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1949/02/16 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 水産委員会 第7号
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1949/02/16 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 水産委員会 第7号

#1
第007回国会 水産委員会 第7号
昭和二十五年二月十六日(木曜日)
   午後一時三十八分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○水産物増産対策に関する調査の件
 (水産物統制・漁業税制に関する
 件)
  ―――――――――――――
#2
○委員会(木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。
 青山君から水産物の統制、殊に荷受機関問題について質問の通告がありますから、只今から発言を許します。
#3
○青山正一君 魚類の配給統制問題につきまして、このままに放任して置きますと非常に重大な社会問題を惹起する心配があるので、この際御質問申上げますが、一つ懇切丁寧にお答え願いたいと思います。これは一月二十六日の本会議の席上、私から総理大臣なり或いは農林大臣、安本長官なりに、漁船の不法拿捕事件と共に緊急質問申上げたわけでありますが、満足すべき御回答を得られなかつたので、本日改めてその衝に当る次長に今日はおいで願うことになつておりましたですが、おいでにならないので、統制課長から一つ心から納得の行くまで御回答願いたいと存じます。
 質問の第一点は、もう世間にははつきりと知れ渡つていることで、今更お聞きすることもどうかと思うのでありますが、私にはどうもはつきりしませんからお聞きするわけですが、水産庁で発表したものか、これはどこで発表したものかは知りませんが、新聞などに四月一日から全面的に一つも残さず全部の魚類の統制を撤廃するという問題、これは業界にも、或いは世間におきましても常識的に信用せられておるのでありますが、私共もそういうふうに信用していいのか、その点はつきりお示し願いたいのであります。
 質問の第二点は、若しどうしても四月一日から撤廃できにくいというのならば、その撤廃についての噂というものは、これは煙の立たんところから噂が出る筈はない、農林大臣なり或いはその他の大臣の演説とか、当てにもならん車中談話、或いは農林省とか、安本あたりの不用意にこうも考えておるああも考えておるということが誠しやかに新聞に知れ渡りまして発表となり、世間を極端に惑わした結果となつたのでありますから、これは政府の方で責任を取つて貰いたいのであります。少くとも四月一日の撤廃というものは決して根拠のあるものではないということを発表するの義務があろうと思うのでありますが、そういう意思があるかどうか、それともこのまま世間を惑わしたままの状態に置くのかどうかということについてお答え願いたいのであります。
 それから第三点は、若し四月一日からどうしても全面的に一つも残さず撤廃するということができないならば、むしろ或る種に限つての中途半端な統制は却つて生産者なり或いは出荷機関、荷受機関、小売機関、一般消費、あらゆる方面に非常に惡影響を及ぼす結果となるからして、むしろ逆に再統制する気持があるかないか。と同時に資材の今までの基本配給というものを止めて、改めてリンク制を復活する気持があるかないか。この点を先ず承わりたいのであります。以上三点について一応お答え願いたいのであります。
#4
○説明員(奧田孝君) 青山委員の御質問に対してお答え申上げます。昨年十月十五日に魚の統制を大巾に撤廃いたしたのでありますが、その頃からこの今年の四月一日頃には全面的に魚の統制が撤廃されるというような噂が流布されまして、新聞紙上なんかにも誠しやかに出たわけであります。併しそのことにつきましては、私共は公報機関を借りましてたびたび否定いたしましたように、決して四月一日撤廃ということは水産庁といたしまして決めたこともございませんし、又発表したこともないわけであります。私共もそういう噂については、それによりまして現在実施いたしております統制の確保ということが非常に困難でございますので、甚だ迷惑に感じておつたわけでありますが、まあいろいろな四囲の情勢からいたしまして、そういう噂さが流布されましたことは誠に遺憾に存じておつた次第でございます。この統制撤廃の問題につきましては、私共も勿論その時期、方法等につきまして研究はいたしております。それから関係方面に対しましても、只今そういう点につきまして折衝をいたしてはおりますけれども、未だ本日に至るまで四月一日に撤廃できるということは決つておりません。私共も成るたけ早く結論を得たいと思つて極力努力いたしておるのでございますが、関係方面との交渉もございまして、未だ決つておらない状態でございますので、その点は一つ御了承をお願いしたいと思います。それで第二の御質問は、そういう噂をそのまま放つて置くかどうかという御質問でございますが、只今御説明申上げましたように、この問題につきましては近く結論が得られると思いますので、いわゆるこの噂につきまして水産庁で声明をするとか、そういうような考えは今のところ持つておりませんので、これは今暫く御猶余を願いますれば、はつきりする問題であるとかように考えておる次第でございます。それから第三の再統制する意思があるかどうかという御質問、これにつきましても同様でございまして、魚の統制がどういうことになるかということについては近く結論を得る見込でございますので、暫く御猶余をお願いいたしたいのでございます。資材のリンク制につきましては、私所管ではございませんので、資材課長なり、その他担当の人から又お答えをした方がいいと思います。
#5
○青山正一君 いずれにしましても、只今の返事がありましたのですけれども、この政府の責任たるや非常に重大なるものがあると存じます。四月一日から統制を外すという噂を世間に信用せしめて、而も常識的に信用せしめて、その及ぼす影響が如何に大きいかを察せずにこれを放任して置く、その罪は私に言わしむれば万死に値するものである。その害毒が如何に大きいか、一、二例を挙げまして御説明し、その点についてはつきりした御返事を願いたいと思うのであります。第一点は四月一日から統制を全面的に解除するということで、統制事務に携つておる官吏なり或いは公吏なり、例えば水産庁の役人、これは京浜地区、中部地区、京阪神地区、或いはその他の消費地に駐在しておる人間、或いは下関とか博多とか、その他の生産地に駐在している人間、その外安本とか、経済調査庁、物価庁、市町村役場、或いは県庁経済の官吏に至るまで、こういつた統制業務に携わつておりまするその官公吏は統制撤廃の暁にどこへ勤めさすとかいうような振向け先を決めておるかどうか。恐らく全国を通じまして何万人という多数の人間が、その家族を交えれば恐らく二十万人になろうと思うのでありますが、そういつた準備工作というものができておるかどうか。現に恐らく今委員長のところへもこの問題を掲げて水産庁の駐在官あたりからもいろいろ言つて来ておるお方もあるやに聞き及んでおりますし、私共の方へも下関、博多方面の駐在官からそういうふうに言うて来ておるような向きもあるのであります。これについて一つ御意見を承りたいと思うのであります。
 それから第二点は、現在統制があるから、銀行とか或いは金融関係が、農林大臣通牒とか或いは時間通牒の申入れによりまして、政府の言う、つまり政府の裏付があるからこれは絶対に大丈夫だ。而も甲とか乙の上というような最も優位の順序で荷受機関とか或いは出荷機関、生産者に金を貸しておるような状態であります。
 これが予備知識を與えずに而もそういつた準備工作もせずに、突然今課長が言うようなふうなことで統制を解除するということになるとすれば、生産機関なり或いは出荷機関の大部分も倒れることになり、荷受機関も一部市二十あつたものが十とか或いは十五になり、十あるものは五つになるというようなことになる。これは当然過ぎる程当然だと思うのであります。今まで統制品だから、これは政府が裏付をしておるからというような信用から、盲判的に金融の途を講じたものが、何ら統制を外す際においての準備工作もせずに統制を突然解除するというようなことになるとすれば、金融機関とか或いは銀行がどれ程迷惑を受けるか分らない。政府はこういつたことを全然考えずに、こういうことを全然念頭に入れずに統制を解除するつもりかどうか。その点を一つ承りたいと思います。
 それから第三点、これは政府の方でもよく御存じのことと思うのでありますが、これは非常に重大なことでありますから、念のために申入れて置きます。若しこの点を解決しないような統制課長なら、これは責任を持つて一つ辞めて欲しいと思うのであります。
