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1980/03/30 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 予算委員会第一分科会 第2号
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1980/03/30 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 予算委員会第一分科会 第2号

#1
第094回国会 予算委員会第一分科会 第2号
昭和五十六年三月三十日(月曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   分科担当委員の異動
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     長谷川 信君     坂元 親男君
     竹内  潔君     高木 正明君
     林  寛子君     松尾 官平君
     佐藤 三吾君     小野  明君
     喜屋武眞榮君     山田  勇君
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     高木 正明君     竹内  潔君
     坂元 親男君     長谷川 信君
     松尾 官平君     林  寛子君
     小野  明君    目黒今朝次郎君
     田代富士男君     藤原 房雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    主 査         平井 卓志君
    副主査         粕谷 照美君
    分科担当委員
                木村 睦男君
                竹内  潔君
                長谷川 信君
                林  寛子君
                八木 一郎君
                山崎 竜男君
               目黒今朝次郎君
                藤原 房雄君
   国務大臣
       法 務 大 臣  奥野 誠亮君
   政府委員
       法務大臣官房長  筧  榮一君
       法務大臣官房会
       計課長      河上 和雄君
       法務省民事局長  中島 一郎君
       法務省刑事局長  前田  宏君
       法務省保護局長  谷川  輝君
       法務省人権擁護
       局長       鈴木  弘君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局経理局長   原田 直郎君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   小野 幹雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        道正  友君
   説明員
       警察庁刑事局捜
       査第一課長    仁平 圀雄君
       警察庁刑事局保
       安部少年課長   石瀬  博君
       警察庁交通局交
       通指導課長    浅野信二郎君
       警察庁警備局公
       安第三課長    吉野  準君
       警察庁警備局警
       備課長      岡村  健君
       日本国有鉄道公
       安本部長     塩飽 得郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和五十六年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十六年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十六年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○主査(平井卓志君) ただいまから予算委員会第一分科会を開会いたします。
 まず、分科担当委員の異動について御報告いたします。
 佐藤三吾君、喜屋武眞榮君及び田代富士男君が分科担当委員を辞任され、その補欠として目黒今朝次郎君、山田勇君及び藤原房雄君が分科担当委員に選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○主査(平井卓志君) 昭和五十六年度総予算中、裁判所及び法務省所管を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。目黒今朝次郎君。
#4
○目黒今朝次郎君 最初に、これは警察関係。鉄道公安本部長来ていますか。――今月の十六日、成田の燃料輸送列車が何者かに襲撃されて二台のディーゼル機関車が全焼した。確認はしておりませんが、聞くところによると、二両とも全然もう使えないくらい運転室が燃えておる、機関士二人については負傷がなかったがという事件が発生しておるわけであります。私も長い間機関車とともに生活してきた男でありますが、機関車が襲撃されるなんということは、もう私は鉄道隊で中国に四年半行ってまいりましたから、戦争中はあったものの、戦前戦後を通じて国有鉄道の列車が襲撃されるというようなことは想像もつかないことなわけであります。
 ところが、こういう事件は、これは去年、五十四年の十月十日ですね、同じような事件が発生して、社会面にはトップに取り扱われておった事件であります。その後、この種事件は十四、五件、列車に対する妨害、たとえば接続板を取るとか犬くぎを抜くとかあるいは線路の上にいろいろな鉄材を置くとか、非常にこの線に限っては列車妨害が悪質化しておる。私も何回かこの問題を取り上げて、国鉄側の公安本部、警察庁、この間は国家公安委員会に要請をして、その都度、わかりました、やりますと言っているんですが、依然として解決の糸口がない。一体全体これはどうすればいいのか。毎日、秒単位、分単位で走っておる動力車乗務員から見れば命にかかわる問題だと、こう思っておりますし、燃料列車が、仮に機関車だけでなくて、その三両後の燃料に点火して爆発したら一体どうなるのか、それを考えますと末恐ろしいものになってしまう、こう思うのでありますが、根本的にどうすればいいのかということについて、警察庁とそれから国鉄の公安本部長、両方からまず対応についてお考えを聞かせてもらいたい、こう思うのです。
#5
○説明員(岡村健君) 御指摘のように、大変重大な犯罪が発生しておりまして警察も頭を痛めているところでございますが、ゲリラ事案をぜひとも防止しなくちゃいかぬということで、国鉄の公安当局と協力いたしまして、沿線パトロールを強化するとか、あるいは拠点に部隊を配置する、さらには成田現地で大規模な反対闘争が行われます前後には主要個所に部隊を増強配置するというようなことでこの種事案の防遏に努めておるところでございますが、やはり最も適切な対処の仕方としては、何としても犯人を検挙して刑事責任を追及していくことが肝要かと思います。大変沿線が長くてむずかしい警備でございますが、今後とも全力を尽くして対処してまいりたいと思っております。
#6
○説明員(塩飽得郎君) 成田の燃料輸送の問題に絡みまして、こうしたただいま御指摘のような妨害事件が発生するのはまことに遺憾なことでございまして、ただいま警察庁からの御説明もありましたように、何とか防止したいということで、国鉄側も公安本部あるいは当局それぞれ努力をしているわけでございます。ただ、何分沿線が長いのと、また非常に線路の性質上襲われやすいという点もございますけれども、一つは設備の問題、あるいは公安官によるパトロール、あるいは拠点を設定いたしましてガードマンを雇うなりしての警戒という形でできるだけ犯罪の発生しないように努力はしておるわけでございます。
#7
○目黒今朝次郎君 いや、そういう通り一遍ではもうこの問題は私は納得しないんですよ。少なくとも列車襲撃が二回も繰り返される、しかも十数回列車妨害をやっている。たとえばその機関士がわかっているでしょう。特にこれは午後六時四十五分ですから、まだ薄暗いですよ、この時間は。覆面しているか何をかぶっているか知らぬけれども、その犯人は現認していないんですか、両機関士は。だから、国鉄に聞きますが、あなた方鉄道公安官は何をやっているんですか。少なくともこの燃料輸送の問題については、当時この開港問題をめぐって非常な問題があった。しかし、国際的な問題であるというので私は目をつぶって成田国際空港の開港には運輸委員会の理事として協力したはずだ。そういう関係、そういう従来の組合運動から見ればどうしても納得できないものを含めて、われわれは国際的な問題ということで協力してきたはずですよ。それでパイプラインがおくれちゃった。パイプラインがおくれたのもこれは国の責任ですよ。それを国鉄が負うというのもこれはナンセンスですがね。パイプラインがおくれたという根本的な問題はやっぱり国側にある。国側に根本的な責任があるのに現象面では国鉄の労使問題に転嫁されている。これは私は本質的に誤っていると思うんですよ。
 しかし、それを言ってもしようがありませんから、たとえば国側がこの危険地帯といいますか、この線区に特別の機動隊を配置してずっと線路を巡回するとか、あるいは鉄道公安官を配置してずっと巡回するとか、公安官、機動隊、公安官、機動隊とかわりばんこにこの危険区域を巡回するとか、そういう何らかの措置をとらなければ、これは問題が起きてからではもうどうにもならぬ。犯人の検挙と、やっぱり防護措置といいますか、警備体制といいますか、そういう両面から私は抜本的な対策を立ててもらいたい。そうしないと、私初め、燃料輸送についてはもう知りませんぞと、うちの乗務員に対してその問題が解決しない限りはもうやめろと、そう言わざるを得ない。そういう抜本体制を、国鉄の方は私は酷だと思うのでありますが、国の責任でとる必要がある。これについて警察庁どうですか。あれだけの機動隊を配置して開港したのですから、燃料輸送の列車の安全を確保するためにそういう抜本策で取り組むべきだと思うのでありますが、いかがでしょうか。
#8
○説明員(岡村健君) 成田の輸送列車の警戒につきましては、ただいま申し上げましたように沿線が大変長うございます。百数十キロございます。そこで、いろいろな事象日が近づいてまいりましたときには、警察官も千葉県警限られた数でございますが、できる限りの増員をいたしまして国鉄公安と協力して警戒に当たっておるわけでございますが、ただ、こういった大変長い区間に先生ただいまおっしゃいました国鉄あるいは機動隊を交互に部隊を並べますということは、もう大変気の遠くなるほどの警察官の数を必要とするところでございまして、われわれといたしましては、できるだけ効率的に犯人の検挙、予防ということを心がけてまいるべく特段の努力をいたしてまいりたい、こういうふうに思います。
#9
○目黒今朝次郎君 私はこの前、差しさわりがありますから日にちとか場所は言いませんが、千葉に行ってきました。県警本部長に会いに行ったらいなかったんで、県警本部の総務部長に会ってきました。成田の条件というのはもう長い間の経過がありますから私から申すまでもないと思うのであります。しかし、列車襲撃をしている部隊はわかるんでしょう、こういう部隊が列車襲撃をしていると。その辺もつかんでいないのですか。大体この辺の部隊が列車襲撃をやっている、この辺の部隊が線路の妨害をやっている、この辺の部隊が成田の駅になだれ込んで列車の進入を阻止すると。この前五十九名検挙したでしょう。五十九名を検挙すればその中にこれにかかわり合いのある方はいなかったんですか。この前、成田空港の列車往来妨害罪容疑で逮捕したでしょう、五十九名、若い学生、外人部隊を。ああいう外人部隊が移動するときはあなた方わかっているんでしょう、無線で。無線でわかっておったら、なぜバイクでも使って、あるいは機動隊でも使って、無線でその部隊を追跡しないんですか。構内に入ってから大騒ぎしてやっている。聞くところによると投げっ放しだと、見ようによってはああいう外人部隊を泳がしていると、俗にわれわれの言葉で言えば。居場所と行く方向がわかっているにかかわらず全然それに対応しない、後手後手とやっている。後手後手とやっているのが千葉県警の対応じゃないですか。
 私はその問題の抗議に行きました、この前千葉に。現に見てきました、この目で。ですから、これだけ持っている警察の装備ですから、もう少し創意工夫すれば、これだけ集中的に一あなた方は二言目には地域が長い、地域が長いと。二万キロの地域から見ればこれは微々たるものですよ、こんなところ。二万キロ扱っている国鉄から見れば。ここの燃料輸送の沿線に何らかのそういう通信網をつくるとか、あるいは国鉄の公安といろいろ考えて何らかの対応策を講ずることができないのか。よく検討しますだけではこれはもう手の打ちようがないですよ。燃料輸送をとめるか、パイプラインができるまで成田国際空港を当分の間閉鎖をするか。大体、本来これは国鉄のせいじゃないですね、さっき言ったとおり。ですから、何らかのやっぱり私は措置を講ずべきだ。
 それで、法務大臣、両方の課長や局長に聞いていてもしようがありませんから、あなたは国務大臣として、成田の燃料輸送問題はこれは本来国の責任なんですよ。国鉄は被害者ですよ、国鉄の労使は、そうでしょう。パイプラインが完成してから成田空港の建設をやればいいやつを、空港を建設して肝心かなめの油というものについて後手後手になって、そしていまパイプラインができるまでということで燃料輸送が国鉄の労使に任せられたと、それでこういう事件が発生している。検挙もできない、依然として、不穏な状態が続いている、その中で乗務員は燃料輸送をやっている、またいつやられるかわからないという心配がもういっぱいあるんですよ。多少金がかかっても、経費は国鉄の負担にせずに、国の責任で列車、機関車の襲撃事件を防止するための、燃料輸送列車の安全確保のために国としてのやっぱり対応をすべきだ、少々金がかかってもしようがない、私はそう思うんですよ。そういう抜本策について国務大臣として、また法務大臣として、大臣の対応なり見解を聞きたい、こう思うのですが、いかがですか。
#10
○国務大臣(奥野誠亮君) 先日、目黒さんからお話しありましたこと、国家公安委員長にそのとおり連絡はいたしておきました。
 成田空港の建設は総合的に配慮していかなければならない、それが私は最初に若干つまづきがあったという意見を持っておるものでございまして、総合的な計画の中の一つとして燃料パイプラインの建設があるんだ、こう思っておるわけでございまして、そういう意味合いにおいて、おっしゃっているお考え、私にはよく理解できるわけでございます。国といたしましても、また県当局の協力も得まして、あらゆる力を合わせて総合的に努力していかなければならない、そういう意味合いにおける推進に努力をしていきたい、こう思っております。
