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1981/10/30 第95回国会 参議院 参議院会議録情報 第095回国会 本会議 第8号
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1981/10/30 第95回国会 参議院

参議院会議録情報 第095回国会 本会議 第8号

#1
第095回国会 本会議 第8号
昭和五十六年十月三十日(金曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第七号
    ―――――――――――――
  昭和五十六年十月三十日
   午前十時 本会議
    ―――――――――――――
 第一 行政改革を推進するため当面講ずべき措
  置の一環としての国の補助金等の縮減その他
  の臨時の特例措置に関する法律案(趣旨説
  明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、地方公務員法の一部を改正する法律案(第
  九十三回国会内閣提出、第九十四回国会衆議
  院送付)
 一、国家公務員等退職手当法の一部を改正する
  法律の一部を改正する法律案(第九十三回国
  会内閣提出、第九十四回国会衆議院送付)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の議決を求めるの件(鉄
  道労働組合関係)(第九十四回国会内閣提
  出、第九十五回国会衆議院送付)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の議決を求めるの件(国
  鉄労働組合関係)(第九十四回国会内閣提
  出、第九十五回国会衆議院送付)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の議決を求めるの件(国
  鉄動力車労働組合関係)(第九十四回国会内
  閣提出、第九十五回国会衆議院送付)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の議決を求めるの件(全
  国鉄施設労働組合関係)(第九十四回国会内
  閣提出、第九十五回国会衆議院送付)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の議決を求めるの件(全
  国鉄動力車労働組合連合会関係)(第九十四
  回国会内閣提出、第九十五回国会衆議院送
  付)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の議決を求めるの件(国
  鉄千葉動力車労働組合関係)(第九十四回国
  会内閣提出、第九十五回国会衆議院送付)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の議決を求めるの件(全
  国電気通信労働組合関係)(第九十四回国会
  内閣提出、第九十五回国会衆議院送付)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の議決を求めるの件(日
  本電信電話労働組合関係)(第九十四回国会
  内閣提出、第九十五回国会衆議院送付)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の議決を求めるの件(全
  専売労働組合関係)(第九十四回国会内閣提
  出、第九十五回国会衆議院送付)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の議決を求めるの件(全
  逓信労働組合関係)(第九十四回国会内閣提
  出、第九十五回国会衆議院送付)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の議決を求めるの件(全
  日本郵政労働組合関係)(第九十四回国会内
  閣提出、第九十五回国会衆議院送付)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の議決を求めるの件(全
  林野労働組合関係「定員内職員及び常勤作業
  員(常勤作業員の処遇を受ける常用作業員を
  含む。)」)(第九十四回国会内閣提出、第
  九十五回国会衆議院送付)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の議決を求めるの件(全
  林野労働組合関係「基幹作業職員、常用作業
  員(常勤作業員の処遇を受ける者を除く。)
  及び定期作業員」)(第九十四回国会内閣提
  出、第九十五回国会衆議院送付)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の議決を求めるの件(日
  本林業労働組合関係「定員内職員及び常勤作
  業員(常勤作業員の処遇を受ける常用作業員
  を含む。)」)(第九十四回国会内閣提出、
  第九十五回国会衆議院送付)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の議決を求めるの件(日
  本林業労働組合関係「基幹作業職員、常用作
  業員(常勤作業員の処遇を受ける者を除
  く。)及び定期作業員」)(第九十四回国会
  内閣提出、第九十五回国会衆議院送付)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の議決を求めるの件(全
  印刷局労働組合関係)(第九十四回国会内閣
  提出、第九十五回国会衆議院送付)
 一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
  規定に基づき、国会の議決を求めるの件(全
  造幣労働組合関係)(第九十四回国会内閣提
  出、第九十五回国会衆議院送付)
  一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項
  の規定に基づき、国会の議決を求めるの件
  (アルコール専売労働組合関係)(第九十四
  回国会内閣提出、第九十五回国会衆議院送
  付)
     ―――――・―――――
#3
○議長(徳永正利君) これより会議を開きます。
 日程第一 行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。中曾根国務大臣。
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(中曽根康弘君) 行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 先般、政府は、行政の合理化、効率化を推進するとともに、財政再建に関する緊急な課題に対処する等のため、去る七月十日に行われた臨時行政調査会の行政改革に関する第一次答申を最大限に尊重し、速やかに所要の施策を実施に移すとの基本方針を決定いたしました。この基本方針に基づき、今般、この法律案を取りまとめ提出した次第であります。
 この法律案は、同答申の趣旨にのっとり、行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環として、昭和五十七年度から昭和五十九年度までの間、すなわち特例適用期間における補助金、負担金等に係る国の歳出の縮減措置その他の特例措置を定めることを目的としております。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、特例適用期間における厚生年金保険の保険給付に係る国庫負担については、現行の規定による国庫負担額の四分の三を基準として予算で定める額に減額して繰り入れるものとするとともに、この措置により厚生年金保険事業の財政の安定が損なわれることがないよう、特例適用期間経過後において、国の財政状況を勘案しつつ、減額分に相当する額の繰り入れその他の適切な措置を講ずるものとすることといたしております。
 また、船員保険の年金たる保険給付等に係る国庫の負担、国家公務員共済組合及び地方公務員共済組合の長期給付に係る国または地方公共団体の負担並びに私立学校教職員共済組合の退職給付等及び農林漁業団体職員共済組合の給付に係る国の補助についてもこれと同様の措置を講ずることといたしております。
 第二に、特例適用期間における地震再保険に係る事務費の一般会計からの繰り入れは、借入金のある年度を除き行わないことといたしております。
 また、自動車損害賠償責任再保険事業、自動車損害賠償保障事業等の事務費の一般会計からの繰り入れについてもこれを行わないものといたしております。
 第三に、昭和五十七年六月から昭和六十年五月までの月分の児童手当に係る所得制限額は、老齢福祉年金の受給者本人に係る所得制限額を基準として政令で定めるものとすることといたしております。
 また、児童手当に係る所得制限により児童手当が支給されない被用者または公務員であって、政令で定める一定の所得未満のものに対し、第三子以降の児童一人につき月額五千円の特例給付を行うものとし、当該特例給付に要する費用のうち、被用者に係るものについては、一般事業主から徴収する拠出金をもって充てるものとすることといたしております。
 なお、児童手当制度については、これらの特例措置との関連をも考慮しつつ、その全般に関して速やかに検討が加えられた上、この特例措置の適用期限を目途として必要な措置が講ぜられるべきものとすることといたしております。
 第四に、特例適用期間に係る公立の小中学校の学級編制等の標準についての政令を定めるに当たっては、特に国の財政事情を考慮するものとすることといたしております。
 第五に、特例適用期間において、後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律等十七法律に基づき都道府県または指定都市が行う事業等でこれらの事業のうち災害復旧その他災害による危険に緊急に対処する必要のあるものを除いたものに要する経費に対する国の負担または補助であって、通常の国の負担または補助の割合を超えて行われるものについては、当該かさ上げに相当する額の六分の一を減ずるものとすることといたしております。
 また、首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律等三法律に基づき都道府県が特例適用期間において発行を許可された地方債の国による利子補給については、当該補給金額の六分の一を減ずるものとすることといたしております。
 なお、これらの措置の対象となる都道府県または指定都市に対し、その事業の執行及び財政運営に支障を生ずることのないよう財政金融上の措置を講ずるものとすることといたしております。
 第六に、住宅金融公庫法及び農林漁業金融公庫法等に基づく貸付金の利率については、特例適用期間において、当該貸付金の貸し付けを行う政府関係金融機関に係る政府からの借入金の最高利率が年六・五%を超える場合には、政令で、当該超える部分の範囲内で、貸付金の区分または種類ごとに当該貸付金の利率に加算する利率を定め、またはこれを変更することができるものとすることといたしております。
 この場合、居住環境の良好な住宅の建設等の促進または農林漁業の健全な発展のために当該貸付金の融通を円滑にすべき社会的経済的必要性と国の財政負担との調和が図られるよう考慮しなければならないものといたしております。
 第七に、内閣総理大臣または国務大臣が、特例適用期間において、給与の一部に相当する額を国庫に返納する場合には、当該返納による国庫への寄付については、公職選挙法第百九十九条の二の規定は適用しないものとすることといたしております。
 以上のほか、これらの措置に伴う所要の規定の整備等を図るものといたしております。
 なお、この法律は公布の日から施行することといたしております。
 以上が、行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(徳永正利君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。平井卓志君。
   〔平井卓志君登壇、拍手〕
#6
○平井卓志君 私は、自由民主党。自由国民会議を代表して、ただいま提案の行革関連特例法案の趣旨説明に対し、鈴木総理並びに関係各閣僚に質問を行いたいと思います。
 総理は、このほどメキシコにおける南北首脳会議に御出席になり、先進諸国の最高責任者の一人として、南北問題の諸懸案について積極的な対応を示され、出席した各国首脳と忌憚のない意見交換を行い、南北問題に新しい一ページを加えたことを高く評価するものであります。
 総理は、さきのオタワ・サミットにおいても、特に南北の対話の重要性を強調されました。今回は、南北問題は軍縮と並んで人類が直面する最大の課題としてとらえ、南北サミットが相互依存と連帯の精神に基づく新たな出発点としての認識のもとに、食糧増産と農業開発を訴えられましたほか、国連包括交渉についての合意を支持されたわけであります。これはまさに世界の平和と安定を願う総理のひたむきな政治理念を披瀝されたものとして、深い感銘を受けるものであります。わが国は経済、技術協力の分野において、開発途上国の民生安定、福祉の向上に貢献し、それら諸国の経済的自立発展に寄与することは、わが国が果たすべき重要な国際的な責務だと考えます。
 第二次臨時行政調査会の第一次答申においても「国際社会における貢献の増大」を挙げておりますように、わが国の行財政改革とも密接な関係があると言わなければなりません。総理は、このたびの南北サミットの経験を踏まえ、開発途上国に対し具体的に今後どのような施策をお考えになっておられるのか、お伺いしたいと存じます。
 さて、わが国は、去る第二次世界大戦により焦土と化した国土を、国民各位のたゆまぬ努力とわが党政権の適切な政策誘導により、驚異的な経済成長を通じていまや自由世界第二位の経済力を有するに至っております。これは申すまでもなく、サンフランシスコ講和条約締結以来、わが国が一貫して自由と民主主義にのっとった政治体制を堅持し、外交的には日米関係を基軸とした相互安全保障体制による平和と安全を保持し続けたことにほかなりません。
 いまわれわれがなすべきことは、この自由と平和と繁栄の享受を正しく受け継ぎ、より強固に、さらに限りない前進によって二十一世紀の展望を開き、子々孫々の代に向けての基盤を築くことであります。そのためには、戦後三十六年、さらには明治以来百十四年の間につくられたもろもろの制度、慣行を新しき時代に対応できるよう原点に立ってこれを見直し、思い切った改革を行うことであります。
 今日、当面する大きな課題は、これまで高度経済成長時代に肥大化した行政組織は低成長下の新しい行政需要と価値観の多様化した国民のニーズにこたえて是正することであり、これとともにオイルショックに対応するため発行した公債依存の財政体質を健全化することであります。これこそ、総理が提唱される国家の大計としての行財政改革であると考えるものであります。
 今回の臨調一次答申は、「活力ある福祉社会の実現」及び前述の「国際社会における貢献の増大」という基本目標のもとに、とりわけ緊急課題として財政再建のための支出削減に重点を置いたものでありますが、今回の行革関連特例法案はいわば財政再建の第一歩であって、われわれが目指す行財政の改革は、これを手がかりとして、さらに高い視野に立ったわが国のあるべき姿を展望した思い切った改革が必要であります。
 総理も所信表明で行財政の改革は避けて通れない国民的課題だと申されるとともに、「行政改革に政治生命をかける」との御決意を表明されておりますが、多くの国民は総理の御決意に多大な期待を寄せております。そこで総理は、これから行わんとする行財政改革のビジョンとはいかなるものか、まずその国家目標をお示し願いたいのであります。
