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1980/05/22 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 農林水産委員会 第11号
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1980/05/22 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 農林水産委員会 第11号

#1
第094回国会 農林水産委員会 第11号
昭和五十六年五月二十二日(金曜日)
   午前十時十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     熊谷太三郎君     岩上 二郎君
     村沢  牧君     本岡 昭次君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         井上 吉夫君
    理 事
                北  修二君
                坂元 親男君
                川村 清一君
                中野  明君
    委 員
                岩上 二郎君
                岡部 三郎君
                下条進一郎君
                鈴木 省吾君
                田原 武雄君
                初村滝一郎君
                降矢 敬雄君
                宮田  輝君
                坂倉 藤吾君
                本岡 昭次君
                山田  譲君
                鶴岡  洋君
                中野 鉄造君
                下田 京子君
   国務大臣
       農林水産大臣   亀岡 高夫君
   政府委員
       農林水産省構造
       改善局長     杉山 克己君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹中  譲君
   説明員
       厚生省年金局数
       理課長      田村 正雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(井上吉夫君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 この際、川村君から発言を求められておりますので、これを許します。川村君。
#3
○川村清一君 冒頭、亀岡農林水産大臣にお尋ねをしておきたいことがありましたので、発言を求め、委員長の許可をいただいたわけでございますが、きょうは真偽のほど、間違いであるか、そういう事実があったかということだけお尋ねしておいて、このために時間をとってきょうの議題の審議をおくらしては迷惑をかけますので、議論については今後の問題として残しておきたいと思います。
 内容は、これは昨日の読売新聞に出ておった記事でございますが、
 亀岡農相は二十日、東京・大手町の経団連会館で、財界首脳を相手に約一時間にわたって熱弁をふるい、行政改革のキバをとぐ財界に、強烈なけん制球を投げた。
こういうことを前文といたしまして書いてあるわけでありますが、
  亀岡農相は、第十一回経団連フォーラム「農政問題を考える」の来賓として講演したもの。午前中の基調講演で、経団連農政問題懇談会委員長の渡辺文蔵・味の素社長が「現在の農業補助金は、農業生産者から創意工夫を奪い、しかもコストを割高にしていると、農業生産者自身が指摘している。保護農政が、かえって自立できる農業を妨げているともいえる」と農政を批判したあとだけに、稲山経団連会長など、居並ぶ財界首脳は、亀岡農相が補助金問題をどう説明するかに、注目していた。
 亀岡農相は、まず、同省最大の補助金である第二期水田利用再編対策に触れ、「昨年十一月、農水省は三年間で六十七万七千ヘクタールの水田転作と、年間三千数百億円の転作奨励金を出すことを農民と約束した。第二次臨時行政調査会で厳しく批判されたが、これを打ち切ったらどうなるか。
 ここからが問題なんですが、
 農村は、保守党信ずるに足らずと革新に走るだろう。フランスみたいになったらどうなる」と反撃した。
この後まだありますが、ここで打ち切っておきます。「「農村は、保守党信ずるに足らずと革新に走るだろう。フランスみたいになったらどうなる」と反撃した」、これは事実でございますか、どうですか。これだけお聞きしておいて、今後いろいろ考える資料にいたしたいと思います。
#4
○国務大臣(亀岡高夫君) 一昨日の財界のフォーラムにおきまして、約五十分にわたって私の日ごろ考えておりますことを申し上げたわけでございます。発言中、原稿なしでやりましたものですから、あるいは誤解を招くような点があったかもしれません。その点については、後から考えて走り過ぎたなという感じも持ちましたが、率直に申し上げて、そういう表現をしたことは事実でございます。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(井上吉夫君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○山田譲君 この前、約九十分にわたって、いろいろこの法律につきまして御質問を申し上げたわけでありますけれども、まだ若干残った面がありますので、場合によっては重複するところもあるかとも思いますけれども、ひとつお答えをいただきたいと思います。
 最初に、経営移譲の方法の問題でございますけれども、これを調べてみると、使用収益権の設定によるものが約六〇%になっておりまして、所有権の移転というのは全体の四分の一、二五%にとどまっているわけであります。これは、主として親子の間における経営移譲が非常に多いということを物語るものじゃないかと思うんですけれども、これはいかがでしょうか。
#7
○政府委員(杉山克己君) 一般的に言って、農家の方の土地所有権に対する執着というものはきわめて根強いものがございます。親子の間でもなかなか早い時期に所有権を移譲するということは種種困難な事情がございまして、経営移譲する場合でも、利用権の設定という形で行われるケースがしばしばあるわけでございます。また、そういう実態を考えまして、私ども、経営移譲の要件として、必ずしも所有権移転だけで――これが望ましいのではございますが、なければいけないというふうにはいたしておりません。ただ、私どもとしましては、本当に安心して後継者が経営に専念できるということのためには、できるだけ所有権の移転を指導して、これを実現を図っていかなければならないというふうに考えております。ただ、使用収益権を設定するということでもかなり親御さんにとっては決心を要することであり、それなりに経営移譲の実績は上げているものというふうに思うわけでございまして、問題は、経営が本当に若い人に担われるかどうかというところにあろうかと考えます。そういう形式的な問題も含め、実質的な問題も含め、今後とも実質的な経営移譲の効果が上がるように指導してまいりたい、努力してまいりたいと考えます。
#8
