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1947/12/07 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度委員会 第23号
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1947/12/07 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度委員会 第23号

#1
第001回国会 治安及び地方制度委員会 第23号
  付託事件
○經濟緊急對策中、料理飮食店の措置
 に關する陳情(第二十九號)
○料理飮食店の措置に關する陳情(第
 三十五號)
○料理飮食店の休業に伴う藝妓營業に
 對する措置に關する陳情(第三十七
 號)
○特別市制實現に關する陳情(第百十
 三號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 百三十七號)
○特別市制實現に關する陳情(第百五
 十四號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 百五十七號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 百六十五號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 百八十號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 百八十六號)
○特別市制實現に關する陳情(第百八
 十九號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 百九十四號)
○特別市制實現に關する陳情(第百九
 十六號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 二百十六號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 二百十七號)
○特別市制實現に關する陳情(第二百
 二十五號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 二百二十九號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 二百三十號)
○特別市制實現に關する陳情(第二百
 四十號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 二百四十六號)
○特別市制實現に關する陳情(第二百
 五十號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 二百五十三號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 二百五十七號)
○特別市制實現に關する陳情(第二百
 五十八號)
○特別市制實現に關する陳情(第二百
 五十九號)
○特別市制實現に關する陳情(第二百
 七十二號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 二百七十七號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 二百七十八號)
○特別市制實現に關する陳情(第二百
 七十九號)
○特別市制施行反對その他に關する陳
 情(第二百八十一號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 二百八十六號)
○特別市制實現に關する陳情(第二百
 九十三號)
○特別市制實現に關する陳情(第二百
 九十七號)
○特別市制實現に關する陳情(第三百
 十六號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 三百四十一號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 三百六十六號)
○特別市制實現に關する陳情(第三百
 七十三號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 三百七十四號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 三百九十六號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 四百十一號)
○料理飮食店營業の即時開業等に關す
 る陳情(第四百六十四號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 四百七十三號)
○特別市制施行反對に關する陳情(第
 五百十四號)
○特別市制實現に關する陳情(第五百
 十五號)
○料理飮食店營業の即時開業に關する
 請願(第四百三十五號)
○警察法案(内閣提出、衆議院送付)
○消防組織法案(内閣送付)
○地方税法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十二月七日(土曜日)
   午前十一時五十二分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○地方税法の一部を改正する法律案
○警察法案
○小委員長報告
  ―――――――――――――
#2
○委員長(吉川末次郎君) これより委員會を開會いたします。先ず最初に政府提案の地方税法の一部を改正する法律案、衆議院を通過しておるそうであります。提案理由の説明を内務大臣よりお願いすることといたします。
#3
○國務大臣(木村小左衞門君) 只今議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申上げます。本改正法律案は、府縣民税及び市町村民税の納税義務者一人當りの平均賦課額を、現在の百八十圓及び百二十圓からそれぞれ更に二百四十圓及び百六十圓に引上げようとするものであります。府縣民税酔び市町村民税の納税義務者一人當りの平均賦課額は、先に本會期におきまして成立いたしました改正法律において、百二十圓及び八十圓からそれぞれ百八十圓及び百二十圓に引上げられたものであります。然るに最近の社會情勢に鑑みまして、政府といたしましてはいわゆる官公吏の生活補給金について再檢討を加え、協議を重ねました結果が、政府職員については一時手當金として取敢えず給與の一ケ月分、總額約二十七億三千餘萬圓を年末に支給するものといたしました。これがため近く補正豫算案第十號を提案することとなりましたのであります。從つてそれと共に地方職員についても亦一般官吏と同樣に取敢えず給與の一ケ月分、總額約二十三億五千萬圓の特別手當を支給するものとして、これが地方費負擔額約十八億四千萬圓の所要財源として止むなく府縣民税及び市町村民税の納税義務者一人當りの平均賦課額を更に引上げ、これによつて約十六億四千萬圓の増收可能額を見込みまして、殘餘の所要額は經費の節約、その他各地方公共團體の工夫に俟つの外なきに至つたのであります。御承知のごとく今日の地方財政は甚だしく困窮しておるのでありまして、今囘の特別手當等所要經費を、地方公共團體が自らの財源を以て調達することは極めて困離な事情にあるのであります。併しながらこれを國庫の支出に仰ぎますることは、國家財政亦眞に危殆に瀕しておりまする今日といたしましては、いかに考慮して見ましても不可能の實状でありまするので、住民の負擔能力及び諸般の經濟事情等を篤と考慮の上、止むなく府縣民税及び市町村民税についてこの程度の増税を行い得るように法律を改正することといたしたのであります。以上の事情を篤と御了察の上、よろしく御審議あらんことを希望する次第であります。
#4
○委員長(吉川末次郎君) 只今の内務大臣の提案理由の説明に對しまして御質疑のある方は御開陳を願いたいと思います。
#5
○羽生三七君 只今の提案理由の御説明でこの法案の趣旨も分りましたし、又その止むを得ざる理由も了承したわけでありまするが、我々の考えといたしましては、中央財政と地方財政との調整は、近く發足する地方財政委員會において根本的なる檢討が加えられると思い、これに期待を掛けておるわけでありますが、それはとにかくとして、當面十六億數千萬圓というこの費用の出所が、盡く地方財政に委任されるということは、極めて地方公共團體の實状からして困難であるということを考えざるを得ないのであります。併し御説明のように中央の財源が非常に危殆に瀕しておるから、當面先ず止むを得ないものとは思いますけれども、そこで私共のお伺いしたいことは、これは當面の全く止むを得ざる應急處置であるのか、こういうことから出發して、將來も大體こういう經費の捻出が凡そかような形で繼續して行くのかということは、地方財政の將來に取つて極めて重要な問題になるわけであります。若しこういう處置というものが相當恆久的に行われるといたしますならば、先程申上げた近く發足する地方財政委員會というものは、中央の財政の財源と地方財政の財源の取扱い方について根本的なる檢討が加えられねばならないと思うのであります。若し地方財政委員會でそういう問題が取扱われて、根本的な方針が確立すれば結構でありますが、それもまだ今のところ、はつきりしないわけでありますけれども、全く應急的な止むを得ざる處置であるのか、或いは暫くはこういう形が續くものと思われるのであるか、その邊の見通しをちよつとお伺いしたいと思うのであります。
#6
○國務大臣(木村小左衞門君) お答えいたします。これは御想像の通り本當の暫定の、只今の應急の處置と御承知を願いたいと思います。大體提案者といたしましては實にこれは苦慮いたしました。と申しますのは、一昨日地方税法の改正法律案を參議院において五割、五〇%の程度の増額賦課を御承認を願つて可決したばかりで、まだそれが法律案となつて發令されておりません半ばに、又ここにこの五割の増額を提案いたしますということは、一體政治良心から申しまして非常に苦慮いたしました。元來内務當局ではかかる地方財政の枯渇いたしております場合には、是非ともこれは國庫の負擔を以てやつて貰わなければならんという考えを飽くまでも堅持しておりまして、殊に地方の公吏に對しまするところの一時支給金が、こういうような大衆課税によつてこれを賄われるということは非常に困つた問題であると考えまして、最後までこれを堅持しておりましたがために、實は初めからこういうことで國庫の財源がどうしても手が著けられない、枯渇し、危殆に瀕しておつてどうにもならんということでありますれば、それは衆議院に提案いたします前においても亦、提案以後においてでも、修正を願いますとか、或いは撤囘して更に提案をし直すとかいたしますような方法もあつたのでありまするけれども、最後まで内務當局といたしましては、國庫の負擔にして貰いたいという主張をいたしておりまするし、又國庫も最初から絶對にできないというのではなくて、非常に困難ではあるがなんとかならんこともなさそうな氣配でありましたので、ここまで至りましたところが、状況の推移はついにどうも國庫の負擔としてこれを認めて貰うことができません。又一面言葉を藉口するようでありますが、藉口ではありませんが、關係方面の意向もございまして、ここで止むなく提案をいたしまして御承認を得ましたような次第であります。これは御想像の通り、繰返して申上げますが、ほんの暫定的な應急の處置でありまして、將來こういうことがいつまでも續くということは、實にこれは困つたものであります。これは御承知の通り今度できまする財政委員會において十分な考慮を拂つてなにかかかる財源がなければならんように行政整理の面とかその他において捻出せられるということが當然であると思います。これは政府といたしましては本當の當面の處置でありますということを御答辯申上げます。
#7
