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1980/03/28 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 予算委員会 第18号
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1980/03/28 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 予算委員会 第18号

#1
第094回国会 予算委員会 第18号
昭和五十六年三月二十八日(土曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     熊谷  弘君     岡田  広君
     藏内 修治君     村上 正邦君
     下条進一郎君     福田 宏一君
     竹内  潔君     高木 正明君
     中西 一郎君     岩動 道行君
     長谷川 信君     坂元 親男君
     林  寛子君     松尾 官平君
     大森  昭君     志苫  裕君
     片山 甚市君     寺田 熊雄君
     佐藤 三吾君     小野  明君
     対馬 孝且君     竹田 四郎君
     広田 幸一君     大木 正吾君
     藤原 房雄君     田代富士男君
     和泉 照雄君     原田  立君
     桑名 義治君     大川 清幸君
     中尾 辰義君     馬場  富君
     小笠原貞子君     上田耕一郎君
     中村 鋭一君     伊藤 郁男君
     前島英三郎君     田  英夫君
     喜屋武眞榮君     山田  勇君
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     伊藤 郁男君     田渕 哲也君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         木村 睦男君
    理 事
                亀井 久興君
                古賀雷四郎君
                平井 卓志君
                宮田  輝君
                粕谷 照美君
                和田 静夫君
                渋谷 邦彦君
                沓脱タケ子君
                柳澤 錬造君
    委 員
                岩動 道行君
                板垣  正君
                岩上 二郎君
                岡田  広君
                梶原  清君
                源田  実君
                坂元 親男君
                鈴木 省吾君
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                高木 正明君
                谷川 寛三君
                名尾 良孝君
                福田 宏一君
                増岡 康治君
                松尾 官平君
                村上 正邦君
                八木 一郎君
                山崎 竜男君
                小野  明君
                大木 正吾君
                志苫  裕君
                寺田 熊雄君
                安恒 良一君
                大川 清幸君
                田代富士男君
                馬場  富君
                上田耕一郎君
                田渕 哲也君
                田  英夫君
                山田  勇君
   国務大臣
       内閣総理大臣   鈴木 善幸君
       法 務 大 臣  奥野 誠亮君
       外 務 大 臣  伊東 正義君
       大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君
       通商産業大臣   田中 六助君
       労 働 大 臣  藤尾 正行君
       国 務 大 臣
      (内閣官房長官)  宮澤 喜一君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       中曽根康弘君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  大村 襄治君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       中川 一郎君
   政府委員
       内閣法制局長官  角田禮次郎君
       行政管理庁行政
       管理局長     佐倉  尚君
       防衛庁参事官   岡崎 久彦君
       防衛庁防衛局長  塩田  章君
       防衛庁人事教育
       局長       佐々 淳行君
       防衛庁経理局長  吉野  実君
       防衛庁装備局長  和田  裕君
       防衛施設庁長官  渡邊 伊助君
       科学技術庁原子
       力局長      石渡 鷹雄君
       法務省刑事局長  前田  宏君
       外務大臣官房長  柳谷 謙介君
       外務大臣官房審
       議官       関  栄次君
       外務大臣官房外
       務参事官     渡辺 幸治君
       外務省アジア局
       長        木内 昭胤君
       外務省北米局長  淺尾新一郎君
       外務省欧亜局長  武藤 利昭君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    村田 良平君
       外務省経済局長  深田  宏君
       外務省経済局次
       長        羽澄 光彦君
       外務省経済協力
       局長       梁井 新一君
       外務省条約局長  伊達 宗起君
       大蔵省主計局長  松下 康雄君
       大蔵省国際金融
       局長       加藤 隆司君
       厚生省社会局長  山下 眞臣君
       通商産業省通商
       政策局長     藤原 一郎君
       通商産業省機械
       情報産業局長   栗原 昭平君
       資源エネルギー
       庁長官      森山 信吾君
       労働大臣官房長  谷口 隆志君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   小野 幹雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        道正  友君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和五十六年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十六年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十六年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(木村睦男君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算、昭和五十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 本日は、お手元の質疑通告表のとおり、外交問題に関する集中審議を行います。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(木村睦男君) まず、伊東外務大臣から若君を求められておりますので、この際、これを許します。外務大臣。
#4
○国務大臣(伊東正義君) 私から、先般アメリカへ参りましたので、そのときの報告をさせていただきます。
 三月二十一日から二十六日までアメリカを訪問し、ヘイグ国務長官との長時間にわたる会談を初め、ワインバーガー国防長官、リーガン財務長官、ボールドリッジ商務長官、ブロック米国通商代表等の米政府関係者と意見交換を行いました。さらに、レーガン大統領及びブッシュ副大統領を表敬訪問し、会談をいたしました。また、米国議会上下両院議員とも懇談の機会を得ました。
 今回の訪米の目的は、レーガン新政権が誕生して以来初のわが国閣僚の訪米でもあり、現下の国際情勢及び二国間情勢につき幅広く意見交換を行い、日米両国の現下の国際情勢に対する基本認識を確認するとともに、日米友好信頼関係の一層の強化と発展を図ることでありました。
 国際情勢については、現下の厳しい国際環境の中にあってわが国、米国及び西欧諸国が互いに協調し、連帯を深めることが世界の平和のために肝要であることにつき認識の一致を見ました。米側よりは、米国としては、経済の再生、軍事力の増大等を通じソ連との力の均衡を図る一方、友邦、同盟諸国との間に緊密な協議を重ねることにより、新たなパートナーシップを育成し、国際社会の平和と安全に貢献していく考えであるとの説明がありました。私からは、わが国としては、米国が一貫した政策に基づき、先進民主主義諸国の力強いリーダーとして信頼性のある行動をとることが肝要であると考えており、米新政権の努力を多としている旨述べるとともに、わが国としても、先進民主主義諸国の一員として、国際社会における責任を果たしていく考えである旨説明いたしました。
 具体的には、対ソ政策を中心とした東西関係、アジア情勢、中東情勢、経済協力等多岐にわたる事項が取り上げられ、日米ともにそれぞれの対外政策の基本的考え方につき、理解を深めることができたと考えております。
 防衛努力の問題については、主としてワインバーガー国防長官との会談で取り上げられました。本件に関する米側の考えは、数字を挙げてわが国と不毛な議論を行う考えはないが、同盟国にも応分の協力を期待する、というものであり、わが国に対しても、一層の防衛努力への期待の表明がありました。これに対し私よりは、わが国の行っている防衛努力を説明し、わが国の置かれている憲法上、その他法令上の制約の範囲内で、国内のコンセンサスに配意しつつ自主的に防衛力の整備を行っていく考えである旨述べました。
 日米貿易経済関係では、焦点は自動車問題でありました。本件については、主としてヘイグ国務長官との会談で取り上げられましたが、レーガン大統領との会談においても、先方の側から取り上げられ、米側が多大の関心を有していることがうかがわれました。本問題についての米側の基本的認識は、米国自動車産業は、深刻な事態に当面しており、米議会における輸入制限立法の動き等緊迫した事態になっているが、保護主義に陥ることは、ぜひ回避したいということであります。
   〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕
 私からは、自由貿易の原則を維持することの重要性を指摘するとともに、米国内における困難な事情は十分理解できるとの姿勢をとりました。今後は、東京とワシントンにおいてさらに話し合いを続けることといたしましたが、私としましては、問題の重要性にかんがみ、政府としても、今後の対応ぶりにつき早急に検討を進めるべきものと考えておる次第であります。
 二国間問題としては、このほか、エネルギー問題――これは石炭、原子力等でございますが、エネルギー問題、漁業問題等が討議されました。
 今回の訪米において、私は、新政権のわが国に寄せる信頼と友好の深さ並びに期待の大きさを改めて感じ、両国関係の重要性がますます世界的な広がりを有するに至っていることを痛感いたしました。
 ワシントンでの一連の会談を通じ、冒頭に申し上げた目的が達せられたのみならず、ヘイグ国務長官を初めとする米側要人との間で個人的信頼関係が築き上げられ、日米友好関係の強化に資するところ大であったものと考えており、今回の訪米はきわめて有意義であったと考えております。
 私としましては、五月に予定されている鈴木総理の訪米を成功に導き、日米関係をより強固かつ安定したものにすることがきわめて重要であると考えており、そのために今後とも関係各位の一層の御協力をお願いいたす次第でございます。
    ―――――――――――――
#5
○理事(古賀雷四郎君) これより鈴木内閣総理大臣に対する質疑を行います。寺田熊雄君。(拍手)
#6
○寺田熊雄君 総理にお伺いしますが、対米自動車輸出問題につきましては、その手段や方法は別といたしまして、日本側の自主的な規制によってこの問題の解決を図るという点に関しましては、事実上日米間の合意はもうできているのだというふうに総理は理解しておいでですか。
#7
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま伊東外務大臣から訪米につきましての御報告がございましたが、その中に、アメリカにおきましては自動車の問題が大変重要な問題に相なっておる、こういうことにつきまして触れております。私は、この自動車問題に限らず、貿易の円滑な拡大、伸展ということは、世界経済の発展のためにきわめて重要なことだと思います。
 日米間の貿易摩擦の一つとして自動車問題が一つの焦点に相なっておると、こういうことでございますが、私は、とかくこういう摩擦の問題等が起きますと、保護貿易主義に向こうとする誘惑が起こってくるのでございます。そういう一部の保護貿易主義への志向といいますか、誘惑といいますか、そういうものはできるだけ早くこれを取り除かなければいけない。そして、自由貿易体制というものを守っていくということが大事だ、特に、自由陣営の二大経済大国であるアメリカと日本には大きな私は責任があると、このように考えております。そういう認識の上に立ってこの自動車問題につきましても対処していきたいと、こう思っています。
#8
○寺田熊雄君 これは外務大臣にお伺いした方がいいんですが、きょうの大臣の御説明は、米国内における困難な事情は十分理解できますということをあなたがおっしゃったようですね。それから、総理にも、本大臣としては、問題の重要性にかんがみて、政府としても今後の対応について早急に検討を進めるべきである、というふうに御進言なさったわけでしょう。レーガン大統領が具体的などういう言葉を使って大臣にお話しなさったというようなことまでは私御説明いただきたいとは思いませんけれども、結局レーガン大統領の大臣に語られたことは、アメリカの自動車産業の苦況というものをよく理解してほしい、そしてこの問題を解決しないと保護貿易主義に突き進む傾向があると、いま総理がおっしゃった工うに。そこで日本側としてもその点を考慮して、十分、そういう傾向を避けるための協力を願いたいという趣旨の要請があったことで間違いないんでしょう。
#9
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 いま御質問にありましたように、ヘイグ長官、レーガン大統領、両方とも、アメリカにおける山動車産業の置かれている地位、それから自動車産業がアメリカの産業の中で非常に影響力の大きい産業だ、労働界も、アメリカの労働界の中に非常に影響力を持った自動車関係の労働者の組合だということもるる説明がございました。それから、片一方、アメリカの議会で保護貿易的な立法の動きが非常に高まっている、そういう情勢にあるという説明がございまして、自分としては何としても自由貿易というものは守っていきたい、これは保護貿易というようなことになるとヨーロッパにも波及することは確実だろうし、あるいは他の商品もそういうことになるというふうなことになるので、何としても自由貿易は守りたいということをるる説明がございました。そして日本としても、その間のことは十分検討してもらいたいという話がございました。
 それで私は、大統領、ヘイグ長官の話も十分聞いて、理解するところがある、ついては、やっぱりアメリカからそういう事情を日本に説明する人が来て説明することが大切じゃないか、私は十分話は聞いたけれども、日本側にそういう説明をする人が来ることが大切じゃないかというふうな話をしたわけでございます。
#10
○寺田熊雄君 そういたしますと、私どもとしては、やはり自主的にひとつこの難局を打開するために協力してほしい、よろしゅうございます、ついてはアメリカ側の代表をよこしてもらいたいと、あうんの呼吸で両者間の事実上の合意ができているというふうに受けとめざるを得ませんがね。いかがでしょうか。そういうふうに受けとめていいでしょう。
#11
○国務大臣(伊東正義君) 向こうも具体的に、要請するとか、そういうような言葉は何もなかったんです。
   〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕
向こうからそういう説明がありまして、私どもも、その点は理解する、しかし、そのことはよく日本の人々に広く説明してもらわぬとわからぬ、何も日本が車を輸出したからそういうことになったのじゃないということを日本は考えているんだし、その間のことはよく説明してもらった上でどういうことにするかということを早急に、やっぱり総理の行かれるぐらいまでの間にはもう、総理が行かれて自動車の問題をされなくてもというように、両方の理解が進んでいることが好ましいということを言ったわけでございます。
#12
○寺田熊雄君 総理といたしましては、大体あなたが五月にあちらにいらっしゃる前に、この問題については少なくも大筋においては両国の間に大体の了解が得られるということが望ましいというお考えでしょうね。
#13
○国務大臣(鈴木善幸君) 御承知のように、日米の貿易は年々拡大をいたしておりまして、年間五百億ドルにも達するというような大変大きな貿易通商に拡大をしておるわけでございます。したがいまして、私はいろいろの問題がこれは起きてくるのは当然のことだと、こう思います。しかし、これは日米の友好、信頼関係の上に立ってお互いによく話し合い、お互いの立場を認識し合い、協調していけば、そういう問題は私は解決できる、そういう個々の経済問題が大きな日米間の経済的な対立であるとか政治的な問題になるとかいうことなしに処理できると、こういう考えを持っております。またそうでなくてはいけない。現に、電電公社の資材調達問題にしても、あるいはたばこの問題にいたしましても、話し合いによってこれは解決できたものでございます。したがって、自動車の問題につきましても、私はこれは十分話し合いによって円満に処理できるものと、このように確信をいたしておりますし、それはなるたけ早い方がいいと思っております。
#14
○寺田熊雄君 さっき外務大臣が、アメリカの代表に来てほしいと、それは、ブルック通商代表が四月十日前後に来日するという情報がありますね。それから、田中さんの四月二十日ごろの訪米ということも報道せられておりますが、そういう相互のやはりいわば責任者の往来というものがこの問題の解決に必要である、役立つという見地でその準備が進んでおるのでしょうか。
#15
○国務大臣(伊東正義君) 向こうからだれに来てもらうかということは、これは向こうの国内的な問題でございますから、そういう名指しでどうということはございませんが、向こうからしかるべき人が来て、いまの自動車産業の状況、あるいは、アメリカ政府がどういう対策をとるのかとか、そういうようなことについて説明できるしかるべき人に来てもらいたいということを私も口頭で向こうで言つたことがございますし、きのうわれわれ関係の閣僚で相談をしまして、こっちへ来て説明してくれるようにということを言おうじゃないかということで、ゆうべ日本の大使館に電報を打ったということでございますが、だれがという指名はしておりません。しかし、これはやはりそういう話をすることによって相互の理解を深めて、自動車問題を何とか政治問題にしないで解決するという方法はないかということを見つけるためのこれは一つのプロセス、過程でございます。
#16
○寺田熊雄君 通産大臣にお伺いしますが、やはり四月中においでになってこの問題の解決にできるだけの努力をしたいというお気持ちを持っていらっしゃいますか。
#17
○国務大臣(田中六助君) ただいま外務大臣が答えましたように、私どもは、アメリカの自動車業界の現状、それからアメリカ政府が具体的にどういうふうに考えておるかというようなことを認識することが大切でございます。したがって、外務大臣がワシントンに行かれて向こうから来るようにということを伝えておりますし、向こうも行こうと言っておりますので、まずそれを聞いた上で、私どもの対応ぶりを、順序を示していきたいというふうに思っております。
 それから、私の渡米は、そういう過程におきまして、どうしても私が渡米することが都合がいいというようなことになりますれば、渡米などはいとわないつもりでございます。
#18
○寺田熊雄君 自動車産業界は、政府の現在のような方針が少し早過ぎるということで抵抗する姿勢を示しておるということでありますが、これは非常に日本の産業界にとっても重要なことのように思われるのですが、総理としてはこれはどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。
#19
○国務大臣(田中六助君) 話し合いのことでございますので、日米間にぎすぎすしたようなことはどうか。伊東外務大臣も向こうに行きまして自動車問題についてお互いに話し合いを進めていこうということは合意しておりますので、先ほども申し上げましたように、向こうの実情を私どもも聞くと同時に、今度はこれに対する対応を考えなければいけませんが、向こうの事情もあるでしょうけれども、御承知のように、日本の自動車産業の占める割合というものも、輸出産業製造業の約一割を占めております。しかも、従業員と申しますか、そういう直接働く人は六十三万八千人ぐらいおるわけです。それから、それの下請とかディーラーなども含めますと相当な数に上っておりますので、アメリカの方もいろいろ問題があるでしょうけれども、私どももそれ以上の問題を抱えておるわけでございますので、話し合いというのはあくまで円満にいかなければなりませんし、私どもも日本の状況というものをつぶさに向こうに理解をしてもらっていかなければなりませんので、私ども、この話し合いを円満にするためには、わが方の業界の人々とも十分話し合って、納得の上にまた日米間で話し合いを進めていきたいという大きな基本方針を持っております。
#20
○寺田熊雄君 業界の抵抗姿勢に対してはどうお考えですか。
#21
○国務大臣(田中六助君) 業界が抵抗しておるかどうかにつきましては、具体的にどのようなことをお考えなのかどうかは疑問といたしまして、私どもは話し合いを進めておりますので、それは一度にこういうことを網をかぶせてどうだというようなことは少しも考えておりませず、業界の意見も現在のところ統一されたものではございませず、いろいろあるわけでございます。したがって、これを窓口を一つにして円満にするためにも――私は抵抗とは思いませんけれども、円満な方向に時間をかけてエネルギッシュに動かなければならないというふうに思っておりますし、将来の日米の貿易、それから私どもの日本の自動車の輸出という、その量が、アメリカには非常に多いわけでございます、御承知のように。したがって、これがぎすぎすしたことになりますと、かえって日本の業界も輸出そのものがやはり問題になるわけで、必ずしも得策ではないと思います。したがって、アメリカにも問題がございますし、日本の業界にも問題がございますが、ここはひとつ私どもも正念場と思って、エネルギッシュに日本の業界の人々ともきめの細かい話し合いを進めていって、できるだけ円満にして、その抵抗とか反発を――あるとするならば、そういうことのないように必死で努めたいというふうに思います。
#22
○寺田熊雄君 三月十八日の私の質問に対しては、大臣は、一〇〇%までの自信は、あるかと言われればどうかと思うけれども、七、八〇%の自信はあるということをおっしゃったように記憶しますが、そういうふうに粘り強い努力を傾ければ業界の説得も必ずなし得られるという自信はお持ちなんでしょうね。
#23
○国務大臣(田中六助君) 現在も、実は多少アヒルの水かき程度のことはやっておりますが、私はせんだっても申し上げましたように、一〇〇%の自信はございませんが、これはどうしても実現せなければならないという強い気持ちでございます。しかし、無理やりに私どもの意見を押しつけるということじゃなくて、話し合いをしておりますと業界の皆さんの意向もだんだん浮き彫りにされておりますので、それを十分吸い取って、そして話し合いを進めていきたいというふうに思います。
#24
○寺田熊雄君 ただ、このような自主規制を進めますと、同じような問題がECからも持ち込まれるというおそれはあるんでしょうね。この点は総理にしても外務大臣にしてもいかがでございましょうか。
#25
○国務大臣(伊東正義君) 私からお答え申し上げますが、ECも、全体として日本からの貿易の問題、特に自動車の問題についていろいろ日本側に意見を言っていることは、これ確かでございます。ただ、ECといいましても、その中がなかなか事情が違いまして、ドイツとかあるいはベルギーとかオランダとか、本当に自由貿易が完全に行われているところもありますし、イギリス、フランス、イタリーのように、自動車については非常に制限を向こうでやっている国もありますし、いろいちなECの内部事情もあるわけでございますが、そういう自由貿易を完全にやっておられる国国との関係もこれは頭に置かなけりゃならぬことは確かだと私は思っております。
#26
○寺田熊雄君 結局、私どもはやはりいかに自由貿易だといっても、無政府主義的な自由競争で、そして低賃金でコストの低い製品をどんどん輸出して、相手国の産業に重大な影響を与える、そこに失業者も出ていくというような、そういう競争関係というものは、やはりおのずから節度があると考えておるわけなんですね。やはり総理がこの問題に対処する根本的な哲学というか、経済観といいますか、それはやはり国際間の緊張の緩和であるとか、あるいは自由貿易制度の擁護であるとか、そういうことに求められますか。
#27
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、いま寺田さんから御指摘がございましたけれども、日本の自動車産業を初め貿易の分野の産業が、国際的な水準に比べて低賃金で、そしてどちらかというとアンフェアな条件のもとに他の国々の市場に進出をしている、そういうものではないと、私はこう思っております。日本の民間賃金は労使の間の話し合いによって決まっておりますことは御承知のとおりでございます。また、欧米先進国に比べましても、私は、日本の労働賃金あるいは労働条件というものは批判をされるようなものではない、こう思っております。
 先ほど来外務大臣からもお話を申し上げておりますように、この日米の自動車問題を処理するために向こうの事情もよく聞きたいと、こういうことを考えておるわけでありますが、一体、アメリカ自体がアメリカの自動車産業を再建し回復するためにどのような具体的な措置をとろうとするのか、その対策というものが本当に効果が上がるものであるかどうか、また、日本がそういう間においてどういう理解を示したらいいのか、そういうことを見きわめないといけない、こう思います。これはアメリカだけではない。EC、ヨーロッパに対しても同様であるわけでございます。ただ、日本の自動車がどんどん入ってきて、そのためにアメリカなりあるいはヨーロッパの国の自動車産業が圧迫を受けるから、それで輸出を自粛してくれ、規制をしてくれと、そういうようなことでは、これは日本としては納得がいかないわけでございます。そういうことでございますので、私はやはり、先ほども申し上げましたように、とかくお互いに苦しくなってくると、自国産業を一方的に守ろうというこの保護貿易主義という誘惑に駆られがちである、そういうものを排除しなければいけない、自由貿易主義というものをあくまで発展し拡大することが世界の経済の伸展につながり、お互いに将来よくなることであると、こういう認識を持っておるわけでございまして、そういう観点で取り組んでいきたいと、こう思っています。
#28
○寺田熊雄君 時間がなくなってしまって、もうしようがないですから、最後に総理に一つだけ防衛問題でお尋ねしますが、この自動車問題の解決は、防衛問題について総理がいままで国会でお述べになりました所信ですね、平和憲法を守る、それから第九条は維持する、また、第九条からおのずから専守防衛というものはにじみ出てくるわけですね。それから非核三原則という重要な政策もありますね。そういうものをやはりしっかりと持って、レーガン大統領にもそれを総理の、やはり一国の総理としてのこれは信念である、政策であるということをあくまでも堅持しておいでになる覚悟はできていらっしゃいますか。そして、本当に日本的なもの、平和憲法第九条も専守防衛も、それから非核三原則、これは本当にいま日本の国是であり、日本的なものですね。それがアメリカという、いま非常に対ソ防衛というか、非常に強い使命感や世界観でこり固まったレーガン大統領に十分理解せられ得るという自信をお持ちでしょうか。その点最後にお伺いします。
#29
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国の防衛は、あくまで自分の国は自分で守るという国民的な信念、そういう合意があることが前提でございます。そうして私どもは、平和憲法の精神に立ちまして、必要最小限度の防衛力を着実に整備をする、専守防衛に徹する、近隣諸国に脅威を与えるような軍事大国にはならない、非核三原則を堅持していく、またシビリアンコントロール、これをあくまで一貫して堅持していくということがわが国の国防の基本でございます。私は、こういう日本が防衛政策なり憲法の意の上に立っての政策をとっておる、これはアメリカにおきましてもよく理解をしておると、こう思っております。理解をしておると思っておりますが、私は、訪米に当たりましては、レーガン大統領その他とも十分この点をさらに念を押してお話をして理解を求め、日米の真の協力関係の発展のために努力をいたしたいと、こう思っております。
#30
○寺田熊雄君 終わります。
#31
○委員長(木村睦男君) 以上で寺田君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#32
○委員長(木村睦男君) 次に、志苫裕君の質疑を行います。志苫君。(拍手)
#33
○志苫裕君 一連の日米協議で防衛問題はどのように取り扱われたのか。何かぽろぽろぽろぽろと後から報道が出てくるようですが、ひとつ隠さずに御報告願いたい。
#34
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 防衛問題は、ヘイグ長官と話しましたときに、ヘイグ長官から一般的に、アメリカの外交努力、外交方針といいますか、そういうことについて話がありましたときに、アメリカの外交方針は、対ソ関係の軍事力のバランスをとるということがこれは大切なことだと、そのためには、いまアメリカで国内経済再建計画を立て、国会に予算を出しておる、これを国内的に通して、それには国防費の増加があるので、これを通すことがまず大切だ、そうして、軍事的には対ソのバランスをとるということが大切だ、しかし、それだけで十分ということではないので、西側といいますか、友邦同盟諸国といいますか、そういう国々との協調を十分に図る必要がある、パートナーシップを育てていきたいと思っているということで、日本も西側の一員として防衛については努力をしてもらいたいと、抽象的な話でございました。これはヘイグさんとの話でございます。
 それから、防衛の問題は主としてワインバーガー国防長官と話をしたわけでございます。そのときに、国防長官からやはり世界情勢の話がございまして、自分たちは国民から、国内の経済力をひとつ強くしてもらいたいという信託を受けた、それがいまの経済再建計画の予算等の問題でございますが、と同時に、軍事的にも東西のバランスがとれるようにという努力をすべしという国民の信託を受けたんだと、そういう前提で防衛というものを考えておる、しかし、防衛というのはアメリカ一国で東西のバランスがとれるようなことをやれるわけじゃないので、同盟国もこれは応分の協力というものはしてもらいたいと考えているという大前提といいますか、原則の話がございまして、そしてアメリカは、ペルシャ、インド洋等でも追加的な防衛をいまやっている。あるいは東南アジア、あるいは南西アジア、それから西太平洋、北西太平洋というような言葉もありましたが、そういうところで防衛の努力をやっているということで、日本としても経済力がもう大きくなったのであるから防衛について努力をしてもらいたい、いまの自衛隊そのものの強化ということも考えてもらう必要があるし、周辺の海域を守るということについて日本としても努力をしてもらいたい、というふうな一般的な話があったことは確かでございます。具体的にどうせいということは一切ございませんで、われわれは前政権とは違う、一%とか一・五%がどうとかいうような、そういうことで両国がやり合うというようなことはまずいことなので、よく基本方針について話し合って、そのもとで、それぞれの国がどういうことをするかということはその国が自主的に考えるべきものだと、こういう話がございました。
 私からは、従来ここで御答弁申し上げておりますように、防衛というものは国民のコンセンサスがなければできないことなんだと、国会に委員会ができたのも昨年でございますし、国民的なコンセンサスというのはだんだん得つつあるけれども、なかなかこれはむずかしい問題があるのだということと、そして、日本は御承知のように憲法その他の法令の制約もございますし、専守防衛ということでやっているので、日本としては五十一年にできました防衛計画大綱ということをもとにして着実に防衛力の整備ということをやっている。しかしこれは、防衛力は単に軍事だけの問題じゃない、外交努力ももちろんやらなければなりませんし、経済協力等総合的な面で防衛というものをとらえて考えているという説明をいたしたわけでございます。
 アメリカのワインバーガー長官との話は、あくまで原則論の話をしたのでございまして、具体的にどうせいどうせいというような、そういうことを期待しているというような細かい具体的なことはございませんでした。それで、中業の問題等は日米の事務レベルの協議もあるのだろうし、いずれ防衛庁長官もお会いになって話されるときがあるでしょうから、具体的な問題につきましては防衛庁長官ともまたよく御協議してもらいたいということを述べたわけでございまして、具体的にどういうことをやってくれとかいうようなことはほとんどなかったわけで、一般的に、日本としての自衛力をひとつ経済力がついてきたのだから努力をしてもらいたい、あるいは、駐留米軍の経費の問題等はいままでも負担していることがあるのでございますから、そういう問題について話があったという程度でございまして、そのほかは……
#35
○志苫裕君 そう長々と……簡単に答えてください。
#36
○国務大臣(伊東正義君) いや、詳細に説明せいというお話でございましたから、いま私詳細に言っていたわけでございまして、簡単でよければ次から簡単にやります。
#37
○志苫裕君 あなたね、隠さず話せというのと長長話せというのは違うんだ。隠さずに話してもらうが、簡潔に話してくださいよ。
 外相は、防衛で身構えて行ったわりには簡単で拍子抜けの表情だったと、去年のように着実も顕著も数字も出なくて、重荷を背負わぬでよかったというようなこと、そういうことを語ったそうですが、果たしてそうだろうか。それは、アメリカが自動車を持ち出すために防衛を引っ込めたという説や、あるいは試験の期日を延期しただけだという比喩もあるようですけれども、私は、外相が訪米をしまして、いわゆるあの日米協会での演説に見られるような、対ソ脅威論を軸とする国際認識をレーガン政権と一致をさせて、軍事面での西側の一員であることを強調をして、その努力を表明をしたということで、すでに基本的なレールは敷かれてしまって、あとはもう日本としてできることの具体的な表明だけが待たれる、こういう結果になったのじゃないですか。したがって、そういう意味では総論の一致で、首脳会談ではのっぴきならない各論の重荷を背負うたことになったと、このように思えてならぬのですが、どうですか。簡単に答えてください。
#38
○国務大臣(伊東正義君) 向こうと話しまして、もちろんヘイグさんと話しましたときは、東西関係、中東問題とか東南アジアとか、もう広い国際情勢の話し合いをしたことは確かでございます。ただ、先生のおっしゃるように、何かその枠組みがもうぴしゃっとできてしまって、あとは具体諭しか残っていないというようなふうに私は感じないわけでございまして、私は向こうに言いましたのは、それはもう西側の一員であるということは、これはそのとおり申しました。そして、軍事というものは専守防衛、憲法があるのだからもう自分の国を守るということ以外できないということも、これははっきり言ったのでございまして、それは先生どういう意味でそうおっしゃるかよくわかりませんが、ただそれだけじゃない、経済問題もある、外交努力もあるというようなことを私は言ったのでございまして、広い意味で西側の一員ということは申し上げましたが、それは西側の一員だから憲法の制限を守らぬとか、専守防衛から足を出すとか、そんなことは一言も言っておりませんし、それを守るのだということをはっきりワインバーガー国防長官に言ったのでございまして、先生の認識と私は全然違う。やっぱりいままでと同じだというふうに考えております。
#39
○志苫裕君 それはまたいずれ後で言いますけれども、総理への質問があるものですから。
 では、具体的に一つ一つ言いますから、簡潔に答えてくださいよ。
 福田・レーガン会談で大統領は、西太平洋の防衛体制を共同で調整したいと述べたと言われますが、具体的にどういうことですか。
#40
○国務大臣(伊東正義君) 福田さんとレーガン大統領の話というのは、私直接伺っておりませんで、新聞を見ただけでございますが、従来の関係と私は何ら変わりないんだろうと、内容はですね。日本が考えている、いままでここでお答えしているとおりだというふうに思います。
#41
○志苫裕君 まあ外務大臣の答弁はそうなるのかもしらぬが、これに関連をして外務省筋は、新たな対日要求ではないんだと、いまちょうど外務大臣が言ったように。自衛隊が防衛範囲とする周辺海域には西太平洋が含まれておって、すでにガイドラインに基づいて日米防衛分担の共同研究が進んでおる、大統領はそのことを言ったんだろうと、こうコメントしたと報道されておるのですが、これはどういうことですか。
#42
○国務大臣(伊東正義君) お答えします。
 外務省筋というのはちょっと私は解せない。私が言ったことでないことだけは確かでございますが、だれが言ったにしましても、いままでと、ここでお答えを申し上げているのと全然変わらぬと。専守防衛、憲法の範囲内で本土あるいは周辺ということを従来もお答えをしているのでございまして、そのとおりでございます。
#43
○志苫裕君 その次に、ワインバーガー国防長官との間に日米共同防衛の基本的な枠組みについて話し合われて、軍事専門家レベルでやってもらうということで一致をしたと言われますけれども、従来の防衛努力の上に加えられたこの基本的な枠組みというのは何ですか。
#44
○国務大臣(伊東正義君) 私とワインバーガーさんとの話では、基本的枠組みなんという言葉は全然出なかったのです。こういうやりとりがあったんです。防衛の大きな方針については両方でよく話し合う必要がある、そういう話し合いをして、その結果との国がどういうことをやるのだということは、一々相手に押しつけたり差し出がましいことをする必要はない、それはその範囲内で自分の国が考えていく、日主的に考えていくということでいいというような話し合いがあったことは確かでございまして、枠組みということはこれは全然出なかったのでございます。恐らくそれは、防衛の方針については話し合いをするということを枠組みというような表現でだれかがしたかもしれませんが、私とワインバーガーさんの間では、いま申し上げたような話し合いでございました。
#45
○志苫裕君 われわれは、外交問題については報道に頼るか政府の報告を聞く以外に確かめてみようがない。しかし、いまの問題について言えば、恐らくあなたと一緒にたくさん報道関係者も行ったんでしょう。各紙漏れなくワインバーガー。伊東会談の中身として、基本的な枠組みの問題について報道されていますよ。しかし、見ていたんじゃないからあれですが、いずれにしてもこれはあなたの言うふうにはなかなか納得できない。察するに、これは機能の問題と範囲の問題だろうと思うんです。
 それで、その次に聞きますけれども、そういうふうに新しい枠組みが機能の問題、範囲の問題であるということになってまいりますと、当然に防衛大綱の見直しということが話題になっていくのが必然であって、これは話題に出たんじゃないですか。
#46
○国務大臣(伊東正義君) 防衛大綱の見直しとか改定とかいうことは全然話題に出ておりません。
#47
○志苫裕君 話題に出ていないじゃない、あなたが日本に帰ってきてから、記者団との談話の中にも出ているじゃないですか。そんな話があった、おれはそう思って聞いてなかったけれどもそういうようなことを言っていた、ということが会見に載っているじゃないですか。それはないですか。
#48
○国務大臣(伊東正義君) 防衛大綱の見直しとか改定とかいうことは一切出なかったということを、私は帰りまして新聞記者の諸君にもはっきり言っています。
#49
○志苫裕君 示唆されることはあったんですか。
#50
○国務大臣(伊東正義君) そういう示唆もございませんでした。世界的な情勢が厳しくなっているという話はございました。そういう情勢を踏まえて、両方で防衛の方針の研究をするとか話し合いをするということが必要なんで、具体的に何%がどうとか、そういうようなことを言うことはちっともプラスにならぬというような話をしたことは確かでございます。
#51
○志苫裕君 示唆をしても鈍感で受け取らないということもあるからね。
 これは私はいろいろ私なりに真剣にいろんな情報なども見まして、防衛問題は軽かったところか、日米協議の経過を注意深く見ますと、まず第一に、さまざまなルートを通じて役割り分担のボールが投げ込まれておった。次いで福田・レーガン会談で西太平洋防衛体制の共同調整が求められる。そこへ外相が訪米をして、それらの動きを念頭に置いて、国際認識の一致、西側の一員としての努力を力強く表明したわけだ。これで新たな段階に対応するいわば防衛の土俵ができてくるわけでありまして、この脈絡の中で日米防衛の基本的枠組みづくりというものが合意をされて防衛大綱の見直しが日程に上る、こういうことになるじゃないですか。この文脈にある日米防衛の基本的な枠組みというのは、防衛範囲やあるいは能力の問題なども含むわけでありますから、専守防衛や個別自衛権の範囲で対応できるものではない。こうなってくるわけでありまして、これが防衛サイドの専門家レベルの協議に任せられるということになっては国の根幹にかかわる問題になってしまうと思うんですね。総理、そのように思いませんか。私は、総理の訪米がありますから、もしそういう懸念があるのであれば総理のところで手直しをしてもらわぬといかぬから言うのです。
#52
○国務大臣(伊東正義君) 総理がお答えになります前に私がお答えしますが、志苫先生の御質問ですと、何か推理ができ上がっていて、結論が何か。憲法から足を出したり専守防衛から足を出したりするような御質問でございますが、私もワインバーガーさんと話して、全然そういう感じは、私は鈍感がどうかは知りませんが、感じなかったことだけは確かでございまして、常に私は、もう日本というものは専守防衛、憲法があるんだ、国民的コンセンサスもいまそんなものないんだというようなことを、顕著に防衛をするなんて、そういうことではないんだということをるる説明し、向こうもその点はもう十分に理解をしているわけでございまして、先生のようなことは全然本当になかったということだけは、もう私ははっきり申し上げます。
#53
○志苫裕君 総理、どうですか。そう思いませんか。そういうことであれば軌道修正してくださいよ。
#54
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど未詳細に外務大臣から御報告がございましたし、答弁を申し上げたとおり、同様のことを私報告を受けております。いろいろ志苫さん御心配いただいておるようでございますけれども、先ほども寺田さんにお答えいたしましたように、わが国の防衛政策というものは、国会に私がしばしばお話を申し上げておるとおりでございまして、私は米側もこの日本の方針というものをよく理解をしておるものと存じております。したがって、訪米の際におきましては、日本としてなし得ることとなし得ないこと、この点はきちっといたしまして、私は日本の立場において国際の平和と安定に寄与していくということで努力していきたいと、こう思っています。
#55
○志苫裕君 そのなし得ることとなし得ないことが、なし得ることは何なのかがちっとも出ないので、これ聞いておったのでは時間がなくなるからいずれ総理お帰りになってからでも聞きますが、それならば確認を求めますよ。イエスかノーかでいいです。防衛大綱は見直しませんね。
#56
○国務大臣(鈴木善幸君) 現在、私どもは防衛計画の大網に基づいて防衛力の着実な整備を図っておるという段階でございまして、いま、私はまだまだ防衛大綱の水準に達しない段階においてそれから先を考えておることはございません。
#57
○志苫裕君 第二に、憲法の制約、非核三原則、専守防衛を厳守しますね。イエスかノーかでいいです。
#58
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来申し上げておるとおりであります。
#59
○志苫裕君 防衛予算に関する、あれは五十一年でしたかの閣議決定は変更しませんね、一%。
#60
○国務大臣(鈴木善幸君) 五十一年に防衛予算の問題に触れましてGNPの一%以内ということに相なっておりますが、私は、日本のGNPは着実に伸びておりますし、防衛計画の大綱を達成するためにGNPの一%を超えなければこれができないというようには理解しておりません。
#61
○志苫裕君 第四点ですが、一部の新聞の報道にある真偽も尋ねたいのですが、防衛に関して補正予算を組まない、組むのか、あるいは財政再建で政治生命をかけていらっしゃるそうでありますが、五十七年度予算で防衛費を聖域に置くことはない、このようにお答えできますか。
#62
○国務大臣(鈴木善幸君) この防衛予算を追加計上するために補正予算を組むというようなことは全く考えておりません。
 それからもう一つ……
#63
○志苫裕君 五十七年度予算で聖域に置かない。
#64
○国務大臣(鈴木善幸君) 五十七年度予算編成に当たりましては、私は大型新税の導入など考えずに、経費の縮減合理化、行政改革、行財政の改革によってこれを達成しようという考えでございますので、すべてその観点に立って全体の予算を見直していきたいと、こう思っています。
#65
○志苫裕君 私はこの際に、一時確認をいたしましたが、いわゆる強いアメリカに便乗をする防衛当局の動きを総理も大蔵もひとつきちっとチェックをしてもらいたいということを要望をしておきます。
 いろいろとまだおいおいと尋ねて総理に見解を求めなきゃならぬのですが、私はやっぱり一連の外相の訪米を見まして、こういう感じがしてならぬのです。総理からお答え願いたいのですが、私は率直に言いまして外務大臣の飾らない人柄に好感を持っていた方なんですよ。しかし、このたびの訪米中の動きというのは国の将来を誤るものだということで私はがまんならない。いわゆるタカ派変身といわれる言動ですけれども、二十四日の日米協会主催の演説に象徴されますように、徹底して力のアメリカを礼賛する、物のけにつかれたように強いアメリカへの追従をして、反ソ陣営の旗幟を鮮明にしておる。どう見てもこれは正常じゃないですね。西側の一員と言うよりはサッチャーと並ぶ右翼席の一員だという酷評もあったのでありますけれども、総じてマスコミの論調も低い評価と将来に対する懸念を表明しておるということについて肝に銘じておくべきだと思うんです。
 言うまでもないのですけれども、レーガン政権はまだ選挙の余じんがくすぶっている政権であります。イラン人質問題に手も足も出なかったというアメリカの影響力の後退に対する国民のフラストレーションを背景にして登場しただけに、言葉や姿は勇ましくても、しょせんは困難な問題を抱えて国内の力に見合ったアメリカにしかならない、こういうのが常識でありまして、ましてや柔軟な対応を求められる国際関係においてなおさらのことで、総じて政策展開の腰はまだ定まっていない。だから、何でこの時期にという疑問もこの間提起したわけであります。それを外交のプロともあろう者がそれらを見定める余裕も持たないで、レーガン政権と歩調を合わせて横並びで走る、これは大変危険だと思うんですよ。国内経済が食われるほどの軍事費の増大に感銘をしたり、アジアにおける最後のよりどころはアメリカの強力な軍事プレゼンスだと言ってみたり、紛争周辺国の援助を強調してみたり、さまざまなことを言っていますけれども、それでいてわが国の防衛努力の中における憲法その他の制約についてあなたの演説には一言も触れてないじゃないですか。外相のやるべきことは、まだ興奮状態にある、いわゆる強いアメリカが勇み足を踏んだり火種を振り回すことに慎重さを求めるということにあったんじゃないですか。それが経済的にも力があって、世界に冠たる憲法を持ったわが国の役割りでしょうが。アメリカの友と言うなら、それが本当の友人だという気がしてならぬのですが、あなたはレーガンもびっくりするほどの火つけ役に行ったようなものだ、こういう気がしてなりません。
 ともあれ、時間がなくなりましたが、こうした外相の主体性のない、おべっかを使ったやり方は、やっぱりこれからの総理の訪米にも重い荷物を逆に背負ったことになるんじゃないかと思うんです。幸い総理の訪米もあることですから、軌道に懸念があればこの際は修正をして、国際緊張の緩和に寄与するということでせっかく努力を願いたいと思いますが、総理、いかがですか。
#66
○国務大臣(伊東正義君) 私も言われましたから、ひとつ一言言わしていただきたい。
 これは志苫先生おっしゃいましたけれども、向こうの責任者に日本の憲法上の制約、日本の考え方というのは私は十分言ってきたつもりでございますし、アメリカとソ連が全面的対決というようなことになればこれはもう世界の破滅につながるようなものだということで、首脳会談の問題でございますとかSALTの問題でございますとか、ここでお答えしていたことは十分言ってきたつもりでございまして、私は何も行ったから変わったとか行かないから変わらぬということじゃなくて、前のままの伊東正義、外務大臣として平和外交を進めるつもりでございますので、そのことだけ申し上げておきます。
#67
○国務大臣(鈴木善幸君) 今回の外務大臣の訪米を通じまして、アメリカのレーガン新政権がどのような考え方と認識と政策を持っておるか、これもよくわかりました。またわが方の基本的な政策、考え方もよく話をしていただいた、相互の理解が私は深まったと、こう思っております。これを相手方に一方的に押しつけられるものでもなし、そういう立場というものは、やはり日本は日本の立場というものがございます。私は、そういう点を今後きちっとしながら、日米の真の相互理解に基づく友好関係の強化発展を図っていきたい、このように考えております。
#68
○委員長(木村睦男君) 以上で志苫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#69
○委員長(木村睦男君) 次に、渋谷邦彦君の質疑を行います。渋谷君。
#70
○渋谷邦彦君 今回の外務大臣の訪米に先立ちまして、わが党の矢野書記長も訪米をいたしました。アメリカの首脳ともいろいろと話し合いをやってまいりました。そうした報告を聞いておりますと、今回の外務大臣が行かれて米国各界の首脳と会われた話の中身というものが、われわれは新聞情報しかわかりませんけれども、非常に共通点があるわけです。ほとんど変わらない。その中で、やはりいまも議論されてきた問題の一つとして、防衛の問題はもとより自動車の問題あるいはエネルギーの問題、こういったことを中心に、そして国際情勢の認識についてはどうかと、非常に短い時間ですから、あれもこれもと相当突っ込んだ話し合いはなされないし、また、それを期待しようとも思いません。いま最後に総理が答弁されましたように、レーガン新政権がどういう考え方を持っているのか、どういう政策をこれから推し進めようとしているのか、そういったことを認識することも非常に大事な要素の一つとして今回の外相の訪米があったと、そのとおりだと思います。そうしたことを十分踏まえながらも、ちょっと心配なことがやっぱりありはしまいかという点についてこれから若干確認をしてまいりたい、このように思うわけでございます。
 カーター前政権とレーガン新政権というものの違いというものは相当浮き彫りにされたのではないだろうか。まず外務大臣に、そうした相違点、どのように認識されてお帰りになったか、まずその点をお聞かせいただきたい。
#71
○国務大臣(伊東正義君) 外交政策につきまして、これはやっぱりニュアンスが違うなと感じたことはございます。それは、特に東西関係についての考え方でございますが、ヘイグ国務長官は東西関係について言えば、政策の一貫性ということをやっぱりアメリカとして考えていかなければいかぬ、特に対ソの問題について、七九年来の後半からいろいろな第三世界に対する軍事介入とかいろんな面が出てきておる、こういうことについて自分たちはやっぱりしっかりしてこれに取り組んでいかなければ、国際の平和というものは脅かされる危険というものがある、十分その危機感といいますか、そういう認識に立ってバランス、力のバランスというものを十分考えて、その上に立って同盟国とひとつ友好関係を強めて、そして国際平和を保っていくんだというような、東西関係の力のバランスということをやっぱり強調されたわけでございまして、この点は従来とニュアンスが違うということを感じました。人権外交等につきましても、それは考えるけれども、と言って、前の政権では人権外交というのがずっと前面に出ておりましたが、そういうことも余り強調されなかったということは、外交の取り組み方について前の政権と変わりあるなということを感じました。しかし、世界情勢の認識は、私は前の政権といまの政権で特に変わるわけでなくて、やはりこの東西関係というものを十分に考えていかなければいかぬという態度で前の政権も考えたと思うのでございますが、その点を特に強調されたということは従来よりも変わっているなという感じを受けたわけでございます。
#72
○渋谷邦彦君 レーガン大統領が当選される前の選挙運動期間中、一月二十日、就任式を終えてからの一連の発言、これは非常に一貫しておるということに気がつきます。申し上げるまでもなく、いまも議論された中にございましたように、ソビエトに対してのむき出しの考え方、そしてそのためには、いまもお触れになりましたように、どうしても軍事力でもってバランスをとっていかなければならない。それができなければ、SALTIIなんということは致命的な欠陥としか理解できないものだということは、これはレーガンさんが言われている言葉なんです。こういったことに思いを合わしてみますと、今後一体世界というのはどういうふうになっていくんだろうか。一方がバランスがとれないということで、今度バランスをとるために軍拡の道を歩む、そしてまた一方もまたそれというわけで、しのぎを削るような思いでその競争が激化する。どこまでいってもとめどなく際限のない、そういうような大変不安をもたらす政策というものがこれから貫かれていきはしまいか、このように心配するわけでございまして、そうしたような考え方を背景として、同盟諸国に対しては、せめて防衛の分担をやってもらいたいというのが本音であろうと私は思うのです。
 わが党の矢野書記長がいろんな方々に会って話をした際にも、米国は米国として日本の立場に十分理解を示しつつも、憲法の制約があるとかあるいは専守防衛だとか非核三原則である、そういったことを十分踏まえた上で、なおかつやってもらいたい。その一つのあらわれが防衛費の分担であり、あるいは防衛力の増強であり、さらには北西太平洋における日本が防衛力の一端を担ってくれないかと、こういう言動まで広がっているわけです。向こうも十分理解をしていると言いながら、なおかつそうしたような期待感というものを日本に寄せているのが今回の、まあ外務大臣は恐らくそうした明確なことはなかったとおっしゃるかもしれないけれども、少なくとも矢野書記長との話し合いの中では、ボルドリッジ国務次官補だとかカルルッチ国防副長官ですか、こういった方々と会った際に明確にそういう話が前面に出てきているわけです。新聞報道、それ突き合わせてみますと、これはやはり現在、アメリカがどうしても避けて通れないこれからの政策の大きな柱ではないだろうか。恐らくそういうアウトラインについて明確な具体的な考え方をアメリカは示さなかったにしても、そういうような感触を得られて外務大臣はお帰りになったのではないだろうかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
#73
○国務大臣(伊東正義君) 外交政策だけについてさっき申し上げましたが、その前提は、生産性が低かったり、インフレがあったりするので経済力が非常に弱っている。この経済力を強化せにゃならぬということがいま最優先の課題として取り組まれているわけでございますが、その上に立って、外交政策全般については、まだレーガン政権の外交政策はと言って総合的な政策が発表になっていない。中東問題とかいろいろやりましたが、まだいろいろ準備ができてないというような段階でございましたが、東西関係についての感じは、これはいまのような状態では、やはりソ連側がアフガニスタンに介入したというようなこともあり、やはり将来が心配される。でありますから、力のバランスはやっぱりとらなければいかぬ、その上に立ってということがあったことは確かでございます。
 ただ、私はヘイグ長官とも話しました際に、単に軍備拡張ということだけでは、これは平和ということはむずかしいので、経済問題もあれば外交努力もあれば、これは日本としてやらなければならぬことでございますし、特に米ソの関係で全面的な対決というようなことになっては、これは世界の平和も壊滅でございますから、SALTの交渉の問題でございますとか首脳会談の問題でございますとか、十分慎重に考えてほしいというようなことをアメリカ側には伝えたわけでございます。
#74
○渋谷邦彦君 今回外務大臣の訪米に先立っては、いろんな情報を収集されたと思うのですね。いまアメリカが何を模索し、また同盟国である日本に対して何を求めようとしているのか、また日本はこれからどういう役割りを担ってもらいたいか等々については、恐らく外務省を中心として、相当の膨大な資料を中心にした分析がなされ、それを十分外務大臣としては心得ながら渡米されたと私は思うのです。ですから、当然出るべき問題が、もちろん詰めの段階という、何かの成果をそこに期待して結果を得るというようなことは、それはなかなかできないだろうと思います。困難なことだと思います。しかし、大枠においてお互い認識が一致するのならばするような方向への話し合いというものは当然なされて私はしかるべきだと思うのです。そこでは、そうでなければ、いや口に友好を唱えても、向こうから要求されあるいは期待されたことについて日本はできませんよと、こうなりますと、どうしてもその辺の一致点というものがやっぱり欠けてくる。そこをどういうふうに調整しなければならぬのか。当然将来展望に立って考えてみた場合、そういう問題がこれからも出るであろう、当然日本としても何らかの調整を図っていかなければならない、そういう時期に到達するであろう。いろんなそういう想定もなされたと私は思うのですね。
 そういったことも十分踏まえて、伊東さんとしては自分のはだで感じ、実際自分の目で確かめて、アメリカがいま何をやろうとしているのか、そういうお立場から今回は訪米されたんだと思うのです。もちろん、総理の訪米ということもございましょう。ただいままでレーガン政権の持っている考え方というものがいままでと違った強硬路線を歩み出すのではないだろうか、そこに同盟国としての立場に置かれている日本としては、一体どういう調和をとってこれから取り組んでいかなければならぬのか。その一番大きな課題が、やはりしばしば問題になっております経済摩擦をどう解消するかという問題も当然でありましょうし、防衛の問題も当然だろう。恐らく焦点として考えられるのはこの二つに尽きるのではないかと言っても言い過ぎではないと私は思うのですね。
 それで、また矢野会談に触れるのですが、ブッシュ副大統領はこういうことも言っているのです。日本に対しては共同防衛の貢献を求める一方、それから国防副長官は、ここでは共同防衛の貢献を求める、具体的には何も言ってないのです、どうしてくれという。ただし、共同防衛の貢献を求めるということになりますと、具体的にこれから何をしなければならぬのかということは当然求められてくる課題であろう。当然それは常識として考えざるを得ない。
 それからもう一つは、日本は通常戦争で自国を防衛するに足る防衛力を持っていない、こういう発言もしているわけです。ですから、通常戦争で十分たえられるだけの防衛力、それを整備してもらいたい。これも具体的にどうしろああしろということはございません。外務大臣が先ほどずっと答弁されましたように、具体的にこうしろああしろということはもちろん要求はしなかったでしょう。しかしそのアメリカの気持ちの中には、何とかやはり、日本としてできることとできないことは十分心得えつつも、そのできることの中にこういった問題も含めて取り組んでもらうわけにいかないのかという願望と期待が日本に寄せられている、このように判断できるのではないだろうか、実際そういうやりとりがなされたわけですから。こういったことを考えますと、日本の今後の対米政策というものにも変更を求めるというよりも、考え方をもう一遍洗い直してみる必要があるのではないか。これは五月に予定されている総理の訪米についても恐らくそういったことはいろんな形、いろんな角度から要求もされ、詰められるであろうというような感じがしてなりませんし、日本の将来展望を考えてみた場合に、こうした問題をやはりきちっと整理をする、その必要性があろうかと存じますので、これはもうもちろんそういう基本的な問題でありますので、総理からひとつ考え方を、そういったやりとりの中でどうであるかということをお示しをいただきたい。
#75
○国務大臣(伊東正義君) 総理のお答えになる前に私お答え申し上げますが、向こうへ行きまして、防衛の話が出ましたときに、これは防衛というのは何も軍事力だけの問題じゃなくて、日本としては外交の問題、経済の問題、こういうもので、たとえば経済協力でございますが、そういう問題も含めて広い総合安全保障ということを考える。軍事的にいま以上に、憲法、法令の制約を破って、それから足を出して個別自衛権あるいは専守防衛という原則を踏み破る、踏み出すというようなことはこれはできないということをはっきり申しまして、経済の問題とか、あるいは平和外交の話を両者で話したことは確かでございます。
 そういう前提で話し合いをしたのでございまして、いま先生がおっしゃいました矢野書記長の話というのは私直接知りませんが、一般的にアメリカがいろんなインド洋とか、ペルシャ湾とか、東南アジアとか、いろいろな方面で防衛努力をしているのだという説明があって、そして日本に対しまして防衛努力の一層の強化といいますか努力といいますか、そういうことをしてもらいたいという期待表明はございました。その中で何を考えるかということはそれぞれの国が考えることであるということでございまして、日本としては、さっき言いました原則のもとで着実に防衛力の強化をするということはそれは当然考える。しかしそれだけではないのだと、経済、外交というような話を実はしたわけでございます。
#76
○国務大臣(鈴木善幸君) 今回の伊東外務大臣の訪米によりまして、その報告を受けて検討いたしておりますが、いままでのところ、大筋におきましては、わが国の外交政策、防衛政策あるいは通商政策等に大筋において変更を加えも必要がない、このような私は受けとめ方をいたしておるわけでございます。しかし、さらに私が訪米する前には詳細に掘り下げた検討、分析をしてまいりたい。また福田元総理並びに矢野書記長等の御意見等も機会があればお伺いしたり、できるだけこの重要な日米の友好関係を発展させるための、私は五月の訪米をそこに置いておりますので、十分勉強して対応していきたいと、こう思っております。
#77
○渋谷邦彦君 今度逆の面から確認をしてみたいと思うのですが、今回訪米されまして、日米間においていろんな点で一致点を見出す、これは大変必要な事柄であったろうと思います。簡潔に、何が一致して、相違点は何であったか、これが一つ。一致点は何であったか、相違点は何であったか。
 そしていまレーガン新政権は、先ほども私が触れましたように、何を日本にいま期待し、願望としてもこうしてもらいたいという要求を考えているか。ちょっと回りくどい言い方をしましたけれども、簡潔に言えば、レーガン新政権として日本に何を期待しているか。恐らく話し合いの中でこうであろう、ああであろうという、確約は得られないにしても、その感触でも結構ですからお述べをいただきたい。
#78
○国務大臣(伊東正義君) 経済問題でいろいろ自由貿易の問題、自動車の問題とか、あるいはエネルギーも含めていろんな話し合いをいたしました。特に、自由貿易をお互いに守ろうじゃないかということでは大きい問題で一致したわけでございまして、それが具体的には、いま車の問題でよく相談しようというようなことになったわけでございまして、経済問題ではほとんど話は違うところはなかったというふうに考えていただいて結構かと思います。
 外交、防衛の問題につきましては、防衛の問題についてはアメリカのいま置かれている立場、東西関係の認識でございますとか、中東関係の認識でございますとか、そういうことの向こうの話がございました。日本に対しましては、抽象的でございますが、防衛努力を一層やってもらいたいという話があったわけでございますが、これは、日本としては先ほどから申し上げましたように、憲法上はっきりした制約があるのであるから、軍事的なことはそれ以上に、これは個別自衛権あるいは専守防衛という以外はできないということは、これははっきり日本は言ったわけでございますので、向こうの期待がそれ以上であれば、それはそういう期待までは達成することはできぬということを私は言ったわけでございまして、この点は向こうも私は十分理解してもらったと思うのでございます。
 あと対ソ措置の問題でございますが、対ソ措置につきましていろいろ話をしました。ソ連がどういう態度であればひとつ日本の対ソ措置というものを考え直す必要があるかどうかというようなこともいろいろ向こうの意見も聞いたのでございますが、これは向こうもまだはっきりした、穀物の禁輸もどうするかということはいま相談しているという最中でございまして、これが明確な対ソ措置の十分な話し合いは実はできませんでした。そういう問題がありました。
 特に意見が食い違っておりましたのは、中東の和平につきましてPLOに対する考え方、これはアメリカと日本とは違うということは、これはっきりしたというようなことでございます。
#79
○渋谷邦彦君 朝鮮半島も認識の不一致点があったというふうに伝えられておりますね。
#80
○国務大臣(伊東正義君) アジア情勢を話しましたときに朝鮮半島問題もいたしました。それで、日韓、米韓、これは米韓はこの間共同声明を出したわけでございますので、日本としましては隣の、重要な隣国でございますから、これから経済的な協力はしてまいりますというのが日本の態度で、軍事的協力はできませんということを言った後で、朝鮮半島全部の平和がアジアの平和、また日本の平和に非常に関係があるので、日本としては朝鮮半島に緊張があるということは認めるけれども、北朝鮮が全面的に南進をするというブラウンさん時代の、前の政権時代の軍事報告があったけれども、日本はいまはあの当時と違って中国とも、米中関係はいい、日中関係はいいという関係になっておりますので、全面的な侵攻ということは、いまは私は差し迫った問題としては考えなくてもいいんじゃないかと思うという私は認識を述べたわけでございます。これに対しましてアメリカ側は、米中関係の友好関係を保っていくということも、これは裏から見ればやはり北側が南に侵攻しないということにも非常に関係のあることなんだ。そういう意味で、米中関係というものも友好親善を保っていくということは、非常にこれは有効だと自分らは考えているんだと。それで、北朝鮮が南朝鮮に全面的に侵攻するかどうかということは、前の政権とは、そのままそれを承認するわけのものではないと。何とかして朝鮮半島の平和を在韓米駐留軍というものを置いてバランスを保っているのだということがアメリカの考え方だというようなやりとりをしたことは事実でございます。
#81
○渋谷邦彦君 総理、時間がありませんので二つばかりお伺いします。簡潔にお願いします。
 いま伊東さんの答弁の中にもありましたように、確かに間違いなくヘイグ国務長官から防衛力の増強を求められたのです。もし今度総理が行かれた場合に、これはあくまでもそういった日本としては制約がある問題についてどこまでも初心が貫けるかどうか。また貫いた場合に、アメリカから報復という言い方は言い過ぎかもしれませんけれども、そういうような反動が起こってこないかという、その点一つ。
 それから、三月九日の総括質問の際に、ブレジネフ提案七項目ございますけれども、その中で大変評価をされていることに言及されまして、それで、いまレーガン大統領としてもこれを真剣に検討していると。今度、総理が訪米された際にも、何とか早く両国の首脳が会談できるそういうチャンスがつくれるように助言をしたい、こうおっしゃっていました。いまずっと聞いているうちに、デタントの方向よりも緊張激化の方向へ動こうとしているような国際環境ではあるまいかというそういう疑問すら受ける、そういう中で、これからの総理の訪米というものは非常にいろんな意味で大きな意義を持つものになるのではないだろうか。そういうことを含めて簡潔に、もう一つ聞きたいことがありますから、それはお願いします。
#82
○国務大臣(鈴木善幸君) 第一点の日本に対する防衛努力の問題でございますが、私はこの問題につきましては日本の国力国情にふさわしい、そして日本の専守防衛、みずからの国をみずからの力で守るという、それに徹した基礎におきまして防衛問題を考えていくと、こういうことでございます。
 それから、第二点の米ソのデタントの問題でありますが、私は、なるほどいろいろ最近の言動等から言うと東西関係の力の権衡ということが強調されておると思いますが、しかし私は、やはり世界の平和を確保するためには米ソ二大国がやはりこの話し合いによってデタントの回復、推進ということが必要だという認識を持っておられることは間違いないと、こう私は確信いたしておりますし、首脳会談におきましても私はそういう点は強く日本の意見として申しておきたいと、こう思っています。
#83
○渋谷邦彦君 あと四分しかありません。答弁を入れて四分ですから、簡潔にひとつお願いします。いろいろなことを聞きたかったのですけれども、時間がありません。また次の機会に譲ります。
 最後に、わが国の総合的な安全保障を図るためには国力に相応した国際的責任を果たす、それは当然要求されてくると思います。そのためには外交面におけるその実施体制、現状でいいかどうか、非常に私は不安感を持っているわけです。
 まず外務大臣にお伺いをし、そして中曽根長官に、その現状をこれからどうしたらいいのかという考え方をお示しいただきたい、最後に総理に締めくくっていただく、こういうことでお述べをいただきたい。
#84
○国務大臣(伊東正義君) 外交体制の問題でございますが、実質的にこれがまず質的に強化されることが必要でございますので、いろいろな面を通じまして、研修でございますとか、いろんな面を通じて質的な強化ということを図っておりますが、何分にも質を超えた量の問題が実はあると思っております。
 やはりことしの予算でも行政改革といいますか、各省定員を減らすという中でも、外務省は純増八十人というものを認めてもらったわけでございまして、外務省としましてはもう少し長い期間をかけてでございますが、計画的にやっぱりその面の質的充実と一緒に量的充実も図ってまいりたいというのが外務省の考え方でございます。
#85
○国務大臣(中曽根康弘君) 外交機能を強化するということは、各党でも強い御主張がございますしわが党でもございます。われわれもその必要を認めまして、できるだけ増員にも努めております。本年度はネットで八十人、外交関係の人員の増加を認めました。昨年も八十人認めました。そのほか欠員がある程度ある予定でございますので、その間における増員の調整措置も特別に認めておる次第でございます。
 しかし、外交機能の強化というのは、単に量的に人をふやすことというだけではだめなのでありまして、この点は外交当局にも私見を申し上げておりますが、恐らく今度の第二次臨調におきまして、公務員の諸制度の一環としていろいろ検討されるのではないかと思います。たとえば、これは私見でございますが、試験とか採用とか、あるいは配置とか、あるいは外部との交流とか、あるいはローテーションあるいは執務の内容、あるいはさらに外部との交流、そういうようないろんな問題について考えていく必要があるのではないか、そのように考えております。しかし、いずれにせよ、外交機能を強化することは非常に重大でありますので、今後といえども力を注いでまいりたいと思っております。
#86
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国の国際的な立場が非常に高まってきておる今日の段階におきまして、外交体制を整備強化するということは非常に大事な問題でございます。各党からもそのことを強くお話がございますし、渋谷さんは年来この点には非常に御熱心に政府を鞭撻していただいております。五十六年度予算におきましてもそういう観点で私ども努力いたしましたし、今後も引き続き努力してまいりたい、こう思っています。
#87
○渋谷邦彦君 終わります。
#88
○委員長(木村睦男君) 以上で渋谷君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#89
○委員長(木村睦男君) 次に、上山耕一郎君の質疑を行います。上田君。
#90
○上田耕一郎君 まず、首相にお伺いします。
 今度の五月の訪米、なかなか重大な会談になるわけで、自動車問題、軍事問題あるわけですね。国民生活から日本の将来に対しても大きな影響があると思うのですが、亡くなられた大平首相は、訪米首脳会談の前に各党党首と会談をされました。日本共産党は今度の問題で首相との党首会談を希望しておりますけれども、大平首相にならって、この会談の前に各党から希望があれば、党首からじっくり時間をとって個別に意見を聞いて懇談するという用意はございますでしょうか。
#91
○国務大臣(鈴木善幸君) 党首会談を訪米前にする考えはあるかどうか、こういうお話でございます。私は訪米の問題もございますし、また財政再建、行政改革等の問題で党首会談をしたらどうかというお話もございます。そういうような当面の問題、訪米問題を含めて自由民主党ともよく相談をいたしまして、各党の御意向も伺いながらできれば党首会談を個別に開いてじっくり御意見も拝聴したい、こう思っています。
#92
○上田耕一郎君 さて、今国会の所信表明で首相は、「レーガン新政権のもとで、」「強力な指導力を発揮することを強く期待いたします。」、そう述べられた。先ほども問題になりましたが、伊東外務大臣の日米協会のスピーチで、これを私も読んで伊東さんともあろうものがと、こう悲しく思ったのですけれども、この中で、私は一々読み上げませんけれども、アメリカに対して中心、中核、連帯のかなめ、もう本当に持ち上げて強力なリーダーシップを発揮することを望んでいると述べておりますね。先ほどでもありましたが、リーダーシップを発揮してくれというのは、指導してくれたら従いますということだと思うのです。総理どうなんですか、今度の日米首脳会談でも、あなたはアメリカに強力なリーダーシップを発揮してもらってその指導に従う――対等、平等じゃないじゃありませんか。自主外交は一体どこへ行ったんですか。いや、総理にお伺いしたいと思います、もうあなたはわかっているから総理に日米会談の問題で。
#93
○国務大臣(鈴木善幸君) 日米会談に臨むに当たりましての私の心構えでございますが、私は日米が真のパートナーシップとして互いに協力し協調し、世界の平和と安定と繁栄のために努力をしていくということが必要だと、こう考えております。したがいまして、日米対等の立場でこの大目的達成のために腹を割った話し合いをしたい、こう思っています。
#94
○上田耕一郎君 それなら、本当に日本が平和憲法、非核三原則を持っている立場で強力なリーダーシップを発揮するという決意が必要なんですよ。逆にアメリカに行って、指導してくれ、指導してくれと。これは、まことに私は日本国民にとって憂うべき事態だと思います。伊東演説は、レーガン政権が国防力を増大させる真剣な努力を払っておられることはまことに感銘深く高く評価しておる、理解と共感を抱くと。それで、わが国といたしましても西側先進民主主義諸国の一員として果たすべき役割りは十分自覚するに至っておりますと、指導してもらったおかげでここまで自覚するに至ったということまで御自分で認めているわけですね。日本が本来リーダーシップを果たすべき道は、NATO諸国とは違うはずなんです。平和憲法があり、非核三原則があるわけでしょう。NATO諸国と違う日本の正しいリーダーシップを果たすべきなのに、こういう言い方をしてしまうのでは、アメリカの国防力の増強あるいは八二年度で何と二千二百二十二億ドル、四十兆円ですよ。それをまことに感銘して、理解、共感すると言って日本もやりますということでは、これは軍備増強のリーダーシップをしていただければ言いなりに軍備拡張しますということを、あなたはアメリカに約束してきたと。御自分では鈍感で気がつかなかったかもしれませんけれども、客観的に言えばまさにそういうものになってしまったと思います。先ほどワインバーガー国防長官の話で、防衛計画大綱問題の見直しはなかったと言われましたが、国防長官は情勢の変化があったということは話したということを認められました。
 首相にお伺いしますが、もし日米首脳会談で改めて五年前と国際情勢がかなり変わっている、防衛計画大綱は見直すべきではないかとレーガン大統領からもし提起があった場合、どうされますか。
#95
○国務大臣(鈴木善幸君) 国際情勢はいろいろ変わっております。変わっておりますが、私どもはわが国の防衛につきましては防衛計画の大綱を踏まえまして、これをできるだけこの大綱の水準に近づけるように着実に努力をしてまいる、これが私の内閣の基本的な防衛方針でございます。私はこの方針を堅持していく考えでございます。
#96
○上田耕一郎君 堅持していくと言われるが、防衛計画大綱自身にこう書いてある。「情勢に重要な変化が生じ、新たな防衛力の態勢が必要とされるに至ったときには、」別のもっとすごいものに移行するんだと。ここにあるのは、それに移行するための基盤だと書いてあるんです。それから五年たちました。確かに情勢は変化が起きているんだが、アメリカから言われたのでなく、あるいは自主的ということかもしれませんけれども、この情勢の重要な変化が生じたということで見直すこともあり得ますか。
#97
○国務大臣(鈴木善幸君) 現在の防衛計画の大綱の水準に達しますために、現在の中期業務見積もり、それから、これからいろいろ検討を進めております五六中業におきましても、私は防衛計画の大綱の水準以内であると、このように考えております。したがいまして、現在われわれが目指しておりますのは、先ほどはっきり申し上げたとおり、防衛計画の大綱の水準を早く実現するために着実な努力をしていくということでありまして、それができないうちにそれをまた上回るようなそういうようなことは現在政府としては考えていないと、こういうことです。
#98
○上田耕一郎君 私どもはこの基盤的防衛力構想そのものにも反対ですけれども、いまの答弁はしっかりお聞きしておきたいと思います。
 さて次に、先ほども志苫委員が質問した問題ですけれども、福田元首相が親書を託されましたが、福田元首相とレーガン大統領の会談で出た問題、これはアレン米大統領補佐官とボルドリッジ国務次官補が明らかにしたことなんですね。西太平洋の防衛態勢を日米共同で調整していきたいとレーガン大統領が言明したと。アメリカが日本に領土防衛のみならず、西太平洋防衛に関する後割り分担を求めていることをはっきりと通告したと、そうアレン補佐官とボルドリッジ国務次官補がワシントンで明らかにしている。総理は、この西太平洋の共同防衛の役割り分担、はっきりとレーガン大統領が福田元首相に通告したという事実について、福田元首相からどういう報告を受けておられますか。
#99
○国務大臣(鈴木善幸君) 福田元首相が訪米するに当たりまして、私がレーガン大統領に親書を託したことはございません。まずこれが第一点でございます。
 それから、福田さんからはお帰りになってからよくお話を伺いたいと、こう思っておりますが、現在まだ私のところには連絡ございません。
#100
○上田耕一郎君 さて、ここで出ている西太平洋問題というのが私は大きな問題になると思うのですが、外相演説で、日本はグローバルな見地で役割りを果たす、日本のいわゆる防衛力は西太平洋地域の安定に貢献しているということを述べておられる。日米間の外交文書あるいは演説で西太平洋という言葉が出たのも初めてだし、日本の軍事力が自国の防衛だけでなく、西太平洋の安定に貢献するということが出てきたのも初めてだと思いますが、いかがでしょうか。
#101
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げますが、先ほどちょっと私のことで御質問ありましたが、リーダーシップということを言いましたが、全部何でも従うという意味じゃないので、そういう意味で言っているわけじゃちっともございません。方針はちゃんと立てたらその方針を守ると、ふらふらしないようにという意味でございまして、私はそういう意味で言っているわけでございますし、日米安保ということがあることも事実でございますから、その点はお含みおきを願いたいと思うわけでございます。
 そしていまのことは、恐らく私がスピーチの中で言ったことだと思うのでございますが、西側の一員としてのということを言いましたのは、これは軍事力ということを言っているわけじゃございませんで、私は向こうにも言いました、経済問題、外交問題全部で総合的な考え方で取り組むということを言ったわけでございます。
 それから、自分の防衛の問題は、自国を守るというのが個別自衛権ということでございますので、それを着実に増加していくということは、日本の置かれた地勢的な地位、周辺のことからいって、日本がしっかりするということはこの地位の安定につながることだ、こういう意味のことを言ったわけでございます。
#102
○上田耕一郎君 防衛庁長官に一問。
 日米首脳会談で基本的枠組みが討議されると、その後、日米安保事務レベル協議あるいはあなたの訪米で具体的な話ができる、それで現中業の早期繰り上げ達成とか五十六年中業の全面的見直しとかいうことのためにアメリカは案をつくっているという報道もありますが、あなたはどういうことを日米の防衛関係の会談で行うつもりですか。
#103
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 私なり事務レベルの会談、これはまだ日程等は詰まっておらないわけでございますが、いずれにいたしましても防衛庁といたしましては、先ほど総理がお述べになりましたように、平和憲法、専守防衛、非核三原則を堅持するなど、わが国の防衛に関する基本的方針を前提に、わが国の防衛に関し今後米側と意思の疎通、相互理解を図っていきたいと考えておるわけでございます。
#104
○委員長(木村睦男君) 以上で上田君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#105
○委員長(木村睦男君) 次に、田渕哲也君の質疑を行います。田渕君。
#106
○田渕哲也君 まず、外務大臣にお伺いをしますが、訪米の結果の報告を聞きまして、特に新聞報道によりましても、対ソ認識の一致あるいは強いアメリカ政策の支持、さらにはパートナーシップに基づく協力の約束、こういうようなことが強くうたわれておるわけであります。しかし、外交交渉というものは、双方の一致点を見出すことも大事ですけれども、私はむしろ、総理の訪米の事前の対策として訪米された外相の役割りというのは、やはり双方の相違点を明らかにするということが非常に重要ではないかと思うのです。
 それから、外務大臣が訪米される前の共同インタビューの中で、こういうことをしたいということをたくさん言われております。ところが、それについて、帰ってこられてから報告されていない面が多いと思うのです。それを逐一お聞きしたいと思います。
 まず、ブレジネフの米ソ首脳会談の開催呼びかけに対してアメリカはイエスかノーか、これを聞きたいということを言っておられましたけれども、これはアメリカの答えはどうでしたか。
#107
○国務大臣(伊東正義君) ブレジネフの演説の呼びかけの中に、首脳会談、SALT、軍備管理の問題もあったのでございます。私は、その二つの点、首脳会談というものはどういうアメリカの考え方だということもただしました。向こうの返事は、いまこれは慎重に検討している。ソ連の世界戦略といいますか外交政策といいますか、そういうものは全然変わらぬというようなときにそういうことをやるかどうかということについては、よく検討しなけりゃならぬということで、いまイエス、ノーということじゃなくて慎重に検討しているという返事でございました。
#108
○田渕哲也君 それから、SALTの交渉についてもアメリカに意向をただしたいということでしたけれども、それはいかがですか。
#109
○国務大臣(伊東正義君) これは軍備管理、軍縮にもつながることでございまして、米ソというものが全面的に対決するというようなことではこれは困るので、平和でなきゃ――米ソの平和というものは世界の平和に一番大きくつながる、その意味でSALT交渉というものをどういうふうにアメリカが考えているかということを、これもただしたのでございます。それで、新しく別な意味のSALTIIIというようなことの交渉をするのか、いまのSALTIIを改善、改正、直すというのか、そういうことはいままだ決めてない。やはり首脳会談と一緒にこの軍備管理ということは、安全保障という面の中でとらえるということを考えなければならぬということで、いまどういう方針で対ソ交渉を始めるかということは、これもアメリカはいま検討している。まず交渉は、ヨーロッパの戦域核の交渉が先になるだろうというような返事でございました。
#110
○田渕哲也君 それから、アメリカの経済援助の後退ということが言われておるわけです。特に、多国間経済援助については見直すというような方針も出されておりますけれども、これについて外務大臣は、やはりこういうものをアメリカに国際的な役割りを実行するように要請するということを言われましたけれども、これはいかがですか。
#111
○国務大臣(伊東正義君) 国際協力の話もしました。日本は南北問題をやはり重視して考えるべきものだと思うということを中心に話し、アメリカが多国間の国際協力よりも二国間の方をよけいしていく、あるいは東西関係を重視するというような考え方であるが、それでは第三世界、南の方がアメリカから離れていくというようなことにもかえってなるのじゃないか。やはり国際協力は南北問題を中心に考えることが大切だということと、いま先生がおっしゃったように、多国間のものをどんどん減らして二国間をよけいするというやり方は、国際的な話し合いとかある際にむしろ逆行するのじゃないかというような話をしました。アメリカは、二国間の方が反応が早いのでそういうことを考えるけれども、多国間の問題で国際的に約束したことは、これはまず実行するように守っていくというような返事でございました。
#112
○田渕哲也君 それから、防衛問題についてでありますけれども、基本的な面でアメリカもわが国の諸条件、制約というものは理解しておるということでございましたけれども、しかし、平和憲法の枠内といっても私は双方の考え方にかなり大きな差があるような気がするわけです。そして、外相の訪米の中で出てきた問題として、一つはワインバーガー国防長官から海上防衛の区域の拡大の問題が出たと思います。それは、わが国が計画しておる範囲よりかなり広いものである。グアム島以西、フィリピン以北というようなことも出されたと報道されておりますけれども、こういう点の大きな食い違いがあると思うのです。
 それから、防衛計画の大綱についても見直しを要請されなかったけれども、日本の現在の防衛計画の大綱は五年前のもので、その後のソ連の軍事力増強並びに世界戦略の現実に十分対応したものとは思われないと、こういうアメリカの判断が出されたことも事実だと思うのです。私は、こういう点についてやはりこれからどうするのか、またどういう話し合いがされたのか、お伺いをしたいと思います。
#113
○国務大臣(伊東正義君) いま二点、御質問ありまして、区域の問題、グアム島以西、フィリピン以北という話をされたわけでございますが、その区域を日本が防衛してくれ、防衛分担でそこをしてくれという話じゃなかったのです。その話が出ましたのは、インド洋、ペルシャ湾でもアメリカが追加的防衛を行っている、あるいは東南アジア、いま先生がおっしゃったその地域でもやっているという例示がございまして、そして日本の防衛力の強化ということを考えてもらいたいというような期待表明があったことは確かでございます。しかし、それは直にその地域がどうということじゃなかったのでございまして、私はその地域の話が出ましたから、それは誤解があるといかぬからと言って、はっきり日本の防衛の整備の国民的コンセンサスはそういうものじゃないのだということをすぐに私は言ったのでございますが、向こうはひとつそういうところでも努力しているのであるから、防衛費の強化ということも期待しているのだというような期待表明だったわけでございます。直接じゃございませんでした。
 それから、防衛計画大綱の見直しとか、あるいは変更とかいうことは、これは向こうからそういう話は全然本当になかったわけでございまして、世界情勢を話し合った際に、いろいろ世界情勢というものは厳しくなってきているという意味のことがあっただけでございまして、その計画大綱を見直してくれとか、変更してくれとかいう話は全然これは出ませんでした。
#114
○田渕哲也君 総理にお伺いをしますけれども、防衛計画の大綱は当面見直しは考えていないということですけれども、私はその理由として現在まだその水準まで行っていない、だから見直す必要はないんだという言い方、そういう答弁というのは私は一種のごまかしたと思うのです。防衛計画の大綱というのは、現在の情勢の中でどの水準まで日本の防衛を整備せんといかぬのか、そういう目標を示し計画を立てるのが防衛計画の大綱だと思うのです。ところが、五十一年にできた大綱がまだその水準まで行っていないからいま見直す必要がないというのは、水準を達成した後どうするのかということは現在は全く考えなくてもいいのか、こういうことになるわけです。すでにアメリカからこういういろいろな話が出ておるわけですから、いまそういう答弁だけで逃げられるというのは、一種のごまかしてはないかと思うのです。アメリカとの話し合いの中では防衛計画の問題についてもっと突っ込んだ話をしながら、国会とか日本の国民の前では、まだその水準まで行っていないからいまのままでいいんだという答弁だけで逃げられるというのはおかしいと思いますけれども、いかがですか。
#115
○国務大臣(鈴木善幸君) ごまかしたとか、そういうことが日本の国会で通用するわけがございません。私は、この現在の防衛計画の大綱を達成するためには五十六年の中業もつくらなければいけない、これをやりましても果たして全部この防衛計画の大綱を達成できるかどうかと、こういうことでございます。この五六中業を達成する時期は昭和六十年、これになろうかと思います。そのとき一体国際情勢がどういうぐあいになっておるのか。私は、いまからそういうことをどうこうということは考えられない。これは本当のことだと思いますよ。私は、したがいまして当面、私どもは五十一年に策定し国会の御了解も得ておるところの現在の防衛計画の大綱を着実にやってまいる、これで対応できる、こう思っています。
#116
○田渕哲也君 総理が今度訪米されるわけですけれども、外務大臣の訪米の結果を踏まえて、総理が訪米されたときにアメリカと話し合いをしなければならないこと、訪米でしなければならないポイントは何か、それをお伺いしたいと思います。
#117
○国務大臣(鈴木善幸君) 日本の国民の皆さんの御努力によりましてここまで国際的な地位も高まり、また国力も発展成長を遂げてまいりました。世界における、国際間における日本の立場また役割り、国際の平和と繁栄に果たすべき役割りがそれだけ高まっておる、こう私は認識をいたしておるわけでございます。そういう意味で、やはり自由陣営におけるところの大きな力を持っておるところのアメリカのレーガン新政権の首脳と会談をして、二国間問題はもとより、国際情勢等につきましても意見の交換をする、これが今後日本が世界の平和と安定に寄与する上からいって有益であろう、こういうことでございます。
#118
○委員長(木村睦男君) 以上で田渕君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#119
○委員長(木村睦男君) 次に、田英夫君の質疑を行います。田君。
#120
○田英夫君 先ほど渋谷委員の御質問の中で伊東外務大臣が答えられましたけれども、ヘイグ国務長官との会談の中で、北朝鮮からの全面攻撃はない、こういうふうに伊東さんはおっしゃったということでありましたが、この御判断の、御見解の根拠はどういうことか、お聞かせいただきたいと思います。どういう根拠に基づいて北からの全面攻撃はないというふうにおっしゃったのか。
#121
○国務大臣(伊東正義君) これは、私は前から言っておるのでございますが、前の北朝鮮側からのいろいろ攻撃があった朝鮮戦争等の当時を考えますと、あの当時は米中関係はなかった、切れていたわけでございますし、そういう国際的な事情が大いに違っているということでございまして、私は中国と何回も話しましても、中国も、そういう情勢はないだろう、また、あってはいかぬということを何回も言っているわけでございますし、いま韓国に米軍が駐留しておりますのも、これは北と南のバランスがとれているという考え方でございますし、米軍がそこにいるということは、北から攻撃があった場合にはアメリカは徹底して韓国を助けて戦うという意思をはっきり示しているわけでございますので、そうしたいろんな情勢から考えますと、北から全面的な攻略があるということは私はないだろうと思うということを前から予算委員会でも申し上げているわけでございまして、そういう考え方とブラウン国防長官の国防に対する意見等について若干違いがあるものですから、このたびもヘイグさん、またワインバーガーさんにも私はその点を尋ね、どういうふうに思いますかということを尋ねたというのが現状でございます。
#122
○田英夫君 これは大変日本の外務大臣としては大胆な御発言であると思います。歴代の外務大臣でこのくらい明快に言われたのは、木村元外務大臣だけだったと記憶しておりますが、その意味で、今度はヘイグ国務長官の方は、北側がかつていろいろ軍事挑発をやったということを忘れてはならないと思うというようなことを言ったそうでありますが、それが事実かどうか。そして、それに対する外務大臣の御見解を伺いたいと思います。
#123
○国務大臣(伊東正義君) 私は、朝鮮半島の平和というのは本当に大切だと、こう思うものですから、特にその問題、アメリカへ行きましても見解をただしたというのが事実でございます。その際に、さっき言いましたように、ヘイグ長官は、米中ということの友好関係を続けるということも、そういうことも大きな要素なんだということを私に回答をしました上で、いま先生がおっしゃったように、北側がアメリカの、あれは飛行機の問題でございましたか、何かに対してとった措置とか、そういう措置のあることもこれはあるんだから、それは忘れないでほしいと。北側についても警戒はしなければならぬのだという意味のことを後でつけ加えられたことは、それはありました。
#124
○田英夫君 むしろ、アメリカのヘイグ国務長官の発言がどういうことを意味しているのか、私も理解に苦しむので、過去のことで言えば、プエブロ号事件のように、アメリカ側が軍事挑発をやったということを私は記憶をしているのでありまして、この点についてのアメリカの考え方はぜひ今後ただしていただきたい、こう思います。伊東外務大臣のこの北からの全面攻撃はないだろうという発言に対して、きのうの韓国の新聞は一斉にこれに抗議の社説を書いているということのようでありますが、しかし、この御見解には私は全く同感なのでありまして、こうした韓国の攻撃に屈していただきたくないと思います。
 総理に最後に伺いますが、総理はわれわれの隣国である朝鮮半島の問題については重要な御関心があると当然思いますが、朝鮮は現在、残念ながら二つに分かれている。これは二つのままがいいのか、一つの朝鮮がいいのかという、その基本のお考えを伺いたいと思います。
#125
○国務大臣(鈴木善幸君) 朝鮮半島の平和はアジアの平和と安定に大きな影響を持つものでございまして、私は、朝鮮半島が南北話し合いによって平和裏に南北の統一というようなものが将来実現をし、真の平和が回復をするということをこいねがうものでございます。ただ、現在におきましては、韓国とわが国との間には国交が結ばれております。友邦として韓国の発展、経済の伸長、国民生活の安定、そういうようなものに日本としてもできるだけ協力をしてきたところであり、今後もそのように考えておるものでございます。
 一方、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国に対しましては、まだ国交が開かれておりません。そういうような立場から、私どもは経済、文化、人的交流、そういう面につきまして相互に、ケース・バイ・ケースで検討しながら友好関係を今後に積み上げていくと、こういう政策をとっておるわけでございます。
 こういう日本の立場でございますが、全斗煥大統領も南北の対話、首脳会談というものを呼びかけて、話し合いによって朝鮮半島の真の平和を確立をしたい、こういうことで呼びかけをし努力をしておるということでございますから、そういうことができまするように日本としてもその環境づくりその他にできるだけの努力をしていく必要があると、このように考えております。
#126
○委員長(木村睦男君) 以上で田君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#127
○委員長(木村睦男君) 次に、山田勇君の質疑を行います。山田君。
#128
○山田勇君 外務大臣にお尋ねいたしますが、今月の二十三日に行われた伊東・ヘイグ会談で、シベリア天然ガスパイプライン敷設計画に対し安全保障上問題があると指摘されたと報道されておりますが、この計画にヨーロッパ八カ国とともに参加を検討しておる日本に対して、ヘイグ長官の方からクレームがついたというようなことが報道されているようですが、これは技術的に協力ということであれば私どもは好ましいことであると思うのですが、現在この問題について外務省また大臣はどのように御回答なさったわけですか。
#129
○国務大臣(伊東正義君) ヘイグ長官と話しましたときに、対ソ措置の問題が、いろいろ日本はこうやっているということの説明をしました中で、ヤンブルグのガスのパイプラインの話が出ました。そして、ヘイグ長官は、ドイツが非常にこれは熱心であるがいろいろ問題はないかということをドイツにも話した。しかし、ドイツ側が自分の話を全面的に受け入れるという段階にはなっていないというような話があったことは事実でございます。
 それに対しまして日本は、シベリアの開発のことにつきまして、公的な信用供与等については日本の考え方を示し、当分ソ連の行動に変化のない限りはもちろんこれは日本は続けていくというような話をしたわけでございまして、日本に対しましてアメリカ側からそれを右とか左とか、そういう話は実はございませんでした。ドイツにはこういう話をしたことがあるということでございました。日本にはそういうことはありませんでした。
#130
○山田勇君 外務大臣は訪米直前の三月の二十日、外務省で記者会見をされまして、その際、ソ連のブレジネフ書記長が米ソ首脳会談を提案したことに対して、アメリカはなぜ回答しないのか「米側の判断を聞いてみたい。」、また、「日本の基本的態度は、米ソが平和(共存)を続けなければならないと考えている。」と外務大臣は発言をされております。
 また、鈴木総理との出発前の意見調整では、「米ソの全面的対決の激化は世界の破滅につながるので、米ソ対話の可能性についても真剣に検討してほしい」とアメリカ側に伝えるというような報道をされておりますが、これらの問題について話し合いは行われたわけですか。
#131
○国務大臣(伊東正義君) お答えしますが、先ほどもお答えしましたが、いまお話になりました米ソ首脳会談あるいは軍備管理問題について話し合いをしました。
 私は、米ソが全面的に対決する核戦争というようなことになったら、これは世界の平和は破滅だということを話しまして、米ソが平和関係が保たれることは日本としても強く希望するところであるということで、首脳会談あるいは軍術管理への見通しについて話し合ったわけでございます。
 それは、先ほどお答え申し上げましたように、アメリカ側はソ連がいまのままの態度であるということであればこれはなかなか困難であるが、もう少し様子を、ソ連側の出方、現実の具体的な行動を見ながら首脳会談あるいはSALTの交渉については考えていく。ただ、SALTの内容はどういうふうにその場合になるか、まだ国内の意見の一致はないのだというような回答でございまして、両方とも慎重にアメリカ側はいま検討しておるというふうに私は受け取りました。
#132
○山田勇君 大臣、今回の訪米についての成果があれば、ひとつお答えいただきたいと思います。
#133
○国務大臣(伊東正義君) 私は今度向こうへ参ったのは、新しい政権の人々とまず個人的な知り合いになるということ、これは大切でございますので、いろんなことを進めていく上に。これは非常に今度の場合に温かい気持ちでどこでも会見がございましたので、私は成果が上がったと思っております。
 もう一つは、日米の友好関係のきずなをといいますか、信頼関係といいますか、こういうことを、前政権の時代もございましたので、引き続き維持発展をしていくということが大きな目的でございましたので、私はこの点もいろいろ話し合いをしまして、できることとできないことを、私が自分なりに返事をし意見を述べたつもりでございまして、私はやはり新しい政権とも信頼関係はできたと。これを維持発展していくということについて、総理が五月おいでになれば、ますますそのきずなは太くなっていくものだというふうに思っております。
#134
○山田勇君 総理にお尋ねいたします。
 総理は五月に訪米しレーガン米大統領と会談するわけですが、当然日本の防衛力増強の問題が最重要議題となるわけですが、なかんずく五十六年度防衛予算案が対前年比米国と約束した九・七%増達成を前提に編成されていたということが明らかになったときのうの新聞の記事にもあるわけですが、わが国としては憲法による制約、非核三原則、また財政事情、それに国内の世論などを踏まえての交渉になると思いますが、この点総理、どうお考えになっておられますか。
#135
○国務大臣(鈴木善幸君) 首脳会談において防衛問題が重要な議題になるであろう、それに関連いたしまして、五十六年度予算編成に当たって日本が九・七%の防衛費の伸びを約束していながらこれを守らなかったというお話がございましたが、そういう約束はいたしておりません。われわれとしては、そもそも防衛努力、防衛予算、そういうものはわが国政府が自主的に判断をしてこれを決定すべきものであり、国会の御承認を得て実行するものでございます。アメリカと約束するとかしないとか、そういう筋合いのものではない。今後もそういう自主的な立場でやってまいる考えでございます。
#136
○委員長(木村睦男君) 以上で山田君の質疑は終了いたしました。
 午前の質疑はこの程度にとどめます。
 これにて午後一時十五分まで休憩いたします。
   午後零時十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十分開会
#137
○委員長(木村睦男君) 予算委員会を再開いたします。
 休憩前に、引き続き質疑を行います。岩動道行君。
#138
○岩動道行君 最初にまず、きわめて短時日の間に、伊東外務大臣はレーガン大統領を初め新政権の首脳部あるいは上下両院議員と精力的な話し合いをされ、そして鈴木総理が訪米される土俵づくりをなさってこられたことに対しては深く敬意を表したいと思います。
 そこで、午前中の質疑である程度重複することがあるかもしれませんが、自民党の立場から若干の質問を行いたいと思いますが、最初に、日米間の問題として主として大きな時間をとったのは自動車問題だったと伝えられております。そこで昨日、官房長官、外務大臣、通産大臣、そして大来代表と四者会談が行われたと伝えられておりますが、その会談の内容について最初に官房長官から簡潔にお話をお聞きしたいと思います。
#139
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨日、ただいまお話しのように、伊東外務大臣、田中通産大臣、大来政府代表、私、四人で会いまして会合をいたしました。最初に伊東外務大臣からワシントンに族をされました結果についての御報告がありましたが、これにつきましてはすでにこの委員会でお話が出ておるのではないかと思いますので簡略に申し上げますと、外務大臣がワシントンに行かれまして、アメリカのレーガン大統領等からこの自動車問題について、アメリカにとっては非常に重大な産業でございますが、大変に問題がむずかしくなっておる、議会等でいわゆる保護主義的な立法の危険が大きくなっている、大統領としては自由貿易主義のために何とかそういうことは避けたい、しかし、ビトーをするということは必ずしも容易でないというような現状である、自由貿易のためにまた将来これがヨーロッパ等々にも波及するという可能性も考えるときわめて心配な状況であると、そういうことを言われて、決して日本のとがのある問題ではないと思うが、この問題について日本政府としてどういうふうに考えてくれるであろうかというような御趣旨であった由であります。
 その御報告に従いまして四人で相談をいたしました。決まりましたことは、第一に、この問題についてアメリカ側から現状、米国としての考え方等々を日本に説明するためのミッションを喜んで出すということがすでに外務大臣と大統領とのお話で出ておるそうでございますので、そのミッションを準備ができ次第できるだけ早く日本に来てもらったらどうかと、そういうことを先方に話すということ。第二点に、この問題について日本側として誠意を尽くしてできるだけ鈴木総理大臣の訪米されるまでに大筋の対案をまとめたいということ。第三に、この四者の会合は必要があればまた後日とも開こうと、ほぼそういうことでございました。
#140
○岩動道行君 そこで、この自動車問題でございますが、アメリカ側の説明を求めるということでありますが、私どもはこの自動車問題は主としてアメリカサイドの問題であって、日本側には大量に輸出が進んだということで、これは自由貿易主義の中では当然のことでもあるし、品質もよければ安いと、当然の帰結だろうと思います。
 そこでまず、鈴木総理もけさほど申しておられましたが、アメリカの自動車産業の再建努力については日本側としては強く要請もしていかなければいけないのではないか、労働者の生産性の問題とか、品質管理であるとか、あるいは自動車産業労働者の賃金が一般の労働者賃金に比べて六割も高いと、こういう状態、そこにアメリカの自動車産業の本質的な問題があるのではないかと。また、アメリカでは昨年ITCで、アメリカの自動車産業が不況に陥ったのはこれは日本の自動車が入ってきたからではないのだと、こういうシロの結論を出しているわけであります。それを踏まえてアメリカとの話し合いが進まなければならないということもお考えいただきたいと思います。
 また、最近はアメリカの自動車の売れ行き、市場が好転の兆しを示しているということ、さらにまたGMの小型車が出始めているといったようなこと、こういったようなことを考えますと、私は日本としてまだまだ向こうの説明を聞くと同時に、こちらからも言うべきことが多くあるのではないかと思います。
 さらにまた、アメリカのユーザー、ディーラーの立場というものもありますから、デトロイト周辺の声だけで事を処理するということは、誤った結論を出すようなことになってはいけないのではないか、こういうことも十分にお考えとは思いますが、留意をしていただきたいと思います。
 そこで、アメリカの事態の対応策というものをまずよく見きわめて、またそれが確実な方向に行くということを確めながら、日本としてはそれなりの対応、協力はやぶさかではないと、こういうことでいかなければならないのではないか、したがって時期につきましても、私は、慎重にお進めになるべきであって、鈴木総理がおいでになる前にただいまのお話によりますと大筋の代案はできるかもしれないと、つくりたいと、こういう御希望もございますが、これは望ましいことではございましょう。しかしながら、事を急ぐ必要はないと思う。十分に話し合いをし、十分に相互の認識を深めた上でおやりになる必要があるのではないか、また防衛と絡ませるというようなことのないように十分な御配慮もいただきたい。
 さらにまた、自主規制というようなことがある程度話し合いになっていくと思いますが、その場合にその台数が一体どうなるのか。百六十万台が攻防の線であるということが伝えられておりますが、これらの点についてはまだ基本の話し合いができてないのに数字が出てくるということはいかがかと思いますが、こういう点についてはどうお考えになるのか。
 また、自主規制の場合にはアメリカの独禁法とどう調和がとれるのか、この点については、アメリカ側から独禁法には触れないんだと、こういう一札をもらわなければなかなか自主規制というものはできない。貿管令等でおやりになるなら別でございますが、自由貿易主義ということを相互に基本線として確認をした上は、そのようなことはおとりになるべきではないと思います。そういったようなことから、この自動車問題について、いま申したようなことから政府側の御意見をこの機会に簡潔に承っておきたいと思います。
#141
○国務大臣(田中六助君) 外務大臣がワシントンに行きまして、日米の自動車問題については話し合いを続けようということを決めてきまして、私どもがいま聞いておるところによりますと、向こうからいろんな説明に来られるようで、アメリカの自動車の現状、それから米政府はどういうように思っておるのかというようなことを、私どももいち早く聞いてみたいと思います。目安を、先ほども官房長官のお話にもございましたように、私どもはできますならば総理が訪米前にこの話し合いを進めたいと、アメリカ大統領もそれを望んでおられるようでございますし、そこに目安を置いて作業を進めることを一応考えておるわけでございまして、その場合に私どもがどう対応するかということはアメリカの説明を先に聞いてからでございますけれども、それにつきましては何種類かの方法がありますし、もちろんアメリカの独禁法のことも頭に入れて考えねばなりませず、いまの段階ではアメリカ側から来て、アメリカの現状、それから政府の思惑、そういうようなものを聞いて対処していきたいというふうに考えております。
#142
○岩動道行君 先ほど申したようないろいろな問題点を十分に念頭に置いてお進めをいただきたいと思います。
 次に、外務大臣に伺いますが、エネルギーの問題についてアメリカとお話し合いをされたようでございますが、原子力の問題あるいは石炭輸入の問題、さらに石炭液化の計画の問題、これらについて簡潔にお話を承りたいと思います。
#143
○国務大臣(伊東正義君) 二国間の問題をヘイグ国務長官と話したときにエネルギーの話をいたしました。日本としましては、もう石油の大輸入国、消費国であり、この石油の問題をめぐって、エネルギーの問題というのは重大問題であるということを話したわけでございまして、その中で、いま日米の間で問題になっているということで取り上げましたのは、一つは石炭でございます。いま原料炭は入っておりますが、西部の一般炭の輸入の問題が民間同士で話し合われておりますので、日本でも今後石炭の問題は非常に石油のかわり、代替エネルギーとして大切でございますからその問題の話をいたしました。民間同士でよく話し合いをしてもらいたいという話し合いをし、もう一つはSRCIIIの問題でございますが、これはアメリカから大体話し合いがあって、この石炭液化と核融合の問題の協力というのは、これは日本の大きな代替エネルギーとしての国際的協力の象徴のようなものである。その石炭液化の問題についていろいろ意見があるわけでございますが、日本としては、これは日米独の国際協力のもとに石炭液化計画を検討していこうということであったので、これについてはいままでの考え方で進めていきたいという考え方が強くあるのだ、一方的に計画を変えるというようなことは、これは取り決め上もおかしいことだからという話をしたのでございますが、向こうはこの問題については三国でよく協議をする、どういうふうにして実現していくか、どういうふうにするかということは協議をするという話でございました。
 もう一つ、原子力の問題につきましては、原子力が代替エネルギーとして非常に重要なものであるということを日本も認識しておるので、この原子力の平和利用ということについては重大な関心を持っておる、その中で、使用済みの核燃料の処置の問題があるのだと、日本も核不拡散、核が拡散することを防止するということについては、これは非常な関心があり、まさにその方向で協力すべき問題だということはよくわかるが、そういう前提のもとに日本の東海村の再処理工場というのは六月一日まで一応運転が認められておりますが、その先はまだ話し合いかない、さらに第二処理工場をつくるかどうかということについてもまだ同意はないわけでございますし、また、いま英仏に使用済みの核の再処理を船で持っていく、一船一船アメリカの同意を得なけりゃならぬというような非常に窮屈な状態にもあるので、これは、ウランの効率的な使用という問題、使用済みの核燃料の管理の問題、全般的な問題を含めて、もっと日本に対して便宜が図れるようにひとつアメリカで考えてもらいたいということを実は言ったわけでございます。
 これに対しましてアメリカ側は、核拡散防止ということ、これは一生懸命やるということはもちろんであるが、原子力利用の全般的な問題の検討はいまやっている最中である、いましばらく待ってもらいたい、ただ日本のいまの私の述べた要望につきましてはどちらかと言うと積極的な態度で検討をする、しばらく待ってもらいたい、こういうことでございました。
#144
○岩動道行君 そこで、日本にとってもあるいは世界の先進国にとっても大事なのは代替エネルギーの充足でありますが、いまのようなことでカーター政権からレーガン政権になって、核政策、原子力の平和利用が大きく変わって前進をしようとする時期になったと思いますが、これについて科学技術庁長官は、アメリカにおいでになって積極的にこの問題に取り組んで、日本の原子力平和利用を進めるお気持ちはございませんか。
#145
○国務大臣(中川一郎君) 原子力の平和利用は全世界的に見て大事なことであり、特にわが国にとってはエネルギーが自給率が悪いだけに最重要政策だと存じております。その中にいろいろ問題ありますが、御指摘の使用済み燃料の再処理問題というのはウラン鉱石を持たないわが国にとっては大事な問題でございまして、カーター政権の時代、いろいろ窮屈な点もありましたが、伊東外務大臣がヘイグ国務長官にお会いして、かなり積極的であると聞きまして非常に喜んでおるところでございますが、まだ六月一日以降の再処理の問題あるいは再処理工場の建設の問題あるいは使用済み燃料の搬出の問題等、緊急の課題がありますので、前向きではありますけれども、積極的にわが方も努力をしたい、場合によっては訪米ということもあり得るかと存じますが、いまのところはルートを通じてそれぞれ努力をしたい、こう思っております。
#146
○岩動道行君 外務大臣に、国際情勢のアメリカとの話し合いで、いろいろな認識の共通したもの、あるいは若干のすれ違いみたいなものがあった、これは午前の質疑でも明らかになった点でございます。これらの点について若干伺ってまいりたいと思いますが、その前に、けさの新聞でございますか、ソ連の駐日大使が北海道の羅臼に出かけると、これの旅行許可は外務大臣がお出しになった、そして行ってやることは何か漁民か何かに表彰状を渡すと、その表彰状が漁業の操業許可証みたいなものになるということが伝えられておって、これは領土問題と非常に大きなかかわり合いのある重大なことになろうかと思いますが、これについて一体外務省はどのようにお考えになっているのか、この機会に伺っておきたいというふうに思います。
#147
○国務大臣(伊東正義君) いま御質問の点は、日ソの親善友好協会ですか、あそこの何か支部が羅臼にできる、羅臼に親善会館ができみということでソ連大使が行くということでいまのような手続をとったということを聞いておるわけでございますが、その先、いま岩動さんが言われるように、何かそういうものを出すことによって操業に特別便宜を与えるとかということになりますと、非常にこれは性質上重大な問題になってくるわけでございます。領土問題も関係するような問題でございます。私どもはそのことは承知しておりませんが、関係政府委員から詳細は御答弁申し上げますが、われわれはそういうことは一切関知しておらぬ、親善会館ができるんだということを承知しているということでございます。
#148
○岩動道行君 重大な関心を持って見守っていただきたいと思います。
 そこで、国際情勢の認識の問題でございますが、先ほど渋谷委員でございましたかにお答えになった――委員のどなたでしたか、ちょっと忘れましたが、中東問題についてのアメリカの考え方、これはキャンプ・デービッドによる和平の問題、そしてイ・イ戦争の問題、さらにパレスチナ問題等について具体的にどのようなお話があったのか。特にPLOについてはその認識が大変異なっておる。これはかねてからそういうことがわかっていたわけですが、依然としてそういう状態だったと。しかしそれは埋めていかなければいけない。むしろアメリカに、パレスチナ問題を避けて通れない、PLOを避けて通れないということをよくわかってもらわなければいけない。今度はすれ違いで終わったかもしれませんが、鈴木総理大臣が行かれたときにはさらにこれが幅が狭くなるような、認識が一致していくようにぜひ努力をしてもらわなければならないと思いますが、この点についていかがでございますか。
#149
○国務大臣(伊東正義君) 中東和平の問題につきましてやはり国務長官と話をしたわけでございます。そして日本側の立場としまして、中東の包括的な、公正な和平ということを考える場合に、いま岩動さんのおっしゃったように、パレスチナ問題、それに含まれるPLO問題というものを抜きにしては考えられない、キャンプ・デービッドでエジプトとイスラエルの和平ということをアメリカが進めておられるのでございますが、それはそれで結構だ、それはそれで結構だが、さらに永続的、包括的というには、いま言ったパレスチナ問題は避けては通れない問題である、それでパレスチナ人の自決権、これは国家をつくるまでの私は権利があってもいいと思うのでございますが、自決権というものは認めることが大切であり、その中でPLOがパレスチナ人の有力な代表であるということも考えなければいかぬ、日本にパレスチナ、PLOの人がもし来られるというようなことであったら、自分はPLOの人々にこういうことを言う、それは、ひとつイスラエルもPLOが和平のテーブルにつくことを認めていくということが大切であるし、PLOもまたイスラエルの生存権ということを認めることも大切だということを言い、PLOが問題の解決に武力を使うということ、それは私は好ましいことじゃないということを率直にPLOの代表者に、もし日本に来られれば私は話すつもりである、中東の和平というのはそういう問題であり、ECも非常に日本と考えが近いので、ECからもアメリカに話があったはずだ、というようなことを私は言ったわけでございますが、この点等につきましてはアメリカ側とかなり意見が違ったことは事実でございます。
#150
○岩動道行君 一層の御努力を願いたいと思います。
 そこで、中東情勢に関連して、ペルシャ湾岸あるいはホルムズ海峡等いろいろ不安な状況は依然として残っているわけですが、これらの、日本にとっては大きな油の輸送地帯になっているわけですが、これの輸送確保のための安全保障的な問題についてはお話し合いが出ましたか。
#151
○国務大臣(伊東正義君) 中東地帯の油が大切だということは出ました。それから、アメリカがペルシャ湾、インド洋等について追加的な防衛努力をしているということは、向こうの説明はございましたが、だからといって日本にどうしてくれとう話は、これは出ませんでした。一般的にそういう説明があって、日本の防衛努力の強化と言いますか、というふうな話がございましたが、直にそれに結びついてどうしてくれということはございませんでした。
#152
○岩動道行君 アメリカは南北問題について関心が薄くなったといいますか、あるいはその役割りを日本あるいはドイツに肩がわりをさせるといったような話も伝わっております。そして経済協力も二国間の経済協力に重きを置いて、多国的な、たとえば国際機関、たとえば第二世銀、そういったようなものについては余り関心を示さないといいますか、手を少し薄くすると、こういったようなことも伝えられておりますが、これらの点についてのお話し合いはどうでしたか。
#153
○国務大臣(伊東正義君) その問題は国際協力のときに話を私の方から実は持ち出したのでございまして、アメリカが、新聞紙上伝えられるところによると、国際協力の予算を減らすとか、あるいはいまおっしゃった多国間の関係のものを減らして二国間のものをふやすとか、あるいは友好国と非友好国を頭から分けて経済協力をしようとかいうようなことが新聞に伝わっているけれども、それは本当かどうか。日本としてみれば、経済協力というのはやっぱり主体は南北問題ということを重点に考えるべきじゃないか、南の方の国々の経済社会開発、あるいは民生の安定ということをやることがこれは平和につながることである、友好国と非友好国と分けてしまってなんというやり方はまずいんで、南北問題には日本はもうこれは本当に重点を置いて考えている、グローバル・ネゴシエーションも、これはほかの、財務長官との話で出たのでございますが、日本としては南の立場に立って主張しているということで、アメリカの考え方は私は少し考え方がおかしいことがあるんじゃなかろうかということを実は言ったわけでございます。これに対しまして、友好国、非友好国を分けてやるというような、そういうことは何も考えてはおらないということを言い、国際的な約束をしたものについてそれをやめるというようなことはそれは何にも考えていない、ただ二国間の経済協力というのは、した後が非常に反応が早いということはあるんだというような説明がございまして、新聞に伝わっていることが全部本当ではないというような説明があったことは確かでございます。
#154
○岩動道行君 オタワのサミット会議について何か触れられましたですか。
#155
○国務大臣(伊東正義君) オタワ・サミット自体については、今度話は向こうからも出ませんでした。時間的余裕もございませんでしたので、サミットそのものについて意見の交換をしたことはございませんでした。ただ、いろんな言葉を言っている際に、いまの原子力のこともそうでございますが、重要な問題について検討をする時間が欲しいと、少なくともサミットまでにはいろんなものを決めるからというようなことでサミット問題が名前が出たことがありましたけれども、サミットでどういうことを議論するとか、そういうことは実は出ませんでした。
#156
○岩動道行君 時間もありませんので一つだけ申し上げますが、極東アジア、特に朝鮮半島あるいは台湾、そうして日本、こういったような関係で、極東アジアの安全保障の問題でどのようなお話し合いをされましたですか。
#157
○国務大臣(伊東正義君) アジアの安全、平和というのは非常に大事な問題でございますので、この話が出たことはそのとおりでございます。中国の関係は、目中、これは友好親善関係で非常にこの関係は緊密に保たれている、それから米中もいまは昔と違って友好関係が非常に緊密である、日米もいい、この三角関係が皆いいということは、極東の、アジアの平和にとりまして非常に大切なことであるということで話が出まして、アメリカと中国との関係は、つい最近レーガン大統領がワシントンにおる中国の大使とも会って、今後関係をますます緊密にしていこうということを中国大使と話したばっかりである、アメリカとしても中国との友好関係が続くことを、続けることを希望しているという話でございまして、特に台湾がどうとかいう話は、向こうからもこれは出ませんでした。
 米中関係をよくしていくということの話がございまして、そして、そういうことをすること自体が北朝鮮の問題に対しても非常に好影響を持っていると自分たちは思っているということでヘイグさんから話があったことは事実でございます。
 そして、朝鮮半島の話になりまして、米韓のこの間の共同声明の話もあり、日本としても、日本と韓国との平和友好関係をこれから続けていく、発展させなけりゃならぬと思っている、ただアメリカと違うところは、日本は軍事的な協力はこれはできないわけでございますから、その点は経済とか技術とかそういう面で協力をしていくんだという話をしたわけでございます。そしてアメリカ側から、米軍が韓国に駐留しているということは朝鮮半島の平和のために大きな抑止力になっているんだという説明がございました。そして、そういう情勢のもとで、北から南というようなことになれば、これは相当の反撃があることを、それは北も覚悟しなきゃならぬことでございますし、北からの全面的な侵攻という、前の政権のときにあったようなことは、それは可能性は非常に少ないだろうという意味の話し合いがございました。これは日本としましても朝鮮半島全部の平和ということが大切でございますので、そういう意見の交換をし、日本も中国ともしばしばその話をし、南進ということはこれはあっちゃいかぬということを話したわけでございますから、朝鮮半島における緊張状態があるということはこれは十分わかることでございます。その前提の上に立っていまのような話し合いをしました。
#158
○岩動道行君 これで終わります。(拍手)
#159
○委員長(木村睦男君) 以上で岩動君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#160
○委員長(木村睦男君) 次に、寺田熊雄君の質疑を行います。寺田君。
#161
○寺田熊雄君 外務大臣にお尋ねします。外務大臣の御答弁、ゆっくり何時間でも伺いたいんですけれども、時間が非常に限られていますから、簡にして要を得た御答弁をお願いします。
 自動車問題の解決は、私は、総理の訪米前に、これが成就いたしますと、アメリカの現政権、首脳に対する一つの大きなプレゼントになるように思うんですが、そして、防衛問題に対するアメリカの矛先をやわらげる上に非常に役立つのではないかという見方をしているんですが、いかがでしょうか。
#162
○国務大臣(伊東正義君) 二つ御質問でございますが、自由貿易を守るということは、これはアメリカだけじゃなくて日本にとっても非常に重大な問題でございますから、両方の合意しましたのは、自由貿易体制を守る、それが日米両方にとって非常な大きなこれは仕事だということで一致したわけで、アメリカだけにどうというのではなく、日本にとってもこれは私は大切な問題だと思っています。
 それから、自動車問題を話しましたとき、これはリンケージなどという問題じゃないと言って、日本から実は言ったことがございます。自動車問題がほかの商品に関係したり、防衛に関係したり、そういう問題ではなく、自動車問題は一個の経済問題として、ほかの問題と結びつけないで考えようということを両方で話したことがございまして、これがどうしたから防衛がどうなるとか、そういう問題では私は実はないというように思っております。
#163
○寺田熊雄君 しかし、もともとアメリカの要請によるものでしょうし、これが解決しなければ確かに自由貿易それ自体が脅かされますけれども、同時に、アメリカの首脳としても、やはりこれは大きな、何というんですか、負担になるんじゃないでしょうかね。との問題の解決は、アメリカではヘイグ国務長官ですか、それともブロック通商代表でしょうか。日本では外務、通産のどちらが責任者になりますか。
#164
○国務大臣(伊東正義君) 私が行きましたときに国務長官から真っ先にこの話が出たわけでございまして、大統領から非常にこれは政治問題になるおそれがある、外交上の問題になるからしっかりやれということを自分に言われたんだという話がございましたが、国務長官だけでやられるということになるのかどうか、その辺は私はわかりませんので、その辺の質問をしましたら、いや、ブロックさんも、物によっては財務長官もみんな関係するんだ、こういうことでございましたので、だれが一人で全部やるというような感じは私は受けなかった……
#165
○寺田熊雄君 責任者……。
#166
○国務大臣(伊東正義君) その辺は、相手の国のことでございますから、私がたれが責任者だなんということを判断するのもなかなかむずかしかったし、いまここでだれだということもちょっと言いづらい、ちょっとわからぬというのが本当でございます、率直に申し上げまして。向こうから日本側はだれが窓口だという質問、これはございましたので、私はもうためらうことなく、大来代表と、自動車問題は非常に重大な問題でございまして、担当しておられる田中通産大臣と二人が共同してこれはやられるんだということを、私はこれはためらいもなく答弁をしたというのが経過でございまして、外交上の何か問題になってくればこれは当然外務大臣が責任を持たなければならぬわけでございます。そういう話を向こうにしました。
#167
○寺田熊雄君 さっき外務大臣が、ワインバーガー国防長官との会談で、北西太平洋のグアム以西ですか、それからフィリピン以北、この海域に関する防衛の話は出たことはあるということをおっしゃったでしょう。言われましたよ。しかし、それは日本に海域の分担を求める意思表示だという点はあなたは否定なさったんですけれども、あなたの御答弁をずっと伺うと、どうもつじつまが合わないように思いますがね。やはりそういうことをことさらにワインバーガー氏が持ち出したということは、その点の防衛の責任をひとつ負ってくれという要請をしたと理解しないとどうもつじつまが合わないんですよ。あなたは、外交の問題はいろいろ機微にわたって正直に言えない面もあるでしょう。しかし、そういう国家の大事をごまかしてはいけませんよ。これはひとつ率直にありのままをおっしゃってください。
#168
○国務大臣(伊東正義君) さっきも総理もおっしゃいました。ごまかしたなんと、そういう意味は私は全然ないんです。こういうことで出たんです。さっきも言いましたのでよく聞いていただけばわかるのでございますが、アメリカがペルシャ湾、インド洋等でも追加的防衛をやっている、東南アジアでもまたやっているんだと。その東南アジアと言うときの例証に、グアムから面あるいはフィリピンから北という話が出まして、そういうところにソ連の勢力も大分出ているんだという、そういうところの防衛もやっているんだ、そういう話が出まして、一般的に、アメリカがこうやっている、こうやっているという説明があった後で、日本の防衛の努力をやってくださいよということを言っただけで、どの海域をどうするなんという、そういう直接な話は出なかったんです。それで私は、そういう地域の話が出て、いまの先生のような、私は誤解と、こう言うんですが、そういう誤解があるといけないからといって、日本は日本の防衛の、いま防衛庁がやっておられるのはそれはそういうところまで考えてやっているんじゃありません、日本の防衛というのは国民のコンセンサスがなければできないのであって、そういうところまで広げていくということはそれはむずかしいことなんですよということを私は説明したぐらいでございまして、正直に言ったわけでございまして、先生のように言われるのは何かこう――そんなことじゃないんです、これ。私は正直に申し上げているところでございます。
#169
○寺田熊雄君 あなたの御答弁を伺うと、われわれはこういう分担をやっているんだ、日本も協力してくれと言われたと。いやいや、日本はそこまではできないと、そういう御答弁でしょう。それ自体がやはり語るに落ちたというところじゃないでしょうかね。そう受けとめておきましょう。
 それで、そのときに、ソ連の潜水艦に対する対潜哨戒能力を強化してほしいというそういう要請もありましたか。
#170
○国務大臣(伊東正義君) そういう具体的要求は一切なかったのでございます。
 それで、語るに落ちたとおっしゃいますが、違うんです、これは。そういう説明が、アメリカはこういう努力をしている、こういう努力をしているということがありましたから、その中で特にその名前が出ましたので、それは誤解があるといけませんから、そういうことはできませんよということをはっきり私は言ったわけでございまして、語るに落ちるでも何でもないんです。正直に言ったわけでございます。
#171
○寺田熊雄君 しかし、求められなければ、そういうことはできませんよと言うことは必要ないでしょう。求められたればこそ、それはできません、コンセンサスはありませんという答弁が、回答があなたから出るわけで、求められないのになぜ特に言う必要がありますか。
#172
○国務大臣(伊東正義君) そういう話が出たときに黙って帰りますと、恐らく先生は、黙って帰ってきたじゃないか、認めたじゃないかと、こういう話が出るに決まっているんです、これは。でございますから、私は、そういう話が出ましたときに、そこを直接やってくれということではないが、説明の中にそういう話が出たということは、誤解を与えるといけませんから、そういうことは日本ではむずかしくてできませんよと、こういうことをはっきり言ったわけでございます。
#173
○寺田熊雄君 それは、よく議事録を拝見してまたお尋ねすることにしましょう。
 それから在日米軍の駐留費の負担の話も出たということが報道されていますが、それはいかがですか。
#174
○国務大臣(伊東正義君) 在日米軍の駐留費のことは話が出ました。具体的と言えば、これが一番名前が出た具体的なことかもしれませんが、在日米軍の駐留費につきましても、いまの地位協定でできる範囲のことはひとつ今後も努力をしてもらいたいということで出ました。
#175
○寺田熊雄君 どう答えられたんですか。
#176
○国務大臣(伊東正義君) 私は、在日米軍の一つの経費をどうとかということじゃなくて、一般的な防衛については答えをしております。
 それは、国会でいつでも申し上げておりますように、憲法上の制限、法令の制限あるいは専守防衛、国民のコンセンサスというようなことを話しまして、着実に努力するということはやる、それは日本で決まっているのは国防計画大綱が閣議決定で決まっておるだけだということ、これの達成について努力する、こういうことを言ったわけで、駐留米軍費をどうするとかそういうようなことは具体的には一切答えてない、抽象的な答えをしただけでございます。
#177
○寺田熊雄君 それからあなたはしばしば総合安全保障の立場をとるということをアメリカに言ったとおっしゃいますね。それは私も賛成なんです。しかし、もしそれならば、経済協力の中のODAの部分ですね、もうちょっとやはり気張るべきじゃないでしょうか。いまのGNPの〇・七%という各国のこの目標値ですね、それに達せざること遠いものがありますね。いまはたしか〇・三%台ですよ。そしてDAC加盟諸国の中でたしか十二、三番目ですよ。あなたがあえてそのことを強調なさるならば、もうちょっと御努力なさる必要がありますよ。いかがでしょうか。
#178
○国務大臣(伊東正義君) おっしゃるとおりの十二番目でございましたか、〇・三%ちょっと切っております。ことしだけは〇・三三ぐらいになりますけれども、最近三年を平均すると〇・二七ぐらいになりますか、いや〇・二六ぐらいでございましたか、減っていることはそのとおりでございます。それで、ただ総額は恐らくもうすぐアメリカに次ぐ世界の第二位、絶対額では世界の第二位になるわけでございます。いまは四番目でございますが、もうすぐ二番目になります。総額はそうでございますが、確かにGNP比ではまだ低いことはそのとおりでございますので、今度の五カ年の倍増計画でも、あれは二倍以上にしますということで、以上がこれからわれわれが大蔵省と十分析衝して、倍以上の以上のところにこれは力を入れてやらなければならないわけでございまして、あのとき企画庁でまとめていただきましたものも、対GNP比を改善するということがぴしゃっとこうついているわけでございまして、今後ともわれわれは、絶対額はアメリカの次にという二番目になるが、対GNP比でもこれを改善するように努力してまいるというつもりでございます。
#179
○寺田熊雄君 それから対外経済協力の場合に余り政策的なものを、ことにアメリカの世界戦略に沿ったようなことに重点を置いてほしくないというそういう意見がしばしばこの委員会でも述べられました。あなたは、そういうことはないということをたしかおっしゃいましたですね。もうちょっとやっぱり人道的な面で考えていただきたいと思うんですよ。
 たとえば、先般タンザニアのニエレレ大統領が来られましたね。そのときに食糧援助の要請があったと聞いているんですが、その点はどうだったんでしょう。そして、その食糧援助などは最も人道的な要請によるものだと私は思うんですよ。もうちょっとその点積極的であってほしいと思うんですが、どうでしょうか。
#180
○国務大臣(伊東正義君) タンザニアのことはいま政府委員からお答え申し上げますが、食糧援助につきましていま寺田さんがおっしゃることは私もよくわかります。なるべく食糧援助、それも無償の食糧援助ということをやりたいという希望を持っております。一番重点的には実は東南アジアの関係をやっておりますので、アフリカ関係もいままでもちろんやっておりました。やっておりましたが、量の少ないことは、私もほかの地域、たとえば東南アジアに比較して少ないということは認めます。今後とも食糧援助につきましては、なるべく日本の過剰米もあることでございますし、これは考えていくという努力はしてまいります。
#181
○政府委員(梁井新一君) 先般タンザニアのニエレレ大統領が参りました際には、農業関係の月借款の協議も行ったわけでございますけれども、総理大臣からこの食糧援助の問題につきましては来年度もできるだけの配慮をしたいということをお答えいただいた次第でございます。
#182
○寺田熊雄君 大蔵大臣にとっては、ODAの思い切って増加をしてほしいとか、食糧援助、無償援助をもっと積極的にやってほしいという、多分お耳に痛いことばかりでしょうけれども、しかしこれは財政面だけの考慮では払いかないと思うんですがね、あなたの深い御見識によるやはり対応を求めたいと思うんです。いかがでしょうか。
#183
○国務大臣(渡辺美智雄君) 対外関係の援助については、御承知のとおり将来五年間で過去五年間の倍を目途にやる、非常に厳しい財政事情の中ではございますが、日本の置かれている国際的な地位、環境、こういうものから国民に負担をちょうだいをして、それら援助は実行したいと思っております。
#184
○寺田熊雄君 そういう面からいいますと、外務大臣、あなたがアメリカで対ソ穀物輸出禁止措置の解除はしないでくれというようなことをおっしゃったというようなことをちょっと報道されているんですが、もし事実としますと、何か少し配慮が足らぬような気もするんですが、その点どうなんです。
#185
○国務大臣(伊東正義君) それは報道が若干違うのでございまして、アメリカのソ連に対する措置というものはどう考えているかということを質問はしました。そして、その中でちょうど議会でも、上院でございましたが、問題になっておりました穀物の対ソ禁輸という、まあ八百万トンまでは認めるけれども、それ以上は認めないという案でございますが、そういうことが議会でいろいろ議論されているということがございましたので、アメリカ側はこの問題をどう考えていますか、ということで確かめたことはございますが、それをもう続けてくれとかやめてくれとか、そういう日本側の意見は私は言っておりません。どういうふうにアメリカは考えますか、ということを言ったことは確かでございます。
#186
○寺田熊雄君 通産大臣にお尋ねをしますが、午前中の御答弁で、業界に対しては粘り強い話し合いが必要であるし、それはやるんだという決意をお述べになりましたね。ただ、私、業界代表を一堂に集めて話し合って結論を出しますと、アメリカのシャーマン法に触れるおそれがあるんじゃないかと思うんですが、こういうシャーマン法とかクレートン法とか、いわゆる独禁法体系の網にかからないようにするためには、輸出貿易管理令による大臣権限の発動しかないんじゃないかという気もするんですが、この点はどうなんでしょうか。
#187
○国務大臣(田中六助君) 日本の自動車業者を一堂に集めて、たとえば私がそこで話をするというようなことになりますと、これはアメリカの独禁法に触れるだけではなくて、日本の独禁法上にも問題が出てくると思います。したがって、そういう手法は大いに警戒しなければなりませず、私どももそういう点では現在もそれからこれからも気をつけてまいりますが、そういう点で、もちろんアメリカの独禁法のシャーマン法にもしたがって触れるということになりかねないわけでございますので、日本の業者の人たちには注意深く個別に、あるいはいろんないままで私どもがとってまいりました行政指導をフルに活用して、話し合いを進めていきたいというふうに考えております。
#188
○寺田熊雄君 貿管令の方は。
#189
○国務大臣(田中六助君) それから、貿管令の方はこれはまあ一つの方法でございまして、行政指導あるいは輸出入取引法、貿管令、その他あるかもわかりませんけれども、片手で数える程度しか方法はございません。したがって、貿管令が一番手っ取り早い、確かにこれは独禁法にも触れないでしょうし、既成の法律でございますし、一番輸出入の問題を取り扱うのには貿管令が手っ取り早いことは私もわかっておりますけれども、現在のところどの方法をとるかというようなことは、これはあくまで非常に重大なことで、後からも尾を引く問題でございますので、話し合いを進めていった結果でございまして、いまからこれを適用するというような段取り、あるいは考えはいまのところは持っておりません。
#190
○寺田熊雄君 まあそういうふうな大臣の手法でこの問題の解決策をお進めになりますね。で、アメリカとの何らかの合意によって解決をなさるときには、こちらの譲歩の見返りとして、当然アメリカの議会に提案されております日本自動車の輸入規制法案ですね、これの撤回、あのダンフォース議員以下の分ですが、ああいう撤回なり、独禁法上の市民の提訴、これはまあ果たしてそれを完全にとめることができるかできないかは別として、それを抑制するようなアメリカ政府の努力は当然求めるべきじゃないかと思うんです。そうしていくと、やっぱりこれは何らかのアグリーメントを結ばないとやっぱりいけないんじゃないかという感じがしますが、この点いかがでしょうか。
#191
○国務大臣(田中六助君) まあ話し合いがうまくいくという、つまり結論を想定しての話でございますけれども、そういう場合を想定しますると、やはりもちろんいま指摘しておりますダンフォース、ベンツェン上院議員の共同で提出をしております日本の自動車の規制法案、約七つぐらい現在上程されておりますけれども、そういうものはもちろん撤回してもらいますし、その他、独禁法関係の問題も同時に、話し合いが円満にいくときは全部が消えるとか、あるいはそういう尾を引くような問題がないようにいたします。
#192
○寺田熊雄君 防衛庁長官にお尋ねしますが、国防総省との間で防衛分担の具体策が進められているというふうに聞いてますが、これは事実でしょうか。
#193
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 そのようなことは進められておりません。
#194
○寺田熊雄君 いま外務大臣にもお尋ねしたんですが、グアム以西、フィリピン以北の海域の防衛分担については、制服間では話し合いがあったんじゃないですか。
#195
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 制服の間にそのようなことがあったことは全然聞いておりません。
#196
○寺田熊雄君 それから最近F15二十三機、P3C四十機の買い増しを求められたというんですが、報道がありますが、この点いかがでしょうか。
#197
○国務大臣(大村襄治君) F15、P3Cの点につきましても、全く聞いておりません。
#198
○寺田熊雄君 最近御承知のように、新潟の地方裁判所で小西裁判の判決がありましたね。これについては、防衛庁長官としてはどんなふうに考えていらっしゃいますか。
#199
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 この事件は、航空自衛隊第四六警戒群――新潟県の佐渡にあります――に勤務していた隊員が、昭和四十四年の秋、基地警備を目的とする特別警備訓練の参加を拒否し、また、佐渡分とん基地の隊員に対して参加拒否を呼びかけるビラを基地の庁舎等に頒布したものであり、今回の判決はこのような行為が不問に付されるということでありますので、防衛庁としては遺憾に存じております。
 ただ、この問題について控訴するかどうかにつきましては、担当の法務省が慎重に検討して判断されるものであるというふうに防衛庁としては考えております。
#200
○寺田熊雄君 法務大臣のこの問題に関する御意見を伺います。
#201
○国務大臣(奥野誠亮君) 当時の状況として起訴に踏み切った事情は理解できるわけでございます。昨日、地裁の判決が出たところでございまして、判決理由を検討してどう対応するか、いま検察庁内部で考えている最中でございますので、私からとかくの意見は差し控えさしていただいた方が適当だろうと思います。
#202
○寺田熊雄君 この問題に関しましては、非常に私どもとしましては軽く考えられない面が二つほどあるのですが、一つは特別警備訓練に関連する問題なんですね。
 これは、つまり治安出動だということで、小西元自衛官の犯行が行われたわけでありますが、裁判の途中でその特別警備訓練の命令の内容を示す文書の提出を求めたところが、これが軍事上の秘密であるということで検察側はこれを提出しなかったわけですね。しかし、軍事上の秘密だからといって提出をしませんと、その事柄に関する審理をせずに判決せざるを得ない。そうすると、それは犯罪に関する立証が不十分だということで、どうしても裁判官としては起訴というもの、訴えというものはやっぱり却下せざるを得ないと思うのですね。ですから、そのときには、憲法八十二条のやはり公開禁止の規定を適用してその証拠を提出することに踏み切るか、それをしもなおかつできないというならば、初めからそんな起訴はしなければいい。アメリカあたりは、もうそれが法廷に持ち出せないものだと思えば起訴はしないようですよ。だから、法廷に持ち出せないことに関して、これはけしからぬといって起訴をして、それを抜きにして有罪の判決を取ろうとすることは、これは裁判の根本的なたてまえ、デュー・プロセス・オブ・ロー・ですね、憲法三十一条でしたか、ああいうようなものを根本からやっぱり否定してかかる態度なんですね。ですから、その点は、法務大臣、これは検察官の全体の問題ですけれども、防衛庁にも関係いたしますが、よほどお考えいただきたいと思うのですね。これはどうでしょうかね。
#203
○国務大臣(奥野誠亮君) 新潟地裁の求めに応じて自衛隊が出すべきものを、秘密で出せない、こう言ったのに対しまして、検察庁側から、それは別な方法でそういう関連の立証をしていきたいと、こう言っているやさきに、ぽんと無罪の判決を言い渡したわけでございまして、それで高裁から差し戻しになったのでございました。したがいまして、寺田さんが理解しておられるだけでいいのだろうかという疑問を私は持つわけでございます。
 同時にまた、あの当時のビラ、御承知だと思うのでございますけれども、全自衛隊革命的共産主義者同盟赤軍が結成された、人民の軍隊赤軍へ結集しろ、命令なんてくそ食らえという式なかなり激しい言葉もございまして、単に治安訓練拒否というだけのものではなかったのじゃないかなと、こう思うわけでございまして、したがいまして
#204
○寺田熊雄君 わき道にそれないように。
#205
○国務大臣(奥野誠亮君) そういう意味で、一つのことだけ出さないから、それだけで、出せないものなら無罪という判決もいかがなものだろうかな、だからまた、高裁で私は差し戻しにもなったのじゃないかなと、こう思っているわけでございます。
#206
○寺田熊雄君 法務大臣のおっしゃること、よくわかるのですよ。あれ、自衛官が二人証人に出たんです、差し戻しでね。だけど、それは不十分なんですよ、本物それ自体でないからね。不十分な証言だから、裁判官の心証がやっぱり悪いですよね。
 それはまたさらに話をするとして、憲法判断は避けるという問題について、最高裁判所刑事局長来ていらっしゃいますか。
 あれはやはり統治行為論ですべてああいうものについて憲法判断は避けることに対する批判がありますね。これはどう考えられますか、簡にして要を得た答弁を、時間がないから、もう一つ労働大臣にお尋ねしなきゃいかぬから……。
#207
○最高裁判所長官代理者(小野幹雄君) この点につきましては、憲法判断をすべきだという憲法八十一条に基づく見解と、これはやはり司法権の判断は避けるべきだという両説がございます。私どもの立場といたしましては、それについてちょっと意見は差し控えさしていただきたいと考えます。
#208
○寺田熊雄君 労働大臣にお尋ねしますが、これは先ほどの自動車の対米輸出の問題なんですね、日本側は、別段日本の自動車のあれだけの輸出について何らの非違はないのだということを言います。アメリカの方では、日本の労働者とアメリカの労働者との間の労働条件に差異が非常に大きいということを強調しますね。それから日本の自動車産業に従事している労働者の平均のオーバータイムの時間が約三十時間近くありますね、平均して。アメリカの方は三時間ぐらいの平均のように私ども見ています、これはアメリカ大使館からいただいた資料によるのですが。そういたしますと、ちょうど日本と韓国なり中国のような、低い労働条件の製品が日本のたとえばいろいろな繊維産業を脅かすというような問題とやはり多少似たところがありますね。そういう労働条件の差異については労働大臣としてはどう認識していらっしゃいますか。
#209
○国務大臣(藤尾正行君) この労働条件の違いといいまするものを判定をするということは非常にむずかしゅうございまして、統計一つ考えてみましても、その統計の内容をなします諸条件が皆違っております。でございますから、非常にむずかしい問題でございますけれども、雑に言いまして、大体一労働単位時間といいまするものに集約をして比較をいたしますと、日本の場合が七八年、七九年という時点で一〇〇といたしますと、大体アメリカのUAWの方々の受けておられまする給与は一六〇ぐらいということになりますから、そのことだけを抜いて日本の方がうんと労働条件が、労働賃金一つ考えてみましても安いではないか、だから日本の自動車は安く出せるのだというような論法は少し過ぎているのではないかという気がいたします。私どもが考えてみまして、私どもの自動車産業におきまする単位当たり労働賃金といいまするものは、ヨーロッパのフランスやあるいはイギリス等々と比べましても日本の方がむしろ高いということでございますから、大体いいところへいっているのじゃないかという気がするのでございますけれども、アメリカでも、これは自動車産業は特別アメリカ国内において高い労働賃金を獲得をしておられますから、あるいはそのようなことを言う人があるかもしれませんけれども、それは私は論議の根拠にはなかなかなりにくい、さように考えております。
#210
○寺田熊雄君 終わります。
#211
○委員長(木村睦男君) 以上で寺田君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#212
○委員長(木村睦男君) 次に、志苫裕君の質疑を行います。志苫君。
#213
○志苫裕君 外務大臣、さっき余りあなたの報告を聞く時間がなくて、時間がないから少しきめつけたところがあるかもしらぬけれども、というのは、あなたが訪米なさる前に、今度ひとつアメリカへ行ったらこんなことも聞きたいし、こんなことも言いたいということで幾つかのことをおっしゃっていました。一々それを申し上げる時間はありませんけれども、それはそれなりにひとつわが国の立場を自主的にぶつけてこようという内容にかかわっていたと思います。また報道によりますと、ヘイグ長官やワインバーガー長官との話ではそれなりにそういうやりとりもあったように報道されておりますけれども、そこで、あっと驚く為五郎じゃありませんけれども、一番最後の日米協会の演説になりますと、がらりともうトーンも哲学もみんな変わっちゃっているというところで私は非常に疑念を抱いたわけでありますが、何だかがらりとトーンも哲学もみんな変えちまって、サッチャーの右側に座らなきゃならぬようなそういう演説をしなきゃならぬ事情とか判断とかそんなものがあったんですか。
#214
○国務大臣(伊東正義君) いや、特に考え方が変わってどうとかいう、そういう事情があったわけじゃございません。
#215
○志苫裕君 これも報道ですけれども、あそこでの演説は実は最初から日本から用意していった演説だという報道もありまして、一々原稿だれが書いたまで聞くわけにいきませんけれども、出かける前に、国会でも記者会見でもずいぶんそれぞれの判断を示されて、しかし演説とはまるっきり違う。それも実は行くときに持っていったものということになりますと、外務省は二つの顔を持っているという気がしてならぬのですよ。その点どうですか。
#216
○国務大臣(伊東正義君) 演説を最後に見ましたのは前の晩でございますので、特に二つの顔でやったとか、そういうことはございません。向こうの会談を踏まえて最終的に私は日を通しました。
#217
○志苫裕君 先ほど私基本的な枠組みづくりのことについては、ワインバーガー長官との間にですね、いま若干寺田さんとのやりとりありましたが、たとえば、なるほど枠組みづくりで合意をしたとかなんとかという文言でないにしましても、一斉に報じられました外相と米国務・国防長官会談要旨というところで、国防長官の方では、「日米間で防衛について互いに何ができるかの基本的なワク組みについて」云々と、こういう文言になっています。それに対して外相のは、日本には憲法その他の制約もあるからというのが前段にありますが、日米間での安保条約に基づく軍用の円滑化を指摘をしたと、こうなっているんですが、この日米間の安保条約に基づく軍用の円滑化ということでそれに対応したいというのはどういうことを意味するんでしょう。
#218
○国務大臣(伊東正義君) いま会談を思い出すわけでございますが、ヘイグ長官と話したときは、本当に一般的な話がございまして、その中でヘイグ長官から東西関係の話があったということで、日本側も西側の一員としてそれぞれ防衛に努力をしてもらいたいというような話があったことはいまでもこう思い出すわけでございます。
 それからワインバーガーさんとの話では、日本とアメリカは、何かたしか防衛協力の協議もしているというようなことを言ったような気がしますが、日米安保体制の円滑な運用というような言葉を言ったかどうか記憶がありませんが、日米安保の問題では、アメリカが有事の際に日本を守るということはアメリカの国益にもなるんだということで、アメリカがそう認識するようにこれは日本も努力をしなきゃならぬというようなことを言ったことは私はあると思うんですが、いま枠組みがどうとか、そういうことは一切実はないのでございまして、ワインバーガーさんとの会談を通じて言えますことは、前政権のように一%とか二%とかそういうようなことでお互いが言い争いのような、非難し合うようなかっこうになることは、日米両国にとってこれはまずいことだと、そういうことがないよう、あっては困るということを言ったのに対して、向こうは、そうだと、そういうことはまずいことだということを言い、それから、向こうが一般的なアメリカのやっておるいまの防衛努力を言いまして、そして日本に対しまして防衛力の強化をやってもらいたいというようなことが全部を流れる思想でございまして、具体的に一つ一つこうやってもらいたい、ああやってもらいたいということはなかったんで、具体的なことは、私から、防衛庁長官と、いずれ国防長官は会われるだろうから、そういうときに、中業の問題とかそういうことは協議してもらいたいということを言ったのでございます。
#219
○志苫裕君 くどいようですけれども、外交の話というのは生の言葉で言うものかあるいは間接的な表現を使うものか私はわかりませんけれども、いずれにしても、もっと防衛の範囲を広げてもらいたい、あるいは能力を高めてもらいたい、そういう要望があったとして、外相のそれに対する対応は、いや、わが国には防衛大綱もあるし、憲法もあるし、国会もあるしというような話は、これは当然なさるだろうと思います。結局残りますのは、いま安保条約に基づくガイドラインができまして、それに基づく研究がやられてますね、いろんな取り決めが。その中でできるだけ幅を、スタンス広くとりまして、そういうさまざまな要望、希望というふうなものをどんどん取り込んでいくということが考えられるわけで、ですから、私はあながちあなたが、いやまあ、そういうことはいろんな制約もあるから、日米間の安保条約に基づく運用の中で決めましょうと言い、あるいは福田さんとヘイグ長官との会談に関連をして、外務省筋から、いや、そんなことはもうガイドラインの研究でやっていますよという報道も一部ありましたけれども、こういうものとはやっぱり符節が合うと思うんですよ。
 そこで、防衛庁長官に聞きますが、実際に防衛当局としてはガイドラインに基づくさまざまな作業の中で、能力の問題や海域の問題、いま問題になっておる新しい共同防衛の枠組み、これにかかわる問題について研究をしているんじゃないんですか。
   〔委員長退席、理事宮田輝君着席〕
#220
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。
 ガイドラインに基づく研究、先般も先生のお尋ねに対しまして状況はお話し申し上げたわけでございますが、ガイドラインに基づいて日米の共同作戦計画の研究はかなり進めているわけでございます。その場合に前提になることがはっきりうたわれておりまして、憲法の許す範囲内であるとかあるいは非核三原則、あるいは事前協議事項、そういったものは当然の制約として研究を進めるんだと、こういうことでございます。
 そこで、お尋ねのありました周辺海域防衛の整備目標につきましては、かねて申し上げまするように、周辺海域については数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね千海里程度を念頭に置いて進めるということでございまして、現在進めております共同作戦計画の研究の中でも、こういった点に基づく共同対処のあり方を一般的に検討を進めているということでございます。
#221
○志苫裕君 いま問題になっておる海域の問題ですね。フィリピン、いわば北西太平洋の部分のわけですがね。いま航路帯でとりますとあの辺まで行っておるわけですけれども、一応それは線であって面でないわけですが、私は、共同作戦研究なりそれぞれ戦闘作戦で周辺海域のとり方をあそこまで広ければ、ガイドラインの研究で十分賄えると思うんですよ。
   〔理事宮田輝君退席、委員長着席〕
だから、周辺海域をあそこまで広げるんじゃないんですか。そうじゃないんですか。
#222
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 いまお尋ねの面という点が私にはよくわからないわけでございますが……
#223
○志苫裕君 海域というのは面なんです。シーレーンというのは線なんです。
#224
○国務大臣(大村襄治君) 私どもは、いま申し上げましたように海上自衛隊の整備目標としての目標は、先ほど申し上げましたように数百海里と航路帯の場合千海里程度を念頭に置いておる、これは米側もよく承知しておるわけでございまして、それを超える、あるいは特にそれを面に拡大するというようなことは全然考えておらないわけです。
#225
○志苫裕君 じゃ、周辺海域は数百海里、それから航路帯は千海里という、これも変えないんですね、念を押しておきます。
#226
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。
 繰り返して恐縮ですが、海上自衛隊の整備目標としていま言ったものを目標にしていま整備を進めている、きわめてまだ不十分な状態であります。したがって、これを延ばすとか変えるとかいうことは考えておりません。
#227
○志苫裕君 では、その海域を広げないということは確認をしておきますが、長官ね、とにかくこの新しい基本的な枠組み、いわば面は北西太平洋まで、能力はまだ幾つか出てくるようですが、そういうものが要求されてないと言うんだけれども、私らはされておるんじゃないかと思うけれども、仮に要望されたとして、それはこの防衛計画の大綱におさまりますか。
#228
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 面という考え方がどういうことなのか、私どもまだ把握しておりませんので、いまの御質問に対してはお答えを差し控えさしていただきたいと思うわけでございます。
 ただ、仮に一定の面積を決めて、これは日本、これはアメリカということを意味するとすれば、防衛計画の大綱にも関係がありましょうし、さらに専守防衛の、また単独防衛とよく先生方言われる、そういった問題にも触れてくると思いますので、そういうことはにわかに私どもは応ずるわけにはいかない、そういう仮定のお尋ねだとしましてお答えしておきます。
#229
○志苫裕君 あなたはわかっているのかわからないのか、聞いている方の私がわからなくなっちゃうけれどもね。
 グアム以西フィリピン以北というこの海域、私これを面と言っているんですがね。航路帯というのは船の要するに一定の線のことを言うわけです。だから、グアム以西フィリピン以北というこの海域は、いわば防衛対象にしないということでいいんですか。
#230
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 この、面というお話を私どもいままで聞いたこともございませんし、また外務大臣もその話は今回の会談で出なかったと、こう言われているわけでございますので、それ以上はちょっと、せっかくの御質問でございますが差し控えさしていただきます。
#231
○志苫裕君 いや、あなたとやりとりをしていると何もならぬうちに時間ばっかり過ぎるけれどもね。わからないかな。これ、わかっている方、ちょっと答えてください。私の言っている意味がわかるでしょう。
#232
○政府委員(塩田章君) いま大臣がお答えいたしましたように、グアムであるとかフィリピンであるとかという言葉が外務大臣の訪米の際に出たというふうに私ども聞いておりませんので、いま大臣が申し上げましたとおり、私どもとしては従前の整備方針に基づいて整備をし、現在のガイドラインに基づいて研究を進めていく、こういうことでございます。
#233
○志苫裕君 いや、出ていませんと言うが、出ているという報道だってたくさんあるわけですから、だから出たら、それはいまの防衛大綱の枠内にはおさまりますかおさまりませんかと聞いているんですよ。
#234
○政府委員(塩田章君) 出たらというお尋ねでございますから大変お答えしにくいんですけれども、防衛計画の大綱は御承知のように周辺海域についての防備のことを言っておりますし、それを受けまして、そういった日本の基本的防衛体制を受けまして現在のガイドラインはできておる、こういうことでございますから、その中身は、言葉としては周辺海域、具体的には周辺数百海里、航路帯の場合に一千海里ということを申し上げてきておりますが、それ以上私どもの方で、どの区域どこまで行けば外れるとか、防衛計画の大綱でカバーできないとか、そういうふうにはちょっと申し上げにくいと思うんです。要するに、周辺海域、航路帯の場合は一千海里程度の整備目標をやり、それを受けた現在の研究を行っているということしか、それ以上ちょっと申し上げにくいわけであります。
#235
○志苫裕君 ではもっとしつこく聞きましょう。数百海里は一千海里まで行きますか。
#236
○政府委員(塩田章君) 数百海里は数百海里でございます。
#237
○志苫裕君 どうもこの辺は皆さん余りはっきりしたことを言わぬですね。
 それで、これに関連しまして、この間ちょっとここで専守防衛のやりとりがありましたね、この間の委員会で。堀江先生もやっていましたし私もやりましたが、ここのところで若干戦略守勢をめぐってやっておりました。戦略守勢には戦術攻勢も含まれているんだという議論がありまして、いろいろやりとりしているうちに、戦略守勢の中に戦術攻勢が含まれているようなことであったけれども、これは別にわが自衛隊はそれをやるわけじゃないんだと、装備や能力やその他の計画においてもということでした。
 問題は、それを考えてみますと、わが国は専守防衛である、戦略守勢ではあるが戦術攻勢だと、しかしアメリカと一緒にやるものだから、その戦術攻勢の部分というのはアメリカの能力に依拠しておるんだということになるんだろうと思うんですよ。戦略守勢の中の戦術攻勢の部分はアメリカに依拠しておる。そのアメリカは実はスイング戦略で、少しその辺を、日本の周りを手薄にしてインド洋の方に行くということになりますと、アメリカに依拠をしておる、たたかれたらたたき返すというこの戦術攻勢の部分というのはなくなっちまうということになるわけですね。そこで、日本自身も戦術攻勢の能力を持たなければと、こういうことに論理はいくんじゃありませんか、どうですか。
#238
○政府委員(塩田章君) 最初にちょっと申し上げたいと思いますけれども、戦略守勢といいますか、専守防衛はこれはもう日本の原則でございますが、戦術攻勢はしたがって日本はやらなくてアメリカに依拠すると、これは私は違うと思います。専守防衛ということは、戦争がもし始まるとしました場合に、わが国はこちら側から始めるわけじゃなくて攻撃を受けたときに防御する、こういう姿勢を専守防御と言っておりますが、同時に、それは戦略的な守勢でございますけれども、一たん戦いが始まった場合に、個々の戦闘におきまして攻勢をとることは、これは幾らもあるわけです。ただ、外国の領土に行くとか、そういうことじゃなくて、たとえば陸上戦闘のような場合に、いわゆる戦術攻勢をとることは、これは幾らもありますので、その点はまずお断りをしておきます。
 ただ、先生のおっしゃっているのは、外国の基地をたたくとかいう意味の戦術攻勢というふうに承ったわけですが、それにつきまして、アメリカがスイングしたらできなくなるから日本が持つべきであると、こういうようないまのお話でございましたが、そういう意味での新しい話があるわけでは全然ございませんで、私どもはその点につきましても従前どおりのガイドラインによる研究で進めておりまして、今度の話で外務大臣の訪米に関連しましてそういった日本の能力のことを要請されているというようなことは全然ございません。
#239
○志苫裕君 米国防総省の次官補代理というんですか、一行が四月五日に来日されるという報道がありますが、これは外相訪米の結果ですか。
#240
○国務大臣(伊東正義君) それは、私が行ったこととは全然関係のないことでございます。
#241
○志苫裕君 では、これは何でおいでになって、どんな話をなさるんですか。
#242
○政府委員(淺尾新一郎君) いまお尋ねの、恐らくアミテージ国防総省次官補代理のことだろうと思いますが、御承知のとおり、レーガン政権になりまして国防総省も全部人員が入れかわりました。で、このアミテージ次官補代理は、国際安全保障局のアジア担当でございます。したがって、赴任後初めて、日本のみならずアジアの地域に参りまして、自分の所管する地域を視察するという目的で参ります。
#243
○志苫裕君 外務大臣ね、もう一度念を押して聞きますが、自動車と防衛は、いわば大砲と車は絡んだんですか、絡まなかったんですか。
#244
○国務大臣(伊東正義君) 全然これは別なことでございます。
#245
○志苫裕君 大砲と車は並んで走っていたが、車の陰に大砲がいて見えなかったんじゃないですか。
#246
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げますが、そういうことは全然私はない、ヘイグ国務長官と車の話をしたときもリンケージということはお互い全然ないんだということで話したわけでございまして、余り目は強い方じゃありませんけれども、話はそういうことで、全然別なものだというふうに理解しております。
#247
○志苫裕君 防衛庁長官、先ほど総理は補正予算などないというお話でありますが、報道によりますと、ことし約束をした九・七%になりませんでしたと。しかし、途中で油の値段がどうのこうので補正をしてもらって九・七%にいたしますからということで、山崎政務次官等をアメリカへ派遣をしたという報道がありますが、これは事実ですか。
#248
○国務大臣(大村襄治君) 五十六年度の防衛予算の編成に当たりまして、補正予算を含みに目標とする率を達成するというような前提で予算を組んだというような事実は全くございません。
 また、御指摘のような、政務次官をアメリカに派遣した場合にそういったようなお話をしたという事実もございません。
#249
○志苫裕君 派遣はしたんですね。
#250
○国務大臣(大村襄治君) 一月の中旬に山崎政務次官をアメリカ並びに欧州の主要国に視察に派遣したことがございます、
#251
○志苫裕君 外務大臣あれですか、ヘイグ長官のみならず、一連の会談で農産物の話は出なかったんでしょうか。なぜそんなことを聞くかというと、ヘイグ長官とのときに穀物の問題を話をなさっています。どういう発想で穀物の問題について申し上げたのか、これはわかりませんけれども、穀物と、こう言えばレーガン大統領の大変大きい選挙基盤になっていますよね。ですから、それはそっちの圧力はずいぶんあの政権にはかかっておるわけでして、そのことを頭に入れて、ひょっとするとこれ圧力に耐えかねて売っちゃうかもしらぬというんで、おれの方ではがんばっているんだから売らぬでくれと言ったに違いないと思うけれども、そうするとちょっと想像されますのは、穀物の問題あるいは農産物の問題もあるいは話題になったのかなという印象があるんですが、どうですか。
#252
○国務大臣(伊東正義君) 穀物の対ソ関係の禁輸の問題は、対ソ措置の一環としてアメリカが選挙中は輸出を解くと言い、いま政権を取ってからは政策の決定をしてないわけで、議会等で問題になっているということでございますので、対ソの関係で穀物禁輸問題はどう考えるんですかという質問をしたのでございまして、穀物全般をどうということじゃなかったわけでございます。先生の御質問の農産物につきましてはどこでも一言も話は出ませんで、水産の関係の話だけいたしました。
#253
○志苫裕君 それで、大蔵大臣、ちょっと話飛ぶんですが、あなた、レーガン大統領が就任なさったときに何か勲章もらうとかなんとかといって羽織はかまで行きましたね。変な話ですが、これはどなたの招待だったんですか。向こう側はどなたが招待をしたんですか。
#254
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはレーガン大統領の選挙対策委員会でしょうね、日本で言えば。選挙の支援母体。
#255
○志苫裕君 その選挙の有力なブレーンというか、参謀といいますか、それは穀物会社というか、そういう業界ですね。
#256
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはいろいろ入っているでしょうね、選挙ですから。あらゆる業界が入ってなきゃ負けちゃうから。
#257
○志苫裕君 通産大臣どうしたかな。――じゃ、通産大臣でなくてもいいです。外務大臣でもいいですが、日米自動車問題の結末というのはEC諸国にも連鎖反応を及ぼす。先般オランダで開かれたEC理事会――EC首脳会議というんですか、この対日貿易に関する秘密決議まで行ったと言われておりますし、オタワ・サミットに持ち出すんだという、こういう厳しい雰囲気だったと報ぜられておるんでありますが、これをどのように把握をしておられるか、そして先ほど言ったこの日米の問題の決まりのつき方とどういうかかわりを持ってくるかということについて……。
#258
○国務大臣(伊東正義君) 御質問の中でECと言いましても国によって事情が非常に違う。特にフランスそれからイタリー、英国等は、何か自由貿易と言いましても内容は非常にそれが制限されたような形になっておることは志苫さんも御承知のとおりでございまして、ドイツとかベルギーとかオランダとかが自由貿易ということ、もうほとんど一〇〇%そういうことになっておるということでございまして、対応がヨーロッパ、ECといっても若干違う事情があることは御承知置き願いたいと思うのですが、それでアメリカとの今度の、これから向こうから使節団が来まして説明を聞き日本側が判断をするわけでございますが、そのときの内容によりましてはやはりECの中の数カ国とは同じような事情が出てくる可能性がございますので、その点は十分に注意しなけりゃならぬというふうに考えておるわけでございます。
 それから、オタワ・サミットにそういう貿易の問題をECの外相会議がというようなことを言われておることも聞いておりますが、日本としては、オタワ・サミットというような首脳会議ではそういう二国間の貿易問題でなくて、貿易の自由、自由貿易というようなことを世界じゅうが堅持しようと、そういうことであればわかるが、二国間の場合の問題をいろいろやるのは日本としては反対だということを申し述べております。
#259
○委員長(木村睦男君) 以上で志苫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#260
○委員長(木村睦男君) 次に、渋谷邦彦君の質疑を行います。渋谷君。
#261
○渋谷邦彦君 今回の外務大臣の訪米を通じての米国側の考え方、米国の政府首脳との会談を通しての米国側の今後のありようということについて午前中から答弁を通して伺ってきたわけでありますが、一貫して今回の訪米の焦点は何といっても自動車もございましたでしょうし、やはり防衛の問題が大変大きなウエートを持った内容ではなかったろうか、そういう印象を強く受ける一人であります。ただ、残念なことに具体性が何もなかった。また、それを期待するのは無理であろうと思います。ただ一つ、伊東さんの答弁の中で明確になった点がございました。それはヘイグ長官との会談の際に防衛力を増強してくれればなあという要請、それから、もっと具体的には駐留費をふやしてくれ、この二点は先ほどの答弁の中から伺ったわけであります。ところで、それ以外に米国の政府首脳がいろんな会合等を通じまして米国側としての日本に期待する防衛力分担というものについてしきりとあらゆる角度から要請に近い形でなされたというのがこれは真実ではなかろうか、このように思えてならないわけであります。先ほども触れましたけれども、たとえば、ここで再確認をしながらもう一遍申し上げますと、日本とアメリカは防衛体制については分業化すべきである、こういうような発言も実はございますし、日本が自国の防衛のために――これは日本の防衛のためにということ――一層努力をすればアメリカの行動の柔軟性が増すことになる、それが憲法の範囲を越えることにはならないという向こうの受けとめ方があるわけです。あるいは、白国を防衛するためには現在の日本の防衛能力では不十分である等々いろんな立場の方が共通したそういう考え方を持って話をされております。ただし、それは外務大臣直接具体的におやりになったかどうかは、しきりになかったということでずっと一貫して答弁が続いて繰り返されました。しかし、全くないことが報道されたりあるいはわが党の書記長との会談の中で表明されるということは考えられない、恐らく米国側としては、まことに率直簡明に本音を言っているのではないだろうか。何か伝え聞くところによりますと、カーターさんと違ってレーガンさんという方はよく相手の話も聞くわりに率直に物を言う、そういうところに大変簡明直截な日本に対する要望というものがにじみ出ているのではないか、いままでのことを整理して申し上げますとこういうことになろうと思います。しきりと今後の日本の防衛力の整備については何回も何回も繰り返し政府の答弁がございました。そのとおりだと私も思います。憲法の枠、非核三原則等々専守防衛というような問題、しかし果たして情勢の変化というものに対応できるかどうかという恐らく米国側としての懸念というものが今回の話し合いの中で率直に日本側に明確な、具体的な問題点についてはなかったにせよ、そういうにおわせるような話がやはりあったであろう、こう思えてならないわけであります。今後総理の訪米あるいは近くは大村防衛庁長官も訪米されるやに伺っております。そういたしますと、基本的に日本の防衛体制というものを見直さざるを得ないのではないだろうか、先ほども防衛大綱見直しをするかどうかという話もございました。それは一時しのぎはできるかと私は思いますよ、一時しのぎ。いろいろな、憲法の枠があるとか何とかといって日本の立場を主張し、できないことはあくまでもできないんだ、それは当然貫いていただかなければ困るわけでございますけれども、さてそこで確認をしておきたいことは、今後日本政府として、いま申し上げたような課題について、これからも恐らくあるいはもっと具体的な要請というものが出てくるのであるまいかと思います。全く無視していくのか、いわゆる無視するということは、いままでの政府の考え方を中心に据えながら、できませんということであくまでも突っぱねていくのか、もしアメリカの要請にこたえられるとするならば、どういう範囲についてはこたえられるんだとするような考え方があるのかないのか、恐らく必ず対応というものは近い将来迫られるのではないかと思います。いままでの政府の答弁の繰り返しで、アメリカ側はそれで済むであろうかというような点について、われわれの疑念が晴れるようなお答えがいただければ大変ありがたいと存じます。
#262
○国務大臣(伊東正義君) いま御質問になりました点でございますが、私会いました中で防衛の話に触れたのは副大統領、ヘイグ国務長官、それからワインバーガー国防長官でございます。大統領は西側の団結ということと車だけでございまして、防衛の話は直接には出なかったわけでございます。それで、その中で出ましたのは大体一般的な日本の防衛努力の強化という形で触れられたのでございまして、具体的には、あったのは米軍の駐留費ですね、これを地位協定の範囲で努力してもらいたいというのが具体的にはといえばあっただけでございまして、後は一般的な努力を、防衛力の強化を期待するという表現でございました。自衛隊の評価につきましてはこれは八二年度の国防報告の中にもございまして、護衛艦の対潜能力とかあるいは飛行機のことの評価、自衛隊を評価しているところもございますし、またワインバーガーさんと会いましたときには、もう一層の努力ということを自衛隊についても言っているわけでございますから、アメリカ側としては一般的にはいまよりももっと努力をして強化をしてもらいたいというのは、これは通じた向こう側の考え方でございます。
 それに対しまして、いまの憲法あるいはいろんな法令、国民的コンセンサス、いろいろ考えた場合に、具体的にそれじゃそれをどこまで数字で表現するかとか、そういう問題は私参りましたときは一切これは出なかったわけでございまして、具体的なことはいずれ事務レベルの協議もあるでしょうし、あるいは防衛庁長官がワインバーガーさんにお会いになることもあるのでしょうから、そういうとき出る問題よく話をされたらいいじゃないかというようなことを私言ったのでございますが、日本側としては、これは総理もおっしゃるように、やっぱりこれ以上できないという線は憲法、専守防衛、国民的なコンセンサス、いろいろございますので、それはあくまで守っていくという態度で具体的な話になってもやるべきだというふうに思っております。
#263
○渋谷邦彦君 私は先ほどの問題以外にもまだ触れてない問題があるのですね。たとえば中業の早期達成、これは大いに結構だとやってきてるのです。それだけでは満足いたしませんというアメリカ側の気持ちが伝えられているのです。これはもちろん伊東さんとの直接の話し合いではなかったろうと私は思うのです。ただ、今回は何もなかったにせよ、今後あるいは閣僚級の訪米を通じて具体的に問題の提示が恐らく考えられないというふうに判断されているのか、出るであろうと判断されているのか。出た場合には、いま言ったような答弁で十分アメリカ側を納得させることができるかどうか、この点いかがでしょうか。
#264
○国務大臣(伊東正義君) だれが向こうのだれと会うかということは、これは全然決まっておりませんのでわかりませんから、どういう問題が出るかということは私は想像つきませんが、具体的なことは国防計画大綱がもう決まっておるわけでございます。それを、総理もおっしゃいますように、それの早期達成ということに努力しようということを総理はおっしゃっておるわけでございますから、具体的な数字その他について出てきますのは、私は国防の計画大綱というふうにいろんな具体的なものが載っておりますから、そういうことの範囲で日本側としてはこれはこたえるのでございまして、それ以上のことはこれは国会その他にもまだ何も御相談をしたこともなし、閣議でも相談したことはないわけでございますから、これはその範囲で私はやり、日米間の話し合いになるものだというふうに思っております。
#265
○渋谷邦彦君 大村さんね、防衛大綱が全部完成された暁にはどういう考え方を持ちますか。
#266
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 防衛計画の大綱の問題につきましては、これまでの国会におきましても先生いまお尋ねの大綱の線が実現するということのほかに国際情勢あるいは国民世論の動向、そういったものを勘案の上に検討することがあり得るのではないかと、そういうことをしばしば申し上げているところでございます。
#267
○渋谷邦彦君 いま私がもっと突っ込んでお伺いしたかったのは、繰り返しの答弁ではなくして、いま私が一連のその外務大臣の答弁等を踏まえながら申し上げました。米国の要請はこれから高まるであろう、一方において防衛大綱がいずれはどっかで達成される時期が来るであろう、その辺を十分展望しながら、さらに米国の要請にこたえるためにはどうしたらいいのか。恐らくもうそういうことについては当然あり得るだろうという想定はわれわれ素人ですらも判断をいたします。
 具体的にどうだということをいまここでお答えくださいと言ってもそれは無理な話でございまして、恐らく避けて通れない問題としてこれからも日本の防衛力基盤整備のためにはもっともっと不断の努力をせいと、こう言っているわけです。きわめて抽象的な言い方かもしれません。それにはどう一体、何もアメリカから言われたからこうやるのだということではなくして、そういうアメリカ側の要請もこれあり、その上に立って日本として自主的に、ではどういうふうにすれば、一応満足とまでいかないにしても、国民が不安感を抱かない防衛力の体制というものが確立するのかどうなのか、それは当然お考えになっていらっしゃるのじゃないでしょうか。それが今度連動すると思う。大村さんが今度アメリカに行かれる。きっとその辺の心のうちをあけてくれとを言わないまでも、今後の展望について長官としてはどういう考え方を持っておりますかというぐらいのことは当然問われるであろう。そういったことを含めて聞きたかったわけです。
#268
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 先生のお尋ねの御趣旨はよくわかるような気がするわけでございますが、実際問題といたしましてまだ防衛計画の大網の線に隔たりがあるわけでございます。現在進めております中業が達成できましても大綱の線に手が届かない。こういうふうな現実の状況でございますので、私どもは大綱の線に速やかに達成することを目標にいま防衛力の整備を進めていると、そういう状況でございますので、せっかくのお尋ねでございますが、達成後どうするかというところまでは現実の問題として至っておらないという事情もひとつ御理解を賜りたいと思うわけでございます。
#269
○渋谷邦彦君 今後、細かくこの種の防衛問題については安保特別委員会等においても十分議論をする機会があろうかと思います。
 ちょっと話題を変えますが、今回伊東さんが向こうへ行かれまして、ぼくらがやはりいろいろないままでの報道を通じて非常に強烈な印象をレーガン政権に受けるのは、先ほど来からも一つの問題として議論されておりましたように、ソビエトに対する考え方だと思うのですね。その実際の腹のうちというのは一体どうなのかということがやはり非常に不鮮明な点もありますし、ただ単純にSALT交渉を今後具体化する上からも、従来のレーガン大統領が考えているような軍事的にソビエトに優位に立たなければ話し合いをしてもそれはもうまとまらないだろうと。また、どちらかと言えば、そういう交渉が持ち込まれても、というようなアメリカ側としてもむしろSALTに対しても非常に消極的である。かえってソビエトを意識する余りの軍拡への道、そしていまもお触れになりましたように、そのためには西側の陣営を結束させよう、これも必ず防衛とまた結びついてくるのですね。西側の陣営を結束させよう、それでソビエトを中心とした社会主義国家と対応させよう、こういうようなもしレールがどこまでも敷かれていくとするならば、これはもう大変危険な発想ということになりはしまいか。実際にそれが本音なのかあるいは単なる戦略的な宣伝なのか、そういう宣伝を通じて相手の出方というものを抑圧するための一つの考え方なのか、これはこれからも大いに問題にされるべき中身ではないだろうかと私は思うのです。なぜ私が特にソビエトについて申し上げたかと言いますと、レーガンさんが、午前中にもちょっと触れました、一貫して今日まで敵意を示す、そういう考え方が底流に、あります。今日も崩れていない。今後その軍事の面でどう考えていくのか、経済的な面でどう考えるのか、まあこの辺が崩れていきますと人類破滅への方向へ行かないとも限らない危険性というものを多分に包含しているということを恐れる余りに、その辺を、今回伊東さんが行かれて実際どういうふうに感じられたのか。もしそういうような方向に日本が同調するということになれば、日本の対ソの政策というものをここでもう一遍考え直さなければならないということにも結びつくのではないかと思いますので、いまの問題をひとつ鮮明に、できるだけいままでの折衝を通じて、その問題に限定して知り得ることを教えていただきたい。
#270
○国務大臣(伊東正義君) 主に話しましたのはヘイグ国務長官でございます。東西関係ということで話したのでございますが、外交政策はやはりソ連との力のバランスということを強調しておられます。そのためには、アメリカが経済的にいままでインフレ、失業ということで弱いので、経済再建をまずやらなけりゃいかぬということで今度の経済再建計画を出している。これを議会を通すことがまずやらなけりゃならぬことだということで、非常にこれに重点を置き、ソ連とのバランスということを主張しております。ただ、これは一国でできることでないので、西側がやはりみんな連帯、協調しなけりゃならぬということを言う一方で、ソ連に対しましては、ソ連の出方というものは、いろいろソ連が言われるけれども、誠実にそれを行っていくということかどうかということをいま慎重に見ているのだ、そして、首脳会談あるいはSALTの交渉ということにつきましてもソ連の出方というものが本当に誠実にそういう行動に出るかどうかということを見ているのだということを言われること自身は、またこれは米ソの関係が単に軍事的な対決というものだけじゃないというふうに私は見ておるわけでございます。
 アメリカの包括的な、総合的な軍事政策といいますか、外交政策というのは、恐らく私はサミットで世界首脳が集まるころまでに固まるのじゃなかろうかという感じがするのでございますが、日本としては、いま渋谷さんおっしゃるとおり、これが軍事的対決ということになったらこれは本当に世界の破滅につながるわけでございますので、私も実は米ソというものは本当に平和な友好関係が保たれなけりゃいかぬということの前提に立って、首脳会談とかあるいはSALT、そういう意見を実は言ったわけでございまして、日本としましては、アメリカの本当の腹はどうかということはなかなか二日間行って話しただけでどうというわけにいきませんが、私は、片方で軍事バランスということを非常に重く見、片方ではやはりソ連の出方を見て話し合いというようなことを考えてアメリカがいるのではなかろうかというような私の考えを持って帰ってきたわけでございます。
#271
○渋谷邦彦君 まあ、一挙にこうだというふうに決めつけ的な結論は出せないと私思います。ただいまおっしゃられたように、話し合いのきっかけというものは、あるいは私の聞き違いかもしれませんけれども、軍事的なバランスがとれたときに初めて対等の話し合いができる、そういう認識なのか、それを進めながら一方においては経済交流を通じての、米ソにしても、日ソの関係改善を図ることが必要だとされるのか、ちょっと私の受け取り方があるいは違っていたかもしれませんけれども、その点はどうでしょうか。
#272
○国務大臣(伊東正義君) これも私はっきりアメリカの態度はこうだということを申し上げるほど確信を持って帰ったわけじゃないのでございますが、私は軍事的なバランスの問題をアメリカが主張しながら、片方では話し合いのきっかけというのはソ連の態度が誠実な態度になるかどうかということだという話し合いのきっかけもまた見ておるということでございまして、バランスが確実にとれた後でなければ話し合いはしないんだという意味じゃなくて、私はそれは並行的に恐らく考えられるのじゃないかというような感じを持って帰ってきたわけでございます。
   〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕
#273
○渋谷邦彦君 最近の事例としては、アフガンへのソビエト軍の侵攻問題から端を発するわけでありましょうけれども、日本といたしましてもこのままの状態で果たして推移することが望ましいのかどうなのか。アメリカと同一歩調をとるということになりますと、相当遷延化していくことが予測されはしまいかという心配がございます。昨日でしたか、トロヤノフスキー国連大使が福田さんに会ったそうですね、前からの大変よく知り合った仲である。それで、その中で話し合われたことは、これは報道でございますが、一日も早く日ソの関係改善を図ってくれ、しかし北方四島の問題が残っているではないかということで、それ以上の話の進展はなかった。われわれは確かにこの問題を抱えておりますために、なかなかいい方向へ進まないといううらみがあることは非常に残念であります。ただソビエト側としても何か模索をしながら平和への手がかりを、それが恐らく午前中にも触れましたブレジネフ提言という形になってあらわれたのであろう。また反面、レーガン大統領にいたしましても、恐らくそういう敵意を持った感情的な対立がお互いの国益に反するような行き方までエスカレートするということは望んでおらないだろうと私は思う。恐らく両者お互いにそのきっかけをつかもうというような感じさえするのでございますけれども、そのはざまにあって一体日本はどういう立場に立てばいいのか、どういう取り組み方をしたらいいのかというもう一つの問題がここに浮き彫りにされてきやしまいか。その点については、伊東さん、どういうふうに今後日本の対ソ外交にいたしましても進めるに当たりまして考えていったらいいのか、恐らくここで大きく見直していかなければならぬ。
#274
○国務大臣(伊東正義君) いま米ソの話から日ソの話までお触れになったわけでございますが、日本もソ連というのは隣の本当に大きな国でございますし、これと恒久的な平和関係を結んでいきたいというのは、これはもう私どもも念願しているところでございます。
 ただ、こうなりましたきっかけがアフガニスタンに対する軍事介入、北方四島の軍備増強ということでございまして、この点はヘイグ長官もよく日本の立場――四島の問題がある、軍術増強の問題があるというようなことを向こうから実は言って、アメリカもその点は了解したわけでございます。でございますので、日本とソ連との間で違いますのは、北方の領土問題等があることはこれははっきり違うわけでございまして、私どもはソ連の態度がその北方の四島の領土問題もあるということを認めて平和的な条約を結べるような交渉に出るというのも一つのきっかけかもしれませんし、アフガニスタンの軍事介入の撤兵ということもきっかけかもしれませんし、いろいろ私はきっかけというものを何かということで実は私もその点は慎重に考えているということでございます。
 アメリカの対ソ政策も、さっき申し上げましたように穀物禁輸やなんかはまだ結論が出ていないわけでございまして、そういう重大な問題は恐らくサミットごろまでにそういう重大な政策の問題の決定があるのかなと、こう見ているわけでございますが、私ども日ソの関係はいま当分ここで急展開ということじゃなくて、ソ連の出方を見ていくということの態度でございますが、しかし、いまのままの姿が決してこれは正常な姿ではないということだけは私どももよくわかっております。
#275
○渋谷邦彦君 恐らく息の長い忍耐を要求される問題であることは十分理解ができます。
 まあいまさらここで外交史が云々というようなことに触れるつもりは毛頭ございません。まあ外交の歴史というものを振り返ってみると、やはりこうした問題がなかなか接点が得られないというところには不信感というものがその底流に大きく根差しているものがあるであろうと。そういったことが国益に反するかどうかという問題が絶えず議論の中心的なものになって、それがなかなか氷解しない。こういったことの繰り返しが今日まで続いておる。私なんかは非常に短絡的にそういうことを考える場合があるのですけれども。いまずっと御答弁を伺っておりまして、恐らく近い将来に、いずれにしても世界の人類が平和を希求している反面に、その裏表になっておるのがやはり戦争という問題に対する危機感、そしてまた、総合安全保障という面から考えると食糧の問題もございましょう、いろいろな問題が出てくると思うのです。絶えざるやはり目に見えない不安感、問題が未解決のまま相当残っておる。アフリカの問題にいたしましても、中東の問題にいたしましても、中南米の問題にいたしましても。当然のことながら、日本としてそういう問題にも明確な外交政策を、視点というものを自主的にやっぱり展開する、いま、立場に立たされているのではないか。それはもちろんアメリカとの友好親善というものが基軸になっておることはこれはいままでの一貫した政府の基本方針でありますから、それを根底から変えるなんてことは不可能であります。それを基軸にしながらも、多様化したこの国際情勢の中で、少なくともアメリカと日本との間にすらも認識のずれがあるわけですから、先ほども伊東さんの御答弁を伺うまでもなく。だからそういうお互いに友好関係の中にある国柄においても認識の不一致という点がある。いわんや考え方の相反するような国々、それを接近させるということは並み大抵の問題ではない。しかし、同じ人間でありますから、話せばやはりそのきっかけというものは私はつかめるであろう。そこで、そういったことをもう一遍整理いたしまして、近くオタワのサミット会議が行われるでしょう。いままではどちらかというと経済問題が中心でございました。恐らく今後は政治的なそういう問題の解決にどうすればいいのか、当然西側としては最大の関心事であろうと、こう思いますが、そうした話し合いの中から、いままで議論してまいりましたような問題というものが多少でも風穴があけられるような方向へ交通整理ができるかどうか。その辺のこれはこうなるであろうということを言うこともなかなかむずかしい問題であろうと思いますけれども、日本としても、そういう方向へ持っていくための不断の努力をやはりしなければならない。そういうことのために多少でも前進するようなきっかけがつかめるような、そういう点について、当然外務大臣はいらっしゃると思いますので、その辺の抱負を締めくくりとして聞いておきたいと思います。
#276
○国務大臣(伊東正義君) オタワ・サミットの議題はまだ決まっておりません。従来経済問題でございまして、去年から初めてアフガニスタンの軍事介入で、それを政治的な問題として取り上げたということでございます。ことし何をやるかは決まっておりませんが、いま渋谷さんおっしゃるように、政治的な問題、私は当然取り上げられて西側の首脳がやっぱり話をする、集まるのですから。そういう話が話題になるだろうとは私も想像はいたしております。
#277
○渋谷邦彦君 時間がありませんし、これは全然視点を変えた問題点でございますが、これはむしろ外務省の局長に伺った方がいいのかな。これは伊東さん御存じならお答えいただいてもいいと思うのです。
 外務省の安全保障政策企画委員会、昨年七月にスタートしたわけでしょう。ここで取りまとめられた内容がずっとあるわけですが、
   〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕この中で「安全保障確保のための外交の役割」という項目がございます。その第三項目の中に「世界の平和と安定のための貢献」とこれは大変日本として考えられる、将来やはり取り組まなければならない問題点の一つであろうと思われますし、そのためには何が考えられるか、これはもちろん結論的なものではないと思いますけれども、その中に国連の平和維持活動に対し従来の財政面における協力だけではなくて、人的な協力もすべきではないか。いま、この議論を展開する時間的な余裕がございません。その人的な協力をすべきではないか。いろんなことが考えられるのですね。いままで国会でも議論になってきたいろいろな国連軍への派遣だとか、医療班の問題だとか、いろんなことがまたすぐ連動してぱぱっと出てくるわけですが、ここで言う一体人的な協力というものは何を指すのか、この点まず教えていただきたい一点。
#278
○国務大臣(伊東正義君) 研究会でそれを出しました内容は、国連でいままで財政的にお金の負担をしたということがございますが、頭にすぐ出てきますのはナミビアの選挙が行われる場合に、選挙管理のためにいわゆるシビリアンの関係から協力を求められれば出すとかいうことを頭に置いたのでございまして、自衛隊の自衛官を国連のために派遣するとかいうことは、その場合は全然考えておらぬ。民間のシビリアンの関係のお医者さんでございますとか、看護婦さんでございますとか、あるいは通信関係の人とか、そういうことで協力できるものは国連に協力しようということを頭に置いて書いたわけでございます。
#279
○渋谷邦彦君 せっかく通産大臣も私、お呼びをいたしておりますので、一問だけ申し上げたいと思います。
 SRCII、石炭液化実用化共同開発事業、これについては最近レーガン大統領のもとで見直さなければならない、そういうような考え方が台頭してきているやに聞いております。これはもとはと言えば日本からの提案だったのですね。それが今度逆提案を米国側がされている。それでこの面には、この共同開発事業については、日本としては資金の協力をいままでずっとするような立場でこれに取り組んできている。これが全面的に変わるということになりますと、日本が受ける損害等も当然考えられはしまいか。
 その経過につきまして、いま現状どうなっているのか、これからどういうふうに日本政府としては進めるのか。エネルギー政策の一環としてきわめて重要な課題の一つでございますので、この点について大臣としてのお考え方を述べていただきたいと思います。
#280
○国務大臣(田中六助君) SRCIIの問題は、御承知のようにアメリカと日本、アメリカと西ドイツ、それぞれバイラテラルに協定を結んで三国間協定ということになっておるわけでございます。わが国は、福田前総理が渡米いたしまして、カーター大統領とそういうことをしてほしいという話をいたしまして、その根本の発想法は石炭の液化、つまり代替エネルギーを促進するということで、石炭液化技術、日本は三液化方式とかいろいろありますけれども、非常に計画は小そうございますし、技術そのものも劣るわけでございます。したがって、大きな技術、大きなプロジェクトという観点から、SRCIIの開発を望んだわけでございますが、レーガン大統領の新教書、それから附属文書、特に附属文書の中にSRCIIのプロジェクトは、これを合成燃料公社に移すという項目があるわけでございます。しかし、その附属文書の中に、これは協定を結んでおる日本との話し合いによって正式決定するという項目がございますし、私どもは二国間の協定ででき上がっておることでございますし、このスキームは、つまり計画は全然わが方としては変える考えはございませんけれども、これも御指摘のように相手のあることで、こちらが望んで一応協定はできておりまして、それでも向こうがそういう態度に出ております。したがって、できますならば四月にも日米独の三国で話し合い、このことを――アメリカがそう言ってきておりますので、それを本心はどうなのか、それから日本の考えはあくまでこれを進めていきたいと、昨年度は御承知のように七十数億円、今年度は百五十億円ちょっと上回る金額を新年度予算に計上しております。したがって最後の年の八年日までは私どもはこれを推進していく腹であるということを向こう側に強調していく方針でございますが、その結果については、私どもの方針が貫かれるよう一生懸命努力していきたいというふうに考えます。
#281
○渋谷邦彦君 終わります。
#282
○委員長(木村睦男君) 以上で渋谷君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#283
○委員長(木村睦男君) 次に、上田耕一郎君の質疑を行います。上田君。
#284
○上田耕一郎君 志苫議員の質問で、午前中問題にしました伊東大臣のスピーチですね。これは前の晩に読まれたというのでどうも官僚作文だったと思うのですけれども、この中であなたは、ヘイグさんの国際情勢に対する認識の的確さと深い洞察力に対し感銘を覚えたと、あなたが書かれたんだかどなたが書かれたかわかりませんがこう述べている。ヘイグさんは例の核兵器使用も辞さずということを述べられた方なんですが、レーガン政権のそういう核政策についても一言も述べられなかったわけですか、会談で。
#285
○国務大臣(伊東正義君) スピーチは前の晩も読みましたし、それは二度目でございまして最初じゃないんです。二度目でございますが、そのスピーチは全部私の責任でございますから、そう思っていただきたいと思います。
 核の問題につきましては、SALTのことで実は話したのでございまして、SALTの交渉、ソ連とどういう交渉をこれからアメリカがするかというようなことで触れたわけでございます。そのときにアメリカはヨーロッパの戦域核の問題から始まるというようなことを実は言いました。そのほかは原子力の問題につきまして、核燃料の問題に触れたことはありますが、核兵器を使ってどうするというようなそこまでの議論をする時間がございませんでしたので、それはしてありません。
#286
○上田耕一郎君 例のコマー国防次官の発言でわれわれずっと取り上げてきた岩国、沖縄への核持ち込みですね。この問題私も追及しましたし、私の後立木議員も追及して、核兵器、核弾頭のコンポーネントも持ち込みは禁止、事前協議の対象だと、そういう答弁を立木議員にいただいて、これは非常にいいことだと思うのですけれども、さて、じゃアメリカ側は核弾頭のコンポーネントも事前協議の対象になるかどうか、こう認識しているかどうかという問題が残るわけですね。外務大臣は、立木議員の質問にここら辺の問題は一つ検討、研究するとお答えになりましたけれども、アメリカ側に核弾頭コンポーネントも事前協議の対象と考えているかどうかを確めることは今度しませんでしたか。
#287
○国務大臣(伊東正義君) 今度私が直接ということはありませんが、その問題につきましては政府委員からいま詳細御答弁申し上げます。
#288
○政府委員(淺尾新一郎君) お答えいたします。
 この前、十九日の本委員会において立木委員の方から、ただいま御指摘になりました点について御質問がございまして、大臣の方から検討を約したわけでございます。その中で、まず振り返ってみますと、立木委員の方からいろんな資料に基づきまして核弾頭のコンポーネントが起爆装置や核物質を含んでいると、アメリカ側においては核弾頭または核兵器と同様の位置づけをしているものであるから、その核弾頭のコンポーネントの持ち込みも明確に事前協議の対象になるのではないかという御指摘があったわけでございます。ただし、その際に、私どもがわからなかったのは、核弾頭のコンポーネントについてのいろんな資料を挙げられましたけれども、それがどういう資料であるかということが必ずしもわからなかったわけでございますが、その後検討した結果、御質問の核弾頭のコンポーネントというものがいわゆるニュークリアコンポーネントということを指すものと思われるということがわかりました。これは基本的には、ニュークリアコンポーネントというのは核兵器の構成部分でございまして、核分裂物質または核融合物質を含むこと、意味することというのは明らかでございます。他方、事前協議の対象になっておりますものは核弾頭ということでございまして、核弾頭はもちろんいま申し上げました核兵器の起爆物あるいは核爆発装置というものを含んでおるということでございますので、日米間にこの点について何ら認識の相違はないという結論に達しております。
#289
○上田耕一郎君 認識の相違はないとひとり決めしても、ぴっちり条約上の合意がないと危いんです。なぜなら、ジョンソン国務次官が一九七〇年一月二十六日、サイミントン委員会でこう言っているんですよ。われわれも日本政府もあらゆる組み合わせも含めて考えるすべての可能性を想定し、いずれかの政府が事前協議を正式に発動すべきだと考えられるかもしれないあらゆる状態について、正確な事前了解に達しようとは努力しなかったと、だから細かく詰めてないということをサイミントン委員会で述べているので、私は改めてアメリカ政府に藤山・マッカーサー口頭了解にも交換公文にもはっきり書いてないんだから、コンポーネントということは。いざコンポーネントを持ち込んであったとアメリカ政府に抗議しても、いや条約違反じゃありません、取り決めはありませんと言われても困るので、正式にアメリカ政府に、当然のことなので、これは事前協議の対象となる核弾頭の構成部分であるコンポーネントに当たるとアメリカ政府も認識しておりますということをはっきり確かめて、その照会を本委員会に報告していただきたい。このことを外務大臣、はっきりお願いします。
#290
○国務大臣(伊東正義君) いま上田さんがおっしゃったこと、この前、いま政府委員が言いましたように。核弾頭全部ばらしてその部品全部持ってきて、すぐこっちで組み立てるというものは当然そうだということで私もそれはそのとおりだとお答えしたわけでございます。いま上田さんからのお話がありました、私もこの前研究するということを言ったわけでございますから、その後いろんな事情がありましたので、まだおくれていて御報告はしませんが、検討の結果はまた正式に御報告いたします。
#291
○上田耕一郎君 ただ検討だけじゃなくて、アメリカ政府にしっかり確かめて報告してほしいということです。
#292
○国務大臣(伊東正義君) 検討というのは勝手に自分だけという意味じゃなくて、総合的に検討したいと、こう思います。
#293
○上田耕一郎君 外務大臣、今度の訪米で、伊東・ヘイグ会談は冒頭通訳を交えただけのさしの三十分行われたと報道されておりますけれども、なぜこういうことをやったんですか。
#294
○国務大臣(伊東正義君) これは向こう側の要望でございまして、よく会見しますときにさしで、二人で話すということはいろんな会談で実はあるわけでございまして、これは特にそういうことをこちらから求めたということでもないわけで、大体会議をやりますとき、五人ずつぐらい出てやるわけでございますが、その前にさしでお互いが話し合いをしてお互いの性格を知るとか、そういう親しみを持つとかいうことはこれは大切でございますので、当然いろんな会合であるわけでございます。ヘイグ国務長官はいわゆる進駐車で日本に駐留したことがあり、いろいろな話で、結婚も日本でしたというようなことで、非常に個人的な話し合いにもなりまして、非常に親しみを深くしたわけでございますが、そして正式のみんなの会談に臨んだということでございます。何もこっちが求めたものでもなく、これは通例行われることでございます。
#295
○上田耕一郎君 ただ、たとえばマンスフィールド大使が十五分の表敬訪問で四十五分話したとかいうことのあの時期にマンスフィールド大使が、今後率直かつプライベートにレーガン新政権というのはいろいろやるんだと、オープンに余り数字や何かやらぬのだということを言っているのです。つまり、秘密外交ということがレーガン新政権の対日交渉のやり方として浮び上がっているのです。そうしますと、あなたとの会談でワインバーガー国防長官が、基本的枠組みについて一致すればあとはそれぞれ日本が自主的にやるのだということを言っているのだが、ひそかに、オープンにしないでいろんなことをアメリカ側から伝えられて、後で日本が自主的に考えてこうやりますと、防衛計画大綱も見直しますとかなんとかかんとかいうことになって、実はこれ自主的だという形はとっているけれども、裏から実はプライベートに、非公式に日米でいろんなことがひそかに話し合われ、アメリカのリーダーシップで取り決められていくという危険が大きいと思うのです。だから私はこの問題を聞いたんだ。
 これまでの議論で例のグアム以西、フィリピン以北の問題がいろいろありました。私は改めて外務大臣にお聞きしたい。
 この問題も初め明らかになっていなかったのに、新聞で出てきてそれで問い詰められて問わず語りにというか、語るに落ちてあなたは話されたのですね。こういうことがやっぱり起きかねない。どうなんですか、国防長官との会談でグアム以西、フィリピン以北という言葉は長官の話の中にとにかく出てきたわけですね。
#296
○国務大臣(伊東正義君) 何遍も御答弁しましたが、言葉は出てきました。それは一般的なアメリカが防衛努力をしている地域の中に一つとして出たというだけでございまして、それ以上、その地域に日本はどうしてくれというふうなことはございません。
#297
○上田耕一郎君 しかし、寺田委員に対する答弁であなたは、もし黙っていると誤解が生まれると、黙っていると野党がまたいろいろ言うというので、そんなに広げることありませんよというので誤解を正したと、広げられませんということをおっしゃったわけですね。そうすると、あなたが黙っていると誤解を生むような、また野党がいろいろ追及するような文脈でとにかく国防長官は触れられたということしか考えられない。いかがですか。
#298
○国務大臣(伊東正義君) 私はその表現がありましたときすぐに、そういう表現が誤解して伝わるといかぬからといって、さっき申し上げましたようにそういうことは日本としてはむずかしいんだということで私はすぐ言って、ということでございまして、何も隠しておこうとかどうしようとか、そんな意図は全然ないんです。
#299
○上田耕一郎君 ほぼ事実は明らかになったと思うのです。新聞報道見ても、第七艦隊がインド、ペルシャ湾に行っているわけでしょう。そうするとすき間があくんだと。アメリカの努力の範囲の話の中で、グアム以西、フィリピン以北という言葉が出たのですよ。アメリカがここやっていますなんてあたりまえのことなんで、だから、穴があくから日本にひとつこういうところのあれをやってもらえまいかねの口吻で述べたので、あなたは誤解が起きるとまずいというので述べたというのが事実だと私は思う、あなたの答弁からいっても。
#300
○国務大臣(伊東正義君) それは違うのです。そういう説明があったときに、第七艦隊がインドの方へ行くから、ペルシャ湾に行くからここに穴があくと、その分だけ日本でやってくれなんという表現は全然なかった。アメリカの防衛、インド洋、ペルシャ湾のときは追加防衛という言葉がございました。それから、いまの地域等についてはアメリカが一生懸命防衛しているのだという説明がありましたが、だから、穴があくから日本がその穴を埋めてくれというような表現は、これは一言もなかったので、一般的な防衛の努力ということの強化ということの説明の過程だったと、これは本当に間違いありません。先生が何か別にとられるのははなはだ私は心外でございまして、そのまま言っているわけでございます。
#301
○上田耕一郎君 いわゆる一般的な防衛努力の要望の中に、とにかくワインバーガー国防長官がいまの地名ですね、グアム、フィリピンを言ったと。これはアメリカが自分でここやっているなんてわざわざ言う必要ないので、当然日本とのかかわりで言い、あなたがそれに対して誤解を招かないように日本の立場を述べたというので、アメリカ側がこの地域の防衛を望んでいるということは私はほぼ明らかになったと思う。午前中私が申しましたように、福田元首相にレーガン大統領その人が、西太平洋の日米の共同防衛で調整したいとはっきり通告したということまであるわけですからね。
 もう二分になってしまったので、あと一問だけ防衛庁長官にお伺いします。
 さて、そういうところを日本が分担するということになりますと、マンスフィールド大使が要望しております対潜、対空能力の向上ということが特別に問題になる。将来、船も問題になりますが、当面P3Cです。これまで新聞その他でいろいろ報道されております。五十二年の閣議でP3C四十五機、F15百機ということを決めてあるわけですね。ところが、それではどうも足りそうもないというので五六中業、これで二十三機ふやしたいということをアメリカ側も望んでいるし、防衛庁も望んでいるわけです。三月二十日の日経には「防衛庁は五六中業の作成方針を六月に訪米する大村防衛庁長官を通じ米政府に伝える方針。」だということを書いてありますけれども、あなたの訪米で現五三中業の繰り上げ達成問題だけじゃなくて、五六中業、五十六年から五十九年までの次の五六中業についてアメリカ側に説明する、この中には恐らくP3C二十三機その他入っているかもしれませんが、その方針はあるのですか。
#302
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 私の訪米の時期はまだ決まっておりません。それから、五六中業のお尋ねでございますが、これはこれから準備に着手するわけでございまして、恐らく一年近くまとまるのにはかかると思うわけでございます。したがいまして、仮に六月私が訪米することがありましても、五六中業についてわが方の考え方をするということは、時期的に見ましてもかみ合わないと思うわけでございます。なお、これまでに米国からP3Cを具体的にふやしてほしいと、そういう要請はございません。
#303
○委員長(木村睦男君) 時間が参りました。
#304
○上田耕一郎君 はい、あと一問です。
 五三中業についても当時のブラウン国防長官に大体説明をして、これだけ国会で問題になったでしょう。五六中業一年かかると言うのだけれども、五六中業の作成方針ですよ、五六中業をどういうふうにするというようなことを、じゃアメリカ側にあなたの訪米中一切言わないということを確約できますか。作成方針についても、一切議題にしないと。
#305
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 訪米の時期にもよりますけれども、まだまとまってないものをお話しするということはあり得ないと考えております。
#306
○上田耕一郎君 終わります。
#307
○委員長(木村睦男君) 以上で上田君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#308
○委員長(木村睦男君) 次に、田渕哲也君の質疑を行います。田渕君。
#309
○田渕哲也君 午前中もちょっと触れましたけれども、防衛計画の大綱の問題で再度外務大臣に確認をしたいと思うのです。
 ワインバーガー長官は、防衛計画の大綱は五年前のもので、その後のソ連の軍事増強並びに世界侵略の現実に十分対応したものとは思われないと不満を表明した、こういう新聞記事がありますが、これは事実かどうか。
#310
○国務大臣(伊東正義君) いかにもそれ見てきたようなことを、聞いたようなことを書いてあるのですが、そんな表現全然ございませんでした。
#311
○田渕哲也君 防衛計画の大綱には全然触れなかったということですか、ワインバーガー長官。
#312
○国務大臣(伊東正義君) ワインバーガーさんが防衛計画の大綱なんという言葉、一言も言っておりません。それは私が言ったことでございます。防衛努力を要請されましたときに、日本側としましては防衛計画の大綱というものがあると、それに基づいて防衛力の整備ということをやっているのだと言って、その言葉は私が用いたのでございまして、防衛計画大綱なんということは向こうから言葉として全然出ませんでした。
#313
○田渕哲也君 外務大臣が述べられたことに対して、長官はどう言ったのですか。
#314
○国務大臣(伊東正義君) 長官は、世界の、国際情勢の変化とか、そういうことの一般的な説明があったことは、これは確かでございます。
#315
○田渕哲也君 次に、自動車の問題についてお伺いしますけれども、もうすでに規制の台数についてアメリカ大使館、マンスフィールド大使を通じて非公式に伝えられておるという報道があります。これは事実かどうか。
#316
○国務大臣(伊東正義君) 数量そのものについて何台、何百万台とかいうようなことは、私も向こうへ行きましても全然出なかったのでございまして、数量自身につきまして何百何十万台とかなんとかという話は、私は全然したことはございません。
#317
○田渕哲也君 通産大臣にお伺いします。
 この自動車の輸出規制というのは、アメリカの要請に基づいてやるというのですか、あるいは日本が自発的にやるのか、どちらでしょう。
#318
○国務大臣(田中六助君) 伊東外務大臣がワシントンに参りまして、日米経済摩擦の中の自動車問題については両国で話し合いを進めるというようなことができ上がりまして、それに基づいて私どもはこれから話し合いを進めていこうというふうに思っております。
#319
○田渕哲也君 外務大臣の訪米に関する記事によりますと、自主規制を向こうは希望しておるという記事があるわけです。自主規制というのは形は日本が自主的に自発的に規制するということになりますけれども、この点はいかがですか。
#320
○国務大臣(伊東正義君) 自主規制という言葉がどうでございますか、向こうはヘイグさんに会いましたときも、大統領に会いましたときも、向こうの経済情勢の話をし、経済再建計画の中で自動車産業はこうだというような話をし、片や議会の動きの話をし、非常にいま自由貿易を守るという意味で苦労しているのだということをるる説明があったわけでございます。そして日本に対しましてこうしてもらいたいというようなことは、実は要請としてはなかったということで、その前段階でいろいろ説明あったときに日本としてもその立場はよくわかると、自由貿易というものはお互いに守らなければならぬのでありますから、日本としてもそれをどうするかよく考えてみる。ただ、アメリカがどういう自動車産業に対して態度をとるかということをよく説明してもらわなければ、日本としても皆さんが納得するようなわけにはいかぬだろうし、アメリカの立場を、あるいは考え方をよく日本の人に説明をしてもらいたい。向こうでタスクフォースで結論が出るでしょうし、そういうことを日本に来て説明してもらう必要があるということを私言ったのでございまして、自主規制とかそういうことを要望するとか要請するとか、そういうことはなかったわけでございます。
#321
○田渕哲也君 要請するというような言葉はなかったと思います。恐らくこれはアメリカが来ていろいろアメリカの事情を説明し、あるいは議会の動きとか、そのほかの状況を説明する。その状況を判断して日本が自発的に規制をするということになるのではなかろうかと私は思うわけです。
 その場合、問題が出てくるのではないか。一つはアメリカ国内においても日本の自動車の輸出規制について反対意見があります。これは自動車の価格をつり上げ、インフレを促進する。それからアメリカの自動車産業の健全な発展が競争制限によって阻害される。それから省エネルギー政策に逆行する。また自由貿易主義というものにも反する、こういうような論拠で反対意見がかなり強いわけです。アメリカのみならずECなどにおいても、日本が輸出規制をすることは保護貿易主義を助長するから問題だというような批判もあります。
 私が確認したいことは、日本がもし自発的に自主規制をやるという形をとった場合に、実際はそうでありません、アメリカの要請に応じてやるわけですけれども、少なくとも正式な要請という形はとらないでやる場合、こういう問題からアメリカの国民から不満とか非難が上がってくる。国際的に日本に対する非難が出てくる。その場合の責任は日本が負わなければならなくなるのではないか。不満とか非難というものの矛先が日本に向けられるおそれがあるけれども、これについてどう考えられますか。
#322
○国務大臣(田中六助君) この日米間の自動車の話し合いは、表面何千台とか、いや何百万台とか、いろいろな新聞が載っておりますけれども、私どもは数字のことについて具体的に聞いたこともなければ、私どももこの数字をどうだというようなことは、過去二回ほどそれぞれの第一・四半期ごとに分けた天気予報みたいな数字は一応出している覚えはございますけれども、これから先の展望については数字を出した覚えはないわけでございます。と申しますのは、伊東外務大臣がワシントンに参りまして合意されたのは、あくまで保護主義貿易じゃなくて自由主義貿易を両国は貫こうということが、この問題の大きな下敷きになっておるわけでございます。したがって、具体的に問題を話し合って詰める場合でも、委員のおっしゃるようにそう簡単にはいかないと思うのです。向こうの独禁法もありますし、いま委員の御指摘のように、これのいろいろその取り決めというか、話し合いを詰めるのに反対の意見もあるし、その経済的効果が逆効果になるという経済理論と申しますか、当然のそういう考え方もございますし、そういうものを一つのバスケットの中に詰め込んでこう考えたときには、確かにどっちがいいのか悪いのかわからぬようなことでございます。したがって、私どもも近く向こうからアメリカの事情、アメリカの国内の自動車の需要の状況とか、そういうようなもの、できますならば、向こうは独禁法関係の人はよこさないとか、よこすとかというニュースも伝わっておりますけれども、いずれにしてもあらゆることで向こうのこの自動車産業に対するあるいは見通し、現状、過去のいろいろな問題について十分説明でき得る人々に来ていただいて、十分私どももその話を聞いた上で相互にいろいろな諸法案の違反にならないような程度で、それぞれ話し合いが詰められるならば理想的だというふうに思っております。
#323
○田渕哲也君 外務大臣の話し合いで、この自由貿易主義を守るためにという言葉があります。しかし、自由貿易主義を守るためにというなら、本当はいかなる形でも規制をしないというのが原則であります。それから、規制をするならガットのルールに基づいてやるというのが私は自由貿易主義を守る道だと思います。ところがITCで白と出たためにガットのルールに基づいてやれなくなった。それでアメリカが困っているのを助けるには日本が自主規制をやらざるを得ない。言うならばこれはルール外の行為だと思うのです。
 そこで大事なことは何かというと、自主規制というものが無原則に広がれば、これは逆に自由貿易主義を破壊してしまうと思うのです。だからあくまでもこの自主規制措置をとるならば、これは緊急避難的のものである、例外的なものである、かつ必要最小限度の措置でなければならないと思うのです。この点はいかがですか。
#324
○国務大臣(田中六助君) 田渕委員御指摘のように、この話し合いを詰めるということは緊急避難的なものであるわけです。と申しますのは、いまの経済摩擦を私どもはいつも主張しておりますように、よくて安くて燃料のかからない自動車、つまり長もちをする自動車をアメリカの消費者が喜んで買ってくれているわけで、同じ小型自動車でも価格はむしろ日本の方が千八百ドルぐらい高いんです、しかもそれなのに、でも売れる。これは御承知のように非常に修理も向こうの五分の一程度の期間で、期間といいますか、五回ぐらい向こうの車がやるとすれば一回ぐらいで済むと、いろいろな諸要素がございまして日本の車が結論としてはいいということでございまするので、私どもは本当はこれはとやかく言われる筋合いはないという論を言っていて、その反面、やはりアメリカがいろんな諸事情、現実にアメリカの三大自動車メーカーのうち一つはほとんどだめ、もう一つも揺らいでおる、それからGMさえいろいろトラブルを起こしているような状態でございますので、それならば日本も、基幹産業の一つでございますけれども、向こうでも伝統のある産業でございますし、レイオフで二、三十万の人たちが出たというならば、それなら一応アメリカの御意見も十分承りましょう。と申しますのは、千四、五百億ドルの年間の日本の貿易量のうち少なくとも三八%は対米輸出でございますし、そういう観点から――現在もそう、過去もそう、将来も当分日米貿易というのは考慮に入れなければなりませんので、その観点から、日米関係の友好というものから一応その話し合いに応じようということでございますので、その方法論については、つまり自由主義貿易というものの下敷きから逸脱しないようなあらゆる知恵をしぼって両国の話し合いをうまく詰めようということでいっぱいでございまして、いろんな法案あるいはその他の違反にならないように努めてまいりたいと思っております。
#325
○田渕哲也君 あくまでも緊急避難的なものだとするならば、その緊急避難を要する一つの何らかの事態というものがあるわけです。だからこういう措置をとるわけですね。そして、そういう事態がなくなればこれは直ちに解除されるべきものである。それなら、一体その事態というものは何であって、そしてどういう条件になればこれが解除されるのか、これはいかがですか。
#326
○国務大臣(田中六助君) この事態という現実そのものは、アメリカ側が、大統領初め皆さんがおっしゃっておるのは、結局日米経済摩擦の大きな要因になっておる具体的な問題が自動車であると、そういうふうに言っておりますし、現実に日本の輸出量というものが月ごとにふえておるわけでございます。しかも逆にアメリカの生産も、まあ不況全体のこともあることは十分わかっておりますけれども、生産自体、つまり売れ行きも減っておると、日本の輸出は、つまり日本が買ってもらっている量はふえておると、そういうような現実の事態があるわけでございまして、しからば、それをながめてそういうことを言っているわけでございますので、それなら期間はどうかということでございますが、先ほどから申し上げておりますように、緊急避難的なものであるならば、しかも自由主義貿易という大きな網を肯定しておるならば、それは決して長いものではなく、あくまで緊急避難という、緊急というならばそれは長期間のことではないでしょうし、前提がそういうことを言っておりますので、私どもはそう期間も長くないというふうに思っております。
#327
○委員長(木村睦男君) 時間が参りました。
#328
○田渕哲也君 時間がなくなりましたので、あと一言だけお尋ねしたいと思います。
 この事態、どういう事態を緊急避難が必要だと認めるか、これはかなり私は限定的にしぼってもらいたいと思うのです。あれもこれもいろいろあるから、これで緊急避難だと言うんじゃなくて、ごく例外的な特殊な非常事態の要素は何かということをしぼる必要がある。それから、それがなくなればできるだけ早く解除できるように弾力的な決め方をする必要があると思うわけです。それからもう一つは、他産業や他地域へ波及しないようにする必要がある。特にECが同じような措置を求めてくみおそれが非常に強いわけですから、私はこれはECとも十分了解をとるための事前の連絡は必要だと思いますけれども、この点をお伺いして質問を終わりたいと思います。
#329
○国務大臣(田中六助君) けさほども外務大臣がECについてお答え申しておりましたけれども、ECと申しましても九カ国が全くECという枠の中で共同歩調をとっておるわけではございませず、たとえばフランスなどはみずから三%の制約を日本にかけておりますし、イタリーは日本の車を二千台とか、それぞれ、私に言わせればガット違反が横行しておるEC諸国でございます。したがって、一つの手法でこれらの国々を律することは非常に困難でございますし、やはり日本の立場を十分主張して、それぞれの国に合ったことをしなければならないというふうに思っております。
#330
○委員長(木村睦男君) 以上で田渕君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#331
○委員長(木村睦男君) 次に、田英夫君の質疑を行います。田君。
#332
○田英夫君 カンボジアの問題なんですが、外務大臣、政府は民主カンボジアを承認しておられる、この方針は変わりませんね。
#333
○国務大臣(伊東正義君) ASEANも強力にこれを支持しておりますし、日本はASEANの態度を支持するということでおりますので、変わるということを考えておりません。
#334
○田英夫君 そこで、にもかかわらず大変奇妙なことが起こっているのでありますが、日本赤十字、これはもちろん民間の組織でありますが、日本赤十字はこの政府の方針に反してヘン・サムリン政権に援助を行っているという事実がありますが、外務大臣は御存じでしょうか。
#335
○国務大臣(伊東正義君) 私はちょっと知りませんので、政府委員の方からお答え申し上げます。
#336
○政府委員(木内昭胤君) 日本赤十字社の代表がカンボジアに入っておることは承知いたしております。日赤としましては決してヘン・サムリン政権てこ入れということで行動しておるわけではございませんので、ただ、実際にはヘン・サムリン政権の掌握している地域にあるカンボジア人を対象に援助をしておるということから確かに結果的にはそういう状況も生ずるわけでございますが、本音は人道上の援助ということでございます。
#337
○田英夫君 私も、人道上の立場から赤十字という組織がヘン・サムリン政権下の住民だからといって支援していかぬということを申し上げようと思うわけではないのです。ただ、これは外交上の問題としても実は問題が起きていて、昨年の九月に外務省本省とハノイの大使館との間に電報のやりとりがあった事実がありますが、ハノイ駐在の野田大使からの電報は、特にハノイに駐在しているASEAN関係の大使から、この事実を指摘して日本政府の方針と違うのではないかという点で問い合わせをしてきたと、本省に対して日赤担当の厚生省とも打ち合わした上善処してほしいという意味の申し入れがあって、それに対してまた本省から、いまアジア局長が言われたような意味のことですけれども、一方に偏することなく援助をするということだろうと思うという意味の返電が行っておりますけれども、私自身、実は昨年、民主カンボジア領内を見て、キュー・サムファン首相とも会ってきましたけれども、日赤の援助は民主カンボジア領内には全く行っていないのであります。つまり日赤は全く一方の側であるヘン・サムリン政権側にだけ援助をしている。これは本省のこの返電にある一方に偏らないようにということと逆になってしまっている、偏ってしまっていると言わざるを得ないし、しかもその偏っている側は、日本政府の承認をしている政府ではない、いわばベトナムのかいらい政権の側に支援をしている。しかも昨年の六月二十三日にはベトナム軍がタイ領内まで侵攻をしたことがありますけれども、そのときに死亡したベトナム兵の持っていた物の中に国際機関がヘン・サムリン政権に支援をした食糧の袋があったという事実があります。したがって私は、先日林敬三日赤社長にお会いをしてこの点について抗議といいますか注意を喚起いたしましたが、林社長はこれをお認めにならなかった。そして偏っているというふうに思わないと、人道的な立場だと言われたのでありますが、これは明らかに一方に偏ったやり方であり、しかも日本政府の方針に反するやり方で、ASEAN諸国の間にも疑義を生んでいる事実があると、こういうことになりますと政府としてもこれはぜひ善処をしていただかなければならないのでありまして、きょうあえて厚生大臣の御出席を求めませんでしたけれども、時間がありませんから答弁は要りませんが、厚生省の方がおいでになると思いますから、このことをひとつぜひ大臣に報告をしていただいて、厚生省として日赤にどのような措置をとられるか、ひとつ後日私に教えていただきたいということを、この際、お願いをしておきます。
 外務大臣、いまの点いかがでしょうか。
#338
○国務大臣(伊東正義君) どうも私余り知らぬで申しわけございませんが、日本も世界食糧計画やなんかには出しておりますから、国際機関に。人道上の立場で両方に平等にということだと思うのでございますが、日赤もやはりやる以上は両方に平等に人道の立場からやるということが私は必要だと思います。
#339
○田英夫君 これに関連をして一言外務大臣に伺いたいのは、カンボジアの問題についてはベトナム軍の撤退ということが何よりも第一だと思いますけれども、これに関連をして今後政府としてすでに国連の決議も行われていることですけれども、ASEAN諸国も非常に日本にその点について期待をしていると思いますので、具体的にどういう方法をとっていかれるか。この点について鈴木総理も先般のASEAN訪問の途中でのいろいろなお話の中でこの点を強調しておられましたけれども、具体的には一体これからそれがどういうふうに進んでいくのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
#340
○国務大臣(伊東正義君) 日本としましては、やはり国連の決議がございましたので、国連が主体になって国際会議を開くことが必要だというふうに何回もASEANその他ECの諸国等とともに事務総長に働きかけたわけでございます。いま国連事務総長がいわゆる特使的な人を任命しまして、その人がASEANを回っております。日本にも四月に寄るということでございまして、私はやはり国連事務総長がその会議を開けるように努力するということをサポートしていくということが日本がやります一番適当な方法じゃないかというふうに考えております。
#341
○田英夫君 終わります。
#342
○委員長(木村睦男君) 以上で田君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#343
○委員長(木村睦男君) 次に、山田勇君の質疑を行います。山田君。
#344
○山田勇君 午前中の質問に続いて、外務大臣にお尋ねをいたします。
 ソ連に対する認識がアメリカと一致するということは、レーガン政権の望んでいる西側諸国の対ソ共同戦略に日本として現実の課題として取り組まなければならなくなるのではないでしょうか。米国が軍事力急増方針に基づいてわが国に対して同盟国としての防衛分担をいま以上に強く迫ってきた場合、米国に同調してその軍事力を増強すればますますソ連を刺激し、軍拡競争に拍車をかける結果になると考えます。世界の平和は軍拡競争で維持されるとは考えられませんが、なぜ軍縮への道を少しでも歩もうと大臣は米国に働きかけないのですか。
 それと同時に、大臣、軍縮議員連盟が結成されようとしているのは御存じですか。軍縮による平和追求こそ最優先課題ということですが、まあこれはいろいろこれから紆余曲折あると思いますが、こういう議員連盟が仮に結成、発足したら大臣はこれに加入なさいますか。
#345
○国務大臣(伊東正義君) 種々、たくさん御質問でございますが、防衛といいましても、私はアメリカに言いましたのは、軍事力だけじゃないと、経済協力でございますとか外交努力もそうだということを言ったわけでございまして、認識が一致したということは、それはソ連の第三国への軍事介入あるいはソ連の軍備強化という、それが厳しい、そういうことがもとで国際情勢が起こっているんだということはこれは認識したわけでございます。西側の一員ということも認識が一致したわけでございますが、それが即軍備の大増強とか、そういうふうに私は考えておりません。日本の防衛力というのは、これは日本の法律の制約がございますので、日本の自主的な立場でやはり着実な増強を図っていくというのが日本の態度だろうと私は思うわけでございます。
 軍縮の問題につきましては、アメリカに例のSALT交渉の問題等実は話したわけでございます。アメリカは、これは安全保障というものの中でこのことも考えなければいかぬという主張をしております。それは軍縮だけが軍縮目的ということで歩くんじゃなくて、安全保障の中で軍縮ということを考えなけりゃいかぬという意味のことを言っておったわけでございます。私は、軍縮の必要性ということは自分でもよくわかるつもりでございます。
 そういう議員連盟ができたとき入るか入らぬかということでございますが、私は外務大臣になりましてから、いろんな種類の議員連盟ございますが、余り入らぬことにして独自な考え方で実際やっていこうと思っておりますので、仮定の御質問でございますが、ここではそういう態度であるということを申し上げます。
#346
○山田勇君 外務大臣、御承知のとおり国連局に軍縮課というのがございます。そういうのが大いにこれから国連の中でも活動、活躍することを期待しております。
 次に、通産大臣にお尋ねします。
 ICの対米貿易のバランスが昨年から日本の出超になっていますが、これを契機として米国西海岸のIC生産基地のいわゆるシリコンバレーを中心に日本に対する批判の火の手が上がっていると聞いておりますが、またまたICに対しても輸出規制を求めてくるということにはなりはしませんか。佐藤内閣時代の日米繊維交渉以後、日本側の輸出が伸び影響を受けると業種、業界が騒ぎ出す、すると、その業界関係のアメリカの議員が自国の政府に圧力をかける、米国政府は日本政府に譲歩を求める、日本側は結局輸出を抑制すると、こういったパターンができ上がっているように思うのです。自動車もそれと同じですが、自由主義貿易を守るというアメリカ側のこんな圧力的な解決方法をいつまでも続けるようでは日米関係の友好にかげりを見るようになるのではないでしょうか。われわれ、国民の立場からなぜもっと対等の立場で話し合いができないのかと思うのですが、この点について通産大臣の御意見を伺いたいと思います。
#347
○国務大臣(田中六助君) 日米経済貿易関係の摩擦というものは、山田委員御指摘のように、繊維、それからテレビ、まあ家電、それから鉄鋼もそうです。現在自動車ということになっておりますが、将来IC関係、エレクトロニクス関係がそうであろうというふうに言われております。
 簡単に申しますと、日米関係は貿易量が非常に多いために、貿易が多いということはすぐこれは競争ということにつながるおけでございますので、大なり小なり摩擦あるいは競合というものが起こってくると思うのです。したがって、日米関係だけがこうだとも限りませんけれども、ICの問題につきましては、いま御指摘のようにやっと昨年度から黒字ぐらいになりまして、アメリカがまあまあのところになって貿易の均衡がとれたわけでございます。と申しますのは、ICの米国の日本におけるシェアは一五%ぐらいになっております。それで貿易量もちょうどどっこいどっこいに均衡しておりまして、また日本のIC関係の会社も七つぐらい向こうに投資しておりますし、向こうはそれを上回る会社が日本に投資しておりまして、いままでのICの競合の懸念はいま吹っ飛んでおります。したがって、現状を維持できますならば私は非常に円満な、予測されておりましたようなトラブルはなくて済むのじゃないだろうかというふうに考えておりますし、この均衡状態を私どもは何とかうまく続けていって、いろんな過去における品物の摩擦がないように避けていきたいというふうに思っております。
#348
○山田勇君 最後に、外務大臣は、車と防衛はリンケージしないと何度も繰り返し繰り返し述べておられるわけですが、車の問題には一切タッチしない、車は通産大臣に全面的に任せる、また米側も商務長官が車について交渉相手であるとなればわれわれ国民もある程度信用できるのですが、今回の渡米によりまして、車の問題が伊東外務大臣とヘイグ長官の会談の中で話し合いが行われたとなれば、やはり何か、防衛問題と車というふうなつながりがあるのではないかという疑惑の目で見てしまいがちなんですが、その点について外務大臣の御所見を伺って質問を終わります。
#349
○国務大臣(伊東正義君) 向こうも国務長官が車の話を非常に長い時間かけてやったわけでございまして、私も、相手方国務長官でございますから、いろいろ話したことは確かでございますが、その先に、今度は車と何か結びつけて連動しているという御心配でございますが、これは私、こちらからはっきり会議の席上、車は車として経済問題で片づける、それがほかに連動しないようにということは私はくぎを刺す意味で言ったわけでございますが、向こうもそれはそのとおりだという返事でございました。
#350
○委員長(木村睦男君) 以上で山田君の質疑は終了いたしました。
 これをもって外交問題に関する集中審議の質疑は終了いたしました。
 次回の委員会は四月一日に開会することとし、これにて散会いたします。
   午後四時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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