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1980/03/20 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 決算委員会 第4号
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1980/03/20 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 決算委員会 第4号

#1
第094回国会 決算委員会 第4号
昭和五十六年三月二十日(金曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月三日
    辞任         補欠選任
     小山 一平君     赤桐  操君
 三月七日
    辞任         補欠選任
     喜屋武眞榮君     山田  勇君
 三月十日
    辞任         補欠選任
     柄谷 道一君     田渕 哲也君
 三月十一日
    辞任         補欠選任
     仲川 幸男君     村上 正邦君
     山田  勇君     青島 幸男君
 三月十二日
    辞任         補欠選任
     穐山  篤君     志苫  裕君
 三月十三日
    辞任         補欠選任
     志苫  裕君     穐山  篤君
 三月十四日
    辞任         補欠選任
     村上 正邦君     仲川 幸男君
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     仲川 幸男君     松浦  功君
 三月十七日
    辞任         補欠選任
     三治 重信君     柄谷 道一君
 三月十八日
    辞任         補欠選任
     黒柳  明君     中尾 辰義君
 三月十九日
    辞任         補欠選任
     内藤  健君     増岡 康治君
     中尾 辰義君     田代富士男君
     青島 幸男君     喜屋武眞榮君
 三月二十日
    辞任         補欠選任
     増岡 康治君     内藤  健君
     松浦  功君     仲川 幸男君
     田代富士男君     中尾 辰義君
     田渕 哲也君     三治 重信君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         野田  哲君
    理 事
                井上  孝君
                高橋 圭三君
                降矢 敬雄君
                円山 雅也君
                佐藤 三吾君
                峯山 昭範君
    委 員
                伊江 朝雄君
                石本  茂君
               大河原太一郎君
                河本嘉久蔵君
                北  修二君
                塚田十一郎君
                内藤  健君
                成相 善十君
                福岡日出麿君
                福田 宏一君
                穐山  篤君
                丸谷 金保君
               目黒今朝次郎君
                鶴岡  洋君
                中尾 辰義君
                安武 洋子君
                柄谷 道一君
                森田 重郎君
   国務大臣
       法 務 大 臣  奥野 誠亮君
   政府委員
       法務大臣官房会
       計課長      河上 和雄君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  千種 秀夫君
       法務省民事局長  中島 一郎君
       法務省刑事局長  前田  宏君
       法務省訟務局長  柳川 俊一君
       法務省人権擁護
       局長       鈴木  弘君
       大蔵大臣官房審
       議官       小山 昭蔵君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総長       矢口 洪一君
       最高裁判所事務
       総局総務局長   梅田 晴亮君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   大西 勝也君
       最高裁判所事務
       総局経理局長   原田 直郎君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   小野 幹雄君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   栗原平八郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        丸山 利雄君
   説明員
       公正取引委員会
       事務局審査部審
       査統括官     相場 照美君
       警察庁長官官房
       企画審査官    森広 英一君
       警察庁刑事局保
       安部公害課長   中島 治康君
       大蔵大臣官房審
       議官       岡崎  洋君
       大蔵省銀行局中
       小金融課長    小田原 定君
       国税庁直税部所
       得税課長     冨尾 一郎君
       厚生省薬務局監
       視指導課長    竹内 幹吉君
       運輸省鉄道監督
       局国有鉄道部日
       本鉄道建設公団
       ・本州四国連絡
       橋公団監理官   黒野 匡彦君
       海上保安庁総務
       部政務課長    長岡 宏二君
       労働省労働基準
       局監督課長    岡部 晃三君
       自治省行政局振
       興課長      片山虎之助君
       自治省税務局固
       定資産税課長   渡辺  功君
       会計検査院事務
       総局第二局長   堤  一清君
       日本国有鉄道経
       営計画室計画主
       幹        広田 良輔君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算、昭和五
 十二年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十二年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和五十二
 年度政府関係機関決算書(第八十七回国会内閣
 提出)(継続案件)
○昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第八十七回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和五十二年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第八十七回国会内閣提出)(継続案件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(野田哲君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 三月三日、小山一平君が委員を辞任され、その補欠として赤桐操君が選任されました。
 また、十日、柄谷道一君が委員を辞任され、その補欠として田渕哲也君が選任されました。
 また、十七日、三治重信君が委員を辞任され、その補欠として柄谷道一君が選任されました。
 また、十八日、黒柳明君が委員を辞任され、その補欠として中尾辰義君が選任されました。
 また、十九日、中尾辰義君が委員を辞任され、その補欠として田代富士男君が選任されました。
 また、本日、田代富士男君及び田渕哲也君が委員を辞任され、その補欠として中尾辰義君及び三治重信君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(野田哲君) 次に、昭和五十二年度決算外二件を議題といたします。
 本日は法務省及び裁判所の決算について審査を行います。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(野田哲君) この際、お諮りいたします。
 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(野田哲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(野田哲君) それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○丸谷金保君 青函トンネルの裁判管轄権の問題についてまず御質問いたします。
 領海法が制定されましたときに、当時の鈴木善幸農林大臣が、その中で、津軽海峡ほか五つの海峡については特定海域として公海自由という原則を御答弁しております。
 それで、裁判所の御見解をこの際承っておきたいんですが、津軽海峡というのは一体国内があるいは公海か。あたりまえな話ですけれども、改めてひとつ御答弁願えればと思います。
#8
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 津軽海峡が国内であるか国外かの問題につきましては、裁判所としてはお答えすべき筋合いのものではないような感じがいたします。
#9
○丸谷金保君 私の質問よく聞いてください。質問の要旨のときには、津軽海峡は国内か国外かと、こういうことで秘書の書いた原稿がおたくの方へ行っていたんです。しかし、私は国内か公海かと聞いたのに、おたくの方は私の言っていること何も聞いてないで、さきの政府委員がメモしていったやつのとおりに、国内か国外かと、それは困るんですよ。きちっと私の言うことを聞いて答弁してくれなきゃ、後ろのメモのとおりにやられたら困るんで、よく聞いていてくださいよ。
 それで、今度は青函トンネルの問題に入るんですが、青函トンネルはもうすでに掘削が行われて両方つながっております。ここで事件が起きた場合の裁判管轄権、これはどうなります。
#10
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の二条に基づきます別表の第五表によりますと、わが国のすべての区域につきまして、管轄裁判所が定められております。したがいまして、行政区画に所属する土地の部分につきましては、その別表により当然いずれかの裁判所であることが明白となってまいります。ただ、行政区画に属しない部分につきましては、最高裁判所が定めるということに相なっております。
#11
○丸谷金保君 青函トンネルは、そうするといまのところ、そういう点では行政区画の別表には入っておらないということでございますか。
#12
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 行政区画は、自治省の方で何県に属すというような、多分告示か何かでされることだと思いますが、そういった区域の定めがされましたら、当然に別表に載ってまいるということでございます。
#13
○丸谷金保君 次に、警察庁、同様、青函トンネル現実にもう存在しております、まだ工事中ではございますけれども、両方つながっている。ここで事件が起きた場合の捜査権はどこに属します。
#14
○説明員(森広英一君) 捜査権も含めまして、およそ都道府県警察の権限は、当該都道府県の区域について行使されるのが原則でございまして、御質問のトンネル内につきましても、境界が決まっておりますれば、それに従って権限を行使することは言うまでもございません。ただ、行政区画そのものを定めることは、警察の権限ではございませんわけでございますが、現実の警察の責務というのは、日常発生しております事件、事故に迅速に対応して、住民の安全を守るということでありまして、現に青森県側で、これまでに報告を受けたところでは十四件、北海道の側で十五件の死亡事故が発生しておりまして、このような事件に対しては、管轄区域ということを前提にしないで、次のような考えで対処をいたしております。
 まず、トンネルがまだ開通しておりません現在におきましては、そういうような管轄区域外と思われる部分で事件が発生した場合におきましては、警察法の管轄区域外の権限を及ぼすことができる旨を定めた六十一条の規定の趣旨にのっとりまして、両道県警察がそれぞれの区域に通ずるトンネルの部分について、責任を持って治安の維持に当たっておるところでございます。
#15
○丸谷金保君 私は捜査権はどこに属するのかと、どの県警に属するかと聞いているので、それはちょっと答えになってないんですが。まだ決まってませんなら決まってませんでいいんですよ、どうなんですか。
#16
○説明員(森広英一君) 行政区画そのものは決まっておりません。
#17
○丸谷金保君 決まっておらないはずなんです。
 それで自治省にお伺いするんですが、トンネルができた場合に、自治省側が当然行政区域はどこからどこというふうにしなければならないことになっております。いまの答弁でも明らかです。その場合、自治省としては、たとえば交付税の対象にトンネルをどのような形でしょうとしているか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
#18
○説明員(片山虎之助君) 交付税の問題は後ほど交付税課長からお答えいたしますが、行政区域の帰属について簡単に御答弁さしていただきます。
 陸上部門につきましては、トンネルの所在するそれぞれの市町村に帰属することになります。これは余り問題ございませんが、海上部門につきましては、先ほどお話ございましたように、領海内三海里の部分につきましては、北海道か、青森のいずれかの市町村に属しているということになっております。区域につきましては、従前の区域によるという自治法五条の規定がございまして、いずれかの市町村に属していることになっておりますけれども、それが現在の段階では確定しておりません。したがいまして、必要が出てまいりますれば、自治法の規定に基づく市町村境界の確定手続をとると、これは第一次的には知事に処分権がございますけれども、最終的には裁判所で決まると、こういうことになります。これは争論がある場合と争論がない場合によって手続が違いますけれども、そういうことで道、青森県あるいは関係の市町村で境界を確定していくことになるであろうと思います。
#19
○丸谷金保君 それで裁判所側にお聞きしたいんですが、法務省側にいま自治省の言っておる行政区域の設定というのは、日本国領土内の話でございますね。公海の下をトンネル掘った場合にはどういうふうに御判断いただけますか、最終的に裁判所が決めなければならぬことなんですが。
#20
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 公海の下を通っておるトンネルの部分でございますが、領土と領土を結ぶような建造物につきましては、国際法の原則上は領土権が及ぶのではないかというふうに理解いたしておりますが、具体的な管轄区域はいずれの裁判所に属するかということが表示されない、行政区画に属しないということになれば、管轄法上は出てまいらないということになりますので、管轄法四条の規定にしりまして、最高裁判所がどこの裁判所に属するかを決めることになろうかと思います。
#21
○丸谷金保君 警察庁にお聞きしますが、事件が起きた場合、こういう場合どこが捜査をするということになりますか。
#22
○説明員(森広英一君) 現在の警察法によりますと、県境付近で起きた事件等についての調整規定はございますが、いずれにしましても、いずれの県の地域に属するかということがはっきりしない状態のものを前提にして、直接にそれを規定した条項はございません。しかしながら、警察といたしましては、それらの警察法の関係諸規定の趣旨にのっとりまして、現状で申しますれば完全に開通しておらない状態でございますので、それぞれの県に出入り口のある部分につきまして、それぞれの道、県が現実に事件の処理の担当をやっております。
#23
○丸谷金保君 供用開始はしておりませんけれども、開通はしておるんです。そうしますと、北海道側で起きてトンネルに逃げ込んで青森側に入って行くと、この場合どこが捜査権のそれぞれの所管の分かれるところかというのは、もう現実に問題起きればすぐ対応しなきゃならないでしょう。規則がまだできていませんでは済まないですね。開通はしているんですよ、もう。それ開通してないという御認識はちょっと間違いだと思うんですが、いかがでしょうか。
#24
○説明員(森広英一君) 若干事実の認識で間違っておった点があろうかと思いますが、事件が多数発生するようにもし相なりました場合には、両県警の協議によりまして、どういう分担で担当するのが最も適切であるかということを協議いたしまして、その協議に従って事案を処理するように進めてまいりたいと思います。
#25
○丸谷金保君 非常に微妙な答弁をなさっておるんですが、多数発生した場合といまおっしゃいましたね。一個の場合どうなんです。多数関係ないんです、私の質問は。そういうことが予測された場合に、その対応をどうするかということなんです。まだ決まってないなら決まってないでいいんですよ。
#26
○説明員(森広英一君) 現在までにはそういうような、明確にここからここまではどちらがというようなことは決めてはおりません。
#27
○丸谷金保君 そこで、先ほど御答弁のあったように、両県警が相談して決めると、こういうことになるわけですわね。こういうのをどろぼうをつかまえてなわをなうということじゃないんですか。捜査の問題なんというのは、初動捜査が大事なんですから、協議をして、どこからどこはおまえの方で見張れ、どこからどこはおれの方でもって関知するというふうなことは、起こってからじゃ遅くないですか、どうですか、いまのうちに荒々決めておかないといけないことだと思うんですが、いかがですか、法務大臣、どう思いますか。
#28
○国務大臣(奥野誠亮君) そうできれば大変結構なことだと思いますけれども、まだ工事中なものですから、ついそこまでいっていないんだろうと思います。まあ行政区画を先に双方で、北海道側と青森県側で境界を決めるというのが従来から慣例になっているんじゃないかなと、こう思います。
#29
○丸谷金保君 そうできれば結構だというふうな、何か他人の話のようなこと言っておりますけれどもね。それから、従来の慣例――これは初めてなんです、公海の下をトンネル掘る、国際法の関係もいろいろありますし、いろんな問題絡んでくる。しかし、事案として突発的に起きるかもしれないというのは刑事事件、そのときに、さあまだ決まってない、前例もなかったからということでなく、私いまここで申し上げているのは、そういう心配を地元でもしておりますので、やはり法務省として、できるだけ早く自治省の方にも連絡をして早く決めなさい、工事中といえども、トンネルはもう開通しているんですから、供用開始してないということと、開通しているということと別なんです。通ってはいるんですよ、もう。ですから少なくとも供用開始前には、それもの問題をきちっと解決しておいてもらわなきゃなりませんわね。そのことについて、法務省として、供用開始をするまでの間にそれらをはっきりする、住民の不安をなくするようにはっきりするということを、法務大臣責任を持ってここでお答えいただけませんか。はっきりしてもらわなきゃ困るんですよ、これ。
#30
○国務大臣(奥野誠亮君) 境界が決まらない問題がしばしばあるのでございまして、いまだにまだ争いの残っているところもございますし、また海中に鉱山を掘削する、それがどこの市町村に属するか、課税権の問題もございましたりして、仕方がないから自治省の方が乗り出して裁きをするというような問題もございましたりいたしております、やはり基本的には市町村の境界を決める、府県の境界を決めるという問題になりますと、自治省が責任官庁になるんじゃないだろうかなと、こう思います。いずれにいたしましても、政府として必要な対処をしていかなければならない、そういう意味で、いまの御意見よく承らしていただきました。
#31
○丸谷金保君 自治省にお伺いしますが、公海上のトンネルについて、これは大陸棚とかそういう問題は別にありますけれども、それぞれの行政区域を決める場合の基準とか、そういうふうなものについてお考えになったことありますか。
#32
○説明員(片山虎之助君) 市町村の行政区域はあくまでも領海内でございまして、公海についてはこれは市町村の行政区域外ということになると思います。したがって、それのいろんな区分の基準はございません。
#33
○丸谷金保君 法務大臣、以上のようなことなんです、自治省の方は。決められないんですよ、自治省では。自治省で決めると法務大臣言いますけれども、いまの自治省の法令の中ではなじまないんです。どうします。自治省決めると言うが、自治省の方としてはなじまないんですよ。
#34
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は日本の行政権の及ぶ区域になると思うんですけれども、いまのような疑問が起こってきておりますから、いずれよく検討をさしていただきたいと思います。
#35
○丸谷金保君 それじゃ海上保安庁。
 以上の一連の答弁を聞いておって、問題がおきた場合、この青函トンネルについて海上保安庁は問題処理能力を持っていますか、どうですか。
#36
○説明員(長岡宏二君) お答えいたします。
 津軽海峡につきましては、私ども北海道側の函館海上保安部、それから青森県側の青森海上保安部におきまして、それぞれ所掌事務を行っているところでございます。私どもの所掌事務は法令の海上における励行、あるいは海上における犯罪の予防ということでございまして、もしお尋ねが、トンネル内で発生した事案について海上保安部が管轄権を有するかということでございますれば、そういった本件のような海底下のトンネルにおいて発生したものについては、ちょっと当庁の業務になじまないものがあるかと思いますので、そういった点については今後検討さしていただきたいと思います。
#37
○丸谷金保君 そうすると、海上保安庁は海面だけですか。
#38
○説明員(長岡宏二君) 海面あるいはもちろん海中においてもあると思いますが、ただ海底下の構造物についてまで私どもの方が手がけたというケースは恐らく少ないと思います。
 たとえば、例を挙げて申し上げますと、海底下に埋設されたケーブル、これを通行する船舶が棄損したというような場合につきましては、私どもの方で処理した例はございます。
#39
○丸谷金保君 海上保安庁も結局あれでしょう、海面だけでないということですね。津軽海峡の場合どう思います。これはケーブルや何かと違うから、わが方の関知するところにあらずというふうないま見解ですか。
#40
○説明員(長岡宏二君) 私どもとしましては、海上における生命、財産の保護ということを所掌事務としておりますので、ただいまの御質問非常に大きな問題だと思いますので、関係当局と十分御相談いたしまして、検討さしていただきたいと思います。
#41
○丸谷金保君 実は委員長にちょっとお願いしたいのですが、海上保安庁は大体いまのような答弁しか出ないのです。大変重大な問題なんで、即答弁できない、それはいいんです。いいんですが、実は質問のあり方についてなんです。質問の要旨を取りにくるのです。これは私たちはできるだけ出席要求するために質問を通告します、こういうことを質問すると。ところがそれについて政府委員室から細かに聞きにきます。それに答えないと、えらいぶつぶつぶつぶつと言って、けさなんかも朝から大変だったのです、ここで質疑をしなければならないようなことまで、どうなんです、どうなんです。答えなきゃいいんですが、うちは質問の要旨と見せたのですよ、海上保安部はどこまで及ぶのか。そうしたら、答えられないからやめてくれというのです。それは私の秘書にそばで言っていて、それで私怒って、やめてくれとは何だと、いや答えられないのでやめてほしいということですと。一体質問取りが、こんなことを決算委員会は許していいんですか。委員長、ひとつこれは厳重に各省庁に対して注意をしていただきたいと思うのです。質問取りにくる者のマナーというか、無礼千万だと思って、私はさっきからけしからぬと。やめてくれと言うのです。はっきり言ったんですから。何人も聞いているのです。一体国会の質問権を何だと思っているということがありますので、いまの答弁で結構なんです、私は。だけど、いまの答弁しかできないからといって来た者がそんなこと言うわけです。だから質問やめてくれという話なんです。ここら辺ちょっとひとつ十分に注意しておいてください。私はいままでもずいぶんありました。がまんしてきたことありましたけれども、きょうはもうそこまで国会の質問に対して酢だコンニャクだと事前に言われる筋ないと思ったものですから、特にお願いいたします。
#42
○委員長(野田哲君) 関係省庁に十分注意をしておきます。
#43
○丸谷金保君 実はこの青函トンネルの裁判管轄権問題を中心にいたしまして、青函トンネルを今後一体どうするのだ、国の行政の中でどういう位置づけをするのだということはまだ何にも決まってないし、私の調べた範囲では、そういうことについて省庁間の調整も行われていない。法務大臣、一体こういう点で閣議その他でもって話し合われたことありますか。大臣の記憶だけで結構です。
#44
○国務大臣(奥野誠亮君) 私が入閣いたしましてからは閣議の話題にはなっておりません。
#45
○丸谷金保君 五千億もかけて世紀の大事業、前例はないのですよ、公海の下掘るのですから。本来は、事前にこの種の問題は、私は着工前にある程度調整が行われているのだと思ったのですが、いよいよ開通式済んで、あとは供用をどうするということになったら、何も決まってないということを知って、実はびっくりしたんです。そこで運輸省にお尋ねいたしたいんですが、以上のような状態なんで、一体運輸省これどういうふうにやっていくつもりなんですか、運営をしていくつもりなんですか。
#46
○説明員(黒野匡彦君) 私どもいま先生御指摘のように、鉄道建設公団を監督いたしまして、青函トンネルの建設を進めておるわけでございまして、五十八年度に完成のめどになっております。いまの点も含めまして、それまでの間種々詰めなければいけないたくさんの問題残っております。いま先生の御指摘のとおりでございまして、鋭意検討さしていただきたいと、かように思っております。
#47
○丸谷金保君 一体これ、何に使うんです。
#48
○説明員(黒野匡彦君) 完成した場合には、当面在来型の鉄道を通すという予定で現在工事等を進めております。
#49
○丸谷金保君 私はこのパンフレット見たんですがね、記憶だけですから定かではございませんが、その中では、いよいよ北海道に新幹線走るということをおたくの方が非常に明確に出して、国鉄当局を通じてそういう宣伝を盛んに、少なくとも北海道内にはばら色の夢としてばらまいたんですが、あれどうなったんですか。
#50
○説明員(黒野匡彦君) 青函トンネルは、現在先生御指摘のとおり、在来線としても使えますし、かつ将来あそこを北海道新幹線が利用し得るようにつくるということになっております。ただ、御承知のとおり、北海道新幹線は整備五線と俗称しておりますが、整備新幹線の扱いにつきましては、その財源問題等につきまして、なお検討する問題が残っておりますものですから、とりあえず在来線として青函トンネルの供用を開始するという予定で進めております。
#51
○丸谷金保君 そうすると、新幹線は将来通すんですか、通さないんですか。
#52
○説明員(黒野匡彦君) 規格的には通し得るようになっております。整備新幹線の扱いにつきましては、いま御説明申し上げたとおり、財源問題等について結論が出た段階で着工するということになっておりまして、なお検討すべき問題が残されております。
#53
