くにさくロゴ
1980/03/25 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号
姉妹サイト
 
1980/03/25 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号

#1
第094回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号
昭和五十六年三月二十五日(水曜日)
   午前十時三十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     大川 清幸君     矢追 秀彦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鳩山威一郎君
    理 事
                中西 一郎君
                松浦  功君
                小谷  守君
                多田 省吾君
    委 員
                小澤 太郎君
                金丸 三郎君
                田中 正巳君
                名尾 良孝君
                中村 禎二君
                降矢 敬義君
                片山 甚市君
                福間 知之君
                宮之原貞光君
                矢追 秀彦君
                山中 郁子君
                栗林 卓司君
   衆議院議員
       発  議  者  片岡 清一君
       発  議  者  後藤田正晴君
   国務大臣
       自 治 大 臣  安孫子藤吉君
   政府委員
       警察庁刑事局長  中平 和水君
       自治省行政局選
       挙部長      大林 勝臣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
   衆議院法制局側
       第 二 部 長  齋藤 義道君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公職選挙法の一部を改正する法律案(衆議院提
 出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鳩山威一郎君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十四日、大川清幸君が委員を辞任され、その補欠として矢追秀彦君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(鳩山威一郎君) 公職選挙法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○宮之原貞光君 まず、政治活動のために使用する文書図画に関して、法案要綱を中心にいたしまして一、二質問をしておきたいと思います。
 事務所におきますところの掲示できる立て札、看板の数の問題でございますが、政令で総数の範囲を決めると、こうなっておるんですが、新聞報道によりますと、何か衆議院レベルのところで、与野党でこの中身について話し合いができたように報じられておるのでございますが、具体的なその数について話し合いができておるなら、まず明らかにしてもらいたいと思います。
#5
○衆議院議員(片岡清一君) いまの立て札、看板の数量規制の問題につきましては、衆議院の段階におきまして理事懇談会でいろいろ御相談をいたしまして、非常にたくさん要望せられるとこと、そう必要ないじゃないかという御意見といろいろございました。しかし、大体候補者個人用としての事務所の十本、それから後援会用として十本ぐらいどうだろうということで大体話がいま進んでおりますが、後援会用の分をもう十本ぐらいよけいにしたらどうだ、したがいまして、全部で大体三十本か二十本がということで、いま話し合いが進んでおるところでございます。いずれ皆様方とも御相談をして決定をしていきたい、かように考えておる次第であります。
#6
○宮之原貞光君 二十二日の一部新聞に報道されておりました倍にして二十本、二十本というのは誤りなんですね。大体いま御答弁のように十本、十本というところの線で話が進みおると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#7
○衆議院議員(片岡清一君) はい、大体その線で落ち着くのではないかと思っております。
#8
○宮之原貞光君 続いて、法百四十二条の候補者の氏名または後援団体の名称を表示するポスターの問題でございますが、これは二月の十二日に衆議院で、いま御答弁いただきました片岡さんが表明をされたところの統一見解と申しますか、最終的なお答えですね。議事録によりますと、こう書いてありますね。「シンボルカラー、シンボルマークは、候補者等の氏名、氏名類推事項または後援団体の名称には該当しないのが通常であると考えられるし、候補者の似顔絵は、候補者の氏名類推事項に該当するとしても、単にそれのみでは事務所、連絡所または後援団体の構成員を表示するためのものと認めることは困難であろうから、一般的に言えば今回の改正による規制の対象とはならないものと考えている。もちろん、これらの文書図画が、掲示の時期、態様によっては事前運動の禁止規定に該当してくる場合があるか否かは別問題である。」、このように答弁をされておるのでございますが、それがこの法案の提案者の側の見解だというふうに理解してよろしゅうございますか。
#9
○衆議院議員(片岡清一君) そのとおりでございます。
#10
○宮之原貞光君 この点、いよいよ法律が決まるとこれは自治省の所管になるのですが、選挙部長、そのように理解して間違いございませんか。
#11
○政府委員(大林勝臣君) 私どもも同様に理解いたしております。
#12
○宮之原貞光君 実はここに東京都選挙管理委員会の出した参考資料というのがあるのです。これは「職選挙法の一部を改正する法律案の内容について」というのですね。いまの都議会に配られておるのです、私は法案の審議中にこういうものを東京都ともあろうものが先走って配付するというのは、全く言語道断だろうと思うのです、だからぼくは、これはまさか自治省がサゼスチョンしたのじゃないと思いますけれども、こういうことのないようにぼくはやはり所管官庁はきちっと、中央選管の所管はおたくなんですから、自治省なんだから、きちんとしてもらいたいと思うのですね。
 しかも、この中身の問題につきましても、非常に先走った解釈をしておるのです。たとえば、いまお尋ねをいたしましたところのシンボルカラー及び似顔絵の問題でございますけれども、こういう解説をしているのです、東京都選管が。「シンボルカラー、シンボルマークのみのステッカーは、候補者等の氏名、氏名類推事項又は後援団体の名称とは一般的に考えちれない。ただし似顔絵は通常氏名類推事項にあたると解されることが多い。」、これだけはっきりしておるのですよ。したがって、説明をされたところの都議会の諸君は、似顔絵はだめだというふうに理解しておるのですよ。おかしいと言ったって事実そうなんですから、これはいまの答弁やら自治省の答弁と全く違うのだな。なるほどそれはそういうように類推されるかもしれぬけれども、この法律の一番趣旨であるところの連絡事務所とかあるいは事務所とかあるいは後援会の会員で云々という問題が一番この条項の中心でしょう。だからこれは行き過ぎだと思うのですね、こういう解釈をして、次からはこうなりますよと言わぬばかりの説明をしておるのです。これは明らかに間違いだと思いますよ。どうですか、提案者は。
#13
○衆議院議員(片岡清一君) 私はいままだそれを見ておりませんので、いまのお読みいただいた段階では、それは私が申し上げた統一見解とは違うように思います。
#14
○宮之原貞光君 ぼくはこれはひとつ選挙部長に指導してもらいたいと思うのです。私が読み上げるとどうかと思われますから、現物持っていきます。
#15
○政府委員(大林勝臣君) 私どももこういうものが出ておるということは実は存じなかったわけでありますけれども、法律の解釈運用につきましては十分に国会の議論を踏まえた上で解釈をすべきものでありまして、少し早過ぎるなという感じは持っております。都選管の方に、いまどういう経緯でこういうことになったのかただしてみたいと思いますけれども、恐らく目の前に都議選が迫っておりますために、いろいろな注文があったんではないかというふうに察せられます。それにしても、そういう大変大切な問題について御疑念がわくような解釈をするというのもいかがかと存じます。
 先ほど御質問になっております衆議院の委員会におきます片岡委員の提案につきまして、その確認をされたわけでありますけれども、片岡委員の御見解の中には、確かに似顔絵そのものは氏名類推事項に該当するとしても、単にそれだけではいわゆる連絡所の表示ではないからこれに当たらないということであるわけでありますが、同時にその御見解の中で、今回の改正には当たらないといたしましても、その時期とか態様によりまして事前運動の禁止規定に当たることはこれまた別の問題であるというふうに仰せられておるわけでありまして、私どもも同じような考えを持っております。そういうことを恐らく頭に置いてこういう表現になったのであろうと推測をいたしますが、これは単なる推測でございますので、先ほどの御注意を承りましてただしてみたいと思います。
#16
○宮之原貞光君 ばかに好意的に推測しておりますけれども、その文書に事前運動云々と書いてあるならそれは推測になりますよ、あなたがおっしゃることになりますよ。しかし明確に書いてあるんですよ。これは行き過ぎもはなはだしいと思うんですよ。しかもいまから法案を審議するというんでしょう。成立もせぬ前から、それは多数だから成立すると思っておるんでしょうけれども、これぐらいぼくは国会におけるところの審議権を否定するものはないと思うんですよ。そのことも私はきわめて大事だと思う。しかも内容も、国会の中で、いわゆる衆議院の中で意思統一されたところの問題と大分違うものですから、私はやっぱり厳重にきちんと指導しておいてもらいたいと思うんです、誤りのないように、よろしいですね、選挙部長。よけいなことはいらぬですから、やるかやらぬかというだけはっきり言ってください。
#17
○政府委員(大林勝臣君) 承りました。了解いたしました。
#18
○宮之原貞光君 次に、ステッカーの設例の問題について片岡さんは、スローガンと政党名だけのもの、スローガンだけのもの、政党名だけのものは、スローガンが候補者の氏名類推事項に当たるような特別の場合を除いて、公選法百四十二条十四項の対象とならない。また、スローガンと候補者が記載されたものは候補者名があるので同項の対象となるが、一般的には、それが事務所もしくは連絡所を表示するものとは認められないから、今回の対象にはならない、こういう答弁をされておりますね。そのように理解してよろしゅうございましょうか。
#19
○衆議院議員(片岡清一君) そのとおりでございます。
#20
○宮之原貞光君 そこで、この件についてちょっとお尋ねしますが、スローガンが候補者の氏名類推事項に当たる特別の場合を除いてはと、その特別の場合というのはどういう場合を予想されておるんですか、あなたの答弁の中のいわゆる候補者の氏名類推事項に当たるような特別の場合を除いてはという意味は。
#21
○政府委員(大林勝臣君) 委員長。
#22
○宮之原貞光君 いや、ちょっと待ってくれよ。あなたが提案者じゃないだろう。そんなよけいなところで出しゃばっちゃ困るよ。
#23
○衆議院議員(片岡清一君) 似顔絵が本人の類推する特別の場合という……
#24
○宮之原貞光君 そういう意味じゃないですよ。このステッカーの問題で、スローガンと政党名だけのもの、スローガンだけのもの、政党名だけのものは、これらのものが候補者の氏名類推事項に当たるような特別の場合を除いては該当しないと判断しますと、こう言っておるんですよ、あなたがお答えいただいた。
#25
○衆議院議員(片岡清一君) それは事前運動に関連をして申し上げたのではないかといま思います。
#26
○宮之原貞光君 じゃ、後刻でいいですが、それは私の質問が終わるまできちんとしておいてくださいませんか。これは恐らく事前運動とは関係しないのではないかと私は判断します。これは、あなたが二月十二日の衆議院の公選法の委員会で最後にまとめとしてお答えになったことを私は確かめておるわけですから、そこを後ほどきちんとしていただきたいと思います。
#27
○衆議院議員(片岡清一君) スローガンの中に名前を類推するような場合がある、そういう場合には該当する、たとえばそういう意味をくんでおるわけでございます。
#28
○宮之原貞光君 こういう場合にはそれには当たらぬのですね、たとえば衆議院なら衆議院の選挙区で、その政党から一名しか立候補しておらない。そうすると、スローガンとか政党名だけのものは、すぐその候補者を連想させるわけですけれども、そういうものは当たりませんね。これはそういう意味じゃないですね、いまの御答弁から判断いたしますと。
#29
○衆議院議員(片岡清一君) その場合は直接に推定といいますか、できない場合が多いと思いますので、ぱっとすぐわかるということでないと該当しないのじゃないかと思います。
#30
○宮之原貞光君 はい、わかりました。
 次は、ポスター掲示場に関する問題についてお聞きいたしたいのですが、それぞれ公職選挙法によってポスターの枚数というのが限られておるわけですね。そこで、やっぱり問題は条例で掲示場を決めた場合、一投票区について五ないし十カ所ということになりますと、著しくやはり枚数が制限されてくるということは、これは明白でございますね。ちょっとこれは問題があると思いますが、実情としてはどういうかっこうになりましょう。皆さん立案された場合にはどういうことを想定して、これとのずれの問題は検討されていらっしゃるのですか。
#31
○衆議院議員(片岡清一君) それは五カ所ないし十カ所というのでは、いま義務制のものと同じ個所数でありますので、それはいいと思いますが、場所によって、たとえば島のようなところ等で、地勢あるいは区域の大きさ、あるいは交通の難易等でなかなかその場所が得られないというようなところではこれを増減する特別な措置を講ずることができると、こういうふうになっておりますので、そういうものを言うわけでございます。
#32
○宮之原貞光君 片岡さんは参議院の方は心構えができておらないとみえて、衆議院と比較いたしますとお答えが大分雑ですね。やっぱり答弁は正確に答えていただきたいのです。あなたはこの問題については衆議院ではこうおっしゃっておるのですよ。指定都市の首長は、いわゆる五十四年の十月総選挙の掲示場から対比をしてみると、四千五百枚張れるけれども、しかしこれは個所としては千八百六十八カ所しか掲示場はなかったのだ、あるいは一般市の方は千二百枚だけれども、二百二十八カ所しか張れないのですと、こういうふうにきわめて親切丁寧に答えておられるのですが、参議院でもやっぱりそういう親切さがあってもよろしいですね。もう皆さん一院通ったからあとはちゃらんぽらんでいいということでは困ると思いますよ。その点をやっぱり十分配慮してお答えいただきたいと思います。
 それで、私がここでお尋ねしたいのは、大体投票掲示場の個所から見ると十分の一ぐらいになるのです、決められたところの枚数から見ると。しかし場合によっては非常に極端に少なくなるところもあるのですよ。たとえば東京の三多摩の秋川市の例などを見ますと、千二百枚張れるのだけれども五十一カ所しかないのですね。これはやはり大変な圧縮になってくるのです。いわゆる選挙民にできるだけポスター、いろんなものを通じて名前を告知してもらう、顔も知ってもらう、こういうやはり公職選挙法の選挙運動のたてまえから見ると、私は著しく制約を受けると思うんですが、この点どうお考えになりますか。
#33
○衆議院議員(片岡清一君) 大体この義務制といいますか、市町村、府県においてそういう特定の場所に制限するという義務制のものをやるかやらぬかは、これはそれぞれの条例によって決めるのでありますし、それから、この義務づきの掲示場の設置数につきましても、選挙人名簿登録者数と面積によって異なりますので、厳密な比較は困難でありますけれども、強いて比較いたしますと、五十四年十月の総選挙の際設置された義務制掲示場の数と選挙運動用ポスターとの関係は、大体指定市で長の場合には……
#34
○宮之原貞光君 それはもういいですよ。さっき私の方から指摘してあるわけですから。
#35
○衆議院議員(片岡清一君) ええ、お話のあったとおりでございます。
 そういう場合には、義務制掲示場の設置数は指定市の長の場合には千八百六十八、それから議員の場合には一区当たり百六十八、それから指定市以外の市でございますと二百二十八であり、町村の場合には六十一、こういうふうになるわけであります。
#36
○宮之原貞光君 私は数を改めてお聞きしておるのじゃないのですよ、もう議事録で拝見いたしましたから。問題は選挙運動あるいは選挙活動の自由といったてまえ、できるだけポスターというものを目いっぱい張らして、選挙民にやはり理解してもらうというのが、これは本質ですから。著しくかけ離れておる、大体十分の一でしょう。そういうことは非常な拘束ということになりやしませんかと。しかもこれはただし書きとして、五カ所ないし十カ所の場合も、特別の事情のあるところは数を削減をしてよろしいというふうに出ておるわけです。また減らすことができるというのですよ。しかも選挙部長の答弁を記録で見てみますと、もう今日では、特に都市部あたりは掲示板をつくる場所を設置するのでさえも非常にむずかしい、こう言っておられるでしょう。すると、仮にもう設置場所が見つかりにくいからというので、特別の事情だというふうに解釈をされるとするならば、ますます百四十四条一項の第二号、三号にありますところのものと非常な隔たりが出てきましょう。これでは一体どうかというやはり疑問を持つのですよ。その点はどうお考えになりますかということを私は聞いておるのです。
#37
○衆議院議員(片岡清一君) これはあくまでその市町村、府県の条例によってそれぞれの実情に即したように考えながら、それができるという判定のときに初めて条例によって決められるわけでございますかし、それがどうも不適当である、数が少ないという場合は、従来どおりにやっておっていいわけでございますから、それは私は大した問題じゃないのじゃないかという気がいたします。
#38