 具体的な問題として、まず第一に、今回の行革関連特例法案による三十六本の法案の一括提案の問題があります。われわれとしては、この法案に盛られた各種の措置はあくまでも臨調一次答申を実施するための措置であること、五十七年度から五十九年度までの臨時特例的措置であること、さらにまた、補助金等の歳出削減の特例であることを踏まえ、共通の性格のものを総合的な見地から統一的に審議するのが国会審議の効率と問題点の的確な解明になるものと考えます。これがひいては国民が求める行財政改革国会にふさわしいやり方であると確信いたすものであります。この一括提案について総理の御見解を伺っておきたいと存じます。
 去る七月の第一次答申に引き続き、来年初夏及び再来年三月の最終答申には、行政組織及び各種制度の根幹に触れる改革案が提示されることになると思います。これにより影響を受ける範囲ははかり知れぬほど大きく、その痛みは今日以上のものとなるでありましょう。各論反対の声は一層高まるものと考えられるわけでありますが、総理並びに行政管理庁長官の御決意を伺いたいと存じます。
 そこで、今後実施することとなる本格的な行政改革の進め方について、二、三考え方を述べ、政府の見解を伺いたいと思います。
 まず、行政機構の統廃合及び特殊法人の整理統合の推進であります。わが国の省庁編成は、昭和二十七年の平和条約発効直後に行われた機構改革以降は、基本的には余り変化のないまま推移してまいりました。この間、今日に至る社会経済の変化、行政をめぐる環境の変化には目覚ましいものがあり、今後新しい時代の要請に適切に対応していくためには、この際中央省庁の組織再編成等行政機構のあり方について抜本的な見直しが必要であると考えます。
 また、特殊法人については、昭和三十年代からのいわゆる高度経済成長期に行政機能の拡大に伴って大幅に増加してまいりましたが、中には事業発足から今日に至るまでの間に、特殊法人のような公的事業主体の業務として存続させる意義が乏しくなっているものも見受けられるわけであります。政府としても現在特殊法人の整理統合を実施中でありますが、今後は事業のあり方はもとより、経営の仕組みにもメスを入れ、さらに一層の整理合理化を図るべきであると考えます。政府はこれらについて今後どう取り組むのか、総理並びに行政管理庁長官に伺いたいと思います。
 次に、今日、国と地方を通じた行政組織のあり方を見ますと、責任と権限が中央に過度に集中している傾向があるのではないかと思われます。
 地方の時代が強く叫ばれる中で、依然として陳情行政がまかり通り、その弊害は著しいものがあります。効率ある行政は、行政改革の基本精神と申せましょう。そうした観点からも、去る昭和三十九年の一次臨調では、現地性、総合性、経済性のいわゆる三原則が指摘され、国と地方との事務の再配分が求められたのであります。しかしながら、その後政府と自治体との関係を見ますと、大した進展は見えておりません。真になわ張りや行政の重複がないよう、国と地方との機能分担、事務配分の問題をどう考えておられるのか、この際総理並びに行政管理庁長官より明らかにしていただきたいと存じます。
 また、国と同様、地方公共団体においても行政改革を断行し、行政の減量化を行うことは当然のことであります。
 特に、地方公務員の定員抑制について国民の間からも強い要請があります。四十二年度以降、教育、警察、福祉部門を中心として八十万人に及ぶ定員増が行われておりますが、安易な定員増や不適切な定員管理はいたずらに人件費を増大するのみならず、行政運営の簡素効率化の見地からも適切ではありません。自治体みずからがまずこれに真剣に取り組むべきでありますが、自治大臣としてこれにどう対処されるのか、強い指導を願いたいのであります。
 これとあわせて、地方の定員増につながる国の新たな施策や法令による配置基準については国としても十分に考慮すべきでありますが、政府としてこの適正化にどう取り組む所存であるのか、お伺いしたいと思います。
 この際、特に指摘いたしたいのは、地方公務員の給与、退職金のあり方であります。現に国を上回る水準でとかく世論からも批判がありますのに、さらに人事委員会の勧告により上積み傾向が見受けられますが、これの是正に取り組む総理、自治大臣の決意を伺っておきたいと思います。
 次いで、財政再建に関連して、五十七年度予算について伺います。
 概算要求はゼロシーリングということで、計数上は対前年度比五・七%増の予算編成ができることになってはおりますが、最近における税収の進捗率の低下のほか、四千億円に上る人事院勧告の平年度化などの歳出膨張要因を考えれば、果たして五十七年度に財政の中期展望で示す一兆八千三百億円の国債減額ができるのかどうか、厳しい事態が予想されるのであります。大蔵大臣は五十七年度の国債減額についてどのように考え、また予算編成に臨まれるのか、その基本方針を示されたいのであります。
 また、資源のないわが国が世界の中の日本として今後とも存立していくためには、防衛、食糧、エネルギーなどの総合安全保障政策の確立に要する経費の増加は必定であります。また、五十九年度までに赤字公債から脱却するには、弱者への適切な配慮は別として、いま以上の歳出削減への切り込みが必要であると思うのでありますが、大蔵大臣は、五十八年度以降財政再建にどのように取り組まれるのか、その際歳入確保のための国民への負担増についてどう考えておられるのか、御所見を伺いたいのであります。
 次は、懸案となっております人事院勧告問題があります。この際、政府にお願いいたしたいことは、人事院は一定規模以上の民間給与をただ機械的な計算で算出するだけではなく、退職金、共済年金等を含む生涯賃金を初めとして、民間における生産性、企業努力や国の置かれている財政事情を十分考慮すべきではないかと考えるのであります。経営の悪い、赤字の民間会社ではベースアップも賞与も残業料もありません。むしろ職なしのおそれもあります。政府は人事院制度のあり方について原点に立った検討をすべきだと考えますが、いかがでありましょうか、お伺いいたします。
 次に、情報公開の問題であります。これは民主的な行政のあり方として避けて通れないものと考えます。国民に対してガラス張りの行政を行うことは、行政改革の精神から言ってもぜひとも必要なことだと思います。もちろん、情報公開に当たっては、いかなるものでも公開するというのではなく、国民のプライバシーの保護とともに一定の原則を保たなければなりません。行政管理庁長官は衆議院の審議で前向きの発言をされておりますが、どのようなプログラムを持たれているのか、お伺いいたしたいと存じます。
 最後に、今回の行政改革に対して一部に財界偏重とか大蔵省主導とかの発言がありますが、これらの批判は全く反対のための、ためにする意見以外の何物でもありません。臨調委員の方々は、減量経営で民間企業を立て直した貴重な体験者であり、硬直した行財政の改革にはむしろかっこうの識者であります。また、大蔵省が財政当局として現下の至上命題である財政再建との関連で行政改革に取り組むことは当然なる責務と考えます。
 申すまでもなく今回の行財政改革は、鈴木総理をリーダーとしたわが自由民主党と政府が一体となった、将来の日本のために根本的な国の立て直しを図るものであります。このためには総理の強いリーダーシップが切に期待されるところであります。総理の御所信を伺いまして、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(鈴木善幸君) 平井議員の御質問にお答えを申し上げます。
 今般、メキシコで開催された南北サミットにおきましては、私は経済協力、なかんずく新中期目標のもとで政府開発援助の拡充に取り組むわが国の積極的な姿勢について述べますとともに、その際、食糧増産、農業開発、特に人づくりが開発途上国の国づくりの基本であることを訴えた次第であります。また、エネルギー分野における協力の重要性についても訴えました。政府といたしましては、今後ともこのような方針に沿い、開発途上国の国づくりの努力に対し積極的に協力してまいる所存であります。
 なお、今般の南北サミットにおける重要課題でありました国連包括交渉、グローバルネゴシエーションにつきましては、私といたしましてもその政治的重要性を十分認識している次第でありまして、政府としましては、今般の南北サミットにおける合意を踏まえ、国連総会においてできるだけ早期に南北双方の受け入れ得る手続、議題が合意され、包括交渉が開始の運びになるよう協力してまいる所存でございます。
 平井議員の行財政改革に対する基本的御見解につきましては、私も全く見解を同じくするものでございます。
 わが国の行政をめぐる内外の情勢は、きわめて厳しいものがあります。国内的には、経済の高度成長から安定成長への移行過程で、国債残高約八十二兆円にも及ぶ財政赤字を生ずるとともに、人口構成の高齢化、価値観の多様化など、経済社会の新たな問題が投げかけられております。また、国際社会は、政治的には東西間の緊張の高まり、資源エネルギー制約の顕在化、もろもろの経済摩擦の発生、南北問題の深刻化など、国際環境は厳しさを増しております。このような情勢の中で、活力ある福祉社会の建設と国際社会への一層の貢献を果たしていくためには、思い切った行財政の改革を行わなければなりません。
 この新しい時代が求めている行財政改革のあり方についてでありますが、まず第一に、高度経済成長時代に肥大化した行財政の思い切った縮減合理化を行い、変化の多い内外状況に機動的に対応できる体制を整えることであると思います。第二には、安定成長に移行した今日、行政需要とそれを充足すべき財政収入の間には大きなギャップが存在し、巨額の赤字公債に依存せざるを得ない状況に陥っていることにかんがみまして、財政再建が現下の急務であることであります。
 このように考えますと、行政改革と財政再建はまさに表裏一体のものでありまして、国民負担の増大を極力抑制しながら、国民に対する的確な行政サービスを保持していくためには、政府と民間、国と地方との適正な機能分担のもとに、簡素で効率的な政府を実現しなければならないと私は考えております。
 また、行政が円滑にその役割りを遂行していくためには、国民の政府に対する信頼を確保することが必須の条件でありまして、効率的でむだのない政府を実現し、公正で民主的な運営を行い、国民から信頼される政府、心の通った行政を実現しなければならないと存じます。
 今回の行革関連特例法案が一括法案であることについてのお尋ねでありますが、平井議員の述べられた御見解にもありましたように、本法案は、財政収支の緊急な改善に資するため、臨調第一次答申に指摘された事項のうち、国の補助金等に係る歳出縮減その他の措置につきまして、昭和五十七年度から五十九年度までの臨時特例を取りまとめており、共通の性格を有することから一括して御提案いたしているところであります。
 最後に、行財政改革に対し、私のリーダーシップに期待するとのお励ましでありましたが、行財政改革を進めるに当たっては、国民の生活や産業の各分野において何がしかの痛みを伴う事柄が生ずることもありましょうが、わが国の将来のため避けて通れない道でありますので、座して論ずるにとどまることのないよう、強い決意を持ってこれを推進してまいる考えでございます。
 残余の御質問に対しましては所管大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(中曽根康弘君) 行革の理念と中央、地方の関係等々についてまず御質問がありましたが、行革の理念といたしましては、日本の行政機構というものは、明治以来、外国の行政機構に比べて負けないほどの優秀性を示し、国家の進展に役立ってきたと思います。特に日本の公務員制度、公務員の勤勉性等は、フランスの官僚制度に負けないだけの優越性、優秀性を示してきたと私は評価しております。
 しかしながら、日本の国是は、百年間、明治以来先進国に追いつくということが中心でありましたために、官庁の機構、性格が大体指導統制という性格を持って、許認可等をもってその道具としてきた性格が非常に強いと思います。そういう面から縦割り行政というものが生まれ、また中央集権に偏してきたということがあったと思うのであります。
 しかし、日本はいまや先進国に追いつきまして、そしてこの許認可とかあるいは指導統制というものが民間の活力を阻害する段階に到達して、いまやこの民間の自由な活力をさらに伸ばして国の発展を図るべき新しい段階に来ているように思います。そういう過去の始末の問題と、それから新しい情報化時代あるいは高齢化時代あるいはコンピューター時代に備える行政体系をつくっていかなければならないという、未来に対する挑戦の問題がございます。この二つの問題にいま臨時行政調査会はかかっておるわけであります。
 したがいまして、今後の理念あるいは方針といたしましては、この指導統制的性格を自由に開放していく。したがって、許認可等はできるだけ整理して、許認可官庁は政策官庁に脱皮していかなければならない。それから縦割り行政は、横割りの横をにらんだ統合力を強めていかなければならない。あるいはさらに、国が抱え込み過ぎた仕事はこれを民間に移譲していくべきである、そういうことが現実的課題になっておると思うのであります。
 このようにして許認可等を整理し、縦割り行政の弊を是正してまいり、中央集権の弊を是正してまいるといたしますれば、当然出先官庁は整理さるべきことにもなりましょうし、中央に残すべきものは残し、地方に返すべきものは返すという整理が行われなければならぬことになると思います。
 またさらに、中央省庁の統廃合におきましても、その縦割り行政の弊をため、そして横ににらんだ統合力を強めていかなければならぬという点も当然出てくると思うのであります。そういう点を今後の改革の理念として臨調は取り組んでおりまして、来年の初夏のころに、これらを盛った改革案を、中央並びに地方、あるいは公務員制度、あるいは特殊法人に対する改革案等々を盛り込んで提出していただくことを期待しております。政府は、これらの答申を受けましたならば、これを検討いたしまして、非常に強い決意を持って約束どおりこれを断行する、誠心誠意断行する、そういう考えに立ってまいるつもりであります。
 なお、情報公開問題につきまして御質問がございましたが、前にも申し上げましたように、情報公開は過去の歴史の歪曲を防ぐ、正しい情報を適当なときに公表して、歴史が間違ったように伝えられないという意味において、子孫に対して非常に大きな責任をわれわれはしょっておりますし、現代の国民の皆様に対しても、健康やらあるいは環境やら、そのほかいろいろな問題について知る権利にこたえる責任がございます。そういう意味において情報公開は時の流れでございます。
 行政管理庁といたしましては、すでに一年がかりでその具体案について検討しておりますが、また各党からもその法案を提出していただいておりまして、これを参考にさせていただいております。臨時行政調査会におきましても、部会におきましてこれを真剣に検討することになっておりまして、できるだけ早い機会にこれを成案化して国会に提出いたしたいと念願しております。(拍手)
   〔国務大臣安孫子藤吉君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(安孫子藤吉君) 地方公共団体におきましても、行政改革を推進し、行政の減量化を行うべきことは、御指摘のとおり当然のことでございます。
 お尋ねの地方公務員の定員抑制につきましては、地方公共団体の定員増をもたらすような国の施策の抑制、職員配置に関する国の規制、関与の見直し等につきまして、各省庁の御協力をお願いいたしておるところであります。同時に、地方公共団体におきましても適正な定員管理を一層推進するよう、さらに指導を進めてまいる考えでございます。