○丸谷金保君 これ始まりは、新幹線通すということで鳴り物入りで地元にも協力を要請したはずなんです。いまの話を聞いてみると、財源問題があるのでこれから検討すると。これから検討して通すんですか。通すように運輸省としては――それは財源問題もあるし、大蔵とかいろいろあるでしょう。運輸省の方針としてはどうなんです。通すつもりで取り組んでいるのか、どっちかということです。
#54
○説明員(黒野匡彦君) 御承知のとおり、青函トンネルを計画いたしました時点に比較いたしまして、国鉄の財政状況がきわめて悪化しております。さきの国会で国鉄再建法案等も、御審議いただいた上成立さしていただいたわけでございますが、そのような客観情勢の変化に対応いたしまして、私ども整備新幹線をどうするかというきわめて重大な問題を、いま申し上げましたような問題も含め検討している段階でございます。ただ、規格的には将来建設が決まった段階には通し得るようにして、現在工事を進めているという状況でございます。
#55
○丸谷金保君 これはいま国鉄の赤字財政と直接的にかかわりがあるんですか。国鉄が赤字だから国鉄の財政事情によって計画を変更したというふうにいまの御答弁理解してよろしゅうございますか。
#56
○説明員(黒野匡彦君) 青函トンネル及び整備新幹線の建設コストをどのようにして回収するかという問題がございます。従来ですと、当然運行する国鉄の方がこれを負担することになるわけでございますが、昨今のような国鉄財政事情の中においては、なかなか負担ができないということで、いまお答え申し上げたような検討をしておる段階でございます。
#57
○丸谷金保君 札幌鉄道局は、長距離は航空機、中距離は国鉄という新しい方針のもとにダイヤ改正をして、最近は盛んにそのことを宣伝していますね。一体国鉄としてはこれ新幹線通す考え方のもとに営業方針なり、ダイヤ改正と取り組んでいるのですか、どうなんです。
#58
○説明員(広田良輔君) お答え申し上げます。
 現在のところ、先ほどからお話がありますように、実は整備新幹線等の見通しがなかなか立ちがたいので、当面、北海道は広
うございますから、札幌を中心とする鉄道輸送の強化ということで、現在いろいろな営業施策を進めております。
#59
○丸谷金保君 そうすると、国鉄側の方は札幌を中心とする中距離輸送、札幌―東京をつなぐ青函を通っての旅客輸送というふうなことについては、いまのところ計画としてはもう全く変わってきたわけ。運輸省側はまだ新幹線こだわっていますわね。まさか貨物輸送のために新幹線必要なわけじゃないんですから、ここら辺が一体どうなっているんですか、もう一回ひとつ運輸省としてのお考えを伺いたい。
#60
○説明員(黒野匡彦君) 現在整備新幹線の計画そのものはあるわけございますが、先ほどもお話し申し上げましたとおり、それをつくるに際します財源等きわめてむずかしい問題がたくさん残されておりまして、その問題等の検討状況に応じて、建設を始めるというような状況になっておりまして、いましばらく時間をおかしいただきたいと、かように思っております。
#61
○丸谷金保君 もう開通式やって、あとは五十八年供用開始というんでしょう。一体、これはいま国鉄のお金で工事をやってませんね、鉄建公団がやっております。一昨年も当委員会でも問題になりましたけれども、鉄建公団がやってますね。一体この構造物はどうするんですか。鉄建公団が持って国鉄に貸すんですか、国鉄に引き受けさせる方針なんですか。そんなこともまだ決まってないんですか、どうなんです。
#62
○説明員(黒野匡彦君) 完成いたしました段階では、在来線として供用開始する予定になっておりまして、その段階におきましては、施設を国鉄に貸すという制度になっております。
#63
○丸谷金保君 そうすると、トンネル内の構造物そのものは国鉄には貸与するんであって、鉄建公団が所有権を持つと、こういうことになるんですか。
#64
○説明員(黒野匡彦君) 現行制度では一定期間貸与した後、残存価格で国鉄に譲渡するという制度になっております。したがいまして、完成当初は所有権は鉄建公団に残して、国鉄に貸与するという形になります。
#65
○丸谷金保君 五千億からの金使ってこれだけの世紀の大事業をやって、事前に行政権の問題も、捜査権の問題も、裁判管轄権の問題も詰めてない、しかも当初計画の新幹線どっかへ飛んじゃった、一体これはどこで計画して、こんなもの始まったんですか、それをちょっと聞かせてください、そして、しりだけ国鉄におっつけて、国鉄赤字けしからぬという世論をつくるなんというのは、ぼくは政府けしからぬと思うんですよ。大臣、よく聞いといてください、こんなものみんな最後はおっつけるんですから。一体運輸省、これどこでどういうふうにして決まったんです。
#66
○説明員(黒野匡彦君) これを決めましたのは、鉄道建設審議会に諮りまして、私どもも含めまして関係者の総意で決めたものでございますが、不幸にしましてその後の事情がさまざまに変わってまいりまして、現在のような状態に至っておるわけでございます。
 ただ、先生御指摘のとおり、この青函トンネルが国鉄の財政問題に与える重大性というのは、私どももそれなりに認識しているつもりでございまして、その点につきましては、五十八年度の供用開始時点までに何らかの手当てを考える必要があるんではないかと、かように思っております、
#67
○丸谷金保君 いま一つ判然としないんですが、決めたのはどこなんです。
#68
○説明員(黒野匡彦君) 決めましたのは運輸大臣でございます。
#69
○丸谷金保君 運輸大臣が決めたんですね。当時の運輸大臣の責任ですよね。
 それで、自治省にお伺いしたいんですが、これもうできるんです。何らかの形で供用開始しますけれどもね、これできますと、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律というのがありますね。これの計算にはどういうことになります、公海下のトンネルは。
#70
○説明員(渡辺功君) 現在はまだ供用しておりませんから納付金の対象になっていませんが、先生御指摘のように供用開始されますと、国鉄納付金の計算の基礎となる固定資産の中に入ります。その場合には現在軌道関係の電路とか、線路、それから構築物は、配分資産と申しまして、配分という仕組みを通じて市町村に配分いたします。したがいまして、まず北海道側と本州側とに案分しまして、それをたとえば北海道側に案分された分は北海道内の配分に係る固定資産全体の中に加算します。そして、それを前年の三月三十一日現在の北海道内のレール延長で案分すると、こういう形で配分することになるわけでございます。
#71
○丸谷金保君 それは領土内のことでしょう、公海下のそういう構築物なり財産に対しては、どういうふうに、これはここまでがどこの町村だ、ここまでがどこの町村だと決めるんです。そういう決める規定ありますか。
#72
○説明員(渡辺功君) お答えいたします。
 公海上の財産につきましては、現在もこれは課税権の対象になっておりません。たとえば打ち上げた宇宙船であるとか、あるいは外国に一年以上行っている船、これは課税になっておりません。同じような問題ではないかと、こう考えております。
#73
○丸谷金保君 それは同じような問題ではないんですよ、宇宙船なんかと全然。というのは、これができると、所在地町村に莫大な固定資産税が入るから協力せいということを当時盛んに言っているんです、運輸省側は。みんな当てにしていたんですよ。ところが、ちょっとここのところへきて、どうなるかわからなくなってきたんです。やっぱり境界きっちり自治省はしなきゃならぬですよ、配分できないんですから、国有財産なり、国鉄財産なんですから、それはできませんだけで済みますか。いまの法令でできないということ、法令を直してでもやらなきゃならない問題と二つあるんです。あなたはいまの法令でできないということを言っているんですがね、それだけで済みますかというのは、やっぱり法令もある程度そういうものに対応するようなものをつくっていかなければいけないんじゃないですかということを聞いているんです。
#74
○説明員(渡辺功君) これは莫大であるかどうかで分けるべき問題ではないと思います。やはり税としての立場からどういう筋合いかということを考えるべきではないか。私の考えといたしましては、全く海底ケーブルとか、あるいは船舶とか、そういったものの扱い方、何よりも固定資産につきましては、所在市町村に対する課税について課税権があるという考え方でございますので、そこはきちっと割り切ることが必要ではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
#75
○丸谷金保君 そうしますと、領海内に限るという見解ですね。
#76
○説明員(渡辺功君) 現在までも大きな資産につきまして、領海外にあるものについての課税関係との均衡から考えますと、市町村におきます大方の、何といいますか、均衡上の納得といいますか、そういったものからも、そういうふうに現段階で考えるのがいいのではないか、こういうふうに考えているところでございます。
#77
○丸谷金保君 大臣、自治省側ではちょっと取り扱いなかなかできないんですよ、公海の下のトンネルというのは。しかしいろんな問題含まれて、本来はやる前にこういうことというのは、事前に当然総合調整されなければならないことが、何にもされないままトンネルの穴掘りだけ突っ込んじゃったんです、世紀の大事業として。そして、いよいよもうどうしなければならぬという始末の段階に来ていますので、これはやっぱり国家的な立場で調整しませんと、それぞれの省庁ではどうもならぬと思います。法務大臣として、国務大臣として、この点できるだけ早く、後でトラブルの起こらないような善処方をお願いいたしますが、いかがでしょうか。
#78
○国務大臣(奥野誠亮君) トンネル内につきましても、日本の行政権が及んでいくんじゃないか、こう考えるわけでありますし、また行政権の中身いろいろでございますので、自然、行政区域を明確にしませんと、おっしゃるとおりトラブルが起こってくるんじゃないだろうか、こう思います。したがいまして、そういう問題を法制局で詰めてもらう必要があるんじゃないかなと、お話を伺いながらそう感じましたので、私から法制局の方にも御連絡をし、政府として対処するように努力していきたいと思います。
#79
○丸谷金保君 それでもう一点お聞きしたいんですが、実はこの間社労の委員会でもちょっと質問したんですけれども、薬事法違反で摘発されて不起訴処分になっているのが何件も出ているんです。これについても一体どうしてこういうのを薬事法違反で摘発しなきゃならないのかなと不思議でたまらないような事案がたくさんあります。たとえば、昨年の九月十二日の四国愛媛県警が、松山警察の保安係が自動販売機で売っていたサンクロレラ、これは二日酔いの防止になるのだというふうなことを宣伝したのが薬事法違反だということで挙げたんです。これ六カ月たつけれども、その後何の連絡もないんです。それは時間のかかることもありましょうけれども、起訴、不起訴決めるまでに。しかし、同様の事案は三年ほど前に和歌山県で業務課から注意があったんですよ。注意があったときに、これは実際に二日酔いの防止にはなるのだということの抗弁をこの会社はして、三年ほどそのままになっていたのです。そうしておいて、そのことについて何らの答えも出さないで聞きおいて、それはだめだよという明確な答えを出さないから、サンクロレラというのはそれをまだそのまま売っていたわけなんです。そうしたら、ずっと内偵をして、いきなりぱっと松山で入った。このサンクロレラは、私自身の人体実験で、二日酔い防止になるということは、私の体にはなるんです。ですから、これはどうもおかしな話だと思ったら起訴しないんです。
 それから、この間もちょっと申し上げたんですが、流石(さすが)茶というのがあるんです。これがやはり薬事法違反だということで、健康食品が実は挙げられているんです。そして、挙げるのは挙げたけれども、これも不起訴処分になったんです、第一回目。それは、薬事法違反で検挙しておいて、裏をとるために警察はずっと歩いたわけですよね、買った人たちのところを。ところがそれを買って飲んでいる人たちがみんな異口同音に、いや私の体に合っていいですと、痛みもとまりました。こう言うものですから、結局これは起訴できないでしまって、このときは不起訴処分にしたんです。ところが、たまたま今度それを薬事効果を宣伝して出したものがあるものですから、それは今度は「その健康茶待った」ということで検挙されたんです。その流石(さすが)茶がですね。しかし、それは内容を聞いてみると、文書でもって薬事効果があるということを広告したのがけしからぬということで、流石(さすが)茶そのものがそういうふうに非常に適応性のある人が多い。これは薬でないですから全部に効くということは言えないかもしらんですが、飲んだ人の中では効かなかったというのはいないくらいな状態なんですが、それが新聞に出ますと「その健康茶待った」と、こういうふうな見出しになっちゃうんです。その健康茶の広告待ったならわかるんですよ、ところが、やっぱりそれは検挙されたというだけで、記事はこういう出方をしてしまうわけです。
 それから、これは私の秘書が石たまったというので、六月ころから飲み出したら、痛みはとまったし、レントゲン見てお医者さんの方が不思議だと、手術しなきゃならぬというやつがとまって、ちょっと小さくなってきた。これも人体実験私たち自身はやっているんですよ。
 それから同じように、スイマグ、これも薬事法違反で挙げられたんです。北海道の私の出身の町でです。これも不起訴なんです。このときも、奥さんが挙げられて、だんなさんは教育委員長やってたものですからね、教育委員長すぐに辞任したんです、申しわけないと。これも不起訴なんですよ。そして、それはいつまでたっても返事が来ないから、私が要求して不起訴処分書もらったんです。こういうことがしばしば行われると、こういうことでいいのだろうか。ただし、これについてはこの流石(さすが)茶の社長さんはこう言っているんですよ。警察は、初めインチキ薬茶と考えて捜査を開始したと、これは至極当然と思いますと。聞きますとこの人は警察官だったというんです、この社長さんは。だからこれは当然だと。警察としては当然だと思うと。そして、捜査が進み、服用者の回答が非常によかったのでしょう。流石(さすが)茶は国民のためになると判断して、むしろ大いに売ったらいいと、調べに歩いた警察官が今度は協力始めたんですよ。しかし、薬事法という法があって、法治国家ですから、薬効を言うということはいけないことになっているので、その点は注意しているけれども、中にはああいう広告出す人もいるんですなと。しかし、この広告の問題は別として、その前に挙げたようなのは、何か全くけしからぬ話なんです。御当人たちは理解しています。こういう点について、刑事局長ちょっと健康食品に対する考え方、警察庁でもいいですが、何かこう一貫しない気がするんですが、これはどういうことなんですか。
#80
○説明員(中島治康君) 警察は、健康食品についてとやかく取り締まりしているわけではございませんので、その健康食品として売られているものの中で、成分なり、あるいは薬効の表示、あるいは効能等の表示、それから用法等が医薬品と認められるものについて、これは四十六年の業務局長の通達がございます。それに従って取り締まりをいたしております。
#81
○丸谷金保君 そういうことなんですよね。ところが、今度は四十六年の業務局長通達、これはおかしいじゃないかということで、実は二年ほど前から私はこのことを取り上げて、もうそれは大臣、これ大変なんですよ、この通達見たら。健康にいい、たとえば小豆、かっけに効きますね。薬効をうたって売っちゃいけないというふうなことになるんです。麦がかっけに効く。これもだめなんですよ。それから形、これが薬に似たらだめだと。しかし、仏そのとき言ったんですが、いま宇宙飛行士がカプセルを食糧として飲む時代でしょう。形状が薬に似ているからだめだとか、それからショウガもこれ薬だと言うんです、二ンニクも。しかし、ショウガなんか食品としても食べますね。そういうもうきわめてあいまいなあれなので、再三追及しました。当時の橋本大臣も、これはいわゆる薬事法と栄養改善法との間に、もう一つドイツ人だとかその他がやっているようなレホルム、要するに健康食品という法律のジャンルがないからこういうことなんだということで、境界づくって相談しようと二年やっているんです。それから十七日も、社労の委員会が進まないから私再度。そうしたら園田厚生大臣は、確かに四十六年の業務局長通達には不備があると、そうすれば通達そのものも検討させますと、こう言ってるんですよね。これを金科玉条にしてやられるものだから、やってみたけど不起訴にしなきゃならぬのがたくさん出てくるんです。ここいら辺については一体どういう配慮を。まあこれからでもいいです。おたくの方がこれによってやっているんだというこれそのものに問題が出てきているし、そういう大臣答弁の記録読んでください、出てきているという段階で、不起訴になるようなことをどんどんやっていくというようなことというのは、ちょっとぼくには問題があると思うんですが、いかがですか。
#82
○説明員(中島治康君) 医薬品とこの食品との境界というのは非常にむずかしい問題がございますので、取り締まりに当たりましては、厚生省とよく連絡をとった上で、医薬品と認められるものについて取り締まりいたしております。しかし、医薬品と認められましても、ただ単にそれだけの事実で、事件に取り組んでいるわけじゃございませんので、まあ組織的なもの、あるいは表示の極端なもの、そういったものを重点にやっております。まあ今後もそういったかっこうで、不起訴と申されましたけれども、これはまあ起訴猶予でございまして、罪とならずということじゃございませんが、まあそういう可罰性のないものまで取り上げていこうという気持ちはございません。しかし、悪質なものもございますので、これは今後とも取り締まりを続けてまいりたいと思います。
#83
○丸谷金保君 サンクロレラ、それからスイマグ、これについては起訴猶予でないですよ。不起訴にした処分の決定通知書を私持ってますよ、ここに。何言うんですか。
#84
○説明員(中島治康君) 調べておりまして、スイマグにつきましては、五十四年の十一月三十日に十勝池田区検で起訴猶予になっております。スイマグと申しますのは水酸化マグネシウムでございまして、食品ではございません。純然たる医薬品でございます。それからサンクロレラの方はまだ処分は私の方確認しておりませんけれども、処分未定でございます。
#85
○丸谷金保君 サンクロレラは札幌で数年前にやはり事案として挙げて不起訴にしているのがあるけれども、その決定書を私持っていますよ。どうなんですか、それ。
#86
○説明員(中島治康君) その方は存じません。
#87
○丸谷金保君 それでいろいろ聞いていますと、たまたまこの三つは、たとえばスイマグは池田町で私の女房が飲んでたのに、これがもらえなくなった、困ったと。三つとも私自身が直接関係あるものだから、これ私自身がわかったんです。だから、それから考えると、これだけじゃなく、ほかにもたくさんあると思うんですよ、中には事案として送検しているものもあるでしょう。しかし、四十六年業務局長通達を金科玉条としてやるというところに非常に問題がある、それと、たとえばスイマグの場合でもそうですが、みんなが先に保健所へ相談に行っているんですよ。厚生省の方はこの種問題についてどういう行政指導をするんです。摘発機関じゃないですよ、厚生省というのは。どうなんですか。
#88
○説明員(竹内幹吉君) 御指摘のように、いわゆる健康食品の薬事法違反事犯につきましては、薬事法に触れるということを知らない者もおるわけでございます。したがいまして、先ほど警察の方が申しましたように、悪質なもの、あるいは再犯事犯、そういったものを除きましては、できるだけ行政指導で改善さしておるところでございます。
#89
○丸谷金保君 薬事法違反の、たとえばスイマグでも、行政指導何にもしてないんですよ。していると思いますか。一遍もしてないんですよ。いきなりぱっとこう入ってきたんですよ。そして不起訴です。この処分書も私持っています。本当に行政指導しているんですか。どうなんです。
#90
○説明員(竹内幹吉君) 御承知のように、いわゆる健康食品につきましては、薬事法体系の販売組織だけで、たとえば薬局、薬店等で売られるだけじゃなしに、デパート、あるいはマーケット、その他訪問販売、あるいは新聞販売、通信販売等で売られておるわけでございます。われわれは全国約二千五百人の薬事監視、これも兼職が多いわけでございますが、できるだけこういった事犯についても目を光らせておるわけでございますが、薬局、薬店以外につきましてはその権限、あるいは機動力から言って、警察等に比べますとかなり劣るということで、そういったしかもわれわれも目の光らしております薬局、薬店におきましては、管理薬剤師がおりまして、かなりそういった悪質等のいわゆる健康食品は販売されてないということで、こういった事犯については、どちらかというと、警察の方で摘発される事例が多いということでございます。したがいまして、先ほどのスイマグその他については警察の方で摘発されたものでございます。
#91
○丸谷金保君 この問題は、結局検察側にしてみれば、調べてみると、ほとんど一々厚生省にどうなんだと聞いてからやっているんですよね。ですからいまのようなまた答弁もありますし、今度は厚生大臣を呼ぶところで、おたくの方にも来ていただいて、きちっと整理したいと思います。
 大臣、健康食品というのは、園田大臣も言ってましたけれども、確かに法の谷間なんです。それがいろんな刑事事件になる、しかも行政指導で、最初に親切に、これはひっかかるからやめなさいと言えばやめるやつを、そういうこと何もなしにぱっといく、こういう態度というのは大変遺憾だと思いますので、この点十分気をつけるように、法務大臣としてもお願いいたしたいと思います。
 これで終わります。
#92
○目黒今朝次郎君 三月の九日午後に、黒川木徳証券の歩合外務員の加藤ロ君が起訴されて、いわゆる
誠備グループ会員による大型脱税事件の捜査が終わったようであります。この事件は連日各紙で報道されておりますから、詳細は避けますが、捜査段階で何名かの政治家の名前が出ている、出てないなどということも聞いております。しかし、また同時にこの誠備グループの事件でも、末端の投資家が高値をつかまされて被害者になっておるわけでありますが、この辺の実態について簡単に法務省の答弁を求めます。
#93
○政府委員(前田宏君) ただいま御指摘のように、新聞報道等ではいろいろと言われておるわけでございますけれども、検察当局でやりましたのは、御案内と思いますけれども、吉永こと金丞泰という人と、それからいまお尋ねの加藤ロという者に対するいわゆる脱税、所得税法違反ということで、刑事事件として処理をしたわけでございまして、誠備グループなるものの何か株の操作というものを捜査の対象としておるわけではございません。
#94
○目黒今朝次郎君 ちょっと大蔵省にお伺いしますが、私はダブル選挙前に平和相互銀行に関連して、大蔵省に資料要求したことを覚えております。たとえば、今回の脱税で代表的な誠備銘柄とされています宮地鉄工所、丸善、石井鉄工所などの売買手口、また当時、いま言った黒川木徳証券が買えば株価は上がる、上がればまた買う、黒川木徳証券が手を出せばその株は何でも上がる、そういう風潮がありましたので、私は大蔵省に対して、当時黒川木徳証券に注意などの行政指導をしたことがあるか、こういう資料要求を私が当時いたしました。ところが、大蔵省は、売買手口も出してこなかったし、黒川木徳証券にも全くその時点で行政指導はしていないという、そういう文書回答を私はもらっております。私はカマノリでありますから株には関心ありません。株には関心ありませんが、非常に当時問題があるなと思って、素人の私が気がついて、あなた方に注意を喚起したのに、何も心配はありませんとか、行政指導はいたしませんとか、そういう文書回答をよこしたというそのことは、無関心なのか、知っておってほおかぶりしたのか。あなた方は専門家でありますから、私が気がついているのに、なぜあなた方がそういうものについて行政指導できなかったのか。その間の経緯について、文書回答と現在起こっている事件とぴったり合っているんです、私の言ったとおり。この件については大蔵省はどう思うか、答弁してください。
#95
○説明員(岡崎洋君) ただいま先生の御指摘の点でございますけれども、先生から昨年の四月に資料のお話がありましたときに、私どもとしては、その中で売買の手口の資料をというお話がありました点につきましては、これは個々人の経済取引の個別の内容にわたる話なので、出すことを差し控えさしていただきたいという話を申し上げたと思います。
 それから、黒川木徳に対して何ら監督をしなかったんではないかというお話について、いまちょっと先生、文書回答とおっしゃられましたけれども、その点につきましては、私どもの承知しておりますところでは、黒川木徳証券に対して最近実地に検査をいたしたことはございませんというお話を口頭で御連絡申し上げたというふうに担当の方からは報告を受けております。ただ、いずれにいたしましても、当時、先生御指摘のとおり、黒川木徳証券の営業のビヘービアというものについては、いろいろ話もされておりましたところでございますので、私どもは検査こそその時点ではいたしませんけれども、当然私どもの管轄下にある免許会社に対する営業のあり方ということで、常時行政指導と申しますか、担当の方でいろいろ注意は喚起しておるということはございます。
 さらに、事情を知らない投資家がやたら値段が上がっていくものに対して、付和雷同して、いわゆるちょうちん買いと申しますが、そういうことの判断を余り深くされないで、不測の損害をこうむってはいけないということで、そういう株価の動向等につきましては、一義的には取引所がいろいろ目を通しておるわけでございますけれども、取引所がそういう、いわゆる誠備銘柄の個々の株式につきましては、いろいろな規制を加える、あるいは、これはいま異常な動きをしておりますので、それに資金を投ぜられる方は、それなりのものとしてお受けとめくださいということで、注意銘柄と申しますか、いわゆるディスクローズを徹底させるというような形で、一般投資家の方に注意を喚起し、過度な投機現象が深まらないようにというような日々の行為はしておったところでございます。
#96
○目黒今朝次郎君 そんなきれい事言ったって、私が具体的に提起したときは、実際指導してなかったと、こう言っているんですから、長々と弁解は要りませんから。まあ指導してなかったということだけははっきり私も確認しております、
 それで、今回の加藤の脱税の事実について、いろいろ新聞報道見れば、加藤は四大証券の陰謀で逮捕されたと、こういうことを述べておるわけですね。これは兜町あたりへ行って聞きますと、やっぱり同じことが言われておるそうでありますが、その真偽はどうかわかりません。ただ私は、宮地鉄工が二百五十円ぐらいの株を三千円近くまで値上げした、こういうことはやっぱり問題があるんじゃないか。これはちょうど三年前に、二百九十円の株を四千二十円まではね上げて、その後暴落によって、被害者の一般庶民が自殺者まで出た科研化学、こういうのがあったことがありました。この科研化学の際にも、いわゆるその手口は日興證券が絡んだというのがもっぱらの評判であったわけでありますが、当然これらの問題については、脱税あるいは背信、こういう問題があったと思うんでありますが、大蔵省なり、法務省、あるいは脱税関係で国税庁、こういうあたりがこの科研化学と日興證券、これらの問題について調査したことがあるかどうか。あるとすれば結論はどうなっているか、簡単にお聞かせ願いたい。時間がありませんから、要点だけ。
#97
○説明員(岡崎洋君) 先生御指摘の科研化学の株式の値段が急騰いたしましたのは、五十三年の三月から十月ぐらいの間でございまして、先生おっしゃるように、当時日興證券の、その株の扱い高というのはかなりのものであったようでございます。したがいまして、その点に関しまして、私ども証券局といたしましては、株価の形成に問題はないか、あるいは日興證券の営業姿勢の面で問題はないかという二点から深い関心を寄せておりまして、株価の形成につきましては、取引所がその立場から、何回か事情聴取等をして、不当な価格形成にわたるようなことのないようにという注意を日興證券に与えておりまして、日興證券はそれなりの対応を末端の営業店まで流しておるということはございます。
 さらに、営業姿勢の問題につきましても、私ども日興證券から諸々事情を聴取いたしまして、その結果といたしましては、はっきりそれが法令違反等というふうに断定はできませんでしたけれども、個々の営業の態度において行き過ぎがあったのではないかというような点がかなり懸念されましたので、その点については厳重に注意いたすとともに、日興證券が二度とそういうことのないようにということで、内部の管理体制等も厳正に整えるようにというような指示をいたし、その後それを受けて整理されてきておるところでございます。
#98