○宮之原貞光君 任意制だからということでお逃げになるだろうということは想定はしたのですが、しかし、普通それぞれの地方自治体というのは、大体法律で一つの方向性が出るとみんなまねしたがるのですよ。先ほどの東京の例じゃないですけれども、先走ってまねするのですよ、えてして、もう法律ができる前から。ですから私は、この判断というものを、それは市町村が決めるのだから御随意にということだけでいいのかどうか。選挙の自由あるいは公職選挙法の趣旨というところから見ると、むしろ、掲示場の確保もむずかしいところあたりは、特例ということで減ずるのじゃなくて、こういう場合には条例化しない方が望ましいとか、あるいはまた、条例で設置をする場合は、可能な限り千二百枚とか五百枚という限られたところの数に近づけしめるような設置場を積極的につくれ、五ないし十なら十ということをめどにしてつくれという指導をするのが、私は正しい方向だと思うんです。その点、この法律が通るとすれば、ぼくは当然自治省はそういう指導があってしかるべきだと思うんですが、選挙部長どうですか、この面は。
#39
○政府委員(大林勝臣君) 今回の改正の内容は、宮之原委員も十分御承知のように、現在の衆議院でありますとか参議院の地方区でありますとか知事でありますとか、この三つの選挙についてとられております義務制ポスター掲示場と同じような考え方がとられておるものと理解しております。現在の義務制ポスター掲示場におきまして、しからば具体的に個々の投票区にどれだけの数を設置するかということになりますと、いわゆる五カ所ないし十カ所の範囲内で有権者数とそれからその面積、この両方の基準で五カ所であるとか六カ所であるとか七カ所であるとかいうことが決まっておるわけでありまして、今回の改正におきましても改めて政令で同じような規定を私どもは置きたいと考えておるわけであります。
 この場合に、まず御質問にございました特別の事情がある場合には条例で減少することができる、こういう措置になっておるわけですが、これも現在義務制のポスター掲示場におきましても、特別の事情がある場合には減少することができるという規定があるのを受けておつくりになったものと理解しております。この特別の事情というのは、御承知のように、全く選挙管理委員会の張り場所がむずかしいとかいうような事情ということではございませんで、もっぱら地理的な交通上のという物理的な事情、たとえば島であるとかあるいは湖が面積の中の大部分を占めておるとか、山が大部分を占めておるとか、こういうような非常に面積基準だけでは考えられない特別の事情がある場合に減数をしておるわけであります。したがいまして、今回の提案されました法律が通りました場合にも、選挙管理委員会としては従来の義務制ポスター掲示場におきます扱いをそのままやっていただくということになりますし、先ほどお述べになりましたように、せっかく五カ所ないし十カ所というふうに決まっておるのでありますから、従来同様都道府県あるいは市町村に対しましても、そういった数の確保の趣旨が損なわれないように指導してまいりたいと考えております。
#40
○宮之原貞光君 私が言っておるのは、すでに千二百枚、五百枚と片一方で決められておる。ところが、掲示場はきわめて数が限られる。しかも、あなたの答弁にもあるように、都市部ではなかなかもう見つけることは困難だということになってしまいますと、勢い五ないし十が五に集中するのですよ。あるいはまたただし書きを採用して四カ所とか三カ所を採用したがるものですよ、これは経費もかかることだから。そういうようになりますと、一番選挙の基本的な大事なポスターを可能な限り決められた範囲で配って、皆さんの目に触れることによって有権者に判断してもらうという趣旨と全く違うことになる。恐らくこの理由は、美観を損なうとかなんとかという皆さん口実でしょうけれども、しかし、そのことを主体に置いて本質的なものが死ぬようなことになっても私は困ると思うのですよ、それで指導の腹構えとしての私は姿勢を聞いておるんですよ。当然ぼくは自治省としては安易にただし書きを採用するとか、安易に五カ所にするというようなことのないように、最大限これが生かされるような形でやるというのが、これは行政の指導の姿勢じゃないでしょうか。そういう考え方がありますか、ないですかということをあなたに聞いておるんですよ。それを明確にお答え願いたいんです。
#41
○政府委員(大林勝臣君) もちろん指導に際しましては御趣旨を踏まえていままでも指導してまいったところでありますし、今後ともできるだけ数の確保については指導してまいるつもりでございます。
#42
○宮之原貞光君 その点を私はきちんと念を押しておきますよ。いわゆる角をためて牛を殺すような愚かなまねだけはやめてもらいたいと思うんです。何でも管理さえすればいい、統制さえすればいいというんじゃ選挙じゃありませんからね。本来選挙運動というのは自由なんだよ。けれども、やっぱり一定のルールを設けなきゃならないというから、いわゆる最大公約数のルールをつくるわけなんですから、それを逆に皆さんがお考えになるとするならば、これははなはだしいという意味なんです。それだけにその点はもうくれぐれもひとつ留意しておいてくださいよ。
 私はまたそれだけじゃないと思うんですよ。たとえば市町村の議員定数は御承知のように、人口二万から三万までは幾ら幾らとずっと限られていますね。そうなりますと、十五万から二十万ぐらいの都市では四十人です。これは二月の大分市議会の選挙の実例を私は見たんですが、これは定員が四十八なんですよ。ところが、これ五十五、六名ぐらいの立候補者があってにぎやかにやっておりました。仮にこの法律のようにやるとしますと、一つの個所に五十五、六名の候補者の掲示板をつくらなけりゃならぬのですが、そういうこと実際上できますかね。その場合はどうなんですか。やっぱりそれでもしようがないという考え方ですか、ちょっとお聞きしますけれども。
#43
○衆議院議員(片岡清一君) いまお話しのような場合、これはいろいう実行上相当むずかしい場合も出てくると思います。各市町村なり府県はそれぞれやっぱりそういうことを考えながら、義務制ポスター掲示場の制度を採用するかしないかを決めることになると思いますので、その点は立法の考え方、趣旨というものはどこまでも金のかからない選挙にしようと、そしてまたいま先生もおっしゃったように、余りあっちもこっちもたくさんそういうポスターが掲示されて、そして美観を損ねるというようなことについてもやはり公益上の配慮を必要とする、こういう立場から採用する場合にはこういうことになると、こういうことで採用するかしないかは、それぞれの公共機関が条例で決めると、こういうことになるわけでございますから、この点は何とかうまく運用できるのではないかと考えております。
#44
○宮之原貞光君 皆さんはうまく運用できるじゃないかという期待ですが、これは選挙実務者から見れば大変ですよ。しかも私がいま指摘したところから見ますと、政令都市一歩前のところあたりの五十万都市、四十万都市、七十万都市となると大変なことになるんですよ。しかも都会地にいけば、選挙部長の答弁のように掲示する場所を見つけることさえも大変でしょう。それを一つのところに五十名から六十名張れということは実際上できますか。これは全国区のように小さなやつじゃないんです、ポスターなんだから、決められておるところの。これは大変なものですよ。それを皆さんうまくやるだろう、うまくやるだろうと。またやっぱり公職選挙法というのは実際的でなければなりませんからね、少なくともうまくやるだろうと言ったって、これはだめなんです。できないんですよ。それでもやれということを、これは法律が通ったら選挙部長指導するんですか。あなたの指導の心構えとはどうですか。無理してでもやれというんですか。そういうところはおまえたちの判断に任すと、条例化しようがどうしようが任すと、こういう指導するのか、どっちです。私はそれ聞きたいね。
#45
○政府委員(大林勝臣君) これは今回のポスター掲示場につきましても、いわゆる義務制と同じようにするかどうかはその地方団体、地方団体の条例で決めることになっておりますので、全くいま仰せになりましたようないろんな問題点が議論になると思います。そういう議論を経た上で、これを採用するかどうかは全く地方団体の任意に任せてしかるべきものと考えております。
#46
○宮之原貞光君 それは法律上はそうなっておるさ、法文上は。自治省としてはどういう心構えでやるんですかと言っておるんですよ。それは指導だから法はこう書いてあっても、断固としてやれと言うのか、そんな無理はせぬでもいいぞと言うのか。
 またあわせてあなたにも聞きたいんだけれども、これは相当の費用がかるんだから特別交付金でもやるつもりかね。そこまでちょっと聞きたい。
#47
○政府委員(大林勝臣君) これはあくまで地方団体の任意でお願いをしたいと考えております。
 なお、費用につきましては任意制ポスター掲示場につきましては従来も制度があったわけでありますけれども、この任意制公営につきましては交付税に乗っかりにくいものでありますから、従来地方団体の独自の経費でお願いをしておるところでありますし、今後ともさようにならざるを得ないと思います。
#48
○宮之原貞光君 そこで、私はこのポスターの問題非常に無理があると思うんです。だから、うちの党としてはこれはある程度整理するというのもわかるんです。大体県議会とか政令都市ぐらいにこれを決めて、あと市町村以下はそのまま野放しにするのが一番現実的な処理の方法だと思います。社会党としてはそういう修正案、考え方示そうと思っているんですが、どうですか、いま現実的にそういうことはできないんだから、ここで提案者の方もそこのところは常識的に判断されて、そうしようというわけにまいりませんか。
#49
○衆議院議員(片岡清一君) 現にこの任意制の形式を条例によって決めて実行に移しておる市町村もあります。したがいまして、これはどこまでもそれぞれの任意に任してあるわけでございますから、委員のおっしゃるような心配は余りないんじゃないか。むしろ、こういう道が開けることによって、やはり金のかからない選挙に一歩踏み出すところも非常に多いんじゃないか、こういうふうに思います。
#50
○宮之原貞光君 あなたは実際に地方の選挙御存じかどうか知りませんけれども、やはりこれは非常な無理があるんですよ。だから、そこはそういうことないといったって、これは水かけ論かもしれませんけれども、現実にそうなりますから、これは。あなた方先ほども言うように、何とかして制限しようとはかり考えるからそうなるんですよ。可能な限りやっぱりいいところ、自由濶達にするところはさせながら、また一定のルールをつくろうという立場に立つならば、一つの限界というのは私は設けるべきだと思うんです。これは意見が違うならそれでいいでしょう。しかしながら、これは必ず問題が起きるということだけは言っておきますよ。
 引き続きまして、街頭演説、同政談演説に関するところの百六十四条の六に新しく三項設置するところの問題ですが、御承知のように現行法では午後八時から翌日の午前七時までの間は禁止をされておる。さらに学校及び病院等の周辺における静穏の保持に関する規定があるわけでございますが、ここに言う「同一の場所」における長時間の演説はしないようにという新しい設定の問題ですね。これは片岡さんは衆議院の段階ではこうおっしゃっておられますね。わが党の堀質問に対して答えているんだが、条件によって一概に言えぬが、普通一時間ぐらいが常識でありますと。たとえば、政党の党首が来て演説をする場合はそうやかましく時間に区切りをつけなくてもいいし、一方、朝の駅前における演説等は、お互いが話し合っていくということ等で、弾力的にこれは運用したらどうだろうかと、これはあくまでも訓示規定なんですと、こう御答弁しておられるわけですが、このとおりに理解してよろしゅうございますか、どうですか。
#51
○衆議院議員(片岡清一君) そのとおりに思っております。
#52
○宮之原貞光君 これ法律ができますと、警察庁あたりでまたこれをよく見るんだと思うんですが、警察庁の方来ておられますか。
#53
○政府委員(中平和水君) はい。
#54
○宮之原貞光君 これはやはりそういうふうな弾力的な運用ということを十分考えて皆さんはこの法の運用の問題に対応しようとお考えなんですか。それとも、もう時間が来たからやめろと、こうわんわん言うんですか。
#55
○政府委員(中平和水君) 御案内のようにこれは訓示規定でございます。したがいまして、私どもの取り締まりの対象になるものではございません。
#56
○宮之原貞光君 いや世の中には、警察がやめさせるんだどうだという宣伝ビラも大分ありますから、私は念のために、やっぱりきちんとこういうものはしておきたいと思うから尋ねるんですが、おたくの守備範囲じゃないですね、訓示規定ですから。
#57
○政府委員(中平和水君) 取り締まりの対象ではございません。
 ただ、具体的な問題で、これは結局警察は世の中のごみ掃除みたいな仕事をするわけでございますから、現実に私どものところに相談に参るケースはあろうかと思いますが、そういう場合に、あくまでもこれは罰則もございませんし、私どもの方で一応何といいますか、若干のお世話を申し上げるとか、その限度にとどまるわけでございます。
#58
○宮之原貞光君 世話というのは、おいこらじゃなくて、たとえば同じ場所にたくさん行きたいんだと言われたときにその調和を図る、調整を図ると、こういう意味でしょうね。
#59
○政府委員(中平和水君) まさにその限度でございます。
#60
○宮之原貞光君 次に、問題の拡販車の使用問題について若干お聞きいたしたいと思うんですが、政党の機関紙誌の普及宣伝活動というのは、政党にとっては基本的な活動の一つなんですよ。選挙時であろうと通常であろうと、これはやらなきゃならない活動です。特に機関紙誌の場合は、これは経済活動でありまた商業活動なんです、それをなぜ選挙期間中だけとめなきゃならぬのか、いろいろ答弁されておりますけれども、どうもわからない。やかましいから、騒音になるからやめるんだと、こういうような話みたいですが、どうも納得できません。ちょっとわかるようにきちんと答弁してもらいたいと思うんです。
#61
○衆議院議員(片岡清一君) 機関紙誌の拡販車というのは、本来はやはり機関紙誌の拡張宣伝のために使われるものであります。ところが、これが台数にもちろん制限はございませんし、最初は機関紙誌の宣伝として使われておったわけでございますが、だんだん選挙運動が熾烈になるに従って、その拡販車が台数に制限がないということで選挙運動に使われる、選挙運動に紛らわしいことに使用せられるという実態が出てまいりましたので、そしてそのために、いまのお話のように騒音をまき散らすというような公共の福祉の立場からも考慮しなければならない、かような段階になりましたので、お互いに話し合ってそういうものをなくしていこうと、そして本当に公正な、そして一定の秩序を保ちながら選挙運動をやれるようにしよう、こういうことでこういう規定をつくろう、こういうことになったわけでございます。
#62
○宮之原貞光君 恐らくいまのお話を詰めてみますと、いわゆる機関紙拡販車が連呼行為をやって、それで騒音はやかましくなるし、違法行為もやっておるからだというお話なんですが、それなら連呼行為をやめさせればどうですか。いわゆる世界でも有数な日本の警察力をもってすれば、連呼行為をするのはぴしっととめることができるんじゃないんですか。しかし、それがあるからといって、みんなこれはだめだというのは、ちょっとこれまたいかがかと思います。理解できませんが、そういう方法をするとか、あるいは各党間きちんとしたところの申し合わせをし、これに違反したらどうするというお互いのペナルティーをつくるとか、そういうことにこれはできませんか。これはどうですか。
#63
○衆議院議員(片岡清一君) 従来の実態から言いまして、そういうことを警察の取り締まりで抑えていくというようなことはなかなかむずかしゅうございますし、また選挙の明朗化の立場からも一々厳しくそれを監視するというようなことになりますと、選挙運動を明朗にやるという点でどうかと思います。したがいまして、やはりここでお互いに共同の土俵をつくって、そしてお互いに遠慮し、そして正々堂々とやれるところは申し合わせによってやっていこうと、こういう規定をつくるために話し合いをしたわけでございます。
 各党からもいろいろの御意見が出、われわれの自由民主党の制度調査会でいろいろ検討をいたしました結果、これはぜひひとつ規制をしてほしいという声が非常に大きく出てまいりましたので、いま申し上げたような趣旨からこういう規定をつくった次第であります。
#64
○宮之原貞光君 そうすると、これが通りますとどうなるんですか。選挙中といえども、機関紙の配布とかいろんなものは読者がおるわけですから、これは商行為としてもやらなきゃならぬものですよ。そうすると、やっぱりそれを運搬するためには、これは車が要るんですよ。これもだめだと言うんですか。そういう理屈になるんですね。たとえば、うちの見あたりはそれぞれ末端の党員とかあるいは市会議員、町会議員の皆さんが、自分の車にいつも「社会新報を読みましょう」というはち巻きをしておるんですよ。やぐらとも言います。はち巻きをして、それをやっぱり朝ずっと一戸ずつ配って歩いておるんですよ。これは声を出そうが出すまいが、こういうことまで結局できないということになるんですか。それは困るから、その期間中は庫の中へ締めておけと、こう言うんですか、これはわが党だけじゃないですよ。おたくの方は「自由新報を読みましょう」と、こういうはち巻きをたくさんやっておるし、あるいは共産党は「赤旗を読みましょう」というのはたくさんあります。けれども、やっぱり小さな車につけて配布活動やっておるんですよ。これもできないということになるとするならば、政党の日常必ずやっておるところの機関紙の配布活動もストップされるということになりかねない、特に都会地ではですよ、それは地方へ行きますと自転車で配って歩くのもありましょうけれども、これもだめになるんですか。もう具体的にお聞きしますが、どうします、それは。
#65
○衆議院議員(片岡清一君) 最初にお話のありましたような純商行為といいますか、新聞を甲のところから乙のところへ輸送するというようなことに使われるものは、私はこの規制の範囲外のものであると。ただ、しかしそのときに、はち巻きを大いに見せびらかすために、あちらこちらとわざと遠道をして輸送をやるというような段階になれば、これはやはり余り好ましからざることであると、こう思うわけですが、そうでない本当の輸送のためのものは、それはちっとも差し支えないものと考えております。
#66
○宮之原貞光君 遠道かどうか、それはわかりません。あなた、これぐらいガソリンの省エネルギー時代のときに、わざわざ遠道をして配って歩く人はいませんよ。皆さんがここで禁止しておるのは、その政連カーで物をわんわん言って連呼みたいなことをしたり、あるいは「社会新報読みましょう」と、こう言って歩くのは困るということでしょう、ここで言われておるのは。だとすれば普通の商行為、当然これは選挙活動中とはいえ配って歩かなきゃならぬのですからね。これは許されてしかるべきだとあなたの答弁を私は理解いたしますが、それでよろしゅうございますね。