#11
○目黒今朝次郎君 大臣、国鉄も赤字赤字でもう大蔵省からいじめられっ放しで、今度の機関車二両を焼いたって、あれだって結局、新国際空港公団から機関車が廃車になった分の金をくれるのかくれないのかわかりませんがね、赤字の国鉄にこれはやれと言ったって、鉄道公安本部長ここにいらっしゃいますが、なかなか大蔵省はうんと言わないんですよ、これは。だから、これは国際的な日本の当然の仕事として必要欠くべからざる国の事業だと、こういうやっぱり位置づけをして、対応はイコール金がかかることですから、そういうことについては法務大臣なりあるいは国務大臣として、大蔵省に金のために云々ということのないようにこれはやっぱり最大の努力をしてもらうべきだと、こう私は思うのですが、どうも金となると赤字国鉄は弱いものですから、その点は大臣、特に配慮してもらいたい。
 そういう意味で、私は、きょうの予算委員会の分科会というのは、普通の法務委員会なり運輸委員会と違って、そこに分科会の意味があると思うのでありますから、十分にこれは受けとめてもらいたいし、きょうは大蔵省関係は来ていないと思うんですが、大蔵省関係にも十分に意を尽くして話してもらいたい。こういうふうに特段の私は問題提起をして善処を要望するわけですが、いかがでしょうか、大臣。
#12
○国務大臣(奥野誠亮君) 国鉄の財政再建、この問題に限らず、大きな政治課題だと考えているわけでございます。今度の過激派の襲撃行為によって受けました損害も大きなものに上ると思うのでございますけれども、全体の財政再建の中で取り組まれていくべき性格のものだと、現に一兆数千億円毎年国庫から助成もしているわけでございますけれども、このままでいかないことは言うまでもないことだと思います。いまの御意見も運輸大臣など関係者にも私からも連絡をしておきたいと思います。
#13
○目黒今朝次郎君 じゃ、それを強く要請しておきます。
 国鉄の問題が出たついでにもう一つ、最近における運転事故ですね。運転事故に対する警察の対応と鉄道公安の対応の仕方が非常に現場の運転士に言わせると不快感を持っているということなんです。
 一例を挙げると、これは私の同僚の乗務員からの報告なんですが、たとえば去年の十月二十三日、上越線の後閑というところで水上駅発八時二十六分五六七〇列車、この列車を機関士が異常を感じてブレーキを使ってとめてみた、とめてみたら前から六両目の貨車のタキ七一九五二号、セメント約四十トンを積んでおった、この台車が脱線をしておった、簡単に言えばそういう事故なんですよ。それで、このタキ七一九五二号というのはこれは国鉄でも古い貨車で、いろいろな条件がかみ合ってよく脱線をする車両なんです。
 それで、国鉄の専門家の諸君もいろいろ調べたけれども、特に国鉄の専門語で言う複合脱線、いろいろな条件がかみ合って乗り上げ脱線をしたと、そういう複合脱線以外の何物でもない、国鉄の専門家はそういう判断を下しているわけですね。いまだにこれは国鉄で解明できないのです、私も機関士の一員ですが、このせり上がり複合脱線というのは。そういう脱線であるということにもかかわらず、この事情聴取について機関士を二時間も三時間も調べている、現地で。列車をとめたまま復旧作業もさせない。われわれ国鉄人というのは、事故が起きれば専門家の方に事故を報告して、一日も早く復旧をして開通させるというのが鉄道マンの任務ですね。もちろん原因の探求も必要でしょう。しかし、複合脱線だということを専門家が見ておる問題について、機関士を二時間も三時間も閉じ込めて、しかも電力区詰所にお巡りさんが来て連れていって、そこで全部隔離して機関士を責め、尋問をやっている、こういうことは一体どうなんだろうか、頭から犯人扱いして。機関士は機関士としてプライドがあるし、国鉄の専門家は専門家としての判断を持っているわけですね、これは複合脱線だと、貨車の。しかも人がけがしておるわけじゃない。上越線と言えば新潟と上野を結ぶ重大幹線ですよ、三十分や四十分に一本は特急が走っている。それを二時間もとめておってやらせないというのは一体これはどういうことなのか。私は警察の不当介入じゃないかと思うんですよ。私はこんな経験ありません、私も昭和十六年からの機関士でありますが。
 ですから、そこのところについて鉄道公安官としてはどういう態度なのか。こういうものを調べる警察官を指導している警察庁としてはこういう列車事故についてはどういう指導をしているのか、現地の対応の仕方について。それを双方からまず聞かせてもらいたいと思うのです。国鉄はどういう対応、警察庁としては現場の警官に対してどういう指導をしているのか、こういう鉄道の事故について。おのおの見解を聞かせてもらいたいと、こう思うのです。
#14
○説明員(塩飽得郎君) ただいま御指摘の事故について私は詳細聞いておりませんけれども、一般的に事故があった場合に、鉄道の側からすれば一刻も早く輸送を確保するために復旧作業あるいはそれに伴うことをやるわけでございますけれども、ただ、捜査の立場もありますので、警察に対しましては基本的には捜査には協力するということで指導しておりますが、復旧に支障のないようにお願いをするということで現場でいろいろ相談をしながら進めていると思いますが、日ごろの指導としては、やはり捜査ということ、または事故の原因究明ということはきわめて大事なことですかち、できるだけ協力するようにという指導をしております。
#15
○説明員(仁平圀雄君) 列車事故と申しましてもいろいろな種類や態様があるわけでございまして、一般的に言いまして、列車事故ということになりますと、場合によりましては多数の死傷者を伴う大規模な事故、事件に発展する危険性もあるわけでございますし、また事故の原因究明というものも非常にむずかしい場合が多いわけでございます。そういうことで、警察としてはこの種の事故については慎重に対処しておるわけでございまして、やはり早期に事故原因を解明するためには、機関士等運行関係者に対する事情聴取とか、あるいは実況見分の立ち会い、それから乗客、目撃者等の捜査とか、現場の保存あるいは証拠資料の発見収集とか各般にわたる捜査をする必要があるわけでございます。しかし、事故現場における捜査につきましては、先生御指摘のように、列車運行の公共性という点を十分に考慮いたしまして、必要最小限度にとどめまして、自後の列車の運行に支障のないように機関士等に対する事情聴取もなるべく短時間に終了するように配慮しておるところでございますし、今後ともそのように現場を指導してまいりたいと考えております。
#16
○目黒今朝次郎君 これは貨物列車ですよ。十八両引っ張っておって、先頭で機関士が操縦しておるわけですね、速度制限違反とかなんとかということを含めて。たとえばタコメーターがあって、タコメーターを見れば一体この列車は制限速度をオーバーしておったのか、速度内で走っておったのか、すぐわかりますよ、これはいま機関車は全部タコメーターがついていますから。機関士のブレーキの操縦がいいか悪いかなんていうことは余り関係ないですよ。しかも、専門家がおって、鉄道公安官もおって、ああこれはせり上がり複合脱線だと、貨車の種類を見て。そうすると、警察で調べたって、せり上がり複合脱線だと専門家が言っているのに、なおも機関士を二時間も三時間も責めるというのはどういうことなんですか。
 本来、あなた、現場のお巡りさんが来たって、せり上がり複合脱線なんて言われたってわからないでしょう、専門語だから。いわゆる途中脱線ですよ、機関車から脱線したのじゃないんですよ。走っている貨車がどうも機関士がブレーキをやってみたらおかしいと、おかしいからとめた、とめて点検したら六両目の車輪が脱線している。だから、これは専門家には単純な複合脱線なんですよ。そこに鉄道公安官と専門家がおって複合脱線だと言ったら、機関士に対しては速度超過の状態はなかったか、もちろん進行中でありますからブレーキの関係はありませんね。速度制限を超えたか超えないかという一点は、それは警察で調べていいですよ。それ以外に二時間も三時間も機関士を責めたって専門的に何の原因もないじゃないですか。ちょっと行き過ぎだと思いませんか。われわれ専門家から言わせると、何を調べたんだろうと、いやがらせ以外の何物でもないと、そう言われても言い過ぎではないんじゃないですか。おたくがその現場を頭に想定したら、おたくが現場の警官としたら、何をあと聞くんですか、機関士に。
 私たちは、やっぱり速度超過、カーブであったからカーブの際に速度を超過したかどうか、あるいはブレーキを使ったかどうか、ブレーキを使えばショックがいきますから、ブレーキを使ったかどうかはそのタイヤを見ればわかるんですよ、ブレーキを使えば摩擦でタイヤが熱くなっていますから。熱くなっていれば、なぜブレーキを使ったのかというようなことは調べることはいいですよ、聞くことは。それ以外は途中脱線の機関士も知らない脱線を機関士を責めたってしようがないじゃないですか。少し私は行き過ぎだと、こう思うのですが、いかがでしょう。あなたがその現場にいた警官として想定した場合に、カーブで、どうですか。
#17
○説明員(仁平圀雄君) 御指摘の上越線の列車事故につきまして、私も承知しておりませんのでどういう状況であったのかよくわかりませんが、事故にもいろいろあるわけでございまして、軽微なものもあるでしょうし重大な事故もあるわけでございますが、警察官に対しましては列車の運行につきましていろいろ専門的な教養も施しまして、今後やはり機関士等に対する事情聴取につきましてはなるべく速やかに終了するように指導してまいりたいと、こう思います。
#18
○目黒今朝次郎君 もう一つ例を挙げると、これは去年の十二月十五日、日豊線、苅田と小波瀬のところで五三七列車現車八両、これは客車です。これは踏み切りに一たん停車をやらないでタクシーが突っ込んできて、それでタクシーに列車がぶつかって踏み切り事故をやったんですな、それで事故が起きた。もちろん、原因は、タクシーが一たん停車を怠って突入した問題だとタクシー運転手もそれを認めている。認めておるにかかわらず、当該国鉄の乗務員については、タクシーの方向指示の認定がつかなかったかとか、あるいは注意義務を怠ったんではないかということを根掘り葉掘り聞いて、これは当局側、国鉄側の副運輸長も余りに警察のやり方の厳しさにたまりかねて、ちょっとおかしいじゃないかといって抗議を申し込んだという事件があったんですよ。そして、そのぶつかったタクシーはレッカー車で持っていかれた、運転手も連れていった、機関士だけそこに置いて機関士だけを尋問している、こういう事故があったんです。
 これなど、ちょっと国鉄の事故というものに対して警察というのはどういう考えでいるのか。まあうちの乗務員もいま若いのが多いから血の気が多いのもいますけれども、しかし、タクシーが一たん停車を怠って踏切にぶつかってきて、タクシーの方がいろいろ責められるんならわかりますよ、ぶつけられた運転士がなぜ責められる。事故報告もちょっと待てと。われわれ乗務員というのは事故が起きれば必ず自分の管轄の当直助役、指令ですね、どこどこ局の指令、どこどこ機関区の助役さん、そこにばんと第一報を入れる、こうなったと。そのために各沿線には業務用の非常連絡電話があるんですよ。そこまで走っていって、そこから必ず第一報を入れる。それで、いわゆる復旧が可能かどうか、救援列車が必要かどうか、その第一報を入れて、それで救援列車が必要ならすぐ応援の列車を送る。機関士は必ず事故の第一報を入れるのが義務なんですよ、これは内部上の。その第一報も入れさせないというんです、つかんでおって。警察官が十名ほど出動しておるそうですよ、これは確認してもらって結構です。こういうことはちょっと私は度を超していると思うんです。
 ですから、あなた方が国鉄の事故、たとえばこの前の何人かけがをするとか、大変な事故はそれなりに人命に関する問題であるから、補償等の問題、遺族等の問題ありますから、それは慎重になることはわかりますよ。でも、人身に影響のない列車で国鉄の純粋の内部の運行に関係する問題については、ある程度は公安官を信頼して公安官の判断に任せるとか、あるいは国鉄の専門家の報告を聞くとか。これは規定から言えば、本来事故は簡単な調べをして、さらに調べが必要であればおたくから国鉄側に言って、当該機関士に対して勤務上のやりくりをして、そして警察に出頭せいと、そういうルールになっているんですね。それは組合側もあるいは当局側も協力すると、組合員の出頭については。ですから、逃げも隠れもしないんですから、十名も警察官が出てきて運転士を囲んでやっているというのはちょっと過剰調査じゃないですか。ますます警察と国鉄の乗務員の人間関係を疎外するものだと思うんですよ。何を言っているかと、こうなりましてね。これなどについても私はやっぱり十分に調べてもらって、一九八〇年十二月十五日、苅田−小波瀬の区間でありますから、やっぱりおたくの方で調べてもらって、委員会でなくて私に直接で結構ですから、なぜこういうことになっているのか、これを解消するためにどういうことになっているのか。これは門鉄からも特別要請の文書が出ています、おたくに対して。ここにも私持っていますが、もう言いません、余りにもひどい。こういうものがありますからね。こういうことについてひとつ認識を新たにしてやってもらいたい、こう思うんですが、いかがですか。
#19
○説明員(浅野信二郎君) ただいまの事故につきましては、私の方も簡単に報告を受けておりますけれども、現在のところ簡単な報告でございますので、先生ただいまおっしゃったように、さらに詳しく調査してまいりたいと思います。いずれにいたしましても、踏切事故の捜査におきましても、列車の運行をできるだけ早く復旧させるということについては平素から配意をしているところでございます。ただいまの御指摘の点についてはさらに詳しく聞いてみたいと思っております。
#20
○目黒今朝次郎君 もう一つ、ついでですからね。轢死体と言うのかな、私ら略語でマグロ、マグロと言うんですが、飛び込み自殺。飛び込み自殺に対する機関士の責任追及というのは私はちょっと酷だと思うんです。それはあの世に行って飛び込みした人から事情聴取してもらいたいですよ。これは乗務員は被害者ですよ。特に、夜中の一時、二時、ばあんとぶつかるのがわかるんですからね、飛び込みは。それで死体を、百と足と手と乗務員が出して、応急連絡して、それで行くわけです。その飛び込み自殺まで注意義務を怠ったんじゃないかということでやられたんでは、これはたまったものじゃないですよ。防ぎようがないんですよ、飛び込み自殺は。乗務員の過失でやったならそれは過失でもいいですよ。ところが、列車というのはいまの法律では第三者の証人が必要ですな。ところが、列車のこういう死傷事故については第三者の証人がなかなか出てこないですよ。いつも機関士は信号との闘いと警察との闘いなんですよ。だれも証人がいないから証人は自分一人だと、死んだ人はもうあの世へ行っているからね。