 地方公務員の給与水準につきましては、これまでの指導によりまして漸次低下をしており、退職手当につきましても是正されつつはございますが、いまなお国家公務員のそれを相当上回っておる団体がございます。これの適正化は各地方公共団体における自律機能の発揮が基本となるものではございまするが、その促進を図るための方策を積極的に講じてまいる考えでございます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(渡辺美智雄君) 五十七年度の予算編成の基本方針いかん、もう一つは国債減額一兆八千億円は来年もできるかということでございます。
 五十七年度の基本方針は、結論から言えばまだ決まっておりません。なぜならば、経済見通し等が決まっておりませんから結論は決まっておりませんが、それだけでは答えにならない。私は、そこで一応基本的に考えられることは、まず財政の再建はこれは進めなければならない。それから景気の維持、安全保障、民生の安定、国際協調、こういうようなものは引き続き柱になっていかなければなるまい。そのためには、手法としては五十九年度特例国債の脱却、五十七年度おおよそまた一兆八千億円程度の国債の減額は引き続きやっていく必要がある。
 そのためには第二臨調の答申を尊重して、これは行政経費の節減合理化、その時代時代に即応しためり張りのついた歳出の決定ということであって、原則的に前年度に対して一般歳出はゼロベースで編成をする。だから大型増税等は念頭に置かない。五十八年度はどうなのか。五十七年度がまだ決まらないのですから、なおさらこれははっきりしたことは言えないわけでございますが、やはりその安定経済成長路線という考え方に徹底していかなければむずかしい。まだまだ高度経済成長時代の夢がどうも残っておる、これの頭の切りかえをする必要がある。
 したがって、五十七年度の予算をいま言ったような考え方と手法によってまず編成して成立をさせる。そして、ほぼ同じような考え方で、それをベースとして中期財政展望をつくり直す。皆さんにお示ししたものをつくり直す。したがって、五十七年度の予算がどう決まるかによってそれから後がかなり開きが出てくる、そう見ておるわけです。だから、五十七年度は本当にそういう意味では重要な私は予算編成になると考えます。当然五十八年度以降も、臨調答申は来年さらにもつと大型のものが出てくるはずでございますから、それを尊重して、行政改革と歩調を合わせて歳出の削減合理化、洗い直しを図っていかなければならぬ。定員の抑制や削減も当然である。
 そうなりますと、税負担はどうなんだ、五十八年度以降も全部増税なしかということをよく聞かれます。われわれは財政再建をやって、一方においては行政改革を推進するというのでありますから、行政改革を推進する以上、増税は極力避けるように努力をしていかなければならない。問題は、最終的には選択の問題であって、これは財源がなければ歳出はできないわけですから、歳出を最終的にどこまで切るか、切るのをその程度でやめるかということは選択の問題でございます。高福祉には高負担は当然のことでございまして、われわれといたしましては、財政を再建し、高齢化社会に対応できるような、国家の財政に余力を持たせなければならない。そのことが最終的には国民生活の安定向上と、平和と福祉を守るゆえんである、こう考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(中山太郎君) 人事院勧告制度についてお尋ねでございます。
 人事院勧告制度そのもの、つまり民間給与との比較だけではなくて、退職金、共済年金を含む生涯賃金、また民間における生産性、企業努力、また国の財政事情等を考慮したものであるべきではないかというお尋ねでございますが、この人事院勧告制度というものは、公務員の給与決定、この今日の仕組みというものは、昭和四十五年以来、日本の安定した労使関係というものをつくり上げるのに非常に大きな貢献をし、それが一つの基盤となって日本の経済発展に寄与をしたことも事実でございます。
 しかし、最近における経済の変化、これから到来しようとする新しい国際経済社会の環境の変化等に備えて、この日本の公務員制度全般にわたる改善、改革というものについて、ただいま第二次臨時行政調査会において検討をされている最中でございますが、この人事院勧告制度というものが最高のものであるかどうか、最善のものであるかどうかということは、臨時行政調査会の調査の結果がやがて出てまいろうと考えておりますが、その結果に基づいて政府は対応してまいるべきであろうと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(徳永正利君) 小柳勇君。
   〔小柳勇君登壇、拍手〕
#13
○小柳勇君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま政府から提案されました行革を推進するための補助金等縮減法案に関連して、総理ほか関係閣僚に基本的な問題をただすものであります。
 私は、まず最初に、総理の政治姿勢について三つの点を伺いたいのであります。
 その一つは、この臨時国会の冒頭における代表質問で、わが党の同僚議員がH・J・ラスキの言葉を引いて、政治のよしあしを見るには、「老いたる者を見よ、そして幼き者を見よ」と、鈴木総理に政治の哲学と理念の確立を求めたのであります。総理、いかがでございますか。思い出していただけますでしょうか。約一カ月の間、衆議院における審議の過程で、そして南北サミットに御出席の中で、この点お考えいただけましたでしょうか。
 今回の法案によります老いたる者、幼き者に対する予算だけを見ましても、昭和五十七年度概算要求削減額約八千億円の中で、厚生省関係が七八%に及んでおるのであります。まことに鬼の鈴木善幸内閣と呼んでも差し支えない。
 また、さる臨調委員である財界人の話によりますと、総理は、臨調委員の方々が「中長期的な国家戦略がないと仕事がしにくい」という質問をされたのに対して「そう言われましても、私にはそんなものはないし、戦略のあるなしにかかわらず、行政改革は断行しなければなりません」と言われたそうであります。私はこれは何か間違いであり、一国の総理がこのようなことを言われるはずはないと思うのでありますが、総理に確かめておきたいのであります。
 国家の大事業とも言うべき行財政改革を断行するには、高い政治的理念と哲学が必要であり、総理の強い指導性が望まれるのであります。巷間には、鈴木政権延命のための行政改革とすら批判している者がいるのであります。総理の行財政改革に対する理念をいま一度確かめておきたいのであります。
 次いで、私は、総理の御出席になりました南北サミットについて若干の所見を申し述べながら、あなたの基本姿勢と今後の見通しなどについて伺っておきたいのであります。
 総理は、カンクンの対話精神を今後に生かす道をどのように考えておられるか。私は、総理が演説では包括交渉の重要性を強調されました。しかし、アメリカのレーガン大統領を説得することができなかった。米国の頑迷な姿勢に追随して、せっかくの南北対話の機会に積極的な役割りを果たすことができなかった。まことに残念でならないのであります。途上国に自助を説きつつ、自分は米国追随では、独自の哲学、自主独立の政治は語れないのであります。とはいえ、私は、今回の失敗にかかわらず、日本政府がさらに積極的な努力を積み重ねることを切望するものであります。総理並びに外務大臣の所見を伺います。
 なお関連して、政府の平和と軍縮のための対外経済援助の拡大と原則の確立、そして日ソの貿易と関係改善についても特に総理並びに外務大臣の誠意ある見解を求めたいのであります。
 政治姿勢の第三点として、私は、今回の北炭の夕張新鉱で発生した惨事につきまして、犠牲になられた御家族に心から哀悼の意を表するとともに、総理の所感を求めておきたいのであります。
 この災害は天災ではなく人災であります。また、災害発生の直後に、林社長は、社員が坑内に取り残されておるにもかかわりませず注水を宣言するなど、まことに人間無視と保安軽視の態度をとり、怒りを禁じ得ない。いまはただ、坑内に取り残された方々を一刻も早く家族のもとに帰すことが至上命題でありますが、救助に全力を挙げるとともに、亡くなられた方々の遺族補償と生活保障に十分尽くしていただきたい。特に、地域社会を守るために炭鉱の再建に全力を挙げていただきたい。総理、政府の基本姿勢と、四万の人口を有する夕張市民の半数以上がかかわっておる再建問題について、誠意ある答弁を求めるのであります。
 さて、本題の行政改革について、私は所見を申し述べつつ、総理、あなたの確固たる姿勢と明確な答弁を求めたいのであります。
 もともと行政財政改革とは何でありましょうか。それは、行政財政の民主化であり、時代の要請を先取りする質的な改革でなければなりません。言葉をかえて申しますならば、国民の求めておる行財政の改革とは、政官財の三者の安易なもたれ合いによってもたらされた利権と汚職の構造にメスを入れ、清潔でしかも公正な行政制度を確立し、国民に信頼される行財政をつくり出すものでなければならないと考えるところであります。
 総理の犯罪とも言われ、国民に大きな衝撃を与えた五年前のロッキード事件以来、行政改革を求める世論の潮流は、何よりも、政府と、これと癒着を強化する財界、そしてこれらに追随する官僚機構の徹底した改革を求めてやまないのであります。事は、ロッキード事件に限りません。行政の腐敗の根は、あの韓国のソウルの地下鉄工事の入札などの日韓経済協力にまつわる疑惑を初め、海外の資源確保や経済援助にかかわる拡大を見せ、政府と行政、そして企業の三者がもたれ合う利益の供与と還元の仕組みを国民の前に明らかにしてきたのであります。大企業中心の公共投資がすでに八十二兆円もの赤字国債をつくり出し、国民の肩にのしかかっているのがその具体的なあらわれであります。
 総理、昨年の衆参同時選挙によって自民党が多数を獲得したからといって、第一に改革されるべき構造的腐敗の実態を忘れられては困るのであります。
 特に、政治資金の現況を見るとき、政府与党と大企業との癒着はますますどろ沼の深みに入っているのであります。去る八月四日の各新聞は、全紙挙げて自民党各派閥に対する大企業の献金の実態を暴露しております。総理、こうした暗い政治資金の現状を放置したままで行政改革の国家的事業を遂行することは問題であり、無理があるのではありませんか。国民の大多数を納得させるものにはならないと私は考えるのであります。少なくとも行政改革を進める前提として、政治資金規正法の抜本的な見直し改正と、自民党の総裁として自民党の体質改善を断行すべきではないかと思うのでありますが、いかがでございましょう。総理の決意のほどを伺っておきたいのであります。
 わが日本社会党に対して、行政改革反対の社会党などというデマと誹謗が流されておりますが、冗談ではございません。わが党は土光答申が出る一カ月前に、すでに「国民のための行財政改革をめざして」という百七十一ページ一万語に及ぶ中間報告を世間に発表いたしました。それを内閣総理大臣、あなたにも申し入れをしております。また、土光臨調会長にも申し入れをいたしておるところであります。すなわち、行政改革の目標は、何よりも平和を守り、福祉を最優先し、分権自治を確立することであります。その実施のために、民主、公正、効率の三原則で改革を進めることを主張しているのであります。いま国民世論の最大公約数がここに存すると確信するのであります。
 その具体的方法としては、まず腐敗の構造を徹底的に改革するとともに、一部の特権やむだをなくし、不公平な税制などを是正することであります。また、情報の公開制度や行政の監察制度を確立し、閣僚や議員、高級公務員の資産は公開制とし、あわせて中央集権の閉鎖的な官僚政治を住民の参加し得る地方分権の政治に改め、国民生活に密接な関連のある福祉や教育などの充実を図っていくべきものと思います。
 とりわけ、この国会に提出されました政府の一括法案、すなわち七項目三十六関係法律を一本にまとめた法案は、まことに失礼ではありますが、これは行政改革の名に値しないものであります。五十七年度予算概算要求のゼロシーリングの隠れみのでしかありません。
 総理、あなたは、衆議院での審議過程での批判を率直に受けとめ、行政改革の理念と戦略を再構築されて、国民のだれもがその内容を理解し、協力し得る方向に転換すべきだと考えますが、いかがでございましょう。
 臨調の第一次答申において、総理も繰り返し、行政改革の理念の方向は、国内的には「活力ある福祉社会の実現」を目指し、対外的には「国際社会に対する貢献の増大」を図ることと言われました。総理、あなたが「活力ある福祉社会」を目指す以上、まず政府は明確な将来計画なりビジョンを示すべきであります。単に「民間活力の導入」とか「個人の自立自助」のみを繰り返していてもそれはむだであります。私は、そのために、社会的な長期的趨勢と経済の中期展望とを見据えて、時代の変化に構造的に対応していくのでなければならないと考えます。ところが政府は、そうした認識も展望も示してこなかったのであります。
 また、わが国が「国際社会に対する貢献の増大」を図るためには、政府は平和と軍縮の路線に徹し、いたずらに仮想敵国をつくらず、そして特に対外経済援助の増大に当たっては平和と民生安定の目的を厳しく遵守すべきでありますが、いかがでございますか。そのためにはいまの外務省の行政機構の改革こそ急務だと考えますが、外務大臣の見解を求めます。
 次に、行管長官にお尋ねいたします。
 一月余りの衆議院における審議によって、法案の形式はともかく、どのような問題がどのように整理されたのか。たとえば年金基金への返済の方法や四十人学級計画の進め方などについて、具体的に正確に御説明をいただきたいのであります。
 なお、臨調の基本方針でもあります「増税なき財政再建」について、政府の基本姿勢を明らかにしていただき、そして特に実質的な増税になっております現在のこの実態をどう是正していくのか、これは総理大臣に明快な答弁を求めたいのであります。
 最後に、人事院勧告について申します。
 公務員のストライキ権のかわりに制定された人事院制度が今日まで公務員労使間の問題解決にどれほど尽くしたか、その役割りを高く評価しなければなりません。今年度の給与問題につきましても民間に準拠して妥当公正に勧告しているものと信じます。この人事院勧告を尊重することは法治国家の政治と行政の基礎であります。人事院勧告の即時完全実施を鈴木内閣に強く要請して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(鈴木善幸君) 小柳議員にお答えを申し上げます。
 まず、行財政改革についての私の理念をお尋ねでございました。
 先刻、平井卓志議員の御質問にお答えをいたしましたとおりでありますので重複を避けたいと存じますが、社会的経済的に恵まれない方々に対しては、生活保護基準の維持などを初め十分配慮してまいる所存でございます。私は、行財政改革のようなとかく総論と各論の乖離しがちな仕事は、一歩一歩着実に前進させることが最も肝要と心得ております。今回の法案もまさに千歩のうちの一歩でありますが、このような試みの積み重ねによって行財政改革を達成いたしたいと存ずる次第であります。
 次に南北サミットについてお答えいたします。
 過般の南北サミットは、南北の主要二十二カ国の首脳が一堂に会し、開発のための国際協力の将来と、世界経済の再活性化をテーマに意見交換を行いましたところの、史上初の世界的規模の首脳会議であり、その歴史的意義はきわめて大きなものがございます。政府といたしましては、カンクンにおける首脳間の合意にのっとって、今後とも南北対話を積極的に推進をし、実りある南北関係の構築に向け一層の努力を継続してまいる所存でございます。
 なお、米国に追随したのではないかとのお尋ねでありましたが、そのような御指摘は全く当たりません。
