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1981/10/29 第95回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第095回国会 石炭対策特別委員会 第3号
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1981/10/29 第95回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第095回国会 石炭対策特別委員会 第3号

#1
第095回国会 石炭対策特別委員会 第3号
昭和五十六年十月二十九日(木曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 森中 守義君
   理事 愛野興一郎君 理事 三原 朝雄君
   理事 渡辺 省一君 理事 岡田 利春君
   理事 中西 積介君 理事 田中 昭二君
   理事 小渕 正義君
      麻生 太郎君    太田 誠一君
      北口  博君    北村 義和君
      久間 章生君    古賀  誠君
      塚田 庄平君    八木  昇君
      鍛冶  清君    稲富 稜人君
      小沢 和秋君    伊藤 公介君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  田中 六助君
 出席政府委員
        通商産業省立地
        公害局長    神谷 和男君
        資源エネルギー
        庁石炭部長   福川 伸次君
        中小企業庁次長 木下 博生君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局捜
        査第一課長   仁平 圀雄君
        通商産業大臣官
        房参事官    檜山 博昭君
        労働大臣官房審
        議官      倉橋 義定君
        自治省財政局財
        政課長     持永 堯民君
        会計検査院事務
        総局第四局上席
        調査官     大西  実君
        商工委員会調査
        室長      中西 申一君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月二十七日
 辞任         補欠選任
  伊藤 公介君     石原健太郎君
同月二十九日
 辞任         補欠選任
  石原健太郎君     伊藤 公介君
同日
 辞任         補欠選任
  伊藤 公介君     石原健太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 石炭対策に関する件(北炭夕張炭鉱株式会社夕
 張新炭鉱ガス突出災害)
 派遣委員からの報告聴取
     ――――◇―――――
#2
○森中委員長 これより会議を開きます。
 石炭対策に関する件について調査を進めます。
 本日は、前回に引き続き、北炭夕張炭鉱株式会社夕張新炭鉱ガス突出災害について調査を進めてまいります。
 まず、去る二十二日及び二十三日の両日、現地の実情を調査してまいりました派遣委員から報告を聴取いたします。岡田利春君。
#3
○岡田(利)委員 北炭夕張炭鉱株式会社のガス突出災害の実情調査につきまして、便宜私から御報告を申し上げます。
 派遣委員は、森中守義委員長を団長として、愛野興一郎君、田中昭二君、小渕正義君、北村義和君、小沢和秋君、伊藤公介君に私、岡田利春の八名であり、他に渡辺省一君、池端清一君が現地参加されました。
 日程は十月二十二日から二十三日までの二日間であり、二十二日は、札幌通商産業局、札幌鉱山保安監督局及び北海道労働基準局から、災害の概況等について説明を聴取し、翌二十三日は、夕張新炭鉱に参り、負傷者の見舞い、鉱務監督官及び救護隊員の激励、炭鉱繰込所及び集中監視装置室を視察した後、夕張市民研修センターにおいて遺族に弔意を表し、その後、同センターにおいて、会社、労働組合、夕張市から、それぞれ説明及び要望等を聴取してまいりました。
 まず、災害の概要について申し上げます。
 災害は十月十六日午後零時四十一分ごろ発生したもので、災害の種類はガス突出であります。発生個所はマイナス八百十メートルレベルの北部区域、北第五盤下坑道または同上部坑道付近と推定されておりますが、なお調査中であります。
 発見の端緒は、坑外集中監視室のガス自動警報器の異常値により察知されたもので、同鉱では、同四十五分ごろ、坑内に退避命令を発するとともに、救護隊を招集し、救出作業に当たった結果、当時一番方で北部方面に配番となっていた百六十名中、六十八名が自力で脱出し、九名が負傷救出、三十四名の死亡が確認されたのであります。その後、同日の午後十時三十分ごろ、北部人気斜坑方面から火災が発生し、煙が充満したため、全員の退避命令を発したのでありますが、このとき残念ながら救護隊と応援の係員十名が行方不明となり、また、災害後北第五盤下右向き坑道のビニールハウス内に退避し救出を待っていた約十五名からの交信も絶え、二次災害の発生となったのであります。この結果、今次災害による罹災者は死亡三十四名、負傷者九名、坑内残存者が救護隊員十名を含め五十九名に達するという、大惨事となったのであります。
 救護活動は、幌内、真谷地、空知からの応援も得て引き続き行われましたが、坑内状況は好転せず、十八日にはエアバッグにより人気側の二カ所の通気遮断が行われました。しかし、坑内のメタン、COガスの濃度は低下せず、火災による高温状態も続き、救出活動ができず、また災害拡大のおそれも生じてきたため、ついに二十一日、注水により鎮静化を図ることが決断され、坑内残存者の家族全員の同意を得て、私どもが現地入りしていた二十三日午後一時三十分、注水が開始されました。まことに痛哭のきわみであります。
 次に、当鉱の概要でありますが、御承知のとおり、当鉱は、昨年八月の坑内火災事故以後、一段と悪化した経理状況の打開を図るため、石炭鉱業審議会経理審査小委員会に対し再建整備計画の変更を求めておりましたが、本年三月二十日、計画の変更が認められ、以来、変更計画により再建途上にあったのであります。本年八月末現在の従業員は請負を含め合計二千八百六十九名であり、本年度の出炭計画では、日産三千九百十トン、年産百十六万トンとなっておりますが、上期において計画に比べ七万六千トンの減少となったため、新再建計画の達成について、保安の確保を図りつつ、一層努力するよう望まれていたところであります。
 次に、労働組合、地元関係者からの要望事項でありますが、全罹災者の早期収容、災害原因の究明、災害復旧及び従業員の生活対策のための資金確保、閉山・縮小等の最悪事態を回避するための施策の実施、保安対策及び監督指導体制の強化、地元中小企業者及び市財政に対する資金援助等について、特段の配慮を願いたいというものであります。
 最後に、調査の結果の私どもの所感について申し上げます。
 第一に、今次災害の原因究明につきましては、政府の技術調査団等により徹底的な究明を行って、この責任の所在を明確にする必要がありますが、その際、次の点についても解明すべきであると思われます。
 それは、当鉱の災害率を見ると、五十五年の全国平均一四八に対して約二倍の災害率となっており、本年に入り、保安確保に努力した結果、ようやく九月に二一九と、徐々に減少する傾向になったとはいえ、依然として高い数値であり、会社の保安体制に問題なしとしないのであります。さらに、私どもの事情聴取に対し、林社長は、出炭計画が予定どおり達成できない現状から、北部地域への展開を急ぎ、早急に安定生産体制に入りたいという、経営上の気持ちの焦りがあったと言明しておりますし、また、二次災害を起こした際、救護隊の応援に入った五名の職員は素面であったという、通常考えられない事態も生じております。したがいまして、原因究明に当たっては、直接的な災害原因の解明だけではなく、会社の保安に対する考え方と具体策、日常の保安教育と、緊急時の対応策など幅広く、保安体制全般について調査解明することが必要であると思われます。
 第二は、遺家族の援護対策についてであります。
 今回の災害では、死亡または坑内残存者九十三名中、請負が三十五名という多数となっております。したがいまして、請負に対する補償措置について、直轄と同じ扱いで、万全の措置が講ぜられるよう強く要請しておきたいと思います。また、坑内には五十九名の残存者がおります。労災等の対応に若干の時日を要することも考えられますので、この間、家族の生活に心配のないよう適切な措置を講ぜられたいと思います。さらに、今後、長期にわたり遺家族が安定した生活を送ることができるよう、相談、援護等の措置について万全を期するよう強く政府に要請したいと思います。
 第三は、夕張新炭鉱の今後の再建問題についてであります。
 再建計画の変更を認めた三月の石炭鉱業審議会経理審査小委員会において、「北炭に対する支援措置は、異例中の異例の措置であり、もはやこれ以上の支援はあり得ないことを肝に銘じ、労使一体となって再建に取り組まねばならない。」と指摘しているように、厳しい状況の中に置かれ、とりわけ夕張新炭鉱は再建の中核として注目されていたのであります。したがいまして、経理内容は全く余裕のないものであり、災害に伴う諸出費が今後の経理内容を一層悪化させることは明らかであります。関係者が一様にこの点を心配するのは当然のことと思います。しかしながら、夕張新炭鉱が地域経済に占める重要性、地元関係者の再建への熱意、さらには、わが国のエネルギー事情と、当鉱が最も新しく開発された良質な石炭を埋蔵する山であること、これまでに投入された資金との関係等々を考え合わせますと、多くの困難な問題はあるといたしましても、再建のための諸条件を整備することが必要であると思うのであります。もとより、現状は事故対策を第一義的に進めるべきであることは言うまでもありませんが、当委員会を初め関係各機関において、早急に再建のための諸対策を検討するよう強く要請したいと思います。
 なお、今回の現地調査は、参議院の商工委員会及びエネルギー対策特別委員会と現地において同一行動により行われたことを申し添えておきます。
 以上で御報告を終わります。
    ―――――――――――――
#4
○森中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺省一君。
#5
○渡辺(省)委員 先般、衆参両議院が夕張炭鉱に調査団を派遣するということで、地元関係者は、不安を持ちながらも、その調査結果その他に対して、ぜひわれわれの要望を聞いていただきたいという声が日に日に高まっているわけであります。
 そこで、実は、われわれ最初、夕張新炭鉱の事故については、夕張の中で、地域問題やエネルギー問題やその他の面から、ぜひここにしぼって再建すればいい、主として不安は夕張市の中にある、そういう判断から努力をしてきたわけでございます。ところが最近、北炭グループといいますか、幌内炭鉱は三笠市、ここは人口約二万五千人弱あるわけですけれども、それから歌志内市、これは人口一万、ここに歌志内炭鉱があるわけです。そういう自治体が、この夕張新鉱の帰趨いかんによっては、われわれとしても何らかの責めを受けざるを得ないという心配、不安が最近はだんだん拡散をされておる、こういうことでございますので、最近の新聞報道等の中、あるいは衆議院よりも先に参議院が調査の結果を踏まえていろいろ質疑をしましたこういう中で、報道によりますと、検討していただきたいことと検討していただくという問題がいかにも決定したかのごとく、非常に理解がまちまちでございます。あえて混乱とは申し上げませんが、そういうことで不安が増幅されているという面が少しくあるような感じを率直に受けて、われわれにも電話の照会やら考え方の問い合わせがずいぶんあるわけでございますから、そういう意味で、衆議院の石特は、できるものはできる、できないものはできない、めどはどうあるかというような、責任あることを明確にしてあげることが当面必要でないかなという感じを率直に持っております。
 そこで、質問の第一点でございますが、衆議院の調査団が行きまして、ちょうど注水の時期にかかったわけでございますが、その後第二回目の注水を行って、情勢が具体的にどういうふうに変化したかということが一つ。
 それから、この注水の結果によりまして、会社側の希望的な、注水の経過、注水量、それから今後揚水をしてどういうふうな展望に立っておるかというようなことも、われわれ手元に資料として一応いただいたわけでございますが、そういうことについて、通産当局として、それらの問題は、今後の情勢変化はもちろんありますけれども、当面どういう考え方で対処しているかということをひとつお伺いしたいと思います。
#6
○檜山説明員 お答えいたします。
 ただいまの御質問の注水作業の進捗状況でございますが、御承知のように昨日十一時十五分に当初予定量、これはレベルで申しますとマイナス七百五十七レベルでございますが、水量で申しますと二万三千四百立方メーター、この当初予定量に達しましたので、一応現在は注水を中止しております。そして、現在鎮火の確認のための観測を行っているところでございます。
 それで、ガスの状況でございますが、きのうからけさにかけましてガスの状況というのは非常におさまっておりまして、一酸化炭素の濃度、これはトレースでございます。ほとんどついていない。これは北部排気斜坑のところで観測しておりますが、そのガス状況、それからメタンも〇・三%というようなぐあいで推移しておりまして、いまのところガスの状況は非常にいいのじゃないかというふうに考えております。
 これからの予定を若干申し上げますと、もしこういう状況でありますならば、これからきょうじゅうに鎮火の確認といいますか、あるいは注水による坑道の損傷、そういった点の確認のための探検ということができるのじゃないかというふうに考えております。
 以上でございます。
#7
○渡辺(省)委員 もうちょっと具体的に言わなければ答えてもらえないのかどうかわかりませんが、第一次注水、第二次注水、その結果に基づいて、われわれが会社側から、希望もあると思いますが、二月の云々までも展望した考え方ですか、それを資料としていただいたわけです。それは、いまの状態から推測して手順その他はどうかということをちょっとお伺いしたいと思うのです。
#8
○檜山説明員 手順の問題でございますけれども、会社の計画では、鎮火という状況が確認されましたならば揚水、取り明けという作業に入るということで、その辺の時期的な問題ではございますけれども、これはまだ確認がされていませんので、された段階でそういう揚水、取り明けという作業に入る。その期間としましては、会社側は一応四カ月ぐらいというふうに見通しを持っておりますが、これは実際に、先ほど申し上げましたように、鎮火確認後、坑道の状況というものを十分探検をして、そして傷みぐあいなんかを見て考えなければならない、あるいはその段階である程度の見通しが得られるものと考えており、いまの段階では、会社の計画はそうなっておりますけれども、私どもの方としてはいつまでということはちょっと申し上げられない状況でございます。
