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1980/03/31 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 予算委員会第三分科会 第3号
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1980/03/31 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 予算委員会第三分科会 第3号

#1
第094回国会 予算委員会第三分科会 第3号
昭和五十六年三月三十一日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   分科担当委員の異動
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     村沢  牧君     松本 英一君
     原田  立君     桑名 義治君
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     広田 幸一君     山田  譲君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    主 査         宮田  輝君
    副主査         増岡 康治君
    分科担当委員
                梶原  清君
                鈴木 省吾君
                谷川 寛三君
                松本 英一君
                山田  譲君
                桑名 義治君
                下田 京子君
                前島英三郎君
   国務大臣
       建 設 大 臣  斉藤滋与史君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  原 健三郎君
   政府委員
       内閣総理大臣官
       房同和対策室長  小島 弘仲君
       国土庁長官官房
       長        谷村 昭一君
       国土庁長官官房
       審議官      柴田 啓次君
       国土庁長官官房
       会計課長     大森 敬介君
       国土庁土地局長  山岡 一男君
       国土庁水資源局
       長        北野  章君
       国土庁地方振興
       局長       四柳  修君
       建設大臣官房長  丸山 良仁君
       建設大臣官房会
       計課長      杉岡  浩君
       建設省計画局長  宮繁  護君
       建設省都市局長  升本 達夫君
       建設省河川局長  小坂  忠君
       建設省道路局長  渡辺 修自君
       建設省住宅局長  豊蔵  一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        道正  友君
   説明員
       建設大臣官房官
       庁営繕部長    高野  隆君
   参考人
       日本住宅公団理
       事        救仁郷 斉君
       日本住宅公団理
       事        久保田誠三君
       日本道路公団理
       事        持田 三郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和五十六年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十六年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十六年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○主査(宮田輝君) ただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。
 まず、分科担当委員の異動について御報告いたします。
 昨三十日、村沢牧君及び原田立君が分科担当委員を辞任され、その補欠として、松本英一君及び桑名義治君が分科担当委員に選任されました。
 また、本日、広田幸一君が分科担当委員を辞任され、その補欠として山田譲君が分科担当委員に選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○主査(宮田輝君) 昭和五十六年度総予算中、建設省及び国土庁所管を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○山田譲君 私は、現在群馬で大変問題になっておりますいわゆる八ツ場ダムの問題について、主として建設省に対しまして御質問申し上げてみたいというふうに思います。
 それからもう一つ、それに関連をいたしまして、一般的な問題として水特法の問題、これについていろいろ、これはどちらかというと国土庁の御所管になるかと思いますけれども、そこら辺をお尋ねしてみたいというふうに思います。
 ただ、最初に、これは八ツ場ダムの問題というのは御承知のような状況で、非常にデリケートな段階になっておりますから、建設省としても、あるいは場合によっては、国土庁としてもなかなか具体的にお答えできないという問題もあるんじゃないかと思いますけれども、そこを私もよく承知いたしておりますから、その辺は無理してお答えいただかなくても結構でございます。私としても現状を見ますときに、非常に微妙なときでありますから、それがぶち壊しになるようなことになっては何もなりませんので、そこら辺は私もよくわかっておるつもりでありますから、その辺は遠慮なさらないで結構だと思います。しかし、わかる範囲ではできるだけ克明に御説明願いたいというふうに思います。
 最初にまずお聞きしたいのは、これは建設省のお考えを聞きたいわけでありますけれども、八ツ場ダムの問題が、話が持ち上がりましてから、もう恐らく二十年以上近くたつんじゃないかというふうに思います。最初はいろいろなトラブルもあったようでありますけれども、それにしましても、二十年以上も話が持ち上がってからたっている、そして、いまだにまだなかなか進捗していないというふうなことでございますけれども、その原因が一体どこら辺にあるかということをまず建設省からお答えをいただきたいというふうに思います。
 そしてまた、それに関連して、ほかにもこんなに長く、二十年以上もたっているような、そしてまたまだ工事に着手できないようなダムの話がほかにもあるかということもついでにお聞かせいただきたいと思います。
 最近では草木ダムの問題にしても、あるいは徳山ダムにしましても、一庫の問題にしましても、補償で相当時間がかかっているようでありますけれども、それにしてもこんなに八ツ湯ダムほど長くかかっちゃいないということもあると思いますので、ひとつそこら辺をできるだけ詳しく、最初からの、いままでの歴史といいますか、そういうものについてお答えをいただけたらありがたいと思うのです。
#5
○政府委員(小坂忠君) お答えいたします。
 ただいまの先生の御質疑にお答えいたしますのに、まず八ツ場ダムの背景と申しますか、その辺からお話し申し上げたいと思います。
 八ツ場ダムは利根川上流の右支川、吾妻川渓谷に計画されました高さ約百三十メートル、堤体長が約三百四十メートル、総貯水量が約一億一千万立方メートルの治水、利水を目的とした多目的ダムでございます。御承知のように、利根川の治水の歴史は非常に古うございまして、明治三十二年ごろから下流部の築堤工事に着手いたしまして、いまだに延々とその治水工事が続けられておるという状況でございますが、その中でも特に昭和二十二年に、御案内のようなカスリン台風による豪雨によりまして、利根川流域一帯大変な大洪水に見舞われました。利根川の下流部の基準地点でございます八斗島という地点で、当時の推定で毎秒約一万七千立方メートルの出水が起こりました。もちろん上流域、群馬県等も含めまして、非常なはんらん、破堤、溢水が起こりまして、多大の被害を受けたのはもとよりでございますが、御案内のように、栗橋地点で利根川の右岸の本堤が切れるという事態が発生いたしました。その水が東京都にまでも入ってきた。その沿岸一帯に甚大な被害をもたらしたわけでございます。この洪水によりまして、従来の治水計画では不十分であるというような再検討の必要性が感じられましたので、それに基づきましていろいろな検討がなされまして、昭和二十四年には治水調査会でございますか、いろいろの議を経まして計画を改定いたしまして、上流域におけるダム群の建設とか、あるいは河道部においては河積の不足に対処して、全州にわたる掘削、しゅんせつ、それから堤防のかさ上げ等を行いますほか、一部におきましては大規模な引き堤を数カ所行うというようなことで計画をまとめまして、それに従いまして、現在まで工事が行われております。
 特に、上流ダム群につきましては、藤原ダム、あるいは相俣ダム、矢木沢ダム、薗原ダム、下久保ダムが完成いたしておる次第でございます。そういった背景のもとで、その上流ダムの洪水調節の一つの重要な役割りを受け持ちます八ツ場ダムの洪水調節計画でございますが、これはダム地点におきます計画洪水流量三千九百立方メートル毎秒のうち、二千四百立方メートル毎秒の洪水調節を行い、吾妻川下流の洪水流量の低減はもちろん図るとともに、利根川上流の既設ダム群の洪水調節と相まちまして、利根川本川の洪水流量を低減させ、利根川治水の万金を期したいという目的を持つものでございます。
 また、一方これを利水の方面から見まするに、さきに国土庁でまとめました、昭和六十五年に向けての水資源開発計画と、水利用の需要と供給の関係等によりましても、昭和六十五年までに、関東地区においては年間約八十二億立方余の新規水の開発が必要とされておりまして、この逼迫する水需給に対処するためにも、八ツ場ダムが必要になってまいりますので、八ツ場ダムにおきましては、新たに都市用水として年間約五億四百万立方メートルの供給を行おうとしているものでございます。特に、最近、昭和五十三年、四年、五十五年と、三年間も続きまして、首都圏における渇水期の水不足、あわやという状況が再三起こっておる現状におきましても、このダムの利水的な必要性というのは非常に高いものがあろうかと思います。一方、この八ツ場ダムの、ダムをつくります上での問題点というものを見てみますと、水没戸数が約三百戸、水没の農地が約六十ヘクタール、水没山林約二百ヘクタールのほかに、温泉補償であるとか、国鉄吾妻線のつけかえ、国道百四十五号線のつけかえ等がございまして、また水没の規模と補償項目の多いことでも、全国でも有数のダムになっておるわけでございます。
 ただいまお話しのように、二十年来というお話でございますが、ダムの通常の、私どもダムをつくりますまでの段階といたしまして、当初予備調査というのをいたしまして、あら方の調査を済ませまして、いよいよダムをつくろうということになりますと、実施計画調査というのに入ります。それがある程度固まりますと、今度は建設事業に着手という段階、いわば三段階があるわけでございまして、当初計画いたしました時点、いわゆる予備調査の段階から申しますと、もう二十年たっておるということになります。ただ、非常に熟度が増してまいりまして、実施計画調査に入りましたのは昭和四十二年度から、それから実際にダムをつくる、いよいよつくるという、いわゆる建設事業に着手いたしましたのは昭和四十五年度からになっております。それにいたしましても、四十五年度からでももう十年以上、十一年目に入るというようなことでございますので、全国の数ある中でも、特に難航しているダムであるというふうに私も認識いたしております。
 建設省の行っておりますダムに対する対応でございますが、まず生活再建及び関連地域の開発、これが一番重要なことであるという観点から、これに対する検討を加えるとともに、地元の関係機関との調整にも努めてまいったわけでございますが、何分にも先ほどから申し上げておりますように、本ダムの規模が非常に大きい、また影響するところが非常に甚大であるというようなことから、広域な農地がつぶれる、あるいは川原湯温泉を含む約三百戸の水没される方々の生活再建の問題があるというようなことから、住民の生活環境と生活基盤に重大な影響があるものとして、住民の方々の御理解が得られないまま現在に至っておるというのが実は現状でございます。
 また、私ども国の立場以外に、ごく近年に至りましては、群馬県政としても、これは重要な課題であるというようなことから、群馬県におきましても、この問題を非常な重点事項としてお取り上げいただいておりまして、県においても温泉ボーリング調査を実施するなど、独自の立場でいろいろな調査を進められ、また、川原湯温泉対策を含みますこの地域の生活再建対策の検討を着々進められておる。昨年の十一月には、地元町議会に県の立場としての再建案を御発表になり、地元に御説明が済んでおるというふうに聞いております。
 以上で概略の御説明を申し上げました。
#6
○山田譲君 私がこれからお尋ねしようということまで回答していただいたようなわけで、私も困りますけれども、私はそういうことを実は聞きたかったわけじゃないんですよ。私はこれ二十年もたって、ほかのダムとしても余り例がないんじゃないかと思うわけですけれども、確かに非常に与える影響大きいダムであるだけに、それだけ大変だったとは思うんですが、私が聞きたかったのは、そういうことよりも、むしろ何かどこかでもってこじれているんじゃないかという感じがしてならないわけです。特に現地へ行ってみたりすると、二十年前のいろんなことを土地の方が話なさるわけで、とにかく最初あそこに出ていかれたのは何ですか、事務所みたいなものがつくられたわけですね。そうしたら、そこへむしろ旗持って騒ぎに来たとか、そこの所長さんのやり方がどうしたこうしたというふうないろんな話を聞くわけです。そういう話を聞いて感じましたことは、ダムが与える影響もさることながら、地域住民に対する建設省の最初の対処の仕方がやはり問題があったんじゃないか。ちょっとこじれてしまったというふうな感じがしてならないわけでありますけれども、実はそこら辺のところを詳しくお聞きしたかったわけです。ほかのことはまた後でお聞きしますから、そこの分だけひとつお聞きしたいと思います。
#7
○政府委員(小坂忠君) どうも失礼いたしました。
 ただいまのお話でございますが、昭和四十二年度から実施計画調査に入りまして、地元の方々と直接の接触が始まったわけでございます。当初の段階でこのダムをどうしてもまとめたいというような意思から、地元の方々との若干の摩擦、トラブルがあったのも事実でございます。私どもといたしましては、当時のやり方、それをそのままやっていたのでは、地元の方々の御理解を得られぬばかりでなくて、ますます離反が激しくなってしまうんじゃないかというようなこともございまして、以後、いわばじみちと申しますか、私どもなりに御納得いただけるような生活再建案、あるいは、水没地を含めます水源地域全体の将来の繁栄のためにはどうあるべきかというような計画の検討、そういったことに重点を置きまして、地元の方々とは極力摩擦を避けながら、調査を進めてきておるということでございますが、当初そういった事実があったことも事実でございますので、私どもとしては重要な反省をいたしております。
#8
○山田譲君 やはり二十年以上もたったということについては、いまお話ありましたように、何か気分的に何となくおもしろくないとか、やり方が一方的だとかというふうなことがあって、それがもとで変にこじれてしまったと、うまくいくこともいけなかったというふうなこともあるんじゃないかと思うんです。ですから、これからの問題になりますけれども、その点はひとつ十分反省をしていただきたいというふうに思います。
   〔主査退席、副主査着席〕
 それから二つ目に聞きたいのは、一般的に言いまして、今後やはりダムをつくるという場合になりますと、補償の問題で相当時間がこれはかかるんじゃないかというふうに思われます。たとえば、楢俣ダムなんか見ておりましても、水没したところがほとんど家もない、ただ国有林だけであるというふうなところですら、なかなか水上町との間の補償の問題をめぐって結構時間がかかるというふうなことでありますから、まして家が水没するなんということになりますと、これは補償だけで相当時間がかかるんじゃないかと思うんです。そして、これからそういうことで、八ツ場ダムなんかに限らず、一般的にそういう問題があると思うんですけれども、ひとつそういうことについてどういう対策を考えようとしておられるか、これは一般的な問題としてお答えいただきたいと思います。
#9
○政府委員(小坂忠君) まず、いまお話のございました中でも、特に直接水没なされる方々への直接的な補償、これをどうするかということがまずこれは地元の方々の最大関心事であろうと思います。これにつきましては、私どもといたしましてもお話し合いに入る状態になりますると、いろいろきめ細かい調査もいたしまして、地元の方々の立場に立った補償の御相談を申し上げる段階になろうかと思いますが、実はいままでのところはそういう段階になりませんので、それの準備をいたしておるというのが現在の状況でございます。
 そのまず補償の問題と、それからやはりその補償と直接、間接に関係がございます水源地域全体の整備計画と申しますか、後ほどあるいはお話が出ると思いますが、水特法による整備計画、あるいは資金を一体どうするのかとか、そういったようなことも含めまして準備の段階ではございますが、私どもなりにいろいろいま検討は進めておりますので、地元の御了解を得て、お話し合いができるということになりますれば、その段階で十分意を尽くしてお話し合いに応じたいというふうに考えております。
 項目的に申し上げますと、生活再建対策のための、従来各ダムでもいろいろやっておりますが、先生御指摘のように、特にいままでこじれたと申しますか、長年かかってまだ御理解いただけないこのダムにおきましては、特にその辺を入念に御説明し、御理解をいただかなければいかぬということで準備しておる次第でございます。
#10
○山田譲君 最初の局長のお話にも触れてあったわけでありますけれども、改めて八ツ場ダムの現状について少し詳しく御説明をいただきたい。つまり、現在どんな段階になっているかということを、少し詳しくお話しいただきたいと思います。
#11
○政府委員(小坂忠君) 先ほど来のお話の中でも申し上げましたが、私ども建設省の事務所をつくってこのダムを建設をしていこうということは立場は変わりませんが、対応の仕方として、私どもがいきなり地元の方々、あるいは地元長野原町等の地元関係機関の方々と、いきなりお話しするというのは現状ではむずかしい状況にございます。
 先ほどお話し申し上げましたように、県としてもこれは重要な問題であるので、県がひとつ建設省と地元の間に入って、白紙の立場で生活再建案なり、この上流域全体の整備計画についての地元の御理解がいただけるようなものができるかどうか、それをつくってみようということで、県独自のいろいろな案が練られたわけでございます。それが先ほど申し上げましたように、つい先般、町議会に説明される筆ある程度その姿がはっきりしてまいりました。それを受けまして、地元の町議会なり、あるいは町当局におきましても、これからどうするかという御議論をいただいておる最中というふうに聞いております。それで、私どもといたしましては、やはりこの問題非常に多角的な行政の中で解決していかざるを得ない問題というふうに認識しておりますので、この県の御指導と申しますか、県の御提案、あるいは地元の方々のそれに対するいろいろな御意見、こういった地方公共団体等の関係機関の方々の今後の動きといいますか、御発議、御提案、あるいは私どもに対する御要求、そういったものを踏まえながら、今後対処していきたいというふうに考えておる次第でございます。
#12
○山田譲君 やはりいまの段階としては、いきなり建設省が現地に乗り込むとか、現地に入っていって、直接話をするというふうなことは避けて、できるだけ県なり、あるいは地元長野原町の方に一応やってもらって、それの推移を見守っていこうと、こういうふうなお考えでございますか。
#13
○政府委員(小坂忠君) 先生のおっしゃるとおりでございます。ただ、私どもといたしましては、やはり冒頭来お話がございますように、非常に長くかかっている問題でございますし、長くかかるということは、私どもにとりましてもこれは都合が悪いわけでございますが、地元の方々にとりましても、これはやはり時間がかかるということ自体、非常にこれは不都合なことが起こってまいると思いますので、やはり一同も早く解決したいという気持ちは持っております。したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、何が何でも地元の方々と直ちにお話し合いに入って、話をまとめようというようなことではございませんが、少しでも早く、しかも、円滑なうちに話が進められるように、私どもも努力したいというふうに考えております。
#14
○山田譲君 そういうことでやっていただければ一番いいんじゃないかと思いますが、これは当然局長御存じだと思いますけれども、実際に現地の人たちに会ってみましても、まだなかなか根強い反対の雰囲気というものは残っているように思われるわけです。それはもう決して簡単には言えませんで、かなり部落によっても差がありますし、一概ではないですけれども、むしろやっぱり過半数の人たちが何らかの形でもってまだまだ反対の雰囲気が強い。こういうふうな気持ちがあるわけですけれども、そういう反対を静めるといいますか、賛成の方へ向けていくというふうな努力ですね、これはやはりいまお話しのように、可なり、県当局に大体任しておけばいいんじゃないかというふうなお考えですか。
#15
○政府委員(小坂忠君) 現在のところ地元の方々と直接私どもがお話し合いをするというのは、先ほど来の事情で、私どもも控えさしていただいております。かと言って、やはり町当局、あるいは関係機関、それから県当局とも十分な連携はとりながらやっていきたいというふうに考えております。
#16
○山田譲君 さっきのお話にもありましたとおり、県が再建案を町に示したと、その町がそれを受けて各部落、水没部落に対して説明会を開こうとしているというふうな現段階のようでありますけれども、この再建案そのものでございますけれども、この内容、あるいは千六百億かかるとかいうふうなことについては、すでに新聞で発表が出ておりますけれども、建設省としてはこの県が出されたいわゆる再建案に対して、どういうお考えを持っておられるか。つまり、もっとはっきり言いますと、県がつくった建設案であるけれども、できるだけ建設省としては、これに協力をしていこうというふうな気持ちで現在いらっしゃるかどうか、そこら辺はどうでしょうか。