○岡元義人君 内務大臣にお伺いいたしますが、今大臣の御説明がありました通りに數日前、一昨日でございます、通過いたしました法案を又ここで倍額に引上げるということは、これは國會の權威にも係わる問題だと思うのでありますが、それは別といたしまして、取敢えずこれだけの高額の引上に對しまして、特別に除外しなければならないいわゆる戰爭犠牲者というものに對するお考えをばお持ちであるか、この點ひとつお伺いしたいのであります。
#8
○國務大臣(木村小左衞門君) 當面に當つております政府委員が答辯いたします。
#9
○政府委員(林敬三君) お尋ねのような御心配も御尤もなことであります。これは御承知のように、いわる當該府縣なり市町村で以つて増税をして賄いをつけよう思えば、増税をし得るという限度をここで示すわけでございます。そこで必ず取らなければならないというものではないのでございまして、いわゆる自治體が税の方の上において活動し得る枠というものをここに擴げるという改正に相成るわけでございます。そこで特に戰爭犠牲者と申しますか、これにいくらかけるか、或いは平均して賦課額がいくらになるかということはいずれも當該自治團體で當該の議會の承認を得て、その審議の結果に俟つてこれを決めるわけでございます。又それの賦課の方法につきましても、どういう標準でやつてどういう對象でやるかというこは、實際の具體的な細かい運用になりますと、すべて當該條例に讓つておるわけでございます。どういう人を免税するか、どういう人について特別の措置を講ずるかということも、當該自治團體で法律に違反せざる限度においては、自由に條例で決めることができることに相成つておりまするので、御心配のような點について若しこれを當該自治團體で免税すべきが妥當あるという結論が、その自治團體の議會の審議において出ました場合には、條例で以てさような措置をとり得るということに相成つております。
#10
○岡元義人君 今の政府委員の御説明に對しまして、私が疑問を抱きますのは、先程内務大臣の御説明もありました通りに、この度のこれは止むを得ない、いわゆる十六億四千萬圓という金をどうしても徴收しなければならない。而もこの十二月中に徴收しなければならないという性格を帶びておる、いわゆる一つの法案であると思います。然らば實際縣の地方の末端におきましては、できる限り取れるだけ取らなければならんという實状になりまして、最高額の枠が決められた法案でありますけれども、實際におきましては、今まででさえも事實地方におきましては、相當無理をして、戰爭犠牲者たちが税を拂わされておるのでございます。然るにこのような一つの性格を持つた大幅の引上げにつきましては、どうしてもこれらのものを除外してやるということは、恐らくできないと思うのでありますが、政府當局におきましてそれだけの親心を持つておられるということがありましたならば、何らかそういうような方に全然關係の及ばん方法を以て、この中に一つの附則なりそういうものを設けまして、私お示しになつた方がいいのじやないか、そうでない限りここではそういう工合に仰しやいますけれども、實際の地方末端におきましては、そういうことはうまく行かないということを私は申上げたいのです。
#11
○政府委員(林敬三君) 先程内務大臣からも御説明を申上げましたように、一ケ月分の給與に該當する一時手當金を地方の公吏に支給いたしますと、總額におきまして二十三億五千萬圓の手當が要る計算に、これは日本全國の公共團體分を全體として總覽いたしましたときに、私の方の計算では相成るのでございます。それでその中で以て警察官とか、教員とかいうような國庫補助のあります者を省きまして、そうして差引いて參りますと、十八億四千萬圓の所要財源がどうしても要るという結論になるわけであります。そこで今までいろいろな事業費とか、それから事務費とか、そういうものが全部一應これは緊急に要る、止むを得ず皆使用しなければならんという想定の下におきましていたしますと、十八億四千萬圓だけを税金なり何なりで取らなければならんということになるわけでございます。お話のようにこれは止むを得ないのでございまして、大體各自治體ともこの程度のことは取らざるを得ない立場になると思いますが、併し非常に裕福な自治體であるとか、或いは非常に事業費その他が運用がつく筈のものが、運用が資材が手に入らなくてつかなかつたということで、或る程度餘つて來るところ、或いは思い切つて人員整理ということをやつて、人を少くしている自治體でありますとか、その他事業費を天引にして、尚これを節約するということにいたす自治體でありますとか、そういうところにおいては、心ずこれをやらないでもいいところが例外的に出て來るだらうと思うのでございます。
 それからの御心配の、特に戰爭の犠牲になつた氣の毒な人に對しても、ただ平等に行くのだからということで以て重い税金をやるというようなことを省き得る工夫というものもやり得る餘地というものは出て來ると思うのであります。ラウンド・ナンバーで綜合して、日本全國で計算をしますと、これだけのことはやり得るような制度は立てて上げなければ、これはどうにもならないと思うのでありますが、個々のものになりますと、いわゆる御心配のようなことに對して親心というものを自治體が示すということもできる餘地は、私は自治體の財政についての外のところを節約いたしますなり、外の冗費を出しますなり、そういう特殊のことをやり得るのではないか、かように考えます。又假りにそういうことができませんで、全部この税で取らなければならないといたしましても、その賦課方法について、いわゆる一般勤勞階級に對して平等に重くなるというような税のかけ方というものをいたしませんで、特に氣の毒な人に對しては、さような氣持を出す條例は定め得ると思います。恐らくそれはその當該團體の代表であるところの議員の人たちも、さようなことについては關心を持つて、そういうようなことをやるだらうと思うのであります。私の方も、これは、この法律が通過いたしますれば、それの施行についてはいろいろと地方の關係者を集めまして、その氣持というものは十分傳達する豫定でおりますが、あと實際の運用の面に當りますと、これはつまり當該自治體の理事者と自治體の議會というものの自主的な意向に任せてやるより外ないのではないかと考えます。
 又戰爭犠牲者といいましても、いろいろあつて、法文でこれを一概に書くということも非常に困難なことでありまして、然らば戰爭犠牲を受けた方であつても、これは理窟になりますが、生活のいい方もあるだろうと思いますし、そこの點の、いろいろな實際の實情というものが、中央からは法文では示しにくいと思います。併し氣持の點につきましては私どもも同感でございますので、關係者を集めましたときは、その氣持は、こちらはそういう氣持はあるのだ、皆もそういう工夫をされては如何ということを、私どもの方から十分これは傳達をして行きたいと存じております。
#12
○阿竹齋次郎君 議論する意味じやないが、只今地方局長のいわれたのは、この制限は必ず取らなければならないのではない、枠を作つておくということでありますが、地方の財政をそんなに甘いものだと思つておいで下さるならば、私はそれは間違いで、殆ど手一杯だ、もつと苦しい、そんな甘く考えておられては根本の考え方が變つて來ると思います。これがために、止むなく人員を整理するところができて來るところがあるかも知れませんが、但し御承知の通りに、住民税を制定せられたところの性格に背きやしないか。そもそも住民税の性格はそんなものじやない、金額をどんどん殖やして行くのじやなく、制限を上げるのは何でもないが、とにかく住民税の性格はこんなものではない。成るべく住民の全部が出し合つて、その土地の住民の責任を盡そうということが、この税を作られた根本だと思うのでございます。そこで、政府はいつも財源がないというておりながら、段々追加豫算を考えて行く、政府が財源を握つておるのだからそれは分りますが、肝腎の財布を私どもは握つておらないから、いわれるままに信じて行くより仕方がないけれども、いつも増税で追加財源が出て來るのですから、甚だ信をおくわけに行かないような氣がする。そうして今のように、地方財源の制限の範圍内でやる、そんなことを以てやることは變なことで、要するに地方に財源を與えて、そうして地方の經費を賄つて、殘りを中央に集めて來るような昔のような形になることが地方自治的にいいことだと思いますが、今のところそういうようなわけに行きませんから、そういう住民税という性格ということからお尋ねいたします。それから尚地方財源をそんなに甘いものだと見ておるのか、お考えをお伺いいたします。
#13
○政府委員(林敬三君) 私どもも地方の財政というものは甘いものだとは決して考えておりません。これは實に苦しい、大部分……殆ど全部非常に苦しいと思つております。併し先程も私がそれについて申上げましたのは、この限度まで引上げますと、大抵はこの限度まで上げて來るだろうとは、かように考えますが、併しそれは上げねばならんというものではなくて、何らかの工夫のつくところでは、これは上げなくても構わないということで、これだけは絶對に取らなければならないと政府で命令する性格のものではないと思います。そこで戰爭について特に犧牲を受けて、そうして非常に苦しい生活をしておる人に對してまで絶對に取らなければならないという性格のものではない、かようなことを申上げたのであります。地方財政が苦しいということについては、私も、もうあなたに決して劣らない、むしろ私も、これは官吏でありますけれども、その方の責任者でございまして、重々存じております。又私最近までは自治團體の責任者をいたしておりまして、そのときの苦しい思いも十分存じております。この點においては決してさような甘いものとは考えておりません。それから上げましたならば、大部分の町村では、早速そこまで取らざるを得ないということになると私は思つておりまして、その間、私の申上げることが、或いは足りなくて、そういう印象をお與えしたとすれば一つ御訂正を願いたいと思うのであります。何といたしましても、實はこれについては住民税の性格論については仰しやる通りでありまして、これはいわゆる負擔分任の精神を現わすために作つたというのが、この趣旨だと思うのであります。餘りにこれが金額が多くなるということは、この税の本質を段々に逸脱して行くことになると思うのでありまして、これは極力戒めて行かなければなならないと思いますが、止むを得ずこの程度のところを、先程大臣から申上げましたように、どうしてもいたし方ない、かかる枠を擴げる措置をとらざるを得ないということになるわけでございます。やはり各人も勿論苦しいときでありますから、税は低きに越したことはないと存じます。いろいろ私どもの方も、内心苦慮いたしまして、これについていろいろ研究を重ねたのであります。幾分なりとも心を休めるといいますか、點を一つ申上げますならば、これでも休まるわけでもありませんが、これを月割にして見たのでございます、今度の増加額を。そうするとこれは大體一世帶、世帶主が納税者でございますが、一世帶當り月に入圓ほど出して頂く計算になります。大部分は昔から見ますと、物價が六十五倍とかいうようなことを言われておる今日でございまして、それ故に税を出すことも苦しいでございましようが、貨幣の單價が下つて來ておりますし、まあまあこの程度のところは、いいことではないけれども止むを得ないというところで、目をつぶつて頂けないかという氣持でございます。
 それから最後に御意見がありました税というものは、國家依存の形でいいとは毛頭考えておりません。これは現存の府縣の區劃とか、財産のいろいろな偏在しておる状態とか、そういうことからなかなか困難のことはあると思いますけれども、中央依存を徹底的に、この際許される限度において、最大限度中央依存を廢して、地方自主の地方財政を持つて行かなければならないと思います。財政委員會ができましたのも、それをやるのが根本だと存じておりますし、次の國會には財政委員會の研究の結果がそこに提案されて、皆さんの御審議を受けることに相成ると存じてります。
#14
○阿竹齋次郎君 簡單に……。討論じやないのですが住民税一人當りが幾らになるかということ、それはそうでしようが、外に餘計税金を納めておるのですから……。