#9
○渡辺(省)委員 いままで炭鉱災害もあったわけだし、それから北炭幌内でもそういう事例がございました。多少事情が違うと言えば、坑内状況だとかそれから炭層の条件その他について違いはあります。違いはありますけれども、おおよそいまの展望の中で半年かかるものか、あるいは一年かかるものか、四カ月かかるものか、これが全く見通せないということでは、まさしく不安だけ取り残して答えが出ないということになるんで、この点は実態に作った対策ということになるけれども、まあめどくらいは少しく想定しながら幾つかの対策を立てなければならぬじゃないか。そういう意味で、保安を重視するという一つの大事な要素はありますけれども、それらの展望についてはどうかということを、もし差し支えなければ立地公害局長さんからお伺いしたいと思います。
#10
○神谷政府委員 ただいま参事官から御説明をいたしましたのが正確な状況でございますが、先生のおっしゃるように、水を揚げるのに一体どのくらいのめどで物を考えるのか、それから具体的に遺体を取り上げて遺族のもとにお渡しできるのにどのくらいの単位で物を考えるのか、こういう点につきましては、先ほど参事官も申し上げましたように、揚水に関しては一応週単位で物を考える、三週間とかあるいは逆にもうちょっとそれが切れるか、あるいは延びるか、そういう週単位の考え方で、具体的にまだ水を張ったところまで探検隊が行っておりませんので、坑道のぐあいがどうか、それから水をくみ上げながら、状況を見ながら必要な手当てをして、さらにくみ上げていかねばなりませんので、いま申し上げましたのはあくまでめどでございますが、週単位で考えるような期間であろうというふうに思います。
 それから、遺体の取り上げに関しましては、先ほども会社が四カ月という計画を出しておりますし、それにつきましても、参事官が申し上げましたように、水をくみ上げた後の内部の傷みぐあいその他の状況によって異なってまいりますが、御遺族の方々はやはり会社の計画の四カ月というものを頭に置いて期待されておるということはわれわれも念頭に置きながら、しかし取り明け作業そのものも安全というのが大事でございますので、その点配慮しながら進めてまいりたいと思います。
#11
○渡辺(省)委員 大臣もお見えになりましたので、いまその展望をお伺いしたゆえんのものも、新聞報道もさることながら、いろいろ問題が報道されております。事実でないことが報道されているとは申し上げませんけれども、ある意味では非常に不正確な、あるいは実情がどうあったかというようなことまでも含めた点が、詰められた形で問題が取り上げられておらない面もあるのではないか、こういう感じがするので、そこで私は、政府として一つのめどは、いまの情勢判断との関連でございますが、やはり早い機会に調査団を派遣する、そして問題点は何であるかということの措置をひとつ早い機会にしてもらう。いまの取り明け作業その他の展望の中で、いつの時点にそれが行われるかということが大変大きな要素になると思うのでございますけれども、それはどういう規模のメンバーで、どんなことを問題点にして、いつ調査団を派遣するか、皆さん大変そういう点に関心というか、ぜひ早い機会にという声が高いわけですけれども、この点についてひとつお伺いしたいと思います。
#12
○神谷政府委員 申し上げるまでもなく、今回の災害はきわめて大きな災害でございますし、しかも二次災害を併発いたしておりますので、その原因究明は非常に大事なことでございまして、われわれとしては一刻も早く技術調査団に行っていただきたいと思いますが、御承知のように、これまで救出作業あるいは注水作業等にほとんどのエネルギーが奪われておりますので、まだ捜査あるいは原因究明のための活動というのは十分行われておりません。したがいまして、この段階で調査団が参りましても全く得るところがない、こういうことでございます。ただ、そうかといって逆に、先ほど申し上げましたように、遺体の取り上げが終わりまして内部の現場の確認ができるようになりますのはかなり先になってしまいますので、それまで調査団の派遣を待つというわけにはまいらぬ、こう思っております。
 したがいまして、調査団の派遣の時期につきましては、捜査活動の進展、それから他方、今後は内部探検並びに揚水といった作業になりますが、それらの作業の段取り等を勘案しながら、できるだけ早い時期にやはり一度現地で調べていただいて、最終的にはさらに先のところで現場を見ていただく必要もあろうかと思いますけれども、それまでに集め得るデータ、あるいはそこまでの捜査の進捗によって得られた情報等をもとに、やはりできる限りの知見をまとめていただきたいというふうに考えております。
 具体的にメンバーをどうするかはまだ検討中でございますが、十名内外という、やはり斯界のどなたが見てもこの方ならと言える専門家を中心にして構成をいたしたいというふうに考えております。
 具体的には、それなら一週間後なのか一カ月後なのかという御指摘でございますけれども、一般的に通常の災害でございますと、いままでの例で一カ月後くらいに調査団が行っておられるケースがあるのでございますけれども、今回のケースは、捜査の状況を踏まえながら、いままでの前例等を頭に置いて、余り遅くならないようにいたしたいと思っております。
#13
○渡辺(省)委員 これから大臣にちょっとお伺いしたいのですが、いま慎重な中にも少しスピードを持ってやりたい、そういう意味の答弁があったと私は理解いたしておりますが、この時期がどうなるかによりまして、先ほど申し上げましたように、きょうは時間がなくなりましたから質問できないのですが、中小商工業者の問題や遺族の方々の再就職その他の問題、それから、会社が言明いたしておりますからそのように実施されると思いますけれども、請負関係の社外鉱員と社内鉱員に対する就職あっせん等その他の幾つかの措置、こういうものであるとか、それから、中小商工業がどうにもならないという将来についてかなり展望なしの状況、しかもこれから年末に来てただでさえ大変だというときに、この事故が重なっておるわけですし、それから自治体としても歳入欠の支出増という、大変厳しい状態に置かれております。ですから私は、そういう問題についてきょうはいろいろ御配慮いただくような考え方をひとつお伺いしたいと思いましたが、あとの時間がありませんから、これはひとつしかるべき措置をしていただきたいということで、機会を改めてまたお願い申し上げたいと思います。
 そこで、それとの関連で、これは大臣にお願いを申し上げたい、お伺いしたいのですが、いま早い機会にとおっしゃいましたが、大体いつごろを目途にできるかということの考え方がもし提示していただけるならば、少なくとも政府の意欲的なスケジュールの中の一つとして、その時期等についてもしお考えがあるならば具体的にお答えをいただきたい。
 それからもう一つは、炭鉱の再建問題について、経営刷新や肩がわりというような、かなりショックななにがあってそれも検討するということですが、それはそれで一つの検討課題になってくると思うのですが、私はそういう大前提が消化されなければこれは進まないよということにはちょっとならないのではないかと思うのです。その以前に、当面的なつなぎ融資の問題が現実問題として起こってきているわけでございます。このつなぎ融資は、自助努力もさることながら、国として全体の問題を判断して、これは具体的な考え方を政府にひとつお願いをしたいという声が非常に強く広くなってきているわけでございまして、この点についてひとつ大臣のお考えをお伺いしたい。
 それからもう一つ、それとの関連でございますが、いまこれだけの災害を起こして、まだ行方不明者を坑内に残したまま注水したという大変な問題が残されているわけでございますが、しかし、会社の方からかどうかわかりませんが、新聞報道等では、北部と西部とではおのずから技術的にも少しく異なった対処ができるので、こっちの西部の開発は保安問題等がぴしっとすればこれは考えさしてもらえるかのごとき話で出ております。
 そこで、これらの問題については、再建との関係でございますが、つなぎ融資と将来の再建問題と、こういう考え方はどうかということの関連性の中で、この再開問題も含めていろいろ意見が出ているわけですが、差し支えがなければ、この三点についてひとつお伺いしたいと思います。
#14
○田中(六)国務大臣 いつごろ専門的な技術調査団を派遣するかということでございますが、私ども、遺族並びに罹災者の人々のことを考えますと、本当に身を切られるような思いでございます。したがって、年の暮れもだんだん迫って年がわりになるわけでございますので、少なくともその前に、ことしが暮れる前に、私どもは一生懸命努力しなくちゃいかぬというふうに実はひそかに思っているわけです。したがって、少なくとも一カ月以内には私は調査団というものを派遣しなければならぬというふうな考えを持っております。
 それから、いろんなつなぎ資金、それから現実に直ちに金が要るようなこともございますが、それは炭価アップのアップ分の金がまだ未収納、つまり会社には入っておりません。これがありますので、私は当面困ることはないと思います。将来のことにつきましては、会社と労働組合との契約もございますし、それから専管の人だけじゃなくて請負の人、つまり組夫関係の人々も問題がないように、会社側にももちろんとっくに指示しておりますけれども、私どももあらゆる面でバックアップしなくちゃいかぬと思います。
 将来のことでございますが、私はやはり、これを閉山ということよりも何とか再開するというような方向で、金も含めて努力しなくちゃいけませんけれども、これは会社と組合との一つの自助努力と申しますかそういうもの、それから、何よりもいまは金の問題でございますし、債権者並びに協力関係にある会社の態度というものが問題でございます。そのほか、国のエネルギー資源の問題との関連とか、夕張市民の非常な熱意など、そういうものも十分勘案して対処していくということで、そういう点で、まあ集約しますと、やはり金というもの、つまり資金というものが問題になるでしょう。そういうことも、私どもができる助力というものははっきり打ち出していかなければ、不安感を与えることばかりが能じゃありませんし、罹災者に対しましても、関連の人々に対しましても、一日も早く不安というようなことは除くべく努力するのが、私どもの務めであるというふうに考えております。
 あとの点はまた、事務当局の局長や部長が補足することが具体的にあると思いますので、よろしく……。
#15
○渡辺(省)委員 時間が参りましたので、これで終わります。
#16
○森中委員長 岡田利春君。
#17
○岡田(利)委員 今次夕張新鉱の災害に対する、通産省関係でだれがこの災害の対策の最高指揮者でありましたか。
#18
○神谷政府委員 政府全体といたしましては、政府の対策本部長でございます通産大臣でございます。それから省といたしましては、私が基本的な対策本部の指揮をとります。現地の具体的指揮並びに保安に関しての指示命令その他は、現地の監督局長が責任者であります。
#19
○岡田(利)委員 初めに大臣に、北炭には四山ありますけれども、特に北炭の新鉱の夕張炭鉱株式会社でありますけれども、この評価について御意見を私は聞きたいと思うのです。開鉱以来なかなか計画どおりいかなかった、目標は未達成で、しかも数度にわたって計画が変更された。重大災害もあったわけですし、災害率も高い水準にある。これの再建に政府は援助もしてまいったのでありますけれども、この経過をずっと振り返ってみて、通産大臣も、この新鉱が開発される時点からずっと石炭対策特別委員会でいろいろ議論してまいったわけでありますから、そういう意味を含めて田中通産大臣の率直な評価といいますか、御意見をこの機会に承っておきたいのです。
#20
○田中(六)国務大臣 岡田委員御指摘のとおり、私は、この新鉱が開発されるときから私自身も強い関心を岡田委員ともども持ってきたわけでございまして、私は九州出身で筑豊地帯でございますけれども、やはり炭鉱というような産業につきましては、北海道の炭鉱も自分のことのように思えてならないわけです。したがって、口の悪いことも申していろいろ批判もした過去の経験がございますけれども、現在もそうですけれども、私は、私が生まれ育った筑豊地帯と同じように、あの北海道の炭鉱地帯も思っております。と申しますのは、やはり何といいますか、言うに言われない、大げさな言葉でございますけれども愛情というか、何とかしたい、血肉を分けたような気持ちで昔もいまも接しておるわけでございます。したがって、私がこの炭鉱にいろいろ注文をつけるのもそういうことからであって、これが悪い方向にいくというようなことは本当に心から望んでおりません。
 問題は、経営者がしっかりしてほしい、技術者を次々に首をすげかえたりするようなことのないように、技術者が定着するように、しかもその技術者がいい方向にあるようにというようなことを常日ごろ念願しておりますし、それから問題は、自然的な条件も非常にガス山で余りよくない、しかし炭層並びに炭質は非常にいいというようなこと、それから日本のエネルギー政策というようなことも加味しまして、これが何にも事故のないように、うまくいくようにいくようにということを常日ごろ願っておりますし、今回私自身大きなショックを受けておりますけれども、これは立ち直らなくちゃいかぬ、同じ夕張の人たちの気持ちになっていかなくちゃいかぬ。それからまた、炭鉱の関係者、労使ともどもの人たちも、こんな大きな事故があっても望んでいることは一つだというような気持ちがしますので、自分もその気持ちになってこの問題の解決に当たらなければならないというふうに考えております。
#21
○岡田(利)委員 最終的に注水、水没、そして自然発火を食いとめるという措置がとられて、マイナス七百五十七メートル、二万三千八百立方の水が注水されたわけです。私の手元には、きのう午後四時現在で北第四斜坑ではCO濃度ゼロ、メタンゼロ、炭酸ガスゼロ、温度十五度、視界良好、北排気斜坑ではCOがゼロ、メタンが〇・三、炭酸ガスがゼロ、坑内温度摂氏二十五度、坑外の温度は摂氏十七度、こういう報告が来ているわけですが、大体きのうの四時に一応こういう鎮火ができたというような状況になっただろうと思うのですが、四時は正確ですか。
#22
○檜山説明員 私どもの方に入っております連絡によりますと、昨日の四時、そのころのガスの状況でございますけれども、北部排気斜坑でメタン〇・三、COがトレース、これは大体ゼロぐらい、炭酸ガスは〇・一、これは五時ぐらいの状況でございますけれども、温度は、これは内部の温度でございますけれども二十五度、大体そういうふうな状況の報告がございます。
 なお、最新の情報といたしまして、けさ六時現在でございますけれども、大体変わっておりません。そういうふうな状況が続いているということでございますが、なお、私どもの方としましてはまだ鎮火の確認という段階まで至っておりません。この状況が続きますと、その辺のことが確認できるのじゃないかというふうに考えております。
#23
○岡田(利)委員 炭酸ガスはゼロと〇・一の違いで、あとは数字が合っておるわけです。