#67
○衆議院議員(片岡清一君) いま宮之原委員がおっしゃるように純粋な輸送のため、そういうものである場合は規制の範囲外であると思います。しかし、個々別々に配って歩くのにわざと、わざとといいますか、大きな車を使って配って歩くというようなことは、選挙中はやめていただきたいということになると私は思います。
#68
○宮之原貞光君 どうもしかしの後がわからぬのです。それはあなた配って歩く場合に大通りばかり配って歩きませんからね、小さな路地にも入るわけですから、そんなとてつもない車はやっぱり使えませんよ、率直に申し上げて。
 そうなると、これは警察庁にもお尋ねしますが、その配って歩くんでさえも、うんということにはなりませんね、いまの答弁からしますと。
#69
○政府委員(中平和水君) 二百一条の六を見ましたら、宣伝告知のための自動車の使用について禁止しているわけでございまして、通常の機関紙を通常のルートで頒布するために車を使うこと自体は直ちに規制の対象にならないと、このように考えております。ただ、事実認定の問題でございまして、先ほど言いましたように、機関紙の頒布に藉口して政策の普及宣伝にわたるような行為があれば、当然これは対象になるわけでございますが、ただいま先生のおっしゃったような範囲では規制の対象にならないというふうに私ども考えております。
#70
○宮之原貞光君 はい、わかりました。
 次に、関連をして拡声機使用制限の問題について若干お聞きしたいと思いますが、これは非常に具体的にお聞きしますが、これでいくといわゆる候補者カー、本隊車ですね、これはいままでの選挙の中では皆さんも経験があるようにいろんな住宅街とか、あるいは小さい道幅の狭い商店街に入りますと、本隊車の旗を持って、ハンドマイクを持って、まあ桃太郎とかなんとかって言いますが、それでこう歩きますね。それはもちろん規制の外でしょうね、本人の車。
#71
○衆議院議員(片岡清一君) それは規制の外であります、候補者の場合。
#72
○宮之原貞光君 それでこの条項で言っておるのは、この本隊車とは違ういわゆる政連車の問題ですね、言われておるところの政連車の問題。政治家、政党団体としての届け出した政連車の問題でしょう。それも拡声機の使用禁止であって、拡声機を使わない場合はこの規制にはなりませんね、この条項から見ますと。そう理解してよろしゅうございますね。
#73
○衆議院議員(片岡清一君) そのとおりであります。
#74
○宮之原貞光君 はい、わかりました。これはやっぱり路地にも行くことあるんですよ。けども、そこで拡声機を使ってもらったら困ると。けど、だれだれさんの演説会がどこでありますということも言わにゃならぬかもしれぬからね、これ。
 それで、私はなお関連をしてお聞きしたいのは、いまやはり大きな問題になっておるものは、これらの問題と関連をいたしまして、労働団体や文化団体、経済団体の活動の制限がこれとの関連でどうなるかという問題が、いままでも議論されたように非常に問題になっているんですよ。それで、私はこの条項を見る限りは、こういうように理解しているんですけれども、それでいいのかどうか。これは従来も確認団体以外は、政談演説に該当した行為や政策の普及宣伝に該当する行為は、現行法でも禁じられておると思うんです。したがって、今回の場合も何らこういうことになっても違わないというふうに理解するのが常識的だと思うんですが、そのように理解しておいていいですか。
#75
○衆議院議員(片岡清一君) そのとおりでございます。
#76
○宮之原貞光君 ただ違わないのになぜ問題になっておるのか、ここのところをやはり考えてもらわなきゃならぬ。法律というのは審議期間中はいろいろこう審議されておりますが、成り立つと一人歩きするものですよ。えてして行政当局の解釈が、お互いにやりとりしておるものと違った形でやられる場合が、時の政治情勢によって出てくるんですよ。私は端的に申し上げますけれども、ここらあたりへの危惧というのが、みんなの持っているところのやっぱり大きな危惧だと思うんですね。私自身もほかの法案でそういう体験をいたし、国会でもやかましく議論をしたことがあるんですけれども、えてしてやはりこうなんですよ。しかし、少なくとも労働組合というのは、組合員の皆さんが集まってやるところのものですから、これは不特定多数の集まりじゃないんですよ。特定の皆さんが集まってやるところのいろんな集会ですよ。それだからこの法律ができたからといって、今度は取り締まり当局が来てどうだこうだということに介入するとすれば、これは正常な労働行為に対するところの不当干渉だと言わなきゃならない。それは皆さんも同意しますね。そういうことではないと思うんですけれども、その点どうなんですか。これだけ問題になって、あえて違うとすればどこが違うようになるんですか、そこが従来と。そこを明確にしてもらいたいんです。
#77
○衆議院議員(後藤田正晴君) 御説のように、こういった法律の解釈運用というのは、やはり選挙ということ、それを踏まえての立法趣旨、こういうものを十分考えて法の施行に当たりますから、御心配になるようなことは実際私はないだろうと、かように考えておるわけでございます。今度の規定が入ったのは、やはり現行法のもとでいろんないわゆる脱法行為、これが余りにもひどいではないかというようなことで、そこでその脱法行為をないようにしようじゃないかというのが各党間の話し合いの趣旨であったと思います。そういうことで入ったわけでございますから、従来から労働団体であるとかあるいは文化団体、市民団体、いろいろな方がそれぞれ本来の目的に従ってやっていらっしゃるということが、今度のこの拡声機が入ったということによって拡大解釈せられて、それが規制の対象になるというようなことは、私はこれはありようがないじゃないかと、こう思っておるんです。といいますのは、それらの団体は、従来から「政治活動を行う団体」という認定は、選挙という実態を踏まえ、選挙法の立法趣旨、こういうことから見て選挙法の執行に当たる機関が広く解釈をして、いや、それも政治活動を行っている団体じゃないかといったようなことで拡大的な解釈をして適用してなかったわけですから、今回のこの改正も、拡声機というのが加わっただけであって、この「政治活動を行う団体」が何だというようなことについては、何ら改正をしておりませんから、そこらは従来どおりであると、かように何といいますか、素直といいますか、そういう御解釈を願って私は間違いはないと、かように考えておるわけでございます。
#78
○宮之原貞光君 そういたしますと、従来と変わったところはないと、あえてあるとすれば拡声機の問題だけだということですが、これは同時に、取り締まり当局の監視が非常に強化されるということはないんですか、あるんですか。そこはどうですか、刑事局長。
#79
○政府委員(中平和水君) 先ほど後藤岡委員から申し上げましたように、今回の「政治活動を行う団体」の意義については何ら変わりないわけでございます。これの運用についても、すでに相当長い間にわたって私どもとしては慎重かつ適正な運用をしてまいっているつもりでございます。今後ともそういう国会の論議等の趣旨を踏まえまして適正に運用してまいりたいと、このように考えております。
#80
○宮之原貞光君 なかなか答弁の限りではこれはいいんですよ。けれども、やっぱり何かひっかかるものがあるということになりますと、やはりなぜかというそこのところは、ぼくは行政府もそうですが、取り締まり当局も十分自戒をしてもらいたいと思うんですよ。なぜかという何か割り切れない気持ちが私どもあるいは他の労働団体に残っておるということも事実ですから、そこのところをやはりわきまえてもらわなければいかぬと思うんです。少なくとも公選法というのは、やっぱり選挙運動の自由とかあるいは政治活動の自由という大原則はあくまでも踏まえておいて、ただその中でお互いの一定のルールをつくるというものでなければならぬ。したがって、やはり許容できる範囲のものをうんと広げるというのが原則だね。ただそのルールが余りにもこれもあかんこれもあかんということで、管理をするとか取り締まるということだけが先行しちゃったんでは、私は公職選挙法というのが泣くと思うんですよ、意味ないと思うんですよ。そこらあたりの基本的な物の考え方というのが、やはりぴしっとしておらぬじゃないか、したがって、皆さんが公選法の一定のルールという問題の基本的な考えがそうだとおっしゃるなら、そういう立場に立って行政府を指導してもらいたいと思うんですが、その点はどうでしょうか。これは選挙部長と刑事局長にそれぞれお聞きしたいと思うんです。
#81
○政府委員(大林勝臣君) 先ほどから拡声機についての御質問があるわけでおりますけれども、私どもは当然法律の解釈運用をいたします場合には、常にその立法の趣旨、そういうものに基づいて解釈運用をしております。今回の改正案についての立法趣旨も、先ほど来提案者の方々からいろいろお述べになっておりますような趣旨のものと了解いたしておりますし、そういうことを前提として本来活動は自由である、自由であるけれども選挙運動と紛らわしいというものをこの際改めて規定をしたものである。したがって慎重な解釈運用を期するべきだ、こういうふうに考えておりますし、また今後もそういうような姿勢で解釈運用をしてまいりたいと考えております、
#82
○政府委員(中平和水君) 私どもの基本的な違反取り締まりに対する姿勢につきましても、従来から政治活動の自由あるいは選挙運動の自由を最大限に尊重しつつ選挙が公正に執行されていくよう、私どもは取り締まり機関として取り締まりの公正を図っておるわけでございまして、今回の法改正につきましても、国会の論議を十分踏まえまして適正な運用をしてまいると、こういうことでございます。
#83
○宮之原貞光君 まだそこらあたり聞きたいんですが、ちょっと時間の制約もありますので、次に移りたいと思います。
 連座制の問題、これ当初自民党自身も同居親族については意思を通じ云々という、それなしにやろうと考えられておったんじゃないですか。それがこういうような案となってきておるのは、これは新聞も指摘するように、著しく後退しておると思うんですが、そうじゃございませんか。
#84
○衆議院議員(後藤田正晴君) その点は、実は私自身が積極論者であったわけでございます。そこで、やはり推定規定を置きまして、そして何といいますか意思を通じていない場合でも連座制を働かしたらどうだと、こういうことの議論、私物めあったわけでございます。しかし、同時にこれに対する反対意見としまして、今日の選挙運動の実態、親族といえども選挙総括主宰者、こういったものとは違って、選挙の実際を取り仕切っておるというわけではないではないかと、同時に今日の家庭関係、これは大変複雑だと、そこで親族といえども逆の面が出てくるおそれがありはしないかといったような実例等の指摘もあり、いろいろ反対意見がございました。同時にまた、一番厄介な問題は意思を通じてないという場合に制裁規定を置くということは、やかましく言えば今日の憲法の規定に照らして一体どうであろうかと、制裁規定のあり方としてそれは無理なんではないかといったような基本的な法理論の展開もございまして、いろいろ検討の結果、今回はやはり見送ろうではないかということになったわけでございます。
 しかし、連座制を強化するということも一つの世論の動きの中にあるわけですから、従来のままというわけにもいくまいと、ならばやはり同居外の親族について多少の連座規定の拡大ということも世論にこたえる意味ではないのかといったようなことで、今日の御提案申し上げであるような案に落ちついたというのが党内の論議の経過でございます。
#85
○宮之原貞光君 後藤田さんのいわゆる現在の刑罰規定のあり方が、意思なき者もという推定規定を置いて罰するということは問題があるという議論が起きた云々と、これどうしても連座制の物の考え方からいけば理解できないんですよ、端的に申し上げて。これは同居しなくても意思を通じているときはというのなら、同居しないときでもしたときでも意思が通じておらないというかっこうでみんな逃げる。これはざる法だと言われるところはそこにあると思うんですよ。現に選挙部長も二月の十二日の衆議院の委員会のこの問題の中では、連座制の要件というものを説明をしておりますね。私はこのことが正しいと思うんです、その要件が。だとすると、答弁にも明らかなように意思を通じて云々というのは、明確に意思を明示することであれ黙認であれ、選挙をやっているということは同じ屋根の下におればわかるわけなんですから、それさえも連座制の一つの条件だというこの物の考え方から見れば、あえてこういう後退をしたざる法だと言われないような措置をするというのが当然ではないだろうかと思うんですが、どうなんですかそこは、後藤田さん。
#86
○衆議院議員(後藤田正晴君) 意思を通じておる、あるいは通じてないというそこは、これは連座制が働くのは、御案内のように、買収あるいは選挙妨害という実質犯で禁錮以上の執行猶予のつかない刑を科せられた場合ということになっておるわけですが、当該行為自身について意思を通じておれば、これは共犯ですから問題になりません。そうでなくて、この意思を通じておるか否かということはもう少し広い概念ですね。だから単におやじが選挙に出ておるということを知っておったということだけで意思を通じておったんだと、だからこれは連座制を働かせるんだということについては、制裁規定としてはいささかこれは行き過ぎになりはしないか、ここが一番の法律上の論点であったわけでございます。そこがやはり制裁規定のあり方としては無理であろうというのが大方の議論となって今日のような提案になったと、これが経緯でございます。
#87
○宮之原貞光君 もう一つは、本改正条項から見送られておりますところの戸別訪問の問題でお聞きしたいんですよ。この問題は本委員会でも再々議論をされてまいったところの問題でございますし、公職選挙法に関する要望事項として都道府県選挙管理委員会連合会からもやはりこれは出ておるんですよ。戸別訪問の自由化はもうすでに世論となっているんだからやってもらいたいと。けれども、こういうものは没にして、たとえばほかのものをやると、これがあったからやったんだというのが皆さんの理由だけれども、肝心かなめのものは取り上げぬで、ぼくらから言わすと、これはまたこう逃げられているんですね。しかも、議事録を拝見いたしますと、戸別になれば、なれないから大変だとか費用が莫大なものになるとか、規模も人をみんな動かすんで大変なことになるということで、いわゆる戸別訪問というものを今度の条項から外しておるんです。しかし、戸別訪問の自由化という問題は、有権者が一番選挙ということについて訪ねてくるということで、身近に顔も見、意見も交換することによって物の考え方もわかる。これはきわめて私は大事なことだと思うんですが、それをあくまでもだめだ、だめだと固執されるところのゆえんが私どもはわからない。しかも、御承知のようにもつの下級裁判ではすでに憲法違反だという判断が示されておるんですね。どうですか、今度の法案には間に合わないにしても、次ぐらいにはこの問題について積極的に出していくような意思はございませんか。
 これはひとつ後藤田さん、答えてくださいよ、あなた一番やはり関係者だかも。
#88
○衆議院議員(後藤田正晴君) この問題も、実は党内ではいろいろ議論が賛否ございました。選挙法というものはできるだけ安定した方がもちろんいいわけなんですけれども、しかし、さればといって理想を追っておればいつまでも改正はできないじゃないか。だから、みんなで話し合ってできるものから、目に余るといったようなものからやっていこうということで、今日の御提案を申し上げているわけですが、この戸別訪問の問題は、これまた私は実は積極論者なんですが、これはやはり選挙が、従来の日本のあり方はあり方としても、大変な人海作戦の選挙になりはしないか。ことに今日電話作戦というのは認められておりますね。ところが、御案内のように電話も余り頻繁にかけると大変な迷惑をかけるわけで、これが戸別訪問ということになると、なるほど時間等を制限すればいいじゃないかと、こういう議論もあったんですけれども、これは大変な選挙の実態になって、投薬をする人、選挙人に対して大変な迷惑をかけるおそれがありはせぬかといったような強い反対意見も出たわけでございます。同時に、若い方、それからお年寄りの方、中年の方によって戸別訪問の問題だけは議論がみんな分かれてくるといったようなことで、結論を得なかったというのが実態でございますが、しかし、この問題は大変重要な問題でございますから、今後党内でも十分論議をし、また各党とも御相談申し上げて、これは検討事項であるということで御了解を賜りたいと、かように思います。
#89
○宮之原貞光君 いろんな問題についてはいろんなデメリットもあることは事実ですけれども、そればっかり心配してたら改革は一つもできぬ、何もあなた、夜中じゅう戸別訪問許すと書かぬでもいいわけなんですから、それは一定の常識的な範囲の中というものを考えてもいいわけですから、この問題はこれぐらいもう世論化されているところの問題ですから、積極的にやっぱり考えていただきたいということを、この機会に申し上げておきたい。
 なお一つは、これは三月二十日の朝日の報道ですけれども、自民党では立会演説会を廃止をする、制限をするということが検討されておるんですか。これまた私はおかしいと思う、事実だとするなら、まあ選挙制度調査会で議論をされておると大々的にトップで報道されておるんです。これは事実だとすれば、私は時代逆行もはなはだしいと思うんですよ。何でもかんでも制限することが公選法の仕事だと、先ほど来何回も言うようにね。それは非常に形骸化しておるとか、応援合戦になっておるという、いろんなやっぱり問題点ありますよ。それはしかし除去していきゃいいんであって、だからこれも廃止するというんじゃ、ますます国民に知らしむべからず、投票だけ入れるということを押しつけるみたいなものですよ。本当にこういうことを検討されておるんですか、どうですか、ちょっとお聞きしたい。
#90
○衆議院議員(後藤田正晴君) それも議論が出ておることは事実でございます。しかし、同時にまた立会演説というものの中身を、いま御案内のように余りにも形骸化し、ことに、私の立会のときには私の応援者ばかりが来て、それから片岡さんのときになったら片岡さんのばっかり来て、それが入れかわるといったようなこと。ことにまた、選挙区によるとまるきり聴衆が来ないといったようないろいろ形骸化しておりますから、そういう観点から、何かこれにかわる有効な、たとえばテレビの活用であるとかそういうような方法がありはしないのかといったような議論があるわけですね。
