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1980/04/17 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 安全保障特別委員会 第3号
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1980/04/17 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 安全保障特別委員会 第3号

#1
第094回国会 安全保障特別委員会 第3号
昭和五十六年四月十七日(金曜日)
   午後一時一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         原 文兵衛君
    理 事
                衛藤征士郎君
                堀江 正夫君
                桑名 義治君
                上田耕一郎君
                柳澤 錬造君
    委 員
                板垣  正君
                岩本 政光君
                江島  淳君
                大島 友治君
                梶原  清君
                源田  実君
                戸塚 進也君
                夏目 忠雄君
                成相 善十君
                瀬谷 英行君
                寺田 熊雄君
                矢田部 理君
                渋谷 邦彦君
                秦   豊君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  大村 襄治君
   政府委員
       防衛庁参事官   岡崎 久彦君
       防衛庁参事官   石崎  昭君
       防衛庁参事官   上野 隆史君
       防衛庁参事官   番匠 敦彦君
       防衛庁長官官房
       長        夏目 晴雄君
       防衛庁長官官房
       防衛審議官    西廣 整輝君
       防衛庁防衛局長  塩田  章君
       防衛庁衛生局長  本田  正君
       防衛庁経理局長  吉野  実君
       防衛庁装備局長  和田  裕君
       防衛施設庁長官  渡邊 伊助君
       防衛施設庁施設
       部長       伊藤 参午君
       法務省訟務局長  柳川 俊一君
       外務省アジア局
       長        木内 昭胤君
       外務省北米局長  淺尾新一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 源三君
   説明員
       科学技術庁長官
       官房審議官    辻  栄一君
       外務省北米局外
       務参事官     松田 慶文君
       外務省条約局法
       規課長      野村 一成君
       外務省国際連合
       局科学課長    林  安秀君
       大蔵省銀行局保
       険部保険第二課
       長        松田 篤之君
       文部省大学局大
       学課長      齋藤 諦淳君
       通商産業省機械
       情報産業局通商
       課長       坂倉 省吾君
       海上保安庁警備
       救難監      野呂  隆君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国の安全保障に関する調査
 (防衛研究に関する件)
 (中期業務見積りに関する件)
 (有事即応体制に関する件)
 (わが国の貨物船と米国原子力潜水艦との衝突
 事故に関する件)
 (朝鮮半島における軍事情勢に関する件)
 (スペースシャトル計画と平和的利用に関する
 件)
 (米国の防衛力増強要請に関する件)
 (日米首脳会談に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(原文兵衛君) ただいまから安全保障特別委員会を開会いたします。
 国の安全保障に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○堀江正夫君 財団法人の平和・安全保障研究所というのがございますが、それと防衛庁とのかかわり合いはどういうことになっておるのでございましょうか。まず、それをお聞きしたいと思います。
#4
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 平和・安全保障研究所は、平和と安全に関し総合的な調査研究と政策への提言を行い、これらの知識を国民に普及し、わが国の独立と安全に寄与することを目的として昭和五十三年に設立されました財団法人であり、同研究所は防衛庁と外務省との共管法人であります、防衛庁としては、その管理事務について合意に従い監督指導しているほか、国際情勢と安全保障に関して毎年数項目の調査研究を委託しております。
#5
○堀江正夫君 その平和・安全保障研究所の猪木所長がことしの一月の中央公論に「防衛論議の虚実」という論文を発表されております。精読をしてみますと、全般的には防衛力整備の重要性とその急務というものを訴えておられる。そしてまた、ソ連の軍事力の増大についても認めておられるわけです。しかし、私あえてこの委員会でその論文の言葉じりをとらえるつもりは毛頭ありませんけれども、たとえて申し上げますと、「ソ連が極東方面の軍事力を増強しているから、日本も防衛力を整備・強化しなければならない、という考え方には私は断固反対する。」、こうも言っておられます。さらにまた、「こういう弱点と強味とをあわせ持つソ連に際するわが国としては、ソ連からの「脅威」を防衛力整備の根拠とすべきでないことは明らかである。内・外面の困難な問題をかかえて苦悩するソ連を日本の側から「脅威」するのは愚劣きわまりない。」こういうことも言っておられるわけであります。
 これはどういう意図でこの猪木論文が出されておるのか、どうも私は解釈に苦しむわけでありますが、まあ善意的に解釈すると、あるいは防衛計画の大綱の達成だけを念頭に置いておられる、だから、このような論議も出るのかな、こういうような気もするわけです。しかし、この論議からいたしますと、限定侵攻に対応する能力を持とうという現在の政府の防衛計画の大綱、これは当然、これに対する所要の防衛力という意味も含んでおるわけですから、これも否定することにもなるのじゃないかな、こういうような気がしてなりません。さらにまた、この論を素直に見てみますと、おまえはおまえなんだ、おれはおれなんだ、できるだけのことをやっていけばいいんだよ、こういうような考え方もうかがえないじゃない、果たして、こういうような見方、見解、それに対して防衛庁はどうお考えなのか、御意見を伺いたい、このように思います。
#6
○国務大臣(大村襄治君) 猪木さんがいま御指摘のような論文を出されているということは承知いたしておるところでございます。しかしながら、個人的な論文でもございますし、現在防衛庁におられる方でもございませんので、論文の内容について私からいろいろ御意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。
 一般的に申し上げまして、わが国防衛のあり方に関して各種の論議が展開され、国民のコンセンサスが確立していくことは、防衛庁としては好ましいことと考えておりますし、また平和と安全に関し、いろいろな研究が行われること自体も結構なことではないかと思っているのでございます。せっかくのお尋ねでございますが、ソ連の脅威に対する防衛庁の見解はどうかと申しますと、かねてから申し上げておりますとおり、最近におけるソ連軍の陸海空の増強ぶり、また極東における質量ともに配備の増大、そういった能力の増大に着目して、私ども潜在的脅威が増大していると判断せざるを得ない、このことを念頭に置いてわが国の防衛を進めていかなければならないと私ども考えておるわけでございまして、防衛庁の態度はどうかと申し上げますれば、そういうことであるということを申し上げざるを得ない、こう思うわけでございます。
#7
○堀江正夫君 この問題をそんな深く言うつもりはございませんけれども、まあ、いろいろな見方があるのも結構かもしれません。しかし、少なくも防衛庁も監督指導し、調査費も出しておられる研究所ですから、その辺の考え方等については十分やはり注目をしていただく必要があるのじゃないか、そのことを私は御注意申し上げたい、こう思います。
 次は、きのうの朝刊を見ますと、これは朝日新聞でございます、私持ってきましたのは。「P3C機数わく拡大望む 防衛庁が首相に表明」という見出しで、十五日の日に事務次官と塩田防衛局長が総理に御説明をされた内容が出ておるわけであります。この中にはいろいろと主要な装備品について五十六年度予算が完成したときの勢力、それから大綱で言うところの目標勢力、したがってその両者との差、これを出されております。これが本当に説明されたものかどうか私知りませんけれども、この中でP3Cの問題とE2Cの問題につきましては、私予算委員会の分科会で中期業務見積もりの計画しておるところの機数、あるいは大綱でもって目標としておる機数については、それだけで任務の達成はおぼつかないのじゃないかということを申し上げたわけでありますが、きょうは護衛艦とF15についてちょっとお尋ねをしてみたいと、こう思います。
 まず護衛艦の問題でありますが、この新聞の表で見ますと、五十六年度予算完成時の勢力は約五十隻である、うちミサイル装備唐は二十隻である、それで、目標とするところは約六十隻でありますから、まだ未達成は約十隻である、こういうことでございますが、これを見ましてもよくわからないわけです。ちょっと御説明いただきたいと思います。
#8
○政府委員(塩田章君) 対潜水上艦艇につきましては、いま御指摘のように、大綱上は約六十隻というふうになっております。五十六年度の予算が完成した、つまり予算に基づく取得のペースで申し上げまして完成した場合に約五十隻ということでございますから、その間に約十隻の差があるということは、これはいま先生の方からもお話があったとおりでございます、
 それではその十隻を埋めれば要するに大綱の水準に達するのかということになるわけでございますが、御承知のように、当然今後の減耗があるわけでございます。減耗分をどれだけ見るかということによりまして、十隻の今後の建造では大綱の線には到達はいたしません。それは当然のことでございますけれども、先日総理に御説明を申し上げましたのは、この表によりまして六十隻に対しまして五六完成時で約十隻足りません、その上に今後の減耗分を見ていただいて初めて防衛計画の大綱の線に到達するわけですということを御説明申し上げたわけであります。
#9
○堀江正夫君 中期業務見積もりでは、一応私の理解しているのでは、護衛艦五十八隻という数字があるのじゃないかなという気がいたしますが、それを前提としてその間の減耗分を含んで、あとことし三隻ですか、すでに審議を終わった予算でですね。そうしますと、あと十隻中業期間に新造船をつくらなきゃいけない、こういうことだと思いますが、これをさらに大綱の水準を達成するということになると、大体減耗が一年に何艦ぐらいになるのですか。大綱の水準達成の時期にもよるわけですが、大体あと新造艦はどのくらい要るのか、ひとつ概数でいいのですがお示しいただきたいと思います。
#10
○政府委員(塩田章君) いまお話がありましたように、現在の五三中業が予定どおり完成しました時点で五十八隻になるということは御指摘のとおりそういう予定でございます。で、減耗をどれだけ見るか、もちろん大綱の達成にいつ届くかということによるわけでございますから、その辺は大変むずかしいわけでございますが、実際年間にリタイアしていく船、ここで対象になっております対潜水上座艇で言えばやはり一隻とか二隻とかいう数字でございますから、そういった数が、あるいは年によって違いますけれども、多くて三隻ぐらいだろうと、私いま資料を持っておりませんが、そういうふうに思われるわけでございますが、そうしますと、先ほど言いました約十隻足らないという上に毎年そのくらいの数の損耗があるだろうということになります。ただもちろんFRAMといったような問題もございますので、いまここで今後何年間に何隻損耗していくということを明確に申し上げられるようなわけにはいきません。
#11
○堀江正夫君 そのようにして仮に大綱でもって六十隻の勢力を持ったという場合において、その大綱の説明といいますか、その中の侵略に対する部隊運用あるいはそれぞれの能力という面からの説明によりますと、少なくも常時一個護衛隊群、地方隊では少なくも一個隊が即応運用の態勢をとることができる、こう言っておりますですね。これは平時のことですか。
#12
○政府委員(塩田章君) 平時というよりも有事の場合を考えまして、御承知のようにとこの国の海洋防衛力、海軍力にしましても、常に持っている艦艇がすべて可動するわけじゃございませんで、一定のいわばローテーションを組んだ形で艦艇というものは可動しておるわけでございますが、そういう意味を含めまして、わが国の防衛計画の大綱で四個護衛隊群という場合に一個護衛隊群だけは常に最高度の練度で常に即応態勢にある、有事の場合には即作戦行動に従事しておるという状態を常に一個群持つとすれば、全体で四個護衛隊群を維持しておればそれができるであろうというようなことを念頭において四個護衛隊群というものが考えられておるわけであります。
#13
○堀江正夫君 そうしますと、一個護衛隊群というのは大体何隻ですか。
#14
○政府委員(塩田章君) 隻数では八隻でございます。中期業務見積もりで考えております一個護衛隊群はDDHを一隻、DDGを二隻、新しいDDを五隻という形が一応いまの時点で考えられておる理想的な護衛隊群の姿だと思っておりますが、先ほど言いました中期業務見積もりの五十八隻ではそこまでは全部の護衛隊群がそういう形でそろうというところまでは到達いたしませんが、少なくとも中期業務見積もりができれば八隻ずつという形の隻数の上では一応そろうというふうに考えております。
#15
○堀江正夫君 そうしますと、特に近海は地方隊が持っておる護衛隊十隊でやるのかもしれませんね。それも実能力というのは非常に少ないのでしょうね、二十四隻しかその中では考えていないのだから。そうすると、近海以外の相当広い海面になりますね、この中における海洋作戦任務を、有事はいろいろな手段を講じてもっと可動する護衛隊群をふやすのでしょうけど、しかし、これはそんな簡単にはいきませんよね。日本の造艦能力の問題がある、練度の問題がある、人員配置の問題がある。相当期間をかけて準備しなきゃできやしないですよね。それじゃ、実際、有事の場合、何個隊群をやろうとしておられるのですか。
#16
○政府委員(塩田章君) 有事の場合に、いま申し上げました四個護衛隊群のうちの一個護衛隊群が常にペストの状態にあるという形だけでなくて、もっと可動率を実際問題として高めていきたいということには当然になりますが、御承知のように、いまの防衛計画の大綱で四個護衛隊群、作戦用航空機二百二十機ということが決まっておりまして、その線でいまのわが国周辺数百海里、航路帯を設けた場合には約一千海里程度の海上防衛ができるようにということで大綱がいまできておるわけでございますが、まだその線に達していないということで、それに達する努力をいましておるということでございまして、いまの時点で、艦艇につきまして四個護衛隊群で、何といいますか、ベストの防衛努力をするということになるわけであります。
#17
○堀江正夫君 防衛計画大綱を決定されるいよいよぎりぎりの段階まで防衛庁の方は最小限五個護衛隊群が必要なんだと、こういうことでやられた。ところが、最後の段階で、大蔵省の方の強い意向で、経費の関係から四護衛隊群ということに抑え込まれたということも聞いているわけです。そうしますと、その段階で、少なくとも海上作戦をやるのに護衛隊群としては五つ要るというふうにお考えだった。いまもそれは変わりございませんか。
#18
○政府委員(塩田章君) 御指摘のように、五個護衛隊群を持って、そのうちの二個護衛隊群をベストの状態に置いておくという構想があったことは、私もそのように聞いております。しかし、現在はともかく四個護衛隊群ということで決まっておりまして、四個護衛隊群でベストを尽くすということに考えなければいけないわけでございます。
#19
○堀江正夫君 当時においては相当アメリカの海軍力のプレゼンスというものも期待できた。具体的にはどの程度具体的に調整があったか知りませんですけれども、最近は中東にスイングされてなかなかそうもいかぬのじゃないか、こう言われておる。こういうような状況を考えました場合に、ずばり申しまして、平時保有の護衛艦数六十隻なんというのでやれるはずはないんだと、少なくも五割増しぐらいのことはなければ責任を持った任務達成はできないのじゃないか。しかも、さらに言うならば、予算がセットされて、実際に船が出てくるのが五年かかる、それから訓練をやり、どうだということになりますと、実際配置につくのは六年目になってしまう。そんなことを考えますと、よほどふんどしを締め直してこの問題はやらなきゃだめじゃないかと、こう実は思うわけです。いかがですか。
#20
○政府委員(塩田章君) 四個護衛隊群でどうかということでございますけれども、先ほど私が言いましたDDHを中心にして、DDGが二杯、DDが五隻という形が一応整えられれば四個護衛隊群でもかなりの改善になるというふうに私どもも期待をしておりまして、目下その整備に向かっての努力をしておるわけでございます。
 さらに、御指摘のように、護衛艦、特に近代的な護衛艦の場合、四年ないし五年かかるわけでございます。その辺は私どもとしても十分考えておかなくてはいけない問題でございますけれども、実態はともかくそのぐらいの年数がかかっていくということは事実でございますので、そういうことも考えながら防衛力の整備に当たっていかなければならないというふうに思っておるわけであります。
#21
○堀江正夫君 これだけでも十分時間がたちましたので、F15で一つだけ私お聞きしておきたいと思いますが、中業ではF15百機体制ということで、すでに、五十三、五十四年度に予算化されておりますから、百機ということになりますと、あと残は四十三機ということになります。しかし、考えてみますと、減耗分をこれに加えられておるわけでもない。F1〇4の切りかえ分も加えられておるわけでもない。そう考えますと、少なくも中業末期まで百機ではぐあいが悪いので、四十二機をあと三十機やそこらふやさなければ体制の保持はできないのじゃないか、目的の達成はできないのじゃないか、こう思います。また、大綱では、作戦機、戦闘機、防空戦闘機が約二百五十機体制ですか、くらい考えておられるのだろうと思いますが、それまでの損耗分も含みますと、少なくも来年度以降F15について、百数十機はどんなに見てもなければ大綱の水準に達しないのではないかと、こう思いますが、それだけひとつ御返事下さい。
#22
○政府委員(塩田章君) 先ほどの艦艇と違いまして航空機、特に作戦用航空機の場合は大綱の水準と五六完成時の差がかなり大きいわけでございます。したがいまして、今後防衛力の整備に当たっての一つの重点的な事項になるのではなかろうかというふうに考えております。次の中業の作業に入っておりませんので、いまどういう計画だということは申し上げられませんが、少なくとも、いまの中業で先ほど御指摘の残りの四十三機、これを五十七年度以降取得していくわけでございますが、これにつきまして、かねてから申し上げておりますように、なるべく早期に達成ということを図りたいということだけはかねてから申し上げております。この線は私ども努力したいと思っておりますが、それもいま五十七年度で何様、八、九年度で何機というような具体的な案がまだできているわけではございません。いまの時点で申し上げられますことは、百機より上という話ではなくて、いまの残りの四十三機についてなるべく早期に達成することを当面図っていきたいという考え方を持っておるというところまででございます。
#23
○堀江正夫君 これについてももう少しいろいろ聞きたいのですけれども、やめておきましょう。
 そこで、すでに防衛庁長官も統幕の方から防衛研究の成果を聞いておられます、また防衛庁からも総理に報告をされたということが報ぜられております。私は、この防衛研究の成果に関連をしまして、特に即応態勢の確保という問題につきましてちょっとお聞きしたいと思います。
 具体的にお聞きする前に、現在の世界情勢をどのように認識しておられるか。時間を節約する意味で私は端的に申し上げますと、少なくも米国はどのように認識しているかといいますと、私の理解では、向こう数年間は米ソ軍事バランスの状態から見て最も危険な時期に当たっておる、したがって現在はすでに緊急事態なんだ、こういう認識がレーガン政権の全般的な予算政策、国防政策にもあらわれておる、こう思うわけです。それにつきまして簡単にひとつ御見解を承りたい、こう思います。
#24
○国務大臣(大村襄治君) ただいま国際情勢についてお尋ねがあり、できるだけ簡潔に述べよというお言葉でございますので、その線に沿ってお答え申し上げます。
 最近の国際情勢は、ソ連の長期かつ大幅な軍事力の増強とこれを背景とした世界各地への勢力拡張等の活発な行動によって不安定さを増しつつあり、このまま放置された場合におきましては、八
○年代半ばまでに米国は軍事力でソ連より劣ってしまい、西側全体の安全保障の確保は困難になる恐れがあるという状況にあると考えております。また、わが国周辺の軍事情勢も、極東ソ連軍の顕著な増強等によりわが国に対する潜在的脅威が増大しているなど厳しいものがあると考えております。
 ただ、このような中にありまして、最近におきましては、米国を初めとする西側諸国の防衛力強化への努力もありまして、東西間の核戦争及びそれに至るような大規模な衝突は現状では抑止されているものと考えています。
#25
○堀江正夫君 いろいろおっしゃいましたが、もう一度重ねてお尋ねしますが、この前、衆議院ですか、御回答になりました、端的に言いますと、八五年ごろというものが大変危険じゃないかというお考えはお変わりないと、こう考えていいのですね。
#26
○国務大臣(大村襄治君) このまま放置しますと、八〇年代半ばにおきまして米ソ間の軍事力の均衡というものがとれなくなるおそれがある。そういう意味におきまして東西間の安全保障の確保が困難になる、そういうことを前回も申し上げたのでございますが、今日でも変わりはございません。
#27
○堀江正夫君 もう一つ、さらに重ねてお聞きしますと、全般的に言うと、現在はもう本当に緊急の事態じゃないかという御認識はどうでございますか。
#28
○国務大臣(大村襄治君) 厳しい情勢下にあるものと認識しています。
#29
○堀江正夫君 防衛研究の中でいろいろやっておられることをいろいろな委員会での質問の中で答えておられますが、いま私が申しました即応態勢の確保という問題につきましてながめてみますと、恐らく警戒態勢区分なんかもそのうちへ入ると思います。あるいは防衛準備ということをやられたということもそのうちへ入ると思います。防衛準備につきまして、具体的に研究された結果どういうことをやらなきゃいけないというふうな結論が一応出されたのか、ひとつ二、三具体的に例示をしていただきたいと思います。
#30
○政府委員(塩田章君) 防衛研究の中の防衛準備の段階でどういうことをすべきかというようなことにつきまして、一々の詳細については差し控えさしていただきたいと思いますが、どういうことを考えておるのかということについて例を挙げて申し上げてみますと、たとえばミサイル、魚雷といったようなものの組み立て、調整というような問題あるいは装備品の緊急整備というようなことを行いまして、装備品の可動率を高めるというようなこともやっておく必要があるだろう、それから、現在持っております装備品を部隊間で必要な部隊に再配分といいますか、まあ再配分するというようなことも必要になることもあるだろうと思います。それから、各施設の応急的な抗堪措置というようなものを考えておく必要もあるだろうと思います、そういった物的な面、施設的な面と、今度は人員的な面では、たとえば学校等に派遣しております学生なり教官といったような要員を原隊に復帰させるというようなことによります部隊の充実というようなことも考えておく必要があると思います。
 それから、これはすでにいろいろ報ぜられておりますが、たとえば予備自衛官の招集というようなことにつきましても、もし有事法制の方で取り上げていただいて将来改正ができるとすれば、事前に招集できるようにしていただきたいというような希望も提起されたところでございます。
#31
○堀江正夫君 私は、研究をされてみると、現在いかに平時から有事に備えるための国家体制や法令等ができていないか、あるいは具体的な防衛準備が各般にわたってできていないかと、こういうことを恐らく痛感されたと思うわけなんですね。それで、本当はこういうものができた上で情勢の緊迫に従って所要の装備をやっていく、これが本当の意味の防衛準備じゃないかと私は思いますでね。しかし、恐らくその基本ができていない、こういうことじゃないかと思います。
 そこで、やっぱり防衛準備をするということになると、ある期間を設定してやらなきゃいけない、こういうことになるでしょう。しかしこの期間を設定するということは大変危険な問題だ、ある程度きりぎりのところはちゃんと平時から準備しておかなければ、期間を設定してみても、基礎的ないろいろなものができておらなければ、ほとんど何もできないというようなことにならないか、こんなような気がしてならないわけです。私の知識から言いますと。
 そこで、いまいろいろ例を言われましたけれども、たとえば陸上自衛隊の人員充足の問題でございます。これは八六%ということでずっと来ております。最近になりまして防衛庁も八六%じゃやっぱりぐあいが悪い、即応態勢ということからみると本当は一〇〇%欲しいのだということで、五十五年度、五十六年度と若干の予算要求をやられました。実際、仮に一力月間の準備期間があるとした場合において、八六%の人員充足というのはどの程度できるか、それをちょっと伺いたいと思うのです。
#32
○政府委員(塩田章君) そもそも一カ月という想定をすること自体が大変むずかしいわけですが、仮に一カ月あるとした場合ということでございますから、そうして考えてみるとしましても、いまの八六%の充足率がどの程度できるかというお尋ねでございますが、八六%は現在あるわけでございます。
#33
○堀江正夫君 いや、八六%が幾ら上がるかということですよ。
#34
○政府委員(塩田章君) それを一〇〇%に近く持っていきたいということでございますが、その点について今度の防衛研究で、一ヵ月あればどこまでできるであろうと、こういうふうな研究をしたわけではございませんので、いま一カ月ある場合にはどれだけまでいけるかというお尋ねでございますが、それについてうまく的確にお答えできるような研究を持っているわけではございません。
#35
○堀江正夫君 防衛研究で、恐らく準備の中に人員充足というようなこともやらなければいけないというような問題が当然起きたろうと、こう私は思うわけですね。
 そこで、たとえば人員充足をとりあえずやらなきゃいかぬということになると、いま八六%しかない。その中には学生もいますね、新隊員教育中の者もいます。そんな者は別にしまして、とりあえず必要方面に次等正面から人員を転用するという問題によって必要方面を充足するという問題もあるでしょう、あるいは予備自衛官を招集するという問題もあるでしょう、一般の緊急募集をやるという問題もあるでしょう。私はそれらを通じても、まず第一に必要な方面に対する一〇〇%の充足というものもできないじゃないか、こんな気がしてなりません。やはり予備自衛官は何も欠員補充をやるだけのものじゃない、いろいろといざという場合において編成しなきゃならぬ部隊がある。全部予備自衛官をそれへやるということになれば、そちらの部隊の編成ができない、こういう問題がある。私は、少なくも東北から北の部隊は全部一〇〇%にする、それ以外九〇%ぐらいにして訓練体制を強化していく、こういったようなことが当然必要な時期となっているのじゃないか、こう実は思うわけでございます。