 そこで、この災害の対策の復旧についてでありますけれども、もちろん会社が自助努力を基礎にしてこれに対応しなければならぬわけでありますが、今次災害復旧は、石炭合理化臨時措置法第二十五条一項の十の二及び十三を適用になると思うが、この点はいかがですか。
#24
○福川政府委員 今後の会社の再建の方途につきましては、先ほど大臣が申し上げましたように、いろいろな条件が整うかどうか、できるだけ再建の方途を探るという方向で検討してまいりたいと思っておりますが、まだこれから二次災害の防止あるいは遺体の搬出ということをいたしてまいります段階で、まだ再建の具体的な内容ということははっきりしておりませんので、その措置についてはまだ検討する段階には至っておりません。
 もし仮にこの復旧が現実化するという段階になりますれば、これはいまございますいろいろな制度を私どもも広く検討して、どのようなことが可能であるかということは考えなければならないと思いますが、その過程におきまして、もちろんこの復旧工事の態様いかんによりますが、いま御指摘の災害復旧資金貸し付け、あるいは債務保証の規定でございます合理化法二十五条第一項十の二に規定されておるところのその問題、その方途も検討の対象の中に含めて考えたいとは思っております。
#25
○岡田(利)委員 新聞紙上、マスコミでも二千万トン体制ということが盛んに今回の災害を契機にして書かれておるわけです。それで、この第七次政策についての二千万トン体制の認識について大臣に伺っておきたいと思うのですが、これは第六次の二千万トン体制と違うわけですね。第六次は二千万トン以上です。第七次の場合には二千万トンを目標にしてとにかく第七次政策を進めようということで、第六次と第七次では変化があるわけですね。現行の実績が千八百三十五万トン程度、これに大夕張、北炭関係が正常出炭をして、スト損失等を換算すると、大体千九百万トンの出炭体制にあるのが既存の炭鉱だ、こう認識するのが、私は正確だと思うのです。そして、第七次政策は既存の炭鉱の安定を図る、同時に封鎖鉱区の解除を図る、そして小規模炭鉱及び露頭採掘炭鉱の開発を進める、そして新鉱の開発等についても検討していく、こういう骨子で成り立っておるのが、第七次のいわゆる二千万トンである、こう私は認識しておりまして、六次と七次とでは違いがあるわけです。この点については私の認識が正しいかどうか、多分一致するのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
#26
○田中(六)国務大臣 まさしく御指摘のように、第六次答申は「二千万トン以上」ということで書いておりまして、第七次は「二千万トン程度」でございますが、これはやはり新鉱の開発あるいは既成炭鉱の堅持、それから旧鉱のチェックとかいうようなことを加味して、二千万トンへ向かっていこうという努力目標、生産目標でございまして、現実には千八百二、三十万トンでございますが、これをできますならば二千万トンへということを考えておるわけでございまして、その点は岡田委員と私は認識が一致しておるというふうに思っております。
#27
○岡田(利)委員 私は、したがって、今次災害が二千万トン体制ということが直接ストレートに結びつくのではなくして、それ以前、六次政策段階においても、北炭は経営、生産が不安定という状態はずっとこの五年間続いておるわけですね。だから、いまの既存の炭鉱の中で、北炭の経営と生産が非常に不安定な状況にある、特殊な事情にある、正確に言えばこう言うべきだと思うのですね。わが国の石炭産業の、いま大臣との間に認識を統一したそのことが問題じゃなくて、それ以前から、北炭の経営と生産が不安定である、このことが問題なんだ、これをやはり正確に認識をしておく必要があるのではないか、こう私は思うわけです。
 そこで、今次災害の原因について、私も従来の経験からいろいろ判断してみるのですが、大体状況的に六つの点が強調されなければならぬと思うのです。
 一つは、ここは初めからガス突出の警戒区域である。
 第二には、立て入れナンバーワンは、着炭をしてそうしてゲート坑道として掘進を進めておったわけですが、マイナス八百十メーターではバージンフェース、処女切り羽であるということであります。
 第三番目は、炭層は、山丈、炭丈はいずれにしてもいわばわが国の炭層条件から言えば高厚層である、六メーターか七メーターの高厚層であるということであります。
 第四点は、したがってこれは、上段と下段の二段払いの切り羽が設定される地域でありますから、沿層坑道は直接天盤を受けて、天盤は非常にかたくて良好だ、いわば上段に坑道が設定されている、これは常識だと思うのですね。したがって、約三メーター四十は、下に石炭を踏んでいるということになるわけであります。断面積は、四・九六メーター掛ける高さが三・六メーター、したがって十七・八五六平米、これが想定される現場の断面積であります。
 ガス抜き規格はどうなっていたか。ここは、規格は二十五メーターにして六本以上掘る、先進ボーリングが行われたということは現地で聞いておるわけであります。しかし、このガス抜き規格は西部の区域の三メーターの炭層の場合も同じなんですよ。そして六メーターの炭層の場合にも、基準は以上となっていますけれども同じなんですね。これは立方当たりのガス抜きから考えると技術的に非常に問題がある。私は、そういう意味で技術的ミスと言わざるを得ない内容を含んでいると思うのであります。
 そして、バージンフェースであるがゆえに、たとえば隣の三菱の場合は、こういう場合は発破はあがり発破をかけるわけですよ。交代で時間がありますから、その間ガス突出の可能性が非常に強いわけですから、三菱の場合は発破をかける場合は大体あがり発破、これが常識なんです・そして、発破施行後二十分ないし二十五分で作業に入っているわけですね。
 この六つの状況的な、環境的なことを私は提起をいたしたわけです。
 このガス抜き規格は、六本以上掘っているという証言もありますけれども、たとえ六本以上掘っていたとしても、炭層が倍あるのでありますから、これはガス抜き対策としては、特にバージンフェースであるという面からいって、立方当たりで計算すると基本的に間違っていたと言えるわけですよ。これがもし基本的な問題として提起をされるとするならば、会社のミスだけではなくして、保安監督の責任も免れないと私は言わざるを得ないと思うのですね。大体こういう点は常識じゃないかと私は思うのですが、どう考えられますか。この点、規格は同じだということでありますから。
#28
○檜山説明員 ただいま先生の御指摘の西の方と、北のまさにこれから進めようとしております地域、この二つの地域について基本的に技術上の基準がガス抜きに関して同じであったという点は、御指摘のとおりでございます。
 ただ、基本的には同じでございますけれども、私の方としましては、このガス突出の防止につきましては自然条件に見合った対策をとる必要があるということで、ことしに入ってからも御承知のように幾つかのガス突出災害がございましたから、それを契機に、全炭鉱に対しまして、従来の基準、それを自然条件に見合ったものとして見直せという指示をしておったところでございます。
 ただ、御指摘の個々の七つほど挙げられました点につきましては、これは非常に重要なポイントじゃないかと思いますので、今後技術調査団の調査あるいは監督局の調査、そういった中でこういうふうな点について十分に、原因となった背景といいますかそういった要因じゃないかと思いますので、調査をして、そして明らかにしていきたいと考えております。
#29
○岡田(利)委員 ここはバージンフェースである、すべてバージン的な初めての対象区域、それが従来と同じだったとすれば過ちである、きわめて明瞭だと思うのですね。これは非常に重要な問題なんです。今後の調査の中でも非常に重要だ。もちろんガス突出のメカニズムの問題は、大きかろうが小さかろうが、徹底的に解明されているわけじゃないのですが、きわめて技術的な常識からいってそういうことが言えるということだけをまず指摘しておきたいと思うのです。
 それから、第二次災害の問題についていろいろ意見を聞いたのですけれども、結局炭層の面を見ているのは、沿層というのは立て入れナンバーワンのゲートだけなんですね。あとは上添えに一本ありますけれども。少なくとも盤下坑道、マイナス八百十メーターラインでは、ナンバーツーについては着炭していないのでしょう。着炭しているという報告もあるわけですが、会社の図面を見ると、これは完全に着炭していない。四十メーターしか立て入れば入っていないのですから。こう認識するのが本当でしょう。間違いですか。
#30
○檜山説明員 災害直前まで、着炭間際ぎりぎりまで掘進しておりまして、天盤の方で若干着炭しているという報告を受けておりますが、基本的にはゲート坑道一カ所、沿層ということになっております。
#31
○岡田(利)委員 そういう想定に立つと、結局ナンバーワン立て入れがガス突出災害の個所であったということがほぼ推定がつくわけです。そうしますと、マイナス八百十メーターの盤下坑道は全部岩盤坑道なわけです。それから斜坑についても入気の場合も岩盤であります。炭層面を見ているというのはここのゲートになるわけですね。したがって、二次災害が発生したという意味は、これも技術的に検討して考えてまいりますと、何らかの火源があって、いわば炭じんが燃えたということが直接の原因だと思うのですね。恐らくガス燃焼、フラッシュ状況になったんだろうということの想定がつくわけであります。そういう面から考えますと、火源は一体何があったのか。
 私の調査ではバッテリーロコが二台、あとは安全灯がある。警報器がある。誘導無線もある。それ以外は自然発火、炭そのものが燃える。それ以外のあれはないようですね・大夕張の経験から言っても、静電気ということも頭に入れていいのでしょう。
 そして、燃焼が起きて燃える物に何があったかというと、突出炭じん、それから、もしわきに矢木などがあれば、矢木等の木質類、それからバッテリーロコの油類、これは燃えるわけですね。あとは燃える物はほぼないという状況なわけであります。
 したがって、今次の第二次災害の内容というものは、火源は何であったのかというと、私はバッテリーロコに注目をいたしておるわけです。したがって、炭壁が燃えるという想定は全然考える必要がなかったのだと思います。炭じんが燃えておるということだったと思うのです。
 ところが、注水についての家族同意を得てから注水開始までの時間が非常にかかり過ぎておるわけです。これはわれわれが行く前の日の午後三時半ごろ、家族の同意は全部終わったわけですね。それが翌日の午後一時半注水開始ですから、非常に時間がかかり過ぎておる。災害対応としてこんなに時間がかかったという経験をわれわれは知らないわけです。何をもたもたしておったのかという感じを持っているわけです。何があったのでしょうか。
#32
○檜山説明員 家族の同意書を集めまして、それから注水開始まで約一日かかっております。
 私は現地におりまして状況をよく聞いておりましたけれども、注水作業といえども、これは第三次災害と申しますかそういった危険も非常にございますし、十分慎重に安全を確認しながらこれは開始しなければならない、計画自体そういった安全面の配慮が必要であるということで、その辺の審査がかかっておりまして、さらにもし異常な状態が起こるということになりますと、これは場合によっては西の方、そういったところにも影響があるかもしれないということで、拡大防止、そういった措置を事前に進めさせ、監督官の最後の坑内点検を経て、最後に注水の承認といいますか、そういった段取りになっております。
 そういうことで、私どもの方としてはできるだけ早くというふうに考えておりましたが、早くかつ安全にということで、そういった時間がかかった状況がございます。
#33
○岡田(利)委員 私はこの間の対応の仕方については若干不信感を実は持っておるわけです。これは先ほど責任者にも聞きましたし、指揮者にも聞きましたけれども、残念ながら責任者は余り炭鉱の経験がないわけですね。メタルの経験は非常に豊富だ。若干炭鉱にいたことがあるけれども、ほとんど炭鉱は知らないわけでしょう。だから、もしそういう責任者が判断するとすれば、注水開始からの時間を考えると非常に決断が、対応がのろいという不信感を実は持っておるわけです。これを指摘しておきたいと思うのですが、私はそういう感じを持っているということを申し上げておきたいと思います。
 そこで、私は大臣に聞いておきたいのですが、参議院でも質問があったようですけれども、炭鉱の労働者、鉱山労働者というのは保安法に定められ、そして石炭鉱山保安規則に非常に詳しく定められておって、各山に保安規程が設定をされて、監督局に届け出てこれは認可されるものである、こういう内容になっておるわけです。したがって、法令や規則に違反する場合に、炭鉱労働者は、労働者そのものはそこの就業を拒否するという固有の権利がある。なぜかなれば、保安法に定めておるように、保安技術職員から鉱山労働者に至るまで保安義務というのがあるわけですから、そういう連帯性をぴしっと法の精神の中にうたっておるし、規則その他の法令が定められておるわけですから、そういう意味では鉱山労働者には、そういう法令、規則に違反する危険な状態というものは拒否する固有の権利がある、こう解されるべきがきわめて当然である、こう思うのです。よく作業拒否権だとかいろいろなことを言われていますけれども、法の体系、精神というものはそういうものだ、私はこう認識しているのですが、私の認識に誤りがありますか。
#34
○神谷政府委員 先生御承知のように、保安規則では、係員は「危険又は危険のおそれが多いときは、鉱山労働者に必要な指示を与えて、直ちに、作業の中止」をすることになっておる、こういうことになっており、また保安関係法規によりますれば、鉱山労働者は、この法律またはそれに基づく省令の規定の実施を確保するために、係員の指示に従わなければならない、こう規定されておりますが、これは緊急時の労働者の退避を妨げるものではございません。
 保安教育の面におきましても、緊急時の退避につきましては、いろいろなケースについて教育が施されておるわけでございます。
#35
○岡田(利)委員 この点をもう少しぴしっとして、保安教育をやらないといけないと思うのです。私どもは日常そういう認識に立っておるわけです。たとえばガス警報器、これは鳴るようにつくってあるわけです。一・五%のメタンガスがあればブザーが鳴るわけです。一・五%になりましたよということで知らせるわけです。そしてガス検定して、ガス払いをして作業をする。二%になれば、爆発限界点にはまだ安全ケースがありますけれども、これの電源が遮断される。その場合には退避をする。ただ問題は、よく俗に言われておる一・五%を二%にしておったなどといったら、これは大変な刑事問題ですね。だから鳴ることが問題ではなくて、鳴ることがむしろ専門的に言うと健康なわけです。そういう点などもわれわれはぴしっと理解をしておかなければならぬし、何か新聞にもちらっと出ましたけれども、もし目盛りが一・五が二になっておったなどということになると大問題です。まして一それでも二%で指令室で電源遮断が行われるはずでありますから、この点は名誉にかけても明らかにする必要があるということを申し添えておきたいと思うのです。