○山田譲君 そこで、関連して次にお伺いしたいのは、いわゆる一括生前贈与といいますか、経営移譲する場合そういうことでやるわけでしょうけれども、そのときに、憲法なり民法なんかで言っているような、きょうだいのいわゆる分割均分相続といいますか、そういうものの関係がどうなるか、つまり、その間にトラブルが起きないものだろうかということを心配するわけです。特に使用収益権を移譲して所有権がまだ親の名義になっている、こういう場合が使用収益権の場合特に多いと思いますけれども、その場合に、おやじさんがたとえば亡くなったというふうな場合にこの問題はどうなるか。特に最近、都市近郊なんかでは地価が非常に高騰してきているというところがございますから、そういうところでそういったトラブルが起きずにスムーズに所有権そのものも使用収益権を持った子供のところに移るようなことになっているかどうか、そこら辺をちょっとお伺いしたいと思うのです。
   〔委員長退席、理事坂元親男君着席〕
#9
○政府委員(杉山克己君) 一般的に相続の場合、親を後だれが養うかというような問題がかなり深刻な問題になるわけでございます。均分相続のもとで権利を主張する、同時に扶養の義協について議論がされるということになると、いまの年金制度によりまして中心となる、つまり、後継して経営を行う者にとって一括譲渡が行われるということは、ある意味でむしろ相続問題の解決に貫徹するところもあるのではないかというふうに思うわけでございます。
 ただ、お尋ねのように、使用収益権だけ設定していて、まだ所有権についての家族への相続が行われないうちに肝心の親御さんが亡くなったというような場合、確かに、一般的な問題として、相続問題、肉親間の争いということが起こり得ないとは言い切れません。これは年金制度自体の問題というよりは、私ども、日本の家族制度あるいは農村の慣行といいますか、そういったものが深くかかわるところの性質の問題であろうというふうに思うわけでございます。ただ、いろいろ均分相続でもって問題の起こる事例はあるにいたしましても、全般的には、私ども、農村ではまだ、残って家を守ってもらう、ある田畑を耕作してもらうということで、かなり、一括後継者のだれか、後継者といいますか、家族のだれかに後継してもらうということについての理解は相当程度あるものと思っております。できるだけ私ども、そういう経営の合理化に貢献するような形で相続問題も解決されることを願いながら全般的に指導に努めてまいりたいと考えます。
#10
○山田譲君 余り問題が起きないでスムーズにやられているということの場合が多いのじゃないかというお話ですけれども、そういう場合に、それじゃ、ほかの次三男といいますか、それ以外の人たち、子供さんたちとの関係ではどういうふうにやってスムーズに解決しておられるかどうか、実態をお伺いしたいと思うのです。
#11
○政府委員(杉山克己君) その辺になりますと、家族の事情によってずいぶん違ってくると思います。一般的には、農地は、後経営を行うものが一括して引き継ぐ、そうして、都会に出ているとか農業をやらないほかの人に対してはほかの財産あるいは現金を支払うというような形で相続問題の調整が行われる場合が多いと承知いたしております。
#12
○山田譲君 私が聞いた限りでは、そういう場合、案外いろいろトラブルが起きて困っているというふうな実例を聞いているわけでありますけれども、そこのところは、ひとつ、スムーズにいくように今後とも御指導をいただきたいというふうに思うわけです。
 その次に、これもこの前ちょっと御質問して、時間がなかったものですからよくお聞きできなかったわけでありますけれども、実態を見ますると、経営移譲を受けた後継者の約半分が、これは五十四年度の話ですけれども、国民年金への非加入者である。しかもこの率が年々多くなっているというふうな現象が見られます。そしてまた逆に、国民年金の加入者ではありますけれども農業者年金の方に加入していないという者が約四二%もいる。こういう事実について一体どう考えていらっしゃるか、そしてまた、その解決のために何か考えているかどうか、これをお伺いしたいと思います。
#13
○政府委員(杉山克己君) 御指摘のように、経営移譲を受けた後継者のうち農業者年金の未加入者が多いというのはそのとおりでございます。ただ、経営移譲の時点におきましては未加入でありましても、経営移譲を受けて一人前の経営者になったという時点から改めて加入するという者も相当程度出てまいっております。その意味では、経営の移譲を受ける前と後では状況がかなり変わってきているということが言えるかと思います。
 しかしながら、農業者年金制度の健全な運営を図るという観点からいたしますと、未加入者の早期の加入を促進することが重要でございます。経営移譲を受けた後でいいというようなことではございませんので、できるだけ早期加入を促進する。それから、特に経営移譲を受けた未加入の後継者に対しましては、その対象もはっきりしているわけでございますし、経営を行っているという実態が出てくるわけですから、特別に積極的に加入を進めるということが必要だし、またそれは相当効果を上げ得るものというふうに考えております。
#14
○山田譲君 実際に農村に行って聞いてみますと、経営移譲を受けたはずの子供がどこかへ勤めに行っている。たまに日曜日ぐらい来てちょろちょろと手伝う程度である。経営移譲をしたはずのおやじさんが毎日汗みどろになって働いているというふうな現象があちこちに見られる。そういうことを見ている人たちが、この制度は一体どういう制度であるか、おかしくはないかというようなことを言う人がいるようでありますけれども、そこら辺はどんなものでしょうかね。
#15
○政府委員(杉山克己君) この制度で経営移譲ということで期待しておりますのは、形式的に名義だけ移せばというようなことではなくて、まさに実質的に経営移譲を受けた者が経営を責任持って行う、農作業にも従事するということを期待しているわけでございます。ただ、たくさんのケースの中には、御指摘のような個別の事例は出てくることもあろうかと思います。しかし、その場合といえども、経営の若返りには貢献している。といいますのは、息子は現在は兼業をいたしておりましても、使用収益権――まあ所有権ならなおさらでございますが、を取得することによって経営に対する意欲もわいて、将来は本格的な経営に入っていくというふうに考えられるわけでございます。
 後継者移譲が私どもといたしましては今後とも適正に行われるように、できるだけ実質的なそういう経営移譲が実現されるようにということで、名義的なものをできるだけ防止するということのために、この制度の中におきましても、経営移譲の実態は農地等の権利の設定、移転というものは農地法の許可が正式に受けられたものに限るということでそのことを要件にしております。そうなりますというと、なかなか名義だけということにもいきにくいのじゃないか。実質がかなり伴うだろう。それから、そのほか、たとえば農業者であるということで農協との組合員の資格の問題もございます。それから、生産物の販売をだれの名前で行うかというような問題もございますし、あるいは税法上の各種の申請等の場合、だれの名義でこれを行うかというようなことも出てまいりますので、私どもはその場合は、経営上の名義者、後継者なら後継者、これがはっきり責任者だということで名前を表に出すというようなこともあわせやってもらうというようなことで指導いたしております。そういうことによって過渡的に、あるいは個別ケースの例外的な場合に後継者が農作業に従事しないというようなことがあり得ても、だんだん本格的な経営に参加する責任を持つようになっていくものというふうに考えております。
#16
