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1981/11/18 第95回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第095回国会 商工委員会流通問題小委員会 第1号
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1981/11/18 第95回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第095回国会 商工委員会流通問題小委員会 第1号

#1
第095回国会 商工委員会流通問題小委員会 第1号
本小委員会は昭和五十六年十月二十三日(金曜
日)委員会において、設置することに決した。
十月二十三日
 本小委員は委員長の指名で、次のとおり選任さ
 れた。
      天野 公義君    小川 平二君
      粕谷  茂君    泰道 三八君
      辻  英雄君    中川 秀直君
      鳩山 邦夫君    林  義郎君
      松永  光君    森   清君
      渡部 恒三君    渡辺 秀央君
      上坂  昇君    清水  勇君
      山本 幸一君    渡辺 三郎君
      北側 義一君    武田 一夫君
      横手 文雄君    小林 政子君
十月二十三日
 渡辺三郎君が委員長の指名で、小委員長に選任
 された。
―――――――――――――――――――――
昭和五十六年十一月十八日(水曜日)
    午前十時十分開議
 出席小委員
   小委員長 渡辺 三郎君
      天野 公義君    泰道 三八君
      辻  英雄君    中川 秀直君
      鳩山 邦夫君    林  義郎君
      森   清君    上坂  昇君
      清水  勇君    武田 一夫君
      横手 文雄君    小林 政子君
 出席政府委員
        通商産業大臣官
        房審議官    植田 守昭君
 小委員外の出席者
        警察庁刑事局保
        安部保安課長  内田 文夫君
        参  考  人
        (日本弁護士連
        合会司法制度調
        査会第四部会金
        の先物取引に関
        する小委員長) 大深 忠延君
        参  考  人
        (社団法人日本
        金地金流通協会
        会長)     田中淳一郎君
        商工委員会調査
        室長      中西 申一君
    ―――――――――――――
十一月十八日
 小委員武田一夫君十月二十七日委員辞任につき、
 その補欠として武田一夫君が委員長の指名で小
 委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 流通問題に関する件
     ――――◇―――――
#2
○渡辺小委員長 これより商工委員会流通問題小委員会を開会いたします。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 今国会も引き続き、私が本小委員会の委員長に選任をされました。小委員各位の格別の御協力をお願い申し上げます。
 流通問題に関する件について調査を進めます。
 まず、大規模小売店舗の出店問題について政府から説明を聴取いたしたいと存じます。植田審議官。
#3
○植田政府委員 大型店の出店をめぐりまして各地で紛争が発生している現状にかんがみまして、通産省といたしましては、大型店の出店調整の一層の適正化を図るために、出店調整制度のあり方及び運用改善策並びに中小小売業の振興策につきまして、大型店問題懇談会を設けまして、年内に結論を得ることをめどにいたしまして、先般から検討をしているところであります。
 また、当面、この間の対策といたしまして、出店届け出の自粛を指導するとともに、調整中の案件につきましても、その慎重な取り扱いを指導しているところであります。
 若干具体的に申しますと、まず当面の対策といたしまして、去る十月八日に、概要次のような指導、要請を行いました。
 すなわち、大型小売業者に対しまして、各地域の商業環境や大型店の出店状況等を考慮いたしまして、届け出を極力慎重に行うように要請するとともに、都道府県に対しましては、この趣旨を踏まえまして、届け出を行う者に対して指導するよう要請いたしました。
 また、届け出がすでに出されているものにつきましては、商調協での慎重な審議を要請するものといたしまして、地元に混乱を招くようなおそれのあるものにつきましては、特に慎重に扱うよう要請いたしたわけでございます。
 次に、大型店問題懇談会でございますが、これにつきましては十月十二日、お配りいたしておりますようなメンバーをもちまして発足いたしまして、現在検討を行っているところでございます。メンバーは、中小小売商、大型店、消費者、調整機関――調整機関と申しますのは、商調協を持っております商工会議所及び商工会でございますが、この調整機関、それから生協、農協、労働組合、地方自治体、それの各代表及び学識経験者から成っております。
 検討項目といたしましては、主たるものは次のようになっております。
 一つは、大型店出店の現状と問題点につきましていろいろと検討するということでございます。たとえば紛争の原因を一体どう考えるか、あるいは出店の仕方とか出店のスピード等につきましての検討がいろいろと行われるべきであると思います。
 それからまた、次に、小売商業の調整制度、運用のあり方なり改善策をどう考えるかということでございます。
 その中で、一つは、出店の適正化策、たとえば出店の届け出とか調整に当たっての目安のようなものが何かできないかということでございます。これにつきましては、各方面から要望は大変強いのでございますが、率直に言いまして大変むずかしい問題でございます。きわめて流動的な流通の問題につきまして設けるわけでございます。また、地域ごとの実情がはなはだしく違いますので、そういったことを踏まえてどう考えるか、一つの検討点でございます。
 それから次に調整機関のあり方でございます。たとえば商調協のあり方をどう考えるか。商調協につきましてはいろいろと御議論のあるところでございまして、必ずしもよく十分機能していないのではないかというふうなこともございますので、この機能を充実するにはどうしたらいいか、あるいはまた、メンバーのあり方などどういうふうに考えたらいいか等々、商調協のあり方が一つの問題点と考えます。同時にまた、地方公共団体との連携のあり方というふうなことも考えなければいけないのではないか。市町村や県等ともっと緊密な協力体制をとるにはどうしたらよいかというふうなことも、ここでの検討事項になろうかと考えております。
 次に、調整方法についての問題もいろいろとあると思います。たとえば許可制の問題がございます。御承知のように、現在は届け出制のシステムをとっておりますが、これを許可制にすべきではないかというふうな御意見も出ている際でございますし、この問題についても検討しなければならないと思います。さらには、業種別に調整を行うべきではないかというふうな業種別調整の問題あるいはまた都市計画と商業出店の関係をどうするかというふうなこともいろいろと問題になっておりますので、そういった点の検討もあるわけでございます。
 次には、調整対象の問題でございます。この点につきましては、たとえば農協や生協といったものを調整の対象にすべきではないかという議論が一つございます。御承知のように、現在は、農協、生協は特別法によりましてそれぞれ運用されているわけでございますが、いわゆる商業活動による中小企業に対する影響という点で、同様の効果も持っているのではないかというふうな御指摘もあるわけでございます。あるいはまた、調整対象のもう一つの問題といたしましては、いわゆる企業主義という問題がございます。現在は店舗の大きさで規制しているわけでございますが、およそ大企業が出店するものにつきましては、店舗の大きさにかかわらず、小さな店舗でもこれは調整の対象にすべきではないかというふうな議論もございまして、その辺も一つの検討点でございます。
 その他いろいろございますが、主な点といたしましては、大体以上のようなことかと思います。
 さらに、懇談会といたしましては、中小小売商業の振興策という面でどうしたらいいかというふうな問題も、もう一つの大きな問題点であろうかと思います。
 そういうふうな点につきまして現在検討しているわけでございますが、いままで十月十二日に第一回の懇談会を開きまして、十九日に第二回の懇談会を開いております。この二回におきましては各委員からいろいろ御意見を伺っておりますが、三回目以降は、学識経験者から成る小委員会を設置いたしまして、さらに詳しく検討をしているところでございます。小委員会はこれまでに五回開催しておりまして、この間、四回にわたりまして関係者にそれぞれ来ていただきまして、ヒヤリングと申しますか、いろいろディスカッション等を行ってきたわけでございます。こういったヒヤリング等の結果を踏まえまして現在対応策を検討しているところでございまして、これからいろいろと検討いたしまして、年内をめどにまとめてまいりたいというふうに思っております。
 以上、簡単でございますが、最近の状況を御報告させていただきます。
#4
○渡辺小委員長 本問題についての質疑は後日に譲ることにいたします。
    ―――――――――――――
#5
○渡辺小委員長 次に、金の先物市場開設問題について調査を進めてまいります。
 本日は、参考人として、日本弁護士連合会司法制度調査会第四部会金の先物取引に関する小委員長大深忠延君及び社団法人日本金地金流通協会会長田中淳一郎君、以上二名の方々に御出席を願っております。
 この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人各位には、御多用中のところ本小委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。
 金の取引問題につきましては、さる五月十二日の本小委員会におきまして参考人の意見を聴取し、調査を行ってまいったところでありますが、御承知のごとく、金は、去る九月十六日商品取引所法施行令の一部を改正する政令の公布により、いわゆる政令指定商品に指定をされ、現在、金の公設先物市場の開設準備が進められていると伝えられております。
 この機会に、金の先物取引に関する諸問題についてさらに論議を重ね、その問題点等を明らかにすることにより、本小委員会としての審査を深めてまいりたいと念願をいたしております。
 参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。
 なお、議事の順序でございますが、最初に御意見をそれぞれ十分程度取りまとめてお述べいただき、次に小委員の質疑に対してお答えをいただきたいと思います。
 なお、念のために申し上げますが、発言の際は小委員長の許可を得ることになっております。
 また、参考人は小委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきお願い申し上げます。
 それでは、まず大深参考人にお願いをいたします。
#6
○大深参考人 ただいま御紹介いただきました大深でございます。
 すでに御承知のとおり、日本弁護士連合会は、本年十一月「金先物取引被害防止に関する意見書」をまとめて公表いたしましたところ、各方面から大変な関心を呼んでおります。
 このたび、当委員会におきまして、金の先物市場開設問題を調査なされるに当たり、参考人の一人として私に意見を申し述べる機会を与えられましたことを心からありがたく存じております。
 さて、当連合会のさきの意見書は三つの骨子から構成されております。すなわち、第一点は、現在マスコミ等の報道により、政府は本年十二月中旬にも東京金先物市場の開設を許可し、来年早々にもそこで実際の取引が開始される見通しである旨が伝えられております。この問題につき、当連合会では、金先物取引の需給条件及び委託者保護の諸条件が整備されるまでは政府として金先物取引所の開設を許可すべきではないと提言しております。