 そこで、北部第五部内の鎮火宣言というものが、坑内の探検が終われば鎮火宣言を出すのだと思うのです。鎮火宣言後の西部及び北部に対する対応策は当然決めなければならない。完全に鎮火したという状況は、これは西部あるいは北部第三と第五とは全然違うわけですから、しかも第五は企業掘進区域であって、炭層フェースというのはいま言ったように一カ所しかない、上添えに一カ所あるのを入れると、二カ所しかないという状況でありますから、非常に固定的なものと考えることができる状況にあるわけですね。そうしますと、鎮火宣言後一体局はどう対応しようと考えているのか、承っておきたいと思うのです。
#36
○神谷政府委員 現在水をとめましてガスの状況を見ておる段階でございますので、余り先のことまでこういう場で申し上げるのはいかがかと思いますが、先生御指摘のように、まず鎮火を見きわめるために探検隊を出して、鎮火が確認されました際には、内部の傷みぐあいを調べて適当な所要の保安的な措置を講じて、取り明けの作業にかかるというのが事故関連部門においては第一でございます。
 それから、西部その他についてはどうするかということでございますが、北部の落ちつきぐあいを見ながら、西部に関して保安面での点検というのが第一に必要であろうかと思います。その辺を見ませんと、先のことはいまこの段階ではなかなか申し上げられませんし、また諸先生御指摘のように、本炭鉱に関しては余りにも多くのことが保安面に関して覆われております。われわれといたしましては、そういう状況というものをでき得る限り現在の状況のもとにおいてよく調査し、確かめ、その上でなければ先の判断はできないのではないかというふうに考えております。
#37
○岡田(利)委員 私が指摘しておきたいことは、純保安上の見地から態度を決めなければならぬと思うのです。そういう点だけは、逃げるのではなくして、ぴしっと受けとめて対応してほしいということを申し上げておきたいと思うのです。
 最後に大臣に、炭鉱というのは、先ほど原因の問題についても相当触れたということは、保安的に克服できないということになれば閉山する以外にないですね。しかし克服できるということになれば、これはわが国で一番新しい山ですし、条件も整っている山でありますから、余裕性と安定性の方向の中で山は残さなければならないと私は思うのであります。その場合に、どういう体制がいいかということは、今後の原因調査とも相まって、素直に結論を導き出した方がいいだろう、こう思うのです。
 まず当面言えることは、この最も新しい山はいずれにしても残さなければならない、こう私自身は考えているわけでありますけれども、たとえば会社再建の中でやるということになりますと、いままでの負債を数百億持っています。それに今度は災害処置費がかかるでしょう。それに災害復旧費がかかるでしょう。それに減産補償分、これもかかるでしょう。これまた肩に背負って、そして余裕をもって安定的にやるなどということは、常識的に考えていまの場合は考えられないわけです。だから、会社再建の方向というのが単なる片道切符になるおそれがあると私は思うのです。
 問題の基本は、山というものを分析して、この山を一体残すかどうか、ここから出発して、会社の再建の手段にはどういう手段が一体いいのかという発想で、この問題をじっと調査検討すべきではないか、こういう意見を持っておるのですけれども、この点を大臣から承っておきたいと思います。
#38
○田中(六)国務大臣 私の考えも、この山を残すかどうかということが根本の問題だ、問題解決にはそこからスタートしなければいかぬと思っておりまして、残すかどうかという結論は、専門家を中心とする技術調査団の間で原因究明に努力すれば、単に原因究明だけでなくて、自然と残すかどうかということについての材料も科学的に、私どものエモーション、つまり感情的なものではなくて、技術的なものとしてもあらわれてくると思います。それにいろいろな社会情勢も加味しなければなりませんけれども、そういう専門的な技術団の意向というものをある程度、一〇〇のうち七、八〇%はその意向を尊重しなければならないと思いますが、といって、もしも再開というようなことになりましても、今度は次の段階で経営ということになりますときに、はたと行き詰まって、長い間の不信感と申しますか不安感というものが頭をもたげるわけでありまして、そういう面についても、もう二度、三度ありますので、そうそう全部をまた信頼してどうぞ次をというようなわけにもまいらないような気がいたしまして、ここでは、スタートする場合はより以上慎重に、真剣に考えるぎりぎりの土壇場なのだというふうに思っておりまして、いずれにしても慎重にそういうことは決めて、軽々に判断していままでのしきたりにのっとっていくということについては、十分な再検討が要るのではないかというふうに思っております。
#39
○森中委員長 田中昭二君。
#40
○田中(昭)委員 まず大臣に聞いていただきたいのですが、わが国の貴重なエネルギー資源であります石炭、これが見直されておるということで、そういう中でのこのたびの重大な事故を起こしました夕張新鉱、ここでは良質な原料炭を出しておると聞いておりますが、そこで大臣は、炭鉱について広い御見識をお持ちであります反面、素人であります私、また国民の立場にも立たれまして、ひとつきょうは、簡潔な中にもわかりやすい大臣のお考えをお聞きしたい。
 そこで、この夕張新鉱の事故を通しまして、いままでいろいろ御説明になっておりますけれども、この事故を通しましてどのような大臣として御見解をお持ちなのか。また、今後の政府の石炭対策についてお聞かせを願いたいと思います。
#41
○田中(六)国務大臣 私どもは、第七次答申というものを受けておりまして、それは石炭の位置づけというものをどうするかということが非常に問題になっておりまして、その中で、二千万トン程度を目標にしていこうじゃないか、それにはこうこうこういうことをやらなければいかぬということで、第七次答申を受けておるわけでございまして、私ども、現実に二千万トン程度とれなくても千八百万トンというような炭を掘っておりますので、これは国の安全保障、国のエネルギー政策から申しましても非常に大切な資源でございますし、この程度でも日本でキープできるならば、たとえば中近東に見られますような紛争、あるいは石炭を買うにいたしましても、どこそこに大ストが二月もあってどうにもならぬというようなことに対する対処がある程度できます。したがって、そういう意味からも、石炭というものは国の唯一の資源であるということを考えておりまして、それだけに、私ども、資源政策といたしまして、代替エネルギーにもいろいろございますけれども、本当に日本でとれる唯一の代替エネルギーの根本でございますので、そういう意味からも石炭というものについては大事にしていかなければならぬ。
 したがって、この夕張につきましても、そういう趣旨から私ども大きな夢をふくらまし、希望を持って新鉱というものを開発して六年近くなるわけでございまして、ただ残念ながら自然の悪条件、それからいろいろなものが加味されて、今回の大事故もそうですけれども、事故が頻発するというこのこと、これは保安体制その他に大きな欠陥があるのじゃないかという不安感がつきまといまして、これを再開するにいたしましても、そういうことが頭から離れず、身体で言うならば、全体の健全な五体の中に何かがん細胞みたいなものがどこかに巣くっておってこれが大きくなるのじゃあるまいか、そういうはらはらしたような気持ちでおりますけれども、そういうがん細胞を摘出できて、そして健全な、事故のないような炭鉱、この新夕張がそういうことで再生できるならば、私どもは、先ほどから申しますように、国のエネルギー資源、それからいろいろな人の要望、そういうものもございまして、ぜひともそちらの方向に向けていきたいというような考えでございまして、大局的に見てもあるいは小さく見ても、この新夕張炭鉱というものについては、私どもはここで一番、いままでのこともありますけれども、十分慎重に、しかも重大な決意で取り組まなければならないというような気持ちでおります。
#42
○田中(昭)委員 この夕張新鉱に対しては、いまの大臣のお気持ちの中では、行政当局としてもいろいろなことをされてきたことはいままで私も聞いております。いろんなことが言われますけれども、行政が主導するという立場からいきまして、いろんな面もございましょうが、一つのことを取り上げてみれば、この石炭産業というのは保安なくして生産なしというようなことを中心に進めてこられた、私は行政の方もそういう気持ちでやってこられた、こう思うのです。
 ところがそれを受けて、実際炭を掘る労使の側に立ちますと、今度の事故の原因、遠因といいますか、そして事故のあった後の問題を見ていますと、労使ともどもその受け方に若干の相違もあった、甘えがあったということ、一言で言うならば、この前視察に行きましたときも、林社長の言明として、この炭鉱再建のために「焦りがあった」ということが先ほどの調査報告にもありましたが、その言葉は、政府がやろうとしておること、求めていることを、受ける側の現場ではそれと違ったことが行われておるということも事実ではなかろうか。ですから、こういう災害が発生いたしますと、社会の一般もマスコミの論調を見ましても、結果的には政府の生産第一主義、生産を押しつけたのではないか、こういう論調も私はあながち否定できないと思いますが、簡単にひとつお答え願いたい。
#43
○福川政府委員 会社の社長が調査団に対しまして、焦りがあったということを述べた由、私も承りましたが、もちろん会社自身として、この再建計画を早く軌道に乗せたいという気持ちが十分あったのは理解できるところでございます。しかしながら、だからといって保安を手抜かりにしていいということではございません。もちろん会社の再建にはそれなりの意欲を持って取り組んでいただきたいと思っておりますが、保安を抜きにしてやってということを考えているわけではございません。
 九月二十五日に、経理審査小委員会におきまして、上期の実績をレビューいたしまして、一割程度下回っておったことについて、会社に対してその反省を求めたことは確かでございますが、その場合も、ただ生産を上げろということを申したわけではございませんで、その原因がどこにあるかを反省究明しろということで、特にその後私も会社に寄りまして、技術的に問題があるなら、同業他社の指導、診断を受けるようなことも十分あっせんする、こういうことも申したわけでございます。
 そもそも、ことしの三月に修正再建計画をつくりますときにも、実はその辺は慎重にも慎重を重ねた上で、何人かの専門家の御診断も得て、この程度であればゆとりあるものではなかろうか、しかも会社も労働組合も今度は達成可能ということでつくった計画でございます。
 しかし、事故が起こって私ども大変残念に思っておりますが、生産自身、たとえば二千万トンを強行しようとしたわけではありません。今年度も千八百十万トンの見通しでございまして、保安を無視して生産を増強したということではございませんし、また再建計画もそうでありましたし、その後の過程でも、むしろ、できると言った計画ができなかった原因をもう少し究明して改善してはどうか、こういうことを言ったわけでございます。そういう点について私どもとしてはゆとりはあったということは御理解いただきたいと思います。
#44
○田中(昭)委員 いまの御答弁では私は大変不満です。時間がないので、そういうことしかいまはここでは言わないが、その原因究明云々とかをちゃんとやっていれば、こんな災害が何回も起こるはずがないんですよ。だから両方の立場はわかるけれども、社会一般の鋭い目、またマスコミの論調等もこれあり、生産第一でなかったとするならば、そのことについてのはっきりしたものを国民に知らせなければならない。そういうふうに言えば時間がなくなって次の質問ができませんから、はなはだ不満ですけれども、次に行きます。
 そこで、今度の事故に対していろいろな報道がなされておりますが、一つを取り上げてみれば、人命軽視の重大事故ということに私は注目するわけでございます。まず事故の原因究明と被災者の救済、こういうことが言われてきました。そこで、原因究明が専門家によって今後なされるわけですが、いま考えられる原因の一つには、先ほど大臣もちょっと触れられましたが、この炭鉱にいろいろな意味での欠陥があった、マスコミ等の論評を見ましても、構造上の欠陥とか保安上の不備があった、こういうことが言われておるわけでございますが、これも否定できないことでありましょうし、いま大臣もそういうものがあったように思うと言われた。もちろんこれは、第一義的には仕事をやる経営者、働く皆さん方がよく注意しなければならないということはわかりますけれども、その保安体制の不備ということにつきましては、やはり行政上の指導監督もその責任は逃れられないと思うわけです。五十年に開山して経営が始まった夕張新鉱について、過去に事故が起こっておりますことと、昨年十一月のこの委員会での議論を見ましてもそういうことが考えられますし、また、先ほど報告がありました現場調査の結果からも保安の不備については最も指摘されておるわけでございます。大臣、この点についてどういう御認識でしょうか、簡単にやってください。
#45
○田中(六)国務大臣 私は、自分自身非常に反省しておりまして、ここでだれがどうだ、だれの責任だ、これの責任だと言っても、繰り言に見えます。しかし私は、私どもの監督体制についてもまだまだ踏み込んでいろいろやっておけばということも悔いられますし、いずれにいたしましても、そういうことを踏まえて十分反省すると同時に、新しい気持ちで全部を見直していこうということ、それはやはり保安第一ということを目的に、すべてを洗い直し考え直していかなければならないものと考えております。
#46
○田中(昭)委員 保安の問題については考え直さなければならないという大臣のお言葉ではございますけれども、ただここで言うだけでは済まされないで、本当に本気になってこの問題を経営者、労働者、そして政府が指導監督するという、そこのところに立っての、現実に現場までそれが守られるような、そして事故が起こらないようなことにしてもらいたい、こういうことを要望しておきます。
 大変時間がございませんもので、このことも省略いたしまして、次に、被災者とその家族の救済が第一であるということが、この前行きましたときも言われておりました。その救済ということについて落ち度があったのではなかろうかということ、またそのことは、先ほどから言いますように企業側に重大な過失があった、誤りがあった、また過ちがあったとするならば、その過ちを指導監督する行政の対応はどうであったろうか、こういうことでございます。
 まず、私も現場に行きましたときに、係官の方は、混乱と疲労もあったと思いますが、そのことについてのいわゆる避難体制なり救護体制については判然としないお答えだったんです。まず事故発生、その通報を受けた監督官が現場に駆けつけた、それじゃ監督官はこの山についての安全確保と人命救済というために万全の策をとっただろうか、これはいまどういうふうに当局はつかんでおられますか。
#47
○檜山説明員 災害発生後監督署の方に連絡が入りまして、夕張監督署でございますけれども、直ちに監督署から監督官が現場に急行いたしまして、さらにその後、局の方、本局でございますが、札幌からも監督官が現地に急行いたしまして、災害後の救助活動あるいはその他所要の措置をいろいろ講じなければならない点について、会社側の対策につきまして協議を受けつつ指揮をした、こういうふうな状況でございます。