○山田譲君 さっきちょっと言いましたように、経営移譲を受けた後継者の約半分が国民年金に入っていない。逆に言いますと、これはむしろ厚生年金かなんかの加入者になっている。しかもその率が年々多くなっている傾向が見られるわけです。ですから、さっき局長は、たまたま大ぜいの中にはそういう者もいるかもしれないというふうなお話でしたけれども、むしろそういう人の方が多いのじゃないかと思うんですよ。そういう人たちに対して一体どう指導をなさっているか、そこら辺を伺いたいと思います。
#17
○政府委員(杉山克己君) そういうケースが確かにある程度あるということで、その点は残念というか、それほど私どもが予想もしていなかった、あるいは期待していなかったことでございますが、ただ、現行制度の性格からすると、そういう人を排除して、そういう者には経営移譲というものは認めないということにもこれはなかなかまいらないわけでございます。
 そこで、まあ先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが、本格的に農業経営に参加していただくことができるよう、いろんな税務上の、あるいは農協組合員としてのそういったような名義までも含めて、その息子さんの責任でもって、名義でもってやっていただくというようなことに指導しているわけでございます。そういったことを通じて、確かにほかの兼業に従事していて厚生年金等に加入しているような場合が相当あるかと思いますが、農業に専念するというような者も出てまい。って厚生年金から脱退する、そして農業者年金、国民年金に加入してもらえるというようなことにもなってくるのではないかというふうに考えておるところでございます。
#18
○山田譲君 まあ制度のたてまえどおりにやるということも実際なかなかむずかしいし、事実経営移譲したからといって、まだ六十歳そこらでもって仕事してはいけないというのも余り現実的でないと思います。ですから、それはそれで働いていいと思うけれども、余りたてまえを外れたような人が多くなってくるということになると、これはやはり制度そのものがおかしくないかという問題になりますから、そこら辺はなるべく――なるべくというか、もっと注意をしていただいて、そういう批判を周りの人たちから受けることのないようによく考えていただきたいというふうに思うわけです。
 その次に予算の話に入りたいと思うのですが、予算がたとえば五十六年度の場合は助成補助金が二百十億六千五百万円ほどある。給付費の補助金が三百五十九億ほどある。離農給付費の交付金が十三億五千二百万円。こういう数字が出ておりますけれども、これはどういうふうに計算なさったか、一体その数字の根拠はどこからどういうふうにして出したかということをちょっと伺いたいと思うのです。これは数字を挙げて説明していただきたいと思います。
#19
○政府委員(杉山克己君) 経営移譲年金の予算計上は、全般的な年金額の予算計上が一番ベースになるわけでございますが、その年金の予算計上につきましては、過去の経営移譲の実績などを考慮して措置しているところでございます。
    〔理事坂元親男君退席、委員長着席〕
 それから予算一般につきましては、助成の補助金につきましては、財政再計算で見込んだ加入者の数、これにつきまして五十六年度中に納付すべき保険料を推計いたしまして補助金額を算定しております。それから給付費の補助金につきましては、先ほど申し上げましたようなことですが、直近の経営移譲の状況、それから経営移譲者数、これらを推計いたしまして、これに基づいて経営移譲年金額を推計して補助金額を算定するということを行っております。そういうことで一応の所要額を計上しているわけでございますが、これは予算でございまして、事実上過去におきましては若干実績がこれと乖離するというようなことがございまして、不足の場合はこれに対して予備費なりあるいは補正で措置をしてまいったというようなことがあるわけでございます。
 それから、事務費が当然要るわけでございますので、所要の事務費につきましては、中央省庁の、それから現場での事務を行う各農業団体等に対しましてそれぞれ所要の積算をいたしましてこれを計上するということにいたしておるわけでございます。
#20
○山田譲君 私、先ほど数字を挙げてというふうにお願いしたわけですけれども、数字のお答えがなかったのですが、ちょっと私が農林水産省の方に聞いた限りでは、この五十六年度の基礎になった受給権者、六十歳から六十四歳までの人ですが、これは年度当初においては十七万七千七百人、年度末におきましては十八万八千人と、そして六十五歳以上が三万五千三百人、それから離農者については二千百八十件と、こういう基礎の数字になっておりますと、こういう話でしたけれども、これは間違いありませんか。
#21
○政府委員(杉山克己君) 私の方から御説明の際に数字も一緒に申し上げるべきでございましたが、先生の方からただいま申されました数字自身についてはそのとおりでございます。
#22
○山田譲君 そこで、この年度当初の十七万七千七百人、年度末の十八万八千八百人というこの数字、これはどういうふうにして出されたか、そこをお伺いしたいと思うんです。
#23
○政府委員(杉山克己君) これは過去のそれぞれ傾向がございまして、加入者数、それから経営移譲率、こういったものを参考にいたしましてその年々の見込みを算定するということにいたしておるわけでございます。過去の趨勢というのが一番基礎になるわけでございます。
#24
○山田譲君 先ほどもちょっと話ありましたとおり、たとえば五十五年の予算をつくるときも同じような計算でされたと思うのですけれども、そうしますと、五十五年のと音の当初の見込み、これと実績との差を数字を挙げてちょっと説明していただきたいと思います。
#25
○政府委員(杉山克己君) 五十四年度で申し上げますと、予算の数は十二万六千七百人、実績はこれを若干上回りまして十三万三千人、五十五年度が予算の数では十七万四千人、実績はこれも若干上回りまして十七万八千人ということになっております。
#26
○山田譲君 そうしますと、それは補正予算とか何かそういうことで措置されるわけですか。
#27
○政府委員(杉山克己君) 年によって違いますが、五十四年度の場合は補正だけでその差額を手当でいたしております。それから五十五年度の場合祖、これは各種の経費といいますか、財源をかき集めた経過がございまして、流用あるいは予備費、最終的には補正も行うというようなことでこの措置を置いておるわけでございます。
#28
○山田譲君 じゃ厚生省の方にちょっと伺いたいと思うのですが、年金制度全般ということで厚生省は扱っていらっしゃるわけですからお伺いするのですが、つまり、経営移譲の促進あるいは規模の拡大というふうなことをねらいとする、片方ではやはり老齢者の生活の安定ということを目的とする、やや質的に違ったような内容をこの制度、この年金、この法律は持っていると思うのですけれども、こういうような法律がほかにもあるかどうか。法律といいますか、年金制度ですね。これはどうでしょうか。
#29
○説明員(田村正雄君) お答えいたします。
 私ども所管しておりますところでは石炭鉱業年金というのが一つございます。それ以外にはこれと同じような形のものはございません。
#30
○山田譲君 それで、厚生省サイドから見まして、年金財政の将来展望というようなものをどう考えておられるかということについてお伺いしたいと思うのです。
 もう御承知のとおり、社会保障制度審議会ですか、あそこからは答申が出て、「年金財政上ゆゆしい事態」ということを言っておられる。そういう事態になるから抜本的検討をしなさいというふうな答申になっておりますけれども、この「年金財政上ゆゆしい事態」というのは一体どういうことか、厚生省としてはそこをどういうふうに考えておられるか、理解しておられるか、それをお伺いいたしたいと思うのです。