 国連包括交渉の問題につきましては、米国レーガン政権発足以降、国連における折衝が停滞しておりましたが、今般、南北サミットにおいて、国連におけるこの問題の審議再開が決定されましたことは前進であると評価いたしております。
 なお、経済協力につきましては、わが国は平和国家として、また自由世界第二位の大きな経済力を有する国として、経済協力を通じて世界の平和と安定に貢献していくとの観点から、経済協力の積極的拡充に努めております。このため、政府開発援助につきましても、去る一月に新たな中期目標を設定し、政府開発援助の積極的拡充に努力を払っている次第であります。
 次に、日ソ貿易についてでありますが、貿易を含むソ連との経済関係が、従来より無原則な政経分離を排しつつ互恵の見地より進められてきておりますことは御承知のとおりでありまして、政府といたしましては、今後ともかかる方針を堅持してまいる考えでございます。
 なお、申すまでもなく、ソ連はわが国にとって重要な隣国であります。政府といたしましては、ソ連との間に真の相互理解に基づく安定的な関係を確立することを望んでおり、対ソ外交は今後とも長期的視点に立って息長く進めてまいりたいと考えております。
 北炭の夕張新鉱の大惨事についてのお尋ねがございました。
 まずもって、今回の災害によって犠牲になられた方々に対しまして、心からお見舞いを申し上げます。
 本日未明、災害現場の鎮火が確認されたところでもありますので、罹災者の収容につきましても、一刻も早く御遺族のもとへ戻りますよう、政府としても指導督励してまいる所存でございます。
 御遺族の補償につきましては、政府の労災保険のほか、労使協定等による所要の補償につき、適切な指導に努めてまいります。
 また、今後の北炭の再建問題につきましては、事故原因の徹底的な究明に基づく保安対策の確立を見きわめた上、労使の再建に向けての取り組み姿勢、債権者の支援見通し、地域経済への影響などを十分踏まえ、慎重に検討してまいりたいと考えております。
 次に、行政改革の前に政治資金規正法を見直せとの御意見がありましたが、この問題は、かねてから申し上げておりますように、選挙制度や各党の政治活動そのものに直接関連している問題でありますので、まず各党間において十分論議を尽くしていただく必要があると考えております。
 なお、自由民主党に対して御批判がございましたが、私は、現在の自由民主党が完全無欠の政党であるとは申せませんが、しかし、広く国民各層から推された有為な人材が集まった政党であると自負いたしております。ただ、現状に満足することなく、今後とも国民の負託にこたえていくため、党の体質の改善、近代化に取り組んでまいる所存であります。
 衆議院における本法案の審議過程における各般の御意見は、御指摘をまつまでもなく、今後十分参考にさせていただきます。
 活力ある福祉社会についてでありますが、臨調第一次答申も指摘しておりまするとおり、来るべき高齢化社会等のもとにおいては、社会の活力を維持し、かつ高めるために、個人の自立自助の精神に立脚し、家庭や近隣、職場や地域社会での連帯を基礎としつつ、効率のよい政府が適切な負担のもとに福祉の充実を図っていくことが望ましいと考えておりますが、具体的には、今後さらに各方面での論議を深めつつ、国民的なコンセンサスを形成してまいりたいと存じます。
 増税なき財政再建についての基本姿勢を明らかにせよとの御質問でありますが、できるだけ国民に負担をかけないよう行財政の効率化を図り、納税者の立場に立って行財政改革を進めたいと存じます。五十八年度以降も、臨調の御意見を尊重し、まず各種制度、施策について不断の合理化、適正化を図ることに全力を傾注したいと考えております。
 現在、私は、五十七年度予算編成を増税に頼ることなくこれを編成し、財政再建を推進することに努めておりますが、現段階において将来の増税を念頭に置いておるようなことはございません。
 なお、所得税減税につきましては、国際的に見てもわが国の所得税負担の水準はむしろ相当低い状況にあり、財政の現状から見て、実際問題として特例公債脱却の明白な目途がつくという事態になりませんと、なかなか困難な選択ではないかと考えております。
 人事院勧告につきましては、これまで維持されてきた良好な労使関係、現下の厳しい財政事情など諸般の事情を総合的に勘案して慎重に判断をする必要がありますので、引き続き給与関係閣僚会議において検討を行うことといたしております。
 以上、お答えをいたしましたが、残余の点につきましては所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。
 南北サミットの包括交渉の問題でありますが、総理からお答えになりましたとおり、この問題は、南と北が議論をし、討論をやるうちに理解がだんだんと深まりまして、これが国連の場においてやろうということに結論が出たわけであります。したがいまして、これは一歩前進である。なお、御発言のとおり、国連交渉においてわが日本の責任もますます大きくなってきたと考えております。
 次に、日ソの貿易改善の問題でありますが、総理のお答えになったとおりでありますけれども、御承知のとおり、アフガニスタンにソ連が侵入以来、それぞれ西側はこれに対する制約を加えております、その他の問題等がありますので、政経分離することなしに、全般の考え方として改善の方向に向かいつつ慎重にやるべきものと、息長く行動したいと考えております。
 次に、平和と軍縮の問題でありますが、これは御承知のとおりでありまして、南北問題にいたしましても、南の国の累積赤字は概算して五千億、これに年々八百億以上の加算額があるわけであります。世界各国の軍備の費用は概算してこれまた九千億。これから考えますと、きわめて大変な問題でありまして、これが一つの世界不安の動機にならぬとはだれも断言できないわけであります。したがいまして、軍縮と経済協力の問題はきわめ、大事であると考え、そういうように努力をしたいと考え、総理も南北の問題で初めて世界各国に先駆けて発言をされたわけであります。
 なお、これに伴う外務省の機構改革の御発言がありましたが、むだは省く。省くと同時にまた流動的な国際情勢に応ずる体制をとることは必要でありますから、十分研究をいたします。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(中曽根康弘君) 衆議院段階で、特にこの法案中問題点として指摘されて質問が集中いたし、政府が重ねて所信を表明してきた事項は次のとおりでございます。
 第一は、厚生年金等に係る国庫負担金の繰り入れ等の特例に関する問題、公立小中学校の学級編制の標準に関する経過措置の特例に関する問題、臨調答申に基づく児童生徒の増加に伴う教職員の増員の弾力的対処に対する縮減措置の問題、それから児童手当に関する全般的検討と存続の問題、それから国保の都道府県負担創設に係る概算要求についての問題、それから住宅金融公庫、農林漁業金融公庫の貸付金利の問題、それから地域特例のかさ上げの調整の問題、これらの問題点が特に集中して政府からも所信の表明がございました。
 さらに、お尋ねの厚生年金等に係る国庫負担の減額につきましては、特例適用期間経過後、国の財政状況を勘案しつつ、減額分の繰り入れのほか、積立金運用収入の減収分を含め必ず適切な措置を講ずると政府は答弁いたしました。
 四十人学級計画等による教職員の増員の抑制につきましては、昭和六十六年度達成という目標は変更するものでなく、特殊教育諸学校の教職員定数等については、法律の運用上、実情に応じて十分配慮する、このように御答弁申し上げております。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(徳永正利君) 峯山昭範君。
   〔峯山昭範君登壇、拍手〕
#18
○峯山昭範君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま趣旨説明のありましたいわゆる行革関連法案について、総理並びに関係大臣に若干の質問をいたします。
 質問の第一は、行政改革に対する総理の基本認識についてであります。
 本法律案は、「行政改革に政治生命をかける」とまでおっしゃった総理が、第二臨調の第一次答申を受け、政府が提出したいわば第一次答案であります。来年、再来年と第二次、第三次の改革案をお出しになるでありましょうが、この第一次答案を見た限り、昭和五十七年度からの三年間に適用する臨時特例措置のみであり、国民は総理の行革に対する姿勢に疑問を持たざるを得ないのであります。
 いまからちょうど二年前の一般消費税導入の動きに強い反発を示した国民は、その直後に発覚した鉄建公団、KDDの不正事件を契機として綱紀の紊乱、公費天国的な様相があらわにされ、これに触発された行政改革を求める国民の声が日を追って高まってきたことは、総理も御承知のとおりであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
このことに促されて、大平内閣は、行革を内閣の最重要課題と位置づけて「昭和五十五年行革」を決定し、まず特殊法人の整理統廃合に取り組んだのであり、国民も挙げてこれに声援を送ったのであります。
 この大平内閣の方針を継承された鈴木内閣に対して、公明党は昨年九月、行政改革に関する四党合意事項をまとめ、その実行を強く要望したのであります。しかしながら、臨時行政調査会の発足に当たり、鈴木総理は、国、地方に通ずる行政制度及び行政運営の方途を提言すべき臨時行政調査会の基本的な任務に先行して、当面、昭和五十七年度予算編成に向けた具体的な改革案の提出を要求されたのであります。
 われわれもまた、財政再建を否定するものではありません。しかし、その立場から見ても、今回国民の前に提出された本法律案は、財政のつじつま合わせ的支出削減が優先されていることを指摘せざるを得ないのであります。しかも、本法律案による支出削減効果が約二千四百八十二億円のうち、福祉、文教関係の支出削減は二千十六億円と、八割を占めているのであります。
 総理は、政治家、官僚、企業、国民のすべてがそれぞれひとしく行革の痛みを分かつとおっしゃっておりますが、本法律案が財政再建のための臨時特例措置であるにせよ、なぜ真っ先に支出削減の重点を福祉、文教関係に置かれたのか、その明確な理由をお伺いしたいのであります。
 同時に、私は、行政改革の基本的目標は、長年にわたって肥大化した行政の機構、組織、人員、及び財政構造にメスを入れ、国民的視野からむだのない能率的な、公正で民主的な行政と運営を追求し、国民に開かれた政府を実現することであると思いますが、この基本的課題についていかなる決意と具体的な方針を持って取り組まれるのか、この際、総理の所信と決意を伺いたいのであります。
 質問の第二は、本法律案の内容についてきわめて重点的にお尋ねいたします。
 第一点は、今回の厚生年金等に係る国庫負担金繰り入れ等の減額について、その補てん措置、すなわちその返済期間、運用益相当の利子を含めてその返済方法を明示していただきたい。
 また、年金制度、年金行政の一元化、官民格差の解消など、年金の将来構想についてはいかなるお考えか、昭和五十二年の社会保障制度審議会の基本年金構想をどう実現していく所存か、お示し願いたいのであります。
 第二点は児童手当についてであります。
 今回の措置は、特例給付の名のもとに、その制度の根幹に触れる改正でありますが、いまこそ児童手当法がその第一条に掲げる「家庭における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会をになう児童の健全な育成及び資質の向上に資する」という目的の精神に照らして、この制度の存続発展をこの機会に明示すべきであると思うのでありますが、総理並びに厚生大臣の所信を伺っておきたいのであります。
 質問の第三は、臨調第一次答申と五十七年度予算編成についてお尋ねいたします。
 言うまでもなく、提案されました行革関連特例法案の一般歳出削減効果を含め、五十七年度予算は臨調第一次答申の指摘事項を踏まえて財政再建に踏み出す全容をあらわすものであります。臨調第一次答申を踏まえ、ゼロシーリングによる各省庁の概算要求が閣議に報告されておりますが、その内容からきわめて重点的にお尋ねいたします。
 その第一点は国民福祉に関してであります。
 臨調第一次答申では、福祉の姿勢、社会保障の考え方の転換を指向しようとする節が見受けられるのであります。特に臨調答申で言う「援助を真に必要とする人びと」という考え方は、いまから三十年前の社会保障制度審議会の社会福祉のとらえ方の域をほとんど出ておりません。まさに時計の針を昔に巻き戻すたぐいのものと言わざるを得ません。社会保障、福祉関係施策は聖域とするという次元のみで考えるのではなく、人間として生きるために必要な施策として考えるべきであると思います。したがって、他の行政部門の施策とともに、ゼロシーリングの中で一律に削減することには問題があり、制度、行政の運営面のむだをなくし、施策の整合を図ることは言うまでもありませんが、ナショナルミニマムの水準を確保し、その向上を指向すべきであると考えますが、総理並びに厚生大臣の所見を承りたいのであります。
 また、地方自治体との関連において、今回の臨調答申にある国民健康保険給付費、児童扶養手当、特別児童扶養手当の一部の都道府県、指定都市の肩がわり負担についても、特に国民健康保険の負担が、やがて住民の負担増につながる懸念がありますが、この点についても御所見を伺いたいのであります。
 第二点は、地方自治体との関係からお尋ねいたします。
 地方公共団体は、率直に言って、地方への財政転嫁を中央政府のエゴを露骨にあらわすものと受け取っているのであります。また、臨調第一次答申自体も、地方に対する不信と地方軽視、地方自治の原則に立脚した姿勢になっていない答申として地方関係六団体は批判しております。行政改革のバイブルとまで評価されている第一次臨調答申においては、「中央集権の行き過ぎを是正し、地方自治を強化する方向を示して、現地性、総合性、経済性の三つの原則に立って行政事務委譲を図ること」が強調されていたのであります。本来であれば、この三原則をまず実施すべきが筋であります。
 そこで、まず答申で指摘された国民健康保険の給付費等の一部の都道府県負担の問題は、五十七年度の予算編成時に解決する方針とのことでありますが、私は都道府県の負担で決着を図るべきではないと考えますが、この点についてお伺いしたい。
 次に、行革関連特例法案の特定地域に対する国の負担補助の引き下げについて、その措置が五十九年度までの臨時特例措置とはいえ、地方自治体に負担を強いることとなり、自発的な行政改革意欲を減退させることにならないか、自治大臣の所見をお伺いします。また、この際、地方自治体の行政改革の推進について自治大臣はいかがお考えか、あわせて所信を伺っておきたい。
 第四点は、臨調の第一次答申で触れられた、税負担の公平確保についての制度面、執行面の措置、運転免許証、車検の改正、特殊法人の役員の定数、給与の合理化、許認可の整理合理化の方策のそれぞれについて、具体的にいついかなる措置をとって実施に移す所存か、総理並びに関係大臣から明確にお答えいただきたいのであります。
 特に「増税なき財政再建」は、総理が行革断行の国民の要望にこたえられた決意の表明であり、臨調答申の財政再建に対する基本的な考えを表明したものであります。去る二十七日の衆議院行財政改革特別委員会においても、臨調の圓城寺会長代理は、私見と断りながらも「増税は考えていないし、増税論議は迷惑」と述べています。五十八年度以降も増税なき財政再建と行政改革を進められるかどうか、総理、行政管理庁長官並びに大蔵大臣の決意と明確な答弁をお願いしたい。
 最後に、改めて総理の行政改革断行の決意をお伺いしたいのであります。
