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1980/02/24 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 商工委員会 第2号
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1980/02/24 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 商工委員会 第2号

#1
第094回国会 商工委員会 第2号
昭和五十六年二月二十四日(火曜日)
   午前十一時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月二十三日
    辞任         補欠選任
     小柳  勇君     村田 秀三君
     吉田 正雄君     青木 薪次君
 十二月二十四日
    辞任         補欠選任
     青木 薪次君     佐藤 三吾君
 十二月二十五日
    辞任         補欠選任
     佐藤 三吾君     青木 薪次君
 二月十二日
    辞任         補欠選任
     市川 正一君     神谷信之助君
 二月十三日
    辞任         補欠選任
     神谷信之助君     市川 正一君
 二月二十四日
    辞任         補欠選任
     岩本 政光君     仲川 幸男君
     大木  浩君     松浦  功君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         金丸 三郎君
    理 事
                土屋 義彦君
                前田 勲男君
                村田 秀三君
                市川 正一君
    委 員
                上田  稔君
                川原新次郎君
                仲川 幸男君
                福岡日出麿君
                松浦  功君
                森山 眞弓君
                阿具根 登君
                青木 薪次君
                対馬 孝且君
                田代富士男君
                森田 重郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   田中 六助君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       河本 敏夫君
   政府委員
       公正取引委員会
       委員長      橋口  收君
       公正取引委員会
       事務局経済部長  伊従  寛君
       公正取引委員会
       事務局取引部長  劒持 浩裕君
       公正取引委員会
       事務局審査部長  妹尾  明君
       経済企画政務次
       官        中島源太郎君
       経済企画庁長官
       官房長      禿河 徹映君
       経済企画庁長官
       官房会計課長   横溝 雅夫君
       経済企画庁調整
       局長       井川  博君
       経済企画庁物価
       局長       廣江 運弘君
       通商産業政務次
       官        山本 富雄君
       通商産業大臣官
       房長       杉山 和男君
       通商産業大臣官
       房審議官     柴田 益男君
       通商産業大臣官
       房会計課長    宇賀 道郎君
       通商産業省通商
       政策局長     藤原 一郎君
       通商産業省機械
       情報産業局長   栗原 昭平君
       工業技術院長   石坂 誠一君
       資源エネルギー
       庁長官      森山 信吾君
       中小企業庁計画
       部長       木下 博生君
       中小企業庁小規
       模企業部長    村野啓一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (通商産業行政の基本施策に関する件)
 (経済計画等の基本施策に関する件)
 (昭和五十五年における公正取引委員会の業務
 概要に関する件)
 (派遣委員の報告)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(金丸三郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 先般、小柳勇君及び吉田正雄君が委員を辞任され、その補欠として村田秀三君及び青木薪次君が選任されました。
 また、本日、大木浩君及び岩本政光君が委員を辞任され、その補欠として松浦功君及び仲川幸男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(金丸三郎君) まず理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(金丸三郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に村田秀三君及び市川正一君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(金丸三郎君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。
 まず、通商産業行政の基本施策に関し、通商産業大臣から所信を聴取いたします。田中通商産業大臣。
#6
○国務大臣(田中六助君) 八〇年代はわが国にとって、新たな試練と課題への挑戦の時代であります。それは同時に、われわれのたゆまぬ努力と英知を結集することにより、わが国が世界をリードし、明るい未来への足固めを行う時代とも言えます。
 私は通商産業大臣拝命以来、世界十五カ国を訪問いたしました。イラン・イラク紛争など依然不安定な国際政治情勢、流動的な石油需給、インフレ・失業などに悩む欧米経済、累積債務や人口・食糧問題を抱える発展途上国など、私は今日の世界が当面する問題を、一連の諸国訪問を通じて、目の当たりに見てまいりました。
 また、先進国・発展途上国の双方から、世界の総生産の一割を占めるわが国に対して、強い期待と国力にふさわしい責任の遂行を求められていることを痛感いたしました。
 国内の経済運営に目を転じますと、わが国経済は二度にわたる石油危機を克服し、欧米諸国に比し、良好な成果を上げております。しかしながら、政治的にも経済的にも揺れ動く世界情勢のもとで、資源を持たず、貿易立国たらざるを得ないわが国が、今後とも乗り越えなければならない試練、解決しなければならない課題は少なくありません。
 その第一は、石油の安定供給を図りつつ、石油代替エネルギーの開発・導入を推進し、エネルギー供給構造の変革を進めるなど、エネルギー安全保障を確立することであります。第二は、輸出に過度に依存することなく、物価の安定を図りつつ、民間の活力を最大限に生かし、雇用の安定と持続的経済成長を達成することであります。第三は、調和のとれた輸出入や経済協力、資源・技術の国際共同開発を通じて、広く世界の国々と安定した相互依存関係を構築することであります。第四は、過去における導入技術依存から、独創的な技術開発を推進し、産業の創造的知識集約化を進めることであります。第五は、わが国経済の活力の源泉である中小企業の経営安定を実現し、積極的にその育成発展を図ることであります。
 私は、以上のような基本認識のもとに、次のような通商産業政策を推進していく所存であります。
 国際石油情勢は、イラン・イラクの紛争の長期化、さきのOPEC総会の決定に基づく原油価格の引き上げなど、依然として流動的な状況にあります。幸い、わが国の場合、石油節約意識の浸透や高水準の備蓄などにより、当面、供給面の不安はありません。
 また、国際的にも、国際エネルギー機関閣僚理事会の合意に基づき、備蓄の活用を図るなど、消費国間の協力関係が確立しております。
 しかしながら、中長期的に見ますと、産油国の資源温存政策などもあり、需給の逼迫化傾向は避けられないものと見られます。
 このような国際エネルギー情勢の中で、石油の安定供給の確保に努めつつ、石油代替エネルギーの開発・導入の推進、省エネルギーの促進に努めるなど、総合的なエネルギー政策を展開し、脱石油社会の実現を早期に達成することにより、エネルギー安全保障を確立することは喫緊の課題であります。このため、来年度予算におきましては、エネルギー対策費を前年度比二〇%強と大幅に増額することとしております。
 第一に、石油の安定供給の確保に努めます。私は、昨年来サウジアラビア、アラブ首長国連邦、インドネシア、ベネズエラ、メキシコを訪問いたしました。
 これら諸国訪問で感じましたことは、産油国は有限な石油資源を最大限に利用し、国の経済・社会開発を進めようとしており、わが国との間においても、石油の輸出とあわせて、わが国に対する経済・技術協力に大きな期待を寄せるなど、相互依存的な関係を強く望んでいるということであります。幸いにも、今回の訪問においては、経済協力関係の進展、石油の安定供給に対する好意的な配慮など、これら諸国との間で相互理解が深まったものと確信しています。今後とも、人的交流、経済協力を一層推進するとともに、石油の安定供給の確保に努めるなど、産油国との関係の一層の発展を期する所存であります。あわせて、石油開発や石油備蓄の推進を図るため、関連施策を拡充、強化いたします。
 また、輸入に大部分を依存しております石油ガスにつきましては、備蓄の増強が必要であります。このため、石油備蓄法の一部を改正する法律案を提出いたしております。よろしくお願い申し上げます。
 第二は、石油代替エネルギーの開発・導入の強力な推進であります。政府は、昨年十一月石油代替エネルギーの供給目標を策定いたしました。昭和六十五年度において、原子力、石炭、太陽熱などの石油代替エネルギーの供給比率を五〇%にまで引き上げるため、エネルギー対策促進税制の創設など、財政、金融、税制上の措置を一層強化、拡充してまいります。中でも原子力は、今後の石油代替電源の中核を担うエネルギーであり、その発電規模は、今後十年間に、現在の三倍強の五千万キロワット強にまで拡大する必要があります。しかしながら、原子力発電所の立地は円滑に進捗しているとは言いがたく、局面の打開のためには、今後さらに格段の努力を必要とするところであります。広報対策の充実強化、公開ヒヤリングの開催など、地元住民や地方公共団体との間断なき対話を通じて、円滑な立地に最大限の努力を払ってまいる所存であります。
 また、石油代替電源立地につきましては、安全性の確保と環境の保全に十分留意するとともに、新たに電源立地特別交付金制度を創設するなど、施策の抜本的強化を図ります。
 第三は、省エネルギーの一層の推進であります。去る一月二十三日総合エネルギー対策推進閣僚会議を開催し、昭和五十六年度石油消費節減対策を決定いたしました。民生、輸送分野におけるエネルギー使用の合理化、生産分野におけるエネルギー対策促進税制の活用などにより、約二千五百万キロリットル以上の節減を図ることといたします。
 さらに、現在、石炭鉱業審議会におきまして、新石炭時代にふさわしい石炭政策の検討をお願いしております。また、産炭地域振興臨時措置法につきましては、その施策を引き続き実施するため、同法の有効期間をさらに十年延長させていただきたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。
 昨年のわが国経済は、石油価格上昇によるデフレ効果に加え、冷夏の影響などもあり、内需全体としては停滞ぎみに推移し、外需の動向に大きく左右される動きを見せました。物価については、年後半以降、落ちつきの方向にあります。
 昭和五十六年度のわが国経済は、第二次石油危機の影響を吸収し終え、明るさを増すものと期待されますが、他方、国際石油情勢、為替相場など先行き流動的な要因も少なからずあります。
 こうした中で物価の安定を図りつつ、民間設備投資や個人消費支出などの内需を中心に、国際的な期待にもこたえ得る持続的な成長を確保し、雇用の安定を図ってゆくことが肝要であります。
 このため、実態経済の動向把握に努め、機動的かつ適切な政策対応を図り、確固たる経済運営の方向を明らかにすることによって、経済の先行きに対する民間のコンフィデンスを高め、民間のバイタリティーが十分に発揮されるよう努めてまいる所存であります。
 中長期的には、厳しさを増すエネルギー制約や日本社会の高齢化に対応しつつ、技術立国への道を確かなものとし、供給力の確保や生産性の向上による物価の安定、雇用の確保を図るためには、供給基盤の整備を通じて欧米諸国に比し高目の経済成長と創造性豊かな産業構造の展開を図ることが必要不可欠であります。
 このため、民間設備投資の健全な伸長を図ることとし、とりわけ現下の厳しいエネルギー情勢にかんがみ、省エネルギー及び石油代替エネルギーの開発、導入を進めるためのエネルギー対策促進税制の創設など、税制、金融上の措置を講ずることといたします。
 世界経済は、景気停滞、物価上昇、国際収支不均衡などに悩まされております。欧米諸国の中には、その国内において保護主義的な動きも見られます。しかし、世界経済の健全な発展のためには、関係諸国政府との緊密な協力のもとに自由貿易体制を維持強化していかなければなりません。
 また、米国、EC諸国との通商関係の円滑化を引き続き図ることとし、相手国の市場動向にも十分配慮した節度ある輸出を行うとともに、製品輸入の促進を図る一方、投資交流、研究開発、第三国市場での協力などの産業協力を推進し、多面的な経済関係の緊密化を図る所存であります。
 また、私は就任以来、陣頭に立ってエネルギー外交に取り組んでまいりました。今後も、主要国首脳会議、国際エネルギー機関を通じた多国間あるいは二国間の場において、先進工業国間の協力、協調関係を確立するとともに、エネルギー資源保有国との間では、相互理解の増進、経済協力、貿易、投資交流などにより、安定した相互依存関係を築き上げてまいります。
 また、発展途上諸国を歴訪いたしまして、私が強く感じましたことは、国家建設に邁進ずる熱意とわが国に対する大きな期待であります。このような発展途上国の要請に対して、わが国が協力していくことは、国際社会の一員としての当然の責務であります。政府開発援助につきましては、新たな中期目標を着実に達成するとともに、政府開発援助のみならず、民間ベースの投資、貿易などを有機的に組み合わせ、総合的な経済協力を推進することといたします。
 特に、中国、ASEANなど近隣諸国との協力関係の緊密化、豪州を含む環太平洋地域との交流の促進にも一層力を入れてまいる所存であります。ASEANについては、私がかねてより提唱し、総理のバンコク・スピーチでも述べられたように、エネルギー開発、中小企業の振興、人づくりに対する協力などに重点を置いて、これら諸国との協力関係を深めたいと考えております。
 なお、輸出保険については、輸出構造の高度化や海外投資の多様化などに対処するため、輸出保険法の一部を改正する法律案を提出いたします。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
 わが国は、エネルギー制約のもとに、社会の活力を維持し、国民生活の質を一層向上させるという課題に直面しております。このためには、唯一の資源とも言うべき頭脳資源を活用し、技術立国を目指していかなければなりません。
 わが国の技術水準が多くの分野ですでに欧米諸国に追いついているいまや、産業の創造的知識集約化を推進するためにも独創的な自主技術開発が不可欠であります。
 このため、九〇年代のわが国において、新しい産業の開花を可能とするため、次世代産業基盤技術研究開発制度を創設し、新材料、バイオテクノロジー、新機能素子の三分野の研究開発を強力に推進してまいります。
 また、サンシャイン計画の加速的推進、ムーンライト計画の拡充など、エネルギー関連技術の研究開発をさらに強力に推進するとともに、新たな産業ニーズにこたえるため、マンガン団塊採鉱システム及び科学技術用高速計算システムの新規テーマを加え、大型プロジェクトを積極的に推進いたします。
 情報、航空機、宇宙、原子力などの産業は、技術的波及効果も大きく、今後の技術先端産業として期待されるものであり、これらの育成、振興に引き続き努めてまいる所存であります。
 中小企業は、国民経済の活力の源泉であります。しかしながら、最近の中小企業をめぐる環境を見ますと、昨年来倒産が高水準で推移するなど、景気のかげりが中小企業に集中的に目立っております。また、北陸、東北地方を中心とした豪雪は、中小企業に多大の被害を与えつつあり、さらに、円高の影響も懸念されるなど、中小企業の経営安定は緊要の課題となっております。
 このため、今後の経済運営に当たっては、中小企業の経営の安定を図り、その投資を促進するため、金融対策を初めとして、きめ細かい施策を機動的に講じてまいる所存であります。
 また、中長期的には、中小企業は、国民の価値観や社会意識の変化、国際化の進展、エネルギー制約の高まり、地域経済社会における役割りの増大といった情勢の変化に直面しております。これは、確かに、中小企業に対し厳しい対応を要請するものであります。しかしながら、一方でこのような変化は、機動性と創造性とを備えた中小企業にとって、新たな活躍の機会を与えるものであります。
 中小企業が環境変化を克服し、さらなる発展を遂げることができますよう、自助努力を積極的に支援し、その活路を切り開くべく、中小企業大学校の充実などソフトな経営資源の拡充、地場産業総合振興対策、海外投資の円滑化、エネルギー対策の充実などを中心に、活力と知識を生かす中小企業政策の積極的展開を図っていくこととしております。また、小規模企業や下請中小企業への配慮も十分払っていく所存であります。
 中小企業に対する資金供給の円滑化を図るため、商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案を、また、地域商工業者が活力ある地域づくりに寄与できるよう、商工会の組織等に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたします。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
 以上申し上げました諸施策とあわせて、テクノポリス構想の推進や環境保全、ガス保安をはじめとする産業保安対策の充実などにより、魅力ある地域経済社会の形成に努めてまいります。
 また、良質な住宅供給のための総合的な技術開発、製品安全対策を初めとする消費者行政の充実を図るなど、国民生活に密着した対策もきめ細かく実施いたします。
 今日世界におけるわが国の存在は、われわれが意識する以上に大きく、かつ、重くなっております。情報化の進展、交通手段の発達のもとで世界はますます狭く、身近なものとなっており、一国の政策も国際社会とのかかわりなしには存在し得ないと言っても過言ではありません。
 八〇年代という、必ずしも平穏ならざる時代を迎えるに当たり、われわれは、国際社会の一員としての自覚を一層強く認識するとともに、平和を愛する国家、信頼し得るに足る国家としての評価を、国際的に確立することが重要であります。
 私は、今後の通商産業政策の推進に当たっても、このような視点に立って、各般の施策を強力に展開してまいる決意であります。
 委員各位におかれましても、一層の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 以上、終わります。
#7
○委員長(金丸三郎君) 次に、経済計画等の基本施策に関し、経済企画庁長官から所信を聴取いたします。河本経済企画庁長官。
#8
○国務大臣(河本敏夫君) わが国経済の当面する課題と経済運営の基本的な考え方につきましては、さきの経済演説において明らかにしたところでありますが、当委員会が開催されるに当たりまして、重ねて所信の一端を申し述べたいと存じます。
 昭和五十五年度の上半期におきましては、累次にわたる原油価格の引き上げにより国内物価が異常に高騰する事態を避けるため、物価の安定を最重点課題として抑制的な政策態度で運営してまいりました。年半ばに至り、物価は落ちつきの方向に向かう一方、第二次石油危機のデフレ効果が経済各部門に浸透してきた上、冷夏の影響が加わったため、国内需要の拡大テンポが鈍化し、企業の生産活動も次第に弱含みとなりました。
 このような情勢に対処し、物価の安定と景気の維持を図るため、政府は、昨年の九月、八項目の経済対策を決定し、その推進に努めてきたところであります。
 最近の景気の動向を見ますと、大企業を中心として設備投資は概して堅調でありますが、個人消費はなお低調であります。在庫も高い水準が続いており、生産の基調は依然として弱含みで推移しております。豪雪、寒波の影響も、一部に出ております。
 昭和五十五年度の実質成長率は、すでに明らかになった上半期の実績等から見て、当初見通しどおり四・八%程度を達成するものと見込んでおりますが、引き続き機動的な政策運営を行い、景気の着実な拡大を図っていく所存であります。
 昭和五十六年度は、このような景気のかげりを解消し、わが国経済を中長期的な安定成長路線に定着させるべき重要な年であります。
 流動的な中東情勢に伴う国際石油情勢など懸念すべき材料もありますが、国内では、第二次石油危機の影響が次第に吸収され、他方、国外では、多くの先進諸国で年後半から景気の立ち直りが予想されるなど、全体として明るさが増すものと見られます。
 このような状況のもとで、わが国といたしましては、海外需要に過度に期待することは適当ではなく、また、財政に依存することもできません。
 したがって、昭和五十六年度の経済運営の基本的態度としては、何よりもまず、物価の安定を図りながら、民間設備投資や個人消費など国内民間需要を中心に、景気の着実な拡大を実現することが必要であります。
 政府といたしましては、引き続き、適切かつ機動的な政策運営を行い、民間経済の活力が十分に発揮されるよう環境整備を図る所存であります。また、中小企業については、中小企業対策を円滑に推進し、その経営の安定化に努めることとしております。
 このような努力を通じ、昭和五十六年度の経済は、名目九・一%程度、実質五・三%程度の成長を実現し得るものと見込んでおります。この実質成長率は、先進国の中で最も高く、雇用の安定にも資するものであります。
 物価の安定は、国民生活安定の基本条件であり、経済の持続的成長の基盤をなすものであります。昭和五十六年度の経済運営に当たっても、物価の安定をより確実なものとするため、最大限の努力を傾ける所存であります。
 最近の物価動向を見ますと、卸売物価は目に見えて鎮静化してきております。消費者物価も基調的に落ちつきの方向にありますが、寒波と異常乾燥のため、このところ野菜価格が高騰しております。これに対処して、先日、野菜の供給確保のための緊急特別対策を決定したところであります。
 今後とも、政府としては、生活関連物資等の安定的な供給の確保、価格動向の調査・監視、輸入政策や競争政策の積極的活用など各般の対策を総合的に、かつ、機動的に実施いたす所存であります。
 公共料金につきましては、経営の徹底した合理化を前提とし、物価及び国民生活に及ぼす影響を十分に考慮して厳正に取り扱う方針で臨んでおります。
 以上により、政府としては、昭和五十六年度の卸売物価につきましては、前年度比四・一%程度に、消費者物価につきましては、前年度比五・五%程度の上昇におさまるものと見込んでおります。
 次に、一九八〇年代を展望したわが国経済の中長期的な課題について所信の一端を申し述べたいと存じます。
 まず第一は、物価の安定を基礎として、適切な経済成長の維持を図ることであります。
 物価を安定させ、適度な経済成長を実現することにより雇用の安定を確保することが、経済社会の安定にとって欠くことのできない条件であります。
 第二は、経済の活力を維持し、その活用を図ることであります。
 厳しい内外の環境の中で着実な経済発展と充実した国民生活を確保するためには、自由な経済社会の持つ創造的な活力を積極的に生かすことが大切であります。
 第三は、国際社会への協調・貢献と経済的安全の確保であります。
 わが国経済は、世界経済の中で大きな比重を占め、世界経済に大きな影響を与えるようになっていることからも、わが国といたしましては、世界経済の安定と発展のために十分な責任と役割りを果たさなければなりません。また、世界の平和と発展が、わが国の安全と繁栄の不可欠の前提であります。
 現下の世界の状況を考えますと、特にエネルギー政策の推進と経済協力の分野で、わが国が積極的な貢献を行うことが強く期待されております。
 経済協力の積極的な推進のため、このたび、政府は、新しく開発援助に関する中期目標を設定したところであります。
 新経済社会七カ年計画は、これらの課題に対する政策の基本方向を明らかにしたものでありますが、このたび、計画策定後の経済情勢の変化を踏まえ、中長期的安定成長の中で、物価の安定、雇用の改善及び財政の再建をあわせて達成し得るような今後の経済の姿を検討いたしました。
 この結果、計画で示した社会資本整備の目標は維持しながら、その達成時期を調整することにより、民間需要を中心とした年平均五・五%程度の実質成長が可能であり、全体として整合性のある経済が実現できるとの結論を得たところであります。
 以上、わが国経済が当面する課題とそれに対処する基本的な考え方について申し述べました。
 わが国を取り巻く環境には、依然として厳しいものがあります。創意と工夫を積み重ね、長期的な展望のもとに、世界的な視野に立って、道を切り開くことが大切であります。
 本委員会の皆様方の御理解と御協力を切にお願いをいたします。
#9
○委員長(金丸三郎君) ありがとうございました。
 次に、昭和五十五年における公正取引委員会の業務概要に関し、公正取引委員会委員長から説明を聴取いたします。橋口公正取引委員会委員長。
#10
○政府委員(橋口收君) 昭和五十五年における公正取引委員会の業務について、その概略を御説明申し上げます。
 昨年のわが国経済は、内外の厳しい状況下にありながら健全な市場機能にも支えられ、第二次石油危機を乗り切ることができたと思います。公正取引委員会といたしましては、競争秩序の維持、促進を通じまして、わが国経済の健全な発展を図るべく、独占禁止政策の適正な運営に努めてまいったところであります。特に、昨年は引き続き改正独占禁止法の適正かつ効率的な運用に努め、その定着化を図るとともに、近年わが国経済に占める非製造業分野の比重が増大していることにかんがみ、流通分野における競争阻害要因の解明及びその是正等に努めてまいりました。
 まず、独占禁止法の運用状況について申し上げます。
 昭和五十五年中に審査いたしました独占禁止法違反被疑事件は百六十七件、同年中に審査を終了した事件は六十二件であり、このうち法律の規定に基づき違反行為の排除等を勧告したものは十三件であります。また、昨年における課徴金納付命令事件は十二件であり、合計二百七十九名に対し、総額二十二億六千三百三十七万円の課徴金の納付を命じました。
 次に、認可、届け出受理等に関する業務でありますが、合併及び営業譲り受け等につきましては、昭和五十五年中に、それぞれ九百十四件、六百五十件、合わせて千五百六十四件の届け出がありました。また、合併等届け出事務の効率的な処理を推進するため、会社の合併等の審査に関する事務処理基準を作成公表し、届け出事務処理の簡素化と重要案件の審査体制の整備を図りました。
 事業者団体につきましては、昭和五十五年中に成立届け出等千三百十二件の届け出がなされております。また、一昨年事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針を作成公表し、これとあわせて事前相談制度を発足させましたが、昨年中に同制度に基づき三件の相談があり、これらに対し速やかに回答しました。
 国際契約等につきましては、昭和五十五年中に、六千二百九十七件の届け出があり、改良技術に関する制限条項、競争品の取扱制限条項等を含む三百二十七件について、これを是正するよう指導いたしました。
 独占的状態に対する措置に関する業務といたしましては、ガイドラインの別表掲載の事業分野について見直しを行い、昭和五十五年九月に三業種を削除をして十六業種とし、これら業種について実態の把握及び関係企業の動向の監視に努めました。
 また、価格の同調的引き上げにつきましては、対象品目は従来五十六品目でありましたが、昭和五十五年九月に改定して六十七品目となっております。昨年中に、価格引き上げの理由の報告を求めたものは、自動車用タイヤ・チューブ、インスタントコーヒー、鋼材七品目等十六品目でありました。
 次に減産につきましては、粗鋼、小形棒鋼、エチレン、塩化ビニール樹脂及び紙の五業種における減産の実情等について調査を実施しました。
 独占禁止法上の不況カルテルは鋼船について、合理化カルテルは合成繊維用染料について、それぞれ一件認可いたしました。なお、独占禁止法の適用除外を受けている共同行為の総計は、昭和五十五年末現在で四百九十一件となっておりますが、その大半は、中小企業関係のものであります。
 次に、流通分野につきましては、自動車、出版物、百貨店・大型スーパー、冷凍水産物、石油製品など十四業種について、流通の実態調査を行い、これらのうち、独占禁止法上問題のある行為につきましては、その是正に努めました。また、非製造業分野につきまして、医業その他の自由業の団体による新規開業規制等の問題にも積極的に取り組んだところであります。
 政府規制及び独占禁止法適用除外分野につきましては、OECD理事会勧告もあり、わが国経済における民間の活力と効率性を維持促進していく見地から、その見直しに着手しました。
 わが国経済の国際化、諸外国における独占禁止法の制定、強化に伴い、海外独占禁止法施行機関との連携に努めたほか、昭和五十四年に開催したアジア・大洋州地域独占禁止政策東京会議に参加した十二カ国間の情報交換を促進するため、公正取引委員会事務局内にアジア・大洋州独占禁止政策情報センターを開設しました。
 次に、下請代金支払い遅延等防止法の運用状況について申し上げます。
 下請代金の不当な値引き、買いたたき等の是正を中心に法運用の強化を図り、一件の勧告を行い、九百六十四件について支払い改善等の措置を指導いたしました。また、違反行為を未然に防止するため、親事業者団体に対して法遵守の要請を行い、引き続き下請事業者の保護に努めました。
 最後に、不当景品類及び不当表示防止法の運用状況について申し上げます。
 昭和五十五年中に公正取引委員会が同法違反の疑いで調査した事件は千七百十一件で、このうち排除命令を行いましたものは十八件、警告により是正させたものは七百二件でありました。
 都道府県の行いました違反事件の処理件数は、昨年一月から九月末までで三千九百三十件となっており、今後とも、都道府県との協力を一層推進してまいる所存であります。
 また、同法第三条及び第四条第三号の規定に基づく告示の制定につきましては、酒類業及びタイヤ業における景品類の提供を制限する告示並びに消費者信用の融資費用に関する不当な表示及び不動産のおとり広告に関する表示の合わせて四件の告示をそれぞれ制定いたしました。
 公正競争規約につきましては、タイヤ業における景品類の提供の制限に関する規約など八件について認定し、昭和五十五年末現在における公正競争規約の総数は九十件となっております。
 以上簡単でございますが、業務の概略につきまして御説明申し上げました。今後ともよろしく御指導のほどお願いいたします。
#11
○委員長(金丸三郎君) 以上で政府の所信並びに説明は終了いたしました。
 なお、昭和五十六年度通商産業省関係予算及び経済企画庁関係予算の説明につきましては、お手元の配付資料で御了承願います。
 両大臣の所信等に対する質疑は後日に行うことといたします。
    ―――――――――――――
#12
○委員長(金丸三郎君) 次に、本委員会が自然休会中に行いました委員派遣について、両班から報告を聴取いたします。
 まず、第一班の御報告をお願いいたします。村田秀三君。
#13
○村田秀三君 中国地方の委員派遣について御報告いたします。
 去る一月十九日から三日間、金丸委員長、楠委員、井上委員及び私の四名が広島県及び岡山県において産業活動等の実情について調査を行ってまいりました。
 以下、調査の概要を御報告申し上げますが、詳細につきましては委員長のお手元に報告書を提出してありますので、委員会のお許しを得て、本日の会議録の末尾に掲載させていただきたいと存じます。
 調査の日程を申し上げますと、広島通商産業局、広島県、岡山県及び倉敷市の各当局からそれぞれ管内の産業経済の概況説明を伺い、中国地方経済団体連合会及び広島商工会議所の幹部の方々と懇談を行うとともに、東洋工業、三菱石油水島製油所、川崎製鐵水島製鉄所、さらに地場産業として広島県熊野町の筆製造業及び岡山県の花むしろ製造業の実情を視察いたしました。
 中国地方の産業経済を概観いたしますと、景気停滞基調の中で素材産業を中心に生産調整が行われ、倒産も過去の最高を記録いたしましたが、一方、自動車、家庭電器、造船など生産水準の高い業種もあり、業種間の跛行も見られております。
 中小企業では高度化資金の効用に対する評価が高く、各県とも地場産業の育成に力を注いでおり、また中小企業大学校の分校の設置に対する要望には強いものがありました。
 中国地方経済には瀬戸内海側への主要産業の集中など従来からの構造上の問題点があり、内陸部及び日本海側の開発を進め、中国地方経済の一体化を促進するため、中国縦貫及び横断高速自動車道の完成に大きな期待を寄せておりました。
 次に、視察した産業について申し上げますと、東洋工業では厳しい状況の中で生産・輸出とも伸びており、三菱石油水島製油所では原油供給先の比重の変動、不況等による出荷量の減少などが見られましたが、一方、四十九年の重油流出事故にかかわる防災設備強化工事はほとんど完了しようとしております。また、川崎製鐵水島製鉄所は不況の中にあって、連続鋳造など技術革新を着々と進めております。
 次に、地場産業でありますが、広島県の熊野筆は、毛筆の全国シェア八〇%という位置を占めており、原料入手の不安、外国品輸入対策、後継者育成難等の課題に真剣に取り組みながら、伝統的工芸品産業としての振興に努めております。
 また、岡山県の花むしろ製造業は、生産量が全国の五七%というシェアを持ちながら、目下不況業種に指定されており、海外産品対策、輸出打開策をも含めて、産業振興に努力を重ねております。
 以上が調査の概要でありますが、今回の調査に当たり、お世話になりました関係各位に深く謝意を表しまして御報告を終わります。
#14
○委員長(金丸三郎君) ありがとうございました。
 それでは次に、第二班の御報告をお願いいたします。前田勲男君。
#15
○前田勲男君 委員会より九州地方へ派遣されました委員を代表いたしまして、調査の結果を御報告申し上げます。
 一月十九日から三日間、上田委員、阿具根委員、馬場委員、それに私、前田が大分県及び熊本県において、産業活動及び代替エネルギー開発に関する実情について調査を行ってまいりました。
 調査の対象は、福岡通商産業局、大分県、熊本県、新日鐵大分製鉄所、九州石油大分製油所、大分大学エネルギー工学科研究棟、三菱電機熊本第二工場及び日立造船有明工場であります。
 調査に当たり、現地の関係機関等から懇切な御協力をいただきました。ここに厚く御礼申し上げる次第です。
 以下、調査の概要を御報告申し上げます。
 なお、その詳細につきましては、委員長の手元に報告書を提出してありますので、委員会のお許しを得て、本日の会議録の末尾に掲載させていただきたいと存じます。
 まず、九州地方の産業活動を見ますと、石炭産業の衰退等に伴う産業構造の転換がスムーズに進展しなかったこともありまして、現在のところ全国の一割経済に到達していないという現状であります。とりわけ工業出荷額は全国の六%と低いシェアにとどまっており、今後の浮揚が望まれるところであります。
 幸い、近年になりまして、自動車産業、IC産業の進出、地場産業の振興機運、あるいはエネルギー産業の開発促進等、九州にとって明るい材料が目立ち始めておるところから、今後、九州経済の均衡ある発展を通して一割経済実現に向かって関係機関がなお一層努力されることが期待されるところでございます。
 しかし、最近の管内景気動向を見ますと、輸出に加え、民間設備投資が依然堅調ではございますが、個人消費の鈍化、住宅投資の低迷、さらに公共投資の盛り上がりの弱さ等から全体としては昨年以降足踏み状態を続けております。
 なお、当面の懸案事項としては、エネルギー問題、中小企業対策及び大規模小売店舗出店に伴う地元との調整問題等がありますが、調査の際、特に産炭地域振興対策及び鉱害対策につきまして、福岡通産局から関連法の延長等の要望がありました。それは、石炭産業衰退に伴い、この二十年間産炭地域振興に諸施策を講じてきましたが、いまだ地域の疲弊が解消するに至っていないということ、また、かつて石炭を採掘した地域では、いまなお地盤沈下等の深刻な鉱害問題を抱えており、特に九州は、全国の残存鉱害量の九五%とその大半を占めるという現状からの要望でございます。
 次に、大分、熊本両県についてであります。大分県では内陸部の工業開発等により、企業の技術水準の向上、経営体質の改善が進んできており、全国水準から見た生産規模は一%に満たず、まだ未開発の分野は広いのですが、活力は徐々に高まってきております。一方、熊本県の工業出荷額から産業部門別の推移を見ますと、軽工業部門が減少し、自動車、造船の輸送用機械、IC等の電気機器など現在操業中の誘致企業百五十四社の役割りが大きいこともあって、重化学工業部門の比重が高まり、重工業志向への生産構造変化を見せております。
 また、両県内の経済情勢を見ますと、長雨、冷夏の影響などにより、総じてやや停滞傾向を示しております。その結果、昨年の企業倒産は両県とも高水準で推移していることが特に注目されるところでございます。
 なお、近年、長期的視野に立って計画的なエネルギー政策を進めることが国民的課題となっておりますが、両県は地理的優位性から、エネルギー対策に積極的に取り組んでおります。熊本県では、県段階では初めてと言われるエネルギー対策課を設けているほどでございます。なお、両県かちは地熱に関する国の研究所設置の要望がありました。
 最後に、工場等の視察についてでありますが、各工場等からは、懇切、丁寧な説明を聴取するとともに、それぞれ視察してまいりました。その詳細につきましても提出してあります報告書または調査室保管の資料に譲ることとして報告を終わります。
#16
○委員長(金丸三郎君) ありがとうございました。
 以上で両班の報告は終わりました。
 なお、両班から別途、詳細な報告書を本日の会議録の末尾に掲載されるようにとの申し出がございました。
 お申し出のとおり取り計らうことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○委員長(金丸三郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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