 また同時に、いまのままとしても、形骸化しているものを何か有効にこれを活用していく方法がありはしないのかといったことを検討しようではないかということが実態でございまして、廃止してしまおう、もう廃止して、あとはもう何もかわりのものはないんだといったようなことではないと、かように御理解をしておいていただきたいと思います。
#91
○宮之原貞光君 ひとつ、制限制限だけじゃなくて、時には自民党としてもほめられるような広げることも、ひとつ次は問題点として出しておいてくださいよ。買収だけ広がったんじゃこれは困りますからね。
 それで、次は全国区制の問題についてお聞きしておきたいんです。自民党のまとめたところの参議院制度の改革案というのには、言われておるところの拘束名簿比例代表制、一票制ですか、これを拝見をいたしますと、どう言われようとやはり憲法上に疑義があるんです、憲法上の問題として。
 同時に、これは与党自民党だけが絶対有利になるようなきわめて党利党略的なにおいの濃いものと、こう言わざるを得ないんですよ。この種の問題はやっぱり議員の身分にかかわるところの問題ですから、基本的なルールの問題なんだから、他党の意見も聞きながらまとめるというならいざ知らず、自分たちで決めて、これを今度の通常国会に出すんだということの大アドバルーンを上げられる。一体これはどういう魂胆なんですか。数を絶対持っておるから、数でもうこれを押し切っていくんだという考え方なんですか。あるいはどういうことでこういう非常に問題の多いものを出されておるんですか。そこらあたりひとつお聞きしたいんです。
#92
○衆議院議員(後藤田正晴君) 今日の全国区制が、これはまあ残酷区であるとかいろいろな議論が出て、何らかの改革を要するではないかと。候補者にとってもそうだし、同時に選挙人の立場に立ては、百名以上の候補者の中からどれがいいのか、選択が実際はできないじゃないかとか、いろいろな批判があることは、これは御案内のとおりでございますから、やはり根本は二院制のもとにおける参議院のあり方、従来から全国区の方が百名ばかり出ていらっしゃいますが、こういった方の選び方として、ひとつ何といいますか、平たく言えば出たい人よりは出したい人といったような方に出やすくなるような選挙制度に改めるというのがいいのではないかというようなことで、自民党の中でもいろいろ検討して、今日拘束名簿比例代表制というものを導入しようと。つまり、現在ある地方区の選挙と全国区の選挙は、これは一本の参議院選挙ということにして、そしてその中で、各都道府県を選挙区として出てくる人と比例代表で出てくる人と、この二つの議員で参議院議員を選んでいこうと、こういうことに今日なっておるわけでございますが、もちろんこの案は、自由民主党が多数を取っているから、何でもそれでやるんだなんて考えておりません。これはまず自由民主党の中で、ことに参議院でまずお考えを願って、その上でさらに画中民主党として検討もし、おおむねの結論が出れば、その段階で野党の皆さん方とも十分お話し合いをした上で、何といっても土俵づくりの問題でございますから、できるだけ多くの方の御賛同を得て、その上で改正をいたしたいと、かようなことでございます。
 なおまた、党利党略ではないのかとおっしゃいますが、私別段この制度、いま自民党の案で党利になるとは考えておりませんよ。むしろ社会党の党利になるんじゃないかというぐらいに私は考えておるわけでございます。
 そこで、そのやり方の際に一番問題になったのは、やはり憲法違反の問題が出やしないかということでございますが、私は実は憲法違反とは全く思っておりませんが、しかしこういう制度改正の際に、それはたとえ憲法違反にならなくたって、憲法違反になるではないかという議論が出ることは好ましくない。できるだけそういう議論の出る余地のないような制度にしたらどうであろうかというようなことで、いろいろ自由民主党の中で検討して、ほぼ今日選挙制度調査会としては結論を得て、これから先の扱いというものは党内でのいろんな上級機関への説明、理解を求め、同時に野党の皆さん方にも御相談をして、直すべき点があれば直そうということの一任を選挙制度調査会長にお任せをしてあるというのが今日の段階でございます。したがって、これを今後国会にどのような形で提案をしていくのかということは、党の最高首脳部の方で御判断になり、同時にまた、野党の皆さん方とも御相談をした上で取り扱いが決まっていくものと、かように考えておるわけでございます。
#93
○宮之原貞光君 私は、この問題で時間をかけて多く議論しようと思っていませんが、意見だけをきちっと申し上げておきたいと思うんですよ。
 地方区を選挙区と呼び、全国区を比例代表区と、こう呼ぶんですね。こういうおたくの案は、二つの構造の異なる選挙を一つの選挙で、一票で片づけようとするところにどだい私は無理があると思うんですよ。あなたは、憲法上は絶対疑義は残らないとおっしゃいますけれども、これはどう見ても憲法上の疑義がつきまとうんですよ。これはいまマスコミのいろんな論調見たって、やっぱり指摘しておるじゃありませんか。特に四十三条の問題、憲法の。もう一つは、法のもとに平等だという十四条問題ですね。ただ、後藤田さんの衆議院におけるところの答弁を拝見してみますと、いわゆる憲法第四十二条にかかわるところの問題については、それは憲法制定時に間接選挙もあり得ると言っておるんだからこれは違反でないと、こういうふうに言っておりますが、それはやっぱり疑義が残るんですよ。特に法のもとに平等という十四条から見ますと、どう説明されてもこれは理解できないんですよ。たとえば、いろいろマスコミに宣伝をされておりますところの各政党と地方区あるいは全国区、比例代表区との組み合わせを見てみますと、いわゆる選挙区というんですか、地方区ですね、これで政党、個人名のものは比例代表にはだれも書かないでもあるいは異党名、異なった党の名前を書いてもよろしいと、これは有効だと、こう言っている。あるいは選挙区で無所属、個人のものもよろしい。けれども、全国区のところには書かなくてもこれは有効だと、こう言っておる。しかし逆に今度は選挙区で無所属、個人名を書いて比例代表のところに政党名を書けば、これは皆さんが無効だと言うんでしょう。あるいは選挙区のところ、いわゆるいまの地方区のところで棄権をしておいて、全国区のところ、比例代表区のところにだれかを書けば、これは無効だと、こう言うんですよ。あるいはまた、この仕組みでいきますと、全国区を棄権することできなくなっちゃうんですよ。地方区に書かなきゃならぬ、全国区はそのまま何も書かなければ地方区のものとみなされるわけなんだから。こういうような仕組みで一体法のもとに平等と言えるのかどうか、有権者は棄権するところの権利もあるわけなんですから。けれども、全国区棄権するとこの権利はないというようなかっこうになるとすれば、一体憲法十四条どうなるか。こういう疑問は、おたくの案を新聞やいろんなもので読ましてもらっても、依然として残るんですよ。ましてや、今度は選挙の具体的な投票、いろんなことで非常な煩瑣が出てくる。それだけに何を無理して一票制というものを何が何でも党の方針として決められるのか、そこをぼくらとしてはどうも理解できないんですよ。むしろたとえば、毎日とか日経あたりが指摘をしておりますように、いわゆる素直な気持ちの全国区、地方区にそれぞれ投票権を行使するところの二票制の問題で、これらの問題をやろうと言うんなら、それなりに素直に理解できるんですよ。それだから、私ども社会党としても、この全国区問題には非常に問題点があると思いながら、皆さん方のこの一票制というものについてどう説明しようとも、憲法上の疑義が残るということが否定できないんです。むしろ、より改善をするという方向の、言われておるところの二票制という問題を前提と踏まえるならば、幾らでも前向きに、それぞれ政党間寄って議論するところの用意は私どもありますよ。しかし、これでもってやれと言ったって、これは無理なんですよ。
 しかも、後藤田さんは、これは社会党に有利だって、とんでもないですよ。なるほど地方区のこと、いわゆる選挙区のことを考えないで比例代表だけやれば、算術計算で言えばいわゆる社会党がいままでの実績から見ると、地方区で一千三百万票もとっておるから、全国区の場合上がるんだという、けれども、そういう仕組みにならぬですよ。いわゆるこのような、さっき言ったようないろんな制限をつけると、どの党も地方区を出さなきやならなくなっちゃうんです。そうすると与党の方がこれは絶対有利になるんですよ、だれが考えても。言うならば、これはていのいい衆議院におけるところの小選挙区制と同じなんです、と言われておるゆえんはここにあるんですよ。それをあなたの党に有利なんですねと、こう言われたって、だれだってそれを納得する人はおらぬですよ。そこに党利党略だと言われておるところのゆえんがある。一体それを承知の上でどうして出されるんだろうか、どうもその真意がわからない。あるいは勘ぐってみれば、ははあ、なるほど、いま指摘されておるところの地方区の定数是正という問題と絡んで、これを込みにして出して一緒につぶして、われわれは出すつもりだったんだけれども、もうつぶれたんだというようなかっこうだけ自民党さんとろうとしておるんじゃないだろうかということさえ勘ぐりたくなるんですよ。だから、その点を私は意見だけ申し上げておきますけれども、もう一回やっぱり議論しておいてもらいたいと思うんです。
 それで、私の割り当ての時間も少なくなっておりまして、大臣出ておられるんで、最後にもう一つ聞きたいことがある。これは大臣に聞かなきゃならぬ問題。これは政治資金規正法の問題です、改正問題。この附則八条は少なくともやはり五年後に見直す、しかもその方向は明確に「政治資金の個人による拠出を一層強化するための方途」という条項が入っておる。これはあなたの前任者の石破大臣ともいろいろ議論をしました、ここで、いろいろ経過はありましたけれども、最終的にはやはりこれを尊重しながら出すんだという話をされたんです。大臣に聞きたいのは、所管庁としてもう五年来ている。一体この問題についてどの程度作業は進んでおるのか、どういう方向でやられておられるのか、そこのところを大臣からお聞きしたいんです。
#94
○国務大臣(安孫子藤吉君) 政治資金規正法のいまお述べになりました問題点につきましては、背景としてこういう問題があると私は考えております。
 一つは、選挙にあるいは政治をやるのに金がかかるという、これは現実の姿でございます。それから各党におきまして、そのよって立つ財政基盤というものがそれぞれ違う、それぞれの基盤がある、あるいはまた、政治資金と選挙制度の関係というものも密接不可分の関係がある。そういういろいろな複雑な背景がありまして、その背景のもとに、政治資金規正法においては、五年たったならば政治資金の個人による拠出を一層強化する方途、あるいは会社、労働組合、その他の団体が拠出する政治資金のあり方、こういうものについて検討をするということに定められておるわけでございます。したがいまして、論点は、これは十分考慮すべき問題でありますけれども、背景というものはまた無視できないいろいろな立場があるわけでございます。それを絡めまして、法の定める趣旨についてさらに同意を得るために各党間におかれましても十分なるひとつ論議を尽くされまして、結論を出していただきたいと、こういうのが私の立場でございます。
#95
○宮之原貞光君 しきりに背景背景とこうおっしゃる。ところが、二、三日前ですか、二十一日の新聞の自民党の選挙制度調査会の政治資金・政治倫理小委員会、これの中身を見てみれば、これはいろいろかっこうよくは書いてあるけれども、このねらいは、ずばり言って、いま自民党にとっては目の上のこぶになっているところの企業献金の総量規制の枠を緩めることなんですよ、この真意はどう抗弁されようと。ところが、法律の附則はそうじゃないんですよ。だから、あなたは、これも尊重しますけれども、背景を重視をし、党の云云ということになると、残念ながらこれと逆行することになりはしませんか。これはこの間もずっと議論したところの問題ですけれども、これじゃ行政府は困りますよ。あなたがいまお並びのやはり自民党の提案者の代議士さんならいざ知らず、あなたはやっぱり行政府の責任者ですから。それを行政府は公平な立場に立ってやりますと、こう書かれたり演説をされる。ところが、いまの話を聞くと、背景を踏まえましてと、こうなると、あなたの言われているところのことはきれいごとだけれども、いわゆる企業献金の総量規制の枠を広めると、ここを視点にしてやりますという答弁にしかならぬ、意味にしかならぬのですが、そう理解していいですか。だとすると、私は非常に問題だと思いますよ、これは。
#96
○国務大臣(安孫子藤吉君) ただいま申しましたとおりに、法律の定める趣旨はその二点について特に中心を置いて条文が規定されておるわけでございまするが、これについては、やはり背景というものもある、こういう前提に立ってひとつ各党の合意を得られるように御努力を願いたいというのが私の立場でございます、
#97
○宮之原貞光君 時間が参っておりますので、多くは申し上げることはありませんが、これができた背景というのは、これはロッキード事件ですよ。あのロッキードで政治献金という問題が出たことから、三木内閣がぽつんと生まれたんでしょう。三木さんの時代にこれはできた。背景はまさにそのとおりなんですよ。だから、三木総理は、国会の議事録を拝見いたしましても、当事、こう言っておるわけですよ。自民党自身が五年後には党の経常費において企業献金を辞退するという決定を行っておりますと、これは自民党の党議ですよと、したがって、今後は企業献金をやめますよと、こう言っておるんですよ。そういう背景の中からそれは生まれたんですよ。ところが、大臣の言う趣旨というのは、先ほど私が言うように、全く逆になっているんだよ、それは政党は政党としていろいろやるのはいいでしょう。けれども、所管大臣が党の方ばかり目を向けられては困りますよ、これは。明記されておるわけなんですから、八条附則は。その趣旨を十分尊重してやるということを明確にしてもらいたい。
#98
○国務大臣(安孫子藤吉君) もちろん、法の定める趣旨に従いまして問題を前進をさせなければならぬわけでありますから、その論議を尽くしていただきたい。しかし背景にはそういうものもある、こういうことをいま申し上げたわけであります、
#99
○宮之原貞光君 しかしと言うのは、これは附則みたいなものだな。主体はやっぱりこれだということで私は理解したいと思いますが、いいですね。――終わります。
#100
○委員長(鳩山威一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時から再開することとし、休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三分開会
#101
○委員長(鳩山威一郎君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#102
○多田省吾君 前回の十八日の当委員会に引き続きまして、提案者並びに事務当局に質問させていただきます。
 初めに、公職選挙法の第百九十九条の二におきまして、公職の候補者等の寄付の禁止を規定しております。すなわち「当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもってするを問わず、寄附をしてはならない。」。ところが、実現には、同じく公職選挙法第二百四十九条の二の二項の罰則におきまして「通常一般の社交の程度を超えて」云々となっておりまして、罰則がないことになっておりますから、花輪、香典その他通常一般社交の名目で寄付が行われて、いわゆるざる法になっていることは提案者も御承知のとおりでございます。また一方、百九十九条の五で、後援団体に関する寄付等の禁止が定めでありますが、これも禁止は一定期間で、それ以外は野放し状態になっております。また、一面におきまして、たとえば参議院全国区の議員は赤い羽根すら寄付をできない、あるいは福祉団体や教育団体にすら寄付できないと、こういう一般社交の通念を著しく逸脱している姿もございます。こういう法律ですから、私どもも六年前法案に反対したわけでございますけれども、この点につきまして自民党内でかなり時間を割いて検討されたと聞いてお町ますが、どのような内容であったのか教えていただきたいと思います。
#103
○衆議院議員(片岡清一君) 後補者及び後援団体の寄付禁止の問題でございますが、これもいま多田委員からお話がございましたように、ざる法でしり抜けの規定であるということでございまして、これをもっと強化すべきであると、そして候補者の平素のいかなる名義においても寄付を禁止するということを、本当にいかなる場合においてもの寄付、すなわち、社交上あるいは社会通念上やられるようなものについてはいま罰則規定がないが、これにも罰則を加うるべきだという強い意見がございまして、それらの問題についていろいろ検討いたしました。そして、どういうふうにこれをやれば実行できるような方法が得られるかということで、いろいろ検討を加えたのでありますけれども、どうもやはりわが国の香典を出すとかあるいは御祝儀を持っていくとかいうとおり、いわゆる社交上必要なものについてまで罰則をかけて厳しく取り締まるということは、非常に社会通念上も適当でないし、それを厳行いたしますと、お互いに相手方をあばき合うというようなことで非常にまずい結果になると、こういうようなことなどがございまして、そしてやはり社会通念上許されるものについては、できるだけ罰則のない訓示規定式のものにして実行を期していくと、こういうふうにせざるを得ないという結論になって、さらに将来それが何かいい方法によってギャランティーできるならば、やはり将来の問題として検討をしようと、こういうことになって一応見送りにしたような次第でございます。
 また、後援団体の一定期間の寄付禁止についても、あるいは後援会員の人たちをどこか温泉へ案内するとかいろいろ弊害もだんだん出てまいりますので、そういうようなこともひとつ禁止しようじゃないかというようなことで、相当検討をいたしたのでございますが、後援活動というのはこれまた余り窮屈にすると、やはり政治運動を窒息させるというようなことになるおそれもあるというようなことから、さらにひとつ検討をしよう、そしていい結論の出るようにさらに一般の研究をしようということで見送ったような次第でございます。
#104
○多田省吾君 提案者はちょっと誤解をしておられるようですが、わが党としては昭和五十年の選挙法改正には反対の立場でございましたから、この規定に関しましてもいろいろ矛盾があるということを前回も指摘したわけでございまして、私も買収、供応にわたるような面は罰則を設けて強く規制すべきであると、特に後援会等は目に余るものがございますからね。しかし、赤い羽根とか学校や福祉団体に対する寄付も、訓示規定であろうと認めないというのはおかしいじゃないかと。ですから、この規定に関して矛盾を感じて、自民党さんの中で検討を始められたのかなと、こう思って質問したわけです。しかし、御答弁は残念ながら前回の法案と同じようなお話になったようで非常に残念でございます。