 だから、よくやられるんですけれども、自殺者までは、ひとつ余り乗務員を責めないように、しかも死体遺棄で告発するなんということもありますけれども、死体遺棄なんというのはもう乗務員にとってはありがた迷惑ですよ。もう少し国鉄乗務員の立場を考えて警察も公正にやってもらいたい。それで、鉄道公安官もいるんですから、おたくが何もかもやるなら私は三千名の鉄道公安官は要らないと言うんですよ、赤字国鉄に。ところが、国鉄総裁に言わせると、専用的な業務がいっぱいあるから鉄道公安官は置くんだと。ですから、鉄道公安官の調査を第一義にして、鉄道公安官でどうにも手に負えないものはいわゆる警察庁関係が応援とか共同作戦をする、そういうかっこうにある程度交通整理をしてもらわないと、一体鉄道公安官の任務は何なのかと、しかも赤字財政の中で三千名も公安官がおるんですから、しかも優秀な職員です、若手の。皆二十代、三十代の若手が公安官ですから、そういう優秀な連中がおるんですから、やっぱり専門的な事故は鉄道公安官の方に任せて、どうにも手に負えないものは警察庁が応援なりあるいは主導権をとってやる。その辺の連係プレーをやっぱりやってもらいたいなと、こういうことも私は日常全国四万人の乗務員から苦情を受ける人間としてつくづく感ずるんですよ。この点はどうですか。
#21
○説明員(仁平圀雄君) 御指摘のとおりだと思いますが、事故や犯罪の種別や態様等、鉄道公安と警察のそれぞれの権限、捜査能力等を考慮いたしまして、どちらが捜査したら適当であるかということを決めて現在も対処いたしておるところでございまして、御指摘のように鉄道公安職員の専門的な知識技能を要するような事案につきましては鉄道公安職員において処理するということをたてまえといたしておるわけでございまして、今後ともそういうような点で捜査を進めてまいりたいと考えております。
#22
○説明員(塩飽得郎君) ただいま自殺についてのお話がございましたけれども、公安の捜査といいましても、御承知のとおり地域的に鉄道の施設内ということで限定されております。したがいまして、捜査に当たりましても公安がやった方がいい場合あるいは警察にお任せした方がいい場合といろいろございますので、その都度相談をしながら捜査を進めて、お互いに理解し合いながら協力して進めておるところでございます。御指摘の点も十分今後とも警察庁とよく相談をしまして進めてまいりたいと思います。
#23
○目黒今朝次郎君 大臣、お願いですが、やっぱり国鉄の機関士もいろいろな試験を通ってそれなりのテストを受けて機関士になっているわけですよ。新幹線の運転士だってみんなあれは大体二十代、三十代ですよ。われわれのような五十、六十はとても頭が悪くてああいう新しい機関車は運転できない。やっぱりそれなりに苦労をして無事故運転でやっているんですよ。新幹線は開業以来一億人を運ぶけれども、まだ人身事故は一回も起こしていない。それだけのプライドを持って彼らは運転しているんですよ。ですから、自分の過ちについて法廷で争うということについてはわれわれも争います、彼らも争っています。でも、やはり公共的な輸送機関ですから、警察官の思いのままに、必要がないとは言いませんが、常軌を逸するような捜査なり時間をゆっくりするということはやめてもらいたい。だから、きょうは時間がありませんから、後ほど警察庁と公安とそれから国鉄の運転と三者に来てもらって、私の方から具体的な例を出しますよ。
 そういうことも十分踏まえて、やはり国鉄の機関士の人格を尊重して、あるいは国鉄の専門家の意見を尊重して、迅速かつ早い機会に列車の開通なり列車の運行ができる。その上で国鉄と警察のルールに従って関係者を呼んで事情聴取するということがあってもいいと思うんですよ。国鉄の機関士は逃げも隠れもしませんよ、毎日働かなければ飯が食えないんだから。そういう度を超すような、反発を買うような捜査はやめてもらいたい。それで警察と機関士の人間関係を、お互いに信頼できるような人間関係を確立してもらいたい。こう私は要請するんですが、このことについて大臣の見解と指導方針を明らかにしてもらいたい、こう思うんですが、いかがですか。
#24
○国務大臣(奥野誠亮君) いまいろいろお話を伺っておりまして、同じ種類の事件であっても分野分野で特別な事情があるんだなということはよく理解いたしたわけでございます。根本的に警察の仕事もおっしゃいますように相互の理解に支えられて進んでいくわけでございますので、お互いの気持ちがよく通じ合う、事情をよく理解し合うように努力していかなければならないと、こう思っております。
#25
○目黒今朝次郎君 これはそういうように指導方をお願いします。
 これは、この前の三月二日の法務関係の決算委員会で、昨年十月十六日、品川区上大崎四の三の十四の路上で私の後輩である動力車労組の小谷教宣部長が襲撃された事件について私は質問しました。この同じことが、これは十月十六日の法務委員会で寺田委員が質問されました。ところが、最初の捜査の決め手になる自動車の認識について両方の答弁が食い違っているんですよ。
 寺田委員の法務委員会における質問に対して、大波多さんの説明では、偽造ナンバーの件について、「緊急配備をいたしまして、周辺を検索いたしました。約一キロほど離れておりますビルの駐車場におきまして、偽造ナンバーを取りつけておる不審車両を発見いたしました。その中で、まあ凶器と思われる物も発見いたしておるわけでございます」、こういうふうに偽造ナンバーをつけた車を発見したと、その中に鉄パイプのような凶器と思われるやつがあったと、こう答弁しています。
 私が決算委員会で三月二日質問した問題については、そういう偽造ナンバーを取りつけていたということを発表したということは報告は受けておりませんが、「この車は熊谷ナンバーでございまして、トヨタ・タウンエースのワゴン型は真正ナンバーの熊谷五五ふ四二六三、これがついておりまして、この車の中にありましたのが偽造ナンバープレート品川四五せ三〇七二というものが二枚あったということでござい」ます、車そのものには真正ナンバーがついておりました。
 これは、私は前との関係がありますから、それは間違いありませんかと、間違いありませんと、偽造ナンバー云々は発表した覚えはありませんと、こう言っているんですよ。前は偽造ナンバーをつけた不審車を発見したと言って寺田委員に答弁しておって、私の質問に対しては、いや熊谷ナンバーがついておりまして、車の中に偽造ナンバーが隠してありましたと。
 大体、捜査の第一歩ですね。これは車を使ってやったということを言っておるんですから、その車の認識は一体どっちが本当なんですか。法務委員会で寺田委員が質問したことに対する報告は偽造ナンバーをつけておったと言う。私には熊谷ナンバーがついておって、それで偽造ナンバーは車の中にあったと。これはどっちが本当なんですか。捜査の第一歩でこんな認識があったら、おのおの別な車で仕事を始めたということになりませんか。不審ナンバーで捜査したのはだれなんで、熊谷ナンバーの車を追跡したのはだれなんです。二つの車を追跡したことになるな、そうすれば。これはどっちが本当なんですか。
#26
○説明員(岡村健君) ただいま御質問の件でございますが、内ゲバ事件の捜査につきましては公安三課が担当しておりまして、私ども所管外でございます。なお、この点帰りまして公安三課長あるいは大波多審議官によく伝えまして、御報告したいと思います。
#27
○目黒今朝次郎君 公安三課であろうと公安四課であろうと、これは捜査の第一歩でしょう。捜査の第一歩であなた、車を使ったという、うちの動労本部の前を堂々と人をやっつけて逃げた車のナンバーの認識が違うなんて、そんなばかなことがありますか。二つの車を追ったんですか、これ。ナンバーの違う車、不審ナンバーと熊谷ナンバーと二つの車を同じ捜査で、大崎警察署が同じ車の捜査やって、同じ車の番号が違うなんて、こんなことはあり得ないでしょう。
 まだきょうは十二時まで質問をやっているんだから、十二時までの間に大崎警察署に聞いて、どっちが本当なのか、目黒の質問に対する答弁が本当なのか、寺田質問の答弁が本当なのか、こんな大事なものを捜査の始まりでつまずいておったら困るじゃないですか。われわれもその道は若干兵隊で憲兵の経験があるからね、何ぼかわれわれも経験がありますよ。そんなことじゃだめですよ。いやで一カ月受けてやめちゃったけれどもね、私は。また鉄道隊へ帰ってきたけれども、でも、やっぱり教育訓練ではそう教えていますね、捜査は第一歩が大事だということを。これは十二時に終わるまでにあなたの方でどちらが本当か釈明してもらうと同時に、その食い違いはどこにあったのか。これは大分捜査に影響していると思いますよ。そういう約束できますか、十二時まで時間ありますから。
#28
○説明員(岡村健君) 調査いたしまして……。
#29
○目黒今朝次郎君 それから大臣、寺田質問の際に大臣は、この種事件は被害者といいますか、被害者が亡くなるか、あるいはけがをしてもなかなか捜査に協力してくれない、非常に困っているんだという答弁をしておりましたが、それはちょっとこの事件に関しては私は事実認識が違うと思っています。小谷君は二回ないし三回、大崎警察署なり公安二課ですか三課ですか、全部素直に捜査に、事情聴取に応じています。それから、本人も治りまして、現在退院して、やっと約三週間ほど前から仕事をしています。ですから、本人も、殴られた相手の年あるいは顔その他明らかに彼は記憶を持っているんですよ。だから、本当に解決する意思があれば、退院したならばもう一回記憶を新たにして聞いてもらって、そうしてやっぱり何が何でも検挙するという強い姿勢で臨まないと、第二、第三の問題が出てくると思うんですよ。
 これは、ゲバ、ゲバと言われるけれども、たとえばいま、第三課ですと、ゲバという言葉を使ったが、それはやめてもらいたい。法人格を持っている動力車労働組合のれっきとした教宣部長ですからね、こんな言葉は使ってもらいたくない。あくまでもこれは襲撃事件ですよ。ですから、そういう点で協力もしているし、それから証拠物件を押さえたと言っていますが、証拠物件は何々を押さえて、どこに保管してあるんですか。大崎警察署にあるんですか、それともどこにあるんですか。われわれにも証拠物件を見せてもらいたいと言っても、なかなかおたくの方はかたくて見せてもらえないという話もあるんですが、押収した証拠物件はどこにあるのか。事情聴取についてはいつでも応ずる気持ちがあるし、大臣の心配を乗り越えて本件解決のためにはわれわれもぜひやってもらいたい、こういう気持ちもありますから、その辺は従来の事件と違って、やっぱり視点を変えて取り組んでもらいたいとこう思うんですが、いかがですか、担当者の方。
#30
○説明員(岡村健君) 私ども警備課でございまして、本件捜査にタッチしておりませんので詳しいことはつまびらかでございません。いま公安三課長が参りますので、公安三課長からお答えしたいと思います。
#31
○目黒今朝次郎君 じゃ、それはそれとして後にお任せします。
 それでは、国鉄関係をやめて、次はちょっと同和問題について。
 大臣、この本を私もさっといま全部まではいっていませんが半分ぐらい流し読みしたんですが、大臣あるいは大臣以外の担当者でも結構ですから、この本をずっと通読してみて、率直に言ってどんな感じを受けられましたか、大臣の感想をちょっと。
#32
○国務大臣(奥野誠亮君) いまだにいわれなき差別が根強く残ってきておること、残念に思いましたが、同時に、落書きなどがきわめて激越な言辞を使って、これまた最近のことじゃないかなと、こんな感じがいたすわけでございまして、どの辺にこういう事態があらわれてきているのか、そういう原因をつかみながら、こういう差別を根絶する努力を続けなければならない。やっぱり根本的には心の問題だけに、しんぼう強い絶えざる努力を必要とする性格の課題ではないかなと、こんな気持ちも持ったりいたしたわけでございます。
#33
○目黒今朝次郎君 それで、私は、いま大臣が言ったとおり、やはりこういう事件がさらに相次いでいる、中身が悪質になっているということ、忍耐強く努力する必要があると、大体三点いま大臣から感想としてありましたので、私も当然だと、同じ感じを持ちました。私は東北で、東北はこういう事件がわりあいにないのでなかなか最初は理解しにくかったのですが、大東京から西の方に依然としてこういう問題があるのかなと思って心を痛めておるわけでありますが、これは七八年十月の第八十五臨時国会で三年延長が決まったとき、三項目の附帯決議をなされておるわけであります。その第三項に、同和問題に関する事件の増発状況にかんがみ、啓蒙啓発活動の積極的な充実を図ることを挙げられているんですが、政府委員の方に、最近の差別事件の概況について、年度別の件数なり、あるいは差別事件の内訳、たとえば結婚、就職差別、職場、教育、学園、地域などについて把握しておれば数字を教えてもらいたい、こう思うんですが。
#34
○政府委員(鈴木弘君) お答えいたします。
 同和関係事件受理件数を申し上げます。五十一年度から申しますと、五十一年が二百二十六件、五十二年が百四十五件、五十三年が百三十七件、五十四年が二百十四件、昨年、五十五年は百八十四件でございます。
 その内訳でございますが、最も多うございますのが、差別言辞言動、それから結婚に関するものがこれに次いでおります。以下順次、差別文書、それから差別落書き、それから就職に関するもの、近隣等交際に関するもの、このようになっております。
#35
○目黒今朝次郎君 この本の編集に当たって、法務省が扱った事件についても、これは七二年が四十一件であったものが、七六年から急増して、七六年あるいは七九年と、もう二、三倍倍に急増しているということについては、いま人権局長が言ったこと等をわれわれもつかんでおるんですが、結局、この法律ができて、啓蒙活動に努力するんだと、そういう附帯決議があったにもかかわらず、それがどういう作用をしたか知りませんが、むしろ件数がふえている、こういうことはやはり問題の深刻さをあらわしているんじゃなかろうか、こんな気がいたすわけであります。したがって、この法務省の扱った問題と、それから各地方自治体が扱った問題とにやっぱり件数のずれがあるわけですな。法務省は法務省として各現地の法務局を督励してやっているんでしょうけれども、地方自治体は地方自治体としていろいろな市民なり住民から訴えられた問題について、それなりにそれは取り扱っているわけですね。ですから、決して私は法務局がサボっているということでなくて、このすれ違いの数字が仮にあるとすれば、むしろ地方自治体で扱っているものの方がより実態の面では中身が濃い、こういうふうに理解したいと思うんですが、これはいかがでしょうか。
#36
○政府委員(鈴木弘君) お答えいたします。