 現在六大都市の荷受機関はどの荷受機関も生死の境におる。或いは今福岡県、或いは広島などもそうでありますが、というのはこの小売機関の魚屋さん、魚屋さんの売掛代金の回収不能の問題であります。つまり生産者なり、出荷業者の委託を受けまして、小売屋の魚屋に売つた代金が帰つて来んことなのであります。どんな小さな荷受機関も五百万円から大きなところでは二千万円、三千万円の売掛代金が回収不能となつておるのであります。で、荷受機関というものは生産者なり出荷業者の善良なる委託を受けまして、統制品だから絶対に政府の裏付があるからということで、小売商人……つまり魚屋に物を売つても絶対に間違いがないという信念の下に、必ず今まで通りに金が入るものだという確信の下に魚屋へ統制品を売つたところが、最近この四月一日に統制が撤廃になるのだ。そういうふうな噂が出た、そのため今後はこれは自由になるのだ、今までと違つた行き方になるのだという考えの下に魚の代金を寄越さない。どの荷受機関も泣きの涙で非常な被害を受けておる。或る荷受機関などは仕切りに拂う金がないので自分の会社の株を高利貸に抵当に入れまして金を借りる、株を抵当にするのでありますから、日歩二十八銭、百万円の金を借りて八万円から十万円の利子を納める。これは一ヶ月です。そういうふうな惨状であります。こういう荷受機関も私は知つておりますが、或る会社のごときは銀行からそのために借りた金が矢のような催促があるために、生産者へ廻すべき資金をそのまま銀行へ廻しておるような状態であります。従つて迷惑を受けるのはこれは生産者ばかりであります。これは事実であります。この事実も私は知つております。こういうふうな結果になつたのもこれは政府の責任だと断定せざるを得ないのであります。統制あるときだけ唯我独尊的な至上命令を以ちまして規則ずくめに縛り上げる強圧手段に出て、統制が外れようとすると知らん顔の半兵衛を極め込むこの政府の責任を問いたいのであります。これによつて一番影響を受けるものはこれは生産者であります。こういつたことに対する政府のお考えを承りたいのであります。
#6
○説明員(奧田孝君) お答え申上げます。第一の御質問は、統制撤廃後の役人の振向け先を考えておるかどうかという御質問でございます。これは水産庁関係のものだけについてのお答えを申上げます。統制が撤廃になりました場合に、今まで統制関係に従事いたしておりました役人はこれは要らなくなるわけでありまして、この者の配置転換を考えねばならんことは当然であります。水産庁関係で申上げますれば、統制事務に従事いたしております職員は、本省関係の外に駐在所の駐在官として勤めておる人がございまして、この数は現在約七十名程ありますが、こういう人につきましては統制撤廃後はどこかに配置転換をせねばならんということになるわけであります。我々といたしましては統制撤廃の問題はまだ確定いたしませんが、そういうようなことも予想いたしまして、そういう人の配置転換につきましては十分考慮いたしております。大体現在勤めておる人は、或いは基礎調査員に廻はしたり、或いは県庁に行く人もあります。そういうような配置転換を考えまして、別にそういう人の生活が脅かされるということがないように今やつておるわけでございますので、水産庁に関する限りそういう心配はないと断定できると思います。
 それから第二点は、統制がある間は銀行が安心して金を貸した。それが一挙に統制を撤廃すれば金融が受けられないで荷受機関その他が非常に困るという御質問でございまして、これは成る程御尤もな御心配だと思うのであります。併しながら統制を申しましても、すでに昨年の秋から約魚類の半分のものは統制から外れておりまするし、現在荷受機関は統制があるからというので、青山さんもおつしやいましたように盲判的に無批判に金を出すということはこの金詰りの世の中にすでにそういうことはやつておらないと私は思うのでありまして、すでに相当嚴格に融資先を選択して融資をやつておると私は考えるのであります。そういうような観点からいたしまして、今仮に近く統制を外しましても、そのために非常な差違がそこに生ずるというふうには私は考えられないのでございます。但しこれは魚だけの問題ではございませんが、一般的に申しまして、只今融資が非常に困難になつておる状態でございますので、そういうような融資困難のために魚の円滑な流れが阻害されるということになることは、これは非常に憂慮すべき事態でございますので、この流通の関係の金融という問題につきましては、私共といたしましては今後十分検討いたしまして、遺憾のないようにいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
 それから第三点の荷受機関の小売商への売掛代金の回収不能の問題、これは非常に重要な問題でございまして、我々もかねてからこの問題を憂慮いたしておつたのでございます。そのために昨年秋、いわゆる統制改善ということで配給規則を改正いたしました際にも、特に規定を設けまして、支拂状態の惡い小売商とか或いは出荷機関、荷受機関、そういうものに対しましては知事が業務停止を命じたり、或いは登録の取消しをし得るというような規定を設けまして、支拂代金の不良な状態を改善するようにしたわけでございます。この規定が相当効きまして、可なり事態は改善されたと思うのでありますけれども、只今青山さんのおつしやいましたように、まだ相当荷受の小売に対する売掛代金のこげつきが可なりあることは誠に憂慮すべきことだと思うのでございます。併しこれは何としましても一種の取引関係でございまして、我々の方といたしましては、今申上げました支拂不良者に対する制裁の規定、これは生鮮水産物配給規則の三十六條にございますが、この規定の運用を励行いたしまして、事態を幾分でも改善するように努めたい、かように考えておるのであります。尚その他一般的にこの魚の流通関係に対する金融の問題につきましては、これは先程申上げましたように、よく研究いたしまして遺憾のないようにいたしたいと思います。それにつきましては、結局融資の問題になると思いますが、それにつきましても、やはり融資を受けるだけの受入体制というものが必要じやないかと思いますので、そういう点につきまして、金融機関が納得できるような受入体制というものを、どういう工合にすればいいかというような点に重点を置きまして対策を練りたい、かように考えておる次第でございます。
#7
○青山正一君 これは委員長に申上げたいと思います。委員会から一つ水産省当局に、六大都市並びに福岡、広島の八大都市には荷受機関が幾つもあつて、小売り機関からの回収不能の金が各会社別如何程あるかを至急お調べ願うように一つ申入れて頂きたいと同時に、政府から八大都市各監督官、水産課長に命令を発して頂きまして、売掛代金を至急荷受機関に回収せしめるよう手を打つて頂きたい。若し納入せざる悪徳小売商人などがおるとすれば、その人に対して業務を停止して頂きたい。そうしてこの一週間若しくは十日後に政府が手を打つて、その結果現れた効果を一つこの委員会に発表して貰いたい。若し売掛代金納入不能なるときにおきましては、政府におきまして補償などをするような万全の措置を一つ要望されたい。以て一日の早くこの生産者の受ける悪影響を一つ止めて頂きたい。以上の件を農林省に申出て頂くよう、一つ各委員に御了解を得て頂きたいと思うのであります。
#8
○矢野酉雄君 今日は、青山君の質問せられましたのは喫緊の問題であつて、水産委員会としても当然真劍に取り組んでこれを検討しなければならない問題であることは勿論であります。併し今のあとの方の委員長に対する申入れは、本日の出席政府委員は僅かに統制課長のみでありまして、統制課長のみによつて判断すべきではなくて、むしろこれは農林大臣並びに水産庁長官のもつと責任ある答弁を得て、然る後に今のような資料を要望せられることに対しては私は無条件的に賛成であります。併し如何なる態度を取るかという対策についての具体的な方法はすでに青山議員によつて述べられましたけれども、これには相当検討を要すべき問題があると思いますので、一応最前申上げたような、むしろ愼重な態度を取つて頂きたい。
 それから最前青山議員の御発言の中に意見と覚しきことが沢山ありましたが、こういうような事態になつたのは、結局いわゆる四月一日を以て統制を全面的に撤廃する、その撤廃するという国内のいろいろな声は全面的にこれは政府の責任であるという前提の下に論理を進めておられたと私は承つております。併しながら私はその見方も一理あるけれども、むしろこういうような統制が撤廃せられるであろうというその声が段々高まつたゆえんのものは、一切の補給金を実は打切つたというそれに因果関係を持つて、すべての補給金を打切つた以上は当然次に来る問題は、或いは魚価にいたしましてもその他の一切の販売の方面においても、その統制を全面的に撤廃するのであろうということはこれは合理的の推定であつて、決して水産庁当局、農林当局がそうした意志を不用意に漏らしたり、或いは秘密を漏洩したりしたからというのでなくて、最前統制課長が言つたように、全然政府としてはそうした意思を表明したことはないと言われたのも私は信憑したいと思うのであります。これは当然こうなるであろうという、私自身なども実は率直に申しますというと、水産常任委員の一人として、今のような方式の統制を、補給金は打切つて、更に自由営業たるべきものに対してそれぞれの政府の意志によつて拘束を加えるということは、決して妥当な方法でないというような論理の立場から、むしろその声が段々高くなつたのであろう、こう推定しますが故に、こうした前提の下に立つた御意見の結果、全部これは政府の責任として万死に値するというような意見は私聊か度を超えておるのじやないかと思つております。ただ問題なのは、統制を撤廃するという意志は全然発表したこともない、そういう意志もここにあるかないか表明しないと統制課長は言いながら、青山議員の質問に釣り込まれて、最後には恰も統制撤廃をして、そこに人員の整理があることを肯定し、然る後にこれについては一人の失業者等のないような方策をすでにとつておるというようなことを言つたところに非常な論理の矛盾を私は感ずるのであつて、みずからそうしたことを自己証明したようになるところに聊か私は肯ずくことができないような点もあります。いずれにいたしましても、これは重大な而も喫緊の問題でありまするが故に、是非水産庁の首脳部の各位に早急に出席を求められて、成るべく御心配になつているところの青山委員の意が議員諸君の納得のいくような具体的な方法によつて早急に解決せられるように、委員長は然るべくお手配して頂きたいと私は要望する次第であります。
#9
○委員長(木下辰雄君) 青山君と矢野君の御意見がありましたが、資料は委員長として農林省に要求しましよう。それから青山君の御質問、御提案は非常に重要な問題ですからして、次の委員会か何かで責任者を呼びまして、尚十分一つ御検討願いたいと、かように考えます。
#10
○青山正一君 よろしうございます。
  ―――――――――――――
#11
○委員長(木下辰雄君) 本日は本多国務大臣、小野財務次官が見えておりますので、税制のことについて各委員の御質問があると思いまするが、その前に、この前の委員会で決めました当業者の陳情を許したいと思いますが如何でしよう。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○委員長(木下辰雄君) 御異議ないと認めまして、先ず漁経連の鯨岡稔夫君の陳情をお願いします。
 尚、鈴木財務部長も見えております。
#13
○参考人(鯨岡稔夫君) 私は漁経連の鯨岡です。漁経連の意見として、これから陳情申上げたいと思います。
 税金の問題について、世間一般では国税についてその視聽が非常に集められておりますが、地方税については全然といつてもいいくらい非常に関心が薄いのであります。併し御承知のように新憲法下、その地方税というのは地方の自治行政の裏打ちをする財源として非常に重要なる性質を持つておるが、然るに今言つたように非常にその関心が薄いと言うことであります。併しあらゆる産業においてもそうでありますが、漁業については、殊に今度の国税において非常にその特性を認められておりますが、地方税については遺憾ながらそれが非常に欠くるところがあるのであります。それでこれから地方税、なかんずく府県税であるところの附加価値税、新事業税についてと、それから固定資産税について意見を申述べたいと思います。
 昨年来朝しましたシヤウブミツシヨンは、この附加価値税については他の産業はともかくとして、原始産業である畜産業や漁業、林業などの事業活動については十分な研究をしていない。従つて新事業税の下にそれらの立場については確たる意見を述べることはできない。言葉を換えて言いますれば、シヤウブミツシヨンははつきりした結論を出さんで、日本政府にその結論を宿題として残して行つたのであります。ところがその宿題が今ははつきりしたような答えにならんとしているのであります。というのは、農業については免税をすると、併し漁業についてはこれをかける、三%をかけるというように言つておりますが、果たしてそういつたような結論をどういう方程式を以て地方自治庁の方では御回答になつたか、それを一つ伺いたいと思うのです。
#14
○委員長(木下辰雄君) ちよつと待つて下さい。質問はとにかく……委員会に対する陳情だからそのおつもりでやつて下さい。
#15
○参考人(鯨岡稔夫君) はい。シヤウブミツシヨンは、農業はその販売価格が広汎な政府統制が行われている、それから地租、家屋税が大幅に引き下げられる、こういつたような二つの理由を持つて農業については本税は免税すべきじやないかというふうな意見を述べております。併し漁業については納付する力があるように思われると言つておりますが、この「あるように思われる」というものが、現在は「あるように思う」というふうな形になつて現れんとしているのであります。併し皆さんがどれほど漁業のことを……地方自治庁の方が漁業の事情をお調べになつて、こういつたような「思われる」をあるように「思う」というふうにしたのか、それが一つの問題だと思うのです。それで漁業も、農業と別に今言つたような二つの理由については全然欠如しているものではない。むしろそれ以上漁業には重い逆條件が付きまとつて来ているということをお調べになつたかどうか、その点について私達の方としまして、差別待遇をする理由は毫もないということの一つの理由を申上げます。
 第一、その農業の地租に該当又は類似するところの負担としては、先般の国会で決まりました漁業制度改革によつて、漁民には新たなる負担が担わされるというふうにならんとしております。この漁業でも例えば免許漁業については今度の漁業法第七十五條によつて免許料を課することになつています。これは名こそ税金でありませんが、税金に全く類する一つの経済的な負担であります。それからシヤウプ氏も言つているように、漁業権税は存続しろといつたようなふうになつております。従つて免許漁業については免許料をとるということ、それから漁業権税をとる。それから今後の附加価値の構成要素をなすところの漁場代、場代金といつたようなものについても……。そういうふうに免許漁業については三重課税にもなつている。それから許可漁業については同法によりまして許可料というものがある。これは今まで全然負担されなかつたが、新たなる負担として許可料というものを負担しなければならない。それから恰かも農業の重要なる事業資産であるところの土地と同じように、許可漁業におけるところの漁船という重要なる生産資材に対しても、農業において地租が今度固定資産税と改められると同じように、漁業も船舶税が固定資産税となりまして、これが大きな負担となる。こういつた意味において、地租、家屋の大巾なるところの引上げによつて農民の負担がきつくなるから、農業については免税するというふうなことは、漁業の場合においてと、どこが違うかという点を、地方自治庁の方では看過されたのではないかということを一つ御注意申上げたいと思うのです。
 それから第二点の、農産物は広汎なるところの政府の統制下にあると言つておりますが、然らば漁業の方にはそういうものはないかというのでありますが、漁業についてもこれは一昨年から少しく統制は外されておりますが、未だ以てマル公になつている魚が非常に多いのであります。而もこれは若しこれが今度配給規則がなくなつて公定価格が外れたということになりましても、現在のデフレ的な傾向によつて購買力というものの大きな壁にぶつかつて、果してその附加価値税を転嫁できるかどうかという問題です。御承知のようにこの附加価値は流通税と営業税的のちやんぽんにしたような税でありますが、果してこの税を消費者の方に転嫁できるかどうかということは、今言つたような購買力の壁にぶつかつてできないのであります。而もこれは外の商品についても同じようなことが言えるのではないかという反問があるかも知れませんが、それはちよつと違うのであります。なぜならば、漁業というものは、例えば十なら十の仕込みをしても必ず十一とか十二という収入は出て来ないのです。十やつても元も子もなくなるように全然皆無のときもあります。例えば或る漁船において甲の船と乙の船があつて、甲の船は非常に魚が取れる、片方は取れない。取れない方の船がこれを自分の生産コストに合うようにその価格を上げれるかどうかという問題です。これは自由経済下になりますれば、御承知のように一物一価の法則によりまして、人が幾ら頑張つてもそのかかつている附加価値税の税負担を消費者に転嫁できないんです。一つの魚については一つの価格しかない。一物一価の法則によりまして、その商品は全然転嫁できないという意味で、この漁業の変動所得という、いとも賢明にシヤウプ博士が御認識なされたこの点がこの附加価値税の場合には転嫁できないというような重大なる欠陥を持つております。
 それから農業については政府統制ということがありますが、漁業についてはそれよりも單なる価格という問題でなくて、全然これを止めさせるというような今大きな問題に当面しておるのであります。御承知のように以西の底曳或いはトロールと、こういつたものはこれはすでに整理するという段階に入つています。それから以東の底曳或いは旋網、こういつたふうに政府は決して農業だけを統制して漁業の方は野放しにして置くというわけではなく、漁業の嚴しい統制は單に価格だけでなく、そういつた点にも現われて来ているのであります。
 それから御承知のように附加価値をなすところのその労賃の問題でありますが、この労賃の中に漁業は一体どれぐらいの大きな重量を占めるかということが大きな問題であります。この日本の漁業は、非常に附加価値が悪いものはどんどん止めて、いいものは残れといつたような非常に適者生存といつたことはありますが、非常に近代化したものを残せと、併し漁業というものにはその近代化ができない、近代化されないところの宿命的な固有の條件があるのであります。それは御承知のように漁業には自然的な條件、それから技術的な條件、幾らそれは船というものは大きくして行つても最後の漁撈作業というものにはどうしてもその労力というものに俟たなければならん。それは恰かも日本の農業が近代化しないというものの原因としましては、いろいろなその小作料が高い、物納であるといつたような経済的な社会的な條件もある。併しその農業を近代化させない原因の重要な一つとしては、その日本の農業が水田であるという意味で機械が非常に錆びやすいとか、トラクターを入れてがあがあかき廻すことができないといつた面について、例えば漁業についても技術的な阻害條件があるのです。そういつたような附加価値によつてその悪いものはどんどん整理して近代化して行けばいいと言つても、どうしてもその労力に俟たざるを得ないものがある。要するに粗放漁業というものに行かない、集約的な漁業にならざるを得ない、而もそういつたような技術的な、自然的な條件の外に、農業が丁度高額の小作料で苦しめられると同じように、今言つたような税金の問題が付きまとつて来る。それから日本の漁業は日本の農業と比較して非常に規模が大きいかというと必ずしもそうではない。例えば南氷洋の捕鯨というものも例外的にはありますけれども、日本の漁業の経営体の構造を申上げますと、八九・七%というようなものは零細家族二・九人です。三人弱の零細なる家族経営のものが日本の漁業の経営体の中で八九・七%占めておる。それから一〇%が船主経営、網元経営、或いは協同経営というものであります。法人経営のものは十九万五千円の会社を入れでも僅かに〇・三%、数にして日本では六百か七百足らずのものが法人経営です。而もこれは十九万五千円の会社を含めております。こういつた集約的な漁業に対してどうして農業と差別して納付する力があるように思われるか。納付する力があるというように地方自治庁でそういつた案を作成しつつあるかのようですが、これは一つの大きな問題です。
#16
○矢野酉雄君 発言中ですが、根本的態度が委員長の注意が徹底しておらないと思う。大臣、政務次官も時間的の制約があるだろうから、もつとこういう点をこうして頂きたいという陳情をなすようになすつて、意見とか質問をするばかりで、何ら陳情してない。こういう点を聞くが、こういう点は実に漁業の実際から言つて私達に不当な課税の方法であるから、この点はこういうように改めて欲しい、この点を全漁民に代つて陳情申上げるというようにお話を進めて頂かなければ、六人がこの調子でやれば恐らく三十分としても三時間かかる。議論ではないから、その点委員長然るべく実のある、効果の上る陳情の方法が行われるような御発言を願いたい。
#17
○委員長(木下辰雄君) 今矢野委員の発言通り、委員会に対する陳情ですから、大臣その他政府委員に対しては委員から質問しますから、委員会に対して陳情を簡明にやつて頂くようお願いいたします。
#18
○参考人(鯨岡稔夫君) この水産物について食糧問題の面から申しましても、現在食糧不足のために相当農産物を入れておりますが、この農産物を入れるために日本は二十五年度の予算においても高い米を買う、米、麦を買つてそうしてこれを消費者に渡すために、それを調整するために六十五億という金を計上しております。その意味におきまして、政府といたしましても食糧の量的な問題だけではなく、やはり質的な……この四面環海の日本においてこの水産物を高度に利用するような、食糧問題を質的な観点に立つて御考慮をされることを一つお願いしたいと思います。そういう意味におきましては、この附加価値税が漁民の負担になつて、そうして現在食糧を輸入して他の物を出すというような饑餓輸出をしなければならんというようなことは、水産物食糧といつたものを看過しているところから来ているのじやないかと思います。
 それから次の固定資産税でございますが、固定資産税につきましては、今度の固定資産税は相当今度の船舶に対してかかつて来ますが、御承知のようにシヤウプ博士が、漁業の所得は変動性があると言つて、この特殊性を認めたのは、ただ船を持つているからと言つて、それが経営上プラスかマイナスかということを、全然拘泥なしにこれを一律に、他の事業の固定資産と同じように一・七五%をかけるということは、これは非常に問題があると思います。これで地方自治庁にお聞きしたいのですが、先般日本の租税研究会において奥野企画課長は、私のこの質問に対して、船舶に対するところの固定資産税は、課率については特段の考慮をしているというふうに回答しましたが、その後の新聞等の発表を見ますと、一律にこの漁業の船舶についても課率を取扱つておりますが、この点どういつたような経緯か、この点もお聞きしたいと思つております。
#19
○委員長(木下辰雄君) ちよつと待つて下さい。質問ではいかんと注意したのですが、委員会に対する陳情ですから、こういう点が不合理だからこうして貰いたい、こういう点が不備だからこうして貰いたいということを言つて貰います。
#20
○参考人(鯨岡稔夫君) 分りました。漁船に対する課率は、今言つたような漁業所得の変動性というものを十分考慮に入れて、他の事業資産と違つたような課率に特段の考慮をせられんことを一つ要望します。大体以上であります。
#21
○委員長(木下辰雄君) 次に、漁村経済協会の野中六郎君にお願いします。成るべく簡明に要領よくお願いいたします。
#22
○千田正君 時間も相当経ちますので、委員会として、今の陳情は結論を急いで当局に質問したいと思いますから、簡明率直に一つ陳情はやつて頂くことを御注意願います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
#23
○委員長(木下辰雄君) 今も千田君の意見の通り簡明率直にお願いいたします。
#24
○参考人(野中六郎君) 私漁村経済協会の野中でございます。私は協同組合の立場と、それから先程鯨岡さんが申しました八九%を占めている零細漁民の立場から、地方税の改正案につきまして、どういう影響があるか、これに対してこういうふうに希望するということを簡單に申上げます。
 先ず第一に、先程申しましたように、日本漁業の非常に零細化のことは、いろいろの点で分るのであります。先程申しましたように、大体二・九人の形態が大部分であるということになつております。これに対しまして、現在水産業協同組合法の実施に伴いまして、約四千の協同組合ができておりまして、一月末現在で、約七十万の漁民がこの組合員になつております。以上の組合に対しまして、我々が分つておりますところの地方税の改正案では、どういう影響があるかということを簡單に申します。
 先ず第一に、新税制法案によりますと、地方税のうち、附加価値税と固定資産税の両面におきまして、漁民の関係はどうなるかということを申します。先ず第一に、附加価値税について申上げたいことは、先程申しましたように、非常に零細であるために、附加価値税が大きくなる。例えば一番極端な例で申しますれば、一般の小釣業者は約九五%以上の附加価値を持つておりますから、非常にこの附加価値税は多くなる。又協同組合において経営しておりますところの組合員が従事しておりますところの鰊刺網においては、附加価値が八九%になります。或いは鰊の定置網におきましては約八八%になる。こういうような状態でございますから、この附加価値税を漁業に対しては適用しない、附加価値税を適用しないということが好ましいことであります。これを漁業の場合と農業の場合と比べて見ますと、同じような状態にあるところの固定資産税の負担状況を、兵庫県の水産課で作りました表によつて見ますと、内容は省略しますが、この所得に対する比率としては、農業者が二・五七%、それから漁業者は三・八九%になつております。而も申すまでもなく農業における自給経済と、漁業における交換経済とは相当の生活内容に相違があるということは申すまでもありません。従つて漁業者に対するところの固定資産税なり、或いは附加価値税というものは、当然これを適用しないようにして頂きたいと思います。
 それから次に新税制法案によりますところの地方税関係と協同組合との関係を申上げます。先ず第一に、私が言うまでもなく、第二大戰以前までは、すべての協同組合に対しましては、国税と地方税とを問わず非課税でありました。第二大戰中に、協同組合におきましては、特別法人税というものが初めてかかりましたのでありますが、これは飽くまで臨時的な性質のものであつて、当然これは廃止されるべき性質のものでありました。そういうような状況でありますから、特別法人税を課しましても、営業税並びに営業収益税は協同組合に課せられておりませんでした。ところが二十三年の税制改正によりまして、特別法人税は廃止されまして、国税においては法人税、地方税においては事業税が協同組合に初めて課せられたのでありますけれども、飽くまで一般法人とこれを区別しまして、御承知のように、他の一般法人よりも低い税率をとつております。今度の改正案を見ますると、協同組合も営利法人と全く同一の税率を受けるというようなことになつておりますが、言うまでもなく、漁業協同組合は、昨年の二月十五日実施になりました水産業協同組合法によつて設立されたものでありまして、非常に設立の日が浅く、他の営利法人と同率の課税には到底堪えられんということがはつきり言い得ると思います。而も漁業協同組合の場合におきましては、収益力が非常に少い。公共的な性質を持つ施設が多いために、この施設に対しまして、同率の固定資産税がかかるということは、協同組合の将来に対して暗澹たる途を示すものと言わざるを得ないのであります。尚昨年の十一月インドのラクーウに開かれました国際連合の食糧並に農業機構の発起人会におきましては、協同組合に対しては、原則として税金は免除すべきであるということが明らかに宣言されております。以上の状況から言いまして、これを東京都の協同組合の場合におきまして、現行税率と改正後の、只今伺つておりますところの税率との比較によつて、その負担を見てみますと、どういうことになるかと申しますと、現行では、この協同組合が剰余金が一万三千三十七円ある分に対しまして、国税並びに地方税を総合いたしますと、現行の場合は二万六百八十九円でありますが、改正案によりますれば、十一万八千八百九十四円、即ち九万八千二百五円の差額であります。四七・五%の増加となるのであります。従つて我々は協同組合の立場と漁民の立場から見て、どういう点を改正して頂きたいかということを具体的に申上げます。先ず第一に協同組合の面から申します。協同組合に対する附加価値税については、先程鯨岡さんから申上げましたように、これを撤廃するか、或いは少くとも特別法人として、税率を他の一般営利法人と変えて貰うということが必要であります。理由は、申すまでもなく、協同組合たる特殊機関として利益が少く、且経費の中で人件費が非常に多いということは、この負担に堪えられないからであります。
 それから二番目に同様に附加価値の中で附加税についても協同組合に対して課税しないようにお願いしたいと思います。その理由は何故かと申しますと、御承知の通り、只今旧水産業団体法に基き漁業会並びに地方水産業会は清算中でありまして、この協同組合の社会性というものから見て、法律改正等によつて思い掛けない解散が行われて、その際の清算については、特別な措置をして頂きたいという意味であります。
 第三番目に、協同組合が賦課金等によつていろいろの事業をやつておりますが、この場合にはこれを附加価値の対象としないということを要望いたします。その理由は、協同組合は、経済事業の外に非経済事業としていろいろなものをやつておりますが、それをやる場合に、賦課金によつて賄う場合が非常に多いのであります。でありますからこの事業は附加価値を生ずるものでありませんから、収入金額から控除するのが正しいと思います。
 第四番目に、組合員の利用した事業経営に対する協同組合の割戻しは、附加価値に算入して頂きたくないと思うのであります。その理由は、協同組合において協同組合員が利用した事業に対しての事業者の割戻しは、これは実質においては協同組合員が余計に協同組合に拂つたものであり、或いは協同組合が組合員に割戻すことをしなかつたというのがこの剰余金の事実であります。
 第五番目に、附加価値税を徴収するとしますれば、この徴収の時期は、協同組合の事業年度に従つて、その属する年度の決算後にして頂きたい。これは言うまでもありませんが、納税する立場から見て最も便利なことは、又協同組合におけるその事業年度の決算した後の方が納税し易いわけであります。
 第六番目に、固定資産税について申上げますと、先程一部申上げましたが、固定資産は、漁業協同組合の場合においては非常に公共的施設の内容を持つたものが多いのであります。従つてこれによつて生ずるところの収益というものは少いのが当然であり、而もこの施設を利用するものが組合員であるというような観点からいたしますれば、当然多額の固定資産税に堪えられるものではありません。従つてこれは同様に、附加価値税と同じようなことに特殊の取扱をして、でき得れば公団とか、会社のように、これらの固定資産については固定資産税を課さないということにして頂きたいと思います。
 第七番目に市町村税について申します。市町村税は当然我々が支拂うべきもので、納税すべきものでありますが、協同組合の場合においても、これは当然納めなければなりません。併しながら協同組合の事業の上、本部があるところ以外に支部のあるようなところがございますが、こういうものの支部等の従たる事務所に対しては課税しないことが必要であると思います。
 尚八番目に、漁業権について申上げますが、共同漁業権については、地方自治庁の御賢察によりまして、協同組合に対してはこの漁業権税は賦課しないということを伺つておりますが、過日、昨年の十一月二十九日に議会の修正を受けて近く施行されますところの新漁業法については、区画漁業なり、定置漁業なりを実質的に非常に有利に改正されました。従つて区画漁業なり、定置漁業なりを振興するために当然漁業権税を徴収しないことが必要であります。漁民の個人の場合につきましては、先程申しましたように、附加価値税は、固定資産税については簡單に触れましたから、ここで繰返すのを省略いたします。尚補足的に二、三申上げます。
 第一番に、各市町村長が指名いたしますところの評価委員会でありますが、この固定資産の評価委員会については、非常に水産には特殊な事情がありまして技術的にむずかしいのでありますから、特に水産に理解のある人をこれに附け加えまして、嚴正な水産に対する固定資産の評価をして頂きたいということを要望いたします。
 それからもう一つ申上げますが、これは青色申告と関連したことであります。この青色申告の実施について、私の方では、あらゆる機会を利用いたしまして漁民並びに漁業組合等を指導いたしております。御承知の通り、青色申告には、決算の補填として繰戻し、繰越し、或いはこの両者が合併した欠損補填の方法が行われておりますが、附加価値も、あれを拜見いたしますと、五ヶ年間の繰越しが認められております。でき得れば青色申告をなした場合の人が、この青色申告の欠損の補填の方法と同様に、附加価値の補填の方法を合わして頂きたいということを要望いたします。
 以上で私の陳述を終ります。
#25
○委員長(木下辰雄君) 松原さんは、今までの意見と違いますか、東京都の会長……。
#26
○参考人(松原茂一君) 違います。
#27
○委員長(木下辰雄君) 違いますならば、東京都漁業協同組合連合会長。
#28
○参考人(松原茂一君) 私は東京都の漁業協同組合連合会の職にあり、又本日は全国海苔貝類漁業協同組合連合会の代表といたしまして一言陳情を申上げたいと存じます。
 今回国家として我々漁業者に附加価値税が課せられるという案が立てられておるということを聞きましたが、尚畜産は課税対象にならないという話を承つたのでありますが、いずれの理由で漁業に課せられて、農業にかからないかということは、私共は非常に不思議でならないのであります。私は漁業程不安定な、而も労力がかかり、無駄な費用のかかる業態はないと思うのであります。漁業者の使うところの漁船、漁具、燃油、こういうものは漁業者は財産と認めないのであります。いずれも消耗品に等しいものだということを常に考えておるのであります。漁業の最も負担の大きいところの船なるものは拵えただけで、家のように何年も持つものではないのであります。二年、三年経てば、又修繕、又修繕、常に修繕に追われまして、そのうちには、又新造せなければならんというようなわけで常に漁師というものは、それに追われておるのが真の在り方であります。又一朝難風に遭つた場合には、人もろともに失うという危険が多く、俗に言う板子一枚下は地獄というような業態であります。又網等も同様であります。網などは拵えて入れて、やはり風波の場合には捨てて来なければならんということが往々にしてあるものであります。又漁業程漁、不漁の極端なものは又ないのであります。不漁が三年も続くということは、これは稀ではないのであります。このような不安定な無駄な費用の多くかかる漁業に対して、今度附加価値税や船税がかかるということは、漁業者の実態というものを知らないのも甚だしいと思うのであります。もう少しこの漁業の実態というものを御研究して頂いて、根本から考え直して頂くようにお取計らい願いたいと思うのであります。特に今度の附加価値税におきましてひどい痛手を受けようとするのは、沿岸漁業者であります。全国で九割を占むるところの沿岸漁業者は、殆んど零細漁民であります。我々「のり」養殖業者もその例に等しいものであります。又漁業は農業と違いまして、農業は食物を持つておるのでありますが、漁業者は食物を買わなければ生活ができないという、農業と方式の違つたところもあります。以上のような次第で、ここに農業、畜産業に附加価値税が課せられないということになれば、私はむしろ漁業の方に附加価値税を課せない方のが本当の在り方だと、こう思つておる次第であります。
 どうぞ水産を御担当なさいますところの委員諸先生には、この漁業の実態をよくお考えになりまして、是非今度の附加価値税、船税等は撤廃して頂くようにお取計らいを願いたいと存じます。尚、詳しい数字につきましては、書類において提出いたしたいと思いますので、よろしく御検討の上御考慮の程をお願いいたしたいと存じます。
#29
○委員長(木下辰雄君) 外の方で、今まで陳情された事柄と違う方がありますか。
#30
○参考人(池田文爾君) 私は日本定置漁業協会の池田でございますが、定置漁業の立場から、附加価値税を是非撤廃して頂きたいということを申上げたいと思うのでございますが、附加価値税は機械化され、而も利益の上る産業程非常に有利になつて来ます。ところが定置漁業は誠に原始的な漁業でありまして、労賃の部分が非常に多い。それをパーセンテージで見ますると、大型網から下は小さな鰊定置にいたしましても、大体平均して五三%が附加価値税をかけられる率になりまして、あとの四七%というものが、漁網費とかその他のものになつて参ります。その平均して五三%のうち、約八〇%が労賃部門になつて参ります。殊に鰊定置ですと、殆んど七六%までが附加価値税の対象になつて参りまして、そのうちの七七%が労賃部面でございます。定置漁業と申しますと、非常に華かなようでありますが、実際今の経営を見ますと、非常に苦しい経営をしておりまして、皆さんの御承知の真鶴の漁場におきましては、約一千六百万円の経費がかかつておりまするが、一昨年の漁獲はそのうちの五割しか水揚げをしておりません。それから千葉県の波左間の漁場、これも日本の代表的の漁場でありますが、そこでも経費が一千六百万円のうちで、漸く六割五分しか漁獲を上げておりません。それから佐賀県の神集島、これは中型漁場ですが、ここでも一千二百万円の経費に対しまして、八割五分しか漁獲を上げておりません。それから極く小さな愛知県の施網でありますが、そこも約六十万円の経費に対して、やはり八割五分しか漁獲を上げておらない。而も、それらの欠損漁場が、すべて自己資金でやつておる所は殆んどございません。例えば波左間の漁場ですと、自己資金が八百五十万円で、借入金が七百五十万円、真鶴は、自己資金が三百万円で、借入金が一千百五十万円、それから愛知県の施網でも、自己資金が二十万円で、借入金が二十万円、こういうふうにどこもここも借入金でやつております。而も欠損々々ということが実際の状態でありまして、とても附加価値税等の担税能力はない。これは、そう申上げますと、定置のような労力を非常に多く使う漁業はもつと機械化したらよいだろう、もう少し機械化して、従業員を少くし、労賃部面を減らすならば、附加価値税がかかつても有利になつて来るのではないかと、こういうふうな考え方を持たれると思いますが、これは誠に御尤もなようでありますが、これは一応常識論でございまして、定置漁業が機械化されてそれが成り立つものならば、もうとうの昔に、十数年、或いは数十年昔に機械化されなければならない筈でございます。定置漁業の網、機械につきましては、いろいろ特許等を取つた人もありまするし、従来いろいろ考えられておりまするが、それが実際には用いられておらないということは、定置漁業の網についてはなかなか機械化されない。ということは、海は生きておりますから、その海の水というものは時々刻々に変化しております。例えは潮流にしても、網揚げの時間が一時間かかるというと、その一時間の間に、潮流の早さ、それから潮の方向、いろいろな條件がありまして、百人余の人が仮に網を持つておるとしましても、それは決して初めから終いまで一様の力で網を揚げておるのではなくて、いわゆる海の呼吸に漁師が呼吸を合せまして操業をしておるのでございます。そこで潮がずつと来れば網を置いて、潮が楽になつて来れば網を揚げて行くというように、時々刻々と海の呼吸に自分の呼吸を合せまして、百人なり五十人の人がそれぞれの立場において腕力なり腰の力を適当に按配して網を掲げておるのであります。そういうわけでありますから、これを一律に機械化して、機械か何かでぐるぐる捲き上げて行きますと、そういうような調和がとれませんから、網を傷めてしまうというようなことにもなりますし、なかなか機械化されない理由はそこにございます。そのために、只今ではむしろ網を揚げるというようなことよりは、余計に魚を集めた方がよい、余計に魚を網の中に入れて、そうして労働部面を、成るべく一つの労力に対して余計の漁獲を上げる方がよいというところから、最近集魚燈や音響等を使いまして、網の中に余計魚を誘導するという方面に機械力が用いられるという傾向になつて参りましたのは、今申上げたことを裏書するものと思います。それから仮に一歩を譲りまして、若し機械力が以て網を掲げることができましても、これは平時の場合でありまして、これは網を立て込むとき、或いは網を切り上げるとき、或いは途中において時化等がありました場合において、機械では到底それを処理することはできないのであります。ですから例えば網を揚げるのに五十人の人を要しましても、今度は網を入れる時、網の仕立、或いは網を切上げる時、又時化等がありました時に、応急の措置をとるためには、やはり八十人なり百人なりという人が要る。若し機械のために……。
#31
○千田正君 委員長、お話中ですが先程たびたび私委員長に注意しておりますが、陳情の結論を急いで頂きたい。
#32
○参考人(池田文爾君) それでは結論を申上げますが、定置漁業はなかなか機械化されるものではない。余計の人間が要るものである。ですからこれに対しまして非常に労賃が多い、又これを附加価値税の対象とする、こういう漁業は到底附加価値税を負担する能力がない。もう一つは非常に欠損の多いということを申上げまして、殊に定置漁業に対しましては、附加価値税をかけられると非常に業者の負担が重くなるし、到底立ち行かないことになる。こうでありますから是非これはやめて頂きたいというのが結論でございます。
#33
○委員長(木下辰雄君) 外の陳情者の方は書類を以て委員会にお出し願いたいと思います。
  ―――――――――――――
#34
○委員長(木下辰雄君) 只今本多国務大臣、それから荻田次長、鈴木財務部長がお見えになつておりますから各委員からもこれに関する御質問を願います。
#35
○千田正君 先程から全国の漁業者の団体の方々の陳情切々として、労賃、漁民或いは業者の立場を訴えておりますが、私は今日は、本当は吉田総理大臣に質問したかつた、ということは、吉田内閣の水産行政に対するところの考え方が、非常に我々が要求しておる点とは違つておる。例えば先程もいろいろ陳情団の方々が言つておりますが、農業と水産というものと、どうしてそういうような区別をするか。こういう大きな日本従来の水産業である、二つの分野があるにも拘わらずおのおの異つたやり方をやつておる。而も跛行的である。こういう点において吉田内閣としまして、水産行政に対する何らの関心を持つておらないじやないか、というふうに我々は考えられるのであります。今日は吉田総理大臣が見えておりませんから本多国務大臣にお伺いしますが、先程からの陳情、並びに我々水産委員会は、たびたび水産行政の不当というものを、不均衡であるところのこの施政方針に対しまして、幾度となく政府に対して我々は要望しております。にも拘わらずこのたびの税の問題においては、誠に我々は驚くべきところのやり方であると言わざるを得ない。そこで私は農林大臣も来ておりませんが、農林大臣も追求したいと思う。本多国務大臣としましては、この生産に従事しておるところの日本の大多数の漁民のために、零細漁民のために、吉田内閣はどういう施政方針においてかくのごとき附加価値税を課そうとするのか、というはつきりした吉田内閣の根本方針に対するところの説明を承わりたい。それによつて、恐らく日本の漁民団体の諸君も吉田内閣というものをはつきり認識して貰いたい。その点について政府の施政方針、殊にこの課税の方針に対してはつきりした態度を示して貰いたい。この点を先ず第一番に本多国務相に対して質問いたします。
 更にこれはかけなくて済むか、是非かけなければならない税なのかという点について改めてお答えを頂きたい。
 若しかけなくて済むならば、先程の漁民代表の切々たる陳情のごとく、かけないで頂きたい。かけなくちやならないとするならばどこに理由があるかという点を明確にして頂きたい。
 この三点について本多国務相の御答弁を頂きたいと思うのです。
#36
○国務大臣(本多市郎君) 今回の地方税の改正は、誠にシヤウプ氏の勧告による根本的な改革でございまして、その及ぼす税負担の変化については、いろいろと摩擦も生ずるわけでありまするし、各界の方々にも御心配をおかけいたしておるのでございます。今日までの地方自治体の財源の薄弱な点に、シヤウプ氏は特に関心を持たれまして、本当の自治体の発達はその財政的な確立がなければならんという見地から、中央における税を減税をいたしまして、そうして地方市町村の財源を増額してやるという方向に強力なる勧告で行われたのでございます。その一環として只今お話の附加価値税、固定資産税の問題が生じて来るわけであります。この附加価値税につきましては、農業に対するものと漁業に対するものの間に、そこに差違を生じておる点は何か理由があるかという御質問が第一であるかと思うのでありますが、これは御承知のように農業林業等につきましては、土地というものが非常に大きなこれが資産でありまして、これが全面的に時価という賃貸価格の一千倍近くであります。地価というものでこれが課税標準として取上げられることになり、これを考えました場合、漁業を比較いたしますと、それ程の急激の税負担の急増ということがこの面から考えられないと思います。そうした点から特に固定資産で非常な増加を農民には来たしますので、この附加価値というものはその点からも睨み合わしてこれを減税した方が、直接税としての均衡が保てるという見地から、シヤウプ博士も農業、林業に対する附加価値税は減税すべきであると勧告しておられるのであります。但し漁業につきましても、企業的な形体のものに附加価値税を課するという、その範囲を限定いたしたいと政府は考えておるのでありまして、只今話のありましたような自家労力による零細漁業に対しましては、附加価値税は課さない方針でございます。
 更に又全般的な問題として固定資産税を除外すべきではないかという御意見もあつたのでございますが、これは固定資産が、それがどういう事業に用いられておるかというその種類によつて、即ちその固定資産を使用する事業の危険性、或いは収益率、或いは公益性の高低というようなことを以て区分することは誠に困難でありまして、やはり営利形態で事業として行われておる以上は、一率に固定資産税というものを課する外はないと考えております。
 どういうわけでかような税を取るかというお話につきましては、前以つてお話申上げました通り、シヤウプ氏の勧告を全面的に政府も妥当なものと認めて受入れたのでありますが、こういう方法によらなければ負担の均衡という点から、更に又地方市町村の財政的確立が困難であるという点から、この改革が行われるものであると了承いたしております。
#37
○千田正君 どうもシヤウプ勧告という点は、これは必ず実行しなければならんというのではなくて、シヤウプ氏の言うたのは、こういう勧告の下で吉田内閣は十分なる運営をすべきであるという勧告であつて、必ずしも漁業なら漁業に徹底的にはやらなくてはならんという意味ではないと私は考えるのであります。同時に、どうもさつきから伺つておりますと、漁業というものは誠に底から降つて湧いたような商売じやないかというふうに考えておるんじやないか。凡そ生産の面において漁業程自己の生命というものと財産というものを賭けてやつておる生産はないのであります。生命というものは如何に尊いかということは、これは何人も分つておるわけであります。その生命さへも賭けて生産するこの漁業に対しての認識が甚だ不足である、恐らく肉や野菜は召し上つておられるか知られませんけれども、お魚なんか一回も食べておらないような御説明を承わると我我は誠に心外でありますので、この点、漁業というものは一度嵐に遭つたら命も財産もなくなるというような危險に直面しながら、国民の蛋白源を補給するための営々とした生産業であるということをはつきり認識して、この附加価値税というものをかけるかかけないかというような点については、そうした根本的な問題までも認識して頂かないということんでもないことになると思うのでありまするが、この点については、改めて又我々は本会議においてお答えを頂きたいと思つております。とにかく今のお答えによりますと、シヤウプ勧告があるからというようなふうに逃げられるようでありますが、どこまでも生産という事業というもの、そうして日本の農業と何ら生産の面においては差はない、而も生命、財産を賭けてまでやらなくちやならない危險な生産であるということを十分に認識されて、今後この課税の問題については御検討願いたいということを特に要望いたします。
#38
○青山正一君 只今本多国務相からのお話があつたわけでありますが、そのお話の中に、零細な漁民にかけないとおつしやつておられるのでありますが、これはどういう限界によるものか、その限界点を一つはつきりお示し願いたい。
 それからもう一つは、御存じか御存じでないか知りませんが、この二月程前に施行されましたる漁業法によりまして、免許料とか或いは許可料を、当然法律上負担しなければならないということになつておるのでありまして、これを負担するとすれば、附加価値税を取るべきではないと私は解釈しておるのであります。何故ならば免許料とか或いは許可料というものは、農業におる地租に相当すべきではないかと思うのであります。この点は大蔵省も同一解釈でおるのでありまするから、この点、今御返答に苦しむようならば、一つ十分に御研究願つて、改めて御返答願いたいと思うのであります。以上二点につきまして……。
#39
○国務大臣(本多市郎君) 只今漁業者に対する附加価値税の免税の範囲でございますが、自家労力による零細漁業については、免除いたしたいということで方針を決定いたしております。その限界につきましては十分研究をいたしまして、政令で定めたいと思つておりますので、今の段階では具体的に申上げかねます。殊に実情にどちらかといいますと疎い私のことでございますから答えかねますが、自家労力による零細漁業、この中に包含されるものというふうに抽象的に一つ御了承願つて置きたいと存じます。
 それから漁業権税、それから漁業免許税といいますか、只今お話のございましたこの税は、特別税になつておりますために、二重にかかる面を生ずるのでございますが、ただ漁業法の本当に完全に実施せられる、その実施と並行いたしまして、この免許税と漁業権税と二重課税を廃止するようにいたしております。
#40
○青山正一君 この点について又十分その御研究を願いたいと思います。
#41
○委員会(木下辰雄君) 外にありませんか。
#42
○尾形六郎兵衞君 私はシヤウプ博士の税制改革の方は余り詳しくありませんけれども、それを見ますると、漁業については、事情が分らないからということではつきり書いてないのであります。これは農業と同じく原始産業、殊に労力を主とします零細漁業につき
ましては、農業と同じくこの附加価値税というのはかくべきでないと思いますので強くその点を要望して置きます。
 又固定資産税につきましても、戰争のために大型漁船は全部喪失しました。今あります漁船には大方戰前の百倍以上の価格がしておりまして、あら方借金によつてこの船を建造しております。従いまして今まで私共知りますような賃貸価格の千倍の一・七五%を一律にかけますることは、非常に大きな負担になると思いますので、この点につきましてどういうふうに伺つておられますか。ちよつとお聞きしたい。
 尚私が今申上げましたような点を考慮しまして、この固定資産税につきましては、零細業者がこのために立至ることのないように十分一つ注意して頂きたいと思います。
#43
○国務大臣(本多市郎君) 固定資産の課税標準の決定につきましては、土地家屋につきましては、戰前の賃貸価格の千倍ぐらいが時価に相当するであろうというので千倍ぐらい見積るべきではないかというのがシヤウプ氏の勧告でありますが、これは時価が、そこに相当するであろうという時価の算定と申しますか、評価の一つの方法と考えております。土地と家屋につきましては、只今申上げました通りにまだ千倍と政府は決定いたしておりませんけれども千倍くらい、それから田畑につきましては、今日田畑の公定価格が、従前の賃貸価格の、田は四十倍、畑が四十八倍となつております。それで均衡をとつておりますので、戰前の賃貸価格の千倍に匹敵するためには二十五倍くらいに上げなければならん。そうすると四十倍の二十五倍で丁度千倍くらい、これは土地、家屋、田畑も減価償却でありますが、その他の償却資産につきましては、地方財政委員会で各自治体に対しまして評価の標準と申しますか、評価の基準というものを作つてお示しすることになつております。併しその評価標準に基きまして、それぞれの地区の固定資産の評価委員会で決められることでありますが、政府といたしましてはでき得る限り地方財政委員会とも連絡をとりまして、この固定資産の中の償却資産の評価については、できるだけ適正に決められますように、只今のお話のありましたいろいろな点も考慮して、その標準が決まりますように推進をいたして行きたいと思つておりますので、又それらの点につきましては機会あるごとにお話等もお伺いして進行いたしたいと考えております。
#44
○青山正一君 最後に附加価値税をやめて頂きたいということが、これは絶対的な意見でありますが、若し仮にどうしてもこれを法定化しなければいけないというような場合において二つ、三つ條件があるので、その條件を申入れて置きます。勿論先程お話のありました零細漁業の免税、これは先ず考えて頂かなければなりませんし、それから附加価値をですね、他の産業と区別して、漁業の特殊性というものを一つ十分研究して頂きたい。それから第三点は、協同組合がみずから漁業を経営する場合は、これは勿論免税して頂かなければいけないという問題。それから第四点は、漁業はその他の産業と異なりまして、先程から陳情者の言にもあるごとく、或いは千田委員から申込みのあるように、海流異変等、非常に不可抗力によつて、場合によれば財産も失う、或いは赤字のあるところがある、こういうふうな場合には附加価値税を必ず免除して頂く、こういう点。それから先程申上げました免許料、許可料の問題。こういう点を一つ十分に御考慮の中にお入れ置き願いたいと思うのであります。以上。
#45
○西山龜七君 水産業の中に、只今国務大臣は零細な労働力を主にしておるものには税をかけない方針である、かように申されましたが、そういたしますと、畜産業もやはり労力を主にしておる畜産業、小さい畜産業は附加価値をかけない、こういうことになるかどうか。それからもう一つは、水産業にいたしましても、畜産業にいたしましても、その業に使つておる土地、家屋なんかはやはり支出の部にそれは加算せられるのですか。尚又、漁業としまして、船舶を購入したとき、その船舶を償却する年度割、こういうようなものはやはりその業の支出に計算されるのでありますか。その点をお伺いしたいと思います。
#46
○国務大臣(本多市郎君) 只今御質問の御意見は、大体御意見の通りに考えております。最後に、船舶を購入した場合に、それは何年かに分けて附加価値から控除すべきではないかというお話でございますが、一時に大きな船舶を購入いたしますと、附加価値が赤字になりますので、それは五年間ぐらいはやはりずつと控除して行きたいと考えております。
#47
○委員長(木下辰雄君) 外に質問ありませんか。質問ありませんければ委員長から政府当局に要望いたします。
 只今陳情者から縷々陳情いたしましたことは、十分お聞きのことと存じます。又各委員会からの要望或いは意見についても、お聞きの通りと思いますので、農業或いは林業、或いは自家生産の畜産業に対しては、附加価値をかけない。然るに同じ意味の水産業、何ら附加価値の部分がない水産業に対してのみかかるということは、甚だ不合理でありますが、併し大臣の御答弁によりますと、自家労力による零細漁業と、こう申されましたが、これは私らは大きな資本漁業とか或いは南方捕鯨とかいうものは別といたしまして、大体現在水産の九割を占めておるのが零細漁業でありますからして、この範囲を十分一つ拡張されまして、沿岸漁業に対しては成るべく附加価値税を撤廃するというような御方針にお考えを特にお願いいたしたい。これを特に委員長として要望いたします。
#48
○千田正君 最後に一つ、お伺いしますが、これはむしろ大蔵大臣に質問することだろうと思いますけれども、池田大蔵大臣は、昭和二十五年度のいわゆる税の問題に対しましては、これは国民、殊に勤労階級、生産階級に対しては減税をする、減税なんだということを明らかに声明されておりますが、この附加価値税は、果してこの国民の、殊にこの漁業に携わる人達のためには減税になるものであろうか。その点を一言政府からとして御答弁頂きたい。
#49
○国務大臣(本多市郎君) 御承知の通り、中央におきまして九百億の減税であります。昨年に比べまして。昨年の当初予算に比べまして九百億の減税で、今回は地方府県の税は前年度程度に抑制しまして、市町村の財源を四百億枠と拡張することになりますから、その程度まで増税が市町村において行われることと思いますが、四百億そこで増税と考えますと、差引は五百億の減税にしかならないということに、簡單にこれを申上げますとなるのでございますが、如何せん、税制の根本改革でございますので、個々の納税者の方にとりましては相当変動がありまして、場合によれば二倍、三倍と殖える方もあるかも知れません。併し又減る方もあるでありましよう。併し概ねは今日までの中央の税でありました所得税、それから取引高税、或いは地方税でありました事業税というようなものを総合的に計算して頂きましたならば、そう急激な負担の増になる立場の人は少いのではないかと考えております。
#50
○千田正君 これは政府と我々との観点の相違でありまして、減税になつて大して負担じやないじやないかというお説でありますが、私は少くとも漁業者にとつては、附加価値税を課せられたる範囲内においては、これは完全に増税であるということだけ一言申上げて、尚反省を促します。
#51
○国務大臣(本多市郎君) これは例えば今までの地方税法が、事業税というふうになつておりましたが、事業税が純益を基準に課すということになつておりますから、零であつたり、或いは非常に大きな事業でも小さな税額であるという場合がございます。そういうようなときには、今回の附加価値という、つまり所得を含むものではありますけれども、附加価値という外形標準になります関係から、この面においてこの事業税と附加価値税だけを比較いたしますと、今まで純益の少かつた事業家にとりましては増税になろうと思うのでありますけれども、これも個々には、その他の取引高税等総合して計算して見て頂かないとなかなか見通しは申上げられないと思います。併し全般的に見まして、今度の税は、国民の総負担の上から申上げますと、最前申上げました通りに減税になるのであります。
#52
○尾形六郎兵衞君 今の附加価値税と固定資産税の税率につきまして、シヤウプ博士が示しました率と、内閣で決めた率とに差があるようでありますが、その後どうなつておりますか、ちよつとお聞きしたい。