 そういったような面につきまして、従来とかく予算に制限があるということになると、その制限の中で優先度はどうだということになる。優先度ということになると、整備に時間のかかる装備品関係を優先するのだと、こういうことになります。人だってそんな簡単に早くいくはずのものじゃない、訓練だってちゃんとやっておかなきゃいけないということになりますと、私は現事態というのはどちらが優先するのだといったような問題じゃないと思う。両方ともやっぱりやらなきゃならぬ問題じゃないか、私はそのように思うわけです。
 そのほかに即応態勢の問題についてはいろいろありますですね。この前の臨時国会の委員会でも質問しました乙類の充足の問題だって同じであります、いま訓練所要ということで八〇%抑える、こんなものはいざというときに一力月以内に全部買えるかというと買えないものがいっぱいあります。それをどうするんだ、さらに、よく築城準備のことを言われています。したがって築城も防衛出動不合じゃなくて、待機になったならば築城できるようにいろいろ法的な整備もしなきゃならぬということが言われておる。それは法的整備も必要です。それによって土地の利用ができるようにするということも必要ですが、築城資材というのはもう大変なものですよね。これはどのくらいの陣地をつくるかによって違うわけですけれども、仮に一週間程度の陣地をつくったとしたって、一個師団当たり数千トンの築城資材が要る、いま何もない。どうする。私はそういうような観点から、もっともっとこの即応態勢というものを行政的に見てもらわなきゃいけないのじゃないか、こう思うわけであります。
 もう私の時間は来てしまったわけですが、五六中業につきましてもう策定開始の時期になっていると思います。いつから策定をされるのか、それから策定に当たっては訓令では必要に応じて長官指示をやるというふうになってますが、五三中業のときには私は長官指示をやらなかったのじゃないかと思います。今度は長官指示をはっきり出されるのかどうか、あるいは出されるということになると、長官指示の中では情勢、大綱達成の時期、それから経費の枠、重点、こういうものをやらなければ各幕は作成できませんですよね。この程度のことは最小限はっきりされるのか、それをひとつ承りたい、こう思います。
#36
○国務大臣(大村襄治君) 次の中業すなわち五六中業についてのお尋ねだと思うわけでございますが、この問題につきましては私どもぽつぽつ準備を始めなきゃいかぬ、さように考えているわけでございます。その場合に長官訓令を出した方がいいかどうか。お尋ねのとおり前回の中業の際には訓令は出しておらないわけでございますが、今回は果たして出した方がいいかどうか、また、出した場合にどういう内容にしたらいいか、その辺を含めて鋭意検討中でございます。
#37
○堀江正夫君 ずいぶんのんびりしていますね。計画制度の訓令によりますと、統合中期は九月までにつくれ、それから各幕の中期はその年の年度末までにつくれ、こういうことになっていますよ。まだ長官指示を出すか出さないか、そのままやらすかどうか、それも決まっていないのですか。こんなことでは本当に事態に適応できない、あるいはそんなことでは本気でもってやられようとしているのかなというようなことさえも疑念を持つ人も出てくると思いますね。いかがでございますか。
#38
○国務大臣(大村襄治君) 簡単にお答えしましたので意を尽くしませんでしたので若干補足させていただきます、
 次の中業は計画期間が五十八年から六十二年度まででございます、この五年間の業務見積もりをつくるわけでございますので、いろいろな前提が必要でございます、そういったものもいま収集して準備中でございます。しかも作業期間におよそ一年間かかる。そういった点からしますと、次の中業の見積もりは仕上がるのが仮に明年の春から夏にかけてであるといたしますれば、逆算すればもうかからなければいかぬ、先生の御指摘のとおりでございます。そういう意味で形式をどうするか、内容をどうするか、鋭意検討中であるということを申し上げたわけであります。
#39
○戸塚進也君 通告いたしましたが、時間が足らなくなった分は次回に譲らしていただきます。
 原潜の問題につきましてはいま調査中でございますから、これをとやかく言うわけにはまいりません、ただ、言われることは、本当にそういうことが起きるとは思われなかったようなことが起きたということでありますから、少なくとも今後はそのようなことが絶対にないようにということについては、これは十分に意を用いるべきではないか。だから、原因の調査云々はともかくといたしましても、そういうことが今後絶対起きないというような策だけは政府として万全をとるべきだ。特にアメリカは友好国でもあります。十分な緊密な連絡をとるべきだと思うが、その点についてだけ簡単に伺いたい。
#40
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 今回のアメリカの原子力潜水艦による日本船の遭難事件はまことに不幸な遺憾な事件であると思います。日米友好関係を続けていきます上にも、そういった不幸な事態は今後絶対に招かないようにしなければならない。まさに先生の御指摘のとおりであると考えているわけでございます。
 そのためにはどうしたらいいか、まず実情なり、よって来る原因等を調査して再発を防止するための重要なよりどころも持たなければいけないと思いますが、要は、日米協力しましてそういった事柄を引き起こさないためのあらゆる努力を傾注するという基本的な心構えにあると思いますので、外務当局を中心にその辺のことを米側に申し入れているところではございますが、防衛庁といたしましてもその線に協力してまいりますし、また、防衛庁自身としてやることがあれば最善を尽くしたいと考えているわけでございます。
#41
○戸塚進也君 外務省はいいですか。
#42
○説明員(松田慶文君) 御指摘のとおり、本件につきましては事故の原因調査とそれからもろもろの状況の確認と、それに対応する措置を必要といたしますが、さらに加えて、再発防止、予防という側面が非常に重大であることは先生御指摘のとおりでありまして、総理大臣、外務大臣等々からもこの旨を強く米側に申し入れているところでございます。
#43
○戸塚進也君 外務省に伺いたいが、北朝鮮に対する認識について伺いたいが、私は北朝鮮は現在南侵の野望は捨てておらないと思います。また、北朝鮮については私は韓国として脅威を感じて当然だと思う。また、韓国の平和の維持ということが日本の平和にとって本当に欠くことのできない重要な問題だと思う。その点について私は外務省の認識が少し甘いのではないかというふうな気すら、まことに局長を前に置いて失礼ですけれども、そう思うが、局長、この点についてどういう認識を持っているか、もう一遍伺いたい。
#44
○政府委員(木内昭胤君) 御指摘のとおり、朝鮮半島には軍事境界線を隔てて双方百万人以上の軍隊が対峙しておるわけでございまして、緊張状態があるということは事実と思います。ただ、現実の問題として、いま朝鮮半島で大きな戦が起こるかどうかということになりますと、在韓米軍もおりますし、それから韓国の国防努力というものもございますし、かたがた中国とアメリカとの関係というものが著しく改善を見ておる。また、中ソ対立という問題もございまして、いま中国あるいはソ連、それからアメリカも当然でございますが、大きな事件に発展することを好まない国際情勢があるわけでございまして、そういう意味では緊張状態がございましても大きな戦に発展することはないというふうに私どもは考えております。かたがた御指摘のように、韓国の安全あるいは朝鮮半島の安定というものがアジアにおける平和にとってきわめて必要であるということは、ただいま先生御指摘のとおりと考えております。
#45
○戸塚進也君 今月の八日に、今度韓日議員連盟の韓国側の会長になった朴泰俊氏が日本の民間の訪韓団に対して、南侵トンネルの中で日本製のトランシーバーが見つかっておる、あるいは北から南に入ってくるスパイの人たちが着ている潜水服、ゴムボート、かってはグライダーの機材、こういうものまで全部メード・イン・ジャパンとはっきり明示してある、韓国との間に友好を深めるという日本がそのような、結果においては武器にもなりかねないようなものを出しているということについては遺憾であるということを今月の八日にはっきり言っています。通産省としては、そういうことはどうなっておるのか、せめて実情ぐらい……、もちろん民生用ということはわかります。わかりますけれども、結果においてそうなっているということについては十分に調査ぐらいはしてもらわなきゃ困る。また、外務省はどのくらいの見解を持っているか。
#46
○説明員(坂倉省吾君) 先生御指摘の日本製のトランシーバーとかアクアラングとか、こういうものについてわれわれがどう考えているかということでございますけれども、わが国といたしまして武器の輸出につきましては御存じのように武器輸出三原則及び政府の統一見解がございますけれども、こういうものに基づきまして厳格に対処しております。ただいまの先生が御指摘になったような貨物につきましては、いずれも民生用に用いられることができるいわゆる汎用品でございまして、汎用品につきましては輸出の段階におきまして、要するにわが国から出ていく段階におきまして、当該貨物が輸出後仕向け地で実際何に用いられるか、これを客観的に判断することが非常に困難でございます。したがいまして、輸出の規制の公正さ及び実効性の観点ということから、現在規制の対象とするのは不適当ではないかと考えております。
#47
○政府委員(木内昭胤君) ただいま通産省から御答弁申し上げたとおりでございまして、私どもは韓国の当局者がこの点懸念をしておるということは十分承知いたしております。しかし、武器というものに該当するわけではございませんで、物によっては運動具店あるいは町の電気屋さんでもだれでも買える品物でございますし、日本で調達できなくても香港あたりでも購入できるという状況にあるわけで、せっかく韓国側の御心配の点はわかりますけれども、十分これに対応することには技術的に見て困難があるように心得ております。
#48
○戸塚進也君 答弁はもう要りませんが、重ねてそうした問題について関心を持って私は自粛を求めたいと思います。
 ところで、日韓の友好を進めていくためには外務省としてはどんなスケジュールを考えていますか。
#49
○政府委員(木内昭胤君) 今後のスケジュールとしまして目下韓国側と相談いたしておりますのは、韓国の外務部長官の来日でございます、できるだけ早い機会においでいただきたいということを伊東外務大臣が全斗煥大統領の就任式典の際訪韓されました折に先方に伝えられてあります。目下のところの政治的な往来では、打ち合わせておりますのはその点でございますが、あとは朴大統領の殺害事件後中断を見ております日韓定期閣僚会議の再開、あるいは鈴木総理、全大統領それぞれの親書にもうたわれておりますが、いずれ機会を見てお互いにお目にかかりたいということを双方の首脳が言っておられますので、いずれかの日には実現の運びになるかと思っております。ほかにはやはり経済協力の面であるとか、文化協力の面であるとか着実に進めてまいりたいと考えております。
#50
○戸塚進也君 防衛庁長官にお伺いいたしたいが、制服首脳が総理と一年間に一体何回ぐらい対話をいたしますか。私が伺っておる限りではほんの数回、それもそう長い時間を取ってとは伺っていない。これは少なくとも総理の立場というのは防衛上の立場というのも重要であります。国防会議に行ったとしても、統幕議長なんかすみっこのところにいって聞いているだけだそうでございますが、もう少し総理といわゆる制服首脳が十分な対話をできるということを大臣としてもお考えいただいたらどうかと思うが、実情とその改善策を伺いたい。
#51
○国務大臣(大村襄治君) 統幕議長と自衛隊の制服の幹部が自衛隊記念日等、あるいは防衛大学校の卒業式とかいろいろな機会にお会いしているということは事実でございます。鈴木内閣成立以来そういった機会を調べてみますると、合計十二回ほど機会があったように承知しているわけでございます。
 また、時間が短か過ぎるじゃないかというお尋ねもございましたが、先般昼食を差しはさんで約二時間じっくりお話ししたということもございますので、必ずしも短時間ばかりではないということを御承知願いたいと思います。私は今後ともこういった機会を活用して、最高指揮官である総理大臣が軍事の専門的な問題につきましての理解を深めることは非常に必要なことであると思いまして、ますます対話を多くしていくようにお願いしたいと考えております。
#52
○戸塚進也君 昼食をして二時間懇談したのはやはり防衛庁長官の努力が実ったのじゃないかと私思います。ちょっと顔を見ましたというだけじゃこれは会ったうちには入りませんから、どうぞひとつじっくり対話する時間をふやしていただきたい。
 次に、制服組が国家的な式典などの場合に、たとえば先日の大平総理大臣のお葬儀の際、どこへ座っておられたかというと、私は後で聞いたのですが、三階のてっぺんの望遠鏡で見なきゃわからないようなところへ座っておったという。私は、アメリカの例などは特殊な例かもしれませんが、アメリカでは大統領のひつぎを傍らで担がれるのが軍人さんだそうでございます。そこまでなさらなくても、少なくとも望遠鏡で見なきゃわからない三階の一番向こうのところに統幕議長やその他制服が座っておったのでは自衛隊の士気にも影響すると思います。こういう状態ではまことにゆゆしい。こういった点について長官あるいは防衛庁首脳はどう改善していくとお考えになっているか、
#53
○国務大臣(大村襄治君) 国家的式典等に出席する場合の制服幹部の席次等は、一般的には出席者のバランスを考慮し、官職等を参考にして決められているのが実態であると承知いたしておるわけでございます。ただ、場合によりましてはこのバランスが社会的な常識にも合わないようなケースもなきにしもあらずという点もございますので、そういったような場合にはひとつあらかじめ主催者側の協力を求めて、そういうことにならないように注意してまいりたいと考えている次第でございます。
#54
○戸塚進也君 十分な改善を求めます。
 ところで、自衛隊の靖国神社参拝について何か制限を加えられていると伺いますが、そんな制限をしているのですか、防衛庁。
#55
○国務大臣(大村襄治君) 先生よく御存じのとおり、宗教の自由は何人に対しても憲法の保障するところでございますので制限を加えるというようなことはいかがかと思っておるわけでございます。ただ、御指摘の靖国神社等の参拝に関しましては、私人の参拝はともかくといたしまして、いやしくも公人として宗教的活動に参加しているかの誤解を招かないようにするためにはある程度の指導方針を決める必要があると考えまして、その線に沿って指導をしている事実はあるわけでございます。
#56
○戸塚進也君 二十二日は春の例大祭でございます。長官もぜひ御参拝いただきたいと、そのことを要請しておきますし、自衛隊の方もそれぞれの気持ちに基づいてぜひひとつ参拝していただきたい、余り厳しい制限などは加えていただきたくない、こういうふうに思います。
 次に、防衛大の学生に対して学士号が与えられない、これは、あれほどの優秀な学生が集まっておって、そしてちゃんと四年制でもって大学の課程もきちっとやりながら、なぜ防衛大学生だけ学士号が出ないのですか。差別じゃありませんか。やっぱり至急これは文部省でも考えて学士号をきちっと出すべきだと思う、どういう点に欠陥があるんですか、
#57
○政府委員(石崎昭君) 防衛大学校は、御存じのとおり、幹部自衛官を養成する学校でありますが、その教育の内容は、一般の大学設置基準に準拠して大変充実したカリキュラムを持っております。教授陣も豊富な人材をそろえております。それから単位の数でいいますと、一般大学が百二十単位余りですが、防衛大学校の場合は五割増しの百八十単位余り、もうがっちり教育をしているというくらい内容は充実しております。そういう意味で、実質は一般大学の卒業生と何ら遜色ないところでありますので、かねてから、学士号を授与されるべきであるという意見が部門に大変強くありますので、文部省とずっと折衝してまいったのでありますけれども、文部省は、学校教育法に基づく大学でないというようなことで、いろいろ横並びの問題があるらしくて、大変強い難色を示して今日に至っております。私どもは、この問題については今後とも粘り強く折衝をしまして、あきらめずにがんばりたいと思っております。
#58
○説明員(齋藤諦淳君) 学士号は大学の卒業生の称号でありますが、大学は、学校教育法で、公教育として、特定の職業人の養成や、あるいは特定の任務を持つ人材の養成とは異なって、一般的な知的、道徳的または応用的能力を展開させる、そういう教育施設であるとされておるわけでございます。防衛大学校におきましては、理工学なりあるいは人文社会科学に関する教育につきまして、一般大学と比較して遜色のない教育が行われておると聞いておりますけれども、しかし、防衛大学校がその特定の目的を持って人材を教育訓練する機関であるということ、こういう点に照らしまして、大学と同様にその卒業生に学士号を授与するということは相当困難な点があるわけでございます。
 なお、各省の設置法で、たとえば水産大学校やあるいは気象大学校とか、そのほかたくさんの機関があるわけでございますけれども、こういう機関に対しても、学校教育法に基づく組織でないために学士号を授与できないわけでありますけれども、これもやはり防衛大学校と同様の趣旨に基づいておるわけでございます。そういう意味で、これらすべてを含めまして学士ということを称せしめるのは制度上種々の問題があるということで今日にまで至っているのが実情でございます。
#59
○戸塚進也君 長官、お聞きのとおりでございます。法律的に問題はあるでしょう。しかし、内閣の大臣である長官でございます。こうした制度の問題でいろいろ省庁間の何かの行きがかりや何かでひっかかっておる問題は調整しながら、これはほかの例もあるわけです、防衛大学だけじゃありません。そういったことも含めて、長官どうです、前向きにやっていただけませんか。
#60
○国務大臣(大村襄治君) 防衛庁としましては、いま御指摘の問題が実現することが望ましいものと考えております。これを実現するためには、いま御指摘のようないろいろな障害もございますが、関係省庁とも十分協議をしながら実現できるように努力してまいりたいと思います。
#61
○戸塚進也君 ぜひお願いいたします。
 大臣、過般、私が参議院の法務委員会で奥野法務大臣に、いわゆるスパイ天国である日本を、これはやめていかなきゃ大変だと。先ほどの堀江先生のお話のように、これは非常に緊張状態になってきているのですから、それがスパイはもう世界じゅうから入りっ放しで、それでスパイでつかまえても何も刑罰もない、こういうことでは問題が多いから、いわゆる機密保護法のようなものが必要じゃないかということを伺いましたところが、特に防衛問題についての機密というものが今後漏洩することは、特に外国に漏洩することは日本の安全保障上も非常に問題があるだろう、法務大臣の見解としては、防衛庁がその気持ちであるならばこれを支援して、そして防衛上の機密保持というための何らかの立法措置を考えていくことは結構なことだと思うと、こういう前向きな答弁が出ております。特に防衛の所管大臣である長官のお考え方を伺っておきたいと思います。
#62
○国務大臣(大村襄治君) 防衛上機密保護のために新たな立法措置を講ずべきであるとの御意見もあるわけでございます。この問題につきまして防衛庁としましてもいろいろ検討しておるわけでございますが、対象をどうするかとか、仮に機密の範囲を防衛の機密に限定するといたしましても、一般国民との関係をどうするか、あるいは関係する公務員の範囲をどうするか、いろいろな問題があるわけでございますので、この問題の進め方につきましては、国会の論議、世論の動向等を踏んまえて慎重に対処しなければならない、さように考えている次第でございます。
#63
○戸塚進也君 自民党の方では、長官御案内のとおり、その必要性ありということをすてに党の政調でも決めております。長官としてもその必要性はお認めになりますか。
#64
○国務大臣(大村襄治君) このままでは不十分である、いい方法があればその方法によった方がいい、そういう考え方は持っているわけでございますが、先ほど申し上げましたいろいろな問題点もあるわけでございまして、防衛庁だけで判断いたしかねる面もあるわけでございます。党の方にも御相談し、また関係省庁とも十分御相談して進めなければいけない性質の問題であるというふうに理解いたしているわけでございます。
#65
○戸塚進也君 長官としては十分前向きな答弁だったと、私はそのように考えております。
 次に、行革論議につきまして伺いたいと思うが、最近鈴木総理が政治生命をかけても行革をやるということを私どもに対しても言明しております。行革は国民の声でございますから、防衛も聖域ではない、こういうふうに言われても仕方がないと思います。しかし、防衛には全く特別な事情もあるかと思います。
 そこで、行革の場合に防衛庁さんの方が横並びで待っておって施策をやったのじゃもう遅いので、むしろ防衛庁さんのような特別な事情があるところは一歩先んじて、自分の庁内でどんな行革ができるかということを真剣に考えて、その案を真っ先に官邸へ持って行って、このくらいの行革は自分たちもやるから、そのかわり日本の安全をどうしても確保するためのことはやってくれということを、長官と総理がさして話し合うくらいの、姿勢がやはり必要だと思いますが、この行革と防衛について長官のお考えを伺っておきたい。
#66
○国務大臣(大村襄治君) 行政改革は政府の現下の最重要課題でございますので、防衛庁といたしましてもその趣旨に沿って進めなければいけないと考えております。しかしながら、最近の国際情勢等からしますると、わが国の防衛力はまだまだ充実しなければならない、そういう過程にあるわけでございますので、行革の精神は踏んまえつつも、防衛庁みずから合理化、効率化を行うべき余地があれば、御指摘のように率先してこの方は進めて、そしてまたそれと並行して、新たに進めるべき問題につきましてはできる限りこれを前進さす、そういう心構えで取り組んでいきたいと考えているわけでございます。
#67
○戸塚進也君 時間がないのでまとめて伺います。
 防衛庁、万が一日米安保がなくなって、日本だけで防衛をするとしたら一体どのくらい年間予算がかかるかいままで計算したことがありますか、あったとすれば幾らぐらいですか。
 それから、外務省に伺いたいが、アメリカの世論の中に最近また日米安保見直し論が急激に高まってきているようにも伺っているが、どのように把握しているか。
 さらに、アメリカ議会内の大統領戦争権限の縮小法案、これの背景は何ですか。それを簡単に答えてください。
#68
○国務大臣(大村襄治君) 防衛庁といたしましては、わが国防衛の最も重要な柱は、わが国がみずから国を守る気概に基づいてみずからの防衛努力を払うことと同時に、日米安保条約の堅持とその効率的な運営にあると考えているわけでございます。したがいまして、安保条約をやめるということは考えたこともございません。計算いたしたこともございません。
#69
○説明員(松田慶文君) 二点お尋ねでございましたが、私どもはただいま米国内で日米安保体制を見直すという議論が広がっているというふうには理解しておりません。そうではなくて、わが国の経済力の近年における著しい進展を前にして米国民が日本に対して、日本国民に対して一層の防衛努力を期待するという方向で世論は動いているやに理解しております。また、それにはそれなりの根拠もありまして、私どももこれに対応していく必要があろうかと考えております。
 他方、戦争権限法は、御案内のとおりベトナム戦争の一つの教訓といいますか、米国議会における行政府との権限調整という過程で出てきたものと承知しております。
#70
○戸塚進也君 終わります。
#71
○寺田熊雄君 最初にスペースシャトルの問題でお尋ねをいたします。
 これは、宇宙の征服といいますか、宇宙利用についての大変人類的な意義のある事業であると私ども考えております。ただ、この計画につきましては、アメリカの軍部がいままで強力に後押ししてきたということが言われております。それだけに、ソビエトなどからは、たとえばタス通信の報道、通信を見ますと、これはレーザー兵器の指揮系統のテストであるとか、スパイ衛星を恒常的に送り出すためのものであるとかいうようなことを批判をいたしております。
 これは外務省、それから科学技術庁、防衛庁それぞれにおかれて、このスペースシャトル計画についてどんなふうにこれを認識し、評価しておられるのでしょうか。まずそれをお伺いしたいと思います。
#72
○国務大臣(大村襄治君) スペースシャトル計画は、米国防省も参加していることは事実でありますが、その国防省当局自身がスペースシャトルは平和利用が第一であって、軍事利用の問題は副次的なものであると言っていると承知いたしております。私としましては、スペースシャトルの成功により科学研究、金属加工、太陽エネルギー等のための宇宙利用が進み人類に利益をもたらすことは大変結構なことだと考えております。しかしながら、現実的に見た場合、すでにソ連が相手国の衛星を破壊する衛星実験を行うなど、宇宙は軍事的にも使用されつつあり、この中にあって米国がスペースシャトル等によってこの分野における対ソ優位を目指し、両国間の軍事力バランスの維持に役立てようとしていることは自由主義世界にとりましても意義のあるところであると考えております。
#73
○説明員(辻栄一君) 米国におきまして開発中のスペースシャトルは、一つには再使用ができるということ、それから特別の訓練を受けていない科学者等の宇宙活動が可能になるというような特徴を有しているものでございます。このため、スペースシャトルは有人活動あるいは経済性等の面におきましてすぐれておりまして、今後の宇宙の平和利用にきわめて大きな貢献をなしていくものであろうというふうに認識しております。科学技術庁といたしましては、スペースシャトルの利用が世界の宇宙平和利用にますます貢献していくということを切に望んでいるところでございます。
#74
○説明員(林安秀君) お答え申し上げます。
 外務省といたしましても、スペースシャトルは地球軌道を回りながら人工衛星の修理を行いますとか回収をいたしますとか、その他宇宙空間特有の無重力状態を活用しまして、たとえば質量が非常に違う物質分子の比較等の科学技術的な実験等を行うことを目的とするものとして今回のスペースシャトルの打ち上げが行われたと理解しております。
#75
○寺田熊雄君 これが平和利用にとどまれば私ども何の異議もないし、双手を挙げてこれを祝福しなければいけません。しかし、これが軍事的な用途に使用されるということになりますと、これは恐るべき結果になります。宇宙が米ソの軍事的な激しい葛藤、格闘の場所になるわけで、その結果、私ども人類にとって恐ろしい災いがわいてくるのではないだろうかと思うのですが、大村長官としては、何か先ほどソビエトの宇宙利用の経緯にかんがみて、これが軍事的用途に使用されてもやむを得ないというようなことをちょっとおっしゃったようですね。そうすると、軍事的用途に用いられてもやむを得ないという肯定論ですか。
#76
○国務大臣(大村襄治君) 先ほど申し上げましたように、平和利用が一次的なものでありますが、副次的に軍事的な効果は抑止力としての効果もあるので、現実的な意味におきましてはそういった面も意義があるのじゃないかというふうに考えております。
#77
○寺田熊雄君 御承知のように、昭和四十二年の一月に成立した宇宙条約というのがありますね。これは「平和的目的のための宇宙空間の探査及び利用の進歩が全人類の共同の利益である」ということを宣言して、「月その他の天体は、もつぱら平和的目的のために、条約のすべての当事国によって利用されるものとする、天体上においては、軍事基地、軍事施設及び防備施設の設置、あらゆる型の兵器の実験並びに軍事演習の実施は、禁止する。」ということを第四条の二項にうたっております。第一項は「条約の当事国は、核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を運ぶ物体を地球を回る軌道に乗せないこと、これらの兵器を天体に設置しないこと並びに他のいかなる方法によってもこれらの兵器を宇宙空間に配置しないことを約束する。」と、こう規定しておりますね。これは明らかにアメリカもこの条約を批准しているのだろうと思うのですが、そういう条約に違反することになるでしょう、もしこれを軍事的用途に使用すると。長官は、副次的ならやむを得ないということになりますと、この条約に違反するということは構わない、肯定するという大変危険な傾向を示すことになりますね、これはいかがです。――いや、外務省は平和利用を言ったんでしょ。
