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1980/03/17 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 予算委員会 第11号
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1980/03/17 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 予算委員会 第11号

#1
第094回国会 予算委員会 第11号
昭和五十六年三月十七日(火曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     岡部 三郎君     八木 一郎君
     梶原  清君     板垣  正君
     村上 正邦君     熊谷太三郎君
     森山 眞弓君     鈴木 省吾君
     中野  明君     渡部 通子君
 三月十七日
    辞任         補欠選任
     板垣  正君     梶原  清君
     小野  明君     本岡 昭次君
     大木 正吾君     大森  昭君
     小笠原貞子君     下田 京子君
     柄谷 道一君     三治 重信君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         木村 睦男君
    理 事
                亀井 久興君
                古賀雷四郎君
                平井 卓志君
                宮田  輝君
                粕谷 照美君
                和田 静夫君
                渋谷 邦彦君
                沓脱タケ子君
                柳澤 錬造君
    委 員
                岩上 二郎君
                岩本 政光君
                梶原  清君
                熊谷太三郎君
                熊谷  弘君
                藏内 修治君
                下条進一郎君
                鈴木 省吾君
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                竹内  潔君
                谷川 寛三君
                玉置 和郎君
                名尾 良孝君
                長谷川 信君
                林  寛子君
                増岡 康治君
                八木 一郎君
                山崎 竜男君
                大森  昭君
                志苫  裕君
                竹田 四郎君
                寺田 熊雄君
                村沢  牧君
                本岡 昭次君
                安恒 良一君
                大川 清幸君
                桑名 義治君
                田代富士男君
                渡部 通子君
                下田 京子君
                柄谷 道一君
                三治 重信君
                前島英三郎君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       法 務 大 臣  奥野 誠亮君
       外 務 大 臣  伊東 正義君
       大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君
       文 部 大 臣  田中 龍夫君
       厚 生 大 臣  園田  直君
       農林水産大臣   亀岡 高夫君
       通商産業大臣   田中 六助君
       運 輸 大 臣  塩川正十郎君
       郵 政 大 臣  山内 一郎君
       労 働 大 臣  藤尾 正行君
       建 設 大 臣  斉藤滋与史君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    安孫子藤吉君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       宮澤 喜一君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       中山 太郎君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       中曽根康弘君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (国土庁長官)  原 健三郎君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  大村 襄治君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       河本 敏夫君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       中川 一郎君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  鯨岡 兵輔君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長
       兼内閣総理大臣
       官房審議室長   石川  周君
       内閣法制局長官  角田禮次郎君
       内閣法制局第一
       部長       味村  治君
       内閣総理大臣官
       房総務審議官   和田 善一君
       公正取引委員会
       委員長      橋口  收君
       公正取引委員会
       事務局経済部長  伊従  寛君
       警察庁長官    山本 鎮彦君
       警察庁長官官房
       長        金澤 昭雄君
       行政管理庁長官
       官房審議官    林  伸樹君
       行政管理庁行政
       管理局長     佐倉  尚君
       北海道開発庁総
       務管理官     大西 昭一君
       防衛庁参事官   岡崎 久彦君
       防衛庁長官官房
       長        夏目 晴雄君
       防衛庁防衛局長  塩田  章君
       防衛施設庁総務
       部長       森山  武君
       経済企画庁長官
       官房長      禿河 徹映君
       科学技術庁長官
       官房長      下邨 昭三君
       科学技術庁原子
       力局長      石渡 鷹雄君
       科学技術庁原子
       力安全局長    赤羽 信久君
       環境庁長官官房
       長        北村 和男君
       沖繩開発庁総務
       局長       美野輪俊三君
       国土庁長官官房
       長        谷村 昭一君
       法務大臣官房長  筧  榮一君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  千種 秀夫君
       法務省民事局長  中島 一郎君
       法務省入国管理
       局長       大鷹  弘君
       外務大臣官房長  柳谷 謙介君
       外務省北米局長  淺尾新一郎君
       外務省欧亜局長  武藤 利昭君
       外務省経済局長  深田  宏君
       財務省経済局次
       長        羽澄 光彦君
       外務省経済協力
       局長       梁井 新一君
       外務省条約局長  伊達 宗起君
       外務省国際連合
       局長       賀陽 治憲君
       大蔵省主計局長  松下 康雄君
       国税庁直税部長  小幡 俊介君
       文部大臣官房長  鈴木  勲君
       文部省初等中等
       教育局長     三角 哲生君
       文部省大学局長  宮地 貫一君
       文部省社会教育
       局長       高石 邦男君
       厚生大臣官房長  吉村  仁君
       厚生大臣官房審
       議官       吉原 健二君
       厚生省公衆衛生
       局長       大谷 藤郎君
       厚生省環境衛生
       局長       榊  孝悌君
       厚生省環境衛生
       局水道環境部長  山村 勝美君
       厚生省医務局長  田中 明夫君
       厚生省薬務局長  山崎  圭君
       厚生省社会局長  山下 眞臣君
       厚生省児童家庭
       局長       金田 一郎君
       厚生省保険局長  大和田 潔君
       農林水産大臣官
       房長       渡邊 五郎君
       農林水産大臣官
       房予算課長    京谷 昭夫君
       農林水産省経済
       局長       松浦  昭君
       農林水産省構造
       改善局長     杉山 克己君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     二瓶  博君
       水産庁次長    山内 静夫君
       通商産業大臣官
       房審議官     柴田 益男君
       通商産業省通商
       政策局長     藤原 一郎君
       通商産業省産業
       政策局長     宮本 四郎君
       通商産業省基礎
       産業局長     小松 国男君
       通商産業省機械
       情報産業局長   栗原 昭平君
       資源エネルギー
       庁長官      森山 信吾君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        高橋  宏君
       資源エネルギー
       庁公益事業部長  石井 賢吾君
       運輸大臣官房長  角田 達郎君
       運輸大臣官房総
       務審議官     石月 昭二君
       運輸省船員局長  鈴木  登君
       運輸省鉄道監督
       局長       杉浦 喬也君
       運輸省航空局長  松井 和治君
       郵政大臣官房長  奥田 量三君
       労働大臣官房長  谷口 隆志君
       労働省労働基準
       局長       吉本  実君
       建設大臣官房長  丸山 良仁君
       自治大臣官房長  石見 隆三君
       自治大臣官房審
       議官       大嶋  孝君
       自治大臣官房審
       議官       矢野浩一郎君
       自治省財政局長  土屋 佳照君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        道正  友君
   参考人
       社団法人農村生
       活総合研究セン
       ター専務理事   矢口 光子君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十六年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十六年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十六年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(木村睦男君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算、昭和五十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(木村睦男君) まず、一般質疑についての理事会における協議決定事項について御報告をいたします。
 審査日数は五日間分とすること、質疑時間総計は六百九十九分とし、各会派への割り当ては、自由民主党・自由国民会議及び日本社会党それぞれ二百十七分、公明党・国民会議百二十一分、日本共産党及び民社党・国民連合それぞれ四十八分、新政クラブ及び第二院クラブそれぞれ二十四分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。
 右、理事会決定どおり取り運ぶことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(木村睦男君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和五十六年度総予算三案審査のため、本日の委員会に社団法人農村生活総合研究センター専務理事矢口光子君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、出席時刻等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(木村睦男君) これより和田静夫君の一般質疑を行います。和田君。
#9
○和田静夫君 まず厚生大臣、今日医療法の改正が必要な理由は何ですか。
#10
○国務大臣(園田直君) 大部分の医療機関に従事する方々は非常にまじめにやっておられますが、ごく一部にいろんな不正事件や、まことに遺憾な事件が多発をいたして国民の医療に対する信頼を失っております。これに対しては、やはり医療に従事する方々が中心でありますが、この医療に従事する方々がそれぞれ自制される動きが出てきたことはきわめて結構でありますが、私の方では適正にこれを指導し、あるいは不正なものは摘発すると、こういうことも大事でありますが、いまの医療法の不術を補ってひとつ新しい体制をつくるということ。
 もう一つは、医療は地域医療がきわめて大事でございますから、この地域医療というものをもう少し各方面の意見を聞いてやりたいと、こういう点が大体医療法改正をお願いしたいと思う主な原因でございます。
#11
○和田静夫君 この改正案要綱の第二、改正の要点、医療計画の作成の「ウ」ですね。「都道府県知事は、医療に関する専門的科学的知見に基づいて医療計画を作成するため、診療及び調剤に関する学識経験者の団体の意見を聴取したうえで、」、この「学識経験者の団体」とは何ですか。
#12
○国務大臣(園田直君) それぞれ地域の都道府県知事の方々とも相談をして、地域医療を達成するのにいろいろ経験の深い方々を考えております。
#13
○和田静夫君 具体的に「団体」ですよ、「団体」。方々と言われましたが、これは「団体」になっている。
#14
○政府委員(田中明夫君) お答え申し上げます。
 「診療及び調剤に関する学識経験者の団体」というのは、各県の医師会、歯科医師会、薬剤師会を指しております。
#15
○和田静夫君 私もそう思ったんですよね、大臣。まさに、この医師会に行政が御意見を拝聴するということですね。現在でも医療審議会を医師会が牛耳っています。その上、医療計画の策定にまで医師会の意見を反映する、いや医師会の意見のままに策定をする、その制度化にほかならない。医師会には参加させるけれども、基本的に最も大切な住民の参加というものは保障しない、こういうような形での医療法の改正が図られようとしている。この辺のところは厚生大臣と自治大臣からちょっと答弁を求めておきます。
#16
○国務大臣(園田直君) 委員の中には住民代表、患者代表の方々も参加していただくように考えております。
#17
○国務大臣(安孫子藤吉君) 地域医療計画は適正なものができなくちゃならぬ、それが住民に対して非常に有益なものでなくちゃならぬと思います。それの策定につきましては、もちろんいまお話のありました団体等のほか、いろいろな地域の問題についても、その意思が反映されるような、そうした適正な医療計画というものができなくちゃならぬだろうと私は思っております。
#18
○和田静夫君 厚生大臣、いまの自治大臣の意見ですね、これが十分に生かされるように、配慮をこの機会に求めておきたいと思いますが、もう一言。
#19
○国務大臣(園田直君) 御発言の中の医師会の問題、それから住民、患者の代表の意見については十分留意をして、今後審議会とも相談をして、御発言の趣旨が生きるように必ずいたします。
#20
○和田静夫君 この(2)に「開放型病院の整備」というのが大臣あるんですがね。私は、この文章の限りでは賛成です。
 開放型病院の必要性は叫ばれてきて久しいし、私自身も地域中核病院なり開放型病院の必要性をずっと議会で訴えてきました。しかし、この開放型病院として何を想定しているかということが実は問題なんですが、いかがですか。
#21
○政府委員(田中明夫君) 開放型病院というのは、先生御案内のとおり、地域の医師が寄って共同で利用されるというような型の病院であるわけでございます。現在全国で四十ばかりつくられておりますいわゆる医師会立の病院はその一つの型であろうかと考えております。ただし、開放型病院は医師会立病院だけではございませんで、従来から国立あるいは公立その他の公的医療機関につきましても、できるだけ病院を一般の医師に開放するように指導しておりますし、今後ともその指導は続けてまいりたいというふうに考えております。
#22
○和田静夫君 いま医務局長が述べたように、共同利用型病院即それは医師会立病院、端的に言えば、厚生大臣、その辺が厚生官僚の手でねらわれている。これは先ほど来、前段で論議をした、たとえば公的病院の代表も参加が保障されない、システムとしては。そういうような上にでき上がっていく危険性があるんですね。ここのところはもう一遍、自治大臣、こういう方向で動いていますから、自治大臣の意向が生きるという形にはなかなかなりそうもない。ここのところは生きるように厚生大臣と十分に詰めてもらわなきゃならぬと思うんですが、御両者から答弁願います。
#23
○国務大臣(園田直君) 自治大臣ともよく相談をして偏らないようにいたします。
#24
○国務大臣(安孫子藤吉君) きわめて重要な問題でございまするので、厚生大臣と十分相談をいたしまして、遺憾なき処置をとりたいと思っています。
#25
○和田静夫君 医師会は、プロフェッショナル・フリーダムなんと言っているんですよ。私は冗談じゃないという感じがするんです。医師会の言うプロフェッショナル・フリーダムというのは、乱診乱療のフリーダム、薬づけのフリーダム、脱税のフリーダムではなかったか、今日の実情は。もちろん私は、多くのお医者さんが現在の医療に頭を悩まされていると思いますし、たくさんりっぱな方々がいらっしゃいますが、そういうのは一部の医者だけかもしれません。しかし、プロフェッショナル・フリーダムの名のもとに富士見病院があった、あるいは十分会があった、あるいは近藤医院があった、勝手きわまることをやってきた、こう言ってよいと私は思うんです。
 これらの事件を明るみに出して告発したのは、厚生大臣、医師会ではなかったんですね。決して医師会ではなかった。被害を受けた患者であったわけですよ。あるいはその訴えを受けた素人の団体だったわけです。医師会のチェック機能は、私はないとは言いませんけれども、大変に弱いことはこういう多くの事件で明らかだ。地域医療計画の策定に、私はアマチュア――素人が、いま厚生大臣が言われましたように、参加させられることがそういう意味で保障されなきゃならぬのだと。供給を受ける側の意見を聞くということ、そのことが私は大変大切なんだと。医療審議会にしても実態は医師会が牛耳っているんですよ。供給を受ける側が忌憚なく物を言える場をシステムとして制度的に保障をする、このことは、率直に言えば公的病院の代表も明確に加える、こういうことでなきゃならぬと思うんです。厚生大臣の所見を伺います。
#26
○国務大臣(園田直君) 医療というものについてはいろいろ問題がありますが、私は、医師会というのが国民から親しまれ、尊敬を受ける医師会になっていただくことが非常に大事だと、こう思っておるわけでありまして、ややもすると国民が、お医者さんというのは自分たちの利己主義のために国民を敵に回していると、こういう印象がなきにしもあらずでございます。幸い近ごろは、医師会の方でオープンシステム、相互監視などと言い出されたことは非常にありがたいことだと思っておりますが、いま御発言の公的病院の重要性、これを外さないように十分注意をいたします。
#27
○和田静夫君 国の責任がこの医療計画の策定に対してどういうふうに一体位置づけられているのでしょうか。
 すなわち私は、国の責務として二つのことをきょう提案したいのですが、一つは、国は地域医療計画に対してガイドラインを示すこと、いま一つは、「国は、医療計画の達成を推進するため必要な措置を講ずるように努めるものとする」というふうになっているわけですから、これに財政的支援、財政措置を明記すること、こういうふうに考えるんです。後段の部分は大蔵大臣からも答弁求めたいのですが、まず厚生大臣。
#28
○国務大臣(園田直君) 第一段の問題は、御指摘のとおりでございます。
 二番目の財政上の問題でありますが、総括して厚生大臣が考えますると、いろんな福祉その他一般の制度からして、各地方自治体にいろんな責任や仕事をお願いしておりますが、財政的には必ずしもお願いするだけのことはしてないんじゃないかという反省を絶えずしておるわけであります。今度の地域医療の問題もきわめて大事な問題でありますが、残念ながらまだ財政当局とは御相談がかなっていない状態でございまして、今後よく御相談をいたします。
#29
○和田静夫君 大臣どうですか、大蔵大臣、後の部分。
#30
○国務大臣(渡辺美智雄君) 相談は受けておりませんので、何とも申し上げかねます。
#31
○和田静夫君 自治大臣ね、いま厚生大臣が答弁されたとおりなんですよ。これ、地方の負担がずっとまたかかってきますよ。どういうふうに処理されますか。
#32
○国務大臣(安孫子藤吉君) いま厚生大臣からお話のございましたとおり、これはやはり国において財政負担をしてもらわにゃならぬ性質のものだろうと私は思っております。この点について私も、また厚生大臣からも、大蔵大臣にはぜひ近い機会にお願いをいたしたいと、こう思っております。
#33
○和田静夫君 公的病院に対する病床規制が改善されないばかりか、この法律案要綱を読んでみますと、より一層強化されるような感じがしてならないわけです。この二十数年国及び公的病院は、開設規制を受ける、あるいは病床規制を受ける。で、伸び率が大変に低いわけですね。一方、私的病院は野放し状態になっているわけです。昭和三十年と五十四年を比較しますと、病床数で公的は一・六四倍、私的は五・二三倍、圧倒的に私的病院がふえているわけです。これで医療の公共性が維持できると厚生大臣お考えですか。
#34
○国務大臣(園田直君) 公的病院の経営の面から非常に胸を痛めておるところでございます。これはしかし、公的病院の特殊な使命もございますから、一般の私的病院のように必ずしもうまくまいりませんけれども、いまの点は今後十分注意をして、いろいろ御意見を聞きながら考えてみたいと思います。
#35
○和田静夫君 ちょっと医務局長に尋ねますが、あなたは、この改正案、改正する必要性について各省で説明をする場合に、都市部において――いまの質問との関連ですからね、内容を伴わない病院が無秩序に進出して、開業医が担っている初期診療が崩壊するおそれがある、開業医を守る必要がある、こういうことを述べ続けていると仄聞をするんですが、そうですか。
#36
○政府委員(田中明夫君) 一部の地域におきましてホームドクター的な役割りを担っております開業医の存在を危うくするようなリース会社その他の資本に支えられた病院の進出がございまして、非常に胸を痛めておるところでございます。
#37
○国務大臣(園田直君) 政府委員がいまお答えいたしましたことは、ちょっと、私の考えとは少し食い違っております。
 私は、公的病院と個人開業のお医者さんとは対立すべきものではなくて、縦につなぐべきものだと考えております。むしろ診療や治療するものも個人開業医と公的病院は違う。それからもう一つは、いま盛んに皆さんから言われておる高価な、高い値段の医療機械等たくさんございますが、これは公的病院の方になるべく置いて個人開業のお医者さんが使えるようなふうにして、使命をはっきりすることと、お互いに連絡し合って助け合うという方向に考えるべきであって、個人の開業医と公的病院が患者を争って対立する、一方が栄えれば一方が困るというようなことは、私の方の医療行政に矛盾があると考えております。
#38
○和田静夫君 私は、この地域医療計画の中心は地域中核病院の設定だと考えています。開放型病院というのは、その地域中核病院でなければならぬのだと実は思うのです。この地域中核病院の位置づけをきちんとすべきです。その基本的な性格、役割り、機能をきちんと位置づけなきゃならない。この病院がオープンシステムになっているということなんだろうと思うんですね。地域中核病院の基本的性格というのは、何よりもまず公的あるいは公共的でなければならない、管理運営が公的なものとして保障されていなきゃならぬだろう、そういうふうに私は考えていますが、この問題もう終わりにしますけれども、厚生大臣、自治大臣の所見を承っておきます。
#39
○国務大臣(園田直君) 私もそのように考えますが、問題は公的病院の財政、経営をどうやっていくかということに問題があると思っております。
#40
○国務大臣(安孫子藤吉君) 中核病院は、結局、大体公立病院的なものでなければ中核病院的な性格を持ち得ないのじゃないかと、こういうふうに私は思っております。あるいは地域によって例外もあるかもしれませんけれども、そういう性格のものが中核病院じゃなかろうかと思います。
#41
○和田静夫君 老人医療で一つだけちょっと。
 前の安恒委員の総括的な質問に補足的にお尋ねを申し上げておきたいのは、病院で積極的な医療を必要としない老人のために、在宅と病院の中間的な医療福祉施設というような意味で、特別養護老人ホームをもっと積極的につくっていく、また看護中心のナーシングホームをつくる、あるいは養護老人ホームの医療費は病院の約半額ぐらいで済むと言われているわけです、そういう事例もあるわけですから。在宅と病院との中間的機構を積極的につくっていくことが私は今日求められていると思うんです。新潟県の大和病院であるとかあるいは福島県のいわきの特養だとか見ましたけれども、大変病院と在宅との関係、中間的な機構がよくできていますよ、最近。こういう先例に学んで、これらに対する国の財政的な保障、あるいは設置、管理の基準、そういうものの見直しや明確化に私は早急に取り組むべきだろうというふうに考えるのですが、大臣、いかがでしょうか。
#42
○国務大臣(園田直君) 第一に、特別養護老人ホームというものをいままでと考え方を少し変えて、目的なり使命を見直していかなきゃならぬということと、それから在宅と病院との中間、たとえば農繁期には在宅の老人を預けられる場所だとかあるいは病気が重くなってきた場合に預けるとか、そういうものを補う方法を養護ホームを使うか、あるいは特別な病院をつくるのが一番いいのでございますけれども、これはなかなか困難でございますから、とりあえずは養護ホームを何かこう見直してやった方が早いと考えております。
#43
○和田静夫君 言われるように、私はそれを制度的にきちんと明確化することが必要なんだと。どうですか、今度の法律にそれぐらいのこと明記されたらいかがでしょう。
#44
○政府委員(山下眞臣君) 御指摘は寝たきり老人、虚弱老人の問題だろうと思うのでございますが、大臣のお話にもございましたように、特養の方で医療ケアの面を非常に重視をいたしまして、福祉施設の中で医療施設に最も近い施設として形成をしていく。片一方、医療施設の側からも、あるいはデーケア施設でありますとかあるいは老人のケアをする病院でありますとか、そちらからも福祉施設の側に歩み寄っていただく。そして、その間にすき間をなからしめるという努力を今後とも続けてまいらにゃならぬと思うわけでございますが、さて、これを新しい老人保健医療法の中でどのように法律的に性格づけてやっていくか。いま病院は医療施設、特別養護老人ホームは福祉施設ということで割り切っておるわけでございます。中間的な問題ということになりますと非常に検討すべき問題が多うございまして、ただいまのところまだ結論を得ていない状況でございます。
#45
○和田静夫君 大臣、結論は得られていないのでしょうが、私は提案をしたわけですから、どういうふうに臨まれますか。
#46
○国務大臣(園田直君) いまの御発言、私もそう思うばかりじゃなくて、それをやらなければいろんな問題がまた山積をしてきて不測の問題が起こってくると思いますから、事務当局ともよく相談をして検討いたします。
#47
○和田静夫君 きょうの理事会で、外務大臣、二十一日に訪米されて米国要人と会談をされるために休暇届を出されまして承認したわけですが、さて、予定とどんな会談の内容になるのか、もう一遍、総括でもいろいろありましたが、ここでお述べください。
#48
○国務大臣(伊東正義君) 理事会で御承認いただきましてありがとうございました。
 二十一日から参りまして、ヘイグ国務長官でございますとかあるいはワインバーガー国防長官でございますとかあるいは大統領、副大統領にお会いして意見を交換するという日程を組んでおります。
 それで、参りますのは、五月には総理がアメリカに国会の御了承あれば出かけて首脳会談をされるという日程を持っておられますので、私は参りまして、日本の外交というのは、世界の平和、安全ということを求める、その中で日本の平和、安全、繁栄ということを考えるわけでございますから、日本の国際的な地位ということからしまして、世界の平和、安全、繁栄ということにどういう役割りを果たせるか、また果たすべきかということが日本外交の基本でございますので、その際に自由主義の国々のリーダーであります。アメリカ、日本は安保条約をつくっておりますので、そのアメリカと緊密な連絡協調ということが大切だということは前々から申し上げておるわけでございますから、そういうアメリカに新政権ができましたので、国際情勢の判断、認識あるいは二国間の問題等につきまして率直に意見の交換をしまして、両国がどういう協調を図っていけるかというその関係の緊密化ということにつきまして率直な意見を交換してまいろうというつもりでございます。
#49
○和田静夫君 今度の日米会談の意義はどこにありますか。どういうふうにお考えになりますか。
#50
○国務大臣(伊東正義君) いま日本外交の基本的な態度について申し上げました。アメリカは、新しい政権が西側のリーダーとして一貫した信頼あるリーダーになろう、そのためには、西側の諸国とよく協議をしようということを言っているわけでございまして、日本の外交の基本は、日米の友好ということが基礎であるということをいま申し上げたわけでございますので、新しい政権とその関係の緊密化を八一年の当初に当たってお互いに確かめ合うということが非常に私は意義のあることだ、そういう立場に立って、西側のECでございますとか、あるいはASEANとかというところと協調、連絡を密にしてまいるわけでございますが、その上に立って、どの地域でもどういう国ともできれば友好関係を保ちたいということが基本でございますので、まず西側のリーダーであるアメリカとお互いの意思を確かめ合うということに私は非常に意義があるというふうに思っております。
#51
○和田静夫君 このレーガン新政権は内外で前政権と大きく異なる政策を打ち出してきていますね。そうした米国新政権の新しい戦略、路線について、その出てきた背景とともにどういう認識を外務大臣はお持ちになっているのか。具体的に後入りますが、まずひとつ大局的な見地から一遍答弁願います。
#52
○国務大臣(伊東正義君) 前の政権が人権外交とかそういうことを非常に重く主張されたのでございますが、レーガン政権は、そういうことにつきましては比較的ベトーネンはしておらぬというような事情がございます。あるいはソ連との関係の、力による平和といいますか、そういう関係を前面に押し出しておるということも前とは若干ニュアンスは違っております。また、西側の陣営の諸国とよく協議をする、密接な連絡を保つということもよく言われているわけでございまして、国際情勢の認識は私は前の政権とは変わりないと、こう思いますが、いろいろニュアンス、プロセス、それに近づく手段等においては若干違いがあるということを認めております。
#53
○和田静夫君 レーガン政権の新政策は、アメリカの影響力の後退を前提に組み立てられていると私は思うのです。そこで、一体アメリカの影響力の後退というのはどういうものなのでしょうか。どの程度なのか、必ずしも私ははっきりしていないと思うのですね。特にこの米ソ関係を軸に、いわゆる東西関係にアメリカの影響力の後退がどういう形で生じているのか、近い将来生ずると認識しているのか、具体的にちょっと聞かしてくださ
#54
○国務大臣(伊東正義君) まさにいまおっしゃったようなことが、行きますとアメリカ側から話が出る内容の一つじゃないか。国際情勢の認識の問題でございますが。恐らくそういう話が出るだろうと私は予想はしております。こちら側からそれがどうなっているということをいま言う立場にはないわけでございますが、よく言われていることは、東西関係の力の均衡といいますか、そういうことにある程度の不安といいますか、将来そういうことになっては世界の平和が保たれないので、いわゆる力による平和、バランスというようなことについて、よく証言があったり演説があったりということは聞いておりますが、まさにそういうことが、向こうに参りましたときのいろいろ国際情勢の認識というようなことで話が出てくるだろうというふうに思っております。
#55
○和田静夫君 軍事面に限ってみますと、米国内にも米国の軍事優位は確保されているという有力な意見、これはもうカーター・ブレーンなどを中心としてあったわけですから、カーター、レーガンの大統領選挙というのはまさにそれは大きな争点だったわけでして、カーターが敗れてレーガンが勝利した。皮肉な言い方をすると、米国の力の後退派が勝利して新戦略が出てきた、そういうふうに言ってもいいと思うのですが、もちろんアメリカの政治体制を私はとやかく言っているわけではありません。しかし、カーターからレーガンへの大統領交代は、余りにも大きな認識の差というより以上に対立と言っていいくらいの相違があるような感じがするのですよ。ところが驚いたことには、日本の政府もあっさりどうも変身をして、カーター派からレーガン派へ乗りかえて世界認識を改めたのではないかというような感じがしてたまらない。カーター前大統領の世界認識と、レーガン新大統領の世界認識と相違する点をさっき外務大臣はお認めになった。そこで、日本政府として、米国の政権交代に影響されることなく、独自の世界認識というものを示すことができないのだろうか。示すべきだと私は思う。もう少し米ソ関係に対する米国政権の見方の相違というものを述べてくれませんか。
#56
○国務大臣(伊東正義君) さっきもちょっと申しましたように、国際情勢の認識ということは、私はカーター政権もレーガン政権も変わりないと思うのです。与えられた与件で、アフガンの問題でございますとか中東の問題でございますとか、いろいろ国際情勢の認識があるわけでございますが、その際に私はカーター政権もレーガン政権も基本的には変わりないというふうに見ております。ただ、その場合にどういう対策を立てるかというところでいろいろなニュアンスの違い等がこれはあるのかなあと、行って話してみてアメリカの意向も考え方も聞こうと思っているわけでございますが、日本としましては、与件は変わらぬわけでございますから、これは相手がどうなったから日本がそれにつれて一緒に変わっていくということじゃ私はないと。日本としまして、やっぱり与えられた客観的な事実というものは一つでございますので、それに対して日本はどういうふうに対処するのだということでございまして、やはり日本は、そこは自主的に判断する。そして、日本の考え方を新しい政権に伝え、理解をまた深めるということが今度私が参ります一つの役目じゃないかと、こういうふうに思っております。
#57
○和田静夫君 レーガン政権は、リンケージ政策を打ち出してSALTIIだけを単独に取り上げることはないとして、デタントに逆行する立場をとっているかに見えるのですね。この点については、日本政府は、支持する、あるいは理解をする、それともデタントへの努力を要請する、それらのうちのどちらですか。
#58
○国務大臣(伊東正義君) 私は、日本としましては、やはり国際緊張をなるべくなくしていくという意味で、アメリカにもそういう考えを伝えるつもりでございます。
#59
○和田静夫君 デタントについては、米ソにもともと認識の相違があったと言われます。「ソ連は、以前から一貫して、デタントを米国との核戦争の回避と欧州での現状固定化として捉えてきた。」、ところが米国にとっては、「デタントはグローバルなものでなくてはならず、東西間の緊張緩和のためには、欧州以外の地域においても一方的利益を追求しないというソ連の白制が必要である」、そういう米国のデタント論、これをソ連の立場からすれば、「形を変えた「封じ込め」であり、「米ソ対等」の原則に反し、受け容れられないということ」になる。では、一体ヨーロッパではどうだろうかと思って読んでいましたら、「西欧は、建前の上では、デタントの一体性を認めながらも、本音では、できるかぎり欧州のデタントをグローバルな東西関係の緊張から隔離しようと考えた。このような西欧の姿勢の背後には、「ソ連の進出がアフガニスタンで止まるのであれば、それはけっして好ましいことではないにせよ、そのために自分たちが営々と築き上げてきたヨーロッパの緊張緩和の利益を犠牲にすることはできない」との基本認識がある。」、「西欧が、自らの安全保障の脆弱性、歴史的なソ連との関係、対ソ貿易から得ている利益などを考慮して、アフガン問題の発生にもかかわらず、欧州における緊張緩和を守りたい」――引用したのは、これは外務省の栗山審議官が中央公論に書かれた論文です。
 このようなデタントについての立場によって変わる認識を見てみると、アジアにおける日本の立場からするデタント論があって私はよいはずだと思うのです。アメリカがデタントに熱意がなく、軍事強化に努める路線になったからといって、また、アメリカが要求するからといって、防衛力強化に努めるのではなくて、日本の利益を、グローバルな視点も結構ではありますが、もう少し歴史的に考えてみる必要があるのではないだろうか。外務大臣、どうですか。
#60
○国務大臣(伊東正義君) いまおっしゃったデタント論でございますが、私も去年十二月ヨーロッパへ行きましたときに、ポーランドの問題が非常に問題になっておりました。そのときに欧州の首脳と会ったのでございますが、私は、アフガニスタンの問題もポーランドの問題も、もちろんこれはそういう軍事介入があれば大変なことだと。デタントの崩壊という言葉を首脳は使っておりましたが、それは私もよくわかる、しかしアフガニスタンというのは第三世界なんだ、第三世界はデタントと関係ないということはないじゃないか、やはりデタントという問題はもっと広い立場から考える必要があるのじゃないかということを私はヨーロッパの首脳に言ったことがございます。
 それで、国際緊張緩和ということは私は当然日本として考えなければならぬことだと、そういう主張をすべきだというふうに思いますので、今度アメリカに行きましても、アジアに起こっているカンボジアの問題、あるいは南西アジアのアフガニスタンの問題、あるいはポーランドの問題、いま小康を得ている問題でございますが、こういう問題の共通性、そういうものが世界の国際緊張に与えている影響というふうなことにつきまして、私は日本は日本なりの考えを述べ、国際緊張を何とかして緩和したいという立場でアメリカには日本の考えを言うつもりでございます。
#61
○和田静夫君 私も、いま言われたとおり、この問題でネックになるのは中東の情勢だろうと思っている。一つは、アフガニスタンへのソ連軍の侵攻で世界情勢に大きな影を投げかけておって、これは私たち社会党もソ連を厳しく非難をしています。しかし、アメリカ軍のベトナムへの軍事介入のときには米ソの対話は続けられた。あるいはオリンピックには東西各国が参加した、デタントの努力は続けられた。その点からすれば、アフガニスタン情勢を一気に世界情勢に結びつけて、デタントへの努力を停止するというのはアメリカ――日本もそうですが、どうも過剰反応であるという感じが前々からしていました。ベトナム戦争のときにもドミノ理論が唱えられました。今度もドミノ理論に近いところがあって、ソ連がアフガニスタンを制圧すれば中東全体が次々にソ連に制圧されてしまうかのような感じを抱かせる。
 たとえば、これもさっきの栗山審議官の文章ですが、「先進民主主義諸国にとって死活的重要性を有する南西アジア、中東地域へのソ連の影響力の拡大を防止するためには、究極的な抑止力として、万が一にもソ連がこの西側にとっての経済的大動脈を支配しようとする場合には米国との軍事的対決を覚悟しなくてはならないことを、ソ連に明確に認識させておくことが不可欠である。したがって、当面、米国がインド洋への軍事力の展開能力の強化に努めることは、西側全体の安全保障にとって緊要なことである。」。日本政府としては、アフガニスタン情勢をドミノ理論的にとらえるのかどうか。そして、アメリカ、日本などの死活的利益が脅かされる可能性があると考えているのかどうか、明らかにしてもらいたいと思います。
#62
○国務大臣(伊東正義君) お答えします。
 まず、その論文は栗山君の個人的な意見だと言って断って書いて乗りますので、最後のところに、それは書いてありますから、その点は先生も御了承願いたいと思うわけでございますが、アフガニスタンの問題が起きましたときに、やっぱりこれデタントにかげりがきたのじゃないかということを言ったことは確かでございますし、私はいまでもやっぱり、武力をもって第三世界に入って軍事介入をしているということ自体は、これは東西のデタントに一抹のかげりを与えたということは、いまでも私はそう思っておりますし、そういうことはやっぱり国際法上許されない、撤退をすべきだという国連の決議をそのまま私は正しいものだというふうに思っております。
 それで、いまおっしゃった中東の問題との関連の問題でございますが、これは御質問もこの前ありましたように、あの地帯の紛争というのはもともとはパレスチナ人の問題、イスラエルの問題というところに返っていくわけでございますが、その上にいろんなあの地帯の宗教上の問題、あるいは民族の問題、もう一つはあの辺が非常に複雑になりまして、あの地帯が、東西関係の影があの辺にも差しかけている、落ちかけているということを私申し上げたのでございまして、もともとはそうじゃないはずでございますが、現実の問題としてはそういう影があの辺にも差しかけているという現実は私は否定をしないわけでございます。
 ただ、そういうことにならぬように、何とか中東の和平が来るようにということをECも熱心に努力をしております。アメリカにもECの意見を言ったわけでございますので、私は去年の九月にも行って日本側の中東和平問題に対する考え方を述べたのでございますが、今度も、ECとは非常に日本と立場が似ているわけでございまして、アメリカにはそのことを、やっぱり日本側はこう考えているという意見を言うつもりでございます。
#63
○和田静夫君 この死活理論でいきますと、ペルシャ湾の米ソ間紛争があった場合に、日本も死活をかけてソ連と争うことになる。外務大臣もそう思いますか。
#64
○国務大臣(伊東正義君) それは栗山君の個人の意見でそう書いてあるわけでございますが、これもこの委員会でだんだん御質問があり、あの地帯が周辺かとかいう御質問があって、そうじゃないという御答弁もしたことがございますし、また、総理からも、あの地帯に事が起きたからそれがすぐに連動をするものじゃないというふうなお話も、たしか御答弁されたことがあると思うのでございますが、私も、ペルシャ湾に何かが起きたらすぐに日本がソ連とという、そういう短絡は考えておりません。日本としてはやれることやれないことがあるということは何回も申し上げておるわけでございまして、そういう短絡した連動ということは考えておりません。
#65
○和田静夫君 外務省内の勉強会のものですから、プライベートな性格なんでしょうが、「安全保障政策企画委員会第一ラウンドとりまとめ骨子」によりますと、「近年の東西関係はグローバルパワーを目指すソ連の挑戦とこれを受けて立つ米国、西側諸国によるグローバルな対応という形で推移している。」、「最近では米国はソ連と対抗していくためには同盟国の協力が必要であるとして、わが同、NATO諸国に対し「責任の分担」を求める立場をとっている。」、日本をグローバルパワーの一環として位置づけようとしているように見えるわけです。これは事務次官など幹部の勉強会ですから、それなりに外務省の認識と重なっていると見てよいと思うんですね。栗山さんが個人で書いたというようなしろものと違います。
 日本の責任分担とは、軍事面、非軍事面、それぞれどういうものなのか。米国から当然に、今度行かれたら出されてくると思うのですが、いかがですか。
#66
○国務大臣(伊東正義君) いま例として引かれたのは、これは個人が書いたのじゃなく研究会が書いたのでございますから、外から見ればそれはもう外務省というふうにだれでも思うと思いますので、その点は若干重さは私も違うと思います。
 それから、いまのグローバルなということは、私はもうそのとおりだと思うのでございまして、日本の安全、平和、繁栄というものは、世界の安全、平和なくしてはこれはあり得ないのでございますので、そういう意味で私は日本の安全、平和というものはグローバルに考えなければいかぬということはそのとおりだと思うわけでございます。
 ただ、何度も申し上げますように、日本は軍事的には自分の国を守るという専守防衛、これはもう憲法ではっきりしているのでございますから、これはもうそれ以外の役割りは日本に期待されてもこれは無理だということははっきり総理もお答えを申し上げているところでございまして、日本としましては、グローバルな立場に立ちまして、たとえば政治面で、ASEANと非常に緊密な関係を結びカンボジア問題の解決に努力する、あるいは中東の和平の問題について努力をしますとか、あるいは経済面で、日本としましては南北問題を頭に置いて経済協力をするとかというようなことを、密接に西側の陣営の諸国とも協調をしてやっていくということが私は必要だというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味で日本の役割りといいますか、責任といいますか、そういうものをグローバルな立場に立って考えていくということが必要だというふうに考えております。
#67
○和田静夫君 先ほど引用した論文にちょっともう一遍だけ返りますが、あの論文の真意は、どうもさっき引用した部分よりも、西側の協調体制が未完成であって、それを強化させるために日本も相応の責任を果たすべきだという点に栗山論文はあるような気がするのです、私は。読んでみると。そうして、彼が挙げた五つの点のうちで、「「政経分離」はもはや国際的に通用しない。」という認識が明確に出されているんですね。政治と経済は不可分だという認識、外務大臣はこの辺はどうお考えですか。
#68
○国務大臣(伊東正義君) 私も原則的にはそう思います。経済だけがひとり歩きするとか、政治だけがひとり歩きをして経済はそれと関係ないとか、そういうわけには私はいかぬと思うのです。やはりソ連との場合も、よく言いましたけれども、政治経済というのは密接にこれは関係のあるものだというふうに考えております。
#69
○和田静夫君 政府の開発援助に関する給与基準が三つあるそうですが、それを説明してください。
#70
○国務大臣(伊東正義君) 経済協力はもう世界的な共通な基準としまして、その二国間の相互依存関係ということ、あるいは人道上の問題というような大きな枠があることは御承知のとおりでございますが、そのもとに立ちまして、日本としましては、外務委員会、これは衆議院でございましたが、決議がありますように、直接軍事的な用途に充てられるというようなものにはしない、あるいはその国の経済社会開発のためにこれは協力をするのだ、あるいは民生の安定、福祉の向上ということにこの経済協力というものは働いていくのだということで、発展途上国、南北問題というものを主に頭に置きまして大きな枠の中でこれを考えていくということが、われわれ経済協力をやる場合の原則でございまして、相手の国からのいろんな要望、需要があるわけでございますが、そういうものを頭に置いて考えているということでございます。
#71
○和田静夫君 その中で、わが国との相互依存関係が援助に当たっての判断になっているわけですね。具体的にはどういうことですか。
#72
○国務大臣(伊東正義君) 御承知のような、日本は、資源ということから考えますと資源はほとんど外国から輸入しているということもございまして、資源の関係が一つ考えられますことと、もう一つは、世界のいろいろ国連の機関でございますとか、あるいは世銀でございますとか、そういう国際機関の要望によって国際的な協力を考えるということも、これは広い意味の一つの依存関係という範疇に入ってくるのじゃなかろうかというふうに考えております。
#73
○和田静夫君 けさ毎日新聞がスクープしている、いわゆる「対外政府援助に基準設定」というやつがありますがね。この基本で、「十九日の総合安全保障会議で正式に決定し、対外的には二十一日に訪米する伊東外相が、レーガン米政権首脳との一連の会談で表明する」と、こういうことになっているのですが、これはそうですか。
#74
○政府委員(梁井新一君) お答え申し上げます。
 先ほど大臣答えられましたとおり、援助を配分するに当たりましての大きな基準は、人道的な考慮と相互依存関係の判定でございます。きょう新聞に出ておりましたようなアジア七〇%、アフリカ一〇%、中近東一〇%、中南米一〇%、こう出ておりますけれども、私ども必ずしも明確に事前にこの地域に何%配分するということは決めるわけではございませんけれども、従来の実績が大体そうなっておりまして、この基準は大体妥当なところではなかろうかと、こういうふうに考えております。
#75
○和田静夫君 この基本方針の内容というものをもう少しひとつ説明してくれませんか。
#76
○政府委員(梁井新一君) 基本方針と申しますと、援助の配分の問題ということになると思いますけれども、まず何ゆえに日本として経済協力を行うかということにつきましては、日本といたしまして、先進国に共通の基本理念ということも考える必要があると思います。これはまず、先ほど申し上げました人道的な考慮、相互依存という二つの大きなファクターがあると考えておりますが、それに追加いたしまして、日本として独得の援助理念があろうかということを考えまして、私どもいろいろ研究したわけでございますけれども、一応私どもの到達いたしました結論は、
   〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
まず、日本が平和国家として今後生存をしていく上で、やはり世界の安定が必要である、そういう点から日本は平和国家のコストとして経済援助すべきではなかろうか。また同時に、日本はここまで経済大国になったわけでございますので、経済大国としてやはり援助を続けていくべきであろうということがございます。また、経済面におきまして、日本は非常に資源が少ないという非常に脆弱性がございます。それを補完する上でもやはり経済協力が必要であろうと考えますし、また同時に、日本が近代化に成功をいたしました、非西欧国家で唯一の国でございます。そういう観点から、日本に対する開発途上国の期待は非常に強いわけでございまして、その意味におきましても日本は経済協力を拡充すべきであろうと、こういうふうに考えておるわけでございます。
 これが日本の経済協力の理念であろうかということを一応外務省として考えておるわけでございますけれども、先ほど援助の区分と申しますか、援助配分の基準と申しますか、につきまして申し上げた点をもう少し詳しく申し上げますと、やはり日本としての相互依存関係、その国とどういう依存関係にあるか。確かに、大臣がおっしゃいましたとおり、資源の問題もございますし、それから西欧諸国と申しますか、国際機関なんかと協調してやっていくという必要もございましょうし、また、日本とも非常に近いおつき合いをしている国もあるわけでございます。そういう国に対しましてどの程度の援助をすべきかという相互依存関係に基づく判定がまず考えられるべきであると思いますし、その次に、人道的な考慮と申しますか、その国がどの程度まだ開発の途上にあって、たとえばパーキャピタのGNPが非常に少ないとか、さらに援助を必要とする国であるという人道的な考慮と、この二つをかみ合わして援助を考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#77
○和田静夫君 大臣、端的に言ってこの相互依存は戦略的援助ではないかという感じがして仕方がないのですが、どうなんですか。
#78
○国務大臣(伊東正義君) 相互依存関係は、先生おっしゃった、戦略的じゃないかと、こういう目で見れるということでございますが、それは、そういう考えだけでやっているということじゃこれは全然ないわけでございまして、やはり日本との経済面あるいは政治面等のいろんな総合的な考え方に立って相互依存ということを言っているわけでございます。戦略的にだけ考えているのかと言われれば、それは違いますと、そうでありませんということをはっきり私は申し上げたいと、こう思います。
   〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕
#79
○和田静夫君 さっき言いましたODAの給与基準、これは国会の答弁でも余り聞かなかったわけですが、この基準こそはどうも開発援助を西側の戦略手段とすることではないだろうかという疑いが、そういう想念が私の頭の中を駆けめぐって仕方がないのです。たとえばオーマン考えてみますと、オーマンの場合に、他の二つの基準にはずれるのに三番目の基準で援助が行われる、こういうことでしょう。
#80
○国務大臣(伊東正義君) オーマンについては、これは日本は石油の輸入をしておることは御承知のとおりでございまして、これは五十二年、大分前からあそこは石油だけ、あの国が石油だけに頼っていちゃいかぬということで、その他の鉱物資源の調査をやってもらいたいということで五十二年から鉱物資源の調査、これは技術協力でございますが、そういうことをずっとやっております。最近になりまして、やっぱりオーマンの経済を考えた場合に、あるいは民生の安定ということを考えた場合に、もっと農業に力を入れなけりゃいかぬということで、それでは水ということで水の調査、地下の、ダムができるかどうかということでいまダムの調査を、水の調査をしているということでございまして、これはその国の需要で、民生安定のためにそういうことをやってもらいたいという要望がこれは強く前からあるわけでございまして、これは何もことしになってやったとか、去年になってやったとかということじゃなくて、大分前からいわゆる技術協力ということで調査をしておるということでございます。
#81
○和田静夫君 どうも私はそう言われても、紛争国を援助しないという五十三年四月五日の衆議院外務委員会の決議に反する可能性が生まれる危険性がある。援助を軍事的にかかわる戦略手段とするものという、どうも日本の平和外交の理念に背くものだという感じがして仕方がありませんから、これは強く意見として述べておきます。
 そこで、アメリカ政府は総合安全保障構想を取り込んだ対日要求を作成する準備を進めつつあると報道されているわけです。それによると、昨年のGNP一%論議の防衛費増加要求というのは、数字のゲームとなって、しこりを残す結果となってしまったという反省がアメリカ側にもあるという。確かに日本側にも、内容を言わないで数字だけ言うのはおかしいという議論、主張があった。外務大臣はどう考えていたのですか。
#82
○国務大臣(伊東正義君) いまお願いをしております予算の経過を考えてみますと、去年の予算要求の際に九・七でございましたか、という概算要求が出たということで、何か九・七がひとり歩きしてしまって、いろんな誤解が生じたということは確かにこれはありました。あったわけでございまして、数字というものはよほど注意せにゃならぬものだということを私はあのとき痛感したことがございますので、そういう反省がアメリカの中にも出ておることは確かでございまして、そういう幾らという数字で議論をするということで、それが達成されたとかしないとかということよりも、よくやっぱり内容の話し合い、内容で期待表明というふうなことの方が実質的じゃないかというような反省が出たことはこれは確かでございます。私も、単に数字だけで数字がひとり歩きしてしまうということの弊害は、私は直した方がいいなというふうに感じたことは確かでございます。
#83
○和田静夫君 いまの質問、防衛庁長官どうですか。
#84
○国務大臣(大村襄治君) 最近米側において、予算全体の何%といったような議論はなるべく避けたいという意見も出ていることも事実でございますが、また同時に、国際的諸問題についての日本の経済的及び外交的貢献を期待しているということも事実でございます。また、米国自身としては、苦しい財政事情のもとにおきましても、みずから国防予算の大幅増加を図りながら、わが国を初めとする同盟国が最大限の防衛努力を行うことを期待する旨を明らかにしていることもまた事実でございます。わが国といたしましては、わが国の防衛は平和憲法のもと専守防衛に基づき非核三原則を堅持するなどを基本としておりまして、このことについては米側もよく理解しているものと考えております。今後の日米会談において、わが国に対してどのような具体的な期待表明が行われるか定かではございませんが、防衛庁といたしましては、日米安保体制が大切でございますので、米国政府との間の十分な意思疎通は図る必要があると考えますが、先ほど申し上げました基本原則に基づいてわが国自身の問題として自主的に真剣に対応していかなければならない、さように考えている次第でございます。
#85
○和田静夫君 総括質問の中でもたくさんの人が触れられたのですが、私はちょっとそこをもう少し、聞いておりながら理解ができなかった点で一つ述べておきたいのは、総合安全保障構想は防衛力増加へのこの要求と並んで開発援助の増加を重視するということのようなんですね。これはひもをつけない援助をふやす、多国間援助を重視する、そういうものなんでしょう。アメリカ自身が援助削減を打ち出していることからすると、その肩がわりとも受け取れるものですね。こうした要求がアメリカの側から出されてくることは十分私は予想できると思うのですが、外務大臣はどういう態度でお臨みになりますか。
#86
○国務大臣(伊東正義君) 開発援助というふうなお言葉を使われましたが、経済協力の問題でございまして、日本は先ほど申し上げましたような方針のもとに、日本としてこれは必要なのだという考え方で経済協力をやっているわけでございまして、今度行きましてどういう向こうから期待表明があるかわかりませんが、日本としては決められた予算の範囲内で、また外務委員会で決議がありますあれは、私はあの決議を守っていくということは大切なことだというふうに考えておりますので、そういう日本の立場に立って、また日本というのは先ほどから言いますように西側の一員であることはこれは間違いないのでございますから、そういう国際協調ということも頭に置きながら、日本としてやっぱりこういう国にはこうした方が正しいのだ、いいのだという判断でやっていこうというふうに思っております。
#87
○和田静夫君 日本のオーマン、ジャマイカ、タイ、パキスタンなどへの最近の援助というのは、これはもう戦略的な性格が、私の邪推じゃなくて強まっていると思う。たとえばタイの新しい村建設への援助というのは、これは一朝事あらばすぐ武装拠点となる戦略村に転換するものではないかというのが常識化されています。エルサルバドルへの援助問題について私の総括質問に対して、外務大臣は否定されなかった。そうした点を考えてみますと、紛争当事国には援助しないという方針が、事実上、どうも何遍も答弁されますが、しり抜けになっているのではないかという感じがいたします。紛争当事国でなくてもその隣接国に戦略的色彩の強い援助をすること、これは事実上一方に加担することを意味していますよ。政府は援助方針を転換しつつあるのではないかという疑念が、私にはどうも皆さんの総括のやりとりを聞いておってしてしようがない。民生安定という方針に変わりがないという強弁をされても、地域がやっぱり問題ですよ。明確にここのところは答弁を外務大臣にしてもらいたいんです。
#88
○国務大臣(伊東正義君) 先ほどから申し上げますように民生安定、福祉の向上ということを考えている、基本であることはこれは間違いございません。
 いまタイのお話をされましたが、タイにつきましては、タイがカンボジアの隣接国でございまして、カンボジアに国連で非難される――これはアフガニスタンも同じでございますが、国連の決議で非難される、ベトナムの軍事介入あるいはソ連の軍事介入がアフガニスタンにあるという現実の問題を控えまして、非常に隣接国で難民を抱えて努力をしているということは確かでございまして、私はタイにもパキスタンにも行ってみたのでございますが、両方とも従来も援助をしたことは確かでございます。タイにもパキスタンにも援助が、日本からは経済協力、円借款が行われたことは確かでございまして、そこにそういうまた隣接国としての非常な努力をしているということがございまして、日本としてはそのタイの民生安定、私も新しい村へ行ってみましたが、民生安定あるいはパキスタンについて援助をしているということは私は従来とそこに変わりない。そこにむしろ一つ加わりましたのは、国連で非難されているような事態が隣で起こっている。そこの難民を抱えて非常な苦労をし助力をしているということが新しく加わったということでございますが、従来からずっとこれは援助をやっていたということは間違いございません。
#89
○和田静夫君 それじゃオーマン、ジャマイカ、タイ、パキスタンの援助の具体的な中身をちょっと説明してください。
#90
○政府委員(梁井新一君) オーマンについて申し上げますと、先ほど大臣から御答弁のございましたとおり、水資源の開発に関する技術協力をやっております。その他地下資源の開発に関する開発調査等やっております。技術協力でございます。
 それからジャマイカにつきましては、三月の十一日の世銀主催の援助国会議におきまして、日本は二十一億円の円借款を供与するという意図表明をしたわけでございますけれども、その中身は商品借款でございます。
 それからタイにつきましては、鈴木総理大臣が一月の初めにタイを訪問されましたときに、五百五十億円の円借款を供与するという意図表明をされております。恐らく、ちょっといま数字を持っておりませんが、約六〇%が農業関連のプロジェクトでございます。それ以外にもいろいろと無償関係の供与をしておりますが、まだ金額は必ずしも確定しておりません。
 それからパキスタンにりきましては、昨年円借款と無償を合わせまして三百二十億円の意図表明を行っております。そのうちの二百四十億円が円借款で、八十億円が無償供与でございます。円借款の中身につきましては、商品借款もございますし、それからプロジェクト関係の借款もございます。それから無償につきましては、いろいろと民生安定的な無償の援助を供与しているところでございます。
#91
○和田静夫君 政府には開発援助を今後拡大していく方針があるやに聞きますが、それを説明してください。
#92
○国務大臣(伊東正義君) ODAの目標でございますが、三年倍増ということで金額的にやったわけでございましてことし終わる、これはできたわけでございます。それで、今後もやはり南北問題その他開発途上国のことを考えれば、このODAというものは、政府の開発援助というものはやはりもっと積極的に日本としてはやる必要がある、それは日本が平和国家あるいは経済国家としてやっていく上のコストみたいなものでございますので、やる必要があるということで、今度は過去五年間に日本が開発援助に使った金の倍以上をこれからの八一年からの五年間で開発援助を行おうということを一応の見通し、目標をつくって、そしてそれを内外に発表しているということでございます。過去五年間に使った開発援助の倍以上をこの五年間に使っていく、援助を行うということを決めたということでございます。
#93
○和田静夫君 この援助増加に当たって、西側戦略地域への援助についてはどういう方針をお持ちですか。
#94
○国務大臣(伊東正義君) これはその国の需要ということがまずもとになるわけでございまして、どの国からどういう需要が出てくるかということはまだいまの段階ではわからぬわけでございますので、大体どこに幾らくらい考えるとか、そういうことはまだ決めておらぬわけでございます。
 たとえば八一年でございますれば、予算が通った後でいろんな国から援助が出てくる、この間もエチオピアに実は債務の履行の延期を認めるというようなことでエチオピアにもつい最近援助をしたということでございまして、これはその国のやっぱり需要が出てきて初めて決まるわけでございますから、西側の国に幾ら、どの国に幾らというようなことは実はまだ決めておりません。これから具体的な問題になった場合に、その都度関係者集まってそれを決めるということでございます。
#95
○和田静夫君 駐米大使が帰ってきて通産大臣と昨日いろいろ協議されたようですが、日本の自動車輸出について主規制を求めるアメリカの要求は相当に大きいように思われますが、どの程度なのか、量的にはどういうことなんですか。
#96
○国務大臣(田中六助君) 昨日の大河原駐米大使との話し合いでは、どの程度どうだというような数量についてのアメリカ側の要望という点はありませんでした。ただ、アメリカが何となく日本側の自主的な規制を求めているようだと、タスクフォースも予定どおり出ていないし、ベンツェン、それからダンフォースの上院における法律も少しおくれるようだというような事実関係の報告を受けただけで、私どもはそれを聞いておった程度でございます。
#97
○和田静夫君 総理は、一定期間を設けた自主規制を考慮しているような答弁をされたわけですが、一定期間というのがどれくらいかわかりませんが、アメリカ側が要求しているのは、たとえばアメリカの小型車生産が軌道に乗るまでというようなものか、それとも一年というような期間を考えてのものなのか、どういうようなものなんですかね。
#98
○国務大臣(田中六助君) 総理の頭に、一定期間というのが何年間か――一年か二年か三年かというようなことは、私は頭になかったと思います。と申しますのは、いま私ども向こうのそういう先ほどの出方を待つし、それからこちら側の業界の意見もまだ現在ずっと話を進めておる程度でございまして、少なくとも総理の頭にあったのは、そう短期間でこれが実施をやるというようなことではなくて、向こうの都合もあるし両方の話し合いで、私どもがよく当分の間というようなことを法律で使うような、余り深い意味はなかったのじゃないかというような気がしております。
#99
○和田静夫君 行政指導で自主規制しようという考え方がおありになるようですが、これは私は昭和五十五年九月二十六日、東京高裁の石油のやみカルテル事件判決にもあるように、問題があるという気がして仕方がありません。
 過日の日経新聞によりますと、公取では独禁法と行政指導との関係についての考え方を示されようとしておられるように書いてありましたが、まずそれを伺いたいと思います。
#100
○政府委員(橋口收君) 独占禁止法と行政指導の関係につきましては、かなり長い歴史がございますが、それにつきまして御説明を申し上げるのは省略をさせていただきまして、最近時点の状況を申し上げますと、先月から関係省庁との間に独占禁止法と行政指導の関係につきまして、公正取引委員会事務局のつくりました試案を提示いたしまして折衝をいたしてまいってきたのでございますが、おおむね機が熟したというふうに考えまして、昨日の公正取引委員会の会議におきまして正式に当方の案を決定いたしまして、本日付で公正取引委員会の事務局長から関係十六省庁の事務次官あてに、当方の考え方を整理いたしましたものを文書でお届けすることにいたしております。
 内容につきましては、いま先生がお挙げになりました先月の日経新聞に書かれたものと基本的に相違はございませんが、もう一度かいつまんで御説明を申し上げますと、昨年九月の東京高裁の判決におきまして、独占禁止法と行政指導の関係につきまして初めて司法部の判断が明示をされたのを機会に、行政指導と主としてカルテルとの関係につきまして、公正取引委員会の考え方をまとめたものでございます。
 内容といたしましては、具体的な法的根拠が定められていない場合の行政指導と、具体的な法的根拠が定められております場合の行政指導に分けて考え方を整理いたしておりますが、第一の法的根拠のない場合の行政指導につきましては、行政指導のやり方としまして事業者団体に対する場合と個別業者に対する場合と分けて考え方を述べておりますが、事業者団体に対する行政指導はカルテルを最も誘発しやすいというふうに述べております。個別業者に対する行政指導でありましても、ケースによりましてはカルテルを誘発する場合があるということを申しております。
 それから、具体的な法的根拠が定められております行政指導、つまり業法その他実体法のあります場合の行政指導につきましては問題は少ないと。ただ、法的に明示をされておりますこと以外の行政指導をやります場合には、これは法的根拠がない場合と同じ扱いになる、こういう考え方を示しておりますが、ただ、行政指導の内容としまして、価格、数量、設備等に関するものはその情状が重い、規格、品質、営業方法等に関するものはその情状は軽いということを明らかにいたしております。
 ただ、行政指導は、その目的、内容、方法、程度等に差等がございますので、原則的な考え方は文書で表現いたしておりますが、しかし個々の事案につきましては、関係省庁から疑念をお持ちの場合には積極的に公正取引委員会に御相談いただきたいと思いますし、またわが方も必要があれば各省庁と話をいたしまして、独禁法との関係において調整を図るということを明らかにいたしております。
 したがいまして、いま先生が御質問になりました自動車の対米輸出の問題につきましても、これはケースの進展によりまして、今回取りまとめいたしました考え方に基づきまして慎重に判断をいたしたいというふうに考えております。ただ、一言だけつけ加えさせていただきますと、これは主として日本の国内マーケットに関する行政指導の問題でございまして、自動車の対米輸出問題は国内マーケットの問題ではなくて、アメリカの国内マーケットの問題でございますから、原則的な考え方としましては、アメリカの国内マーケットを守るのはアメリカの独禁当局であるというのが原則的な考え方でございます。
#101
○政府委員(宮本四郎君) ただいまの和田先生の御質問に対しまして、二点お答えさしていただきます。
 第一点は、先般の高裁の判決の行政指導にかかわるところでございます。判決の中にも、「通産省が個々の事業者に対し個別に指導を行う限り、共同行為等独占禁止法の禁止規定に形式的に違反する行為ではあり得ない」と判示いたしておりまして、私どもその行政指導そのものが独禁法に触れるということはこれは関係のない話でございまして、行政指導に基づく事業者の行為が共同行為があった場合に独禁法に触れると、かように理解いたしております。
 第二点についてでございますが、ただいま公正取引委員会委員長のお話のとおり、私ども事務的には話し合いを進めておりまして、きょうにも最終案文が発表されるという話でございますので、その案文を見せていただきましてから私どもの行政に十分考慮させていただきたい。要するに私どもの行政指導と、それからそれを受けます事業者の共同行為、それが独禁法の違反になる、あるいは海外の独禁法の抵触に問題を生じてくるとか、こういうことでございますので、そういうことの起こらないようにやるつもりでございます。
#102
○和田静夫君 そうすると、通産大臣、一言だけでここのところはもう終わらせますが、いまの両者の答弁を考えてみると、通産省としては行政指導でやる場合に公取と事前協議は必要としないという認識ですか、するという認識ですか。
#103
○国務大臣(田中六助君) ただいま局長から答えましたように、私どもは国家行政組織法に基づく行政指導というような場合もございます。それからまた、個別の事業会社に対してそれぞれ話をしていくというような場合もあるわけでございますが、いずれにいたしましても、独禁法違反というようなことのないように、疑問に思ったり、あるいはどうもおかしいと思った点につきましては、あるいはそう思わなくても、私どもできるだけ国内の独禁法違反にならないように、あるいは対米輸出の自動車問題についてはアメリカの独禁法違反にならないように、十分公取委員長並びに公取と相談をしていくという基本方針を持っております。
#104
○和田静夫君 そうすると、公取と相談されると非常にあれなんですがね、受けた方の公取の側としては、ちょっと一言だけ聞きたいのは、国民的な課題となっているような緊急事態と判断をこの問題はされるかされないかということが一つ問題だと思うのですが、いかがですか。
#105
○政府委員(橋口收君) 国民的な緊急課題であるかどうかという問題は、これは昭和四十九年の第一次石油ショックの後の価格の異常な高騰事態というものが相定されるのでございまして、対米輸出の問題がいわゆる国民的な緊急な課題であるというふうには考えておりません。ただ、先ほどもちょっと触れましたように、これは国際関係の問題でございまして、国際的な関係取引におきまして競争政策が完全に貫徹されているかと申しますと、主権国家そのほかの壁というものは大変厚いわけでございますし、それから各国の持っております独禁法には内容、程度に差異がございますので、したがいまして日本的な独禁法の立場の判断だけでこの問題が完全に解決するということではございません。これは善悪両様の意味で申し上げているわけでございますが、したがいまして国際関係の問題につきましては、それ自体が違法であるというような考え方ではなくて、まあ英語で恐縮でございますが、ルール・オブ・リーズンと申しますか、条理の原則なり合理の原則によって判断すべき領域の問題であるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、通産御当局から御相談がありました場合、その内容がたとえば輸取法をお使いになるのかならないのか、全くの行政指導でおやりになるのか、その程度、内容等を伺いまして適正な判断を下したいというふうに考えております。
#106
○委員長(木村睦男君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#107
○委員長(木村睦男君) 速記を起こして。午前の質疑はこの程度にとどめます。
 午後一時から委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。
   午前十一時三十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時六分開会
   〔理事古賀雷四郎君委員長席に着く〕
#108
○理事(古賀雷四郎君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和五十六年度総予算三案を一括して議題といたします。
 休憩前に引き続き、和田君の一般質疑を行います。和田君。
#109
○和田静夫君 通産大臣、そうしますと、先ほど来事務当局もお答えになったように、独占禁止法に触れないような処理の仕方ということを頭に描きながら努力をされると。もし、行政指導でやれないというような車の問題での状態が出た場合に、触れない方法というのは、新しい立法措置、そういうものを含んでお考えだということでしょうか。
#110
○国務大臣(田中六助君) 日米自動車問題に対する構え方といたしましては、先ほどから申し上げますように、国内の独禁法に触れないように、アメリカの独禁法に触れないようにやらなければなりませんが、その方法は、一つとしては各個別の会社と相談をしていくということもありますが、そういう場合でも、私どもはそういう場合縫っていく行政指導をやれば独禁法に触れないというふうに思っておりますけれども、また、見方によってはそれも怪しいという見方も公取はある程度とっておるようでございますし、非常に苦しい立場にはありましても、これは解決しなければならない問題でございます。したがって、その方法として、法律で規制するというようなことはどうかというお尋ねでございますけれども、私ども、いま自主規制の内容を法律で規制するとかあるいはそうではないとかいうようなことを正直に申しまして言える段階ではございませんので、その点お許しを願いたいと思います。
#111
○和田静夫君 いずれにしましても、小手先の規制で、私は、日本の自動車産業の将来を考えたそういう戦略というようなものがないのが実情じゃないかという感じがするんですよ。で、このための研究をお始めになるというお話なんですが、どういうビジョンをおつくりになるつもりですか。
#112
○国務大臣(田中六助君) 日米関係の自動車問題はこれから始まる問題でございまして、私どもいま検討中でございますが、いま国会で手のうちを全部言うというようなことはどうかと思いますけれども、まず、それ以前に手のうちのカードを発表するとか、あるいはお尋ねしたものを出すという段階に至っておりません。ただ、私どもが方法の中の一つとして言えることは、日米関係の自動車問題を片づけるというだけではなくて、ついでと言ったら語弊がございますけれども、EC諸国あるいはカナダ、そういうところも含めまして、同時に着陸はできなくても、余り長いタイムラグは置くことはできないというふうに思いますし、基本方針としては、保護主義貿易にならないように、私どもの主張しております自由主義貿易へ向かうようにという概念と、それから、できるだけ経済問題を政治問題化しないということ、それからもう一つは、特定の地域に集中豪雨的に輸出を浴びせるというようなことはいけないという三つの柱を根本に置いて、それからどうするかということに物の考え方を持っていきたいというふうに思っております。
#113
○和田静夫君 私は、日米の自動車摩擦というのは小手先のことでは解決できない構造的な問題だと実は考えているんです。日米自動車産業の構造的な体質の問題だろうと。
 通産省、日米自動車産業の労働生産性、労働分配率を挙げてください。
#114
○政府委員(栗原昭平君) お答えいたします。
 生産性の問題でございますが、物的な生産性は、これはいろいろその会社の内容によりまして、内製化率がどうかというような差もありますので、一概に比較はできないわけでございますけれども、日本とアメリカと非常に大ざっぱに申しまして、物的な面は三対一ぐらいで非常に日本の方がよろしいというような感じかというふうに思っております。
 それから、労働の分配率でございますが、日本の二社平均、七六年、七七年あたりの数字でございますが、七六年が、パーセンテージで四二・一、七七年が四四・七四という数字がございます。それから、米国の三社平均で、その時点で、これは七六年が五九・六九、七七年が六〇・六六、こういった数字がございます。
#115
○和田静夫君 開銀の佐貫利雄氏の「日本経済の構造分析」による計算で、七八年、一人当たり生産台数が、GMを一としてフォードが〇・九二、トヨタが四・一五、売上高に対する生産性、GM一にしてフォードが一・一九、トヨタが二・三五となっているわけです。トヨタはGMに対して生産台数で四倍の生産性を誇っている。ところが賃金の方はと言いますと、これはアメリカ議会の下院歳入委員会貿易小委員会、通称バニック委員会の資料ですが、アメリカの自動車産業労働者の時給を一〇〇として日本のそれは、七五年三七、七六年三九、七七年四二、七八年五三、七九年五〇。日本の労働者は約半分なんです。通産大臣、これはアメリカの賃金が高いのですか、それとも日本の賃金が低いのですか。アメリカの生産性が低いのですか、日本の生産性が高過ぎるのですか。
#116
○政府委員(栗原昭平君) 米国の自動車産業の賃金は米国の一般製造業の平均に比べて非常に高いというふうに私ども承知しております。したがいまして、単純に日本の賃金が低いというような言い方は必ずしもできないんではないか。大ざっぱに申しまして、日本の自動車産業、私ども聞いておりますところでは、時間当たりたとえば八ドルとかいうようなところの前後ではないかと思いますけれども、八ドル、九ドルあたりだと思いますが、アメリカの一般製造業の平均もほぼそれに近いような数字であるというふうに考えております。ただUAWを中心といたします米国の自動車産業は、これは過去の大型車の生産の高収益に支えられて非常に高い賃金を享受しておったというのが実態ではないかと思います。
#117
○和田静夫君 そう言われても……。労働大臣、いまの私が挙げた数字をお聞きなってどういうふうにお感じになりますか。
#118
○国務大臣(藤尾正行君) 最も新しい数字で申しますと、アメリカのUAWが獲得をいたしております賃金は、時間給十五ドル――八〇年でございます。私ども日本におきます自動車産業全体、これは中小企業を含めまして、九ドルでございますから、先生が御指摘になっているのにやや近い、そういうことだと思います。ただ、アメリカのは、御案内のとおり、社会保険料その他福祉施設が入っておりませんから、これを除きますとその差は大分縮まってくる、かように思います。
#119
○和田静夫君 私は、自動車問題の核心の一つはここにもあると思っているので、賃金、労働条件は自主的な労使の交渉で決まることはわかっていますが、その原則はそのとおりだとしても、自動車問題は自動車戦争として国際問題化しているわけですから、政府としても何らかの意思表明をしてしかるべきだろう、そういうふうに考えます。
 ところで、日本製品の輸出による摩擦は自動車にとどまらない、将来はエレクトロニクス分野にも生ずるというふうに言われているんですが、これらに対する展望なり、考え方はどうですか。
#120
○国務大臣(田中六助君) 御承知のように、わが国の貿易量、たとえば年間、昭和五十五年が輸出が千三百六十億ドル、それから来年度が千四百六十四億ドルというふうなことになっておりまして、そういうことに非常に、いずれにしても全体的な貿易量が多い、その中の四分の一ぐらいが対米輸出でございます。したがって、輸入量もそれより上回っておりますけれども、問題はこれらの対米貿易が将来の展望といたしまして、やはり現在から過去のことを振り返ってみる必要もあろうかと思います。それには、繊維産業、それからテレビ、鉄鋼、現在自動車、将来はICという、航空機も含めてそういうことが言われておりますし、すでにIC関係は非常に競合しておりまして、しかしそれをなくするために日米間非常に努力をしておりまして、向こうからの投資、それからわが国からも大体著名なメーカーは向こうに投資しております。そういうぐあいに、できるだけ経済摩擦を避けるために投資交流と申しますか、そういうことを始めるというような気の使い方を相互にして、できるだけ日米関係に大きなひびの入らないような方向に持っていきたいというふうに思っております。
#121
○和田静夫君 私もう時間がありませんからまとめて述べますが、総括質問の中で情報公開の問題を取り上げて、後ほど締めくくり総括でもこの問題少しやりたいと思いますが、きょう時間がなくなりましたから。その中で、東大の奥平教授のケースを例示しました。その後報道をお読みになった和歌山大学の池田教授から同様の扱いを受けたとの投書がありました。
 池田教授は、大本教弾圧の資料集を作成するために、大正八年に当時の内務省の通達文書、「皇道大本教取締ニ関スル件」、同添付文書の閲覧を警察大学に申し入れた。去年の二月十六日のこと。この文書は「京都府警察史」の中に、警察大学の図書館に所蔵されていると記載されている。応待した池田学長代理、副学長は、同名でありますが、閲覧可能かどうか「道義的になるべく早く返答する」と答えだそうですが、いまだに返事がない。六十年以上も前の文書が出せない、しかも、宗教と権力の関係を明らかにする学術的に重要な資料であるわけです。これを警察庁長官どう考えるか。
 研究に関連する事柄なのですから、文部大臣、ここはいかに権力の恥部を示す資料とはいえ、戦前のしかも大正時代の文書です。これは研究の自由の阻害にならないか。
 最後に警察庁長官、治警法、治安維持法関係の全資料はもう公開すべきだと考える。これらの治安法は現憲法によって否定された法律であるわけで、憲法の精神にのっとり、戦前の誤りを繰り返さないためにも、これらの治安弾圧法関係の内債の報告、取り調べ調書を含めて全資料を公開に踏み切るべきだと思うが、行管庁長官、官房長官含めて答弁をお願いいたします。
#122
○政府委員(金澤昭雄君) お答えいたします。
 警察大学校に対しますいまお話しの依頼、昨年の二月にございました。電話で何回か御依頼の話があったようでございますが、その際、大学側といたしましては、古いものでありますので個人のプライバシー、現存しておる方のプライバシーに関するものもあるやと思われますので、その辺のところの検討を十分にしたい、しかし手続を踏んでお申し出いただければと、こういった話でお答えをした。それで、いまのところその後のお答えといいますか申し出がない、こういう状況だそうでございます。
 以上でございます。
#123
○政府委員(山本鎮彦君) お答えいたします。
 戦前の治安維持法等にかかわる警察の資料でございますが、そういう資料があるかどうかまだつまびらかに検討いたしておりませんが、もしあるとすれば、私としては原則として公開すべきものである、このように考えております。
#124
○政府委員(鈴木勲君) 御指摘のように、研究の自由はできるだけ尊重されなければならないと存じます。ただ、その文書の種類によりましては個人のプライバシーとかいろいろな問題がございますので、それによりまして制限があるかと思いますけれども、申し上げましたように、できるだけ研究の立場は尊重されなければならないというふうに存じます。
#125
○国務大臣(中曽根康弘君) 歴史的な文書というものは個人の人権、名誉とかあるいは国家の安全、そういうものを害しない範囲内においてできるだけ公開をして、歴史が歪曲されないように子孫に伝えることが望ましいと思います。
 いまお話しの件につきまして私が伺った印象では、その程度のものは国家の安全とかあるいは個人の人権にかかわらないものではないだろうか、特に個人の人権の問題にかかわる面については特に注意を要する点もあるでしょうけれども、その点について問題がなければ公開すべきものであろう、できるだけそういう文書は公開すべきである、そう考えます。
#126
○理事(古賀雷四郎君) 以上で和田君の一般質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#127
○理事(古賀雷四郎君) 次に、熊谷太三郎君の一般質疑を行います。熊谷太三郎君。
#128
○熊谷太三郎君 時間が十分ございませんので、原子力発電所の立地推進の問題にしぼって若干の質問を行いたいと存じます。
 近い将来に予想されるわが国のエネルギー危機を回避しますためには、原子力発電所すなわち原発の開発を急ぐことが最も重要な問題であると考えております。しかるに、原発に必要な立地問題は非常に難航しまして、昭和六十年から七十年までの十年間に約五千万キロワットの原発を開発しなければなりませんのに、現在辛うじて見通しのついておりますものはその一割、僅々五、六百万キロワットにすぎない現状であります。したがって、このまま推移すれば昭和六十年以降の原発開発はほとんど絶望に近いと言ってよいわけでありまして、エネルギー政策の遂行上ゆゆしき事態に立ち至りますことはもはや関係者の目に十分明らかなところであります。一刻も早く原発立地の推進を図らねばなりませんが、これに関して大きな障害になっております一事は、二年前にアメリカで起こったスリーマイルアイランド事件であります。この事件は、原発としましてはいまだかつてない最悪の大事故であると言われておりまして、わが国の原発立地にも大きな支障を与えたとされています。しかし私は、この事件は当時の対応のいかんによっては、マイナス面よりはむしろプラス面に作用する点が大きかったのではないかと考えておるわけであります。そこで今後の問題としまして、この事件がこれ以上原発立地の障害にならないよう、場合によってはこれを教訓にして、むしろ原発立地の推進に寄与するように心がけてまいらねばならぬと考えるわけであります。
 そこで、この際改めてこの事件に関する政府の現在の評価を簡潔に承りたいと存ずる次第であります。すなわち、当時、周辺の住民または従業員に対してどのような放射線障害を与えたか、また何が主要な原因であったか、この二点につきまして科学技術庁の御見解を承りたいと考えるわけでございます。
#129
○政府委員(赤羽信久君) お答え申し上げます。
 スリーマイルアイランドの事故につきましては、事故の後、アメリカの原子力規制委員会、ロゴビン委員会、ケメニー委員会、こういった調査の委員会が設けられまして事故の原因の究明に当たり、それから周辺の環境に及ぼした影響の評価を行ったわけでございます。
 たとえば環境につきましては、発電所の周辺に配置しました熱螢光線量計、これを初めとしましていろいろな測定を行いまして、膨大な作業、資料の収集を行った結果、かなり正確な評価が出されておりまして、報告書として提出されております。
 それによりますと、TMIの原子力発電所の周辺、これは八十キロメートル以内の住民でございますが、その被曝線量は平均一・五ミリレムであったとされております。これは、自然放射能が約百ミリとしますと、その一・五%に当たる量でございます。それから一番多く当たったであろうという人に対する評価としましては、敷地境界上に事故の期間中毎日二十四時間、しかも裸でずっと立っていた人というのを仮定した場合に、最大で約百ミリレム以下の被曝であったであろう、すなわち自然放射能一年分と同じであったという結論を得ております。また、従業員の被曝につきましては、すべての従業員が年間の汚染量限度であります五レム以下でございました。これも確認されております。したがいまして、いずれも放射線障害を生じるおそれは考えられないわけでございます。
 次に、事故の原因でございますけれども、いろいろございまして、また相互に絡み合っているわけでございますが、主なものを申し上げますと、第一が二次冷却系――これはタービンの方を回す冷却水と蒸気の系統でございますが、その主給水系統に故障が生じた場合に直ちに作動しなければならないはずの補助給水系の弁が二つともこれは誤って閉じられたままになっていた。それがきっかけになりました。それからさらに、加圧器の圧力逃し弁から一次冷却材が漏れ続けたわけでございますが、これは、この事故が起きる前にもう漏れた状態で気がつかないで運転していたと。これなど両方とも代表的なケースでございますが、さらにこれにいろいろなミスが重なって起きたとされておりまして、事故の起こった後でも運転員がECCSの誤操作を行うといった悪いことが重なりまして大きな事故になってきたというふうに考えております。
#130
○熊谷太三郎君 いま事故の原因についてお話がありましたが、安全法規の違反ということに心得ておりますが、その点はいかがですか。
#131
○政府委員(赤羽信久君) いろいろな状況がございますので、逐一違反の程度をただいま調べてございませんけれども、ただいま申し上げましたように、あいているべき弁が閉まっていた、それから閉めるべき弁が故障のためあいたまま運転されていた、これなどは全く安全法規の基本に違反した運転がされていたと考えられます。
#132
○熊谷太三郎君 スリーマイルアイランド事件に対する評価がいま述べられたとおりであるとしまますと、なぜその点が今日までもっと明快に強調されてきていなかったか。たとえばあの大騒ぎになった事故のきっかけが、いま念を押してお聞きいたしましたように安全法規の違反であったということが明白になれば、安全法規の違反ということはあらゆる機器に起こり得る、いわば一般的な現象でありまして、あの事故が決して原発特有の性質から起きたものでないことが明らかになりまして、その点だけからでも原発に対する不安が少なくなるわけであります。
 また、あれだけの事故でほとんど問題になるような被曝がなかった、影響がなかったという点でありますが、ほかの機器の場合、あれだけ大騒ぎになった事故が起これば必ず多数の人命の犠牲者が出るはずであるのに、スリーマイル事件では全然それがなかったということは、かえって原発の安全性の確率が他の機器に比べてはるかに高い証拠であるということが強調し得るわけでありまして、私は、いまでも当時のこの評価が世間に率直、明快に公表されなかったことをはなはだ残念に思っているものであります。ただ、きょうは時間もありませんので、この点の議論はこれ以上いたしませんから、これに関しては別に御答弁は要りません。
 ただ、この際一つ取り上げて御所見を承りたいことは、被曝がその程度でありますならば、当時あわててあの防災計画などを急ぐ必要はなかったわけでありまして、事件の真相を見きわめた上でもっと冷静に対処すべきであった。あの際あわてて原発の運転をとめたり、地元の町村に大がかりな防災計画の作成を行わせたり、あるいは防災訓練の実施を迫ったりする必要がなかった。ああいう処置がかえって地元民の原発に対する不安をどれだけ大きくしたかはかり知れないものがあると考えるのであります。
 しかし、過去は問わないことにしまして、今後、防災計画やあるいは訓練などがどこかで議論になりました際は、慎重の上にも慎重を期していただきたい。
 たとえばこの東京でありますが、東京は現実に大地震の可能性が取り上げられております。これは御承知のようにこの東京都の中心であります二十三区は道路が一万キロメーターございますが、このうちの七割に当たる七千キロメーターは五メーター以下のきわめて狭い道路であります。そしてその両側に人家が密集しておるわけでありますから、もし大地震が起きましたならば現実に非常に甚大な被害が予想されるわけでありますが、この大東京におきまして何らこれという地震対策も講じられていない現状でありますのに、ひとり原発においてのみ、ほとんど起こり得ないような仮想事故の対策のため、防災計画ないし訓練などをして地元の県や市町村その他を動員して大騒ぎなどしたりすることは、この現実には起こり得ない原発の事故を、現実に起こり得る可能性の強い大地震以上に現実性を有する事故が起こるかもしれないという錯覚を起こさせまして、住民を不安と恐怖のどん底に陥れ、原発立地推進のため一大障害になるでありましょうことは火を見るよりも明らかであります。
 したがって、災害対策基本法などに基づきます所要の計画の実施はこれは当然でありますけれども、そのような行き過ぎた内容の計画になって、いたずらに住民の不安を助長するようなことがないよう切に望んでいるわけでございますが、この際、この点に関しまして科学技術庁の御見解を承りたいと存ずる次第でございます。
#133
○政府委員(赤羽信久君) 御指摘のように、原子力の発電所の安全確保につきましては、これを基本として万全の態勢で臨んでいるわけでございます。
 ただ、万々一ということもございますので、従来から災害対策基本法に基づきまして所要の防災計画をつくるということは、これはスリーマイルの事故以前から行っていたわけでございます。さらにスリーマイルの事故を経験いたしまして、情報の連絡が不適切であったというようなことが現地で無用の混乱を招き、かなりの騒ぎになったという事実を踏まえまして、昨年の六月に原子力安全委員会が原子力発電所等周辺の防災対策についてという指摘を決定いたしておりまして、これに基づきまして地方の公共団体による地域防災計画の見直しをさらに進めるように、そしてそれにわれわれ協力してまいっているわけでございます。
 地方公共団体におきましては、災害対策基本法の定めるところによりまして、防災担当職員の訓練等を中心とする防災訓練まで行うと。これは訓練をするように進めておるわけでございますが、それに従って計画が進められているようでございます。こういう訓練は地方公共団体が中心となって行うものでございまして、具体的な計画は今後出されてまいると思います。その段階で御指摘のような無用な不安を起こすようなことがないよう配慮しつつ地方公共団体とよく相談しながら進めていきたいと考えております。
#134
○熊谷太三郎君 大体了承いたしましたが、くれぐれもそういう無用の混乱が起きないように御配意をお願いしたいと考えるわけであります。
   〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕
 それから通産省でございますか、どなたか――事故のきっかけになりました原因が先ほど御説明にありましたように安全法規の違反にあるとしますならば、それは運転員の素質に大きな問題があったと言わねばならぬわけであります。もちろんわが国においては、従来とも原発の運転員は政府の適切な指導と設置者である各電力会社の多年にわたる努力によりまして、その素質においてまた技能においてそのような心配は万々ないと信じておりますが、一般の地元の地域住民に対してはその事実が形の上で示されなければ趣旨が十分に通じないと思います。その意味において、通産当局が最近主任者のほかに運転直責任者に一定の資格を義務づけられましたことは非常な英断として高く評価するものでありますが、しかし、運転直責任者以外の多数の運転員に対しましては従来のままであります。そこで、いろいろ困難な事情もあるかと思いますが、将来はさらに一歩を進めて全運転員にまで資格制度を広げていただきたいと考えるわけであります。それが原発運転の安全確保に対して最終の責任を持つ政府の誠意、真心が外部である地域住民に浸透する道であると信じているのでございます。通産当局のこれに対する御見解を承りたいと思います。将来さらに検討する御意思がおありになるかどうか、それともその必要なしと言われるのかどうか、その点を一応御所見を承りたいと存じます。
#135
○政府委員(森山信吾君) ただいまお話のございました点、いわゆる運転責任者以外の運転員に対しまして資格認定を取るべきではなかろうかという御指摘でございます。
 これは先ほど来熊谷先生のお話にもございましたように、原発の安全性に関しまして設備面の安全性の確保を図っていくことはもちろん重要なことでございますけれども、あわせましてその運転に従事される方々に十分なる知識と経験を持っていただきたいということが大変大事なことだろうということでございます。そこで、通産省といたしましては、昨年の十二月に原子炉等規制法の規則の一部改正をいたしまして、いまお話のように運転の責任者につきまして一定の資格の認定をしていただくという制度を設けたわけでございます。とりあえず、この制度はいま申し上げましたように十二月に発足したばかりでございますので、その後の推移を見守りたいと思っているわけでございますけれども、基本的に申し上げますと、やはりすべての運転員の方に対しまして資格を取っていただきたいというのが基本的な理念でございます。現在は資格の認定制度を設けておりませんけれども、国におきましてあるいは電力会社におきまして十分なるトレーニングをいたしております。実際の運転に支障のないように努力をいたしておりますけれども、さらに一歩を進めまして、資格認定的なことも将来の課題として十分検討をしてみたい、このように考えておる次第でございます。
#136
○熊谷太三郎君 大変結構なお答えでございますから、どうか今後ともひとつ十分にその趣旨を検討していただきたいと考えます。
 この機会に、最近米国でスターングラスとかいう札つきともいうべき学者が、スリーマイルアイランド発電所の周辺で事件後新生児の死亡率が上昇したなどという説を流しておりますが、これにつきまして当局の御見解を承りたいと存じます。
 この問題はすでに衆議院でも取り上げられておりますが、一部の新聞では非常に大きく取り上げられ、それが一般の大衆にはいかにもまことしやかに受け取られておるようでございますので、各方面への影響も考慮いたしまして、改めてこの参議院の委員会におきましても当局の明快な御所見を承りたいと考えるわけでございます。
#137
○政府委員(赤羽信久君) お答え申し上げます。
 スターングラス教授の報告と申しますのは、スリーマイルアイランドの事故の結果、ペンシルバニア州及びニューヨーク州北部などで新生児――これは生まれた途端から一歳未満の小児でございますが、この死亡率が急に増加したということをある雑誌に発表したことであろうかと思います。
 この論文自身は必ずしも科学的に厳密な検討を行ってなされたものではございませんので、したがって、厳密には評価のしにくいという点がございますけれども、わが国の専門家の意見等を聴取しました結果をまとめますと次のようでございます。
 まず、この新生児の死亡がふえた一つの原因として、放射性沃素が作用したような書き方がしてございますけれども、これはすでに先ほど申し上げましたようなアメリカの規制委員会の調査と放射性沃素の放出状況のデータが詳しく出ております。それによりますと放射性沃素の全放出量は十四キュリー程度であるということが言われております。それからまた、人体に摂取される可能性の一番大きいものとしまして、ヤギのミルクから一リットル当たり四十一ピコキュリーの沃素が検出されております。これはどういうことかと申しますと、仮にこのミルクを毎日一リットル赤ちゃんが飲んだということ――母乳を飲まないでこれはかり飲んだということになりますが、その結果甲状腺に与えます影響が五ミリレム、これは国際基準の三百分の一という評価になっております。したがいまして、このような微量な被曝によって新生児の死亡に関係するということはとうてい考えられないと思われます。
 それから次に、スターングラス教授はすでに同じような趣旨の発言をしたことがございまして、それを契機にペンシルバニア州の保健省が調査を行っておりますが、それによりますと原子力発電所から十マイル以内の胎児、幼児の死亡率、詳しく調べますと州全体と比べて統計的に有意な差がない結果がはっきり出ております。発電所の影響を受けやすいであろうという場所を特に選んでみたんですが、特別な結果は出ていなかったということでございます。さらに、これは医学の方からのコメントでございますけれども、新生児の死亡率というものはいろいろな原因によって動かされるものでございまして、ここにあるような少数の数字で、しかも、原因に関する詳細な分析を行わずに、放射性物質だけに因果関係を求めるというのは非常に科学的でない、その結論は意味を持っていないということが放射線医学の方々から伺った意見でございます。
 さらに、大分前でございますけれども、約十年前、一九六九年でございますが、ストロンチウム9〇に関する研究というのを発表しております。そのときにもアメリカ小児科学会により全く根拠のないものだと言われて反駁されましたし、それから一九七〇年にも原子炉の周辺の地域で幼児の死亡率が増加しているという見解が出されたことがありますが、これもアメリカの当時の原子力委員会によってかなり手厳しい批判を受けたわけでございます。
 さらに、今回の雑誌の文章につきまして、非公式ではございますけれども、アメリカの原子力規制委員会の意見を聞いてみたわけでございます。そうしましたら、他の都市の月ごとの変化と比べましても、スリーマイルの事故後特に新生児の死亡率が高まっているという統計的な現象がないということ、それからこの論文が科学的に理論立ててつくられたものではないというようなこと、こういったことからしまして、スターングラス教授の報告は議論に値しない、黙殺するよりしようがないというようなことを言ってまいりました。
 おおよそでございますけれども、関係方面の意見を集めた結果を御報告申し上げました。
#138
○熊谷太三郎君 大体わかりましたが、今後、問題が問題でありますから、あらゆる機会を通じましてひとつ強力にそういう点のPRを実施していただきたいと考えるわけであります。
 それからいわゆる核ジャック対策、すなわち核物質防護に関しましては、すでに科学技術庁当局において十分対策が進められていることと思いますが、これこそきわめて現実性を帯びた重要な問題でありますから、外部の警察その他の機関とも十分協力の上適切な計画、訓練等を実施して万遺憾なきを期していただかなければなりません。ついては、ただいまこの問題の処理に関します現況について一言お伺いしたいと考えます。
#139
○政府委員(赤羽信久君) 核物質を他の目的に使われないというための防護でございまして、この重要性が非常に高いわけでございます。わが国では原子炉等規制法を安全対策上運用するに当たりまして核物質防護の規制も行ってまいりました。ただ、規制法に明確に核物質防護の規定がございませんので安全対策と含めてやってきたわけでございまして、その結果わが国の現在の防護の状況は大体国際的水準に十分達していると考えておる次第でございます。
 さらに、具体的な方法につきましては、原子力委員会が専門部会を設けまして、核物質防護の基本的なあり方の検討を行ってまいりまして、昨年の六月に核物質防護専門部会報告書という形で詳細が取りまとめてございます。これに沿いまして今後施策を、関係省庁と連絡をとりながら、必要な措置を講じてまいりたいと思っております。
 なお、御指摘のように警察との協力というのも非常に大事でございまして、予防の面、それからもし事故が発生した場合の後の対策、日ごろから十分連絡を保って行っていかなければならない、そういう指導をしてまいる所存でございます。
#140
○熊谷太三郎君 過日、高知県の窪川町におきまして原発の立地調査を認めた同町長のリコールが成立しましたことは、原発立地の推進を図る上にきわめて遺憾なことであります。
 ただ、開くところによりますと、今回リコールを受けた同町長がさきの選挙においては原発反対派の推薦を受けていたのに対しまして、リコール請求のリーダーが逆に原発推進を党是とする自民党の元支部長であったり、また最近同町で原発立地調査の請願が行われました際は、その賛成の署名者が全有権者一万三千七百名中一万人近い数に達していたり、また町議会がこの請願を十四対四という大多数で採択したりしている事実から考えますと、リコールの目的が必ずしも純粋な原発反対ということではなく、前回の町長選のしこりが尾を引いていたということが主因と考えられるのでございますが、それにしましても、一部にはやはり原発の安全性に対する理解が十分行き渡っていなかった点も否定できないと思います。
 これに対しまして、原子力平和利用推進の当事者であられます科学技術庁長官たる中川大臣の率直明快な御所見を簡潔に承ることができれば幸いであります。
#141
○国務大臣(中川一郎君) 窪川町における原発推進町長がリコールを受けた、そして成立をしたということは、原発行政をあずかる者にとりましてまことに残念、遺憾に存じております。
 ただ、御指摘のように、この町長さんはもともと革新から出られた人でして、原発反対をもって出られた方でございます。しかも当時保守系の人が三人出て、その谷間に誕生したのがこの町長さんだと言われております。ところが、原発推進派という町民が署名運動いたしまして、一万三千人のうち九千何がし、約一方に近い人々が原発を持ってきてこの村を立て直そうじゃないかと、こういうことを受けて町議会が議決をいたしましたところ、十四対四で原発を持ってくるべしと、こういうことになったわけでございます。そこで、町長さんは理事者でございますから、自分の意思とは違って町議会で決まった以上は、やはり四国電力に調査を依頼をしなければならぬ、こういうことになりました。ところが、何だ選挙のときには原子力を持ってこないと言った革新町長が誘致をするとはけしからぬということで、当然のこととして革新側からリコール運動が出てきた。それだけならば問題なく否決されたのでありますが、町長選挙に三対一で負けた恨みがございますから、推進派の人が、この際この町長にやめてもらうことは原子力いかんよりはもっと大事なことだというので、むしろ九千名にかかわった原発を持ってくるべしと言った方がしかも先頭に立ってリコール側に回ったと。
 ですから、原発の誘致問題で正真正銘リコールされたかどうかということについては非常に疑わしいところがありまして、この点は週刊誌その他も、あのことだけでひるんではならない、たかがといういろんな意見があります。ありますが、いずれにしても日本で初めて原発について町長さんがリコールを受けたということは、この推進をいたさなければならないわれわれとしてはまことに残念なことでございます。
 私は、何といっても八〇年代、二十一世紀に向けて――この間も喜屋武委員が沖縄の原発反対だと言っておりましたけれども、沖縄でも一〇〇%火力発電であるために電力が非常に高い。そして、沖縄の経済が大変だ。こういう実態が端的に日本を象徴しているのでありまして、石油に七三%依存しておるわが国が、いつまでも石油だけに頼っておったならばひどいことになるということだけは、これはもう国際的にも明らかでございます。したがって、この際、今回のことを経験として、大いに反省するところは反省をして、さらに一段と立地問題について国民の皆さんの、特に地元の皆さんの理解を得られるように最善の努力を図ると同時に、まず安全性について、もう微に入り細にわたりこの点をはっきりして、ひとつ原子力行政を推進をしてまいりたいと思いますので、何とぞ国会の皆様方の御理解、御協力もお願いする次第でございます。
#142
○熊谷太三郎君 よくわかりました。
 次に、原発の立地推進のためには、現在までに原発の必要性に対するPRや、電源三法を主とした政府の助成や、各電力会社の涙ぐましい努力などが積み重ねられておりますが、それにもかかわらず、現在、原発立地が遅々として進まないことは周知のとおりであります。それにつきまして、政府は原発対策の第一要件として、常に安全性の確保ということを挙げておられます。もちろん安全性の確保ということは何よりも必要なことであることは言うまでもありませんが、それとあわせまして、現在の段階において、原発は実用に供しても決して心配はないということを素朴な住民にもっとわかりやすいようにPRされる必要があると思います。
 この点につきましては、これも時間の関係がありますのできょうは言及いたしませんが、この際、いま一つの方法として考えられますことは、これは別段目新しいことではないかもしれませんが、現在すでに原発を受け入れております地域――すでに御承知のように十カ所ほどありますが、この地域において、この原発を受け入れてよかった、原発を受け入れても安全上何の懸念もない、また、一方においていろいろメリットがある、政府や電力会社が誠意を持って地域の安定と発展に協力してくれている、その上、われわれは大切な国のエネルギー施策に貢献しているという誇りを持ち得るように、原発を受け入れて本当によかったという、いわば原発歓迎ムードともいうべきものがより高まっていく、そういう現地の生の声が全国、特に今後原発を受け入れてもらわねばならない各地に広まっていく、そういうふうにしていくことが今後の立地難を切り開いていく上に大きな手がかりの一つになると考えておるわけであります。
 こういう考え方に対しまして、一応通産大臣の御所見を伺うことができれば幸いであります。
#143
○国務大臣(田中六助君) いま熊谷委員御指摘のとおりのことをやらなければいけない。つまり、原子力発電所を持ってきてよかったというようなことが、日本全国にそういう雰囲気が広まると原子力発電所もスムーズにいくわけでございますが、やはりなかなかうまくいかないのは、すでに御承知のように、日本にとっては原子力というのはやはりアレルギーがあるからだと思います。
 したがって、これのPRでございますが、現在、私どもは、すでに原子力発電所がある地点に対する紹介とか、あるいはパンフレットによる原子力発電所の立地の問題に対してPRする助成金を出しておるのも事実でございますし、また電源立地、つまり交付金制度みたいなものを出してPRあるいはいかに安全か、いままで一度も大事故はなく、あるいは死亡した人もいないというようなことも含めまして、立地の条件なども含めたPRあるいはいま申しました何ら事故がないというようなことにつきましても、五十六年度予算の中にPRの費用はもちろん、そういう新しい立地の制度なども新制度を設けてこれが対策を進めておるわけでございます。
#144
○熊谷太三郎君 少々急いで申し上げます。
 ところが、最近、このムードの高まりを期待する立場から言いますと幾分気がかりになる問題が起きたのでございます。
 それは、今回、電源開発促進対策特別会計におきまして、新規に提案されました原発施設等立地協力交付金の内容に関してであります。この提案そのものは原発立地推進の上にきわめて適切な措置でありまして、通産当局の御英断と大蔵当局の御理解に心から敬意を表するものでありまして、決してその内容に反対ではありませんが、ただ一つ気がかりになりますことは、この電力料の割引率に差異がありまして、既設のものは新設のものより低いという点に若干の危惧を覚えるものであります。もちろん通常の考え方から言いますれば、既設のものはもうその必要がない、したがって割引の必要もない、たとえ割り引きするとしても、新設より低くしてよいという理屈も成り立つということはよくわかりますが、しかしこの場合、このような地元原発推進の原動力という役目を果たしてもらいますためには、せっかく盛り上がりましたそういうムードに水を差すようなことになりましては、これは大変残念であると考えるわけであります。
 したがって、こういうことを御理解していただきまして、いますぐにとは申しませんが、そういう地元の原発ムードに冷ややかな水を注ぐといったようなことにならないような御配慮を今後考えていただきたいと考えるわけであります。
 この点に関しまして、将来のことでございますが、通産、大蔵両大臣の簡潔なお答えを承れれば幸いでございます。
#145
○国務大臣(田中六助君) 新設の原子力発電所と、もうすでにあるところの発電所、これに対する措置というものはやはり熊谷委員御指摘のように問題でございます。旧設のところは余り恩恵をこうむらず、新設の方がいろんな新制度によって立地交付金あるいは立地制度による資金の補助金がたくさん行くというようなことで相互に不満をかき立てるというようなことはよくありません。したがって、新規発電所につきましては補助金あるいは立地条件の新制度は五割以上は出さないという基本方針を決めておりまして、旧設、新設のトラブルのないようなぐあいにしておること、新年度からそういう計上の仕方をしていることは事実でございますし、私どもも新旧がそのほかトラブルのないように努めていきたいというふうに思っております。
#146
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま通産大臣から御答弁がございましたが、新制度が新しい立地を促進する上にいいのじゃないかということでとらえておるわけでございますが、やってみて、それがかえっておかしいというようなことじゃ困るわけでして、これらは実施の経過を見た上で適当に今後また考えていったらいいんじゃないか。いずれにしても、旧も新も両方いいようにすることがいいと思っております。
#147
○熊谷太三郎君 それでは、通産大臣に対するお尋ねを二つ一緒に申し上げますから、簡単にお答えいただければ幸いでございます。
 電源三法におきますメリットは、当の地元のみならず、現在、常に隣接ないし隣々接に対する配慮も加わっております。しかし、このメリットは元来、原発受け入れに対する協力が前提であると思います。したがって、協力もしていないのに貴重な金をばらまく必要はないわけでありますから、隣接市町村に交付金を交付される場合は、十分協力の実が上がるようその理解を求めてこれを実施する必要があると思われます。したがって、今後、この点に対してのお考え方を承りたいと考えます。
 いま一つは、現在、原発の立地推進を図る上で最も大きい難点の一つになっているのは、対漁業関係であります。今後、より合理的な、また効果的な対策が樹立されねばならぬと考えておりますが、とりあえずはその一環としまして、現在の電源三法のメリットの中にもっと漁業関係のウエートを重くしていくべきであると考えております。これらの問題について、今後御検討をお願いしたいと思うわけであります。
 最初の問題といまの問題と、二つあわせて簡単なお答えをいただければ幸いでございます。
#148
○国務大臣(田中六助君) 電源開発促進をするためにその立地の場合、その県とそれからその隣接する県を含めて、私ども、立地交付金を出すことになっておりますけれども、その隣接県につきましては、県全体じゃなくて、その隣の市町村、そこまでに限定しております。
 それから、第二番目の漁業補償などにつきましても、これは十分研究、検討して、その後に電源立地をした場合に、原子力発電所を誘致して悪かったというような補償の仕方は最後まで問題でございますので、そういう漁業補償につきましても十分検討し、納得いくような線で決めていく措置を考えております。
#149
○熊谷太三郎君 これらの問題につきましてはいずれ後刻またエネルギー委員会等においていろいろと御意見をただすことにいたしまして、本日はこれで質問を終わります。(拍手)
#150
○委員長(木村睦男君) 以上で熊谷太三郎君の一般質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#151
○委員長(木村睦男君) 次に、渡部通子君の一般質疑を行います。渡部通子君。
#152
○渡部通子君 最初に、外務大臣に外交問題について若干のお尋ねをいたします。
 最近のポリャンスキー大使の行動につきましては、私ども腑に落ちない点が多くございます。西ドイツあたりにはブレジネフ親書を出して平和外交を進めてまいりましたのに、日本にはきわめて簡単な申し入れにとどまった上、外相会談の席上では北方領土問題については何一つ理解を示すことがなかったという点、こういったことを総括的に外務大臣はどう評価しておられますか。
#153
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げますが、ソ連のポリャンスキー大使がとられた行動について云々と、こうおっしゃいましたけれども、これは特定の大使の行動を私がここでとやかく言うことはいかがかと思いますので、それは差し控えさしていただきますが、私、お会いしましたときに向こうから申し入れがありましたのは、御承知のような信頼醸成措置ということだけでございました。親書というような形式のものじゃなく、口頭で申し入れがあって、参考にと言って文書を置いてもいいというふうなことでございました。またその席では、領土の問題、これはブレジネフ演説にもことしは領土のことを触れてなかったんです。ございませんで、領土の問題はこちらから話をしたと。領土の問題あるいは軍備の増強の問題、そういうことは日本人の神経逆なでするようなものだというようなことでいろいろ話したのでございますが、この話は平行線であったことは確かでございます。
 その一連のそういうことから見まして、やはり日本とソ連との間というものはなかなか厳しい問題が残っている。向こうは、領土は解決済みと、こう言いますし、日本側は、これはもう国民の総意で四島の返還をしてもらいたいという要求をしているわけでございますので、そういう問題は避けては通れないというのが日本の立場でございますので、日ソの修好ということにつきましてなかなか厳しい環境にあるということを改めて感じたというようなことでございます。
#154
○渡部通子君 ソ連側は、極東における信頼感醸成の措置として、具体的な交渉を行う用意があるとして事務協議を要求したということでございますが、協議の内容についてどのようなことがあったのでしょうか。北方領土の交渉については簡単な妥協ができないことはわかっておりますけれども、その他のことについてはむしろ話し合いを継続した方がいいと私は思います。外交に当たっては原則は譲らなくても、それがうまくいかぬからといって一方で話し合いの窓口を閉鎖する、これはよくないと思います。その点、官房長官の記者会見における発言は、大使の行動に不快感を示すなど感情的な反応を示されておりますが、外務大臣はどう受けとめていらっしゃいますか。
#155
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 ポリャンスキー大使と私会いまして、領土問題その他平行線でございましたが、やっぱりああいう話をしたということそれ自体で意義があったと私は思っているということでございまして、きのうもこの席でお答えをしたわけでございまして、私は会ったことに意義があったというふうに考えております。
 官房長官の発言ということでございましたが、これは私もよくその辺のところわかりませんので、ここでコメントすること、これも差し控えさしていただきたいと思うのでございます。
 それから、この前、おとついの話し合いの中で、ソ連側からいつまでも領土問題にかかわっていては話が進まぬじゃないかと、やはりそのほかに経済問題あるいは技術の問題あるいは政治的な話のいろんなレベルもあるだろう、そういう話もすべきじゃないかと思うし、日本側から何か提案はないかという意味で、そのときに日本側の提案は何かないかと言って話があったわけでございます。私はそのときに、領土問題をたな上げにしてそれはもう終わっているのだという向こうの言い分でございますし、こっちは絶対そうじゃないと、これは国民の総意で返還をしてもらいたい、そのことをそのまま全然別にしてそして話をしようと言っても、これはなかなかそういうわけにはいかぬということで応酬をいろいろしたのでございますが、この問題は、実はグロムイコさんが今度は来て、領土問題を含めた平和条約の交渉をするという順番になっているのです。なっているのですが、向こうはその後グロムイコ外相が来るという、平和条約の交渉に来るということをずっとやっておらぬという状態が続いているところに、アフガニスタンの問題あるいは北方領土の軍備増強の問題が出てきたわけで、いろいろ問題が複雑になっておることは渡部さん御承知のとおりでございます。それで、この日ソ間の話し合いといいますか、あるいは政治的な事務の交流といいますか、いろいろあるわけでございますので、向こうが、ソ連側がどういう態度で出てこられるかということを見ながら、私どももこれは領土の問題を頭に置きながら通すべきことは、言うべきことは言うということの前提の上に、どうしたら一番日ソの話し合いを始めるきっかけになるかということで、おとつい久しぶりで会ったわけでございますので、私はどういう機会かなということでいま慎重に考えている最中でございます。
#156
○渡部通子君 北方領土への墓参、貝殻島周辺におけるコンブ漁の再開、北方領土におけるソ連軍基地の閉鎖、こういったことは当然こうした交渉の場で強く要求すべき事柄であると思いますが、いかがでしょうか。また田中・ブレジネフ共同声明におきまして記されている両国首脳の相互訪問、これは実現しておりませんが、どうしてこの履行を強く迫らないのか、その辺の御見解も伺います。
#157
○国務大臣(伊東正義君) 最初おっしゃいました墓参の問題、これは御承知のとおりいま中断をしているわけでございます。中断をしている一番の理由は、従来は身分証明書で差し支えないということだったんですが、今度は旅券の問題、入国査証の問題という、領土問題が直に絡まってきたということで中断をしている。ここ三年ぐらいはまた北方の領土は外国人立入禁止だからということでいま中断をしているわけでございます。おとついの会談でも、私は何か提案はという話がありましたときに、零細漁民のコンブ漁の問題とこの墓参の問題、これは人道的な問題なんだから、両方でこれは係争地だということを頭に置いて、そして従来の身分証明書で行けるというようにすべきじゃないかということを、私は実はコンブの問題と二つこれは強く向こうに言ったのでございまして、ポリャンスキー大使はこれはすぐモスクワにそういうことがあったということをこの問題は伝えるという返事でございました。なかなかすぐ返事はまだ来ることはむずかしいと思いますが、おとついの会談ではこの二点は特に強く向こうに要請をしたところでございます。
 それから渡部さんのおっしゃる北方領土からの軍備撤廃の問題、これはもちろん言いました。
 それから日ソ首脳の交流の問題でございますが、これは私はおとついの会談では提案しませんでした。率直に言いまして日本側からそういう提案はしておりません。といいますのは、これは田中・ブレジネフ会談でもおわかりのとおり、必ずこれは領土問題が出るわけでございます。こちらとしてはどうしても返還を強く要求しなければならぬということでございますので、それを要求した場合にどういう向こうが反応を示すか。田中さんの、ブレジネフのときは共同声明で第二次大戦後の未解決の問題という表現で声明が出たわけでございますが、今度日ソ首脳会談をもしやるとすれば、やはりこの問題につきましてある程度の見きわめを持ってやらないとこれはいかぬというふうに考えておりますので、私はそれがいまの状態のままではいままだそういうことをやる時期ではないだろう、相手方が領土問題を含めて交渉しようということであれば別でございますが、慎重に考える必要があると思っているわけでございます。
#158
○渡部通子君 それでは懸案となっております日ソ事務協議、日ソ外相会談につきましては、ソ連側から具体的に呼びかけてくるならば、わが国政府としては特に条件をつけることなく応ずるという、そういう御用意はございますか。
#159
○国務大臣(伊東正義君) いま二つ御質問がございました。一つは外相会議を、たとえばグロムイコ外相が東京へ来てやるというようなときにはどうだというのが第一点でございます。これは外相会議というのはいままでの経緯からいきますと、領土問題を含めた平和条約の交渉ということで外相会議は持たれることになっておりますので、そういう領土を含めた平和条約の交渉をしようということであれば、私はそれはソ連が日本に対する一つの態度だというふうに思いますので、そういうときにはそれじゃ領土問題を含めて交渉しようじゃないかということで応ずるつもりでございます。
 もう一つの、事務レベルの会議は、これはこの前は東京でやりました。今度やるとすればモスクワでやる順番になっております。これはこの問題につきましては向こうがどういう考えでそういうことを言うか、あるいはそのときの領土問題あるいは軍備の配備をどうするかというような問題もあるかもしれません。あるいはアフガニスタンの問題等もあるかもしらぬ。いろんなそれを取り巻く問題があるのでございますから、向こう側がどういう考えでそういう会議を開こうということを言ってくるかということをやはりよく聞いて検討しまして、その上でこれは返事をするべきじゃないか、やはり検討をする要がある問題だというふうに思っております。
 いずれにしろ、両方これは仮定の問題でございますので、まだ現実にそういうことはありませんが、仮定の問題としてお答え申し上げる次第でございます。
#160
○渡部通子君 きのうの新聞によりますと、ガット年次報告におきまして、二国間で生じた貿易赤字、これをなくすのは不適当だと、それは世界経済の縮小均衡をもたらし、その結果、日米欧等の先進諸国の不景気を招く要因となる旨、こういう指摘がございました。これはわが国の貿易、特に自動車、電気製品、これらの輸出に対する先進国内の攻撃に対して日本側を弁護するものと受けとめてよろしいかどうか、どうお考えなのか。今度のサミットにおきまして、日本は世界の景気の動向を考えなければならない立場でございますから、こうした意見を事前に根回しもし、世界経済の拡大のため国際的投資環境の整備も含めて貿易の拡大均衡を目指して努力すべきと思いますが、外務大臣の御見解を伺います。
#161
○国務大臣(伊東正義君) 後のサミットの問題でございますが、サミットの議題は実はまだ決まっておりません。各国から担当者が出まして何回か相談をしているのでございますが、まだ最終的には議題は決まっておりません。その相談の過程で、ヨーロッパの方から日本とヨーロッパの関係の貿易の問題というものを議題にしたらどうかというようなECの外相会議で話があったことは確かでございますが、日本としましては、そういう日本とECというような、そういう二国間の問題をサミットのところで議題にすることはおかしいじゃないか、むしろ、もしも議題にするなら、いま渡部さんのおっしゃったような保護貿易でなくて自由貿易を守っていくのだというような、そういう大きな旗印を決める、相談をするということの方が意味があるのじゃないかというような意見を日本から出ている担当者が言ったことは確かでございまして、まだ議題が決まっておりませんので、何とも申し上げかねますが、先生の御意見は私は非常に参考にしてこれからやっていったらいいだろうと思っております。
 それからもう一つの、第一番目の、ガットが自由貿易のことを言ったということでございまして、これはいま世界に保護貿易的な空気が、運動が台頭し始めているということは事実でございまして、これは日本側から言いますと、日本は戦後一貫して自由貿易ということで今日まで発展をしてきた、またこれは日本だけじゃなくて、世界の人々にとって貿易を拡大していくということが私は経済繁栄につながるというふうに思っておりますので、ガットの報告というものは私は非常に高く評価し、またガットとしては当然そういう結論が出るだろうというふうに思っているわけでございます。
#162
○渡部通子君 レーガン大統領は十一日、カナダ訪問の際の記者会見で、この次のオタワ・サミットでソ連の脅威への西側の結束を強めるため対ソ戦略を正式議題とすべきだと、こう述べています。この提案について、外務大臣は基本的に賛成なのかどうかを伺いたいと思います。
#163
○国務大臣(伊東正義君) これはサミットのまた議題の問題でございますが、議題は決まっておりませんが、従来はサミットは経済問題をやっておりました。昨年初めて、ベニス・サミットでアフガニスタンに対するソ連の軍事介入、国連決議で、即時無条件撤兵というような国連の決議を受けてベニス・サミットでアフガニスタンの問題を取り上げて議論をしたというのが去年初めてでございます。ことしはどういう議題になりますかまだ決まっておりませんが、やはり私は、これは予想でございますが、やはり政治的な問題もそこで議論されるのじゃなかろうかと、こう思いますが、それがいま渡部さんがおっしゃったようなすぐ対ソというようなことに結びつく問題がどうかわかりませんが、政治問題が私は当然やはり今度のサミットでも去年と同じ話し合いで出るだろうなと予想はしております。
#164
○渡部通子君 おっしゃるとおり、サミットは本来経済問題、これが中心であったと思います。もし対ソ戦略の調整の場ということになれば、サミット自体の変質を意味することにもなると思うのです。特にサミットの参加国から見て対ソ戦略を検討する、こうなるとNATOプラス日本という構図もつくりかねない。外務大臣としてサミットの性格というもの、いまお話がありましたけれども、基本的にどうあるべきだというお考えをお持ちになっているか。二十一日から訪米なさいますが、その際に、サミットで正式議題にそういうものが上がるとレーガン大統領は言われたわけですから、それには反対である旨を米側に伝えるべきだとも思いますが、いかがでございますか。
#165
○国務大臣(伊東正義君) サミットで世界の首脳が集まるのですから、やはりいろいろな政治問題があれば恐らく政治問題は話題になるだろうと私は予想されるわけでございますが、そのサミットが一国に対しての対抗を考えるとかそういうことよりも、国連の決議を踏まえて物を考えるとか、もっと広い立場で、世界的な視野でいろいろ国際問題を話題にするということが私はやっぱり適当じゃないか、いま渡部さんのおっしゃるようにNATOプラスサミットということでは、これはやっぱり狭くなり過ぎだろうという感じはします。
#166
○渡部通子君 中国残留孤児の問題について伺っておきたいと思います。
 今回四十七人中二十四人が身元がわかった。これは喜ばしいことですが、この期間、私も何度かテレビを見ながら涙を流した一人であります。ことしの秋にまた六十人を呼ぶという御計画のようでございますが、このベースでまいりますと、千二百人の孤児を呼ぶのには十年もかかると、こういうことになります。今回、十年前ならわかったのにと、こういう声を聞いているのを見ましてもわかるように、これから十年先になってしまったのではおよそ見当もつかないというような話になるように思いまして、これだけは急いでもらわなきゃならない、こう思う次第でございます。
 私も中国留学生友の会などに入っているわけで、厚生大臣の奥様なども熱心にそれを進めていらっしゃる一人でこの問題に関心が深いわけでございますが、中国側が日本人とみなした者につきましては、中国側と交渉をして国籍の確定、旅券の交付、これらの処置をとりまして、引き取りとか一時帰国とか、里親制度もございますから、いろんな方法もとれると思いますが、その交渉をするおつもりはないか、また国内受け入れ体制の整備などにつきまして、外務、厚生、法務、三大臣からひとつ対応をお聞きしておきたいと思います。
#167
○国務大臣(園田直君) 中国の孤児の問題では、各方面皆様方からいろいろお力添えを願いましてようやく実現したものでございます。幸い二十四人が判明いたしましたが、判明しないで帰られた方のことを思うと胸が痛い思いがいたします。しかし、全部がぜひ日本に永住したいという希望の多い方でございます。なお、あとに残った孤児の数はまだはっきりわかっておりませんが、相当数いらっしゃると思います。そこで、年に一回ということではなくて、秋にはまた数をふやして、中国に相談し、関係各省とも相談をして、こういうことはなるべく早目にやりたい。かつまた、こういう方々の、国籍のない方がありますから、この国籍取得の問題、日本永住の問題等については、関係、特に外務、法務の大臣の方々と相談をして、かつまたそれだけではうまくまいりませんので、そういうことが話が進んだ場合の日本の受け入れ環境等も整備しなきゃなりませんので、大急ぎで相談をしてこれの実現を期する所存でございます。
#168
○国務大臣(伊東正義君) 去年の十二月の日中の閣僚会議のときに、あれは六百何十人でしたか、リストを厚生省からつくってもらいまして、それを向こうの外務大臣との会議に手渡しまして、調査について便宜を図ってもらいたいということをやったわけでございまして、私は今後とも中国側の好意に訴えて、これは非常にむずかしい問題が、感情問題とかいろいろあるわけでございますが、中国側の好意に訴えて、引き続き親、親類を捜せるという機会をなるべくよけいつくってもらうように中国側の配意を求めていくということを今後ともやりたいと思います。
#169
○国務大臣(奥野誠亮君) 中国孤児の帰国につきましては、できる限り温かい配慮で迅速に進めていかなければならないと思います。多くの方々は日本人であることが明確になってきているわけでございますから、個々でありましても在外公館で帰国のための渡航書の発給を受ける、そして帰ってくるということも可能でございます。同時にまた中国孤児、ほとんど日本国籍を失っていないと思うんです。したがいまして、日本に帰ってきて永住したいという場合に、戸籍関係の手続をとらなきゃならないでしょうけれども、また戸籍がある方でありましたら問題ありません。多くは日本国籍を持っていると、こう思っております。
#170
○渡部通子君 一点外務大臣にお願いをしておきますが、中国の育ての親に対する感謝でございますね、これがいままでどこにも出てないというのは、私は残念だと思うんです。やはり育ての親に対する感謝ということを、この場でも結構でございます、別途外交ルートを使ってでも結構でございますが、何らかの形で中国側に表明していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
#171
○国務大臣(伊東正義君) 確かにそういうことをいままで外務省のルートを通して向こうの里親になってもらっている方にそういう感謝の意を表するというようなことはやっておらなかったのでございますが、おっしゃることはよくわかりますし、そこまでやることが今後ともまた中国残留の孤児の人が親捜しをするのに温かい気持ちでそれを協力してもらえるということだと思いますので、いま渡部さんのおっしゃったことは早速向こうへルートを通しまして感謝の意を表したいと思います。
#172
○渡部通子君 それでは次に、今の安全を守るという立場から若干の御質問をいたします。
 最初に、水道水の問題でございます。現在わが国では一億二千万人の人口の九〇%が水道の水を飲んでいると言われております。その水道水が最近いろんな疑問が提示をされておりまして、安全なのかという、危険が問われているわけでございまして、六年前、アメリカで水道水の中に発がん性物質が含まれているという調査結果が出ました。その後、厚生省としても何らかの対応をなされたのかどうかまず伺います。
#173
○政府委員(山村勝美君) お答えいたします。
 四十九年十一月にアメリカ環境保護庁から水道水中に各種の発がん性物質が含まれておるという指摘がございまして、アメリカは自来検討を、いろんな調査研究をしてまいりました。日本といたしましても、五十一年、予算化等の関係で若干ずれておりますが直ちに対応をいたしまして、五十一年以降分析方法の確立でありますとか、生体影響の研究でありますとか、除去技術の研究等に着手をいたしてきたところでございます。
#174
○渡部通子君 報道によりますと、日本の水道水にもトリハロメタンという発がん性の疑いのある有機化合物が入っていると言われていますが、本当ですか。
#175
○政府委員(山村勝美君) トリハロメタンの含有量は非常に低いレベルでございまして、先ほどちょっと申し上げました分析方法の確立を待って統一的に日本でやる必要があるという認識から、実際に国として調査を始めましたのが昨年に入ってからでございまして、まだその成果は出ておりません。ただ、統一されない方法と申しますか、それぞれの学校の先生方あるいは研究所の方々が独自の立場から種々の研究をされておるということは承知いたしております。
   〔委員長退席、理事宮田輝君着席〕
#176
○渡部通子君 アメリカで発がん性が指摘されているトリハロメタンの発がん性に対する御見解はいかがですか。
#177
○政府委員(山村勝美君) 飲料水中のトリハロメタンの毒性については、世界内外、日本及び世界各国で各種の調査研究が行われてきておるところでありますが、人体にどのような影響があるのかにつきましては、発がん性を含めてまだ十分にわかっていないというのが実情のようでございます。言いかえますと、まだ発がん物質として断定するにはデータが不足であるというような状況かと承知いたしております。しかしながら、米国等の動物実験におきまして、きわめて高い濃度のトリハロメタンを投与したような実験におきまして、発がん性の可能性が発表されておりまして、それが直ちに人間の発がん性に結びつくかどうかについてはなお今後の課題でございますが、こういった発がん性の疑いを持たれる物質につきましては、慎重かつ抜かりなく対処していかなければならないというふうに考えております。
#178
○渡部通子君 生活環境審議会の水道部会水質専門委員会、これがトリハロメタンの規制について年間平均の暫定基準を濃度は〇・一ppm以下が妥当と、こういう報告をまとめましたが、厚生省はこれを受けてどういう処置をおとりでございましょうか。
#179
○政府委員(山村勝美君) 一つは、一つの目標ができましたので、実態調査をいたしまして、わが国の汚染状況等の実態をよく調べたいということでございます。現在一部の水道について実施いたしておる段階でございます。もしそれが目標として定めました一〇〇ppbというレベルを超した場合、これにつきましては、まあそれなりの除去方法を考えていかなければならないわけですが、それを除去する、低減化するといいますか、方法といたしましては、トリハロメタンは御案内のとおり水中の有機物質等と消毒用の塩素が結合して生成されるというようなものでございますので、その生成される前段階で生成を抑制する方式、あるいはそれができた後のトリハロメタンそのものを除去する方法、そういったことがいろいろ研究、検討された結果、むしろ前段階で抑えることが効果的であろうというような審議会の答申をいただいております。
 具体的には、現在の浄水施設の管理を改善していくこと。たとえば、塩素、強塩素でいたしておったのを減らすとか、あるいは浄水操作を効率化していくとかというような努力をまずしてみる。その次には、原因物質、有機汚染の激しいような河川については前塩素処理というのが行われておりますが、そういったものを有機物質の多い段階で行わないでもっと後で行う。つまり中間塩素処理というふうなのに切りかえるとか、そのほかその塩素を入れることにかえて過マンガン酸カリウムとか等の酸化処理に切りかえるとか、最後は粉末あるいは粒状の活性炭で吸着除去するとか、そういったことが具体的に指示されておりまして、これらをその状況に応じまして適宜対策を講ずるよう指導していきたいと思っております。
#180
○渡部通子君 聞いておりますと、六年前に発がん性の指摘がアメリカであったわけでございますが、それを昨年から日本では研究を始めたと。いつになったらその結果が出てくるのかということが非常にまどろっこい感じで、最近の新聞投書などを見てもおわかりのように、水道水に対する苦情というものは非常に多い。東京都内の保健所あたりへ行ってみますと、その苦情の申し入れというものは後を絶たないというような実情でございます。そういうことに対して私は対応がのろ過ぎるのではないかと、こう思うわけです。したがって、〇・一ppmという暫定基準も出たことでございますし、水質基準の中にトリハロメタンの規制値を加えるべきだと思いますが、それに対する見解を伺いたい。
 それから、厚生大臣にも、こういう発がん性が心配されるようなもの、これに対してはもっと緊張して早くやってもらわなければ困りますので、ひとつ督励方をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
#181
○政府委員(山村勝美君) 御指摘のように一〇〇ppbといういうのは、水道法に基づく水質基準として定めたものでございませんで、当面の水質管理目標と申しますか、そういうものとして決めておるわけでございます。と言いますのは、先ほども若干触れましたように、トリハロメタンの毒性そのものについてはっきりしていない、言いかえればそれに基づく基準というものがきちっとした値で設定しがたいという実情にございますので、その前段階として水質管理目標というものを定めたわけでございます。
#182
○渡部通子君 管理基準の中に……。
#183
○政府委員(山村勝美君) 管理基準につきましては、答申の中にも書いてございますように、トリハロメタンの原因物質、またはトリハロメタンそのものを除去する対策を講じていくという指導を全国に対して行いたいと思っております。
#184
○渡部通子君 私がお尋ねしたのは、水質基準の中にトリハロメタンの規制値を加えるべきだと申し上げたのです。
#185
○政府委員(山村勝美君) なお引き続き毒性の調査等を継続いたしておりますので、それらのデータがそろい次第、基準化を図ってまいりたというふうに考えております。
#186
○渡部通子君 私は、ここでいたずらに水道水の危険を論ずるつもりではないのです。ただ発がん性が指摘されるようなものが水道の中にあるという不安に対して、これは大変な問題だと。したがって。厚生省の対応をお願いしているわけでございまして、大臣の御見解を承ります。
#187
○国務大臣(園田直君) いまの問題、普通のことではなくて朝から晩まで使っていることでありますから、薬には単なる数字の害と蓄積作用というのがございまして、単位では大したことなくても蓄積をしてきている、人体に及ぼす健康というのは非常に大きな問題等があります。したがいまして、いまの問題以外の有機物についても早急にそれぞれ個所を選定をし、研究いたしますが、とりあえず暫定基準でやっておいて、データがそろい次第これに対して対処いたしますが、これに対する対応の処置が非常に緩慢であるということは反省をいたしております。
#188
○渡部通子君 そこで受水槽の実態について伺います。
 いまもトリハロメタン以前の問題だと言われた。こうなりますと、受水槽の清掃とか、底の汚物の問題というのが大変大きな問題になると思うのですが、一般的なビルやマンション、この飲料用水についてはどんな法律でチェックされているのか。また、その内容も伺います。
#189
○政府委員(榊孝悌君) お尋ねの件でございますが、受水槽につきましては、建築物における衛生的環境の確保に関する法律、略称ビル管理法と言っておりますが、その法律と、さらに水道法に基づきます簡易特定水道といいますか、そういう形で、両法によりましてその衛生上の問題、こういうものが指導されております。
#190
○渡部通子君 内容。
#191
○政府委員(榊孝悌君) 内容につきましては、ビル管理法におきましては、六カ月に一回の水質検査、それから七日に一遍の残留塩素の検査。それからさらに、給水栓での水の色、濁りあるいは味といったような異常なもの、これは日常検査でございます。それからさらに、汚水等によって水が汚染されるのを防止するため必要な措置がとられているかどうか。それから清掃につきましては、一年以内に一回は清掃しなければならない。それからまた、緊急時の場合の給水停止というふうなことが定められております。それから簡易専用水道の設置者の責務としては、一年以内の清掃、それからさらに、いま申し上げましたような汚水等の混入のおそれがないような措置、そういうふうなこともこの中で一応指導することになっております。
#192
○渡部通子君 五十二年の水道法改正の際に、二十トン以上の受水槽を持つビルということで線引きをなさっておりますが、この理由はなぜですか。
   〔理事宮田輝君退席、委員長着席〕
#193
○政府委員(榊孝悌君) お答えいたします。
 おおむね百名程度の方が利用するというふうなことで、一応二十トンというふうに決めております。
#194
○渡部通子君 そうすると、その受水槽を持つビルというものは、全体のビルの中で、二十トン以上の受水槽を持つビルというのは何%ぐらいになるものですか。
#195
○政府委員(榊孝悌君) 何%ということについてちょっといまあれがございませんが、全国で約四万二千カ所程度あるというふうに……
#196
○渡部通子君 ビル全体は三十万ぐらいですか。――それじゃ、それは私の方で調べでありますが、大体一四%ぐらいなんです。大臣にもお聞きいただきたいんですが、ビル管法並びに水道法でカバーされているこの受水槽というもの、これは大体全ビルの一四%ぐらいしかカバーはできていないと、こういうことでございます。この二十トン以上の受水槽でありましても、それに検査が確実に行われているか、いまの内容のような検査が行われているかというと、もう気の遠くなるような結論が出てくるのです。これは東京のある都心の保健所でございますけれども、四〇%が定期的な水質検査をしていない。一六%が受水槽内の清掃をしていない。この霞が関近辺におきましても、五十五年度、法務省の第一、第二別館、本館、霞が関の合同庁舎三号館、これはやっておりません。大手町合同庁舎の二号館、三号館、これあたりはやってないんです。ですから、この行政のトップの場にある省庁ですらかくのごとしてございますので、一般においておやと、こう思うわけでございまして、この点をどうなさろうとするおつもりなのか、伺いたいと思います。
#197
○政府委員(榊孝悌君) ただいまのお尋ねでございますが、ビル管理法あるいは水道法適用以外のいろいろなそういう問題もあるわけでございますが、現在のビル管法では、適用以外のものにつきましても、多数の者が使用するものにつきましては、一応行政指導の対象とすると、これは法律上そういう保健所の指導という形で行える仕組みになっております。
 いまお尋ねの、十分そういった清掃とか、そういうものが行われていないということにつきましては、私どもも今後いろいろの、これはビルの所有者あるいは管理者、あるいはその清掃等についていろいろ携わっておられる方々、そういう方々のやはり啓発を図るということも、非常に重要ではないかというふうに考えておるわけでございまして、地方公共団体、あるいは先ほど申し上げました関係者のやはり積極的な協力を得るというふうなことで、何か建築物の環境衛生の推進を図るための、まあ運動と申しますとあれなんですが、そういったようなことも将来は考えていきたい。できるだけこれの適正な管理というふうなものを積極的に進めていきたいと、このように思っております。
#198
○渡部通子君 法律で義務づけられていてもそれがほとんどやられていない、まして行政指導においておやと、こういうことになるわけです。そして、法律の網のかぶらない二十トン以下のもう無数にあるビル、雑居ビルとか、共同住宅とか、そういうところの水道の実態がどうなっているかということは、いまここに私ちょっとパネルを持ってまいりましたのでお見せをいたしますが、これはマンホールに石けん水、石けんのあわがそのまま流れ込んでしまうという、こういう実態でございます。それから、これは赤さびが手でざくざくというほど出ている。上は削り取っているところでございます。それから、たくさんあるんですけど代表的なもの、これはもうずさんな管理のタンク内ということで、タンクの中にこういう異物、お弁当箱だか、茶わんだか何だか、鉄のような何だかいっぱい汚物が浮いている。それから、これは配管内部の腐食状況といって、やっぱりこの配管の中にこれだけさびがある。人間で言えば重症のコレステロール患者と言わなきゃならないと思うのですね。
 これが実態でございまして、ほとんどこの網のかぶらない無数に放置されたビルの中の水道管の実態、受水槽の実態というものがこういう状況でございます。ちょっと大臣、御感想いかがでしょうか。
#199
○国務大臣(園田直君) なかなか大事な問題でありますが、非常に広範であります。まず、何といっても、いまの御意見を伺いましても、法規制の対象を拡大することが大事だと考えます。次には、施設の改善、それから点検、これを頻繁にすると同時に、これに従事する清掃業者の方々に対する指導や研修、こういうものもそれぞれの団体と協力してやる必要があると考えております。
 なおまた、いまの最後に出された布設管というのは、どうしてもああいうさびがついたりあるいは水ごけがかたまるものでありますから、この管をかけかえる工事があるわけでありますが、五十五年だと思いますが、五十五年から小規模の水道のかけかえには補助金制度をつくっております、農村、漁村その他の問題。大都市のやつは水道事業が独立採算制になっておりますから、いまのところ助成金は出しておりませんが、そういう諸般の問題をなべて見直しをし、検討をしたいと考えます。
#200
○渡部通子君 大臣から大要が御回答がございましたので、その法規制を広げなきゃならないという、この二十トンという線引きをお取りになるおつもりがあるかどうかだけを事務当局に伺っておきます。
#201
○政府委員(山村勝美君) 規制の対象にすることによって、そのビルの持ち生その他にかなりの負担なり、義務がかかってまいります。まあ自分の問題ですから当然と言えばそれまででございますが、なお行政サイドといたしましても、監視体制の整備など、いろんな裏づけの点からも検討をする必要があると思いますので、それらを含めましてあわせて検討さしていただきたいと思います。
#202
○渡部通子君 どうか、それしっかりお願いをしたいと思います。
 それから漏水ですが、漏水というのが非常にあって年間二十四億トン、こう言われています。そうしますと、先般長期の水不足に見舞われた福岡市の十七年分、これが漏れているわけでございますが、この水道管の老朽化問題をどう受けとめていらっしゃいますか、厚生省は。
#203
○政府委員(山村勝美君) 御指摘のように明治以来布設されたようなパイプの入っておるところもあるわけでございまして、老朽化した部分あるいは技術的にも漏水しやすい構造の施設、そういうものがまだ相当残っておることは事実でございます。御指摘のようにまだ相当の漏水を持っておる。ここ数年相当改善されてまいりましたが、なお漏水がかなりの部分残っておる。最近、とりわけ御案内のような道路事情、舗装状況等からその修復その他も困難でありますし、経費もかかるということからなかなか円滑には進んでいないというのが実情でございます。本来、各水道はそれなりに、たとえば赤い水の問題が出るとかいうような水質上のトラブルもありますし、破裂事故等の問題もございますので、計画的にそういった老朽管の布設がえ工事を実施しているという実情にあろうかと思っております。
#204
○渡部通子君 これ時間がないのでちょっと申しますが、東京都の実情を見ますと、いまおっしゃったように明治年間からの配水管がまだ延々と残っておりまして、明治から昭和三十年以前に配置されたものが四〇%、実に三千キロに及んでいるわけです。百五十キロメートルずつ毎年取りかえていくというので三十年以前のだけを取りかえるのにも二十年かかると、こういう本当にこれも遠い話になってしまって、これは困った問題だと言わざるを得ない。ため息の出るような話ですが、どうかこういう実情にあるということを御承知の上で鋭意早急に取り組んでいただきたいと思います。
 続きまして航空機の中の問題、この飲料水につきましても伺っておきます。いわゆる公共輸送機関ですね、この中の船舶、鉄道、航空機等の飲料水が一体チェックできているのかどうかということでございますが、これは根拠法はございますですか。
#205
○政府委員(石月昭二君) お答え申し上げます。
 各交通機関の使います飲料水につきましては、それぞれの事業者におきまして食品衛生法あるいは検疫法等に基づきまして適正な管理に努めているところでございます。今後とも各事業所を十分指導してまいりまして、保健所または検疫所等の監督のもとに適正な管理に努めてまいりたいと考えている次第でございます。
#206
○渡部通子君 いままで航空機について水質検査は行っておりますか。
#207
○政府委員(榊孝悌君) お答えいたします。
 いま手元に持っております資料でございますけれども、一昨々年から昨年までの間成田の空港で調べたデータがございます。これによりますと、国内の航空機の場合はこれは衛生上の問題余りございませんけれども、国際線関係のデータは日本の基準で見ますと不適合のものが相当あるというふうな結果が出ております。
#208
○渡部通子君 相当でなくて、はっきりした数字言えませんか。
#209
○政府委員(榊孝悌君) このデータですと四六・二%が基準に不適合だというふうな、これは五十三年の五月から五十五年の三月までのデータでございますが、そういうデータが出ております。
#210
○渡部通子君 これ厚生大臣と運輸大臣に伺いますが、航空機の水についてチェックがほとんどなされていないんです。成田の検疫所でやりましたいまの報告は、たまたま検疫所の積極的な姿勢によって行われたということでこの結果が出てきて四六%、まあ半分ぐらいが適当ではないという結果が出たわけでございます。これは国際的にも大変な問題だと思いますので、一体これは責任はどちらがおとりになるんでしょうか。運輸大臣と厚生大臣。
#211
○国務大臣(園田直君) 鉄道はもちろんでありますが、船舶、航空機、国内のものはこれは食品衛生の見地から指導、監査を行っておりますが、不十分であることは十分認めます。外国から来る船や航空機は検疫法でやっておりますので、どちらの責任かということになりますと、やっぱり食品衛生でありますから、どちらにいたしましても私の方が主になってこういうことはやらなきゃならぬことだと考えております。
#212
○国務大臣(塩川正十郎君) 先ほど厚生大臣のお答えになったとおりでございますが、さりとてわれわれ、やはり航空業で水を供給する仕事に携わっております者はやはり常時十分な注意をしなきゃならぬと思っております。
#213
○渡部通子君 ほとんど自主検査に任されているというのが実情でございます。航空機あるいは鉄道などは、根拠法というのはいま食品衛生法というふうに厚生省はお引き受けになったけれども、実際問題は根拠法はいままで考えられなかったというような状態でございました。したがって、航空機、船舶、鉄道、こういったものの水というものが実質的には業者が持ってきたのを検査する。持ってくる割合などというものはもう一%とか、よくいっても一〇%、しかもその中で半分が不適であるなどという材料が保健所には出ているわけです、東京都、港湾を管理する保健所のデータを見ますと。したがって、いまからでも結構でございますから、航空機、船舶、こういう公共輸送機関に対して水のチェックを厚生省だけに任せないで、ひとつ運輸省の方でも積極的に持っていくことを義務づけるとか、あるいは訪船、訪れていって船をチェックするというようなことに対して、厚生省とタイアップしてもう少し協力体制をつくっていただけるかどうかもあわせて伺います。
#214
○国務大臣(塩川正十郎君) 御指摘ごもっともだと思います。私も就任以来この点についてはうっかりしておったと思っております。直ちに関係当局、国鉄なりあるいは航空局あるいは船員局、こういうところへ指示いたしまして十分な点検をいたさせます。
#215
○渡部通子君 養殖業に使われているマラカイトグリーンについて伺います。
 通産省、この用途、どういう物質なのか、それを説明してください。
#216
○政府委員(小松国男君) 先生お尋ねのマラカイトグリーンでございますけれども、これは塩基性の緑色合成染料でございまして、日本では現在大体年間六百トン前後の生産が行われております。
 それが何に使われているかということでございますけれども、用途は主としてアクリル繊維とか蚊取り線香の染色用、これが主要なものでございます。諸外国でも大体アクリル繊維等の染色用に広く使われている状況でございます。
#217
○渡部通子君 厚生省はどういう御認識ですか。
#218
○国務大臣(園田直君) 私の関係から言えば、養殖業にこれは使われておりますので、魚に対するこの薬品の残留その他について十分注意をしてやりたいと思います。
#219
○渡部通子君 農水省は、これについてはどういう御用途をお持ちですか。
#220
○政府委員(山内静夫君) マラカイトグリーンにつきましては、現在養魚関係におきまして、主としてミズカビの防止用といたしまして、卵の消毒であるとか、あるいは稚魚期における消毒、こういう用途で使われているわけでございます。大体その量は年間約一トンと、こういうぐあいに推定されるわけでございます。成魚につきましてはミズカビの発生がきわめて少ない、こういうことから、成魚として出荷される以前の段階においてはほとんど使用されていない、こういう実態になっております。
#221
○渡部通子君 そこで、養殖魚に使われているということなんですが、アメリカで、内務省が発行しております政府刊行物ですが、これに「進歩的養魚家」という本がありますが、そこでがん原性が指摘され、食用魚への使用は認められていないのを御存じでしょうか。
#222
○政府委員(山内静夫君) ただいまの件については承知しております。
#223
○渡部通子君 承知して使ってるんですか。厚生省はいかがですか。
#224
○政府委員(榊孝悌君) お答えいたします。
 先ほど大臣からお答え申し上げましたけれども、養殖魚に使用されるマラカイトグリーン、これが、私どもとしては、食品になる時点での魚に残留しているということは、これは食品衛生上好ましいことではないというふうに考えております。したがって、少なくとも食品になる段階ではこれが含まれないという形の使い方をしてほしいというふうに考えております。
#225
○渡部通子君 ドイツの医薬品研究及びドイツ科学アカデミーでも同様の指摘がありますが、それも御存じですか。
#226
○政府委員(榊孝悌君) いまのお話につきましてはちょっと存じておりませんでした。
#227
○渡部通子君 それは、ドイツにも同様の発がん性の指摘がありますので、これは承知をしていただきたいと思う。
 農林水産大臣にお尋ねをいたしますが、こういう劇物というものが何の制約もなく河川や海中に投入されてきて、しかも水産庁が急病診断指針というパンフレットでこの使用を非常に勧めているわけでございます。これについて農水大臣はどうお考えでしょうか。
#228
○国務大臣(亀岡高夫君) 実は最近、養魚が盛んになってまいりまして、魚もかぜを引いたり下痢をしたり、いわゆる急病が非常に発見をされてきておるわけであります。この魚を治すお医者さん――獣医さんがいまやっておるわけでありますが、そういう意味におきまして、これらの病気に、魚の病気に対する治療法と申しますか、そういう、対症療法と申しますか、たまたまこの染料を使ってみたところが大変ぐあいがいいということで使い始められたようでございます。しかし、御指摘のような点が学界から言われてきておりますので、農林水産省といたしましても、急病対策総合検討会というものを設置いたしまして、専門家――非常に魚の病気の専門家というと少ないわけでございますが、厚生省等ともいろいろ相談をいたしまして、この検討会において、代替薬の開発というような方面にやはり力を入れなきゃいかぬということで、いま努力をいたしておるところでございます。先ほど水産庁の次長から申し上げましたように、年間全国で一トンということで、量は非常に微々たるものということになるわけでありますけれども、しかし、やはり事、発がん物質の指摘等を受けておることにもかんがみまして、慎重な、しかも早急な対策をとらにゃいかぬということで、手配をいたしておるところでございます。
#229
○渡部通子君 しかも、これは生物組織内の残留を検出することはできないと、こうアメリカの文献にあるわけですね。したがって、厚生省の分野に入ってこないんです。残留が食品の中に検出できると厚生省の網に引っかかりますが、検出方法がない。使うのは自由。これだとどうしようもないわけです。その毒性というのはどこかの宙に浮いたままで人体に入ってくるという危険性が十分にあるわけでございまして、これはどうしても使う方を規制してもらう以外にはないわけでございます。微量だとおっしゃいますけれども、八グラムを入れれば二十五トンの水槽が滅菌効果を発するというほどの劇物でございますので、ぜひとも使用規制に踏み切っていただきたいと思いますが、もう一度農水大臣のお気持ち、お考えを……。
#230
○国務大臣(亀岡高夫君) 先ほど申し上げましたように、これ以外の治療薬というものがいまのところ見つかっておらないわけであります。したがいまして、十分に注意をしてできるだけ最小限にとどめて、そして、しかもこの対策検討会でいまいろいろ検討をいたしているところでございますから、早目に結論を出してもろうて処置をしたい、こう考えております。
#231
○渡部通子君 事故が起きてからということにならないようにお願いをしたい。
 薬づけ漁業につきまして私も毎度やかましく言っているんですが、動物に対しては要指示薬であるものが魚になると野方図になる、これはまことに矛盾でありまして、魚も要指示薬にすべきだ、こう主張してまいりましたが、その後の対応はどうなっておりますか。
#232
○政府委員(山内静夫君) 魚の薬づけの問題でございますが、水産用の医薬品の使用に当たりましては、最大の問題点と考えられるところは、医薬品を投与した動物を通しまして人体に悪影響を及ぼすおそれがある、こういう点だと考えているわけでございます。この点につきましては、この四月一日から施行されます薬事法の改正等に基づく水産用医薬品の使用規制により十分解決される、こう考えているわけでございます。したがいまして、当面はその使用基準を厳重に養殖魚家に守らせる、こういう方向でわが方といたしましてはできるだけの指導を続けてまいりたい、こう考えているわけでございます。
 要指示薬の問題でございますが、要指示薬の問題につきましては、一般的に言いまして急病の対策と、こういうものにつきましては魚の病気を治療をすれば足りる、こういう考え方ではなくて、適正な管理、養殖管理、要するに魚に病気を発生させないようにと、こういうような解決の方法が一番肝心であろう、こう考えているわけでございます。したがいまして、急病の治療もそれを基盤としてなされるべきである、こう考えられるわけでございます。
 仮に要指示薬制度を導入するとした場合におきまして、現在のところ医薬品の指示する資格者は、単に、急病の知識とか医薬品の知識だけでなく、養殖全般の管理ができるように、あるいは魚類の生理、生態についても十分知識を有している者、こういう必要性があるわけでございます。現在のところ医薬品の指示資格を有する者で魚類に関する十分な知識を持っている者は非常に少ない、こういう考え方がある一方、魚類に関する知識を有している者の中で医薬品の指示資格を持つことができないと、こういう現状から当面水産用の医薬品を要指示薬と、こういうかっこうで実行することにはなかなか問題がある、こう考えているわけでございます。水産庁といたしましても、昭和四十八年から都道府県の水産試験場の職員等に対しまして、水産用の医薬品とか、あるいは急病に関する研修を行いまして、何とかこの制度に近づけようと、こう努力しているわけでございます。
 また、一方におきまして、養殖技術その他急病に関する十分な知識を有する獣医師もだんだん育ってくる、こういうことも予想されるわけでございます。
 したがいまして、今後これらの推移を十分見ながら、なおかつ関係者の意見を十分聞きながらこの問題について検討をしてまいりたい、こう考えているわけでございます。
#233
○渡部通子君 省令四十二号で対応したとおっしゃいますが、そうしますと、牛と馬と豚と鶏は要指示薬で、ブリやマダイやコイやウナギやニジマスは要指示薬ではなくていいということに相変わらずなるんですよ。おかしいでしょう。
#234
○政府委員(山内静夫君) お答えいたします。
 要指示薬でなくても使用基準におきまして特定の魚種につきまして残留性の強いやつであるとか、あるいは耐菌性のある薬につきましては使用についての規制を加える、こういうことから魚体には要するに薬が残留しない、こういう前提のもとの使用規制でございますから、われわれが食べる魚につきましては薬品の残留性はない、こう理解しているわけでございます。
#235
○渡部通子君 農林大臣、聞いてください。
 相変わらず水産用だと使用規制だけで縛ったというんです。薬を手に入れるときの要指示薬であるかどうかということについては、相変わらず動物用、水産用――水産用は野方図ということになるわけですね。ですから、私毎度主張しておりますように、薬事法四十九条の適用、すなわち要指示薬の中に魚介類も入れる、こうはっきりしていただきたい。
#236
○国務大臣(亀岡高夫君) 薬事法四十九条のこの制度の目的は、御承知のように医薬品を投与された個体に副作用が生ずる、そのおそれを防止するためにこの要指示薬制度というものをつくってある。ところが先ほど来のお話のとおり、魚類の場合には表示された医薬品の用法、用量を守る限りはその副作用がない、残留もしない、こういうふうになっておりますので、この制度をこのままで適用するということは大変困難ではないか、こんな議論をいたしておるわけでございます。
 したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、この魚類関係等についてのこういう方面の検討をもっともっと積み重ねて勉強していかにゃならぬ面が多々あるわけでございますので、先ほど申し上げたように検討会を設けまして、いま専門家によっていろいろな範囲から検討を急いでいただいておる、その結論の出次第、それに従って処置をしてまいりたい、こう考えております。
#237
○渡部通子君 あわせてもう一点。獣医師法十七条の獣医師診療対象動物の中に魚介類を追加すべきです。これは前武藤大臣も十分前向きでということで御確約をいただいておりますが、これを検討していただけますか。
#238
○国務大臣(亀岡高夫君) ただいまも申し上げましたとおり、十分検討をいたしまして御趣旨に沿う方向に整備をしていかなけりゃならぬ、こう考えております。
#239
○渡部通子君 魚病対策の予算は畜産局、水産庁、どうなっていますか。
#240
○政府委員(山内静夫君) 急病関係の予算につきましては、各方面からのいろいろ御指弾を受けまして、水産庁といたしましては五十三年度から五十六年度にかけて大幅増、こういうかっこうで予算を認めていただいているわけでございます。
 五十三年度につきましては四千三百万円、五十四年度が四億三千六百万、約十倍の予算になっているわけでございます。五十六年度につきましては五億六千五百万、こういう予算でできる限りの急病対策あるいは検討会等の予算等につきまして運用しているところでございます。
#241
○渡部通子君 畜産局いらっしゃいませんか。――いなければ結構です、ゼロでございますから。
 この予算配分は非常におかしいと思うんですね。五十二年五月、衆参両院農水委員会の決議した獣医師法一部改正案に対する附帯決議の中でも急病の診療ができる獣医師を養成しなさい、急病の研究体制をつくりなさいということになっておる。そうしますれば、やはり畜産局でこれは扱うべきものでありまして、もう二、三年たつと急病を対象とした獣医師さんも育ってくる。そういう国が方針をとっておきながら予算の方は六億も水産庁につけている、これは少し筋違いではないか、私はこう指摘せざるを得ません。これに対する大臣の御見解も伺います。
#242
○国務大臣(亀岡高夫君) いずれにいたしましても御指摘のように魚類関係の病気対策ということでございますので、どうしてもその基礎が固まるまでは、これは実際に魚のお医者さんというのが少ないわけでございますから、獣医さんがいままでそういう面カバーをしていただいておるわけでございます。そうして国会の方で御指摘いただいて水産庁が予算化をして五十二年から五十三年、五十四年と、まだまことに期間が浅いわけでございますので、そういう面についての、どういう行政的な方法で将来、これは大事な大事なやはり一千万トンに及ぶ魚類資源のもとをなす問題でもありますので、その点については十分検討をさしていただいて適正な処置をとらなければいかぬ、こう考えておりまして、これもやはり専門家の検討会にいま御検討をちょうだいしておる、こういうことでござ、います。
#243
○渡部通子君 じゃ、この問題はこの程度にします、申し上げたいことはたくさんあるんですが。
 次に、薬価でございますが、厚生省はいわゆる第二薬局についての調査結果を発表されましたが、それの特徴をお伺いをしたいと思います。
#244
○政府委員(山崎圭君) お答え申し上げます。
 昨年の秋の国会で先生から御指摘あるいは御要求がございまして、それに基づきまして今回実態調査を行ったわけでございますが、その際にも申し上げましたが、第二薬局と申しましても、一般に医療機関の関係者が開設している薬局、そういうふうに考えられておりまするけれども、必ずしもいままでの経緯、背景がございまして、その定義でいいかどうかというようなことはいろいろと議論があるところでございます。そういう意味では今回の調査では、試みにまず第二薬局の範囲を医療機関に近接して設立された薬局でありまして、かつ、薬局の開設者がその医療機関の開設者なりあるいは配偶者である、あるいはお子さんである、父母であるというような親族であるということ、あるいはまた病院の職員互助会等の組織になっている、そういう薬局だと、こう仮に定義をいたしました。その結果によりまするとこういう特徴が見られると思います。
 一つは、総数でございますが、昨年の十二月末現在で一千七軒と掌握しております。それで、その特徴点といたしましてはここ二、三年に許可を受けたといいますか、この許可を受けたのがここ二、三年の間に増加している、増加が目立っている。つまり五十四年、五十五年に許可されたものが全体で約六割に及んでいるということが一つ。それから第二薬局を設置しております医療機関の種類につきましては、個人の医療機関が最も多く、約七百六十軒でございます。次いで医療法人立の医療機関が百六十軒、両者で全体の九割ということになろうかと思います。
 それからまた処方せんの受け入れ状況で見ますると、第二薬局の数は御案内のように薬局数は全国で三万軒ございますが、そのうちの一千軒でございますけれども、保険調剤を行っている薬局に比べますと約八%でございますが、受け入れている処方せんの枚数は院外処方せんの総枚数の約三割に当たっている、こういう傾向が見られるということでございます。
 以上でございます。
    ―――――――――――――
#245
○委員長(木村睦男君) この際、渡辺大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺大蔵大臣。
#246
○国務大臣(渡辺美智雄君) この際、お許しを得まして、公定歩合の引き下げ及びそれに関連して一、二申し上げたいと存じます。
 本日、日本銀行は、午後の政策委員会におきまして公定歩合の一%の引き下げを決定し、明三月十八日から実施する旨を三時三十分発表いたしました。
 この結果、公定歩合は六・二五%となります。これに伴いまして、大蔵省といたしましては、預貯金金利につきましても引き下げる方向で考えており、本日、日銀の政策委員会に対しまして発議を行いました。なお、預金準備率の引き下げも同時に日銀政策委員会で決定されており、大蔵大臣の認可を受けた後実施されることになっております。
 以上、とりあえず御報告を申し上げます。
    ―――――――――――――
#247
○渡部通子君 医薬分業の精神から見て厚生大臣の御感想を伺います。
#248
○国務大臣(園田直君) いわゆる第二薬局と言われるものは、定義はいろいろございますけれども、私から言えば、医療機関の経営上所得その他の問題で第二薬局をつくられておる。これは医薬分業の精神にも反しまするし、かえってこれは阻害するものでありますから、今後十分注意していきたいと考えております。
#249
○渡部通子君 これが五十四年の医師税制の改定後急増していることについて、大蔵大臣の御感想を伺います。
#250
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは恐らく高額所得のお医者さんだろうと思いますが、いわゆる医師特例というものを、七二%控除を五千万円以上の収入のある者についてやめましたから、したがって結局それは高額の税率を受ける。それからもう一つは、所得がうんと高いと税率が非常に、六割とか七割とかという所得税率を適用されますから、したがって結局青色申告をやっても所得がたくさん出る。したがって、その所得を減らすために薬品会社を同族でこしらえて、そこで調整――調整をしていると言っちゃ何ですが、節税のためにやっているんじゃないかというように推測、推測ですよ、推測されます。
#251
○渡部通子君 それは好ましいことですか、いかがなものですか。
#252
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはもう要するに実勢の薬価と薬価基準が余りにも開きがあるというために出てくる現象である。好ましいとは思っておりません。
#253
○渡部通子君 公認会計士が書いた論文を私は見たのですが、この中で、いかに第二薬局を開設すれば節税になるかということを微に入り細に入り勧めている、こういうものがあるわけでございますね。これは節税の立場からいけばそうかもしれませんけれども、厚生大臣の御方針からいくとまことに矛盾をすることである。このことにつきまして両大臣の御感想をまた伺っておきたいと思います。
#254
○国務大臣(園田直君) 先ほども申し上げましたが、第二薬局はどうも正直に言うと所得隠しの手段に使われている可能性も多々あるわけでありまして、これは医療の問題から言っても、保険薬局の面から言っても好ましくないことでございますから、今後十分検討をして監視をしたいと思います。
#255
○国務大臣(渡辺美智雄君) まあ、公認会計士がそういう指導をすることが好ましいとは思っておりません。おりませんが、違法であるとも断定できないというところに問題があるわけであって、やっぱり根源を絶たないとなかなか後を絶たないのじゃないかという気がいたします。
#256
○渡部通子君 先ほど大蔵大臣は、根源は一つは薬価にあると、薬価基準にあると、こう仰せでありまして、私もそれは同感でございます。したがって、現在の薬価基準を抜本的に改めることが何よりも肝要であると思いますけれども、この点について延び延びになっている薬価基準の改定及び引き下げ幅、あわせて厚生大臣に伺います。
#257
○国務大臣(園田直君) 薬価改定については、渡部議員からしばしば物価の問題とも関連をして強く発言をされておるところでございます。私の方でも極力作業を急ぎまして、ぜひ年度内にこれを実施できるようにしたいといま作業を必死に進めておりますが、もう少しすれば判明するわけでありますが、その幅は過去に比べて大幅なものになると考えております。
#258
○渡部通子君 一部新聞で大々的に報じられましたのは、一八%、五月一日以降と、こういうことでございますが、これは本当ですか。
#259
○国務大臣(園田直君) この新聞については関係はございません。
#260
○渡部通子君 この基準をどう思われますか。
#261
○国務大臣(園田直君) まだもう少し作業を進めないとわかりません。しかしながら、五月のどうだとか、何%かということはいまだ決定していないところでございます。
#262
○渡部通子君 大蔵大臣は大変医療問題にもお詳しい方でありますので、この新聞報道の薬価基準引き下げ一八%というのをどういうふうにお受けとめになるか。高いと思われるか低いと思われるか、その辺の御感想を承りたい。
#263
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は目下所管が違いますから、厚生大臣に聞いていただきたいと思います。
#264
○渡部通子君 ともかく薬価基準というものを急いでいただかなきゃ困ります、引き下げの問題につきましてね。
 今度の基準下げが二〇%にもなるとなりますと、薬剤投与の多い内科、一部の病院、診療所、これは経営が厳しくなるという意見も当然出ております。こうした点についてはどう厚生大臣は対応されますか。
#265
○国務大臣(園田直君) 簡単なようで非常にむつかしい答弁でございますが、薬価が大幅に改定されるとなると、そういう面についてもいろいろ響いてくると存じます。
#266
○渡部通子君 国内の薬価基準、実勢価格との比較も目に余るものがありますけれども、外国と比べてもわが国の薬価基準は高過ぎると思います。米国のMACとの比較はいかがでございますか。
#267
○政府委員(大和田潔君) お答え申し上げます。
 MACとの比較ということでございますが、具体的に品目を申し上げますと、確かにMACというのは日本の薬に比べて低いことになっておるわけでございますが、御承知のように、MAC制度というのは、アメリカにおける老人、低所得階層、これはメディケア、メディケードでございますが、これに限定いたしまして、ここの制度におきまして調剤されました薬剤の価格を保険薬局の薬剤師が政府に請求できる、その上限を決めたものである。これを見ますと、そのシェアの問題を見ますと、先生御承知のように、メディケードで使用されます医薬品は、医薬品総生産額の約一一%。MACは品日は四十、それでこの医薬品の総生産額を見ますと、やはり二、三%ということでございます。日本の場合は八十数%というのがこれは医家向けのシェアになっておるということで、その規模自身が非常に違っておるということが一つあります。
 それからもう一つは、やはり制度的に、たとえば薬剤代替法というようなのが御承知のように米国にはございます。医師の処方におきます薬剤のシェアというものを変えるというようなことが権限にございますが、そういったような医薬制度をもとにいたしましてこのMACというものが成り立っておるという意味で、なかなか日本のそれとは比較できない問題があるということをつけ加えさしていただきたいと思います。
#268
○渡部通子君 それでも経済的にもなお成り立つ価格であることも事実であります。何よりも、日本の実際の流通価格がMAC価格と同程度で流通しているということも事実でございますから、その二、三の品目について価格を比較してください。
#269
○政府委員(大和田潔君) 比較いたします。
 たとえば塩酸テトラサイクリンカプセル、これが二百五十ミリカプセルで、MACは五円五十銭、日本における薬価基準は三十一円ないし三十四円ということで、かなり相違があることは事実でございます。
 それからアンピシリンカプセルの二百五十ミリカプセル、これがMACでは十三円、わが方では八十円から百八円という、こういう差があるということも事実でございます。
#270
○渡部通子君 資料でお配りしてありますからおわかりと思いますけれども、ひどいところになると四倍から八倍、こういう形でMAC価格との比較ができるわけでございまして、どうかこれによりまして、抗生物質というものは薬価基準の改定に当たっては大幅に下げる必要があると私は主張させていただきたいわけです。厚生大臣の御見解を伺っておきます。
#271
○政府委員(大和田潔君) 目下実勢価格を十分把握をいたしておるところでございますので、その結果を待ちたいということでございます。
#272
○国務大臣(園田直君) いまおっしゃいましたMACというのは、日本語に直せば最大許容価格とでも言うべきものと思います。品目が少なくて、個十品目、日本の方は一万五千ぐらいございます。その品目の多寡ではなくて、最大限の価格を抑えているというところに問題があるわけでありまして、そういう関係上、いま保険局長が言いました一部の薬を取り上げてみましても十倍、多いのは二十倍の差があるわけでありますから、薬価改定についてはこういう点は十分考慮をして今後やるべきだと考えております。
#273
○渡部通子君 参考人に大変お待たせをいたしまして申しわけありませんでした。婦人問題に移りたいと思います。
 目下、婦人問題では、差別撤廃条約の批准へ向けてさまざまな角度からの取り組みが要求されているわけでございますが、ここでは特に婦人の政策及びその他の意思決定過程への参加という点に視点をしぼりまして、農村婦人に焦点を当てながらお伺いをいたします。
 まず、全般的に、婦人の審議会等への参加状況はどのくらい進んでおりますか。総理府に今後の見通しもあわせて伺います。
#274
○国務大臣(中山太郎君) お答えをいたします。
 審議会等への婦人の方々の登用状態、これはまだはっきり申し上げて全般的に高い数字を示してはおりません。
 具体的に申し上げますと、国の審議会における婦人委員の割合は、昭和五十年の二・四%から五十四年の四・一%と上昇をいたしております。国家公務員採用試験のうち、女子の受験を制限している職種につきましては、一般職に関し五十年度十二職種から五十五年度四職種に減少をいたしました。さらに、五十六年度から国家公務員初級税務、入国警備官及び警務官の三職種について女子の受験を認める方針が決定をされております。したがって、五十六年度に女子の受験が制限をされているという職種に関しましては、一般職の初級郵政事務B、特別職の防衛大学校の学生、防衛医科大学校の学生となっております。
 以上でございます。
#275
○渡部通子君 婦人年の行動計画の中でも、農村婦人の問題というのは大きな柱の一つとなっておりますが、農村婦人に対する地位向上、こういったことをどう受けとめ、認識をされているか、推進本部の副本部長である総理府長官と農林大臣に伺います。
#276
○国務大国(中山太郎君) お答えをいたします。
 二月十七日に内閣総理大臣あてに婦人問題企画推進会議から意見が出されておりますが、この国連婦人十年の後半期における活動の中で、農村婦人の政策参加というものを積極的に進めるべきだというふうな御意見が出ておりまして、本部といたしましてもそのような趣旨を十分体して今後努力をしてまいりたい、このように考えております。
#277
○国務大臣(亀岡高夫君) 農村婦人の農村振興並びに農業経営、並びに農村の生活改善あるいは社会活動、あらゆる面に果たしております役割りというものは非常に大きい。しかし、その大きいわりあいに、何と申しましょうか、先ほど総務長官からお話のありましたとおり、政策決定と申しますか、方向決定と申しますか、地域社会のそういう相談に乗って意思決定をしていく場における婦人のチャンスというものが非常に低いという事実は、これは認めざるを得ません。したがいまして、差別撤廃と、こういう条約署名をいたしましたわけでございますので、いま農林水産省といたしましては、終戦直後農業改良助長法という法律によって生活改良普及員というものを全国の農村に配置をいたしまして、そうして農村の婦人の健康並びに生活改善、さらに社会活動参加というような面を通じて農村婦人の教育普及に努めてきておるわけでございますが、だんだん成果は上がっておりますけれども、いまだしという感なきにしもあらず、こういうことでございますので、昨年差別撤廃の条約署名を機といたしましていろいろ世論も高まってきておりますので、この機会を契機といたしまして、一層の努力をして、農村婦人の地位の向上、特に、やはり地域社会のいろいろな公的なあるいは社会的な意思決定の場に参加できるような方向に持っていきたい、こう考えております。
#278
○渡部通子君 いまも大臣から、そのおくれている特殊性についてお話がありましたけれども、その背景といいますか、農村社会の特殊性について参考人から御意見をいただきたい。
#279
○参考人(矢口光子君) いま御指摘ございました農村婦人の問題の実情でございますけれども、昨年国際婦人年世界会議が持たれました際にも、二百八十項目の世界じゅうの婦人問題の事項の、まあ三百近い項目の中の十項目に農村婦人の問題が取り上げられておりますが、それを受けましてわが国でも、数多くの項目の中で、また、国内行動計画の後半期の重点事項の十項目の中に入ったわけでございます。その農村婦人の問題が特に重点課題になっております理由は、特殊性の問題でございますが、一般勤労婦人とか専業主婦とかいう方々、これまた非常に問題を抱えていらっしゃる立場にございますが、農村婦人はとりわけ特殊な事情にあることをなかなか一般に認識されないところでございます。
 それで、どういう特殊性があるかということを御説明申し上げたいと思うわけでございますが、農業就業人口の六二%が婦人によって支えられておりまして、また農業の基幹労働力の五四%が婦人によって支えられているわけでございます。いまや日本の農業は婦人の手によってといいますか、また、ちょうど戦争中の銃後の守りのような様相を呈している婦人の働きでございます。
 それから、六二%が農村婦人で、三八%が男性が担っている農業でございますが、では残りの婦人たちは何もしないかといいますと、そうではなくて、高齢者あるいは乳幼児を持つ母親でございますし、また農業経営と無関係な婦人はいないわけでございます。
 この農業と他産業の違いでございますが、これをぜひお聞き取りいただきたいわけでございますが、農業は、他産業――工業とか商業は、つくる職業、あるいはそのつくったものを売る職業でございますが、農業はつくる職業ではなくて育てる職業でございます。したがって、生物――植物、動物を育てるということで速度も制限されますし、また自然環境の中での労働でございます。そういうような特殊性がございまして、いろいろな投機性とか拘束性とか不合理性があるわけでございます。また一方、生活を担っているのが農村婦人でございますが、生産と生活が表裏一体でございまして、生活構造の面から言いましても、時間の面とか空間の面、それから経済とか労働の面、一々一般勤労者と比較するわけにはいかない非常な特殊性がございまして、生活と生産を分離することは不可能でございます。
 たとえば、一般勤労婦人の場合には、生産と生活が分かれておりまして、八時間労働、八時間睡眠あるいは八時間生活時間となっておりますけれども、農村婦人の場合にはやはり生産と生活のはざまにありますので、たとえば動物、飼っている牛や豚に勤務時間中にお産をしてくださいとか病気をしてくださいと言うわけにはまいりませんし、また、ひでりとか干ばつ、積雪、いつ起こるかわかりません。ビニールハウスが寝ている間にもつぶれることが間々あることしの雪害などのようなことで御推察いただけると思いますが、要するに職住、生活と職業が分離できないところに非常に拘束性がございますのが農村婦人でございますので、労働基準法が適用できないというような状況にございます。そういうようなこと、そのほかに生活環境は非常に便益性、快適性、保健性、安全性に欠けまして、また、その他学習の機会も乏しく、学習環境もないわけでございます。
 また、加えまして、高齢化が非常に進んでおりまして、御承知でございますけれども、ただいま農村部は都市部の二倍の速度で高齢化が進んでおります。ただいま平均寿命は男女あわせて七十五歳でございますが、これから先、二十五年先、三十年先になりますと、平均寿命が八十五歳になると言われておりますが、その際に農村部の高齢化ははなはだしいものがございます。
 こういうような環境にありながら、また後継者育成というものが婦人に背負わされていることがございます。また特に、ただいま婦人に背負わされていると申しましたけれども、性による固定観念がございまして、一般的に家事労働は女だとか、老人の扶養は女とか、あるいは後継者育成は女とかいうふうに思われている。そういう固定観念がございます点を御認識いただきまして、こういういろいろな状況は両性による負担に基づいて解決していただきたいことをお聞き取りいただきたいわけでございます。
 その他、血縁、地縁によります縦と横の社会、そのはざまの中に交差している点に婦人はおりまして、農村婦人は職業の選択をするわけにいかない、そういうところに位置づけられているところに多々問題を背負っているわけでございます。
 大変抽象的でございますが、とりあえずの御説明で御了解いただきたいと思います。
#280
○渡部通子君 いまもお聞きのとおりでありまして、そういう実情の中から政策決定の場への参加などというのはまことにほど遠いという感がいたします。
 審議会等への農村関係の部分の進出が非常におくれていると思いますが、実情はどうなっておりますか。また、大臣のこれに対する段取り、計画等をお示しいただきたいと思います。
#281
○国務大臣(亀岡高夫君) まあ何といっても農家一戸二戸の生活水準の向上ということを図ってまいらなければならぬわけであります。それがためには農政全般の水準を上げなければならない。しかるところ、昨年も国会において、農村に対する配慮を十分にいたさなければならない、食糧自給力強化をしなけりゃいかぬ、そのためには農業政策に対してもっともっと政府は関心を持てと、国会からそういう御決議をちょうだいしたわけであります。それらの問題、さらには昨年農政審議会から答申のありました、八〇年代の日本農業の構想並びに十カ年後における日本の生産と需要の長期見通しといったようなものを踏まえまして、農村をよくする、地域社会をよくするということがやはり私は基本であろうと。そうすることによって経営の安定を図り、婦人のやはり生活に余裕を持ってもらうというその農業政策が基本でなければならないと、こう思うわけでございます。
 私もその問題に関心を持ち、農村をしょっちゅう回っておるわけでありますけれども、最近この農村婦人の地位というものは年々私は向上しておると、こういうふうに私自身の体験から言うことができるわけでありますが、いかんせん、ただいまも矢口参考人から御指摘のありましたとおり、農村の労働力の半分以上は婦人である、六十数%が農業に直接従事をしておる、こういう点のよって来る原因も究明いたしまして、そうしてやはり農村婦人にも憩いの時間、憩いのと申しますか勉強の時間を持つことができるような、また、集落あるいは部落あるいは町等の婦人の会合をできるだけ多く持てるようなチャンスをつくるための農村婦人の生活推進のための仕事も農林水産省としては年々充実をしておると、こういうことで今後もこの線を充実してまいりたいと考えております。
#282
○渡部通子君 事務当局に、総理府ですか、農林水産省関係審議会の婦人の参加の状況はどうですか。
#283
○政府委員(渡邊五郎君) お答えいたします。
 五十二年六月当時におきまして、農林水産省所管の審議会の委員総数四百五十九人でございまして、そのうち婦人の委員は九人、二・〇%でございました。その後新たに婦人の委員の任命をいたしまして、この五十六年三月現在で委員総数四百四十二人のうち婦人委員が十五人、割合にいたしまして三・四%になっておりますが、なお引き続き私どもとしては要綱の趣旨に従って広げていきたいと考えております。
#284
○渡部通子君 非常におくれているわけですけれども、推進会議等でも提言されておりますが、農村社会の古い慣習が婦人の進出を大きく妨げていると、これはもう事実だと思います。
 農林大臣、尻助金という言葉は御存じでいらっしゃいますか。
#285
○国務大臣(亀岡高夫君) 実は、私ども子供のころに、よく婦人が部落の道路直しとかあるいはドブさらいとか河川改修とかに協力してやります。その際、主人が出ないで奥さんが出ますと、その奥さんは何がしかのお金を出さないと一人前じゃないんだよと、こういうことでお金を出させられる、そのことだろうと思うんです。私はそういうことはもういまないのかなと思っておったところ、まだそういうことがやはり日本の何カ所かに残っておるということを農林水産大臣になってから説明を受けたわけでございます。そういう点で、十分そういうことの早くなくなるようにしなければいかぬと、こう思っております。
#286
○渡部通子君 尻助金なんというのは、もうこっけいというか、けったいというか、失敬な言葉でありまして、この言葉に象徴されるような農村の悪習について、これも参考人から多少伺っておきたいと思います。
#287
○参考人(矢口光子君) 知る限りで御説明申し上げます。
 いろいろな男女差別の社会的慣習がございますけれども、いまおっしゃいましたその尻助金は、たとえば五十一年に熊本県の国際婦人年記念熊本婦人協議会が調べたものがございます。これは、男性に比べて労働が十分でないというところから、苦役に出た上に金を持っていかなければならないということになっております。その差額は、つまり一日働いた上で、男性は働いただけでよろしいのでございますが、女性の場合には働いた上で一番多い金額が二千二百円出しております。最低額で五十円出しております。この尻助金の地域は、そこでは七百二土地区を調べたわけでございますが、七百二土地区のうちの三百五十七地区、つまり五三・二%、半数以上の地区がこの出不足金の差額払いのようなことをやっているわけでございます。そのほか全国を調べますれば、この尻助金のほかに男女の賃金格差あるいは男女差金といいますか、村仕事とか夫役の際の男女の賃金格差、それから両者とも欠席いたしました場合の金額を提出する場合の差額払い、こういうようなものが各地にまだ残っておりまして、とりわけ、たとえば青森、石川、京都、滋賀、熊本などに見られる風習でございます。また、そのほか神社の修復作業のときに女人禁制という制度がございましたり、いろいろ挙げれば多々あるわけでございますが、とりあえず尻助金について御説明申し上げました。
#288
○渡部通子君 お聞きのとおりで、しりを助けるお金などということは、本当にこんな差別用語はないと思うわけでございますね。そうやって集めたお金を一体どうしているかというと、消防団とか男衆が集まったときに大体飲んじゃうというわけです。こういう慣習がまだ日本全国津々浦々に残っておりながら議論の場にも上がってこない、これが不思議のこととして取り上げられないというところに農村社会の特殊性というか、鋭意取り組んでいただかなければならないという現実があるわけでございます。こういう実態は労働省あたりで個別事例で取り上げていることはございますけれども、こういう視点で一度農林水産省なりあるいは推進本部なりで実態を調査する必要があると思いますが、いかがでございますか。
#289
○国務大臣(亀岡高夫君) 農協の婦人部でありますとか、あるいは生活改善普及員でありますとか、さらには農業共済の婦人部でありますとか、そういう面を通じて、農林水産省としては婦人の地位の向上という立場からそういう前時代的な風習がなくなるようにという指導はいたしておるわけでございます。しかし、ただいまも指摘がありましたように、非常に数は少ないだろうと思うのでありますが、そういう実態がまだ残っておるということでありますので、そういう点は調査をさせていただきたいと思います。
#290
○渡部通子君 数少なくないんです。いま参考人の御報告でも五三・二%という、熊本県下。それから兵庫県の私の田舎の方でもありますし、岐阜の方でもありまして、私がちょっと聞いた範囲でもかなり残っているということでございます。長野でもあるそうでございます。
 それで、こうした慣習を打破するためには民間活動も助成していただかなきゃならないし、それから行政の指導とタイアップさせて大きなキャンペーンにも展開する必要があるかと思うんです。予算措置とあわせまして総務長官のこれらに対する御見解、それから社会教育を担当していらっしゃる文部大臣、それから農林大臣の対応も伺っておきたいと思います。
#291
○国務大臣(中山太郎君) いま先生御指摘の農村における婦人の政策決定参加とかいろんな面で、やはりこれからの国連婦人十年後半期の重点課題として、政府としては、従来社会に根強く残っているこの男女の職務担当分野に対する概念の打破、それから新しい社会参加のための啓蒙運動のために力を入れて努力いたしてまいりたいと、このように考えております。
#292
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまいろいろと貴重なお話を承りました。私は、自分のことを申しておかしいですが、新憲法ができましてから、婦人の地位の向上という問題で山口県では女性の県議会のようなものをつくっておりまして、女性対策審議会と申しますが、地域別、識別の選挙で出た委員で構成させて、そして婦人問題、農村婦人の問題をずっと審議いたして、もう三十年たちますが、ますます非常に伸びております。
 ただいまのお話も、特に私たち文部省といたしましては、この婦人学級あるいは家庭学級というふうなもの、それから婦人の方々の、特に農村の場合におきましては御指摘のような非常にいろいろ問題がございます。そういう問題をできるだけ地元で解決もいたさなきゃなりませんが、やっぱり国の施策として社会教育の面から申しましても重大な問題でございますので、特に農村におきまするいろいろな活動が環境の変化とともに大分変わっておりますので、こういう問題にもいろいろな余暇の活用あるいはまた開かれた教育という意味から申しましての婦人学級、これを積極的にいたしたいと考えております。
#293
○国務大臣(亀岡高夫君) 農林水産省にかねてから婦人問題連絡会議というものを設置いたしまして、農蚕園芸局普及部が中心になりまして、全国農村婦人の地位の向上のためのもろもろの今日まで改良助長法に基づく指導をしてきておるところでございますが、何百年もかかって形成されておる農村地域社会の問題、なかなか容易に解決されないという点は先ほど来指摘されたとおりでございます。しかし、やはり根気強く気長に、強く婦人の社会的地位の向上のために、また、農業経営のために実際にやっておることがそのまま素直に認められてくるような状態に一日も早く持っていかなければならぬなという感じを私としては非常に強くいたしておるわけでございますので、特に就任以来、その面につきましては強く指導するように督励をいたしておるところでございますので、なお本日いろいろ指摘されました点につきましても十分これを取り上げて具体化してまいりたいと、こう考えております。
#294
○渡部通子君 三大臣、しっかりお願いをしたいと思うのです。政策決定の場への参加と、こうここでは議論されているんですけれども、現実には女性化、高齢化した村の実情というものは非常に困難であります。その辺のことを提案も含めて参考人からもう一度御意見を伺いたいと思います。
#295
○参考人(矢口光子君) 申し上げます。
 先ほども申し上げましたけれども、ただいま女性化、高齢化した農村についてというお話でございましたので、高齢化がどんどん進んでおります点と、それから御承知のとおり、専業がどんどん減ってまいりまして、第二種兼業が約七〇%になっておりますが、これは生産の方から申しますれば第二種兼業というのは余り主力ではないわけでございますが、裏を返しますれば専業主婦で占められるわけでございます。つまり、村をごらんになっていただきますと、大体ただいま婦人とか高齢者が村に留守番をしているというような状況でございまして、男性の多くが他産業へ従事している、それが七割という、これが二種兼業の姿でございます。
 大ざっぱに大変卑近な表現を使いますと、地域を夜昼守っている全日制の定住者は婦人でございまして、男性は定時制の定住者というようなことでございまして、全日制で地域を守っているのは女というふうに私などは見るわけでございます。そういたしますと、いろいろな生死病者、それから急病とか災害とか積雪とかあらしとかというようなものがございました場合に、村の秩序維持とかいろいろな防災とか、そういうものは婦人の手にゆだねられることになるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、農業労働の過半数を婦人が占め、その上にまた兼業農家が多くなってまいりますと、婦人が地域のいろいろな出来事、維持管理のこともゆだねられる。それから高齢化がどんどん進んでまいりますと、高齢者の介護、高齢者のケアが婦人にまたゆだねられるということになりますと、またそういうことにも婦人に負担の増加がくるというようなことで、ただいま六二%の婦人が農業に精出しておりますが、農業に従事もできなくなるんではないかというようなことがまた将来懸念されるところでございます。
 そういう家庭生活サイドの問題のほかに、先ほども触れましたように、日常生活の利便性に欠けるとかその他防災、健康、保育というような環境整備関係にもいろいろ都市に比べて欠ける点が心配される点でございます。いま提案というふうにおっしゃいましたけれども、外国の例を見ますれば、たとえばアメリカとか西ドイツなどには農村におけるホームヘルパーとか畜産ヘルパー、農業ヘルパーのような農業の補助者とか畜産の補助者とか老人の介護者というような者、それから医者の行う訪問医療でございますが、医者や保健婦の行う出ていく医療でございますが、訪問医療とか巡回医療でございますとか、それから農村の婦人の場合には一般の保育所よりは育児を預かる時間をふやしませんと、時間制限を少し広げませんと、なかなか不便ということもございまして、いまの保育所の人頭割ではなくて、距離区分とか地域区分によりますところの時間制限を少し広げたところの農村に適した保育所でございますとか、そういうものが将来研究されれば非常に農村の婦人にとっては好ましいものだというふうに考えます。
 それから高齢者自身につきましては、高齢問題は経済問題、それから健康問題、精神問題でございますが、私も医者の一人でございますので、そういう立場から申しますと、家庭に閉じ込めるとか施設に閉じ込めるよりは社会に解放するという――一時期でございますが、一日、半日なり八時間なり学校に行くという社会的緊張を与えるのが高齢者にとっては望ましいものでございます。そういう意味で老人の通う学校というような、集会施設というようなものとか、老人の活動する施設でございますとか、あるいは高齢者の役割りを位置づけるものとか、それから後継者の余暇活動を促進する何らかの施策とかそういうようなものが外国にも例があるんではないかということでございます。
 以上の点につきまして、先ほど農水大臣が仰せられました生活改良普及員も非常にがんばっておりますけれども、何分非常にじみな職業でございまして、大方の御認識がなかなか得られないところでございます。その点も御理解いただきたいと思うところでございます。
#296
○渡部通子君 ただいまいろいろな御提言がございましたものですから、ひとつこれを参考にしていただきまして、厚生大臣にも農林大臣にも施策をお願いをしたいと思います。
 なお、農林省では婦人の問題といいますと、生活改善課というところで取り扱っていらっしゃるようでございますけれども、どうか農林省挙げて取り組んでいただきますように、私からも切にお願いをしておく次第であります。
 もう一点伺いますが、農協における婦人の組合員数はどのくらいになっておりますか、また、役員数はいかがでございますか。
#297
○政府委員(松浦昭君) 農業協同組合の組合員の資格につきましては、協同組合法上も男性、女性の性別による制限がございませんので、これまで組合員数を男女別に調査したことはございません。したがいまして、正確な数字は私どもわかっておりませんが、その数はかなり少ないものであるというふうに考えております。また、組合長その他になっておられる役員の方々もおいでになります。また、農協婦人部等を通じまして婦人の活動も非常に活発でございますが、まだまだ全体に対してはその数は少ないものというふうに考えております。
#298
○委員長(木村睦男君) 矢口参考人には、御多忙のところを御出席をいただいてありがとうございました。御退席くださって結構でございます。
#299
○渡部通子君 役員の人数はおわかりになりませんか。――私が申しますが、八万一千一百人中女性は五十人、〇・〇六%で間違いありませんですね。
#300
○政府委員(松浦昭君) 役員の数は仰せられたとおりでございます。
#301
○渡部通子君 そこで私、問題提起したいんですが、確かに農協がいま男女別把握をしてないと、それは少な過ぎて把握するに当たらないという御意見でございますね。役員においておや、なおさらのことでございます。しかし、いままでお話がありましたように、ほとんどの労働を支えているのは婦人であります。政策決定の場への御議論が先ほどからこれだけ続いておりながら、農協組合員でないということは、政策決定の場には参加してないということでございます。そういった意味で、全日制の人は働く一方、定時制の人が決める、こういう構図になっているわけでございまして、私は好人が意思決定の場へ進出する、こういう重要なテーマを抱えている今日、しかも二百六十万の農協婦人部が、組合員になりましょうという活動方針を出しているような実情でありますから、ぜひとも行政当局においても農協の組合員を男女別に把握するなどということはあたりまえのことだと思いますが、いかがでございますか。
#302
○政府委員(松浦昭君) 先ほども申し上げましたように、協同組合法上は男性、女性の性別による制限がございませんので、いままでのところは男女別に組合員数を把握していなかったわけでございますが、御指摘を踏まえまして、たとえば「五十五事業年度に係る総合農協統計表」というのがございます。この作成の際に当たりまして、男女別に組合員数を把握する等、その実態を早急に調査することを検討したいと思います。
#303
○渡部通子君 また、農協婦人部というものは大変な活動をしているわけでございまして、擁する人口も二百六十万、これを考えますときに、婦人部長を理事に加える等の指導があってもいいと思いますが、いかがですか。
#304
○政府委員(松浦昭君) 先生の御指摘よくわかるわけでございますが、あくまでも協同組合は農民の自主的な運用によってこれを発展させていっておるということが基本でございますので、そういう婦人も含めまして、農民の中からそういう声が起こり、多くの執行部の方々が女性によって占められるという状態になるということが適当であるというふうに考えております。
#305
○渡部通子君 望ましいだけではなくて、ひとつ御指導の方もよろしくお願いをいたします。
 実態はなかなか遠いからと言って、門戸は開いてあるのだからと言って、放置されていたというのがいままでの現状だと思うのです。そこをひとつ農林省のお役人さんの頭の転換もお願いをしたいと思います。
 漁業とか商工会等においても農協と同様なことが言えると思います。きょうは農村婦人だけを取り上げましたけれども、漁業協同組合や商工会議所等についても、これと同じような施策を強く要望をいたしておきたいと思います。
 大変時間が遅くなって申しわけありませんが、最後に福祉の点について若干の御質問をさせていただきます。
 ボランティアについて多少お伺いをいたします。新しい憲法のもとで社会福祉という言葉が使われるようになりましてから三十四年になりますが、高度成長の過程での都市化した社会、家族化の傾向の中で国民は地域から離れ、家庭のきずなを忘れた人々も多くつくり出してしまっているのが現状だと思います。残念ながら福祉という意味が国民の一人一人の物に完全にはなっていないのではないか、こういう感がいたしてなりませんが、厚生大臣の福祉に対する哲学をひとつお述べください。
#306
○国務大臣(園田直君) 福祉というと、ややもすると弱い人を助けるとか、あるいは困った人を救うとか、こういう慈悲の精神から出てきた制度であると思いがちでありますが、私はそうではなくて、真の社会福祉の原点というのは困った人、障害者はもちろんでありますけれども、あるいは基本的人権を除いたたとえば男女の別だとか、いろんな問題でこの世に生まれた人々が平等の資格を持って、そしてお互いに助け合いながら活力ある社会をつくる、これが福祉の原点であり福祉の真の姿であると考えております。
#307
○渡部通子君 ことしは障害者年でもあり、老人化社会に向かうという昨今の状況下の中で、国民全体のボランタリーなエネルギーというか意識というか、そういうものを高めていかなければ将来の社会はもたないであろうと私は思うわけでございます。そういう意味で実をいえば子供のころから福祉の心を育てる、これが大切ではないかと思いますが、家庭でも学校でもそういう点では大変に欠けているのではないか。ようやく五十年代に入りましてからボランティア活動の推進など福祉教育を実施する小中学校、高校等が見え始めているというような状況でございます。しかも、現場の先生はどう指導したらよいものかといった戸惑いもあると伺っております。受験一辺倒の現代の学校教育体系の中に福祉をどう取り入れて位置づけていくか、教育のカリキュラムの中に福祉とかボランティア活動とか、こういったことを検討する時期ではないかと思いますが、文部大臣の御意見を伺います。
#308
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまお話しのごとくに、特にボランティア活動につきましては文部省といたしましては御婦人の方々のボランティア、婦人学級、その他を通じましていろいろと努力をいたしておるさなかでありますが、特にただいま御指摘くださいましたように、福祉に対しまする正しい理解を求めますためにはどうしても、お母さんもそうでありますけれども、小さい子供さんが子供さんのころからこれを身につけなければいかぬ、そういう点からカリキュラムの問題が出てくるわけであります。
 まず、小中高等学校におきまする福祉についての正しい理解を深めさせるためには、どうしてもまず学校教育の全体の中で具体的には福祉の制度については社会科でこれを教えておりまするし、福祉の心や社会奉仕の精神の問題、これは道徳や特別活動の指導で特に行っておるかうな次第でございます。また大学におきましても、やはり福祉の問題はこれを学習の中に教科として入れておるところもございまして、専門教育を行いまする大学におきましては公私立で二十三大学、また学科で行いますのが二十七学科この福祉の問題を取り上げております。特に、社会福祉専門職をさらに養成いたしまして、教員養成の学部の場合におきましても社会科学教育、道徳教育、障害児教育等一連の福祉問題を、特に学校生活の中においてしっかりと身につけてもらうように、われわれはこの問題につきましては取り組んでおる次第でございます。よろしく御協力いただきます。
#309
○渡部通子君 総理府の調査を見ますと、社会奉仕活動に参加を希望する者は三人に一人、そしてボランティアの言葉を知っているのは十人に一人ぐらい、こういう割合であるとなっております。言葉の問題ではございませんが、昔の勤労奉仕との違いを国民がどれだけ認識しているかということは、ボランティア活動の発展の上で大きな問題であるかと思います。ボランティア活動の啓蒙が市民自治を築き上げる、あるいはコミュニティーづくりをする、こういう目標に向かっていくべきだと思いますけれども、社会教育を担当する文部大臣はどうお考えでございますか。
#310
○国務大臣(田中龍夫君) おっしゃられるようにボランティア活動というものが、やはり私は本当の意味の身についた活動である、つまり形の上でもって教え込まれたものだけではなくて、実際に自発的にこれらの福祉に対して郷土のために農村における御婦人の方々がボランティア活動をなさるということは、非常に私はあらゆる意味で貴重なことであり大事なことだ、かように考えております。
#311
○渡部通子君 私も雑誌で二年ほどボランティア活動を取材して歩いたことがあるものですからよくわかるんですけれども、本当にボランティアをやっている人たちの心の中というのはさまざまです。大体共通して言えることは、ボランティアを通して仲間づくりをしている、そういう孤独なボランティア同士の仲間が、それが楽しくてやっているというようなところに原点がいっているというのが非常に多かったというのが実情でありました。ですから、ボランティアというものが本当に根づくにはまだ縁遠いんだなということをしみじみ思っている一人であります。わが国の場合、ボランティア活動に限らず公私の役割りが不明確な点が多い、これが一つ問題だと思うのですね。特に行政が責任を負わなければならない面と行政が介入してはならない面、これについて一貫した方針が必要だと思いますが、いかがでございましょうか、厚生大臣。
#312
○国務大臣(園田直君) ボランティア活動というものは、社会全体が全部がお互いに社会連帯主義によって助け合って活力ある社会をつくっていくというところに目的があるわけでございます。したがいまして、これは指令や強制すべきものじゃありませんが、いまおっしゃいましたようにそれぞれ分野があると思います。いろんな啓蒙活動であるとか、あるいは指導員の養成であるとか、あるいはセンターをつくるとか、あるいは情報を集めて提供するとか、あるいはおのおのの地域の活動の連絡調整であるとか、こういうことが大体国のことであって、個々の発生する問題から逐次その精神なり活動を開拓していくのが、これが市町村のセンターの役目である、まことに大まかなことではありますが、そういうことでみんなが一体となって期せずして社会が一丸となっていく、こういうのが私はその目的であると考え、そういうようにわれわれは環境をつくり努力すべきであると考えております。
#313
○渡部通子君 いま仰せのように、善意銀行とかボランティアセンターなどが連絡調整機関として数は増加をいたしておりますけれども、これらのあり方の問題、専任職員の配置、体制整備の問題、機関相互間の連携の問題、こういった点にはこれからも重々御配慮をいただきたいと思います。欧米諸国のようにボランティア活動の歴史があるところを見ますと、たとえば西ドイツでは一九六四年にボランティア活動促進法というものが国で設けられておりますし、それからアメリカあたりでは、これはボランティアの先進国でありますから、各州によって違いますけれども、奥さんの活動したボランティアの費用というものが、御主人の税金控除の対象にされる等の配慮がなされておりまして、こういった点は、当然ボランティア活動というものは日発心に待つけれども、国としての助成というものも大いに考えていいのではないかと私は思いますけれども、その辺のことはいかがでございましょう。
#314
○国務大臣(園田直君) ボランティア活動は個人の意思から発生をして逐次やるわけでありますが、一生懸命におやりいただければおやりいただけるほど挫折をしたり、人から誤解を受けたり、あるいは逆に奉仕しようと思った人から憎まれたり、いろんなむなしいというか、何のためにやっておるかわからぬというような、切り離された感情あるいは環境になられることが多いと思います。それを、これが社会全体の動きであって、さあみんな一緒にやりましょうという方向をつけ、景気をつけるというか、そういうのには、やはりそういうものの体系になる一つの法律であるとかあるいは国の助成であるとか、こういうものを体系的に考えていかなければならぬと思っております。
#315
○渡部通子君 そこで、一つ提案をさしていただきますが、福祉の問題を家庭に閉じ込めるのではなくて、より広く社会に向けていくという意味で、ことしは身障者の日というのを決めていただくわけですが、むしろボランティアの日、これを設けて、この日を契機に国民の福祉に対する意識の啓発、個人、家庭、社会、企業、学校、それぞれが何ができるか、こういったことを考えて自主的、啓発的な行動日とする、こういうことを提案をさせていただきたい。私は、老人の日というものが決められてずいぶん長い経過を経た後に、今回やっと重大な国民的関心の的になっておりますように、十年、二十年先の社会を考えましたときに、ボランティアの日というようなものがあってもいいのではないか。これを提案させていただきますが、いかがでございますか。
#316
○国務大臣(園田直君) 私も、確かに承りましたが、総務長官等にも相談をして、ただいまの御意見が通りますように努力をいたしたいと思います。
#317
○渡部通子君 最後に一点。ベビーホテルでございますが、大変な問題になっておりまして、当面急がれる処置といたしまして、都市を指定してでも結構です、どうせ大阪とか東京が多いんですから。既存の体制を強化して対応すべきだと思いますが、処置費などを含めて、予算上も含めて厚生大臣御努力いただけますでしょうか。
#318
○国務大臣(園田直君) ベビーホテルでは次々に痛ましい事件が起きております。そこで、厚生省ではこれの対策本部を設けて具体的な検討をやっておりますが、とりあえず実態調査をいたしましたが、これはもう実態というよりもおおよそ見当をつけたということで、ただいま消防庁とも協力を得、全国都道府県の協力を得て実態調査をやっており、かつまた同時に、この点検それから改善、悪いのは取り消す、こういうことをやっておるわけであります。私は事務当局にお願いするのは、それよりも大事なことは、そこへ預ける人がいなくなるように、とりあえず、いまある保育所、乳児院、こういうものの時間を変えるとか、あるいはもっと開放するとか、あるいは手続をもっと簡単にするとか、預けにきた母親の職業を聞くとかそういうことなしに、まずとりあえずこういう不幸な人々を現在あるものに移す、そしてその移したものを、だんだん今度は予算とも関連をして施設を拡大していく、こういうことに努力をいたしております。
#319
○委員長(木村睦男君) 時間が参りました。
#320
○渡部通子君 ありがとうございました。終わります。
#321
○委員長(木村睦男君) 以上で渡部君の一般質疑は終了いたしました。(拍手)
 本日の質疑はこの程度にとどめます。
 明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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