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1980/03/11 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 予算委員会 第6号
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1980/03/11 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 予算委員会 第6号

#1
第094回国会 予算委員会 第6号
昭和五十六年三月十一日(水曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十一日
    辞任         補欠選任
     井上  裕君     中西 一郎君
     村上 正邦君     仲川 幸男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         木村 睦男君
    理 事
                亀井 久興君
                古賀雷四郎君
                平井 卓志君
                宮田  輝君
                粕谷 照美君
                和田 静夫君
                渋谷 邦彦君
                沓脱タケ子君
                柳澤 錬造君
    委 員
                岩動 道行君
                板垣  正君
                岩上 二郎君
                熊谷  弘君
                源田  実君
                下条進一郎君
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                竹内  潔君
                谷川 寛三君
                玉置 和郎君
                名尾 良孝君
                中西 一郎君
                仲川 幸男君
                林  寛子君
                堀江 正夫君
                増岡 康治君
                八木 一郎君
                山崎 竜男君
                小野  明君
                大木 正吾君
                志苫  裕君
                竹田 四郎君
                寺田 熊雄君
                村沢  牧君
                安恒 良一君
                大川 清幸君
                桑名 義治君
                田代富士男君
                中野  明君
                上田耕一郎君
                柄谷 道一君
                前島英三郎君
                青島 幸男君
   国務大臣
       内閣総理大臣   鈴木 善幸君
       法 務 大 臣  奥野 誠亮君
       外 務 大 臣  伊東 正義君
       大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君
       文 部 大 臣  田中 龍夫君
       厚 生 大 臣  園田  直君
       農林水産大臣   亀岡 高夫君
       通商産業大臣   田中 六助君
       運 輸 大 臣  塩川正十郎君
       郵 政 大 臣  山内 一郎君
       労 働 大 臣  藤尾 正行君
       建 設 大 臣  斉藤滋与史君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    安孫子藤吉君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       宮澤 喜一君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       中山 太郎君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       中曽根康弘君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (国土庁長官)  原 健三郎君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  大村 襄治君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長  河本 敏夫君
       官)
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       中川 一郎君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  鯨岡 兵輔君
   政府委員
       内閣法制局長官  角田禮次郎君
       内閣法制局第一
       部長       味村  治君
       総理府人事局長  山地  進君
       総理府恩給局長  小熊 鐵雄君
       警察庁長官官房
       長        金澤 昭雄君
       行政管理庁行政
       管理局長     佐倉  尚君
       行政管理庁行政
       監察局監察審議
       官        佐々木晴夫君
       防衛庁参事官   岡崎 久彦君
       防衛庁参事官   石崎  昭君
       防衛庁長官官房
       長        夏目 晴雄君
       防衛庁長官官房
       防衛審議官    西廣 整輝君
       防衛庁防衛局長  塩田  章君
       防衛庁人事教育
       局長       佐々 淳行君
       防衛庁経理局長  吉野  実君
       防衛施設庁総務
       部長       森山  武君
       経済企画庁調整
       局長       井川  博君
       経済企画庁物価
       局長       廣江 運弘君
       科学技術庁計画
       局長       園山 重道君
       環境庁長官官房
       会計課長     廣瀬  優君
       国土庁長官官房
       長        谷村 昭一君
       国土庁水資源局
       長        北野  章君
       法務大臣官房長  筧  榮一君
       法務省民事局長  中島 一郎君
       法務省人権擁護
       局長       鈴木  弘君
       法務省入国管理
       局長       大鷹  弘君
       外務大臣官房審
       議官       関  栄次君
       外務大臣官房外
       務参事官     渡辺 幸治君
       外務省アジア局
       長        木内 昭胤君
       外務省北米局長  淺尾新一郎君
       外務省欧亜局長  武藤 利昭君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    村田 良平君
       外務省条約局長  伊達 宗起君
       外務省国際連合
       局長       賀陽 治憲君
       大蔵大臣官房会
       計課長      加茂 文治君
       大蔵大臣官房審
       議官       水野  繁君
       大蔵大臣官房審
       議官       梅澤 節男君
       大蔵省主計局長  松下 康雄君
       大蔵省主税局長  高橋  元君
       大蔵省理財局長  渡辺 喜一君
       国税庁長官    渡部 周治君
       文部省初等中等
       教育局長     三角 哲生君
       文部省学術国際
       局長       松浦泰次郎君
       文部省社会教育
       局長       高石 邦男君
       文部省管理局長  吉田 壽雄君
       文化庁長官    佐野文一郎君
       文化庁次長    別府  哲君
       厚生省社会局長  山下 眞臣君
       厚生省児童家庭
       局長       金田 一郎君
       厚生省年金局長  松田  正君
       厚生省援護局長  持永 和見君
       農林水産大臣官
       房長       渡邊 五郎君
       農林水産大臣官
       房予算課長    京谷 昭夫君
       農林水産省経済
       局長       松浦  昭君
       農林水産省構造
       改善局長     杉山 克己君
       農林水産省畜産
       局長       森実 孝郎君
       食糧庁長官    松本 作衞君
       水産庁長官    今村 宣夫君
       通商産業省機械
       情報産業局長   栗原 昭平君
       運輸省鉄道監督
       局長       杉浦 喬也君
       郵政省貯金局長  鴨 光一郎君
       労働大臣官房長  谷口 隆志君
       労働省労政局長  細野  正君
       労働省労働基準
       局長       吉本  実君
       労働省職業安定
       局長       関  英夫君
       建設大臣官房長  丸山 良仁君
       建設省道路局長  渡辺 修自君
       建設省住宅局長  豊蔵  一君
       自治大臣官房審
       議官       大嶋  孝君
       自治省行政局長  砂子田 隆君
       自治省行政局公
       務員部長     宮尾  盤君
       自治省行政局選
       挙部長      大林 勝臣君
       自治省財政局長  土屋 佳照君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        道正  友君
   説明員
       会計検査院事務
       総局次長     藤井健太郎君
       会計検査院事務
       総局第三局長   肥後 昭一君
       日本国有鉄道総
       裁        高木 文雄君
   参考人
       日本住宅公団総
       裁        澤田  悌君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十六年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十六年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
    ―――――――――――――
○昭和五十六年度政府関係機関予算(内閣提出、
衆議院送付)
#2
○委員長(木村睦男君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算、昭和五十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(木村睦男君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和五十六年度総予算三案審査のため、本日の委員会に日本住宅公団総裁澤田悌君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、出席時刻等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(木村睦男君) これより柳澤錬造君の総括質疑を行います。柳澤君。(拍手)
#7
○柳澤錬造君 私は、民社党・国民連合を代表して、総括質問をしてまいります。
 最初に、総理のリーダーシップを中心とした政治姿勢について御質問をしてまいります。
 この間、竹田統幕議長が処分されましたのですが、あれは自衛隊法の何条によって処分をされたのか。
 それから、辞表がすでに出されたものを返して、また辞表を出さしているんですが、それはどういうわけか。その辺から、防衛庁長官の方からお願いいたします。
#8
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 竹田前統幕議長の処分についてのお尋ねでございますが、隊員の懲戒処分をするためには、自衛隊法第四十六条各号に該当しなければなりません。その点を検討しましたところ、そのいずれにも該当する場合ではないと判断したのでございます。しかしながら、今回の統幕議長の発言は、その地位にある者として、部外に対し意見を表明するに当たりまして、その発言の一部に遺憾な点がありましたので、防衛庁設置法第五条第六号等に基づいて制定されております訓戒等に関する訓令第二条により、私の責任と判断に基づいて注意を行ったのでございます。
 なお、辞表云々というお尋ねもあるようでございますが、その経過を簡単に申し上げますと、竹田前統幕議長につきましては、当初二月三日の閣議において退職の了解を得るよう予定しておったのでありますが、二月二日の予算委員会の席上、その発言をめぐり、懲戒処分にせよとの意見が出されたところであります。このような点を考慮いたしまして、二月三日に予定されていました統幕議長の退職及びそれに関連する人事の閣議への付議を延期するとともに、以上の経緯を踏まえ、慎重に検討しました結果、二月四日に竹田前統幕議長を注意処分し、改めて二月六日の閣議において、統幕議長関連人事の了解を求めたものでございます。
 なお、竹田前統幕議長におきましては、すでに一月中旬の時点において、後進に道を譲るため勇退を決意し、防衛庁長官である私に対し、退職願を届け出ていたのでありますが、今回の新たな状況のもとで、事務手続上、内容は同じでありますが、日付を書き直した退職願の再提出を求めて処理したというのが経過のあらましてございます。
#9
○柳澤錬造君 総理にお聞きいただきたいんですが、いま防衛庁長官がいみじくも言っておりましたんだけれども、該当しないという判断をしたんだけれども野党の要求があってこういうことをいたしましたと。私が問題にしたいのは、あの竹田統幕議長の見解というものについてどうこう言っているんじゃないんです。人事のような問題をこの議会の中で、与野党のやりとりの中でもって、初めはそれは該当いたしません、処分の対象にはなりませんと明確に答えておった。ところがそれが後になって、適正を欠きました、処分をいたしますと。そういうことが許されるのか、どうですか。それで最高指揮監督権を持った内閣総理大臣として済むんですかという、そこら辺を聞きたいんです。
#10
○国務大臣(鈴木善幸君) 竹田前統幕議長の問題につきましては、ただいま大村防衛庁長官から詳細に経緯等を含めて御報告を申し上げたところでございます。自衛隊法上の処分の諸規定に直接該当をするものではないことを勘案をしたわけでございますが、しかしながら、国会でも御指摘がございましたように、あの発言は統幕議長として、また、制服の高い地位にある者として、穏当を欠く言動であったということが、国会でも指摘をされておるとおりでございまして、その点につきましては政府においても同様に考えまして、あのような措置をいたした次第でございます。
#11
○柳澤錬造君 私が聞きたいのは、二日前にはそれは問題はありません、該当しませんと言って済ましたんでしょう。いま総理も言うとおり、野党からそういうあれがあったんで、なるほど考えてみたら高い地位にある人の言葉としては不穏当だ、適正を欠くとして処分いたしましたと。内閣の権威がどこにあるんですかということを聞きたい。こういう予算案なんかだったら、われわれの要求を聞いて皆さん方が、ああ当初はこうだったがなるほどなあと言ってこれは変えていいと思う。こういう人事の問題、特に処分のような問題がそういうことでもってよろしいのか。そこのところをはっきりしてください。
#12
○国務大臣(宮澤喜一君) この点は、私からお答えを申し上げます。
 ただいま防衛庁長官から御報告がございましたが、閣議といたしましては、この人事は二月六日の閣議において行いました。閣議の方で、あるいは総理大臣の指示に基づいてこの日を決定したというわけでは別にございませんで、防衛庁長官の御意見によってこの日に閣議に付議されたことであって、私どもは、閣議に付議される日にちについて変更があったなかったということについては、私どもの、つまり閣議の判断ではなく、防衛庁長官としての御判断に基づくものであります。
#13
○柳澤錬造君 防衛庁長官の判断ってあなた、防衛庁長官もう一回出てきて――二月の二日の予算委員会で何を言っていたのか。それで今度は二月の四日になったら、わずか二日でもって長官と総理大臣がどういうことを言っているか。それは政府の国務大臣なり内閣総理大臣としての発言なんですよ。閣議で決めているとか決めていないとかそんなことは問題外だ。はっきりしてください。
#14
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 二月二日の衆議院の予算委員会で、委員の方から私に対しまして、竹田前統幕議長の雑誌における発言について御質問がございまして、懲戒処分に基づいて免職をせよと、こういうお尋ねがあったわけでございます。そこで私は、自衛隊法の懲戒処分の規定に照らし合わせまして、それに該当しないので懲戒処分にすることはできないという趣旨の答弁をいたしたのでございます。そして本件について、先ほど御報告申し上げましたように、自衛隊法の別の条文に基づく訓令に基づく注意処分を二月四日の朝私が本人を呼んで行ったのでございますが、その理由は、先ほど申し上げましたように、その立場にある者としての発言の内容の一部に穏当を欠き適当でない、そういった理由によりまして注意処分を行ったのでございまして、国会における答弁と私のとりました措置につきましては何ら矛盾はないものと私は考えておるわけでございます。
 また、統幕議長の人事は閣議了解事項と指定されておりますので、若干予定の日数よりはおくらしたわけでございますが、本人の後進に譲るという理由に基づく退職処分は、閣議了解の手続を下してそのまま発令したと、こういうことでございますので、すべて私の権限と責任に基づいて処置したと、こういうことでございます。御理解を願いたいと思います。
#15
○柳澤錬造君 総理、いまの防衛庁長官の答弁を聞いておったって適正を欠くことだと思うんだけれども、それはそこにしておいて、竹田統幕議長はああいう見解を述べてああいう一つの処分を受けた。で、次に私が聞きたいのは、会計検査院から毎年各官庁の皆さん方が税金のむだ遣いを、不正なお金の使い方をしたと指摘されているわけなんです。それについてどういうことをやったのか。処分をしたのかということを、建設大臣からお聞きします。
#16
○政府委員(丸山良仁君) お答えいたします。
 建設省で昭和五十二年から五十四年までに会計検査院から不当事項といたしまして指摘されている事項の合計は五十六件でございます。これに対しまして処分をしている人間は三百四十四名でございまして、その内訳は、懲戒免職一名、停職二名、減給十七名、戒告四名、訓告二十三名、文書厳重注意二百二十一名、口頭注意七十六名となっております。
#17
○柳澤錬造君 その程度の答弁なんかなら聞く必要ないんで、こういう不当支出のことをやったことについて、だれをどういう処分をしたか説明してくれっていうんです。
#18
○政府委員(丸山良仁君) それぞれその衝に当たっております責任者並びに実際にその事業を行いました責任者について処分を行っているわけでございます。
#19
○柳澤錬造君 だれが処分したんですか。建設大臣、出てきて答えてください。
#20
○政府委員(丸山良仁君) 建設省関係の事業の不当事項として指摘されましたものの大部分は、県あるいは市町村の行為でございまして、それにつきましては知事あるいは市町村長が処分しているわけでございますし、建設省の直轄事業につきましては大臣が処分いたしているわけでございます。
#21
○柳澤錬造君 その大臣が処分したのを私は聞いているんだよ。
#22
○政府委員(丸山良仁君) 建設省の……
#23
○柳澤錬造君 ちょっと委員長、大臣に私は聞いていもんだ、大臣に答えさせてください。
#24
○委員長(木村睦男君) この後で答弁させます。
#25
○政府委員(丸山良仁君) 建設省の不当事項として指摘されたものは三年間で六件でございまして、その処分は十六名、訓告が三名、文書厳重注意十名、それから口頭注意が三名となっております。
#26
○柳澤錬造君 どういう不正があったんか、言ってくださいね。
#27
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。
 いま官房長から具体的な話がありましたけれども、会計検査院から指摘されたものは、本四架橋における誤算の問題、それから職員の汚職の問題がございました。したがって、本四架橋問題につきましては総裁を通じあるいは直接処分につきましては関係法令、内規に基づいて処分をいたしたところでございます。
#28
○柳澤錬造君 また後で聞きましょう。
 それじゃ、今度は農林水産省。
#29
○政府委員(渡邊五郎君) お答えいたします。
 農林省で会計検査によりまして不当事項とされましたもの、五十二年度三十七件、五十四年度十七件、計五十四件でございます。これにつきましては、それぞれ設計上の問題あるいは支出に不当な点があったというような指摘等がございまして、それぞれ補助金の返還等あるいは手直し工事等を命じて処理いたしましたが、それに関係いたします職員等につきましては、両年合わせまして百四十八人でございます。うち、文書による厳重注意四人、文書による注意喚起百四十四人、いずれも大臣から処置いたしたわけでございます。
#30
○柳澤錬造君 運輸大臣の方で鉄建公団のをやってください。
#31
○国務大臣(塩川正十郎君) 御指摘の、五十三年、五十四年度、会計検査院によって指摘されました事項につきまして、経過と処分の内容を申し上げます。
 指摘されましたのは、総額三億九千七百六十万円でございまして、これは旅費の不正支出、それから超勤手当の不正支出、こういうことでございました。その結果といたしまして、五十四年度末までにその使途明確になったものにつきまして、七千八百万円につきましては役職員で返還いたす措置をさせておりまして、これは返還されております。それから超過勤務手当の見合い額として出されましたものに対しましては源泉徴収の所得税によりまして三千二百万円を追加納付いたしておりまして、金額的にこれによって指摘されました事項に対する処置は一応とったものでございます。
 しかしながら、責任問題がございますので、鉄建公団の総裁以下七名が辞任いたしました。それから関係いたしました者三百五十名につきましては、これに減給という処分をいたしました。それから指導監督の立場にございます運輸省本省といたしまして四名を訓戒にし、そして二名を厳重注意の処分を行ったということでございまして、したがいまして、五十五年、五十六年度におきまして予算編成時にこれらの措置は十分考慮いたしまして、削減いたすべきところは削減してきた次第であります。
#32
○柳澤錬造君 運輸大臣、本当にありがとうございました。そういう答弁をしていただくとはっきりわかる。
 会計検査院来ていらっしゃいますか。済みません、水資源公団の方をそちらから言ってください。
#33
○説明員(肥後昭一君) 概要でございますか。水資源公団の概要でございますか。
#34
○柳澤錬造君 そう、水資源公団の。
#35
○説明員(肥後昭一君) 水資源公団につきましては、昭和五十二年度におきまして前払い金の支払いが不当であったもの、これが六億一千三百六十万円、それを指摘しております。
 それからもう一つ、用水の幹線工事におきまして工事費の違算がございまして、これが事業費一億二千八百五十万円に対しまして一千二百万ほどの違算があったと、この二つを指摘しております。
#36
○柳澤錬造君 だから、六億一千万のはどういうミスだったのかということ。
#37
○説明員(肥後昭一君) 六億一千万につきましては、これは九工事ございまして、その工事が十六億六千二百六十万円でございますが、この工事は契約当時、地元関係者がまだ反対しておりまして、その問題が解決しない限り工事着工に応じられないと、こう強く反対しておったわけでございますが、契約締結するときにはそういう事情を加味しまして、中止になった場合には前払い金の支払いを停止するというような条項を入れるべきであったのに、そういう条項を入れずに、契約したらすぐに前払い金を支払うという条項を決めまして、しかも契約締結の翌日には工事を中止してそのまま前払い金六億一千三百六十万円を支払っており、その後長期間、九カ月ないし二年間工事の着工がなかったと、そういう事例でございます。
#38
○柳澤錬造君 それについて、これは国土庁長官、お答えいただきます。
#39
○国務大臣(原健三郎君) いま会計検査院の方から御報告がありましたとおりで、まことに遺憾に存じておるところであります。それでその処分につきましては、会計経理上の措置については主務省が水資源開発公団に対して指導を行い、適切な措置が行われたところであります。
 それから第二に、また行政上の措置については、水資源開発公団総裁が当時の責任者に対し文書で訓告及び厳重な注意の処分を行ったところであります。今後とも業務運営の適確な遂行について、十分指導監督を行ってまいりたいと思っております。
#40
○柳澤錬造君 申しわけない、会計検査院、もう一回出てきて五十二年、五十三年、五十四年どれだけあったんだという、それをちょっと言ってください。
#41
○説明員(肥後昭一君) いまの工事の着工でございますか。
#42
○柳澤錬造君 いや、五十二年、五十三年、五十四年の検査院で指摘した金額と……
#43
○説明員(肥後昭一君) 水資源に関してでございますか。
#44
○柳澤錬造君 いえ、全部。
#45
○説明員(肥後昭一君) 全部ですか。ちょっとお待ちください、それじゃ次長が……。
#46
○説明員(藤井健太郎君) 各省全部……。
#47
○柳澤錬造君 まとめて。
#48
○説明員(藤井健太郎君) 水資源関係だけでございますか、各省全部……。
#49
○柳澤錬造君 いいですよ。
 総理、聞いてください。会計検査院が調べたのがわずか八・四%、全体の。それで五十二年度が百五十億三千六百万、五十三年度が百六十六億五千二百万、五十四年度が三百三十六億四千五百万、これだけ不当な支出を、税金のむだ遣いしていますといって、本当に会計検査院りっぱに調べたと思うんです。全部やったら今度はこの十倍ぐらいになるわけなんです。政府としてのこの責任はどう感じるんですか、それについて内閣総理大臣としてどういう責任を感じますかということをお聞きしたい。
#50
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま柳澤さんから建設大臣その他につきまして不当支出、不正支出等々に対する責任の所在を明確にし、その処分をどうしているかということについては、各大臣からお答えをしたとおりでございます。私は、このような会計検査院に指摘をされるような不当不正の支出がそれぞれの省庁においても指摘をされておるということにつきましては、まことに遺憾にたえないところでございまして、綱紀の粛正、予算執行の適正ということにつきましては、閣議等を通じまして常に注意を促しておるところでございます。
 また、柳澤さんは、会計検査院の現在の機能なり、あるいは陣容なりでやっておるそういう範囲内においてもこのようなものが出ておるじゃないか、もっと会計検査院の院法の改正その他会計検査院の機能を強化をして、広く各省庁全般にわたって会計検査等をやるべきであるという御趣旨も踏まえての御発言であろうかと思います。私は、会計検査院法の改正の問題は、国会の決議の次第もございまして、それを踏まえて前大平内閣以来これに取り組んでおります。現在でも宮澤官房長官を中心にやっておるわけでありますが、いまだその調整が整っておりません。しかし、今後におきましても、政府としては鋭意努力を続けてまいる考えでございます。と同時に、その院法の改正ができない段階におきましても、検査院の機能を通じましてこの実質的な検査体制の整備強化という面につきましては政府としても努力をし、御指摘のようなことが今後起こらないように努力をしてまいる考えでございます。
#51
○柳澤錬造君 総理の答弁よくわかりました。ぜひ会計検査院を強化してやっていただきたいと思うんです、大事な国民の税金を使うんですから。
 次に、シビリアンコントロールの関係でお聞きしたいんだけれど、総理は自衛隊の最高指揮監督権を持っていられるので。統幕議長といままで何回ぐらいお会いになりました、総理になってから。
#52
○国務大臣(鈴木善幸君) 統幕議長とは、就任以来約七カ月に私はなりますが、その間に大体、私の記憶に間違いがないとすれば、七回ぐらいお目にかかっております。
#53
○柳澤錬造君 これも余り多くない。前の大平内閣のときも私は時の防衛庁長官にもっと総理が会うようにと言ったんですが、本当は週一回ぐらいは会って、それでこの国会にでも私たちが聞きたいときには自由に呼べるような、そういうことを配慮していただきたいと思うんです。
 それは要望にしておいて、総理はいまの自衛隊法についてどういう見解をお持ちですか。
#54
○国務大臣(大村襄治君) 総理に対するお尋ねでございますが、その前に私から所管大臣としてお答えいたします。
 自衛隊法についてのお尋ねでございますが、現在の自衛隊法につきましてはいろいろな問題点が指摘されているわけでございます。そこで、私どもいま有事法制の問題を検討中でございまして、防衛庁所管の事項につきましては、ある程度まとまりつつございますので、今国会中にその辺のことは御報告さしていただきたいと思っているわけでございます。引き続き他省庁との関係も研究を進めて、まとまり次第御報告したいと思っておるわけでございます。
 そのほか、奇襲対処の点につきましても、防衛出動命令下令前の問題がこれまでの国会においても御指摘になっておりまして、その問題につきましても鋭意検討を進めているわけでございますが、問題が複雑多岐にわたっておりますし、外国法制の研究、その他にいま鋭意当たっているところでございます。
 そういったわけでございまして、現在の自衛隊法の不備な点につきましては、私ども検討を進めているわけでございまするが、しかし、現行法の活用によってできるだけそういった点に対処するということにつきましても留意いたしているわけでございます。たとえば奇襲に対処する問題といたしましては、奇襲が起こらないようにするために事前の情報収集の能力を高めるという点につきましても努力をいたしているわけでございまして、早期警戒機E2Cの導入の問題、あるいはレーダー網を高度のものに換装するというような点、そういった点につきましては毎年の予算、また本年の予算にも計上して充実強化を図っているところでございます、
 また、下今後の命令伝達が迅速に行われるようにするための措置としましては、マイクロ回線の整備の問題あるいは中央指揮所の建設の問題、そういった問題につきましても努力していることを、あわせて申し上げる次第でございます。
#55
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、わが国の憲法のもとにおきまして自衛隊法が国会で御決定をいただいてこの自衛隊法のもとにわが国の防衛政策が進められておるわけでございますが、現在の日本の憲法のもとにおきましては、この自衛隊法というのは根幹として、基本としては一応整備をしておる、整っておると、このように考えるものでございます。しかし、大村防衛庁長官からも御答弁を申し上げましたように、有事の際あるいは奇襲に対処するというような面等におきまして、まだ十分でない点が指摘をされておるところでございまして、この点につきましては鋭意検討を急いでおる段階でございます。
#56
○柳澤錬造君 総理ね、いまの自衛隊法が基本的に整っているといま御答弁いただいたんだけれども、防衛庁ではこの前、何のときに、敵が攻めてきたら逃げるというのが防衛庁の御指導なんですよ。そういう、自衛隊法で最高指揮監督権を持つ内閣総理大臣として御満足していらっしゃるんですか。
#57
○国務大臣(大村襄治君) ただいまの有事の際に逃げろというふうなことを防衛庁として申し上げたことはないと思っておる次第でございます。
 ただ奇襲の場合、あるいは有事の場合、現行法制で不備な点があるではないか、それらの点どう対処するか、そういった点につきましては、いま防衛庁内で鋭意検討中であると、まとまったものから御報告申し上げたいということを、私の先輩の防衛庁の長官の時代に国会でもお約束いたしているわけでございますので、私は、それを引き継いで鋭意検討中であると、こういうふうに考えている次第でございます。
#58
○柳澤錬造君 私、こんなことを議論しようと思っていたんじゃないんだ、全然。しかし、総理ね、よくなにしてくださいよ、それは最初にちゃんと逃げろと言ったんだから。それで、あんまり世論の反撃があって評判が悪くなったものだから、今度は刑法三十六条ですか、正当防衛の行為を発動して、個々人が逃げる者は逃げろ、戦う者は戦えと言って、こういうまた判断を下したんですよ。それはちゃんとそのくらいのことは理解しているでしょう。それも知らぬと言うの。
#59
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 国会におきましていろいろな御議論があったということは承知しているわけでございますが、それを踏まえまして三年ほど前の時の防衛庁長官が、有事法制の問題あるいは奇襲対処の問題について防衛庁として早急に検討して対策を進めるということを答弁されておりますので、その点を守って私はいま鋭意検討を進めておると、こういうことでございます。
#60
○柳澤錬造君 防衛庁長官、もう一回。
 いまの自衛隊法で、内閣総理大臣の防衛出動命令が出ない限り、指揮官も自衛隊員も前に進むことも後に退くこともできないのがいまの自衛隊法ですということを、これはどうなんですか、確認しますか。
#61
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 自衛隊の行動は、自衛隊法第六章及び第七章の関係条文に規定する要件、手続等に基づいて行われることは、先生よく御承知のとおりでございます。詳しい説明は省略いたします。そして、自衛隊法上、国の自衛権を発動するための防衛出動は、命令権者を内閣総理大臣とし、かつ内閣総理大臣が出動命令を発する場合には国会の承認を得なければならない、特に緊急の必要のある場合には発令後直ちに、こういうことにされているわけでございます。