 その条件の重要なものとしては、第一に、国民に対する先物取引の危険性についての知識普及がなされること、第二点としまして、商品取引所法の改正ないしは新規立法による委託者保護の徹底がなされること、第三点としまして、商品取引業界の体質改善がなされること、第四点としまして、国内の当業者間での先物取引市場の必要性についての議論が熟することなどを考えております。
 仮に政府として金先物市場開設の許可はやむなしとした場合、投機を極力抑制する観点から証拠金率を三〇%以上にすべきこと、委託者保護の観点から商品取引員の純資産額を十億円以上とすべきという点もあわせて提言いたしております。
 意見書の第二点は、現行商品取引制度において、第一に、一般投資家に対する勧誘規制を強化すること、第二に、商品取引員、外務員資格を厳格にすること、第三に、委託証拠金率を適正にすること、第四に、委託証拠金の分離保管義務を明確にすることを指摘し、特に勧誘規制の問題につきまして、第一に、適格者ルールの確立、第二に、危険開示の原則を確立すること、第三に、不当勧誘防止策の徹底ということがなされることを具体的に取り上げております。
 意見書の第三点としましては、金先物取引被害が今日まで尾を引いた根源としまして、商品取引所法第八条をめぐる解釈について当連合会の見解を明らかにしました。そして、政府の昭和五十五年四月になされました解釈変更についての批判意見を開陳しまして、昭和二十六年のもとの政府解釈に戻すことを提言いたしております。この点に関しましては、他の政令指定外の商品、たとえばプラチナなどにつき金と同様のブラックマーケット被害が発生する危険があるからでありまして、すでにプラチナ、さらには銀、石油につき現実のものとなっていると聞き及んでおります。
 その他の具体的な問題につきましては、質疑応答のところで申し上げさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#7
○渡辺小委員長 次に、田中参考人にお願いいたします。
#8
○田中参考人 日本金地金流通協会会長の田中でございます。
 初めに、この日本金地金流通協会の設立、どういうわけでこれができたのかということについて申し上げておきたいと思います。
 実は、金地金というものが著しい統制を受けておりました戦前、そのころ貴金属地金協会というのがございました。これは主として日本の各鉱山会社、七つございますが、この鉱山会社の地金を直接買い、そして現物を直接売る、こういうようなことを通常の仕事としてやっておるというような、歴史的と言うとなんでございますけれども、親の代から金地金を取り扱っているというような会社が、大阪に四軒、京都に一軒、東京に十軒というような十五社で貴金属地金協会、これは社団法人でも何でもございませんが、金の現物取引をやっておったわけでございます。
 ところが、この金地金が御承知のように輸出入が自由になりましたので、かなり取り扱いの量あるいは流通形態というものも変わってもまいりましたし、あるいは現物の取り扱いに非常にふなれな方が参加をしてくる、あるいは金の実態というものについての本質を知らないで参加をしてくるということではこれはいけないということで、いわゆる金地金の流通をその初期において正しいものにし、そうして世界金市場の一環として日本の金市場が成長をしていくということでないと、あらゆる問題で日本の国の性格も低下するでございましょうし、いわゆる世界金市場の一環としてやっていくためには、やはり御当局の御協力をいただいてやっていかなければいかぬということで、日本金地金流通協会を社団法人として設立することを御当局にお願いいたしましたところ、全く同意見を得られまして、そしてこの流通協会ができ上がったということでございます。
 申し上げましたように、この流通協会の本質は、金地金の現物を扱おうということを主たる目的とし、しかもこの現物の扱い方を、世界金市場の一環として恥ずかしくないような取り扱い方にしていこうということでこの社団法人ができ上がったわけでございます。定款を一々申し上げますと長くなりますが、その定款には、とにかく現物を扱うということが大前提になっておりまして、金の先物を取り扱ってはいけないということが内容になっておるわけでございます。私どもは、どちらかというと、先物取引については歴史的にも無知でもございまするし、十分な知識も実は持ってない反面、現物の取引については、かなりの経験と知識と内容を持っております。私どもは、金を取り扱うといたしまするならば、現物についてのみ正しいマーケットをつくっていこう、りっぱな市場にしていこうということを考えて現在に至っておるわけでございます。
 特に、現在先物市場ができようという機運でもございまするし、そういうことであるとするならば、われわれの経験あるいはいままでやってきた能力というようなもので、先物市場の発展のために御協力するということについては十分考えるべきでもあるし、考えていかなければならぬ。たとえば、金地金の検査であるとか溶解であるとか、そういうような面につきましては、むしろ日本の現物市場、現物取引をりっぱなものにするということのためには、そういう意味合いで、現物については十分お手伝いをさせていただきたい、こういうような立場をとり、協会員全員がそういうようなことで考えておるということでございます。
 以上でございます。
#9
○渡辺小委員長 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。
#10
○渡辺小委員長 これより質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上坂昇君。
#11
○上坂小委員 参考人の皆さんには、お忙しいところおいでいただきまして、ありがとうございます。少し先物取引市場のことについて質問をいたすことにいたします。
 いま御意見をいただきました大深先生にお伺いをいたします。
 いま先物取引は、九月十六日に指定商品になりまして、いよいよ十二月から市場が開設をされるという動きになっております。その前に、まだ少し早いのではないか、この開設をもう少し見合わせてはどうかという提案がなされたわけでありますが、私も、いままでの金の動きあるいはいわゆるブラックマーケットと言われている状況の中から、まだまだ危険が非常に多いし、ここで金市場、先物市場を開くということは、むしろブラックマーケット的なものを助長する形になるのではないかと思います。
 実は、指定商品になりますと取引市場を開いてもいい、いまの政府の見解によりますと、何でも市場を開いてやってもよろしいという形になってしまいまして、そこで問題がたくさん出てくるおそれもありますし、もう一つは、ほかの市場をつくってはならないということで、いままで金市場界あるいは取引業界を混乱させていた、金に対するいろいろな取引のトラブルがたくさん出ておりましたが、それらを整理することができないで、むしろ金市場を開設することによって、いわゆる取引員と言われる人たち、いままでの取引所の人たちの一般投資家に対する勧誘を公認化してしまうというような結果になりはしないか、そういうことによってもっと多くの一般投資家における被害者が出てくるのではないか、頻発するのではないか、こういうおそれを抱いておるわけであります。
 この辺について、専門家の立場から、このブラックマーケット的なものに対していろいろ取り扱いをしておられる立場から、もう少し御意見をいただければ幸いだと思います。
#12
○大深参考人 先生の御質問に対して正確な答えになるかどうかわかりませんが、日弁連としましては、政府が言われるように、金政令の指定、金取引所の開設という問題は、金取引の被害防止とは直接つながらない問題だというふうに考えております。被害防止のために金取引所を設立するというのは、いわば本末転倒の議論ではなかろうかと考えております。
 と申しますのは、金先物取引の被害は、すでに昭和五十一年、五十二年ごろから生じております。このことは、通産省発行の五十一年十月一日の「消費者ニュース」第二十八号における「金の先物取引の危険性について」と題する警告記事からも明らかです。日弁連の見解では、その時点で商品取引所法八条を政府に発動していただいて適切な規制がなされておれば、金の先物被害の問題はその時点で、後日に尾を引くことなくある程度未然に防ぎ得たのではないかと考えております。政府が八条の解釈を五十五年四月に変更された上で、この金の被害を防止するために、今回、九月十一日に金を政令指定されまして、十六日からその政令を公布するという形で被害防止策を講じたと言われるのは、余りにも回りくどい不可解な見解であると考えております。
 この金の防止策として政府のとられた対策が、抜本的なものでないと考える理由は四つほどあります。
 第一点は、政府は、ブラックマーケットにおける取引を防止するために政令指定をされたというふうに言われておるのでありますが、昨年四月の八条解釈の変更の際に示された見解によりますと、私設市場における業者の取り口は先物取引と解することに疑義を述べておられまして、この政令指定によって同種取引を抜本的に規制できるのかどうか疑問であるという点が第一点であります。
 それから第二点は、冒頭に述べましたとおり、金の先物市場設置につきまして、金の現物取扱業者等について先物取引の需要というものが必ずしも熟していないということと、そういう条件ができていない上に、現行の商品取引制度下における一般委託者が相場取引によって被害を受けている事情にかんがみますと、かかる条件のもとで金取引所が設置された場合、ブラックマーケットにおける金取引の被害と同様の取引被害に一般大衆が巻き込まれるのではないかと危惧されること、これが第二点であります。
 第三点としまして、政府のとられた国内の金市場での取引は禁止という結果、同じ業者が海外の市場に向けて同じ金取引を勧誘するに至り、かえってまた一般大衆にはきわめて理解しがたい取引に巻き込まれている、また巻き込まれるおそれがある、これが第三点であります。
 それから第四点としましては、金という特殊な商品による被害という形で問題を提起されましたが、政府の八条の解釈の変更によりまして、このたび金の政令指定ということで一応防止策を講じられたというものの、次は金の代用品としまして、先ほども指摘しましたように他の商品、たとえばプラチナ、銀などにそれが転化され、同種の被害が発生するのではないかというのが危惧される第四点であります。
#13
○上坂小委員 田中参考人にお伺いしますが、いま大深参考人の方から、現物を扱っておられる当業者の皆さんは、まだ先物取引についてそれを開設する機が熟していない、こういう判断をされている。それから、そういう点からかどうかわかりませんけれども、金地金流通協会が当業者として今度の先物市場に参加を見合わせておるということについて、先物市場が開かれる以上は、むしろ主たる力となって参加をされるということが一番必要であり、またそれが一番先物市場を開設する方にとっては望ましい姿ではないかというふうに判断をするわけでありますが、それにもかかわらず、いま御指摘がありましたような点もあるかどうかわかりませんが、参加を見合わせておる。このことについて、なぜ参加を見合わせておられるかということが第一点。
 それからもう一つは、先ほど参考人は、私たちは現物の扱いについては非常な長い経験と知識を持っておるけれども、先物の扱いについては余り大きな知識を持っておられない、こういうお話でありました。まあ恐らくそんなことはないだろうとは思いますけれども、そういうお話でした。したがって、一番金の専門家のあなた方がそういう形でありますから、一般消費者が金に対する知識がないということはもう当然であろうと思われます。したがって、そういう状況の中で、実際には一般の消費者がブラックマーケットと言われるところで大きな被害に遭ってきた、このことをあわせ考えまして、その金に対する知識、そうした啓発がまだまだ行われていないというときに非常に魅力のある商品として金が登場するならば、これに対しては飛びついていくような状況が出てまいりまして、先ほど大深参考人がおっしゃったように、むしろ過当な介入の中でかえって被害が増大をするような結果になるのではないか、こういうことも恐れるわけでございまして、そのような点について二点ばかり質問をいたしましたので、お答えをいただきたいと思います。
#14
○田中参考人 申し上げます。
