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1980/05/27 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 公害及び交通安全対策特別委員会 第8号
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1980/05/27 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 公害及び交通安全対策特別委員会 第8号

#1
第094回国会 公害及び交通安全対策特別委員会 第8号
昭和五十六年五月二十七日(水曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十七日
    辞任         補欠選任
     梶原  清君     川原新次郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山崎  昇君
    理 事
                山東 昭子君
                増岡 康治君
                坂倉 藤吾君
                沓脱タケ子君
                中村 鋭一君
    委 員
                石本  茂君
                大石 武一君
                加藤 武徳君
                梶原  清君
                亀長 友義君
                川原新次郎君
                関口 恵造君
                内藤  健君
                平井 卓志君
                山崎 竜男君
                高杉 廸忠君
                戸叶  武岩
                本岡 昭次君
                小平 芳平君
                中野 鉄造君
                美濃部亮吉君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  塩川正十郎君
   政府委員
       警察庁交通局長  池田 速雄君
       運輸省自動車局
       長        飯島  篤君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
       常任委員会専門
       員        村上  登君
   説明員
       厚生省公衆衛生
       局難病対策課長  柳沢健一郎君
       厚生省医務局国
       立療養所課長   佐々木輝幸君
       厚生省社会局更
       生課長      板山 賢治君
       運輸大臣官房審
       議官       棚橋  泰君
       労働省労働基準
       局補償課長    林  茂喜君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○自動車事故対策センター法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山崎昇君) ただいまから公害及び交通安全対策特別委員会を開会いたします。
 自動車事故対策センター法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。塩川運輸大臣。
#3
○国務大臣(塩川正十郎君) ただいま議題となりました自動車事故対策センター法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 わが国において発生した自動車事故件数は、昭和四十四年をピークとして減少の一途をたどってまいりましたが、各般にわたる事故発生防止の努力にもかかわらず昭和五十二年に至り再び増加の兆しを見せ始め、毎年およそ六十万人の死傷者が発生しております。
 これら不幸にして自動車事故に遭われた被害者に対しましては、自動車損害賠償保障制度の適切な運用とその充実を図るとともに、被害者の実態に応じたきめの細かい救済措置を自動車事故対策センター等を通じて講ずるよう努めているところであります。
 特に、自動車事故により頭部、脊髄などに重大な損傷を受け、その後の治療にもかかわらず寝たきりの状態に陥った被害者につきましては、症状の悪化に備えた継続的な医学的措置とともに、細部まで行き届いた昼夜にわたる介護が必要とされるのであります。同時に、その介護に当たるこれら被害者の家族の肉体的、経済的負担はきわめて大きいものがあり、その負担を緩和するための適切な救済措置もまた強く要望されているところであります。
 このような実態にかんがみ、重度の後遺障害者を収容して治療及び養護を行う専用の施設を整備することとし、その設置及び運営を自動車事故対策センターに行わせることといたしまして、この法律案を提出するものであります。
 なお、この施設の設置及び運営につきましては、自動車損害賠償責任再保険特別会計から自動車事故対策センターに対し必要な助成を行うことといたしております。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、自動車事故対策センターの業務として、自動車事故による被害者で後遺障害が存するため治療及び常時の介護を必要とするものを収容して治療及び養護を行う施設を設置し、及び運営することを追加することといたしております。
 第二に、以上の改正に関連して、自動車事故対策センターの業務の委託の規定の改正、財産の処分等の制限の規定の整備等を行うことといたしております。
 以上が、この法律案を提案する理由であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#4
○委員長(山崎昇君) 以上をもって趣旨説明は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○本岡昭次君 ただいま提案のありましたこの改正案は、重度の後遺症を持っておられる障害者を収容して治療及び養護を行う専用の施設を整備する、そしてその設置及び運営を自動車事故対策センターに行わせる、このような内容のもので前段の重度の後遺障害を持たれた方の治療及び養護を行う専門の施設を整備するということは、これはそうした方の介護に当たっておられる家族なりまた国民全体の現在の要望にもかなう中身だと思いますが、私はその設置及び運営を自動車事故センターが行うことが果たして適切かどうかということに疑義を持つわけです。
 そういう立場から以下質問をしていきますが、まず最初に、説明の中にもありますが、「重度の後遺障害者」というこの内容ですが、どのような状態にある方を重度の後遺障害者と規定するのか。そこからまず御説明を願いたいと思います。
#6
○説明員(棚橋泰君) ただいま御質問のございました重度の後遺障害者とは具体的にどのようなものかということでございますが、この法律でお願いをいたしております重度の後遺障害者とは、一般的に交通事故によりまして非常に重い後遺障害を受けたという意味でございますが、当面この法律でお願いをいたしております施設に入所をされる方といたしましては、そういう重度の後遺障害者の方の中で、従来私ども非常に苦しい状態におられるこういう方々に対して介護料というものを昭和五十四年から支給をいたしておりますが、その介護料の支給の要件となっております重度の意識障害者というものを対象にいたしたいというふうに考えております。
 その重度の意識障害者というのは、具体的にどういう方々に現在介護料というものを支給しておるかという要件でございますが、これは六つばかり要件がございますが、全部申し上げると長くなりますけれども、たとえて言うと自力で移動が不可能である、自分で食事をとることができない、それからほとんど意識と申しますか、発言、そういうものができない、そういうことで三カ月以上寝たきりが継続している、こういう要件の方に支給をいたしておりますので、今回の療護施設も一応当面はそういう方々を対象に考えていきたいというふうに考えております。
#7
○本岡昭次君 五十四年から始められたその介護料を支給してもらっている方を対象にするということですが、そうするとその介護料というものですが、現在どのくらいの介護科が出ているのかということと、それからこの提案説明の中にありますように「介護に当たるこれら被害者の家族の肉体的、経済的負担はきわめて大きいものがあり、」と書いてあります。常識的に考えてもそうだろうと判断できます。しかしそれは具体的にどのような実態にあるのかということ、そうして今回のこの措置によってそれではどの程度介護に当たるこれら被害者の家族の肉体的、経済的負担が軽減されるのか、その点についてお尋ねします。
#8
○説明員(棚橋泰君) 介護料は現在一日三千円でございます。ただし、これは病院に入院したり自宅で専門の付き添いさんをつけておる方でございますが、家族だけでめんどうを見ておられる方は千五百円ということになっています。一日三千円が原則でございます。
 で、このような重度意識障害者の実態というものにつきましては、昨年、自動車事故対策センターで、介護料を支給しております約五百人ぐらいの方がおられますが、この方々の実態調査をいたしております。その実態調査によりますと大体六割の方が病院におられ、残りの方が自宅で療護をしておられます。そのような方の介護に従事するという方は、付添人ももちろんつけておりますが、ほとんど八割方家族の方が介護にやはり従事しておられるという状態でございまして、したがいまして、そのためにほかの家事ができない、ないしは仕事ができない、さらにはお嫁に行けないというようないろいろな実態が明らかにされております。主として家族がおやりになる介護の仕事というのは床ずれ等ができますので、一定時間ごとに体の位置を変えるとか、たんの吸引とか、排せつとか、そういうことを全部やるわけでございまして、その負担というのは非常に重いのではないかと考えております。それから、金銭的負担でございますけれども、調査をいたしました平均といたしましては月額九万七千円をこのために支出しておられます。最高は四十九万円を支出しておられるという状態でございます。したがいまして、この専門の療護施設ができましたら、先ほど申し上げましたこのような家族の方の肉体的負担は、ほぼなくなるということになろうかと思います。それから、経済的負担もほとんど大半軽減することができるのではないかというふうに考えております。
#9
○本岡昭次君 介護の点ですが、現在入院しておられる場合でもやはり家族の看護というのが非常に多い。先ほど報告のあったこの重度意識障害者の実態の調査を見るとそういう結果も出ているわけで、その家族の肉体的な負担という問題について、そうするといままでのように、入院しておっても家族が看護するということでその肉体的な軽減の度合いは低いけれども、実態としてそういうものがあったわけですが、今度の場合は、入院するとそういうものはもう全く必要がなくなる、完全に解放されるのかどうかということと、もう一つ、経済的負担は大半はなくなるであろうと。いう、大半という言葉をいま使われましたが、家族負担は幾らかこういう部分には残るんだというものがあるなら、一体どういうことになるのか、もう少し詳しく説明してください。
#10
○説明員(棚橋泰君) この療護施設でどういうふうに運営をし、どのような御家族との負担関係になるかというようなことにつきましては、この法律を成立させていただきました後、来年度予算にかけて具体的に詰めてまいりたいというふうに思っておるわけでございまして、まあ開設が二年後でございますので、その間関係の諸機関とも十分協議をしていきたいと思っておりますが、私どもが一応予定しております考え方といたしましては、介護は全部この療護施設の方で行う、いわば従来で言えば付き添いさんに相当する部分も全部この施設の方で行うということで、特に御家族の方が介護に従事されることがなくて済むようにいたしたいというふうに考えております。
 それから金銭的負担につきましては、これを健康保険等の関係そのほか通常の病院でも自己負担というものがあるわけでございまして、それとの横並び等の問題がございますので、極力御負担は少なくいたしたいとは考えておりますが、具体的にどういうふうにするかにつきましてはもう少し時間をかけて詰めたいというふうに考えております。
#11
○本岡昭次君 そこで対象者が五十四年度から新設された介護料を支給されている人たちということになります。一方私のこの調べの中で、衆議院の審査の中で、介護料をもらっている方は五百人ちょっとあるように書いてありました。とすると、今回この施設をつくって五百人に一挙に入っていただくということにはならない、何かモデル的に一カ所つくる、こういうことのようです。とすると、同じ介護料をもらって対象者でありながら、一方では、先ほどおっしゃったように、家族の肉体的負担というものはほとんどなくするようにしていきたい、また経済的にも従来よりももっと軽減していくんだということになれば、同じ介護料をもらっているその対象者の中に格差ができると考えます。それをなくするためには、入所したいんだけれども入れない、そういう人たちのためにやはり平等の原則で介護科を引き上げるということでもって、入れない人たちへの見合いの措置というものが考えられなくてはならないと思うのですが、その点についてはいかがですか。
#12
○説明員(棚橋泰君) 御指摘のとおり、当面この施設が開所いたしましても、収容人員は一応五十人程度と考えておりますので、大半の方がまだ収容できないわけでございますが、この施設につきましては、実は全くわが国でも初めての試みでございまして、いろいろ検討しなければならないことがあるわけでございます。こういうシステムが本当にいいのか、そのほかもっといいシステムがあり得るのか、ないしはこういう療護施設を実際に運営したときに、解決しなければならないどういう問題があるのかといういろいろな問題がございますので、この施設につきましては、一応モデルのケースとして一つつくりたい、かように考えておるわけでございまして、その結果を見まして今後の対応を考えていくと、こういうことを予定いたしておるわけでございます。したがいまして、相当程度の方がこれで収容することができないということになるわけでございます。で、それにつきまして、先生御指摘のように、それじゃ、そういう人たちにはもっと手厚い介護料を支給したらどうかというお話でございますが、現在の介護料というのは、一応、私どもとしてほそういうことの有無にかかわらず必要な介護料の額であるというふうに考えております。したがいまして、こういう収容される方、されない方ということではなしに、介護料そのものが金額的にまだこれでは不十分であるということでございましたら、それにかかわらず、介護料の引き上げを行わなければならないわけでございまして、それにつきましては、物価の動向その他を勘案しながら今後とも検討をし、適切な介護料を支給していきたいと考えておるわけでございます。
#13
○本岡昭次君 逆の立場から聞きますと、一日三千円の介護料、これは現在の経済状況から見て適切であると判断されているわけで、その後物価上昇等があれば、引き上げなくてはならないだろう、しかし現在はそうした了見はない、このようにおっしゃっておるわけですね。ところが、施設ができる。しかしモデルケースであるにしろそこに入る人ができれば、その介護料の支給者の中から特定された五十人なら五十人の人が入るわけですね。その入る人の必要な費用というのは、一日三千円の介護料の範囲で賄えるという状況にあるならばこれは公平だと思いますが、そうでないならば、やはり介護料の方を引き上げて、同じ介護料をもらっている人の立場で、入所している人としてない人のバランスをとるべきだと、こう考えるのですが、その入る人は、そうすると、一日三千円の介護料の範囲内で治療なり療養というのですか、そうしたものが受けられるということになるのですか。
#14
○説明員(棚橋泰君) 御指摘のように、私どもといたしましては、できれば全部の方を収容したい気持ちはやまやまでございますが、先ほど申し上げましたような事情から、やはりモデル的にやってみないと今後の対応が誤ってはいけないということで、こういうことを計画しておるわけでございますが、このようなことを計画しております問題は、御家族の方の肉体的、金銭的、精神的負担というものを少しでも軽減したいということでございまして、金銭ではかえられないいろいろな負担があるわけでございまして、そういう負担を軽減するということも大きな問題でございまして、したがいまして、残る方々に単に金銭の介護科給付を引き上げれば、同じ効果があらわれるということではないというふうに意識をいたしております。
 それから先生御指摘の入院された方と残った方との負担のバランスの問題は、まあもう少しこれは具体的なケースになってみませんと、先ほど申し上げましたように、自己負担の額その他についてはもう少し検討さしていただきたいと思っておりますから、詳細にはお答え申し上げる時期ではございませんけれども、もちろん自宅におられる方にも経済状態ないしはいろいろな介護の状態でバランスがあるわけでございまして、ただ、平均が九万七千円という支出でございますから、そういう意味では一日三千円の介護料というのはほほ金銭的にはある程度見合っておるとは考えております。
#15
○本岡昭次君 このことだけ質疑しておりましても時間が足りませんから次へ進みます。
 最後に私がいま言っておりますように、介護料をもらっておる人を対象にして入所させるのだということになれば、入所したくてもできないという人ができたときには、公平にそこに格差が起こらないような具体的な措置を講ずるべきである。それは介護料でいくのか、またその他州の面でやるのか――これはひとつ強く要望しておきます。この要望、大臣いかがですか、いまのやりとりで。突然すいません、どうも慣れておりませんので。
#16
○国務大臣(塩川正十郎君) 確かにおっしゃるように一部の者だけが手厚い看護を受けてあとの者は不公平だというお話がございますけれども、そういう不幸に遭われた方を全部対象にして収容するのが一番いいのですけれども、しかし、そこにまだ十分な財力もないし、また人手もございませんので、とりあえずテストケースでやらしてもらいたいということでございます。したがいまして、これが一つのモデルとなりまして一般病院でもこういうことをやっていただければ、広がっていけば結構だと思うし、また事故対策センターにおいて余力ができてまいりましたら、これはまた広げてもいかなきゃならぬと思うたりいたしておりまして、そういう意味におきまして、とりあえずこれは一つのテスト、そしてこういう看護についてのノウハウとかいろいろなものをひとつ研究さしてもらいたい、こう思って、この法案を提案しておる次第でございます。
#17
○本岡昭次君 重ねて失礼ですけれども、この提案理由の中に「その介護に当たるこれら被害者の家族の肉体的、経済的負担はきわめて大きいものがあり、その負担を緩和するための適切な救済措置も」こういうふうにあるわけですね。だから、センターをつくるということもいわば負担を緩和するためにあるということですから、そこに入所できた方は、それは緩和できるのであって、入所できない者はその緩和ができない。そういうことに必然的になりますから、これを設置して具体的に入所される段階ではきめ細かくそうしたことも配慮をすべきであろうという要望を申し上げておきます。
 それから、次に自動車損害賠償責任保険審議会が昭和五十三年六月に答申を行っております。その答申の「重度の後遺障害者救済措置」という項目の中に「いわゆる「植物状態」となった被害者など自動車事故による重度の後遺障害者については、長期にわたり介護を要すること等によりその家族の生活が圧迫される等のケースがあるとの問題が指摘されているので、各方面の協力をえてその救済措置について検討すべきである。」と、このように答申をしています。
 そこで、政府は当然この答申を受けて、まず各方面の協力を得て重度の後遺障害者救済に当たらなければならないのですが、五十三年の答申を受けて現在までどのような救済措置の問題について検討をしてきたのか、ひとつ説明を願いたい。
#18
○説明員(棚橋泰君) 五十三年の自賠責審議会の答申は先生のおっしゃったとおりでございまして、これを受けまして、直ちに五十四年度から先ほど申し上げました介護料の支給という予算措置に踏み切ったわけでございます。さらに本年度からはこの介護料の支給の範囲を重度の意識障害者だけではなくて重度の脊椎障害者、すなわち先ほど申し上げました要件ではなくてもう少し緩和をいたしまして、会話等がある程度できるような方にも広げるという予算措置を今年度から組んでおるところでございます。
 それからただいま御提案申し上げておりますこの法律の中身となっております療護施設、これも実は三年越しの経緯でようやっとここまできたわけでございます。この間には関係の厚生省その他関係諸官庁にもいろいろ御協力をいただいてきておるような状態でございます。
 それからそのほか自動車事故対策センターで貸し付けを行っております。貸付金の中で重度障害者に関係のございますのは二つございまして、一つは後遺障害者の保険金、自賠責から保険が出るわけでございますが、この保険金が支給されるまでの間すぐにお金の要るという方に対して無利子で立てかえの貸し付けを行っております。それから重度後遺障害者の子弟の方に対しましては、交通遺児の方と同様にこれに対しましてやはり無利子の貸し付けを行っておる、そのような諸対策を従来まで講じてきておるわけでございます。
#19
○本岡昭次君 それでは厚生省の方、お見えですか。――私は、自分は車の運転もしませんし、損害賠償保険の問題についても全く素人でありましたので、この問題を調べるまで、交通事故でさまざまな身体に障害を持った方が、こういう保険の立場から一つの救済がされていっているということは全然知らなかったわけです。
 そこで厚生省にお伺いします。いわゆる厚生省が福祉行政の立場から身体障害者というふうに認知して、そしてさまざまな資料統計上公表されているのはどのぐらいの数字ですか。
#20
○説明員(板山賢治君) 身体障害者福祉法に基づきます身体障害者は、昨年二月の実態調査によりますと、在宅の者が百九十七万七千人、施設に入っております者が五万人、合わせまして二百三万人程度となっております。
#21
○本岡昭次君 いまおっしゃいました二百三万の、法律に基づく身体障害者の中に、本日提案されているこの自動車事故に遭って、そして重度の後遺障害を持ち、現在介護料をもらっている方、そしてこの法律ができればそうしたセンターに入所できるという人たちは入っているのですか、入っていないのですか。
#22
○説明員(板山賢治君) ただいま申しました二百三万人の中には、交通事故等による障害者ももちろん入っています。ただし、今回御提案をされておりますこのセンターの療護施設の対象になります遷延性高度意識障害者と呼ばれるいわゆる植物人間という言葉を使われていますが、このような人々の中では身体障害者福祉法の対象になる者とならない者とケースによりまして差がございます。それは身体障害者福祉法の障害者といいますものは、症状がある程度の状態に達して、しかも永続固定をしていなければならない。かつその人たちは自立更生の可能性を持っているという要素が必要でございまして、遷延性高度意識障害者と言われる人たちは、高度な医学的管理のもとでその障害、症状というものが必ずしもまだ固定しているとは言えない、変化するかもしれないという可能性がありますし、かつ意識まで障害を受けておりますると、自立更生ということが果たして可能かどうか、こういった問題がございまして、ケースによりましては肢体不自由者として身体障害者手帳を持っておる者もおりますけれども、そのような該当者でない方も入っている、このように私どもは整理をいたしております。
#23
○本岡昭次君 体の障害が永続固定をして、もう変わらないということですね。そして、自立更生ができる、そういう立場でなければ、いわば厚生省が身体障害者として認定をして身体障害者手帳を交付するということにはならないということですね。しかし、重度意識障害者の実態のこの調査の中では、自立更生というのですか、治ったというケースも幾つか出てきているわけですね。だから、この対象者の中で、先ほどおっしゃいましたように、すべてをその福祉法の対象から外すということじゃなしに、幾らかは対象にするとおっしゃっていましたが、どういうケースの人がそれでは対象になるのですか。
#24
○説明員(板山賢治君) 先ほど申しましたように、いわゆる植物人間と言われるような人々でありましても、意識があり、その程度によりましては治療、訓練、リハビリテーションによって自立更生の可能性のある方たちがおられるわけでありまして、しかもその状態の中で肢体不自由あるいは重複障害という状態を持っておられますれば身体障害者として福祉法の対象になります。かつ、これはこの身体障害者福祉法に言います障害者とは違いますが、重度障害者と呼ばれる人たちが最近は大変ふえていますので、厚生省では、身体障害者福祉手帳を持つか持たないかにかかわらず重度障害者対策というものも重要視いたしましてこの対策を進めておるところでございます。ですので、手帳を持つか持たないかにかかわらず重度障害者のための、たとえば福祉手当と申しますか、あるいは家庭奉仕員の派遣でありますとか、こういった対策は並行して行われておることを申し上げておきたいと思います。
#25
○本岡昭次君 私は、いま答弁された中身を必要としていたのです。
 結局、障害者といっても単にその法律の規定だけで分け隔てをしておりますと、特にこの交通事故センターに収容されるような対象の重度障害者では、病院にいても先ほど言われたように、一つの症状がもう固定して治療の対象でないから病院を出ていってくれという状況、これは実態調査の中にも、もう退院してくれということで強制的に退院させられたという状況も報告がされているわけで、そういう人たちが福祉行政と医療行政の谷間に入ってしまって、どちらからも救済されない、社会的に身体障害者としての最低受けるべき保障も受けられないというふうなことになってはならないので、いま答弁にあったようなきめ細かい障害者に対する対策をこれからもひとつお願いをしたい、このように思います。
 そこで、次に労働省の方にお尋ねをしますが、交通事故によって起こる重度の後遺障害者の問題をいま論じていますけれども、しかしこれは交通事故だけでなく、労働災害からもこうした障害者が出てくるということもあると思います。それで、労働災害から重度の後遺障害者というものの実態は一体どのようになっているのか、参考までにひとつお聞きします。
#26
○説明員(林茂喜君) 先生お尋ねのいわゆる植物人間と言われております重度障害者の数については正確には把握をいたしておりませんが、いわゆる障害等級がうちの方で一級ないし三級、三級と申しますといわゆる労働能力が一〇〇%喪失と言われている者ですが、一級が常時介護を要する者、二級がその間に随時介護を要する者と、こうなっておりますが、こうした障害給付を受けておられます被災者の数は把握をしておりますので、それを申し上げておきたいと思います。
 新規に、いわゆるその一年間にそういう障害の給付を受給した数は、企業種では、五十四年度で申しますと、一級が三百三十三人、二級が六十五人、三級が二百十八人。それから五十四年度末現在で受給をしておられる方、前からの関係でですが、これが一級が二千八百八十人、二級が七百七十四人、三級が二千九百十人、こうなっております。
 それから、その中で交通運輸業、ここの関係では、一級が一年間に受給した者は三人、二級が二人、三級が六人。それから、同じ交通運輸業の年度末の受給者は一級が三十七人、二級が十三人、三級が四十六人となっております。
 なお、交通だけではないですが、関係が深い貨物取扱業でございますが、これはトラックとか貨物の輸送あるいは積み込みをやっております業種でございますが、これは必ずしも交通事故ばかりでなくて荷物の積みおろしに伴ういろいろな事故が入ってまいりますが、御参考までに申しますと、この業種におきましては五十四年度中の新規の受給者は一級が二十四人、二級が四人、三級が十二人。それから五十四年度末の同じく受給者は、一級が二百四十五人、二級が五十人、三級が二百十二人となっております。
#27
○本岡昭次君 労働災害でも相当重度の後遺症を持つ障害者の方がおられるわけです。そこで、労働災害によるこうした人たちは労働災害補償保険でさまざまな救済をされていると思います。そこで、労災の場合の給付、あるいはまた医療、リハビリ、こうしたものについてはどういうふうなことをされているのか、これもひとつ参考までにお伺いいたします。
#28
○説明員(林茂喜君) 労災保険では療養補償給付、これは療養のための給付でございます。それから休業補償給付、それから病気が治癒をした場合、もうこれ以上治療をしてもよくならない、一定の状態になった場合、障害の給付が支給されることになっております。その内容を簡単に申し上げますと、療養給付の場合は傷病を治すために必要な医療上の措置、診察、薬剤、治療材料の支給、処置、手術、さらに入院、看護、それから移送、ここまで入っておりますが、こういう措置が、傷病が治って、あるいは傷病が固定するか、または不幸にして死亡されるかして療養の必要がなくなるまで完全に行われます。また、そういうような重篤な傷病者につきましては、基準看護の承認を受けている病院等に収容された場合以外で付き添い看護を認めていることはもちろんでございます。
 それから、二番目の休業補償給付でございますが、休業四日目以後給付基礎日額の六〇%の休業補償が支給され、さらに給付基礎日額の二〇%の休業特別支給金というのが支給されます。合計しまして、給付基礎日額の八〇%の支給があるわけでございます。
 それから、病気が長引きまして、療養開始後一年六カ月を経過しても傷病が治癒しない場合には年金の形に変わるわけでございます。これは症状の状態によって給付の額が変わってくるわけでございますが、廃疾等級の先ほど申しました第一級に該当する場合には給付基礎日額の三百十三日分の傷病補償年金が支給されることになっております。それから、障害補償給付につきましては、いわゆる療養の結果傷病が治癒して身体に障害が残った場合には、その障害の程度に応じまして、その等級に応じて障害一時金あるいは障害年金が支給されることになっております。
#29
○本岡昭次君 そこで、先ほど労働災害による障害者の実態を報告されましたときに、つけ加えて、交通事故に関係すると思いますが、いわゆるトラックとか自動車とかを職業的に運転されている人の数字が出てきましたが、そこでこれ全く私も素人だからこんなお尋ねをしますけれども、そういう職業的に車を運転されている方が交通事故でいま言う重度の後遺障害という状態になったときに、その人は、やはりそのこと自身が労働に関係していることだから労働災害という立場で給付なりその後のさまざまな救済措置を受けていくのか、それとも交通事故によるそうした後遺障害の問題の立場から救済をされていくのか、まことに素人の質問で申しわけないのですが、それはどういうふうになるのですか。
#30
○説明員(林茂喜君) 自賠保険の損害賠償と労災保険の保険給付はいずれも被災者の損害補てんを目的としている制度でございますので、同一の損害について損害賠償と保険給付が重複して行われる乙とのないよう調整をいたしております。その調整は、労災保険の給付を先に支払いました場合には政府は支払った保険給付の額の限度で自賠責の方に求償をいたしておりますし、自賠保険が先に損害賠償を支払った場合は労災保険の保険給付の額から損害賠償の額を差し引いて差額を支払う方法をとっております。もちろん自賠責の方で給付がなくなった後は労災保険の方で全部見ていくという形になるわけでございます。
#31
○本岡昭次君 そうすると、労働災害に該当するそうした交通事故による重度障害者というのは、この法律でいま決めようとしている施設に入所するというふうな事柄にかかわっては、労災の立場で全部救済をされていくからこの対象にはほとんどならなくても済むと、こういうふうに考えていいのですか。
#32
○説明員(林茂喜君) ただいま申し上げましたのは費用の負担のことでございまして、御本人がどこのところで療養した方が適切かという問題はまた別の問題になろうかと思います。
#33
○本岡昭次君 そうすると、運輸省の方にお尋ねしますけれども、現在の介護料を払っている人ですね、そういう人の中に労働災害に該当して、そして現在ずっと治療、療養しているという状態の人には介護料が出ているのか出ていないのか、そのあたりはどうなんですか。
#34
○説明員(棚橋泰君) 御質問の点は、理論的にはこの介護料というのは、損害賠償というものの終わった後、苦しんでおられる方に介護料を出しておるわけでございますから、そういう補償制度とはまた別のものでございますから、理論的にはあり得るわけでございますが、現実にそういう方がおられるかどうか、それは手元に資料がございませんのでちょっとわかりません。
#35
○本岡昭次君 後ほどで結構ですから、質問の結論としてどのくらいおられるのか、またひとつ私の方に知らしてください。
 そこで、次に行きますが、いま厚生省にお聞きしたり、あるいはまた労働省にお聞きしたりしましたのは、交通事故による重度後遺障害者についても一般労働災害によるこうした重度後遺障害者と同様に社会保険や障害者の全般の福祉行政の中で救済措置が実施されるべきであろうというふうに私は考えているからです。自賠責の責任保険の運用利益で運用されている自動車事故対策センターが、いま議題となっておりますように、収容施設を設置してそしてその救済に当たるべきかどうかということについては、先ほどモデルケースであるというふうなこともありましたが、やはり非常に疑問に考えます。
 そこで、大臣にお聞きしたいのですが、どうしても自動車事故対策センターがこうした重度後遺障害者の救済の施設をつくって、こうした問題まで担当しなければならないのかという積極的な理由は一体何なのかということをお尋ねしたいのです。衆議院の方でもこうした問題にかかわって、二重給付ということになって保険制度の原則を侵すことになるのではないかという質疑が繰り返し行われているわけでして、その点についてひとつ明確に御説明をいただきたいと思います。
#36
○政府委員(飯島篤君) 先ほどから話が出ておりますように、重度後遺障害者は自動車事故だけでなくていろいろな原因によって確かに生ずるものではございます。しかし、自動車事故による重度後遺障害者につきましては、原因者である自動車というものがはっきりしておる、いわば車社会ということで加害者集団とも言うべき原因者がはっきりしておるということでございますので、できるだけその原因をつくり出している側でめんどうを見るのが筋ではないかというふうに考えているものでございます。特に自動車事故によるこういう方たちは、老人であるとか、あるいは十代、二十代というような非常に若年の方々もおるわけで、他の重度後遺障害者と若干趣を異にしているところでございます。
 また、なぜ自賠責の運用益等でやるのかというお話でございますが、自動車損害賠償保障制度の自賠責保険につきましては、基本的な補償をするという考え方で補償を行っておるものでございますが、これを補完するということで運用益の中からこういう気の毒な方々に対しては若干手厚くめんどうを見さしていただきたいということでございます。
#37
○本岡昭次君 原因を起こした側が、いわば加害者が最後まで責任を持ってめんどうを見るべきであろうと、こういう立場に立つんだとおっしゃっておりますが、そういうふうに原因をつくった側がということになれば、同様の症状になっている人たちをそれぞれその原因を起こした側が従割りにやるという非常に複雑な、またいわば行政の上から言えば重複したことになりますね。したがって私は、厚生省の方にお尋ねしたように、結局障害者を含めこうした後遺症を持っておられる方、どうしても手厚く社会的にお世話をしていかなければならないという人たちを包括して福祉行政として見ていくということがあくまで基本であるという立場でいまも質問をしておりまして、運輸省がそういう立場で福祉行政の面までその枠を拡大させる必要はないというふうに私は考えています。
 先ほど説明しました五十三年の答申にも、今回運用益でもってこうした施設をつくられようとしておりますが、この運用益の扱いについて次のように述べています。「運用益については、これまで保険収支の改善その他救急医療体制の整備、交通事故防止対策等に活用され、その効果をあげてきた」、「滞留資金の運用益の今後の使途については、保険収支の動向をも勘案し、将来の収支改善のための財源として留保しておくことを考慮するほか、救急医療体制の整備及び交通事故防止対策等への活用については効率的に行うことが適当である。」、こういうことが文面にあるわけで、私がこの文面からいろいろ解釈してみても、それがいま運輸省がつくろうとしているセンター設置ということにできないわけで、辛うじて何々等という言葉があれば何でもできるということかもしれませんが、運用益の活用というのは、やはりはっきりここに書いてあるように、「保険収支の改善」なり「救急医療体制の整備、交通事故防止対策」ということに活用されるべきであるという、その事柄に限定してもっと充実をしていくべきではないか、こう私は考えるのですが、ひとつ大臣、この答申との関連において運輸省がこうした医療や障害福祉の面まで進出しようとするその理由について明確にお考えをお伺いしたいと思います。
#38
○国務大臣(塩川正十郎君) 先ほど飯島自動車局長もお答えしたことと重複すると思うのですが、御質問は、やはりなぜこんな医療関係まで運輸省が積極的に進出するのかと、こういう御疑問だと思うのでございますが、実はこの問題につきましては厚生省ともいろいろと相談もいたしました。しかし従来からの経緯等を見ますと、当然この障害された方は単純な病人という、一般病院の収容たけで処理し切れないところが実はございます。それともう一つは、こういう施設がまだ日本では本格的な専門的なものがないということでございまして、厚生省はこれを非常に熱心に研究しておられるのですが、われわれもいずれ厚生省の指導のもとでこの運用等はやっていかなきゃいかぬと、これはもう当然でございますが、それにはやはりこういうものを専門的に一回建ててみよう、それをするのにはどこに着目するかということでわれわれ考えまして、幸いにいたしまして自動車事故対策センターに何とか資金を供給して設置したらどうだろうという結論になったのでございます。
 でございますから、これはあくまでも一つのテストケースでございまして、研究と言ったらおかしい、語弊もございますが、ここでいろいろなノーハウというものをつくってみたいと、こう思っております。それはいろいろな面でまた応用もしていただけるのではないか、そしてこういう御不幸に遭われた方々の積極的な療養開始に役立っていけばと念願しておるのであります。したがいまして、これからのこういう種類の患者さんの扱いにつきましては、今後厚生省と十分な連絡をとって、さらにこういう施設がどこかでどのような主体であれふえていくことはわれわれ念願しておるのですから、そういうことにつきましては今後厚生省とも十分相談していかなきゃいかぬと、こう思っております。
 それから、二重給付ではないかという御疑問でございますが、これもずいぶん出ました。衆議院で議論されましたんですが、私たちはこの自動車事故対策センターで余裕金といったら語弊ございますが、資金的にやりくりつく範囲内でこれをどういうふうなことで還元したらいいかという、保険加入者に対する一つの政策の選択としてこういう方法をとったのでございまして、二重給付になるという、そういう考えは持っておりませんし、また、それとはちょっと方向が違うのではないかと思っておりまして、でございますから、この余剰金の使途といいましょうか、これにつきましては今後さらにいろいろな角度から検討しなきゃならぬということは当然でございますけれども、要するに新しい給付をするのだと、こういう趣旨でやったものではない、あくまでも余剰金のいわば利用者への還元の選択の一つの方法としてこの設置を決めていったと、こういうことでございます。
#39
○本岡昭次君 そこで、いま大臣の答弁はそれなりに理解できるのですが、そこでもまた若干の疑義が出てくるのです。
 現在こうした専門的な病院がない、だからひとつ自動車事故対策センターがその先頭を切ってモデルケースとして施設をつくってやってみよう、そして、これを広げていくということを考えているのだということですが、労働省に先ほど労災関係でいろいろ私は聞きましたけれども、労働災害の立場からこうした同じような障害者がいるという場合も、やはり同じように専門的な病院がないということで、非常に困った状況にあるのですかどうですか。
#40
○説明員(林茂喜君) 私ども労災の方といたしましては、現在労災病院それから総合せき損センター、そうしたものを設置しておりまして、福祉事業としてそれらの治療を行っております。特に、御存じのように、九州で起きました例のCO中毒のために、九州に労災病院をつくったり、あるいはじん肺のためにじん肺の専門病院をつくったり、そういうことをしております。
#41
○本岡昭次君 いや、交通事故の結果によって起こる――こういう言葉は使いたくありませんが、もう意識がなくて植物的な状況になってしまっているのを特にここは重視して、モデルケースと運輸省は言っているのじゃないかと思いますが、そうしたことにかかわって、労災の側では専門的な病院はないのですか。
#42
○説明員(林茂喜君) ただいま申しましたCO中毒なりじん肺、そうしたものも非常に重度な被災者でございまして、こうしたものに関しましては、先ほど申しましたような、特にそれを中心とした専門病院を設けておりますが、もちろんそのほかの病院でも重度の患者を取り扱えるようにはしてございますが、交通事故専門というような病院は特にございません。
#43
○本岡昭次君 そこで、大臣のいまの御答弁にかかわってお聞きするのですが、何か衆議院の論議をずっとまとめてみますと、とにかく一カ所つくって、そしてそれは五十人収容と。全体で何かちょっといま数字を見ますと、六百十七人ですか、介護料を受けている人がいる。すべてが入所したいという希望はないにしても、相当数やはり入りたいという人がいるから、それを入れるとすれば、五十人で六百何人を割れば、最低十カ所にそういうものをつくらなければならない。そうすると、一カ所についてお金が何ぼですか、二十五億円ほど要ったら十倍の二百五十億とか、あるいは年間経費五億円でやって、十ヵ所であれば年間経費五十億ほど要るというふうな質疑がされているわけですね。しかし、大臣のお話では、とにかくモデルケースとしてつくって、そしてそこで、植物的な状態になっておられる人たちの専門的な治療なり療養なりをやって、それを広げていくのだと、そういうことは厚生省とも話しているんだと、こういうことなんですが、若干そこは食い違いがあるように思うのですね。何かもう衆議院の方では、十カ所つくっていくその最初の一カ所をつくるのだと、だから、一体そのことは将来の運用益を食いつぶすことにならないか、それでなくても保険の赤字が将来見込まれるのに、これで維持できるのかというふうな論議がされているわけで、いまの大臣の御答弁であれば、一応モデルケースとしてやってみて、それを厚生省とも相談して広げていくんだということになれば、全然論旨の立て方が違ってくると思うのですが、いかがですか。
#44
○説明員(棚橋泰君) 衆議院の段階でお答え申し上げておりますのは、全国十カ所を整備するというようなお答えはいたしていないと思います。御質問の中で、いま先生おっしゃいましたように五百人――先生六百人とおっしゃいましたが、六百人は累積でございまして、現在支給しておりますのは、そのときによって変動いたします、まあ四百五十から五百の間でございますが、それらの方々を全部収容するには十カ所要るではないかと、それはどういうふうにするのだと、こういう御質問があったわけでございまして、私どもといたしましては、あくまでもこれはテストケースでございまして、一カ所つくってみまして、その成果を見てどういうやり方がいいか検討し、大臣もお答え申し上げましたように、厚生省等ともいろいろ御指導を受けて、その後のあり方について考えていきたい、こういうふうにお答えを申し上げでおったつもりでございます。
#45
○国務大臣(塩川正十郎君) それは、先ほど棚橋審議官も申しましたように、おっしゃったのは質問なんです。そういう質問があったのです。それに対しましてこちらの方で、やはり原則ははっきり言っておりまして、一つは、これをひとつ設置きしてもらって、これによって十分検討さしてもらいたい、そして今後保険の財政に大きい負担をかけてはいかぬ。それから、地域が全国に散らばっておりますので、できるだけ多く固まっておられるところがやはり対象になるであろう。それから、そういう介護をするという方々の医療的な背景といいましょうか、環境といいましょうか、そういうふうなものが整うかどうかということを検討した上で今後の対策を考えたいと、こういうことを申しておるのでございますから、誤解ないようにひとつお願いいたしたいと思います。
#46
○委員長(山崎昇君) 関連質問を許します。坂倉君。
#47
○坂倉藤吾君 いま本岡委員の質疑を聞いておりまして、やはりどうしても私自身よくわからぬので、関連をして一つ二つお尋ねをしたいのです。
 それは、自動車が原因のものであるから原因者が見るんだと、こういう立て方ですね。しかも、医療あるいは福祉にかかわりますから、関連をするところは厚生省と相談をしていると、したがって、センターがこの分野に新しい一つの試みを行うんだと、こういう筋道になっていますね。そこで、私どもが心配をいたしますのは、医療、福祉の分野は厚生省が主管でありという話になるとするならば、この事故センターが持つ本来の趣旨というのは、いわゆる事故者に対するところの経済的な救済を主たる目的にしながら運営をされる。これは保険の趣旨である。したがって、自動車事故によって発生をいたしました幾つかの障害者をどういうふうに救済するか。その過程の中では、それぞれ鉄道病院もあるだろうし、厚生病院もあるだろうし、あるいは逓信病院もあるだろうし、一般の地方自治体の病院あるいは個人の病院といわず、言うなら、その病院を利用しながらその人たちの治療に当たっていくわけですね。それに対しては、当然強制保険その他の対象になって、いわゆる資金的にそれを救済していく、緩和をしていく、これがたてまえになっています。そうすると、資金的なゆとりがあって、本来新しい分野で、たとえばそういう施設が仮にほかにつくられておるとすれば、これは事故センターが行う業務じゃなくて、そのセンターに収容をした人たちに対してどういうふうに給付をしていくのか、これは引き続きの問題になるだろうと思うのです。しかし、センターみずからが施設をつくって行うということについて、いまの政治のあり方からいけば、包括的にそれを主管にしている厚生省が、むしろその施設をモデル的に設置をする。そこに収容をする人たちに対して、たとえば自動車強制保険に該当をされた方々等について、現に看護料その他を支払っておるそういう人たちについての費用をどういうふうに分担をしていくのか、これが筋だろうと思うのです。もし、いまの論議を展開していくとすれば、たとえば自動車が原因になって発生をするすべての事故者について、独自の、この事故センターそのものが自動車事故専門者を収容する、あるいは療養をしていく病院を自由に金さえあればつくっていけるという道を開くのじゃありませんか。そこのところは一体どういうふうにこの筋道の中できっちりされるのか、ここのところをきちっと整理をしてもらいたい。そうでないと、私は、福祉、医療の制度というのはそれぞれの衝の原因者が勝手気ままにその分野にかかわってくる、こうなったのでは混乱をしていくだけである、私はこういうふうに思うのですが、その点はいかがなんですか。
#48
○国務大臣(塩川正十郎君) 確かにそういう考え方もございまして、そういうことは私たちも十分検討をいたしました。しかし、一般病院――厚生省のやっておるのは一般病院ですが、一般病院の中の一つの病棟をそれのみに充当するということはなかなかむずかしい状況にもやはりあるのだろう。で、御承知のように、いわゆる植物人間になられた方の介護というものは、一般病院の入院者とは全く違う介護体制をとらなきゃならぬ、これは先生も御承知いただけると思うのですが、そういたしますと、一般病院の中でそれを収容していくということは、今後それは大いに検討して設置しなきゃいかぬと思うのですけれども、当面のところはなかなか病院全体の管理体制としてはむずかしいという議論がございました。そこで、とりあえず専門的にこれを扱うものをつくってみようと。そうして、ここで得られるノーハウなりあるいは技術的な扱い方というもの、あるいはいろいろな検討材料というもの、これは厚生省自身が検討していただいて、将来こういうスタイルでというか、スタイルといったらおかしいが、こういうことで一般病院の併設をやっていこうとかいうことになれば、私たちも非常に結構なことだと思うし、でございますから、センターとして、まさにおっしゃるように一般病院に設置してもらって、そこに対するこちらからの援助といいましょうか、それをやるのも一つの方法だし、あるいはまた先ほど言いましたように、それは非常に病院の管理体制から言ってむずかしいということならば、一回こちらの方でモデルケースとしてつくってみて、そしてその上に立って今後どう展開していくか、施設をどのように担当しあるいは発展さしていくかということを検討することも一つのやり方だろう、したがって、二つのやり方の中でどちらをとるかというその選択でわれわれはこちらの方をとったということでございまして、でございますから、質問でおっしゃるようなことはわれわれも十分検討いたしました。今後のいわゆるリハビリのあり方、介護のあり方というものについて、われわれが絶対的に自動車事故者を今後こういう体制でやっていくのだという、何も固定して基本方針としてそういうのをつくった、その第一発としてこれをやるのだと、こういう考え方に立っておらないということはひとつ御理解してもらいたいと思うのです。
#49
○坂倉藤吾君 大臣、よくわからぬのです、そのことが。そういう考え方でないという表明なのですが、だとすれば、なぜ厚生省が新しい分野でモデル的に設置しないんですか。むしろ厚生省がそれをつくるべきじゃないのでしょうか。いままでの医療の範疇に入らないそういう人たちが現におる。しかも、そういう状況は先天的な方、あるいは後天的な幾つかの問題等もありますが、原因が幾つかあって、同じような状態の方は自動車事故だけに限らずほかにもあるわけですね。そうしますと、それらを含めまして、本来なら厚生省が総体的に見るというケースをやはりつくってみる、そこに対して、自動車による原因のものについては、これはセンターがいま余裕金を持っているのだから、そういう人たちについて少し手当てをしましょうや、これなら私は筋が通ると思う。そこのところがどうしてもいまの大臣の説明ではよく理解できません。したがって、あくまでもモデルと言うのなら、あとはそのモデルから出てきたデータをそれぞれ関係のところで真剣に論議をするまでは絶対に施設拡大をしない、こういうことが明確に言えますか。そうして、一番最初に本岡委員が言いましたように、そのモデルというのは言うならばそこの施設はモデルなんですが、入る方々とその家族は言うならデータ、材料になっちまう。しかも、現実には入れない人と入る人との間の、御家庭におけるところの格差が生じてくる、こういうことになりますから、その辺の格差は絶対に解消するという手段を具体的にしながら、その問題についてやっていくんだ、この辺の約束は、やっていただけますか。
#50
○国務大臣(塩川正十郎君) これは私は何遍もお答えしておりますように、確かにそういうやり方もあるというのです。私はおっしゃるのが間違いだと言ってないのです。そういうやり方もあるけれども、しかし現在のところ一般病院の中にそういう特殊なものを持つということはしんどいので、要するになかなか管理体制が整わないということで議論があったわけです。ですから、後で厚生省で意見を聞いていただけばいいと思うのですが、私たち一つこれをやって、あくまでもモデルにしておるだけであって、これから拡大するということは言っておりません。ただし、ほかの病院でもおやりにならない、けれどもやはり事故者がふえていくということになれば、そこで相談をして、どこまでこれを拡大するかということになるだろうと思うのですが、しかし、この結果として、それじゃ一般病院でこういうようなものを併設か附属施設としてかあるいは一般病院の中でかいずれか知りませんが、これをやっていこうということになっていけば、もう私は非常に結構なことだと思っておるのです。ですから、あるいは増設とか何かということについて、今後自動車センターで独自でどんどんやっていきますと、そんなことは一つも言っておりませんよ、私のところは。これは全部厚生省と相談した上で、今後このデータをどう使ってこういう施設をふやしてもらうか。要するに施設をふやしてもらえばいいので、それに対して、われわれはどのようにかかわり合いを持ったらいいかということは今後相談に乗ってもらいたい、こういうことなんです。ですから、このセンターに今度設置いたします施設も、厚生省の方で指導もしてもらい何もやって、要するにこれをひとつ参考にしてもらいたい、こういうことを言っておるわけでございます。ですから、これをやったら次さあどこかへまた第二の個所をつくるのだ、そんなことはいま考えておらないということでございます。
#51
○本岡昭次君 だんだんわかってきました。
 ところで厚生省にお尋ねしますけれども、いまの大臣のお話であれば、いまも坂倉委員が言っているように、厚生省の側でテストケース、モデルケースと言うならば、なぜ厚生省はその原因のあるところそれぞれが、労働災害なら労働災害で、交通事故は交通事故で、学校災害は学校災害とか、いろいろなその災害の起こる原因となるものがあるけれども、それぞれがそういうことを、これからテストケース、モデルケースでやりなさいと、そしてその結果は厚生省がいただいて、福祉行政全体として、結果として起こっているさまざまな症状の人に福祉行政でやっていきましょうという、いわゆる福祉行政の原則というか、そういうものを立てておられるのですか。ぼくはこれはおかしいと思うのですね。そういう相談があったら、それはいまもあるように厚生省の方が受けて立ってよろしいと、厚生省がやりましょうと。それはお金をどこから持ってくるかという問題はまた別の問題で、それを運輸省の方にお任せします、どうぞそちらでやってくださいと、そして大臣がおっしゃるそこで出た結果は厚生省の方へいただきましょうなんていうことになったら、運輸行政と厚生行政というものの原則が何かもうごちゃごちゃになってしまうということになるのじゃないですか。どうですか、厚生省。
#52
○説明員(佐々木輝幸君) 先ほどお話にございましたように、遷延性の高度意識障害者、こういう方たちはいろいろな傷病が原因で起こってくるわけでございます。そういうことで、国立病院、療養所を含めまして医療機関におきましては、現にそういう高度の意識障害者を収容いたしまして、それぞれの病院で責任を持って症状に応じた治療あるいは適切なその他の医学的処置、こういうものを行っているのが現状でございます。そういうことで、厚生省としてはこういう遷延性の高度意識障害者のために特別な施設整備をする考えは持っていないわけでございますが、医療の問題でございましても、労災病院等に見られますように他省庁が特定の目的を持ってやってまいる例があるわけでございまして、こういう医療の進展に役立つものというふうに考えておる次第でございます。
#53
○本岡昭次君 じゃあなたは持っていないと、そういう総括的に厚生省が全部責任を持ってやるそういう高度のむずかしいそれぞれの病気については持っていないとあなたはいまおっしゃいましたね。それはそれぞれのところでやってもらうのだと、労働災害は労働災害のところでやってください、交通事故災害は交通事故災害のところでやってください、こういうお考えのようですがね、そういうことでいいのですかね。ここでそのことが悪いよいと言っても、あなたはそれでよいと言っておるのだから、私は責任をあなたに追及するより仕方がないでしょう、どうなんですか。
#54
○説明員(佐々木輝幸君) 厚生省は厚生省の立場で国立病院、療養所をもって一般医療の中でこういう高度意識障害者、いろいろな原因で生ずる障害者の治療に当たっているわけでございます。先ほど先生が言われましたように、それぞれのところでいろいろな原因で起こるのを分けてやっていくべきであるというふうに申し上げているわけではございませんで、そういうふうにやっている労災病院のような事例もございまして、特別な政策的目的のためにやる例があるということを申し上げた次第でございます。
#55
○本岡昭次君 あなたの立場で答えられるかどうか私はよくわかりませんが、そういうふうにしていくにしても、福祉行政の責任という立場から、現に非常に気の毒な立場にある人、それからまたその家族がいるからこそこんな法律ができて、とにかく運輸省としては先ほどの言葉を聞けば加害者であるから責任を持って何とかせにゃいかぬということ、それはそれなりに理解はできるのですが、しかし一方、そうした人たちの置かれておる状況というのは、加害者とは別のところで、福祉行政の立場として大きくやはり吸収していかなければならない部分でしょう。そういう点についての基本的な考え方はどうなのかということ。いまはこの法律でもって進めようとしている、それから大臣も、それは厚生省と相談して、厚生省でもっと深くかかわってもらいたいのだということも盛んにおっしゃっておられますが、その法律を提案している立場でないけれども、厚生省としてのもっと基本的な、原則的なこうした事柄に対する立場というものをあなたの言える範囲でひとつはっきり聞かせてください、福祉行政という立場から。
#56
○説明員(板山賢治君) いま先生から福祉という観点でとお話がありましたので、私から御説明を申し上げたいと思いますが、心身障害者対策基本法という法律がございまして、これは障害者総体としてその福祉を進めるのにいかにあるべきかを規定された法律でございますが、この法律にもございますように、国民各層あるいは政府関係省庁それぞれの機関が総力を挙げて障害者の福祉を進めなければいけない、こういう規定があるわけでございます。そういう基本的な立脚点に立ちますると、障害者の福祉というもののありようについてどういうレベルまでどういう障害者についてその福祉を進めるかというふうな問題については、時代とともにこれは変わると思いますけれども、その段階、段階におきましてそれぞれのなし得る能力の範囲内で全力を尽くしてこれに取り組むということが必要だろうと思うのです。身体障害者福祉の立場に立ちましても、現在まで労災という立場から労働災害の諸施策が進められておりますし、あるいは戦傷病者などにつきましても同様な対策が進められておりますし、あるいは防衛関係あるいは学校保健、各施策がそれぞれの領域において最善を尽くして取り組んでおられるわけでありまして、私ども身体障害者福祉法の立場に立ちますると、それらの網の目を漏れた人々が、障害者本人も含め家族も含めて、ある最低限の福祉水準というものは保たなければいけない、それに向かって厚生省は総合的な対策を取り上げて取り進めておる、そういう状況にあると思うのです。ですから、今回の交通事故というものに起因します遷延性高度意識障害者などつついて専門的な立場から取り組んでいただくことは、私どもは障害者福祉全体を進めていく上に大きな力になるのではないかと期待もいたしておるわけでございまして、それらを含めまして政府総体の障害者対策の推進を図る、これは決しておかしなことではないと、このように私ども受けとめておるのでございます。
#57
○本岡昭次君 いま行政改革が鈴木内閣の命運をかけてやる、大臣は命をかけてやるということになっているわけで、いま論議しているそうした問題も私は行政改革の中で論じてもらわなければならないことだと思っているのです。なわ張り争いとかそういう言葉で言うのは適切じゃないと思いますが、しかしそれぞれの原因があり、あるいは加害という行為があってそういう被害が生まれるということで、それで厚生省が本来は福祉、医療そうしたものの元締めであって、総括をし国民全体にかかわっていかなければならない。しかしそれはそれぞれ原因とか加害の起こっているところがしっかりやってもろうて、総合力を出してもろうて、それで私たちは後でしっかり受けとめますということの一つの行政組織上の問題が、やはり国民全体に対しての医療とか福祉とかいった問題について十分な行政措置が行われていないということに私はなるのだと見ています。だから、そういう意味で、行政改革華やかな今日においてその目的とするところは非常に大事であり、やらなければならないことなんですよね。だれが一体これをやるのかという問題を考えていくときに、だれが何と言ったってやはり私は厚生省が、その方法はいろいろあるにしても、主たる管庁としてこの問題を取り上げていくということでなければならないという立場でこの問題に対しての疑義を盛んに追及をしているわけです。
 最後に、もう時間がありませんから、ひとつ大臣、行政改革というのは何も補助金を削ったりあるいは予算の歳出科目をいろいろ何割削減せいとかいうこと、あるいは人が多過ぎるから首を切れとかいうことでなくて、こういった行政の中における、国民の側から受ける場合のサービス、福祉、医療、そうしたものに最も効率よく、そして漏れることなく全般に対して平等にというときにどういう行政組織であるべきかといってとが行政改革の中で一番問われなければならないと私は考えています。そういう意味で今回のこの考え、ねらいは賛成ですが、しかしそうした取り扱い方の問題についてはどうしても納得がいかない。ひとつ行政改革の観点から運輸省がこういう医療の問題までやっていくことについてどうなのか、ここでひとつ考え方を変えて厚生省にこれを任せてということにならないのかどうか、大臣の御答弁を最後に伺って質問を終わります。
#58
○国務大臣(塩川正十郎君) この運営について将来厚生省とのかかわり合いというものはどうなるか、これは大きい問題だと思うのです。しかし、御承知のように、私は率直な、大臣という立場でなくて一議員という立場で言わせていただくならば、これは将来ともやはり相当な赤字が出るのです。それをつぎ込んでいかなければならぬのです。そうすると、いわばそういうことがわかっておりながら、それじゃ厚生省さんこれ抱いてくれぬかということは果たして本当に設置した目的にかなうものかどうか、私は大いに疑問だと思うのです。しかし、運営のいわば技術的なものは全部これは厚生省の御厄介にならなければなりませんので、それは私たちもよくわかっておりますが、事故センターとしてできるだけの、余剰金があればその運営費につき込んでいかなければいかぬと思うのです。そうしますと、この行政改革はどのように結論づくか、政府部内全体の中でどういうぐあいにこの問題を処理されるかわかりませんけれども、われわれといたしましては、やはり自動車保険に入っていただいておる方に対する一つの還元とし、あるいはサービスとし、また将来におけるこういう不幸な方々に対する救済に積極的に取り組んでいくというわれわれの使命としての一つの実行であるという観点から、私は設置いたしましたものを非常に大事に自分の手で育てていくといいましょうか、ちゃんときっちりした運営をしていかなければいかぬという責任を持っております。ですから、行政改革の方向とどうかかわるかということについては私から明確なことをよう申し上げませんけれども、気持ちとしてはやはり自分で事故センターが責任を持ってこれをりっぱな施設にしていくということを考えております。しかし、再三再四言っておりますように、今後こういう施設をどういうふうにしてつくるか、ふやしていくかという問題については、率直に関係省庁で相談してやっていかなければいかぬ、相談いたしました結果、自動車センターの余剰金のある間は次から次へとつくってくれぬか、つくった方がいいじゃないかとおっしゃるならば、当然われわれもそうやっていかざるを得ないと思うし、そうではなくしてこれは一つのケースとして各地の国立病院にこういうようなものを建てていく、付属機関をつくっていく、事故対策センターがそれに関係せいとおっしゃるならばその方向も一つの検討だと思うのです。しかし、そこらはこれからこれを一つのモデルケースでやらしてもらって、いろいろなことを考えた結果、お互い協議して決めればいい問題ではないか、こう思っております。
#59
○委員長(山崎昇君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四分開会
#60
○委員長(山崎昇君) ただいまから公害及び交通安全対策特別委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、梶原清君が委員を辞任され、その補欠として川原新次郎君が委員に選任されました。
#61
○委員長(山崎昇君) 午前に引き続き、自動車事故対策センター法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#62
○中野鉄造君 午前中の質疑で、この施設の設置をめぐって、なぜこれが運輸省の所管下において立案されるのかとか、あるいはこれはむしろ厚生省でやるべきではないかというような論議が交わされました。それに対して大臣からは、これはあくまでも一つのテストケースとして将来の資料として厚生省にも提供していくのであって、第二、第三と施設を拡大するつもりはないといったようなお答えがありましたし、そして、また、午前中、大臣の最後の御説明によって私なりにほぼ理解できたような気がいたします。
 そこで、それを踏まえて二、三お尋ねいたしますが、大臣も申されるように、特にこの種の施設はかなりのお金もかかりますし、今後そうした意味で赤字も相当予想されていくのじゃないかと思いますけれども、今後の財政面の見通しについてお尋ねいたします。
#63
○政府委員(飯島篤君) まずこの施設についてどのくらいの経費がかかるかという問題でございますが、用地代として七億、それから施設整備費等、これは建物の建設費とか医療機器の整備費でございますが十三億六千五百万円、運営費といたしまして四億五千九百万円、これはまだ時間もございますし、専門家の意見を聞いてこれから十分煮詰めていくものでございまして、いまの段階でのごく試算でございます。そういうことでございます。