 私どもの行います人権侵犯事件の調査、処理といいますのは、人権侵犯という観点から、おのずから、人権侵犯ということが人に与える言葉上の影響というのが相当強いものでございますので、やはり人権侵犯に当たるかどうかということはしぼって考えているわけでございます。したがいまして、私ども人権侵犯の疑いがあるというものにつきまして立件し、調査し、処理しておるわけでございます。ところが、地方公共団体の場合は特にそういう人権侵犯事件処理規程というようなものを持っておるわけじゃございませんので、差別に何かかかわりがあるかなという程度で差別事象として扱って、独自の立場からその責任を遂行しておる、こういうことでございますので、おのずからその目的とか要件とかいうようなものが違ってまいりますので、このような事件数の差が出ておるのじゃないかと思うわけでございます。
 ただ、私どもといたしましては、地方公共団体が扱っております差別事象というものの中にもやはり重大な人件侵犯事件があると思われますので、地方公共団体に対しましては、法務局で処理するのが適切だと思うものがあればどんどんとこちらへ回していただきたいということをかねがね申しております。そして、現にそのようにして回していただいて鋭意調査し、処理をしているという事件も多いわけでございます。また、地方公共団体で行います差別事象についての処理といいますものは、その地方公共団体のあるところにおる加害者、被害者、あるいはまた背景というようなものから考えまして、やはりこちらでやりますよりは地方公共団体に扱っていただく方がより適切な処理ができるのじゃないかと思われるものもあるわけでございます。そういうものは、私どもといたしましてそういう事件があるということは承知しながら、なお地方公共団体がなさることを見守っておると、こういうことでございます。ただ、いずれにいたしましても人権侵犯というのは非常に重大な問題でございますので、常にわが方とそれから地方公共団体とは協力してその事件の適切な処理を図っていっておる、今後もそういたしたいと、このように思うわけでございます。
#37
○目黒今朝次郎君 いま人権局長が言われたことについてはそれなりに私も理解します、制度の違いあるいは取り扱いの違いもあるから。ただ、いま保守、革新を問わず、各自治体に行きますと町民の部屋とか、苦情の窓口とか、そういう行政がわりあいに住民のサイドにきているわけですね。だから、手軽に町へ行って相談する、窓口へ行って。法務局の方はがんと構えているものだからなかなか入りにくい。これはその人の感覚にもよりますけれどもね。
 ただ、私、ここに持っている数字を見ますと、たとえば七十三年から七十六年まで群馬県法務局で扱ったのが十一件。ところが、この同和対策をやっておる推進本部が扱ったのは八十九件。それから和歌山は同じく法務局が十三件で対策委員会が扱ったのが二百七件。それから福岡は法務局が扱ったのが三十四件、対策委員会が扱ったのが百十二件と、法務局の扱った件数の割合は大体六分の一か七分の一程度。ですから、おたくの人権侵犯に係るまでにはいかなくても、その疑いのある、あるいは問題を抱えている件数がやっぱりおたくで扱った件数の六倍か七倍前後の、まあ疑わしいあるいは検討を要する案件が発生しているということがこの数字であらわれていると思うんですよ。
 あるいは、別な一九七九年、これも各市町村で扱った問題とおたくで扱った問題の一覧表が出ているのですが、ただ私は、東京都の扱ったのが十七件で法務局が扱ったのは七十一件と、これは逆なんですね、法務局の方が多い。大阪、京都を見ますと、京都は自治体が扱ったのが十二件で法務局の扱ったのは二十四件。それから大阪は自治体が扱ったのが七十七件で法務局の扱ったのは百四十二件、むしろこれは自治体よりも法務局の方が多い。これはやっぱりどういう関係でこうなのかなということを考えてみると、いろいろな要因があると思うのですが、これがちょっとわからないんです、実際に私も。こういう自治体が扱った件数よりも法務局が多いということについては、たとえば東京、大阪、京都などを例にした場合に、実際に事件がないのか、件数がないのか、この数字のことについては全国的な傾向と違うんですよ、これは。全国的な傾向は自治体が扱った方が多い、ところが東京と京都と大阪だけはおたくの方で扱った方が多い、このずれはどこに原因があるか、わかっておれば教えてもらいたいし、わからなければ後ほどでも結構ですから実態把握のために教えてもらいたいなと、こう思うのですが、いかがですか。
#38
○政府委員(鈴木弘君) お答えいたします。
 大変問題になりました地名総鑑という事件があるわけでございますが、これが発覚いたしまして、法務省の方におきましては、これは重大な人権侵犯事件であるという認識のもとに、鋭意購入企業等を掘り起こしてまいったわけでございます。そういう購入企業の所在場所あるいは発行場所というものがかかわってまいりまして実は東京、大阪というようなところに事件が多くなっておる。それからなおもう一つの原因は、落書き事件というのがやはり大きなところで起きている。こういうことで事件数が地方とは、若干いま申しました大都市がこのようなところとは違った様相を呈していると、こういうことでございます。
   〔主査退席、副主査着席〕
#39
○目黒今朝次郎君 逆に、広島は県が扱ったのが四百八十一件で法務局が十七件、これは顕著な例だけ言いますが、福岡県は地方自治体が百十五件で法務局が十件、これは逆に地方自治体の方が圧倒的に多いんです。これは法務局と地方自治体の関係でどんな関係があるんでしょうか、わかれば教えてもらいたい。
#40
○政府委員(鈴木弘君) その点は、先ほど申し上げましたように、地方自治体がわりあい広い概念のもとに差別事象というものを扱っておる、法務局の方といたしましては人権侵犯に当たるか当たらぬかということを考えて行っておりますので、その点から生じた事件の差ではないかと、このように思っております。
#41
○目黒今朝次郎君 そうすると大臣、こうやりとりしてみると、いろいろな面で地名総鑑とか落書きとか差別とかありますけれども、結局この案件は、先ほど冒頭申し上げたとおり、三年延長の問題をやっても年次別に数がふえている、政府なり地方自治体が一生懸命対応しておっても事件という案件がどんどんふえている、こういうことはまだまだ根の深いものがある。むしろ、あらわれてきているのは、この問題について一生懸命取り組んでいる地方自治体とかあるいは法務局の皆さんとか、そういう形の努力で出てきているけれども、やはりまだまだ奥深いものがある。見ようによっては、あらわれている問題は氷山の一角であってもっと根深いものが介在しているんだなと、こんなふうに私も考えるわけですが、大臣のこの問題の認識の仕方と今後の取り組みについてちょっと考えを聞かしてもらいたいと、こう思うのです。
#42
○国務大臣(奥野誠亮君) 私も、差別を根絶する、それには法務局が努力をしなければならない、同時に政府各省あらゆる角度からこの問題に取り組んでいく必要があると、こう思っておるわけでございます。特別措置法が存続する、なくなるという問題を離れて、あらゆる角度から長くそれぞれの機関が協力をして取り組んでいかなければならない課題だと、こう思っております。
#43
○目黒今朝次郎君 いま大臣が言ったとおり、各関係者の協力あるいは心の問題、忍耐強くと、こういう話があったんですが、ここに私は二つ三つ具体的な問題を提起して、ぜひお互いに考えてもみる必要があるだろうし、その意味でこれは毎日新聞の二月二十七日の記事なんですが、
   〔副主査退席、主査着席〕
毎日新聞の解説記事で、「悪質化する部落差別「同対法」の強化・改正を」と、これは毎日新聞の八木さんという方が書いておる生々しい取材ですが、大人がやることもさることながら、子供を使って落書きをさせて問題をせり上げていくということについては、もうきわめて悪質だというんですね。
 そして、ここに私も見せてもらったんですが、このいたいけな字を書きながら同和会館とかそういうところにこれをべたべた張って歩くというんですね、「月光仮面」なんということでね。これは原物です。(資料を示す)そうっと持ってきたんです。これはことしの三月七日、加島解放会館の正面にべたべた張ってあった現物ですよ。おまえらどっかへ行けと、部落民はもう日本に置いては邪魔者になると、あと、殺せとか、それからどっか収容所に全部入れろとか、国民の税金を使ってもったいないとか、そういう意味のことを子供に書かせて張って歩くというんです。この子供を使うというのは一番悪質なやり方だ。中学二年、三年、高校生までなかなかいかないですな、中学二年、三年。これも取り調べてみたら中学三年だそうです、これを書いた人は。書いた人もわかっていますが、子供を責めてもどうにもなりませんから。ただ、裏におってこういうことをさせる集団といいますか、それの方が私は問題だと思うんです。
 ですから、国が同和対策の特別法をつくって人権問題として差別をなくすんだということを懸命にやっておる、その国の政策に公然と対抗してこういうことをやっておる者に対する取り締まりといいますか、啓蒙といいますか、それを一体どうすればいいのかということについて、大臣なりあるいは刑事局長でも結構ですから、対応する方法があるのかどうか聞かしてもらいたいと、こう思うんです。もうやりっ放しと、やらせっ放しということになるのか、現行法では不備だからこういうことでそれをやはりなくす、取り締まる方法しかないとか、そういう法改正も含めてこういうものに対する対応の仕方を、単に大臣の心の問題だけでは解決できない悪質な問題を含んでいるのじゃないかと私は思うんですが、その対応の仕方をひとつ大臣と刑事局長と人権擁護局長の三人からおのおのの立場で答えてもらいたいなと、こう思うんです。
#44
○政府委員(鈴木弘君) まず、私から答えさせていただきます。
 おっしゃられましたような差別落書き事件というものが発生いたしましたことは、はなはだ遺憾でございます。はなはだ卑劣な汚い行為であると思っておるわけでございます。それで、私ども、ある差別落書き事件が発生しましたときに、直ちに現場で証拠保存をした上、その周辺に対する啓発活動――ビラ等を使って直ちに啓発活動を行いましたし、その落書きの行われました地区の地方公共団体におきましても同様な措置をやり、以後、法務局と地方公共団体と協力して、こういう事故の発生を防止するための方策あるいは啓発活動というものを行ってまいったわけでございますが、こういう差別事件の多くというのは、それを書いて張った者はなかなかわからない。しかし、これは非常に悪質なことであるので、何とかこれを捜し出して徹底的に啓発を行いたいというような観点から、警察本部長に対して告発をしたという事例もあるわけでございます。
 ただ、差別事件一般に関しまして、これは心の問題であるわけでございますので、一朝一夕に事が成るということはそう期待できません。ただ、そうかといって、早期解決のための何かの手を打てるんだったらそれをとりたいということでいろいろ規制措置等も考えてまいったわけでございますけれども、まあ表現の自由等あるいは法定手続の保障といったような憲法上の問題が絡みまして、なかなか合理的かつ有効な方策というものは見出しがたい。しかし、なお今後ともこれの検討を行ってまいるつもりでおります。
 これは、関係各省庁と共同して鋭意検討したいと、このように思っておるわけでございますが、ただ、先ほども少し触れましたが、差別事象というのは差別意識に基づくものだ、差別することが悪いということは知識では比較的わかりましても、意識の中でそれを解消していく、意識を解消していくということはなかなかむずかしい問題だと思われます。これに対する方策といたしましては、結局規制等ではなく、やはり啓発によってその意識をみずから変革してもらう、こういうことしかないわけでございます。つまり、啓発によって意識の変革を求めることが最も抜本的でかつ最も効果的な方法だと言わざるを得ないわけでございます。ただ、いささか迂遠だなというように思われるかもわかりませんが、しかし、いま申しましたとおり、これしかないんだということになりますので、いままでも鋭意啓発に努めてまいりましたが、今後ともなお積極的な粘り強い啓発活動を行ってまいりたいと、このように思っておるわけでございます。
#45
○政府委員(前田宏君) いわゆる差別事象をめぐります刑事事件でございますが、いま人権局長の方からお答えがありました一つの事件につきましては告発等もとられたようでございますが、棄損ということでございまして、名誉棄損罪は御案内のとおりいわゆる親告罪ということでございます。したがいまして、その事件の扱いでは、警察の方でいわゆる被害者に当たる方が告訴をするかどうかというような点も十分調査をしたようでございますけれども、むしろそういう意思はないというようなことで、結局告訴はないということになりますと、これはまあ刑事事件として処理ができないわけでございます。そのようなこともあるわけでございますけれども、刑事の問題といたしまして犯罪になるものにつきましては、従来からもそうでございますけれども、厳重に取り締まっていきたいと、かように考えております。
#46
○目黒今朝次郎君 これは、刑事局長、これも一つの各家庭に入れられた本物ですけど、これを見ると、表現の自由もいろいろありますが、たとえば一例を読みますとこういう文章があるんですよ。日本政府は直ちに軍隊を動員し、えた、非人階級の住む生江三丁目を武力をもって制圧して、そして彼らにあるものは死のみである。それで、後の方になると、言論の自由もあるけれども、殺せとか、壊滅せよとか、収容所に入れて毒ガスでやってしまえとか、こういうこと、そこまで表現の自由があるのだろうか。確かに刑事局長、告発は告発でありますが、こういう毒ガスで殺せとか、軍隊をもって銃殺せいとかいうことは、いかに憲法に表現の自由があったとしても、そこまでは許される問題じゃないではないかという気がするんです。
 そこのところを、やはりこういう証拠物件があるんですから、これらをこのまま放任しておくのか。今度こういう攻撃をかけられると、攻撃をかけられた方は、何言っている、やっちまえということになりかねない、これは。私も大分ストライキを指導して、短刀をここに突きつけられて殺すぞと言われたこともありました。私も兵隊で死んだ体だから、刺せるなら刺してみろと言ったら、さすがの暴力団も刺さなかったですが、短刀を突きつけて殺すぞというのは正当防衛以上じゃないですか、それと似かよった問題意識を持って対応する必要があるのではないか。
 だから、もう脅迫とか何かを含めて、あるいは殺人予備罪とか、そういうことなどについて、やっぱり余りにも度を超す言論の自由についてはそれなりの対応をしてやらないと、やっぱりエスカレートしちゃって大きな社会問題を引き起こすという根っこになってしまう、こう考えるんですが、現行法で不備ならば法改正も含めて、こういうのはやっぱりやり過ぎではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
