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1981/11/06 第95回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第095回国会 大蔵委員会 第2号
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1981/11/06 第95回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第095回国会 大蔵委員会 第2号

#1
第095回国会 大蔵委員会 第2号
昭和五十六年十一月六日(金曜日)
    午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 綿貫 民輔君
   理事 越智 伊平君 理事 大原 一三君
   理事 小泉純一郎君 理事 山崎武三郎君
   理事 伊藤  茂君 理事 沢田  広君
   理事 鳥居 一雄君 理事 竹本 孫一君
      熊川 次男君    笹山 登生君
      椎名 素夫君    白川 勝彦君
      中村正三郎君    平泉  渉君
      平沼 赳夫君    藤井 勝志君
      毛利 松平君    森田  一君
      柳沢 伯夫君    山中 貞則君
      山本 幸雄君    佐藤 観樹君
      戸田 菊雄君    堀  昌雄君
      村山 喜一君    柴田  弘君
      渡部 一郎君    正森 成二君
      簑輪 幸代君    小杉  隆君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  保岡 興治君
        大蔵大臣官房審
        議官      水野  繁君
        大蔵省主計局次
        長       宍倉 宗夫君
        大蔵省主税局長 福田 幸弘君
        大蔵省関税局長 垣水 孝一君
        大蔵省理財局長 吉本  宏君
        大蔵省理財局次
        長       酒井 健三君
        大蔵省証券局長 禿河 徹映君
        大蔵省銀行局長 宮本 保孝君
        国税庁次長   小山 昭蔵君
 委員外の出席者
        行政管理庁行政
        管理局管理官  神澤 正藏君
        参  考  人
        (政治評論家) 細川 隆元君
        大蔵委員会調査
        室長      葉林 勇樹君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月十九日
 辞任         補欠選任
  小杉  隆君     楢崎弥之助君
同月二十日
 辞任         補欠選任
  楢崎弥之助君     小杉  隆君
    ―――――――――――――
十月二十日
 大型間接税反対等に関する請願(佐野嘉吉君紹
 介)(第四号)
 同外八件(天野公義君紹介)(第一四号)
 大衆増税と大型消費税導入反対等に関する請願
 (下平正一君紹介)(第五号)
 大型消費税導入と低所得者への増税反対等に関
 する請願(正森成二君紹介)(第四一号)
同月二十二日
 大衆増税と大型消費税導入反対に関する請願(
 坂井弘一君紹介)(第二〇八号)
 大衆増税と大型消費税導入反対等に関する請願
 (坂井弘一君紹介)(第二〇九号)
 同(中西積介君紹介)(第二六六号)
同月二十六日
 国内産葉たばこ生産事業の振興と長期安定に関
 する請願(小沢一郎君紹介)(第四一一号)
 大型間接税反対等に関する請願(石橋一弥君紹
 介)(第四五二号)
 大衆増税と大型消費税導入反対等に関する請願
 (上原康助君紹介)(第四五三号)
十一月二日
 医業税制の確立に関する請願(堀昌雄君紹介)
 (第五一三号)
 同(渡部一郎君紹介)(第五三七号)
 大衆増税と大型消費税導入反対等に関する請願
 (正森成二君紹介)(第六〇六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
十月二十日
 大型間接新税の導入反対に関する陳情書(北海
 道河東郡上士幌町議会議長長尾芳郎)(第二八
 号)
 学校用地内の国有財産譲与に関する陳情書(名
 古屋市中区三の丸二の三の二愛知県市長会会長
 青木茂)(第二九号)
 塩の公益専売制度維持に関する陳情書外七件
 (広島県賀茂郡黒瀬町議会議長西野木清外七
 名)(第三〇号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 国の会計、税制及び金融に関する件
     ――――◇―――――
#2
○綿貫委員長 これより会議を開きます。
 国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 すなわち、税制に関する件について、本日、参考人として政治評論家細川隆元君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#4
○綿貫委員長 この際、参考人に一言申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 なお、御意見の開陳は委員の質疑にお答え願う形式で進めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柳沢伯夫君。
#5
○柳沢委員 きょうは、臨時国会になって初めての大蔵委員会でございまして、一般質問をお許しいただけるということで質問に立ったわけでございますが、当面の問題としてわれわれが一番気にかかっておることは、過般、前国会の予算委員会の審議の途中で審議が紛糾をいたしまして、それに対しまして議長の裁定案が出た、そういうことで、それに基づいて、いろいろその後の経緯もありまして、われわれも昭和五十六年分の所得税の特別減税についていろいろな論議をしていかなければならないという段階に来ておるわけでございますが、この問題についてわれわれとしてももう一度この段階で論議をしてみることが、国民に対する責任だというふうに考えるわけでございます。
 そういう意味合いにおきまして、この委員会の審議におきましても、われわれ自身がよく知悉している、いま参議院にかかっておる行政改革の推進の中でこの問題をどう考えていくか、それからまた、その後の世論の推移もありますので、そういう世論の推移も踏んまえてこの見直しというか検討をしてみる必要があろうと思うのです。
 そういう意味で、きょうはわれわれが日ごろある意味でいろいろ御叱咤を賜っている言論界の長老であられる細川先生に参考人としてお出ましをいただいたわけでございますが、まずもって私は先生に対して、足元の悪い、特にきょうは悪天候になりましたし、それからまた季節の変わり目で非常に気候も悪く、十分なエアコンもできていないこういう場所に御足労を願ったことに対しまして、心からのお礼を申し上げたいというふうに思うわけでございます。
 そこで私はまず第一に、ちょっと簡単に復習をしておきたいと思うのです。この五十六年分所得税にかかわる特別減税は、いまも申し上げたように議長裁定案というものがあって、その第二項に五十五年度の剰余金が出た場合には各党関係者で実施について具体的に検討するということになっておりまして、他方先般五十五年度の決算も明らかになりまして、五十五年度の剰余金が四百八十四億円ということに確定を見たわけでございます。
 そこで、その裁定案にのっとって各党関係者、われわれ俗に実務家と言っておりますが、税の問題に特に造詣の深い先生に寄り寄り集まっていただいて具体案を作成していただいたというふうに承知をしておるわけですが、われわれ、実務者というか各党関係者の御努力は非常に貴重なものとして感謝もしておるわけでございます。しかしながら、いまも申し上げたように、他方において行革を本格的に進めておる、それからまた世論というものもあるわけでございまして、そういうことで、われわれこの問題をもう一度この委員会の場所で検討してみるということは、国民に対する責任の問題として私は回避すべきでないというふうに思うわけでございます。そういう意味で、きょう細川先生に対しましていわば世論の代表あるいは国民世論の中における国民の常識の代表として御意見を賜りたいというふうに思っておるわけでございます。
 そこで、まず私は、せっかく政界を長くごらんになってこられた細川先生にお出ましをいただいたわけなんで、この議長裁定が出された経緯というようなこと、その政治的な過程というものを若干振り返って御感想を伺ってみたいというふうに思うのです。私、一年生議員ですが、その前にもずっと政治を見てきたわけで、そういう者の目から見て、与野党が議席伯仲しておる、こういう時期には、御案内のとおり、予算委員会の審議のある段階で予算修正の問題等が政調のレベル、党レベルで審議をされ協議をされて一つの合意に達するというようなことが行われてきたわけでございます。その前、実は自由民主党が、わが党が安定多数を持っておったころはどうだったかというふうに思いますと、野党が予算委員会の審議を拒否するというようなことが間々あるわけでございます。この審議を拒否されると、自民党としては、予算のように時限が区切られて結論を出さなければならない案件については、どうしても採決をその審議に参加しようと思っている者だけでやらざるを得ない。そうなりますと、審議の紛糾という事態が生じまして、議長さんのところにその裁定というかおさまりを、裁きを仰ぎに参る、そういうかっこうで、また議長裁定案の中で予算修正というようなものが行われる。
    〔委員長退席、越智(伊)委員長代理着席〕
いずれにしても、与野党伯仲のときには各党の政調レベルで行われ、あるいは今度は与党が安定多数をとりますと審議拒否というプロセスを通じて、そして今度は議長裁定だ。いずれにしましても、きわめて奇妙なことなんですけれども、予算についてこの提案権を有する政府・与党の意のままにならないというのが実態としてあるわけで、この状況は今後ともいまのような野党の姿勢でしたら続いていくという懸念があると私は思うのです。
 こういうような問題について、これはわれわれ自身もこれからの政治、国会論議のあり方として考えていかなければならぬ問題でございますけれども、ひとつせっかくお出ましをいただいた細川先生に……(「自分で決めることだよ」と呼ぶ者あり)それはもうちゃんと言っておるのです。ちゃんと言っておるのですが、ひとつ御感想を承って、われわれこれからこの問題を考えていく際の参考にさせていただきたいと思います。
    〔越智(伊)委員長代理退席、委員長着席〕
#6
○細川参考人 あの当時の議長裁定、私は非常に高く評価いたしました。いまおっしゃるとおり、なるべくお互いに与野党歩み寄れるものならば、国民の税金の処理ですから、歩み寄ってもらいたいという気があの当時しておりました。ところが、党の間の御意見が対立してなかなかうまくいかぬ。そこへ良識ある福田議長があの裁定をされた。非常に私はいい裁定であったとあの当時は考えておったのです。
 私は元来、この剰余金というか、昔は自然増収、いまの自然増収という言葉と違うのですが、見積もりよりもよけいに歳入があった場合は、私はこれは税金に回せという論をかねがね持っておったのです。やはりそれの線に沿うた裁定でしたから、なかなかりっぱな裁定だ、それにまた、院議ではないのですけれども、院議に近いような各党の合意によってあれができたことは私は高く評価しておった。
 問題は、幾ら剰余金が出るか。あのとき、皆さん方はどうか知らぬが、私は一応の頭の中には千億、千億減税というのが通常よく言われるのですから千億減税、あるいは千五百億ぐらい出はせぬかと、皆さんも恐らく思っておられた、議長も思っておられた。(「数千億だ」と呼ぶ者あり)いま数千億というお言葉がありましたが、あるいはそうかもわからぬが、まさか四百数十億ということはちょっと考えられていなかったんじゃないか。
 そこで、大蔵省の集計によりますと、御想像よりも非常に低い額になってしまった。この額を頭割りに分けるということは、国民が一体それをありがたがるだろうかということは、また改めて考えられなければならぬ問題。私自身はそういうことは――まあ私も外部にライスカレー減税とかあるいはラーメン減税とかいうことを言いましたし、そんなのを食わしたって、いま日本はみんな生活がいいんですから、それが減税という感じが起こらないのじゃないか。減税だって増税だって、私はやはり感じというものが非常に大事だと思うのです、なるほど減税してもらった、あるいは増税したなと。だから、感じの伴わない減税は私は意味がないと思う。だから結論が、裁定そのものはよかったが、予想された金が出なかったというならば、私はまた考えを変えてもちっとも差し支えないと思う。これは院議であろうが、また院議を院議で変更してもいいし、法律だって改正してもいい。ましていわんや、各党のお申し合わせですから、これはひとつもとに返って、そして本年度は非常に税収が少ないというので行革と絡んで政府も非常に苦心されておるのですから、まとまりますと、ちりも積もればで、五百億まとまると何らかの足しになるのじゃないか。だから、もしも皆さん方のお考えで、またあの申し合わせを変えようじゃないかという合意ができたら、私はその合意を議長裁定以上に非常に高く評価したいと思います。これが、いきさつから考えた私の結論でございます。
#7
○柳沢委員 先生の方で先回りをして結論を出されてしまったようでございますが、私も基本的な感じはもう仰せのとおりで、さすがに日本の常識、良識を代表する先生の言だと思って、感銘をして拝聴いたしたわけでございます。
 そこで私、ちょっとその前に、実はこういうしきたりというか議会の中でのプロセスについての先生のお感じを承っておきたいと思ったのですが、そこまで議論が進みましたので、私自身も今度の減税そのものについて話題を進めてまいりたいというふうに思うわけでございます。
 先生は、いま議長の裁定そのものについても評価をしてくださったというお話でございました。それと、私はつけ加えて申し上げますと、五十二年度以降ですか、われわれは戻し税とかその場の一時的な減税はやりましたけれども、基本的な所得税の枠組みというものは、ここ数年変更していないわけでございます。そういう意味で、五十七年度の予算編成に当たりましても、世の中にはとにかく何らかの減税をしてもらいたいなというような素朴な国民感情というかそういうものが声としても出ているわけでございまして、私もその点は十分に理解をしておるつもりでございます。そういう減税待望、これはある意味で世の中の常とも言えますけれども、いま申し上げたとおり、最近所得税の枠組みを変えていないということから、特にそれが強く求められているというような状況があるにせよ、私は、今度の減税については、先生ももう御指摘になられた面もありますが、もう一度考えてみなければならない点が多々あるような気がするわけでございます。
 その第一は、減税に充てる財源の関係なんです。
 先ほど私は、五十五年度決算におきましてこの剰余金が四百八十四億円出ましたというふうに言ったわけでございますが、その中身を検討すると、さらに問題があるなという感を深くするわけでございます。
 その第一は、今度の五十五年度決算四百八十四億剰余金が出ておりますが、実は税収は二千八百億円の赤字であったわけです。予定どおり五十五年度においても入らなかったわけでございます。他方、いま国債を大量に出しておるということは先生も御承知のとおりでございますが、出納整理期間に入りまして、決算の収支じりを合わせるためにすでに国が負担を決定したものについてずっとお金が出ているわけですね。それに見合って収入の方も確保しなければならないというものですから、予算にあらかじめ決められた枠の中ではあっても、国債を追加発行していくわけです。その出納整理期間中の国債の発行も、実はそういう片方に税収の欠陥がありましたものですから、一千億も追加して発行したという事態があるわけでございます。そういうようなことでもってようやくに四百八十四億円の剰余金が出たというようなことになっておるわけで、よく考えてみますと、これは今度の四百八十四億円の剰余金が出たので、これを減税に回すんだといっても、そういうことを、お金に色目はついていないものですから、ごっちゃまぜになっておるとはいうものの、よくよく考えてみると、赤字国債を出して、その財源でもって減税の手当てをするという、結果においてはそうとも見られるような状況に実はなっているわけでございます。それが第一の問題であろうというふうに私は思うわけでございます。