#31
○説明員(田村正雄君) 私ども、今回五十七年度が財政再計算ということでございまして作業を進めてまいったわけでございますけれども、その見通しによりますと、まあ現在のままでまいりますと恐らく昭和六十三年ごろには単年度収支で収入が支出より少なくなってしまうと、こういうような状態になるのではないかと見通されるわけでございます。さらにそのまま保険料、いまのペースでいきますと年間四百円ずつでございますけれども上げていくということでやってまいりますと、昭和七十二年ごろには積立金も全部取り崩してしまうのじゃないかと、そういうようなことが予想されるわけでございます。
 そういうことでございますので大変厳しい情勢でございますけれども、ここで私ども考えておりますことは、長期的に年金制度を安定させていくためには、やはり被保険者の数が一定の数が保たれるということが必要でございますので、若い方方の加入促進というようなことを積極的に進めていく必要があるのじゃないかと、こういうふうに思っているわけでございます。それもまた第一点でございますけれども、そのほか、基本的な問題があるということが社会保障制度審議会の方で指摘されておるわけでございますけれども、そういうことも含めまして、次の再計算期までの間には制度そのものの基本的なあり方あるいはいま申し上げました保険料の水準をどうして上げていくか、こんなようなことも含めまして、今後農林水産省の方との間で検討を積極的に推進していきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
#32
○山田譲君 ちょっと早口で最初の方ちょっと聞き取れなかったんですけれども、もう一遍先ほどの数字をそのままおっしゃっていただけませんか、ゆっくりと。
#33
○説明員(田村正雄君) 申しわけございませんでした。
 もう一回申し上げますと、今回再計算をやりました結果、現在の保険料、五十七年から五千百円にいたしまして、それ以後毎年四百円ずつ、五十七年度価格でございますけれども上げていく、こういう計画にいたします。そういたしますと、昭和六十三年でございます。昭和六十三年に、単年度の収支、一年間の単年度の収支でございますけれども、収支が収入を上回るということでございます、要するに単年度で見まして赤字が出る、こういうことでございます。そういうことになりますけれども、さらにそのままの保険料の引き上げのスケジュールのままでまいりますと、昭和七十二年でございますけれども、積立金を全部取り崩してしまう、こういうような事態になるのではないか、こういうことでございます。
#34
○山田譲君 ありがとうございました。
 そうしますと、これはこの前農林水産省からお返事いただいたときの話ですけれども、十年後においては加入者数が約八十万人になるであろう。これはかなり一生懸命やってもこの程度にしかならないのじゃないかというふうなことをちょっと聞きました。そうしますと、いまのままのペースでいった場合に、十年後においていまおっしゃったような数字、国からの補助金、交付金というふうなものは大体幾らぐらいになるであろうか、そのときの保険料はどのくらいになるのか。これはその後いろいろ事情が変わっていくと思いますけれども、一応いまのままの状態でいまのままのペースでいったとすれば、八十万人という加入者数になった場合に、保険料なり、国からの補助金、交付金は一体幾らになるかということはわかりますか。
#35
○説明員(田村正雄君) 先ほど御説明申し上げましたように、私ども、今度の再計算の際には保険料の引き上げを五十七年度に五千百円、それ以後四百円ということで設定をしているわけでございますけれども、実はそれは昭和六十一年まででございまして、それ以後のことは設定されておらないわけでございます。しかし、いまお話ございましたように、十年後ということでございますので、四百円の引き上げということをさらに延ばしてまいりましてどうなるかということを試算いたしてみますと、昭和六十六年には五十七年度価格で八千七百円、こんなようなことになるのではないかと思います。一人当たり月額八千七百円でございます。それでこれは五十七年度価格でございますので、現実には給付の方のスライドがございますと、スライドの率に合わせて保険料の方も引き上げられていく、こういうことになっておりますので、そういうことを勘案いたしますと、いまの八千七百円という保険料は多分名目の価格では昭和六十六年には一万四千円を超すような額になるのではないかと思われます。それが保険料の額でございます。
 それからもう一つのお尋ねの国庫負担でございますけれども、国庫負担については二種類ございます。一つは、給付時に行われる分と拠出時に行われる分と二つございます。私どもの試算によりますと、これもこれから先年率六%というようなスライドが行われる、こういうような前提でのお話でございますけれども、昭和六十六年では給付時に行われますものが九百六億円でございます。拠出時に行われますのが五百四十三億円でございます。合計いたしまして千四百四十九億円、これがこれから十年後に国庫負担として支出されるであろうという額でございます。
#36
○山田譲君 いまお話ありましたとおり、現在たしか六百億ちょっとでしたね、国から出している金が。そうですね。
#37
○説明員(田村正雄君) 五十七年度の見込みでは、六百二十億ということになっております。
#38
○山田譲君 それが十年後、農林水産省がおっしゃるように八十万人というふうな加入者数を基礎にして考えていきますと、保険料については一万四千円、それから給付時の国からの補助金九百六億、拠出時が五百四十億ですか、というふうな、両方で千五百億近いような国からの財政支出を余儀なくされる、こういう計算になると思うのです。
 ここで農林水産省にもお伺いしたいのですけれども、一つはこういった保険料が、いまの状態でいきますとお聞きのような物すごい高い額になっていく。現に群馬あたりの農民に言わせても、この制度は今後ますます保険料が高くなっていくんじゃないか、そうすると、われわれとしてとても負担し切れないというのが正直なところのようでございます。事実、数字を見ればそのとおりだと思うのです。
 それともう一つは、国の財政上からの見地で見ても、千五百億近いような、いまのベースだけで行ったとしてもそれぐらいの金を国が出さなければならなくなる。こういったことがいまの厚生省の方の試算からわかったわけですけれども、こういうことについて、まず保険料の値上がり、それについてそこに農民の人たちが追いついていけるかどうか。ますますこれは大変だというふうなことになりはしないかというふうに思うのです。
 それからもう一つ、国から見ましても、千五百億円近いものをこの八十万人の人たちに対して出していかなきゃならないという、こういう事態を一体どうお考えになっておられるか、これは農林水産省の方からちょっとお伺いしたいと思うのです。
#39