 次に、私は先日の委員会でも連座制の強化について質問さしていただいたわけでございます。昭和四十二年の第五次選挙制度審議会の答申におきましても、またそれ以来同居の親族については、運動について意思を通じているものとみなすということが国民感情でもあり、今回の改正でも同居してない親族が対象になったのは、意思が通じているという場合は罪になるということで一歩前進であるけれども、同居の親族に対してはこれまでと変わらないのであるから、これは後退じゃないかと、このように申し上げたわけです。それは前回質問しておりますから、それに関連しまして百日裁判の促進についてどのような検討をなされましたか。それからもう一つは、公民権の停止期間の延長については、どのように検討されたか教えていただきたい。
#105
○衆議院議員(片岡清一君) いま御意見のように、百日裁判の規定ができておるのでございますが、事実上これがほとんど守られないでいるということで、これ何とか担保する方法が、実行される方法がないものかということについても検討をいたしました。中にいろいろな案があり、さらにこれはいま三審制度になっておるのを二審制度にしたらどうか。したがって、国会及びこれに準ずるような大きな選挙については、最初の地方裁判所の段階を外して、高等裁判所からやるようにしたらどうかというようなこと等についてもいろいろ検討をいたして、そして関係の有識者の御意見も聞いたりしていろいろ案を練ったのでありますが、たとえばいま申しました二審制度というようなものについても、これはやはり憲法の上で保障されておるところの順序を踏んで裁判を受けると、こういう人権に関する問題であるので、これを制限することについては、相当やはり問題があるという結論になったわけであります。その他いろいろの問題について検討をいたしましたが、いずれもさらに今後検討しなければならぬ問題がたくさんあるので、今後の検討課題として残した次第であります。
#106
○多田省吾君 次に、前回も申しましたけれども、政党機関紙の拡販車の禁止あるいは後援団体の立て札、看板等の総量規制という問題、私どもは従来より政治活動あるいは選挙活動につきましては、できるだけ自由にすべきであると、自由濶達なまた公正なものにすべきであると、このように主張してまいりました。ですから、本当はいま言ったような問題も、政党あるいは候補者が自主的に規制をすれば、まあ自動車問題じゃありませんけれども、問題は起こらないわけです。しかしながら、政党機関紙の拡販車のいわゆる連呼問題等も、昭和五十年代に入りますと非常に各政党とも盛んになりまして、特に五十四年の統一地方選挙または五十四年十月の衆議院総選挙、さらには昨年六月の衆参同時選挙等におきましては、ますますエスカレートいたしまして、拡販車等は各政党とも何十台、何百台と同一衆議院の選挙区内、狭い選挙区内に出しまして、非常に連呼問題、騒音問題等が批判を受けたわけでございます。それも私は政党候補者が自粛をすれば問題はないと思いますけれども、残念ながらますますエスカレートする方向にある。そういったことで、こういった法案を出すようになったのではないかと思われますけれども、政党機関紙の拡販車の問題につきましては、政治活動の車を二倍にふやすと、あるいはこの前もお答え願ったのでございますけれども、従来適法に行われてきた集会が、今回の改正によって制約されることにはならないと、そういう答弁を何回もされているわけでございます。
 次に、後援団体の立て札、看板を現行では一後援団体当たりで規制しておりますけれども、改正案では後援団体を通じて総数で規制することになっておりまして、具体的には政令で定めるということになっております。これも本当に政党あるいは候補者が自粛をすれば問題にはならないわけです。しかしながら、御存じのように、北海道、岐阜あたりでは衆議院議員の方で実に百五十以上の後援団体を持っている者、百程度の後援団体を持つ者も非常に珍しくないわけでございます。そういう後援団体ごとに、この法律の範囲内においてたくさん立て看板や立て札を立てるということは、非常に批判を受けるということで、こういう法案が出されたのではないかと思いますけれども、この政令の内容は各党に相談して決めますということでございますが、衆議院では従来はどうなっているのか。また各党の話し合いによる政令で定めるのは、大体どういう方向なのか、もう一回お答えいただきたいし、もう一つは、参議院全国区、地方区の場合は、現行はどうなのか。また今後どの程度を適当と考えているのか、その二点をひとつお答えいただきたいと思います。
#107
○衆議院議員(片岡清一君) この立て札、看板等の規制の問題でございますが、従来は各後援団体ごとに認められておる数は全国区については各後援団体ごとに百枚、それから参議院の地方区につきましては十枚プラス衆議院議員の選挙区数からマイナス一したものに対して掛ける二枚、二倍したものと、こういう数でございます。衆議院については後援団体ごとに十枚、こういう規制でございました、これがいまお話がございましたように、人によっては余り立てておらぬ人もあるんですが、地域の広いところ等もいろいろ事情があると思いますけれども、特にやはり大いに奮発をして後援団体をうんとつくってやろうというような人がかなり出てまいりまして、それにかなり大きな費用がかかるという段階になりましたので、そしてまた、あちらこちらにそういう立て札、看板等が出ると、たんぼの中やらいろいろなところに出てくるということで非常に美観を害する、そしてまた金の要らない選挙に逆行すると、こういう立場から今度規制しようということにいたした次第でございます。
 それでその数をどうするかということにつきまして、衆議院の理事懇の段階でいろいろいま話し合いをいたしております、いろいろの意見が出ておりますが、大体候補者の事務所はこれは十枚、それから各後援団体ごとに――ごとにといいますか、全部合わせまして十枚ということがいま一番多く意見が出ておるところでございますが、それでは少ないんじゃないかと、後援団体の場合総量規制で二十ぐらいはどうかと、したがいまして事務所の分と加えまして三十と、こういうところ。したがいまして、いま議論になっておりますのは二十にするか三十にするか、こういうことが論議の焦点になっております。できるだけ早く、参議院において議決をいただく前に、それが何とか話し合いができれば政令の案としてつくりたい、こういうふうに思っていま努力をしておるところでございます。大体そういう線で、二十か三十というところでおさまるのではないかと考えております。
#108
○多田省吾君 そうしますと参議院全国区、地方区の総量規制もそれに準じて考えておられるわけですか。
#109
○衆議院議員(片岡清一君) 全国区はそれに応じまして……
#110
○多田省吾君 具体的におっしゃってください。
#111
○衆議院議員(片岡清一君) したがいまして、全国区については百枚が二百枚になるのかあるいは百五十枚になるのか、そういう点でございますし、これらは主として参議院の皆様方の方でいろいろお話し合いをしていただけばいいんじゃないかと思っております。その基礎になる数を一応衆議院の場合で決めて、そして皆様方に御参考にしていただく、こういうふうにしたいと思っておる次第でございます。
#112
○多田省吾君 もしそれが政令で定められた場合、現実的に事務段階でどう取り扱うかという問題が起こります。事務担当者にお尋ねしたいんですが、国、都道府県、また市町村の各レベルでの選挙におきまして、各候補者の後援団体は幾つ存在するかの掌握は非常に困難だと思います。したがって、現場サイドでは非常に混乱が起こることが予想されますが、当局としてはその実効的運用をどのように考えておりますか。
#113
○政府委員(大林勝臣君) 確かに今回の改正によりまして候補者ごとの後援会と申しますか、特定の候補者に関する後援団体をすべて網羅して、そういうものに対して十本であるとかあるいは二十本であるとかいうことになりますと、証票の交付先をどこにすればいいのかという問題が出てまいります。おっしゃいましたように、執行機関の立場といたしましては、特定の候補者の方々の後援会が幾つあるのかということまで正確には把握いたし切れませんし、個々の後援団体がそれぞれに証票を申請に参られてもまた困りますので、政令の段階では現在のところやはり中心になりますのが候補者でありますから、やはり申請に当たっては候補者を経由して申請をしていただくということが、恐らく一番いい方法ではないだろうかと、候補者を経由するということにおいてチェックができるだろうと、こう考えております。
#114
○多田省吾君 次に、私は前回に続きまして選挙制度、定数、政治資金について若干お尋ねいたします。
 選挙制度につきましては、前回御質問いたしましたように、私どもは参議院の選挙制度につきましては全国区の拘束名簿式比例代表制、一票制、二票制を問わず憲法上問題もあり、また衆議院以上に第二院たる参議院の政党化の助長を図り、また無所属にとって不利であり、また第一党にのみ極端に有利である。また拘束名簿は政党が名簿を決めるわけですから、国民が選択できないわけですから、非常に民主的ではないというような理由で反対しているわけです。先ほど一票制につきましての反対について宮之原委員からも御指摘がございましたが、私どもはやっぱり二票制も反対でございます。それは前回申し上げたとおりでございます。
 私は定数に関しましても、前回申しましたように、高裁の衆議院においては一対二以上のアンバランスは違憲であるという画期的な判決も出たわけでございます。ですから、最高裁の判決を見守るという態度ではなくて、速やかに私は国会において定数を是正すべきである、このように考えます。
 特に日本におきましては、衆議院の定数すらはっきりした義務規定が選挙法に盛られてないということは、大変私は問題だと思うんです。ですから、イギリスにおきましては選挙区画定委員会が、あるいは議席再配分法がもうすでにできております。また、アメリカにおきましても自動再配分法ができております。事実上偏差一%以内におさまっている。西ドイツにおきましても三分の一偏差が法定され、しかも運用上は四分の一偏差で実施しております。選挙区委員会もございます。ニュージーランドにおきましても選出委員会がございまして、五%以内に法定されております。日本のみが衆議院におきましてもすでに一対四・五というようなアンバランスが生じているわけでございます。その定数是正を図ろうとすると、自民党は定数是正は自党にとって不利だという考えなのか、すぐ小選挙区比例代表制、選挙制度を変えようということを言い出されるようでございますが、私はそのような御意見には反対でございます。
 また、参議院の地方区におきましても、この前も申し上げましたように、逆転現象だけは直すんだと後藤田さんはおっしゃった。そうして、何と北海道と兵庫と福岡を二名ずつ減少させて、そして神奈川と宮城と岐阜を二名ずつ増加させると、こういう案が自民党内において考えられているようでございます。これには私は大変問題があると思うんです。たとえば兵庫県なんかは、定数一人当たりの人口は全国平均七十七万百十五人でございますけれども、兵庫県は八十五万七千四百八十二人と、平均よりもいわゆる人口がすでに多くなっているわけですよ。それにもかかわらず定員を減らそうなんというのは、党利党略以外の何物でもない、このように思います。配当基数方式で計算しますと二十人増、二十人減という案が出てまいりますが、そこにはやはり兵庫、福岡の減なんというのは全然出できません。また、二院クラブが昭和五十一年に提唱されましたように、人口二百万人までの県は二名ずつ割り振って、それ以上は人口比に応じてそれぞれ配分するというようなやり方もございます。そういう配分をしても兵庫、福岡が減員になるなんということは出てきません。ですから、本当に人口比による科学的な計算によって出てこないものを、ただ逆転現象だということで、兵庫県なんかを二名減少させるということは、私はこれは党利党略以外の何物でもない、このように思います。
 ですから、私ははっきりと日本におきましても選挙法の中にやはり定数の画定をうたった条文をつくらなければならないと思うんです、人口比による、衆議院においては特にですね。参議院地方区においても同じだと思います、ただ、各政党に任しておきますと、このような自民党案のような党利党略案が必ず出てくるわけでございますから、私どもは第三者によるいわゆる行政委員会たる定数委員会というようなものを設けたらどうかと、このように提唱しているわけです。この定数問題に対して、提案者は自民党の選挙制度調査会の中においても、指導的な立場にある方でございますから、お考えになっていると思いますので、お考えをお聞きしておきたい。
#115
○衆議院議員(後藤田正晴君) 選挙の制度を考える場合に定数問題、これはきわめて重要な問題であることは仰せのとおりでございます。同時にまた、従来の裁判所、最高裁判所の判断、それから去年の十二月の高裁の判断、これらもわれわれとしては十分耳を傾けなきゃならぬ面があるということは私どももさように心得ておりますが、ただ基本的にはこの定数問題というのは司法の判断にはなじまない、これは立法府の裁量権の問題であるというふうに私は考えております。それだけに立法府の責任は重い。したがって、定数問題についてはやはり各党間で十分に話し合いを遂げて、私は是正すべき点があれば是正すべきであろう、かように考えているわけでございますが、その際に人口比で考えるという御説でございますが、それについては私は残念ながら賛成はいたしかねます。人口が重要な要素であることは、これはもちろんでございますけれども、しかしそれだけではありません。やはり従来からの長い伝統の上に立っておる行政区画の問題であるとかあるいは産業構造、人口構造、いろいろな複雑な要素が絡み合い、地理的な条件もございます、さらには過密過疎の評価の問題、こういったいろんな点を考えて、そして定数というものはやるべきであろうと。なおまた、衆議院と参議院は異なると、考え方が。参議院の場合には地域代表という性格がきわめて濃厚である。少なくとも基礎数、各県一名という基礎数は、これはもう衆議院では考えられない参議院の特質であろう、私はかように考えるわけでございますので、この点も別個に考えなければなるまい、かように思います。
 それから第三者機関、これはなるほどそのとおりでございます。これはまあ選挙区割りの問題であるとか、定数の問題というのは、まさに各政党の消長に関係がいたしますし、同時にそれぞれの議員の方の運命にも直接響くといったような問題でございますから、なかなか国会で自主的にやれといっても大変むずかしいというのが、これまた実情でございましょう。そこで第三者機関でやるべしという議論も、これな私は一つの考え方だろうと思いますが、いかんせん第三者機関でやりましても、これは立法府に最後にこれは法律改正としてかかるわけでございますから、なかなかこの機関で決めたとおりにも動かない。この点は従来から第三者機関として選挙制度審議会が法律によって設けられておりますが、これらの経過を振り返っていただければ御理解が願えるのではないか、かように考えます。
 いずれにいたしましても、きわめて重要な問題でございます。それだけに各党間で十分に話し合いを遂げていく、かように考えるわけでございまして、自由民主党の中でもよりより検討していることは事実でございます。
#116
○多田省吾君 私はいまの後藤田さんの御答弁には全然納得できない。やはり定数問題は司法になじまないとおっしゃいますけれども、憲法に定められた基本的人権、特に投票価値の平等という基本的人権の中で、最も重要な問題がいま侵害されている。それが高裁の違憲判決となってあらわれたわけです。それがなじまないということになりますと、国民の基本的人権はどうなるのか、こういうことになります。
 じゃ立法府で何か考えているかといいますと、やっぱり党利党略案がのさばっておりまして、特に絶対多数を持っている自民党の言うがままになりそうな気配がある。私はそういう点におきましても、非常に危険性を感ずるわけです。また、参議院の地方区は、衆議院と違って人口比とはなじまないような御答弁をなさった。それで最低二名各都道府県に定数として割り振るという問題も当然ございます。しかしながら、その上で昭和二十一年の参議院地方区の定数確定の際の配当基数というものをきちっと計算して、それにのっとって人口比によって参議院地方区の定数を決めたいきさつがあるわけです、はっきりとこれは。また、自民党の方の中には、アメリカにおいて各州二名ずつ上院議員を出しているから、日本もそれでいいんだというような論法でもってくる方もおりますけれども、私は非常にそれはおかしいと思う。アメリカの各州はそれぞれ独立した州憲法がございまして、日本の現状とは全然違います。また、西ドイツの連邦制なんかとも比較できません、ですから、私は日本におきましては、やはり昭和二十一年に参議院地方区の定数を確定したいきさつもあり、また人口比といういきさつもあり、当然やはり人口比というものを最重要に考えて、参議院の地方区の定数を決めるべきである。その際、当然最低二名あるいは偶数ということは、これは当然その要素に加えられるわけでございます。その上でやはり人口比というものを最重要に考えて決定するのが、それこそ投票価値の平等という憲法の精神に従うことになるわけでございます。そういう意味で、私はいまの後藤田さんの御答弁には全然納得できないものがございます。
 最後に、時間もなくなりましたので、要望を申し上げますと、この前政治資金規正法の問題で、自民党の選挙制度審議会の小委員会が、企業献金の総枠を拡大することをねらっているのではないかと強く御注意申し上げた次第でございますが、いまもそれは変わっておりません。
 それからもう一つは、やはり選挙制度におきまして、選挙運動方法の面になりますけれども、立会演説会を廃止するような話が出ているということも新聞に報道されたわけでございますが、私どもは立会演説会を廃止することは反対でございます。その二点につきまして、ひとつ十分野党の意見も尊重されて、良識的に判断なさるように強く希望する次第です。
 以上です。
#117
○山中郁子君 前回の質疑で、私は主として拡声機の問題について問いただしました。その中で、中心的には後藤田さんが統一見解として衆議院段階で発言をされていらっしゃることと、実際問題として改正法案の条文とが違うではないかということを伺いました。これにつきましては、大林選挙部長が後ほど提案者とも相談して対処いたしますという趣旨のことをおっしゃいました。
 そのことは後で伺いますけれども、その問題に入る前に、私はこの問題を解明する前提として、一体政治活動、選挙中の政治活動をどういう観点から、公選法の第十四章の三、つまり「政党その他の政治団体等の選挙における政治活動」というところで、二百一条の五以降を規制をするということがされているのか。この立法の趣旨、これをちょっと初めに提案者にもお伺いをいたしたいと思います。