○説明員(冨尾一郎君) 個人の有価証券の譲渡による所得につきましては、原則として非課税ということになっておりますが、特別の場合、たとえば御承知のように五十回、二十万株以上の売買というような一定の要件に該当する場合に課税になる、こういう仕組みになっております。したがいまして、単に売買があったとか、非常に株価が高くなったということだけでは、当然に課税になるというものではございませんで、個々具体的に以上申し上げました要件に当たっているかどうかということを判断する必要がございます。
 税務当局といたしましては、従来から株式の譲渡につきましては、各種の資料を収集するなどして、必要あれば調査をするということで、適正な課税処理に努めてまいってきているところでございます。
#99
○目黒今朝次郎君 日興證券の営業姿勢について、節々で遺憾な点があって、注意、勧告したと。できればその内容等について、メモでも結構ですから、参考までに提示願えれば幸いだと、こう思うんですが、これ要望しておきます。これは要望です。
 昨年一月の二十三日、東京証券取引所二部に、株式会社ヤクルト本社が上場されました。主なる幹事証券会社は野村議券であります。上場前の公募株数は一千万株と、資本金三十億程度のヤクルト会社としては破格な公募株数でありますが、公募価格は一株あたり千四百五十円でありました。そして二十三日には、千四百五十円の公募価格に対して、千六百五十円の買い気配で終わった。その際、極端に売り玉が少ないので、野村證券はヤクルト本社に、いわゆる冷やし玉の放出を要請したが、松園社長は部下に対して、社長は海外旅行中であるとか、何とかという理由で、その要請を断れと、こういうことを指示したそうであります。この発言は、ヤクルト本社内における私に協力する者の証言で明らかになっております。
 大蔵省に伺いますが、社長みずからが意識的に株価をつり上げる行為をしたということは、一体どんなものだろうか。こうした新規上場等の異常過熱取引のような場合は、冷やし玉の市場放出等については、通常東証が幹事証券会社である野村議券を窓口にして、上場会社と連絡をとり、市場要請にこたえていくのが当然な任務であり、それを督励するのが大蔵省の監督業務と思いますが、いかがですか。
#100
○説明員(岡崎洋君) ただいまの問題は、私どもも一つ一つの株式の公開の際に一番頭の痛い点でございまして、市場に一たん上場されますれば、その値段というのは投資家の個々の判断が総合的に寄せ集まって値段がついていくということでございますが、一番最初に市場に出すときに、その値段が幾らで出すのが適当かどうかというのは、これは非常に判断のむずかしいところでございまして、とりあえずのところはいま私どもの指導は、類似の会社等の業績、株価等を勘案しながら決めなさいということで、引き受け証券会社を指導しておるところでございまして、ヤクルトの場合は、その結果として、いま先生おっしゃったように、千四百五十円ということで会社が決定いたしまして上場いたしましたところ、その株に対して、非常に人気が出まして、最初の日は千九百何がしというところまでいって、売り物が出ずに終わってしまったということでございます。御指摘のように、上場の価格と、その日の価格と非常に開きが出ますときには、まずそういうこともありうべしということで、上場の前に先生おっしゃった冷やし玉というのを相当量用意させまして、異常な過熱化現象にならないように、スムーズにその物件が市場に流れ出すようにというふうな措置をとっておるところでございまして、ヤクルトにつきましては、結果といたしましては、次の日には値がついたわけでございますが、その過程でヤクルトの本社の方が証券会社、取引所の要請に対して、最初の日にいやそれは出さないというふうに言ったかどうかということは、つまびらかにはしておりませんけれども、冷やし玉を用意しなければ上場させませんよということは、取引所のルールでございまして、それを認めている以上は、ヤクルトの方もそれぞれの株主と用意した冷やし玉は出す用意があるというふうに考えるのが常識的ではないかと思いますが、個別の事情でございますので、いま先生の御意見をちょっと承らさしていただきます。
#101
○目黒今朝次郎君 われわれもある程度証拠をつかんで言っているんですから、事情についてはよく調べてください。
 さてこの玉は、いまあなたが言うとおり千九百円になって、最後には千九百四十円にまで上がったと、こういうことであります。
 それで、野村證券の営業の幹部がヤクルト本社役員に、二十四日ヤクルト本社の方から冷やし玉として放出された株主名簿の写しを見せてくれと、ところが、これはなかなか営業として見せるわけにいかぬと、しかし本当に内緒だよといってその冷やし玉の名簿を見してもらったら、その中に従業員持ち株会の名義の株が百十万株あったということをわれわれ確認しておるんです。そして、この従業員持ち株会の百十万というのは、これもまたヤクルトの会員の皆さんから聞きますと、毎月とか、あるいは期末の賞与だとかもらったときに金を出して買って、五百株とか、千株とかという形でお互いが保有している株だと、それを冷やし玉として百十万株これを出していると、そして、その百十万株については、公募価格の一千四百五十円で清算をしたと、当時の値は千九百四十円、千九百円で株を放出して、そして従業員への清算は株当たり千四百五十円、単純計算でも五億円の金がここに浮いてくるわけですがね。そして、この五億円の金について、従業員株主会の方々のいろんな話を聞いてみると、これは全然従業員に還元されていない。こういうことは、この冷やし玉に従業員株が放出されたということは、大蔵省が関知しておったかどうか、この確認と、それから清算の際に、千九百円を千四百五十円で清算して、五億円を会社側がポケットしてしまった、この事実関係について確認できるかどうか、大蔵省にまず聞きします。
#102
○説明員(岡崎洋君) 通常冷やし玉の中に、従業員持ち株会の株式が入るということは、ちょっと常識では考えられないことだと思います。従業員持ち株会というのは、むしろ従業員の方が長くその株を持っていこうということであろうかと思いますから、冷やし玉というのは、機に応じてそれを市場に放出するというために備えるものでありますので、そういった性格から見て、従業員持ち株会のようなものの株が冷やし玉のリストの中に入っておったということは、一般的、常識的に見て考えられませんし、もしそれが入っておって、提出されてきたとすれば、取引所はそれに対して、そういうことでいいんですかというようなお話はされるのではないかと思います。本件について実はそういう話を聞きましたものですから、取引所に照会してみましたところ、取引所としては従業員持ち株会の名前が冷やし玉の中に入っておったというふうには見ておりませんという報告がございました。
#103
○目黒今朝次郎君 あなたが言うとおり、株式上場基準では、持ち株を冷やし玉に使っちゃいかぬということは、これはもうそのとおりですね。ところが、われわれの調べでは、これは使ったと、こういうふうに確認しているんですから、もう一度これは法務省にお伺いします。この五億円の金が行方不明になっているということもありますし、従業員持ち株を冷やし玉として出したと、こうわれわれは確認をしているんですが、おたくはいま聞いたところが出してないと言ってると、そこにすれ違いがありますから、これはやっぱり法務省の出番ですな。われわれもそれなりの証拠をつかんでこれを確認しているんですから、ですから、これは法務省ひとつ、ヤクルトの上場株について、冷やし玉に、百十万株の従業員持ち株会の株を本当に冷やし玉として出したかどうかということを調査をしてもらうと、それから精算について五億円の金が行方不明になっているということについても、この流れについて解明をしてもらうと、これをぜひやはり法務省なり、警察の手を煩わさなければその真相はつかめませんから、法務省の方の答弁を求めます。
#104
○政府委員(前田宏君) お尋ねの点は本日初めて伺うことでございまして、何とも申しかねるわけでございますが、いろいろ問題もあるようでございますから、さしあたり大蔵省当局からもいろいろと事情を聞いてみたいと思います。
#105
○目黒今朝次郎君 大蔵省当局なり、上場株の取引の皆さんなり、おたくは専門家ですから、私ごときがとやかく言うことはないと思いますが、国会で問題を提起したと、それで五億円の金の流れが行方不明であると、当然持ち株会の従業員にもずいぶん私は聞いてもらいたいと、そうしてこの委員会でも結構ですし、あるいは非公式でも結構ですから、後ほどその調査なり、状況について、私の方に御返答願いたいと、こう思います。大蔵省もひとつあなた自身がそれは好ましくない行為だと、こう認めているんですから、大蔵省も捜査については御協力方お願いしたいと、こう思います、これは要請しておきます。
 それから、松園社長は親引け株十九万株分の売り上げ金は腐るほど金があると、こういうふうに誇示して、部長から役員に至るまで全員に五十万、三百万、五百万、一千万、一千五百万、こういう部長とか、常務のランクをつけて、ランク別におまえに御祝儀だと金をくれているらしいですな。そうして、その際にもうこの金は税務署へ申告する必要はないと、こういうふうに申し添えてこの部長以上の役員にお金をくれておるそうであります。これは一回の売買制限が二十万株に達していない、そういうことで本人は一般株の問題と錯覚しているんじゃないかと、社長が自社株を売る際にはこういう制限がないはずではないかと、こう思うんですが、この辺の所得税法上の取り扱いについて、国税庁の方からひとつ聞かしてもらいたい、あるいは調査をしてもらいたいと思うのであります。
 これは、私たちはこういうエピソードを聞きました。御祝儀分配の件について、たまたま五百万円もらった常務が、おれは五百万円もらったと思って、大分得意になって一杯飲んでおったと、ところがどうも隣の常務は一千万のポケットマネーをもらったらしいと、あれが一千万でおれが五百万とはけしからぬといって、一杯の席でぶちまけたのがこの真相の出発点であります。でありますから、こういう形で相当程度の金をヤクルトの社長さんが部長以上に流しているということでありますが、この二十万株以内という問題と、このくれた問題について申告する必要がないというこの考え方、これを国税庁と法務省の方からおのおの見解を聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
#106
○説明員(冨尾一郎君) ただいま先生御質問の親引け株十九万株の売却益云々というお話でございますが、ちょっと私ども突然の御質問で、事実関係をよく承知しておりませんが、その十九万株の売却益が、一体だれの株を売って、その利益がだれに帰属したのかという事実関係がわかりませんと、ちょっとにわかにはお答えしがたい問題でございます。
 仮に、これが会社のものであると、会社に帰属すべき売却益であるということでございますと、これはもらった役員ないしは従業員につきましては、給与所得として課税すべきものと、したがいまして、通常は源泉徴収をされる給与所得に含まれるべきものであろうというふうに、一般論としてお答えをさせていただきますが、事実関係については、ちょっと私ども判断がつきませんので、その点留保させていただきたいと思います。
#107
○目黒今朝次郎君 ところが、松園社長さんというのは金もうけの上手な人で、会社の金か個人の金かによっては相手の出方によってどのようにも切り変えていくという千軍万馬の役者でありますから。ただ、部長以上にこういう御祝儀が渡ったと、それで十九万株を売ったと、こういうことについては、証券の方を調べればこれは事実関係わかりますね、大蔵省。十九万株を売ったということはわかりませんか。
#108
○説明員(岡崎洋君) どの方が個別に幾ら売ったということは、私どもの方、直接的にはわかりません。
#109
○目黒今朝次郎君 それでは、いま国税庁の方から言った問題については、会社の株か、個人の株か。どういう分配をしたか。それはわれわれも改めておたくに資料提供しますから、提供をした資料を受けておたくの方でこれを調査すると、そういうことについてはお約束できますか。
#110
○説明員(冨尾一郎君) 課税上問題があるということでございますと、私どもとしては必要な調査を行った上で、適正に処理をさせていただきたいと思います。
#111
○目黒今朝次郎君 では、私も資料その他については協力しますから、ひとつ御協力をお願いします。
 それから、去年の一月の二十四日を中心に、このヤクルトの株が上昇して高株価になったと。こういうときに、ヤクルト本社は各販売店に指令を出して、高く上がった株を各支店で買い込めと、こういう指令を出していると。そして、あるヤクルトの社員は、その割り当ての株を買わないと本社に怒られるものだから、金を借りてきて、借金をして株を買ったと。こういう問題なども提起されて、その借金を返すのにいまでも苦労しているという苦情も私の方に来ておるわけであります。
 ただ、ここで、有価証券報告によりますと、五十五年一月期と、それ以前の五十四年を比較いたしますと、松園社長以下半数の役員の持ち株が非常に減少していると。株を上げて、地方に向かってはその株を買い占めると言って指令を出していながら、御本人の方はその高い株を売ってその利ざやをもうけていると、こういうことをやったんじゃなかろうかという疑いがあるので問題を提起するわけなんです。たとえば松園社長は五十四年一月には、二百七十九万三千株を持っておったのが、一年後の五十五年一月には二百六十万、約百万株近く売っている。それから山田副会長を見ますと、五十四年一月に七十万八千株持っておったのが、五十五年一月では四十八万株、これも二十二万四千株を売っている。それから田沢という常務、これも五十四年一月には二十四万一千の持ち株がありますが、明くる年の五十五年には七万二千、こういうふうに各現場の出張所に対しては株を下げ狂いように借金しても買えと指示しておって、自分の持ち株はどんどん売ってお金をもうけていると、こういうやり方は一体許されるものなのかどうかということについて、私も素人でありますから、大蔵省の見解をまず聞かしてもらいたいと、こう思うんですが。
#112
○説明員(岡崎洋君) 関連の会社が親会社の株をどういう形でどう持つかということにつきまして、証券取引のサイドから法的に違法であるとか、そういう話はできないと思います。
 それから、役員が株を減らしていくことにつきましても、個々の理由を一つ一つ問いただすこともできませんし、また、どういう理由であるから売っていい、あるいはどういう理由であるから売ってはいけないということも言いがたい話でございますので、基本的には、そこは私経済の経済判断で行われる話だろうと思います。ただ、その過程で、おっしゃるように、会社の経営のあり方その他で、道義的にと申しますか、あるいは企業の経営者として、そういうビヘービアがいかがなものであるかどうかというのは、いろいろ判断の分かれることだろうと思います。
 なお、役員の株は減ったということは、先ほどの冷やし玉の関係があって、役員の中にはその冷やし玉の株という形で減っていったものもあるのではないかなという、これは一応の推定でございます。
#113
○目黒今朝次郎君 ここにヤクルト本社がマル秘で出した文書があるのですが、これは、「ヤ本二十八総第五十九号 五十五年六月二十四日」。それから同じく、「ヤ本二十七総第三十四号 五十四年五見十四日」。本社の社長さんから各支店長に。前の方のやつは株を買えという指示ですよ。株をどんどん買えと。後の文書は本社から指示があるまで株を売っちゃいかん。こういうふうに、自分のところの株を社長命で、それを買い占めろ、今度は売ってはいかん、こういう操作をマル秘の書面で各支店長に指示する、それで株価の操作をする、こういうことは一体どうなんでしょうか。これは大蔵省と公取の方に参考までに聞かしてもらいたい。この文書は後でお見せするにはやぶさかでありません。
#114
○説明員(岡崎洋君) いまお示しの内容、私いま初めて承ったわけでございますが、仮に、それが自分の会社の株を自分の支店に持てというふうなことで、会社の金でそれを買っておれば、自社株の取得ということの観点から、何か問題がありはしないかなという気がいたしますが、事実関係はちょっと承りませんと、これから先の判断はちょっと何とも申し上げかねます。
#115
○説明員(相場照美君) お答えいたします。
 個々の株の売買そのものでございますので、にわかに独占禁止法上どうだというような問題は直ちには生じないかと思っております。道義的にいろんな問題があろうかと思いますけれども、それを別といたしまして、独占禁止法でもって規正をするという分野ではないような感じを持っております。以上でございます。
#116
○目黒今朝次郎君 きょうは、これは時間がありませんから、実情については後ほどこのヤクルトのマル秘の書面三通持っておりますから、三通のマル秘の書面の写しを両方にお見せして、そうして事実関係について問題があれば、さらに今後とも追及あるいは調査については御協力願いたい、そういうことについては結構なわけですな、お二人とも。いかがですか。
#117
○説明員(岡崎洋君) 私どもの所掌に係る話でございますれば、よく御意見を承りたいと思います。
#118
○説明員(相場照美君) 同様でございます。
#119
○目黒今朝次郎君 では、さらに資料を添えてこのマル秘文書を見せますからよろしくお願いします。
 それから湘南食品というのを御存じだと思うのでありますが、湘南食品が、これは五十四年一月下旬に設立されました。しかし、この会社はおかしな会社でありまして、設立はしたけれども、従業員が一人もいないという会社なんですわ。しかし資本金は、四億円の原資を関東ヤクルト製造株式会社より全額現物出資として発足した会社であります。それで、届け出を見ますと、土地が三千二百六十一万一千円、建物が七千百九十九万八千円、それから投資有価証券が二億九千五百三十九万一千円、合計四億円であります。従業員が一人もいない会社に四億円の現物出資で発足したと、まるで幽霊みたいな会社であります。
 それで、国税庁にお伺いしますが、この幽霊みたいな湘南食品には、四億円の現物出資といいながら、現金四億円の株式払込保管証明書が第一勧業銀行藤沢支店から出されているのであります。片方では現物出資だといってこういう出資をする、現実では四億円の金を払い込みする、こういうことは法的にこれどういうことなんですかね。私はちょっとわかりませんから、法的根拠についてお教え願いたい、こう思うんですがいかがですか。
#120
○説明員(冨尾一郎君) いま御質問の、会社の現物出資の問題でございますが、法人税法に、会社の営業を分割する形で現物出資をし、新会社をつくるという場合の問題ではないかと思います。
 法人税法五十一条には、そういう会社の一部分を分離して新会社をつくる場合には、簿価で現物出資をすることができるという規定がございます。そのほか、これと同様な効果を持つものとして、簿価に見合った現金をとりあえず払い込んで新会社を設立させ、その設立した会社にその払込金と引きかえに、簿価で資産ないしは営業の一部を譲渡する、こういう形式もこの法人税法五十一条と同様に取り扱うということにいたしております。
 御質問の件は、恐らくただいま申し上げましたように、とりあえず新会社の設立をし、払い込みを済ました上で、簿価でその会社に払い込んだ金額と引きかえに、現物を渡したケースではないかと考えられますが、一般論としては、そのようなケースも法人税法上認められるということでございます。
#121
○目黒今朝次郎君 じゃ、その際に、たとえば土地が三千二百六十一万一千円なんですが、土地課税台帳を調べてみますと、土地課税台帳では九千六百九十二万六千六百八十八円と、こういう評価になっていますね、土地台帳は。そうすると、先ほどの三千二百は大体三分の一ぐらいしか見込まれていない、こういうことも合法なんですか。
#122
○説明員(冨尾一郎君) そのような形で、現物出資にかえて会社をつくるような形での譲渡の場合には、簿価で譲り渡すことができるという法人税法の規定でございますので、現行の、現実のたとえば固定資産税の課税価格よりも低いという場合もあり得るかと存じます。
#123
○目黒今朝次郎君 そうすると、現物出資四億円払い込んで、そして整理といいますか、清算といいますか、これには裁判所か何かの認定か何か必要なんですか、この現物出資の認定については。
#124
○説明員(冨尾一郎君) 通常現物出資をいたします場合には、裁判所での手続が必要でございますので、なかなかめんどうだということで、とりあえずは現金を払い込んで会社をつくりまして、その払い込んだ現金と引きかえに現物出資に相当するものを渡すという例が、現実の問題としてはかなり多いのではないかというふうに承知をしております。
#125
○目黒今朝次郎君 そうすると、まあ一般論としてわかりましたけれども、この湘南食品会社は、五十四年の一月下旬に設立されたわけでありますから、いまあなたが言った手続ですね、それが完了してるかどうか確認できますか。
#126
○説明員(冨尾一郎君) 私どもとしては、会社のそういう申告に基づいて事実を申し上げてるところでございますので、商法上その他会社法の定めるところに従った手続がどのようになってるか、ちょっとその辺までの調査は私どもとしてはお答えいたしかねるところでございます。
#127
○目黒今朝次郎君 ちょっとわれわれも若干疑問にも思いますので、いま申し上げた点を含めて確認をして、後日報告願いたい。いかがですか。
#128
○説明員(冨尾一郎君) 私どもとしても事実関係は今後十分に調査をいたしたいと思います。
#129
○目黒今朝次郎君 じゃ、その事実関係を調査して、その上でまた疑問があれば次回質問したいと思います。
 次に、いま言った湘南食品会社が、わずか設立後五十日足らずで、ヤクルト本社が経営基盤の強化と、こういう理由で同社と五十四年の三月三十日合併契約が結ばれているですね。まあ四億円の会社で、社員が一人もいない、それが五十日後にもうヤクルト本社と合併してる。そうして、この湘南食品会社の合併のために、ヤクルト本社は約四百万株を増資して、――ここにまた株が出てくるわけでありますが、四百万株を増資をして、湘南食品の株主の持ち株一株額面五百円に対して本社株五株の割合でこれを交付した、こういう点が明らかになってるわけです。湘南食品の。株の九九%はこれは関東ヤクルトの株であります、先ほど言ったとおり。関東ヤクルトの株の大部分は松園社長を中心とした松園一家の株であります。合併のためにヤクルト本社が増資した四百万株は、結果的には松園社長の一族の手の中に入ってしまったと、こういう関係になってくるわけであります。こういう調査をやってきますと、約六十億に相当する金が、この湘南食品というものをてこにして金が動いているという計算になるわけでありますが、この点について法務省の段階で調査したことがあるかどうか、あるいは事実関係についてタッチしたことがあるかどうか、そうして、大蔵省はこのヤクルト本社が四百万株の増資の経過について御存じであるかどうか、その両者から事実関係についてお尋ねをいたします。
#130
○政府委員(前田宏君) お尋ねの点につきまして、これまで刑事事件として取り上げたことはないように承知しております。
#131
○説明員(岡崎洋君) 私どもも、この点の事実関係について聞き及んだことがございません。
#132
○目黒今朝次郎君 これは、私はやっぱり株のからくりといいますか、冒頭申し上げた大衆を犠牲にする株、しかもその兜町でわからないようなからくりをやって、そのからくりを通じて一般民衆が大変な被害をこうむるという事件がいろいろ発生をしておる段階でありますから、法務大臣ね、私もこの関係はそれなりに証拠書類、調査してやってきたネタがあります。したがって、湘南食品の設立の過程、四億円の現物出資と現金を出した過程、そして、それをどのような形で清算をされたか。それから、五十日後にヤクルト本社が合併をしてると、その際に四百万株を増資をしてると、その四百万株の増資によって、約六十億程度の金が動いてると、それが本体であるヤクルトの社長のポケットにあるいは入ってるんじゃないか、あるいはその一族に。そういう、きわめて、大衆から金を集めて、特定の者が特定のからくりで庶民をごまかしてやるという、典型的な私はやり口だと思うんですよ。したがって、いま刑事局長もまだ云々と言われましたし、あるいは大蔵省も知りませんと言いましたが、これは株のからくりによる大衆の被害を防ぐ、こういう意味において、国務大臣として、目黒議員が提示した問題でありますから、この提示の問題について、大臣としてひとつ庶民を守る立場から調査をしてもらいたい。そうして、問題があれば問題に対する適切な対応の仕方をしてもらいたい。これがやっぱりこの証券界に絡む庶民を守る立場だと、こう思いますので、どちらの局長もわからないそうでありますから、大臣に私の問題提示について徹底的に調べてもらいたい、こういうことを要請しますが、いかがでありましょうか。
#133
○国務大臣(奥野誠亮君) 大蔵省の側から課税関係あるいは証券取引の関係、いろいろいまのお話から御留意になるようでございますので、それらのお話を伺って必要な方法をとりたいと思います。
#134
○目黒今朝次郎君 大蔵省ね、湘南食品KKの四百万株を手に入れたこのケースは、私も素人でありますから、いろいろ専門家の意見を聞きました。しかし、上場申請をされた、そうして、この証券取引所から所轄の財務局を通じて、大蔵省の許可を得て上場されるんでしょう、株というのは。そうしますと、湘南食品KKの四百万株の問題について、一ヤクルト本社とか、野村證券だけでこれだけのからくりができるんだろうか。大蔵省の証券局が全然知らなかったというのは余りにもわれわれから見れば、天下の大蔵省の証券局がこれだけの、芝居と言っちゃ悪いですが、からくりといいますか、これを知らなかったとはちょっと常識からあれするんですが、本当にこれは知らなかったんですか。あるいは知っておっても法に抵触しないからまあ黙認しよう、こういうことであったんですか。その辺をため押しをするようですが、もう一回、疑うわけじゃありませんが、財務局と大蔵省を通ってこの問題が処理されるというのがやっぱり株のルールでありますから、知らなかったとは私は言わさないと思うんですが、どうでしょうか。本当にわからなかったんですか。
#135
○説明員(岡崎洋君) 御指摘のように、上場申請時には取引所がいろいろな角度から審査をし、また公認会計士等の意見等も踏まえながら、内容を洗うわけでございますが、御指摘の湘南食品そのものにつきましては、資本金四億円、しかもその事柄自体が上場が行われる前、五十四年の話でございますので、どの程度取引所の審査の過程でこのお話を調査したかということについては、報告を受けておりません。私どもは、手続的には最終的に大蔵大臣が承認するわけでございますけれども、一義的には取引所の調査をまず踏まえまして、承認をいたすわけでございますので、率直に申しまして、こういう事実があったということについては、私は聞き及んだことはございませんでした。
#136
○目黒今朝次郎君 私もあなたを信用しますが、ただ、私はきょう問題提示しましたから、問題提示については積極的に国務大臣に協力して、真相を明らかにするための努力をひとつ大蔵省側に私たちも要請しておきます。
 それから、先ほどお話が出たヤクルトの公募価格の設定について、類似会社はカルピス食品KKだと、こう聞いておるんですが、これは間違いありませんか。
#137
○説明員(岡崎洋君) 当時、値段を設定する際に参考といたしました会社は三社というふうに聞いておりまして、カルピス、カゴメ、明治乳業、この三社を参考にして算定したというふうに報告を受けております。
#138
○目黒今朝次郎君 この公募価格決定の際に、野村證券取締役の事業法人担当の、まあここは名前を言いたいんだけれども、名前を言うと個人にかかわるからAさんとしておきましょう。そのAさんから事情を聞きますと、いま言ったカルピスその他三社の実態から、大体八百円ぐらいじゃないか、こういう査定をしたと、いろいろ手数料その他も含めてもせいぜい千円か千百円だと。ところが、ヤクルトの社長さんの松園社長さんは、どんな理由があろうとも千四百五十円をびた一文下げるわけにはまいらぬと言って、強引に、証券会社の意見などを無視して、あるいは関係筋を無視して千四百五十円に決定をして上場した、こういう経過を聞いているんですが、そういう野村證券とか、大蔵省の指導とか、そういうものが、こういう株価の決定にどれだけの影響力があるのか、やっぱり最終的にはその株を発行する当事者の方々が最終的な決定権を持つのか、この辺の経過のやり方と、機構といいますか、そういうものについて参考までに教えてもらいたい、こう思うんです。
#139
○説明員(岡崎洋君) 本件についての具体的な、いま先生がおっしゃいましたような、どういうやりとりの間で決まったかということは承知しておりませんが、最終的に発行の価格を決めますのは発行会社でございます。ただ、証券会社はそれが上場されるわけで、一般大衆の扱う商品となるわけでございますので、アンダーライターと申しますか、引き受け会社の立場で適正な値段がついてほしいということで、先ほど来から申しております算定基準についての申し合わせを業界内でいたしまして、アンダーライターの立場として、それを発行会社にお話をし、了承をしていただいているというのが現実の動きでございます。
#140
○目黒今朝次郎君 発行会社が最終的に持つという気持ちはわかるんですが、その会社が客観的に野村證券とか専門家から見て、それだけの力がないのに高値の値段で出す、ところが、高値の値段で出したやつを買わされるのは一般投資家ですね。これはパパをつかまされるというか、空手形をつかまされる。そういう点は、私はやっぱり最高のヤクルトの株の公募価格決定のこれを見て、それからいま一連の湘南食品の傾向を見て、何か疑うわけじゃありませんが、当時ヤクルト不動産は百四十五億の不動産の借金を負っておった。その百四十五億の赤字を穴埋めするにぴったり、千四百五十円の一千万株、ちょうど百四十五億になるんですね。だから、株の方は株の方でわかるけれども、そっちの不動産の赤字を埋めるための強引な彼らのやり口が、野村證券が千百円だと言っても、おれは何としても千四百五十円びた一文まかりならぬ、一千万株、百四十五億を調達する、そういうからくりといいますかね、やり方がこの背景にあったんではなかろうか、こんなふうに私は推定をするわけでありますが、ただ、ババをつかまされる零細投資家から見れば大変なことなんで、こういうことについて余りよろしくないと私は思うんです。たとえば、証券取引法の十七条、十八条、二十一条、五十条あるいは百十九条、この条項を見ますと、十分にやっぱり大衆投資家を守るために適正な株価で上場するというふうにこの取引法にあるわけですね、庶民を守るために。その観点から見ると、どうもこの千四百五十円ということは角度が違っておったんじゃないか、こんなふうな気がしますので、これはお互いの立場でありましょうけれども、今後の指導上に十分な配慮をしてほしい、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#141
○説明員(岡崎洋君) 具体的に千四百五十円がいかがかとろう点はさておきまして、上場される値段が適正な、上場された後滑らかに上場価格の基準になっていくような、そこからスタートして決しておかしくなかったというような値段が設定されることは大変望ましいことでございまして、私どもも今後先生の御意見等も踏まえまして、いろいろ研究をさらに深めてまいりたいと思っております。
#142
○目黒今朝次郎君 それ要望しておきます。
 それから、そういう華やかなヤクルト本社の陰に隠れて、実際に品物を売っているのはヤクルトおばさんだと思うんですね、時間もありませんが、ヤクルトおばさんの皆さんから幾つかの投書がいっぱい来ているんです。たとえば、自由にパートの時間でやれるんだと、そう思って入ってみたら、ちゃんとグラフで目標をつけられて、その目標を消化しないと、余った分は自分で買わなければだめだ、こういうようなルールが陰で公然と行われているという話があったり、あるいは、ヤクルトスワロ一ズに強制的に金を取られたり、あるいは制服制帽を強制的に買わされたり、あるいは労災の適用や、社会保険の適用は希望しても全然やってくれない、そういう幾つかの問題点があるわけでありますが、私は、このヤクルトおばさんという問題については、振動病の問題で一回扱ったことがあるんですが、非常に劣悪な労働条件になっておるわけです。ですから、このヤクルトおばさんの労働条件の実態と、やはり問題点について、労働省の方でひとつ関心を持って調査をしてもらいたいし、また、このおばさん方に直接意見を聞いて、全国五万ぐらいおりますけど、これはほとんどばらばらです。こういう方々の雇用法、社会保障法あるいは雇用保険法等、そういうものの適用等についても、十分な配慮をできるような施策をやってもらいたい、こう思うんですが、いかがですか。
#143
○説明員(岡部晃三君) ヤクルトおばさんにつきましては、その契約の形態が労働契約関係であるか、あるいはまた委託、請負契約関係であるか、いろいろの問題もかつて提起されてきているところでございます。労働者である、労働者性が認められる場合には、当然そのいろいろな社会保険、労働保険の関係、あるいは労働者保護規定の適用があるわけでございます。その遵守につきまして、十分私ども指導してまいりたいというふうに考えています。
 いずれにいたしましても、実態を把握の上判断し、また指導を加えてまいりたいというふうに考えております。
#144
○目黒今朝次郎君 ここは決算の場でありますから、それは社労でまた十分やるとして、ぜひ関心を持ってその対応に取り組んでもらいたいということを重ねて要望しておきます。
 それから、時間が来ましたが、約八点ほど資料要求をしたいわけでありますが、これは委員長、後ほど文書で関係者に出しますんで、資料の提出については御協力方を委員長の方から要請をしてもらいたい。
 特に、冷やし玉の名簿ですね、これは提出してもらいたいと思うんですが、いかがですか。これが出てこないと、きょうの質問の真相が、全体がぼけできますんで、これについては特段の配慮を大蔵省にお願いしたいと思うんですが、資料の提出について委員長の配慮をお願いいたします。
#145
○委員長(野田哲君) それでは、メモを出してください。
#146
○目黒今朝次郎君 最後に、質問通告してませんが、法務大臣。
 この成田線の燃料列車の爆破事件ね。これは私は何回かお願いしておるんですが、五十四年の十月十日の爆破事件のときもずいぶんしつこく言いましたし、それから、この前十六日ですね、過激派集団が機関車をとめて、運転室に手りゅう弾みたいなものを投げて、運転室を皆焼いた、後で報告聞きましたら、全部焼けちゃって、あの機関車二両は使えないそうです。
 私は、この機関車だけをやるというのは少し作為的だと思うんですよ。機関車に手りゅう弾を投げて、あとの燃料に手りゅう弾投げないというのは、相当計画的、しかも民衆の反感を買わない方法で乗務員に脅威を与えるという、きわめて巧妙な作戦だと思うんです。
 私は、きょう警察庁長官がいませんから、国務大臣としてお願いしたいのは、どうも千葉県警のやり方は手ぬるい。私は成田空港の開港問題については、当時幅水運輸大臣とやり合って、それなりに私は国際的な問題ですから協力したつもりです。今度の燃料輸送問題についても、それなりに私は前の勤労委員長という立場も含めて、これは大変な問題だということで協力してきたつもりです。しかし、機関車の中に手りゅう弾撃ち込まれると。こうなったら一体県警本部長、何やっているか、もちろん国鉄総裁も運輸大臣も。ですから、こういう問題についてはおざなりの問題じゃなくて、もう少し千葉県警に対して責任体制を明確にするような指導と、再びこういう列車襲撃事件を繰り返さないための警備体制、予防体制というものを国務大臣としてやってもらわないと、せっかく燃料輸送に協力しておる立場が一体どうなるのか、こうなりますので、大臣に要請し、大臣の見解を聞いて、私の質問を終わります。大臣の見解をひとつお願いします。
#147
○国務大臣(奥野誠亮君) 成田国際空港の建設問題がいまだ解決を見ていないことは大変残念な感じがいたします。何といたしましても、国民各階層の理解と協力を得て進めなければならないことでございますし、ことにまだ一部の方でございましょうけれども、地元の理解が得られていない。それを過激派集団が利用しているという形でいろんな事件がたびたび起こっているわけでございまして、ぜひ早く解決を見たいものだと思います。千葉県警も大変苦労していることだと思いますけれども、いま目黒さんのお話のありました点は、国家公安委員長に私の方からこういう意見があったということを連絡さしていただきたい、こう思います。
#148
○委員長(野田哲君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時五分まで休憩いたします。
    午後零時八分休憩
     ―――――・―――――
    午後一時八分開会
#149
○委員長(野田哲君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、昭和五十二年度決算外二件を議題とし、法務省及び裁判所の決算について審査を行います。
 質疑のある方は順次卸発言願います。
#150
○塚田十一郎君 登記の問題についてお尋ねをするのでありますが、割り当てられた時間が一時間二十分ということですので、どうも調べた結果では、時間内に詳細にお尋ねをしておることはできないような感じでございます。今後どういうぐあいに扱っていただくかは、今後委員長、理事の皆さん方に御相談するつもりでありますが、ごく概要を最初に申し上げておきます。
 兵庫県西宮市に甲陽園西山町というところがある、ここに登記面がある地所が、最初の表示登記の段階で少し、ちょっと登記するには無理じゃなかったのかと思わるるのが押して登記をされている。その裏に、今度この町に登記面上土地を持っておることになっておる人の土地が現実には土地がないということになっておる。恐らく相関関係になっておると思うんです。そういうことでございます。もちろん事柄が細かいことですし、大臣の御在任中のことではございませんから、大臣には御答弁はいただかないでいいんですが、なるべくわかるように説明をしてまいりますので、質問を終わりますときに、大臣から御感想と、今後どのようにしていただけるかということをひとつお答えいただきたいと思います。
 それでは、質問を始めます。
 ここに一筆の登記簿謄本があるわけです。これはいま申し上げましたように、昭和五十二年の十月十八日に、神戸地方法務局西宮出張所が発行をいたしたものであります。この謄本を見ますと、土地の所在は「西宮市甲陽園西山町」「地番壱八参番、」「地目山林」「地積七反弐弐歩」。そうして登記の日時が四十二年の十一月二十八日、こういうことになっておりまして、この表示登記の際の所有者は「伊丹市伊丹字古城下壱番地三倉地所株式会社」ということになっておるんです。
 そこで、私は、この謄本を見て非常に奇異に感じますのは、表示登記をする場合に、原因及びその日付を書けという欄があるわけですが、その「原因及びその日付」のところに「不詳」、わからないと書いてあるんです。一体こういう登記というものが現実にほかにもあるのか。それから法制、法規上こういうものが許されるのか、これをまず伺います。
#151
○政府委員(中島一郎君) お答えを申し上げます。
 不動産登記法の五十一条によりますと、登記には、登記原因と登記の年月目を書くということになっておるわけでございますので、通常の場合は、年月日と登記原因を書くわけでございますが、年月目がわからなくて、登記原因だけがわかっておるという場合には、年月日不祥、登記原因を書くと。年月日も登記原因もわからないときには、不詳というふうに書くという取り扱いになっておるわけでございます。
 ただいま御質問になっております土地の表示登記につきましては、これは登記簿に脱落しておった土地であるという認定のもとに、登記官が表示登記をいたしました。どういう原因で登記簿から脱落しておったかという点が不詳でありますので、「不詳」というふうに書いたという次第でございます。
#152
○塚田十一郎君 不動産登記法の八十条ですか、そこにははっきりと、登記をするときには、「新ニ土地ヲ生シタルトキハ所有者八一介月内ニ土地ノ表示ノ登記ヲ申請スルコトヲ要ス」、「前項ノ登記ノ申請書ニハ地積ノ測量図、土地ノ所在図及ビ申請人ノ所有権ヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス」と書いてある。いま局長が言われた五十一条登記の記載事項にも、「表題都二登記ヲ為スニハ不動産ノ表示二関スル事項、登記原因及ビ其日附並二登記ノ年月日ヲ記載シテ登記官捺印スルコトヲ裏ス」と書いてある。この規定から言えば、わからないから不詳と言って登記ができないと私は思うんですが、その点はどうです。
#153
○政府委員(中島一郎君) お答え申し上げます。
 法律の趣旨は、年月日及び登記原因を書けということになっておりますが、不詳の場合には不詳というふうに書かざるを得ないということで、そういう取り扱いをいたしておる次第でございます。
#154
○塚田十一郎君 はっきり答えてくださいよ。法律に、登記原因、所有権を証するあれを書けと書いてあるときに、わからなくともわからないと書いておけば登記ができるんだと。これ、悪いしゃれじゃないが、不詳もまた原因のうちということになるじゃないですか。そんなことがこの不動産登記法八十条の規定から出てくるんですか。これは法律解釈ですから、はっきりと答えてください。
#155
○政府委員(中島一郎君) 私どもはそういう解釈によりまして、現在そのような取り扱いをいたししております。
#156
○塚田十一郎君 それならば、まあ私も若干法律をかじっている弁護士でありますが、私は、民事局のその扱いは、これは不動産登記法違反になっておると思いますよ。原因を書きなさいという登記を、原因がわからないのを不詳と書いて、それで結構なんですというわけにいきますか、どうですか。はっきりと法律的な見解ですから、法律的な答弁してください。
#157
○政府委員(中島一郎君) 登記制度は、現在の登記によりまして、その不動産に関する権利関係を明らかにするという一面の目的を持っておるわけでございます。そのためには、従来の権利関係の変動でありますとか、あるいは実体関係の変更でありますとかいうものが、如実にあらわされるにこしたことはない、これはただいま先生のおっしゃるとおりでございます。でありますから、法律はそういう年月日並びに登記原因を書かせるということをいたしておるわけでありますが、不詳の場合には不詳ということで、現在の実体関係、権利関係というものを登記に表示するということで、やむを得ないというふうに理解しておるわけでございます。
#158
○塚田十一郎君 不詳でありながら、どうして現在の権利関係が明らかにできるのですか。おかしいじゃないですか、そんな答弁は。不詳ということは、わからないから、これは登記しないのが原則でしょうが。不詳と書いた登記を、原因を書けと書いてあるところにできるわけがない。どうですか、そこは。
#159
○政府委員(中島一郎君) 不詳と申しますのは、そういった土地が生じた原因が不詳であるという意味でありますので、原因が不詳であるけれども、土地が生じたというような場合もあり得るというふうに理解いたしております。
#160
○塚田十一郎君 原因が不詳だが土地が生じた。そういう場合に、それがある特定の人間の帰属になるということをどうして決められますか。
#161
○政府委員(中島一郎君) 大変困難な認定の問題であろうかと思いますが、今回の場合に限って申しますならば、こういう脱漏地がある。登記簿に表示されていない土地があるということで、表示登記の申請が行われました。直接にその土地の所有関係を証する書面というものはなかったわけであります。そこで、登記所の扱いといたしましては、その土地が、元日神山一番地の一の土地のだんだんと分筆をしていった残地ではなかろうかという疑問を持ちまして、その辺の調査をいたしました。そうして、元日神山一番地の一の土地の所有者、現在の所有者でありますとか、あるいはその前の所有者でありますとかという人から、問題の土地は、目神山一番地の一の分筆残地ではないという証明書を徴しました。さらには、登記に記載されてない土地は、まずこれは国有地ではあるまいかという疑いが生ずるわけでありますが、本件の場合には国有地ではない。国有地は、そのあたりには存在しないという証明を、管轄をいたしております財務局財務部長から徴しました。さらに営林署の署長からは、隣地の山林との境界についての証明書を徴しました。そういった直接ではございませんけれども、間接的にその土地が他の何人の土地でもない、申請人の土地であるらしいといったようなことを証明する、一つ一つでは証明するに足りませんけれども、すべて総合すれば証明するに足るのではなかろうかと思われるような書類を総合的に判断いたしまして、総合的に考えまして、これが先ほどおっしゃいました三倉地所株式会社の所有であるという判断を登記官はしたものというふうに考えております。
#162
○塚田十一郎君 あなたの答弁に間が抜けているところがある。いいですか。だれの土地でもない。しかし、どうして三倉になる。だれの土地でもなければ、これは民法上無主の不動産は国に帰属するんです。ところが、私もあの申請について出ているいろいろな書類を見てみた。財務部が発行して、ここに国有地はないと言われる。それは、現在国有地として国が登録をして持っているものはないということで、しかし、無主の土地であればそれは国有地になるんでしょうが。どうしてそのまま三倉の方へ行かなきゃならぬのですか。その点はどうですか。
#163
○政府委員(中島一郎君) もともとは三倉が前主から買い受けたという売買契約書がございました。もっとも、前主の所有であるという的確な証明書、あるいは登記の記載というものはなかったわけでございます。登記官といたしましては、先ほど申し上げましたようないろいろな書類を徴したほか、実地調査をいたしまして、先ほどの売買契約書とあわせて、三倉地所の所有であるという判断に達したと、こういうふうに理解しております。
#164
○塚田十一郎君 それでは、こういう問題があるということを、私はあなたのところの三課の連中に、こういう疑問があると言ってあれをしておいたんですから、相当お調べになったと思いますが、この問題の土地がどういう経路で三倉の所有になったかという経路をちょっと話してください。契約があるとおっしゃったその契約です。
#165
○政府委員(中島一郎君) お答え申し上げます。
 もとの所有者が大西定吉という者でありまして、それから昭和三十四年の十二月三十日付の売買によって、三倉地所株式会社が買い受けたということであります。
#166
○塚田十一郎君 それから先はお調べになっておるんですか、おらないんですか。――それじゃもうちょっと具体的に。大西定吉が三倉地所に売ったとおっしゃいましたね。契約書はそのとおりになっている。それでは、大西はいつの時点からこの土地を持っておったんですか。
#167
○政府委員(中島一郎君) その点は私どもの調査でははっきりいたしておりません。
#168
○塚田十一郎君 はっきりしておりませんということがありますか。登記のときに出してある申請書には、それに関連した書類がちゃんとついてるんです。私は突然にきょうこの問題を皆さん方にお尋ねしているんじゃないですよ。こういう点が疑問があるからと、あなたのところの三課の諸君を何遍も呼んであれをしているんです。これだけ予告をしておくのに、その不勉強じゃどうにもならない、これは。
#169
○政府委員(中島一郎君) ただいま問題になっております無籍地の隣接に五筆の土地がありまして、その五筆につきましては、西山町の二番と四十二番と四十八番の一と四十九番と五十番という五筆になっております。
 二番につきましては、昭和三十五年の四月の十三日に大西が取得をしております。以下、四十二番につきましては三十五年の四月の六日、四十八番の一につきましては同年の四月の六日、四十九番につきましては同じく四月の六日、五十番につきましては三十四年の十月の十二日ということになっております。
#170
○塚田十一郎君 そのとおりです。
 それでは、大西と三倉の間の売買契約の日付を見てください。
#171
○政府委員(中島一郎君) お答え申し上げます。
 西山町二番の土地につきましては三十五年の四月の二十日、以下すべて三十五年の四月の二十日ということにたっております。
#172
○塚田十一郎君 売買契約の日をお尋ねしておるのです。
#173
○政府委員(中島一郎君) 昭和三十四年の十二月の三十日でございます。
#174
○塚田十一郎君 そうすると、売買契約を大西が三倉地所としましたのは、三十四年の十二月三十日、その時点では、大西は少なくとも公簿面に出ておる五筆のうち四筆はまだ所有権を持っておりませんね、登記面上は。そういうことでしょう。
#175
○政府委員(中島一郎君) そういうことになります。
#176
○塚田十一郎君 あの売買契約の内容を、最後の物件表示のところを御説明ください。
#177
○政府委員(中島一郎君) 不動産の表示といたしまして、西山町二番の土地、四十二番の土地、四十八番の一の土地、四十九番、五十番の土地とそれぞれ掲げてありまして、山林として坪数が書いてございます。「右実測坪数合計一二、二六七坪五合四勺」と、こう書いてございます。
#178
○塚田十一郎君 そうすると、私が補足をしますが、大西と三倉の間に交わされた売買契約書は、期日は三十四年の十二月三十日、そうですね。そうして、そのときの売買契約書に書いてあった物件表示は一万。二千何がしかの坪数。ところが、あなたがさっきおっしゃった五筆の公示の坪数は五千三十三坪のはずですよ。そうすると、一万二千何がしかの土地を、たった五千三十三坪の登記面上の権利を、しかもそのうちの四筆の大部分は、売ったときにはまだ登記面上持ってなかった。しかし、最後に取得をして、四月二十日の登記日までには一応大西氏が取得をした、そのほかに、七千句坪かの公簿面よりも上回る土地が一緒にくっついて売買契約になっているが、こんな
契約おかしいとお考えにならなかったか。
#179
○政府委員(中島一郎君) 疑問がなかったわけではないと思いますけれども、処理いたしました登記官としては、こういうこともあり得るという判断で処理したものと思われます。
#180
○塚田十一郎君 私は、登記官が判断したかしないかということ、これは判断したから登記したに決まってるんですよ。その登記官の判断に間違いがなかったかと言ってるんですよ、不動産登記簿上、それから取引の実情からして。どうですか。登記官が判断したからそれて結構なんだというあなたは判断ですか。
#181
○政府委員(中島一郎君) 具体的な判断の問題でありますから、これだけでどうと言うわけにもまいりませんが、百人が百人ともそういう判断をするだろうかと言われれば、そういうこともあるまいというふうに考えますが、これも一つの判断であろうかというふうに考えております。
#182
○塚田十一郎君 それでは、まあ話を進めましょう。
 大体そうすると、いままでのあれでは、大西定吉なる者が、三倉地所に売った土地というものは、約一万二千何がしかの坪数の土地であって、そのうち公簿面に出ておったのは五筆、五千三十三坪しかない。その五筆のうち、一筆だけが売買契約の当時には登記面上持っておったが、その後は売買契約の当日には登記簿上所有権を取得していなかったということですね。
 そこで、登記面上ある土地を持っている人が、売買契約にそれよりも大きな坪数、俗に延びと言うんですが、延びが倍以上もあるというような実例は世間にありますか。だから、登記官が判断したんだから、そういう場合もないではないだろうから結構じゃないかというあなたの答弁だけれども、私は逆にこんな事例は絶対にこれはあり得ない、だからして、そのときにもう少しなせ注意を払わなかったのかということです。どうですか、そこは。
#183
○政府委員(中島一郎君) なわ延びというふうに判断をいたしたものか、あるいは隣接の無籍地というふうに判断をいたしたものか、ちょっとはっきりしない面もありますが、普通の場合、倍以上というのもそうしばしばあるケースではないというふうに考えるわけでございますけれども、この具体的な場合としては、そういう判断をしたものであろうと。それが正しいかどうか、現在考えてみてどうかということになりますと、やはりほかの資料、あるいはほかの調査などの結果とも関連をしてくる事柄であろうというふうに考えております。
#184
○塚田十一郎君 逃げてはだめですよ、答弁は。それをよく考えておいてください、そうして私が質問をするから答弁に出てくださいと、私はあなたの三課の連中を何遍も呼んで、おれはことに与党だから、委員会で政府委員をとっちめようとは思わぬと、答弁ができるように調べてきなさいと言っているんだ。全然調べてきていないんだ。
 無籍地であるということであれば、絶対に大西の所有にはならぬでしょうが、さっき言ったように。大西がああいう形で三倉に売れるとすれば、あの辺に大西なる者が相当土地を持っておって、そうしてそのほかにいまの延びと称する部分も占有をしておって、そういう状態のときに初めて私はこういう売買契約が出てくると思うんです。ところが、大西はさっきの五筆、このたった一筆のあれは、登記面上契約の日にはもう所有権を持っておったこの一筆すらも、前の月にやっと所有権を取得している。だから、契約をした時点では大西は何にも、公簿面上でもそうだのに、その周りに七千坪もの土地を大西が所有しているという前提で行った売買契約に、少なくとも登記官ともあろう者が不思議な感じを持たずに、よく登記ができましたね。そうして、それをあなたは、登記官がやったんだから、私がこれだけ事情を説明してもやっぱり何か理由があったんだろうぐらいですっと逃げようとしている。どうですか、ここは。
#185
○政府委員(中島一郎君) 登記官の判断をそのまま是認しておるというわけではございませんので、登記官はどういう経過でどういう判断に到達したのであろうかということを私なりに考えれば、こういうことであろうかということを申し上げたわけであります。それを私ども現在どういうふうに評価しておるか、どういうふうに考えておるかということは、また別の問題であるというふうに御理解願いたいわけでございます。
#186
○塚田十一郎君 そのどういうふうに考えているか、いま考えている判断をおっしゃい。それを私が聞いている。
#187
○政府委員(中島一郎君) 結局この土地は、土地の場所的な関係から、沿革的な関係から申しますと、先ほどから問題になっております目神山一番の一の、いわゆる分筆残地ではないかという疑問が当時もございましたから、登記官いろいろ調べたんでしょうし、現在私どもが考えましても、その疑いがないわけではないわけであります。これは引き続きそういう疑いがあったというわけでありまして、その後、現実にこの分筆の残地だというふうに主張する人があらわれまして、そして訴訟になりました。そこで、私どもといたしましては、その訴訟の結果を待っておりまして、もし分筆残地であるということならば重複登記、二重登記になるわけでありますから、そうすれば登記の面でこれを抹消するということも可能であろうというふうに考えておったわけでありますけれども、その訴訟が和解によって片づいたわけでありますけれども、結局、残地であるというふうに主張しておりました人が、現在の表示登記、四十二年の表示登記の所有権に所有名義人として記載されたその関係の所有権を是認するというような形の和解によって解決されたものですから、私どもとしては、二重登記であるという判断をすることが非常に困難になったというような実情でございます。
#188
○塚田十一郎君 私がお尋ねをしておるのは、昭和四十二年の十二月ですか、いわゆるこの問題の土地がまた表示登記をした、そのときに表示登記をした土地が、大西から三十四年の十二月三十日の時点で売買されておるという原因から来ているんです。その原因を踏まえて、四十二年に登記官が登記をしたときに、これを三倉の地所と認定ができたのかできないのか。その後どういう人の間でどういう話し合いや和解ができたかは、そんなことを私は聞いておるわけじゃない。問題はそこなんです。わかりますか、私がお尋ねしているのが。つまり、あなたの部下の大村昭次君という登記官が、四十二年の十二月の時点で登記をしたときに、登記するだけの原因が整っておったのか、少なくとも大村登記官に常識があれば、大西が三倉に売ったんだから、大西が一体この土地にどれくらいの権利を持っておったのか、いつごろから権利を持っておったのか、調べてみればすぐに大西は三倉に売るだけの土地の権利は持ってなかったということがわかる。事実どこにも大西が土地を持っておったという――登記面に載っている土地でさえ大西が契約した後から四筆も買っている。ましてその周りの土地が、どうして大西が四十二年の十二月三十日の時点で所有権を持っていますか。持ってない土地を売ったというんであれば、一種の不動産侵奪です。
 そこで、この土地の配置の図面をお持ちですか。なければ一部差し上げます。
 これが買い主が、三倉地所が四十年十月の時点で問題の土地はこういう配置になっておる。この公図上ある五筆の配置図と、いわゆる無籍地と考えられる土地、つまり七千何坪大西が所有権を持たず延びだと言って一緒に売ったこの土地、この五筆を買った人が、その他の土地にどういう権限を持ち得ますか。全然権限あるわけないでしょうが。私は、自分の調査の結果は、この問題の土地はやっぱり一番の一の残地だと思います。なぜかと言えば、周りのここにある土地は全部一番の枝番ですからね。だから残っている土地もこれは一番の一の残地であるに間違いない。ただ、残地である場合にだれの所有に属するのか、問題はまた別にありますけれども、少なくとも大西定吉の土地ではなかった。
 私が非常に不思議に思うのは、この契約――大西定吉は伝えられるところによれば不動産業者です。ところが、大西定吉がこの土地を三倉に売るときに、住友銀行本店の不動産部の仲介をしてもらっているんですね。私は、住友銀行の本店不動産部ともあろうものが、こんなずさんな売買契約のよく仲介をしたものだなと思うんです。少なくとも不動産業者というものは、売買双方のために、これ間違いないものですという保証をする立場でしょう。そして、住友不動産に聞いてみたら、売買仲介をしたときには公簿面上と実測図とうんと開いているということはわかっておりましたと言っている。わかっていたら何でもう一つその裏を考えてみなかったのか。ところが、住友の不動産部に言わせると、いや、私は測量した人を信用しておりましたと。山根という測量士です。これは何か住友不動産部の言い分によると、あの辺では長老的な存在の測量士だと。非常に信用のある方だと。この人が測量したんだから間違いないだろう。それから登記面上は司法書士に調べてもらって、それを信用した。自分では何もやってないんですよね。そこで、山根測量士が測量したその最初の図面、つまり三十四年の十二月の時点で取引契約の基礎になったもの、私は、こういうぐあいに所有権関係がはっきりしていない土地を、少なくとも信用のある測量士が、よく測量したものだなと思うんです。大体測量士は、測量するのには依頼人がある。依頼人はその土地に対して何らかの権限を持っているか、これは私の土地ですから測量してくださいというのがあるでしょう。そして、大西が三倉に売ったんですから、この土地の測量は大西が山根に測量を依頼してなければならない、これ常識ですね。ところが、これを見ると、どうも大西が依頼した気配はない、逆に買い主の三倉地所が依頼したかっこうになっている、測量図に書いてある。こんなものおかしいと思いませんか。三倉が何の権限を持ってこの土地に――これは測量したのは三十四年の十二月二十五日作成と書いてある。恐らくその前に依頼を受けたんでしょう。全然権限を持ってない人間の依頼でもって、山根測量士がこういう図面をつくったから、それが取引の基礎になったんだ、この点どうですか。
#189
○政府委員(中島一郎君) 疑問がないわけではございませんけれども、買い主になろうとする者が、測量を依頼するというようなケースも間々あることであるというふうに考えております、
#190
○塚田十一郎君 売り主であろうが買い主であろうが、私がしばしば申し上げるように、これだけの土地に対して何の権利も持ってなかったじゃないですかと言っているのですよ。そうでしょうが。公簿面にやっと大西が土地をあれしたのが、三十五年の四月の時点でしょう。その人間が三十四年の暮れ前、これ二十五日作成だから、この前に依頼をしておるに違いない。現にこの測量を山根測量士がしましたときには、現地住民の知っておる人から、何で山根がそんな土地を測量するんだと言って、苦情が起きた場面があるという話を私は聞いているのです。苦情が起きようが起きまいが、権限が何にもないじゃないですか、三倉にも大西にも。どうですか、それは。
#191
○政府委員(中島一郎君) 大西が登記名義人になっておらなかったということは御指摘のとおりでございますけれども、登記がなくても実態上の所有権を有するということは、これは一般論としてでありますけれども、あり得ることであるというふうに考えます。
#192
○塚田十一郎君 私も登記がない土地を売った、しかし、その後登記までに所有権を取得して移転したんだから、その面はいい、そのような権利関係しかこの辺の土地に持ってなかった人間が、何で公簿面の五千三十二坪の、倍も上回る、実測はこうだからという土地が、何の権限が大西にあるのですか。少なくとも大西がああいう売買契約をすることができるためには、大西は相当古くからこの地域に土地を持っておって、あわせていまの測量した地域に対して実際上の何か占有を証するような現象があったとするならば、それは納得できないことはない。そういう関係全然出てないでしょう。こんなものは不動産の売買の経路を扱う、素人だってうなずける話ですよ、それを登記官ともあろう者が、その不思議さというものに気づかずに、ですから、原因不詳の登記というものは、これはよほど異例なものですから、そういう異例なものをやるためには相当な注意をして、どう考えてもこれはこうなければならないというのでなければ、絶対に出てこないはずだ。私は証拠を握っておりますからなんですが、登記官に不正があるのだ、本当は。しかし、それは私は委員会の正式な問題として取り上げる意思はない。もう古い問題だし、刑事問題にもならぬから。これはそういう状態でなければできない取引なんだ。だから、最初に一筆の登記簿謄本があると言いましたけれども、それと同じようなものが合計七筆あって、この土地の合計が五千四百五十坪になっている。最初大西から買ったときには七千二百坪何がしかだったけれども、その後道路が切られたり何かして、これ登記した時点では。
 それから、枝葉のことになりますけれども、三倉が登記申請をするとき西宮出張所に出した書類、その中に三倉の社長広瀬なる者が出したてんまつ書があります。それ出して読んでみてください。
#193
○政府委員(中島一郎君) てんまつ書そのものはただいま手元紀持参いたしませんでした。
#194
○塚田十一郎君 それでは私がそのコピーを読みますから聞いていてください。「当社所有地の末尾記載物件は昭和三十四年十二月二十日に大阪市東区北浜五丁目十五番地住友信託銀行株式会社本店不動産部を仲介業者として西宮市門戸岡田町百十四番地大西定吉氏より買収した物件で昭和三十五年四月二十日に所有権移転登記を完了致しました。」と書いてある。ここがもううそですね。四月二十日に移転したのは公簿面にあった五筆だけでしょう、延びの場所は登記がしてない。ところが、売買物件ははっきりと、末尾に書いてあるように、延びも含めて一万二千七十六坪と書いている。うそを書いている。ところが、ここでうそを書いたから、またけつへ行ってうそを書かなきゃならなかった。それで一番最後に、たとえば大蔵省近畿財務局神戸財務部の国有地でない証明書とか、西宮市の旧部落有財産でない、したがって現在市の公有地でない証明書とか、そんなものをつけて、以上のごとくでございますので、「宜敷く事実調査の上土地表示更正登記の申請書」を御受理くださいと書いてある。
 三十五年の四月二十日に全部の土地が登記してあるんだから、どうしたってここで申請すれば登記してあるのを更正しなきゃならぬでしょう。ところが、このてんまつ書をつけて出したのは、土地表示登記の申請であって、表示更正登記の申請でないんです。こんな重大な点がはっきりと書面の上に出ているのに、よくも登記官ともあろう者がこれをミスしたと私は思うんです。どうですか。
#195
○政府委員(中島一郎君) 現在手元にてんまつ書の資料がございませんので、はっきりしたことお答えいたしかねますが、当初地籍の更生の申請というようなものもあったということでありますから、そういうことも含めまして、表示登記の申請を更正という言葉を入れて申請をしたというようなこともあろうかというふうに考えております。
#196
○塚田十一郎君 冗談じゃないですよ。表示登記の申請と表示の更正登記の申請というのは違うでしょうが。表示更正登記の申請とする以上は、その土地についてもう表示登記があるということでしょう。あるから、更正してくださいというのでしょう。ところが、現実には問題の土地については表示登記はまだしていないんだ、このてんまつ書をつけて表示登記の申請をしたんですよ、これは徹底的に要するに登記官をごまかそうというやり方。ここにその当時出した登記申請書があります。これははっきりと土地の表示の登記申請書と書いてあります。更正ではないんです、この辺にこの人間が、三倉が何か作為をしてごまかしているということがちらちらと出てくる、測量図面に名前が載っていてみたり。私はこれだけ問題のある、突っつけばあっちにもこっちにも疑問の点があるものをよくも登記したものだと思う。しかも、わからないから原因不詳、私はまだ正直だったと思うんです、わからないから原因不詳と書いて登記したのだから。こういう異例な原因不詳とでも書かなきゃならぬような登記が行われるときには、なぜもっと慎重を期さなかったということが、私は登記官、大村君に非常に疑義を持っておる点であり、そういう疑義があるから私が本委員会で取り上げますよと言って通告をしておるのに、ちっとも調べてないんだ。どうですか。
#197
○政府委員(中島一郎君) 従来から問題があるということは聞いておりましたので、私もそれなりに調査をし、説明を聞いたわけでありますけれども、何しろ問題点が多岐にわたっておりますために、まだ細かい点まで十分調査できていないと、私としてはまだ頭に入っていないという実情でございます。
#198
○塚田十一郎君 この事件は、私が今度取り上げただけではないのですよ。たまたま民間人に山田侃君という、非常な、ある意味においては変わり者、本人は何にもこの土地に利害関係がなかったにかかわらず、とにかくやり方がおかしいというので、徹底的にこの事件を追及してきた男がいる。この人物がこの長い年月の間に、あるいは神戸法務局、あるいは西宮出張所、国会でも同僚の和田静夫議員が昭和四十八年かの予算委員会の分科会で取り上げている。取り上げているにかかわらず、ちっとも法務省の調査というものは進展しない。その間に神戸地方法務局の局長をやられた滝口進という、この方はいま札幌法務局の局長をしておられるそうですが、私は実は委員会に出て答弁を願いたかったけれども、遠隔地の方だからというので遠慮した。この人物のときに、なるほど山田君の言うこともっともだということで、調査のための委員会をつくりましょうということを約束したんです。これもとうとうそのままになってしまった。また、西宮の出張所長をされたある人は、山田君に向かって、あなたの言うことが正しいんですと、登記が間違っているんですという言明をされた事態もある、恐らく皆さん方のところには何にもそういう話は入っていないでしょう。少なくとも、同僚和田議員が予算委員会の分科会でこの問題を取り上げられた時点で、この問題を法務省当局としては徹底的に洗って、曲庇をただしておかなければならないのです。あなた方の悪いところは、その場逃げてしまえばもう後は人が変わっちゃう。この土地はやっと、私はやっとと言う。三十四年の十二月三十日に所有権を取得したということになっておりながら、公簿面の五筆は翌年の四月の二十日に登記はできたけれども、あとの部分は登記できないで、やっと四十二年の十二月四日に大村君が気をきかしてやってくれたということで登記ができた。そうしたらば、もうすぐに、四十三年の六月八日にこの土地が永和精器に移っているんですよね。この会社は、聞くところによれば、幸福相互銀行と特殊の関係にある、俗に言う子会社と言ってもいい会社だというのです。なるほど永和精器がこの土地の所有権を取得するときに、幸福相互がこの土地に根抵当権を設定している、恐らく金を貸したのだろうと思います。幸福相互から金を借りて、永和精器がこの土地を買ったんです。ところが、三十四年の暮れに、四千七百二十三万円で買った土地が、このときには幸福相互が限度額三億円の融資の対象になっているんですよ。私は、この事件を取り上げた当初、この事件の裏に、金融機関として幸福相互が相当深く介在をしておるといううわさを聞いておりました。ところが証拠がない。少なくとも国会のこの委員会で取り上げるのには一片のうわさだけではどうにもならない。たまたま証言が得られたのであります。
 小池亮一という人物がおる。この人物は、当時の幸福相互の頭取であった頴川徳助氏といいましたか、名前ちょっと正確には覚えていないが、この人物のおいであるようです。この人物が、当時永和精器の社長、それから永和精器の後、今度この不動産を買い受けた幸和不動産、これはもう完全に幸福相互の不動産会社、これの専務をしたりしておった。ところが、この人物は、もう先般皆さん方も新聞などに出て御存じのように、頴川徳助氏とけんかになっちゃった。けんかになった理由は、当時新聞などの報道によると、小池君が、こういう一連のお手先をやってためた金ではないかと思うのですが、相当額の金を幸福相互へ預金をした、期日になって払い戻しを請求に行ったらば、頴川頭取が、これはおまえの金ではないぞ、おまえの名前をかりていただけのものであるということで、ついにいまだに払い戻しをしない、それが原因でこうなったらしいです、これは真偽のほどは確かめておりませんけれども。私がこの問題と取り組んがいると言ったらば、この人物が先般わざわざ東京まで来て、これはもう先生のおっしゃるとおり、万事幸福相互が指図をしてやったんですという証言があるんです。私が幸福相互の手先でやったと。ところが、先ほど申し上げました山田君も、その点を早くから気づいて、山田君は、むしろ三倉はその後土地を放してしまったから、もっぱら幸和不動産、その裏の幸福相互を相手にずいぶん折衝をしておったようですが、その折衝のある段階で、大体幸福相互というような金融機関が、こんなことをするのはけしからぬというので、大蔵省へ話を持ち込んだのです。それで、当時の中小金融課長の吉野良彦君、現在主計局の次長をされておりますが、この人物が話を聞いて、それはひとつ両者の間でお話し合いをなさいという仲介の労をとってくれたということを山田証人から私は聞いておるんです。そこで、大蔵省から、こういう事実があったのかどうかひとつ。
#199
○説明員(小田原定君) ただいま先生の御指摘の問題で、昭和四十九年ごろ、銀行局の方に苦情があったと、これについて、苦情の申し立て者と銀行の間で十分話し合うようお勧めしたというぐあいに聞いております。
#200
○塚田十一郎君 話し合うようにあっせんの労をとっていただいたのですか。
#201
○説明員(小田原定君) あっせんの分といいますより、個別の紛争案件でございますので、当事者双方の話し合いで解決するのが適当であるという考えから、銀行局としてはこの種の苦情申し出の場合、双方に対し話し合いをするようお勧めするのが基本的な態度でございまして、行政の過剰介入をしてもいけないという基本的な姿勢を私どもはとっております。ただいまの御質問の案件についても、何分相当時間が経過していることでもございますので、当時の中小金融課長の吉野さん、それから当時の課長補佐、それから当時の係長等可能な限り当時の関係者に当たってみました。本件も、ただいま冒頭に申し上げましたような、銀行局としての基本的な個別事案の紛争に関しての処理方針に従って、対処していたということでございます。
#202
○塚田十一郎君 山田君の申し立てによりますと、ある筋を通してお願いをしたもののようだが、結局幸福相互を監督する立場にある中小金融課長が間に立って、双方で話し合いをしなさいといって、場所は大蔵省の、どの会議室か知りませんが会議室、日時を決めて両者を会わせるようにお骨折りを願ったが、相手方は当日はだれも出頭しなかった。そこで改めてもう一度日を変えてお世話願ったけれども、その目も幸福相互側といいますか、幸和不動産側は出てこなかったと本人は申し立てておるのですが、そういう、つまりあっせんをしていただいたということは事実なんですか。
#203
○説明員(小田原定君) あっせんという言葉が適当であるかどうかちょっとあれですが、個別の事案で当事者間で紛争がある場合に、その当事者と、これは幸和不動産という、銀行が現在約五%弱の株式を持っている不動産会社のようでございますが、そういうことで、銀行とはそういう関係があるので、話し合いをしなさいということをしたと。それから、私がいま言いましたように、当時の関係者に可能な限り、係長はもう東京にいませんですけれども、それにも当たってみましたところ、役所の会議室と言ったというようなことはどうしても記憶にないようでございました。それで、ただ、銀行の方に、とにかくこういう苦情が来ているぞということで、話し合いに応じたらいかがですかと、こういうことを言ったということは事実のようでございます。
#204
○塚田十一郎君 この問題もまだしり切れトンボですが、もう一つの点の方は、もう時間が余りありませんので少しだけあれをしておきますが、登記面に載っかっておって、現実には土地がないという土地があると最初に申し上げましたが、先ほど申し上げました山田君は、これは初めから持っておったのではなくて、所有権を取得して、いまそのうちの二筆だけ所有権を持っておりますが、こういうものが他にも相当多数あると聞いておるが、法務省、どんな状況ですか。
#205
○政府委員(中島一郎君) 登記簿上は西山町に存在することになっております五十二筆の土地がございますが、これが現実にはどこにあるのかないのかということがはっきりしないというケースがございます。
#206
○塚田十一郎君 一般論としてお尋ねしますけれども、こういう土地は私は、私は郷里新潟県ですが、新潟にもやっぱりあるらしいんですが、こういうものの始末をどうするんですかね。ということは、私がお尋ねしたいのは、こういう現象が出てくるのは原因がどこにあるのか、そうしてその原因がどこにあるのかによって、責任者がだれなのかということが私はおのずから突き詰められてくると思うんです。大体私は、さっきも申し上げましたように、登記官が登記をするときには、この土地がどこにあるのかということを確認してやらなければならないことになっているんですよね、所在図をつけて出しなさいと。そして、疑いがあるならば、登記官は現地へ行って調査をする権限を持っている。だとすると、登記が行われているということは、土地があった証拠だと国民の側からは受けとってもいいと思いますが、どうですか。
#207
○政府委員(中島一郎君) 一般論として申しますならば、おっしゃるとおりでございます。
#208
○塚田十一郎君 そうすると、五十二筆というんですが、私が調べると少なくとも五十八筆あるんです。そうして、このいまの問題になっているこの土地は、このケースの場合には、経路がこの目神山、旧番地西宮市大字中字目神山一の一の土地を、当時の持ち主長尾欽弥なる者が、ある目的があって七十筆分筆をした。したがって、坪数は皆二十坪とか三十坪くらいなんです。その土地が結局この行方不明の土地、実在のない土地に大部分なっているんです。ところが、それを分筆をしたときの状態と、現在の登記面の状態を見てみると、場所がすっかり変わっちゃっているんですよ。というのは、分筆したときに長尾何がしかなる者が、その分筆届につけた図面、この番地の土地はこの辺にあるんですというので見ると、現在の地名からすれば、西山町にはほとんど入ってない、あるいは日之出町であるとか、あるいはいまの甲陽園目神山町であるとか、あるいは本庄町であるとか、だから、いつの間にか分筆したときに、分筆した人がここの場所にこういう土地を分筆したんですといって出したものが、いつの間にか違うところへ番地が打っちゃってるんですよね。こういう現象は一体、この登記というものを通して起こり得るのかどうか、どうですか。
   〔委員長退席、理事佐藤三吾君着席〕
#209
○政府委員(中島一郎君) おっしゃるとおりに、五十二筆の土地につきましては、当時の分筆届書に添付されております分筆図面によりますと、現在の甲陽園山王町、あるいは甲陽園日之出町に所在するという推測が成り立つわけでありますけれども、いろいろ調査をいたしましたけれども、その土地の正しい土地がどこであるかということを確定することは、今日では不可能であります。
 どうしてこういうことが起こったかと申しますと、分筆の届け書きに添付されておりました分筆図面、この分筆は昭和十三年に行われておりますが、土地台帳附属地図ということで税務署が所管をいたしておりまして、昭和二十五年に法務局がこれを引き継いだわけでありますけれども、この地図が非常に何と申しましょうか、摩耗しておるようなこともありまして、あるいはその後、分筆の書き込みが十分にされていなかったというようなものもありまして、非常に整備されていないものであったというようなことも、こういった混乱を生ずるようになった一つの原因であるというふうに考えております。
#210
○塚田十一郎君 これは二十八年の当時に地名変更があったんですよね、あの地域が、それで地名変更をめぐって、旧番と新しい番との比較対照を、当時兵庫県が出したもの、西官市が出したもの、この二つが同じ番地のものを扱っておる、これ二つを丹念に私が比較してみたことがある。これ二つを比較すると、こういうような重複があったり、一方にあって一方になかったり、私はこれを見て、余り登記というものは当てにならぬものだなという一つの感じを持った、そういう事情でこういう登記があって、実在のない土地ができたんだから、私はこれは原因はやっぱり登記所側、つまり法務局側にあるんじゃないか、ということになると、もう一つ推理を進めていけば、こういう実在のない登記が出た土地があるということ、しかも一筆や二筆でなしに大量にあるということは、やはりその原因を追及して、
   〔理事佐藤三吾君退席、委員長着席〕
私が想像するように、もしも登記所側にあるならば、私はこの空な、実在のない登記面の土地を持っていられる人に何らかの形で私は国が賠償するなり、何なりの措置をされる必要があるんじゃないかと思うが、どうでしょう。
#211
○政府委員(中島一郎君) 戦前から戦中、戦後を通じまして、登記を所管する役所も変わったというような事情もございます。地図の保管をする役所も変更をしたというようないきさつもございまして、いろいろのことが重なりまして、こういう実態になっておるということは、現在登記行政をつかさどっております私どもといたしましては、大変遺憾な事態であるというふうに考えております。その原因が国側にあるとするならば、それに対する責任も免れることはできないというふうに考えておるわけでございます。
#212
○塚田十一郎君 そういう一般論では困るんです。この問題はなるほど私どもに責任があるとお考えなのか、いや、それはそういう空な土地を持っている人たちがあれをしたのか、この問題に対する御意見。
#213
○政府委員(中島一郎君) まず五十二筆の土地が現実にあるのかないのか、どこにあるのかということがはっきりいたしませんので、私どもとしては、まずその点を確定することが先決問題であろうかというふうに考えるわけでありますが、私ども行政的な調査の結果によりましては、ついにその点を確定することができなかったわけでありますので、この上は権利を所有しておるという人において、関係人の間に話し合いがつけば結構でございますが、そうでない場合には、訴訟によってその点を確定していただくという以外に法務局側と申しましょうか、法務省側としては、残念なことでありますけれども、解決方法がないというのが実情でございます。
#214
○塚田十一郎君 訴訟によってと簡単に言われますけれども、いま土地のない被害者側はだれを相手に訴訟を起こせばいいですが。
#215
○政府委員(中島一郎君) 所有者としては自分の土地がここだということを御主張になるわけでありましょうから、現在その土地に対して重ねて権利を持っておる人たちとの間で解決をしていただくということに、まず確定していただくということになるんじゃないかと思います。
#216
○塚田十一郎君 ことに問題が私非常にむずかしいと思うのは、一筆一筆が非常に小さいんですね、二十坪とか三十坪。その人たちがおれの土地はここなんだと言うことができますか、想像でも推定でも。その程度で、それじゃおれの土地はここのはずだからと言って、そこの人間を相手にとって、これが裁判になりますか。
 私はついでですから、もう時間がありませんから一言もう一つ申し上げておきますが、この目神山一の一、これは当初は長尾欽弥、昔わかもと製薬という会社があった、あそこの社長をされておった方が長尾欽弥さん、この人があの地域を百町歩以上大まとめにして買われた、何か分筆をする前後のあそこに、非常に台風があって土地が荒れたと。区画整理組合をつくってあれをするために、一人の所有ではいけないので、所有者を何人かこしらえたというのが分筆の原因であったと私は聞いている。恐らくそういうことはあったろうと思うんです。だから、登記面上の所有者は余り自分でこの土地がおれの土地だというあれはしっかりしてないんですよね。それで、この長尾さんの土地を、その後長尾にかわって管理をやっておったのが長生地所株式会社、この長生地所株式会社が土地を預かって管理をしておった時代に、当初分筆をした場所が非常にいい土地になって、これを売りたくなっちゃった。それでそこを売って、そこに初めから分筆されておった人を、もっと田舎の西山町へ移すと、土地をかえてやるというあれをしたという話を聞いているんです。ありそうなことだが、その話の筋からすると、いまの空に所在のない土地を持っている人の土地は、少なくとも長尾の土地を管理しておった長生の気持ちからすれば、問題になっておる西山町の無籍地だった土地を、あそこへ移してやるということになっておったと私は想像するんです。それをその手続を十分しないうちに、浮き上がっちゃったんです。しかし、そういうもし私の想像とおりのことが行われたとすると、もとの場所に二重登記が行われなければ、これはできないと思うんですが、どうですか。最初分筆した場所をほかの番地にしてそうして売ると、そうしなければ、私はこういう現象は起こらぬと思うんですが、もしそうだとすれば、やっぱりこれ登記所の責任ですね。だから、おまえら勝手に自分の場所はここだと言って、相手を見つけて訴訟を起こせなんて、そんな薄情なことを言っておられますか。その点どうですか。
#217
○政府委員(中島一郎君) 土地関係で権利を確定していただくということになれば、非常に困難ではありますけれども、ただいま申し上げたような方法しかないであろうということを申し上げたわけでありまして、国に対する責任を追及されるということであれば、またそれなりの訴訟が考えられるということかと思います。
#218
○塚田十一郎君 大臣、お聞きのとおりなんです。まことに残念ながら、国民は登記というものを非常に信頼をしておる、不動産の売買その他をやるときには、まず登記所へ行って見てくる、登記に載っていれば間違いないと。ところがその登記が信頼できないという現実がある。一方納得できないのに登記が行われている、一方登記面があるのに土地がないということになっておる。私は事実上はこの二つのあれはつながっていると思うんです、さっき申し上げたように。ここのところ売りたいが、しかしこの人たちはあっちへ移してやればいいという関係で新しい地番を振った。その振った地番を十分西山町に配置する余地があったにかかわらず、配置しないでおったから、あいておったから、乗っ取られたという形に私はなっておると思うんです。
 私はだからして、きょうお尋ねしている一時間二十分の質問の要点、最後の結論は、一つ、この昭和四十二年の十二月の時点に、このえたいの知れない土地を三倉のために登記をしたこの登記を、これは間違っていると思うからして取り消していただきたい、これが一つ。それから、登記があって土地を持たない、そういう人たちに何らかの救済措置をしてもらいたい、これがもう一つ。これに対して大臣の所見を伺いたい。
#219
○国務大臣(奥野誠亮君) いろいろお話を伺っておりまして、大変な混乱した不動産登記になっているんだなということを教えられました。不動産登記を所管しております法務省としても、なかなかいままで聞いておりますと、苦労はしてきているようでございますけれども、なお一層いま三つの御提案もあったわけでございますから、私なりにさらに勉強さしていただきたい、こう思います。
#220
○塚田十一郎君 大臣にお約束いただけるか、とにかくどういう結論になるかはわからぬが、これ結論を出していただけますか、二つの問題。その結論がどういう結論になっても、なるほどそう言われればそこでしんぼうせざるを得ないんだなという結論が出てくれば私は納得しますが、そうでない限りは、私が本委員会でこの問題を取り上げさしていただいた以上は、中途半端ではこれはほうっておくわけにいきません、今後あらゆる機会に追及をします。いかがでしょうか。
#221
○国務大臣(奥野誠亮君) いずれにいたしましても、結論を出して御相談申し上げたいと思います。
#222
○中尾辰義君 最初に法務省にお伺いをいたしますが、最近中小証券会社の乱脈経営等を原因とする倒産事件があちこち起こっておるわけであります。破産、会社更生事件等倒産事件がこうして近時増加の傾向をたどっておることは非常に憂慮にたえない事態でありますが、それに関連する一般小口の投資債権者の被害、これが非常に影響するところ甚大でありまして、最近京都におきましては、これは本年二月ですが、高木貞証券会社の倒産をめぐりまして、多数の被害者が債権の回収不能による損害賠償請求を、国、つまり代表者たる法務大臣を被告として提起をしたようでございますので、この請求の趣旨と原因につきまして、概略でいいですから説明を願いたいと思います。
#223
○政府委員(柳川俊一君) 御指摘の事件は高木貞証券株式会社が昨年四月、事実上倒産したことに伴う証券会社のお客さんからの損害賠償請求事件でございます。原告は証券会社のお客さんが九名、それから被告は国と京都証券取引所及び社団法人日本証券業協会、この三名でございます。
 損害賠償請求の内容はお客さんの預託株券あるいは預託証券、これが返還不能になったということについての損害賠償請求でございまして、その総額は八千百十七万余りの金額に上ります。
 国に対する損害賠償請求の理由は、大きく分けて二点ございます。
 一つは、証券会社に対する大蔵省や、近畿財務局の監督が十分ではなかった、そのために証券会社が倒産したということが一つでございます。
 他の一つは、大蔵省及び近畿財務局の証券会社に対する指示、指導が悪い、そのために原告であるお客さんたちが債券の回収ができなくなった、大きく分けて二つが損害賠償請求の理由になっております。
 以上が原告側の訴状に記載された主張の、非常に大まかでございますけれども、概要でございます。
#224
○中尾辰義君 それで大蔵省に次はお伺いしますが、まずこれは証券取引法という法律があるわけでございますが、この目的には、一つは「国民経済の適切な運営」、これが一つ。もう一つは「投資者の保護」と、こういうふうに書いてあるんですが、私はこの証券取引法の中心的目的といいますか、これはやはり投資家の保護にあるんじゃないか、こういうふうに考えるわけでありますが、政府の見解をまずお伺いしたいと思います。
#225
○政府委員(小山昭蔵君) ただいま先生の御指摘のとおり、証券取引法第一条には、この法律の目的といたしまして、「国民経済の適切な運営及び投資者の保護に資するため、有価証券の発行及び売買その他の取引を公正ならしめ、且つ、有価証券の流通を円滑ならしめることを目的とする。」というふうに書いてございます。この第一条の趣旨は、その前段の「国民経済の適切な運営及び投資者の保護に資する」ということが究極のこの法律の目的であるという趣旨を述べてあるものであるというふうに理解しております。
#226
○中尾辰義君 次に、今日証券業はこれは免許制になっておるわけでありますね、これは昭和四十年に証券取引法が改正になったわけですけれども、この免許制になった趣旨というものも、これは善良なる一般投資者の保護を目的としたもので、一般投資者が不測の被害をこうむらないように、国つまり大蔵省が監督をする重大な責任を負っておるものと思うわけでありますが、大蔵省はこの免許制の意義について、どう考えておるのかまずお伺いしたい。
#227
○政府委員(小山昭蔵君) お答えいたします。
 証券業が国民経済的にも、社会的にも公共性の高い事業であるということ、また近時証券投資が一般に普及してきている状況であるというような背景のもとに、昭和四十年の証券取引法の改正に際しまして、今後証券会社の私設を防止いたしますとともに、大蔵大臣の監督指導体制を確立して、証券会社の経営基盤を固め、信用の向上とあわせてその健全な育成を図り、これによって投資者の保護を一層促進する必要があると考えたわけでございます。このような観点から、まず証券業の経営を従来の登録制から免許制に改めたものと理解しております。
#228
○中尾辰義君 そこで、これは昭和四十年の証券取引法の改正のときに、当時の松井証券局長のこれは答弁ですね、「免許制になりましたがゆえに、これは大蔵省といたしまして、先ほどお示しのとおり、投資家に対して現在よりも相当重い責任を負うわけでありますので、事前に投資家に迷惑をかけないように、予防的な監督措置をとるという重い責任を負うことになることは申すまでもないことでありまして、」と、こう書いてあるでしょう。あなたの先輩がそう言っておるんですがね、いいですか、だから投資家に迷惑がからないようにするために免許制になったわけですよね。そういう認識してくださいよ、あなたの方はそういう答弁しているんだから。
 そこで、この迷惑がからないように、大蔵省としては日ごろどのように証券会社等の行政指導監督をしているのか。具体的に言いますと、証券会社が倒産あるいは営業停止処分を受けた場合に、投資家をどのように保護するのか、この点、これを大蔵省と証券会社との関係、証券会社と一般投資家との関係、大蔵省と一般投資家との関係、この三つに分けて一遍説明をしてください。
#229
○政府委員(小山昭蔵君) 幾つかの点について御質問ございましたので、順次お答えさせていただきます。
 まず、日ごろ大蔵省は証券会社に対してどのような指導監督をしておるかという点について概要御説明申し上げます。
 大蔵省におきましては、証券会社のうち、いわゆる大手、中堅の一部の証券会社については本省が直接に、またそのほかの中小証券会社につきましては、財務局がこれを直接には監督しているところでございます。
 いずれにしましても、証券会社に対する私どもの具体的な指導監督につきましては、まず証券取引法に基づきまして規則実施のための細則を制定いたしますとともに、必要に応じ通達を発し、証券会社の行動基準を一般的に示達するということをいたしております。
 また、証券会社の営業、財務面の法令遵守状況等につきまして、いわゆる循環的な検査を行いまして、検査で判明いたしました改善すべき事項については個別の指導を行っております。また、毎月定期的に証券会社の担当役員等から会社の財務、営業状況を聴取いたしますとともに、必要な助言、指導等を行っております。そのほか随時問題等がある場合に、個別的な指導を行っていることはもちろんでございます。また、証券会社につきまして、重大な法令違反がある場合とか、財務状況が極度に悪化して、投資者の損害の拡大を防止するためやむを得ないと認められるような場合には、免許の取り消しとか、業務停止等の行政処分を行うことができることとなっております。
 次に二番目の御質問の点で、証券会社が倒産という事態になった場合に、大蔵省はどのような措置をとるのかという御質問であったかと思います。
 証券会社は免許事業ではございますが、当然のことながら本来純粋な民間企業でございまして、その経営の責任は当該会社の経営者が負うことは、免許制の企業の場合におきましても変わりはございません。したがいまして、不幸にして倒産等の事例が生じました場合における顧客との債権債務関係の処理につきましても、当該会社の経営者が、当事者として適切に対処すべきものと考えております。大蔵省といたしましては、証券業界の信用を維持し、投資者保護を図る観点から、平素証券会社の経営が健全に行われますよう指導を行ってきているところでございますが、仮に倒産が避けられない状態になった場合には、当該会社において、可能な限り投資者保護に配慮しながら、事態の収拾が行われるよう指導することになるわけでございます。
 ちなみに、これは国の制度ではございませんが、証券業協会におきましては、経営困難に陥った証券会社を対象とする特別融資制度があり、また倒産した場合に寄託証券補償基金制度というのがございまして、一定の範囲内での救済措置を講じられることになっております。
 三番目に、大蔵省と証券会社の関係、証券会社と一般投資家との関係、また大蔵省と一般投資家との関係は一体どうなのかというお尋ねであったかと思います。
 まず第一に、大蔵省と証券会社の関係につきましては、先ほど来申し上げておりますように、投資者保護の見地から免許、監督、検査等を通じまして、証券会社の業務が適正に行われるよう指導しているところでございます。
 また二番目に、証券会社と一般投資家の関係について申しますと、これは通常の企業と顧客の関係と同一の関係にまず基本的にはあると思いますが、これに加えまして、たとえば投資勧誘の対応が規制されている等、投資者保護の観点から証券取引法により若干の特例が置かれております。
 第三に、大蔵省と一般投資家との間の関係はどうかということでございますが、これは一般的には直接法律上の関係は余りございませんが、証券取引法に基づきまして、証券市場、発行会社、証券会社等を規制、監督することを通じて、一般投資家の保護を図っているところでございます。
 以上でございます。
#230
○中尾辰義君 大体わかりましたが、次に、証券会社の保証制度、これについて、たとえば日本銀行の特融の発動の基準だとか、証券取引責任準備金、あるいは証券業協会の寄託証券補償基金とか、あるいは特別融資とか、こういうことが挙げられるわけですけれども、これひとつ簡単でよろしいから説明をしてください、
#231
○政府委員(小山昭蔵君) お答え申し上げます。
 最初に、まず日銀特融でございますが、これはいかなる場合に発動されるのかという基準について私から申し上げるのはいかがかと思います。これは日銀の御判断の問題だと思いますが、これまでに発動されました事例が一回ございますので、御参考までにその例について申し上げます。
 日銀は、昭和四十年に信用秩序の維持、安定を図る趣旨から、日銀法第二十五条の規定に基づきまして、山一證券及び大井証券に対しまして、いわゆる特融を行いました。その内容は、両社が金融機関に担保として差し入れております運用預かり有価証券の払い戻しを受けるのに必要な資金等を、メーンバンクを通じて融資する措置をとったものであります。これは当時、投資家から証券会社が有価証券を貸り、これを担保に銀行に差し入れまして融資を受けるいわゆる運用預かりという制度が一般化していましたが、この山一、大井両証券の業績不振が表面化したことに伴いまして、運用預かり有価証券の解約等を求める顧客が急憎いたしまして、これが証券界一般に波及するおそれが強まり、ひいては取引金融機関にも影響が及ぶ可能性が生じたものであります。このために、わが国の信用秩序全体に悪影響が生じないよう、信用秩序の維持、安定化を図るための異例の措置として、日銀特融がとられたものであると承知しております。したがいまして、大手証券とか、中小証券とかにかかわりなく、個別の証券会社を救済する趣旨の制度ではないと承知しております。
 次に、責任準備金についてお尋ねでございましたが、証券取引責任準備金という制度は、これは実は証券取引法第五十七条の二というのに規定がございまして、証券事故の発生に際しまして、証券会社が顧客に対する賠償金の支払いを円滑に行うということを目的として設定しているものでございまして、各証券会社はそれぞれの事業年度ごとに、株式の取扱高に応じまして、一定の割合で内部留保として社内にこの準備金を毎年積み立てていくことが義務づけられております。この準備金の取り崩しは、それぞれ自分の会社と顧客との間の有価証券の取引に関して生じた事故の損失のために、その取り崩しが行われるということになっているものでございます。
 次に、寄託証券補償基金の制度でございますが、これは昭和四十三年に財団法人として設立されたものでございまして、証券会社の経営破綻により、万一保護領かり有価証券の返還が不可能になった場合におきまして、一社五千万円を限度として顧客に補償を行うことができるという制度でございます。
 もう一つの、特別融資というお話がございました。これが日本証券業協会の中に設けられております基金の制度でございまして、これは五十二年七月にできたものであります。その趣旨は、天災その他不測の事由、あるいは証券事故等によりまして、協会員である証券会社が経営困難な状態になった場合に、この基金から協会員に対しまして五千万円を限度に融資または債務保証をすることができるということになっておる制度でございます。
 以上でございます。
#232
○中尾辰義君 それでは本論に入ってお伺いをしますが、京都の高木貞証券の倒産に至った経過ですね、それから、その間、大蔵省としてはどのように監督、指導してきたのか、その点ひとつまず具体的にお伺いをしたいと思います。
#233
○政府委員(小山昭蔵君) お答え申し上げます。
 ただいまお尋ねの高木貞証券についてでございますが、同証券会社は、従来から経営が弱体でございまして、五十年十二月には純財産額が資本の額を下回るに至りましたので、これを補てんするために大幅な減・増資を実施いたしております。その後は市況にも支えられまして、五十三年九月期には一応表面的には黒字決算を計上するようになりました。しかしながら、五十三年十一月に近畿財務局が実施いたしました検査の結果では、歩合外務員の安易な取引姿勢等から、かなりの不良立てかえ金が発生し、同社の財務内容が悪化していることが判明いたしました。このため、財務局におきましては、同社に対して、外務員管理の強化、立てかえ金の回収促進など、必要な指導を繰り返し行ってまいりましたが、経営者において、当局の指導に従う旨をその都度表明はされたのでありましたが、経営改善のための十分な努力が行われないままに、実態としては推移いたしまして、五十五年一月に財務局がさらに同社の検査を行いましたところ、不良立てかえ金が累増していることが判明いたしましたので、同年三月五日、顧客調査を含む特別検査に入りました。この特別検査の結果、立てかえ金のほとんどは回収不能であり、多額の債務超過の状態になっていることが明らかになりました。
 このために、五十五年の四月二十一日から五月末までの間、同社の営業停止を命じたわけでございます。この営業停止期間中に、同社に対しましては、極力立てかえ金の回収に努力するよう指示いたしますとともに、同社の債権債務の確定を急がせまして、これに基づいて預かり物件の返還を順次行わしたわけでございます。
 この間、五月二十六日に社長に対しまして審問を行いました結果、今後とも大幅な債務超過の状態を解消することは期待し得ないと認められたわけでございます。このため、同社に証券会社として営業の再開を認めることは、投資者保護の観点から適当でないと判断されましたので、やむなく五十五年六月十日付をもちまして、同社の免許取り消しの処分を行いました。
 免許取り消しに際しましては、日本証券業協会及び京都証券取引所から、合計十億円の特別融資を同社は受けまして、同社の三月末の顧客約五百名のうち、一部の債務が弁済されていない大口顧客九名と、法定帳簿に記載のない債務の存在を主張される若干の顧客等を除きましては、ほとんどの顧客に対し、債務の弁済を終えたという報告を受けております。
 なお、免許取り消し後におきましても、同社の経営者は、同社の債権債務関係の整理のための努力を現在も続けているというふうに承知しております。
#234
○中尾辰義君 あなただらだら答弁せんとね、こういうときはみんな聞いてるんですから、私が聞いたのを答弁してくださいよ、そうしたらまた質問しますから。
 それで、五十五年の三月に一応これは自主休業、自主廃業ですか、これ勧告受けていますね。それ以前に、昭和五十一年、五十二年あたりから、もうどうもこの高木貞証券はいろんな調査の結果、ちょっと不安な、危ない点を大蔵省気づいておったはずですがね、そういうふうに私は理解するんですが、それまでにどういう措置をしたんですか。もう少しその間に打つべき措置があったのではないか、こういうふうにわれわれとしては判断するんですが、その点いかがですか。
#235
○政府委員(小山昭蔵君) 私、たまたま五十年の夏から五十一年の夏まで、大蔵省の証券局業務課長をしておりましたので、この高木貞証券のその間の経営状態についても、ある程度承知しておりますが、当時の記憶によりますと、この証券会社はいわばじり貧状態でございまして、経常的な収益が漸次赤字を続けておりまして、純資産の額が資本金を下回るような状態になったのでございます。
 そこで、これを監督しております近畿財務局を通じまして、同社の経営者を指導いたしまして、先ほども申し上げましたが、きわめて大幅な抜本的な減増資――これは八割減資の五倍増資という措置をいたしまして、新たに資金をこの会社に注入してもらいまして、それまでの累積していた赤字を全部埋めまして、資本金の額を純資産で回復するという措置をとった次第でございます。
 その後も京都の地場の証券界がなかなか活況に恵まれないという、経営基盤全体の環境が余り恵まれてないというような状況もございまして、もうひとつ経営状態ははかばかしくなかったわけでございますが、一応、先ほど申し上げましたように、五十三年の九月決算には黒字を計上する、こういう形になったわけでございます。
 ただそれが、先ほど申し上げましたように、一部の歩合外務員がかなり積極的に顧客勧誘の活動をいたした結果、利益が出るようになったわけでございまして、その裏腹に不良立てかえ金が発生するとか、かえって経営基盤の基本がむしばまれるというような事態が生じていたということが、五十二年の秋の立入検査の結果判明した、こういうことでございます。
 その後につきましては先ほど申し上げたような次第でございます。
#236
○中尾辰義君 それで大体わかりましたが、これは倒産は四月十八日ですな。倒産後、先ほどもちょろっとあったんですが、投資者保護のためにどのような措置をとられたのか、その点。
#237
○政府委員(小山昭蔵君) お答え申し上げます。
 同社に対して営業停止命令を出しましたのは、先ほどもお答えいたしましたように、五十五年四月二十一日でございまして、倒産という言葉をいつをもって言うのかあれでございますが、事実上営業がストップしたのはこの時点でございます。それから、最終的に免許取り消しになりましたのは六月十日付、こういうことになっております。その間は営業を停止した状態の中で、逐次債権債務関係を確定して、債権者の方に会社の債務を弁済していく、そういういわば内整理のような状態で推移してきたわけでございます。
 大蔵省といたしましては、この間ずっと、先ほど申し上げました特別検査を継続しておりまして一と申しますのも、法定帳簿そのほかにかなり不備なものがあり、また一部の歩合外務員等が取り扱いました顧客との取引等の中に、帳簿処理そのほかの非常に不明瞭なものがございましたので、一々取引先の顧客のところへ検査官が出向きまして、実際にどういう債権があるのか、あるいはどういう債務があるのか、そういう取引関係等を個別に詳細に調査するということをいたしまして、これは本来会社自体が債権債務の確定を行うわけでございますが、それをいわばお手伝いするという形でもって、できるだけ短期間に、しかも、できるだけ正確に債権債務の内容を確定させ、正当な権利者にその会社の債務が弁済されるように努力いたしたわけでございます。それとあわせまして、これは大蔵省自身ではございませんが、同社の債務超過が非常に巨額なものに上って、債権債務を最終的に精算した場合に、一般の投資者に相当の被害が及ぶということが判明いたしましたので、特別の措置といたしまして、日本証券業協会におきまして、先ほどちょっと申し上げました特別融資制度、この制度は本来五千万円というのが限度なんでございますが、これを特別の措置といたしまして、十倍の額まで同社に特別に融資すると、そのかわり、その額は投資者に対する債務の弁済に充てるんだと、こういうことで特別の措置をとられることになり、また、地元の京都証券取引所におきましても、地元の会員証券会社がこの取引所に積み立てておりました取引所の円滑な運営のための積立金の中から、別途五億円を緊急融資として同社に貸し付けるということによって、先ほど来申し上げております債権債務の精算に伴います投資者への払い戻しが可及的に行われるように、業界の協力が行われたということでございます。当局としてもこのような措置が行われたことを非常に多としている次第でございます。
#238
○中尾辰義君 そこでお伺いしますが、この高木貞証券がこのように雲行きが危なくなってきたので、近畿財務局としては、おたくの検査官を高木貞証券にずっと派遣をして、監督指導の任に当たらせておるように思いますが、この点いかがでしょう。
#239
○政府委員(小山昭蔵君) 先ほど申し上げましたように、五十五年の三月五日の日に、顧客に対する調査、これは普通余り行わないんですが、顧客に対する調査まで含めた、いわゆる特別検査というのに入りました。これは何のためにそうしたかといいますと、これも先ほど来申し上げておりますように、帳簿の記載内容に不備があるということがわかったものですから、実際の顧客との取引がどうなっているのか、どういう債権債務があるのか、帳簿に載ってない債務がほかにどれだけあるのかというような実態を究明するために、検査官が自分で顧客のところを探し当てていきまして、一々確認をするというような行為をその三月五日以来ずっと続けてきたと、そうして、そのうちに経営の実態がますます予想以上に、そういう簿外の取引等が判明してくるにつれて、一層債務超過の額が、これが大きくて重大であるというようなことがわかってまいりましたので、それ以上の被害の拡大を防ぐために、一方また債権債務の額を確定するために、先ほど申し上げましたが、四月二十一日に至って営業停止命令を出しまして、営業停止の状態で、つまり静止した状態でもって、検査官がお手伝いしながら、会社の財務内容の確定と、正当な債権者に対する弁済を可能にするような措置を進めてまいったと、こういうことでございます。
#240
○中尾辰義君 そこで、五十五年の三月の二十八日に立ち入り検査をして、自主廃業の勧告をしておるわけですね、大蔵省は。それから、これは勧告ですから、まだ仕事をやっておる。三月二十八日ですよ、そうすると、今度はそれから二日後の三月の三十日に、大口の債権者である京都ステーションセンターKK、これが約一億九千八百十二万、それから四月の十二日に残り約五億一千万、合計で約七億ちょっとですな。これを四月二十一日が業務停止ですから、それになるまでに、おたくの担当官が計画指導して、こういう大口はもう早く返せと、こういうように指導してこれを返したと、こういうふうに聞いておるんです。これ事実関係をちょっと、これは大変なことだ、こうなりますと、まず事実関係を明らかにしてください。
#241
○政府委員(小山昭蔵君) 私どもの方では、いま先生のおっしゃいました時期で、自主廃業の勧告を行ったということは承知しておりません。
 次に、先ほど来申し上げておりますように、債権債務関係の確定が大変な作業でございまして、同社の社員だけではとてもできないということで、先ほど来申し上げておりますように、検査官がこれを手伝うという形で、逐次確定をしていき、また確定の済んだもので顧客から返済を求められる、これは当時そういうことがすでにうわさに乗り、一部のマスコミ等にも載っておりましたので、この顧客の中には返済を求めてこられる方もいたわけでございますので、そういう返済に応じるという措置をとってまいったのでございますが、その返済に当たりまして、先ほど申し上げました日本証券業協会の特別融資及び京都証券取引所の積立金の取り崩しによる特別融資、いずれも高木貞証券に対して行われたものでございますが、この特別融資に際しまして、それぞれの団体と高木貞証券との間に、この特別融資に関する契約が行われまして、この契約に従いまして、たとえば保護預かりの債務の弁済をまず優先的に行うとか、あるいは無債務顧客と言いまして、すでに債務が全く会社に対してない、そうして有価証券あるいは金銭等を会社に預けてある、そういう保護預かりではないけれども、従来あった債務がすでにすっかりなくなっている無債務顧客に対する会社の債務をその次に返していく、あるいはその次には、何といいますか、非常に多数の顧客がいたわけでございますので、これを短期間にできるだけ混乱なく整理を進めていくというようなことから、債権債務の額が早期に確定された、しかも金額も比較的に小口の顧客から逐次資金繰りを考えながら返却していったと、これはもちろん会社がしていったわけでございますが、そういうふうに私どもは報告を聞いております。
#242
○中尾辰義君 これからちょっと質問が複雑になりますから、ごじゃごじゃ言わないで、私がお伺いしたことに答えてください。
 いまのと重複するかしれませんが、まず被害総額はどのぐらいあるのか、その中で、この京都ステーションセンターKKは約七億ですから大口なんです。なぜこの大口だけ先に返したかというところに、一般の投資家の不満の声があるわけですから、この点をはっきり説明を、理解ができるようにひとつ説明してください。
#243
○政府委員(小山昭蔵君) 被害総額とおっしゃいましたが、私どもの先ほどからお答え申し上げておりますことで御理解いただけますように、会社の実際の債権債務の関係といいますか、財務状態の把握というのは困難をきわめまして、実際にどれだけの債務超過になっているのかということは、その都度数字が非常に変わってきたということがあるわけでございます。ですから、どの時点で見るかによって、金額が違うわけですが、たとえば、三月の初めごろの時点でございますと、おおむね純財産で十億前後の純損失になっているであろうというようなことは推計をいたしておりました。
 それから二番目に、京都ステーション関係の債務の弁済についてのお尋ねでございますが、これは先生も御承知のように、国債のいわゆる現先取引に係る取引が二口ございまして、端数はございますが、一口は約二億円であり、一口は約五億円でございます。そうして、そのうちの約二億円の口につきましては、五十五年の三月下旬に同社の自己資金の資金繰りによって弁済されているわけでございます。残りの五億円の一口につきましては、これは同社の自己資金だけでは返済できないということでございましたので、先ほど申し上げました日本証券業協会及び京都証券取引所の特別融資の資金を使いまして弁済しているわけでございますが、これは先ほどから申し上げておりますように、保護預かりに係る債務を優先的に返していくという趣旨に従ったものでございます。
#244
○中尾辰義君 ですから、現先取引だから一般の投資家の預かり証に優先をするというのは、どこにそういう規定があるんですか。
#245
○政府委員(小山昭蔵君) これも先生御承知と思いますが、現先取引によりまして、高木貞証券は顧客である京都ステーションに対しまして、いまの例でございますと、五億円なら五億円の国債を買い戻し条件つきで売却いたしたわけでございまして、所有権は買い戻しが行われるまでの間当該京都ステーションにあるわけでございます。そして、事実高木貞証券は顧客である京都ステーションに対しまして、保護預かり証を発行しているわけでございます。したがって、この両者の関係は、単純寄託である保護預かりの関係にある、こういうふうに理解されるわけでございます。
#246
○中尾辰義君 だから、その預かり証が、一般の投資家の預かり証と――一般の投資家だって、国債もあればワリショーもあるんでしょう、どう違うのか。
#247
○政府委員(小山昭蔵君) 先生のおっしゃいましたとおり、一般の顧客についても、保護預かりあるいは一時預かりといった単純寄託であれば、これは優先的な弁済の対象となったわけでございまして、別に現先取引とその他の保護預かりとで異なる扱いをしたというわけではございません。しかしながら、それ以外の、何といいますか、寄託関係といいますか、これは通常、信用取引に伴いまして、信用取引の保証金といたしまして、現金もしくは代用有価証券を担保に差し入れることになっております。これが信用取引を手じまいしました場合に、担保の現金ないしは有価証券と両方合わせて差っ引き計算いたしました結果、顧客に対して当然返済しなければならない債務が会社側に発生することはもちろん間々あるわけでございまして、そういうものも当然投資者保護という観点からすれば、顧客にお返ししなければならないわけでございますが、先ほど申し上げておりますように、まず単純寄託であるところの保護預かり、それから一時預かり、そういったようなものをまず最優先してお返しし、その次に無債務顧客に係るそういう預かり有価証券等をお返しし、その次にいま申し上げましたような信用取引を行っておる顧客の手じまいに伴う会社側の債務を逐次弁償していった、こういうことでございます。
#248
○中尾辰義君 一応説明わからんでもありませんがね、京都ステーションセンターKK以外の小口の投資家でも、何もこれは全部信用取引の担保に預かってもらっているわけじゃないんでしょう。ワリショーもあれば、国債も買っているんですからね。またその中には七十歳のおばあさんとか、あるいはまた未亡人等もあって、これがあんた信用取引なんかできるわけないでしょう、預かってもらうだけですからね。そういうのが後回しになっておるわけですよ。それはいかがでしょう。
#249
○政府委員(小山昭蔵君) 具体的な事例につきましては、個別に見ないとちょっと私もお答えいたしかねますが、先ほどから申し上げておりますように、この証券会社の場合、法定帳簿に明確に記載されている債権債務以外の債権債務を持っておられる顧客が非常に大量におられたわけでございまして、そういう方たちについては別でございます。
 それから、もう少しお答え申し上げますと、この会社についての信用不安が、たしか三月の中旬ごろある新聞に載りまして、それ以来かなりの顧客が、先生のたとえば御指摘になっておられるような保護預かりといったようなことを、この証券会社にしているといったような顧客でございましたら、これは駆けつけてこられまして、それを返してくれというようなお申し出はございまして、そうして、それは自分のところの保護預かりで預かっているものはそのままお返しするとか、あるいはもしそれが一部他に流用されているようなのがもしあった場合には、自分のところの資金繰りでこれをお返しするというようなことは、三月の段階から逐次行われていたわけでございます。
#250
○中尾辰義君 私は、この預かり証について、ここに京都ステーションの預かり証のコピーがあるんですが、これを見ますと、これがどうも、これはナンバーで書いてあるんですが、これごまかしてあるような気がする。これは明確にする必要がある。一番最初の上の高木貞証券の預かり証の説明ですな、(1)のナンバーは、これは「お買付有価証券」、(2)が「ご売却のため」、(3)が「名義書換・株券引換・分割併合手続のため」、(4)が「保護預り有価証券」、こういうふうに、これは(1)、(2)(3)、(4)と数字によって、どういう預かり証であるか、これはちゃんと数字で分けられておるわけですよね。それではその次のページをあけてみてください。
 その次に、今度は具体的に、ちょっと字が小さいですが、京都ステーションセンター、利付国債八千万。これが(4)と書いてある。これが預かり証の(4)番です。ところが、その下に預かり証とあるでしょう、三番の。ここになりますと、京都ステーションKK、利付国債八千万。これは預かり証のナンバーが(1)番にこれはもう変わっているんですよ。こういうインチキをだれがしたのか知りませんが、要するに(4)番でありますと後になるから(1)番に、一時預かりということで訂正をして、早く返す理由づけをしたと。こういうことになりて、はなはだ、これは事実とすればけしからぬ話です。どうですか審議官、おたくは持っておるでしょう、こういう資料。ないですか。問題ですよ、これは。
#251
○政府委員(小山昭蔵君) いま先生から急な御指摘でございますが、(4)というのが保護預かり有価証券ということのようでございます。それから(1)というのはお買い付け有価証券と、こういうことになっているようでございますが、先ほどから申し上げておりますように、京都ステーションと高木貞証券の間には、利付国債に関する買い戻し条件つきの売却という契約が行われたことは事実でございまして、いずれにしましても、それは保護預かりの関係にあったというふうに私どもは理解しておるわけでございます。
#252
○中尾辰義君 だから、保護預かりならほかの小口の投資家も保護預かりですよ、同じことじゃないか。ここら辺がそれではおかしくなるでしはう、それじゃ。
#253
○政府委員(小山昭蔵君) 保護預かりの、つまり単純寄託である、何といいますか、先ほど来申し上げておりますような、信用取引の担保として預けているというようなことでなくて、単純に手持ちの有価証券を保護預けしている顧客につきましては、先生御指摘のとおり全く同じ立場でございます。したがいまして、優先弁済を受けているわけでございます。
#254
○中尾辰義君 だから、その点がまだ全然弁済を受けてない、あるいは足切りをされたもの、二千万円までであとは勘弁してくれと、そういうへんぱな返済をしておる。京都ステーションセンターKKは全額返済でしょう、あと小口は保護預かり、保護預かり証、あなたがおっしゃった同じものにしても、二千万円までで足切られたと。あるいはまた、ここにひどいのがあるんですよ。こういうのを審議官、あなたも御存じでしょうけれども、これはもうかわいそうだからちょっと読みますよ。これは七十歳ぐらいのおばあさんですよ。あて名は近畿財務局です、「前略 公務御多用の処、私事をもってお願い及びました段誠に恐縮でございますが、」と。要点だけ読みますが、何とぞ老齢寡婦の身をあわれとおぼしめし、特別の御配慮を賜りますように伏してお願い申し上げたい。免許取り消しの処置を受けました京都市所在の高木貞証券株式会社と亡夫在世のころより長年にわたり取引をいたしておりました者でございます。主人は去る昭和四十六年二月、胃がんのため死亡いたしました。私の老後を懸念し、次に申し述べます株式を残してくれたのであります、――それからいろいろ書いてある。長男が去る四十年、事業に失敗したと、それで高木貞証券に株券の返還を求めましたところ、会社は倒産に直面している、この預かり証では株券は返らないから、個人の預かり証に書き直しましょうと、ある重役さんが、絶対私が責任を持つから心配しないでください。あるいは株券は部下が使い込んですぐには返せない。こういうようなことで、いまだにらちが明かぬということです。それで、財務局の方はなるべく投資家に迷惑をかけぬようにと何回も言明しているんですよ。こういう点に対して、先ほどの預かり証の問題と、いまの足切りの問題と、これどういうふうにこういうものを指導しているのかで
#255
○政府委員(小山昭蔵君) 先生がただいま足切りという言葉をお使いになりましたが、これは最終的に予想外に確定した債務の額が多うございましたので、若干の顧客につきましてその債務の弁済が残ったという――大口顧客の一部についてでございますが、ございます、しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、保護預かりにかかるものについては、一切足切り等は行わないで、全額優先的に弁済しております。
 それからなお、保護預かりでない、先ほどの信用取引に伴う担保として差し入れた有価証券につきましても、いわゆる預かり証は発行しているわけでございますので、同じ預かり証でも、そういう証券取引のための担保差し入れの預かり証と、単純寄託である保護預かりの預かり証では扱いを異にしたということが一点ございます。
 それからもう一点、零細な顧客については、先ほど来申し上げておりますように、小口から優先的に弁済していったのに、小口の客でまだ残っているのがあるのではないかというお尋ねでございますが、これは先ほど来申し上げていますように、証券検査官も手伝いまして、債権債務を懸命に確定していきまして、簿外顧客でも判明しているものは、六月九日でございますか、免許取り消しの日までにわかった限りのものについては、そういうような措置をとったわけでございますが、その後におきまして名のり出てくるといいますか、そういう方も若干おられたわけでございまして、これらのものにつきましては、免許取り消し後におきましても、この当該、高木貞証券の経営者である方が、その後その会社が取り立てました立てかえ金等の一部をもちまして、漸次弁済等の整理の措置を話し合い、そのほか続けておられるというふうに承知しておりますが、とにかく免許取り消しの同までに可能な範囲内で、わかる範囲内で、確定したものにつきましては、先ほど申し上げましたような手順と考え方に従って、会社において処理が行われたというふうに報告を聞いております。
#256
○中尾辰義君 ちょっと時間が参りましたので、いずれにしても現時点におきましては、まだ投資家としては非常に不満を持っておるわけでございます。ただいま私が読みましたように、いろいろ問題が多少はあるかもしれません。しかし、投資家保護の立場から、当然これは保護してやらなきゃならない。それがまた証取法の目的でもあります。
 それで最後に伺いますが、現在、協会、取引所、会社に対して、一般投資家被害救済のためには、どのような指導をしておるのか、それをお伺いします。
#257
○政府委員(小山昭蔵君) 先ほど来お答え申し上げておりますように、不幸にして証券会社が倒産するというような事態がまいりました場合には、当該証券会社のまず責任におきまして、可能な限り投資者保護に沿う方向で、債権債務の処理が行われるということになるわけでございます。
 本件の場合につきましては、これに加えまして、日本証券業協会においては特別融資制度、これは先ほどは余り詳しく申しませんでしたが、本来は、一時的な経営困難に陥った会員証券会社に対しまして、緊急融資を行うことによって、将来はその金を返してもらうというのが本来の趣旨の金でございまして、しかも、限度額も五千万というふうに決っておるものでございますが、これを本件の場合には、非常な債務超過で、再建の見込みもきわめて困難であるということを承知しながら、あえて規定額の十倍である五億円までを緊急融資するという異例の措置をおとりになられたわけでございます。
 また、京都証券取引所におきましても、これは地元の零細な会員証券会社を含めまして、その会員の証券会社が長年にわたりまして取引所の円滑な運営のために粒々辛苦して積み立ててまいった貴重な資金でございますが、これを自分たちの仲間である高木貞証券が経営困難になったということでもって、特に取り崩しまして、五億円までの緊急融資という、これまたきわめて異例の措置をとっていただいたわけでございまして、その結果、投資者保護という点につきまして、まあ相当程度まで私としてはこれを実現することができたのではないかということで、日本証券業協会なり、京都証券取引所なりのおとりになった処置に対しては、敬意を表しているというのが現在の心境でございます。
#258
○中尾辰義君 現在の心境だけじゃしようがないんだよ、あなた。大蔵省証券局がやっぱり投資家保護という言葉を使われておるんですから。
 それから、もう民間が勝手にやる、大蔵省は一応の監督はしますけど、被害者の救済とか、そういうものにつきましては、民間の資金でやる以外ありませんと、大蔵省は余りタッチしません、こういうことなら、投資家保護、投資家保護というような言葉余り使わぬ方がいいですよ、あなた方は。みんな投資家保護ということは、株を買った、あるいは証券を買った人は、これは銀行と同じように保護されておるんだ、倒産をしても大丈夫だ、こういうことて買っておるんですよ。そして都合のいいときは投資家保護、投資家保護と言う。一応こうなりますと、いやいや投資家保護というものは、必ずしも一〇〇%弁済するということじゃございませんと。それじゃ一体、投資家保護ということは、小山審議官ね、どういう定義なんだ、これは、これを最後に一問聞いて終わります。
#259
○政府委員(小山昭蔵君) 証券取引法において、投資家保護ということが法の目的にうたわれておりますが、これは投資家が有価証券の取引に際しまして、不測の損害を受けないようにという趣旨のものであろうかと思いますが、いかなる場合にも損害を受けないということではもちろんないわけでございまして、価格の非常に変動する商品でございますから、損失をお受けになる場合ももちろんあるわけでございます。
#260
○中尾辰義君 そうじゃないよ、証券会社の不正によって損害を受けた場合じゃないか、株の上下、上がり下がりで損したと、これは相場だから別だよ。
#261
○政府委員(小山昭蔵君) そこで、まずディスクロージャーの制度とか、いろいろ投資家保護の趣旨にのっとった規定が、この証券取引法に規定があるわけでございますが、不幸にして証券会社がついに倒産に至るということになりますと、先ほどからお答えしておりますように、その証券会社の債権債務の整理の過程で、できるだけ投資者に可能な範囲でお返しするということが現在の制度の上ではそうなっているわけでございますと、これに加えまして、先ほど申し上げましたように、有価証券の寄託補償基金制度という、これは財団の組織でございますが、ございまして、これは会社が倒産して保護預かりで返してもらえない顧客に対して、一定の金額の限度内で補償するという制度が、法律上のものではございませんが、制度としてある、こういうことでございます。
#262
○柄谷道一君 法務大臣にまずお伺いいたしますが、法治国家として社会秩序を維持し、人権を最終的に守るための担保としての裁判所の任務は大きいと思います。そのためには国民に対し、迅速な裁判を受ける権利を保障するために、訴訟の遅延打開を図らなければならない、こう思います、
 特に、訴訟遅延の主要な原因として、裁判官の絶対数が不足していることが、昭和三十九年の臨時司法制度調査会の意見書でも指摘されているところでございます。その後、次善策として、簡易公判手続や、略式手続等の補助機構制度の充実が行われてきたことは承知をしておるところでございますが、なおかつ正式裁判の遅延が解消されておりません。このことは国権の最高機関たる国会の立場からも見逃すことはできないと思うのでございます。これは、私は、重要な立法政策の問題であろうと思います。
 裁判遅延の原因につきましては、後ほどいろいろ指摘したいと思いますけれども、まず法務大臣として裁判遅延の問題に対する総括的な御見解をお伺いいたしたいと思います。
#263
○国務大臣(奥野誠亮君) 戦後、特に権利義務の関係、そういう意識も高まってきたと思いますし、訴訟件数もふえてきている、その中で訴訟がおくれないように、裁判所が特段の努力をしていただいていることは感謝申し上げておりますし、いまおっしゃいましたように、裁判所のあり方というものが、わが国にとりまして非常な重要なことでございますので、おっしゃいましたこと、私も全く同じように考えております。
#264
○柄谷道一君 裁判所にお伺いいたしますが、おくれた裁判は正義がないに等しいという言葉がございます。憲法三十七条にも、「すべての刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。」と明記されておるところでございます。
 しかし、実際問題として、憲法の中で迅速な裁判を受ける権利を被告に認めてはおりますけれども、その裁判は長引いております。長い間被告人はこのために被告の座に追いやられることはもちろんでございます。また被告人の家族も被告人同様社会から有形無形の圧力を受けることは避けられません。いま大臣は、私に対して同感の意を表明されたわけでございますが、裁判所としての御見解をお伺いいたしたいと思います。
#265
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 仰せのとおり、長期裁判はそのことが裁判に対する信頼を失わせるということは仰せのとおりだと思います。もっとも刑事事件の審理が長期化する原因にはさまざまな理由がございまして、その中には、たとえば被告人が逃亡してしまうとか、あるいは重い病気にかかってしまうというようなことで、裁判所としてはいかんともなしがたいものもございますが、ともかく審理が著しく遅延するといたしますと、被告人が社会的な不利益を受けるばかりでなくて、刑事司法の理念であります事案の真相を明らかにして、罪なき者は罰しないで、罪ある者を逸せずに、刑罰法令を適正かつ迅速に適用実現するという目的を達成することができないことになるわけでございまして、そのことがひいては国民の裁判に対する信頼を失うことにもなるというふうに考えます。したがいまして、私どもといたしましては、裁判の長期化を防止するために、今後とも一層努力していきたいというふうに考えております。
#266
○柄谷道一君 憲法三十七条の解釈として、この規定は訓示規定で裁判の目標を掲げたものである。こういう解釈が行われておりましたけれども、昭和四十七年十二月二十日、最高裁は、被告人の権利を保障した強行規定であると、こう判断したと私は承知いたしておりますが、そのとおりでございますか。
#267
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) この最高裁の大法廷の昭和四十七年十二月二十日、これは高里事件の判決でございますが、この判決は、憲法三十七条一項は、「単に迅速な裁判を一般的に保障するために必要な立法上および司法行政上の措置をとるべきことを要請するにとどまらず、さらに個々の刑事事件について、現実に右の保障に明らかに反し、審理の著しい遅延の結果、迅速な裁判をうける被告人の権利が害せられたと認められる異常な事態が生じた場合には、これに対処すべき具体的規定がなくても、もはや当該被告人に対する手続の続行を許さず、その審理を打ち切るという非常救済手段がとられるべきことをも認めている趣旨の規定である」、こう判示しまして、免訴の言い渡しをしたわけでございます。この判決が憲法三十七条一項を強行規定と判断したものかどうかにつきましては、この当時最高裁判所調査官があらわしました判例解説によりますと、憲法の規定の中には、それを実効あらしめるために立法が必要とされるいわゆるプログラム規定と、それを実効あらしめるために立法がなされることが望ましいが、立法がなかったとしても、それ自身で実効性を持つといういわゆる自力実効性のある規定というものがある。このプログラム規定か、自力実効性がある規定がという区別と、いわゆる憲法のある規定が強行法規か任意法規かという区別とは全く別なものだと。したがいまして、プログラム規定と強行規定という面の違ったものを対置させるということはできないんだと。そういうことで、本判決は強行規定という用語を使ってないと考えられる、こういうふうに解説しております。そういうことでございますので、私どもといたしましては、これは正確な意味での強行法規であるかどうかということについては、明確なお答えをいたしかねるのでございますが、この規定が、それ自身が実効性を持つという規定であるということはもう明確に判示されているというふうに考えております。
#268
○柄谷道一君 強行規定とは言えないとしても、単なる目標ではないということは、この判示の中に明らかに示されている精神でございますね。
 そこで、私は、裁判遅延には事件それ自体の固有の原因、つまり通常多数被告人を含む事件、特に騒擾事件などのいわゆる公安事件、贈収賄事件、選挙法違反事件、死刑が含まれるような重罪事件のように、事実認定のきわめて困難な事件等によりまして、裁判の迅速な進行を阻害されている、こういう現実を否定するものではございません。しかし、訴訟の指揮は、被告人の利益のために積極的に行使するんだと、そういう裁判所の認識と姿勢が私は必要ではないか。裁判所の訴訟指揮の有効、適正な行使が、迅速な裁判実現の重要なウエートを占めるのではないかと、このように思いますけれども、御認識はいかがでございますか。
#269
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 仰せのとおりでございます。
 ただ、この遅延の要因といたしましては、いろいろなものがございます。大きく分けますと、大体二つに分かれようかと思いますが、一つの類型といたしましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、被告人の逃亡、所在不明、あるいは病気、あるいは心神喪失というような理由によりまして、公判を開くことができないもの、これが五十五年の統計によりますと、係属二年以上の既済事件の中の約三二%でございますが、そのほかに、いまお話しのありました証人の多数とか、訴因が多いとか、いろいろなものがございます。
 そのために、これから訴訟指揮もいろいろと行使しなければいけないわけでございますが、何しろいまの裁判制度は当事者主義を基調としておりますわけで、これは検察官、弁護人両当事者の積極的な御協力がなくてはかないませんので、裁判所といたしましても、一層努力する所存でございますが、当事者の御理解、御協力も得なければなりませんので、そういう意味で裁判所としては当事者の御理解、御協力を得られるように、一層主体的な努力をしなければいけないというふうに考えております。
#270
○柄谷道一君 これは要望にいたしておきますけれども、現行法が、関連事件について、併合審理を予想しているときはその趣旨を、また被告人の権利を保護する必要があるときは弁論の分離を義務づけております趣旨を最大限に尊重いたしまして、できる限り可能な方策を、既成の、または従来の方法に固執することなく、やはり裁判所当局もその運用において、裁判遅延の防止を図るべきである、御努力されていることはよく承知しておりますけれども、なお一層の努力を払われますように、これは強く要望いたしておきたいと思います。
 次に、法務大臣にお伺いいたしますが、私は、何といってもこの法曹人口の絶対的不足ということが大きな要因の一つだろうと思うのでございます。わが国は先進諸国のうちでも有数の多法律国でございます。しかも、米英両国のように慣習法体系の法制度ではございません。したがって、国民一人一人が認識しにくいという面があることは事実でございますし、それだけに法律専門家の介在する余地が非常に大きいと言わねばならぬと私は思うのでございます。
 ところが、最高裁事務総局の発行いたしました裁判所便覧、これは五十二年六月の統計でございますけれども、それを見ますと、裁判官一人当たりの国民数は、日本の場合四万一千九百十五人、(4)これはアメリカの四千八百十一人、イギリスの二千四百七十一人、西ドイツの四千百六十七人、イタリアの八千六百九十六人、フランスの一万五千百八十二人と対比いたしますと、多法律国であるにかかわらず、一人の裁判官が受け持つべき国民の割合というのは、きわめて多いということが言えるわけでございます。この一事をもってしても、やはり裁判官の数の絶対不足というものが明確であろうと思います。
 また、違った観点から、私は参考のために最高裁の資料によりまして、これはもちろん事件数だけで裁判官の仕事の繁忙を一概に議論はできないと思いますけれども、仮にそれを割り返してみますと、高裁、地裁の五十五年度における刑事事件の新受件数は、二十七万六千三百五十七件でございます。これに対して、高裁と地裁の裁判官合計は、千五百九十四人でございます、単純に新受件数を裁判官数で割りますと、裁判官一人百七十二件の事件を抱えることになる。これを一年で消化しようと思いますと、二日に一件の割合で消化しなければならぬという計算になります、これに民事事件、さらに過去からの係属事件を含めますと、本当に私は神わざでも用いない限り、これだけ膨大な件数を処理することはとうてい不可能だと、こう思わざるを得ません。また、はなはだ皮肉な見方からすれば、こういう実態の中で、果たして適正な裁判が行われるだろうかという疑義すら感ぜざるを得ない実態にあろうと思うのでございます。
 私は、法務大臣と最高裁に対しまして、この事件数と裁判官数の対応関係について、どういう御見解を持っておられるのか、率直にお伺いいたしたいと思います。
#271
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) まず事件数と裁判官数との対応関係についての御質問にお答え申し上げます。
 ただいま委員仰せのとおり、高等裁判所、地方裁判所におきます昭和五十五年度の刑事事件の新受件数は、二十七万六千三百五十七件でございますが、このうちにはいろんな種類の事件がございまして、通常の刑法犯あたりを公判廷で裁きます訴訟事件について数を見ますと、それは九万六千七百八十六件でございます。それ以外の簡単な事件の数が十七万九千五百七十一件加えられております。したがいまして、訴訟事件だけを高等裁判所、地方裁判所の裁判官数千五百九十四人で除してみますと、一人当たりの件数は約六十一件というふうになります。
 また、民事のお話もございましたので、高等裁判所、地方裁判所におきます同じ昭和五十五年度の民事事件の新受件数は、十四万百二十二件でございますが、裁判官一人当たりの事件数にいたしますと約八十八件というふうになっております。
 ところで、何が適正な、どの程度であれば適正な負担件数であろう、また手持ちとしてどのぐらい持っているのが適正な件数がということは、きわめて数の面で見ますとむずかしい問題でございます。裁判所はどんなときにも手をあけて当事者の来るのを待って、当事者の望む時期に直ちに審理し、判決できるという体制がとれるということは、これは一つの理想とも考えられるわけでございます。しかしいろんな条件のもとで、現実的に考えてみますと、一方では当事者にある程度十分な主張、立証を尽くさせ、その反面、合理的な期間内に適正な判決が出せるという程度で、現実的には満足するほかございませんし、裁判官といたしましても、十分調査研究を尽くす時間的な余裕があるということは必要ではございますけれども、まあまあある程度の忙しさというのはやむを得ない、このような前提から考えますと、一人当たり訴訟事件の方の数で見ますと、手持ちといたしましては、民事でありますと二百件前後、刑事の場合ですと九十件から百十件程度の手持ちを抱えながら、新受事件といたしましては、年間に民事であれば二百件程度、刑事であれば二百三十件から二百五十件程度の新受が参りましても、それを既済と年間に片づけていきますことは、私どもの経験に照らしますと、比較的無理のないところでございます。ただ、最近では非常に事件の種類等複雑困難なものが出てまいっております点は考慮しなければならないとは思っております。したがいまして、この程度の負担でございますと、判決の言い渡し等がそれほど不当におくれるというようなことは通常ございません、かえって手持ちが非常に少なくなりますと、期日の回転がある程度早くなりますが、それにはやはり当事者が準備ができないとかいったような面もございます。既済事件の審理期間を最近、過去からながめてまいりますと、多少ずつ減少していい方向に向かっているのが実情でございます。
#272
○柄谷道一君 裁判官の献身的努力によって辛うじて裁判の遅延を防いでおるという実態でございまして、大臣、やはり外国との対比においても、また新受件数と裁判官の数においても、私は率直にこれでいいんかなあと、こう思うのですね、私はやっぱり絶対数が不足しておると、これはもう疑いのない現実だろうと思うのです。大臣、御認識いかがですか。
#273
○国務大臣(奥野誠亮君) 柄谷さんがおっしゃったような状況の中で、裁判所御努力いただいているわけでございますから、大変な御苦心のあるところだと、こう思います。ただ人口比だけでは割り切れないなという感じはいたしておりまして、日本のように特に犯罪率が低い、これも結構なことじゃないかなと、こう思うわけでございます。また刑事事件で見ますと、日本人は道徳心が高いものですから、案外早く自白してくれる、自白率も非常に高いそうでございます。同時にまた、一審でしたがって片づけてくれる、これもまたかなり多いんじゃないだろうかなと、こう思うわけでございます。やはり裁判に当たる方々は、国民の中でも特に質の高い方でございますから、優秀な方がそういう問題に当たっていてくれる、何時にまた、国民全体がこういう問題に対して協力的である、そういうことが私は効率を高めていくことじゃないかと、こう思いますし、おっしゃった点はよくわかるわけでございます。よくまた裁判所も御苦労いただいていると思います。しかし、国民全体もまた努力をしながら、いたずらに人数をふやすばかりが本意ではないわけでございますので、みんなで一層工夫していかなきゃならないなと、こう思っております。
#274
○柄谷道一君 私はやはり冒頭申しました憲法三十七条の趣旨、国民のいわば権利ですね、これを保障するために、果たして現在の裁判官定数というものが適切なのかどうか、これは一度法務大臣、裁判所とも十分お話し合いを願って、メスを入れてみる価値のある問題だと思うんですね。この点はひとつ大臣の方で真剣な御検討を煩わしたいと、こう思います。
 そこで次に、最高裁の事務総局というのは、裁判官と裁判の独立を守るサービス機関という性格を私は持っておると思います。もちろん司法行政と裁判とは関係はございますけれども、両者は根本的に性格は違うものだと認識をいたします。ところが、裁判官の不足が生じておる今日、事務総長のもとにあるきょうおいでの各局長また課長、局付にいわゆる裁判官資格を持つ方が相当配置されているのではないかと思うんでございますが、最高裁で局長、課長、局付、調査官、研修所合わせて何名ぐらいの資格を持つ方々が事務総局に属していらっしゃいますか、またそういう方を配置しなければならぬということに私は疑問を持つのでございますが、その理由は一体何でございますか。
#275
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 本年の一月一日現在で、最高裁判所事務総局に配属されております裁判官資格者は四十五名、高裁事務局長に充てられております裁判官八名、最高裁判所調査官二十九名、司法研修所、裁判所書記官研修所、家庭裁判所調査官研修所の教官に充てられている裁判官三十五名、合計百十七名ほどおります。
 仰せのとおり、最高裁判所の事務総局は、最高裁判所の庶務をつかさどっておるわけでございますが、裁判所の司法行政事務は、裁判所法上裁判(4)官会議が行うものとされておりますけれども、これらの事務の中には裁判官の人事、裁判所の施設と裁判事務と特に密接な関係を有するもののほか、裁判所の規則制定権が憲法上与えられておりますが、その規則の立案等、特に法律的な知識を必要とするものが少なくございませんので、裁判官会議を補佐をする私ども事務総局におきまして、裁判官の資格または経験を有する者が企画立案等の事務に当たって、初めて司法行政の実を上げることができるわけでございます。したがいまして、司法行政の重要事項の企画立案等をつかさどるポストに、原則として裁判官を充てております。しかしながら、国会でもときどき御指摘を受けておるところでもあり、また訴訟の促進を図りますためにも、できる限りそういった司法行政部門の裁判官を減らしまして、実際の一線の裁判事務に回すことが必要でございますので、事務総局の局、課長の中でも、できる限り裁判官で充てられているところは兼務で賄い、一般職員で賄えるポストにつきましては、できる限り一般職を充てるような努力をいたしております。
