっても、全体の一割のそのまた一割ですから、一%ぐらいにしかなりません。それでも千六百三十六億円が減ったわけですから慶賀に値すると私は思っておりました。そこで、どのような努力をして補助金が減ったのか各省庁に尋ねてみたのであります。そこでわかったことは、減った補助金の三分の一強は当然減だったのであります。言葉をかえて言えば、千六百三十六億円の三分の一強が何もしなくても減った補助金なのであります。なるほど、役人の知恵とはこういうものなのかもしれません。
 同様に、奇妙な結果になったのが児童手当制度の合理化であります。時間の関係上詳細は省略いたします。要するに、従来児童手当の所得制限は職業のいかんにかかわらず同じ金額であったものが、今回の合理化の結果、農業などの自営業者は所得制限が五十九万円引き下げられて三百九十一万円になり、サラリーマン家庭は逆に百十万円引き上げられて五百六十万円となり、その結果、児童手当の支給率は、自営業者もサラリーマンも平等に八〇%となって、従来批判の高かった支給率格差が解消したのであります。なぜこうした手品ができるのか。第二臨調は答申の中で、「児童手当に対する公的負担は低所得世帯に限定せよ」などとやかましいことを言っております。しかし、実は児童の数そのものが急速に減ってきているのであります。昨年の出生率はわが国統計史上の最低水準でした。そして、この傾向が、公的負担は減らし、事業主負担はふやさないで中身を厚くすることを可能にしたのであります。私はここにも役人の知恵を感じます。
 そして、ここで私が申し上げたいのは、本当に行政改革を進めようと思ったら、役人の心からの理解と協力がない限り不可能だということであります。そこで行管庁長官に伺います。その理解と協力を求めるためにこれまで何をし、これから何をなさいますか。
 次に、総理並びに大蔵大臣に伺います。
 財源難はもうわかっております。しかし、人事院勧告並びに仲裁裁定は、たとえ公債発行の減額を一部取りやめてでも実施すべきではありませんか。
 次に問題となるのが、先ほどの自営業三百九十一万円、サラリーマン五百六十万円という二本立ての所得制限の問題であります。その原因がトーゴーサン、クロヨンと言われる所得の捕捉率にあることは申し上げるまでもありません。捕捉率の差による不公平を、政府みずから認めた形になったという意味ではまことに奇妙であり、しかも画期的なことでありました。五百六十万円は三百九十一万円に比べて一・四倍に当たります。従来七〇%対九〇%と開いていた児童手当の支給率が、所得制限に差をつけることによって両方とも八〇%になったことから、粗っぽく推定すると、サラリーマンは自営業者に比べて一・四倍も正確に所得を把握され、その結果、税の累進構造の中で倍近い税負担をしてきたのでありましょうか。そしてその理由は、制度の欠陥なのでありましょうか、それとも国税職員の数が足らなくて、手が回りかねているからなのでありましょうか。大蔵大臣に見解と対策を伺います。
 職員の数ということで言えば、わが国の外交官の数は、イギリスに比べて四〇%、フランス、西ドイツに比べて約半分、イタリアに比べてさえ七〇%であります。やはり、ふやすべきはふやし、減らすべきは減らすというのが本来の行政改革ではありませんか。頭から定員の何%削減というやり方は、第二臨調には似合わないと思うのですが、いかがですか。
 最後に、防衛費について一点だけ総理に伺います。
 ゼロシーリングのあらしの中で、ひとり防衛費が伸び率七・五%と突出しております。再来年はさらにふえて、一〇%を超えることは確実であります。国民福祉を圧迫しながら防衛費のみが突出する姿は、日本もアメリカも、そしてソ連も共通であります。いまヨーロッパ諸国は、インフレと失業に悩みながら国防費の負担にあえいでおります。総理はこの事態をどのように打開するおつもりなのか。
 伝え聞くところでは、米ソの間にもある変化が生まれつつあるようであります。また、日ソ間にも話し合いの糸口が見つかりつつあるやに感じられます。現在の軍備拡張時代を断ち切るために一体何をしようとするのか、政治指導者としての総理の抱負をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(鈴木善幸君) 栗林さんにお答えをいたします。
 最近における内外環境の変化に即応しつつ、活力ある福祉社会の実現、国際社会への貢献などの要請に対処し、行政に対する国民一般の信頼を確保するためには、時代の要請に応じた簡素で効率的な行政の確立と財政の健全性の回復を図り、行財政の対応力を回復強化することが急務であります。
 とりわけ、厳しい財政事情を改善し、その対応力を回復するととが焦眉の課題であり、今回の行政改革の第一段階として、限られた財源に対応する制度、施策の見直しが必要であります。臨調第一次答申において財政再建を今後における本格的な行政改革の突破口と位置づけているのも、このような趣旨に基づくものであると理解しております。
 今回の行政改革特例法案は、臨時行政調査会の答申を最大限に尊重し、速やかに所要の施策を実施に移すという方針のもとに、著しく不均衡な状況にある国の財政収支の緊急な改善に寄与するため、当面、法律改正を要する事項について臨時特例措置を定めることとしたものでありまして、これによる歳出削減効果は約二千五百億円と試算されておりますが、これは当面の行財政改革を進める上で欠くことのできない施策であり、今後における本格的な改革を目指す第一歩と御理解を賜りたいのであります。
 行財政改革という言葉は使うべきではないとの御指摘でありますが、私は、行政の改革と財政の再建は表裏一体でありて、相互の関連をしっかりと見きわめながらこれを推進する必要があることから、行財政改革という言葉を使っているのであります。
 五十七年度予算の編成に当たり、いわゆる増税なき財政再建として、行財政改革によって財政再建を推進すべく作業が行われていることは御承知のとおりであります。五十八年度以降の財政再建の具体的方策についてのお尋ねですが、それは毎年度の予算編成において幅広い角度から検討を行い、国民各位の御理解を得ながら財政再建を推進してまいる所存であります。なお、今後のシーリングや補助金等の整理合理化の進め方についても、毎年度の予算編成においていろいろの面から検討し、ぜひとも五十九年度特例公債脱却をなし遂げたいと存じます。