 しかも、五十五年度においてそういう赤字国債を原資にして無理をして減税をするということがあっても、じゃ、ことし、五十六年度になって税収の収入状況が非常に好調で、またことしも減税ができるかもしれんぞというような状況だったら、私はあえてそういうような状況であっても減税に踏み切ってもいいだろうと思うのです。しかし、そういう趨勢にないのです。そういう展望をわれわれは持つことができないのです。したがって、今度の減税というのは、全く一時的な場当たりの減税になってしまっているというところに私は非常な問題があろうというふうに思うわけでございます。(発言する者あり)そのことは、野党の先生方もこれでいいというふうに言った議長裁定案をよく見ますと、その辺のニュアンスは私はさすがに出ておるように思うのです。それは二項を見ますと「今後における財政再建の目途並びに財政状況の推移を踏まえ、」ということが実はうたってあるわけなんです。これは、そういう趨勢にあるときには、しかもそれで剰余金が出たならやりましょうというふうに書いてあるというふうに思うわけでございまして、先輩の、私どもの党のわれわれ尊敬している先生もこれを踏まえてやってくださったことですから、いまわれわれはここのところはとやかく言うつもりはないのですが、少なくとも裁定案にはそういう文言もあるということを私はここで指摘をしておきたいわけでございます。
 それから第二の問題は、効果の点でございます。
 私はそういう趨勢、税収の趨勢あるいは財政の趨勢でなくても、やっていい場合があると思うのです。政策的なある一定の効果をねらってあえて減税の挙に出てみるということは十分考えられると思うのです。それは、私は若干、外国の経験がありまして、ニクソン政権のときにアメリカにおったのですが、ニクソンさんがやったいわゆる戻し税、税額控除方式による戻し税というのがそうでございました。それはどういうことをやったかというと、消費を刺激するために、税額控除方式によって戻し税という方式をとる所得税減税をやったのですが、それはどういう方式でやったかと申しますと、実は財務省でしたか、小切手を減税の相手方に渡してしまうのです。送ってくるのです。そうしますと、いかにもこれだけは税金がまかったいわばボーナスですよ、余分の所得ですよということが非常に明白になるわけでございます。そういうような工夫をこらして、本当にある効果をねらったのであれば、その効果にふさわしい手段でもって実は行われているわけなんです。
 ところが、今度のわれわれの減税というのは、そういうようなことができる状況には全くありません。減税に踏み切るとしても、減税のために余分な経費を使うということは極力避けようというようなことでやっておりますので、先生御案内のとおり、今度の十二月の年末調整のときにさっと引いてしまう、あるいは三月の確定申告のときに、その出てきた税額からすっと引いてしまうということでございまして、恐らく納税者の方が気がつかれないうちに減税が行われるというようなことも十分あり得るわけでございます。
 そういうようなことを考えてみますと、私は今度の減税についてはそういう効果もちょっとよくわからない面もあるのですけれども、われわれがいま仮に消費を刺激しなければならないとしても、どうもその目的に対してふさわしい手段を提供し得ないということがあるわけでございます。
 それから第三番目に、私はいまいろいろ述べてきたのですが、やはり最後に行き着くところは、先生がいままさしく指摘されたように、金額の多寡だと思います。何よりもこれがミニの減税、先生、ライスカレー減税とかラーメン減税とかいうようなあだ名をつけられたわけですけれども、そういうような金額の点が、私はやはり何よりも問題だというふうに思うわけでございます。
 つまり、四百八十四億というお金、まさしく先生御指摘になられたとおり、これだけまとまりますと、本当にこの減税に向けることがわれわれ国会がベストの使い道だとして決定をしていいかどうか、これはやはり問題だ。やはり謙虚にもう一回冷静に考えてみる必要があると思うのです。
 私は、けさも農林予算の政策論議に出ておったのですが、ざあっと来年度の概算要求案を見ておって、われわれ日ごろ非常に気になっている松くい虫、先生、昔の白砂青松の日本の面影がこの松くい虫によってなくなってしまうかもしれないというふうに思われている、この松くい虫の対策として幾らの金が計上されておるかというと、ことしが七十二億程度、そうして来年は七十六億ぐらいに何とかしたいねというような状況になっているのです。私はこれは挙げていけば枚挙にいとまがないような話になってしまうと思うのですが、それはあえて申し上げませんけれども、やはりこれだけの四百八十四億、五百億になんなんとする金の使い道として本当にベストなのかということは、やはりひとつ問題だと思うのです。(発言する者あり)
 そこで、なぜこうなったかということでございますが、これは言うまでもなく、先ほど申し上げたとおり、「剰余金によって対応できる場合は、」という議長裁定案になっておるのですが、これははっきり申しまして、金額が幾らであってもやるような仕組みになっちゃっているわけです。じゃ、たとえば剰余金が五十億だったとしたら、野党の先生方はいま私のこの質問に対していろいろおっしゃっているのですが、どうされたのだろうか、私は疑問に思います。剰余金によって対応できる場合には、もう何の反省もなしにその減税に踏み切るのだとしたら、仮に剰余金が五十億だったら、あるいはもっと少なかったらどうするのだということを、私はここで考えてみるべきだと思うのです。つまり、この議長裁定案というのは、やはり剰余金の額が減税として使用される場合であっても、それが意味のある減税である場合にやりましょうというのがこの裁定案を読む場合にもどうしても配慮しなければならない問題だ。
 そこで、意味があるかどうかということについては、その剰余金が出た段階でもう一回振り返ってみるということが私はどうしても国会の責任としても必要だというふうに思うわけでございます。そういう意味でまさに先生御指摘になられたとおりでございますが、これだけの金額になってしまった、効果もいま言ったようにちゃんとした目的に合った方式でできない、それから財源の点も、金に色目はないわけだけれども、しかし赤字公債が原資だとも見えるようなことになってしまっている、こういうことを踏まえまして、もう一度先生の今度のわれわれが考えなければならないこのいわゆるミニ減税についての御所見を承りたいというふうに思います。
#8
○細川参考人 いまおっしゃいました結論は、借金をして人に金を貸す、金をやるというのに尽きると思うのです。それならあの裁定のときになぜそれを考えなかったのか。結局、国会、政治というのはそう理屈ばかりではいきませんから、何かがたがたするからこの辺で妥協すれば国会を通過するということであの裁定が出た。これは裁定なりに私はいいと思うのですが、借金をして人に金を貸すというのはまこと矛盾することである。
 第二は効果論のお話ですが、今日に至ってそれが非常に大きな効果を生むか、効果はないのですね、これは。ゆうべ私は東電の社長、重役と飯を食って酒を飲んだのですが、芸者はもちろんおりました。それで、東電が差益金で非常にもうけたとき、あれをどうするかというのが大変な問題になった。あれを設備投資の方に保留しておくか、あるいはそれだけもうかったならば使用者にそれなりの返還、電気料金を安くするか。私はあのときにそれは使用者に安くすべきだという議論をしまして、結局、結論は――世間にも両論ございました。電力会社というのは設備関係で非常に金が要るからそれに取っておいた方がいいのではないかという議論、これも一つの議論、しかし物価はだんだん上がっているから少しでもそれを国民に還元した方がいいのではないかという電力料金の引き下げ問題、二つありました。ところが、あれは毎月引き下げられるのです。そうすると、たとえ五十円でも百円でも、今月は安かったな、皆さん方もそう思われると思うのですが、主婦は電灯料金、水道料金、今月は高かったな、今月は安かったんだ、ひしひしと感ずるのです。だから、私はそれは効果があったと思うのですよ。だからきのう、私はきょうここに来るんだが、あなた方の意見はどうかと東電の社長さんに聞いたら、いやそれは電灯料金の方とはちょっと違って、年末調整でたったそれぐらいのことをして一体庶民が減税の感じを抱くでしょうか、抱かないと思う、わきに芸者さんがおって、そうですよ、私らみたいな花代でかせいでいる者でも年末調整でどうとか、そんな何にも感じません、あんなことは政府が金が足らぬとおっしゃるのだから足らぬ方にまとめてお向けになった方がいい、芸者でもそう言うのです。
 それから、この間私はタクシーに乗ったら、タクシーの運転手も、減税というのは何ですか、あれはごまかしじゃないですか。逆にちょっと反感とは言えないけれども、何かおかしなものだ。それほどの効果しかないのです。効果のないものは余りやる必要はないじゃないか、私はそういうふうに思うのです。ですから私はこの辺で、これはやはり国会のことは一遍決めるとなかなかむずかしいと私も思いますが、一遍ぐらい再検討して、ことしは収入が非常に足らぬからこれにぶち込んだ方が利口じゃないか。国民は恐らく、その方が利口だ、減税しないのはけしからぬという国民は共産党を含めて出てこないと私は思うのです。(発言する者あり)共産党の方は非常にユニークな考えを持っておられますから、そのユニークをも含めてそうじゃないか、こう言うたわけです、庶民の声として。共産党の声は庶民の声の一部として私は申し上げた。そういうわけですから、この辺でできるなら考え直された方がいいんじゃないか。
 それから、一遍ミニ減税という習慣をつけますと、ちょっと余った、また減税、必ずこれが前例になる。私はこれはよろしくないと思うのです。国会は慣例とか習慣を非常に重んぜられるところです。何だ、あのときだって五百円じゃなかったか、今度は六百円だから百円高いからいいじゃないか、そうしてごまかす減税が出るおそれがある。そういう意味においてお考え直しになれば、その方が国民の支持を得る、私はそう思います。私自身でなく、私もいろいろな人に会っておりますから、だから聞くと、みんな小ばかにしておるのですよ。何だ、あれで減税という看板だけ掲げやがって、自分は国民に借金して何だ、そういう気分ですから、減税というのは、さっき数千億というお声があったが、二千億か三千億かそれ以上のものならば減税と言えるけれども、ライスカレーぐらいのことは減税と口では言っても実質的な減税ではない、これはやらぬ方がいい、そういうふうに私は思うわけです。
#9
○柳沢委員 もう最後でございます。先生、きょうは、まさにいまこれがくせになってしまうというわれわれがこれからよく頭に置いて対処していかなければならぬ問題を御指摘いただいて、本当に貴重な参考意見をありがとうございました。
 最後に、ちょっと委員長にお尋ねしますが、こういうお話の経緯をお聞きになっておられて、われわれはちょっと考えるべき点があるというのが少なくとも私が受けた印象でございますが、委員長御自身は私どものこの質疑応答をお聞きいただいてどんな御感想を持たれたか、どんなふうにされていくか、ちょっと委員長の話を承りたいと思います。そして私の質問を終わります。
#10
○綿貫委員長 委員長といたしましても、全く同感でございます。ただ、議長裁定という公党間の合意の経緯もございますので、いろいろその辺も考えて今後に処していくつもりでございます。
#11
○柳沢委員 どうもありがとうございました。
#12
○綿貫委員長 堀昌雄君。
#13
○堀委員 本日は、細川参考人大変突然の出席要求で御苦労様でございました。私、いま参考人のお話を聞いておりまして、大変もっともな御答弁だ、こう思っております。ただ、この問題は、実はかなり長くて深い経緯がございまして、その経緯を、これから政府からいろいろと答弁を求めながら逐次追って、その経緯の実態をここに明らかにさせていただいて、その上でひとつまた細川参考人の御意見を伺うようにしたい、こう思いますので、しばらく私が政府との間に質疑をいたしますので、それをひとつお聞き取りを願いたい、こう思うのでございます。
 まず主税局長に伺いますけれども、昭和五十二年、五十三年と三千億ずつの戻し減税というのが行われましたね。それで、その戻し減税をやりましても、先ほど細川参考人がおっしゃったいわゆる自然増収のほんの一部を国民に返したということにしかなっていないと思うのです。この戻し減税というのは、私は当時社会党の政策審議会長をいたしておりまして、社会党案として出させていただいたものが、実は各党の合意によって実行された案でございまして、当時は御承知のように保革伯仲という状態でございました。その後、五十二年、三年に戻し減税が行われましたが、五十四年、五十五年は減税が行われなかったということでございます。
 主税局長にちょっと伺いますけれども、五十四年、五十五年のいわゆる自然増収というのは一体幾らあったのかを、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
#14
○福田(幸)政府委員 五十四年の自然増収、これは当年度現行法税収と前年度当初との差額という意味の自然増収でございます。五十四年がマイナス四千四十でございますが、これは例の年度区分の調整がございますので……
#15
○堀委員 ちょっと待ってください。違うのです。私が言っておるのは、いわゆる自然増収という意味は、名目所得が上がって、その結果われわれ給与所得者が余分に払っておるわけですね。実質の問題を離れて、名目所得の増加分によって、増税をしていないけれども税収がふえている、このことをお尋ねしているんですから、それを答えていただきたいのです。
#16
○福田(幸)政府委員 税収は自然増収ということしかございませんので、名目ということになりますが、それは五十五では四兆五千九百八十、それから五十六では四兆四千九百という数字が自然増収です。それは名目がもちろん……
#17
○堀委員 いやいや、いいです。そういう名目というのはいま伺ったんだから……。
 四兆五千ぐらいずつ二年間いわゆる名目所得がふえたから税金がふえたというのがあって、九兆実はこの問国民からたくさん税金が取られている、こういうことでございますね。ですから私どもは、特に五十五年は給与所得者の実質所得がマイナスになりまして、実質所得がマイナスになっておるのに、かつ四兆五千の名目所得上の増税を負担をしたということは、勤労者の皆さんからしますと、何としても減税をしてほしいという強い要求があるのは当然だと思います。その点は先ほど細川参考人もそういう考え方をお述べになっておるわけであります。
 そこで、私どもの方では、何とかひとつこの五十六年に減税が行われないかという強い希望が労働四団体を含め、一般の国民の高い声でございまして、党として私に、二月二十五日の予算委員会の集中審議の中で、この問題で何とか手がかりがつかめないか、ひとつ質問者として鈴木総理とやってくれという要請がございまして、私、二時間にわたって所得税の問題だけに限って実は鈴木総理に質問をさしていただいたわけであります。そのときに鈴木総理が、私はいろいろなことを申し上げたのですけれども、こういう答弁をされたわけであります。「この剰余金を期待をするということは現段階では非常に困難である、私はこういう認識を実は持っておるわけでございます。出たらという仮定の上に立っての御議論でございますが、堀さんのお考え、お気持ちというのは私もよく理解ができるところでございます。」というふうな答弁を総理がされたわけでございます。ですから、要するに私が言っておることはわかる。しかし剰余金が出るか出ないかわからないから、それはそういうことだという答弁であったわけでございます。
 実はこの問題は私はこう考えたわけであります。保革が伯仲しておった五十四年、五十五年でも自民党は減税をしなかったわけですから、ましてや自民党安定多数になった五十六年度の予算委員会において、野党が少数である場所で自民党が予算修正に応じて減税を行うということは、仮に私が自民党の立場に立ってもこれは受け入れられない提案だ、こう私は考えたわけであります。そうしますと、可能性として残るのは、五十五年度にもし剰余金が出ればこれを減税に充てるということは五十六年度予算に関係することではありませんから、そこで、五十五年度に剰余金が出たらひとつこれを減税に回したらどうでしょうかという提案をして、総理がそういう答えをされたわけであります。その後、予算委員会の採決に関して紛糾して、その結果、先ほど柳沢委員がお話しになったような議長裁定が出ることになりました。ですから、これは確かに議長裁定、いろいろと表現がついておりますけれども、しかしいまの、剰余金があればそういう処理をしたいという議長の意思であることはもうすべてが皆了解をしたことでございます。そこから後は、どういう剰余金が出るかというのは、今度は政府の対処なのであります、政府の処理なのでございます。