 かつて大平前総理が述懐されていたことでありますが、「行政改革はこれまで幾度か心がけ、なかなか成功しなかった大変むずかしい案件である。それだけに、その成功を確保するには国民各層からの合意と支持が必要である」という言葉が思い出されます。大平内閣を継承された総理が、「政治生命をかける」と断言された行政改革の基本答申が来年の半ばまでに出そろうことになりますが、これが実施されるかどうかは総理にかけられた重大な政治責任でもあります。いやしくも答申のつまみ食いとの批判を招くことがあってはならないと思います。その実施の構想と総理の決意を求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(鈴木善幸君) 峯山さんにお答えを申し上げます。
 まず、本法律案がなぜ支出削減の重点を福祉、文教関係に置いたのかとの御質問でありました。
 行財政の改革を進めるに当たりましては、行財政のあらゆる分野について見直しを進めていくことが必要でありまして、特に福祉、文教などに重点を置くつもりは毛頭ございません。
 今回の法案は、当面の財政収支の緊急な改善に資するための支出削減措置のうち、法律的な手当てを要するものを取り上げているものでありまして、本法案で取り上げているもの以外の支出削減措置は、御承知のようにゼロシーリングのもとで昭和五十七年度予算編成作業において厳しく見直しをしてまいる考えでございます。
 なお、行財政の改革により国民生活や産業の各分野においていろいろ痛みを伴う事柄が生じ得ることは私もよく承知いたしておりますが、社会的、経済的に真に弱い立場にある方々に必要な施策は確保しながら、この国民的課題である行財政改革を推進してまいる考えであります。
 今後の方針といたしましては、今般取りまとめた措置は行財政改革の第一次着手とも言うべきものでありますので、今後抜本的改革に向けてさらに努力する必要があると考えます。行政の改革と財政の再建は表裏一体でありまして、相互の関連を見きわめながら、民間と行政の役割り分担、国と地方の事務配分、そのほか各種の制度や施策について合理化、適正化を進めていく必要がありますので、不退転の決意を持って着実に行財政の改革を進めてまいります。
 次に、福祉のナショナルミニマムについてでありますが、これを国民が生涯のどの段階においても不安なく生活設計を立て得るような基礎的条件の整備水準と理解いたしますと、近年、社会保障の各分野にわたって充実が図られた結果、わが国の社会保障は制度的には西欧諸国と比較してほぼ遜色のない水準に達していると言えると思います。なお、今回のゼロシーリングを基礎とする予算編成においては、行財政の改革を進める上においてあらゆる部門での厳正な見直しが必要であることから、社会保障の分野も例外とするわけにはまいりませんが、そのような厳しい環境の中でも、社会的、経済的に見て弱い立場にある人々に対する真に必要な施策は確保することといたします。
 五十八年度以降も増税なき財政再建を断行するのかとの御質問でありますが、先ほど小柳議員にお答えをいたしましたように、できるだけ国民に負担をかけないよう行財政の効率化を図り、納税者の立場に立って行財政改革を進めたいと存じます。五十八年度以降も臨調の御意見を尊重し、まず各種制度、施策についての不断の合理化、適正化を図ることに全力を傾注してまいります。
 現在、私は、五十七年度予算編成を増税に頼ることなく編成し、財政再建を推進することに努力している最中でありまして、現段階において将来の増税を念頭に置いておるようなことはございません。
 また、昭和五十八年度以降の行政改革でありますが、行政改革は今後のわが国にとって重要な課題でありますので、国民各界各層の声に耳を傾けつつ、中長期的展望のもとに継続的にうまずたゆまず取り組んでまいりたいと存じます。着実に一歩一歩前進する決意でございます。
 最後に、来年度に臨調が提出する予定の基本答申についてのお尋ねでありますが、基本答申につきましても、また審議の進展状況に応じ随時提出される答申につきましても、政府はその趣旨を尊重して検討の上、結論を得次第順次所要の施策を実施してまいる決意でございます。
 以上、お答え申し上げましたが、残余の点につきましては所管大臣から答弁をいたします。
   〔国務大臣村山達雄君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(村山達雄君) 私に対する質問の第一は、厚生年金の国庫負担の繰り入れについて、その元本並びに運用利益が返済されるか、またその一返済方法はどうかと、こういうことでございます。
 まず、返済方法につきましては、これは国の財政状況を勘案してやることになっておりますので、現在の時点でそのことを明確にお示しすることができないのでございます。しかし、この法律でうたっておりますように、年金財政の安定を阻害しないようにということでございますので、元本はもとより、運用利益も確実に繰り入れることになっておりますので、年金財政の運営上はいささかも心配ないのでございます。
 それから第二点でございまして、年金制度の将来構想、官民格差の問題、あるいはいわゆる社会保障制度審議会で言っております基本年金構想についてはどうかと、こういうことでございます。
 年金は現在八本になっておりまして、非常にその目的、沿革、財政状況が違っているのでございます。これを一本化するということは、究極的には私は非常に好ましい方向であると思い、その方向に努力すべきであると思います。しかし、何分にも状況がそれぞれ沿革があり、財政状況が違っておりますので、やはりこれは漸次やる必要がある。とりあえずは、やはり官民格差を含めまして、各公的年金間に存在する格差のうち、不合理のものをそれぞれの所管庁が責任を持って解消していくということが、まず第一歩でなければならぬ。幸い、いま共済年金につきましては、共済年金基本問題研究会というのがございまして検討されているわけでございますので、その検討結果を見ながら、その統一の方向に進めてまいりたいと思っております。
 いわゆる基本年金構想につきましては、一つの私は見識だと思うのでございますが、あの定額部分のところは御承知のように多大の財源を必要とするのでございまして、この財源をどういうふうに調達するかという問題が一つございます。第二の問題は、ただいま申しました一元化の中でどういうふうに一元化していくかという問題と、それから年金でございますので、やはり急激に給付に変動があってはならぬわけでございますので、いかにして緩やかに初期の着地を、スローにランディングしていくか、この三つの問題が大きな問題点であろうと思っております。
 それから第三番目のお尋ねは、児童手当制度の存続について明示せよと、こういうことでございます。
 今度出しました特例法案の第三でうたっておりますように、この特例期間終了時をめどにして全般的の見直しを行えと、こういうことでございますが、私たちはこの児童手当制度、これの立法趣旨については峯山先生からお示しいただいたとおりでございます。われわれは、この趣旨を踏まえまして、児童手当制度の存続を前提にしながら、全般的な検討を遂げ、そうして新しい時代に即応するものにいたしてまいりたいと、かように考えているわけでございます。
 それからその次の問題は、ゼロシーリングのために社会福祉関係がずいぶん切られたじゃないかと、こういうお話でございます。
 しかし、厚生省は、いわゆる平年度化の特例枠がございまして、一般の省庁の一般歳出の増加が今年度の予算に比べて一・八でございますが、厚生省は二・四になっております。しかし、やはりこういう全体を見直す必要がございますので、厚生省の全分野にわたりまして見直しました。しかし同時に、弱い経済的な立場の人たちの行政を預かるのでございますので、真に必要なところには決してそのしわ寄せがいかないように、私たちは全力を挙げて配慮したつもりでございます。
 それから最後の問題は、国民健康保険あるいは児童扶養手当、特別児童扶養手当、これを一部都道府県に負担をお願いしておることは、これは結局住民の負担の増につながるのではないか、それから年末までにこれを片づけるとして、もしいま厚生省が言っているようなことになれば府県の負担に帰着するのではないか、どうするのか、こういうお尋ねでございます。
 私たちは、この国民健康保険というものが、同じ社会保険の中にありましてもやはり地域保険だという性格、それからまた、現在国民健康保険の中に持っております都道府県の役割りを考え、それからまた児童扶養手当あるいは特別児童扶養手当につきましては、本来児童福祉法に基づく精神に発しているわけでございますので、そういったことから考えまして、都道府県に役割りを一部分担していただきたい、国と地方の役割り分担という角度からお願いいたしているのでございます。しかし、臨調も指摘しておりますように、この問題につきましては、やはり財政問題もあるので、各省庁間でよく打ち合わせということになっております。自治省の方ではわれわれと違う見解を持っておることもよく承知しております。したがいまして、私たち厚生省、自治省、それから財政当局を交えまして、年末までにはこの問題について妥当な結論を出したい、かように思っているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣安孫子藤吉君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(安孫子藤吉君) 特定地域に対する国の負担補助の引き下げ、これが地方自治体の自発的な行政改革意欲を減退させるのではないかという御質問でございますが、今回の行政関連特例法案におきましては、特定地域に係るかさ上げ補助等の引き下げ措置をとることとしておりまするけれども、あわせて、対象となる都道府県及び指定都市に対しましては、その事業の執行及び財政運営に支障を生ずることのないように財政金融上の措置を講ずることといたしておりまするので、御懸念のようなことはないと考えております。
 次に、地方自治体の行政改革の推進についてのお尋ねでございますが、各地方公共団体におきましては、それぞれの実情に即しまして事務事業の見直し、行政機構の簡素合理化、定員管理及び給与の適正化のための措置が推進されておるところでございまするが、現下の厳しい社会経済情勢及び財政事情にかんがみまして、さらに行財政運営の適正化、行政の簡素効率化について一層の努力をするように指導してまいる考えでございます。
 なお、地方公共団体が自主的に行政改革を推進するに当たりましては、国の許認可、各種補助金等による地方行政への関与、法令、通達等による組織、職員配置に関する規制等が支障となっておる場合もございまするので、これらの整理合理化につきましては、各自治体に対する指導とともに一層の努力をしてまいらなければならぬと考えております。
 なお、運転免許証の御質問がございましたが、警察当局といたしましては、交通の安全の確保ということを大前提といたしまして、運転免許証の即日の交付とか、あるいは事故のない運転者に対する講習免除等、そうした問題を早急に結論を出して実施いたしたいということで、ただいま真剣な検討をしておる最中でございます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えいたします。
 税負担の公平確保についての御質問でございますが、これは非常に重要なことでございますから、われわれといたしましては、いままでも制度面、執行面でいろいろと見直して改正をしてまいりました。御承知のとおり、特別措置等につきましても、社会保険診療報酬課税の特例あるいは利子配当の総合課税の措置とか、あるいは有価証券譲渡益課税の強化とかいろいろやってきたわけでございます。したがって、五十一年改正前の九十八項目については、五十一から五十六年度でそのうち八十三項目の整理合理化をいたしまして、その合理化割合は八四・七%になっておるわけであります。
 さらに特別措置を減額せよというのでございますが、特別措置の大部分は、八割というのは個人なんです。したがって、個人の措置をやめてしまえということで割り切っていただけば、これも一つの方法でございます。つまり、マル優制度とか生命保険料控除とか住宅取得促進とか、まだ社会保険診療報酬が少し残っていますが、そういうので約八千八百億あります。会社関係が約二千億。その約二千億のうちの八百億が大体中小企業、千二百億が大企業向け、しかしその中でも大部分が資源対策と公害関係なんです。だからなかなかこれは切ってしまえといっても切れるのかどうか、ここらは議論のあるところでございますが、さらに検討したいと思っています。
 それから引当金ですが、いつも問題になるのはこの引当金。たとえば退職給与引当金、退職者なんかが一遍に四割も退職することはないじゃないか、それなのに何で四割も退職金の――要するに一種の含み資産ですね、残すのかと。これは労働協約によって、従業員がやめるときには何ぼ退職金がもらえるかという大体約束事ができている。したがって、そのときに会社全体の組合員がどんとやめたら何ぼと。しかし、どんとやめることはないわけですから、だから大体四割ぐらいまでやめた場合にどれくらい金が必要か、その金は現金ではないわけですから、含み資産としてどこかに、材料になったり固定資産になったりいろいろあるでしょう。それで会社に余裕を持たせておかないと、退職したときに退職金がスムーズにもらえないというようなことからできている制度でございまして、これはまるっきり切ってしまうということも、現実の問題として退職金を支払うという義務があっても現実にはもう金がない、財産がないということで払えないということになるわけですから、そういうところで問題がいつも起きるのです。しかしながら、現実に四割もやめるということはないのですから繰入率に問題があるというのでございますので、これは財政不如意の折、私としては検討をさせてもらいたいと思っています。
 それからそのほかいろいろな不公正是正という点については、たとえば利子配当も、きょうの閣議でも郵便局その他非課税のものについでは全部グリーンカードという政令を出すことに決めまして、少なくとも非課税のものが今度は大手を振ってダブって逃げられるということはなくなるということだけははっきり申し上げたい。したがって、これも前進でございます。それから税務調査のコンピュータ化とか調査技術、それの技術向上というようなものもやって、実地調査も深めて、正直者がばかを見ないように今後ともせいぜい努力をさせていただきたい、かように考えております。
 その次は、五十八年度以降も増税なき財政再建、行政改革を断行しますかということでございます。この五十八年度以降の財政問題につきましては、先ほども自民党に答弁をいたしましたように、基本的な考え方は答弁したとおりでございます。しかしながら、「増税なき」で本当にやり抜くのかというふうにさらに突っ込まれますと、それをさらに突っ込んで私もお答えいたしますが、これは行政改革はどこまでも推進をさせていきたい。それからその行政改革の期間は、やっぱり極力歳出削減、歳出抑制、これで対応する、これが私は望ましいと思います。
 しかし、その一方で、昭和五十八年度以降も国債の利払いというのは毎年数千億円ないし一兆円台でふえていくわけです、しばらくの間。元利償還も始まってくる。そういうようなことで、片方、老齢化社会も進んで老人の数もふえる、年金もふえるというときに、物価スライドは年金は一切やらぬ、ベースアップも人件費はやらない、もう自然増収で対応できるのは国債の利払いと地方交付税で精いっぱい、したがって、あとはみんな五年も七年もゼロシーリングということができれば一番いいのです。私はぜひやりたいと思っておりますが、これは最終的にどうするかという問題は大きな政治の問題でございまして、最後の選択につきましては、これは総論賛成、各論反対では済まない問題でございます。これこそまさに国会の判断の問題である。したがって、私は行政改革の断行、国会の皆さんの御賛成を願いまして、ぜひそういう方向で極力進めるように努力をいたします。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(中曽根康弘君) 車検等許認可の問題でございますが、臨時行政調査会におきましては、来年の初夏以前に随時答申をしていただくことになっておりまして、ただいま車検やあるいは許認可について鋭意検討中でございます。政府といたしましては、できるだけ早く一部でもその御答申をいただきまして、本年度の政府の施策の中に組み込みたいと思っております。そして、来年度の通常国会に必要な法案を提出いたしまして、来年度から実行したいと、このように考えております。