 財政再建期間中、防衛は常にゼロシーリングの枠外となり、厚生省所管の経費は常にゼロシーリングの対象となり続けるのかとのお尋ねがありましたが、先ほど申し上げましたように、五十八年度以降の財政再建の進め方につきましては、幅広い角度から検討すべきものと考えておりますので、五十八年度以降の概算要求の限度額について現段階で申し上げることはできません。なお、五十七年度概算要求においては、各種年金についての前年度の制度改正の平年度化増はゼロシーリングの例外として積み増しされており、厚生省所管の経費についてもゼロシーリングの対象外となっていることを付言しておきます。
 人口構成の老齢化が進む中で、厚生省所管経費をゼロシーリングの対象とすることは無理ではないかとの御意見でありますが、年金の平年度化を例外扱いとするなど工夫はこらされているわけでありまして、全く無理なことを強いているとは思いません。行財政改革を進めるに当たって、社会的、経済的に見て弱い立場にある方々に対する真に必要な施策は確保することといたしますが、福祉であるがゆえに見直しの対象から外すということはできません。栗林議員は、社会保障費以外のものに徹底したメスを入れよとのお考えでありますが、私は今日最も大きな歳出項目である社会保障関係費でも、他の経費と等しく見直しを行われるべきものであると考えております。
 今後、臨時行政調査会においては、行政組織及び基本的行政制度のあり方、国と地方の機能分担のあり方など、行政改革の基本問題について引き続き精力的に審議される予定でありますので、御指摘の諸問題についても検討が加えられるものと考えます。それらの問題について答申が出された場合には、当然その趣旨を尊重し、その内容の実現に努力してまいる所存であります。
 人事院勧告と仲裁裁定は、財源がなければ公債発行の減額を取りやめてでも、つまり赤字公債を発行してでも実施すべきではないかとの御意見でしたが、いま昭和五十九年度特例公債脱却を目指して国民全体が痛みを分かち合おうとしている中で、公務員と三公社五現業の給与のためなら赤字公債を出してもよいと簡単に割り切るわけにはまいりません。私は、やはり国民全体の納得が得られるような状況であるかどうか、慎重に検討する必要があると存じます。
 最後に、国際情勢とわが国の基本的態度についてお答えをいたします。
 今日、米ソを中心とする東西関係が、ソ連の一貫した軍備増強と第三世界への進出を背景として不安定化していることは事実でありますが、他方、米ソの間で戦域核制限交渉の開始が合意されるなど、対話を通じる東西関係安定化への努力も行われ始めており、わが国としてもこのような努力を評価するとともに、その進展に期待しております。わが国は、このような国際情勢の動向を踏まえ、東西間においてより低いレベルの戦略的安定が図られるよう米ソを中心とする関係国の軍備管理、軍縮への努力を強く働きかけるとともに、明年の国連軍縮特別総会を念頭に置いて、核軍縮を中心とする全面完全軍縮に向けて前進が図られるよう平和国家として最大限の努力を傾注していく所存であります。
 また、日ソ関係につきましては、政府としては、わが国の重要な隣国の一つであるソ連との間でいたずらに対決を求めることなく、北方領土問題を解決して平和条約を締結することを対ソ外交の基本としております。先般の日ソ外相会談において開催の合意を見た日ソ事務レベル協議及び日ソ外相間協議をも通じ、今後ともソ連側にこの問題の早期解決を強く動きかけ、もって真の信頼関係に裏づけられた日ソ友好関係を構築し得るよう努力してまいりたいと考えております。
 以上、お答えいたしましたが、残余の点につきましては所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣村山達雄君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(村山達雄君) お答え申し上げます。
 私に対する質問は二つありまして、一つは、ゼロシーリングをどうして承知したのかと、こういうことでございます。
 今日におきます日本の行財政改革並びにそれとの関連におきまして来年度ゼロシーリングでやるということについての評価につきましては、先ほど総理が申し述べられたとおり、私も全く同感でございます。ただ、私の方といたしましては、何分細かい人たちの福祉を預かっているわけでございます。そういった立場から申しますと、来年度平年度化の別枠が設けられたこと、それから真に弱い人たちに対してしわ寄せをしない、こういうことを条件にいたしまして、そして所定の枠内で概算要求をとどめるよう苦心に苦心を重ねた次第でございます。
 第二の問題は、国民健康保険、それから児童扶養手当、特別児童扶養手当、あるいは高額医療費の限度引き上げ、こういったことをやるのかやらぬのかと、こういうお話でございます。
 国民健康保険、それから児童扶養手当、特別児童扶養手当、これらはいずれも国民健康保険法上あるいは児童福祉法上、都道府県がその事務の執行について責任を持っており、しかも国民健康保険についてはその費用の適正化について監査権限を持っているわけでございます。また、児童福祉手当の面から申しますと、類似の福祉手当であるとかあるいは児童福祉施設への措置費について、すでに都道府県が二割方負担をいただいているところでございます。そういった点から考えまして、やはり都道府県にも一部の負担をお願いしてはどうかということをいま申し述べているところでございます。ただ、この問題は財源関係もございますので、臨調も指摘しておりますように、そのことが明らかになる年末までに政府部内で煮詰めろ、こういうことでございますので、せっかくいま関係省とそのときまで煮詰めたい、かように考えているところでございます。
