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1980/03/31 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 逓信委員会 第4号
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1980/03/31 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 逓信委員会 第4号

#1
第094回国会 逓信委員会 第4号
昭和五十六年三月三十一日(火曜日)
   午前十時六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         福間 知之君
    理 事
                長田 裕二君
                成相 善十君
                長谷川 信君
                大森  昭君
    委 員
                岩崎 純三君
                小澤 太郎君
                郡  祐一君
                志村 愛子君
                新谷寅三郎君
                高橋 圭三君
                西村 尚治君
                藤田  進君
                八百板 正君
                太田 淳夫君
                白木義一郎君
                山中 郁子君
                中村 鋭一君
                青島 幸男君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  山内 一郎君
   政府委員
       郵政政務次官   渡辺 紘三君
       郵政大臣官房長  奥田 量三君
       郵政省電波監理
       局長       田中眞三郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        酒井 繁次君
   参考人
       日本放送協会会
       長        坂本 朝一君
       日本放送協会副
       会長       中塚 昌胤君
       日本放送協会技
       師長       高橋  良君
       日本放送協会専
       務理事      山本  博君
       日本放送協会専
       務理事      反町 正喜君
       日本放送協会専
       務理事      武富  明君
       日本放送協会理
       事        坂倉 孝一君
       日本放送協会理
       事        田中 武志君
       日本放送協会理
       事        海林澣一郎君
       日本放送協会理
       事        渡辺 伸一君
       日本放送協会経
       営総務室長    片岡 俊夫君
       日本放送協会経
       理局長      青柳 保夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認
 を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(福間知之君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○中村鋭一君 来年度の大河ドラマですね、冨川元文さんとおっしゃる方が脚本を執筆されると報じられておりましたけれども、これはどういうタイトルで、何曜日の何時からどれだけの期間放映されるものでございますか。
#4
○参考人(田中武志君) お答え申し上げます。
 私ども、来年度の大河ドラマにつきましては「峠の群像」というタイトルの作品を予定しております。いま先生のお話にありましたように、脚色は冨川元文さんでございますけれども、作家の方は堺屋太一さんにお願いしてございます。内容は、一口で言えば忠臣蔵を経済史的な、あるいは社会史的な切り口から見たものでございまして、一つの大きな企業がやはり倒産した、そのときの人の絡みだとか、いろんなものがどういうふうに動いていったというようなことに焦点を合わして書いていただく予定にしておりまして、たとえばその中で塩の動きが大変大きなウエートを占めておったというような経済的な見方も中に入ってございます。
 なお、脚色をなさいます冨川さんはNHKの脚本コンクールで受賞なさった方で、大変才能のある、過去にもNHKの作品を多く手がけた方でございます。
 なお、放送は日曜日の夜八時からを予定しております。
#5
○中村鋭一君 朝日新聞の「ひと」欄を見ますと、この冨川さん、時代劇は初めてで、「敬語を使ったことがないので、一から勉強しなければ……」と、こうおっしゃっているわけですね。それは、脚本をだれに依頼するかについては一生懸命研究はされた結果だと思いますけれども、敬語を使ったことがないというような方に一年間の大河ドラマを担当させる。これは謙遜でおっしゃっているのかもわかりません、この方ね。でも、私はやっぱりそこに不安を覚えます。一方、たとえば稲垣史生さん、本もお出しになっていますけれども、最近の、これはNHK、民放を問わず、時代劇のドラマで、どうも時代考証、言葉遣い、もう非常に乱れに乱れて、これはやっぱり特にNHKの場合、もしそういう誤った言葉遣い、誤った時代考証等をしかも看板番組の大河ドラマでおやりになるとすれば大変これは困ったことだと、こう思います。
 NHKはこういった時代劇ドラマをつくる場合に、時代考証でありますとか言葉遣い、そういうものについてチェックはしておられますか。それとも、脚本家、ディレクターにすべてを任せておられるわけですか。
#6
○参考人(田中武志君) 先生おっしゃるように、ドラマの中での言葉遣いその他につきましては大変重要なウエートを占めておりますので、私どもでは、朝の連続ドラマあるいはこういった大河ドラマなどにつきましては言葉の使い方について特別にそれぞれの地方の言葉について専門の方に来ていただきまして指導していただいております。こういった点につきましては、十分こういった大河ドラマその他につきましては、今後もその辺の言葉遣いとか敬語の使い方、そういったことについてはより一層慎重に指導していきたいというふうに思っております。
#7
○中村鋭一君 よろしくお願いしますね。
 たとえば山本周五郎さんの小説なんか読みますと、非常に現代的な言葉遣いで、しかも当時の時代感覚をあらわしておられますね。ですから、そういうドラマもあっていいと思うんですけれども、NHKの場合はやはりたくさんの方がごらんになるわけですから、子供たちが見ても、社会科の先生にああいう言葉遣いがあったんですかと聞いて、そんなものはありませんよ、あの元禄時代にかっこいいだとかそういう言葉を使うわけありませんよと言われることのないようにお願いをしておきたいと思います。
 ことしのプロ野球の中継ですけれども、NHKは、放送時間枠はどの曜日に何時から何時まで設定をしておいでになりますか。
#8
○参考人(田中武志君) 五十六年度の私どものプロ野球の中継計画につきましては、大体デーゲームが十三本ぐらい、それからナイターを大体九本ぐらい予定しております。これはテレビの方でございます。それからラジオの方につきましては、火曜日、木曜日、土曜日の中継をやるということで予定しております。
 なお、時間につきましては、それぞれ野球のデーゲームの場合でしたら午後一時とか二時とか、これもダブルヘッダーによりまして時間の開始がまちまちでございます。ナイターにつきましても六時とか六時半とかということになりますので、その辺につきましては、私ども終わりのところはよほど大差でない限り最後まで放送をするという一つの方針を立てて放送しておりますし、始まる方も大抵夜のナイターの場合でございますと七時半ごろから放送しているというのが現状でございます。
#9
○中村鋭一君 ひとつ、しり切れトンボにならないようにお願いをいたします。プロ野球はたくさんの皆さんが楽しみにしていらっしゃるものですから、たとえ点差があきましても、そのチームのファンにとっては十点あいたって勝っている方はもっと取ってもらいたいと思うものですから、とにかく試合終了までひとつNHKとして皆様にいい野球中継を提供してくださるようにお願いを申し上げでおきます。昨年の通常国会に提出されて廃案となりました放送法の一部改正案、いまのところは国会に提出されてないようですけれども、これはどうでしょうか、もう郵政大臣おあきらめになったと理解してよろしゅうございますか。
#10
○国務大臣(山内一郎君) 放送法改正、三十二条の改正案でございますが、いわゆる受信料制度の趣旨を一層明確にし、受信者の負担の公平に資するため、第九十一回国会に提出したものでありますが、いま廃案になっております。
 そこで、先般二十六日の大森委員の御質問ございまして、そのときにもお答えしたのでございますけれども、多少説明不足の点がございますので、ここで改めて御答弁を申し上げたいと思いますが、今国会は提出をしないことにしております。ただ、今後の問題としてNHKの受信料収納の状況を見守っていくほか、そのほかに多重放送等、ほかの改正問題もあればあわせて改正案の内容、提出の時期などを検討してまいりたいと考えております。
#11
○中村鋭一君 ということは、臨時国会あるいは次の通常国会に提出をされる可能性はあるわけですか。
#12
○国務大臣(山内一郎君) いまのところ、ともかく今国会は出さない、こういうことだけ決定いたしております。
#13
○中村鋭一君 逆に言いますと、今国会は出さないですから次の国会には出す、そういう理解もあるいはできるんじゃないかと思いますけれども、これはやはり問題の多い点――きょうは問題点は指摘いたしませんけれども、いわゆる受信料の義務づけというものにつきましては、これは後ほどまたその点についてお尋ねいたしますけれども、NHKの自助努力、経営改善、その他にまつべきであって、軽々に、私が申し上げているのはその受信料の義務づけという意味における改正であるなら、それはしないでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 放送大学学園法案、現在当院の文教委員会に付託されているんですけれども、非常に問題が多いと思います。現在の審議状況と今後の見通しについて郵政省にお伺い申し上げます。
#14
○政府委員(田中眞三郎君) 放送大学学園法案につきましてですけれども、前回の第九十三臨時国会におきまして衆議院を通過いたしまして、参議院におきまして継続審査の手続がとられたところでございまして、今国会におきまして引き続き御審議をお願いするということになっております。
 学園法案につきましては、大学教育の機会に対します広範な国民の要請にこたえるとともに、大学教育のための放送の普及発達を図るということを目的としておりますわけでございまして、私どもとしては早期に実現されるのが望ましいというふうに考えておる次第でございます。そうした考え方から今国会においてこの法案が成立するよう努力をしてまいりたいというところでございまして、国会におかれましても十分よろしく御審議をお願いいたしたいと思います。
#15
○中村鋭一君 会長、この法案はNHKにも影響するところ大きいと思うんですが、前回も私お尋ねいたしました。そのとき会長は、たしか、いまここで見解を申し上げることは差し控えたいというふうにおっしゃったと思うんですけれども、あれから時日もたっておりますし、現在当院の文教委員会で審議中の法案でございますから、NHKとしてのこの放送大学学園法案についての見解を率直にお聞かせ願いたいと思います。
#16
○参考人(坂本朝一君) 御承知のように、放送大学が実現いたしますと、昭和二十五年以来のNHK、民放の二本立てという放送制度の中に新たに国費を財源とする第三の放送事業が誕生することになりますので、当然NHKの将来の経営に与えるであろう影響を十分考慮しなければならないというふうに考えております。
 この場合、放送大学の放送がどのような態様になりますのか、その結果、特にNHKの教育番組に影響を与えることにはならないか、さらには受信料を財源とするNHKと広告費を主財源とする民放の中に新たに国費を主財源とする放送大学の放送が加わるということで受信料関係に影響を与えることにはならないか、そういう点について十分検討、対応を考えておかなければならないのではないだろうかというふうに考えております。ただNHKといたしましては、教育番組については、こう申してはおこがましいかもしれませんけれども、長年にわたる経験を有し、また実績も持っておりますので、放送大学が実現しました暁には、その時点でどのようにわれわれのその種のものが役に立つのか、そういうことを考えていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#17
○中村鋭一君 ということは、これが可決成立をいたしますと放送大学学園というものの放送が実際に軌道に乗りまして滑り出すということになるわけです。それにつきまして会長は影響するところが多いと。さらに一歩進めてお伺いいたしますけれども、では、これを積極的に評価していらっしゃいますか、それともマイナーにどうも問題が多いなあというふうに評価していらっしゃいますか。
#18
○参考人(坂本朝一君) 私は、放送大学の設立の目的等からいって、いわゆる生涯教育と申しますか、そういうことにも及んで考えたいということでございますから、そのこと自身積極的に反対するという性質のものではないのではないかと思います。しかしNHKの経営者といたしますれば、NHKに対する影響なしとしませんから、その点はやはりNHKの経営者として考えなければいけないであろうというふうに申し上げておりますし、少なくとも実現した暁にはNHKとして従来のノーハウ等において積極的にもし役に立つ点があるならば考えていくべきであろう、そういう考え方でございます。
#19
○中村鋭一君 いま二次臨調も発足して、とにかくお金を使わないでおこうという方向へ国全体が向いているわけですよね、赤字なんですから。そこで、さあどうでしょう、少なくとも延べにいたしますと何千億というお金が要るかもしれません。そういった点、あるいは現在の大学教育の制度そのもので私は十分に若い皆さんは勉強の機会は与えられていると思いますし、それからまたこの放送大学の先生をだれにお願いするのか、その先生が講義をなさるカリキュラムの内容等について恐らくは大変な論議が起こることは決定的だと思います。私も、これは慎重にひとつ当委員会においても審議をする必要がありますし、文教委員会とも力を合わせて、この法案についてはじっくりと腰を据えてやっていかなければならない。少なくとも現在の段階では、私の所属しております民社・国民連合は衆議院段階では賛成をいたしましたけれども、参議院の民社・国民連合会派におきましては非常に問題が多い、そのように理解をしているということを申し上げておきたいと思います。
 次に、郵政省のいわゆる多様化委員会というのがございますけれども、この委員会、その目的と審議状況について簡単にお教え願います。
#20
○政府委員(田中眞三郎君) 放送の多様化に関する調査研究会議の目的、審議状況はどうかという御質問と思いますけれども、この会議、衛星放送あるいは文字放送等の新しい放送媒体が登場してきておる、こうした放送媒体をどのように利用しまして国民の多様なニーズを充足していくか、その基本的あり方の方向づけを審議してもらうということで、法律、社会、教育、技術等広く各界の権威者、有識者十五名に御参画いただきまして、昨年七月から郵政省で審議を始めておる、御審議を願っておるということでございますが、七回の会議におきまして、まずわが国におきます新しい放送方式の開発状況というものを調べ、また諸外国におきます。そうした新しい放送方式の利用開発動向、現状はどうなっておるかという調査、それから国民のニーズの動向はどうであるかということについて調査してまいっております。
 今後の予定でございますけれども、そうした新放送方式によるニーズの充足の見通し、あるいは地上系、衛星系の特質を生かしながら国民のニーズに即応した放送サービスを充足して実現していくための方策はどうあるべきかというようなことにつきまして検討をしていただきまして、来春には報告を取りまとめていただきたいというようなことで鋭意御審議願っておるというところでございます。
#21
○中村鋭一君 NHKの長期ビジョン審議会ございますね。現在の審議状況、それから小委員会を設けていらっしゃると思うんですけれども、中間報告等についてお教え願います。
#22
○参考人(山本博君) NHKにおきましては、長期ビジョン審議会というものを昨年の七月に設けました。その主たる目的といたしますどころは、現在置かれておりますNHKの状況に幾つかの従来の放送体制あるいは放送法制、そういうものの中で考えますと、問題としてNHKが受けとめなければならない点が幾つかございます。先ほどもお話がございましたが、たとえば教育関係におきましては放送大学というものの発足が見られる、あるいは民間放送が放送法ができた当時に比べますともうすでにNHKの数倍になんなんとする事業規模になっておる、こういう非常に社会的に置かれておりますNHKの状況というのが変わってまいっております。また技術の発達、新しいメディアがたくさん発達して開発されておりまして、これにどう対応していくかという問題点が一つございます。さらに、いつも御審議を願っております点でございますけれども、NHKの財政規模というものが、たとえば本年度の予算の御審議の中でも提出してございますけれども、今後ともNHKの収入というのは対前年比一%台の収入しかないという非常に難局に際会いたしております。そういうようなもろもろの問題を今後、将来のNHKのあり方にどういう形でこういうものを改善していかなければならないか、どう対応していかなければならないか、非常に私たちも危機感を持ちましてこういう問題に取り組まなければならないと思っておりましたし、また国会の方におかれましても長期ビジョンについて十分な機関を設けて審議をしなさいという御指示もございました。これに対応するために部外の有識経験者二十一名ほどの方にお集まりを願って御審議を願っておるということが目的でございます。
 現在の状況といたしましては、非常に問題が多方面にわたっておりますので、小委員会を四つ設けまして、一つはNHKの基本的なあり方。今日の置かれておる社会的情勢の中でNHKの存在理由というものあるいはNHKの果たすべき社会的役割り、責任、あるいはNHK自身の基本的な国民との関係、あるいはそれに関連いたしまして一般視聴者との間の関連をよりどう深めていくか、あるいは経営委員会との関係というものをどういうぐあいにしていったらばさらに国民的な基盤が固まっていくのか、そういうような問題を基本的な制度の問題として一つの委員会で取り上げております。
 もう一つの問題点は放送関係でございますが、現在NHKは五つの波を持って国民にいろいろなサービスを提供する役目を負っておりますけれども、この五つの波を、先ほどもお話ございましたけれども、教育の分野、あるいはローカル放送の分野、あるいは国際放送の分野、こういうもろもろの角度からNHKの放送のあり方に内容的にどう取り組んでいくのが国民によりNHKの責任あるいは役割りを果たすことになるのか、こういうことについて御審議を願っております。
 それから第三番目には、技術の問題でございますけれども、先ほど申し上げましたように、新しい技術の開発というのが非常に目覚ましいテンポで進んでおります。これを将来NHKが現在の放送法制あるいは放送体制という枠にとらわれないで、将来展望としてどういう取り組み方をしていくことがNHKにとって必要であり、また国民のニーズにこたえることになるのか、さらにそれが財政的にどういうようなNHKにとってのプラスなりマイナスがあるのか、そういうことを総合的に御審議を願っております。
 最後に、これは非常に重要なことでございますけれども、財政の問題でございます。御承知のように、現在のNHKの財政はすでに収入の面におきましては非常に窮迫をいたしておりまして、収支のバランスというものが構造的にもうとれなくなっておる、こういう点。いまの受信料制度のあり方、それから受信料制度をどういうふうに今後発展をさしていく余地があるのか、あるいはさらに受信料以外の収入というものをどういうふうな方向で開拓をしていく可能性があるのか。
 こういう問題につきまして、現在の放送法制なり放送体制なりというものにとらわれないでさらに長期的な角度で検討していただくということで、この四つの委員会で現在それぞれ小委員会数回にわたって御審議を願っておりまして、本年の七月ごろにはそれぞれの小委員会におきまして取りまとめをしていただくことに予定しております。
 さらに、その小委員会の取りまとめをもとにいたしまして、秋には全体的な取りまとめをすることに予定をいたしておりまして、来年早々には答申をいただくという手はずにいたしております。
 以上でございます。
#23
○中村鋭一君 大変りっぱな長期ビジョンをいまお聞かせいただいたんですね。これは秋にそういった回答が出るということを待たず、常に日ごろNHKはいまおっしゃった各点について努力をしていらっしゃる、こう思いますが、先ごろロッキード事件五周年の企画ニュースにつきまして、三木元総理大臣にインタビューをなさった、それが放映の直前に中止になったということが報じられましたですね。ここにも写しがありますけれども、NHK報道局長対現場記者が対立をしたということなんですが、ごく簡単にその経緯をお教え願います。ごく簡単に。
#24
○参考人(田中武志君) 二月四日がちょうどロッキード事件が明らかになってから五年という時点になりましたので、その以前からこの日にひとつ企画ニュースをつくろうという企画が立ちました。それでいろいろ材料を集めておりましてやったわけでございますけれども、当日のロッキード事件の公判におきましていろいろ新しい事実も出てまいりましたので、私どもその日になりましてからいろいろ途中、編集過程でのいろいろ議論もありましたし、またその日の最終的な編集の判断といたしまして、当日の裁判の内容あるいはこの五年間の簡単な経緯あるいは今後の展望といったところに焦点を当てて、いわば裁判そのものに焦点をしぼった形で、ひとつロッキード事件の公判に裁判の面からひとつ切り口を当てて企画を放送しようということになりまして放送したというのが事実でございまして、私どものいわば編集責任において判断を下して放送を出したということでございまして、外圧あるいは自己規制といったようなものは一切ございません。
#25
○中村鋭一君 私が経緯を簡単にお知らせ願いたいと申し上げましたのは、そういうことを伺っているのではなくて、ずばり、企画が決定されて、元総理大臣に一たん断られながら、また改めて取材をお頭いし、取材を完了し、放映の日時が決定して、その直前になってから中止になったわけですね。それは島桂次報道局長が何らかの理由があって差しとめられたと伺っておりますが、どういう理由で差しとめられたか、その間の経緯を簡単にと申し上げているんです。
#26
○参考人(田中武志君) ただいま申し上げましたように、この企画ニュースそのものが当日の公判あるいは今後の見通しといったようなところに焦点を当てて、いろんな政治的な面につきましてはまたそれぞれの公判のロッキード裁判のその節目節目で放送すべきであろうというふうに編集の責任者が最終で判断をして、ああいうような形の放送をしたということでございます。
#27
○中村鋭一君 編集の責任者は政治部長ですか、社会部長ですか、報道局長ですか。
#28
○参考人(田中武志君) こういった場合の日常のニュースの問題を取り扱う最終の編集責任者は報道局長でございます。
#29
○中村鋭一君 とすれば、報道局長が編集責任者として好ましくないという考えを持っておられるんだったら、なぜ三木さんのところへ取材に行ったんですか。
#30
○参考人(田中武志君) いろいろこの問題については企画を立てる段階で議論もありましたし、先ほど言いましたように、そういったことで材料をいろいろの面で集めましたけれども、やはりこの五周年という一つの切れ目のところで政治的な面にいろいろ焦点を当てるよりは、その日のいろんな公判の事実あるいは今後の展望、そういったところに焦点を当てて、裁判そのものに焦点を当てた企画の方がいいだろうということを最終責任者が判断したわけでございます。
#31
○中村鋭一君 私は個人的なことでありますけれども、朝日放送の報道部で部長プロデューサーをしておりましたし、報道部のデスクも二年四カ月間経験しております。こういった報道番組、特に企画性のある報道番組は、十分に部内で討論をしてちゃんとシノプシスができて、こういう企画に基づいてやるということが決まってから放送記者やカメラマンが取材に走るわけなんですから、それを決定して取材に行って帰ってきてから、報道の直前になってその編集責任者である局長が好ましくないと言うのはいかにもこれぐあいが悪い、こう思うんですね。ですから、私は十分に討論をなさって決定をした企画であるならば、それは報道をすべきであって、取材が終わってから後にいろいろ討論をしてやっぱりぐあいが悪いからやめよう、そういうことをなさるから言論の自由に対する介入であるとか外圧だとか、そういう声が出てくるわけですね。それはNHKにとりましても片腹痛いといいますか、本当に部内的な放送効果というものを考えてやったにかかわらず、そのように言われることは不本意だろう、こう思うんですが、その点について反省をしておられますか。
#32
○参考人(田中武志君) 先生も御存知じのように、こういったニュース性の大変強い企画というものにつきましては、事前にいろいろ材料を集めますけれども、先ほども申し上げましたように、やはりその日の裁判そのものの動きも新しくありましたから、その辺のところの判断も入れまして編集責任者が最終的な判断をああいうような形で下したものであります。
#33
○中村鋭一君 幾ら私が申し上げても紋切り型の答えしかなさいませんけれどもね。しかしNHKの部内において放送記者の方や、また政治部長や社会部長の方が非常に残念であるという意思を明らかにされ、また労働組合においてもこういうことはぐあいが悪いという意思表示をなさっていることなんですから、これからはこういうことのないように。私が申し上げているのはテクニカルな意味で言っているんですよ。企画というものがあって、どれとどれを取材して、どのようにして出すということが決まっているんですから、決まったらやりなさいということを言っているわけですよ。土壇場になってから、そんな私、いまおっしゃるように大きく状況が変化して三木さんのインタビューをやめなければいけないような事情が出てきたとはとうてい思えません。ですから、そういうふうな紋切り型のお答えではなくて、これからもそういう点は、いやしくも企画があって、企画が決定し、それに基づいてカメラマンや放送記者が取材をしたのであれば、それはちゃんと放送をする。そうでなければ現場の士気に影響しますよ。第一、取材をした三木元総理大臣に失礼じゃありませんか。そういうことはこれからきちっとけじめをつけてやっていただきたいと思います。
 それから先ほどの長期ビジョンのお話の中でもありました経営の問題でお尋ねをいたします。受信料の安易な値上げによらないで、経営努力というものを一生懸命やることによって国民の負担を少しでも少なくする、それがまず何よりも先決だと思いますけれども、独自にNHKが収入を図る方法、手段として放送の二次利用ということが考えられますけれども、現在の状況はどのようになっておりますか。
#34
○参考人(渡辺伸一君) お答えいたします。
 いま先生おっしゃいました番組の二次利用を含めまして、私どもいま先生のおっしゃる意味での収入というのを副次収入としていまその増収を図っているわけでございます。
 概要を申し上げますと、副次収入は、放送法の九条二項に定めております各種の任意業務がございますが、その中から内容としてピックアップいたしまして副次収入につなげているわけでございますが、申し上げますと、いまおっしゃる放送いたしましたものの二次利用、これは国内外含めてでございます。それから放送に関連いたしましたものの出版あるいはテキストの発行、それからNHKが持っております放送技術のノーハウ、これをもって技術の協力をする、あるいは工業所有権を持っておりますものの実施許諾をする、さらにはNHKホールのあいておりますものを部外の方にお貸しをする、さらには委託があって受託研修をするというふうな仕事でございます。
 これらの仕事は、いずれもNHKの基本業務において得た諸成果をさらに広く社会に還元しようというところから発想いたしたものでございますけれども、先ほどから御論議ありますように、NHKの最近の厳しい財政事情にかんがみまして、可能な限りこれの増収を図ろうというふうに努力をしているわけでございまして、五十六年度に予定しております金額は九億二千三百万ということでございまして、昨年度に比べますと七二二%というふうに努力をして増額を図っているつもりでございます。しかし、この九億二千三百万と申しますのは受信料収入との対比で申し上げますとわずかに〇・三%というものにすぎないという状況でございますが、少しでも増収を図るようにということで年々努力をしているわけでございます。
#35
○中村鋭一君 大いにがんばっていただきたいんですが、現在NHKのいわゆる外部団体は幾つございますか。
#36
○参考人(渡辺伸一君) お答えいたします。
 いまおっしゃる外部団体といいますと、私どもとしてはこのように分けて申し上げたらいいと思います。
 まず、放送法の九条二項に基づきまして育成しております団体としましては、財団法人NHK交響楽団、それから社会福祉法人のNHK厚生文化事業団、学校法人の日本放送協会学園でございます。
 それから従業員の健康並びに福利厚生についての本来事業主として実施すべき業務を専管業務としてやらせている団体としましては、健康保険組合、それから財団法人の日本放送協会共済会がございます。
 そのほかに、協会の業務を効率的に遂行するということで委託または請負させるということのほかに、その事業目的が協会の業務に直接間接に貢献をして視聴者サービス推進に役立つという意味合いで次の七つのものを団体として掲げているわけでございます。それは財団法人NHKサービスセンター、財団法人NHKインターナショナル、株式会社日本放送出版協会、株式会社NHK美術センター、それから全日本テレビサービス株式会社、株式会社NHKプロモートサービス、株式会社NHK文化センター。
 以上十二でございます。
#37
○中村鋭一君 急に違ったことをお尋ねして恐縮ですけど、先ごろNHKの幹部の方が自由民主党の先生方のところへ呼ばれておいでになったとお伺いしますが、これは何月何日の何時ごろでございましたか。
#38
○参考人(坂本朝一君) 今月の十三日の午後だったと思います。
#39
○中村鋭一君 どなたがいらっしゃいましたか。それで来てもらいたいという要請はどなたからあったんですか。
#40
○参考人(坂本朝一君) 私を含めまして、たしか六名だと思います。
 それは自由民主党の放送関係の先生から、放送法にかかわることでいろいろと話もしたいので見えてもらえないかという御要請がございまして、それで事柄が事柄でございますから、伺いましょうといってお目にかかったわけでございます。
#41
○中村鋭一君 その席で話し合われたことは、放送法だけに限定して話し合われたんですか。
#42
○参考人(坂本朝一君) まことに恐縮でございますけれども、これは私どもが主催した会合でございませんで、その中身等につきまして私が御報告するのはいかがかと思いますので、ひとつ御容赦願いたいと思います。
#43
○中村鋭一君 その中で、たとえば二次利用の問題その他話があったんじゃないかと推察はいたしますけど、それはいいんです。
 私考えますのに、自由民主党から話がある、聞きたい、そう言っていらっしゃる。とすれば、会長、これはたとえば民社党でありましても二院クラブでありましても一の会でありましても、話し合いたいと言えば会長さん以下いつでも来てくださいますか。
#44
○参考人(坂本朝一君) 私はやはりケース・バイ・ケースかと思うんです。それで、少なくともNHKでございますから、NHKの基本的姿勢なり何なりを御理解いただくために御説明する場があればそれはどこへでも伺って御説明すべきであろうと思います。ただし、そのことがNHKの基本的な編集の自由とかそういうことにブレーキがかかるというような、そういうことであればそれは当然お断りすべきだと思いますけれども、先般のお話し合いのテーマはそういうことではないということでございますので、むしろそういうときにこそわれわれとしては御説明するところは御説明して、開かれたNHKと申しますか、そういうことであってしかるべきであろう、そういう判断から出席いたしましたので、今後といえどもケース・バイ・ケースというふうにお答えできるかと思います。
#45
○中村鋭一君 承っておきます。
 ただ、新聞に報じられたところ等によりますと、与党、自由民主党の幹部の放送について非常にお詳しい先生方にNHKが呼びつけられてしかられた、そういうふうな報道の仕方をしている新聞等もございましたので、李下に冠を正さずといいますか、瓜田にくつを入れずといいますか、御承知のいまいろいろあるときでございますから、そういうことは余りなさらない方がいいんじゃないか。これはむしろその自由民主党の先生方に申し上げるべきかもわかりませんけれども、お願いをしておきたいと思います。
 NHKサービスセンター、いまお話がございましたが、これはどのような仕事をしておりますか。
#46
○参考人(渡辺伸一君) お答えいたします。
 サービスセンターにつきましては、放送の目的を完遂するに当たっての関連する事業を推進するという目的でございまして、具体的にNHKから受託いたしております仕事といたしましては、受信契約の取り次ぎの業務、それからNHKホールの運営にかかわる業務、それから「グラフNHK」の編集発行の業務、さらには放送博物館、逓信博物館の運営に関する業務、それから放送センターの見学の業務、そのほかにサービスセンター固有の業務といたしましては、老人ホームに「グラフNHK」を配ったり、あるいは放送衛星のモデルを各博物館に配ったりという奉仕活動をあわせておやりになっているわけでございます。
#47
○中村鋭一君 このセンターとNHKとの関係はどのような関係でございますか、たとえば金銭的な問題ですね。もしあるとするならば、今年度の予算のうちでどの項目に幾らくらい計上されておりますか。それからサービスセンターの一番お偉い方、理事長と言うんでしたか、お名前をお教え願います。
#48
○参考人(渡辺伸一君) 順次お答えします。
 いま申し上げましたように、NHKがこのサービスセンターの業務としてお願いしておりますのは、繰り返しになりますけれども、放送受信契約の取り次ぎの業務、それからNHKホールの運営に関する業務、それから「グラフNHK」の編集発行、それから博物館の運営、放送センターの見学業務というものでございまして、全体としまして、五十四年度の決算で申し上げますと二十五億になる委託業務をお願いしているわけでございます。
 それで、五十六年度の一体予算に、どういうところに入ってどのぐらいあるのかということでございますけれども、実は五十六年度予算を承認いただきますと具体的な業務について契約に入りますので、ここで確定した数字は申し上げにくいわけでございますけれども、おおよそのことを申し上げますと、サービスセンター全体としましては五十六年度に約二十八億程度の仕事を頼むというふうに予定しているわけでございますが、それを科目別に申し上げますと、国内放送に九億、営業費に十七億、調査研究費に二億という割り振りになるわけでございますが、国内放送でお願いします仕事は、いま申し上げましたNHKホールの運営でございますとか、あるいは「グラフNHK」の発行でありますとか、あるいは催し物に対する委託をするとかいうものにかかわる経費でございまして、営業費で十七億と申し上げましたのは受信契約の取り次ぎに関する業務の経費でございます。調査研究で申し上げましたのは逓信博物館、放送博物館の運営にかかわる経費ということでございます。
 それから最後に、お尋ねありました理事長はだれかということでございますが、これは理事長は長沢泰治氏でございます。
#49
○中村鋭一君 理事長はもとNHKにおいでになったんですね。NHKに在職された当時の最終の職責は何でございましたか。
#50
○参考人(渡辺伸一君) 元専務理事でございます。
#51
○中村鋭一君 NHKのいまお伺いした各種団体の中でNHKの職員が現にそういった団体の役員等を兼務しておられる数、それからかつてNHKの職員であって、いまはNHKをやめてこういった外部団体等の役員をしておられる数をお教え願います。
#52
○参考人(武富明君) お答え申し上げます。
 関係団体は、先ほど渡辺理事が申し上げましたように十二団体でございますけれども、この十二団体の中で役員の全部のポストは八十二ございます。その中で六十九がNHKの退職者並びに現在出向いたしておる者でございます。その出向いたしております者の数は六十九のうち三でございます。なお、役員をいたしておりました者はそのうちの十でございます。
#53
○中村鋭一君 というと、大変な数の方がNHKにおられていまその団体の幹部をなさっていらっしゃる、また出向をしておられるというわけですが、これはどうなんでしょう、いわゆる世間普通に言うところの定年後の天下り先が外部団体であるというふうに理解してよろしゅうございますか。
#54
○参考人(武富明君) 確かに約八十名のうち七十名のポストというのはNHKの関係者が持っている、こういうことはごらんになれば多いように見えるかもわかりませんけれども、これは手続的に申しますれば、いずれも外郭団体というのは独立した法人でございますので、そこに定められました寄付行為とかあるいは定款、その定めによりまして任命をいたしておるというのが現状でございまして、手続的にはそのような方法で選んでおるわけであります。何分にも、先生もよく御承知のとおり、これらの団体というのはいずれも放送文化の向上とか発展とかという、こういうことを目的といたしております。その点では協会と共通の目標というものを持った団体であるということは、これはおわかりをいただけると思うんです。
 したがって、こういう事業活動というものを行っていきます上には、やはり協会と密接な関係というものがどうしても必要である、これは業務の遂行上どうしても必要であるということがございます。また協会で豊かな経験、知識、こういったものを持った者がおりますので、そういった場合に、これらの団体の業務運営上必要な場合、どうしてもこういう人間がそのポストとして必要とされるという結果になりますので、これは協会、団体双方が事業の円滑な運営をやっていくという上にもこれは必要なことかというふうに考えております。
#55
○中村鋭一君 おっしゃるとおりだと思いますけれども、現実にNHKから外部団体に彩られて、その方は無給でしていらっしゃるわけではないんですね。当然給料は払っておられますね。それで一方ではNHKの赤字が累積をしていって、いずれまた受信料の値上げを図らなければいけないし、そのためにまた放送法の改正の動きもあるということなんですから、私はなるたけ少数精鋭どいうんですか、そういう体制を確立することが必要であると思いますし、それから何よりもこういった外部団体が、なるほど放送の向上といいますかNHKの目的と合致する画的のために一生懸命業務をやっていらっしゃる、それは結構でございますけれども、経済的に見ますと、こういった外部団体からNHKになるたけ還元をしていただかなければ何のために外部団体があるのかわからない。こう思うんですが、先ほどサービスセンターについて予算をお伺いしたんですけれども、全体からNHKに入ってくる金は大体年間幾らぐらいになりましょうか。
#56
○参考人(渡辺伸一君) お答えいたします。
 いま申し上げました外部団体等から入ります五十六年度予定しておるもので申し上げますと、総額で七億七千万というものを収入として予定しております。それはサービスセンターの各般の事業から入ってまいりますもの、それから出版協会の放送関連の出版にかかわりますもの、それからインターナショナルと申し上げましたが、ここは海外に番組を売るわけでございまして、そこから上がってくるもの、合わせまして七億七千万見当のものを収入として予定しているわけでございます。
#57
○中村鋭一君 七億とおっしゃいました。もう一遍お伺いします。NHKから外部団体に全体ひっくるめて年間に出るお金は、概算で結構です、幾らですか。入ってくるのはいま七億円余りとおっしゃいました。一言。
#58
○参考人(渡辺伸一君) それぞれ収入を生む団体ではないものもございますので総額を申し上げるのはいかがかと思いますけれども、いま申し上げた外部団体についての経費が幾らかという点だけで申し上げますと、五十六年度には外部団体については九十億の金を予定しているわけでございます。
#59
○中村鋭一君 収入を上げるのが目的でない団体もある、おっしゃるとおりですけれども、一言にして言えば、NHKの乏しい予算の中から外部団体のために九十億の金が出て、入ってくる金が七億円余り、これはぐあいが悪いですな、やっぱり。だから、何としてもここのところはもっともっとNHKにお金が還流されるように努力をなさることが大切だ、こう思うんですけど、こういったNHKと外部団体との間の資金上の出入りのチェックはどういうセクションでなさっておいでですか。
#60
○参考人(渡辺伸一君) 外部団体との金銭上の出入りと申しますと、それはいま申し上げましたように、受託業務について金を支払うということと、それから権利に基づいての収入という両面がございますが、支出につきましては、私どもは物を調達するという関係にかかわります資材専門の局がございます。この局につきましては、常時市場の状況でありますとか各データをつぶさに検討いたしまして、それぞれの業務に見合う金額が妥当であるかということを専門に慎重に検討しております。
 それから収入につきましては、これまた著作権専門の部等もございまして、その売上部数が全体として正しいかどうか、売上金額が正しいか、権利はいま主張している権利が最高であるということも財務当局も含めて検討して、収入については過不足のない取り方を毎年しているつもりでございます。
#61
○中村鋭一君 いま郵政大臣お聞きになりましたように、出るお金が全般として非常に多くて収入が七億余りしかない、NHKに対して還流されるお金が。ですから、もっともっと私はこういった副次収入をNHKふやした方がいいと思うんですけれども、郵政大臣の見解はいかがでございますか。
#62
○政府委員(田中眞三郎君) NHKは、先ほど先生からも御指摘ございましたように、放送法の第九条第二項という規定で、放送番組を他の放送事業者あるいは外国の放送事業者へ提供したり、あるいは著作権の使用を承認したり、放送テキストの出版をいたしたりしておるわけですけれども、これらの事業を通じましてNHKの番組に親しむという機会もふえるかと思います。そうした結果、あわせてNHKの副次収入が図られるということであれば基本的には望ましいことじゃないかというふうに考えるわけですけれども、先ほどお話がございましたが、こうした業務の実施に当たりましてはやはり専門的な知識を必要とするというようなことで、たとえば外国との取引あるいは出版流通などといいますと、NHKの本来業務といいますか、NHKの方がおやりになるよりもそうした専門的な団体を利用するということは必要であろうかというふうに思っておりますが、いずれにしましても、そうした外郭団体の利用、活用に当たりましては、NHKとの関係というものを明確にするとともに、その適正な管理を図っていただくことが必要であろうか、十分配意してもらいたいというふうに考えておる次第でございます。
#63
○中村鋭一君 とにかく、いま私質問いたしました、やはりNHKから外部団体に出る金と外部団体から還流される金とを全般的にチェックする機関等が私はあった方が望ましい、こう考えるんですね。
 それともう一つは、これは法律でNHK自体が金もうけをすることはたしか禁止されている、こう思うんですけれども、会長、この辺について、たとえば法改正をしてでもNHKに副次収入をふやすためにもっともっとフレキシブルな動きができるようにしてもらいたい、そういう気持ちはございませんか。
#64
○参考人(坂本朝一君) 先生御指摘のNHKの効率的運営、そのことを図る意味で副次収入の拡充等も当然責任者としては考えなきゃいけないと思っておりますけれども、それが直ちに営利の事業ができるというところに結びつき得ますのかどうか、そういうことも含めまして、先ほど申し上げました長期ビジョン審議会の先生方にもいろいろとお知恵を拝借しているという現状でございます。
#65
○中村鋭一君 出版協会ございますね。出版協会からは編集費として、パーセンテージで言いますとどれぐらいNHKに支払われておりますか。
#66
○参考人(渡辺伸一君) 出版協会からもらっております金につきましては率でございますけれども、具体的に申しますと、放送テキストがございますが、このテキストにつきましては総売り上げの三・七%相当額をもらっているわけでございます。その他の出版物につきましては、NHKの権利の確保の割合によりまして、たとえば「シルクロード」などという本につきましては最高の一〇%程度まで収納しているという状況でございます。
 それから先生恐れ入りますが、先ほどの外部団体を通じての収納と経費の点につきましてちょっと補足説明させていただきたいと思いますが、七億七千万の収入を上げるために直接に経費を出しているというものはございませんので、その点は申し添えさしていただきます。
#67
○中村鋭一君 サービスセンターは出版協会――出版協会は株式会社ですね。サービスセンターは財団法人でございますですね。私は余り詳しくはないんですけれども、財団法人というのは金もうけを専一にする法人ではないと思いますが、このサービスセンターは出版協会の大株主ですね。これを見ますと、大株主NHKサービスセンター、こうなっております。ということは、財団法人であるサービスセンターに対しまして、株式会社である出版協会が上げた利潤はサービスセンターの方に大分行っているんですか。
#68
○参考人(渡辺伸一君) サービスセンターにいかほど還流しているかということについてはちょっと手元に資料ございませんけれども、出資をしておりますので、その分の対応は若干のものはあるだろうというふうに思いますが、具体的な数字は手元に持っておりませんので……。
#69
○中村鋭一君 サービスセンターからは積極的にNHKに、たとえば具体的に申し上げれば、出版協会から配当金という形でこういうお金をいただきましたからこれはNHKにお返し申し上げますというような形でお金は還流されておりますか。
#70
○参考人(渡辺伸一君) サービスセンターを通じて私どもの方に入ってきておりますのは、サービスセンターにお願いしておりますテキストの発行、これに関しての権料は入ってきておりますけれども、いま先生おっしゃいます、出版協会に出資をし、その配当があったものはNHKに返すという意味の金の還流はございません。
 いささか申し上げますと、サービスセンターは、先ほどから申し上げますように、それぞれの目的を掲げて仕事をしておるわけでございますけれども、その業務の効率的な実施の必要上、積極的に出資をして、営利目的ではございませんけれども、事業目的の完遂のために必要とする場合は出資ということもあっていいものだと思いますし、それから得たものについてはサービスセンターとしてそれを取得して、NHKに直接その分についての還元がなくとも、それ自体は一つの目的を達したものではないかというふうに考えておるわけでございます。
#71
○中村鋭一君 最近NHKの外部団体等をめぐって、外部団体にお金が入ってくる、そのお金がNHKの方には還流されないで、ある特定の個人にたとえば政治献金というような形で相当流れているんじゃないか、こういう報道がされておりますが、会長、この事実は認識しておられますか。
#72
○参考人(坂本朝一君) 非常に不明朗な雑誌記事によりまして国民に不信感を抱かせているということは、私としてはまことに心外でございます。絶体にそういうことがあってはならないというふうに考えております。
#73
○中村鋭一君 上田哲さんは、現在NHKとは御関係がありますか。
#74
○参考人(武富明君) お答え申し上げます。
 上田氏は、昭和五十四年十二月二十五日で協会を退職いたしておりますので、協会の業務とは関係ございません。
#75
○中村鋭一君 上田さんは、日放労の委員長にいつ就任して、いつおやめになったんでしょうか。
#76
○参考人(武富明君) お答え申し上げます。
 何遍か中央執行委員長をやっておりますけれども、三十七年、三十八年、それから四十年から五十年まで、それから五十一年以降五十四年まで、これが執行委員長をやっていた時期でございます。いまちょっと私五十一年以降と申しましたが、それ以降は名誉委員長として就任しております。
#77
○中村鋭一君 NHKには就業規則に当たるものはございますか。
#78
○参考人(武富明君) 当然就業規則は定めております。
#79
○中村鋭一君 その就業規則によれば、NHKの職員が選挙に出る場合は休職扱いにするとか、あるいは退社をしなければならないとか、休職にした場合は給料を出すのかあるいは出さないのか、そういう規定はございますか。
#80
○参考人(武富明君) 労働協約並びに就業規則におきましては、職員が国会議員に就任いたした場合には無給休職とする、こういうことになっております。
#81
○中村鋭一君 上田さんが退職されたときに退職金はお支払いになりましたか。
#82
○参考人(武富明君) 支払っております。
#83
○中村鋭一君 休職扱いにされ、その間は無給ですね。で、退職されたときに退職金をお支払いになった。その退職金には休職期間中の年数は加算されておりますか。
#84
○参考人(武富明君) お答え申し上げます。
 労働協約の定めにこのように定めてございます。公職につきました場合にはその期間は在職期間に通算する、こういう労働協約になっております。したがいまして、退職をいたしますときにはその期間というのは期間の中に算入をいたしております。
#85
○中村鋭一君 もし差し支えなければ、その加算されたことによって上積みされた金額は幾らぐらいでございましたか。
#86
○参考人(武富明君) 加算することになっているものですから、加算した結果しか持っておりませんので、そのところはちょっと数字は持っておりません。
#87
○中村鋭一君 ということは、NHKから選挙に上田哲さんがお出になったときに仮に退職金を支払っているとすれば、休職期間を経た後にそれを加算してお支払いになったんですか。その差額というのはわかりませんか。――わからなければ結構でございます。
 いまお教えいただいたんですけれども、これまた私の個人的な経験になりますけれども、私も二十七年間朝日放送に在職をしておりまして、三年余り前に選挙に出るときに朝日放送を退職して選挙に出たわけですね。普通、私の経験ではどこの会社でも選挙に出るときには退社をするのが常識的だ、こう思うんです。仮に百歩譲って休職扱いにするとしても、当然それは無給でなければならないし、後に退職をされたときには国会議員としてすでに上田さんは歳費をもらっていらっしゃるのでございますから、それに対して退職金を加算するというのはせっかく皆委員方審議していらっしゃる。NHKがもうかってもうかってしょうがないわけじゃないでしょう。お金がないわけでしょう。赤字なんでしょう。そういうところが、すでに国会議員として実際にNHKには何の仕事もしていらっしゃらないそういう人に対して退職金を加算するというのは非常にぐあいが悪いことだと思いますけれども、会長の御見解をお伺いいたします。
#88
○参考人(坂本朝一君) 在職中といえども休職になっている間は無給休職でございますが、退職に当たってその期間が加算されるということで、その点はひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。これは先ほど武富君が御答弁申し上げましたように、労働協約によって定められておることでございますので、私が軽々にどうこう申し上げる性質のものではないかと思いますので、御了解賜りたいと思います。
#89
○中村鋭一君 実際に、国会議員になってNHKには全く表面は顔を出しておられない、NHKの仕事は何もしてないわけですね。そういう方に対して、しかもその人が本当に失職して食うに困っているならともかく、現実にはNHKをやめているわけです。やめて選挙に出て国会議員ですよ。そうでしょう。活躍をしていらっしゃるわけですよ。そういう方に対して、実際に現実の問題として、やめて数年たってから、帳面上ここで退職だから、給料は無給だったけれども退職金はお支払いしましょう、その年限を加算してね。これは国民の皆さんから受信料をいただいているNHKとしては非常に私はぐあいが悪い、不明朗だと思います。したがって協約を改正してでも上田哲さんに対して、おやめになってからのその退職金の加算を計算されて還付を求めるお気持ちはございませんか。
#90
○参考人(武富明君) 先生のお言葉でありますけれども、現在労働協約でそう相定めてございますので、還付をさせるというようなことは可能かどうか、ちょっと問題があろうかと思います。この労働協約は、昭和二十二年に末弘先生を初め当時の労働法の大家に加わっていただいてつくった労働協約であります。しかし二十二年以降かなり社会の情勢というのが変わっておりますから、この問題のみならず、いろいろ見直さなきゃいけない問題があろうか、こういうふうに思っておりますので、これから十分な検討をさしていただきたい、こう思います。
#91
○中村鋭一君 巷間伝えられるところによればUNNラインというのがある、Uは上田さんで、Nは中塚副会長で、もう一人のNはサービスセンターの長沢元NHK専務理事である、こう言われているわけですが、こういうことを耳にして会長は非常に不快を覚えていらっしゃるんじゃないですか。また、そういうUNNラインというようなものが現実に存在するとお考えでございますか。
#92
○参考人(坂本朝一君) なかなか率直な御質問でいささか答弁に窮するところもございますけれども、正直言ってそういう事実はない、私の多少おこがましい言い方でございますけれども、自分自身の日常の業務の中でUNNラインによって影響されたところはないという確信を持っております。ただ、そう言われるところはあるいは私の不徳のいたすところかなという反省も片一方ではしている次第でございます。
#93
○中村鋭一君 これも、もう時間がありませんので、私これ以上言及はいたしませんけれども、たとえばサービスセンターは出版協会からも大株主ですから大分お金が入っている。ところがNHKの方には還流されてない。じゃ、その金は、仮にサービスセンターを例にとれば、どこへ行っているんだ。世間の人は、これは外部団体挙げてみんな上田哲さんの政治献金で、管理職も組合もみんなお金を出し合って上田哲さんのところへ金を運んでいるんじゃないだろうか。上田哲さんが帝国ホテルで励ます会をやれば、喜々として皆さん、まあ喜々としてではないかもわかりませんけれども、二万円か何がしかのパーティー券を買っていらっしゃる。こういうことが世間に流布されれば、他人事ではございますけれども、NHKはもとより、上田哲先生自身も、上田先生が在籍をしておいでになります社会党も、これははかり知れぬマイナスがあるわけでございます。
 だから、私が申し上げているのは、たとえば退職金のことにいたしましても、その外部団体のあり方についても、そういう不明朗なうわさが出ないためには、はっきりと明確に、たとえば外部団体にNHKから幾ら金が出て、入ってくる金はこれだけで、こういうふうに監査をしてということをおやりにならないと、やみ将軍だとかUNNラインだとかいうことが言われるわけでございます。それはせっかくひとつこれからも努力をなさいましてそういうことが言われないように、NHKにとって非常に不名誉なことなんですから、お願いを申し上げておきたいと思います。
 最後に、ENG、小型ハンディカメラ、これはいま民放ではほとんど採用しているんですが、NHKは少し採用がおくれたと聞いておりますけれども、そのおくれるに際して労働組合との間にその導入について意見の食い違いがあったと伺っておりますが、その結果として覚書ですか、協定でございますか、そういうものができたと聞いております。時間がありませんので、ごく簡単にその間のプロセスをお願い申し上げます。
#94
○参考人(武富明君) お答えいたします。
 いま先生のお話でございますけれども、小型ビデオ機器の導入につきまして労働組合が反対したがゆえに導入がおくれた、こういうことは全くございません。
 労働組合と話し合いをしておりますのは、やはり科学技術の進歩というものを積極的に放送の向上のために役立たせようじゃないか、こういう点では両者の認識というのは全くともにいたしております。ただ、労働組合としては組合員の将来にかかわる問題についてやはり十分な配慮をしてくれということで労使の間で話し合う、これは当然のことかと思います。この二点につきまして完全な合意を見ていま導入に努力をいたしておるのでありまして、決して労働組合が反対をしている、こういうことはございません。いま申し上げました二点というのが労使の間で取り交わしました覚書の最も重要な点でございます。
#95
○中村鋭一君 では、おしまいに、先ほどから私が御質問を申し上げました点につきましての会長の見解をお伺いいたします。
 私が申し上げましたというのは、国民の皆さんから受信料をちょうだいして最も良質な番組を提供するのがNHKの義務ですね。それで赤字を出さないためにはどうしたらいいかということについて私もお尋ねをしてきたつもりでございますから、その点について、まとめて会長の御決意、御見解をお伺いして、私の質問を終わります。
#96
○参考人(坂本朝一君) 中村先生から非常に具体的な点を踏まえていろいろと御指摘いただきましたことについて、私も大いに自戒してそしてNHKの将来の発展に尽くしたい、そのために放送法の一条、三条、四十四条を守って国民の負託にこたえたい、そして効率的な運営を図りたいという決意に燃えた次第でございます。
#97
○白木義一郎君 最初に、オリンピックの放送権についてお尋ねをいたします。
 NHKが、公共放送としての立場から世界のスポーツの祭典とも言えるオリンピックの放映についてどのようなお考えを持っているかということを、まず最初にお尋ねをしたいと思います。
#98
○参考人(田中武志君) お答え申し上げます。
 御存じのように、オリンピックにつきましては、最近規模の巨大化に伴いまして非常に経費が高騰しております。これに伴いまして放送権料だとか、その他もろもろの権料というものも高額化しておるのが実情でございまして、またその一方ではアマチュアリズムというような面でのいろいろ問題も出ていることもございます。こういったことで、こういったオリンピックそのものについての世界的ないろんな問題、指摘もあるわけでございますけれども、しかし一方ではオリンピックにつきまして、日本の現状では非常にまだまだアマチュアスポーツに対する関心度が非常に高いというふうに認識しておりますので、特にオリンピックはそういったスポーツでの一つの頂点であろうということで、こういった面に対する放送をしてほしいという要望も大変強いというふうに感じております。
 したがいまして、公共放送でございますNHKといたしましては、受信者の負担をできるだけ軽くするような努力も含めながら、節度ある内容でひとつこれからもオリンピック放送につきまして万全の取り組みをやっていきたいというのが現状でございます。
#99
○白木義一郎君 昨年モスクワのオリンピックは大変な問題をはらみ、また世界情勢からわが国が参加をしなかったということもあり、したがって国内ではもう一つ盛り上がりが欠けたように記憶をしております。しかしながら、本来ならば、いまお答えがあったように開催中は国民の関心の的になっていたはずでありますが、残念ながらオリンピックの放映がNHKの手によってできなかったという経緯を考えますと、現在のNHKの経営内容からいっても今後に大きな影響があるんではないかと心配をするわけですが、昨年は大変ついていたといいますか、参加、不参加あるいは政治に介入したとかというようなこと、またわが国が参加をしなかったという方向に焦点が集まりまして、天下のNHKがオリンピックの放映をしなかった、関心を持っている国民は無料の放映の方でオリンピックを鑑賞しなければならなかった、そういうような経緯がありましたので、この際、なぜオリンピック放映が昨年はできなかったか、その理由と経緯について、今後の問題を含めてお尋ねをしておきたいと思います。
#100
○参考人(田中武志君) モスクワ・オリンピックの問題につきましては、いま先生御指摘のとおりでございまして、われわれ昨年の放送は夜の時間帯に一部やったということでございます。この問題につきましては、当時いろいろ議論もありましたように、われわれの方からも、NHKあるいはその他の、テレビ朝日を除きましたその他の民放が一本化いたしまして、できるだけ安い放送権でひとつやろうということで交渉をきわめて熱心にやってきたわけでございますけれども、モスクワ側の要求する金額との間に隔たりがございまして、結局結果的には交渉が不調に終わったというのがいきさつでございます。
 こういった経済も含めまして、今後のロサンゼルスその他のオリンピックにつきましては、われわれといたしましては、十分その辺の民放との連絡、そういったことにつきましては万全を期していきたいというふうに思っております。
#101
○白木義一郎君 世上では当時いろいろな理由を報道されたわけですが、私が承知しているのは、結局はその金の問題であった、こういうように理解をしているんですが、その点、具体的にひとつ御報告をいただきたい。
#102
○参考人(田中武志君) 私どもは、いま申し上げましたように、できるだけ経費の負担の軽減を考えながら交渉を続けてきたわけでございますけれども、テレビ朝日とモスクワとの契約内容につきましては、これは私どもちょっとつまびらかにしておりませんけれども、この辺のところが、この契約、放送権が私がロスへ行っていろいろ交渉したときの大きな話題になっておったことも事実でございますので、その辺については今後ともモスクワの二の舞がないような形でわれわれとしては努力をしてまいりたいというふうに思っております。
#103
○白木義一郎君 その間の経緯はつまびらかにしてないという当事者のお答えですが、ちょっとそれでは困るわけです。いずれにしてもNHKの採算に合わなかった、こういうことになるんじゃないかと思います。
 そこで、受信料を払っている国民の側から言いますと、放送権をめぐる契約金等がどうであれ、NHKのオリンピックを見られなかったという点については大変残念なことであったわけですが、それももっと大きな問題が先ほども申し上げたとおりにありましたために、先年はその点がいささか焦点がぼけたまま大変NHKにおいてはラッキーであった、こう私なりに思っているわけです。
 そこで、三年後にロサンゼルスでオリンピックが開催されることになっているわけですが、これは昨年のようなことは許されないんじゃないか、ぜひともNHKの命運にかけてもりっぱな放映を国民の前に提供すべきであり、していただきたい、またせねばならぬ、こういうように考えておりますので、その点ロスのオリンピックはNHKが見せてくれるんだといまから楽しみにできるようにひとつ努力をしていただくと同時に、その見通しについてお答えをいただきたいと思います。
#104
○参考人(田中武志君) ロサンゼルスのオリンピックの取り組みにつきましては、先ほど先生御指摘のようなモスクワの経緯もございましたので、早々と一昨年の十一月に私どもの坂本会長と民放連の浅野会長が共同記者会見をいたしまして、ロサンゼルスについてはNHKと民放が共同で交渉をし、一緒にひとつ放送をしていこうじゃないかというような基本的な合意に達しまして、これも記者会見で発表しております。
 それからそれに基づきまして、昨年の十一月には私と民放連の川手さんが一緒にロザンゼルスヘ出向きまして、一緒の交渉をやってきたという経緯がございます。席上ロサンゼルス側からは、日本とアメリカとのテレビの保有台数のこととかいうようなことで約九十億の大変膨大な予想外の放送権料の要求をしてまいりました。これに対しまして、私どもはこういった放送権の算定基準については十分疑問がある、かつてこういったことでやったことがないというようなことその他を主張いたしまして、こんな高い権料は払えないということで交渉は現在物別れという形になっております。
 しかし、世界各国の状況を見ますと、ヨーロッパの方もまだ一回目の交渉が終わったばかりのような感じでございますし、その他の国もまだやっておりません。したがいまして、今後の交渉の進め方といたしましては、先ほども言いましたように、節度ある権料の金額にしながら、ひとつヨーロッパとかその他の放送連合の動向を十分見きわめながら、それから同時に、最初申し上げましたように、民放連とも十分緊密な連絡をとり合いながら、ひとつ交渉に慎重に臨んでいきたいというふうに思っております。
#105
○白木義一郎君 大臣にお伺いしておきたいんですが、いまオリンピックに対してNHK側は大変な決意と努力を続けられてぜひともということでございますが、法律的な面からの規制がなかなかできないという点についてはよく承知をしておりますが、言うまでもなく、オリンピックの性格そのものから大変な意義のある問題でありますので、何としても公共放送としてのNHKの財政あるいは存続、前途に対する問題を含めて、何としてもこれはNHKの手で放映をしていただきたい。しかし準備万端いま進められているようですが、途中でいかなるアクシデントが起きないとも限らないと思いますので、大臣を中心として政府もぜひともその実現をバックアップあるいは推進をしていくべきであり、また努力をしなければならないと思いますので、大臣のこの問題に対する決意等をお聞かせいただきたいと思います。
#106
○国務大臣(山内一郎君) オリンピック放送は国民のほとんど大多数の人が非常に関心を持っている行事でございまして、国内で放送されることを楽しみにしていると思うわけでございます。したがって、モスコーのようなことにならないように放送事業者がよく話し合いをされて、りっぱなというよりも楽しい放送をひとつ今度日本でやっていただきますことを心から希望しているものでございます。
#107
○白木義一郎君 次には、国際放送についてお尋ねをしておきたいと思いますが、先般鈴木総理がASEAN諸国を訪問した際に日本の国際放送が聞こえなかったことが問題になって、閣議で郵政大臣がつるし上げられたというような報道を伺っておりますが、わが国の国際放送の持つ意義について郵政大臣はどのような所感をお持ちであるか、お伺いをしたいと思います。
#108
○国務大臣(山内一郎君) 国際放送は放送法でも決められておりまして、非常に私は重大な意義を持っているものと考えております。まず日本の国情というものを知ってもらう、あるいはまた国際的の問題としてこれからもますます非常に複雑になってまいりますので、十分にいろいろ文化とか産業とか、そういう点をよく知っていただくという意味もございますし、また在外邦人の方も非常に楽しみにしている、こういうような非常に重大な意義があると思います。その意義につきましては、今後も、だんだん減ることはなく 一層ふえてまいるということは確実でございます。
 先般鈴木総理がASEANにおいでになりまして、随行されました農林水産大臣亀岡さんから閣議の席上で、国際放送が聞こえないという話はないんですが、音が大きくなったり小さくなって波を打つ、非常に聞こえにくい、こういう点はひとつ郵政省としても力を入れてもらいたいというお話が閣議でございましたので、その後の閣議において、NHKともよく相談をいたしまして、これをよく聞こえるようにするためには中継の施設あるいは放送の電力を強くしなければいけないというような報告をいたしまして、今後外務省が非常に関係いたしますから、外務省とも連絡をとりながら、いま申し上げましたような方向でひとつやっていこう、こういうふうに考えているわけでございます。
#109
○白木義一郎君 この重大な意義を持つ国際放送が、いま申し上げた問題が起きた原因についてNHKはどのようにとらえられているか、御報告願いたいと思います。
#110
○参考人(田中武志君) お答え申し上げます。
 いまもお話がありましたように、国際放送をわれわれやっておりますけれども、非常に海外の在留邦人の皆さん方、その他外国人の皆さん方からの反響も非常に欠きゅうございますので、われわれといたしましては、できるだけいい状態で受信できるようにということで努力している次第でございます。特に海外の中継基地を設けますと非常によくなるということで、こういったことも一部実施しておりますし、また東南アジアの方は先ほどちょっとお話がありましたように若干悪うございますので、こういったところについても、中国あたりに対しましてもできるだけこれからも内容の充実、あるいはできるだけうまく受信できるような方向でいま考えている最中でございます。
#111
○白木義一郎君 鮮明な国際放送をするために、NHKでは現在ポルトガルのシネスに中継点を設けて一日一時間の放送を行っているそうですが、その効果についてお尋ねをいたします。
#112
○参考人(田中武志君) 先生御存じのように、ポルトガルのシネスに五十三年度の試行を経て五十四年の十月から本格放送を実施しております。
 大体、放送の対象地域は、ヨーロッパ、中東という地域を対象にしております。放送時間は一日当たり延べ一時間ということでやっております。標準時間で朝と夜十時ごろということでございますが、内容は一般向けのニュースあるいは解説などもやっておりますけれども、大変よく聞こえるということで、特に中東戦争などが始まったときには、現地へ行っておられました各商社その他の方からぜひこういったシネスの時刻表、周波数を知らせてほしいということがございまして、われわれも五百から六百ぐらいの各会社にそういった周波数を書いたパンフレットを配布などして大変感謝されたというようなことでございます。これからもこういったシネスの基地を使いまして、より有効な放送を続けていきたいというふうに思っております。
#113
○白木義一郎君 イギリス政府は、BBCも含めて国際放送に大変力を入れていると聞いておりますが、その設備等も十分なるものがあると伺っていますが、参考までにアウトラインを御説明いただきたいと思います。
#114
○参考人(田中武志君) いま御指摘のように、現在世界約百カ国に近い国が国際放送を実施しているというのが実情でございます。その中で、特にいま御指摘のBBCの海外放送につきましては非常に力を入れておりまして、私どもが現在持っております情報によりますれば、BBCは海外の中継基地だけで六カ所持っているということでございます。その出力は二百五十キロワットというような大変高いもの、あるいは中には中波で五百キロというようなものなども含まれておりまして、東南アジアあるいは中東、アフリカ、ヨーロッパあるいは中南米、大体世界各地に向けまして放送をしているというのが現状でございまして、特にシンガポールからの放送につきまして申し上げますと、二百五十キロワットの放送機が四台、百キロワットの放送機が四台、そういった強力な設備を持ちまして東南アジア方面の国際放送をカバーしているというのが現状でございます。
#115
○白木義一郎君 そこで、いま御説明をいただいたように、イギリス等が大変進んでいるという立場から、NHKの現況、国際放送における将来の希望あるいは抱負等についてどのように研究し、あるいは対策をお立てになっているかという点について、要点をまとめてお聞かせ願いたいと思います。
#116
○参考人(高橋良君) お答え申し上げます。
 まず、現状でございますが、NHKが行っております国際放送の送信というのは、国際電信電話株式会社、KDDの八俣の送信所の施設を借用いたしまして実施しているわけでございます。送信設備の現況は百キロワットの送信機が八台、五十キロワットの送信機が二台、二十キロワットの送信機が二台、これが現状でございます。
 今後の対策ということでございますが、とりあえず五十六年度におきましては、これらの現行の設備というものを改変いたしまして、送信アンテナを改修しまして、特にここ二、三年中国語の要望が非常に増強してきているものでございますので、アジア大陸向けの放送の増力、増波をこの四月から実施することにいたしております。
 なお、八俣の送信所の現況は、一台を除きまして昭和三十年以前の製品でございます。したがいまして、いまだ真空管式の旧型機もございますし、老朽化が進んでおりますので、この設備のまず緊急整備を実施したい、そのように考えているわけでございます。これに関しましては、まずわれわれの緊急課題といたしまして、現在郵政省並びにKDDとこの実施の方法につきまして鋭意検討を進めているところでございます。終わりましたならば、引き続き送信機の更新、整備に入りたいというふうに考えております。そのときに送信機も増力いたしまして、受信の改善を図ろうという考え方でございます。引き続きまして、これは現在でも鋭意検討を進めているわけでございますが、先ほど先生からお話ございました海外の中継放送を実施する件、これにつきましては現在郵政省と打ち合わせを進めさせていただいているところでございます。
 なお、一番大事なことは受信の方法でございます。これは海外の海外放送を日本でお聞きになる場合にもトイラジオのような簡単なラジオでは受信できないことは御承知のとおりでございます。したがいまして、海外でNHKの国際放送がどのような受信機で聞こえるか、またその受信アンテナの張り方、それから田中理事から話がございましたように、NHKが行っております国際放送の周波数、こういうものにつきましていろいろな手段を通じまして海外に一層PRを進めてまいりたい、それによりまして受信の改善を図っていきたいというふうに考えている次第でございます。
#117
○白木義一郎君 外国なんかと比べて、わが国の国際放送は一口に言えば何年ぐらいおくれているか、そういうことをお考えですか。
#118
○参考人(高橋良君) お答え申し上げます。
 一概には申し上げられぬと思います。ただヨーロッパの、たとえば先生からお話ございましたBBCなどに比べればやはり相当おくれておるというふうに判断しております。
#119
○白木義一郎君 そこで、私は、この国際放送について今後もいま御説明があったとおりに力を入れ、また改良改善を加えて前進をし、進んだ外国に追いついていかなければならないと思うんですが、また内容 番組の編成等についても大いに研究改善をする努力をしていただかなければならないと思います。
 そこで、放送法の第四十四条にも「放送番組の編集に当っては、わが国の文化、産業その他の事情を紹介してわが国に対する正しい認識をつちかい、及び普及すること等によって国際親善の増進及び外国との経済交流の発展に資する」、このように定義をされております。と申しますのは、私は、この国際放送ということについて一口に重大な意義がある、こう申し上げるわけですが、その重大性について、これは単にNHKのみならずわが国が、世界に対する大きな責務と使命の上に立って平和ということについて大きな主張のできるのはわが国が最たるものであろうと思います。したがいまして、わが国といたしましては、政府が先頭に立ってこの国際放送をフルに活用して、そして世界平和の大きな推進に役立てていかなければならないと思います。しかし、残念ながら政府は防衛費を増額し、あるいは専守防衛を唱えているのが現状でありますが、防衛という大きな問題については、広義の防衛という立場からいえば、この電波という無限の資源をどのように価値創造して世界平和の推進力としてのわが国の位置づけを図っていくか、そういう点についてはきわめて国策的な問題が考えられるように思います。
 そこで、郵政大臣はこの国際放送にどのように今後力を入れて平和に対する大攻勢を展開していくかということについてのお考え、御決意を伺っておきたいと思います。
#120
○国務大臣(山内一郎君) 国際放送がますます重大になってくるということは、白木委員の御見解と私全く同様でございます。
 従来からも、重要でありましたので郵政省としては交付金というものをNHKの方で使っていただいて国際放送の充実を図っているわけでございますけれども、先ほどASEANの状況もまだ不十分である、こういう情勢でございますので、今後、従来以上にひとつ力を入れて国際放送のために努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#121
○白木義一郎君 そこで、いまお話がありました交付金の件についてお尋ねいたしますが、現在NHKに出されている交付金、その算出の基準はどうなっているか、また現在の交付金では人件費を含め必要経費のわずか二六%に満たない、そのように伺っております。ただいま申し上げたような重大な使命を持つ国際放送であるという観点から交付金の見直しが必要となると思いますが、その点、大臣はいかがお考えでしょうか。
#122
○政府委員(田中眞三郎君) 国際放送の政府交付金に当たってどのような算定基準で、あるいはどういう努力をしてきたかという御質問かと思いますけれども、郵政大臣は、NHKに対する国際放送の実施命令におきまして、その命令放送をNHKがみずから行う自主放送とあわせて実施するのがより効果的であるというようなことで、外見上は政府放送分と一緒に放送して効果を上げていただいているということでございますけれども、算定に当たりましては、一応政府の命令する放送――時事、国策及び国際問題に関する政府の見解についての報道及び解説ということをお願いしているわけですけれども、必要な経費については個々に積み上げているわけでございます。たとえば国際放送費あるいは給与、管理費等というような内訳になっていますけれども、国際放送費につきましては、細目として番組制作に要する経費、編成、企画に要する経費、技術運用費、通信施策費というようなことで積み上げてまいっておるわけでございます。
 それから努力でございますけれども、先ほど先生から御質問ありましたように、五十四年十月からはポルトガルのシネスの送信所というものを借用いたしまして、ヨーロッパ及び中東地域に対する受信改善の成果はかなり上がっているというふうに評価しておるわけでございますけれども、この分については全額国庫負担で実施しておる次第でございます。
 また、毎年度の国際放送費の増加状況ということでございますけれども、来年度は九億九千八百万円ということでございますが、この辺については、非常に国の財政状況も厳しいわけでございますけれども、一般向け放送と申しますか、ジェネラルサービスというふうに申しておりますけれども、それの送信機使用時間というようなものも六時間拡張するというようなことで、この九億九千八百万円というのは、政府交付金といたしましては昨年度に比べまして五・七%の増というようなことでございます。
 これをどう見るかということでございますけれども、ちなみに、郵政省の予算の伸び率来年一・四%、電波監理局経費の伸びで申しますとわずか一・五%というようなことから比較していただきますと、十分ではございませんけれども五・七%というようなことは評価していただきたいと申しますか、先ほどから御指摘のように今後とも国際放送の重要性というようなものを十分勘案しながら努力を続けてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#123
○白木義一郎君 現在までの制度あるいは運営等についての交付金ということについて、いま御回答いただいたとおりでやむを得ないだろう、こう思いますが、先ほどから申し上げておりますように、わが国としての政治的な考えから言いますと、世界平和に大きく貢献するという一点とそれから福祉の充実、これが日本の政治に課せられた大きな命題であろうと思います。そういう点から今後の国際放送における役割りは大変重大かつ影響の大きい問題がはらんでいるんじゃないか、こういうように思いまして若干御説明またはお尋ねをしたわけでございますが、なおNHK側といたしましても、この問題についてさらに積極的に改善、前進を図ると同時に、もう時間がございませんので、予算等の問題についてもいろいろと問題がございますが、厳しい監査と監督、さらに効果的な運営をしていただいてということを含めまして、特にひとつNHK側に国際放送に対する今後の考え方をお聞かせいただいて、私の質問を終わります。
#124
○参考人(坂本朝一君) 先生御指摘の点は、私もまことにそのとおりだと思います。したがいまして、国際放送に関しましてはこれはNHKだけで解決できます部分だけではございませんので、よく政府とも意思疎通しながら御期待に沿うように努力をしたいというふうに考えております。
#125
○委員長(福間知之君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四分開会
#126
○委員長(福間知之君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#127
○八百板正君 レーガン大統領が一青年によって狙撃されたという情報でございますが、お気の毒な次第でありまして、政治にかかわり合いを持つわれわれとしては本当に悲しい出来事であります。お見舞いを申し上げます。
 弾が胸に残っているというふうなお話でございますが、NHKさん、ただいまどの程度の情報を受けておられますか、この機会にちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#128
○参考人(田中武志君) お答え申し上げます。
 きょう私どもの方には午前五時前にニュースが入りまして、早速ラジオの五時のニュース、それからテレビの方はその後六時からでございますので、その前に十分か十五分前から予告の画が出ますので、そこにスーパーをするとかということで対応をしてまいりました。
 現時点での情報では、背中の方から弾が入りまして心臓のすぐ三センチぐらいの近くまででとまっております。それで早速二時間余りの摘出手術がきょうの午前中行われまして、うまく弾丸が摘出されたというふうに聞いております。
 なお、けがの程度は十分定かではありませんが、二週間ちょっとぐらいではないかというような情報も入って、大変大統領自身はお元気だというふうに聞いております。
 以上でございます。
#129
○八百板正君 こういう大事件が起きますと、ニュースあるいは解説的なニュースなど早速電波に乗って伝えられるわけでありますが、その一番先に立つのはNHKであります。この情報もNHKが日本で一番早くキャッチされたというふうに伺いましたが、そこから報道されるニュースを扱う態度あるいはこの解説に当たっての立場というふうなものは、一番先でありますだけに大きくいわば日本の世論をリードし、また同時に世界の世論にも大きく影響を与える、こういう立場だろうと私は考えております。
 そういうことを考えながら、いまNHKの現状、事業の状況というものは世界の進歩したこの種の事業と比べてどのような立場にあると考えておられますか。この点、NHKの会長、それから郵政大臣、ちょっとひとつお聞かせいただきたいと思います。
#130
○参考人(坂本朝一君) ただいま八百板先生の御指摘の、世界の放送界におけるNHKの立場等についての御質問かと思いますけれども、おかげさまでNHKの持っておりますいろいろな評価、それは世界の放送界の中でも番組、技術を含めましてかなり高く評価されておるという自負を持っておる次第でございます。
#131
○国務大臣(山内一郎君) NHKの使命は、私大変重要だと思います。しかし、いまの放送法に基づきまして公共的な使命をよくお考えになりまして、文化の向上にも、また一般の方の福祉にも十分な活躍をされているものと私は信じております。
#132
○八百板正君 私も、光とか音とか電波というふうな最先端に近い、NHKはそういう事業あるいは産業の先端にある立場にある、そういうふうに思っておるわけでございまするが、それが今日、財政状況の推移等を通じまして、NHKの予算の資料、報告によりますというと、だんだん悪くなってきておるわけであります。産業と申しましょうか、事業そのものは世界に冠たるみごとな発展を続けてきておるにもかかわらず、現実にその経営の基礎はますます悪くなってきておる、しかも経営困難の危機を迎えつつある、こういうふうな見方が内部からも外部からもされておるわけであります。現状を無責任に申しまするならば、今日の世相はよいものが立たなくなっておるということもあります。科学が進んだが人間の方は一向に進まない、ますます人間の欠けるものが多くなってきた、こういうふうなことが言える、そういうふうに非常にむずかしい時代であります。
 そういう意味で、いわば最先端を切って進んでまいりましたNHKの事業が最も困難な経営の状態に立ち至っているという問題は、これはだれを責めるという問題ではなくて、ひとつ一緒に静かに考えてみたい問題だと私は思っております。こういう状況はだれの責任だというわけではございませんけれども、やっぱりどんな努力をしなければならないかという問題はあろうかと思うのであります。ニュースでアメリカの大統領が撃たれた、世界で一番進んでいると自負しておりまするアメリカのそのトップの政治の指導者が最も野蛮なテロによって襲撃を受ける、こういうような矛盾、NHKの事業の発展、あるいは日本の科学、産業の高度の発展の中にも何かそういう矛盾を感ずるのであります。そんなことを考えながら、NHKとしてどんな特色を出して、NHKのかなり進んでまいりましたレベルの事業、産業を発展さしていくことができるか、そういうふうな点について、ひとつ御見解がございましたならば、会長、大臣から一言お願いしたいと思います。
#133
○参考人(坂本朝一君) 公共放送の事業体がいろいろな意味で経営的に苦しい立場にあるということは、世界的な傾向の中でNHKだけではございませんで、世界の各公共放送の事業体が、先生御指摘のような経営的な基盤について一つの苦しい共通の状況にあろうかと思いますが、しかしNHKに関して言わさせていただけば、何といいましても、多年の歴史の中で国民の皆様方に御理解いただく、そして皆様方のお役に立つ放送ということで、視聴者との理解を深めることによって打開の道を図っていくべきではないだろうかというふうに考えております。
#134
○国務大臣(山内一郎君) 経営の問題にお触れになりましたけれども、NHKは受信料によって経営をしている、したがって民放とは違うわけでございますが、やはりそういう意味において受信者にどのように最大のサービスをするか、これが私一番重要な点であろうかと思うわけでござい寸す。したがって番組等につきましてもいろいろ御検討、御研究をされてやっておられますが、そういう意味において、しかも全国あまねく放送しなければいけない、こういうので大変経営面においてはそう容易ではないという面がございますけれども、いろいろとそういう線で御尽力をいただいて大いにいい放送をしてもらいたい、こういうふうに考えております。
#135
○八百板正君 不勉強で余りよく見ておりませんが、大車輪で衆議院、参議院の記録をちょっと見ましたところ、その中で私は何とはなしに使っておる言葉の中の公共放送という言葉に抵抗を感じたわけです。しかし坂本会長はそういう言葉は余り使っておりませんので、いま初めて聞いてちょっと、まあそう言っては失礼ですけれども、やっぱりそうかというふうな印象を受けたのでありまするが、公共放送という言葉を使うという感覚は少しやはり御反省をいただきたいと思うのであります。これは言われるところの民放といえども公共放送であります。電波そのものは公共的性質を持ったものでありまして、NHKだけが公共放送という立場の特性を持っておるものではないのであります。そういう点は、やはりNHKの方々の物の考え方と申しましょうか、姿勢と申しましょうか、そういうものにかなり大きい考え方の問題を含んでおる。私は言葉じりをとらえて申し上げるようでありまするが、そういうものを感じるのであります。電波そのものが公共性を持った放送でありまして、一体公共とは何ぞやということにもなりますけれども、やはり言葉のとおり申しまするならば、公共の公はいわゆるお役人という公ではないのでありまして、広いという意味の公共であります。そういう意味で申しまするならば、いずれも公共性を持ったものでありまして、よく言われる民放も同じように公共性を持っております。そこで私は、NHKが公共放送だ、民放は商業放送だ、こういうふうな考え方で単純に割り切っていくというか、そういうふうなところにもうちょっとお互いが考えていきたい問題があろうと思います。
 それから名前も民放という形でNHK以外を十把一からげにしてNHKだけは民放でないという考え方、これもちょっとおかしいと思うのであります。私から言わせまするというと、NHKこそが本当の民放でなければならない、国民のための報道機関でなければならない、私はそういうふうに思うのであります。でありまするから、そういう意味で、言葉を一番先にだれが使うか、ついまねをしてみんなそうなってしまうのであります、最近のマスコミの時代においては。そういう意味で、いわゆる民放と言う場合にはNHK以外のものを指すんだというこの考え方も漸次改めていくような指導と申しましょうか、そういう方向づけをするということが必要じゃないかと私は思うんです。
 それから言葉を取り上げてちょっと突っかかるような話でありまするが、ついでに申し上げますが、またこの資料の中にも出ておりまするけれども、たとえば費用項目の中に収納経費というか、何かそんなふうな言葉が書いてあります、収納経費というような意味の。この考え方もやはり問題だと思うんです。受信料というものをどういう性格のものとして規定づけるか、こういう問題と絡まってくると思うのでありまするが、そういう問題はまた後でお伺いいたしたいと考えますが、この納めるという考え方に御承知のように幾らか似たような事業に専売公社の事業があります。古くは専売公社も収納代金とかあるいはたばこの葉っぱを集める場所を収納所なんという言葉を使ったのでありますが、最近はそういうふうな言葉を使いません。収納代金という言葉を使いません。買い入れ代金ということになっております。そういうふうに直しました。これはわれわれもそうであってはいけないという考えで取り組んだのであります。そんなわけで、何か収納というようになりまするというと、そこにはおのずから受信料というものは義務づけられておるものである、したがって一般国民はNHKに対して受信料を払わなければならない、納めなければならない、こういうふうな観念にニュアンスがつながっていくわけでありまして、これは決して好ましい方向ではないわけであります。そういうふうな点をともどもにこれは考えていきたい。私どももうっかり、そうは言いながら惰性でもって収納というような言葉あるいは滞納とかというような言葉を往々にして私自身も使うわけでありまするが、やはりこれは言葉やそういうものを大事にするという立場のNHKとしてはやはり少し考えていただく事柄ではなかろうか、こんなふうに思うわけであります。
 そこで、これまた大臣の言葉の端をつかまえるわけではございませんが、サービスをよくしてというふうなことがございましたが、私はこの考え方もまたちょっと問題があると思うのであります。今日のいわゆる公共放送、民放も含めての公共放送の立場というものは、電波というものを通じてただ単に視聴者の要望にまるまる迎合して、そして波を通じていろんなものを送り込んでいいというものではなかろうと思うのであります。やっぱり視聴者のいわば文化的水準と申しましょうか、嗜好的な水準と申しましょうか、そういうものの中のやや平均よりも上のところをねらって、そして放送事業に取り組むというのがこの電波を預かる者の私は態度だと思うのであります。そういう意味で、大臣の言葉をどうこう言うわけではございませんが、結局サービスをよくするということは、いわゆるよいものを出してその事業の質のよい活動を高めていく、こういうふうに私は考えるわけでありまして、そういう意味で大臣の話をそういうふうに私は理解をいたします。国民もある意味では一人一人はかなり動物的な欲望やあるいは気ままなものをたくさん持っておるわけでありまするから、そういうふうなものに迎合をしていくということによって視聴率を高めるというふうな立場は決していい方向ではない、人間の文化の後退面に迎合するということは電波を活用する私どもの立場ではなかろう、こういうふうに私は考えております。言うまでもなくそんなことはわかり切ったことだ、こういうふうに会長も恐らくお考えだろうと思うのでありまするが、そんなふうな態度でひとつ放送の問題を一緒に考えていきたいと思うのであります。
 そういう意味で、名は体をあらわすということがございまするが、NHKはNHKというローマ字を使っております、一般に略称として。ところが、NHK以外の放送はそれぞれの企業の名前をつけております。そしてこれを一括するかのごとく民放とかあるいは商業放送とか、こういうふうに言っておるのでありまするが、NHKの方はNHKというローマ字の頭文字を使ってそしていくのならば、その他の方のいわゆる民放とこういうふうに言っておりまする扱いに対しても、これは自分自身がどういうふうな使い方をするのはいいとして、やっぱりNHKとしては、私が先ほど言ったようにNHKこそがある意味合いにおいては本当の意味の国民の民放だろうと思うのであります。そういう意味で、NHKというのならばこれにCMという横文字を使ったって悪くないと思うのであります。そういうふうな表明でいくということが考えられていいんじゃないかと思います。そういうふうにNHKが公共性を持ったものだ、こう自負するの余りどうしても官公的、官公というのは官庁、公という意味でありまするが、そういう立場で物事を扱わなくちゃいかぬという一つの性格なり空気が出ておるとすると、これはやっぱりNHKの運営の上で大変よくない結果をつくっていくんじゃないかと私は思います。
 したがって、あるいは公共とか中立あるいは不偏不党、こういうようなことがうっかりしまするというと、なるほど中立というものが政党にこだわらないという意味では中立結構でありますけれども、しかし、やっぱり判断を要する事実はたくさんあるわけでありまするから、そういうことに対してはやっぱりよいのはよい、よくないのはよくない、こういうふうな判断についてはやっぱり大胆に、間違ってもいいということではございませんけれども、やはりそういう当たらずさわらずではなくて、ただ整っておる、事なかれ主義というのではなくて、やっぱり特色を持って大胆に判断を出す、こういう態度があってよろしかろうと思うのであります。むしろそういうふうなものは視聴者自身がある程度取捨選択するわけでありまするから、あるいは裁くのでありまするから、そう余り行き過ぎがあったって苦にする必要はないんじゃないか、私はそういうふうに思っております。
 整っているというのは魅力がなくなります。駅弁の幕の内弁当みたいに卵焼きもあるし、コブ巻きもあるし、お新香もあるというように、あるいはちょっとしたカツもくっついている、塩引きのサケもちょっと入っているというようなこういうようなものは、かっこうは整っていますけれども魅力がない結果になるわけでありまして、やっぱり絶えずそのときそのときに特色を出していく。ウナどんとかカツどんとかいうふうに性格を出してやはりぶつかっていくというそういうものの総合の中から前進するわけでありまして、また国民もそういうものに引かれていく中からNHKに対する信頼を高めていくものだろうと私は思うのでありまして、そういう意味で余りあっちこっち苦にしないで、少し野性のある放送取り組み、事業態度を私は希望いたしております。この点は、会長はどんなふうにお考えでしょうか。
#136
○参考人(坂本朝一君) 私も使いなれた言い方で公共放送というような言い方をいたしましたのに対して、非常に何というんでしょうか、哲学的な御指摘をいただいてむしろ反省している次第でございます。とかく言葉というのが先生のおっしゃるように概念を決めていくという傾向は確かにございますので、何となく使いなれていることにわりあいと安心しているという点がなくはないと、御指摘をいただいて反省した次第でございます。
 ただ、多少言葉を返すようですけれども、放送というのは印刷メディア等と比較いたしまして、非常にサービスエリアと申しますか、視聴者の量と申しますか、そういうものが多うございますので、その与えます影響と申しますか、そういうものは放送いたします者が想像する以上に影響力があるということも責任者としては考えなければならないのではないだろうか。特に放送法の四十四条で政治的な問題等々、あるいは意見の異なるものはできるだけ多く意見を紹介するようにというようなそういう定めもございますし、いたずらに憶病になるわけではございませんけれども、慎重に対応すべきであろうというふうには考えておるわけでございます。しかし悪いものを悪いとも言えずに放送しておったのでは逆に視聴者から見放されてしまうこともございますので、それは編集者の見識を問われる問題だというふうに考えまして事に当たりたいと思いますので、ひとつ今後も御叱正賜りたいと思う次第でございます。
#137
○八百板正君 おっしゃるとおりでございますが、これは同時に、また行政の立場から大臣の方もちょっと一言言っていただきたいと思うんです。やっぱりその部分だけをつかまえて、たとえば自民党の悪口言ったからあれけしからぬと、端的にそういうふうな立場からでなくて、やっぱり総体としてその事業の立場を理解して、そして評価していくという態度がやはり行政指導の立場で私は大事だと思うのであります。何かちょっと突っかかってくることが出るというと、まあ率直に言っていまの政治はいいところないんですから、かなり厳しい批判が出るのはこれはあたりまえなんであります。むしろNHKの方が遠慮するぐらいです。商業放送と言われまするほかの放送になりまするというと、これは御承知のようにスポンサーにおもねると申しましょうか、そういう立場が出てくるだろうと思うのであります、商業、コマーシャルの場合は。ところが、この場合は直接によくないことをよくないと言ったからといって、そのことによってスポンサーから文句が出るということはこれは起こらないわけであります。むしろそれによって視聴者の同感を得るようなことになればかえって視聴率が高まっていくということになるから、むしろ激しく、いけないと思ったら徹底的にテレビを通じて攻撃するというふうなことをやってかえって視聴率を高めてスポンサーもよけいにつく、こういう立場も起こり得るわけであります。
 そういう意味で、むしろNHKの方が遠慮しがちな立場に行きやすいのでありまするから、そういう点を頭に置いて、しかしNHKに対しては物言いがしやすいから、政府もあれはいけない、これはうまくないなんというふうなことを言う、その他の放送についてはそういうことがある意味では言えないという立場があるから言わない、こういうふうなことも起こり得るわけでありまして、そういうふうな点、ひとつ大臣、ちょっと一言見解を述べていただきたいと思います。
#138
○国務大臣(山内一郎君) いろいろ御意見をお聞かせいただきまして非常に参考になりますけれども、要するに放送法という法律がございまして、番組の編成についてもちゃんと明記してございますし、そういう線に沿って一般の国民に対していろいろと文化向上、公共福祉でやっていただきたいものであるわけでございます。
 そこで、先ほどちょっと私もサービスという点に触れましたけれども、もちろん一般の視聴者の希望するものという点もありますけれども、いま八百板委員のおっしゃいましたように、高いレベルの放送をして、それが受け入れられることもよくあると思うのです。そういう点についても十分NHKにおいて御注意をいただいてやっていただければ、非常に今後ますますよくなると思われるわけでございます。
#139
○八百板正君 NHKの特色というのは、スポンサーの広告料によって賄われていくのではなくて視聴者の負担によって賄われていくというところに特色があるわけでございまするが、最初にも申し上げましたように、テレビの内容がよくなり、いわゆる需要と申しましょうか、国民的要望も高まっていくという、そういういわゆる上昇方向をどっておりまするときに料金の方はますます取れなくなっていくというふうな矛盾について、やっぱりここに触れていきまするためには、受信料というものは一体何だかということを、やっぱり余り言葉は長くなくても一口でわかるような、こういうやっぱり見解の統一というか、それが必要じゃないかと思うのでありまするが、受信料とはあれは何ですかとこう言われた場合に、一口に答える場合にどう答えておられますか。
#140
○政府委員(田中眞三郎君) NHKの受信料の性格は何かという御質問かと思いますけれども、制度的に見ますと、NHKの放送が受信できる受信設備を設置した者によりますNHKの事業費用の分担という性格のもので、公共性を持つNHKの放送の特殊性に由来する放送法上の特殊な制度でございます、そのように御説明できるかというふうに考えております。
#141
○八百板正君 一口でわかるようにとお伺いしたけれども、これは全然わからないです、一般の人から言うと。私もよくわからない。これはやっぱりどうでしょうか、こういうふうな考え方は。水道とか電気とかガスなんというのはメーターがあるからはかれますから幾ら使ったというようなことになりますけれども、やっぱり波を送るんですから、いろんなもとをかけて。だから、波を送るんだからその波を受けて利用した代金というふうに考えるというと、どういう矛盾が出ますか。
#142
○参考人(坂本朝一君) 法律的な解釈は郵政当局にお願いせざるを得ませんけれども、私どもが承知している限りにおきましては、先生のおっしゃるようにNHKの受信料というのは対価ではないんだ、先般電監局長が御説明になりましたようにNHKを維持、運営するその負担金であるというのが立法の場合の解釈だというふうに理解しておりますので、われわれ受信者に御説明する場合にはそういう精神を御納得いただく努力をしているわけでございます。
#143
○八百板正君 これは電波監理局長に伺いますが、電気というのはあれは物ですか。電波じゃなくて電気。
#144
○政府委員(田中眞三郎君) 電気は物かということでございますけれども、恐らく電力会社等が消費された方からいただくのは物かということだと思いますけれども、電気の持つ能力と申しますか、そうしたものに対する、効果に対する対価というふうに考えます。
#145
○八百板正君 私はいまの電気というのはやっぱり物だと思っています。これは物を針金を通じて送ってやるわけです。そしてそれを利用する機械を据えつけて活用する。これが電気のいまの普通の形だと思うんです。電信電話なんという場合も電気を針金でもって送って、媒体にしていろんなものを伝える。だから、電話料なんというものは考えようによるというと、漫才のような話になって恐縮でありまするが、料金はしゃべった方に払わなくちゃいかぬことになりますね。そういう問題も考えようによっては出てくるんじゃないかと思います。だから、施設をつくってそして受けてもらう。そういう意味で電気の場合は、何と申しましょうか、やっぱり一つの物として私は考えたいと思うんです。これは大変むずかしい問題ですから、これもまた一緒に御検討願いたいと思うのであります。
 ところが、電気にしたって針金を通れば銭を取る。しかし、電気だってだんだんいろんな工夫をしまするというと、恐らく針金を通さなくとも送れるという、電波なんかはある意味ではそういう形態でありますが、そういう状態だって私は起こるんじゃないかと思います。そういう意味でこの受信料というものを、そういうものをこしらえてそして提供する、そしてそれを消費する、あるいは観賞する、ちょっとそういう立場で整理して考えてみる必要があるんじゃないかと私は思います。たとえば絵は見る、音は聞く、その音楽に対する一つの代価と申しましょうか、対象への支払いであります。絵もそうであります。絵を見る、音を聞く、そういうものだろうと思うんです。
 ちょっと余談になって恐縮ですけれども、私、古い話だけれども、ロンドンの町を歩いていたら、アスファルトかなんかの道路に白や青や赤のチョークでもって絵をかいて、そしてわきに帽子を置いてかいた人が座っている。ちょっと見ようによってはこじきみたいなんでありますけれども、ちゃんとした絵をかいてある。そして帽子にはお金が入っております。案内してくれた大使館の人に、こんなに道路にチョークで絵なんかかいて帽子に銭を入れていく人あるんですかねと聞いたところが、大使館の人が説明してくれるには、イギリス人というのはやっぱり絵をかいて、そして道路でもなんでも絵をかいて、その絵を通る人が見たということになると、これは見たからには代価を払わなくちゃいかぬ、こういう観念がイギリス人にはどうもあるらしくて、結構みんな銭入れていくんですよと、こう言われた。これは私、非常に印象的に情景をずいぶん年数がたってもいま思い出すのであります。
 そんなことで、たとえば宣伝みたいに無料で送ってくれる雑誌や新聞なんかございますが、料金なんか払ったら切りがないから見ないで捨てるようにするのでありまするけれども、やっぱりせっかく送ってくれたのを見出しだけでも見ればこれはやっぱり代価を行わなくちゃいかぬなと思って、ずっと私もできるだけ定価ぐらいは支払いをするような習慣を、その後それに感じましてやっているのでありまするが、やっぱりイギリスの何かそういう考え方が、アメリカでは大統領がぼんぼん殺される、しかしイギリスではそういう政治のトップが凶弾にやられるなんということは余り私、記憶ございません。何かそういうふうなものがあるんじゃないか。
 そういう意味で、アメリカ式の考えでアメリカをお手本にしてまいりました日本の中に、何かこう放送料なんでものはただなんだというふうな考え方をそのままずっと野放しにしてきたという意味では、だれの責任とは申しませんけれども、やっぱりNHKにもちょっと――一番NHKの性格の基礎になる受信料、受信料によって立つというところがNHKの独立性といろんな特色を出す基礎になっているのでございますから、そこのところをやっぱり少し粗末にしてきたという責任がNHKにあるんじゃないかと思うんですが、その辺はどういうふうにお考えになりますか。
#146
○参考人(坂本朝一君) われわれの努力不足と申しますか、国民の皆様方に御理解いただくのに努力不足という点、大いに反省はしておりますが、しかし先輩を初め、今日に至るまでNHKの番組を通じての評価というものは必ずしも私は低くはないのではないか。そういう意味で国民の負託にこたえていくという自負もあわせて持っておる次第でございます。
#147
○八百板正君 広告料だって御承知のように結局企業主が払っているわけじゃないのでありまして、物品につけて消費者が払わされるのでありまするから、一回り回って見る方で払っているのでありまするから、ただで見ているわけじゃないんです。そういうふうな点はやっぱりよくわかってもらうようにした方がいいんじゃないかと思います。
 これまた失礼なたとえ話を出して恐縮でございますけれども、中国の古い言葉にたしか朝三暮四という言葉がございますが、何かサルをうんと好きな人が、食い物が足りなくなったのでサルに今度は食い物を減らさなくちゃいかぬという宣言をしたところが、朝三つで夜四つのクリしかこれからやらぬ、こう言ったところがサルがうんと怒って抵抗したという話であります。そこで、そのサルの好きなおっさんは、いや、それじゃひとつ朝四つにして夜三つにしてやる、こう言ったところがサルが急に喜んで納得したという話がありまするが、やっぱりわれわれの感覚というのはそんなところがあるわけでありまして、サルに近いところがあるのでありまして、広告料でもって日常ふだんの消費財にぶっかけられる。事実はぶっかけられておる聴視料でありますけれども、じかに取られないとただみたいに思って、NHKだけ取るのはけしからぬなんていうような考え方になるわけでありまして、そういうふうな点はやっぱりちょっとサルよりも上になるように、大いにみんなお互いに問題のありかを深めていくということが必要じゃないかと私は思うのであります。
 科学は大分進みましたけれども、科学の進歩の割りに人間というものは余り進んでおらないというのが現状だろうと思うのであります。それでNHKの経営の中で、そういう意味でお金を集める一番大事な人を非常に粗末にしているという感じを私は強く受けております。NHKの基礎をつくっておりまする受信料、それを集める人を一番粗末にしている。これは税金とは違いますけれども、国では、税金を取る人なんかずいぶんいばっているんです。そして集めた人も自分の金みたいに大蔵省あたり大きな顔をして不当な干渉をあっちこっちに加えております。というふうなわけでありまして、お金を直接手がけるという立場はいまの資本主義社会ではやっぱり一番大事にされる立場になくちゃいけないのでありまして、ほかの場合の集金とはNHKの集金は私は違うと思うんです。払ってもらう対象物件が非常に近代的な抽象的なつかみにくいものでありまするから、そういう意味で非常に大事な仕事でありまするから、これは集金活動をするためにかかる費用をちびって、そしてなるだけ安く上げて受信料の率を高めようというような考え方ではこれはいけないんです。
 青砥藤綱の話じゃないけれども、橋の下に落っこったお金を拾い上げるためにそのお金以上の費用を使ったということがございまするが、いずれにいたしましても、NHKの基礎的性格をきちんとする、基礎的な仕事でありまするからここをもっと大事にするということが必要であります。いままでも、記録を見まするというと、ちょいちょい取り上げられて大分NHKも努力されておるということにはなっておるのでありまするけれども現状はさっぱりよくなっていない、こういう現状であります。こういう点についてひとつ具体的に、これはきょうここでお答えいただかなくてもいいですから、ちょっと時間もたってまいりましたから、ひとつどういうふうな優遇の処置を具体的にやる、こういうような点を文書にして次の機会にお示しを賜りたいと思います。
 それから私も不勉強でよくわからないんですけれども、集金人は職員じゃありませんから、したがってNHKの中でも差別待遇を受けておりますると同時に、いわゆる人格的にも大分下積みにされているということは事実であります、そういうふうな人に対して、そういうふうにNHKの中であれば職員じゃないんだというような立場で軽べつした、軽視した扱いをしておる人に対して、一方今度はNHKの使命を訴えて、特色を訴えて、そして受信料の意味を十分に理解してもらって、そして大いに成績を上げてくれなんて期待をしたってこれは無理だと思うんです。やっぱりその集金活動に期待をするならば、期待をするらしくやはりその人たちの立場を引き上げていかなければならないと思います。このごろ企業だって、一番大事な窓口のところに課長が出たり、あるいはもっと上の人が窓口に出て、そして若い人が後ろに引っ込んでいるなんという事務の窓口もたくさんあります、別にNHKの会長がジャンパーを着てオートバイに乗って集金をやってもらいたいという意味じゃございませんけれども、やっぱりそういうふうな気持ち、いつか昔、ふんどし大臣なんて言われました水谷商工大臣が、石炭が重要な時期に炭坑の中に裸で入ったということがございますが、別に会長に直接お出ましをという意味じゃございませんが、やっぱりそういうふうな取り組みが必要なんじゃないでしょうか。
 アメリカでは、販売なくして事業なしという言葉があります。少なくとも今日の社会における事業の基礎というものは販売であります。と同時に、これはセールスの言葉でありまするが、セールスは断られたときから始まるということが言われております。でありまするから、そういう繰り返し繰り返し理解していただくという努力は、やっぱりその努力ができるような立場の人を向けなくちゃいかぬし、同時にまた、場合によったらエリートコースに入っていくNHKの職員にまず第一線で集金活動を半年ぐらいやらせる、そして第一線の勉強をしてそれから管理職にでも何にでも採用していくというような、そういうようなことがやっぱり必要ではないか、私はそういうふうに思うんです。ちょっとお説教じみた話になって恐縮でありまするが、どうも相済みませんけれども、とにかくもっと大事にするようにひとつ御配意を願いたい。一番大事なよって立つ基礎である性格を規定づけるところが職員でも何でもない責任のない人に責任を持たしてそして十分だというふうな態度では、NHKはますますその本来の機能を失っていくという方向に行かざるを得ない。結局受信料を義務的に払ってもらいましょうというふうな法律的な規定をしなくちゃいかぬというふうな方向に追い込まれます。そのことによってどういう結果が起こるかということは、これは繰り返して私から申し上げませんが、NHKの性格の上に大きな変化が起こってくることは明らかであります。
 そういう意味で、NHKの特色と申しましょうか、不偏不党の立場あるいは公正、独立、自由というようなものがそういう料金に支えられているというところによって保障されておるのでありまするが、同時にまた、このNHKの運営、管理、経営を指導する立場が出てくるのはやっぱり形の上では経営委員会という一つの機構になっているように思うのであります。ところが、この経営委員の選任が御承知のように政府の指名になっておりまするから――代議士とか参議院議員も皆同じですけれども、どうしても有権者に一番弱いのであります。有権者によって裁かれますからどうしても有権者にこびるような傾向が出ます。それと同じように、やっぱり自分を選んだ内閣なりあるいは政党なり政府というものに何となしに迎合するという傾向が経営委員の中に出てくるわけでありまして、そういう意味で経営委員の選任の仕方について考慮の必要があろうと思います。ちょっと記録を見ますというと、どなたか、衆議院でも参議院でもひとつこれは公選にしたらどうだというふうな御意見を述べられておられまするが、それに対して政府委員は検討をするようにしますという答弁をいたしております。記録に残っております。そのときの言葉の調子で言った程度かもしれませんけれども、しかし、やっぱり言ったことにはずっと継続して考えていただかなくちゃいけないのでありまして、そういう点で何かその後発展したお考えおありでしょうか。
#148
○政府委員(田中眞三郎君) NHKの経営委員の選出に当たりまして、たとえば公選といいますか、聴視者の意向を反映したような選出方法はないものかということで、この当委員会でもお話があったように思いますけれども、そうしたものにつきまして、たとえば公正な投票を確保するための手段というものがどうなるのか、あるいはそれに要する費用をどうするのかというようなことで、いろいろそれに当たりましては解決しなければならないいろんな困難な問題が多いというふうに考えております。この間はNHKの受信料を払った領収書等を投票券がわりにしたらというような御提案もありましたけれども、いま申しましたようなことでなかなかむずかしい問題がいろいろあろうかと思いますけれども、検討は引き続き続けてまいりたいというふうに考えております。
#149
○八百板正君 これについて答弁の中にも、何か選挙運動とか政党的動きが加わったりするとちょっとゆがんでいくのじゃないかとか、あるいはまた費用の点なんてございましたが、私は本当にやる気ならそういう点をうまくやっていけると思うんです。たとえば抽せんにしたらいいと思うんです。NHKの受信料を払った人と言いましたが、それを抽せんにして何人かの人を選ぶ、そういうふうな方法もあります。それからまた募集してある程度のテストをやりまして、経営委員になってもらっても全然話のできないような人では困るから、ちょっとむずかしいかもしらぬけれども弁護士試験程度の試験を出しまして、そして希望の人に受けてもらって、それで受けてもらって通った人――喜んで応募しますよ、それに通るということは大変気持ちがいいから勉強して進んで受ける人かなりいます。そういうふうにして、そういう人を今度はまただれかが選んだんじゃ悪いから、また今度抽せんでもってそこから選ぶというふうな方法をしていくというと金なんてそんなにかかりません。私の歳費でもやれるぐらいの金で済みます。私はそういうふうに思います。そういうふうな点はおざなりでなくて、ひとつ工夫して具体的に出すようにひとつ願いたいと思います。
 年々経費はふえていく、しかし収入の方はさっぱりそれに伴って追いつかない、さらにまた新たに収入をふやすという方法もない、こういうふうになりまするというと、どうしても値上げをするという方向に行く。値上げするとまた抵抗が出て払う人が少なくなるというふうなことになると、それも困るからいわゆる支払いの義務づけをする、そして同時に値上げもする、こういうふうな形にだんだん追い込まれていかざるを得ない、そういう点が憂慮されるわけであります。そういうことによって独立した報道の自由とか、いいところが失われていくという危険がそこに伴ってくる。そういう点を考えますというと、やっぱり経営委員会の選任の方で幾らかそういう面を保障するという方法、それから受信料の方でできるだけその方を高めていってその基礎を確実にする、そのためにNHKがおざなりの扱いでなくて本当にそこに力を入れていくという、そういうふうな方法以外にNHKの今後の発展の方法というのはつかめないんじゃないかというふうに私は感じます。
 そして、あれもあればこういう弊害があるなんて、いろいろあると思うのでありまするが、やっぱりやってみなければわかりませんから、余り画一的に考えないで、これはいいと思ったことはやっぱりいろいろやってみるという、そういうあれが必要じゃないかと思うんです。いろいろやっておられるようでありまするが、視聴者の会を組織するとか、いろんなことをやっておられると思うのでありまするが、多種多様にそういうものを視聴者の中から盛り上げていく。しかし、それにしたって、そういうことを何か集金人の仕事の一部だなんていうふうに考えたのではこれはだめでありまして、そういうふうな点に言葉だけでなくて具体的に努力を払っていくということが大事じゃないかと思います。そしてよいものをつくる。
 で、今日、テレビにいたしましてもその他にいたしましても、ある意味ではこれは芸術品であります。絵画といい、あるいは歌その他の音楽といい、これは一つの芸術品であります。と同時に、また報道や解説やその他――教育テレビなんかよくやっていますが、教育テレビというのは非常に私はりっぱにやっていると思うんです。これなんかもどっちかというと、第一線の現場の声を率直に聞くという態度があの教育テレビのいい結果に私はつながっていると思うんです。そういうふうにいいものは勇敢に取り上げていく、こういうふうにして事業の内容を高めていく。
 ちょっと気取った言い方でございまするけれども、いわゆる芸術品的な一つの内容を放送するのでありまするから、だから高いとか安いとかといったってこれは考えようでありまして、一枚の絵だって何百万円もするんだし、ちょっと見せてもらうだけでも物すごい代価を払わなければ見せてもらえないものがたくさんあるのでありますから、そういうものをふんだんにNHKは提供して、国民に鑑賞と申しましょうか視聴に供しておるわけでありまするから、そういう意味ではある程度むだがあったっていいと私は思うんです。同時に、料金だってそんなに上げちゃいかぬという筋合いのものではない、そう固定的なものじゃない。やつぱりいいものをつくったらばいいものをつくっただけの費用がかかっているんですから、そういうものに対しては当然にやっぱり支払いをするという、こういうふうに事業の発展と成長の方向をつくっていかなくちゃいけないのだろうと私は思うんです。嗜好とか鑑賞とかという視聴者の目もあるいは感覚もだんだん放送事業の発展とともに高まっていくわけでありまするから、それに応じて高めてよいものをつくっていく、こういうふうにしていくということがこれからの方向だろうと思う。そういう意味で、今日まで発展してまいりましたNHKを初めとする放送の事業というものは決して衰退するというふうな方向のものではないのでありまするから、それに見合ったような、やはりだんだん発展するという方向を持っているのでありまするから、それに見合ったような経営の基礎を、経営困難になっていくというんじゃなくて、経営の基礎が確立されていくという方向をともどもに持っていくということが当然必要だと思う。理屈が合わなくなる、矛盾が出てくる、私はそう思います。
 そういう意味で、特別激励するわけではございませんけれども、十分に大臣も会長も、ひとつ皆さんの御協力でお願いしたいと思います。
 じゃ、これで終わります。どうもありがとうございました。
#150
○大森昭君 午前中の質疑の中で少し協会側の答弁が不明確な点がありますので、ちょっと関連で質問いたしますが、外郭団体に九十億を支出されている、それで七億が協会――協会というよりもその事業でもうかっているという話がありましたですけれども、この点についてもう一回、九十億出して七億しか来ないからというような受け取り方じゃ大変誤解が起きますので、明確にひとつ答弁してもらいたいと思うんです。
#151
○参考人(渡辺伸一君) お答えいたします。
 午前中の説明が不十分で申しわけありません。七億の収入と九十億とは、まず関係のない事象だということを申し上げます。
 九十億と申し上げましたのは、NHKのNHK交響楽団、厚生文化事業団、それに学園という、NHKのみずから育成しております、NHKと非常にかかわりの深い業務をやってもらうための助成金でございますし、それから健康保険組合と共済会のことも申し上げたわけですが、これはそれぞれの目的に従って必要な、協会側が分担いたします分担金でございます。
 最後に、サービスセンターについては午前中申し上げましたが、これはそれぞれの、NHKホールの運営でありますとか、あるいは「グラフNHK」の編集発行でありますとか、あるいは受信契約取り次ぎ業務でありますとか、それぞれの業務の必要があって委託している委託費でございまして、その総計を九十億と申し上げたわけでございます。これは外部団体を通じて上がってまいります副次収入の一部の七億とは関係がございませんで、七億を上げるための支出でもコストでもないわけでございます。七億と申し上げましたのは、五十六年度に予定しておりますいわゆる副次収入九億のうち、外部団体にかかわって上がってくるものが七億あると申し上げたわけでございまして、繰り返しになりますが、二つの経費の関係は因果関係というものはございません。
 以上でございます。
#152
○大森昭君 それからいろんな質疑の中で、協会の外郭団体から特定の議員に対しまして資金が流れているような話がありましたけれども、協会側は何だかわかったようなわからないような、回答していないですね、明確に。したがいまして、私はそういうことはないと思うのでありますが、協会側はどういうふうに判断しておりますか。
#153
○参考人(坂本朝一君) いま外郭団体につきましては、担当が御説明いたしましたように、助成団体あるいは職員の福祉のための団体、業務を委託している団体、そういうような各種の団体がございますけれども、NHKといたしましては、これらの団体の性格に応じぎして収支予算、事業計画、それから収支決算、業務報告等について十分検討、審査いたしております。また日常業務につきましても十分留意いたしまして、また各団体ともNHKの基本的使命を十分認識いたしまして、それぞれの事業目的を達成するために懸命に努力しておるわけでございますから、御指摘のようなことは全く考えられませんし、今後につきましても疑惑を招くことのないよう十分指導していきたいというふうに考えております。
#154
○大森昭君 言論の自由、出版の自由ありますから、いろんなことがありますけれども、いま会長が答弁したように、やはりそういう質問があったときには明確に回答しませんと、そのままずっと流れていきますと、誤解がまた誤解になりますと十階になっちゃいますから、よろしくひとつお願いしておきます。(笑声)
 次に、国際放送でありますが、午前中のこれも質疑でありまして、日本は全くおくれているという協会側の答弁がありましたけれども、最近また鈴木総理並びに多くの方が外国へ行っていろんなことが新聞に報ぜられておりますが、郵政大臣は、これまた新聞記事によりますと、ASEAN諸国と協力して放送衛星の打ち上げを検討するとか新聞報道は言われておりますが、閣議の議論の中で、具体的におくれておるこの国際放送についてどのような改善方針をお持ちでありますか。
#155
○国務大臣(山内一郎君) 二月十日の閣議におきまして、総理がASEANに行かれましたときに随行されました農林水産大臣から発言がございまして、現地の人からお話があったのかと思いますけれども、NHKの国際放送が聞こえないという話ではないんですが、声が大きくなったり小さくなったり、普通の状態の放送のように聞こえない、そういうようなことは非常に国際放送というものが重要であるから郵政省の方でよく考えてもらいたい、こういう発言が十日の日にあったわけでございます。そこで、私も、これは非常に重要でございますから、よく調べて閣議でまた御報告なり対策を申し上げましょう、こういうことで二月の十七日の閣議におきまして、NHKともよく相談したのでございますけれども、やはりいま以上よくする。ためには中継施設――中継基地とも言っておりますけれども、それから放送の電力、これを強くしなければいま以上によくならない、こういう点がわかりましたので、そういう点について報告をいたしまして、外務省にも大変これは重大な関係がございますので、外務省の協力も得るように発言し、その後いろいろと折衝をしながらその実現のために努めてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#156
○大森昭君 いずれにいたしましても、国際放送は短波で、しかも距離も遠いし地球の裏側にもなりますし、大変むずかしい問題なんだろうと思うのでありますが、しかし国際放送の受信の改善にはパワーアップもさることながら、海外での中継局の活用が最も効果的であろうと思うのでありますが、とりわけ中東、北アフリカ、中南米、北米東部向けなどの活用が必要だと思いますが、今日の社会情勢の中での中継基地の設置にはいろいろむずかしい問題も多いと思いますが、その実現についてどのような見通しを持っておりますか。
#157
○政府委員(田中眞三郎君) 御指摘のように、国際放送というものは短波を使ってやっておるわけでございますけれども、日本は地球の上でも端の方に寄っておりまして、遠いところから電波を届けるというのはなかなかむずかしいわけでございます。したがいまして、いま御指摘のように、海外での中継局の活用というのが非常に効果的じゃないかということですが、その実例がございます。と申しますのは、五十四年十月以来、ポルトガルのシネスというところで中継基地を設置いたしまして、ヨーロッパ向け、中近東向けが非常に改善されました。これは私自身もたまたま向こうに行くことがございまして、それ以前に比べまして非常に効果的であったというふうに考えておるわけでございます。
 ところで、そのような中継基地を一層わが国の国際放送に取り入れてその受信改善を図れということでございまして、先ほどの大臣のお話にもございましたように、そうした観点からの検討も必要であるということで、現在NHKとも相談し、NHKとは技術的観点から、また御存じのような国際情勢、外国が相手でございますので、そうした意味からは外務省とも十分に連絡をとる必要があるということで、連絡を密にしながら前向きに検討してまいりたいというのがただいまの私どものとっておる態度でございます。
#158
○大森昭君 少しずつはふえておりますが、いずれにしても午前中の質疑で大変国際放送がおくれているということは認めておるわけでありますし、また資料もそういう資料をいただいておるわけでありますが、臨時放送関係法制調査会の大分前に出ている提言によりますと、いずれにいたしましても、国庫交付金の増額措置によって対処すべきであるという提言があるわけでありますが、この提言長い間だっているわけでありますが、郵政大臣の見解はどうでしょうか。
#159
○国務大臣(山内一郎君) 国際放送は非常に重要でございますので、交付金をNHKの方にお渡しをしてやっていただいているわけでございます。これは命令放送という名前でございますが、また自主的にもおやりをいただいて非常な経費を使っておられるわけでございますが、いま申し上げましたようにまだまだ不十分な地域がある。こういう点については、先ほど申し上げましたような中継地の問題、そういうような新しい設備、それからさらには放送自体にもやはり金がかかりますので、そういう点は非常に財政が窮屈でありますけれども、極力交付金をふやすように努力をしてまいっているところでございます。
#160
○大森昭君 よりひとつがんばっていただきたいと思うわけであります。
 そこで、さっき副次収入の問題でいろんな議論がありましたけれども、受信料の収入がNHK財政の基盤であることは言うまでもないのでありますが、ただ予算の組み方が、予算よりも大変オーバーしているから努力しているという言い方はあるんですが、逆に言いますと、予算を多く超過するということは、その予算のいわゆる見方が大変誤算があったということにもなるんです。だから、このNHKの予算の編成の仕方というのは、作戦的にある一定の目標をつくって、それでもってたくさん実は努力したんだということを言いたいのかどうかわかりませんが、さっきもちょっとありましたけれども、五十六年は九億二千三百万、ところが五十五年ではもう九億二千三百万オーバーするでしょう、実際決算すれば。そうなってきますと、毎年毎年ふえているのに前年度よりかも下の目標を設定していくというのはどうも理解できないんですが。
#161
○参考人(渡辺伸一君) お答えいたします。
 副次収入につきましては、番組の二次利用、それから持っております技術の技術協力及び実施許諾ということでございまして、たまたま先生おっしゃいますように、五十五年度は放送にかかわる出版物が大変売れた。具体的に言いますと、「シルクロード」の出版物が大変売れたというところにかかわって出てきているわけでございます。収入は、いつもそうであるならばもっと多く見たらいいではないかというお話でございますが、この副次収入はどうしてもやはり、何といいますか、引き合いがあると申したらいいんでしょうか、番組を使ってくださる方、技術の要請を受けて私どもは出動するわけでございますので、どうしても受け身に立つ部分も非常に多いわけでございます。
 したがいまして、番組がたまたま皆さん方のところに受けて、出版物として大変に売れるという状況が毎年続くとは限りませんものですから、かたいところを見積もらざるを得ないという状況になっているわけでございますが、しかし番組の面に関しましても、ことしの五十六年度の番組は、番組をよくするための発想ではありますけれども、外国の放送機関と協力をして番組の内容を充実しようということでございますけれども、この結果が大変国際性を持った番組が生まれてくるということで、副次収入のかなりのものを期待していいのではないかなと思っておりますが、まだ現実に約束が成就しておりませんものですから、しばらくその状況を見守りたいということで、五十五年度の実績のようにはなかなかいかないというのが五十六年度の見込みの実態でございます。
#162
○大森昭君 受信料が大変徴収をするのに困難でありますから、余り副次収入をやりますとNHKもそっちの方でもうけたらいいんじゃないかと言われることになるかというような心配もあろうかと思いますが、しかし、いずれにいたしましても、この副次収入というのは受信料に肩がわりするような副次収入を計画しているのではないのでありまして、少なくともいろんな努力をしているという意味合いからいけば副次収入が多くてもいいことなんでありますから、そういう点でひとつ努力をしてもらいたい。
 それから時間もなくなりましたが、受信料免除の措置でありますが、五十三年度、五十五年度、多少工夫をしておりますが、今回はこの問題の提起がないのであります。補助金の削減だとか、いろいろ国家財政も財政再建でやっているわけでありますが、この免除の見直しなんというのは考えておられないんですか。
#163
○参考人(海林澣一郎君) お答え申し上げます。
 先生のおっしゃいます受信料の免除につきましては、おっしゃるとおり協会財政の状況、それからここ数年にわたります衆参両逓信委員会におきましての審議でいろいろ御質問、御叱正をいただいているということ、それからNHK部内でございました第二次の基本問題調査会でも見直すべきだというようなことがございます。したがいまして、さっき先生がおっしゃいました五十二、五十五の一部見直しをいたしましたが、将来的には免除措置を縮小することということで、その実施に当たっては、いま残っておりますのがあるいは学校教育であるとかあるいは社会福祉というようなことがございます。したがいまして、実施の対象関係者の立場あるいは一般の視聴者の方が納得してくださるかどうかというようなことを勘案しながら段階的に縮小していきたいというふうに考えておりまして、先ほどおっしゃいました五十三、五十五に続いては現在検討中である、さらにはいま行われておりますビジョン審議会においても重要な検討項目になっているということでございます。
#164
○大森昭君 いろいろ議論がありまして、NHKが努力していることもわかるのでありますが、経営委員会の問題だとか視聴者対策の問題とか、どちらかというと少し、「NHKの窓」なんかでも大分宣伝しておりますが、何かつくられた世論関係みたいな感じを正直言って受けざるを得ないんです。さっき八百板先輩からふんどし大臣の話もありましたけれども、少し発想的に何か、あらかじめ会議をやるときはNHKを理解してくれる人たちを集めて、八百長じゃないんでしょうけれども、まあそういうことも必要でしょうけれども、全然わからない人に話を聞いたってしょうがないのでありますけれども、少し視点を変えて視聴者対策なんかもやってもらわなければいけないでしょう。
 そしてまた、最後に、本件を通じまして、衆議院段階の議事録もそうでありますし、参議院段階もそうでありますが、大変効率化、合理化と言われる労使間問題なんかについてもいろいろ質疑がありましたし、その都度答弁をいただいておりますが、労使間問題は当局側と組合側と十分話し合いをいたしまして、いろんなところからいろんな問題が提起されますが、いずれにしても自主性を持って事に当たらなければならないと思うのでありますが、最後に会長並びに労務担当役員の所見を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
#165
○参考人(武富明君) お答え申し上げます。
 労使は、申すまでもなくお互いに立場を異にする組織でございますので、その間におきます問題につきまして意見を異にすることはこれは当然だと思われます。しかしながら、たとえ意見を異にいたしましても、お互いの立場を十分に尊重いたしまして、十分に議を尽くしまして道を開いていくというのが労使関係の本道か、こう存じております。私ども、これまでも十分に話し合いをして、そして協会の自主性をもって事を決する、こういうことを従来も目的にしてまいりましたし、今後もそれを目標として進んでまいりたい、これが私の所信でございます。
#166
○参考人(坂本朝一君) いま労務担当が申し上げましたように、労使関係はやはり協会の存立にかかわる問題の一つであろうというふうに認識しておりますので、これは私の責任において自主性をもって事に当たりたいというふうに決意しておりますので、御理解賜りたいと思います。
#167
○大森昭君 終わります。
#168
○委員長(福間知之君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#169
○委員長(福間知之君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#170
○委員長(福間知之君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 大森君から発言を求められておりますので、これを許します。大森君。
#171
○大森昭君 私は、ただいま承認すべきものと決定いたしました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び第二院クラブの各派共同提案によります附帯決議案を提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
 政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。
 一、放送の不偏不党を堅持し、放送による表現の自由を確保すること。
 一、協会は、長期経営構想の検討をさらにすすめるほか、受信料の確実な収納、受信契約の開発及び経費の節減に一層努め、今後における受信料改定を極力抑制すること。
 一、協会は、視聴者の理解と信頼を深めるため、多様化する視聴者の意向を幅広く吸収し、番組編成に反映させるとともに、協会の使命と現状についてさらに周知徹底を図ること。
 一、放送衛星の実用化にあたっては、すみやかに放送政策に関する基本方針を策定し、難視聴対策、非常災害対策等各般にわたり、国民的視野に立つでその有効的活用を図ること。
 一、国際交流の緊密化に資するため、一層国際放送を充実強化するとともに、国庫交付金の増額に配意すること。
 右決議する。
 以上でありますが、この決議案は、先日来の本委員会における審議の経過を踏まえて作成したものであります。したがいまして、その趣旨につきましては、改めて説明するまでもないと存じますので、省略させていただきます。
 何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
 以上であります、
#172
○委員長(福間知之君) ただいま大森君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#173
○委員長(福間知之君) 全会一致と認めます。よって、大森君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、山内郵政大臣並びに坂本日本放送協会会長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山内郵政大臣。
#174
○国務大臣(山内一郎君) 日本放送協会昭和五十六年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上、ただいま御承認をいただきましたことを厚くお礼を申し上げます。
 これまでの御審議に当たりまして、各委員の提起されました御意見並びにただいまの附帯決議につきまして、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
#175
○委員長(福間知之君) 坂本日本放送協会会長。
#176
○参考人(坂本朝一君) 日本放送協会昭和五十六年度収支予算、事業計画、資金計画につきまして、ただいま全会一致をもって御承認いただきましてまことにありがたく、厚く御礼申し上げます。
 なお、この予算を執行するに当たりましては、郵政大臣の意見書並びに御審議の過程でいろいろ御開陳いただきました御意見を十分生かしてまいりたいと考えております。
 また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、十分に遵守いたしまして、執行の万全を期したいと考えておる次第でございます。
 まことにありがとうございました。
#177
○委員長(福間知之君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#178
○委員長(福間知之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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