 次に政府は、財源がないと仰しやつたが、それは私共が財布を握つておらんから、政府がないと言われるならば、信じなければ仕方がありません。戰災等に遭つて、苦しい人にとれというのではありません。とれと言うてもとれません。無理に上げなければならんとは言わん。だれが好き好んで上げますかということを言うておきたい。
#15
○岡元義人君 先程來申上げております點につきまして、もう少し私詳しく御説明をいたしまして、御質問申上げたいのでありますが、これだけの最高價格が決められまして、これは阿竹委員からも申された通りに、最高價格を完全に徴收するということは間違いないのであります。それでただ問題は、この振り向け先が、結局中勞委の裁定によりまして、一ケ月分の地方公吏の經費に今度出されるわけでありますが、併しながらこの法の精神から申上げまして、現在失業手當法案の適用を受けることもできなかつた料飮店の失職者及び引揚者、復員者、その他の者に對して、當然これを無關心であるということは、私はあり得ないと思うのであります。少くとも三百圓持つて歸り、今一月平均が一世帶八圓だという御説明がありましたが、引揚者は千圓しか持つて歸つて來ないで、二年半もとにかく生活保護法の金さえ出さずに、受けておる者は約三分の一であります。申込をして未だに受けずに、どうやら生き永らゑているという者が、三分の二ほど全國におるのであります。その上に、三百圓ほどしか持つて歸つて來ない復員者、或いは強制徴用、強制留用によりまして、外地にいる日本人の誰かが勤めなければならん勤めを果しつつある者、そういう家族、そういう未復員家族に對しましては、家族手當一人百五十圓というものが貰えるように、今度通過するわけでありますが、強制徴用、強制留用に拉致されて行つた者の家族は、政府から一錢の金さえも頂いていないのであります。そういう人たちは、而も今は就職をしておる人たちに、中勞委の裁定によるところのこの金を支給すると、ここに私は精神において非常な矛盾を感ずるのであります。かようなことが、果してよいのかということをば、政府當局に御質問したいのと、これは特に委員長に申上げたいのでありますが、少くとも國會の權威にかけまして、一昨日こういう法案を通過させておきながら、苟くもこの國會が、またまた二日を經て、次の通常議會でというお話ならば話も分りますが、この二日を經た本日、又こういう問題を取上げて、國會はこれを通過させなければならないということは、私誠に殘念だと思うのであります。國會の權威というものは、どこにあるのかということを我々委員會が愼重に研究しなければならんと思うのであります。國民に對してどんな顔をして、我々は申譯できるか。この點を一つ、委員長は、この委員會にとくとお諮りを願いたい。
 もう一つ、本日の新聞記事を見ますと、大藏大臣は、あたかもこれを中勞委に對する囘答といたしまして、すでにこの法案は、倍額決定した如き、いわゆる言辭を弄しておられます。苟くもまだ國會を通過しない前から、すでに決定した如き、こういう問題を取り上げて、新聞に發表されたということは、甚だ遺憾に思うのであります。この點につきましては、大藏大臣の答辯を私求めたいと思つております。委員長にお諮りいたします。
#16
○政府委員(林敬三君) 引揚者などにつきまして、十分の生活のできない者についてまで課税することは、誠に不當だと存じます。法律によりますと、いわゆる生活上公私の扶助若しくは救助を受けるような立場にある者に對しては、この税法上からは、當然非課税になるのであります。そこでいわゆる生活保護法の對象になるような人については、こたは當然課税はされないということになつております。尚、併し生活保護法の對象は受けてないけれども、苦いというような人々については、これはそれぞれの條例を以て免除することができるということになりますので、そういうことになつておりますので、若しこれが通過して、實施する時には、地方との間におきまして、十分に意思の疏通を圖つて、運用上遺憾なきを期して参りたいと存じております。
#17
○委員長(吉川末次郎君) 申上げますが、本日は、できるならば、只今審議しております地方税法の一部を改正する法律案について、もつと審議を進行できるならば、採決までもしたいというように思つておつたわけであります。尚警察案につきましても、討論採決に入りたいと思つておるのでありますが、時間が既に十二時半になつておりますので、一時休憩いたします。一時間後、一時半から再開いたします。
   午後零時二十六分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時五十九分開會
#18
○委員長(吉川末次郎君) それでは開會いたします。
#19
○中井光次君 私は先程少し遲れて參りましたから、御質問があつたかどうか存じませんが、この地方税法で一ケ月分の給與を上げるために増税をすることになるのですか。今囘の處置だけで後の……、元は二・八というものに對する問題であると思いますから、一ケ月分を今囘解決をして、後の一・八についてはどういうお考えを持つておりますか。どういうお見込みでありますかということを一應承つておきたいと思います。
#20
○政府委員(林敬三君) 御尤なお尋ねと存じます。官公吏いずれに差をつけるわけにも參りませんで、全體の問題として、政府としてはこの點のことについて苦慮をいたしておるわけでございます。それで取敢ずいろいろな工夫を凝らしまして、財源措置を辛うじて講じ得たところがこの一ケ月分でございまして、これはいわゆる官房長官からの聲明にもありますように、いわゆる取敢ずということであります。それで財源措置の工夫が尚今後見通しがつけば二・八に逹して行くように、少しでも多く、最善の工夫をして行きたいというのが政府の氣持でございます。それで公吏についてこれを見ますると、實はこの案すらいろいろ先程來御議論のありますように、相當に辛い案でございます。更に後一・八ケ月分というものについては私共も今後どうしてこれを捻出するかということについて日夜實は同僚諸君とも、或いは上の方とも檢討をいたしておるのでございますが、目下のところこれという確實な對策ができて參つておらない状態でございます。從つて何とか財源措置がつけば二・八までに逹するように、少しでもこれに近いように努力を今後とも政府は續ける。併し今具體的にこの程度までは確保し得る、この程度まではこういう措置であるという見通しはまだ何もついていないというのが現状でございます。
#21
○中井光次君 そうすると、財政的の措置がつかない場合においては、二・八の問題の根柢がゆるむこともあり得る、各自治體の事情によつてゆるむこともあり得るというふうに思われますが、その點は如何でございましようか。
#22
○政府委員(林敬三君) これは自治體の方について私共自治體の行政を擔當しております側から見ますと、やはり官吏の方とも睨み合して行かなければならないと存じておるわけでございまして、又官吏の方も自治體の方と睨み合せた行動をとつて貰わなければならないと思つておるのでございます。それで今のところ二・八まで將來工夫をして出し得るか、それとも出し得ないかということについては、實はまだどうしても結論が出ないのであります。併し飽くまでも努力をして、成るべく出し得るように最善の努力をするということが現状でございます。
#23
○阿竹齋次郎君 ちよつと伺いますが、この住民税は、法律で毎年十月一日に取ることになつておるように思うのでありますが、そうしますと今後値上げいたしますと、この財源に間に合うのかどうか、どうですか。上げたところで取るのが十月一日からでできない、それでは間に合わないじやないかと思いますが、市町村でやり繰りをすればいいじやないかというが、やり繰りをする餘裕がなかろうと思います。これは御承知の通り去年四十圓に上げたのです。大都市は十二圓、都市は九圓、町村は六圓であつたのを一率に四十圓に値上げしてしまつたと思いますが、それは去年のことであります。昨年初めて府縣住民税ができたのですから、去年は市町村住民税とで百圓納めた。それを今度この案で行くと一年の間に八倍になる、物價が三倍になつたというのでさえびつくりしておるのに、住民税は八倍になつた、こういう計算が出て來ると思います。それで昨年住民税が布かれて、特に政府がこの税の本質上注意して來たことは、できるだけ負擔が過重にならないように格別の注意をしなければならん。その代り住民税は獨立の經濟をしておる者からは漏れなく取れ、但し課税は愼重にしろというお達しがあつた。つまり住民税は自治政參加負擔分任の意味におきまして布かれた税制であつたと記憶いたしております。そこで地方長官において制限外課税を百分の五十まで許されておつて、それを大抵取つておつたと思いますが、今度も制限外課税を許すのか、そうしますと大變な金額になります。
#24
○政府委員(林敬三君) お尋ねの第一の、十月一日というのは、これはいわゆる納税義務者を定める期日でございます。具體的に申しますと、本年度の住民税は、十月一日にそこにおりまして納税の要件を備えた人について、これを取る、こういう期日が十月一日でございまして、この法律案が出ましてそうして通過になりますれば、實際の徴收は、その後において十月一日現在において決まつた納税義務者について取る、かようなことに相成るわけでございまして、やつて參れるわけでございます。それから納税の義務者として該當する者については、これは漏れなく、税金の性質から、取るべきでございますが、ただ先程も岡元さんも御質問ございましたように、いわゆる生活困窮者であつて、保護を受けるような者は、こたは課税の對象から除かれます。又それには生活保護を受けなくてもそれと同等又はそれよりちよつといいくらいのところで以て、除いて然るべしという者は、それぞれ條項で以てその運用を期するわけでございまして、殊に引揚者などで以て非常に氣の毒な立場にある人については、その間における施行に當りまして、實際の關係者に十分注意を促して遺憾なきを期して參りたいと存じております。
 それから税が去年に比べて非常に激増しておる點は、御指摘の通りであります。ただこれは平均額がこういうことになるのでございまして、下の方の最低の人というのは、これは市町村民税で申しますと、一年に二十五圓ということになつておるのでありまして、それぞれ運用に當りましても現下の事態に鑑みて、増税分も下に極力薄く上に厚く、こういう形での課税が取られることが望ましいと思います。尚中央で干渉すべきではございませんけれども、極力さような點についても、社會政策的な課税をするように注意を促して參りたいと存じます。
 それから百分の五十の制限外のことでありますが、これは中央政府の許可を受けますれば、課し得ることになつております。ただ極力これはやらないようにという、實は私の方は希望を地方に對して申述べておるわけであります。それからお話でございましたけれども、制限外を課しておるところの方が、遙かに少いのでございます。縣について申しますと、極く數縣、そういうよくよく苦しくて外に方法のないところが、許可を受けていたしたように記憶しておる次第でございます。
#25
○阿竹齋次郎君 制限課税が少い、そうでしよう。これは制限内と雖もなかなかやかましい税金であつて、地方でこの税金を取るのが一番むずかしいのです。要するにこの税金は貧富の状況によつて、階段的に細かくできておらない、よそはどうか知りませんが、大抵三段か四段に分けております。だから十圓の人と十一圓の人との一圓の差ですけれども、特にその力において相違があつて、なかなかこの税金はむずかしい、一番貧困な階級でも相當取られておる、住民税という意味から行きまして。こんなことは餘計なことでありますけれども、この住民税が高くてびつくりして首を吊つた人があります。そういうことは冗談でありますが、このくらい大きい税金ですから、本當に貧乏しておつても五十圓も六十圓も、二十圓も三十圓も取られるのです、その後は冗談でありますが、そこでなんですが、これは徴税が一擧に取れるということになつております。これは一遍に取らなければならん。本當にえらい仕事である。生活保護をしなければならん、或いは貧因なものに對しては取らないようにということは御尤もです。これは法律がそうなつておるから當然やらなければならんことであります。そこで昨年は四十圓、今年は何百倍にもなると大分負擔がえらいだろうと思います。それからこれを取るには一番むずかしい、納税義務者が決らんからむずかしい、實はこの十月中に納税義務者を決定すると言いましたけれども、本當に課税するときにむずかしい税金である。他の獨立税は物件を根據としてやつておるから取り易い、その他の附加税と違つて、これは獨立税であり住民の頭割税である。非常にむづかしい税金がこんなふうに殖えるということは首つりが殖えはせんかと思います。