#47
○政府委員(鈴木弘君) そんなような差別文書を貼付するということは、表現の自由というものにおのずから制約はございます。ただ、先ほど申し上げましたように、私ども何らかいい方法はないものかと思って検討しておるわけでございますし、他の関係省庁と共同して検討を続けてまいりたい、このように思っておるわけでございます。
 ただ、私が申し上げたいのは、規制をするということですべてが片がつくというものではないと思っておるわけでございます。規制をすることによってかえって差別が潜在化し陰湿化するということもございます。また反面、規制、これは権力行為でもあるわけでございますが、それによってはどうしようもないところも啓発によっては好結果を生むということでございます。たとえば結婚でございますが、結婚というのは権力作用によっては絶対にどうすることもできないわけでございます。しかし、これは啓発によって成し得るところでございます。あるいは就職、これも同和問題を解決する上におきまして非常に重要なことでございますが、この就職というものも権力によって円満に解決し得るということはむずかしいわけでございます。やはり企業者を説得して納得さした上、円満に就職させる、これが本当の解決ではなかろうかと思っておるわけであります。こういうことを啓発がなし得るわけでございますので、やはり私どもといたしましては、結局は啓発だ、このように心得まして啓発活動をやってまいりたい、このように思っておるわけでございます。
 なお、法改正のことをおっしゃっておられるわけでございますが、この点については、同和施策の今後の方向、内容をどうするか、それについて法をどのようにするかというようなことにつきましては、目下総理府を中心といたしまして鋭意検討しておるところでございます。そうでございますので、ただいまのところ法務省としてこれについての見解を申し上げることができない、こういう現状にあるわけでございます。
#48
○目黒今朝次郎君 本質的には啓蒙の問題とかあるいは大臣の言う心の問題とかということは私もわからないわけじゃないですよ。わからないわけじゃないですが、刑事局長が頭をかしげておったり、先ほど告発上の問題について若干触れられた点もありますが、あめとむちというわけじゃありませんが、あめの方はいま人権擁護局長が切々と心の問題、啓蒙の問題だと、それが根本の解決だと、それは差別問題の背景としてわからないわけじゃないんです。でも、やっぱり場合によっては強力な警告をするとか、あるいはこういうものをつくっておる背後にある方々、そういう方々をやはりある程度捜査をして、調べて、そういうことはよくないことだということで、人権擁護局長の言うことも含めて、たまにはおきゅうを据えることもやらないと、だんだん別な面でエスカレートしてしまうということを私は心配しているんです。
 ですから、いまここで、各地区地区で、たとえば大阪はどう、京都はどう、あるいは栃木がどうということにはなりませんから、そのあめとむちという表現は悪うございますが、やっぱりその辺のことについても場合によっては強力な手段を講ずることも含めて、いま総理府で検討されておるらしいのでございますから、その中で十分に私の意図するところについてもくみ取ってもらえれば幸いだな。しかし、相手にも人権がありますから、その辺の調和はむずかしいと思うんですが、こういうことは一日も早くなくすように、総理府の段階で十分私の言ったことも生かされるように検討の一つの課題として取り組んでもらいたい、こんなふうに思うんですが、刑事局長いかがですか。
#49
○政府委員(前田宏君) 先ほどもお答えいたしましたように、刑事事件になるものにつきましては従来からもやっておるところでございますし、今後も努力するということでございますが、まあ限界というものもございますので、関係当局とも十分連絡をとって善処したいと思います。
#50
○目黒今朝次郎君 よろしくお願いします。
 それから愛知県連の投書があるんですが、これも私ら考えられないことが書いてあるんですが、部落の人の男と女の仕事の使いわけだね。男は犬殺し、それから隠坊――隠坊というのは私は東北だから何だかわからないが、それから人ぶんのくみ取り、それからバタヤ、ごみとり、その辺を同和関係の男の仕事に限定せいと。女はトルコ、お酌、病院の検査のモルモット、それから警察が決める仕事以外は就労してはならない、女はそういうふうにしてしまえと。男はさっきのようにバタヤその他だと、くみ取りだと。ここで重労働をさせておけ、こういう意味の投書なんですよ。日本政府は早くそういう法律をつくれ、同和対策なんかもってのほかだと、こういう意味のこれは投書なんです。大臣、これ見てどう考えますかね。これは憲法上のいろいろな点から見ても、憲法の法務大臣と言われる大臣から見れば、これは人権侵害も差別もはなはだしいと、こう思うんですが、こういうことはあってはならないと思うんですが、啓蒙のことも含めて大臣の感想なり考えをお聞きしたいと、こう思うんですが、いかがですか。
#51
○国務大臣(奥野誠亮君) 解放令が出ましたのは明治四年でございますからもう百十年もたっておるわけでございます。したがいまして、本来差別意識なんてなくなっていなければならない。また、先ほど来例に挙げられました大変激越な文言による投書、落書き、これは私は、最近の事象じゃないだろうかなと、こんな感じがしているんです。しばらく前まではそこまで厳しい落書きは見られなかったんじゃないかなと、こう思っているんです。そうしますと、なぜ最近になってからこんな激しい落書きが行われるようになったのか、これはやっぱりみんなで考えていかなければならない。人権というものは、自分の人権だけを主張するんじゃなくて相手の人権も尊重する、人権の共存で初めて人権が守られる社会になっていくわけでございますので、やはり原因を究明しながら解決策を工夫していく必要があるなと、こう思っておるわけであります。
 別に何にも変わったところもございませんのに、ただ、百十年以上前までは身分差を設けられておったわけでございますので、今日その名残をとどめておるわけでございますけれども、百十年たって、最近になってまたこんな激しい言葉が使われるようになった。何が原因なのかということも見きわめながら、みんなで対処していく。省が扱っておりますのは、先ほど来おっしゃいますように啓蒙でありますとか心の問題としてどう対処するか、人権擁護の立場ではございますけれども、それだけではなしに、政府それぞれの分野で努力しなければならない課題がたくさんあるわけございますので、これは真剣に取り組んでいく必要の生じている課題になっていると、こう思っております。
#52
○目黒今朝次郎君 この手紙は五十六年の二月十八日の投函なんです、一番新しいんですよ。だから、いま大臣が言ったとおり、最近の落書きの中身というのは非常に悪質化している。そうしてこの字を見ますと、本当にこれは子供たちの字ですよ、さっき言った中学三年前後。私は中学三年前後の子供たちがこんな発想を持つとは思わないですよ。この背景におって子供たちを操っておるやはり一つの集団がいると、私はそう見ているんです。やっぱりその集団は何なのかということを究明して、いまの段階では矯正の方法がないから、人権局長の言うとおり啓蒙というか――しかし、これも時代がどんどん右傾化というと、また大臣の心にさわるかもしれませんが、この世代が変わっているということと私は無関係ではないではないか、そんな気もするんです。その辺は大臣どうですか。
 この世の中、ずっと七〇年後半から八〇年代につれて自民党さんの方も力を持って、教科書から何からどんどんやられているんですが、われわれ社会党や野党は押されぎみなんですが、これは力関係でしょうがありませんが、その政治の力関係とかかわり合いはないでしょうか、あるいはあると見ているんですか。大臣の高度な判断を聞かしてもらいたい、こう思うんですが、いかですか。
#53
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、いまおっしゃった社会風潮とは無縁のものではないかなと思っております。やはり何といいましても、百十年、この歴史の重み、だんだん解消してきたと思うんです。それが最近になってこんな激越な事象が出てきた。これはやっぱり同和問題に対する取り組み方ももう一遍検討し直していいんじゃないかと、こう思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、そういう悪質な落書きをした人、私はやっぱり犯人を見つけ出すべきだ、そしてそれなりに必要な啓蒙をしていくべきだと、こう思います。それがこういう問題をなくしていく早道の一つだと、こうも思うわけでございます。やはり原因を究明する、それは単なる社会風潮の問題じゃなくて、同和問題に対する取り組み方をやっぱりみんなで考えていく点があるんじゃないだろうかなと、こうも思っているところでございます。
#54
○目黒今朝次郎君 まあ私もぜひそうあってほしいと思うんですね。
 それで、原因探求するこれは一つのおもしろい例ですが、ことしです、二月五日毎日新聞の記事を私は見たんですが、「差別図書売りつけ、今度は「買ったことばらす」と脅す」と、まあ簡単に言えば地名総鑑、地名総鑑をある会社が注文をするんですね。そうすると、そのAという会社が注文したことを察知して、別なBという金もうけを考えるおっさんがおりまして、そのBというおっさんがAという会社に行って、おまえのところで地名総鑑を申し込んだろうと、いま部落解放同盟が地名総鑑の摘発行動をやっているから、おまえの店が注文したということを部落解放同盟におれは密告をするぞ、密告するとおまえの会社はもうつるし上げを食うぞ、どうだと。そんなつるし上げがいやならばおれに二十万円出せ、二十万円出せばおれは密告しないと、そう言って二十万取って、ちゃんとこれは領収書を出しているやつがいるんですよ。まあやっぱり世の中には金もうけもいるんですね、こういう悪質なやつがいる。これは会社はチトセ株式会社です。大阪市何のたれべえとちゃんと百円の収入印紙まで張ってR・K・Cという略号を使っている。これはある特定の人間です。これをどうも専門にやっているらしいんです。
 これは刑事局長、何になるんですかね、こういうのは。脅迫か詐欺か、全然あれに引っかからないんですかね、これ。まあ金もうけのからくりでこういう世渡りもあると、この地名総鑑のおかげで。これは何とか取り締まる方法がないんですか、放任するしかないんですか。これは人権と刑事の両方から聞きたいんです。これはいま大臣が言われたその背景をつかむという意味ではやっぱり一つの手がかりだと思うんですよ、こういう領収書まで出しているんですから。
#55
○政府委員(鈴木弘君) お答えいたします。
 お尋ねのように、地名総鑑の購入企業のうちの一社が、ある男から、同企業が地名総鑑を購入した際の購入申込書でございますが、これを買い取るよう求められて二十万円で買ったということは大阪法務局が調査して承知いたしております。これは大阪法務局がいわゆる地名総鑑の購入事実について調査しております間に関係者の供述から判明したわけでございますが、大阪法務局ではそれは恐喝罪に当たるのじゃないかと、いや当たる疑いがあるのじゃないかと考えまして、おっしゃいました企業に対し警察に告訴する等の措置をとってはどうかということを助言したわけでございますが、どういうわけか、その企業は購入申込書の買い取りに際して脅迫されたことはないんだと、あるいは買い取りは自分の方で任意に行ったもので脅迫されたのじゃないんだというふうなことを強く主張して、警察に言っていくことを拒絶しておるわけでございます。
 このような事情でございますので、この買い取り事実が恐喝罪等の犯罪に当たるかどうかにわかに判断できないというのが現状でございまして、事柄は刑事事件になるか否かの問題でございますので、人権擁護機関がこれ以上この問題について深入りして調査することは差し控えるのが相当だと、このように思っておるわけでございます。まあ告発というようなこともありますが、これもいま申し上げましたように、本人の方が二十万は払ったと、しかし、おどされたのじゃないのだというようなことを言っておりますので、警察に捜査をお願いするかどうかということはやはり被害者本人の意向に任せるのが妥当じゃないかということ、そのように考えておるわけでございます。
#56
○目黒今朝次郎君 だから、いまの人権擁護局長の答弁は、被害者の方もこれ以上事件を大きくしたくない、問題を大きくしたくない。東北流で言えばそっとしておきたいと、そういう気持ちがいま人権擁護局長の答弁でそれなりにわかると思うんですよ。しかし刑事局長、本人、会社から被害届がないから云々という現在の法体系上の取り扱いも私はそれなりに理解いたします。しかし、こういう事件があったということは十分肝に銘じて、これが蔓延したりあるいは地下潜行でいくというようなことになりますと、やっぱり私は中身が悪質なだけに放任できない問題だと、こう思いますから、ここで刑事局長の直接の答弁を求めませんが、こういう例があるんだということを十分に意にとめておいて、今後の対応策に万全を期するよう、これは要望しておきます。これは要望です。
 それから、昨年の十月二十一日、衆議院の社労委員会でこの同和問題を議論された際に、労働大臣は、就職差別や結婚差別などを禁止している法的根拠は、国や国民の同和問題に対する責務を規定した特別措置法三条、四条であると、それしかないと。したがって、差別禁止を解消するためには、この特別措置法を引き続き現行法の不備を補強しながら強化させる必要があるということを藤尾労働大臣が答弁しているんですが、この藤尾労働大臣の衆議院社労における答弁と、法務大臣、いままでの議論を聞いて、やはり特別措置法に関する基本的な考え方について、労働大臣と同じ見解かどうか、大臣の見解を聞きたいと、こう思うんですが、いかがですか。
#57
○国務大臣(奥野誠亮君) 同和対策事業を強力に推し進めていくという点については、その重要性を人一倍強く感じているものでございます。同和対策事業特別措置法があろうとなかろうとその中身は積極的に推進していかなければならない、大事なことだと、こう考えております。真に人権が共存されるようなだれにも住みよい社会にしていく、文化国家にふさわしい社会の実態をつくり上げていくということは非常に大事なことだと、こう思っております。
#58
○目黒今朝次郎君 すると、基本的には藤尾労働大臣と同じ見解で、差別の解消のためにこの特別措置法も含めて最大の努力をしていくと、そういう見解だというふうに受けとめていいわけですね。じゃ、そのように受けとめておきます。
