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1980/04/23 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 商工委員会 第6号
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1980/04/23 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 商工委員会 第6号

#1
第094回国会 商工委員会 第6号
昭和五十六年四月二十三日(木曜日)
   午前十時十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     森下  泰君     浅野  拡君
    ―――――――――――――
  出席者の左のとおり。
    委員長         金丸 三郎君
    理 事
                土屋 義彦君
                前田 勲男君
                村田 秀三君
                市川 正一君
    委 員
                上田  稔君
                大木  浩君
                川原新次郎君
                楠  正俊君
                斎藤栄三郎君
                福岡日出麿君
                松尾 官平君
                森山 眞弓君
                阿具根 登君
                青木 薪次君
                吉田 正雄君
                田代富士男君
                馬場  富君
                井上  計君
                森田 重郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   田中 六助君
   政府委員
       通商産業大臣官
       房長       杉山 和男君
       通商産業大臣官
       房審議官     柴田 益男君
       通商産業省通商
       政策局次長    真野  温君
       通商産業省貿易
       局長       古田 徳昌君
       通商産業省産業
       政策局長     宮本 四郎君
       通商産業省機械
       情報産業局次長  小長 啓一君
       資源エネルギー
       庁長官      森山 信吾君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        高橋  宏君
       資源エネルギー
       庁石炭部長    福川 伸次君
       中小企業庁計画
       部長       木下 博生君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
   説明員
       外務省経済局国
       際経済第二課長  増田 熙男君
       大蔵省国際金融
       局投資第三課長  田中 義具君
       通商産業省貿易
       局輸出保険企画
       課長       本郷 英一君
       建設省計画局国
       際課長      三谷  浩君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○輸出保険法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(金丸三郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十二日、森下泰君が委員を辞任され、その補欠として浅野拡君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(金丸三郎君) 輸出保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明並びに補足説明は、すでに前回の委員会において聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○青木薪次君 私は、まず第一に、先般問題になりました中国のプラント問題について質問を申し上げたいと思います。
 今回の対中プラント輸出問題をめぐる問題に関しましては、日本側としては大局的、長期的視点に立って冷静な対応が望まれるところでございますけれども、率直に言って十億の人口を擁する大国である中国の経済的な安定という問題は、わが国のみならず国際社会の安定した平和にとってきわめて重大であると考えておるわけであります。こういうような観点から、中国の安定的な発展に対しましてわが国もできる限りの協力を惜しむべきではないと思うのでありますけれども、このようなことから、日中の経済交流の将来のためにも政府岡の意思疎通については積極的に図るべきであると思うんでありますけれども、通産大臣の御所見を伺いたいと思います。
#5
○国務大臣(田中六助君) 青木委員御指摘のとおりに、日中の両国の関係というものは非常に古く、しかも私どもは地理的にも密接な関係がございますので、根本的には、両国の親善、発展、平和、そういうようなものが根幹でなければならないし、相互理解、相互信用というものが根底にあらなければならないというふうに思っております。したがって、私ども日中長期取り決めという一つの協定で出発した案件でございますけれども、向こうが調整という大きな政策の転換ということがあるわけで、正直に申しまして、私どもは大きな迷惑、日本は民間でございますが、こうむっておることは確実でございますし、その傘下の中小企業者も含めて大きな問題になってはおりますけれども、私どもはあくまで、青木委員御指摘の観点から、親善あるいは協力というようなことを踏まえて、この問題に対処していかなければならないというふうに思っております。
#6
○青木薪次君 政府は、来週早々に外務省の長谷川アジア局参事官を団長にいたしまして、大蔵、通産、経済企画の各省庁関係者で構成する代表団を北京に派遣いたしまして、中国側の代表である甘子玉国家計画委員会副主任らとともに金利の低い輸銀バンクローン、年六・二五%、二十年の償還という問題を初めといたしまして会談をするようであります。そういうようなことから、対中プラント問題については日中間の実務者レベルの実は話になってきていると思うんでありますが、プラント代金の輸出入銀行延べ払い融資適用については、ほほ決定をしたと考えていいのかどうかですね。その点をまずお伺いしたいことと、このほかの案件についてはいずれも協議不調となっているようでありますが、一つの解決策としてプラント関連の中国内の建設事業について、低利借款要請が中国側から提案されていると聞いておりますけれども、その場合にどういうように対応するのかですね。特に、中国が言う建設資金には、発電所とか製油所とか港湾施設とか道路等が含まれているのかどうか、あるいはまた、海外経済協力基金、円借款を弾力的に適用できる余地があるのかないのか、この点についての政府の見解をお伺いいたしたいと思います。
#7
○政府委員(小長啓一君) ただいま先生御指摘の点につきましては、来週中国へ参ります実務者ベースの代表団が細目は向こうと検討することになっておるわけでございますけれども、私どもが承知しているところでは、輸銀の延べ払い融資の問題につきましては、目下そういう方向で具体的な検討をしておるところでございます。それから、向こうから供与を求められておりますソフトローンの問題につきましては、従来、中国に供与しております円借款が必ずしも所期の目的どおりに使われてないものもございますので、それの転用をも含めまして、それへの対応を具体的に検討してまいるという考え方に立っております。
#8
○青木薪次君 自動車摩擦のようなことを起こさない、しかも経済協力として非常に意義の深いプラント輸出であるわけですから、最近非常に期待されておったんですが、それが、前回の大臣の説明にもよるように、非常に低迷を続けているんですね。まず、最近におけるプラント輸出の承認状況ですね、輸出不振を続けているその原因についてお伺いいたしたいと思います。
#9
○政府委員(小長啓一君) 昭和五十五年度の輸出承認額は八十九億三千二百万ドルということでございまして、対前年度比約二五%の減になっております。それで、これの理由といたしましては、前年度の五十四年度におきまして中国向けの大型案件が幾つか承認対象になったために、前年度が特にふくれ上がったという事情はあったわけでございますけれども、五十五年に入りましてから世界経済の後退、中国における経済調整の問題、先ほど先生の御指摘になりました点、それからイラン・イラク紛争等輸出先国におきまして政治経済事情の不安定の状況が一層激化した等々の事情がございまして、プラントの承認額が大きく後退をしたということになっておるわけでございます。
#10
○青木薪次君 最近、アメリカとか西ドイツとかフランスなどの有力企業との間で激しい受注競争があるんですね。この状況について具体的事例をひとつ示していただいて、簡単に説明していただきたいと思います。
#11
○政府委員(小長啓一君) オイルショック以降、経済成長の鈍化や国際収支の悪化等のために、プラント事業が世界的に停滞傾向になっておることは先生御指摘のとおりでございます。それで、具体的な事例でございますが、たとえば最近におきまして私どもは連戦連敗というような状況になっておるわけでございまして、たとえばホンジュラスにおきますエルカホン水力発電プロジェクトというのがございますが、これは日本と西独とが激しく競い合いまして、結局最終的には西独に落ちた案件でございますが、これが一つの例。それからもう一つの例といたしましては、エジプトにおきます燐酸プラントの例がございます。これは結論的にはイギリスとフランスが共同受注をしたわけでございますけれども、日本連合は破れたということになっております。それからごく最近の例といたしまして、モロッコにおきますナドール製鉄所のプロジェクトがございます。これは最終的にはイギリスが受注したわけでございますけれども、日本連合が破れたということになっておりまして、最近、悲報に次ぐ悲報を聞いておるということで、われわれも非常に事態を憂慮しておる状況でございます。
#12
○青木薪次君 今後の見通しはどうなんですかね。その辺についてちょっと説明してもらいたい。
#13
○政府委員(小長啓一君) 今後の見通してございますけれども、先ほどの具体的事例にもございますように、LDC諸国の市場におきましてドイツとかフランスとかという先進諸国との間の競争が非常に激化しておるということは否めない事実でございますので、なかなか日本がその中に割り込んでいって具体的に受注をするというのが困難な状況になっておることは御指摘のとおりでございます。それに加えまして、世界的な状況を見ましてもプラントに関する需要が大きく伸びるということは期待できない状況でございまして、中長期的に見ましても従来のようなプラント輸出の高成長を期待することはむずかしいというのが客観的な状況でございます。
#14
○青木薪次君 四月の九日に、通産省の機械情報産業局長の諮問機関であるところのプラント輸出基本政策委員会が、いまお話しのように、低迷を続けているプラント輸出を促進するために、経済協力のアンタイド化を見直すことと、発展途上国の要求にこたえて技術移転や建設プラントによる生産物の輸入を促進すること、それから資源開発分野でのプラント輸出を促進すると、この三つを提言していることを新聞で見ました。この報告書の内容について簡単にひとつかいつまんで説明願いたいと思います。
#15
○政府委員(小長啓一君) 先生御指摘のように、四月九日にプラント輸出基本政策委員会におきまして取りまとめを行ったわけでございます。具体的なその提言といたしましては、その提言の前提といたしましてまだいろいろ検討すべき問題も残されておるので引き続き検討するんだという前提はつけておりますけれども、具体的に言っております第一の問題は経済協力の問題でございます。経済協力の問題につきましては、円借款の一般アンタイドということが一般的に言われておるわけでございますけれども、一般アンタイドにすることによりまして日本の受注がかなり落ち込んでおるという事例もございますので、一般アンタイド化には慎重な対応が望ましいということを一つ提言をしております。それからまた、円借款の対象プロジェクトにつきまして、一般的にはインフラストラクチュアを中心といたします基礎部門というのが中心なわけでございますけれども、プラント輸出関連でございます鉱工業プロジェクトというものにつきましても、相手国側のニーズに応じまして弾力的にこれを採用していくという対応が必要なんではないかという提言もしておるわけでございます。さらに、技術協力の点につきましては、技術協力のもとでフィージビリティースタディーをやった案件が必ずしも日本のプラント輸出につながってないというような事例もございますので、具体的な技術協力とプラント輸出とをもっと効果的に結びつける進め方を検討する必要があるのではないかということを言っております。
 それから、第二の大きな柱といたしまして、先生御指摘のように、プラント輸出に伴いまして技術移転や投資要求とかあるいはカウンタートレードといったような要求が、売り込み先のLDC諸国から出ておるわけでございますが、そういう多様な要求に対しましてもっと弾力的に対応する必要があるのではないかという点を指摘しておるわけでございます。ただ、カウンタートレードというような問題になりますと、プラントを売り込みます企業だけによって対応できる問題ではございませんので、もっと広範かつ包括的な立場からこれを対応していく措置を検討していく必要があるのではないかという点を指摘しております。
 それから第三の柱といたしまして、先生御指摘のように、今後国際競争力強化が必要な資源開発分野でのプラント輸出の推進が必要であるという点を強調しておるわけでございますが、海外での資源開発投資につきましては、従来から輸銀を初めといたしまして公的機関が多額の出資とかあるいは融資を行っておるわけでございまして、その融資規模というのは通常の輸出金融に匹敵するぐらいの規模になっておるわけでございます。ところが、貿易開発投資金融によって実際に導入されております資源開発関連プロジェクトにつきましては、日本からの調達比率というのが三〇%程度であるということで、非常に低い水準になっておるわけでございます。したがって、この点をどう今後是正していくかというのが大きな検討課題であるという指摘を行っておるわけでございます。
#16
○青木薪次君 そういう事例なり対策というものがあるわけでありますけれども、私は、一番大きいのは、原因としては知名度の低さという点があるんではないかということを考えております。値段で競争する場合には性能が必要ですね。そして、プラント輸出の非価格競争力というのは、一般には技術とかあるいはまた納期とか実績とか、いろんなものがあると思うんでありますけれども、先ほど言われましたようにエジプトの例も出されましたりホンジュラスの例も出されましたけれども、結果として欧米に比べて、まあわれわれとしては非常に対策がおくれたと言いますか、実力はつけていると思うんですけれども、その点が問題だと思うんです。ただこれらの点だけで受注の決め手になるとは思いませんけれども、やっぱりわが国に欠けている点はいま申し上げましたように知名度だと、こういう点が言えると思うんでありまして、激戦が非常に展開されるこのプラント商談なんかにつきましては、いかにこの障害を克服するが、この点がいままでのような形ではマンネリズムに陥る、これからどうするか、端的なひとつ決意をお伺いいたしたいと思います。
#17
○政府委員(小長啓一君) 先生御指摘のように、プラント輸出の競争力は価格面における競争力と非価格面における競争力、双方から具体的な吟味が必要なわけでございますけれども、特に日本の場合、非価格競争力の面におきまして先生御指摘の知名度というふうなところも一つの大きな問題であるわけでございます。その知名度も、具体的な事例で申しますと、結局プラント輸出を担当いたしますコンサルティング企業のコンサルティング能力、それの知名度ということになるわけでございます。したがって、私どもといたしましても、コンサルティング企業の育成強化ということにつきまして、従来より以上の力を入れてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#18
○青木薪次君 率直に申し上げまして、昭和五十四年度におけるプラント輸出の承認額がいま言ったように約百十七億ドルで、中国関係の二十七億ドルを差し引きますと約九十億ドル、五十五年度は八十九億ドル、わが国のプラント輸出は低迷している。最近、プラント輸出の受注にもわが国の企業が受注に失敗した例というのは、さっきお話があったようにたくさんある。私は、いま次長の言われたような点をひとつ大いに発揮していただいて、これからも受注に連続失敗ということのないようなひとつ検討を続けていただきたいということを要望いたしておきたいと思います。
 次に、海外投資保険についてちょっとお伺いいたしたいと思いますけれども、アメリカと西ドイツは保険引き受けの前提といたしまして投資保証協定を必要としているんですね。わが国の場合には投資保証協定を不可欠の前提としていない。保険引き受けの際に全く考慮されていないのかどうなのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
#19
○政府委員(古田徳昌君) 輸出保険の引き受けに対しましては、投資保証協定の存在が望ましいことは言うまでもありませんが、現在の私どもの輸出保険の運営につきましては、その協定を前提とした形でのやり方はしておりません。
#20
○青木薪次君 この投資保証協定は、わが国の場合どの程度締結されているんですか、その点が余り締結されていないように聞いているんですけれども。
#21
○説明員(増田熙男君) お答え申し上げます。
 投資保証協定につきましては、現在わが国が締結いたしております国はエジプト一カ国でございますが、目下スリランカとの間におきまして締結交渉を鋭意行っておりますほか、ASEAN諸国との間におきましても締結交渉を開始したところでございます。また、中国との間におきまして、昨年十二月の日中閣僚会議におきまして早期に締結のための交渉に入る旨の合意がなされております。
#22
○青木薪次君 私も不勉強ですけれども、海外投資をスムーズに促進するために相手国企業に内国民的待遇を与え、自国内での自由な事業活動や利益の海外資金を保証する協定、国有化、戦争、内乱、これらの関係の被害の補償や投資額の補償をもろもろの企業にかわって政府が直接相手国と交渉する求償代位等の保険業務を認めているわけですね。ですから、こういう点から考えてまいりますと、投資保証協定というのは海外投資を円滑にするものであって、海外投資の引き受けを容易にするものであると思うならばできるだけ、いまエジプトだけと聞いたんですけれども、あと中国とどこかあると聞きましたけれども、多くの国と協定を締結しませんと、この激動する世界情勢の中にあって安心して投資することができなくなるんじゃないかというように考えるんですけれども、今後の政府の考え方について私は大臣からちょっとお伺いいたしたいと思います。
#23
○国務大臣(田中六助君) ただいま事務当局から申し上げましたように、実質的に協定を結んでいるのはエジプト一カ国だけでございます。私もASEAN諸国五カ国を回り、その後鈴木総理も回ったわけでございますが、投資保証協定が締結されてないことにつきましては、わが国の商社あるいはいろんなメーカーもこれを望んでおりますし、私も諸外国との関係を見ましてもぜひともこれを結んでおきたいということからこれを推進しておりますが、今後将来の展望を考えますときに、私どものプラント輸出その他の経済協力におきましては、これが各国とも十分締結された上で行われることが得策であるという考えを持っておりますし、この投資保証協定の推進にはこれからより以上の努力をしていきたいという決意でございます。
#24
○青木薪次君 通産大臣が鈴木総理とともにASEANを回ったときに、マルコス大統領が非常に積極的な意欲を示した。ところが、わが国の政府の事務当局は非常に消極的であったということを聞いたことがあるわけであります。そういう点から、他のASEANの諸国との間において投資保証協定を結ぶ気持ちがあるのかどうなのか、事務局段階としてはそれらの他のASEAN諸国との交渉の実情についてはどうなっているのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
#25
○説明員(増田熙男君) 先ほどちょっと申し上げましたように、ASEAN諸国との間におきましては締結交渉を開始いたしてございます。今後の問題でございますけれども、結局交渉は相手国の外資政策、それから投資環境、それからわが国との関係、そういったものも十分調査いたしまして、検討いたしまして、意義があるというふうに認められました場合には積極的に取り組んでまいるという姿勢でございます。
#26
○青木薪次君 五十四年の対ASEANにおける貿易の内容については、輸出が九十六億四千五百万ドル、それから輸入が百六十二億七千四百万ドルなんですね。このうち油を除きますと大変な入超になっているわけですよ。その点から考えて、ASEANがわが国の有力な輸出市場であることはこれはもう間違いないわけですね。ですから、その点については単なる貿易の相手国ということだけでなくて、海外直接投資の面でも大きな比重を占めることになると思うんですね。ですから、その点で私は特にASEANの問題等については、投資保証協定の問題等について相当関心を寄せる必要があるというように考えております。それから、発展途上国における現地法人を経営することがごく普通になってきつつある今日において、保護協定の締結のおくれているわが国としては、いまはともかくとして、一国でも多く締結国をふやすことが必要だとされているわけでありますが、政府の考え方をお伺いいたしたいということと、また多国間レベル似投資促進の保護協定とかあるいはまた保険公社構想なるものが再び出てきた場合に、わが国としては関係省庁間の意見調整を十分に行って速やかに前向きに取り組む必要があると思うんでありますけれども、この点はいかがですか。特に投資保証付保の関係については多国間でやれば事故のときには国際司法裁判所へも提訴できると思うんですね。そういった点なんかについていまの質問にお答えいただきたいと思います。
#27
○国務大臣(田中六助君) 先ほども申し上げましたように、私どももやはり投資環境というものがある程度整備されておる限り、それぞれの国々と投資保証協定を結ぶことの方が私は得策だと思いますし、それぞれいろんな条件がございましょうが、大きな方針としてはその方向で進めたいと思いますし、コンソーシアムというようなその一つの具体的な例、そういうものも含めまして、私どもは日本の貿易立国あるいは将来の日本のプラント輸出その他を考えますときに、私どもは投資保証協定の推進へ向かって条件の許す限り進んでいかなければならないというふうに思っております。
#28
○青木薪次君 現地企業の経営改善のために追加投資が必要だと思うんですね。その場合に保険の対象にされない場合があるんですね。それはどういう場合がそういうことに当てはまるのか。それと政府の引き受け拒否の理由となっている直接設備投資資金以外のものにあっても、企業体質の強化を図ってひいては事業の拡充につながる性質のものであれば引き受けるべきなのではないかと思うんでありますけれども、政府の御所見をお伺いいたしたいと思います。
#29
○政府委員(古田徳昌君) 海外投資保険におきましては、わが国の対外投資の健全な発達を図るということが目的となっているわけでございまして、そういう観点からしまして新規の事業計画を有するものについて引き受けを行ってきているところでございます。ただいま先生が御指摘の追加投資の場合でございますけれども、これにつきましても幾つかの形態があるかと思います。まず短期の運転資金とかあるいは赤字補てんのための追加投資といった後ろ向きの資金につきましては、これはやはり投資者の通常の経営努力にまつことにしたいということで、私ども海外投資保険の対象ということでは考えていないということでございます。ただし、また別の形の追加投資もあるわけでございまして、つまり事業の拡充とか近代化の目的を有しているものにつきましては、海外投資の健全な発達の見地から保険の付保の対象としております。これにつきましては、諸外国の海外投資保険制度につきましてもほぼ同様の扱い方が行われているわけでございます。
#30
○青木薪次君 運転資金不足になりがちな場合に、経営改善のためには設備投資だけではだめなんでありますから、その点はやっぱり国内企業を経営する場合と同じ観点に立って検討をしてもらわなきゃならぬと、こう思います。現行制度では被保険者たる投資家が保険上の処理について不服がある場合ですね、通産大臣に申し出ることに規定いたしているわけでございますけれども、問題解決のために公平を期すという上から、たとえば第三者で構成する仲裁機関、こういうものを解決のために利用できるようにするのが筋であると思うんでありますが、政府の考え方はこの点いかがでしょうか。
#31
○政府委員(古田徳昌君) 輸出保険法上支払い保険金の額等につきまして不服のある方は、通産大臣に対しまして不服を申し出ることができることになっているわけでございます。これは法律の第十五条にその規定がございます。これは専門的、技術的な保険事務を実際に担当し監督しております通商産業大臣に第一義的に不服を申し立てる手段を設けたというものでございます。一般的には行政処分にかかわる行政不服審査法に準じた手続ということになっておるわけでございまして、これに不服の場合にはさらに訴訟を提起するということも可能になるわけでございまして、こういう形で一つの案件につきまして再度慎重に審査することにより、公正を期し得る手段というふうになっているわけでございます。こういう形、手続ということでございまして、私どもとしましては、現在のところこれに加えて第三者による仲裁機関等の設置ということは考えていないわけでございますが、現在まで支払い保険金の査定につきましては、法律あるいは約款等に基づきまして厳正に対処してきているわけでございまして、不服申し立てが行われたケースや訴訟が行われたケースというのはほとんどないのが現状でございます。
#32
○青木薪次君 これか石やっぱり通産大臣の意見が相当強くなってくると思うんですね。その点については、ひとつ弾力的な考え方というものもやっぱり一部には持ってこの問題に対応してもらいたい、こう思うのであります。
 それから、投資保険は七〇年に元本保険と利益保険を吸収して、その際既契約の案件について新制度への切りかえについて周知徹底していなかったということを聞いているんですね。そのために新制度への切りかえ手続を怠って、不幸にも事故が生じてから気がついたものが案外多い。すでに保険金請求の対象外という処理をされたケースが幾つかあったと聞いているのでありますが、こういう悲劇を再び繰り返さないために、今回の改正に当たっては関係者の周知徹底という問題を特に考えてもらいたいというように思うのでありますけれども、政府の対応策はいかがでしょうか。その点お伺いしておきます。
#33
○政府委員(古田徳昌君) ただいま御指摘の昭和四十五年に投資元本保険と利益保険を一本化するときのトラブルでございますが、これは海外投資保険の引き受け限度額の問題というふうに考えるわけでございます。当時制度の切りかえのために、元本保険につきましては一カ月間程度の予算措置をとっていたわけでございますが、法案成立の関係上一カ月半の期間が必要になったわけでございまして、そういう関係から申し込みの希望が限度額を超えるというふうなことになりまして、一部の引き受けができなくなったというような特殊な事情があったわけでございます。しかしながら、それ以降の年度におきましては、引き受け限度額は常に十分確保してきておりまして、この種の問題が起こるおそれは現在のところはないわけでございます。今回の改正につきましてもそのようなことがないように、十分周知徹底を図りたいというふうに考えているわけでございます。
#34
○青木薪次君 現行制度では、保険の対象国のうち、政治的リスクの大きい国や外貨準備が不足している国などについては、特約条項によって運営面で特定の保険引き受け停止措置がとられていますね。これでは投資保険制度がもし一時的性格と基本的に矛盾するものであって、投資そのものを対象とするべきものではないのではないか。こう思うのでありますけれども、一歩譲って、投資の受け入れ国の経済状態とか、あるいはまた政治的な状態が著しい問題がないことという、適格性の判断基準はできるだけ限定的に解釈すべきではないかというように思うのでありますが、せっかくこのようないい制度をつくっても、特約条項をつくったりすると穴があいてしまうという心配があるのでありますけれども、この点はいかがでしょうか。
#35
○政府委員(古田徳昌君) 現在、海外投資保険の引き受けの対象となっている国は、八十カ国以上あるわけでございまして、わが国からの投資が行われている国はほとんどこれに含まれているのが現状でございます。また、今後新たに投資が行われる国が出てきた場合には、その国の政治、経済情勢を調査しまして、格段の問題がなければ逐次引き受け対象国として加えていくというふうに考えているわけでございます。
 なお、特に問題がある国ということで現在海外投資保険の引き受けを保留している国としま促しては、トルコ、エチオピア、ザイール、ベトナム等々幾つかの国があるわけでございますが、これらにつきましては、実はいずれも保険事故が発生しているわけでございまして、その後状況が改善されていないということで、私どもとしましても引き受けの保留はやむを得ないというふうに考えているわけでございます。これは、輸出保険制度自体の健全な運営という観点から、こういうふうな措置をとらざるを得ないことになるわけでございまして、海外諸国の保険機関も同じような取り扱い方をしているということでございますが、状況が改善いたしますれば当然その取り扱いの改正も行っていくというふうに考えておるわけでございます。
#36
○青木薪次君 日本の投資家は他の先進国の投資家に比べて、保険を利用するようなんですね。諸外国では政治的リスクを回避する手段として保険制度の利用もさることながら、利潤の早期回収とそれから合弁方法の利用といったようなことを考えてリスクに適応していく傾向にあると聞いているのでありますけれども、こうした世界の新しい動きが始まる中におきまして、日本における保険制度は今後どういう方向に進んだらいいのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
#37
○政府委員(古田徳昌君) 海外投資保険におきましては、海外投資に要した資金がまだ回収されていない段階で、約款に定める保険事故が発生しました場合に受ける損失をてん補するという形になっているわけでございます。他方、投資を行った者が海外投資に要しました資金の全額を回収しております場合には、これは被保険利益がなくなっているということで、これは保険関係の終了を申し込めるということになっているわけでございます。
   〔委員長退席、理事前田勲男君着席〕
 こういうふうな仕組みから考えますと、この制度は海外投資におきますリスクのカバーを行うとともに、海外進出企業が早急に利潤を求めるということでなしに、現地の実情に合った形で適正な利潤を上げる環境を整備するという上からしましても、大きな役割りを果たしているものと考えるわけでございまして、そういうことで、海外に進出しました企業がその投資資金の回収を非常に急ぐと、そのために現地の実情に反した行動をするというふうなことを回避するためには、一つの大きな役割りを果たしているというふうに考えているわけでございます。
#38
○青木薪次君 海外投資保険に関しまして、特に対象リスクの点でお伺いいたしたいと思うのでありますが、わが国の海外投資保険の対象リスクは、収用危険とか戦争危険とか金を国内へ送ってくる送金危険というようになっているわけでありますが、たとえばその国の実情で、ある日突然国有化になってしまったというような場合には、大変これもまた問題のあるところだと思うのでありますが、いわゆるそういうようなことから、まあ前向きの取り扱いができないだろうかどうだろうかということがいろいろ懸念されているわけであります。
 たとえば忍び寄る収用なんていうような言葉がありますね。そういうようないろんなあいまいな点について、保険事故として成立しにくい性格のものが非常にあると思うんです。そういうようなものについて、保険事故として成立するように前向きに検討しないと、投資リスクをますます増大いたしまして、海外投資の健全な発展を阻害するというようなことに実はなってくると思うのであります。特に発展途上国なんかの場合におきましては、まあ現地で部品を調達するとか、あるいはまた現地の人を雇うとか、あるいはまた利潤が上がったから国へ送金するとかというようなことについて、大混乱が到来するということがしばしばあるわけでありますが、とらえにくい点もあるかもしれないけれども、政府の積極的な答弁をお伺いいたしたいと思います。
#39
○政府委員(古田徳昌君) 確かに先生御指摘の忍び寄る収用というふうな形をとりました場合には、非常に実態の把握がむずかしいわけでございます。海外投資保険では、これは法律なりあるいは約款上収用が行われますと、これは当然保険事故の発生ということで保険金の支払いを行うことになるわけでございますが、御指摘の忍び寄る収用の態様というのは非常に複雑でございまして、何が忍び寄る収用であるかということを一般的に論することは非常に困難ではないかというふうに考えます。しかしながら、こういうふうな実態が幾つか出てくるということも予想されるわけでございますので、私どもとしましてもこれら案件の処理に当たりましては、その案件ごとに具体的な事情を十分検討した上で、実情に即して対処してまいりたいというふうに考えております。
#40
○青木薪次君 改正案の第一条の二、第十一項第五号を見てまいりますと、生産事業に付随して必要となる関連施設の整備に関する資金を海外保険の、投資保険の対象に加えているわけでありますけれども、その場合、「付随して」とは一体どういうことなのか、どういう判断をしたらいいのか。その生産関連施設の範囲を狭くも広くも解釈できると考えられるので明確にしてほしいと思うんです。法律が通りましても投資家は非常に判断に困ってしまいますね。通産省はいろいろ広く考えているように聞くわけでございますけれども、それだけではやっぱり問題は非常にむずかしいと思いますので、その点について明確にしていただきたい、このように思います。
#41
○政府委員(古田徳昌君) 今回の法改正によりまして、ただいま先生御指摘のとおり、生産の事業に付随し必要となる関連施設の整備ということも対象としたいということでございますが、これにつきましては現在のところ、生産の基盤となる施設あるいは生産された貨物を本邦に輸入するために必要となる施設等を考えているわけでございまして、資源開発輸入の円滑な促進のためには、この範囲につきまして資源生産事業との関連性、つまり生産事業との関連がはっきりしていること、さらに専用性、特にその生産事業のために用いられることのはっきりしていることというふうな観点から、法律上許され支障のない限り、広く定めたいというふうに考えているわけでございます。
 若干具体的な事例として、私ども現在検討中のものを御説明させていただきたいと思いますが、最終的には通達により明確にすることにしておりますが、たとえば生産のための原材料または生産された貨物の運搬の用に供する道路、鉄道、港湾等の施設、それから、たとえば次の事例としましては生産に携わる労働者の住宅、施設等の福利厚生施設等々があろうかと思います。いずれにしましても、一般的に言いまして貨物の生産または生産された貨物を本邦に輸入するために不可欠と考えられる施設というふうなことになっていようかと思います。
#42
○青木薪次君 この際、大臣にお伺いいたしたいと思うんでありますが、衆議院、参議院ともに予算委員会で問題になりました、わが国の建設業者の海外活動ですね。業界の安定的発展の観点から大いにこれを振興すべきだというお話がいろいろあったんでありますが、軍港をつくったり、あるいはまた、そのための道路をつくったり、いろいろそういったような関係の中で、貿易管理令もさることながら、たとえばアメリカの第七艦隊の基地がフィリピンのスービッグにあるわけでありますけれども、御存じのとおり、第七艦隊というのは大変大きな機動力を持つ部隊でありますが、このスービッグにはいわゆる航空母艦が入渠するドックがないわけでございまして、実はこういう中で円借款の対象になってスービッグのドックヤードというものが、将来第七艦隊との関連からどうなっていくのかというような点について、大臣はいまの問題と関連いたしましてどういうようにお考えになっておられるのか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
#43
○国務大臣(田中六助君) 建設省当局から来ておりますので、建設省当局から答えさせていただきます。
#44
○説明員(三谷浩君) お答えいたします。
 経済協力はちょっと別にいたしまして、一般的に軍事施設の建設に係る工事請負につきましては、武器輸出三原則並びに昭和五十一年二月二十七日の武器輸出に関する政府方針に沿って現実に対処してきております。具体的には直接戦闘の用に供される施設あるいはその武器の製造のための施設の工事の請負については取りやめるよう、関係省庁と協力をいたしまして建設業界の方に指導をしておる、こういう状態でございます。
#45
○青木薪次君 スービッグの軍港の関係について円借款を相当やっているわけでありますが、この点はそれじゃ、いまのあなたの答弁の中で取りやめるということですね。
#46
○説明員(三谷浩君) お答えいたします。
 円借の技術協力関係につきましては、建設省はちょっと担当しておりませんので、いまの問題につきましては外務省並びに関係省庁が担当かと思います。
#47
○政府委員(古田徳昌君) 軍事的用途にかかわる経済的援助の問題につきましては、大蔵省あるいは企画庁が担当ということになっておりますが、一応私の方から考え方の御紹介をさしていただきたいと思います。
 五十二年四月五日の衆議院の外務委員会での対外経済協力に関する決議の中で、「今後とも軍事的用途に充てられる或いは国際紛争を助長する如き対外経済協力は行わないよう万全の措置を講ずること。」ということが述べられておりまして、政府としましてはこの趣旨を踏まえて対外経済協力の推進に対処しているわけでございまして、このような従来の方針に変わりはないわけでございまして、具体的な案件につきましてもこの基本的な方針のも上に対処しているというのが現状でございます。
#48
○青木薪次君 政府は一体なんですからね。どうもいまの話は言いわけに終始しているような点があると思うんでありますが、どうせこういうような問題は国会終了までに結論を出すということに実はなっているわけです。これは衆議院議長裁定もさることながら、そういうことになっているわけでありますが、どうも建設省にお伺いすると、通産省とか経済企画庁の方でやれと言うから私の方はやったというような話をされるし、また今度は通産省の方としては、この点については昭和五十三年ですか、答弁したとおりだと言っているんですけれども、それだったら、今度の国会でも実は問題にならないはずです。ところが、当然円借款をしたわけですから、その企業はどのような形でじゃそのお金を返すのかというような点なんかにつきましても、企業の経営計画というものもあるんでしょうから、そういう点をお伺いをすると同時に、こういうものは第七艦隊の基地になるということは明確になっているものについて大型のプロジェクトを組んでやっているんですから、この点についてはやはり今後の港とか、道路とか、こういうものをつくっていくということで投資範囲というものを拡大していくわけですから、その場合の適用にならないわけはないと思うのでありますけれども、明確な回答を、やっぱりこういう事例になると口をつぐんじゃって、責任のなすり合い、これじゃ困るんでありますけれども、この点についての、ひとつ大臣、建設省でやっているというけれども、建設省は通産省でやっているというんですから、政府の責任者としてどうお考えになっておられるかお伺いをいたしたいと思います。
#49
○国務大臣(田中六助君) 国会の御決議もございますし、私どもは実効ある具体的措置を国会終了までに検討することになっておりますので、その件につきましてはいま各省庁で連絡会議を設けて討議しておりますので、もうしばらく時間をかしていただきたいと思います。
#50
○青木薪次君 それでは、時間の点もありますからね。いまの問題に関連いたしまして、こういうようなことについてはどういうように取り扱うか、ひとつ後でお答えをいただきたい、こういうように思います。
 委員長、よろしゅうございますか。聞いてください。
#51
○理事(前田勲男君) よろしゅうございますか。
#52
○青木薪次君 いま答弁をもらいたいんですけれども、いま大臣のおっしゃったことを子として、後でひとつ伺いたい、こういうことです。
#53
○国務大臣(田中六助君) いま直ちにお答えできませんので、必ずそういう趣旨に沿って、後日お答えしたいと思います。
#54
○青木薪次君 非常に素直な質問だと思うのでありますから、どうかひとつそのようにお伺いしたいと思います。
 次に、輸出保険法が改正されまして、施行になれば、直ちに保険機関は共同保険の引き受けができるのかどうなのか。プラント類の輸出等における共同受注を推進するために、共同保険協定を締結することが必要だと思うのでありますが、それでないと本改正の効果はなくなってしまうんじゃないかというように考えますけれども、この点いかがでしょう。
#55
○政府委員(古田徳昌君) 今回の改正によりまして共同保険の実施が可能になるわけでございますけれども、ただし実際の保険の引き受けに当たりましては情報交換とか、あるいは事故の場合の回収手続等につきまして、メーン・サブ・コンソーシアムの場合のメーン側とサブ側の保険機関が協力して行うことが必要となるわけでございます。したがいまして、諸外国の場合について見ましても、保険機関間であらかじめ共同保険取り決めを締結し、手続きを取り決めておくのが通例となっているわけでございます。したがいまして、わが国としましてもこうした観点から共同保険取り決めを締結するため、諸外国との交渉を鋭意進めていきたいというふうに考えているわけでございます。
#56
○青木薪次君 日本の企業が主契約者、メーンコンダクターとしての共同受注をする場合に、二国間の共同保険協定が締結されていれば、現在でも共同保険の引き受けは可能であると思うんです。ところが、現在までわが国がベルギー、フランス両国とだけしか二国間の共同保険の取り決めをしていない。それも昨年の六月以降のことでありまして、主要国と比較するとかなりおくれていると思うのでありますが、この点いかがでしょうか。
#57
○政府委員(古田徳昌君) 共同保険の取り決めにつきましては、確かに先生ただいま御指摘のとおり、昨年六月にベルギーの輸出保険機関との間で締結をいたしまして、さらに引き続きまして本年一月にフランスの保険機関との間で締結しております。現在までのところ、この二つの国との取り決めがあるだけでございます。しかしながら、現在私どもとしましてもイギリス、ドイツ、シンガポール、インド等の輸出保険機関と交渉を行っているわけでございまして、さらに引き続きまして、これらの国々のほかにもわが国との間で国際コンソーシアムを形成する可能性のある国々との間で、積極的に共同保険取り決めを締結するよう努力してまいりたいと考えております。
#58
○青木薪次君 今後の厳しいプラント輸出の環境等を考えますと、共同受注を推進するための共同保険はますますその重要性を高めてきているものと考えられているわけです。したがって、政府は今後二国間の共同保険協定の積極的な締結を進めることが必要と思うのでありますけれども、その見通しについてひとつ御説明を願いたいと思います。
#59
○政府委員(古田徳昌君) 先ほど、現在交渉を行っている国としましてイギリス、ドイツ、シンガポール、インドの国名を挙げさしていただきましたけれど、その中で特にイギリスとシンガポールとの関係ではかなり交渉が進んでおりまして、私どもとしましても、この取り決めの締結はかなり早期にできるのではないかというふうに期待しているわけでございます。
#60
○青木薪次君 次に、カントリーリスクについてお伺いいたしたいと思うのでありますが、七三年の石油危機の後、非産油発展途上国を中心にいたしまして、債務累積問題が深刻化してまいりました。輸出代金の遅延はプラント輸出にとって大きな問題となりつつあったのであります。今後こういうような債務累積問題などカントリーリスクに対処するためのプラント輸入国の政治、経済等の情報を迅速かつ積極的に把握する必要のために、情報収集とか分析体制を整備する必要があると思うのでありますけれども、余り日本はうまくいってなかったんじゃないか、これは体制が弱いんじゃないかということが言われているわけであります。ですから、そういう点について、日本の出先の機関は国独自のものが余りないんで、全部商社を頼っているんじゃないかということが言われているわけです。事実私も昨年の暮れに、いま理事をやっておられます前田先生なんかと一緒にOECDを歩きましたときに、商社の皆さんとよく話し合ったんです。そうすると、「私どもが実際には情報を大使館に提供しているんです。」と、各国回って歩きましてずいぶん聞いたんですね。この点について、情報の収集、分析等に対する充実のための努力について、ひとつお伺いいたしたいと思います。
#61
○政府委員(古田徳昌君) 確かに輸出保険制度の運用におきましてカントリーリスクの評価、分析が非常に重要なことは、先生御指摘のとおりだと思います。私どもとしましても特にオイルショック以降、非産油発展途上国を初めとして債務の累積あるいは政情不安という問題がございますので、それとの関係での保険事故の増大というふうな状況に直面しているわけでございます。こういう観点からしまして、輸出保険におきましてもカントリーリスクの評価体制を充実し、迅速かつ的確なリスク評価を実施していきたいというふうに思っているわけでございまして、そのリスク評価の概要としましては、各方面から入手するデータ、情報をもとに、頻繁に輸出保険が利用されます八十五ないし九十カ国につきまして原則年二回評価を行っているわけでございます。
 基本的な方法は、他の調査機関や銀行が行っているものと異なるものではありませんが、特に情報の面ではベルンユニオンを通じます各国の情報、たとえば債権額、引受額、支払い遅延状況、事故額及びそれぞれの国の引き受け方針等々がその内容になるわけでございますが、これらにつきましての情報が利用可能なこと、さらに通産省として関係各部局の持っている情報が直接利用可能なことが特徴ではないかというふうに考えております。
 現在、さらにこの評価方法を合理化するために、電子計算機によりますカントリーリスク管理システムの開発に努めているわけでございまして、昭和五十五年度には定量情報のデータベース化というものを行ったわけでございます。さらに五十六年度には、定量情報に基づきます分析システムの確立を行うとともに、定性情報のデータベース化、まあ政治情勢等をこれに入れるといたしますと、技術的にはかなりむずかしい問題ではないかと思いますけれども、一応私どもとしましてはこの定性情報のデータベース化を行うこととしておるわけでございまして、これらのシステム化が実現しますと、さらに一層迅速、的確なカントリーリスク管理が行われるものというふうに考えておるわけでございます。
#62
○青木薪次君 貿易局長、過去におきまして、日本より進んでいるアメリカが、十年ほど前でしたね、チリのアジェンデ政権に対して相当CIAが情報をつかんだんだけれども、それでも情報が足りなかった。それでCIAは、国内のいわゆるアジェンデ政権転覆に相当力をかして、リスクをなくするためにアジェンデ政権の国内における追放まで仕組んだというように、雑誌やその他で大騒ぎをされたわけでございますけれども、そういうような問題さえ実はあるわけですね。石油危機とこのイラン紛争を経て、八〇年代のわが国の通商政策の中で、海外投資のあり方とかカントリーリスクの対策が検討されているところでございますけれども、いま申し上げましたようなアメリカでさえもそういう苦い思い出があると。
 海外投資で経験したこれらの関係の先進国の考え方に学びながら、摩擦回避の妙手はあるのか、これからそういう危険性が非常に増してくると思うんでありますけれども、この点について政府の考え方を伺いたいと思います。
#63
○国務大臣(田中六助君) プラント輸出あるいは海外協力、そういうものは私は眼前のいま日米交渉で、自動車交渉でしみじみ思うわけでございますが、やはりプラント輸出などは海外摩擦という点から見ますと非常に効果があるというふうに考えております。しかも、私ども日本の立場といたしますと、経済協力が即総合安全保障というような面からも有効ではないかと、ただ軍事だけ、あるいは防備、軍備というようなことに焦点を合わせることが日本の安全保障、世界の安全保障に通ずることではなくて、経済面から見た一つの安全保障という観点からすれば、プラント輸出、海外協力、そういうものについては世界の平和、あるいは世界の繁栄にも、あるいは発展途上国の民生の安定にもつながることでございますので、私どもは総合的な安全保障という観点から、ぜひともこのプラント輸出あるいは海外協力という面のとらえ方をそういう面からつかむことが、今後一九八〇年代あるいは将来の世代に臨んで大切なことではないかという考えを持っております。
#64
○青木薪次君 いま大臣からもお話があったわけでございますけれども、たとえば企業がある国に工場を建設したり、あるいはまた銀行が融資したりする場合に、その国の政治とか経済とか社会情勢が安定している、これが前提だと思うんですね。ところが、最近見られるように、イラン・イラク戦争、このごろ新聞紙上をにぎわしているポーランド情勢、こういうものが緊迫化していることは御案内のとおりでございまして、紛争が多発していることもあって、海外投融資の危険度というのは相当増していると思うんでありますが、カントリーリスクの研究の重要性がこの中でさらに今日的に高まっているということが言えると思うんです。
 欧米諸国ではカントリーリスクについて、従来の評価方法の改善や体制強化に取り組んでいるんでありますけれども、特にアメリカがその点は今日分析力を強化しているということを聞いているんです。わが国ではどういう取り組み方をしているのか、輸出保険の引き受けとの関係から見合って非常に重要な問題でありますので、その点をお伺いいたしたいと思います。
#65
○政府委員(古田徳昌君) ただいま御指摘になりましたポーランド、イラン、イラク等、カントリーリスクが問題となっている国々につきましては、私どもとしましても輸出保険の運営上非常に重大な関心を持っているわけでございますが、これらの国々を含めまして、全体のカントリーリスクの評価の体制をできる限り整備していきたいということで努力しておりますことは、先ほど御説明したとおりでございます。
 現実には、特にベルンユニオンを通じます各国との情報の交換というのが非常に有効なわけでございまして、私どももそれを積極的に利用しているわけでございますが、同時に、先ほども御説明いたしましたが、電子計算機によるカントリーリスクの管理システムの開発ということにつきまして非常に力を注いでいるわけでございまして、こういう形で機動的、弾力的に対応していくということを考えているわけでございます。他の国々に比較しましても遜色のないカントリーリスクの管理体制を確立したいというふうに考えているわけでございます。
#66
○青木薪次君 輸出手形保険を初めとする信用危険を担保する輸出保険の運営の適正化を図るために、政府は海外バイヤーについてその信用状態を調査したり、その良否を表示する格づけを行っていると聞いております。聞くところによれば、その信用調査の対象となっている海外バイヤーは九万件を超しているということも聞いているわけでありますが、たとえば、私は資料をもらったんでありますが、AとかFとかMとかCとかBとか、その五種の格づけをしているようでありますけれども、その点で説明を願いたいことが第一点、それから登録されている海外バイヤーについては定期的に調査をしているのかどうか、これも何か二年か三年置きに一度、海外に駐在している商社から聞いて政府がこの格づけをしているというようなことも聞いているんですけれども、それでは余りにも自主性がないじゃないか、権威がないじゃないかと思うんでありますけれども、この二点について御説明を願いたいと思います。
#67
○政府委員(古田徳昌君) 現在、輸出保険におきまして整備しております海外商社名簿は、昭和五十六年四月一日現在で、ただいま御指摘いただきましたように、約九万ということになっております。この名簿の中の九万のバイヤーにつきまして、海外の有力調査会社の報告や輸出者の申告等によりまして、その財務状況、取引状況等の最新の情報を入手しまして信用度の調査を行いますとともに、バイヤーの格づけを行っているわけでございます。そのバイヤーの格づけにつきましては、信用度の良好なものから不良なもの、さらに保険の債権残高の大きなもの等、五種類に分類しておりまして、信用危険をカバーする保険を引き受ける場合に、この五つの種類の分類に応じて引き受け態度を決定しているということでございます。さらにこのハイヤーの信用調査につきましては、先ほど申し上げましたとおり、九万のバイヤーが登録された形になっておりますが、年間三万件程度につきまして毎年海外の有力な調査会社に直接調査を依頼しまして、情報を新しくしているということでございまして、先生御指摘のように商社等を通じての情報ということではなしに、直接の私どもの調査に基づいて最新の情報を入手し、それによりましての格づけを新しくしているということでございます。
#68
○青木薪次君 たとえば、ここに資料をもらったんですけれども、コリア、このゴールド・スター・エレクトリック・カンパニー、これが格づけがFであったのが今度はAになったんですね。これが八一年の四月一日からになって、「海外商社名簿(昭和五十六年版)の内容の一部変更について」ということになっているんでありますけれども、こういうものも政府が直接調べてやっているのかどうなのか。いま貿易局長は海外商社に頼んでいるんじゃなくて自分でやっているんだと、こうおっしゃるから、この点はそういうことで確認をしていいのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#69
○政府委員(古田徳昌君) 御指摘の具体的事例につきましては、確認いたしませんとお答えがむずかしいんでございますが、四月一日に定期的な見直し作業を行っておりますので、その際の見直し作業の結果の一つではないかと思います。
 なお直接の調査と私御説明いたしましたが、海外の信用調査機関に委託して私どもとして調査をしているということでございます。
 なお、取引の都合から海外バイヤーの格づけの変更を希望する輸出者からの格づけ変更の申請の際に、信頼のおける信用調査機関の最新の信用調査表を添付してもらい、これに基づきまして格づけの変更を行うかどうかというふうなことも実施しております。
#70
○青木薪次君 建設省にお伺いしたいと思いますけれども、海外建設工事能力の強化の点でわが国の土木建設業の技術力は世界でも一流の水準にある。そこで海外工事となりますと、まだ経験に乏しいために現地に根を生やして、しかも豊富な経験を持つ欧米企業と比べると力不足は否めない。そこで、このごろターンキープロジェクト、日本で設計をする、現地へ出かけていって現地の人たちを勉強させて一流の技術者に仕立てる、そして現地の人を雇って、それから材料も現地で調達して、そして工事をして引き渡す、これがいわゆるターンキープロジェクトということで言っていいかどうか、そういうように解釈しているんですけれども、そうすると現地の工事能力いかんが物を言う時代になってきていると思うんでありますけれども、わが国の建設業界の海外進出についてのビジョンづくりが急がれていると思うんですね。この点についてどういうようにお考えになっておられるのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
#71
○説明員(三谷浩君) お答えいたします。
 建設業の海外活動を促進しますことは、私どもの建設業のいわゆる発展に資するのみでなく、その主たる市場でございます開発途上国における経済、社会基盤を整備しまして、またその労働者の雇用機会とか、あるいは建設技術の移転等非常に大きなものがあります。したがいまして、建設省といたしましても、できるだけのバックアップをしたい、そういうふうに考えております。ただいままでともすればわが国の中の整備に追われておりまして、近年急速にふえてまいりましたものの、昭和五十四年でやっと六千億を超えた、こういうような現況でございます。いま先生の御指摘のございました、まさに一括で建設技術を移転をし、かつその国でいろんな社会基盤をつくるということは、まさに必要なことだと思われますので、それにつきましていろいろな課題がございますので、私ども一つ一つの問題についていろいろ進めておるところでございます。御指摘のように大変やはり欧米に比しまして歴史も浅く、かつ言葉の障害、特に建設事業そのものは相手の国へ行って一緒に仕事をするというものがございますので、単なる商品の輸出とは違いまして、たとえば情報の連絡体制の強化とか、あるいは海外用人材をいかに養成するかとか、それから一括でたとえば仕事をまとめるということになりますと、コンサルタントの育成等幾つかの問題がございます。これらにつきまして、じみちではございますが、たとえば情報の収集、連絡体制の強化ということでアタッシェとかあるいは専門家の派遣を強化する、あるいは海外用人材のための研修あるいはコンサルタントを育成するための研修等々、こういうものを幾つか重ねまして進めていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#72
○青木薪次君 プラント輸出の関係につきましては、やはり機器の性能とか耐久性とか引き渡し期間の遵守とか、操業指導が親切だといったようなハード面で非常に評価が高いということですね。ところが、建設するまでの各種の調査とか、構想のまとめとか、基礎設計とか、機器の調達とか組み合わせとか、そういったようないわゆるソフト面では非常に弱いというように一般的に言われていますね。したがって、今後ソフト技術を高めるということが低迷しているプラント輸出の振興に役立つものだと思うんですけれども、その点についてはどういう認識の上に立っていられるかどうか、プラント低迷の一つの原因がここにあるというように言われているわけでありますけれども、その点をお伺いいたしたいと思います。
#73
○政府委員(小長啓一君) ただいま先生の御指摘のように、ソフト面における問題が非常に大きなプラントの輸出の阻害要因になっていることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもといたしましては、コンサルティングエンジニアリング企業の育成、強化ということが非常に重要な課題ではないかと思っておるわけでございます。先生御指摘のように、プラントの発掘から完成までには大体平均五年間の期間を要しております。プラントプロジェクトの発掘の段階で主たる役割りを演じますのは、コンサルティングエンジニアリング企業ということになるわけでございまして、そこの分野におきます活躍いかんが後のプラントの受注に非常に大きく影響してくるわけでございます。したがいまして、その発掘の分野におきまして、日本のコンサルティング企業が力を発揮すれば後々いい影響が出てくるわけでございます。そういう意味でそこの分野におきますコンサルティングエンジニアリング機能の拡充、強化というのが現下の課題ということでございまして、先生御指摘のソフト面の強化というのはそういう意味であるわけでございまして、私どもといたしましては、その面の強化、拡充を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#74
○青木薪次君 次に、借入金の点についてお伺いいたしたいと思うんでありますが、輸出保険会計において支払い上現金に不足があるときには、その会計の負担において一時借入金や融通証券を発行することができると規定しているわけですね。この違いはどうなのか、その選択の基準や、その運用方法についてお伺いいたしたいと思うんでありますが、たとえば積立金が千七百億ある、どうしても二千億欲しい、三百億円不足するんだというような場合に、借入金か融通証券が、まあいわゆる政府の保証債というんですかね、そういうようなものについての違いと運用方法について御説明をいただきたいと思います。
#75
○説明員(本郷英一君) ただいま先生御質問の短期の資金繰りの問題でございますが、一時借入金と申しておりますのは、一年――一会計年度内において生じます収入と支出の時期的な不一致から現金不足が生じた場合に、その資金繰りのために特別会計が借り入れる資金調達の手段でございます。これはその借り入れの限度額につきまして予算の総則において議決をされることになっております。他方、融通証券につきましては、一時的な現金不足を補うために政府の発行する証券でございまして、特別会計の負担において発行されるものでございますが、輸出保険特別会計の場合におきましては、一時借入金と同様に、融通証券を発行した場合にはその年度内の歳入によってこれを償還するというふうになっておりまして、その発行限度につきましては、一時借入金と一緒に予算総則の中で限度が設定されているものでございます。
#76
○青木薪次君 そういたしますと、私は心配しているのは、急遽保険料の引き上げといったようなことはないだろうか、たとえば輸出保険会計の負担において借入金をする場合に、限度額の算定根拠がその年度における保険料の回収金及び納付金の合計額を上限とした理由がちょっとわからないんですが、そういった点についてちょっとお伺いしたいと思います。
#77
○説明員(本郷英一君) 保険料率の設定につきましては、輸出保険法におきまして支出を償うよう定めることとされておりまして、私どもといたしましては、長期的に収入と支出が均衡するような水準に料率を定めるというふうに考えておりますので、一年、一会計年度の間に季節的に生じます短期的な現金の不足あるいは過剰というものと料率との間には、直接の結びつけをしないで考えております。
#78
○青木薪次君 その点わかりました。
 それから、特別保険料についてお伺いしたいと思うんでありますが、輸出保険の保険契約の保険料率は、政府の保険事業の収入が支出を償うようになっている。しかし、この保険事業の経営上支障がないと認められるときは、通産大臣は特別保険料を定めることになっているというんでありますけれども、これは割引料金のことなのか、いわゆる千七百億が高ければね、そういったことなのか、その内容についてちょっと説明してもらいたいと思います。
#79
○説明員(本郷英一君) ただいま先生御質問の特別料率でございますが、これは輸出保険法施行令の中で定められておりますものでございまして、その別表の中で、取引上の危険が大であるとき、あるいは保険事業の経営上必要があると認められるとき、または逆に取引上の危険が小であるとき、その他保険事業の経営上支障がないと認められるとき通産大臣が定めるということになっておりまして、したがいまして基本料率より高く、あるいは低く、その状況に応じまして設定することができることとなっております。
 たとえば、その一例を申し上げますと、普通輸出保険におきましては、基本料率は二カ月ごとの期間に応じまして料率を定めております。そうしますと、三カ月目、五カ月目という奇数のところにつきましては、その料率がなだらかにいきませんために割増し的な感じになりますので、この特別料率によりまして低く設定するというようなことをやっているわけでございます。
#80
○青木薪次君 次に、直営方式についてお伺いしたいと思うんでありますが、外国では輸出保険の事業運営については、いずれも政府の何らかの支援のもとに民間の保険会社が実はやっているんですね。それか、または政府関係の機関が行っているところもありますけれども、わが国の場合には政府の直営方式を実は採用しているわけであります。この理由についてお伺いしたいことと、それから今日、行政機構改革が叫ばれていることにかんがみまして、たとえば事務手続等は民間に委討するのも一案であるなんという意見もあるわけでありますけれども、この点についての政府の考え方をお聞きいたしたいと思います。
#81
○政府委員(古田徳昌君) 現在、わが国におきましては、輸出保険事業の運営は国が特別会計によって行っているわけでございます。私どもとしましては、これを民営とかあるいは他の機関に移すことにつきましては、次に述べますような理由でむしろ保険サービスの低下につながる問題があるんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
 まず第一の点としまして、プラント輸出あるいは海外投資等の引き受けに当たりましては、産業政策とかあるいは貿易政策、経済協力政策等々の観点から総合的に判断をして引き受けを行っているわけでございまして、こうした政策判断との関係からいきますと、やはり国営が適当ではないかというふうに思うわけでございます。
 第二の点としまして、輸出保険の運営上必要不可欠な海外諸国のいわゆるカントリーリスク情報、先ほど来御指摘をいただきましたけれども、このカントリーリスク情報につきましては、国が直接実施するという形でございますと、在外公館、ジェトロ等を通じまして情報が入りますし、また諸外国政府から直接に通産省が行政官庁として入手する情報に依存することも可能になってくるわけでございまして、他の経営体の場合にはどうしてもこのような情報の収集につきましては不十分になりがちではないかというふうに考えるわけでございます。
 それから、第三の点としまして、輸出保険の引受審査等に当たりまして、通産省の中で関係各課の協力、連絡のもとで行えるわけでございまして、この点につきましてもむしろ機構としては合理化した、簡素化した形のものになり得るというふうに考えているわけでございます。
 それから、第四の点としまして、以上の申し上げましたような諸点からのむしろ結果ということにもなるかと思いますけれども、通産省の輸出保険事業は職員一人当たりの引受金額、それから引受金額に対する事務経費の比率等につきまして、欧米諸国の諸機関に比べますと数倍効率的な形になっております。これを他の形態に移行しますと、そういう意味ではかえってただいま申し上げましたような一人当たりの引受金額なり経費比率といったふうなものにつきまして、むしろ状況が諸外国並みに悪くなっていくのではないかというふうなことも懸念しているわけでございます。
#82
○青木薪次君 日本企業が行う海外投資には、一般的に自己資金によらないで、金利負担が重い借入金を利用するケースが非常に多いわけであります。どうしてもそのために収益率が圧縮されるという傾向があると思うのでありますが、今後、投資効率を一定に保って、さらに高めるためにも、保険料率はできる限り低水準に抑えて、保険事業意欲を減少させないための努力が望まれているところであると思いますけれども、今後において楽観視できるのかどうか。今度てん補率が九〇から九五に引き上げられたので若干好転をしておるわけでありますけれども、その点についてお伺いいたしたいと思います。
#83
○政府委員(古田徳昌君) 先ほども御説明しましたように、現在わが国の輸出保険事業は諸外国に比べますとかなり効率的な形で運営されているということが言えるかと思いますが、それとの関係もあるかと思いますが、現在、わが国の保険料率は、諸外国に比べますと、ケースにもよりますが、三分の一あるいは五分の一というふうな料率になっておりまして、現在のところ、私どもとしましてはこの低い料率をできるだけ維持していきたいというふうに考えているわけでございます。
#84
○青木薪次君 認定物資についてちょっとお伺いしたいと思うのでありますが、普通、輸出保険の適用範囲となる貨物のうちで、特定の仕向け地への輸出を目的として生産されたもので、当該仕向け地以外の仕向け地への輸出、または本邦内における販売が著しく困難であるというように認められた場合に、通産大臣が定めているものとは、一体これはどういうものを指すのかお伺いいたしたいと思います。また、その判断基準をどういうようになされているのかですね、これは事故が起きたときに他へ売れるのかどうか、そのこととも関係がありますので、お伺いいたしたいと思います。
#85
○説明員(本郷英一君) 御説明申し上げます。
 輸出保険法施行令第三条第二号で規定いたしております転売が著しく困難な貨物といたしましては、・特殊な染め柄の繊維品、あるいは特殊なパターンの陶磁器とかいった特定仕向け地への輸出を目的として生産された貨物で、したがってよそのところでは転売がむずかしい貨物というものを想定しているわけでございます。しかし、実際には、この貨物を対象としております普通輸出保険の生産者約款というものが現在のところ利用がございませんで、この貨物につきましては、通産大臣が施行令の規定によって指定したものはいままでのところないという状況でございます。
#86
○青木薪次君 最後に、私は、事故の発生国からの債権回収義務の部分的免除といいますか、現行制度のもとでは、保険金を請求した後に代金回収がなされた場合には、被保険者たる投資家は事故対価を回収してこれを国庫に返すものとされているのでありますけれども、その場合、相手国が受け入れ国の政府であって、交渉当事者資格が異なるために、民間企業の力では代金回収の折衝義務を履行することはきわめて困難だ、こうした場合に債権回収義務を免除する余地があると思うけれどもどうだろうかということなのであります。クーデターなんかが起こった場合に、らちが明かない。政府は九五%ですからそれはいいんだけれども、あとの五%は結局は払ってくれないから相手国からの回収も不可能ということであっては、これはやっぱり大変なことだと思うのでありますけれども、この点を一つお伺いいたしたいと思います。
#87
○政府委員(古田徳昌君) 現在の輸出保険制度におきましては、保険金を支払った場合には確かに被保険者に対しまして回収義務を課しているわけでございます。このような制度になっておりますのは、事故バイヤーと、つまり相手方と直接取引関係を持っておりまして常時連絡をとり合ってきております輸出業者が回収作業を行うことが、最も効果的な方法であるというふうに考えるからでございまして、この回収義務の免除といったことは、私どもは現在のところ考えていないわけでございますが、ただ、先生も御指摘いただきましたように、非常危険による保険事故のうち最も多い事故事由でございます外貨送金遅延といったようなものにつきましては、政府間で債務繰り延べ協定を締結するわけでございまして、この協定でもって政府間で回収につきまして約束をするという形になるわけでございます。したがいまして、回収がそういう意味では非常に確実なものになるわけでございまして、実際の回収事務そのものは個々の輸出業者が行いますが、回収全体については政府間で約束ができるという形でございまして、こういう形で、政府としましても側面から全面的な支援を行うという形になっているわけでございます。
#88
○青木薪次君 終わります。
#89
○理事(前田勲男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四分開会
   〔理事前田勲男君委員長席に着く〕
#90
○理事(前田勲男君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 輸出保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
#91
○田代富士男君 法案の質疑の前に、いま問題になっております敦賀の原発事故の問題について質問をしたいと思います。
 この問題は重大な社会問題になっておりまして、わが党もこの事故を重大視いたしまして、昨日調査団を派遣いたしまして、綿密な調査をいたしました。この放射性廃液大量流出は、廃液が部屋の床のひび割れなどから一般排水路に流れ出たのか、または職員や下請労働者がマンホールから故意に流したのか、不明な点が多いわけでございますが、通産省の調査によりまして、現時点までに判明した事故の概要について、最初に御説明願いたいと思います。
#92
○国務大臣(田中六助君) 日本原子力発電所の敦賀発電所におきまして、
   〔理事前田勲男君退席、委員長着席〕
今般の事故は、まことに遺憾に思うと同時に責任を痛感するわけでございます。
 この敦賀発電所におきましては、さきに給水加熱器の排水、そういうものに対して漏洩の事故があったわけでございますし、これに対しまして、通産省に対して何らの報告をすることなくしかもその上、この事故個所を補修するというようなことを行ったわけでございまして、それについてもすでに大きな責任があったわけで、私どもこの点検をやっておる最中に、今度はまた新しく事故が起こったわけでございまして、これらにつきましては敦賀の発電所の管理体制と申しますか、そういうもの全般についてどうも体質的に大きな欠陥があるんじゃないかというふうに思って、現在立ち入り検査もやっておると同時に、通産省からも係官を多数派遣していま調査中でございますし、この結果がわかり次第、私どもも新たな措置を含めて考えなければならないと思っておりますけれども、いずれにしても、原子力発電所に対する安全性をいつも強調してきておりました私にとりましても、また通産省にとりましても、どうも言いようのないような感慨でございますけれども、特に国民に原子力発電所に対する不安、不信感を助長したという事実も免れない結果でございますし、これらを含めまして、私ども現在立ち入り検査、あるいは係官の調果の結果を待って対処したいというふうに考えております。
#93
○田代富士男君 ただいまも、いま大臣からお話がございましたが、これだけの大事故についての報告がこの前からの当委員会においても論議されましたけれども、なぜ日誌に書き込まれなかったのか、この点についてわが党の調査団が追及をいたしました。これに対しまして、日本原子力発電会社の浅田常務は、運転日誌に書くようなシステムにはなっていないと答えているわけなんです、調査団に対して。私は、この報告を聞きまして、このような重大な問題を報告をすべきシステムになってないということは、日ごろ通産省としてどのような行政指導をなされているのか、本当にこういう報告事項はする必要がなかったのであるのか。これは間違いございませんよ、調査団が行って調査をしてきたその結果を確認の上に私は質問しております。この点大臣、いかがでございましょうか。
#94
○国務大臣(田中六助君) これはちゃんと、もちろん日誌にも書かなければなりませんし、報告する義務、電気事業法並びに原子炉等規制法の法律に基づいて報告する義務がございます。したがって、そういうことがないというようなことは全く私どもも考えられないことでございますけれども、現実にそういうことでございましょうし、非常に遺憾に思っております。
#95
○田代富士男君 いま大臣がそういうことはないと思うけれども、そういうことがあるということは遺憾であるとおっしゃいましたが、それでまた調査団がさらにこれを浅田常務に追及をいたしまして明らかになったことは、去る三月の八日の廃棄物処理設備運転日記には、特記事項といたしましてオーバーフローより汚染ありと書かれてある。その現場におる責任者はこのように上司に報告をしているという、この日記に明確にしてあるわけなんです。だから報告をされたという裏づけが明確なんですよ。しかし、これは日本原電の上層部が事故の報告を受けながらも握りつぶしていたということが、このことで明らかではありませんか。この点、大臣いかがでございましょうか。いままで報告は、こういうことは明確にされてなかったんですか、こういうことは明確なんですか、どうなんですか。
#96
○政府委員(高橋宏君) 私ども、スリーマイルアイランド事故以来、特に運転中の管理監督について強化しなければいけないという趣旨のもとに、現場に駐在の監督官を派遣いたしまして管理監督しておるところでございます。そういたしまして発電所側からの報告に基づきまして主要な事項について監督をしておる体制でございます。したがいまして発電所側がそういう事態があったということを記録し、かつ私どもの駐在官に報告をするということがこのシステムの基本になっておりまして、強く指導しておったところでございます。しかるに御指摘のような事態が現実にあったという疑いが非常に濃厚でございます。なおかつ御指摘がございましたが、発電所の所長が知っておった可能性があるということになりますと、原電側の社内の保安管理体制、責任体制についてきわめて遺憾と言わざるを得ないわけでございます。そういったことを含めまして現在事情聴取をいたしておりますので、事情聴取を詳細に行いまして事実関係を明らかにし、適切な措置をとりたいというぐあいに現在考えておるところでございます。
#97
○田代富士男君 いまこういう報告を受けてそれで指導していくという、そういう体制で指導をしているんだというお話でございますが、現実に報告がなされていた。まして今度浅田常務からの調査団の事情聴取によりますと、この所長が事故後二日目、日にちで申し上げますと三月十日、所内の連絡会議でこの報告を受けていることを明らかにしております。だから所長はいままで、四月の十八日まで知らなかったというこれまでの説を否定したことになるわけです。否定されたわけなんです。現実に三月の十日の連絡会議でこれは明らかに報告をされていると。これはまさしく事故隠しの事実が明らかでございまして、現在そういう知っていた可能性があると。もしそれであるならば、保安体制上きわめて遺憾であると言われるけれども、わが調査団の昨日の調査結果を私は報告を聞きまして、この事実をですね、大臣いかがですか。
#98
○国務大臣(田中六助君) 先ほどから申し上げますように、目下立入検査で厳重に調査中でございますが、いま委員がおっしゃるように、そういう事実ということになりますれば、私も実は内心あきれておることでございまして、原子力発電所に対すみ国民の認識とかあるいは私どもが安全性を強くいろいろ皆さんにも訴えてやっておることが、根本から覆る可能性もあるというようなことで、非常に残念に思うと同時にくやしく思っております。しかしこれは事実を究明をした上で、私どももこれに厳重に対処しなければならないというふうに考えております。
#99
○田代富士男君 問題は、この事故後二日目にその事実を知りながら、所長の判断だけで本社にも通産省にも報告をしなかったというのは、いまも大臣申されるとおり重大な問題でありますけれども、このようなずさんな管理で果たして今後の安全の確保ができるのかどうか、これは心配でなりません。それがここだけではない、じゃ他の場所でも行われているのじゃなかろうかと、この安全の確保はできるのかどうか、現在の体制で。どうですか、再度重ねてお聞きいたします。
#100
○国務大臣(田中六助君) まさしく御指摘のように私どもが頭で考えるのは、果たしてここだけだろうかと、ほかにはないんだろうかという考えが走るわけでございます。したがって私どもすでに原子力発電所関係に総点検をすべく指示をしておりますけれども、そういうことのほかにないようには願いますけれども、これからいやが上にも十分その総点検とか立入検査というものを厳重にすると同時に、私どももえりを正してその横の連絡、縦の連絡、そういう面について厳重、厳密な措置、連絡をやっていかなければならないというふうに思います。
#101
○田代富士男君 それから大臣ですね、調査団の報告を聞きまして、私は世間一般で言う灯台もと暗しという言葉がありますが、そのことがそのまま当てはまるなと思う事態を私は聞きました。それは、建屋内の警報装置やモニターシステムに不備がある、われわれ専門家でありませんけれども、これは考えられないことだ。もしそれがあるならば、ある程度それを発見することもできたんじゃないか、それを現場へ行って確認をしてきております。このようなことで内部管理のずさんさということがさらに明らかである。報告をしないのも当然だし、私はそういうことから通産省として立入検査をしたときに、こういうものを確認をしたのかしないのか、この点明確にしてもらいたいと思うんです。どうですか。
#102
○政府委員(高橋宏君) 建物内部のモニターシステムの御質問でございますが、私どもこういう設備が増改築されますときには認可が必要でございまして、その際にこのモニターシステムは一つのチェックポイントでございます。本件につきましても、申請の段階では厳重な審査が行われておるわけでございますが丁現状におきまして、それがどういう基準値に設定され、現実に今度の廃液が床にこぼれましたときに、どの程度の室内の濃度になり、その警報なりモニターがどういうように作用したかということを今後調べまして対処いたしたいと思っております。調べる時期は、できればきょうあすじゅうにというかっこうで現在やっておるところでございます。
#103
○田代富士男君 しかし現実にそれはされていたのかされてなかったのか、そこらあたりもうちょっと詳しく言ってください。
#104
○政府委員(高橋宏君) 放射性廃液があふれまして床の上に出ておるというのを発見しましたのは、パトロールで発見いたしております。そのときに、たとえば警報が鳴っておったかどうか、あるいは指示板等の指示がどうであったかという点につきましてはまだ不明でございますので、その辺を詰めておるところでございます。
#105
○田代富士男君 また調査団の報告によりますとね、現場の建屋内のバルブがあいていたにもかかわらず、制御装置のある中央センターの二つあるランプは閉まっていたというそういう表示をしていた。現実にはあいていた。ここらあたりがまた現在の調査の対象だと思いますが、こういう事実があったことを掌握されていらっしゃるんですかどうですか。
#106
○政府委員(高橋宏君) 知っております。その点も調査の対象にいたしております。
#107
○田代富士男君 大臣ですね、まだ今度二十八日に集中審議をやるとかきょう聞いておりますから、そのときに克明にいたしますけれども、いま言った数点の私は調査団の報告を聞きましたけれども、こういう内部管理のずさんさということは、通産省としても私はこれは許すわけにいかないと思うんです。だからそういう面につきましては、今回の調査、厳重にやっていただきたい。これは強く要望しておきますが、それと同時に大事なことは、これは汚染事故だけではございません、その周囲への影響が非常に心配されております。その一つは、現に敦賀に水揚げされた魚には買い手がつかないという極端な話さえ起きております。だから関西地方は、そういう敦賀関係の福井県のそういう荷受けをするなという通達も出した、その取り消しをやってくれというようなそういういろいろなことが起きております。私もその実態を各自治体から聞きましたけれども、そういう買い手がつかない、こういう有形無形の被害が起きている。今後の補償については、これどう考えますか。
#108
○政府委員(高橋宏君) 今回の放射性廃液の漏洩に関連しまして、浦底湾の汚染、そしてそれが魚等に悪影響があるのではないかという不安を皆様方に与えておる事実がございます。これに対しまして環境の放射線管理の衝に当たっております県、そしてこれと連携をとっております科学技術庁が、四月の十九日と二十日、二回にわたりましてその魚、海草等の採取を行いまして放射能を測定いたしております。特に二十日には、魚市場の魚につきましてもやっております。そういたしまして、魚類につきましては検出されないという結果を報告いたしておるところでございます。そういう事実を私どもよく皆様方に知っていただくことが一つでございますが、と同時に電気事業者に対しましては、協定等に基づきまして誠意をもって皆様方とそういう点についてのお話し合いを進めるようにという指導をしてまいりたいというぐあいに考えております。
#109
○田代富士男君 いまそういうような影響はないということを言われましても、まず安全だということを言われましてそこでも建設をした。にもかかわらず、これだけの事故が、汚染されているということ。じゃ安全だと言われても、建設のときに安全だと言われても、汚染された。魚は安全だと言われても信用しませんよ。だから安全だから影響ありませんと、そのように事務的に済まされない。現実に魚が買い手がつかない補償というものは、そういう安全でありますから大丈夫ですということじゃ済まされないと思いますが、この点は大臣いかがですか、責任者として。
#110
○国務大臣(田中六助君) そういう現実には科学技術庁あるいは県のそういう汚染関係の検査によって、汚染されてないというふうに判定はされておりますけれども、しかし現実にそれがそういううわさがうわさを生んで売れないということになると、それは現実に生活にも関係する問題でございますので、それに対する補償と申しますか、それに対する補いについてはやはり考えなくちゃいかぬというふうに思います。
#111
○田代富士男君 もちろん補償問題については、漁業関係者には協定が設置されております。そういうところでまあ話し合いをされるかと思いますが、この地元で協定のない、たとえばあの地方は風光明媚なところでございますから、夏になりますと民宿関係者の、そういう民宿に来る人たちのための商売をやっている人がおるわけなんですが、もうここへはいままで予約をしていたいろんな団体からキャンセルの通知が参りまして、この民宿関係者の被害というものは新たな問題になっている。これは協定がない、こういう人たちの補償はどういうふうにお考えになっているか、この点大臣どうですか。
#112
○政府委員(高橋宏君) 協定のあるなしにかかわらず、こういう予測しがたい損害があった場合につきまして、基本的には損害賠償の問題として電力会社と当事者の間で解決するように電力会社を指導してまいりたいというぐあいに考えております。
#113
○田代富士男君 じゃ、この点はひとつ配慮していた。だきたいことを要望しておきますが。
 そこで、原発建設のたびに、ただいまも申し上げましたけれども、その安全性が主張されております。国会の委員会におきましてもこのことが当局から主張されるわけなんですが、それでも懸念を抱きながら当該地方の住民は結局受け入れざるを得ない。そうして一たん建設をされますと、その後の管理につきましてはタッチできないというのが現状であります。こういうところから、けさの新聞あるいはテレビ、ラジオ等の報道によりましても、第三の汚染マンホールが判明したということでございますけれども、これは五十二年の二月に工事認可を受け、増設された場所にあったということで、自後の安全性チェックに対する心配を増幅させているのでありますけれども、こうした設計がなされ、また審査が簡単に通過するということに非常な危惧を抱かざるを得ないわけなんです。こういうところを、事故が起きてはならないけれども、現実に起きてしまった、この点を今後どう考えていくのか、この点に対して明確な御答弁をいただきたいと思います。
#114
○政府委員(高橋宏君) 廃棄物処理施設の増改築につきましては、認可が要るというお答えをいたしましたが、その際、従来は、これまででございますが、廃棄物処理設備、たとえばタンクとかポンプとかパイプでございますが、中に、その放射性物質を処理する、あるいは貯蔵する、そういう施設につきまして、強度、耐震、性能等につきまして審査をするというのが中心でございました。そういうことでございまして、この一般用排水路等の施設につきましては、この認可申請の審査資料の中に十分記載されていなかったというのが現状で……従来の、でございます。今回の、と申しますのは、実はこういうことは本来、何と申しますか、予想外の出来事とショックを受けておるわけでございますが、こういうこともございましたので、そういう点の改善充実ということを、認可、検査、基準等につきまして検討いたしてまいりたいというぐあいに考えております。
#115
○田代富士男君 予想外の出来事だとか、そういうことをいま御答弁いただいておりますけれども、こういうことはありませんということを主張していらっしゃった立場です。こういうことは許されるべきことではないと思うわけなんです。そこで、現在の産業規模から考えても、他の有力な代替エネルギーが開発されない限り、このエネルギー確保のためには原発を抜きにしては不可能なところまで至っていることは確かでございます。ところが、そういう事態であるから生命を脅かす危険性を見過ごしていいということには私はならないと思うんです。その安全性あるいは影響性は徹底して未然に確認しなくてはならないと思いますが、いま御答弁がありましたけれども、大臣、こういう立場からも、いま、これは予想外のことであるというようなことでございますけれども、事、命にかかわる問題ですから、これは未然に確認しなくちゃならないと思うのですが、どうですか。
   〔委員長退席、理事土屋義彦君着席〕
#116
○国務大臣(田中六助君) これはここでいろいろ私が言いわけみたいな発言しても本当に済まないことと思いますし、なれというもののこわさ、あるいは個々の発電所の体質、そういうようなものはどうなんだろうかというふうに私、しみじみ感ずるわけでございますが、いずれにしてもどういう立て直し――そういう管理体制はもちろんそうでございますけれども、体質の中に何かがひそんでおるならば、その究明こそ第一である。そういうところにメスを入れなければ、大曲線を描いて、中心に達する手術はできないんじゃないか。それにはどうしたらよいか。やはり徹底的な究明、これこそ先決ではないかというふうに考えております。
#117
○田代富士男君 いまも申されたとおりに、予期しないことが、想像外の出来事が起きたということでございますが、そのような何でも想像できるような事故を防ぐのは当然でございますけれども、不慮の事態をどうするかというのが一番大事じゃないかと思うんです。そういう意味で、安全への感覚を根本から改めまして、安全基準の態様を見直し、より厳しいものに改めるべきであると思いますけれども、どうでしょうか。
 もう一つは、一つの技術が開発されますと、その効果が常に先行いたしまして、そしてその副作用論議が後からついていく形となっているのが現状ではないかと思うわけなんですが、この考え方を基本から改める時期に来ているのではないかと私は思うんです。たとえば物をつくるときは、先にそれをどうやって捨てるのかという捨て方や、あるいは壊し方や、あるいは再生の方向を確立しなければならないと思います。それまではつくってはならない、また、つくったことにはならないという考えを持たねばならないじゃないかと思います。こういう意味から、物をつくるという、創造することをそのように規定すべきではなかろうかと思うわけなんですが、そういう意味から放射性物質の安全廃棄の方向を確立することが、原発建設において一切に優先することではないかということをここで改めて定義づけるべきではないかと思いますけれども、こういう意味も含めまして基本から改める時期が来ていると思いますけれども、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
#118
○国務大臣(田中六助君) 田代委員御指摘のように、やはり私といたしましても初歩から、つまり真っ白なところからこの問題を考え直してあるいは究明し直していくことがまず先決だと思いますし、問題解決の早道ではないかというふうに考えます。
   〔理事土屋義彦君退席、理事前田勲男君着席〕
#119
○田代富士男君 じゃ法案の質問に移ります。
 まず、今回輸出保険法の改正法案が出されておりますが、その背景の問題等についてまず最初に質問をしてまいりたいと思います。
 わが国のプラント輸出は、昭和四十五年に承認実績ベースで九億六千五百万ドルにすぎなかったものが、五十四年には百十八億一千百万ドルと、その伸びは目覚ましいものがありました。しかし、最近は新規受注が低迷いたしまして、五十五年度は百億ドルを割り込む見通しと言われております。このプラントは自動車やテレビなどと違いまして、御承知のとおりに貿易摩擦を伴わないために、わが国にとりましてはうってつけの輸出品目とされております。その低迷は輸出立国であります日本にとりまして重要な問題ではないかと思います。その原因をどのように分析していらっしゃるのか、まず御答弁いただきたいと思います。
#120
○政府委員(小長啓一君) 先生御指摘のように、昭和四十五年以来、順調に伸びてまいりましたプラント輸出でございますが、ことしは九十億ドル弱というくらいの見通してございまして、前年百十八億ドルに比べまして約二五%の減少というのが見込まれておるわけでございます。昨年の場合には、特に中国向けのプラント関係が多うございましたために、異常に高水準であったという点はあったわけでございますけれども、本年度におきましては世界経済の景気後退、中国の経済調整、イラン・イラク紛争等輸出先国における政治経済事情の不安定化の問題、それからプラント需要の停滞、それから為替変動が大きかった等々の理由が大きく反映したものと考えております。
#121
○田代富士男君 このブラント輸出の停滞で特に問題になるのは、中小企業への影響ではないかと思います。たとえばただいまもお話がございましたが・イランイラク戦争が激しくなっていたころ、ちょうど五十五年の九月ごろでございましょうか、そのころの調査では、ブラント輸出への影響は両国の総契約額四十二億ドルに対しまして船積み前額が十二億ドル、未回収分十億ドルと言われておりますが、これを中小企業への波及効果から単純に逆算してみますと十九億ドル、そのくらいの程度の被害となっておりますけれども、このように非常危険の発生に伴う船積み停止などは中小企業への影響が大きく、また企業の基盤も弱いこと等も思い合わせまして重大な問題ではないかと思います。この点、通産省の認識をお聞きしたいと思いますが。
#122
○政府委員(木下博生君) プラント輸出あるいは一般の輸出が減少することによりまして、その輸出品の下請企業である中小企業に悪影響が及ぶということがあってはなりませんので、中小企業庁といたしましては、下請代金支払遅延等防止法というような法律を適正に運用いたしまして、中小企業にそのような影響ができるだけ出ないようにいたしていきたいというふうに考えております。
#123
○田代富士男君 いま申された程度で中小企業の救済はできますか。その程度では中小企業の救済はできないと思いますけれども、どうなんですか。
#124
○政府委員(木下博生君) 現在、イラン・イラクの紛争によりまして、中小企業への輸出に伴う影響が出ているということは必ずしも聞いておりませんが、ただ昨年秋には、一時イラン・イラク紛争が激化いたしましたときに、一部の中小企業者に輸出の減少あるいは停止によって影響が出たというふうなことは聞いております。その際には、中小企業体質強化資金助成制度という融資制度がございますけれども、それを運用いたしまして、その影響を受けました地域の実情に応じたつなぎ融資というようなことは行ってきております。
#125
○田代富士男君 またこのプラント輸出の停滞の原因の一つに、円高の影響があるのではないかと思われております。わが国は従来円建ての契約を中心としてきましたけれども、五十二年、五十三年の急激な円高以来、円建て契約が敬遠されまして、五十年には御承知のとおりに七七・五%もあったものが年々に低下しまして、五十四年には四九%に落ち込んでおります。プラント輸出は御承知のとおりに買い手市場でありますし、為替リスクの輸出側負担は避けられないところでありますが、円の先高感が強まりますと価格へ反映せざるを得なくなりまして、これは受注活動に大きな支障になると考えられますけれども、今後の為替リスクに対する見通しはどうですか。
#126
○政府委員(小長啓一君) お答えいたします前に、先ほどの私答弁の中で本年度と申しまして、九十億ドル弱の水準を本年度と申しましたけれども、これは本年三月に終わっております昭和五十五年度の言い間違いでございましたのでちょっと訂正をさしていただきます。
 円高の問題に伴う円建て契約の比率が減少しておるという先生の御指摘でございますが、おっしゃるとおりでございます。為替変動に伴うリスクにつきましては、関係企業におきまして輸出入取引のバランスの確保や、あるいは国際競争力を強化することを通じまして円建て契約を実現するというようなことによりましてその軽減、回避を図るように努めることを政府としても期待しておるところでございます。また政府といたしましてもプラント輸出の促進を図るため、わが国プラント業界の国際競争力の向上を図ってまいりたいと考えておる次第でございまして、所要の支援も行っておるところでございますが、このほか一定の延べ払い輸出につきましては為替変動保険も用意されておるところでございます。今後ともこういう方針に従いまして、適宜適切に対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
#127
○田代富士男君 いま申されるような対策も必要かと思いますけれども、このような価格の問題を克服するためには、もう一つはわが国の技術や実績など非価格競争力を強化していかねばならないことではないでしょうか。そういう立場から、西独がプラント輸出で強いと言われてきておりますが、これは長い歴史と豊富な経験で裏づけされておりまして 国際的な名声を確立しておりますが、これにはわが国は遠く及ばないところではないかと思います。そういうところからアンケート調査によりますと、プラント輸出敗退の原因の第一位は何であるか、これは明確に実績不足であるという結果が出ているのでございます。こういうところから、技術に関しては最近わが国も実力をつけてきたとはいいましても、プラント輸出のベースとなる技術の大半というのは、御承知のとおりに輸入技術によると聞いておりますけれども、現在の現状について御説明をいただきたいと思います。
#128
○政府委員(小長啓一君) 先生御指摘のように、プラントの競争力の源泉は価格競争力及び非価格競争力にあることは御指摘のとおりでございます。特に御指摘の非価格競争力の分野におきましてわが方が非常に問題の点を抱えておることも御指摘のとおりでございます。
 御承知のように、プラント輸出はさまざまな技術やノーハウの集積された知識集約型輸出でございまして、機種によっては石油化学プラントにおけるプロセス技術など、一部に外国の特許を使用せざるを得ない場合もあるわけでございまして、しかし大部分はわが国の技術をベースとして輸出を行っておるわけでございます。すぐれた外国技術の導入は、コストの低減やあるいは技術力の向上という観点からも必要だと思いますし、そういう観点から外国技術を使用することについても積極的にその導入を図ってまいりたいというふうには考えておる次第でございます。
 ただ、最近の流れとして見てまいりますと、外国の企業も自分の国際競争力を維持する観点から、すぐれた技術を他に与えるということについてはきわめて消極的な方向になりつつあるわけでございまして、したがいましてそういう意味からは自主技術の開発維持ということが重要な課題となってくるんではないかというふうに考えております。
#129
○田代富士男君 ただいまも御答弁がございましたけれども、輸入技術に依存せざるを得ないということは、技術料などでコストが硬直し、また輸出地域に制限を受ける、こういう障害が起きてくるわけでございます。また、最近は外国も消極的になったというお話でありますし、そういう立場から自主技術開発をしなくちゃならないという御答弁がございましたが、国産技術の開発ということをどう考えていらっしゃるのか。いま輸入技術は三割ぐらいあるというようなことも聞いておりますけれども、こういう立場から国産技術の開発についてお答えいただきたいと思います。
#130
○政府委員(小長啓一君) 私も全部を把握しているわけではございませんが、たとえば製鉄技術というような分野におきましては、日本は独自の技術を確立をしておりまして、日本の企業の技術が世界の各地でプラントの形でもって使われておるということは、もう周知の事実となっておるわけでございます。したがいまして、そのような独自技術を今後も積極的に開発維持をしていく必要があるんではないかというふうに考える次第でございます。
#131
○田代富士男君 まあ製鉄技術等は日本から技術が世界に広められているということでございますが、わが国の大型プロジェクトをまとめ上げるコンサルティング能力、エンジニアリングの部門では反対に弱いとこれは言われております。そういう立場から、わが国が個々に持つ技術力の優秀さやあるいは納期の確実さなどのこういう利点だけにとどまらず、主体性の持てるプロジェクトを組めるような力を養っていかなくてはならない。これが今後のわが国における大きな問題点ではないかと思うわけなんですが、コンサルティングの能力が高いと言われる西独と比べましてわが国の現状はどうなのか、認識を聞きたいし、またこのような総合力の育成を通産省としてどのようにやっていこうとお考えであるか、お聞かせいただきたいと思います。
#132
○政府委員(小長啓一君) 先生御指摘のように、わが国のコンサルティング、エンジニアリング能力は欧米諸国に比較いたしましてきわめて問題のある状況でございます。特に歴史的な企業の経験が浅いということもございますし、それから実績も大した実績を持ってないという点もございまして、そういう意味から欧米諸国のコンサルティング企業に比べまして、名声といいそれからまたその信用といい、そういう面できわめて劣っておるというのが実情でございます。それに対応いたしまして、通産省といたしましてはプロジェクト遂行にかかわる総合能力を強化していくこと。そのためにはプロジェクトマネージャーの育成、あるいは関連技術者の育成強化といったようなことを図るとともに、プロジェクトの管理手法の開発、機激化といったようなことにつきましても努力を傾注してまいりたいと思っております。
 さらに、プラント協会あるいは海外コンサルティング企業協会といったようなコンサルティング、エンジニアリング関係団体を中核といたしまして、そういう団体に対する補助を通じまして、そういう機能の強化を図ってまいりたいというふうに考えております。
#133
○田代富士男君 次に、OECDのガイドラインに関してお尋ねしたいと思いますが、去る三月の十七日発表されました総合経済対策の問題、これは私は過日の予算委員会の折にもこの問題は経済対策として質問をしておりますけれども、その中にプラント輸出振興を一つの柱として掲げたわけでございます。そのときに、時間の関係で通産大臣の御答弁は結構ですと、私は私の方から省略をいたしました件でございますが、通産省はその具体策といたしまして、今後輸銀融資と円借款を抱き合わせた混合借款を採用すると報道してありますけれども、まずこれ通産大臣からその真意をお尋ねしたいと思います。
#134
○国務大臣(田中六助君) プラント輸出の停滞というものが指摘されておるわけでございますが、私ども国際入札などになりますとどうしても負ける。負ける原因の究明をしておるその中の一つとして、まあミックスクレジットと申しますか混合借款ということが浮かび上がってくるわけでございまして、必ずしもそういうことはいいことではないということは国際的にも指摘されておりますし、わが国もそれを指摘した事実もございますけれども、国際入札というときに、いよいよになったときにそういうものをすりかえるというような一応の態勢と申しますか準備、あるいはそういうことを頭に置いておく必要もあろうかと思って、そういう考えを一応提起しておるわけでございます。
#135
○田代富士男君 これに対しましてOECDの事務局あるいは英国、西独政府がわが国に混合借款の適用を慎重にするよう再考を求めてきたと伝えられておりますけれども、通産省がこのような方針を打ち出されたのは、それは欧米等のピュアーカバーやミックスクレジットといった協定逸脱すれすれの行為を念頭に置いているのか。混合借款は、適用の仕方によっては新たな欧米との摩擦の要因ともなることが懸念されるわけでございますけれども、この点をどう考えていらっしゃるのか。
 また、各国がこの協定の秩序維持の精神を忘れまして、競ってガイドライン逸脱に知恵を働かせるようなことになりますと、この紳士協定は全く無意味なものになってしまうことが心配されますけれども、あわせて政府のお考えをお尋ねしたいと思います。
#136
○政府委員(古田徳昌君) ただいま大臣から御答弁いただきましたように、わが国としましても最近の混合借款の動向にかんがみまして、諸外国の提示した条件に対応するためのいわば防衛的措置ということで、マッチングベースと呼んでおりますが、そういう形で混合借款の供与をするということを考えていくこととしたわけでございまして、わが国が率先して混合借款等を供与して国際信用競争を激化させるというふうな姿勢をとる考えは全くございません。
 ちなみに、OECDの輸出信用金利ガイドライン上でも、他国が有利な条件を提示した場合に同一条件を提示することは一応認められているわけでございまして、これをマッチングベースと呼んでいるわけでございまして、私どもとしましては、その許されたルール内で対抗的な措置としてこの混合借款の採用ということを考えていきたいと思っているわけでございます。
 さらに、OECD事務局等からわが国に対して、混合借款の適用について慎重にするようにと、再考するようにというふうな要請があったというような新聞報道もございましたけれども、そのような事実はございません。わが国としましても、先ほども申し上げましたとおり、輸出信用ガイドラインを守るということを、これを誠実に遵守するということが非常に重要なことだと考えておりますので、従来から国際会議の場でも国際輸出信用競争を激化させるものとしてこの混合借款の積極的供与自体を批判してきたわけでございまして、そういう意味であくまで防衛的な姿勢という形で採用していきたいというふうに考えております。
#137
○田代富士男君 また、このOECDのガイドラインにつきまして、米国は特に市中金利水準が総体的に高いために、金利差額を補てんすることになる輸出信用においては米国政府の財政負担が増加することになりますし、そういう立場から米国よりガイドライン改定の要求が出ているということを聞いておりますけれども、ガイドラインの引き上げは、御承知のとおりに発展途上国の債務累積を深刻化させることになりますし、それは結局は先進国の債務救済となってはね返ってくると思われるわけなんですが、この点につきましてどのように考えていらっしゃるのか。
 この南北問題の重要性というものを考慮しますと、先進国の都合で途上国向け金融貸付条件を変更するということは避けるべきだと私は思いますし、どうしても先進国間の輸出信用秩序の維持のためにガイドラインのハード化を必要とするならば、先進国向けだけに限定することも考えられると思いますけれども、あわせてお考えをお尋ねしたいと思います。
#138
○政府委員(古田徳昌君) OECDの輸出信用ガイドラインは、一九七六年から輸出信用条件の過当競争を回避するということで実施されているわけでございまして、その場合に適用されます金利につきましても、高所得国、中間所得国、低所得国ということで区分を設けておりまして、そういうことからしましても、従来から発展途上国に対しての考慮は十分そのガイドラインの中に取り入れられていたわけでございます。ただ、その後国際的に市中金利が上昇しましたために、先生御指摘のとおり、アメリカ等からガイドライン全体の金利水準を引き上げたいという要請が強く出されておりまして、これにつきましては、現在OECDの場において各国間の協議が行われているところでございます。その協議の場におきましても、私どもとしましては、従来からの発展途上国への配慮、この配慮を続けていくということが非常に重要であるということについて再三指摘してきております。
 発展途上国の債務累積問題につきましては、さまざまな角度から検討する必要があると考えておりますが、このような輸出信用の条件も、もちろんその影響を与える事柄の中の一つだと、一つの大きな要素だというふうに考えておりますので、今後のこのガイドラインの改定につきましての国際間の協議に当たりましても、私どもとしましては発展途上国への配慮を十分取り入れるように主張してまいりたいと考えております。
#139
○田代富士男君 次に、法案の内容について質問をしたいと思いますが、最初に、過去三年度におきます輸出保険特別会計の決算及び五十六年度予算について簡単に御説明を願いたいと思います。
#140
○政府委員(古田徳昌君) まず最初に、決算について御説明さしていただきます。
 まず損益につきましては、主要項目を御説明いたしますと、その支出面では、支払い保険金が五十四年度では二百七十七億円となっております。このほか未経過保険料、支払備金、異常危険準備金の積み立てを行っております。なお、そのほかに事務取扱費として五十四年度には十四億円という金額になっております。
 収入面について見ますと、保険料収入が昭和五十四年度には二百七十九億円ということになっております。回収金としましては、同じく五十四年度が五十九億円、運用収入が五十四年度七十四億円という水準でございます。
 これらの結果、収支の差は、五十四年度につきましてはございません。ほぼとんとんという形になっています。ただ、五十三年度に若干の損失を生じておりますが、これはトルコにおきます外貨送金遅延による保険事故が大量に発生したという特異な年次のせいでございます。
 なお、貸借対照表を見ますと、資産面では現金預金が五十四年度に千百八十三億円となっておりまして、これは逐年増加してきた結果でございます。
 次に、五十六年度予算につきましては、主な項目としまして、保険金支払いを三百三十三億円、事務取扱費を十五億円計上してございます。
 収入としましては、保険料収入が三百八十一億円、回収金が三十七億円、運用収入九十億円というふうな見込みになっておりまして、保険特別会計の運営としましては、全体としては健全な姿になっているというふうに考えております。
#141
○田代富士男君 一応いま御説明いただいたように、決算の状況から見ますと、ほぼ保険として健全に運営されているという御説明がありましたけれども、この機会に保険制度として副次的な問題でありますけれども、回収金について伺っておきたいと思いますが、まず回収の実施状況はどうか。または保険事故のうちで相手企業の倒産や、戦争、革命などの非常危険の場合には回収不能が多いのではないかと思われますけれども、特に問題となる点は何であるのか、お伺いしたいと思います。
#142
○政府委員(古田徳昌君) 回収の実施状況についてでございますが、昭和五十四年度の回収金は五十九億円となっております。同年度の支払い保険金が二百七十七億円でございますので、これに対します比率は二一・四%ということになっております。
 保険種別に見ますと、輸出手形保険が二七・九%、輸出代金保険が二〇・七%となっております。また事故種類別に見ますと、非常危険のうちで、外貨送金遅延による債務繰り延べを行ったものは返済計画に従って回収が行われることになりますので、一般的には回収率が高くなるわけでございます。
 他方、信用リスクに伴う回収につきましては、相手方バイヤーの破産等によるものでございますので、この場合につきましては全額の回収を行うのが非常にむずかしい、つまり結果的には回収率が低くならざるを得ないということでございます。
#143
○田代富士男君 この輸出保険法は、これまでたびたび改正を行っておりますけれども、今回の改正部分について、前回までの改正の機会に対応されずに、たとえばサブコントラクターとしてバイヤーにかかわるリスクを輸出保険でカバーしてこなかったけれども、その理由は何であったのかお尋ねしたいと思います。
#144
○政府委員(古田徳昌君) プラント輸出や海外建設工事等におきます新しい動きとして、特に最近急速に欧米等の間で国際コンソーシアムによる共同受注の形態が増大してきたわけでございます“これはまあプロジェクト自体が非常に大型になったとか、あるいはリスクの分散や国際協調を図る必要があるというようなことからではないかと考えられるわけでございます。しかしながら、従来わが国では輸出保険制度上特にイフ・アンド・ホェン条項つきのコンソーシアムで共同受注した場合のリスクカバーが十分できていなかったということから、わが国企業がこのような国際コンソーシアムに参加する場合、非常にむずかしかったという事情があるわけでございまして、いわば最近におきますプラント輸出なり海外工事受注の形態が急速に変わりつつあるということで、これに対応するために私どもとしましても、今回共同受注関係につきましての法律改正をお願いしているわけでございます。したがいまして、前回の改正の場合にはまだこのような傾向がそれほど顕著でなかったという事情があったわけでございます。
 こういうことで、今回の改正につきましては、現行制度と実態とのギャップを是正するということでございますし、それから特に外国の輸出保険制度ではすでに実施済みであるということでございますので、国際競争の激化あるいは逆にコンソーシアムの形成等によります協調関係の強化といったふうなことを進めていくためにも、このような改正をお願いいたしまして、実態の変化に対応していきたいと考えておる次第でございます。
#145
○田代富士男君 ただいまも御答弁いただきましたけれども、今回の改正部分には国際コンソーシアムの形成による共同受注のサブコントラクターの損失がカバーされることになりまして、ここ数年その伸びが鈍化してきていると言われておりますプラント輸出が、これを機会に伸長するものと期待されておるわけでございます。これまでの法改正の機会に実施されていたならば、ブラント輸出の伸びの鈍化にも十分対応できたのではないかと思われますけれども、この点通産省のお考えを伺いたいし、しかし一方では必ずしもプラント輸出の伸びが期待されないのではないかという見方もあるやに聞いておりますけれども、この点もあわせてお考えをいただきたいと思いますが。
#146
○政府委員(古田徳昌君) 先ほど御説明さしていただきましたように、最近の実態の変化に対応して法改正をお願いしているわけでございますが、プラント輸出が種々の要因、これは価格競争力のほかに非価格競争力を含むと思いますが、いろんな事情によって左右されるものでございますので、一概には判断しにくいのでございますが、早ければ早いほどよかったという反省は確かにございますけれども、今回の改正点が整備されていなかったために受注がむずかしかったというふうな案件については、今後その成約が促進されると私どもは強く期待しているわけでございます。特に今回の法改正のうちブラント輸出に関連する項目としましては、共同受注のための規定の整備、それから技術提供契約に含まれる貨物の船積み前リスクのカバー、次に普通輸出保険及び輸出代金保険のてん補率の引き上げ、この三点でございます。
 このうち第一と第二の項目につきましては、現在保険で対象としていなかった案件でございまして、新たに対象として加えるものでございます。そういうことで、従来見合わされていた案件の受注なり成約ということを促進する効果があるのではないかというふうに考えております。
 それから第三番目の項目でありますてん補率の引き上げにつきましては、保険事故にあった際のわが国企業の経営基盤の強化を通じて、中長期的にわが国のプラント輸出を促進する効果を有するというふうに考えているわけでございます。もちろんこういうことで政策的な効果は私どもとしては今後十分出てくるというふうに期待しているわけでございますが、数量的な試算といったことは、これは他の多くの条件などございますのでむずかしいのではないかというふうに考えております。
#147
○田代富士男君 いずれにしましても、これを機会にプラント輸出について一層活発化するように前向きに取り組んでいくべきだと思います。そういう意味から、プラント輸出の振興策というものが大事になってまいりますけれども、この点について御説明いただきたいと思います。
#148
○政府委員(小長啓一君) この四月九日にプラント輸出基本政策委員会、これは機械情報産業局長の私的諮問機関でございますが、そこで当面のプラント輸出の現状と問題点の整理を行いまして、今後とるべき政策の方向についての議論も行ったわけでございます。それによりまして、私どもといたしましては具体的なプラント輸出の振興策に手をかけていきたいということを考えておるわけでございますけれども、具体的にはプラント輸出国の政治、経済情勢及びプラント事情に関する情報収集体制の整備というのが一つの大きな政策課題ではないかと考えております。
 それから第二は、大型プラント輸出に伴うそのリスクを分散するとともに、国際協調を促進するための国際コンソーシアムによる欧米企業との協力体制の確立というのが、第二の政策課題ではないかと思っております。
 それから第三といたしまして、国際コンソーシアム実現のための国際共同保険制度の創設等、輸出保険制度の改善、これは現在御審議いただいている内容と関連しておるわけでございますが、それが第三点。
 それから第四点といたしまして、コンサルティングを含みますプラント輸出にかかわる総合能力の向上ということがあるんではないかと考えておりまして、以上四点を踏まえまして具体的な施策を推進していく必要があるんではないかと考えております。
#149
○田代富士男君 次に、改正法案第五条及び第五条の六において、共同受注のための規定が整備されることになりますが、わが国並びに諸外国において共同保険協定の締結状態はどのようになっているのかお伺いしたいと思いますし、わが国はヨーロッパに比べまして大分おくれておりますけれども、この点について今後どうしていくのか、ここらあたりを明確にしていただきたいと思います。
#150
○政府委員(古田徳昌君) 共同保険の取り決めにつきましては、ヨーロッパ諸国では非常に数多くの国と締結しているわけでございますが、わが国につきましては、昨年六月にベルギーの輸出保険機関との間で締結したのに続きまして、本年の一月にフランスの保険機関との間で締結しております。したがいまして、現時点では二カ国との間で取り決めがございます。先ほど言いましたように、この共同保険取り決めは西欧諸国の間で非常に発達しているわけでございますが、そういう関係上、ヨーロッパ諸国に比べますとわが国が現在までに締結した相手国の数はまだ非常に少ないことは事実でございます。現在この二カ国に引き続きましてイギリス、ドイツ、シンガポール、インド等の輸出保険機関と交渉を行っているところでございます。この中で特にイギリスとシンガポールとの交渉はかなり進んでおりまして、妥結をできるだけ早くしたいというふうに考えているわけでございますが、今後ともこれらの国々との交渉のほかに他の諸国とも交渉を進めまして、特に国際コンソーシアムを形成する可能性のある国々との間では積極的に共同保険取り決めを締結するように努めてまいりたいと考えております。
   〔理事前田勲男君退席、委員長着席〕
#151
○田代富士男君 今回、債務保証に対する海外投資保険が創設されるわけでございますが、その債務保証の内容は、法第一条の二、第十一項の第二号、第三号、第五号にすでに明記されているところでありますけれども、この機会に第五号の加工についてどの範囲までを考えていらっしゃるのか、御説明いただきたいと思います。
#152
○政府委員(古田徳昌君) 海外投資保険の資源開発投資におきます加工の範囲でございますけれども、この制度自体がわが国への資源輸入の促進をねらいとしているところから、私どもとしましても、この加工につきましては現在汎用性のある原材料段階までの加工ということで考えております。したがって特定の用途向けに特殊加工されたというものはこの範囲から除外されるということになるわけでございまして、たとえば具体的な事例として御説明さしていただきますと、金属につきましては地金までの加工ということになろうかと思いますし、天然ガスにつきましては、液化ガス、それから丸太、板、冷凍エビ、鉄鉱石のペレット等々が具体的な例として挙げられるかと思います。
#153
○田代富士男君 保険事務があった場合に未払いの審査の段階で価格査定委員会を設置することがあるようでありますが、これはどういう委員会が、設置の根拠を明らかにしてもらいたいし、また、価格査定委員会のこれまでの設置状況はどうであるのか、お伺いしたいと思います。
#154
○政府委員(古田徳昌君) 保険事故が発生しまして、支払い保険金の査定を行うという場合に、事故貨物の適正な処分価格、供給価格またはそれらの見込み額等の評価につきまして、この価格査定委員会を設置して、そこで御審議をしていただくという形になっているわけでございます。と申しますのは、これらの評価につきましては非常に専門的な知識が必要になってくるわけでございますので、そういうことで専門家の方々にお集まりいただいて御審議をいただくという形になっておりますが、これは内規によりまして、私、貿易局長の諮問機関という形をとるわけでございまして、個別案件ごとに委員を委嘱する形になっております。
 最近の実績を御説明しますと、過去三年間の間に約百件の案件について委員会を設け諮問を行っております。この委員会の専門的な立場からの答申が行われますと、この答申を参考としまして具体的な支払い保険金額が決められるということになるわけでございます。この価格査定委員会は、従来主として普通輸出保険の船積み前事故の場合に開催されてきているわけでございますが、債務保証等の保険につきましても査定の段階で専門家の意見が必要となるという場合には、その必要に応じましてこの制度を活用していきたいというふうに考えているわけでございます。いずれにしましても、これらの場合につきましては委員は専門家であると同時に、中立公平な立場から判断し得る方々を慎重に選定していくことといたしたいと考えております。
#155
○田代富士男君 ただいまの説明にもありましたとおりに、今回の改正部分であります、たとえば海外投資の債務保証の保険事故など、これまで設置の例を見ないケースにおいて設置されることがあるのではないかと思いますが、この点どう思われるのか。
 その場合、いまも御説明がありましたとおりに、これは貿易局長の諮問機関で常設機関でないわけでございますし、専門的知識が必要である等さまざまなそういう条件がございます。そういう意味から、メンバーの性質などにも十分注意を払うべきものではないかと思いますが、通産省といたしましてあわせて御答弁をいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
#156
○政府委員(古田徳昌君) 今回の法改正によりまして、債務保証等の保険につきましても査定段階で専門家の意見が必要となるという場合が生ずるわけでございますが、これにつきましても、先ほども御説明いたしましたけれども、この価格査定委員会というものを活用していきたいと考えております。従来でございますと、先ほども御説明いたしましたように、主として普通輸出保険でございますので、特定の品物につきましての専門家という方々がどうしても中心になるかと思いますが、今回の債務保証等の保険につきましてはもう少し広い範囲ということにもなろうかと思いますし、その場合、中立公平な立場から客観的に公正に判断できる方々を慎重に選定する必要があろうかというふうに考えている次第でございます。
#157
○田代富士男君 次に、非常危険の発生による不安の高い発展途上国への依存度が欧米に比べまして高いわが国といたしましては、非常危険を回避し、健全な貿易活動を展開することは、わが国の経済の発展に資することはもちろんでありますけれども、ひいてはこの輸出保険制度の健全な運営に寄与することになるわけでありますが、そのためには危険情報の収集と分析というものが十分に行われなければならないと思いますが、現在どのような情報収集が行われているのか。まあイラン革命、イラン・イラク戦争、中国の経済調整など、現実のリスクの対応にはむずかしい問題もあろうかと思いますが、情報収集の上から反省すべき点はなかったのか、あわせてお伺いしたいと思います。
#158
○政府委員(古田徳昌君) 輸出保険を実施いたします場合に、危険情報といいますか、カントリーリスクについての情報収集が非常に重要な事柄になるわけでございます。このカントリーリスク評価の概要としましては、各方面から入手いたしますデータ、情報をもとに、頻繁に輸出保険が利用されます八十五ないし九十カ国につきまして原則年二回評価を行っております。基本的な方法は、他の調査機関や銀行が行っているものと大差はないわけでございますが、情報の面ではたとえばベルンユニオンを通じます各国の情報が利用可能になること、この情報の中にはたとえば各国別の債権額とか引受額あるいは支払い遅延状況等々が含まれておりますが、このような豊富な情報が利用可能になること。それから通産省として関係各部局が持っております情報が直接利用可能になること等が特徴ではないかというふうに考えております。
 なお、現在輸出保険におきましては、評価方法をさらに合理化するために、電子計算機によるカントリーリスクの管理システムの開発に努力しているわけでございます。
 なお、イラン・イラク紛争等非常にこの情報収集がむずかしい面もあるという御指摘をいただきましたけれども、このカントリーリスクの評価に当たりまして、特に政治、社会情勢の面につきまして的確な判断、予測を行うことは非常にむずかしいわけでございまして、この点はまさに先生御指摘のとおりではないかと思いますが、輸出保険におきましては今後とも先ほど御説明いたしましたベルンユニオンを通じます情報の収集、交換のほかに在外公館、ジェトロ等各方面からの情報収集に力を入れまして、さらにその情報をもとにしまして先ほども御説明いたしました電子計算機によるカントリーリスク管理システムの開発等々とあわせまして、全体のシステム化を推進してより迅速、的確なリスクの管理を実現できるように努力してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#159
○田代富士男君 いま在外公館やあるいは国際情報機関等も情報収集をやっていらっしゃいますけれども、この被保険者からの情報収集等はどうしていらっしゃるんですか。
#160
○政府委員(古田徳昌君) 現在、輸出保険におきますバイヤーのリストには約九万件が載せられておりまして、このうち三分の一ぐらいを毎年見直しているという状況でございますが、これは定期的な再点検といいますか、そういうことになるわけでございますが、そのほかに、ただいま先生御指摘の、被保険者からの情報もできる限り私どもとしましては入手しまして、常にこのバイヤーのリストを最新の情報のものにするという努力を続けているわけでございます。
#161
○田代富士男君 国際コンソーシアムの形成によりますプラント等の輸出、建設工事の実施は受注機会の拡大、リスクの分散、国際協調の必要性の上からも大事なことではございますけれども、今回の法改正が大きく期待されるゆえんでありますが、しかし、今回の法改正はサブコントラクターに着目した改正でありますし、資源の乏しいわが国としてメーンとして国際競争に打ちかっていかねばならないこともまた事実ではないかと思いますが、この国際コンソーシアム形成の場における競争、それと同時に、協調をどのように考えるのか。ここらあたりは今後の日本の進み方としまして大事なことではないかと思いますが、大臣がいらっしゃればここらあたりから大臣にお尋ねしたいと思いましたが、大臣は衆議院の本会議でございますから、ひとつ関係部局でお答えいただきたいと思います。
#162
○政府委員(小長啓一君) 先生御指摘のように、国際競争力の維持強化というのはプラント輸出の振興にとって大変重要な課題でございます。
 また、先生御指摘のように、この国際競争力の内容が価格競争力と非価格競争力に分かれておるということも御指摘のとおりでございます。価格競争力の強化につきましては、先ほどちょっと触れさしていただきましたけれども、円建て契約の推進等によります為替リスクの回避という問題のほかに、第三国調達の拡大ということにも努めてまいりたいと思っておる次第でございます。この点に関しまして西ヨーロッパの、特に西独の企業が非常に強いと言われております一つの理由は、東欧圏の諸国と非常にうまく連動しておりまして、そこを第三国調達市場ということでやっておりまして、その比較的安い労働力でできました製品をうまく織りまぜながらプラントとして輸出しておるというような実例もございますので、そういう例も踏まえまして第三国調達の拡大を図ってまいりたい。それから同時に標準化事業を強化していくと、規格につきましての標準化ということを進めてまいると、そのような手段によりまして価格競争力の強化をあわせ図ってまいりたいということでございます。前提の話として、先生御指摘になりました国際競争はますます激化をする状況にございます。そういう激化する国際競争に耐えていくためには、国際競争力の強化というのが必要ではございますけれども、あわせてその競争の中における協調ということも必要な側面でございますので、それは先ほどの共同コンソーシアムというような形を通じまして、協調の面も図りながら、一方競争の面で打ちかっていく努力も並行してやるということが今後の重要な政策課題ではないかというふうに考える次第でございます。
#163
○田代富士男君 今回の共同受注のための規定整備によりまして、わが国の輸出者あるいは技術提供者が今後サブコントラクターとして大きく進出していくことが期待されるわけなんですが、しかし保険による裏づけが企業を安易な契約態度に陥らせないよう、事前に十分な審査を尽くすなど法運用上十分に対応していかなくてはならないと思いますが、この点も明確にしておかなくちゃならないと思いますが、いかがでしょうか。
#164
○政府委員(古田徳昌君) 輸出保険制度は輸出貿易の健全な発達を図る制度ということになっていますから、それが逆にこの保険制度があるがために安易な輸出契約等が行われるということでは非常に困るわけでございまして、その点については十分配慮する必要があろうかと考えます。こういう観点からしまして、たとえば今回の改正法案におきましても、てん補率の引き上げについては損失金額の一部をあくまで輸出者に直接自己負担させるということにしてありまして、いわば輸出者はみずからのリスクを常に負った形で輸出契約を進めていくというふうな形になるわけでございまして、安易な契約の締結といったことをそういう意味からも回避したいというふうに考えているわけでございます。
 さらに輸出保険の引き受けに当たりましては、的確なカントリーリスクの評価、あるいはバイヤーの信用調査等に基づきまして、この引き受け自身につきましても慎重に審査を行ってきておりますし、今後ともそういうことで十分慎重な審査を続けてまいりたいというふうに考えております。
#165
○田代富士男君 もう私の持ち時間が参りましたから最後にお尋ねいたしますが、特に中小輸出業者にはこの輸出保険制度について必ずしも十分に周知徹底されていない節が感じられます。そういう意味から通産省といたしましても法律の趣旨、実務のあり方など、その運用について十分に意を伝えていくべきだと思います。そして経済の発展に資していかねばならないと思いますが、最後に、大臣もいらっしゃいませんから、どなたか代表して御決意をお聞かせいただきまして私の質問を終わります。
#166
○政府委員(古田徳昌君) 中小企業者等への輸出保険制度の周知徹底については、従来からもいろんなやり方で私どもとしても努力してきたわけでございます。たとえば解説書の出版、講習会の開催等を行ってきたわけでございますが、現在でもさらに輸出保険制度の概要がわかりやすい形に説明してありますパンフレットの作成も行っているところでございます。さらに中小企業の利用比率の高い、たとえば輸出手形保険等につきましては、利用者の便宜のためにできる限り地方通産局に事務委譲をしているところでございますし、また銀行の窓口における相談も従来から活用されているわけでございます。今後とも輸出保険制度のPR等も含めまして、これらのルートも活用して特に中小企業の方々の輸出保険の利用の促進に努めてまいりたいと考えております。
#167
○市川正一君 私は冒頭、ますます多くの問題が明らかになりつつあります敦賀原発の問題について重ねてお伺いをする予定でありましたが、大臣がまだお越しになっていないので、これは大臣がお越しになってから伺うことにさしていただきたいと思います。
 最初に改正案に関して伺いたいのでありますけれども、今回の改正案を見ますと、たとえば債務保証に対する海外投資保険の創設など、大企業に対する優遇措置が非常に目立っておるのでありますが、特に債務保証に対する海外投資保険というのはその最たるものだと私思いますが、結局大企業の多国籍化に対応したものというふうに断ぜざるを得ません。
 そこでまずこの点に関して伺いたいのでありますが、この制度は、要するに、海外における合弁企業の長期借り入れに対する債務の保証を日本の投資親企業が行い、その債務保証を保険で担保するということに相なると思うんですが、現地の合弁企業の企業活動に対して日本の法規制は及ばない、これは当然のことだと思うのですが、まずその点を確認をいたしたい。
#168
○政府委員(古田徳昌君) 債務保証を投資保険の対象とするということにつきましては、最近におきます合弁企業等の資金調達形態の変化に対応したものでございます。
 なお、現地の合弁企業はあくまで現地の法人でございますので、現地の法律に基づきます活動を行っているということは先生御指摘のとおりであります。
#169
○市川正一君 そうしますと現地の合弁企業がどんな、たとえばですよ、悪徳商法あるいは非常にリスクの大きい事業に手を出そうとも、日本としては何も言うことはできぬ。その事業あるいは悪徳商法のために日本の海外投資保険を使わせるという事態も、論理的にはあり得るということになると思うんですが、そうしますと結果として日本政府が現地合弁企業の悪徳行為を保証するということに結果としてなりかねない。
 たとえば、最近のあの日商岩井香港が、為替投機で莫大な損害をこうむったという事件がございましたけれども、あるいはまたあのロッキードその他の航空機疑獄でも、現地の子会社が腐敗の隠れみのに使われたということもお互い記憶に生々しいところであります。
 また、私が先日予算委員会でも取り上げましたメキシコでの漁業協力のためにと称して、現地の合弁企業のあの乱脈、そういうものがありながら、融資した海外漁業協力財団は何もチェックできなかったという事態もすでに起こっております。つまり、日本の法的規制が及ばない合弁企業への親会社の債務保証に、日本の海外投資保険をかけるというのは、単にリスクという問題だけでなしに、こういう経済協力のあり方としても多くの問題をはらんでおるんじゃないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
#170
○政府委員(古田徳昌君) 輸出保険につきましては、この法目的自体で輸出貿易その他の対外取引の健全な発達を図ることを目的としておりまして、そういう観点から海外投資保険の引き受けに当たりましてもこの法目的に合致した運用基準等を設けておりまして、特に発展途上国の開発に寄与し得るように十分留意した運用を行っているわけでございます。このような取り扱いは新しく海外投資保険の対象とする債務保証についても同様でございまして、ただいま先生御指摘の幾つかの事例等については、全く私どもとしてはそのようなケースを対象とするという形にはなっておりませんで、引き受けの際に厳重に審査し、基準に合致しないものは引き受けないということになるわけでございます。ちなみに、私どもが基準として設けておりますのは、たとえば一般的に言いますと、海外投資の内容がわが国の対外取引の健全な発達に資すると認められること、海外投資の内容が新規であること、あるいはもっと具体的に言いますと、投資受け入れ国の開発に寄与すること等々の基準を設けまして、具体的にケースごとに厳重に審査して実施するわけでございます。
#171
○市川正一君 厳重に調査あるいはチェックと、こうおっしゃったけれども、具体的にはどうチェックされるんですか。私が伺っているのは、関連して申しますが、たとえば現地の合弁企業がチェックしてパスしたその後、その後の企業活動として、たとえば武器生産に乗り出すという事態だってありましたし、現にあるんですよ。そういう武器生産に関連した場合でも、海外投資保険を使わせるのかどうか。私は具体的に聞いているわけです。
#172
○政府委員(古田徳昌君) 武器に関連しまして、特に武器製造にかかわる海外投資につきましては、これは従来から武器輸出三原則及び昭和五十一年二月の政府方針に準じて厳格な規制が関係省庁によって行われているわけでございまして、海外投資保険の引き受けにつきましては、こうした規制を前提として実施するということになっているわけでございます。ところが、最初は武器をつくらないという事業計画を出して輸出保険の対象というふうなことで持ち出してきました後、途中で事業内容を変更した場合どうなるかという先生の御指摘の問題でございますが、もし当初から武器製造を行う予定であるにもかかわらずそうでないという事業計画を出してきました場合には、これは被保険者が当然のことながら虚偽の申告をしたということになりまして、約款等によりまして契約を解除して政府はてん補しないということになるわけでございます。これは海外投資保険の約款に明記されております。
 それからさらに、海外投資保険の引き受け後、被保険投資に重大な変更があったと。ただいま先生御指摘のように途中で事業内容を変えて武器の製造を始めてしまったというようなことになりますと、これは被保険者に通産大臣への通知義務があるわけでございまして、つまり事業内容の変更ということで通知義務があるわけでございまして、これは政府の承認にかかわらしめているわけでございます。したがいまして、被保険者によりまして途中から事業内容に大きな変更が行われた場合には、保険約款上書面により通知を受けてチェックする体制となっておるわけでございまして、この場合、その内容によりまして政府としましては保険契約を解除することができる。これも約款上明記されております。そういう形で、先生御指摘のような事例につきましては、その事業内容の変更いかんによりまして保険契約の解除ということが可能になるという仕組みになっております。
#173
○市川正一君 大臣お越しになりましたので、この問題についてもぜひ見解を承りたいと思いますが、古田さんいまそういうふうにおっしゃった。ところで私は、これは大臣も御存じですが、前々回の本委員会で小佐野賢治が大韓航空へ投資をしていると。当時で九・九%であります。ところが、この大韓航空がノースロップやF5などの軍用機生産に乗り出した。兵器生産に乗り出した。ところが、いまだにこの投資を引き揚げさせるという措置もとられていないし、前々回の本委員会においては、この点について調査し検討する、こうおっしゃったわけでありますが、古田さんのいまの御答弁だと、こういう重大な事業内容の変更が起こっているということに基づいて当然とるべき措置というのがあると思うんですが、その後この問題についてはいかが相なっておりましょうか。
#174
○説明員(田中義具君) その問題につきましては、その後調査をいたしました。直接国際興業からも事情を聴取いたしましたが、その結果、大韓航空への国際興業からの投資は、国際興業が大韓航空との提携関係を樹立するために行ったものでありまして、この提携関係は純粋に商業的なものであったというふうに承知しております。
 また、大韓航空が戦闘機を製造することについては、国際興業としては承知していないというようなことでございました。一方、外務省を通じまして外務省が韓国側に照会をしたところによりましても、大韓航空が戦闘機を製造することについては明らかでないという状況になっているというふうに聞いております。
#175
○市川正一君 韓国側の資料で私はせんだってこの問題について提起したわけですから、その資料に基づいてあなた方は国際興業も承知してない、外務省は承知してないということだけでなしに、責任を持って調べてほしいんです。この問題をもう一度繰り返す必要はありませんが、私はこういう点で非常にこの海外投資というものが多くの危険を持っているということを指摘せざるを得ません。
 それで、大臣は三時にまた衆議院にお出かけというふうに承っておりますので、冒頭ちょっと申し上げましたんですが、おとといの本委員会で私敦賀原発の問題についてお伺いしたんですが、その後の事態がいろいろ通産省自身の問題ともかかわって出てきておりますので、私重ねてお伺いをいたしたい。まあ何か大臣もきせるみたいな形になりますので、ちょっとあんこの形で、この問題重大なので、お伺いすることをお許し願いたいと思います。
 一つの問題は、放射能廃液の流出事故について、通産省は二十日の記者会見でこれを発表なさいました。ところが、日本原電の鈴木社長は十八日に通産省に報告したと、このように記者会見で語っております。また、報道によると、通産省は十九日に現地で聞いたと、こういうふうにも言っておる。ところが、本当はこれは十八日に日本原電から報告があった、これが事実じゃないんですか。はっきりしていただきたい。
#176
○政府委員(高橋宏君) フィルタースラッジ貯蔵タンクでオーバーフローがあった事実を通産省はいつ知り、どういうプロセスで発表したかという御趣旨の御質問でございます。
#177
○市川正一君 いつ知ったのかということです。
#178
○政府委員(高橋宏君) 正確に知ったと申しますと、十九日でございます。
#179
○市川正一君 正確というか、とにかく情報を……
#180
○政府委員(高橋宏君) プロセスを申し上げますと、四月十八日十六時四十五分ごろ、現地の運転管理専門官から次のような報告があったわけでございます。日本原電からこのオーバーフローにかかわる説明文書の提示を文書だけで受けたそうでございます。そこでファックスで同文書を本省に送付いたしました。それが私どもに対する第一報でございます。一方、同日十七時ごろ、原電の本店管理部長が面会を求めて来庁いたしまして、同文書を提出するとともに簡単な説明を行っております。私どもはこれらの情報を踏まえまして、この運転管理専門官及び現地に当時すでに派遣しておりました係官に調査を行わせることに決めまして、十九日に現地の専門官が立ち入り検査権限に基づきまして同発電所の担当責任者、これは発電課長でございますが、事情聴取を行いました。そこで、この事情聴取によりまして三月八日のオーバーフローの事実があったということを立ち入り権限に基づく確認をいたしました。同四月二十日の朝のプレスリリースとなったわけでございます。
#181
○市川正一君 そうすると、いまの十八日の十六時四十五分第一報と。私どもの調査でも十八日の大体午後四時半、要するに十六時半ごろです。そうすると放射能廃液の流出事故というのはこれは大変なことです。十八日に報告を聞いたのであれば、どうしてこれをすぐに発表しないんですか。
#182
○政府委員(高橋宏君) 先ほど御説明いたしましたように、これはオーバーフローということは重大なことでございますが、一方、この事実がどういうかっこうで私どもが確認するかというプロセスが私どもとしてはどうしても必要だと存じております。ただいま申し上げましたように、簡単な説明あるいは非公式な情報というのを得たのが十六時四十五分ごろでございまして、それの確認作業を現場の立ち入り権限に基づく検査官からの報告によって確認いたしました、それから発表したと、こういう手順を私どもは踏んだわけでございまして、正確を期したわけでございます。
#183
○市川正一君 いいかげんなことを言いなさんな。確認する必要があるというけれども、この流出事故自体の確認はこれはきわめて容易なことじゃないですか、現場にいるんだから。ここに通産省が二十日に発表した発表文がありますけれども、ここに書いてあるのはどういうことが書いてあるか読んでみましょう。「なお、立入検査の過程で敦賀発電所から事情聴取したところ、昭和五十六年三月八日、放射性廃棄物処理建屋のフィルタースラッジタンク室で相当量の放射性廃液がオーバーフローし、放射性廃棄物処理建屋内に流出した事実があることが判明した。本件事故の詳細はなお調査中であるが、」云々ですよ。ですから、ここにもオーバーフローしてきたということだけしかないじゃないですか。そして今後なおいろいろ調査するということだけで、これだけのことだったら何も二日間かける必要ないじゃないですか。しかも、ここに書いてある「立入検査の過程で敦賀発電所から事情聴取したところ」じゃなしに、向こうからちゃんと報告が来ているじゃないですか。それをどうしてこういう虚偽の報告をするのか。私はあえて言いたいんですが、二十日に発表すると、十八日に報告を受けながら、それは十九日に高知県の窪川の町長選挙、その影響を恐れたんだと言わざるを得ぬのです。それ以外に二日間も発表をおくらすという、いわば事情というのは説明がつかぬのですが、はっきりしてほしい。
#184
○政府委員(高橋宏君) 私どもが確認いたしましたのは、私どもが得た情報自身が原電の責任者から、しかも私どもの立入検査官という正式のポジションの者を通じて知ったということが私どもは大事だというぐあいに判断したわけでございます。その事実が起きた時点そのものはすでに三月八日といいまして一カ月より以前のことでございましたが、こういう事実があるということ自身の確認、それが責任ある立場から確認されるというプロセスが大事だというぐあいに判断したわけでございます。
 なお、窪川町の件につきましては、全く私どもはそういうような配慮をしたというようなことではございません。
#185
○市川正一君 大臣に伺いますが、あなたはこの十八日に事故の報告があった、そしてそれを直ちには公表しないということを御了解されていたんですか。
#186
○国務大臣(田中六助君) 非常に言いにくいことでございますけれども、私は実はそういうことは全く関知しなかったわけでございます。
#187
○市川正一君 そうすると、大臣が全然御存じない。大臣にも報告しなかったんですか。
#188
○政府委員(高橋宏君) 十八日の夕方五時前後でございますが、それから十九日にその現地の立入検査官を通じて確認さしたわけでございまして、その十九日の夜この事実を確認し、翌日の朝の一番のプレスアップに持っていったということでございます。その確認をした時点で大臣に御報告をいたしましたので、十八日、私どもがこの非公式情報を得た段階では大臣には御報告してございません。
#189
○市川正一君 私は率直に言って、通理省も一緒に事故隠しをしたと言われても仕方のない事態と経過だと。大臣はいまずっと経過をお聞きになって、やはり直ちに公表すべきだったというふうにお考えかと思いますが、この点いかがでしょうか。
#190
○国務大臣(田中六助君) 直ちに報告をすべきだという考え方もあるでしょう。しかし、私はいろんなルーマーとか、それから一つの報告においてこういう事態を公表するかしないか、あるいは私のもとに届けるかどうかということは、やはりその先端におる事務当局者としては確認ということの方が大切だと判断することの方が私はウエートがあるというふうに思っております。
#191
○市川正一君 確認はもうされているんです。そしてこの発表文にもあるようにその後新しい事実とかなんというのは何もないじゃないですか。私はこの点でもやはり通産省の事故隠し体質というものをはっきりさしたいと思います。
 そこで引き続いてお伺いしますけれども、おとといも私はバルブ自身も故障していたという可能性があるということを指摘いたしましたけれども、高橋さんも御記憶されていると思う。きのうの衆議院の科学技術委員会の調査によりますと、原電は三月八日の事故発生日以前からこのパルプ弁が故障していることを知っていた。三月八日はたまたま三カ月に一度のタンクの除染作業日であったために除染作業を強行した。その結果洗浄水がとまらなくなりオーバーフローした。もしこれが事実だとすれば、以前にもこういうオーバーフローの事故が起こっていた可能性があると思うんですが、その点どうお考えですか。
#192
○政府委員(高橋宏君) バルブのあげ締めを表示するランプが、その時点で適切に働いておらなかったという情報を私も確認いたしております。それがどういう原因であったか、そしてそのことが今度のバルブのいわゆる締め忘れに対してどういう影響を持っておったかということにつきましては、調査のポイントとして今後詳細に調査をしてまいるつもりでございます。いままでのところ締め忘れという現地の報告等もございますけれども、なおそういうランプ、表示灯の故障と申しますか、点滅の誤動作ということも含めてこの問題の詳細な検討に当たりたいというぐあいに思っております。
#193
○市川正一君 厳重に調べていただきたいんでありますが、次に流出した放射性廃液の量について伺いたいんですが、原電側はバケツ二十杯分と、こう言っております。ところが、流出時間が約三時間、面積は百四十平米に及ぶ汚染面積でありますが、とてもバケツ二十杯程度のものでないというふうに常識で言っても考えられる。しかも除染作業のために延べ百三十八人の人たちが動員されている。少なくとも四十トン以上の廃液が流出したというふうに思うのが妥当だと思うんですが、この点どう認識されていますか。
#194
○政府委員(高橋宏君) 私どもは現在この漏洩経路の確認を急いでおります。これが原因の直接的なつながりを持つからでございます。そのために
 一つは、この作業に当たりました作業員の線からの事情聴取あるいは記録等による調査。もう一つは、設備の面。設備の面につきましては、いまの三時間出しっ放しになっておったかというようなことも含まれるかと存じますけれども、設備、構造面からの原因、これを突き合わせまして、原因並びに経路が確定できるように努めておるわけでございますけれども、その中でそういう問題を総合的に判断していきたいと思います。
 一つは、私ども未確認でございますが、たとえば二十杯というような話が新聞等に出ております。私どもは正確にまだこれを責任者から確認しておりません。それから、何時間このパルプが開いておったか、そしてそのうち何時間分があふれたかということも、もう少しその記録等で確認しなければならないと思っております。ただし、現在までの見通しては、四十トンというのはそこまでは出ておらない、それよりかなり下回る数字じゃなかろうかと想像しておりますが、これはまだお話しできる段階でございませんので、早急にその数字が大体確定し次第総合的に数字を決めたいというぐあいに、推定したいというぐあいに考えております。
#195
○市川正一君 次に、この廃液の処理でありますけれども、福井県側は、廃液回収に当たった作業員が建屋内の第三マンホールに投棄した疑いがあるというふうに発表しております。実際第三マンホールの底土やあるいはごみが、ほかのマンホールと違ってかき回したような形跡がある。しかもほかのマンホールに比較して汚染度が低い。これは第三マンホールから投棄して、それを洗い流すために大量の水を流したためである。そのためほかのマンホールより汚染度が低くなっているという考え方も出ております。この点、通産省としてはどういうふうにいま見ておられるのか、伺いたい。
#196
○政府委員(高橋宏君) 私どもは、この経路は人の問題と設備の問題、もっと言いますと、ソフトとハードということも言えるかと存じますが、そういう総合で判断いたしたいと考えております。県は正式に発表されたかどうか、私の手元には県の正式発表としてはいまのような話ないわけでございますけれども、新聞等では拝見いたしております。一般論としまして、そういう可能性を否定することはできないんじゃないかというような観測だろうと思っております。私は、その限りにおいて否定できない一つのルートということは留意いたしております。と同時に、設備面から、亀裂等によりましてしみ込んで漏れたという可能性は、依然としてそれと同等以上の確率で残っておると。余り偏見せずに、すべてのケースにつきましてこれから総合的に判断をしていきたいと、こう思っております。
#197
○市川正一君 大臣が三時にここをお出かけというふうに伺っておりますので、三問だけ大臣にお伺いしたいんですが、私は、通産省自身の問題に関してもう少し立ち入って、この際大臣の御見解も承りたいんですが、従来、放射性廃液が洗たく室の入り口にある高さ約十センチのせき、これを越えて廊下まで流れ出た――ここに平面図がありますけれども、ここに十センチのせきがあったということになっているんです。ところが、実際に昨日衆議院の調査団が行きましたら、あるべきはずのこのせきがなかったというんです、十センチのこのせきがですね。ということは、この建屋の設置については、当然工事計画の許可あるいは使用前検査として通産省がクリアされているはずであります。ところが本来あるべきはずの十センチのせきがなかったと、言いかえれば、いかにずさんな設計施工であったかということ、及び通産省が検査の際に発見できなかったという重大な問題があるわけであります。さらに昨日の調査団の報告によりますと、放射性廃棄物の処理の建屋内に新たに側溝に通ずるいわば別のマンホールがあるということが昨日発見された。それも放射能汚染に冒されていた。私はこのようにまさに無責任と見える監督点検体制の実態が次々と明るみに出ているという事態に対して、私は通産省自身の責任というものを大臣としてどうお考えなのか、この点明確に承りたいのであります。
#198
○国務大臣(田中六助君) まあいろいろ調査団の報告そのものを私どもも受けると同時に、現実に通産省からも検査官が行っておりますし、立入検査あるいはその他の検査をやっておりますので、その結果の報告を聞いてから申し上げるのが妥当かと思いますけれども、現在の御質問に対しまして、私どもはやはりここの、敦賀発電所の体質そのものに何か大きな欠陥があるのではあるまいかという一点が頭に浮かぶことと、やはり私どもの普通の日ごろの検査監督、そういうものにもなれの部分があったんじゃないかという強い反省はいたしております。
#199
○市川正一君 ただいま大臣の所見を承ったんですが、先ほど田代委員の質問に対しましても、体制上あるいは体質上の問題にこの際メスを入れるという反省を述べられたのでありますが、あるいは決意をお聞きしたのでありますが、私いろいろな状況から見て、安全審査とかあるいは監督点検の制度に多くの重大な欠陥があるということは次々と明白になっておりますし、この際総点検をなさるということをおとといも伺いました。この総点検を進めていく上で、電力会社とかあるいは原子力行政の従来の機構から独立した信頼できる学識経験者によって、必要な調査権を持った特別の委員会を設置すると、そしてこの際国民の命にかかわるこの重大な原子力発電のいわば諸体制、諸制度、こういうものを総点検するということは非常に適切じゃないかと思うのですが、こういう提案に対して、大臣いかがお考えでございましょうか。
#200
○国務大臣(田中六助君) 原子力発電所関係につきましては、御承知のように、電気事業法あるいは原子力発電等規制法、そういうものによっていろいろな規制がございます。さらに原子力委員会の審査会におきましても、ダブルチェックの組織もございますし、私ども横や縦の線からいろいろなダブルチェック以上のこともやっておると思っておりますけれども、それでもこういうことが行われているわけでございますので、いま委員が御提案のそういうことも含めまして、私どもは十分むしろ初心に返ってと申しますか、白紙の状態でいろいろなことを再点検あるいは再考究をしなければならないというふうに思います。
#201
○市川正一君 ところで、田中通産大臣は、先般の私の質問に対しまして、日本原電の告発について、そのつもりだということをお答えいただきました。そこで、電気事業法等の違反はすでに明白になってきておりますが、一体いつ告発なさるのか、お伺いしたいと思います。
#202
○国務大臣(田中六助君) 言い直すわけではございませんが、いまいろいろな角度から点検あるいは調査中でございますので、そういう告発の案件も含めて私は検討したいというふうに申し上げたわけでございまして、もちろんそういうことも含めて十分態度を決めていかなければならないというふうに思っております。
#203
○市川正一君 大臣、どうぞ衆議院の方へお越しいただいて結構でございます。
 私も時間が迫ってまいりましたので、改正案に戻らさしていただきます。
 私、さらに懸念をいたしますのは、こういう形でプラント輸出が増加していくという結果、どうなるかという問題でありますが、それはわが国へのいわゆる逆輸入となって日本の中小企業が打撃を受ける、あるいは日本の労働者の失業が増加する、こういう事態を招きはしないか、そしてまた現に起こっておる。繊維などはその実例でありますけれども、こういうことに対する積極的対策というこの点で、通産省としてはどういう措置を講ぜられているのか、お伺いしたいと思います。
#204
○政府委員(小長啓一君) 先生御指摘のように、プラント輸出に伴って、業種によっては逆輸入つまりブーメラン問題というのが生じ得ることは御指摘のとおりでございます。しかしながら、プラント輸出には次のような利点があることも事実でございます。第一に、プラント輸出はわが国の産業構造、貿易構造の高度化に資するものであること。第二に、相手国の経済発展に寄与するという点で摩擦のない貿易と言われるものであるということ。第三点に、関連産業が多くて中小企業を含めた国内産業における生産誘発効果が大きい。以上三つの利点があるわけでございます。しかし、逆にわが国が仮にそのプラント輸出をしないといった場合に、他の欧米諸国が進出して供給してしまうという問題もあるわけでございまして、プラント輸出の抑制というのが必ずしもブーメラン効果の防止にはつながらないという面があることも事実なわけでございます。
 ただ、逆輸入が大きな問題になるというような場合につきましては、慎重に判断していくことが必要だと思っておるわけでございますけれども、私どもは、経済協力を具体的に進めていく場合にも同じような問題に遭遇するわけでございますけれども、いわゆる国内産業の調整というような問題に関しましては、前向きな形で対応していくのがこの際必要なんではないかというふうに考えておるわけでございます。
#205
○市川正一君 私、プラント輸出そのものの否定論ではなしに、その結果もたらされるこういう逆輸入ということによる国内のいろんな否定的あらわれですね、その問題についてもっと積極的対策を、私何度もこの逆輸入に対するいろんな問題を、たとえば大阪の杉本伸線の問題等々取り上げてまいりましたけれども、きょうはそのこと自体が目的ではありませんけれども、いまお述べになった立場を前向きに、積極的にとらえることを強くこの機会に強調したいと思いますが、そこで今度の改正案によりますと、冒頭申しましたように、大企業にはきわめて至れり尽くせりの措置なんでありますが、中小企業に対する配慮は率直に申しましてきわめて不十分だと、私はそう言わざるを得ません。たとえば、現在の輸出保険制度で保険料率は大企業と中小企業の間で格差は設けられているんでしょうか、どうでしょうか。
#206
○政府委員(古田徳昌君) 輸出保険の保険料率は法律によりまして保険事業の収入が支出を償うように定めることということで、料率についての考え方が定められているわけでございますが、その算定に当たりましては、事柄の性格上もっぱら保険責任期間の長さや保証状の有無とか、保険上のリスクの大小を基準として決めるということになっておりまして、保険申し込み者の企業規模の大小、中小企業だから安くするとか、あるいは大企業だから高くするというふうな考え方は、これはまあ輸出保険という事柄、事業の性格上取り入れられていないということでございます。
#207
○市川正一君 そこで考え方というか、提案でありますけれども、確かにそういうリスクの大小によって料率が決められるという発想も一つでありますけれども、私は今回の改正案を見ますと、大企業のプラント輸出とかあるいは海外投資については非常にきめ細かな、非常にそういう対策が講ぜられておると。しかし、中小企業に対してはこの料率の問題でももっといろいろかゆいところに手の届いたような行き届いた措置が、あるいは配慮があり得ていいんじゃないかと、こういう気がいたすわけであります。中小企業の場合は保険額も少ないわけであります。また、保険料率を下げて大企業との間にそういう格差を設けても保険財政あるいは保険財源にはそう大きな影響はないというふうに考えられるわけでありますが、今日中小企業の不況による事態は深刻なことは御承知のとおりでありますが、そういう前提で中小企業については保険料率の引き下げを検討するという点について、ぜひ前向きの見解を伺いたいと思うんですが、この点いかがでしょうか。
#208
○政府委員(古田徳昌君) 先ほども御説明しましたように、保険料率はこれは一般の保険と同様ということにもなりますが、基本的に保険上のリスクの大小を基準として設定するという性格がございますので、企業規模により差を設けるのは適当でないというふうに考えているわけでございます。ただ、わが国の保険料率につきましては国際的に見てかなり低位にありまして、中小企業にとっても総体的には利用しやすい、他の国々の場合に比べますと利用しやすいものとなっているというふうに私どもは考えております。ただし、中小企業を取り巻く経営環境の厳しさ等については私どもも十分認識しているつもりでございますし、通産省としましても、中小企業がより一層輸出保険制度を活用して、対外取引に伴いますリスクの軽減を図ることによって経営の安定化が実現できるようにしたいと、努力したいというふうに考えているわけでございまして、従来から財団法人の輸出保険協会等によります輸出保険制度の普及、PR等に努めておりますし、その他中小企業の方々の利用比率が非常に高い輸出手形保険等につきましても、できる限り事務的に地方通産局に委譲するというふうな形で輸出保険制度の普及活用を図りたいということで努力している次第でございます。
#209
○市川正一君 ぜひこういう問題について積極的な発想の転換というか、を要望し、また今後いろいろ当局とも御相談をさしていただきたいと思います。
 私、改正案に関連して実は日米自動車摩察問題についてさらにお伺いする予定でありましたが、もう時間も参りましたし、また大臣もおられませんので、これは次の機会に譲らさしていただくということで本日はこれで終わらさしていただきます。ありがとうございました。
#210
○森田重郎君 私の持ち時間、ちょうど四十分なんですけれども、このちょうど四十分間まるまる大臣がいらっしゃいませんので、大臣になりかわったつもりで自由濶達にひとつ御答弁いただきたいと、かように思います。
 最初にお尋ね申し上げたいのはイランの石油化学、IJPCの問題について二、三お伺いしたいんでございますが、現在工事が中断されてすでに半年以上になるわけでございましょうか、この辺の現状とそうしてまた将来の見通し等につきまして、ひとつ近況を踏まえて御答弁賜りたい、かように思います。
#211
○政府委員(真野温君) ただいまの森田先生の御質問、イランの石油化学の現状でございますが、御指摘のように、昨年の秋九月にイランイラク戦争が発足いたしました。現地工事は中断という状況になりまして、現地におりました日本人の技術者、労務員含めまして昨年の十一月の初めに全員現地から引き揚げてきた、こういう状況になっておりまして、現地状況はその後は日本側の従業員がいないという状況で、正確に推移は確知しておりません。ただ、その後、ことしの三月に、IJPCの日本側の出資会社でありますICDCの山下社長がイランに参りまして、現地のサイトにたまたま視察する機会を得まして、その情報によりますと、現地状況はきわめて整理整とんされておると、技術者でありませんので正確なことはわからないが、被害状況もかなり軽微と見受けられるというような情報が入っております。
 地方、先生御指摘のように、昨年の秋以来の工事中断状況のもとにおきまして、このプロジェクトについて、今後どういう展開になっていくかと、こういうことでございますが、現在までのところ、このプロジェクトにつきましては、イランの政府、国民含めまして、その完成をきわめて熱望しておりまして、これを継続するという決意はいささかも変わりない模様であります。ただ、御承知のように、まだイラン・イラク戦争は完全に終息したわけではございませんので、なお今後のイラン・イラク戦争の推移を見なければいけないということが必要でございますが、同時に、私どもの方も、先ほど申し上げましたような現地の状況でございますから、被害状況について正確な状況をつかまえるまでには至っておりません。したがって、今後の運びといたしましては、爆撃により生じた被害の状況、それによってどういう被害が出ておるからどういうような復旧過程、あるいはそれによって完成までにどういう工事のタイムスケジュールになってくるかと、こういうことをつかまえることが必要だと思いますが、そういうような調査とか、あるいは現地の状況把握というのは今後に控えている課題でございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、イラン側はこれを完成さしたいという強い熱意を持っておりますし、日本側の当事者もこのプロジェクトを続けるという考え方でございまして、したがって、私ども政府としましても、このプロジェクトについては従来どおり継続支援していくという態勢のもとに進んでまいると、こういうことになろうかと思います。
#212
○森田重郎君 そうしますと、ただいまの御答弁の中で、具体的に政府出資の再開問題等についてはお触れになりませんが、その辺について多少具体的な何かお考えがございましたら、ちょっと御当局の御意見を伺いたいと、かように思います。
#213
○政府委員(真野温君) 先ほど御答弁申し上げました中に触れましたが、現地の状況というのがまず正確に把握されることが必要であろうかと思います。そういう意味で、現地の安全の状況あるいは戦争の状態というのが、今後どう推移するか、実際いままだ不確定な状況でございます。もちろん、このプロジェクトについては、先ほど申し上げましたように、私どもとしては継続支援していくという基本的な考え方を維持しております。当然出資その他の問題も従来どおりの立場でございますが、何分いま申し上げましたような状況でございますので、現地状況の把握を急ぐというのが当面の課題でございまして、具体的に出資云々という話を現在決めるという段階には至っておりません。
#214
○森田重郎君 実はこれ、けさの朝日の記事をちょっと見たんですが、こういうことが書いてございますね。
 「三井側が求めている政府出資の再開については、通産省を中心に関係省庁で本格的な検討が始まっているが、「戦争状態にある国に政府資金は出せない」という理由で大蔵省が難色を示している。このため、通産省はイランのサダト石油相代行に対して通産大臣名で訪日の招請状を一両日中にも出す考えで、」云々と、こういうような記事が実はちょっと目にとまったんですが、この辺についていかがでしょうか。
#215
○政府委員(真野温君) 先ほど御指摘の本日の朝日新聞報道でございますが、私どもの状況は先ほど申し上げたとおりでございます。もちろんこのIJPCのプロジェクトについて、これがどうなるかというのは私どもとしても重要な関心事でございますが、常時状況の把握なり、その資金繰りとかその他の資金状況についても、経理状況についても常時私どもの方で把握いたしますし、必要に応じて問題のディスカスはいたしておりますけれども、当面、先ほど申し上げましたように、まずいまの状況把握とそれに対して今後どうするかということを中心に私どもの方でも検討はしておりますが、具体的にこの新聞報道等のはっきりした議論なり方針というものを決める段階には至っておりません。
#216
○森田重郎君 何か同じこの記事の中で、これははっきりしたことであるかどうかその辺は不確かですし、同時にまた私自身直接確めたわけでもございませんけれども、三井グループで、要するに民間企業としてはもうすでにその限界に来ていると、資金負担について。したがって資金の出資と申しましょうか、それについては取りやめる云々と、打ち切り云々というような意味合いの記事があるようでございますが、もちろんこれも断定した記事じゃございませんけれども、このような場合に、これいかがでしょうか、もし仮に最悪の事態にそうなったような場合に、輸出保険との関連というようなものがどんなふうになるのか、これは一つの仮定上の話であろうかと思いますので、あえてひとつ御当局の意見をお伺いしたい、かように思います。
#217
○政府委員(古田徳昌君) IJPCのプロジェクトには保険がかかっております。海外投資保険が付保されているわけでございます。これらの保険はいずれも民間の海上保険等と異なりまして、プラント等に物的な損害が生じましても、そのものをてん補するというものではございませんで、合弁事業の継続が不可能になったという場合に、その合弁事業に対します出資金なり貸付金あるいは輸出代金が回収不能になったことによる損失をカバーするという性格のものでございます。したがいまして、現在このプロジェクトにつきましても事業継続していくという基本方針は全く変わっておりませんので、現時点で私どもとしましても保険事故につき云々するという段階ではないというふうに承知しております。
#218
○森田重郎君 もう少々伺いたいんですが、これはひとつ飛ばしまして、次に車の問題をちょっとお伺いしたいと思います。
 日米自動車摩擦の問題でございますが、ちょうどお昼のNHKのニュースを実は私見ておりましたら、昨日ですか――昨日になるんでしょうかその辺ははっきり存じませんが、いずれにしても、大河原大使が、あれは何というあれでしたかな、あちらの通商部の代表ですね、にお目にかかった。それで、必ずしも訪日の要請をされたかどうか、その辺も定かじゃございませんけれども、何か訪日に対してはいい返事がいただけなかったやの実はニュースだったのでございますが、もし訪日要請が仮に不調に終わったというような折には、こちらから通産首脳が向こうに行かれていろいろ話をされる、会談を持たれるというようなことのようですが、その辺のスケジュールというのは具体的にどんなふうなんでしょうか。
#219
○政府委員(真野温君) ただいま先生御指摘の大河原大使とアメリカの通商代表ブロックとの会談の件だと思いますが、これは日本時間で昨晩の夜中、けさの早朝と申しますか、その前後に会われた、時間的にはその時期に会われたわけでございます。これは近く大河原大使が帰国されるに当たって、事前に各方面の向こう側の首脳と接触される一環として当たられたことだろうと思います。ただ向こうもその話を聞いた、どういう話をしたかと、正確には私ども全貌はわかりませんが、いろいろな話をされた中に日米間の話し合いをもってこの問題を早く片づけるという両方の考え方に従って話をされたと思いますが、いかなる状況か正確でありませんが、もしブロック代表が日本に来られるかどうかということについて打診されたにしましても、向こう側として直ちにイエス、ノーを言う状況にございません。当然向こうも一つの政府でありますから、関係閣僚なり、場合によれば大統領の了解をとる必要があろうと思いますから、直ちに即答は避けられたのではないかというふうに考えております。したがって、現在のところ来日があるかないか確定しておりませんし、これは今後相手国政府の中での議論なり了解のもとに決まってまいると思いますから、その結果が来てからでないと正確にわからないという状態であります。なお今後の段取り、それに絡んでアメリカ側との接触でありますけれども、これは先生御承知のように、先日伊東外務大臣が訪米、この際にレーガン大統領との会談を通じまして自由貿易原則を堅持するといったてまえを持ち、かつ両国間の友好関係を維持するという見地から自動車問題の解決について話し合いを続けていくと、こういう基本路線で了解しておるわけでありまして、その後も御承知のアメリカ側のブレーキングミッションの訪日、それから日本側から小川平二先生を団長とする自民党議員団の訪米がございました。両者間でいろいろな認識と申しますか、認識のギャップを埋めるいろいろな事態が続いておるわけでございまして、今後とも私どもこういうアメリカ側から来るのか、日本側から行くことも含めて、両方の側における認識のギャップを埋めるようなことは必要であろうと思いますので、アメリカ側の様子恐らくはっきりすると思いまずし、それに応じて、必要に応じてこちら側からも必要なレベルの人間が政府部内から向こうに出かけて接触を図るということも必要になろうかと思います。なおこの辺はいまのところ、先ほど申し上げましたように、向こう側から即答していない段階でございますので、正確にどういう、こちらから行くのか向こうから来るのかというような事態も今後しばらくの時間を必要とする状況であります。
#220
○森田重郎君 私は、前回でしたか前々回でしたか、この委員会におきまして大臣に申し上げたことは、五月の上旬に総理が向こうへいらっしゃる、もちろん向こうの首脳者との会談いろいろお持ちでございましょう。車の問題だけじゃないと思いますが、車の問題も大きな一つの課題になっておる。私は五月上旬に総理が向こうへいらっしゃるその期間内に、果たしてこの問題が解決し得るであろうかどうかということについてお尋ねを申し上げたつもりなんです。自動車摩擦というのは非常に大きな一つのこれはもう政治課題になっておるわけですから、案外、何と申しましょうか、時間がかかるんじゃないかと。これから二十五日ですか、また大臣がいろいろこれ個別交渉の形になるのかどうかわかりませんが、七社の社長とそれぞれお会いになるというような形の中で業界の意見がどう固まるか、その辺もまだ非常に不確定要素が多いようでございますね。
 そこで実は二十五日あたりの通産大臣とメーカー首脳との会談の見通し等についてどんな状況、情勢というふうなものが予想されるか、お考えをお聞かせいただければと思いますが、どうでしょう。
#221
○政府委員(小長啓一君) 二十五日には先生御指摘のように、通商産業大臣が七社の首脳と個別に会談をすることを予定しておる次第でございます。その事前段階ということで私ども事務当局が各社の首脳といろんな形で接触をいたしまして話し合いをしておるわけでございますけれども、アメリカ市場に対する認識そのものについてはかなり共通的な認識というのは得られておりますけれども、具体的な対応につきましては業界にはかなり強気な御意見が多いわけでございます。一部新聞紙上にも出ておりまして、通産省と業界の意見とは平行線であるとか、相当隔たりがあるとかというような取り上げ方をされておりますけれども、確かにいろんなまだ意見が存在しているような状況でございまして、すぐコンセンサスが得られる状態にはなっていないと思います。ですけれども、五月十二日にアメリカの議会が、特に上院の財政委員会が具体的に動き出すという切迫した情勢もございますし、できるだけ早く決着した方が日本の自動車業界及び日本経済全体にとってもプラスではないかという判断もあるわけでございますので、私どもは精力的に話し合いを進めまして、何か具体的な合意点ということに到達できれば幸いであるというふうに考えておる次第でございます。
#222
○森田重郎君 あくまでもこの問題は行政指導という立場でなしに、自主的な要するに規制と申しましょうか、この辺の表現は非常にむずかしいようですが、少なくとも自粛というような立場に立っておられるようですが、これは将来それが百八十万台になるか、百七十万台になるかあるいは百六十万台になるか、その辺はよくわかりませんけれども、そういう折にはやはりこれ各メーカーとしてもシェアの問題が非常に大きな問題になってくると思うのですが、その辺まで通産御当局がやっぱり指導をされるような形の中で台数が決まってくる、数量規制の問題が決まってくるのか、そういうような点を考え合わせますと、非常に切迫した問題になっておるような感じがしてならないんですけれども、五月の七日、八日ですか、総理が向こうで会談を予定されておる日が、その辺までにどうでしょう、もう一度お伺いしたいんですが、何か一つの姿勢、大綱というようなものが確立されるかどうか、もう一度ひとつお伺いしたい。
#223
○政府委員(小長啓一君) 業界との具体的な話し合いの過程で、まだ現在の段階では一つの結論というのは得られていない状況でございますし、したがいまして政府の立場といたしましても具体的にはまだ白紙の状況でございます。ただ、先生御指摘の従来ある種の天気予報という形でもって自粛措置はやっておるわけでございますが、そういう形の自粛措置につきましては、アメリカ側は必ずしも評価をしていないという認識はこちら側得ておりまして、したがってこれからやる措置というのは具体的にはこれから検討するわけでございますが、従来の天気予報方式では必ずしも適当ではないんではないかという点は頭に置いております。
#224
○森田重郎君 これですね、その辺がもし不調に終わったというような場合を仮に想定して、これはあくまでも想定しての話ですが、見切り発車というようなことがあり得るかどうか、どうでしょうか、その辺。
#225
○政府委員(小長啓一君) 私どもの現在のポジションといたしましては、精力的な話し合いを続けまして、そういう事態にならないように最大限努力をしたいというふうに思っております。
#226
○森田重郎君 終わります。
#227
○村田秀三君 予定された質問者の一番最後になりましたが、輸出保険法に関連をいたしまして、またその内容についても若干御質問申し上げますが、前もってお断りをしておきますが、輸出保険法が存在するということは私承知はいたしておりましたが、しかし実際中身の問題に触れていろいろ勉強したことは今回が実は初めてであります。でありますから、いろいろ私が知り得た範囲の中での一つの判断でありますからあるいは間違いがあるかもしれません。その際には遠慮なく御指摘をいただいてもよろしいと、こう思います。
 そこでまず、いままでも質問者がなり触れられておる部分もございますから、そういう点は省略をいたしますが、この保険の契約率であります。私が承知をいたしておりますのは、貿易総件数に対する契約率は三七%であります。また中小企業関係では二七%程度であろうと、こう聞いております。そしてまたこの契約率は諸外国と比較いたしますると決して低いものではない、こういうふうにも聞いております。しかし、私が考えています限りこの制度はかなりいいものだというふうに感じておるわけであります。だとすれば、つまりは契約をしない輸出件数の中にも恐らく保険事故に類する事故というのは必ずあるであろうと、こう実は判断をするわけでありまして、まずお伺いしますのは、そういうものについての把握というものがなされておるのかおらないのかということであります。いかがでしょう。
#228
○政府委員(古田徳昌君) 先生ただいま御指摘いただきましたように、わが国の総輸出に占めます輸出保険の付保の比率は、国際的に見ても非常に高い水準にございます。昭和五十四年度で三七%程度でございまして、また海外投資残高についてみますと約二〇%が海外投資保険により付保が行われているのが現状でございます。わが国の輸出保険制度は、引き受け保険金額において世界一の実績を有しておりますし、また利用率につきましても、先ほど御説明いたしましたとおり最も高い水準の国の一つであるというふうに考えられるわけでございます。しかしながら、私どもとしましても、今後ともこの輸出保険制度の普及、宣伝の推進等によりまして、さらに一層利用の促進に努力してまいりたいと思っているわけでございますが、この保険をかけていない輸出案件の状況はどうかということにつきましては、実は輸出保険制度自体からはなかなか把握しがたいというのが現状でございまして、そこにおきまして、たとえば保険事故に類するようなものがどの程度発生しているかというふうなことにつきましては、ちょっと把握できていないのが状況でございます。
#229
○村田秀三君 この契約率、まあ諸外国に比して高いというお話、外国を調べてみたわけじゃありませんからわかりませんが、そのまま受け取ります。しかし、この契約率というのは、つまり輸出業者の中に実際問題として保険事故をこうむって困っておる人がこれ以外にもかなりたくさんあるんだということになるとするならば、それらを救済するためにもこういう制度があるのだからひとつ加入してはいかがかなと、こういうやはり教育、宣伝、普及活動というものは常時あってもよろしいんじゃないかと、こう思うんですね。と同時に、つまりは保険財政を潤沢にして安全なものにするためには、これは民間の生命保険でも同じでございましょうけれども、あるいは政府がやります農業共済関係の制度でも同じでありますけれども、やはり加入率が高い、一人は万人のために、万人は一人のためにという、そういうやはり思想を前提としてこれはなされるべきであるし、むしろ積極的に普及すべきであろう、こう実は考えておるわけでありますが、いかがでありますか。
#230
○政府委員(古田徳昌君) まあ輸出保険制度を運用しております私どもの立場からしますと、できるだけリスクの大小にかかわらずこの保険をかけていただきたいと思っているわけでございます。ただ、一般に先進国向けの信用状取引等につきましては、余りリスクがないというふうなことで保険をかけないケースもあろうかと思います。こういうふうなケースにつきましては安全だから保険かけないというふうなことになりますし、逆に言いますと、それだけ余り事故の発生ということもないのではないかというふうなことも言えるかと思います。ただし、特に非産油発展途上国向けの支払い保証のない取引というふうなことになりますと、もしこれは保険をかけないとしますとかなりのリスクの負担を業者みずからが負うというようなことになりまして、こういうふうなケースについては相当の高い割合で輸出保険をかけているということが想定されるわけでございますが、いずれにしましても、私どもとしましては、先ほど言いましたように、輸出保険制度自体の健全な運営のためにも、リスクの高いものだけが保険にかかってくる、リスクの少ないものは保険にかからないという形に、つまり逆選択の形になるのは非常に好ましくないということでございまして、そのために包括保険制度というふうなことで、リスクの大小を問わずある一定の範囲については自動的に保険をかけていただくというふうな仕組みも工夫したりして実施しているわけでございまして、まあそういう形で現在のところ、先ほども言いましたように、わが国の輸出保険自体は世界一の引き受け金額になっておりますし、またそれを運営しております輸出保険特別会計も収支相償った形で健全な運営ができているというのが現状でございます。
#231
○村田秀三君 いまの答弁では、健全な経営ということが強調はされておりますけれども、これから普及宣伝をしますという明確な答えはないようでありますが、実際にそういう保険事故が全然ないと、本当にむだだとこう思っているならまた話も別でありますけれども、これはやはり何といいましても、もしもあると――これは調査をしてみなければわからぬということでありますから、いずれ何らかの方法で調査をしてみる機会を持ってもいいのではないかと、こう私は思いますが、いずれにいたしましてもより多く参加するということが保険財政を堅確にするということも常識的一般論としては言えるわけですから、そういう点も十分考慮をされてやっていただきたいと、こう申し上げておきます。
 それから、そのためにはどうすればいいんだということでありますが、魅力のあるものにしなくてはならないわけでありましょうから、そういうふうに制度を補強するためにどうすればということについて、素人考えではありますけれども一、二申し上げてみたいとこう思いますが、聞くところによると、この免責条項がかなり厳しいんだという言い方がされておるようであります。そういうことがないというならばないで結構でございますが、その実例といたしましては、戦争地域であるとかというような話しばしば私聞きますけれども、しかし、その国に対しても輸出という現実は存在するわけですから、そういうところに輸出するからこれは事故があっても何分の一があるいは全額か知りませんけれども、それは責任は負いませんよということではこれ意味がないわけでありますから、そういう意味ではそういう点も十分考慮してもらいたいというような意見がかなり強いということを聞いておりますけれども、いかがでしょうか。
#232
○政府委員(古田徳昌君) 法律によりまして輸出保険は独立採算の原則のもとで運営されておるわけでございまして、カントリーリスクの観点からしまして通常の引き受けを行いがたい場合には、免責条項をつけて引き受けをする等の制限を行う場合が出てくるわけでございます。現実に戦争が行われている地域に対しまして輸出保険を引き受ける場合に、戦争による被害は免責さしていただくというような形に、これは制度の性格としてならざるを得ないというケースもあるわけでございます。そういうことで免責条項というふうなものがつけられることがあるわけでございますが、しかし、このような制限につきましては当該国のカントリーリスクが減少した場合にはできるだけ速やかに見直しを行う、できるだけ早く通常の姿にするというようなことで運営しているわけでございます。またいろいろそういう制約条件等がつくケースがありますけれども、全体として見ますと、最近のわが国の輸出保険の伸び率は輸出の伸び率を上回っておりまして、ということは保険の利用率がだんだん高まってきているということが言えるわけでございますし、また五十四年度の引き受け実績が十兆円を超えるということで、世界一の規模になっているわけでございまして、貿易量との関係からいきましても諸外国と比較して決して引き受けが非常に厳しいといったふうなものではないというふうに考えているわけでございます。
#233
○村田秀三君 いずれ具体的な問題が出されてまいりました際にでも申し上げる機会があろうかと思いますが、いずれにいたしましてもその免責条項をできるだけ緩和して、そしてやってはどうかというのが私の意見でございます。
 それから保険料のあり方でございますけれども、何といっても保険料が安いということは、これは民間の生命保険でもそうでございます。掛金が安いということは魅力になるのは当然でありまして、この保険料も諸外国と比較してかなり安いんだというお話は聞いております。もちろんそれを了承して加入していなさ谷ことは承知はいたしておりますけれども、考えてみますと発足をいたしまして歴史も浅いわけでございます。にもかかわらずこれ一千七百億積み立てられておるわけでありますから、これ民間事業とすればかなり効率のよい事業じゃないかと常識的に考えてみて言えるわけですね。でありますから、この保険科というものはもう少し安くできないものなのかどうかという、まあ一般論でございますけれども、その点についてどうお考えになっておるかということであります。
#234
○政府委員(古田徳昌君) 保険料率の問題でございますが、これは輸出保険法によりまして収支相償うように定めなければならないということにされております。もちろんその場合の収支相償うというのは、長期的に見た場合の収支均衡の実現ということでございまして、毎年毎年についてということでは必ずしもないと考えるべきではないかと思っております。先ほども御説明いたしましたように、輸出の拡大に伴いまして保険の責任残高も累増しつつありますし、他方輸出の案件、非常に大型化しておりますし、さらに非産油発展途上国を中心とします輸入国の外貨事情が非常に悪くなっているということもあります。これらに起因します保険事故の大型化等、輸出保険を取り巻く環境は最近非常に厳しくなってきているわけでございます。このような状況下で保険運営を健全に行っていくということのためには、保険料率は低ければ低いほどいいということは当然でございますが、現在の保険特別会計の状況からいたしますと、この引き下げというのは非常にむずかしいというふうに考えざるを得ないかと思っております。最近におきましても五十三年度にはトルコの事故がございまして年度ベースでいきますと赤字になっておりますが、そのほかの年につきましては収支大体とんとん相償うというふうな姿になっておりまして、しかもわが国の保険料率は諸外国と比較しましてもかなり低いわけでございます。大体三分の一から五分の一程度の水準ということになっておりますので、私どもとしましては先ほど言いましたように輸出保険を取り巻く環境がむしろ非常に厳しくなりつつある情勢下でございますけれども、現在の保険料率を何とか維持していきたい、そのためにできるだけ事務の合理化等あるいはカントリーリスクの評価システムの開発等についての努力を進めていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#235
○村田秀三君 冒頭も申し上げましたように、これまさに常識的といいますか、現状を見てそう考えるという物の言い方でございます。確かに最近の状況を見ますと大型になっておりますから、宝山が一発吹っ飛べばこれは何千億という金になりかねないということもございましょう。ということではなるほど潤沢により多く抱えていたい、こういう気持ちはわからなくもないわけでございますけれども、しかし、一般常識的に見ましてもこれがたかだか十何年、保険が出発しましてからそれ以上ではございましょうが、途中の状況を見ますると国がむしろ補てんをしておるという、そういう経過もあるようでありますが、そのときはゼロであった、十四、五年たって千七百億、これはかなりいい商売じゃないかという感じはこれだれしも持つわけでありますから、そういう意味ではもちろんそういう宝山のような大型プロジェクト、これは前もって国も何らかのかかわりを持ちながら事故のないようにはやっていくものと私は想像いたしますけれども、いずれにいたしましてもやはり保険料率を引き下げるとかあるいは免責条項を緩和するとかということでやはり一般加入者、輸出業者が気軽に契約できる、こういう条件というものを整備する必要があるであろう――素人なりの考えでございますので、これは申し上げておきたいと、こう思います。
 それから、もう一つお伺いいたしますが、不服審査制度といいますか、保険事故の際に価格査定委員会を設置して、そしてその可否を判断する、こういうことは承知いたしました。しかし、その契約者が満足いくような結論が一〇〇%出るとは考えられないわけであります。いろいろ聞いてみますと、かなり不満があると。しかし、それをどこへ持っていくかといいますならば、あるいはそれは不満でございますから再検討願いますと、こう言ってみてもらちが明かぬ。だとすれば、これは行政不服審査ということでしかるべき手続をとるとか、あるいは裁判にかけるというようなことになるようでありますね。これでは余りにも、何といいますか、四角四面な扱いなような感じもしないわけではございません。でありますから、ということになるならば、この価格査定委員会というものは貿易局長の諮問機関のような形で、貿易局長が恐らく専門委員を指名するのであろうとは思いますけれども、何らかの形で第三者機関をもって不服審査の公平を期し、裁判にかけるとかあるいは行政不服審査請求をするなどというようなしかつめらしい、めんどうくさい話は抜きにいたしまして、その中間に何か検討機関を置いてもいいんじゃないかという感じがいたします。こういうことについてのお考え――私は書いう考えを持って申し上げているわけでありますけれども、過去の例等いろいろと検討いたしまして、どのような見解をお持ちか、ひとつお伺いをいたします。
#236
○政府委員(古田徳昌君) 保険事故が生じました場合に、支払い保険金の額等については、私どもとしましても被保険者と十分協議し、十分慎重に検討してその額を決めさしていただいているわけでございますが、最終的にその額等に不服がある方は、法律に基づきまして通産大臣に不服の申し立てができるという形になっているわけでございます。これは先生御指摘のとおりでございます。これは保険事務そのものが非常に専門的技術的な内容となっておりますので、直接監督している通産大臣に第一義的に不服を申し立てる手段を設けたということになっているわけでございまして、これは所管の行政庁にもう一度事態を再反省するといいますか、再検討する機会を与えるということと同時に、当事者にできるだけ迅速低廉な救済手続を提供するということを目的としているわけでございまして、一般の行政処分にかかわります行政不服審査法、いわゆる異議申し立てということになりますが、そういうものに準じた手続となっているものでございます。
 さらにこれに不服の場合には、訴訟を提起するということも可能になっているわけでございまして、同一案件を再度慎重に審査するということで一層の公正を期し得る手続となっているというふうに考えるわけでございまして、確かに先生が御指摘のように、第三者による救済機関等の設置という問題もあろうかと思いますが、私どもとしましては、ただいま申し上げました制度によりましてできるだけ公平に、客観的に支払い保険金の額等の決定を行っていきたいというふうに考えているわけでございます。
 なお、その際、この保険金の査定は法律なり約款等に基づきまして十分厳正に行われているわけでございますが、いままでの例でございますと、不服申し立てが行われたケースとか訴訟が行われたケースというのはほとんどないというのが現状でございます。
#237
○村田秀三君 次に、先ほども青木委員の方から質問がございましたが、これはまさに国営なわけですね、国が直営している保険制度である。国内ではもとよりこれ一つということになりますか。まあ国が直接かかわりを持っているというよりも、まさに直営であるわけでありますから、その理由についてはある程度わからぬでもございません。まあ民間に、ある程度のかかわりを持ちながら移管してはどうかという先ほどの意見のようでございましたけれども、とにかくこのつまり保険財政の運営の基本とするところは何であろうか。実は先ほども若干触れましたが、その設立の過程では、資本金、当初国が支出をしたこと、これはまあやむを得なかろうと、こう思います。
 そこで、四十二年ころインドネシア貿易に関係して大型事故が発生をして三十億一般会計から繰り入れをしたという、そういうことも実は承知をいたしていまして、いろいろ考えるわけでありますが、先ほど来私申し上げましたように、保険料を安くせよという議論とは若干あるいは角度が変わろうと思いますが、仮にこれが宝山の問題であるとか、あるいはまたイラン石化の問題であるとか、こういう問題に事故が発生をしたという場合における措置は一体どうなるんであろうかという懸念を実は持っていたわけです。でありますから、その原則をひとつお伺いをするわけであります。
#238
○政府委員(古田徳昌君) まず、輸出保険事業の運営の形態でございますが、わが国の場合、国が直接これを実施するという形になっているわけでございます。
 この通産省の直接実施いたします輸出保険事業の内容について見ますと、職員一人当たりの引受金額あるいは引受金額に対します事務経費の比率等におきまして、欧米諸国に比べると数倍効率的な姿になっております。これはやはり政府として直接実施しますために、たとえばカントリーリスク評価上の諸情報がつまり安いとかいうふうなこともあろうかと思いますが、いずれにしましても非常に国際的に見て効率のいい形で運営されているわけでございまして、これを他の形態に移行するということになりますと、かえって先ほど言いましたカントリーリスクに関します情報収集費の増高だとか、あるいはその他の面におきまして、効率の面で若干の影響が出てくるのじゃないかというふうにむしろ逆に考えている次第でございます。
 そういうことで、現在の輸出保険特別会計によります運営ということを続けていくという原則に立ちました場合、それではその資本金についてどうするのだというふうな御質問になろうかと思いますけれども、現在資本金は、先生御指摘のとおり、四十二年度に三十億円を足しまして、全体につきましては六十億円ということになっております。この輸出保険制度自体は民間の通常の保険では救済することができない危険を保険する制度ということで、国営保険という形で運営されているわけでございますから、国の資本がそこに投下されるということは当然の姿でもあるわけでございますが、ただこれは特別会計によりまして、いわば一つの事業体という形で運営されておりますので、この資本金六十億円という金額が妥当かどうかということについて考えますと、輸出保険事業の現在の規模から見まして、やはり国営保険として被保険者――保険をかけていただく方々の信任を維持するためにも、一つの事業体としてこの程度の資本金が必要だというふうに考えているわけでございます。なお、この資本金も含めまして全体としての支払い準備金がどの程度かということになりますと、これも先ほど先生からも御指摘ございましたけれども、約千三百億円という数字になっておりますが、これは現在の引受保険総額との関係で言いますと〇・八七%ということでございます。この千三百億円が大きいか少ないかという議論もあろうかと思いますが、たとえばイギリスの保険機構でありますECGDでは二・五%という目標を立てたりしております。実際の準備金の状況については、詳細は会計制度等も違いますので不明でございますけれども、そういうふうな目標値との関係で考えますと、これだけの大きさ、つまり世界一の規模の輸出保険事業を維持していく上で〇・八七%という準備率は必ずしも高くない、むしろこれを充実すべきではないかというふうな御意見もあろうかというふうに考える次第でございまして、そういう観点からしまして、私どもとしましては、現在の制度のもとに国の資本金を現在の水準としましても準備金の額をできるだけ充実していって、全体としての健全な運営、ひいては保険を掛ける方々の信任を得るような形に持っていきたいというふうに考える次第でございます。
#239
○村田秀三君 それもいろいろ議論しても、ここが妥当であるという問題にはならないわけでございます。ただ、私が考えますことは、先ほども申し上げましたように、大型事故が発生した、これを補てんしなくてはならぬという場合に、四十二年の例にならって一般会計からまた資本増加という形がとられるのかとられないのか、この点の懸念であるわけでございます。でありますから、いわゆる準備率をどの程度にした方が妥当であるという、そういうことは、これは生命保険の場合と違いまして、かなり保険対象が複雑多岐でございますから、その妥当な準備率を計算するということはかなりむずかしいと私も思います。思いますが、つまりは大型事故が発生したときに保険財政はパンクいたしますので、とにかくまた資本金を国がめんどう見てもらいたい、こういうようなことがしばしばあったのではこれはいけないんじゃないか、こう実は懸念をするものですから、素人の懸念でございますが、念を押すわけでございますが、その際はどうなさいますか。
#240
○政府委員(古田徳昌君) 私どもとしましては、先ほども御説明いたしましたように、現在の準備金の額が必ずしも十分ではないという感じは持っておりますが、しかし、現時点では一応年度別に特別会計は健全な形で運営されております。そういうことで、大型の事故が発生しまして保険特別会計で非常な赤字が出るというふうな事態は想定していないわけでございますが、仮にそのような状況が発生したということで考えますと、一般論として言いますれば、仕組みとしてはまず借り入れで当座をしのぐというふうなやり方がございます。それからさらに、状況によりましては一般会計からの繰り入れ、出資をさらに追加していただくということにもなるわけでございますし、それから状況によりますれば保険料率の改定ということも検討するというふうなことになろうかと思いますが、これはいずれにしましても、そういうふうな状況が仮にあったとした場合の一般論としての仕組みということでございます。
#241
○村田秀三君 私の懸念が、先ほど市川委員の質問ではございませんけれども、だんだんに将来懸念されてくるような気がいたします。
 ところでこの際お伺いしますけれども、イラン石化ですね。先ほど森田委員の質問に現状いろいろ報告がなされたようでありますが、これは仄聞でありますから確たる情報ではございませんけれども、昨年の九月の二十四日に日本とイラン政府が今後六カ月以内に再建のめどが立たない場合には、これは不可抗力であるというふうに認定せざるを得ないんじゃないかという合意に達したと、こういう情報でありますけれども、これは確かでありますか、知っておりましたら。
#242
○国務大臣(田中六助君) イランの石化問題、IJPCの問題でございますけれども、私どもの現在に得ている情報並びに現状を申し上げますと、三井側もそれからイラン側もこのプロジェクトをやめようと、ストップするというような話はありません。特にイラン側は、イラン・イラク紛争をまだ終わってはおりませんけれども、イラン政府並びにイランの国民はこのプロジェクトをぜひとも実現してほしいということを三井側に伝えてきておるそうでございますし、私どもはそういう判断から現在のところこのプロジェクトをストップしようというような考えはついておりませんし、両方の、相互に信頼関係を持って推進しておるということでございますので、これを推進していく方針でございます。
#243
○村田秀三君 同じような問題でありますが、宝山問題についてですね、三菱が補償交渉を開始するやにこれまた仄聞をいたすわけであります。その反面、政府借款を商品借款に振り向けて、そして代金の支払いに充てたらどうだろうというような話もあるやに聞いておるわけであります。その問題についてですね、この際ひとつ、情報でありましょうけれども、あるいは政府間としての話し合い等があるとするならばひとつ伺いたいと思います。
#244
○政府委員(真野温君) 中国とのいろいろなプロジェクト問題でございますが、これはいろいろな情報がございますが、全体ざっと申し上げますと、一つは石油化学関係のプロジェクト、これは三つございます。それから製鉄所の関係は、いま御指摘の宝山の製鉄所の関係でございますが、これが二つに分かれまして一期と二期ございます。それで、現在までのところ日本と中国側の、日本の民間の企業と中国側の当事者との間で宝山の第二期工事の関係についてはこれを中止することに合意しておりますので、それに伴ういろいろな補償関係の話がございます。それから残りの石油化学の三プロジェクト及び宝山の第一期工事関係につきましては、これは一時中止を伝えられ、あるいは延期とかいう話がございましたが、その後中国側から、これは原契約どおり履行するという考え方に立ちまして日本側と今後の支払い条件その他について当時者間で話をすると、こういう状況になっておるわけでございます。ただ、現在のところ中国は御承知のように経済調整過程でございますから、こうやって引き取ったプロジェクトのプラント類につきまして、向こう側の国内資金の状況から直ちにこれを完成まで持ってくるだけの力がないということから、日本側に対しまして、これはむしろ政府ベースになるかと思いますが、低利の借款要請が来ておるのは事実でございます。ただ、これについては、現在のところ、日本側と、私どもその要請を受けまして、同時に中国側の方でも検討するということで話し合っている段階でございまして、お話のような商品借款の話もございますが、具体的な内容については中国側の方でまだ明快にしておりませんので、今後政府間で話し合ってまいることになろうかと思います。
#245
○村田秀三君 いま伺ったのは、その問題についていろいろ突き詰めて質問しようというのではないわけです。ひとつ保険的な立場で考えてみようと、こういうことでありますけれども、この保険事故の種類といいますか態様といいますか、こういうものを伺おうとしたわけでありますけれども、これは発表はできないんだというような保険当局のお話でございます。国が金を出しているのになぜ公表できないのかなと実は私は不満ではありますけれども、恐らくイラン石化あるいは中国関係の大型プロジェクト、通報されておるのかどうか、これは存じませんが、通報されておるならば、おると言っていただきたいのでありますが、いずれにいたしましても、そういう終局的に事故が発生をした。恐らく千七百億でこれを賄い切れないほどの大型な金額になるであろうと予想されます。これはまだ経過でありますから、過程でありますから、断定的なものはもちろん申し上げるわけにはいきません。しかしその際に、先ほど貿易局長答弁のように、とにかく借金である程度は貯えますけれども、しかしまた、出資を増額していただくということがございまして、出資するのはだれかといいますれば国だ、こういうことでは余りにも安易に過ぎると私は思うんです。でありますから、これはもうとにかく設立の段階で国がある程度の助成をするのは当然と認識されたといたしましても、それ以降における状態というものは、先ほど来私が申し上げましたように、つまり輸出業者が相互扶助的思想に立って、まあ大部分といいましょうか、とにかく参加をして、そうしてやっていくんだというような考えに立ってもらわなければ私はいけないんじゃないかと、こう思うんです。でありますから、普及宣伝もしてもらいたい、こう言っておるところでありますし、同時にまた、そう軽々と資本金を増加するなどということはやめていただきたい、このことだけは強く主張をしておきたいと、こう思います。
 そこで、資本輸出の問題でありますが、企業進出の問題であります。
 最近はかなりこれ日本が進出をいたしておりますことは私が申し上げる必要もなかろうと思います。企業の進出あるいは資本の進出、さまざまな形態がございますが、私もたまたま外国に参りますことがございますが、マレーシアに行ってまいりました。ペナンあたりの事業所も回ってまいりましたが、かなり日本も進出しておる。それからアサハンダムにも行ってまいりました。アルミ製錬所、ダム建設、発電所建設と、当時の話では合わせて七千億近い金が投下される、こういうことであります。アルミを安く輸入してそして日本のアルミ関連産業の貿易伸長に役立つと、こういう説明でもあります。その部分はそれなりにわかるのでありますけれども、しかし、日本のそれじゃアルミ製錬所はどうなんであろうか、こう考えてみますと、どこでも四苦八苦、人員は減らす、こういうような状況が出てきておるわけであります。最近の自動車摩擦の問題でも、とにかく三菱がアメリカに工場をつくる云々という話もあるようでありますが、いずれにいたしましても、この資本進出、企業進出、これが国内経済にどういう影響を与えるのかという点について私はきわめて懸念をするのでありますけれども、こういう問題について通産当局といたしまして何か検討をいたしたことがございましょうか、伺います。
#246
○政府委員(宮本四郎君) 御指摘のように、最近になりましてわが国から海外投資と申しますか、企業進出が相当活発に出るようになってまいりました。これにはいろんな理由があろうかと思います。古くから日本にとって非常に大事に考えられ、かつまた積極的に行われました分野に、資源エネルギーの確保という観点から海外に企業が出た場合がございました。さらには、最近のようになりまして海外の市場が閉鎖的に変わってくる、こういう場合に海外の販売拠点を確保すると申しますか、市場を維持すると申しますか、そういう観点から現地の生産に踏み切っていく、こういうふうな傾向も見られるわけでございますが、ただおっしゃいますようにこれがわが国の雇用とかあるいは輸出とか、そのほか国際収支そのほか産業、経済万般にわたりましていろんな角度からの影響を持つことは事実でございます。たとえば輸出について申し上げますならば、海外で企業が進出いたします場合に、工場をつくる、したがってプラント輸出がこれで行われる、海外で生産が始まりますと、これに伴いまして部品とかあるいは原材料を輸出するというふうなことでございまして、製品、機械類の輸出がふえる、それに伴いましてあるいはまた日本国内における雇用もふえる、こういうメリットもありますけれども、逆に現地で生産されますと、その分だけ日本からの直輸出が減りまして置きかわられる、こういうようなことになりますと、日本の雇用が減ってまいる、こういうようなことでございまして、ケース・バイ・ケースで非常に複雑な影響があろうかと思うわけでございます。
 ただ、先ほど御指摘のアサハンアルミのような場合におきましては、御案内のように日本のアルミ製錬企業におきまして電力料金が非常に高くなって、海外のアルミ製錬企業との間におきまして相当格差が大きくなってまいりました。こうなりますと、外国からの輸入はふえて、日本の国内における製錬企業は非常に弱ってまいるわけでございますが、この間のギャップを解消する上におきまして、スマトラに進出いたしましてここで合弁でアルミニウムを水力発電でつくり、これを日本に持って帰るということになりますと、これは日本とインドネシアの両方の友好のきずなにもなるということでございまして、ある意味におきましては南北問題に対する一つの解決の一助にもなる、こういう観点もございます。したがいまして、私どもといたしましては、御指摘のようにメリット、デメリットはあるけれども、総じて日本の輸出あるいは雇用あるいは国内の産業というものを重点に考えまして、かつは相手国の立場ということも考えまして、間違いのないように施策を講じ、指導してまいりたい、かように考えております。
#247
○村田秀三君 いま私が申し上げましたのは、何もアサハンけしからぬと、こういう意味ではございません。私も参りまして現場の責任者を激励をしてまいりました、日本のためにがんばれと。これくらいの気持ちはそれはありますよ。だからそれは必ずしも企業進出あるいは資本進出すべてがこれよろしくないと、こう言うつもりは毛頭ございません。特に南北問題、つまりこちらの製品を買ってもらえるような市場条件をつくり上げるたためにもそ国の生活水準を高めるという、そういう政策というものは必要でありますから、そういう意味では私一概に何もこう申し上げているわけじゃないわけです。しかし、最近は三菱がアメリカに行くとかあるいはカラーテレビの製造会社が世界の各国に進出しておるとかというようなさまざまな話を聞きますと、国内でもある程度、つまりその影響というものについて検討を加えて、そしてバランスある企業進出あるいは資本投下ということについて考慮すべき時期ではなかろうかという、そういう考えであります。いま私が何も例を申し上げなくても、皆さん方の方でもうすでに承知しておろうかと存じますけれども、とにかく日興リサーチで試算をいたしましたその試算によれば、米国でカラーテレビを二百万台現地生産されるとすれば国内の三万人の職場が失われると、こういう計算であります。また、貿易収入も三億五千万ドル悪化するであろうと、こう言われている。その数字が事実かどうか存じませんよ。しかし、それは権威ある調査機関であるわけでありますから、自動車の場合は二万台程度現地で組み立てるとするならば、これまた国内では五万人の職場の喪失があるんだと、こういうことも言われております。電機労連あたりで、これまた恐らくどちらかの調査機関に頼んで試算したんではなかろうかと思いますが、現在、関連産業海外現地企業は八〇年の実績で五百二件、十八万一千五百九十人が働いておる。これを理論上国内に当てはめるとするならば三万人から五万人の雇用を創出することができると、こういう計算をいたしておるわけであります。
 これは単なる労働問題ばかりじゃないと思うんですね。とにかく失業が増加する、賃金が安くなる、恐らく消費生活に大きな悪影響を与えずにはおかないわけでありまして、私も詳しいことはわかりませんけれども、今日のアメリカの状態というものは、余りにも戦後海外に企業進出、資本投下を拡大し過ぎた結果ではなかろうかというような話も聞くわけでありまして、ということであるならば、これは日本も余り調子に乗らないで、とにかくこの機会にバランスあるいわゆる海外進出という観点に立ってかなりの、これはまあ労働省の仕事だというんではなくて、通産当局としてもある程度検討をすべき時期ではなかろうか、こう実は思っておるわけでいろいろ申し上げたわけでございますが、大臣いかがでございましょうか。
#248
○政府委員(宮本四郎君) 大臣お答えの前に一言申し上げさしていただきますが、先生御指摘の幾つかの研究があることは私どもも存じております。たとえば電機労連の研究とか日本労働協会の研究とかいろいろございます。これは前提が置かれて一定の計算式で数値がはじかれておるわけでございます。ただ、現実問題といたしましては、輸出が先ほど申しましたように出て、日本の輸出と現地の生産がずうっと入れかわっていくかどうか。その辺につきましてはなかなかケース・バイ・ケースの関係がございますので、私どもは御指摘のように何とかこれを実証的にもう少し把握してまいる必要があると、こういうふうな感じでおることは御指摘のとおりでございます。現在、私どもが掌握いたしておりますデータというのは必ずしも十分ではございません。と申しますのは、現地で企業が事業活動を行うということになりますと、それは相手国の法的な管轄、行政の管轄に入りまして、私ども必ずしも十分なデータを握っておるわけでもございません。したがいまして、日本にある親企業、そういうものを通じまして間接的に海外における事業活動のデータを集めまして、それによりましてただいま御指摘のような点で一体どういうことが言えるのかということを研究してまいろうと思って現在準備中でございます。
#249
○国務大臣(田中六助君) わが国の貿易構造並びに将来の展望というようなことを考えますときに、やはり自由主義貿易、貿易の均衡拡大というものが頭に浮かぶわけでございまして、具体的にはやはり投資交流あるいは技術の相互の開発、交流並びに第三市場の育成などということがやはり至上命題でなければならないと思うんです。したがって、そういう面で相互の信頼、相互の交流というようなことで投資を万事阻害なくやっていく方向は私は一つの指針としては持っておかなくちゃいかぬというふうに思います。ただ、目の先でいろいろいろんなトラブルが、他国との交流のことでございますからあることは、いろんな経済摩擦も含めて起こっていくでしょうけれども、根本の基本概念はそのようなペースでいかなければならないというふうに考えます。
#250
○委員長(金丸三郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#251
○委員長(金丸三郎君) 御異議ないと認めます。それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#252
○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、輸出保険法の一部改正案に反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、今回の改正が、大企業、大資本の多国籍企業的進出を無批判的に肯定し、これを一層支えるための優遇措置をさらに拡大するものであるからであります。政府は、改正の理由として、プラント輸出の鈍化を挙げておりますけれども、それは世界的な傾向であり、プラント輸出の鈍化をもって優遇措置拡大の理由とはなし得ないのであります。
 第二の理由は、大企業に対しては補てん率の引き上げや輸出保険制度の適用範囲の拡大などを行いながら、中小企業に対してはたとえば逆輸入対策、保険料率問題でも何らきめ細かい配慮もなされていないことであります。
 第三の理由は、保険制度の無制限とも言える拡大によって日本の大企業の新植民地主義的な進出を支え、かえって本来の経済協力のあり方から逸脱する危険性が濃厚なことであります。たとえば、今回の改正で現地合弁企業等への日本の親企業の債務保証まで保険の対象としております。ところが、現地合弁企業等に対しては日本の法規制は及ばず、悪徳商法あるいは武器生産などの本来規制さるべき行為が野放しにされるおそれがあるのであります。
 以上が主な反対の理由であります。政府は、プラント輸出の中小企業への波及効果などを理由に、これが国民経済的に見て必要であると強調しております。しかし、いま必要なことは、自動車輸出問題にも端的にあらわれているように、日本の集中豪雨的な輸出が下請中小業者と労働者の犠牲によって支えられてきたという厳然たる事実にこそ目を向け、下請中小企業者の権利と経営を守り、労働者の労働条件を改善し、国内消費の拡大、国内需要の拡大を図ることこそ優先すべき課題であることを指摘して、反対討論を終わります。
#253
○委員長(金丸三郎君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#254
○委員長(金丸三郎君) 御異議ないと認めます。それでは、これより採決に入ります。
 輸出保険法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#255
○委員長(金丸三郎君) 多数と認めます。よって、本案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、村田君から発言を求められておりますので、これを許します。村田君。
#256
○村田秀三君 私は、ただいま可決されました輸出保険法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
 輸出保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、本法施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一、プラント類の輸出等が健全に行われるよう、わが国の貿易環境の変化に即応して、輸出保険制度の見直しを今後とも適切に行うこと。
二、今後、プラント類の輸出等において国際企業連合による共同受注の増大が予想されることにかんがみ、大型案件に対する対応を容易にし、わが国企業の受注機会の増加に寄与する二国間共同保険取り決めを積極的に推進すること。
三、中小企業の海外投資の増加等の実情にかんがみ、中小企業に対する輸出保険制度の普及活動を積極的に展開するとともに、事務手続の一層の簡素化に努め、その利用促進を図ること。
 右決議する。
 以上であります。
 何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
#257
○委員長(金丸三郎君) ただいま村田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#258
○委員長(金丸三郎君) 多数と認めます。よって、村田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、田中通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田中通商産業大臣。
#259
○国務大臣(田中六助君) ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、万全を期する所存でございます。よろしくお願いいたします。
#260
○委員長(金丸三郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#261
○委員長(金丸三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#262
○委員長(金丸三郎君) 次に、産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。田中通商産業大臣。
#263
○国務大臣(田中六助君) 産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 産炭地域振興臨時措置法は、石炭鉱業の不況による産炭地域の経済的、社会的疲弊を解消するため、同地域における鉱工業等の急速かつ計画的な発展等を図ることを目的として、昭和三十六年十一月に制定されたものであり、その後昭和四十一年に五年間、昭和四十六年に十年間、それぞれその有効期間の延長が行われ、現在、昭和五十六年十一月十二日をもってその効力を失うこととなっております。従来、産炭地域につきましては、国及び地方公共団体において、本法を基礎として、産業基盤の整備、企業の誘致、生活環境の改善、地方財政への援助等各般にわたる施策を展開しており、その結果、同地域は全般にわたり、閉山に伴って悪化した生活環境の修復も進みつつあり、また比較的立地条件に恵まれた地域では企業の進出もかなり促進される等相応の成果を上げております。しかしながら、内陸部を初めとする多くの産炭地域では、今日なお、厳しい雇用失業情勢、老朽化した炭鉱住宅街等の問題が残存し、さらに産業活動が十分でないなどから所得水準が低く、また地方公共団体の財政事情も困窮しており、いまだ経済的、社会的疲弊の解消という産炭地域振興の目的を十分には達成していない状況にあります。
 このような産炭地域の実情に対処して、本法に基づく産炭地域振興の諸施策については、今後なお相当の期間これを継続することを必要とする状況にあります。
 この法律案は、このような考え方に基づき、産炭地域振興臨時措置法の有効期間及びこれに付随して同法に基づく地方債の利子補給の期間を、それぞれ十年延長しようとするものであります。
 なお、この法律案の附則におきまして、通商産業省設置法の一部を改正いたし、通商産業大臣の諮問機関である産炭地域振興審議会の存置期限につきまして、産炭地域振興臨時措置法の有効期間の延長に対応して、十年延長することといたしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#264
○委員長(金丸三郎君) 次に、補足説明を聴取いたします。森山資源エネルギー庁長官。
#265
○政府委員(森山信吾君) 産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、ただいま大臣が御説明申し上げました提案理由及び要旨を補足して御説明申し上げます。
 御案内のとおり、昭和三十年代のエネルギー消費構造の急激な変化に伴って、石炭鉱業は、厳しい不況に見舞われ、それによる石炭鉱山の閉山は、ひとりその従業員及び家族にとどまらず、その周辺の産炭地域の経済、社会に急激かつ深刻な影響を及ぼしました。
 産炭地域振興臨時措置法は、このような産炭地域の経済的社会的疲弊を解消するため、石炭鉱業にかわる鉱工業等の急速かつ計画的な発展等を図ることを目的として、昭和三十六年十一月に制定されたものであります。
 本法は、当初、産炭地域振興の緊急性にかんがみ、五年間の臨時措置法として制定され、昭和四十一年にはさらに五年間延長されました。その後、石炭鉱山の予想を上回る急速かつ大規模な閉山が相次ぎ、有効期間の到来した昭和四十六年には、それに伴う疲弊の累積と当時石炭鉱業が置かれていた厳しい状況を考慮して十年間延長され、本年十一月十二日をもってその効力を失うこととなっております。
 政府は、これまで、本法を基礎とし、地域振興整備公団による事業の推進、地方公共団体に対する財政援助、進出企業に対する税制上の特別措置等各般にわたる手厚い施策を通じて、工業団地、道路等の産業基盤の整備、石炭鉱業にかわる鉱工業等の誘致、旧炭鉱住宅、上下水道等の生活環境の改善等を図ってきたところであります。
 この結果、産炭地域振興対策は、現在までのところ、相応の成果をおさめつつあります。すなわち、産炭地域では、閉山によって悪化した生活環境は、これら諸事業の推進に伴ってその修復が進みつつあり、人口もかなりの地域で増加傾向に転じ、石炭鉱業にかわる鉱工業等の導入も徐々に進展を見つつあります。とりわけ、産炭地域のうち比較的立地条件に恵まれた地域においては、相当数の企業が進出し、石炭鉱山の閉山による経済的、社会的疲弊の解消を図るという産炭地域振興の目的が次第に達成されつつあると言える状況となっております。
 しかしながら、内陸部等の産炭地域では、これまでの施策の実施にもかかわらず、特に、前回の本法の延長後に生じた大規模な閉山の影響が大きく、今日なお累積された著しい疲弊が残存している状況であります。すなわち、産炭地域では、厳しい雇用失業情勢、全国水準を上回る率の生活保護者の滞留、高年齢層の増大、老朽化した旧炭鉱住宅街、さらには、産業活動の停滞による低い所得水準、地方公共団体の困窮した財政事情等の諸問題が解決されないまま残されております。
 このような産炭地域の現状を踏まえ、昨年六月、産炭地域振興審議会に、本法の延長問題を含めて、今後の産炭地域振興対策のあり方についてお諮りした次第であります。
 同審議会におかれましては、現地視察、地元関係者からの意見聴取等を行うなどして鋭意御検討いただき、昨年十一月、産炭地域の累積した経済的、社会的疲弊を解消していくためには、なお相当程度の期間を要するという事情等を考慮の上、本法の有効期間については、さらに延長する必要があり、その期間は十年間とするのが適当である旨答申されました。
 政府といたしましては、この答申を尊重し、この際、本法の有効期間を延長し、今後とも本法を基礎とする産炭地域振興の諸施策を実施していく必要があると考えている次第であります。
 今後の産炭地域振興対策の推進に当たっては、従来の対策の進め方の反省を踏まえ、この答申の御示唆を受けて、近隣市町村が地域の特性等に応じて機能を分担しつつ、一体的に発展していくという広域的地域発展を図ること等により、早期に産炭地域振興の目的を達成するよう努めてまいる所存であります。
 なお、この法律案の附則におきまして、通商産業省設置法の一部を改正することといたしておりますが、これは、産炭地域振興審議会の存置期限を延長しようとするものであります。同審議会は、産炭地域の振興に関する重要事項を調査審議するため、昭和三十六年四月から通商産業省の附属機関として置かれているものであり、今回の本法の有効期間の延長とあわせて、その存置期限を十年間延長することとする次第であります。
 以上、この法律案につきまして補足して説明いたしました。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#266
○委員長(金丸三郎君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 産業貿易及び経済計画等に関する調査のうち、日本原子力発電株式会社敦賀発電所の事故に関する件につき、来る二十八日の委員会に参考人の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#267
○委員長(金丸三郎君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#268
○委員長(金丸三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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