 もう一つの高額医療費の問題でございますが、引き上げはやめろという御趣旨かと思いますが、御案内のように、現在の高額医療費の限度額は五年間据え置いておるわけでございます。その間、所得も相当上がっておりますので、無理のない適当な範囲でぜひとも引き上げを図らしていただきたい、かように考えている次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(渡辺美智雄君) 五十七年度から五十九年度の増税を伴わない財政再建期間に対応する新しい財政計画を作成して国民の前に示してはいかがかということでございますが、変動の大きな経済社会情勢の中で、これから七、八、九というような確実な財政計画を実際問題としてつくるということは非常に困難なことでございます。五十八年度以降の財政再建の具体的な方策につきましては、毎年の予算編成の過程におきましていろいろな角度から検討して国民の理解を得ながら財政再建を果たしていきたい、さように考えております。
 次は、人事院勧告及び仲裁裁定については、公債発行の減額を一部取りやめてでも実施すべきではないかという御意見でございますが、人事院勧告の取り扱い及び仲裁裁定の取り扱いにつきましては、再三、政府の統一見解として総理大臣も申し上げておりますし、私も先ほど何回か申し上げておりますので、そのとおりやらせていただきたい、かように考えております。公債を増発するということは、現在でさえもすでに国債費が一般会計の公共事業並みになってしまっておる、明年度はすでにもう八兆円、七兆八千億円ぐらいになりましょうか、国債の元利の支払い、大部分利息でありますが、社会保障費に追いつこうというような情勢の中でございますから、さらにもっと借金をふやしていくということはとうていこれはできない相談ではないだろうか、そう考えておるわけでございます。
 次に、児童手当の所得制限でサラリーマンと自営業者とに格差を設けたということについてでございますが、これは、いままでのお話の中にもあったように、本当に困っている人に児童手当を出すということにしてはどうかと。私も考えてみまして、予算編成のとき、二百五十万円ぐらいまで、ボーダーラインの方のところまで下げてしまって、その人に少し余分に出すようにはできないかということの検討もしてもらいました。ところが、そこまで所得を下げてしまいますと、サラリーマンの方はもらう人がほとんどなくなってしまう、一五%とか言っていましたが。自営者の方はそれでも五〇%近い方がもらえる。そうすると、事業主が拠出をした金が自分たちの従業員のところへいかない、自営者の方へいってしまう。それではどうもその制度そのものをやめたらいいという話になってしまうのじゃないかというような議論が出まして、私は自説を取り下げまして、何かうまいことができないものかといろいろ計算をした結果、現在の三百九十一万円というようなことに相なったわけでございます。そうすると、自営者の八割、サラリーマンの方はそんなにならぬわけでございますが、掛金の方が余裕があると事業主の方の掛金の範囲内でもっとふやせるというような点から、勤労者の方を引き上げるということにしたわけでございます。そういうようなことで、別にその所得の捕捉の違いに着目したというわけではございません。特例給付というのは、事業主とその従業員という特殊な結びつきに着目をしたと言えばそうも言えるわけでございます。
 それからいわゆる捕捉率に差の生じていることについて、その格差をなくすようにせよと。全くそのとおりでございまして、極力われわれとしては、まじめな納税者をどんどん育成していく、それから税務調査で見ても、悪い者といいますか、脱税者には一罰百戒というようなことできつく当たらざるを得ない。そういうようなことで、やはり何といっても納税者全体の納税思想の普及ということが大事なことで、みんなで脱税しようというようなことを研究し始まったら、とてもじゃないが幾ら税務官吏をふやしたって追いつけるものではございません。したがって、やはり納税思想の高揚ということが一番重要なことでございます。
 制度面におきましても、記帳水準を向上させるとか税務相談を広く行うなどいろいろやってまいりたいと思います。広報活動、いろいろな指導、制度面、執行面を通じまして、優良な申告成績が得られるように今後とも努力をしてまいりたいと考えます。電算機の活用等によりまして事務量等も効果的に整理をするようにして、浮いた人員をなるべく調査の方に税務職員の中でも振りかえて、その効果を上げるように今後とも努力をして所期の目的を果たしたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(中曽根康弘君) 補助金カットは四千数百億円では少ないじゃないかという御質問でございますが、実はゼロシーリングを設定することによりまして、中期財政計画では二兆七千七百億円よけい要るというお金をここでばっさり縮減してあるわけです。その中で四千数百億円の補助金カットを行った。そういう意味で、臨時行政調査会の存在そのものは大きくこの予算の縮減に向かって効果がありましたということを強調申し上げたいのでございます。
 それから大枠をつくってトップダウンでやるのは正確でないではないかというお話でございますが、何しろ短時日の間に大縮減をやりまして、しかも増税をやらない、公債を減らす、この公約を来年度実行しなければなりません。そういう意味におきまして、必ずしもそれがベストとは思いませんが、急速にこれを実行するということと、やはりいやがることを各省にやってもらうためには各省に公平感を持たせる必要がある、そういう意味からトップダウン方式で、また画一方式もややとった面がございます。しかし、臨調は基準をつくりまして、各省が整合性を持つようにその基準を確保しつつこれを実行したということを申し上げたいのでございます。
 第二臨調に何を期待するかという御質問でございますが、これは法律に書いてありますように、国の行政制度及び機能の根本的改革をお願いしたいと申しておりますが、現実的にはやはり行政、御政道と申しますか、御政道の筋を確立していただく、やはり正義とか公平とかあるいは簡素とか効率化とか、あるいは新しい時代に相応するような体系及び機能を整備する、そういう政府をつくっていただく、そういうことを大いに期待しておるのでございます。
 最後に、定員の問題及び公務員の協力の問題でございますが、官民協調でやってくださいと私、最初に臨調委員にお願い申し上げまして、それはある程度成功していると思います。委員及び参与あるいは専門委員について、官庁のOBにも御参加をいただきまして、このOBの皆さんが官庁と臨調の間に入りまして非常に協調をうまくやっていただいたと思っております。今後とも、このむずかしい仕事を実行するには、官庁の仕事に対してよく理解をし、彼らの言うこともよく聞いた上で断を下さなければならぬと思いまして、ヒヤリングを行うとか、あるいはよく懇談をするとか、完全に理解し合った上で推進してまいりたいと思っております。
