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1981/11/20 第95回国会 参議院 参議院会議録情報 第095回国会 本会議 第11号
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1981/11/20 第95回国会 参議院

参議院会議録情報 第095回国会 本会議 第11号

#1
第095回国会 本会議 第11号
昭和五十六年十一月二十日(金曜日)
   午前十時二分開議
#2
○議事日程 第十号
    ―――――――――――――
  昭和五十六年十一月二十日
   午前十時 本会議
    ―――――――――――――
 第一 老人保健法案(趣旨説明)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(徳永正利君) これより会議を開きます。
 日程第一 老人保健法案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。村山厚生大臣。
   〔国務大臣村山達雄君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(村山達雄君) 老人保健法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 現在、わが国は諸外国に例を見ない速さで人口の高齢化が進んでおります。このような本格的な高齢化社会の到来に対応し、人間尊重の精神を堅持し、社会的公正を確保しつつ、効率的に機能し得る社会保障制度の確立と既存制度の見直しが喫緊の課題となっております。
 わが国の老人保健医療対策は、昭和四十八年以来、医療保険制度及び老人福祉法による老人医療費公費負担制度を柱として推進されてまいりましたが、その後年々老人医療費は増高を続け、一方、対策が全体として医療費の保障に偏り、予防から機能訓練に至る保健サービスの一貫性に欠けていること、医療保険各制度間、特に被用者保険と国民健康保険の間に老人の加入率の差により老人医療費の負担に著しい不均衡があるなどの問題が指摘されるに至り、制度の基本的見直しについての要請が高まってまいりました。
 政府といたしましては、このような要請にこたえて、長期的な展望に立って制度の基本的なあり方について数年にわたり鋭意検討を続けてまいりましたが、このたび疾病の予防や健康づくりを含む総合的な老人保健対策を推進するための制度を新たに創設することとし、この法律案をさきの第九十四回国会に提出し、今国会において引き続き御審議を煩わすこととした次第であります。
 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一は、この法律の目的及び基本的理念であります。まず、この法律は、国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため、疾病の予防、治療、機能訓練等の保健事業を総合的に実施し、国民保健の向上と老人福祉の増進を図ることを目的とするものであります。また、国民は自助と連帯の精神に基づき、みずから健康の保持増進に努めるとともに、老人の医療費を公平に負担すること、年齢、心身の状況等に応じ、適切な保健サービスを受ける機会を与えられることを基本的理念としております。
 第二に、老人保健審議会でありますが、この審議会は、保健事業の関係者及び老人保健に関する学識経験者二十名以内をもって構成し、老人保健に関する重要事項について調査審議していただくこととしております。
 これにつきましては、衆議院における修正により、老人保健審議会は保険者の拠出金等に関する事項を調査審議することとされております。
 第三に、保健事業につきましては、市町村が健康手帳の交付、健康教育、健康相談、健康診査、医療、機能訓練、訪問指導等の各種保健事業を総合的に一体的に行うこととしております。このうち医療については、七十歳以上を対象としておりますが、医療以外の保健事業は、壮年期からの健康管理が老後の健康保持のためにきわめて重要でありますので、四十歳以上の者を対象として行うこととしております。医療についての診療方針及び診療報酬は老人の心身の特性等を考慮し老人保健審議会の意見を聞いて定めることとしております。また、老人の方々に健康についての自覚と適切な受診をお願いするため、医療を受ける際、外来の場合一月五百円、入院の場合四カ月間を限度として一日三百円の一部負担をしていただくこととしております。
 保健事業につきましては、衆議院における修正により、医療の対象者に六十五歳以上七十歳未満の者であって政令で定める程度の障害の状態にあるものを加えることとされております。また、医療についての診療方針及び診療報酬は中央社会保険医療協議会に諮って定めること、老人保健取扱機関の規定を削除し、医療は健康保険法及び国民健康保険法の保険医療機関等が取り扱うこととすること、一部負担は外来の場合一月四百円、入院の場合二カ月間を限度として一日三百円とすること等の修正がなされたところであります。