 したがいまして、以上の趣旨に反して、現場の指揮官が独断で外部からの武力攻撃に対し武力を行使することは、シビリアンコントロールに背くものであり許されぬものと考えております。
#62
○柳澤錬造君 総理、私が言ったとおりのことを、これ、周りだけで言っているわけなんです。そういう自衛隊法で最高指揮権をお持ちの内閣総理大臣は御満足しているんですかというのが、私が一番聞きたいところなんです。
#63
○国務大臣(鈴木善幸君) いま防衛庁長官から御答弁を申し上げたんでありますが、出動命令の前に状況によって出動の準備命令、待機の状態、そういう段階が一つあると私は考えております。柳澤さんは奇襲であるとか、そういうような事態を想定をされて、十分現在の自衛隊法ではそれに即応できないのではないかという御趣旨から御質問があると思いますが、先ほど御答弁申し上げましたように、現在の憲法のもとにおける自衛隊法は基本的には私はできておる。ただいま御指摘のような点について不十分な点がございますので、そういう点について鋭意検討を急いでおるということを申し上げた次第でございます。私どもは、奇襲というような事態に至らないように、諸般の状況、情報の収集、外交努力、いろんな手段、方法を尽くしまして、奇襲というようなものが現実に起こらないように十分状況を把握をして、それに対応できるような措置をとってまいるということにつきましては万全を期したいと、こう思っております。
#64
○政府委員(塩田章君) 奇襲対処の問題に関連しましては、五十二年の九月に防衛庁といたしまして統一見解を出しておるわけでございます。それに従いまして先ほど防衛庁長官からお答えいたしましたように研究を続けておるわけでございますが、基本的な考え方としまして先ほど総理からも、一応自衛隊法で法的な体制はできておる、基本的なものはできておると申し上げましたのは、防衛出動の下命が、相手方の武力攻撃を受けるおそれのある段階で防衛出動の下今もできるといったてまえになっております。したがいまして、情報収集のことにつきまして、適切な情報収集がなされ、かつそれに対しまして適切な判断が下されていく限り、おそれのある場合の防衛出動ということも可能でございますから、そういう意味では法的な体制、基本的な体制としては一応できておる。しかし、万が一にも奇襲ということもあり得るので、その場合の検討を法的な面も含めて検討するというのが五十三年の九月の統一見解の趣旨でございまして、それに従いまして現在研究を進めておるということでございます。
 したがいまして、私どもは、先ほど防衛庁長官からもお答えいたしましたように、奇襲につきましては、まず情報収集体制を強化して奇襲を受けないように持っていくということが一番の重要な課題であり、次には、もし奇襲を受けた場合には即応し得る体制を整備していくということがその次に大事なことであり、第三番目に、奇襲を受けた場合の法的側面を含めた部隊の行動についての検討をしていくということが第三番目の課題であるというふうに考えて、現在いろんな体制の整備の問題を含めて取り組んでおるところでございます。
#65
○柳澤錬造君 総理ね、私、別に文句言うつもりで言っているんじゃないので、自衛隊というのは書いま言った奇襲を受けないようにいろんなことをやるのはこれはもう政府のお仕事、しかし、その万が一という、万が一がそれこそは万々が一がわからぬけれども、そのときに備えるようにしておくのが自衛隊なわけなんですよ。だから、そのことを考えたときに、いまの自衛隊はと言ったら、これは総理、幾ら何と言ったって基本的な法律はないわけなんだから、そういう点をお考えいただきたいということだけつけ加えておきます。
 次に、総理、日本は経済大国にはなっても軍事大国にならないと、こうあちらこちらで言われてきたんだけれども、その軍事大国にならないというのは、軍事大国になれないからならないと言っているのか、なれるけれどもならないことにしているんだからならないと言っているのか、そこはどっちですか。
#66
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、わが国の平和憲法のもとにおきまして一つの確固たる防衛政策を確立をしておるわけでございます。これは、過去においてあのような戦争の過ちを犯し戦争の大きな犠牲を受けた、国民全体にそういう犠牲を強いたというような反省の上に立って、国民は平和国家として国を立てていこう、したがって経済大国になっても軍事大国になるような道は求めない、専守防衛に徹する、また非核三原則を堅持していく、また近隣の諸国に脅威を与えるような軍事力は持たない、こういうことを国民全体が心に誓い合って、今日の防衛政策というものはその上に立って確立をされておると、こういうことでございまして、できるから、できないからというようなことではない、基本はそこにあると、こう思っております。
#67
○柳澤錬造君 じゃ、その上にお聞きしますけれども、昨年わが党の佐々木委員長と党首会談をやられたときに、最大の安全保障というのは世界平和だと、それだから平和戦略を持てということもわが党の佐々木委員長からおっしゃって、総理もそれは合意をなさったと思う。で、いまのお話を聞いてもやっぱり同じようにそういうお考えにあるわけなんで、その総理がお持ちの平和戦略構想というのはどういうものですか。
#68
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国は平和国家として、この険しい国際情勢の中におきましても、わが国の国力国情にふさわしい立場に立ちまして世界の平和と安定とさらに繁栄に寄与していかなければならないと、こういう立場をとっておるわけでございます。日本は何といってもこういう資源の少ない、また国土の狭小な、貿易でもって国を立てていかなければならないという国柄からいたしまして、世界が平和であること、これが一番望ましいことであるわけでございます。そういう観点に立ちまして、あくまで戦争はこれをなくするように、また、日本はもとよりでございますが、そういうことにわれわれは最大の努力を、避けるために努力をしていかなければならない、これが日本の平和戦略、世界戦略であると、こう申しても過言ではないわけでございます。強いて私は申し上げますならば、やはりアメリカあるいは西欧諸国等々の自由主義の陣営、自由と民主主義、そして市場経済体制、こういう共通の価値観を持つ国々との連帯と協調を深めながら、そして日本のやるべきこと、やってはいけないこと、そういうことを十分踏まえながら世界の平和と安定に寄与していく、これがわが国の世界戦略でなければならないと、こう考えております。
#69
○柳澤錬造君 じゃ具体的に、そういう一つの考え方を持って、現実にまた、いまイランとイラクが戦争をまだ続けているんだけれども、あのイランとイラクの戦争について、日本が乗り出して仲裁するというか調停するというか、何とかおさめて世界平和に寄与するという、そういうことについてはお考えを持っているかどうか、具体的に何かをおやりになる考えがあるかどうか。
#70
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 具体的にということでございますのでお答え申し上げますが、イラン・イラク紛争はこれはなかなか根が深いものがございまして、単に一国が乗り出して解決するというようななまやさしい問題ではないと思っておるんです。それでいままでの日本側の立場は、イラン、イラク双方に一日も早い停戦あるいはホルムズ海峡の自由航行ということを申し入れておることは確かでございますが、そのほかにいままでやりましたことは、国連の活動、国連がひとつ伸介をする、調停をするということをやってもらいたいということで、安保理事会の理事国になりましたので国連に強く働きかけております。パルメ特使が両三度両国へ行ったわけでございますが、またしかし調停のテーブルに着くということには至っておらぬわけでございます。
 それからその次に、これは両国ともイスラムの国でございますから、イスラム諸国会議が仲介の労をとることもこれは必要じゃないかということで、これは紛争勃発後すぐにパキスタンのハク大統領にも手紙を出しまして、イスラム諸国が伸介をしてくれということを日本も期待しているということを言ったことがございます。イスラム諸国会議が最近サウジアラビアで開かれまして、イスラム諸国の大統領が四名、首相が二名、それからPLOのアラファト議長、それから諸国会議の事務局長が加わりまして二月中にイラン、イラクへ二回ずつ行って調停案を示して調停をしようということをされたということでございますが、まだ結果ははっきりわかっておりませんが、イラン側は国会でそれを拒否したというようなことを伝えられております。これもまだうまくいっておりません。
 それからもう一つは、安保理事国の中の非同盟の国々が日本に、ひとつわれわれと一緒に何とかいい案ができないかというようなことの呼びかけがございましたので、非同盟の国々、理事国と安保の中で相談をしておりますが、これは先般インドのニューデリーで行われました非同盟の外相会議で、インドとそれからあとどこでしたか、たしか三国と非同盟の事務局と四名が今度伸介に立つような努力をしろということを非同盟の外相会議で決めて、この九日にジュネーブで集まるということを聞いておりますが、非同盟は非同盟で動いておるということでございまして、国際的ないろんな枠組みで調停に立つということをやっているわけでございますが、まだ緒についてないことは先生おっしゃるとおりでございます。日本としましても、これはそういう国際的な枠組みに国連の場を通じて働きかけ、あるいは日本として単独に働きかけるという努力をしまして、何とかそういう枠の中でひとつ実現、何とか平和が、紛争の解決ができるようにということを期待しているというのがいま日本の立場でございます。
#71
○柳澤錬造君 これは簡単じゃないですけれども、本当に取り組んでいただきたいと思います。
 それからもう一つ、ベトナムとカンボジア、ラオスのあそこもそうだと思います。もうちょっとそういう国際平和のために私たちの役割りはということでお取り組みをいただきたいと思います。
 次に、総理、これは衆議院でわが党の佐々木委員長が代表質問のときに、政治倫理の確立と綱紀の粛正を新行して政治に対する国民の信頼を取り戻せと質問している。そしたら総理は、倫理委員会の設置は各党各会派の間で十分論議され成案の得られることを期待するという答弁なんですよ。総理は盛んに倫理を言われるんだけれども、人ごとみたいでなくて、総理がもう少しリーダーシップを発揮して、どうしてもいまこれだけのいろいろあれがあるんで倫理委員会をつくってやらなきゃいかぬと言ってそういうリーダーシップを発揮なさらないのかという、そこの点です。
#72
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、政治に対する国民の信頼を回復するということが民主政治の基本であると、このように考えておるわけでございまして、そういう意味合いからいたしまして、政界の浄化、政治倫理の確立ということにつきましては政治家はみんながそれぞれ努力していかなければならない。本来、この問題は私は政治家各人の心構えが基本であろうかと、こう思うわけでございます。しかし、また、政党におきましても、そういう点には常に自戒自制をして努力をしていかなければならないわけでございまして、自由民主党は立党二十五周年に当たりまして倫理憲章というものを決定をいたしまして、党員がこの倫理憲章のもとに、お互いに反省をし自粛をし自制をして政治倫理の確立に努力をしよう、こういうこともいたしておるところでございます。
 私は、この国会に倫理委員会をつくったらどうかということを申し上げたのも、多分、自民党総裁に選任をされた直後の記者会見で私は申し述べたと思います。その気持ちはいまだに変わっておりませんで、党三役並びに国対委員長等に指示をいたしまして、そして国会におきまして各党各会派と御相談をしながら国会に倫理委員会を設置するということに努力をしてほしい、こういうことを強く要請をし鞭撻をしておるところでございます。
 そのためには、もとよりいろんな問題がございます。たとえば議院証言法の問題を見直すとか、いろいろの問題がございますが、国会に倫理委員会が設置されることを強く期待をし、自民党を督励をしておるということでございます。
#73
○柳澤錬造君 いや、総理が御就任のときに言われたから、私も非常に印象に残って一またここへ出てくるたびに言っているんだけれども、おっしゃるだけじゃなくて、それを実際に行動に起こして、内閣総理大臣なんですからそのリーダーシップを発揮してほしいというのが私の願いなんですよ。だから、この間も五日の日に衆議院の予算委員会でああいうかっこうの強行採決が行われた。あれ総理は知らぬはずないですよ、少なくとも。まさか、あれは自民党がやったんでわしは聞いちゃいないとは言わぬと思う。しかし、そのことを知ってたか知ってないかって、そんなことを私は聞きたいとは思わない。聞こうとは思わないんですよ。ただ、あんなことをやっておったら、国民がますます政治にそっぽを向きますよと言うんだ。
 少なくともそういう点に立って、あの直後において私はたから総理として国民に向かってどういうことを言うだろうかと思って注目をしておったけれども、これといった明確なことが言われなかった。私は少なくともああいう後でもって総理として、少なくとも鈴木内閣としては二度とあんな強行採決はいたしません、そのかわり野党の諸君、皆さん方も審議拒否なんてやらないでくれと、言うならば災い転じてこの際議会制民主主義のルールに乗せ軌道に乗せ、議会政治がうまくいくようにしようではないですかと、そのくらいのことは総理が言われてリーダーシップを発揮されるべきだと思う。そういう点を受けての私はいま総理がどんな御心境かお聞きしたい。
#74
○国務大臣(鈴木善幸君) 去る五日に衆議院の予算委員会であのような自民党の単独採決という事態が生まれましたことは、大変残念に私は思っておるわけでございます。小山衆議院予算委員長は、全委員が御出席の上で円満に議事の運営を図りたいということで、相当時間をかけて各党各会派委員諸君に出席方を要請をされた。連絡もとられた。しかし、その努力が実を結ばないでああいう結果になりましたことは、本当に私は遺憾にたえないと考えておるわけでございます。今後あのようなことが二度とあってはいけないということを深く私も反省をいたしておりますが、その翌日、新聞並びにテレビその他の報道機関から私の所見を求められましたし、ちょうどいい機会でございますので、私はそれを通じまして国民の皆さんにも状況をよくお話をし、二度とこのようなことがないようにやっていきたいと、こういうことを申し上げたのでございます。私は、国民の皆さんに申し上げるというよりも、国民の皆さんはむしろ国会にそのことを求めておる、こう私は思っておるのでございます。国民の皆さんは、国会がとにかく審議の場であるのであるから、常に、審議拒否というようなことをしないで、そしてまた、与党も数に物を言わせないで、お互いに謙虚な立場に立って論議を尽くす、そして、その論議を通じて共通の認識と目標がそこに設定される、それで議会が円満に運営される。こういうことが民主政治のもとにおける国会のあり方である、国民はそのことを国会に期待をしておる、こう思うわけでございます。
 私は、そういう観点に立ちまして、私どもも本当に心から反省もし、二度とこういうことのないようにしなければなりませんが、国会におきましてもいま申し上げたようなことで国民の期待にこたえてほしいと私は強く念願をしておるわけであります。
#75
○柳澤錬造君 そういうお気持ちで、本当に言葉でなくて態度でお示しをいただきたいと思うし、何といってもやっぱり政府が主導権を持っているんですから、やっていただきたいと思うんです。
 経済問題に入りますが、政府は、財政再建しなければと言って、もう大蔵大臣の施政方針演説もそこにある。だから国債は二兆円減らす、お金が足りないから所得減税もしない、まだ足りないから一兆四千億の増税だと、それがことしの予算だと思うんだけれども、どうなんですか、最近の企業倒産は昨年の九月からずうっともう毎月千六百件台の異常な高い水準にあるし、特に、同銀券の増発率が予想外に下がってきちゃった。もうこれは九月からずうっと四%で、ことしの一月が三・二%、二月はわずか二・六%、もう異常事態だと思うんです。こんな状態に国民みんながなって冷え込んじゃっているときに、依然として一兆四千億の増税をしなくちゃなんて言っているようではいけないんで――まあ、そんなことを言って言葉過ぎたら私幾らでも取り消しますけれども、税金を納める国民がこれだけ苦しんでいるのに、政府は行政改革一つもやらずに、銭が足らぬから一兆四千億よけい納めろなんていうような態度は、端的に言うなら昔のお殿様と同じじゃないですか。そこのところをどうお考えになるか。これは総理と大蔵大臣と両方から、まず大枠の御見解をお聞きをしたいんです。
#76
○国務大臣(渡辺美智雄君) 行革をやらないで増税をやっているじゃないかという御質問と受け取りました。私どもといたしましては、極力、人員の抑制、そういうものに努めてきております。昨年も計画上人員削減等もやっております。しかしながら、その一方でどうしても抑えきれない人員というものがあります。たとえば文部省関係でも国立医科大学。医科大学をつくれという国民の大多数の支持によってこれはつくったわけですが、中途でやめるわけにいかない。ということになると、やはりそこには二千数百人の人員増というものが――たとえて言えばですよ、出てくるわけであって、差し引き計算して百人程度しか減らなかったじゃないか、事実そのとおりでございます。しかしながら、これらについても、今後国会の御協力を得て法律を全部直していくというようなことができれば、私はさらに行政改革も進むものと考えます。しかしながら、限られた時間の中でやったことでございますから、これにて満足というわけではありません。極力今後とも、そういうような行革を初めとした多くの経費の削減というものは図っていきたい。
 今回の増税、一兆四千億円程度お願いをいたしてありますが、これにつきましては、御承知のとおり、政府の手に入るといってはなんですが、直接政府が一般歳出に使えるお金は約一兆一千億であります。そこで、今回の歳出増というものは一兆三千百七十二億であって、それの大体八七%というものは社会保障、恩給、文教、科学技術、エネルギー、経済協力あるいは農林とかいうものの歳出増だけでそうなってしまうわけでありまして、これはそれらの歳出増、当然増的な歳出増というものをもっとカットするというようなことをやらない限りは、なかなか言うべくしてこれ以上に少なくするということは非常にむずかしい。したがって、引き続きわれわれはそれらの歳出カットという問題については、五十七年度、八年度という方向に向かって一層努力をしてまいるつもりでございます。
#77
○国務大臣(鈴木善幸君) 五十六年度予算編成に当たりましての政府の考え方、また、こういう点に力を入れてやってきた、こういう点により一層の今後の努力が必要である。こういう点は、大蔵大臣からただいま申し上げたとおりでございます。
 私どもは、この高度経済成長時代に肥大化したところのわが国の行財政、これをもっと簡素合理化をする、そして民間が第一次、第二次の経済、石油危機を乗り越えたように、国及び地方におきましてもそういうような合理化努力というものが必要である。こういう基本的な考え方を持って取り組んでおりますが、しかし、五十六年度一年でこの努力が全部実るものではない。五十七年度も五十八年度も、今後におきましても、この行財政の縮減合理化ということは努力を積み重ねていかなければならない課題であると、こう考えております。
 大蔵大臣からいま申し上げたように、多くの補助金、交付金等が法律事項であるというような点で、今後そういう面にも十分メスを加えて合理化努力を続けにゃいかぬということを申し上げましたが、政府としては第二臨調にもお願いをし、中間答申も求めるようにお願いをしていくつもりでございます。そういう点を反映させながら、この行財政の合理化につきましては今後とも不退転の決意を持って取り組んでいく所存でございます。
#78
○柳澤錬造君 いま大蔵大臣は、合理化といいますか、昨年も行政改革やったってお答えをいただいたんだけれども、昨年のあの程度のことが行政改革をやったなんて言えるようなものかという感じです、私は。第二臨調の関係はもうちょっと後で聞きます。
 経済企画庁長官に、いまも申し上げましたように、これだけ企業倒産は続くわ、日銀の増発率ももう落ち込んで二%台になっちゃうわという、これで景気の回復ができますかどうですかという点、長官としてどうですか。
#79
○国務大臣(河本敏夫君) いまの状態は、言葉をかえて言いますと中小企業不況、消費不況あるいは住宅不況と、こういうことが言えると思います。産業全体の操業率を見ましても、一年前には九三%ぐらいでありましたが、現在は八三、四%ぐらいに落ち込んでおります。約一〇%落ち込んでおる。大企業は体力がありますから、こういう情勢でもやっていけるんですけれども、また、大企業だけの調査をいたしますとそんなに悪い調査は出てこないんです。しかし、日本は中小企業の国でありますから、中小企業全体は非常に悪い、こういう状態でございます。原因も大体分析をしておりますので、いま関係各省と対策につきまして、どうすればよいかということにつきまして相談中でございまして、近く案をまとめたいと、こう思っております、
#80
○柳澤錬造君 いま言われたように、中小企業不況、消費不況、それから住宅不況ということになると思います。
 大蔵大臣、中期展望、これもう細かい数字言うのやめたからあれだけれど、これで五十八年度予算編成できるんですかね。
#81
○国務大臣(渡辺美智雄君) 五十七年でしょう。
#82
○柳澤錬造君 五十八年。
#83
○国務大臣(渡辺美智雄君) ちょっと質問の趣旨がよくわからないんですが……。
#84
○柳澤錬造君 簡略に言って申しわけございません。
 結局、五十七年はまだ国債のお金が少し使えるわけ。五十八年度へくると、国債をまた減らしてくるから、国債を発行して入ってくるお金と国債費がもうとんとんになって、それで結局四兆九千六百億お金が足りませんと言っているわけです。それで、支出もこんなに伸びるかどうかはさておいて、この形だと、来年は何とかしても再来年はもう予算の編成ができなくなるんだが、そこのところどう考えていますか。
#85
○国務大臣(渡辺美智雄君) わかりました。
 結局、この財政の中期展望というものについては、かねて御説明をいたしておりますように、現在の制度、施策、法律や何かも一切いじらない、新しい新規事業も行わない、現在のままでいくんですよということでなければこんな仮定の計算はできないわけですから、そういうことで計算をいたしますと、また歳入については、五十六年度予算における税制というものを前提として一四%ずつ税金は伸びるというような前提があるわけですね。その前提でやりますと、それからもう一つは公債を、特に四条公債というもの、特例公債というものを五十八年度限りで、五十九年度にはもう発行しない。こういうことになりますと、この歳入と歳出の差額というのが五十七年度で二兆七千七百億出ます。これは要調整額でございますから、これは全部税金で取るんだねと言う人がありますが、そういうことじゃないんでございまして、現在の制度のままならこうなりますがさあどうしますか、これは御相談なんです、これからの。歳出カットをもっとやれと。歳出カットで全部これが賄われれば歳入が同じであっても増税は不要なわけですね。賄われれば。しかもそれが恒久的な措置によって制度を直したために、この中に織り込まれている歳出がこんなに要らなくなったと、制度を直したから。ということになれば、これは恒久的措置で恒久的歳入と同じような話になるわけです、歳出が減っちゃうという話ですから。そういう方法もあるいはあるかもしれないし、あるいは逆に、そういう方法を一部用いて、何か税収その他のもので恒久的に手直しをして、幾らがその両方ミックスするというやり方もできるかもしらぬ、いずれにしても、仮に二兆七千七百億という要調整額が五十七年度で恒久的に解消するということになりますと、五十八年度は四兆九千六百億円マイナス二兆七千七百億円で要調整額は二兆一千九百億円と、こうなるわけです。同じようなことが五十八年度で行われると、五十九年度の要調整額は、六兆八千億円マイナス四兆九千六百億円で、一兆八千四百億円が要調整額と、こうなるわけでございます。
 したがって、この五十七年度の二兆七千七百億というものが歳出カットか歳入増か、いずれにしても恒久的にこれは解消されるということが非常にいいわけでありまして、後の要調整額がだんだん減ってくるということになるわけであります。
#86
○柳澤錬造君 それは、いま大蔵大臣はこいつの説明をしただけなんだ。それだったら聞かなくたってわかる。おれだってこれ読めばそれぐらいのことはわかる。私が知りたいのは、こういう一つの展望を持ったんだから、こんな状態でもって、一般歳出がふえてきますわ、国債を減らしてきますわ、何やと、それはもう、来年度は何とか二兆七千七百、これはやりくりもあるだろうけれども、四兆九千六百億が足りなくなったら、もうそんなもの予算編成も何もできやせぬ。
 それで私が一番知りたいのは、どうやってこの不況の状態の景気を回復させるんですか。いみじくも企画庁長官が言われたように、中小企業不況であり消費不況よ。だから、何も物価がいまそのわりに上がらないっていっても、これ何も政府の物価対策がよろしくて上がらないんじゃないんだよ、もう買いたくても買えない状態になっちゃっているんでもって、物を買わないから物価も上がらないでいるだけじゃないですか。
 それで、大蔵大臣はちゃんと施政方針演説で一番言っているんだ。「財政再建は鈴木内閣に与えられた使命であり、私に課せられた最大の責務であります。」と。その前にもっと大事な使命というものは、国民の生活を安定させて、もう少し国民が安心して暮らせるようにします、それがわが鈴木内閣の最大の使命ですと言っている。といったって、国家財政このままにしてはいかぬから財政再建もやるんですということでなかったらいかぬのだ。本末転倒だというんですよ。どうやって景気を回復させるつもりですか。どうやってこのいまの中小企業を救うんですか。そこを言ってください。
#87
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は財政演説ですが、それは、全体のことを私が申し上げると総理演説になっちゃいますからね。私は大蔵大臣としての財政演説の範囲で申し上げておるわけであります。総理大臣はちゃんと言っているわけですから。
 私は、やはり財政再建というものはこれをしないでおく分にはどうなんだということになりますと、すでに非常に国債がだぶついちゃって、それがいろんな日本の経済に現実にもう支障を来しているわけですよ。金利の問題にしても、金融政策も非常にいびつになっちゃっている、これは現実の姿ですね。ですから、要するにもう借金政策をやめていけというのは与野党一致をいたしまして、これはもっと借金政策やっていけなんて言う政党はぼくは聞いたことない。国民もみんな借金は減らしていけと。もうこれは大体国民のコンセンサスを得ているんじゃないか。現実にそれをやらなければ、経済が行き詰まっちゃっている。ですから、私はそういう意味で財政再建は当面非常に重要な課題だということを申し上げておるわけでございます。
 一方、景気の問題等については、これは大蔵省だけがどうこうという問題じゃございませんでして、むしろ景気の話は企画庁長官からしていただくのが適切だと思います。われわれといたしましては、物価の安定、何と言ったってGNPの中に占める個人消費支出というものが五〇%以上という大きなシェアを持っているわけですから、ですから、物価の安定は政治の安定というもので、国民が安心感を持って、実質的な物価が安定することによって消費が伸びるということ、これはもう通説ですわね。したがって、そういう方向に持っていくように努力をしてきたし、経済企画庁長官が言うようにきわめて先は明るい状態になってきているというわけであります。あとは金融の……
#88
○柳澤錬造君 明るくなるなんて言いやせぬよ。
#89
○国務大臣(渡辺美智雄君) いやいや、物価はね。それはよく聞いてください、もう一遍。私はそれ以上申しませんが、物価はともかく世界の先進国の中では一番、これはいま一けたて、ほかの方はみんな二けたですからね。ですから、そういう点は世界じゅうの大問題であって、すべて石油に起因している問題ですから、ですから、これはもう日本だけが特別格安の石油というものを使うわけにいかないわけですよ、世界じゅうみんな同じですから。その中では官民一体となった現在の取り組んだ姿勢というものが非常にここまでよくできていると、世界の人がみんなほめてくれるんですからね。それはひとつ日本の方にも、ほめなくてもいいから、それだけは認めてくれるぐらいは認めてもらいたいと、そう思っておるわけでございます。
#90
○柳澤錬造君 官民一体じゃなくて官官で、自分らのことしか考えていないと言うんだよ。
 それで、時間も何ですからもうちょっと本当に、いま大蔵大臣は企画庁長官が景気がよくなると言ったって、私はさっき答弁聞いていたんですが、よくなるなんて言っちゃいない。そこはまた後にして、それで問題は、私から言わしていただくならば、一兆四千億なんて増税をやる前に、本気になって行政改革に取り組むべきでしょうと。そんな一兆四千億ぐらいの金をひねり出すぐらいのことはおやりにならなきゃいけなかったはずなんだ。
 それで、まず第一に行政管理庁長官に、あなたは第二臨調をおつくりになるときにどういう御注文をつけられたかということ、それでその後、総理に、土光会長とお会いになってどういう話になっているかを聞かしていただきたい。
#91
○国務大臣(中曽根康弘君) いわゆる第二臨調をつくるという趣旨は、現在の内外の情勢にかんがみましてさらに簡素にして効率的な政府をつくらなければいけない。行政改革には行政改革独自の原理と原則がございます。それは、現在におきましてはできるだけ国民の負担を軽くした効率的な小さな政府という方向に世界的に来ております。日本もその要請にこたえなければならぬ時代であります。しかしまた、一面におきまして財政がこれだけ窮迫してきているということも目の前に来ている問題でありまして、この点も行政改革の面から十分考慮しなけりゃならぬ部面でもございます。そういうことごとも考えまして、いかにして簡素にして効率的ないわゆる小さい政府をつくるかということで第二臨調の成立を見たわけでございます。
 それと同時に、やはり八〇年代九〇年代の将来に向かって日本の政府はいかにあるべきか、政府というものは一体どういう形であるのが最も好ましいか、そういう問題につきましても決めていただきまして、長期的な軌道も設定したいと、こういう二つの目的を持ってつくったわけでございます。
#92
○国務大臣(鈴木善幸君) けさ土光さんと私お目にかかったわけでございますが、これは、土光さんに第二臨調の会長をお引き受けいただいた機会に、私からもお礼を申し上げると同時に、今後の臨調のお仕事につきまして土光会長に私の考えも申し述べ、また土光さんのお考えもお聞きをして、いま中曽根行管長官から申し述べた第二臨調を設けた目的、趣旨を実現するために御努力を願いたいということでお目にかかったわけでございます。
 現在、日本が置かれておる諸般の状況から見て、財政再建は最重要な課題であると、それにはこの行政、財政の簡素効率化を図る、合理化を図ることが必要である。増税等に依存しないそういう財政再建、これをぜひやらなければならない。そういう考え方につきましては、土光さんと私は完全に意見の一致を見たわけでございます。
 今後第二臨調から中間答申をお願いをして、この答申は極力尊重して、五十七年度予算編成以降の施策の中にこれを取り入れていくと、そして財政再建にこれを生かしていくと、こういうことにいたしたいということで、私からも決意を申し上げて今後の御協力を要請したというのがきょうの会談の内容でございます。
#93
○柳澤錬造君 では、五十七年度予算編成までに中間的な一つの答申をいただいて、それは五十七年度予算に反映をいたしますと、そういうことも総理も御決意になり、そういうことのお話もし、合意をしたということで理解してよろしいですか。
#94
○国務大臣(鈴木善幸君) そのとおりでございます。
#95
○柳澤錬造君 次に所得減税の問題。これはもういま各党でやっているようですから細かいことは触れません。だけれども、過去三年間やらないでことしももうやらないんだと。これもまたさっきのあれじゃないけど、大蔵大臣、できないからやらないと言っているのか、やりたくないからやらないと言っているのか、どっちですか。
#96
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは私はできれば、それはやらないというわけじゃないんです。御承知のとおり、現在の財政事情から言って非常に減税をするだけの余裕がないということであって、一方で借金をしながら一方で減税をするというようなことはいまできない。したがって、私はそういう点で所得税については一%実質賃金が目減りしたじゃないかと、サラリーマンの場合ね、私はその事実は認めるんです。しかし、現実にはもうほとんど世界の先進国で、アメリカを初めそれは賃金の値上がりよりも物価が一八だの一七だのって値上がりすれば目減りしちゃうわけですよ。日本だけの現象じゃない。そこで、まことにそれはお気の毒なことではあるが、昭和五十二年から五十六年まで見通すと、去年は、確かに五十五年度では一%の目減りはしておりますけれども、全体的には可処分所得は三・何%かふえております。税金も、所得がふえれば税金もふえておりますが、それでもふえておりますと、そういう状況ですので、今回は御勘弁をいただきたいということを申し上げてきたわけでございます。
#97
○柳澤錬造君 大蔵大臣、過去三年間のGNPの伸びが名目で三〇%ふえているわけです。それから実質で一八%増、予算の方は四九%増になっている。こういう国の中での全体に生産も上げていった、それでお金もなんだから予算の方もよけい編成をして食ってきたと、現実に所得税だって相当余分に取ってきている。何で一生懸命かせいで働いてくれているその人たちのそういう所得減税をやろうとしないんですか。
#98
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはもう結論はいま私が申し上げたような、二度繰り返すような話になってしまいますが……
#99
○柳澤錬造君 答弁にならぬ、そんなことは。
#100