 第二に、増税の問題でございますが、増税はややもすれば財政の肥大化を招き、国費の乱費を呼びます。したがいまして、行革をやっているときに増税を考えることは邪道であり、増税と行革とはなじまないものであると思っております。ややもすれば財政当局や政府は金が足りないというときには増税の誘惑に駆られますが、政治家としては安易にそういう誘惑に乗ってはならぬと、そのように思っております。(拍手)
    ―――――――――――――
#24
○副議長(秋山長造君) 佐藤昭夫君。
   〔佐藤昭夫君登壇、拍手〕
#25
○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表して、議題となりました行革関連一括法案について、総理並びに関係閣僚に質問いたします。
 土光・鈴木「行革」と本法案の重大な問題点は、衆議院における審議を通してますます明らかになってきています。これまでの大企業奉仕のばらまき財政が残した膨大な借金の後始末と軍備増強のための財源づくりという、二重のツケをすべて国民に押しつける、これこそが今回の行革なるものの本質であり、本法案はその第一歩にほかなりません。
 しかも、本来その内容も制定経過も異なる三十六の重大な制度改悪をたった一本の法案に一括し、短期間の審議で成立させようとする政府の態度は、議会制民主主義を真っ向からじゅうりんするものであり、だからこそ、わが党は一貫して法案の撤回を要求してきたところであります。
 そこで、いま真に問われなければならない第一のことは、国民の犠牲による以外、財政を再建する道が本当にないのかという問題なのであります。私は、その道が厳として存在し、その道をこそ歩むべきことを確信を持って主張するものであります。
 一つは、空前の高利潤を謳歌している財界・大企業の一層のもうけに奉仕する補助金と大企業優遇の不公平税制に、いまこそ大胆に切り込むことであります。コンピューター開発補助金、海運大企業への利子補給、事業に失敗すれば利息分まで含めて一切返済を免除するという驚くべき石油探鉱融資等の補助金や、株式時価発行差益非課税制度、受取配当益金不算入制度などの優遇税制について、一体政府は取り組むのか、取り組まないのか。「大企業罪悪史観だ」とか、「何を不公平とするかは種々の見方がある」などというこれまでの開き直った答弁ではなく、国民に対し責任ある態度を示すべきであります。
 二つは、レーガン政権の圧力を断固として拒否し、軍事費の大幅削減に踏み切ることであります。総理も「防衛をも聖域とはせず、急増を抑える措置をとる」と一応は述べてきました。それならば、軍事費急増の最大原因であるP3C、F15などの正面装備の大量発注にまずメスを入れることを約束できますか。また、中期業務見積もりの全面見直しとしてのいわゆる五六中業、この即時中止をこの場で言明できますか。それがない限り、幾ら口先で切り抜けようとしても、国民の目をごまかすことはできません。はっきりとお答えいただきたいのであります。
 以上二点に対する政府の態度は、「痛みを公平に」とか「軍事大国は目指さない」とか、そういう政府の宣伝文句が本当なのか、うそなのかを見分ける試金石であることを強調し、総理の明確な答弁を求めるものであります。
 問わなければならない第二の問題は、本法案がもたらす国民生活への大きな犠牲についてであります。
 政府は、本法案が成立しても国民の被害は大したことがないかのように見せかけ、野党の一部もそれに同調して衆議院通過を促進しましたが、断じて許されることではありません。
 具体的に総理並びに各所管大臣に質問いたします。
 まず、厚生年金などの国庫負担率の引き下げについて、政府は将来返済すると言いながら、その期限の約束は拒否し通してまいりました。これは返せる当てがないからではありませんか。それどころか、臨調第一次答申が要求する給付開始年齢の引き延ばし、給付水準の引き下げ、保険料の連続値上げ、事務費国庫負担の中止など、年金制度の抜本改悪を実行に移し、なし崩しに国民の負担に転嫁しようと考えているのではありませんか。
 次に、十四万人が打ち切られる児童手当の問題について。厚生大臣は今後も制度の根幹を維持すると述べてきましたが、「制度の根幹」とは一体何なんですか。「低所得世帯に限定する」という臨調答申に従うつもりなのか、それとも断固拒否をするのですか。
 また、四十人学級制の凍結について。達成期限は変えないという政府の答弁が真実のものであるならば、従来六十三年度中に達成することになっていた小学校の四十人学級制は予定どおりやるのですか。
 教育の改善計画をおくらせながら、軍備増強の中期業務見積もりは繰り上げるということは許されません。わが国の将来を教育立国に求めるのか、それとも軍事立国の道を歩もうとするのか、あわせてお答えいただきたいのであります。
 第三の問題は、本法案を突破口に、わが国の政治経済全体の一層恐るべき反動的再編成がたくらまれていることであります。
 まず、本法案の延長が主管大臣である中曾根行政管理庁長官によって早くも示唆されています。もしも政府が、時限立法であり三年後には廃止されるはずの今回の制度改悪を、延長という手段によって事実上の固定化、恒久化を考えているとするならば、事はまことに重大と言わなければなりません。期限が来れば廃止すると、この場で断言できるのか、それとも、そのときが来るまでわからないと言うのか、総理並びに行管庁長官の明確な態度表明を求めるものであります。
 さらに、いま臨調は来年の基本答申に向けて、福祉や教育の制度の根本的見直し、防衛庁の国防省昇格、道州制の導入、人事院勧告制度の改悪、国鉄、電電、専売公社の民営化などを検討しているではありませんか。鈴木総理は、臨調の一次答申はもちろん、今後の答申も尊重すると繰り返し述べていますが、総理、あなたは、このような国民生活と民主主義の根幹にかかわる重大な問題をあくまで実施に移す考えなのか。それぞれについて明確に答えていただきたいのであります。
 最後に、私は、政府が来年度概算要求でも軍事費と並んで海外協力費を聖域とし、大きく膨張させている問題と関連して、最近の南北サミットにおける総理の態度についてただしたい。
 すでにわが党は、出発前の鈴木総理に対して、「国連包括交渉の早期開始を支持する」という従来の態度表明を後退させてはならないことを申し入れてまいりました。しかし、総理は、サミットでは事実上レーガンに同調して、国連包括交渉の開始をおくらせる役割りを果たしたのであります。このような態度急変の理由は一体何か、明らかにされたいのであります。
 また、ちょうど国連軍縮週間のさなかにも当たり、いまこそ日本は無謀な軍備拡張をやめて、世界の平和と発展途上国との平等互恵の経済関係の樹立のために積極的な努力をすべきではないか。そのためにも、わが党が申し入れたとおり、レーガン戦略に沿った紛争周辺国援助を直ちにやめるべきであります。総理の明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えをいたします。
 最初に、大企業に対する補助金の削減、不公平税制の是正をせよとの御意見がありましたが、御指摘のコンピューター開発補助金などの産業や企業助成に係る補助金についても、その効果、緊要度を考慮し、臨調答申の趣旨に即して合理化に努めてまいる所存でございます。
 また、税負担の公平確保は重要な課題であると考えておりまして、今後とも制度面、執行面を通じて一層の努力を傾注してまいりたいと考えております。御指摘の株式時価発行差益の非課税制度などを大企業優遇税制と考えるのは当たらないと存じます。
 次に、防衛費についてでありますが、政府といたしましては、最近の厳しい国際情勢を踏まえ、憲法及び基本的な防衛政策に従い、節度ある質の高い防衛力の整備のため着実な努力を行っているところであります。五十七年度の防衛費につきましても、このような考えのもとに十分な検討を行い、真に必要な経費に限って計上してまいる方針であります。
 もとより、わが国の防衛力の整備は、わが国の自主的判断に基づいて進めているところであり、米国の圧力云々という言い方は、それ自体自主性のない御発言と言わざるを得ないのであります。五六中業の作業中止をする考えもありません。
 次に、第五次学級編制及び教職員定数改善計画についてでありますが、今回の特例措置は、計画の全体規模、計画期間を変更することなく、特例期間中計画の抑制を図ることとしたものでありまして、現在の厳しい国の財政事情等を勘案いたします場合、やむを得ないものと考えております。しかし、その中におきましても、特殊学校等の定員の確保については十分配慮してまいります。
 最後に、南北サミットについてお答えをいたします。
 包括交渉について政府の姿勢が後退したのではないかとのお尋ねでありますが、政府の包括交渉に対する態度は従来より一貫しております。私は、会議における冒頭演説において、できるだけ早期に南北双方の受け入れ得る手続、議題が合意され、交渉の開始の準備が整うことを心から期待する旨を発言いたしました。これは、わが国がこの問題について従来とってきた立場を踏まえて、包括交渉の早期開始が望ましいことを訴えたものでありますが、議長サマリーの中で述べられておりますとおり、合意を見たことは所期の成果をおさめ得たものと評価しております。
 なお、軍縮についてのお尋ねでございますが、私の軍備管理、軍縮に対する積極的姿勢につきましては、これまでもたびたび国会において御説明申し上げてきているところでありまして、同様のことは、今回の南北サミットにおきましても、その冒頭発言において参加各国首脳に訴えたところであります。
 なお、いわゆる紛争周辺国に対する援助についてお尋ねがございましたが、開発途上国の経済的混乱は政治的、社会的不安定を惹起し、国際的な紛争の引き金ともなりかねません。したがって、経済協力を通じ開発途上国の経済社会開発を支援し、民生の安定、福祉の向上に貢献することは、これら諸国の政治的、社会的安定をもたらすとともに、広く国際間の緊張を緩和することに貢献することに相なります。わが国が、多数の難民を抱えておる紛争周辺国を初め世界の平和と安定の維持に重要な地域に対しても、自主的な判断に基づき援助を強化することとしているのはこのような認識に基づくものであり、佐藤議員の御理解を得たいと存じます。
 残余の点につきましては所管大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣村山達雄君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(村山達雄君) お答えいたします。
 私に対する質問の一つは、厚生年金の今度の国庫負担の減額について返済期限を明示しないのはどういうわけか、臨調で抜本改正を言っておるそのときに、支給年齢を引き上げたり、あるいは給付水準を引き下げたり、保険料を上げたり、あるいは事務費を保険料に回すことによってうやむやにするのじゃないかと、こういうのが第一の質問でございます。
 先ほど申しましたように、この返済期限を明らかにできないというのは、そのとき、財政再建期間が済んだ後の財政状況、これがまだわかりませんので、その状況を勘案しながらやるということで、現在の時点ではその期限あるいは方法について明示できない。しかし、繰り返し申しておりますけれども、年金財政にはいささかも損がないように元金並びに複利計算による収益が入ることになっておるので、御安心願いたいのでございます。
 それからまた、臨調が言っております抜本改正というのは、これとは全然別の問題でございまして、これは一時減額し、後で運用利益で返していただく。抜本改正という問題は、これは長期的な問題でございます。したがいまして、これは全然別の問題でございまして、それに藉口して返さないのじゃないかというような御懸念はぜひ持たないようにお願い申し上げます。
 それから第二は、児童手当の点でございますが、今度児童手当の所得制限によりまして、自営業者について十四万人ぐらい対象者が減る、厚生大臣は制度の根幹を維持すると言っているのだが、一体その根幹というのは何か、それからまた低所得者対策にとうとう堕したのじゃないか、こういうお尋ねであったと思います。
 確かに、現在の所得制限額が四百五十万円でございますが、これを三百九十一万円に若干所得制限を強化いたしたいと考えております。そのことによりまして、自営者は十四万人程度対象者が減りますが、別途この法案の中で特例給付という制度を新たに入れておるのでございます。それを入れますと、十四万人が今度被用者の方で回復いたしまして、被用者、自営者を通じまして、改正前も支給児童数は二百二十五万くらい、改正後も二百二十五万くらいでございますので、これは変化がないのでございます。
 制度の根幹というのは何かということは、これはもとより現在の児童手当法の精神でございまして、これは児童を保育する家庭の経済の負担軽減並びに児童の健全な育成と、こういうことでできているわけでございますので、先ほども申し上げたとおりに、この制度は維持することを、存続することを前提にして将来の検討も進めてまいると言ったのはその意味でございます。
 それから低所得者対策に堕したのじゃないと、こう申しますけれども、三百九十一万という収入は、予想される来年度の六人世帯の給与者の平均給与収入でございますので、決して低所得者ではなくて平均であると、このようにお考え願いたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣田中龍夫君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(田中龍夫君) 佐藤委員にお答えいたします。
 四十人学級の問題につきましては、ただいま総理も大変はっきりと詳細にお述べになりましたが、もちろんこの六十六年度までに、持っておりまするその計画は予定どおり完遂するものであります。ただ、御質問の中で、六十三年度中に達成することになっておる小学校の四十人学級計画はどうなっておるかと、こういう御質問でございます。
 本件につきましては、御存じのとおりに、児童減少市町村の小学校でこれまで実際に四十人学級を実施してきたものにつきましては、学年進行でこれを実施することといたしておりますが、その他の小学校につきましては昭和六十年度以降の課題と考えております。
 なお、文教は国政の基本でございますので、厳しい財政状況を踏まえつつも、今後ともにさらにその充実に努めてまいりたい所存でございます。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(中曽根康弘君) 法案延長について御質問がありましたが、時限立法は時期が来たらこれをやめるのが原則であります。
 なお、国防省等々について御質問がございましたが、国防省につきましては、政府は目下のところ考えてはおりません。また、臨時行政調査会におきましても、こういう議論があったとは聞いておりません。