#78
○国務大臣(大村襄治君) 条約の関係でございますので、条約の解釈を所管する外務省からお答えしていただきたいと思います。
#79
○寺田熊雄君 外務省は平和的な利用のために大いに祝福するということを答弁された。科学技術庁もしかり。ただ大村長官が副次的なものであれば軍事的用途はやむを得ない、意義があるということをおっしゃった。したがって、これはいまの宇宙条約の違反になるはずだがどうかというあなたの御意見をお伺いしているのですよ。
#80
○国務大臣(大村襄治君) 条約の関係でございますので、国際担当の参事官からお答えします。
#81
○政府委員(岡崎久彦君) 御質問は、むしろ政策問題よりも宇宙条約そのものの解釈の問題だろうと思われます、外務省及び科学技術庁は平和目的の方を強調いたしました。わが方といたしましては、この程度のアメリカの国防省による宇宙利用はやむを得ない、そういう趣旨を申し上げ、また望ましいということを申し上げたのでございますけれども、ひっきょうはこれは条約の解釈の問題でございまして、外務省に詳細をお願いしたいと思うのでございますけれども、軍事利用と申しましても、これは非常に広い意味がございまして、私の解釈いたします限りでは、宇宙条約と申しますのは、宇宙の平和利用の促進を目的としている。他方、軍事と申しましても、核兵器は明らかに禁止してございますけれども、たとえばスパイ衛星のようなものは米ソそれぞれ使っておりまして、これはかなり微妙な軍事目的でございますけれども、これは禁止されていない、そういう解釈になっております、アメリカがスペースシャトルを打ち上げましたからといって、別にこれが核兵器を運んで核攻撃をするために使うと、そういう意味で申し上げたのでございませんで、すでにソ連もアメリカもともにスパイ衛星を使っておりますし、それからソ連はキラー衛星というものの実験をしておりまして、これは核兵器を使ったかどうかは明らかでございませんけれども、一つの技術開発でございまして、これに対してアメリカの国防当局が当然これに関心を持つ。関心を持つし、あるいはソ連のキラー衛星によるアメリカの衛星に対する攻撃に対して防護措置を講じる。これは軍事的目的ということもございますけれども、これは宇宙平和利用の条約が禁止するところではない、さように考えております。
#82
○寺田熊雄君 岡崎参事官は、かつて予算委員会でプランニングをスタディーと同じだなんということを答弁したり、ともかくあなたは詭弁を弄してごまかすことばかり考えてだめだ、それは。軍事的用途もやむを得ないということをあなたはいまもやっぱり認めておられるじゃないか。ということは、平和的な用途に限るということを条約がはっきりと明言しているのに、軍事的用途が承認されるなんて、そんな詭弁はありませんよ。だから、それは条約の侵犯だということをはっきり認めるならいいけれども、条約の侵犯じゃありません、軍事的用途もソビエトがある以上はやむを得ませんというような答弁は、いやしくも条約を守ろうとする、法を守ろうとする人の立場じゃない。あなたは、ともかくプランニングとスタディーと同じだなんて強弁してみたり、だめだ、そんなことじゃ。長官いかがですか。
#83
○国務大臣(大村襄治君) ただいま条約を援用されまして、その他の関係でどうかというお尋ねでございます。私も、いま解釈の問題につきましては、参事官から述べたとおりであると考えておるわけでございます。
#84
○寺田熊雄君 ちょっと承服できません。はっきり違反かどうかの明確な長官の答弁を求めます。参事官に任せるべき問題じゃない。
#85
○政府委員(岡崎久彦君) 私の解釈する限りでは、いま御説明したとおりでございますけれども、国際条約の有権解釈は外務省の所管でございますので……。
#86
○説明員(林安秀君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、宇宙条約第四条は先生が詳細にお述べになりましたので、繰り返しすることはいたしませんけれども、この宇宙条約第四条で禁止しておりますのは、「核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を運ぶ物体を地球を回る軌道に乗せないこと、これらの兵器を天体に設置しないこと」及び「これらの兵器を宇宙空間に配置しないことを約束する。」としております。
#87
○寺田熊雄君 したがって、これを軍事的に利用するということを肯定することはできないじゃないかと伺っている。
#88
○説明員(林安秀君) お答え申し上げます。
 私の理解が間違っているかもしれませんけれども、条約では、「核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を運ぶ物体を地球を回る軌道に乗せないこと」等を規定しているわけでございます。
#89
○寺田熊雄君 それは第一項でしょう、四条のね。
#90
○説明員(林安秀君) はい。
#91
○寺田熊雄君 第二項をやっぱり問題にしなければいかぬ。「月その他の天体は、もつぱら平和的目的のために、条約のすべての当事国によって利用されるものとする。」「もっぱら」だ。副次的ならいいというような解釈は出ないはずだ。「天体上においては、軍事基地、軍事施設及び防備施設の設置、あらゆる型の兵器の実験並びに軍事演習の実施は、禁止する。」と規定している。もっぱら平和的な用途に使用されるという意味だ。エクスクルーシブリー、除外を認めない。副次的ならいいという解釈は出ない。
#92
○説明員(野村一成君) 第四条のことでございますが、この条約におきましては、軌道に乗せることにつきましては、第四条の、たしかいま御説明がありましたとおり、核兵器その他について禁止しておるわけでございますが、「月その他の天体」と言う場合には、これは何と申しますか、星でございまして、そこには、第四条それから第五条でございますけれども、書いてあるような、軍事施設等の設置その他を禁止しておると、そういうふうにこの条約は解釈されて運用されております。そういうことでございます。
#93
○寺田熊雄君 この条約は、月及び天体だけじゃなくて、月及び天体を含む宇宙の平和利用を規定した条約、こういうふうに理解すべきでしょう。どうですか。
#94
○説明員(野村一成君) 確かにこの条約の趣旨としましては、いま先生のおっしゃったことでございますが、実体的に国際法規範としましてどういう効果が出てくるかと申しますと、各条の規定に従って出てくるわけでございまして、この条約の運用上あるいは解釈上、「月その他の天体」と申しますと、いま申したように、星ということで解釈されて運営されておるということでございます。したがいまして、空間にスペースシャトルなんかを軌道に乗せるということにつきましては、この第四条前段冒頭にございます、核兵器その他の大量破壊兵器を運ぶ物体を軌道に乗せないということを書いてございます。それ以外の、たとえば、先ほど問題になりましたが、スパイ衛星、そういうふうな目的の衛星につきましても、この条約はそれを禁止しておらないというふうに考えております。
#95
○寺田熊雄君 スパイ衛星は表面スパイ衛星ということを名のっているわけじゃないのです。ただ、このスペースシャトルの場合はレーザー光線とかビーム兵器とかいうことの利用のために将来これが利用される、これを基地として。そういうことがいま非常に懸念されておるわけですね。それはあなたも大体報道を読んでおられると思うが、それだからペンタゴンが全面的にいままで支援してきたということを言われておるわけです。そうすると、結論としてはあなたは宇宙空間、月とかその他の天体を含む宇宙空間は、この条約の解釈として軍事的利用に用いられてもこの条約に違反しないという結論かね、まあその結論だけを伺う。
#96
○説明員(野村一成君) やはり、この宇宙条約作成過程におきましては、いろいろなアメリカとかソ連とかそのほかの国の利害と申しますか、それが妥協という形でできた側面がございまして、条約の趣旨としましてはやはり平和目的ということ、そういうことで出発してはおりますものの、やはり実体規定としましては抜けていると申しますか、それ以外の面をも規制しているという側面がございまして、たとえばいま問題になっております第四条につきましても、たとえばスペースシャトルを軌道に乗せるという場合には、単に核兵器その他の大量破壊兵器を運ぶ物体を地球を回る軌道に乗せてはいけないということのみを規定しておるわけでございます。また「月その他の天体」という場合には、これは星というふうに解釈されて運用されておる、そういうのが実情でございます。
#97
○寺田熊雄君 大変矛盾に満ちた結論が出たようですが、ほかの問題もあるのできょうはこの程度にします。
 それから、日昇丸の問題についてお尋ねをしますが、私ども不可解だと思いますのは、アメリカに照会するということを盛んに言われるわけですね。しかし、この種の事故はアメリカの原潜で日本の貨物船が沈没させられた、ことに日本人が二人死亡した、日本人の生命、日本人の財産が被害を受けたというまさに日本人の問題なんですね。ですから日本として、政府としてやはりみずからその実態を把握しないとおかしいわけですよ。アメリカに照会するというのは、アメリカがいわば承認するかあるいは自白するか責任を認めるかという問題であって、この事故がどうして起きたか、その責任はどっちにあるのかというようなことについては、日本政府みずからがやっぱり結論を出さなければいかぬ。日本人の問題について外国にお伺いするということ自体がおかしいわけです。だから、日本政府としてはこの事件はいかにして起きて、どういう状況が醸し出されたのか、そしてその責任はどっちにあるかというようなことについての結論を把握してなきゃいかぬ、それをお伺いする。これは海上保安庁にまずお伺いして、それから次いでまたほかの機関にお伺いするかもしれません。
#98
○説明員(野呂隆君) 海上保安庁といたしましては、この日昇丸の衝突事件につきましては、日昇丸乗組員等関係者から国内におきましては事情を聴取いたしておりまして鋭意調査中でございます。
#99
○寺田熊雄君 鋭意調査中といっても、もうあなた、あれはたしか九日の事故でしょう。ですから、いままでに結論はもう得ていなきゃならぬはずでしょう。だから、いままであなたの調査によって得た結論をお伺いしているのですよ。
#100
○説明員(野呂隆君) 関係者からの事情の聴取をやりまして、正確に申しますと結果を取りまとめておるというところでございます。
 なお、乗組員等が見たり聞いたりしました事項につきましては、いろいろ種々判明しました分については発表いたしております。
#101
○寺田熊雄君 そうすると、いまあなたが調査した結果によると、事故はいままでのところの資料の収集によって、いかにして起きてその責任はどっちにあるという結論ですか。その二つだけちょっと……。
#102
○説明員(野呂隆君) 事件の原因がどこにあるかということにつきましては結論が出ておりません。しかしながら、日本の日昇丸につきましては、いままでの調査の結果では通常の航行をしておったものというふうに考えられます。
 なお、相手のジョージ・ワシントン号につきましては、現在アメリカに外務省を通じまして照会中でございますので、その結果を見ないと原因につきましては結論は出せないと思います。
#103
○寺田熊雄君 そんなばかなことないですよ。これはともかく日昇丸に乗っていた何人かの船員はその事故の原因について語っているわけだ。つまり潜水艦がぶつかったんだと言っている。アメリカも遺憾の意を表している。外務大臣もロング大将にきのうでしたか、日本人は悪いことがあった場合、悪いと謝ることが日本人の国民性なんだということを言って反省を求めている。それをしもあなたが原因がわからぬとかいうようなことを言うようじゃいけませんよ。第一それじゃ日昇丸の船員の証言というのはあなた方は信用しないのか。アメリカ人の言うことなら信用するが、日本人の船員の言うことは信用できないと言うのか。そういう情けないことだから国民は納得しないのですよ。たとえ一人の日本人の言うことでもそれを信用できるものなら信用して、事故の原因というのはわかるはずだ。まして同胞の言うことじゃないか。たくさんの日本人が目撃したことを信用できず、まだ結論が出ないなんて言語道断ですよ。じゃ、あなたは日本人の証言を集められてそれが信用できないとお感じになったのかね。
#104
○説明員(野呂隆君) 両者の調査結果を照合してみないと正確な結論が出せませんと、こういうことでございます。
#105
○寺田熊雄君 それじゃその日本人の被害者の言うことというものは、アメリカが自白しない限り、非を認めない限りは信用できないという結果になるでしょう。大体この事件を見たら大体どちらが――だってアメリカの潜水艦がぶつかったことは認めているんだから。しかも潜水艦なんてものは貨物船には見えないんだ。だから、貨物船がぶつかったことについて責任がない、過失がないことは明らかなんで、見えないところから出てきてぶつかった方に非があることは明らかでしょう。事案の性質から見たってそんなことは明らかなんだ。アメリカが自白しなければ客観的な判断ができないなんてこと自体がおかしいのですよ。私はこの事件のいままでの審議経過を見て不思議にたえなかった、日本の政府はどうして事実を把握しないのか、アメリカが自白しない限り日本人の船員の証言は信用できないというようなそういう間違ったあれをとるからばかにされるんです。
 じゃ、外務省にお伺いするが、マンスフィールド大使が伊東外務大臣に、レーガン大統領が遺憾の意を表したということを伝達したというのは本当ですか。
#106
○政府委員(淺尾新一郎君) 先週の土曜日でございますか、マンスフィールド大使が伊東外務大臣を訪ねた際に、今回こういう不幸な事件が起きたことについて自分個人としても遺憾に思う、さらにレーガン大統領あるいはレーマン海軍長官からも同様の遺憾の意を述べていることを伝達した、こういうことでございます。
#107
○寺田熊雄君 その遺憾の意というのは何についてなんでしょうか。つまり、アメリカの潜水艦によってこういう海難事故が起きたということに対する遺憾の意なんだろうか。それとも、よく言われるように、潜水唐が日本船員の救助など、いわゆる海の男として船長として救助義務を果たさなかったことに対して遺憾の意を表明したのだろうか。その内容はどういうことなんでしょうか。
#108
○政府委員(淺尾新一郎君) ただいま申し上げたとおり、マンスフィールド大使が伊東外務大臣を訪ねた際に申したことをそのとおり申し上げますと、今回の事件について遺憾の意を表明するとともに、行方不明の乗組員の方が安全に発見されることについて祈っている。また事故の調査につき日本政府に緊密に通知していきたい。第二点は、アメリカ海軍がマンスフィールド大使に対して、徹底的な調査を行うということを伝えてきている。第三点として、アメリカの海軍は本件事故につき調査中であるが、責任及び補償の問題についてはこれに取り組み、確立した経路を通じて迅速に処理されることになろう、こういうふうに述べているわけでございます。
#109
○寺田熊雄君 それからきのう、これは新聞報道ですが、太平洋司令官のロング大将が、総理大臣や伊東外相が首脳会談前にこの事態の調査結末というものを明らかにしてほしいと要望したことに対して、それは無理だというようなことを言われたようですね。しかも責任者の処罰もあるしということを言ったようだけれども、それも新聞の報道どおりそういう事実があったと聞いてよろしいでしょうか。
#110
○政府委員(淺尾新一郎君) 私自身ちょうど国会の審議がございまして、両方の会談に同席しておりません。そこで同席した人から聞いたところによりますと、伊東外務大臣の方から、今回の事件についてすでにアメリカ側に対して事故の徹底的究明、特に国会等でも問題になっております、なぜ通報がおくれたのか、あるいは人命救助について十分な活動をしていなかったのじゃないか、あるいは補償の問題等を挙げまして、再度ロング大将に対してこういう点について早急な解明と日本側に対する伝達ということを依頼したわけでございます。その過程の中でさらに大臣の方から、もし全部の解明ができないのであれば、少なくとも人命の救助がおくれた点、あるいは日本に対して通報がおくれた点等に対してだけでも早く通報してほしいということを要請したのに対して、ロング大将の方から、この日本側の御要望ということはわかるけれども、あるいはこれらのことがこの事件の責任者の処罰ということにつながるかもしれない、そこでそういう全体の調査結果に予断を与えるようなことをいわゆる中間報告の形で出すことはむずかしいと思うという話がございまして、それに対して大臣の方から、ぜひ中間報告といいますか、早く結果を日本の方に知らせてほしいということを重ねて要請し、さらにその前にロング大将の方から、アメリカ海軍としては三十日を目途にしてこの調査の解明を急いでいるというお話がございました。それを受けて、三十日ということになると日米首脳会談等の後にもなるかもしれない、そこで、ぜひ早くできるものからでも日本側に知らせてほしいという要請があったわけで、それに対してロング大将は、日本側の希望はよく理解している、こういうことでございます。
#111
○寺田熊雄君 つまり補償をするということは、この事故が不可抗力によって生じたものでないということを相手方も認めておることですね。つまり相手方が自分の過失を認めたに等しいわけです。不可抗力なら賠償の義務はありません。それから、責任者の処罰もあり得るというのは、やはり潜水艦の方に過失があったということをもうすでに示唆している。そういうことから見て、アメリカ側もすでにもう自己の方に非があるということは認めているに等しいわけですよ。そういうことをよくあなた方も考えていただかなければいけないですね。外務省としては確定的な判断をいませいというわけじゃないけれども、アメリカの潜水艦によってこの事故が起きた、しかもこちらに非はない、非はむしろアメリカにあるという中間的な結論をあなた方が持っておること、これは間違いないでしょうね。
#112
○政府委員(淺尾新一郎君) 私たちとしても国会の御議論あるいは新聞報道等もございますので、そういう点を踏まえて外務大臣の方からマンスフィールド大使、あるいは滞米の大河原大使からワインバーガー国防長官、さらに昨日は総理及び外務大臣からロング太平洋司令官に申し出たわけでございまして、アメリカ側としてはとにかくいまは真剣に調査に取り組んでいる、すでにその調査に着手しているということでございますので、現在アメリカ側に対してその調査が一日も早く日本側に伝達されることを期待しているわけで、明日にもまた再度伊東外務大臣がマンスフィールド大使に会って、この問題につき要請するということになると思います。
#113
○寺田熊雄君 何か半分認めたような、実際認めておるんだろうけれども、それをはっきり、断固とした表明でないですね。もうちょっとあなた方が自分の意見というものを持ってくれなければ困る。外交問題ではあっても、今回のように事案の性質から見て余りにも明瞭なことまで何か遠慮したりする必要は全くないのです。それではどうも外務省に対してわれわれが国家の運命を託するというのが不安でならないことになるでしょう。
 それから、ジョージ・ワシントン号は日昇丸との衝突の際には、核抑止のための通常任務に従事していたということを局長がすでに答弁されたという報道がありますが、これはそのとおりですか。
#114
○政府委員(淺尾新一郎君) 通常の任務に従事していたというふうに答弁したのは、そのとおりでございます。
#115
○寺田熊雄君 そういいますと、このポラリス型潜水艦というのは核弾頭とSLBMを積んでいるというのは軍事専門家の常識になっておりますが、これは防衛庁の方でも認められるでしょうね。
#116
○政府委員(塩田章君) 核を積んでおったというふうに私どもは認めるかということですが、それはわかりません。核を積んでおったかどうかはわかりません。
#117
○寺田熊雄君 一般の軍事常識として、核弾頭とSLBMを積んでおるということは軍事的な一般常識であることを認めるかということです。
#118
○政府委員(塩田章君) SSBNでございますから、そういうものを積むことを任務とする船であることは認めますが、この船にそのときに積んでおったかどうかについては私どもにはわかりません。
#119
○寺田熊雄君 これはあなた方が出した「日本の防衛」、この中ではっきりと、ポラリス型潜水監は射程が四千六百二十キロ、核――これはMRVの核ですね、これは二百キロトンの核弾頭、この核ミサイルが三つ核弾頭を積む、そして各十六基そのミサイルを持っているとジェーン兵器年鑑によって認めている、これは二百四十二ページで。どうですか。
#120
○政府委員(岡崎久彦君) 防衛白書の記述そのものは正確でございます。ただこれは、この時点の防衛白書でございまして、ポラリス百六十基、つまりこれは十隻と書いてございますけれども、現在二隻は廃艦されておりまして、五隻は攻撃型潜水艦に換装するためにドック入りあるいはもう換装が済んだと想定されます。ただいずれの唐名が換装されておるのか、あるいは現在浮かんでいる船であってもどの程度まで換装が進んでいるのか、その点についてはわれわれ全く情報を持っておりませんです。
#121
○寺田熊雄君 これについては、海軍省のスポークスマンがワシントンで十日、この原潜の被害が軽微で、原子炉及び核ミサイルに被害はなかったということを発表しているようですが、この報道は外務省なり防衛庁は掌握しておられますか。
#122
○政府委員(淺尾新一郎君) 十日の日にアメリカ海軍が、本件の事件にアメリカのポラリス型潜水艦が関係しているということを言ってまいりました際に、質問に答える形で、今回の事件でこのポラリス型潜水唐の推進系統あるいは武器系統については何ら損傷がないということを言ってきております。
#123
○寺田熊雄君 あなたとしては、このいわゆる海軍省の発表の、この船に積んでいる武器、原子炉等に被害はないというのは、いわゆるいままでのポラリス型潜水艦が積んでおったSLBM、バリスティックミサイル、それから核弾頭というように理解しておられるのか、どうなんですか。
#124
○政府委員(淺尾新一郎君) 先方が言っているのは、本船はジョージ・ワシントン号であって、SSBNであるということで、SSBNについては先ほども御答弁ございましたように、弾道ミサイル搭載の潜水艦であるというのがジェーン年鑑では明らかにしておりますが、現実に衝突が起きた時点で核弾頭を積んでいたのかどうか、それについては防衛庁と同じでございまして、われわれとしては現実にそういう核兵器の搭載があったかどうかということを明確に承知しているというわけではございません。
#125
○寺田熊雄君 特段のそれを否定する資料がない限りは、やはり一般の軍事常識によって考えないと判断を誤るのじゃないんですか。それはあくまでも否定する根拠というのがありますか。どちらでもいいですけれども。
#126
○政府委員(塩田章君) わからないということを申し上げているわけでございまして、否定する根拠があるわけではございません。
#127
○寺田熊雄君 このポラリス型原潜というものは、そのミサイルは射程が四千六百キロを超えているわけですよね。それは非常に長い射程で、アメリカの原潜の場合はソビエトの軍事施設、それから諸都市に照準を当てているということが軍事常識であることもあなた御存じでしょうね。
#128
○政府委員(岡崎久彦君) SLBMというものは地上のICBMに比べまして若干精度が落ちると言われておりまして、特にポラリスの場合は、これは古い、現在、最近配備されましたトライデントミサイル、あるいはその一つ前でございますポセイドンミサイルに比べまして若干精度が落ちるようでございまして、したがいましてきわめて限定的な軍事目標攻撃というよりも、最終的な報復手段に使うのではないかということは一般に言われてはおります。
#129
○寺田熊雄君 そういう射程の長いものが何で日本の近海に遊よくしなきゃいけないんですか。これをどういうふうに防衛庁としては理解していますか。
#130
○政府委員(岡崎久彦君) 核の使用につきましては、これは非常な機密事項でございまして、確たることは申し上げられませんけれども、西太平洋におきましては従来ポラリスもおりました。あるいは北氷洋あるいはインド洋あるいは日本近海、そこから到達し得るソ連の――ソ連と申しますよりも、最終的な抑止的効果のある戦略目標をねらっていると、さように理解しております。
#131
○寺田熊雄君 何か北米局長はすでに他の委員会で、これがやっぱり核抑止の機能を果たしているということを言われたんですか。
#132
○政府委員(淺尾新一郎君) どういうふうに正確に言ったか記憶しておりませんけれども、いわゆる弾道ミサイル潜水艦、それはアメリカの核抑止力の三つの柱の一つであるということを申し上げたと思います。
#133
○寺田熊雄君 これが九州の沖のような近くにいることが何か核抑止機能を果たしていると言って、これを評価するような答弁をあなたはせられたのじゃないですか。新聞にはそういうふうにある。
#134
○政府委員(淺尾新一郎君) こういう潜水艦が日本の近く、あるいは公海にいるということはどういうことかというお尋ねがございましたので、もし弾道ミサイル搭載の潜水艦であれば、それは当然にアメリカの核抑止力の有者な一環であるというふうに申し上げたわけでございます。
#135
○寺田熊雄君 ポラリス型潜水艦というようなものは、いまポセイドンあるいはその他また、トライデントまで発展しておるようですが、こういう戦略的なミサイルを持つ、核弾頭を積む潜水艦というものはアメリカのグローバルな戦略によって配置されているのであること、これは認めるでしょうね、防衛庁。
#136
○政府委員(岡崎久彦君) 元来、戦略核抑止力というものは、これはグローバルな平和を守るためである、これはもう基本でございます。ただ、その射程がある程度限定的であるという意味でもって、いわゆる戦域核的な使用ということも言われてはおります。ただ、基本的な御理解としては、それはグローバルな平和を守るための抑止力であるということで結構と存じます。
#137
○寺田熊雄君 そうすると、この「ジョージ・ワシントン」が日本近海に出没するというのは、これは安保条約とは全く無縁のアメリカの世界戦略に基づく配置によるプレゼンスと理解しなきゃおかしいですね。どうです。
#138
○政府委員(淺尾新一郎君) 日本の安全保障政策というのは、自衛力の整備、さらに安保体制の効果的な運用、第三として非軍事面における外交、政治、経済における貢献ということでございまして、日本として自衛力の整備に努めておりますけれども、核の抑止力についてはアメリカ側に依存するということでございますので、そういう意味でアメリカのこういう核の抑止力というものは日本の安全にも役立っているというふうな理解を持っているわけでございます。
#139
○寺田熊雄君 あなたのおっしゃるのは、そういう間接的な効果を言っておられると思うけれども、これがこういうところに存在するという、その潜水艦の九州沖におけるプレゼンスというようなもの、これは安保条約があろうとなかろうと、アメリカの対ソ戦略の上で全世界的に配置をされるその一つなんですね。だから安保条約に直接結びつくものじゃない、これははっきりしているんです。
#140
○政府委員(塩田章君) いまの御指摘の点は、それはそのとおりだと思います。
#141
○寺田熊雄君 そうなると、そういうアメリカのグローバルな戦略に基づいて潜水屋があちこちにおる、日本の近海に核を持った潜水唐がおる、それが一朝有事の際にソビエトと事を構えて攻撃すれば、今度はソビエトの方もまたそれに対して報復的な攻撃を加えることは、これはもう見やすい道理だ。どうですか。
#142
○政府委員(岡崎久彦君) 先ほどから核抑止力と申しておりまして、抑止力の考え方は、基本的にはソ連の第一撃に対して十分な生き残り能力を維持し、その結果それに対して報復的な攻撃を与える能力を持つ、その結果第一撃能力をも未然に抑止し得る、これが核戦略の基本でございます。
#143
○寺田熊雄君 そういう何か戦争戦略の原理を聞いているのじゃないのです。いま日本の近海におるのが世界戦略の一環として安保条約に無関係におるわけだから、それが一朝有事の際はこっちが……、それは第二撃として攻撃するか第一撃として攻撃するかは参事官の言われるようにそれはわかりませんよ。だけれども、ともかく第一撃であろうと第二撃であろうと、こっちから攻撃をしたら向こうから攻撃されることはこれは軍事的な常識として当然ではないかと言って伺っているのです。
#144
○政府委員(岡崎久彦君) 御説のとおり、第二撃能力の場合は、これは明らかに第二撃攻撃に対して向こうからも第二撃攻撃があるということを前提にしております。ただ、その結果これは両国が破滅的な被害をこうむるということで、その第二撃能力の前提となります第一撃能力も抑止しているということで核全面戦争を抑止している、で、そのための機能を果たしているわけでございます。
#145
○寺田熊雄君 いや、核抑止で全部抑止してしまえば戦争はない、それは一番万々歳で、われわれもそれを希望するけれども、あった場合は当然軍事常識上そうなるじゃないかと言っているんですよ。あなたいろいろなへ理屈を言ってあれするけれども、車箱に軍事常識をやっぱり肯定せざるを得ないのじゃないですか。
#146
○政府委員(岡崎久彦君) その点だけをとらえますれば、第二撃能力というものは相手側の第二撃報復を予測せざるを得ない、その点は確かでございます。
#147
○寺田熊雄君 そういうことを考えますと、私どもが一番やっぱり懸念するのは、そういうアメリカのグローバルな戦略で核を持ったものが領海に入らない、公海上であろうと日本近海に出没するということは、有事の際、あなた方は常に有事を考えておられるんだから、抑止でもう戦争がない状態を考えているのじゃないんだから、有事の際には、やはりあっちからも攻撃を受ける、日本が巻き込まれる、そういう結末にならざるを得ない。だからそういう潜水廣が日本近海に出没することは、日本の安全にとって決してプラスではない、マイナスだということを認めざるを得ないと思うのです。これは防衛庁長官どうです。あなたはどういうふうに考えるか、単純率直に。
#148
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。
 先生の御意見もさることながら、私はやはり総合いたしまして日本の安全に寄与しているものと考えています。
#149
○寺田熊雄君 長官のおっしゃることはよくわからないんですが、いま私がお尋ねした意味はおわかりでしょうね。これは北米局長はどういうふうに考えられますか。
#150
○政府委員(淺尾新一郎君) やはり先ほど来岡崎政府委員から御答弁しているとおり、現在の国際情勢というものを考えますれば、この核の抑止力によって世界の平和が保たれているということは何人も認めざるを得ないのじゃないか、こういうふうに思っておりまして、アメリカの抑止力が日本に対しても効果的に効いているということが、その意味において非常に価値があるというふうに考えておりますし、この抑止力が破れた場合にやはり戦争が起きるというふうに私としては認識しております。
#151
○寺田熊雄君 だから私がお尋ねしているのは、あなた方のいわゆる抑止力が破れて有事になった場合、あなた方は常に有事ということを考えて計画を立てていらっしゃるのだから、先ほど堀江議員のお尋ねもあった、それはすべて有事を前提にして、もっと武器をふやせ、装備をふやせと言っておられる。すべてそうでしょう。だからそのときのことを言っているわけだね。核抑止のためにずっと平和が保たれて戦争が起きないというならば、これはわれわれ万々歳であるけれども、そうじゃない有事の場合に、そういう原子力潜水艦、ことにそういう核弾頭を積んだものがおるということは、かえって日本の安全にとってはマイナスじゃないかということをお尋ねしている。有事の場合ですよ。
#152
○国務大臣(大村襄治君) 先ほど私が御答弁申し上げましたとおり、米ソ間の軍事力のバランスの問題は、核兵器も含めましてかつては非常に差のありました米ソ間のものが、ソ連が最近著しく質量ともに充実されまして米国に追いつこうとしている、そう言われておりまして、ものによっては追い抜いているものもございます。そこで米国自身も、カーター政権の後半以来はその面の充実強化にも当たろうと努力し、新政権も引き続いて努力を払おうとしておるわけでございます。でありますから、このまま推移すればバランスが崩れるおそれがあるということを申し上げたわけでございます。
 そしてまた今日の核戦力は、先ほど北米局長が申しましたとおり、三つの柱でございます。地上のICBMが第一の柱であり、第二は長距離の輸送機による伝達手段による方法が第二でございまして、第三がこの潜水艦による方法である、原子力エンジンを備えた原子力潜水艦が水中の移動能力もきわめて大きいという点で、他の手段に比べまして非常にすぐれた面もございますので、そういった三つの柱の一環として必要なものは配置する。相手の方が何もやっていないならその必要はないと思うのでありますが、相当やっておるということも事実でございますので、そういったことは理想から言えば好ましくないことは申すまでもないのですが、現実から見まして、私は総合しての抑止力を構成する上ではやむを得ないものである、そういう意味で先ほどお答えした次第でございます。
#153
○寺田熊雄君 委員長、私の質問に全部答えていないのです。
 有事の際にそういうものがおるということは、敵の攻撃を受けて日本にとってマイナスじゃないかということをお尋ねしているのに、抑止力で抑止するという、有事にならぬということを盛んに言っているわけですね。これは答弁にならないので、私の質問に対して答弁さしてくださいませんか。都合の悪いことは答えない、ごまかすというのじゃ、この安全保障委員会がもう無意味ですよ。
#154
○委員長(原文兵衛君) 寺田委員の御質問、私ども聞いておりまして、やっぱり御質問と答弁の間に関連がないとは私は思いません。やっぱり関連がある答弁をされているのじゃないでしょうか。
 ですから、その辺のことで、やはりなかなか御満足のいく答弁がすべて出るとは思いませんけれども、これでもってやっぱり質疑は続けていただきたいと委員長としては思います。
#155
○寺田熊雄君 いや、これは抑止力で戦争が起きないのだということを言っているのです。私は起きた場合のことを言っているのです。まるっきり答弁が違うのですよ。
#156
○委員長(原文兵衛君) では、いま寺田委員の質問の趣旨はよくおわかりでございましょうから、それに対して、それを前提としてどういうふうに考えられるかということで御答弁願います。
#157
○国務大臣(大村襄治君) 重ねてお答えいたします。
 日本近海にアメリカの原子力潜水唐が所在するということが日本の安全とどういう関係があるかという趣旨のお尋ねがございましたので、私は
#158
○寺田熊雄君 有事の際ですよ、有事の際。
#159
○国務大臣(大村襄治君) ちょっとその点がよく聞こえなかったものですから、失礼いたしたわけでございますが、いまは平時でございますので、私は先ほどそのように、その考え方がやはり有事にも関係があると。平時からそういうことが結局抑止力になるわけでございますので、有事が起こらなければそれにこしたことはない。また、仮に起こるといたしましても、それだけの抑止力があれば、ない場合に比べましてはるかに小さくて済む、そういう相関関係があると私は考えておるわけでございます。
#160
○寺田熊雄君 全然納得がいきませんね、ちょっとおかしいでしょう。有事の際にそれが存在することが抑止になるとは一体何事ですか。およそ軍事常識に反するでしょう。有事というのは弾が投げられる状態で、抑止じゃないんですよ。
#161
○政府委員(岡崎久彦君) 御質問の趣旨はよくわかるのでございますけれども、戦争というのは、これはもうありとあらゆる形態がございまして、千差万別でございまして、一概に言えないわけでございます。
 ごく一般的に申しまして、最終的に核を撃ち合う、これはもう戦争の最終形態でございます。こういうものは米ソの間でもこれだけは何とか避けたい、そういう願望があるようでございます。この願望があることは間違いないのでございますけれども、といって、その結果戦争というものが全部なくなったかと申しますと、決してそういうものではございませんで、現に戦後三十年間、これは米ソの核抑止力が中にありましても通常戦争というのは幾らでも起こっております。われわれといたしましては、最終的にはこれは核全面戦争はどうしても避けなければいけない。あるいは戦争が起こっても、これが核戦争に至ることだけは避けねばならない。またその前段階として、戦争が起こりましてもこれをきわめて小さな規模に抑えなきゃいけない。また、その前段階といたしまして、この戦争を抑止しなきゃいけない。その間におきまして、これはありとあらゆるケースが考えられまして、われわれがいま希望しております防衛力、核の抑止力はアメリカに依存しているのでございますけれども、それに至るあらゆる段階においてわが国の安全と平和を守る、国民の安全を守る、そういうために最も有用な能力として備えなきゃならないということでわれわれはしておるわけであります。
 ところで、御質問は、これは万々が一のとき、これはもう最終的な核大戦争になった場合はどうなるのだという御質問でございます。これはもう、そういうことを話すだけでも恐ろしいような感じの想定でございまして、たとえばいかなる戦争の好きな専門家でありましても、そういうことはやっぱり軽々に申し上げるようなことではないと思うのでございますけれども、そうすると結局繰り返しになりまして、核全面戦争というものはもう何が何でも抑止しなきゃならぬ。抑止するためには完全な第二撃能力を持つ、あるいは生き残る能力を持つ。そのためには、特に潜水屋というものは生き残り能力が非常にすぐれているということでございます。
 さらに進めて、それにもかかわらず抑止に敗れた場合はどうなるか。これはもう大変な問題でございますけれども、最近アメリカの専門家、特に国防報告でも言っておりますことは、あるいはソ連はそういうことを考えているかもしれない、核というものは抑止のために持つ、これが本来の戦略でございますけれども、戦争を遂行して勝っために持っているかもしれないということまでアメリカの政府が言っております。万が一そういうことになりますと、これはやはり核をも辞さない戦争ということになる。これはもう大変なことでございます。
 ただ、その場合は、日本近辺にポラリスがいるとかいないとか、そういう問題では恐らくございませんでしょう。これは恐らく世界的な大変な災厄でございまして、むしろそういう問題は最終の場合としてしばらくおいて、もっと現実的に可能性のある問題に備えましてわれわれの防衛力その他の問題を議論すべきだと、かように考えております、
#162
○寺田熊雄君 これはきわめて現実的な問題で、そのためにSALTはもう第二次まで調印されたようなことで、これは現実的なものでない恐ろしいものでなければ、われわれは何の心配もないわけです。われわれの政治家としての一番の任務は核戦争を防ぐことだとわれわれは考えている。だからこういうふうに一生懸命議論してお尋ねをしているわけで、恐ろしいことだ、だから米ソも理性を持ってそういうことはせぬでしょうというふうなことで安心はしておれないし、自民党の中でも核戦争を想定して、もう少しシェルターをつくらなきゃいかぬというような議論さえあるでしょう。その場合に、日本の近海にアメリカの核があることはソ連の核の報復を招いてかえって危険じゃないかという議論は、十分これは成り立つ議論なんです。そのことについてあなた方にお伺いしている。満足ある答弁が一向得られない。
#163
○政府委員(岡崎久彦君) そこまで詰めて御質問いただきますと、結局は最も生存能力を持っております核兵器でございます潜水艦、これが世界のあらゆるところでもって秘密に行動し得る、このことによってわれわれの平和が保たれている利益と、万が一の場合に、たとえばそこにもし潜水艦がいると発見された場合に、その近辺に潜水艦自身に対するいわゆるカウンタ・フォースの攻撃がございまして、そのそばにある日本が若干の被害を受ける一若干と申しますかその近傍の被害を受ける、そういうことの善と、そのプラスとマイナスを比べまして、いずれが平和にとって望ましいか。その場合、やはり核抑止力によって平和が維持されている、これがやはり現実である、現にまた従来までこれが有効に働いてきたと言う以外に言いようがございません。
#164
○寺田熊雄君 結局抑止力に戻ってしまった。だから結局答弁が得られなかった。
 抑止力が作用をして戦争がなければ、これはもう万々歳なんだと、そんな単純なことでわれわれが満足できるわけがない。われわれが中国へ行きますと、張香山さんが、米ソとの間の最終的な戦争はあり得ると断定をして、北京には地下五十メートルに縦横に地下ごうが掘ってある。みんなそういうことは想定はしているわけですね。あなた方は、核抑止があるからもう何にもないんだ、安全だ、抑止が大切だというようなことで答弁をするのは、本当に日本の安全を考えていない証拠だ、惰性で装備を大きくしよう、自衛隊を大きくしようと。それが本当に日本の安全に役立つか、日本人の生命を守るか、それを真剣に考えていない。余り長いこと言ってもなんですから、これはきょうはこの程度にして、さらにまた……。
 先ほどの日昇丸に移りますが、この原子力潜水艦ジョージ・ワシントン号がなぜ船員の救助を怠ったか、この点がどうしても理解できないんですね。視界が不良だから見失ったということをアメリカは言う。しかし、海上保安庁でもそういう視界ではなかったということをすでに答弁をしている。これはやはり多くの人が考えるように、そういう隠密な行動、所在を知られたくないという隠密な行動性のゆえに救助をちゅうちょしたと考えざるを得ない。これは塩田防衛局長としてはどんなふうにお考えになりますか。
#165
○政府委員(塩田章君) 今回の事件で幾つか私ども自身が不思議に思うといいますか、どうしてだろうと思うことが幾つかあるということを申し上げております。その中の一つが、救助を実際に全然行わなかったのかどうかもちろんわかりませんけれども、どうしてもっと救助の努力がなされなかったのであろうかということが私どもも一つの大きな疑問といいますか、関心を持っている点でございます。ただ、それをいま先生のおっしゃいますように、原子力潜水艦あるいはポラリスなるがゆえの隠密性と結びつけて、そのために救助しなかったのだろうということになりますと、これは推測でございますから、私どもがそういう推測をもっていまここでお答えをすべきものでもないし、その辺は恐らく何らかの事情があったのだろうというふうに思いますが、その辺につきましてはやはり米側の調査がいずれ出されると思いますが、それを待って判断をしたい、いま私どもがその隠密性を守るためにやらなかったのだろうというふうな推測をここで申し上げることは慎むべきことだというふうに考えるわけであります。
#166
○寺田熊雄君 もしこの日昇丸の船員でなくて、これがアメリカの船舶が沈んでアメリカ人が海上にほうり出されたという状態だったら、恐らくジョージ・ワシントン号は何をおいてもそれを救助したと、そこにやっぱり問題がある。第一、五分間浮上してといったって、アメリカのこの法典によれば、そばにおって救助しなきゃいかぬのだ、五分間おればいいという問題じゃない、視界不良だから去っていいという問題じゃない、これはアメリカの法典にはっきりとある。アメリカの海事法制を調べてみると、合衆国法典の第三十二編第六章「衝突またはその他の事故後の高級船員及び船舶所有者の一般義務」、これは、「自己の船舶、乗組員、乗客に重大な危険をもたらさないで、可能な限りにおいて、相手方の船舶のそばにとどまること、相手方の船舶並びにその船長、乗組員、乗客に、衝突により引き起こされた危険から、それらを救うために、実行可能で必要な救助を与えること」、これを義務づけられておる。三百六十八条には「救助を怠る場合の罪」、これはミスティミーナ、軽罪として千ドルの罰金、または二年以下の禁錮という規定がある。だから、これは単に公海条約に反するだけではなくして、アメリカの国内法にも反すると思うのですけれども、これはどうでしょう。
#167
○政府委員(淺尾新一郎君) 公海条約については、公海条約の規定でそれぞれの国がこの公海条約を実体のあるものにするように国内の法規を整備しろという規定がございまして、それを受けて現在、さっき御引用されたアメリカの規則というのができているというふうに私たちは理解しております。
#168
○寺田熊雄君 だから、五分間おって行ってしまったなんというのはまさにこの規定に違反しているのです。そこのところを考えれば、アメリカの潜水艦の船長の過失というか罪というか、これは免れがたい。
 それから最後に、余り聞くことがたくさんあるのでほとんど半分以上聞けなかったのですが、最後に伺いたいのは損害賠償の義務ですね。これはやはりわれわれが調べてみると、合衆国法典第十編第七千六百二十二条(a)項の一号、「海軍省所管にある軍艦またはその他の財産によって引き起こされた損害に対し、海軍長官は合衆国に対する海事損害賠償請求を行い、またはこれを行うことを確約し、海事損害賠償請求で百万ドルを超えない額を支払うことができる。」、それから、(b)項には百万ドルを超える場合には国会にこれを報告することを義務づけているのですね。こういう規定がある。この場合外務省は一体どういう作業をするのか。もともと損害賠償の権利者は船主であり船員である、これは被害者だから、何かマンスフィールド大使はイスタブリッシュト・チャンネルにのっとって損害賠償のことをお互いにやろうというようなことを言ったということを聞いたのですけれども、外務省は一体被害者とアメリカ国家との間の損害賠償の支払いに対してどういう仕事をするのか、これを伺いたい。
 それから、大蔵省の人は来ておられるかしら。
 この被害者がどういう損害保険をつけているかということです。何か一説によると被害者が、これは外字新聞によると、二百八十万ドルの損害賠償請求をする予定だということが書いてある、そういう点も外務省が把握しているかどうか。それから大蔵省は、保険関係がどうなっておるか、これを最後にお伺いして質問を終わります。
#169
○政府委員(淺尾新一郎君) マンスフィールド大使が言いました責任及び補償の問題について取り組み、かつこれを確立された経路において速やかに日本政府に伝達すると、この確立された経路というのは外交チャンネル等でございます。
 それでは外務省は一体この損害補償の問題でどういうことをするのかというお尋ねでございますが、この日昇丸とアメリカ側との関係、これは日昇丸自身とアメリカ側との直接の関係に立ってやるわけでございますが、外務省としてその間に入りましていろいろな側面的な援助をするつもりでございまして、現に日昇丸の田川弁護士という方がもうすでに任命されております。田川弁護士の方からアメリカ側のどこにまず最初に接触したらいいかというお尋ねがございまして、在京米大使館の担当の書記官を紹介いたしまして、その田川弁護士が担当の書記官に面接をしたというふうに聞いております。
#170
○説明員(松田篤之君) 保険の関係でございますけれども、この間沈没いたしました日昇丸関係では三つの種類の保険が掛かっております。一つは船体にかかわるものでございまして、契約者がいわゆる船主でございまして、日本の一社に対しまして四億円の保険が掛かっております。それからもう一つは船荷、荷物でございますけれども、これは詳細はちょっとわからないのですが、私どもの承知しているところでは、日本の保険会社六社に対しまして約八千四百万程度の船荷保険が掛かっております、これ以外に外国の保険会社に対しまして相当の金額が掛かっていると承知しております。それから三つ目の保険はいわゆる船主の責任賠償保険と申しまして、船主が船員であるとか捜索費用であるとか、そういったもの、たとえば、今回の場合ですと、もし行方不明者がお亡くなりになっていることであれば遺族補償であるとかそういったものを担保する保険でございますが、これはアンリミテッドということで、必要な船主が支払うべき額ということになっておりまして、これの契約者は、実際の船を裸用船をしております。船会社でございます。したがいまして、こういった三つの保険が、それぞれただいま報道されておりますような状況での沈没であれば、いずれも有責ということでまず支払われるということになろうかと思います。その支払われたものをどういう形で責任ある方に求償するかという問題につきましては、法律の手続が慣行上いろいろなやり方があるようでございますけれども、今後、先ほど外務省の方からお話がございましたような弁護士さんなどとも相談をして手続が進められるものと考えております。
#171
○寺田熊雄君 これで終わりますが、最後に、私は、本件衝突事故の真相を究明するため、また日本人の生命を守り、安保条約の運用についての検討に資するために参考人をこの委員会に御喚問願いたいと思うのですが、参考人はいずれも日昇丸の船員でありまして、黒沢芳郎二等機関士、片山斉二等航海士、竹嶋司三等航海士、今村春生機関士、千葉県男機関長、熊谷定三郎通信長、中津進甲板手、この七名をぜひ参考人としてこの委員会に御喚問をお願いしたいと思います。
#172
○委員長(原文兵衛君) 理事会で相談したいと思います。
#173
○寺田熊雄君 終わります。
#174
○渋谷邦彦君 初めに日昇丸の問題についてお伺いをいたします。
 今回のアメリカ原子力潜水艦ジョージ・ワシントン号による日昇丸沈没事故、その原因究明に当たっては、依然としてあるときはなぞに包まれ、まさしく霧の中という印象を深めるわけでありますが、海上保安庁としては、先ほどの答弁を伺っておりまして、日本側としての原因調査、私の聞き違いがなければ必ずしも明確ではない。しかし、考えてみますと、わが国の近海あるいは瀬戸内海等々において船舶同士の衝突がある、片っ方が沈む、そういう場合がある、当然海上保安庁として審判庁あたりを通じましてその判定を下す場合が出てくるであろうと思います。ですから、今回の場合は明らかに生き残りの船員の方がいらっしゃる。それが証言がさまざまな食い違いを持っているということになれば果たしていかがなものであろうかという疑問が出ることは常識として考えられますけれども、少なくとも私どもがいままで掌握している限り、新聞報道あるいはテレビニュースを通して大体共通した、一致した証言が述べられているということになると、これは日本としても明らかにアメリカ側に責任があるということを明確に表明する必要が当然あろうと思うのです。それに先立って、アメリカ側はすでにもうそのことを一応陳謝の形で述べている。あべこべではないかという感じがしないではない。やはりこの種の問題については、日本側独自の調査に基づいても原因の究明というのは大変むずかしい問題なんでしょうか。
#175
○説明員(野呂隆君) 今回の事故の原因調査につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、日昇丸の乗組員あるいは関係者等から事情を聴取いたしまして、現在その内容を整理中でございますが、いままでに私どもが判明しております点につきましては、日昇丸が当時通常の航行をしていたということは申し上げられるかと思います。
 なお、相手船のジョージ・ワシントン号につきましてはそのときどういう航行をしていたか、日昇丸の乗組員の供述はございますが、相手側の調査結果も見なければ正確な結論は出せないと、こういうことを申し上げているわけであります。
#176
○渋谷邦彦君 今回の場合でわれわれ素人的な判断をいたしましても、唯一の手がかりであったのはP3Cの問題なんです。これは船員はみんな認めているんですね、もしP3Cが上空を飛んでいなかったとすればどうなるんだろうと、わかりませんよ。黒っぽい物が見えたとか見えないとか、それだけの証言しかできない。幸か不幸か星のマークのP3Cが飛んでいた。そして、後で調べてみると三沢基地を飛び立っているということが確認されているわけですね。もうすでに十日近くにもなるこの状況の中で、もう明確にやはり被害者は日本の船舶であり、加害者はアメリカの艦艇である、しかもそれは原子力潜水艦である、こういう公表をすべきではないかという立場にあるのが私は海上保安庁であってもしかるべきであろうと思います。あと何が必要なのか、日本の立場として。パーフェクトなその調査というものは、それは考えられないにいたしましても、相手もあることですから、相手の証言を待たなくてはならぬという場合もございましょう。しかし、これだけ材料がそろっていて、この事故の原因というものが、それがもう今日の段階において明確にされないということは非常におかしな、また国民が抱いている気持ちの中にも何となく割り切れない、そういう気持ちがあるということが一つ。
 それからもう一つは、こういった海難事故が起こった場合に、その調査をし、その結果がわかるという場合にいろいろなケースがあるだろうと私思います、通常どのくらいの期間を経て結果というものが出るものなんですか。何カ月ぐらいかかるとか、何日ぐらいでその原因がわかるとか、そういう期間的にどのぐらいのあれが――まあ、いろんな状況によって違うと思いますよ。幾つかの事例をそこで述べていただいて、こういう場合にはこのくらいの日数がかかります、この場合にはこれだけの日数が過去においてかかった経過がありますということを参考までに聞かしてくれませんか。
#177
○説明員(野呂隆君) 衝突事件は多く発生いたしておりますので、そのケースが非常に多く、いまここに事例は持ち合わせておりませんが、たとえば日本船同士の衝突でございまして、両者から同時に事情を聴取し、またその目撃者等もおるという場合には、一カ月というような、そんな長い期間は要せずに、恐らく一週間ぐらいで結果は出ると思います。それから相手船が不明の場合であるとか、あるいは相手船が外国船である場合とか、そういう場合はいろいろ手続とかその他がございまして、これは先生がいまおっしゃいましたように、数カ月かかることもしばしばございます。
#178
○渋谷邦彦君 今回は生存者がいたおかげでその証言がなされた。証言してくれる人がいなかった場合これはえらい問題ですね。それで、いろいろな資料を見てみますと、この十年間余りの間に太平洋の海域の中で、しかも日本に近い方の海域の中で九隻ばかり沈没している事故があるわけでしょう。最近においては四十四年あるいは四十五年、昨年の暮れ、近くはマルコナ・トレーダー、リベリア船、こういったぐあいにある。まあマルコナ・トレーダー号の場合にはぽっかり穴をあけられて千葉県の君津港に入ったからまだよかったんです。ところがほとんどは原因不明でしょう。こういった原因不明について最近の船舶の技術的な問題もいろいろ云々されている面も伝えられております。鋼板が薄くなったとか厚くなったとかいろいろなそういう問題もあるようです。あるいは天候不良のときにそういう事故に遭ったというようなことも指摘されているようであります。しかし、同じような海域の中でしかも続けて大型の船舶が沈没している。海上保安庁としてはその原因不明というものはどこまで行っても原因不明で片づけてしまうのか、あるいは考えられるいろいろな想定をなさっているのか。こういう場合もあり得るのではないか、その、あり得る場合があるのではないかという中に今回の不幸な事故と同じようなケースが考えられはしまいか。その辺の判断をどのように海上保安庁としては持っておられるか。
#179
○説明員(野呂隆君) 目撃者がいなくて原因不明の場合、非常に原因の調査については困難を伴うわけでございますが、海難原因の調査につきましては海難審判庁の方で日本船については調査を主としてやっておられまして、私どもも、もちろん事件としてその捜査を行っておるわけでございますが、いままでのところ、残念ながら原因が非常にわかりにくいという事例もございます。しかしながら、今回のような衝突によってあるいは沈没したのではないかと思われるような場合には、私どもは原因の調査とともに相手船の捜査ということをやりまして、できる限りその方面からも原因探究のために調査を手がけるようにいたしております。
#180
○渋谷邦彦君 それならば一例を挙げれば、マルコナ・トレーダー号の場合にはどういう原因があったと思われますか。
#181
○説明員(野呂隆君) マルコナ・トレーダー号につきましては、日本船ではございませんし、また公海上で起きた事件でございますが、この海難の状況につきましては、去る四月五日にこの船が木更津へ入港いたしておりますので、その際、海上保安庁を初め関係省庁の担当者が同船に赴き、関係者から事情を聴取いたしております。そしてその結果を現在整理中でございます。
#182
○渋谷邦彦君 しかし、海上保安庁としては長い経験をお持ちになっていらっしゃるわけだから、ぼくら素人から見た場合でも船首がぽっかり穴があいたというのは、これはちょっと常識では考えられない、座礁したとも思えない、何かほかのものにぶつかったのでもなさそうだ、しかも公海上で起きたどうも破損らしい。と言うと激浪を受けて破れるようなそんな、幾ら何でも石炭五万五千トンを積んでいるわけですから考えられない、ということになるとという疑問が今回のジョージ・ワシントン号に関連して考えざるを得ないなという側面も生まれてきはしまいか。あのあき方というものは通常どういうことが考えられるのですか。どうすればああいう穴があくのですか。
#183
○説明員(野呂隆君) いろいろな原因があろうかと思いますが、先生御指摘のとおり非常に船体が古くなって、荒天に遭遇したというような場合とか、あるいは船体の部分であれば衝突によって起こり得る場合もございますし、あるいは陸岸に近いところであれば乗り上げ等の事故によっても破口を生ずる、そういうようなことはあろうかと思います。
#184
○渋谷邦彦君 それはわかっていますよ。ですから、いま私申し上げているのは、マルコナ・トレーダー号の場合、あれはどういう原因が考えられるかということを聞いているわけです。いま調査中とはおっしゃった。だけれども、長年の経験に立脚して、ぱっと見た瞬間これはこうじゃないかというある程度の判断、細かい調査は結論が出るまでは別問題として、そのくらいの判断はできるのじゃないですか。
#185
○説明員(野呂隆君) いろいろな原因が複合して起こっているのではないかと思いますけれども、いまのところ事情聴取した結果を取りまとめ中でございますので、どういう理由で起こったかということにつきましては答弁を差し控えさしていただきたいと思います。
#186
○渋谷邦彦君 それなんですね、答弁を差し控えさしていただきたい――またなぞが一つふえるんですよ。疑問が次から次へ新しく生まれていくわけなんだ。われわれの恐れていることがまた起きはしまいかという、その不安が増幅していくわけですよ。しかも、今回の「ジョージ・ワシントン」の場合は近海に近いと言ったっていいわけですよ、そうでしょう。そういうところで起こっていることを思いますと、いままでの過去における事故についてもあるいはという、そういう疑惑がどうしても出てこざるを得ない。いまいみじくも野呂さんはおっしゃった、ちょっと控えさしていただきたい――そこにまた勘ぐりが出てくるんですよ。そういうところはやはり明快にしておく必要があるのではないかという感じがしてならない。まあこれはこれ以上申し上げても、いま最後のその、答弁を差し控えさしていただきますということで、含みのあることをおっしゃったわけですから、そういうことをきょう答弁されたなということを記憶しておきます。
 そこで、今後こうした事故が二度と起きない――まあ公海上はこれはいかんともしがたい場合があるかもしれません。しかし、少なくとも近海において、あるいは近海からちょっと公海に出るような地域あるいは距離、そういったような状況の中で何とか事故を未然に防ぐ方法としていろいろなことが言われているわけです。レーダーの設置の場合もございましょうし、あるいはソナーの備えつけの問題等もあるやに聞いております。そういう点については、その万全の策をこれから対応策の一環としておとりになるとすれば、いま私が指摘をした点についてはどのように海上保安庁としてはお考えになっていらっしゃいますか。
#187
○説明員(野呂隆君) 海上交通の安全を担当いたしております海上保安庁といたしましては、日本周辺海域におきますあらゆる船舶の動静と海洋に関する諸情報をできるだけ適確に把握いたしまして、安全の確保に遺憾のないよう対応していきたいということで体制等の整備を図っております。
 しかしながら、最近における幾つかの潜水艦絡みの事件がございますように、特に水中の情報については現在のところなかなかこれをつかめないというのが現状でございます。したがいまして、こういう方面につきましても適切な施策はないかということにつきまして現在検討しておるところでございます。
#188
○渋谷邦彦君 まあ恐らくこれを検討されて実用化されるという段階になりますと、これは非常に言うべくして言えないような中身になってくるのと違いますか。そのおそれはない、そういう前提に立って、いまおっしゃったように検討ということはできないということの反語ではないように、それは具体化するということが必要でございます。国会の答弁には、検討するとか前向きに努力するということは往々にしてできないということの裏返しになる場合があります。果たしていま検討されているその取り組みの中で、いまどのような方向に向かって具体的にそういう問題をお詰めになっていらっしゃるかどうか、あわせてお聞かせをいただきたい。
#189
○説明員(野呂隆君) 水中の探査能力ということにつきましては、ただいま出ておりました潜水艦を探知するということばかりではなくて、沈船あるいは海上構造物、こういうものの位置確認等によりまして海上交通の安全、それから海難の防止、こういうものを図るために巡視船に装備するものでございまして、これからそういうことにつきまして検討してまいりたい、こういうことでございます。
#190
○渋谷邦彦君 くどいようですが、それは期待してよろしいんですか。検討ということは、これから始めるのか、もうすでに進んでいるのかということを私は聞いているんですよ、
#191
○説明員(野呂隆君) これから始めるところでございます。
#192
○渋谷邦彦君 これ以上申し上げてもなかなか言いにくい問題もあろうかと思います。
 次に、昨日、総理大臣と伊東外務大臣がロング太平洋司令官にお会いになられた、そのくだりについては先ほど淺尾さんからも御説明がございました。それを伺っておりますと、できるだけ早い機会、できれば三十日ぐらいまでにアメリカ側として回答を出したいということは、それがぎりぎりの線であり、むしろ延びる可能性もあると理解してよろしいですか。
#193
○政府委員(淺尾新一郎君) 先方の言い方は三十日をめどということでございまして、三十日を越えるのか、あるいはそれより短縮できるのか、こういう点については必ずしも的確にわかりませんけれども、一応その三十日以内にやりたいという気持ちはアメリカに強いようであります。
#194
○渋谷邦彦君 一番いま問題にされるであろうと思われておりますのが日米首脳会談だと思うのです。これは、われわれならずとも政府自体が深刻にそれを受けとめながら、できることならば首脳会談前に決着をつけたい、しかし、それが延びればその問題があるいは中心議題になってレーガン大統領と合わざるを得ないというようなそういう行き方になる可能性もある。それは、アメリカ側としてもいまは日本の国内世論というものを十分認識をされながら三十日めどということを恐らく回答されてきたのだろうと思います。
 なお、これはもう伊東さんがしばしば強調しておりました、きのうの外務委員会でもそのことを言われた、何とか中間報告でもと。しかし、その中間報告を求めれば、先ほどのお答えのように、あるいは責任者に対する処罰の予断を与える結果にもなりかねないという配慮もあるようでございまして、これは中間報告は事実上できないというふうに私は確認をしたのですが、できないとするならば、三十日めどと言ってもあとわずか十日そこそこでございます。そういった回答の中には、かねてから政府を通じて申し入れをしているような問題点について全部回答が寄せられると期待してよろしいですか。
#195
○政府委員(淺尾新一郎君) 大臣が従来から言っております点について、すなわち、なぜこういう事故が起きたのか、なぜ通報がおくれたのか、あるいは人命救助活動が十分でなかったのではないか、こういう点について重ねてきのうもロング太平洋司令官に対して申し入れておりますので、私たちとしては、こういうものがすべて盛り込まれた回答が来るということを期待しているわけでございます。
 なお、先ほど三十日の点について申し上げましたが、きのう大臣自身が記者会見で三十日以内ということを言っておられますので、恐らく三十日より短くなるという感じを大臣自身はつかんでおられると思います。
#196
○渋谷邦彦君 次に、いま北米局長それから海上保安庁の方からの答弁を導入部分といたしまして、本論に入らさせていただきたいと思うのでありますが、予算委員会、これは衆参を通してでございますけれども、しばしば議論の焦点になりました防衛大綱の見直しであるとか、中期業務見積もりの早期達成であるとか、依然として火が消えないまま今日に持ち越されてきているという感を深めるわけであります。
 先般、伊東外務大臣が訪米された際に、米国の首脳に会われでいろいろな話し合いをされた、その経過についてもすでに発表されております。
 そこで、一番問題になりましたのは、日本に対する防衛力整備のための増強といいますか、あるいはもっともっと日本として防衛力を分担してもらいたい、願望を込めたそういう要請が具体的ではないにしろいろいろな政府首脳からあったことを確認をしておりますし、かねて私が申し上げたとおり、わが党の矢野書記長が訪米した際にも同じような答弁が返ってきているのです。ということになりますと、アメリカ政府は共通した考え方の中に日本に対して大変強い防衛力増強を根幹とした協力を求めているという姿勢は今後も崩れないだろう。かてて加えて、ちょうど四、五日前ですか、マンスフィールド大使が日本新聞協会において演説をした。これがいままでの前例を破って、オフレコではない公開の形にして述べられたということが伝えられております。もうすでにその点は承知をされていらっしゃると思います、ここでも明確に言われておりますのは、あえて細かいことまで触れる必要は毛頭ないと思うのでありますけれども、現状においては日本の防衛大綱から見るとはるかに低い能力しか現在考えられない、防衛力それ自体が。もっともっと少しスピードアップをしながら防衛力を整備すべきではないか。これからインド洋あるいはペルシャ湾等々においてスイング戦略をアメリカ側が行った場合に、当然その一翼を日本が負ってもらいたいと思うし、そのためには一刻も早く防衛大綱に見合う防衛力の整備を図ってもらいたい、それは表向きなんですね。ところが、いまの状況では実際物潜在脅威に対して通常兵器を用いた侵略に対しては対抗できない、だから、整備というものそれ自体を考えてみて、もっともっとやはり機能的にも十分能力が発揮できるようにレベルを上げるべきではないか、大体そういう趣旨のことを述べられたと私記憶しているのです。
 これは、もう言わずもがな、レーガン大統領の意思を受けて公にこういった主張を展開されたのである、こういうふうに私は理解しておりますけれども、まずその点から防衛庁長官として、大村さんとしてその点についてはどのように理解をされていらっしゃるかという点からまず伺ってまいりたい、こう思います。
#197
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。
 米国政府といたしましては、厳しい国際情勢にかんがみまして、みずからも非常な決意で国防の充実を図るとともに、同盟国に防衛力増強を要請しているということは事実であると思うわけでございます。
 そこで、わが国に対しましても一般的にひとつそういう方向でみずからの努力を払ってほしいということは述べられておるわけでございますが、ただいま非常に微妙な表現でおっしゃいました防衛計画の大綱に触れてのお話はいままでなかったのではないか、私どもそう考えておるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、現在の防衛力の水準におきましては大綱の線にもまだまだ達しておらないわけでございますし、また質的な面から見ますると、大いに改善を加えるべき余地も大きいというふうに考えているわけでございますので、当面の問題としてはやはり大綱の線に速やかに到達するということを目標にいたしまして防衛力の整備を図っていく所存でございます。また大綱の線に近づけば近づくほど米側の要請している期待にも相当こたえることができるのではないか、そのように考えているわけでございます。
#198
○渋谷邦彦君 大綱の線までできるだけ早くというのは何年を目途とされていますか。
#199
○国務大臣(大村襄治君) その辺のことはほかの事情もございますし、まだ具体的に何年というところまではいっていないわけでございます。先生御案内のとおり、現在進めております五三中業は五十九年までの計画でございますが、これが実現いたしましても大綱の線にはかなり差があるわけでございます。次の中業の策定に当たりましても、そういった点も念頭に置いてできるだけ早く達成できるようにしなければならないということでいま準備の作業をこれから始めようとしているところでございます。
#200
○渋谷邦彦君 日本語というのはいろいろなニュアンスを含んだ表現がございまして、なるべく早くと言うと、半年先も早くということになるし、一年先も早くということになるし、その辺はあえて問おうとは思いません、
 ただ、ここで早くやったことによって次のまた要請、いまも答弁の中にございました防衛力を整備するためには質的な向上が必要である――どこに基準を置いて今後その能力を高めるための取り組みをなさろうとしているのか。いま具体的に私は陸上とか海上だとか航空というふうに聞いておりません。これはまた次の機会に聞く場合があろうかと思いますけれども、どういうところまで水準を高めることによって、まあ不満は残るけれども一応満足すべき状態、しかし、一方においては財政再建という問題も抱えておる、そういう絡みの中であるいは短期、中期、長期という展望に立った場合、これもできるだけ早くということになるのか。そしてまた質的なというのは何を基準として質的と言っているのか。それは外国との比較においてやっているのか、いままでの古い兵器との比較においてやっているのか、そこらあたりを概要だけで結構でございますのでお述べをいただきたい。
#201
○国務大臣(大村襄治君) お尋ねの点でございますが、個々にわたりますと時間がかかりますので、概要というお話でございますので、ごく概要だけをお話し申し上げたいと思います。
 まず、兵器を含めての装備の近代化の問題でございますが、自衛隊創設以来三十年経過しておりまして、中には創設当時米軍から供与されたものもいまなお使用されているという状況でございます。こういったものを現代の水準において役に立つようなものに取りかえる必要があると考えておるわけでございます。まあ陸海空にわたりましてそれぞれまた事情も違いますので、一概に申し上げることは不正確かもしれませんが、通観しましてそういうことは言えると思うのでございます。
 その次に、正面装備だけではいけない、やはり後方の装備も充実しなければならない。特にわが国の現状におきましては、継戦能力、抗堪能力あるいは即応性、そういった点が不足しているということも言われておりますので、そういった点も正面の改善に歩調を合わせるというとちょっと大ざっぱな言い方になって恐縮でございますが、そういった点のバランスもとれるようなことにも思いをいたしていかなければならない。
 まあ概括的に言えというお話でございますので、短くまとめますとそういった点が質の面の重点ではなかろうかと、さように思うわけでございます。
#202
○渋谷邦彦君 いまお述べになったその構想というのは、今日までもずっと述べられてきたお考えであることは理解をしております。ただし、それを充実させるためには一方においては財政措置が必要になってくる。そしてまた、いま恐らく国内を中心とした点に的をしぼりながら古いものを新しいものにかえていく。しかし、それには必ず外国との比較があるはずだと私は思うのですね。そうすると、これも軍事機密になるのかどうかわかりませんよ。私は軍事専門家じゃございませんから、時折ただ率直な素朴な考え方をぶつける場合があって、それがあるいはその機密に属するということになればこれはいかがかと思いますけれども、それは避けてくだすって結構だと私は思います。ひとつここで確認をしておきたいことがある。
   〔委員長退席、理事堀江正夫君着席〕
 まず、列強と言うといろいろ言い方に語弊があるかもしれません。しかし、少なくとも日本よりははるかに防衛能力――軍事力と言った方がいい、が、すぐれている、まさっているという国々と比較をしてみた場合に、これも総合的な言い方になります、航空、海上、陸上ということになりますから、何年ぐらいおくれていると判断されていますか。
#203
○政府委員(塩田章君) 大変むずかしい問題でございますけれども、たとえば陸上の戦車とか火砲とか、そういうもので現在各国の一流の陸上部隊の持っておりますものと比べていまの自衛隊がどうかというようなことになりますと、たとえば戦車なんかで言えば、現在の七四式戦車は、現在の各国の主力戦車とは比較できるけれども、次の世代の戦車がすでにもう装備化されつつあるという状況におきましては、やはり一世代おくれておりますと言わざるを得ないと思います。火砲に至ってはもっともっとおくれていると言わざるを得ない。第二次大戦あるいは朝鮮戦争当時の米軍の火砲がいまだに相当数占めている状況でございますから、そういう意味では年数何年ということもちょっと申し上げにくいのですけれども、かなりおくれでいると言わざるを得ないと思います。
 それから、艦艇なんかで言いますと、ごく最近就役しております艦艇につきまして言えば、同型艦と言いますか、大体同クラスの艦艇に比べて内容的に遜色のないものができつつあるというふうに言えると思いますけれども、隻数においてはこれは問題になりませんが、いまの最近就役しておる船と外国の同型艦と比べればそんなに遜色のないものではないか。ただし個々に持っております対潜の捜索能力とか、そういうことにつきまして当たってみました場合に、まだかなりおくれておるということも言えるかと思います。
 航空機について見ますと、これも概括的な話でございますが、御承知のように、日本の航空自衛隊の場合、今度戦闘機で言えばF15を導入をいたします。それから、海上自衛隊の方の飛行機でございますけれども、P3Cを入れます。あるいは航空自衛隊でも警戒機としてE2Cを入れます。こういうような航空機について申し上げますと、これは数は別でございます、質で言いますと、現在の世界の各国の第一線航空機の中で超一流であるということは、これはもう申し上げられるわけでございます。
 そういうことで、きわめて概括的に申し上げまして、いまお尋ねがそもそも量の話でなくて質の話でございますから質について申し上げますと、一概に何年というふうな言い方は大変むずかしいですが、陸海空概括的に申し上げますと、以上のようなことではないかと思います。
#204
○渋谷邦彦君 妙な話ですけれども、じゃ現状のままではその通常兵器を使ってやった場合、これはもちろん起こしてはなりませんよ、なりませんけれども、やっぱり防衛を論ずる場合には万が一ということを想定しながら論じなければ意味が全くないわけですから、全く戦闘にはたえられないそういう火砲がずらっと並んでいる、戦車もそうだ、こういう理解になりますか。
#205
○政府委員(塩田章君) 決してそういうわけではないと思うのです。というのは、戦車にしましても火砲にしましても、やはり日本の場合は専守防衛でございますから、日本の地形で戦うということになった場合に、その地形を生かすとかあるいは隊員の訓練の度合いでありますとか、性能以外の別のいろいろの要素が当然加わってくるわけです。そういうことを総合勘案していけば、単純に片一方は二万メートル飛ぶ、片一方は一万五千メートルしか飛ばない、だから必ず負ける、こういうわけのものでは私はないと思うのです。しかし、単に大砲だけあるいは戦車だけの能力を比べれば一定の比較はできますが、だから使い物にならないというような性質のものではない、私はそういうふうに思います。
#206
○渋谷邦彦君 それを聞いていささか安堵するんです。先ほどの答弁を聞く限りにおいては相当おくれているということになると、これはもう全然役に立たないと短絡的に受けとめればそういうことになりかねない。それが防衛力増強の突破口にされたのではまた困るというわれわれは心配が実はあるわけです。それを念を押していま聞いたところが、やはりさすが防衛局長です、うまく最後まとめていただいた。
 しかし、アメリカ側の判断というものは、いみじくもいまおっしゃった相当やはり通常兵器を用いた場合の戦力としても現在日本が保持している状況では対抗できない、しきりに防衛大綱を早く完成してくれ、中業を早く達成してくれという以外に、もう一つの含みを持ったやはりレベルアップというものを要請しているような印象を受けてならない。これが恐らく今回の日米首脳会談で必ず議題になるであろう、そしてまた、六月ごろに予定されていると言われている防衛庁長官の訪米の場合にも具体的な問題として表面化する可能性が十二分に考えられるのではないか、そういった場合に、従来のように憲法の枠組みである、専守防衛である、あるいは非核三原則を堅持しなきゃならぬ、それはもうわかっています。しかし、それを一応向こうでは認識をしながら、理解を示しながらなおかつ何とかせい、こういうわけですね、単純に言えば。そういった場合に、いまの防衛庁として全く冷ややかな態度で避けることができるのか、それだけの自信があるのか。もちろんアメリカから一々言われたからこうします、ああしますということではないにいたしましても、日本独自の判断に立って主体的に防衛力の整備をやることはあたりまえの話です。言うなれば、善意に解釈すればアメリカ側がそれに対して助言をしているということかもしれない、やるのは日本ですから。そういった場合に、向こうのある程度の願望を込めたそういう要請にあくまでも突っぱねて、突っぱねるか、弾力的な返事をするか、やりますという答えになるか、三通りあるだろうと私は思うのです。必ず出ますよ大村さん。大村さんが行く前に日米首脳会談でこれは火を吹くであろう。それはマンスフィールド大使の発言においても、あれだけ温厚な方が非常に厳しい強い口調でもって言われたということは、今日のアメリカ政府の外交方針であり、また、防衛についての日本に対する期待感が非常に強いという象徴的な発言であったろうというふうに私は思うのですよ。それについて大村さんとしてはどういう感触をお持ちでございますか。
   〔理事堀江正夫君退席、委員長着席〕
#207
○国務大臣(大村襄治君) 米側がきわめて厳しい考え方を持っているということは、私もいろいろな資料なりあるいは矢野書記長を初め、先方に行かれた方々のお帰りになってからの話も聞きまして承知をしているわけでございます。ただ、これに即してわが方の臨む態度で申し上げますと、先方はよく理解をしているとは言っておりますが、やはり憲法の制約、非核三原則等、これを踏んまえつつわが国みずからの防衛努力を一層進めていかなきゃいかぬ、さように考えているわけでございます。
 具体的には先ほど私ちょっと急ぎ過ぎまして供与品ばかりのようなことを申し上げたのですが、それはそうではございません。これまで毎年度お認め願った予算の範囲内で装備の改善を図っておりますので、戦車にいたしましてもあるいは大砲にいたしましても飛行機にいたしましても、一部もしくは相当部分について近代的な水準に見合うだけのものもでき上がりつつあるわけでございますが、まだまだ足りない部分がたくさん残されております。そういったものをひとつ防衛計画の示す線に数量とともに質もそれに伴うように早く持っていく必要が当面の急務ではないか、また、これを実行すればアメリカの期待にもかなりこたえることができるのではないか、さように考えている次第でございます。
#208
○渋谷邦彦君 そこで、質的な向上を図る一環としまして特に航空機については、変な言い方をすると、お仕着せみたいなことになっているわけですね。そうではなくして近い将来、いますぐにとは申しませんよ、質的な向上を図る一環として、また日本が独自の主体性を堅持する上からもたとえば戦闘機、偵察機――まあ戦闘機という言い方はいかがかな、むしろ要撃機と言った方がいいのかもしれない、そういったものの開発にまで道を開く考え方があるかどうか。確かに日本の航空技術というものは戦前においては非常にすぐれたものがあった。また、建艦にいたしましても大変すぐれた知識があった。しかし、それは残念ながら軍拡への道を歩んで今日の不幸な事態を招いたということも記憶に新しいところでありますけれども、いま最小限度において予算の許す範囲においてなおかつ質的な向上を図ろうという、その背景には日本独自の開発というものがやはり頭の中に想定されてきやしまいかということがどうしても私の頭から離れないのですが、いかがですか。
#209
○政府委員(和田裕君) ただいま先生の方からわが国独自の要撃機あるいは偵察機の開発というようなことを考えているかどうかという御質問がございましたけれども、現在私どもはCCVというような検討をしておりまして、これは戦闘機の姿勢を変えることなくして位置を変えるというような非常に新しいアイデアの、たとえば戦闘機をつくる場合、要素研究をしているわけでございます。こういったような研究を通じまして将来の要撃機あるいは偵察機等、そういう最新式の航空機の開発の検討を行っているということでございます。
 また、そういった第一線機ではございませんけれども、中等練習機の試作につきましても五十六年度におきまして開始することにしておりまして、わが国独自の装備品の開発には私どもとして予算の範囲内で精いっぱい努力しているつもりでございます。しかしながら最新式の戦闘機というものは大変いま各国とも開発費が高くなっておりまして、アメリカの場合で言いますと、大体十数億ドルから二十億ドルぐらいかかる。それからヨーロッパにおきましても、NATOのイギリス、フランス、ドイツが共同開発しておりますトルネード等におきましても大変な金額がかかっておるようでございまして、最近はその予算超過がドイツの国会等でも問題になっているようでございますが、そういうようなことでございまして、巨額の金がかかるということでもございますので、そこら辺につきまして、われわれとしては、開発したいという気持ちを片や持ちながらも、片や当面の問題としては、そういったような予算の制約と、それから外国から導入した場合のメリット――予算制約下における研究開発のメリットと、それから外国から導入した場合のメリットというようなことをいろいろ考慮して戦闘機の取得の形態を考えざるを得ない、こういう状況になっておるわけでございます。
#210
○渋谷邦彦君 私はいますぐれた技術、知識というものを持っているということを申し上げました。最近、これも報道ですから確かなことはわかりませんけれども、アメリカの海軍長官が、原子力潜水艦のいわゆる船体ですね、これを日本に発注したいという願望を漏らした。これは武器輸出三原則によって当然できないことはわかり切った話ですけれども、アメリカ国内ではいま建造計画はもう満杯である、したがってできないところを日本に、こういう問題がこれからも起こってくるだろう。その一環として、恐らく非常に日本の優秀性というものを評価されながら、そういう点についてどうかなということをいま確かめたくて申し上げたわけです。ただ、確かに先ほど防衛局長が言われたようにおくれていることは事実なんですね。
 一つだけの例を挙げますよ。駆潜艇がありますね。これは爆雷を投下して潜水艦をぶっ壊すものでしょう、はっきり言えば。ところが潜水艦の方の速力が速いんですよね。アメリカにしてもソビエトにしても、水中速力三十ノット以上。その駆潜艇は二十ノットしか出ない、日本の場合は。これじゃ全然役割りが果たせませんね。そういうむだなものをなぜつくるのだろうという疑問が別な面から出てくるのです。駆潜艇の役割りは全然果たせません。そういったことも恐らくこれからの質的な向上の中にも含まれていくのだろうと私は思うのですけれども、しかし、だんだんそれがエスカレートいたしますと、また日本がという暗いイメージに道を開くようなことになりはしまいかという心配がある。
 今回の「ジョージ・ワシントン」の事故にいたしましても、昨日も私申し上げた。起こるべくして起こったと言った、私は。それはそうでしょう。防衛局長は答えてくれた。ソビエトの原子力潜水艦、アメリカの原子力潜水艦、この日本列島を中心として何隻が一体遊よくしているか。百隻以上じゃありませんか。事故が起きないという保証は絶対にない。となると、国民の安全というものを考えた場合に、防衛力整備も必要かもしれないけれども、一方においては、それも防衛の一環として一つは考えの中に入れて対応すべきではないのかなという感じがいたします。レーダーサイト一つとったって、われわれが見てもこんな調子でいいのかなという感じがいたしますよ。あれは、戦闘にも役立つのかもしれませんけれども、直接的な破壊する兵器じゃございません。せめてレーダーサイトであるとか、ソナーであるとか、事前に事故を防止したり、事前に索敵ができるという、まあ索敵じゃないな、いろいろな怪しげなものの日本の領空侵犯であるとか領海侵犯を防げる、未然に防ぐ、むしろそういう方向に頭を使って体制を強化することの方が現状としては一番望ましいのじゃないか、こういう感じがしてならない。
 きょうは細かいところまで入れませんでした。安保特別委員会できよう初めてのぼくは発言ですので、今後もっと細かい問題についてはその都度申し上げ、政府の考え方をお伺いしていきたいというふうに思いますが、いま申し上げたようなことを総括して、きょうの持ち時間はあっという間に過ぎましたが、意のあるところをひとつ大村さんから述べていただいて、私の質問を終わることにいたします。
#211
○国務大臣(大村襄治君) ただいま事例を挙げていろいろ御指摘があったわけでございます。御指摘のありました点、確かに不備な点があるわけでございまして、駆潜艇の能力の改善の問題、あるいはレーダーサイト等の防御力強化の問題、抗堪性と言っておりますが、そういった問題、本年度予算で短SAMやスティンガーとか初めてお認め願いまして、やっと着手したばかりでございます。そういった点にさらに思いをいたして進ませていただきたいと思います。
 また、日本近海における米ソの原子力潜水艦がふえているような趨勢につきましては、何とか米ソ間の話し合いでそういったものがこれ以上ふえないように、できれば減らしていくような方向に持っていってもらえないものかという気持ちは持っておるわけでございますが、わが国といたしましては、その軍備の管理あるいは軍縮等につきましては、国連の場等を通じてそういった方向に働きかけていきたい、さように考える次第でございます、
#212
○上田耕一郎君 私は、今度のポラリス事故についてお伺いしたいと思います。
 まず、海上保安庁、今回の事故は領海からどのぐらいの距離のところで起きましたか。
#213
○説明員(野呂隆君) 一番近いところは、わが国の宇治群島の家島からでございますが、家島から約二十三海里の地点というふうに考えております。
#214
○上田耕一郎君 領海から河海里ですか。
#215
○説明員(野呂隆君) 領海の外縁から十ないし十一海里のところでございます。
#216
○上田耕一郎君 地図を見ますと、大体宇治群島の領海から約十六キロというところで起きておりますね。そうすると、まず核持ち込みですね、核兵器持ち込み。領海通過というのは、核持ち込みだということは確定しておりますので、その危険が非常に大きい、恐らく領海通過をやっていたのではないかという疑問がまず起きます。
 ガイドラインですが、ガイドラインには、「米国は、核抑止力を保持するとともに、即応部隊を前方展開し、」と書かれているわけです。四十一年三月十八日の衆議院外務委員会で、当時の椎名外務大臣が、アメリカの核報復力についての質問に対し、「やはり強いほうがいい。」ということを答えたことがあるのですね。つまり、核抑止力をガイドラインで認めていくと、国是と言っている非核三原則をみずから覆そうということに結局なると私は思うのです。四十三年三月六日の衆議院外務委員会で、当時の佐藤首相は、この非核三原則の決議が問題になっているとき、それに反対する理由に、こういうことを言っている。「私は、おそらく、アメリカのポラリスにいたしましても、あるいはアメリカ本土だけで活動することなしに、もっと近海にも出てくるのではないかと思います。そういうことまで制限する心配が出てくるのじゃないか、」。つまり、非核三原則をやるとポラリスが日本近海に出てくるのを制限することになるので、わしは反対だということを国会で答弁しているのですね。どうですか、防衛庁長官、この非核三原則と核抑止力の問題、ガイドラインの問題、矛盾を何ら感じませんか。佐藤首相や当時の椎名さんと同じ考えですか、
#217
○国務大臣(大村襄治君) わが国は、国是とも言うべき非核三原則を堅持しておるのでございますので、みずから核兵器は保有せず、つくりもせず、持ち込ませもさせないという三原則は今日も堅持しておるわけです。核の抑止力については、アメリカの抑止力に依存する、こういうことでございますので、先生のいまおっしゃいましたことにつきまして、特に矛盾という点は考えないわけでございます。
#218
○上田耕一郎君 そんなこと言ったって、今度の事故は領海から十六キロのところで起きているのですからね。本当に事故を起こす前にもう通っているかもしれぬですよ。
 さて、首相はきのうロング司令官に対して、事故の原因、救助活動への疑問、通報活動のおくれ、補償と再発予防措置、こういうものをアメリカは明らかにしてくれということを述べたんですね。外務大臣との話の中でロング司令官は、三十日ぐらいかかるということを言ったというのですけれども、三十日かかってアメリカから報告が出るのをただ待っていたのではしようがないと思うのですね。これはもう証拠隠滅の時間を与えることにもなると思うので、本気で日本側としても、アメリカがどういう結果を発表するか、三十日かかるそうですけれども、その前に責任を持って日本側で調べられる限り積極的に調べるということが大事だと思いますけれども、この点海上保安庁、それから外務省、それから防衛庁、この三者が協力して調べる必要があると思う。長官いかがですか、その決意並びに体制、どうやるつもりですか、
#219
○国務大臣(大村襄治君) この原因の究明なり調査を急ぐ必要があるということは私どもも考えておるわけでございます。そのために、外務省を中心に、また国内にありましては海上保安庁が主となって調査を進めておられるところでありますので、防衛庁におきましてもできるだけ協力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#220
○上田耕一郎君 さて、先ほどから聞いていますと、アメリカをかなり信頼しているという感じがしてならないのですけれども、米側の四月十日発表、衝突事故、これを見ますと、当該潜水艦は浮かび上がった、霧と雨による視界不良のため視界から消え去った、だから、人的または物的被害があったかどうか確認することができなかったというのがアメリカ側の発表です。ところが海上保安庁は、視界一キロで救援活動は不可能ではなかった状況だというふうにすでに答弁したと報道されているけれども、その点いかがですか。
#221
○説明員(野呂隆君) 日昇丸の乗組員からの供述を総合いたしますと、事故発生当時の天候は雨または霧、南東の風毎秒約五メートル、波高約一メートル、視程約二キロメートルということでございます、一般的に、この程度の海上模様であれば救助活動は可能であったというふうに判断されると思います。
#222
○上田耕一郎君 だから、この一つとってみても、一番大事なところで最初からうそをついているのです、アメリカは、米軍は。最初から信用できないんです。だから日本側ではっきり調べる必要があるのです。三十日待って何かアメリカが言ってきた、それがうそかどうかも、本気でわれわれが調べていなければわからないじゃないですか。
 さて、幾つもの問題があるのですけれども、第一の問題は、このジョージ・ワシントン号がなぜ救助活動をしなかったかということですね、これは首相もはっきり述べているところです。ここが最大のまず出発点です。もう周知のように、SSBNというものの通常の活動――通常の活動に従事しているという米軍の発表ですけれども、何が通常の活動かというと、SSBNの唯一の任務は、アメリカ大統領からの発射命令を待っていつでもソ連に対してポラリスを撃てるようにやることが唯一の任務なんです。ほかにはないのです。そのために自分の地点は隠さなきゃならぬ。発射地点もそのSSBNがどこにいるかもあくまで隠さなきゃならぬ。アメリカの最高の軍事機密と言われているわけだ。だから海の忍者と言われているわけですね。新聞もいろいろその点で問題点を指摘しているわけです。ワシントンからもアメリカの海軍省筋からも、なぜ救助しなかったか、機密性があるからというのですね。
 毎日新聞四月十二日付には、「一部では、機密保持のため事故の場合でも外部の人間を入れてはならない、」。つまり、助けて潜水艦に乗り込ましてSSBNの中身を知らしちゃならぬ「とする海軍内規があるのではないかという憶測を生んでいる。」ということまで出ているわけですね。もしこういう海軍内規を米軍が持っていたとしたら、つまりSSBNは事故を起こして衝突させても助けて乗っけてはならぬという海軍内規があるとしたら、一九六二年に発効した公海条約、この第十二条(a)項、(c)項、特に(c)項は、「衝突したときは、相手の船舶並びにその乗組員及び旅客に援助を与え、また、可能なときは、自己の船舶の名称、船籍港」等々を「知らせること。」ということもあるわけですね。これらすべてに違反しているのじゃないですか、もしこういう内規があれば。いかがですか、外務省。
#223
○政府委員(淺尾新一郎君) 公海条約十二条に書いてあることは、当該国が公海条約の十二条の規定の実体性を保つようにそれぞれ国内法を制定しろ、こういうことでございまして、アメリカにおきましては、先ほどの質疑の応答の中でもありましたように、海軍規則の中に決められているわけでございます。いま上田委員の御指摘の機密性のゆえにSSBNの中に人を入れてはいけないという海軍の規則があるということは私の方は承知しておりませんけれども、すでにアメリカが公にしている海軍の規則、公海条約十二条に奉づく海軍の規則から言えば、そういういま引用されました別の規則があるということは理論的に考えられないのでございます。
#224
○上田耕一郎君 ぼくは、このジョージ・ワシントン号の艦長、百二十人乗っているそうですけれども、あわてふためいて隠れちゃったというようなことはないと思うのですよ。軍人でこういう大事な原潜の艦長ですからね。だから恐らく、公表されていないけれども、とにかく自分の位置がわかってしまう、名前を教えたら。ポラリス原潜がどこにいたということがわかりますから、位置も知らしたくない、内部も知らしたくないというので逃げたのではないか、軍人としての判断に基づいて。内規があったかどうか知りませんけれども、そういう可能性が非常に私は強いと思うのです。
 それで、こういう報道があります。これは朝日新聞四月十一日付ですけれども、「在日米海軍司令部(横須賀)は十日夜、日本側記者団が出した質問状に対して次のように回答した。」、文書回答だろうと思いますね。「救難活動はしたのか。」「衝突直後、視界が悪かった。そのうえ、米軍機が頭上にいたのでまかせた」、これが横須賀の米海軍司令部の記者団に対する回答です。視界が悪かったというのはうそだというのは先ほど保安庁も言われた。逃げたのはそういう軍事秘密を守ろうというので逃げたのでしょう。しかし、とにかく飛行機がいたので任せた、米軍機が頭上にいたので、というのが米海軍の回答です。
 そこで、P3Cの問題が次に問題になってまいります。この米側報告には、当該「潜水艦とともに行動していた米国の航空機一機は当該水域の低空捜索を行ったが救助を求める船舶、または乗組員を発見できなかった。」、こう書かれているが、この一機というのはいわゆる三沢から飛行してきたP3Cのことですか。Cはわからぬそうだな。P3のことですか。防衛庁どうです。
#225
○政府委員(塩田章君) そうだと思います。
 それから、いまCはわからぬと言いましたが、いまの時点ではわかっているのです。この前の時点ではわかりませんでしたけれども、いまの時点ではP3Cであります。
#226
○上田耕一郎君 ほかにこの事故地域をアメリカの航空機が飛んでいなかったか。甑島のレーダーサイトのスクリーンに他の航跡はなかったか。局長は巻き戻しをやってみたらというのをきのう答弁されたようですけれども、この点お伺いします。
#227
○政府委員(塩田章君) 当時このP3Cをキャッチしておるということを申し上げました。ほかの飛行機がいたかいなかったか私は承知しておりませんが、この飛行機をキャッチしておるということを申し上げたわけであります。
#228
○上田耕一郎君 ほかに飛行機が、乗組員の証言を見ますとどうもいたようですね。ほとんど一致して双発のプロペラ機だったという証言があります。
 東京新聞の四月十一日夕刊は、「この双発機の機種は明らかにされていないが、防衛庁によるとフライトプランは事前に出されていた。」と。軍事評論家の稲垣氏は、「E2対潜しょう戒機だと思う。」ということを述べております。
 それから、私ども赤旗の記者が乗組員から詳しく聞いていますが、黒沢芳郎二等機関士、この人が非常に詳細に赤旗の記者に述べて、四月十五日に報道いたしました。これは最初にぶつかったとき、ぶつかってもう沈みかけている船の上からの話です。「そのとき上空に飛行機がいたか。」という質問に対して「いた。機体の色は銀色みたいな、灰色みたいなものだ、双発プロペラ機にまちがいない。」と。P3Cの写真を見せた。ところが黒沢氏ははっきり否定した。P3Cじゃないという、そのとき飛んでいたのは。「飛行機の後方部が上にきれるような形をしていた。後方の背中の部分に丸い長いものが乗っかっていた。」と、こういう答弁なんですね。対潜哨戒機ないしアメリカの飛行機で、双発で、後方部が上に切れるような形をしている、背中の部分に丸いものを乗っけている。防衛局長、これはどういう機種に当たると思いますか。
#229
○政府委員(塩田章君) いまのお話では私にはわかりません。
#230
○上田耕一郎君 アメリカは双発プロペラ機をこういう対潜哨戒にいろいろ使うのでE2C、S2F、S3Aとかいろいろあります、どうもこの証言は、あの有名なE2Cですね、これにもうそっくりですよ。双発プロペラ機で、後ろはしりが切れ上がっている、背中のところに黒い丸い長いものを背負っていた。これは有名なあのレーダーアンテナですよね。これは下から見ると丸く長いものというように見えるだろうと思うのですね。まだ私どもも黒沢さんにこのE2Cの写真を見せてこれだったかということははっきり聞いてはおりませんけれども、黒沢さんは絵までかいた。絵をかいてある。赤旗に出ていますがね。P3Cじゃないと言うのですよ。どうもこれはE2Cであったのではないかという疑いが私は非常に強いと思うのですね。これは事実を調べなきゃいかぬけれども、もしE2Cだったとすると、アメリカは七四年から空母にE2Cを載せて使っているのです。一つの空母に四機載せている。近くに空母がいた可能性もあるのです。つまり空母の護衛の大演習ですな。
 最近の日経の連載には、空母三隻インド洋その他へ行ってたけれども、いなくなった時期があった、これは十一月だけだ、いま一隻西太平洋にいるという記事がありますがね。どうも空母をソ連のSSBNから護衛する演習をしていた可能性もあるのではないかと私は思うのです。P3Cは恐らく後から飛んできて低空で見たんだろうと思うのです。乗組員は朝十時半に沈没した後ゴムボートに乗って、その午後飛行機が飛んできて低空を回ったという証言が一致してあるんですね。一致してある。そうではないかと思いますけれども、これはまあそれこそアメリカを調べなければわからぬけれども。
 もう一つ乗組員の証言で、ゴムボートに乗って約五時間たって潜水艦の潜望鏡を見たと。この潜望鏡は二本あったとか、二隻見たとか、いろいろな証言がありますけれども、どうも潜水艦がいたと、これは恐らくSSBNじゃなくて、SSN攻撃型原潜ではないかと思われる。アメリカのSSBNというのは魚雷発射管を持っていますけれども、自分を守る力は余りないわけです、それしかないんだから。だからそのために攻撃型原潜と常に共同の軍事行動をやっていると、そう言われております。
 防衛局長いかがですか、このSSNの存在、これは確認しておりますか。
#231
○政府委員(塩田章君) 先日も同じような質問をほかの委員会で受けたわけですが、もちろん当時SSNがいたかどうか私どもにはわかりません。先日のお尋ねのときは、そういう可能性があるかというお尋ねがあったわけですが、SSBNは極度の隠密性を生命といたしますから、随伴艦がおるとかいうことはちょっと常識的には考えられないだろうと私の感想としてお答えしておきましたが、確認をしておるかといういまのお尋ねに対しましては、もちろん私ども確認しておりません。
#232
○上田耕一郎君 やはり私はSSNがいたと思うのです。乗組員の証言によりますと、これは朝日の四月十四日の夕刊ですが、とにかく潜水艦の潜望鏡が二つ確認されて、海中から発射音が何度も聞こえた、シュルシュルとかプシュとか。それから乗組員の何人かは水中から筒状のものが飛び出していくのを数回目撃した。潜水艦の潜望鏡の近くの海面の上百メートルから二百メートルぐらいの空に黒っぽい煙が見えた。五百メートルほど尾を引いて海面と並行に走っている感じだった。似たような音を三回聞いている。これは何だと思いますか、防衛局長、もしこれが事実だとすれば。水中からぽんと出てきて、潜水艦のところから筒状のものが出てきて、黒い尾を引いて二百メートルの空を五百メートルくらい走った。何だと思いますか。
#233
○政府委員(塩田章君) 全くわかりません。
#234
○上田耕一郎君 いや、全く何でもわからぬとおっしゃるけれども、サブロックですよ。サブロックというのは、このSSNが、これは核爆雷であるんだが、これはもちろん核兵器をつけてないでしょうけれども、ぽんと撃つわけですな、潜水艦が。それで空中を走っていわゆる敵の潜水艦に落とすわけです。サブロックだと思いますが、いかがですか。その可能性はないと思いますか、
#235
○政府委員(塩田章君) そこにSSNがおってサブロックを撃つ練習をしておったという想定をしろと言えば、それはそういう想定はできますけれども、先ほど申し上げましたように、SSBNを護衛するといいますか、そういうことはちょっと考えられないものですから、私にはわかりません。これ以上申し上げますと想像でお答えすることになりますので、わからないと申し上げる方がよろしいのじゃないかと思います。
#236
○上田耕一郎君 わからないから、だから調査が必要だと言うのです。漁船員は複数で多くの人がそういう証言をしているのですから。プシュというのは魚雷を発射するときの圧縮空気の音ですね、シェルシェルというのは水中を魚雷が走る音ですよね。だから、SSNが魚雷を発射したり核爆雷を――見たのですから、水中から出てきたと、筒が黒い尾を引いて。何人も見ている。じゃこれは何かというのを日本側は調べなければいかぬ、アメリカに聞かなくても、あなた方軍事常識をいっぱい持っているのだから、一体あの潜望鏡はSSNだろうか、飛んだのは何だろうか、サブロックだろうか等々を調べなければいかぬ。何も想像で言っているわけじゃない。われわれはそういう漁船員の証言を集めて、合理的に、じゃ何だったのだろうかと。何も化け物がいるわけじゃないのですから。それをわれわれはやっぱり調べる。
 もし私がこれまで述べたことが正確だったとすると、この当て逃げ事件、いまお二人はいまだに行方不明、当て逃げ事件の主犯はポラリス原潜ですな。三十五時間後に自首してきた。しかし登場人物はほかにまだ、最初に見たE2C、とにかく横須賀の海軍司令部が飛行機がいたので任せたと、任された飛行機は黒沢さんの証言によるとE2Cの可能性が非常に強いのですよ。ところが、後P3Cが飛んできたのだ。それからSSNが一隻か二隻か演習をやっていた。とにかく四者登場人物がいるのです。潜望鏡を出したというのですからね。漁船員が潜望鏡が見えたのだから、向こうからゴムボートが見えないわけがない。そうしますと、私は、この事故のすべてを知っていた米軍の潜水艦並びに飛行機、四つある、漂流しているということはほぼ明らかじゃないかと思うのです。なぜ知らせなかったのだろうか。
 なぜ救助しなかったかということの次に、二番目に、なぜ通告がおくれたのかという問題がここから出てくる。なぜおくれたのか。大体米軍がそういう事故が起きて、P3C、E2C等々、潜水艦も知っているのだから知らせないわけがないと私は思うのです、米軍の司令部に。特にP3Cは三沢基地ですからね。これは在日米軍ですよ。在日米軍司令部に必ず知らせたと思う。軍人ですからね。政治家じゃないんだ。そうすると、在日米軍司令部はやはり日本政府に通報したと思いますよ。ところがなぜ公表されなかったのだろうかという点では、朝日新聞四月十一日の夕刊はワシントンからの報道として、「公式通告ないし公式発表が遅れたのは、日米両国が、事件が日本の世論に与える影響をはかりかねて発表の決断を遅らせていたためと推測している。」、こういう推測は私は十分成り立つと思いますね。外務省いかがですか、あるいは防衛庁。三十五時間後に自首して出てくる前に何らかの米側の通報があったのじゃないでしょうか。
#237
○政府委員(淺尾新一郎君) 上田委員の御議論は非常に推理に富んでおりまして、私なかなかついていけないわけでございますが、少なくとも外務省に関する限り事前通報があった、隠したと、そういうことはございません。
#238
○政府委員(塩田章君) 防衛庁がこの事件を知り、また米側とコンタクトした経過はすでにお答えをしておりまして、それ以上に、事前に知っておったけれども言わなかったとか、あるいは日米両国で世論を気にして言わなかったとか、そんなことは全くございません。
#239
○上田耕一郎君 私は、なぜ通報がおくれたかということで二つのケースがあり得るのじゃないかと思った。
 一つのケースは、やや人道的というか、とにかくアメリカ側が日本側に知らせた、これだけ知っているのですから知らせた。ところがいまのような、知らせたけれども、大変な事故が起きた、世論にどういう影響があるだろうかというので、ひそかに日米両国でどうしようかというので時間がかかって発表がおくれたケースがあり得るのではないかと思いましたけれども、いまこの国会の場で外務省も防衛庁もそれを否定しました。
 そうしますと、もうあと一つ残る可能性は、これはもう本当に恐るべき想定ですけれども、つまり、米側はこの事故が起きて遭難者がいるということをはっきり複数で確認しているにもかかわらず日本側に知らせなかった、救助活動も行わなか保ったということになる。ここはやっぱり安保体制、軍、戦争というものの恐ろしさですね。いつかの神奈川県厚木のところでファントムが落ちたときにも、日本の国民、犠牲者を救うよりもまずパラシュートの米兵を救おうというようなことが優先された。戦争の際、軍というものはやっぱり国民の命よりも軍の機密、国家の機密、これを優先させようということに流れていく危険というのがきわめて強い。そうすると、アメリカ側にとっては、これは何でこういう事故が起きたか、原因はいまだに不明ですけれども、とにかく大変なことが起きた、場所も知られたくない。そうすると意識的に通報をおくらせた。ゴムボートに乗っている乗組員たちを放置しておくということをやった可能性があるわけですな。おぼれて死んでしまえば真相は隠すことができる。乗組員たちは、近くでシェルシェル、シェルシェルと行くし、飛行機の爆音が聞こえている、一つも救助に来ないので消されるのじゃないかという物すごい不安を持ったということをみんな異口同音に言っているのですよ、異口同音に、
 私はこの二つの可能性以外に考えられないのです。あなた方が言ったことが本当だとすれば後者の可能性。アメリカの軍事機密を守るために日本の漁船員の命は失われてもやむを得ないという判断をして、三十五時間自首をおくらせたということではないか。漁船員が信号を発射したために日本の護衛艦が助けたということではないかとも思いますけれども、それ以外の可能性が考えつきますか。防衛局長いかがですか。
#240
○政府委員(塩田章君) 一番最後の、自衛艦が信号弾を見つけて救助したというところだけは全く同感でございますけれども、あとはちょっと私には考えられません。
#241
○上田耕一郎君 この自衛艦の救護についても非常にやっぱり問題があるわけです。これは毎日新聞四月十五日付、日本海員組合の福岡支部の話ですけれども、とにかく助けられた乗組員はまずサービスを受けた。おふろだとか、おかゆだとか、入浴中にコーヒーまで出た。これは航行していていきなり見つけて助けたにしては準備がよ過ぎるというわけですよ。朝四時半でしょう。普通だったら信号灯を見てサーチライトで照らしてくる。サーチライトもつけてこなかった。それから海図を見せてもらった。海図にはバツ印がついていた。助けたら丸印だ、バツは沈没だというのですよ。それから事情聴取がきわめて簡単だった。助けたら、一体どうだったというので相当事情聴取をやるのにされない。だから、どうも米軍などから事前に事故の連絡が海上自衛隊に届いていたという見方を強めているという報道があります。これは護衛艦はどうやって奄美大島から出発してどうだったのか。それから、護衛艦は非常に近い、事故が起きたときに実は三時間のところにいたのだという報道さえあるのですね。まあ、あなたに聞いてもそれは全くうそだと言われるでしょうけれども、これもやはり私は問題点として指摘しておかなければならぬと思う。
 それからもう一つ大きな問題は、もしこの漁船員たちの証言が真実だとしますと、演習をやっていたという可能性が強くなるわけですね。きょう私が述べた、スリルに富み過ぎるというふうにおっしゃいましたけれども、私は事実を調べてその事実に基づいて、こういう事件だったのじゃないかということを一つの帰納的推理として言っているので、そうじゃないというのなら反証を出していただきたい。だから、こういうことを調べなければいかぬのですよ、どうだったかということを。もし私の言うことが事実だとすれば、私の推定が事実だとすれば、E2Cがいたとすれば空母がいたんです。ソ連原潜からの護衛の演習をやっていた。じゃなぜ救助しなかったかという私の一つの推定は、そういう大演習をやっていた、しかし事故が起きた。事故が起きたからといってやめられない。防衛庁長官は一九八五年には戦争が起きるかもしれぬというふうなことをおっしゃったけれども、これは私はそう思わぬけれども、とにかくそういう危機感に燃えて米軍がシーレーンを守るための、あるいは空母を守るための演習をやっていたら貨物船を一つ沈めちゃったといって演習をやめるわけにいかぬ、だから続けていたのだと思うのです。だから魚雷を発射したり、サブロックをやったりやっているわけです。
 大体、東シナ海のああいう船のラッシュの地域でこういう演習を勝手にやっているというのは私は大問題だと思う。日米間にはいま三十カ所の訓練海域が合意されている。そこには公海、領海が含まれている。それで、もし米軍が演習を行う場合は防衛施設庁を通じて海上保安庁へ連絡する、それで海上保安庁が水路通報で船に連絡するということになっているのです。で、主に火器を使う演習の場合には米国のハイドロパック、米国無線航行警報で発表される。保安庁はこれを見て、日本船に関係のありそうなところを抜き出して日本の水路通報で知らせているということ、調べますとそういうことになっている。ところが今度の場合には、片山斉二等航海士の話では、訓練をやるときは、いつからいつまで、北緯何度、東経何度と危険区域の告示が出るが、今回はもらっていないという証言があるんですよ。何ら危険区域の通知ももらっていないところでアメリカが危険な演習をやっていた可能性が今度の事件からは出てくるわけです。防衛庁長官、どうですか。領海のしかもすぐ近くでしょう。日本側に何も通知もしない、教えもしないで、こういうところでもし米軍がひそかに訓練をやっておったら大問題じゃないですか、どう思われますか。
#242
○国務大臣(大村襄治君) 推定に基づくお尋ねでございますので、お答えはいたしかねます。
#243
○上田耕一郎君 推定じゃないんですよ。日本人の漁船員が、これだけ命が危なかった人たちがみんな口をそろえて証言しているじゃないですか、ドカンドカンという音を聞いた、シュルシュル、プシュという音を聞いたと。それから空中を黒い尾を引いて飛んでいくものまで見たということを言っているのですよ。推定じゃないですよ。漁船員は何を見たのか。当然考えられる最大のものは米軍の演習です。だから私は日本側の本気の調査が必要だということを言っている。
 私はきょう、もう時間がありませんけれども、七つの疑問を持ち出した、提起した。第一、核持ち込み。領海から十六キロのところだ。領海にアメリカのこのジョージ・ワシントン号が核兵器持ち込みをやった疑惑があるという、これが一つ。二番目、どうも公海条約に基づく海難救助義務、この違反をアメリカのジョージ・ワシントン号はしたのではないか、これが二番目です。三番目、アメリカ側は四者も、事故、遭難状況を知りながら、潜水艦二つです、飛行機二機、それを知りながら日本に通告しなかった。知りながら通告しなかったという大きな疑惑です。これが三番目。四番目、あなた方は否定したけれども、通報があったとすれば、日米双方で公表を協議しておくらせた。どういう対応をするかということをすでにひそかに協議したのではないかというのが四番目の疑惑。五番目、こうした結果、二人の行方不明者が生まれて、うやむやで事故隠しをしようとした。米原潜そのものの事故を隠そうとした。事故隠しの疑惑が五番目です。六番目、アメリカ側は、もしかすると、見た人たち、漁船員が死亡することを期待してやったのではないかという最も重大なモラルの問題、これが六番目です。七番目、ひそかにこの地域で危険な演習をやっていたのではないか、そういう疑惑。
 私は以上七つの疑惑をただしましたが、政府側からは私のその疑惑を解く答弁は全くありませんでした。私は、この問題で日本側が本気で調べなきゃならぬ、政府も調べてほしい、国会も日本の国会として調べる必要があると思いますので、五人の参考人と二人の証人喚問を要求したいと思います。先ほどの寺田さんのと重なる部分もありますけれども、参考人としては日昇丸の乗組員五名、赤旗に詳細な証言をやってくださった方々です。黒沢芳郎二等機関士、片山斉二等航海士、熊谷定三郎通信長、今村春生機関士、千葉県男機関長を参考人要請。証人喚問要求、護衛艦「あきぐも」の艦長松村道臣二佐、護衛艦「あおくも」の艦長田中晃二佐。このお二人は制服の自衛官ですけれども、いままでの答弁からいって参考人でなく、やっぱり軍事機密をどうも優先される、安保体制優先の危険がありますので、証人として喚問することがどうしても必要だと思いますので、以上五名の参考人と二名の証人喚問を要望したいと思います。
#244
○委員長(原文兵衛君) 理事会でお諮りいたします。
#245
○柳澤錬造君 今回のアメリカの原子力潜水艦の行動というのは、先ほどからもお話が出ておりますが、これは複数なわけなんです。やはり私も演習をしておったんだというふうに思うのです。それで、このジョージ・ワシントン号が日昇丸に衝突をして事故を起こした。これは下甑島の西南西三十七海里の地点だというようにいろいろ言われているのですけれども、宇治島から見るならば二十三海里という近くになるわけです。言うならこれほど日本の領土、領海の近くでアメリカの艦隊が演習をしていたのですから、私は外務省なり防衛庁に裏則に何らかの連絡があったと思うのですが、その点はいかがですか。
#246
○政府委員(淺尾新一郎君) 全くございません。
#247
○政府委員(塩田章君) 防衛庁の方にも全くございません。
#248
○柳澤錬造君 ないということになれば、アメリカと日本は日米安保条約を結んでいる言うならば同盟国なわけですから、そういう同盟国の相手国に、その国のすぐそばまで行って艦隊がある程度の数で演習をするということについて事前に知らせもしないということになれば、これほど非礼なことは私はないと思う。日本の海上自衛隊は微力だけれども、これがアメリカの西海岸のロサンゼルスなりサンフランシスコの近くでもってやるということになったら――やると言おうか、日本の防衛庁だったらやる気にもなれないと思うのですけれども、私はアメリカは黙っていないと思う。ですから、そのようにいま外務省にも防衛庁にも全くの連絡がありませんでしたと言うのですから、同盟国でありながらこれほど非礼な扱いを受けて、政府としてどういう態度をおとりになったのか、そしてそれをアメリカにどういうふうに言ったのですか、お聞きしたいです。
#249
○政府委員(淺尾新一郎君) 私たちは今回の事件に関連したジョージ・ワシントン号、これは通常の活動に従事していたというふうに承知しておりまして、演習をしていたというふうには承知しておりません。
 それから、今回の事件が領海に近いところであるにしても公海上でございまして、かつ当該潜水艦の性格からいって、その行動について仮にたとえ同盟国であっても一々の行動を通報するということはアメリカ側としてしないわけでございまして、その点われわれの方からもそういう行動について日本側に通報しろということを要求するという立場にはないわけでございます。
#250
○国務大臣(大村襄治君) お尋ねにつきましては、いま外務省の政府委員が答えたとおりでございます。ただ、貴重な人命が失われた可能性が強い、船舶が衝突を受けて沈没した、また、その後の連絡が大変おくれたという点はきわめて遺憾であると考えております。
#251
○柳澤錬造君 北米局長、よく聞いてお答えいただきたいのです。アメリカに通報しろということを求める気はございませんというのがいまの御答弁の中心です。私がお聞きをしているのは、言うならば、声で呼んでも届くほどそれほど近くないけれども、きわめてもうそれは近いところなんです。二十三海里。それから保安庁の方からお話があったとおり領海からいけばもう十海里というところでしょう。事前に求める、求められない、現実にそういうことで少なくともそこでもって何らかの演習が行われており、そして日本の船がぶっつけられて沈んじゃったという事故が起きたわけなんです。あなた方がそれだけのことをやってそして黙っているとは何事だといって――事前に連絡がなかったというのだから、それに対して政府として、お互いに同盟を結んでおる相手国に対してそういう態度をとるとは何事だといってアメリカに一言言ってしかるべきじゃないのでしょうか。それをしたのですか、しなかったのですかと聞いているのです。
#252
○政府委員(淺尾新一郎君) 私たちとしても、今回の事件が起きまして、特に日本に対してその事件が起きた後の通報が非常におくれた。第二点として、人命救助の十分な活動をしていたのかどうかといういろいろな疑問点がございます。そこでアメリカ側に対してできるだけ早く事故を究明してほしいということを要求しているわけでございまして、これは同盟関係にあるかどうかという問題以前の問題として、やはり事故が起きた場合当然に救助するなりあるいは通報するなりということは、その当該国としてなすべきであり、そういうことを十分にしているかどうかということについては、国会での御議論もございますし、また報道等もございます。そういう点を踏まえて、現在外務省としてはアメリカ側に再三にわたって申し入れをしているところでございます。
#253
○柳澤錬造君 同盟国であるかないかの以前の問題としてという、いわゆる一般論の御答弁がいまの局長の御答弁です。もう一度お聞きをするのですが、これは防衛庁長官の方もやっぱり一緒にお答えをいただきたいのですけれども、同盟国でなくたってそういう事故が起きたらまず人命救助をやるべきじゃないか、そういうことについてはアメリカ政府に申し入れた、それはわかる。私が聞きたいのは、一般の外交関係を単に結んでいる国の関係ではなくて、日米安保条約という同盟国の関係にあるにもかかわらず、事前に何の連絡もなくて、人の鼻面へ来てそんなことをあんたらやって、そして私の国の船を沈めたんじゃないですか、まことにもってけしからぬじゃないのですかと、そのくらいのことを一言文句を言って、そして先ほどからもお話が出ているように、緊急にアメリカ側としての事実捜査を調べてこちらの方に返事をよこせというぐらいのこと、そのくらいの抗議はあってしかるべきだと思うのですけれども、したのですかしなかったのですか。防衛庁と両方にお聞きします。
#254
○国務大臣(大村襄治君) 先生のお尋ねが、訓練、演習が行われていたのじゃないかという前提の御質問でございますので、ちょっとその点はまだ事情が定かでないものですからお答えしにくいわけでございます。本当に訓練をやったということになれば、おっしゃるように、なぜ事前に連絡してこなかったのかというようなこともあり得ると思うのでございますが、その辺は定かでございませんので、その問題はともかくといたしまして、事件全体について、事後の措置、また事件の内容等から見ましてきわめて遺憾であるというふうに申し上げる次第でございます。
#255
○政府委員(淺尾新一郎君) ただいま防衛庁長官のお答えされたとおりでございます。ただ、一つつけ加えれば、昨日の伊東大臣とロング太平洋司令官との会談の際に、大臣の方から、日本ではこういう事件を起こした場合には謝る、自分が悪かったというのが日本の国民性であるという話をしてございます。で、アメリカはいずれにしても早急に事故の結果を究明して日本に通報する、こういうことを言っております。
#256
○柳澤錬造君 演習をしておったかどうかわからぬという点は、いろいろあれだけ乗組員の証言その他の新聞報道から見ても、だれが聞いてもそれは演習をしておったのだという判断を下すのであって、防衛庁なり外務省の皆さん方が、そういう一般の人たちが常識的に判断をするそれと違った判断をなさるならばそれはそれでよろしいので、私はどう考えたってそれは演習をしておったと思うのです。しかもあそこは日本の船がたくさん通るコースです。そこへアメリカの潜水艦が来ておったということは、言うならば、あそこは頻繁に船が通るから、いわゆる標的に利用をして訓練をしておった、演習をしておった、そういうふうな判断が私のするところなんです。その辺についてはさっきから長官は、演習をしておったかどうかわからぬわからぬというのですから、それはそれにいたしまして、次に、日本の海上自衛隊の船は、新聞報道によると訓練をしておったというのですが、それは事実ですか。
#257
○政府委員(塩田章君) 海上自衛隊の二隻の船は第二十二護衛隊でございますが、前日奄美大島の古仁屋という港で一般公開をしておりまして、九日の九時に古仁屋港を出港いたしまして、訓練をしながら佐世保に向かって帰投をする途中であった、こういうことでございますが、その訓練の中身といたしましては、通信訓練と、それから運動――艦隊を動かす運動でございますが、運動の訓練、それを九日の日にやりまして、この遭難者たちを見つけた十日の朝というよりは、九日の夜から十日の朝午前四時ごろにかけて夜間の当直員の訓練をやっておりました。
#258
○柳澤錬造君 それは救助に当たった二隻だけでやっていたのですか、そのほかにもいたのですか。何隻でやっていたのですか。
#259
○政府委員(塩田章君) この二隻だけでございます。
#260
○柳澤錬造君 少なくとも、まあ二隻だということになれば数が少ないけれども、それでも、いまお話だと通信訓練だというのですが、まあ通信訓練であっても何ででも、それは全体がみんな配置についておるのだから、少なくともそうしてくると、アメリカの潜水艦なりアメリカの飛行機が飛びながらあそこで演習をされている、そういうものについて何らかのものを感じ取られたと思うのですけれども、そういうことについては何か報告は来ているのですか、いないのですか。
#261
○政府委員(塩田章君) 御指摘のような報告は来ておりませんが、いま御指摘の中で、アメリカの潜水艦を何らかの形で探知できたのではないかというお尋ねのようでございますが、いま申し上げました訓練はかなり離れておるところでございます。奄美大島の東北方の海上で通信訓練及び運動訓練をやっておりました。そして九日の夜の八時から進路を佐世保に真っすぐ向けまして、十日の午前四時まで通信訓練をしておりました。もうこの時点になりますと、なるほど大分今度の位置に近くなりますけれども、前の通信訓練、運動訓練のときはもう大分離れたところでございます。
#262
○柳澤錬造君 私いま地図を見てきたのですけれども、奄美大島から佐世保ということになると、幸いに運よくそこのところを少し曲がって通ったということになるわね。普通に奄美大島から走ればあの辺は通らないコースです。そこはさておいて、甑島にレーダーがあったと思うのだけれども、その甑島のレーダーには、少なくとも日昇丸は私は映ったはずだと思うのですけれども、そこはどうなんですか。
#263
○政府委員(塩田章君) その点を私確かめてみましたけれども、通常、レーダーでございますから空をにらんでいるといいますか、空に向かって警戒をしておるわけですが、海の上を映そうと思えば、要するに角度を下げなきゃいけないということで、そうすれば当然映っただろうと思いますけれども、この日昇丸につきましては、そういうことをやっておりませんでしたのでレーダーには映っておりません。
#264
○柳澤錬造君 まあそれもそういうことにしておきます。だけども、私も海軍航空隊にいた方だから、そんな答弁は通用しないですよ。空にといったって、それはそんなことを言ったら、じゃ海面すれすれに入ってきたら全然レーダーに映らぬということになるのであって、そんなことはあり得ぬことなんだから。レーダーを何する以上は、上空から来るか低空から来るか、いろいろの来方があるのであって、空だけ向けておって、下へはなんてね。だから、そこは答弁があればしてもらって、もう一つは、これは保安庁の方へ聞いた方がいいですか、日昇丸はSOSは発信したのですか、しなかったのですか。
#265
○説明員(野呂隆君) 日昇丸通信長の発言によりますと、退船直前に船長の命によりまして予備電源により予備送信機を使って遭難信号を出したと申しておりますが、それと同時に電波が正常に発射されたかどうかはわからない。と申しますのは、どーんという衝撃のショック等で空中線が正しく接続されていた状態とは言いがたい状態であった、こういうふうに申しております。もしこれが正常に発射されているとしますと、当時受信可能範囲にありました海上保安庁の、北九州に統制通信事務所がございますが、それを初め佐世保通信所、鹿児島にございます十管本部の各通信所の各海岸局とか、あるいは行動中の巡視船通信所において受信されているはずでございます。また、海上保安庁以外にも電電公社所属の下関、長崎、鹿児島の各海岸局もございますが、これにおいても受信されておりません。また、付近の一般通航船舶からの通報もございませんので、正常に発射されておるものとは思われません。
 なお、御承知のように、救命艇用の無線電信装置、これは携帯用でございますが、これは残念ながら救命いかだで退船するときに持ち出せなかった、こういうことでございます。
#266
○柳澤錬造君 じゃ、船の方ではSOSを発信していたのだということは確認してよろしいのですね。少なくとも十六分から十八分の時間があったのであれは何かどすんといってすぐ電気が消えたというのだけれども、仮に船の中の電気が消えても、あのSOSを発信するだけのバッテリーは持っているはずなんで、ですから船からは発信された。されたけれどもどこでもそれはキャッチしなかったという判断になるわけですか。
#267
○説明員(野呂隆君) 四時三十分ごろ衝撃音とともに船内の電源が切れました。それで直ちに予備電源に切りかえまして、それから予備送信機を作動させましてSOSを発信したわけでございます。キーはたたいておりますが、船側の空中線がただいま申しましたとおり正しく接続されていた状態ではなかったのではないかと、こういうふうに申しておりますので、実際にその船から電波は正常な状態で出ていないのではないか、こういうふうに思います。
#268
○柳澤錬造君 わかりました。それをまた私たちも調べてみょうと思いますので、一応船は出したという理解をしておいて。
 それで今度は防衛庁にお聞きするのですけれども、先ほどの護衛艦の「あきぐも」と「あおくも」ですか、十日の午前五時四分に救助活動をしたということが報じられているのですが、これはだれの指示で行われたのですか。
#269
○政府委員(塩田章君) 信号灯を四時三十分ごろ見て、すぐ進路をその信号灯の出ている方に向けて、五時過ぎから五時五十七分ぐらいまでかかって救助したわけでございますが、そういった救助活動につきましては当然艦長の指揮によると思っております。
#270
○柳澤錬造君 当然じゃなくて。それから、先ほどのお話ですと訓練もしておったというのですから、その訓練も中止をしたのだと思うのですが、そういう訓練を中止をして救助活動にといってやるにはやるなりのことがあったはずなんで、どなたがそういう御指示をしたのかということをはっきりお答えをいただきたい。
#271
○政府委員(塩田章君) 先ほど言いました夜間の当直員の訓練は午前四時に終わっております。
 なお、いま艦長と言いましたが、この二隻で隊を組んでおりまして、二十三護衛隊司令の命令によったという報告を受けております。
#272
○柳澤錬造君 それは自衛隊法の第何条に該当するのですか、
#273
○政府委員(塩田章君) こういった海難事故を見た場合の救助につきましては、自衛隊法というよりも一般の、私ちょっと名前はわかりませんけれども、そういった船舶関係の法律なり、あるいは法律以前の、海のシーマンシップということではないかと思うのですが、その具体の行動はもちろん司令が指揮命令を出しますけれども、その根拠が自衛隊法にあるというわけではないわけでございまして、恐らく船舶の関係の方の法律じゃないかと思いますけれども。
#274
○柳澤錬造君 自衛隊法八十二条でもって「長官は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずることができる。」とあります。
 私が聞きたいのは、昨年ソ連の潜水艦のあの四隻の艦隊が日本の領海に入ってきたときに、そのときのあなた方の答弁というのは、自衛隊法八十二条が発動されておらなかったので動きませんでしたと。あのときは明らかに領海が侵犯されたわけであります。もちろん、今度は人命救助という関係があるのですけれども、この自衛隊法からいくならば、やはりそういう場合、自衛隊法八十二条でもって「海上における人命」とか「財産の保護」云々ということが書いてあって、これに当てはめて当然動かなくてはいけないし、防衛庁長官は即刻そういう連絡を受けてそれなりの処置をとらなくてはいけない。それがなされていないから私はそれはどういうことですかと言っている。
#275
○政府委員(塩田章君) その八十二条の事態はちょっと私、今回の場合は当てはまらないと思うのです。今回のように現場で遭難者を見て、とにかく救助しなければいけないという事態は、法律の根拠とかなんとかという以前に、とにかく救助しなければいけないわけですから、それを八十二条なり何なりの長官の命を受けてやっておったのではとても間に合わないということもございます。そもそも八十二条という規定は、海上のそういった治安がちょっと海上保安庁だけの手には負えないというような事態の場合に設けられておる規定でございまして、今回のようなケースに八十二条を適用してそれで行動するというようなことは、ちょっと私は考えられないと思っております。
#276
○柳澤錬造君 じゃもう一回、昨年のところの点をお聞きするのですけれども、あのときは巡視船「もとぶ」の有川船長がソ連の艦隊に向かって、そのまま進んでくれば日本の領海に入るぞ、迂回せいと言ったときに、ソ連の方からは、いえ、われわれはこのまま真っすぐ領海を通ります、日本の政府の同意を得ていますと。すぐ調べたならば、日本の政府はそんなものの同意を与えた覚えはないといって、ソ連の大使館の何といったか参事官を呼んで、そんなものを認めてないぞとまで言ったわけなんでしょう。それだけのことが行われておってもあのときはこの八十二条を発動しなかったわけなんです。この辺についてのお考えをもう一回言ってくれませんか。そうしたならば、いまのようなこと、あのときはこうでした、このときはと言っているならば、この八十二条を発動するような事態なんかあり得ないじゃないですか。そこはどうなんですか。
#277
○政府委員(塩田章君) 八十二条というのは実際にまだ発動したことはございませんけれども、想像される事態といいますのは、いわゆる有事の事態が近づいたような、国際的な緊張が高まったような時点で、いろいろ俗に言う海賊的な行為がある、海上の治安が乱れておる、海上保安庁の警備だけではむずかしい、こういうような事態が想定されて、そういうような場合には自衛隊が所定の手続を経て出動するという趣旨の規定でございまして、一般の平時の場合の海難救助活動でありますとか、いまのケースは領海侵犯のケースでございますが、そういったことは本来海上保安庁の任務として海上保安庁の方でやっておられるわけでございまして、いずれも私は八十二条に直接該当するケースではなかったというふうに考えておるわけであります。
#278
○柳澤錬造君 これは長官の方にお答えをいただきます。
 あのときは政府が、領海侵犯として受けとめるといってソ連に向かって抗議をしたのですよ。日本の領海が外国の軍隊に侵されたと言ったのです。いまの防衛局長のような答弁がそれで成り立つのですか。そういう答弁が出てくれば、それだったらこの八十二条を発動するようなことはもうありはせぬじゃないですか。日本の領海に外国の軍艦が入ってきたといって、それで日本の政府自体も、官房長官みずからが領海侵犯と受けとめますといってソ連に向かって抗議までしている。ところが、あのときは防衛庁の方は、いや八十二条が発動されないから動けないのですということを言っておったのですから、そこはどういうことになるのですか。
#279
○政府委員(夏目晴雄君) 昨年のソ連の潜水艦が領海を侵犯した件については、いま御指摘のように八十二条は当然のことながら出なかったわけでございますけれども、第一義的に、領海侵犯、こういった海上における警察行動については海上保安庁の任務になっております。私どもが自衛隊法八十二条で規定しておりますところの海上における警備活動というのは、先ほど防衛局長がるる述べたように、有事が近くなって、海上における不審船舶によってわが方の海上交通が著しく阻害されるような場合、あるいは海賊的な行為が頻発するようなことがあってわが方の国民の生命、財産を守る必要があるときに、海上保安庁の手に負えなくなるような事態に、内閣総理大臣の命令を受けて出動するというものでございまして、先般の領海侵犯がたまたまあったからといって、すぐさまそういうものが発動されるものでもありませんし、今回のような事故、すなわち遭難者に対して救助の手を差し伸べるというのは、言うなれば、水におぼれている人間を見て当然のことながら人道的な配慮からそれを救出したというものであって、特段の法律の根拠に基づくものではございません。
#280
○柳澤錬造君 今回の救助したことを私はいけないと言っているのではなくて、これは当然やるべきことであって、それからいまも官房長の答弁なんかでも、そういう答弁をするようだったら、それは海上自衛隊は要らぬですよ。東京湾に外国の軍艦が入ってきたって、それは保安庁の仕事ですということになるでしょう。はっきりしていただきたいことは、日本の領海が侵犯されたのでしょう、日本の政府が領海侵犯と受けとめますとあのときは言ったのですから。領空だって侵犯されればその外国の飛行機は撃ち落としてもいいというのは、これは国際法上決まっているのじゃないですか。近くでうろちょろしているというなら、これはよけいなことに手を出すわけにいかないけれども、領空を侵犯される、領海を侵犯されるということはどういうことかというのは、これは国際法上決まっているのじゃないですか。その点について、当然そういうときには――それはそこでもって大砲の撃ち合いやれと言っているのじゃないのですよ。
 だから、あのときも私は申し上げたはずなんだけれども、ああいう火災事故を起こしたのだから、何も向こうも日本の領海を侵犯しようとして来たのじゃないのだから、早く無害通航なら無害通航として政府が態度を決めて、どうぞ御自由にお通りなさいとなぜ通してやらないのだと。それが明らかに領海侵犯と受けとめるといって文句を言っているのだから、文句を言うならば当然それなりの処置をとらなければいけないじゃないかという、その辺があのときの政府側の内部の不統一というものが明らかだったわけですよ。それに似通ったようなことが今回の場合もあるから私は言う。
 どこかこの問題に対して中心になって扱っているのやらということがさっぱりわからないでしょう。だから国会の中でもあらゆる委員会がこれをみんなそれぞれ取り上げて、ああでもないこうでもないといまやっているわけなんですから、その辺のむしろ私は政府側として内部統一をきちんとして、そしてこれに対処するにはどういうかっこうでといって皆さん関係者が合議をして、それで日本政府の態度はといって、アメリカに文句の言うことは言う。国民に向かって理解をしていただくことは、政府として調査をしたらこういうことですということがわかりましたといって、早いところ日本の政府として調査したものを国民に発表して安心させる。そういうことをきちんとやらないから、私はそういうことから関連して聞いているのです。
#281
○政府委員(夏目晴雄君) まず領空侵犯につきましては、領空侵犯に対する措置というのは、自衛隊法によって自衛隊に任務が課せられているということが第一点でございます。
 それから第二点の、先般のソ連潜水艦の領海侵犯につきましては、御承知のように、海上保安庁から再三の警告を発し、また外務省を通してソ連大使館に抗議を申し入れたということで、しかるべき手続は踏まれているというふうに考えております。
#282
○柳澤錬造君 防衛庁長官、いまの答弁なんていうのは答弁じゃないのですから、最終的に長官からよくお考えいただいて御答弁をいただくことにして、もう一つお聞きしておきたいことは、これはさっきから若干出ておりますけれども、日本周辺のソ連の方の潜水艦、アメリカの方の潜水艦、日本の防衛庁として把握をしている数というものはどのくらいというふうに把握をなさっておるのか、お聞きをしたい。
#283
○政府委員(岡崎久彦君) 御質問の趣旨が、周辺を遊よくしている潜水賃、そういう趣旨でございますと、米ソに限らず一般に潜水艦の行動は厳に秘匿されておりまして、これは把握するのは困難でございます。時といたしまして浮上航行するのを海峡監視あるいは監視飛行中に見ることはございますけれども、これで全貌をつかむというわけにはまいらないのが実態でございます。
#284
○柳澤錬造君 岡崎参事官、外務省の方に質問したのならばそういう答弁もあっても、あなたが防衛庁におって、そういう子供みたいな答弁はしないこと。少なくとも、そう聞かれたならば、それはソ連の太平洋艦隊に来ているのは潜水艦がどのくらい、アメリカから今度第七艦隊が来ているというが、そんなものが日本のそばへ来たり遠くへ行ったり、それはいろいろいるだろうけれども、少なくとも日本に影響が及ぶこの周辺にいるということでは、そのくらいのことはあなたも防衛庁にいたらおわかりのことだと思う。
#285
○政府委員(岡崎久彦君) どうも失礼いたしました。あるいはそういう御趣旨の質問かとも思ったのでございますけれども、日本周辺という御質問なんで……。
 ソ連の潜水艦は、太平洋艦隊約百三十隻というふうに推定しております。アメリカの潜水艦は、第七艦隊所属がたしか七隻というふうに私記憶しております。第七艦隊のほかに、グアム島の第十五潜水艦隊、これは従来十隻でございましたけれども、現在恐らく三隻あるいは五隻ぐらいが動いているのではないかと、かように考えております。
#286
○秦豊君 ちょっと委員長。北米局長、恐縮ですが、あなたに通告してなかったのですが。もし可能ならば、頭で聞きますから、ちょっとおっていただけますか。
 委員長、失礼しました。
 がらっと変えましょうね、がらっと。
 日米首脳会談を控えまして、防衛庁としては、外務省としては、総理並びにその周辺には言うべきことはもう全部言ったのか。つまりこの意味は、もうちゃんと設定されているわけだから、防衛庁としてはまだまだ焦点になる防衛問題について言うべき意見あるいは提出すべき資料、こういうものについては総理から何か言われていますか。あるいは、訪米を控えて外務、防衛を含めて日米会談に備えた会談の日程は持たれていますか。
#287
○政府委員(塩田章君) 日米首脳会談ということで、そういう議題という意味で外務省とまだ話し合っているわけではございませんが、いろいろ連絡はしております、ただ、このことにつきましては外務省の方で主管しておられますので、私の方から申し上げることは差し控えたいと思います。
 なお、総理につきましても、私ども何回か総理のもとに行っておりますけれども、この議題ということでなしに、いろいろ防衛問題ということで総理のところに御説明に上がっております。
#288
○秦豊君 もうないんですか、今後は。
#289
○政府委員(塩田章君) 当然まだあると思います。
#290
○政府委員(淺尾新一郎君) 総理の訪米に備えまして、総理のところで勉強会をすでに三回行っております。三回に取り上げた問題は、日程、訪米の意義、二番目の勉強会は国際経済関係、三番目は国際情勢ということでございます。したがって防衛問題はまだ取り上げておりません。
#291
○秦豊君 少しわかりました。じゃ、防衛問題、眼日中の眼目が残っていますから、これからあるわけですね。
 この間、原次官その他塩田さんも行かれたと思うが、鈴木総理に進言された、意見具申をされた、あれがワシントンで繰り返されると思う。つまりP3Cの四十五機プラスアルファ、F15の百プラスアルファ、これは非常に大きなハイライトになる。具体的には、大村さんが六月二十九日ワインバーガー氏と会談をして、より具体的になろうけれども、少なくとも総理とレーガン大統領との会談の中で、日本の防衛努力を最も如実に具象的に示すのは、そのまさにF15とP3Cプラスアルファという感触が最も有効であろうと私は思うから、それは当然大きな焦点になるわけでしょう。
#292
○政府委員(塩田章君) まず言葉の問題ですけれども、私意見具申をしに行ったわけではございません。この前、一番直近は一昨日だったと思いますが、行きましたのは、よく防衛計画の大綱の水準に達するとか達しないとかということが出ますが、防衛計画の大綱の水準とはこういうものでございますと、それに対しまして、五十六年度の予算でお願いしたものが今後何年か後に完成するわけですが、それが完成したとしてもこれだけの差がありますということの御説明を申し上げたわけであります。
#293
○秦豊君 防衛問題が残っている。淺尾さんの言われるとおりだと思いますね。それについてはいつ総理との話し合いが持たれることになっているのですか。外務も含まれますか。
#294
○政府委員(淺尾新一郎君) まだ総理との日程を調整中でございますが、当然外務省もそれに参加いたします。
#295
○秦豊君 きのうは総理も官房長官もいらっしゃいませんから、この点は一応これで控えましょう、抑えましょう。
 日米共同作戦について、これは塩田さん、あなたの担当範囲でいらっしゃるが、ガイドラインに基づく共同作戦研究、私はこの前の国会でかなりこの点について繰り返したわけですが、日本有事については一〇〇%完成をしたという言い方ができるのか、日米間に若干調整をなお要すべきポイント、事項、部門が残されていると答えるべきか、いまどの段階にあるのですか。
#296
○政府委員(塩田章君) すでに先生御存じですから繰り返しませんが、いまやっております一つの想定に基づく共同作戦研究については、今後の何といいますか、微調整みたいなことはあるかもしれませんが、まず一〇〇%と言っていいのじゃないかと思います。もちろん言葉の厳密な意味で一〇〇%とは申しませんけれども、そんな感じでございます。
#297
○秦豊君 果たして微調整なのかどうか。たとえばシナリオ、日本に対する侵略の態様、これは大体合意できたと。けど、ぼくら素人は疑い深いから、やはり日米制服組が作業をやってみたところが、有事のシナリオの中で基本的にどうも食い違った点がある。それはあなた方はやはり北方の脅威の評価に力点を置く。アメリカ側は必ずしもそうではないと立論をする。当然隔たりが大きい。これはやっぱり相当煮詰めなければいかぬ。この点についても一致しているという前提ですか、あなたの答弁は。
#298
○政府委員(塩田章君) いま申し上げましたように、これは一つのシナリオでございますから、いまやっているシナリオについてはそういう大きな点で食い違いはないのでございまして、もしそういう議論があるとすれば、また次のシナリオの段階でどういうものを取り上げるかという話になるかと思いますけれども、いまのはそういう意味の調整はもう残っておりませんで、微調整しか残っていない、こういうことでございます。
#299
○秦豊君 微調整というのは具体的にどういうものを対象にした微調整なんですか。戦略思想なのか、来援の兵力なのか、あるいは脅威の見積もりなのか。何ですか。
#300
○政府委員(塩田章君) いまおっしゃった三点はいずれも大調整でございまして、微調整というのは……
#301
○秦豊君 具体的に言ってください。こっちはわからないから聞いているのですから。
#302
○政府委員(塩田章君) 要するに修文の方の表現の問題という程度でございます。
#303
○秦豊君 それでは防衛庁長官、たしか、私の聞き違いでなければ、日米共同作戦研究の概要、骨子というふうなものは当然あとう限り国会に報告をする、防衛研究とあわせて、こうなっていたはずなんだが、一向に影も形もない、総理に対してはかなり説明があったようだが、なぜ国会にないのか。いつごろ出す用意があるのか。出すとすれば、どの範囲が可能なのか。どうです、
#304
○国務大臣(大村襄治君) 私は、有事法制の研究について防衛庁所管の分野の取りまとめをしたならば今国会中に報告したいということは申し上げでございますが、ガイドラインにつきましては、ガイドラインそのものがかなり詳しいわけでございまして、これはもう決定しましたときに国会に詳しく御報告しておりますので、ガイドラインに基づくこの研究については、まあいわば手のうちにかかわる面がございますので、御報告することは差し控えさせていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
#305
○秦豊君 塩田さん、一つのかたまり、ブロック、範囲では一応微調整だそうだから、それができ上がる、それは夏ぐらいには終わるわけでしょう。
 それからもう一つ、時間がないから束ねますけれども、次の段階というのはやっぱり極東有事ですか。それにはもう入っているのですか。
#306
○政府委員(塩田章君) 夏よりももっと早いのではないかと思っております。微調整と言いましたけれども、微調整があるという前提じゃなくて、あってもその程度だということでございまして、もう最終段階でございます。
 それから、次は何かと、極東の、いわゆる三項ではないかということでございますが、そこはまだ決まっておりません。したがいましてまだ入っておりません。
#307
○秦豊君 まだ入ってないのですか。その次は極東有事と思って当然と思ったんだが、そうですか。
 三海峡封鎖というような問題についてはどの段階で手をつけるのですか。もうついているのですか。
#308
○政府委員(塩田章君) まだついておりませんし、どの段階というところもまだめどを持っているわけでございません。
#309
○秦豊君 日米首脳会談までにあらゆる微調整を終わるという理解は早過ぎますか。
#310
○政府委員(塩田章君) このこと自体は日米首脳会談とは関係がないと私ども……。
#311
○秦豊君 いや、最初の段階ですよ、日本有事、私の申し上げているのは。
#312
○政府委員(塩田章君) ガイドラインに基づく研究が日米首脳会談の前にどうしなきゃいけないとか、そういうふうな問題意識を持っているわけじゃございません。
#313
○秦豊君 それはわかって聞いているんだが。つまり、今国会は、多分延長になるだろうが、一応五月二十日。あなたは、私が夏かと聞いたらもっと早いと。当然五月かと思ったんだが、五月ごろには終わるのでしょうねということです。
#314
○政府委員(塩田章君) 実はもともと三月末に終わるのじゃないかと思っておったんです。それがやや延びておるということでございまして、いつということではございませんけれども、そんなに遠くないだろうと、こういうふうに申し上げたのです。
#315
○秦豊君 いままで煮詰まった範囲で、塩田さん、日本有事なんだから、米軍の日本への来援というシナリオは当然包括されますよね。これは常識中の常識。これは入っているんでしょう。
#316
○政府委員(塩田章君) 何回も申し上げますが、この想定に基づくものは当然入っておるわけでございます。
#317
○秦豊君 そこで伺うのですけれども、余り機密機密と言わぬでください。あなた方は、どういう段階で米軍の来援を要請するというふうなことも協議したわけでしょう。
#318
○政府委員(塩田章君) 協議をしておりますが、その中身は申し上げることは差し控えさしていただきます。
#319
○秦豊君 当然でしょうね。高度の機密に属しましょう。しかし来援が含まれていることはわかった。
 もう一つ聞きたいのですが、あなた方は米軍来援については確信に近いものを持っているわけでしょう、一〇〇%。それが大きな前提で作業して煮詰めたんだから。ところが、世論調査なんかどれを見たって、今度の当て逃げもあるけれども、いざとなったら米軍は来援してくれない、守ってくれないというのが五九%もあるんですよ。これは大変な数なんですね。世論というのは情報に疎いかもしれないが、これが素朴な反応じゃないか、日本の有権者の皆さんの、と思うんだ。あなた方は一〇〇%確信を持っている。ところが、共同作戦研究において来援は重要な項目でインプットされていると思うのだが、あなた方の確信は何に基づいているのかというのがどうもよくわからない。何に基づいているのですか。
#320
○政府委員(塩田章君) われわれ作業する者としましては、安保条約なり、具体的には日米ガイドラインにそういうふうに明記してあります。それに基づいて協議をしておるわけでございます。
#321
○秦豊君 極東有事を想定した次の段階ですね、第二段階とぼくはあえて言いましょうね。あなた方はそういう言葉は違う、いや該当しないから答えない、こうなるのだが、そうじゃなくて、当然常識として、日本有事の次は極東有事でしょう。これはいつごろ手をつける、いつごろまでに終えたいという大体の日米双方のアバウトなタイムスケジュールはあるのかないのか。
#322
○政府委員(塩田章君) 現在そのアバウトなスケジュールもございません。
#323
○秦豊君 少し先を急いで、防衛研究について先ほど堀江委員もちょっと質問されたようでありますが、これは、これこそ大村長官、国会に報告をするという言葉があったんだけれども、これはなぜおくれているのか。報告をするとすればいつごろが可能なのか、どういう項目が含まれるのか。
#324
○国務大臣(大村襄治君) 防衛研究についても、詳細な内容はやはり手のうちに関係しますので差し控えさしていただきたいということを申し上げておきます。どういう研究の項目を研究したかということにつきましては、すでにこの国会におきまして政府委員から数項目について御説明をいたしております。
#325
○秦豊君 だから統合部隊の編成とか作戦行動、三自衛隊相互間の支援体制とか、これはもう出ていますよね。そういうもの、それは項目というのですよ。どういう内容まで国会に報告が可能か、それを聞いている。
#326
○国務大臣(大村襄治君) 詳細な御報告は差し控えさしていただきたいと申し上げておりますし、現在もそのように考えているわけでございます。
#327
○秦豊君 そうすると、この防衛研究、どうせ骨みたいなものしか報告しないと思うのですがね、あなた方は。自衛隊の警戒態勢のレベルとか米軍との対応とか、こういう段階区分なんというようなものは報告のらち外になるわけだな。
#328
○政府委員(塩田章君) まず、米軍との関係は全く防衛研究のらち外でございます。自衛隊だけの問題でございます。
 それから項目は、先生御承知のように五つの項目でお答え申し上げております。その項目それぞれにつきましてこういうことだということを幾つか例を挙げてすでに何回かお答えをしてきております。そういうことでお答えをいたしてきておりますが、それ以上にさらにその詳しい中身につきましては公表を差し控えさしていただきたいと、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
#329
○秦豊君 ぼくが聞いているのは、塩田さん、こういうことなんです。総理にも防衛研究とか共同作戦研究とかありましたね、ある程度。国会は何ほどをチェックできるのか、知り得るのかと思って聞いているんだが、項目なんというのは骨の骨なんだから、大骨なんだから、これは。どの範囲まで明らかにできるかということを聞いているんだけれども、それはしかも今国会中なのかどうかを含めて答えてください。
#330
○政府委員(塩田章君) ですから、国会でいままで何回か五つの項目、その項目のさらに内容、どういう事柄かというようなことを、先ほども堀江委員の御質問で防衛準備とはどういうことをするのかということをお答えいたしました。そのお答えしたことをもって、それ以上の公表は控えさしていただきたい。できる限りのお答えはしてきた、こういうことでございます。
#331
○秦豊君 ちょっと間に小さな質問をはさみますけれども、リムパック、ことしは81ですわな。82と呼称するか、向こうは82と呼称するか、リムパック82ですか。これは一体どんな態勢あるいは編成で参加をするのか。すでに素案はでき上がったのか、でき上がっていないのか、どうですか。
#332
○政府委員(石崎昭君) 次回のリムパックには護衛艦三隻、対潜哨戒機八機、それに見合う必要な人員、これを派遣するという大まかな考え方であります。
#333
○秦豊君 昨年の編成と大差ないように思われるが、アメリカ側との協議はすでに終わったのか、あるいはリムパック82の今度の眼目は、大きなポイントは何ですか。
#334
○政府委員(石崎昭君) 昨年は御存じのとおり護衛艦二隻でありましたので、次回は護衛艦が一隻ふえるということになります。
 それから訓練の内容につきましては、目下、米側とこれから調整をするという段階に入ったばかりの段階でありますので、どういうことが主な訓練内容になるか、正確を期して言えば未定ということになりますが、おおむね前回と同じような訓練をわれわれは予想しております。したがって、水上打撃訓練、対潜捜索攻撃訓練、防空戦訓練、電子戦訓練というような洋上訓練と、アメリカ側の施設を使った魚雷の発射訓練というような、おおむね前回並みのものを予想しております。
#335
○秦豊君 塩田さん、大蔵がすでに一定の財政の中期展望に関連してラフなシミュレーションをやっているのですよ。防衛費だけを抜き出すと来年が六・二%、増加率ですよ。それから五十八年が七・九、五十九年、つまり五三中業の最終年度が三・二%。がっくりくるような数字を並べてあるわけです。いろいろな前提があるからわかりませんよ。
 それで、きょうの午後にちらついた報道では、来年の五十七年度防衛予算の要求については上乗せ増枠もある種可能かもしれないということを渡辺蔵相がちらっとどこかの会合でほのめかしたという報道はあるけれども、以後ますます行革の進展ともあわせて楽観はできないと思う。こういう情勢を背景にしてあなた方がやっているのは、つまり五三中業の前倒しですわね。とても五六どころではない。だから堀江さんが聞いてもろくな答えが出てこないのはあたりまえなんです。頭はそれでいっぱいなんですよ。じゃ、具体的に現中業をどのように前倒しをし、ある水準を達成しようとしているのか。その案はできているのでしょう。明らかにしてもらいたい。
#336
○政府委員(塩田章君) 御承知のように、五三中業で、主な装備品の中で戦車でありますとか百五十五ミリりゅう弾砲でありますとか、あるいは艦艇、航空機等につきましては、五十七年、八年、九年にかけてやるべきものがあるわけでございますが、それを早期達成ということでできる限り前に寄せて、五十七年、五十八年に寄せて達成をしたいというのが五三中業の早期達成ということでございます。たとえば、先ほど堀江先生のときに例が出ましたが、P3CならP3C、F15にしましても、残った機数を五十七年度で何機要求するというふうにまだ決めておりませんけれども、そういう少しでも前へ倒したいという希望を持っているといういまの段階でございます、
#337
○秦豊君 じゃ、からっと具体的にまとまった計画はいまだできていない、こういうことですね。
 それで、関連して今度は五六中業になるんだけれども、山崎政務次官というのはわりと活発に発言しますわな。政務次官というのはやっぱり発言しやすいのかね。かなり大胆な発言をしている、それでまあ皆さんは、防衛計画の大綱の水準を手にすればいわゆる専守防衛は効果的に達成し得る、機能は発揮できる、こういう大前提で物を言っていると思いますがね、プランニングしていると思うのだが。山崎氏は五六中業の――どこかの委員会でも聞いていたけれども、ある段階でもう一%はもちろん超えますと、対GNP。あるいは中業の達成も五六中業のある時期ということをかなり明確に答えていますね。これは五六中業というのはいつごろから作業を始めて、いつごろまでに煮詰めねばならないのか。その中ではそれはどういうふうに位置づけられているのか、大綱の水準の上限は、いつごろ達成をすることが、昭和五十八年から六十二年度の中でどういうふうにあなた方は展望していらっしゃるのか、目指しているか。
#338
○政府委員(塩田章君) 五六中業の作業予定としましては、五十六年度中でございますから来年五十七年の春ごろまでには作業を終わりたいという目標でいまから作業に入るわけでございます。だから現在もいわゆるいろいろな資料を集めるといった程度のことはやっておりますが、作業そのものはいまから入るわけでございます。そのために、けさほども質問がございましたが、いまの長官指示を出すか出さないかということを含めて、いま鋭意検討をいたしておるという段階でございます。
#339
○秦豊君 塩田さん、五十八年から六十二年度まで幅があるでしょう。あなた方としては、できればなるべくこれも前倒しで、財政が絡むけれども、前倒しで大綱水準というのは一応達成してみたい、そこまで持っていきたい、ミニマムなんだから。あとは、たとえば五六中業というのは防衛計画の大綱の水準はまず一〇〇%満たす、できればプラスアルファを新たな上限にしたいということも含めて。どうもあなた方の答弁を聞いていると、五六中業の基礎理念、計画、方向、数値、あなた方自身のまだこの中の整理が終わっていないのではないかと思われる。質量ともの見直しをこの際達成すべきなのか、上限を防衛計画の大綱水準にすべきか、迷いがあるのじゃないか。いかがですか。
#340
○政府委員(塩田章君) まさにそういうことでございまして、一般論として言えば、防衛計画の大綱の水準に早く達したい。これはいろいろな機会に申し上げておるわけでございます。それを具体の作業でどの時期に達成できるようにするかということをいま鋭意検討しておる、こういう段階でございます。
#341
○秦豊君 これはこれ以上出ますまい。
 防衛施設庁、いまから申し上げることは、これは新聞報道というふうに軽視しないで答えていただきたいのです。やはり国会にぜひ提出をしていただきたいというリストがあるから質問をしますが、これは朝日がごく最近の四月の早々の紙面で報道をしまして、ぼくも知らなかったのだけれども、七九年の三月に、アメリカ下院歳出委員会の軍事建設支出小委員会という長ったらしい委員会でアメリカ側の責任者が証言をしています。渡邊さんの担当範囲ですよ、これは。防衛施設に関連します。「日本側に、われわれが必要とする施設の分厚いリストを渡してある」、このように伝えられているわけですよ。それで現実のあなた方のアメリカに対する協力というのは、八一年度については航空機のシェルターあるいは給油施設というふうなものにまで分担が行われているようであって、単なる後方補給を踏み越えて、ぼくなんかの常識では、作戦機能の強化を直接支援しているというところまで大胆に転換をしているから、なおさらこの分厚いリストが気になる。これをもしあなた方が正直に出せば、アメリカが日本に求める防衛施設負担の全容と方向がきわめて明白になる。国会はそれを当然チェックすべきであるという前提で、第一こういう事実関係、リストの所在はあなた確認できますか、否定されますか。
#342
○政府委員(渡邊伊助君) ただいま先生御指摘のいわゆるピンクニー証言、アメリカ国防総省の東アジア・太平洋局長ピンクニー准将でございますが、この方がいま言われましたようなリストを日本政府に提出したという証言をしているということは承知しておりますが、私どもはそのようなリストを受け取っておりません。したがいまして、この証言はやや事実に反するのではないかというふうに私どもは考えております。
#343
○秦豊君 しかし、ピンクニー氏は民間の自由人じゃありませんからね。そういう証言をしたことは渡邊さんも認められたわけです。リストについてはあなたはお持ちですか。
#344
○政府委員(渡邊伊助君) ただいま申しましたように、リストを私どもは受け取っておりません。
#345
○秦豊君 公式には受け取ってなくても、防衛施設庁は持っているんじゃないの。
#346
○政府委員(渡邊伊助君) 公式にも非公式にも受け取っていません。
#347
○秦豊君 それから海域分担の問題を少し残り時間だけ聞いておきたいと思うのですが、防衛庁長官、うちの楢崎が質問主意書を出しまして、これはさっき彼が持ってきたんだけれども、これ閣議だから当然御存じでしょう。「我が国固有の個別的自衛権の及ぶ地理的範囲に関する質問主意書」、その中で一つだけ聞きたいのですよ。
 彼は四項目聞いて、「憲法上、許容される地理的範囲」「日米安保条約上の地理的範囲」「現政策上の地理的範囲」最後に「自衛隊現有能力上の地理的範囲」と四つ並べて、閣議でごらんになったでしょう。これによると大きくもう踏み出して、はなはだ今後の危険な方向が露呈をされているわけなんだが、前提として聞きますけれども、防衛庁のいまの現有能力、現政策上のたとえばシーレーンの範囲、極限というのは周辺約三百海里、南東南西航路千海里、東京湾を基点にして千海里の扇形の範囲、これは防衛計画の大綱の上限を達成して手にし得る能力でしょう。同時にそれがいままでの防衛庁の答弁の上限ですね、違いますか。
#348
○国務大臣(大村襄治君) ただいまのお尋ねでございますが、楢崎議員に対する答弁書は私も承知しております。また、いま先生お尋ねになりました千マイル程度、あるいは航路帯の場合約千マイル、それから数百海里ということは防衛庁の海上警備の整備の目標として掲げているものでございまして、これは防衛計画の大綱で定めております海上警備力の目標と見合っているものであるというふうに理解しているわけでございます。
#349
○秦豊君 ところが相当違うんだな、長官。今度の答弁書は、法制局が、法律の虫みたいな人が逐語的にやったにしては実に大胆で、稲葉議員に対する自衛権の範囲、あれをさらに大きく踏み出して、半歩どころか二歩ほど踏み出しているんだな。あなたの答弁は古い答弁なんですよ。政府による新しい答弁は「外部からの武力攻撃の態様等によって異なるものであって、」防衛正面は、担当範囲は「一概にはいえない。」と。こうなると、あなた方は東京湾中心で千海里、扇状というけれども、この新たな政府答弁というのは、一概に言えないとなると、アメリカから要請されている、たとえばグアム以西、フィリピン以北のいわゆるアメリカの要請している面防衛、これには法解釈的には対応できるような答弁書をすでにうちの楢崎に出しておるわけだ。いまの大村長官の答弁は古い答弁なんです。政府はすでに一歩踏み出している。重大な食い違いですよ、これ。どう思われます、あなた。どっちが本当なんです。
#350
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 この答弁書のもとになりました楢崎議員の質問書は、先生もちょっとお触れになりましたように、憲法上の点、能力の点、いろいろの角度からお尋ねがあるわけでございます。
 そこで憲法上の点から言いますと、自衛のための警備でありますとか、その必要最小限の範囲と、抽象的なお答えになるわけでございますが、その範囲の具体的な判断につきましては、そのときどきのいろいろな情勢もあって一概にはお答えできないということを申しているのではないかと思うわけでございます。
 そこで能力の点から言いますと、いま申し上げておりますように、私ども整備目標として掲げたものがございますので、そういったものを念頭に置いて整備を図っていると、こういうことでございまして、問題が分かれておりますので、そういった観点でお答えしてみますると、私のお答えしましたものが古くても無意味なものになっているとは考えておらないわけでございます。
#351
○秦豊君 残り三、四分で煮詰めるには膨大なテーマだから、これは何回でも繰り返しますが、塩田さん、まさにこれ、面ではない、海域分担ではない、機能分担。あなた方の答弁は聞き飽きたけれども、しかし単に海域防衛といっても、まあ海原氏の意見についてはあなた方は黙殺というふうな方針であろうけれども、おれは頭から成り立たないと言っているんだからそれは別だ。しかし、あなた方の立論が整合性を持つためには、単にP3Cを買いますとか増枠するとか、あるいはF15を増枠するとかいう程度の、あるいはフリゲートをちょっと十杯ほどふやすという程度では話にならないで、やがてやっぱり「ひえい」「はるな」を上回るヘリ空母を装備したいとか、あるいは対潜巡洋艦という名前ですかどうかは別として、あるいはいわゆる千海里の扇形というと、沖繩本島だけではなくて、たとえば南鳥島、沖ノ鳥島、与那国、石垣島、あるいは硫黄島、小笠原諸島、水中聴音システムを含めて、現在アメリカが相当敷設しているようだけれども、日本独自にそういう三次元的な機能強化をしなければ、とてもあなた方の理論の、計画の整合性は持ち得ない。
 その場合に、沖繩と硫黄島だけで果たして十分なのか。硫黄島は単に訓練、補給、連絡基地として想定されているようだが、硫黄島にP3Cを配備するというふうな構想というのはやがて出てこなければいけないんだし――われわれは反対ですよ、そういうものに。あなた方の計画の整合性ということを前提にすればという議論だけれども。だからやっぱりレーダー設備とか通信、補給とか、あるいはそういう全体的な機能を持った基地群というものを裏づけなければ、あなた方のいわゆる海域じゃなくてシーレーン防衛、これは不可能じゃないのですか。そういうことについての考究、考察はすでに始まっているのか、どういうラフスケッチを持っているのか、何にも持っていないのか、この点は念のために聞いておきたい。
#352
○政府委員(塩田章君) 私どもはいまの防衛計画の大綱の掲げる水準を早く達成したいと言っておりますが、それによりましてもし得られた防衛力、もしといいますか、実現できた場合の話ですが、そういった防衛力でもってどの程度防衛できるかということで、周辺数百海里とか、航路帯の場合約一千海里とか言っているわけですが、それにつきましてはいまの大綱水準に掲げる防衛力でもってかなりできるのじゃないかというふうに考えております。
 いま、たとえばヘリ空母だとかおっしゃいましたけれども、果たしてヘリ空母が要るかどうかというようなことになりますと、正直言って私たちの中にも、私たちというのは内局という意味じゃございません、両方含めての意味ですが、必ずしも要らないのじゃないかという意見もあるようだ状況でございまして、それはやはり正確に実際の作戦形態を考えながら検討していくべきものであって……
#353
○秦豊君 島々の問題はどうですか。
#354
○政府委員(塩田章君) 島々の問題につきましても、いま御指摘のようなP3Cというような飛行機が出てくるような、まあ当面は四十五機をお願いしているわけですが、以後もP3Cが出てくるということになりますと、状況はずいぶん変わります。したがいまして、いまのところ、現在那覇にはもうあるわけですが、それ以外の島を基地化するというようなことを考えておるわけでございません。いまの防衛計画の大綱の線で早く到達して、いまの枠の中で充実していきたいというふうに考えておるわけでございます。
#355
○秦豊君 これで最後だと思います。
 これはちょっとぼくは解せないからあなたに聞いておくんだけれども、また別の機会にやりましょう。
 アメリカの海軍なんかでは、国防総省にもあるらしいんだけれども、日本とアメリカが話し合って、防衛分担、機能強化の話し合いを進めた場合、海域に限りますと、たとえば中東有事とかあるいは日本近海有事を想定してシーレーン防衛をもっとデテールにわたって確定をするというために、いま進めているガイドラインに従った作戦研究だけではどうも足りない、新たにシーレーン防衛のための独立した共同作戦計画を持つべきではないかと、こういう意見が根強くあるというわけですよ。実際にどうかわからない。ぼくらにしてみれば、それは共同作戦研究で十分じゃないだろうか、段階を次々に高めて、と思うのだが、アメリカのユニホームにはそういう意見が強いと。塩田さんなんかはそれをどう考えているのか。だんだん段階を高めて、昇羃の順にやっていって、それで極東有事の中に含めてもいいし、あるいは日米共同作戦研究をより充実すれば足りるというふうに考えておられるのか、その辺を伺って終わりたいと思う。
#356
○政府委員(塩田章君) アメリカのユニホームの人の中でもいろいろな意見は当然あると思いますが、私どもが聞いておる限りでは、ガイドラインで言っております。辺海域の防衛は海上自衛隊が主体となって行うということをちゃんとやってくれと、こういうことでございまして、そのためのもちろん対潜能力とか防空能力とか、そういった問題はございますけれども、その目標の範囲について特段意見があるようには聞いておりません。
#357
○委員長(原文兵衛君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後六時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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