○政府委員(杉山克己君) まず保険料の負担の問題でございますが、この負担が高いか、たえられるかということは、一つには給付の水準とのバランスで考えらるべきだと思います。その点、ほかの年金等に比べてかなり有利な給付になっておる、それから国庫負担もかなり手厚く行われているということからいたしますと、私はある程度保険料の引き上げは、これは忍んでいただく必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。ただ、五年先、十年先の状態になりますというと、そのときの農家の所得状況がどうなっているか、それから国の年金制度全体もどんなような状況になっているか、そういったことも考えながら、保険料水準は適正に決められていかなければならないと考えるわけでございます。そういう思想は現在も働いておりまして、標準保険料そのままこれを上げるということにいたしますと、現行の倍くらいにもなるというふうなことで、五年間にこれを段階的に上げる、しかもそれで標準保険料の水準そのものにいくのではなくて、五年後さらに引き上げを予定するというようなことで、かなり長期の調整措置をとっているところでございます。そういうことで、五年後あるいは十年後の保険料についても、そのときの状況に応じてこれは吟味されなければならないと考えられるわけでございます。
 それから国庫負担でございますが、御指摘のようにいろんな推計の仕方はありますが、ただいま厚生省の方から御説明ありましたように、いまの行き方がそのまま単純に延長されると見た場合では、六十六年でもって約千五百億近い財政負担ということになるわけでございます。これは、そのときにそれがたえられるかどうかという問題もありますが、年金制度これ自身のやはり長期安定ということを考えますと、私どもそういったやはり約束に基づくといいますか、法律に基づく財政負担は、これはそれなりに手当てをしていく必要はあるというふうに考えるわけでございます。
 ただ、保険料の水準、それから国庫負担の水準、それがそのとき支えなければならない年金の、何と言いますか、あり方というようなものを総合的に勘案した場合にどういう問題が生じてくるかというのは、まさに社会保障制度審議会で基本的、抜本的に検討しろとおっしゃられておりますように、相当むずかしい、年金制度全体を通ずる、あるいは農業政策の基本を貫く相当大きな課題を抱えているわけでございます。そういう意味で、私率直に申し上げまして、この次のときの財政再計算、さらにはその次のときの、五年先、十年先の財政再計算のときには、基本にわたった抜本的なそういう検討というものは当然必要になってくるものというふうに考えております。
#40
○山田譲君 おっしゃられたようなことで、将来のことですから、これはそう簡単になかなか推測するわけにもいかないわけですけれども、われわれ素人が考えただけでも、やはりこの制度はよっぽどうまくやっていかないというと将来大変なことになるのじゃないかという感じがします。制度そのものは非常にユニークな年金制度であって、これはひとつぜひ発展さしていかなければいけないものだとは思うのですけれども、片方、財政的あるいは農民の負担というふうなことからも考えていかなければいけない。そうしますと、せっかくの制度でございますから、これをますますいいものにさしていくためには、やはり何といっても基本は加入者をふやすということ、あるいは若い人たちにもっともっと入ってもらう。経営移譲を受けながら、厚生年金をもらって、どこか役場で働いているというようなことのないように、できるだけひとつ今後とも一層努力をしていっていただきたいというふうに思います。この点について、ひとつ大臣からお答えをいただきたいと思います。
#41
○国務大臣(亀岡高夫君) 年金全般についても、御指摘のように、社会保障制度審議会の方からのいろいろな御提言もあるわけでございます。この農業者年金につきましても、将来のことを考えますといろいろ問題点があることは、ただいまの御審議の中にも明らかなとおりでございます。したがいまして、方向としては、よく言われるわけでありますけれども、やはり高福祉高負担というような道をたどらざるを得ないのではないかというような感じを持っております。そういう中でも、特に農業者年金という制度をおつくりいただいたということにつきましては、やはり農業というものの重要性並びに農業に従事する後継者の存在の大事さというものを認めた上での制度であろうと思うわけでございますが、これがなかなか、先ほど来局長からも申し上げおりますとおり、予想しておりました加入者の伸展をまだ見ておらない、こういう状況であるわけでございますので、どうしても若い諸君の加入をこれからどんどんふやしていく努力を当面としてはどうしてもやらなければいかぬ、こういうふうに考え、なおかつ今年度御提案を申し上げるにつきましても、掛金等についてもできるだけ負担を重くないように配慮をしていくという措置等もとらしていただいた、こういうことでございます、
 これから、関係農業委員会でありますとか、あるいは農協等との協力を得まして、とにかく加入者数をふやしてまいるという努力を続けていきたいと考えております。
#42
○山田譲君 最後に一つだけお伺いして、私の質問を終わりたいと思うのですが、たまたまきのう二十一日の群馬県の地方紙上毛新聞というのが、これは群馬で一番大きな新聞ですけれども、この一面のトップに、「減反、価格低迷響く 農業後継者ついに二百人割る 将来の自給に不安」というふうな見出しで上毛新聞トップに出ている記事がございます。そして、後継者が、二十五市町村において後艦者が一人もいないというふうなことが書いてあります。結局、十年前の四十五年は、ちょうど千人にちょっと足りませんけれども、九百八十五人というふうな農業後継者がいたものが、どんどんどんどん減っていって、ついに五十六年度においては二百人を割って百九十四人になってしまったということが書いてあります。これは農業改良普及所、県内十一ヵ所ありますけれども、この普及員たちが直接行って聞きとってやったやつですからまず間違いない数字だと思うのですけれども、とにかく県の考えによれば、どうしても最低群馬県の農業を維持するためには六、七百人いなければだめであると、それが二百人を割ってしまったことについて非常に憂慮をしているということが詳しく書いてございます。そしてなぜそんなに減少していくかということの背景には、この文書を読んでみますと、「農村の嫁不足、農村社会の閉鎖性など従来からの諸問題に加え、水田減反政策の浸透、畜産飼料の高騰、農業生産物の価格低迷など最近の農業環境の悪化が影響しているとみられ、農業後継者の過半数を輩出する農業高校関係者も「よほどの環境変化がない限り、この傾向はさらに続くだろう」と、将来についても厳しい見方をしている。」と、こういう記事が載っているわけです。私もこういうことは確かにあるのじゃないか。これは実際農村に接している改良普及所の人たちあるいは農業高校の先生というふうな人たちが言っていることですから、ほかの県についてはどうかよくわかりませんが、少なくも群馬県について言えばそういうことが言える。こういう状態で後継者がますます減っていくということになりますと、これはもう農業全般にとっても非常に重大な問題であろうというふうに考えざるを得ないわけです。
 一つここで大臣特にお伺いしたいのは、この傾向は恐らく群馬県だけじゃなくて全国的にもある程度言えるのじゃないかと思うのですけれども、こういうことについて大臣のお考えを聞いて私の質問を終わりたいと思います。
#43