 先物市場をつくる機が熟しているかどうだろうかという問題でございますけれども、この点につきましては非常にむずかしいのでございますけれども、私どもの調査だけじゃございませんで、この委員会においても、工業用に金をお使いになるたとえば電子工業用の皆さんであるとか、あるいは歯医者さん、歯科関係の皆さんであるとか、あるいは装飾業界の皆さんであるとか、こういうような代表の方がお出になった際に、自分たちは先物市場に関連をしてヘッジする考えを持っておらないというようなことを言っておられたということは、確かに工業用の面では、現段階でフィルムをとめて考えた場合には、余り先物市場の必要というものを考えていないような御発言のあったことは承知もしておりますけれども、これがどういう動向になっていくのか、これは時代の変化というものもございまするので、ここでそれだけで全般を判断するのはどうかということになりますが、ただ、現段階でフィルムをとめて議論をしていきますと、工業用の需要の皆さんが先物の市場を認めないということになると、あと一般の御素人の方が先物市場のお客様になっていく、そういうようなことになるとすれば、先物市場をつくることについて慎重に、いわゆる危険開示制度であるとか、あるいは金取引というものの危険性というようなものを十分承知して、ニューヨークのコメックスのようにやっていくことが必要であろうというようなことをわれわれとしては考えるわけでございますけれども、かなり御当局もその点については御配慮になっておるように聞いております。
 ただ、私どもといたしましては、現物の取引ということをテーマとして集まった流通協会でございますので、いわゆる先物の流通段階ということではなくて、現物の流通の整備ということを考えてこれに徹底していこうということででき上がった流通協会でもございますので、私どもは、もっぱら金地金の現物の流通について混乱を起こさないように、問題のないように、世界の金市場の一環として恥ずかしくないようにということのために全力を集中していく必要があると考えておりますので、先物市場といえども現物をお扱いになる場合もございましょうので、そういう場合にはその面で十分協力をさしていただくということを骨子としておるわけでございます。
 ただ、長く金を扱っていたので、先物市場がいまできることのいいか悪いか、そのくらいの判断はできるのではないかというような御質問でございますけれども、このことについては、工業用で先物市場が要らないと言っておりましても、実際に先物のヘッジをやるということが皆無ではございません。皆無ではございませんということは、ロンドン市場であるとかあるいはその他の市場に工業用の需要者がヘッジをするということは絶無ではないということでございますが、それじゃ、日本に先物市場ができるとすぐそれを利用するかというと、これはできてみなければわからないとはいうものの、工業用需要者はすぐにこれを利用するというところにはいかないと思うので、これを未熟だと言えば未熟かもしれませんけれども、あるいはやがて利用するようになるかどうかということになりますと、もっぱら先物市場が健全に発達をしていくだろうかどうだろうか、こういうような事実を見通していくというほかはないのではないだろうか、こういうふうに考えております。
#15
○上坂小委員 いま御回答いただいたわけでありますが、通産省からもかなり先物市場に参加を要請されたと思うのです。特に、取引所の場合にはこれは当業者主義でありますから、一番数量を多く扱っておられる金地金流通協会が入らないということは致命的なものになるのじゃないだろうかという感じがしてならないわけでありますが、聞いておりますと、こういうことを言う人があります。言いにくいことを言いますけれども、御了承願いたいと思います。
 金地金協会は大体独占的に金地金を扱っておる、それを先物市場を開かれていろいろな形が入ってくるとかえって自分の権益というものが狭められてしまう、したがって余り賛成をしないんだ、こういうような意見を聞くわけであります。まさかそんなことはないだろうと思いますが、田中さんのお答えを聞いておりますと、大分通産省に遠慮をしておられるような感じがするわけであります。それもやむを得ないと思うのです。
 もう一つ聞いているのは、金属鉱山会社がこれに参加したのは、大分勧誘を受けて、余り参加をしたくないのだけれども、補助金なんか、非鉄金属の探鉱費などをもらっているものですから、どうもこれは首を縦に振らないと後で補助金でも削られたら大変だということで参加をしたのではないか、というふうに考えても余り的を射てないということにはならないのじゃないかと思っているわけであります。
 そういう状況で金地金の先物市場が急速に展開をされつつあるわけでありますが、問題は、当業者の取引の将来におけるヘッジングの機能が一つと、もう一つは、ブラックマーケットを退治するという目的で、二つの目的で開設されたように思いますが、実は、昨年四月二十五日の八条逆転解釈が行われていなければ、これほどひどい一般消費者に対する被害というものは発生をしなかったのではないかというふうに私は考えておるわけであります。ところが、三十年続いた八条の解釈を、どういうわけか一挙にしてこれを覆して逆転したものですから、ブラックマーケットがはびこって大変な被害を受けている。その意味では、通産省の解釈がブラックマーケットを助長して一般消費者の被害を増大させる契機ともなり、また一番大きな原因になったと言っても過言ではない、私はこういうふうに考えているわけであります。
 そこで、八条解釈の問題になるわけでありますが、実を言いますと、ことし九月金が上場商品に指定をされて以来、ブラックマーケットというのはやってはいけないことになるわけでありますからなくなっていると思いますが、それが実際にはなくなっていない。これが第一点であります。
 それからもう一つは、逆転解釈をしないでいままでどおりの解釈が行われていれば、特に金の先物市場をここで早急に開設をする必要はないのではないか、こういうふうに私は考えざるを得ないわけでありますが、その辺について大深参考人はどうお考えになるか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
#16
○大深参考人 お答えいたします。
 政府が五十五年四月に商品取引所法八条の解釈を変えられたわけですが、この変えられた理由につきましては、なぜ変更されたかにつきまして明確な理由が付されておりません。解すれば、八条で言います商品は、同法で言うところの二条二項の政令指定商品に限定されるという法文言上の解釈によって制約した、これが罪刑法定主義にもかなうどいうようなところにあるのかもしれませんが、そもそも、当委員会でも議論をされているところですが、商品取引所法の立法当時の見解も、あらゆる商品について商品市場類似施設を禁止したものというふうに考えられていたことについては、ほぼ間違いがないようでありますし、先物取引という危険な売買仕法、より高度に資本主義に発達した売買仕法でありますが、これによって一般大衆が取引に巻き込まれて不測の損害を受けるということは立法当時からも非常に考えられていたはずでありまして、そうしてみると、なぜこの八条の解釈を変更したのか本当はわからないというのがわれわれの見解であります。
#17
○上坂小委員 それで問題は、先ほど海外取引の問題もありましたし、それから金にかわるプラチナとか銀とかの問題もありまして、また市場がいわゆる私設市場が出てくるのじゃないか、商品がいろいろ出てくるのじゃないかという御指摘がありましたが、いまの状況でいけば、金は指定されたから私設市場はできないけれども、ほかのものはできるという形になっておりますから、そうした市場がたくさんできるおそれがあると思います。
 そこで、そういうものがたくさん出てきて一般の消費者が被害をこうむることのないようにするには、どうしても八条の解釈というものをもう一度改めていかなくちゃならない、あるいは新しい立法措置をするか、どちらかにならなければならないと思いますが、その辺についてどうしたらいいか、もう一度大深参考人に御意見をいただきたいと思います。
#18
○大深参考人 できれば政府に、昭和二十六年当時に示された見解に戻ってほしいというのが偽らざるところですが、さらば政府として新たな見解を示された以上、解釈につきましての議論ばかりをしておって国民が放置されるというような結果になるのは非常にゆゆしい問題でありまして、やはり先物取引による危険性から一般大衆を守るという観点に立ちまして、商品取引所法の改正ないしは新規立法によって早急に政府として対策を講じることも考えてほしいという趣旨で、意見書の中に念のためにそういう意見を加えております。
 商品取引所法八条の解釈の問題については、被害の事後回復の問題で全国各地の裁判所におきまして、違法性の一つ、あるいは取引の効力が有効か無効かという点でいまなお争われているところであります。したがって、そういうこともあって、政府におかれましては、お立場もありましようが、もう一度もとの見解に戻してほしいというのがわれわれの見解であります。
#19
○上坂小委員 私の手元に近江八幡市の預託金の返還請求事件の判決の主文があるわけですが、これによりますと、八条解釈はもとの解釈を採用して、取引員が取ったお金を原告に返せ、こういう判決を持っているわけでありますが、法律の解釈というのは、最終的に裁判所が決定をするものではないかというふうに思うのです。したがって、こうした裁判が出てくるということになりますと、やはり前の二十六年当時の、昭和五十五年四月二十五日以前の解釈の方が正当であると考えられるわけでありますが、そういう点については専門家の立場としてはどんなふうにお考えになっておられるか、この点が第一点。
 それからもう一つは、私はまだ一件しか持っていませんが、これに類した判決なりあるいは事件なりを取り扱っておられて、そこでの状況でこれに類したものがあるかどうか、この点について大深参考人にお尋ねをいたします。
#20
○大深参考人 先ほど申し上げましたとおり、被害の事後回復の面から、全国各地におきまして金取引に関係して、予約金あるいは預託金の返還請求ないしは取引に名をかりた不法行為としまして損害賠償の訴え、こういうものが数多く係属しております。
 その一つとしまして、先ほど先生から御指摘されましたとおり、五十六年十月三十日付で、大津地方裁判所彦根支部におきまして商品取引所法八条が一つの大きな争点となりまして、これについて政府の旧解釈にのっとった、これが通説とも言うべき見解だと考えられますが、この見解に立って取引を無効と解し、預託金の返還請求を認めた判決が出ております。この事件について、今後どうなるかわかりませんが、地裁、高裁、最高裁というふうにだんだん上級審の判断が出ますと、最終的には司法における解釈がその正当性を示すというふうに考えられます。
 何分にも民事訴訟というのは、訴訟を提起して新手のお取引についての有効無効が争われる場合、二年、三年とかかりますので、どうしても司法の判断がおくれがちになるという点は、大変遺憾なことだと思っております。
 それからもう一点、先生から御質問のありました第二点で、同種の判決が出ているのかどうかという御指摘がございましたが、八条について真っ向から対決して出されたという判決ではございませんが、ことしの六月高知地裁、あるいは大阪におきましても欠席判決という形で、裁判所が商品取引所法八条違反として、違法性の要素の一つとして判断されたケースは出ております。
#21
○上坂小委員 警察庁からおいでになっておりますね。ちょっとお伺いします。
 いままで、いわゆるブラックマーケットと言われるものについてもかなり取り扱いをされてきたと思いますが、いままで取り扱っていて、なかなか犯罪の成立がしないということで非常に困っておられるということを聞いておるわけでありますが、その辺の事情、どうしてそういうことなのかということと、もう一つは、そういうものを防止するためには、警察庁の立場からいけばどういうふうな形で立法化するとかあるいは規制措置をつくるとか、そういう形を考えておられるのではないかというふうに思いますが、その辺についてちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
#22