 第四は、保健事業に要する費用であります。保健事業のうち医療以外の保健事業については、国、都道府県及び市町村がそれぞれ三分の一ずつを負担することとしております。なお、その対象となった者から費用の一部を徴収することができることとしております。医療に要する費用につきましては、国が二割、都道府県及び市町村がおのおの五%を負担するほか、医療保険各法の保険者が七割を拠出することとしております。保険者の拠出金の額は、当該保険者の七十歳以上の加入者に係る医療費の額と当該保険者の加入者の総数を基準として案分し、保険者間の負担の均衡を図ることとしております。なお、現在、医療保険各法により療養の給付費について国庫補助を受けている保険者に対しては拠出金の一部についてその補助率を基準として国庫補助を行うこととしております。
 なお、衆議院において、保険者の拠出金に係る医療費の額と加入者数による案分率は二分の一と法定する等の修正がなされたところであります。
 第五に、保険者から拠出金を徴収し、市町村に対し交付する業務は、社会保険診療報酬支払基金が行います。
 第六に、関係法律の改正であります。この法律の施行に伴い、老人福祉法の一部を改正して、老人医療費の支給に関する規定等を整理するほか、医療保険各法においては、七十歳以上の加入者について療養の給付等を行わないこととする等の改正を行うこととしております。
 最後に、この法律の施行期日でありますが、老人保健審議会に関する規定は公布の日から三月を、保健事業の実施等に関する規定は諸般の準備が必要でありますので公布の日から一年六月を、それぞれ超えない範囲内で政令で定める日とし、できる限り速やかに施行することとしております。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(徳永正利君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。丸谷金保君。
   〔丸谷金保君登壇、拍手〕
#6
○丸谷金保君 私は、日本社会党を代表して、ただいま上程されました老人保健法案につきまして、総理並びに各大臣に御質問申し上げます。
 まず最初に、総理に御要望いたします。これは要望です。
 いま厚生大臣は、あらかじめ配られた趣旨説明のとおりに、間違いなく朗読してくださいました。ところが、本院規則百三条によりますと、「会議においては、文書を朗読することができない。但し、引証又は報告のためにする簡単な文書は、この限りでない。」というのがあります。しかし、規則はこうなっておりますけれども、なかなかこれは守りにくいと思います。私も原稿は持ってきておりますが、頼らないで、できるだけ私自身の生の言葉で質問したいと思いますので、総理もひとつできるだけ、お国なまりが入った方がなお結構だと思いますので、総理自身の言葉でひとつ、印刷はしてないのですから、御答弁願えれば幸いだと思います。
 さて、今回の老人保健法案で特に問題となりますところは、患者の一部負担が先行して、抜本的な改正がどうも薄れているという点にあるわけでございます。
 臨調は、点数出来高払いあるいは乱診乱療をどうするかということをその答申の中でうたっておりますが、しかし、いま出されております法案によりますと、どうもその影が薄れております。当初は、老人保健審議会、これに諮るという新設の機構がございましたが、いつの間にか中医協にその場が移されてしまいました。中医協というのは、もともと従来の点数制度、こういうものを扱う機関でございますし、特に医師会の発言がなかなか強いところです。ここに論議が移されたことで、世間では、もはや支払い制度は聖域に移ったと、こういう声さえも聞こえてきます。
 どうかひとつ総理並びに厚生大臣、この点については十分御留意をいただいて、特に厚生大臣に申し上げますが、かりそめにも中医協に白紙で答申を任せるような、こんなばかなことはしないで、あらかじめ政府としてきちんとした姿勢を持って諮問することをお願いをいたしたいと思います。――原稿はこんなにたくさんありますので、めくりませんから。
 実は、十三兆円にも上る医療費、五年間で二十六兆円、倍増すると言われております。なおかつ、そのうちで老人医療費は二兆五千億円、全体の約二〇%、そうして、いま厚生大臣が説明されたように、老齢化社会が進めば進むほどこれらが大きく財政を圧迫することになるのは当然でございます。わが党は、これに対し、登録人頭払い方式あるいは総額請負方式、それが直ちにできない場合でも、件数定額、日数定額制等の支払い方式の改善を提言しております。大蔵大臣、いまの支払い方式を改正しないで、増大する財政負担にいつもの調子で任せておけというふうな御答弁ができるはずはないと思いますが、その点、しっかり財政当局としての見解を明らかにしていただきたいと思う次第でございます。さらに、この点については、総理並びに厚生大臣の見解もお伺いいたしたいと思います。
 また、第二の問題点は、予防、治療、リハビリ等の一貫した壮年時代からの対策をうたっておりますし、特に、四十歳定期診断というようなことが制度化されようとしております。しかしこれも、いまの乱診乱療の営利行為の中で果たしてうまくいくでしょうか。「要注意」というたった文字を三つ入れただけで、健康だと思われるそれらの健診者も検査に回らされます。検査を一通りすれば、厚生大臣おわかりのように、十万円以上はかかるんです。これはお医者さんは大変喜びますが、果たして財政圧迫、こういうことにつながらないかどうか、厚生大臣の所感を伺いたいと思います。
 もともと私は、この法案は、そうした幾つかの問題を避けて通るということにおいて、どうも絵そらごとになるのじゃないかなという感じを持っているのでございます。老人保健の基本的な姿勢としては、何といっても地域ぐるみの体制をつくること、そしてお金だけでなくて、むしろ社会福祉政策としての基本理念をきちっととらえるところから出発しなければならないはずでございます。その意味で、わが党は、患者の一部負担の導入には断固として反対を表明する次第でございます。
 大体、いまの法案で、果たして自治大臣が言われているように、まずリハビリ等を保健婦その他を増員して市町村に任せ、市町村で目の届かないところ、これはもちろん無医村等もありますから、こういうところは保健所を中心にしてやっていくということを衆議院で御答弁しておりますが、しかし、市町村やあるいは保健所で賄い切れない問題については、どうしたって民間に委託をしなければならないことになるのでないか。
 たとえば、これから五カ年間で保健婦を、国は八百五十人の増員計画を立てております。それからまた市町村で二千百五十人、合わせて三千人の増員計画で、この法律の裏をきちっとフォローしていくという体制をとろうとしておりますが、私は小さな町の町長をやっていましたからよくわかりますけれども、現在でも保健婦のいない町村は、全国に五百もあるんです。(「そんなにない」と呼ぶ者あり)あるよ、勉強しなさい。一人しかいない町村が千ほどあるんです。そして、これは入れようとしても、どうしても有資格者が田舎には少ないのです。こういう問題をきちんと解決しないで、簡単に民間委託して、どうして市町村や保健所に任せてうまくやっていくのだというふうなことが言えましょうか。この保健法案が絵そらごとに終わるのではないかというのは、そういう点にあります。自治大臣の御答弁を要求いたします。
 それから、私たちがやはりここで考えなければならぬのは、総理のおひざ元の岩手県の沢内村の例でございますが、ここの地域医療がうまくいっているのは、何といっても公的病院、地域ぐるみ医療体制が確立しているからだと言われております。総理はそのことはよく御存じだろうと思います。そして、ここで私は特に申し上げたいのは、沢内村の村長は、今回の老人医療の一部負担導入、有料化には、首をかけて反対すると言っているのです。しかもこの沢内村は、自治法施行三十周年記念のときに、地域医療、保健行政が非常にうまくいってるといって、自治大臣から表彰を受けているのです。ですから、一般財源の持ち出しその他、非常に苦労しているこういう町村、ほかにもあると思います。うまくいっているこれらの町村に対して、決して自治省がこの法案に関連して圧力をかけないということを、この場所で明言していただきたい。
 そして、特にここの院長さんが大変いいことを言っております。老人には、注射や薬をたくさん与えることより、じっくり話を聞きながら、食事や生活様式を指導する方が大事だということを言っているのです、食事。
 農林大臣にお伺いいたします。いま食べ物の問題について、乱診乱療と同じように、農薬やあるいは抗生物質を使った農産物、畜産物が出回っております。これらはやはり厚生行政における薬づけ――自分の会社の薬は飲まないというようなニュースもあります。自分のところでつくった野菜には農薬をかけないんだというような農家もある。こういうことに対し、たとえば病院給食その他についても、お年寄りの食の問題についても、食は医なりという原点に立って、農林大臣、お考えをお聞かせいただきたい、かように思う次第でございます。
 最後に、いまの医療体制というのは、薬を中心にした治療本位です。予防をうたってこの法案が出てきておりながら、東洋医学あるいは、はりとかおきゅうに対する措置、これらもお年寄りには大変大事な医療の方針ですが、それらが冷遇されたままで見直されないというのは、一体どういうととでしょう。厚生大臣の所見を伺いたいと思います。
 そういうことがあるから、私はお医者さんもある意味で被害者だと思います。いまの制度の中では、やっぱりお医者さんは薬をたくさん売らなければ収入が入らないのです。こういう制度をそのままにしておいて、お医者さんだけけしからぬと言うことにも当たらない面がありまして、この点では、そういう良心的なまじめなお医者さんの立場に立っても、いまの医療制度をそのままにして、支払い方式、これらにメスを入れない政府の医療行政に大きな欠陥があることを指摘し、これらについての総理の御答弁をお願いし、降壇いたします。(拍手)
   〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
 最初に、丸谷さんから国会の質疑応答についての御意見、また御要望、御見解が述べられました。丸谷さんのおっしゃるように、国会の質疑応答は、率直に意見を述べ合い、方針を明確に国民の皆さんにもわかるようにお話をする、そういうところにございますことは、私も全く同感でございます。したがいまして、予算委員会あるいは現在行われております行革の特別委員会その他の委員会におきましても、私は一問一答の形で、各党の御質問の方々に対して率直に意見を申し述べておりますことは御承知のとおりでございます。
 本会議におきましては大変時間の制約もございます。そして、本会議におきましては、質問者の方々も基本的な方針を御質問になる場合があり、また各省にまたがる問題を御質問になる場合が多いわけでございまして、政府全体の行政を見ております責任者といたしまして、各省庁のいままでのその問題に対する経過なり資料なり、そういうものは十分私も目を通しまして、そして自分の考えでまとめたものを効率的に本会議で御答弁を申し上げておる、責任を持って申し上げておるということでございますから、この点は御理解をいただきたい、こう思うわけでございます。
 それから、ただいま丸谷さんから老人保健制度の創設につきまして、国民健康保険の運営に御苦労をなさっております地方自治体の皆さんの御意見も伺っておるのでありますが、何とか早くこの法案の成立を図ってもらいたい、こういう御要望が一方においてございます。それから、予防から治療、リハビリテーションの一貫した保健事業を実施するように、また、老人医療費の負担の公平を図るような制度を新たに創設すべきである、こういうような御要望を踏まえまして今回政府が御提案を申し上げておるわけでありまして、どうか早期成立につきまして御協力をお願い申し上げたいと存じます。
 それから、わが国の医療制度は、自由開業医制度のもとにおきまして、民間の努力と活力を大いに生かしておるわけでございまして、医療の上で相当の成果をおさめ、また、それが中心になってわが国の医療が推進されておるわけであります。しかし私は、この民間医療と公的医療機関とのそれぞれの特性、特色、機能というものを十分に発揮してもらいまして、これらの民間医療機関と公的医療機関の相互の連携によりまして、国民医療が十分確保されるように、このように今後政府としても指導してまいりたい、努力をしてまいりたい、このように考えております。
 また、医療費の適正化を図るために、老人保健制度においても、医療保険制度と歩調を合わせて、医療機関に対する指導監督を強化する等積極的に今後取り組んでまいりまして、医療費のむだをなくし、また国民の皆さんの御負担を軽減するように努力していきたい、このように考えております。
 なお、残余の問題につきましてはそれぞれの担当大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣村山達雄君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(村山達雄君) いま、大綱につきましては総理からお答えがありましたので、私は、丸谷議員の、主として診療報酬の支払い方式、それから衆議院でもって、今度中医協でそれを検討することになったから危ないのじゃないか、こういうお話でございます。
 これは衆議院の社労で附帯決議がついておりまして、老人の特性を生かした診療体系をつくるようにと、こういう附帯決議をちょうだいしております。そしてまた、その支払い方式の見直しにつきましては、検討いたしますということを政府も約束いたしているわけでございますので、中医協において審議を受ける場合でも、支払い方式の見直しを含めて、そしてこの衆議院の附帯事項、老人に本当にふさわしいのはどういうことであるか、こういうことを検討したいと思っております。
 それで、もう言うまでもありません、現在の出来高払い、現物給付というのには、非常にメリットとデメリットがあることは御承知のとおりでございまして、一般の良心的なお医者さんから見ますれば、自分が本当にマン・ツー・マンで最良と思う治療をやれるのでございまして、これは非常にすぐれた制度であろうと思います。そうしてまた、日本で病院、診療所を含むいわゆる自由開業医体制というものは、われわれ診療の機会を非常によく与えてもらっておる、この特色はわれわれ否定できないと思うのでございます。
 したがって、その特色は今後とも生かしてまいりたいと思っているのでございますが、一方におきまして、やはり一部の人で検査づけ、薬づけ等の問題がございます。これは臨調から答申をいただいておりますので、その点につきましては、われわれは指導、監査あるいは審査、こういったものをやり、また、そういうことがわかりました場合には、厳重なる処断をするつもりでございます。しかし、それとは別に、支払い方式の見直し自体もいろいろ問題になっておりますので、中医協には諮ってまいりたい、かように考えているところでございます。
 それから第二番目の、営利を目的とした医療体制ではヘルスの関係ができないのじゃないか、一貫した保健事業ができないのじゃないかという御疑問でございますが、実は私はそうは考えていないのでございまして、これは実施主体が市町村になっておるわけでございます。市町村が実施主体でございますけれども、これはもちろん医療機関、そういったものの協力を得て実施するわけでございます。特にヘルスの問題となりますと、何といっても保健婦の充実、あるいはOT、PT等の充実が、これがもうマンパワーの問題では中心的な問題であろうと思います。まだ、保健所の施設の整備、これも大切でございます。私たちは年次計画をもちまして、およそ五年間で基盤整備を確立し、それからおよそ五年たったら、との法律でうたっておりますようなことが全国でできるような計画をいま立てておるところでございます。
 それから第三番目に、どうも最近の医学は西洋医学中心じゃないか、もっと東洋医学あるいは、はり、きゅう、こういったものに目を向けるべきじゃないか、こういうお話でございます。
 医薬につきましては、すでにいま漢方薬がかなり出ております。たしか、もう薬価基準に収載されましたのも約六百を超えていると思います。また、それを製造している会社も八十社ぐらいございますし、医療薬として用いられている会社も二十五社ぐらいあると思っております。
 はり、きゅうの問題につきましては、これは医者の指示のもとでいま保険になっているわけでございます。しかし、ようやくこの方面も学界でいま見直されつつありますので、私たちはこの問題をやはり学界の意見を聞きながら、さらに研究を深め、そして医療に役立つようにさせたいものだと、かように考えているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私に質問通告があったのと質問がちょっと違ったものですから、的確なお答えができるかどうかわかりませんが、支払い方式について、現在の出来高払いで財政当局はうまくいくのかということでございます。
 支払い方式については、いまの日本のような出来高払い、ドイツも大体同じ、フランスは出来高払いですが、償還払いで、その中で八割、あとは自分で払えというのもありますし、いまおっしゃった総額請負制あるいは人頭登録制、これはイギリスのようなところですね。これはみんな実は一長一短がございます。人頭払い登録制ということだと、医者にかかってもかからなくてもお医者さんの収入は差し上げます、そうなると非常に親切な医者と、そうでなくてゴルフ場ばかり行っちゃうのとできるかもわからない。これも問題点が一つございます。逆に出来高払いだというと、親切が過ぎちゃって乱診乱療になるということも、これもございます。出来高払いの中で要するに総額請負、こういうのはかなり現実的な案で、ドイツなんか大体それに近い案でございます。したがって、これはまあ理想的なものとも言えませんが、私は一つのりっぱな考え方だと思います。
 しかしながら、なかなかまとめていかなければならないという問題もあるものですから、現在の出来高払い制を踏襲しながら、中で余りインチキなどないように、不親切にならないように、そのためには、一つは何といっても、これはもう医療の問題は医の倫理の話でございますから、医者の良心、これが私は何が何だと言ったら一番大事だというふうに考えます。
 それから、あとはやはりお互いにそういうことをしないように、医師会の中で変な人は、それは医師会の中で指摘をしてお互いに戒め合う。これはもうすでに東京などでは、一部そういうふうな傾向が非常に強く出てきておる。これは私はいいことじゃないか、そう思っておりますが、それでも聞かない者がございますから、総理の御答弁のように、指導、監査の徹底というものはもう少しやらなければならないと私は思います。万に二つの監査なんというのは、万の医療機関に二つとか三つ、これが実態ですから、こんなことではとても私はだめだろう。したがって、これは本当に監査にぶつかれば絶対いろいろな問題が出る。しかし、ぶつかっても万に三つとかという話ですから、これはやはり私はもう少し徹底をさせるということは必要だろう、社会正義の上からも必要だと、そう思っておるわけであります。そういう形で、この法案も強化することがつくられておるわけでございます。
 もちろん、一部負担の問題については、いろいろ御議論のあるところでございますが、これも全部ただということは、いいかもしらぬけれども、ありがたみがないことも事実でございまして、結局、医者の使い捨てみたいなことになって、あっちこっちのお医者さんをぐるぐる歩いちゃうとか、現実にそういう問題が存在することも事実でございますから、そうすると医者の方も患者に対して、尊敬しない、使い捨てられるというふうなことですから、金もうけの材料にしかねない。こういう問題等もあって、私はやはり患者が医者を尊敬するということでもなければならぬ。だから、財政の問題だけでなく、そういう意味でも多少のものの負担というのは私は必要である、そう考えておるのです。神様、仏様を拝んでも、おさい銭も上げることでもございますから、これは医療の問題というのは、やっぱり医師と患者の信頼関係というものも非常に私は大切だ、そう思っておるわけであります。
 そういうような意味においても、非常に金額が大きいという問題なら別でございますが、非常に軽少な金額で、しかも相互に信頼関係ができるということにおいても、一部負担というごとはただよりもよろしいというふうに私は考えておるわけでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣安孫子藤吉君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(安孫子藤吉君) 保健婦の充実に関してのお尋ねでございますが、この問題は、厚生省当局と十分に協議をいたしまして、その方策をつくっていかなければならぬと思っております。
 ただ、保健事業という問題があるわけでございます。保健婦を含めまして保健事業というものをどうしていくかという問題でございます。市町村の実情から申しますと、これはなかなか一挙にいかない問題でございます。各市町村の実情もあります。また、財政の事情もございます。したがって、これは漸進的にやっていかなくてはならぬ、こういう考え方で自治省としては考えておるわけでございます。
 いわんや、人員の増につきまして、現下の諸情勢から地方公務員の職員数は多いじゃないか、なるべく減らすべきだ、こういうような議論があるわけでございます。これもそのとおりだろうと思いますが、そういう環境の中におきまして、人員増というものは保健事業に伴いましてあり得るわけでございます。この点についてどうするか、この点について慎重な配慮をしていかなければならぬ、こう考えておるところでございます。
 第二点の自治体の単独事業についてのお尋ねになりますが、この単独事業について圧力をかけちゃいかぬのじゃないか、こういうお尋ねでございますが、圧力をかける考えはございませんが、地方団体の責任者は、単独事業を行うに当たりまして、地域の実情、施策の動向、将来にわたる財政負担の問題、また国の施策の方向、こういうものを十分に総合的に勘案して慎重に措置してもらわなければならぬ、こういう考え方をいたしておるのでございます。圧力を加えるという考えはございません。(拍手)
   〔国務大臣亀岡高夫君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(亀岡高夫君) お答えいたします。
 安全な食糧を安定的に国民に供給して、国民の健康を増進するということは、大変大事なことでありまして、健康保険財政を健全ならしめる上からも忘れてはならないことであろうと思います。
 農林水産省におきましても、したがいまして、農薬の残留規制あるいは使用規制を厳重に行っておりまして、この点について、有害になるようなことは絶対に避けるという立場で行政を指導しております。また、家畜のえさでございますが、いま混合えさを使っておるわけでありますが、このえさを調合する際の基準等も厳密にいたしまして、そうして害のないように、これまたきちんと規制をいたしておるところでございます。特に動物用医薬品の使用の適正化につきましては、これはもう十分配慮をいたしておるところでございます。特に、JAS制度を設けまして、この制度を運用いたしまして加工食品の安全性の確保に努めていることは、丸谷議員御承知のとおりでございます。このような施策を講じまして食品の安全の確保に努めており、今後も一層の努力をしてまいりたいと思います。
 同時に、この食糧がやはり健康を維持するために最も大事なことは先ほど申し上げたところでありますが、特にわが国の食生活は、米、野菜、魚を中心とした伝統的パターン、それに肉や牛乳、乳製品、油脂、果物等が豊富に加わったきわめて多様化したものとなっておるわけでありまして、このような食生活は最近日本型食生活とも言われておりまして、平均的にたん白質、脂肪、炭水化物の三要素が非常に均斉、バランスのとれた形で摂取をされておるということが、国際的にも最近広く認められてきておるわけであります。
 したがって、食生活は、基本的にはもちろん個人の自由な選択の領域ではありますけれども、国民の健康の保持の観点から、また総合的な食糧自給力の維持の観点から、両面からわが国の風土に適した米を中心とする日本型食生活のよさを再評価してこれを定着させる、この上に立って日本国民の強健なる健康と身体がつくられて、そうして長命国で、年をとっても働けるということで、私はこの食生活に対して十分配慮をしていかなければならないという立場で食糧行政を指導いたしておるところであります。(拍手)
#12
○議長(徳永正利君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時五十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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