○国務大臣(渡辺美智雄君) いやいや、それはなぜやらないのかと言われましても、それは現実の問題として歳出の方もかなりいままで伸びてきているわけですよ。社会保障にしても文教の問題にしても、これは過去それなら昭和四十八年から比べてみますと、現在までに五十五年では税金は二倍です、五十六年では二・五倍ぐらいですかな、二・四倍ぐらいですか、五十五年と四十八年を比べると税収は二倍、しかしながら社会保障費は約四倍弱とか、文教関係の費用は約三倍とかいうようなことで、要するに歳出の方で伸びるところもうんと伸ばしたと、しかしその差額が結局借財になったわけですよ、国債に。そういうことで取ったものを政府がむだ遣いでなくて、国民に還元をしているわけですから、借りたお金も国民に、税収がなくとも借財によって国民の生活の安定のために支出をしてきたというような現実も一方にあるわけです。したがって、その恩恵というものも、恩恵と言ってはまたしかられるかもしらぬが、政府のサービスですね、そういうような公共サービスというものも国民全体としては受けておって、たとえば勤労者を退職した、リタイアした年金生活者にしても、昭和四十八年には月平均の手取りが二万二千円です。五十五年には大体十万円。これも約四・八倍になって、したがって、約二〇%の補助というものも、当時は一人当たり四千四百円で済んだものを今度は十万円になれば約二万円と、月二万円の政府補助を出すというようなことになっておるわけであって、それはやはり何らかの形で国民全体から見ればそれだけのサービスというものはされておるわけでございますから、世の中は持ちつ持たれっですから、所得のない方の生活保護費も上げてきておりますしするので、この際はいろいろございましてお気の毒ではありますが、世界各国の状況から見てもそれほどひどいという状態じゃない、日本の場合はまだ物価等においても世界で一番優秀な成績を上げているという現状からして、なお今後は五%台に来年度は物価の見通しもなるというようなことでございますので、今回の所得税減税についてひとつお待ちをいただきたい、御勘弁を願いたいということを言っておるわけであります。
#101
○柳澤錬造君 大蔵大臣、ことしの予算も補正予算を組んだでしょう。あの補正予算を組むときに、当初予算の所得税から補正で六千八百億も余分にいただいているわけですよ。昨年度は八千億を超えているわけですよ。当初予算でこれだけ皆さん方から所得税いただきますよと言って、それから補正でもってこの二年間で一兆五千億もよけいお金をいただいているんですよ。それなら、その中から三千億や四千億や五千億ぐらいのお金で所得税減税やるくらいのことは何でできないんですか。それをみんなよそへ回して使っちゃって、そうして国債を減らします、何を減らすと。少なくともここ三年間、去年もやったというならば、ことしはお気の毒だけれどもがまんしてください。もうここ三年間やってないんだから、その点から考えればそのぐらいのことをやってもいいじゃないですか、お気の毒じゃ済みませんと言うんです。
#102
○国務大臣(渡辺美智雄君) 税収の伸びておるのは所得税だけじゃなくて、源泉税というものの中には所得税とか利子税があるわけですから、去年は大幅な金利値上げという点もあって源泉税の中では利子の分離課税というか、源泉税が大幅に伸びておるわけです。所得税も伸びておるのは事実でありますが、それは三年間の間に所得税がふえるというけれども、法人税やその他の税収もみんなふえておるわけです。それは所得が多くなれば結局税金を払うようになると、たとえば、ともかく二百万円ぐらいで夫婦二人だったけれども、仮にそれが十万円月給が上がったと、五%月給が上がったということになれば、それは所得がふえますから、十万円のうちで一万円、その人にとっては無限大にふえたということになるわけですね。これは所得税は。いままで払ってなかった人が一万円でも払えば無限大にふえた話になっちゃうわけですから。だから比率だけで物を言いましてもだめなんですね、これは。したがって、私はそういうような点から、ひとつ所得税の問題については、所得税がふえたということは、税率を動かしてないわけですから、結局所得がふえれば税額はふえるんです。これも事実でございます。
#103
○柳澤錬造君 やめておこうと思うけれども、そんな答弁しているから、大蔵大臣お気の毒だけれども、本当にいまの大蔵大臣は私はお気の毒だと思う。ただ、私がいま言っているのは、政府がこれだけいただきますと言って予算を組んだと言うんだよ。そうしたら、後になってもうちょっとお金がいただける、所得税がまだ入ってくると言ってまた補正を組んだと言んです。それがことしは六千何百億、昨年は八千何百億、わずか二年間で一兆五千億も当初政府がつくった予算よりかよけい銭を取っているのじゃないかと。だったら、その中から三千億や四千億ぐらいのものをおすそ分けいたしましょうと言って何でやれないのだというのが私の言っていることです。
#104
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは七千億円程度その税収の年度内増収というものがぎりぎり見込まれると、それで結局この問題については、御承知のとおり災害の問題とか、ことしは災害も出ておりますしね、それからベースアップも二%しか計上しておらなかった。人事院勧告では四・一ですか、そういう勧告が出て、いままで労使の慣行が非常にいいのは政府が人事院勧告を完全実施してきたからだということになると、人事院勧告はこの際もうやめて所得税減税に回しちゃえなんと言う人はないんですよ。したがって、そういうようなどの歳出をとってもみんなむだな歳出はない、やむを得ない歳出だと、それの財源として思ったよりも増収になったと思われる、なるであろうと思われるんですね。まだなってみなければわからぬけれども、ぎりぎりのところだと私実は心配しているんです。税収のいまの伸びぐあいから見てそういうものに充てたというわけであって、それを減税に回してしまえば、結局そういう歳出の財源はないということになるわけです。どちらをとるかというのは政策の判断の問題で、政府としてはひとつ税収というので、これは見積もりですからね、予算で、見積もりですから。しかし、その歳出の方は支出の上限を御決定願うわけで、その御決定願った以上に歳出増が出るということになれば国会に出して御承認を受けるというようなことで、それにたまたま見合うようなことがその他の税金、所得税だけでない源泉税やあるいは法人税やその他の税収の中でそういうものが見込まれるということになったものですから、その歳出に充てるということに政策判断をしたわけでございます。
#105
○柳澤錬造君 まだ私が聞いている肝心なところの御答弁は出てこないんで、そこで大蔵大臣、いま与野党国対委員長会議ではやっているのですからその程度にして、地方財政法の十条の二の補助金の問題、どうするつもりですか、どんどんどんどんこれふえてきちゃって、去年で三兆一千でことしはどのくらいになりますか、これ。どうするつもりですか。
#106
○国務大臣(渡辺美智雄君) 補助金の全体から見ますと、ことしは約十兆五千億円になったんです。六千五百億ばかりふえちゃった。私は千六百八十八億円カットをしたり抱え込んだりしたのですが、それにもかかわらずふえちゃった。何でふえたのだと、こうしかられるわけですが、もうすでに社会保障費と文教、科学技術、それと公共事業で十一兆五千億になっちゃうわけですから。しかも社会保障等は社会保障費の補助金だけで五兆円と、こうなるわけですから、三千何百億と、こうふえちまうわけですよ。それは大蔵大臣抱えると言っても法律でみんな決まっているわけですよ、そのうちの九七%は。抱えようがない。まして法律がなくとも、社会保障の補助金減らすなんと言ったら、ほとんど各党挙げて賛成賛成というところは聞いたことはない、ぼくは。みんな反対だというのが多いというようなことでございまして、細かいのもずいぶんございますよ。ずいぶんございますが、国鉄の補助金だって一カ所で七千何百億というわけですから、これだって本当は出したくない、私は。出したくないけれどもそれやらなければとまっちまう。汽車がとまると騒ぎになる。仕方がないからそれは出したというようなことであって、極力今後いろんな制度の補助金については、これは大幅にある程度減らすのには法律でもつくっていただかぬとなかなかできない。したがって、私は今後とも皆さんと御相談をして、歳出カットについてはみんな行政改革、歳出カットと言うのだけれども、どこを切れという話がないんですね、余り、少ない。たまには軍事予算切れなんという人もありますがね、あとははっきりしてどこというふうな特定されたものというのはなかなか出てこない。大いに今後議論の中で特定したものを出していただいて、一緒になって私は歳出カットに本当に蛮勇をふるいたいと思っております。
#107
○柳澤錬造君 大蔵大臣、そうじゃなくて、私が言っているのは地方財政法第十条の二の補助金、去年で三兆一千十九億、ことしもさらにふえるんです。問題は、私が言いたいのは、ある県を調べたら国庫補助事業が七百四件ありまして、その一件について最初に資料出しにやってきて陳情に上がってくるわけよ、東京へ。最終的な決定までに大体八回から十回上京しては陳情している。そのための費用が、全部これは旅費から何からひっくるめたら二百六十五億になる。そこから類推をして全国の全都市町村も何もひっくるめてやったら、一年間に昨年が千二百六十五億のお金を使ったことになると言うのですよ、この三光何がしかの補助金をもらうために。だから、もうちょっと地方分権を認めて、地方交付税をいまやっているような形で第二交付金制度みたいなものをつくってやったらどうですかと。それで、むだな、陳情でわんわんわんわん来ちゃ皆さん方お相手するのも大変なんだから、そうしてやったら補助金の三千億や四千億の節約をするのはわけないでしょうと、そういうことをお考えになりませんかということを言っているんです。
#108
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは一つの考え方なんですね。考え方なんですが、これは問題点もあるんですよ、問題点も。たとえば地方交付税というものはいろいろな計算の方法があって要り分を持たしてあるわけですが、県知事さんあるいは市町村長、特に市町村長なんかになりますと、学校を建てるのが好きな人もいるんですよ。それから道路直し専門で、道路だ河川だ、それ専門で立候補する人もいるわけですよ。そうかと思うと、老人福祉だと言ってバスの切符をくれたり、理髪屋の券をくれたりいろいろそういうことをやる市町村長もいるわけですね、これ、現実に。補助金もそれじゃ第二交付税みたいにもう何でも自由に使いなさいということで渡しちゃって、隣の町は道路がぴかぴか広くていいけれども、すぐ隣へ行ったら曲がりくねっちゃってつながらないとか、ミの場合も、上の方はよくできたけれども下の方はもう河川がはんらんして困るとか、これ困るわけですね、実際問題として。したがって、日本のような国ですから、道路の問題や河川の問題とか、そのほかいろいろな問題についてはある程度国全体の整合性、バランスというものをとらせないと、幾ら地方分権だと言っても市町村長が、それは末端へ行けば市町村がやるわけですから、それぞれ思い思いでやってしまうということで非常にアンバランスになる。教育のところがある、それから道路の印とか、いまだって現にそういう傾向があるわけですから。だけれども、やはりそれがもっとひどくなるということでは困る。そこらのところに対する防止策をどうするか、これは一遍検討して、ともかくいずれにしてもむだのないようなことは考えなきゃならない、これは御指摘のとおりなんですよ。したがって、できるだけ補助金の整理合理化あるいは統合、メニュー化、こういうことは引き続き御趣旨のとおり私はやっていきたい。今後そのむだを、そういうふうな整合性のとれないような勝手なことをできなくてうまく使えるような道は何かあるか、きわめて技術的な問題になりますが、そういう点も検討してまいりたいと考えます。
#109
○柳澤錬造君 大蔵大臣、さっき、冒頭私が言ったように、そのために会計検査院があれだけいるじゃないですか、そんな心配して、お金の使い方もおかしかったらね。だから、第二交付金制度をつくってもその分け方はいろいろこれはまた知恵を山さにゃいかぬけれども、あの膨大な、上京してきて陳情して何だかんだというあれをやめさせて、そしてああいうむだな金を使うのは国全体として膨大な額になるんだからやめて、もうちょっと交付金のようなかっこうでやったらと言ってさっき第二交付金制度と言ったんですから、御検討いただけるという理解をしてよろしいですか。
#110
○国務大臣(渡辺美智雄君) 第二交付金制度を検討するというんでなくて、要するに会計検査院おりましても、それはもう学校なら学校だけを優先的にやってしまう、道路なら道路だけりっぱにつくると言ったってそれは会計検査院はどうしようもないですわな、自由に使いなさいと言って地方に渡すとすれば。あなたの方はこれだけ上げますから町長さんの御自由にということになれば、非常にむらができる可能性がある。ですから、そこのところ、むらをなくするようにどういうふうないい工夫があるかどうか、そういう点が詰まれば、問題は、要するに陳情だ何だと言って何回も何回もこちらへ押しかけてきて補助金をもらうということはむだなんだからやめさせなさいというのが趣旨でしょう。ですから、その趣旨を貫くためには、われわれも今回は総理の指示もありまして、ともかく出てくるなと、出てきてもお金ないんだから、無理だからということで各省庁に言ったんだけれども、予算が厳しいぞ、厳しいというものだからよけい来ちゃったそうですよ、ことしは、逆に。ですから、何かそういうふうなことを抑えさせるためには、やっぱり出てきたって予算なんかふえないんですから、だから私は徹底してそういうことを下へ流して、そんな百回陳情したって同じだということを徹底させると、むしろ政治の姿勢の問題ではないかと、そう思っておるわけでございます。
#111
○柳澤錬造君 本当に総理、これまた言うと切りがない。でも、それは大蔵大臣も口が達者な方だから――あなた、あんないまみたいな答弁聞いていてみなさいよ、安心して税金なんか納められないわって国民思うわ、そんな勝手なことでなにしていたのならばと言って。だから、ともかくせっかくやっぱり税金納めてもらっている、そういうものがそんなむだなところに使われないようにというかっこうで第二交付金制度のようなものを考えていただきたい。
 次に、昨年所得税法が改正されて、五十九年一月からいわゆるグリーンカード実施というようなことに決まったんですが、あれで幾ら税金が入ってくるんですか。どのくらいの経費がかかるというふうに予想しているんですか。
#112
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはまだはっきりしたことはわかってないんですが、経常経費で大体二百億円弱かその程度かと。はっきりしたまだ数字つかんでないんですが、大体見当として……
#113
○柳澤錬造君 入るのが……。
#114
○国務大臣(渡辺美智雄君) いや、かかるのが。
 それで、これによって、たとえば利子配当の総合所得税移行による増収額で見ると、これは五十六年度ベースでは七、八百億円がなと、一応見込まれるのが。しかしながら地方税の方ががばっと入るんです、これは。どうしてかといいますと、分離課税というものがあるものですから、本人だけが分離で税金払っちゃえば所得が幾らあるかわからないわけですね、これはいままでは。いままではわからない。したがって、地方税は全然払ってないわけですよ、そういう人は分離課税、所得税だけで。しかし、今度は所得が把握されれば、地方税はもうゼロからですから、所得税は分離した分と総合分との差額だけれども、地方税はもとからふえますから、大体この方が、これも大体千二、三百億円じゃないかと。そうすると千九百億から二千億程度ではないか。まだ正式なきちっとした計算はないが、おおよその見込みということでございます。
#115
○柳澤錬造君 大蔵大臣、グリーンカードの、いろいろそういう税の公正化というか、いわゆる匿名預金なんかやめさせるということについては必要なことだけれども、いわゆる昔から言われているクロヨンとかトーゴーサンとかという不公平税制の問題、これを解決するというか、何というんですか、公平化する方が免じゃないんですか。
 それで、いま所得の捕捉率というのはどういうふうにつかんでいるんですか、給与所得、事業所得、農業者の所得という、そういうものの税金の取り立てのあれをどのくらいの割合でとっているんですか、捕捉率でね。
#116
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは給与所得については大体一〇〇%に近いものだと。一〇〇%とは言い切れませんが、それに近いものがあるだろう。農業所得等についても私は大体取っていると思うんですね。統計で農家の人は二〇%、農家という職業の中で二〇%ぐらいしか税金納めないとかとよく言われるんですよ。これは間違いでありまして、農家のいま八十何%というものが兼業農家なんです、兼業農家というのはお勤めしているんです。特に農家の六七%ぐらいのものが第二種兼業と言って、要するに役場へ行っているとか、鉄道へ行っているとか、あるいは食糧事務所とか会社へ行っているとかということで、給与所得の方が農業所得よりもずっと多いんですよ。したがって、それは給与所得者の方の統計に入っちゃうわけです。農家の方は農業の部分だけが出てきますから、農業所得は少ないから、もともと農業所得だけをとればそれは税金は出てこないと、こういうことになっておるわけであって、農業の把握率がでは幾らなんだというと、それははっきりわからぬですね。しかし大体、一〇〇%とは言わないが、私はそれに近いものじゃないか。それはなぜかと言いますと、秋田とか新潟とかで水田を持っておって、水田から得る米の量はごまかしようがないんですよ、これは。みんな見ているわけですから、一反歩幾らとれるということがわかって、経費が何ぼかかるかわかっているわけですから。だから、結局所得が少ないから、所得税を納めている人、家族が多いと、六、七人家族だなんというと三百万とかあっても、それは所得税がかからないわけですね。したがって、私は農家が非常に脱税しているんだというようには思ってないんです。大体所得が少ないから納める人員が少ない。兼業農家は、所得はもう給与所得者として払っていますということに御理解いただければ幸いです。しかし、漏れている点もなきにしもあらずで、そういう点は今後厳重に注意をしてい、きたい。したがって、正確な統計はございませんということであります。
#117
○柳澤錬造君 これは総理にお聞きいただきたいんですが、私が調べてもらったら、国税庁統計年報書と国民所得統計年報を対比して調べ上げたならば、所得の捕捉率は給与所得が九四%、事業所得が二二%、農林水産所得が八%というふうな数字が出てきました。それはなかなか私も幾ら何でもそんなにひどくはないだろうと思えるのですよね。だけれども、問題はいまここのところなんです。法人税の申告というのが五十四年度でもって百七十一万七千件。そのうちのチェックしてやったのが十七万九千件、一〇・四%です。そうしてやったら、そのうちの十四万件が更正決定をさせた。七八・三%が更正決定。それで申告漏れの所得が八千四百八十七億、増加税額は二千七百二十二億、加算税の決定二百七十八億で、三千億のお金を取りましたというんですよね。それから今度は、所得税の方は申告件数が九百四十二万件。それで、これはもう何ですから、半分ぐらいは還付するような、そういうものの対象になってしまうんで、実際に調査したのが十三万八千九百二十八件。だから、この比率はちょっと何ですけれども、その調査した十三万八千九百二十八件のうちの十二万六千十九件は更正決定をさせました。九〇・七%です。それで、その申告漏れの所得が三千九百三十二億、税金が七百五十億と加算税五十九億で八百九億追加で取り立てました。ですから、問題はこのところなんですよね。調べたもののうちの、調べたのが一割ちょっとでもって、調べてみたらその七八%を修正申告をさせて、それで三千億取り立てたというんです。全部調べたら、だから三兆円になるわけですよ、極端な話。それは、それこそいま言う税務署の人たちをよけいやらなければいかぬということ。だから結局、これから申告漏れのそれを推定していくと、全部取り立てが、そのチェックができてやれば、法人税が三兆円になり、所得税が一兆六千億円まだ取れて、源泉所得の方でもまだ三千二百二十億取れました。四兆九千二百二十億の取れるのが取れないでいたんですと、どうです、これ。
#118
○国務大臣(渡辺美智雄君) そう簡単にはいかないのです、これは。要するに、調査に行くのはランクがありまして、毎年調査される人があるんですよ。それは要するにブラックリスト――こんなこと言っていいのか悪いのかどうか知らぬが、税歴というのがありまして、もうしょっちゅう脱税をやるという人があるんですよ。そういうところは、もうしょっちゅう行くわけですよ。したがって結局、もう最初からねらって行きますから、行けば必ず出るんです、必ず。それから、きちんと書いてあるということで、過去にやっぱり税歴があって、三年に一遍とか四年に一遍行ってみたけれども、行ってもいつでも何も出ないという人ががあるんですよ、優良納税者というのが。そういうところはもう申告省略なんです。だから、手数をかけたってむだ骨だから五年に一遍ぐらいしか行かない。そうして危なそうな人ですね、同じ売り上げても極端に所得が低いとか、どうもとかくの風評があるとかいうのだけ、税務署も効率的に働いていますから、ねらって行くから、要するに歩どまりが多いわけです、それは。したがって、それをもって全体に引き伸ばすということはできないのです。だけれども、まだ回り切れないために、なかなか行きたいけれどもまだ行けないというケースのあることも事実です。したがって、そういう点は、人員の獲得あるいは能率的な調査というものをさらに進めて御趣旨に沿うようにやってまいりたいと考えております。
#119
○委員長(木村睦男君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。
 午後一時から委員会を再開し、柳澤君の質疑を続行いたします。
 これにて休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#120
○委員長(木村睦男君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和五十六年度総予算三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き柳澤君の質疑を行います。柳澤君。
#121
○柳澤錬造君 大蔵大臣、午前に続いてグリーンカードの問題で、あれがもう決まっているわけだけれども、実際にカードをつくって、一億一千七百万枚できるわけですね。それから毎年の住民の異動が年間大体八百万人ぐらいあるわけです。それを一々変えていかなくちゃならない。さらに、支払い調書のその名寄せをやる段階になったら、これはどのくらい出てくるかわからないけれども、そういうことを考えたときに、決めてはみたものの果して実際にやり得るかどうか、その辺の御見解いかがですか。
#122
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほども申し上げましたように、正確な計算はまだできてないんです。できてないんですが、差し引き計算すれば、それは二千億円ぐらいで一割の徴税費ということになるわけですね。問題は、課税の公平という問題を出しますと、やはりそこには矛盾のないことをやらなきゃならぬから、よけいな金もかかってしまうということも事実でございます。
#123
○柳澤錬造君 大臣ね、徴税コストからいってこれは高いことは間違いないけれども、大変なものになると思う。たしかいま一円四十一銭ぐらいのはず。それが恐らく三十円は超えるだろうと思う。しかも、コンピューターを使うわけだけれども、松山市というと人口四十万。あの中に同姓同名、生年月日も同じだというのが三人もいるくらいなんですよ。その辺のところになったら、全国のこれをどういうぐあいでもってやるかということは、これは大変なことなんで、その辺のところからもうちょっと考えられないといけないし、それからさらに、私が心配するのは、やっぱりプライバシーを侵されたくないという気持ちでもって、それじゃ外国へ持っていって貯金をしてしまうとか言って持ち出してしまうとか、それからもう一つは、お金、貯金をしておかないで、もうそうなったら物にかえる、いわゆる換物に走るとか、そういう形になったら私は大変なことになると思う。もう郵便局へ持っていくのやめたと。資金運用部資金がなくなっていっちゃうわけなんで、その辺の点から考えて、実施までまだ時間があるんですから、いろいろ中小企業や実際に実務をする税務署の人たちのそういう意見なんか聞いて、やり得るかどうかということの検討を私はぜひしていただきたいと思うが、どうですか。
#124
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは御指摘のように、反作用が大きく出ては困るわけですから、反作用が出ないように慎重にいろいろな人の意見を聞いて、抜け穴ふさぎもやらしていただきたいと考えております。
#125
○柳澤錬造君 それはぜひよろしくお願いします。
 それから次に、外交問題に入っていくんですけれども、総理、北方領土の日をつくっていただいたこと、これは本当に日本人の一人として私感謝申し上げます。
 ただ、この北方領土の問題で、日ソ交渉は田中・ブレジネフ会談の線まで戻ってもらいたいんだとよく言われるんですけどね、それどういう意味で言われているのか、そこのところ知りたいのです。
#126
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、日ソ間の真の友好協力関係を発展をさしてまいりますためには、どうしてもわが国固有の領土であります北方四島が返還をされなければならない。領土問題を解決して平和友好条約を締結することが真の恒久的な日ソの関係を正しい姿に据えることである、このように私は認識をしておるわけであります。そういう観点からいたしまして、私どもは、この固有の領土である北方四島、この問題を、ぜひ民族の悲願であるこの問題を解決をしたい。それには、一九七三年モスクワにおいて、田中、ブレジネフ両首脳がこの問題についていろいろ突っ込んだ意見の交換をいたしました結果、戦後未解決の問題を解決して日ソ平和友好条約の締結のための交渉を行う、こういう合意ができまして、御承知のように共同声明に相なったわけでございます。日ソ間における戦後未解決の問題ということになりますと、北方領土以外にはございません。この点を確認いたしましたところ、口頭で、明らかにそのとおりであるということが確認されておるところでございます。私は、今後の日ソの真の友好関係を樹立するということからいたしますと、この両首脳の合意に達した点、ここが原点でなければならない。これをひとつ取り上げてテーブルにつくこと、これが一番大事な点である、こう考えております。
#127
○柳澤錬造君 これは外務大臣でもいいのだけれども、いま総理言われたんだけれども、日ソ共同声明には歯舞、色丹、国後、択捉の四つの島が消えちゃっているのですよ。それで日本側では、いやそれは懸案の諸問題に入っているのだと言うのだけれども、向こうではそんなものはもう入っていませんよというかっこうになって、それでちゃんと、外交ルートできちんと確認をいたしましたかといって、それはしてないはずなんで、昨年の予算委員会で私聞いたときに。その復したのかどうかですね。
#128
○国務大臣(伊東正義君) その後、外交ルートを通じましてそのこと自体について確認したということは実はしておりません。しておりませんが、いま総理おっしゃったように、このことはもう当時の日本側の関係者すべて、四島が入っているということをはっきりその場で言ったということで認めておるわけでございますので、私どもは、いま総理のおっしゃった四十八年の声明と三十一年の鳩山さんとの共同声明がございます。両方踏まえまして、私も国連に行ったときにグロムイコ外相に話しているということでございます。
#129
○柳澤錬造君 それは外務大臣も総理も聞いておいてほしいのだけれども、向こうでは入れたということの理解をしていないんですから、それだからソ連は領土問題解決済みだと言っているのです。こちらで、この国会の中では、当時から田中総理も、いやあの中には入っておるのだと言っておるだけなんだ。だったら、それはちゃんと外交ルートでもって確認しろと言っても、いま言うとおり昨年から一年の間それはしてないわけなんですから、その辺のところきちんとしておいてほしいのですよ。
#130
○国務大臣(鈴木善幸君) 首脳会談における共同声明、そしてその間におけるやりとり、これは先ほど私が申し上げたとおりでございます。
 そこで私は、戦後未解決の問題、この中には領土問題以外にはないわけでございますから、戦後未解決の問題を今後協議をする、議題として取り上げる、そしてそういう問題を処理しながら日ソ平和友好条約を締結するという方向で交渉が持たれなければならない、そうあるべきであるというのがわが方の主張でございまして、それが日ソが真に友好善隣関係を樹立するスタートラインでなければならないというのが私の所信でございます。
#131
○柳澤錬造君 だから、日本の政府がそう思っていることはいいんです。昨年の予算委員会でも私が確認したのはそこなんだけれども、三月七日の、朝日新聞の記者がポリャンスキー駐日大使にインタビューしたときにも、領土問題は解決済みですと、将来どのような条件のもとでも再検討することはありませんと、日本に来ている大使がそういうことをはっきり言っているわけなんですよ。だから、その辺をきちんとしなければと言ってあるんだけれども、いまの話で、この一年間全然その点についての交渉をしていないわけですからね。そこのところなんですよ、問題は。
#132
○国務大臣(伊東正義君) お答えしますが、文書ではやっていないことは確かでございますけれども、私も昨年の九月にグロムイコ外相と会いまして、その領土問題をやったわけでございます。グロムイコ外相は三十一年のときの相手の外務次官として、当然四島問題、歯舞、色丹は明記し、あとの問題はこれからの平和条約の中で相談するということをやった当事者でございますので、私はいまの田中・ブレジネフ会談のことも話し、昭和三十一年の日ソ共同声明も話したわけでございます。でございますから、日本としてはこういう問題があるということをはっきり向こうには言ったわけでございます。向こうの返事は、柳澤さん御承知のように、もう領土問題というのは解決しているんだというようなことを一貫して言っていることは確かでございますが、こっちはその後もいま言ったようにはっきり相手には伝えてあるということでございます。
#133
○柳澤錬造君 もうこれ以上、この事実認識ははっきりしたと思うんで、ですから総理なり外務大臣なり、その辺の点はきちんとさらに向こうと交渉して、文書で確認をすることはしてください。
 それで、これは農林水産大臣になるんだろうか、日ソのサケ・マス交渉のあれが始まるわけだけれども、見通しがどうなりますか。漁業協力費がどんどんどんどん上がってきちゃって、五十五年でもう三十七億五千万も取られているんだけれども、もう限界だと言っているわけですね。だからこの辺は、そろそろ交渉が始まるんで、政府としてどういう態度でお取り組みになろうとしているか。
#134
○国務大臣(亀岡高夫君) 本年の日ソ交渉の開催につきましては、すでに当方から交渉の日程について申し入れをいたしております。しかし、まだソ連側から回答が来ておりません。
 見通してございますが、昨年末の日ソ漁業委員会第三回定例会議におきまして、サケ・マスの資源状態についてはきわめて厳しい見解を表明しているところから察しまして、今次交渉においても非常に厳しい態度で臨んでくるんではないかというようなふうに予想をいたしております。いずれにいたしましても、政府といたしましては、わが国の伝統的サケ・マス漁業の維持継続が図られるように粘り強く交渉を行っていく決意でございます。
 入漁料の問題、補償の問題ですね、相当高額を負担しておるわけでございますが、これもしかし資源保護上やはり話し合いをつけるための一つの手段ということでございますので、できるだけ増額にならないように交渉をしなければならないという腹を決めておるわけでございますので、これも相手のあることでございます、しっかりした気持ちで対処していきたいと思っております。
#135
○柳澤錬造君 農水大臣、これはぜひやってください。そして、あと上回ったら、それは政府がその分を見てやるというならばそれはいいだろうと思う。業界とするならば、いまでも魚価の八%になっている。それで、それはもうぜひやっていただくことで、次のアメリカの二百海里水域の漁業問題。
 ソ連の方は、これはもう私が言わなくたって御存じのとおりだけれども、七十五万トンなんです。アメリカの二百海里水域でもって日本が行ってとってくるのが百三十万トン。多いんです。それがいまどんどんどんどん締め出しを食ってきているんだけれども、どうするおつもりか。
#136
○国務大臣(亀岡高夫君) 御承知のように、アメリカとは非常にフランクにお互いの意思疎通ができておるわけでございます。ブロー法案の制定等に当たりましても、日本の主張をある程度認めてくれたような点もございまするし、ズワイガニあるいはベニザケでありますか、イルカの混獲という問題について、いま保護団体と申しますか、そういう団体の意向が非常に強いということで、それが一つの障害になっておるわけであります。政府間におきましてはもう合意がある程度できて、許可をおろしてやりたいという気持ちもアメリカ側ではあるように聞いておるわけでありますが、何しろ鯨とかイルカとかを大事にせにゃいかぬという保護団体が非常な力を持っておりまして、これがどういうふうに影響してくるか、いまその状況を見定めておると、こういうことでございます。実は私のところにも毎日アメリカから数千通ずつの、これはイルカではございません、鯨の方でございますが、鯨はとるべきではないと、こういう保護団体からもうすでに十万通近くの航空便が届いておるわけでございまして、こういう点からもアメリカの上院、下院に対するこれらの団体の諸君の働きかけというものは相当なものであるという感じを持って、実は心を痛めておるところでございます。
#137
○柳澤錬造君 水産大臣ね、いまズワイガニを言われたけれども、去年ズワイガニ半分にさせられて、それで十九隻行っていたのが、ことしはいまの状態だとゼロになると言っているんですよね、これはもうほとんど。それから、イルカの問題もいま大臣おっしゃったけれども、これも適用除外が六月九日で切れるわけ、御存じのとおりで。それで、イルカ混獲許可申請書をアメリカの政府に出しまして、この三月の五日、六日に公聴会が開かれている。だから、この公聴会の模様もお聞かせをいただきたいし、これからどういうふうにこれをやっていくか、少なくても母船四隻と百七十二隻がそこへ出ていってサケ・マスをとっているわけです。それで、イルカと一緒にとるのは認めないということになってしまえば、この百七十二隻で約百億からの水揚げしているのが全部ストップになるわけです。これはただごとではないわけです。一万五千人からの漁船の乗組員が職を失うことになるし、その関連からいったら大変なことになるんですから、もうちょっとそこのところを日本の政府側としてどう取り組みなさろうとしているのかです。
#138
○国務大臣(亀岡高夫君) 日本の捕鯨業を振り返ってみますと、やはりこれは資源保護団体と申しますか、哺乳類を大事にせにゃいかぬという団体の影響と申しますか、そういうものによりましてだんだんだんだん捕鯨業界が狭められてきたと、こういう前例もあることでございます。したがいまして、私どもとしては、できるだけアメリカの政府を通じまして、政府のこういう保護団体の圧力に屈しない体制をぜひとってほしいということを申し入れをしておるところでございます。
 あと経過等につきましては、事務当局から詳しく御報告申します。
#139
○政府委員(今村宣夫君) イルカの混獲問題でございますが、お話のとおり、六月九日をもちまして現在の日米加条約に基づきます免除期間が切れるわけでございます。これに対応する方法としては、現在の免除期間を延長をするという方法と、海産動物保護法に基づきます許可をとるという二つの方法がございます。現在、お話のように許可申請をいたしておりますが、先般の公聴会におきましては、幸いにしてその保護団体その他から許可を出すべきでないという意見は出ませんで、大体許可をするについてどうするかというふうなオーソドックスの議論が行われたというふうに承知をいたしております。しかし、相手は環境団体でございますから、どういうふうな事態の進展になるかはなかなか予測を許さないものがございます。したがいまして、私たちといたしましては、今後その許可が円滑に取得できるように最大限度の努力をいたしてまいりたいと考えておるところでございます。