#17
○政府委員(小坂忠君) 新聞に報道されております、あるいは地元で発表されております再建案、これそのものはやはり県がつくりましたので、その細部につきましては私どもが関与したわけではございません。しかし、いまの段階といたしましては、県からもその案は聞いておりますし、内部については承知いたしております。
 ただ、この問題、先ほど冒頭に申し上げましたように、道路のつけかえであるとか、鉄道のつけかえであるとか、地域に私どもが補償工事としてやらなければいけない仕事、これとの関連も非常に強うございます。ですから、その辺を整理いたしまして、今後進めていく必要はあるだろうということで、千六百億の再建案の中身については今後県と詰めて、よりよきものにしていかなきゃいかぬというふうに考えております。
#18
○山田譲君 県当局なり、町当局が非常に心配していることの一つに、その問題があるわけです。ですから、再建案でもってこれから説明に入ろうとしている、あるいはすでに入っているところもあるかもしれませんけれども、そういうときに、せっかく県がかなり苦労してつくった再建案でありますから、それは直接は建設省がタッチしていないとはいうものの、それなりに県の努力を評価していただいて、再建案にできるだけ協力をしていただくようにお願いしたいと思うんです。県なり、町もその点一番心配しているわけで、われわれも一生懸命この再建案に基づいてやるわけだけれども、最後の段階になって、余り協力してもらえないようなことになると、間に立った県なり、町が非常に困るわけでありますから、ひとつこの点はぜひこの再建案そのものについて、中身の詳細な内容についてはいまいろいろ申し上げませんし、お答えできる段階ではないと思いますけれども、全体として再建案にひとつ協力するというふうなことで、ぜひとも建設省も対処していただきたいというふうに、これは要望でございますけれども、しておきます。
 それから、これもさっきも触れたことで繰り返しみたいになって恐縮でありますけれども、地元では、何となくやっぱり建設省アレルギーみたいなものが、残念だけれどもまだまだ残っているように感じられてならないわけです。そして、やっぱりそういった実態を無視して、この事業を進めようと思っても、なかなかうまくいかないんじゃないか、結局はそういうところにつっかかってしまう、こういう問題があるように思うのです。ですから、やっぱりアレルギー――これはゆえのないアレルギーかもしれませんけれども、過去二十年来のいろいろな歴史の積み重ねの結果、そういった建設省アレルギーのようなものが、これ地元と言わず県全体の雰囲気としてもまんざらないとも言い切れない。そういう状態で、こういう実態をやっぱり無視しては、どうしてもこの問題は進めることができないと思うんですけれども、そこら辺の問題について、似たような問題でありますけれども、ひとつもう一遍お答えいただきたいと思うんです。
#19
○政府委員(小坂忠君) 先ほど来お話し申し上げておりますように、八ツ場ダムは私どもにとりましても非常に重要なダムでございます。その重要なダムをつくります上で、一番やはり重要なことは、現段階で私ども感じておりますのは、地元の方々の十分御理解を得た上でやらなければ物事は進まないということをよく承知いたしておりますので、先生のいまの御指摘のような趣旨に沿いまして、今後やりたいというふうに考えております。
#20
○山田譲君 次は、いわゆる補償の問題に入りたいと思うんですが、補償といっても具体的な問題じゃありませんが、いわゆる補償要綱というものがありますね。これは一体どなたが補償要綱というものをつくったのか、それからまた、どういう形でもってつくられているのか、その辺ちょっとお伺いしたいわけです、いつごろできたかということですね。
#21
○政府委員(小坂忠君) 昭和三十七年に閣議了解によりましてできております。
#22
○山田譲君 三十七年にできて、建設省がおつくりになったんですか。それともほかのいろんな省と一緒になってつくったものかどうか。
#23
○政府委員(小坂忠君) 閣議了解されておりますので、建設省だけということではございません。
#24
○山田譲君 そうすると、関係するほかの役所としては、どんなところがあるんですか。
#25
○政府委員(小坂忠君) 原案は建設省から出ておりますが、これによってこの適用を受けますのは各省、その公共事業に関係いたします補償はすべてこれによるということになろうかと思います。
#26
○山田譲君 そうすると、たとえば今度これを変えるというふうなことになった場合には、やはり建設省が発案されると、こういう形式になりますか。
#27
○政府委員(丸山良仁君) 補償要綱につきましては、いま御答弁申し上げましたように、昭和三十七年に建設省が、たしか公共用地審議会だと思いますが、そこに諮りまして、原案をつくりまして、それから閣議の了解を求めた、こういう形になっておるわけでございまして、およそ政府関係の公共事業を実施する場合には、その要綱に従うということになっております。したがいまして、これを改定するということになりますと、やはり関係各省と相談した上で原案を建設省がつくりまして、やはり閣議の了解を求めるという手続が必要だと考えております。
#28
○山田譲君 三十七年に閣議了解ということでおつくりになったこの補償要綱、これはその後これまた二十年近くたっているわけですけれども、どうも現状に合っていないんじゃないかというふうなことが心配されるわけであります。特に運用の幅が余りないんじゃないかというふうなことがよく言われていますけれども、この点どんなものでしょうか。現状でいいと考えるか、問題があるとお考えかどうか、そこをお伺いしたいと思うんです。
#29
○政府委員(小坂忠君) 私どもダムを建設いたします場合、一番問題になりますのは、この補償要綱の運用の問題でございます。補償要綱そのものは変わってはおりませんが、その解釈、運用等におきましては、制定当時よりも現在におきましては、かなり弾力的運用もなされているように私どもは考えております。なお、この個々の問題は、補償要綱だけで解決いたしかねる問題もございます。と申しますのは、あるいは後ほどお話が出ようかと思いますが、水源地域の対策基金であるとか、そういったものと組み合わせてやると、あるいは融資に対する対策をどうするのかとか、そういったほかのものと組み合わせを考えつつやるという手法は、この補償要綱制定当時から見ますと、いろいろな仕組みを組み合わせてやるようにいたしておりますので、その点では昔の補償とはかなり違ってきておるんじゃないかというふうに考えております。
#30
○山田譲君 いま局長おっしゃられたようですけれども、やはり三十七年当時は、現在考えているような大型な、大規模なプロジェクトといいますか、そういうことまで想定されていなかったんじゃないか。特にダムのようなものをつくるときの補償というところまでなかなか考えていなかったんじゃないか。普通のそこら辺の学校つくったり、道路つくったりするときの補償と同じような考え方で、この要綱ができているんじゃないかというふうなことが実際問題としてあると思うんです。
 そこで伺いたいのは、こういった特に大きなダムなんかについての特別な補償を、この補償要綱とはまた別に、あるいは補償要綱を変えるというふうな形を考えていらっしゃらないか、いらっしゃるかどうかということをちょっとお伺いしたいと思います。
#31
○政府委員(小坂忠君) ただいま申し上げましたように、補償要綱そのものはいろいろ影響するところ大でございますので、これを変えるということは大変むずかしいことかと思います。したがいまして、特にダムの場合、水没地の住民の方々の補償ないしは生活再建対策ということが、これが一番やはり重要な課題であるという認識は時代とともに高まってまいりまして、そのあらわれが水特法となり、あるいはいまの基金になりということで、時代とともに対応の仕方も多様化してきておるというふうに私どもは考えておるわけでございます。現在でもいろいろまだああやりたいこうやりたいというような手法も実はあるわけでございますが、そういったことも含めて、今後対応していきたいというふうに考えております。
#32
○山田譲君 補償要綱といいますか、補償の従来の考え方が、何かお金さえ出せばいいんじゃないかと、お金を出して原状回復すればそれで補償ができるんじゃないかというふうな思想が大体貫かれていたと思うんですけれども、やはりほかの補償もそういう関係もあると思いますが、特にダム補償とかいうような問題になりますと、ひとつ、金を出して原状回復してやったんだからいいじゃないかというふうな感覚だけでは、今後なかなかうまくいかないんじゃないかと思うんですね。ですから、さっきおっしゃったように、水特法だとか、基金だとかといったことは、その一つのあらわれになってきているんじゃないかと思いますけれども、ひとつその補償につきましても、できれば現状に合うような、特にダムというふうな特殊な性格を持った事業をやる場合の補償につきましては、やはりいままでの補償要綱というものからさらに一歩外れた、もっと積極的な前向きな考え方でもって、補償要綱をつくっていかなきゃいけないんじゃないか。金を出せばいいんだ、原状回復すればいいんだということじゃもうこれからはおさまっていかないんじゃないかというふうに思いますけれども、その辺いかがでしょうか。
#33
○政府委員(小坂忠君) おっしゃるとおり、ダムの場合の補償というのは、失われたものに対する補償する補償だけでは済まないということを私どももよく認識いたしておりまして、先ほど来申し上げておりますように、ほかの手法も入れながらやっておる次第でございます。したがいまして、その補償要綱に決められたものだけやればそれで済んでしまうとは、これはもう毛頭考えておらないわけでございまして、総合的な施策の中で、その中で、個人の財産に対する補償はもちろん補償要綱によってはじき出しますが、それとその地域全体の今後の立ち行くような施策というものとをあわせ、その中で補償を考えていきたいというふうに考えております。
#34
○山田譲君 県が再建案を出して、現在それについていろいろと地元でも非常に神経を使いながら検討をしようとしている段階で、冒頭申し上げましたとおり、非常にデリケートなところへ来ているんじゃないか。ですから、これがうまくいけばうまくいくだろうし、ここでまた変にこじれますと、これまた大変なことになるんじゃないかという気がしてなりません。そういう段階でございますから、私の希望を言わしてもらえれば、いまのところしばらく現地をそっとしておいて、現地にある程度任せておいて、余りこちらからいろいろ言ったりしない方がかえってうまくいくんじゃないか。何となく現地もそういうことを望んでいるというふうに思われるわけで、ひとつその辺は注意をしていただきたいというふうに思います。
 そこで、次にお伺いしたいのは、建設省としてぎりぎりのところ、これはなかなか言いにくいかもしれませんが、大体いつごろをめどに――いつまでもだらだらやっていってもまた困るんじゃないかと思うんですが、大体いつごろをめどにして、そしてどうしてもこれ以上は待てないんだというふうな時期をお持ちかどうか。もしお持ちだとすれば、その時期が来たらば、やっぱりある程度、強権発動をしちゃ悪いですけれども、ある程度ごり押しを少しやらざるを得なくなるかというふうなことも考えられるわけであります。ですから、そういう場合にぜひ、ごり押しだけは絶対しないでいただきたいということを特にお願いをしておきたいんですが、その辺はどうでしょうか。
#35
○政府委員(小坂忠君) 先ほど来お話申し上げておりますように、八ツ場ダムの場合、当初、地元の方々との若干の行き違いがあったために、その後私どもがじかに折衝する機会が失われだというような経緯もございますし、現在、群馬県当局が非常に力を入れて、まあ白紙の立場ということではございますけど、地元の方々に御理解いただけるような案ができるかどうかということで、非常に御努力願っておるわけでございますので、それらに対しまして、私たちも十分理解しながら物事を進めていきたいというふうに考えておりますので、先生のおっしゃるような方向に参ろうかと思います。
#36
○山田譲君 そうしますと、いまちょっと言いましたように、いつごろまでにやるとか、特別にそういう考え方はいまのところないわけですか。
#37
○政府委員(小坂忠君) 全般的な状況といたしましては、先ほど申し上げましたように、洪水対策としても非常に急がれる問題でございますし、また首都圏の水事情から言っても非常にまた急がれる問題であるということには間違いございませんので、早ければ早く解決しなければならぬという問題ではございますが、かといって、いまのようなことでせっかく芽生えかけた前進の芽を摘んでしまうことのないように、両方に注意しながらやるということでございます。
#38
○山田譲君 全国的に見ても、いろんなこじれたダムの例を見ると、やはり最初が何かお国のためだからしようがないというふうな意識で入って打っちゃった、それがおかしく住民感情を逆なでして、そんなことならば協力しないというふうなことでうまくいかなかった例がたくさんあるようでございます。例の熊本の蜂之巣城なんというのはその典型かと思うんですけれども、聞いてみると、あれだって、最初あの室原さんは、むしろ建設省の人を非常に喜んで迎えて、毎日家へ泊めてやって仕事していたというくらいな話ですね。それが何となく行き違いでもって、感情的なところで、ああいった蜂之巣城というふうなかっこうになってしまった。ああいう不幸なことになった原因というのは、やっぱりそういった地元はやっぱりだれでも自分の土地を離れたくないとか、あるいは水没したくないという気持ちがあると思う。と同時に、やっぱり、特にそういうところほど非常に風光明媚なところが多いわけですよ。ですから、そこが完全に水没されてしまうということに対して、やっぱり住民感情というのは非常に複雑なものがあるだろうと思うんです。しかし、日本人である以上、やはり日本国のためにはこれまたやむを得ないという気持ちも片方では大なり小なりみんな持っているわけでありますから、そこへもっていって、最初からお国のためだからがまんしろといったようなやり方で入っていきますと、これは絶対うまくいかないと思うんです。これは日本国じゅうどこへ行っても同じだと思うんですけれども、八ツ場だって多分に漏れないわけでありますから、ぜひそういう点はくれぐれも今後とも注意をしていただきたいんですが、それについてもう一遍お返事をいただきたいと思うんです。
#39
○政府委員(小坂忠君) ただいま申し上げましたように、八ツ場ダム、いろいろないままでの経緯も踏まえながら、私ども現在対応しておりますので、ごり押しというようなことはもちろんいたしません。しかし、冒頭に先生がお話ございましたように、もう始めようと言ってから二十年とか、あるいは十数年かかっておるダムでございますので、地元の方々にとりましてもこれは大変御迷惑なお話だろうと思います。そういった意味からも、私どもは一日も早く解決の道を見出さなきゃいかぬということで、早急に解決する道を見出すように努力はいたしますが、ただいまお話しのように、何が何でも私どもの言うことを聞けというような態度は、これは慎むところでございます。
#40
○山田譲君 それでは建設省の方に対する最後の御質問になるわけですけれども、最初にもちょっと触れられましたけれども、この八ツ場ダムの重要性ですね、つまり、言いかえれば、どうしてもやっぱり八ツ場ダムが必要なんだということ、それは決して、もちろん地元にとっては多少の犠牲はあるかもしれないけれども、お国全体、あるいは首都圏全体から見て、これだけ重要なダムなんであって、どうしてもこれはつくらなきゃいけないものだということを、ひとつ、言いかえれば、つまり地元の人たちを納得させるような、わかりやすいダムの重要性というふうなものを、やっぱりはっきりと示さなきゃいけないんじゃないかと思うんですね。ですから、もう一遍私も、八ツ場ダムがこれこれこういう事情で、どうしてもこれは首都圏の利水なり、治水なりを考えた場合に必要である。逆に言うと、それはつくらなかったらこういう結果になるかもしれないというふうなものを、はっきりとここで示していただきたいというふうに思うんです。
#41
○政府委員(小坂忠君) 冒頭に申し上げましたように、利根川の治水事業は、明治以来始めましていまだにまだ完成しないという状態でございまして、非常に息の長い話ではございます。しかし、一たびもし利根川に異変が起こりました場合には、これは国家経済あるいは社会そのものに大影響を与えるような、大被害を与えるような大河川でございます。それの、やはり非常に重要な治水の拠点となります八ツ場ダムでございますので、私どもといたしましては、これはもうどうしても治水上やらなければいかぬダムであるというふうにまず思っております。また、首都圏の水需給関係から申し上げましても、昨年、一昨年、その前と三年続いて東京を中心としたこの大都会地域が、あわやまた五十二年の福岡渇水のような水飢饉による恐慌状態が起きる寸前までいっておるという状態でございますので、私どもとしては、やはりこの首都圏の水需給という観点からも、これもやはりどうしても一日も早くやりたいということでございます。また、これは当然、大局的にはそういうお話でございますが、地域的に見ましても、八ツ湯ダムによって洪水がカットされた場合、群馬県内の延々流れております利根川本川筋、これの治水にも非常に役立つものでございますので、私どもとしては是が非でもこれを早期に完成したいという意思を持っておるわけでございます。
#42
○山田譲君 これはきょうの質問の一番最後のお尋ねといいますか、お聞きしようと思ったわけでありますけれども、やはり八ツ場ダムの重要性、いまおっしゃられたような、逆にいいますと、もしつくらなかったらばこういうことになるんだと。東京の都民はこの間のオリンピック前のような東京砂漠のような状態に、たとえばの話ですが、なるんだとか、あるいは治水面から言っても、もしこれができなかったらこの前の何とか台風程度のやつが来た場合にはこういうことになりかねないんだというふうな、つくらなかった場合にはこうなるんだというふうな言い方をして、そしてやっぱり重要性について、もっともっと利用する側に対しても、あるいは本当にその水没する側に対してもそれを言っていかなきゃいけないんじゃないかと。その利用する側にすれば、何でわれわれが飲む水をどうして勝手に反対するんだというふうな言い方になりますし、水没者側から言わせれば、何もおれたちが東京都民に水を飲ませるために犠牲になることはないだろうと、こういうふうなことになっているというと、いつまでたってもこれはうまくいかないわけで、それはもう本当にダムをつくらなかったらこういうふうになるんだということで、どうしても必要だというその重要性について、やはり一般の人たちにわかりやすく説明をする必要があるんじゃないかというふうに思います。
 一応、建設省これで終わらしていただきまして、今度は水特法の問題に入りたいと思います。
 量初に、これはいつも問題になる点でありますけれども、水特法の八条の生活再建措置につきましては、これは土地をあっせんするとか、店舗を世話してやるとか、あるいは職業の紹介、職業訓練をしてやるとかというふうなことが第八条でもって生活再建のための措置ということでうたわれておりますけれども、問題なのは、これはあくまでも「あっせんに努めるものとする。」といったような表現になっておりますけれども、やっぱりもっと強くこれを法律を改正してやるべきじゃないかと。何となくあっせんなり、努力義務では弱いんじゃないかというふうな感じがするわけでありますけれども、この点国土庁のお考え方はいかがでしょうか。
#43
○政府委員(北野章君) 先生御指摘のように、水特法の八条の生活再建措置に関しましては、努力規定でございます。そういうことで、各方面から非常に不十分であるという御意見もあることも承知しております。
 水没関係者の生活再建措置については、ただいま御指摘がございましたように、その内容が宅地、農地、建物の取得、それから職業の紹介、指導または訓練、それから生活環境の整備等非常に多岐にわたっておりまして、また関係する機関も数多く、先ほど御指摘がございましたように、三十七年の補償基準要綱との絡みでこのような努力規定になっておると理解しております。しかしながら、ダムは他の公共事業と異なりまして、水没関係者の生活再建措置につきましては、水特法の精神にのっとりまして、十分な措置を講ずることが必要であることは申し上げるまでもございません。したがいまして、従来から具体的なケースに即応して、国と起業者と地方公共団体がそれぞれ分担し合いまして、補償、それから水特法の運用の改善強化、それから基金、そういったものを用いまして、万全の措置を講ずるようにいままで努力してまいったところでございます。
 八ツ場ダムについても、先ほど来お話がございましたように、県独自の立場で現在水没地域ごとに生活再建案を説明されるような段階であるというふうに聞いておりますが、私どもその概要を見る限りにおきましては、ただいま申しましたように、生活再建措置については、補償と水特法と基金、そういった三位一体の対応により、何とか措置できるのではないかというふうに考えておりますが、国土庁といたしましては、今後地元水没関係者の動向を見守りながら、知事さんの意見を聞きながら、そういった問題については対処してまいりたいと、そういうふうに考えておるところでございます。
#44
○山田譲君 そうすると、いわゆる最近できましたこの基金、利根川の場合は、利根川・荒川水源地域対策基金と言うんだそうですが、こういうものができたのも、やはり第八条の精神を踏まえて、ひとつ具体的に基金をつくって、いろんな融資をしたりなんかして、足らざるところを補うと、こういうことをしようとして、基金ができたということは大変結構なことだと思うんですね。ですから、ここで基金の目的と、それから業務の内容、それから構成というふうなことについて、ちょっとお伺いしたいと思います。
 それからもう一つそれに関連して、利根川・荒川水域の基金ですね、これはいまたまたま八ツ場ダムの問題からこの話に移っているわけですけれども、首都圏といいますか、利根川・荒川のこの水域について、ほかにいまダムを計画しているところがたくさんあるかどうか。その計画についてもあわせてお伺いしたいと思うんです。
#45
○政府委員(北野章君) 基金は水特法八条の努力規定を、実効のある施策に結びつけるために、まあわが国の重要水系につきまして、逐次そういうものをつくろうということで、利根川・荒川水系については第一番に、流域の関係地方公共団体の協力によりまして、昭和五十一年に設立をしたものでございます。これにつきましては、財団法人でございますので、国の指導監督のもとに、これを拡充強化しながら、ダム等の建設の円滑な推進を図るという目的を持っております。