 それから定員の問題でございますが、定員を縮減せよという強い国民の御要望におこたえしなければなりません。佐藤内閣のときに総定員法をつくりまして、それが非常に効いておりまして、四十二年から五十六年の間に九千七十四名実はネットで減らしております。この間にいろいろな需要が起こりましたが、外交関係においてはそれでも七百九十一人ふやしておりますし、国税関係におきましても千百四十六人ふやしております。このように忙しい重要な部面につきましては枠内におきまして最大限努力してまいりたいと思っております。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#30
○議長(徳永正利君) 大木正吾君。
   〔大木正吾君登壇、拍手〕
#31
○大木正吾君 私は、日本社会党を代表いたしまして、昨今の経済動向、さらに財政再建の長期見通しなどを中心といたしまして、総理並びに関係大臣にお尋ねいたします。
 まず、行革特例措置法案について、財政再建との関係をただしたいと存じます。
 多数を背景に、三十六本もの法律案を無理やりにぶち込んだ雑炊法案とも言うべき一括法案は、国会の通過をしやすくするという小手先の配慮ばかりが先走りまして、国会の審議権を侵す危険のある強引な取り扱いでありまして、鈴木内閣の不見識と今後の議会運営に強い警告を発しておきます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 この一括法案は、行革国会の唯一の目玉法案と政府は喧伝しておりますが、この法案による五十七年の歳出削減額は幾らになりますか。大蔵省試算ではたしか二千四百八十二億円と聞いております。これは中期財政展望の五十七年度要調整額二兆七千百億円のわずか八・九%にしか当たりません。九〇%以上の経費節減は一括法案とは関係なく実施をされる見込みとなっています。
 歳出削減による財政再建の実態、すなわち国民生活を抑圧する具体的内容は、この特例法案によるのではなく、むしろ水面下に隠れている、こう断言せざるを得ません。その水面下の削減こそが問題でありまして、国民生活への影響も大きいわけであります。私どもの計算では、公的年金への国庫負担率の引き下げ、国民健保の一部の都道府県への肩がわり、義務教育費の国庫負担削減など、福祉、教育関係のみで約一兆円となっております。しかも、来年度に見込まれる公共料金値上げが、現段階においてすでに三千億円に達すると予想されることも御承知のとおりであります。
 政府は、口を開けば、行革を進めるには国民のすべてが痛みを分かち合わなければいけない こう言われますけれども、本法案に隠された昭和五十七年度予算案における国民生活への影響、なかんずく弱い者へのしわ寄せの実態を厚生、文部、自治等の各省ごとに明らかにしてもらいたいと考えます。大蔵大臣の答弁を求めるものであります。
 第二に、この一括法案は臨調答申遵守の閣議決定を具体化するためのものと申しておりますが、政府は責任を持って答申の尊重遵守を国民に断言できるでしょうか。二、三の事例を挙げます。
 まず、公的保険に係る事務費負担の停止措置で、地震再保険特別会計と自動車損害賠償責任再保険特別会計を選ばれた根拠は何でしょうか。金額が少ない、抵抗が弱い、こういった問題かもしれませんが、この二つ以外の特別会計十本の保険特会、すなわち漁船再保険、農業共済再保険などを本一括法案から除外した理由を各特会ごとにお示しをちょうだいいたしたい、こう考えています。
 次に、特定地域のかさ上げ補助の引き下げ措置につきまして、臨調答申は終期到来時には廃止を含め抜本的な見直しを行うことをまずうたい、後段で財政再建期間中のかさ上げ率の引き下げを求めております。しかるに、この一括法案は答申の前段部分を明示しておりません。
 これらは一部の事例にすぎませんが、重要なる防衛費の圧縮問題あるいは減税問題等に全く言及しておりません。夏の生産者米価問題、本法案に絡む住宅金融公庫の金利弾力化など、事柄の内容や善悪は問いませんが、客観的に見ていきますと、一括法案施行中に臨調答申に背反する措置をとることとなりませんか。要するに、政府にとって都合のよいものと悪いものに選別をいたし臨調答申をつまみ食いすることになりまして、政治生命をかけると言った総理の決意とはかけ離れたものとなることを私はむしろ心配するわけでございますが、総理の答弁を求める次第でございます。
 次に、財政再建問題の今後の見通しについて伺います。
 五十七年度予算は、政府のゼロシーリングと臨調答申の巧妙な連動作業に沿いまして概算要求がつくられ、先ごろの発表では総額四十九兆四千六百六十一億円、伸び率五・七%、国債費と地方交付税を除きました一般経費の伸び率は一・八%に抑制され、伸び率ではゼロシーリングの閣議決定の枠を下回って編成が進んでいるようですが、これについて二、三伺います。
 「増税なき財政再建」は、財政難解消が一般会計のみに偏重し過ぎるきらいはありませんか。そしてその結果といたしまして、中央、地方を含む国政全体としての真の財政再建と健全化が忘れられ、さらには中央政府が負担すべき財政でも、他の特会や財投にツケを回すといった悪例を残す危険はありませんか。それを伺います。
 一般会計が国と地方を通じまして財政の中心的位置を占め、枢要な会計であり、現在その健全化が必要なことを否定するものではありませんが、一般会計の赤字さえ減ればというのは、木を見て森を見ない整合性を欠く財政政策とのそしりは免れません。一、二の事例を挙げてみましょう。
 たとえば、国民健康保険二千四百十億円の地方への肩がわり、防衛庁の装備品調達で二兆円を超える後年度負担回し、さらに国鉄助成の自賠責特会へのツケ出しといった、あの手この手の五十七年度一般会計経費の見かけだけの節減が本当の財政再建と言えるでしょうか。苦し紛れのその場しのぎといったやりくりと指摘せざるを得ません。このツケは五十八年度以降の財政硬直化要因となり、また地方財政悪化の要素となることは火を見るより明らかであります。