 私も、当日夜現地に入りまして、現地の監督、これは災害対策本部を現地につくりましたから、その現地の災害対策本部で、私も参加しまして、会社の救助活動、そういった点についていろいろと相談に乗って進めたわけです。
 それで、遺漏があったかどうかという点の問題でございますけれども、監督官は、救助活動につきまして二次災害のないように十全の注意を払ってやるようにというような指示をしておりまして、その指示を受けて会社の方は救助活動を進めたということでございますが、どうして二次災害が起こったか、あるいは救助活動でいろいろと混乱があったか、これは相当な九十三名という罹災者を生ずるような大災害でございまして、若干現場にそういうふうな混乱があったという点は、私どもの方としては避けられない面もあったのではないかというふうにちょっと考えております。
#48
○田中(昭)委員 大変言いわけみたいに私には聞こえます。ということは、先ほどもちょっと指摘されましたが、まず事故が起こって、会社は救護隊員を入れたんでしょう。そして、二時間半ぐらいたって監督官が現場に来たんでしょう。そして、いまあなたは二次災害が起こらないようにしたと言うけれども、現実はあなた、その後の十名の救護隊の中で五名の会社の人が素面で装備も持たずに入った。また救護隊の装備も大変不十分であった。こういうことは、あなたが言ったことが、監督官が現場に行って二次災害が起こらないようにするということが、完全ではなかったという証拠ではないですか。第二次災害で犠牲者を十名も出したということは、行政の監督というそこだけを重視して見れば、責任は免れない。そのことをはっきりしないから、国民から批判ばかり受けるのだ、私はこう思うのです。
 ですから、そういう面については、確かにこの事故は、ガスが出るということは天災的なものがあるでしょう、私は素人でよくわかりませんけれども。しかし、その起こった天災的な突発事故に対して予防をし、そして人間の知恵でできるだけの対策をとることが重要なことであります。その対策の一つであります二次災害に対する監督指導、それをするわけでしょう。ですから、そういうものにも落ち度があったことについては、行政側としても、こういう関係者の方としても、ことわざにもありますけれども、「禍を転じて福となす」というならば、その監督指導の面で再び指摘を受けないように対処しなければならない、こう思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
#49
○神谷政府委員 御指摘のように、監督官が災害が起きましてから一定の時間がたちまして現地に参りまして、救助活動の状況については、当然のことでございますが、会社側から報告を受け、坑内の状況についても報告を受けておるはずでございまして、その段階において、坑内におけるガスの状況あるいはガスを払いながら救助活動を進めておる状況については報告を受け、その上で、全般的に言って人気サイドからのガス状況その他が非常に危険な段階とは判断はしなかったが、しかし、その上にもなおかつ慎重な配慮をするように、こういう指示を与えたものと了解しておるわけでございます。
 しかしながら、先生御指摘のように、その後、この原因究明というものは徹底的な技術調査団の解明等にもまたなければなりませんけれども、突如として、本来あり得べからざるガスのところに、メタンガスではなくCOであったろうと思いますけれども、高濃度のCOが襲ってきた、こういう状況がございましたので、こういう状況を予知できなかったということに関しましては、関係者は今回の事態を反省し、非常に残念なことでございますけれどもこういう災害が起きました以上、われわれといたしましては、その原因を解明しながら、どういう手がそこで打てたのか打てなかったのかという点を謙虚に反省しながら、今後の保安行政に反映させてまいりたい、このように考えております。
#50
○田中(昭)委員 いままでの事故が起こったことに対することを見ておりますと、なかなかここで言うたとおりのことが行われないようで、私はどうも心配でなりません。
 大臣、いろいろ質問したいことがたくさんありましたけれども、時間が参りましたからまとめて申し上げます。
 この昨年の議事録を読みましても幾つもございますが、その中でたとえば、労使ともども合意をして、そして政府の援助も受けながら今度は間違いなくやっていきますということで、現場の中では、この三つ、四つある中の、たとえば経営管理、作業管理についても、生産、保安のための全体総合会議を運営して、そして末端に徹底していきます、こういうふうになっております。
 それじゃ、現実にそういう末端に徹底するための全体会議を監督官は見たのか。全然見ていませんよ。見ておればもう少し現場の事情がわかっていなければならぬと思うのです。そういうこともございますから、大臣、それは本当に何とかしてがん細胞をなくしたいというお気持ちは私も一緒でございますが、いわゆる行政は行政としての、もう二度とこういう指摘を受けないようにするための大臣の御決意を最後にお聞きしたい、こう思います。
#51
○田中(六)国務大臣 田中委員おっしゃるように、二度と再びこういうことを起こさせないためにはどうしたらいいかということを、実は私も含めまして事務当局は苦慮しているわけでございます。したがってそういう観点から、過去のこともそうでございますが、将来の展望を含めまして、専門家による技術調査団に十分探査してもらわなくちゃいかぬということで、いま十名内外の人々の選考をすると同時に、他の委員にもお答えいたしましたが、何とか一カ月以内にそういうものの実現ができるようにということを苦慮している段階でございます。
 私どもも、たびたび申し上げますが、口先だけじゃなくて、これを実態面に、本当に事故と結び合わせられないようなことを、つまり事故防止ということで、労使の会合を監督官が見ていないのじゃないかという御指摘もございますが、そういうことのないように、私どももさきの再開のときも労使ともども東京に来てもらっていろいろな相談をしたわけでございますけれども、そういうことだけじゃなくて、監督官も含めて十分そこの足りなかったところを再考して対処していこうというふうに思います。
#52
○森中委員長 小渕正義君。
#53
○小渕(正)委員 大臣にお尋ねいたしますが、大臣は災害発生後いち早く現地に赴かれ、いろいろと指示、指導されたわけでありまして、その点に対しましては心から敬意を表する次第でございます。
 そういう立場で、特に大臣は福岡県出身でございますし、事炭鉱のことに関しては、私ら以上に、そういう意味では豊富な知識と経験をお持ちだと思いますが、今次この災害発生に対しまして大臣としてはどのようなお考えをお持ちなのか、この災害発生の報を聞いて大臣としてはこれからどうしなければならないというふうにお考えになったのか、所管大臣という立場から率直に、この今次災害発生に伴う大臣としての見解をひとつお聞かせいただきたい、かように思います。
#54
○田中(六)国務大臣 十六日にこの災害が起こったことを聞きまして、私はもう電気に打たれたように実はショックを受けたわけでございます。いろいろな私自身の経験もございますけれども、この炭鉱にそういうことがあるかもわからないということを常日ごろ考えておりましたので、これは大変なことになったなというふうな思いで、直ちに現地に赴いたわけでございます。
 私はいつも思うのですけれども、まあ病気で死んだとか看病して死んだというようなことになりますと多少のあきらめもつくわけでございましょうけれども、つい数時間前までは健全で、家族がそれぞれ団らんのうちに、主人を送り込んだあるいは息子を送り込んだというようなことだと思うのです。それだけに私も本当に取り返しのつかないことを起こしているということで、まあだれがどうとかいうようなことも、一応他人も責めてみますけれども、私自身非常に緊張した思いでございますし、やはりこの炭鉱が再びそういうことのないように、何とか科学的な調査、それからいろいろ各方面から検討して、今後の対策については善処してまいりたいという気持ちです。
#55
○小渕(正)委員 災害が発生すると、二度とこのような災害が発生しないためにということで、皆さんみんな取り組まれるわけです。しかしながら、依然として災害が絶えないわけであります。
 今回の災害については、それぞれ専門的立場からまだまだ原因究明についてはこれからなされるだろうとは思いますが、現在までのいろいろな諸条件、そういったいろいろ判明した範囲の中で、今回のこの災害は、従来発生した災害とは趣を異にして、何らかの新しい要因によって発生したのかどうか、やはり従来と同じような原因に依拠する災害というふうに分類されるのかどうか、そこらあたりについて監督官庁としてはどのような所見をお持ちなのか。まずその点だけお尋ねをいたします。
#56
○檜山説明員 このたびの災害が従来の災害とどうであったかという御質問でございますが、まずその規模が今回の災害は非常に大きな規模の災害であった。それで、ガス突出災害自体はまあこれまでも何回か、年に大体一、二回小規模のガス突出はやってきておりますけれども、今度のような大規模な災害というのは私ども近来ぶつかっていないということでございまして、今後の原因究明にまたなければなりませんが、午前中岡田先生の御指摘があったような、いろいろとこの北部の特殊条件が重なってこういった災害になったのじゃないかと思いますが、その辺の問題につきましては、これからさらに検討して解明していきたいと考えております。
#57
○小渕(正)委員 端的にお尋ねします。
 要するに、ガス突出が今回の災害のまず直接的な原因だということが言われているわけですね。しかもその量が、いままでのような坑内のそういった事故の中では予想もできなかったような大量めガスが出たという意味で、どうしてもいままでの常識では考えられなかったという形で言われているのかどうか。そこまで大量のガスが出るということは、いままでの場合においての炭層の条件その他の中で予見できなかったのかどうか。そういった意味で、どういうふうにお考えをお持ちなのか。
#58
○檜山説明員 私どもは、従来からガス突出対策につきましては災害の中で非常に重大なものであるということで、重点的にガス突出災害の防止についていろいろと検討を重ねてきております。
 そういう中で最近の情勢を見ますと、ガス突出の規模はかなり小さくなってきている。それはガス突出災害防止のためにガス抜きボーリング、これは盤下からのボーリング、そのガス抜き、それから先進ガス抜きボーリング、そういったような対策を加えて、これから稼行するという区域についてはあらかじめガスを抜いて採掘するというステップを踏んでおりますので、そういった中で若干小規模の災害が起こることはありますが、私どもは、とても今度のような大規模のガス突出災害が起こるということは予想もできなかったことでございまして、なぜそういう災害になったのか、これはこれから究明したいということで、さらに究明後対策を立てて、二度とこういう災害が起こらないように万全の努力をしていきたいと考えております。
#59
○小渕(正)委員 では、いままでの災害の事例、経験、それから新夕張鉱の置かれている坑内条件、炭層、そういったものをどのように総合的に判断しても、今回のようなことは予想外で考えられなかった災害だ、こういうふうにはっきり断定されるわけですか身、いまのお話は。
#60
○檜山説明員 おっしゃるとおり、現段階でこういった災害が起こるということは、私どもは予想しておりませんでした。
#61
○小渕(正)委員 時間がないので、この点はまた後に譲るといたします。
 今回のこういった災害が発生した結果、去る八月第七次の石炭政策についての答申が出され、大体二千万トン体制を前向きに取り組むような方向だと思うわけでありますが、そういう状況の中で、大臣としては、これがこれからの第七次石炭政策遂行に当たって重大なる影響を与えるとお受け取りなのか。従来の、と言うよりも、答申に沿った方針どおり、これは推進していかなければならないという立場でお考えなのかどうか。その点についての大臣の見解をお聞きしたいと思います。
#62
○田中(六)国務大臣 御承知のように六次では「一千万トン以上」ということでした。七次のこのたびの答申は「二千万トン程度」ということになっております。なぜ「程度」ということかと申しますと、やはり現実には一千八百三十万トン前後しか掘れないし、早急にこれが二千万トンにいくというふうには思えませんけれども、国の唯一のエネルギー資源というようなこと、そういう方向にございますので、一つの生産目標、努力目標として、新鉱を開発してみたり、現状維持の炭鉱をどのようにしていくか、あるいは休鉱、閉山鉱のチェックとかいうことなどを加味して、できますならばそういう方向に持っていきたい、つまり二千万トンを目標にいけるならばという願望でございまして、したがって、これは努力目標、生産に対する目標でございますのでこの事故があったからといって、七次答申を根本的に覆すというような考えは現在のところ持っておりません。
#63
○小渕(正)委員 それでは、いまの御所感からいきまして、やはりこれはこれとして、答申された精神を生かした中で、石炭政策としては推進していきたい、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。
#64
○田中(六)国務大臣 そのように解釈していただいて結構だと思います。
#65
○小渕(正)委員 次に、北炭の再建のあり方についてお尋ねします。
 先ほどからいろいろ御答弁されまして、これからどのようにしていくのか、操業を続けながらずっと生産を出していくのかどうかということについても、まだまだいろいろな問題があるので、いずれにいたしましても慎重に考慮したいということでありましたが、現在でも累積赤字額百三十億円、借入金だけでも千三百億円以上を超すような北炭の現状の中で、もしもこれからも再建に向かってスタートさせようとするならば、いままでのようなことではいけないし、何らか新たな対応を考えないことにはいかぬのじゃないかと、私どもはそれなりに思うわけでありますが、そこらあたりについて大臣として何かお考えがあればお聞かせいただきたい、こう思います。
#66
○田中(六)国務大臣 これは、私ども、専門家による技術調査団を派遣して、いろいろな諸条件を加味し、過去の条件、現在の条件、それから将来の展望というものを全部ひっくるめて対処しなければなりませんけれども、やはり問題は自然条件、それから経営者のビヘービアというようなことが一番問題になるとするならば、私どもは、そういう経営者に対するいままでの考えの再検討、あるいは自然条件をどうするというようなこと、つまり口先だけではなくて、本当のゆとりというようなものと安全性というものを二本の柱にして、経営陣あるいは労使の自助努力、あるいはまた債権者並びに関連会社の問題とか、地元住民のお考えとか、そういうものを基礎にして考えていかなければならないと思います。
#67