 それから国際人権規約ができて、プライバシー問題の法的措置、差別敵対運動を禁止する人権関係の国内法、そういう点で考えると、この特別措置法も国際人権規約の一翼を担うものだと、このように私も理解をするわけでありますが、この人権規約の問題については私たちもずいぶん国会で議論をして、法の不備の点もあるけれども、とりあえず批准をして、漸次矛盾するものあるいは不備のあるものについては政府の方で検討して法制化していくと、こういう当時の労働大臣、外務大臣の記録も私も記憶しておるところでありますが、たまたま今回は参議院の予算委員会の総括質問で、わが党の小野明委員の質問に対して、支障を来さない、そういう方向で改正努力していくと、こういう意味の総理答弁があっていますが、その総理答弁は、この国際人権規約を批准した当時の問題の延長線上に特別措置法も置くと、そうして強化発展さして差別をなくす、国際人権規約に対応する国内法を整備するんだと、そういうふうにこの小野発言に対する総理答弁を受け取っていいかどうか。この点についても、まあだめ押しになって申しわけありませんが、大臣の見解を聞きたいと、こう思うんです。
#59
○国務大臣(奥野誠亮君) 立法問題は、内閣に設けられました同和対策事業の審議会、これが答申の中に盛り込んだわけでございます。それから立法措置をとることの是非をめぐりまして三年かかっているわけでございます。そして、関係者から時限立法でいいんだと、思い切ってその間に事業をやって、あとはさっとやめてしまえば差別を肯定したようなかっこうにならないと、寝ている子を起こすという意見があるけれども、時限立法でそういう法律をつくり、その間一生懸命にやってあとはもうさっとやめてしまいたいんだと、こういう根強い意見がございます。経過的には立法措置がとられて十年たち、また三年延長ということになったわけでございます。この差別を根絶するためには法律をつくることがいいか、法律をつくらないで進めていくことがいいか、やっぱり重要な私は課題だと思うんであります。そういう意味合いを込めて、総理は八月いっぱいかかって結論を出したいと、こう言っておられるわけでございますので、私はやはりみんなでどういう方法で進むことが差別を根絶するのに一番よい方法であるかよく考えていくべきじゃないだろうかなと、こう思っているわけであります。延長ときめつけてしまわないで、八月いっぱいに総理は結論を出したいと、こう言っておられるわけでございますので、内閣の一員としてやっぱりそういう方向で考えていきたいと、こう申し上げたいと思います。
#60
○目黒今朝次郎君 やっぱり措置法の強化、改正も含めて支障を来さないように努力していきたいと、そのように法務大臣も理解すると、そのように受け取っていいと思います。
 それから昨年大阪で第二十八回全国人権擁護委員連合会大会が開かれまして、ここでも同和問題の諸施策の積極的推進と、こういうことの決議をされたことは大臣御存じだと思うんでありますが、同時に、佐藤全人連会長ですね、この方も同和地区に、現地に赴いて、はだで感じて、このことの必要性を再度認識したという大阪談話も発表されている。こういう人権擁護の方々の連合会の決議とこの佐藤会長のとった行動について大臣はどんな考えを持っておられますか。
#61
○国務大臣(奥野誠亮君) 佐藤会長は、部落差別問題の根絶、それに大変な熱意を持っていらっしゃいます。私もかなり長い時間佐藤さんと話し合いをして、どうしたらいいんだろうかなというふうなことをお互いに議論し合ったこともあるわけでございます。人権擁護委員連合会の会長として佐藤さんは熱意を持っていただいている。ぜひこの熱意を具体的な行動にして問題の前進に私たちも全力を挙げたいなと、こう思っておるわけでございます。佐藤会長が持っていただいております熱意に私も深く感謝申し上げているところでございます。
#62
○目黒今朝次郎君 それで、ちょっとお願いがあるんですが、やっぱり大臣もいろいろ日程で忙しい点もあるでしょうけれども、佐藤会長も現地を見ていらっしゃると、そういうこともありますし、これは昭和五十四年の十月に当時の古井法相がやっぱり現地を見ていらっしゃるわけですね。ですから、奥野法務大臣もできれば機会を見て、先ほどの総理大臣の国会答弁を具現する意味においても、やっぱり機会を見たら現地を訪れて生の声を聞きあるいははだで感じ、あるいはその背景にあるものについてもみずからの体で体験をする、そういう努力をしてもらいたいと、こう思うんですが、大臣の考えをお答え願いたいと、こう思うんです。
#63
○国務大臣(奥野誠亮君) 私の選挙区にもたくさん部落がございますし、しょっちゅうそういうところへ行って皆さん方とも懇談をしておるわけでございまして、よく知っているつもりでございますけれども、なおまた役に立つことなら出かけていくこと、少しもやぶさかでございません。積極的にこういう部落差別の根絶に努力していきたいと思います。
#64
○目黒今朝次郎君 どうぞよろしくお願いいたします。
 それから、時間が来ましたが、部落地名総鑑の問題、大分私も何回か法務委員会、予算委員会でもやったんですが、人権擁護局長、田中靖造さんとかいろいろなこの資料をつくった方あるいはその販売に携わった方、こういう方々について調査をしたり回収をしたりそれなりの努力をされておることについては感謝を申し上げるんですが、一番肝心かなめのこれをつくった本人、たとえば田中さんなら田中さんがなかなかおたくの調査に、本当の意味の調査について協力しない、こう聞いているんですが、あるいはその他の差別資料についても発行者がなかなか協力しないということも聞くのですが、これはなぜ協力しないんでしょうか、あるいは協力しているんですか。その辺をちょっと聞かしてもらいたいと思うんです。
#65
○政府委員(鈴木弘君) お答えいたします。
 いわゆる地名総鑑の刊行発売を行っておる者のうちのほとんどが電話一本、机一個のいわゆる一卓屋でございまして、中には暴力団とのつながりを誇示するような者がおりまして、簡単に行方をくらましたり、あるいは調査を開始したりいたしましてもかたくなに調査を拒否している、物を言わない、あるいは中には死亡した者もおるというようなことでございまして、発行者についての調査は非常に難渋しておるわけでございます。私どもの行います調査というのは任意調査で、強制調査権は持っておるわけではございません。相手方の協力を得て調査を行っていくというものでございますので、その点、粘り強くやらなければなかなか口を割らすことができないというようなことでございます。そういうようなことで、法務局の職員といたしましては繰り返し繰り返し発行者について調査し説得しながら吐かそうとしておるわけでございますが、いまだにかたくなに調査を拒否しておるのが実情でございます。しかし、私どもといたしましても、もとよりそのまま放置するわけではございません。いままで以上により積極的に発行者を追及していきたい、このように思っておるわけでございます。
#66
○目黒今朝次郎君 大臣、これは「時事日本」という新聞です。「誰が企業をそうさせたか 「地名総鑑」なぜ悪い」、五十五年の十一月七日の新聞です。これを見ると、まるでいまの政府の同和対策に真っ向から挑戦しているんですよ。だから、やっぱり大臣、その背景が必要だということね、いま人権擁護局長が言ったとおり、田中さんとかとわかっておっても、暴力団とのつながりを持っておって逃げて歩く、一面ではこういうローカル新聞を使って真っ正面から政府に攻撃をかけている。この辺あたりがやっぱりこのままでは一いま、人権上しないという、強制力もない、強制権もない、忍耐強く心の問題としてやるしかないんだと、そういうふうに繰り返し繰り返しやっている気持ちはわかりますが、またここで、刑事局長いるけれども、言論の自由の問題が絡んでくると困るんですが、やはりこういうときには法務省なり政府がみずから出かけていって、この「時事日本」をやっている編集者あるいは記者の方々、そういう方々と現地でひざを交えて、問題の認識、心の転換というか、意識の転換といいますか、こういうものを地方の法務局で発見したならば、直ちにそれに対応して軌道修正をさせていく、理解を求めていくそういう努力、暴力団とつながっていますからこれは刑事局なり捜査の皆さんにも協力を願う必要があると思っておりますが、総合的にこういうものに対応する必要が、一つ一つ根気強くとらえていく必要がある、こう思うんですが、大臣の見解はいかがですか。
#67
○国務大臣(奥野誠亮君) おっしゃいますように、いろいろな問題の起こります都度、その根底をなすものが何であるか、その間に差別意識があるとするならばそれの啓蒙に最善を尽くさなければなりませんし、そういう機会あるごとに同和問題を前進させるための力をわれわれ得る努力をしていきたいものだとこう思います。いまの点につきましてもよく検討させていただきたいと思います。
#68
○目黒今朝次郎君 では、同和問題をいろいろな角度からお話し申し上げましたが、同和特別措置法の改正強化も含めて、いま総理府でやっている作業などについては、いままで幾つかの点を具体的に提起をしたわけでありますが、それについて最大の努力をしてもらうということを最後に締めくくりとして大臣に要望しておきます。
 時間が参りましたから、先ほどの公安三課の方が見えたそうでありますから、質問の内容は連絡してありますか、お答え願いたいと思うのです。
#69
○説明員(吉野準君) 私が伺っております質問の内容は、いわゆる小谷事件におきまして当庁の大波多審議官が答弁した内容と先日鈴木警備局長が答弁した内容に違いがあるがどうしてかと、こういうふうに伺っております。確かに、議事録を拝見しますと違いがあるようでございます。
 事実関係をまず申し上げますと、この日、九月二十二日午前九時四十五分ごろ、問題の駐車場で放置されておった車を警察官が発見したわけでありますが、このときにこの車に取りつけられてあったナンバー、これは熊谷ナンバーでございますが、真正のナンバーでございました。それで中を見ましたところが、この中に鉄パイプ等とまじって偽造ナンバー、品川ナンバーでございますけれども、これが二枚こう、まくれたような形でもって放置されておったわけでございます。
 これから後は推定でございますが、恐らく犯人は犯行時にこの偽造ナンバーを本ナンバーの上に前後に取りつけましてそれで犯行に及んで、恐らく、それを目撃されているかもしれないので、逃走途中あるいはこの駐車場に至ってこの偽造ナンバーを外してそれで荷台に放置したというふうに推定しておるわけでございます。
 事実はこういうことでございまして、そういう意味におきまして鈴木局長の答弁の方が正確なんでございますが、大波多審議官の方としましては、こういう複雑な事実関係でございますので、偽造ナンバーを取りつけておる不審車両を発見いたしましたと答弁したのは、若干言葉足らずの点があったというふうに考えております。
#70
○目黒今朝次郎君 そうすると、結局私の質問に答えたのが正答な答えであって、法務委員会で寺田委員に答弁したのには若干欠落があったと、そういうことですか。
#71
○説明員(吉野準君) そういうことでございます。
#72
○目黒今朝次郎君 そうすると、おたくの推定では、犯行時には偽造ナンバーを熊谷ナンバーの上につけて、それで逃亡の途中にそれをすりかえて、駐車場に置くときは真正ナンバーにすりかえておって偽造ナンバーを車の中にほうっておいたと、こういう推定をしておるわけですな。
#73
○説明員(吉野準君) そのとおりでございます。
#74
○目黒今朝次郎君 時間がありませんからこれ以上私は追及しませんが、本来なら国会の答弁というのは同じ事象について全然食い違った答弁というのはあり得ないし、事件が事件だけに初歩の段階で大変だなと思って注意したんですから、今後、そういう推定で答弁しないで、やっぱり事実関係を明らかにして答弁をしてもらいたい。本日はこの問題はそれ以上追及いたしません。
 それから、先ほど要望したとおり、本人はもう治って退院していま執務しています。ですから、当時の状況等についても素直に事情聴取に応じているわけでありますから、犯人逮捕のために事情聴取なり、必要があればさらに努力してもらいたいし、同時にまた、証拠物件を取っておるそうですから、証拠物件等についても本人に見せればさらに記憶がよみがえってくると、こう思うんで、白昼堂々と動労本部へ通じる小道のところでやられた挑発ですから、私も動労の組合員の一員として、あるいは全国およそ三百名の動労議員団の団長としても、これはわれわれに対する挑戦だと、こう受けとめておりますから、慎重の上にも的確に犯人を検挙されるよう要請して、これ以上追及しません。要望だけしておきます。
 以上、終わります。
#75
○主査(平井卓志君) 以上をもって目黒今朝次郎君の質疑は終了いたしました。
 次に、藤原房雄君の質疑を行います。藤原房雄君。
#76
○藤原房雄君 本日は予算委員会の分科会ということでございます。限られた時間でございますので、一、二点につきまして、当面する法務省に関係する問題につきましてお尋ねを申し上げたいと思うのであります。
 最初に、来年度の予算に関連いたしまして、時間もございませんから、個々に一つ一つお尋ねする時間もありません。多方面にわたりまして複雑化する社会の中で、司法、法務行政の中でどれが比重が高いとか低いとかという、そういう判断はなかなかむずかしいことだと思うんでありますが、私は、本日、社会の大きな変化の中で非常に関心を持っております登記事務の問題、また、青少年の問題につきましてお尋ねをするわけであります。
 予算書の中にも、来年度新規職員三百五十二名、振替等合わせて、ということであるわけでありますが、その中で増員内容について、登記事件、国の利害に関係する争訟事件及び人権侵犯事件に対処するため法務事務官百六十二名、それから四番目の、非行青少年対策を充実するために少年鑑別所教官七名、保護観察官十四名増員ということになっておるわけであります。しかし、これは五十四年の閣議決定に基づきまして定員管理計画の実施によります定員削減分三百六十六名減員ということになりますと、実質的には、この法務事務官、そして少年鑑別所教官、保護観察官、実質的にはこの増減についてはどのようになるのか、最初にお尋ねをいたしたいと思うのであります。
#77
○政府委員(中島一郎君) 法務局関係で申し上げますと、純増五十一名でございます。
#78
○政府委員(河上和雄君) 法務省全体といたしましては、純増七名ということになっております。
#79
○藤原房雄君 七名は知っているんだけれども、少年鑑別所教官とか保護観察官、これについては増減はないんですか。また、登記事務ということだけには、これだけ取り上げてはできないのかもしれませんが、わかればこの担当する事務官はどうかということで。
#80
○政府委員(谷川輝君) お答え申し上げます。
 保護関係、保護観察官十四名の増員という点につきましては、削減計画によりまして十四名の減員措置が講じられるという予定でございますので、ゼロということになります。
#81
○政府委員(中島一郎君) 登記事務従事職員の関係で申し上げますと、増員は四十八名ということになります。そのうち二十一名は部門間配置転換による増員ということになります。