 主税局長、今度の剰余金が四百八十四億になった金額的経緯、要するに、歳出の不用額といいますか、それから予備費、それから税収、公債費、あるいはガソリン税その他の問題や、あるいは義務的諸経費に支弁をして結果的に四百八十四億になったという経緯をちょっとお答えいただきたいと思います。
#18
○福田(幸)政府委員 内容を申し上げます。
 歳出の不用で三千七百十四ということで、予備費が九百七十九、その他歳出の不用が二千七百三十五。それから、歳入の増減のところで、税収は二千七百六十三の減を見込んでおります。それから、税外収入がプラスの九百四十三、公債金収入がマイナスの九百九十八、そういうことで、剰余金の計算上の控除項目というのが、道路の関係の揮発油税でございますが、道路整備費財源として四百十二億、これはプラスに調整いたしますので純剰余金が先ほどの四百八十四になります。したがって、ポイントは四百八十四でございますが、税収はマイナスの二千七百六十三ということで、公債金収入がマイナスの九百九十八であるということでございます。
#19
○堀委員 ちょっと主計局長に伺いますが、五十五年度補正で一体幾ら組んだのか、そのときの税収増加見込みを幾ら組んだのか。それはもしあれでしたら主税局でもいいですが、これは補正に関係があるので、補正のところをお答えください。
#20
○宍倉政府委員 恐れ入りますが、いまちょっと正確な数字を持ち合わせておりませんので、数字を取り寄せますので……。
#21
○堀委員 じゃいいです。先の方をやりましょう。
 細川さん、実はこの税収の問題で政府は非常な誤りを一つ犯しておるのです。
 誤りを犯したと申しますのは、五十二年度だったかな。要するに、これまではある一つの年度、たとえば昭和五十六年度の税収というのは法人の九月決算までが当年度になっていたのです。それならば、見通しを立てるのが、五十六年度予算というのは五十五年の大体十月、十一月に立てますから、大体射程距離一年以内で税収見積もりを立てることができたわけです。所得税その他はそんなに大きく狂わないのですけれども、御承知のように法人税というのはそのときの景況不況で大変変動が大きいわけであります。ところが、要するに財源が足らないということで、翌年の三月決算の税収までをこちらへと前へ取り入れるというやり方をやったわけです。こんなことをやっても一回分しか有効じゃないのですね。一回前へずらしたら、その年は有効ですけれども、それから後は何も有効性はない。にもかかわらず、三月決算というのが完全に出切るのは五月ぐらいですから、一年半以上先を見通して税収を考えるということは、大蔵省は大変な間違いを犯した、私はこう思っているわけですね。これは実はこれからもずっと続いてくるわけですよ。ですから、要するにいま財政再建をやるというときは、一体その年度の税収はどうなるかということがより確かに確かめられた上で予算が組まれなければならないにもかかわらず、きわめて不確定な要素を残して当初予算の税収を立てるわけですから、予算規模の問題にしても、国債発行の問題にしても、いろいろとこれは大変まずい制度がとられてきているわけです。私は、どこかで決断をしてこれを戻さなければ財政運営上に非常に大きなマイナスだ、こう考えておるのですけれども、そういう経緯があった上に、実は昨年の暮れに大型の補正が組まれておるわけです。財政再建中といいながら大型補正が組まれておる。
 税の方からいきましょう。税収増加見込みを幾ら立てたのか、ちょっと答えてください。
#22
○福田(幸)政府委員 五十六年度の補正で七千三百四十億補正増いたしております。
#23
○堀委員 当初予算の規模に対して何%になりますか。
#24
○福田(幸)政府委員 二・八ということでございます。
#25
○堀委員 実は私は、今度の剰余金減税問題の一つの問題点がこの補正の増収にあったと思っております。あの情勢の中で七千三百四十という増収を見込むことは大変無理があったにもかかわらず、財政再建中というにもかかわらずこういう大幅な補正予算を組んで対応した、これが一つあったわけですね。しかし、過去の例からすると、そう幾らも出ないだろうけれども千億内外は増収になるのではないか、こういう気持ちで私はこの問題に取りかかったわけであります。
 そこで、いまの主税局長の答弁の中で、国債収入金が△で九百九十八億、こういうふうに報告しております。この問題をやりました、財政法の処理をいたしました三月二十五日、理財局は、当時未発行の国債、赤字国債というのですか、それは幾らだったのか、ちょっと答えてください。
#26
○酒井政府委員 お答え申し上げます。
 五十五年度の出納整理期間に繰り延べました未発行の国債は約二千二百億円でございます。
#27
○堀委員 当時二千二百億円まだ発行していない国債があったわけであります。
 そこで、この問題が議長裁定によって各党に話がおりてまいりました。各党国対委員長の協議のもとに政策審議会長に話がおりまして、それで政策審議会長から私ども大蔵委員会に所属をしております各党の者――実務者と言われておりますが、ここに話がおりてきて、そこで減税の話を具体的にすることになったわけです。そのときに私は、非常に問題が不確定だから、少なくともとりあえず減税をするというのなら、いま細川さんもおっしゃったように、減税をしたことになるようにしなければ意味がないと思ったものですから、ともかく何とか頭から千億はねて処理ができないかといろいろやりましたが、与党の方ではそれは無理だということですから、私もそれはおりました。何とか今度はいまの二千二百億を、減税をしないというなら別ですが、する以上は、一定の形をつけるためにはこれは発行してもらいたいということを大蔵委員会でかなりやりました。そうしたら、自然体で処理をさしていただきますというのが大蔵大臣の答弁でございました。その結果、千二百億発行して、要するに千億が残ったということですか。それでいいですね。赤字国債を一部発行し、一部発行しないで要するにこういう金額が出てきた、こういうことなんですね。これは政府が処理をしていることでありまして、国会の私たちは関知せざるところなんです。政府がどうしてそういうふうにやったのかわからないのですけれども、減税をやるということが院の議決ですでに――私はさっき委員長が私も同感だとおっしゃっているので大変おかしいと思うのですけれども、なぜおかしいかといいますと、三月二十五日に私どもはこの大蔵委員会で全会一致で昭和五十五年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案というものをここで決めたわけでございます。これを決めたのも、財源が非常に不十分だと思うので、本来ならばその二分の一は次年度へ繰り越さなければいかぬと財政法六条が決めておりますのを特例でここでともかく委員長が採決をして、当委員会が一致して決めたのです。だから、要するにわれわれの委員会で処理をしてきておることは、議長裁定を受けて各党が合意して、そこで剰余金はともかく当年度の減税に回そうという合意ができたからこれが行われたわけです。いまの法律案の理由として「昭和五十五年度の一般会計歳入歳出の決算上の剰余金の処理について、財政法第六条第一項の規定の特例を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」必要があるということは、これは減税財源に充てるんだということを前提として当委員会で総員起立で実は財政法第六条の修正案が通ったわけです。そのときに私は、この減税問題というものは確定したと考えています。金額の中身は別として院としてはそのときに確定した。そうすると、あとは政府がどういう剰余金を出すか、こういうことなんです。それで議長裁定でこういうふうにきているものですから、恐らく政府はともかく国債をあとの二千二百億を全然発行しないということになれば、この減税が行われていない、ゼロになっているわけです。政務次官どうですか。答弁してください。
#28
○綿貫委員長 堀委員に申し上げます。
 委員長は同感だと、経緯について私は何も言ったわけではないので、五百円という減税が減税効果がないという意見がありましたから私もそう思う、こういうことを言ったのですよ。
#29
○堀委員 わかりました。
#30
○保岡政府委員 先生お尋ねのように当時未発行の赤字公債を全然発行しないということになれば歳入欠陥ということになったわけでございます。
#31
○堀委員 ですから、これは大蔵省がそろばんを置いたわけです。要するに衆議院議長の裁定があって国会で財政法六条の修正の議員立法が行われておるということを前提としてゼロにするわけにはいかないということですね。しかしまた二千億全部発行して、そして仮にそれで千五百億ということになったとすると、もうちょっと動きますが、そうなるといまの借金してまで減税することはないではないかという世論に対応できないであろう。だから、ちょうどその中間をとって、まあ五百億ぐらいなら、もしこれが減税となれば国民から何だそんないいかげんな減税はけしからぬ、もうそれなら減税、要らぬという話が出るだろう。大蔵省はこの計算をして実はこの四百八十四億を出してきたわけです。私どもはその経緯がちゃんとわかっておりますから、大蔵省が院の立場を配慮しながら、しかし大蔵省の立場としてもその赤字国債を二千二百億発行して千億を上回る減税をやるということは、これまた財政再建中適切でないと考えた、こういうことだと思うのであります。後でそこは政務次官に伺いますけれども……。ですから、そういう結果として四百八十四億というのはつくられたミニ減税であるということを細川参考人に理解をしていただきたいわけです。
 私ども国会の側としては、議長裁定が行われて剰余金が出ました。それが大蔵省から議長に報告をされました。そこで、この国会が始まってから議長が各党の国会対策委員長を呼ばれて、そうしてあの剰余金について具体的な税の処理をするようにという御指示が衆議院議長から各党国会対策委員長におりてきたわけであります。それで各党国会対策委員長が今度は政策審議会長にそれをおろし、政策審議会長では野党側は幾ら何でも五百億はひど過ぎるではないか、何とか千億積み増しができないか、こう言って各野党の政審会長は安倍政調会長に要望いたしましたけれども、いやそれは財源がないからできません、こういうことで、そこで私どもの実務者のところにこの金額の中で適当な減税処置を講じるように、こういうふうに実は議長からずっとおりてきたわけですね。そこで私ども実務者は集まりまして、いろいろと意見がありました。ありましたけれども、要するにこのわずかなものでもそういう過去の経緯がきちんと整っていまして、言うなれば衆議院という院の権威にかけて処理をしなければならない問題だから実務者の閥では、こんな減税をすれば実務者であるわれわれもどろをかぶるなあ、しかしそれは私どものせいではなくて、それは政府がそうやってそういう剰余金をつくり出した、恣意的につくり出したという経緯の中にあるのであって、それは実は私どもの側の責任ではないのです。ですから、私どもはそういう意味で、これは院の方針に従って機関手続を各党が全部行ってやってきたことでありまして、もちろん私ももっとあった方がいいと思っていますよ。あった方がいいと思うけれども、これだけしかない。そこでいろいろと配分を培えて、最も公平でそして事務費のかからない処置でいこうということで実は一人当たり五百円、四人家族なら二千円ということを手続的に決めようじゃないか、それが本日の法案になることになっているわけでありまして、何か私どもが好んで四百八十四億円の減税をしたかった、そういう話ではないのであります。経緯は私がいま申し上げたとおりなんであります。
 そこで政務次官に伺いますが、いまの千二百億発行して千億未発行ということは、どうしてそうなったのかをちょっとお答えいただきたいのです。
#32
○保岡政府委員 この一千二百億円の発行を決めた六月十七日段階における五十五年度の税収とか歳出の不用等の見込み、これに基づいて算定したわけですけれども、税収は補正後に対して二千七百億円から三千三百億円程度減収の見込みがあった。それからこのうち特定財源については四百億円程度の増収が見込まれた。それから予備費その他歳出の不用分、これは三千七百五十億円程度が見込まれた。それから税外収入の増加が九百五十億円程度見込まれた。歳出の不用と税外収入の増加を合わせたものが結局四千七百億程度、こういう見通しでございました。そういうことから税収が最終的にどういうふうになるかということについてはまだその段階で幅があったわけであります。
 そこで、見込みの最下限となった場合でも特例公債の発行未済があるままで決算調整資金を使用することにならないように、これはそうしなければならないわけですが、そういうことから税収の減は最大の三千三百億円になるという前提で考えざるを得なかった、そういうことからすると一千二百億円の公債発行をするということを決めることになった、こういうことでございます。
#33
○堀委員 ですから、実は大蔵省は、やはりこういう場合には大事をとって処理をするというのはあたりまえだと私も思いますから、大体はゼロになっていいというところで処理をしてきたと思うのです。しかし、結果的に四百八十四億出たということだと私は考えますよ。それは作為があったかどうか、そこまでは何ともわかりませんけれどもね。ですから、こういう経緯を通じてこの問題の四百八十四億というものが出てきたということなのでございます。自民党の中でも河本企画庁長官はともかく何とか少し減税を考えたらどうか、こういう話をずっと一貫してやっておられます。確かに私は財政再建というのは大変大事な問題だと思っておるのですが、どうも五十九年までに赤字国債をなくすればそれで何か財政再建が終わるような一般の風潮というか、総理のいろいろなお話を聞いていてもそんな感じがしてならないのですが、実は日本の財政再建というのは今後少なくとも十五年ぐらいにわたって、五十七、八、九よりはさらに厳しい財政状況がその先に来るわけなんです。ですから、そういう中長期の展望に立って日本の財政を考えるときに、国民が、要するにこれだけ細かい累進税率、この階段の幅が狭いものですから、名目所得が上がるとすぐ次の段階に税率が上がってしまう、働けば働くほど税金がふえる、しかし安定成長の時代ですから賃金は十分に上がらない、ことしは物価が安定しているからいいのですが、少し物価が上がるとすぐ実質賃金マイナスになる。実質賃金マイナス、税金だけ増税なんということがこれからしばしば起こるだろうと思うのです。そういうときには、私は、財政の問題というのが五十九年で終わってしまうというのなら、これは私ども五十九年までは、「欲しがりません勝つまでは」じゃないけれども、財政再建終わるまではしんぼうしましょうという話はいいんですよ。しかし、この財政再建というのはそういう問題ではないのですね。かなり長期に続くのです。主計局、ちょっとあなた方の見通しを答えてください。
#34
○宍倉政府委員 財政再建の第一のステップといいますか目標としては、いまよく言われておりますように五十九年度には特例公債から脱却をするということでございますので、それじゃ五十九年度に特例公債から脱却したら六十年度以降もういいのかというと、それは仰せのように問題がやはり残っておるわけです。なぜ残っておるかといえば、昭和五十九年度末までの国債の残高というのは相当多頭になる、百兆を超えるということは、これは明らかでございますから、そうなりますと国債費の負担がやはり相当大きなものになるだろうということは当然予想されるわけでございます。
 それから、特例公債から脱却いたしましても、いわゆる四条公債といいますか建設公債といいますか、公債の発行というものがあれば、そのあった分だけやはり国債の残周というものは年々ふえていく計算になりますから、何とかその国債残高の圧力から逃れらるような財政体質になっておりませんと、なかなか弾力的な財政運営がしかねるという面がございます。加えて、昭和六十二年ごろからいわゆる特例公債の償還も多くなりまして、国債整理基金が枯渇するのではないだろうかという予測もされておりますが、そうなってまいりますと国債費の圧力というのが相当強まってくるという面で、なおかつ六十年度以降につきましても財政運営の面におきましては健全化のための努力が必要かと思っています。
#35
○堀委員 細川参考人には大変長くいろいろと聞いていただきまして、ありがとうございました。