#140
○柳澤錬造君 水産庁長官、もう一つ入漁料の問題。これが昨年三十四億から払ったのが、ことしはもう七十二億に、二倍以上になると言っているわけなんです。これもアメリカの二百海里水域でそんなに上げられたならば、もう関連のところへずっと波及することは明らかなんですよ。ですから、その辺の点も、恐らく水産庁長官近くアメリカへ行かれるはずなんで、それらも含めてのお考えをお聞かせをいただきたいです。
#141
○政府委員(今村宣夫君) アメリカの入漁料が三・五%ということが言われておりまして、それがブロー法案が出ますと七%を下らないように決めなさいということになっておるわけでございますが、このアメリカの入漁料は船側価格でございまして、水揚げ価格に直しますとこれが一・七%ぐらいになるわけでございます。したがいまして、それが倍になったとしまして三・五%ということで、諸外国に比べて通常の水準になるというふうに考えていいかと思います。五十四年度におきます入漁料はたしか二十五億ぐらいであったと思いますから、これが倍になるというと相当な額には相なりますが、入漁料の水準そのものとしては通常の水準になるということであろうかと思います。
 しかし、これがこの以後上がるというふうになりますと、これはなかなか大変なことでございまして、私たちとしましてはこの水準以上に上がらないようにできる限りの努力をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
#142
○柳澤錬造君 そのイルカ混獲の許可はおりるというふうに判断をしてよろしいんですか。
#143
○政府委員(今村宣夫君) 公聴会におきましては、日本においてイルカの混獲を認めるべきかどうか、イルカの混獲を認めたとしても資源的に問題はないかどうかということが公聴会のテーマでございまして、これを今後告示その他をいたしましていろいろな意見を聞き、その他の所定の手続を踏んで出すということを決定する最終の日時は五月八日ぐらいになるわけでございます。
 したがいまして、先ほど申し上げましたように、公聴会におきましては幸いにして日本に混獲を認めるべきでないという強い意見はなかったわけでございますが、今後の推移によりまして必ずしも絶対大丈夫ということは言えないわけでございますから、私たちといたしましては最善を尽くしましてイルカの混獲の許可が取得できるように努力をしてまいる必要があるし、またそうしたいと考えておるわけでございます。
#144
○柳澤錬造君 時間の関係もあるんで、もうちょっとお聞きをしたかったんだけれども、毎年水産庁長官は行かれているんだけれども、少なくとも日ソの場合は農林水産大臣行かれるんですから、あちらよりかも漁が多いんですから、そういう点からいけばやっぱり農林水産大臣も行っていただきたいし、それから、外務大臣はもうこの二十一日に行かれるわけでしょう。ですから、その辺の事情を少しお聞きいただいて、それでこれはもう海運産業というか、日本の水産業にとってもこれは容易なことではないわけです。北洋であれだけどんどん締め出しを食って、今度はアメリカからも食う、少なくとも日米関係は大事にしなくちゃいけない、友好関係を保たにゃいかぬ、もう最重要国だって総理が言っているんですから、そういう点からいって何でこんなむちゃなことをしなくちゃいけないんだと言って、その辺の点をぜひやっていただきたいと思うんですが、いかがですか。
#145
○国務大臣(亀岡高夫君) 先ほども申し上げましたように、日米政府間、特に農林水産関係につきましては非常にオープンと申し上げていいのか、信頼関係と申し上げていいのか、そういうのができ上がっておりますので、しかもマンスフィールド大使も数回お見えいただいておりまするし、非常に意思疎通ができ上がっておりますので、あえて私が、まだ新政府の水産庁長官も任命されておらないようでございますから、事態の推移を見きわめまして出かけにやならぬ場合には出かけてまいりまするし、いまのところ、そういう時期ではない、こう考えております。
#146
○柳澤錬造君 それはもう大臣の御判断に任せる。ただ、その事態の推移という言い方の点では少しやっぱり認識が甘い。かなり事態は進んじゃっているということを御判断いただいて、十分お考えいただきたいと思います。
 次に、国鉄の問題でお聞きをしてまいりたいんですが、総裁いらっしゃると思うんですが、昭和五十年の十一月の二十六日から十二月の三日までいわゆる八日間、通称言われるところのスト権ストというものがあったわけです。旅客列車が十四万二千五百本、貨物列車が四万一千三百二十九本という膨大な列車がとまったんです。このストライキをやったときの国労、勤労の組合員に対して、賃金カットした人員としなかった人員を御説明いただきたいです。
#147
○説明員(高木文雄君) お尋ねの五十年のいわゆるスト権ストのときに賃金カットいたしました職員の数は、一人で二回参加したというようなこともあり得るわけでございますが、実人員で申しまして八万二千人でございます。で、その賃金カットいたしました金額は約十億円でございます。当時の組合員数は、国労と勤労と合わせまして約二十九万でございますから、その二十九万人の組合員の中で八万二千人についてカットをいたしたという実績になっております。
#148
○柳澤錬造君 しなかった数。
#149
○説明員(高木文雄君) 言ってみれば、その二十九万の中で八万二千人以外は対象になっていないとお考えいただいてよろしいかと思います。
#150
○柳澤錬造君 八万二千人の人が八日間ストライキをやってどうしてそのカットが十億なんて、そんな少ない金額ですか。
#151
○説明員(高木文雄君) これは私どもといたしまして、非常に何とかならないかということを考えているわけでございますけれども、御存じのように、拠点を指定するとか、あるいは職員を指定するということで、ごくわずかの職員が現実にハンドルをとらないとか、信号の仕事をしないということをいたしますと、それで全体がとまってしまうというのがいまの、これは組合とか何とかということを別にしたレールの分業が余りにもいろいろあるということから出るウイークポイントでございまして、参加者の数が非常に少ないにかかわらず影響するところが大きい、御迷惑をかける程度が大きいということでございまして、この八万二千人という数が妥当であるかどうかはいろいろ御議論もございますし、われわれとしても反省はいたしておりますけれども、当時の実態としてはそれらの人がストに参加をしたということで、それ以外の人は参加をしていないという形になっておりますので、このような結果になっておるわけでございます。
#152
○柳澤錬造君 総裁、もう一回ちょっと確かめたい。
 八万二千人というのは延べ人員ですね。
#153
○説明員(高木文雄君) 八万二千人は実人員でございます。
#154
○柳澤錬造君 そうすると、八万二千人が八日間やったという判断をしてよろしいんですか。
#155
○説明員(高木文雄君) そうではなくて、私どもの方は大体平均いたしますと三交代というようなことになっておりますから、その諸君が八日間として一日平均一万一千人の人が直接指名を受けてストをいたしたというような関係になっておるわけでございまして、そのことは非常に少ない人がそれに直接参加をすれば全体が動かなくなってしまうという実態を意味しておるわけでございまして、非常に率直に申し上げて不思議な印象をお持ちだと思いますけれども、ごくわずかの人がストに参加しましても全体がとまってしまうという実態を示しておるということでございまして、これは私どもとしてまことに困ったことだと考えております。
#156
○柳澤錬造君 労働大臣の方へお聞きしますのですが、いまお話しのように、国鉄総裁のお話だと、二十九万人おる組合員の中で一日平均一万一千人がいわゆる拠点ストをやっていって全国の列車が全部とまったわけなんです。それだけのストなんだから賃金カットをしておる。そしてそのほかは全部賃金が支払われたということになるんだけれども、そういうふうなことが労働法上から許されるのかどうだろうか。民間で言うならば、配電盤のところへ持っていって電気をなにしている、握っているのを二人か三人指名ストでやってやれば全部電気はとまって工場は動かなくなる。それも許されるわけになるのですから、そういうふうな判断でよろしいのかどうか。
#157
○国務大臣(藤尾正行君) お答えを申し上げます。
 法律上の問題につきましてはこれは政府委員から正確にお答えをした方がよろしい、かように思いますが、私どもの立場から申し上げましたならば、直接国民に御迷惑をかけておるようなストライキ参加者、こういった者に対しましては厳重に私はその処分をすべきである、かように考えておるわけでございます。その根拠につきましてはこれは政府委員から答弁をいたさせます。
#158
○政府委員(細野正君) お答えいたします。
 お尋ねの件は、いわゆる部分ストの場合の他の組合員に対する賃金の支払いの問題でございます。この問題につきましては柳澤先生も御存じのように、公共企業体等基本問題会議の意見書というものの中でこれが取り扱われておりまして、この意見書に対する政府の検討結果というものが昨年六月に報告書として発表されておるわけでございます。この報告書の中でこの問題について言っております中身をやや引用的に申し上げてみますと、「部分ストライキにより労務の履行が不能となったストライキ不参加者の賃金請求権の有無を考えた場合、不参加組合員については、一般に、自己の労務の履行が不能となるような部分ストライキの意思形成に関与していること、ないしは部分ストライキ参加組合員との間に組織的連帯関係があることから、」、いわゆる危険負担について定めた民法五百三十六条一項を適用しまして「賃金請求権を否定することが衡平の見地から妥当であると考えられる。」というふうに述べているわけでございます。
 なお、現実の国鉄の労使関係の場合に、私どもはよく伺いますのは、ストライキに参加をしていない組合員等につきましては、ストライキ終了後できるだけ早期に操業を再開するため、いわゆる立ち上がり要員として当局の指揮下に確保しておくというふうな問題があるようでございまして、こういう場合には、業務命令が出ているということから賃金カットの問題が発生しない、そういうことでございます。ただし、そのような場合にも勤務管理の厳正を期して、いろんな批判を受けるようなことのないように注意するということは非常に大事なことじゃなかろうか、こういうふうに考えている次第でございます。
#159
○柳澤錬造君 あなたが読んだのは、いま私も見ているから知っているわけなんだけれども、それから言いましても、国鉄が昭和五十年のときにやったことについては、いま言われたような方法でやられていないのだということは確認できると思うのですが、どうですか。
#160
○政府委員(細野正君) お尋ねのように、立ち上がり要員その他の方が実際に必要であったかどうかというのは、そのときの具体的事情に即して判断しなければなりませんので、一般的な言い方を申し上げることは非常に困難ではなかろうかと、こういうふうに考えております。
#161
○説明員(高木文雄君) ただいま労働省の方から御説明ございましたように、現実に仕事をしていないという諸君に対しては原則としてノーワーク・ノーペイであるべきだということが私どもの基本的考え方でございます。ただ、運用の問題についていろいろな問題がありまして、いま労働省から御説明ありましたような形で私どもも頭の整理をいたしておるわけでございまして、その点から考えますと、五十年時点のわれわれの処理というのはいささか十分でなかったんではないかと考えておるわけでございまして、今後あるいはまた現在の考え方といたしましては、いま労政局長から御説明がございましたようなことが基本であるというふうに考えて対処しておるつもりでございます。
#162
○柳澤錬造君 ですから、これは総理もよく御理解しておいていただきたいのです。
 民間産業の場合にはストライキ権というものは合法的に持っているわけです。それであってもストライキをやればノーワーク・ノーペイで、全部賃金カットされるわけです。拠点でやっていって、そこだけやったって、そこで工場が全部とまれば、とまった工場が全部もうそれはストライキやったと同じ扱いを受けてしまうわけです。国鉄の場合にはストライキ権を持ってないから、いわゆる違法ストということになる。その違法なストライキをやって、ごく一部の人がやった、汽車は全部とまってしまった、じゃ賃金カットはそのごく一部のやった人たちしかカットしない、あとは賃金払っている。そんなことが許されるのですか、それで今日の国鉄の労使関係がよくなるのですかと言いたい。あの地方ローカル線の問題でも、あれだけ議論してなにしたのだけれども、よくお考えいただきたい。四千キロのあのローカル線全部をおっぱずしたって、廃止をしたって八百五十億ぐらいの赤字が減るだけなんですよ。いまの国鉄の赤字の一割。山陽本線一本、五百四十キロの山陽本線一本の赤字がそれにほぼ匹敵するのですから。むしろ赤字の大きいところは幹線なんです。いかに労使関係が乱れているか、ゆえにそうなるんですという、そういう認識を持っていただいて、そして国鉄総裁にもう一度お出ましをいただいてお聞きをしたいんだけれども、いま二百二億の損害賠償裁判おやりになっているのだけれども、昭和五十四年の五月から国労、勤労側がスト期間中に運行可能諭のそういう主張がなされていたというのだけれども、それは事実ですか。
#163
○説明員(高木文雄君) 現在裁判所においてこの問題が争われておるわけでございますが、最初の段階では現行の法制が、つまりスト権を禁止した法制が憲法との関連でどういうことになるかということが争われておりまして、第二段階で、ただいまお話しのように、被告側といいますか、組合側から、いわゆる運行可能論に関するもろもろの主張がいま行われているところでございまして、現在そういうことで訴訟は進行をいたしております。
#164
○柳澤錬造君 国鉄総裁ね、昭和五十四年五月から、もう一年半前からその問題について調べてみると、七回にわたってその組合側の運行可能論の主張というものがなされていたんですが、総裁は、国鉄当局側としてはそれを黙って聞いていたんですか。
#165
○説明員(高木文雄君) 私が報告を受けておりますところでは、あと一回原告側から同様主張の証拠の提出がある。その後、今度は私どもの側からそれを反駁をする、そういう運行可能論なんということはあり得ないという反駁をするというのが、次の次の法廷からそういう論理の展開になっていくというふうに報告を受けております。
#166
○柳澤錬造君 運輸大臣もよく聞いてほしいし、それから国鉄総裁もよく聞いてほしいんですけれども、国労、勤労はストライキで全国の列車をとめようとしてとめたんですよ。それで全国の列車がとまったんですよ、八日間にわたって、とめようとしてとめた労働組合のサイドから、あのときは列車動かせたではないかというふうな、そういう主張が出てくること自体がおかしいことなんです、とめようとしてやったわけなんだから。とめようとした側が、いやあのときはおまえたち当局側は列車を動かせたんではないかなんというそういう論が出てくることがおかしいことであって、それを一年半にわたって裁判の上でそれを黙って聞いておったという国鉄当局はどういうことなんだということなんですよ。どういうふうに理解しているんですか。
#167
○説明員(高木文雄君) 運行可能論を国労、勤労が法廷で主張するということは、まことにおかしいことだというふうに私どもも考えておるわけでございまして、それはおかしいということをどうしてもこれは反駁をいたさねばならぬというふうに考えております。ただそういう主張が法廷でなされるかどうか、なされていることについてどう進めるべきかということについては、私もよくわかりませんけれども、やはり裁判長の訴訟指揮にかかわる問題ではなかろうか、その主張することについて裁判所がお認になれば、私どもはまことに残念ながらその主張を受けなければならないという仕組みになっているように私は理解をいたしておりますので、もうそれが終わる時期でございますからそれについて反駁をしていくという過程に入ろうかと思っております。
#168
○柳澤錬造君 お互いに素人じゃないんだから、そういうことを総裁言っても――ここで総裁にさらに私は聞くんだけれども、昨年私が、鉄道労働組合の諸君が違法スト反対、列車を動かそうといってやったときに、国鉄当局がそれをとめたじゃないか、なぜとめたんだと言ったときに、総裁は多くの列車がとまるときに一部の列車が動くと危険でございますので、それでとめましたというのは総裁の答弁なんだ、お忘れになっちゃいないと思うんです。国労、勤労のサイドの方も全国の列車をとめようといってあのときはストライキをやった。何でそんな運行可能論が出てくるんですか。総裁の方も私が質問したときに、あんたは何ていったっていま言ったとおりだ、多くの列車がとまっている中で一部の列車を動かされたらかえって危ないです、だからとめましたとあんたは言ったじゃないですか。いまの国鉄と国労、勤労の間で運行可能論なんという議論ができるようなそういう基盤がないんですよ、大体。それをいままで一年半もその裁判の中でごたごたごたごた何ですか。もう一回きちんと総裁とそれから運輸大臣と両方から答弁してください。
#169
○説明員(高木文雄君) ただいま柳澤委員から御指摘がございましたように、昨年の春、大阪の地域におきまして国労、勤労が春闘の際にストを構えるということになりました。鉄労としてはそれは許せないということで、どうしても鉄労の職員だけで運行をしたいということがありました。私どももぜひそういう方向に持っていきたいということでやっておりましたが、その後のその拠点の指示とかいろんなことがありまして、たとえば大阪の市内でございますので四分とか五分とかという頻度で走っている車でございますので、その一部が鉄労諸君の努力によって動いたといたしましても、かえって混乱が起こるおそれがあるということから、私どもは鉄労がせっかくそういう取り組みをしようといった申し出に応じられなかったという事実がございまして、このことについて当時柳澤委員にお答えをしたことがございます。そのように運行可能論は鉄労との間でも行われており、これは鉄労からは当局側の姿勢についていろいろ批判を受けておるわけでございますが、一方において国労、勤労との間で現実に残念ながら違法なストが構えられておるという事態の中で、国労あるいは勤労側からたとえ訴訟の上におきましても運行可能論というような論理の展開があることについては、まあ私どもは非常に筋の通らない話だというふうに考えておりますけれども、先ほども御答弁申し上げましたように、何分このことは訴訟の上での争いになっておりますので、私どもとしては全体としての訴訟指揮に従わざるを得ないという立場をとっておるわけでございます。
#170
○国務大臣(塩川正十郎君) お尋ねの件につきまして、私は二つの面からお答え申し上げたいと思います。
 一つは、現在進行しておりますいわゆる二百二億ストの損害賠償事件でございますが、これは一刻も早く裁判所においてしかるべき決定をしていただきたいと思っております。その中において行われるところの運行可能論の論争につきましては、これは訴訟技術としてわれわれは見ております。したがいまして、運輸省の鉄監局長が現在訟務官なりあるいは弁護士等ともいろいろ意見を聞き、それによって運輸省としても判断をしていきたいと思っております。
 さて、問題はそのような一部のストによって全国鉄が運行不可能になる、しかもそれに対し職場についておる者は賃金カットもできない、こういう事態がこれが理解できない、これは私は国民感情からいって当然のことだと思うのであります。しかしながら、この根本となりますのは、民間におきます労働関係法と公企体におきます労働関係法とのやはり相違がございます。その相違というものが、私はこの二百二億損害賠償訴訟の中で明確にその相違点等が出てくると思っております。したがいまして、われわれといたしましては、その二百二億訴訟の結果を待って、必要とあるならば公企体労働関係の検討も必要なのではないかと思っておりまして、そういう抜本的な制度上の改正をせずしてこの運行可能論争のみで私は解決できないように思っておるのでございます。したがいまして、先ほど国鉄総裁なり労政局長の言いました解釈というものは、一つの解釈としてなっておりますが、しかし実際において国民感情から見た場合、それはただ法律上の問題であって国民感情というものはまた別個に働いておる。それはやはり根本がその制度から来ると思っております。そこにわれわれも検討を加えたい、それはやはり経営改善計画、いま提出を要請いたしておりますが、その経営改善計画が出てまいりまして、そういう中でこれからのいわば国鉄の組合と経営者との関係というもの等もその経営改善の中にやはり明記されてくるのではないかと思っておりますし、そういう点なりいろいろな点を勘案いたしまして、この制度的な改正を十分に検討していきたいと思っております。
#171
○柳澤錬造君 時間もなんですからもうはしょって――運輸大臣のはわかりましたんで、あと高木総裁ね、もう一言。
 結局これは訴訟技術の問題じゃないんです。私が言いたいのはやはりその姿勢の問題なんですよ。ですから、そういう点でもって幾ら総裁が否定しても否定してもいろいろと疑惑や何かが出てくるのはそこにあるんだから、だからこの二百二億の裁判でおかしな取引もしない、そんないろいろ裏も何もないんですと、それで、絶対どんなことがあっても運行可能諭、そんなものは私たちは議論する意思もありません、あるいはこの問題でもって一切取引もいたしません、そういうことをきちんと私は首かけて約束しますと言ってお答えしてください。そうしたらはっきりする。
#172
○説明員(高木文雄君) 先般来いわゆる二百二億の損害賠償の訴訟に関して何か私どもがある種の取引をしておるとか、する意図があるとか、いろいろ伝えられておりますけれども、それは絶対にそういうことはない。いま再建合理化のためにいろいろな形で労使間で緊張した状態にはございますけれども、これと訴訟とは全く無関係のものだという基本姿勢をきちっと持っているということをはっきり申し上げておきたいと存じます。
#173
○柳澤錬造君 時間がなんで、もう一つだけ、委員長、言わしてください。
 それで、住宅公団総裁、わざわざ参考人でお呼びをして、時間が切れちゃったんで、申しわけございません、おわびをしておきます。
 法務大臣、難民条約はもうこれは外務大臣の言うように今回は批准していただくことはっきりしているんですが、前からお願いをしておりましたいわゆる難民問題で、国連の高等難民弁務官がこれは難民だという証明を与えた者は、難民として扱ってくれたらどうなんですかと言って前からお話をしておったんですが、その点について御返事ちょっと聞かしてくれませんか。
#174
○国務大臣(奥野誠亮君) 御承知のように、難民の地位に関する条的及び同議定書、この解釈、運用は各国の主権にゆだねられておるわけでございまして、したがいまして難民の認定も日本の権限と責任で行うということになろうと思います。しかし、同時に国際機関のいろいろな判断、これはできる限り尊重しなければならないと思います。尊重はしますけれども、最終的には日本の権限と責任において行うということでございます。
 いずれにいたしましても、これだけの日本になってきているわけでございますから、できる限り温かい配慮が必要ではなかろうか、こういう気持ちで運用してまいりたいと思います。
#175
○柳澤錬造君 高等弁務官が証明したのはどうですかと。
#176
○国務大臣(奥野誠亮君) 高等弁務官の証明で最終的な決定というわけにはいきませんけれども、十分それは尊重してまいりたい、こういうことでございます。
#177
○柳澤錬造君 終わります。(拍手)
#178
○委員長(木村睦男君) 澤田参考人には、せっかくおいでいただきましたが、ごらんのような状況でございます。御苦労様でした。
 以上で柳澤君の総括質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#179
○委員長(木村睦男君) 次に、源田実君の総括質疑を行います。源田実君。
#180
○源田実君 私は、憲法解釈の問題とまた世界平和の維持、これに関する私の意見に対する政府の御見解を承りたい。そうして、この憲法問題については私は法律的には素人でございます。いろいろわからないところ御質問いたしますが、ひとつ素人にわかるように説明していただきたい。まず、これをお願いいたします。
 まず最初に、総理大臣にお伺いいたすのでありますが、わが国はこの憲法制定以来、主権在民の基本原則のもとに今日までやってきております。主権在民の思想は現在の日本国民に十分に定着しておるとお考えですか、いかがですか。
#181
○国務大臣(鈴木善幸君) 私はそのように考えております。
#182
○源田実君 そうしてまた、この憲法の前文の一番最初に「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動しことあります。そうすると、いままでこの憲法制定以来、選挙された国会の議員諸兄はすべて正当に選挙された者であるかどうか、この点の御見解、総理にお願いします。
#183
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、選挙によって選ばれた衆参両院の国会議員によって構成されておるこの国会は国権の最高機関であり、正しく運営されておると、このように認識しております。
#184
○源田実君 そうしますと、ここで私が現在の時点において理解しがたいことがある。それは前文のこの初めの方ですが、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意しことある。そうすると、国民が主権を握っておる、その国民の意思を代表するのが国会である。したがって、国会は国民の意思に反することはできない。また、政府は、政府首班は国会で選ばれたものである。そうすると、政府は国会の意思に反することは全然、これは一人、二人とかいうようなことは――国会のいわゆる議決によって決まったその意思に反することはできない。そうすると、たとえば防衛出動なんかの場合でもこれは必ず国会の承認を得なきゃいけない。そうすると、政府の行為によって戦争を起こすということは現在の日本においてはこれはあり得ないと、こう考えるのです。これをひとつ。
#185
○政府委員(角田禮次郎君) 御指摘の文章の後には続けて「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」というふうに述べているわけでございます。その趣旨は、過去の戦争が政府の行為によって行われ、日本国民がその惨禍を受けたと、その惨禍を日本国民が受けたというところに着目をしまして、平たく言えばこの際国民主権の新しい憲法を制定いたしましたと、こういう日本国民の決意、そういうものを述べているのでありまして、この文章が国民主権の確立した、新しい憲法が施行された後に、なお政府の行為によって戦争が起こるかもしれないというようなことを想定しているわけではないというふうに私どもは解しております。
#186
○源田実君 ここで、それじゃ法制局長官にお伺いするんですが、この憲法というものは国の最高法規である、そして、これは特別な法律的な専門家でなければ理解できないようなものでは適当でないと思うんです。やっぱり、われわれのような一般庶民が見て、読んでやっぱりそうだというような、はっきりわかりやすくできていなければいけない。しかし、いまから百年この憲法が続いたとき、百年後のわれわれの子孫がこれを見たときどう思うか、「政府の行為によって」というこの言葉は。政府というものは戦争を起こすものじゃないかと。もう戦後三十五年、あと十五年たてば半世紀たつのです。「政府の行為によって」という言葉は必要なくて、主権在民がはっきりする。その実施方法がはっきりする。これだけで結構なんじゃないですか。どうしても「政府の行為」という言葉をここへ入れなきゃならないのか、この点お伺いしたい。
#187
○政府委員(角田禮次郎君) 憲法の前又の性格というものになるわけでございますが、前文には、その憲法がどのような経緯を経て制定されたか、あるいはその憲法がどういう理想を掲げているかというようなことを書くのが普通であります。そして、歴史的な事実として、この日本国憲法が制定されたその背景には、過去のわれわれの記憶に残っているあの戦争というものを経過したということは、これは明らかな事実であると思います。また、そういう戦争に対する反省が、この憲法が生み出された一つの動機と申しますか、契機になっていることは確かであります。したがいまして、そういう意味において「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」という文章がつくられたのだと思います。そして、そういう考え方は、この憲法を実施し、運用していく上において、ずっと持ち続けるべきものだと私は考えます。
#188
○源田実君 そうすると、仮定の話ですが、これずっと守っていく。ところが、日本からはやらない。「政府の行為」ではないけれども、日本が不当な侵略を受けて戦争状態に入る。その後この憲法では、「再び戦争の参禍が起ることのないやうにする」こと、これがやっぱりそのまま続くんですか。そのときはこれはちょっと修正しなきゃならぬのじゃないか。
#189
○政府委員(角田禮次郎君) そういうふうに読むべきものではないと思います。過去の戦争が国民の意思と必ずしも一致しないで、政府の手によって行われた、そういうことによる惨禍を国民が受けたということでありまして、今後新しい憲法のもとにおいて、外国からの侵略を受けて、わが国が戦う場合においては、先ほど源田委員が言われたように、当然民主的な手続を経てわれわれは戦うわけでありますが、それによる被害というものは、ここで言うような意味の惨禍ではないと思います。
#190
○源田実君 この問題はそのくらいにしまして次に入りますが、前文の第二項に、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と書いてある。そうすると、ここで、これが九条のもとになったかどうかわからぬけれども、要するに、「平和を愛する諸国民の公正と信義」で日本は安全と生存を保持しよう、日本ももちろん努力はするだろう、しかし他の国にも大きく期待しておる、こういうことですね。
#191
○政府委員(角田禮次郎君) 御指摘の文章は、憲法の基本的な原則である平和主義を宣明したものだと思います。その意味において、他国に対してもそういうことを期待している意味が含まれていると思います。
#192
○源田実君 ところで、わが日本は、「平和を愛する諸国民」のうちに入るのかどうか。またわが日本は、他の国が信頼するに足るだけの公正と信義を備えておるのかどうか、この点の政府の御見解をひとつお願いします。
#193
○政府委員(角田禮次郎君) 文脈の上から言いますと、これは、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」をするというわけですから、他人に信頼をするわけで、ここで言う「平和を愛する諸国民」には日本国の国民は入らないと思います。しかし、日本国の国民が平和を愛する国民であるということを別にそれによって否定するような意味でないことはこれまた明らかでございます。
#194
○源田実君 どうもいまのところ、日本は公正と信義――それは、この憲法に言う平和を愛する国であることには私は間違いないと思うんです。それで、日本自身が公正と信義が守り得ないというものでもないと思う。日本はこういうわけですね、いま憲法の制約によって、他の国が不当な侵略を受けても日本がこれを助けることはもうこれはやらない、日本は助けてもらう、ほかの国が苦しんでも日本はこれには手を出さない、こういういままでの方針であったと思うんですが、これはいかがですか。
#195
○国務大臣(伊東正義君) 憲法の解釈は法制局長官にお任せしたいと思いますが、たとえば、いま源田さん言われた中で、それじゃ、ソ連がアフガニスタンに軍事介入した、日本は何にもしないで黙っているのか、こういうこと、たとえば一つの例でございますが、これは国連の会議の決議の中でも、そういうことは国際正義、国際秩序に反するんだということで決議にも加わりましたし、あるいはまた、西側の一員としまして、経済措置ということにつきましても行動をともにしていることがございます。あるいはパキスタンへ来ているアフガニスタンの難民に経済援助をするというようなこともしているわけでございまして、軍事的なことは個別自衛権でございますから一切できないのでございますが、経済面等でそういうこと、国際社会の一員としてやるべきことは、できることは、法律上許されていることはやるということでございます。
#196
○源田実君 軍事的援助はできないと。しかし、ある国が生きるか死ぬかの境目に立っておる、他の国は生命を犠牲にして助ける、日本はやらない、そういう場面がいろいろ出てくる可能性がある。これが憲法第二項の中の「名誉ある地位を占めたいと思ふ。」という、この「名誉ある地位」になるんですか、いかがでしょう。
#197
○政府委員(角田禮次郎君) ちょっとお断りしておきたいと思いますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、憲法の前文というものの性格として、その国の憲法の制定の由来であるとか、あるいはその憲法を制定するその理想とか、そういうものを掲げているわけでございます。したがいまして、わが憲法におきましては、平和主義あるいは国際協調主義ということを大きく掲げているわけであります。同時に、いま源田委員が御指摘のように、「名誉ある地位を占めたいと思ふ。」ということも言っているわけでございますが、しかし、平和主義なり、国際協調主義というものを掲げて、それを実現するための方策として、軍事的な手段以外に、いろいろな方法によってそういうものを実現する。いわば、国際的にも名誉ある地位を占めるということは、これは憲法自体として決して不可能なことではないと、そういう考え方の基本を示しているものだと思います。具体的な場合にどういう政策選択をとるかというのは、そういう憲法の前文の考え方の範囲内において、いろいろな方策があろうかと思いますが、それは私が申し上げることでないので、それは申し上げないことにいたします。
#198
○源田実君 そうすると、さらに非常に重要なことがこの第三項に書いてある。これは、いままでの憲法は、こういう状況のもとに、こういうわけで、こういうぐあいにつくったんだというだけじゃ済まない問題がある、第三項には。いま読んでみます。「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」とあるんです。それを望むとは言ってない、「誓ふ」。これひとつ外務大臣と総理にお伺いしたいんですが、これはどうなんですか。
#199
○国務大臣(伊東正義君) これは憲法の本当に解釈の問題でございますから、私が申し上げるよりも、法制局長官から申し上げた方がいいと思いますので、「誓う」と「努力する」とがどう違うんだというようなことがございますから、こっちからお願いします。
#200