○小渕(正)委員 北炭の地域経済に及ぼす影響、雇用の問題その他を考えますならば、これは非常に重大な問題でありますので、そういったいろいろな諸条件を勘案しながら、何とか再建に向けてスタートせざるを得ないのではないかという気がするわけであります。
 これは新聞報道でありましたか、大臣は現地に行かれた際に、災害の感想の中で、ここの山には何かが欠けているというような意味の御見解を示されたことが報道されておりましたが、これから北炭をどのようにされるのかについてはきわめて慎重な構えで臨まれると思いますが、まず大臣にそういった報道されるようなことでの御見解があるとするならば、そういう「何か」というものに対する問題をはっきりさせながら、そして、従来と違った新たな立場に立たぬと、この問題のスタートはできないのじゃないかという気が私はするわけでありますが、そのあたりについての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#68
○田中(六)国務大臣 やはり古いしきたりと申しますか、いろんな過去の諸条件を参考にしなければなりませんけれども、余りそういう過去の諸条件にとらわれていきますと、かえって問題が木に竹を継いだようなことになりかねないという考えもございまして、全部を白紙、白無垢から出発して、まあインクがにじむように少しずつ、新しい諸条件を確立していくという心構えが大切ではないかという気持ちがしております。
#69
○小渕(正)委員 次に移りたいと思います。
 炭鉱災害について私、資料をもらったのですけれども、五十四年度において死亡災害が四十五名、五十五年度二十二名、五十六年度は今回の事故を入れるともう百二十二名ということになっておりますし、災害発生件数から見ましても、五十四年度千五百四十一件、その中において、死亡災害が四十五名、重傷災害が千四百七名、これが五十五年度に至りましても、災害発生件数が千三百十九件、その中で死亡災害が二十二名、重傷災害が千二百十二名、ほとんどすべての炭鉱災害が死亡災害ないしは重傷災害だ。これが慢性化しているような感じがします。ほかの産業では考えられないような災害発生状況だと思います。その災害の発生した実態は重傷災害が大半だというまさにこれは特異な状況でありますが、これは炭鉱という特殊な環境の中での作業形態でありますのである程度やむを得ないのかという感じもいたしますが、炭鉱にはそういった災害はやむを得ぬのだという、この常態的な慢性的なこういう災害に対する問題のどこをどう解決するかということに対する所管庁としての指導は、いままで一体どのようになされたのか。
 これら大災害が発生してから改めて災害のあれをいろいろと論議されるわけでありますが、これらの重傷災害があるからこそ、次の何回かに一回はこうした重大災害が発生するということになりかねないわけであります。問題はこういった災害発生件数をいかに減らすかということで、まず鉱山保安の立場からも、保安第一主義ということを先ほどから言われておるわけでありますが、そうであるならば、まずそのことにどのように徹するかということが先決だと私は思うのです。
 そういう意味では、今日まで監督官庁として、まさに慢性化しているこれらの炭鉱災害に対する指導、取り組みはどうなされてきたのか。時間がございませんので、大事なところだけ簡単に御答弁いただきたいと思います。
#70
○神谷政府委員 御承知のように、自然条件がだんだん悪くなる中で、極力災害を起こさないようにして石炭を掘っていくというむずかしい条件でございますので、われわれといたしましては、いろいろな保安関係の基準につきましては年々いろいろ改善しながら、傾向的には厳しく、安全安全と見込みながら進めておるわけでございます。
 しかし、一般的に申し上げましても、具体的にどういう成果が上がっているのか、あるいは具体的にどうしようかということでございますが、御承知のように災害率で見ますとこの十五年間で災害率は六分の一に減少しておるわけでございまして、昭和五十二年に五カ年計画で、三割減少という目標も掲げてまいりましたが、これは三年目の五十五年には達成されておるわけでございます。だんだんと下がってまいりますと、この下がり方のカーブがだんだん寝てまいりまして非常にむずかしくなってまいりますが、われわれとしてはできるだけ他の産業に近づけるべく鋭意今後とも努力を続けてまいりたいと考えておるところでございます。
 そういう最中に、こういう大事故が起きましたことはまことに遺憾でございます。しかしながら、この目標は今後とも追求して、やはり究極にはゼロを目指して限りない努力を続けてまいりたいと思っております。
#71
○小渕(正)委員 十五年間に六分の一に減ったということを大きく言われておるが、それくらいは普通常識じゃないですか。今日の産業社会の中では、それぞれの産業においてはもっと低減しておるわけですから、そういう点は余り大きなあれじゃないかと私は思います。
 しかし、そういう指導の中でたとえば、災害に目標を置くのは非常に好ましいことではないわけですが、ことしはこの炭鉱においては災害はどの件数まで減らすようにぜひがんばってくれ、少なくとも重傷災害はどれくらいにするというような目標数値を与え、そういう中で日常的な指導がやられておるのかどうか。その点はいかがですか。
#72
○神谷政府委員 炭鉱ごとに保安計画で目標を立てさせまして、それの実現に努力をさせております。
#73
○小渕(正)委員 その目標の達成率は大体どうなのですか、後からそういった年次別のデータでもぜひ欲しいと思いますが、とりあえずここでおわかりの点だけでも……。
#74
○神谷政府委員 後ほどデータで御説例をさせていただきます。
 概括的に申し上げますと、目標は達成をされておるという傾向でございます。
#75
○小渕(正)委員 データを見ていないので後の見解は差し控えますけれども、ひとつ大臣にお願いしたいのですが、言葉だけで保安第一主義と言うよりも、こういう実際の災害発生の数値が実態として出てくるわけですから、そういう中を見て、それが果たして本当に生きた保安第一主義になっておるのかどうかを判断しなければいかぬと思うのです。出炭に対する目標をそれぞれの企業別に持っていますから、ややもするとそういう形で、出炭優先的な傾向にならざるを得ないような要素が私はなきにしもあらずと思います。したがいまして、まず、この炭鉱では安全がどれだけ確保されておるか、そういった安全がどうなのかということの中で出炭というものも考慮していくという姿勢が行政当局にない限りにおいては、今回のような事故がまた再発するおそれなしとしない、このように私は思います。
 そういう意味で、非常に痛ましいこういった災害を経験されて、過去の福岡における災害もございますし、そういった大臣のせつない経験を、言葉ではなしに実態に生かされるような行政をぜひやっていただきたい、このことを特に大臣にお願いいたしまして、私の質問を終わります。
#76
○田中(六)国務大臣 委員のおっしゃること、私ども十分心に銘記して、そういうことで対処していきたいと思います。
#77
○森中委員長 小沢和秋君。
#78
○小沢(和)委員 大臣は先週の国会討論会で「ブザーが鳴ったらその人が飛び出していいし、そういうことを訴えていいシステムになっている」と発言されました。これはテープを正確に記録したものであります。また、先刻神谷局長は「緊急時の退避を妨げるものでない」と発言もしております。
 実は北炭の労働者が一番要求していたのが、いざというときに作業をやめ、避難することの保障だったわけであります。今度の事故で亡くなったわが党の田口市会議員らが七月に東京まで参りまして、通産省に保安の問題についての要請書を出しておりますけれども、そのトップがこれだったわけであります。おくればせにこういうような発言が出てきたということは残念でありますけれども、ここで正式に大臣の意思としてそのことをもう一度確認をしておきたいと思うのです。
#79
○神谷政府委員 基本的に、保安関係の法規の中におきまして、生命の危険を感じた場合に避難し得るとか、し得ないとかというような規定はございません。しかし一般的に申し上げまして、雇用契約の性格上、身体の危険があっても契約に拘束されて作業しなければならないというような契約はあり得ない、こういう考え方でございます。
#80
○小沢(和)委員 だから、いまの趣旨からすると、大臣が端的に国会討論会の中で述べられたとおりだというふうに理解していいわけでしょう。これは大臣、もう一遍はっきり答えてください。――いや大臣、大臣から言ってくださいよ。
#81
○神谷政府委員 具体的にブザーが鳴ったから云々という先ほどの御設問がございましたが、ブザーが鳴ったから退避ができるというような意味で、私はただいまの御説明をしたわけではございません。警戒の状態になった場合には係員の指示に従いながら作業をしていくという形になっておるわけでございますが、具体的に身体に危険が迫っておると感じた場合に、職場から離れて緊急に避難をするということはあり得るというのが、正確な御説明でございます。
#82
○小沢(和)委員 大臣の答弁だというふうに理解をしておきます。
 私は、緊急の事態のときにそういうような避難をすることが保障されておるということは、非常に重要なことだと思うのですけれども、一般の労働者にそれが知られておりません。現に鉱山保安法や石炭鉱山保安規則を見ますと、保安係員には危険防止のため明確に権限を与えていますけれども、労働者には指示に従う義務あるいはブザーが鳴ったときの係員への通報義務などが規定されているだけです。だから夕張の労働者は、緊急時にそういうようなことが保障されているということは全く知らない。だからある労働者は、むしろ大臣が現状を知らないからああいう発言をしたのではないかと言って、憤慨しているような事実さえあるわけです。だからこの際、そういう法の運用になっているということについて周知徹底させていただきたい。
 それだけでなく、法律の解釈上そういうことができるというようなことじゃなくて、法律や規則そのものにそのことを明文化して、入れていただく必要があるんじゃないかと思うのですが、この点はいかがですか。
#83
○神谷政府委員 御承知のように、鉱山保安法におきましては、採掘作業の現場における保安関係、これを万全のものにするためにいろいろな規定が置かれておるわけでございまして、ただいま御指摘のように、係員に通告するとか係員が適切な指示をしなければならないというようなことも、保安の万全を期すために保安法規の中で規定しておるところでございます。
 保安法規そのものが緊急避難時における雇用契約に及ぼす影響等まで規定する形になっておりませんので、そういう意味では、先ほど申し上げましたように、安全を確保するためのいろいろな規定はございますが、緊急時に避難することが一般的な契約にどういう関係を及ばし、どのような効果があらわれるかというのは、一般法の観点から考えるべきものというふうに考えております。
#84
○小沢(和)委員 しかし、実際に労働者がもし身に危険を感じてそういう行動をすれば、職場放棄や社則違反などで処罰の対象にされるというふうにみんな思い込んでいるのですよ。現にそういう声が私のところにも寄せられておるのです。だから、いまのようなことについて周知させていただくことが必要ではないか。いままでその点について周知させるような措置がとられておりますか。
#85
○神谷政府委員 一般的に、本件に関して特に周知させるような措置はとっておりません。
 と申しますのは、たまたま現在鉱山保安の問題で議論が行われておりますが、これはすべての職場に当たるものでございまして、何らかの作業がこれは社内規則等において一定の秩序のもとに行われている際に、危害が及んできたりあるいは危害が真に予見された場合に避難するということはあり得ることでございまして、これによって雇用契約上何らかの不利を受けるというようなことは、一般の契約の原則からして考えられないというのが通念ではないかというふうに考えております。
#86
○小沢(和)委員 では、次の問題に進みたいと思います。
 大臣は、このときのテレビ討論で、「北炭には保安第一、生産は第二、第三だ」というふうに言ってきたとか、あるいは「生産計画も無理しないよう抑えさせた」というような、大変かっこうのいいことを言っておられるわけでありますけれども、現実には政府こそ、会社に無理な生産計画を立てさせ、それをがむしゃらにやらせた張本人ではないかということを、私は次に言いたいわけであります。
 いままでにも何回か言われてまいりましたけれども、九月二十五日の石鉱審の経理審査小委員会に林社長を呼んで、通産省も一緒になって、上期の計画が未達成に終わったのはけしからぬというわけでハッパをかけた。そのため、社長は山に帰りまして、十月六日の労使安定委員会で、「事態は急迫し、予断を許さない」と非常事態宣言を発して、北部で来年一月出炭開始を目指し、「急速掘進を実施、骨格展開の早期達成を図る」ことを提案をしているわけであります。この修正計画については、一昨日の参議院での答弁を私は聞きましたが、「まだ当局として検討しておらない」というふうに答弁しておりました。そうすると、これについては、検討しておらない以上、具体的に抑えたとかいうことはあり得ないというふうに考えるのですが、その点をはっきり答えていただきたい。
#87
○福川政府委員 大臣あるいは私が、再建計画について、これはことしの三月につくりましたときの再建計画でございまして、この計画をつくります過程で、これは先生御存じのように、昨年の八月に火災が起こって、それ以後の再建計画を順次つくってまいります過程で、技術的に果たして可能であるかどうかという点をチェックして、最初の十月ごろ持ってまいりました当初計画から下げさせてきたという意味で、これは申し上げたわけでございます。
 それで、いまお話しの九月二十五日以降の問題に関しましては、これは下期の実施見込みというのを会社が立てます。私どもの方としては、いまの三月にできました新再建計画ということをずっと進めてまいりまして、これが非常に大きくそごを来すとか資金が全く行き詰まるとか、そういうことになれば修正ということを考えますけれども、そうでない実施上の月ごとの見通し、あるいはこの個別の計画等について労使と話し合いをするという、その細かいところまで私どもの方としてそれをチェックするということになっておりませんで、大きく再建計画を修正するかどうか、こういうことの場合には検討いたしますが、そういう意味では、私どもは、特にそれを再建計画の変更という形で取り上げるところではなくて、むしろ会社の実施上の見込みで労使で話し合う筋のものと、こういうことでございまして、これを高いか低いかということをいまのところ評価するものではない、そういう趣旨で申し上げたわけでございます。
#88