○国務大臣(亀岡高夫君) ただいま御指摘になりました問題につきましては、私の福島県でも全く同じような状態でございまして、それにつきましては、私といたしましては、やはり農業というものに対して魅力あるものであるという、やはり農業に従事していけば、老後もとにかくほかの都市勤労者並みの生活は確保していけるんだといったような、そして嫁さんももう三十までかかっても来ないという状態じゃなくて、やっぱり農家のお母さんが、自分の娘を農家にやりたいと、こう思うような農業をつくらなければならないと、こういうふうに考えておりますわけでありますけれども、日本の現状は、何かありますと農業にみんなかぶせてしまうような風潮があるわけでありまして、補助金等の問題につきましても、やはり農業に出しておる補助金は何かおかしなものにつながっているんじゃないかというような指摘を受けるものですから、私もついいろいろなおしかりを受けるようなことも言ってしまうというようなこともございまして、本当にその問題については心を痛め、何としてでもとにかくもう――私どもの町におきましては、梁川町というところでございますが、お嫁さんを仲人してくれた人にそのお礼として八万円やりますと、こういうようなことで十人分ほどの予算を計上したと、その予算がなかなか消化できないという状態でございまして、私なんかも田舎に帰りますと、嫁を世話してくれという農家の青年が真剣になって、やっぱりみんな三十を超えております。そういう事態には、やはり諸先生方からの御努力、御協力によりまして、日本の農業をして魅力ある産業であるというふうにしていくことが最も大事であると同時に、やはり一遍にそういうことへ持ってまいるということはなかなか容易じゃありませんけれども、やっぱり食糧安保、一億国民の食生活の確保、そういう点を考えますとき、国民全部が農業というものに対して関心を持つような教育なり、そういうものが私は必要ではないかとこう考えまして、私どもといたしましても、農業改良普及員を通じ、生活改善普及員を通じ、後継者対策という具体的な措置もとっておるわけでありますけれども、なかなか若い諸君の後継者に進んでなりたいという気持ちを持つところまでにはもっともっと努力しなければならないと、こんな感じを持っておる次第でございます。
 しかし、また一面には、ほんの一部でございますけれども、やはり農業の重要さを自覚をいたしまして、後継者たらんという若い諸君もいるわけでありまして、そういう諸君に対しては、やっぱり農業専業者としてやってまいります際に、その専業者の農業経営に非常な疑問を持たせるような施策はこれは排除をしてまいる、そして積極的な長期低利の融資制度等を確立をしていく必要があるのではないかというふうなことを考えておる次第でございます。
#44
○山田譲君 終わります。
    ―――――――――――――
#45
○委員長(井上吉夫君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、村沢牧君が委員を辞任され、その補欠として本岡昭次君が選任されました。
    ―――――――――――――
#46
○中野明君 最初に大臣にお尋ねをいたします。
 ただいまも議論になっておりました構造政策のことでございますが、先日も私本会議で白書のことに少し触れました。ちょうど白書が出されて二十年目ということでやっておるのですが、この白書の中では、農業構造改善の条件が形成されつつあると、こういうふうに一応分析はしておりますけれども、この構造政策の方向が非常にこれ大切だろうと思います。生産性の高い農業並びに農家を育てるための構造政策について思い切った政策を出されるべきではないかと、このような時期が来ていると思うのですが、その点大臣のお考えを最初にお聞きしたいと思います。
#47
○国務大臣(亀岡高夫君) 非常に日本農政の核心をついた御質問だと思います。私どもも実は構造政策、非常に苦心をいたしておるわけでございます。やはり米の過剰という問題も、農業基本法を制定をし、昭和三十年代まではそういう事態はとうてい考えられなかったという、そのような事態に立ち至って生産調整しなけりゃならないという現実にぶつかっておると同時に、片方では、生産性の向上を求める世論も高まってきておると。こういう中にあって構造政策をどのように持ってまいるかということは非常に大事な問題であるわけでありまして、農政審議会の答申の中にもその方向が指摘されてあるわけでございます。すなわち、需要に応じた生産体制というものをつくり上げていかなければならないということでございまして、実は土地改良十カ年計画というものがことしで大体その期限が来るわけでありますので、新たなそういう土地改良計画といったようなものを検討すべきであるということで、就任早々事務当局に検討を命じておるわけでございます。まあ今日まで国会でもいろいろ御論議いただいた点等も考慮し、農政審議会からの答申等でいただいた線も踏まえて、さらには需要と生産の長期見通し等も参考にいたしましてやはり計画的な構造政策を進めていかなければならない、その基盤としての土地改良長期計画等を立てていかなければならないということで、いま準備を進めておる次第でございます。
#48
○中野明君 非常に、大事な時期で、構造政策の必要が言われる反面で、またそれを妨げるようなむずかしい条件もあります。しかしながら、この際やはり亀岡大臣の手で思い切ったひとつ政策をやっていただかないと日本農業は大変だろうと、私もそのように理解をしております。
 それでこの年金法なんですが、過日来議論が出ております社会保障制度審議会の答申、「今回の財政再計算の結果によれば、近い将来、年金財政上ゆゆしい事態が生ずることは必至」だと、「この際、農業者年金制度そのもののあり方について、抜本的検討を行われたい。」と、このような指摘でございます。
 そこで聞きたいのですが、今回の財政再計算の基礎となったデータ、それについてちょっと御説明をいただきたいのです。
#49
○政府委員(杉山克己君) 今回の財政再計算は、五十七年の一月を基準に行っております、この再計算におきましては、まず第一に、給付水準を年金額、一時金とも、前回に比べて一・三七五倍に引き上げることといたしております。これは年金額の場合、前年対比では八・七%、八・九%といった上昇になります。
 それから二番目に、保険料を五十七年の一月から五千百円とする、そして以後毎年四百円ずつ段階的に引き上げるということにいたしておりまして、五十七年以後の五年間の保険料を定めております。
 それから給付水準の考え方でございますが、これは従来の財政再計算の考え方にのっとっておりまして、厚生年金の給付に見合う水準、これを目標としながら、国民年金とのバランス、それからこの農業者年金自体の財政事情、物価上昇率の見通し、こういったものを総合的に勘案して、年金単価の引き上げを先ほど申し上げましたような率で行うこととしているものでございます。
 それからまた保険料につきましては、将来における財政の均衡をとるに必要な平準保険料、これを算定するわけでありますが、経営移譲率の実績、これが前回の見込みよりもはるかに上回っている、約二倍というような水準になっているわけでございます。率で申し上げますと八〇%。それから二番目に、農業者の平均余命が伸びておりまして、年金をば受け取る受給期間、これが長くなっております。いま寿命は、前回七十五歳でありましたものが七十七歳というふうに算定されております。それから加入者の数が前回見込みを下回っておるというようなことから、これは十年先におきまして約八十万人というような推定をいたしておるわけでございますが、そういった要因によりまして、平準保険料については八千五百六十七円というふうに算定されるわけでございます。これは現行保険料額四千百六十円に比べて約二倍の水準となるわけでございますが、このような水準に一挙に引き上げることは、種々混乱といいますか激変をもたらしますので、私どもは農家の負担の増大を避けるということから、段階的な引き上げを行うということにいたしたものでございます。
#50
○中野明君 この保険料の農家の負担能力、そういう点から考えたりいろいろしますと、社会保障の審議会の指摘を待つまでもなく非常に心配なのです、現在の計算を基礎とした収支のバランスについて、将来非常に私も心配をしておりますが、どういう見通しを持っておられるのか、ちょっとお答えをいただきたい。