#26
○政府委員(林敬三君) 大變これはむづかしい税金であるということは私も全く同感であります。實は私も二十年間地方廳の役人をいたしておりまして、その方の擔當を親しくやつて、このくらい賦課に對して文句があり、むづかしいことは仰せの通りであります。それで御體驗を持つておるので繹迦に説法じやないかと存じますが、他の税金から見るとやはり何と言うか、そういう段階的になつていない性格があることは私も存じております。しかしこれは條例で以て各團體で決めるということになつておりますから、ただ實際は大體歩調を合せませんと他と比較して又いろいろ議論がありますから、賦課總額の五分の一を下らないものは人頭割にいたしまして、後の分は大體基準を決めて、所得額或は家屋の賃貨價格、土地の賃貨價格或いは營業税額、そういうものを基準にして等級を設けてやつておるところでは、點數制度にしてやつておるところが多いと思います。私の在任いたしました縣では二十等級くらいに分けまして點數制度にして何は何點、何は何點ということをやつて賦課しておつたと存じます。但し町村によりましてはそんな面倒なことをしないというところもある。もつといわゆる大雜把な區分けをしておつたところもあらうかと存じますが、この度、金額が多くなつて來れば、やはりおのずからそういうふうに確實な基礎に基いてやらせる。段階的に精算の下にやらせる場合が多くなつて來ると存じます。又それが妥當であると存じております。それから税金の取り方でございますが、これは決めるのは條例で以て隨意になつておるが、年一囘でもよければ、年三囘でも、四囘でもいいのであります。ただ大抵の市町村では私の經驗では、一遍で取つておるところが多いと思います。その事情の困難なところは分けて取つてもいいことになつております。
#27
○阿竹齋次郎君 そこで徴税の時期なんですが、大抵一遍に取つてすると思います。それからこれは階級が、二十通りになつておる。私は日本全國を調べて見ると相當細かくなつておる。戰爭に負けたので變つたが、勝つまでは文句を言うなというのでとにかく賦課しました、大雜把な取り方である。ですからこれを眞に増税する基盤となるべきものを改正することは困難と思うから、從來のように増税するのだらうから不公平な結果が出て來ると思います。それからとにかく細かい階級ができるのだから大變むづかしいものが出るだろうと思います。市町村は有難いけれども困るだらうと思います。
#28
○岡本愛祐君 大臣は參りますか。
#29
○委員長(吉川末次郎君) 今衆議院に大藏省關係の議案が緊急上程されたので、それを濟まして來ると言つておりますから、暫くお待ちを願いたいと思います。他に御質疑ございませんか。質疑がなければ在外同胞引揚問題に關する特別委員會の委員長の矢野酉雄君より特に發言の御要求がありますので、この際許可いたします。
#30
○委員外議員(矢野酉雄君) 發言さして頂きまして有難うございます。只今政府委員から私が御願いを申上げたいと思いましたことについて實は御説明がありましたので、或いはこれは屋上屋を重ねるの弊に陷るかと存じますが、率直に申上げますというと、大臣にしてもその他の政府委員の方がここでお仰しやつたことでも實は必ずしもそれが行われないことがしばしばあります。過般も私は私の同僚の岡部常君を通して總理大臣に對して六・三制の追加豫算についての言質を本會議で取りましたけれども、御覧の通りに六・三制追加豫算七億圓の豫算を繰込むことができなかつた。文部大臣自體も言質を與えてこれを實行していない。これらの事實に即しましてどうも政府委員の仰しやつたことだけではまだなんだか心細く感じますので、私の衷情を披瀝する次第であります。
 實は一昨々日特別委員會の者は東京を中心といたしました引揚者の一時寮竝びに定著しております各寮をお見舞し、又視察をさせて頂きましたが、實に言葉に絶する窮状でございます。例えば新聞にもよく報道されましたあの國分寺の寮の如き、それは何千坪という建物と、それから何十萬坪という、總計六十萬坪はありますが、土地がそのままになつておりますのに、こんな一つの建物を與えられておるところの引揚者達は、全く窓もございません。私動亂の滿洲で、あの掠奪の後の倉庫の中に多くの、北安その他北方から、或いは東邊道から避難して來た諸君を收容したことがありますが、恰もその動亂の最中の奉天の一時收容所の如き慘澹たる姿でございます。三田の寮の如き、その光線の工合から、濕度の關係から、遊ぶ所一つも持たない子供たちの保健の立場から考えて見まして、同じこの敗戰後の日本に生を營みながら、かくも隔たりの多いかを考えたら、實にその晩私は到頭御飯も食べられないくらいでございました。私事を申上げて恐縮でございますが、矢野の次男は遠くウクライナにおいてドロシーコーフの病院で亡くなりましたのを知りましたが、これは國家から頂くのは恐らく葬式料四十圓でございます。過般の水害において公務員が亡くなつたのは一時金として十數萬圓貰つておる。(「二十萬圓貰つた」と呼ぶ者あり)こういうことを考えたときに、或いは又戰災を受けた人々が一ケ年間免税を受けたのに、全く裸のままで還つて來た引揚者はなんらの免税という恩典にも浴しない。一昨々日でありましたか、皆さんが御審議下さいました地方税の改正法律案が通過して、更に只今御審議中と聞きましたこの住民税は、やはり等しく引揚者に對してもこれは課税されるのでございましよう。引揚者約六百萬、その兩親、子供、兄弟、從兄弟總計しますと約三十萬と思つております。この人々が祖國に還つた喜びと肉親に合つた喜びに奮いながら、民主日本の建設のために協力してくれますならば、必ずや社會黨の現首班内閣が唱える一つの高度民主主義の國家が建設せられるでありましようが、逆にこの諸君がいよいよ生活に窮して最前お話申しましたところの國分寺の寮の寮長が申しましたのに、ちよつとした注意が私共が足らなかつたために一家五人全部が飢え死をしているのです、ついこの間。こういう現實に直面いたしましたときに、戰爭犠牲の公正なる負擔こそ民主日本建設のこれは第一義的な原則であらねばならんと思いますのに、有らゆる面から見まして、過般も私達が審議いたしました失業手當法案に失業者中の失業者は二年半強制勞働に服して歸つて來てあの港に上陸したあの失業者中の失業者と私は思いますのに拘らず、あの手當法案の恩典に浴することは斷じてできません。私はその際勞働大臣に對して何らかの處置に出る言質を本會議において與えられて引揚げて來ておるところの諸君に對しては何らかの光明を與えて頂きたいということを申しましたのに對しまして、勞働大臣は本會議席上において、御承知の如く言明を與えてくれました。翼くばこの法案は同じ我が日本の兄弟の公務員諸君の何か恐らく手當か何かに充當されるでありましよう。その公務員諸君の生活の困難であることも私は十分存じておりますから、皆さま權威ある委員會の方々でこの改正法律案を御可決になつて然るべきと存じます。而かもその御可決になりましたその法律において是非とも引揚者は、勿論初めから引揚げて來た全部とは申しません。何か適當に當局においては立案せられまして、是非生活に困難しておるこの引揚者諸君に對して免税の恩典を、而も寛大に與えて頂くような確實なる措置をこの機會にお願いすると共に、又委員長初め尊敬する委員皆さまが私のこのお願いに對して是非御支持願いますように貴い御時間を割いて頂いたような次第であります。何分ともよろしく御願いいたします。
#31
○政府委員(林敬三君) 今のお話に對しまして、政府としての所見を申し上げたいと思います。言語に絶する引揚者の窮状、又御苦勞ということに對しましての今の引揚委員長からのお話は私は心から涙を以て拜承いたしました。誠に大きなこれは社會問題であることは全く御同感でございます。この税の問題について申しますと、引揚げられた方の中で普通人と同樣の暮しの立つ方については、やはりこれは課税の對象になるのもいたし方ないと存じますが、暮しの立たたない方、暮しの極めて困難な方、こういう方々については當然免税の措置をとるべきものだと存じます。それで現在の税法によりますと、公私の生活についての補助又は救助を受ける者は法律上當然課税をしないということになつております。これはまあ法理論でありましてそういうことになつておりますが、私共の僅かな極く乏しい經濟から見ましても、なかなかこの生活保護を受けるということは、受ける人よりももつと暮しが低くなつてもそれぞれのいろいろの從來の觀念があつて受け難いものであります。從つて生活保護を受けてなくても實は受けておる人以上に苦しいという人も相當あることを私も認めるわけであります。それらについてはそれぞれ各自治團體の條例でそれらの人にまで劃一平等的な課税をすることのないように十分の、施行に當りましては注意を促したいと存じます。單に口頭だけでは聽き落すこともあると存じますので、これは内務省からの通牒にいたしまして、書面を以て出すと共に、これが實施についての會議については必ずさようなことを周知徹底するように努力いたしまして、引揚者の方々で生活に困つておる者に對して無理な課税や不公平な課税のないように私共としても責任をもつて最善の努力をいたしたいと存じております。内務省は御承知のように、今月一ぱいで解體されまして、それから後は又責任者も變わることと存じますが、必ずこれは引繼ぎをいたしまして、そうしてその點についての過りなきを期して參りたいと存じますから、御了承を頂きたいと思います。
#32
○岡元義人君 今の地方局長の御説明で非常によく分りましたしたのでございますが、今までの經驗から一言これに對しまして意見を述べさせて頂きたいと存じます。というのは生活の困窮程度というものをば、地方個々に調査いたしまして、そうしてこれを地方議會によつて決定して行くということは勿論これは民主的な一番よい方法であるということは私共合點できるのであります。併しながらこの問題は實際に行われる際におきまして、この國會の姿そのものがそうでありまするが、いわゆるそういうような犠牲者達の中から選擧された一つの議員というものが、數において優勢でありましたならば、これは問題は別であります。併しながら地方公共團體の議會の構成はまだまだこの域に達していないのであります。それで少數意見で以て殆どすべてが敗れて行くのであります。ここにおきまして、今申しましたよう、に十分分つておるものはそういうような處置を取るということの通牒を出されるにおきましては、寧ろ千圓で歸つて來た者はこれは千圓で歸つて來た者でありまして、これを一年半でも二年でも、長く、歸つて來てからどうやら生計を立てることができておる者と區別するということもなかなか困難だと思うのであります。それでむしろそういう温かい處置というものは、その氣持が徹底しておれば一番效果が大きいと思いますので、何年何月から以來歸つて來た者は、これだけは除外するというようなふうに、この通牒をしてはつきりさして頂く。でなければ到底今申し上げましたように政府の親心は末端までは徹底し得ない。こういうことをば申し上げたい。私も、地方局長も先日まで地方におられて事情もよく分つておられましようが、私自體自分が引揚げて參りまして、私の経驗というものが地方の隅から隅までこういう問題で今まで鬪つて來た男であります。ここで理論的に物が解決できても、實際には解決できない。この實情を體驗して來ておる男がここで申しておるのでありますから、私の意のあるところをお酌み取り願いまして、十分參酌して頂きたいと思います。
#33