#118
○衆議院議員(後藤田正晴君) 立法の目的でございますが、総選挙等の選挙期間中における政党等の一定の政治活動を規制することにしております公選法の趣旨は、現行法が選挙運動に多くの規制、制約を加えておる一方、政党等の政治活動に何ら規制を加えないということになりますと、選挙運動と紛らわしい政治活動が行われて、そして、選挙運動規制の実を損なうというおそれが出てくるということでございまするので、選挙の公正を確保しようと、こういう趣旨でございます。
 御案内のように、選挙運動とは何ぞや、政治活動とは何ぞやという、これ基本の問題ですけれども、これは必ずしも区別がはっきりしないというようなことがございます。本来言えば、選挙法の中には選挙運動とは何ぞやということをかっちり書かなければ、事前運動とは何ぞやということがわかりかねるような面もございますが、そこらはこの選挙法について現在までは判例によって選挙運動は何かというようなことを決められておる。それに従ってやっておるということでございますので、いずれにせよ紛らわしい。その紛らわしいことに乗じて政治活動の名のもとに選挙運動らしきものが行われる。これでは公正を害するからひとつここらははっきりする。本来言えば政治活動というのは自由であるべきなんです。自由であるべきなんだけれども、選挙運動期間中だけは一定の行為は規制をして、そして一定の行為について確認団体という制度を設けてそれによってやっていただこう、これが私は今日の立法趣旨ではなかろうか、かように考えます。
#119
○山中郁子君 前回にも私は申し上げましたけれども、日本の公職選挙法が、けさほど来からの論議の中にもありましたが、あれもしてはいけないこれもしてはいけないというそういうところから出ている問題点、とりわけ十四章の三の政治活動の規制や禁止が、まさに選挙運動と紛らわしいという、そういう口実によってすでにもう広範囲にさまざまな規制の対象にされているということ自体、重大な憲法違反の内容を持っているものであるという観点に立っております。そこへもってきてまた、たとえば拡声機の問題を持ち込むことによって、その規制の範囲を広範に広げることになるということを私どもは主張をし指摘をしてきたところです。
 機関紙誌の問題につきましては、私はまた別に後ほどいたしますけれども、いまの後藤田さんの御答弁、つまり選挙運動と紛らわしいものを政治活動の面においても補完的な意味で規制するのだということが立法の趣旨であるという点は、間違いないところでしょうか。法制局の部長がお見えになっていますのでお答えをいただきたいと思います。
#120
○衆議院法制局参事(齋藤義道君) ただいま後藤田議員からお答えがございましたそのとおりでございまして、十四章の三、これはたしか昭和二十七年に加わった規定であろうかと思います。
 御案内のように、公職選挙法は選挙の公正あるいは選挙の公明適正を確保するという意味合いにおきまして、選挙運動につきまして、文書図画の頒布でありますとか、あるいは掲示でございますとか、あるいは演説会、演説あるいは連呼行為につきまして各種の規制をしておるわけでございます。しかしながら、ただいま後藤田議員がお答えいたしましたとおり、選挙運動とそれから政治活動、これは選挙法上は一応別個になっております。しかしながら、ある部面におきましては紙一重の問題でございまして、政治活動をそのままにしておきますと、せっかくそういった目的で選挙運動を規制した意義が減殺されるという意味合いにおきまして、特定の政治活動につきまして規制を加えるということにしておるのがこの立法の趣旨である。いま後藤田先生が言われましたとおりで同じでございます。
#121
○山中郁子君 憲法はその前文で国民主権、つまり「主権が国民に存することを宣言し、」というくだりがありますけれどもそのことをうたい、国政の権威が国民に由来するということをうたいとげています。
 さらに、申し上げるまでもなく、二十一条で基本的人権として「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」ということをうたっているわけですけれども、これは選挙期間中であると否とにかかわらず厳粛に守らなければならないものである。当然のことだと思いますが、こういうことをちゃんとお認めになっていらっしゃるはずですが、尊重するのかどうかの試金石になるわけですので、提案者と自治大臣の御見解をお伺いいたします。
#122
○衆議院議員(後藤田正晴君) 私どもは、憲法は忠実に守らなければならぬ、こういうことでございますから、現行選挙法はやはり現在の憲法に従って規定せられておるものと、かように考えるわけでございます。といいますのは、本来政治活動にしろ選挙運動にしろ、私は自由濶達にやるべきが筋だと。ことに選挙についても、選挙が、何といいますか、国民的なお祭りとでもいいますか、行事といったような観点で自由濶達に行われることは私は理想であると思います。
 しかしながら、選挙という実態を考えました場合に、それでは一体公正な国民の意思、それが選挙に反映せられるかどうかという点についてはこれはやはり実現をとらまえて考えなければならない。その際に必要なことは公正ということではないのか。したがって自由と公正の兼ね合いをどこに置くのだということが私は基本であろう。で、一方で自由であるべきでありますけれども、公正にやることによって国民の福祉がそれによって担保せられるということでございまするので、現憲法にあるいろいろな自由の保障の面と同時に、国民の福祉を守るというこの二つの要請が憲法にございますから、それに従って私は現行の選挙法はできておるものである、かように考えます。
#123
○国務大臣(安孫子藤吉君) ただいま後藤田さんからお述べになったとおり私もさように考えております。
#124
○山中郁子君 問題は、いまおっしゃった自由だ、公正だあるいは公共の福祉だということによって、十四章三ですでにそういう隠れみのですわ、隠れてもいないのですけれども、もう公にひどい例がいっぱい出ているのですから。そういうことで政治活動に対する規制弾圧が行われているというところが問題点で、けさほど来からの論議によっても、拡声機の問題に関してだけ言っても、その問題は結局のところ解決されてないんですよ。というのは、あなた方は従来、適法なものは適法でありますと何回でもそうおっしゃるけれども、それではそのことが法文上にどういうふうに保障されているのかと言えば、何にも保障がされてないということをいま私どもは問題にしているんです。だからこそ、選挙期間中であるということによって「政党その他の政治活動を行う団体」に活動をいろいろ規制している。これがすでにもう憲法の理念に反しているのだということを申し上げているわけですけれども、そういう前提に立ってさらに突っ込んでお伺いいたします。
 政治活動は本来自由であるべきであるということですね。この公選法の逐条解説によっても政治活動に対する規制の範囲は、規制の目的に照らして必要最小限でなければならないと、こうされているわけです。この点はどのように考えるか。そのとおりに考えていらっしゃいますか。必要最小限ということです。
#125
○衆議院議員(後藤田正晴君) どうも議論になるようでしてあれだけれども……
#126
○山中郁子君 簡潔に答弁してください。
#127
○衆議院議員(後藤田正晴君) あなたと私とは少し考え方の基本が違うのじゃないかと。私は、現在の選挙法にはいろいろな規制があります、しかしそれは日本という政治の土壌、これを考えた場合に必要やむを得ざる最小限の制約である、かように考えておるのです。そこがあなたと少し考え方の基本が違うかもしれませんけれども私はさように考えております。
#128
○山中郁子君 私がお伺いしたのは、逐条解説にも言っているように、そういうものは本来自由であるべきである、したがって規制は目的に照らして必要最小限でなければならない、こう書いてあるのですね。そのことはそれでよろしいかと伺っているんです。
#129
○衆議院議員(後藤田正晴君) それは先ほどお答えしたとおりでございます。
#130
○山中郁子君 この点についてはちょっと自治大臣にも御見解を伺います。つまり、必要最小限でなければならないと。当然なことだと思いますけれども、前提に立っても。
#131
○国務大臣(安孫子藤吉君) まあそういうことだと思います。
#132
○山中郁子君 そうしますと、これちょっと自治大臣にお伺いするのですけれども、二月二十一日の予算委員会でわが党の東中議員がこの問題を取り上げて質問をいたしました。その中身は自治大臣も予算委員会に出席されていらっしゃるからお聞きになっていらっしゃるはずですけれども、奥野法務大臣が先般週刊誌などで、次の参議院選挙に当たる八三年には、たとえば憲法改正というような政策を掲げて国民の判断を受ければいいというふうに考えているという趣旨の発言をされたことと関連して、この問題はそれでは拡声機を使って憲法改悪反対ということで国民的な大運動になって多くの方たち、多くの団体が立ち上がるというようなことも、そうしたら皆さんが説明している「政治活動を行う団体」だと認定して、そしてそれは政策の普及宣伝だと認定して、拡声機を使うということになればそれは規制の対象になるのかということを伺いました。そのときに奥野さんはこうおっしゃっているのですね。「いまおっしゃった政治活動の禁止、私は、政治活動を禁止されていない、禁止されているのは、ただ選挙運動が行われている期間だけは自粛してくださいよというのが今度の改正の内容じゃないかな、こう思います。」、こう言っているのですね。つまり選挙運動が行われているから選挙期間中は政治活動が禁止されるのだと、そういう言い方をなすってんですね。この点については、自治大臣はどうお考えですか。奥野さんのおっしゃるとおりなんですか。
#133
○政府委員(大林勝臣君) 選挙期間中、政治活動が禁止されるわけのものではございません。したがいまして、その当時の法務大臣の御発言を私も正確に覚えておりませんけれども、現在は一定の選挙期間中、一定の政治団体以外の者の、しかもなおかつ限定された政治活動が禁止されておると、こういうことでございます。
#134
○山中郁子君 大臣、奥野発言に関して。
#135
○国務大臣(安孫子藤吉君) いま政府委員の答弁したとおりです。
#136
○山中郁子君 自治大臣、もうちょっと責任をもって答弁してくださいよ。
 正確に覚えてないとおっしゃるから、いま私これ議事録ですから申し上げますね。「いまおっしゃった政治活動の禁止、私は、政治活動を禁止されていない、禁止されているのは、ただ選挙運動が行われている期間だけ」、こう言っていらっしゃるの、奥野さんは。選挙運動の期間は政治活動は禁止されているんだと、されるんだと、そういうことを言ってらっしゃるんですよ。そうじゃないんですか。そうでないなら、これは閣内不統一ですね、法務大臣と自治大臣が意見が違うんだから、ちゃんと統一してもらわなきゃ困るんですけれども。
#137
○国務大臣(安孫子藤吉君) これは奥野法相ともよく真意をただしてみたいと思います。
#138
○山中郁子君 自治大臣は、それでは選挙期間中は政治活動が禁止されていないと、こういうことですね。
#139
○国務大臣(安孫子藤吉君) 全面的には禁止されてい狂いというふうに理解してます。
#140
○山中郁子君 それでは、責任ある鈴木内閣として、繰り返し繰り返し鈴木総理大臣が憲法を守ると、こういうことをおっしゃっているわけですから、奥野さんとよくお話しなすって、政府としての統一した見解を次の機会に出していただきます。
 具体的に必要最小限というところが、何なのかというのが問題になるんですよ。必要最小限というのは、どういう行為を指すんですか。
#141
○衆議院議員(後藤田正晴君) 現状を踏まえて選挙が公正に行われるための必要最小限と、かようなことだと思います。
#142
○山中郁子君 具体的にどういう行為になるんですかということを伺っているんです、必要最小限というのは。
#143
○衆議院議員(後藤田正晴君) それは、その都度その都度現行法に照らして判断せざるを得ません。
#144
○山中郁子君 だから、それだったらその都度その都度だからわからないじゃないですか。けさほどから、いままで適法だったものは大丈夫なのかと言うと、大丈夫だとおっしゃる。だけれども、その都度その都度解釈するんだと、こういうわけでしょう、具体的に基準がなくて、それでその都度その都度解釈すると言ったって、それじゃどうにだって恣意的に解釈できるじゃないかということを申し上げているんです。
 これは同じく東中議員の質問に対して大林さんが答弁をされているんですけれども、「選挙運動ときわめて紛らわしい部門だけを取り上げて、限定的に現在規制をしておるところであります。」と、こういう御答弁なんですね。この点はこういうことの趣旨なんですか。
#145
○政府委員(大林勝臣君) この政治活動の規制についての十四章の三以下の条文というのは、先ほど来法制局の方からもお話がありましたように、昭和二十七年以来、こういう仕組みができまして、その後もその都度その都度いろんな国会論議を経まして現在のような形になっておるわけでありますが、その都度その都度の御議論もやはり政治活動というのは自由であるといったてまえの上に立って、それぞれの経験から選挙運動と紛らわしい行為を、その都度議論をしながら規制をされてきたというふうにわれわれも承知をいたしております。
 一つの例を申し上げますと、現在の政治活動の規制につきましては、「政治活動を行う団体」が行う政治活動のうちで、いわゆる政談演説会でありますとか、あるいは街頭政談演説でありますとか、あるいは立て札、看板、ポスター、こういったもの、あるいは自動車、ビラ、こういうふうにわたっておりますけれども、たとえば個人演説会、選挙運動の方では個人演説会の規制というものがまだあるわけであります。従前は個人演説会の回数制限まであったわけでありますが、現在は立て札、看板の規制というものがある。それから選挙運動の街頭演説についてもそこにとどまるとか、旗が要るとか、いろんな規制があるわけであります。あるいはポスターについても枚数の規制がある。そうなりますと、その候補者の所属する政治団体というものの政治活動のうちで、こういったものの選挙運動に相当するような政治活動がそのまま自由ということになりますと、選挙運動の規制というものが非常に意味が薄くなる、こういう議論が前々からございまして、その都度こういうものについては特に規制の必要があるという御議論のもとで、最小限度今日まで規制が行われておるところであります。
#146
○山中郁子君 端的に答えてほしいんですよ、あんまり時間がないんです。私はもう十時間必要だと言っているんだけれども、なかなか皆さん質問時間認めてくださらないんです。
 それで、大林さんはこの前は「選挙運動ときわめて紛らわしい部門だけを取り上げて、限定的に現在規制をしておるところであります。」と、こう答弁されているわけなんですよ。それはいいんですね。要するに、選挙運動と紛らわしいところ、それが最小限という考え方だと、こう考えていいんですね。後藤田さん、どうですか。
#147
○衆議院議員(後藤田正晴君) それはこっちが答えているんだから。
#148
○山中郁子君 あの人、ぐちゃぐちゃ言ってわからないんです。
#149
○政府委員(大林勝臣君) そのとおりであります。
#150
○山中郁子君 大臣に伺いたいことはまだあるんですけれども、何か別な委員会との関係がおありになるようですので、結構でございます。
 そうしますと、問題は勢い選挙運動とは何かということになるんですよ。選挙運動というのは何かということがはっきりしないままに、選挙運動と紛らわしいと言っていたってはっきりしないんですからね。
 それで同じく公選法の逐条解説、これによりますと、「一応公職選挙法上の「選挙運動」を定義すれば、「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」」と、こういうように定義しているんですね。それから「選挙運動は、特定の候補者のためにするものであることを要する。一般的な政治活動その他の政治活動が選挙運動と異なるゆえんである。」と、こうなっているわけね。こういうことで間違いないですか。つまり特定の候補者と結びつくということですね、これが選挙運動である。
#151
○政府委員(大林勝臣君) そのとおりであります。
#152
○山中郁子君 そうしますと、前回の委員会の審議でいろんなケースを挙げて確認を求めました。すべてについてあなた方は、そういうものは絶対対象にならないというふうにおっしゃらないわけよ、おっしゃらないんです。おっしゃるなら、またもう一度おっしゃってくだすっていいんですけれどもね。私が申し上げました、つまり原水禁大会だとか、母親大会だとか、働く婦人の中央集会だとか、三月八日の国際婦人デーだとか、一〇・二一国際反戦デーだとか、毎年恒常的に行われている年中行事という面も持って行われている、そういうものなんかは、とてもじゃないけれども関係ないんでしょうねということを申し上げましたら、一歩踏み出ればあり得ると、こうおっしゃったわけね。米価もそうですよ。米価の要求大会なんといったら自民党の議員さん、ずらっと皆さんいらっしゃるわけだから、自民党の議員さんだけじゃなくてみんな行くけれども。とにかくそういうものがあり得るはずがないでしょう、特定の候補者と結びつかないんだから、全然。そういうものが、この公選法上の政治活動に当たるなんてこと、全然考えられませんね、特定の候補者と結びつくのが選挙運動だから。選挙運動と紛らわしいなんていうことは絶対あり得ないわけですね、実態的に言って、常識的に言ったって。そうですね。
#153
○政府委員(大林勝臣君) この選挙運動と紛らわしいというのは、要するにそこに候補者がおられる、それから、その周りでその所属する政党あるいは政治団体の政治活動が行われる。いろいろの態様があろうかと思いますが、所属する候補者でありますから、その政治団体の政治的な主張というものと候補者の政治的な主張というものは、まずほとんどの場合同様の主張が行われるのが通例であります。そういう場合に、候補者の方で特定の選挙運動方法に制限されておるのに、政治団体の方で自由に行われるということでは、候補者の選挙運動手段の制限の意味がなくなると、こういうことでありますから、いまおっしゃいましたような例、これが現実にその選挙区においてその候補者がどういうことをおっしゃっておるのかわかりませんけれども、非常に紛らわしい場合が出てこないとは限らないと思います、ただいままでの御質問では紛らわしい選挙運動を政治活動の規制として取り上げてはおりますけれども、あくまでその主体が「政治活動を行う団体」であるということが前提になっておるわけであります。
#154