 一方、財政の状況でございますが、五十四年度で自賠責の再保険の保険勘定の状況を申し上げますと、再保険金等、これは支払う保険金でございますが、二千八百八十九億でございまして、入ってきます再保険料等は三千三百七十一億という状況でございまして、締めまして本年度のというか、五十四年度の利益といたしましては百七十四億七千万ということでございます。これが五十五年度になりますと、本年度利益は百二十一億に相なり、五十六年度ではまた七十一億になるというふうに見通されております。ただ収入の方でいわゆる運用益と申しますものが五十四年度で五百九十二億、五十五年度六百十四億、五十六年度六百六億というふうに見込まれます。またこれまでの積立金が五十四年度で五千二百八億、五十五年度五千三百八十二億、五十六年度五千五百四億という状況でございますので、こういった運用益ないしは積立金を活用すればモデルケースとして一ヵ所整備し、かつそれを維持するということについては全体の収支に大きな影響を与えないというふうに考えております。
#64
○中野鉄造君 いまのお話のようにこの建設費に約二十二億あるいは維持費、管理費に年間約五億と見られるわけですけれども、これを収容人員の五十人で割ると一人につき約一千万ということになりまして、この金額が適当かどうかという問題は別といたしまして、同じこれだけのお金を使うのであれば既存の国立あるいは公立の病院にせめてあと五床ずつでも増設してこれに充てる、こういったような考えも出てくるわけですけれども、その辺のところいかがでしょう。
#65
○説明員(棚橋泰君) 先生御指摘のような考え方につきましては、午前中に大臣もお答え申し上げましたように、私どもも一度検討したことがございますし、先ほど三年越しだと申し上げましたが、実は予算要求も第一回目はそれに若干似た形で、国立病院の中ということではございませんで、特定の病院に一棟別に専門の病棟を設けるというようなことでどうだろうかということで予算要求をしたこともあるわけでございますが、いろいろ専門の方の御意見等もその後承りますと、通常の病院と、このようなことを専門にやる療護施設との間では施設の運用の仕方にいろいろ基本的な差異がある、そのためにそれに従事する医師とか看護婦とかの勤務体系というのもかなり違う、そういうことでこれを一つの病院に併設して果たしてうまくいくかどうか、そういう勤務体系等の面から見ましていろいろ問題があるのじゃないか、こういうような御意見が強かったものでございますので、その後モデルケースとして行いますには一応独立したものをつくって、そこで運用して、そこらの点も十分検討いたしたいということでこのような構想に変わったわけでございます。
#66
○中野鉄造君 午前中の質疑とちょっと重複しますけれども、そうしますと、この五十人の方、入所された方々についての一日三千円の介護料、これは打ち切られるわけでしょうか。
#67
○説明員(棚橋泰君) ここの施設にお入りいただいた方には介護料を支給するということはございません。
#68
○中野鉄造君 厚生省にお尋ねいたしますが、交通事故によってこうした非常にお気の毒な立場になった方々、それ以外の原因でこういうことになった方々がいらっしゃるわけですけれども、言うところの植物人間というような問題、非常にいまや大きな社会問題になっているわけですけれども、まあ、昔であったならばこういう方々はもう当然その時点で亡くなっている。ところが、医療技術がここまで発達して、そして何とか生命は長らえているけれども、実際はもう全く機能しなくなったお気の毒な方々なんですが、そういう意味でこの医療技術の発達に社会が適応できなくなっているというようなことも言えるのじゃないかと思うのですけれども、厚生省としては、こういう植物人間といいましょうか、こういったような問題をどのように位置づけ、また、これからどのように対処されていこうとするのか、その辺をお尋ねします。
#69
○説明員(柳沢健一郎君) 植物状態に陥りました遷延性の意識障害者の方々に対しましては、先生仰せのとおり、単に交通事故だけでなく、脳卒中でありますとか、あるいは脳腫瘍といったような、がんでありますとか、そういったようなもろもろの原因によって生じてくるわけでございますけれども、厚生省としては、こういったような方々に対して特別の施策というものは講じていないわけでございますけれども、たとえばこれらの原因の最も大きな部分を占めております脳卒中につきましては、脳卒中が起こらないような脳卒中予防という観点から特に力を入れているということのほかに、これらの不幸にして起こった場合の患者さん方に対しましても、個々の厚生行政各般の対策を充実強化するという形でもって対処してまいりたいというふうに考えております。
#70
○中野鉄造君 そこで、こういう一カ所に集めて専門的に治療及び介護をしていく、これが効果的ということも説明を受けましたけれども、これら障害者の方々は、自動車事故対策センターのアンケート調査を見てもわかりますように、七二%の方々が一年間でいろいろな余病を併発している、また、施設の計画を見ましても三名の医師を置くということになっておりますけれども、果たしてこの三名で十分この五十人の方々の、そうしたいろいろな余病も併発していくであろうということも予想しますと、対応ができるのかどうか、医学的見地からひとつ、私たちはきわめてそういう疑問を抱くわけですけれども、いかがでしょうか。
#71
○説明員(佐々木輝幸君) 高度意識障害者に対する医療というのは、例を挙げますと、屎尿の失禁の処置とか、鼻孔を通しての栄養補給、たんがつまることによる窒息の防止あるいは肺炎といったそういう感染症の防止、こういったことについての四六時中の医学的な管理と、それから看護というのが中心になってくるわけでございます。そういう観点からしまして、経験の豊かな医師を得ることによりまして、医師三人といった体制で十分の医療、医学的管理等がなされるものというふうに考える次第でございます。
#72
○説明員(棚橋泰君) ただいま厚生省からお話のあったとおりでございますけれども、もちろん医師を三名置けば必ず十分だという自信があるということではございませんで、そこらあたりは関係のところの先生方に集まっていただきまして、委員会等をつくりまして、いろいろ検討をいまやっておるところでございますが、基本的にはこのように一応三名ということで対応できるとは思いますが、もし症状の重いようなことが起こりました場合には、近いところに提携病院というものを置きまして、そこの病院と緊密な連絡をとって措置ができるような体制をいま検討いたしておるところでございます。
#73
○中野鉄造君 この施設の性格ですけれども、治療と介護を行うとありますけれども、あえて言えば、その治療に重点を置くのか、それとも介護の方に重点を置くのか、こうした収容者のいろいろな病状の性格からしてほとんど脱却者がわずか数%にすぎないというような特殊事情を踏まえて、この性格というか、どちらに重点を置かれるのか、そこも伺いたいと思います。
#74
○説明員(棚橋泰君) この療護施設で行います業務は、先ほど厚生省からお話のあったような患者のいわゆる介護、それと患者が余病を併発するということが極力起こらないように常日ごろから予防をする、ないしは起こった場合の治療をする、そういうようなことからなるわけでございまして、ただ日常の業務としては、量的には介護が多いというふうに言えると思いますが、質的には両方とも重要でございまして、どちらに重点があるということではなく、介護と治療というものをあわせ行っていくというふうな性格だと思っております。
#75
○中野鉄造君 この設置の場所が千葉県の幕張ということを聞いておりますが、幕張につくられるその理由ですね。このいろいろなデータで見ますと、たまたま千葉県が非常にこうした方々が全国的にも多いということも一つありましょうけれども、この幕張を選ばれたその理由、私たちが考えますに、こういう病院というか、施設であれば、いま少し通院患者が年じゅう来るということでもありませんし、まあ少しへんぴなところであってみてもいいんじゃないかと、そうしたならばさらに土地代なんかも安かったんじゃなかろうかというような、こういう疑問も起こるわけですけれども、どういう理由でしょうか。
#76
○説明員(棚橋泰君) お断り申し上げておきますが、幕張と決めたということではございません。一応この法律を成立させていただきましてから具体的な選定に当たりたいとは思っておりますが、ただ現在までのところ千葉県サイドから非常に強い御支援がございまして、所要の土地等の手当てが必要があればしてもいいと、こういうお話がございますので、一応幕張地区に設置することを前提に検討しておるという段階でございます。
 そこで、そのような場合、場所を選定するのにどういう考え方があり得るかということでございますが、一つはそういう患者さんが多いところということでございまして、当然のことながら関東地区が一番多いわけでございまして、その中でも千葉県に、調査いたしましたところこういうところに入所したいという希望者の方が多いと、これが第一点でございます。それから第二点としては、そういう施設でございますから、まず医師とか看護婦とか介護人というような職員の方が集めやすいところでなければならない、同時にそういう方がある程度通勤に便でなければならないというような点もございます。また、こういう施設ではございますけれども、やはり御家族の方は足しげく御面会に来られると思いますので、そういうための交通も便でなければならない。それからもう一つは、さっきちょっと触れましたようにこの療護施設だけで業務ができない場合がございますので、提携病院ないしは大学というような協力をいただく施設とある程度の距離になければならないというような諸点を勘案いたしまして、そういう意味では千葉が非常に立地的にはいいのじゃないか、それも御指摘のございました幕張あたりがそういう意味で条件にかなっておるのじゃないか。
 それから最初に申し上げましたように、この施設をどこにするかという前に、私どもの方も自動車事故対策センターも、両方であちこちの施設を見学させていただいていろいろな勉強をさせていただいたわけでございますが、その過程におきまして千葉県から非常に強いリアクションがございまして、そういうものをつくるならぜひ協力をしたい、できるだけの協力をしたいと、こういうお申し出もございましたので、やはり地元の御協力というのが一つの条件でございますので、以上のような諸点を勘案いたしまして、ただいまのところは一応幕張地区に設けたいという心づもりを持っておる、こういう段階でございます。
#77
○中野鉄造君 じゃ次に、脱却者の場合についてお伺いいたしますが、こうした方々、たとえば認定を受け介護科を受けておるという方々ですね、そういう方々が仮に意識は回復した、そして不明瞭ながらも口だけは何とかきくことができるようになった、しかし、もう依然として肢体は全く不自由で機能しないと、こういったような場合、介護料というのはその後どういうことになりますか。
#78
○説明員(棚橋泰君) 脱却につきましては、私どももこういう方がいわゆる俗に言う植物状態から脱却されましてできる限り普通の状態に近くなられるということは喜ばしいことでございまして、そういう事態が起こるように極力今後もやっていきたいと思っておるわけでございますが、実態的に申しまして、昨年事故対策センターが調査いたしました一年間の統計によりますと、調査いたしました五百三十一人中一ないし二%の約七人ぐらいでございますし、また現在までの私どもの介護属支給の累計六百十七人の中で、脱却されました方は九人でございまして、一・五%にしか当たらないわけでございます。
 そこで、脱却された後の介護料の問題でございますが、それは脱却の仕方だと思います。完全に意識が回復され機能も回復され通常の生活に近い形に戻られた場合には、当然介護料の支給はいたさないということでございますけれども、その状態がまだ、午前中に御説明いたしました六つの要件というものがございますが、その要件に該当している場合には、軽い意識の回復があっても支給する場合がございますし、またこれも午前中申し上げましたように、本年度から重度の脊椎障害という方にも介護料の対象を広げたわけでございますが、こういう方は、意識はあるけれども状態が植物人間の状態に近いという方でございますから、そういう方にも介護料を広げることにいたしましたので、その点に該当いたしましたら、当然のことながら介護料の支給は続ける、こういうふうになろうと思います。
#79
○中野鉄造君 そうしますと、いまお答えになりました過去の七人あるいは九人といったごくわずかの脱却者の方々、その後の追跡調査といいますか、完全な社会復帰とまではいかなくても、どういうような状態ですか。
#80
○説明員(棚橋泰君) 詳細なことはちょっと手元に資料がございませんけれども、一部の方はかなり回復されましたので、介護料の支給をとめた例もございます。その他まだ介護料を支給しなければならないような状態の方もございます。まちまちでございますけれども、一部の方はリハビリのセンター等にお入りになってリハビリテーションをなさっておられるという資料もあるようでございます。
#81
○中野鉄造君 それから、介護料は大体その程度にしまして、このセンターの方で行っている業務の一つに、貸し付けというのがございますですね。いろいろな貸し付けがございますが、その条件も異なっておりますけれども、いままで貸し付けをして、その回収状況、これはどういうような状態でしょうか。
#82
○説明員(棚橋泰君) 数字はただいまちょっと調べてお答え申し上げますけれども、貸し付けの中身によって違いますけれども、おおむねものによっては回収率が七〇%台、ものによっては一〇〇%ということでまちまちだと思いますが、およそそんなところだったかと記憶しております。
#83
○中野鉄造君 この施設が完成した暁に五十人の方々がここに入所するということですが、恐らく応募者はもうこれは非常に多いのじゃないかと思いますが、その希望者が上回るという場合、どういうような方法でここに入所を決定されますか。
#84
○説明員(棚橋泰君) その件につきましては、開所が二年後でございますので、二年の間にもう少し詳細に検討いたしたいと思っておりますけれども、先生おっしゃるように五十人でございますと、恐らくオーバーするのではないかと思います。したがいまして一応の基準といたしましては、まず予約的な制度を採用いたしまして、その上で家族の介護、労働の状態、御家族自体がたとえば職を持っておって、介護が非常に苦しい、ないしは御家族の中に介護に従事される方がおられない、少ないというようなもの、それから経済的な状態というようなものを諸種勘案いたしまして、困窮度の高い方から選定をさせていただきたいと考えております。
#85
○中野鉄造君 それはどこでやるのですか。
#86
○説明員(棚橋泰君) 運営に当たります自動車事故対策センターが行いますが、運輸省からも必要な指導を行いたいというふうに思っております。
#87
○中野鉄造君 勢いそうなってきますと、関東周辺の方々がやはり地理的にも多いのじゃないかと思いますけれども、そうなりますと、ほかの地域の方々とちょっと不均衡な状態が生じてくるのじゃないかと思いますが、現在給付されている介護料三千円を多少見直して、この不均衡をなくすためにもこれでフォローしていく、そういったような考えはございませんか。
#88
○説明員(棚橋泰君) 午前中にもお答え申し上げましたように、この介護料というのは適正な額を介護料として支給したいと考えておるものでございますから、仮にこういうような入所される方と入所されない方が起こったから介護料の方を上げるということではなしに、介護料自体が適正な額がどうか、物価の動向、諸経費の変動等を勘案しつつ、適正でなければ適正な額を支給できるように今後とも努力をしていきたいというふうに考えております。
#89
○中野鉄造君 運輸大臣にお尋ねいたしますが、障害者を一カ所に集めるということが、えてしてうば捨て山的な存在になることを非常に危惧するわけですけれども、障害者と家族との関係、また社会に対する理解等を十分に得なければ、その運営は非常にスムーズにいかないと思うわけです。この点についてどのような具体的対応をなされるおつもりでしょうか。
#90
○政府委員(飯島篤君) 先生いま御指摘のとおりでございまして、この施設がうば捨て山のような状況になりませんように、運営に当たりましては努めて人道的な、また明るい雰囲気を維持することが必要だと考えております。医療面については先ほどか皇言われておりますような継続的な医学的な措置をとり、また余病併発時の治療、そして初期的なリハビリテーションを行いまして、介護につきましては帯衣の交換、その他細部にわたりまして行き届いた介護を行うようにいたしたいと思っております。
 なお、この施設に附属いたしまして、家族とのかかわり合いが非常に重要でございますので、施設内にできれば家族の宿泊施設等を設置することを検討いたしたいと考えております。
#91
○国務大臣(塩川正十郎君) いま自動車局長が答えましたが、ほぼ同じ考え方でございます。
#92
○中野鉄造君 こういう自動車事故によってお気の毒な状態になった方々、その動機というものを大別して考えますと、一つには自分の過失によって、いわゆる相手はだれもなく建物にぶつかったとか、あるいは転落したとかいうことによってこういう状態になってしまった、二つには相手方の一方的過失によって起こった場合、三つ目には、逆に一方的にこちらの過失によって双方、あるいはこちらだけこういう状態になってしまったというようないろいろな状況があると思いますけれども、この相手があった場合、すなわちこちらが原因者、あるいは相手が原因者、二とおりあると思いますが、いずれにしてもこうした重大な結果を招いた場合、その相手の対応、あるいは処置の実態はいまどういうふうになっておりますか。
#93
○説明員(棚橋泰君) 自動車事故を起こしました原因者は、自賠法によりまして損害を賠償する責めに任ずるわけでございまして、一次的には事故の原因者となりました者は、損害賠償という形で被害者に対してその責任をとるわけでございまして、そういうふうなことが行われた後、こういうところに入院される、こういう図式になるのではないかと思います。したがいまして、そういう意味では加害者の責任というのは、一応損害賠償ということで処置されるというふうに考えております。
#94
○中野鉄造君 それはきわめてたてまえでございまして、しかし、現実にはなかなかそうはいかないという場合があるのじゃないかと思います。むしろ私がお聞きしたいのは、こちらが原因者であって、そして結果的にはこういう植物人間になってしまった、そのときにはもう経済的にも大変なことになるわけですけれども、そういう方々の実態をお聞きしたいわけなんですけれども。
#95
○説明員(棚橋泰君) 加害者の方もまた大変な被害者であるということはよく言われることでございまして、そのために大変お苦しみになっておる方がおられるというふうには承っておりますが、若干役人的所掌を申し上げて恐縮でございますが、一応この自賠責のたてまえは加害者が損害を賠償し、そしてその被害者に対してできる限り国も救済の措置をとる、こういう体系でございまして、私どもといたしましては、加害者の方の実態対策というところまではちょっと手元に存じていないというところでございます。
#96
○中野鉄造君 現在、重度後遺障害者には先ほどからお話がありますように、一日三千円の介護料が支給される、また、ことしから脊髄損傷者にも支給されるようになっておりますが、その支給の条件というものは同じでございますか。
#97
○説明員(棚橋泰君) これは本年度から予算が認められたわけでございまして、十月から支給が始まるわけでございます。
 これに対する要件は、当然従来の重度意識障害者という方は意識がないわけでございますが、今回の場合にはその要件がない、意識はある、しかし、全く同じような状態である、こういう方を一応対象にするということで予算が認められたわけでございますが、先ほど申し上げました意識障害者の六つの要件に対応する脳損傷の場合の要件というのは、学者の方等にお集まりいただきましてもう少し専門的に詰めまして、要件を明確。にして、その上で十月からの支給に対処したいと、いま作業中のところでございます。ただ、一般的には、先ほど申し上げましたように、いまの重度意識障害者の方と同じような状態で意識のある方というものを一応対象に考えております。
#98
○中野鉄造君 この対策センターの業務の一つでありますいろいろなこうした事故後の相談等がございますけれども、それとは別に民間で交通事故相談所というのがあるわけですが、これがオーナードライバーに余りよく知られていないというのが実態ではないかと思います。そこにつけ入るような形で、言うところの示談屋がはびこっておりますけれども、こうした公的な事故相談所の宣伝、アピールというものについてどういうことをいま行われているのかお伺いしたいと思います。
#99
○説明員(棚橋泰君) 先生御指摘の相談機関というのは恐らく次のようなものを想定されておられると思います。
 公的なものといたしましては、都道府県とか関係市というようなところで交通事故相談所というようなものを設けておられます。それから、財団法人の日本弁護士連合会の交通事故相談センターというものがございます。それから、財団法人の変動事故紛争処理センターというものもございます。それから、保険の料率算定をいたしております自動車保険料率算定会というところの調査事務所の中に自動車保険請求相談センターというものがございます。これらのところで、交通事故に遭われてなかなか補償の問題等がうまくいかない、ないしは紛争状態にあるという方の御相談を受けつけておるわけでございまして、これに対しましては運輸省からも、その他政府の方から若干の助成措置を行っておる状態でございます。ただ、このようなところがあるということを被害者の方が知らないというようなことがないように宣伝を十分にすべきだと、こういう御意見かと思いますが、そのとおりでございまして、これについては諸種の宣伝を行わせる、パンフレットを配るとかチラシを地下鉄の地図と一緒に書いて配布するとか、そういうようなことで宣伝を行わせておりまして、これについても所要の助成を行っておる状態でございます。
 ただ、基本的には、事故が起こりますると、必ず保険を掛けておられますから、保険会社というところに相談に行かれるわけでございまして、一時的なPRと申しますか、そういうところがいよいよの場合にありますということは、保険会社の方で被害者の方に周知していただくのが一番いいというふうに考えておりまして、保険会社の方にもそのようにいろいろ指導をいたしておるところでございます。
#100
○中野鉄造君 警察庁見えていますか。――いまお話ししましたこうした悪質な示談屋によるところのいろいろな被害をときどき聞くわけですけれども、こういう悪質な示談屋の締め出しと申しましょうか、そういうものに対する処置はどういうふうにされておりますか。
#101
○政府委員(池田速雄君) 総理府の方の御調査によりましても、損害賠償の場合の交渉の相手方が関係者以外の者であった、いわゆる示談屋であったという結果も出されておりますので、私どもといたしましてもこういった損害賠償の過程で違法な事態がないように関心を払っておるところでございますが、業といたしましてこういった示談活動みたいなものをやりますと、法令上は弁護士法違反ということになろうかと思いますが、五十四年には弁護士法違反で二十五件、八人を検挙いたしております。また、交通事故を奇貨といたしまして、威力を用いまして法外な損害賠償を請求する事案もございまして、こういった交通事故の示談に絡みます恐喝事件といたしましては、昨年は二十件、三十五名を検挙いたしております。さらに、昨年じゅうにおきまして、市民の方から相談を受けまして処理いたしました、最近の言葉をかりますと、いわゆる民事の介入暴力事件と申しておりますけれども、その中で交通事故の示談等に絡みます者を九百九十二件ほど検挙いたしておるわけでございます。ことしに入りましてからも、二月五日に検挙いたしました福岡県の事例でございますと、自分で示談業と称する五十一歳の男でございますけれども、弁護士等の資格がないにもかかわらず、昭和五十三年ごろから昨年の夏ごろにかけまして、十回にわたりまして、交通事故の被害者の委任を受け、あるいは今度はさらに数人と共謀いたしまして、みずから交通事故をつくり出しまして、その名目で千九百六十万円余を取得しておるような事案もございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、先ほど来もお話のございましたように、公的な機関の相談というものを充実していただくということをお願いいたしますとともに、民事暴力を許さないと、こういうことで各県の警察に民事介入暴力の対策の担当官を置きますとともに、関係の保険業界の方等とも連絡会議を持ちまして、こういった違法な者を締め出す対策をとりつつあるところでございます。
#102
○中野鉄造君 終わります。
#103
○沓脱タケ子君 それではお伺いをしますが、自動車事故対策センター法案に関するお尋ねでございますが、今回の改正案というのは、自動車事故対策センターが事業主体になって、自賠責の再保険特会の運用益の一部を充当して交通事故による重度後遺症障害、いわゆる植物人間と言われるような重度の意識障害専用の治療及び療護施設を建設するというわけでありますが、これまでのところ、交通事故の被害者に対しましては、自賠責の保険からは補償金が一時金として支払われた後は、交通遺児に対する育英資金への貸し付け、それから五十四年の八月から始められた介護料の支給、これぐらいですね、主なことは。生活費の貸し付けなどもありますけれども。したがって今回の療護施設の建設というのは、いろいろな問題点、あるいは不十分さというのはあるにいたしましても、障害者の家族の肉体的、経済的な負担を軽減すると同時に、障害者の療護をよりよく進めるという点を目的とするというのでありますならば、これは重度後遺症障害者対策として一定の前進だと思うわけでございます。そこで、いろいろと問題がありますので限られた時間の範囲で幾つかの問題についてお聞きをしていきたいと思います。
 自動車事故による重度後遺障害者の施設をつくるに当たって、昭和五十四年の十月に交通事故対策センターに対して療護・リハビリテーション検討委員会から「「自動車事故による重度後遺障害者の療護・リハビリテーションのあり方」に関する中間報告」というのが出されているようでございます。これを拝見いたしますと、療護部門は重度の後遺障害者五十人程度の収容施設として発足をし、同時に後遺障害等級七級以上を対象にした約百人程度の収容ができるリハビリテーション部門を併設する、そして名称も療護・リハビリテーション施設とするという旨の提言が出されておるようでございます。この検討委員会の名薄を拝見いたしますと、佐野東大教授を初めとするこの道のいわゆる専門家の方々九人によって構成をされておりますし、大変権威のある委員会だと思うわけでございます。
 で、運輸省にお聞きをしたいのは、この検討委員会の中間報告の御提言を十分尊重するというお立場をとっておられるのかどうか、これを最初に大臣にひとつお伺いをしておきたいと思います。
#104
○国務大臣(塩川正十郎君) もちろんその委員会の答申を――いろいろ意見がございまして、ちょっと……
#105
○説明員(棚橋泰君) これは自動車事故対策センターの方でこういう委員会に意見を聞かれたわけでございますが、それを尊重いたしまして、一時はそういうような考え方も検討したわけでございますが、その同じ自動車事故対策センターで昨年の十二月にいろいろな調査を行っておりますが、その結果も実はあったわけでございますけれども、その委員会の御提言ではございますけれども、療護施設関係についてはこれは非常に必要がある。ただ、リハビリテーションの関係については、現実問題として一般の病院にもこれに該当する施設がかなり豊富にございますし、またいろいろな調査によりますと、現実に七級以上の障害を持っておられる方の中で、そういう専門のものができたらそこへ行って治療を受けたいという希望者が非常に少ないということがわかりまして、したがいまして、この際、療護施設という方の設立一本にしぼろうと、こういう経緯でございます。したがいまして、先生の御質問にお答えする形といたしましては、委員会の御結論があった当初についてはそれを十分尊重いたしましていろいろ検討したわけでございますが、結果的にはリハビリテーション施設は伴わないものを要求するという結論に落ちついたというのが実情でございます。
#106
○沓脱タケ子君 余りそんなに長々と聞こうと思ってなかったんですがね。せっかく権威の高い検討委員会に中間報告をちゃんと出してもらっておるのだから、それを尊重なさるのかどうかということだけ言ってもらえばよかった。大分長々言われたので余分なことも言わなければならぬですけどね。そんなことを言うのだったら、五十五年度の概算要求ではリハビリテーション施設も含めて概算要求されていますね、これは全部ゼロ査定になったんでしょう。こんなこともう言おうと思っていなかった、あなたが余分なことを言うから言わんならぬ。五十六年度の概算要求の段階ではあなたのところはリハビリ部門を削って要求をしているんですね。これは大蔵からそんなのやめときなさいと言われたんですか、そこらは筋が通らない、話が。
#107
○説明員(棚橋泰君) ちょっと経緯を御説明申し上げましたので、大変余分なことを申し上げたというおしかりを受けましたが、先生御指摘のように、この委員会の報告を受けましてリハビリテーション施設と今回お願いをしております療護施設とを併設したものをつくりたいということを昨年度の予算で要求したわけでございます。ただ、その後いろいろ調査をいたしました結果、先ほど申し上げましたように希望者が意外に少ない、こういうことがありましたので、今年度の要求は療護施設にしぼったと、こういうことでございまして、その間について特段大蔵省から云々というような問題ではございません。
#108
○沓脱タケ子君 それは大蔵省そんなこと言うはずがないと思うのですよね。それで専門家集団の立場からリハビリ施設としての提言というのは非常に明確に指摘をされておられますね。いまも言われたようにリハビリを受けたいという人が非常に少なかったんだというようなことを言っておられるけれども、この検討委員会が御提言になっておられるようなリハビリ施設というのはいま日本にないですね。そういうものを活用したらどうなるかということを被害者及びその御家族は知らないわけですよ。だから、リハビリテーション施設、センターといったら大概四肢体幹の訓練をするところだぐらいの認識しか一般的にはないわけですよね。
 この報告によりますと、後遺症七級以上の重度後遺障害者の場合には脳損傷、脊髄損傷による後遺症のリハビリが非常に多い、ところがこのリハビリを受けることが今日の日本の医療機関の中ではきわめて困難だと、困難な理由というのをこういうふうにこれには述べているでしょう。あなた方よく知っているはずだけれども、脳損傷の場合には、身体機能のみならず言語障害それから精神機能の回復のためのリハビリをあわせて行うことが必要だと、脊髄損傷の場合には、運動機能のみならず膀胱、直腸障害、自律神経障害等に対する総合的な医学的管理を必要とする、さらに長期のリハビリを必要とすることからリハビリを引き受ける施設がないという点が非常に問題だということを指摘をしているわけです。ですから、そういう点ではこれは希望者が少なかったかる、聞いてみたら何か九人しか希望者がなかったというデータを拝見しましたけれどもね、これは私は余り当てにならないと思うのです、そんな施設ないのだから。
 そこで、こういうことがわかっておりながらせっかく、先ほどからも聞いていたらモデル的な施設をつくる、つくると言われているんだから、専門家がちゃんと提言をしている療護施設とリハビリテーションセンターを併設した本当にモデルになるようなものをつくるべきではなかったのかというふうに思うのですが、その点、だから専門委員会の検討結果を尊重するお立場なのですかどうですかといって聞いたのはそこなんです。私は、このままで療護施設だけにするということになりますと、せっかくの試みも画竜点睛をまさに欠くというふうに思うのですが、その点はどうです。
#109
○説明員(棚橋泰君) リハビリテーションの話と重度意識障害者の話の双方が昨年の予算要求でドッキングいたしておりましたので、若干不十分な御説明だったかと思いますけれども、昨年度の予算要求は七級以上のリハビリテーションの施設とそれから重度意識障害者の収容施設というものを併設するという考えだったわけでございまして、御承知のように七級以上というのは軽い障害でございますので、必ずしも意識障害者のリハビリそのものとはリンクしていないわけでございます。
 そこで、先生御指摘のように、こういう療護施設をつくってリハビリが行えないようでは画竜点睛を欠くではないかというお話でございますが、その点につきましては、この療護施設についても軽度のリハビリそういうものは行えるようなことを考えていきたい。もちろん、法律が成立いたしました後、来年度の予算にかけて具体的な中身を詰めていくわけでございまして、ただいまのところはまだ心づもりでございますけれども、一応そういう関係の療法士等も置きまして軽度のリハビリテーションのようなことは行いたいじ、またその結果効果があらわれてもう少し手厚いリハビリが必要な場合には提携病院等のお力をかりて行うというようなことも考えておりまして、そういう意味では手落ちのないようにやっていきたいというふうに考えております。
#110
○沓脱タケ子君 当然提携病院あるいは協力をしてもらえる体制というのがなかったらこれはもう本当に話にならぬわけですが、しかしその辺が問題なのですね。本当に脱却をし障害者が回復をして社会復帰ができるということが、具体的に施設の内容としてもきちんと位置づけられておりませんと、口の先ではうば捨て山的な施設にしてはならない、収容施設にしてしまってはならないといっても、そういうことになってしまうおそれだって出てくるわけですね。その点では私、リハビリ部門については独自の立場で追求をするというモデルをつくるなら引き続き検討してやるのかどうか、その辺はひとつ聞いておきたいと思います。
#111
○説明員(棚橋泰君) 午前中からのお答えで繰り返し申し上げておりますように、本件につきましては法律が成立後具体的に検討いたしていくわけでございまして、まだ一応の腹づもり等について御説明をしておる段階でございますので、それらの先生の御意見の諸点も踏まえましていろいろな検討を行っていきたいと、かように考えております。
#112
○沓脱タケ子君 それは困るのですよ。意見を聞いて検討していくというのはもう大体すぐに事にならぬ、物にならぬということの表現なんでね。大臣、モデルをつくるのなら、やはりせっかくの高度の専門家の御意見というものを十分尊重されてこういうものなら確かに役に立つものだというモデルをぜひおつくりをいただきたいと思うのですよ。それを厚生省にも各地につくれとか、いやこれはとても厚生省でできないから交通事故対策センターで引き続きやれというか、これはやはりつくられた姿を見て国民が判断をすると思うのですよ。初めから中途半端なものをモデルだと言われてもちょっと困るのですね。その辺は、リハビリセンターを引き続き検討してつくるという方向でいくのかどうかという点は、これはぜひ聞いておきたいところです。
   〔委員長退席、理事坂倉藤吾君着席〕
#113
○説明員(棚橋泰君) 若干くどいようでございますけれども、委員会の御提言のリハビリというのは、軽度の方からすべて含めましたものでございまして、今度設置しようとするのは重度意識障害者の療護施設でございますので、重度意識障害者に必要なリハビリというものについては、極力これを欠くことのないように検討をいたしていきたいということでございます。
#114
○沓脱タケ子君 これは、各委員からも一斉に御意見として出ておりますのは、やはりせっかくつくるのだから各地のニーズに合うようにつくるべきだという御意見、これは私当然だと思います。家族の皆さん方の御要望から見ましても、患者自身の症状の回復が家族にとって最大の願望だというのは、これはおたくの方の重度意識障害者の実態調査でもはっきり出ておりますが、約半分の方々がそういう御要望を持っておられるわけですね。そうなってきますと、本当に向こうへ行ったらちゃんと治療も介護もやってもらえる、必要なリハビリもやってもらえて回復もできるのだということになれば、いまそういう状況というのは保障されていませんから、家族はせめて自分たちの手で介護する方がということになっておりますけれども、そういうよりよき状況というのが保障されることになれば、私は非常に希望者がふえるのは当然だと思います。そうなれば、各地に当然つくる必要があると思うのですが、これも、介護料の受給者の中でそういう十分な介護や治療が保障される専門施設が近くにできたらぜひ入りたいという方々が約六割おられるというのも、御調査で出ております。
 これは、先ほどから話を聞いていてもわからないのですが、テストケースを運輸省がやってみて、それであとは、今度は関係省庁、特に厚生省とよく相談をして、他の地域は厚生省と相談した上で普及するというのか、これはどういうふうに理解しておいたらいいのですか。関東地域には今回つくるのだと、あとはどっちになるかわからぬ、こういうことですか。これも非常に重大なところなのです。やはり障害者というのは同じ状況に置かれていますからね。一年二年の差があろうとも、目標が持てるのか持てないのかというのは非常に大事なことなので、はっきりしておいてほしい。
#115
○説明員(棚橋泰君) 午前中来大臣からもいろいろお答えを申し上げておりますが、こういう試みはわが国でも初めてのものでございますし、また、自動車事故対策センターも、全くこういうものを手がけるのは初めてでございます。したがいまして、いろいろな形が考えられたわけでございますが、最終的には、一カ所自前のものをつくってみて、その上で経験も積み、いろいろな結果も総合して、そのほかにいろいろなやり方も考えられるわけでございますから、どれが最も望ましいかということを最終的に結論をつけて、こういう被害者の方の救済というものを遺漏のないようにやっていく方向に進みたい、こういうふうに思っておるわけでございまして、そういう意味で一つのモデルケースとお答えを申し上げているわけでございまして、これと同種のものを全国にくまなくつくっていくというプランを持っているということではない、そういう意味で大臣からもお答えを申し上げておるわけでございます。したがいまして、そのようなことについて、未知の部分も解明いたしまして、その結果を見た上で、当然のことながら、医療関係の官庁でございます厚生省等とも十分御協力をいただきまして、その後のことを考えていきたい、こういう趣旨でございます。
   〔理事坂倉藤吾君退席、委員長着席〕
#116
○沓脱タケ子君 だから大問題になるわけよね。しかも、何千人とおるので、一斉にといったらなかなか困難だけれども、実際にいま御希望のある六割の方々というのは、二百人余りでしょう。二百四、五十人ですね。そのうちの五十人分だけつくるのだ、あとはどうするかわかりません、これでは、国会でわれわれが論議していく上で非常に納得しにくい点が出てくるわけですね。
 それにかかずらわっておる時間がありませんので、ちょっと厚生省に聞きますけれども、厚生省では、身体障害者福祉法の関係の施設のうちの重度身体障害者更生援護施設ですか、それから身体障害者療護施設というのがありますね。これらの設置状況と、そのベッドの稼働状況というのはどうなっていますか。
#117
○説明員(板山賢治君) 身体障害者療護施設は、五十五年度の予算ベースでございますけれども、全国で百十カ所、七千八十名の定員を持っています。この療護施設にはほとんど一〇〇%入所でございます。身体障害者の重度更生援護施設は全国で四十一カ所、二千八百六十名の定員を持っておりますが、この施設も九五%程度の入所でございます。
#118
○沓脱タケ子君 かなりよく収容されているのですね。私はいまちょっと考えていたのは、いま入所したいという希望者が二百二、四十名、そのうち五十名の分はつくるのだから、あと二百足らずの方々が入れないわけだから、比較的似たような施設なのだから、空きベッドがあるならばそこへ収容するというふうなことができないかどうかということをちょっと考えたのですが、これは受け入れられないですね、けさからの説明もありますように。身体障害者福祉法の対象外というのだけれども、体の麻痺、いわゆる四肢体幹の障害がないのは身体障害者に該当しないわけですか。その辺、ちょっと、非常にややこしいと思うのですがね。人間の体全体のどこの部分に障害があろうと身体障害者だと思うのだけれども、手足がとにかく麻痺も何もなくて意識だけないのだから身体障害者として取り扱わないというのは理解に苦しむのですが、どうなんでしょう。
#119
○説明員(板山賢治君) いわゆる植物人間というものの定義を、これは、私ども医務局等の専門家の答えで整理してみますると、遷延性意識障害というのは、疾病または事故により、三カ月以上種々の治療にもかかわらず、次の六つの項目を満たすと言いますか、障害を持った状態だと言われております。一つは、自力移動が不可能である。また自力摂食が不可能である。尿その他が失禁状態にある。声を出しても意味のある発言が全く不可能である。目をあけ、手を握れというような簡単な命令に辛うじて応ずることもあるが、それ以上の意思疎通が不可能である。眼球は辛うじて物を追っても、認識はできない。先生専門家でございますのでよく御存じのとおりでありますが、このような意識障害者に対しましては、むしろ治療という医学的な管理をきわめて重篤に行わなければいけない、こういった観点で患者としての医療の対象になると言われています。そこで、身体障害者福祉法に言います身体障害者は、こうした医療の域を脱しまして、障害が固定した状態を指しておるわけでございまして、そのような意味で、むしろ、いまこの重度遷延性意識障害者の人たちは病院で医学的管理のもとで生活をされておる、このような状態にあるわけでございます。
#120
○沓脱タケ子君 いや、法律というのはずいぶん不自由なものだということを改めて痛感するわけですが、しかし、新しい事態というのは社会の発展の中でどんどん出てくるわけですね。従来の法律の解釈ではおっしゃるとおりですよ。医療が通じているのだから将来治る可能性だってある、だから身体障害者として位置づけられないのだということだと思いますけれども、しかし、現在の身障者福祉審議会の中ではこの問題について論議が起こっていますね。審議会の審議項目の中にこれは一つ追加をして――厚生省がうちはこれは知らぬ、法律的にはらち外なんで知らぬという立場になっているというのは、やはりぐあいが悪いのじゃないかと思いますが、その辺はどうですか。審議項目の中に追加するなどというお考えはありませんか。
#121
○説明員(板山賢治君) 大変重要な御指摘ですけれども、ただ、確かに時代の変化の中で、新しい障害者あるいは新しい福祉を必要とする対象者が生まれてきていることは事実ですが、これらの人々に対しまして、どの制度でどのように対応するかというものは、けさほど来おっしゃいましたように、制度のあるいは施策の総合性ということから大変重要なことでございます。いまのような対象者の人々に対して身体障害者福祉対策で対応することが必要であるかどうか、他に制度がないから身体障害者の範疇に加えるかどうか、この辺につきましては大変むずかしい問題があると思いますので、ただいま身体障害者福祉審議会の中の審査部会というところで専門的な観点から御検討はいただいておりますけれども、これは法律の目的、存立の基本にもかかわることでございますので、さらに慎重に検討さしていただきたいと思います。
#122
○沓脱タケ子君 ああいうことを言うから、なかなか厚生省が扱えないので運輸省はやむなくやっているんだという論拠になるわけですね、この辺が。そういった法律上の問題もあって大変なんだけれども、障害者自身を救済していく、あるいはその家族の負担を軽減するということはどうしても具体的に解決していかなければならない問題ですので、これは、厚生省の問題はまた別の機会にもうちょっと時間をかけてやりたいと思います。
 さらに、ちょっとお聞きをしておかなければならないのは、いろいろと御意見が出ておるので簡潔に聞きたいと思うのですけれども、今度おつくりになる療護施設、財源問題等についての話はすでに聞きました。施設としてつくるのに二十億余り、それから経常経費として約五億ですね、五億弱を予定されておるようですけれども、この開業後の収支をどうしていくのか、収容者は無料で措置するわけでしょう、それで、当然の赤字というか、全額補てんをしていかなきゃならないわけですが、もう一つ考えられるのは健康保険制度とのかかわりですね、これはどういうふうにお考えになっているのですか。健康保険でもらえるだけはもらって、足らず前を自賠責の運用益ででも補てんするというのか、その辺はどういうふうに考えておられますか。
#123
○説明員(棚橋泰君) 開業が二年後でございますので、それまでにいろいろ検討しなきゃならないことがあるわけでございますが、その中の一つの問題が先生御指摘の問題でございまして、健康保険の指定を受けるのかどうなのか、これは当方の一方的な意思では決まらないわけでございまして、地元の県等の御意向があるわけでございまして、そういうところと相談をしてやっていきたいというふうに考えておりますが、健康保険の指定はできたら受けたいというふうに思っておりますが、そこらのところ、諸手続等については、今後開業までの間に話し合っていきたいというふうに思っております。
#124
○沓脱タケ子君 じゃ、県などの御意向とおっしゃっておられるのですけれども、これは保険制度の医療機関として知事が認めれば、これは当然医療行為については診療報酬は受け取ることができるわけですね。やはり財源問題というのが、保険の掛金とのかかわりも非常に広範な人たちに影響があるのだから、その点は当然の健保制度が運用できるという問題、運用するのだというあたりは、何か障害があってできないということになる場合は話は別ですけれども、運用できるという部分までそない遠慮する必要はないのじゃないか、その辺はきちんと方針としてお持ちになるということが大事だと私は思うのです。
 もう私の持ち時間が来ましたので最後にお聞きをしておきたいと思いますのは、自賠責保険の問題で、余りこの分野は私知りませんけれども、拝見をしておりますといろいろ気がつくところが出てきます。その一つは、運用益だとか積立金というのはずいぶん金がたまっているものだなという点が一つです。それにしたら自賠責保険の支払い限度額というのが三年間据え置きになっている、この辺のところはちょっと考えなきゃいかぬのと違うか、物価だって三年の間に二〇%以上上がっているじゃないかというふうな問題があります。あるいは訴訟でも三三%以上は二千万以上になって判決が出ておるというふうな問題がありますので、この点は一体どうするのかということ。
 それからもう一つは、私は自賠責保険というのは非常にこの保険の性格からそうなるかと思うのですが、障害者、重度の後遺症があっても、補償金額の二千万なら二千万を超してしまったらこれはもう後は話にならぬわけでしょう。だからその辺では少なくともそういう重度の者については必要な限りでは医療費としては補償するとか、あるいは生活困窮者に対しては年金的なものを考えていくとか、何とかせぬと、これはすとんと損害賠償金を渡したらそこでちょんというのでは被害者は救われようがないと思うのですね。午前中の御質疑の中で出ておりましたけれども、労災保険法なんかは非常にその辺はきちんと制度として確立されているわけですが、それは趣旨が違うと言えば趣旨が違うかもわからないけれども、かなり高い損金を掛けている保険制度ですから、そのあたりは今度センターをつくるというのは一つの前進ではあるけれども、それにとどまらず、そういった点を広く見ていく必要があるのではないか、検討していく課題ではなかろうかと思うのですが、その点のお考えがあればあわせて伺っておきたい。
#125
○政府委員(飯島篤君) まず、自賠責保険の限度額の問題でございますが、昭和五十三年の七月、死亡については千五百万から二千万に、傷害について百万から百二十万、それから後遺障害につきましては等級に応じまして五十六万円から千五百万円となっておったのを、七十五万円から二千万というふうに引き上げたところでございます。またことしの五月一日から支払い基準を改正するなどいたしまして、被害者救済の充実を図ってきている次第でございます。
 この限度額の引き上げにつきましては大体四つの要件につきまして検討をするということに従来なっておりまして、第一に裁判等における賠償水準、第二に物価、賃金水準等の動向、それから第三に他の損害賠償制度における賠償水準の推移、それから保険収支の状況というようなものを見ながら慎重に今後検討してまいりたいと考えております。
 なお、この保険収支の問題とそれから運用益の関連で限度額あるいは保険料の問題をどう考えるかということでございますが、御案内のように再保険制度は国が六割をいたしておるわけで、民間の保険会社あるいは農業共済の四割分の保険の収支状況もにらみながら検討しなければならないという事情に仕組みが相なっておりますので、その辺をお含みおきをお願いしたいと思います。
 なお、この自賠責保険の限度額を超えた場合の問題でございますが、この自賠責保険は基本的な補償をするという責任保険制度にいたしておるわけでございまして、重度後遺障害の場合に、場合によっては死亡を超えるような損害が起きる場合もあるのではないかという御指摘かと思いますが、確かにそういう議論もないわけではございませんが、死亡との関連で現在のような状況に落ちついているわけでございます。
 なお、先生が御指摘の医療費等あるいは生活費等について何か道がないかということでございますが、強制保険をカバーするものとして、任意保険なり共済保険という制度もございます。また、他の損害賠償との兼ね合いもございますので今後検討してまいりたいと考えております。
#126
○中村鋭一君 初めに、民社党・国民連合を代表いたしまして、運輸省が今回、従来、常識的に言うところの運輸行政の枠を超えて自動車事故被害者のために、またその家族のために法律案を提案なさったことについて敬意を表しておきたいと思います。
 最初に、今回のこの整備するに至ったプロセスについて簡単で結構ですから御説明をお願い申し上げます。
#127
○政府委員(飯島篤君) 午前中からの審議でるる申し上げたところでございますが、自動車事故によりまして頭部等に重大な損傷を受け、その後の治療にもかかわらず寝たきり状態に陥りまして治療及び常時の介護を必要とする者は、現在一般の病院に入院しているか、あるいは在宅で介護を受けているかという状況でございますが、病院にある場合は専用の介護人あるいは家族の介護が必要でございまして、その家族が非常に大きな経済的、肉体的負担を強いられておる現状でございます。また、在宅の場合にありましては病院と同様の負担を強いられているほかに、十分なまた適切な治療及び介護が行われていないという事情がございます。
 このような状況にかんがみまして、自賠責保険審議会におきましても、植物状態になっておる重度後遺障害者に対して救済措置を検討すべきであるという御指摘もあり、また、国会においても、この問題については過去において何回が御指摘がございましたし、また、学会の方でもいろいろ対策の充実についての意見が発表されております。したがいまして、運輸省といたしましては、午前中御説明申し上げましたように脳損傷により重度後遺障害者の状態に陥った方に対しましては、五十四年の夏から介護料の支給を始め、今年度それを脊髄損傷による寝たきり状態の方々にも多少拡大するという措置を講ずると同時に、事故対策センターにおきまして五十四年及び五十五年実態調査を行いました結果、これを踏まえまして、今回お願いをいたしております重度の後遺障害者につきまして適切な治療及び介護を確保するとともに、家族の負担の軽減を図るため、治療及び養護をあわせて行う重度後遺障害者専用の施設を整備することといたしまして、五十六年度予算において認められた内容に基づきまして事故対策センター法の一部改正案を提出させていただいている次第でございます。
#128
○中村鋭一君 私、民社党・国民連合を代表して質問さしていただいておりますので、午前中以来、同僚委員の質問と私の質問が重複するところはあると思います。一々、午前中から申し上げておりますようにとお断りいただかなくても結構でございます。
 運輸省の理解していらっしゃる自動車事故というものについて、定義があればそれをお教え願えますか。
#129
○説明員(棚橋泰君) 自動車事故という場合に、非常に広義の場合と狭義の場合、いろいろございます。それから、私どもの所掌で申し上げますと、自動車損害賠償保障法でいう場合と、それからこの事故対策センター法でいう場合と若干違いがある。後者は若干広く解して運用を行っておりますが、法律的な言葉で申し上げますと、自動車の運行によって他人の生命または身体を害したときというふうにおとりいただいていいのではないかと思っております。
#130
○中村鋭一君 自転車を走らせていて、それでおばあさんをたまたま自転車で突き飛ばした結果、そのおばあさんがこの法律案にいわれるような寝たきりの状態になる。その場合は今回の療護施設に入所するということは不可能なわけですね。
#131
○説明員(棚橋泰君) 自転車というのは実はちょっと広い概念でございますが、自転車の中でも原動機付のものにつきましてはこの法律等では自動車として取り扱っておりますが、いわゆる足踏み自転車につきましては対象といたしておりませんので、御指摘のようにそういうケースは今回のものには該当しないというふうに考えております。
#132
○中村鋭一君 最近、いわゆる原付というんですか、私よくその区別がわからないのですけれども、「ラッタッタ」ですかね、ああいった系統の、車に家庭の主婦もたくさん乗っておられますね。この場合は、それで事故を起こしても今回の療護施設の人所の条件には当てはまらないわけですね。
#133
○説明員(棚橋泰君) 特定の商品名でございますので、それが該当するかというのはあれでございますが、いわゆるテレビで宣伝しております主婦がヘルメットをかぶって乗らなきゃいけない、ああいうものはいわゆる原動機付自転車でございまして、一応この考え方の中では自動車に取り入れて考えでございます。したがいまして該当するというお答えを申し上げるべきだと思います。
#134
○中村鋭一君 該当するのですね。
#135
○説明員(棚橋泰君) 該当いたします。
#136
○中村鋭一君 先ほど来から伺っておりますと、六つの基準でございますか、厚生省にお尋ねしたいのですけれども、その中で、先ほど伺っておりますと、辛うじて応答できるというものもその六つの基準の中に入っていたのじゃなかったでしょうかね。
#137
○説明員(板山賢治君) これは大変専門的な立場ですので、私どもお答えが正確にできますかどうか……。六つの項目の中には、先生のいま御指摘のところでは、「眼を開け、手を握れというような簡単な命令にはかろうじて応ずることもあるが、それ以上の意志疎通が不可能である。」、もう一つ、「眼球はかろうじて物を追っても認識はできない。」という表現でこの六つの要件が表現されております。
#138
○中村鋭一君 そうしますと、目をあけなさい、手を握りなさいという指示に対して辛うじてでも応ずることができるというのは、肉体的反射としてはなるほど目をあけ、手を握るということですけれども、意思伝達としてはその問いかけに対して正確に応答をしているということになりますね。
#139
○説明員(板山賢治君) これはちょっと私、専門の外でございますので、もう少し検討してからお答えを申し上げたいと思いますが。
#140
○中村鋭一君 それは検討するまでもなく、目をあけなさいと言って目をあけるわけですから、その限りにおいてはその人の意識は非常に明確であって、文字どおり正確に相手の言葉を理解していることになりますね。相手の言葉を理解しているということは文字どおりコンシャスネス――アンコンシャスネスではないわけでしょう。とすれば、仮にこれは運輸省にお尋ねしたいんですけれども、本人が意思がはっきりしていて、思考能力が十二分にあって、しかもいまの六つの要件の中に、目をあけなさい、手を握りなさいという、それにこたえることができるというのは本人の意思、知覚能力、知能は全く正常であるという判断がなし得るわけですね。その場合に、たとえば家族の方がどうしても入所をさしてもらいたいと言う。本人は意識は明白で、知能も全く正常であって、私は入所はしたくないのだ、こう考えていても、その本人の入所するかしないかを決定することを相手方に伝達するすべがない場合はどういうふうになさるのですか。私がお尋ねしたいのは、もし本人が、私は入所したくないんだという意思を持っていて、しかもその意思を正確に伝達することができない場合はどのようになさるのですか。
#141
○説明員(棚橋泰君) 六つの要件というのは厚生省の場合と運輸省の場合は同一であるかどうか、私ちょっと自信がないわけでございまして、私どもが申し上げました六つの要件というのは、現在介護料の支給対象の要件というのが六つございまして、その六つの要件を申し上げたわけでございますが、ほとんど厚生省のおっしゃるのと同じでございます。いまの先生の御質問の部分といたしましては、声は出しても意味のある発言は全く不可能である。それから、目をあけ、手を握れというような簡単な命令に辛うじて応ずることもあるが、それ以上の意思疎通は不可能である、こういうのが要件になっております。したがいまして、もしたとえば自分が入所の希望がないというようなことを明確に表示できる方、そういう方は意思疎通ができるわけでございますのでこの要件には該当しないというふうに考えております。したがって、ただいまの御質問のように、本人は入りたくないけれども、家族が入れるという意思というようなことはこの要件に関する限りは具体的には起こり得ないというふうに考えております。
 なお、現実問題として、ただいまのは介護料の対象の問題でございますが、これから入所の場合にどういう人を対象にしていくか、その際にどういうふうなことで確認を行っていくかということは大変重要なことでございますので、開所まで二年ございますので、その間に専門家の方々にいろいろお集まりいただいて委員会等をつくって検討していきます中で検討を十分行っていきたいというふうに思っております。
#142
○中村鋭一君 実は、私マスコミにおりましたときに新聞社の同僚と一緒になって精神病院を追求いたしました。「ルポ精神病棟」という本にもなりましたのであるいは御記憶の方もあるかもわかりませんけれども、そのときに、精神病院に入院する場合ですね、家族がお医者さんのところへ行きまして、うちの人はどうもおかしいから、先生精神病院に入れてくださいと言いますね。それで本人は診察を受けるわけですね。その場合に、精神病院のお医者さんは懐中電灯でぱっと顔を照らしまして、瞳孔の開き方、目の動き等を見て、これはもうだめだ、すぐ入院をさせなさいというようなことで、現に、当時朝日新聞の記者が、朝ウイスキーをがぶ飲みいたしまして、そうして奥さんと一緒に精神病院に参りまして、奥さんがうちの人は大分重い精神障害です、アルコール中毒症状です、先生診察してくださいと言いましたら、ばっと懐中電灯で照らして、そのまま隔離して病院へ放り込んだわけですね。二週間精神病院にいて、そこで身分を明らかにして精神病院を出てルポを書いたわけですけれども、このようにりっぱな新聞記者が朝コップに一杯ウイスキーを飲んだだけで診断されてそのまま隔離をされてしまう。
 私は、こういう場合、今回の法律の改正案は本当に本人と家族のために運輸省が思い切ってこういう改正案を提案なさったわけでございますが、それは評価するんですけれども、やはり一番最後は本人の意思というものを十分にくみ取る必要があると思うのですね。ですから、かりそめにもこういうことのないように、いまおっしゃいました、これから二年あるわけですからね。その間にどういう基準でどのようにして、こういった人たちに施設に入っていただくのか、十分慎重に研究に研究を重ねて万遺漏なきを期していただくように要望をしておきたいと思います。
 厚生省は今回のこの法律案について、どのように評価をなさっていらっしゃいますか。
#143
○説明員(板山賢治君) 厚生省といたしましては、従来からおくれがちでありました交通事故後遺障害者に対します対策としては意義のあるものだ、このように考えていますが、医療並びに福祉総体について一つの責任を持ちます厚生省といたしましては、今後運輸省と緊密な連携のもとにこの施策の効果的な推進を図っていきたい、このように考えております。
#144
○中村鋭一君 厚生省としては運輸省が要らざることをしたとか、そういう考えは全くないわけですね。非常に結構なことであると考えていらっしゃる、そう理解してよろしゅうございますか。
#145
○説明員(板山賢治君) そのように考えております。
#146
○中村鋭一君 さっきも自転車のときにお尋ねしたんですけれども、とにかく今回は自動車事故による人だけが対象ですね。でもやはりこれから一つの努力目標としては、もう少し広義に救済できるような方向へ進んでいただきたい、こう思うのですけれども、この施設二十億円とおっしゃいましたかね、だから、これを逆に患者の家族に支給すればそれで済むのじゃないでしょうか、わざわざ自動車事故で寝たきりということじゃなくて。
#147
○説明員(棚橋泰君) 今回こういうことを法律を提案いたしまして御審議をお願いいたしました背景には、非常に強い患者の御家族からの何年来の御要望というものがあるわけでございまして、自動車事故対策センターの調査でも明らかなように、患者の家族の方は単に金銭的な付添人の負担、これももちろん非常な大きな負担になっておりますけれども、そればかりでなく介護にみずから当たらなければならないために、家事とか勤務とかないしは婚期を逸したとか、そういうような非常にいろいろなつらい思いをしておられるわけでございます。
 それから、自動車事故の場合には、他の重度意識障害者と若干違いまして、年齢的にも若い方がかなり多いというようなことから非常にそういう状態が長引く、したがって御家族の苦労も非常に長時間継続するというような問題もございまして、他の意識障害者と違ってぜひ専門の施設をつくってそこに収容してほしい、こういう御要望が強かったわけでございます。したがいまして、もちろん私ども介護科というのを一日三千円、月にしまして九万円程度支給をいたしておりますけれども、その金額の問題ではなくて、こういうものを専門に扱う施設をつくってほしい、こういう御要望が背景にあるわけでございます。したがいまして、確かにこの施設には非常な金銭的な負担がかかりますけれども、それを一概に患者の方に差し上げればそれで済むものではないのじゃないか、こういうことから今回のことが起こったわけでございますので、その点を御理解いただきたいと思うわけでございます。
#148
○中村鋭一君 五十名収容ということなんですけれども、このお医者さんや看護婦さんは大丈夫ですか。それからまた、どのようにしてその五十名をお選びになるのですか。
#149
○説明員(棚橋泰君) お医者さん、看護婦さんを確保する、実はこれは克服しなければならない一番重要な問題でございまして、また困難な問題だというふうに認識をいたしております。ただ、開業まで二年ございますので、この間自動車事故対策センターで、法律をお認めいただきましたら明くる日からでもそれらの点について十分な努力をし、そういうようないいお医者さん、看護婦さん等に来ていただけるような努力をいたしたい、また場所の選定その他等も、そういう点を重点に置きまして行いたいというふうに考えております。
 それから、五十名に限り入所させるという点につきましては、すでにいろいろ御指摘をいただいておるとおりでございまして、なかなかこの五十名を選ぶというのはむずかしいというふうに考えておりますけれども、基本的には予約制というようなものを採用いたしまして、十分な審査をさせていただいて、御家族の介護の状況、それから経済的な困窮状態、そういうようなもの、さらに地理的な状況等を勘案して適正な形で五十名の方を選びたい、そういうふうに自動車事故対策センターを指導してまいりたいと考えております。
#150
○中村鋭一君 まあ本岡委員も指摘をされたと思いますけれども、先ほどから伺っていますとあと二年ありますと、そればかりおっしゃっているような気がするのですけれども、あと二年あるからそれまでの間にとりあえず法律を通してもらって何とかするというのじゃなくて、もっともっと具体的に練り上げてわれわれにお示しを願いたかった、こう思いますし、それから、先ほど私も言いましたけれども、たとえば自動車事故以外の広い意味での交通事故のこういった後遺障害に悩む人も救済できるような方向へ御努力をお願いしたい、こう思います。
 最後に大臣から今後の整備計画、いま、あと二年あるとおっしゃっていますけれども、具体的にその努力目標を設定した御意見をお聞かせ願って私の質問を終わります。
#151
○国務大臣(塩川正十郎君) これは法律を成立させていただきましたら、先ほど言っておりますように準備のための委員会をつくりまして、そこで基準であるとかあるいは具体的な提携いたします病院先、それから勤務していただく先生なり介護人、そういう選定をしていくことにいたしておりますが、これはもちろん厚生省がやはり中心となって相談していただかなきゃならぬと思っております。その検討していく中で、私は今後のこういう施設のあり方というものが追求されていくように思っておりまして、それを非常に期待しておるわけでございますが、万遺漏ないように十分な努力を重ねたいと思っております。
#152
○委員長(山崎昇君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。それでは、これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 本法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#153
○委員長(山崎昇君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、塩川運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。塩川運輸大臣。
#154
○国務大臣(塩川正十郎君) ただいま自動車事故対策センター法の一部を改正する法律案につき、慎重御審議の結果、御可決いただきましてまことにありがとうございました。また、審議の過程において御指摘のございました諸点につきましては、その趣旨を十分に尊重し、努力してまいる所存でございます。
 どうもありがとうございました。
#155
○委員長(山崎昇君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#156
○委員長(山崎昇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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