○政府委員(角田禮次郎君) 先ほども申し上げましたように、第二段及び第三段におきましては、平和主義及び国際協調主義というわが憲法の理想を掲げるとともに、そういう理想が実現されることを全国民がみんなでやろうということを誓っていると思います。ただ、そういう誓いのもとにおいて、現実にどういう政策的な選択をするかということは、ある範囲内においてそれは政治が決める問題であろうかと思います。
#201
○源田実君 今度は、これは総理にお伺いしたいんです。
 実は、この憲法のいま読み上げましたことに、他国と対等関係に立とう、これが自国の主権を維持し、そうしてこれが各国の責務である。日本国民はこれを、崇高な目的を達成することを誓ったんだ。これはただ文章だけで、実際は誓ってもやらぬでもいいというものじゃないだろうと私は思うんですね。そんならこんなものは書かなきゃよろしい。書いた以上はやらなきゃならない。そうすると、ところが日米安保条約では、これでは日本の施政権下にある土地が攻撃されて侵略されたら、みなアメリカが来て助ける、日本もやる。しかし、ほかのところはやらないですよ。しかしほかの国は、たとえば米韓あるいはかつての米華、米比条約、全部太平洋地域が入っておるんです。日本だけが施政権下。こういうのは、この憲法は日本の憲法であって、外国には通用しない。一般の外国はそういう日本の態度を見たときに、日本国民を、自国のことのみに専念して他国を無視するというような意味を若干向こうが持つんじゃないか、こういうぐあいに私は考えるんですが、これはいかがでしょう。
#202
○国務大臣(鈴木善幸君) 憲法前文だけでなしに、憲法全体として私は読んでいかなければいけないと、こう思うわけでございます。日本は日米安保条約におきまして、日本が独力で防衛できないような侵略に対しては、日米安保条約に基づきまして米軍の支援と協力を求めると、しかしアメリカが攻撃を受けた場合においては、日本はこれに、攻守同盟でございませんから、日本が軍事的に協力をするということはできない。これは日本の自衛隊が自衛隊法に基づきまして専守防衛に徹すると、こういう立場に立っておりまして、アメリカはこのことをよく私は理解をしておると、こう思います。アメリカの議会等におきましても、安保ただ乗り論というような議論が一部にあるというようなことも闘いたことがございますけれども、しかし、私は、アメリカの政府におきましては、日本の憲法の制約のもとにおいて、日本がそういう立場をとっておるということは、十分理解をしておるものというように思っております。
#203
○源田実君 この問題は日本だけが自分で納得したんでは済まないので、各国が、日本のとる行動はもっともであるというので、各国が理解するものでないと通用しないと思うんですよ。しかし、これ以上議論するとほかのこと一つもできなくなるので、これはここで一応終わって、また機会があったらやりたいと思います。
 ところで、憲法第八十二条、これは裁判ですが、「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。」。そうしてその次に、「公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると」、これは裁判官の全員一致で決した場合に、対審ですよ、判決じゃない、対審は非公開で行うことを――行うというんじゃない、「行ふことができる」となっておる」。しかし、それ以外、政治犯罪、出版に関する犯罪、また国民の権利が問題になっている事件の対審は、常にこれを公開しなければならない、こういうことがある。そうすると、いま一つの例を挙げますが、例と言えば、重要な防衛機密、こういうものを漏洩した場合に、このものはこれは非公開で行うことができる、そういう保障がどこかからか出るんですか。それをひとつお伺いしたい。
#204
○政府委員(角田禮次郎君) 憲法八十二条の規定によりますと、原則的には裁判の対審及び判決は、公開法廷で行わなければならないわけであります。したがいまして、御指摘のような防衛機密の漏洩が問題になっているような事件であっても、裁判所が裁判官全員の一致で公開しないことを決めた場合を除いて公開されることになります。
#205
○源田実君 しかし、裁判官全員一致しようがどうしようが、政治犯罪云々、この後の段階の方は常に公開しなきゃならないですね。そうですね。
 そうすると、非常に私は心配なことがある。有事、防衛計画の内容を通謀した者がおると、これは政治犯罪になるか、それとも――風俗には関係しない、しかもそれを出版した場合にはこれはどうしても公開せざるを得ない。この憲法の第八十二条は有事でも適用するんでしょう。有事、変わったものをやるというわけにいかない。この点いかがですか。
#206
○政府委員(角田禮次郎君) 御指摘のように八十二条の二項にはただし書きがございまして、「政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となってゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。」わけてあります。したがって防衛機密に関する事件であっても、そういうものに該当する限りは憲法上の要請によって常に公開しなければならないということになるわけでございます。
#207
○源田実君 では、防衛庁長官に伺いますが、この場合、防衛計画の内容を漏らした者がおった場合に、果たしてそれが防衛計画に載っておるのかどうかということは、防衛計画そのものを裁判官が見ないと判断を下すことができない。裁判官が防衛計画の提出を求めた、防衛庁出しますか。
#208
○政府委員(角田禮次郎君) 具体的な訴訟の対応の仕方はあるいはまた防衛庁長官の方から答弁があるかもしれませんが、一般的な問題としてまず私からお答えをいたしたいと思います。
 で、いま源田委員が御指摘になりましたのは、結局は公務員の守秘義務との関連についてのお尋ねになると思います。そういうことが刑事事件として問題になった場合にどうなるかということだろうと思います。現在の訴訟法の上では、公務員の保管する職務上の秘密につきましてはその監督官庁の承諾がなければ裁判の場に持ち出すことができないということが原則になっております。また裁判の過程でも秘密事項そのものを直接に法廷に提出をしないで、その事項の周辺の事実を明らかにすることによってその事項が秘密であることを立証する方法も裁判の上で認められておりますし、今後においても恐らくいういろな場合に検察当局なりはそのような方法をとり、また裁判所もそのような方法を認めると思われますので、裁判の場を通じて秘密事項そのものの公開を避けるということが理論的にできないわけではないと考えます。ただし、具体的な訴訟の場においてはいろいろな困難といいますか、問題が出てくることは予想されると思います。
#209
○源田実君 実は、これもやっぱりさっきの、これは私は専門家と議論すると負けますから、負けるというか、腹じゃ負けてないですが、表現ができない。しかしながら問題は、国の生存に関する機密が漏洩された場合にこれが公開法廷で審理され、また判決は公開法廷でやる、判決は常に公開でやる、こういうことについては私ははなはだこれは不都合である。国の安全の方、日本の国の方がはるかに重要である。したがいまして、この問題は、これは私はいますぐ結論をどう出せということを言うんじゃないんですが、十分に政府においても、われわれも研究いたしますが、どういう方法があるのか。とにかく絶対守らなきゃならない機密である。
 それから次に、もう一つ妙なことがあるんですよ、この中にね。いままで無罪になった例がある、防衛計画は出さないで。出せと言われたが、出さなかった。そうすると、この憲法四十条「何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。」。一般的には通用すると思うんですよ。しかし明らかに防衛計画なり非常な重要な機密を漏らした。しかし防衛庁は、それを公開裁判に出せばみんな漏れてしまう、さらに大きな被害を受ける。出さない。そうすると証拠不十分、無罪。そうすると今度は、この人は事実は犯罪を犯しているけれども国から補償をもらう。どろぼうに追い銭とかいうのがあるんですが、そういう結果になるおそれがあると思うんですが、そういうことは絶対にないということが言えますか。これ、ちょっとお願いします。
#210
○政府委員(角田禮次郎君) 絶対にないことというわけにはまいりません。むしろあり得ると思います。ただ、先ほど申し上げましたように、現在裁判の上におきまして秘密そのものを出さなくてもいろいろな方法、先ほど申し上げましたように、周辺の事実からそれを立証していくということも可能でありますから、常に秘密を出せないためにその人が無罪になるというふうにきめつけるわけにもいかないと思います。
#211
○源田実君 私は自衛隊の違憲問題なんかで、これは証人でもうずいぶんたびたび呼び出された、そうして、ある裁判においては自衛隊は違憲であるという判決が出ておるんです。このままで、もし日本の重要な防衛機密が相手側に漏洩して、そのためにどれだけの日本国民が犠牲になるかわからないんですよ。したがいまして、憲法のこの機密をどうやって保持するかという問題については、また改めてこれは政府においても特に慎重にひとつ研究していただきたい。これは絶対にやらなきゃならない。国の生存に関する問題です。何物よりも大事である。これをお願いして、この件は終わります。
 次に、ここで第九条の中の、日本は戦争をやらないことになっておるんですが、国権の発動――自衛戦争、自衛権は持っておる、そうして侵略を受けた、これに対して防衛出動を仮にする、これは国権の発動たる戦争にはならないんですか。
#212
○政府委員(角田禮次郎君) これまで政府の見解としてたびたび申し上げていることでございますけれども、憲法第九条第一項はいわゆる戦争を放棄しておりますけれども、わが国が主権国として持つ固有の自衛権まで否定しているものではなくて、自衛権の行使として自衛のための必要最小限度の実力を行使することは、もとより憲法の禁ずるところではないというふうに私どもは解しているわけでございます。
 そこで、御質問の自衛隊法上の防衛出動による武力の行使が行われた場合でありますが、これはいま申し上げた自衛権の行使として自衛のための必要最小限度の実力行使をするということにとどまるものでありますから、憲法第九条第一項において放棄されている国権の発動たる戦争というものではないというふうに理解しております。
#213
○源田実君 そうすると、事実上日本は自衛戦争をやっておる。その場合に中立国の船が――津軽海峡には何か公海があるんですね、日本が三海里に制限したところがあるから。また対馬海峡には明らかに公海がある。また十二海里外を中立国の船が敵国に対する武器を積んで通るときこれを臨検する。これは交戦権がなければできないと思うんですが、これはできないですか、日本は。
#214
○政府委員(角田禮次郎君) 御質問は、結局憲法九条第二項で規定しております交戦権の否認についての規定の解釈の問題であろうと思います。
 先ほども申し上げましたように、わが国は、自衛権の行使に当たってはわが国を防衛するため必要最小限度の実力を行使することは当然に認められているわけでありまして、その行使は交戦権の行使とは別のものであるというふうに私どもは解しているわけであります。
 そこで、御質問になりました点でございますが、仮にわが国に武力攻撃を加えている国の軍隊の武器を第三国の船が輸送をしている、外国の船舶が輸送をしている、それを臨検することができるかという点でございますが、これは具体的にどのような事態を想定していいか、いまの時点でそれをはっきり申し上げることはできませんけれども、一般論として申し上げるならば、ある国がわが国に対して現に武力攻撃を加えているわけでございますから、その国のために働いているその船舶に対して臨検等の必要な措置をとることは、自衛権の行使として認められる限度内のものであればそれはできるのではないかというふうに私どもは考えております。
#215
○源田実君 まだありますけれども、時間の関係もありますので次に移りたいと思います。
 次に、私が子供のころから、ちょうど海軍兵学校に入った年、ワシントンの海軍軍縮条約が締結された。それ以後軍縮条約はずいぶん、最近はSALTに至るまでずいぶんあるわけなんです。しかし、ほとんど半世紀以上にわたる、半世紀よりさらに長いその間にわたっていわゆる軍備縮小条約、軍備制限協定で最後的に成功したものは一つもない。全部途中でだめになっておるんですよ。これは歴史的な事実であります。ところが、日本はいま、そういうことは関係ないと言えはないが、実際はあるんだけれどもないふりをしておる。これは防衛庁と外務大臣にお聞きするんですが、戦争を阻止するために現在の米ソの持っておる核兵器をちょっとやそっと、デタントとかなんとか言ってちょいと減らすとかあるいは制限しても、これが核戦争が起きた場合の全人類に与える被害をこれを若干でもという、いわゆる目に見えて有効なだけ減らすことには一つもならないと考える。いま持っておるのは、地球で使うにしては余りにも膨大過ぎる核戦力を持っておる。それを、ちょっとSALTとか言って調子はいいんです。しかし実質的には効果が上がらぬ。こういうぐあいに考えておるんですが、外務大臣及び防衛庁長官にその御所見を伺いたい。
#216
○国務大臣(伊東正義君) お答えしますが、いまおっしゃったように、過剰設備といいますか、非常に大量のものがあるだろうということは予想されるわけでございますが、ちょっとやそっとという御表現をされたわけでございますが、私は、それを減らしていこうという動機がこれが大切だと思うのでございます。それがちょっとやそっとでおさまるか。そういう考え方、デタントといいますか、平和希求といいますか、そういう考え方がやっぱり世界の国民の中に広がっていくということが私は非常に大切だと思いますので、そういう努力は小さい努力からでもどんどん大きくしていくという意味で私は非常に意義のあることだというふうに待っております。
#217
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 現在世界にはTNT換算で百三十億トン、六万発以上の核弾頭が保有されていると言われており、この量は広島に投下された原爆に換算すると約百万発に相当するという試算もございます。このうち米ソの保有する戦略核弾頭は一万五千発以上とされておりまして、先生御指摘のように、もし核戦争が起きた場合には非常に大きな損害が出ることを憂えるものでございます。そこで私といたしましては、人類の英知をもって核戦争の発生を防止することを心から願うものでございます。そのためには、国連の場もございますし、また核を保有する二国間あるいは関係国間でこれ以上ふやさないという努力につきましても、一歩一歩積み重ねることによって核戦争防止のための人類こぞっての悲願を達成することに寄与するものではないか、わが国も国連の場等を通じて積極的に寄与してまいらなければいけない、さように考えている次第でございます。
#218
○源田実君 私は、これはいま外務大臣の申されましたように、その動機というか意思というものは非常に貴重だと思うんです。しかし、いままでの歴史が成果が上がってないんです。それで私はいまここに提案するんですが、戦争の原因というのは単に軍備の多寡ではない。そうではなくて、その国の持っておる世界観の相違、その世界観の衝突が戦争につながるので、世界観の調整をやらなければ人類が戦争から離縁することはできないのじゃないかと思うんです。今度やったらおしまいなんです。もう絶対にやってはいけない。そのためには、ある世界観を人に押しつける、非常手段によっても、それは戦争であろうがほかのことであろうが押しつけるということが最もいけない。少なくともわが日本は、核による惨害を第一番目、しかもただ一つ受けた国である。この問題は、やっぱり国策の衝突、世界観の衝突からくるのであって、こういう問題について、これは私は提案するんですが、日本は、やっぱり世界観の衝突、ちょうど東西の中間にもおる。そういうのが世界観の衝突に対して衝突を調整する、こういうような働きかけをしたらいかがかと、こう考えるんですが、これはひとつ外務大臣と総理にお伺いしたい。
#219
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 先生のおっしゃったのは、非常にこれは次元の高い話でございまして、私も日本が本当に、さっきお読みになりました平和主義ということを憲法の前文に書いてあるわけでございまして、これは第二次大戦の惨禍を経験した日本人が本当に選んだ、私はこれはとうとい一つの選択だと思っております。それで、第二次大戦の後で一つの世界の人類の産物として国連というものができたわけでございます。それで、国連の憲章にも先生がおっしゃるようなことが書いてあるわけでございまして、私はやっぱり国連というものを、いろんな不備な点はありますけれども国連というものを中心にして、そこで先生のおっしゃったような高い理想といいますか、そういうものを世界じゅうに実現していくという方法が私は一番現実、迂遠なようであるけれども一番正しい道じゃないかというふうに考えております。
#220
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま源田先生から、世界観の対立をなくすることが戦争を回避する、なくする根本である、こういう御意見を伺いました。軍事専門家であり戦略家である先生からこういうことを直接お聞きいたしまして、本当に私はその識見に敬意を表するものでございます。
 先般私はローマ法王と幸いにして会談をする機会を得ました。ローマ法王から世界平和に関するお考え、また核兵器の廃絶、人類の平和を希求する崇高なお話を伺ったのでありますが、全く相通ずるものがございます。私どもは日本国憲法の精神を外しまして、そういう方向で今後とも努力してまいりたい、こう思っております。
#221
○源田実君 総理のその御決意というか御意思のもとに、ひとつ積極的にこの日本が平和の維持に尽くすように、われわれは後をついて行きますから、ひとつ御努力をお願いします。
 ところで、実はこれは防衛庁に聞くつもりだったんですが、余りそうやると時町がないので私がちょっとばかり言いますが、いま核戦争をどうして阻止するかということは米ソに任したかっこうである、これじゃどうにもならないと思うんですよ。というのは、これはスウェーデンのSIPRIという世界的な研究機関がある。そこの研究によると、重爆一機で在来の化学兵器による攻撃をやる場合、この東京は四機でまいります、四機。標準水素爆弾一メガトン、これならば一発で大東京が完全にまいります。この爆弾が実は最も合理的に計算して米ソ合わして五万発ある、五万発ですよ。一発で大東京が完全にまいる。さらに、いま研究されておるいわゆるジェネチックエンジニアリング――遺伝子の組みかえ、これがつくるかもしれない、いままで手の出ないような生物、これを使われたら全日本がたった四機で壊滅します。これは全く想像に絶する惨害である。
 したがいまして、われわれも日本はたとえ軍備が大してなくても、この核戦争を防ぐためにこれは格段の努力をする必要はある。列国と手を携えて、この場合日本だけが特権階級的な立場に立つことはならない、こういうぐあいに私は考えるんですが、これはひとつ外務大臣と総理にお伺いしたいと思います。
#222
○国務大臣(伊東正義君) お答えしますが、いまの現状は核のバランスのようなかっこうで平和というようなことが保たれたようなかっこうになっておりますけれども、いま源田先生がおっしゃったようなことは、これは当然将来の問題として考えられるわけでございますから、私はやっぱり国際協調といいますか、国際的な努力といいますか、みんなが知恵を出し合って何とかそういう核戦争が起こらぬという努力をすることは本当に大切だと思うわけでございます。特に日本は被爆国でございますから、何も特権階級というわけじゃございませんが、それを主張するには最も適当な国の一つだと私は思うわけでございまして、いまのお話は十分心得て、平和外交といいますか、いまの核軍縮といいますか核の軍備管理といいますか、そういうものにはひとつ積極的に取り組んでまいりたいと思います。
#223
○国務大臣(鈴木善幸君) 源田先生が、現在は核兵器が人類を死滅に導く、しかし今後は科学技術の進歩によってもっと強力な、壊滅的な被害を与えるどういう兵器が出てくるかもわからぬ、こういうことを警告されました。私はそういうこともあり得る、こう思いますが、問題は、戦争によって人類が幸福になることはない、戦争こそわれわれは人類生存のためにこれをやめなければならない、やめさせるようにお互いに協力していかなければならない、これが根本だと、こう思っております。私はいろいろなその理想へ到達する道行きがあろうかと思いますが、日本はこういう平和国家でございますから、そういう点に常に絶えず努力をしていかなければならないものだと、こう思っています。
#224
○源田実君 戦争阻止のためにまず私はさしあたり重要なものは、いま世界が二つの陣営に分かれておるんです。私たちはその自由陣営に属する。ところがいま戦争を起こさせないためには何が一番重要であるかというと、自由陣営、われわれの立場で言えば、自由陣営のこの団結を、これに亀裂を生じてはならない、がっちりスクラムを組んでそうして平和の維持に努めなきやならない、こういうぐあいに考えるんです。そうしてこれは防衛ということに徹する、侵略は絶対にやらない、しかしながら、防衛のためには絶対大丈夫のようなそういう総合的な防衛力を持たなければいけない、こういうぐあいに考えるんです。
 すると、ここでちょっと当面の問題ですが、ペルシャ湾が非常な危機に入っておる。あの場合、いまアメリカと豪州が行っています。この間のサッチャーの演説によれば、サッチャーもこれはやらにゃいかぬと言っている。英国は日本ほどあの石油を使っていないんですよ。それがやろう、フランスを誘うと言っておるんです。この場合に、日本はいまこれに出す計画はないでしょう、出す兵力もないかもしれない。しかしながら、もしこの石油が来なければ日本はそれだけでまいるんです。もう戦うしかない、石油が来ないと、エネルギーがなくなって。通産省では三カ月あるそうです。三カ月たったら先はないんですからね。
 したがって私はこういうことをひとつ政府に提案して御所見を承りたい。あすこにほかの国は命を的にしてやっておる。まさかの場合その国の国民は死ぬんです。日本は金で済ます、こういうことは通用しないと思うんです。人命は地球よりも重いんです。金では済まない。そうすると、しかしあすこまで兵力を出すわけにいかないとなれば、少なくとも日本がここまでは日本で担当します、向こうまで手が出ないから。そうしてアメリカならアメリカ、自由諸国の兵力はそちらに回してくれ、ここは日本が担当する、日本の周辺。こういうような、これはあんまり詳しいことは申し上げません。これは専門的な問題に入りますから、われわれの入るべき筋合いのものじゃない。しかし政策的にそういう方向をとるべきだと考えておるんですが、これは外務大臣にひとつ。
#225
○国務大臣(伊東正義君) いま先生のおっしゃったことは、恐らくアメリカの財政再建というようなことから出ますと、みんな歳出は減らして軍備費だけ増加しているというのがいま現状でございますから、これはいろんな話が私が行けば出ると思うんです。ただ、日本はその場合に、いつも言っておりますように、いま憲法が問題になりましたように、憲法というのはもう個別自衛権ということでこれはもうはっきりしておるわけでございますから、それをもとにして専守防衛ということを考えますと、やれることとやれぬことというのはやっぱりはっきりするわけでございます。ですから、その場合に、日本として自分の国を守る、もっぱら守る、憲法上の制約のもとに守るということには一生懸命これは着実に努力をしなければならぬということは先生おっしゃったとおりでございますから、そういう範囲でひとつ外国ともあるいはアメリカとも話をするというときの日本の立場じゃないかというふうに私は考えております。
#226
○岩動道行君 関連。
#227
○委員長(木村睦男君) 岩動道行君の関連質疑を許します。岩動君。
#228
○岩動道行君 総理、閣僚、これ(実物を示す)これ何だかおわかりでしょうか。田中文部大臣と私、イラン革命の直前に中東を訪問したことがありますが、文部大臣、これ。
#229
○国務大臣(田中龍夫君) 私も専門ではございませんからわかりませんが、岩動先生の持っていらっしゃるのはPLOの旗だと存じますが。
#230
○岩動道行君 さすが鈴木内閣の閣僚としてごりっぱだと思います。これを一日見てPLOの旗とすぐおわかりになる方は私はそう多くないと思うのでございますが、さすがでございます。敬意を表します。
 ところで、この旗の意味というものがあるんでございます。この赤いのはパレスチナ人の犠牲によって出てきた血であるという犠牲を意味するんです。それから、この黒、これはパレスチナ人のアラブの統一を阻害する力に対して、暴力に対して力をもって対抗せざるを得ないということを意味しているそうであります。それからこちらの緑ですが、これは住むに家なく耕すに土地のなくなったパレスチナ人の緑の土地を返してくれという象徴だそうであります。そして真ん中の白、これが統一をこいねがう願望の色である。これがパレスチナの国旗であります、彼らは国旗と申しております。ところで、東京にありますPLO事務所は満四年を迎えてこの旗を東京のPLO事務所に掲揚いたしました。外務省はこの旗の掲揚についてこれをどう評価されるのか、この機会に伺っておきたいと思います。
#231
○国務大臣(伊東正義君) PLOというのは、これは岩動さんも御承知のとおり、国家ではないわけなんですよね。それで国旗というのはやっぱり国家を代表して掲げられるものでございますから、私はそれが掲げられたということはPLOの立場が変わったということではない。またそれは国旗だというふうには私たちは見ていないということでございます。
#232
○岩動道行君 まさにこれは国旗とは私どもも認めるわけにはいかないと思いますが、民族の願いを込めた民族の旗である、これを東京の事務所に掲げたということは、やはりそれを許すだけの一つの環境が日本の中にもできてきたことだと私は評価をいたしたいと思います。そこで、源田委員からも質問がありましたが、中東の和平というものは日本の経済、安全保障、そして世界の安全にもつながる重大な地域でございます。
 そこで、私は、日本の中東和平に関する基本的な認識と姿勢、特にECとの関係あるいはレーガン政権の中東政策に対する問題、それから先般、二月に非同盟外相会議が開かれて、エルサレムの首都宣言をイスラエルがやったことはけしからぬということで、国連から除外をしようというような趣旨の決議がなされたのでありますが、これに対する政府の所見、そしてPLOのアラファト議長が日本にやがてやってくるような情勢になっております。これは超党派の議員連盟で昨年私どもが参った結果、その結論が出てくると思いますが、これに対して総理並びに外務大臣がお会いになるという話をしておられますが、その接遇の仕方あるいは会談の内容、これらを含めて、さらにまたアメリカにおいでになる際、中東政策に対するきちんとした日本の政策というものを持っておいでになるようにお願いをしたいのでありまして、これらの点についての政府の御所見をこの機会に伺っておきたいと思います。
#233
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 中東和平につきましては、日本の基本的な考え方は、あそこにやっぱり永続的な公正な和平が実現するということが大切だというふうに思っておるわけでございます。それで日本としましては、やはりその一番基本になることは、キャンプデービッドの合意はできましたが、それをさらに進めてパレスチナ人の自決権といいますか、これには独立の国家をつくるという権限まで入っていていいと思うんですが、そういうパレスチナ人の自決権というものを認める。またパレスチナ人の有力な代表でありますPLOというものの存在もはっきり認めまして、これがPLOを含めたパレスチナ側がまたイスラエルの国家としての生存権も承認する。片やイスラエルもPLOというものを認めて、その和平の交渉の一つの代表として認めていくという、両方でそういうことを経てやることが、あの中東の地域に永続的な公正な和平がくるのではなかろうかというのが日本の基本的な考え方でございまして、これは私が昨年九月国連総会に行ったときもそういうことを演説をしたのでございます。で、ECとは大体日本と非常に中東和平についての考え方は似ております。ECで、ベニス・サミットで昨年中東和平の宣言があったわけでございますが、非常に日本と考え方が似ておりますが、若干まだ少しのニュアンスの違いがありますのは、パレスチナ人の自決権は認める。その場合に国家をつくるかつくらぬかということには言及していないということが一つと、PLOを和平交渉のテーブルに参加させるかどうかということについて関与という言葉を使っている、参加じゃなくてですね。そこが日本と若干ニュアンスが違うところでございますが、日本とECは中東問題につきまして非常に考え方が似ております。アメリカはこのパレスチナ人の自決権ということをまだ認めておらぬわけでございまして、ここにアメリカと日本、ECの間に大きな違いがあるということでございます。アメリカに行きましても、この中東問題については、ECも、非常に熱心でございますし、日本としましてもこの考え方は去年の九月も私は前の政権に伝えたのでございますが、今度の政権になりましても日本の考え方はこうだと、やはり永続的、公正な和平があそこに実現しないと世界の平和にとって非常に支障を来すということを私は日本の意見として言うつもりでございます。
 それから、いま御質問の日本とパレスチナの友好議員連盟の方々がおいでになって、アラファト議長を呼ばれるということを聞いております。政府としては、いつ来られるか、その辺のところはまだ伺っておりませんのでわかりませんが、もしも日本に来られましたら、私はお会いをするつもりでございますし、総理もこの前の衆議院の予算委員会で、来られたら会って話すということを言っておられますから、総理も私もお会いするつもりでございます。
 そのときにどういう話をするかということは何も決めておらぬのでございますが、私はPLOの議長に対して、もしお会いする場合には、やはりイスラエルの生存権も認めなければ中東和平の公正、永続的な和平は来ないじゃないか、あるいは力ということでなく、平和裏に、みんなイスラエルとも対話、交渉といいますか、そういうことを平和裏にやるということが大切じゃないかということを私は話すつもりでございますし、昨年はイスラエルの外相に私はニューヨークで会いまして、やはりPLOというものを認めなければいかぬじゃないか、そして平和裏に、PLOも入れてパレスチナ人と話すということが大切じゃないかということを私はイスラエルの外相に言ったのでございますが、PLOには、いま言ったようなイスラエルの生存権、平和裏に対話をするということが必要だろうという意見を私は言おうと思っておるわけでございます。
 それから、ニューデリーで、非同盟の外相会議でイスラエルを国際機関への委任状を認めない、国際会議等に入れないというような決議をしたということでございますが、私はこれは、イスラエルが確かに東エルサレムの併合をしたとか、あそこは本当にキリスト教にとってもイスラムにとってもユダヤにとっても聖地でございますので、それを併合して永久な首都化するというようなことをやったことは、これは私は、本当にいままでの国際的な話し合い、国連の決議にも反することでございますから、それはそういうことは認められぬということをあのとき日本政府としても発表意見を出したわけでございます。ですから、イスラエルがそういうことをやったということは、これは私はおかしなことだと思いますけれども、いろんな会議から締め出してしまうということは、これは話し合いの一方の相手方ですから、その相手方のイスラエルを締め出してしまうということは、かえって私は、これから国際の場で相手のイスラエル、片っ方はパレスチナ、アラブということが、話し合いをするときに相手がいないということになりますと、かえってまずいじゃないかと思いますので、あの決議は私は賛成じゃないというふうに考えております。
#234
○国務大臣(鈴木善幸君) 中東の真の和平を実現いたしますために、パレスチナ人の問題を抜きにしてはその実現は困難であると、こにような政府の認識、考え方は、いま外務大臣から申し上げたとおりでございます。私は、そういう意味合いで、PLOが国家ないし政府とは日本政府は見てはおりませんけれども、やはり中東の和平の重要な当事者として、その主張、考え方、要求というものは十分会議に反映をされなければならないものだと、こう思っております。
 したがって、アラファト議長が日本にお見えになった場合におきましては、私も議長と中東和平の実現について話し合いをするということは有益であろうと、このように考えております。
#235
○岩動道行君 政府の基本姿勢を私ども支持いたしますが、とにかくPLOをソ連寄りに余り走らせないような、利口な対応をぜひお願いをしておきたいと思います。これで私終わります。
#236
○源田実君 戦争を阻止するための、まず先ほどのように世界観の調整ということが重要であることは当然でありますが、さしあたりそれがなかなかできない場合、この場合に私は、これは総理が言っておられるんですが、防衛力の質を上げるということを言っておられますが、私はこの点ははなはだ同意します。はなはだ同意ということはおかしいけれども、(笑声)きわめて同意であります。
 その質という中には人間と、それから持つ機材と、この二つあります。その機材の件について、実は日本の科学技術の水準が常に相手より相当上にある。これをずっと維持しておくときには、相手は情報をとる限りはしかけてくる公算は非常に少ない。昔はそうじやなかった。いまは科学技術の進歩で、もうまさにICBMが無効になろうとしておるんですよ、いま。まあ時間もないから余り言えませんがね。ICBMがやっぱり役に立たなくなりかけておる。日本は防御の立場においてそういうことが可能であると思う。したがいまして、科学技術というのはこの日本の水準をうんと上げておくことが非常に必要である。そのために、どのくらいの能力が、あるいはこれを持っていくだけのたとえば予算なら予算を十分つける、政府が推進すれば日本の科学技術は進んでいくのか、どんどん。抜くだけの力があるのかどうか、科学技術庁長官ひとつ。
#237
○国務大臣(中川一郎君) わが国の科学技術は、戦争目的にはこれをしないという基本原則を堅持しつつ、やはり二十一世紀に向けて科学技術の振興なくして日本の平和も繁栄もない、こういうことから科学技術立国を目指して、ことしはかなり予算の面においても、あるいは研究調整費といったようなもの、あるいは関係閣僚連絡会ができる等、あるいはわが党においても大事な柱の一つとして取り上げる等、かなり前向きになってきたわけでございます。
 世界が平和で行くためには、やはりそれなりのわれわれも努力をしなきゃならぬ、科学技術もやはり総合的な安全保障の一環であると、こういう姿勢で総理も非常に御熱心でございまして、これからは思い切りひとつこの科学技術の振興を図って、世界の平和と繁栄にお役に立ちたいと、こう思っております。
#238
○源田実君 その科学技術の根本をなすものは基礎研究ですが、ひとつ文部大臣に、いま一番重要だと考えられるレーザーとか核融合、この基礎研究が一体どういう状況なのかちょっと御紹介をお願いしたと思うのです。
#239
○国務大臣(田中龍夫君) 先生の言われますように、科学技術の問題は特に客観的な情勢のみならず、資源のない日本国といたしましては、むしろ国民の命というものはこれにかかっておると申してもよろしいほどでございます。