 いまのようなことでして、財政再建中は減税はだめですよということになれば、もうずっと減税なしに、特にトーゴーサンとかクロヨンとか言われて、給与所得者は大変な負担をしてきておるという状況でもありますので、私どもは何とかひとつこの給与所得者にこたえたいというのが今度の問題の真意でありまして、結果としては確かにおっしゃるようなことだと思うのですが、そのことはいまのような経過の上に積み上がってきておることでございまして、財政法の六条の修正までして院としての方針を決めてきた枠の中でございますから、私どもはその処理をすることが、少なくとも現時点では国会運営上の処理として最も適切だ、こう考えて処理をしているわけで、その意味では、何だこれっぽっちということもあり得るのです。私は、党の内部で最終的に決断するときに、ゼロもありますよということを党内でしっかり言ったわけです。ゼロであっても皆さんひとっこれは了解してくださいよ。それで労働組合の皆さんも、それはゼロであっても仕方がない、よろしい。そこまで私はだめを押してこの問題の処理をしてきておるわけでございまして、決して私どもが安易にこの減税を考えたわけではないということも申し上げて、細川参考人のお答えを伺って終わりにしたいと思います。
#36
○細川参考人 私は元来数字音痴でございまして、なかなか数字関係のことは、山中貞則先生のようなベテランではございませんので、ベテランどころではない、もう本当に無能なものですから。
 しかし、いまのお話、非常に貴重に私は拝聴しました。それは、結論を言いますと、ミニ減税でもそういう経過の結果だからというお話でした。それも御議論だと思うのですが、それをまた乗り越えて考えることも、庶民の感覚を考えることもまた政治ではないかというので、私はああいうのはできるならもとに返して、福田議長だって話せばわかる人だから、それではそうしようということになれば、もうわざわざそんなことをせぬで、本年度の歳入が非常に不調だと言われておるから、むしろ減税に当たる分をいまそこに入れた方が、国民としてもその方がやはり共感を持つではないかというふうに私は申し上げたわけです。いまの堀さんの詳しい御質問を聞いておると、本当にりっぱなその経過はわかりますが、国民はとてもそんな細かい経過はわからぬと思うのです。国民は一人一人、自分の負担感とか減税感とか増税感とかいうフィーリングで考えますから、だから私は、経過はわかって、その経過の結論としての御議論は十分了承いたしますが、私らは余りそういう経過に即して物を脅えない、大部分の国民は恐らくそうだろうと思うのです。ですから堀さんが幾ら選挙区でそうお話しになっても、なかなか選挙区民もわからぬだろう、非常に専門的な中の専門的な問題ですから。しかしまあ聞いていると、堀さんというのは勉強家だということはかねがね聞いておるけれども、なるほどと、こう思いましたけれども、私らは国民的感情というか、庶民的の感覚から私のような一できぬと私は思うのですよ、これを取り消すことはできやせぬですよ、既成事実というのは強いですからね。だから、堀さんの言うようなことに結論はなると思うが、まあ世の中から言うと、何かことしは税収が少ない少ないと言うて、おれたちに減税してくれるのは借金しておれたちに少しくれるのではないかというのが素朴な感情だから私は私のような意見を申し上げたわけで、あなたの御意見はとうとく拝聴いたしました。
#37
○堀委員 どうもありがとうございました。
#38
○綿貫委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人には、御多用中のところ御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
 午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時五十分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
#39
○綿貫委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 国の会計、税制及び金融に関する件について質疑を続行いたします。村山喜一君。
#40
○村山(喜)委員 グリーンカードの実施につきまして政令三百十四号が十一月の五日に公布をされました。そこで、まずその内容から質問をいたしてまいりたいと思います。
 この「昭和五十五印改正税法のすべて」という、これは主税局が作成をいたしまして、「利子・配当所得等の総合課税移行と少額貯蓄等利用者カード制度の導入」その解説書がここにございます。その解説と、それから公布をされました政令の中身を見てまいりますると若干の違いが出ているようでございます。それは十月の二十二日に自民党の税調で了承をされました対処方針というものとの間の中からその問題が出てきたのではなかろうかと思うのですが、この政令の中身が違っている点を御説明を願いたいと思います。
#41
○福田(幸)政府委員 基本的に違っている点はないと思いますが、いろいろな本人確認手段が多様化したという点であろうかと思います。
#42
○村山(喜)委員 中身が違っているというのは手続関係の中でございますが、たとえばマル優や特別マル優の措置については税務当局に通知する制度化はしないという問題があります。それから課税貯蓄の場合には従来カードでやろうということでございましたが、運転免許証あるいは社会保険証でもそういうような手続はよろしい、支払い調書等につきましては三万円であるものを五万円に引き上げる、それから少額配当の申告不要制度の問題は現行のとおり存続をする、名古屋方式と俗に言われております加算税や重加算税、贈与税の問題については現実的な対処をする、非課税限度額は将来引き上げ検討をするんだというようなのが自民党の対処方針の中で出されておるわけでございます。そういう中からこの政令が出たわけでございますが、マスコミ等に表現される言葉によりますと、これは骨抜きじゃないか、あるいは本当に課税預金の名寄せが国税庁にできるだろうかというようなことの疑問点が指摘をされているわけでございます。
 そういうような意味において、その届け出関係、手続関係、そういうような問題について私の方から尋ねてまいりたいと思います。
 まず、架空音義預金は、この政令が施行されまして、これによって一掃できる、こういうことで確認をしてよろしゅうございますか。
#43
○福田(幸)政府委員 非課税預金につきましては、郵便貯金もそれから銀行預金も非課税貯蓄等預金者カードによってチェックされますので、その意味でこれはもちろんなくなるというか、限度管理が厳密に行われるということになります。
 それから課税貯金分、これは銀行についての問題が主になりますけれども、その際本人確認の手段が、所得税法第二百二十四条でございますが、「政令で定めるところにより、当該支払の取扱者にその者の少額貯蓄等利用者カードを提示し又は法人の登記簿の抄本その他の書類を提出しなければならない」こう言っておりますのを受けまして、今回の施行令におきましては、「少額貯蓄等利用者カードを提示し、又は次に掲げるいずれかの書類を提出しなければならない。」としまして、「住民票の写し、国民健康保険の被保険者証若しくは国民年金手帳の写し又は法人の登記簿の抄本その他の大蔵省令で定める書類」こうなっております。
 細かくなりますけれども、本人確認書類としましてはいわゆるグリーンカードをもって本人確認をするのが一番便利でございますが、それが大部分になろうと思います。しかし、それ以外の住民票の写し、印鑑証明、それから国民健康保険証等の各種の保険証の写し、それから年金手帳等の手帳の写し、これは母子手帳等も入るわけであります。それから運転免許証、国税の領収書等、こういうふうにいわゆる公的な証明書類によって本人の氏名を確認いたしますので、そういう面でグリーンカードと同じく本人であるということをチェックいたしますので、架空名義というのはなくなると申しますか、従来のようなことはないということが今後確保されるということになります。
#44
○村山(喜)委員 そこでこれは銀行と証券との関係ですが、株式の場合には一銘柄年十万円以下の配当金、これは申告は不要、支払い調書の提出も不要、現行制度のまま。割引債の場合には分離課税の制度は残る。したがって、元本はつかまらないという形になる。そういうような意味において、利子の場合には支払い調書は今度は三万円から五万円に引き上げて、それ以下は五万円以下であれば申告は不要になる。こういうことになってまいりますと、株式配当と利子の取り扱いの不平等というものが残ることになるわけじゃございませんか。この点はどうなりますか。
#45
○福田(幸)政府委員 自民党でお示しされておられる内容を見ますと、金融機関等からの税務当局への利子額等の通知、いわゆる支払い調書についての扱いとしまして、現在所得税法の本則で決まっております金融機関店舗ごとの年間の名寄せの提出不要限度、これは現行三万円と書いてございますが、これを五万円に引き上げる、これが一つございます。これは今回の改正ではなくて、この問題は来年末の改正論議の際に行われると思いますけれども、その問題と絡みまして、利子等の支払いごとの支払い調書の提出方法の特例、こう申しますのは、一件ごとの支払い調書の不要の問題、これも来年までは現行の租税特別措置法でいけますので、来年末でこの御論議があろうかと思うのですが、特例としての一件ごとの支払い調書の提出不要の問題、これはその制度としては残るという方針になっておりますので、来年末の改正論議のときにその方針がはっきりされるかと思います。これは租税特別措置法に規定することになっています。
 それから、もう一つ御指摘の株につきましては、少額配当の申告不要制度、これも特別措置にございますので、金融機関の利子等の支払い一件ごとと同じく、発足以降も特例制度が延長されるという方向になっておりますから、その制度の延長ということがはっきりされております。
 これが法的に明確になるのは来年末の改正論議のときになりますけれども、いずれにしましても、株につきましても金融機関の金利の払いについても現行制度はそのまま延長になりますので、そういう意味で、株と金融機関への預金の間に制度の変更がございませんので、したがって、そこでシフトが生ずるということはないようにむしろ方向がつけられておるというふうに解されるわけでございます。従来どおりの方向ということで、シフトという問題はそこからは生じないというふうに考えられます。
#46
○村山(喜)委員 次の問題は、銀行の預金の場合でも元本を知られない預金というものが残る、したがいまして、名寄せによります総合課税、そういう利子課税というものを不公平税制をなくしていく、とらえていくんだという立場から言えば、そういうような意味において完全ではないのじゃないかという懸念があります。たとえば、普通預金、通知預金、納税準備預金等の利子は二〇%の源泉徴収がそのまま続いていく、それから、一つの定期預金で年の支払い一万円以上のものだけは支払い調書をつくっていくという形になってまいりますので、その課税預金の名寄せというのは銀行がやるのじゃなくて大蔵省の国税庁がやらなければならないということになると思うのですが、現在の人員、機構の中でそれだけの対応が十分にできるだろうかということが問われていると思います。この点についてはいかがでございますか。
#47
○福田(幸)政府委員 最初に制度の問題を申し上げますと、普通預金等の要求払い預金につきましては現行制度をそのまま続けるということでございまして、特別に新たな制度ということで非課税に扱うということではございませんで、現行どおり、五十九年以降も二〇%の源泉徴収だけで確定申告を要しないという特例をそのまま続けるという趣旨でございます。この普通預金というのは貯蓄性の預金ではございませんので、そのような扱いを継続させる理由はあろうかと思います。
 あと、名寄せが課税の預金について十分に行われるかという問題でございますが、非課税預金について、グリーンカードを使っております、そのグリーンカードで本人の確認をするのが一番簡便に本人確認ができますので、それを利用されるカバレージは非常に高いと思います。したがって、その分はもちろん名寄せが容易であります。またそれ以外の方法によります場合も、先ほど申し上げましたように、本人が公的証明書類によって確認される以上、それによっての名寄せというのは架空がないわけでございますので、それはコンピューターの使い方の問題として、有効にそこら辺を管理するということであろうかと思います。
 必要によって庁の方で補足いただきます。
#48
○小山(昭)政府委員 お尋ねのうち、名寄せが現在の国税庁で十分できるかどうかという点について一言お答え申し上げます。
 確かに、今回の利子配当の総合課税の結果、現在源泉分離課税になっておりますものが、支払い調書という形で国税庁の方へ参るわけでございます。これが全部グリーンカードを利用していただけるのであれば、簡単にコンピューターに全部入るということで、さほど手間はとらないということも事実でございますが、仮にグリーンカードを利用されないで別の確認方法でその本人確認がされるということになります場合、当面は手作業で名寄せをするということになろうかと思います。
 実情について簡単に申し上げますと、これは五十四年度の数字ですが、利子配当の支払い調書が私どものところへ出てまいっておりますのが約千二百万枚ございます。これは現在各国税局の主要な税務署等におきまして、アルバイトを主として使っておりますが、いずれも手作業によって完全に名寄せを行っております。
 これが源泉分離課税がなくなります結果、どの程度枚数が増加するかということでございますが、現在の見込みでは二千万枚ぐらいがふえるのではないか。しかしそのうちには、先ほど主税局長が御答弁いたしましたように、グリーンカードを利用していただくものも相当あるだろうと期待いたしておりますが、いずれにしましても、その程度の枚数でございますので、アルバイトの一層の活用そのほかによりまして、完全に名寄せは私どもとしてはいたす、こういう所存でございます。
#49
○福田(幸)政府委員 便宜上グリーンカードと申しておりますけれども、正確には少額貯蓄等利用者カードでございますので、今後そういうふうに答弁いたします。
#50
○村山(喜)委員 いま国税庁から聞きますと、二千万枚ぐらいふえるだろう。そのうち優遇カードを使うものもあるからマイナスが出るわけでございましょうが、そういう中でアルバイトでこれを処理をしなければならないということになりますと、これは大変なことになるというふうに考えるのですが、いわゆる俗に言いますグリーンカードのコスト計算は一体どうなっているのですか。百円の税を徴収をするのに十円ぐらいのコストがかかるのだというようなことも聞くのですが、その徴税コストの問題はどういうふうになりますか。
#51
○福田(幸)政府委員 数字については庁が申し上げますが、これは総合課税の手段を確保するということでございますし、それによる非課税限度を厳格にやって、いわゆる非課税貯蓄によるメリットに対応する管理を厳格にするという意味での、いままでそれが乱用されておるとすればその面からのメリットが出ましょうし、また架空名義がなくなるということでございましたら、そっちの方からの課税の明確化が行われますので、それは計数的に出ませんが、そっちの方を考えた上でのコストであろうかと思います。
 直接的なコストについては、庁の方からお願いいたします。
#52
○小山(昭)政府委員 徴税コストがどのように変わるかという計算はまだいたしておりませんが、御参考までに五十七年度の予算要求の額で申し上げますと、国税庁全体で三千八百六十億の概算要求をいたしておりますが、このうちグリーンカード制度の実施に要する経費として約百三十四億円を要求いたしております。
#53
○村山(喜)委員 これはグリーンカードの初年度、機械等を設置をしたりいろいろ準備をするわけですが、われわれが聞いておるのでは、初年度は六百億くらいかかるのじゃないだろうか、平年度化した場合にいま言われた程度のものじゃなかろうかというような話を聞いておったのですが、そういうような設備費等も含めての話でございますか。
#54
○小山(昭)政府委員 ただいま申し上げましたのは大蔵省あるいは国税庁の要求の予算でございまして、施設関係でございますと、実は官庁営繕費というのが建設省の関係でございまして、実は朝霞に少額貯蓄等利用者カードのためのコンピューターのセンターを建設することになっておりますが、これが五十七年度四十四億ばかり要求することになっております。
#55
○村山(喜)委員 徴税コストの問題は、また具体化する中で取り上げてまいりたいと思います。
 こういう形の中で、この前テレビを見ておりましたら、郵便貯金の伸びが昨年に比べて十分の一にがた減りをした、こういうような記事が出ておりました。一方、銀行関係の預金も余り伸びていない。そういうような状況の中で、証券市場、資本市場あたりで直接公募増資によります、時価発行等によります資本金の調達がこの四月から九月までにかけまして一兆五千億余り調達がされたというようなことで、大分直接的な資金の取り入れが行われるようになってきたというようなことが報道されているわけですが、このグリーンカードを実施をすることによりまして、そういうような面からの影響というものは、これは課税所得として捕捉をすることには正確になっていくわけでございますが、国民の貯蓄というものが金利の高い方向へ金が流れていく。たとえば週刊誌等におきましても、グリーンカード時代の利殖のエースなどというようなことで、たとえば新型利付金融債ワイド、これは五年もので九・〇四二%の確定利回りで、しかもそれはマル優の対象になりますよという宣伝が行われておる。あるいは貸付信託ビッグ、これも変動利回りで予想でございますが九・〇六八%というようなもの、これもマル優の対象になりますというようなのを見るわけですね。それだけではございません。証券会社の方の場合には、この前大和証券が六・一ファンドというのを売り出して年間利回り八・八%、あるいは中期国債ファンドというようなものを三年もので八・二%から八・三%というようなものや、あるいは海外のCPの取り扱いの問題等も将来出てまいりまするし、あるいは新聞に出ておりましたが、生保大手五社が超長期の為替予約と外債との組み込みをいたしまして、円建て私募債のような機能を果たすようなものをつくろうとしているというようなことで、そういうような優遇金利については若干金融機関やあるいは郵便貯金として残るであろう。しかしながら、税金のかかるような課税預金等は、金利の選好性というものが高まってくるわけでございますから、そういうような意味において金利の高いところに金が流れていくのではないだろうか、こういうようなことを予想しておかなければならないと思うのでございますが、グリーンカードの実施に伴う余波というものは、どの程度そういう金融の状況というものを見込みながらやっていらっしゃるのか、その点をお聞きをしておきたいと思います。
#56
○福田(幸)政府委員 基本的には、現行の制度をそのまま延長するという立場をとっております。ただ、現行の非課税限度を厳格にするというのは当然のことでありますし、課税貯蓄については、本人確認をやって架空がないようにするということを当然やるわけでございますが、その仕組み自体、先ほどの株と金融資産の関係等につきましては、現行制度を特例といえどもこれを継続するということで、その間に制度の変更によって、しかし明確に架空を排除するということは当然ですから、しかしその一件ごとの支払い訓辞とか申告不要の株の限度とかいうものはそのまま延ばすということでやっておりますので、今回の措置によって移動が生ずるということは考えられないというか、またその架名が明らかになるから動くということがどの程度かは、いまのところそういう動きはないように受け取っておるわけであります。
 御指摘の、金融債、貸付信託の新型高利回り商品、それから中期国債ファンド、これはマル優の対象になりますので、その限度についてはやはりチェックが行われます。ただそこは、あとは利回りの問題でございますので、高利回りのところに資金の選好によって動くことは、これは当然あり得るということであろうかと思います。しかし、マル優の対象になっておるということについては、限度管理はほかのものと同じであるということであろうかと思います。したがいまして、今回のあれによって、現在それが原因になって起きておるということは、昨年はむしろ非常な不安から移動、シフトがあった、郵貯についてあったと思うのですが、現在、現行制度はむしろその不安を解消したというような方向で受け取られておるというふうに感じております。
#57
○村山(喜)委員 そこで、もう一つグリーンカードの問題の実施に伴いまして、労働組合や政党の預金の取り扱いの問題なのでございますが、特に労働組合の場合は、法人格を持っておりますのは現在六%程度、こう聞いております。したがいまして、まあ法人格を取ればいいわけでございますが、なかなか取れないような民間や国家公務員やあるいは地場企業の組合やあるいは地方公務員の組合、ごちゃまぜのような総評なりあるいは各県評、そういうようなところの労働組合、協議体、単位組合ではなくて、全国組織はあるけれども、それは法人格がなかなか取りにくい、こういうところの預貯金の問題は、なかなか今後むずかしい問題を抱えてくるのではなかろうかと思うのでございますが、この問題は労働省の方からもすでに大蔵省の方とは話がなされたと思うのでございますが、この取り扱いは今後どういうふうになりましょうか。
#58
○福田(幸)政府委員 人格のない社団等の扱いの問題であろうかと思いますが、定款等の写しとか、それから何らかの領収高等、便宜な手段でその辺の確認ができる方法を今後検討していこうということでやっております。
#59
○村山(喜)委員 そこで、国債をめぐる問題を若干取り上げたいと思うのですが、これとの関係もございますので、お答えをいただきたいと思います。
 ことしの場合には、御案内のように三カ月の実質的な長期債の休債という状態に追い込まれた。そしてまた、私募国債が登場をしてまいりました。そういうような意味においては、きわめて異常な状況であったと思うのでございますが、国債発行の行き詰まりの原因というのは一体何だろう。もちろんこれはアメリカの高金利政策に左右されたことは事実であると思いますが、余りにも国債がだぶついてきた、そういうような意味において、規制金利的な取り扱いがもう行き詰まってきたんじゃないだろうかという見方が出てくるわけでございますが、国債発行の行き詰まりの原因をどういうふうに分析をしていらっしゃるのか。
 それから、私募国債の性格でございますが、これは五十四年の五月に国債の多様化政策として構想が練られましたころには、われわれが聞いているのでは、十五年から二十年ぐらいの超長期のそういうようなものを考えておったと思うのです。それのいわゆる対象としては、生保であるとかあるいは信託銀行であるとか年金基金というような長期の運用をするようなところにそういうようなものを引き受けてもらいたいというような構想が確かにあったと思うのです。それが六年ものになり、まあ二年間は据え置きだというようなことでございますが、私募国債の性格というのは一体どういうふうにとらえておられるのか。これは場つなぎとして今度はやられたものか。それとも将来やはりそういうようなものも組み込みながらやろうとお考えになっているのか。とするならば、六年ものと言えばこれは中期債でございますから、そういうような意味においては、私募国債を発行するのはもう今度でおやめになったらどうだろうかというふうに考えるわけでございますが、その点についてはどういうふうにお考えになっているのか。
 それからなお、グリーンカードとの関係の中で、マル優、特別マル優の国債の場合には、新発債とそれから現在の既発債は償還まで三年以内のものに限る、こういうようなことになっておりますが、国債がこういうふうに発行条件の価格の改定もしなければならないような状況の中になってまいりますと、既発債の取り扱いについてはもう少し弾力的に処置をされた方がいいのではないだろうかという意見も出てくるわけでございますが、それについての見解を承っておきたい。
#60
○吉本(宏)政府委員 国債問題につきましてお尋ねでございますので、私からお答えを申し上げます。
 ことしの三月に第三次の公定歩合の引き下げが行われまして、それに伴いまして預貯金金利の引き下げも行われました。さらに、五月から、国債を含めまして長期金利の改定が行われたわけであります。ところが、先生も御指摘のとおり、アメリカの高金利という問題が出てまいりまして、この影響を受けまして相場も円安傾向をたどるという状況になりまして、債券市況の面から申しますと、これが非常に流通利回りの上昇ということになったわけであります。五月に新発債の利回りを下げた途端にそういう状況になりまして、応募者利回りとの乖離が〇・七あるいは〇・八%というようなことになりまして、シ団の十年債の引き受けが困難になったということでございます。そこで、六月、七月と休債が続きまして、それではなぜ条件改定をして国債を出さないのかという点でございますが、これは、私どもとして、国債の金利改定が、長期金利の改定、さらにはその他の金利に波及する問題、金利がそれによって引き上げられるということは景気の状況等からしてどうであろうか、せっかく景気が明るい方向に向かっている段階でその芽を摘み取ることにもなりかねない。したがいまして、何とかここはがまんをして長期金利の改定というような問題に波及しないようにできないものかということをいろいろ考えたわけであります。
 しかし、一方におきまして、余り国債の休債というような状況を続けてまいりますと、年度の後半に発行量が偏ってしまう。さらに十月、十一月になりますと、国庫の支払いも非常に大きくなりまして、それによって国庫の資金繰りにも窮迫を来すというようなことになっては大変だ。こういった点をいろいろ考えた結果、この際、臨時異例の措置でございますが、非市場性国債と申しますか、一種の私募債的な債券ということで九千億をシ団の中で金融機関を中心といたしまして引き受けをお願いしたということでございます。
 この性格は、そういうことで、私どもとしては非市場性債券と申しておりますが、公募と申しますよりもやはり私募的な債券であるというふうに理解をいたしております。ただいま申し上げましたように、これは非常に臨時異例の措置ということでいたしましたので、九月以降正式に条件改定に踏み切りまして、自後九月、十月、十一月とシ団の引き受けが順調に行われております。私どもとしては、何とか五十六年度の国債の発行総額十二兆二千七百億円につきましてめどが立ってきたなという感じがいたしております。
 それから、先ほど村山委員の御指摘で、前に私どもが出しました国債管理政策七項目あるいは五項目、こういった点では、むしろ超長期の十年あるいは十五年の私募債というものを考えておったのではないかという御指摘でございますが、ちょうど昭和五十四年の五月に私ども初めて国債管理政策七項目というものを出したわけでありますが、その中に、私募債の発行についてシ団と協議するという一項目が入れてございます。このときの考え方は、私どもの考え方としては、六、七年ぐらいの私募債というものをやはり考えてもいいんではないかということでございました。
 さらに、五十五年の五月に五項目の管理政策を出しておりますが、そのときには、十五年ないし二十年の超長期の非市場性国債を生保あるいは信託を中心として引き受けてもらったらどうだろうかという考えがあったようでございます。ただ、その生保、信託に仮に超長期のものを引き受けていただくといたしましても、これは非常に金額に限度がございまして、大体千億とか二千億程度の話になりますので、やはり六年ないし七年ということで、シ団を中心とした金融機関に引き受けをお願いしたというのが実情でございます。
#61
○福田(幸)政府委員 御質問の後段の部分でございますが、国債それから公募地方債も入りますが、この個人消化を促進するという見地で現在マル優それから特別マル優の対象としては、御存じのとおり新規発行後五年以内のものというので、大蔵省令で規定されているわけであります。所得税法施行令の方に、三十三条になりますけれども、規定としましては、五年を超えない範囲内で大蔵省令で定める期間ということを受けて、いまの省令が三年以内となっておるわけでありますが、新規発行の際の個人消化の促進という政策要請もございますけれども、他の金融資産とのバランスとかそれから国債市場の状況、いま理財局長も申しましたような問題等も踏まえまして、大蔵省令で定める期間というのが弾力的な規定になっておるのをどうするかという問題につきましては、今後各方面の御意見を聞きながら、国債市場の動向それから他の資産とのバランスに配意しまして、十分勉強をいたしたい、こう思っております。
#62
○綿貫委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。堀昌雄君。
#63
○堀委員 非市場性国債の問題なんですけれども、二点ちょっと伺っておきたいと思うのです。
 吉本局長は証券局長を歴任しておられますからあれですが、現先市場に国債が出てまいりますものは、これはやはり現先といえども市場でありますから、そこへもし非市場性国債というのが売られる、条件つきですけれども売られるということになれば、これは非市場性国債ではなくなるなという感じが私はするのですが、その点はいかがでしょうか。まず、お答えいただきたい。
#64
○吉本(宏)政府委員 御指摘のように、仮に、非市場性国債が現先の対象として売買されたらどうかというお話でございますが、実は、この問題に当たって、非市場性国債を日本銀行の貸し付けの担保にできないかということをシ団からいろいろ御要望がございました。しかし、これは非市場性ということで日銀の担保適格とすることは適当でないという結論になったわけであります。しかし、これは二年だけ譲渡性を制限しておりまして、二年経過すれ譲渡は自由であるということになってございますので、その点は、二年たった段階で、もう一度できればお考え願いたいということで、日本銀行に対してはそう申し上げておるわけであります。
 ところで、現先でございますが、確かに、現先の対象ということになれば、実質的にそれが流動化されるということになるわけでございますが、御承知のように、現先は売買であると同時に一つのファイナンスの手段であるという点から見て、これを現先の玉として使うということについては、私どもとしてもやむを得ないかというふうに考えているわけであります。
 確かに、御指摘のように、それでは実質的に流動性がついてしまうではないかという点もございますが、その点は二年の譲渡性を制限している債券でございますので、便宜現先の対象とすることはやむを得ないのではないかというふうに考えているわけであります。
#65
○堀委員 ですから、その非市場性国債という言葉が適当なのかどうか。要するに、たしかあれは九月の四日に払い込みが行われたと思うのですが、九月四日に現先へずばっと出て、お調べになっていただきたいですけれども、実は、同じ払い込みをした日に現先に何百億出ているのです。一体それで非市場性国債と言えるのかなという気が私はしているわけですね。二年たってからというのなら、もちろん何も問題ありませんけれども、払い込みのその日に現先に数百億の非市場性国債が出ている。それで非市場性国債という名前をつけるのはいかがであろうかと私は思うわけですね。ですから、その理財局の判断が、それはよろしいんだということなら、非市場性国債という名前をやめた方がいいのじゃないか、私はそう思うのです。単純な私募債ということなら、別に私もこんなことをここで申し上げる気はないのですけれども、私募債かと思っていたら、いや非市場性国債でございますというふうに、あなたの方ははっきりと明示したのですからね。非市場性国債、確かに二年間しか非市場性国債ではないけれども、二年間といえども非市場性国債という名前をつけたら、ちょっと現先にそんなものが、まあ何日かたってからというのならともかくも、払い込みの日に出てくるなどという話は……。銀行側としては、私はよくわかるのですよ。その日に処理すれば、評価損も何もなくて一番ストレートの処理ができるという点で、私は、銀行側の決算ファイナンスとしては、事情はわかりますからね、いいとか悪いとかの話ではないのです。要するに、そういう処理を認めるのなら、非市場性国債なんという言葉はつけない方がいいんじゃないかということが一点です。
 それから、もう一点ちょっと伺っておかなければいけないのですが、相対の借り入れをやりたいような話をちらほら聞いたものですから、これは予算総則なりいろいろなところをさわればできぬことはないのかもしれませんが、私は、今後の国債管理政策といいますか、国の借入政策の上で大変に大きな問題を引き起こす可能性のある問題だ、こう脅えております。ですから、もし借り入れができれば、非市場性国債で処理をしなくても済んだんだというような話も当時ちょっと聞いたものですから、これは非常に重要な問題なので、今後大蔵害はそういうような対応をやる可能性があるのかどうか、ここではっきり承っておきたいと思います。
#66
○吉本(宏)政府委員 借り入れの問題でございますが、私どもといたしましては、常々、資金調達の多様化ということを申しておりまして、最初は十年の国債というものが主力だったわけでございますが、最近は二年、三年あるいは四年の中期国債を公募発行するということもやっておるわけであります。
 ところで、御案内のように、公募ということになりますと、やはり市場の実勢を基礎にして発行されるということになります。市場金利に準拠して発行が行われるわけであります。ところが一方、御案内のように、預貯金金利を中心とする規制金利の体系がございます。その市場実勢と規制金利の体系をどういうふうに調和させていくかということが一番問題になるわけでございます。今回の非市場性国債も、実は市場実勢に準拠して条件改定をすればいいわけでございますが、それによって、結果として規制金利の体系に影響を与える、長期金利を引き上げる、あるいは預貯金金利まで波及するというようなことは何とか避けられないかということで、やや異常なこういう手段をとったということでございます。
 したがいまして、私どもとしては、借り入れということになれば、実勢金利と一応離れて、規制金利の体系の中で処理ができるということで、若干借り入れという問題に対して気持ちが動いていることは事実でございます。できればそういう手段もあわせて持ったらどうかなということも考えておりますけれども、しかし、御指摘のとおり、現在の国債の発行は、公募債を中心としてこれを市中消化してやっていくということで昭和四十年度以来今日まできておりますので・借り入れというのは、あくまでも異常な手段と申しますか、臨時異例の措置だということは十分考えております。その点は、御指摘のとおり、私どもとしては慎重に考えなければいかぬと考えております。
#67
○村山(喜)委員 時間の関係がございますので、規制金利の、国債の条件改定と長期金利の改定の問題に触れたいと思いましたが、これはカットしたいと思います。
 そこでお尋ねいたしたいのは、何か本日、九月末の租税及び印紙収入の収入額調べが発表されるやに承っているのですが、進捗割合の対前年度増加率がどういう状況に立ち至っているのか。といいまするのは、最近税収が伸び悩んでいる、実質的な個人消費の伸びが見られない、そういう中で、輸出関連の企業は利益を上げているようでございますが、中小企業なりも大変景気が低迷しているというような世相が税収の上にも反映されているのではないだろうかというようなことが言われておりまするので、その実情がどういうふうになっているのか説明を願いたいと思います。
#68
○福田(幸)政府委員 八月までが発表になっておりますので、まず申し上げますと、税収としまして、進捗割合すなわち予算額に対して実際に入りました税の割合が約四分の一、二五・二%でございます。昨年の同じころに比べまして、八月末に比べますとマイナス二・六ポイントということで予算額に達しない動きを示しておるわけであります。
 内容を見ますと、源泉所得税のところが給与の伸び悩みが続いております。これは賞与の関係、それから時間外の低迷等が影響していると思います。この辺、今後どういうふうに年末のところで回復するかという問題にかかっております。
 それから申告所得税、これはむしろ来年三月でどのように申告されるか、その当時の納税環境、経済環境によるかと思います。
 それから法人税がマイナス四・二になっておりまして、一三%しか入っておりません。一三・二%ということで、決算法人の企業収益が余りよくない形が続いておりますけれども、これも今後の経済の回復、特に来年三月期の決算にかかわるわけでありますが、いずれにしましても、いまのところ見通しが非常にむずかしい。また、三月期決算というものをどういうふうに見るかというむずかしい問題があるわけであります。
 それから酒税は、増税されておりますけれども、依然としてまだマイナスになっておりまして、ビールの八月における伸びはいいわけでありますが、これはまだ税収に入っておりません。
 ガソリン税の方はプラス一・一でございまして、ガソリンの消費は堅調であります。
 物品税がマイナス七・五ということで、二二・二%入っておりますが、これは耐久消費財の蔵出しが低迷していることが影響しておりまして、この辺のへこみが、消費の停滞がずれてあらわれているという気がします。
 印紙の方も、これは伸びがよくありません。
 有価証券取引税は、株式市況が好況ですし、増税がございましたので、プラスになっております。
 石油税の方は、数量が減っておりますし、値段が頭打ちということで、これもマイナスでございます。
 関税は、やはり同じく輸入の減少によってマイナスであります。八月末でマイナス二・六でございますが、これは、九月末までなりましてもやはりこの傾向が続く感じがございまして、二・九ぐらいになるものではないかと思います。
 そういうことで、この傾向は同じく続いているということでございまして、五十五年も決算の赤字で二千八百億税収がへこんだわけでありますが、それが回復し切れない形が続いている。問題は、今後の、増税の影響がどうあらわれるか、それから景気の回復がどのような足取りをたどるか、そういう問題にかかっているという気がいたします。
 以上のような様子であります。
#69
○村山(喜)委員 そこで、税の不公平感というものの中には、制度面から来るものもありましょうし、運用執行面から来るものもある。行革国会では制度面の論議は盛んに行われましたが、運用執行面についての論議が足らないじゃないかという社説等もマスコミの中に出ておりました。これは捕捉率が低下しているという問題もあるのだろうと思うのでありますが、われわれのところに参っております国税会議の皆さん方の資料によりますると、法人税の調査は十五年に一回の割合しかできない。実調率は一〇・四%程度にとどまって、そのうち更正、修正申告に切りかえさせたのが八〇%もある。所得税関係は五十年に一回の調査しかできない。二%程度にとどまっておる。そのうち更正、修正申告を求めたものは九〇%になるというような資料をいただいているわけでございます。そうなると、これはやはり徴税コストとの関係もありますが、的確に課税をして、不公平感をなくしていくという意味からもそれにふさわしい定員の増員というものを考えなければならないということを考えますときに、総定員法の問題があり、そういうような意味からはなかなか厳しい状況下にあるとは思いますが、収入をどう的確に確保していくのかということを考えてまいりませんと、いまお話がありまするように、八月に引き続いて九月末もその進捗割合は低下をしているというような状況の中にございます。これが一つの問題点だろうと思うのですが、行管の方から見えておりますので、それと、国税庁の対応の仕方についての見解を承りたいと思います。
 もう一つの問題は、これは政務次官にお尋ねしておきたいと思うのですが、最近は黒字減らしの問題がまた大きくなってまいりました。貿易収支が二百三十億ドルになるであろうとか、あるいは経常収支も九十億ドルになるであろうというようなことが言われております。そのために抜本的な輸入拡大策をやるんだ、そのためには輸銀による外貨貸出制度で緊急輸入をやるんだというようなのも出ている。しかしながらそれも外為会計の運用の面から申しましてもなかなか問題がある。そこで、大来対外経済担当政府代表が言われておるように、輸出課徴金の制度というものを考えてみたらどうかというような話があるわけでございますが、そういうような面から日本のGNPの伸びというものが貿易に依存する割合が非常に高くて、内需のなにが低迷をしているということで景気が非常に落ち込んできているわけですね。そういうような面から税源が枯渇をしてきているということも一面において言えるのじゃなかろうか。そうなってまいりますと、経済全体の政策が転換をしていかなければならない段階に来ている。そういうような意味においては物価調整減税、物価調整減税というのは本当の減税じゃないと思いますが、そういうようなものを織り込みながら、経済政策の転換を図らなければならないときに来ているのじゃないだろうかという気がするのでございますが、政務次官にお伺いしたいのは、輸出課徴金の制度を含むそういう一連の政策をどういうふうに展開していったらいいとお考えになっているのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
#70
○保岡政府委員 いま村山先生から御質問のありました内需の拡大というのか、国内の景気をもっと図る努力をすべきだ、税収に影響するではないかという御指摘、これはごもっともだと思います。しかしながら、いまの経済の動向というものは、政府で見通しました見通しの軌道上にあるということで政府としてもいろいろできる限りの対策は進めているところであります。いま先生御指摘の課徴金の問題でございますけれども、確かにわが国の対外問題、これは米国とかECとかの貿易不均衡の是正というものが非常に大きな問題になっておるということでございますが、この是正を行うについては輸入拡大の問題と同時に、急増する輸出をいかにコントロールするかという問題があることも御指摘のとおりです。そして輸出のコントロール策としては、理論的には数量規制のほか、いま先生御指摘の輸出課徴金も考えられるわけでありますけれども、これには種々の利害得失、プラスの面もあり、またマイナスの面もありということで、国民経済や国際通商関係への影響など、これは慎重に考えてやらなければいけないということから、その影響などをよく慎重に見きわめるということが大事ではないかと考えております。
#71
○小山(昭)政府委員 国税の執行につきましての御質問にお答えさせていただきます。
 先ほど先生には、法人、個人を通じまして現在の国税の体制で所得の捕捉は十分行われてないのではないかという趣旨のお尋ねであったかと思います。私ども税の執行が公正に行われるということが非常に重要な問題であり、また、今日国民の皆様方から強い関心と期待を寄せられていることは重々承知いたしております。ただ、私どもとしましては、現状におきましても決して巷間言われているような所得の捕捉の状況に大きなばらつきがあるとか落ちがあるというふうには必ずしも考えていないのでございますが、そういう国民の皆様方の御期待にこたえて努力していかなければならないということは重々考えております。
 従来から国税庁におきましては、このために、内部事務を機械化等によってできるだけ圧縮する、あるいは地方局と都市局の間で人員の配置がえをするとか、事務系統間でできるだけ第一線の調査事務の方へ人員を回すとか、そういった内部の努力を通じまして実際の調査事務が落ちないように鋭意努力してまいったわけでございますが、率直に申しまして、そういったやり方だけではもちろん限界があることも事実でございます。
 今後の方向といたしましては、一つにはやはり青色申告の一層の普及育成等、さらには広報とか税務相談の充実、租税教育の推進等を通じまして納税者の皆様方の納税思想の一層の高揚を図るとか、あるいは関係行政機関あるいは関係民間団体との協力を一層推進する等、そういったさまざまな施策を総合して進めてまいりたいと思いますが、あわせまして、先生の御指摘にもございましたように、国税の内部の体制の問題といたしまして、こういう行財政の厳しい折からではございますが、最小限必要な定員の確保につきましてはできるだけ関係方面の御理解もいただきながら鋭意努力してまいりたい、このように考えております。
#72
○神澤説明員 国税庁の定員につきましてお答えを申し上げます。
 財政再建の論議を通じまして、歳入の確保あるいは税負担の公平の確保といった要請が一段と強まっておりますし、先ほどの臨時行政調査会の第一次答申におきましても、税負担の公平の確保から制度面、執行面の改善を図れという御指摘をいただいております。
 行政管理庁といたしましても、こういった国税の事務の重要性については十分に認識いたしておりまして、従来から、非常に定員事情の厳しい折からも、所得税あるいは法人税といった賦課部門を中心にいたしまして毎年四、五百人程度の増員を図ってきたところでございます。
 こういった情勢でございますので、今後とも国税庁の定員につきましては、いま国税庁の次長の御答弁にもありましたようにさらに一層の御努力をいただきながら行政管理庁としても定員について検討してまいりたいと考えております。
#73
○村山(喜)委員 終わります。
#74
○綿貫委員長 柴田弘君。
#75
○柴田委員 私は、先ほども村山委員から御質問がありました不公平税制の是正という観点から、特に執行面の不公平の是正という観点から、国税職員の定員の問題あるいは処遇の問題について句点かにわたり質問をしてまいりたいと思います。
 それで、まず政務次官にお尋ねをいたしますが、昭和五十年から本年まで七回にわたりこの問題につきましては本委員会において附帯決議がつけられております。ちょっと読んでみますと、さきの通常国会におきまして、「国税職員について、適正、かつ、公平な税務執行の重要性並びに職員の年齢構成の特殊性にかんがみ、その定員の増加、処遇の改善等に特段の努力をすること。」こういうふうにありますね。これを受けまして、これは全会一致だと思いますが、果たしてとりあえず来年度予算、これはどうあなたは対応されていかれるのか、この辺をまずお伺いをしたいと思います。
#76
○保岡政府委員 国税職員の増員に関するいま先生御指摘の附帯決議、前回の国会でも、また昭和五十年から七回も行われてきたことも、よく承知しております。五十七年度予算については、まず財政再建、行財政改革ときわめて厳しい環境のもとではありますけれども、執行面における課税の公平確保の要請が高まっているということにも配慮して、国税職員の増員についてはできる限りの努力をしてまいりたいということで対処いたしております。
#77
○柴田委員 定員の増加という問題についてはできる限りの対応をしていきたいといま御答弁でありますが、私は、「処遇の改善」ということもいまのこの附帯決議の中にあると思うのですね。この辺については何も考えておみえになりませんか。
#78
○小山(昭)政府委員 先生御指摘のとおり、従前から両院の大蔵委員会におきまして、附帯決議として国税職員の処遇改善についてもたびたび御指摘をいただいていることは重々よく存じております。
 国税庁といたしましては、税務の職責を担う職員が安んじて高い士気のもとでその職責を全うしていただくために、それにふさわしい処遇が図られますよう従来から努力してまいっておりまして、なかんずく税務職俸給表の水準の問題、それから等級別定数の改善あるいはそれに見合ったポストの新増設等、従来から非常に努力をしてまいったところでございます。その結果、たとえば本年の人事院勧告におきましても、税務職俸給表は行政職俸給表(一)に比べまして水準率差を一〇・三八%と従前以上に拡大していただきましたし、また、等級別定数及びポストの増設等につきましても、昨年の予算査定に際しまして格別の御配慮をいただいているところでございます。
 国税庁といたしましては、今後ともそのような方向に沿いまして一層税務職員の処遇の改善のため努力してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#79
○柴田委員 たまたま行政管理庁もお見えになっておりますので、さらにお尋ねしますが、第二臨調の答申におきましても、「税負担の公平確保は極めて重要な課題であり、制度面、執行面の改善に一層の努力を傾注する必要がある。」このように指摘をされた。あわせて本国会の冒頭の鈴木総理の所信表明演説におきましても、今後とも税については、制度面でなくその執行面でも、改善に一層の努力を傾けていく、このように総理も述べておられる。いま政務次官あるいは国税庁当局からもそういった方向ででき得る限り努力をしていく、こういうような答弁があったわけでございますが、私はかねがねこの問題につきましては――いま当然行政改革の推進というものはなされてなければならない、こういう基本線に立ちつつも、やはり公務員の削減の問題につきましては、画一的な定員削減策ではなく、私は国税職員の実態に照らした、しかも執行面の不公平の是正をしていく、こういったものを背景にして計画的な将来展望に立った定員確保と増員、あるいはまた、特にこれは専門的な職業でありますので、先ほど来国税庁から答弁のあったような処遇の問題についても改善を図っていかなければならない、こういうように私は考えております。これは決して行政改革の推進と矛盾するものではない、こういうふうに思うわけでありますが、将来の展望、行政管理庁としてのそういった将来の方向というものについて、ひとつこの際ぜひお聞かせをいただきたい、このように思います。
#80
○神澤説明員 まず定員削減の観点でございますが、これは今回臨調で聖域なしで定員削減をやれ、こういう御指摘を受けまして、これは大学の教官、それから病院の先生、医者、看護婦等につきましてもいろいろ御努力をいただいておるわけでございます。国税庁につきましても、当然いま先生御指摘のように非常に重要な仕事を担当していただいておるわけでございまして、従来からそういった面は配慮してまいってきておるところでございます。