#51
○政府委員(杉山克己君) 今回の財政再計算後の将来見通し、これがどうなるかということでございますが、一般的にはもうきわめて厳しい状況にあります。今回の再計算に基づく保険料あるいは年金額、そのほかに加入人口、それから物価上昇、こういったものにつきまして一定の前提を置いて計算いたしますと、六十三年度までは単年度収支は均衡いたしますが、六十三年度になりますと、単年度収支において支出が収入を上回る。そして逐次積立金の取り崩しが行われるということになりますが、年々その取り崩しが大きくなって、七十二年度には積立金がなくなるというふうに見込まれております。こういうことでありますので、農業者年金制度の財政の長期的な安定を図るということのために、目標は一応八十万人ということになっておりますが、そういう目標の中でも、できるだけ最大限加入者数をふやす加入促進の努力をする。それからかなり大きな積立金の残高が継続してあるわけでございますから、この積立金の効率的な運用を図って、利子収入を上げるというようなことを努力してまいりたいと考えております。
 基本的には、社会保障制度審議会の答申の中でも触れられておりますが、そういう趣旨だけでなく、制度自体について、農業者年金制度自身の性格、本来の目標を失わないようなことを私どもは当然念願としなければなりませんが、給付水準あるいは保険料、財政負担、それからほかの年金制度のあり方等、こういったものを総合的に勘案して制度のあり方についての検討を行う必要が出てまいるというふうに考えております。
#52
○中野明君 大臣、非常に私心配しておりますが、どうなんでしょう、これ政策年金として非常にユニークな制度であることはもう私どもも認めるところなんですが、この保険料の農家負担の問題、それから国の財政負担、いま財政再建ということでやかましいときなんですが、この財政負担というものも、これがなければこの年金は維持できないというような見通しのように私も受けておりますが、それについての大臣の所信といいますか、決意をこの際お聞きしておきたいです。
#53
○国務大臣(亀岡高夫君) 私は、この農業者年金制度だけで健全な運営のもとにやっていこうとすれば、これは将来でございますが、相当高額な負担並びに財政負担というものをしていかなければならないと、こう相なろうかと思います。全般的に国の年金制度一般についても申せることであるわけでありますが、若年層よりも老年層の方が多くなってまいります日本の人口構造の中におきましては、やはりこの年金問題が非常に大きな問題をはらんでおるということは、社会保障制度審議会でも指摘されておるわけでございますから、総体としてのこの年金制度そのものにやはり抜本的な考慮を払わなければならない時期が近づいてきておると、こう私は考えるわけであります。したがいまして、そういう年金全般の中でこの農業者年金の特色を生かしていけるような仕組みを考えることが必要になってきたのではないかなと、そんな感じもいたしまして、実は農林水産省においても、そういう点を含めて当面の問題と将来長期的にわたっての検討を相進めておる次第でございます。
#54
○中野明君 私もこの社会保障制度審議会が答申しておりますように、二階建て年金といいますか、そういう方向に将来はいかなきゃならぬと思っております。この年金はそういう考え方の線に沿った年金だろうと思いますので、この年金を維持していく上において、いま大臣がおっしゃったように、当面の間非常に大事なときですので、ぜひ国の財政負担ということについても大臣の主張を十分生かしていただいて、この年金というものの維持を考えていただきたい、このように思うわけです。非常に昨日も議論がありましたように、農林水産業に対する他省庁の理解も薄いような感じがして、防衛問題にしてもやっと中止になりましたけれども、しかしながら、あの演習が中止になったといえども、けさなんかのテレビを見ておりましても、何か中止を発表する記者会見に、酒に酔っぱらって、防衛庁が一はい飲んで出てきたというようなニュースも流れております。本当に漁民が生き死にだと言っているようなそういう問題のときに、上から下まで全部一緒になって酒を飲んで、どういう心境かもう不見識きわまるというような報道もなされておる、こういう状態であります。それだけに、大臣として農林水産業の日本の責任者としてがんばっていただきたいと私は思います。
 それで局長にお尋ねしますが、審議の過程で明らかになっております未加入者、これを加入さしていくというのが問題になっているのですが、三十万人ほどおるということでございますが、この未加入者の三十万人というのは、その三十万人の中身は大体どういうふうに分析をされておるのですか。
#55
○政府委員(杉山克己君) 未加入者三十万人を直接調査をしたという資料はございませんが、各種の類推できるその他の資料から推定をいたしますと、一番私ども知りたいといいますか、大事なことは年齢構成でございます。この年齢構成は、五十五年度初めの時点で二十歳から二十四歳の間の人が一九%、それから二十五歳から二十九歳の間の人が三四%、三十歳から三十四歳の間の人が二六%、三十五歳から三十九歳の間が二一%というふうに見込まれております。
#56
○中野明君 これはその層の人たち、加入されない理由ははっきり掌握しておられるのですか。
#57
○政府委員(杉山克己君) これはアンケート調査等によって意識を探ったわけでございます。一つは、やはり若い人は将来の設計について余り計画的に予定を立てておらない、つまりいつまでも若いような気分で、元気があるので老後のことをそれほど心配しないという傾向が一般にあります。それから農業に従事される方は、本当に将来とも農業をやっていくのかどうかということについて必ずしも十分に踏み切ってはいない、場合によっては職業を変えるというようなことを考えられる方もあるでしょうし、そこまではっきり考えないにしても、将来農業を永久に続けられるかどうかということについて不安をお持ちの方もいられるというふうなことがあるわけでございます。そういった方々に対しては、やはり先ほど大臣からもお話がありましたように、全般的な農政を通じて、農業自身が魅力あるものだというふうに政策的にもこれをこしらえ上げていくということが必要であろうというふうに考えるわけでございます。ただ、この制度自体の中でも、この農業者年金がきわめてほかの年金等に比べて有利な、農業経営を行う者にとって老後の安定に大きく貢献するものであるということを十分に御理解いただければ、ということは、その反面、未加入者の中にはまだ十分御理解いただいていない方があるということになるわけでございます。そういう御理解をいただいていない方がある程度ある、その人たちを対象に御理解が得られるようPRをしていく、指導をしていくということが必要であろうと、このように考えております。
#58
○中野明君 それでは最後にもう一点だけお尋ねをしたいのです。この農業者年金の業務、これが他の公的な年金と違いまして、農業委員会とか農協に委託をして行われているということなんですが、政策年金であるため、業務が非常に複雑多岐になってきております。たとえて申し上げれば、加入資格の問題を初めとして、経営移譲の適否とか、出かせぎ者の国民年金と厚生年金の調整とか、あるいは農業老齢者年金の受給資格の確認、加入促進、事務量というのは非常に膨大になっておりますが、これらの事務量の繁雑さに比べて、裏づけとなる財政措置がまだまだ不十分じゃないか、こういう声を聞きます。そのために体制もなかなか整っていないというのが実情のようでございますが、もう発足して十年もたっております。業務体制の整備や充実について十分な検討とその後の措置、これをやはり手を打ってもらわなきゃならぬと思うのですが、どういうお考えを持っておられますか。
#59
○政府委員(杉山克己君) 農業者年金はほかの年金と違って、種々政策的な要請をしょっているわけでございます。したがいまして、いま先生が御指摘になりましたように、その実務、これもかなり複雑で、ほかのものより手間暇を要するということはそのとおりでございます。私どもそういった実務のための予算的な措置、事務費の確保につきましては従来からも努力してまいったところでございますが、今後なお一層努力してまいりたい。特に業務委託費の増額ということに努力してまいりたいと考えております。
 それからまた、そういう複雑な実務を能率よくこなしていくためには、職員の資質の問題が重要であろうかと考えます。その意味で、この年金業務を担当する方たちに対して研修等を通じて十分熟練していただく、そういう努力もしていかなければならないというふうに考えております。
 なおまた農業委員会、この年金業務だけでなしに、各種の農政上の仕事を担当していただいているわけでございます。たとえば利用増進事業につきましても大きな仕事を担当していただいている、そういった業務なり農業委員会全体の業務を通じてその強化を図っていく。そしてこの年金業務についても十分な能力を持つように育て上げていくということが必要だろうと考えております。そういう全体的な方向で予算措置の強化もあわせて努力してまいりたい^このように考える次第でございます。
    ―――――――――――――
#60
○委員長(井上吉夫君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、熊谷太三郎君が委員を辞任され、その補欠として岩上二郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#61
○委員長(井上吉夫君) 他に御発言もないようでありますので、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に。入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#62
○下田京子君 私は、日本共産党を代表して、農業者年金基金法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 反対の第一の理由は、本法案が年金額を現行比八・七%引き上げるのに対し、保険料を二二・六%と大幅に引き上げるという、文字どおり低福祉高負担を押しつけるものであることです。
 過去二回の財政再計算の際には、年金額の引き上げ率と保険料の引き上げ率は基本的に同率となっており、この点からも、今回の保険料引き上げの不当性ははっきりしております。
 さらにこの保険料の引き上げは、農業者の負担能力を無視したものと言わざるを得ません。米作減反の大幅な拡大、戦後最大という大冷害のもとで、農業所得は、二年連続名目でマイナスという状況です。また、本年金制度発足当時の昭和四十六年度と、今回の財政再計算時である五十七年度と比較すると、年金加入者の推計農業所得が二・九倍の伸びに対して、保険料は倍以上の六・八倍にもなっております。これでは、農家の負担能力を考慮したとはとうてい言えるものではありません。
 反対の第二の理由は、今回の大幅な保険料引き上げによっても、なお年金財政の危機は深刻であり、今後毎年六%の物価上昇が続くとすれば、五年後の再計算時に必要な保険料は現行の三・二倍にも達することであります。
 したがって、農家負担増の方向ではなく、一つは国庫負担の引き上げ、二つは年金基盤そのものの強化のために、若い後継者や農家の主婦が積極的に本年金に加入できるような抜本的な制度改善の実施、さらに、本年金の基礎となる国民年金の給付改善と合わせた年金の充実という、総合的な年金制度の見直しによる年金財政の立て直しこそが必要です。ところが、本法案にはそれらの改善は全く見られません。
 反対の第三の理由は、政策年金であるという本制度の問題点がますます拡大していることです。
 保険料引き上げの最大の要因が、経営移譲の実績が当初見込みの二倍になったためであり、その結果、経営移譲できずに老齢年金のみ受給する入の場合の不利益がますます大きくなっています。たとえば、保険料を毎月三十年間貯金し複利で計算した元金の利子の方が、年金に加入して支給される老齢年金よりも一・七五倍も多く、しかも貯金の場合は元金はそのまま残るのですから、老齢年金の支払い保険料に対する低さは重大な問題です。
 しかも、主婦の加入の道の拡大や、遺族年金の創設という永年の農業者の要望の実現についても、本年金の政策年金としての性格が障害となっていることを考えるならば、本年金制度創設の理念である、農業者にも労働者並みの年金をという立場から、選別ではなく、すべての農業者の老後を保障する年金へと、いまこそ根本的な見直しが必要であることを強調して反対討論といたします。
#63
○委員長(井上吉夫君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#64
○委員長(井上吉夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、中野明君から発言を求められておりますので、これを許します。中野君。
#65
○中野明君 私は、ただいま可決されました農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党。国民連合及び第二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、本制度が農業者の老後生活の安定、農業経営の近代化及び食糧自給力の向上に果たす役割の重要性にかんがみ、次の事項の実現に努めるべきである。
 一、本制度への加入促進対策とくに若年末加入者に対する加入を一層促進するとともに、農業者の負担能力等に配慮しつつ、長期的視点に立った年金財政充実のための各種施策を検討すること。
 二、本制度の円滑な運営が図られるよう末端における業務体制の整備充実に努めること。
 三、農業者老齢年金水準の改善、農業に専従する主婦等の年金への加入及び遺族年金制度の創設等についても引き続き検討を進めること。
 右決議する。
 以上でございます。
#66
○委員長(井上吉夫君) ただいま中野明君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#67
○委員長(井上吉夫君) 全会一致と認めます。よって、中野明君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、亀岡農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。亀岡農林水産大臣。
#68
○国務大臣(亀岡高夫君) ただいまの附帯決議につきましては、農業を取り巻く諸情勢の変化を踏まえ、十分検討いたしてまいりたいと思います。
#69
○委員長(井上吉夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#70
○委員長(井上吉夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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