 そこで、もし五十七年度は増税なき財政再建が達成されたと仮定いたしまして、五十八年度以降の再建策を具体的にお示しいただきたいと考えています。御承知のとおり、政府は、五十九年度特例国債発行ゼロの財政再建目標を示しながらも、各年度の再建策とその内容を具体的に明らかにしてはおりません。財政中期展望の要調整額は五十八年度四兆九千六百億円、五十九年度は六兆八千億円となっておりますが、どのような政策手法によってこれを解決しようとしておりますか、お伺いいたします。
 そして、その手法はまず第一に、先ほど同僚の御質問がございましたけれども、本年度同様のゼロシーリングと経費節減によって行うのか、あるいは最近一部の新聞に報道されましたような大型物品税の導入などによるものか、行財政改革国会と銘打って召集されたこの臨時国会ですから、ぜひそのことについての責任ある答弁を総理並びに大蔵大臣から求める次第でございます。
 次に、最近の経済動向について若干伺います。
 いわゆる最近の不況と先行き不安定な経済動向、行革デフレの影響について、まずただしたいのであります。
 最近発表の京大経済研究所の試算を見ますと、五十六年度並みの財政運営ですと、五十七年度の実質GNPは五・一%の成長が見込まれたのに、財政中期展望の要調整額約二兆八千億円程度の歳出削減の財政運営を行いますと、二・二%成長率がダウンするとの見通しを示しております。また、日経センターの試算におきましても一%以上のダウンを指摘しています。あわせて、重大な関心を払わざるを得ない問題がございます。五十五年度の税収決算額が補正後の見積もりよりも二千七百億円も下回ったことに加えて、大蔵省が最近発表いたしました本年七月末までの税収実績が、当初予算で見積もった対前年度比二〇・二%増に対しまして、一一・三%と下回ったことであります。いずれにいたしましても、歳出削減による財政再建が経済にデフレ効果や税収減をもたらすことは避けて通れません。二兆八千億円の歳出削減によって五十七年度の財政経済にどのような影響が出ると経済企画庁は考えておられますか、経企庁長官の見解を承ります。
 さらに、新経済社会七カ年計画が策定されました五十三年度以降のわが国経済の成長率は、計画数字を下回っておりまして、目標達成は困難と見られますし、その上に今後も財政再建に基づく歳出削減が加わってまいりますれば、経済の成長目標はもちろんのこと、裏表の関係にございます財政再建計画にまで狂いが起きてくる心配がないかどうか、伺います。
 適正な経済成長と国民生活の安定を目標とした政府の経済運営は、実績と目標が長期、短期ともに乖難が大きくなってきておりますが、目標を達するためにどのような政策努力をしようとされるのか、あるいは計画自体を改定しようとなさるのか、特に歳出削減の及ぼす影響も含めて、この際経企庁長官の答弁をお願いいたします。
 次に、最近の景気動向と経済運営についてお伺いいたします。
 政府は本二日、下期の経済運営の方向といたしまして、内需回復、物価など四本柱の個別対策をお決めになりましたが、去る五月に景気底離れ宣言を出してから五カ月を経過しているのであります。この間、特に中小企業や勤労国民にとりましては、完全失業者百三十万人前後、失業率二・四から二・五%、企業倒産一千四、五百件、さらに労働者の総実労働時間は昨年十月以降おおむね前年同月比マイナスとなっておりまして、深刻な生活状態であります。政府が唯一の成果と誇る物価鎮静も、国民にしわ寄せをしました国内景気の停滞の裏返しではないかと言わなければなりません。政府は重い腰を上げて景気対策を含む経済見通しの修正を行ったのでありますけれども、果たして期待される景気対策たり得るかどうかは疑問であります。
 政府が本年の経済政策の柱に据えたことは内需主導型であったはずであります。内需主導は、当然のことながら個人消費の拡大、そしてこれとかかわる中小企業の設備投資の拡大、さらに住宅着工件数の回復などが中心に考えられるべきですが、政府の今回の対策は、外需すなわち経常収支を当初見通しの赤字六十億ドルから逆に七十億ドルの黒字に修正した以外、内需の各項目はいずれも寄与率切り下げとなっておりまして、外需依存型となっております。不況対策というよりも、経済運営と見通しの誤りを追認したにすぎないという印象がぬぐい切れません。
 資金的裏づけのない中央、地方の公共事業の促進、中小企業の投資環境づくり、公取委の方針と矛盾する不況カルテルの継続と弾力的運用、買い手のつかない住宅建設の促進、そして一時的糊塗策の黒字減らし等で、お題目だけは並べても内需振興転換への実質が全く伴っていないではありませんか。口では内需主導型を唱えながらも、そのための根本的な政策見直しが欠落しているのではございませんか。財政資金が不如意であります。加えて、米国の高金利に振り回されています。経済運営の外壁の締めつけの中で、今回も実勢追認、微調整に終わる景気対策しかとられない態度はきわめて不満であります。景気対策を根底から練り直し、年度当初に示された方針のとおり、内需主導型への転換を強く求めるものであります。
 財政が苦しいから節減を図る、その節減が国内需要を圧迫し、デフレ効果を増幅して不況となる、財政はさらに苦しくなるという悪循環の心配はありませんか。また、経常収支の黒字を根拠とする欧米との自動車など貿易摩擦等がさらに拡大する心配はありませんか。アメリカのレーガンから防衛費の肩がわりを要求される心配はありませんか。韓国からの安保がらみ経済援助の強要などが問題となってくるでしょう。
 総理、内需拡大のために思い切った発想の転換が必要ではございませんか。あなたが所信表明で強調された、私の受けとめた唯一の前向きの政策と考えました問題は、税負担の公平確保でありました。いまこそそれを取り上げる気持ちはございませんか。そして、そのことの具体化として、思い切った所得減税を明年度から実行すべきではないでしょうか。総理及び経企庁長官、大蔵大臣の御見解を伺いたいのであります。
 次に、災害対策について伺います。
 昨年の冷害に続きまして、ことしも長雨、台風十二号、十五号によりまして、北海道を初め東北、関東、北信越で総額三千億円に上る農作物被害を初め、都市河川、中小河川のはんらんによって甚大な被害を受けました。政府は天災融資法の発動、自作農資金の枠の拡大など救済対策を進めていると言いますが、今次災害の被害が甚大なところから、激甚災害の指定を急ぎ、これら緊急対策とともに、災害復旧のために特別交付金の交付などの措置をとり、被災者が一日も早く災害から立ち直るように温かい手を差し伸べるべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
 次に、情報公開について伺います。
 最近、情報公開について、総理は慎重に検討すると答弁されていますが、情報公開とは、単に国民に対する周知の枠を広げればよいというものではなく、その基本は、行政の情報独占を排し、国民との共有財産にするということであります。この原則を踏まえない限り、国民の知る権利の保障はあり得ないと確信するからであります。
 さらに、情報公開と一体をなすと言われるプライバシーの保護についてであります。今日、主要各国ではほとんど法制化が進んでおり、わが国の後進性が指摘されているところであります。昨年秋にはOECDの勧告も出されておりますから、最低でも勧告の線に沿って法制定を急ぐべきと存じます。
 これら一連の情報管理について、わが国の特殊性などということは通用いたしません。情報管理の民主化は民主主義の原点でありまして、これがなし得ない限り真の先進国、自由主義国などと言うことはできません。情報公開とプライバシー保護の法制化について、総理大臣の見解を伺います。
 質問の最後に、私は仲裁裁定と人事院勧告についてお尋ねいたします。
 同僚議員の多くの御質問もございましたけれども、今国会が円満に、審議が慎重にできるように再度総理の決意を求めて伺う次第であります。
 昨年度の物価上昇は政府見通しを上回る約八%、これを根拠に本年春闘相場は七、八%として形成されました。民間労働者の多くはその賃上げ額をすでに支給されまして生計を営んでおります。これに対して公企体労働者の場合には、本年五月十六日に賃金紛争解決のために公労委から平均五・三八%引き上げの仲裁裁定が出されました。また、国家公務員に対しては、八月七日に国家公務員法の規定に基づきまして五・二三%の賃上げの人事院勧告が示されたのであります。
 仲裁裁定については、昭和三十一年公労法三十五条の改正によりまして、当事者双方に遵守と拘束の義務が明記をされ、加えて政府に実現への努力責任を課したのであります。自来二十数年間、仲裁裁定は完全にほぼ実施されて今日に至っています。また、人事院勧告は、国家公務員のスト権を含む労働基本権の代償措置として存在するものでありまして、関係労使間の紛争事件における判例や、ILOの場における政府みずからの言明によってもそのことは明らかであり、四十五年以来完全に実施されてきております。
 そこで、総理並びに関係大臣に伺います。
 第一に、仲裁裁定並びに人事院勧告は、本臨時国会にかかわる行革関連法案と全く無関係ですから、仲裁裁定については議決案件を撤回し、直ちに完全実施を行うことを閣議で決めてもらいたい。あわせて、公務員の賃金改定に関する法案を直ちに国会に出してもらいたい。
 第二に、政府見通しを上回った物価上昇の中で、賃上げを自粛し、安定した労使関係を守り続けている労組側の態度に対して、どのように受けとめ、考えられておられるのか。そして、仲裁裁定や人事院勧告の実施を引き延ばしていることによって、関係労働者の生活を民間に比べ不当に低く抑え、格差を強いていることを雇用者側としてはどのように反省しているのか、伺います。
 第三に、平素労働組合の政治闘争を非難する政府みずからが、法を守らずに、いたずらに紛争を拡大し政治闘争に巻き込んでいる事態に対し、どのような責任を感じておられますか。いかなる財政経済の動向による変化がありましょうとも、法の解釈や実施に変更を加えることは、法治国家の根源にかかわる問題とお感じになりませんか。総理並びに労働大臣、そして総理府総務長官の明確な答弁を求めて、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(鈴木善幸君) 大木さんにお答えをいたします。
 最初に、財政再建に関連した御質問でありますが、まず一般会計偏重の予算編成ではないかとのお尋ねがありました。
 五十七年度の予算編成においては、増税に頼らず、財政再建を推進するため、臨調答申指摘事項を織り込むなど、聖域を設けず、すべての歳出について公債を発行してまで行うべき施策かどうか、厳しく見直しをし、削減に努力する所存であります。その際、特別会計についても一般会計同様に厳しく対処し、また財政投融資についても原資事情にかんがみ厳しく抑制する考えでありまして、御指摘のようにツケ回しという安易な方法をとる考えはございません。
 次に、五十八年度以降の財政再建の具体的方策についてお尋ねがございましたが、五十八年度以降は、毎年度の予算編成において幅広い角度から検討を行い、国民各位の御理解を得ながら財政再建を推進してまいりたいと存じます。
 次に、臨調答申のつまみ食いという趣旨の御質問がございましたが、臨調答申をつまみ食いするつもりはございません。行革関連特例法案は、臨調答申指摘事項のうち当面法律改正を要するものについて措置したものでございまして、再三申し上げておりますとおり、これですべて終わりということではありません。
 御指摘の防衛費につきましても、予算編成過程で他の経費と区別することなく十分検討してまいる考えであります。
 税負担の公平確保の具体化として、思い切った所得税減税を明年度実行せよとの御意見でありますが、税負担の公平確保は重要な課題であり、制度面、執行面で改善に一層の努力を傾注してまいりたいと考えております。所得税減税については、わが国の個人所得に対する所得税負担の割合は国際的に見て相当低い水準にあり、また、財政を再建し、五十九年度までに特例公債から脱却することが緊急の国民的課題とされていることから、今後特例公債脱却の明白な目途がつくという事態にならない限り、なかなか困難な選択ではないかと考えております。
 次に、災害対策について申し上げます。
 このたびの北海道、東北地方の大、雨による災害に対しましては、被災後直ちに復旧工事を進めるとともに、被害の実情に即して天災融資法の発動、激甚災害の指定などの措置を講じてきているところであります。