○内田説明員 金の先物取引につきましては、現在まで詐欺等で昨年以来扱ってきているわけでございますけれども、詐欺で間擬する場合、詐欺罪の構成要件であります欺罔行為に該当するのかどうか、すなわち勧誘する際の言葉とか、委託証拠金の処理とか、委託を受けた契約の履行の状況等を綿密に調査をしていく必要があるわけでございまして、金の先物取引によってお客さんが損害をこうむったというだけでは、直ちに詐欺ということに持っていくのはむずかしいわけでございまして、現実に警察の方へ参っておりますいろいろな苦情相談といいましょうか、そういうものの内容を見ましても、しつこく勧められた、あるいはもうかるからと言われて契約をしたが話がどうも違うとか損をしたとか、値下がりを理由に追加の証拠金を要求された、どうもだまされたんじゃないかというような事案が多うございまして、直ちに詐欺だと持っていくのが大変むずかしいという事案が多いのが現状でございます。
 そういう意味におきまして、一般大衆の保護といいますか、そういう観点については当然法律の所管庁においていろいろ御検討されていることだと思うわけでございますけれども、いま先生から取り締まりの立場に立ってどうなんだ、こういうことでありますと、やはり取り締まりに当たる立場といたしますれば、外形的にといいますか、そういうことで何らかの犯罪として対応できるといいますか、そういうものが望ましいということは言えるかと思うわけでございます。
#23
○上坂小委員 皆さん、なかなかはっきり言ってくれないからこっちも質問するのに困っちゃうわけですが、田中さんにお伺いします。
 大衆消費者が参加をして被害が増大をするような形になってくると、金の地金を扱っている業者の皆さんとしては、これは非常に困る問題が出てくるんじゃないかと私は思うのです。そういう意味で、まだまだ一般消費者に対する啓発というのですか、そういうものが足りない。それから、現在の取引所全体の姿勢というものがきちんとしていないといいますか、過当勧誘を行うような体質を元来持っている。そういうところに非常に危惧をされているのではないかと思いますが、そうした点について田中さん御自身はどんなふうにお考えになっておられるか、御回答いただきたい。
#24
○田中参考人 いまの御質問に対しまして私どもの考えておりますことは、まず第一に、日本といたしまして金市場を健全に発達させるということがきわめて重要なことではないだろうかというふうに考えております。日本の金市場を健全に発達させるためには、いわゆる金をお買いになった方が、ああよかったと言って金に信頼性を持つ、金というものは信頼できるものだというような考えをお持ちいただけるような金の流通をやっていかなければならぬということだと思います。
 ということは、まず第一に、現物をお買いになっていただくと、値が上がったり下がったりいたしますが、下がった際に、現物ならば今度上がるまで持っていれば、またそこでいろいろの変化に対応することができる。先物市場もむろんいいところがあるわけでございますけれども、ただその点だけを考えてまいりますと、いわゆる証拠金で先物を買う、それで期日が来たときには売っていわゆる解消するか、あるいはさらに買ってこの取引を終わるかということになろうかと思いますけれども、そこのところの勝負で、とにかく、お買いになってもうかる方もあれば必ず損する方もあるというようなことになりますと、確かに金というものがほかのものよりも高いものでございますから、かなり問題も起こるわけでございましょう。この際に、いまお話を伺っていると、御当局も、どうも必ずしもそういうような問題に対して、時間とともに追及することができなくて、なかなか不便な点があるように承ったわけでございますし、また、日弁連さんの方もこの点をかなり問題にお考えのようでございますので、この点については私どもの考えというよりも、日弁連さんあるいは取り締まりの方の御両名に十分御研究をなさっていただくということが、この日本の金地金市場の健全な発展であるというふうに考えますので、問題はそういうような点にかかっていくのかなというような考えを持っておるわけでございます。
#25
○上坂小委員 金の先物市場が開かれても、実際には被害は減少しないのじゃないかということをだれもが危惧しておるような感じがします。
 そこで、これは通産省に聞くのですが、日弁連の意見書で、(二)から(代)までのいわゆる消費者の保護対策の要求が出ておりますね。こういうことについて、どういうふうにこたえていくつもりであるか。
 もう一つは、先ほどから問題になっている八条の解釈について、これをきちんとしないと、むしろいわゆる金にかわるプラチナとか銀とかといったものがまたしても登場してきて、それによって一般消費者の被害が増大をするような結果になるのではないか、こういうことをおそれるので、これを一体どうするかということについて、お答えをいただきたいと思います。
#26
○植田政府委員 八条の解釈の問題がいろいろと議論になっているところでございますが、これにつきましては、先ほどからいろいろ御議論があったところで、過去の経緯等は出ているようでございますが、御案内のように、二十六年の法務府意見におきましては、非上場商品の取引所の類似施設の開設、これをもう禁止しているというふうな解釈であったわけでございます。その後三十年という年月が経過したわけでございますが、その間取引の実態とか経済状況等もいろいろと推移してきているわけでございますが、私ども政府といたしましては、この問題につきまして改めていろいろと法律の趣旨等に照らしまして検討を行いましたところ、やはりこの八条は、第二条二項に言う商品についてのみの類似施設を禁止しているというふうな解釈をとらざるを得ないのではないかというふうなことが、政府部内の専門家を含めましての検討から、そういうふうな結論に到達したわけでございます。そういうことから、現在、御案内のように、この八条の解釈というものを、指定商品にかかわるものというふうな政府の見解に立ち至ったのが実情でございます。
 それから、いろいろの御議論の中に、金の取引所を開設しても、いわゆる事故と申しますか被害と申しますか、そういったものがなかなか減らないではないか。そして、日弁連さんの幾つかの要求が掲げられております、これにつきましての点でございますが、私どもといたしましても、金を上場商品にいたしまして取引所を開設するに当たりましては、そういった各方面から出されております御心配を極力防ぐ方向で持っていきたいということでございまして、そういった意味では、皆さんの御心配しておることにつきましては、まさに私どももそういった点を十分注意していかなければいけないというふうに考えているわけでございます。
 そういう観点から、たとえば外務員についての十分な規制といいますか管理、あるいは勧誘等につきましての指導等につきましては、一層注意しなければならないということを考えております。あるいは委託証拠金の料率等を適正にするとか、そういうふうな点につきましては、私どもも同感というふうに思っております。
 なお、ここに、あらゆる品目について類似施設の開設なり施設の禁止を行なえというふうなことがあるわけでございますが、この八条の解釈の変更に伴うということでのいろいろ先ほどから御要望なり御意見が出ていたわけでございます。私どもといたしましては、この類似施設等の非上場商品の問題につきましては、現在取引所審議会でいろいろと御検討を願っているところでございまして、その審議会の御検討の結果も待ちまして、検討してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#27
○上坂小委員 私、ここに「株式会社中央貴金属市場現物条件付保証取引約款」というのを持っています。その中に、「プラチナ地金を扱う」と第一条に出ておりまして、もうすでにプラチナは始まった。これは決してブラックマーケットではなくて、現在ではホワイトマーケットですね。これは公認にはならないけれども、私設市場としては許されていると思うのですね。したがって、こういうのはどんどん大きく広がるおそれがあると思うのです。
 そこで、ブラック市場というのじゃなくて、金市場の開設と同時にこれらに対する問題も早く解決をしていくために、いまの八条の問題については十分討議をして、いいものを出してもらいたいと思うわけです。
 ただ、通産省はいつでも、審議会にかけているからと言って逃げちゃうわけですが、審議会というのは大体通産省ベースで行うので、あなた方が案を出して、その案をいいか悪いか回答してくれというようなのが大体審議会の性格なのですね。聞くところによると、今度の審議会は少し活発な意見が行われておりますようなので、盛んに弁解はしておるようですが、本質的にはやはり前に言ったような状況だと思うのです。そこで、通産省の考え方自身が法の改正をするか、いろいろなポイントになるだろうと思うのですね。そういう点で、十分現在の一般消費者の被害の実態であるとかそうしたものを勘案する、あるいはまた違ったこうしたものが出てきて、金にかわるようなものがまた出てくるというようなおそれのないように、ひとつ十分取り締まり的なものをしていただきたい。
 同時にまた、一般消費者が被害に遭うことによって、金に対する信頼性というものが失われると非常に困るということもお話にあったとおりでありますから、そうした信頼が損なわれないように、ひとつ十分消費者対策というもの、保護対策といいますか、そういうものに力を入れてもらいたいということを希望として申し上げて、私の質問を終わります。
#28
○渡辺小委員長 武田一夫君。
#29
○武田小委員 お二人の参考人には、きょうは大変御苦労さまでございます。
    〔小委員長退席、清水小委員長代理着席〕
 まず最初に、田中参考人にお尋ねいたしますが、前回五月十二日おいでいただいたときも、いろいろ御意見をちょうだいいたしました。その際、先物取引の必要性は感じていない、金の魅力を利用した無理押し販売はやらないことにしているのだというふうな話もされました。
 今回、日本金地金流通協会では、年内新設を予定されている金取引所には不参加を表明しているというふうに伺っているわけでありますが、このことは間違いないことでございましょうか。一応確認をしておきたいと思います。いかがでございましょうか。
#30
○田中参考人 これは、この日本金地金流通協会というものが現物の取引以外をやってはいけないという定款を十分了解をして、現物だけの取引をしようという者の集まった協会でございますので、現状において先物の取引をする意図は持っておりません。
#31
○武田小委員 おたくは、やはり国内流通の四分の三以上の市場を占めているという中心団体でございますから、今回そういうふうに参加をしないということになりますと、今後新設される市場の中身というものが問題になってくるのではないか。開設されても片肺飛行のような形になってしまうのではないかという心配があると思うわけでございますが、今後ともいまの不参加ということは当分考えが変わらない、こういうふうにお伺いしてよろしゅうございましょうか。その際、そういう中にあって、もし国がこうした新設のものを年内に開くというようなことでいくとすれば、そこには何かそれなりのメリットなり、消費者にとって何か十分なる対応というものが考えられてのこうした対応かどうか、その点の御意見がもしございましたらお聞かせ願いたい、こう思います。
#32
○田中参考人 金地金に関する限り、特に現物の取り扱いと先物の取り扱いというものは、まことに異質なものというふうに私は考えておるわけでございますので、これはロンドン市場におきましても何百年という歴史を持ち、フィクシングのあれができて、六十年の歴史を持っておりますけれども、まだ先物市場がロンドン市場にもございません。来年はできるであろうということでございますけれども、まことに金の現物市場と金の先物市場というものは両方なくてはいけないとかいうようなものではなくて、異質なものであるということは歴史の示すところではないだろうかということでございます。したがいまして、私どもは、先物市場ができたことによって著しくわれわれが疎外されるわけでもないし、また、現物業者の私どもが先物市場に参加をしないことによって著しくこれに疎外感を与えていくということはないのではないだろうか。ただ言えますことは、先物市場といえども、現物の取引というものがかみ合ってまいりましょうから、何%かわかりません、きわめて少ない量だと思いますけれども、かみ合ってまいる場合に、いわゆるこれらの溶解であるとか検定であるとか、その他の品質を判断するということについては、これは御協力を申し上げないと、ますます不完全なものになってしまいましょうし、ひいては現物市場にも悪い影響を与えるようなことになってはいかぬというようなことで、この点には十分御協力を申し上げていきたい。ただ、現段階で日本金地金流通協会と金の先物市場とは趣旨が違いますので、現在入らないということでございますので、その点、この理由とわれわれの考え方を御理解願いたいということでございます。
#33
○武田小委員 通産省に伺います。
 いろいろとトラブルが起こりまして、各地で大変な被害者が出ておるわけであります。ところで、公認市場がもしできれば大衆は金に飛びついてくるということは間違いないと私は思うわけでありますが、それによって必ずまたトラブルが出てくると私は確信しております。通産省としては、そういうトラブルなどは絶対防止できるんだ、するんだということをこの場で断言できるような対応、考えをとっているかどうか、その点、まずひとつ明らかに聞かしていただきたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
#34
○植田政府委員 一般投資家のトラブルの問題、大変重要な問題でございますので、私どもも非常に関心を持っているところでございます。
 そういった観点から、金の取引所の開設に際しましては、たとえば商品取引員の厳格な資格要件のチェックでございますとか、あるいは外務員の登録に関する審査を厳正にするとか、さらにまた先物取引に伴ういわゆる危険性の開示、こういったものの実行とか、それから委託証拠金の料率の設定における適正な配慮等々を行いまして、極力そうした問題が起こらないように一般投資家の保護を図ってまいりたいというふうに思っているわけでございます。そういったことで、私どもとしてはできる限りの努力をその点に注ぎまして、懸念されているようなことを極力防いでいきたいというふうに考えているわけでございます。
#35
○武田小委員 そういう対応、これは当然しなくてはならないのですが、この十一月四日、日本経済新聞の中にまた一つのトラブルが出ている。
 たとえば現物取引を装って消費者を誘うケースが急増している、通産省としては消費者側の心構えに問題がありそうだからということでいろいろ呼びかけているとか、あるいはそういうまがいの仕事をやっているというのがA、Bという二つの会社があって、これは警戒をしているというようなことがあるのですが、こういうような状態、これに対して、たとえば警戒をしているということによって、しかしながら事故は起こって苦情がたくさん出ている。これによりますと、何か月に二、三十件の苦情が来ている、寝たきりのお年寄りまでが百六十万支払ってしまって悩んでいる、こういうことがあるのです。
 消費者側にいろいろな形で呼びかけているというのですが、それではたとえば消費者側に呼びかけている、喚起をしているというのは具体的にどういう形でやっているのか、一般の方がはっきりと、これは危ないからそんなのに乗っちゃいかぬというような自分なりに判断できるような方向に持っていっているのか、これは一つの例としてお聞きしておきたいと思うのです。でないと、これからいろいろなことをやるといったって、現実にこういう問題があって被害があって、苦情があって悩んでいるということ、これを解決できずして今後新しい市場における対応なんというのは私どもは信用できぬと思うのです。この現実の問題に対してどういうふうに対応していますか。
#36
○植田政府委員 この種のトラブルにつきましては、いろいろな観点から防止しなければいけないのですが、先ほど私が申しました取引員の厳格なチェック等々という側面からの対応のほかに、やはり当事者になる契約を結ぶ方々、消費者にもまた十分注意をしていただかなければ、こういった問題は究極的にはなかなか根絶やしにすることはできないというふうに考えるわけでございます。
 そういった意味で、消費者側でのいろいろな御注意を願いたいという気持ちもあるわけでございまして、私どもといたしましては、たとえば雑誌とかそういったものによるいろいろな注意の喚起、具体的に言いますれば、私どもの省で発行しております消費者ニュースでございますとかあるいは通産ジャーナルというふうな雑誌もございますし、あるいはまた国民生活センターでは生活行政情報とかというのもございます。さらに新聞折り込みの週刊紙であります今週の日本等々を使ったこともございますし、そういった雑誌類、さらにまたテレビによるいろいろな注意喚起、これも通産省もしくは総理府からのいろいろのチャンネルがございます。さらにはまた、全国紙あるいは地方紙を使いまして新聞に掲載するというふうなことも行っております。あるいはまた、ビラをたくさんつくりまして配布するというふうなことも行っているわけでございますが、そういったところを通じまして、私ども、できるだけの機会をとらえまして注意の喚起、さらにまた、政府のみならず商品取引の団体、連合会等からもそういったものをやらせるというふうなことでございまして、私どもといたしましては、できるだけの機会をとらえまして消費者に対しましていろいろ注意を喚起すると申しますか、そういったことをやってきているわけでございます。
 こういったものはなかなかむずかしい問題でございますから、いろいろな角度から対策をとっていくということがどうしても必要だろうと思いますので、今後ともそういったことにできるだけの知恵をさらにしぼりまして対応していきたいというふうに考えます。
    〔清水小委員長代理退席、小委員長着席〕
#37
○武田小委員 大深参考人にお尋ねいたしますが、日弁連では、金の先物市場開設については時期尚早ということで通産省に意見書を出しております。そしてその中で、一般の委託者が不当な被害を受けないような十分な法整備を行うこと、あるいはまた新規立法をし、そういうような業界の体質改善指導を徹底させることなど強調されているわけでありまして、被害者の多発の背景にはそうした一般の消費者、投資家に対する啓蒙あるいはまた保護、いろいろな面で大事な点がたくさんあると思うわけでございます。先ほど御意見の陳述の中でもいろいろ伺ったわけですが、特に今後この点だけは何としても早急に対応してもらわなければならぬということを、ありましたら具体的にお聞かせ願って、今後当局への一つの大きな参考にさせてもらいたい、われわれも参考にしたい、こう思うわけですので、ひとつ御意見を聞かしていただきたいと思います。
#38
○大深参考人 特に金先物の取引所が設立されて、そこで商品取引としてなされる場合特に危惧いたしますのは、ブラックマーケットにおける取引における被害といいますのも、一般投資家というよりは業者によって積極的な、あるいは積極的といいますか執拗な勧誘を受けまして、一般投資家と言うにふさわしくない家庭の主婦であるとか退職公務員であるとか、持っている財産を根こそぎにされて今後の生活に困るというような被害者が多数存在しております。いわば、つくられた一般投資家とも言えるものでありまして、そういう意味で日弁連が提言しておりますのは、勧誘規制の面につきまして、予約取引における適格者ルールというのを日本において明確に確立しなければならない、これは金取引における問題だけではございませんで、一般商品取引における問題と共通しております。そのルールは、いまだもって確立しているとはとうてい言えない状況にあります。
 商品取引においてその仕組みが十分理解でき、かつまた商品取引所の取引に参加できる資金のゆとりのある人物であれば、この取引に参加することについては別に異存も何もありませんが、そういうふさわしくない人物が取引に巻き込まれて被害を受ける、これは非常に残念な形をとっておるわけでございます。
 それから、その問題と関連しますが、取引の危険性について十分業者に対してそういう危険開示の義務を課しまして、それをあえて承知の上で参加してくる者に対して取引をなす、こういう点が米国における先物取引と同様に日本においても必要なことである、通産省当局もそういうふうな答弁をなさっておられますが、その点を考えております。
 それから第三点としまして、不当な勧誘がなされた場合、単に法律に違反したというだけで契約の効力を左右されないというようなことでは困るのではないか。民事上の契約の効力も否定をなし、かつまた場合によれば刑事罰則でもってその法律の効果を持たせるという決然たる態度が必要ではないか。それから、その禁止事項も法律でもって明確にすべきだというようなことを考えております。
#39
○武田小委員 警察庁おいでになっているわけですが、先ほどもお話がありましたけれども、いろいろトラブルがあって詐欺まがいの行為がありまして、警察も一生懸命対応しているようでありますが、ここ一年くらいの間に警察が扱った事件、事項、摘発したもの、どのくらいありましてどういう状況なのか、ここ一年くらいの状況を聞かしていただきたいと思います。
#40
○内田説明員 昨年の十一月からことしの十月までの一年間の金の先物取引をめぐりますトラブルといいますか、そういうことから直接警察へ相談が持ち込まれたというケース、私ども把握しているのは百十二件ばかりございます。
 この内容につきましては、多くのものは、もうかるからと言われて契約したがどうも値下がりした、話が違うんじゃないか、だまされたんじゃないか、あるいは値下がりの折に追加の証拠金を請求された、だまされたのではないかというようなものが多いわけでございまして、直ちに詐欺罪で問擬するということが全く困難なケースが非常に多いわけでございます。
 そこで、これに対する対応といたしましては、警察自体が話し合いのあっせんをするという場合もあります。県の消費者センターあるいは弁護士会等への相談もあっせんするとか、そういうような場合もございます。実際の金の取引について架空の疑いがあるというような事案につきまして、現在、捜査といいますか、さらに調査をといいましょうか、進めているものも幾つかございます。
#41
○武田小委員 いろいろと調べている過程で、だまされる方というのは、だまされると言うとおかしいのですが被害に遭った方ですね、女の方、退職された方、お年寄りとかが特に多い。いわゆる言葉巧みに勧誘してやってくる。私なんかも電話なんかであるのですが、私のところまで来るのですからみごとなんですよね、そのやり方、そういう行為をした者について何か共通したものがあるのじゃないか。そういうところで何か共通したものがあって、それがどうも犯罪行為に結びつくような紛らわしい勧誘をやっている、そういう典型か何か、調べた中でございませんか。
#42
○内田説明員 そういう特徴的なパターンといいますか、これは実際いろいろ扱ってみたものでは、確かに退職した人とか農家の主婦とか、十分に先物取引というものについての理解をなかなかできない方といいますか、してない方といいましょうか、そういう方たちに非常に執拗に勧誘をするということ。必ずもうかりますよというようなことで、それを何遍もやられることによって、受ける方としては何となく本当にもうかるような気になる。そこで、余りしつこいものですから何となく明確な拒否をしないで、ずるずる走ってしまうというようなケースが多いのではなかろうか、こういう感じがいたします。
#43
○武田小委員 いずれにしましても、そういうものが出てきても、そういう詐欺的行為の立証というのはなかなかむずかしいということで悩まれている。出てくる数の何十倍という多くの被害者が泣き寝入りしているのではないか、こう言われているわけですから、今後やはり厳しく取り締まるんだという態度は一層推進をしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。しかしながら、それだけでは十分でないということで、やはり市場の開設そのもの、あるいはまた取引そのものの中における中身が大事であるということもはっきりしたわけであります。
 そこで、最後に大深参考人にお尋ねいたすわけでありますが、商品取引所法の第八条の解釈の問題で、先ほど判決が出ているという事例をお述べになりまして、私もその写しをいただいているわけでありますが、政府、通産省が法解釈を変更してから非常に悪質な詐欺行為が続発したということは、これは事実そのとおり数字の上でもあらわれているわけです。となりますと、やはり被害を受けた人にとっては非常にお気の毒でございまして、そういうブラックマーケットとかあるいはまた詐欺的行為を行おうとしている連中にとってはまことに好都合だったということでありますから、国がそうした解釈をして、しかも最近、それは以前の解釈の方が妥当性がある、こういうことになりますと、これはやはり政府、通産の責任というのはそっとしておくわけにいかぬじゃないか、私はそう思わざるを得ないのですが、その辺どのようにお考えか、御見解をひとつお聞きしたい、こういうふうに思うわけでございます。いかがでございましょう。
#44
○大深参考人 その点につきまして、少なくとも政府が五十五年の四月に解釈を変更されるまでは、業者の方でも商品取引所法八条の問題につきましてこれに違反するというふうに考えていたようでありまして、戦々恐々たる態度がわれわれ法を実践する立場からも見受けられたのであります。
 私事にわたりますが、当時、政府の解釈の変更が新聞等で公表されるに及びまして、和解ができる条件が整っていたのがそれで破棄されるというような事態もありますし、いままで禁止されていたものが自由になったということを交渉の場においても公言するようになったのは、その意味でも、この事後救済に当たっているわれわれ弁護士としまして非常に困難な問題が提起されたのであります。
 しかしながら、一般的に申し上げまして、法律実務家といたしまして、この商品取引所の問題に携わるということは従来余り経験しなかったのではないか。そういう点で、この商品取引所法八条の問題について、どう解釈すべきなのかと今日までいろいろ研究してまいったわけですが、京都大学の龍田教授の論文を拝見いたしましても、政府がなぜこういう見解を改めたのか、学問のためにも解釈を変更された理由を明らかにすべきである。先ほど政府答弁にもありましたが、商取法八条の商品が二条二項で言う政令指定の商品に限定されるというような見解をとるときには、商品取引所法の趣旨が、政令指定されるという手段にかえって制約を受けるということになるのではないかというふうに龍田教授も指摘されているわけで、目的が手段に制約されるような解釈というのはとうていとり得ないところだというふうなことは、非常に説得力があるのではないかというふうに考えています。
#45
○渡辺小委員長 横手文雄君。
#46
○横手小委員 お二方の参考人、きょうは御苦労さまでございます。
 私は、お二方の参考人と通産省に御質問を申し上げたいと存じます。用意してまいりました質問のうち、すでに前の方が触れられた分もございますので、多少重複する点があるかもわかりませんが、お許しいただきたいと思います。
 まず、通産省にお伺いをいたします。
 今回の金の先物取引市場の開設のためには、今日まで多くの歴史があった。そして今回、こういった方向に踏み出されたわけでありますけれども、本日、お二方の参考人は、時期尚早であると多くの問題を指摘しながら、特に日弁連の皆様方は、いわゆる一般投資家に対する保護政策、こういったものが確立しないうちに発車するということはきわめて危険であるということを、多くの点を具体的に指摘しながら述べておられますし、あるいは地金協会の方々からは、協力はするけれども、われわれとしてはこれに入りたくない、いまのところ入る意思がない、こういう意思表示をされておられるわけであります。他に多くの賛成の意見もあるのでございましょうけれども、こういった意見があるということを承知の上で通産省が特にこれを積極的に進めておられる理由、まずそのことについてお聞かせをいただきたいと思います。
#47
○植田政府委員 わが国の最近の金の需要が、いろいろな分野におきまして拡大してきているということは御承知のとおりでございます。そういった中におきまして、金の取扱業者がいわゆるヘッジを行える場というもの、あるいは公正な金価格の形成を実現する場、そういうふうなものとして先物取引市場を開設する必要が高くなってきているのではないか。私どもも、そういった情景を背景といたしまして、取引所の審議会にも諮問いたしましていろいろと御意見を聞いたわけでございますが、そういった検討の結果を踏まえまして、今回の政令指定を行ったというわけでございます。
 なお、この政令指定によりまして、もちろんもう一つの背景と申しますか、いわゆるブラックマーケット、金のマーケットにおきまして起こっておりますトラブル、これの抑制にもつながるというふうなこともあわせて期待されるものと考えておりますし、そういったようなことから、この金市場の開設ということに立ち至っているわけでございます。
 なお、お尋ねの、地金商の方々が目下のところこれに参加するお気持ちがないということでございますが、先ほどからも参考人としての田中社長からいろいろお話がございましたが、昔からいろいろな事情、そういった背景もございまして今回これに参加を見合わせたいというふうな御意思のようでございますが、先ほどのお話にもございましたように、検定とかあるいは鑑定とか検査とか、そういうふうなことでは御協力いただけるようでございます。私どもといたしましては、他の商社とかメーカーとかいうふうな方々の参加という状況のもとでこれを推進してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#48
○横手小委員 日弁連の方から「金先物取引被害防止に関する意見書」、こういったものが出されております。その一ページ目には、第二項で(一)から因までそれぞれ心配をされることが書いてあるわけでございます。中身は、五ページには「このような過当投機はかえって本来先物市場に期待されている公正価格形成機能を完全に破壊するものであり、実需者たる現業者に被害を与える危険がある。」こういった御指摘もございますし、あるいは「国民に対する先物取引の危険性」といったものが述べられております。
 こういうことが確かに心配をされ、先ほどから指摘をされておるところでございますけれども、こういった問題に対する通産省の考え方というのは、きょう配られました「想定される金市場の概要」の二ページ目あたりにも、これら外務員に対する登録等の規制問題等で一部お答えになっているようでございますけれども、このほかに、これら日弁連の具体的な指摘に対するお答えみたいなものの用意がございましたら明らかにしていただきたいと思います。
#49
○植田政府委員 特に一般投資家に対する保護の問題は、大変重要な問題だと考えているわけでございますが、日弁連の方で指摘されておりますいわゆる類似施設の禁止についてどうするか、これにつきましては、先ほどもお答えをいたしましたとおり、現在審議会の方へ諮問いたしましていろいろ御検討願っているところでございます。
 それから、一般投資家に対する勧誘規制の強化というようなことは、今後とも十分注意してまいりたいと思いますが、日に書いてあります海外市場の取引の勧誘の禁止、これも(一)の問題と同様、現在御審議願っているところでございます。
 それから、外務員とか取引員の資格を厳格にするということは、先ほど申し上げたとおりでございますし、証拠金料率の適正化ということも、申し上げたとおりでございます。
 それから分離保管につきましても、十分検討いたしまして、現在もやっておりますが、今後こういった面で事故を十分防ぎ得るような方向でさらに検討していきたいというふうに思っております。
 そういうことでございまして、私どももこういった問題についてできるだけ注意をし、かつ、努力をしていきたいということは考えているわけでございまして、いま申しましたようなことを中心に努力していきたいと思います。
 それから、ここの六項目までには明示的には出ておりませんが、いわゆるリスクの開示といいますか、そういったようなことも今後検討していきたいというふうに思っております。
#50
○横手小委員 大深参考人にお伺いをいたします。
 おたくの提起された意見書の七ページの七行目から今日の状態が書いてございまして、「しかも、外務員による過当勧誘、これに付随する顧客からの紛議の続出、仕手筋介入による相場操作等の弊害も目に余るものがあって世間のひんしゅくを買い、取引所の社会的信用を低下させている。」こういう指摘をしておられるわけであります。現在でもこういう点がある、なお今後金の先物取引が始まればこういったものがさらに懸念をされるのではないかという御心配であろうと思います。
 そこで、いま通産省の方から、これはお手元に行っておると思いますけれども、この概要という中で、「取引方法」あるいは「取引の安全性の確保及び市場管理」、「一般投資家保護対策」、こういったことで通産省としても、おたくの御心配の点について取り組んでおられるようでございますし、ここに書いてあること、さらにいま口頭で述べられたこと、こういったことに対する大深参考人の御所見を聞かしていただきたいと思います。
#51
○大深参考人 通産省の政府委員から、日弁連が懸念している金取引に絡む委託者保護の対策については、それなりに方策が講じられているというふうな説明が再三なされておりますし、ここに配付されております「想定される金市場の概要」についても相当な努力がなされているということを評価するにはやぶざかではありません。
 しかしながら、冒頭に申し上げましたとおり、金先物取引市場を開設するに対しまして、先物取引の実需、ニーズといいますか、この点について必ずしも高まっていないのではないかという点が懸念されること。そういたしますと、市場に参加するのは一般大衆になるのではないか。一般大衆にとって先物取引が何たるや十分啓発されていないという現況に照らしますと、一般委託者保護あるいは大衆保護についての施策については相当通産省当局も努力されたとしても、結局先物市場における取引は一般大衆によるつくられた実需ということになるのではないか。そうすると勢い商品取引員による勧誘が執拗をきわめて、思惑どおり、この計画どおり果たして進むのかどうかということが懸念されますし、不当勧誘がなされた場合の制裁という点について、いまなお政府当局の答弁では不十分ではないかというふうに考えられます。
#52
○横手小委員 それで、いま御指摘ございました中で、現在国民に対する先物取引の危険性についての知識普及がなされていないというような御主張でございますし、あるいはいま触れられました、国内の当業者間での先物取引市場の必要性について議論が熟していないのではないだろうか、こういう御指摘のようでございます。しかし、通産省としては、先ほど述べられたように、今日まで多くの経過があって、多くの人たちの意見を聞きながら、もう発足をさせるべし、こういう必要性に沿って今日まで歩いてきたんだ、こういうような御意見でございますので、何か平行線みたいな感じがいたします。
 ただ、私ども考えてみますと、こういったものは、特に国民に対する先物取引の危険性の普及がいまだなされていないというようなこと、それが熟するまでというようなことは、現実の問題として、それでは国民とは一体全体何なのかということになると、これは膨大なことになって、まさに百年河清を待つということにならざるを得ないと思うのですけれども、そこら辺に対する日弁連としての幅みたいなものはないですか、一般論みたいなものは。
#53
○大深参考人 国民とは一体何ぞやという御質問ですが、少なくとも日弁連が意見書を作成した経過に照らしまして、この取引にふさわしくない――ふさわしくないといいますか、勧誘されて先物取引が理解できない人物がこの取引に巻き込まれているという現状に出発しているので、国民のどの程度まで先物取引についての理解が深まればいいのかということになりますと、その裏表といいますか、答えにならないような形ですが、とにかくそういう現状というか、一人でも思惑違いによる被害に遭わないようにという点から出発しているので、御理解願いたいと思います。
#54
○横手小委員 金地金流通協会の田中参考人に少しお伺いをいたしたいと思います。
 先ほど質問の中で触れられて具体的な回答がなされなかったわけでございますが、今回の取引市場の開設に当たって、地金協会としては時期尚早だ、こういうことで、しかも定款に合わせてこれに不参加だというようなことで、ある一部の人たちに言わせれば、先ほどお話がございましたように、今日までわれわれは親の代から金を現物で扱ってきた、今後もそれを続けていく、事ここへ来て先物市場を開く、そして一般の投資家に対して金を扱わせる、あるいは価格形成がなされる、そういうことは要らぬことじゃないか、われら専門家に任せておけ、地金協会の皆さん方にしてみればこういうことなんだろうか、というような話も聞くわけでございます。あるいは地金商の皆さん方は国内ではそういうことだけれども、国外から金の地金を買い付けなさるわけでございますし、そういった場合に外国ではヘッジを行っておられるのではないだろうか、こんな話もあるわけでございますが、その点に対する御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#55
○田中参考人 私どもが、先物取引という言葉の中で現在概念として考えておりますことは、一般大衆に対する先物取引というような概念で頭の中で処理しておるわけでございます。したがいまして、日本の工業用の需要者、つまり電子工業界であるとかあるいは歯科用であるとか、あるいは装飾用でも、そういうような方が地金の相場の変動を免れるためにこの先物ヘッジをやっていこうというような場合には、現在ロンドン市場につないでいく。これはいわゆる先物取引ではございませんけれども、そういうつなぐこともできますし、ニューヨーク市場でも先物市場を通さないでもいわゆるフォアワードというような形でできますので、そういうようなことで処理がされておる。といたしますと、あと残りますのが一般の投資家と申しますか、というような方になるということでございますので、こういう方だけをしぼって考えますと、やはり先物取引ということについてそのことだけを考えますと、時期尚早というような、即断ということよりも、十分に手を打っていかなければいけないのではないだろうかということが危惧されるわけでございます。私どもは、むしろそのことよりも、現物で御心配のないような取引を一般的にしていこうというような集団でございますので、先物取引市場の現実性とかあるいは時期尚早とかどうとかいうような問題については、議論をすればするほどやってみなければわからないみたいなことになりますので、私どもの方は参加をしないで、いわゆる現物の取引市場をさらに完璧なものにするということで考え方が固まっているというふうにお考えいただきたいと思います。
#56
○横手小委員 いま一つ。地金商の皆さん方は海外でのヘッジは行われているのじゃないかというような話もちょっと聞くわけでございますけれども、どうですか。
#57
○田中参考人 海外に対して現にヘッジをしているところもございます。先物市場がやがて発展して、日本の国内でヘッジもできるというようなことになればこれはいいことでございましょうけれども、その意味においては未熟であるということが言えるのではないだろうか、まだその時期に来てないということは言えようかと思います。
#58
○横手小委員 それでは、現実に金相場の先物市場が開設された、あるいは開設されることによって、いわゆる地金流通協会としてのデメリットみたいなものと、あるいはないかもわかりませんけれどもメリットがあったら、そういうことも含めてお聞かせいただきたい。
#59
○田中参考人 よくそういう御質問を受けるのですけれども、具体的に想像をしてみますと、いわゆる現物市場の値段と先物市場の値段というものが同一にならなくて、どっちが高くなってどっちが安くなるかは別問題といたしまして、困るのではないだろうかというような御想像、あるいは流通協会としては先物市場ができない方がそういうような面で単純でいいのだというような御想像もあるのかと思いますけれども、現在、現物の金市場におきましてはここが金の取引所だという場所はございません。ちょうど銀行間の外国為替の取引のように、外国為替の取引所というものがどこにあるというわけではございませんけれども、現物の外国為替の取引を取引所がなくてもやっているというような形態で、この現物取引市場というものはきわめて厳粛な自由競争下に行われておる。商社もいわゆる競争相手でございましょうし、同業他社も相手でございましょうし、いたしますので、自由競争が行われておる。その自由競争の中で生まれた相場が現物の相場でございますので、もし先物市場で著しく変わった値段が出るとするならば、高ければわれわれはそちらに持っていって、先物ではいたしませんけれども、現物で売るというようなことにもなりましょうし、あるいはまた著しく安い値段が出るとするならば、それは現物でも売っていただけるならば私の方は現物で取引をして、どんどん海外市場へ売っていくというようなことになりますので、私の方としては、先物市場で別な値段が出てわれわれが困るとか、あるいは先物市場で値段を出すためにわれわれの値段がきわめて不自由なものになる、こういうようなことは現在の点では余り考えておりません。
#60
○横手小委員 最後に通産省にお伺いをいたします。
 地金協会から先ほど来述べられておりますように、今日まで専門で扱ってきたという立場からこの問題をいまるる述べられたわけでございますし、あるいはまた日弁連は大衆投資家をいかに擁護するか、いかに守っていくかという立場でいま述べられたわけであります。そういった中にあっても、なお通産省の現在の方向としてはこれの開設の方へ、確実にそのスケジュールは進んでおるような状態にあるわけでございます。
 実際問題として、これが開設された場合にどの程度の取引が見込まれるのか、あるいはどの程度の取引があったときに、まあまあと言われるのか。その際、皆さんが心配しておられる大衆投資家というのはどの程度参加するであろうかというその見込み、こういったものがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
#61
○植田政府委員 率直に申しまして、それを数字的に推定するのはなかなかむずかしいのでございますが、要は結局当業者のニーズなりあるいは一般投資家の金に対する関心の高さというふうなことを考えますと、やはりかなりの取引というものが予想されるのではないかというふうに考えております。ただ、それが数字的にどうかということはなかなかむずかしいものですから、私どもも申し上げる段階ではございませんが、そんなふうに考えております。
 それから、一般投資家がどの程度参加するかというのもいま申し上げたとおりでございますが、これも数で推定することはむずかしいのでございます。いま申しましたように関心は相当高いということから、かなり参加する可能性はあるだろう。ただその場合に、先ほどからいろいろ問題になつております不測の損害をこうむるとか、そういった問題を極力防ぐ方向で運営していきたい。具体的には、たとえば証拠金率の問題でございますとか等々の対策を講じまして、できるだけそういった問題を少なくしていきたい、そういう方向で運営をしたいというふうに考えております。
#62
○横手小委員 終わります。ありがとうございました。
#63
○渡辺小委員長 小林政子君。
#64
○小林(政)小委員 参考人の皆様、大変お忙しい中御苦労さまでございます。
 私は、まず日弁連の参考人である大深先生にお尋ねをいたしたいと思います。
 御承知のとおり、この九月の十一日に商品取引所法に基づいて金の政令指定が行われ、九月の二十四日に施行され、金の私設先物市場が禁止をされるということになりました。
 聞くところによりますと、現在東京に独立した取引所を開設する準備が進められている。年内にも市場の開設がされようとしている。このままで市場開設しても、結局一般投資家に対する悪質な被害というものはなくならないのではないか、このように思いますし、また日弁連の皆さんも、市場の開設は時期尚早である、こういう立場に立たれておられます。こうした被害を防止するための具体的な対応策というようなことについて、何かお考えがあったらお聞かせをいただきたいと思います。
#65
○大深参考人 日弁連の意見書の中では、先ほどから申し上げておりますように、金市場を開設するのは時期尚早である、これが原則であります。仮に開設することやむなしといたしましても、証拠金率を高めて先物取引の投機性を弱め、業者の方も純資産額を十億以上にいたしまして、顧客の保護に欠けることがないようにということを申し述べております。
 前提としましては、やはり先物取引に対する理解が不十分であり、ブラックマーケットにおける業者が商品取引業界の出身者で大半を占められ、そこでの手口といいますのが先物取引の売買仕法を用いられて、勧誘された顧客の方で非常に混乱を起こしまして、現実取引だと思って参加したところが先物取引にスイッチされる、こういうふうなところから被害を受けたという過去の実例からしましても、そういう条件整備がされるまで金取引所は開設するについてもっと慎重であるべきだというのが基本であります。
#66
○小林(政)小委員 最近、香港など海外取引による被害が続出をしているということが新聞でも報道されております。国内法ではこれは規制できない、こういうことになっていると言われていますけれども、海外市場取引の一般投資家に対する勧誘だとかあるいはまた受託禁止措置だとか、こういった措置がとられないものなのだろうか。
 またさらに、先ほどお話がすでに出ておりますけれども、現在国内で取引商品に指定されているプラチナだとかダイヤモンドだとか石油など、こういうブラックマーケットの被害もまたこのところ顕著になってきている、こういったことを考えますと、これに対する対応策というようなものを、日弁連の立場で大深先生、どのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
#67
○大深参考人 問題は、国内における金の私設市場での悪徳取引だけではありませんで、先生が御指摘されたとおり、海外取引所につなぐという前提で取引を勧誘いたしまして多数の被害を発生させたのは、名古屋に本社がありますスイス・ゴールドという例を見ても明らかであります。しかも、国内におけるブラックマーケットの取引禁止という政府の政令措置によりまして、この種の取引がさらに増大しているということも事実であります。日弁連といたしましては、意見書に書いてありますとおり、海外取引所における取引の受託業務、勧誘は、海外における商品相場を一般大衆がつかむことは不可能か、または著しく困難なことでありますし、かつまた、顧客の方で受託業務が適正に行われているということを確認するすべもないという観点から、これを全面的に禁止すべきであるということを提言しております。
 それから、政令指定外の他の商品について金と同等の先物取引被害が出ないかということは、先生も御指摘されているとおりでありまして、この点については、先ほど申し述べましたが、現行の商品取引所法八条の解釈をもとの政府の解釈に戻してもらうということを原則的に考えております。しかしながら、そういうことで議論に時間を費やして同種の被害が相次ぐということになってもいけませんので、念のために、政府の解釈を前提にするならばやはりその穴を埋めるべく対策をとられるべきではないかということを申し上げております。
#68
○小林(政)小委員 もう一点お聞かせいただきたいと思いますけれども、先ほど来問題になっております詐欺行為だ、悪質なものだということが明らかに確認されるようなこういうものについて、警察当局もそれの立証がなかなかむずかしいということで、告発をしても摘発をすることができないというような事態もあるやに聞いております。これらに対する警察の対応が一体どのような状況になっているのか。悪徳商法被害者対策委員会の調べによりましても警察が摘発したのは三十業者で、これは一時二百業者あるいは二十私設市場と言われていたうちのわずか一五%にすぎない非常に少ないものだということが言われておりますけれども、これらへの対応が現状どのようになっているかという点を、日弁連の立場からお伺いをいたしたいと思います。
#69
○大深参考人 実際に被害に遭って、どうもだまされたというような実感を持ちまして警察あるいは検察庁に被害を告訴した場合、この応接が一体どうなのかという点につきましては、意見書と一緒に作成いたしましたこの「金先物取引実態調査報告書」の五ページから六ページにかけまして報告いたしております。業者の数、被害者の数から申しまして立件されましたのは氷山の一角と言えるべきものでして、ここにも申し述べておりますが、この種取引の仕組みが警察等取り締まり当局において非常に理解しがたい、それから市場は大阪、東京にありまして本社が福岡とか大阪とかそういうところにあって、実際の被害者が出るのは高知であるとか、そういう広域捜査を強いられるような状況のもとで警察の、取り締まり当局の捜査能力からして非常にたえがたい。もう一つは、警察、取り締まり当局は民事には介入しないというようなたてまえもありますものですから、実際に警察等に被害を申告しても、民事の話であるから話し合って解決したらどうかというような応接で、これを摘発されるという点には非常に消極的であったというのが偽らざる実情であります。
#70
○小林(政)小委員 それではこれは後にして、地金業界の日本金地金流通協会の田中参考人にお伺いをいたしたいと思います。
 国内では消費量百三十四トンのうち、何か七六%に当たる百二トンを同協会員が取り扱っているというふうに書かれているものを見たことがございますが、まさに金地金流通の中心の団体として大きな比重を占めていますけれども、しかし、そのあなた方が金市場に参加しないという意向をはっきりとさせているわけです。しかも、現物市場と先物市場とは全く異質のものなのだという御意見も述べられ、したがって、そういう立場から参加を必要としていないということも言われているわけでございますけれども、そういった業界が参加しないということで市場が開設をされるということも、いまもう何か目前に迫っているような動きが出ておりますけれども、通産省、何でこんなに急いでやるでのしょうか。私はちょっと理解できないのですよ。
 本来ですと、たとえば同業者の人たちが集まって金市場をやっていこうということであれば、やはり当然皆さんの方にもお話があり、また全体の協議もして、そして法律を先にやるべきだということであれば法の改正をやるべきなのですよ。それをやりもしないで、主要な団体が抜けているのに先物取引市場をやるなどということは、私ども不思議でしょうがないのです。こういう立場からひとつ御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#71
○田中参考人 御趣旨はよくわかりましたが、私が、金の現物市場と先物市場は異質のものであると申し上げましたことは、私どもは金の現物を取り扱うことについて経験を積んだ者でございまして、今度金の先物取引をおやりになるというと、厳密に言いますと金の先物取引の当業者ではございませんので、金の先物取引の当業者ということになりますと、いままで先物取引を長きにわたって御経験をなさった方が当業者であって、金の現物をやっておった者は金の先物取引の当業者にはなり得ないくらいに経験がないと言ってもいいのではないだろうか、こういうふうに考えております。
#72
○小林(政)小委員 これも何かで見たのですけれども、金相場の先物取引は投機のかたまりのようなものだ、危険が伴うのだ、一般の大衆投資家にこれをお勧めするということは当協会としてはなかなかできないというようなことが書かれていたのを読んだことがございますけれども、一体それは何を指しているのか、どんな危険が伴うのか、明らかにしていただきたいと思います。
#73
○田中参考人 金の現物取引と申しましても、値段の高下のあることは先物取引と違わないで同じでございますけれども、金の現物を取引している限りにおいては、下がったときにはもうかるまで持ちこたえていれば損をしないで済むというのが金についての過去の例でございます。現物さえ持っていれば何とかなる。何とかなるどころじゃなくて救ってくれる。あるいはベトナムからの難民あたりも、金を持っていたためにあの難民が船にも乗れれば思うところにも行けるというようなことで、いわゆる金の値段だけに頼るということのほかに、現物そのものに信頼性を持って頼っていくというところに、現物市場のやらなければいけない、信頼性を持った現物市場を拡大発展していかなければいかぬという面がございます。
 先物市場は現物を伴わないわけでございますから、値段の変動を自分に有利に導くかあるいははからずも不利な方にいってしまったかというようなことでやっていく。しかも、定期先物取引には期日が決まっておりますので、その期日で勝負が決まってしまうというようなことになりますので、その辺の危険性というものは現物と先物とは大変違ってくるわけでございますけれども、これも十分御承知の方が御承知の上でおやりになることに、われわれが何も差し出がましいことを言う必要もないのではないかという程度に考えております。
#74
○小林(政)小委員 それでは、次に通産省に伺いたいと思います。
 現状のまま金市場を開設する、被害が広がるおそれがある、いまいろいろな参考人の方からも御意見が出ておりますけれども、この市場開設について投機的な性格をできるだけ通産省は薄めるという立場に立って被害を防ぐ。一般委託者の委託証拠金は高目に設定すべきだと考えます。これは最低でも三〇%以上にすべきだと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
#75
○植田政府委員 証拠金につきましては、先ほど来議論になっております一般投資家を守る対策の一つの重要なアイテムだと思っておりまして、私どもも、これにつきましては従来の他の商品の場合と比べてみましても、かなり高率のものにしたいと考えております。いまここで直ちに何%と――まだ決まっておるわけではございませんが、私どもといたしましては、目下のところでは二〇ないし三〇%ぐらいのところで考えていったらどうかということで、現在専門家等も含めました検討会でも、そんなことで検討しているということでございます。
#76
○小林(政)小委員 証拠金率が低ければ、業者にしてみれば一般委託者を勧誘しやすい、したがって委託者の被害が増大する可能性が大きくなってくるという点から、やはり最低三〇%以上ということはどうしてもやってもらいたいなと思っております。
 さらに、金は国民の関心が非常に高いものですから、市場開設に当たって一般投資家の保護対策ということがうたわれております。外務員の登録に際して厳正な資格審査を行う、こういうふうに書かれておりますけれども、具体的には、過去にいろいろなトラブルがあったり問題を起こしたり、こういう人たちは排除すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
 また、委託者にその危険性を告げる開示制度というものが設けられていくようになるやに聞いております。結局これも運営のいかんによっては、紙切れ一枚持ってきて、ちゃんとここに書いてある、あなた見ましたか、読んだんでしょう、得をするときもあれば損をするときもあるんだというようなことで、逆用に使われるというようなことは運用面で厳重に慎むべきであると思いますけれども、それらの点も含めてどのようなお考えをお持ちか、お聞かせを願いたいと思います。
#77
○植田政府委員 外務員の審査につきましては、御指摘のような点も含めまして厳正に審査していきたいというふうに考えております。
 それから、危険性の開示の問題でございますが、損することも得することもある、いつも得するばかりではないということでございます。
 いま、場合によってはかえってそれがマイナスの効果を発揮することもあり得るのではないかというふうなお尋ねでございます。
 確かに、それが一つの免罪符として使われるということがないとは言えないと思いますので、そういった点は十分注意しなければいけませんけれども、さればといって、では何も出さないということの方がかえっていいかと申しますと、運用のいかんにもよりますけれども、私は、やはりこれはやった方がいいのではないかというふうに考えておりますので、御指摘の点は十分踏まえながら進めていきたい、こういうふうに思います。
#78
○小林(政)小委員 もう時間がなくなってまいりましたけれども、最後に、商品取引所法の八条の解釈問題です。
 この問題は逆転をしたわけですけれども、従来は、取引所に上場されている商品はもちろんのこと、それ以外の商品も勝手に私設先物市場を開くことができないと解釈をされてきておりました。それが三十年間もそのまま通用して、昨年の四月、これが百八十度転換をしたということですけれども、私は、こうした従来の解釈を通産省も一応とっていて、そして一般的には禁止されるものとして政策的立場を堅持してきたというように見ているわけですが、本当にそうだとすれば、やはりこの問題について正しい立場に戻るべきではないか、このように思うのです。
 これは通産省が立法にかかわってきた法律ですよ。そうでしょう。そして、この法律はいろいろな解釈がされてきたわけですけれども、こういった解釈を通産省がもし早く知っていたとすれば、その結果多くの被害者が出てきたんだということになれば、私は、これはもう許しがたい行政の怠慢だと言わなければならないと思います。しかし、通産省がもし、三十年間通用してきたこの解釈、政策的にも立法的にもその立場に立って最近までこれを運用してきたということてあれば――実際に現在、プラチナだとかあるいはまた銀だとか、これはもう具体的に京都だとか東京で発生しているのですよ。そして銀の場合には、群馬県でこれが発生しているというふうに言われておりますし、実際被害者が出ている。こうした被害が広がってからこれに対して一々、プラチナをどうするか、あるいはまた銀を指定にするか、こういうようなことではもう間に合わないと思うのです。実際に兆しが出ている、こういう状況の中で、私は、通産省がみずからの責任でやはりきちっとした態度をとるのが当然ではないか、このように思いますけれども、どのような見解をお持ちか、お伺いをいたします。
#79
○植田政府委員 八条の解釈につきましては、先ほどもちょっとお答えいたしましたが、二十六年からですから、確かに三十年たっているわけでございます。私は、三十年間の商品取引の歴史を知悉しているわけではございませんけれども、やはり最近になりまして、特にこの八条問題にかかわるような事件、案件が出てきているという中から、改めてこの問題が検討されまして、先ほど申しましたような解釈が妥当であるということで政府解釈が出てきているわけでございます。
 プラチナその他類似の商品につきましての問題につきましては、御指摘のような点は、ただいま商品取引所審議会におきまして、今後の施策としてどうあるべきかということで御検討願っておりますところでございまして、その辺の御検討を踏まえまして今後のあり方を考えていきたいというふうに思っております。
#80
○小林(政)小委員 もう一点。
 こうした重大な解釈の変更といいますか、この問題をめぐって、一層その被害が広がっていくという兆しが出てきているということも事実です。ですから、こういうときに、前回の小委員会のときにも回答がございましたけれども、取引問題研究会の中間報告、これの多数意見であったと言われておりますいわゆる私設先物市場の開設禁止並びに先物取引及びその類似行為、延べ取引も含むわけですけれども、一般投資家を対象とする勧誘または受託の禁止、これについてはやはり立法の実現を急ぐべきではないか、こういうふうに思います。
 この点について裁判所の見解も、先ほど来聞いておりますと、やはりその立場に立っての見解が出されているというふうにもお話がございましたけれども、こうした重大な問題を、通産省は責任があるのですから、法制局だとかあるいは審議会だとかということに逃げ込まないで、明確にこういう立場に立って、被害に対して、実際には責任を負う通産省、法律をつくった通産省、その当事者の通産省が正しい立場に戻るということはもう当然のことだというふうに思わなければならないと思います。
 これについての見解をお伺いして、私の質問は終わりたいと思います。
#81
○植田政府委員 きょう、参考人の方あるいは先生方の御質問の中で、いろいろとこの被害の問題を一つの大きな問題として御議論いただいたわけでございますが、私どもも、一般投資家の保護ということは非常に重要な問題だというふうに考えているわけでございます。
 これにつきましてどういうふうな対応が最も妥当であるかということにつきましては、先ほどから繰り返しになるわけでございますが、いまいろいろと御検討いただいておりますので、その辺の御議論を踏まえまして今後考えていきたいというふうに思っております。
#82
○渡辺小委員長 以上で質疑は終了いたしました。
 参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
 なお、この際、私より一音申し上げます。
 本日は、せっかく参考人に御出席いただきまして貴重な御意見を述べていただきましたが、それがただ聞きっ放しになったのでは余り意味のないものになりますから、特に一般投資家に対する保護の問題に関しては、それが今後の行政に取り入れられ、生かされるよう、政府当局においては十分配慮されるよう要望しておきます。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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