 具体的な基金の事業でございますが、一つは関係地方公共団体等が講ずる水没関係住民の不動産取得等の生活再建対策に必要な措置に対する資金の貸し付け、交付等の援助を行うのが第一番でございます。二番は、関係地方公共団体が講じます水没関係地域の振興等に必要な措置に対する資金の貸し付け、交付等の援助でございます。三番目は、水没関係住民の生活再建または水没関係地域の振興等に必要な調査及びその受託等でございます。
 このために、この利根川・荒川基金におきましては、そういう事業を行うための運用財産といたしまして、関係地方公共団体が毎年拠出しておりまして、五十五年度は荒川水系の浦山、滝沢ダムの生活再建対策関係費として四千四百万円が実施されております。五十六年度はこの浦山、滝沢ダムに加えまして、奈良俣ダムがその対象となる予定でございます。事業費は三億二千万円ぐらいを予定しております。国といたしましてはこれらの事業が円滑に実施されますよう、当該基金の財政的基盤の確立のために、すでに基本基金が五億円ございますが、その基本基金の造成について二分の一の補助を行って、五十一年度から五十三年度に基金の造成を完了しております。
 それから基金の構成団体でございますが、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京の一都五県で構成されております。
 それからメンバーは、理事長が柴田達夫氏、それから中立的な理事として水資源開発公団の前理事であります川崎精一氏、その他一都五県の副知事がメンバーになっております。
 以上でございます。
#46
○山田譲君 今後のダムの建設計画。
#47
○政府委員(北野章君) 先ほど申しましたように、いまのところ重要水系を逐次指定するということで、基金につきましては、現在でき上がっておりますのは、このほかに木曾三川水源地域対策基金が五十二年にでき上がっております。それから、淀川水系の水源地域対策基金につきましては、五十六年度に造成が終わりますが、設立については五十五年三月に設立されております。そういうことで逐次全国的に重要水系について基金を拡充強化してまいりたいと、そのように考えておる次第でございます。
#48
○山田譲君 そうすると、その基金は、五億は基金ですからこれは取り崩すことはできませんわね。そうすると、あとのいろんな貸したりなんかする金というのは、先ほどもちょっとありました四千四百万円とかいうのは、これは各受益の県、地方公共団体が拠出するわけですか、群馬県そのものも出すわけですか。
#49
○政府委員(北野章君) その辺のルールがはっきりしておりませんが、財団法人でございますので、関係者が相談いたしまして、原則的にはやはり治水、利水の受益の度合いに応じて負担するというのが従来のルールになっております。
#50
○山田譲君 その基金というのは大変いい制度だと思うんですけれども、基金の性格からしてそこはちょっと無理かと思うんですけれども、さっきの話なんかも聞いていまして、やはり水没者あるいは受益者、この関係、話し合いみたいなものがやはりちょっとないんじゃないかという感じがするんです。もちろん行政レベルでもって知事さんの話し合いとか、偉い人たちの話し合いはあるかもしれないけれども、実際に水を飲む人たち、あるいは実際に水没をする人たちの、そういう人たちの代表による話し合いみたいなものが、もっとあっていいんじゃないかと思うんです。それがさっき言ったように、八ツ場ダムなら八ツ場ダムの重要性というものをそういう場を通じてお互いに認識し合って、それじゃそこでもってやりましょうというふうなかっこうになればいいと思うんですけれども、基金そのものをそういうふうな場所に活用をするというふうなことはお考えになりませんか。
#51
○政府委員(北野章君) まさに先生が御指摘のとおりでございまして、まあ単一県のダムでございますと、総合的に知事さんがコントロールされますが、行政機関がこのように多くなりますと、なかなかそのコントロールする話し合いの場がないということで、私どもはこの基金の場で副知事さんが理事でございますので、できるだけ上・下流の連帯と協調の場にして、ダム建設がスムーズに行われるようにいたしたいということでございますので、この基金につきましても、財団法人というふうな形をとっておるわけでございます。
#52
○山田譲君 まあ副知事が入っていることはそれでいいと思うんですけれども、やっぱりどうしても副知事となると政治的だし、もう偉くなり過ぎちゃって、副知事自身が水没するわけでもないわけですから、だから、そうじゃなくて、やっぱり実際にその水没する人たち、長野原ならば長野原の人とか、あるいは東京都の別な意味での都民代表といったような形の人たちが、もっと胸襟を開いて率直に話し合うというふうな場としても、できればひとつ大いに活用していただきたいということ、これは要望でございますけれども、お願いをしておきたいと思うんです。
 その次に、これはまあ非常にいい制度だと私は思うんですから、これはひとつ、財団法人とかなんとかという形も結構だけれども、もっと積極的にこれを強化、充実させるために、水特法をひとつ改正して、その中ではっきりと基金をつくりますというふうな、そういうものにする気持ちはございませんかね。
#53
○政府委員(北野章君) 基金ができないろいろな経緯がございますが、財政組織等の強化の上から、法制化ということも一つの考えだと思います。しかし、基金を設立した経緯から見ますと、地域の特殊な事情を考慮して、きめ細かく弾力的に対応するということがまず必要でございます。特に水没者の生活再建対策は多岐にわたっておりまして、基金の事業内容も一律に限定することは困難でございます。また、事業の実施に当たっても、法制化することによって、むしろ制約されるんじゃないかというふうないろいろな意見がございまして、まあ卑近な言葉でございますが、名をとるよりも実をとろうというふう在ことから、財団法人になっておるわけでございます。
 このようなことから、基金の運営上の自主性を失わずに、その目的を達成するために、先ほど来先生がおっしゃいましたように、流域によって結ばれました関係地方公共団体が国の助成のもとに協力して、財団法人を設立したのでございますし、また現在そういう事業を行っておりますので、こういう形が私どもは一番好ましいんではないか。
 それから、水特法が四十九年に施行で、それを補完するために五十一年に基金が設立されたばかりでございまして、これからいよいよ基金の本格的な活動が開始されるということでございますので、現在事業の運営につきましては、いろいろ関係地方公共団体がそれぞれ工夫して対処されております。そういうことで、国におきましても、今後基金の健全な育成を図るために積極的に助言、指導を行ってまいりたいと、法制化よりもそういうことで一応の対応をしてまいりたいと、そういうふうに考えておる次第でございます。
#54
○山田譲君 なまじ法律化すると、かえって運用が硬直化してしまって、なかなか弾力的にいかないんで、むしろ現状のような形でもってやった方がいいだろうという考え方は、私はそれなりに意義があると思うんです。ですから、それなりにやはり法律事項ではない、もっと自由にいろいろできるはずですから、ひとつさっき言ったように思い切って、文字どおりこの水没県といいますか、水源県とそれから受益地の話し合いの場所というふうな形でも、ひとつ大いにこれを活用していただく。ただ基金があって、あちこちから拠出した金でもって、その金を貸したり取ったりするというそれだけじゃなくて、もっと実質的な意味で、たとえば水没地の個人的な再建というだけじゃなく、もう地域の再建ということまでも役立たせるように、金の面だけじゃなくて、いろんな面で実質的な有意義な役割りを果たすように、ひとつ大いに活用していっていただきたいというふうに思います。
 それからその次に、群馬県が生活再建案を作成しているということは、先ほど来のお話のあったとおりでありますけれども、直接この再建案の問題なんかを、いまは県がつくっているわけですけれども、いずれはこういった問題上に上ってくると思うんですが、これはあれですか、一応国土庁がその窓口になるわけですか、こういう問題については。
#55
○政府委員(北野章君) この問題については、先ほど来建設省の御答弁にもございましたように、群馬県が独自の立場で生活再建案の検討を始め、昨年十一月に地元に案を提示されたということでございますので、われわれといたしましては、まあ水特法の指定という問題について、かねがね知事さんと内々話をしておった段階でございますが、まあ知事さんもそういう独自の立場で生活再建案を作成中であるので、指定については見合わせてほしいということで現在に至っております。したがいまして、私どもといたしましては、この生活再建案が水没関係者及び地元住民の方々の了解が得られまして、水源地域対策として妥当なものと判断されますと、知事さんは恐らく所管省を通じて、この案について御相談に見えられるであろう。そういうことで、いま待っておる段階でございますが、国土庁といたしましては、ダム起業者である建設省とよく協議いたしまして、調整した上で、関係機関へ働きかけまして、この生活再建案なるものを具体化するということに最大限努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#56
○山田譲君 これはいまの段階で御説明を要求するのは無理かもしれませんけれども、再建案の内容、これは金額的には千六百億というふうに聞いておりますけれども、こういった内容については、大体国土庁も知っておられると思うんですが、この内容についてはどんなふうにお考えでしょうか。
#57
○政府委員(北野章君) 非公式な事務的な打ち合わせ等で、いろいろ新聞等に出ておりましたので、そういった範囲におきまして、私どもはその生活再建案の基本的な考え方、性格、それから大体の概要については一応存じております。しかし、これについてどのように対応するかということになりますと、先ほど申しましたように、水特法の指定がまだなされておらない段階でございますので、具体的にお答えはできませんが、先ほど来申し上げておりますように、起業者による補償、それから水特法に基づく整備事業、利根川・荒川水源地域対策基金による生活再建対策、そういった三位一体の対応で、この生活再建案の具体化が可能ではないかと考えておる次第でございます、
#58
○山田譲君 これは今度ぜひ国土庁長官のお考えを聞きたいわけですけれども、御承知のとおり、現在県段階で、県が独自の立場で生活再建案をつくって、そしてそれを地元長野原町に示した。長野原町としては、それを各水没部落に対して、幾つかあるわけですけれども、それを説明しようとしている。地元の雰囲気としては、反対、賛成いろいろあるわけでありますけれども、何となくダム着工の曙光が見えてきたというふうな、非常にデリケートな段階でありますけれども、また非常に大事な段階でもあると思うんです。
 そこで、特に長官にお伺いしたいのは、こういった生活再建案、県なり、町が一生懸命になってそれをやっているわけですけれども、一応形式的には少なくとも県独自でつくっているということになる、そうすれば、これで当然うまくいけば、その暁にはまずその窓口である国土庁にやってくるんじゃないかというふうに思われるわけです。そのときに、そんなものは、そっちで勝手につくったんだから、おれは知らねえというようなことじゃなくて、ひとつその再建案に協力をぜひしていただきたい。一つ一つの細かい点は別としまして、全体的なその精神に対して、ひとつ積極的に協力をしていただきたいということが、私あるいは県なりの考えでありますけれども、それについて、ぜひとも国土庁長官のお考えを伺っておきたいというふうに思うわけです。
#59
○国務大臣(原健三郎君) 大変最前から先生の御高説をいろいろ拝聴いたし、感激しているところでございます。
 生活再建案については、関係者とも連絡調整をとり、特に群馬県知事の意向を十分尊重して、格段の努力を払ってまいりたいというのが国土庁の考えでございます。ぜひそれが非常に役立つように希望しておるところでございます。
#60
○山田譲君 ぜひそういうことでこの再建案の問題については、対応をしていただきたいというふうに思います。
 それからもう一つ、これは建設大臣と国土庁長官にお伺いしたいんですが、ずっとお話してきて、時間もたったわけでありますが、八ツ場ダムの意義、これについては、いかに重要なものであるかということはよくわかったわけですけれども、ひとつこういう点をもっと一つの、地域住民はもちろんでありますけれども、利用する側に対しても、いかにこのダムが重要であるかということをさらに皆さんにわかりやすく周知徹底させる、どうもそういう点でやや欠けているんじゃないかという気がしてならないわけです。先ほど来言いましたように、利用する側からすれば、われわれが飲む水をどうして反対するんだというふうな言い方になりますし、出す方からすれば、何のためにおれたちが東京都民に飲ませる水のために水没しなければならないんだ、こういう気持ちになる。これは当然だと思うんですけれども、そこでやはり大局的見地に立って、こういう点でどうしても必要なんだということを、両方の側にわかりやすく納得をさせるというふうな、そういう努力を、どうしてももっともっとやっていただかなきゃいけないんじゃないか、そうしませんと、いつまでたってもダム建設というのはスムーズにいかないというふうに考えられてなりませんので、この点について、最後ですが、ひとつ建設大臣それから国土庁長官にお伺いしたいと思います。それで私はやめます。
#61
○国務大臣(原健三郎君) お説は全く賛成であり、同感でございます。わが国においては資源に恵まれていないところで、土地が不足しておる、水も不足しておる、こういうところでございますので、その程度のことはどなたもわかっておりますが、ながながしかし、水を確保しよう、あるいは住宅地を確保するとなると、なかなか思うに任せません。日本人は元来宣伝するのがへたで、宣伝することは悪いことでもするように思われる、こういう水の必要なことを、これは利用者にも、また犠牲を払う地元の人にも、十分宣伝することの必要なことは全く同感でございます。それでまた、これを地域対策として宣伝すると同時に、また利用する人においても、このごろよくはやっておる節水型社会をつくる。もうわれわれ自身も余り水を、昔は湯水のごとく物を使うと言って、非常にあり余るものの代表が湯や水であったらしいんですが、このごろははなはだ水も不足してまいりましたので、もっと自重して使うよう宣伝もいたしたい。
 それから、国土庁においては水資源局という一局を設けて、非常にこの対策を考えておるところでございます。それで、八月一日を「水の日」にして全国的にやるし、小学校の生徒にまで水の大切なことを宣伝いたしております。それで、さらに八月の一日から七日間「水の週間」というのをやって、この宣伝を行き渡らしております。これだけでは足りませんのですが、この水をふやすために、やはりダムの建設をやらねばならぬというところまでこれをもっと進めて、国民全体にその理解を深めて、協力を得て、事業を進めていきたい、そして先生の熱意にもおこたえいたしたい。せっかく御協力のほどを切にお願い申し上げます。
#62
○国務大臣(斉藤滋与史君) 八ツ場ダムにつきまして、具体的な先生の御指摘があったわけでございますが、いろいろとお聞きして、全く同感でございます。カスリン台風、二十二年の九月に起きたあの大洪水を目の当たりにして、何とか国の施策として、まずもって利根川の治水ということから、特に群馬県の方々には大変御迷惑であったろうと思いますが、大局的見地から、一都四県の方方を水の災害からお救い申し上げ、かつ将来水資源不足ということで、この計画が立ったわけであります。御指摘をまつまでもなく、当初いろいろと行き違いがあって、大変その点につきましては、所管大臣として遺憾と思うところでございます。したがって、そうしたことを反省の機にいたしまして、せっかくいま地元県当局で直接地元の方々と御相談をいたしておるようでございますので、私たちも何とか、前段水の重要性については、もうこれ以上申し上げるまでもなく必要なことでございますので、何とか早く御理解をいただいて、関係方々のためにも完成をいたしたいと、このように考えます。
 わけても、大局的と言いましても、大きな観点からであっても、その水没される地域、あるいはダム関係の方々に御迷惑がかかってはこれはあくまでもならないわけで、いろんな問題点につきましては、よりよい解決法をもって、その方々の生活基盤を長期的に考え、再建といいましょうか、あるいは補償の問題につきましても、心を込めた話し合いのもとで、りっぱなダムをつくって、完成の暁に、やはり結果的によかったということ、しかもなおかつよくダムの後、その当時はそのことで幸せのようでありますけれども、長期的に見てその地域の方々がよそへ行って何か失敗されて戻るというようなことも間々聞いておりますので、やはり長期的にもそうした御指導をもあわせてやっていくことでなければ、りっぱな事業はできないんじゃなかろうか、このようなことも考えて指導してまいりますと同時に、ぜひ先生からもひとつ、この件につきましては、われわれも努力いたしますけれども、犠牲のないりっぱなダム完成のために、ひとつ御協力を賜りますようにお願い申し上げるわけであります。とにもかくにも大変御迷惑をかけましたことを遺憾に思いますと同時に、こうしたことを乗り越えて事業の完成のためにせっかく努力してまいる所存でございます。
#63
○副主査(増岡康治君) 以上をもって山田譲君の質疑は終了いたしました。
 次に、松本英一君の質疑を行います。
#64
○松本英一君 同和対策の問題を論ずる場合に、まず第一に、同和地区が貧困であり、困窮な生活をしているから差別があるのではありません。差別のために貧困な生活を強いられ、困窮な生活にあえいでおるということをまず冒頭に御認識をいただきたいと思います。
 一九六五年、昭和四十年八月、同和対策審議会の答申が出され、一九六九年、昭和四十四年七月に十年間の時限立法として同和対策事業特別措置法が制定をされ、さらに一九七九年、昭和五十四年三項目の附帯決議をもって延長され、今日同和対策特別措置法の十二年を経過をいたしました。私たちの実態調査では、住宅問題等々において一定の成果は生活環境の改善を中心に、少しくは上げてまいりましたが、それは全国的な部落問題のほんの一部分にとまっているにすぎません。同和対策事業特別措置法の目的とする同和地区住民の生活の安定と福祉の向上が図られ、差別の実態が解消するどころか、ますます陰湿な差別の実態を見せつけられてまいりました。全体としては、依然としてなお劣悪な生活環境のまま放置され、加えて最近の深刻な経済不況のもとで、教育、労働、特に就職、人権等々あらゆる面で差別はますます露骨になってまいりました。私はこのような厳しい環境の中で、三年延長の期限切れを一年後に控えた同和対策事業特別措置法の強化改正を並びに延長を中心に質問を展開いたします。
 まず第一に、お渡しをしております「同和対策事業特別措置法」強化改正要求国民運動中央実行委員会発行の「全国のあいつぐ差別事件」について所管の大臣お読みになっておられるはずですが、御感想を聞かせていただきたいと思います。
#65
○国務大臣(斉藤滋与史君) 先生からお話しのありました「全国のあいつぐ差別事件」のこの雑誌をいただきまして、大変私自身も遺憾というよりも深刻に問題をとらえて申しわけない気持ちでいっぱいであるわけであります。建設省といたしましても、所管に係る問題を基盤にこうした問題を早期に解決するために、一生懸命で努力しておるところでございますが、なおこうした問題が続いているということにつきまして、大変申しわけないといいますか、遺憾のきわみでございまして、なお一層こうしたことが早期に解決できるように、心を新たにして努力するという思いを改めたところでございます。
#66
○国務大臣(原健三郎君) いま建設大臣もおっしゃられ、私も同感でございまして、この「全国のあいつぐ差別事件」という書物、全部ではございませんが拝読をいたしました。またその内容も事務当局から聞きまして、よく存じでおります。政府としては、この同和問題の早期解決を図るために、これまで地方公共団体にも協力して、広範多岐にわたる同和対策の積極的推進に努めてきておるところであります。しかし、いまだ結婚とか、あるいは職業、就職等に関する深刻な差別事件があるということは、まことに遺憾千万で、またさらに悪質な落書き等もあるというようなことで、こういうものを速やかに排除するために努力しなければならぬ、こう思っております。それで、こういう問題に対する正しい国民に理解と積極的に協力をするように、そういう意向で努力をする考えでございます。
#67
○政府委員(小島弘仲君) いま両大臣から御答弁申し上げたとおりでございまして、政府、地方公共団体協力してのこれまでの施策にかかわらず、いまだにかかる事態が生じていることはきわめて遺憾なことだと思います。啓発活動を中心に、できるだけ速やかにこのような意識の改革を図れるよう、さらに努力してまいりたいと考えております。
#68
○松本英一君 一九八一年――本年昭和五十六年三月十四日、毎日新聞あるいは朝日新聞、中目新聞に報道をされております「同和問題で不穏当発言」、あるいは「市議が差別発言」という記事があります、これはことしの三月十四日、毎日新聞の報道を取り上げてみます。
   〔副主査退席、主査着席〕
 大見出し「同和問題で不穏当発言」、「名古屋市議会総務民生委員会は十三日、五十六年度当初予算案関連議案のうち民生局所管の事項について審議、この中で総額四十一億円の同和関連予算案がとりあげられたが、質問に立った工藤恭弘委員(自民、熱田区)が、首相経験者二人の実名をあげ「(この二人は)同和出身。」さらにこのうちの一人について、「オヤジは家畜商だ」と述べ、「同和出身者が政権を−」との発言を続けた。これに対し「それなら同和関連事業をやめるというのか」というヤジが飛んだが、工藤委員は「そうじゃない」と、町名や奨学金問題をまじえ当局の見解を求めた」。首相経験者二人の実名をここで挙げておりますが、政府として、この首相経験者二人の実名を御存じでありますか。御答弁を願います。
#69
○政府委員(小島弘仲君) そういうような問題発言あったということを聞いておりますが、お尋ねの件については聴取しておりません。
#70
○松本英一君 知っているんじゃないですか。実名を挙げている以上、知っているはずです。
#71
○政府委員(小島弘仲君) これは新聞報道をまず見まして、新聞報道では触れておりませんし、必ずしも実名を確かめる必要性を感じませんでしたので、名古屋市当局には実名を確認しておりません。
#72
○松本英一君 原長官に個人的な御質問を申し上げます。
 戦後だと思いますが、長官は衆議院議員に当選されました時期は、最初はいつでありましょうか。
#73
○国務大臣(原健三郎君) 昭和二十一年四月でございます。
#74
○松本英一君 それでは、私と郷里を同じくします博多出身の吉田裕彦、前名吉田彦太郎氏を御存じでありますか。
#75
○国務大臣(原健三郎君) 名前は聞いたことがございます。
#76
○松本英一君 名前は聞いたことがあるとおっしゃいましたが、通称彦ちゃんで通っております。私も戦後緑ビルに連日いました。名前を聞いたではなくて、お会いになったことがあると、私はよく承知をしておるつもりですが、名前だけでありますか。
#77
○国務大臣(原健三郎君) いつごろか定かでないんですが、もうちょっといろいろ言ってもらいましたら、突然の御質問でございますので、やぶから棒に質問されましても、さてどの方であったか、いま考えておる最中でございますが、名前だけは聞いたことがあります。どの程度に御交際願ったか、もう少し聞いてみたら思い出せると思います。
#78
○松本英一君 お会いになったことがないとおっしゃるならば、具体的な問題について質問せざるを得ません。しかし、ここは国会の場ですから、これ以上質問はいたしません。
 同和問題は、いわば人間の自由と平等に関する問題であります。同時に、現憲法が保障する基本的人権に関する問題でもあります。過去のそのときどきの行政による差別が、現在の問題の要因であり、それらの解決は行政課題であり、国の責任であるはずであります。そのためには明確な同和対策の目標のもとに、具体的な施策が組み上げられ、その実績は十分確認されなければなりません。同和行政に臨む姿勢を疑わざるを得ない、事業執行の態度は漠然といたしております。国務大臣の一員として、同和行政に関し、どのような理解と決意をお持ちか、率直な意見を聞かしていただきたいと思います。
#79
○国務大臣(原健三郎君) 御説の憲法の認める趣旨、いまおっしゃいました自由、平等等、その趣旨が国民にあまねく徹底することをこいねがっております。そのためにわれわれも尽力をするにやぶさかではございませんし、政府もその方針で進めておるところでございます。相ともに携えて同和問題を解決していきたい、こう考えております。
#80
○松本英一君 原長官は前回三年前の延長問題をめぐるさなかにおいて、兵庫県の部落解放同盟役員の人々、あるいは二区における選挙民の同和地区の人々に延長に賛成する言動を行いながら、当時の自民党総務会の総務の一人として総務会で反対をされたということを私は直接そのときの総務の友人から聞いております。現閣僚の中にも親しく御交誼を願っている人もありますし、総務にもおりますが、吉田彦太郎氏を共通の友人とするあなたとしては、この問題についてどういう経過を示され、今後どういうお考えであるのか、お尋ねをいたします。
#81
○国務大臣(原健三郎君) 私は自民党総務をやっておったこともございますが、そこで同和対策の法律案の延長に反対したと、そんな事実はございません。
#82
○松本英一君 同和対策特別措置法の三年延長を議決した際に、衆参の内閣委員会は、同趣旨の附帯決議を行いました。
 附帯決議、自民、社会、公明・国民会議、民社、新自由クラブの共同提案、全会一致であります。
  政府は、同和問題の重要性にかんがみ、この問題の早急な解決を図るため、次の事項について適切な措置を講ずるよう努力すべきである。
 一 法の有効期間中に、実態の把握に努め、速やかに法の総合的改正及びその運営の改善について検討すること。
 一 同和対策事業を実施する地方公共団体の財政上の負担の軽減を図ること。
 一 同和問題に関する事件の増発状況にかんがみ、国民の理解を深めるため、啓発活動の積極的な充実を図ること。
 この附帯決議の意思は、その後政府においてどのように生かされてきたか、まず政府の姿勢をお伺いいたします。
#83
○政府委員(小島弘仲君) 政府は、この衆参両院におきます附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、所要の施策の推進に努力しておるところであります。
 具体的に各項目について概略を申し上げますと、第一項の実態の把握と、法の改正及び運営の改善に関する検討につきましては、現在各省庁におきまして所管の事項につきまして物的残事業、あるいは就労状況、さらには生活状況等々につきまして、都道府県からのヒヤリングを中心に実態の把握に努めておるところでございまして、さらにこれらの資料をもとに今後同和問題の早期解決を図るのに必要な施策の方向、内容等についての検討を急いでおるところでございます。第二項につきましては、第二項の地方の負担の軽減につきましては、逐年予算の拡充を図ってまいっておりまして、補助基準の見直し、あるいは補助対象の拡大等に努力しているところでございます。第三項の啓発活動の推進につきましては、同和対策に関係する中でも、最重点施策の一つとしてその拡充を図っているところでございまして、ただいま御審議を願っている五十六年度予算案におきましても、対前年度比三五%弱に上る伸び率の予算額を計上し、その一層の拡充を図るものとしておるところでございます。
#84
○松本英一君 差別図書と言われる部落地名総鑑、これらの差別事件は一九七五年十二月に判明以来六年目に入りました。現在のところまで九種類のものが出回り、法務省の調査だけで二百十七社の者が購入をいたしております。就職差別や結婚差別にこれは悪用されているが、この問題についてそれぞれの所管の御見解を聞かしていただき、部落地名総鑑差別事件の判断についての基本的な見解を質問をいたします。
#85
○政府委員(小島弘仲君) お尋ねのような、いわゆる部落地名総鑑といういわゆる差別文書の購入企業が最近に至ってもまだ発見をされておるという事態は、きわめて遺憾なことだと存じております。たびたび国会の御指摘もあり、これらの差別図書の法的規制問題につきましては、法務省を中心に種々検討を進めておるところでございますが、言論の自由の問題、あるいは法的手続に基づきます罪刑法定主義の問題等々の関連から、なかなか有効適切な手法を見出せないで苦慮しているところでございまして、引き続き検討中でございますが、基本的にはこのような文書を購入するというような事態、あるいはこれを就職問題等に活用すること自体の改善が最も肝要であろうと考えておりまして、企業等を中心とする、対象とする啓発活動に一層の努力をしているところでございまして、今後ともさらに企業の理解と協力を得ながら、積極的な啓発を進め、かかる事態の根絶を期してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#86
○松本英一君 九種類に及ぶ部落地名総鑑等の購入者の中には、十数社に及ぶ建設関係企業が含まれています。これに対し建設大臣として、これらの企業があることをどのように受けとめておられるのか、またどのように対処されたか、お聞かせを願います。
#87
○国務大臣(斉藤滋与史君) 先生御指摘のようなことにつきましては、確かに地名総鑑を持っておる業者がおるということは事実でございまして、大変遺憾に存じております。前々から先生の御指摘を待つまでもなく、そうしたことがあってはならないということで、業者に向かいましても、早期にこうしたことについて理解と認識を深めて、再びこのことのないように、誠心誠意とにもかくにも早期に解決するように強く指導いたしておるところでございます。
#88
○松本英一君 建設省の監督責任のある企業の中に、地名総鑑を購入をしているのはいまお尋ねしたとおりであります。関係企業に対し、建設省はいかなる対処をしたかを再びお尋ねをいたします。
 ちなみに、藤尾労働大臣はこの問題の根絶のために、進退をかけて取り組むと態度を鮮明にしておられます。この言葉の意味は、労働省関係において差別問題が起これば職を賭するという意味であると解されます。しかも、関係企業の社長を藤尾大臣は直接呼びつけるとともに、各方面、特に上場千二百社に対し、大臣名で文書を送付し、要請をしておられる事実があります。建設大臣にも少なくとも建設業界については、藤尾労働大臣と同様の姿勢で臨み、具体的な対応を行うよう要請をいたしたいと思いますが、決意のほどをお聞かせ願います。
#89
○国務大臣(斉藤滋与史君) 先ほども申し上げましたように、建設省所管といたしましては、同和関係の方々には、環境整備事業というものを主体としてやっておるわけで、それにかかわる建設業におきましても、そうした問題があるという事実について先ほど遺憾であることを申し上げ、なお具体的な問題としてそうしたことのないように、理解と協力を得ながら指導してまいるという強い意思を申し上げたわけであります。したがいまして、今後の問題として、そうしたことにつきましては、労働大臣と同じような心組みで対処してまいる所存でございます。
#90
○松本英一君 大臣お手元に差し上げておりますこの雑誌の中の資料によりますと、戦前から行われてきた日本の移住政策を見ると、日本政府の資金でブラジルの土地を購入し、そこに日本人のみ移住者を、導入し、営農資金を援助して、いわば日本植民地を築く方式をとっている。これはブラジルの国土の中に、閉鎖的な日本人のみの特殊部落、特殊社会を形成するようなものである、だからブラジルにはいまだにブラジル語が話せない、それかといって正しい日本語でもない言葉で生活をしている日本人が存在しているのである。ブラジル人から見れば、日本人は硫黄のごとく溶けがたいと言われることになるのであるという文章の中にある特殊部落についての大臣の見解を伺いたいと思います。
#91
○国務大臣(斉藤滋与史君) この件につきましては全く申しわけないといいますか、遺憾のきわみでございます。
 先ほど来申し上げましたように、業界はもとより、建設省そのものも職員に向かってはこの問題については日ごろから啓発いたしておるところでございますが、どうしたことでこういう発言をしたのか、大変、ただおわびを申し上げるほかないわけであります。本人にも、また重ねて職員にもこうした発言のないようにきつく戒め、みずからもって肺としてこれから対処してまいると、このように考えるものでございます。
#92
○松本英一君 建設関係企業者が事件を引き起こした問題は、「全国のあいつぐ差別事件」の百三十四ページに載っております。これは「岡山・大和ハウス差別事件」と称されております。この中で、二年連続しての差別事件であります。「(「部落はガラが悪い。結婚問題でも困る」との大和ハウス社員の発言)」事件であります。ところがその次の年の四月の末にまた、「「この店では何も話ができん。お宅が解放運動をしているからじゃー」」と。連続して差別事件を起こしておりますが、こういうものに対しての建設省の基本的な姿勢をお聞かせ願いたいと思います。
#93
○政府委員(宮繁護君) 大和ハウス工業は、建設大臣より免許を受けております宅地建物取引業者でございます。この大和ハウス工業が、ただいまお話がございましたように、岡山県の山陽町、熊山町におきまして、御指摘のような事案を起こしましたことは、まことに遺憾でございます。
 会社側も社員に対する啓発が十分でなかったと責任も認めております。このため、地元の公共団体におきましても、大和ハウス工業及び関係会社の社員を含めまして、昭和五十四年九月より毎月一回、同和問題研修会を実施いたしまして、関係者に対する啓発を実施しているとの報告を聴しております。
 また、今後大和ハウス工業におきましても、会社自体において関係団体とも緊密な連絡をとりながら、同和問題に係る会社独自の研修も行うとの報告を受けております。
 建設省といたしましても、今後かかる事件が再び起こることのないよう、大和ハウス工業の責任者に対しまして、厳重な警告を行ったところでございます。
#94
○松本英一君 警告は地建を通じて行われたのですか。中国地建ですか。
#95
○政府委員(宮繁護君) 直接会社に対しまして、専務に対しまして行いました。
#96
○松本英一君 建設省は四年前の五十二年九月十日に、建設省厚第三百十六号の通達において「地方支分部局所掌の工事請負契約に係る指名停止等の措置要領」を出されております。この中で、別表として、措置要件の十一からなるその三の中に、「請負工事の施工に当たり、安全管理の措置を粗雑にしたため、公衆に死亡者若しくは多数の負傷者を生じさせ、又は重大な損害を与えたとき。」、期間として「三箇月以上九箇月以内」の指名停止の規定がございますが、こういう施工という言葉でありますけれども、部落解放同盟に所属する人々は多数であります。そういう業者についていわゆる損害を与えておることは事実であり、またこれに差別による死亡者も出ておるのも事実であります。こういうことにつき、指名停止の処置をなさる英断と決意があるかどうか、お答えを願います。
#97
○政府委員(丸山良仁君) 工事について公衆の方に危害を及ぼしたというような場合につきましては、いかなる方に危害を及ぼした場合におきましても、指名停止あるいは指名回避というような措置をとる考えでございます。
#98
○松本英一君 それでは同和問題についての建設省の業界に対する指導の経過並びにその際どういう行政指導をなさっておるのか、御答弁願います。
#99
○政府委員(宮繁護君) 先ほどお話がございましたこの地名総鑑を購入いたしまして、同和地区の住民の方々の就職の機会等に影響を及ぼし、またその他さまざまの事案を招来し、助長するような悪質な冊子を購入した建設業者が一部におりますことは、大変遺憾なことでございます。この問題につきましては、先ほど総理府からも御答弁がございましたように、私どもも総理府の方と十分連絡をとりながら、事務次官名で関係業界に対しまして、厳重な注意を喚起いたしました。そのほか、この会社の人事担当役員等につきましても、建設省も主催になりまして、啓発のための活動を進めてきたところでございますけれども、今後も先ほど大臣からもお話がございましたように、総理府とも十分連絡をとりながら、指導を十分強化してまいる所存でございます。
#100
○松本英一君 次官通達はいつ出されました。
#101
○政府委員(宮繁護君) 五十年の十二月十五日でございます。
#102
○松本英一君 もう六年たっておるでしょう。そして相次ぐ差別がなされておるのに、あなたも大臣も読んであるけれども、あなたも読んであるんですか局長、この「全国のあいつぐ差別事件」を。
#103
○政府委員(宮繁護君) 私も関係する点につきましては読ましていただきました。
#104
○松本英一君 だから、それについての建設省の行政指導を今後どうなされますか。
#105
○政府委員(宮繁護君) この中に先ほど御指摘の百三十四ページに大和ハウスの事例が載っておりますが、これは先ほどもお答えいたしましたように、会社の方でも非常に反省もいたしまして、社員に対する啓発等も十分やっておりますけれども、先ほども申し上げましたように、直接大和ハウスの担当専務に対しまして厳重な注意もいたしたわけでございます。
#106
○松本英一君 先ほどブラジルの問題について質問をいたしましたが、これは建設省の関係になる問題であります、これは建設省の建設大学校中央訓練所が監修をし発行されている月刊「開発青年」のことしの一月号に「青年海外協力隊と産業開発青年」と題した一文の一部であります。周知のように、この文章で使われる特殊部落とは、一般の部落と区別し、さまざまな差別的な内容を込めた言葉として使われてきたものであります。同和対策審議会答申の中でもそのことが指摘をされておるのに、この差別用語を事もあろうに建設省の関係にかかわる所管の中にそのような文章を用いたという問題、建設省の内部に過去にも幹部の中に厳しい差別事件を起こしておる者がありますし、このような文章を用いたという問題を、建設大臣は、そして官房長、局長はどう受けとめられているのか、御答弁を願います。
#107
○国務大臣(斉藤滋与史君) 先ほどもこの発生した事態につきまして、非常に残念でありますし、遺憾のきわみだと申し上げました。直ちに官房長を通じ、また当人にも厳重に注意するはもとより、省内にもこの件につきましては、周知徹底をして、今後こうしたことについては十分啓発について指導するように指示したし、また問題の雑誌につきましても、直ちに全部回収するような指示を与えたところでございます。大変とにもかくにも日ごろ十分注意をし啓発していながら、こうしたことが起こりましたことにつきましては、改めておわびを申し上げる次第でございます。
#108
○政府委員(宮繁護君) 今回の事案はまことに申しわけないことだと心からおわびを申し上げます。
 したがいまして、私どもといたしましては、この事件を知りましてから、すでに第一番目に、本人に対しまして、同和問題の重要性等について改めて十分認識をさせますとともに、今後このようなことがないように厳重注意を行いました。本人もいたく反省をいたしております。
 第二番目に、この月刊誌を発行いたしました産業開発青年技術協会に対しまして、直ちに回収等の指示を行うとともに、同和問題の重要性に対する認識と反省を求め、今後再びこのようなことのないよう厳重な注意を与えたところであります。
 三番目に、今後は同和問題の重要性をより一層認識し、職員に対します研修の強化はもとより、産業開発青年技術協会に対しても、より一層指導監督の強化に努めてまいりたいと考えております。
#109
○政府委員(丸山良仁君) 今回このようなことが起こりましたことはまことに遺憾に存ずる次第でございます。
 ただいま計画局長から説明のありましたように、われわれこの事態を知りました翌日、直ちにその監督責任者である建設大学校長から、本人に対しては厳重に注意したところでございます。
 また、雑誌の回収につきましては、いま申し上げたとおりでございますが、建設省といたしましては、今後本省の中におきまして、この問題に対する啓発活動を積極的に進めていくとともに、地方建設局に対しましても十分問題の重要性を認識するように指導する考えでございますし、また必要な同和対策必携というような文書もつくりまして、現在もありますが、これを改訂いたしまして、各人に持たせるというような措置も講じてまいりたい。
 また、総理府が行っております同和問題の研修会等にも、現在も積極的に参加いたしておるわけでございますが、なお、一層積極的に参加してまいりたいと考えておる次第でございます。
#110
○松本英一君 地方建設局を通じてこれからの行政をするというお話ですね。答申が出されて十六年、特別措置法が制定されて十二年もたっているのにこのような事件が起こっておるのは、まことに憤激にたえません。一九七九年ですから、一昨年、大臣は御承知ではないでしょう、同様の事件を水資源開発公団の中で引き起こし、その年の三月の国会で問題になっております。政府の高官でも、今日なお今回のような事件を引き起こしておりますし、一昨年もやっておる。岡山の大和ハウスは二年連続であります。この際、本格的な総括と反省を行い、抜本的な建設省の取り組みを強く要請するものでありますが、お考えをお答えください。
#111
○国務大臣(斉藤滋与史君) 重ねての御指摘で本当に恐縮いたしております。
 ただいま官房長からもお話がありましたように、具体例をもって必携等改訂いたしまして、具体的な実施計画を立てて、この問題については対処してまいる所存でございます。
#112
○松本英一君 総理府の附属機関に同和対策協議会があります。同和対策として推進すべき施策に関し、関係行政機関相互の緊密な連携を図るためのこれは機関であります。最近における同和対策協議会の経過について説明を願い、この同対協は、かつて新年度の同和対策事業予算について、内閣に対し毎年意見を具申しているのですが、最近は機能を果たしていないと思いますが、どのような経過であり、いつ再開させるのか。そしてその阻害要因は何か。御見解をお尋ねします。
#113
○政府委員(小島弘仲君) 同和対策協議会は、先生御指摘いただきましたように、総合的な施策を要する同和対策を総合的、統一的に進めるための重要な協議機関であると考えております。法律上の機関でもございますが、五十二年五月、学識経験委員の任期が切れまして、その後任の委員の選任をめぐりまして関係者間に異論がございました。この同和対策協議会が重要な機関であればあるほど、その円滑な運営が最も肝要であるという考え方のもとに、関係者の御理解と積極的な御協力を得て、この協議会の円滑な運営を図るべく、今日まで関係者の御理解を得るような努力を続けてまいってきておるところでございます。残念ながら本日まで学識経験者委員の選任を見ておりませんが、関係者とのお話し合いを通じまして相当程度御理解、御了解を得られる段階になってきた、かように考えておりますので、近々学識経験者委員の任命を終わりまして正常な形で発足できるものと期待しながら、さらに努力を続けておるところでございます。
#114
○松本英一君 同和対策の事業費、事業量を見るときに、一つ、未指定地区の要求が盛り込まれていないこと、二つ、新たな行政需要追加要求が入っていないこと、
   〔主査退席、副主査着席〕
三つ、地方公共団体の超過負担が無視されていること、四つ、物価上昇分が加味されていないこと等々の問題があることは御承知のとおりであります。対策事業量の積算が全国知事会のものあるいは部落解放同盟のものと大きな格差がありますが、これに関し政府はどのような見解を持っておられますか。
#115
○政府委員(小島弘仲君) 現在、今後必要とする同和対策の物的費用がいかほど残っているかという問題について、先ほどもお話し申し上げましたように、関係所管省庁が地方公共団体からのヒヤリングを続けているところでございまして、現在まだその取りまとめを終えるに至っておりません。したがいまして、知事会あるいは同和関係諸団体が御発表になっている数字と政府が現在把握すべき数字との突合がまだでき得ない段階になっておりますが、政府といたしましては、積極的に、各地方公共団体からのヒヤリングを通じて、その必要性、その合理性等についても十分調査しながら、合理的な事業の推進に努めるべく、関係各省相互に協力しながら努力しておるところでございます。
#116
○松本英一君 建設省の同和対策に焦点をしぼります。
 昭和四十四年度から五十三年度に至る長期計画の建設省所管の同和対策事業の実績、並びに五十四年度以降に実施を残した額について説明を願い、その後、特措法が改正され三年の延長となったが、五十四年度、五十五年度の実績及び予算について御説明を願い、先ほどの残事業の額との関係についても説明を願いたい。
 事業費の実績を見る場合、問題となるのは、同和地区の正確な数等々、その存在が公表されていないことであります。行政側の一方的な尺度で同和対策がゆがめられ実施されるとすれば、その施策に対する国民の理解は得られません。審議会答申にもあるように、国民的課題として目標達成への具体的手段が明示されるべきであると思いますが、いかがでしょうか。
#117
○政府委員(豊蔵一君) 建設省所管の同和対策事業といたしましては、住宅局所管の住宅対策事業と都市局所管の都市計画事業とがございます。
 住宅対策といたしましては、住宅地区改良事業、小集落地区改良事業、同和向け公営住宅建設事業、並びに住宅新築資金あるいは住宅改修資金、宅地取得資金の貸付事業、及び老朽住宅除却促進事業等を実施しております。また、都市計画事業といたしましては、下水道事業、街路事業及び公園事業を実施しているところでございます。
 これら建設省の所管の事業につきまして私の方で把握しておりますのは、昭和五十年度以来五十五年度までに、総額国費で四千六百十億円をもって実施してきたところでございますし、また昭和五十六年度予算案におきましても国費千二百十一億円を計上しているところでございます。これらの事業の遂行によりまして逐次改善の成果が上がっていると思っておりますが、また今後の事業につきましては、現在関係府県からヒヤリングを行っているところでございまして、その結果に基づきまして総理府を中心に関係各省とともにその取り扱い方針について検討を進めたいというふうに考えております。
#118
○松本英一君 残事業はいまヒヤリングとおっしゃいましたね、そうですか。
#119
○政府委員(豊蔵一君) はい。ただいま申し上げましたように、関係府県からヒヤリングを続けさしていただいておるところでございます。
#120
○松本英一君 三年前延長問題が起きるときに私はこの委員会において質問をいたしました。くしくも三年前のきのうであります、そのときの質問は、「五十四年度以降に残る残事業量は国費分で三千三百億円に達すると言われておりますが、政府は特別措置法期限切れ後の残事業量をどの程度見積もっておられますか。」と質問をいたしました。これに対し政府委員黒川弘君は、「五十四年度以降に見込まれます残事業でございますが、国費といたしまして約三千二百六十億円、事業費で約四千六百七十億円と把握しております。」と答弁をされております。きのうの時点で五十六年度の残事業がまだヒヤリングというのは筋が通りません。この残事業が多いということで三年の延長になったわけがあなたたちのヒヤリングという言葉の中に隠されておるとしか思われませんが、このことについての御答弁を求めます。
#121
○政府委員(小島弘仲君) 先生御指摘の国会における当時の黒川室長の答弁は、五十年調査のときに把握した事業量について一体現在価格でどのぐらい残っているかという数字であったかと思います。ただ、その後、現在われわれといたしましては、五十年調査ではなくて五十年調査と離れて、それ以外にも、現在五十年調査で把握できなかった事業についてもどれほどあるかということでヒヤリングを続けているところでございまして、事情はそのように違うかと思います、それから、非常にわれわれの予想外にヒヤリングの期間が政府全体としてかかっておる面、きわめて心外な点もございますが、事情を聞いてみますと、地方公共団体の段階でなかなか実施計画が立ちにくいというような事情もある点もありまして、地方公共団体にも大変な御苦労をかけているという事情もあるようでございますが、今後の検討にきわめて重要な資料でございますので、できるだけ早く全体像を的確に把握できるように、また特段の御努力と地方公共団体の御協力をお願いしておるところでございます。
#122
○松本英一君 わが国は世界でも有数な、数ある災害国の一つであります。毎年災害のために多くの人命と資産を失っております。特に、最近の災害傾向は異常なまで、集中豪雨、台風、豪雨のもとでがけ崩れ、土砂流出、堤防決壊等の局地的な災害が頻発をいたしております。同和地区は差別されたことにより、地理的に非常な劣悪な地帯に存在をしております。土手の下あるいは河川の屈曲する個所、山の上――天草の山の上には四戸しかありません、ふもとの傾斜する場所にその位置が占められております。特に一九七四年、昭和四十九年六月の集中豪雨の災害で同時に十九名の死者を出した香川県小豆島内海町地区は、急傾斜地に張りついた場所であります一同和対策計画に基づいて急傾斜地崩壊事業はその関連事業とされております。同和地区がそういう危険な場所に追いやられ存在していることを考えるならば、同和対策事業そのものとして位置づけるとともに、採択事業費の配分等を図るのが特別措置法の趣意、法意に沿うものと考えます。これらの関連事業の要件及び実績についての御説明を願います。
#123
○政府委員(小坂忠君) 先生御指摘のまず河川改修事業でございますが、河川改修は通常上下流を通じて一年間を計画いたしまして改修する必要があるというふうなことで、一連の区域にわたって用地買収をするとか、あるいは非常に長期間にわたってその事業が遂行されるというようなことで、同和地区を守るための事業でありましても、全体の事業を行うことによって効果が出てくるというような性質を帯びておりますために、その同和地区を守るためだけの同和対策事業というとらまえ方がいたしにくいような性格を持っておりますために、従来同和対策事業の範疇の中に直接は取り入れてやってきておらないわけでございます、ただし、この同和対策の重要性にかんがみまして、それの同和地区に関連いたします改修につきましては最優先して積み上げて事業を進めてくるように実施いたしておるところでございます。したがいまして、ただいまの同和の対策事業としての取り扱いということにはなっておらないのは先生も御承知のことかと思います。
 それから、急傾斜地崩壊対策事業でございますが、これも私どもの現在までやっております急傾斜地崩壊対策事業、これは全体事業といたしまして十戸以上のものを対象にいたしましてやるのが通常でございますが、この同和地区事業の重要性にもかんがみまして五戸以上を対象にしてやろうということで、特に都道府県の要望に応じましてはこれは最優先で採択するということで進めさしていただいております。また、この急傾斜地崩壊対策事業そのものが県事業でございますので、第二項にございました地方負担の軽減という観点からもすでに二分の一の補助率になっておりますので、私どもといたしましては、むしろそういった観点よりも同和対策としてこの事業を強力に進める必要もございますので、県からの要望を最優先で受けて、それを強力に実施していくという方向で解決さしていただいておるわけでございます。
#124
○松本英一君 建設省の同和対策事業の中心は道路、住宅関係事業が主であります。住宅事業には公営住宅、改良住宅、住宅資金貸し付けがあるが、それぞれの採択要件、国庫補助の内容についてさらに今後必要な事業を考えますときに、単に量的なものでなく、その事業実施に当たって困難性を考慮に入れなければなりません。
 たとえば、部落の密集した中心部は手がつかずに残されたままであること、周辺の空き地に建物が建てられてきたという事情があるし、大規模な都市型混住部落や数多い少数点在部落が残されておるのもまたこの実情であります、こうした実情を考慮した場合、あと一年ではとうてい解決される問題ではないと考えます。こうしたいわば質的な問題について建設省としてはどのように考えておられるか、今後必要な事業を考えるとき単に量的な問題でなく、質的な困難性を考えなければならないと思います。この質的な困難性を考えたときに、同和対策事業特別措置法の延長、それも単なる延長だけでなく、総合的改正と運営の改善を伴った強化改正が必要であることは明らかであります。建設省の御所見を伺います、
#125
○政府委員(豊蔵一君) 先生から御指摘がありましたように、同和対策事業の中でも住宅地区改良事業を初めといたします環境整備につきましては、従来とも一般対策の事業とは別に補助率等の引き上げあるいはまた採択要件等について特例を設けて実施しておるところでございます。ただ、この事業を実施いたします場合におきましては、いろいろな困難も現に伴っていることも事実でございます、そういったような点から、従来とも相当の国費を投入いたしまして事業を実施してまいったわけでありますが、なお大規模な事業等につきましては若干後年度に残る可能性も持っておるということから、私どもも関係府県の御協力をいただきまして、鋭意そのヒヤリングによりまして実情の把握に努めているところでございます、先ほどお話しいたしましたように、このヒヤリング成果を早急に取りまとめまして、でき得るならば五十七年度の概算要求時点までに方向をまとめ、また総理府初め関係省庁とも御相談をして対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
#126
○松本英一君 大臣、それから室長、全国の相次ぐ差別事件の、この本でもおわかりでしょうが、われわれの子供の歌に、解放歌の中に、私は水平時代に生まれたから水平歌の中に、「ああ千年の昔より」とあります。千年以上も差別をされてきた問題がたった十三年や二十年で解決されることではありません。しかもここに「将軍」という本があります。三月の二十二日読売新聞の「将軍」の差別用語の記事で私は初めて知ったのであります。これは外国人が書いてるんです、問題を指摘する前に私の同志であり、友情を深くいたしております衆議院の上田卓三議員が二月二十七日衆議院予算委員会第二分科会においてこのことを質問をいたしております。それは一九七六年――昭和五十一年のことについてであります一
 ベネズエラで行われましたところの国際犯罪予防学会でポーランドのポドゴロツキーという教授が「孤立した社会」という題で世界に部落差別をばらまいたといいますか、拡大するような、そういう悪質な報告がなされておる。この報告はジョージ・デボスという方とそれからヒロシ・ワガツマという二人の学者が「日本の見えざる種族」という本を出しております。この中にこういう文言がある。「穢多に関する話はいろいろあるが、」と、これは括弧書きであります。こういうくだりから、二人の間に子供が生まれたが、その子が白痴で皮膚に斑点が出ていたので、その女性が部落民であることがばれたというような、本当に聞くにたえない、部落問題のイロハもわからないにもかかわらず、さも何か部落問題の権威者であるかのごとくこの本が出されておると、激しく憤りながら質問を展開をいたしております。
   〔副主査退席、主査着席〕
 私は、この本は先ほど申しましたように今月の二十二日に読売新聞で知ったわけであります。問題を指摘したのは、広島県豊田郡木江町の公民館の女子職員からの疑問によって同町の教育委員会の小川泰行教育長が出版元に対し、同和問題についての不適切な表現や史実に沿わない記述があり、三月五日付で同和問題の解決を阻害する内容と出版元に申し入れたのが発端であります。
 そこにはこう書いてあります。これは翻訳書です。
  ブラックソーンは言った、「ここは屠殺小量だ。屠殺小屋と、皮なめしの場所だ……つまり……」顔色が変わった。
 「どうしたんだ」
 「ここは、えたの部落だ、ここの住人はえただぞ」
 「それがどうした」ヴァン・ネックが聞いた。
  ブラックソーンは、ぶんぶんいっている蚊を手で払った。皮膚がかゆくてたまらない。「日本では、えたが皮はぎをやっている、馬や牛を屠殺し、皮をはぐんだ」
 「だけどよ、そのどこが悪い、水先案内。おれたちだって、肉を食うために屠殺してるじゃねえか。このギンセルなんか、絞首刑の執行人だったんだぜ……やつらのどこがいけない」
 「べつに……」ブラックソーンは言った。彼の言うことは正しいのだが、なんとなく汚ならしい気分になる。
という差別用語で翻訳をされておるのが世界にばらまかれているのが事実であります、
 昨日の朝日の夕刊で編集委員の高木正幸記者は、次のような言葉でこの問題を強烈に非難をしております。
 「歴史的な言葉だが、いまは被差別部落への蔑称(べっしょう)となっている「えた」が、ナマのまま使われ、「顔色が変わった」「汚ならしい気分になる」など、被差別部落をいやなものと印象づける表現がある。当時「えた」が牛馬を殺したというのも史実上、おかしい。」、「触れることを避け、触れて問題化すれば、削って陳謝すればいいとする、非積極的な取り組み。部落問題の啓発にとってかえってマイナスだろう。」、「誤った認識を外国に広めないためにも、原作者に原書の改定を求めるといった努力も、出版元に望まれるところである。」と論評をいたしております。日本じゅうでなくてこういう差別が外国にばら敷かれておる事件について政府はどのようにお考えか、御答弁を願います。
#127
○政府委員(小島弘仲君) 「将軍」のある個所に先生御指摘のような表現が載っている、記述があるという事実は承知しております。お話しのように、広島県のある公民館で問題の指摘がありまして、出版社が十分事の重大性を知りまして、早速回収その他の措置を現在講じつつあるというところでございます。また出版社は、翻訳者、監修者等々についてそれらの取り扱いを協議し、また了解を得ると同時に、原作者にも接触しながら問題となる個所のその理由それから史実に反するという指摘を受けた部分について記述の内容等々について、原作者についても説明をしているところであるというふうに承知しております、この件につきましては、法務省におきまして現在人権侵犯というような立場からの調査を行っているところでございますので、政府としてはその結果を見守りながら対処してまいりたいと考えます。
#128
○松本英一君 内閣委員会調査室より「元号の法的根拠をめぐって」というパンフレットがあります。これによれば日本の元号はいつに始まったのでありましょうか、この文書の中には大化の改新(六四五年)の直後中国にならって初めて公式の元号が出たと書かれております、しかし、これは大宝律令までの間、いわゆる七〇一年に立てられた大宝令からであるというのが大方の事実であります、それは大化から大宝に至るまで元号が決まっておりません。承和の元号はいまの歴史年表においては西暦八三四年、これが一つ、一三一二年三月二十日に改元されたのが正和元年、それと一九二六年の昭和、承和、正和でローマ字になるとこれはいつの時代になるかわからぬようになります。それじゃ「しょうわ」が三つあるが、二つあるのは十一あります、簡単に……。もう時間がありません。永承(一〇四六年)、永正(一五〇四年)、嘉祥(八四八年)、嘉承(一一〇六年)、光永(一五七六年)、康永(一三四二年)、弘治(一五五五年)、康治(一一四二年)、弘和(一三八一年)、康和(一〇九九年)、正安(一二九九年)、承安(一一七一年)、正元(一二五九年)、承元(一二〇七年)、正徳(一七二年)、承徳(一〇九七年)、正平(一三四六年)、承平(九三一年)、正保(一六四四年)、承保(一〇七四年)、天正(一五七三年)、天承(一一三一年)、これを読んでおりますとワッショイワッショイのかけ声のようになって、何か中国でお話をしているような感じですが、このように日本の元号の中に矛盾がたくさんありますし、日本人は、列島である以上どこからか来たものでなければなりません。
 もう時間がありませんから……。こういう島国で部落民が差別をされるという問題を根本的に洗い直し――ここにあります本は、朝日学生新聞の会長李家正文さんの書かれた本であります。「探しあてた二千年前のルーツ」、二千年前ですよ。そして、それを先祖は李家だから朝鮮、その先祖は中国とこの本には書かれております。ならば、日本人の中で差別があるというのは、矛盾というよりもこれは人間軽視あるいは人命軽視のあらわれであると主張をしながら、政府側の懇切な答弁を求めて質問を終わります。
#129
○政府委員(小島弘仲君) 同和問題はわが国が現在抱えております基本的人権からも最も重要な問題であろうという認識のもとに、政府は挙げてこの早期解決に努力しているところでございますし、今後ともさらに努力し、一日も早いこの問題の解決に努力してまいりたいと思います。
#130
○松本英一君 ありがとうございました。
#131
○主査(宮田輝君) 以上をもって松本英一君の質疑は終了いたしました。
 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分再開することとし、休憩いたします。
   午後零時四十二分休憩
    ―――――――――――――
   午後一時三十分開会
#132
○主査(宮田輝君) ただいまから予算委員会第三分科会を再開いたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和五十六年度総予算中、建設省及び国土庁所管審査のため、本日の分科会に参考人として日本道路一公団理事持田三郎君、日本住宅公団理事久保田誠三石及び同救仁郷斉君の出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#133
○主査(宮田輝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#134
○主査(宮田輝君) 午前に引き続き昭和五十六年度総予算中、建設省及び国土庁所管を議題とし質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。桑名義治君。
#135
○桑名義治君 私は、きょうは岩戸大橋の問題とそれから住宅の特に土地問題について少し伺っておきたいと思います。
 岩戸大橋の問題でございますが、北九州の主要幹線の一つである国道百九十九号線、これは若松と戸畑を結ぶいわゆる岩戸大橋の件でございますが、朝夕の通勤時におきましては大変な混雑でございます。実際に車で通過をしますと二、三分しかかからないにもかかわらず、通勤時には一時間を超す、しかも通勤時とさらに若松のボートレースが重なりますと、これは一時間半は優にかかるというような非常な混雑ぶりをいま呈しているわけでございます。地元といたしましても、何とかこれを拡幅をしてもらいたい、あるいはそれかトンネルをつくるか、いろいろな方法があるかとも思いますけれども、いずれにしましてもこの交通緩和に対して手を打ってもらいたいという要望が非常に強いわけでございます。
 そこで、福岡県の幹線道路協議会ではいろいろな方法を考えた結果、大体ほぼ固まっている段階というのがやはり現在の岩戸大橋を拡幅することがベターであろう、こういうふうに結論が出されているようでございますが、当局で調べられたいわゆる昭和三十七年の九月、岩戸大橋が開通してから今日に至る交通量の状況についてまずお尋ねをしておきたいと思いますし、さらに若松地域の今後の開発の問題とあわせて今後の交通需要の見通しをどのように把握されているか、御答弁を願いたいと思います。
#136
○参考人(持田三郎君) お答えいたします。
 岩戸大橋は、ただいま先生が御指摘のように昭和三十七年の九月に開通したわけでございますが、その当時の交通量は毎日六千台の交通量でございましたが、その後日本の経済成長に伴いまして交通量がふえてまいりまして、昭和四十一年度では約一万台、最近では三万台を超えているというような実態で、朝夕の混雑は相当なものがございます。
 そこで、これを何とか解消しようというようなことで、公団としましては建設省並びにただいまお話しございました九州地建並びに福岡県、北九州市と当公団で編成しております幹線道路協議会の御趣旨あるいは調査の御結果をまちましていろいろ調査しております。
 それで、五十二、三年度にわたりましては新しいルートに新しい橋をかける、あるいは新しいルートにトンネルをつくるというようなこともございましたが、やはり環境問題あるいは非常な工費がかかりますので、まとまりました案は、現在の岩戸大橋を二車を四車にするというようなことで計画が決まったわけでございまして、道路公団としましては、そういった協議会の結論を得ましていろいろ技術的な検討をいたしてございます。そこで、五十六年度に入りまして、何せこの岩戸大橋は日本で初めて長大のサスペンションとして建設したものでございますが、新しく四車拡幅ということは日本でも初めてでございますので非常に技術的な問題がございます。それからまた、やはり相当の三万台という交通量をどういうふうにさばいて工事をやっていくかというような工事段階で問題もございますので、そういったものを五十六年度に技術検討委員会を公団でつくりまして細かい点を調査して、そういったものを反映さして拡幅の計画をつくっていきたいというような事情でございます。
#137
○桑名義治君 大略についてはいまお話があったわけでございますが、昭和三十八年にはこれは六千六百台だったんですが、五十四年度は一日が三万四百台。これは三十八年から五十四年度を比較しますと約四・六倍というような急激な増加を見ているわけでございます。私も何回かここを通ったわけでございますが、もういらいらするような感じがするわけでございまして、それと同時に若松の海岸をどんどん埋め立てておりますし、そうなってくると若松の再開発とあわせて今後なお一層の渋滞が見込まれるのではないか、こういうふうに思いますが、これは六十年度ぐらいで大体どのくらいの交通量を見込んでいるのか。あるいは、また、若松のそうやった開発にあわせて将来計画としては大体どのくらいの交通量を最大限見込んでいるのか。あるいはまたこの若戸専門部会で検討が行われているというわけでございますが、この検討の内容、中間報告をちょっと願いたいと思います。
#138
○参考人(持田三郎君) 若松地区の響灘の開発が非常に進んでおりまして、幹線道路協議会では、大体六十五年には五万台というような数字を見込んでございます。それで私どもといたしましては、四車線で対応しますと大体そのあたりの交通量がさばけるというふうに予定いたしてございます。
 それから、先ほど申しましたように五十六年度に技術検討委員会を設置しまして、そこで学識経験者あるいは公団内部の担当者でいろいろ研究するわけでございますが、その成果を踏まえてなるべく早い時期に建設省と御相談申し上げて着工していきたいというふうに思っておりますが、先ほど申しましたように、非常に技術的にむずかしい問題、交通の処理の問題、そういったものがございますので、着工いたしましてもやはり七年ぐらいはかかるのではないか。と申しますのは、つり橋部分の拡幅はこれは技術的な問題でございますが、前後、戸畑側、若松側でやはり用地を取得しなければなりませんので、用地の買収あるいは家屋の移転、こういったものが二、三年はかかる、それから工事につきましても三、四年かかるというようなことで、現在早くて六年、順調にいっても六、七年はかかるのではないかというふうに考えております。
#139
○桑名義治君 いま御答弁の中に、岩戸大橋の技術検討委員会をつくるというお話があったわけですが、この技術検討委員会というのは五十六年の何月に発足する予定でございますか。
#140
○参考人(持田三郎君) 一応五月を予定してございます。
#141
○桑名義治君 この技術検討委員会を五月に発足をさしてから、大体その大綱が決定するのはどのくらいの日数がかかりますか。
#142
○参考人(持田三郎君) いろいろむずかしい問題がございますが、極力委員の方に御研究をしていただきまして、五十六年度いっぱいにはある程度の成案を出していただきたいというふうに考えております。
#143
○桑名義治君 五十六年度いっぱい。
#144
○参考人(持田三郎君) はい。
#145
○桑名義治君 北九州市のお話をいろいろと聞いてまいりますと、公団側としては、北九州市の都市計画が固まらないと私の方はなかなか前進しませんというようなお話のようでございますけれども、実際に考えてみると、四車線にしますとつり橋の部分は大丈夫なんですが、橋げたの部分が右の方に延びるのか、左の方に延びるのか、両方に伸びるのか、あるいは一案、二案、三案、四案とあるけれども、大体どの案を採用するのか、これによってやはり土地の買収なりあるいは家屋の移転なりが決定するわけでございまして、そこら辺が橋の態様が決まらないことには北九州市も都市計画ができないというようなことでございます。建設省やあるいは公団の方にも北九州市の方からいろいろと陳情を行っているようでございますけれども、そうやったことでございますので、一日も早く検討委員会で一つの結論を出していただきたいという方向で全力を挙げていただきたいと思います。過日行われました北九州市の市議会の開会のときにも谷市長は、早急に着工してもらいたい、できれば五十七年から着工してもらいたい、こういう答弁をしているようでございますから、この問題については鋭意北九州市と打ち合わせをやりながら早急に進めていただきたい、こういうように思います。
 そこで、お聞きのとおりに北九州と公団側が完全に内容の検討が一致をしてまいりますと、北九州市では都市計画の決定を急ぐわけでございますが、そうやった公団側の結論が出ますと、建設省あるいは公団側としてはすぐに対応するという用意はあるのかどうか、伺っておきたいと思います。
#146
○政府委員(渡辺修自君) ただいま公団の方からお答え申し上げましたように、やはり技術的検討を相当しっかりやっておく必要があると思います。また、その結果が都市計画をどう決めるかということにも直ちに反映をするわけでございますので、私どもといたしましては、今年度内という公団のお答えでございましたが、極力技術的検討を急いでいただきまして、北九州市の方に都市計画決定の原案をなるべく早期にお示しできるように努力をいたしたいと存じます。
 市の方は、先生ただいまお話のございましたように、五十七年からでも事業化してほしいという御要望を承っております、今後の問題にはなるわけでございますが、都市計画決定の時期、それからそれにさかのぼります技術的検討の進みぐあい等々を見ますと、五十七年からの事業化は実はこの夏にももう予算要求をしなきゃいけないわけでございますが、果たしてそれに間に合うかどうか、ちょっといささかむずかしいかなという気もするわけでございます。しかしながら、先生の御指摘のように大変な交通渋滞を私どもよく存じておりますので、今後ともできるだけの努力をいたしたいというふうに考えております。
#147
○桑名義治君 もし仮に四車線になった場合、いまの計画では歩道がなくなるわけですね。この歩道のなくなる点についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
#148
○参考人(持田三郎君) 現在、あそこには市営の渡船がございます。それと岩戸大橋の両側に歩道がございまして人間が通っておるわけでございますが、大体一日約五百人の方が岩戸大橋の上を通っていただいているというような現状でございます。実際に市営の渡船で運搬している人間が大体九千人程度ございまして、その約六%ぐらいでございます。それで、そういった市営の渡船の方にいま利用されている方を移動していただくということも一つの方法ではないかと思いまして、歩道を撤去するというようなことも一応検討の中に入っております。
#149
○桑名義治君 そうすると、もうほとんどいまの段階では、あの歩道を一応つぶして車道にしなければならないというのが大体の考え方ではなかろうかと思うんですね。そうすると、そういった方々は渡船の方に向ける、こういうふうに考えていいわけですね、考え方としては。
 この次に問題になるのは、非常にああいうふうに交通量が多いんで使用料は相当上がっていると思いますが、いずれにしましても、これは拡幅した場合に料金が大体どの程度になるように、それは全部が計画が固まって工事費が出て、それからの段階になるとは思うんですけれども、概算大体どれくらいの料金になるのか。現在小型が百五十円ですけれども、それがどのくらいの金額になり、それから何年のめどで大体返済をしてもらいたいというふうにお考えになっておられますか。
#150
○参考人(持田三郎君) やはり四車拡幅に要します金が相当膨大になりますので、技術検討委員会で種々検討された結果が出ないとはっきりした工事費はつかめませんが、現在おおむね三百億程度が必要ではないかと思います。これは六百八十メーターのつり橋の四車拡幅とまた前後の取りつけ部分の拡幅ということでございますので、約三百億程度というふうになりますと、現在普通車で百五十円でございますが、それが採算検討の結果大体二百五十円から三百円になりますし、また当然料金徴収期間もふやさなければなりませんが、それもおおむねはじきますと、二十年間の延長というふうになろうかと思います。
#151
○桑名義治君 これは繰り返しになるかとも思いますが、工事に着工して完成の時期までは大体六年から七年、こういうふうに踏んでいいわけですね。
 大臣、いまお聞きになったと思いますが、これは直接の工事は道路公団の工事ではございますが、建設省として全く無縁のものではございませんし、百九十九号線が通っているわけでございますので、大臣としてもこの岩戸大橋の今後の拡幅については、これは大いに努力をしていただかなきゃならぬと思うんですが、大臣の御所見を伺ってこの問題は終わりにしたいと思います。
#152
○国務大臣(斉藤滋与史君) いま公団からもお答えありましたとおり、また先生御心配のように大変交通混雑、渋滞を来しておるということはよく承知いたしております。したがいまして、やはり地元の方々のための橋でありますので、何とか早い機会に交通渋滞の解決策を図らなければならない、それには一番いい方法は拡幅だということだそうでありますけれども、技術的な問題はいまの技術をもってすればこれは容易であろうと思います。問題は早くするにはどうするかというと、取りつけ道路の地域の関係の方々の御協力以外に方法はないと思うんです。広げれば車がふえる、さすれば地元の方々はむしろ利用しない方々にも御迷惑をかける、そういう問題でなかなか御理解いただけないというのがいままでほかの例がたくさんありますので、この関係につきましてもぜひ地元の方々の御協力を得ながら何とか前向きで対処してまいりたい、このように考えているものでございます。
#153
○桑名義治君 次に住宅、土地問題について二、三お聞きをしておきたいと思いますが、いわゆる住宅困窮世帯というのは政府の調べによりましても大体千二百五十六万世帯ある、こういう統計が出ているわけでございますが、一狭く、設備も悪い、あるいは高家賃である、その質の悪さというものは先進国に例を見ないくらいであるというふうに言われているわけでございます。
 そこで、この件につきましては衆議院の本会議で公明党の竹入委員長も質疑を交わした問題ではございますけれども、そのときに総理大臣の答弁では、住宅基本法については鋭意検討をします、こういう総理の答弁がなされているわけでございますが、この住宅基本法をつくって、その基本に沿って今後の住宅問題あるいは土地問題というものを推進していくことの方がやはり考え方としてはベターな方法ではなかろうか。住宅基本法を成立させる面につきましては、いろいろな問題で困難な問題があることはよく存じておりますけれども、しかし、そういう意味からはいまから先の日本の住宅問題を解決するためには、そうやった基本法をまず確立するということがこれはまた非常に大事なことではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、この点についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
#154
○国務大臣(斉藤滋与史君) 先生お示しのように、竹入委員長からの質問と総理のお答えにあったとおりでございます。住宅基本法はすでに今国会、前々回もう長期にわたって問題になっておるわけでありますけれども、御案内のように、基本法は長期にわたる住宅政策の基本方向を示すという大きな問題でありますので、何とか国民的合意を得る必要があるというようなこと。建設省といたしましては、すでにある程度の成案は得ておりますけれども、そうした前提がありますだけに、それぞれ各党にお願いして、また御意見もございますので、その間の各党の御意見の成案集約をまって何とかりっぱなものをつくろうというようなことで、そうした面でただおくれているという実情でございまして、私の方といたしましては、何とか今国会に間に合うように、間に合わせていただくように、与党の自民党にもプロジェクトチームもできておりますので、一生懸命でいまお願いをいたしておるわけであります。なかなか今国会に間に合うように努力はいたしておりますけれども、各党の御意見等を聞いて成案を得ることについては、いまのところ今国会までにという確たる自信はありませんけれども、とにもかくにも間に合わせるような所存で努力しているところでございます。
#155
○桑名義治君 そこで、住宅問題で一番問題になるのが土地の問題になるわけでございますが、過日、建設省としては、土地の供給についての長期見通しが発表をされたわけでございます。現実問題としては、この長期見通しが達成をされるためには、具体的な的確な政策の裏づけ、これがなければこの見通しがあくまでも絵にかいたもちになる、画餅になるというふうに言わなければならないわけでございますが、その抜本的な供給策という政策的なものはどういうふうにお考えになっておられるわけでございますか。
#156
○政府委員(宮繁護君) 建設省におきましては、いまお話しのとおり、今度の住宅五カ年計画の策定に合わせまして、宅地の需給の長期見通しを策定しました、これは何分初めての作業でございましたけれども、一応成果を得たわけでございます。この中では、供給量につきまして基礎推計量と期待推計量と二つに分類いたしました。
 基礎推計量と申しますのは、いろんな資料が、五十二年度まで実績がございますので、五十二年度までの実績と五十三年度までに採用されております施策を実行した場合にどれだけの供給が期待できるか、これが基礎推計量でございます。ところがこれでやりますと、かなり宅地が不足するわけでございます。
 そこでもう一つは、この期待推計量というのを算定いたしました。これはコンピューターを使用いたしまして、地域モデルに基づきまして宅地政策を展開した場合にその効果をどういうふうに計測するかというふうなものでございますけれども、これによりまして各種の試算を行いました上で、この期待推計量をはじき出したわけでございます。
 それで、この試算を行うに際しまして、モデルになじむ施策として大きく次の四つの点を考えました。
 一つは、宅地の造成に関連いたします公共公益施設の整備につきまして促進事業の予算を多くするとか、あるいは立てかえ制度その他ございますから、そういう施策を展開していくことが一つ。
 二つ目は、民間の宅地造成に対しまして、開銀とか金融公庫の融資制度がございますけれども、こういった融資につきましての充実を図っていく。
 三つ目は、宅地開発適地の拡大と申しますか、宅地造成する受け皿の地域を広めていく。一つは線引きの見直し等でございます。こういうことをやる。
 それから四つ目には、土地税制の改正を行う。こういうものをこのモデルに入れまして量をはじき出したわけでございます。
 そのほか、このモデルにのらないものでございますけれども、たとえば国土庁でこれから推進していこうとされております農住組合による宅地供給、これは一応努力目標として三大都市圏十年間四千ヘクタールという数字も出ております。こういうもの、あるいはまた、最近問題になっております、区画整理が終わってちゃんといい土地になってはいるんだけれども、まだ農地のまま使われているような土地、こういう土地の建築の促進を図ってまいりたい。たとえば近畿地方でございますと、大体二十年ぐらいで区画整理が終わりました宅地にそれぞれ住宅が建つようでございますが、首都圏でございますと大体二十四年ぐらいかかる。たとえばこれを大阪並みのスピードで、二十年で全部家が建つようにいたしますと、首都圏だけでも十年間に、計算量でございますけれども千三百ヘクタールぐらいの宅地も出てくる。それからまた、既存のいろいろな宅地の開発仕様がございますけれども、これらも見直す。これはいま申し上げましたように、コンピューターにのらないわけでございますけれども、こういうものを総合的に勘案いたしまして、かなり安全率を見まして、一応期待推計量をはじき出したわけでございます。
#157
○桑名義治君 そこで、この宅地の需給長期見通しの案でございますが、いまも御説明がございましたように、前期では全国で六万二千五百ヘクタール、その中で期待推量というものが三千三百ヘクタール、しかも後期では、六万七百ヘクタールのうちの期待推量が二千八百ヘクタール、こういうふうに考えますと、見通しは立てたけれども、期待推量というのはあくまでも期待ですから、非常に達成については困難な事柄がいわゆるつきまとう。それを解決するためには、いまもお話にございましたけれども四点を挙げられたわけです。宅地関連公共事業の充実、それから宅地造成融資の充実、それから線引きの見直し、五十四年度の政府税調の答申どおり土地税制を改正する、さらにもう一つの条件というものは、これは各地方自治体がこの事柄に、建設省のこの政策に対して全面的な協力をする、こういう大前提というものがあるわけでございまして、そうなれば、この大前提を、大きく分けると五項目になったわけですけれども、この問題について具体的に推進する意思があるかどうかというところにかかるわけでございますが、その点については見通しはある。わけですか。この五つの問題についての見通し、これがなければあくまでも期待推量に終わってしまうわけですね。そこら辺が一番のポイントになるわけでございますが、その点をちょっとお尋ねしておきたいと思います。
#158
○政府委員(宮繁護君) 先ほども御説明申しましたように、いまお話の四つにさらに地方公共団体の協力という点がございますけれども、これでモデルを使いましてはじき出しました数字にかなり安全率を見ております。と申しますのは、いま言いましたこの四つの施策のどれをとりましても、かなり高度な政治的な問題にもかかわってまいりますし、それからモデル自体の正確度といいますか、そういう点もございますので、かなり安全率を見ております。そういう意味で、四つの政策のすべてが私どもの予想どおりいくかどうかという点もありますし、それから計算どおりに宅地が出てくるかどうか、これも現実の問題としてあります。しかし私どもは、このような政策を進めることによりまして必ず土地は供給できると考えております。
 それから、地方公共団体のお話がございましたけれども、やはり私どもは地方公共団体、府県、市、さらにまた民間デベロッパー、さらにもう一つ言いますと土地を持っておられる地主さん、こういう方々の御協力も絶対必要なものだと考えておりますけれども、私どももそういう方々の御協力が得られるように、これからもまた努力をしてまいりたいと考えております。
#159
○桑名義治君 具体的には、実際にはこの四項目が一番中心になるわけでございます、地方自治体の問題は別にしましても。この一つ一つを見てみますと、関連公共事業の拡充あるいは宅地造成融資の充実、線引きの問題、いろいろな問題があるわけでございますが、前半の二つの問題は、おたくの方である程度はできると思うのですが、あとの二項目については、それぞれの省とのいろいろな話し合いを詰めなければなかなか達成できない問題でございます。とりわけこの土地問題について、前々から論議をされているのは、宅地並み課税をどうするかという問題、これが非常に与野党を問わずいろいろ問題になっている問題でございます。したがってわが党といたしましては、過日の衆議院の本会議で竹入委員長が提案をしております、いわゆる選択的宅地課税、この問題を提案をしているわけでございます。農地で残したいものはあくまでも農地で残す、ただし税金は高くなりますよと。そうではなくて、宅地のようにしてもらいたいという方々には放出をしてもらう。この選択権をその地主の方に与える、こういう方法はどうだろうかということで私たちは提案をしたわけでございますが、そのときの総理の御答弁も、今後の検討課題にしたい、こういうふうに御答弁なさっているわけでございますが、この点についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
#160
○政府委員(山岡一男君) 市街化区域内農地に対しますいわゆる宅地並み課税の問題につきましては、政府におきましても昭和五十五年度税制改正に関する税制調査会の答申の線に沿って、今後関係省庁でも十分詰めていくということを関係閣僚懇談会等でも方針として決めております。
 御案内のとおり、中身といたしましては、「長期にわたり営農を継続する意思のある者に対する配慮を行うなど必要な措置を講じつつ、新たにC農地を課税の適正化措置の対象に加える」、「A農地及びB農地に対する課税を強化する」こと、こういうことになっております。したがいまして、公明党の御提案になりました選択的宅地並み課税につきましても十分いろいろ御検討さしていただく点があろうと思います。今後の検討に当たりまして、十分参考にさしていただきたいと考えているわけでございます。
#161
○桑名義治君 これで終わりますから、大臣の御答弁を願いたいと思います。
#162
○国務大臣(原健三郎君) いま土地局長が答弁したとおりでございます。竹入委員長が提案されました選択的宅地並み課税制度はなかなか利点も多いし、われわれの方においても検討するように命じております、しかし、これは政府の税制調査会の答申とちょっと違いますので、その点等も考えていま検討さしている最中でございます。
#163
○桑名義治君 終わります。
#164
○主査(宮田輝君) 以上をもって桑名義治君の質疑は終了いたしました。
 次に、下田京子君の質疑を行います。
#165
○下田京子君 住宅問題でお尋ねいたします。
 建設省自身がお調べになりました住宅の需給実態調査によりましても、五十二年度で全国で一千二百五十六万世帯、総世帯数の三八・九%が困窮世帯だというふうなことになっております。そういう中で、特に東京、大阪など大都市圏が非常に住宅問題で困っているということは、もう私が言うまでもなく御承知だと思うのですけれども、そういう中で全国公団自治会協議会が昨年の三月に調べた資料によりますと、自分で家は持ちたいと。しかし一方、公団住宅自身が、一つは広いあるいは安い、そしてまた条件さえ整えば居住者のうちの八八・四%の人がそこに住んでもいい、こういう答えを出されているわけなんです。
 そういうことで、私は住宅問題ではいろいろございますけれども、きょうは公団住宅における、その中でも特に最初に共益費の問題についてお尋ねしたいと思います。端的に申し上げますと、共益費というのは、これはいわゆる家賃とは性格を異にするものだというふうに聞いておりますけれども、そういう理解でよろしいかどうか。
#166
○参考人(久保田誠三君) そういう御理解で結構でございますが、団地内の共用部分あるいは植栽、噴水等のいわゆる団地環境の整備、そういう共通的な利便の用に供されるもの、それに要する経費でございます。
#167
○下田京子君 性格と目的が述べられました。
 そうしますと、これまた住宅団地の皆さん方からもお聞きしましたわけなんですが、その居住者の共用の、共有のというか、共通のその環境整備のために使う共益費、これは当然そうしますとそこに住んでいらっしゃる居住者の皆さんの立場に立っていろいろと使われる、これまた当然でございますね。
#168
○参考人(久保田誠三君) 共益費につきましては、先ほど来申しましたように、団地内の共用部分などにつきまして居住者の共通の利便を図るために公団が責任を持ちまして維持管理を行う費用ございますので、賃貸借契約書におきまして居住者がその負担をしていただくというように定めておりまして、そういうものでございます。
#169
○下田京子君 質問に答えてください。
 性格はもうわかったんです。目的もわかったんです。使い方、そこに住んでいらっしゃる皆さんの立場に立っておやりになる、これまた当然ですね。
#170
○参考人(久保田誠三君) 居住者の共通の利便を図るために公団が責任を持って維持管理を行うように平素から心がけているつもりでございます。
#171
○下田京子君 ですから、居住者のいろんな立場に立って仕事を進めるんでしょう。
#172
○参考人(久保田誠三君) さようでございます。
#173
○下田京子君 それがきちっと御答弁いただければよろしかったわけで、そうすると居住者の皆さんの環境整備のために居住者の皆さんの立場に立って仕事をされる。
#174
○参考人(久保田誠三君) はい。
#175
○下田京子君 非常に明確になりました。
 そこで、そういう性格づけ、そしてそういう運用である共益費、じゃこれはどういう実態になっているかということなんですが、公団住宅自治協の皆さんにいまのお話についていろいろ聞きましたら、六つの問題について共益費というのはこうだというお話がありました。
 一つは、この共益費というのは公団への預け金である。ですから、当然預け金ですからこれはそれ相当の利子が計上されてしかるべきだと。そして三つ目に、とすれば積算根拠等も明確にやってよろしいのじゃないだろうか。四つ目には、いまのお話ですけれども、これまた居住者本位で使われるのですから、当然いろいろ御意見も聞いてしかるべきと。五つ目には、いま三年ローテーションだというけれども、これはちょっといろいろ不都合があるんじゃないだろうか。三年といいますと、途中で出入りもありますから、普通会計年度というのは一年一年でありますし、居住者の立場ということになれば当然三年ローテーションではなくて一年というふうなことも考えられるだろう。こういうふうなことを言っておりまして、最後に、共益費はそこの居住者の共通の環境整備のために使うのだけれども、同時に自治体からのいろんな補助金等も積極的に導入して、そういうものとタイアップした仕事をしていくべきじゃないだろうか、こういういろんなお話がございました。いま私みんなそれを申し上げる時間が残念ながらございません。
 そこで、第一にお尋ねしたい点なんですが、預け金だということになりますと、当然利子があってしかるべきだろう。じゃその利子なんですけれども、一体どのくらいになるんだろうかということで私は試算してみました。まず第一に単純に確認したいんですが、公団の五十四年度の共益費の収入総額、これは一年間で百四十六億五千万円、よろしいでしょうか。
#176
○参考人(久保田誠三君) 過去五年間の共益費の決算額で申しますと、五十四年度でほぼ約百四十億三千四百万円でございます。
#177
○下田京子君 若干数字違いますが……。
#178
○参考人(久保田誠三君) 支出でございますと百四十五億八千八百万円でございます。
#179
○下田京子君 いいですよ。私のところの、公団の資料ですから、それの見間違い等は別にしましておおよそ当たっている、百四十六億五千万円。ですから、単純に一カ月当たりにいたしますと十二億二千万円ということになります。共益費の支払いというのはお仕事を済ませた後で払うわけ、実績払いですね。ですから、十二億二千万円というこの一カ月当たりの共益費の収入というのは毎月残っているというのは事実なんです。ですから、仮にこれが貯金だとしまして、これを普通預金で二・二五%で計算しますと年間利子三千三百万円になります、定期預金で仮に試算しますと六・二五%でやりますと八千百七十五万円という利子になります。大変無視できない大きなものですね。大臣がちょっとお笑いになりました。大臣と国土庁長官もお笑いになったようですけれども、ここで私は公団の方とそれから大臣とお二人にお聞きしたいんですが、ひとつこれは利子相当分は何らかの形で住民に還元してしかるべきじゃなかろうかと思うんですが、まず公団の理事の方。
#180
○参考人(久保田誠三君) 先ほど来申しましたように、共用部分などの維持管理経費に充てる共益費につきましては、私ども公団の収入金でございまして、これにつきまして利息をつけるという性格のものではございませんので、そのようなことにはならないとわれわれは考えており、またそのようにずっと従来運用してきております。
#181
○国務大臣(斉藤滋与史君) その細かいことについては、なかなかいま理事の方から説明ありましたけれども、利子。収入にはなっていないというようなことで、公団内のバランスのことであろうと思いますので、詳しいことはこっちからひとつよろしくお願いします。
#182
○下田京子君 大臣、詳しい細かなことをいま急に言われてもそれはお困りなのはわかるんですが、物の考え方として家賃とは違うんです。それはわかりました。そして会計法上別の勘定科目を設けているんです。そして共益費は実績払いになっているんです。しかも居住者のために使われるんです。ですから、収入金であるけれども実際には利子がつくんです。だからそれをとりあえず、いろいろあるけれども、ひとつ利子相当分を住民に還元するというようなことは考えられてしかるべきだ、こういうふうに言っているわけなのでひとつこれは検討してみてください、大臣。
#183
○国務大臣(斉藤滋与史君) 公団家賃そのものあるいは公団の性格からいってしょせんトータルな思考で判断しなければならないのではなかろうかと思います。したがって、環境整備のための公益費というものはその金の出入りでなく全体的に公営住宅環境の整備という次元で考えていくならば、実績に入ろうが入るまいがそこに住んでおられる方々のために使われるべきものであって、したがってそれは十分整備の方向に考えられて公団の方も有効適切に運用していくものと、このように考えます。したがって、個々にとらえていきますと先生のようなことも私は正当性があるかもしれませんけれども、全体的な問題としてこれは公団の中で地域の住民の方々が、その分、環境の整備になってまた家賃の方にも影響しないとかという、いろいろな面で総合的にひとつ御判断願っていく方がいいような気がいたしますが、いかがなものでしょうか。
#184
○下田京子君 逆に何か御提案されましたが、つまり私は、仮の計算で利子相当分というのは考えられるから、だからそれはいま大臣がおっしゃったような物の考え方で、そういう集められた金額それだけではなくて当然利子相当分というのも含めつつ全体として環境がよくなるというふうに使われたらと、こう思って御質問したわけなんです。ですから、そのあり方は一致したと思うんで、もうそれはよろしい。
 そこで、なぜ私がそういうことを申し上げましたかというと、共益費の収支内容が明確じゃないんです、なぜそういうあれが出てきたかといいますと、これは今度五十六年度から各団地の共益費が引き上げられることになりました。四月一日、あしたからなんですけれども、千葉県の松戸市常盤平一丁目市街地住宅、これは五十五年度までは二千円でしたが、五十六年四月一日から三千二百四十円になる、アップ率六二%、それから船橋市の前原団地、これが千七百六十円が二千七百三十円、アップ率五五%、それから松戸の市役所前が三千四十円が四千五百三十円で四九%アップというふうな形になって、私は千葉だけを調べました。そのほかの数字も持っていますが時間もありませんから申し上げませんが、こういうふうに共益費の値上げが今度一方的に出されてきました。
 そして同時に、わからない点は、これは公団の資料やこちらのいろんな資料からも突き合わせてみまして、常盤平の団地なんですけれども、同じ屋内排水管の清掃をするのに年間二月当たり常盤の場合には六百十三円だと、松戸市役所のところは千六百六十七円払っている。私がこの二つの団地をなぜ出したかというと、同じく松戸の営業所管内の団地です。それから二つとも住宅戸数が九十六戸と同じです。しかし排水管の清掃費だけでもこんなに差があるんです。だから、どうしてなのかな、見積もりはどうなっているんだろうかなというふうなことも含めて団地の皆さんが疑問を持つのは当然じゃないでしょうか。だから、そういう点でもう少し明確なその根拠をお示ししてそして使われてはいかがでしょうか、こういうことなんです。
#185
○参考人(久保田誠三君) 常盤平の一丁目は、五十六年改定運営計画によります五十五年の雑排水管清掃費につきましてはいま御指摘のように戸当たり六百十三円でございますが、松戸市役所の方につきましては、五十五年のすでに改定運営計画によります五十五年の雑排水管清掃費は千六百六十七円でございます。
   〔主査退席、副主査着席〕
これは松戸の市役所と常盤平の方の雑排水のいろんな扱いの諸経費の対象になる施設等が異なることによるものでありまして、そういう計算になるわけでございます。
#186
○下田京子君 いき言っているような説明が正しいかどうかは別なんですが、そういう説明を公表すれば住民の皆さんは納得できるわけなんです。だから、その共益費の計画と運営計画を住民からよくお聞きして――聞き方はいろいろあると思うんです。もう団地協でアンケートをとったりしたりしていますから、それは皆さんの主体性にお任せしますが、よく聞くというのが一点。そして使い方は納得いくように使う。それから使った結果はできるだけ公表する。これが共益費の性格ではないだろうか。そういうお立場で今後改善いただけるかどうか。
#187
○参考人(久保田誠三君) それにつきましては、先ほど来申しましたように、共益費の運用につきましては現在の示されている内容程度以上にわたりますと、細かい積算根拠とかなんかいろいろありまして、会計規定上等の発表しないような事柄にもわたる事項もございますので、これ以上の細密の点についてはわれわれとしては公表できない、御説明もできないというように考えております。先ほどの範囲等がというようなことはできますけれども、その細かいことにつきましてはできないというようになります。
#188
○下田京子君 大臣、よろしいですか、管理規程の五十八条の二号によりますとこう書いてあるんですよ。「支社長は、必要があると認める場合は、居住者又は施設賃借人に対して、当該賃貸住宅団地における共益費の運営計画及び収支内容を公表することができる。」と、こう書いてあるんです。ですから、いまこういう規程からいいましても、どこまで公表できてどこまではできないなんというものじゃなくて、それは本当に一番先にだから確認したんで、それは家賃と別なんだ、そしてそこに住んでいる皆さんのために使うんだ、皆さんのために使うんだから、皆さん方の意見をよく聞いて計画を立てて使われて、いろいろ疑問があったら必要に応じて公表する、そういうのが当然だと思うんですね。いかがですか。
#189
○参考人(久保田誠三君) いまでも運営計画書等につきましては公表しているわけですが、私が申しましたのは、ある程度以上のものにつきましてはできませんということを申し上げているわけでございます。
#190
○下田京子君 それがおかしい。大臣。
#191
○政府委員(斉藤滋与史君) 話の字義が食い違っているようで、常識的にいくと先生の言っている方がいいんですね。住んでおられる方々が皆さん幸せで快適な中で住まいする、公団の目的もそうなんですから。ただ、その辺の共益費のいまの六百円と千六百円と、私も余り差が大きいものですから局長に聞いたんですけれども、時間がありませんでいろいろな事情ということでありました。これは積算の単価、かかった経費等で変わってくるんでしょうけれども、そういう疑問もあるわけですね。そうすると、六百円の人はいいけれども千六百円の方の人は、いや向こうは六百円だ、こっちは千六百円だ、どういうわけで千円違うかときっと疑問を持ちます。そのときにでき得る限り親切に先生おっしゃったように聞く、相談する、公表するということは、これは原則だと思います。
 ただ、工事関係やなんかがあって秘密性というものはありますから限界はありましょうけれども、でき得る限りこれこれこういうわけだから、この団地に住んでおられる方々はあちらよりもこういう特典もあってこういうことであるからこれだという説明があってもいいと思うんです。これはひとつ公団の方へも私の方からも指導しますけれども、なるべく親切にできる限り公表する。できないものはわけを言ってできない、そういうようなことでなるべくコンセンサスを得られてぎくしゃくしないで、せっかく住んでおられるんですから、なごやかなうちに皆さん方が住めるようにひとつこちらからも指導したい、このように考えます。
#192
○下田京子君 もうなごやかにというのは私たちが望むことなの。なごやかにしてほしいからわからないところをきちんと、設計上の問題でこまいところはあれだけど。しかし大臣、それにしたって設計上の問題で出したらおかしいんじゃない、同じ営業所でそういうことを発注していることそのものに問題があるんじゃないですか。それは指摘しておきます。
 それで、修繕の問題ですけれども、そういうことで共益費の中でやれる修繕とそうでないところといろいろあると思うんです。個人持ちのところとそれから共益費だとかあるいはそうじゃなくて家賃の中でやるものだとかいろいろあると思うんですが、時間がなくなってきたから大臣にぱっばっぱっとお見せしたいんですが、ちょっと写真を見てください。これは小さな写真とそれからものすごい……。ちょっといいですか。小さい写真は大臣にお見せします。(写真を示す)これはちょっと汚過ぎて、この上に置いてよろしいですか。(排水管を示す)これは雑排水の排水管です。見てください、これ。こちら側から見たらもっとわかります。詰まっちゃってすごいでしょう。わかりましたか。
#193
○国務大臣(斉藤滋与史君) わかりました。
#194
○下田京子君 それでいまの排水が詰まっているというような話なんですけれども、これは本当に困りましたね、千葉県の船橋市の高根台団地なんですけれども、一つはU宇溝が下水溝に接続していないとか、あるいはいまお見せしました雑排水の管が詰まっちゃっているだとか、そういう状態になっているんですね。そういうことでいろいろあるんですけれども、こっちの写真の方をちょっと見てください。コンクリートが落っこっちゃっていたり、それから大体鉄骨が見えちゃっていたり、子供たちが下で遊んでいるところに落ちてくるのです。私も団地へ行ってみまして、いま言っているところを全部ということではないのですけれども、幾つかの団地を回ってきたのですが、これはひどいですね、二十年間一度も修繕していないなんというのがあるんです。
 その修繕の話なんですが、一つは修繕の体制がどういうふうになっているかということ。それからまとめて聞きますけれども、この修繕に当たっては、公団の資料によりましても普通修繕と計画修繕と空き家修繕と住宅改良修繕と、こういうふうに分けられていると聞いておりますんで、それぞれあると思うんですが、とにかくいま幾つか問題を出されたところはすぐに調査をして計画を立てて、それでもって修繕をしていただきたい。どうですか。
#195
○参考人(久保田誠三君) 修繕計画につきましては、従来から御指摘のとおり建物を長く保存するために必要な修繕を行っているわけですが、修繕はまず第一にその都度適切に対処するというので、建物の老朽化等に伴い必要となる修繕のほかに建物について予防的に実施する修繕があります。したがいまして、居住者の皆様が安心してお住まいいただくための今後とも具体的な修繕の実施に当たりましては、修繕の必要個所を十分調査いたしまして、そして緊急性を勘案して適宜適切に実施いたしたいというように考えております。
#196
○下田京子君 どうやって調査なさいます。私は調査体制がどうなっているかと聞きましたが、もう細かいことはいいですから、さっきの共益費の使用、計画の話だけじゃなくて、こういうことも、そこに住んでいらっしゃる方が一番よくわかるわけですね。そういう人たちの声がくみ入れられるような調査体制というのですか、それをおとりいただきたい、いいですか、それを一点。
 それから二つ目には、その計画修繕というものはできるだけ、一つの耐用年数があるわけですけれども、未然に防いでいくということですね。そのためにいろいろ計画的にやっていくわけで、その基準が何か公団の場合にはないんだそうです、大臣。財団法人の高層住宅協会の場合には一定の基準を決めておやりになっているということなんです。そういうことがございますから、もうちょっとそういう点で他の民間のいろいろおやりになっている点で、学ぶべき点があれば大いに学んで、そして住宅を維持していくというのは当然じゃなかろうかと思うんで、この二点はまとめて、最初に住宅公団、最後に姿勢の問題として大臣にこれは御答弁いただきたいと思うんです。
#197
○参考人(久保田誠三君) 公団の修繕の実施体制にわたると思いますが、公団は支社、営業所に保全部門をつくりまして修繕工事と調査、設計、発注、監督、検査等、一般執行体制を持っております。
 さらに、団地内の諸施設の機能の維持等のために巡回点検業務体制を持っております。
 それからさらに、居住者からの補修申し入れがございますので、それらを受け付けます団地管理事務所の窓口業務体制もとっております。
 またさらに、緊急時には局地的な対応といたしまして、応急措置を含めて必要な修繕を行っております。それで、今後とも引き続きその修繕等が円滑に行われるようしてまいる所存でございます。
#198
○下田京子君 言っていらっしゃることのとおりにやられていたら、いまみたいな問題は起きてないんです。いまお話しになっているようなことをずっとやってくださればいいんですが、基本は緊急性のものはやると。だからいま二十年も放置されていたような実態というのはすぐ改善すると、そう理解してよろしいですね。それは当然ですね、いまの答弁から言えば。一点だけちょっと。
#199
○参考人(久保田誠三君) そういう点について十分現地を調査しまして、先生おっしゃいますような緊急なものについては速やかに修理システムを直すように努力いたしたいと思います。
#200
○下田京子君 これは大臣、この問題で最後にお尋ねしたいのは、お聞きになっていてわかるでしょう。住宅公団の理事さんが言われるのは大変りっぱなことを言われてるんですが、現実がどうかということではお話しになって、だからその現実にどうこたえていくかという点でお話しになっている方向で、これからもいろいろ御指導いただきたいわけです。その御指導の中にさっき言った、つまり財団法人の高層住宅協会でやられているような計画修繕というのがありますから、その標準みたいなものをひとつ検討してほしいと言っているんですが、それは御答弁なかったから、それを踏まえて大臣から最後にお答えいただきたいんです。計画修繕も含めていろいろ新たな要望も出てるんですよ。たとえば八千代の米本団地というところに行けば集会所をつくってほしいだとか、あるいは習志野の団地に行けば戸々のところに物置というと大変だろうから集合物置みたいのをつくってほしいだとか、あるいは船橋の金杉台団地ですか、そこでは共用の共通のアンテナがあったらなだとかというふうな形で、それぞれの団地から幾つか出ているわけなんで、そういったことも含めまして、ひとついろいろとさっき大臣言いました住みよい環境づくりのために御指導いただきたい。
#201
○国務大臣(斉藤滋与史君) いろいろと御指摘をいただきながら、参考になる御意見を伺いました。
 写真で見て私もいささか驚いたわけでありますけれども、公団の方からの御答弁がありましたように、体制は整っているわけですね、巡回点検、営繕工事部門もあるというようなこと。それが機能していないというところに御迷惑をかけたことと思います。反省してこれからそういうことがないようにいたすと同時に、居住者の方々もこうなってしまわない前になるべくやいのやいのと言いまして、傷口が小さいうちにひとつやっていただく、あるいは大変申しわけないけれども、多少のぐらいのことは自分でちょちょっとやってくだされば、ここまでもいかないと。やっぱり官僚機構というのはなかなか組織を動かすのに大変ですから、両々相まって上手に機能できるようにひとつ御鞭撻、御指導をお願いいたしたいと思います。
 いろいろと細部にわたって御指摘いただいたわけでありますけれども、これからも十分配慮して、御迷惑のかからないように、またこうした修繕なんていうのは早ければ早いほど経費も少なくて済むんです。
#202
○下田京子君 そのとおりなんです。
#203
○国務大臣(斉藤滋与史君) したがって、そうしたことも含めて反省しながら指導してまいりたい、このように考えておるものでございます。
#204
○下田京子君 以上で、住宅問題はひとまず終わりにしたいと思います。
 次に、地吹雪問題で質問申し上げます。
 地吹雪のことにつきましては、豪雪、特豪地域の見直しのときにいろいろ議論されていることは御承知だと思うんですが、本当に地吹雪という現象が非常に特異な現象であって、私も日本海側に行きまして大変な実態だということを見てきたんです、国土庁長官御存じかどうかあれなんですけどね。
#205
○国務大臣(原健三郎君) 知っていますよ。
#206
○下田京子君 知っていますか。
   〔副主査退席、主査着席〕
 鶴岡に行きましたら何と言っているかといったら、ここの有名なのはかんだらと地吹雪だと、こういうふうに言われるくらい大変な状態でありまして、もう事細かく大臣御存じならばお話し申し上げません。そういう中で昨年の三月二十八日に、衆議院の災害対策特別委員会で、同僚の寺前議員から地吹雪の問題について特別な調査研究をやって指定の対象として――指定の対象というのは特豪地域の指定の対象として位置づけられるような方向でひとつ研究してもらいたいということを質問しまして、その当時園田長官が何とか基準の見直しに取り組みたいし、前向きに検討させていただきたいというふうなお話があったと思うんです。それを受けてだと思うんですけれども、約九百万円の予算が五十六年度から地吹雪研究ということでつけられたと思います。本当に時間がなくなっちゃって、私いろいろ聞きたかったんですが、簡潔に研究の主な内容といいますか、柱をお知らせいただきたいんです。
#207
○政府委員(四柳修君) ただいま御指摘のように、五十六年度の予算に豪雪の特異現象のための影響調査の予算を計上しております。これはポイントだけ申し上げますと、地吹雪につきましての現在の資料がほとんど皆無でございます。それからどこの地域でそういった記録があるかということも正直言いまして全国的に記録がございません。そこでさしあたっては、やはりそういった特異現象の発生のメカニズムですとか、地域は限られますけれども、その地域におきますいろいろの影響ですとかそれに関連しました対応策、たとえば御案内のように国鉄の場合には昔は防雪林がございました。ところが現在いろいろ御指摘の地吹雪のところは、とりわけバイパスができたところとか非常にそういった対応のないところでございまして、これをどういうふうに対策したらいいのか、非常に問題がございます。そういう意味で地域指定の問題ばかりでなくて、やはり道路管理とか除排雪とかそういった関係の点もございますものですから、一応五十六年度は幾つかの限られた地点につきまして、資料収集かたがた実態の調査をしたいと考えています。
#208
○下田京子君 資料収集、実態調査、メカニズムの研究というふうなことで、三点ぐらいにわたってお述べになったと思うんですが、そこで具体的な検討、提案といいますか、お願いといいますかその第一は、これは庄内に行きましたときに、御承知のように国立防災センター新庄支所というのがあるんですね。あそこでぜひ研究したいというお話を承りました。所管は科技庁だと思うんですけれども、同じように青森県ではやはり国立防災センターの支所を設置してもらいたいし、そういう中でいまの地吹雪等含めた雪の特異現象も含めて、いろいろ研究もやってほしいというお話も出ています。所管は科技庁のことなんですけれども、ひとつ国土庁が音頭をとって呼びかけていただけないかという点が一点。
 それから、調査の際に私どもいろいろお聞きしました。国土庁の担当の方も現地にいろいろとお出向きになって苦労されているやにも聞いております。そういう中で教育関係の実態を聞いて驚いたんです。これ資料が私、新しいものが見つからないかと思ったんですけれども、なかなか古いものしかなくて恐縮なんですが、ちょっと申し上げますと、鶴岡市の教育委員会の調査によりますと、いまの地吹雪等によって五十年で臨時休校をやった学校が九校あるんです。それから五十一年で十八校、五十二年が十五校というふうなことで、その次の数字がこれが定かでないんですよ、呼びかけても明確にとれなかったとか何かがあって。ひとつそういう点で、教育委員会なんかに、もう財政の話になるとあれだこれだ、厳しいと言うけれど、一定の調査費というのは考えなきゃならないと思うんですね、委託でも何でも、御協力いただくのも含めまして。そしていま言っている経済活動に、あるいは日常活動に、そして子供たちのそういう修学に、あるいは交通にどんな影響があるかという点で、関係機関の御協力をいただく調査という点はぜひ考えていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#209
○政府委員(四柳修君) 第一点の科学技術庁との協力体制でございますけれども、私は実はこの間長岡のセンターの研究資料を拝見してまいりました。あそこではなだれの資料を非常におとりでございまして、各県別におまとめになって公表なさっていますが、残念ながら地吹雪の資料はまだとても手が届かないという状況でございます。そこで、御指摘の点、科学技術庁の方とも連絡をしてみますけれども、御案内のとおり、科学技術庁の方には御自分の研究調査費がございまして、そちらの方の配分によりましても御指摘のようなことがある程度できるんではないだろうか。せっかくのお話でございますから、その点科学技術庁の方にも連絡したいと思います。
 それから、第二点の学校その他の状況でございますが、せっかくの御提案でございますから、これから調査いたしますときの項目の中に参考として考えさしてもらいたいと思います。
#210
○下田京子君 大臣に一言最後にお願いしたいんですが、いまのように、せっかく予算をつけていろいろと努力されている、その努力が実ることを私はもとより関係者の皆さん方が期待していると思うんです。そういう何といいますでしょうか雪の特異現象、それらを含めて、機会を見て特豪地域の指定基準の見直しというふうな方向づけを考えつつ、ぜひこの調査の実効あるものを期待したいという点での御決意をお聞かせいただきたいと思います。
#211
○国務大臣(原健三郎君) お答え申し上げます。
 御承知のように、今度の豪雪には非常に各党各派御協力いただきまして、本日も衆議院の本会議場においていわゆる折損木に対する国の特別援助に関する法律案が成立いたしました。そういうようなわけで、だんだんやっておりますが、いま先生から御指摘いただきましたいわゆる地吹雪等の御意見、よく存じておりますので、これらも参考にいたしまして、御意見、今後十分検討していきたいと思っています。
#212
○下田京子君 ありがとうございました。
#213
○主査(宮田輝君) 以上をもって下田京子君の質疑は終了いたしました。
 次に、前島英三郎君の質疑を行います。
#214
○前島英三郎君 御苦労さまでございます。
 きょうは国際障害者年のことを再び申し上げさせていただきますが、特に建設行政につきましていろいろと伺ってまいりたいと思います。
 国際障害者年のテーマは私が言うまでもなく「完全参加と平等」でございますが、昨年一月三十月、参議院本会議での私の質問に対しまして、「障害を持つ人々が」「家庭や地域社会におきまして健全者と同様に月常生活を営むことができるような配慮を政治、経済、文化各般にわたりまして行き渡らせてまいることが必要である」、これは故大平総理の私に対する答弁でございます。この御答弁にあるとおり、従来ともすれば施設収容主義、隔離主義に傾斜しがちであったのに対しまして、これからは障害者が家庭や地域社会で自立して生活できる条件を整えることが中心課題となるわけでございます。
 さて、家庭や地域社会で障害者が日常生活を営むには、それが可能となるような住宅があることが前提条件でもございます。海外からウサギ小屋などと言われたように、わが国の住宅事情そのものが豊かであるとは言えません。しかし、だから甘いたくは言うなと言われては困るのでございまして、住宅事情が豊かでないことのしわ寄せは現状においては真っ先に障害者のところにかぶさってくるということを指摘しておきたいと思います。
 自分の家が持てればそれにこしたことはありませんけれども、それはきわめて困難でございます。民間の賃貸住宅ではしばしば障害者ゆえに入居を断られるというケースがございます。また、けがをして入院したものの、借りているアパートが車いすで入れないからと退院できないでいるという人が幾人も私の周りにはおります。こうした状況を見たときに、障害者が地域で自立して生活できる条件づくりの基盤として住宅対策の重要性が浮き彫りにされてくると考えます。当面、公的住宅を中心として施策を展開することが適当と考えますが、それにとどまらず、まず総合的な見地から建設大臣の御所見を承りたいと思います。
#215
○国務大臣(斉藤滋与史君) 前島先生から重ね重ね住宅関係について障害者の対策を御示唆をいただき、また教えていただいておるわけでありますけれども、建設省といたしましては、国際障害者年ということとは別に、従来から、相当と言いますと語弊があるかもしれませんけれども、対策をやってまいっておるところでございます。特に官庁関係につきましては、四十八年から新しいものはすべてやるとか、あるいは既存のものについては鋭意御指摘をいただいて修繕をやっておるわけであります。わけても公的住宅につきましては、やっぱり民間住宅の方々への指導ということもありますので、設計、規模、あるいは障害の状態に応じていろいろと対応するような住まいづくりのための建築標準基準というものをつくって指導するというような前向きな姿勢で取り組んでいるところでございます。なかなか、御案内のように、障害者御自身の住まい、あるいは障害者の方々が御一緒に住んでおられる同居家族の方々の御心労を思うと、当然の責務として私たちがやるべきことであろうかと思いますので、今後とも十分な配慮のもとに指導をし、また万全の措置を運びながら対応してまいる所存でございます。
#216
○前島英三郎君 昨年公営住宅法を改正していただきまして、障害者等につきましても単身者の入居の道が開かれました。大変すばらしいことだと思います、公営住宅の事業主体であります地方公共団体がこの法改正をどのように受けとめておるのか、あるいは実施に移しているか等、その後の状況も大変気がかりな面もあるわけでございますが、もしその辺の状況を把握していらっしゃるなら承っておきたいと思います。
#217
○政府委員(豊蔵一君) 先生御指摘のように、単身入居につきましては昨年の公営住宅法の改正によりまして実施に入ったところでございます。現在までのところでは、十月一日からの実施でございますので期間もまだそれほどたっておりませんことと、全国の公共団体からの事情が全部把握されておらないといった点もございますが、私どもがいままでに都道府県の県営住宅につきまして調査いたしましたところでは、全体の九・二%ぐらいの身体障害者の方が単身入居で申し込みをしていらっしゃるというふうに聞いております。
#218
○前島英三郎君 障害者向け公営住宅の実施要領では「心身障害者の通勤及び日常生活に便利な立地条件とすること。」としてありながら、中には大変不便なところにつくったために、せっかくつくったのに入居希望者がいないという例も私の調査ではあるようでございます。その趣旨の徹底を図ることを要望しておきたいと思うんですが、また単身者が公営住宅に入居できる道を開いたことはいいことなんですけれども、身体障害等級の一級から四級までとしながらただし書きがついておりますね。「(身体上又は精神上著しい欠陥があるために常時の介護を必要とする者でその公営住宅への入居がその者の実情に照らし適切でないと認められるものを除く。)」、こういう項がございます。このただし書きの運用につきましては、「適切でないと認められる」範囲を拡大解釈して一人で住める人をも除外してしまうというようなおそれもございますので、これは要望としてお願いしておきたいんですが、ぜひ慎重に扱っていただきたいと思います。
 そこで、住宅の部分で住宅公団にお伺いしたいわけでありますが、公団住宅につきましても公営住宅に準じて障害者等の住宅の供給にぜひ努力をしていただきたいと思うんです。現状において、公団住宅において障害者世帯の入居希望に対してどのような配慮をしておられるのか、伺いたいと思います。
#219
○参考人(救仁郷斉君) 住宅公団では、身体障害者の方々あるいは老人の方々等を含む世帯に対しましては、新しい賃貸住宅の募集に際しまして、募集戸数の一〇%の範囲内ではございますが、当選率が一般の方々より五倍になるように処置をしております。
 さらに、入居されるとき、これは当然のことでございますが、一階あるいはエレベーターがとまる階等を優先してお入りいただくというような措置もとっております。また、賃貸住宅にすでにもうお住まいになっている方で、不幸にして御家族の方でそういう障害になられたというような方がおられました場合には、いわゆる住宅変更といたしまして、一階あるいはエレベーターがとまる階で、なるべくそういう方々が御不便のないような住宅に変更して差し上げるというような措置もとってきております。
#220
○前島英三郎君 公団住宅の場合、その住宅への出入りのためあるいはその住宅の内部について改造、改善の必要がある場合はやはりそれなりにやっていただきたいというふうに思うんですけれども、なかなか実際、賃貸の場合と分譲の場合とではかなり扱いが異なるというようなことも伺っておりますし、昨年もそういう一件がございまして久保田さんにもいろいろとお願いをしたところでございますが、その辺はやはり賃貸と分譲とはかなり違ってくるわけでしょうかね。
#221
○参考人(救仁郷斉君) お入りになってからの改造の問題でございますが、賃貸住宅の場合には、これは持ち物が公団の持ち物でございますので、これは公団の意思で、いろいろ改造されたいとおっしゃる場合には、それじゃ構造上支障のない限りはこうしてどうぞやってくださいというようなことになるわけでございますが、これが分譲住宅の場合になりますと、住宅の中はこれはもう個人個人の所有でございますので、自分でいろいろ改造されることはできますが、共有の部分、たとえば階段だとか廊下だとかあるいは庭だとかいうのは、これはお入りになった万全体の共有になっております。したがって、一応たてまえ上はそういった皆さんの同意がなければいじれないというような問題がございます。これに関しても、先生にも昨年いろいろ御迷惑をかけたわけでございますが、公団としてもそういう事情の場合には、公団がみずからやるわけにはまいりませんが、できるだけそういった入居者の方々に御納得いただけるような努力は続けてまいりたいというふうに考えております。
#222
○前島英三郎君 昨年の一件もそうですが、建設した後で改造するというのは手間も費用もかかりますし、何よりもそこにいらっしゃる皆さんのコンセンサスを得るという部分で現実に大変苦労をしていることはもう御承知だと思うんですが、アメリカのミシガン州の例では、個人の持ち家以外のすべての賃貸アパートにつきましては、五%は障害者の入居希望があれば受け入れる用意があるように建築主に義務づけられているというようなことが報じられておりました。そうして希望がなければ健常者に回す、こういうことなんですね。アメリカのような住環境の場合、たとえば車いす向けの住宅と一般の住宅とでは余り違いがないからできやすいという面もございましょうけれども、民間アパートまで含めて一定の比率で障害者向けに振り向けられる住宅を用意するという考え方は、私は大変参考になるだろうというふうに思うんです。
 たとえば、雇用促進法では百人の社員に対して一・五人は雇用しなければならない、こういうことになっていますと、大体昨年の厚生省の調査では二百万あるいは内部障害、精神障害あるいは精薄など含めると大体四百万、こうなりますと二%から三%、四%いかなくても大体二%ぐらいの割合ではハンディキャップを持っている人たちがいるんですというような部分を実は建設行政の中でもたえず念頭に入れていただきまして、そういう住宅を考案して配置するという方法もあるのではないかというふうに思うんです。歩ける人と歩けない人しかいないんですから、歩けない人のことを考えてつくったものは決して歩ける人には不便じゃないと思うんですね。歩ける人のことを考えてつくられたものは歩けない人にとっては大変不便な現実がございますんで、公団としても今後そういう形でひとつ取り組んでいただきたいと思うんですが、そのお考えはいかがでございましょう。
#223
○参考人(救仁郷斉君) 非常にごもっともな話でございまして、私どももできるだけそういった配慮はいたしていきたいというふうに考えております。また従来もやってきております。ただ、非常に重度の障害を持っておられる方で家の牛そのものを相当な改造をしないと使えないというようなケースがございます。そういった場合に私どもは、できれば地方自治体あたりから、こういうような障害者の方々にはこういうふうな住宅事情があるんだというような形でやっぱり個別に対応していかなければならないんじゃないかというようなことを考えております。また、そういったことについても前向きに検討してまいりたいというふうに考えております。
#224
○前島英三郎君 個々の住宅の問題もさることながら、公団住宅の共用部分あるいはその共有部分の設計につきましても、障害者等だれでも使えるような形にしておいていただきたいというふうに思います。公団住宅のあり方について幾つか質問してきたわけですけれども、以上の点については、これは建設省の今後のまた御指導を期待することが大変大きいと思うんですが、建設省の御意見も承っておきたいと思うんですが、いかがですか。
#225
○政府委員(豊蔵一君) ただいま先生御指摘ありましたように、従来から私どもも公営住宅、公団住宅あるいは公庫の融資住宅等を通じまして障害者の方々に対する特別措置を講じてきておるところでございます。特に公営住宅につきましては、特定目的公営住宅ということで特別な設計上の配慮をし、また優先的に入居していただくといったような措置を講じておりまして、すでに障害者の方々のための特定目的公営住宅といたしましては一万戸以上の建設供給を行ってきております。また公団住宅につきましても、設計、施工の段階でその土地柄あるいは公団の住宅の設計上できます限り障害者の方々が御利用いただけるような設計として実施していき、またこれをあらかじめお知らせして募集に応じていただくといったようなことも今後の検討課題であろうかと思いまして、公団にも指導しているところでございます。
#226
○前島英三郎君 公営、公団住宅ばかりでなく、一般住宅、持ち家につきましても今後は考える必要があると思うんですが、たとえば公庫融資の貸付条件とか貸付枠等につきましてもそれなりに配慮はされていると思うんですけれども、こうした点を充実していくことも必要だというふうに思います。その辺はどういうお考えか承りたいと思います。
#227
○政府委員(豊蔵一君) 住宅金融公庫の融資につきましては、金利五・五%の低利融資となりますところの床面積を、通常の場合が百二十平米以下となっておりますが、心身障害者の方々の同居世帯の場合には百五十平方メートルまでを対象とし、また融資額につきましても、大都市の、木造住宅の場合で六十万円から百八十万円の割り増し貸し付けを行ってきております。また、五十六年度におきましては、この割り増し貸し付けの対象住宅につきまして、従来の個人建設に加えまして公社分譲住宅、公社賃貸住宅も対象とすることとしております。なお、今後ともこれらの融資額あるいは融資対象範囲等につきましては私どもも鋭意努力いたしましてよりよき公庫融資を実現していきたいというふうに考えております、
#228
○前島英三郎君 ぜひひとつ取り組んでいただきたいと思います。
 次に、官公庁の建物等公共建築物について伺いたいと思うんですが、さきの総括質問で、既設の官庁施設につきましては障害者等の利用を考慮した改善を五カ年計画で実施するとの大臣からの御答弁をいただいたわけですが、これについてちょっと、詳細めくかどうかは別といたしましても、伺いますが、一千カ所を指定して実施するということなんですが、どのようなところか、それは当然建設省所管のすべてと考えてよろしいものなんでしょうか、いかがですか。
#229
○説明員(高野隆君) 大体先生の御趣旨のとおりでございまして、建設省で所掌する既存施設すべてでございます。そのうちの特に窓口事務のあります官署につきまして優先的に整備をしようということで、昭和五十六年度以降おおむね五カ年で一千カ所を整備しようということでございます。
#230
○前島英三郎君 細かいことになりますが、たとえば車いすの司法書士が名古屋に誕生したわけですが、彼は名古屋法務局を中心に仕事をすることになるわけなんです。そこで、彼は名古屋法務局及び関係機関に対して業務に支障がないように改善と配慮を要請してきておるわけですが、一部は聞いていただけたんですけれども、なかなか十分ではない。そのときにはベルを押せ、ベルを押せはドアをあけてあげますよというような形のようなんですね。そこで、こうした具体的ケースについても五ヵ年計画の中でも臨機応変に対処すべきだと考えるんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
#231
○説明員(高野隆君) おっしゃるとおりでございまして、実は五十六年度は四億円の予算をつけていただいておりまして、これでいま整備すべき個所を検討しております。それで、そういったような緊急性が明確な施設につきましてはできるだけ早い時点でもって対処したいと考えております。
#232
○前島英三郎君 私は、これから新規につくられる公共物につきましては、障害者等だれもが出入りできるようなそういうものに設計、施工すべきことを法律的にも明文化すべきであるとかねてから主張しておりまして、これはなかなか前向きな御答弁をいただけないわけでありますが、しかし引き続きこの部分は大変大切だというふうに思うんです。つくられてから車いす、あるいは目の不自由な人のことを考えると、これはもう超過になるんですね。ですから、当初の建設のときにそういう気持ちがありますとそんなに私は超過負担にはならないというふうに思うんです。でき上がった、さあそういうことの配慮が欠けていた、これからやらにゃというものはまさにここには私はむだがあるような気がいたしますので、なるべくそういう意味では、これからつくられる公共物、準公共物にはすべての者が利用できるように設計、施工すべく明文化をしてほしいということを質問を繰り返し繰り返しやっているところであるんですけれども、これは障害者が使えるということだけでなくて、安全とか非常時の避難とかという面からもいろいろ考えていきますと、当然こういうことは建設省の中でも考えていただきたい部分だというふうに思うんです。建築基準行政の立場からもいろんな意味で、消防法とか兼ね合いもありますけれども、そういう厳しさがあるからと言うんですが、じゃ障害者がそういう避難するときにはどうなんだということになりますと、一番犠牲になるのは老人であり、足腰の弱い人たちであり、ハンディキャップを持った人たちということがいろいろな形で、結果で不幸が報じられておりますので、今後もひとつ積極的にその建築基準法に明文化する部分も御検討いただきたいことを、これは要望として申し上げておきたいと思います。
 そこで、次に有料道路の問題について伺います。
 時間が大変限られておりますので失礼しますが、障害を持った運転者につきましては有料道路の通行料金を半額にする制度を実施いたしまして、障害者の社会参加を促進するという見地からこれは大変に評価したいと思います、実施後、不都合な点を改善したことも大変よかったと思います。しかし、実施時点から要望の強かった自動車の免許を取れないような障害者を対象に含める件については、まだ検討してもらえないような状況だと伺っております。自動車の物品税の免税につきましても、自分で運転する障害者だけでなく、障害者と生計を一にする者が運転する場合も対象に含まれておりますけれども、こういうことにかんがみまして、有料道路につきましても運転できる人はまあ社会参加はかなりできる、しかし本来ならば運転したくてもできないという、こういう人たちにとって、また高速道路というもの、有料道路というものはその辺まで拡大していただきますと非常に社会参加やりやすい、こういう声が大変強いんですが、その辺はいかがでございましょうか。
#233
○政府委員(渡辺修自君) ただいま先生からお話がありましたとおり、下肢体幹に不自由を感じておられる方々につきまして、これは特別の自動車を御注文になりましてみずからの足がわりにお使いになっておるわけでございます。それぞれ手続をとりまして、また手続の簡素化等も五十五年からいたしたところでございます。
 ただ、この割引は有料道路制度の枠組みの中で他の利用者の方々の御協力を得て実施しているというものでございまして、下肢体幹の不自由者がみずからその運転をされる場合は、そういう特殊な自動車でもございますし、また障害をお持ちになっておるわけでございますから、平面交差の多い一般道路をとまったり発進したりということになりますと非常に苦痛であろうということでございます。したがって有料道路を選択することを余儀なくされるという意味合いで、そういった方々の社会的自立を阻むことのないように特にこれを対象としたわけでございます。
 先生からただいまお話のございましたそれでは自分で運転ができない方、つまり介護者が運転されるような場合のお話であろうと存じますけれども、もともと道路は公共、無料というのが原則でございます。ただ、日本の道路が非常におくれておりますので、やむなく有料道路制度を導入をいたしまして利用者にこの元本と金利を払っていただきながら道路整備を早く進めよう、こういう趣旨のものでございます。したがいまして、介護者が運転される場合につきましては、直接下肢体幹不自由者が運転される場合と違いまして、そういった身体的苦痛という問題は別になろうかと思うわけでございます。この有料道路制度がこのようなことから成り立っておりますので、むしろ早く無料公開の道路にする方が望ましいという意見もございます。大変申しわけございませんが、介護者の場合につきましては割引制度を設けることはいまのところ考えていないわけでございます。
#234
○前島英三郎君 やり方と言えば、たとえばそこに重度な人が乗っておる、その人は絶えず手帳を持っておるわけですから、その人が有料道路を利用する、しかし本人は運転できない、それで介添え者が運転をしておる。こういう部分の拡大ということは私は容易にできると思いますし、確かに有料道路を早く償還して、本来なら無料になるべきということですが、現実にはどんどん高速道路の料金は上がる一方ですし、実際そこでは、その道路だけはもうとっくに償還されているはずなのに、そこで実はたまったものを違うまた新たな建設予算の方に振り分けられている一つの仕組みみたいなものがありますね。そういうことを考えていきますと、ただ一概にそういう形でこの部分は論じられないような気がするんです。そういう意味では数としても大した数じゃありませんし、事実障害者の移動ということは大変重要な問題でありますから、今後ぜひとも検討に加えていただいて、実際、動く足であるという車の概念から、物品税が生計を一にする人までにやはりその税金をかけるべきではないという動きが税務当局の中にも、もう昨年から実施されている現実を踏まえて十分検討していただきたいことを最後にお願いを申し上げたいと思うわけでございます。いかがでございますか。
#235
○政府委員(渡辺修自君) 確かに物品税につきましては、調べてみましたら先生の御指摘のとおりでございます。
 ただ、これはそういったことで移動を容易にするという意味合いからの施策であろうと思うわけでございますが、ただいま申し上げましたように、有料道路は鉄道のように永久有料で輸送そのものが営利的に行われているものではないわけでございますので、私どもも今後とももちろんいろいろと考えてまいりたいとは存じますけれども、いまのところまた同じお答えを繰り返さしていただきますが、ひとつ御了解を賜りたいと思います。
#236
○前島英三郎君 最後にひとつ建設大臣に、いろいろないままでの御意見を一言……。
#237
○国務大臣(斉藤滋与史君) 局長からお答えをしたとおりでございますけれども、これは政治家の範疇として申し上げますと、私も局長とその話はここで聞いておりまして、いまの時点ではちょっとむずかしいということでございますが、方法論についていまたまたま先生から、乗っている方が障害者手帳示した場合はその時点で割引する方法は広いか――いまちょっと感じた――不勉強で申しわけありませんでしたけれども、いろいろと考えさせられる問題であります。これも障害者年でもございますから、障害者年を契機にという一つのきっかけもありますけれども、局長は局長で念入りの答弁ございましたし、いろいろとあろうかと思いますが、検討さしていただきたいと思います。
#238
○主査(宮田輝君) 以上をもって前島英三郎君の質疑は終了いたしました。
 これをもちまして建設省及び国土庁所管についての質疑は終了いたしました。
 次回の分科会は明四月一日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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