 なお、御提案の被災者に対する特別交付金制度につきましては、政府としては災害弔慰金の支給、災害援護資金の貸し付け、農林漁業者、中小企業者への特別の融資などの既存の制度により被災者の救済に万全を期しているところでありますので、御意見として承っておきます。
 次に、情報公開及びプライバシー保護の法制化の問題につきまして御意見がございましたが、これらの問題につきましては、臨調において「行政情報の公開と管理の在り方」が検討テーマとされているところでありまして、その検討結果などを踏まえて慎重に対処いたします。
 次に、仲裁裁定及び人事院勧告に関するお尋ねにお答えをいたします。
 まず、両者を直ちに実施する考えはないかとの御質問でありますが、この点につきましては社会党の小谷議員を初めすでに再三御答弁申し上げたとおりであります。私はかねてからわが国の安定した労使関係はきわめて貴重なものと考えており、各国首脳との懇談の際にも誇りを持ってよくこの点に触れております。また、関係の労働組合が、仮に人事院勧告、仲裁裁定が完全に実施されなければ、ILOに申し立てをする意向を示していることも承知しておりますが、再三申し上げているように、人事院勧告については政府は現在誠意をもって給与関係閣僚会議において検討を行おうとしているところであり、仲裁裁定は国会の御判断にゆだねているところであります。
 以上、お答えいたしましたが、残余の件につきましては所管大臣から答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(渡辺美智雄君) 簡潔に申し上げます。
 五十九年度までの財政再建の方途を具体的に示せということでございますが、これにつきましては、栗林委員にもお答えいたしましたように、現実の問題として中期展望はつくってみましたものの、具体的にどういうように八、九年のものをやるかというようなことは、五十七年の予算もまだできていないというような状況でございますから、先までいま申し上げることはできません。
 五十七年度予算における国民生活への影響、これは各省ごとに明らかにせよというようなことでございますが、これにつきましては、各省とも現在ゼロシーリングのもとで臨調答申を踏まえて概算要求を出しております。その概算要求にいろいろと織り込まれておるところでございますが、大蔵省といたしましてはまだ中を精査いたしておりません。
 ただ、言えることは、文部省は前年に対して一%増の概算要求が出ておる。厚生省は前年対比で二・四%増である。自治省は前年対比六・八%減の要求が出ていますが、このことは、つまり地方交付税の見方についてまた違いがあるわけでございまして、これは、もしこのように地方交付税が少ないということになれば支出の方は政府は少なくてよさそうですが、その何倍もの税収が足らぬということになるわけでございますから、それは困ることでございます。したがいまして、この地方財政の問題については今後さらに調整の上、改めて要求があるものと考えます。したがいまして、どの省にどういうふうななにがあるかと言われましても、それは効率的に予算を使うということでございますし、真に困った人の年金なり何なりを減らすというのではございませんから、全体とした中でその節減合理化を図るというやり方でございますから、本当に困った問題が起きるというようには私は思っておりません。
 歳出というのは歳入がなければできないわけでございます。したがって、減税問題とも絡んだ話になりますが、減税問題につきましても、総理がただいまお答えになったように、歳入はともかく減らすな、もっと守っていけと、借金はこれ以上やれと言う人は余りおらないわけでございますので、そこで減税を大幅にして歳入を減らしてしまうということもこれはできないわけでございます。
 その次は、一般会計の財政難の解消に偏重し過ぎて、特別会計の方にしわ寄せをしたり財投の方へどんどんツケ回しをすることのないようにと、こういうような御忠告でございます。事は非常に重要なことであります。したがいまして、その御趣旨は十分体しまして、今後の予算の査定等において安易に流れないように、臨調の精神が抜け道があってそこで曲げられないようにわれわれも厳しく抑制をしてまいりたいと、かように考えております。
 それから防衛庁等の問題についても、後年度負担が非常に極端にふえるような年度ができるのじゃないかという御指摘のように承ったわけでございますが、財政再建の妨げとなるような後年度負担はつくらせない、それは適切な規模のものにするよう今後対処してまいりたいと考えております。
 それから国民健康保険二千四百十億円の地方肩がわりというような問題につきましても、これも先ほど栗林議員にお答えをいたしましたように、国民健康保険も地域保険としての性格を持っておる、それから都道府県知事が法律上その運営について指導、監査の責任者であるというようなこともございますので、市町村は国民健康保険が赤字になればストレートに持たなければならぬ、それはうんと増大すれば国も持たなければならぬ、その指導、監査の中間にある県だけが制度上負担をしなくてもいい、どうもそこらに少し問題があるのでないかというようなことで、やはりこの指導、監査というようなものを適切にやっていく点からも、関心を深める点からも、府県も市町村、国並みに多少のものは持った方がいいのじゃないのかなというようなことで、実は政府内部でいま検討しておるところでございます。しかし、財源問題もあることでございますので、もう少し政府内部で検討して速やかに結論を出したい、かように考えております。
 公的保険に係る事務費負担の停止措置についての御質問がございました。これにつきまして、実はこの地震再保険、自賠責再保険につきましては、制度発足後ある程度期間が経過しておりますから保険の制度としても定着しておるので、現在の運用状況から見ても、また一般会計からの繰り入れば一時停止しても実質的に余り影響はないのじゃないかというようなことから、これは一時国庫補助を停止することにしたわけでございます。また、漁船再保険、農業共済再保険、これらについてはまだ基盤が脆弱であるということと、災害補償の観点から設けられたものであって最近の災害発生状況ということも考慮に入れなければならぬという点から、今回の措置からは外してあるわけでございます。最後に、特定地域のかさ上げ問題等につきましても、これは臨調答申を踏まえまして、廃止その他の問題も今後抜本的に検討をすべきものである、私もそう考えております。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(河本敏夫君) 御質問の第一点は、行政改革をやれば歳出削減になるが、経済にどのようなデフレ効果が出てくるか、こういうお話でございますが、経済全体の体力が弱いときには、わずかなデフレ効果でも成長率の低下等影響が出てまいります。しかし、体力が強い、経済全体の活力が強い、こういう場合には相当大規模なデフレ効果が出ましても、これを経済全体に吸収することが可能だと考えております。たとえば、第二次石油危機が起こりまして油の代金が三倍に急上昇をいたしました。わが国は毎年七兆から八兆円海外によけい油代を払わなければならぬという大変大きなデフレ効果が出てまいりましたけれども、辛いに昭和五十三年の後半から日本経済はほぼ健康体を回復をいたしまして経済の活力が相当強くなっておりましたから、このデフレ効果も完全に吸収することができまして、おおむね政府の期待をしております成長率を達成することができたと、こういうことだと思います。そこで、やはり行革を成功させるためには、私どもは経済全体の活力の維持拡大、これがその前提条件である、このように考えておるところでございます。
 それから御質問の第二点は、内需の拡大はどのようにして図るか、こういうお話でございますが、御指摘のように現在内需が相当落ち込んでおります。これは、たとえば中小企業の設備投資が予定よりも相当減っております。あるいは個人消費も伸び悩んでおります。それから住宅の投資も、これも非常に大幅に減少しております。なおかつ、構造不況業種というものが数業種ございまして経済全体の足を引っ張っておる。公共事業なども実質上は若干減少しておる。いろいろ理由はございます。そこで、本日、それぞれに対しまして内需拡大策を経済対策閣僚会議を開いて決定したところございます。これからは内需と外需の均衡を図りながらわが国経済を安定成長路線に定着をさせたいと、このように考えております。
 御質問の第三点は、七カ年計画をこの際見直すのかどうか、こういうお話がございますが、七カ年計画はいろいろ内容がございますが、一番の中心を申し上げますと、七年間平均して五・五%の実質経済成長を達成する、そのことによりまして国民生活の安定と国際競争力を維持する、あるいは雇用問題を解決する、こういうことでございますが、これは毎年見直すことになっております。毎年五・五%の成長をするということではございませんで、内外の経済情勢に応じて具体的な経済成長目標をその年々具体的に決めていくというのが進め方でございます。
 これまでは第二次石油危機の悪い影響等もございまして、実は目標を若干下回っておりました。しかしながら、OECDなども世界経済全体の回復の見通しを立てておりますが、ことしが一番悪い、来年以降は世界経済もだんだんと回復する、そういう見通しも出ておりますので、来年以降はこの成長目標、あるいはそれ以上達成することも可能であろうと考えております。そういうこともございまして、現在は毎年フォローアップをしまして微調整はいたしておりますけれども、この計画全体をやり直す、そういうことは考えておりません。
 それから第四点は、所得減税をすべしと、こういうお話でございますが、現在の経済の状態や国民所得の状態あるいは国民生活の状態から考えますと、御趣旨は十分理解できるところでございますけれども、何分財政の現状から見ましてすぐにこれを実行するということはむずかしいと、このように考えております。ただ、しかしながら、減税ができるようなそういう条件を一刻も早く整えるということは政府の重大な責任であると、このように考えております。(拍手)
   〔国務大臣藤尾正行君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたします。
 すでに総理大臣から、各党からの同じ問題の御質問に対しまして御懇切な御答弁がございましたけれども、仲裁裁定の問題につきましては、御案内のとおり公労法第三十五条、その精神に従いまして一つ一つの公共企業体について私どもが精査をいたしました結果、どうしてもこれは公労法第十六条の2によりまして国会のひとつ御議決を賜らなければならぬ、かように判断をいたしまして国会にお願いをいたした次第でございます。その当時の私どもがいろいろと精査をいたしましたころの条件といいまするのが、いまだ、非常に残念でございまするけれども、依然としてそのまま今日に残っております。したがいまして、私どもといたしましては、一日も早くひとつ国会におかれましてこの仲裁裁定をめぐります諸条件を御整備いただいて、そうして私どもがこの仲裁裁定を実行することができますように御協力のほどをお願いいたしたい、かように考えておるわけでございます。
 なお、御案内のとおりの人事院勧告につきましては、これまだ財政事情その他との関連がございまして、これをどのように解決をしていくかということにつきまして、目下、給与関係閣僚会議というものを中心にいたしまして一生懸命に努力をいたしておるところでございます。今後とも私どもはその精神を十二分に体しまして、ベストな解決ができまするように努力をいたしてまいりたい、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(中山太郎君) 昨日、小谷議員の御質問に対してお答え申し上げましたが、きょう改めて大木議員からお尋ねがございました。
 すでに総理から全体的なお答えがございますので重複を避けますけれども、給与担当の閣僚といたしましては、昭和四十五年以来の安定した日本の労使の関係というものが、日本の社会の発展に非常に大きな貢献をしているという原則を確認しておりますから、私どもといたしましては、給与関係閣僚会議におきましても誠意をもって今後とも努力をしてまいりたい、このように考えております。(拍手)
#37
○副議長(秋山長造君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト