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1980/04/14 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 運輸委員会 第5号
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1980/04/14 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 運輸委員会 第5号

#1
第094回国会 運輸委員会 第5号
昭和五十六年四月十四日(火曜日)
   午前十時七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十三日
    辞任         補欠選任
     江藤  智君     野呂田芳成君
     内藤  健君     山内 一郎君
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     野呂田芳成君     井上  俗君
     山内 一郎君     田沢 智治君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         黒柳  明君
    理 事
                伊江 朝雄君
                山崎 竜男君
               目黒今朝次郎君
                桑名 義治君
    委 員
                井上  裕君
                江島  淳君
                梶原  清君
                木村 睦男君
                田沢 智治君
                高平 公友君
                安田 隆明君
                山本 富雄君
                広田 幸一君
                小笠原貞子君
                柳澤 錬造君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  塩川正十郎君
   政府委員
       運輸大臣官房長  角田 達郎君
       運輸省航空局長  松井 和治君
       海上保安庁長官  妹尾 弘人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        村上  登君
   説明員
       労働省労働基準
       局監督課長    岡部 晃三君
       労働省婦人少年
       局婦人労働課長  佐藤ギン子君
   参考人
       日本航空株式会
       社代表取締役社
       長        朝田 静夫君
       日本航空株式会
       社常務取締役   萩原雄二郎君
       日本航空株式会
       社常務取締役   後藤 達太君
       日本航空株式会
       社常務取締役   橋爪 孝之君
       日本航空株式会
       社取締役     平沢 秀雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本航空株式会社法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○運輸事情等に関する調査
 (日昇丸の事故に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(黒柳明君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十三日、江藤智君及び内藤健君が委員を辞任され、その補欠として野呂田芳成岩及び山内一郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(黒柳明君) 日本航空株式会社法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○小笠原貞子君 運輸省はことし一月、法定運賃に違反する割り引きされた航空券が日本航空そして全日空からばらまかれているということについて御調査なすったと伺いますが、五十四年度、五十五年度について、その発行枚数及びその金額を、日航、全日空別に明らかにしていただきたいと思います。同時に、その割引航空券がどのようなところに出されていたか、具体的に御説明をいただきたいと思います。
#5
○政府委員(松井和治君) 優待割引券の特定利用者への配付状況につきまして、本年一月下旬、日本航空並びに全日空から事情聴取を行いました。両社ともクーポン券利用の大口利用者に対しまして、クーポン券五枚につきまして約一枚の割合で運賃五割引きの優待券を配付していたという事実が明らかになったわけでございます。
 お尋ねの五十四年度におきます発行枚数でございますけれども、片道ベースで申しまして、日本航空が約十一万七千枚、全日空が約十二万枚ということでございました。金額は詳細にはわかりかねますが、日本航空が約九億円、全日空が約七億円、こういうことでございまして、ちなみに全体に対する割合で申し上げますと、国内の総旅客数の約〇・六%に相当いたしております。
 なお、五十五年につきましては、上期につきましてのみでございますが、日本航空が約四万一千枚、全日空が約六万六千枚、これによる割引額は、日本航空が約三億五千万円、全日空が約五億円、こういうことでございまして、どういう方に配付されたかという細かい点については、私ども承知いたしておりません。
#6
○小笠原貞子君 いまおっしゃったように、私の方でも調査をしてみましたが、五十六年一月の一カ月間というものを見ますと、約一千枚の半額割引が発行されております。また、枚数は少ないけれども、その中に一〇〇%全額割引という、すなわち無料優待券がそれ以外にも発行されているんです。どういうところに出されているかとお伺いいたしましたけれども、それはわかっていないと、こういうお答えでございました。
 当然御調査の中ではおわかりになっているはずだろうと思うわけですが、おっしゃいませんので、私の方で調べたところを申し上げますと、これは八一年、ことしの一月分でございますが、松下電器が三十三枚、金額にいたしますと約三十六万五千円。神戸製鋼二十八枚、三十一万三千五百円。で、日産自動車、塩野義製薬、日本アイ・ビー・エム、三菱電機、富士重工といったいわゆる大きい、私どもで言えば大企業、川崎重工、ゼネラル石油といったようなものが顔を並べて約三百社、その総額はこの一月で一千万円を超すという優待券が発行されているということでございます。
 そこで、朝田社長にお伺いをしたいと思いますが、違法な航空券ということで、今度運輸省も御調査なさいましたわけですけれども、いつごろからこういうものを発行されていらっしゃいましたでしょうか。
#7
○参考人(朝田静夫君) お答えをいたします。
 昭和四十九年当時からでございます。
#8
○小笠原貞子君 朝田社長は素人ではなくて、運輸省の事務次官からいらっしゃった方で、非常にお詳しい方だと、そう思うわけでございますが、まさに違法だと指摘を受けて改善されなければならないような、いわば十分御承知の上で四十九年から続けてこられたということは、私は、とても重大な問題ではないかと。また、日本航空というのは、この法案にかかっておりますように、政府出資、いわば国策会社というふうなことも言われるくらい、国益を第一として、公的責任を負わなければならない企業であるはずだと。しかも、四十九年からということになりますと、六年間ですね。その間、ずっと、御承知のはずの朝田社長のもとで行われていたと。私は、ここで何らかの反省の弁があってしかるべきだと思うのですけれども、いかがでございましょうか。
#9
○参考人(朝田静夫君) ただいまの小笠原先生のお話のとおりと私も考えておりまして、決して進んでこういうことをやっておったわけでございませんで、どうしても国内線におきます他社との競争関係でやむを得ずこういうことに相なったということでございます。したがいまして、当局の指導もございまして、この二月の十日以降、これを取りやめておりまして、重々その点について今後反省をし、改善を進めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
#10
○小笠原貞子君 私は、もうちょっと率直な御反省の言葉を聞きたかったと思うんです。いろいろ国内情勢などで客が減ったからしようがなくやったというような前段はつけないでいいんです。本当に反省しているという立場での反省の言葉であっていただきたかったと残念に思います。
 私ども調べてみますと、決してこれだけではなくて、ほかにもこうした違法と言える優待券制度が日本航空にはございます。ほかにもあるということについて、運輸大臣、そういうものがあるということを御承知でいらっしゃいましょうか、ほかにもあるということを。
#11
○国務大臣(塩川正十郎君) これは私の聞いておりますのには、どこの会社でも株主優待というのが――何かそのことをおっしゃっているんじゃないですか。何かあるように聞いていますけれども、実態は私はわかりません。
#12
○小笠原貞子君 私の申し上げたのは、株主優待というのは、これは正規のものと受け取っていいんですけれども、御承知ないとおっしゃるので、重要な問題なので具体的に申し上げたいと思います。
 一つは令達枠使用という区分で、当初より年間予算を組んで、そして支店長、所属長の権限で特殊な人を対象に発行される優待券でございます。ここで大事なことは、支店長、所属長の権限で特殊な人に渡される、これは決して株主優待券ではないということがはっきりしております。
 それから、二番目には団体リベートというのがございまして、これは旅行代理店に対して、その売り上げ高に応じて発行される優待券でございます。
 大臣も御承知ないということでございますと、運輸省としてもこれについての御調査もされていないと思いますけれども、こういう問題について、運輸省事務当局の方で調査というようなことをされておりますかどうか、全く御存じなかったかどうか。
#13
○政府委員(松井和治君) ただいま先生の仰せられましたような特殊な割引について、私ども承知いたしておりません。
#14
○小笠原貞子君 それでは朝田社長、お伺いしたいと思いますけれども、令達枠使用の優待券というのは、どういう人を対象に発行されているのか。令達枠使用についての発行目的別にDP、IP、DC、ICという区分が使われておりますが、これはどういう中身でございますか。御説明いただきたいと思います。
#15
○参考人(橋爪孝之君) お答え申し上げます。
 先生ただいま御指摘の令達枠によりまして、支店長あるいは所属長に発行を許しております優待券というのは、営業上の慣行によりまして会社としてお世話になった人、その他必要に応じてきわめて少数の枚数、支店長及び所属長にその交付を許しておるものでございます。
 また、二番目の団体リベートとおっしゃいました分につきましては、これは代理店に対しまして売り上げ高に応じて優待券を配付しておりますが、本件につきましては国内におきまして航空会社同士、一つの基準を設けまして、その基準に従いまして配付しております。
#16
○小笠原貞子君 先ほど言いましたDP、IP、DC、ICの中身。
#17
○参考人(橋爪孝之君) 失礼いたしました。お答え申し上げます。
 DP、IP、DC、ICと申しますのは、それぞれ国内旅客、国際旅客、それから国内貨物、国際貨物の略でございますが、私、ただいまそれぞれに従ってどのような枚数、どういうふうに配付しておりますか、存じておりません。
#18
○小笠原貞子君 運輸大臣、いまお聞きになったように国内、国際、そして旅客、貨物についての大口利用のお得意さんにこういう令達枠というものでこれが出されているわけですね。その枚数や金額についてはわずかだというお答えしかございませんでしたけれども、私ども、これぜひ、どれくらい出されているのか、せっかくここで調査なすったところでございますから、これについても調査をしていただきたい。そしてその御報告をいただきたい。こういう不明朗な形のものがここに放置されているということでは、私はやっぱりせっかく調査もなすって、勧告もなすったのが、三分の一の枠のことでございますので、ぜひ御調査を願いたいと思いますが、いかがでございますか。
#19
○国務大臣(塩川正十郎君) 仰せのように、一度私の方で航空局を中心にいたしまして、調査いたしまして御報告ずみようにいたします。
#20
○小笠原貞子君 それでは御調査をいただいて御報告をいただかしていただきたいと思います。
 それで、次に今度は女性差別の問題についてお伺いしていきたいと思います。
 日本航空における女性の従業員というのを見ますと、大変大きな役割りを占めているわけです。御承知のように、乗務員などを含むスチュワーデスなどは一番よく御存じのことだと思いますが、乗務員だけではなくて地上職におきましても大変大きな進出をしているわけでございます。地上職の中で、一般管理、営業、運送という部門だけを見ましても、その三五%が女性で占められているわけでございます。
 朝田社長にお伺いをしたいわけですけれども、朝田社長さんのお考えとして、男性と女性とにやはり能力の差があるというふうな御見解でいらっしゃるでしょうか。ちょっとお伺いしたいと思うんです。
#21
○参考人(朝田静夫君) 男性と女性の間に能力の差があるというようなふうには決して考えてはおりません。
#22
○小笠原貞子君 そのとおりだと思います。
 御承知のように、国際婦人年を契機といたしまして、男女差別の問題が大きく取り上げられてまいりましたし、一昨年の十二月には、国連の決議で、あらゆる差別撤廃条約というものが決議されておりまして、昨年の六月、この条約についてコペンハーゲンで日本政府も署名をしております。私も女でございますが、国会において女は差があると思ってはおりません。男性と同じ力でがんばっていると自負をしているわけでございますので、いまおっしゃったように、社長さんが男女差別は考えていないと、能力の差については考えていないとおっしゃいましたので、ちょっと一安心をしたところでございます。
 そこで、お伺いをするわけですけれども、日航に入りたいという女性がたくさんいるわけでございますが、その中で、私たち調べさせていただきますと、区分がございまして、そして男子の大学卒はAという区分で入社試験を受ける。そして男子の短大、高卒以下はBという区分である。そして、女子の場合には、大卒はAの大卒男子と一諸ではなくて、Cの方に女はみんな入っているわけでございますね。A、B、Cという区別がされているわけでございますけれども、たとえばそこには男、女という言葉は書いてない。A、B、Cという区分になっております。それでは、男性がこのCの区分で試験を受けたいというときに、男性はCの区分で試験を受けることができますんでしょうか。
#23
○参考人(朝田静夫君) Cの採用区分の中で高校、短大卒業以上の場合で、男子もそういう事務要員、そういったものに応募できるかと、こういうお尋ねでございますが、男女の区別をいたしておりませんので、そのときどきによって採用するかしないかは別でございますけれども、そういうことは可能である、そういったてまえで採用を実施いたしておるわけでございます。
#24
○小笠原貞子君 よく社長さん御存じないとそういうお答えが出てくるのだと思いますけれども、確認いたしますが、それでは男子の大卒の場合もAの区分で入社もできる、採用試験を受けることができると、Cの区分でも大卒の男子受けることができとおっしゃったんですが、それでいいですか。
#25
○参考人(萩原雄二郎君) 男子大卒、両方受験は可能でございます。A区分並びにC区分両方受験は可能であるということでございます。
#26
○小笠原貞子君 それでは、男子が採用してほしいと言って申し出たときに、それでは、こういうのを出されておりますね、募集要項というのを。そして、そこのところに大卒地上職採用募集要項というのがありまして、一方では地上女子サービス職募集要項というのがございますね。そうしますと、試験を受けたいという方には、男も女も含めて、このAの区分でも受けられるよ、Cの区分でも受けられるよ、両方受けられますよと言って、二つのものをお出しになっていますか。
#27
○参考人(萩原雄二郎君) 当社の募集要項につきましては、特に両方受けられるという表現はしておりませんが、男女という言葉を使っておりませんし、大卒として採用する、あるいは高卒として採用する、短大卒として採用するという言葉だけでございますので、両方受け得るという形になっております。
#28
○小笠原貞子君 それじゃ、両方が受けられるというのであれば、なぜA、B、Cという区分をするんですか。そして受けられると言うならば、なぜ両方にこういう、Aの区分でもCの区分でも受けられると、両方をお出しにならないのですか。男、女という言葉はございません。しかし、私ども実態を調べますと、大卒はAの区分での試験が中心になっております。
 それじゃ伺いますけれども、Cの区分で大卒が試験を受けたということがありますか。そして大卒の試験を受ける人に、このCの区分でこういうのがあるというのをお出しになっていたのですか。
#29
○参考人(萩原雄二郎君) このA、B、Cの採用区分と申しますのは、Aはいわゆる管理監督要員であるということで、事務系、技術系の大卒以上の人を採用するということになっております。また、Bは技術要員でございまして、主として整備部門でございますけれども、そこでは理工系の短大、高専、それから高卒ということで採用しております。また、このCの区分というのはいわゆる実務要員でございまして、営業、運送のサービス要員並びに事務部門の要員ということで、これは高校卒以上、短大、大学と、こういうふうに採用しているわけでございます。したがいまして、このA、B、Cという区分は、それぞれの職務によりまして違いがあるわけでございまして、男女の。区別ではないわけであります。
 一方、大学、高校等には、当社としましてはその男女の差別をつけずに募集しているわけでございますが、実態としてAには大卒の男子が圧倒的に応募者が多い。まれに女性も応募してございます。それからCはほとんど全部が女性だけが受けておる。特にサービス部門につきましてはそういうことが言えるわけでございます。
#30
○小笠原貞子君 それじゃ具体的に、さっさ言ったように、大卒の男女が採用試験を受けたいと言ったときに、AでもCでも受けられるんですよと。両方にこの募集要項みたいなものをお渡しになっていらっしゃるんですか。
#31
○参考人(萩原雄二郎君) 大学にはこちらから採用要項を送りますと、大学でどういうふうに分けているかわかりませんが、実態上、受けにまいりますのが、A区分はほとんど男性でございまして、実際に最近では女性も数名受けることはございますが、実態上そうなっておるということでございます。
#32
○小笠原貞子君 実態がそうなっているんじゃなくて、実態そうせざるを得ないようにおたくの方で女子の大卒に対してはAで受けるということがなかなか困難になってきている。特にCで大卒の方が受けたという事例がありますか、いままでに。
#33
○参考人(萩原雄二郎君) Aに女子が受けたことはございますが、Cに男子が受けたということは実態上ございません。
#34
○小笠原貞子君 いまいろいろおっしゃいましたけれども、実際調べてみますと、男女という言葉はないけれども、ここで具体的にCの部分には男性は受けていない。そして女子が全部ここに、大卒から始まって入っているんです。そして、いまいろいろとうまくおっしゃいましたけれども、実際調べてみると、女子に男性と同じような窓口が開かれていないという実態なんです。だから、そこのところを私は申し上げたわけです。いろいろ言葉でおっしゃるけれども、実態調べるとそういうことは絶対にいまないんです。だから私はここで問題にしているわけでございます。
 地上職員で同時に入社した女性と男性との間にどのような仕事の違いがあるというふうに考えていらっしゃいますか。たとえば、Aの大卒の試験は管理部門というようなことをおっしゃったわけですけれども、それじゃ具体的に言えば、女子についてはそういう管理とかそういうところには能力がないというふうに見ていらっしゃるのか。仕事の上での違いというのはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#35
○参考人(萩原雄二郎君) 先ほど社長からも申し上げましたとおり、男女の間に能力の差がないということについては私どもも十分承知しております。
 しかし、実際上業務としましてどういうものを期待するかということにつきましては、それぞれの業務によって違いがあるわけでございまして、将来会社の管理監督要員になるという人間につきましては、たとえば勤務地につきましても、ある地方の一定の事業所ということだけではなしに、日本全国あるいは海外にも転勤いたしまして、もろもろの業務を経験してもらうということがございますし、また当初は地方所の、特に現業機関に全部配属いたしまして現場を勉強してもらう。しかし、その後管理監督というような仕事についてもらうということを行っているわけでございます。しかし、C採用につきましては、主として実務要員でございますので、現業におけるサービス業務に専念してもらっておるということでございます。
#36
○小笠原貞子君 はからずも初めの方で期待度と申しましょうか、言葉が出たわけですけれども、つまり男性にはいろいろ管理というような職というものは期待できるけれども、婦人の場合にはそういう期待がなかなかできないと。だから、実務要員としてのCの方の区分に入ると、こういうふうになっているわけなんですね。
 時間がございませんので、私、具体的に申し上げたいと思うんです。たとえばAで入ればこういう職場、そしてCで入ればこういう職場というような職場が区別されて、職務職能給によって差が出るということなら私は話がわかるんです。しかし、実態を本当に調べてみたんですよ。御承知だと思います。たくさんの例は挙げません。たとえば営業部門、横浜営業支店でございますが、ここは予約業務を男性一名と女性六名で交代制勤務をとっております。ここは男女同一の業務をやっているわけですね。
 それから営業部門のこれは営業本部国内旅客販売課でございます。昭和五十年に販売強化対策の一環としてセールスレディ制度というのをおつくりになりました。そして、定期的な代理店回り、そして同課のセールスマンと同じようにセールスレディが働いているわけです。これも同じ仕事でございます。ここも全く男女同一業務と言うことができると思うんです。
 また、一般管理部、これは本社の収入管理部でございますが、これは各支店や代理店への請求書の作成、また収入確定を行う等の業務内容で、かつては男性のみで行っていた整理業務も現在は男女一緒になって行っておると。そして人事異動も、女性の後を男性で埋めるなど、これはまさに男女全く同一労働を行っているわけです。
 それから整備部門、これを見ますと、整備本部補給部資材課の設備用資材の受け入れや検収の業務、これまで男性が担当していた仕事でございますが、これが現在では整備用資材の発注計画、在庫整理、月末集計等、女性一名、男性三名のグループで一緒に男女同一の仕事をやっているわけです。
 この人たちが、いま言いましたような例で、同じ仕事をやっているわけです。しかし、入社するときに男子大卒はAの区分で、そして女子大卒はCの区分でというところから、初任給から賃金の差が設けられてきているわけなんですね。
 そうすると、先ほど職務職能給、仕事が違うから差が出てきてもしょうがないという理論はだめなんです。同じ職場でやっているんです。朝田社長、聞いていてくださいね。いま言ったように、同じ仕事をやっているんです。そして、同じ仕事をやっている人が、たとえば男子、女子という言葉はないけれども、AとCで見ますと、初任給で男子は十三万七千八百四十円、女子の場合は十二万五千九百八十九円、その初任給のときから一万一千八百五十一円の差というものがここに出てくるわけでございます。その実態がございます。
 それで、婦人少年局お見えになっていらっしゃると思いますが、これは労働省婦人少年局として、「婦人労働旬間 職場における男女平等をすすめましょう」、大変いいパンフレットで、婦人の皆さんが大変喜んでおりました。ここの3の項の「同一労働における男女同一賃金について」というところに、こう書いてあります。「賃金表について」「昇給について」と書かれているわけでございますけれどもね、この考え方から言うと、まさに同じ職場で同じ仕事をやっているのに、採用のときから、そして初任給からこう区別されているという事態を考えますと、一般的に見て労基法の四条に抵触するおそれがあるというふうに私は見なければならないのではないかと思うんですけれども、御所見を簡単にお伺いしたいと思います。
#37
○説明員(佐藤ギン子君) お答え申し上げます。
 いま先生お示しくださいましたパンフレットは、私ども婦人労働旬間等を中心に一般の労使関係者の方々にもう一度職場の雇用管理について見直していただくためにつくったものでございまして、個別に労働基準法違反であるかどうかということにつきましては、個々別々の検討をしていただかなければなりませんが、一度一応見直しをしていただくための目安としてそういう書き方をしているものでございます。
 したがいまして、いま先生から御指摘がありましたことにつきましては、個別の検討をいたしました上で結論を出すべきものかというふうに考えております。
#38
○小笠原貞子君 こういうふうに、初めのところで差別があるということはもう具体的な事実でございます。
 それだけではないんですね。今度、昇格の問題なんですが、その前に、ちょっと時間がないので簡単にお答えいただきたいんですけれども、この入社試験のA、B、Cの区分というのは、四十九年の七月に労働基準局の指導があってA、B、Cになされたわけですけれども、それ以前はどういうふうに区分されていましたか、簡単に。
#39
○参考人(萩原雄二郎君) それ以前につきましては男女という名前がありました。
#40
○小笠原貞子君 それ以前はまさに男女とはっきり区別していたんです。そして、基準局から調査が入って指摘されて、そして男女という言葉をなくして、やはり日航さんらしくA、B、Cとスマートにアルファベットに変えられた。中身は全く変わってないということをここで指摘しておきたいと思います。
 それから、実際の問題でございますけれども、今度、昇格の問題なんです。実態としてAの入社試験で入社した職員はこれまでだれもいないんです。そして、女子はすべてCで入社しているわけです。そして地上職の場合、男子、女子ともいま言ったように同じ仕事をしていながら昇格については大変困難な状態になってきている。大卒女子の場合は男子と比べて、勤続年数は男子が二職級から三職級に上がりますのに三年ですね、男子は三年なんですよ。ところが、大卒の女子は六年かかるんです、六年。倍かかるんですね。高卒は、男子の場合は七年で済むのが女子の場合は十年かかる。こういうふうに、まさに二職級から三職級への昇格についても、同じ職場で同じ仕事をしていながら女子は倍の時間かかるというような実態が明らかになっているわけです。それでいろいろと申し上げたいけれども、それを申し上げまして私は具体的にまた提示していきたいと思うんです。
 ここに成田空港支店国際旅客第三課の今年一月の一力月間の職員配置表というのがございます。どの仕事にはどういうふうに、だれが組んでいくかという職員の配置表でございます。このSという職場のカウンターサービスでございます。ここの仕事というのは本来四職級の主任が配置されなければならないポストだとおたくの方で決められているわけなんです、四職級の主任が配置される。ところが、この一月の一カ月間の配置表を見ますとね、その下の三職級の女性が早番で七回、遅番で四回、計十一回、そのもう一つ下の、四職級でなければいけないというのにそのもう一つもう一つ下の二職級の女性が早番で六回、遅番で一回、計七回、月にいたしますと十八回も、四職級でやらなければならない主任にかわってその仕事をやっているんですよ。こういうことを具体的に見できますと、いままで何だかんだと言われていたけれども、この職場においても平等の仕事、それ以上に女が働いているという実態があるわけでございます。これは実態でございますから否定はなさらないと思いますけれども、この実態について私たちは調べました。これが実態でございます。大臣も社長もお聞きいただきたいと思います。こういうように同じ以上に仕事をやっているという問題がある。
 同時に問題なのは、女性が男性に比べて、三職級まではさきに述べたような昇格基準で、三年と六年という大きな差別がございますけれども、それ以上、四職級、五職級に上がっていくという昇格はきわめて困難な状態に置かれているわけです。昭和五十四年度の女性の四職級、五職級への昇格率で見ますと、四職級へは男女合わせて四百三十九名が昇格いたしましたが、そのうち女性はわずか二十二名、五%にすぎません。五職級への昇級は男女合わせて二百二十四名が昇格をしておりますが、そのうち女性はわずか二名、一%にも届かないんです。準管理職と言われる主任、係長ポストへの昇格についても、男女の差別が、こんなにひどい数字であらわれるようにはっきりしているわけでございます。こういう実態、この数字、これごらんになって朝田社長どうお思いになりますか。
#41
○参考人(朝田静夫君) ただいま御指摘の数字のとおり、昇格が男子に比べて非常に均衡を失しておるということでございますが、私も決して女子の昇格あるいはその後五職級あるいは進んで管理職、そういったことに対する昇格が十分であるとは、私も率直に考えまして思いません。したがいまして、今後もそういう女子の職員の積極的な活用というものはやっぱり図ってまいらなきゃならないということで、私ども全社について女子の管理職は六名でございます、六名というのは非常に少ないじゃないかということでございますが、今後もそういうものはやっぱり拡大してまいりたい。同時に女子の固有の職場であります客室乗務員の中で、従来は男性にのみ限られておりましたチーフパーサーという職も六名今度四月一日から発令をいたしました。今後ともそういう方向で努力をしてまいりたい、こう思っております。
#42
○小笠原貞子君 おっしゃいましたように、男と女を差別する必要はないというふうにおっしゃった。いまの中で一つ問題は、女に向いた仕事、男に向いた仕事というお考えはまだ残っているように思います。しかし男に向いている、女に向いているという役割り分担の問題というのも、これは男、女で区別、差別ができないんだというのがいま国内の流れであり、国際的な流れであるということを一つ押えていただきたいと思うんです。いまおっしゃいましたように、女も一生懸命にがんばって――怠けていちゃだめ、女も一生懸命がんばれば昇格する見込み、見通しもあるんだ、そういうふうになってほしいという御趣旨のように私、承りました。私もそうだと思います。やっぱり女性自身も一生懸命に努力する必要があると思うんです。しかし幾ら努力をしても女性は昇格できないようになっているというのがこの日航のまた大きな問題なんです。
 これ、おたくの方でお出しになっているんですけれども、ここに東京空港支店の旅客業務課長が昨年の十一月二十七日付で各課長に出した内部通達というのがございます。これは本年の四月一日の昇格をどのように行うか、人事考課のやり方が具体的に書かれているわけなんですね。これを拝見いたしますと、昇格に当たっての点数の配分、つまりおたくの方ではよくメリット枠というような言葉を使っておりますが、点数の配分をあらかじめ男の方の、女の方の、枠というものをこの通達によって上から決められているわけなんですね。つまり男性七十九名に対してこのメリット枠は五十五点、女の方はどうなのか、百四名の女性に対して十五点しか配分がないんです。つまり男の職員には七〇%が昇格できるような枠が上から与えられている。女性にはわずか一四%しかメリットが受けられないというようなことが大枠で初めから上から決められているんですよ。だから、朝田社長が言われたまともな議論、つまり女が努力して能力を発揮すれば昇格できますとおっしゃるけれども、昇格できないような枠がここんところで画然と差別されて、そして抑えられているんですよ。おたくの中身というものはこれが実態なんです。
 このような結果、女性と男性と賃金にどれだけ差があるかというのを見てみますと、これ標準でトータル出してみた。勤続十年の大卒女子は、男子と比べて年間八十万二千五百三十円低いんです。それから高卒女子は、男子に比べると年間百三万一千四百十八円の低さが出てきます。勤続二十年の大卒男女を比べますと、二百七十八万六千九百九十四円という差が出てくるわけですわ。こういうふうに具体的に私は申し上げたわけなんです。初めから差別されて、そして職場の中で差別されて、がんばっても昇格ができないような枠が上から決められて抑えられている、こういう昇格基準が設けられている。この昇格基準というのは、これは改めていただかなければならないと思うんでございます。
 運輸大臣、いままで私、具体的に申し上げました。天下の日航でございます。国際的な感覚を持って処理されるべく、この日航にして、まさに私に言わせれば、驚くべき前近代的な感覚でこういう差別をされているわけですね。お聞きになっていていかがですか。大臣の御感想を伺いたいと思います。
#43
○国務大臣(塩川正十郎君) 日本航空も逐年男女の差別撤廃ということで努力しておることは先ほど答弁でも申しておりますし、また朝田社長も今後一層の改善を図りたいと言っておりますので、これは企業の問題として私たちもぜひその方向に積極的に進んでもらいたいと思っております。しかし、なかなかこれ一朝にしてできにくいこともやっぱりあるんだろうと思っておりますが、これからもそういういままでの社会的な習慣だとか、そういうことを勇敢に突き破って、できるだけ企業内が円満に、しかも活力を十分に利用できる方向で、男女間格差でございますか、これの解消に努力してくれることを希望いたします。
#44
○小笠原貞子君 私申し上げたのはすべて実態でございます、現時点の実態でございます。こういう問題について私、婦人少年局のさっきお答えがございました。これは具体的な問題としてまた御答弁いただかなければならないと思うんですけれども、労働省の基準局の方にお伺いしたいと思うわけでございますが、いま私は実態でこういう事実を出しました。もしもこの実態の中で悩んでいるこの方たちがおたくの方に、ぜひ私の職場の状態を聞いてくれと、そして改善指導してくれというようなことがあれば、当然事情調査をしていただけると思うんですけれども、いかがでございますか。
#45
○説明員(岡部晃三君) 日本航空におきます男女賃金差の問題につきましては、先ほど先生からお話がございましたように、昭和四十八年、四十九年当時申し立てがございまして、所轄の労働基準監督署におきましてそれを契機に調査を実施いたしまして、賃金制度に関し不明確な点につきましては改善するように指導を行ったところでございます。本件につきましては、所要の改善が図られたものと理解しておるわけでございますが、その後におきましてまた新たにこの労働基準法に違反する事実があり、その旨の申告が所轄の監督署になされました場合には、当該申告労働者から十分に状況を聴取いたしまして、必要があると認められる場合には所要の調査等を実施する所存でございます。
#46
○小笠原貞子君 具体的事実、一度勧告をなすった、だけど、内容は変わっていません。いま申し上げましたように、四十八年のあのとき以来中身変わっていない。だから私は、ぜひ申し出があった場合には調査していただきたい。その場合には調査はするとおっしゃっていただきましたので、ぜひ具体的な事情を調査して善処させていただきたいと思います。そして日本航空の皆さんの考え方、頭ね、相当切りかえてもらわなきゃこれはもうなかなかだめですね。一回や二回の勧告じゃ効きませんわ、これもう重病になっていますからね。しっかりお願いしたいと思います。
 もう時間もございませんので、最後に一問お伺いしたいと思いますけれども、障害者に対する雇用の問題でございますけれども、御承知のように民間会社は一・五%と、そして官公庁などは一・九ということで非常に努力されているわけです。そして計画もつくり、年次計画を進めていらっしゃるわけでございますが、時間がございませんので私の方で申し上げますと、身障者の雇用計画をお立てになっています。現在で、八一年で申しますと百名の計画を立てていらっしゃるけれども、雇用したのは八名です。七九、八〇、八一年で百九十名の計画に対して二十一名しか雇用されておりません。雇用率は幾らかというと〇・二九%なの。大臣、聞いてください。日本航空の障害者雇用率は〇・二九%なんです。これはちょっとひどすぎると思うんですね。
 この間、衆議院の方で朝田社長がいろいろと努力をしていると、そしてリハビリの方の設備も充実させていると、こうおっしゃったわけでございます。しかし、私はリハビリだけではないと思うんですよ。障害を持った方たちも能力があって、現実に官庁なんかでも、ある職場でもりっぱにやっているわけですから。現実に予約部門でおたくでお使いになっていらっしゃいます。営業部門の市内支店でも、一般管理部門でも、整備部門の中でも、現在三十四名の身障者のうち十名が整備部門でも働いているわけですよね。だから私は、日航の全職場を洗い直したときに、障害者の方たちができる仕事がたくさんあると思うんです。できないのはなぜかと、それは車いすなら車いすがその事務所に入らないような設計になっていたり、そしてまたスマートな職場である、障害者の方たちがコンプレックスを持つようなそういう会社の体質がある。これも大いに直してもらいたい。社内教育を徹底してもらいたい。障害者に対する偏見をなくしてもらいたい。
 そうして、具体的にリハビリに力を入れていると、この前衆議院運輸委員会の答弁で充実したとおっしゃったんです、朝田社長。充実したとおっしゃれますか。
 私調べてみました。羽田には整形医が三名配置されています。そして身障者のマッサージ師一名です。羽田だけでなく成田、福岡、大阪にリハビリ施設を設けてマッサージ師としての身障者を雇用すれば、これは障害者の雇用の道が開ける。そしてまた、おたくの方では腰痛症というのが非常にふえているわけですよね。腰痛症の人がふえているけれども、なかなかそこへ行っては指圧もしてもらえないと、こういうことになっているわけでございましょう。そうすると、この間の衆議院で充実したなどとおっしゃれる筋合いのものではない。充実しなければ、これからしなければならないという段階ですよ。それからまた、おたくの下請のAGS――エアポート・グランドサービス、ここのところでも腰痛症が激増して大きな問題になっているわけでしょう。親会社としてこれもっとやらなければならない、リハビリ施設など拡充してもらわなければならないというようなことを私は具体的に提起をいたします。〇・二九%などというものは余りにもひどい数字ではないかと、私はそう思うわけなんでございます。社長の御決意のほどを伺いたい。
 そして、そういう日航の体質でございますから、基準局の方も、そして大臣としても、これにしっかりと目を向けておいていただきたい。そして、この次私また質問いたします。それまでにどれだけ改善されたかという具体的な改善を私は実行していただきたい。社長と大臣との御決意を伺って終わりたいと思います。
#47
○参考人(朝田静夫君) 〇・二九%という率は非常に低いということは私どもも自覚いたしております。ただ、これが私どもの企業の体質からくるものだとは、私は必ずしもそう思っておりません。元来、運航乗務員だとか客室乗務員だとかいう身体障害者には非常に困難な職場がございます。それら全部合わせますと、先生篤ともう御承知のことだと思いますけれども、三六%を占めております。ことに整備の要員を含めますと四八%、その他の空港業務で発着時に立ち回り作業を行っておる者を含めますと五〇%にもなろうかと。ことに交代制勤務というものが大部分でございます。したがいまして、そういうような勤務の形態、あるいは成田と羽田の二つの基地を持っておりますから、通勤上の問題もございます。そういう当社の業務と勤務形態の特殊性からきておるのでありまして、体質からきておるものでは私はないと思っておりますが、もし体質からきておるものが、必ずしも全部否定するつもりはございませんが、もしそういうものがありますれば十分反省をいたしまして、この〇・二九%の雇用率をもっと高めてまいりたい、こういうふうに考えております。
#48
○国務大臣(塩川正十郎君) 交通機関従事者というのは全般的になかなか勤務の激しい、移動の激しい仕事でございますので、それだけにできるだけサービス部門とか管理部門、そういう部門においての配慮をこれからも努めてもらうように私の方からも要請してまいりたいと思っております。
#49
○小笠原貞子君 やる気を起こしてくださいね、本当に。そんなに無理なことを言っていないんですよ。やる気になれば何ぼでもできるんです。
#50
○柳澤錬造君 今回のこの法改正というのは、日本航空が企業体として一本立ちすることだと思うんです。このナショナルキャリアとしての民間会社の活力を発揮をしていくんだというところに趣旨があるんです。私はそういう意味からは賛成をしてまいりたいと思います。
 しかし、それについて若干の点でやはり御質問しておかなくちゃいけないし、細かい数字のことはさておきまして、まず社長に、そういう趣旨にのっとって経営をなさっていくだけの自信をお持ちですかどうですかということからまずお聞きをしてまいります。
#51
○参考人(朝田静夫君) 第二次石油危機のさなかにありまして経営環境が非常に厳しいところでございますが、日航改正法案に盛り込まれておりますように、財政再建にいささかでもお役に立ちたい、そして、私ども今日世界で第三番目の航空企業に成長させていただきましたもので、それに対する報恩と感謝の念を経営の上においてこれをあらわしたい、そういう意味におきまして大変厳しい環境でございますが、政府の株にも平等に、民間株と同様に配当をしてまいりたい。補助金の条項につきましても、そういうものに頼らない姿勢でまいりたいということでございまして、この改正法案によって自主性を拡大していただくと同時に、私どもの経営の責任は倍加した、こういうふうに考えております。
#52
○柳澤錬造君 そういう点に立ちまして、これは社長さんでなくて担当の常務さんの方でよろしいんですが、私は、この日本航空という企業が経営が安定してやっていけるというためには、次の三つの点が大事なポイントになると思うんです。
 第一は経営基盤の安定化ということだし、二番目が安全運航の徹底化であり、三番目に労使関係の正常化という点だと思うんです。
 そこでお聞きしたいことは、五十四年度の決算を私は見ました。営業収益が五千六百八十四億五千七百万円上げているわけです。営業利益がわずかに二億八千八百万、〇・〇五%なんですね。そして経常利益の方にしても、三億九千二百万で〇・〇七%、言うなら、その中の大きなのは支払い利息で百二十八億二千四百万も払っている。営業収益の二・二五%が支払い利息で払っている。もうこうなると、私なりに見まして、企業経営としては赤信号までいかないけれども、もう黄信号だと。ですから、これではどうにもならないと思うんですけれども、その辺どういうお考えを持っているのか、改善するだけの見通しをお持ちなのかどうかということです。経理担当常務さんいるでしょう。
#53
○参考人(後藤達太君) 先生御指摘の五十四年度の決算につきましては御指摘のような数字でございます。
 ただ、私ども考えてみますに、五十四年度は当初から第二次の石油ショックが始まった年でございまして、当時は燃料費が急騰をいたしました。この年度は燃料費がほぼ倍以上に急騰いたしました。航空会社としまして、非常に経営のむずかしい時期に際会をいたしたわけでございます。しかし、社内で経営努力を一致して進めまして、経常段階でも収益を出したところでございますが、しかし今後におきましても、その後燃油費も落ちついてまいっております。したがいまして、社内で一層の努力をすることによりましてその経営はより向上をすることを私ども期待をいたしておりまして、その方向に努力をいたしておるところでございます。たとえて、その努力をどういうところに努力をするかということを言わせていただきますると、一つには販売面でセールスマインドを一層高揚いたしまして収益力を上げていく、こういう努力をしなければならないと存じます。
 また先生御指摘の経費面につきましても、特に間接経費等につきましてはこれはもう最大限に節約をする努力を進めてまいるということをいたしております。特に五十四年度におきまして社内で経営強化委員会というようなものを組織をいたしまして、全社を挙げましてその努力をいたしておるところでございます。それからまた今後の問題につきましては、設備投資等もやはり極力必要最小限に抑えてまいる。先ほど負債の利子がかなり多くなっているんじゃないかという御指摘をいただきましたが、そういうところも、たとえば設備投資につきまして、その必要の抑制に努力をしてまいるということでございます。また客況に応じまして高収益路線につきましては増便をしてお客様の便宜にこたえるということと同時に、非常にお客様の減っておりますようなところはこれはナショナルキャリアとしまして必要な路線は維持をいたしますけれども、しかし、便数を合理的にしていくというようなことも考えてまいっております。
 したがいまして、その結果、本年度におきましてはまだ決算が終了いたしておりませんけれども、しかし、五十四年度よりは向上をしてまいるということの見込みを立てておるところでございまして、今後もいろいろと経営努力を重ねまして経営基盤を強化してまいりたいということが社内全員の一致した念願でございます。
#54
○柳澤錬造君 私があえて経理担当常務さんにつてお答えを求めたのはそこなんですが、努力努力という言葉がたくさん出てきて、それは当然なことであって、それでは答弁にならないし、それから五十五年度は向上してますと言ってももう四月のいまは十四日です。正式な決算報告の細かいなにはでき上がらなくても、経理担当の常務さんならば、もう三月末の時点でもって大体おおよそどの辺の利益が出てどういうことでやれるぐらいのことはおつかみになってなければおかしなことであって、何だかんだ言っても、この五十四年度は、私が気になるのは、五十一億八千三百万という同定資産の売却をなさった。恐らく飛行機を売ったんだと思うんです、五十一億ですから。そうして税引前の当期利益で四十八億六千六百万の利益を出して何とかしのいでいるわけです。
 さっきも言いましたように、確かにこの第二次の石油ショック後だったかわからぬけれども、これは企業体として私が診断すればただごとではない。この状態から石油ショックがあったなんということだけでは済まされない状態で、そうして今度、先ほど社長も言われたように、政府の持ち株にも配当いたしますといって、そのためには百四十億の利益を出さなくちゃいけない。どうやってそこまで到達ができるのかということなんで、その辺で、細かい数字の点は結構ですから、努力努力でなくて、もうちょっと何かその点の見通しといいますか展望を、こういう点で私たちは展望を持っているんです、いけるんですというそういうものの何か確信をお持ちならお答えいただきたいと思うんです。
#55
○参考人(朝田静夫君) 大変御指摘のポイントはむずかしいし、また今後努力をしてまいらなければならぬという点でございますけれども、私どもは、五十六年度は収入を七千七百億円と、こう踏んでおります。そのときに、非常に利用予測というものは経済指標その他の相関関係から出しますけれども、大変低目に見ておる、控え目控え目に見ておるということで、きわめてコンサバティブな見通しの上に立って七千七百億の収入を予定をいたしておりまして、支出の費用の方は七千五百六十億を予定をいたしておるようなわけでございます。
 それは主にいま後藤常務から申し上げましたように、極力セールスマインドを全社で高揚して販売増強努力をやると、これは当然のことでございますが、設備投資をできるだけ圧縮をしてまいりたい。したがいまして、営業外費用というようなものの、先生御指摘の数字もできる限りこれを抑えてまいりたい。収益力を高めてまいります上で、路線便数計画をきわめて収益の高いものに重点を置いていきたい。
 かといって、ナショナルキャリアでございますから、需要というものをネグレクトして収益性ばかりを強調するつもりは毛頭ございませんけれども、そういう公衆の利便を維持しながら、十分配慮しながら輸送力の増強につきましても、具体的に路線便数計画を実態に合った、そして収益力の向上に資するようなものに対してやってまいりたい。まあ収益性の高い路線と申しますと、中国線、シドニー線あるいはウエストコースト・ロサンゼルス線、こういうようなところでございまして、どちらかといいますと需要の低迷をいたしておりますところは、シベリアのモスコー線あるいは政情不安の韓国線、こういうものをうまく調整をしてまいりまして、弾力的に機動的に路線便数計画を実行してまいりたい、こういうふうに考えております。
#56
○柳澤錬造君 同時に、社長、日本航空だからそれは航空輸送が旅客なり貨物なりを運ぶのが主だということはわかるんですけれども、あれだけの大きな企業体が動いていくんですから、それに関連をしたいろいろの企業というものが存在できると思うんです。ですから、やっぱり相当大きな企業というのがみんないろいろうまくやれるというのは、そういう関連企業を自分の周りにうまく配置をして、そうしてその辺の関係を効率よく動かしていくというところに総合的な利益が上がってくるんで、その辺のやり方というのはうまくやれているんですか。
 国鉄がもうここまで来て、いまもう破産寸前で再建に取り組んでいるんだけれども、やっぱり国鉄というのは、物を運ぶだけにさせておったところに私鉄と国鉄の違いが私は出てきちゃったと思う。だから、国鉄だってもうちょっと、何でもかんでも商売しちゃっちゃいかぬけれども、そういう輸送に関連していろいろなことを、私鉄なんかにやらせるようなことを国鉄にもやらしておったら、今日あれだけの騒ぎをしなくてよかったと。
 だから、そういう点でもって、日本航空の場合もそういうふうないろいろ関連企業というものを自分の周りに置いて、そうしてうまく効率を上げて全体的の収益率、利益を上げていくという、そういうことについてはお考えはどうなんでしょう。
#57
○参考人(朝田静夫君) まさに御指摘のとおりでございまして、私どもは航空輸送産業というものだけでまいるというのにはひとつ限界がありますし、航空輸送産業そのものも進展をする上において限界があると思いますから、私どもは航空輸送産業を中核といたしまして、今後とも関連企業を含めた日本航空のグループ、企業グループというものの活性化を図ってまいりたいと、こういうふうに考えておりますが、一層の収支改善というものと、安定経営の確立にこういう関連企業の強化あるいは活性化を通じてそういうことの努力を続けてまいりたい、こう思っております。
#58
○柳澤錬造君 具体的なことはよろしいですから、本気になってお取り組みをいただきたいと思います。そうでないと、後でまた労使関係のことも聞きたいと思いますけれども、日本航空で働いている人たち全部がこれは泣くことになるんですからね。私から言わしたならば、支払い利息をもう二・二五%も払うなんということになるならば、経理担当重役はじっとしておれないと思う。社長さんまで責任とってやめろということにはならぬと思いますけれども、経理を担当している重役さんとしたら、とてもでないけれども、もうこれだけの金利を払うようなことでは経理担当常務として責任持てませんと言って辞表をお書きになるぐらいの決意が持たれなかったら、私は企業なんというものは成り立つもんでないと思うんです。
 その辺の点はまたいろいろやっていただくことにして、それで次に、先ほど言った二番目の問題点は、航空産業ですから、やっぱり安全運航の徹底、日本航空はジャンボの運航では世界のどこの会社にも負けないだけの大変いい成績を上げているということはいろいろなものを読んで私も知っているんですけれども、安全率とかあるいは事故の発生がどの程度起きているとか、そういう細かいことは知りませんので、いまの主要な世界の航空会社と――先ほども世界で三番目の日本航空になったというんですから、そういう世界の主要な大手の会社と比較して安全率、そういうものはどの辺の水準にあるんですか。
#59
○参考人(朝田静夫君) ICAOの統計で申しますと、最近十年間の旅客死亡事故発生率、これは全世界平均で四十五万飛行時間当たり一件でございます。同じその期間で、私どもの方の旅客死亡事故発生率は六十二万飛行時間当たり一件になっております。五十二年の九月にまことに申しわけのないクアラルンプール事故を引き起こしまして、それ以降三年六カ月の間は幸いにして無事故を続けております。したがいまして、有償運航時間で申し上げますと、それ以後八十七万飛行時間に達しております。
#60
○柳澤錬造君 そうすると、いまの世界の平均から見ればはるかにいい成績でもって、事故が少なく飛んでいるんだということですから、もうその点それ以上お聞きいたしません。
 三番目の点は、労使関係の正常化の問題でお聞きをしていきたいと思うんです。
 皆さん方にこういうことを言うことは釈迦に説法かと思うんですけれども、私が外から見ておって、日本航空の労使関係というものはよくないと思うんです。労働者と経営者というのは、これは立場が異なるというか、相反する立場にあるんだということは、これはもうだれもが御存じのとおりなんです。ただ違っておっても、それは企業体の枠内でしか存在できないんだよということを労使がはっきり認識しているかどうかなんですね。立場が違うからいろいろとそこに意見が違い、場合によると争議にもなっていく。しかし、企業体という枠内をはみ出しては何もできないんだという、企業体そのものがつぶれていってしまったら、労使そのものが存在をしないんですから、その辺の関係が十分理解されて日本航空の労使はお取り組みになっているんだろうかどうか。きょうは片側しかいらっしゃらないから、なんですけれども、そこのところを私少し皆さん方からも聞いてみたい。
 私たちはよく言うんですが、労働組合は経営者の鏡だと言うんです。労働組合のあり方というのは、よくないということは、そういうよくないような状態を経営側がつくっているんだということが、これはよく一般にも言われているんですけれども、そういう点に立ちまして、背きん方がどういうお考えを持っているかということ。そして組合が複数に存在していることも私もこれは存じております。どのくらいの組織人員で存在をしているのか。それからストライキというものが皆さん方のところはやはりよく行われるんですけれども、昨年なら昨年一年間にストライキをやられた日数というものは何日ぐらいおありになるんですかということをお聞きをしていきたいと思います。
#61
○参考人(朝田静夫君) 昭和五十五年、暦年で申し上げますと、ただいまお尋ねのストライキの日数は乗員組合が二日でございます。客室乗員組合が二日でございます。これは五十五年の暦年で申し上げましたので大変件数が、幸いにして日にちも少なくなっておりますが、五十四年におきましては、乗員組合が八日で客室乗員組合が七日と、こういうことになっております。損害額につきましては、五十五年の暦年におきましては八億六千万円の収入の減少に相なったと、こういうことでございます。
#62
○柳澤錬造君 二日というのはどういう計算なんですか。この指名ストでもってほとんど一年、もう三百六十五日と言ってもいいほどに毎日のように指名ストをやっているんだといって、何かあれ、週刊誌で前に私読んだことがあるんですけれども、その辺はそうじゃないんですか。
#63
○参考人(朝田静夫君) 私はその辺を落としましたが、個々人のベースでの指名ストというものは確かに御指摘のとおりでございまして、その概要を申し上げますと、昭和五十五年一月から十二月までの暦年で、指名ストは運航乗員組合が百六十六人日、一日平均〇・五人と、こういうことでございます。客室乗員組合は二千四百六十六人時数、一日平均七人。日航労組が二万四千十八人時間、これは時間でございまして、一日平均所定の労働時間を七時間三十分として人日に換算をいたしますと三千二百人日、すべて一日平均で申し上げますと九人程度になっていると、こういうことでございます。
#64
○柳澤錬造君 ほとんど年がら年じゅう争議が行われているということだと思うんですけれども、そういう状態でもって労使関係は、労使関係はというよりか――労務担当の常務さん、きょうおいでいただいているはずなんですから、その辺をどういうお取り組みをなさっているのかどうか、御見解をお聞きしたいと思うんです。
#65
○参考人(萩原雄二郎君) 先ほど先生の御質問の中にございました日本航空の各組合が企業内において意識を持っておるか、ともに会社の一員であるという意識を持っているかということにつきましては、私どもも団体交渉等におきまして、そのことは労使の間におきましていろいろディスカッションがされておりまして、私は日本航空のすべての組合が、日本航空の中におきまして日本航空の会社の基盤をしっかりさせて、そして自分たちも一緒に会社を繁栄させていこうという気持ちを持っていることについては疑いを持っておりません。
 それではなぜそのように労使関係が不安定なのかということにつきましてはいろいろ問題がございまして、かつて日本航空におきまして昭和三十年代の後半に非常に過激な組合運動が発生いたしまして、そこからストライキが多発するようになり、かつ、その結果そういうストライキを多発する組合の運動路線にはついていけないと、これでは会社が成り立たないという危機感から組合とたもとを分かって独立すると、分離するという人たちが多数出まして、いわゆる分裂ということになったわけでありますが、そういう激しい労働運動の後遺症とも言うべきものが地上あるいは乗員、客室乗員とそれぞれのところに発生しておりまして、それがなかなか今日克服し切れていないという問題があるわけでございます。そういうことから、われわれとしましては、経営と労働側がともに信頼し合って、信頼感を回復して安定した労使関係を築きたいというふうに考えて努力しているところでございます。
#66
○柳澤錬造君 ストライキやるのは労働組合の方ですから、それを常務さんを責めたってどうしようもないと思うんだけれども、ほとんど一年じゅう、のべつ幕なしだれかがストライキをやっている、労使の間が争議状態にあるなんということは、いま日本の中でどうなんでしょう、日本航空含めまして十もあるかどうかでしょう。言うならば、昭和二十年代のちょうど争議と同じようなことがいま日本航空の中で行われているんであって、そういう点について経営側の方も、そういうことであっては企業が成り立たないんだということを本気にお考えになってお取り組みになっているかどうかという点が私には疑問に感じられるんです。信賞必罰がきちんといっているのかどうか。国鉄がああいうルーズになっちゃうのも信賞必罰がきちんとしてないから今日のああいう国鉄ができ上がっちゃったわけだ。
 問題は、ですから、そういう点について、ストライキの権利は労働組合が持ってやることなんですから、皆さん方がやめろと言うわけにはいかない。しかしながら、経営者としてのそこにきちんとした姿勢がないからそういう結果になるんであって、その辺についてのお考えといいますか、私は労務担当常務としてのやっぱり決断といいましょうか、これから労使関係を正常化するためにどういうことをおやりになろうとお考えになっているか、少しお聞かせをいただきたいと思うんです。
#67
○参考人(萩原雄二郎君) 先生御指摘の一年じゅうストライキをやっているということにつきまして多少御説明申し上げますと、先ほど社長から申されましたとおり、運航に影響のあるストライキというものは五十五暦年の中には二日だけであったわけでありますが、それ以外に、先ほどの指名ストの場合にやはり一番大きな問題になりますのは、恐らく週刊誌で取り上げましたのは客乗組合の指名ストであろうかと思います。先ほど申し上げたとおり、一日平均七人程度が指名ストに入っておるということでありますが、これは一応スト権をかけた要求項目の貫徹のためにそういう人員をストに入れているんであるということでありますが、実際には直接スト権をかけた項目の要求のためにということよりも、実態的にはやはり組織の拡大あるいは維持ということで、客乗組合が五十年に分裂いたしまして、客乗職種をめぐって二つの組合があるために、組織を大きくするために、あるいはまた防衛するために、労使間の組織拡大のための闘争に実際上はそういう人員が投入されているということであります。
 このことは、そもそも労使間の問題であるよりも労労間の問題であるというふうに私どもは考えているのでありますが、しかし、やはり先生御指摘のとおり、労労間の問題というのも労使間の問題がきちっとしないとそういうことになるんだということについては十分認識しておりますので、二つの組合が存在することは大変不幸でありますが、会社としましては二つの組合とも労使の安定化に努力すべきであるというふうに考えてやっているところでございます。
#68
○柳澤錬造君 組織の拡大のためのストライキなんて私はないと思うんです。ストライキやったらノーワーク、ノーペイで賃金カットされるわけでしょう。賃金要求なり一時金の要求なり、そういうものを掲げてストライキというのは、これじゃ少ないからもっと銭よこせと言ってやることはあったってわかるわけです。労労間の関係の組織拡大でストライキをやって賃金カットをされるなんて、そんなことは幾ら労働組合おかしな組合だからってやるわけないんで、経営側がそういう認識でもってストライキというものをながめているから私は問題が片がつかないと思う。
 で、そういう意味でもって、こういう事件が起きるのも経営側のやはりある意味においては責任だと思うのは、新聞に書かれました「日航゛夜のホステス゛騒動」といって、スチュワーデスがアルバイトでもってホステスのことをやっておったり、しかも私はこれ見てびっくりしたんですけれども、腰痛回復のリハビリテーションを受けているはずのスチュワーデスが二人もその中に含まれておった。このスチュワーデスの皆さん方というのは、会社として給料どのくらいお支払いになっていたんですか。そしてこの事件についてどういう扱いをなさったんですか。
#69
○参考人(朝田静夫君) ただいま御指摘の事件は、まことに残念に存じますとともに大変私どもも衝撃を受けております。
 後始末をどうしたかということでございますが、懲戒委員会を三月十九日と三月三十日に開催をいたしまして、本件に関して処分を決定をいたし、その懲戒委員会の答申に基づきまして会社としての処分をいたしておるわけでございますが、会社の就業規則違反という立場から厳重に対処いたすことになりました。客室乗務員九人のうち六人につきましては停職、出勤停止という懲戒処分を実施いたしました。副操縦士とそれから客室乗務員の三人は、本人も責任を感じまして退職願いが出されましたのでこれを受理することといたしました。
 以上でございます。
#70
○柳澤錬造君 給料は。給料幾ら払っていたんですか。
#71
○参考人(萩原雄二郎君) 客室乗務員の場合には、たとえば二十二歳時点で乗務五年目で大体二十二万六千円ぐらいの給料になっております。
#72
○柳澤錬造君 二十二歳で二十三万六千円と言えば、普通の会社じゃとてもじゃないけれども手にすることのできない高給だと思うんですね。ですから、アルバイトか何か内職しなければやっていかれないということではないんであって、それだけの高給を会社からもらっているスチュワーデスの方たちがそういうふうなことをやるということ、私から言わせれば、その細かい背景はよくわかりませんけれども、会社の中の一つの秩序というものが乱れていると思うんです。従業員は、それは管理職であろうが組合員であろうが、どういう地位におろうが、その会社の中の秩序がきちんとしておれば、みんなそれなりにちゃんとして働くことであって、そういうふうなことの出てくるような点がやっぱり日本航空の会社の中にあったんだということは、これは私は会社の幹部の皆さん方が御反省をなさらなかったならば、今後もそういう事故は起きるだろうし、改まらないと思うんです。
 それから、企業の中で何もがりがり働いて生産を上げて利益を上げるということだけではなくて、何といいましょうか、企業体意識というものをみんながやっぱりお持ちになって、そして生産性も上げていくということもお取り組みになるということをなさらぬと、私は企業というものは成り立たなくなっちゃうと思うんです。それが恐らくやられてないから、冒頭申し上げましたようなああいう経営数値しか出てこないんだと思うんです。で、会社の幹部の皆さん方がその辺をどういうふうにお考えになっているのか。
 よく私があっちこっちで気がつくんですけれども、生産性を向上するということと労働強化とは全くこれは違うことなんです。ところが、会社の幹部自身がその違いというものの区別がつかなくていろいろお取り組みをなさるから、労働組合が反発をして生産性向上反対だというようなことを言うわけなんです。生産性を向上するということは労働強化じゃないんです。その辺のところを日本航空の会社の幹部の皆さん方はどういうふうにお持ちになっているんでしょうか。
 それは社長さんでなくて、さっきから、私が経理の問題でも何でも聞くと、どうして常務さんたちはきちんと立って御答弁なさらないんですか。直接の自分たちの仕事のことなんですから、まずそれについて自分で答弁をして、それで最終的にそれは社長さんに御答弁いただくのはいいですけれども、担当の常務さん答えてくださいよ。
#73
○参考人(萩原雄二郎君) 当社におきましても生産性向上につきましてはかねてから大変に努力しているところでございまして、当社の生産性そのものは、航空会社でとりますと、すでにヨーロッパを凌駕する水準に達しておりまして、年々、有効トンキロ生産性、有償トンキロ生産性、こういうもので航空会社の生産性をはかっているわけでございますが、着実に向上いたしまして、一応満足すべき成果を上げつつあるとわれわれは考えております。
#74
○柳澤錬造君 時間がないからもうその点は申し上げませんが、いま萩原常務のお話聞いておっても、常務自身がそういうふうなヨーロッパを凌駕してなんていうふうな判断の中に、私はやっぱりいわゆる労働強化的な意味での御判断を若干かお持ちだと思うんですよ。どうかそこのところは、きょうはもう時間がない点でそれ以上お聞きしていくわけにはいかないんだけれども、生産性を向上させるということと労働強化をさせるということは全く違うんでして、いかに楽をしてよけい生産を上げていくかという、そこに生産性向上の意義があり運動の意義があるんですということを、そういうことを説いていったら労働組合は反対するわけはないんですから。それをあなた方が何とか馬車馬みたいにだんだかだんだか働かせて、そうして生産を上げる、利益を上げるというところに、どこか皆さん方の中にもそういうものの共通したお考えがあるんじゃないかと思うので、その点はどうか会社の幹部から改めるようにしていただきたいと思います。
 時間がございませんので、あと大臣の方にお聞きをしていきたいんですが、これももう細かいことでなくて、日本航空一本立ちをしていくということ、先ほどから言うとおり、いまのような経営数値からいきますと大変なことだと思うんです。いままでは政府の方がいろいろの助成ということをやられてきたことが今度はだんだん手を引いて、そして、お前たちもう一本立ちしてやれということにこの法改正でなるんですから、そうは言いましても、現在の持ち株を簡単に手放すようなことになったらこれは私は大変なことだと思うし、だから、その辺についてお考えだけお聞きすればいいですから。そうは言っても、やっぱりナショナルキャリアとしてなにしていくように、運輸省としてもそれなりの援助というか、めんどうを見ていくという考えには変わりはないのだという、そういうお考えがあるかどうかということをお聞きしておきます。
#75
○国務大臣(塩川正十郎君) この法案を提出いたしましたそのときに、趣旨説明の中で申し上げましたのでありますが、当面の国際情勢は非常に航空会社にとっては厳しい。特に、これからの需要の伸びというものはそう大きいものは期待できないと思うのでございます。ところが一方、非常に厳しい合理化を要請されておる半面、また競争は一段と激化してきております。そこで、そういう中で、どのような航空政策をとるかということでございますが、一応われわれといたしましては、いわゆる四十五年、四十七年体制と申しましょうか、その体制の中においてここしばらくの間日本航空株式会社の発展をせしめていく方法を考えるべきだと、こう思っております。
 同時に、ナショナルキャリアといたしまして日々更新もしていかなきゃならぬものもございますしいたしますので、その設備投資を非常に合理的にやってもらいたい。そして機材使用のいわば効率化というものを一層努力してもらいたい、こういうこと等につき、われわれも協力してまいりたいと思っております。
#76
○柳澤錬造君 それから運輸大臣、これは五十四年の四月の二十四日のこの委員会で、自民党の井上吉夫委員の方から出された成出−鹿児島−香港便、成田から鹿児島の間は空席は利用さしたらどうかと言って、時の運輸大臣が、まあ航空会社の幹部ももう少し頭の切りかえをしてもらわなければ困るのだ、そういう意味のことを言って前向きに検討するということが答弁があったんですが、もう二年になるので、その辺について運輸省の方でどういうふうになったかお聞きしたいんですが。
#77
○政府委員(松井和治君) ただいま先生御指摘のいわゆるフィル・アップ・ライトの問題でございます。これは御指摘のように、国際線を運営するに当たりまして、その国際線が国内の二地点間を結んで国際線に飛んでいくという場合のその国内区間について、国際線客と同時に国内線のお客も乗せるという問題でございます。この問題は、国際線の客と国内線の客を同時に乗せるといういわば新しい問題でございまして、前の国会で大臣がただいま御指摘の答弁をいたしまして以来、外部の有識者の方の意見を聞いて判断をしたいということで、実は昨年、大臣の私的の諮問機関と申しますか、懇談会をつくりまして、まず第一にどの問題から取り上げるかということで御協議申し上げましたところ、御承知の本年四月に開催されました日米航空交渉を踏まえまして、そのために、とりあえず国際チャーター問題についての日本側の考え方をはっきりしようというところから実は問題が入りまして、昨年はそちらの方の検討に時間を費やしまして、ことしの一月に実はその結論を出していただいたわけでございまして、それ以来、実は事務的な都合によりまして、若干その懇談会の開催が中断いたしておりますが、近くその懇談会を再開いたしまして、このフィル・アップ・ライト問題について御審議を願う予定にいたしております。
#78
○柳澤錬造君 時間もないので、大臣ね、きょうは日本航空の法律の問題やっているんだから、なんだけれども、やっぱり日本航空と全日空の関係、これは運輸大臣の方でうまくコントロールしていかなければいけないのであって、省エネルギーとかいろいろ言われているときに、いまのように幹線である、ローカル線である、いろいろいままでのそういう約束事もあったと思うんです。しかし、先ほどからお話があるように、やっぱりいろいろ情勢が変わってくるんですから、今日の情勢の中で、そういう問題についてもどういうふうに結論を出していくか。で、いま航空局長は懇談会を持ってと、それも私結構だと思うんです。しかし、二年たってもまだそういうものの結論が出ない。そして懇談会の意見を聞くこともいいんだけれども、監督官庁運輸省として、そういう問題についてどういうふうにするかといって、そういうお考えを持って関係の方に聞くのもいいと思うんですが、やっぱり監督官庁は監督官庁なりにそういう問題について答えをお出しをいただいて、それで調整をとられるような方向で進んでいただきたいと思うので、その辺については大臣、どうお考えになりますか。
#79
○国務大臣(塩川正十郎君) 昨年の秋に航空懇談会を開催いたしまして、そのときに実は国際チャーター便の問題と、これと同時に審議していただこうとしておったんですけれども、時間的な余裕がなかったものでございますので、チャーター便の方が結論出まして、今度はこちらの問題を結論を出していただく、できるだけ早くやって、早く結論を出していただくようにいたしたいと思っております。
#80
○柳澤錬造君 できるだけ早くやることにしてお取り組みいただきたいと思います。時間がないから、もうそれ以上聞きません。
 最後に、今度は社長にもう一回、いろいろずうっといま日本航空としての再建といいますか、やっていく三つの点がありますと言って、経営数値や安全運航、労働関係といって私がお聞きをしてきたんですが、そういうものを社長お聞きになりまして、もう一度、日本航空の会社というものをやっていく上について、この法案が通って、その百四十億からの利益を出して、きちんと配当もやりますということについて、確信が持てたんですか、どうですか。もう一回そこのところを締めくくりでお聞かせをいただきたいと思うんです。
#81
○参考人(朝田静夫君) 御指摘の三つの問題点は何としても最重要問題でございまして、私どもも安全運航というものを、その中でも企業の経営の上で最大の、最高至上命題と、こう心得ておりますので、何としてもこの問題だけはいろいろな障害を排して安全運航を堅持してまいりたい。
 それから、いろいろと御指摘になりました中で、私は労使の関係というものは安定をすることが一番必要だ、企業経営の基盤でもございますので。ただ、私どもは従業員の企業意識というものは低いものではない、相当高いものであると考えておりますが、地上では、先生がお触れになりましたように、産業民主主義を堅持していく考え方が支配的でございます。ただ、客室乗務員組合、運航乗務員組合という非常に勤務の特殊性のある、定着性のないそういう勤務形態の中で、コミュニケーションが不足をしておる。したがって、どうしても対面率も多くして、少数グループによる管理というものを通して労使の関係を改善、安定化の方に持ってまいりたいというふうに考えておりまして、空、地の連絡、あるいはトータルシステムとしてみんながその企業に対する帰属意識を旺盛に持つと、こういうことの施策を進めてまいりたい。
 最後に、改正法案に盛り込まれました自主性が拡大をいたしますと同時に、私どもは経営の上においてその責任は倍加したものだと先ほど申し上げましたが、そういうことで国会の御審議をいただきましたこの間においてお述べになりました御意見、そういったものを十分頭に置きまして御負託にこたえてまいりたい、こういうふうに考えております。
#82
○委員長(黒柳明君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#83
○委員長(黒柳明君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
#84
○委員長(黒柳明君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、野呂出芳成岩及び山内一郎君が委員を辞任され、その補欠として井上裕君及び田沢智治君が選任されました。
    ―――――――――――――
#85
○委員長(黒柳明君) それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#86
○目黒今朝次郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました日本航空株式会社法の一部を改正する法律案に反対の討論を行うものであります。
 反対理由の第一は、不当な料金値上げを導入されていることであります。
 改正案は、民間の活力と自主運営の強化の視点からの提案とされています。日本航空が真に国際競争に耐え、かつ勝てる力量があるならば、自由競争の経済原理を適用し、たとえば運賃の面では許可制を廃止して、国際市場の運賃を導入して利用者本位のサービスに徹すべきだし、国際線の就航の面では競争相手の全日空、東亜国内航空の申請や希望を認めるべきであります。しかるに、これらの点については、昭和四十五年の閣議決定をてこに、政府は拒否しています。したがって、今回の改正は別な角度、すなわち株の配当をてこにした財政面からのねらいであり、当面一年ないし二年は料金の引き上げがないと答弁していますが、今後政府株の配当の確保のため航空料金の引き上げが連動され、国民大衆に不当な負担を強いる結果になるからであります。
 反対理由の第二は、安全面、労働面にしわ寄せされるからであります。
 日本航空株式会社の損益勘定の過去十カ年の推移を見ると、昭和四十九年が二百六十六億円の赤字に対し、昭和五十二年が百九十八億の黒字、昭和五十四年が四億弱、昭和五十五年が八億程度の黒字と経営の振幅がひどく、また経営状態にも一都の危惧さえあります。しかるに、改正案による政府株配当資金は、名目で約百億以上を超えると答弁されています。制度上の歯どめがなく、経営努力によってと強弁されていますが、これにも限界があり、そしてそのしわ寄せが人と物の面、特に労働強化と安全面にされる可能性があります。労働三法による労働者の保護とゆとりある安全を確保されることが国策会社の使命である点から見れば、本改正案は相反するものとして認めるわけにはまいりません。
 反対理由の第三は、総合交通政策の確立に欠けている点であります。
 われわれは、国民の足を確保するため陸、海、空を機動的に結合させ、特に国鉄ローカル線、私鉄、都市交など、公営交通を確保するため総合交通特別会計制度の確立を要求し、財政的な裏づけを迫ってまいりました。運輸省も、一昨年から陸上特別会計制度を提起しましたが、政府部内の反対でいまだ制度化されていません。今日、ローカル線のバス転換、五割増特別運賃制の導入など、過疎地帯の住民に二重、三重の負担が強いられている現状を考えますと、緊急の事態だと考えます。反対理由の第一項、第二項にかかわらず、政府案を一応肯定するとすれば、交通政策の中で新しい財源である日航株配当資金、現行ベース約四十億前後、これを陸上交通会計制度の資金として確保し、加えて自動車税などの一部を投入して財政的な裏づけを行い、総合交通政策の実施に迫るべきでありますが、この発想が全然ない点が反対の第三であります。
 反対理由の第四は、不当労働行為の体質を存続した現状の改善が全然なされていない点があります。
 日本航空株式会社の出資株の四〇%を占め、予算事業計画に至るまで運輸大臣の許可が法制化されています。言いかえれば、運輸大臣の行政機能がきわめて強い、いわゆる国策会社であります。しかるに、ここ数年不当労働行為事件が続発し、また労働基準法違反が摘発されています。また、労働裁判所的性格を持っている中央労働委員会及び東京都労働委員会における公益委員を中心とした審査の結果の救済命令を十五件も受け、加えて日本航空乗務員組合の解雇問題では裁判所の命令に従わず、二百万円の過料空二回も受けているのに、現在一件も解決していないのははなはだ遺憾であり、社会的に糾弾されるべきであります。
 不当労働行為は、角度を変えれば人権無視であり、人間差別であります。これを排除するため、労働三法が厳しくこれを禁止しておるのも基本的人権擁護のためであります。私は、この問題の解決のため、当委員会で再三にわたり具体案を提起し、運輸大臣、労働大臣の決断と日本航空株式会社朝田社長ら首脳の善処を要求してきました。しかるに、この現状を黙殺して法の改正に便乗し、政府の責任を回避しようとする政治的措置は断じて認めるわけにはまいりません。法改正が多数決で成立しても、不当労働行為の存在は絶対に放置できません。十年前の国鉄の組織的大規模な不当労働行為事件、いわゆる国鉄マル生事件の当時の責任者であった私は、当時磯崎国鉄総裁の引責辞職と大規模な損害回復の措置をさせました。当時の不当労働行為に対する政府声明、国鉄を含めた政府見解を再認識し、かみしめ、塩川運輸大臣の指導力と朝田社長の決断で早期に解決し、労使関係の円滑化と安定を図り、厳しい国際競争に勝てる力を備えるよう、特に関係者に要請して、反対討論を終わります。
#87
○小笠原貞子君 私は、日本共産党を代表して、日本航空株式会社法の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行います。
 反対の第一は、本法を改正することによって毎事業年度の資金計画及び収支予算の認可制の廃止、社債発行限度額の拡大、役員人数法定制の廃止などを行い、これまでと比べ、政府の監督規制を大幅に緩和しようとしているからであります。
 言うまでもなく、日本航空は政府の出資を受け、国際線の運航を任されている国策会社であります。その旅客輸送量も、政府が監督規制を強化するため本法を改正した昭和三十年当時と比べるならば、旅客数で実に四十三倍と飛躍的に増大しています。このような現状を見るならば、これまで以上に日本航空の公共的使命はきわめて重大だと言わざるを得ません。このように輸送量も増大し、公共性、安全性の確保が一層重視されなければならないときに、政府の監督権限を緩和することは国民本位の航空行政から見て、まさに逆行する措置だと言わざるを得ません。本法の改正は、日本航空に民営色を強めさせ、利益優先の経営に道を開き、ひいては安全運航を阻害し、国民負担の増大をもたらす国民の利益とは相入れないものであることは明らかであります。
 反対の第二は、現在の日本航空における反社会的、反労働者的労務政策についてであります。
 日本航空では労働者に対する不当労働行為が続発し、いまやその件数においては全国一と、悪名高い企業となっています。こういう実態から見ても、その体質改善は緊急の課題であります。重大なことは、日本航空労働組合の組合員ということだけで会社は約十億円もの賃金差別を行い、しかも都労委が救済命令を出していもにもかかわらず会社はこれに従わず、法を無視してこの救済命令をこれまで放置し続けているのであります。
 そればかりではありません。私も質疑を通して明らかにいたしましたが、女性であるということだけで、男性と同一の仕事をしていながら何の正当な理由もなく、男性と比べ年収百万円を超す男女賃金差別が行われているのであります。このように、いまや社会的常識から見ても通用しない前近代的労務政策が日本航空では続けられているのが実態であります。
 私は、これを放置してきた政府の責任もきわめて重大だと考えます。こうした企業体質にこそ、政府はまずメスを入れるべきではないでしょうか。こうした反労働者的企業体質は、航空安全の確保と直結する重大な問題であり、政府はいまこそ、その抜本的改善のため指導に乗り出すべきであります。政府の監督強化を強く求めるものであります。
 最後に、今回の審議を通して、日本航空が全日空と二十四億円にも上る違法優待券を発行していた事実が明らかになりました。この例一つをとっても、航空会社の経営全体に対する政府の厳重な監督権の行使はいま求められているのであります。
 私は、日本航空のもうけ本位の経営に道を開く本法の改正ではなく、いまこそ航空会社の経営と経理を国会に報告させ、国会の十分な監督と規制が行われるよう措置されることを強く求め、討論を終わります。
#88
○委員長(黒柳明君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#89
○委員長(黒柳明君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 日本航空株式会社法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#90
○委員長(黒柳明君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#91
○委員長(黒柳明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 塩川運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。塩川運輸大臣。
#92
○国務大臣(塩川正十郎君) ただいま日本航空株式会社法の一部を改正する法律案につき、慎重審議の結果御可決をいただき、まことにありがとうございました。審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいる所存であります。
 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#93
○委員長(黒柳明君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題といたします。
 この際、日昇丸の事故について、塩川運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。塩川運輸大臣。
#94
○国務大臣(塩川正十郎君) 去る四月九日発生しました日昇丸と米国原潜の衝突事故につきましては、公海上とはいえ船舶航行の安全に関することであり、当省としては重大な関心を持っており、関係省庁と協議し、今後かかる事態が生じないよう対策を検討してまいりたいと存じます。
#95
○委員長(黒柳明君) 次に、妹尾海上保安庁長官から事故の概要について報告を求めます。妹尾海上保安庁長官。
#96
○政府委員(妹尾弘人君) お手元に資料がございますので、それに沿いながら、若干補足いたしながら説明いたしたいと思います。
 昭和五十六年の四月九日、貨物船日昇丸、これは総トン数二千三百五十トン、乗組員十五名でございますが、忽那海運所属、飯野海運にチャーターされまして、雑貨を積みまして神戸港から上海港へ向け航行中でございました。
 同日午前十時三十分ごろ、鹿児島県の下甑島の西南西三十七海里付近、これは領海か公海かという観点から申しますと、わが国の領土の最も近いところ、家島から二十三海里のところでございますので、一応公海ということでございますが、付近において米国原子力潜水艦ジョージ・ワシントン、六千十九トンと衝突いたしまして、日昇丸は機関室に浸水後問もなく沈没いたしました。乗組員を調べた話で申しますと、当時の天候は雨または霧、南東の風五メートル、波の高さ一メートル、視程二キロと申しております。
 日昇丸の乗組員は救命いかだ二隻で脱出いたしましたが、同船沈没の際に二名が行方不明となり残りの十三名は、漂流していたところを四月の十日午前五時四分ごろ、護衛艦「あおぐも」に発見救助されております。
 当庁では、護衛艦「あおぐも」から佐世保海上保安部に事件の通報がございましたので、巡視船「さつま」及び「かみしま」並びに航空機二機を直ちに出動させまして捜索を開始いたしました。巡視船「かみしま」は十二時四十五分ごろ護衛艦と邂逅いたしまして、救助されました遭難者を引き取りまして、串木野へ輸送し、他方巡視船「さつま」と航空機は九時十二分に漂流物を視認、午後二時三十分ごろ現場付近で流出中の油を発見し、引き続き遭難者の捜索を行っております。
 なお、護衛艦からの第一報によりますと、乗組員は潜水艦らしいものを見たというような話がありましたので、海上保安庁といたしましては、防衛庁にその可能性の有無を直ちに照会いたしまして、防衛庁といたしましては、自衛艦については該当はないと、こういう回答を得ておるわけでございます。
 また外務省にも照会いたしましたところ、外務省といたしましては、十日のことでございますけれども、その時点では情報はないということで、外務省の方には十日の正午ごろ、米軍の潜水艦が関係しているらしいという情報を米大使館から受け取り、正式には当日の午後十時ごろ、アメリカ大使から、先ほどのジョージ・ワシントンの衝突事故であると、きわめて遺憾であったという通報があったわけでございます。
 当庁といたしましては、原子力潜水艦という疑いがございましたので、直ちに放射能調査を実施いたしておりますが、いまのところ放射能に関しましては異常は認められておりません。
 以上でございます。
#97
○委員長(黒柳明君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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