○阿竹齋次郎君 住民税の質問が續いておるようでありますが、百分の五十まで制限外の途が開けておるのですが、それがまだ行つておらん所が多い。然るにこの度のような厖大な増額をする。増額の制限外課税の許可を受けても足らない。ときには制限を上げるというならば止むを得ませんが、餘裕のあるのに大幅の引上げをやるのでありますから、そこで地方におきましては去年税制が大分變りまして、御承知の通り今まで制限を受けていたものが、徹廢をされたものが大分ある。不動産收得税、或いは電柱税を除くものには地方自治體で自由に増額することができる途が開けておる。又地租、家屋税附加税についても引上げすることも考えられる。住民税を引上げれば、他の税金で苦勞せんと直ぐ住民税へ飛んでしまうだろうと思います。
#34
○政府委員(河野一之君) 御承知のように制限外と申しますものは大體豫め劃一的に豫想し得ない需要に應ずるための非常の措置であります。今度の分は誠に止むを得ないところでありますけれども、やはり全般的に豫想し得る一應の財源措置になつて參るものでございますから、それでかような改正をいたしたわけでございます。それで確かに平均額を上げるのでございますから、その枠が廣くなつて參るのでございまして、今までの經理状況から見れば各自治體とも更に五割を上げるより途はなかつたと存じますし、殊に豫め財政需要のあるところ、或いは他にやりくりがつかないようなところについてそういうことが行われていたと思われます。それで今度のはそこのところはいわゆる豫期される官吏に對して一ケ月出しますと、公吏に對しても同じ……殆ど机を竝べてやつておる者であつて、これについてもやはり二・八ケ月分だけ出さなければならない。ところが一ケ月分だけ取敢えずというような状態でございまして、さようなことが豫期せられますので、それでそういう現在の財政需要の状態になつて來ますと、それに關する財源措置というものもやはりおのずから枠を擴げて行かなければならないということに相成つたわけでございまして、その間のところ御了承をお願いしたいと思います。
#35
○委員長(吉川末次郎君) 他に御質疑がなければ、地方税法の一部を改正する法律案につきましては、大藏大臣の出席を求めまして尚續行いたしたいと思いますが、大藏大臣は參議院の本會議に列席中でありますので、暫くこの地方税法の一部を改正する法律案の審議は中止することといたします。後刻更に改めて審議を續行することにいたしまして、引續いて警察法案の審議をいたします。
 昨日衆議院より囘付されて參りました修正事項につきまして、衆議院で修正しました修正事項に關連いたしまして、一應政府當局より説明を概略願うこととしたいと思います。
#36
○説明員(加藤陽三君) 警察法案につきまして衆議院の方で御修正になりました點は、字句の整理に類する事項が多いのでございまして、ただ都道附縣公安委員の解職請求に關する規定を中心といたしました修正でございます。大體この衆議院の修正は參議院の當委員會の御意見を參考とせられまして作成せられたものでございまして、當委員會の修正とこの衆議院の修正と喰い違つております點は、第五條第三項の規定、即ちこれは國家公安委員會の委員の任免につきまして兩議院の同意を要することになつておりますが、この同意につきましては、「衆議院が同意して參議院が同意しない場合においては、日本國憲法第六十七條第二項の場合の例により、衆議院の同意を以て兩議院の同意とする。」という原案がございます。この原案は國家公安委員の罷免の場合につきましても同様の規定が第八條にあるのでございますが、參議院側の當委員會の御意見でありますこの修正に關する事項は、衆議院の方で採用せられなかつたのでございます。それ以外の事項につきましては全然當委員會の修正意見の通り、衆議院の方で修正に相成つたものであります。
#37
○委員長(吉川末次郎君) 只今の内務省企畫課長の御説明で大體御了承を得たことと思います。要するにかねて本委員會におきまして、いろいろ御意見のお纏めを願いました政府原案に對する當委員會の修正意見は、衆議院は第五條第三項及び第八條第四項の衆議院と參議院との國家公安委員の任免に關しまする條項を除く他は全部その中に加つて、それが全部法文化されておるというところの征府當局よりの説明があつたわけでありまして、御了承を得たと存じております。
#38
○岡本愛祐君 ちよつと質問したいことがございますが、この衆議院の方の修正について伺したいのですが、「第二條に第三項として次に一項を加える。」という所に、「且つこれに限定られるも」、「これに」というのは何ですか。
#39
○政府委員(久山秀雄君) 「經濟法令に關する違反を含むものであり且つこれに限定せられるものではない。」というこであります。
#40
○岡本愛祐君 そういう意味じやないのじやないでしようか。これに限定されるものじやないというのは……、ここに列記してある、ここにずつと列記して來まして、この法律にいう犯罪とはこれも含むものであり、以上六號に掲げたものに限定されるものでもないというふうにとれますが。
#41
○政府委員(久山秀雄君) いやそうではないのでありまして、經濟法令に關する違反というものが、いろいろこの法律にいわゆる犯罪の中には入らないのだというふうな誤解と申しますか、御説が非常にあるので、それはそうでないのだ、ここでいう犯罪には、經濟法令に關する違反も入つておるのである。從つてその經濟法令に關する違反を含むものであるというだけで、實はいいのでありますけれども、そういたしますと、經濟法令だけを含んでおる。それ以外のものは含まないのだ、こういうふうになりますと、一應この犯罪に含む法令違反を各法律について書き上げなければいけないという誤解を生ずる虞れもありますので、經濟法令に關する違反も當然この法律に言う犯罪の中に入つておるのだ、併し經濟法令違反それだけを言うのではない。勿論一般に廣く法令違反を言うのである。こういう意味なのであります。
#42
○岡本愛祐君 その次に伺うのは、第二十四條に但「し、」とここに書いてあります。『但し、同法第八十六條第一項中「その總數の三分の一以上の者」とあるは「當該都道府縣國家地方警察の管轄區域内に於て選擧權を有する者の三分の一以上の者」』、こうありますが、これは正しく書けば、こう書くのでなくて、「地方自治法の第八十六條の選擧權を有する者は」とあるのは「當該都道府縣國家地方警察の管轄區域内に於て選擧權を有する者は」と讀み替えるものとする、そういつた方が正しいのじやないかと思いますが、その點を一つ伺つて置きます。
#43
○説明員(加藤陽三君) 只今岡本委員から御指摘になりました二十四條第二項に加えました條文でございますが、これは御指摘の通り、「八十六條の選擧權を有する者」を「當該都道府縣國家地方警察の管轄區域内に於て選擧權を有する者」と、こう規定いたした方が正確であり、且つはつきりしたと思います。ただ併し、この現在の修正の條文でも同様な意味に解せられないことはないと考えております。
#44
○委員長(吉川末次郎君) 他に御質疑はございませんか。
#45
○岡本愛祐君 尚まだ、これは餘り小さいことですが、附則第七條の第一項にあります「この者が市町村警察の職員より更に國家地方警察の職員になつた場合には、その市町村警察の職員としての在職期間はこれを公務員としての在職年に通算する」こうあるのですが、これはこの原案の調子に合せますと「在職期間に通算する」とこういつた方がよいと思うのです。又年となれば、それじや端數の月はどうなるかという問題が起ります。「期間」があればやはり端數に通算して計算する。そういうことになりますから。これも「期間に」とある方がよいのだと思いますが、その點をお尋ねします。
#46
○説明員(加藤陽三君) これは附則第七條の第二項に、都道府縣の吏員が國家地方警察の職員になりました場合の恩給法の適用について、「當該都道府縣の吏員としての在職期間は、これを公務員としての在職年に通算する」と書いてありまして、それと合した趣旨であります。恩給法の規定の上におきまして「在職年」という言葉を使つておりまして、これに一定の意味を持たしておるのであります。恩給法はこれ以外につきましても全部適用することになりますので、恩給法の規定に合した方がよいと思つて、かように規定したのであります。
#47
○岡本愛祐君 それではその「在職年」という意味は必ずしも年に限らないで、端數も入れるわけでございますか。
#48
○説明員(加藤陽三君) 今手許に恩給法を持つておりませんので、正確なお答えはできませんが、恩給法におきましては「在職年」というものはこういうものをいうのだというような定義があつたように思います。
#49
○委員長(吉川末次郎君) 他に御質疑がなければ、これより討論に入りたいと存じます。ちよつと速記を止めて。
#50
○委員長(吉川末次郎君) 速記を始めて。それでは警察法案に對する審議は中止することにいたしまして、先の地方税法の一部を改正する法律案の審議を再び開くことにいたします。岡元委員から大藏大臣に對する質疑がありまして、特に大臣の出席を要求せられましたので、大藏大臣に對して改めて御質疑を一つ願いたいと思います。
#51
○岡元義人君 大藏大臣にお伺いいたしますが、實はこの地方税法の一部を改正する法律案は、二日程前に參議院を通過したばかりなのであります。そこへ持つて來て而も倍額にこの最高額をば引上げるということが、どれだけ大きな影響を與えるかということは、十分お考えになつておると思うのでありますが、又この法案の重大性ということも十分御承知であつたと思うのであります。然るに大臣は、今日の新聞で見ますと、すでにこれは國會を通過したかのごとき感を與えることをば發表されておるのでありますが、誠に我々としては遺憾に思うのでありまして、これは與えるところの影響は非常に大きいのであります。特に大藏大臣に申上げたいのは、先程大藏大臣は、私からいろいろ昭和十四年の法律第三十九號の件につきましてお尋ねしましたときも、いわゆる一般戰災者、一般爆雷その他による被害を受けた者でも、免税の特典が與えられておるに拘わらず、一般引揚者その他に對してはこれに對する特典も與えられておらないということをば申上げて、一般引揚者その他も當然この法律三十九號によつて同じ精神の下に適用を受けるべきであるというようなことをお話したのでありますが、その際に大藏大臣は、非常に困難な問題があつて、できないということをばお話があつたのであります。尚この際こういうような高い額を決められるに當りまして、この性質が住民税となつておりますので、この住民税は地方々々によつて裁定するとは申しますものの、實際はこれが行使されるにおきましては、誰彼の容赦なく、十月一日現在を以つて課税されるということは必定であります。又その額においても相當加重されるということは、十分地方によつて裁定されると思われるでありましようが、併しながらこの性質が十六億四千萬圓という、今せつぱ詰つた地方公吏の、いわゆる中勞委の裁定によるところの一ケ月分を捻出するために設けられる法案であるということを考えて見ますと、これが與えるところの影響が誠に大きい。彼ら犠牲者たちはどういうことを言つたかと申しますと、ストライキが、勞働攻勢が盛んになりました本年の二月時分におきましては、我々はストライキを起すにも起す場合を持たないといつて歎いたのであります。然るに今この一ケ月分の公吏の、いわゆる中勞委裁定によるところの増額金を渡すということになりますと、これらの犠牲者たちに對する精神的の打撃ということをば、大藏大臣はどのくらい考慮されておるか。それが日本の將來に對しまして、禍根を殘すことがないかということまでお考えになつておるかということをお伺いしたのであります。
 それが一點と、それから先程申上げましたように、新聞紙上に發表されておる問題でありますが、苟くも二日前に通過いたしまして、これをば審議するというのが又二日しかないのでありますが、誰が考えて見ましたところで、國民は全く國會の權威そのものを疑うというような状態にあると思うのであります。さようなことをは輕々しく大臣が發表されるにおいては、我々といたしましては最も遺憾に思いますので、この點大臣のお氣持を伺わさして頂きたいと思います。
#52