#276
○柄谷道一君 現在の司法試験制度について、五十五年度第二次試験出願者二万八千六百五十六人、最終の口述試験合格者は四百八十六人、合格率は一・六九%と承知をいたしております。競争率は実に六十倍近く、しかも、合格者に占める大学卒業見込み者はわずか一四%の七十人でございます。これは昭和二十七年度の合格者の平均年齢が二十五・六八歳に対して現在二十八・〇七歳。しかも合格者に占める大学卒業見込み者の比率が五二・六%であったのに比べますと、現在は一六・九%。私はその高齢化といいますか、最近では大学入学から数えて苦節十年というのがもう定説になっていると思うんですね。このような現状の中から、法曹界の一部には、合格者は基礎的な教養に欠けているきらいがあるのではないかとか、将来性のある優秀な人材が途中で法曹界入りを断念するケースが多いのではないか等の問題点が指摘されております。三十九年八月に臨時司法制度調査会が、この試験制度の改革について問題を出しておりますけれども、いろいろ反対意見が続出をいたしまして、ついに実現せず、その後は司法試験制度の改革問題は禁句となっているという現象すらあらわれております。
 そこで、大臣が一月四日付の新聞によりますと、現行の試験制度はそのまま存続させるけれども、別に国家公務員上級職、これは法律職でございますが、試験をパスした者には司法試験の第二次筆記試験を免除して、最後の口述試験の受験資格を与えるという構想を固めて、法務省事務当局に改革案をまとめるように指示されたということが報道されております。私はこれは一つの発想だろうと思うんでございますけれども、しかし、この大臣構想がもしそのとおりであるとすれば、法曹界内外から、たとえば国家公務員になるための上級職試験と、判事、検事、弁護士という法曹界に入るための資格試験である司法試験、いわゆる二つの異質の試験をドッキングさせることは不適当ではないかとか、また三権分立のたてまえに抵触することになりかねないのではないかとか、公務員試験合格者だけに恩典を与えることが果たして適当かとか、また現状では受験資格にたけた司法組が公務員組を抑えることは確実であろう。そうすれば人気省庁は別として、多くの省庁では、大量の司法研修生予備軍を抱え込んで、採用計画に支障を来たすのではないかなど、多くの私は反発が出ることはこれは当然予想されると思うんですね。
 そこで、大臣にこれはお伺いするんですけれども、試験制度の改革を大臣の発想に従って、スムーズに法曹三者協議会で議題にして、その協力というものが取りつけられるというお見通しを持っていらっしゃいますかどうか、お伺いいたします。
#277
○国務大臣(奥野誠亮君) 司法試験の改革を必要とするという意味において、柄谷さんと私と同じ気持ちを持っているんだなということをいま承知したわけでございます。しかし、なかなかそれが議題に上がってきておりません。そのためには、やはり法曹三者協議会で司法試験の改革問題に取り組もうじゃないかという空気をつくらなきゃならない。したがいまして、機会を見て、それを議題にするようにひとつ努力をしなさいよと、いろいろな場合に言っているところでございまして、まだその段階に至っていないわけであります。そのためにもまたどう改革していくのかということをみんなで考えるような空気もつくらなきゃいけないと、こう思っております、ただ抽象的に司法試験の改革だけを言っておいたのじゃ前進しないと思うわけでございます。そういう意味で問題提起、そんな気持ちでいまお話になりましたことをしばしば言っているわけでございまして、考え方を、構想を固めて言っているわけじゃございませんで、問題を提起していって、あれやこれやらの意見が出てくるように、ひとつ誘いかけていきたい、そんな気持ちで言っているわけでございます。さしあたっては、やはり法曹三者協議会で、司法試験の改革の問題に取り組もうじゃないかということを議題にしていただかなきゃならない。なるたけ早い機会に、私はそういう空気に持っていけないものだろうかなあという希望を持ち続けているものでございます。
#278
○柄谷道一君 大臣、これは大変むずかしい問題でございますけれども、しかしこの訳語の迅速化、法曹人口の拡充という視点に立ちますと、司法試験制度の改革は避けて通れない道であろうと思うんです。大臣のお述べになりましたのも一つの発想であろうと思います。しかし、それだけに私は問題は限定されるものじゃないと思うんですね、これは素人ではございますけれども、たとえば私は上級職試験に合格して、一定期間法律専門職に従事した者に限って、一定の選考手続を経て法曹資格を付与するという道もあろうと思うんです。また、補助機構職員のいわゆる任用基準を改正をいたしまして、司法試験に準ずる資格試験制度を経て、法曹資格を与えるという方法も考えられると思います。そのことは、私は補助機構職員の中で、非常に熱心に経験を積み重ねてきたという人に対するまた働きがい、生きがいにも通じていく道ではないかと思うんですね。法曹のいわゆる質の低下を来さないで、その拡大をいかにして図るか。これにつきましては、衆知を集めて、ひとつその具体案を固められますと同時に、速やかに法曹三者のコンセンサスを得て、この改革が実現に向かいますことを強く期待するものでございますが、大臣の御決意いかがでございますか。
#279
○国務大臣(奥野誠亮君) 本当に大切なことだと思っております。いまのようなことでありますと、どうしてもただ司法試験に合格するということで、多年にわたってそれに全力を傾けていく。どうしても広い視野が欠けていくのじゃないかという心配を持つわけでございます。そういう意味で、私は柄谷さんと若干似たような気持ちを抱いているんじゃないかなと、こんな感じがいたします。かつて、教養科目をもっと重視しようとして反発を受けたようでございました。専門的なことは、試験に合格すれば二年間の司法研修期間があるわけだから、専門的なことはそこで勉強できるじゃないかと、だから、司法試験は専門的なことをそう重視しなくてもいいじゃないかと、こんなことまで私考えておるわけでございまして、そういう意味合いから、さきに問題提起の意味で言うたわけでございますけれども、ぜひ司法試験を改革して、将来にわたって優秀な方々を法曹界に確保していくという努力をしていかなきゃならない。いま別に優秀でないわけじゃありません。りっぱな方々ばかりでございますけれども、中にはもういかにも職人になってしまうおそれのある方もいらっしゃるんじゃないかなと心配でなりませんので、そういうおそれの出ないように、ひとつ幅広い考え方の方々で法曹界を占めたいな、こういう希望を持っているものですから、私も柄谷さんと同じように非常に強い意欲を持っている者でございます、今後とも努力をしていきたいと思います。
#280
○柄谷道一君 これはやはり大臣がある程度起爆剤の役割りを果たされなければ、なかなかこの種の問題は、大体法曹三者協議会の議題にのること自体が従来の慣例から見ますとむずかしいんですね。ぜひ大臣の方でこの問題は果敢に問題を提起され、広く意見を求め、わが国のよりよき法曹人口拡大のための施策が一日も早く確立されますことをこれは期待いたしておきたいと思います。
 時間の関係がございますので、多くの質問を用意してきておったんですが、私はこの裁判の遅延防止という点になりますと、たとえば検察当局にも乱上訴というものについて、おのずと節度が必要であろうと、こう思いますし、また、現行法によりますと、従来は検察官が早い時期に一切の証拠を弁護人に資料開示を行いまして、閲覧させるという慣行があったわけでございますけれども、昭和二十七、八年ごろの公安事件を契機に、この慣習が破られたというふうに考えております。こういう点につきましても、少なくとも裁判所の開示命令に対して不服従な態度をとらないようにするという配慮も必要であろうと思います。これは質問を予定いたしておりましたが、意見の形に変えておきますので、検察の側からも裁判の迅速な判決というものに向かっての努力が必要であるということを指摘いたしておきます。
 あと、紛争予防活動と、簡易裁判所制度の改善についても意見を持っておったのですが、これも時間は守りたいと思いますので、改めての機会に譲ります。
 最後に、ひとつこれは大臣とどちらにお伺いしていいんですか、裁判所予算について私見てみますと、一般会計予算に占める裁判所予算の割合、これを私なりに計算しますと、昭和五十年度〇・六一%、五十一年度〇・五五%、五十二年度〇・五一%、五十三年度〇・四六%、五十四年度〇・四五%ですね。五十五年度〇・四二第、五十六年度〇・四〇%、年次低下しておるわけですね。しかし、受理件数は増加の傾向にあることは事実でございます。また、五十六年度予算で裁判所予算千八百八十億五千四百万円のうち、実際の裁判に使われる裁判費はわずか七十六億六千九百万円、四%にしか過ぎません。私は、実際に国民が裁判を受ける権利があるといったてまえで、裁判を国民の立場に立って執行していくという面から見ますと、裁判所に関する予算は、何か冷遇されているんではないだろうかという率直な感じを受けざるを得ないわけでございます。大臣と最高裁にこのことに対する率直な所感といいますか、感想、そして今後の抱負などお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#281
○最高裁判所長官代理者(原田直郎君) 裁判所予算につきまして御配慮を煩わし、大変ありがたく存ずる次第でございます。
 総予算に占めます裁判所所管の予算の割合は、先生御指摘のとおりであると思います。ただ、国の総予算に比べまして、裁判所の予算は、他の省庁に見られますような政策的な経費であるとか、あるいは大きな事業費、そういうものはございません。裁判所の総予算の中に占めます割合としましては、人件費が八四%も占めております。そのような状態でございますので、特段の、たとえば制度的な改革があって、飛躍的に事件が増加する、そういうふうな事情でもない限り、裁判所の予算が今後とも飛躍的に増加していくことはなかなかないのではないかと私どもは考えております。しかし、ただいま先生御指摘、御披露いただきましたように、本年度の裁判所の予算は千八百八十億五千四百万円でございます。昨年――五十五年度が千八百一億でございました。したがって、七十九億余りはふえております。アップ率にして四・四%、したがいまして、国の総予算の中に占めますパーセントは低いといたしましても、絶対数値においてはふえてきておるということは明らかなことでございまして、私どもとしては、二重予算権というものも踏まえながら、財政当局とも十分な折衝をしてまいったわけでございます。財政当局もその辺のところは十分に御理解をいただいているものだと、私どもは確信いたしております。
 おしなべて申しまして、給与の面とか、施設面あるいは執務環境面におきまして、裁判所が他の省庁に著しく劣っているとはとうてい思っておりません。ただ、しかしながら、私どももこれで十分とは思っておりませんので、今後はやはり裁判所予算というものに対しまして、改善を図るべく努力は続けてまいる所存でございます。
 以上でございます。
#282
○柄谷道一君 謙虚な答弁ですが、大臣どうですか。
#283
○国務大臣(奥野誠亮君) 法秩序維持の関係経費の確保に深い関心を寄せていただいておりますこと、大変ありがたいことだと感謝申し上げておきたいと思います。
 戦後、高度経済成長を遂げてきて、その中で予算が格段にふえてまいりましたのは、やはり社会保障関係費、それとさらに社会資本が不足しておりましたので、公共事業費、この数年据え置いてまいってきておりますけれども、格段にふえてきたのは、この種の経費ではなかったかなと、こう思います、したがいまして、人件費を中心にします役所の経費は、予算の中に占めるシェアでは減ってきているんじゃないかなと、かように考えるわけでございます。しかし、その中でも大事な経費でございますので、裁判所も御努力になっておりますけれども、私たちもまた協力できるものはできる限り協力をしながら、必要欠くことのないように注意をしていきたいと思います。
#284
○安武洋子君 私は最高裁に最初にお伺いをいたします。
 障害者が最高裁の中に入るときには車いすとか、あるいは盲導犬とか、これが絶対必要な方があります。ところが、最高裁はいままで盲導犬とか、車いすでの立ち入りということを拒否されてこられましたが、このことについていま最高裁内で検討されているというふうに伺っております。どのように検討されておられますでしょうか。
#285
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 最高裁判所の法廷傍聴に見える方々の中に、最近盲導犬を連れた目の不自由な方、車いすを利用される方が時折来庁されるようになりました。従来は委員仰せのとおり、裁判所の職員が介添えをして、あるいは傍聴に見えたお仲間の方々の御協力を得まして、車いすからおりていただきますとか、盲導犬はお預かりをするという方法で傍聴できる体制はとっておりました。しかし、ことしに入りまして、特に今年国際障害者年ということもございましてか、車いすのままで、また盲導犬を帯同したままで法廷傍聴したいという御要望が、傍聴のため来庁された方々から担当の職員に伝えられたことなどもございまして、最高裁判所におきましては、裁判官方で御相談をいただきました結果、ごく最近のことではございますけれども、今後は法廷においては車いすのまま、あるいは盲導犬を帯同したまま傍聴できるような体制を整えたところでございます。
#286
○安武洋子君 最高裁内に車いすで入るということになりますと、階段は改修したり、あるいはエレベーターを使ったりというふうなことが必要になろうかと思います。そういう点どう御検討なさっていらっしゃるか、それが一点です。
 その次に、今後各級の裁判所というのを改築されたり、修理されたりなさると思います。そういうときにやはり障害者の利用を考えて施設づくりを進めていただきたい、これが第二点でございます。
 それから第三点ですが、聴力障害者、こういう方たちも裁判を受けるというふうなこともあろうかと思います。こういう方に対して、やはり私は手話通訳というのが必要だろうと思います。こういう手話通訳者の養成については、何か検討なさっていらっしゃいますでしょうか、この点はどういうようになっておりましょうか。三点にわたってお伺いをいたします。
#287
○最高裁判所長官代理者(原田直郎君) 施設面の点から先にお答え申し上げます。
 本年五十六年の二月十七日に建築審議会から答申が出ておりますが、その答申は
「今後の官庁施設の整備のための方策に関する答申」というものでございました、これを拝見いたしますと、「身体障害者の利用を考慮した施設整備の推進」ということが強調されておるわけでございます。以上のような点を踏まえまして、私どもといたしましては、最高裁判所はもちろんのこと、全国の施設について種々の改修、改善を加えていく必要があろうかと考えますが、施設に関係いたしましては、新営をする場合と、既存施設の場合と二種類に分けて考えていく必要があろうかと思います。新営する場合、つまり今後新営する場合は当然のこと先生御指摘のような点を数々踏まえていかなければならないと考えております、また既存施設の関係につきましても、やはり同じような目配りをしながら改修の促進をしていきたい、このように考えておる次第でございます。
#288
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) それでは手話通訳の点についてお答え申し上げます。
 これまで実例はございませんし、ただいまのところそういったお申し出もございませんが、今後そのような御要請が出てまいれば、早急に検討を進めてまいりたいと思います。
#289
○安武洋子君 手話通訳につきましては、やはりそのときに備えて私は養成を心がけておいていただかないと、いきなりそういう事態に直面したときに、すぐにといっても間に合わないと思いますので、その点をお願いいたしとうございます。
 それから、最高裁のいまの既存の建物、きょうあすにというわけにはまいりませんけれども、やはり車いすを入りやすいように階段の改修なり、それからエレベーターの利用なりということで、障害者が不自由をしないようにということで、先ほどのお答えいただきましたけれども、申し添えさせていただきたいと思います。
 次に移りますけれども、人権擁護に関する問題で質問させていただきます。
 いま労働災害といいますのが、やはり多発をいたしております。労災保険の新規受給者が年間百万人を超えるという状態が続いております。こういう中で、各企業は無災害記録何万時間とかというふうな無災害の運動をいたしておりますが、こういう運動をしているということについては別問題といたしまして、そういう中で、労災事故が起きましても、これを労災として扱わない、業務中の労災事故を企業の圧力で私傷扱いにさせて、労災隠しをするというふうなことが起こっております。これは私も具体的な事例を労働省に示しまして、この改善を求めているところでございますが、私がいまから申し上げますのは、これと関連をいたしておりますが、人権擁護に関する問題です。三菱重工神戸造船所の一部の部課なんですけれども、ここでは労災事故に遭って、余儀なく休業した人に対しまして、休業災害速報を氏名を挙げてまず出しております。私はここに何通か持っておりますけれども、ここに書いてありますように、これは氏名をきちっと挙げまして、そして事故の概要を知らせて、そして各職場で口頭で本人の不注意である旨が述べられております。そして、その労働者に対しましては、今度は部長特命指導員、こう書きました白い腕章を腕に巻かせまして、二週間作業現場の安全パトロールということで回らせているわけなんです。これはまさにみせしめ行為で、だれ一人痛いけがを自分の方から好んでしょうという人はないはずなんです。ところが、事故を起こした労働者はだれよりも反省しているにもかかわらず、その事故の内容というのがこの災害速報で名前まで挙げて知らされている、その上によく目立つ部長特命指導員と書いた腕章をつけさせられて、二週間も職場の中をさらしもの的にパトロールをさせられるというふうなことで、こういうことをさせられた労働者からはもうたまらないという声が出ております、まさに犯罪を犯したときに、昔なら市中引き回しというのがありましたけれども、それと同じようなことで、著しく私は人間の尊厳を傷つけると思います。こういうやり方に対しまして、人権の擁護局としても適切な私は指導をしていただきたい、こう思いますが、いかがでございますか。
#290
○政府委員(鈴木弘君) お答えいたします。
 お尋ねの件につきましては、被害者らから法務局への申告等もございませんで、現段階では事実関係を明確に承知しておりません。それで、人権侵犯に該当するかどうかということについては申し上げかねるわけでございます。まあ被害者らから法務局に申告等がございましたら、その段階で検討して、人権侵犯の疑いがあるということになりましたら、これは当然調査を実施するなどして、具体的事案に応じた適切な処置をとりたい、かように思っております。
#291
○安武洋子君 一般的にいま私が申し上げたような、さらしもの的に、もとの仕事につけるのではなくて、職場の中をこういう白い腕章を巻いて回らせる。労働者が大変もう耐えがたいと言っているような、こういう事案に対して一般的にはどのようにお考えでございましょうか。
#292
○政府委員(鈴木弘君) お答えい、たします、
 先ほどからおっしゃっておられますところには、特命でとか、特にとかおっしゃっておられますし、あるいは安全パトロールを強化するとか、あるいはみせしめにするとか、こういうお言葉を使っていらっしゃるわけでございますが、これは一つの評価でございまして、その具体的な事実いかんによって、そういう評価ができるかどうかということになってまいりますので、しかも、人権侵犯になるかどうかといいますのは、諸般の事情を総合して考えなければならない問題でございますので、簡単に人権侵犯になりそうだとかなんとかということは、ここではちょっと申し上げかねるわけでございます。
#293
○安武洋子君 やはり人権を守るというところで、労働者が頼りにしているところですよ。そこで、そういうことをやらされた労働者、あるいはそれを見ている労働者の中から、ああいうことは人権の尊厳を侵す問題だと、そういうことは耐えがたいということが出ているわけです、こういう人たちは、まだ人権擁護局に届け出をするということを知らなかったりして、届けはなさっておられないにしても、一般的にこういうことがあれば、皆さん方としては、どういうふうにやはり考えられるのかということは、私はもっと明快に出していただくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#294
○政府委員(鈴木弘君) お答えいたします。
 先生がおっしゃいますのは、いまおっしゃいましたような事実があり、そしてかつおっしゃられましたような評価ができる場合ということはどうなのかという御質問の意味でございましょうか。
#295
○安武洋子君 それで答えてください。
#296
○政府委員(鈴木弘君) 先ほどおっしゃられましたところには、強要というような言葉もございます。みせしめ、あるいはさらしものというようなことになってまいりますと、そういう評価ができる
ということになりますと、人権侵犯の疑いが生じてまいると、このように思うわけでございます。
#297
○安武洋子君 調査をなさいまして、私が申し上げたようなことが間違いなければ、適切な指導をお願いしとうございます。
 次に時間の関係で移ります。
 少年の非行の深刻化に関連いたしまして、少年事件などを扱う家庭裁判所の調査官の問題についてお伺いをいたします。
 一昨年大阪で老女殺人事件が起こりまして、犯人であるということで逮捕されました少年が、そういう事実はなかったというふうなことで、不処分という審判がなされております。私は、このように家庭裁判所で扱われた少年事件のうち、調べてみますと、非行事実がないということで不処分の審判がなされた件数というのは、五十四年で、これは業務上の過失事件を除いておりますが、一般保護事件だけでも百七十三件ございます。調査官の
役割りというのは、このように少年を扱う、少年は本当に長い将来を持っているわけですから、一つ事が間違えば、少年の一生に大きな影響を及ぼすわけなんです。ですから、冤罪から少年を守るとともに、処分の侵犯を受けた少年であっても、非行のゆがみを正して、将来の展望が持てるように、保護育成するという役割りを果たしていただかなければならない。そういう一人一人の少年の長い将来にかかわるお仕事をされる最高裁の調査官ですね。私は最高裁としてはこの調査官の重要性をどのように認識なさっていらっしゃるか、この点をお伺いいたします。
#298
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 委員のおっしゃるとおり、家庭裁判所の調査官は、少年事件、あるいは家事事件につきまして、裁判官の命によって、諸般の事情を調査して、家事審判なり、調停なり、あるいは少年審判をする審判官の補助として働いている、きわめてほかの裁判所にはない特殊な重要な役割りを持った職種であるというふうに考えております。
#299
○安武洋子君 お答えのとおり重要な職種だと私も思いますが、大変御苦労の多い調査官の数ですね、これを最高裁からいただきました資料で見てみますと、実に事件の件数でございますが、昭和四十九年の事件件数といいますのは四十二万八千八百八十八件なんですね、ところが、これが昭和五十四年になりますと、五十四万八百二十件と、十一万千九百三十二件ふえております。ところが定員は千五百十七名のまま四十九年から据え置きでございます。五年間に事件は二〇%ふえております。しかも、欠員を調べてみますと、昨年の十二月一日現在で四十七名も欠員が生じております。昨日、当院の法務委員会の中で、私どもの同僚議員がこの調査官の問題について質問いたしました。ところが、調査官の人員は適正だと、こういう御答弁でございました。ところが、私はこの増員の問題で、昭和四十七年から四十九年の間に、定員は三十名増員いたしております。この間の事件を調べてみますと、これは横ばいか、あるいは約二万件程度減っているわけです。事件が横ばいか、減っているときには増員は三十名というふうに、延べですが、なっておりますが、そしてこれが昭和五十年からずうっと事件が急増します。事件が急増したら人員は逆に据え置いたまんまです。これで適正人員だというふうに御答弁になっていらっしゃる。だれが考えてもおかしなわけです。私は適正な人員というのは、事件が処理できたから適正な人員だというふうに御認識されると、これは困ると思うんです。適正な人員というのは、事件を適正に審判するという、こういうことでなければいけないと思うわけです。ですから、事件が二〇%もふえた、人員はもとのままということになりますと、どうしても一件にかける時間というのは手間暇を省いていくとか、あるいは職員が大変な労働強化に陥るとか、どちらかにならざるを得ないと思うんです。
 ところで、いま大変青少年の非行の問題が深刻化いたしております。青少年の非行が発生する背景というのも、非常に複雑になっております。だから、かえって少年一人一人にかける手間暇というのは、私は多くなっているのではなかろうかというふうに思います。それをやはり一人一人の事件を薄めてやって、そして適正だというふうに考えてもらっては困りますし、そして私は気になるのは、この最高裁の増員に対する姿勢なんですね、重要なお仕事だとおっしゃりながら、いままで概算要求人員をずうっと見てまいりますと、これは査定はゼロにしろ、五十年かる二十一名、二十名、十名と、これは四十六年ごろには八十五名とか、六十九名とかいうふうに要求なさっていらっしゃるわけですが、これが何と五十五年には全く要求もなさっていらっしゃらないというふうになるわけです。いろんな御事情もございましょうが、私はやはり青少年は保護育成しなければならない。こういう立場から、適切な事件処理を行わなければ、このしわ寄せというのは少年に行ってしまうということを大変憂えます。そういう点でいかがお考えかということをお伺いいたします。
#300
○最高裁判所長官代理者(梅田晴亮君) 昭和四十年から四十九年までの十年間に、家庭裁判所調査官の定員を百二十人増加させてまいりましたが、仰せのとおり最近五、六年は家庭裁判所調査官の増員を図ってはおりません。なるほど少年非行は最近増加の傾向にございます。少年保護事件についてみますと、五十四年約五十四万件に達しております。しかし、過去を振り返って長期的に見ますと、昭和三十年代の後半から、四十年代の初めにかけましては、年間約百万件の少年保護事件がございました。その当時に比較いたしますと、現在特に家庭裁判所調査官の負担が過酷であるとまでは考えられないように思います。また、四十年ころに比べますと、凶悪犯、粗暴犯といった犯罪は非常に減少しておりまして、したがって、身柄事件は次第に減ってまいっております。最近では、財産犯、薬事犯といったようなものが非行がふえております。もちろん現在の家庭裁判所調査官の数で十分であるとは決して考えておりません。しかしながら、御承知のように、家庭裁判所調査官は心理学、教育学、社会学等の専門的な知識に基づいて事件の調査に当たるという職務の性質上、任用基準も高こうございますし、その養成人員にも限度があるといったような関係で、定員をふやしても現実の充員ができないということではいたし方もございません。こういった関係もございまして、最近事件の多少の増加傾向にはございますが、一応はまあいまの人員で何とかやっていけるというような観点から、最近では特にもっと緊急に増員の必要のある裁判官、書記官等の増員に努めている次第でございます。
#301
○安武洋子君 いまいろいろお答えですが、十分であるとは考えていないと、そして専門家でなければいけないから、任用基準が高いというふうにおっしゃいました。ですから、定員をふやしても、充実ができなければしようがないとおっしゃいますなら、私はそうなればそうで、やはりいまから十分にこういう人たちを養成して、そして十分にやはりしていただかないと、相手は少年なんです。少年のところに私はしわ寄せを持っていくことを憂えると申しましたけれども、やはりいま少年非行が大きな社会問題になっている。もっと緊急なところにとおっしゃいますけれども、相手が少年だけに、私はそういう安易さでなくて、ここのところを充実するということで、もっと誠意を尽くしていただきたい。このことを申し添えて私の質問を終わります。
○委員長(野田哲君)
他に発言もないようですから、法務省及び裁判所の決算についてはこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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