○小沢(和)委員 だから、実施見込みという形で、事実上、下期にはこういうハッパをかけられたのにふさわしくやろうじゃないかということで、通産省から特別の指示がない以上、あなた方はすぐ自主的にということを言いますけれども、会社は当然これに沿ってどんどん動き出しておったというのが現実の姿だと思うのです。まさにそういうふうに動き出した直後に、今回の事故というのが起こっているわけでしょう。だから、もし大臣がテレビで言ったように北炭は保安第一というのであれば、私は掘進について例をとりますけれども、上期の実績は五千五百三十六メートルだった掘進を一挙に八千五百九十二メートルに、五割も延ばすというような計画というのはどんなに無理な、無理と言うよりもむちゃな、保安にも重大な危険をもたらすようなものになっているのかということは、あなた方はその計画をちょっと見ただけでも、おわかりになったものじゃないのですか。この点について何も指導しなかったというのは、保安について一般的、抽象的に幾ら留意してくださいよと言っても、これは本当に保安を重視する立場をあなた方が実際的に貫いたというふうにはちょっと言えないのじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
#89
○福川政府委員 いま御指摘の、掘進メートル長をかなり下期にふやしたいという実施見通しを会社が立てておるわけでございまして、私どももそれは報告書を取って事情は承知をいたしております。
 これは先生もさっき御指摘のように、三十日に会社は労働組合と協議の提案をし、十月六日に経営安定協議会をいたしておりまして、これにつきまして十五日に社長が私のところに参りました、事故の前日でございますが。そのときに社長は、この点については労働組合とはいろいろな点でまだ話し合い中です、こういう御報告でございました。
 いまお話がございました、大変無理と一目でわかるじゃないか、こういうお話でございます。これは私どもそれぞれ計画の中を考えてみますと、一つには、上期にいろいろ西部地区に投入しておりましたが、その西部の人を、西部の西二をやめまして、これは断層があったために早目にやめたわけでございますが、これを北部に投入をする、それから請負関係の人員をふやす、こういうことでございます。さらにまた、先生も御存じのように、盤下坑道には十月から電車が入ることになりました。またベルト斜坑には人車等が入ることになりました。
 そういうふうに技術的に改善の余地があるわけでございまして、一人当たりの能率ということを考えてみますと、大体上期の実績あるいは新再建計画の実績の水準から特に無理に引き上げて、さあ働けというふうにやった計画だとは私どもは考えておりませんが、それはもう少し会社の最終的な態度をまって考えたいと思っておりますが、とりあえずの私どもの感じはそのような要素を考えたわけでございます。
#90
○小沢(和)委員 西部の人員を北部に回したというようなことを言われましたけれども、私がさっき申し上げたこの坑道掘進の延長の長さですね。これは北も西も含めた全部の坑内でのことでありますから、その人員がどこに動こうと、メーターとしてあらわれてくるものはこういうふうに大幅に延びるということなんですから、人員がどこに動いたということとは関係がないと私は思うのですよ。
 それで、こういう無理な急速掘進をあおり立てるために、十月に入ってある下請では、月に百五十メートル坑道掘進したら四十万円の賞金をやろうとか、また別の下請でも、ガス抜きボーリングを予定以上やったら奨励金を出すなどというような、言ってみれば労働者の顔を札束でたたくような政策がとられておるんです。前月の実績がそこではどれぐらいかというのを見てみると、九十メーターにもならない。それをこうやって一挙に百五十メーターに引き上げようというようなことが、これは無理でないと言えるのか。林社長でさえ、北部への展開計画には無理があった、焦っていたというふうに認めていたのは私は当然だと思う。しかし、会社をこういうふうにさせたことについては、私はやはり政府の態度に責任があると言わざるを得ないと思うのです。
 きょうは時間も余りありませんので、こういうような状態を背景にして考えてみるとき、ガス抜きボーリングが不徹底だった。今回の場合ガス突出事故ですからこのことにしぼりますけれども、ガス抜きボーリングなどが果たして十分にやられておったかという点では、これはだれしも不安を抱くような状態だったのじゃないかと思うのです。現にある下請労働者が私たちに対して、「本来五十メーターやるべきところを二十メーターしかやらなかったことがあるんだ、それは単価が低く、仕事をあおられるというような状態のもとで、もうそうしかできなかったんだ」というような重大な発言もしておるわけであります。
 当局は、一昨日の参議院の議論の中では「こういうようなことはあり得ない」というようなことを答弁したりしておりますけれども、本当にそういうふうに確信をするのか。もしこういうようなガス抜きボーリングがいいかげんにされておったというようなことが事実であったとしたら、これはもう新鉱にとっては致命的ですよね。だから、本当にそういうあり得ないというような保証になるボーリングが万全にやられているということのチェックなどの体制があったのかどうか。もう一つ進めて、その点について明確なお答えをお願いしたいと思うのです。
#91
○神谷政府委員 一般的に申し上げまして、下請会社については、ただいま先生御指摘の下請でそういう証言があったということでございますが、下請会社の作業につきましては、会社側といたしましては、作業日誌をチェックするほか、本来的に、下請の作業に関しては係員による研修等を行うというのが常でございますし、また監督局におきましても、巡回検査あるいは予算確定の際に可能な限り工事個所、工事資材等について現場で確認し、作業台帳と照合するというようなことを行っておるわけでございます。したがいまして、私ども、いま申し上げたようなことが一般的にあるとは考えられないというふうに思っております。
 しかし、そういう証言があるんだというお話でございますし、いろいろのお話がございますから、私も、先ほど申し上げましたように、現地におきましては、言われておるようなこと、あるいは技術上調べなければならないことは徹底的に調べろ、その上で原因究明を行えという指示を行っておるわけでございます。したがいまして、私は、一般的にはあり得ないことでございますが、事故が起き、原因調査を行っている以上、関連することはすべて調べてみたい、こういうふうに考えております。
#92
○小沢(和)委員 私がお尋ねしたのは、会社自身がそれを、仕事を下請に出すからには、五十メーターと言った場合には間違いなく五十メーターのボーリングをやったということをチェックする、そういう社内的な仕組みを持っているかということでお尋ねをしたわけです。
 時間がありませんから、私の方で聞いていることやら何やらを申し上げるというと、少人数だけれどもそういう職員はいることはいるんだそうです。しかし、ボーリングは御存じのとおりもう坑内至るところでやっている。だから結局のところ、この職員は書類づくりやらに追われておって、ほとんどそういうようなことのチェックはできないような状況だ。だから、下請の方から何メーター掘ったと言ったら、ああそうかということでそれで済んでいる、これが実態だと言うんです。だから、ぜひこの点についても十分に、会社などからの話を聞くだけでなく、下請も含めて、実際現場で働いているような人たちが私たちにこういうような証言を寄せているだけでなく、新聞などでもいろいろなことを言っているわけですから、それを全体としてひとつ重要な究明の足がかりとして調査をやっていただきたい。このことはいまあなたもそう言われたから、あえてお尋ねしません。
 それで、時間もありませんから最後に、いま私が申し上げたようなことが起こっておったら本当に大変なので、この点については会計検査院も、会計検査院としての立場からも関心を持って、五十メートル分で国の補助を取っておきながら二十メートルしかやっていなかったなんということがあったらえらいことですから、その面からもあなた方もぜひチェックしていただきたいというふうに考えますが、いかがでしょう。
#93
○大西会計検査院説明員 ただいま御指摘にあったような事態がございましたといたしますれば、問題であると私たちは思っております。しかし、ただいまとなっては現場を確認することは困難でございますので、当時の記録を見直すなり、あるいは現在保安監督上の立場から調査を実施されております鉱山保安監督局と連絡をするなどいたしまして見直してみたい、こういうふうに考えております。
#94
○小沢(和)委員 終わります。
#95
○森中委員長 岡田利春君。
#96
○岡田(利)委員 いまの質疑を聞いていて、鉱山労働者の義務という点についていろろ答弁されておりますけれども、保安法の第五条の鉱山労働者の義務、「鉱山労働者は、鉱山においては、保安のため必要な事項を守らなければならない。」、これはもう全鉱山労働者の義務として明確に法上は定められているわけです。この「保安のため必要な事項を守らなければならない。」ということは、何を指すのですか。
#97
○神谷政府委員 労働者の作業に当たりまして、本法並びに規則その他に関連する諸規定に違反してはならない、こういう趣旨と考えております。
#98
○岡田(利)委員 法は、法の中にも規則、政令で定めるものがあるわけですね。膨大な五、六百条になっているんじゃないでしょうかね。それから保安規程についても法で定めてあるわけですよ。そうしてすべて認可を必要とする。また監督局長の命令に反するものは直ちに変更しなければならない。法はもう詳しく書いているわけですね。だから、鉱山労働者は法の規定を守らなければならぬわけですね。そういう義務があると第五条に書いてあるわけですよ。そうしますと、その規定に反することについては、つまり守らなければならぬということは、もし反することがあれば就業拒否もできるんじゃないですか。これは、保安法の第五条の鉱山労働者の義務から明確に解釈されるべきものと私は思うのですが、いかがですか。
#99
○神谷政府委員 先生御指摘の問題につきましては、鉱山保安法というよりも、一般的に雇用契約の規定の方から解釈できると思いますが、公序良俗に反するようなことを強制する雇用契約ということはあり得ませんので、規則に明白に違反するような事項を会社が強制するようなことがあれば、これを拒否し得るものと考えております。
#100
○岡田(利)委員 会社が強制しようとしまいと、たとえばメタンが二%ある、したがってそこでは仕事ができないと拒否をすることは、当然固有の権利じゃないですか。法の義務として課せられているのですから、当然そういうことはできるわけじゃないですか。そしてまた、法三十八条で鉱山保安監督局長に対する申告ができる。しかも、それを理由にして解雇その他の不利益な扱いをしてはならない。だから、この五条と三十八条の精神というものは、法、規則、規程に明らかに反しているという場合には、就業しないという固有の権利があると解されるのが、この法の仕組みからいって当然じゃないですか。何も局長が言っている理由ではなくして、法はそのことを示しているのじゃないですか。
#101
○檜山説明員 ただいまの問題でございますけれども、法の五条には、鉱山労働者が固有の義務として守らなければならないことが規定されておりまして、具体的にはこれは規則の方の鉱山労働者の義務のところにいろいろと書いてございます。第五節の四十二条から四十七条の二までになっていますが。そういう中で、鉱山労働者は、法律違反といいますか規則違反があった場合には、とにかくそういう法律違反がないようにということで、固有の義務として守らなければならぬ義務が出てくる。
 ただ、ガスの問題で、これは具体的な今度の災害のケースに当てはまるのですが、ガスが仮に一・五%以上というようなことになった場合、具体的にこの四十七条の二で、可燃性ガス自動警報器が警報を発していることを知ったときは直ちに通報しなければならないという義務が課せられていますけれども、その問題と、そういう事態があった場合に、これは法律違反であるから鉱山労働者が直ちに現場を離れるということとは、直接結びつかないというふうに私ども考えております。
#102
○岡田(利)委員 これは規則だけじゃないでしょう。法にだって保安規程にも書いてあるのですよ。しかも、監督局長の認可を得なければ規程も発効しないのですよ。鉱山労働者の意見を聞いて、保安委員会で決めるわけでしょう。だから、鉱山保安という問題は法、規則、規程と三段階の方式になっているのですよ。そうしますと、それを守らなければならぬという義務を課せられているのだから、守れないことはやれないわけでしょう。守らなければならぬと法で明確に義務づけしておいて、守れないことをやる必要はないわけでしょう。いかがですか、守ることが義務づけられているわけですよ。守らなければならないと書いてあるのだから、守れないことをやる必要はないでしょう。当然でしょう。
#103
○神谷政府委員 御指摘のように、少なくも、鉱山保安法におきましては、鉱山労働者が自己の作業を行うに当たって、法律ないし規程に規定されておる諸事項は守らなければいけない。したがって守らなければ法律違反の問題が出てくる。他方、会社の雇用契約において、もし保安法を守ることによって雇用契約上債務不履行というような問題が生じてまいりました場合には、これは全般的に言って公序良俗に反する契約というものはあり得ない、こういう考え方の方から鉱山保安法の解釈をしていく、こういうことになろうかと思います。
#104
○岡田(利)委員 鉱山保安というのは、鉱山労働者連帯でやらなければ守れるものではないわけですね。一部で違反があって事故が起これば、爆発の場合は全然関係ない人も死ぬわけです。したがって屋上屋を重ねるような形で法、規則、規程を設け、さらに、本人がもし申告した場合でも解雇とか不利益な扱いをしない。ということは、それが守れないときには、ここは違反ですからだから仕事はできませんと言えるわけだ。違反を直すための作業というのはありますよ。そういうことはありますよ。しかし、完全に違反だということがわかっておって、守らなければならぬのですから、就業できません、そして法の中にも書いているように、そのために解雇その他の不利益な扱いは労働者はこうむらないのだ、このように解釈しないと、何のために法はあるのか、私はどうも解釈に苦しむ。この法ができるときに私は北海道の公聴会に参加しているわけですけれども、私どもはそう理解しているのですよ。私の言うのは無理ですか。
#105
○神谷政府委員 一般的に申し上げまして、この法律ないし規則に抵触するケースというのはいろいろなケースがあると思います。具体的に先生が御指摘のように、全く法律に反するような作業を強制するということは完全に拒否できると思いますし、民法上、契約上の問題も、恐らく裁判所におきましても何ら疑問なく判決が出るものと思います。
 しかし、ある状況にある場合に、それを改善してそれからこういうふうに進んだ方がよかろうというような場合には、係員に話をしなさい、あるいは監督局長に話をして改善しなさい、こういうことになっておるわけでございまして、そのような状況に関連しては、むしろそういう手続を事前に踏んでいくというのが筋であろうと考えます。
 御指摘のようにこれだけの法律、規則でございますので、おのおののケースに当てはめる場合には、いま申し上げましたような原則で進めていくことになろうかと思います。
#106
○岡田(利)委員 ですから、この法そのものは非常に条文は少ないですけれども、規則は五、六百条あるでしょう。それに保安規程があるわけです。保安規程は法でちゃんと定めなければならないと義務化しているわけですよ。しかも監督局長の認可を得ないものは認めないと、非常にぴしっとなっているのです。だから私は、改善作業のことを言っているのじゃなくして、たとえばガスが二%あるのに働けと言ったって、それは拒否できるわけですよ。一・五%の場合には作業中止をして係の指示を待つ。当然のことなのだ。これはやらなければならないことなのですから、そこはやはりきちっとする。そういうときには作業を拒否しても明確な理由があるわけです。拒否しても不利益な扱いはこうむらない。申告制度まで設けているわけです。申告しても解雇もしくは不利益な取り扱いはこうむらないと法で定めてあるわけですから、その二つの精神から考えれば、私の言っているのは無理ないと思うのです。そういう点ぴちっとしてもらいたい。私はいままで法の精神というものは一貫してそういう理解で来ているわけですよ。
 そこで、マイナス七百五十七メートルまで水没しておるわけですけれども、この遺体搬出は急がなければならないわけですね。鎮火宣言を行って、それから今度は排水をして、遺体を収容しなければならない。特にマイナス八百十メートルの巻き立て付近までに、大体二十名くらいの遺体があるということはすでに想定されているわけです。そうしますと、排水とコールダスト、炭じんの排除をしなければ遺体は搬出できませんから、ここの現場の場合には、大体マイナス八百十メートルレベルの盤下までの個所については、同時並行的に進めなければならぬという作業手順になるのではないかと思うのですが、いかがですか。
#107
○檜山説明員 同時並行的にという御質問でございますけれでも、揚水、取り明けを進めながら、かつ遺体の収容ということは同時並行的に進められるというふうに考えております。
#108
○岡田(利)委員 噴出炭じん量は四千立米以上、こう想定されているわけですが、大体この盤下坑道までに三千立米弱ある。それから立て入れゲート、ここには相当充満しているだろうと思うのです。そういう日程からいきますと、一応会社説明の取り明け所要日数ということが出ているわけですけれども、いま言った答弁から判断しますと、この会社の日程よりも早まるだろう、私はこう思うわけですが、この点について検討されていますか。
#109
○檜山説明員 この点につきましては前にも申し上げたとおりでございまして、いままだ鎮火の確認ができていないという問題と、それから坑道がどういうふうな状況になっているかという点が不明な現状では、会社の計画しております四カ月という点が早まるのかあるいはおくれるのか、ちょっといまの段階では申し上げられないのでございますけれども、一つのポイントは、炭層貫縫個所がございまして、そこはコンクリート吹きつけで炭層を遮断するような形になっていますが、そこまで水が入っていないという想定をいま若干いたしております。現実にはどういうふうになっているかわかりませんけれども、その点は取り明け、収容の作業に非常に大きな影響を与える一つのポイントではないかと考えております。
#110
○岡田(利)委員 ただ言えることは、ここは機材準備の個所でありますから岩盤坑道である。一般論で言えば坑道の傷みとかいろいろ出てくるのですけれども、すでにこれは素面で巻き立てまで入っているわけですね。多少の状況というのは把握されているわけですね。そういう意味では、いわば採炭現場部内とは違った非常に単純な状況が常識的には想定できる、こう考えるのが普通じゃないでしょうか。
#111
○檜山説明員 そういうふうなお考えもできるかと思いますが、私どもの方としましては、まだいまの段階でそういうふうな推定といいますか、想定は行っておりません。
#112
○岡田(利)委員 ここの個所のガス抜きの規格、ガス抜き量、これは全部日誌に出ているのでしょう。これは当然出ているわけでありますから、資料として出せますか。
#113
○檜山説明員 現在札幌の鉱山保安監督局で捜査の段階に入りまして、このガス抜きの状況等の調査が始まっておるところでございまして、いまの段階では捜査にいろいろと影響が出てくるのではないかという感じもありますので、ちょっとこの点につきましては、後ほど監督局の方と協議してお答えしたいと思います。
#114
○岡田(利)委員 これはガス抜きに補助金を出しているのでしょう。そうでしょう。補助金を出しておるのですから、何もこれは別に秘密の事項でもないでしょう。掘ったところに補助金を出すわけですから。保安補助金が出ているわけでしょう。しかも規格もあるわけでしょう。実績もあるわけでしょう。これは日誌で全部報告されている。コピーでいいわけですよ、そんなもの。本物じゃなくてもいいのです。それは問題ないのじゃないですか。これは非常に重要なポイントなんで、私はできるだけ早く出してもらいたいと思うのですが。
#115
○神谷政府委員 御承知のように、捜査活動の方はいま検事の指揮のもとで警察と合同の捜査を行っておりますので、そちらの方で押収した書類に関しましては、脱地との打ち合わせも必要でございます。
 ただ、御指摘のように行政上出せる資料というのがいろいろあるのじゃないか、こういう御指摘でございますが、われわれできるだけ御説明できるものを御説明したいという態度でまいりたいと思いますが、御承知のように余りにも多くのことが言われておりますので、余り断片的な資料を出してまたいたずらに混乱を起こすということは避けたいと思いますので、この点御了解の上、われわれの整理をしばらくお待ちいただきたいと思います。
#116
○岡田(利)委員 保安監督官というのは警察権を持っているわけです。警察、警察と言うけれども、監督官自体が警察権を持っているわけですから、それは政府の指揮下にあるわけですから、そうむずかしい問題じゃないと思うのですね。指令が出された状況はどうだったかということは、やはり明らかにしなければならぬと思いますね。この点強く指摘しておきます。
 部長に、昭和五十六年度予算上、この災害について、先ほど言ったようにまだ細部は決めていないと言うのですけれども、二十五条の十の二及び十三の適用ということになりますと、五十六年度の予算上の問題になってきますね。そういう点については検討いたしておりますか。
#117
○福川政府委員 現在北炭自身も今後の対応策につきましてはまだ検討中でございますし、関係金融機関の対応ぶりも明らかになっていないわけでございます。今回の事故に対しましていかなる対応をいたしていくべきか、この事故の処理の作業あるいはその後の対応、こういうことは、私ども現時点でまだ具体的な展望を持ち得ない段階でございます。
 さらに今後原因究明が進み、関係方面の意向が明らかになり、また当社の労使の対応が明らかになっていきます過程におきまして、私どもとしては、これをあらかじめ検討するとかしないとかそんな前提は置かずに、いろいろな対応策は検討したいと思っておりますが、まだ内容が固まっておりませんので、いまのところは少しお時間をいただきたいと思います。
#118
○岡田(利)委員 私がかねて当委員会で、保安問題で指摘しているダブルチェックの体制、いよいよこれはもう一度検討しなければならぬのじゃないですか。いわゆる鉱山労働者の中でも、有資格及び指定鉱山労働者、それぞれの固有の任務に対して特定の教育を受けさせ、資格を付与しなければならない、こういう仕組みになっているわけですね。ところがこういう掘進先でかなりな責任を負う。そして先山は固有の労働者としての義務はあるけれども、保安上の義務は何もない。責任も何もないのです。普通こういう掘進先の場合には係が単独だというのが大体常識ですね。ところがガスなんかの問題は日常的に状況が変わるわけでしょう。そうしますと、やはりそこの先山には必要な教育をして、そういう資格を与えて、ダブルチェックの体制をとらなければ完全な自主保安の基礎的な体制が整わない、こう指摘をしているわけです。きょうはこれは答弁は要りませんけれども、私のかねての指摘ということが、今次災害の場合にもそのことの必要性というものがより一層痛感されるということについて申し上げておきたいと思います。
 労働省からも参っておりますので一つお聞きしておきたいのですが、これから遺族の状況によって、もちろん企業の努力もあるでしょうけれども、この生活安定のために就職、こういう点についても御心配願わなければならないと思うのです。
 同時に、いまの状況を判断しますと、かつて幌内でも例があったのですけれども、稼働ができない状態にあるので、労働者は全部坑内に入れないわけですね。家に待機をしなければならない。生産なりが始まればまた別ですけれども、点検などといっても全員が入るという状況じゃないわけでしよう。そうすると、相当期間職場につけないという状況が生まれるわけですね。もちろんこれは特例措置でありますけれども、その場合のレイオフ、一時帰休制度、こういうこともしばしば幌内等の場合にも問題になってきたわけですが、政府全体として対策本部を設けているのですが、状況によってはそういう適用もできるかどうか、この点の見解を承っておきたいのです。
#119
○倉橋説明員 再開までの間におきます労働者の方々が自宅に待機するという場合の生活の保障でございますが、私ども現在まで把握しているところこよりますと、職員の方の相当多くの者が現在
 仕事をやっておりますが、鉱員につきましてはその大部分の方が自宅に待機されるというふうに聞いております。
 こういうような状況のもとにおきまして、その間におきます賃金なり休業手当の問題につきましては、やはり本来的には北炭、所属会社におきましてしかるべき手当てをすることが妥当ではないか、そういうことで、いろいろ今後とも問題があれば指導してまいりたいと思っています。
#120
○岡田(利)委員 状況が、まだそう時間がたっていないわけですからなんですが、しかし、全体的に政府の対策本部の中で実態というものを見きわめられた上で、そういう点も御検討の余地を十分残しておいていただきたいということを私は希望いたしておきたいと思います。
 時間がありませんので、塚田委員が関連して一問質問したいということでありますので、塚田委員に質問してもらいます。
#121
○森中委員長 塚田庄平君から関連質問の申し出があります。これを許します。塚田庄平君。
#122
○塚田委員 時間もありませんので一点だけ。
 先ほど小渕委員だったと思いましたが、夕張の災害は特殊な例なのかどうか、その質問に対して、檜山参事官は、これは特殊だと言われた。確かに九十三名の犠牲などというのは普通あっては大変な問題なんで、そういう面ではこれは確かに特殊です。しかし、委員の質問は、その災害の大きさではなくて、いま山の置かれておる現状と照らして、災害の性質というか、量の問題じゃなくて質というか、そういう面で特殊かどうかという質問だったと思うのです。今度の夕張の問題を特殊な問題ととらえる、当局なり監督官庁のそういうつかみ方の姿勢の中に、大変な問題があると思うのです。
 結論的に言うと、北海道にある山、隣の大夕張、これもガス突出は小規模でありますけれどもちょいちょいあります。これは知ってのとおりです。赤平、相当の深部で、ここにも事故があり、特に坑内夫は、将来にわたってあるいはというような、そういう心配で仕事をしておることは知ってのとおりです。幌内、これはもう大きな事故がありまして、出炭現況からいってカーブは相当上がり下がりで、これも焦ると恐らくとんでもない事態が来るのではないか。真谷地立てひ、これも人数は少ないけれども、一人、二人と犠牲になっていますね。あるいはまた、芦別、上砂川、これも登川層がずっと入っております。同じような事故が起きる可能性は十分あります、大変言づらいことですけれども。
 いわば総じて、北海道の山の大部分は夕張新鉱と同じ条件にある。だから夕張は、数においては特殊かもしれないけれども、災害の起こる可能性あるいは態様から見ると、あの事件は特殊ではない、こういう観点に立って万全の対策をしなければならぬと思うのですが、もう一遍参事官あるいは神谷局長の意見を聞きたいと思います。
#123
○神谷政府委員 御指摘のように、北海道の山は九州の山に比べて六倍もガスが多うございますし、最近のように深部に進んでまいるに従いまして、ガス突出あるいは山はねというのが、われわれといたしましては非常に重要な保安対象項目になるわけでございます。しかも御指摘のように、赤平その他いろいろな問題がございますので、われわれとしても、これまでの経験を踏まえて、ガス突出に関しましての災害防止対策のための検討部会を、中央地方でこの九月から発足させて、鋭意検討を進めて、従来の対策に加えてさらに一歩二歩踏み出したい、こう考えておったところにこの事故が起きた次第でございまして、その点ではまことに遺憾であるというふうに存じておるわけでございます。
 ただ、先ほど参事官が申し上げましたように、こういうガスが予見されるし事故として非常に注意しなければならない対象でございますので、ボーリングの徹底であるとか種々の対策を購じてまいりまして、あれほど大規模なものは出ることはないのではないかというふうに考えておったところに、今回のようなきわめて大規模な突出がありましたので、そういう意味で意外であり、ある意味で特殊と申し上げたわけでございます。
 ただ、御指摘のように、ガス突出、山はねというのは重点的に対策を講じていかなければならない問題であるということは私どもも十分踏まえておりますし、しかし今回の意外性というものをその原因究明によって解明して、さらに今後の対策の糧としてまいりたいと考えております。
#124
○塚田委員 最後に、これは岡田委員からちょっと触れた問題ですけれども、坑内では、保安職員というのと採炭面の職員、この職員同士の連絡が、特に掘進に従事しておる人たちとの連絡が、北炭の例からいって一般的にどうも十分になされておるということは言えないのじゃないか。これは職員だけじゃなくて、鉱員の場合も、先山とそうでない後山、あるいは掘進関係との連絡、これがなかなかとれないような情勢の中で、いまいろいろな特に山はねとか突出については点検を深めるという運動を起こしておるようであります。
 それで、私はここで提案したいと思うのですが、こういった人たちの連携等も含めて、どうですか、出炭を一日、二日あるいは三日とめても、保安に従事しておる職員はもちろんですが、先山等の鉱員も含めて、全部一定の状態の中で山に入ってそれぞれ現場で話し合う機会を持たせるために、各山ごとに大運動を展開する。これをひとつ局長、やってみたらどうか。ただ口先だけで、やあ総点検だ、やあ保安週間だということではなくて、実際に出炭面に若干のあれがあっても、とにかくそのことを断行させる。それには先ほど言った具体的な資料を集めて、そして、これはひどいという山をまたさらに個々に指導していく、そういう体制を一度とる必要があるのじゃないか。この点について前向きなあるいはやるという御答弁がいただけるかどうか、ひとつ御答弁をお願いします。
#125
○神谷政府委員 御指摘のような問題点、先生御指摘の点も技術調査団の専門家等にも御披露させていただきまして、御意見はよく検討をさせていただきたいと思います。
#126
○塚田委員 では、ひとつその点の実現を期待しながら、質問を終わりたいと思います。
#127
○森中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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