○山中郁子君 もちろんその前提はもう何回も言わなくてもわかりますよ。だけどその前提、「政治活動を行う団体」というのは、それじゃどういうふうに決めるのかといえば、いつでもどこでも警察が決められるようになっているわけでしょう。そこが問題なわけです。それで、必要最小限であり、選挙運動と紛らわしいということが、選挙期間中の政治活動の規制や禁止の要件ですね。そうした場合には結局何らかの形で候補者名と結びつくということがなければあり得ないわけでしょう。ならないわけですね。そういうこと以外にはないわけですね。候補者名と結びつくという以外になければ、そのことがなければあり得ないわけですね。そこを私はいま確認求めているんです。
#155
○政府委員(大林勝臣君) もちろん何らかの意味で結びつくということが前提と存じます。
#156
○山中郁子君 そうしたら、後藤田さんにお伺いしたいんですけれども、原水禁大会だとか母親大会だとかその他もろもろのたくさんの行動を私はこの前申し上げました。そういうものが特定の候補者と現実に結びついているわけじゃないし、そういうことはあり得ないと断言できるはずですね。
#157
○衆議院議員(後藤田正晴君) 私が前回、一歩踏み込んだらあきまへんよと、こういうお答えをしたと思いますね、これは、ともかく今回の改正というのは、政党とかあるいは政治活動をする団体とか、何らこれ変わってないわけですよ。
 そこで、御質問の団体が従来から「政治活動を行う団体」でないんだということになれば、これは問題ありませんと。それからもう一つは、「政治活動を行う団体」だということであっても、それが従来二百一条の五の規定に該当する活動ではないということであれば、これは一向差し支えありませんよということを私は一般として申し上げておる。
 そのときに、一歩踏み込んで云々というのは、従来からやっておる団体が、従来からやっておる活動ならどうだとおっしゃればそうだけれども、従来からやっておられる団体が従来からやっておる活動のままとは限らぬじゃありませんかと。そこを一歩踏み込んでおやりになれば、この規定に該当することがありますよと、こういうことをお答えをいたしておるわけでございます。
#158
○山中郁子君 その一歩踏み込んでというのが、一つまた問題になってくるわけですよ。そこを明らかにしてもらいたいんですけれども、そこをはっきりしないで、結局無限定になるわけでしょう。一歩踏み込むというのは一体どういうことなのか、だれもわからないんですよ。何をしたら一歩踏み込むことになるのかわからないんでしょう。わからないでいて、それで無限定に対象を広げていくと。それで、一歩踏み込んでいるからという判断で「政治活動を行う団体」だと認定して、これは政策の普及宣伝であると認定するということになってくるから、だから私はいま申し上げているように、必要最小限で候補者名と結びつくと紛らわしいというのは、そういうことだというならば、幾つかいままでたくさん挙げてきた例は、全部そんなこととは関係ないとあなた方が断言しなきゃならないはずなのに、それをなさらないということは、いままでと変わらないということではないということを言わざるを得ないじゃないかということを言ってるんです。
 それで、実際問題として今度の場合二百一条の五、特に拡声機の問題、この問題につきましても最小限であり、それからまた、選挙運動と紛らわしいということが要件だということは変わりないですね。
#159
○衆議院議員(後藤田正晴君) 私は先般来申し上げておりますし、それから午前中の審議の際にもお答えしたと思うのですが、要は従来から行われておる団体が、従来のような活動をなさっておる限度においては、ちっとも心配がございませんよということを言っているのです。しかしながら、それと異なった活動をなさって、それが政治活動を行っているということになると違ってきますよと。しかし、その判断はそれじゃ個別個別で具体的にやっているかどうかわからないじゃないか、無限大に広がるじゃないかと、こういう御質問ですね。しかしながら、それは午前中にお答えしたように、今日までの実態を考えていただければおわかりのように、この法律の解釈運用というものは立法の趣旨と、それと事柄が選挙に関連をしておるのだという、この二つの点からきわめて慎重な運営をやっておりますと、したがって、無限大に拡大するとか何とかいうことは、抽象的にはおっしゃれるかもしらぬけれども、そんなことは御心配はありますまいと、かように私はお答えをいたしたいと思います。
#160
○山中郁子君 幾らそういうふうにおっしゃったって、法文上そうなってないということを私は言っているのです、安心しろと言うなら、どういう条文によって安心できるのかということをはっきりしてほしいんですよ。
 その前に、けさからの議論もそうですし、いままでの委員会の審議の中でもそうですけれども、機関紙活動がいろいろ紛らわしいと、しまいには連呼みたいになるとか。そういうことをおっしゃっていて、だから統一見解の中でもあなた方の主張によれば、実態的には機関紙誌だけだということをおっしゃっているのね。だけれども、実際問題としてそうなら、なぜそのように条文がなってないのですかということを私は先日から伺っていて、これについては大林さんが提案者と相談して答えてくださるということになっておりますので、そこのところを改めてお伺いいたします。なぜそれでは条文がそうなってないのかと。拡声機全体を禁止しているじゃありませんか。機関紙誌だけというふうになってないですよ。
#161
○政府委員(大林勝臣君) 先般の御質問を受けまして、提案者とも御相談をいたしました。要するに、先般の衆議院の委員会におきまして提案者から申し上げました意見、見解と申しますのは、今回の拡声機に関する改正に関連をいたしまして、労働組合やあるいは市民団体等の集会が何か規制されるんではないかと、こういう御議論が衆議院の委員会において問題の中心になっていたために、集会について見解を申し上げたものでございまして、したがって特にその内容を変更する必要はないというふうに考えておりますけれども、前回の当委員会で、さらに、しからばデモの場合はどうだというような関連の御質問がありましたので、その関係で御相談の上多少敷衍して申し上げますと、選挙期間中の各種団体のデモなどの活動におきます拡声機の使用につきましては各種団体、いろいろな団体がございましょうが、それが「政治活動を行う団体」でない場合はもちろん今回全く関係がないことは申すまでもありませんし、仮にそれらの団体が「政治活動を行う団体」であるという前提で考えました場合には、そもそも拡声機の使用のいかんを問いませず、いわゆるデモと申しましてもいろんな態様があるかと存じますが、通常のデモの場合には政治活動のための連呼行為をする、あるいは集会、あるいは街頭政談演説という態様もありましょう。そういう態様にわたりました場合には、現行法によりまして街頭政談演説に関する規制でありますとか、政治活動のための連呼に関する規制でありますとか、そういう規制がすでにあるわけでありまして、結局は街頭におきまして政策の普及宣伝なり演説の告示のために拡声機を使用いたします場合には、まずすでにございます現行法の規制に該当するということが通常と考えられるわけであります。したがいまして、これもあくまで「政治活動を行う団体」であるという前提でお話をいたしておるわけでありまして、従来何らの規制も受けずに、適法にデモ等が行われておったというものは、それを行った団体が「政党その他の政治活動を行う団体」ではないから適法であったのか、あるいは仮に「政党その他の政治活動を行う団体」であったといたしましても、その連呼が政治活動のための連呼行為ではなかったとか、あるいは街頭政談演説等の態様を持つものではなかったから適法に行われたものであろうと、こう考えられるわけでありまして、こういう活動でございますれば、今後も規制の対象とはならないことは申すまでもございません。
 また、そのための拡声機の使用も今回の改正によって規制されることにはなるものではありません。こういうように今回の改正につきましては、機関紙誌の普及宣伝に名をかりたいわゆる脱法行為を規制するということが立法趣旨となっておりますので、従来適法に行われておりました集会ないしデモが、新たな規制を受けるというものではございませんと、こういうことでございます。
#162
○山中郁子君 それは明らかに違うんですよ。あなたの論理で言うと、デモ行進というのは選挙運動で言う連呼だと、こういうふうになるのね。そうですか。いままで「政治活動を行う団体」だと認定されて、それが政策の普及宣伝をしていると認定されても、いままでの公選法ではここのところではひっかからなかったんですよ。今度は拡声機を使うということによってひっかかるんですよ。新たにひっかかる場所が出てくるじゃありませんか、それも広範に。広範に出てくるわけですよ。そこのところがちっとも埋められてないんです。統一見解で申し上げますと、「政談演説会、街頭政談演説に当たらない政策の普及宣伝方法としては、」「機関紙等の販売という形で行われておりと、」、これはイコールになっているのね。そんなことじゃないんですよ。政談演説だ、街頭政談だ、連呼と新たにおっしゃるから連呼も入れてもいいですけど、そういうものでない活動が無数に行われているでしょう。集会があれば必ずいまデモがあります。それからまた、たくさんの団体がたくさんの要求を掲げて、路地裏でハンドマイクを持って不特定多数の人に訴えるという行動が政治活動として当然のこととして行われているの。それが拡声機を使うことによってそこの範囲が結局今度は無限大に広がっていくんですよ、そうでしょう。これはそうなっているわけ。だから、あなた方がどうしても紛らわしい機関紙の販売活動が問題になっているんだとおっしゃるなら、なぜそのように法案がなってないのかと、そうでしょう。そこのところを申し上げているのよ。そこは全然埋まりませんよ、あなたの理屈で言ったって。はっきりしていますでしょう。あるいはデモというのは連呼だと、こういうことになるんですか。街頭で訴えるのはみんな街頭政談だと、こういうことになるんですか。そんな乱暴なことをおっしゃるんですか。片方でそれに縛りをかけようと思えば、それを「政治活動を行う団体」だと認定するかしないかの問題で、それが政策の普及宣伝であると認定するかしないかの問題で、それは内容的には何にも基準がないんですよ。その場その場で判断すると、こういうわけでしょう。だったら幾らだって判断できるじゃないかと、いままでは当然のことながらできてた行為が、この新たに拡声機を使うということを禁止することによって、幾らでも対象にして認定できるんですよ。そこを申し上げているの。それが重要な問題なんですよ。
#163
○政府委員(大林勝臣君) つまり、たとえば連呼を一つをとりましても、あるデモの連呼が政治活動のための連呼でなければ、現在ももちろん規制の対象にはなってないわけでありまして、したがいまして、政治活動のための連呼であるかどうかは、その都度その都度の連呼の態様によるわけであります。従来デモでいろいろ連呼がございましても、それは適法に行われておるという前提に立ちますれば、それは政治活動のための連呼ではないから、だから少なくとも政策の普及宣伝のためのものではないと、政策の普及宣伝のものではないから適法であったんだと、こういうことになるわけでありまして、そうでありますれば、今度の拡声機の使用も政策の普及宣伝のための拡声機ということになるわけでありますから、そこは連動するわけでありまして、従来連呼がございましても、それは政治活動のための連呼でないということであれば、今回の拡声機の規制の対象とは当然ならないわけであります。
#164
○山中郁子君 それじゃまたあなたこの前の答弁と違うんですけれども、私はこの前たくさんの団体名を挙げ、たくさんの要求事項による訴えを例として出しました。労働組合、民主団体、平和団体、婦人団体、文化団体、学生自治会、青年団体、業者団体、農民団体、医療団体、消費者団体、団地自治会などの自治会、こうしたところが原水爆禁止や、健康保険法改悪反対、入場税撤廃、徴兵制度反対、憲法改悪反対、有事立法反対、一般消費税反対、男女雇用平等法の制定だとか、授業料値上げ反対だとか、高校全入だとか、こういうことが署名活動や街頭の訴えあるいはデモ行進、集会などで数多く行われているわけでしょう。こういうものが拡声機を使うということとは全然関係なしに、規制の対象になるなどということは考えられませんねと、それは断言してくださいと申し上げたらあなた方は断言できないで、一歩踏み込めばあり得ると、こうおっしゃるわけよ。その一歩踏み込めばというのを、それじゃ何によって決めるのかと言えば、そのときそのときの判断だというわけでしょう。何にもはっきりしないわけですよね。だから、無限にこれが広がるじゃないかと。こういうことはもちろん現行行われているものは今後とも一切関係ありませんと、関係ないなら関係ないで法文上もちゃんとそういうことを担保として書かなきゃいけないし、あなた方が答弁だってはっきり明言しなきゃならないはずなんですよ。関係してくるわけでしょう。だからこそ問題にしているんです。
#165
○政府委員(大林勝臣君) 要するに、基本は拡声機の使用の問題、ほかの問題も同じでありますけれども、主体がまず問題であります。つまり、市民団体あるいはその他の団体が政治的な主張を下げていろいろの活動をされるといたしましても、その前提はそういう団体が「政治活動を行う団体」ということであるかどうかにかかつてくるわけでありまして、「政治活動を行う団体」というのは、前回の委員会におきましてもるる申し上げましたように、昭和二十三年以来同じような考え方で解釈をいたしておるわけであります。つまり、その「政治活動を行う団体」であるかどうかの認定が、確かにおっしゃるように非常にむずかしい要素は含んでおります。「政治活動を行う団体」であるかどうかはその団体のその時点、時点の判断ということになるわけでありますので、その辺から問題が出ておるわけでありましょう。したがいまして、今回の拡声機に関する規制につきましても、結局は「政治活動を行う団体」として行動をしておるかどうかということにかかってくるわけであります。その認定問題は、このむずかしさというのはまた従来と同様でございますけれども、それは何も今回の改正に直接関連をする問題ではないと考えておるわけであります。
#166
○山中郁子君 直接関係まさにするじゃないですか。いま私が何回も言いました。それじゃ、デモはいままで拡声機を使ってでも、警察で後で伺いますけれども、連呼行為なんだなんてことになったはずはないんですよ。それを今度は拡声機を使うことによって、そして片方ではそれを自由に認定できると、しかもその認定の基準というのはさっぱりないわけでしょう、客観的な基準が。具体的に詰めていけば警察が判断するんだと、こういうわけでしょう。
 それで実際上は街頭、路地裏宣伝などでは機関紙誌の普及宣伝という形で行われている選挙運動まがいのものを規制するだけなんだと、繰り返しそうおっしゃるけれども、そのような法文になってないということを私は申し上げているの。提案理由の説明の中にちゃんとこう書いてあるんですよ。「政策の普及宣伝及び演説の告知のための拡声機の使用については、機関紙誌の普及宣伝をする場合を含め」となっている。場合を含むということは、ほかにもたくさんの場合があるわけで、むしろ機関紙誌もそれに入れるんだということを提案理由の説明で言っているんですよ、つまり、拡声機以外のものがあるということでしょう、この説明から言ったって。「含め」というからには、ほかのものがあるからその中に含めるということでしょう。どうなんですか。
#167
○政府委員(大林勝臣君) デモその他の集会、こういうものが今回の拡声機の使用によってすぐに二百一条の五以下の規制にひっかかるおそれが出てくると、こういうお話でございますけれども、要するに一般の市民団体なりその他の団体が、仮に政治的な主張をいろいろやっておりましても、その政治的な主張をやったからすぐにその団体が「政治活動を行う団体」ということにはならないんでありまして、要するに「政治活動を行う団体」にその団体がなった場合に規制がかぶってくるということであります。そういう意味では、従来の規制と私ども特に御意見にあるような変わった面が出てくるとは存じないわけであります。
#168
○山中郁子君 ちょっとこのことに関して一つだけ伺っておきますけれども、それじゃデモのシュプレヒコールは連呼行為だというんですか。それが公選法にひっかかるかひっかからないかは別として、デモのシュプレヒコールは連呼行為だというふうにあなた方は判断しているんですか。
#169
○政府委員(大林勝臣君) 二百一条の十三以下の連呼と申しますのは、政治活動のための連呼であります。つまり、政治活動のための連呼というのが法律の用語でございます。したがいまして、一般の連呼というものではなしに、政治活動のための連呼に当たるかどうかということであります。
#170
○山中郁子君 デモのいろんな集会、労働組合初めとするこうした民主団体の集会のシュプレヒコールが、政治活動であるかないかによって違うんだみたいな、ナンセンスなことは言わないでくださいよ。もうさんざん議論してるでしょう。一般消費税反対というのはどうなのかといえば、それも政治活動だということが言えると、あり得るというわけでしょう。憲法改悪反対だってそうだと、こういうわけでしょう、男女雇用平等法の制定はどうかといえば、それだってそうだと、こういうわけでしょう、なり得ると。それをやってる団体が「政治活動を行う団体」だと認定すれば、それは政策の普及宣伝だと言ってるわけよ、すでに。だったら、いまのデモの実際見れば、みんなそういう要求を、労働者や国民の要求を掲げて、政治上に反映してほしいと思うからこそみんな一生懸命やってるわけでしょう。そういうことが連呼行為なんですか。連呼行為としていままでも取り締まっていたはずだと、こうおっしゃるんですか。
 警察にお伺いいたしますけれども、私は前回三つの例で申し上げました。過去の選挙期間中の三つの例、二万人からの一般消費税導入反対の集会、それから都知事選の最中における婦人労働者の要求実現の集会、そしてまた昨年のダブル選挙の際の米価要求集会ですね、こうしたものが、公安条例に基づいて届け出がされてるわけですから、当然そういうことは公安条例の面からの許可があって行われているわけで、そんなものがこういうふうに該当するか否かなどという公選法上の点から検討されたことがあるんですか。
#171
○政府委員(中平和水君) お尋ねの集会とかデモにつきましては、警視庁の記録によりますと、東京都公安委員会がそれぞれ集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例に基づく申請を受けて、いずれも許可をいたしております。
 これらにつきましては、この記録は警視庁の文書保存規定によりますと一年間でございますので、昭和五十四年三月の都知事選のときの総評のデモでございますか、それから五十四年十月の一般消費税を絶対に許さない国民総決起集会ですか、これについては当時の記録はすでにないわけでございますが、当時の関係者等の事情を聞きましても、特に公選法上の措置をとったという話は聞いておりません。