 道州制や人事院勧告制度、あるいは公社の民営化等々につきましては、行革には聖域はございません。また、日本は言論、思想の自由の国でございますから、これらについて臨時行政調査会におきましていろいろ議論があり得ることは当然であると思います。政府といたしましては、どういう答申が出るか見守っておる次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#30
○副議長(秋山長造君) 柳澤錬造君。
   〔柳澤錬造君登壇、拍手〕
#31
○柳澤錬造君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました行政改革特例法案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 まず第一に、この行財政改革に取り組む基本姿勢についてであります。
 鈴木総理は、所信表明演説で、「行財政改革は、二十一世紀を展望する国家の大計であり、避けて通れない国民的課題である」と述べられましたが、全くそのとおりであり、賛意を表するものであります。しかし、そのような判断をするのであれば、この行財政改革は従来の延長線上で考えるのではなく、発想の転換をして、全く新しい観点に立って対処することが必要であって、その点、政府として、鈴木総理として、どのような発想の転換をして取り組んでいるのか、その決意のほどをお示しをいただきたいと思います。
 しかも、この行革特例法案は、二十一世紀を展望して、三十六本の法案を一本にまとめたものであり、その所管大臣は九人もおります。とするならば、少なくとも内閣総理大臣みずからが提案の趣旨説明に立つべきであり、そのような態度を国民に示すことこそが国民的コンセンサスを得る道であると思うのですが、いかがでしょうか。
 あわせて、この行革特例法案は国家百年の大計として提起しているものであります。そうであるならば、臨時特例措置の昭和五十七年度から五十九年度までの三年間は「政府としても増税をしないで耐える」と国民に向かって確約し、国民の協力を求める態度表明をしてこそ、この特例法案の持つ重要性とその必要性が明確になると思うのですが、総理の御見解を求めます。
 第二としては、予算編成に関してであります。
 わが国の国際社会における地位を考えるとき、その役割りはますます大きくなってきており、それに伴って国際社会における会費ともいうべき分担金もそれ相応に高くなってきております。予算の配分において、これら分担金は積極的に支払って国際社会への責任と貢献を果たしていくべきです。
 あわせて、補助金についても、一律カットというような平等に見えて実際は悪平等となる画一主義は避けるべきです。補助金も必要度の低下したものは大幅にカットし、将来を展望して必要度の高いものはむしろその補助金をふやしてやるべきでしょう。それが政治であり、そこにこの行財政改革を断行する意義と真の価値があると判断いたします。
 さらに、国債についてでありますが、総理は国債残高が本年度末で約八十二兆円になると言われておりますが、これは発行した初めからわかっていたことです。むしろ問題は、政府が国債を統制金利で大量に発行し、それを市中銀行に押しつけてきたことであります。わが民社党は、かねてから、国債は自由流通市場をつくって、その市場の実勢金利で発行することを主張してきました。そのようにして運用しておれば、国債も個人とすれば貯蓄と同じ性格を持つものであるため、その実勢金利が国債発行についてコントロールの役割りを果たしてくれたはずであり、今日のような財政破綻にはならなかったでありましょう。これらの点について総理並びに大蔵大臣の御見解を求めます。
 第三には、不公平問題の正常化についてであります。
 総理は、所信表明演説で「歳入の面でも等しく痛みを分かち合うという観点から、税負担の公平の確保は重要な課題であり、政府は、従来から積極的に努力してきた」と述べていますが、具体的に、どのようなことを積極的にやってきたのか、明らかにしていただきたい。
 また、官民格差の問題でありますが、民間の厚生年金は「全加入期間の平均標準月額」を基準として算出し、六十歳から支給されるのに、公務員の共済年金は「最終一年間の俸給」を基準として算出し、五十五歳から支給されています。その結果、退職金と年金の合計額が、民間では四千八百万円程度であるのに対し、国家公務員は六千七百万円程度となり、地方公務員の東京都は八千万円という大きな格差が生じています。民間の活力に大きな期待を寄せている総理として、この現実をどのように判断しているのか。先ほど厚生大臣は、峯山議員の質問に、是正すると答弁されましたが、いかなる方法で具体的に改善、正常化させるのか、明確にしていただきたいと思います。
 さらに、国家公務員と地方公務員の格差の問題です。自治省の発表によりますと、国家公務員を一〇〇としたラスパイレス指数によると、地方公務員は全国平均でも六・九%も高く、大阪府下の市はいずれも二割以上も高くなっています。自治省では、去る十月十三日、都道府県知事、指定都市の市長に対して給与実態を公表するよう通達を出しましたが、このアンバランスをどうやって正常化させるのか、政府の責任ある答弁を求めます。
 最後に、この行財政改革は二十一世紀を展望した国家百年の大計であり、当面の五十七年度予算編成だけのものであってはならないはずです。同時に、国鉄など三公社五現業に見られるごとく、依然として違法ストがまかり通り、まじめに働く人もそうでない人も同じでは、この行政改革は成功しません。
 大切なことは、今日の社会において額に汗してまじめに働く人々が報われる信賞必罰制度が確立し、すべての職場、すべての地域において社会秩序が保持され、自由で平和な福祉国家を目指す新しい国づくりというのがこの行政改革の基本理念でありましょう。そのような理念と決意を持ってこの行財政改革を推進するのであれば全面的に支持するものであり、その点重大な関心を持って対応していくことを申し上げ、総理並びに関係各大臣の明確な答弁を求め、終わります。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えを申し上げます。
 行財政改革には、新しい観点に立ち、新しい発想を持って取り組むべきであるとの御意見でございました。私も全く同感でございます。
 行財政改革の基本は、高度成長時代に肥大化した行財政の思い切った縮減合理化を行い、民間の活力を高め、簡素にして効率的な行財政を確立することにありますが、そのためには、高度成長下において定着した思考方法自体を変えていかなければなりません。配分すべきパイが大きく育った高度成長のもとでは看過されたり指摘されなかったむだや非効率についても、これからは厳しく見直し、効率のよい行政、健全な財政を築いていく必要があると存じます。既成観念にとらわれることなく、行財政改革を着実に前進さしてまいりたいと考えております。
 財政再建期間中は増税しないと確約せよとのことでありましたが、すでにお答えいたしておりますとおり、私は、できるだけ国民に負担をかけないよう行財政の効率化を図り、納税者の立場に立って行財政改革を進めたいと考えております。また、五十八年度以降も臨調の御意見を尊重し、まず各種制度、施策について不断の合理化、適正化を図ることに全力を傾注してまいります。現在、私は、五十七年度予算編成を増税に頼ることなく編成し、財政再建を推進することに努力している最中でありますので、現段階において、将来の増税を念頭に置くなどということは全くございません。
 次に、税負担の公平確保の問題でありますが、これはきわめて重要な課題であります。
 まず、租税特別措置につきましては、これまで企業関係を中心として徹底した見直しを行うとともに、社会保険診療報酬課税の特例の是正、利子配当課税の適正化のための措置などを講じてきておりますが、さらに五十七年度におきましてもその見直しに一層の努力を払う所存でございます。
 また、引当金制度は、法人税の課税所得を合理的に計算するために設けられているのでありまして、この制度自体を不公平税制と考えることは適当ではないと存じますが、その繰入率等が実情に即したものとなっているかどうかについては、これまでも見直しを行ってきましたし、今後とも見直しをいたしていく所存でございます。
 また、税の執行面におきましては、限られた事務量の中で、誠実な青色申告者の普及育成を推進し、税務調査の徹底を図るなど、課税の公平確保に最大の努力を重ねてきておりますが、今後とも適正公平な課税を図るため一層の努力を払ってまいる所存でございます。
 最後に、柳澤議員が御指摘になった信賞必罰を基本とする制度の確立、社会秩序の保持等の問題は、行政が国民の信頼を得るためにも重要な課題であると認識しております。
 また、私は、今後におけるわが国のあるべき基本理念の一つとして、活力ある福祉社会の実現が重要であると考えておりますので、御指摘の自由で平和な福祉国家を目指す国づくりという御主張もほぼ同じお考えではないかと承りました。そのような観点から今後の施策を進めてまいる所存でございます。
 残余の点につきましては所管大臣からお答えをいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(渡辺美智雄君) 特例期間三年間は増税しないと確約しなさい、これについては先ほど総理からもお話があったとおりです。これは税収の問題税金がいまのままで幾ら入ってくるか、インフレは進むのか進まないのか、ベースアップはやるのかやらないのか、物価スライドはするのかしないのか、老人がふえて医療費がどれくらいかかるのかかからないのか、年金が抑えられるのか抑えられないのか、制度はどれだけ簡素化できるか、こういう問題の総合の問題でございますから、われわれとしては増税なき財政再建のために一生懸命努力しますということを申し上げているわけです。しかし、それははっきりしたことはわかんないのです、実際は。
 それから国際分担金の問題につきましてはどうするのかということでございますが、これはできるだけのことはわれわれは分担金に応じなければならない。しかし、国際官僚というものがばっこしてはいけません。国内でも減らそうとしているときですから、国際機関もやたらに機関をどんどんふやせばそれでいいのだということは余り賛成できないというのが日本の立場でございます。しかし、適当なものにつきましてはこれはできるだけの御協力をさせていただきたい、かように考えております。
 補助金は、画一的に一律に減らすのはいけない、全くそのとおりでございます。したがいまして、大蔵省ではそういうことはお願いしておりません。その省ならその省の中で、特殊なものを除いて(「弱い者から取るのか」と呼ぶ者あり)いやそんなことはありません。これは、その中でどれが重要でどれが大切か判断してください、臨調答申を踏まえて、あるものは二割伸ばして結構でございます、しかしあるものはやめても結構でございます、足したり引いたりしたその結果が一割減るようにお願いをしますということを頼んでいるわけでございます。
 それから国債の問題について、国債の金利を統制金利、つまり安い金利で銀行に押しつけるようなことはやめなさい、こういうお話でございますが、これはなかなか銀行はいま強くなりまして、押しつけるどころか受け合ってくれないわけであります。したがって、六月、七月、八月などは金をこちらは借りたくとも貸してくれない、結局は三カ月間国債発行ができなくて収入が非常に苦しかったというのが事実でございます。したがいまして、この金利は市場の実勢金利でやるべきである、これは本当にごもっともなお話でございますから、われわれは市場の実勢金利を総合的に勘案してやってまいりまして、市場とかけ離れたのでは銀行は金を貸してくれない、でございますから、九月からはやむを得ず金利を改定をいたしまして、つまりアップをしたわけです。七・六%のクーポンレートを八%にアップを、利上げをさせていただいた。そういうことで発行させてもらったわけでございます。金利が高くなれば国債費は加速度的にふえてまいりまして、五十六年度ですでに公共事業費と国債費は同じでございますし、来年は公共事業費を国債費は一兆二千億円程度上回る、防衛費の大体三倍ぐらいになる予定でございます。非常にこれは大変なことでございます。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣村山達雄君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(村山達雄君) お答えいたします。
 私に対する質問は、厚生年金と共済年金との格差是正の問題でございます。
 これは、先ほどもちょっと触れましたが、非常にむずかしい問題でございまして、共済組合、厚生年金、それぞれの目的、沿革、それから財政状況、全く変わっているわけでございます。そしてまた、形式的な格差から言いますと、数え立てればどれぐらいあるかわからないぐらい差があるわけでございます。代表的にお挙げになりました支給年齢の開始時期、いま二十年間で追いつこうとしているわけでございますけれども、まだ違っていることは確かでございますし、また、給付の算定基準となる報酬の期間のとり方あるいは報酬の範囲の問題、さらには積立率の違い、しかも現在の掛金率の違いだけでなくて過去にどういう経緯を踏まえて違ってきたかという問題もございます。またさらに、最高が決まっているか決まっていないかという問題もございます。退職後支給停止があるのかないのかという問題もございますし、もう挙げれば切りがないほどたくさんあるのでございます。
 しかし、この問題は、やはり単なる不合理な格差というものと、やむを得ないという問題があると思うのでございます。したがって、その不合理な格差についてまず直していくということ、そしてそれは何よりもやはり所管庁が責任を持って是正していくということが第一歩でなければならぬと思っております。
 現在、共済年金制度基本問題研究会で共済年金相互間の検討が進められております。これが第一歩だろうと思いまして、この検討の結果を見まして、われわれはこの官民格差の問題その他を含めて不合理な不均衡を是正していく、そしてさらには究極的な方向としては一本化の方向に向かっていきたい、かように考えているわけでございます。(拍手)
   〔国務大臣安孫子藤吉君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(安孫子藤吉君) 地方公務員の給与の適正化についてのお尋ねでございますが、地方公務員の給与水準は、漸次低下はしてきておるものの、いまなお国家公務員のそれを相当上回っておる団体がございます。国、地方を通じまして行政改革、財政再建が叫ばれておる今日、地方公務員給与の適正化は当然に取り組まなければならない課題であると考えております。その促進を図るための方策を積極的に講じてまいる考えでございます。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(中曽根康弘君) 一括法案であるから総理が提案者になれという御質問でございますが、本件は、各省にまたがる事務に関しまして総理の御指示に基づいて私が取りまとめをいたしたもので、これは行管庁設置法にのっとっておるところでございます。
 なお、総理は、政治生命をかけて陣頭指揮をしておられますから、御趣旨にも沿っておることであると思います。(拍手)
#37
○副議長(秋山長造君) これにて質疑は終了いたしました。
 委員会の審査の経過を待つため、これにて休憩いたします。
   午後零時四十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後六時十七分開議
#38
○議長(徳永正利君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 地方公務員法の一部を改正する法律案(第九十三回国会内閣提出、第九十四回国会衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#39