#53
○国務大臣(本多市郎君) これはシヤウプ博士が税をやはり勧告しておられるのでありますが、その税率が相当高率であるし、更にその税率によらなくても予定収入は得られるであろうという見地から、政府といたしましては、少しく下回る倍率、税率を内定をいたしまして司令部と折衝中であります。
 その第一は、附加価値税の税率でありますが、附加価値の百分の四というのがシヤウプ氏の勧告でありますが、これに対して百分の三・五、従つて第一種が三・五で第二種以下は二・五、ここまでは税率を下げても予定収入が得られるであろうというので折衝いたしております。
 更に固定資産につきましては、最前申上げました土地、家屋の倍率、一千倍ということになつておりまするけれども、これは八百倍ぐらいが無理のない時価と一般通念で認められるところではあるまいかという観点から、八百倍、更に又固定資産税の百分の一・七五という税率についても、これも今少しく引下げても、固定資産税の予定収入は五百二十五億ばかりありますが、得られるであろうということで折衝いたしております。
 更にもう一点は、市町村民税の問題でありまするが、これは従来の均等割、財産割と所得割というのが、これが改正になりまして二本建にする予定であります。即ち均等割と所得割でありますが、その所得割の税率でありますが、シヤウプ氏は自分の十八以上、こうしてありますのを、それも百分の十五くらいまでは下げても、この均等割だけの計算では予定収入には困難のようであるけれども、所得税額の百分の十八というものは、相当高率であるから下つても、地方税の全体的に見て予定収入が得られるから、この点を何とか一つ御考慮願いたい、こういう点で今折衝に努力しているのでありますが、まだどうしても向うとの一致点に到達いたさないでいる次第でございます。
#54
○西山龜七君 この附加価値税を地方で決めますに、地方の自治委員会というものが、その細かいことを決定しているように承知しておりますが、これは一種、二種、三種共別に委員会を拵えますか。又一つにいたしましてやりますか。又その自治委員会というのはどういうような構成にいたしますか。その点をお伺いしたい。
#55
○国務大臣(本多市郎君) 実はこの中央に地方財政委員会というのができることになつておりますが、ここで全国的な標準を決定いたします。例えば固定資産の各種類別等につきまして、評価標準というものを作ります。この評価標準を各府県市町村に示しまして、その標準を尊重して貰えることと存じますが、その標準に基礎を置いて、各府県市町村の徴税課においてあとの仕事はやるのであります。若し府県市町村におきまして、自治的にいろいろな適正課税のための、委員会と申しましようか、そういうものを設けて研究されることは差支えないと思いますけれども、政府の方針といたしましては、専ら標準を地方財政委員会で決定して、これを示すということになつております。この地方税の税率は、標準税率でありまして、これによつて平衡交付金等の査定の一応の基準として、税収入の各市町村別の標準額を査定するものがありまして、この税を多く取るか、少く取るか、一応の標準率はありますけれども、全く府県市町村の自治的に決められるところでございます。
#56
○千田正君 簡單な質問ですが、国務大臣の御説明によると、この附加価値税をかけられた漁業者にとつては或いは増税かも知れないけれども、一般の国民にとつては総体から見ると減税である。誠に我々は腑に落ちない御答弁を頂いたのでありますが、そうすると一般の民衆、或いは全国民にとつては総体から言うと減税であるが、その苦しい立場のしわというのを漁業者が背負わなければならないという結論になりますが、漁業者が背負つて、例えば一般国民の人達において総体的に減税になるということは、我々としてもどうも承服できないということは、飽くまでも課税の目標というものは公平にして中正でなければならないという建前から言うと、漁業者だけが、農業或いは林業と同じような日本の原始産業の部門に貢献しておるところのこの漁業者に対してのみ附加価値税をかけて、それは決して増税ではない、一般から見るというと減税なのだという説明は、誠に羊頭を掲げて狗肉を売るような感がいたすのでありますが、漁業というものに対する政府の認識がその程度であるとするならば、我々は本当に漁業者の団体のためにも、全漁民のためにも、これは政府に対して反撃を加えなければならない。そこで私はお聞きしたい。全体附加価値税というものは、漁業者にとつて増税じやないか、増税であるかという見解をはつきりして頂きたい。そうして漁業者だけがこのしわを、同じ生産者であるところの農業、林業と同じような立場に置かれずに、漁業団体だけ、或いは漁業者だけが、水産業者だけがこのしわを背負わなければならないのか、これが政府の施政方針であるかどうかという点を、もう一度重ねて明確にして頂きたいと思うのであります。
#57
○国務大臣(本多市郎君) 附加価値税は、府県市町村の地域において附加価値に漏れなく課税されることになつたのでありまして、只今申上げました通りに、固定資産税の増強、急激なる増強の関係から、農業、林業等が除外されることになりますけれども、その他皆一率にかかるのでございまして、決して漁業家のみがこの犠牲になるというようなことにはならないと思います。漁業家の負担せられる附加価値税も、その何パーセントになるでありましようけれども、更に大きなものを各一般の事業家に負担して貰うことになろうと思います。事業税のみについて、附加価値税と事業税と比較した場合にどうなるかということを計算して見ますと、これは従来の事業税に比較いたしまして約六分の一ぐらいにしかならないように思われます。これは事業税全体としてでございますが、併し六分の一に事業税が少くなつた場合におきましても、個々の納税者においては、全般はそんなに下つたけれども、自分だけは上るという人も生じて来ようかと思います。こういう関係でありまして、決して漁業というものに特段の差別が加えられて、特に犠牲的立場に立させるようになるものとは考えておらないのであります。
#58
○西山龜七君 私大臣にお尋ねしたいと思いますが、最初に鯨岡さんの陳情のように、農業は統制が強化しておるから、それでこの附加価値をかけない、かように言われた。大臣はそうではなしに賃貸価格が非常に上るから、かように言われた。若し最初の陳情をせられた方のことから申しますと、農業が統制が解除せられたならば、附加値をかけざるを得ないようなことに逆になつて来ると思いますが、その点はやはり附加価値をかけないということの基本が、賃貸価格が上るからという意味か、又農業は農産物を統制しておるからしてかけないというのか、その辺を明確にお答え頂きたい。
#59
○国務大臣(本多市郎君) これはお話の通りでございまして、農家の土地、田畑の賃貸価格に対する固定資産税が非常に上るという面と、農産物が嚴格なる国家統制下にあるという両面から、附加価値税をかけないということを考慮いたしたのでございまして、将来全く農産物が自由になつた場合には、更に再検討の必要があると思います。
 最前の御質問に私はちよつと間違つた答弁をいたしましたので、この際訂正をさして頂きたいと思いますが、事業税と附加価値税との今回の比率の問題でありますが、税率において、従来の事業税は純益の一二%だつたのが、附加価値税では漁業関係は二・五になる。これを誤つて税額において六分の一に下るというようなふうに答えたと思いますが、これは税率の間違いでございましたので、あとで速記録を一つ訂正さして頂きますように御了解願います。
#60
○委員長(木下辰雄君) 承知いたしました。
#61
○青山正一君 最後に本多国務相にお話し申上げたいと思いますが、極く簡單に……。この前の事業税の問題のときには確か野溝さんがその担当でありましたのですが、漁業の実態を知らずにおりまして、この事業税を課したということで非常に評判を悪くしたわけであります。今度は幸いにして政務次官の小野さんは緑風会であつて、委員長を極く親しい間柄でありますから、一つこの漁業の問題につきまして、たとえ一月かかつても二月かかつてもよろしうございますから、十分に一つ御検討なすつて頂きたい。只今の御答え振りを聞いて見ますに、まだ少し漁業の方面に認識なきかのようにとられるわけでありますからして、その点御注意申上げて置きますから、一つ漁業の方面は特殊事情があるのだということの御研究願うことにいたしまして、委員長の方におかれても十分できるだけ御配慮を願いたいと思います。以上。
#62
○委員長(木下辰雄君) 非常に時間も過ぎましたので、本日はこれで散会いたしたいと存じます。
   午後三時四十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     木下 辰雄君
   理事
          尾形六郎兵衞君
           千田  正君
   委員
           青山 正一君
           西山 龜七君
           矢野 酉雄君
  国務大臣
   国 務 大 臣 本多 市郎君
  政府委員
   地方自治政務次
   官       小野  哲君
   地方自治庁次長 荻田  保君
   総理府事務官
   (地方自治庁財
   政部長)    鈴木 俊一君
  説明員
   農林事務官
   (水産庁生産部
   統制課長)   奧田  孝君
  参考人
   漁業経営者連盟 鯨岡 稔夫君
   漁村経済協会  野中 六郎君
   東京都漁業協同
  組合連合会会長  松原 茂一君
   日本定置漁業協
   会       池田 文爾君
ソース: 国立国会図書館
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