 それから、五十五年六月の食糧自給率向上、要求米価実現、全国農協代表大会でございますか、これにつきましても特に公選法上の措置をとったという記録は残っていないと、こういうことになっております。
#172
○山中郁子君 そうでしょう。それはあたりまえなことで、常識ですよ。それを今度、拡声機を使うということで新しい規制の対象になる。そういうことがまさに新しい分野に広がるということじゃないかということを私は繰り返している。いままでそんなことを公選法上の観点から、それが連呼行為に当たるか、あるいは「政治活動を行う団体」の政策の普及宣伝に当たるかなんていうことを考えてたことなんかないわけですよ。それを今度拡声機を使うことによってそれが該当するかどうか、その場その場の判断だと、こうおっしゃるわけでしょう。まさに新しい分野に広がるわけじゃないですか。
 それで、私は先ほどから申し上げてますけれども、先日来も後藤田さんが、たとえば一歩出ればと、一歩踏み出せばと、こうおっしゃるわけね。そうすると、その一歩の中身というのは一体何なんですか。いままでのこういう集会、いままで公選法上から検討さえもしてない、そういう集会がどういうふうに一歩出ればあり得ると、こうおっしゃるわけですか。
#173
○衆議院議員(後藤田正晴君) それは、これからそういった団体が何をやられるかによって、そのときにならなければ判断はできません、ここで、そういうものは一切いいんですと言ったら、これは必ずまた違う一歩踏み出したことをおやりになる。そのときに、答弁のときにはこの団体についてはいいじゃないかといったことでは、これは法の改正の趣旨は失われますから、それはやはりそのときの活動の実態を見なければならない、こういうことでしょう。
 で、私が先ほど来言ってるのは、まあ先生御心配になってるけど、本当にわからない、ぼくは。それはね……
#174
○山中郁子君 とぼけちゃだめよ。
#175
○衆議院議員(後藤田正晴君) とぼけるんじゃない。それは従来から政治団体でないと、こう認められておる団体であれば、一般論としてはその団体は一向差し支えないでしょうと。それから同時に、政治団体と認められた団体であっても、いままで規制を受けてない団体であるならば、それは心配はありませんよと、こう言ってるんです。ただし、具体的にそれじゃその団体がいままでと違ったことをおやりになれば、それはそのときのその活動の実態によって違ってきますから、そこらはその段階で適用を受ける場合もあり得るということを言ってるんです。しかし、その判断は、立法の趣旨、選挙という実態、これから見て、法の運用に当たる者は慎重の上にも慎重に従来からやってるんですから、そういったあなた方が御心配になるような、先ほど来お伺いしておれば弾圧だの何のとおっしゃるけれども、そういうようなことが一体ありますかと、いままで。
#176
○山中郁子君 ありますよ、いっぱいあるじゃない。
#177
○衆議院議員(後藤田正晴君) そういうことはありませんと、だから、将来ともそういう弾圧ということはございませんと、だから御心配はなさらなくてもいいんじゃないかと、こういうように申し上げてるわけでございます。
#178
○山中郁子君 それじゃあ、安心するための保障を、条文上のどこで安心できるんですか、指摘してください、どこにそういうことが書いてあるんですか、法文に。
#179
○衆議院議員(後藤田正晴君) 法の解釈運用でございます。
#180
○山中郁子君 ごらんなさいよ、法律に書いてないんでしょうあなた方何回も安心しろ、安心しろって言うけれども、安心できることは法文上に書いてないんでしょう。ないから解釈運用だって言うんでしょう。ないんですね、それじゃ。
#181
○衆議院議員(後藤田正晴君) 別段今回その点改正しておりませんからね。
#182
○山中郁子君 改正してないんじゃないの。拡声機が全部の行動にかかるようになってるんですよ。どこを見れば安心できるんですか。
#183
○衆議院議員(後藤田正晴君) どうも先生の話聞いてると、拡声機が入ったからその実態まで変わってくるような御議論ですけど、そうじゃないので、そんな手段で実態が変わるわけはないんです。政治団体と認定するかどうか、政治活動と認定するかどうかは実態によって判断するんであって、拡声機で判断するんではございません。
#184
○山中郁子君 じゃ、拡声機は何のために入れたんですか。
#185
○衆議院議員(後藤田正晴君) 拡声機を使って選挙まがいのことが従来行われて、それが乱に流れてるからでございます。
#186
○山中郁子君 じゃ、どうしてそういうふうな法文になってないんですか。
#187
○衆議院議員(後藤田正晴君) そのようになってるつもりでございます。
#188
○山中郁子君 なってないでしょう。
#189
○衆議院議員(後藤田正晴君) なってるよ。
#190
○山中郁子君 なってないですよ。二百一条の五でずうっとなっていて、「並びに宣伝吉相のための自動車及び拡声機の使用」となってる。紛らわしいとあなた方がおっしゃる機関紙誌の販売のためのというふうなことになってないんですよ。限定されてないんですよ。だから、この拡声機は全部の行動にかかるんですよ。全部の行動にかかって、その行動を「政治活動を行う団体」の政策の普及宣伝だと認定するのはその場その場だと、それはもう何の基準も示さないわけでしょう。その場その場だと、こうおっしゃるわけ。そうでしょう。だから幾らあなた方が安心しなさい、安心しなさいと言ったって、法文上安心できるような法文がどこにもないということなんですよ。あなた方はそれを解釈運用でやると、こう言ってるわけでしょう、いまあなたいみじくもおっしゃったように。解釈運用でどうにでもなるし、いままでもしてきたのが実態じゃないですか、ということを私は申し上げているんです。
 それで、後藤田さんが二月十八日に衆議院の委員会で安藤議員の質問に対して答弁されてるんです。これは「その課題が、現在のような減税問題あるいは増税問題これがやかましくなっているときであるならば、それが選挙運動期間中であれば、やはりこの規定に該当せざるを得ない、私はさように解釈を」していますと、こう答弁されてるんですね。そうすると過去に同じことを言っていても、それがそのときの情勢で大きな政治問題になっていたら、それは政策の普及宣伝で、「政治活動を行う団体」だというふうな認定で規制の対象になるということを言ってるんですね。だから、一歩踏み出せばということは、たとえばデモのシュプレヒコールが特定の候補者の名前を言うとか、そんなばかげたこと考えられないわけだから、政策のスローガンとか普及宣伝をしているその中身自身が、そのときどきによって政治上の重要な課題になればこれの対象になると、こういうふうな中身以外に考えられないんですね、あなたがおっしゃってる意味が。そうなんですか。そのときどきによってだから変わるっていうことですか。
#191
○衆議院議員(後藤田正晴君) 私が先ほど来お答えしておるのは、この拡声機によって政治活動の内容が変わってくるんじゃありませんよと、それは手段であって、政治活動と認められる団体であるかどうか、あるいはそれが禁じられておる政治活動に当たるのかどうかということはその中身によるんであって、拡声機によるんじゃありませんよということを私は申し上げておる。
 それから衆議院の段階での御質問は、やっぱりそのときこれが各党ともにそういった選挙運動の実態として闘われておるといったようなときに、そのときに御質問のようなことがあれば、それはやり方の中身によって、不特定多数の人間を集めてどんどんおやりになれば、これは政治活動そのものになりますよと、そういう場合もあり得ると、こういうことを申し上げているんです。
#192
○山中郁子君 だから語るに落ちるんですよ。最初から私が確認していったように、政治活動の規制の十四章の三は必要最小限、最小限でしかも選挙運動と紛らわしいということが前提でしょう。選挙運動と紛らわしいというのは、どういうことかといえば特定の候補者と結びつくと、こういうことだとおっしゃいましたね。政策がどんなそのときの争点になっていたって、特定の候補者と結びつくようなことなんてあり得ないじゃないですか。それでも結局は対象にするということでしょう。
#193
○衆議院議員(後藤田正晴君) それは選挙運動そのものになり得るおそれがありますよということを言っているんです、私は。場合によればならぬ場合もありますよ、そのときの状況によっては。だけれども、あなたこういうことを選挙運動で禁止してあるでしょう、二百一条ですか……
#194
○山中郁子君 政治活動ですね。
#195
○衆議院議員(後藤田正晴君) 政治活動、それはあなた何を言ってもいいんだということになったら、この規定生きないじゃないですか。だからこれを生かすためには、それはやっぱりなり得る場合だってありますよと、しかし、なり得るという認定は事柄がこれは選挙法の運用の問題だし、立法の趣旨がありましょうと、だからそう御心配になるような運用というものは従来からないじゃありませんかと。だから御心配はする必要がないと、こう言っている。あなた心配だ、心配だとおっしゃるが、私は心配じゃない。
#196
○山中郁子君 私だけが言ってるんじゃないの。だからこんな大ぜい見えてるんじゃないですか。
#197
○衆議院議員(後藤田正晴君) それはあなたの支持者が来ているから。
#198
○山中郁子君 それじゃ、結局必要最小限、候補者名と結びつくということは全然なくなっちゃうじゃないですか。そうでしょう。そのときの情勢で、一般消費税反対もそういう活動の中身になると、政治活動はもともと本来自由だと、当然のことだということを繰り返し憲法からいっても私申しましたし、あなたも認められたわね。だけれども、選挙の公正を欠くごとがあってはいけないからということで、この十四章の三が設けられたと。それじゃその中身は何なのかといって詰めていけば、最低限のものでなきゃいけない、最低限のものというのは選挙運動と紛らわしいものだと、選挙運動と紛らわしいというのは候補者名と結びつくものだと、こうなってくるでしょう。そういうふうにおっしゃいましたね。だとすれば、こういう政策をどんなにたくさんの人に言ったって、それは何も選挙運動と紛らわしくも何ともないじゃないですか、候補者名となんか結びつかないんだから。そういうものもそのときの争点になれば、政策の普及宣伝だと言ってあなた方が取り締まるということをおっしゃっているわけですよ。そこに拡声機を使うという問題が入ってくれば、最初から言っているように無限定に広がっていくでしょうと、そのことはあなた方はどうしたって主張していることになるんですよ。そのことをいま私申し上げているの。でなければおかしいって言うのよ。どうしてもそうでないというなら、何で法文をそういうふうにしてないのか。解釈運用でどうにでもなるようになっているということの中身は、まさにその問題があるということなんです。
 ところで、そういうことを、つまり一般消費税がそのときの政治的な大きな課題になって、そして大ぜいの人がたくさんの人に物を言うということになれば、これこそまさに言論の自由、政治活動ですよ、そういうものを公選法の対象になるとおっしゃっているんだけど、それはやっぱり依然として警察が決めるんですか。
#199
○衆議院議員(後藤田正晴君) それは法の執行に当たる機関が決めるわけでございます。
#200
○山中郁子君 やっぱり警察が決めるということですね。そうすると国民は自分がしようとしていること、つまり自分がある団体に所属をして、そして一般消費税導入に断固反対だということで集会に行く、デモ行進をする、街頭で宣伝に立つ、そういうことが法律に違反することになるかどうかわからないわけですね、そのときの警察の判断で。わからないんですね。どうすればいいんですか。
#201
○衆議院議員(後藤田正晴君) 警察がどういうように判断するかは局長が来ておりますからお答えしてもらいますが、私は先ほどから言っているように、事柄が選挙じゃありませんかと、立法の趣旨があるじゃありませんかと、したがって、慎重の上にも慎重に今日まで運営しておるのですと、今回拡声機が入ったからといって、それが拡張して運用されるはずはありませんということを私はるる申し上げておるんです。あなたとはどうも考え方の基本が違うようですから、幾ら言ってもかみ合いませんけれどもね。
#202
○山中郁子君 あなたがごまかしているからなのよ、ちゃんとまともに答えてないからよ。
#203
○衆議院議員(後藤田正晴君) かみ合わぬが、私は立法の提案者として皆さん方が御心配になっているようなことはありませんよと言っている。しかしながら、さればといって法の盲点をくぐって脱法行為をおやりになるということであるならばそれは御遠慮願いたいですよと、こういうことでございます。
#204
○山中郁子君 私の質問に答えてくださいよ。
 国民は自分の行動が法律に違反するのかしないのかわからないですねと言っているのよ。自分が一般消費税反対で、自分の所属している団体、婦人団体にしろ青年団体にしろ、その行動で参加をすることが、事前にこれは公選法に違反するといってやられるかもしれないとわかんないでしょう。どうすればいいんですか。
#205
○衆議院議員(後藤田正晴君) それは前回山中さんから御質問がございました。それは主催する団体が、そういう一般の何も知らない人に迷惑をかけるようなことにならぬようにするのが団体の人の、主催者の責任じゃありませんか、
#206
○委員長(鳩山威一郎君) 傍聴席、静かにしてください。
#207
○山中郁子君 主催者だってわからないじゃないですか。主催者はどうやって判断するんですか。
#208
○衆議院議員(後藤田正晴君) わからなければこれは選挙管理委員会もあれば警察当局もありますから、それは十分打ち合わせをしていただけばいいんじゃありませんか。
#209
○山中郁子君 それじゃ、自分たちの政治活動、憲法で基本的に認められている政治活動を行うのに、一々警察に相談してやらなきゃならぬと、こういうことなんですか。警察国家ですね、まるで。
#210
○衆議院議員(後藤田正晴君) あなたはすぐに警察国家だとか、弾圧だとかおっしゃる。
#211
○山中郁子君 だってそうじゃないですか。
#212
○衆議院議員(後藤田正晴君) この日本の開かれた社会が、何が警察国家ですか、何が弾圧ですか、そんなことちっともやっていないでしょう。私はあなたの御質問がよくわからない。
#213
○山中郁子君 だから、聞かなきゃわからないじゃない。わからないような状態になっている法律なんて一体あるんですか。これで、たとえば罰則で三十万以下の罰金と、こうなっているわけですね。刑法の場合を調べてみますと、過失致死で二十万以下の罰金なんですよ、国民の政治活動、本来憲法で重大な基本的人権として認められ、守られなければならないと、選挙期間中も例外ではないと、こういうことがはっきりしている問題について、刑法でいう過失致死の場合よりもさらに重い罰則がづいているような、しかも国民は、主催者だってそうですよ、わからないわけだから。そういうような法律なんていうのは本来あり得ないですよ、近代社会において、近代国家において。罪刑法定主義を持ち出すまでもないと私先日も申し上げましたけれども、そういうことでしょう。また、現に実際問題としてそういうふうにしてあなたが警察に相談しろとか、事前検閲の問題になってくるじゃありませんか。憲法二十一条の二項で「検閲は、これをしてはならない。」とこうなっているの。理念の問題私言ってますよ。当然そういうことから、実質的に事前に警察にお伺いを立てなければ行動ができないみたいなそういう中身は、また検閲の問題から言ったって憲法に違反する重大な問題ですよ。
#214
○衆議院議員(後藤田正晴君) 主催者の方でこれは心配ないというような活動をなさる予定であれば、これはもうはっきりしていますね。しかしながら、活動の内容いかんによっては、場合によれば、選挙運動期間中であればこれは公選法違反になるおそれがあるなあと、しかし、自分としても自信がないということであれば、当然それは法の執行機関に御相談になるのがあたりまえなんで、そんな法律これ初めてじゃないかとおっしゃいますが、そんなことはありませんよ。税理士なんていう商売だって成り立っているんですよ。税法というのは大変な国民の義務ですね。だけれども、やっぱり中身はわかりませんよ、これは。物によってはやっぱりそれぞれの立場立場の人に聞いてやらなければわからない法律だってあるじゃありませんかと。あなたの先ほどの御質問は一般の人がわからぬじゃないかと、そのわからぬものを罰するのかと、こうおっしゃるから、そうじゃないじゃありませんかと。それならば、その主催している主催者側が、自分がこれからやらんとする活動の内容について公選法の疑いがあるかなあと、これは選挙運動期間中のことですから。ならば、選挙運動を主管しておる選挙管理委員会なり、あるいは取り締まり当局なりにこういう活動だがこれは心配ありますか、公選法に違反しますかどうかということを聞くぐらいはあって私はしかるべきであろうと、かように思います。
#215
○委員長(鳩山威一郎君) 山中君、時間ですから。
#216
○山中郁子君 はい。
 要するに、警察にお伺い立てなきゃ、法に違反しないことを努めている善良な国民は何もできないということになるんですよ。要するに、選挙期間中は政治活動やらないのが一番安全だと、こういうことになってくるわけ。それで符節が合うんですよ。さっき奥野さんがおっしゃったでしょう、選挙期間中は遠慮してくださいと、こういうことだと。選挙期間中は禁止だと、こう言っているわけ。奥野さんのはまた、自治大臣に聞きますけれども、あなた自身も言っているんですよ。これは連合通信の記者に対するインタビューで、「規制するというとすぐ大騒ぎするが、要は、政治的な活動をしなければ規制や取り締まりの対象にならぬのだよ。」と、こうおっしゃっているわけね。それから、これもやはり安藤さんの質問に対して、千代田区の一般消費税反対の区民集会のことが問題になったときに、「しかし、そこに政治目的を持ってやっておったということになると、それはあきまへんよ、」と、こう言っているわけね。つまり、政治活動はだめだということになるわけなのよ、あなた方の論法から言うと。これは明らかに、最初から申し上げていますように、憲法に違反し、十四章の三の立法の趣旨からも大きく逸脱している、そういう内容になっている。しかも、それが拡声機という問題で無限定に広がっていくという、そういう内容であるということが一層明らかにならざるを得ないんですよ、いまいろいろお話を聞いていくと。引き続き次の機会にこの点については追及をいたします。
#217
○委員長(鳩山威一郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト