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1980/02/24 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 農林水産委員会 第2号
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1980/02/24 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 農林水産委員会 第2号

#1
第094回国会 農林水産委員会 第2号
昭和五十六年二月二十四日(火曜日)
   午後零時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月十日
    辞任         補欠選任
     高木 正明君     塚田十一郎君
 二月十四日
    辞任         補欠選任
     下田 京子君     佐藤 昭夫君
 二月十六日
    辞任         補欠選任
     塚田十一郎君     高木 正明君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         井上 吉夫君
    理 事
                北  修二君
                坂元 親男君
                鈴木 正一君
                川村 清一君
                中野  明君
    委 員
                熊谷太三郎君
                下条進一郎君
                鈴木 省吾君
                高木 正明君
                初村滝一郎君
                降矢 敬雄君
                坂倉 藤吾君
                村沢  牧君
                山田  譲君
                鶴岡  洋君
                中野 鉄造君
                田渕 哲也君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農林水産大臣   亀岡 高夫君
   政府委員
       農林水産政務次
       官        野呂田芳成君
       農林水産大臣官
       房長       渡邊 五郎君
       農林水産大臣官
       房技術審議官   山極 栄司君
       農林水産大臣官
       房予算課長    京谷 昭夫君
       農林水産省経済
       局長       松浦  昭君
       農林水産省構造
       改善局長     杉山 克己君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     二瓶  博君
       農林水産省畜産
       局長       森実 孝郎君
       農林水産省食品
       流通局長     渡邊 文雄君
       農林水産技術会
       議事務局長    川嶋 良一君
       食糧庁長官    松本 作衞君
       林野庁長官    須藤 徹男君
       水産庁長官    今村 宣夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹中  譲君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査
 (昭和五十六年度の農林水産省関係の施策及び
 予算に関する件)
○委員派遣承認要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(井上吉夫君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二月十四日、下田京子君が委員を辞任され、その補欠として佐藤昭夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(井上吉夫君) 農林水産政策に関する調査のうち、昭和五十六年度農林水産省関係の施策及び予算に関する件を議題といたします。
 まず、農林水産大臣の所信を聴取いたします。亀岡農林水産大臣。
#4
○国務大臣(亀岡高夫君) 農林水産委員会の開催に当たりまして、私の所信の一端を申し上げます。
 私は、昨年七月農林水産大臣に就任いたしましたが、昨年は全国的に激甚な冷害に見舞われ、農作物被害は史上まれに見るものとなりました。このため、全省を挙げて各般の冷害対策を速やかに講じ、被害農家の救済に万全を期した次第であります。
 また、今冬は、昨年十二月中旬以降、東北、北陸地方を中心として豪雪に見舞われ、農林水産関係についても、森林被害を初め大きな被害の発生を見ております。今回被害を受けられた農林漁家の方々の御苦労はいかばかりかと深く思いをいたすとともに、衷心よりお見舞い申し上げる次第であります。先日は私自身も被災地に赴き被害の実態を直接調査したところでありますが、農林水産省といたしましては、被害状況の早期かつ的確な把握に努めるとともに、できるものから逐次対策を実施しているところであり、今後とも適切な対策を講じていく考えであります。
 さて、わが国経済社会は、激動の七〇年代を乗り越え、新しい時代への過渡期に差しかかっております。すなわち、八〇年代は、石油を初めとする資源及び環境の面での制約、経済の安定成長、人口の高齢化、世界各国との相互依存関係の深まり、生活の質的向上や生きがいを目指す国民意識の高まりなど経済社会の変化が見込まれております。
 一方、近年、世界各地で異常気象による農作物被害が発生しておりますが、長期的に見ても世界の食糧需給には楽観を許さないものがあります。昨年は国会において「食糧自給力強化に関する決議」が全会一致で議決されたところであり、国民の間には食糧の安全保障に対する関心が高まっております。
 言うまでもなく、農林水産業は、国民生活にとって最も基礎的な物資である食糧を安定的に供給するという重要な使命を担っております。同時に、農林水産業は、多くの人々に就業の場を提供し、国土や自然環境を保全するなど多様な役割りを担っており、しかも、無限の自然エネルギーを使用するという長所や、経営者としての創意と工夫を発揮できるよさなどを有しております。
 したがって、今後の農林水産行政の基本は、こうした農林水産業の役割りや国民経済全体からの要請を踏まえて、農林水産業の体質を強化し生産性を向上させつつ、総合的な食糧自給力の維持強化と国民生活の安定を図ることに置かなければならないものと考えます。
 翻って今日のわが国の農林水産業の現状を見ますと、種々の大きな課題を抱えております。
 農業につきましては、米、牛乳、ミカンなどに見られる農産物需給の不均衡、土地利用型農業の経営規模拡大の停滞、農村社会における連帯感の希薄化、農村環境整備の立ちおくれなどの事態に直面しております。
 また、林業につきましては、木材需要の伸び悩み、林業労働力の減少と高齢化などから林業生産活動が停滞し、中でも間伐等の保育管理が十分に行われておらず、また、木材関連産業が不振であるなど厳しい情勢にあります。
 さらに、水産業につきましては、諸外国における二百海里規制の強化、燃油価格の高騰、水産物需要の停滞などの困難な局面を迎えております。
 私は、このような情勢を踏まえ、決意を新たにして、強力な農林水産行政を展開してまいりたいと存じております。
 特に、昨年十月には、農政審議会から内閣総理大臣に「八〇年代の農政の基本方向」と「農産物の需要と生産の長期見通し」が答申されたところであり、今後は、これを尊重して、長期的視点に立った政策の推進を図ることとしております。本年は、答申の指し示す方向に向かって現実の歩みが始まる重要な幕あけの年であり、国民各界の理解と合意を得ながら特段の努力を傾けてまいる所存であります。
 そこで、昭和五十六年度の主要な農林水産施策について申し上げます。
 まず、農業の振興について申し上げます。
 第一は、構造政策の推進であります。
 今後、産業としての足腰の強い農業を確立し、総合的な食糧自給力の維持強化を図っていくためには、農地の流動化と有効利用を促進しつつ、生産性の高い意欲のある農業生産の担い手を育成確保するとともに、これを中核として地域農業の組織化を推進することがきわめて重要であります。
 このため、昨年施行された農用地利用増進法を構造政策の中軸に据えて地域農業の組織化と生産性の向上を図ることとし、農用地利用増進事業に積極的に取り組もうとする地区において、土地基盤、農業近代化施設、集落環境の整備等を総合的に行う農用地利用増進特別対策事業を新たに実施することとしております。
 また、地域農業者の創意と意欲を生かした地域農政を推進するため、地域農業振興のための総合推進方策の策定、農業諸資源の有効利用の促進、農地流動化奨励金の交付等を行う事業を実施することとしております。
 第二は、農業生産の再編成であります。
 地域の実態に即しつつ、過剰なものから不足するものへ需要の動向に応じて農業生産の再編成を進めることは今日の農政の重要課題であります。特に、米の需給均衡の回復を図るため、米から他作物への転作を進めるなど水田利用再編対策を推進しているところであります。水田利用再編第一期対策の三年間は、関係各位の御尽力によりいずれも目標を上回る成果を上げることができました。しかしながら、依然として過剰基調にある米需給の実勢に対処して農業生産の再編成を促進するため、五十六年度から五十八年度までの三年間にわたる水田利用再編第二期対策を実施することとし、転作等目標面積の拡大、団地化加算及び地域振興作物加算の新設等により、転作の一層の推進と定着化を図ることとしております。同時に、転作の推進のためには、その条件整備を図ることが急務であり、地域農業生産総合振興対策の推進、排水対策特別事業の拡充、制度資金を総合的に融資する地域農業再編整備資金制度の創設等諸般の対策を講ずることとしております。
 また、米の需給均衡を回復するためには、米を中心とする日本型食生活が、栄養的観点からも、また総合的な食糧自給力を維持する観点からもすぐれたものであることを重視しつつ、米の消費を維持拡大することが重要であります。そこで、転作の推進とあわせて、都道府県及び市町村段階において地域ぐるみの米消費拡大対策を推進するとともに、米飯学校給食の拡充を図るため学校給食用米穀の値引き売却を引き続き行うなど米の消費拡大対策を一層推進することとしております。
 さらに、需要の動向に応じた農業生産を推進するため、小麦、大豆、飼料作物等の農作物の生産拡大と肉用牛生産の振興を図るとともに、牛乳、ミカンなど需給の不均衡が見られる農産物の生産を計画的に調整するなど品目ごとの事情に応じた諸対策を講ずることといたしております。
 第三は、農業基盤整備と技術の開発、普及の推進であります。
 農業生産の再編成と生産性の高い農業の実現を図るためには、農業基盤の整備と技術の開発、普及がきわめて重要であります。
 農業基盤整備事業の推進につきましては、水田利用再編対策の円滑な実施等に配慮し、排水対策など水田の汎用化のための事業、畑作の振興のための事業等に重点を置いて実施することとしております。
 技術開発につきましては、今後、小麦、大豆、飼料作物などの品種改良や栽培技術の改善等を一層強力に進めることとしております。また、総合的な視点に立って、各専門分野で開発された技術を素材とした新しい農業技術体系の開発を推進するため、農事試験場を廃止して農業研究センターを新たに設置するなど技術に関する組織体制の整備を図ってまいる所存であります。
 第四は、活力に満ちた住みよい農山漁村の建設であります。
 近年、兼業化、混住化の進展、高齢化の進行等により農山漁村は大きく変貌し、連帯感の希薄化や集落機能低下の傾向が見られます。今後、構造政策を初めとする各般の施策の円滑な推進を図り、後継者の育成確保に資するためにも、農山漁村における連帯感の回復を図り、地域住民一体となった村づくりを進め、農林漁業者が農山漁村に定住できる条件を整備することが重要であります。
 このため、生産面、生活面を一体とした総合的な農村環境の整備と地域社会づくりについての住民の合意形成を促進するとともに、農業者年金制度の充実や農山漁村における健康の増進、就業機会の確保等のための諸事業の拡充を図ることとしております。
 第五は、農産物価格の安定と流通加工の効率化であります。
 価格政策は、農産物価格の過度の変動を防止して農業所得と消費者家計の安定を図り一また、需要の動向に応じた農業生産の再編成を進めるなどの上から重要な役割りを担っております。このため、生産対策、構造政策等各般の施策の推進と相まって、農産物のそれぞれの特性に応じた価格安定制度の適正な運用に努めてまいる考えであります。
 また、食糧管理制度・運営の改善につきましては、米の過剰、質の面での需要の多様化などにかんがみ、米の生産、流通、消費の各面にわたる検討を進め、政府買い入れ価格の品質格差の導入など可能なものから逐次実施に移しているところでありますが、今後ともさらに一層このような改善努力を続けたいと考えております。特に、食糧管理法につきましては、今後とも政府が国民に対し責任を持って米の安定的な供給を確保するという制度の基本は維持しつつ、食糧不足を前提とした現行制度のもとで制度のたてまえと実態が乖離している点の是正を中心に、いかなる需給事情のもとでも弾力的に適応できる制度に改める方向で関係方面との調整を含めその検討を急いでいるところであります。
 次に、消費者の食料需要の多様化、高度化等に伴い、流通、加工、外食等を包摂した食品産業は、国民に食料を安定的に供給する上で農業と並ぶ重要な役割りを果たすに至っております。したがって、食料消費の動向に対応して安定した価格で良質、安全な食品を消費者に供給するためには、食品産業の生産性の向上と体質の強化を図ることが必要であります。このため、中長期の展望に立った食品産業政策のビジョンを検討確立するとともに、技術水準の向上、原料調達の安定化、卸売市場の計画的整備、卸、小売業の近代化等による流通の合理化、外食産業の経営の近代化等の施策を総合的に推進することとしております。
 さらに、以上のような各般の施策を通じて総合的な食糧自給力の維持強化を図るほか、農産物等の備蓄対策の強化や輸入の安定的確保に努める考えであります。
 また、開発途上地域等への農林水産業開発協力につきましては、先般のASEAN諸国訪問の際特にその重要性を再認識したところであり、農林水産業、農村の開発への協力を通じ今後ともこれら地域の食糧増産等を積極的に支援していく考えであります。
 このほか、農業災害補償制度の充実、金融の整備充実等を図ることとしております。さらに、厳しさを加えている石油、エネルギー情勢に対処するため、農林水産業部門におけるエネルギー需給の安定を図るとともに、石油代替エネルギーの開発利用や省エネルギー型農林水産業の推進に努める考えであります。
 次に、林業の振興について申し上げます。
 森林・林業につきましては、木材等林産物の安定的供給を確保するとともに、豊かな国土を保全し、活力ある山村の育成を図るという観点に立って、森林資源の整備充実と林業の振興のための施策を強力に推進してまいる考えであります。
 このため、造林、治山、林道事業を計画的に推進するほか、新たに、集団的、計画的な間伐を促進するため、間伐材の生産から流通加工に至る総合的な間伐促進対策を実施することとしております。
 また、国産材の供給体制づくりと魅力ある山村地域社会の形成を行う新林業構造改善事業を計画的に推進するとともに、若年林業労働者や林業後継者などの担い手を育成、確保する事業を新たに発足させることとしているほか、引き続き木材関連産業の経営の安定に努めることとしております。
 なお、引き続き、国有林野事業の経営改善を計画的に推進することとしております。
 次に、水産業の振興について申し上げます。
 水産業は、四面を豊かな海に囲まれたわが国において、国民の必要とする動物性たん白質を供給する上できわめて重要な役割りを担っております。しかしながら、今日、諸外国における二百海里規制の強化、燃油価格の高騰、水産物需要の停滞等の厳しい事態に直面しております。このような情勢に対処しつつ、今後、水産業の発展と水産物の安定供給を図るためには、わが国周辺水域の水産資源の維持培養とその高度利用を進めるとともに、遠洋漁場の確保に努めることが肝要であります。このため、沿岸漁場の整備開発、栽培漁業関係施策の一層の推進により「つくる漁業」を強力に推進するとともに、漁業交渉、漁業協力など漁業外交面での努力を粘り強く展開してまいる所存であります。
 また、厳しい情勢のもとに置かれている漁業経営問題に対処するため、燃油対策特別資金及び経営維持安定資金の融資枠の拡大等を図るとともに、自主的な生産構造再編成推進のための助成を行うなど経営安定対策の充実を図ることとしております。
 さらに、漁船に係る総合的な災害補償制度の確立を図るため、かねて試験実施してきた漁船船主責任保険を本格実施する考えであります。
 以上申し述べた農林水産業の振興に関する諸施策を推進するため、五十六年度予算編成に際しましては、厳しい財政事情のもとで、必要な予算の確保に努めたところであります。
 また、施策の展開に伴い必要となる法制の整備につきましても、目下、鋭意法律案の作成を進めているところでありますので、本委員会においてよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
 以上、所信の一端を申し述べましたが、私は、農林水産省創立百周年を迎える本年、諸先輩がこれまで重ねられた業績を糧としつつ、農林水産業に携わっておられる皆様に明るい希望を持っていただけるよう、農林水産業の発展のため全力を傾けてまいる覚悟であります。
 委員各位におかれましては、農林水産行政推進のため、今後とも一層の御支援、御協力を賜りますよう切にお願い申し上げる次第であります。
#5
○委員長(井上吉夫君) 次に、昭和五十六年度農林水産省関係予算について説明を聴取いたします。野呂田農林水産政務次官。
#6
○政府委員(野呂田芳成君) 昭和五十六年度農林水産関係予算について、その概要を御説明申し上げます。
 昭和五十六年度一般会計における農林水産関係予算の総額は、総理府など他省庁所管の関係予算を含めて三兆六千九百二十五億円で対前年比三%、一千八十五億円の増加となっております。
 以下、予算の重点事項について御説明いたします。
 第一に、地域の実態に即した構造政策の推進と農業生産体制の再編成に関する予算について申し上げます。
 農業構造の改善と需要の動向に即応した農業生産体制を確立するためには、地域の実態に即しつつ、農用地利用増進対策、水田利用再編対策等の積極的な推進を図る必要があります。
 このため、農用地利用増進法を構造政策の中軸に据えて地域農業の組織化と生産性の向上が図られるよう、農用地利用増進事業に積極的に取り組もうとする地区において、土地基盤、農業近代化施設、集落環境の整備等を総合的に行う農用地利用増進特別対策事業を新たに実施することとし、八十一億円を計上しております。
 また、地域に立脚した農政を推進し、構造対策、生産対策、農村整備対策、農村の就業改善対策等を総合的に実施するため、農村地域農政総合推進事業を推進することとしております。
 次に、水田利用再編対策につきましては、五十六年度から五十八年度までの三ヵ年間にわたる第二期対策を実施することとしておりますが、転作の一層の推進と定着化を図るため、転作等目標面積の拡大、団地化加算及び地域振興作物加算の新設等を行うこととし、奨励補助金等として三千四百二十九億円を計上しております。
 また、これに関連して、新たに、転作田の連担団地化、高度な畑作経営転換農家の育成を図る事業を実施するなど、転作条件の整備の一層の推進を図ることとしております。
 さらに、水田利用再編第二期対策、農用地利用増進法の実施等を踏まえつつ、地域ぐるみで農業生産の再編成が図られるよう、制度資金の総合的な融資方式として地域農業再編整備資金制度を創設することとし、三百五十億円の貸付枠を確保しております。
 このほか、新農業構造改善事業、地域農業生産総合振興対策等につきましても、引き続きその計画的な推進を図ることとしております。
 第二に、農業生産対策等につきましては、需要の動向に応じて実施することが肝要であり、このため、小麦、大豆、飼料作物等の生産拡大を進めるとともに、野菜、果実、畜産物等につきましては、それぞれの需給状況に応じて、きめ細かな生産対策、価格対策等を講ずることとしております。
 五十六年度予算に関しては、特に麦、野菜及び肉用牛について御説明いたします。
 まず、麦につきましては、品質の向上と物流の合理化を図るため、生産の団地化を促進するとともに、新たに中小規模産地のバラ流通施設の整備を行うこととしております。
 また、野菜につきましては、集団的な野菜産地の整備育成を推進するとともに、野菜の作柄の安定を図るため、新たに、作柄の変動要因を診断、解明し、産地の実情に応じて、土層改良、地力増強施設の整備等を総合的に実施することとしております。
 さらに、肉用牛につきましては、生産の一層の振興を図るため、新たに、肉用牛生産の中核となる地域における繁殖経営の規模拡大、稲作転換地域における肉用牛経営群の創設等を行う肉用牛生産振興特別対策を実施することとしております。
 なお、これらの生産対策とあわせて、大豆、飼料穀物の備蓄の充実を図ることとしております。
 第三に、農業生産基盤整備の推進であります。国の公共事業関係費につきましては、厳しい財政事情にかんがみ、引き続き抑制を図ることとし、その総額において前年度と同額にとどめることといたしたところでありますが、農業生産力向上のための基礎的条件である農業生産基盤の整備につきましては、需要の動向に即した農業生産の再編成等現下の農業を取り巻く諸情勢に対応して、排水対策、畑地帯の整備、農村環境の整備等に重点を置いてこれを積極的に推進することとし、前年度を若干上回る八千九百九十七億円を計上しております。
 第四に、農林漁業を基盤とする住みよい農山漁村を建設するため、生産環境、生活環境等の総合的な整備を推進するとともに、地域住民の福祉の向上に努めることとしております。
 このため、農村総合整備事業、農村地域定住促進対策事業、第三期山村振興農林漁業対策事業等の積極的な推進を図るとともに、新たに、自主的な共同活動計画の策定等を通じ、地域社会づくりについての住民の合意形成を促進することとしております。
 次に、農業者年金につきましては、財政再計算を実施して給付水準及び保険料の見直しを行うとともに、保険料割引措置の適用を受ける後継者の範囲を拡大する等の制度改正を行うこととしております。
 また、沿岸漁業者の福祉の増進と漁業の担い手の確保に資するため、新たに漁業者団体が実施する自主的な漁業者老齢福祉共済の推進を図ることとしております。
 第五に、食料品に対する需要の多様化に対応して農産物等を適正な価格で安定的に供給するため、生産対策等とあわせて、流通加工の合理化、消費者対策の充実に努めることとしております。
 このため、食品産業の一層の近代化を進めることとし、中長期の展望に立った食品産業政策のビジョンの検討確立、大学、国公立研究機関との連携による民間企業の食品工業技術開発の推進、国産原料調達の安定化、地域食品工業の振興、外食産業対策の強化等の施策を総合的に推進することとしております。
 また、生鮮食料品流通の要となる卸売市場の計画的な整備を推進するため、百七十一億円を計上しておるほか、生鮮食料品等の域内流通・消費の促進に必要な施設の整備等を進めることとしております。
 次に、総合的な食糧自給力の維持に資するためにも、わが国の風土、資源に適合した日本型食生活の定着を図ることが必要であります。
 このため、米につきまして、地域に密着した米の消費拡大を推進するとともに、学校給食用米穀の値引き売却等による米飯学校給食の計画的拡充、米食の啓蒙普及活動の展開等を進めることとしております。
 第六に、農業技術の開発につきましては、未利用資源を食糧、エネルギー等として利用するためのバイオマス利用技術の研究に着手するとともに、野草の牧草化、超多収作物の開発等試験研究の充実強化を図ることとしております。
 また、筑波農林研究団地への専門別試験研究機関の移転を機会に、各機関で開発された高度な技術を素材とした新しい農業技術体系を確立するため、農事試験場を廃止して、新たに農業研究センターを設置することとしております。
 第七に、金融につきましては、農林漁業金融公庫資金及び農業近代化資金の所要の貸付枠を確保するほか、先ほど申し上げましたように、地域ぐるみで農業生産の再編成が図られるよう、これらの資金の総合的な融資方式として地域農業再編整備資金制度を創設することとしております。
 また、農業改良資金等につきましても、その拡充を図ることとしております。
 第八に、森林・林業施策に関する予算について申し上げます。
 森林・林業施策につきましては、国内林業生産の振興と森林の公益的機能とを調和させつつ推進していくこととしております。
 まず、林道、造林及び治山事業につきましては、二千八百七十八億円を計上し、計画的にその推進を図るとともに、新林業構造改善事業、マツクイムシ被害対策等を拡充することとしております。
 次に、森林資源の整備充実を図る上で間伐の総合的、計画的な促進が緊要であることから、新たに、集団的な間伐の促進、流通加工体制の整備等を総合的に実施する間伐促進総合対策を発足させることとし、五十七億円を計上しております。
 また、わが国木材工業の原料供給の安定化に資するため、南洋材等の代替原料の開発利用の促進を図るほか、国産材の供給体制を整備するために必要な国産材産業振興資金の貸付枠の拡大等林業金融の充実に努めることとしております。
 さらに、基幹林業作業士の育成等の担い手対策、森林組合の育成対策につきましても、その拡充強化を図ることとしております。
 第九に、水産業の振興に関する予算について申し上げます。
 まず、本格的な二百海里時代の到来に対処して、わが国周辺水域内の水産資源の維持培養と高度利用を図り、「つくる漁業」を積極的に推進する必要があります。
 このため、沿岸漁場の整備開発を促進するとともに、新たに、地域の実態に即した栽培漁業の推進を図るための拠点づくりを行う事業を実施する等栽培漁業施策を充実することとしております。
 また、サケ・マスふ化放流事業、新沿岸漁業構造改善事業、内水面漁業の振興対策等を推進することとしております。
 次に、燃油価格の上昇等によりきわめて困難な状況にある漁業経営の安定を図るため、漁業用燃油対策特別資金及び漁業経営維持安定資金の貸付枠の拡大を図るほか、五十六年度の償還に係る漁業経営維持安定資金等について中間据え置き期間の設定、償還期限の延長の措置を講ずるとともに、業界による自主的な生産構造再編成推進のための助成を行うこととしております。
 また、漁港施設につきましては、一千六百五十二億円を計上し、その整備を促進するとともに、新たな海岸事業五ヵ年計画に基づき、漁港区域内の海岸の整備事業を推進することとしております。
 さらに、海洋水産資源や海外漁場の開発、確保、水産物の流通加工対策の充実等に努めるほか、漁船船主責任保険の本格実施を図ることとしております。
 次に、特別会計予算について御説明いたします。
 まず、食糧管理特別会計につきましては、先ほど申し上げましたように、米の消費拡大を一層積極的に推進するほか、本年四月から米麦の政府売り渡し価格の改定措置を講ずる等食糧管理制度の運営の改善に努めることとし、一般会計から調整勘定への繰入額を五千六百七十億円に減額したところであります。
 また、五十四年度から計画的に実施している過剰米の処分に要する経費として、一般会計から国内米管理勘定へ八百四十七億円を繰り入れることとしております。
 国有林野事業特別会計につきましては、国有林野事業の経営改善を計画的に推進することとし、事業運営の改善合理化等の自主的努力とあわせて、国有林野における造林、林道事業に対する一般会計からの繰り入れ及び財政投融資資金の導入の拡大を図ることとしております。
 また、農業共済再保険等の各特別会計につきましても、それぞれ所要の予算を計上しております。
 最後に、財政投融資計画につきましては、農林漁業金融公庫等総額八千四百八十三億円の資金運用部資金等の借り入れを予定しております。
 これをもちまして、昭和五十六年度農林水産関係予算の概要の説明を終わります。
#7
○委員長(井上吉夫君) 本件に対する質疑は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(井上吉夫君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。豪雪による森林等の被害の実情調査のため、福島県に委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○委員長(井上吉夫君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣委員、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(井上吉夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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