○國務大臣(栗栖赳夫君) この新聞は今見たのでございますけれども、これは實は昨日衆議院が先議權があるものでございますから、衆議院に今度のこの一般の特別手當の豫算を出しますと同時に、この地方税の改正についての委員會と、二つの委員會があつたわけであります。その方針を、この公吏についてはどうするかという質問が出ておるわけでありまして、官吏と公吏を別々にしてはいけない。そうして公吏という者は、財政窮乏のときであるから、どういう方法をとるかという説明を求められたのでありまして、議場で説明するというのはこれは當然であり、したのでありますが、ただ新聞記者が、どういう記事を書いたかということは、これは私責任は負いませんけれども、實は本日はここへ罷り出て、その趣意を詳しく申上げたいと思つた次第でございます。ちよつと速記を止めて頂きます。
#53
○委員長(吉川末次郎君) 速記を止めて。
#54
○委員長(吉川末次郎君) 速記を始めて。
#55
○岡元義人君 二、三日前に裁定されまして而もそれが倍額となるということでありました。これは百二十圓と八十圓というものは而も税金である住民税という點に鑑みまして、相當この額というものに對してはその性質から愼重に檢討されなければならない性質のものであつたのであります。これを一躍二日經つて今日倍額に引上げる、そういうことは先に通過させましたところの百二圓と八十圓というものもが國會は一體どういう氣持でこれをば檢討したということを國民に問われまして、我々は何と答えていいかこの點でございます。これは恐らくいろいろ我々といたしましてはその筋との事情もありましようから、この程度で了承がつくのでありますが、苟くもこれは一般大衆の頭に直ぐかかつて行く大きな問題でございます。そうして大藏大臣も地方財源は涸渇しておると仰つしやいましたが、全くその通りでありまして六・三制の問題にいたしましてもあらゆる問題で以て地方財源はもうこれ以上恐らく出せない、先に政府委員が平均に割當てますと八十圓平均になるかも分らんと仰しやいましたが、併しながら寄付に繼ぐに寄付、又この六・三制の問題について我々頭を痛めておるのであります。そういう際にそういう大衆課税の引上で以てそうして公吏のいわゆる給料に充當さして行くということは私は相當衝撃を與えるということを繰返して申上げたいのであります。從つてこの公吏の中勞委の裁定によつて決りました一ケ月の金を出すということに對しては毫も反對するものではないのであります。ただその財源の振り向け方がこういうことで振り向けられるということは最も遺憾だと思うのでありまして、この點我々議員の立場を考えて頂きましたならば何とかこれはこういう方法ではいけないのではないかということを私大臣もお考えになるのではないかと思うのでありますが、更に一つ私たちの立場をどういう意味でお考えになつておるかということをお答え願いたいと思います。
#56
○國務大臣(栗栖赳夫君) 大藏大臣といたしましては皆樣と同じようないろいろ考えを持つておるのでありまして、併し地方財政の現状におきましては、これをいたすより外に方法がないのであります。そこで今囘は先程の特例は止むを得ない仕儀としてかように致した次第でございます。他に借入金の途、借入金ということは更に負擔を重くさしますし、そうして利息を伴う金ということになりますと、いよいよ苦しめることになります。他に財源、その他の方に適當なるものが見出し得られまするならば、尚考えられるのでありますけれども、それもないというような現状でございまして、一面におきましては、この前の改正は、大體九月の初め、或いは八月の末頃の大體状況に應じて、長く衆議院に出ておつた次第であります。實はこの問題がもう少し前に解決いたしますれば、適當なる處理をお願いも、衆議院の方でもできた、從つて參議院の方におきましても、地理的に考えてもいかにも無理だというような點をなくすることもできたと思うのであります。何ともいたし方がない短かい期間に差迫られた次第でありまして、そこで止むを得ず他の方法もなし、これを先程來申上げますように決めた次策でございます。
#57
○岡本愛祐君 先程中井委員から地方局長にお尋ねになりましたことについて私もお聽きしたいと思つておりましたことですから、大藏大臣がおいでになりましたから、大藏大臣にお答え願いたいと思うのであります。中勞委の裁定では二ケ月八分、それで今度一ケ月分だけ取敢えず出しまして、十八億の中を十六億、というふうになるのでありますが、今度、後殘りの一ケ月八分といたしますと、それが地方の負擔が三十三億餘になるだろうと思います。これに對しましてはどういうふうにお考えになつておりますか、又この府縣民税、市町村民税の値上げによるということになさつては、今岡元委員からお話のありましたようなことに輪をかけて行くようなことでありますから、これに對してどのようにお考えになつておりますか。
#58
○國務大臣(栗栖赳夫君) この二・八の中勞委の裁定については、政府は能う限りの尊重をいたしたいと、こう考えている次第であります。只今その筋とも交渉をいたしまして、殘部についてはどういうふうになるか、未だ決定を見ない次第でありますが、政府は成るべく速かにこれを決定しようと、交渉を續けておるような次第であります。尚その財源につきましてでありますが、これは官吏につきましても、一般會計で今囘は至急を要する關係上、一月分は賄いましたのであります。殘部については、これは到底一般會計では賄えない點が多々あるのでありまして、これは特別會計、その他についても、十分節約というようなことをいたしてこれを賄わざるを得ないような立場に相成るのでありまして、その邊も只今頻りと交渉をいたしておるような次第であります。一番問題は、この間の地方長官會議でも赤裸々に申上げたのでありますが、この公吏についてであります。公吏の殘部をどするかという點については、最も内務當局において一番御心配であり、大藏省といたしましても、一般國庫からこれを補助するというような餘地は殆どないのでありまして、そこで公吏をいかにするかというような點については、今この内閣におきましても尚考究を續けているのであります。而もその筋との交渉も、まだこの點については交渉をしておりますけれども、具體的に至つておらんような次第であります。それで今後の問題としまして、地方財政のその他の出費、その他等も考えまして、どうしても節約されると同時に、何か根本的の手に觸れて行かなければ、これはなかなかできないのじやないかというような問題までも考え、頻りと大藏省、内務省でも考究を重ねておるような次第でございます。
#59
○岡元義人君 これは特に委員長にお願い申上げるのでありますが、今まで大藏大臣の、私の質問に對しまして、いくら質問いたしましても、あれ以上のなにも出ない、こういう工合に思われるのであります。併しながら只今の質問の中にありました通りにこの法案がつい二、三日前に參議院で通過したばかりでございますし、各派 各政黨におきましていろいろな見解もあるだろうと思うのであります。尚中勞委員の裁定によつてこれを急據捻出しなければならないというようなところからこれが出て來ておりますし、一應眞劍にこれは檢討しなければならん、而も日にちは後二日しかないという状態なんでありますが、できましたならば、今日一日猶豫を與えて頂きまして、明日この採扶まで持つて行つて頂きたい、一日だけの猶豫を頂きたいということを委員長にお願いしたいのであります。
#60
○委員長(吉川末次郎君) 大藏大臣にこの際御質疑になる方はございませんか。
#61
○阿竹齋次郎君 簡單ですが、同じことを、こんな派生的なことで發言して時間を取つては濟みませんが、大藏大臣は、新聞に書いておることは、俺は新聞記事は知らんというと、そうすると新聞は無責任なことになる。これよりも大臣は先へ進むので、言葉が過きたのじやありませんか。もう少し今後はゆつくりして貰うて、落著かれたら、こんな問題は起らなかつた。もう少しゆつくりして頂きたいということをお願いして、この質問を打切りたいと思います。
#62
○國務大臣(栗栖赳夫君) この新聞を見ましても、六日の衆議院豫算委員會の記事がこう言つてあるのでありまして、その質問を受け、殆ど二時間以上もいろいろしたのであります。それですからこういうような記事になつたので、決まつたというようなことの記事になるというわけではないと思うのであります。その邊は惡しからず御了承を願いたいと思うのであります。
#63
○鈴木直人君 これに直接關係がありませんが、只今大藏大臣のお話にありましたので、關連してこの際に特にお願いして置きたいのは、先般地方財政委員會ができまして、その地方財政委員會を審議する最中において、大方の委員から、この地方財政委員會ができましても、これは地方税と國税との配分をどうするかということが根本的な問題になつて來る、その際に、大藏當局が余程、只今のお話によつて非常によく分りましたが、余程地方に財源を與えるというような考え方を強く持つて頂くことが必要であるから、その點が最も根本であるということでありました。只今大藏大臣がそのようなお話を積極的にお話し頂きましたので、非常に心強く我々地方財貞委員會を通したところのものとして思つておるわけでありますが、この地方税法が今こういうふうにして暫定的に變りますれば、將來は根本的なものができると思つておりますけれども、その點について特に一つ力を注がれたいと思います。
#64
○國務大臣(栗栖赳夫君) 今の御要請に對して一言お答えをいたして置きたいと思うのであります。實は昨年、私、この税制調査會の委員の末席を汚したのであります。その際にも、この地方税と中央税との分け方、地方自治というものの行き方、こういうものにつきましても相當に議論を戰わし、そうして結局は今の税制のように一應相成つたわけであります。そのときにもかたがた地方の税制についても、別途に委員會がありまして、その委員兩方とも長いことの會合をし、そうして今の原案を作つたような次第でございます。併しこれは私どものその當時に考えました理想の一部が實現いたしたのでありまして、全部とはまだ行かないわけであります。殊に地方の財政も中央の財政も、どちらも赤字の苦しい立場にありますので、その均衡を得さすというようなことにつきましても、この理想に直接に飛込むことができなくて、經過的に今日に至つたと思うのであります。尚これは本當の地方財政、中央の財政、殊に税の確立というようなことは尚相當の年月を重ねて除々にやつて行かないといかんと思うのでありますが、地方の自治を認める以上は、地方の財政についても、獨立の財政ができるということでなければなりません。又中央においても同樣でありますから、今御要請になりました趣旨の點は十分私承つておきたいと思う次第でございます。
#65
○委員長(吉川末次郎君) 他に御質疑ございませんか。只今岡元義人委員から私に對しても御要請があつたのでありますが、この法律案につきましては、前に通過いたしました地方税法の一部を改正する法律案の委員會が可決確定いたしまして、本會議にそれが囘付される途中の期間におきまして、當局から以前提出されました法案を参議院において修正して、そうして只今御審議を願つておりまする法律案の内容を、その中に盛り込むようにして貰いたいというような要求が初めあつたのでございますが、議事手續に關しまする、いろいろな法令との關係上、やはり二本の法律案にして、參議院に提出して貰うようにしなければならんという結論になりまして、今日この法案の御審議を願つておるような結果なんでございます。岡元委員の仰しやる趣旨は十分私にも了解できるのでございますが、御承知のように會期も餘すとこう二日しかないのでございますから、若し御反對がなければ本日直ちに討論採決の過程に入りたいと思つておるのでございますが、如何でございましようか。このように取計らいましてよろしうございますか。
#66
○岡元義人君 これは非常に、先程特別委員長がいろいろ條件のことも申しておりましたが、一應いろいろ我々といたしましてもう一日だけ今日考えさして頂きまして、非常に重大な問題でありますから、これを取上げるにつきまして條件は政府方から發表して頂く、ということも考慮しなければなりませんし、そういう點もありますのでできましたならば、一日餘裕を頂きたいと申したのであります。
 もう一つは實際問題といたしまして、外の議員の方は恐らく知らん方が澤山あると思います。一昨日追加通過したばかりで、又こういうことになつて、一應各政黨においても了解を求めておく必要があるじやないかと考えておるのでありますが、皆さんも明日でも間に合うじやないかと思いますが、如何でしよう。
#67
○委員長(吉川末次郎君) 岡元さんが御要求になつておるような點は、内務當局の方でも個人的にいろいろ御滿足ができるよう、御折衝申上げたいというように言つておるのでございますが、大體そのようなことで御了承願えませんか。
#68
○岡元義人君 はいよく分りました。
#69
○委員長(吉川末次郎君) それではこれで質疑を打切りまして、直ちに討論に移りたいと存じます。それでは地方税法の一部を改正する法律案を議題に供します。贊否の意見を先ず明確にして頂きまして、御意見の御開陳を願いたいと思います。
#70
○黒川武雄君 私はこの案に贊成いたします。ただ將來とも官公吏の待遇改善のために、その財源を大衆課税に求めるということを、極力避けられたいということを政府當局に切望いたしまして、この案に贊成いたすのでございます。
#71
○岡元義人君 私も贊成はいたします。併し先程來質疑にこの點において申上げましたように、第一點は特にこの法律案が通過いたしましたならば、戰爭犠牲者たちに對する課税が、先程來述べられましたような、單に地方に委しておくというのじやなくて、一應政府當局におかれましても、萬全を期して、そうしてこの犠牲者たちがこういう大きな負擔に堪えられないということがないようにして頂きたいということをくれぐれも強くお願いしておきたいと思うのであります。
 それから第二點は突發的な事情にせよ、苛くも國會というものがある以上、この二日前に通過させておきながら、又この次の議會でも、というのでありましたならば、我々は無條件で或いは了承できるのでありますけれども、誰が考えても非常に不思議に思わなければならんというような行き方は、今後絶對に改めて頂きたい。今後絶對にこういうことはないようにして頂きたいということをば、特にお願いいたしまして、この法案の通過に贊成するものであります。
#72
○委員長(吉川末次郎君) 他に御意見の御開陳ありませんか。
#73
○阿竹齋次君 私は止むを得ませんから、贊成をいたしたいと思いますが、税の本質から政府は度々地方に向つて訓令を以てこの前にも負擔の過重にならないように誡しめられておつた。然るにこんなに厖大な増額をするのでありますから、この地方に政府の言つたことと變つて來た。この枠を定めますことでありますから、成るべく市町村が増額をせんといいように十分の御指導を願いたいということを希望いたします。
#74
○委員長(吉川末次郎君) 他に御意見はございませんか。他に御意見がございませんようでございますから直ちに採決することにいたしたいと思います。只今議題となつております地方税法の一部を改正する法律案に對しまして御贊成の方は御起立を願います。
#75
○委員長(吉川末次郎君) 總員起立を認めます。從つて本案はここに可決決定いたしました。つきましては、多分明日開かれると思つておりますが、本會議に委員長より報告いたしまする報告の内容につきましては、委員長に御一任を願うことといたしたいと思いますが、よろしうございますか。
#76
○委員長(吉川末次郎君) 御異議がなければこのように取運びたいと存じます。御贊成の方は參議院規則によりまして御署名を願うことといたしたいと存じます。
#77
○岡元義人君 明日の何で委員長の方から、特に二、三日しかなかつた問題については各議員に十分納得の行くように、國會そのものが相當この問題で以て一般大衆からいろいろなふうに見られるだろうと思うのでありますが、この點は十分一つ納得の行くように説明して頂くように特にお願いしておきます。
#78
○委員長(吉川末次郎君) それでは引續き警察法の審議に再び入ることにいたします。それではちよつと速記を止めて下さい。
#79
○委員長(吉川末次郎君) それじや速記を開始して下さい。警法法案の質疑がまだおありの方はこの際言つて頂きたいと思いますが……。
#80
○委員長(吉川末次郎君) 御質疑がないようでありましたら……。
#81
○鈴木直人君 私は一點だけはつきりしておきたいと思います。ちよつと二十二條の「政治的團體の役員」ということが、政府委員がどうもはつきりしなかつたですから、その「役員」というものはどういうものによるか。例えば勅令の百一號の解釋による者がこの政治的團體の役員になることができないというのか。この役員のはつきりした解釋をつけておいて頂きたいと思います。
#82
○説明員(加藤陽三君) この二十二條の「政治的團體の役員」につきましては一應國家公務員法にも書いてあるのでありますが、國家公務員法の方は明年の七月一日から施行されることになつておるので、確定的な解釋は決つておらないようでありますが、警察法の方は直ちに實施に相成る見込でありますので、それで政府部内におきまして關係の向きと今相談しておるのでありますが、大體今決定しておりますところは、公職適否の審査の基準といたしまして、本年の四月に内閣総理大臣から關係官廰に對しまして、こういうものを公職適否の審査の基準とすると、各政黨について定めたものがございます。自由業については本部は何と何、それから支部におきましては支部長、顧問又は幹事長、社會黨についてはどうであるというふうに具體的に規定してあるのでございます。これを只今のところ「役員」の基準として採用して參りたい。それ以外の政治的團體につきましてはそれに準じて具體的に定めるというふうにしたいと考えております。
#83
○委員長(吉川末次郎君) よろしゆうございますか……。他に御質疑がないようでございますから直ちに討論に入りたいと存じます。御意見のある方は贊否を明らかにして御發言を願いたいと存じます。
#84
○羽生三七君 私はこの警察法案に贊成するということを前提に、自分の意見を申します。
 この警察法はいろいろな意味において新らしい問題を含んではおりますが、日本の現下の政治的、社會的な條件、竝びに日本の現下の民主主義の發展の度合から見ますならば、この法案は恐らく他の國の法案を、或る程度他の國の警察法を參考にしたと思われる點が多分にあります關係上、恐らく他の國の警察制度に見られるものと、或いは日本の現在のこの實情に照して見る警察制度との間には相當の私はギヤツプがあると思うのであります。この點はこの法案全體の運營の上に極めて大きな影響を與える性質を含んでおると思うのでありますが、それは今後の運營の上において、十分補われなければならないと思うのであります。
 今一つは、この法案が特に國家公安委員等におきましては、リコール制がまだ採用されていることにならなかつたことは誠に遺憾でありますが、これらの點につきましては人選の際に、十分當該關係者が愼重を期さなければならないと思うのであります。尚又私はこの法案を運營する上におきまして、恐らく國家地方警察と、自治體警察との間の關連制とについていろいろ問題が起り、又治安上極めて寒心すべき事態が起らんとも限らないと思うのでありますけれども、併し要するにこの前の委員會で、私が總理大臣に希望いたしましたように、結局日本の治安が最近特に紊れておるというその根本原因は、戰爭の影響から來ておる問題が最も顯著なる事例でありますので、結局政府當局が治安の紊れる原因となる問題を除去する、治安の障害になるような社會的な條件を政府が拂拭する。この問題に努力しないというと、この新らしく生れる警察法において、日本の治安を十分維持して行くということは私はなかなか困難だと思います。その意味におきまして、私はこの警察法には、法案そのものには勿論贊成はいたしますが、政府當局が飽くまでも問題の所在は、治安の混亂を惹起するような社會的、政治的、經濟的な條件を打破するにある。このことが飽くまでもこの警察法の根本精神として採入れられなければならないと思うのであります。
 以上私はこういう氣持の上で、本法案に贊成するものであります。
#85
○黒川武雄君 私もこの法案に贊成をいたします。ただ先般片山總理大臣が、或る一委員の質問に對しまして、この法案による警察制度によつて、國の治安は十分に保たれるということを御答辯になりましたけれども、それは平常時におきましては、或いは十分であるかも知れませんが、一旦國家非常事態に際しては、甚だ憂慮すべきことではないか。私はこの制度によつては甚だ不安がある。治安を十分に維持することはできない。こう私は思うのであります。ただ私はこの法案に贊成しますに當つて、將來國民の教養が高められ、そうして防犯の思想が十分に普及いたしまして、この法案による警察制度によつて十分に日本の治安が保たれることを祈念してこの法案に贊成いたします。
#86
○岡本愛祐君 私もこの警察法案に贊成をいたすものでございます。併しこれについて希望意見を述べたいと存じます。
 この警察法が從來の國家中央集權的の警察、いわゆる官僚風の警察から一躍いたしまして、徹底的に民主化をせられ、地方分權化せられたことにつきましては、その理想は非常に結構なことで新憲法の不正にかくなければならないことでございます。その點についてはよく了承でき、贊意を表する次第でありますが、この一躍した新警察制度がその中に現下の状況におきまして、果してこの狙つております新警察の理想そのものを實現できるかどうかということは多大の疑問があるのであります。これは我々國民といたしましても相戒めてこの缺點の出ないように努力をしなければならないのでございます。
 第一に新警察は自治體警察がむしろ中心でございまして、それが公共の秩序の維持、それから犯罪の豫防竝びに鎭壓、犯罪の捜査、被疑者の逮捕等自治體警察が主となつてやらなければならないのであります。ところがこの犯罪はだんだんに全國的規模を以て行われて來つつありますし、又軍隊なき後におきまして、第三國人等に對しまして、この自治體警察におきまする執行が果してうまく行きますかどうか、この點非常に憂慮に堪えません。自分のところだけの安穏を願いまして、そうしてこの第三國人の檢擧は自分のところではあまりやりえないというような事態が頻々として起つて來るのぢやないかということを非常に心配するのであります。又國家地方警察と自治體警察又自治體警察間の連絡に非常に支障が起きて來るのぢやなかろうか、從つて犯罪の檢擧というものが徹底的にできないのぢやないかという虞れを抱くのであります。
 又もう一つはこの自治體警察自身におきまして、いわゆるボス警察に堕する虞れが多分に出てくるのぢやなかろうかということは、決して出て來てはならないことでありますが、こういことが起りやすい素因が潛んでおるように思うのであります。それは先程も大藏大臣からも話がありましたが、地方の財政というものは極端に枯渇をしておる。當分の間は從前通り國家から警察費の補助をせられますけれども、本來から言えば自治體で警察を賄つて行かなければならん。そういうことになりまして、果して十分なこの警察の設備ができますかどうか、又警察官に對する待遇が非常に徹底して行われますかどうか、民間の寄附金を以ちましてこの警察の維持を計つて行かなければならないというようなことになりはしないか。先日出して頂きました警視廰における警察關係の寄附金というものがまあ一年間に四千何百圓いとうことになつております。こういうような寄附金はこれ以外にもいろいろあるだろうと思いますが、そういう寄附金が段々大きくなつて行きやしないか、寄附金を喜んで出す人の中にはその警察に投資をする、そうして自分が闇で儲けたり、いろいろ不正なことをして儲けたりする、その代償に寄附をいたしまして、そうしてその執行を免れるというようなことができて來やしないか、そういうことを非常に恐れる。これは何とかしてこれを防がなければならんと存じます。それで實はこの法案の中に市町村はその警察を維持するため民間から寄附を求め、又これを受けてはならないという一項を設けてはどうかという考えも起して見たのであります。併しいろいろの状勢も考えまして、これは修正案として出すことは差控えた次第でありますが、國民が心配いたしておりますのは、この自治體警察がボス化すること、これを非常に恐れておるのであります。この點に對して我々國民も相戒めなければなりませんが、又政府の方としてもこの點に十分の用意を怠らないようにして頂きたい。これだけの希望意見を申上げます。