 それから、今後の展望という御指摘でございますが、最近臨調の方は、先ほど先生御指摘のように公平の確保の観点から制度面、執行面で改善を図れという御指摘と同時に、あわせて行政の合理化、効率化ということで国家公務員の定員の縮減をもっとやれということで、先ほども御指摘のように五年で四・二%を五年五%に上げろ、こういう御指摘もいただいて、非常に厳しい情勢でございます。それで国税庁当局といたしましても、いままでいろいろな面で合理化、電算化だとかいろいろな情報活動の強化とかいろいろな合理化をおやりいただいて努力をしていただいておるわけですが、今後ともさらにそういった努力をしていただくと同時に、私どもとしましてもそういった国税事務の重要性にかんがみて、十分検討いたしてまいりたい、かように考えております。
#81
○柴田委員 いま十分検討していくということですが、行政管理庁にお聞きします。
 いま国税庁職員はどのような年齢構成の実態になっておるか、今後十年間あるいは二十年間にベテランの職員がやめていかれる、こういうふうなことを聞いておりますが、そういう実態についてはあなたの方は掌握していらっしゃるのですか。
#82
○神澤説明員 年齢構成の点については従来からよく伺っております。大きな山が五十代にかかっている、かように承知いたしております。
#83
○柴田委員 私がお聞きしている範囲では、国税職員の現在の年齢構成、昭和五十六年十月一日現在で五万三百七十一人のうち四十六歳以上の職員が三五・一%、わかっていますか。それから四十一歳から四十五歳四・四%、合計で約四〇%、こういった方たちが今後十年の間にだんだんやめていかれる。いわゆるベテランの専門的な職員の皆さん方がやめていかれるという実態なんです。しかも現在は、これは国税庁から答弁いただいてもいいわけでありますが、私がお聞きしている範囲では、もう限界である。いま村山委員の質問に答えて、グリーンカード制実施について利子配当の申告が約二千万枚ふえる、アルバイトでという話があったのですが、私はこれも問題があるのじゃないかと思っていますよ。これは果たして婦人の方たちを雇われる、パートというのですか、そういうふうに私は考えるわけでありますが、守秘義務の問題とかいろいろな問題が発生してくると思うわけですね。
 そういった問題を本当に行政管理庁は把握をしっかりとしていただいて、こういった国税職員の定員確保並びにその増員の問題については前向きな対応というものをすべきじゃないか、私はこういうふうに思うわけでありますが、さらにひとつあなたの答弁をいただきたい。
#84
○神澤説明員 いま先生御指摘のように、国税庁――国税庁だけではございませんが、国家公務員の年齢構成というものは非常にいろいろな問題を含んでいることは御指摘のとおりでございます。特に国税庁の場合は、税務執行という非常に専門的な知識を要する。そういうことで税務大学校あるいは専門官研修とかこういったことでいろいろやっておられるわけでして、一朝一夕に専門家が養成されるわけではございません。これも御指摘のとおりでございます。ですから、今後年齢構成のひずみをどういう形で厳しい定員事情の中で解消していくかということが大問題でございますが、この点につきましては退職年齢の問題だとかいろいろな工夫をこれから国税庁の方と御相談しながらやっていかなければいけないのじゃないか、かように考えております。
#85
○柴田委員 国税庁とも十分御相談をいただきまして、ひとつ前向きな対応、これはあくまで不公平税制の是正という観点から私は申しておるわけでありますから、当然あなたの方もそのように御理解をいただいておると思いますが、どうかひとつお願いをしておきたい、このように思っております。
 続きまして、先ほども議論が出たわけでありますが、やはりこれまた不公平税制の是正という問題について、グリーンカード制の問題について数点お伺いをしていきたい、こういうふうに思います。
 御案内のように、グリーンカード制、私も本委員会において事あるごとに質問をしてまいりました。今回政令の改正、これが閣議で正式に決定をいたしまして、十一月五日に公布をされた。省令の改正は十一月九日、こういうことになっているということでございますが、グリーンカード制に対する準備を大蔵省当局はすべて終了をされた、こういうふうに思うわけでございます。私は、もちろん不公平税制の是正、利子配当所得の総合課税化によってなされることはこれは当然のことでありますが、やはりその間において一つ問題にしたいのは、先ほども議論が出ておりましたが、金融資産間における不公平があってはいけない、こんなふうに考えているわけでございます。一つは、マル優と郵便貯金との間の公平化の問題、二つ目には、郵便貯金、銀行預金、片や証券、これとがイコールフッティングしていかなければならない、こんなふうに私なりに考えているわけでございますが、その点についてお伺いしたいわけであります。
 まず、郵便貯金とマル優とのイコールフッティングの問題、これは、昨年のたしか九月でしたか、大蔵省と郵政省と両大臣同士で合意を見、また十二月には政務次官の合意を見ている。そしてこの郵便貯金についてどうするかということでありますが、郵便貯金の場合もやはりカードを提示し、預入申込書などにグリーンカードの番号を記入しなければならない。そしてたとえ異なる郵便局で預け入れをしてもこれがコンピューターに集計され、名寄せをされ、限度額が管理されるようになったのか。つまりイコールフッティングができるようになったのかどうか。五十九年一月一日の実施を前にして、この辺について主税局長に承りたいと思います。
#86
○福田(幸)政府委員 昭和五十九年以降は、マル優を利用する場合につきましては、非課税貯蓄等利用者カードを提示して金融機関の確認を受けるということになっておりまして、郵便貯金を利用する場合にも、もちろんこれはカードを提示し通帳等にそのカード番号の記載を受けなければならない。瓶入申込書にそれをまた書くということにはっきりなっております。金融機関については当然その枠をそこで設定していくということで、確認も行われるということでありますが、このようにマル優、郵貯ともに五十九年以降グリーンカードが必要であって、それによって限度管理が行われるという意味では原則的なイコールフッティングという考え方をとっておる、またそのためにこれがつくられたというわけであります。
 あと、名寄せの問題になりますけれども、昭和五十九年以降の郵貯の名寄せにつきましては、五十八年以前預け入れられた分を含めましてカード番号により行うということが先ほどの御指摘の大蔵、郵政両省間で合意されておりますので、これを今後とも十分に行われるようにやっていく。行政の中で当然やるべきことをどこまで金融機関から見て十分にやられておるかという問題でありますから、十分にそれが行われるようにするという問題になります。
 具体的方法ということは、どこまで徹底した形を外部に御説明したらいいかという問題でございますが、いずれにしましてもこの限度管理を十分にいたして、しかもそれを名寄せとして対外的に信頼を得るというふうに持っていく。またそれをどこまで説明するかは、またこれは行政の中でございますので、その辺の不安がないように、いまそれがないような感じで受け取られておると思いますので、やはりわれわれのやっておることについて、大蔵、郵政でやっています具体化について御協力というか信頼をしてもらいたいという気がします。
 現在どうなっていますかということで御説明しますと、郵政省の方では、各郵便局に設置されています端末機というのがあるわけでありますが、これは全国九カ所の計算センターのそこにございます貯金原簿にオンラインでカード番号がインプットされるということが機械的に明らかな仕組みに持っていくということで作業が行われています。それから全国九カ所のこの計算センターの貯金原簿は名寄せファイルでどうやるかということ、これはカード番号によってやっていくということを今後とも十分にその辺を進める必要があるわけでありまして、どういうプログラムでやるかというその開発費用は五十七年度の予算で要求されておりまして、これについてはその対策の必要な経費は当然措置する必要があろうかと思います。
 そういうことでございまして、五十八年以前預入分についてもグリーンカード番号で名寄せするように、郵政省内部の記録でグリーンカード番号の把握のできない五十八年以前の預入分、これにつきましては郵政省で少額貯蓄等の利用者カード番号を庁の方に照会するということで、その具体的方法を庁と郵政で打ち合わせをやっていますので、この辺は行政の中で手続を進めておる。また外部的な検査院とか行管とかそれからまた国税庁も、そのおのおのの立場で外部検査がやられますので、その辺はそういう体制をとっておるというふうに御理解願いたいと思います。
#87
○柴田委員 時間もほとんどありませんが、あと一つだけ、いろいろな本人確認の問題とか架空名義云々という問題についていろいろと御質問したいと思ったのですが、最後に私は二点についてお伺いしますが、答弁簡単でいいです。
 一つは、いろいろなグリーンカード制実施について心配な声があるわけです。それは国民総背番号制への移行、その布石でないか、それがプライバシーの侵害につながる、こういった声もあることも事実である。私は、国民のこのような不安がもしあるとすれば、こういった不安を抱かないようなプライバシー保護のための十分な対策というものを考えていかなければいけないのじゃないか、この点がどうか。
 それからもう一つは、やはりまだこのグリーンカード制実施についてのPRというものが行き届いてないと思います。私がかねがね申しておりますように、国税あるいは税務署等にこういったグリーンカードとはどういうものであるか、こうなっていきますよというような、あるいはまた国民の皆さん方が積極的に御相談できるような、そういった体制というものを私は将来考えていく必要があるのではないか、このようなことも実は考えておるわけでありますが、ひとつ忌憚のない御意見をいただきまして、質問を終わりたいと思います。
#88
○福田(幸)政府委員 第一点の守秘義務と申しますかプライバシーの問題でございますが、これは所得税法の方で十一条の二で「国税に関する事務に使用する以外の目的にこれを用いてはならない。」こう明確に規定されておりますし、二百四十三条で、それに従事する公務員につきましては罰則が「二年以下の懲役又は三万円以下の罰金」ということで厳しくなっておりますので、その趣旨は十分に徹底するように運用されるべきであると思います。
 さきの本人確認の手段につきましても、利用者カード以外にいろいろな方法をとるということも考えておりますので、その辺の背番号という問題を避けるということで多様化させたという面がございます。
 第二点はPRの問題でございまして、これは当然御指摘のとおりでござい豪して、国民全部によくわかるように、わかりやすく利用者の立場で、またそれを担当します金融機関等が事務的に理解ができて支障がないように、御趣旨のとおりに十分努力をいたしたい、こう思っております。
#89
○柴田委員 では、時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
#90
○綿貫委員長 簑輪幸代君。
#91
○簑輪委員 私の時間はわずか十七分ということでございますので、減税問題について二、三お伺いしたいと思います。
 再三言われておりますように、五十二年度以来課税最低限が据え置かれておりますためにいわゆる実質増税というのが急速に進んでいると思います。この増税は今年度だけでも三兆円近くに上っているわけで、特に重大なことは、この増税による負担が低所得者ほど重くなっているということです。年収二百五十万、五百万、一千万というそれぞれの場合をとって試算してみました。
 まず、五十二年度から五十九年度まで物価上昇率と同じ率で年収がアップした場合、年収アップ率は五十二年度に対し五十五年度は一・一六倍、五十二年度に対し五十九年度は一・四一倍というふうになります。この場合の物価上昇率というのは、五十二年から五十五年までは年の実績、五十六年は政府修正見通し、五十七年から五十九年までは新経済社会七カ年計画の数値によっているわけですけれども。こういう実態で所得税減税が見送りされた結果、税負担率がどうなるかという推移を見てみますと、年収二百五十万円の場合は、五十二年度に対し五十五年度は三・四六倍、五十二年度に対し五十九年度は六・八六倍。年収五百万円の場合は、五十二年度に対し五十五年度が一・四八倍、五十二年度に対し五十九年度が二・三三倍。年収一千万の場合は、五十二年度に対し五十五年度が一・四〇倍、五十二年度に対し五十九年度は二・一一倍というふうになります。
 このように低所得者世帯の負担が特に著しく重くなっております。所得税だけではなくて、さらに住民税とか社会保険料とか保育料などにまで連動して負担がどんどんふえていっているわけですから、がまんというのも限界に達しているというふうに言えると思います。こうした実態から見て、財政再建期間中といえどもぜひ所得税減税を実施すべきだというふうに思いますが、どのようにお考えかをお聞かせいただきたい。そしてさらに、政府としては一体どのような状況なら減税を実施するというのか、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
#92
○福田(幸)政府委員 計数的なことで申しますと、五十三年以来最低限は据え置かれておりますが、歳出といいますか国民から見て受益に対する負担は六九%、七割を切っていますので、その差額が公債であるということはやはり問題であろうかと思います。
 国際的な比較はいろいろ御議論があろうかと思いますが、受益といいますか、国のやっていますことが国際的な水準に達してきますので、それとの比較がどうしても必要になります。個人所得に対する所得税負担というのは四・五ということで、西ドイツの半分である、そのほかの国の三分の一程度であるということはやはり考えるべきであろうと思います。
 課税最低限は、今度も据え置かれておりますけれども、それまでに相当な引き上げをやっておりますので、その辺を考えますと、その間のある期間をとってみれば、ここのところやってないと申しましても、かつて相当低かったのが現在二百一万ということで、英国ですとこの半分の百十万ぐらいですので、フランスを除きますと国際的に非常に高い水準。そういうことで、最低限につきましては、それまでに財源余裕があったときに相当の引き上げをやってきた。三十八年当時は世界で一番低かったのですが、それがいまは世界で一番高い水準になっているということも考える必要があろうかと思うのです。一方において、歳出の方は非常に伸びておるということもあるわけです。
 それからもう一つ。いまのは最低限でございますが、最低税率は、日本は一〇%から始まるということでございまして、英国では三〇%、ドイツでは二二%というのが、国民一般が負担する税率であるということも考え合わせませんと、この辺の減税論の前提のところがどうかなという気がいたすわけであります。
 先ほど階層別でおっしゃったわけでございますが、これは累進率の問題でございますので、たとえば三百万、五百万、一千万とモデル計算をわが方でやってみましても、三百万のところ、これは平均的なところかと思うのですが、これですと五十二から五十六のところで三百万の人が三〇%年収が増加する、賃金指数等で三〇%という数字が出ますので、これで掛けますと三百万が三百九十万になります。もちろん税額はふえましても手取りの方はふえていくわけでございまして、税引き後の手取りでは、物価の上昇を除きましても実質では三・三%伸びる。五百万のところでは二%伸びますし、むしろ累進が効きますので、一千万のところでは、上の方ほどマイナスが立つ、マイナス一・九になるということ。一千万では約二%実質では減になる、いわゆる累進構造であるということが所得税の仕組みでございますので、上の方が手取りとしては伸びが悪いということが言えるわけであります。累進構造である以上は、再配分の前提からいけばこれはしようがないということで、負担率が低いということと累進構造があるということを前提にして御議論願いたい。
 それから、物価がわが国は非常に安定しておる、一方において公債依存度が非常に大きいということを抜かしては、御議論はなかなか問題があろうかと思います。
#93
○簑輪委員 いま数字をいろいろおっしゃいましたけれども、私がお聞きしているのはそういうことじゃなしに、減税というのをやらなければいけないという世論の中で、どういうことになったらやるのかということを聞いているわけで、おっしゃったことについて逐一反論は全部ありますけれども、それは差し控えさせていただきまして、そのことだけ御答弁いただきたいと思います。
#94
○保岡政府委員 これはもう従前から、大臣からもずっとお答えしてきているとおり、今後歳出、歳入両面にわたって、抜本的な見直しを通じて、特例公債脱却のめどがつくという事態にならないと、そういう選択はむずかしかろうということでございます。
#95
○簑輪委員 時間がありませんから、それじゃ……。私はやはりこういうふうな御答弁をお聞きしても、国民としてはとうてい納得できない、現実の実態から見て、所得税減税を行うべきであるという声が正義の声であるというふうに思っておりますし、ぜひそれを皆さんと一緒に進めていきたいと思っております。
 実は、こういう低所得層ほど負担が重いという事実の中で、たとえば、仮にいま四百八十四億円の財源ということの中で、年収三百万円以下の世帯に限って減税を実施した場合、標準世帯で一体どの程度になるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#96
○福田(幸)政府委員 標準世帯一世帯当たり幾らというときに、これは納税者本人、配偶者、扶養親族をどういうふうに置くかの問題ございますけれども、仮に同額で置くということでよろしければ、試算を取り急ぎやってみたんですが、いまの所得三百万と言われる数字で申しますと、これは所得でございますので、いまのは配偶者、子供も入るわけでございますが、一人当たり八百五十円ということで、標準世帯、夫婦と子供二人ですと三千四百円ということになります。それから、いまの三百万を給与収入というふうに理解いたしますと、これは一人当たりが千五百円となりまして、標準世帯ということですと六千円ということになります。
 一つ、これは蛇足でございますけれども、所得制限を設けますと、所得制限ぎりぎりのところで税負担がアンバランスになりますし、手取りで逆転するという問題があります。また、執行でそこはチェックしにくいという問題も、一つの議論であるだろうと思います。
#97
○簑輪委員 おっしゃる問題点があることは承知しておりながらお聞きしているわけですけれども、いまお答えいただきました数字によりましても、三百万の給与所得世帯ということになれば、標準で六千円の減税が可能であるということをお聞きいたしまして、私どももぜひ、同じ財源を減税に回すならば、こういった低所得者層に重点的に減税すべきではないかというふうに考えているわけです。
 ところで、財政再建期間中、財源がないということで減税ができないという御答弁を再三いただいておるわけですけれども、特に軍事費や、大企業に対する特別な補助金や、さらにまた不公平税制というようなものにはなかなか手がつけられない状態にあります。私どもはことし三月に、所得税法の改正案及び法人税法の改正案に対する修正案を提出いたしまして、その中で、標準四人世帯で三万円、計六千億円の所得税減税を税額控除方式で行うこと、その財源としては法人税への段階税率の導入、そのほか大企業優遇税制の一部是正として、受取配当益金不算入制度を廃止して適正に課税すること、また、株式時価発行差益非課税措置を廃止することによって確保するという提案をいたしました。こういう大企業優遇税制というものを、今後どのように是正されていくのかという点について、簡単にお聞かせいただきたいと思います。
#98
○福田(幸)政府委員 租税特別措置の中で対象になりますのは企業関係だと思いますが、これが二千億程度で、その中で中小企業を外しますと千二百億ということで、五十一年以来相当やってきておりますので、もちろん引き続きやりますが、どういう問題をどう取り上げるか、現在検討中でございます。
 あと、法人税の仕組みに関する問題、いろいろ議論があろうかと思います。それだけに、いま不公正という問題としては処理しにくいと思っております。いろいろ御指摘の点については、今後とも検討いたしますが、具体的な案としては、いまのところ租特の整理に重点を置いておるということでございます。
#99
○簑輪委員 具体的にということでは検討してないということですが、いま申し上げました点も含めてぜひ検討していただきたいと思います。
 それから、最近大企業において、特に有価証券取引税のかからないCD現先の方が有利だということで、余裕資金を現先で運用するのに、従来の有価証券からCDに切りかえているというふうに報じられています。十一月一日付の日経新聞によれば、日産自動車が五十六年度上期からCD現先市場に注目して、ピーク時には余資の二五%に当たる五百億円程度を運用したというふうに言われていますが、その実態はどうなっているのか、簡単にお答えいただきたいことと、特にこの現先市場に参加できるのは上場企業などの大企業に限られているわけです。財源がないというふうに言われるわけですけれども、こういう事態の中で財源対策の面からもこの問題を検討する必要があるのではないか、あるいは現先市場における課税上異なった商品があるということによる資金シフトの面からも検討の必要があるのではないかというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
#100
○福田(幸)政府委員 現先CDの実態は、ちょっと数字的によくわからない点がございますけれども、今後ともよく数字を調べてみたいと思っております。
 問題は、現先CDと国債とのアンバランスみたいな問題が御質問の趣旨でございましたら、このCDについて課税というようなことをすべきかどうかという御質問でございましたならば、どうもこのCDというものがどういうものであるか、先ほど理財局長が答弁をやっていますが、譲渡性はございますが、いずれにしろ指名債権として観念をされていますので、証券取引上も有価証券とはされていないというところが理由としてはそこで前提が置かれるわけでございまして、したがって有価証券取引税を課税していないということであります。今後これを有価証券取引税の対象にするかどうかということにつきましては、今後におけるCDの流通の状況、それから証券取引法における取り扱い、これを見きわめて対処したい、こう思っております。
#101
○簑輪委員 実情をよく調査された上で、財源問題としても有価証券取引税がかからないということで特にこのCDがこちらの方へ移動するということはいろいろ問題があるかと思いますので、今後ぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 それから、最後に、中小企業の税制についてですけれども、中小企業の場合の承継税制については中小企業庁の方からも来年度の税制改正要望という形で指摘がされているわけです。私のところにも中小企業の方からこの種の要望が来ておりまして、何とか事業を継続、発展させるために検討していただきたいという強い要望がございますので、この問題について税調等で十分に検討していただくように強くお願いをしたいと思います。その点について大蔵省の御見解をお伺いしたいと思います。
#102
○福田(幸)政府委員 これはいずれにしろ相続税、資産税といいますか、資産課税の問題でございますので、相続税に対する減税というのは、税のバランスとしては、ほかの減税ができない際ですので、相当慎重を要すると思います。現在、死亡者がございましても、課税になるのは百人当たり三人程度でございまして、その中で中小企業は一人かどうかという程度のケースでございます。いずれにしましても、それによって事業の継続が困難になっておるかどうかという実態は余りよく承知しておりませんが、そういたしましてもその際は延納制度というものがございます。延納が余り利用されていないということも一つの問題であろうと思います。不動産等、これは株も入るのですが、半分以上その相続財産の中に占めますと、たとえば不動産等に対応する分は十五年間も年利五・四で延納できるわけでございまして、この利用割合も余りよくないということも聞いております。したがいまして、この辺相続税によってどういう支障があるのか、また中小企業の方も親から中小企業を承継していまやっておられる方はわりに少ないわけでございまして、そういうものをどういうふうに相続税として受けとめるか、また、税体系の全体の中でこういう資産課税、金持ち課税についてどう対処するかという問題は、十分検討したい、こう思っております。
#103
○簑輪委員 大蔵省の方でも問題がかねてから指摘されているということは十分御承知のことと思いますので、おっしゃる問題があることを十分承知しておりますけれども、現実にこういう要望が出てくるというのはそれなりの背景がございまして、切実なものがあるわけですけれども、ぜひ税調等で前向きに御検討いただきたいとお願いをいたしまして、質問を終わります。
#104
○綿貫委員長 小杉隆君。
#105
○小杉委員 河本経済企画庁長官が五日の経団連の講演で、国民の経済活力を伸ばすためには数兆円の大型所得減税が必要であるということを強調されたそうでございます。まあこの国会でも、とにかく行革国会ということでできるだけ歳出削減の方に重点を置いた議論が行われておりますし、また大蔵省もゼロシーリングで大変御苦労されているわけですけれども、やはりいま日本の経済を支えているのは国民の、何といいますか、個人消費ですね。この個人消費が非常にいま停滞をしている。しかも、たとえば住宅に対する民間の投資も、土地とか建築費がここ二、三年急激に上がりまして、非常に住宅投資に対する意欲が乏しくなっているということは国民生活白書でもはっきりとあらわれているわけですね。中流意識にかげりが出てきたのじゃないかというようなことが盛んに言われておりますけれども、私はやはり、出る方を抑えるということももちろん大事ですけれども、こういう経済成長を維持するという点、収入を確保するという点がいまの国会の中で非常に置き忘れられているように思うわけです。国民の活力を取り戻すために大蔵省としてどう考えておられるのか。河本経済企画庁長官の講演によりますと、要するに、先ほど来問題になっている物価調整減税ということではなくて、もっと数兆円規模の本格的な所得減税を実施する必要があるということを強調しておられるし、この点では表現は違っても首相、蔵相と意見の相違はないということを言っておられるわけです。この点に関しまして、ひとつ大蔵省の見解を聞かしておいていただきたいと思います。
#106
○保岡政府委員 国内の景気がよくなってくれば税収が上がる、それは歳入面で財政再建に非常に有効ではないか、そういう面も考えろ、こういうことであろうと思いますが、現在の景気動向等については、いろいろ意見もありますけれども、政府としては、政府の見通しの軌道上にある、景気回復の歩みは緩やかであるけれどもそういう歩みをしておる、国内の景気対策についてはできる限りの配慮、対策も行ってきておるところでございます。
 いま数兆円の減税という話を河本企画庁長官がお話しになったということでございますが、ちょっと私はそれを聞いておらないのであります。いずれにしても、そのような減税は現在の段階でとても財政当局としては考えられない。とてつもない感じでいま聞いたわけでございますが、先ほど来議論が出てきている物価調整減税についてすら、現在の財政事情から考えれば、歳出、歳入両面にわたって抜本的な改革が行われて、そういうものを通じて特例公債脱却のめどが明確につくということでなければむずかしいという状況でございますので、減税問題についてはそのように御理解いただきたいと思います。
#107
○小杉委員 いま次官は特例公債をゼロにするまでは減税はとても考えられないということですけれども、そうすると、五十九年度まではもうとても減税などは論外だという御答弁です。五十七年度はともかくとして、五十八年、五十九年と総理並びに大蔵大臣も増税をしないということでやっておりますけれども、いま大体経済発展はうまい軌道に乗っているということですけれども、国民生活白書などで強調しているように、非常な勢いで国民、特に給与所得者、サラリーマン層は税というものの重圧ということを感じ始めているわけですね。先ほど主税局長から、国際比較をされまして、最低税率とかあるいは累進構造であるとか物価の問題を取り上げられましたけれども、国際比較よりも何よりも、やはり日本の国内でサラリーマン層というものが、国民全体が何か非常に不公平感というものを覚えているときに、これから三年間の財政再建期間中に税収が本当に確保できるのだろうか、本当に政府が見込んでいるような順調に経済成長が遂げられるのだろうか、何かその辺で一工夫が必要なんじゃないかというような気もするのですが、大蔵省はいまのままでいって大丈夫だというふうにお考えでしょうか。
#108
○保岡政府委員 税収がどうなっていくかということとそれから歳出カットがどれぐらいできるかということの努力の結果ということ等、まだ先のことでございますのでわからないことではありますけれども、総理以下全力を挙げて行財政改革に取り組んでおる、必死で政治生命をかけてやっておられるということで、最大限の努力はされることと思います。いずれにしても、ことしの年度末で八十二兆円の国債残高、その利払いだけで五兆六千億ということで、償還の分まで含めて国債費六兆六千億、公共事業費と同額。しかしながら、ことし国債を発行する十二兆二千七百億の来年度平年度化された利息が、これまた一兆円近く来年はことしの五兆六千億にプラスして、利息払いだけでも六兆六千億というような形になってくる。来年度五十七年度予算編成で仮に二兆円程度の国債減額をしたとしても、来年もまたさらに十兆円余りの国債を発行する。そうすると、来年度末の国債残高は九十二兆、さらに翌年二兆円程度の国債減額をしたとしても、五十八年度も八兆円近い借金をするということで、それになりますと、五十八年度末は百兆円。過去の例から言っても、戦時中に発行した例を除いてはとても考えられない大量国債発行を行っておる。これを歳出削減だけで何とかできれば努力して、大量国債発行の現状を解決する方向のめどを立てていきたい、こういうことで命がけでがんばっている状況でございます。そういうことからいって、先ほど言っているようにこの大量国債発行が財政の対応力を失わしめる一方、議論もされてきましたが、金融政策に対する非常に大きな制約となってあらわれてきておるというようなことを考えると、税収を確保する意味での順調な経済を守っていく、わが国の経済を守っていくという点からも、むしろ行財政改革は歳出歳入両面にわたって命がけでやらなければ大変だ、こういうことだと思いますので、減税問題等についてはそういう全体の中で慎重に考えなきゃならないというところから、先ほど申し上げたような政府の答弁になっておるものと御理解をいただきたいと思います。
#109
○小杉委員 昭和五十四年度で見ますと、給与所得者のうち源泉で納税している人が八〇・七%いるわけですね。これが昭和五十六年度、つまり今年度ですが、総理府の労働力調査の見通しによりますと八三・八七%、源泉徴収で納税する人が実数で三千百二十八万人から三千三百九十七万人と二百六十九万人ふえているわけです。先ほど来問題になっております課税最低限が据え置かれているために、給与所得者の中で新たに税を納めるようになった人がこれだけふえている。そして、一般にサラリーマンの方々に特に重税感というものが深くなってきているわけですから、いま政務次官がいろいろと数字を並べられて財政の厳しさということを強調されましたが、私はそれは十分承知しておりますけれども、やはり国民全体に何かそういう重圧感を軽くする、やわらげるということの努力をしていかないと、せっかく財政支出を圧縮しても、収入の方が、国民の個人消費という面とか住宅投資という面でどうもはかばかしくいかない、出る方は抑えたけれども入る方は見込みより減ってしまったということでは全く何もならないのであって、仮にいま増税もしない、大幅な所得減税もしないということの中でも、やはりもっときめ細かに、少しでもサラリーマン層に重税感を与えないような工夫が必要じゃないかと私は思うのです。何かそういう具体的な方策をやはり考えていかないといけないのじゃないかと思いますが、その点だけお伺いして、私は、もう時間が来ましたから終わります。
#110
○保岡政府委員 やはり、減税というものの持つ政策効果についてはいろいろな意見もありますけれども、いま小杉先生の御指摘のような面もあると思います。しかしながら、やはりこれだけの厳しい行財政改革を進めるに当たっては、税体系の抜本的な見直しの中であわせて検討していくということでなければ、いまの段階では減税の問題については触れるような状況にない、こういうふうに政府は考えております。
#111
○小杉委員 終わります。
#112
○綿貫委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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