○議長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長上條勝久君。
   〔上條勝久君登壇、拍手〕
#40
○上條勝久君 ただいま議題となりました法律案は、第九十四回国会で成立した国家公務員法の一部を改正する法律と同様、行政の一層の効率的運営を図るため地方公務員についても定年制度を設けることとし、定年は国の職員につき定められている定年を基準として条例で定めること、職員は定年に達した日以後の最初の三月三十一日までの間の条例で定める日に退職すること、定年退職の特例として勤務の延長及び定年退職者の再任用制度について所要の規定をすること、これらの改正は昭和六十年三月三十一日に施行することなどを主な内容とするものであります。
 委員会におきましては、前国会の質疑に引き続き、今国会では内閣総理大臣、自治大臣、人事院総裁、その他政府当局に対し質疑し、また参考人の意見を求める等慎重に審議を行いました。その間、現行制度の立法過程、自治権との関係、定年制導入の必要性、団体交渉事項の範囲、高齢化の進行と定年制、条例準則の内容、再就職のあっせん等の諸問題について熱心な論議を行ったのであります。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、自由民主党・自由国民会議を代表して亀長委員より賛成、日本社会党を代表して佐藤委員、日本共産党を代表して神谷委員よりそれぞれ反対の意見が述べられました。
 討論を終わり、採決の結果、本法律案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対しましては、将来、定年年齢の改正が必要とされる場合には改めて検討するものとすること等五項目にわたる附帯決議が付されております。
 以上、御報告いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#41
○議長(徳永正利君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。佐藤三吾君。
   〔佐藤三吾君登壇、拍手〕
#42
○佐藤三吾君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました地方公務員法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。
 申し上げるまでもなく、戦後のわが国の公務員制度は、ごく一時期を除けば、マッカーサー指令による政令二百一号以来きわめて不当な状態に置かれたまま今日に至っております。憲法で保障された労働基本権が、個別法たる国家公務員法、地方公務員法等で否認されている状態は、自衛隊の存在と同様に、わが国憲法がいかに軽視されているかを物語るものであります。政府及び自治体当局と公務員労働者との間の労使関係が常にぎくしゃくし、正常な関係の確立がなされない根源はまさにここにあると言って過言でありません。
 本改正案による公務員の定年制問題は、こうした基本問題の裏返しの問題であります。公務員労働者の定年制は、わが国公務員の社会的地位と任務が戦前の天皇制奉仕から根本的に転換したことに見合って、憲法が求める理念を公務員制度に実現する具体的な問題として議論されなければならないのであります。にもかかわらず、自民党政府はこれまで、あるときは財政再建の便法とし、またあるときは行政整理を事として、そうしていままた行政改革の露払いとして定年制を提案するなど、この問題をきわめて政治的に歪曲化してきております。
 それゆえに、過去、定年制法案は廃案を余儀なくされたのであります。今回もまたこうした公務員制度のあり方に何ら触れることなくその成立を図ろうとすることは、決して正しい態度とは言えません。公務員労働者をスケープゴートとして進める政府の行政改革が、民主、公正、効率的な行政の実現という行政改革とは全く無縁なものであることをみずから証明するものと言えます。
 以上のような基本的な立場から本改正案を見ますと、幾つかの重大な問題が指摘されるところであります。
 第一は、すでに申し上げたように、定年制を、公務員制度全体を改革するという視点からでなく、木に竹を接ぐがごとき態度で導入しようとしていることであります。
 地方公務員法は、その制定当時の議論に明らかなように、近代的公務員制度の理念としては、定年制を明確に排除することを立法趣旨として制定されたのであります。だからこそ、当時八百八十八の自治体に定年制条例がございましたが、この条例を本法の制定と同時に廃止することとなったのであります。この地方公務員法に定年制を持ち込むことは、こうした趣旨及び制度に抵触するものであり、仮に持ち込む場合においては、地方公務員法の根幹をなす身分保障、労働基本権、政治的な権利などとのかかわりにおいて再検討さるべきものであります。これら重要事項を不問にしたままひとり定年制を導入することは、全く不当な措置と言わなければなりません。
 第二に、本改正案は、定年制度が重要な勤務条件であることをきわめて軽視していることであります。
 重要な勤務条件の一つである職員の退職にかかわる事項は、本来、民間におけると同様に、労使間の団体交渉により双方の合意に基づいて決定することが原則でなければなりません。しかしながら、本改正案においては、本人の意思や条件とかかわりなく、一方的、画一的に法律でもって退職を強制しようとするものであり、近代的な労使関係の基本原則から容認することはできません。もちろん、こうした主張は終身雇用を意味するものでないことは御存じのとおりであります。
 たびたびの政府答弁でも明らかなように、労使間合意による現行の勧奨退職制度において円滑な新陳代謝が図られていることは実態的にも証明されております。すなわち、退職管理においても団体交渉によることが最も有効であり、かつ労働基本権保障にも合致するものであり、この面からも本改正案の根拠はないものと言わざるを得ません。
 第三に、本改正案は「地方自治の本旨」とは両立し得ないものであります。
 本改正案による定年制の実施は条例によることとしておりますが、定年年齢など基本的な事項について、そのほとんどが国を基準としていることから、自治体の条例制定権は単なる手続規定とされ、その自主性は著しく制限制約されているのであります。地方自治法を空洞化するがごときこうした法制定は、今回の臨調第一次答申による行革関連法案を指摘するまでもなく、政府がいかに地方自治を軽視しているかを示すものと言えます。
 以上のような基本問題に加え、私は、本改正案が、創意ある人事管理という団体自治の面のみならず、住民自治の発展にとっても不可欠な要因である職員の自発性、創意性を損ない、住民と自治体職員との協調と緊張関係を失わせるであろうことは目に見えたことであり、それは結局、国民生活における自治体の役割りを低下させていくであろうことを強く指摘しておきたいと思います。
 この際、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案につきましても若干の意見を申し上げたいと存じます。
 その第一は人事院勧告の問題であります。
 去る八月七日に人事院勧告が提出されて以来、今日まで政府は態度を明確にせず、今国会に法案提出することすら明らかにしていないことはきわめて遺憾なことと言わざるを得ません。仲裁裁定の完全実施が確定し、一方では七・六%程度の低いアップ率とはいえ、民間労働者は新賃金で生活をしているいま、公務員労働者といえども速やかに新賃金による生活を求める権利を有していることは、何人も否定し得ないと思います。ましてそれが労働基本権を制限する代償機能としての人事院勧告であってみれば、その実施は政府に課せられた義務であります。
 にもかかわらず、近年政府は、人事院勧告を国会対策の道具として政治的駆け引きに使っていることはまことに許されないことであります。「小さな政府」という言葉の語源は「安っぽい政府」「国民に信頼されない政府」という意味であり、公務員労働者の生活給たる賃金を政治的駆け引きに使う政府がまさに「小さな政府」と言われても仕方がないのであります。それがいやなら、政府は真摯な態度をもって速やかにその完全実施を図るべきであり、政府の猛省を促しておきたいと存じます。
 第二は、今回の改正の前提となっている官民比較のあり方の問題であります。
 昭和四十八年改正の際は、官民ともに勤続年数、学歴、職種別などモデルを設定し、その比較を行い、それに加算をつけて二〇%アップしたのでありますが、今回は、公務員全体では四分の一程度の行政職(一)の一部というきわめてわずかな実態について比較しているにすぎません。御承知のように、公務員の退職手当は俸給月額掛ける支給率で計算しますが、民間の場合は俸給掛ける支給率プラス加算額が定式でございます。しかも、加算額には役職加算、長期勤続加算、定年加算等があり、それらについて十分な調査が行われておらず、今回の官民比較のあり方はまさに実態を把握しているとは言えないものであります。
 この一点をもってしても、今回の改正が公務員労働者の退職手当制度に偏見を持ち込み、国家財政破綻の責任を公務員労働者に転嫁するものであることは明らかであります。労働基本権否認のまま、定年制と退職手当の削減という二重もの抑圧措置を強行しようとすることの、どこに民主政治の姿を見出すことができるでしょうか。
 退職手当の削減にかかわる本改正案にはその他多くの問題点がありますが、以上の二点を強調し、地方公務員法の一部を改正する法律案に対する私の反対討論を終わります。(拍手)
#43
○議長(徳永正利君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#44
○議長(徳永正利君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#45
○議長(徳永正利君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#46
○議長(徳永正利君) この際、日程に追加して、
 国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(第九十三回国会内閣提出、第九十四回国会衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○議長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長遠藤要君。
   〔遠藤要君登壇、拍手〕
#48
○遠藤要君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、第九十三回国会に提出され、衆議院において継続審査となり、第九十四回国会において同院で修正議決の後、本院において継続審査となったものであります。
 本法律案の内容は、長期勤続後の退職者等に対する退職手当の額の二割増の特例を所要の経過措置及び調整措置を講じた上、一割増に減額するとともに、退職手当の基準については、今後の民間事業における退職金の支給実情、公務員制度及びその運用状況等を勘案して総合的に再検討を行い、その結果必要があると認められる場合には、昭和六十年度までに所要の措置を講じようとするものであります。
 なお、衆議院において、退職者の生活設計等に急激な変化を与えないための緩和措置として、政府原案を修正して、昭和五十七年一月一日から百分の百十七に、五十八年一月一日から百分の百十三に、五十九年一月一日から百分の百十に引き下げるとともに、本法律案の題名を国家公務員等退職手当法等の一部を改正する法律に改め、国家公務員等退職手当法に新たに附則を設け、旧プラント類輸出促進臨時措置法に基づく指定機関等への出向職員の在職期間の通算措置を講じる修正が行われております。
 なお、去る二十日、質疑に入るに先立って、内閣委員会理事会の協議に基づき、委員長より政府に申し入れておいた人事院勧告の取り扱いについて、中山総理府総務長官より、趣旨を踏まえて誠意をもって対処してまいりたい旨の発言がありました。
 委員会におきましては、鈴木総理の出席を求め質疑を行うなど、その審査を進めました。その質疑の主なものは、退職手当の性格、退職金調査方法の概要と資料の公表、法案提出と職員団体交渉との関係、退職手当の見直し問題、特殊法人役員の退職手当、生涯賃金論等でありますが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して矢田部理事より反対、自由民主党・自由国民会議を代表して伊江理事より賛成、日本共産党を代表して安武委員より反対、公明党・国民会議を代表して峯山委員より賛成、民社党・国民連合を代表して柄谷理事より賛成の旨の発言がありました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、退職手当制度見直し等に関する三項目の附帯決議が全会一致で行われました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#49
○議長(徳永正利君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#50
○議長(徳永正利君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#51
○議長(徳永正利君) この際、日程に追加して、
 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件十八件(いずれも第九十四回国会内閣提出、第九十五回国会衆議院送付)を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#52
○議長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長粕谷照美君。
   〔粕谷照美君登壇、拍手〕
#53
○粕谷照美君 ただいま議題となりました公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(鉄道労働組合関係)外十七件につきまして、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 各件は、公共企業体等労働関係法に基づき、三公社五現業の職員の基準内賃金を、昭和五十六年四月一日以降、基準内賃金の三・八一%相当額に二千八百八十円を加えた額の原資をもって引き上げること等を内容とする本年五月十六日の仲裁裁定の実施について、国会の議決を求めるものであります。
 委員会におきましては、採決の結果、各件はいずれも全会一致をもって公共企業体等労働委員会の裁定のとおり実施することを承認すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
#54
○議長(徳永正利君) これより十八件を一括して採決いたします。
 委員長の報告は、いずれも公共企業体等労働委員会の裁定のとおり実施することを承認すべきものとすることであります。
 十八件はいずれも委員長報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#55
○議長(徳永正利君) 総員起立と認めます。
 よって、十八件は全会一致をもって委員長報告のとおり議決されました。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後六時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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