#87
○鈴木直人君 私はこの法案に賛成するものであります。大體この法案は劃期的な警察制度の變革でありまするが故に、相當の日數を費しまして研究いたしたつもりでありますが、ただ一點についてまだ殘しておる點がございまするので、これは政府當局にお願いしたいのであります。それは警察大學或いは警察學校の内容であります。この新らしいところの警察を大學乃至學校において訓練をするのでありまするが、この内容において相當この新らしい警察の精神を吹込んだところの教授をして頂く。從來と異なるところの考え方を持つたところの教授をするように一つ心掛けて貰いたということが一點であります。
 第二點として特にお願いしたいのは、この切替時におけるところの警察力の弛緩であります。この警察力の弛緩については極力さようなことのないように政府においてお願いしたいと思うのであります。殊に警察官が國家警察から自治體警察に移るという過程において相當動搖を來たしておるようでありまするが、この點を檢討いたしまするというと、一度自治體警察に行つてしもうというと、又國家警察に歸ることができないというような原案でありましたが故に、我々といたしましては、これを修正いたしまして、將來國家警察から自治體警察、又自治體警察から國家警察に行きましても、恩給法が通算されるようなふうに修正もいたし、又國家警察におけるところの警察官の階級と自治體警察におけるところの警察吏員の階級とを同じように修正をし、又更に自治體警察におきましても、臨時的職員以外のものは基礎的訓練を經たものでなければ採用することができないというようなふうに、殆んど國家警察と自治體警察とを同一な地位におくように修正をいたしたわけでありまして、この點から見まするというと、現に警察官をしておる人達は安んじて自治體警察に移り變ることができるように修正されておると思うのであります。從いましてその不安はないのでありまするからして、内務當局におきましても、十分とその間における切替についてスムースに運行されて、治安の上において遺憾のないようにお願いしたいと思うのであります。
#88
○阿竹齋次郎君 極く簡單に……。私は修正の動議を提出したいのです。それは第二十一條と第四十四條の、公安委員の「任命」というところですが、これを公選にしたい。即ち任命を公選にして貰いたい、理由は、眞に適當な人物を得んとするのが目的であります。從つてこの修正案が採擇されるならば、具體的な關係は各條項の改正が必要であります。これについてはこの間から用意はいたしておりますが、只今は時間の都合で遠慮いたします。
#89
○委員長(吉川末次郎君) 外に御意見ありませんか。
#90
○岡元義人君 この法案に對しましては贊成するものであります。先程黒川委員からお話がありましたように、當初總理大臣に對しまして、十二萬五千人で果して日本の治安が保てるかということをば、私が質問いたしたのでありますが、特にこの際この十二萬五千人という數字が、國民に與えますところの影響を考えまして、現在の状況と將來の状況においては、おのずと異なつて來なければならんということがいえるのであります。で總理大臣はただ單に大丈夫だと、いわゆる文切り型の御返事をこの委員會においてなされたのでありますが、あれ以上の質問は私打切つたのであります。併しながらこの十二萬五千人の人員を以て、これは現在十二萬五千人か、將來十二萬五千人かということに對しましては、非常にそこに大きな含みを持つた見解が違つて来ると思うのでありますが、少くとも十二萬五千人は、現在の十二萬五千人と私は判斷したいのであります。尚、國民は齊しく完全に軍隊というものをなくしてしまいました。日本といたしましては、萬一の暴動その他に備えましては、この警察員十二萬五千人を以て守るという以外に途はないのでありますが、これらに許されておりまするところの裝備その他については、改めて國會の議員だけでも、當局は知らして頂くという方法を取つて頂きたいと思うのであります、
 次にこれも總理大臣にお伺いいたしまして、私は總理大臣の御返事をそのまま鵜呑にするわけに行かなかつたのでありますが、地方警察官というものが、最も立派な人格、識見というものを今後は具備して行かなければならんということを申上げたのであります。併しながらこれは實際におきまして、地方の駐在所に廻される警官というものは、いわゆる成績のよくない者が廻されておるのであります。これは少くともこういう大きな改革が遂行されまして、そうして地方分權の確立と共に、この問題には十分重點をおかれまして、田舍に行けば行く程立派な優秀な警官を派遣して頂くということをば徹底して頂きたいと思うのであります。これをやらない限り、せつかくのこの大きな改革も、私は水の泡だと思うのであります。いわゆる純朴な地方末端の者こそ、やはり地方の警察官を唯一の指導者と頼んでおるのでありますから、この點は十分に考慮して頂くように特にお願いいたして置きたいと思うのであります。それから先程外の同僚の委員からお話がありましたように、地方財源の枯渇ということは、當然將來考えて置かなければならない問題であるのでありますが、かような地方財源がないことが、警察官の員數に關係があるということになつては大變なことでございまして、この點は萬一に備えて十分の對策をば、この法案が施行されますと同時に、當局においては考えて置かれる必要があると思うのであります。それから後は鈴木理事の仰しやつたように受入態勢についてでありますが、三ヶ月間にこれをば完了するということでございますが、大變な大仕事でございます。これは十分に政府當局におかれては萬全を期して、萬遺漏なきよう、あらゆる小さなところまで氣を配つてやつて頂きたい。でなければ到底これを三ヶ月間に完了するということはむずかしいだろうと思われますので、この點指摘いたしましてこの法案に贊成する者であります。
#91
○委員長(吉川末次郎君) 他に御意見ございませんか……。只今御開陳を願いました皆さんの意見は、原案、即ち政府提案を衆議院が修正いたしました衆議院よりの送付案に對する多數の御贊成の意見と、別に阿竹委員より修正の意見が提出されておるわけでございます。それで只今よりその阿竹委員から修正意見が出ておりまする修正案に對しましての採決を先ずいたしたいと存じます。阿竹委員の修正の御意見は、第二十一條における國家地方警察の公安員の「任命」を、選擧によつてこれを決めることにしたいということと、それに關する法文をそれに附隨して修正しようというのが御意見であつたように思うのでございますが、間違いございませんか。
#92
○阿竹齋次郎君 そうでございます。
#93
○委員長(吉川末次郎君) それでは只今申上げましたような内容の、阿竹齋次郎君の提案による修正案に御贊成の方は御起立を願います。
#94
○委員長(吉川末次郎君) 少數と認めまして、阿竹委員の修正案は否決と決定いたしました。
 それでは次には警察法案原案につきまして、即ち政府提出案を衆議院が修正いたしまして、衆議院より送付して參りました案を議題に供します。この案に御賛成の方の御起立を願います。
#95
○委員長(吉川末次郎君) 多數と認めます。よつて本案は可決決定いたしました。
 つきましては度々申しておりまするように、この委員會の審議の經過及び結果につきまして、本會議において報告いたしまする委員長の口頭報告につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、よろしうございますか。
#96
○委員長(吉川末次郎君) 御異議ないものと認めまして、さように取運びたいと存じます。尚參議院規則に基きまして、御賛成の方の御署名をお願い申上げます。
#97
○委員長(吉川末次郎君) 尚ちよつと引續いて申上げたいことがあるのでありますが、警察法案の審議はこれで決定終結を告げたわけでございますが、本委員會におきまして、先般内務省解體後におけるところの、それに代るべき機構の調査、研究、立案等に關しまして小委員會を組織いたしまして、中井委員を委員長としていろいろ審議を願つて來たのでございます。ところが參議院規則の第七十二條によりまして、「委員會が、付託又は承認された事件について、審査又は調査を終えたときは、委員長は、報告書を作り、多數意見者の署名を附して、議院に提出しなければならない。」という規定がございまして、この規定は同様に小委員會にも適用されるのでございますので、右の小委員會を先ずいかに處置するかということにつきまして、小委員會の委員長でありまする中井委員から一つ御報告を願いたいと思うのであります。
#98
○中井光次君 只今議題となりました地方財政及び地方行政に關する調査について御報告いたします。
 内務省解體に伴う行政措置の中、地方財政及び地方行政に關する調査立案を急速になす必要あるに鑑み、本委員會は、去る十月十日議長の承認を得て地方財政及び地方行政に關する調査立案に著手し、十月十三日小委員九名、その委員長に不肖私が互選せられまして、數囘に亙り愼重審議をなし、十六日には一應財政委員會設置法案の立案を完了いたし、關係方面へ打合せいたすべき段階にまで至りましたところ、一方政府において提案の運びとなりましたので、右小委員會における立案は、最後的決定に至りませんでしたので、地方財政及び地方行政に關する小委員會は、解くべきものと決定いたしました次第であります。右御報告をいたします。
#99
○委員長(吉川末次郎君) 只今小委員會の委員長中井理事より御報告になりました件は、皆さまの御承認を得たものといたしましてよろしゆうございますか。
#100
○委員長(吉川末次郎君) それではそのように解繹いたしたいと思います。
#101
○岡元義人君 途中で甚だ申譯ないのでありますが、非常に時日も切迫いたしておりまして、昨日地方自治法案の通過を見たのでありますけれども、あの中で、鹿児島縣の場合はどうしても、昨日一日延期をいたしましたけれども、あれではてきないのでございます。これは何らか、通常議會の當初におきまして、當委員會で特例を取つて頂くような方法をとつて頂きたいと思います。私鹿児島縣選出の議員といたしまして、非常に苦しい立場になつておるのであります。全然あれではやれないということを御報告申上げて置く次第であります。
#102
○委員長(吉川末次郎君) 尚本員會を司法委員會との連合委員會の審議項目になつております議案の經濟査察官に關する法律でありますが、まだ司法委員長から公式に承つておりませんが、先程來の當局の話等と關連いたしまして、審議未了に終るのではないかと思つておりますので、そのように併せて御了承願いたいと存じます。
 それでは本日はこれを以て散會いたします。
   午後四時十三分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     吉川末次郎君
   理事
           中井 光次君
           鈴木 直人君
   委員
           羽生 三七君
           奧 主一郎君
           大隅 憲二君
           草葉 隆圓君
           黒川 武雄君
           鬼丸 義齊君
           岡本 愛祐君
           岡元 義人君
           駒井 藤平君
           阿竹齋次郎君
  國務大臣
  内 務 大 臣 木村小左衞門君
   大 蔵 大 臣 栗栖 赳夫君
  政府委員
   内務事務官
   (地方局長)  林  敬三君
   内務事務官
   (警保局長)  久山 秀雄君
  説明員
   内務事務官
   (警保局企畫課
   長)      加藤 陽三君
ソース: 国立国会図書館
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