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1980/03/18 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 予算委員会 第12号
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1980/03/18 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 予算委員会 第12号

#1
第094回国会 予算委員会 第12号
昭和五十六年三月十八日(水曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十七日
    辞任         補欠選任
     岩本 政光君     堀江 正夫君
     熊谷太三郎君     源田  実君
     長谷川 信君     秦野  章君
     桑名 義治君     馬場  富君
     渡部 通子君     中野  明君
 三月十八日
    辞任         補欠選任
     岩動 道行君     松尾 官平君
     梶原  清君     板垣  正君
     下田 京子君     小笠原貞子君
     三治 重信君     伊藤 郁男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         木村 睦男君
    理 事
                亀井 久興君
                古賀雷四郎君
                平井 卓志君
                宮田  輝君
                粕谷 照美君
                和田 静夫君
                渋谷 邦彦君
                沓脱タケ子君
                柳澤 錬造君
    委 員
                岩動 道行君
                板垣  正君
                岩上 二郎君
                熊谷  弘君
                藏内 修治君
                源田  実君
                下条進一郎君
                鈴木 省吾君
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                竹内  潔君
                谷川 寛三君
                玉置 和郎君
                名尾 良孝君
                秦野  章君
                林  寛子君
                堀江 正夫君
                増岡 康治君
                松尾 官平君
                八木 一郎君
                山崎 竜男君
                大森  昭君
                志苫  裕君
                竹田 四郎君
                寺田 熊雄君
                村沢  牧君
                本岡 昭次君
                安恒 良一君
                大川 清幸君
                田代富士男君
                中野  明君
                馬場  富君
                小笠原貞子君
                伊藤 郁男君
                前島英三郎君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       法 務 大 臣  奥野 誠亮君
       外 務 大 臣  伊東 正義君
       大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君
       文 部 大 臣  田中 龍夫君
       厚 生 大 臣  園田  直君
       通商産業大臣   田中 六助君
       運 輸 大 臣  塩川正十郎君
       労 働 大 臣  藤尾 正行君
       建 設 大 臣  斉藤滋与史君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    安孫子藤吉君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       宮澤 喜一君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       中山 太郎君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       中曽根康弘君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  大村 襄治君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       河本 敏夫君
   政府委員
       内閣法制局第一
       部長       味村  治君
       内閣総理大臣官
       房交通安全対策
       室長       仲山 順一君
       内閣総理大臣官
       房同和対策室長  小島 弘仲君
       青少年対策本部
       次長       浦山 太郎君
       警察庁刑事局保
       安部長      谷口 守正君
       警察庁交通局長  池田 速雄君
       行政管理庁長官
       官房審議官    林  伸樹君
       行政管理庁行政
       管理局長     佐倉  尚君
       行政管理庁行政
       監察局監察審議
       官        佐々木晴夫君
       防衛庁参事官   岡崎 久彦君
       防衛庁参事官   石崎  昭君
       防衛庁長官官房
       長        夏目 晴雄君
       防衛庁長官官房
       防衛審議官    西廣 整輝君
       防衛庁防衛局長  塩田  章君
       防衛庁人事教育
       局長       佐々 淳行君
       防衛庁経理局長  吉野  実君
       防衛庁装備局長  和田  裕君
       経済企画庁調整
       局長       井川  博君
       経済企画庁国民
       生活局長     小金 芳弘君
       経済企画庁物価
       局長       廣江 運弘君
       経済企画庁物価
       局審議官     齋藤 成雄君
       沖繩開発庁総務
       局長       美野輪俊三君
       法務省刑事局長  前田  宏君
       法務省人権擁護
       局長       鈴木  弘君
       外務大臣官房審
       議官       関  栄次君
       外務省アジア局
       長        木内 昭胤君
       外務省北米局長  淺尾新一郎君
       外務省欧亜局長  武藤 利昭君
       外務省経済協力
       局長       梁井 新一君
       外務省条約局長  伊達 宗起君
       外務省国際連合
       局長       賀陽 治憲君
       大蔵大臣官房審
       議官       梅澤 節男君
       大蔵省主計局長  松下 康雄君
       大蔵省国際金融
       局長       加藤 隆司君
       国税庁長官    渡部 周治君
       国税庁次長    川崎 昭典君
       文部大臣官房長  鈴木  勲君
       文部省初等中等
       教育局長     三角 哲生君
       文化庁長官    佐野文一郎君
       文化庁次長    別府  哲君
       厚生大臣官房長  吉村  仁君
       厚生大臣官房審
       議官       吉原 健二君
       厚生省公衆衛生
       局長       大谷 藤郎君
       厚生省医務局長  田中 明夫君
       厚生省児童家庭
       局長       金田 一郎君
       厚生省保険局長  大和田 潔君
       厚生省年金局長  松田  正君
       社会保険庁年金
       保険部長     新津 博典君
       通商産業大臣官
       房審議官     神谷 和男君
       通商産業省通商
       政策局長     藤原 一郎君
       通商産業省産業
       政策局長     宮本 四郎君
       通商産業省機械
       情報産業局長   栗原 昭平君
       資源エネルギー
       庁長官      森山 信吾君
       運輸省自動車局
       長        飯島  篤君
       海上保安庁長官  妹尾 弘人君
       労働省労政局長  細野  正君
       労働省労働基準
       局長       吉本  実君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 久子君
       建設省道路局長  渡辺 修自君
       自治大臣官房審
       議官       大嶋  孝君
       自治省行政局選
       挙部長      大林 勝臣君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   小野 幹雄君
       最高裁判所事務
       総局民事局長兼
       最高裁判所事務
       総局行政局長   川嵜 義徳君
   事務局側
       事 務 総 長  前川  清君
       常任委員会専門
       員        道正  友君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第二局長   堤  一清君
   参考人
       日本道路公団総
       裁        高橋国一郎君
       心とからだの相
       談センター代表  荒川 和敬君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十六年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十六年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十六年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(木村睦男君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算、昭和五十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
#3
○委員長(木村睦男君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和五十六年度総予算三案審査のため、本日の委員会に日本道路公団総裁高橋国一郎君及び心とからだの相談センター代表荒川和敬君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、出席時刻等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(木村睦男君) これより寺田熊雄君の一般質疑を行います。寺田君。
#7
○寺田熊雄君 まず、通産大臣にお尋ねをいたします。
 対米自動車輸出は、業界が協議をして輸出を自制することは、日本の国内法上は問題がないようでありますが、アメリカの独禁法上の制約を受けるようであります。したがって、通産大臣が輸出をする各メーカーに呼びかけて慎重な対応を求めるほかはこの問題を解決する方法としてはないようでありますが、この種の行政指導によって目的が果たして達成されるのであろうか、何らかの立法による法的規制が必要ではないかと考えるのですが、この点いかがでしょう。
#8
○国務大臣(田中六助君) 対米自動車の輸出問題は、できれば総理が訪米します五月の初旬前に解決しておったがいいという政府の方針がございます。したがって、その方法でございますけれども、日本側の自主規制というものが最も望ましいのじゃないかということをアメリカ側もそう言っておりますし、私どもも一々どこの国がどうしたというようなことをやるよりも、ちょうど鉄鋼がうまくやったような例もございますし、できるだけわが国で、ある判断のもとでみずから進んで規制をしたいというふうに思っております。したがって私ども、業界との話し合いを当然持つべきでございますし、ただ寺田委員御指摘のように、国内の独禁法というものもございますし、事業者が一ところに集まってどうというようなことはできませず、まあ個別の折衝につきましても多少問題があることは、公取も考えておるようですし私どもも頭にあります。したがって、行政指導というものをどういうふうにやっていくかということでございますが、これはもう自動車問題を片づけるということを決めてから一カ月以上もなります。したがって、四月の初めまでには二、三カ月あったわけでございますので、独禁法違反にならないような程度で、まあはっきり申しますと、アヒルの水かきですか、そういうような程度で、余り法にも触れないようなことで、間を置いたり置かなかったりして、事務当局は業界にアプローチしてやっておるようでございます。したがって現在のところ、これを法律によって規制するか、あるいは全くの自主規制、つまり行政指導でうまくやっていくかという問題が残るわけでございますが、私どもは法律をもってこれを規制するというような考えはいまのところはございません。
#9
○寺田熊雄君 それで、通産大臣はやはりうまくいけるという自信をお持ちでしょうか。
#10
○国務大臣(田中六助君) 日本の自動車産業は、アメリカのGMあたりでもそうでございますが、ほんの三年前ぐらいまでは、まさか日本がこのように自動車がなろうとは向こうも思ってなかったと思います。現在GMは一位でございます。しかし、トヨタと日産が二位、三位を占めておりまして、十傑の中にすでに東洋工業と三菱も入っております。クライスラーやその他は全部十四位ぐらいに下がっておる、そのような勢いで、トータルをしますと日本が世界一になっております。そういうような状態でございます。しかし、そこまでくるには、やはり私自身が申し上げるのは手前みそみたいでございますけれども、通産省の行政指導がかなり効いて今日の自動車業界があるような気がいたします。したがって、通産省と自動車業界というのは切っても切れない長い歴史がございますし、ある程度ツーと言えばカーというようなところもあるようでございますので、まあ私は、何月に――私がその締めくくりをやらなければいけない立場にございますので、こういうふうにしてほしい、こうだといった場合、自信があるとはっきり申し上げたいのですけれども、物事はやっぱりやってしまうまで幾ら一〇〇%自信があるといいましてもどういうことがあるかもわかりませんけれども、まあまあ言えることは八〇%ぐらいまでは自信があるというようなことだと思います。
#11
○寺田熊雄君 私は、法のだんびらを常に使えというようなことは申しておるのじゃありません。しかし、やはり自動車産業法というような、いわば通産大臣がまさかの場合にはそうした規制ができるというような権限を持たないと無理じゃないかと私は考えておるのですが、まあ通産大臣にお任せすることにします。
 それから第二の問題は、この問題をめぐりましていろいろな新聞、雑誌に通産大臣と外務大臣とのさや当てがある、なされているというようなことの報道がありますね、この点いかがでしょう。
#12
○国務大臣(田中六助君) 外務大臣と私とのトラブルがあるように世間では言う人もありますし、報道などもそういうのがございます。しかし、それはまあ外交の一元化、二元化あるいは三元化とかなんとかということもうわさにはございますが、伊東外務大臣と私は、亡き大平総理のもとで私が初めの官房長官、伊東さんがその後というようなこと、それからそれ以前もそうでございますが、実は非常に仲のいい二人でございます。だから、これをおもしろくおかしくやる人もおりますけれども……。もちろん、それから国益にどうかということも私どもも考えなければなりませず、窓口は一本も二本もあるわけがなくて、外務省を中心に、ワシントンに行った場合でも、いま帰っておる大河原大使のある程度のサゼスチョンで私どもも動かなければいけませんし、そういう点、それからいまタスクフォースをつくっておりますルイス運輸大臣のもとでのアメリカでは、四、五人の閣僚が真っ二つに割れておるようでございますけれども、私どもは伊東さんと私でございますのでコンセンサスはいつでもできますし、事務当局も実は表づらはいろいろ言われておりますけれども、裏では私ども大来さん、それからうちの天谷審議官、それから課長クラスももうたびたび仲よく討議しておりまして、二省でのこの問題についての差異とか相違ということはなくて、相互に穴埋めをしておりますし、それから伊東さんと私の間柄でございますので、外交は縦に一本にして私がその間にはさまっていくというようなことを私も考えておりますので、世間が言うように、あるいは外国の人に割れておって益するようなことは国益にも反しますし、あくまで一元化という、本音もたてまえもなく、その一本化で私どもは折衝に当たっていきます。
#13
○寺田熊雄君 通産大臣もう結構です、終わりましたから。
 日米防衛協力の指針による研究・協議の結果は日米安全保障協議委員会に報告することは、この指針の前文に書かれております。しかし、それだけにとどまるのでしょうか。それとも国防会議や閣議に語るのでしょうか。
#14
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。
 日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインですが、五十三年十一月二十七日、日米安全保障協議委員会に報告、了承されており、同月二十八日、国防会議及び閣議にそれぞれ報告、了承されているところでございます。
 そこで、これに基づきます日米間における共同作戦計画等の研究作業は、この指針に基づきまして、その枠内で行うものであり、またこの指針の方向を受け、これを了承した国防会議、閣議の場におきまして、指針に基づき自衛隊が米軍との間で行うことが予定されている共同作戦計画等の研究作業については防衛庁長官が責任を持って当たることが了承されているところでございます。したがいまして、研究作業の成果の詳細につきましては、事柄の性質にもかんがみまして、日米安保協議委員会や国防会議及び閣議に報告する必要があるとは考えておりません。
 なお、自衛隊の最高指揮監督者たる内閣総理大臣に対しましては、共同作戦計画の研究について一応の概要が固まった段階で報告したいと考えております。
#15
○寺田熊雄君 長官、この「前提条件」というのがありますね。その(2)に「研究・協議の結論は、日米安全保障協議委員会に報告しことありますね。ですから、これは必ず報告しなきゃいかぬのでしょう。
#16
○国務大臣(大村襄治君) その研究・協議はガイドラインの研究・協議を委員会に報告すると、そういうことで、そのもの自身は報告いたしていることは先ほど申し上げているとおりでございます。
#17
○寺田熊雄君 それはちょっと違うでしょう。いいですか、この「研究・協議の結論は、日米安全保障協議委員会に報告し、その取扱いは、日米両国政府のそれぞれの判断に委ねられる」と。「この結論は、両国政府の立法、予算ないし行政上の措置を義務づけるものではない。」と。ですからそれは、協議の成果というものは防衛庁のお蔵入りというのじゃなくて、やはり安保委員会に報告し、国防会議にもかけるのじゃないでしょうか。
#18
○国務大臣(大村襄治君) いまお尋ねの点は、先ほど申し上げたとおりでございますが、正確な資料に基づいての文脈の解釈、基礎の資料がございますので、ちょっと政府委員から御説明させます。
#19
○政府委員(塩田章君) いまの御指摘の点でございますが、いま先生がおっしゃいました「前提条件」は、指針そのものではなくて、指針の前に防衛協力小委員会から協議会に報告した報告書の前文の中に書いてあるわけでございますね。その前文の中に「前提条件」があって、そして防衛協力小委員会が作業をするに当たってこういう前提条件で作業をいたしましたということを書いて、その後に、その研究成果であるガイドラインがくっついておる、こういう形になっておりまして、その中で、いま御指摘のような「前提条件」の(2)で「研究・協議の結論は、日米安全保障協。議委員会に報告し、」云々とあります。それは、いま大臣がお答えしましたように、防衛協力小委員会がガイドラインの研究をする、そのことを指しておりまして、そのでき上がったガイドラインは、まさにこの報告書のその次についておるガイドラインとしていま報告しますということでございまして、先ほど大臣がお答えしましたように、別途、このガイドラインからさらに次の作業の段階のことを安全保障協議委員会に報告するという意味ではございません。
#20
○寺田熊雄君 そうしますと、このガイドラインに基づく日米の協議が、この間志苫議員に対する防衛局長の答弁では、有事の際の作戦計画のこれはベースになるというお話でした。だから、有事の際に作戦計画のベースとなるような重要な研究成果、これが防衛庁のお蔵入りをして国防会議にもかけない、政府もつんぼさじきに置かれるというのでは、もう国家の運命が制服だけにゆだねられるような結果になってしまいはしませんか。
#21
○国務大臣(大村襄治君) その点は、前回の塩田局長の答弁に触れる問題でございますので、政府委員の塩田君からちょっとお答えさせます。
#22
○政府委員(塩田章君) 私が前回の答弁で、御指摘のように、この研究は作戦計画そのものをつくるわけじゃないけれども、その研究を続けていく間にもし有事の事態が発生すれば、それがベースになって作戦計画がつくられていくということをお答えをしたわけでございますが、それであれば先生のおっしゃいますように、それじゃ制服の間に実体がゆだねられて政府がつんぼさじきに置かれる状態ではないかという御指摘でございますけれども、そのために、ガイドラインそのものは、御承知のような防衛協力小委員会をつくって、そこで具以的にいかなる作業をするかということにつきまして、単なる大綱でなくて、さらに細かい方針までガイドラインに詳細に書きまして、それを具体化する作業だけを制服の研究にゆだねておる、こういうことでございまして、大きな枠組み、さらにその大きな枠組みからくる具体的な考え方に至るまで詳細にガイドラインに書いてございますので、その枠の中の研究である。それが第一点。
 それから第二点に、しかも制服同士の研究でありますけれども、長官指示の中におきまして内局、特に私の所掌しております防衛局でございますが、よく連絡をとって進めるようにということも指示してございまして、そういう意味で制服同士の独走といいますか、そういった形にならないように十分配慮しておるつもりでございます。
#23
○寺田熊雄君 そういう作戦計画を結局つくるのじゃないけれども、作戦計画のスタディーだという文案がありますよね。つまり、作戦計画というものを実際につくられていく、練っていくわけでしょう。それがつまり図上のもの、いわば文章化されるわけでしょう。
#24
○政府委員(塩田章君) 作戦計画をつくるといいますか、もちろん研究なのですが、研究するといいますか、私がベースになると申し上げたのは、この間からもお答えしておりますように、いろんな考えられる実態に対しまして、いまの時点ではわずか一つの設想を設けてやっておるだけでございまして、実際にはどんな事態が起こるかわからないわけでございます。ですが、たとえ設想にせよ、そういう一つの設想を置いて研究しておれば、実際に何か起こったときの作戦計画をつくるに当たって、もちろんそれは参考になるし、ベースになるという意味で申し上げておるわけでございまして、そういう意味では、作戦計画そのものはつくるとおっしゃいます考え、そういう考え方であるというよりも、あくまでも研究であるという意味は、実態がそれこそどういうことかわからないものですから、一つの設想を置いてやっている。それはしたがって、実際に起こった場合の事態に対しましてはもちろん参考になるという意味でベースになる、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
#25
○寺田熊雄君 それは文章化されるかどうか、結果は。
#26
○政府委員(塩田章君) いま申し上げたような意味で、研究をするものはもちろん文章にいたします。
#27
○寺田熊雄君 その文章を見ることのできる者はだれとだれです。
#28
○政府委員(塩田章君) 日本側で申し上げますれば、まず作業を担当しておる者、具体的には統合幕僚会議の事務局長が中心になりまして陸海空それぞれの担当者、人数は特定しておりませんし、そのためのチームをつくっておるわけでございませんので、具体的に何人とか、だれとかというふうに決まっておるわけじゃございませんが、所掌で申し上げますれば、各三つの幕僚監部の防衛部を中心にした関係者、防衛部だけでございませんけれども、中心にした関係者。それから、作業はいま申し上げたように、そういった人たちが中心になって、内局で言いますと防衛局がそれに緊密な連絡をする。作業はそういうことでございまして、それから、したがいましてその上の見ることのできる人とおっしゃいますれば、統合幕僚会議議長でありますとか、それから事務次官でありますとか防衛庁長官、こういった範囲になろうかと思います。
#29
○寺田熊雄君 それは結局、防衛庁長官限りですか、それとも外務大臣やそれから総理は、もちろんそれを持ってこさして見て検討することはできるのでしょうね。
#30
○政府委員(塩田章君) 先ほど大臣からお答えしましたように、このガイドラインができた後、研究に入るに当たりまして、防衛庁長官が閣議で特に発言しまして、これから先の研究は防衛庁長官の責任においてやらしていただきたいということを申し上げて了承いただいて始めておるということでございますので、直接、作業そのものの進捗なりその内容の責任は防衛庁長官が負うという形になっております。したがいまして、外務大臣――いま外務大臣という御指摘がございましたが、外務大臣にこの研究の中身を御報告するという立場にはございません。
 それから、総理大臣につきましては、先ほどこれも長官からお答えいたしましたように、最高指揮官でございますから、でき上がりました段階で御報告はしたいと思っておりますが、いま申し上げましたように、最後の責任は防衛庁長官にお任せいただいておると、こういうことでございます。
#31
○寺田熊雄君 この防衛協力の指針のUですね、「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」というのがありますね。その1の末尾に「自衛隊及び米軍は、それぞれ、日米両国政府の合意によって選択された準備段階に従い」云々とありましょう。だから、この準備段階なんというものは日米両国政府の合意によって決まるというのだから、制服だけのじゃなくて、やはり外務省が当然これに関与すべきじゃないのでしょうか。
#32
○政府委員(塩田章君) いまの御指摘の点は、研究のテーマの一つであります防衛準備の段階区分につきまして、これはまだ進んでおりませんけれども、いずれ研究をして進めていくことにしておりますが、それができましたときに、ここに書いてある文言は、いざ有事の場合に、そのでき上がりました段階区分に従いましてどういう段階に入っていくかということにつきまして日米が合意してやっていこうということでございます。
 つまり、日米がばらばらにならないようにという趣旨の文言でございますが、それはここに「日米両国政府」と、こう書いてございますから、「政府」と言う以上は防衛庁だけではないのではないかというお尋ねだと思いますが、これはアメリカ側もアメリカ側のそれぞれの手続によってやっていくだろうと思いますし、日本側も日本側の国内の手続がございますので、ここでは一応「日米両国政府」と書いてございますが、日本は日本でどういう段階、手続でいまの合意を進めていくかということは日本が考えればいいことになります、日本側の手続としては。それにつきまして、いま、外務大臣にする必要があるのじゃないかということでございますが、これはいま申し上げたような内容でございますから、非常に防衛準備の段階でどの段階区分をとるかという話でございまして、いまからこの段階区分を研究して、でき上がります過程で具体的にどの段階区分にはどういう手続で入っていくかということを私ども研究しなきゃいけないと思っております。いま、まだ研究ができておりません。おりませんが、特に外務大臣ということをこの場合に意識してここに書かれたのではなくて、日本側は日本側の政府部内の手続で決めなさい、アメリカ側はアメリカ側の政府部内の手続で決めるということをここでは特に言っているだけであって、後の具体的なやり方については双方それぞれの立場でやればよろしい、ここに書いてある趣旨はそれだけのことでございまして、この中で受けて、日本側がどういう政府機関で決定していくかということは、特に外務大臣とか、特に何々大臣とかというようなことを意識してここに書いてあるわけではございませんので、いまからの研究課題というふうに私どもは考えております。
#33
○寺田熊雄君 それは納得しがたいなあ。――「日米両国政府の合意」というようなものが、制服だけの、政府内の一部局の者とアメリカの制服との間の合意がすなわち政府間の合意なんということは成り立ちようがない。外務大臣、どうお考えですか。
#34
○政府委員(塩田章君) いま私が申し上げたような趣旨でございますが、ちょっとつけ加えさしていただきますと、ここでこういう書き方をしているのは、そういった問題を決めるのは双方の、アメリカ側はアメリカ側のあれがあるでしょうけれども、要するに制服同士で、こういう研究をしたからといって、制服同士でいまの段階区分をとることを決めるのではないですよという意味も含めて「政府」と言っておりまして、具体的にその政府のだれとか、どういう手続とかいうことをここであらわそうとしているのではなくて、制服同士で決めるものではないということを表現をしているのだというふうに御理解いただきたいと思います。
#35
○寺田熊雄君 外務大臣いかがですか。
#36
○国務大臣(伊東正義君) いまの御質問でございますが、恐らくこれから防衛庁はいろいろ各段階の相談をされると思うのでございますが、その段階段階によって判断をして、政府というものは合意をする場合にどういうところに相談をするのだというようなことで、これからの私は相談だと思うわけでございまして、いまの政府委員の答弁で私は差し支えないだろうというふうに思っております。
#37
○寺田熊雄君 いや、外務大臣、両国政府間の合意というものが、全く外務大臣がつんぼさじきでなされてもよろしいですか。しかも、作戦計画とか作戦準備段階とかいうような国家の運命を左右するかもしれないような重大な問題で、外務大臣、つんぼさじきでなされてもよろしいと、あえてこうおっしゃるのか。
#38
○国務大臣(伊東正義君) これから研究をすると、そしてその段階段階で相談をするということでございますので、いま政府委員の答弁はその場合に必ず外務大臣はつんぼさじきに置くのだという意味の答弁でもないわけでございまして、私は事柄の重大さによりましていろいろ御相談があることはあるだろうと、こういうふうに思っております。
#39
○寺田熊雄君 よくわかりませんが、伊東さん、大変恐縮ですが、つまりあれですか、将来研究するのでいま何とも言えないとおっしゃるのか、やはりそういう政府間の合意というものは外務大臣が当然関与すべきだと自分は信ずるとおっしゃるのか、どちらでしょう。
#40
○政府委員(淺尾新一郎君) ただいまの寺田委員の御質問は、実は衆議院の予算委員会でも出ました問題でございます。
 それで、準備段階の合意を一体どのレベルでするのかどうか、その合意の形式はどうかということでございますが、これは今後の課題でございます。ただし、私たちとしてはこれはやはり高度の軍事的な判断あるいは政治的な判断ということもございますので、そういう点を念頭に置きながら安保条約に基づいて行っていくということで、具体的にどのレベルでだれがやるかということは今後の課題で、まだ決まっておりません。
#41
○国務大臣(伊東正義君) いも政府委員が答弁したとおり、いままではそういうことを私らが入って打ち合わせたとかそういうことがないわけで、これからの研究段階でございますから、いまこうだということを申し上げるわけでございませんが、国の生死に関するような大きな問題であれば、これは政府全部が責任を持たなけりゃならぬ問題になるわけでございますから、私はそういうときに全部つんぼさじきで、全然相談ないのだというようなことはあり得ないと、こういうふうに考えます。
#42
○寺田熊雄君 それではこの問題はちょっとひとまずおきまして、官房長官が何か時間の関係でお急ぎのようですから、先に官房長官の質問に移りたいと思います。
 ポリャンスキー大使と伊東外務大臣との会談が先日行われました。そのときに、伊東外務大臣としては成果があった、実りがあったということを当委員会に御報告になりましたのでありますけれども、私どもも、外務当局としてはともかく余りぎすぎすした関係を持続するのじゃなくて、やはり日本の平和、安全の見地からデタントを進めていただきたいと念願して、そういう意味でこれを評価しておるのですが、何か宮澤長官の先日の記者会見のあれは、そうした平和的な努力に水をかけるような非常にすさまじいお言葉のように思いますが、宮澤さんとしてはどういうつもりでああいう乱暴な言葉をおっしゃったのか、ちょっとその真意を聞かせていただきたいと思うのですが。
#43
○国務大臣(宮澤喜一君) 仰せられますように、私もデタントというものを背景にして、両国がぎすぎすした関係になりませんように、それが大事なことである、先般、外務大臣とソ連大使が会談をされたことをそれに資するものであるというふうに考えておりますことは御同様でございます。
 それで、その伊東・ポリャンスキー会談のありました後、記者会見で幾つか質問がございまして、私は全体の会談をそのように、ただいま寺田委員の言われましたように認識しておりますことは同じことでございますが、質問がありまして、東京のソ連大使館、大使以下非常に優秀な人々が精いっぱい活動をしておられることはよく存じておるわけでございますけれども、時として、いかにも日本の実情をしっかり把握しておられないのではないかというふうに思われることがある。せっかく一生懸命熱心にやっていらっしゃるので、それは残念なことで、もう少し広く日本の社会の各層、各方面と接触をされると日本という国がもうちょっとわかってもらえるのではないだろうか。お互いの理解ということは大変に必要なことでございますし、たまたまモスクワ駐在の日本大使はそうしばしばはソ連の上層部に会えないというようなこともございますから、お互いの理解ということはやっぱり特に必要なのじゃないかということを申そうといたしました。それは両国がよく理解をすることが友好のどうしても基礎であると考えますので、そういう意味で申しましたので、ソ連大使館なり何なりを誹謗をするという気持ちではございませんでした。全くそういう意図ではございませんでしたが、結果としてそのように受け取られることになった、私の本意ではございませんでした。残念なことだったと思っております。
#44
○寺田熊雄君 長官が、時として日本の実情を御存じないのじゃないかと――十分にですよ。そういう趣旨でおっしゃったというのは、ポリャンスキー大使が鈴木総理に秘密会談を申し入れたということを念頭に置いておっしゃったのでしょうか。
#45
○国務大臣(宮澤喜一君) そうではございませんで、たとえば北方領土の問題に関しましてわれわれが考えていること、これは日本国民の多くが考えていることであると思いますが、それは少数の意見であるというふうにしばしば理解をされておるようである、たとえばその種のことでございます。しかしこのことは、私一遍だけ申しましたらもうそれでよろしいので、余りこのままやっておりますと、思わない、望ましくない議論になってはいけないと思いますので、余りつけ加えて物は申さない方がいいのではないかと考えております。
#46
○寺田熊雄君 ちょっとそれ、委員長、表示盤何とかしてくださいよ。こっちはあれを見てあんばいしているんだから。
#47
○委員長(木村睦男君) ちょっと待ってください。すぐ直すわけにはいかぬそうですから。事務局の方で三分置きに残り時間皆さんに言いますから……
 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#48
○委員長(木村睦男君) 速記を起こして。
 寺田委員に申し上げますが、理事会で相談いたしまして、実は、本当は十九分三十秒の残り時間ですけれども、あと二十一分ということでやっていただきたいと思います。自後はこれが直るまでは三分置きぐらいに残り時間を御連絡いたしますから、それで御了承いただきたいと思います。
#49
○寺田熊雄君 伊東外務大臣にちょっとこの際お伺いしたいのですが、宮澤官房長官は、いま、ソ連大使館の側はいろいろ日本の実情を詳しく御存じないのじゃないかという内容について、それは北方四島の返還の問題の認識を念頭に入れて言ったのだというふうにおっしゃったのですが、一般的には、秘密会談を総理にポリャンスキー大使が申し入れたという点を指したというふうに報道されているのです。そもそもあの秘密会談の申し入れというのはあったのでしょうか、なかったのでしょうか。
#50
○国務大臣(伊東正義君) 秘密会談と言われるくらいでございますから、相談がないことはこれはもうあたりまえでございまして、外務省にはそういう意味のことは一切何もありませんでしたので、私は知っておりません。
#51
○寺田熊雄君 外務大臣は全く御承知なかったのですね。
 宮澤長官はいかがなんでしょうか。
#52
○国務大臣(宮澤喜一君) そのことにつきましては、昨日ソ連大使館から持ってまいりましたノートでございますか、メモでございますかに、そのようなことは事実でないと書いてございますので、私はそれをテークノートする、それに留意をするということにいたしてございます。これ以上このことは余り申さないことがいいのではないかという気持ちでございます。
#53
○寺田熊雄君 長官も、ソ連は隣国ですね。ソ連との間に事を構えて日本人、いわゆる日本国土の生命、安全などを危殆に陥れるというようなことがいかに政治家として国民に対する大きな犯罪かということは御存じだと思うのですね。ですからあなたとしても、やはり日ソの友好というものを念願していらっしゃることは間違いないんでしょうね。
 それからまた今回の御発言はそうしたまあ不用意な発言だと私は思います。そういうことによって大きな波紋を生じたということについてはやはり慎重な配慮が足りなかった。さっき残念だとおっしゃったんですね、そういうことはもう自覚していらっしゃるんでしょうね。もう一度その点を伺いたいと思います。
#54
○国務大臣(宮澤喜一君) 日ソの友好を望んでおることはもとより間違いございません。このたびめことがそれに貢献することを祈っております。
#55
○寺田熊雄君 そういう御発言では納得できませんがね。あなたの御発言が日ソの友好に貢献するとおっしゃるのですか。貢献することを祈るというのはどういうことですか。
#56
○国務大臣(宮澤喜一君) お互いが、よりよく相手のことを知り合うことがどうしても真の友好のためには必要であると、こういうことでございます。何事も誹謗するつもりではございませんで、それが日ソの友好のために大事なことだと考えております。
#57
○寺田熊雄君 もう一度伺います。
 長官は、今度の長官の記者会見での御発言について、いささかも反省のお気持ちは持っていらっしゃらないということですか。
#58
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、ソ連側が秘密会談というようなことは申し入れたことがないという主張でございますから、その点をテークノートするということで十分であると思います。
#59
○寺田熊雄君 最初に、ああいう不用意な発言で波紋を生じたことは残念に思うというのはどういうことでしょう。何か開き直りのように思いますがね、いまの後半の御発言は。
 何か伊東外務大臣には不用意な発言だったということで謝られたという報道がありますね。これはどうなんでしょうか。
#60
○国務大臣(宮澤喜一君) 真意が十分に伝わらなかったということは残念であって、そういう意味では私の発言が舌足らずであった点があるかもしれない、こう思っておりますけれども、残念ながら真意が伝わらなかったのは残念である、こう申しておるのであります。
#61
○寺田熊雄君 まあ舌足らずであったという点をお認めになったのは先ほどの御発言から一歩前進ですが、結局伊東大臣に対して釈明されたのは、そういう趣旨で釈明されたと理解していいんでしょうか。
#62
○国務大臣(宮澤喜一君) そのことにつきましては、私どもの内部のことでございますので、別にこの席で御説明を申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
#63
○寺田熊雄君 何か感情的にえこじになって答弁を拒否していらっしゃるような印象を受けるので、これは私ども困ります。納得できません。これはすでに新聞報道がもうなされているのですよ。しかも日ソの友好という非常に大切な問題です。いいかげんに済ましておれません。不用意な発言を遺憾に思うのかどうか。伊東大臣にどういう御釈明になったのか。もう一度はっきりおっしゃってください。
#64
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたとおり、私の申そうとしましたことが、舌足らずのせいでございましょう、十分に理解されなかったことは残念でございます。
#65
○寺田熊雄君 外務大臣に釈明したことはどういうことでしょうか。
#66
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう気持ちで外務大臣に申し上げております。
#67
○寺田熊雄君 結構です。官房長官、それじゃ終わりましたので。
 この日米防衛協会の指針による研究・協議の成果は、先ほど防衛庁長官限りと、しかし総理大臣は総指揮官であるからそこまでは行くんだというお話でした。この指針は有事を対象とするものでありますので、結局、この研究・協議というのは、私はやっぱり事実工作戦準備計画なり作戦計画づくりの一つのプロセスとして理解すべきだと思いますが、この点いかがでしょう。
#68
○国務大臣(大村襄治君) 作戦計画の研究は、これはしばしば申し上げておりますとおり、いわばエンドレスに続く性格のものでございます。もうここで終わりということはないと思うのですね、安保条約が存続する限り。ところが、私ども、いままでの委員会なり小委員会の決定の線で共同作戦計画等について防衛庁が担当して進めているわけでございます。そして、しばしば御報告しておりますように、作戦計画にかかわるところにつきましてはある程度進んでいる、私も中間的な報告を受けている、近く一応まとまるかもしれない、そういう段階で、やはり文民コントロールの最高責任者である内閣総理大臣に、こういうふうになっていますと――これも長い目で見れば中間報告かもしれませんけれども、そういうことはいたさねばならぬのではないか、そういうことを申し上げた次第でございます。
 その他の事項はまだこれからでございますので、まとまった段階で、それぞれ必要な報告があればしなければならないと考えておりますけれども、まだそこまでは、作戦計画以外はまだそれほど進んでいない、こういう段階でございます。
#69
○寺田熊雄君 いまの御答弁ですと、何か事実工作戦計画づくりのプロセスと理解すべきであるというふうな御解釈になりますね、これは。
 それから、有事というのは、一番蓋然性の高いのはやはり米ソの対決による戦争状態を指すと理解するほかはないと思いますが、この点いかがでしょうか。
#70
○国務大臣(大村襄治君) 御質問の趣旨が、わが国に対する侵略事態が生起する原因なり契機として可能性が高いと考えられるものはどうかと、こういう御趣旨ではないかと思うのでございますが、そうだとしますと、国際情勢はなかなか複雑でございまして先行きの予断を許さないものがありますので、現時点で将来の侵略の発生の予想される場合の契機が何であるかというような点につきましては申し上げるのは困難ではないかと私は考えております。
#71
○寺田熊雄君 ソ連以外の国は、日本に本格的な侵攻をする能力を持たないと、これは初代の防衛大学の学長である猪木正道氏が言っておるのですが、あなたはどういうふうにお考えでしょうか。
#72
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 政府は、たびたび申し上げておりますとおり、いずれの国をも仮想敵国とはみなしてないということを申し上げておりますので、特定の国をとらえて侵攻があるとかあり得るとかということは無用の誤解を招くことになりますので、お尋ねの点につきましては申し上げるのは差し控えさしていただきたい、さように考えております。
#73
○寺田熊雄君 そういうことになりますと、先ほど長官がおっしゃった、作戦計画がいま中間報告の段階になっておるという、その中で生ずる戦闘というのはどこの国を対象としたものですか。
#74
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 特定の国を対象にしてやっておるものではございません。
#75
○寺田熊雄君 じゃ、米ソの対決の際に日本が巻き込まれるという、そういう状態はもう全然想定してないわけですか。
#76
○国務大臣(大村襄治君) 特定の国を前提としてではございませんでして、ある程度の規模の侵略がある場合にどう対処するとか、そういうことを研究しているわけでございます。
#77
○寺田熊雄君 もしちょっとおわかりないようでしたら。――防衛庁としては、米ソの対決の際に日本が巻き込まれて戦闘状態になるという、そういう想定は全く捨象して研究しておられるのかどうかということです。
#78
○政府委員(塩田章君) いまやっておりますがイドラインに基づく研究は二つございまして、二項の方が言うなれば安保五条の事態、三項の方は安保六条の事態でございますが、六条の事態については現在まだ研究しておりませんが、二項の方の安保五条の事態について研究をしておるわけでございます。これは御承知のとおり日本が侵略を受けた場合の研究でございますが、それがどこの国からの侵略であるとかそういうことは、おっしゃいますようにすべて捨象しておりまして、日本が安保五条で言う侵略を受けた場合に日米いかに共同対処するかという研究でございまして、どこの国ということについては捨象した研究をしておるわけでございます。
#79
○寺田熊雄君 どうも答弁を逃げていらっしゃるようだけれども、時間の関係があるので……。
 それから、核戦争が生ずる可能性というのは、長官や外務大臣は御否定になっているんですか。
#80
○国務大臣(大村襄治君) 先に私御指名でございますので先にお答えします。
 核戦争がもし起こるとすれば、人類の破滅につながるものでございますから、こういったものはあくまで回避しなければならないと考えております。しかしながら、現実の国際情勢におきましては、核保有国の間に相当多量な蓄積が行われていることも事実でございますが、いままでのところは核保有の大国の間のいろいろバランスの問題もあり、また、それと関連の深い自制心もありまして、いますぐ核の使用を含む大規模な戦争が起こる差し迫った危険があるということではないというふうに考えております。
#81
○国務大臣(伊東正義君) 核戦争の可能性の問題でございますが、核大国と言われる米ソともに、やはり全面的対決になって核戦争になるようなことは極力避けたいということで、この間のブレジネフ演説も平和の問題について触れておりましたし、アメリカも、私は今度行って向こうの政権の人と会って、いろいろ意見の交換をしますが、アメリカも全面的な対決になって核戦争になるということは極力避けたいという考え方で平和を維持しようということで、いろいろSALTの今後の問題でございますとか、そういう問題について本当に核軍縮をやろうということならテーブルに着いてもいいというような発言もしておることもあるわけでございまして、私はやっぱり核大国の米ソがまず中心になりまして、そういう対決にならぬようにするという努力をすべきであり、また日本も、被爆国として体験を持っている国でございますから、そういうことにならぬような平和の努力、核軍縮というようなことに真剣に努力をしていくということをやって、核戦争を回避するということの努力をしていくべきだというふうに思っております。
#82
○寺田熊雄君 行管庁長官、お急ぎなんでしょうか。――それでは先にやらしていただきますから。
 これはもうずっと後の質問で、大蔵大臣にお尋ねをしてからの方がいいんですけれども、行管庁長官、国税庁長官からいろいろ答弁をしていただいてからでないと行管庁長官に対する質問が実はできないわけなんですが、それでもよろしいでしょうか。
#83
○委員長(木村睦男君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#84
○委員長(木村睦男君) 速記を起こして。
#85
○寺田熊雄君 じゃ、国税庁長官にお尋ねしますけれども、大法人とか医師その他の高額所得者の脱税が非常に多いですね。こういう法人とか申告所得者の不正申告、不正脱漏所得などが年間とのぐらいあるのか。これは時間がかかってはいけませんので、ここ三、四年ので結構ですから。それから追徴税額はどのぐらいあるのか。そういう対象者に対してはどの程度の実地調査が現在の税務職員ですることができるのか。そういう点、ちょっと答えていただけますか。
#86
○政府委員(渡部周治君) お答え申し上げます。
 過去三年間の実地調査におきまする調査の結果、把握いたしました増差所得及び増産の税額から申し上げますが、五十二年度所得税におきましては、増差所得二千四百二十五億、税額が四百九十六億でございます。法人税が、七千二百七十一億、税額が二千四百三十二億でございます。それから五十三年度所得税は、増差所得が三千百七十六億、税額が六百二十億、法人税が増差所得八千四百九十二億、税額が二千七百九十八億。五十四年度が、所得税、増差所得三千九百三十二億、税額が七百五十億、法人税が増差所得八千四百八十七億、増産税額二千七百二十二億でございます。
 また、実調率でございますが、過去三年間、五十二年度の所得税の実調率は三・七%、法人税は七・九%。五十三年度は所得税が四・二%、法人税が九・五%。次いで五十四年度が所得税は四・五%、法人税は一〇・四%、このように相なっております。
#87
○寺田熊雄君 あなた方のように現実に国民から税をいただいておる、そういう職責を持っておられる方々としては、やはりもう少し実調率を高めたいという願望はもちろんお持ちなんでしょうね。
#88
○政府委員(渡部周治君) お答え申し上げます。
 先ほども御答弁申し上げましたように、最近におきまする税務調査の実調率は、所得税の場合は五%、法人税の場合約一〇%と、こういうことになっておるわけでございます。
 税務調査は、申告漏れがあると認められる納税者を対象にして行っておるわけでございますが、納税者が増加するに従いまして、調査対象とされる納税者もふえてまいるわけでございまするので、私どもは、できるだけその実調率を下げないようにいま努力をいたしておるところでございます。
 実調率をどの程度に確保すればいいかというお尋ねでございますが、これは実調率と申しますのは、われわれ税務部内におきまして、事務計画を策定する場合の重要な目安の一つにしておるわけでございまするけれども、これは納税者との関係、つまり申告がどの程度適正に行われておるかということとの関係で相対的に決まるわけでございまするので、絶対的にどの程度のものが望ましいということは言えないわけでございます。
 また、申告水準の向上と申しますのは、これは単に税務調査だけで達成できるものではございませんで、やはり自主的に正しい納税をしていただくという環境づくりが大事なものでございまするので、私どもは、実調率を確保すると同時に、税務弘報とか税務相談体制の充実あるいは青色申告の普及育成というものを通じまして、申告納税体制の醸成というものに努めておるところでございます。
#89
○寺田熊雄君 これはちょっと国税庁長官らしくない、大蔵大臣や行管庁長官に多少遠慮している答弁のように聞くのですが、私どもが地方に行って国税当局に会いますと、もう少し職員が欲しい、もう少し実地調査をやればもっと取れるのだというそういう訴えを聞くわけですね。ですから、国税庁長官も実調率をどの程度高めたらいいのか、もうちょっと実調率を高めたいというような、そういう点の抱負があってしかるべきだと思うのですが、遠慮せずにちょっとおっしゃっていただきたい。
#90
○政府委員(渡部周治君) お答え申し上げます。
 先ほどから申し上げておりまするように、私どもは実調率を確保するということに腐心しているわけでございますが、その場合に、現在の実調率ではまだ足りない、もう少し高めたいというような希望が一部の職員といいますか、われわれの税務部内にあることは事実でございます。ただし一方におきまして、それでは実調率をふやすためにどういう手だてがあるかということになるわけでございますが、そのために私どもはできるだけ内部事務の省力化を図りまして、たとえば電算機を導入するというようなこと等によりまして外部事務調査に振り向ける人員をふやしておりまして、その結果一番ボトムでは、たとえば所得税は二・七%台、法人税は六・何%台という実調率に陥っておりましたのを、先ほど申し上げましたように、最近では所得税は五%弱でございます。法人税の場合は一〇%台というように高めてまいってきておるわけでございますが、ただ一方におきまして納税者が非常にふえてまいっておりまするし、また取引の複雑化等につれまして不正手口も巧妙化しておるということで、私どもはやはり深度のある調査と、それから幅広くどの程度当たるかということを絡み合わせながら調査計画を立てておるわけでございます。
 そういう意味で、どの程度の実調率を確保すればいいのかということは、そのときそのときの納税者の状況等と見合いながらわれわれは定めておるわけでございまして、一概に実調率を高めればいいというものではございませんが、私どもの部内ででき得べくんばもう少し実調率を高めたいという希望があることは事実でございます。しかし一方におきまして、たとえば人の問題ということにつきましては厳しい定員事情もあるわけでございまするから、私どもは今後とも事務の省力化、合理化を図りながら、われわれの企業努力でもっていろいろ外部調査余力の捻出には努めてまいりたいと思いますけれども、定員の確保につきましては一層の御理解を得たいと、このように思っておるわけでございます。
#91
○寺田熊雄君 行管庁長官、いまお聞きになったと思うのですが、納税者の人員というのは非常にふえておるようです。法人も年々増加しておるようですね。私ども各地の国税局を回りますと、やはり税務職員が足りないという点の嘆きを非常に聞くわけですが、いま国税庁長官の説明によりますと、実調率が一〇%で大体三千億近い新しい税が入ってくる。それだけ不正申告や脱漏が多いということが事実のようでありまた、そうといたしますと、私はいまの行革の必要性を決して否定するものじゃありません。それから総定員法の枠を動かせというのじゃありません。しかし、毎年出てくる人員削減の中からもうちょっと国税職員の増員、徴税職員の充実にもっと回してもいいんじゃないかという考えを持つのですが、これはいかがでしょうか。
#92
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は同感でございます。国税の第一線職員が非常に厳しい環境のもとによく努力しておるのを最近はわれわれも非常に高く評価しておるところで、労働組合の皆さんからもわれわれ陳情も受け、実情もいろいろ調査いたしまして、そうして非常によくやっているという点を高く評価している次第でございます。
 ただ、行政管理庁としては定員をできるだけ減らそうという大使命を持っておるものでございますから、できるだけ第一線の人間はふやすようにしようと、こういうことで――各官庁とも一般に減らしております。大蔵省も五十六年度においては百五十人全般的には減らしていただいておるんですが、税の第一線は四百三十八人ふやしておるわけです。これは総務部門とか管理部門とか施設部門の方々をそちらへ回して第一線をふやしておると。そういう内部操作で実は努力していただいて、大体こういうやり方でここ数年の間第一線はふやし続けております。
 いままでの報告等を見ますと、国税職員第一線の人が一人ふえると五千万ぐらい税はよけい取ることができると、そんな報告も一部に来ておりますが、確かに実調率が上がれば的確な税収もふえてくると、そうは思います。思いますが、全般的に見まして人員をふやさないで削減して小さい政府をつくるという努力をしておるものでございますから、国税の皆さんにも御苦労いただいて、また大蔵省内部でもいろいろ努力をしていただいて、第一線の皆さんを振替操作によってできるだけふやすと、こういう方向で進めております。将来におきましてもそういう方向でぜひ御努力を願いたいし、実情によりましてはいろいろわれわれもその事態に即して検討を加えていかなければならぬと、そう思っております。
#93
○寺田熊雄君 大蔵大臣にお尋ねしますが、いま国税庁長官の答弁や行管庁長官の答弁お聞きになったと思いますが、余りにも大法人とかそれから医師その他の高額所得者の脱税が多うございましょう。こういうものを許して、それで俸給生活者の点は全然いままではがまんせいということで減税も拒否なさいましたね。それから増税も一兆四千億なさいましたでしょう。そうじゃなくて、取れるものから取って、そしてできるだけ俸給生活者の減税の国民的要求にはこたえる、また増税の額をできるだけ少なくするというような御配慮が私はあってしかるべきだと思うんですよ。いかがでしょうか。
#94
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先生の言うことは全くごもっともな話でございまして、私ども大賛成なんです。しかし、先ほど国税庁長官が言いましたように、調査人員をもっとふやしたいという願望があることも事実なんです。事実ですが、ただ調査人員をふやせばそれに比例して税収が単純比例でふえていくということにはならない。結局、現在は非常に脱漏がありそうなところをねらってやっているわけですから、調査人員がふえていけば脱漏のなさそうなところまで調べるということになっていくわけですね。したがって、調べれば調べただけ正比例はしないのです、それは。だけれども、もう少しふやしたいなという気持ちはもちろんわれわれは持っておって、毎年努力をしているのです。
 何よりも大事なことは、やはり憲法にも決まっておるように納税は国民の義務でございますから、その思想を徹底をさせるということがまず第一。それから、政府はむだ遣いしてないということをやっぱり知ってもらうだけの努力をしなきゃいかぬ。しょっちゅう何百億とかという会計検査院から不当事項を指摘されるということは、やっぱり納税思想にプラスにならぬですね、これは。むだ遣いしているんだろうという気持ちがどこかのすみっこにありますから、だからやはりそういうようなことで、政府の金の使い方というものに十分われわれも気をつけていかなきゃならぬ。それから第三番目は、やはりいろんな団体等で税の仕組みとか、思想とか、それから納税技術と、あるんですよ、これやっぱりね。計算技術もありますから。そういうふうなことを広く教えて、脱税じゃないんだが知らないために申告漏れになっていると、これもかなりあるのです、実際は。非常に専門的な問題ですからね。ですから、これは商工会とかいろんな、青色申告会とか、法人会とか、そういう会を通じてどんどん教え込む。それからもう一つは、ここのところ税理士さんが非常にふえているわけですね。税務署にいたところの働きバチみたいのがどんどんどんどんやめて税理士が何万人もできちゃったわけですから。それがプラスに作用するとマイナスに作用するとじゃ大変なことになっちゃう、実際問題として。したがって、その専門家が本当に、要するに納税者を説得して、そうしていい申告を出させるように慫慂する。これはおもしろいものでして、税務署から言われると反感持つんですよ。ところが、銭を払って税理士頼んで、自分の信頼している税理士にこれはもう出さなきゃだめですよと言われると納得するんですよ。それは先生も裁判官やったり、検事やったりしているからよくわかると思いますが、弁護士の言うことの方が本気になって聞きますからね、これ。それと同じなんです。だから、そういうような税理士会の指導も必要でして、そのためにはやはり税理士法の改正もやりまして、それでこの間の改正でも、要するに不正の事実を知っていた場合には知らぬふりしちゃいけませんよと、あなたこれ間違っているんだから、これはどうしてもおかしいと。だから、そういうときは納税者に助言しなきゃならぬように義務づけたわけです、この間。
 そういうふうなこともやったり、いろんな総合的な手を使ってやらなければ、ただ片っ端から調べればいいという筋合いのものでなくて、数が圧倒的に多いわけですから、納税者の方は。納税者がその自覚を持ってもらうことがもう一番何よりもいいことなんですから。だから、そういうように、強制的に調べていくというよりも内部から納税申告さしていくという方向が私は申告制度の本来の姿じゃないか。しかし、中にはそう言っても絶対聞かない人があるわけだから、それは一罰百戒、そのために今回の所得税法の改正等で要するに七年までさかのぼって税金を納めさせるとか、五年間さかのぼって告発できるとか、そういうような一方において権限も強化をして、それで脱税者には罰則を強化したと、いろんな手をあの手この手いっぱい使いまして、それで私はいい申告がとれるようにみんなでやっていきたいと、そう考えておるわけです。
#95
○寺田熊雄君 大蔵大臣のペースに巻き込まれそうなんですが、結局いろいろそういう必要な諸般の措置を講ぜられると。その中にはやはり税務職員を必要最小限度増員をしていく、そしてできるだけ不正に税を逃れようとする人をなくしていく、それによって税収の増加を図っていく、その必要性はお認めになるんでしょうね。そしてまた御努力なさいますでしょうね。いかがでしょう。
#96
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは引き続き努力をいたしてまいります。
#97
○寺田熊雄君 大蔵大臣、もう結構です、私の方は。
 総務長官いらっしゃいますでしょうか――総務長官も何か時間がないとおっしゃいますので、ちょっとここでお尋ねしたいと思うのですが、同和対策事業特別措置法の延長を求める声が非常に強いわけです。これは東京の人なんかにはわからないのですよ。私ども岡山ですが、おりますと、私の弁護士事務所の事務員が結婚のそういういろんなその問題のトラブルで大変な苦労をするとか、苦心惨たんして町長の職を得た者が不用意に差別発言をしたために当選後五日にして退職を余儀なくされるとか、それからいろんな差別の実情とか、それから環境の劣悪な状態とかいうのを目の前に見ていますからね、これは早く延長していってくれにゃ困るということがあるんですが、総務長官はそういう実情は把握していらっしゃいますか。
#98
○国務大臣(中山太郎君) お答えをいたします。
 私も関西の出身でございまして、同和問題につきましては十分承知をいたしておるつもりでございます。
#99
○寺田熊雄君 そして、まだまだこの同和対策事業特別措置法の求めるもの、理想とするものが十分には達成せられていないという点も認識していらっしゃるでしょうか。
#100
○国務大臣(中山太郎君) 最近いろいろな場所におきましての差別的な言辞が吐かれているとか、いろいろな問題がございまして、この法律が求めている理想である差別のない社会という社会の実現にまだ道が遠いというふうな気持ちを持っております。
#101
○寺田熊雄君 この法律は、いま長官がお答えになりましたように、差別のない社会を求めておるわけでありますけれども、それと同時に、やはり未解放部落の環境を改善していこうというそういう一つの大きな目標を持っております。その方面でもまだまだ十分でないんですけれども、その点の認識もお持ちでしょうか。
#102
○国務大臣(中山太郎君) この法律ができまして、さらに三年前に時限立法とはいえ延長されたわけでございますが、今日までに国費が約一兆円以上環境整備のために出されております。なお、この間附帯決議が御案内のようについておりまして、それぞれの項目についても政府は附帯決議の精神を尊重して努力をいたしております。ただ、いろいろな問題点がまだ存在をしておりますが、予算としましては、御案内のように、昭和五十二年では前年度と比べて三二%のアップ、上昇率、五十四年が二二%、五十五年が一一%、五十六年が一〇%というふうな伸びを見せておりますが、一方啓蒙費につきましては、五十三年に一億三千八百万円、五十四年が一億八千七百万円、五十五年が二億三千百万円、五十六年度いまお願いをしております予算が啓蒙費だけで三億一千二百万円というふうな上昇率を示しております。まだ今年の五十六年度予算にいわゆる御審議をいただく分として、概算要求時点で土地の取得等について話し合いがついたものはすべて概算要求に要求をいたしまして載せてまいったわけでございますが、一部にはまだその話し合いがつかないものについては五十七年度以降というふうなことになっております。
#103
○寺田熊雄君 長官はやはり国政全般を見ていらっしゃるから、その財政支出がどのぐらいであって、国家の財政的な事情がどうなんだというようなことが念頭におありになるからそういう御答弁になるのはよく理解しますけれども、私がお尋ねしていますのは、この法律が求めておるところの未解放部落の環境改善というものは、まだ十分に法の望むところの段階までは到達しておりませんよ、現実には。そういう点は御認識になっていらっしゃいますかという点をお尋ねしているわけです。
#104
○国務大臣(中山太郎君) 認識をいたしております。
#105
○寺田熊雄君 まだ法の目的は達しておらないという御認識がおありであるならば、やはりこの法律の延長ということに長官ももう少し、熱意はおありでしょうけれども、さらに一段の熱意を示していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#106
○国務大臣(中山太郎君) 政府といたしましては、附帯決議の第一に書いてあります、各地方における実態の把握に努めよということでございまして、ただいま担当官をして各県あるいは各市の同和地区の実情の聴取に努めております。先ほどの予算委員会でも総理が御答弁されましたように、五十七年度以降の同和事業につきましては、五十七年度の概算要求が集まります時点において、政府といたしましては誠意をもってこの方針を決定してまいりたいと、このように考えております。
#107
○寺田熊雄君 長官、もう結構でございます。
 文部大臣、お急ぎになりますか。文部大臣にお尋ねするのは簡単ですから、それじゃ先に。
 文部大臣は、戦後やはり貴族院議員をなさいましたですね。そして、新憲法の審議に際して賛成の態度をおとりになった。そのことで、何か玉置議員からも大分お尋ねがあったようですが、そのときの御心境を伺います。
#108
○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおり、私は、幣原内閣から引き継ぎました吉田内閣、新憲法の制定に当たりましては、憲法議会の貴族院議員といたしまして協賛をいたした一人でございます。
 心境と申されましても、御案内のとおり、あの敗戦をいたしまして日本が新しく立ち上がらなきゃならない。それはあくまでも民主主義、平和主義、そして基本的人権を守って、そうして新国家をつくる、これがわれわれの理想でございます。
#109
○寺田熊雄君 民主主義を守り、そして基本的人権を守っていくという、そういう大変結構な御決意のようですが、この日本国憲法は、御承知のように、旧憲法の七十三条によって、旧憲法の改正の形をとりましたね。そのときに天皇がこういうことを言っておられるわけですが、公布のときの言葉ですが、「朕は、日本国民の総意に基いて、新日本建設の礎が、定まるに至ったことを、深くよろこび、樞密顧問の諮詢及び帝国憲法第七十三條による帝国議会の議決を経た帝国憲法の改正を裁可し、ここにこれを公布せしめる。」と。ですから、天皇は、日本国民の総意に基づいて新日本建設の礎が定まったことを深く喜んだ、そうして、この憲法改正を裁可して公布せしめるということを言っておられるわけですが、人によっては、この憲法が外国から強制されたものであるとかいろいろなことを言って、いろいろけちをつける人があります。しかし、この改正を提案された天皇御自身は、これを深く喜びとしたということを言っておられるおけですが、これは天皇の本当のお気持ちであったというふうに当時理解をなさいましたか。
#110
○国務大臣(田中龍夫君) 憲法の経過につきましては申し上げることはございませんが、この憲法の公布に当たりまして、特に前文に、お読み上げになりましたその天皇のお気持ちというものは、私はそのとおりであると、かように確信いたします。
#111
○寺田熊雄君 文部大臣、結構です。
 外務大臣もお急ぎのようですから。
 ガイドラインによる研究・協議というのは、安保条約四条の随時協議とか、あるいは交換公文による事前協議にかわるものというふうに見る意見がありますが、そうでしょうか。
#112
○国務大臣(伊東正義君) 詳細は政府委員からお答え申し上げてよろしいのですが、事前協議の問題は、これはやらぬということの前提で入っておるわけでございまして、事前協議は事前協議で、当然これは別でございます。
 それから、随時協議ということでございますが、これは、随時協議の形というのは何も決まっておるわけじゃないわけでございまして、私は今度の研究も随時協議の一つの形として、そのもとでやっぱり行われているというふうに考えてもいいと思うのでございますが、随時協議というのは、もう限定してということじゃございませんで、マキシマムの随時協議でございまして、その中のやっぱり一つの形として今度の研究もあるというふうに考えていいだろうと私は思っております。
#113
○政府委員(淺尾新一郎君) いま大臣がお答えになりましたとおりで、特に私の方からつけ加える点はございませんが、ちょっと沿革的に申し上げますと、このガイドラインができましたのは、安全保障協議委員会のもとに防衛小委員会というのができまして、その防衛小委員会が協議した結果ガイドラインができまして、それを安全保障協議委員会に上げたということでございますので、随時協議の一環というふうに、そういう意味では観念できると思います。
#114
○寺田熊雄君 有事の際に安保条約五条による戦局行動が行われる場合、米軍の作戦行動は、日本国内の施設を利用するときでも事前協議の対象とはならぬですね、これは。交換公文に五条の点を除いていますから、これははっきりしている。それから、随時協議の実際上いとまがないと思われるので、おのずから米軍の意のままに行われるのではないかと思われますが、この点どうでしょう。
#115
○国務大臣(伊東正義君) 有事ということになりますと、自衛隊と駐日米軍が共同して危険に対処するということになると思うわけでございまして、私は、そのときはそういう二国間の、それも自衛隊と駐日米軍ということでございますので、これまた指揮系統がそのときどうなるのかというふうないろいろな問題があるかと思いますが、これは随時、それこそ随時いろんな打ち合わせをしなければいかぬだろう。何も打ち合わせをしないでやるということは私はあり得ないと思うわけでございますので、そこで、事前協議の対象になってないから、勝手に随時協議もなしにそれぞれ別な行動をするのだということはあり得ないのじゃないか。私は、しょっちゅう協議はあるのだと、こう思っております。
#116
○寺田熊雄君 この間、有事の際に、当然、核装備した米軍の艦船や航空機が日本の周辺に来るということはこれは予想しているという、たしか防衛局長の答弁にございましたが、それが日本の領海に入れないのだということで、志苫委員がそんなばかなことはないじゃないかということでこれは終わったのですけれども、実際問題として、こういうものが損傷を受けたときに、その修理のために日本の軍港やあるいは飛行場に入るというような場合は、もうこれはノーとは言えないでしょう。これをしもノーと言えますか。
#117
○国務大臣(伊東正義君) お答えしますが、日本の非核三原則ということはこれは大方針でございまして、日本には核兵器の持ち込みは一切これはノーということを言っておりますので、これは、この前の問答も私聞いておりましたが、やっぱりノーと言う、これは日本の態度でございます。
#118
○寺田熊雄君 いいですか、核装備の艦船が損傷を受けて修理のために日本に入りたい、あるいは日本の飛行場に不時着せざるを得ないというときには、もう事前協議とか随時協議とかいうようないとまがないでしょう。
#119
○国務大臣(伊東正義君) これは御承知のように、事前協議の対象にこれは入っておるわけでございますから、そういう問題は。これはもう日本としては事前協議の対象で、核の問題については一切ノーだと、これはもう日本の鉄則でございます。
#120
○寺田熊雄君 外務大臣、日本の外交というのは、もうちょっとやっぱり香りの高い何か理想的なものがあっていいんじゃないでしょうかね。たとえば、反共反ソであれば何でもいいんだということで応援をするというのは私はどうかと思うのですよ。
 その一つの例は、韓国についてはいま言いません。全斗煥がまたどんな不正な方法で政権を奪取したかということがあるのですが、それはいま言いません。私がいまお尋ねしているのはポル・ポト政権なんです、カンボジアの。あれはシアヌーク殿下でさえも、あれはいまのヘン・サムリンの方がまだあれから比べたら解放軍だと言ったことがあるのです。それから皆殺し政策ということを言っておりますわね。そういう人道を無視したような政権を日本が一生懸命に旗を振ってそれを支援するというような、国連総会で外務大臣が御奮闘になったことを言っておるんですが、これはどうでしょうかね。そういう人道や人権を無視した政権に対しては、やっぱりとるべき態度が別にあると思うんですがね。
#121
○委員長(木村睦男君) 時間が参りました。
#122
○寺田熊雄君 この点いかがでしょうか。
#123
○国務大臣(伊東正義君) いまおっしゃいました反共だから皆悪いというようなことじゃない。中国と日本は友好関係があるわけでございますし、そういうことで外交をやっておるわけじゃないわけでございますので、その点は誤解のないようにしていただきたいのでございます。西側の一員であるということを鉄則にして、どの地域でもできれば友好関係を結びたいというのが日本の外交の基本でございますので、その点は御了承願いたいと思うのでございます。
 たまたまいまカンボジアのポル・ポト政権のお話が出ましたが、日本もポル・ポト政権が過去にやった政策がみんな正しかったとは言いません、これは。政策にもどうかと思われるものはあるわけでございますが、ただ、日本が民主カンボジア政府を認め、国連の代表権を認めておりますのは、片方のヘン・サムリン政権は、これは外国軍隊、ベトナムの軍隊によって支持されているものでございますので、これを、ポル・ポト政権を認めないということ、逆にヘン・サムリン政権を認めるということは、外国の軍隊の介入によってできたそういう政府を認めていく、こういうことにつながり、外国軍隊の介入を正当化するということにつながるおそれが多分にありますので、日本側としましては、これは国連決議にもありますように、即時撤兵をすべしと、そうして自由な意思のもとに選挙でできた正しい政権を考えるということが必要じゃないかということを言っておるわけでございまして、それが不幸にしてまだ現実にできないわけで、ベトナム軍に支持されたヘン・サムリン政権を日本は認めるわけにはいかぬということで、民主カンボジア政府の承認、あるいは代表権を認めるということをやっているわけでございます。
#124
○委員長(木村睦男君) 時間が参りました。
#125
○寺田熊雄君 その方針は将来にわたって変更されませんか。これで終わりますから。
#126
○国務大臣(伊東正義君) いまここでその方針を変更するというような考えは持っておりません。
#127
○寺田熊雄君 終わります。
#128
○委員長(木村睦男君) 以上で寺田君の一般質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#129
○委員長(木村睦男君) 次に、秦野章君の一般質疑を行います。
 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#130
○委員長(木村睦男君) 速記をつけて。
 午前の質疑はこの程度にとどめます。
 午後零時四十五分から委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。
   午前十一時四十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後零時五十分開会
#131
○委員長(木村睦男君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和五十六年度総予算三案を一括して議題にいたします。
 これより秦野章君の一般質疑を行います。秦野君。
#132
○秦野章君 最初に、最高裁にちょっと説明をしてもらいたいのですけれども、昨年の十二月に東京高裁で議員の定数に関する違憲判決が出ました。その前に五十一年の最高裁でもって違憲判決が出て、合憲判決では三十九年の判決がございますが、この三つの判決を比較対照することから始めたいと思いますけれども、まず三十九年の最高裁の合憲の判決と、それから五十一年の違憲の判決と、それから最後に東京高裁の五十五年十二月の違憲判決と、この三つの要旨と違った点をちょっと説明してください。
#133
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) ただいま御質問のありました最高裁判決につきましては、まず最初に多数意見の概要を申し上げ、それから東京高裁の判決の概要を申し上げ、その後に相違点というものを申し上げたいと思います。
 まず、昭和三十九年二月五日の大法廷判決でございますが、この判決は、昭和三十七年七月一日施行の参議院議員選挙のうち、東京地方区の選挙につきまして、議員定数配分規定が憲法に違反するか否かが争われた事件に関するものでございます。
 この判決は、議員定数の配分決定については国会が裁量権を有するから、選挙区の議員定数について選挙人の選挙権の享有に極端な不平等を生じさせるような場合は格別、右の選挙当時議員一人当たりの選挙人数の格差が最大過疎区と最大過密区で約一対四になっていたという程度では、それは立法政策の当否の問題にとどまり、違憲問題を生ずることは認められないと判示したものでございます。
 次に、昭和五十一年四月十四日の大法廷判決でございますが、この判決は昭和四十七年十二月十日施行の衆議院議員選挙のうち、千葉県第一区の選挙につきまして、議員定数配分規定が憲法に違反するかどうかという点が争われた事件に関するものでございます。
 この大法廷判決は、国会議員の選挙制度の具体的な仕組みの決定は、原則として国会の裁量にゆだねられていること、次に、選挙権の内容としての各選挙人の投票の価値の平等は憲法上の要請である、この二つのことを前提といたしました上で、この選挙当時議員一人当たりの選挙人数の偏差と申しますか、格差が一対五という不平等に達していたことは、国会の政策的裁量の余地を考慮に入れても、なおこれを正当化すべき理由がないということで、当時の定数配分規定を違憲としたものでございます。
 もっともこの判決は、御承知のとおり、このような理由で選挙を無効とする判決をすることによって直ちに違憲状態が是正されるわけではなく、かえって憲法の所期するところに必ずしも適合しない結果を生ずるといたしまして、いわゆる事情判決の法理に従いまして、問題となった千葉県第一区の選挙を無効とする旨の判決を求める請求は棄却したわけでございます。
 第三番目が、東京高裁五十五年十二月二十三日の判決でありまして、この判決は、五十五年六月二十二日施行の衆議院議員選挙のうち、千葉県第四区ほかの選挙につきまして、公職選挙法の議員定数配分規定が憲法に違反するかどうかが争われた事件に関するものでございます。
   〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
 この判決は、議員一人当たりの選挙人数の比率の格差がおおむね一対二を超えるような場合には、その定数配分規定は憲法に違反することになるといたしました上で、この選挙当時にその比率が現実には一対三・九四にまで達していたから、この定数配分規定は憲法に違反するとしたものでございます。
 もっとも、この判決も、さきに申し上げました五十一年の大法廷判決と同じ理由づけによりまして事情判決をいたしまして、原告の選挙を無効とする旨の判決を求める請求は棄却いたしたわけでございます。
 この三つの判決の相違点と申しますか、につきまして簡単に御説明いたしますと、まず第一点は、憲法判断の対象となった定数配分規定の違いでございます。三十九年大法廷判決は、参議院地方区の定教配分規定の憲法判断をしたものでありますし、五十一年大法廷判決並びに東京高裁五十五年判決は、いずれも衆議院議員の定数配分規定の憲法判断に関するものであります。このように憲法判断の対象が違うというところがまず第一点であります。
 第二点は、判決の結論が違うということでございますが、三十九年大法廷判決は、議員一人当たりの選挙人数の格差が最大と最小で約一対四になっている場合につきましてもなお違憲の問題は生じないとしたのに対しまして、五十一年大法廷判決並びに五十五年東京高裁判決はそれぞれ一対五、一対三・九四という格差がある場合、いずれもこれを違憲としたという点に違いがございます。なお、五十一年大法廷判決並びに五十五年東京高裁判決は、先ほども申しましたとおり定数配分規定を違憲としながらも、なお事情判決の法理を適用いたしまして、選挙の無効を求める請求を棄却しているという点でこの二者に共通した点があります。
 なお、つけ加えますれば、東京高裁の判決は、結論を出す前提といたしまして、定数配分規定が違憲とされることになる限界が、議員一人当たりの選挙人数の比率が最大過疎区と最大過密区でおおむね一対二となるところであるという、具体的にその基準を明示した点に大法廷五十一年判決と違った点がございます。
#134
○秦野章君 三十九年の合憲判決の中で、人口比率のほかにいろいろの要素がある、定員配分については、ということがありますね。これちょっと言ってくれませんか。
#135
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) この三十九年大法廷判決におきましては、いろんな要素を考えなければならない。「例えば、憲法四六条の参議院議員の三年ごとの半数改選の制度からいっても、各選挙区の議員数を人口に拘らず現行の最低二人を更に低減することは困難であるし、その他選挙区の大小、歴史的沿革、行政区画別議員数の振合等の諸要素も考慮に値する」ところであると、このように述べられております。
#136
○秦野章君 いまの補足説明のほかに、行政区画の歴史的沿革とか、そういういろんな振り合いを考慮するということが書いてあるわけですね。人口比で見るということは、私は簡単にはいかぬだろうと。この三十九年の判決というものは、配分要素としていろいろなことを考えなきゃいかぬという考慮が非常に特徴的だと思うのですね。
 それから、選挙の平等というのは、一人一票ということが基本だと思いますが、それ以上に、各選挙区にわたって比較をするときには、判例でも言っているように、投票価値ということにポイントを置いて考えているようでございますが、この投票価値というものに客観的基準というものが設けられますか。
#137
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 先ほど申し上げました五十一年大法廷判決は、ただいま御質問の点に関しまして、具体的に決定された選挙区割りと議員定数の配分のもとにおける選挙人の投票価値の不平等が、国会において通常考慮し得る諸般の要素をしんしゃくしても、なお一般的に合理性を有するものとはとうてい考えられない程度に達しているときは、もはや国会の合理的裁量の限界を超えているものと推定されるべきものであり云々と、判示されております。この大法廷判決が人口比だけを考えていないことはこのあたりからも明らかだろうと思います。
#138
○秦野章君 五十一年判決には、一定の客観的基準はないという言葉がある。しかし、同時に合理的限界を超えた場合と、こうなっているから、これは論理の矛盾なんでしょうね。客観的基準はない、同時に合理的限界を超えたと。こう言うんだから、私は論理の矛盾だと思うんだけれども。まあこれはこれでいいとして、違憲判決の、特に昨年の場合には、その前にもそうでしたけれども、効力を無効にするという事情判決といいますか、選挙の問題について、その効力を争う場合の手段で行政訴訟とか公選法の規定があるわけですけれども、たとえば民衆訴訟の規定、こういう点では法律にはちゃんとその場合の制約規定があるんだが、何かそこを飛び越して判決が行われたというふうに思うんだけれども、これ、自治省来ているかな、ちょっと説明してくれんかね。
#139
○政府委員(大林勝臣君) 五十一年の最高裁判決あるいは昨年の十二月の東京高裁の判決におきましても、いずれもこういった違憲、無効の訴訟の根拠といたしまして、公職選挙法の第二百四条というものを根拠といたしております。ただ、私どもこういうことについては大変疑問を持っておりまして、公職選挙法二百四条というのは、そもそも典型的な民衆訴訟として認めたものではありますけれども、それだけに二百四条で争い得ますのは選挙管理委員会、つまり選挙の執行機関が、その管理執行の瑕疵を是正する、再選挙を行うことによって瑕疵を是正するということを前提としております。つまり、適正な執行規定に基づくことを前提として選挙を行った場合のことを予定をしておるわけでありまして、選挙管理委員会の方で瑕疵を是正することができないようなこういった問題、違憲を問題といたします定数配分規定自体の訴訟というものは、そもそも予定をしてないのではないかという気持ちを非常に強く持っておるわけであります。
 それはなぜかと申しますと、もしも違憲、無効ということになりますと、公職選挙法によりまして四十日以内に再選挙を行わなければならない。再選挙を行いますとしましても、定数を是正をした上で再選挙をしなければまた違法になると、こういうことになりますと、四十日以内に再選挙を定数規定を是正した上で行うということはもうほとんど不可能に近い。と同時に、片っ方判決の拘束力というのがありますから、選挙管理委員会としては判決に逆らって選挙を行うことも許されないと、こういう非常に苦しい板はさみの状態になろうかと思います。そういうことで、二百四条というのはそもそも選挙管理規定自体の適法を前提としておると考えるわけでありますが、つまりは恐らくこういった問題は国権の最高機関である国会の高度の政治判断と、つまり学者で主張されております三権分立の問題であるとかあるいは統治行為の問題であるとか、そういったものまで広く考えて規定をされた規定であろうと存じております。
#140
○秦野章君 最高裁の三十九年の判決の中で、斎藤裁判官の補足意見ですね、これは合憲判決でございますけれども、これ、非常にいいことを言っている。つまり、多数意見が、議員定数と人口数との不均衡の極端な場合には違憲問題を生ずると説いているという点について、これを批判している。司法権の効果的な実行に内在する本来的な限界を守っていくことの重要性を強調し、多数意見の言うような不明確な基準、つまり「選挙権の享有に極端な不平等を生じさせるような場合」、こういう不明確な基準に当たるとして選挙が無効とされる事態は容易に起こるまいから、多数意見は、司法審査の門戸を広げ将来を約束する言葉の響きを与えながら期待を踏みにじる結果になる。かえって国民の司法に対する信頼を裏切ることになりかねない。さらに、選挙が無効となれば再選挙を行うまでの四十日という短期間内に別表二の改正を期待することはできないから、収拾すべからざる混乱を招来することになると、こういうのが二百四条の訴訟に関連してあることは御承知と思います。今度の高裁判決でも飛び越しましたからね、この民衆訴訟手続なんかの規定を。したがって、違憲だけれども選挙はそのまま有効だと、こういう思い切った判断をしたわけですけれども。
 田中二郎判事が前の少数意見で言ってたこと、田中二郎さんが少数意見出したことあるね。あれちょっと言ってください。
#141
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) ただいま御質問にありました田中二郎裁判官の意見は、最高裁判所第三小法廷昭和四十一年五月三十一日判決の中におけるものでございます。この田中裁判官の意見の要旨はこういうことでございます。
 「多数意見が議員の定数と選挙人人口との比率の不均衡の程度いかんによっては選挙の違憲、無効をきたす場合があることを示唆している点について疑問を表明し、議員定数の配分が人口比率だけでなくその他のさまざまな要素をもあわせて考慮した上で立法府である国会がその合理的裁量で決定すべきものである以上、裁判所がこの議員数の配分を違憲、無効と判断できる場合というのは実際上は考えられないのではないか」。さらに、議員定数の配分規定が違憲、無効であることを理由とする選挙無効の訴訟というようなものは、公職選挙法二百四条の訴訟制度の全く予期していないところであって、この法上による訴訟としては本来許されないことになるのではないか、こういう意見が述べられておるわけでございます。
#142
○秦野章君 裁判所には人口以外にいろいろな複雑な基準の土台になる要素の材料というものは一体あるんでしょうかな。たとえば二分の一とかいろいろ判断が出ますけれども、単に人口比率じゃなくて、いろいろな要素があることは当然なんだけれども、そういう材料というのは裁判所にはありますか。
#143
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 先ほど来出ております各訴訟におきましてどういう資料が使われたかということにつきましては私ども承知しておりませんので、お許しいただきたいと思います。
#144
○秦野章君 大体、法律審の裁判所にはそういうものは余りないと思うんですね。
 そこで、裁判所が定数の基準の客観的ないろいろな材料というものがなくて、簡単に二対一の、五対一のという人口比みたいなことだけで判断するということ、確かに私も逆転区なんというものをこういうような問題について放置することについては大変疑問があるし、これは立法府としても対応しなきゃならぬといういら立ちみたいなものを感じておる一人でございますけれども、しかし、だからといって裁判所が、いま田中二郎裁判官の意見は非常に私は傾聴に値する意見だと思うのだけれども、立法府の裁量の範囲に属するべき問題ではないかということは全くそうだと思うんですね、材料もないんだし、単純に人口比率でもないんだから。そういうものについて裁判所が、さっき自治省の政府委員の説明にあったように、現にある法律を飛び越して、無視して違憲判決をするというようなことは私は適当ではない、妥当ではないというふうに思います。妥当でないばかりじゃなくて、裁判所自身が、一体裁判の独立ということはどういうことですか、裁判の独立。
#145
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 裁判の独立ということを一言で申し上げますなちば、国の三権、立法、行政、司法とございますが、他の二権から独立して職権を行うということであろうと思います。
#146
○秦野章君 憲法上の根拠は。
#147
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 条文でございますか、ちょっと六法全書を……。
#148
○秦野章君 何を言ってんだよ、こんな重要なことを。裁判の独立というのは、裁判官というものは憲法、法律のみに拘束されるというあの非常に象徴的な、あれは七十六条だったかな。そうでしょう。
#149
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 七十六条でございます。
#150
○秦野章君 これなんだ。憲法、法律のみに従う、ほかのものに従っちゃいけないんだ。世の中もいろいろやかましいことがあるんだろうけれども、これは非常に大事なことなんだ。いわんや憲法、法律のみに拘束されるということだからいまある法律は大事にせにゃいかぬ、行政訴訟法だろうが公選法だろうが。私はそこが非常に大事だと思うんです。正直言って定数問題やなんかについてはいろいろ世論もあるし、われわれ自身もかなり問題があると思って、これはもうわかり切っている問題だ。立法府として各政党においてもこの問題は悩みを持ちながら何とかせにゃいかぬという段階にある。そんなことはわかり切っているのに裁判所が憲法、法律に拘束され、憲法、法律の番人であるものが軽々に法律を飛び越して判決をするということは、これは非常に問題だと思うんですよ。だから、見るに見かねてということがあるんだな、これ。どうも定数問題なんか見ていると大変不平等があると。見るに見かねてという気持ちはわかるけれども、裁判における、司法における自己抑制という理念がありますね。自己抑制とはどういうことですか。
#151
○最高裁判所長官代理者(川嵜義徳君) 御承知のように、統治行為論というものがありますが、この統治行為論と言われておりますのは、直接国家統治の基本に関する高度の政治性のある国家行為については、たとえそれが法律上の争訟となり、これに対する有効、無効の判断が法律上可能である場合でありましても裁判所の司法審査権は及ばないとする考え方でございます。これまでの最高裁の判例でこのような考え方を採用したものとしましては、いわゆる砂川事件に関する昭和三十四年十二月十六日の大法廷判決等がございます。このようなことがただいま御質問にありました司法抑制の一つのあらわれということが言えようかと思います。
#152
○秦野章君 裁判の独立ということから見ると、その論拠においてこの違憲判決自体が大変疑問が起きる。違憲判決自体が違憲ではないのかという感じがするわけでございます。そもそも日本の裁判所とたとえばアメリカ、西ドイツ、ここらの裁判所とはやり方が違う。御承知だと思うんだけれども、アメリカの裁判所だったら選挙区の定数割り、議員の定数割りなんかで問題があったときに判決をする、その判決を行政府が実行しなかったら裁判所自身が定数割りをするというようなところまでできるんですね。そういうようなアメリカの裁判というものと日本のとはまるっきり違う。見るに見かねても、しゃしゃり出てはいけないんだというのが日本の司法権の独立だと私は思うんです。こういう点について裁判の私はそういう姿勢というかな、そういう点についていまのような意見を申し上げておきたいと思うんだけれども、特にアメリカナイズされた裁判のやり方みたいなことを安易にやっちゃいけない。アメリカはちょっと日本と違うんだ。ケネディが死んだときにも、暗殺されたときにも最高裁の判事がケネディ暗殺調査委員会の委員長になる、そういう裁判所と日本は違うでしょう。日本の裁判というのは実に誇りある独立を堅持した恐らく世界有数の私は司法権の維持をやってきたと思うんです。それには大津事件のような歴史的な教訓もあるけれども、そういう意味において最近の裁判のこの行き方というものについては大変問題があるということを最後に申し上げておきたいと思います。
 同じようなことで私はロッキードの裁判の問題、検察の問題で同じように法理論として大変問題点が多いということをきょうは少しただしておきたいと思います。何かロッキードと言ったら評判悪くなるんだけれども、法理論としてこの問題が時世の喧騒の中、世の中がどんなに騒ごうと、法律の執行とか運用とかいう問題はやはり厳しく追及していかなきゃならぬ問題であります。そういう意味において私は五十一年のロッキード特別委員会でもってこの問題を取り上げた。取り上げたんだけれども、その後やれやれという方は結構お盛んなんだけれども、法理論というものは登場してこない。これは非常に問題だと思うんですね。国会は立法府ですからやはりこの法理論、憲法、刑事法の大義が見失われてはいけないという問題は立法府の一員としてこれはあくまでもやっぱり責任がある、私はそう思うのでございますが、その後昨年まで、昨年が一番出たようですけれども、学者の論文が大分出てきました、学者の論文、発言が。試みに言いますと、これまで東大の松尾教授、慶応の宮沢教授、法政の吉川教授、それから久保田きぬ子教授、上智大学の青柳教授、九州大学の横山教授、神戸大三井教授、元法制局長官の林修三さんと、こういう学者の議論が昨年までにかなり出てきた。この事実はごらんになっていますね。そしてこの人たちは、いま私が挙げた人たちというものは、ほとんど宣明書の問題だとか、あるいはその他公訴権の問題だとかについて非常な疑問を投げかけている。積極的に賛成する学者というのは余りいないんだ。この学者のいま出ている意見について、あなた方御存じですか。それだけ答えてください。知っているか知っていないか、いま私が挙げたような論文、発言について。
#153
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) ただいま仰せられました論文のすべてをいまちょっと覚えておりませんが、幾つかは存じております。
#154
○秦野章君 幾つかか、幾つか。これを、私が挙げた名前は、日本の有教の憲法、刑事法の学者だから、こういうのを読んでおくのもむだじゃないんじゃないか。でないと、裁判やっぱり独善になる危険があるよ。やっぱり学者の意見も聞くし、われわれの意見も聞かなきゃだめだ。裁判批判というものは、これ批判をしないことによって陥る独善が危険、そういうことよりも、批判した方がいいんだというのがこれまた学者の意見で、たとえば東大の平野教授にしても、その他そういう意見がやはり強いわけです、通説だと私は思います。さて、刑事局長は、法務省は――外国で捜査をする場合の方法についてちょっと聞きたい。
#155
○政府委員(前田宏君) 外国で捜査をする場合、いろいろな方法があるわけでございますが、たとえば日本の方から直接捜査官が外国に赴きまして証拠を収集するという場合もございましょうし、また当該外国に頼んで証拠を収集してもらうと、両面あろうかと思います。
#156
○秦野章君 ラストポロフ事件というのがあった。あの捜査のやり方、ちょっと簡単に言ってくれぬか。
#157
○政府委員(前田宏君) 御指摘の事件は、一種のスパイ事件と言われるような事件でございますが、あの場合にラストポロフという人がアメリカに亡命しておったわけでございます。で、その人の供述を必要だと、供述を必要とするということになりまして、あの場合には日本の検察官がアメリカに赴きまして事情を聞いてきたということでございます。
#158
○秦野章君 ラストボロフ事件のときは、嘱託とかそういうことはなかったわけですな。そういうことはなかったんだろうと思うんだけれども、今度のロッキードの場合に刑事訴訟法でもって例の嘱託尋問ということをやったわけです。これは外国裁判所へ嘱託したという根拠は何ですか。
#159
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) これは起訴前でございますので、刑訴の二百二十六条による請求でございまして、これはその受けた裁判官は「裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。」ということでございまして、これが刑訴の嘱託尋問の適用があるということでやったものというふうに思われます。
#160
○秦野章君 外国裁判所と、外国という字が刑訴にありますか。
#161
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 条文上はございませんです。
#162
○秦野章君 刑事手続は厳正にこれを使うという、刑事手続の適正ということはこれは当然のイロハのイなんだけれども、条文にはない、だけど、まあやったんだと。裁判所に嘱託したってこれは宣明書にも書いてありますが、裁判官じゃなくて裁判所へ嘱託したんですな。
#163
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 裁判所でございます。
#164
○秦野章君 この裁判所というのは、つまり官署としての裁判所ですか、裁判官としての裁判所、どっちですか。
#165
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) これは外国の裁判所に頼むときには、嘱託いたしますときには、その地を管轄する裁判所にお願いすると、そして、その他の裁判所の方でしかるべき裁判官なり執行官なりに割り当てて尋問する、こういうことになっておりますので、その他の裁判所にお願いする、こういうことでございます。
#166
○秦野章君 それはおかしいんだよ。刑事訴訟法では、受命裁判官とか受託裁判官とかといって、証人の嘱託というのは裁判官になっているんだよ。裁判所じゃないんだよ。それ、どう。
#167
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) これはそもそも嘱託ができるかどうかという点につきましては、いま委員仰せのとおり、消極説と積極説と両説あるわけでございます。で、これができるという立場に立ちますと、これは嘱託書というのは、取り決めによりまして、これはその他の裁判所に送った。で、本件の場合には、カリフォルニア州の中央地区連邦地裁に届けられると、そして嘱託先は裁判所ということでございます。で実際は、そこの裁判所で執行官というのを選びまして、その人が証人尋問を主宰した、こういうことになるわけでございます。
#168
○秦野章君 いや、もっとはっきり答えてくれぬかな。裁判所は、だから、官署としての裁判所へ嘱託したんだな、裁判官じゃないね、裁判官。そこをはっきりしてくれよ。それは、日本の刑事訴訟法にはないということだ。それをはっきり答えて。
#169
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 特定の裁判官あてにしたわけではございません。
#170
○秦野章君 刑事訴訟法にないということを言ってくれよ。そういう答弁だめだよ。法律にあるかないか質問している。
#171
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) できるかできないかということは法律にはございませんで、法の解釈の問題でございます。
#172
○秦野章君 解釈、何の解釈が。
#173
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) ですから、その二百二十六条によって外国の裁判所まで嘱託ができるかどうかという点につきましては、積極、消極両説があると。この本件の場合には、その嘱託の請求を受けた東京地裁裁判官は積極説をとったと、こういうことでございます。
#174
○秦野章君 訴訟法にはないんだよ。まあはっきり言や、ないわけだ。外国もないし、それから裁判所じゃないんだよ、裁判官に嘱託するということがあるだけでしょう。そこをはっきりしてもらいたい。それから相手方は、要するに私が言っているのは裁判所であって、官署としての裁判所で、裁判官じゃないというわけだね。裁判官じゃないというわけだな、相手方は。どう、もう一遍。
#175
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 積極説をとりますと、裁判所という中には刑訴百七十九条二項、二百二十六条の裁判官も含まれると、そういうふうに解釈するわけでございます。
#176
○秦野章君 そんなべらぼうな解釈あるかね。大体、この刑事法の手続についてそんな類推、拡張解釈できる。これは憲法違反だよ、これ、法律に拘束されるんだから。はっきり答えてくれよ。
#177
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) ただいまの点でございますが、これは消極、積極の両説がございまして、これがどちらがいいとか悪いとかいうことは、司法行政の立場にある私としては申し上げられませんので、お許し願いたいと思います。
#178
○秦野章君 何言ってるんだよ。司法行政じゃない。これは法理論なんだよ。
 それじゃ、最高裁の宣明書の内容、いきさつをちょっと説明してくれませんか。
#179
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 最高裁判所の宣明書は、
 本年五月二十二日・付け書面により日本国東京地方裁判所裁判官が中部カリフォルニア合衆国連邦地方裁判所に対してした証人アーチボルド・カール・コーチャン、同ジョン・ウイリアム・クラッター及び同アルバート・ハイラム・エリオットの尋問嘱託に関し、すでに、日本国最高検察庁検事総長及び東京地方検察庁検事正は、それぞれ、日本国において解明中のロッキード事件に関する右各証人らの証言内容又はこれに基づき入手する資料中に仮に日本国の法規に抵触するものがあるとしても証言した事項については右各証人を起訴しないと宣明し、東京地方裁判所裁判官は、この事実を確認の上、嘱託書二の5項の記載をしたものであるが、本年七月二十一日改めて検事総長から最高裁判所に対し、別添写しのとおり、前記三名の証人に対しその証言及びその証言の結果として入手されるあらゆる情報を理由として日本国領土内で公訴を提起しないことを確約する旨の宣明書が提出された。
 最高裁判所は、前記の諸事情にかんがみ、検事総長の右確約が将来にわたりわが国のいかなる検察官によっても遵守され、本件各証人らがその証言及びその結果として入手されるあらゆる情報を理由として公訴を提起されることはないことを宣明する。この宣明は、裁判所法第十二条の規定に基づき、最高裁判所全裁判官が一致してしたものである。と、こういう内容でございます。
#180
○秦野章君 証人嘱託の問題では重ねて百六十三条には証人の所在地を管轄する地裁の裁判官に嘱託するとしか書いてないんです。だから、官署としての裁判所にもできないし、いわんやアメリカの裁判所にこの刑事訴訟法でやるなんていうのはこれむちゃくちゃだわ、これ。ラストボロフ事件みたいなやり方をしたのならいいけれども、私はそう思う。ここばかりやっていると後続かぬからその次に行くけれども、法の適正な手続ということから見てこれは大変な違法なやり方だと私は思うんだ。
 それから、外国裁判所に向けて最高裁が宣明書を出したときに、外国の裁判所に頼んで調書とってくれと、こう言ったことが前提にあったわけでしょう。東京地裁の判事がやったことに対して最高裁が宣明したわけですわな。その問題で最高裁判所が宣明書を出すときにすでにでき上がっていた調書というのはどんな調書か。もうすでにあのときにはできてたんだよ。それをこっちへよこさないものだから出したわけだな、宣明書を。どんなのできてた。どんな調書ができてたよ。最高裁判所が宣明書を出さなければ、調書がこっちに来ないんだと、来ないその調書はどんな調書と、形式でいいわ。
#181
○政府委員(前田宏君) その時点では、ただいまお尋ねにもございましたように、向こうで証人尋問が行われましても、その調書を引き渡さないということでございましたから、どういうものができておったかということは私どもとしてはわからないわけでございます。
 それからなお、先ほどのお尋ねに関連しまして、私どもの理解を一言申し上げますと、嘱託をした相手方が官署か裁判官かということでございますが、やはりアメリカの裁判官に嘱託をするについて何分裁判官というわけにもまいらないと思いますので、やはりその窓口といいますか、そういうところはやはり官署としての裁判所を通して具体的な裁判官に嘱託をしたと、こういうことになるんじゃないかと思います。
#182
○秦野章君 それはおかしいよ。裁判所と書いてあるわ、宣明書には。裁判官じゃないんだよ。それから、刑事訴訟法でははっきり裁判官でなければいけないとこう言っているんだから、ごまかしだ、それは。
 それから、いま言ったどんな調書ができていたか知らぬなんと言ったって、あのときちゃんと最高裁、職員が行っているじゃないか。わかっているよ、ちゃんと。時間の経過からいって、ちゃんと、どんな調書が、だれがとった調書かというのはわかっていますよ。岡田君が行ったじゃないか。
#183
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 岡田課長で行ったのは別な目的でございまして、そのときに何と何ができているとか、できてないとかということはわからなかったわけでございます。
#184
○秦野章君 いまさっきだれか言ったように、調書がこっちに来なくちゃ困るからというので出した。その調書というのは、向こうの裁判所が指示したチャントリーという、言うならば日本にはない退職判事の人物が調書をとった。その調書をこっちで欲しいと、こういうことだったんじゃないの、そうでしょう。
#185
○政府委員(前田宏君) いきさつとしてはいまお尋ねのようなことでございますが、委員も御案内と思いますけれども、その調書の日本側への引き渡しを差しとめたファーガソン決定というのがあるわけでございますが、それによりますと、そのファーガソン裁判官がというよりも、その当該裁判所が改めて命令をするまではその情報を他に漏らしてはならないということが明記されておるわけでございますから、その条件が満たされるまで外に出るはずはないわけでございます。
#186
○秦野章君 そのことは別として、出るか出ないかは別として、向こうの裁判所に頼んだら裁判所は――裁判官じゃなくて裁判所へ頼んだ。裁判所は今度はチャントリーという退職判事に調書を執行さしたんだな、調書をとるね。これはチャントリーという人物はどういう人物ですか、経歴。
#187
○政府委員(前田宏君) 詳細までは存じませんけれども、理解しておりますところでは、カリフォルニア州のいわゆる上級裁判所、これは最高裁判所と訳した方がいいのかどうかという問題がございますが、そのいわゆる退役判事ということで、退役後も必要に応じて裁判官としての職務を行えるものという資格を持っていた人というふうに聞いております。
#188
○秦野章君 このチャントリーというのがいわば下請のようにしてコーチャンなんかを調べたわけだが、このチャントリーというのを――求釈明申立書という、丸紅から出ている申立書がある。これを見るというと、これは確かに退職判事なんだけれども、多数の大会社の取締役に就任している旨、また大都市裁判所全国会議研究所長のほか、多数の大会社の取締役に就任しているということが言われているが、これはそうなんだね、ここに書いてある。
#189
○政府委員(前田宏君) いわゆるロッキード事件の公判におきまして、御指摘のような意見が弁護人の方から出ておったように思いますけれども、その実際につきましては詳しくは聴取してないわけでございます。
 ただ、先ほど来争いといいますか、御議論のあります嘱託を受けた裁判所がそのチャントリーという方を指名できるということは、法律的に根拠があるわけでございます。
#190
○秦野章君 確かにアメリカではこういう下請に調書をとらしてもいいわけよ。そして、下請で調書をとる、執行官みたいな仕事が大会社の重役であろうが何であろうがいいということになっていることは事実だね、これ。おもしろい国だと思うんだけれども。
 それで、その調書をとったときに、この調書は裁判官の面前における調書ではなかったですね、したがって。
#191
○政府委員(前田宏君) どちらからお答えした方がいいかと思いますが、結局そのいわゆる調書を証拠として採用するかどうかということに関します東京地裁の三つの裁判部の決定がございますが、その決定におきましては、裁判官のいわゆる面前調書という扱いにはならなかったわけでございます。
#192
○秦野章君 米国の裁判所に頼んでだんだん下請みたいなこういうやり方、日本にはないんだけれども、こういうふうにして調書はとって、これが東京地裁の判断では言うならば特に信用できる状況だからということで、三号調書という調書になった。大体最高裁が宣明書を出したときにはそういうものでもよかったという前提ですかな。裁判所に頼んだのだから、日本みたいに裁判官がやっぱりやるんだろうと、こう思ったのじゃないの。もし裁判官がやらなければ目的を果たさなかったということじゃないの。
#193
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 最高裁判所が宣明書を出しましたときには、これは東京地方裁判所の裁判官が、これは嘱託できるものとしてとにかく嘱託をしたと。それがファーガソン決定というようなもので、その目的を達しないでそのまま宙ぶらりんのような形になってしまったと。そういうことで、いわば裁判の執行がそのままとだえちゃって宙ぶらりんになっていると。そういう状態を何とかできないかということでございまして、そのファーガソン決定にある、裁判所の、最高裁判所のあるいはルールが必要だというようなことからいろいろ折衝した結果、折衝と言いますか、接触いたしました結果、そういうものでもなくてもいいと。単なる宣明書というようなことで、要するに、裁判所の裁判を円滑たらしめるというような司法行政権、その作用という面でそれに奉仕できると、その障害を取り除くことができるというようなことから発したというものでございまして、それが証拠能力があるものであるとか、あるいはどういうものであるとかというようなことは一切その場の判断の中には入っていないと、こういうことでございます。
#194
○秦野章君 憲法三十七条にあるけれども、要するに、刑事手続の根本的な要請の一つというのは、被告人、弁護人側に十分に弁解の機会を与えるというのは憲法原則だね、憲法原則。
 それで、アメリカにおける証人尋問で、言うならば、被告人側というのは弁護士か何かいたのかね。向こうはたらしいわな、アメリカの方は。被告人側はいないでしょう。
   〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕
#195
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) ただいまの点でございますが、いわゆる証人になる人の弁護人はおられたようでございますが、こちらの現在の被告人になっている人たちの弁護人は立会しておりません。
#196
○秦野章君 これは非常に憲法原則に反した――これは将来いろいろ裁判でどうなるかわかりませんけれども、やり方としては憲法原則に違反したものだったと思うが、検事、検察官はあのとき立ち会っておったんだがね、検事、検察官は黙っておったのかね。
#197
○政府委員(前田宏君) 先ほど来御意見の中に出ておりますチャントリーという方が主宰者でございまして、それにアメリカの検事の方が二人、副執行官と申しますか、補助者といいますか、そういう形で証人尋問が行われたわけでございます。ただ、日本の検事もそれに立ち会ったということが正しいかどうかわかりませんが、同席しておったということは事実でございます。
#198
○秦野章君 さあ、今度は、これは私は大変違法な部分があると思うんですけれども、宣明書の問題は、これは最高裁は司法行政の方法としてやったと言うんだが、宣明書という司法行政の方法はいままでありましたか。
#199
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) これが初めてだと聞いております。
#200
○秦野章君 三つの嘱託尋問の調書の決定を地裁がやりましたが、その中の半谷決定というのがございますが、この決定の理由の中に、最高裁の宣明書は全く不必要なものだったという言葉があるんだよね。ああいうものをまだ必要なかったんだという、こう否定、判断をしている。これをどういうふうに最高裁は理解していますか。
#201
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 現に係属中の事件でございますので、余り内容に立ち入ることは差し控えさせていただきますが、この法律、「訴訟法上の効果を及ぼすという観点からするならば、最高裁判所の宣明は全く不必要であったものと言わざるを得ない。」と、これは「訴訟法上の効果を及ぼすという観点からするならばこという限定つきでありまして、その後には、これこれの状況から必要であったというニュアンスのようなことも書いてあるように思われます。
#202
○秦野章君 訴訟法上の効果というのは、あの宣明書を出すと向こうがくれるという効果があるわけよ、条件つきになっていたから。宣明書を出すと向こうが証拠になるようなものをこっちにくれるという効果があったことは間違いないでしょう。その効果があったことは間違いないでしょう。
#203
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) そういう効果があったことは間違いございませんが、それがわが国の訴訟法上の効果とは考えておりません。
#204
○秦野章君 そういう効果があったことは間違いないんだが、そうなると、証拠というものの収集に最高裁が協力したことになるんだな。これは、司法行政という領域に属しますか、そういうことが。司法行政とは何かということとあわせて説明してください。
#205
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) 司法行政とは、一般に、司法裁判権の行使、裁判制度の運営を適正かつ円滑に行わせるとともに、裁判官その他裁判所に属する職員を監督する行政作用、こういうように定義されていると思います。
 本件の宣明書というのは、先ほど来申し上げておりますように、東京地方裁判所の裁判官がその裁判として嘱託をした、それが戻ってこないということで、要するに、裁判権の行使が円滑にいっていないということで、その支障を取り除くという意味で行ったものであるということでございまして、この司法行政の中に含まれるというふうに解釈しておるわけでございます。
#206
○秦野章君 司法行政について、あなたの方の編集した本に、たしか司法行政というのは――そうだ、最高裁判所事務総局「裁判所法逐条解説 上巻」、これによると「いわゆるハウス・キーピング的な事務を主たる内容としているが、司法裁判権の行使と密接な関連を有し、実際上これに影響を与える可能性をはらんでいる点に特質を有するものということができよう。」、となっている。こう書いてあるから、ある意味では非常に危険な要素を持っている、つまり、実体に影響するという意味においては危険な要素を持っているというふうな書き方があるわけよね。しかし、いずれにしても、基本的にはハウス・キーピング的な事務を司法行政というものは中心にしているんだ。そういうことを考えると、司法行政の名で宣明書を出して、そうしてその証拠を収集するということに協力するのは司法行政の範囲ではないだろう。これ、なぜ、訴訟規則とか何かほかでやらなかったのかね。
#207
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) このファーガソン決定が求めているいわゆるオーダー、命令、あるいはルールということでございますが、この具体的ケースでもないものについて、裁判いわゆる決定、命令というようなものができるはずもございません。残されたのはルールということでございますが、この刑事免責の制度というようなもの、あるいはこれに関するどういう形でルールをつくるかということでございますが、それは刑事訴訟の根本にまで影響するような問題でこれは慎重に対処しなきゃいけない、そういうこともできないという状況であったと。ただ、そういう、先ほど来、手をかしたということでございますが、裁判がなされてそれが宙に浮いているという状態を、要するに、その支障を取り除いて回復するということは行政作用ということでできるということでございます。
#208
○秦野章君 そこが問題なんだよな。収集の必要性ということで必要なんだということはわかるんだけども、やっぱり手段を選ばなきゃならぬ、手段は独立の価値がある。したがって、法律にないことで、しかも司法行政の名において、司法行政の宣明書をやったから証拠が来たということは、これは被告人側に大変不利益な結果をもたらすので、不利益の結果をもたらしても、法律に基づくのならいいけども、宣明書の名において、司法行政という名においてそういうことをやったということは、これは学者もみんな批判しているけどね、私も全くこれはおかしいと思います。
 その次の問題は、いかに当時喧騒な世の中で、真相究明というのは確かに世論でもあったから、気持ちはわかるんだけども、やっぱり法律を守らなきゃ困っちゃうんだな。
 その中の一つで、半谷決定というのがある。この決定の中の一つにある言葉は、まあこれびっくりするよな、こういうことをね。民主主義の基盤が崩れちゃうと、このままいったら国家体制が非常にむずかしくなるとか、そういうことを決定の理由に掲げているのですよね。これは、半谷決定の理由というものを読んだときに、果たしてこれ、裁判官の――これだけびっくりして驚いたんでは、厳正な法の適用というのはできないのではないかという感じがしたんだけども、この決定の理由というものは、決定を支えるものでしょう。だから、裁判官の主観的判断だけなのかどうか、そこのところをちょっと聞かしてくれないか。
#209
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) これは証拠に基づいた判断であるというふうに思います。
#210
○秦野章君 私は、宣明書は実定法からはみ出ていると思うんです。これは、裁判所としては法にないことをやっている。しかも、司法行政の名といいながら、結局実体にかんでいる。つまり、宣明書を出さなきゃその証拠も来ないんだから、情報も入らないんだから、実体にかんでいると思うんですよね。そういう意味においては非常に疑問があるのは当然で、実体の判断に入っているようなことを司法行政の方の名前でやって、もしそういうことをしておったら、ある意味ではそれが上の裁判所へ来たときに、裁判官――最高裁の判事、忌避を受けませんか、忌避を。その可能性ないかな。
#211
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) これは、先ほど来申し上げておりますとおり、東京地裁の裁判官がした裁判、それを円滑たらしめるというだけでございまして、その決定がいいとか悪いとか、あるいはまたその後のその証拠の価値あるいは証拠能力というようなものでございますが、そういうものの是非には何らタッチしてないわけでございますので、実体には全然触れておらないと、そういうふうに考えております。
#212
○秦野章君 証拠になるようなものの収集ということに協力したという意味においては、単に司法行政がどうかということにおいて疑問がある。
 それから、さっきオーバーな表現だと半谷決定のこと言ったけども、こういうことが書いてあるんだよ。「ロッキード社から我国の政府高官に多額の全員が贈られているとの疑惑は、既に国民各層の知るところとなり、事件の徹底解明を要望する世論が空前の高まりを見せていたことは、公知の事実に属する。」「かかる疑惑が持たれること自体、民主主義的法治国家の威信に関わることであり、能う限りの手段を尽くしてその真相を解明することは、ひとり検察のみならず国家全体の急務だったのである。人は病気に躍ることを虞れるべきではなく、その治療手段の無いことを虞れるべきである。権力の腐敗は民主主義的法治国家にとって忌むべきことではあるが、事前にこれを根絶する有効策によし欠けるとしても、これを剔挟し、糾弾する司直の機能に誤りなくんば、なお国家の基盤は安泰を保ち得るのである。もしそうでないとすれば、国民の間に著しい政治不信を招来し、ひいては現行国家体制そのものに対する疑念すら生じかねない」、こういうことが書いてある。まあ別にこれ自体が、そのときの空気の中でこういうふうに裁判官が緊張し、何というかな、しかしこの、これ見るといかさま、これまあ、われは国家なり、みたないことですわ。そしてまた、政治の腐敗が裁判官で片づけられるように思ってるの、これ、非常に大きな間違いでな、裁判官は法を守る方なんだ、こんな政治発言をしちゃだめなんだよ。それは、世論がどんなであろうと、裁判官は裁判官で法律を守るという立場だと思うから、こういうことは大変誤解を招くんでね。まあ、裁判官は独立してるから言いたいこと言っていいんだと言えばそれまでよ。それまでだけども、この文章を見たときに、やっぱりこれは、これはまあ司法権の独立、中立といったようなことから見ると、いささかこれはおかしいではないかと思うのは私だけじゃないと思うけれども、こういうことは新聞も出ないから。これが世論だったらね、世論はいいんだ、世論は。裁判所は世論と別だから。そこのところを私は、権力というものはあくまでも厳粛にいかなくちゃいかぬというふうに思うんです。
 それから検事総長――これは法務省にちょっと聞きたいんだけれども、宣明書を検事総長が出した、そのいきさつちょっと言ってくれませんか。
#213
○政府委員(前田宏君) 検事総長の宣明書と申しますのは二回あるわけでございまして、第一回目は五十一年の五月の二十日付でございます。まあ内容的には同じことでございますが、第二回目、これは先ほど来御指摘があり、最高裁の方からもお答えがあったようなことで、五十一年の七月二十一日に最高裁あてに出されているものでございます。
#214
○秦野章君 検事総長の宣明書は裁判所御中となってる、最高裁御中となってるのはどういう意味ですか、これ。
#215
○政府委員(前田宏君) この書面に限りませず、裁判所に出します公文書の場合に、まあ起訴状と同じかどうかという問題はございましょうけれども、東京地方裁判所殿とか御中とかいうことを使うわけでございまして、特段奇異な表現ではないと思います。
#216
○秦野章君 実質的にはやっぱり裁判所にこれ頼むよということかもしれぬな、これ。そうするとね、これ、検事総長の宣明書っていう、これもそれ自体問題だけれども、最高裁と検事総長が一緒になると、これ大変だなあと。これは本当は野党あたりが一番攻撃せにゃいかぬのだけどな。権力が一本化するということは大変いかぬことなんだ、これは。いかぬことだと私は思いますよ。第一これ、法律にないもの、こういうことは。ないことをやっちゃだめだよ。私はそう思うな。自民党も野党も、これは超党派の問題だよ、こういうことはね。
 それから、裁判官に持ち込んだっていうことと、地方裁判所の嘱託と、両方の問題があって最高裁は宣明書を出したんだろうと私は思うんですけれども、この裁判所の前に、検察庁が宣明書を出した理由の中で、要するに公訴をしないと、起訴しないと、この根拠は何ですか。
#217
○政府委員(前田宏君) 要するに、秦野委員も御案内と思いますけれども、刑事訴訟法の第二百四十八条を根拠にしているものでございます。
#218
○秦野章君 刑事訴訟法二百四十八条というのは、要するに犯罪者に対してね、情状がどうだとか刑が軽いとかっていう、いわば刑事政策的な見地でもって不起訴処分というようなことをやるわけでしょう。いわば刑事政策ですよな、これ。それに対して今度はそうじゃなくて、アメリカの方で片っ方の方には、つまりアメリカ側のコーチャン、ロッキードの。そっちの方には無罪になるようなふうにして、こっちの方には不利になる、日本側の方には不利になるような材料を出すようなことに便宜主義の刑訴二百四十八条が適用になるのかね、これ。どういうことかね、これ。
#219
○政府委員(前田宏君) 秦野委員のような御意見が、先ほど御引用になりましたような学者の方の御意見にあることも事実でございますし、また、ロッキード事件の公判においても同様の趣旨の主張が弁護人側から出ておったように思うわけでございます。しかしながら、検察官といたしましては、この二百四十八条に象徴されておりますように、現行の刑事訴訟法では、いわゆる公訴権というものを検察官が独占していると、言葉として誤解を招いてはいけませんけれども、独占をしているということは刑事訴訟法の大原則でございます。したがいまして、先ほど来お話のありますように、刑事政策的な配慮による場合もございましょうけれども、それのみに限るわけではございませんで、公訴権の行使というものについての裁量権と申しますか、決定権は検察官にあるということが根本にあろうかと思います。
#220
○秦野章君 そこはちょっと問題だな。つまり公訴権を独占しているから何しようと自由だというような発想なんだけれども、公訴権を独占していればこそ便宜主義という規定があるんだ、その行使については、使い方については。だから、独占していればこそ起訴便宜主義というようなものはやはりそれ本来の立法の精神でもって使っていくということが、独占なるがゆえによけい厳しい配慮でなければならない、私はそう思うんですが、どうですか。
#221
○政府委員(前田宏君) その点はまさしく同意見でございまして、特に反対を申すわけではございませんけれども、先ほど来出ております刑事訴訟法の条文では、事案の内容とか、そういうものもいろいろな要素から考えて、検察官は適正な判断を持って起訴する、起訴しないということを決められるというふうになっているわけでございます。
#222
○秦野章君 犯罪者をつくるために別の犯罪に利益を提供する、犯罪者に利益を提供する根拠にしているわけですよね。そういうことをこの二百四十八条でやる。片方に有利なもの、片方に不利なもの、不利であることが明らかなもの、そういうものを根拠にしていくということは、この刑訴二百四十八条を運用するということは、本条の立法精神に非常に反すると東大の松尾教授は言われている。刑訴の一番の権威だとぼくは思うんだけれども、松尾教授がそう言っているんだよ。私が言うよりは権威があるだろうから参考までに言っておくけれども。こういうことはかってないし、それはおかしいんですよ。それは公訴権の独占をしているから何をやってもいいんだみたいな話はそれは独善というものだ。
 その独善のあかしをいま一つ言うと、こういうことを言っているよ。独善だと思うのは、たとえばこういうのがあるんだ。宣明書は後継者を拘束する、つまり検察――これは法務大臣もちょっと聞いておいでもらいたいんだけれども、後経者を拘束するんだよ、検事総長も検事正もずっと、時効があるかどうか知らないけれども、いつまでも拘束するということになっているわけ。それはそういうふうになっていたんだけれども、検察官の言い分だよ、これは。言い分の中に、いかにもこれ相当すごいなと思うのは、これは東京地検の小林検事から東京地裁の刑事一部に出した釈明書の中の、いわば釈明の要旨の中にこういうのがあるんだ。「将来いかなる事情の変化があろうとも絶対に取り消すことは許されないものであって、後継者を拘束する旨の記載は右の趣旨を明記したものである、したがって、このような宣明がなされた以上、検察庁法十四条ただし書による起訴の指揮はあり得ない」、こう書いてあるんだけれども、これはもう検察官がいわば政治を指揮しているんだなと私は思いますよ。絶対にあり得ない。宣明書でもって検事正や検事総長が拘束されるというのは、法律でも何でもないわけだ。何で、絶対に拘束されて、将来検察庁法ただし書による起訴の指揮もあり得ない、ここまで言えますか。
#223
○政府委員(前田宏君) いやしくもその当時の検事総長がいま問題になっているような意思を表明しているわけでございますから、それを軽々に変えることが妥当でないことは論ずるまでもないと思います。ただそれと、変えられないかどうかということは、検察制度の内部の問題だけではなくて、この問題に関しましてはいわば国際信義の問題にもかかわることでございますから、そういうことで検事総長がかわったからといって、前の話は違うということは国際信義の問題からも言えないという面が強いんじゃないかと思います。
#224
○秦野章君 国際信義がどうのこうのというのは検察官が一番考える問題かといったら、どっちかといったら政治が考える問題なんだ。絶対にできないとか、これは言い過ぎだよ、ここまで言えるかい。検察庁法十四条ただし書による起訴の指揮はあり得ないとこう言って、ここで絶対っていう言葉なんてものは宗教、哲学ならいいけど、法律運用なんかに絶対なんかあるわけないんだ。こういうことを平気で言っているというのは私は独善的情念だと思いますよ。これはもう言い合ってもしょうがないけど、これは警告しておくよ。たとえば、コーチャンがやってきたとするんだよ、これ、京都見物か何かに。もう日本が罰してくれないから。そりゃあこっちばかりやっつけられて、あのやろうが元凶だから、あのやろうやった方がいいという内閣ができたとしたらよ、これはこのことを説明するためにわかりやすく言うんだ。あれは、縛れ、国民感情からいったらあたりまえだと、こう言う人が出ても、それは絶対できないといって検事が言うのは言い過ぎじゃないか。検察庁法十四条ただし書きというものは政府の態度としてあるじゃないか。これは政治家の運用の規定じゃない、だから言い過ぎじゃないか。私は独善の意味を言っているんだよ。
#225
○政府委員(前田宏君) 本件の経緯にかんがみて、そういうことは起こり得ないだろうという意味のことを申したわけだと思います。
#226
○秦野章君 だろうならいいんだ、だろうなら。
 それでは次に刑事訴訟法二百四十八条は一事不再理の原則はありますか。
#227
○政府委員(前田宏君) いわゆる一事不再理と申しますのは、確定判決についてのことでございますから、検察官のいわゆる不起訴処分というものについては、同様な考え方は適用されないわけでございます。
#228
○秦野章君 だから、不起訴にしたものでも後で起訴するということもあり得るということだ、それは法律のたてまえであるということなんで、そういう意味においては宣明書の態度というものは、私はやっぱり憲法とそれから法律の手続からいくというと、法律の領域まで行政が足を踏み込んでいるということで、やっぱり法律がなきゃできないんじゃないか、こういうことは、という感じがするんです。解釈論だけで、新しい解釈をすることによって、これも一種の類推解釈かな、拡張解釈というか、新しい解釈をすることによって問題を処理するということは、刑事手続においてはきわめて厳正な、公正な憲法上の保障がある。特に日本の憲法は列国の憲法に比べて刑事手続とか、人権とかに関しては世界の憲法の中で一番条文が多いんだ。このことは戦後の刑事訴訟法の応急措置法から現在の刑事訴訟法に至った経過の中で、私はちょうど昭和二十二年に内務省の事務官で、この仕事に若干携わったわけでございますけれども、刑事手続の中では人権の尊重ということがもう非常に大きなかなめになっているわけですね。そういうことで、そこのところは英米法の流れというものをくんでいいんだけれども、それ以外の免責制度なんていうものは日本にないわけだから、日本にない免責制度なんかを事実上日本に導入するようなことを、法律じゃなくて単なる行政の問題でやってのけるというようなことは、これは刑事手続の厳正なる運用ということからすると大変これは違法な問題ではないか、私は違法、違憲の事情がかなりあると思いますけれども、時間が余りありません。どうかひとつ私のきょうの質問は速記録をよく見てもらって、私は党利党略、そんなものにかかわっていないつもりなんだ、法理論的追求でございますから。これは、憲法、法律というものは非常に大事ですから、これを守る特に裁判官というものは、やっぱり憲法、法律のみに拘束されるということで、裁判官の独立、裁判官の公正ということは非常に大事なんだ。そういう意味においては問題を非常にはらんでいる。
 どうか私の速記録をひとつ委員長見てもらって、国会というものは、憲法とか法律を大事にする、あるいは問題があれば、新しくつくらなきゃいかぬものがあればつくるとか、そういうことが非常に大事なんだ。そういう意味においては、一遍ひとつ検討してもらって、委員会としても対応してもらうことを私は要望しておくなあ。ぜひひとつ、そういう重要な問題をはらんでおりますので、問題、まだあるんですけれども、催促来るからこれで終わらしていただきます。
#229
○委員長(木村睦男君) 以上で秦野君の一般質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#230
○委員長(木村睦男君) 次に、安恒君の一般質疑を行います。安恒良一君。
#231
○安恒良一君 官房長官が外国の大統領がお見えになってお急ぎのようですから、順序を不同にして始めたいと思いますし、また、大臣おそろいでないのですから、その点もあれしてやります。
 まず私は、運輸大臣、大蔵大臣、自治大臣にお聞きをしたいのでありますが、地方陸上公共交通整備維持に関する問題が、五十三年の十月の十八日に衆議院で六党満場一致で決議されまして以来、これに対して私は母国会のたびにその所要立法、行政措置について財源を含めて講ずるように議論をしてまいりました。昨年も大平総理から実のある報告ができるように努力をいたしますということで、総括でやりとりをしておりますから、この一年間にまず運輸大臣、大蔵大臣、自治大臣、この問題の解決のためにどういうことをやられたか、御報告をいただきたい。
#232
○国務大臣(塩川正十郎君) お尋ねの件でございますが、議決の実現に関しまして、まず運輸省として取り進めてまいりましたことを御報告申し上げます。
 まず最初に、行政上の措置としてでございますけれども、それぞれの陸運局に対しまして、地方陸上交通審議会、これのあり方を改正いたしまして、新たに各府県ごとに部会をつくり、そしてきめ細かい自治体の意見を聞いて、それをできるだけ地域総合交通体系の中に取り入れていきたいと思って鋭意努力いたしております。
 これにつきましては、現在、七地区におきましてすでに部会ができまして、近く八地域について取り進めができると思っております。一刻も早くこれの結成を急ぎ、審議を始めていきたいと思っております。
 それから、財政上の問題でございますけれども、これにつきましてはわれわれといたしまして、過去二回にわたりまして、いわゆる陸上特会を考えたのでございますけれども、それぞれ問題点がございまして、もう少し検討する必要があるということで、したがいまして、今後の地域交通のあり方と、この財源の確保ということを一つにいたしまして、現在、運輸政策審議会で審議をしていただいております。この審議を五月末を一つの目標にいたしまして、答申を得たいと思って鋭意努力いたしておるところでございます。それの答申を得まして、逐次行政上あるいは立法上の措置も考えていきたいと思っております。
#233
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま運輸大臣からお話がありましたように、地方陸上の公共交通維持整備の重要性については、内閣も十分承知をいたしております。
 昨年の総理答弁の趣旨も踏まえまして、衆議院の委員会の決議の実行について、各省がそれぞれの立場で努力しているものと考えます。したがって、各省の施策の進みぐあいを見つつ、必要に応じ適切な措置を講じて、地方陸上公共交通対策の充実を図っていきたいと考えております。
#234
○国務大臣(安孫子藤吉君) 地方にとりましては、交通問題がきわめて重要な問題でございまして、民生の安定あるいは産業の振興等々の基幹をなす問題だと認識をいたしております。
 そこで、各県ごとに地方交通体系をまとめて樹立をすべきであるという話は、私はごもっともだと思っておりますが、そこで、その計画の策定に当たりましては、バス、鉄道、道路等々多面的な問題を抱えておりまするので、特に過疎地の問題等については、ある意味においての助成措置も講ぜられておりまするが、総合的にこれを樹立するということになるならば、やはり各省の協力を得まして、地域社会を最もよく認識をしておりまする都道府県知事が中心となりまして、その県内における地方の交通体系についての取りまとめをするということが、計画樹立の上において一番適切じゃないか、こういう考え方をもって進めたいと思っておるところでございます。
#235
○安恒良一君 いまお聞きをしたんですが、運輸大臣所管に関しましては地方陸上交通審議会が発足をしたというのは、去年私の質問でそれをいまつくると自治省との間に権限問題があるということで、これは一歩前進したと思いますが、そのほか私は理解に苦しむのは、陸上特会を二年間積極的に出されました運輸省がことしそれを引っ込められて運政審の答申待ちと言われましたが、その理由についていま少し理解がいただけるように説明してもらいたいと思います。
#236
○国務大臣(塩川正十郎君) 御承知のように、現在交通体系の中で一つの弱点となっておりますのは、地域交通とそれから都市交通とでございます。ローカルにおきます地域交通と都市交通を、それを一つにした財源をと考えましたところに実は問題があったように私はいま反省いたしております。いわば、そういう極端に弱い交通体系ではありますけれども、それぞれ都市におきます交通と地域、地方におきます交通とやっぱり違う、それを一つの財源でやるということになって財源を一カ所に求めたということがやっぱり欠陥であったように思っておりまして、これからの考え方といたしまして、地域における交通に対する一つの財源の手当ての仕方、それから都市交通の開発というものの考え方と、やっぱりそこらを別々に考えていくならば財源対策も変わってくるのではないかと思うたりいたしておりまして、そういう点につきまして運政審に御意見をいま聞いておるところでございます。
#237
○安恒良一君 大蔵大臣にお聞きしますが、その財源のところが一番重要な問題で、大蔵大臣の所管に係るのでありますが、去年、竹下大蔵大臣と私とのやりとりの間に、「自民党の税制改正大綱におきましては、本件については「省エネルギー時代に対応する陸上公共輸送の整備充実を強力に推進することとし、このための特別会計の創設およびその特定財源の確保については、引き続き積極的に検討を行うものとする。」」、こういうことになった、だから大蔵省としても引き続き検討する課題としてわれわれは十分議論を煮詰めていきたい、こう言っておられますが、一年間にどういう議論を大蔵省として煮詰められましたか。
#238
○政府委員(松下康雄君) 運輸大臣からもただいまお答えがございましたけれども、この問題の特定財源関係につきましては、かねて運輸省、大蔵省、その他の各省庁との間で数年にわたって議論がございましたところは先生も御指摘のところでございます。ただ、運輸省の方におかれまして、この問題についてまた種々の新たな視点というものも取り入れていま一度考えの整理をされるということで、五十六年度予算の編成に当たりましては御要求を行われませんでした。そこで、私どももこれらの関係での今後の検討が煮詰まりました段階でさらに改めて検討をいたすこととしたいというふうに考えております。
#239
○安恒良一君 まだこの問題いろいろ議論したいんですが、官房長官の時間が迫りましたから……。
 そこで、まず私は官房長官にお聞きをしたいんですが、御承知のように、去年も総理が「実のある御報告ができるように」と、こういうことで結ばれているんですが、いまお聞きのとおり何にも前進をしてないんですね、立法措置、それから行財政の措置と。肝心の運輸省ですら陸上特会について二度出した。うまくいかなかったからといって二の足を踏んでいる。大蔵省から言わせると要求がないから議論してないと、こういう言い逃れにこれはなるわけです。これでは六党で国会で決議したことが、まあ私も一遍にはできると思いませんが、着実に毎年前進をしなきゃならぬと思います。こういう点について本当は総理にお聞きをしたいんですが、どういうことなんでしょうか。
#240
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、この問題につきまして五十三年十月に御決議があり、また昨年、安恒委員が本件につきまして非常に詳しくお尋ねになっておられます。大平総理大臣がまたそれについて御指摘のような答弁をしておられるわけでございますが、先ほど以来運輸大臣、自治大臣あるいは大蔵大臣、おのおのから御答弁がありましたように、政府部内としても問題の重要性はよく知っておりまして、また総理大臣の答弁の趣旨も踏まえて各省おのおのの立場でその努力をしているということは事実と思います。
 先ほど運輸大臣が、運輸政策審議会で今度は総合交通体系を検討するという理由で五十六年度には概算要求を、特別会計の創設の要求をなさらなかったということを言っておられますけれども、そのような検討というものが各省でなされておることは事実でございます。決して問題を放てきしているわけではございません。ただ、財源の問題あるいはまた権限の問題等相当複雑でございますので、各省間でなお努力を続けさしていただく、こういうのが政府の態度でございます。
#241
○安恒良一君 それじゃ、官房長官、御退席願う前ですから一括をして申し上げておきたいと思いますが、五十三年の十月に出されて、私は毎年国会でこの問題を議論しているんですね。議事録を読み返していただきたいんですが、大体同じような進行しかしないわけです。
 そこで、私は、やはり国民の足を守るということで、どうも私は、過去一年は国鉄赤字ローカル線のぶった切りばっかり一生懸命政府はやって、守る方のこういう仕事について十分でなかったんじゃないかという印象を受けてなりません。そこで、これはいまさらこのことを言ってもしようがありませんから、どうか私は、やはりこの運輸省、それから運輸省は必ず運政審の答申が五月に出ればそれを待ってやるということですから、来年は少なくとも六党決議の線に従ってきちっとしたいわゆる立法上、行財政上の措置を出してもらいたいということをお願いをしておきますし、また、大蔵大臣、自治大臣の方も十分その案を御検討を願って、御協力願って、本当に来年の国会では、なるほどこういう立法措置ができたとか、こういう財政上の措置ができたと、こういうことが評価できるようにしていただきたいということをお願いをして、そのことについて官房長官の御見解を聞かしていただいて、官房長官、どうぞ御退席ください。
#242
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、各省最善を尽くしまして政府としての案をつくりたいと考えておりますし、また大平総理が答弁せられましたように、官房といたしましてもその調整に全力を尽くしたいと存じます。
#243
○安恒良一君 それでは、この問題はこれで終わりまして、次は医療問題についてお聞きをいたします。
 昨日、社労委員会の中において、厚生大臣は医療費の引き上げ問題について共産党の沓脱さんの質問に答えられているようでありますが、この新聞で拝見いたしますと、四月に医療費の引き上げを諮問したい、もしくは近く諮問したいと、こう書いてありますが、医療費引き上げの中医協が開催されていることは存じておりますが、それらのスケジュール、日程をどうお考えになっているのか、聞かしてください。
#244
○国務大臣(園田直君) 昨日の委員会で答えました私の趣旨は、医療費が三年以上も全然改正されていないわけでございます。社会経済の動向その他を考えてこれは十分検討しなきゃならぬとは考えておりますが、まだその日程、詰め等を行うときでは、時期はまだまだと考えております。
#245
○安恒良一君 これは昨年の健保国会におきまして、臨時国会の間において私と厚生大臣との間のやりとりがあり、一問一答で確認されている点が二つあります。
 一つは、薬価基準の引き下げは年度内に行うということが約束の一つであります。
 医療費については年度内には引き上げは行わない。ただし、いま言われたような趣旨で、当時のやりとりでは、やはり四、五月ごろを考えざるを得ないだろう、こういうようなことを大臣はお答弁になっておりますが、そのことはいまもって変わりませんか。
#246
○国務大臣(園田直君) 答弁したことも覚えておりまするし、安恒さんの御意見もよく覚えております。当時と変わりはございません。
#247
○安恒良一君 そういたしますと、この薬価問題について、年度内というのは、きょうはもう三月の御承知のようなことでありますから、私は、もう薬価についてはこれは御決定されて、事務的な手続が要りますから、三月三十一日までにやるためには、もう何%下げるかということの作業が完了しておかないと間に合わないと思うんです、ざっくばらんに言って。そういう意味で、薬価を何%お下げになるのですか、そのことをひとつ明確にしていただきたい。
#248
○国務大臣(園田直君) 御指摘のとおりに作業がややずれ込んでおりますが、それでもいろんな情勢からぜひ年度内には作業の解決を終わりたい、こう思って努力をしているところでございまして、いまなお数字は言えないところで、きのうもそう申し上げたわけでありますが、大体二けた、一八%ぐらいのところから、どうかなるかわかりませんけれども、その程度だと考えております。
#249
○安恒良一君 そうすると、いまおっしゃったように、一八%ということは大体引き下げたい、こういうことで年度内に約束どおり、これは健保国会における法案を通すための約束なんですから、そのとおり実施をするということですね。
#250
○国務大臣(園田直君) 数字は大体見当を申し上げたわけでありまして、一八%とはっきり申し上げる段階ではございません。しかし、その作業の終わりは、前々からの約束にもありまするし、また私どもの事情からいっても急がなければ問題でございますから、年度内にこれを仕上げるように全力を挙げます。
#251
○安恒良一君 数字は一八%見当と、これはまあきょう初めて公の席上で明らかにされましたから承っておきますが、年度内には必ず約束どおりやっていただく。
 そこで、今度は医療費でありますが、大臣は、医療費は四月ないし五月ごろということを当時言われていました。そうしますと、これはきのうのやりとりの中でも明らかになっていますが、一%上がれば約四百億影響する、こういうことなんです。そこで、保険料率、政府管掌千分の八十を三月から千分の八十三にされてますが、十月にはこれを千分の八十四か八十五にしたい、こう言っておられますね、八十五にしたいと、政府管掌の健康保険料。その範囲で賄えるのであろうかどうかということが一つと、それから、これも新聞に先走って、やはり政府はその場合には補正予算等の措置をしなきゃならぬというふうに――まあ、きのうのやりとりでされたかどうかわかりません、私は予算委員会におりましたから。そこらの問題点について、厚生大臣と大蔵大臣、どうお考えなんですか。
#252
○国務大臣(園田直君) 医療費については前々から見当は申し上げておりますが、なかなか微妙な段階でありまして、どのようにやるか、いつごろやるか、やれば財源がどれくらい必要かということ等では、まだ大蔵大臣と私との間に相談は調っておりません。
#253
○国務大臣(渡辺美智雄君) 医療費改定の問題については伺っておりません。
#254
○安恒良一君 それでは、医療費改定は伺っていないし、していないということでありますと、そうしますと、いま言った保険料率の十月改定の千分の八十四とか八十五の諮問というのも、これもいわゆる医療費改定の結果を待った上で諮問すると、こういうことですか。それだけは先に出ていますね。どういうことなんですか、それは。
#255
○政府委員(大和田潔君) 千分の八十を八十四に、御諮問申し上げまして、これは答申されたわけでございます。なお、さらに、先生おっしゃいましたように、あと一というのはまだ諮問はしておりません。これは十月一日実施ということを予定はしておりますけれども、まだ諮問はいたしておる段階ではございません。
#256
○安恒良一君 それでは、医療費問題はこれぐらいにいたしまして、次は、今年度の社会保障後退の特徴の一番大きい問題は所得制限が社会保障の中に明確に入ってきたという問題であります。
 そこで、私はその点について聞きたいと思いますが、まず社会保障における所得制限の意義について、厚生大臣と大蔵大臣のお考えをお聞かせください。
#257
○国務大臣(園田直君) 社会保障における所得制限は、限られた資源の中で効率的に使用するというために、収入が高くてがまんのできる方にはがまんをしていただき、真に困っている方には手厚くするというためにできたものだと考えております。
#258
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいまの厚生大臣の答弁と同じでございます。
#259
○安恒良一君 お二人の方から所得制限の意味を単純に言われましたが、私は所得制限の意義は、いわゆる対象者の所得上のハンディキャップを補うための制度として、老齢、障害、疾病、育児など所得とは直接関係のないハンディキャップを補うための制度であるものと、生活保護法のように、二つのことがあると思います。でありますから、私は生活保護法における所得制限というものはあり得ると思いますが、たとえば各種の年金、医療保険、児童手当、そういうものに所得制限が入るというのは非常におかしいのではないか。それはなぜかというと、生活保護法は救貧的性格でありますし、後者は生活支援的な性格であると思います。でありますから、前者に所得制限があるのは当然だと思いますが、私は、老齢とか障害とか疾病、育児など、本人や扶養義務の所得水準がどうあろうとも物心両面の負担をもたらすもので、所得制限は原則的に必要がないというふうに思いますが、どうなんでしょうか。これは両大臣のお考えを聞かしてください。
#260
○国務大臣(渡辺美智雄君) 理想論を言えばそういう見方も私はあろうかと思います。しかし、御承知のとおり租税収入というものが足りなくて、現在国家の財政を賄う上において世界に例を見ない莫大な借金を抱えておるわけでありますから、貴重な一般租税財源の中で、また借入財源の中で行われる社会保障の社会保障費についても当然それには限界がございます。したがいまして、われわれとしては、限りある財源でございますから、それらについては比較的豊かな方はいままで児童手当を受けておっても御遠慮をいただきたい、そのかわり住民税も納めないような非常に低所得の方については、これは支給額等についても配慮をする、こういうことでございますし、障害年金等におきましても所得制限の額を緩和をするというような措置を講じまして、上に薄く下に厚くというようなことで限りある財源の配分を行ったと、こういうことでございます。
#261
○国務大臣(園田直君) 所管の厚生大臣としては、おっしゃいましたとおりにやっていきたいというのはやまやまであります。しかしながら、現在の状況で社会保障の水準を何とか守り、何とか保ちながら効率的に使うと、こういうことでございます。
#262
○安恒良一君 園田厚生大臣の苦労のあるところの答弁はわかりましたが、私はひとつ厚生大臣並びに大蔵大臣にお聞きしたいんですが、社会保障給付における所得制限には、どうも私は政府の態度は何ら原則もなければ統一した方針もないのではないか。それでは困るわけです。
 そこで、具体的なことをひとつお聞きしたいんですが、まず所得制限、収入ベースの推移について、各種の所得制限のある社会保障の推移について少し説明をしていただきたい。これは五十年度から五十六年度の推移で結構ですから。
#263
○政府委員(吉本実君) 所得制限の限度額、収入ベースで、特に本人、二人世帯の場合について申し上げます。
 まず、老齢福祉年金でございますが、昭和五十年度百二十万円、昭和五十一年度百五十二万円、昭和五十二年度百六十四万四千円、昭和五十三年度二百万二千円、五十四年度二百八万円、五十五年度二百十六万四千円、昭和五十六年度二百二十六万六千円でございます。
 それから障害福祉年金につきましては……
#264
○安恒良一君 時間がないから、五十年度と五十五年度と五十六年度を。表をいただいていますので。
#265
○政府委員(吉本実君) 障害福祉年金について申し上げます。昭和五十年度が百二十万円、五十五年度が二百十六万四千円、五十六年度が三百万円でございます。
 それから、母子福祉年金、準母子福祉年金、児童扶養手当につきましては、昭和五十年度が二百六十七万円、昭和五十五年度が三百六十一万円、昭和五十六年度が同じく三百六十一万円でございます。
 それから、特別児童扶養手当、昭和五十年度が二百六十七万円、五十五年度が三百六十一万円、五十六年度は三百七十八万円でございます。
 それから、児童手当でございますが、これは六人世帯の数字で申し上げますと、昭和五十年度が四百十五万円、昭和五十五年度が四百九十七万円、昭和五十六年度が四百五十万円でございます。
 それから老人医療費につきましては、昭和五十年度が百二十万円、昭和五十五年度が二百十六万四千円、昭和五十六年度が二百二十六万六千円。
 それから福祉手当、昭和五十年度が百二十万円、昭和五十五年度が二百十六万四千円、昭和五十六年度が三百万円でございます。
 以上でございます。
#266
○安恒良一君 厚生大臣、大蔵大臣、いま一覧表がお手元へ行っていると思いますから、時間の関係で中を飛び抜かして説明していただきましたが、これを考えますと、いわゆる所得制限、やっぱり無原則で恣意的じゃないか、理論的な根拠が横並びに見てもありませんね。でありますから、どうも国の財政によって権利が発生したり切られたり、こういう感じを受けますが、どうなんでしょうか。これをひとつそれぞれ所管大臣、大蔵大臣として見られまして、これだけの各種制限の限度額というのは、これは本人、二人で計算してもらいました。児童手当だけは六人世帯ですが、非常に違います。その点、まず厚生大臣、どうでしょうか。
#267
○国務大臣(園田直君) 社会保障の各手当等はそのときの国家財政に従って縮んだり伸びたりすべきものではない、こう私も思います。しかしながら、こういう状態でどうやって水準を保つか、こういうことになれば、やはり効率的に適正に使う、こういうこと以外にはございませんので、そのようになっているわけでございます。
#268
○国務大臣(渡辺美智雄君) 各手当とか年金とかの所得制度の額のバランスについて科学的にぴしっと均衡のとれたものがあるかと、それはなかなか理屈はむずかしいと思いますね。歴史が違ったり、スタートが違ったりいろいろなことがありまして、私は、きちっとした、きわめて科学的なということはございませんが、大体横並びに見ていままでのいきさつ等もしんしゃくをしながら考慮したつもりでございます。
#269
○安恒良一君 それでは大蔵大臣にお聞きします。
 横並びにしてしんしゃくされたというのですが、これは数字は事務当局から答えられても結構ですが、児童手当が発足したときの金額が幾らで、いま現在幾らになっているでしょうか。それから老齢福祉年金、これも昭和四十六年から五十五年はどのようになっていますか。児童扶養手当がどのように金額がなっていますか。
#270
○政府委員(吉本実君) 四十六年度と五十六年度を比較して申し上げます。
 児童手当は四十六年度が三千円でございました。五十六年度が五千円でございます。それから老齢福祉年金……
#271
○安恒良一君 五十五年度。
#272
○政府委員(吉本実君) 五十五年度でございますか。五十五年度は児童手当五千円、それから五十六年度が五千円でございます。それから老齢福祉年金、四十六年度が二千三百円でございます。それから五十五年度が二万二千五百円、五十六年度が二万四千円でございます。それから特別児童扶養手当でございますか。
#273
○安恒良一君 児童扶養手当。
#274
○政府委員(吉本実君) 児童扶養手当、四十六年度が二千九百円それから五十五年度が二万九千三百円、五十六年度が三万一千二百円でございます。
#275
○安恒良一君 厚生大臣にお聞きしますが、そもそも児童手当が発足当時に基礎として使われました数字のこの三千円が出ました根拠はどのようにお考えになっていますか。
#276
○政府委員(金田一郎君) お答え申し上げます。
 当時の児童の扶養に要する経費のおおむね二分の一ないし三分の一ということで三千円が決められたというように聞いております。
#277
○安恒良一君 そこで、以上の数字が明らかになりましたから大蔵大臣と厚生大臣に聞きますが、いわゆる児童手当の額は、ここに言われているとおりに実態調査をしてその二分の一、三分の一を家計の中で確保する、こういうことで発足して三千円がやっと五千円になったんですね。一方老齢福祉年金二千三百円が二万二千五百円、約十倍になっている。私はそれを上がり過ぎだと言っているわけじゃないんですよ。それから児童扶養手当が二千九百円が三万一千二百円になっているわけですよね。そういう中で今度所得制限がまたばらばらで入ってくるということになると、大蔵大臣がおっしゃったように、なかなかむずかしいけれども科学的に横並びになっているということになりますか、これ。あなたが言われたように非常に科学的に横並びにうまくいっているというふうに言われていますが、うまくいっていると思いませんが、どうですか、これは。
#278
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは横並びで科学的にぴしっといっていると、私申しておりません。私はなかなか科学的にきちっと説明のつくようにはできておりませんと、それにはいろいろなそれらの制度のできないきさつやできた時代やあるいは年月やいろいろ違いがございます。したがってそれはぴしっとはいってはおりませんが、まあまあ同じような種類のものについては同じように並べでありますということを言ったのでございます。ですからそこのところはもうしゃくごではかったようにきちっといっているというわけではありません。
#279
○安恒良一君 厚生大臣、児童手当ができましたときに、いわゆる義務教育終了前の児童三人を養育している家庭では現金支出の三八%程度を占めているという調査のもとに、いま児童家庭局長が答えたとおりの意味で三千円が決まったのです。現在五千円ですよ。この立法の精神どおりいっていますか、児童手当は。
#280
○国務大臣(園田直君) いろいろやりくりをやっておりますが、残念ながらそのとおりにはいっておりません。
#281
○安恒良一君 全然賄ってないですね。そうしますと、そういう中でなお所得制限を強化されるということについては私はもう全然理解ができない。
 そこで、まず今度は不公平税制の上における所得制限の問題でお聞きしたいと思いますが、五十六年度で結構ですから給与所得者の中の納税者の占める割合、農業所得者、それから農業外事業所得者の占める割合と一人当たりの課税見積額を聞かしてください、大蔵大臣。
#282
○政府委員(梅澤節男君) まず、給与所得者でございますが、五十六年度予算で納税者割合、つまり給与所得者の総数に占めます給与所得者で税金を納める人の人数の割合でございますが、八三・九%でございます。それから、一人頭の所得税額二十一万二千円。それから、農業所得者でございますが、これは兼業農家と第一種兼農家だけでございますので、それ以外は給与所得者等で整理してございますが、まず納税者割合は予算ベースでは出てまいりません。五十四年実績で一四・六%、それから一人頭税額が五十六年度見積額で七万五千円。それから、農業以外の事業所得者でございますが、これも家族で給与を受けているような方は給与所得者で整理してございますが、納税者の割合が三六・三%、それから納税者一人頭の税額が五十三万八千円でございます。
#283
○安恒良一君 数字は、大臣、以上のとおりで、いわゆるトーゴーサンとかクロヨンとか、いろいろ税制上の問題があるわけですね。その上に課税最低限をいわゆる所得制限、所得税の課税所得を算定の基礎としますから、税制上の不合理と不公平の上に今度いわゆる各種の所得制限が乗ってまいりますと、不合理、不公平がますます私は拡大をされると思いますが、この点厚生大臣並びに大蔵大臣の所見を求めます。
#284
○国務大臣(渡辺美智雄君) よく農業所得が例に出されるのですが、現在の日本の農家の実態というのは、専業農家というのはもう一三%か十数%しかないんです。あとは八十数%は兼業農家なんです。したがって、農家の場合は給与所得に半分以上足が突っ込まれている、しかも全体の六七%ぐらいが第二種兼業で、農業所得よりも農外の主として出かせぎの所得とかあるいはお勤めの所得とか、そういうような所得の方が多いんです。したがって、農業だけの部分を取り上げますと非常に小さなものになる、しかし、農家の看板は外さない、田畑を持っているから。そういうようなことで、二つの統計に私は足がかかっていると思っております。もともと農業所得だけでは日本のように面積の小さいところでは実際のところ余り所得がないんです。しかも、農家所得というのは隠しようもないんです、もう水田一枚で米のとれる量はわかっていますし、大体標準経費もわかっていますから。だから、農家がよく税金を納めていないということを言われるのですが、私は弁護するわけではないが、所得がもともと少ない、だから税金を納める人が数が少ないということだと私は思っておるわけです。だけども、よく言われるのは、要するに同じ、仮に農家の場合で二百万所得があったという場合と勤労者で二百万あった場合では、農家の方がゆったりした暮らしをしているんですよ。それは、要するにそんなに貯金しなくともいざというときには畑何坪か、二十坪か百坪か売ればいいということもございますし、それから、もう家も先祖伝来のものを持っているとか、あるいは菜っぱや大根ぐらい家の前で自分でちょこちょこつくれるというものがありますから、生活はかなり、何割増しか楽だと、これも私は言えると思うんです、蓄積がありますから。でございますから、そうかと言って資産までそれじゃ入れて資産制限のようなものを考えるかということになると、これも実際は非常にむずかしい。それじゃ固定資産の人はつかまるけれども、それじゃ貯金や何かで持っている人は現在の分離課税のもとではつかまえられないという問題等もあって、一応所得制限というものが基準になっておる。本当は資産制限も加えて入れれば公平なんでしょうが、技術的に非常にむずかしいということで所得制限だけになっておるというのも事実でございます。
#285
○安恒良一君 質問に答えていないですね。農業外事業所得者それから農業所得者、給与所得者との間にいろいろ格差がある。クロヨンとかトーゴーサン、それに対していわゆる今度所得制限がさらに上乗せされる。その点をどう考えるか。いま農民のことだけ一生懸命お答えになりました。
#286
○国務大臣(渡辺美智雄君) ほかのものも答えますよ、幾らでも。答えますが、農業所得というのはそんなに脱漏がないと、そういうふうに私は思っているのです。
#287
○安恒良一君 そんな質問はしていないんだ。質問の趣旨に答えてください。
#288
○国務大臣(渡辺美智雄君) ですから、結局、所得に狂いがそんなにないのですから不公平はないんですよ、所得には。事業所得の場合はいま青色申告というものが普及されておって、これは脱漏が往々にあることが多いのです。だけど、全部じゃもちろんないし、しかしこれも最近はかなりきちっとなってきております。三六%しか納税者がいない、これもしかし、もう事業所得といっても屋台店まで事業所得ですからね、ラーメンの屋台店までみんな。ですから、やっぱりそういうようなものの数から言うと、四割ぐらいの人しか税金を納めていない、やっぱり零細な人が多いということも言えると思います。
#289
○安恒良一君 いや、現状の説明じゃなくて、そういう上で不合理と不公平が上乗せされるのじゃないでしょうかと、こういうことを大蔵大臣とそれから厚生大臣に。ですから、現状のことを聞いているのじゃない。私も税調が長かったからよく知っているのです。
#290
○国務大臣(渡辺美智雄君) 現状がわからぬとわからぬわけです。現状がわかっていれば、そこで脱漏がないのですから、だから不公正はありません、納税者の割合が違っておってもそれは不公正はありませんということです。
#291
○国務大臣(園田直君) 多種多様のたくさんの受給者及び扶養義務者の実態を掌握して、それに対していろいろ計算していくのはもう御発言のとおりでございますが、実際問題としてなかなか困難でございまして、税の対象者とやっておるわけでありますが、しかしそれは個々には申し上げませんが、大ざっぱに言って児童手当の例を見ても、サラリーマンと自営業者とは一割の差がある、そういうことが出てくる。これをどうやればいいか心配をしているところでございます。
#292
○安恒良一君 いま厚生大臣が的確にお答えになったと思う。私はやっぱり所得税の課税算定を基礎にする以上、自営業者とサラリーマンの間に支給対象が違ってきているし、それから大蔵大臣はそんなことはないと言うけれども、トーゴーサンとかクロヨンというのは、もう世間の一般の常識になっているんですよ。でありますから、その上に重ねて、これが基礎になっていわゆる制限をされていくわけですから、私は不合理不公平がますます拡大をしていくと思いますし、両大臣の間に答弁の食い違いがありますが、これはもう後からまた時間をとってゆっくりやりたいと思います。
 そこで、今度は大蔵大臣にお聞きしたいのですが、「歳出百科」の中で児童手当を十分理解をしていないようなことがいろいろ書いてあるようでありますが、「歳出百科」における児童手当問題に対する考え方を説明してください。
#293
○政府委員(松下康雄君) いろいろ事実関係の説明から詳しく述べておりますが、問題点として挙げております点は、児童手当につきまして、日本とヨーロッパ諸外国の社会制度あるいは賃金の体系その他の違いを前提とした場合におのずからその間に考え方の違いがあり得るのではないかという問題、あるいは税制上の扶養控除制度、あるいはその他の児童福祉施策等と児童手当との関係をどう考えるか、税制上の扶養控除の制度と児童手当と二つ双方の制度を採用する意義がどのようなものであるかとか、あるいは児童手当の制度と他の児童福祉施策との優先度をどう考えるべきであろうかとか、そういう問題点の指摘を行ってございます。
#294
○安恒良一君 少し親切に答えてもらわぬとわかりませんね。児童の扶養についての考え方の違いとか賃金との関係、中身を説明してください。
#295
○政府委員(松下康雄君) ただいまの児童の養育についての考え方と申し上げましたのは、一般論でございますけれども、ヨーロッパ諸国の場合に、日本に比べて、家族的に物をとらえるという考え方よりも、どちらかと申せば社会全体の中の個人という考え方を採用するという傾向があるのではないだろうか。そういたしますと、日本の場合、親子関係あるいは家族の中で主として児童の養育の問題をとらえるという物の考え方に対しまして、広く社会的に次の世代の育成という問題でヨーロッパの場合は物を考えるという発想があるのではないかということでございます。
 賃金との関係と申し上げましたのは、御承知のように、わが国の賃金体系が年功序列主義と申しますか、次第に昇給をしてまいりますので、家族数がだんだんふえてまいります年齢に達すれば、たとえ職種は同じでありましても賃金そのものの水準が上がってまいる。あるいは賃金体系の中に家族手当のような給付が外国に比べてかなり大きな割合を占めているのではないか、そういう点の指摘でございます。
#296
○安恒良一君 それではお聞きしますが、賃金の中で、現行の手当額が今度やっと五千円になるんですが、どうして家族手当の代行がこれでできるんでしょうか。いまあなたがおっしゃったように、賃金の中に家族手当があると言われますが、五千円でどうして代行ができるのでしょうか。
#297
○政府委員(松下康雄君) 年功の手当と申されましたが、私申し上げましたのは、一般に初任給からだんだんと勤続年数が増加するに伴って、一般的に賃金が上昇していく傾向がございまして、同じ職種であれば賃金は同じという厳格な職能主義的な賃金体系と全体の仕組みが違っているのではないだろうかということでございます。
#298
○安恒良一君 いや、そうじゃない。家族手当もあると言われたから、五千円でどうして家族手当が代行できるんですかと聞いている。
#299
○国務大臣(渡辺美智雄君) 局長が言ったのはちょっと言葉が足りないのでありまして、これは家族手当だけを言っているのじゃないんですよ。問題点というのは、全部こういうような見方がいろいろなものがございますということを言っておるわけでありまして、その一部分だけで五千円で満足とかどうとかという話じゃなくて、結論的にはこういう問題点があるものですから、自民党の中でもこれはやめた方がいいのじゃないかと、与党の中でもね。そういう議論がいっぱいあるんですよ。しかし、置いた方がいいという人もある。野党の方は置いた方がいいという方が圧倒的に多いですね。それらを勘案して、私もやめた方がいいんじゃないかと思ったんですが、これはそういうような野党の皆さんの意見も聞いて予算をつくることにしておりますから、諸般の情勢を考えて、今回は所得制限は少し強化さしていただきましたが、予算に組ましてもらったような次第でございます。
#300
○安恒良一君 私は、たとえばいま親子の家庭における結びつき、こういうことを言われましたが、急速な高齢化社会を迎えまして、若い世代の負担というのは大変にこれからなってくると思うのですね。でありますから、親子の結びつきが強いからといって国や社会が応分の責務を果たしていくという思想を育てなくていいんでしょうか。私はやはり急速な、世界で類例を見ないスピードで高齢化社会を迎えていく以上、そういう「歳出百科」に書いてあるような、ヨーロッパに比べて、ヨーロッパでは物事を国家的、社会的に考える、わが国の場合には親子、家庭的に考えるということで、こういうことをやっていいんだろうか、わが国の将来を誤りはしないかと思いますが、厚生大臣、大蔵大臣、どうですか。
#301
○国務大臣(渡辺美智雄君) これから時代が変わればどうなるかわかりませんけれども、要するに、この制度ができたときには高度経済成長時代でして、それでそういう制度をつくった方がいいということでつくったのだと私は思います。しかしながら、現実の問題としていま松下局長から言っているように、非常な財政難だというようなことになりますと、やはりいままでどおりの支給が非常にむずかしい。やめた方がいいという議論もある。大体子供は、だんだん三人、四人になるのには三年や五年じゃなくて、十年とか十五年で大体できますから、したがってかなりの年にもなってくる。日本は年功序列型賃金ですから、そこはヨーロッパとかなり違います。したがって、年数がたてば給与も上がる、それに従って子供を養育するような余裕もできてくるというようなこともありまして、いろいろな議論があったわけです。しかし、いま安恒委員が言うように、これからは老齢化社会を迎えて保険料とか何かがたくさんとられるようになる、仮に月給の中で二割もそれ以上も保険料をとられるようになると、そうすると若い人でもなかなか大変じゃないかというようなことになってくれば、またそれはそのときに考えなきゃなりませんが、私はいまの段階においてはそういう議論がいっぱいあるものですから、それをふやしていくという方向では考えていないわけでございます。
#302
○国務大臣(園田直君) こういう時代でございますから、財布の方を締める財務当局と、それをこじあけてもらって使う方との意見は対立するのは当然でありまして、いろいろ無理な問題がありました。しかし、今年度の予算折衝においては、その中でいろいろ不満はありましたが、大蔵大臣初め財務当局は私の立場に理解を示し、私もまた財務当局の言い分もよくわかったわけでありますが、いま言われた児童手当の問題だけは、これは両方とも理解していないわけであります。先ほど言われました大蔵省から出された「歳出百科」、それから財政制度審議会から出されている案を見ますと、これはどうも縮小廃止の考えがあってやっておられるように思います。これに対して私は、諸般の情勢から理屈は言いませんけれども、ほかのことは若干苦しい思いをしても、児童手当だけは充実強化をすべきだと、こういう意見が違っておりまして、これは今後両方でよく議論をし検討しなければならない問題だと考えております。
#303
○安恒良一君 もうほかの項目へ入らなきゃなりませんが、時間がありませんから私は申し上げておきたいのですが、やはりこれは生産人口と六十五歳以上の人口の問題とを考えましても、私は児童手当問題というのは単なる財政問題ではないと。わが国の国家経済の将来に重大なことでありまして、こんなものを、子供なんかあわててつくれなんていったって間に合うものじゃないのですから、そういうようなことから、ひとつこの問題については少し、大蔵大臣も前厚生大臣でもありますからよくお考えおきを願っておきたいと思います。
 次に、医療法改正について、きのう同僚の和田委員からいろいろ御質問がありましたから二点だけ厚生大臣にお聞きいたしますが、まず各都道府県がそれぞれ医療計画を立てることになるわけであります。その場合、厚生省の果たす役割りは、「医療計画の作成上重要な技術的事項について、医療審議会の意見を聴いて、都道府県知事に必要な助言をすることができる」ということで、「必要な助言」に終わるのですが、私は、各都道府県がばらばらに計画を策定を進めて整合性を得なかったらどうなるだろうか、医療問題は。そこのところはどのようにされるつもりですか。
#304
○政府委員(田中明夫君) お答え申し上げます。
 地域の医療計画はできるだけ地域の実情に合うようにするために、その作成者は都道府県知事といたしたところでございますが、それぞれの都道府県において整合性のある計画がつくられるよう必要な指導を行ってまいりたいと考えておるわけでございます。
#305
○安恒良一君 いや、各都道府県自体がまずつくるわけでしょう。だから、つくってしまってからなかなか整合性が得られないでしょう、どうするんですかと聞いているんですよ。
#306
○政府委員(田中明夫君) 国といたしましては、医療計画の作成の手法と医療計画作成上の重要な技術的な事項につきましてあらかじめ医療審議会の御意見を伺って必要な助言をするという方向で検討しております。
#307
○安恒良一君 ああ、先にまずやるんですか。わかりました。
 それじゃ、医療審議会というのは非常に重要になってきますし、和田委員からも住民代表なり国民代表を入れろということになっていますが、中央の医療審議会の構成、それからいわゆるお医者さん、歯科医師さん、それから官僚出身者何名いるのか、一般住民、国民代表が何名いるのか、各都道府県医療審、四十七都道府県全部やるわけにいきませんから、代表的なところを説明してください。
#308
○政府委員(田中明夫君) 国の医療審議会の構成でございますが、これは政令によりまして、医療を供給する側、医療を受ける立場にある者並びに学識経験者からなっておるわけでございます。医療を供給する側につきましては申すまでもなく全部が医師あるいは歯科医師ということになっております。医療を受ける側の者につきましては、市町村を代表する市町村長、あるいは婦人を代表する方、あるいは労災保険、共済組合、健保組合等を代表する方、それから一般の方というような構成になっております。学識経験者の内訳といたしましては、行政の経験者としまして三名ございます。そのほかは、医療システムの専門家、あるいは公衆衛生の専門家、病院管理の専門家というような内容になっております。それから都道府県の医療機関整備審議会の構成でございますが、これは各都道府県が条例によって決めておりますので、必ずしも同一ではございませんが、ほとんどの都道府県におきまして、医療を供給する側の者、それから医療を受ける側の者、それから学識経験者、それに行政庁の者が加わって構成いたしております。たとえば東京都の例をとりますと、学識経験者が五名、それから医療を供給する医師、歯科医師等が八名、医療を受ける立場の者が八名というような内容になっておりまして、医療を受ける側の人といたしましては、健保、国保等の保険の関係の方、それから主婦連の会長、それから婦人団体の方、あるいは消費者団体の代表の方というような方が入っております。
#309
○安恒良一君 質問に答えてません。中央医療協議会の委員の名簿の中で、医療担当者が何名、学識経験者が何名、それからいわゆる医療を受ける側の代表が何名、その中で官僚出身が何名かと、こういうことを聞いている。その内訳を全部。
#310
○政府委員(田中明夫君) 医療を供給する側の代表とわれわれが考えておりますのは七名でございます。それから医療を受ける側の代表と考えておりますのが八名でございます。それから学識経験者として考えておりますのが九名でございまして、この中に官僚の出身者が三名入っております。
#311
○安恒良一君 正確でありませんね。いろんな、医者以外にはかなり官僚出身がほとんど入っておられるわけですね。
 そこで厚生大臣、私はもうこれで、またやりとりすると時間がなくなりますから。私は医療審議会というのは非常にこれから重要になってまいります。そこで、私は中央、地方とも本当の意味で、官僚出身の方も医療を受けられる側といえば医療を受けられる側ですけれども、やや身内になるのですよ。そういう意味から真の意味の私は住民代表を医療審議会の中に中央、地方も入れてもらいたい、このことを明確に約束してもらいたい。
 それから、きのうから和田委員が何回も聞いておりますように、たとえば中央における中央医療協議会においてもお医者さんの代表といいながら公的病院の代表が入ってない。日本医師会が推薦する病院代表は入っている。こういうことで日本における医療の中で公的の占める割合というのは非常に重要なんです。やはりこういうところについてはもう、ひとつ勇気を持って委員構成を明確にする時期にきているのじゃないか、何回も何回も国会では議論されていることですから。そういうことについてひとつ厚生大臣の所見を承ります。
 それから、こういうことについては大蔵大臣もなかなか一言あるところであると思いますから、大蔵大臣のお考えもお聞きをしたい。
#312
○国務大臣(園田直君) ただいまの問題は先日の委員会でも同様の質問を安恒さんから受けて答えたことを覚えておりますが、住民代表、これを入れるということ、これは中医協の方でも多分御意見出てくると考えておりますので、いまおっしゃいました官僚出身その他とも考慮して十分その方針が通るように検討いたします。
#313
○国務大臣(渡辺美智雄君) 目下財政再建で頭がいっぱいでございまして、そこまで勉強いたしておりませんから差し控えます。
#314
○安恒良一君 大蔵大臣は、あなた物申し、いろいろお書きになってしゃべられていますから遠慮せぬでひとつ言ってください。
#315
○国務大臣(渡辺美智雄君) 厚生大臣も検討しているそうでございますから結構だと思います。
#316
○安恒良一君 それじゃ時間がありませんから次のことに入っていきますが、まず今度は労働大臣、それから運輸大臣、建設大臣、通産大臣等関係大臣でありますが、まず一つ、去年私が国会の中で取り上げましたところの自動車運転手労働時間の改善問題について、いろいろ関係大臣にお聞きをしました。その中で、まず労働大臣にお聞きいたしますが、これの実行状況、それから問題点、こういう点について御説明願いたいと思います。
#317
○政府委員(吉本実君) お答えいたします。
 御承知のように五十四年の十二月二十七日に「自動車運転者の労働時間等の改善基準について」という通達を発して、いわゆる新二・九通達と言われておりますが、それにつきましての実施状況、問題点ということでございます。
 これにつきましては昨年の四月一日から実施に入り、半年間の指導期間を経ながら十月から本格的な実施に入っているわけでございますが、私どもといたしまして十月から十一月にかけまして全国一斉にトラック関係なりハイヤー、タクシー関係の事業場について監督指導を実施したところでございます。その結果、改善基準の諸項目いろいろございますけれども、何らかの違背があった、一項目でもあったというふうに認められた事業場が全体の六一・五%でございます。そのうち、たとえばトラック関係で日勤勤務の最大拘束時間十六時間ということにしておりますが、それを超えて違背したのが三四・九%、それから四時間という連続運転時間ということにしておりますが、
   〔委員長退席、理事宮田輝君着席〕それの違背率が三八・五%、ハイヤー、タクシー関係の隔日勤務の最大拘束時間二十一時間ということにしておりますが、その違背率が三六・一%というようなことでございます。
 その問題点としまして私ども考えておりますのは、一つはやはり実施後間もないということで、一般的にこの業界につきましては中小零細企業が多くて遵法意識が低いというようなこと。あるいは業界が過当競争でなかなか、その点の問題があるということ、あるいは荷主の発注条件等に支配されやすいというようなこと、また、労働の性格が事業場外だというところから労務管理が十分徹底しておらないということ、またさらには、高速自動車道等使いますので、休憩、休息のための施設というものが必ずしも十分ではないというような点から問題点があるのではないかというふうに私どもは考えております。
#318
○安恒良一君 時間の関係がありますから、きょうは主としてトラック運送業についてお聞きをしていこうと思いますが、その角度で御答弁願います。
 私は、実施状況がいまおっしゃったとおりに非常にきわめて遺憾だと思います。でありますから、これは、せっかくこのような新二・九通達を出したのですから完全に守られるように、今後とも関係各省、これはただ単に労働大臣だけじゃなく運輸大臣をも含めてひとつ御指導願いたいと思うわけです。
 そこで、いま一つの理由の中で、高速なんか走るところに休憩所、仮眠所その他の施設が十分でないということも基準局長認められました。この点、私は去年ここでかなり大きい問題にしたのでありますが、まず自治大臣お聞きしたいのですが、最近かなり交通事故がふえております。この状況と、それから、その場合におきまして、去年私が問題にいたしましたところのいわゆるこのパーキングエリア、そういうものが不十分だ、こういう中から路上駐車もしくははみ出しておるという、そういうことで起こっておる事故の現状等について御説明願います。
#319
○政府委員(池田速雄君) 高速道路におきます駐停車違反に伴います事故でございますけれども、昨年中に百二十九件発生いたしております。高速道路におきます全事故の一・一%を占めております。五十四年は百六十九件でございまして、それに比べますと四十件の減少になっております。なお、昨年御指摘がございましてお答えいたしておりますパーキングエリア付近におきます交通事故の発生状況でございますが、一例を日本平パーキングエリア付近におきます事故を挙げますと、五十四年が五件でございまして、昨年そういうふうに御答弁していると思いますが、当該場所におきましては五十五年は三件というふうになっております。
#320
○安恒良一君 答弁、答えていません。
 まず、最近交通事故全体がふえているじゃないか、その実情と、あと、いま答えられたこと、その二つを聞いているわけですから。
#321
○政府委員(池田速雄君) 全体の交通事故でございますけれども、御案内のとおり、昭和四十九年がピークでございまして、四十五年の死者が一万六千七百六十五人でございましたが、四十六年以来減少を続けてきたわけでございますけれども昨年は増加の傾向に転じまして、死者で申し上げますと八千七百六十名の死者数でございまして、一昨年に比べますと二百九十四人の増加ということになっております。
#322
○安恒良一君 そこで、省エネルギーの観点から、私は運輸トラック業の今後置かれている立場について、去年それぞれ運輸大臣並びに通産大臣から御答弁を願っています。ですから、ダブった答弁は必要ないんです。この省エネルギーの観点から、今日の時点において、わが国におけるトラック運送業にどのような役割りを果たしていくことを期待をし、産業政策上どうお考えになっているのかということをひとつ通産大臣と運輸大臣からお聞かせください。
#323
○政府委員(神谷和男君) まず、産業政策上の観点から貨物輸送に関して私どもの考え方を御説明させていただきますと、やはり基本的には、組み立て加工部門産業につきましてはトラック輸送に大きく依存せざるを得ない。マイニングあるいは素材型産業につきましては、御高承のとおり、海運あるいは鉄道等に大きく依存をしておることでございますし、もちろん、これらが輸送距離等に関連いたしまして複雑に組み合わされておるわけでございますが、基本的にはただいま申し上げたような方向でございまするといたしますれば、今後の日本の産業構造の高度化という方向は、御高承のとおり、組み立て加工型産業のウエートが逐次高まる、こういうことになってまいりますので、トラック運送のウエートというものが、好むと好まざるとにかかわらず産業サイドのニーズといたしましては増大していくこととなると考えられます。その中におきます輸送の効率化、物流の効率化という問題につきましては、一つは、やはり小規模な自家用的な輸送手段による輸送からできるだけ共同化的、包括的な輸送に移っていくことが望ましいであろうというのが第一でございますし、交錯輸送あるいは複合輸送等をできるだけ回避するよう、これは私どもの方でできるだけ配慮をしていかなければならないと。他方、輸送機関の方でも新しいニーズに対応するような形でのサービスの提供、あるいはサービスの組み合わせ等を期待していきたいと考えております。
    〔理事宮田輝君退席、委員長着席〕
#324
○国務大臣(塩川正十郎君) 産業構造の変革等から見まして、やはり輸送の特に貨物輸送はトラックに移行していく方が多いと思っております。しかし一方、われわれ運輸省といたしましては、エネルギーの効率的な利用という点から見ますと、どうしても鉄道とそれからトラック輸送と組み合わせていく必要があると思っております。したがいまして、近距離におきましてはトラック輸送がやはり効率的ではございましょうが、定型的な貨物あるいはまた定期的に運送し得るものにつきましてはできるだけ鉄道に転換せしめるように努力をいたしておるのでございまして、それがためには、特定の駅をいま指定いたしまして貨物ヤードの整備を始めようとしておりますし、またトラックとフェリーとの組み合わせというものもわれわれは考えていかなきゃならぬと思いまして、フェリーとの関係を鋭意研究し、また一部九州と京浜との間におきまして試験的にこの運航をせしめておるような状態であります。
#325
○安恒良一君 両大臣並びに事務官からお答えがありましたし、私は、やはりわが国の産業構造上トラック輸送の占めるウエートというのは非常に重要になってくる。
 そこで問題になりますのは、去年、道路公団の総裁お見えになっていると思いますが、私の質問に対して、このサービスエリアやそれからパーキングエリアの拡充、改善について持田さんがお答えになっていますが、一年間の実効はどのようになっていますか。
#326
○参考人(高橋国一郎君) お答え申し上げます。
 東名並びに名神高速道路におきましては、近年利用交通量が非常に多くなってまいりまして、先生御指摘のように、パーキングエリア並びにサービスエリアの利用度が高まり、特に大都市の近くの休憩施設、パーキングエリア、サービスエリアでは飽和状態に達しております。そのような関係から、昭和四十八年度よりパーキングエリアあるいはサービスエリアの敷地の中にあります木を植えた緑地、いわゆる園地とわれわれは言っておりますが、園地やあるいはアイランド等を取り除きまして駐車のますをふやすような努力を続けております。これは通称一次改造と申しておりますが、昭和五十四年までに東名、名神両高速道路におきます駐車のますは、当初のものよりも四四%増設しております。特に大型車の方を中心にやっておりますので、大型車は七四%、小型車は三〇%の増設を完了しております。なお、本年度、つまり五十五年度におきましては、東京に最も近い東名高速道路の、横浜にございます港北パーキングエリアにつきまして用地を追加買収いたしまして、これを広げるように現在工事中でございます。これは五十六年度には完了する予定になっております。
 なお、前年度、つまり五十四年度から継続して広げておりますのに、東名高速道路の静岡にございます牧之原サービスエリア並びに名神高速道路の草津パーキングエリアのこの二つについても拡張工事を現在も実施しておりますし、さらに名神高速道路の羽島のパーキングエリアを新しく設ける、新設を行っております。今後建設します高速道路につきましても、以上のような御指摘もございますので、できるだけスペースを大きくとるように努力を重ねておる次第でございます。
#327
○安恒良一君 少し公団の方もピッチを上げてやっていただきたいということをお願いしておきます。
 そこで、運輸大臣がトラックステーションの拡充についてお答えくださいましたが、昨年私はこのことについて質問していますが、具体的に何カ所この通達を守るために要るのかということを、昨年のやりとりの中では、トラック協会、建設省、道路公団と十分連絡協議をして推進を進めたいというやりとりになっていますが、新二・九通達が五十四年十二月出たばかりでありましたから、昨年私はやむを得ないと思ってここでやめたのですが、もうそれから一年たっておりますから、具体的に何カ所去年の質問に答えてトラックステーションが必要とお考えでしょうか。
#328
○政府委員(飯島篤君) お答えいたします。
 先生御存じのとおり運輸事業振興助成交付金をもちまして現在トラックステーションの建設を進めているところでございます。実施主体は全ト協でございます。全ト協と鋭意いろいろ打ち合わせをしておりますが、考え方といたしましては、三百キロメーター以上の主要国道の中間の地点、物流活動の主要拠点、通過車両が多数に上る地点等を選定しまして整備を進めてまいりたいと考えております。ちなみに、現在交付金事業で全国の主要幹線道路沿いに建設を進めておりますが、現在稼働中のものは福島、浜松、北九州、尾道の四カ所でございます。今年度の整備計画はさらに四カ所、東京、新潟、金沢、米子。それから五十六年度以降検討いたしておりますのが七カ所でございます。合計十五カ所を現在計画または検討中でございます。
 なお、予算につきましては、五十四年度は三億三千五百万円でございましたが、五十五年度は集中的にこれに交付金を充てることにいたしまして、五十五億四千九百万を予定いたしております。
#329
○安恒良一君 答弁が正確でありません。私が聞きましたのは、去年の質疑応答を踏まえて、この新二・九通達を完全に実施をするためには何ヵ所必要なのかと。去年はトラック協会とか建設省、道路公団と十分連絡協議をしたいと、こう言っておられますから、一年たっておりますから、何カ所とりあえず建設が必要なのか。というのは、運輸事業振興助成交付金だけのことを聞いているわけじゃありません。質問に的確に答えてくださ
#330
○委員長(木村睦男君) 高橋参考人には、お忙しいところ御出席ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。
#331
○政府委員(飯島篤君) 基本的な考え方を申し上げたわけでございますが、休憩施設として、先ほどの道路公団によります高速道路の駐車施設の整備あるいは民間の駐車施設あるいは荷主側の協力によって得られる休憩施設、それからトラック事業者自身が営業所等に設ける施設等々ございまして、全ト協ともいろいろ意見を交換しているのでございますが、はっきり全国で何カ所というところはきょう現在のところまだ申し上げられないのでございますが、先ほど申し上げたように最小限十五カ所は必要であろうということでございます。
#332
○安恒良一君 運輸大臣、これは去年からもう一年だって何カ所かわからないということでは困るわけです、これは一般道を含めて。私はいま関係者であるところの運輸省、トラック協会、建設省、道路公団等々で議論をされて、また労働省も含めて何カ所まず必要だと。それに基づいて年次計画が立てられてしかるべきだと思いますが、どうですか。これは約束していただけますか。
#333
○国務大臣(塩川正十郎君) 御質問のことに関連いたしまして新二・九通達の実施状況等につきまして、現在全日本トラック協会あるいは都道府県トラック協会と陸運局とその実施状況等について相談しております。したがいまして、いま北海道、東北、新潟のその三地域のやつがまだぴっしりと話し合いが進んでないんですね。ですから、これを完全に話し合いいたしましたら、先ほど自動車局長が言っておりますように全国で幾らということがそこで出てくると思うんです。そのことにつきましては、私も四月、五月じゅうにまとめてしまえと言っておりますので、そうすれば総数はお答えできる。計画が立つと思うのです。ただし、それは計画が立ちましても、御質問の中身も私はよくわかるのですが、ただ軽油引取税の交付金をもらっていますね、二百億ことしもらっています。そこからトラックステーションだけの建設に使えないものでございますから、資金的にはどうしてもやっぱり不足してくると思うのです。そうすると、やはり何か他の財源をもって急理建設をせなきゃならぬだろうと、こう思っておるのです。
 お尋ねのステーションの数、これは少なくとも五月じゅうまでには委員のところへ、全国で配置はこのようにしたいと思いますという計画を提出するようにいたしたいと思っております。
#334
○安恒良一君 そこで財源問題で、去年私はいま軽油引取税だけでは十分でないので、一般財政は赤字の折でもありますから、道路整備特別会計をこれに使ったらどうかということで宿題としてあるわけです。ですから、この問題について各大臣はそれにいろいろ意見を言われて検討するということになっていますから、運輸大臣、建設大臣、それから大蔵大臣等々、いま申し上げたが、運輸大臣も言われましたように、とても軽油引取税だけでつくると何年もかかります。何十年もかかります。それではだめでありますから、これを流用したらどうかということを去年宿題にしてありますから、一年間の検討の結果について関係大臣お聞かせください。
#335
○国務大臣(塩川正十郎君) 先ほども申しましたように、これをやはりやっていくのにつきまして全数を、全部の施設の必要数を先につかむということが大事でございまして、これを私の運輸省の方で年次計画をつくっていきまして、そこでその交付金だけで足らない部分につきましては財政当局なりあるいは道路関係の財源を担当しておられます建設省等と十分相談いたしたいと思っております。
#336
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。
 トラックステーションに関係することでその財源問題の御指摘がございましたけれども、御案内のように道路整備特別会計の目的とする道路そのものの整備がまだなかなか困難性をきわめておりまして、いま直ちにトラックステーションの方にこの特別会計を運用するということにつきましてはいかがなものであろうか。建設省としては非常に財源不足の折でありますので、大変頭を痛くしておる問題でございますが、なお関係省庁とお話し合いの上何かと方策方途を考えたいと、このように考えるものでございます。
#337
○政府委員(松下康雄君) 道路特定財源の問題につきましては昨年も建設省とも御相談をいたしたのでございますけれども、建設大臣もお答えになりましたように、この問題につきましては全体としての財源事情でございますとかあるいは道路整備事業とあるいはその市町村による管理の事業と民業の範囲の問題でございますとかいろいろと問題もございまして、全体としての財源事情から建設省としても予算要求においてこれを御提出になるところまでまいりませんでした。引き続いて検討してまいることにしております。
#338
○安恒良一君 労働大臣、法律を守らせる立場で、どうしても休憩所をつくらなきゃなりませんが、いま申し上げた財源問題についてどうお考え――この交付金だけではとても、何十年とかかると思いますが、どうお考えですか。
#339
○国務大臣(藤尾正行君) これは御案内のとおり、高速道路におきましては、これはガソリン税というような財源がございまして、それを使いまして、これは道路公団自体が逐次その建設を図っておる、こういう状態にございますけれども、一般道路におきましては、そういった施設が道路法上の道路の中に当たっていないということもございまして、これは自治省との関連でどのように措置するかという法的な問題も一つございます。そのほかに、現実には一般国道におきましては、こういった問題の施設、十二分に必要でございまするけれども、この施設を設けていきます上で、これを国家財政の中でどのようなそれでは財源を充てていくかということについて、まだ確とした方針が立っていないような私は気がいたします。
 府県の、地方公共団体におきましては、地方公共団体によりまして地方公共団体の財源の中からそのような施設費といいまするものを出しておるというようなところもあるわけでございます。これが均一していないというところに非常な問題があるわけで、私どもといたしましては、何といたしましてもまず人命の安全が大事でございますから、そのような立場から建設省には国道整備上の予算を要求してもらうように、大蔵省には要求された予算をできるだけつけてもらうように、また地方自治体に対しましても、こういったことを自治省にお願いをいたしまして整備をしてもらうということを早急に、かつ的確にやっていきたい、かように考えております。
#340
○安恒良一君 この問題もいろいろ意見がありますが、次の問題に入ります。いずれにしましても、私は道路財源の使用について各大臣で御検討願いたい。
 河本長官にお聞きしますが、昨日、経済対策閣僚会議で総合経済に対する問題が出ました。きょうはその対策そのものをお聞きしようと思っているんじゃありませんが、こういう状況の中で増税という問題について、特に本年度はすでに議論してますが、来年度にかなり大型な増税をいろいろ考えられておるようでありますが、この総合経済対策の内容と増税について、たとえばあなたはかって自然増収による財政再建というのをしばしば強調されていますが、どういうお考えでしょう、それを聞かせてください。
#341
○国務大臣(河本敏夫君) 私は、まず日本経済が活力を維持、拡大をするということが何よりも肝心だと思います。経済の規模はずいぶん大きくなっておりまして、ことしは二百六十五兆、来年は――来年というのは五十七年度のことでありますが、三百兆近い経済でございますから、経済が活力を維持をいたしますと大きな自然増収が期待できると、このように考えます。また同時に、いま行財政の合理化が非常に大きな課題になっておりますので、やはりこの大きな課題も避けて通ることはできないと、こう思いますが、この二つのことをまず中心として財政再建を図っていくべきであると、このように考えております。
#342
○委員長(木村睦男君) 時間が参りました。
#343
○安恒良一君 それじゃ、最後に行管長官にお聞きしますが、私は再建に歳出の削減がまず必要だと思う。それは何も行政サービスの低下じゃなくて効率化だと思います。
 そこで、行政サービスの効率化について行管庁としてはどういう研究をいつごろから始められていますか。それはなぜかと言うと、赤字公債発行は五十年から出ておりますから、効率化問題について行管長官の考え方を聞かしてください。
#344
○国務大臣(中曽根康弘君) 第一次臨調が終わりましたころから行政手続法という法律をつくって、各省統一した基準、原則のもとに行政を簡素化しようと、こういう計画がありまして、手続法の素案をつくったことがございます。それに応じまして、各省の許認可事務あるいは報告事務、そのほかを簡素効率化しよう、統一的基準をつくってやろうと、そういう検討をしておりまして、その検討はいまでも続いております。これらの研究の成果が来るべき第二次臨時行政調査会における許認可の整理や、そのほかの問題で非常に役立つのではないかと思います。
#345
○安恒良一君 終わります。
#346
○書員長(木村睦男君) 以上で安恒君の一般質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#347
○委員長(木村睦男君) 次に、林寛子君の一般質疑を行います。林君。(拍手)
#348
○林寛子君 きょうは限られた時間でございますので、まず私からは青少年問題に関してということと、婦人差別撤廃条約に関して、また日中友好条約の締結の際に問題になりました尖閣列島問題に関して、あとは国民の目から見た国会の不可解というものへの質問ということ、そして第五番目に文化の時代と言われることについてという五つの点にだけしぼってお話を伺わしていただきたいと思います。
 まず一番、第一問でございますけれども、いわゆる最近起こっております校内暴力、家庭内暴力、そしてまたさらに性的非行問題、それらが多くの社会問題になっておりますけれども、私たちは現在の情報化時代の中で、多くの情報下で、また青少年たちは情報の中で成長し、そして視覚による成長、聴覚による成長あるいは食糧による身体の急成長というふうに、大人が考えるよりもはるかにいまの子供たちは急テンポで精神的にも肉体的にも成長しておりますので、そういう面で私たちは改めていまの青少年問題を扱うときに大きな考え方の転換期に来ていると思われます。それは、少なくとも現在の経済大国の中で、私たちがかつて心を忘れ、利益の追求主義の中で戦後の日本の社会があるということのために文化が退廃し、あるいは社会が荒廃し、そして家庭までが瓦解されるような現在の社会情勢というものは、少なくともこれらの青少年の心をむしばむ一因になっているであろうと思われます。また、そういう社会をつくったわれわれ大人が改めてこの青少年問題に対して心を新たにして、大人が考え直さなきゃいけない時期に来ていると思いますので、これらの青少年問題について、厚生省、それから総理府、そして文部省でどういう対策あるいは所見をお持ちか聞かしていただきたいと思います。
#349
○国務大臣(園田直君) 今日の青少年の非行が増加をし、だんだん悪質になっておる、これはもう御発言のとおりでありまして、放置すべき問題ではございません。私どもといたしましては、婦人の方が働かれる、夫婦共かせぎと、こういうことで母親と子供、親と子供の接触の場所が少ないわけでありますから、これに対して父親がわり、母親がわり、友達がわりの施設をつくることが必要であって、しかもその施設におる人々がそれぞれ事務的ではなくて、親や兄弟のつもりで相談に乗ってやる、じかに青少年と話をすると、こういうことが大事だと考えておりまして、現在厚生省では児童相談所、それから家庭児童相談室においていろいろ相談を受けております。
 なおまた、全国では十七万人の児童委員が相談相手としていろんな問題と取り組んでおりますが、さらに、ただいまの御発言の趣旨に従って、この目的が本当に達せられるようにやっていきたいと思います。
#350
○国務大臣(中山太郎君) お尋ねの点はきわめて社会の深層に大きな原因がひそんでいる。総理府といたしましては、青少年対策本部を中心に法務省、警察庁、あるいは文部省、厚生省、労働省と集まっていただきまして、昨年十二月十九日、それから今年一月十六日、われわれの社会のこの青少年非行の問題は一体原因がどこにあるかということを各省庁でいろいろと相談をし、研究いたしましたが、具体的にこれが最大の原因だということが究明できない。そこで、一月二十日に青少年問題審議会に対して、特に青少年非行に対して諮問をいたしたようなことでございますが、われわれ総理府といたしましては、青少年が何を考えているかという意識調査も終わっております。その中でのやはり顕著な問題点は、世界の先進国の子供たちと日本の子供を比べてみると、一日の生活時間の中でテレビと漫画を見ている時間が一番多いのが日本の子供であるということが判明したわけであります。まあ私ども小さいときは、漫画というのは子供が読むものだと思っておりましたが、いまは電車の中でサラリーマンが漫画を読んでくる、こういう時代が出てきたわけでございますし、まあ憲法に認められている言論の自由、出版の自由ということと、この漫画あるいは不良図書の問題、ポルノ雑誌の問題というものは、規制というものは困難だろうと思いますけれども、テレビに関してはこれは国家が責任がある程度あるんじゃなかろうか。つまり、電波は国民のものでございまして、新聞、出版社と違ってテレビは認可事業になっております。こういうことで、今年の予算では情報化社会における青少年非行について予算を御審議いただいておりますけれども、私どもといたしましては、総合的な立場からこの日本の次の世代を担う青少年の問題について真剣に取り組んでまいっているところでございます。
#351
○国務大臣(田中龍夫君) 御質問の林委員とはこの問題につきましてふだんからいろいろと御協議も申し上げておりますので、私がいまここで役所的な計数だとか、あるいは処置、対策の名前を並べてみても仕方がないと思います。
 問題は、私は原因がどこにあるかということを考えますと、やはり青少年の心を、あるいはまた青少年の教育を扱っております価値観というものがいま非常に多様化いたしておる。その原因はどこにあるだろうかと思いまするときに、やはり戦後の荒廃、また戦後のいろいろな指導理念の混淆、そういう問題が若い世代の子供に、あるいはまた家庭教育における親、あるいはまた学校における先生それ自体に私は非常に価値観の混淆があると。そういうことから、学校教育におきましては指導要領をつくりましたり、あるいは教科書による指導をいたしておりますが、それだけではどうにもならない。結局、家庭教育から学校教育、それから社会教育、全般に至るその総合された一つの結果としてああいうふうな少年の非行が起こってまいるのじゃないだろうか。本質は私はそういう面。さあそれならこれをどうするかという点になりますと、これから私どもは本当にやはり原点に返って、愛情というものを基本に置いた一つの哲学で律していかなければならない、こういうふうに考えております。
#352
○林寛子君 いま三大臣からお話をいただきまして、それぞれに厚生省、文部省、総理府として対策を練っていただき、また実行に移していただいているわけですけれども、お三大臣とも、心が大事だとか実態調査ということを力強くおっしゃいましたので、これからちょっと実態ということに関していろいろ伺っていきたいと思いますけれども、まず冒頭に、自治大臣・国家公安委員長として先日深夜の新宿を視察なすったということでございますので、実態をごらんになった大臣から、直接実態の所見を伺いたいと思います。
#353
○国務大臣(安孫子藤吉君) 青少年の問題がきわめて重要な時期におきまして、東京においていろいろな場所がございまするけれども、まあ歌舞伎町あたりが一つの典型的なところでもあるのではなかろうかという観点からいたしまして、先般、警察当局とともにあの地域を約一時間半にわたりまして私参っていろいろ状況を見てまいりました。
 参りましたところは、個室のある喫茶店、それからゲームセンター、ビニール本の販売店、それからディスコ、この四カ所でございます。まあ個室のある喫茶店、これには大ぜいの人が入っておりまするし、個室は満員でございます。まあ、あのとき火事でも出たら一体どういうことになるのかなということが頭の中にすぐ出てまいりました。それからゲームセンターでございますけれども、これはどちらかと申しますと、三十前後の人が無目的に、とにかくまあ時間をつぶそうというようなことでゲームに専念をしているような姿が見受けられます。それからビニール本に行きますと、これは十日前に手入れをしたところです。それにもかかわらず満員でございます。そしてその本が全部ございます。いかにビニール本の摘発あるいはこれに対する措置というものがむずかしい問題であるかということを感じます。ディスコに参りますと、まあ皆様、先生なんかは十分御承知だと思いますが、全く熱気あふれるものでございまして、あんなところに一、二時間いたら人間の聴覚がおかしくなるのじゃないかというような状況、しかも狭いところに約五百名でございます。そしてだんだんと聞いてみますと、その中には悪の手といいますか、そういうものがやはり内在しておるわけです。したがって、ここに出入りしている者は大体中学校の上級です。そういう連中があそこでやっておるわけです。しかも、学校の帰りに、学校の制服はコインロッカーに入れまして、出かけるときにはあそこに行く予定でもってその服装を持ってやってきておる、こういうことでございます。
 そういう個所を観察をいたしましたが、まあ総観いたしまして、いろいろ問題はございまするが、日本の文明もここまで乱熟したかという感じがいたします。(笑声)乱熟の後には必ず衰退がまいります。これは一つの歴史の流れでございます。こういう状況で一体日本の将来にわれわれは希望を持ち得るかということを感ずる面もございます。それはひとり歌舞伎町だけではなくて、恐らく日本全国至るところにそういう個所はあるだろうと思います。しかし、私が見ました感じは、一時、前に私あそこ通ったことがあります。そのときから見ますとよほど整然とした姿にはなっております。これは、あの地域の住民の方の自発的な行動によりまして、ボランティアの町内会のメンバーが歌舞伎町を浄化しなくちゃならぬと、こういう意気に燃えまして、自発的にそういう連中が常時七、八名たむろいたしまして、そこには常時来ておりますから、その人を村長さんと言っております。また助役さんもおります。これが常時あの地域の浄化のために努力をしておるわけです。これは役所から言われたわけでもございません。要するに、地域住民の自発的な行動によって歌舞伎町の悪いイメージを払拭し健全な歌舞伎町を形成したいと、こういう意思を持って住民の行動としてそれが行われておる。これはやはりあの歌舞伎町を今後さらに浄化を深めていくための一つの大きな力ではなかろうかと思います。警察は、あそこに常時八名をもって巡らをいたしております。三交代としますと二十四人張りつけておるわけでございます。そして青少年の補導等に当たっておるわけでございます。
 それから、全体的に申しますと、特にディスコなんかにおきましては、保護者というものが一体何を考えておるのかという疑問を持ちます。保護者は、自分の子弟に対しましてある程度の監督なり関心を持つならばそうしたことがある程度は防ぎ得るのではなかろうか。そしてまた、五百人近くディスコを楽しんでおる連中のうち、恐らく一〇%、二〇%程度というものはあそこに出入りした関係で将来大きな人生の方向を見失う者だってないわけではなかろうと思いますと、本当に熱気にあふれるあの中に一つの犯罪の要素があるし、そしてまた、そうしたグループというものがあそこに根を張ってそれをキャッチしようとする状況もあるようでございます。
 まあ彼此考えますというと、表面まことに華やかな姿ではございますけれども、その中にあるものは決して健康的なものではないという感じであります。そこで、あの若者のエネルギーというものをもっと朗らかな明朗な、そうしたところでエネルギーを発散させるようなことをわれわれとしてもお互いに考えていかなくちゃならぬのじゃなかろうかという感じがいたします。同時に、警察の努力、それから町内会の自発的な行動というものに対して私は大変感銘を受けて引き揚げてまいったわけでございます。
 簡単でございますが、申し上げます。
#354
○林寛子君 大臣は初めてそういうところに足を踏み入れられたようで、大変感動していらっしゃるようでございますけれども、実はその根底にひそむものはもっと深刻でございますし、またわれわれは、そういうところに行って発散できる子供は、健康とまでは言えないまでも不健康とは言い切れない、まだ恵まれた方だ。それなれば、発散できない子供たちは一体どれくらい潜在的にあるのか。また、子供たちがそういう親にも言えない、友達にも言えないものを一体どこにどうすればいいのかというような大きな問題が残されますので、実はそういう子供たちの心の相談相手となっていらっしゃいます参考人においでいただいていますので、委員長、参考人に質疑をしたいと思います。
 その前に、時間の経緯を省きますために資料を配らせていただきたいと思います。
   〔資料配付〕
#355
○林寛子君 参考人にはお忙しいところありがとうございました。参考人にたくさんお伺いしたいのですけれども、限られた時間内でございますので、簡潔に、また事実を御経験の中から要領よくわかりやすく教えていただきたいと存じます。
 まず、参考人がいままで青少年の実態をどのように把握するために手順をとっていらっしゃいますか。どういうことをしていらっしゃるかをまずおっしゃっていただきたい。
#356
○参考人(荒川和敬君) 心とからだの相談センターの荒川でございます。
 手短にどうしてこんな相談を始めたかというところからお話し申し上げますが、七年前の一九七四年に嬰児の死体をコインロッカーに遺棄する事件が非常に頻発したときに、これはやはり女性の性意識というものが非常に低下しているのではないかというところから、避妊の知識を普及させようということで、二回線の電話をもって始めまして、女性のためのという頭をつけてそして始めたわけでございます。
 そうしましたところ、一日に五千百四十八回という電話がかかりまして、パンク寸前の状況になった。その中に、対人の相談の要望と、それから自分の性の生き方ですね、どういうふうに自分は生きたらいいのかという問題が非常に多く入ってまいりまして、急選助産婦さんとか産婦人科医、そういった方々を集めまして、そうして相談センターを始めたというようなことです。これは民間のボランティア資金、日本テレホンサービスという私は会社を経営しておりますが、その会社とほかの二社から要するに資金ボランティアを募集しまして、そしてそういう中から現在まで続けてきたわけでございます。
 現在十四名で、一日四名ずつ電話を受けておりますが、毎日六百件余りの電話が入ってまいります。それから、新聞、テレビに報道されますと、これは何と千二百人という子供たちが殺到して電話をかけてくるという状態になっております。ですが、せいぜい、四人で受けておりますので、六十人ないし九十人しか電話を受けられないという状況になっておりまして、現在では、こういう性の問題になりますと、非常に文化的な背景がありますので、大人も子供も全く同じレベルで同じスタートラインに立っているという状況にあるということで、児童センター、それから少年センター、ヤングテレホン、こういったところからも、相談ができないという関係で私どもの方に回してきているという状況です。
 ここ二、三年の傾向は、三年前は大体二十代がトップでしたのですが、非常に低年齢化が進んでおりまして、トップが十代。十代、二十代でほとんど九〇%を占めるという状況になっています。それで、二十代の相談のころには、妊娠かという、妊娠したのじゃないかという相談ございますね、こういう相談が一位にありまして、二位に避妊という相談が入ってきている。ということは、二十代の場合、妊娠かという問題と避妊に対する関心が非常に接近しているということですね。ところが、最近はトップに十代が出てくるに従いまして、妊娠かがトップにありながら避妊に関する関心は七位以下になっているわけです。こういうギャップが現在の思春期の少女の妊娠中絶の増大につながっているものと私は考えております。
 ですから、性教育を観念論で展開するのじゃなくて……
#357
○林寛子君 順次質問していきますから。
#358
○参考人(荒川和敬君) ああそうですか、はいわかりました。
 現在一番問題なのはやはり少女の妊娠ですね。こういう問題をどこにも相談できない。要するに、お父さん、お母さんに話しましたかと聞くと、お母さんに話すとそんなものはとても、何といいますか、私は外も歩けないという形でしかるだけで相談相手になってもらえないということで、私どもの相談室にかけてくるような状況になっております。
 それから、二番目にホモセクシャルが非常にふえているということ、それから、そういう大人のホモセクシャルの人によって被害をこうむっている少年が電話をかけてくる。この中には学校の先生もありまして、それから女性の先生が男の子をいたずらするケースが非常に多いということですね。それから、そのほか、たとえば大人が子供に対する仕掛けというものは非常に大きくて――これは笑い事じゃありませんので、まじめに聞いていただきたい。
 それからたとえば……
#359
○林寛子君 途中で切ってください、順次聞きますから。
#360
○参考人(荒川和敬君) そうですか、はい。
 それから、一番問題としなければならないのは母子相姦が非常に多いということであります。一九七八年に百三十件、一九七九年に百五十八件、一九八〇年に百六十四件ございます。どういう家庭に母子相姦が起こっているかを調べますと、一位が母子家庭、二番目が疑似母子世帯と言われるいわゆる単身赴任とか心情的にお父さんが家庭に存在しない家庭に母子相姦が起こっているということがはっきりデータの上で出ております。こういう形で、現在の青少年の問題点は子供に問題があるのではなくて、むしろ大人側の無節操さにある。
 それから情報公害の問題もそうですが、それから家庭が完全に、何といいますか心の問題から破壊を来しているというのが、はっきりわれわれが受けた相談の中から受け取れるということであります。
#361
○林寛子君 いまいろいろ資料を拝見さしていただいてお聞きのとおりなんですけれども、大体性の問題というのは、どうしてもこういうものを取り上げますと、興味本位にあるいはテレビ、新聞に書かれるだけで、大人は興味本位で終わってしまうのです。けれども、いま三大臣にお話を聞きまして、国家公安委員長が視察なさいましたように、多くの問題を根本的に考えなければならないとすれば、これは興味本位だけでその場限りで終わってしまうのではなくて、やはり実際に青少年の相談を受けた人たちから私たちは何かをくみ取るというようなことに一歩前進しなければ、性の問題は特に興味本位だけで書き立てられその場限りで終わってしまいますので、いま私もこの資料に、皆さんお配りした中にもありますように、母子相姦などということは私たちにとっては考えられない、そんなことは起こり得るはずがないというような考えでしか解釈できないというようなことになりがちでございますので、そういう意味で、現在のこういう青少年に起こっている、いままでの青少年事件と違いました新しい傾向を持つ非行少年の実態というものをやはり真剣に私たちは受けとめなければならないだろうと思います。
 そういう意味で、いま参考人に伺いましたけれども、彼らが電話をかけてくる場合に、伺いたいのは、どういうところに電話番号を教えたら彼らはどっと一日に何千件もかけてくるのでしょう。
#362
○参考人(荒川和敬君) 私どもが相談を始めましたら、マスコミがまず最初に興味本位に飛びつきました。その結果、電話番号が非常に広がったということがありまして、ある意味では、そういう形での最初の電話番号の告知の方法としては間違いではなかったというふうに考えております。
#363
○林寛子君 それでは、重ねて参考人にお伺いしたいんですけれども、電話をかけてくる子供が、もしもいまおっしゃったようにパンク寸前ということで相談に乗ってもらえない子供たち、電話にも落ちこぼれてしまった子供たち、その子供たちはどうなるようにお考えでしょうか。
#364
○参考人(荒川和敬君) 大体いつもの相談の結果を見ていますと、友達に相談をする、その結果、資金カンパをして要するに中絶をするというような状況とか、そういう解決方法が一番多いようであります。そうしますと、たとえば中絶に関する後、親に秘密でやりますので、結局データに出てきておりますのは、そういう中絶経験者が成人しまして不妊を訴えてくるケースが非常に多いということですね。ですから、こういうまま放置しますと、非常に少産時代を迎えている現在、将来ろくな子供が生まれないということをいまわれわれは認識しなければいけないのじゃないかと思います。
#365
○林寛子君 参考人に重ねてお伺いしたいんですけれども、いま参考人もお聞きいただきましたように、政府としては厚生省、文部省あるいは総理府、いろんなところで青少年対策というものをしております。けれども、いまお聞きになったように、多くの窓口は、あるいは県庁の中にあったり、あるいは市役所の中にあったり、あるいは政府の中にあったり、直接子供たちが相談したいというような手近なところにはないわけですね。そういう意味で、いま政府として施策を行っている青少年の窓口というものは、参考人の経験からどういうふうに将来なることが理想でしょうか、提言を含めておっしゃってください。
#366
○参考人(荒川和敬君) まず、大人が上から物を言う、教育指導という立場で子供に接しているのが非常に私は間違いではないかと思うのです。われわれは相談室というふうに名前をうたっておりますが、カール・ロジャーズというアメリカの学者の、要するに相手中心のカウンセリングという仕方でタッチしているわけですが、そうしますと非常に同じレベルでもって、ともに悩み、ともに考えるという姿勢で私たちは話をしますので、子供たちが非常に心を開いてくれます。それから現在やっぱり性の問題というのは彼らの一番生きる根源でありますから、そういう問題を相談に乗るということは、彼らとわれわれとの世代間の断絶を非常に短縮するということにおいて非常に効果が上がると私は考えております。
#367
○林寛子君 総理府総務長官にお伺いしたいと思います。
 いまお聞きになりましたように、とてもこれは時間を費やしているのでは問題が大き過ぎますし、私たち大人がしなければならないというのはもっと大きな、そしてもっと子供たちの側に立った施策が必要だろうと思うのですけれども、先ほどからお伺いいたしまして、厚生省あるいは文部省、各省庁でいままでも、そして今後も、していただいてはおりますけれども、私はいま参考人からのお話をお伺いいただいたように、一つのところで何とかして窓口を、広がれば広がるほど子供たちはとまどうんだということもお考えいただいて、総理府がどこかにいままでの青少年問題というものを一つにまとめて、そしていま広がっているのであれば一本に集中してそれに対処するという方法を今後考えていただけないでしょうか。御所見を伺いたいと思います。
#368
○国務大臣(中山太郎君) いま私も参考人のお話を伺いながら、データも拝見して、非常に大きな問題がやはり深層にひそんでいる。しかも、親たちの知らない世界で子供たちが別な生き方をしているということに実は青少年対策本部を預かっている総理府としては重大な関心を実は持ったわけでございますが、いまの参考人のお話で、電話で、しかもそれがマスコミによって電話番号がそれが子供たちに知れて相談の窓口になったということはわれわれに一つの大きな示唆をしているのではないかと、私はそのように率直に感じたわけであります。
 御案内のように、この日本の行政機構は縦割りでございまして、役所間で責任の分担、しかもそれは法律に基づいているということで、なかなか調整がしにくいのでありますけれども、総理府といたしましては、参考人の御意見、きょうの先生の御発言を踏まえて、早急に新しいシステムというものを開発するように努力をいたしたいと、このように考えております。
#369
○林寛子君 大変前向きな御答弁をいただいて恐縮でございます。ぜひやはり窓口をつけても子供たちがそこに実際に入れる、相談に行けるというような、子供の側に立った施策というものを今後していただきたい。また、してくだすっている中でも、いまお聞きいただいたように、参考人がボランティアでもって自分たちでお金を出し合って、しかもその相談電話を受ける人たちは助産婦さんの経験のある方とか、そういう人たちがボランティアで青少年問題に取り組んでいただいているという、しかもそういうところには政府の補助金は行かないという。補助金カットの話が出ますけれども、そういうところこそ私は政府が真剣に見ていただきたいと思いますので、今後前向きな対策をぜひお願いいたします。
#370
○国務大臣(中山太郎君) 総理府は青少年対策にも相当な補助金を使っております。私どもとしては、いま自民党席からもお話がございましたように、やはり子供の一一〇番というか、そういうふうな感じで、どこの町でも子供たちが電話をかけられるようなシステムというものを考えてみたい。また、それを受け取る側は、やはり児童心理を十分勉強した人たちが社会のリーダーとなって協力するというシステムが若い世代のためにも非常に必要なのじゃなかろうか、そのように考えておる次第でございます。
#371
○林寛子君 参考人、お帰りいただいて結構です。
#372
○委員長(木村睦男君) 荒川参考人には、お忙しいところを御出席いただいてありがとうございました。御退席なさって結構でございます。
#373
○林寛子君 時間がございませんので次の問題に移りたいと思いますけれども、婦人差別撤廃条約批准に関して、いろんな意見が衆議院の方でももうすでに出ておりますので、重ならない程度で私は労働大臣と文部大臣にお伺いしたいと思いますけれども、この婦人差別撤廃条約を批准するに当たりまして、いまどういうような国内法の整備をしていらっしゃいますか。労働省、文部省から伺わせてください。
#374
○国務大臣(藤尾正行君) 御案内のとおりでございますけれども、まず第一に、男女平等法というような考え方があるわけでございますが、それではそういった一体法律が必要なのかどうか。男女平等法という法律をもし仮に必要とする場合に、どの点に平等という問題を当てはめていくべきかというような平等に関する問題、これは国内法といたしましてきちっとした一つの標準を設けませんと、なかなか今後この批准という問題と関連をしてむずかしい問題が起ころうと思います。
 第二番目は、そういった考え方の中で、現行の母性保護という立場から、女子の方々が超過勤務でありますとかあるいは夜間勤務でありますとか、特に深夜業というようなものは厳禁されておるわけでございますけれども、こういったことが一体平等というものの立場から見まして、果たしてそのまま存在していいのであろうかどうであろうか。こういったことをそれぞれの尺度におきましていろいろ当てはめて考えていかなければならぬ、こういうことであろうと思います。
 第三番目は、何といいましても、あと五カ年のうちにこの批准をやるという意思を私どもはこれは表示いたしておるわけでございますから、そういった一つの時間の間にこれらの問題を解決するためには、横に並べてみて、どことどことどことで話し合いを進めていったらいいかというようなことを、現在婦人少年問題審議会等々で考え、また外務省を中心にいたしまして各省間が寄り合っていろいろと相談をしておる、これが現状であろうと思います。
#375
○国務大臣(田中龍夫君) お答えをいたします。
 林先生の御質問は、婦人差別撤廃条約に関しましての家庭科教育の男女履修問題について、具体的な教育の課程の改定について言えという御質問であると存じます。
 まず第一は、昨年の夏の婦人差別撤廃条約の署名の前から、家庭科の教育に関しまして、まず中学校につきましては、昭和五十二年に行いました学習指導要領の改定において、従来の技術・家庭科という男子向きの、また女子向きの区別を改めまして、男子には技術系列から五領域以上、家庭系列から一領域以上を含め、また、女子の方では家庭系列から五領域以上、また技術系列から一領域以上、これを含めましてそれぞれ七領域以上のものを選択履修させております。
 また、高等学校の教育におきましては、五十二年から学習指導要領の改定に基づきまして、家庭一般四単位をこれまでどおりの女子に必修としておりますが、男子の選択履修につきましても明示したところでございまして、これが効果的に行われるように指導いたしてまいっております。
   〔委員長退席、理事亀井久興君着席〕
 また、家庭に関する科目の男女による若干の取り扱い上の差異は、わが国の社会の実情にかんがみまして、男女それぞれに応じました教育的な配慮に基づくものでありまして、この婦人差別撤廃条約との関連で問題がないかどうか、さらに諸外国の実情、また諸外国の本条約の署名後の対応ぶりというものを調査いたしまして、批准につきましては今後外務省とも協議いたしまして対処してまいりたい、かように考えております。
#376
○林寛子君 いま両大臣から、労働問題、文部省関係の学校の履修問題に関して御報告いただいたわけですけれども、国際法などはすでに衆議院の予算委員会で土井議員からも質問が出ておりますので、その二点だけにしぼらしていただいたわけですけれども、いま労働大臣がおっしゃいましたように、平等にすることによって、いま恩恵を受けている女性の優遇ですね、さっきおっしゃった深夜労働であるとか重労働の女性の排除とか、そういういま受けております女性の恩恵というものが、差別撤廃条約をすることによって、日本の社会の中で、むしろそれが男と同じにしろというような暴論が出てくるのではないか。また、いま受けている女性の恩恵というものも、これはぜひそのまま残して考えていただきたいという声も多々あるのですけれども、それでは平等ではないじゃないかというような大変きつい御議論もあるわけなので、その点のところの矛盾点、いままでの恩恵を残しつつ、なおかつ差別撤廃をするかというような矛盾点を残したままこれを批准できるのでしょうか。
 外務大臣、批准の、条約の解釈の問題なんですけど、こういうあいまいな点を残したままでもいいんでしょうか。
#377
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 詳細は政府委員から御答弁しますけれども、この条約は、目的と両立しない留保をつけることは認めないと、こう言っている条約でございますので、あの条約の批准をするまでにはその点は十分慎重に検討しなければならぬと思うわけでございますが、いま林さんおっしゃったことが母性保護の特別措置ということに当たるかどうかとか、これはいろいろ検討しなければならぬことがあるわけでございますので、労働省とは十分相談しますし、署名後の外国の事情等もこれは調査しなければいけませんので、十分に調査をして、目的と両立しない留保はつけられないということでございますから、留保なしでこれは批准するわけでございますので、あと五年間残っているということじゃなくて、なるべく早く批准にまで持っていけるように、承認までいただけるように努力をしてまいります。
#378
○林寛子君 いま外務大臣がお話しございましたように、もともと私は、国内法整備ということを考えないで、国際的体面上サインだけをするというのは暴挙だと思います。日本の国内の事情も考えないで体面だけを保つためにサインをするということは、日本の国際性の弱体をあらわした何物でもないと思います。大変厳しい言い方をさしていただきますけれども、そういう意味で今後批准に関しては国内法の整備、また外務省の解釈、それらすべてを統一していただいて、間違いなきを期していただきたいということを要望だけしておきます。
 時間がございませんので次の問題に移りたいと思いますけれども、ただ大変に、しばらく忘れられといいますか、問題になっていないんですけれども、かつて日中友好条約締結の際に尖閣列島問題が大きな記事として取り上げられ、また私どもも真剣に討論したわけですけれども、そのときに実効支配をするように努力するということで沖縄開発庁に予算がついたはずでございますけれども、沖縄開発庁長官として、その後尖閣列島に対して何か実効支配的なことをなさいましたか、伺わせてください。
#379
○国務大臣(中山太郎君) 数年前に尖閣列島の調査をいたしました。その後はいたしておりません。
#380
○林寛子君 調査をして、調査費を使ったその調査だけで終わって、実効的なものは何もしていらっしゃいませんか。
#381
○政府委員(美野輪俊三君) お答えいたします。
 いま大臣の方から御答弁ございましたように、昭和五十四年度予算によりまして、私ども沖縄の振興開発を庁として所掌いたしておるわけでございまして、尖閣諸島の開発利用の可能性を調査すると、こういう目的を持ちまして、魚釣島、南小島及び北小島について自然的地理的な諸条件等の基礎的な調査、それから幾つかの公共施設等につきまして、その設置の可能性等についての調査を実施いたしたわけでございます。その結果、私ども所期の調査の目的をほぼ達成できたものというふうに考えまして、その調査は五十四年度限りで終了をさせておる次第でございます。
#382
○林寛子君 調査費がついて調査をなすった。しかも、尖閣諸島の特殊調査の委託費が千九百万円でございました。そして陸上施設の設置に関する調査をなすって、いまおっしゃったように五十四年度限りですとおっしゃるんですけれども、調査ができて、たとえば陸上に調査の施設ができるということがわかって、その後設置費をつけないのはなぜですか。
#383
○政府委員(美野輪俊三君) お答えいたします。
 私どもは沖縄の振興開発を全体的に見るという立場で、当然沖縄の区域の一つとして尖閣諸島を見ておるわけでございまして、そこで現実に調査をいたしましたのは、海上の漁港避難港ができないかと、あるいは避難用の係留ブイの設置が可能かどうかと、あるいは陸上の施設といたしましては灯台あるいはヘリポート、さらに無人気象台等の設置が可能かどうかというようなことで調査をやったわけでございます。
 大体私どもの調査の結果といたしましては、海上の施設は非常に困難だ、端的に言いますと非常に波浪の高いところでございまして、まあ設置が不可能に近いという調査結果でございます。陸上施設につきましてはかなりの事業費と、それから日時をかけますれば設置は可能であろうというのが私どもの調査の結果でございまして、その後具体的な施設をどうするかという問題につきましては、私どもといたしましてはその必要度等も含めまして、各省庁において御検討いただけるものというふうに考えておるわけでございます。
#384
○林寛子君 海上保安庁いらしてますか。――海上保安庁にお伺いしたいのですけれども、あの当時、今後尖閣列島付近に関する監視を強化するという話があったのですけれども、その後の状態を御報告ください。簡潔で結構です。
#385
○政府委員(妹尾弘人君) 海上保安庁といたしましては、昭和四十七年復帰以来、巡視船及び航空機等をもって尖閣列島の警備をいたしておるわけでございますが、特に昭和五十三年の御案内のような侵犯事件というものがありました以後におきましては、巡視船艇等も強化して現在に至っております。
#386
○林寛子君 開発庁長官にお伺いしたいのですけれども、沖縄開発庁長官は、沖縄県の五十六年度予算に水産業費として尖閣諸島周辺の漁業調査費というものをつけているのを御存じでしょうか。
#387
○国務大臣(中山太郎君) 存じております。
#388
○林寛子君 これは水産業費ということになっているのですけれども、あの当時、たまたまそこにいらっしゃいます園田厚生大臣は外務大臣でいらっしゃいましたし、尖閣諸島に実効支配をするよう努力するという多くの申し入れというものを、私いまここに控えを持っておりますけれども、当時の園田外務大臣もお聞きいただいたと思いますけれども、沖縄県が水産業費として予算を組んでおりますけれども、沖縄開発庁として予算ゼロということで、いま調査だけで設置計画がないわけですね。そういうものを実効支配するということの政府の態度、いま全くゼロに等しいんですけれども、その辺のところを開発庁長官、沖縄は視察すると言っています。また園田先生恐縮ですけれども、当時の外務大臣として実効支配しない理由が何かあるのかどうか、もう一度教えてください。
#389
○国務大臣(園田直君) 私外務大臣ではございませんから、差し出口はいたしませんけれども、当時実効支配しないと発言した覚えはございません。自分の妻を毎日毎日おれの妻だと、そういうことを言う必要はないと、こう言っただけでございます。
#390
○国務大臣(中山太郎君) 同様でございまして、われわれの領土であるという認識の上に立っております。
#391
○林寛子君 何も国際問題を再燃しようとか、ある国を誹謗しようとかというつもりはなく、日本にとってあの尖閣諸島、尖閣列島付近はやはりシーレーンとして日本には大事なところでございます。また資源もございますので、何とかして、わが女房であると仰せられるのであれば、やはり日本のものだというのであれば、気象観測でも何でもいい、やはりあそこに設置して、日本のものであるということを、この際政府としても御努力いただきたいということで、あえて要望だけに、時間の制限もございますので、残念ですけれども、(「なぜやらないんだ」と呼ぶ者あり)これは改めて、そういう声もございますので、私たち自由民主党の国会議員はみんなで申し入れたことでございますので、改めて時間をとらしていただきたいと思います。
 それでは、時間がございませんので、国民がテレビを見たり新聞を見たり、国会中継あるいはこの予算委員会の総括質問を見ておりまして、国会に対して大変わからない部分があるということでございます。そういうことで、そういう一般の国民が見た国会への不可解というものを集中的にちょっと聞きたいので、なるべく簡潔にお答えいただきたいと思います。法制局からどなたかいらしていますか。
 国会の開会式への出席についてなんですけれども、天皇陛下が国会の開会式に出席されることは、天皇陛下の国事行為ですか。
#392
○政府委員(味村治君) 天皇が国会に出席されますことについては、憲法上の国事行為というふうには私どもは解しておりません。憲法に定める国事行為は憲法第一章に規定されておりますが、それらのどれにも当たりません。しかし天皇は日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴でございますので、そういった天皇の御地位に基づきましていろいろな行為をなさいます。そういうのを私ども公的行為と呼んでおりますが、国会に御出席なさるのもそのような公的行為の一部であろうと存じます。
#393
○林寛子君 それでは、天皇陛下が国会の開会式に出席されることは、憲法の問題はないわけですか。
#394
○政府委員(味村治君) ただいま申し上げましたように、憲法上明文はございませんけれど、天皇の象徴たる御地位に基づく行為でございまして、憲法上問題はないと存じます。
#395
○林寛子君 国会議員というものは、国民の信託を受けて当選しましたら国会に出てまいります。初めての国会の開会式、国民がテレビを見ておりまして、国会の開会式が参議院の議場で行われることはほとんど知られておりません。中継のアナウンサーが親切に言えばわかります。けれども、実際に参議院の議場は議席が四百六十席しかございません。全員出席するならば衆議院が五百十一、参議院が二百五十二、合計七百六十三名の国会議員が全員出席すれば、参議院の議場は立席者が出るはずでございます。けれども、どの開会式をテレビ中継で国民が見ても空席が出ております。だれが欠席しているのか。国会議員の一部に天皇の開会式の出席を理由に開会式に出席しないことにしていらっしゃる方がある。
   〔理事亀井久興君退席、委員長着席〕
国民はそういうことを知らないんです。そして総括で伺っておりましても、憲法論議がされるときに憲法を遵守しなければいけない、憲法改正はいけないという論議が多々ある中で、国民の審判を受けた国会議員が、開会式に国会議員は出る義務があると思われますけれども、出席するのは義務だけですか、法的に。
#396
○政府委員(味村治君) 私は内閣の法制局でございますので、ただいまの御質問はもっぱら国会のことでございますので、もし国会の方が御出席でございましたら、国会の事務の方から御答弁いただきたいと存じます。
#397
○事務総長(前川清君) 国会の開会式は、国会法上の定めがございます。また、これは衆議院議長が主宰して行われるものでありまして、その面におきましては公式な行事でございますが、国会の本会議とか委員会のように特段に定足数の定めもございません。したがいまして、法律上出席の義務があるとは考えられません。
#398
○林寛子君 けれども、少なくとも国会議員に義務がある以上、開会式冒頭から天皇陛下が見えているから気に入らないというのでは、われわれの子供が学校の入学試験を受けて合格して、校長先生が気に入らないから入学式に行かないというのも欠席届が要るわけです。少なくとも国会議員の義務として、国民にとっては奇異に感じることだろうと思いますので、あえて質問させていただきました。多くの疑問を持っております。
 それから続きまして、本名と芸名、ペンネームの差別でございます。
 委員長は私に「林君」とおっしゃいます。予算委員会の中継を見た国民の中には、「あなたは、扇さんは林さんという席にどうして座っているの」という素直な質問が参ります。また、参議院の入り口では、面会に「扇子景」と書くと、面会証は返されます。本名を書き直さなければなりません。そしてまた、私が外国に行きましても、衆議院の人たちに外国の高官が「林議員によろしくね。」と言ったら、「国会に林寛子なんていないよな。」ということで、にせものになります。そういう意味で、衆議院でこれは定かではございません、ここにあるんですけれども、衆議院の、恐縮ですけど名前を出さしていただきます、不破議員がペンネームだと伺っております。そして参議院だけが本名であるということの是非、なぜ衆参で差別があるのか聞かしてください。
#399
○事務総長(前川清君) 衆議院のことはつまびらかにいたしませんが、参議院におきましては、内閣から当選通知が参ります場合にその当選通知に記されている氏名、すなわちこれは公職選挙法の施行令でございますか、戸籍簿上の氏名が載っております、それを使用しております。
#400
○林寛子君 時間がございませんので、私は本名でもいいんですけど、国民が疑義に思っておりますのであえて聞かしていただきました。
 それから、国会の予算は予算案の枠内でしょうか、枠外でしょうか。大蔵大臣。
#401
○委員長(木村睦男君) 林君、時間が参りました。
#402
○政府委員(松下康雄君) 御審議をいただいております予算の枠内でございます。
#403
○委員長(木村睦男君) 林君、時間が参りました。
#404
○林寛子君 時間がありませんから、一言だけ言わしていただきます。衆議院は、新聞の報道によりますと、開会しますと一日約一億かかる計算になります。参議院は約六千万かかる計算になります。衆参合わせて一日開会で一億六千万の国民の税金が使われております。にもかかわらず、たびたび審議がストップしたり、また、とめている男を「とめ男」ということで新聞では称賛して勲章のように書かれます。国民は大変わかりません。そして国民の税金で開会されているこの一億六千万というおおよその一日の経費、それがだれもチェックをしない。そして心を改めないというのでは、国民は税金が上がるのだけでは納得いかない。一億六千万のおおよその一日の経費がかかる、税金を何とかするためにも、国会審議を拒否する場合は、審議を拒否している政党に、自民党も含めてです、政党に損害請求したらどうかという案があるんですけれども、大蔵大臣どうですか。
#405
○国務大臣(渡辺美智雄君) 審議を拒否した人に損害賠償しろという話でございますが、これは私の所管事項かどうかちょっと、何分国権の最高機関のやることでございますから、ちょっと大蔵大臣の手の届かないところでございまして、お許しを願います。
#406
○林寛子君 ありがとうございました。(拍手)
#407
○委員長(木村睦男君) 以上で林君の一般質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#408
○委員長(木村睦男君) 次に、馬場富君の一般質疑を行います。馬場君。
#409
○馬場富君 一般質問を行います。
 最初に、防衛庁にお尋ねいたします。
 有事法制について防衛庁内で検討を続けてみえるという有事法制化の研究はいつごろには結論が出るか、見通しをお願いいたします。
#410
○国務大臣(大村襄治君) 有事法制についてお尋ねでございます。お答え申し上げます。
 有事法制の研究は、自衛隊の任務遂行に必要な法令について、問題点の整理を目的として行うものでありますが、研究の対象が広範であり、かつ防衛庁以外の省庁等の所管にかかわる検討事項も多いので、検討の結果を得るには相当長期間を要するものと考えております。現在防衛庁の所管の法令にかかるものを中心として検討を進めているところであり、今国会中に中間報告することができるよう一生懸命努力しているところでございます。
#411
○馬場富君 それじゃ今国会中に中間報告をぜひお願いいたします。
 研究の内容のすべては終わった時点で国会に報告するか、または国防会議で検討するようになると伺っておりますが、この点はどうでしょうか。
#412
○国務大臣(大村襄治君) 有事法制の研究の成果は、今国会中に中間報告することができるよう努力していることは先ほど申し上げたとおりでありますが、有事法制の研究を終了した段階においても御報告したいと考えております。また、国会に御報告するに際しましては、国防会議でも御検討いただくことになるものと考えております。
#413
○馬場富君 この研究はいかなるメンバーで行われているのか、その点もひとつ明らかにしていただきたいと思います。
#414
○国務大臣(大村襄治君) メンバーについてのお尋ねでございますが、有事法制の研究は内部部局、統合幕僚会議及び各幕僚監部の法規担当者等が隔週一回程度の会合を持って検討を進めているところでございます。
#415
○馬場富君 もちろんこの問題は現行の憲法の枠内である、こういう前提で行われておると、こう思いますけれども、やはりその点についてはかなり心配な向きもございますが、これははみ出すことがないかどうか、この点ちょっと念を押しておきます。
#416
○国務大臣(大村襄治君) 憲法の枠内であることは申すまでもないところでございます。
 そこで、有事法制の研究は、先ほども申し上げましたように、法制上の問題点の整理を目的とするものでありまして、近い将来に国会提出を予定した立法の準備ではないということは五十三年九月の見解で明らかにしているところでございます。したがいまして、有事法制の研究で整理された問題点を法律改正等により具体化することをどういうふうに取り扱うかはまた別途に検討すべきものであると防衛庁としては考えておるところでございます。
#417
○馬場富君 またこの研究は必然的に新たな立法、法律の改正、特に自衛隊法の改正につながらざるを得ないと、このように私どもは思うわけですけれども、この点はどうでしょうか。
#418
○国務大臣(大村襄治君) 先ほども申し上げましたように、直ちに法律の改正をする、そのための準備ではないということでございますが、御指摘のように法律改正等の必要を生ずる場合もあると思うのでございますが、法律改正をどうするかはまた別途検討すべきものと考えております。
#419
○馬場富君 たとえば領海侵犯等に第一義的に海上自衛隊が対処できるようにすることもやはり検討されておるのではないかと、こう思いますが、どうでしょうか。
#420
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 領海侵犯にも海上自衛隊が対処できるような法律改正を検討しているかどうかという趣旨のお尋ねだと思うのでありますが、御指摘の点については研究の対象とは考えておりません。
#421
○馬場富君 この点の最後ですが、これについては土地収用法の改正だとか、あるいは自衛隊法の百三条に関する罰則の設置等、各種の現行法律の適用除外あるいは改正も研究の対象となっていると思いますが、この点はどうでしょうか。
#422
○国務大臣(大村襄治君) 他省庁所管の法令につきましてはまだ検討が進んでおりませんので、具体的に申し上げる段階には至っておりません。
 また、自衛隊法第百三条に罰則が設けられていないことは事実でございますが、この点につきましては、国民の権利義務に関係のある問題でございますので慎重に検討しなければならない、さように考えている次第でございます。
#423
○馬場富君 ここで防衛庁に質問がかわりまして、防衛庁の決算の中で防衛庁艦船建造費余剰金の使用の疑義について質問をしたいと思います。私はここで具体的な事例を挙げながら、防衛庁関係決算報告書に疑義のある点の予算執行に関する責任の所在を問いたいと、こう考えておるわけであります。
 時あたかも防衛予算の増大の予算審議の中で、政府の姿勢をここでお尋ねいたしましてシビリアンコントロールの問題にも触れたいと、こう思って、今回は海上自衛隊の面にのみ触れますが、調査は陸上自衛隊、航空自衛隊にもいま手を出しておるわけでございますが、まず最初に会計検査院に、昭和五十二年度の総理府所管継続費決算報告書における四十八年度乙型警備艦、同潜水艦、四十九年度甲型警備艦のそれぞれの建造費額、不用額をお示し願いたいと思います。
#424
○説明員(堤一清君) 昭和四十八年度乙型警備艦建造費は八十一億三千百二十九万七千円でございます。それから四十八年度潜水艦建造費は百五十二億三千二百十七万二千円でございます。それから四十九年度甲型警備艦建造費は百二十九億八千七百九十三万一千円でございます。いずれにつきましても不用額はゼロとなっております。
#425
○馬場富君 では、ここでいま会計検査院がお示しになりました決算の中で、四十八年度の潜水艦建造費、「やえしお」の関係で「やえしお」以外に他に使われた、私どもが資料をいただきました五件について御説明願いたいと思います。
#426
○政府委員(和田裕君) 先生おっしゃいますとおり、「やえしお」のために購入いたしました予備品、いわゆる予備品等がその後他の船に搭載されたという事実はございますが、まずその品目について申し上げますと、探信儀用目標指示機、それから探信儀送信器用の電源盤、それからレコーダー、この三点が「たかしお」というのに積まれております。
 それで、この搭載年月日は、いま申し上げました順序で、それぞれ昭和五十三年八月三十一日、それから五十三年の八月三十日、それから最後のレコーダーでございますが、これは五十三年の四月二十六日ということでございます。いずれもこれを納入いたしました場所は、「やえしお」の定係港、これはいわゆる母港といいますか、所属している港でございますが、定係港でありますところの呉の補給所に納入したと、こういうことでございます。
 事実関係は以上のとおりでございます。
#427
○馬場富君 いや、五件。
#428
○政府委員(和田裕君) それではあとの二点を申し上げますと……
#429
○馬場富君 いまは「たかしお」でしょう。
#430
○政府委員(和田裕君) はい、「たかしお」でございます。
 「あやなみ」につきましては、模写受信器というのが昭和五十三年の九月五日に搭載されております。
 それから信号発生器でございますが、これは昭和五十三年四月八日から呉の潜水艦の基地隊に納入され保管されていると、こういうような状況でございます。
#431
○馬場富君 いま説明していただきましたように、これはいま五件でございますが、これは「やえしお」に搭載する予定ではあったわけですが、これはいま御説明のように、「たかしお」だとかあるいは「あやなみ」とか呉の潜水艦と、こういうほかの船に搭載されておるわけですけれども、これは最初から他の艦船に搭載する予定で購入したかどうか、そこのところをお尋ねしたいと思います。
#432
○政府委員(和田裕君) これは当初から「やえしお」用ということで調達したものでございますが、物品として管理いたします上で、他の艦船で当該物品と同種の品目が欠落しているというふうな場合には、物品の効率的な運用を図るという観点から他の艦船への搭載を行ったものでございます。
#433
○馬場富君 そこのところをちょっとはっきりしてほしいんですが、「やえしお」に搭載すべきそういう予算において他の艦船の搭載のものに乗りかえたと、そういう点の説明をちょっともう少しはっきりと、どういう意味で他の方に積みかえたかを御説明願いたい。
 あわせまして、このような購入の例は通例として行われているのかどうか、この点をちょっとはっきりしていただきたいと思います。
#434
○政府委員(和田裕君) 先ほど御説明いたしましたように、いずれもこれは「やえしお」用ということで年度内に、といいますのは、申し上げました五十三年三月三十一日までに「やえしお」の定係港である呉の補給所等――等というのは、呉の潜水艦基地隊が入っておりますのであえて等と申し上げますが、に納めたものでございますが、その後さっき申し上げましたような物品管理上の観点からほかの船に転用搭載したものでございます。
 その次に、そういう例があるかということでございますが、そういう例がございます。
#435
○馬場富君 じゃ、そのような例があるなら、何件ぐらいあるのか、それともまたこんなことが通例になっているか、それをはっきりしてもらいたい。
#436
○政府委員(和田裕君) 突然の御質問なんでちょっとすぐに出てまいりませんので、調べさせていただきたいと思っております。
 それからもう一つ、そういうのが通例であるかどうかという御質問でございましたが、通例というのは一体どういう意味かでございますけれども、たまたまこういうことで、ある艦のために買いました物につきまして、自後物品管理上最も効率的に使用するためにほかの船に積んだ方がいいというような事態が起こりました場合には、そのようにするということはございます。
#437
○馬場富君 いま答弁がございました件について、このようなことが通例的に行われておるというような点で、調査の上報告すると言っておりますので、委員会の名のもとに、ひとつ後日委員長のもとにこれを通して報告をしていただきたいとお願いしたいと思うんですが、よろしゅうございますか。
#438
○委員長(木村睦男君) ただいまの件は理事会で協議をいたします。
#439
○馬場富君 ここで防衛庁長官にお尋ねしますが、「やえしお」の建造費はあくまでも「やえしお」に使われるべきです。これ以外に使ってはならぬと、私はそう思います。他船のために使われてもいいというわけは私はないと思うんですが、長官どうでしょうか。
#440
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 予算の執行が予算の目的に従って適正に行われなければならないことは御指摘のとおりだと思います。ただ、本件の場合、実態関係を見ますると、購入された予算の物品の管理の面もございますので、そういった面から見ますると、必ずしも適正を欠いておったものとは考えられないと思っております。
#441
○馬場富君 その答弁は納得できませんが、ここで大蔵省と会計検査院にお尋ねしたい。
 この費用は、先ほど提示したように、継続費の艦船建造費は個艦ごとの総額が計上されております。すなわち、これは独立した項を越えた支出は国会の議決を経なきゃならぬと、こういうことになっております。それにもかかわらずそういう項を越えた使用が行われたという点ですね、財政法第三十二条、第三十二条をひとつもとにして、この点について大蔵省と会計検査院においてこういう問題ができるかどうか御説明願いたい。
#442
○政府委員(松下康雄君) 財政法におきましては、ただいま御指摘の第三十二条で、「各省各庁の長は、歳出予算及び継続費については、各項に定める目的の外にこれを使用することができない。」と定めておりまして、国会の議決科目でございます項で定めております目的、内容に従って予算は執行をされなければならないということを定めてございます。
 なお、その例外の場合といたしまして、財政法三十三条の一項に予算の移用の規定がございまして、「予算の執行上の必要に基き、あらかじめ予算をもって国会の議決を経た場合に限り、大蔵大臣の承認を経て移用することができる。」というふうに定めているところでございます。警備艦の建造費は、御指摘のように、一艦一項でございますから、その項の間の移用ということは認められてないところでございます。
 ただ、私も先ほど来の御質疑を伺っておりまして、詳細な事実関係がよくわかりませんので、いま問題になっております一つの艦の積載すべき部品がほかの艦に使われたというものが、最初からその艦の建造費を削りましてはかの艦の建造費をふやすという措置でございますと、確かにこの規定に違反をすると思うのでございますけれども、場合によりまして、たとえば通常の一つの艦の艦上に装備しておりますいろいろな装備品については、その性質によりまして、補給部品でございますとか予備品でございますとかを購入をすることはあり得ると思います。それらの予備品等が幾つかの艦に全く共通のものでございまして、あるいは予備品として一括プール運用した方が適しているというような事情が仮にもしもあったといたしますというと、それは財政法上の問題と申しますよりも、今度はその予算執行の後の物品管理という問題でございまして、その物品の管理の手続として適正に行われていたかどうかという問題になります。それは内容の実態によって違ってまいると思います。
#443
○説明員(堤一清君) 一般論でございますけれども、特定の艦船の建造費をその艦船以外の装備品に初めから使用することを意識してやったとしますと、先生御指摘のように予算に違反するんじゃないかというようなおそれがございますけれども、本件の場合には「やえしお」の装備品として買っておりますので、予算の執行という点については特別に問題はないんじゃないかと、こういうふうに考えます。
 購入した装備品でございますが、物品というのはそれぞれ相当に広い範囲の用途があるわけでございます。したがいまして、他の方面で緊急度の高い必要性が生じた場合にそっちに転用をするというのは、物品の効率的な使用と申しますか、そういう点から考えても特に問題はないのじゃなかろうかというふうに考えております。
#444
○馬場富君 いま、防衛庁長官、物品の管理上からということでこういうことをおっしゃいましたが、大蔵省と会計検査院の見解も出ました。それから項を越えた支出については、そういう物品の管理上からということで行われたとしたら、今度の膨大な防衛予算の増大がそういうことで使用されたということになってきたら、これは大問題です。こんなことが許されていいわけはないと思うんです。これは適切な処置をすべきだし、それからそういうことをしなければ大きい間違いが起こる、そういうふうに私は思いますが、どうですか。
#445
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 予算の執行はその目的に従って行わなきゃならない、これは先ほどもお答えしたとおりでございます。
 本件の場合、「やえしお」用として予算に掲げましたものを、「やえしお」用として購入した物品をその後「やえしお」以外の方に充てたということでございます。予算執行の面においては落ち度はない。購入された物品を当初の予定された艦以外に充当した。そういう意味では物品管理上適正であったかどうか、そういう問題ではないかと私は考えまして、先ほどもその趣旨で御答弁を申し上げたという次第でございます。
#446
○馬場富君 そんな答弁では私は納得できません。そんなことをしたら、物品管理上ということで、今後の予算の執行について大きい間違いが起こったとしても、物品管理上の問題でみんな解決しちゃうじゃないですか。そんなことは私は、先ほどの大蔵省の説明どおり、やはりこの事実をきちっとしっかりした上ではっきりとこれは法に照らした解決をしていかなきゃならぬ、こう思いますので、まだ続けて質問を行います。
 この問題につきましては、先ほど後から御報告するとおっしゃいましたけれども、私が調査した段階だけでもまだ、「やえしお」「のしろ」「ゆうぐも」についてその余剰金が他の装備の関係に使われておるということがるるあるわけです。その予算額についても、私どもがはじいた三艦だけでも項を越えた他の流用というのは十六億円余に上っておるわけです。この点防衛庁長官と大蔵大臣の見解をお伺いしたい。
#447
○政府委員(吉本実君) いま先生の御指摘のありました十六億円余という数字については、私まだチェックをいたしておりません。いずれにいたしましても、予備品の購入という話が出ましたけれども、これは四十八年度間ないし四十九年度間でございまして、そのときに契約はしておらないわけでございます。ですから、最初からほかの船に搭載するために契約をしているわけではないのでございまして、五十三年の船ができ上がるそのころに契約をして、五十三年の末に納入された。それで本艦に使うためにそろえたわけですけれども、その後の事情で物品管理上ほかの船に積む緊要度が出てきたということでございますので、そちらに供用した。そうでなければ、ほかの船にその物をまた買わなければならない、こういうことになりますので、効率的運用の面から、物品管理上の面から言ってそれで間違ってはいない、こういうふうに考えておるところであります。
#448
○政府委員(松下康雄君) 私どもも予算の適正な使用を図るという意味で、後ほど防衛庁から事情もよく聞きまして、今後仮に改善をすべき点があれば、いまの物品管理上の問題等につきまして相談をしてまいろうと考えております。
#449
○馬場富君 私はいまずっと、いままでの質問の中でも防衛庁の立場を考慮して質問しておるわけです。それで、これは一部のことだけ私は申し上げております。
 私の調べたところでは、「やえしお」の建造費で購入された装備品の中で明らかに他の艦に供用されたというものは、私が艦名数えただけでも、「ゆうだち」「たかしお」「かとり」「なるしお」「あやなみ」「おおしお」「はるな」「くろしお」「はるかぜ」と、このように実は装備品が各艦船に流用されておる、移用されておると、こういうふうになっておるわけですけれども、何度も申しますが、これは全部の実態をつまびらかに私どもも調査しますし、またそちらからの提示もありまして、これが先ほど大蔵省の言っておる財政法上どうかという問題もきちっとして、やはり国民のためにこれは変な流用をされたのじゃ困りますし、これから防衛費が大幅に増大してきます。その中で、先ほどのような管理上の問題ということで解決されたならば、どういう移用だってできることになってしまう、こう思います。そういう点で、いま一度この点につきまして、委員長にもお願いいたしますが、この問題についての全部の防衛庁の実態を委員長のもとに報告していただきまして、そうしてこれはその資料をもとに私の方と照らし合わせてみましてまた後日この委員会ではっきりさしたいと、こう思います。お願いいたします。
#450
○国務大臣(大村襄治君) ただいま御指摘の問題含めましてよく調査して、また御報告さしていただきたいと思います。
#451
○馬場富君 この問題、最後に会計検査院にお尋ねいたしますが、この事実を会計検査院は知ってみえますか、こういう方法を。
#452
○説明員(堤一清君) ただいま手元に詳細な資料がございませんので、先生御指摘のすべての品目について確認はしておりませんが、「やえしお」の予備品がほかに転用されているという事実については承知しております。
#453
○馬場富君 その他についてはどうですか。
#454
○説明員(堤一清君) その他につきましては、ただいま手元に資料がございませんので確認ができませんが、多分そういう事例はあるのじゃないかと思われます。調査の上確認したいと思います。
#455
○馬場富君 資料の提出の期限でございますが、この予算委員会中に委員長のもとに御提出願いたいと、こう思います。お願いいたします。
#456
○委員長(木村睦男君) 防衛庁、いま馬場君の方から資料についていまのような質問がございましたが、それについて答えてください。
#457
○政府委員(和田裕君) お答え申し上げます。
 予備品といいましても、先生御存じかと思いますが、非常に膨大な数になるわけでございまして、これにつきまして非常に短時間でお調べするということはなかなかむずかしいと思いますので、主なものにつきましてとりあえず調べさしていただきまして、お時間に間に合わせるようにさしていただきたいと、そういうふうに考えております。
#458
○馬場富君 私どもも問題を提起して国会で国民のために審議しておるわけです。だから、庁を挙げても、これは重大問題ですから、きっと期間内に提出してもらいたい。委員長からひとつよろしくお願いしたいと思います。
#459
○委員長(木村睦男君) 期間内といいますと、いつまでということですか。
#460
○馬場富君 予算委員会中ですね。
#461
○委員長(木村睦男君) 予算委員会の終了までですか。
#462
○馬場富君 ええ。
#463
○委員長(木村睦男君) 防衛庁に聞きますけれども、予算委員会の終了までにいま装備局長が答弁された内容の資料が出せますか。
#464
○政府委員(和田裕君) さっき申し上げたとおりでございますが、ただ一点御了承を得たいのは、予備品につきまして全部内容を申し上げますと、その船の主要なる性能というのが明らかになってしまいまして、その防衛上の観点からいたしまして申し上げられない点がございますので、その点につきましては若干の制約があるということにつきまして御了承を得たいというふうに考えております。
#465
○馬場富君 先ほど来何回も言っておりますけれども、私の方はずいぶん考慮してこれは質問をしておるわけです、長官。それだから、やはり予定のような期間でどういう方法を講じてでもひとつ出してもらいたい。さもなくば私の方からこれは全部提出してもいい、よろしくお願いします。
#466
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 御要望の趣旨はよくわかりました。いま政府委員からお述べしましたような事情もございますけど、最大限の努力をいたしたい、そう考えております。
#467
○馬場富君 じゃ、質問を変えまして、財政再建の中で行政改革を中心に質問をしてまいります。
 五十六年度予算案が発表されまして以来、国民の中に政府に対する大きい不満の声が起こっております。それは、昨年の国会、あわせましてこのダブル選挙を通しまして、政府は常に綱紀の粛正、行政改革を断行してみずからの姿勢を正す、そして増税は行わないことを実は公約してきましたが、それ以来初めての予算審議が今回の審議でございます。まあこの予算を見ますと、やはりそこで昨年の約束とはうらはらに増税が大きな柱となってあらわれて行革が細っておるというのは、これはだれしも認めるところでございます。これにつきまして、国民の中には、政府は公約違反ではないかという声すら出ております。これについて行管長官と官房長官のひとつ御答弁を願いたい。
#468
○国務大臣(中曽根康弘君) 簡素にして効率的な政府をつくり経費を節減するということは、かねて公約してきたところでございますが、今回におきましては国債を二兆円これを思い切って削減するという措置に出まして、そういういろんな関係から着手の増税をお願いせざるを得なくなったことはまことに遺憾のきわみでございます。しかし、その一面におきまして、政府といたしましてもできるだけの努力はしたつもりでございます。いま御審議願っておりまする特殊法人から納付金を初めて出していただくとか、あるいは補助金の整理あるいは人員の削減等につきましても、昨年以上の努力をしたつもりではございます。しかし、結論的に考えてみますと、やはり増税というものは、財政規模の肥大化を招いて、そしてややもすれば経費の乱費を招きやすい、そう言われていることも私たちも真に耳を傾けて聞かなければならぬ情勢であると思います。そういう経験を踏まえまして、今度七月に第二臨調で緊急問題に対する答申を得たいということでございますが、土光さんも増税のない行革が先行した財政再建を目指しておられまして、われわれもそれに共鳴しておるわけでございますが、ぜひその線で最大限の努力をしてみたいと考えておる次第でございます。
#469
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま行政管理庁長官がお答えになられたとおりでございますが、特殊法人につきましての国家公務員のいわゆる天下り等も徐々に減ってまいっておりまして、さらに努力を続けてまいりたいと考えております。
#470
○馬場富君 いま中曽根長官の答弁の中に出ました。大蔵大臣に質問しますが、第二臨調の土光会長も、増税なしの財政再建が可能なことを新聞等で発表しております。また、鈴木総理も同調のようでございますが、大蔵大臣はどうでしょうか。
#471
○国務大臣(渡辺美智雄君) 可能な限りやってみたいと思っております。これはやってみないことにはわかりませんから、皆さんの御協力が全面的に得られればできるでしょうし、そうでないとなかなかむずかしい。私は極力その趣旨に従ってやらしていただきます。
#472
○馬場富君 ここで、第二臨調が発足されましたが、この経費と今後のあり方についてお尋ねいたします。
#473
○国務大臣(中曽根康弘君) 経費はたしか三億五千万円程度の経費をいただいたと思います。
 それから今後の運営につきましては、委員の皆さんが二十二日に第二回目の会合を持たれまして、議事運営あるいは今後の審議のタイムテーブルをおつくりになるだろうと思います。総理も七月に緊急課題に対する御答申を得たい、そう言っておられますし、土光さんもそれをやると言っておられますから、当面はその問題に全力を傾注していただいて、それを終わって、次にやや中長期的な問題にかかるのではないか、そう思います。
#474
○馬場富君 ここで、長官は第二臨調発足前に、九日に、土光会長以下四名の第二臨調の委員とお会いになりました。そのときの模様を御説明願いたいと思います。
#475
○国務大臣(中曽根康弘君) これは発足を前にいたしまして、委員の皆さんもいろいろ心配なすっている点もあるやに見受けられまして、そこで懇談をしたわけでございます。これからどういうふうに委員会を構成して、どういうふうに運営していくか、タイムテーブルとしてどういうようなことをいつごろ審議するのが適当であろうか等々につきまして、自由な意見交換をいたしました。
 以上でございます。
#476
○馬場富君 やはりこの会合というのは、新聞等の報道から見ましても、第二臨調発足の点について鈴木総理が土光会長に会長を依頼した、そのときに本気でやる気があるのかということに対して、本気だ、だがそれだけでもなお一つ心配な点があるので、長官と四名の方がその点の真意を確めることが一つは大きい目的だったと、こういうふうに聞いておりますが、どうでしょうか。
#477
○国務大臣(中曽根康弘君) 別に真意を確める必要はないのでございまして、電話で総理が土光さんに会長就任を要請なさいましたときに、土光さんから総理は本気でやるかという御質問がありまして、やりますとおっしゃって、男子の一言でございますから、それ以上何もくどくやる必要はないのであります。総理はきょうも日本商工会議所の総会に出まして、政治生命をかけてやると言明されておられるのは一貫したお考えの表現であると考えております。
#478
○馬場富君 そのときのじゃ報道等は全部うそかということになりますが、特に主眼点は、そういう点で本当にやはり長官に対して四名の方々が、いままでの経緯からして、一つは実行がどうなんだという点でかなり詰め寄られたと、場合によっては、この新聞報道等を見ますと事情がわからぬのじゃないかというほど詰め寄られたという話も出ておりますが、これはどうでしょうか。
#479
○国務大臣(中曽根康弘君) そんな深刻な会ではありませんでした。和気あいあいとして、今後どういうふうに実効ある審議をやっていこうかと、そういう事務的な話でございまして、お互いが命がけでやろうという点はもうすでに前提条件になっておりました。
#480
○馬場富君 では、ここで第二臨調発足とあわせまして、それじゃ過去に第一臨調が非常に予算をかけ、また時間をかけて膨大な資料をつくられました。また昨年は、宇野行管庁長官のときに、この国会では行革問題が中心に論じられました。その中で五十五年行革という計画も出されておりますが、この点についての実施状況はどうでございましょうか。
#481
○国務大臣(中曽根康弘君) 第一次臨調につきましては、いろいろ御批判をいただきまして恐縮でございます。
 項目にいたしますと約四十項目のことが立てられまして、行管庁の役人の調べによりますと、大体三十一ぐらいは手をつけ、一〇〇%とは言わないけれども、実行したと、したがって大体七、八割はやったと行管庁の人たちは考えております。
 やったことの中で大きいのは、たとえば総定員法であるとか、あるいは国土庁の設置であるとか、あるいは行政の簡素化では貿易及び資本の自由化をやりまして、許認可事務を思い切って切ったとか、いろんなそういう点もございます。今度の議会で御審議いただいておりまする定年の問題もその中に入っております。しかし、内閣補佐官制度以下総務庁の設置とかあるいは総合開発庁の設置とか、いろいろ言われでいるところができなかったのもございます。その中には、やる勇気がなくてできなかったのと、時世の変化によってやることが適当でないと思って風化したものと二つあると思います。
 たとえば内閣補佐官制度のようなものは、法案まで提出しましたけれども、これは通らなかった。しかしその過程において、高度経済成長時代がだんだん過ぎていきまして、当時言われたようなトップダウン方式の大きく総合調整するというような、むしろ仕事を大きく広げるようなタイプの性格から収斂していくという形にだんだん変わってきたわけでございまして、日本の風土に必ずしも内閣補佐官制度は合わぬというような反省も生まれまして、これは風化されてきたので、現在は大体補佐官制度を支持する考え方は非常に薄れてきておると思います。そういうようにして、時代の変化とともに風化したというものもございます。
 しかし、やらなきゃならぬ問題でやってないものもあります。それはたとえばブロック機関の整理であるとか、あるいは人間の削減、あるいは省庁間の思い切った異動、そういうような点についてはまだまだやり足りないところが多いのでございます。
 それから五十五年行革につきましては、宇野君は非常によく健闘をされましてよくやったと私は思いますが、これもいまそれを受けまして、去年の臨時議会でブロック機関の整理であるとか、そのほかいろいろお世話になりました。また今回におきましても、住宅公団と宅地開発公団の合併であるとか、そのほか幾つかの法案を御審議願っておるところでございます。
 そういうようないろいろな積み上げで、いろんな面から努力を積み重ねて総合的に行政改革の実を上げていかなければならぬと思っております。
 具体的な点は、もし御命じがありますれば、政府委員に答弁させます。
#482
○馬場富君 長官が四十項目中ほとんど手をつけたと、これはかって衆議院でも答弁されておりますが、私はそれを信用して全部調べてみましたが、そんなことは全然ございません。長官はまた勘違いしてみえると思いますが、定員法の問題やらあるいは一省一局の削減は、これはあれですよ、第一臨調の答申じゃございませんよ。これは内閣が出されたものであって、これは勘違いしてみえますよ。そういうよその――臨調の計画の中で実行されたというのは、四十項目中ほとんどが手をつけられたという状況じゃなくて、手をつけられてない方が多いと言っても私は過言でないと思うのです。それなら本当にこれ時間があれば私は全部資料を出してやりとりやってみてもいいと思いますが、四十項目中ほとんど手をつけたということではなくて、本当に項目からいけば八、九項目しか手がつけられてないと、こういう実情です。だから私は、そういう点について、結局第一臨調ができ、また五十五年行革がやられても本当に実行がなされなければ何にもならないと、こういう点について長官どうでしょうか。
#483
○国務大臣(中曽根康弘君) 第一次臨調がどの程度実施したかというところは、御精査をいただいて恐縮でございますが、まあ当庁の調べによりますと、たとえば内閣の運営の改善で官房長官国務大臣制を実施したとか、あるいは総合開発庁の設置という点では国土庁を設置したとか、あるいは部局の整理統廃合及び新設抑制、これでは一省一局削減あるいは課や室、官の整理、これらを行ったとか、あるいは審議会の整理統合等も累次計画をつくってこれを実行したとか、あるいは貿易関係の許可認可の簡素化、これも外為法の改正以下そのほかをやったとか等々、行政管理庁の調べによりますとかなり手をつけておると思います。
 ただ、非常に急所で、ともかく一番実効性があるという点は逃げたのではないか、機構問題とかあるいは人間問題とかあるいは補助金問題とか、そういうような痛みの一番多いところは逃げたのではないかと批判されるかもしれません。これはやっぱり行革というものがどうもそういう性格を持っているらしいので、それを克服するのがわれわれの当面課せられた課題ではないかと、そのように反省しております。
#484
○馬場富君 私は全然長官の言うことは納得できませんが、まあ一つ言ってみましても、たとえば第一次臨調の中の「行政事務の配分に関する改革意見」等につきましても、これは二十二の例を出して示されておりますけれども、この中でできたのはわずか五、六件ですよ。これは一つですけれども、ほかの関係についても全部そういう実態でございます。だから、これをあえて私は詰めようといたしませんが、ここで先般も第二臨調の発足に伴いまして、第一臨調でできました行政監理委員会が解散になります。それに先立ちまして、委員長代行の大槻さんが最終提言を中曽根長官にしておりますが、これはどういう提言でしょうか。
#485
○政府委員(林伸樹君) お答えいたします。
 この提言は、第二次臨時行政調査会の発足に伴いまして、先生御指摘のように監理委員会が終結することになりましたので、委員長を除く民間の六人の委員が、今後における行政改革の課題等について述べられたものでございます。
 提言の内容について若干申し上げますと、大きく二つの部分に分かれておりまして、前半の部分は第一期から第五期まで、十五年余りにわたる行政監理委員会の活動状況について述べたものでございますし、後半の部分は今後における行政改革の課題等について述べたものでございます。
 後半の部分についてさらに若干御説明申し上げますと、一つは、「行政改革の検討課題」でございますが、これは六人の委員が「今後における行政改革の課題と方向について」という一昨年の十二月に基本的な問題をいろいろ提言されておりまして、まあこのうちの重要なものを繰り返して、一つは「定員管理の適正化」、二つには「補助金等の整理合理化」、三つ目には「五現業及び三公社等特殊法人の刷新、合理化」、四番目には「地方行政の合理化」についてより努力すること。また、安定成長期にふさわしい行政の責任領域を見きわめるとともに、内閣機能の強化等行政の制度・運営の基本的仕組みの改善にも取り組むべきであることというようなことが提言されております。
 もう一つ、「行政改革の推進方策」についてでございますが、行政改革を強力に推進するためには、総理、各閣僚のリーダーシップが不可欠であるという前提、また各方面の理解と支援がぜひ必要であるということのために、総理を初め政党、民用人等を構成メンバーとする行政改革推進機関を設置して強力な推進体制を確立すべきであること等が述べられております。
 なお付言いたしますと、この提言は総定員法の施行等によりまして、三十年代以降非常に膨張してきた行政機構の膨張傾向に歯どめをかけて抑制の方向づけを行ったということについては相当評価をし、また五十五年、五十六年行革でも相当幅広くやったということについても評価しておりますけれども、なお基本的な問題については国民の期待にこたえて、なお一層努力するようにということを強く要望している内容でございます。
 以上でございます。
#486
○馬場富君 いまの説明もございました、このことについて、提言については新聞等にも載っておりますが、第一臨調のお日付役とも言われる行政監理委員会の委員長代行が最後にやはりこういうことで提言しなきゃならなかったということは、ほとんど手がつけられておれば提言することなんかなかったと私は思う。そういう点については、私はやはりこれは実行度が足らなかったんじゃないかとこう思って、これは長官はほとんど手をつけたと、水かけ論になりますので、この辺で打ち切りまして、私は次に、特殊法人について何点か質問いたします。
 昨年の予算委員会のこの席でやはり論じられたのは行政改革が中心でございました。特に政府出資の特殊法人の点が大分問題になりましたが、特に関係官庁の影響力があって天下り人事だとか、あるいは渡り鳥給与とか、そのたびに整理統合が一つは叫ばれてきましたが、この点につきまして、今回もこれを組織面から一つとらえまして、実は私ども調査を行ってみました。長官のもとにこのデータが届いておると思いますが、ごらんいただきたいと思います。
 まず、この表で第一表では、この調査は特殊法人全体と都道府県あるいは市、それから町、公営企業、一般企業の大、中、小と、こういう分類で、この件数の点だけ実はアンケート調査をいたしました。第一表で見ていただけばわかりますように、特殊法人は他の団体の役職者に比較いたしまして非常にその点が異なっておる。全体の中で二〇%以下のものは七%であって、二一%から四〇%のものが三五%、四一%を超えるものが何と五八%もある、こういうのが実は特殊法人の実態でございまして、特殊法人はいわゆる係長以上でございますが、役職者が圧倒的に多いということをこのデータで示しております。
 それから第二表では、特殊法人の中で役職者比率の高いものを上位から挙げてみましたが、八〇%を超えるものもございます。ここには団体役員が入っておりませんから、団体役員を入れると一〇〇%近くなるというところもかなりございました。
 それから第三表では、やはり役職者の数が組織的にどのような変化を与えておるかということを、組織の一番下部組織の部署である課と室について実は調査をしてみました。この点についても特殊法人は一課一室で十人以下の団体が四五%以上もあるという異常な形を出しております。他の団体には見られないこういう状況で一課に四、五人のところもかなりございます。
 以上をまとめてみまして、特殊法人は役職者が異常に多く、管理者ばかりの組織であるというような状況になりまして、このためにやはり経営能率の低下あるいは高齢化、企業の支出増大等がこれは考えられますが、この点については行管庁が行政管理センターに委嘱されて調査されたデータの中でも、この状況というものはある意味では、このように高率な役職者が多いということは病理状況であるというふうな指摘をしておりますが、この点について長官はどのように思われますか。
#487
○国務大臣(中曽根康弘君) 一般的に申しまして、馬場委員の申されるような傾向があると思いまして、こういう点は直していかなければならぬと思います。ただ、具体的に各特殊法人一つ一つ詰めていきますと、おのおのまた特別の理由のあるのもあると思いますが、一般論で申せば御指摘のようにトップヘビーでそのために給与も高いと、そういう現象があるのではないかと思います。
#488
○馬場富君 どうかそういう意味で、調査のデータでございますので、行管庁といたしましても、いま第二次臨調でいろんな検討がなされておりますが、ひとつその検討事項の中に入れていただいて御検討を賜りたいと思いますが、いかがでしょうか。
#489
○国務大臣(中曽根康弘君) 第二次臨調の委員にこの資科をお伝えいたしまして御検討願いたい、そういうふうにいたします。
#490
○馬場富君 行政改革としてこれは最後の質問でございますが、いままで質問いたしましたように、非常に政府が第一次臨調以来やはり膨大な予算もかけ、また膨大な人員を使って調査もされ、また計画も立てられましたが、なかなかこれが実行に移されなかった点が多いのではないか。先ほど話しましたように、できたのは第一次臨調では先ほどの行政監理委員会だけがそのまま目的どおりできたのであって、ほかは必ずゆがめられてこれが成り立っておるという点が多いわけだし、また総定員法等から一省一局削減の問題だけが一つはまた成果を上げた、その他については非常に心配な面がございます。そういう点について、第二次臨調は土光会長以下有能な方々が組織されてこれからやられるわけでございますが、幾らりっぱなやはり答申をされても、これを実行するのは政府でございます。政府に実行力がなかったならば行革は砂上の楼閣でございます。そういう点でやはり行革こそは実行であると私は断ずるわけです。そういう点でどうか、きょうここにいらっしゃる大臣、総理大臣はいらっしゃいませんが、行政管理庁長官を初めとして各大臣に、この第二次臨調及び行革に対する一つは実行の心構えを承りたいと思いますから、委員長よろしくお願いいたします。
#491
○委員長(木村睦男君) 馬場委員に申し上げますが、非常にきょうは大臣大ぜい来ておられますが、全員一人一人……。
#492
○馬場富君 一言でもいいからお願いします。
#493
○国務大臣(園田直君) 内閣の方針については、全力を尽くして協力、努力をいたします。
#494
○国務大臣(伊東正義君) 厚生大臣と同じでございます。
#495
○国務大臣(田中六助君) 外務大臣と同じでございます。
#496
○国務大臣(田中龍夫君) 全力を尽くしていたします。
#497
○国務大臣(河本敏夫君) 行財政の改革問題は、私は当面の最大の課題であろうと、こう思っております。
#498
○国務大臣(藤尾正行君) 総理大臣の御指示も出ておりますので、閣僚として当然のことであろうと、かように考えております。
#499
○国務大臣(安孫子藤吉君) 各大臣と同様でございます。
#500
○国務大臣(宮澤喜一君) 各省庁全力を挙げて強力に実が上がりますように私としても努力をいたします。
#501
○国務大臣(渡辺美智雄君) 各大臣が国民に約束してもらって一番私は安心をいたしております。あとは各政党が協力をしてもらえば間違いなくできるという自信を深めてまいりました。
#502
○馬場富君 じゃ長官に最後に、行管庁長官。
#503
○国務大臣(中曽根康弘君) 御激励をいただきましてまことにありがとうございます。
 特に、各大臣に直接お尋ねいただきまして、ここで言明を得られたということは私にとりましては大変な福音でございます。まことにありがとうございました。
#504
○馬場富君 次に、育児について二、三点お尋ねいたします。
 先ほども質問が出ておりましたが、年少者の非行問題が非常に問題化されておりますが、これについて、現状報告と対策を文部大臣と警察の方からお願いいたします。
#505
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 育児の問題でございますが、ただいま御指摘のとおり、いろいろな青少年の非行問題がありまするし、世を挙げてこの問題に対して非常に心配をいたしております。
 ところが、いろいろと研究し、あるいはまた各方面の議論もだんだんと突き進めてまいりますと、少年非行の原点は、何といっても幼少時代、ことに母親の育児というものがいかに重大であるかというところに戻ってまいります。
 さようなことからいたしまして、このお母さんの教育、ことに婦人教室、家庭教室といったようなことを文部省といたしましても各都道府県の教育委員会を通じていたしておりますが、その育児の重要性というものが非常に反省されてまいっていることは御指摘のとおりでございます。
 われわれの方といたしましても、その幼少時における教育というものが、なかんずく母親教育というものが非常に重要であることを再認識いたし、努力いたしております。
#506
○国務大臣(安孫子藤吉君) 少年非行の問題については、いま第三のピークでございまして、まことに憂うべき状態に相なっております。その詳細につきましては政府委員の方から御答弁をいたさせます。
#507
○政府委員(谷口守正君) 昨年一年間の刑法犯少年の補導状況でございますけれども、十六万六千七十二人ということでございまして、戦後最悪の記録になっておるわけでございます。また、人口比も十七・一人ということで、戦後最高でございます。さらに、全刑法犯検挙人員に占める少年の比率も四二・四%というような状況になっておるわけでございます。
 内容的にも、低年齢化が進みますとともに、校内暴力事件あるいは暴走族事犯を中心といたしました凶悪犯化あるいは粗暴化という傾向が著しくなっております。そういう意味で、少年非行問題が質、量ともに憂慮すべき事態になっているということが言えるかと思います。
#508
○馬場富君 いま文部大臣からもお話がありましたが、教育面もございますけれども、特に育児ですね、ゼロ歳保育とか、やはりそういう幼児の点に人間形成に一切のポイントがあるということがもう常識とされております。そういう点で、やはり厚生省においてはこの点についてどのように考えてみえるか、お聞かせ願いたいと思います。
#509
○政府委員(金田一郎君) 乳幼児期につきましては、乳幼児期は成長、発達が著しい時期でございまして、一生を左右するきわめて重要な時期でございます。母親の愛情のもとで、母乳と母と子のスキンシップにより育てられることが子供の心身両面の発育にとりまして最も好ましいということが専門家の一致した御意見でございます。しかしながら、子供を持ちながら働きに出る母親も多い状況でございますので、これに対応する保育体制の整備も欠かすことができないものと考えております。子供の健全育成と勤労婦人の立場を調整するためには、理想といたしましては育児休業制度の普及などによって母親が家庭で育児に専念できる環境が望ましいと私どもは考えておる次第でございます。
#510
○馬場富君 時間がありませんので、そこで特に、先ほども質問が出ておりましたが、やはり女性が働く立場が非常に多くなっておるという社会状況の中で、母親がみずからの子供を育てるということが一番よいわけですけれども、これがなかなかできにくいという状況もたくさんございます。そういう中で、やはり文部省と厚生省とよく意見をあわせてもらって、やはりそういう、原則として育児については母親がみずから自分の子供を育てるということができるような一つは環境づくり、たとえばそういう点についてその期間を育児手当を出すとか、そういうことによってある程度までいままでの育児というものに対するそこらあたりの見直しをひとつ考えていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
#511
○国務大臣(田中龍夫君) つい先日中央教育審議会の中間答申が出されました。特に小委員会の「生涯教育について」の方でちょっと申しますと、幼少年期の成長過程の重視ということがいかに教育上重大であるか、乳児期から幼少年期にかけての家庭教育というものは子供の基本的な性格を形成する上で最も重要な意義を持つ、こういうようなことで、子供の知・徳・体の調和のとれた全人的な発達を促すためにはどういたしましてもこの乳児教育、また母親の問題、これを特に重視いたさなきゃならぬという中教審の答申も出ておるような次第でございます。
 私の方といたしましては、この点につきましては、御案内のとおり、先ほど申しました母親教室、特に乳幼児の母乳の問題等もあわせて取り上げまして教育をいたしております。
#512
○政府委員(金田一郎君) お答え申し上げます。
 ただいま文部大臣の言われたとおりでございまして、私ども文部省ともよく相談しながら児童の健全な育成のために努力してまいりたいと存じます。
#513
○馬場富君 ここで話を、海外援助についてちょっとお尋ねいたしますが、レーガン新政権が海外援助を大幅に削減いたしました。そういう点でやはり今後国防予算の増額とあわせまして国際協調と逆行する動きも出てくるんではないかと、こういう点で、またアメリカが国際経済協力の場から後退するということは、わが国への援助額肩がわりというやはり要請も強まってくるのではないか、この点、政府はいかにお考えですか。
#514
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げますが、レーガン政権ができましてからソ連の軍事力増強といいますか、あるいは第三世界の進出というようなことに対して非常に危機感といいますか、そういう感じをアメリカが持ったということは、これは事実でございます。この間アメリカの財政経済再建計画が発表になったわけでございますが、あの中で、一般的な歳出削減という中で軍事費が増強になったということは事実でございます。ただ、国際協力、経済援助の問題はえらい削減になったようなことを実は言われましたが、あれは若干誤りでございまして、カーター大統領がうんとふやそうとしたところを削減したということで、実質的には昭和五十五年の経済協力費よりも若干来年度はふえるんじゃなかろうかと、実は、若干でございますが、減りはしないと、ふえるというふうに私どもは見ておるわけでございます。アメリカが国際平和ということの安全の維持というために同盟国の信頼性、一貫性を守って、信頼を保ってやっていくという外交政策をとられることにつきましては、私どもは、これは西側のリーダーとして期待はしておるわけでございますが、いまおっしゃった国際協力について何か肩がわりがあるんじゃないかとかいうようなお話がございましたが、これは、私、二十一日からお許しを得てアメリカへ行きまして新政権の人々と話してまいりますが、そこでどういう話になりますかわかりませんが、日本としましては、先生御承知のように、人道援助、あるいは相互依存ということが世界的な共通の理念でございますし、衆議院の外務委員会では、軍用に供されないように、あるいは国際紛争を助長するようなことをしないように、その国の経済開発あるいは民生の安定、社会福祉の向上ということを考えて国際協力をやるべきだという決議があるわけでございますので、日本としましては、自主的に、どの地域にどういう種目、どういうプロジェクトでということを自主的に判断をして経済協力をやっていく、これが日本の平和国家、あるいはいままで経済がこれだけ伸びましたやはりコストだろうと私は思いますので、日本の自主的な立場で判断をしてまいりたいと、こう思っております。
#515
○馬場富君 ここで日本の海外援助も新経済計画目標五カ年倍増ということで、経済協力が非常に増加していくということは非常に喜ばしいことだと、こう考えておりますが、これが相手国に必ずしも効果を与えておるという問題だけではなくて、かえって反感を抱いておるというような例もずいぶん出てきておるわけです。そういう点で、やはり援助の中でも、タイドの、ひもつき援助とか、そういう点については非常に問題点が多いのではないか。この点はどのようにお考えか、御説明願いたいと思います。
#516
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 ひもつきと言われたタイド対アンタイドの問題の数字はいま政府委員から申し上げますが、だんだん、アンタイドということでこれは非常に進めておるわけでございまして、たしか、米国や何かよりも、日本の方がアンタイドという率は高くなっているのでございます。
 それで、先生おっしゃるように、せっかく経済協力援助をして、相手国にそれが不快の感じを与えるとか、マイナスの印象を与えるということは、これはまことに愚の骨頂でございますので、私どもは、やはり相手国の本当の需要がどこにあるんだということで十分調査し、そして外国の被援助国の需要を十分聞いて、そしてこれはやらなければいかぬと思うわけでございますので、その点については十分注意してまいるつもりでございます。
#517
○政府委員(梁井新一君) 先生お尋ねの日本と外国のアンタイドの比較でございますけれども、現在わかっておりますのは七九年の数字が一番新しい数字でございます。それによりますと、日本のアンタイド比率は四五・七%でございます。一番高いのがドイツでございまして八〇%になっております。DACの平均が五三・八%でございますけれども、アメリカは三七・一%でございます。日本は五十三年以降、日本の円借款につきまして、アンタイドを基本原則にするという方針を表明しております。アンタイドの問題につきましては、新経済社会七カ年計画に出ておりますけれども、アンタイド化を着実に拡充していきたいというふうに考えております。
#518
○馬場富君 じゃ、ここで二、三経済援助の点で質問をいたしますが、南ベトナムの当時にチョーライ病院建設の援助がなされておりますが、この状況を御報告ください。
#519
○政府委員(梁井新一君) わが国は、昭和四十六年から三年間にわたりましてベトナム共和国政府、当時の政府でございますが、サイゴン郊外のショロンにチョーライ病院と申します前からあった病院でございますけれども、その全面改築計画に協力いたしまして、約四十六億円の援助で新しい病院をつくったわけでございます。その病院には別に八億四千万円相当の医療機材の協力を行っております。このチョーライ病院の病院建築の前に、日本政府は、脳外科病棟という小さな病棟でございますけれども、病棟をつくりまして、そこに脳外科のドクターを送りまして、脳外科関係の技術協力を行った実績もございます。
#520
○馬場富君 この病院の規模はわかりましたが、建設後、四十九年ごろ南ベトナム厚生省よりその後の管理費が大変だから援助を欲しいという、そういうふうに外務省に要請があったと、こういうふうに聞いておりますが、どうでしょうか。
#521
○政府委員(梁井新一君) この病院は日本がつくりました一番大きな病院でございましたために、病院の設計に当たりましては、約一年半をかけまして日本の斯界の権威の方の御意見を伺いまして、いろいろと工夫をこらしてつくった病院でございます。実はその当時ベトナムにございましたほかの国のつくった病院も参考にいたしまして、なるべく維持経費のかからない病院ということを考えた次第でございます。そのために、たとえば冷房施設にいたしましても、手術室と手術直後の患者の部屋だけに冷房をつける、あとの部屋につきましてはなるべく天井を高くいたしまして、地上十一階の建物でございますけれども、なるべく自然の風で換気するというような形でなるべく維持費の少ない病院という形でつくったわけでございますが、ただいま先生御指摘のとおり、四十九年でございますか、この維持費――維持費と申しますのは、病院関係の維持費でも医薬品の方でございますけれども、ベトナム政府からこの病院で使います医薬品の供与をしてほしいという要請があったことは事実でございます。私どもといたしましては、この維持費はもちろん、この病院関係の薬等につきましても当然現地政府が負担すべきであると考えておったわけでございますけれども、例外的措置といたしましてチョーライ病院に対しまして医薬品の供与を考えたわけでございますけれども、その翌年南越政権が崩壊いたしましたためにこの援助は実施しておりません。
#522
○馬場富君 それからもう一点外務省に、海外技術協力として南ベトナムに、チョーライ病院の関係でございますが、医薬品が援助されておりますが、この状況を説明していただきたいと思います。
#523
○政府委員(梁井新一君) 先ほど申し上げましたこのチョーライ病院をつくる前に脳外科病棟をつくりまして、この脳外科の技術協力をやっておりました段階におきまして約八千万円相当の医薬品を技術協力の一環として供与しております。
#524
○馬場富君 ここで私は、なぜこのチョーライ病院の建設とあわせて技術援助のことをお尋ねしたかと申しますと、当時南ベトナムは非常に大変な貧困の中にあった、とりわけ無医村のような状況がほとんどであったと、現地の状況を視察しますとそう言っております。そういう中で、ほとんど大きな病院をつくってもとても維持ができる状況ではなかった。そのために本当に、できるならそういうことで、現地の状況としては小さな診療病棟や無医村をなくするようなことに協力してほしかったというのが現地の実情のようでございます。ところが、これは実は経済援助という形となって十一階建ての、先ほど非常に経費がかからぬと言いましたが、近代建物をつくったと、こういうようなことで四十九年に事業を開始したけれども、やはりその管理費に大変事欠いてしまった。ちょうどその予算は南ベトナムの厚生費の病院科の予算の三分の二を使ってしまう、こういう実情で、日本にそのために要請もしてきたわけですけれども、これは五十年に南ベトナムがつぶれてしまったから、その後問題化されてなかったけれども、実は非常に効果の上がらなかった、南ベトナムとしては大変な状況だった、このことが一点現地から指摘されております。
 それからもう一つは、いまのチョーライ病院への医薬品の援助でございますが、これも南ベトナムは製薬会社がかなりたくさんある、そして薬品では困ってなかった、そういう状況でこういう援助が行われたために、そこに援助された薬品が山積みとなって倉庫に放置されたり、あるいは野ざらしにされたりして、そうして実は本当に効果を余り上げていなかった、こういう実情を私は現地の報告として聞いておるわけです。
 こういう問題から推しまして、私はここで最後に、海外援助が、マスコミ等でも言われておりますけれども、海外援助の情報が商社に早く流れたり、あるいは借款決定前に入札が行われたり、あるいは商社主導型のこういう問題がかなり現地ではふんぷんとしておるというのが実情でございます。
 こういう点について、国民の血税でもって行った海外援助が相手方の国民を利することなく、かえってあのソウルの地下鉄問題一つをとらえてみましても、韓国の多くの人たちに聞いてみましたが、かなり日本に対して反感を強く持っています。こういうような結果がまた東南アジア各方面で起こったとしたら日本の海外援助というのは大失敗じゃないか、反感を持たせるためにやった海外援助に終わってしまうんじゃないか、こういう点、大変私はこの援助の点について心配もするわけですが、どうかその点について、ここらあたりで総合的に、通産大臣もいらっしゃいますが、大蔵大臣もよく協議されて、やはりこの海外援助は、増額は結構だが、やり方についてはもっともっと見直さなければいかぬと、こう思いますが、いかがでしょう。
#525
○国務大臣(伊東正義君) 先生おっしゃることはもうよくわれわれ注意せにゃならぬと思います。援助の効果が果たしてどうなっているかということもよく評価せにゃならぬと思いますし、いまおっしゃったような事態があればこれは本当にその国、被援助国にとってはマイナスでございますので、私どもも十分注意し、気をつけますが、先生の方でも具体的にそういうことがありましたらどんどん言っていただけば、われわれも直すべきことは直していくということで問題に取り組んでまいりたいと思います。
#526
○国務大臣(田中六助君) 私どもの基本方針といたしましては、その国の、特に発展途上国でございますが、その国のニーズに応じた、つまり社会、経済、文化、あらゆる各方面からの要請に基づいた経済協力あるいは私どもがそういうふうに感じた観点から経済援助を心がけておりまして、まず商社を使ってというようなことは私どもあり得ないことで、あくまでそういうことがあるならばこれを排除していかなければなりませんし、先ほど申しましたように、その発展途上国のニーズに基づいた開発援助というものを心がけていままでもきておりますし、これからもその基本線はあくまで貫いていこうという方針でございます。
#527
○国務大臣(渡辺美智雄君) いろいろ適切な御指摘をちょうだいしました。ややもするとありそうなことなんです。私も知らないわけじゃない。かつて知っておった。でありますから、少なくともこれからは援助額が非常に五年間で倍増するわけですから、しかも一方においては財政再建をやらなきゃならない、国民に税負担もお願いしなきゃならぬ、こういうような状態の中で貴重な国費を使うわけですから、それはやはり目的から反するようなことのないように、また援助したために反日運動なんか起きちゃ困っちゃうわけですから、そういうことのないように、十分に気をつけてまいりたい。予算をつけるだけが能じゃありませんから、やっぱりそういう点も厳重に、これからはいろんな人の意見を聞いて、査定をしていきたいと考えております。
#528
○委員長(木村睦男君) 以上で馬場君の一般質疑は終了いたしました。(拍手)
 明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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