#82
○藤原房雄君 法務.委員会のときにもいろいろ申し上げたんでありますが、これからの社会の動きの中でやはり注視をしなけりゃならないこととしてぜひこれは対処を、今後最大の関心を持ち、そしてまた注視をしなきゃならぬということで申し上げるわけでありますが、これは行政管理庁が行政相談週間という、去年の十月十二日−十八日の間行いました管区行政監察局、地方行政監察局が開設した一日合同行政相談所で受け付けた分の集計したのがあるわけでありますが、行政サービスに対する苦情件数、これを見ますと、国、都道府県、市町村、特殊法人、こういう機関名の中で、苦情の内容等について、ある限られた日にちの中のことではございますが、一応苦情内容とかそのほかについてのことが出ておるわけですが、全体一〇〇%の中で一番件数の多かったのは社会保険事務所、これは一〇・三%というふうに出ておるわけであります。また、市町村の窓口につきましてもずいぶん大きな要望が寄せられておりますが、国といたしましては法務局の関係がやっぱり八%ということで、国全体の行政サービスの苦情問題ではパーセントが多いというのが現状であります。
 それで、これは登記事務に大体集約されるのだろうと思うんであります。このことについては昨年の法務委員会におきましてもいろいろ私も視察をしたことを中心といたしましてお話し申し上げ、また大臣も御努力なさいまして、このための予算措置や今後のことについてもいろいろ御努力なさっていることは私はそれなりに評価をいたすわけでありますが、しかし、これは現時点でどうするという当面する課題だけではございませんで、やっぱり長期的にも、今後の日本の国の住宅行政ということから言いましても非常に大きな課題であり、長期的に真剣に取り組まなければならない大事なことだと思うのであります。
 こういうことから二、三お尋ねを申し上げるわけでございますが、最近数年間の甲号事件、乙号事件等についての事務量、こういうものの推移、これをちょっとひとつお尋ねしたいと思います。
#83
○政府委員(中島一郎君) 登記事件は、昭和四十八年ごろをピークといたしまして、その後甲号事件につきましては若干鎮静と申しましょうか横ばい、むしろ若干減少という傾向にあったわけでありますけれども、五十一年ごろからまた増加をいたしておりまして、現在やや上向きの、増加ということになります。乙号事件の方は、これは年々増加の一途をたどっておるわけでありまして、甲号事件、乙号事件全部換算をいたしまして登記事務量全般ということになりますと、昭和四十五年を百といたしまして、五十四年の事務量は約一・九二倍ということになっております。
#84
○藤原房雄君 甲号事件では一・一六倍、それから乙号事件は二倍ですね、そういう事務量が非常にふえておると。それと、その専務に携わる登記従事事務の職員の数の問題は、これはこの十年間どういうように推移していらっしゃるか、それを対比してちょっとお話しいただきたいと思います。
#85
○政府委員(中島一郎君) 登記事務従事職員の増加は、四十五年から五十四年までの十年間で約一・一四倍という増加にとどまっております。
#86
○藤原房雄君 こういう現象については、法務省でも何とか対策を講じなきゃならぬということで今日までもそれなりの対処をしてきたことについては、私どももよく理解をいたしておるわけでありますが、しかし、こういう住宅政策の大きな推進、これは時代の流れの中で権利義務の最も基本になります登記事務ということで、これはもうこれからもふえても減ることは絶対ないわけであります。
 こういう中で、いままでの国の窓口業務の中で非常に時間がかかり過ぎる、それでなかなか自分たちの要求するものがすぐできないということで、いろいろなまたトラブルが起きておるようであります。こういうことを考え合わせますと、定員削減という大きな大枠の中でこの事務量が増大する、これをどう処理していくかという非常にむずかしい問題がここに出てくるわけでありますが、こういうことでやっぱり法務省としましても、担当官庁としまして当面する課題としてはどうするかということと、また、長期的には今後の機械化とか能率化とかというものともあわせてどのように取り組んでいこうとお考えになっていらっしゃるのか、この辺のひとつ基本的な考え方、大臣、お答えいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
#87
○国務大臣(奥野誠亮君) おっしゃいましたように、仕事のやり方を合理化していって、事務がふえたからすぐ増員ということにならないように最善の努力をしていかなければならないと思います。しかし、そうしましても賄えない分は増員もまた必要になってくるということでございます。
 具体的なやり方につきましては、民事局長の方からお答えさせていただきたいと思います。
#88
○政府委員(中島一郎君) 登記事務を適正にかつ迅速に処理をいたしますためには、私どもといたしましては事務量の増加に見合う増員というものを獲得いたしまして対処いたしたいわけでありますけれども、現在の厳しい財政状況にかんがみまして増員に多くを期待することはできないという現状でございますので、増員要求とあわせまして事務の合理化、機械化、さらには謄抄本作成業務の一部を部外に委託をするというような方法をいろいろ工夫いたしまして対処をいたしてきておるようなわけでございます。今後ともそういったあらゆる方法をあわせ用いまして、登記事務の適正迅速な処理に努力をしてまいりたいと考えております。
#89
○藤原房雄君 いま御答弁なさった範囲内については、いままで法務委員会等においてもお聞きはしておるんですが、やっぱり何年計画とか、こういう登記事務――マンションなんというのは一月や二月ですぐ建つわけではございませんし、大きな団地造成というものは簡単にできるわけじゃございませんで、それなりの事前の計画があり、そしてまた許認可もあり、そして建設されるわけでありますし、また国の住宅政策として、住宅のどのぐらいの建設がなされるかということもあるわけでありますから、それに伴って当然住宅政策とともにこの登記事務というのはもう付随して出てくるわけでありますから、国のそういう政策に即応して登記事務に対しても何年計画といいますか、そういう一つの計画性の中であるいは処理できるのかどうか、どこまでこれは可能なのか。こういうことも具体的にはいろいろ御検討なさっているんではないかと思うんですけれども、その辺どうですか。
#90
○政府委員(中島一郎君) 現在の登記事務の実情を分析いたしまして、各登記所ごとにどれだけの人員が不足をしておるかというようなものを試算いたしまして、それを積み上げまして、法務局全体での不足人員と申しますか、そういうものを計算をして増員要求をするということになっておりますけれども、現在の財政状態のもとにおきまして、要求額が制限をされておりますので、その限度いっぱいの増員要求をしておるというような状況でございます。
#91
○藤原房雄君 そのために一つの機械化、合理化ということが言われるわけですが、私も現場をそんなにたくさん見たわけじゃありませんけれども、やっぱり旧式な機械で非常に能率が上がっていないという感じのところもあるようですね。そういうことで、今後のまあ人員増だけいまお話ありましたけれども、これはもうこういう大枠の中でそんな要求されるだけの人員がふえるわけはないと言えば語弊があるかもしれませんが、望み得ないことでありますから、機械化の推進ということでどのぐらいできるのかということで、それはそういうことについてはいろいろ検討はできるんじゃないかと思いますね。
 それともう一つは、いまお話ありました、部外に委託するという形がとられておるようでありますけれども、事務量がふえる、そのふえた分はどんどん部外者に委託をするということになりますと、これは各官庁それぞれいろいろ苦労して、仕事量の増大、それをどうさばくかということでこういう形がとられておるところが多いようなんですけれども、これはこちらの下請業務の方がだんだん大きくなる。いま法務局では民事法務協会職員ですか、こういう形のものがあるようですが、こういうものがだんだん増大していくということになりますと、こういう登記事務というのはこれからふえても減ることはないだろうと思いますが、やはり委託をどんどん安易にするということになると、将来にまた必ず禍根を残す問題が起きることになる。こういうことの中で、できるだけの内部努力というものが必要であることは私がくどくど申し上げるまでもないことだと思うのです。
 こういういままでの社会の一つの住宅政策そのほかの推進の中で、この登記事務というものについて、どこまで、どのぐらいのものが予測されて仕事量がふえるのか、それに対してどのぐらいの陣容でこれはできるのか、どのぐらいのものは委託として部外者に委託しなきゃならぬ、機械化と合理化によってまたそれがどこまで進むのか。これは一人庁、二人庁、小さいところが非常に多いということで、機械を入れたからといって簡単にこれは合理化が進むということではないのかもしれませんけれども、最大限やっぱり法務省としてのこういう将来展望に立った計画性というか、こういうものについては相当真剣な御検討をいただきませんと、この先々やはりますますこういう住民の要望にこたえ得ないような現状になるのじゃないかということを危惧するんですが、どうですか。
#92
○政府委員(中島一郎君) 将来展望に立っていろいろと改善策を考えるという面から総合計画というものを考えまして、問題点と、そしてそれに対する対応の仕方というものを部内でも検討をいたしておるわけであります。そして、総合計画に基づきまして、その個別の問題について分析をし、検討を深め、それを実現に移していくという努力をいたしておるわけであります。
 機械につきましては、常に新しい機械、能率的な器具を開発する、導入するということに努力をいたしておるわけであります。
 また、いまの部外委託の問題につきましても、これは無制限に導入を考えておるわけではございませんで、あくまでもやはり法務局職員が取り扱うのが前提である、原則であるということを前提にいたしまして、しかしながら、謄抄本交付事務の中でも謄抄本の作成業務というのはかなり機械的な仕事であり、数量も非常に多くなるという性質のものでございますので、その謄抄本作成業務の正確性、厳格性を損なわない範囲において部外に委託をするというようなことを考えておるわけでございます。
#93
○藤原房雄君 そういうことで、いろいろな将来展望に立った計画や何かはおつくりになってあるんですか。もちろん、それはないわけはないだろうと思うんですが、そういうことについてお考えがあったり、またまとめられたものがあったり、おつくりになったものがありましたら、ぜひひとつ後でも結構ですからお知らせいただきたいものだと思うのですが、どうですか。
#94
○政府委員(中島一郎君) 承知いたしました。
#95
○藤原房雄君 それから最近のマンションブーム、いまはまたちょっと下火ということでありますが、しかし、国民の住宅事情に対する要望というのは非常に強いわけで、これからもまた建設のつち音が高らかになることも目に見えておるような感じがするわけであります。景気、不景気に左右されるわけでありますけれども、これからもマンションは増大するでしょう。
 そういう中で、時間もありませんから長々しい説明やまた多くの問題提起はできませんが、二、三申し上げたいのは、マンションの登記が非常に問題のあるのはよく御存じのことだと思います。登記簿の公開制度ということとプライバシーの侵害という、これはなかなかむずかしい問題ですが、マンション等の登記につきましては、一戸一戸の登記ではございませんで、連続的に入っているわけですね。ですから、登記をとりますと隣の方のものも全部一枚のやつの中に入っておるということで、ただし、そこには抹消ということで判は押してあるんですが、隣の方がどういうことになっておるかということは一目瞭然、それは消してないわけですから。判で抹消ということだけですから、記載がそのまま残っておるということで、隣の家がどういう形でその家を買って、またどういう権利状態になっておるかということが、知ろうと思った人じゃない、全然関係のない人にそういうことがわかってしまうという、こういうことで非常にこれは問題だということが言われているわけです。
 それは法務局でも十分に御存じのことだと思います。仕事量がふえて大変だという中でまたこんなことを提起するのもあれでありますが、仕事量がふえるということと、こういう個人の権利問題についてやっぱり明確にするということ、これは非常に大事なことだろうと思うんです。これは取引とかいろんなことの上での権利状態というものは公開されることになっておりますから、そういう目的のためにやられるのだとしたならばそれなりに意義があるのかもしれませんが、そうじゃなくて、その意思もない人にそういうものが知られる。これはやっぱり何か方策を講じなければならないことの一つじゃないかと私は思うんですけれども、どうでしょう。
#96
○政府委員(中島一郎君) いわゆる分譲マンションについてのお尋ねであったと思うわけでありますけれども、建物につきましては専有部分の登記ということがそれぞれ別建てになっておりますために、登記簿謄本をとりましても、他人の分、一棟の建物の他の部分の他人所有の部分についての登記簿謄本が出るということはないわけでありますけれども、その建物の敷地を建物の所有者が共有しておるという関係になりますので、一筆の土地を数十人あるいは数百人が共有をするという関係になるわけであります。したがいまして、その土地の登記簿謄本にはその全体の登記の記載がある。自分の共有持ち分権について、それを担保にして抵当権を設定したような場合には、その分も記載されておって、したがって他人に知られるというような形があるわけでありますが、本来、先ほど御質問にもありましたように、登記制度というのは建物の現状と権利関係の現状を公開するためにつくられておる制度でございますから、これはもう無制限公開ということになるわけであります。したがいまして、他人の分が知れるということになりましても、プライバシーの問題ということにはならないのじゃなかろうかというふうに私ども考えております。
 しかし、抄本を出します場合に、欲しくないという人にまで、見たくないという人にまで、その必要のない部分をつけて出すという現在の取り扱いは、確かに改善できるものならば改善をする方が好ましいということは私どもも考えておるわけでございますけれども、現在の複写技術から申しますと、その一枚の登記用紙の一部だけを謄写するということは非常に困難であります。あるいは一枚全部、登記用紙一枚全部の複写をとって、そのうちの必要のない個所を墨で塗るとか、あるいはその必要な部分だけをはさみで切り取るとかというようなことも考えられないわけではございませんけれども、そうなりますと非常に手数もかかりますし、所要時間もかかりますので、抄本の交付がおくれるということで、かえってサービスの低下になるのじゃなかろうかということをいろいろ考えますと、現状の取り扱い、現状の抄本の作成方法を改める、変更するということは困難ではなかろうかというふうに考えております。
#97
○藤原房雄君 サービスの低下を招くということと、また、本人の権利、プライバシーを守るといいますか、これは公開の原則という上にはあるんですけれども、改善できるものならば直すべきことだろうと思うんです。まあこの二つは非常にむずかしいことだと思うんですが、こういうことで、好ましくないことなんだから何とかしなければならぬということで、できるかどうかということで御検討をなさったことはあるんですか。
#98
○政府委員(中島一郎君) 検討はいたしておりますけれども、先ほど申しましたような、プライバシーと仮に申しますならば、そちらの面からする要請というものがさして大きくないという点、それから現在の取り扱いを変更いたしますことによる非常な負担増と申しましょうか、とを比較いたしますと、現在の取り扱いでやむを得ないのじゃなかろうかということでやっておる次第でございます。
#99
○藤原房雄君 いろんなマンションのことについてのトラブルまたは問題、これは共有部分からいろいろ出てくるわけなんで、いま大きなトラブルで、いま提起したこのことで起きたということではないんですけれども、やはりどのくらいの事務量になってどうかということについては、いまの答弁にもありましたが、恐らく御検討なさったと思うんですが、今後の機械化の進展や、またいろいろな方策、方法によってこういうものが解消できるものならば、ひとつこれは改善する一つの問題だろうと思うのです。
 もう一つは、建物の区分所有等に関する法律で今日いろいろ登記をなさっているわけですが、これがまた現状に非常にそぐわなくなったということで事務量を大きくし複雑化する一つのもとになっているわけですが、これにつきましても法制審議会等で御審議をいただいていろいろな検討をなされておることは私ども聞いておるんですが、その経緯と現状はどうなんでしょう。
#100
○政府委員(中島一郎君) 先ほども申し上げましたように、マンションの敷地である土地については何十人、何百人が共有をするという関係になりますので、一筆の土地の登記用紙が二十枚、三十枚にもなるというようなケースがございます。一覧性ということから申しましても非常に障害があるということで、これは何とかすべきではないかということで、建物の区分所有等に関する法律の改正を検討を始めまして、土地の共有持ち分権を建物の専有部分と一体として取り扱うということはできないかという方向で検討いたしたわけでありますが、そうなりますと、事柄は民法の基本原則にも関連をしてまいりますので法制審議会の御審議をいただくことになりまして、昭和五十四年から法制審議会で御検討をいただいております。この建物の専有部分と土地の共有部分とをどういうふうに関連させていくかという問題と、それからもう一つ、建物の共用部分の管理の問題、あるいは管理組合をつくるとか管理規約をつくるとかというようないろいろな問題がございますが、それとあわせて検討事項ということになっておるわけでありますが、その答申がございましたならば、私どもとしてはできるだけ早く法律案をつくるということにいたしたいというふうに考えております。
#101
○藤原房雄君 時間もありませんので二、三のことで終わりたいた思いますが、いずれにしましても、これから住宅政策が、個人であろうが公的なものであろうが住宅建設は進むでありましょう。そしてまた、個人の持ち家ということに対して非常に望んでおる現状というものについてもいろんなアンケート等においては明確になっておるわけでありまして、こういうことから考えますと、ますますこういう登記事務等についての必要性といいますか、重要性といいますか、こういう重大性というものは増してくるんだろうと思います。そういう中で、これは一時的にこういうことが起きたということじゃなくて、やっぱり恒久的にこういう対策は考えなければならぬことだろうと思いますのでいろいろ申し上げておるわけであります。
 ことしの予算でもそういう問題については大臣からもいろいろ御努力いただきましたが、今後こういう都市の再開発とか、また中小都市の進展とか、こういうものに伴いまして中央から地方へとますますこういうものについての問題が出てくるんだろうと思います。ぜひ早急にひとつ今後のことについてのいろんな対策等についても御検討いただき、基本的な権利にかかわる問題ですから、これに伴ってのトラブル、こういうものをひとつ未然に防ぐように努力をいただきたいものだと思います。大臣にひとつ所見をお伺いしたいと思います。
#102
○国務大臣(奥野誠亮君) 不動産登記の実態は御指摘のようにだんだん変わってきておるわけでございますし、また民事局長がお答えを申し上げましたように、マンションなんかの共有土地についての持ち分、これが全部登記されてまいりますので、将来の問題も本当に考えなければならぬときじゃないかなということで、私からも事務当局に早急に結論を出すようにすべきだということを言っておるところでございまして、大事な課題だと考えますので、鋭意早急に結論が出ますように私も努力していきたいと思います。
#103
○藤原房雄君 時間もありませんが、まあいま申し上げておりますので、一点だけ。
 最近の少年犯罪ですね、これが非常に凶悪化してきて、そして低年齢化といいますか、こういうものが進んでおる。こういうことで憂慮する状態の中にあるわけでありますが、少年犯罪について大臣のお考えをお聞きしたいと思いますが、どうでしょう。
#104
○国務大臣(奥野誠亮君) 最近、少年犯罪が非常に多くなってきて、触法少年まで含めますと、成人とそれから少年の犯罪は大体同数ぐらいということになっておるわけでございます。また、そういう状態を踏まえて、総理大臣の施政方針演説の一つにも青少年の健全育成ということが取り上げられたわけでございますが、法務省は、犯罪の面からでございますけれども、社会教育でありますとかその他いろんな面から総合的に対処していかなければならない課題だと思います。また、これに対処する方針につきましては、現行少年法の基本的な枠組みの中での法制審議会の答申ももらっておるわけでございますけれども、最近の少年犯罪の動向も踏まえながらよりよい道を関係者において工夫して、将来立法的な改革にまで進んでいかなければならないと思っておるところでございます。
#105
○藤原房雄君 非常に大きな課題ですから、これはまあ二十分や三十分でお話のできることじゃ決してないんですけれども、なかなかこういう問題について話し合う機会がございませんのでお伺いしているわけでありますが、これはもう警察庁とかいろんな各省庁にまたがりますので非常に複雑な問題をはらんでおるわけです。
 警察庁にお伺いするわけですが、校内暴力ですね、これは最近いろいろマスコミをにぎわしておるわけでありますが、やっぱり本来学校当局の適切な生徒指導、こういうものが大事なことだろうと思うんでありますけれども、警察なりにこの問題についてはやっぱりいろいろ対処しなければならぬ。警察当局が考えております、教育の限界を超えるものについてはということが言われておるわけですけれども、この教育の限界を超えるというのはどの辺のことをお考えになっていらっしゃるのか。具体的な例を通してもしお話しいただければ御説明いただきたいと思います。
#106
○説明員(石瀬博君) 校内暴力の問題につきましては、その発生しておる場というのが学校の中でございますので、その対応策というのは主役はやはり学校である、警察はわき役に徹すべきではないだろうかというふうに考えておるわけでございますが、いまほどお話がございましたように、学校教育の手に余るような事件が非常に多いということが最近の傾向としてあるわけでございます。
 二つの観点から申し上げますと、一つは、生徒の教師に対する暴力事件というのは非常に凶暴になっておりまして、学校の先生方が抑え切ることができないような状態が一つございます。それからいま一つは、校内の暴力事件というのは、単に校内だけの問題ではなくして、その背後に元卒業生の番長とかあるいはまた暴走族とか暴力団というような、校外の犯罪集団あるいは不良集団の影響を受けつつ行われているというようなことから、そういったものにつきましては、警察としましては学校とよく連絡をとりながら強力な補導あるいは取り締まりをやりたい、こういうことでございます。
#107
○藤原房雄君 この校内暴力のことや少年犯罪についてのいろんな問題があるわけですが、時間がありませんのでまたの機会にいろいろお尋ねし、そしてまた提言を申し上げたいと思うんですが、最後に一つだけ。
 先ほども申し上げたように、少年犯罪、また少年問題といいますか、少年問題というのは文部省、それから警察庁、法務省とか厚生省とかいろいろにまたがるんですね。各省庁にまたがるわけでありますから、それの調整機関が必要だということで総理府に青少年対策本部ですか、こういうものが設けられているようですけれども、やっぱり相当かじ取りといいますか、こういうものをきちっといたしませんと、調整官庁という総理府の中で対策本部が設けられて、それが相当な機能を発揮しているという、いままで余り大きな問題のないときはいいのかもしれませんけれども、内閣としましても総力を挙げてこの問題については現在取り組まねばならないことだろうと私思うんです。
 そういう中で厚生省、文部省、総理府、法務省、それぞれの省庁がこの問題についてどうかというと、それぞれの省庁の法に基づきます問題についてはいろいろ取り組んでいらっしゃることだと思いますが、これらのものを統括し、そして国としてこれに対処するというこういう観点の上から見ますと、責任を持ってこれを見守っていく省庁というのはどうも不明確のような感じがするんです。それぞれの省庁はそれぞれ定められた法の中で取り組んでいることはそれはよくわかるんですが、しかし、一つの事犯というのは決してばらばらに物事が起きるわけでございませんで、一つの総合的な形がそういう犯罪とかいろいろな形にあらわれるわけでありますから、そういう取り組み姿勢というのは、ばらばらな省庁の中で個々に取り扱う、こういうことで、まだ大きい問題でないときはそれでいいのかもしれませんが、今日のいま問題になっております青少年問題というのは相当これは真剣な強力な体制でこれに臨みませんと、こういう問題ができてしまったから後始末をするということではなくて、その事前の教育の問題から起きたことに対しての処置から、その後の問題から、これはもっと省庁間の連携、そしてまた責任分野の明確化、こういうことをぜひこれは内閣としても相当強力に取り組まなきゃならぬ。
 施政方針の中にも青少年問題を何行か触れておったことは、内閣としてもそれなりの関心を持っているということはよくわかるんですけれども、具体的にそれじゃどういうふうになっているのかということになりますと、これはまだまだいま起きております諸問題についての取り組みとしては弱いような感じがしてならない。これは閣僚の一人として法務大臣に、この青少年問題、そしてまた犯罪の急増の傾向、凶悪化、低年齢化、こういう憂うべき状況にあるということを踏まえまして、これはぜひひとつ内閣としても、この対策に省庁挙げての強力な連携プレーとともに実効ある施策を私は要望したいと思うんですが、どうでしょう。
#108
○国務大臣(奥野誠亮君) いまお話しのように、総理府に青少年対策本部が設けられておるわけでございますし、ここで、審議会があって、いま論議が進められて、中間中間で取りまとめていきたいということを総理府総務長官からもお話ししておられるところでございます。世界的にも青少年問題は政治課題になってきていると思いますし、また、日本は日本として、加えてそれなりの事情もあると考えなければならない、こう思っておるわけでございます。社会環境から整えていかなければならないと思いますけれども、一般的に言われているのは、やはり乳幼児からのしつけが大切じゃないかなと、こうも言われておるわけでございます。
 その一つの考え方としては、われわれ民主化と取り組んできておるわけでございますが、民主主義といいますと、自由と平等のつり合いをとって進めていかなければならない。それが自由は自由だけで強調される、平等は平等だけで強調されて、違った自由と平等がかなり浸透してきているんじゃないかなと思います。やはり、親子は平等でありますけれども、指導者として権威を持っていかなければならない。しつけということになりますと、欲望を抑える努力もしていかなければならない。しかるというのは、それなりに愛情を持ってしかっているんだから、子供にはしかられる権利があるんだ、また親や教師にはしかる義務があるんだと、こういうことも言われているわけでございます。
 自由放任が本当の自由ではない、自由には責任を伴うんだ。平等だって機械的な平等を言い続けておったんじゃ指導力は持てない。やはり教師と生徒、ときにはきょうだいのようにしていかなければならないけれども、それなりに生徒から尊敬される教師でなければならないし、教師はそれなりにみずからの内容を培う努力もしていかなければならない。権威ある存在でなければ子供が先生の言うことを聞くはずはないじゃないかと、こうも言われておるわけでございまして、ほんの一端ではございますけれども、こういう物の考え方だって私たちは無視すべきではない。正しい民主主義をみんなが理解して、そして自由と平等、自由には責任を伴うし、平等については、それなりに指導者には指導者としての責任がなければならない、こう思ったりしているわけでございまして、あらゆる面から青少年問題は対策を立てていかなければならない。藤原さんもおっしゃいますとおり、法務省だけの問題ではございませんし、文部省だけの問題ではございませんし、警察当局もその他も一生懸命やっていかなければならない、こう思っておるわけでございます。
 大変、警察当局がおっしゃいますように、暴力の質が悪くなってきているようでございます。それなりに非行少年に対しましては、法務省としても少年鑑別所を持っているわけでございますので、少年鑑別所も学校当局の非行少年に対して何か力になるように努力をしていかなければならないというようなことも言ったりもしているわけでございます。これから内閣としてもそれぞれに具体的な方針を打ち出していけるものだと、こう思っております。
#109
○主査(平井卓志君) 以上をもって藤原房雄君の質疑は終了いたしました。
 他に御発言もないようでございますので、裁判所及び法務省所管に関する質疑はこれをもって終了したものと認めます。
 あすは、午前十時から分科会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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