 鈴木内閣になりまして、特にその点につきましては非常な熱意を持って推進いたしておりますが、まず御案内のとおりに、文部省の持っておりますのは大学におきまする基礎研究、それからもう一つは科学技術者の後継者の養成、こういう重大な問題を抱えておる次第でございます。ただいま御指摘の核融合あるいはレーザー光線、その他の問題でございますが、本当の基礎研究といたしましては名古屋大学のプラズマの研究所あるいは京都大学のヘリオトロン核融合の研究センターあるいは大阪大学のレーザー核融合センター等を中心といたしまして、すでに世界の注目するところとなっておる程度に進んでおります。
 また、物質とエネルギーの究極の解明を図ります加速器科学につきましては、筑波の高エネルギー物理学研究所におきまして、これまた非常な進歩を遂げておりまするのみならず、宇宙科学研究の推進につきましては、新たに国立大学の共同利用機関といたしまして発足いたしました宇宙科学研究所によります科学衛星の打ち上げ、さらにまた、その他バイオマス、組みかえDNAの研究、あるいは特にプラズマの問題になりますと材質の関係が非常に重大でございますので、こういうふうな基礎的な研究に専念いたしておる次第でございます。
#240
○源田実君 この基礎的研究が、私が予想しておったより大分進んでおるようでございまして、非常に心強い次第で、極力これを進めていただきたい。
 次には、人間の問題でございますが、人間の問題については私は二つのことを提案したいんです。
 これは文部大臣にはひとつ人間は適性のない者を無理やりに大学に入れて、それでまあ会もつぎ込んで、とにかくどれだけ積むのか知らぬが、やったってだめなんですよ、あれは。私なんか入れられても、大学へ入っても落第ばかりしておっただろうと思う。幸いにして飛行機に乗せてくれたからよかったんです。(笑声)そうでなかったらだめなんでね、もう。私は自分で感ずる。適性のあるところへ人間を持っていくべきである、学歴偏重はいかぬと考えるんですが、その適性発見と、学歴偏重を何とか排除することについて、文部大臣の所見をひとつお願いしたいんです。
#241
○国務大臣(田中龍夫君) 適性検査の問題、進路決定の問題、これはまあ非常に重大な問題でございまして、特に高等学校におきます選択科目の大幅な拡充でありますとか、習熟度別の学級編制の導入とか、一人一人の能力、適性に応じた教育の問題とか、この進路指導の問題につきましては、特に先生が御指摘の内容と存じますのは、適性検査というふうな資質の問題に適した方向を決定する、これは私は最も重大な教育上の基礎的な問題である、かように存じております。
#242
○源田実君 この点、ひとつ非常に重要な問題でございますので、人間ができ上がらなきゃ何にもできないんです。ところがその人間がその適性を伸ばすため、また自分の能力を発揮するためには師匠の教えを素直に受け入れるような素直な人間、仲間意識のある人間ができなきゃいけない。ところが、いま日本の社会において果たして仲間意識をつくるような幼児教育が行われておるのかどうか、これ、ひとつこの問題。動物は全部幼児教育は最新が自分でやるんです。日本じゃどうもその点が少し一あれは赤ん坊の専有物なんですよ。それを横流ししたり、横から出ていって盗んだりするのがおる。これははなはだ間違いである。母親のあのやわらかい体と体温とやさしい愛情と言葉と、これが赤ん坊の性格を、いまその中に書いてありますが、赤ん坊が仲間に飛び込む、人間としての仲間意識を持つ根本である、それは生まれてから六週間から六カ月の間、これは根本問題で、この間に一生を通ずる性格はでき上がるんだということを生物学者は言っておりますが、現在、日本の社会が果たしてそういう方向に動いておるのかどうか、まるでコンベヤーで子供にずっとえさだけやって、あれは機械に油差すと同じですよ、コンベヤーでやって、母親がつかない。母親を解放するようなかっこうに、子供のために、これが非常に重要なる研究課題であると思うんですが、いまの社会はどうなっておるのかどうか、ひとつ厚生大臣、この点をお願いしたい。
#243
○国務大臣(園田直君) 子供の教育について近ごろとかく学校教育が問題になっておるところでありますが、いまおっしゃるとおり、人間の人柄というか、人間性が育つのは、学校へ行ってからではなくて、生まれてから数カ月、さらにそれから学校へ行くまでの間、これが一番大事であると考えます。これについてはいまおっしゃいましたとおりに、いろいろな学者の意見を聞いても、現実を見ても、母親となるべく一緒におって、そして笑ったり怒ったり、しかられたり甘えたりつねられたり、そういうスキンシップによって初めて人間というものが育つのであって、この根源が将来の学校教育やあるいは成人した後の社会教育に及ぶわけであります。
 なおまたもう一つは、核家族ということで昔と家庭構造が違っておりますから、その母親自体が子供のかわいがり方とかしつけ方を余り御存じじゃない方が非常に多いわけであります。そこで、私が所管しておりまする幼児、乳児、それから学校へ行ってからもうちへ帰ると母親がいない、父親がいないという家庭が多いわけでありますから、学童教育、こういうものがあるわけでありますが、一番大事なことは、母親が子供と一緒におれるような社会環境をつくることが一番大事であって、そのためには男女同権といったてまえから、母親の子供とおってもいいようないわゆる一番大事なことは育児休暇というか、そういう幼児を育てる間の休暇などという環境づくりが大事であって、その次にくるのが、いま女の方が外へ働きに行ってなかなか一緒におれない、その欠陥を補うために保育所だとかあるいは乳児託児所だとか、こういうものがあるので、乳児託児所が完備をして母親が構わぬでもいいような社会をつくるということは決して自然な姿ではない、こう思っております。
#244
○源田実君 ただいまの厚生大臣のお話を聞いて、非常に私は希望を持つわけなんですが、ひとつ人間の一番大事なのは母親である、その赤ん坊のために、この母親を解放してやる、このために必要なことは、それこそ国がいろいろめんどうを見るというような施策を今後進めていただきたい、これをまずお願いいたします。
 それでついでにちょっと私は、私が体験したことで申し上げたいんですが、いま閣僚にお配りした印刷物には、これはサルの例がある。いまの日本じゃインポテントが大分ふえておると思うんですよ。これは厚生省でいただいた資料を見るとどうも離婚率が非常に近ごろ多いんだと、どうもそうじゃないかと思うんで、まあ一々当たるわけにいかない。二、三の例は知っております。これは母親の愛情を受けてない、母親の愛情を受けてないのが独裁者になりやすいんですよ。これがあらゆる残忍なことをやる。独裁者は必要ないと思うんです。仲よく仲間意識が豊富な人間をつくればいいんです。こういう方向でひとつ今後の政治を進めていただきたい、これは日本の国を守るために必要なんです。そういう人間が必要なんです。私の例だけちょっと申し上げますと、私はいろいろな動物が好きだから、犬も飼っておるし、タカも飼っておる、それからスズメも飼っておる、いろいろな小鳥も飼っておる、ネコも飼っておる、拾ってきて。ところがその中で、どういうことが起きるかというと、小鳥に人間がえさをやって育てて、その小鳥が大きくなって卵を産んで、卵からひながかえっても人間がえさをやった小鳥は自分で育てることを知りません。これは恐しいことなんです。これにあるサルと同じ、インポテント、大体インポテントにサルは全部なる。この間テレビでもやっておりました。非常に重要なことをいまの日本の社会――コンベアに乗せて赤ん坊を育てている。大変なことである。母親を第一に優先的に所有するのは赤ん坊である。次がまあだれかであって、赤ん坊が第一である。このことを申し上げて私の御質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
#245
○委員長(木村睦男君) 以上で源田君の総括質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#246
○委員長(木村睦男君) 次に、寺田熊雄君の総括質疑を行います。
   〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕
#247
○理事(古賀雷四郎君) 寺田熊雄君。
#248
○寺田熊雄君 最初に財政投融資の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 これは前通常国会におきまして、私が竹下大蔵大臣にお尋ねをしたところであります。御承知のように、戦後財投の使い残しが非常に多額に上っております点につきまして大変批判が強かったわけであります。
 五十四年度の繰り越し不用は五十二年度に比べまして縮小しております。また、五十六年度の計画が概して圧縮した計画となっていることもございますので、この点は評価いたしますけれども、竹下大蔵大臣は、五十二年度までの財投の繰り越し不用などが非常に多額に上っておるという点で、大いに反省をしておるということをおっしゃっておられました。行政の一体性、継続性の見地から、渡辺大蔵大臣、この竹下大蔵大臣が言われた反省ですね、これをどういうふうに五十六年度の財投計画で生かしていただいたか、ちょっと御説明を願いたいと思います。
#249
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も同感でございますから、五十六年度の財投計画を組むに当たりましては、いままでいろいろ国会において御議論のあった分野、それから事業、そういうようなものについては過去の例を見て、かなり思い切ってカットをするというようなことをやったわけでございます。
#250
○寺田熊雄君 それで五十五年度の財投の繰り越し不用についてはどんなふうなお見通しですか。
#251
○国務大臣(渡辺美智雄君) まだはっきりしたことはもちろんわからないわけでございますが、大体五十五年度の不用額は二千億円ぐらいになるんじゃないかと。そのほかに、繰り越しの大部分は地方公共団体に交付が一応予定されておるものでありまして、それが約三千三百団体程度に上ると。これらの地方団体の借り入れ状況によって繰り越しの数字が大きく左右されます。現時点で見通しを立てることは、非常に繰り越しの見通しはむずかしいんですけれども、おおよそ前年の繰越額、地方団体に回る分ですね、その分は大体前年どおりぐらいじゃないかと。前年は約二兆九千億あったんですがね、二兆九千億円、大体それぐらいのものは毎年地方団体から申し込みが来るわけです。このことは、いままで高金利というような問題等もあって、結局短期の安い金利を借りてできるだけつないでおくと、そしていよいよという最後の土壇場になって財投の金を借りるという傾向に毎年あるわけでございます。
#252
○寺田熊雄君 まだお聞きしたいことがありますが、時間がありませんので一般質問に譲りまして、次は総理にお尋ねをいたしますが、これはきのうの夕刊ですか、ポリャンスキー・ソ連大使が首相に会談を申し入れて、首相もお会いになるというような報道がございました。
 いままで大使は非公式の会談を申し入れたけれども、外務省が非公式の会談では会わないというような固い態度をとっておったようですが、ソ連は隣国であります。総理もいま源田委員の御質問に対して平和を守ることに徹するという抱負をお述べになりましたね。ですから、これは余り冷ややかな固い態度をとるべきではないので、隣国としてやはり平和と友好を保っていく必要があります。まあマンスフィールド大使のようにはいかぬでしょうけれども、これはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#253
○国務大臣(鈴木善幸君) 去る九日と聞いておりますが、ソ連大使館から外務省を通じまして大使が私に会いたいと、まあこういうお話があったようでございます。鈴木内閣が誕生いたしましてから、まだ伊東外務大臣も大使にお会いしておりません。最初の機会でございますので、外務大臣がまずお会いをして、そしていろいろお話し合いをしてみると。しかる後に、私がいつどういう形でお会いしたらいいかということを、その上で相談をすることにいたしております。
#254
○寺田熊雄君 まあ領土問題がありますので、かなりそれが影響しているとは思いますけれども、固い冷ややかな態度を持続すればそれで領土問題が解決するというものでないことは、これはもう明らかであります。
 そうしますと、いつどういうふうにお会いするかということは未定だけれども、お会いになってお話してみる、話し合ってみるというお気持ちには変わりないわけですね。
#255
○国務大臣(鈴木善幸君) 私はいつも国会で申し上げておりますように、ソ連はわが国の重要な隣国であり、日ソの友好関係を発展をさせるということは、両国の相互の利益になるだけでなしにアジアの平和と安定、ひいては世界の平和にも貢献をするというように私ども重視をいたしておるわけでございます。
 ただ、この関係を今後一層発展をしてまいりますためには、日ソ両国の相互の努力というものが私は必要だと、こう考えておりまして、わが方だけが努力をいたしましても相手方がそうでない場合にはなかなか実を結ばないと、こういうことに相なるわけでございます。私はそういう意味で、日ソ関係をよりよくしていくということにつきましては、いま御心配のように冷ややかな態度をとっているものではございません。わが自由民主党におきましても、昨日は党三役がポリャンスキー大使にお会いをされましたし、今回また外交ルートを通じて私に会いたいというお話もございますので、いい機会でございますのでまず外務大臣が会っていただく。私もいずれ適当な機会を見ましてお会いする機会を得たいと、こう思っております。
#256
○寺田熊雄君 次は、防衛問題についてお尋ねをいたしたいと思うんですが、国際情勢が非常に緊迫してまいりました。デタントが遠ざかるという非常に心配な情勢がございますので、私どもの憂いは、日本が米ソ間の紛争に巻き込まれはしないかということなのであります。
 まず、中期業務見積もりからお尋ねをしてみたいのですけれども、これは防衛庁限りのものという理由で国防会議にも閣議にも諮られなかったという政府の御答弁がありました。五十五年三月に大来さんが訪米したときに、ブラウン前国防長官――アメリカの国防長官からその早期達成を求められた。アメリカはどうして知ったのかという点については、国会の論議を見ますと、山下防衛庁長官、これが五十四年七月の訪米時にブラウン長官に話をしたんだという説明になっております。しかし、もっと前からこれはアメリカと日本の制服との間に話があったのじゃないだろうかという疑いが私どもにあるわけであります。
 なぜ私がこんなことを申しますかと言いますと、一九八一財政年度のアメリカの国防報告、まあブラウン報告を見ますと、御承知のように、日本が重要な防衛力の質的改善を図っている、今後数年間に主要装備に百四十億ドルを費やし、P3C四十五、F15を百二十三機、E2C八機を整備しようとしている、というような記述があるのであります。この百四十億ドルというのは、八〇年の一月の為替レートでは三兆三千四百三十二億円になりまして、防衛庁の言う二兆七、八千億と合わないんであります。また、航空機のE2Cの八機というのは合うけれども、F15に至っては七十七機に対して百二十二機というのは非常に大きな違いがある、ブラウン報告がでたらめなことを言って当て推量で国会に報告をしたというふうにも考えられないことで、やはりこれは制服とアメリカ側との間に最初から百四十億ドルという計画があったんじゃないだろうか。それが為替レートでドルが二百円当時であるのでこれが二兆七、八千億円というふうになったんだけれども、為替レートの変動でこれが修正されたんじゃないかという疑いがあるのですね。防衛庁、いかがでしょうか。
#257
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 中期業務見積もりは、五十四年七月に作成されたものであります。米側には同年八月には日本の国内で公表した範囲内で説明をいたしているのであります。したがいまして、五十五年一月に公表されました米国防報告にその数字が引用されたとしても別段不思議ではないと考えているわけでございます。
 なお、御指摘の数字でございますが、中期業務見積もりの正面装備費に要する経費は、五十四年度価格でおおむね二兆七千億円から二兆八千億円ということを公表いたしております。これを五十四年度予算の為替レート、一ドル百九十五円で換算すれば百八十億ドルから百四十四億ドル程度になるわけでございます。
 また、御指摘のありました航空機の数の相違の点につきましては、具体的数字でございますので、政府委員から答弁をさせていただきます。
#258
○政府委員(塩田章君) 中期業務見積もりで、F15の場合七十七機となっておるのが、アメリカの八一年度国防報告で百二十三機になっている食い違いは何かというお尋ねでございますが、御承知のように、F15につきましては五十二年末の国防会議の決定で全体で百機整備する。それが二十三機、五十四年度の予算に入りましたものですから、中期業務見積もりとしては残りの七十七機ということで中期業務見積もりの中には七十七機というふうに入っておりますが、全体では百機ということでございます。アメリカの国防報告で百二十三機となっているのは私ども承知しておりますが、それがどういう理由で百二十三機になったのかは、ちょっと私ども理由はわかりかねますが、何らかの間違いではないかというふうに考えられます。といいますのは、五十二年の十二月の、いま申し上げましたF15百機を整備するという国防会議の決定の段階まで防衛庁としては百二十三機を希望しておった、これは事実でございます。それは国防会議で百機ということに決まりまして、自後百機ということで現在整備を進めておりますので、その辺でアメリカ側が何か間違えられた、勘違いをしたんではないかと思われますが、数字的にいいますと、そういう百二十三機という経緯はございます。
   〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕
#259
○寺田熊雄君 大村長官が五十四年七月に業務見積もりが発表されているとおっしゃっているけれども、防衛庁ではあれを五十三年中業といいまして五十二年に策定されたということを隠していないんですよ。ですから、五十四年の七月に発表になったものは五十四年七月に策定された道理はないんで、やっぱりその前年に策定されたと見ざるを得ません。
 それで、しかも制服組との間ではレギュラーミーティングが行われているというんですが、そうでしょう、アメリカとの間に。その間に、いま勘違いかどうかというこのF15の百二十二と百機の問題がありましたけれども、当然制服組のそういう願望がアメリカ側に伝わって、それがアメリカ側の計画の中に入ったというふうに見た方がいいように思いますが、どうでしょう。
#260
○国務大臣(大村襄治君) 現在の中期業務見積もりは、五三中業と言われております。これは基礎になる訓令で、始まる年の二年前につくるというふうに定められておる。ところが実際の作業がおくれまして五十四年に入って決定をした、五十四年の七月になって決定したと、これは事実でございます。そしてその際に、あらましについて防衛庁は公表をしているわけでございます、国会にも御説明をしている。その後渡米した山下元長官が、その公表した範囲内で先方に話したと、こういうふうに私は承知しているわけでございます。
#261
○寺田熊雄君 それからいまの為替レートの問題も、百四十億ドルはドル二百円として二兆八千億になるんですよ。それで、五十三年当時にはむしろ二百円よりも円高だったんですね、百七十円台、百八十円台になっておった。そうすると当然にそれは二兆七千億というような数字も出てくるので、やはり私はこれは疑惑が非常に残ると思いますよ。これはシビリアンコントロールとも関係するけれども、余りこの問題で長くなってもいけないので、これは後日にまた譲ることにしましょう。大村長官の答弁ではちょっと釈然としませんね。
 それから、最近のアメリカの対日要求の第一ですね、これはやはり防衛費の増額が第一のようですね。八二財政年度のブラウン報告でも、日本は、自衛隊の質及び継戦能力を向上させるための長期の顕著な計画を開始した。われわれは、この努力を称賛し、さらに日本が、この計画の達成を一年間早めるように勧奨したというようにありますが、こういうような勧奨というのは、どういう機会にだれからだれになされたものでしょう。
#262
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 わが国は、みずからの適切な規模の防衛力とともに米国との安全保障体制をわが国の平和と安全の基礎としておりまして、日米安保体制の信頼性の維持及びその円滑な運用態勢の整備を図ることがきわめて重要でありますことは申すまでもないところでございます。このため米国との間におきましては、総理、外務大臣、防衛庁長官と各種のレベル、いういろな機会に意思の疎通、相互理解を図ってきたところでございます。御指摘の件につきましては、八二会計年度米国防報告において、日本に対してみずからの防衛努力を着実かつ顕著に増大するよう奨励している旨などの記述があるのは事実でありますが、これらについては、米側がいろいろな機会に日本側に話してきたことを踏まえて記述したものと思われます。
#263
○寺田熊雄君 そうすると、これは日米安全保障協議委員会の席上でアメリカから日本側の委員に要望があったと、そういう勧奨があったと聞いてよろしいでしょうか。
#264
○国務大臣(伊東正義君) 私が体験したことでお答え申し上げますと、去年、当時の大来外務大臣が、あれは二月か三月ごろでしたか、アメリカへ参りましたときに、ブラウン長官と会ったときに、初めて外務大臣には中業の一年繰り上げという話が出たということでございます。それで大来外務大臣は、帰って防衛庁長官に報告するからということで帰ってまいりました。
 それから、五月に大平総理が向こうへ行ってカーターさんに会いましたときに、カーターさんは、中業という言葉を使わないで、政府部内にある計画が早期に達成されればアジアの平和にとって貢献するという意味の期待表明があったのでございまして、大平総理は、同盟国の一員として防衛の問題については真剣に検討するというようなことでございました。
 それから、私が九月にブラウン長官にアメリカで会いましたときには、これは一年中業というものを早めて達成してもらうことを期待する、それから着実、顕著なという言葉が出ました。私はこれはもう防衛の問題というのは自主的に考えることであり、国民のコンセンサス、財政事情もあるというので、そのときに意見の交換をしたことがございます。それで、外務省関係あるいは大平総理に対して、そういう名前は出ないで、抽象的に話が出たということは確かでございますが、これは期待表明と私は感じておりまして、向こうはそういうふうに期待する、希望するということを述べたということでございます。
#265
○寺田熊雄君 次に、日米防衛協力の指針についてですが、これも八二財政年度のアメリカの国防報告によりますと、注目すべき進歩がなされて、「昨年、日本の艦艇、航空機は、米、加、家およびニュージーランド軍との合同海上演習において高い能力を示した。共同防衛計画の作成が、正式に合意された「防衛協力の指針」の下になされつつある。」という記載がありますね。決して防衛庁が言っているように、これはスタディじゃない、研究じゃない、これは共同防衛計画の作成がなされつつおると。あのガイドラインなるものは、やはり作戦計画なんでしょう。決して研究じゃないと思うんですが、どうでしょう。
#266
○国務大臣(大村襄治君) ガイドラインに基づく研究でございますが、しばしば申し上げておりますように、作戦計画に関する研究がかなり進んでおりまして、まとまりかけておるわけでございます。そのほかの事項、数項目ございます、調整機関の問題でありますとかあるいは補給等の事項につきましては、なお研究の途上でございまして、まだまとまっておらないのでございます。そしてこれはあくまで研究でございますから、そしてまたガイドラインでも明記されておりますように、憲法の枠内、非核三原則のあれという制約もあるわけでございます。またその研究の成果は両国政府を拘束するものでないという縛りもあるわけでございますので、研究が出ましても、それを踏まえてどういう計画を策定するかは、それぞれの政府のこれからの問題であるという状況でございます。
 そこで、いま御指摘のありました演習の問題でございますが、これは昨年ハワイで行われましたリムパックのことではないかと思うわけでございますが、これは防衛庁といたしましては、あくまで教育訓練計画に従って、先方から参加を求めましたので、教育訓練を実施するということで参加をしたものでございます。ガイドラインに基づく研究とは直接関係のない問題である、研究があってもなくても必要な教育訓練は必要に応じて参加すると、まあこういうことで実施をしているわけでございます。
#267
○寺田熊雄君 これは日韓の金大中事件の問題でもそうだったんですが、日本の説明と韓国の説明とが非常に食い違っていましたね。それと同じように、アメリカのこの国防総省が国会に対して出した文書、その中に研究とはないんですよ。これは共同防衛計画の作成と。だから、先方の理解とあなた方が日本の国会で御説明になるのとでは違うんですよね。その間の食い違いというのは、これは軽々に見過ごすわけにはいかないでしょう。これはどういうふうに理解したらいいんでしょうか。これは外務大臣、総理大臣にお伺いしたいと思いますが。
#268
○国務大臣(伊東正義君) 外務省は向こうの国務省といろんな話し合いをやっておるわけでございまして、向こうの有権的な解釈としては、私ども国務省と話してやっているということでございますので、国務省との話し合いをしていることは、ここで報告申し上げているとおりでございます。
#269
○国務大臣(鈴木善幸君) 御承知のように、日米安保条約関係の運用、解釈等につきましては、日本では外務当局がこれに当たっておるわけでございまして、ただいま外務大臣が御報告申し上げたとおりでございます。
#270
○寺田熊雄君 これは外務大臣の御説明でもちょっと納得しがたいんですがね。つまり、どういうわけですか。さっきも中業のF15の機数の違いというものはアメリカの方の勘違いだという防衛庁の説明ですね。今度は、ガイドラインによる協議というのは共同防衛計画の作成だとアメリカの方で公権的な文書で言っているわけでしょう。あなた方はスタディーだと言う、研究だと言う。どうして日米との間にそんな非常に国家的な問題で食い違いができるんでしょう。
#271
○政府委員(塩田章君) 日米ガイドラインの中に、いまの御指摘の点は「このため、(1)自衛隊及び米軍は、日本防衛のための整合のとれた作戦を円滑かつ効果的に共同して実施するため、共同作戦計画についての研究を行う。」と、こうなっております。
#272
○寺田熊雄君 それじゃ結局、アメリカ国防総省の報告が舌足らずだという箱論になるんですか。そう理解していいですか。あなた方はそうおっしゃる。
#273
○国務大臣(大村襄治君) なお文脈をよく検討してみたいと思いますけれども、私が先ほど申し上げましたような線で御理解願いたいと思うわけでございます。
#274
○政府委員(岡崎久彦君) 確かに、御指摘のとおり、米国防報告にはコンバインド・ディフェンス・プランニングと書いてございます。ただ、このプランニングというのは広い意味でございまして、これはもちろん研究も含む広い意味でございまして、日米間で合意いたしましたのは明らかに研究でございますので、これは研究を指しているということと存じます。
#275
○寺田熊雄君 これは一般的な権威のある翻訳でもはっきりと「計画」と訳されていますよ。研究であるというような理解はとうていできません、これは。これはちょっと外務大臣、それでよろしいんでしょうかな。
#276
○政府委員(淺尾新一郎君) ただいま防衛庁の岡崎参事官から御答弁したとおりでございまして、ここに書いてございますようにコンバインド・ディフェンス・プランニングということでございまして、あくまでも共同防衛作戦のための研究という、プランということでございます。
#277
○寺田熊雄君 これはまだ納得できませんが、私の方もさらによく検討をしてまた御質問することにします。
 次に、同じようなアメリカの国防報告で、米国民は同盟諸国とのより公平な分業を必ず要求するであろう、アメリカは共通の防衛の負担を単独で担うことはできない、一九八〇年代を展望するとき、必要な国防支出に対する国民の支持を得ていくためには、その他の同盟国及び友好国に対して公正な分担を担うよう従来にも増して説得し、納得を得ねばならないと確信している、とありますね。したがって、こういう説得はこれも今後続くと思いますが、これはレーガン大統領との会談でも私は同じだと思うのですね。いずれまた総理がお会いになるでしょうが。これはワインバーガー国防長官の三月四日のアメリカ国会での証言、それから三月九日のマンスフィールド大使の記者会見にもやはりうたわれておるようですが、こういう共同防衛の公平な分担ということから、最近、共同防衛の役割り分担ということが出てまいりましたね。この役割り分担というのは、どうしてもやはり有事の際の三海峡の封鎖、それからシーレーンの確保という、同本の自衛隊の手によるこの二つの作業にいかざるを得ないというふうに思うんですが、この点はどうでしょう。
#278
○国務大臣(伊東正義君) お答えしますが、レーガン政権になりましてからまだ向こうの責任者と折衝しているわけじゃございませんので、いまここでアメリカ政府の安全保障なり国防政策の総合的な政策がどうだということを私から申し上げるのは時期尚早だと思うのですけれども、向こうへ私は国会のお許しを得れば二十一日から行くわけでございますが、まあ恐らく、その防衛の問題が出ることはもう必至だと私は思っております。
 それで、この間、予算の修正ということで財政再建の計画がレーガン政権から出されましたときに、国防長官がいろんなことを言っていられるのでございます。一つはソ連との関係のことを言い、力のバランスの問題ですけれども、バランスが崩れたところに、過去においては、歴史の教訓は必ず紛争が起きているというようなことを言って、力による平和でございますとか、いま寺田さんおっしゃるような同盟国の問題について、役割り分担というような抽象的なことで出ております。まだ具体的には、いま先生のおっしゃったようなことは何も出ておらぬので、これからの問題でございます。行きましたら、出るかどうかと思っておるわけでございますが、その場合に、何度もこれは申し上げておるわけでございますが、同本の方は個別自衛権、専守防衛、こういうことで、もう法律的な、憲法上も大きな枠があるわけでございます。ですから、その枠の中でどういうことを日本ができるか、あるいはできないことがあるということを、これははっきり向こうに言おうと思っておるわけでございますが、日本としましては、一つは平和的な外交努力をやって、なるべく紛争の起きないようにするということと、あわせて、いま申し上げました必要最小限度の防衛力といいますか、外国から侮りは受けない、しかし外国に脅威を与えないという必要最小限度の個別自衛権の範囲で防衛力の着実な増強をやる。これは防衛計画大綱がありますから、それに従ってやるということを向こうに日本の立場というものをはっきり私は言うつもりでおります。
#279
○寺田熊雄君 これ、総理ね、先ほどソ連の大使とお会いになるという問題、それから源田委員に対して大変平和を擁護するという強い抱負を述べられたんですが、ニューヨーク・タイムズの一月三十日のレーガン大統領の記者会見のあれがあります。これはソビエトに対する猛烈な敵がい心といいますかね、うそつきで詐欺でというような、詐欺したりうそついたりするというような大変激しいソビエトに対する憎悪を述べておるわけですが、これはもう当然総理が行かれたときもそういう見方をぶつけられますよ。そのときもなおかつ、われわれはソ連を仮想敵国とするものではないと、平和に徹するんだと、ソ連は隣国だというようなことを敢然とおっしゃることができますか。
#280
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど伊東外務大臣も申し上げましたように、まだアメリカのレーガン大統領はもとより責任ある首脳とわが方の外務大臣も防衛庁長官等もお目にかかっておりません。だんだん、外務大臣も訪米をして首脳部の方々にお会いしたり意見を交換したりいたしまして、初めてアメリカの国際情勢に対する認識なりあるいは方針なり、いま御指摘の対ソ政策なり、そういうものも明らかになってこようと、こう思っておりますが、まあ私は、いろいろ表現、言葉等においてあろうかと思いますけれども、やはり世界の平和という重大な問題が存在するわけでございますから、米ソ間の首脳においてもそういう人類の平和の問題につきましては慎重な対応をされるものと期待をいたしておるところでございます。
 わが国は、しばしば申し上げますように、平和憲法のもと、世界の平和と安全に日本の国力、国情にふさわしい立場、そういうものを踏まえて対応じていこうと、こういうことでございまして、どこの国の言いなりになるというようなものではございません。日本の進むべき道をしっかりと踏まえてやってまいる、また同盟国に対してもわが国ができることとできないこと、こういう点を明確にしてやってまいりたいと思っております。
#281
○寺田熊雄君 防衛庁にお伺いしますが、この間、たしか衆議院の予算分科会で、有事の際の三海峡の封鎖について塩田防衛局長が横路議員に答えられた点、もうちょっとここでおさらいしてみてくれませんか。
#282
○政府委員(塩田章君) 横路先生のお尋ねは、現在やっております日米共同作戦計画の研究の中で、三海峡の防衛について取り入れておるかどうかという趣旨のお尋ねがあったと思いますが、それに対してお答えいたしましたのは、いまやっております共同作戦計画の研究といいますのは、しばしば申し上げていることですが、ある一つの設想を設けて、その設想に基づく研究をしております。その中で、どこをどういうふうな設想だということまでは申し上げられないと言っておるわけでございますけれども、いま御指摘のような三海峡の防備といったような問題は、直接は研究の対象としておるわけではございません。ただ、作戦計画の設想でございますから、一つの設想でございますけれども、関連はいたします。三海峡の防備といったようなことも関連はいたしますけれども、それを取り上げていま研究しておるわけではないという趣旨のことを申し上げたつもりでございます。
#283
○寺田熊雄君 これもやはりアメリカの八一財政年度の国防報告で、アメリカと同盟国がオホーツク海及び日本海から太平洋への出口を封鎖することができると信ずるということになってますね。ですから、アメリカはやはり同盟国である日本と一緒になってやるということを考えておるんじゃないでしょうか。
#284
○政府委員(塩田章君) 現在私どもがやっております研究の中で、アメリカ側からそういうことを申し出ておることはございません。
#285
○寺田熊雄君 そうすると、これはアメリカの一方的な願望の表明だというふうにあなた方は受け取っていらっしゃる、そういうことでしょうか。
#286
○政府委員(塩田章君) 八一会計年度の国防報告で言っておりますのは、いま話題になっております日本の三海峡だけでなくて、一般的に、ヨーロッパの方面も含めました海峡の防備についての、アメリカから見て同盟国側の封鎖能力のことを触れておるというふうに私どもは理解しておりまして、具体的に日本にどの海峡を封鎖するというようなことを要請したものではないというふうに理解しております。
#287
○寺田熊雄君 それはそうですよ。だけれども、オホーツク海と日本海からの太平洋への出口といったら日本に関係するのですね。これは日本を対象にしている。そうでしょう。
#288
○政府委員(塩田章君) その点はそのとおりです。日本に関係した部分が含まれておることはそのとおりでございます。
#289
○寺田熊雄君 それは、ソ連のウラジオストクにおる艦隊が太平洋へ出るということを防ぐというアメリカの作戦計画の一部であることは明瞭なんでしょう。
#290
○政府委員(塩田章君) いまの記述はあくまでも封鎖についての能力の問題でございまして、日本にそういう能力があるということを向こうが触れておるわけでございまして、作戦の計画として触れたものではないというふうに私どもは理解しておるわけであります。
#291
○寺田熊雄君 それは違うでしょう。ソビエトに対抗する作戦をずっと述べてきて、そしてそういうところが出てくるわけで、それは突如として出てきたわけじゃない、ソビエトを仮想敵国として、ソビエトと対抗するにはどうしたらいいかということをずっと述べてきている中にその一節があるんですよ。
#292
○政府委員(塩田章君) ソビエトとの関係を述べてきた中でいまの言葉が出てきたことは、それはそのとおりでございますが、あくまでも海峡についての能力について触れておるということでございます。
#293
○寺田熊雄君 能力があるということは、あなた方がそういうことを意識してやはりそういう装備の蓄積に努力をしてきたということを意味するんでしょうね。
#294
○政府委員(塩田章君) その点につきましては、五十一年にできました防衛計画の大綱の中に、海上自衛隊の防衛体制といいますか、海上自衛隊の任務の中に日本の周辺海域の防護が入っておりますが、その中に海峡防備ということは当然記述してございます。それに応じた整備ということでございますから、その中にはいまの問題も当然わが国の防衛体制自体の整備の問題として含まれておるというふうに私どもは考えておるわけであります。
#295
○寺田熊雄君 防衛局長のいまの御答弁を伺いますと、どうしてもやはり自衛隊の計画というものはソビエトを仮想敵国として構成されていると考えざるを得ないじゃないでしょうか。
#296
○政府委員(塩田章君) しばしば申し上げておりますように、ソビエトの最近の軍備の状況、極東における軍備の増強ぶりというものがわれわれにとって潜在的脅威の増大であるということは申し上げております。しかし、仮想敵国というふうに、少なくとも敵性国家であるとか仮想敵国であるとか、そういうふうに見ておるものではないということもこれまたしばしば申し上げておるところであります。
#297
○寺田熊雄君 しかし、外国の侵攻とか攻撃とか、それから大村長官が言っていらっしゃる、あらゆる侵攻の事態を想定して準備しているということを衆議院でおっしゃっていますね。そういうのは全く架空のどこかの、たとえば蒙古の大軍が攻めてくるというようなそういう想定ではできないでしょう。具体的に、どういう能力のあるものがどこにおって、どういう軍備をしておって、そしてそれがどう攻めてきたらどう対応するかということを考えてでないと防衛計画というのは立たないでしょう。だから、外交面とか、そのほか国政全般としてはソビエトとも友好を保たなければいけませんよ。いま私は外務省が防衛防衛と言うのは大いに方向が間違っていると思うけれども、だけれども、防衛の方は、やはりどこかの国が攻めてくるという具体的な現実的な想定のもとに計画を立てなければ、全く架空の想像では立たないでしょう。
#298
○国務大臣(大村襄治君) 最近におけるソ連の陸海空軍事力が極東におきましても著しく増強されておることは客観的な事実でございまして、私どもはこれを潜在的脅威の増大と受けとめているわけでございます。しかしながら、わが国は日本国憲法の理念に基づきまして、平和外交を国是としているわけでございます。そういう意味で、いかなる国も敵視する、仮想敵国視することは許されないわけでございます。
 実際問題として、私どもが進めております防衛力の整備は、五十一年に国防会議、閣議をもって決定をされました防衛計画の大綱の路線内で進めているわけでございます。これは先生よく御承知のとおり、原則として小規模限定的な侵略に対して独力で対処する、原則として対処する。しかし、それを超えるものにつきましては、できる限り粘り強い努力をいたしまして、そして安保条約に基づくアメリカの支援を待つ、こういうことで想定されまして、兵力も別表できちんと決まっているわけでございます。
 したがいまして、三海峡防衛の問題につきましても、この広い日本の周辺海域でございますから、いろいろ外国から侵略を受ける場面は三海峡以外にもあるわけです。いろいろな海岸等もあるわけでございますが、そういったものを通じまして、できる限り万一の場合に必要な措置がとれるように平時から用意していく、全くわが国独自の判断に基づいて、しかも大綱の路線という範囲内で進めているわけでございます。
 また、米国から三海峡防衛について具体的な申し出があった事実は全くございません。
#299
○寺田熊雄君 いま軍事専門家の間では限定的小規模な侵略なんというものはないと言うんですよ。考えられるのは、米ソの対決のときにそれが日本に波及することであるということであって、限定的小規模な侵略が、突如としてソビエトが来るなんていうことは考えられない。そういうことを考えていらっしゃるんですか。どういうふうに不意に敵があらわれて侵略してくる、ちょこっと侵略してまた帰っちゃう、そういう……。
#300
○国務大臣(大村襄治君) 限定的小規模の外部からの侵略なり攻撃につきましては、いろいろ御意見があるわけでございますが、わが国が全く無防備の場合にはそういうことが起こり得ないということは保証できないわけでございます。万々一の場合に、先ほど申し上げましたように、原則として独力で対処するということを防衛計画の大綱で明記しているわけでございますので、それに基づいて所要の整備を防衛庁としては進めているところでございます、
#301
○寺田熊雄君 これはアメリカの国防報告でも、起こり得る衝突というものは、大体ペルシャ湾か、東洋ではベトナムがタイに入っていくか、あるいは朝鮮半島で起きるか、あるいは根本的にはNATOとワルシャワ軍との対決というふうにもう大体限定しているようですよ。それからこれは白川元統幕議長、永野元陸幕長、こういう人がいずれも参議院の安保委員会に出ておりますけれども、ソ連が日本に侵攻してくるのは米ソの対決が間近いという段階以降であろうと、これは永野。それから日ソが戦う場合は、アメリカとソ連との関係がどうなっているかということによって違ってくると。漆山成美京都産業大教授は、日本に対して侵略があるというような事態というのは、恐らく第三次世界大戦というものを想定せざるを得ないと。なお、問題を起こした栗栖氏もやはり加瀬英明日本安全保障研究センター理事長との対談で、大体同じように、「世界中が平穏であって、ソ連が日本だけに仕掛けてくるというケースはほとんど全く考えられない」。もういずれもそうなっておるので、防衛庁の言うように、限定的小規模の紛争が突然起こるなんということはこれは全くナンセンスで、それをしもなおそういうことを大前提にして防衛計画を一生懸命練っているというのは、これはおかしいんじゃないでしょうかね。
#302
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 いろいろ軍事専門家の方々が勉強して意見を発表しておられることは承知しているわけでございますが、防衛庁といたしましては、最近の国際情勢に顧みまして、五十一年に決定されました防衛計画の大綱、これは政府の国防に関する基本計画でございます。防衛庁としましては、国の独立と安全を守る責任がございますので、この大綱の線に従いまして防衛力の整備を着実に進めるということにいま一生懸命努力しているところでございます。
#303
○政府委員(塩田章君) ちょっと補足させいただきたいと思いますが、わが国に対する侵略の事態がどんな事態があるかということはもちろんわかりません。わかりませんが、私どもは限定小規模だけであると考えておるわけじゃなくて、日本の防衛は日米安保体制を軸として防衛をするんだと。その場合に、わが方の自衛隊を整備するに当たっては限定的小規模のもの程度はみずからの力で排除できるものを整備しまして、それを超える侵略の規模であれば日米安保体制でもって排除するんだという考え方できておるわけでございまして、いま私が申し上げたように御理解いただきたいわけでありまして、決して限定小規模の侵略しかないというふうに考えておるわけではないわけです。
#304
○寺田熊雄君 結局、いまの防衛局長のお話によりますと、まあいろいろな大規模なものを考えてそっちの方もやっているんだと、ただ、米軍が助けてくれるんだということのようですね。それで、自衛権というものの範囲が次第に拡張していくような過程というものができてきているように思うんですがね。つまり、シーレーンの保全というようなものも、いま申し上げた白川元統幕議長なんかは、そういうものが、やがては日本の自衛隊の任務としておのずからそれに広がっていきますよということを参議院の安保委員会で言っているわけですね。アメリカはもうマンスフィールド大使が要求しておるということを記者会見ではっきり――それはレーガンが鈴木さんに言う前提ですよ、あれは。そういうことを考えますと、自衛というものの範囲がだんだん専守防衛からシーレーンの保護に、保全に、それから三海峡の封鎖という、要するにソ連の艦隊が太平洋へ出ていくのを防ぐというようなアメリカの戦略の一端を担うというようなことに拡張していくおそれが多分にあると思いますが、総理どうでしょう。
#305
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 シーレーンについてのお尋ねでございますが、海上交通路の保護に関し米側から責任の分担といったような具体的な要請がなされた事実はございません。防衛庁といたしましては、わが国から数百海里、航路帯を設ける場合は、千海里程度のわが国周辺海域については、自衛隊はそこにおける海上交通の安全を確保することができることを目標として逐年海上防衛力の整備を行ってきているところでございます。
 また、日米防衛協力のための指針におきましても、公表されている中にも挙げられておりますように、わが国周辺海域についても、海上自衛隊の能力の及ばない分野については米海軍部隊の支援を受け、また周辺海域を超える部分については一般的に米側に依存することとし、機動打撃力を有する任務部隊の使用を伴うような作戦を含め、米側にコントロールを確保してもらうことを考えているわけでございます。
 また、自衛隊がペルシャ湾やインド洋といった遠隔な海峡において、有効に海上交通路の安全確保を図る能力はいま持っておりません。
 また、集団的自衛権の行使を伴うような海上交通保護のための行動は、これは憲法の制約もございまして、行うことはできないと考えている次第でございます。
#306
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま防衛庁長官も申し上げたように、わが国の防衛努力の範囲というものはおのずから制約があり限度があるわけでございます。私は、マンスフィールド大使の記者会見等のことを読んでおりましても、一般によく、レーガン政権になってから日本に役割り分担と称して従来以上に何か新たな任務を要求するのではないかと、こういう風評のある中で、むしろマンスフィールド大使は、日本の置かれておる立場、憲法上の制約なり日本の平和国家としての立場、専守防衛というようなこと、一番よく日本の事情を知っておられる立場から、レーガン政権は日本に対してそういう憲法等の制約を乗り越えて特殊な新たな任務を要求し、分担を要求しておるというようなことはないということを、あのマンスフィールド演説で私はそのように受けとめておるわけでございます。いずれにいたしましても、わが国としては、できることとできないことがあるということは先ほども外務大臣も申し上げましたし、私も申し上げたところでございます。私は、そういう日本の立場、方針、そういうものを堅持していく考えに変わりはございません。
#307
○寺田熊雄君 総理のお答えはそれなりに私は評価いたしますけど、ただ、アメリカは第七艦隊をペルシャ湾なりインド洋に派遣することは、日本の大変なこれは利益を擁護していることですよといって説明して、それは日本のバイオフィシャルズが非常に理解したというようなことが書いてあるんですね。つまり、油をずっと持ってくることは、これはそれに対する攻撃はやはり自衛だと、専守防衛の中に入るというようなことを言う人が出てきましたら、総理はどういうふうに説明しますか。
#308
○国務大臣(鈴木善幸君) 寺田さんは、あなたはどういうことを想定していらっしゃるのか。それは、日本のタンカーなりあるいは貨客船なり、そういうようなものがどういう形の、つまり海賊的な行為の攻撃を受ける心配があると、こういうことを想定しておられるのか。あるいはまた、先ほど来日本に対して単独にある国が戦争をしかけることはないだろうということも、むしろあなたがおっしゃっておるようなことでございますが、そういうようなことを想定いたしますと、日本に独力で、やれインド洋だとか、そういうところまで海上交通路を確保するように日本に期待をする、そういうことは私はあり得ない。また、それは日本の置かれておる立場からいってできないことでございます。私は、あくまで先ほど申し上げたような日本の立場というものを貫いていく、こういう考えに変わりはございません。
#309
○寺田熊雄君 総理は誤解していらっしゃるのですよ。ペルシャ湾やインド洋の領域は第七艦隊が受け持つというんです。マラッカ海峡から日本本土までのこの間は日本が持ったらどうかというようなことを非常に右寄りの人が言われるわけですよ。それは日本の生命線を守ることだというような主張をするわけです。そういうことに対して総理は、それは自衛の範囲には属さない、専守防衛以外のものだということをはっきりおっしゃられますかということをお尋ねしているのです。
#310
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、そこまでは日本の自衛権の範囲は及ぶものではない、制約があると、このように考えております。
 そういう問題につきましては、日本は軍事力以外の分野で、やはりこのシーレーンの確保等について関係国の理解と協力を求めていく、そういう外交努力なりいろんな努力を重ねていくのが日本の立場であると、こう考えております。
#311
○寺田熊雄君 そうはっきりと信念をお持ちならば、それで結構ですから。
 なお、米ソの対決が日本に当然に波及するということにつきましては、先般ロング太平洋軍総司令官が「ホノルル・スター・ブレティン」という新聞に、ペルシャ湾で米ソの衝突があれば、当然それは他の同盟国に波及するということを言っておられるんですが、これは外務省、把握していらっしゃるでしょう。どういうふうにお考えになります。
#312
○国務大臣(伊東正義君) ペルシャ湾で米ソが紛争を起こすというような場合に、それが必ず日本に波及するかどうかという問題は、これはもう必ず波及しますというようなことを私は申し上げるというようなまだ考えは持っておらぬわけでございまして、その場合にどういう形に紛争が解決されるのか、いろんな形があると思うのでございまして、いま設問のようなことを、こうでございますと言うようなことじゃ私はまだないと。その場合にはいろんな形が考えられると、こう思うのでございます。
#313
○寺田熊雄君 これは外務省にも来ていると思いますが、これ、ちょっと読んでみてください。(資料を示す)つまり、確かに安保条約には、これはソ連が入ってくるというような事態があれば、アメリカが救援に来る。日本と一緒に戦う。だから日本を守るという作用があるということは、これは否定できないと思うんですね。同時に、いまロング大将が言っているように、米ソが他の地域で本格的な対決をやったときに、当然日本もそれに巻き込まれるということになりますと、安保条約というのは日本を守る一面と同時に、日本の安全を非常に危うくするという、そういう作用も営む。これはもろ刃の剣だという結論にならざるを得ないんですが、これは総理、どういうふうにお考えになります。
#314
○国務大臣(鈴木善幸君) 外務大臣もいま御答弁を申し上げたように、仮にペルシャ湾等で米ソが紛争を起こす、衝突をするということになりまして、それが直ちに日本が戦争に巻き込まれるというようなことは、私どもは考えられない。確かに、そのために石油の供給が中東からとだえるとか、そういう影響は出てくると思いますけれども、中東で米ソが衝突することが、直ちに日本がその戦争に巻き込まれるというようなことは私は考えられない。また、そういうものに巻き込まれる立場にはないわけでございます。
#315
○寺田熊雄君 その点もアメリカと日本との間に大変な相違があるんですよ。あなた方はもう、それはないと言う。アメリカの方は、あると言うんですね。そこに安保条約や日米の関係の非常に危険性があるわけですよ。
 まあこの点はまたさらにあれすることにしまして、米ソ対決の際は核の使用について、先ほど源田委員が非常に注目すべきものをおっしゃったんですが、これはやっぱり絶対にないということで、防衛庁の方は検討の外に置いているわけでしょうか。
#316
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 わが国は非核三原則を基本方針といたしておりますので、防衛庁といたしましては、核の攻撃に対しましてはアメリカの力に依存することにいたしているわけでございます。
#317
○寺田熊雄君 核の攻撃があるということは前提にしてアメリカに頼るということですか。
#318
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 抑止力を含めてであります。
#319
○寺田熊雄君 それは、核の攻撃はないということを前提にしてのことですか。
#320
○国務大臣(大村襄治君) ちょっと御質問の意味がよくわかりかねるわけでございます。
#321
○寺田熊雄君 核の攻撃というものは全くないと考えていらっしゃるのか、核の攻撃はあるけれどもアメリカの抑止力でそれはなくなっちゃうということですか。
#322
○国務大臣(大村襄治君) 抑止力で、ないことを希望するわけでございますが、万一あるとした場合におきましても、わが国の力ではなくて、核に対するアメリカの対抗力に依存することにいたしているわけであります。
#323
○寺田熊雄君 核の攻撃があった場合は、日本の安全保障は全く成り立たないというのが軍事専門家のむしろ意見なんですよね。ところが、栗栖元統幕議長だけは、核が――戦域核ですね、シアターの、戦域核は使用されても大したことはないと言っている。核の攻撃をいかにも過小評価することをこのごろ言っておられるわけで、私は、そういう考えを防衛庁の制服組が持っておるとすると、大変危険なことだと思うんですよ。
 防衛庁長官、いかがです。
#324
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 核兵器も時代とともに進歩いたしまして、いろいろな性能のものができているということは承知しているわけでございますが、いずれにいたしましてもわが国としては非核三原則を堅持することにいたしておりますので、OBの方がいろいろ意見を言われていると思いますが、防衛庁といたしましては、先生がいま言われたような考えは持っておらないわけでございます。
#325
○寺田熊雄君 防衛局長、これどういうふうに考えていますか。
#326
○政府委員(塩田章君) 全般的に核の抑止力が現状のように相互に働いているという状態におきまして、核戦争の起こる確率といいますか可能性をどう見るかということは、一般的には抑止力が働いていくのではなかろうかと――米ソ間でございます。米ソ間で抑止力が働いていくのではなかろうか。そういう意味では、通常兵力による防衛力の方が相対的にはそういう意味でウエートを増しているんだという見方の方がだんだん強くなっているとは思います。しかし、核が使われないという保証はもちろんないわけでございます。
 なお、いま先生がおっしゃいました戦域核の場合に、そんなに大きな威力ないんじゃないかという意見があるということでございましたが、それは、そうはちょっと言えないと思うんです。もし本当に日本に使われたら、日本とは限りません、どこでも使われたら、やはり核でございますから大変な威力があるということは否定できないと思います。
#327
○寺田熊雄君 そうすると、やはり核が使用される場合もある程度想定して防衛計画を立てておられるというふうに伺ってよろしいか。
#328
○政府委員(塩田章君) わが国の防衛計画につきましては、防衛計画の大綱におきましても、あるいはまた現在の作戦計画の研究におきましても、核の使用の場合のことは考えておりません。核の使用の場合のことを考えて研究をしておるわけではございません。
#329
○寺田熊雄君 それは大変恐ろしいことで、日本の安全保障を担当する防衛庁としては非常に無責任きわまることだと思うんですが、どうでしょう。
#330
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 先ほど申し上げましたとおりでございまして、核に対しましてはアメリカの力に依存することにいたしているわけでございます。そのために、平時におきましても日米安保体制を円滑にし、有効に作用するように努めているところでございます。
#331
○寺田熊雄君 これは総理、どういうふうにお考えです。
#332
○国務大臣(鈴木善幸君) いま防衛庁長官がお答えをしたとおりでございますが、つまり日本が核攻撃をある国から受けるということは、これは日本の防衛力を超えた外部からの攻撃であるということでございますから、これは安保体制によりましてアメリカの支援、協力にまつわけでありますが、そうなればこれは全面的な米ソを中心とする核戦争ということに発展するわけでございます。これはまさに人類の破滅につながる問題でございますから、私どもはさようなことはあり得ない、このように信じております。
#333
○寺田熊雄君 あり得ないと言ってじっとしておるのは無責任ですよ。
 これはまたさらに討議を深めることにして、最近「フォーチュン」という雑誌がありますね、これに日本も相当なことをしていると、日本は音も立てずに自国軍とペンタゴン及びハワイの太平洋軍司令部の双方との間に通信連絡網を樹立したと言っていますが、これはどうですか。
#334
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 その「フォーチュン」の記事は、私まだ拝見しておりませんので、的確なお答えになるかどうか、あるいはいま防衛庁が建設を進めかけております中央指揮所のことに関連してのあれではないか。中央指揮所ができました場合に、これはもちろん防衛庁内部を中心とする連絡施設の整備でございますが、米軍との関係をどうするかという問題があると思います。その場合の、これは将来の想定でございますが、私どもとしましては、在日米軍の所在する府中と連絡すれば足りると、ハワイとかあるいはペンタゴンとか、そういうところに直結する、そういう考えは持っておらないのでございまして、もしそういうふうなことを意味しての報道だとすれば、私どもの考え方と一致しておらないと、こういうことになるわけでございます。
#335
○寺田熊雄君 大臣が……(「委員長、いつまでたっても大臣帰ってきやしない」と呼ぶ者あり)
#336
○委員長(木村睦男君) 速記とめて。
   〔速記中止〕
#337
○委員長(木村睦男君) 速記を起こして。
#338
○和田静夫君 議事進行について発言をいたしますが、理事会としては、委員長も御存じのとおりに、たとえば労働大臣が公務でお出かけになると。届け出があればそれはもう内閣全体の運営、あるいは予算委員会のいろいろのことがあっても良識的にちゃんと善処をきょうもしてきました。ところが、さっきから黙って見ていますと、経企庁長官は二十分以上もいなくなる。その他の皆さんも、何の理由か知らないが、予算委員会を無視されて、とにかくいつまでたっても帰ってこられない。もう忍耐の限界があったからこういう措置をとったわけです。これはやはり官房長官なり総理から、鈴木内閣の参議院予算委員会に対する態度というものをこの機会にもう一遍明確にしてもらいたい。同時にいまの事故について若干の説明を求めます。
#339
○国務大臣(宮澤喜一君) 注意が十分でございませんで、御迷惑をかけましたことをまことに申しわけなく存じます。もとより当委員会の御審議に対し誠実に対処をしてまいらなければならないと考えておりますが、一層一同引き締めましてさようにいたしてまいりますので、どうぞお許しをいただきたいと思います。
#340
○委員長(木村睦男君) 委員長からも一言注意を申し上げますが、政府閣僚におかれては重要な委員会でございますので、みだりに、あるいは無断で席を外さないように今後注意をしていただきたいと思います。
#341
○寺田熊雄君 徴兵制につきましては、これは憲法十二条、十八条を引用されて、許されないという、これは内閣の見解を示されたわけですが、これは防衛庁の方は徴用制度は有事の際に検討しておられますか。
#342
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 徴兵制については、有事を含めて検討しておりません。
#343
○寺田熊雄君 徴用よ。
#344
○国務大臣(大村襄治君) 徴用ですか。ちょっと聞き違えました。
 徴用の意味でございますが、かって国家総動員法に基づいて行われたようなものを意味するものでございますか。――ちょっと徴用という言葉は思い当たりませんが、研究はしておりません。
#345
○政府委員(夏目晴雄君) 先生の御指摘の件が、一部の新聞紙上に徴用という用語が使われていることに関連しての御指摘であるとすれば、私どもの自衛隊法の百三条というのがございまして、この百三条というのは、御承知のとおり防衛出動が下令された際に、自衛隊の任務遂行に必要がある場合には、土地の使用、物資の収用、保管あるいは従事命令を出すというふうな規定がございますが、そのことであれば有事の際の規定が自衛隊法にございまして、一般的な意味での徴用は、いま大臣申し上げたとおり、考えておりません。
#346
○寺田熊雄君 これは法制局長官、やはりかつての総動員法の言うような徴用ですね。つまりいま自衛隊法では、医師とか運輸に従事する人間とか、それから建築関係の従事者に対しては、防衛出動のときには当該の一定の地域で当該の業務に従事させるように命令して、強制的に従事させることができるような規定になっていますね、百三条の二項に。これをさらに一般に拡大して、かつての国家総動員法のような徴用ですね、これもやはり徴兵と同じように違憲だとわれわれは考えるけれども、あなたとしてはどういうふうな御見解ですか。
#347
○委員長(木村睦男君) 寺田君、時間が参りました。
#348
○政府委員(角田禮次郎君) そういうことは、もう政策的にもまたは現実の憲法上の可否の問題も含めて、一切検討したことはございません。
#349
○寺田熊雄君 いや、法律的見解を問うておる。
#350
○政府委員(角田禮次郎君) 私の答弁が舌足らずかもしれませんが、何かやるつもりでそういうお答えをしたわけじゃなくて、もう全く検討したことございませんから、いまここで直ちにお答えできないという意味でございまして、決してごまかした意味で答弁したわけじゃございません。
#351
○寺田熊雄君 いや、徴兵制だって検討していないけれども違憲だというのが出たんだから、同じ……
#352
○政府委員(角田禮次郎君) 徴兵制度については、国会でもう十年も前からいろいろ御質問があり、いろいろ検討した結果いまのような結論に達したわけでございます。
 徴用などということは、かって国会で御質問を受けたこともございませんし、私どもとしてはそういうことをちょっといま政策的な問題として頭にないものですから、ちょっとお答えできないのですが。まずそういうことが、公共の福祉の要請として要請されるような状態が一体どんな場合に起こるのか、そういう場合を予想すること自体が私どもにはちょっといたしかねますので、お答えがいたしかねるということでございます。
#353
○寺田熊雄君 それはやっぱり解釈は示してほしいですね、違憲かどうかという解釈は、はっきり。
#354
○委員長(木村睦男君) いまの寺田委員の質問に対しては、後の機会に法制局長官から答弁をいたすことにいたします。
#355
○寺田熊雄君 委員長、もう一問だけ。
 総理に最後にお尋ねしたいのですがね。総理は憲法改正の意図はないとおっしゃるんですね。これは大変それなりに、いま右寄りの強いときにはりっぱだと思うんですよ。それは、平和憲法については、平和主義それから人民、民主主権、それから基本的人権の尊重、これは大変りっぱだということをいままで言っていらっしゃるでしょう。そうすると、憲法九条の改正についても、これは総理の信念として、平和憲法を守るという信念からおっしゃっておられるのか、それともいままだその機は熟さない、まだ世論がそこまで熟してないから、熟したらまた別だという含みを持つのか、その点はっきりしてもらいたいと思うんですが、どっちでしょう。
#356
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、就任以来、憲法を改正する考えは持っておりませんということを明確に申し上げております。
 これは、先般も御質問が玉置さんからございましたが、発議権は国会にある、制定権は国民にある。しかし国会が発議するために原案というものを提案しなければならない問題がございますが、政府としては提案をする考えはないと、こういう意味合いを含めまして憲法改正はする考えは持ってないと、こう申し上げておるわけでございます。さらに、わが国の現行憲法の平和主義、民主主義、基本的人権、この基本理念はいずれの国の憲法にも劣らないりっぱな理念であって、将来において仮に憲法改正等が政治日程に上る場合であっても、この基本理念は堅持されなければならないものだという信念も私は申し上げておるところでございます。この平和主義の理念をあくまで堅持すべしという観点に立ちまして、憲法九条というものは、これは堅持していくべきものだと、こう私は考えております。
#357
○寺田熊雄君 終わります。
#358
○委員長(木村睦男君) 以上で寺田君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#359
○委員長(木村睦男君) 次に、岩上二郎君の総括質疑を行います。岩上二郎君。
#360
○岩上二郎君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、以下数点につきまして御質問を申し上げたいと思います。
 まず第一に、総理の言う和とは一体何か、この和というのは英語ではなかなか訳しにくいものでありまして、英語のピースとも違うし、それから従来「倭の国」、「大和の国」と言われておりますが、この稲作民族の持っているいわゆる穏やかな、やわらぎのある、そういう心を言うのか、あるいはまた、私はここ十年来研究しておりますが、東洋思想の根底にある和というようなものであるのか、その和の意味、これについて大変「和の政治」ということを総理は言っておられますので、その根底にひそんでいる内面的なもの、それをちょっとお伺いしておきたいと思います。
#361
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は就任以来しばしば「和の政治」ということを提唱し、これを今後も実践をし、堅持していきたいということを申し上げておるわけでございますが、これは自分の長い政治生活の中で、私は信念としてそういう考え方を持ってまいりましたし、特に自由民主党の総裁として、また国政を担当する総理として、そういう信念で政治に立ち向かっていきたい、取り組んでいきたい、こういうことで申し上げておるわけでございます。私はその根底には、まず誠意を持って事に当たる、特に政治に携わる立場におきましては、真心を持って政治を進めるということが一番大事だと、こう考えております。
 このことは国内政治におきましても、議会政治の場面におきましても、十分話し合いによってそこに理解と協力を得ながら政治を進めていきたい。また公正な政治を行い、そして国民の納得を得た中で政治が円満に、円満に運営されることを私はこいねがっておるわけでございます。
 また、これを国際政治の面につきましては、これは平たく言いまして、世界の平和と繁栄、また人類の幸せ、こういうようなことをこいねがって「和の政治」ということを提唱しておるものでございます。
 よく聖徳太子の「和をもって貴しとす」という十七条憲法等から私がこの「和の政治」というものを持ってきたのではないかということを言われる場合もございますが、私は聖徳太子がこのことを提唱された当時の社会、経済状態、政治情勢というものは今日とは大分違うものがあるように思います。どちらかというと、上から下へ向かって和ということを推し進めたという、当時の政治環境、社会環境からいってそういう感じがいたすわけでございます。人民を統治するというような気持ちも当時としてはあったのではないかと、こう思います。しかし私の「和の政治」というのは、どちらかというと、わが国の現在の平和憲法、平和主義、民主主義、基本的人格、むしろその方に私は「和の政治」というこの気持ちがあらわれておる、それに近いものである、こういうぐあいに御理解を賜りたいと思います。
#362
○岩上二郎君 私は長い間、聖徳太子の研究をしてきた一人でありますが、聖徳太子の精神というのは非常に内観的で、しかも仏教的な色彩の非常に強い方でありますし、また非常に自分に対しては厳しい方であります。その聖徳太子なる方がこの和というものを第一義に置いたというのは、いたわりあるいは慈悲とかあるいは正義とか礼節とか信義とか、そういうふうな徳目、それを総称して第一義的に和というものを置いたというふうにわれわれは理解するわけであります。したがいまして、これは日本人の性格の中に非常に歴史的な経過をたどりながらずっとおりのようになっていった、そういうふうな非常に日本人の徳性とでも言うものが一般化されたものであろうと、このように考えているわけでございます。いまの総理のおっしゃるように、こういうものではないと、やはり平和主義の考え方も非常にあるんだというようなことであいまいでありますが、私はそれも総理のお考え方でございますから別にどうということはございません。ただしかし、基本にあるものを踏まえるということが政治をする場合に非常に大事であると、このように思いますが、その意味で私は総理にさらに御質問申し上げたいと思います。
 総理は政治倫理というものを非常に強調されておられまして、私も国会に出てきて、この政治倫理特別委員会というものが自民党に設けられてありましたので、これも一番先に二重丸、三重丸をつけて出したんですが、いつの間にか消えてなくなったわけです。この政治倫理特別委員会の復活を強くお願いしていたやさき、鈴木総理が非常にえらい強調されていたわけでございますが、これはやはり議員同士の自浄作用というか非常に自分には厳しいものでありますけれども、こういうようなものをやはり推し進めるということが大事だと、このように思います。しかし、なかなかそれらの問題が実現できないということになると、総理が一番最初に就任のときに声明されたその主張というものが空になってしまうことを私はおそれるわけであります。したがいまして、強くやはりガバナビリティーを持ってひとつ自民党にも各党に対してもたびたびおっしゃっておられますけれども、強くその指導性を発揮していただきたいと、このように思います。
 あわせて政府においても、もうすでにアメリカにおいては政府倫理法というものをつくられてますし、あるいはこの政治倫理委員会なるものが西ドイツあるいはイギリス等においてもすでに設けられている実態からかんがみまして、やはり政府自身もこの政府倫理法なるものを進める、あるいは提案できるようなそういう一つの考え方をお持ちになることが総理としては非常に大事なことではなかろうかと、このように思いますので、もう一回ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#363
○国務大臣(鈴木善幸君) まず、先ほどの私が言う「和の政治」とはどういうことかということで、どちらかというと、わが国の現在の憲法の平和主義、民主主義、基本的人権の尊重というこの理念を総称した、それを総合したものに近いと御理解を願いたいと、こういうことを申し上げたわけでございまして、聖徳太子の十七条憲法のことをそう申し上げたのではございませんので、まず御理解を賜りたいと、こう思います。
 それから、政治倫理の確立の問題でございますが、大変貴重な御意見を拝聴いたしたわけでございます。私は基本的には、この政治倫理の問題は政治家各人、個々の絶えざる自省と反省、みずからの政治姿勢を清潔なものにしていこうと、こういう自覚が基本であろうかと、こう思っております。しかし、政党におきましても、また国会におきましてもあるいは行政府におきましても、これはできるだけ個人、個人だけの自覚、自制だけにまつことなしに、できるだけのこれに対する政治倫理を高めるための措置を講じていく必要があるということはいま御指摘のとおりでございます。
 私は、自由民主党におきましては、結党二十五周年の臨時党大会におきまして、岩上さんなどの大変な御協力をいただきまして、倫理憲章というものを党で決定をいたしまして、全党員がこの倫理憲章を踏まえて、今後の政治活動を間違いのないものにしていこうということに精進努力を傾けることに誓い合っておるわけでございます。
 国会に対しましては、私は就任以来、倫理委員会というものを設置されたらいかがであろうかと、そういうことで自由民主党の幹事長ほか執行部に対しましてもそのことを強く要請をいたしております。ただいま各党間におきましてこの倫理委員会を設ける問題についてお話し合いが進められておるということで、できるだけ早く合意に達せられることを期待をいたしておるわけでございます。
 また、外国におきまして、いろいろのそういう政治倫理確立についての制度的なあるいは法律的な措置が講ぜられておるということも、私もある程度承知をいたしておるわけでございます。アメリカにおきましては、いま御指摘がございましたような政府倫理法でございますか、これは七つの法律からできておるということでございます。その中心になっておるのは、一番強く打ち出されておりますのは資産の公開ということ、こういうことを大統領も副大統領もまた閣僚も国会議員もあるいは司法も検察も公務員もそれぞれこれを明らかにする、届け出をする、公表する、こういうことが法律によって義務づけられておるというようなことも承知をいたしております。私は、こういう点等も十分参考にし、イギリスや西独等にもあるようでございますが、ぜひ国会におきましても倫理委員会等においてこういう問題を御審議をいただければ大変いいのではないかと、こう思っております。
 政府としても、公務員の服務規定その他もございますけれども、さらに一層最近の状況にかんがみまして綱紀の粛正、改善というような面について一段の工夫を必要とすると、このように私も考えております。
#364
○岩上二郎君 どうぞこの倫理憲章といったようなものをせっかく設けられたわけでございますので、空文にならないように実現の方向に向かってさらに一段と御努力を願いたいと思います。われわれも大いに御協力申し上げたいと思います。
 なお、次に移りますが、平和主義の問題についてでございますが、すでに自民党ではこの政綱の中に平和主義、そして自由主義、民主主義、これが一つの三大の姿勢として立党をされておられるわけであります。
 そこで、平和主義というのは一体何かということになると、先ほどもいろいろと議論の出ているように、戦争と平和というものが同居しているとかあるいは背中合わせになっているとか、きわめて平和ということは戦争というものが裏返しにすればそんなふうにも読めるような、そういう現実でもありますし、この問題は資本主義国とあるいは社会主義国とを問わず、特に近代に入るに従って核保有というこの人類滅亡の危機とも言わるべきこういう武器が生産をされ、国の富を挙げて生産に励んでいるというような現実の中で、平和という問題はきわめて大事な問題である。先ほどわれわれの同僚の源田実君がこの問題についてやはり自分の主張を申し上げたように、われわれも同じくこの日本こそ原爆を受けた唯一の被害国であるという立場に立って、この東西両陣営を初めとして平和への宣言というようなものは極力やはり自民党こそリーダーシップをとっておやりになる必要がいまこそあるんではないかと、このように考えるわけであります。総理がASEAN地域を訪問し、いろいろと平和の諸手段を講じておられることは敬意を表する次第でございますが、あわせて一、二、私は意見を申し上げ、お伺いしたいと思いますが、一つはソ連に対しての対策であります。
 この二月七日、これが「北方領土の日」として設定をされたわけでございますが、ソ連という側から見た場合に、日中平和友好条約を締結後、何となく包囲されているかのように、日本あるいはアメリカ、中国から手を結んでやられはしないだろうかというようなおそれ、そういうようなものから北方領土への進出というようなことにも相なったのではなかろうかと思われる節があるわけでございます。そこへ加えて二月七日の「北方領土の日」ということになってまいりますと、一体この日ソ関係はどうなるであろうかと、このようなおそれを抱く方がまた最近非常にふえてきております。そういう中で、われわれはやはり日本民族だから、北方領土はわれわれの領土であるということを主張することは当然でありますけれども、やはりそれを主張すると同時に、それ以上にやはりソ連に対して、平和を愛するという場合には、この領土を返さない限りは交渉しないという姿勢ではなくて、ソ連に対して積極的に平和交渉、これは教育、文化あるいは経済、あらゆる分野にわたってソ連に対するアプローチが必要ではないか、このように考えますが、総理の御意見をお伺いしておきたいと思います。
#365
○国務大臣(鈴木善幸君) ソ連はわが国の隣国の中でも非常に有力な国でございます。このソ連国と日本が平和友好共存の立場に立っていくということは両国の国民の幸せにつながる、のみならずアジアの平和と安定に私は貢献するものだと、ひいては世界の平和にもつながると、このような認識の上に立ちまして、いま御指摘のように日ソの国交を何とか改善をし、友好を高めていくようにいたしたいものだと、このことを念願をいたしておるものでございます。しかし、日本国民の国民感情の中には、このわが国固有の領土である北方四島、これを、この問題を解決し、処理してその上に立っての日ソの平和友好条約を締結をする、これが恒久的な日ソの間の友好親善の発展の基礎であるという、そうありたいというのがこれは国民の全部の願いであろうと、こう思っておるわけでございます。私はそういう観点に立ちまして、この二月の七日、「北方領土の日」という日を、何とかこの北方領土の問題を解決して真の日ソ友好の日にしたいものだという題望を持っておるところでございます。
#366
○岩上二郎君 総理の考え方がわからないわけではございませんし、私も総理の考えでいることについては非常に理解をするものでありますし、また茨城の先輩が、やはり択捉島わが日本領土なりと宣言をした木村謙次、近藤重蔵と一緒にこの択捉島に渡って柱を立てた先輩を持っているだけに、この領土というものは本当に日本の領土であることには間違いないし、当然返還してもらうことは必要でありますけれども、やはりただそれはそれだけで問題の解決にはならないんで、やはり積極的に、平和交渉というその問題について積極的にソ連に対して体を張って訴え、そして日ソの平和友好条約を結ぶという、そういう積極的な姿勢を総理みずからおとりになる必要があるんではないか、このように考えるのでございますが、総理、もう一回ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#367
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど私は、私の真情を込めて日ソ友好をこいねがっておるということを申し上げました。と同時に、この一九七三年の首脳会談で、戦後未解決の問題を解決して、日ソ平和友好条約の締結のための交渉をやろうではないかということが合意され共同声明が出されたと、これは私は非常に大事だと思い享す。まずこの原点に立って、そして日ソ両国の代表がテーブルに着く、そしてこういう問題はやっぱり私は相当時間がかかると思いますが、そういう問題をも含めて討議しながら、いま岩上先生がおっしゃったような広範な日ソの友好親善関係の具体的なもろもろの問題について協議を進めていく、こういうことが私は望ましいと、こう考えておりまして、あの二月七日の日に私は衆議院の予算委員会におきまして、この一九七三年のあの共同声明の原点に返って話し合いをしようではないか、そこから真の日ソ友好への、発展への道が開かれるんだと、こういうことを提唱をいたしておるところでございます。
#368
○岩上二郎君 いずれにしましても、この平和問題というのは事ほどさようにきわめてむずかしい内容を抱えているわけであります、
 そこで私が提言をしたいと思いますが、平和問題というのはあらゆる分野にわたって相当の調査、研究が必要であろうと、このように思われてならないんです。でこの際、日本がそういう一つの平和主義に立脚して今後の日本の行くべき道を指向して進んでいくのである、たとえどういう強大国があろうとも、あるいはまた核保有の国があっても、そういう国々に対して軍縮を訴え、平和を訴えていくという、こういうことのためにも、国内に平和研究所なるものをおつくりになってはどうであろうか、このように考えますが、いかがなものでございましょうか。
#369
○国務大臣(伊東正義君) 私からお答えします。
 いま岩上さんおっしゃったように、日本が憲法で平和主義ということをとっておりますことは、これは世界が非常に高く評価していることでございますので、これは世界じゅうに知らせ、日本の国民にも一人一人それを深く認識してもらうということは大切なことでございますので、いま先生がおっしゃった御意見は、これは十分承っておきます。
 いま日本には、御承知のような日本国際問題研究所、これは堀田庄三さんが会長でございますが、でございますとか、猪木正道さんの安全保障研究所とか、そういうしっかりした研究所があるわけでございますので、そうした研究所を今後ますます充実していくという方が私はいいんじゃないかと思いますけれども、せっかくの御提案でございますから、よく承っておきます。
#370
○岩上二郎君 ありがとうございました。ぜひひとつ総合的な研究機関を設置をしていただきたいものと心から望んでやみません。そういう一つの思潮があれば、いまいろいろと問題になっておる憲法問題を初めとしておのずから氷解されてくるのではなかろうかと思うからであります。よろしくお願いいたします。
 それから自民党の掲げた民主主義あるいは自由主義、これが一体どういうものを指し示していくのかということになってまいりますと、従来の日本人の体質にはなじまない、どちらかというと、天皇主権のもとにあってずっときた関係からも、この自由主義、民主主義というようなものは、外部から、特に西欧諸国に発達した思想がそのまま日本にポツダム宣言と同時に入ってきたものであります。それをわれわれはやっぱり追い求めていこうとする姿勢をとったのが自由民主党であるわけであります。また憲法でもあるわけであります。したがいまして、この自由主義、民主主義をわれわれのこの血液の中に消化していくということには相当の時間がかかる。しかし元来日本人は非常におおらかな性格を持っておりますから、逐次そういうものも消化していくであろう、このように思うのであります。何しろ神道と仏教を一緒にごっちゃにしてもあわせてのんでしまうくらいの性格を持っているだけに、必ずやこれは自由主義、民主主義も日本型のそういう一つのタイプが生まれてくるのではなかろうかとわれわれも期待するわけであります。
 そこで私は、民主主義の一つの訓練の場として、地方自治体というものこそ民主主義の母体であり、あるいは民主主義の学校である、このようなことを言われているわけであります。なお、最近は地方の時代というようなことを口では言っているわけでございますが、依然として先ほど申し上げましたように体質としては中央集権の体質を温存されているわけでございまして、地方の側から見れば、多くの超過負担を払いながら、交付税を当てにしながら公共事業を運営しているような実態であるわけでございます。
 幸いに、私が提言したいのは、行革、特に第二臨調というような制度が生まれようとしているわけでございますが、この行政機構改革に際して思い切って中央の持っている権限、それから財源、これを地方に移譲する、そして地方の財源をふやしてあげる、そしてできるだけ中央は身を軽くする。こういうふうな一つの思い切った政策を自民党政府はおとりになることが、自民党の政綱に掲げられておる自由民主主義の主張と相マッチするのではなかろうか。このことは、行政管理庁として中央のそれぞれの各省の人員の削減その他一生懸命努力をされることだけでも容易ではない。けれども、しかしやはり一つの主張としては、あるいは思想としては、あるいは哲学としては、そういう一つの地方に対して力を与える、こういうふうな性格、そういう一つの姿勢を出すことによって、中央の官僚の管理社会というようなものからだんだんと離れていく、住民のあるいは民間の活力が伸びてくる、そういうふうなことにも役に立つわけでございまして、一々補助金をやるからというようなことになってくると、いろいろ先ほどから御意見が出ているように、その補助金をもらうために陳情これ努める、わずか五万、十万の金でも旅費をかけて東京に出なければならないような、そういう体質が依然として存在しているわけでございますが、そういうようなものも全部それは地方で片がつく、こういうふうなことにもなっていくだろうと思われますので、そういう面についてもっと思い切った――臨調、せっかくできた臨調でございますので、思い切った政策をおとりになるようにひとつお進め願えないものであろうか、この際行政管理庁長官並びに自治大臣にお伺いしておきたいと思います。
#371
○国務大臣(中曽根康弘君) 現在の憲法の構造を見ますと、地方分権というものはある程度これは憲法上の哲学的な基礎を持っておると思います。そういう観点から現在の中央と地方の関係を見直してみますと、かなりこれは考うべき点があるように思います。戦前におきましては官選知事で、いわゆる官治行政でございましたので、地方に支分部局、何とか局とか管理局とか置くことは余りございません。しかし戦後いわゆる地方自治ということが行われて、知事さんや市町村長さんが公選になるということになりますと、それがいまの憲法の基礎哲学にあると思うのでありますが、そうなるというと、いままでの官治行政になれてきた中央政府というものがややもすれば地方に不安を感じて、知事さんや市町村長さんうまくやれるかどうかというので、タコの足みたいに自分の支分部局をふやしてきたということが現にあると思います。しかしまた一面において、地方自治体においても、条例制定権を持って、それで余分に人間をふやしたり、あるいは選挙のためにいろいろ過剰な福祉をやったり、財政を乱費した点もなきにしもあらずです。そういう反省をこの際お互いがして、そして憲法の要請し、かつ国家統治という大きな目的に適合するような形で、中央は地方を見、地方は中央を見て、お互いが憲法の要求する本然の姿に返って見直してみる。それが今度臨時行政調査会の課せられた大きな一つの仕事であると思いまして、中央との関連において地方の改革が行わるべきであり、地方との関連において中央の改革が行わるべきである、そういう考えを持って対処していきたいと思います。
#372
○国務大臣(安孫子藤吉君) ただいま中曽根長官から申し上げたとおりでございまして、これから地方の問題という問題を臨調においても真剣に取り組んでいただきたいと私は願っております。
 それで、いま地方の時代とか言われておりますけれども、これは由来そういう性質のものなんでございまして、いまさらの問題では私はないと思っております。そしてまた地方というものが力が出てまいりませんければ国自体が伸びないものだろうと、こう思っておるわけでございます。この点において、どうしてもいままでは中央集権的な中央依存型の行政、政治が行われたのでございますが、これをやはり是正していく必要があると私は思っております。
 先ほど国庫補助負担金の問題なんかもこの場において論議されておりましたけれども、これなんかも本質から申しますと、これは国庫の補助負担金でございまするから、これを全部抹殺するわけにはいかぬだろうと私は思いますけれども、これを実行するにつきましては、ある程度の規模のもの以下とか、あるいは工事の難易さとか、あるいはまた重要性、そういうようなもので一つの限界を設けまして、一から十まで国庫補助負担金制度だから一々手続をとらにゃいかぬということじゃなくして、いま申しましたような限界のものは地方に自由に裁量してやれるというような制度だって可能なわけでございまして、そういう現実的な問題を臨調においても取り上げられましてこれを実行されることが地方に対して活力を与えるゆえんだろう。行政の方向は、そういう方向に政治の日も向けていただきたいものだと私どもは考えておるのでございます。
#373
○岩上二郎君 次に移ります。
 これ大蔵省から出ていると思いますが、この一般会計の歳出予算の問題、これは予算案ですか、予算ですか、どちらですか。
#374
○国務大臣(渡辺美智雄君) 実体的には議決されるまでは予算案だと思いますが、旧憲法以来現在の憲法でも予算案という言葉は使っておらず予算という言葉を使っておりますから、やっぱり予算は予算ではないかと、そう思います。
#375
○岩上二郎君 きょういただきました参議院の公報に「予算委員会」「会議に付する案件」と、こうあるわけです。予算案なのか予算なのか、法律については法律案、予算について予算。これはやはり明治憲法のおれたちがつくったものをおまえたちは審議をしても必ず通せよという意味で案ではなくて、ただ議会というものに見せるというだけの主張がそのまま新しい憲法になっても出ているんではないかと思いますが、そう思いませんか。
#376
○政府委員(角田禮次郎君) 先ほど大蔵大臣からもお答え申し上げたとおりでございますが、予算案と言ってもいいところで憲法は予算という言葉を確かに使っております。なぜそういう使い方をしたのか余りはっきりはいたしませんけれども、ただいま御指摘になったようなそういう深い意味は恐らくないだろうと思います。
 変なたとえで申しわけありませんが、湯を沸かすというような言葉は日本語にもしばしばあるので、正確に言えば水を熱して湯にすると言うところを、後にでき上がったものを目的語に使うような言い方が一般的にも用いられているので、その辺のところで余り気にとめなかったんじゃないかという、これも想像でございますが、そういうことだろうと思います。
#377
○岩上二郎君 もう一つ、これ大蔵省。
 公務員のいわゆる一般職員の手帳というのがあるんです。これは大きいの、小さいの。これは職員が持っているんです。ところが、私どもこれをただでいただいたのか、これは事務局の方で買っていただいたのか、まあそうだろうと思いますが、この手帳の中身が違うんですよ、憲法について。この憲法は漢字が全部当用漢字になっておるんです。私どもにいただいたのは全部当用漢字です。ところが、職員手帳の方は従来の原本のままです。しかもまだ、この憲法の漢字は当用漢字に改めておりますものの、ひらがなについては全部昔のままです。なぜ漢字だけが直ってひらがなが直らないのだろうか。たとえば「何々するように」という場合には「よう」と書きますが、憲法の原文では「やう」です。「何々と思う」というのは、われわれは一般に「う」というひらがなを使いますが、憲法では「ふ」です。これだけは直らないんです。同じ大蔵省の印刷局で出されたものがこのように違うんですが、これはどうお思いになりますか。
#378
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大蔵省は印刷するだけでございまして、要するに原稿を持ってきた方がそう書いてあるから印刷をしている。それは衆議院、参議院の事務局が持ってきているということです。
#379
○岩上二郎君 それは渡辺さんのおっしゃるとおりなんですね。そうすると、参議院、衆議院の事務局がどこか間違っているんですね。これはそのままでいいんだろうか。もしもどうすることもできないとするならば、正誤表でもおつけになられた方がいいのではないかと、このように思います。
#380
○政府委員(角田禮次郎君) いま当用漢字が用いられているというふうに言われましたけれども、これは正確に言えば当用漢字の字体が用いられていると言うべきだと思います。憲法で用いている漢字はすべて現在当用漢字の中へ入っておりますから、そういう意味では職員手帳も議員手帳も変わりありません。
 ただ、恐らく御指摘の点は、字体が議員手帳の方は簡易字体になっているんだろうと思います。たとえば「國」という字が「王」という字に「、」と打ったああいう字になっておるんじゃないかと思いますが、そうですね。(岩上二郎君資料を手渡す)どうもそのようでございますが、それはこういうことでございます。
 昭和二十一年に制定されて公布されたときにはまだ簡易字体表というものはなかったわけでございます。したがって、官報で公布された正確な字体といたしましては、当然のことながら、昔のむずかしい字体が用いられていたわけであります。現在まで日本国憲法は改正されておりませんから、厳密な意味ではむずかしい字体の方が使われるべきであります。ただ、その後、いわゆる簡易字体と申しますか、略字体が使われるようになりまして、現在法律や何かでもすべて略字体で書き直すという取り扱いになっておりますので、場合によっては憲法につきましてもそういう略字体で印刷をしていると、こういう違いが出てきたのだと思います。
#381
○岩上二郎君 これはただいまの御説明ではさっぱりわからないのです。しかしこれはそのままお話を申し上げておりますと私の質問の時間なくなりますので、先に移ります。
 現在の日本ほどきわめて憲法についての疑義の多い国はないと、このように思うのです。全くこれは不幸な生い立ちからであろうかと思いますが、すでに改正の時期あるいはその主体、さらに手続、内容、動機等すべてが他動的であって、憲法改正の草案を指示したマッカーサー元帥さえも、本国において、銃剣を突きつけて強制した憲法は、やがて日本が独立し、占領軍が去ったときは必ず白国の憲法をつくるであろうことを確信する、このようなことをアメリカの本国で言っておられます。
 私はこの平和主義を基調として主権在民、そして自由と民主主義社会を建設するために多くの矛盾や弱点を持っている憲法を日本人自身の手によって速やかに見直してはどうであろうかと、このように考えるのであります。一日おくれるならば百日の悔いを残すであろうことを憂えてならない一人であります。
 真の憲法擁護、いわゆる平和主義、自由主義、民主主義、これをたてまえとしてこれから日本の進むべき道をはっきり、しっかと踏まえてやっていくんだという、この真の憲法擁護というものは正真正銘の憲法でなければならぬ。国民の発想によらない翻訳憲法にも等しいこの他動的な憲法を擁護することは一体どういうものであろうかと、このように私は考えざるを得ないのであります。
 ちなみに諸外国の例を見ると、時代の変化に応じて多くの憲法改正をしております。第二次大戦後三十五年間を見てもほとんど改正されておりまして、ひとり日本だけが改正されておりません。これはひとつ先ほどお見せしたのをちょっと配ってください。
   〔資料配付〕
#382
○岩上二郎君 この中で、まずソ連では五十一回、スウェーデンでは三十八回、スペインでは十一回、東ドイツでは五回、イタリアでは五回、スイスが三十三回、キューバでは十二回、ブラジルでは二十二回、大韓民国では十回、朝鮮人民共和国では五回、中共四回等々でございます。
 なお、国文学者、国語学者の新居田正徳氏の調査によりますと、先ほどお配り申し上げましたように、文法上の誤りやかな遣いの誤り、これが六十カ所、送りがなの誤りが十五カ所、当用漢字表にない漢字が使われているもの二十九カ所、さらに三浦光保氏の調査によれば、議決を可決として取り扱っているように見うけるものが実に十九カ条あります。議決というのは否決と可決と両方総称したものが議決というわけであります。ところが、議決と可決を同じように取り扱っているのだけでも十九カ条あるわけです。十九カ条で二十八カ所にも及んでいるわけであります。これは皆さんのところに、お手元に差し上げたわけでございますが、第九条の解釈問題、先ほどからお互いに触れていろんな意見が出ておりますが、最高裁の判決によっても自衛隊は違憲でないと言っておりますし、また政府もそのような見解をとっておりますけれども、逆に反対の解釈も成り立つわけであります。前文から本文を読んでみるとまた逆な解釈も成りたつわけであります。当時の吉田首相さえも、共産党の野坂参三議員やあるいは社会党の鈴木義男議員がそれぞれこの自衛の戦争権は当然持つべきである、消極的政策を考えるべきではないと質問したのに対して、国家正当防衛権を認めるということは戦争を誘発する、有害である、したがって、自衛権を持つことは世界平和のために好ましくないと、その当時の吉田首相は言われている経過もあるわけであります。その当時いわゆる自由党は、これは理想論、そして野党は現実論に立って論議が繰り返されていたわけでありますが、その後は今度は自民党が現実論に立ち、野党が理想論に立つといったほど論議の多い第九条であります。いわゆる玉虫色の条文がいかにも多いのが目立つわけでございます。総理、玉虫色というのはどういう色なんでしょうか。
#383
○政府委員(角田禮次郎君) 玉虫色というのは、多分玉虫という虫の色がいろんな色に見えるという意味で、いろいろな解釈ができるというふうに比喩的に使ったんだろうと思います。
 ちょっと一言、いまの御質問に関連して申し上げてよろしゅうございますか。――ただいま御配付になりました資料の中で、いろいろ憲法で誤った言葉の使い方、字が使われているというふうなお話でございましたけれども、これは非常に誤解を招くおそれがありますので、この際私どもの意見を申し上げることをお許し願いたいと思います。
 まず第一に、先ほどもちょっと申し上げましたが、憲法は現在の当用漢字表に入っている漢字だけで使われております。決して当用漢字表にない字が憲法に使われているということは、これはございません。これが第一点であります。
 それからその次に、たとえば「行ふ」というふうな「ふ」という字がかなとして使われております。現在は「行う」になっております。これは、これも先ほど申し上げましたけれども、憲法が制定されました昭和二十一年当時は「行ふ」という使い方をしていたわけであります。一般的にそういうことが基準であったわけでございます。したがって、憲法が当然のことながら「行ふ」という字を使ってある。その後「行う」というふうに改めて使うことにしたわけでございます。現在は、したがいまして法律につきましては、改正の都度、もし「行ふ」と書いてあるものがあれば「行う」と直しておりますけれども、しかし憲法は、これは御承知のように直すチャンスはございませんから「行ふ」というのがそのまま残っているだけでありまして、これを誤りというのは全く当たらないと思います。
 それから同じ資料の中で、送りがなの問題も同じでございまして、「基づく」というのが憲法では「基く」――基礎の「基」に「く」、「基く」というふうになっております。これは、やはり当時は「基く」という送りがなの使い方が基準であったわけで、現在は「基づく」ということになって「づ」と「く」と送りがなを送ることになっております。したがいまして、これも同じように法律などは改正の都度そういう改め方をしておりますが、憲法は改めるチャンスがありませんからないだけでありまして、これも間違いだと言うわけにはいかないと思います。
 そのほか、「議決」と「可決」の問題とか「予算」とか「予算案」の問題、いろいろ表現の問題があると思います。無論私は、現在の憲法を一つの法律文書として見たときに、憲法の言葉の使い方あるいは表現の仕方が全体として完全無欠であるとまでは申しませんけれども、委員が御指摘になったように何十カ所に及ぶ誤りがあるというような一部の御意見は、私はそれには賛成することができないということを申し上げておきたいと思います。
#384
○岩上二郎君 ただいま御配付申し上げました憲法の誤りという学者の見解が示されたわけでございますので、長官のそれに対する反発資料、これをひとつ私にお見せいただきたい、このように思います。
 それから、憲法八十九条の、公の支配に属さない教育や慈善事業には公金を支出しちゃならない、こういうふうになっているわけでございますが、非常に教育問題――幼稚園初め保育所等々、それぞれの住民のニーズにこたえていろいろな公金が出ているわけでございます。この無認可幼稚園あるいは認可をしても法人化にならないまでの間の指向園とも言われているような幼稚園、そういうようなものにもお金が出ているわけでございますが、こういう憲法八十九条を改正しないでそのまま、まあやむを得ないニーズがある限りは、しかも、教育は一般国民に与えなければならないものというような考え方、いわゆる愛情と教育というか、そういう角度から公金がどんどんと支出されている。また私はそういうようなサイドにも立つわけでございますが、こういう場合に八十九条との矛盾をどう整理をしたらいいんだろうかと悩むんですが、長官の一つの考え方をお伺いしておきたい。
#385
○政府委員(角田禮次郎君) 憲法八十九条の後の方の部分に、公の支配に属しない教育だとか福祉の事業に対して公金を支出してはならないという規定があるわけでございます。この規定の趣旨が一体どういうものであるかについてはいろんな考え方もありまして、私も自信を持ってなかなか申し上げにくいのでございますけれども、一般的には教育とか福祉というようなことについては、これは事柄自体は大変いいことでありますから、ややもすれば、そういう美名になれて公金が乱費されると、そこで公の支配と申しますか、簡単に言えば公の監督のもとに置かなければならないんだと、こういうふうに説明されているわけでございます。しからば、公の支配という条件を満たすには、どの程度の監督をすれば憲法上の要請が満たされるかということになるわけでございます。これについてはもう詳しくは申し上げませんが、いろいろな法律がありまして、現在のところ、そういう法律で定めてある要件を満たしているものについては、公の支配に属するものとしていろいろな補助金が出ているわけでございます。たとえば、個人立の幼稚園などについても、法律によって監督がされているということで補助金が出ております。しかし、それでもなおかつ十分にカバーできないものがあり、なおかつそういうものに対して金を出すべきニーズがあるということは、社会的に現実として認めざるを得ないと思います。その辺については、憲法の解釈としてはやや無理なものがなお残されているということは、私も認めざるを得ないと思います。
#386
○岩上二郎君 いろいろと市民社会が充実をしてくるに従ってニーズというのはますます高まる一方であろうと、このように思うんですね。それを法律的に拡大解釈をする、憲法でも拡大解釈をしている。行き着くところは一体どうなるんだろうか。そうすると法治国家というのは一体何なんだろうかと、このような矛盾にぶつかってくるわけでございます。日本の国も財政的に大変で、特に赤字国債、アメリカ、イギリスあるいはフランス、西ドイツ合わせてとにかく十五兆円、日本も十四兆円何がしと、このような非常に借金政策でようやく生活を賄っているような、そういうふうな現実、高齢化社会がますます進む、そういう中で教育を初めとして福祉関係をさらにより充実しなければならない。しかしながら、一面は校内暴力あるいは教科書の偏向とかいろんなことが言われているわけでございますが、それに対して教師も親もガバナビリティーがないまま生徒にどう教育していいかわけがわからないようにうろちょろしているような、そういうふうな社会ができていいはずがない。やはりその根源なるところは憲法、いわゆる最高法規であるところの憲法がしっかりしないところに問題があるのではないか、このように私は思うのです。この際やはり、先ほどいろいろと字句の問題等々御提示を申し上げまして、また反論がございましたが、それと同じように憲法論議をやはり大いに進める必要がある、そして本当の国民のためになる憲法、本当に国民のつくるそういう憲法というものがやはり必要ではないだろうかと思われてなりません。
 そこで、ひとつ議会において、総理、お願いしたいのは、この議会に憲法調査委員会、あるいはまた内閣に――かつて鳩山時代に内閣に憲法調査室というものをおつくりになって十年ぐらい相当資料がたまっているわけでございます。約一メーター五十センチぐらいたまって、そのまま死蔵されております。内閣にもつくって、ひとつ憲法調査室みたいなものをおつくりになる御用意があるかどうか、ちょっと承っておきたいと思います。
#387
○国務大臣(鈴木善幸君) かつて政府におきましては、憲法調査室を設け、また高柳さん等を中心とした憲法調査会で調査研究を進めたことがございます。その当時の文献も保存されておるわけでございますが、国会におきましては、私はこれは国会自体でこの御判断を選択をさるべきものだと、こう思っております。政府としては、過去において相当綿密な調査研究をした資料もございますので、改めて憲法調査会とかそういうものを設ける考えは持っておりません。ただ、自由民主党におきましては、御承知のように憲法調査会がございまして、憲法について国民の御意見等も伺いながら慎重な討議検討が進められておるということを承知をいたしております。
#388
○岩上二郎君 私は、真の憲法、これを擁護する、このような立場から、その現在の憲法の矛盾点を指摘をしているわけでございまして、やはり本当の正真正銘の憲法を日本人の手によってつくる、これが一番大事なことでは衣かろうかと思いますので、そういう考え方でいままで御質問申し上げていたわけでございます。
 さらに、時間がなくなったようでございますが、国際障害者年をことしは迎えているわけでございますが……
#389
○委員長(木村睦男君) 岩上君、時間が参りました。
#390
○岩上二郎君 大変どうも失礼しました。それじゃ、以上で終わります。(拍手)
#391
○委員長(木村睦男君) 以上で岩上君の総括質疑は終了いたしました。
 本日の質疑はこの程度にとどめます。
 明日は午前十時から委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
   午後六時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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