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1980/03/24 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 社会労働委員会 第5号
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1980/03/24 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 社会労働委員会 第5号

#1
第094回国会 社会労働委員会 第5号
昭和五十六年三月二十四日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十九日
    辞任         補欠選任
     柄谷 道一君     三治 重信君
 三月二十日
    辞任         補欠選任
     三治 重信君     柄谷 道一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         片山 甚市君
    理 事
                遠藤 政夫君
                佐々木 満君
                高杉 廸忠君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                斎藤 十朗君
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                福島 茂夫君
                丸茂 重貞君
                村上 正邦君
                森下  泰君
                渡部 通子君
                沓脱タケ子君
                柄谷 道一君
                前島英三郎君
                山田耕三郎君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  園田  直君
   政府委員
       厚生省公衆衛生
       局長       大谷 藤郎君
       厚生省医務局長  田中 明夫君
       厚生省薬務局長  山崎  圭君
       厚生省児童家庭
       局長       金田 一郎君
       厚生省保険局長  大和田 潔君
       厚生省年金局長  松田  正君
       厚生省援護局長  持永 和見君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 久子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に、付した案件
○社会保障制度等に関する調査
 (厚生行政の基本施策に関する件)
○障害に関する用語の整理のための医師法等の一
 部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(片山甚市君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 社会保障制度等に関する調査を議題とし、厚生行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○柄谷道一君 本日は、第二薬局問題と薬価基準について厚生省にお伺いいたしたいと思います。
 厚生省の調査によりますと、病院、診療所によって院外に開設された第二薬局、または門前薬局とも言われておりますが、その数は全国で千七カ所に及ぶと聞いております。私はこの二、三年第二薬局が急速に増加した原因は、第一に最高裁で薬局の適正配置規制が違憲とされ、薬局の距離制限が否定されたため薬局の開設が自由になったこと。第二に、医師優遇税制の見直しによって医師側に税金対策の工夫をする必要が生じたこと。第三に、病院内薬局による調剤より開設薬局調剤の方がはるかに高い診療報酬が得られるという診療報酬体系に矛盾があること。この三つに由来すると私は思うのでございますが、御見解をお伺いいたします。
#4
○政府委員(山崎圭君) 御指摘の第二薬局のここ二年ばかりの急速に増加した理由なり原因としましては、先生ただいま御指摘のようなことが背景にあるかと存じております。まあ一つは、第一点挙げられました基本的に薬局の開設が自由であるという、それは最高裁の距離制限が違憲であるというような背景もございましたが、近年の状況につきましては、やはり経営上の理由が薬剤部門を切り離していると、こういうふうに言われていることは私どもも十分承知しておりますし、理解できるところであります。
#5
○柄谷道一君 大臣にお伺いいたしますが、私は、この第二薬局は医薬分業の精神あるいは本来のあり方を妨げるものではないか、医薬分業の名をかりた巧妙な営利主義のあらわれではないかと、こう思うのでございます。医療機関が投薬部門を切り離して、処方せんを発行して処方せん料を受け取る、そして医療機関の近くに親族などを使って薬局を開設していわゆる調剤料が入ると、こういう仕組みでありまして、それは明らかに営利をねらったものではなかろうか。また、特殊な場合を除きまして、患者が自由に薬局を選び、処方内容が公開されるという医薬分業の正常な形態を内部から崩すものではないか。もっと率直に言えば、医薬分業の本質にかかわる問題であろうと、こう思われるのでございますけれども、大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
#6
○国務大臣(園田直君) 第二薬局は医薬分業の本来の趣旨を妨げ、かつまた保険薬局の点から見ても問題が多いわけでありまして、むしろ逆に第二薬局の定義はそういう本来の趣旨を逸脱をし、妨害をし、医薬分業本来の姿から逸脱している、所得営利の面から出てきている、これが第二薬局の定義であると考えておりますが、御指摘のとおりにここ二、三年急激にふえております。これは厚生省としても薬局の指定、保険薬局の指定等に少し甘い点があったのじゃないかと、こう思いますので、今後は十分その点に注意をして、保険薬局の指定等には厳正に臨むつもりでございます。
#7
○柄谷道一君 私は、医薬分業は本来医師と薬剤師の職業上の責任を明確にし、これによって誤った薬の処方をチェックすることを可能にし、また医師が薬の差益取得に熱中するような弊害を改めて、そのエネルギーを正しく医療技術の向上に振り向けていく、それが医薬分業の持つ本来の目的ではないか、意図するところではないか、こう思うのでございます。いま大臣もおっしゃいましたけれども、形の上では医薬分業という形をとりながら、内情は営利をねらいとする、そして医薬分業の本質を内部から崩す危険があると、このような第二薬局はこのまま私ははびこらせるべきではないと、こう思うのでございます出いま大臣から、厚生当局としても厳正に措置していきたいという御答弁があったのでございますけれども、具体的にどのようにこれに対処されていくお考えがお伺いをいたします。
#8
○政府委員(山崎圭君) 御指摘のとおり、医薬分業の本来の趣旨、目的は先生御指摘のとおりでございまして、私どももそれぞれ、医師は医師なりの診断治療にその専門技術を生かすということ、調剤は薬剤師の手によってその専門職種を生かしていく、そして相互に双方チェックと申しますか、そういうことで国民の医療の向上を期していただくと、これが本来の趣旨だと存じます。そういう意味合いにおきますと、いわゆる第二薬局と言われるものの中には、本来、医療機関からの独立性という、そういう意味での独立性が必要であるという点にかんがみますると問題があると、かような考え方をとっておりまして、現在保険局とも相談しつつ、早急に具体的な対応策を立てようと考えているところでございます。
#9
○柄谷道一君 すると、まだ現在のところ具体的対応策は定まっていないと、いま検討中であると、こういうことでございますか。
#10
○政府委員(山崎圭君) 早急に対応策を策定すべく鋭意検討中でございます。
#11
○柄谷道一君 検討中ということでございますが、私はこの第二薬局問題は医師会自身の自浄努力だけで解決することは非常にむずかしいのではないかと、こう思います。と申しますのは、薬価基準と実勢価格との間にギャップがある。また診療報酬体系における技術料の評価に問題があるなど、その基礎的条件を行政的に整備する、そのことがなければ、ただ取り締まり規制だけでこの問題を解決することはできないと、こう思うのでございます。いま検討中とのことでございますけれども、その対応策について基本的な所信というものを大臣にお伺いしておきたいと思うのでございます。
#12
○国務大臣(園田直君) 御指摘のとおりでありまして、まずあの薬局の許可、それから保険薬局の指定、こういうものについて厳正にやると同時に、問題は基礎条件に問題があって、そういう抜け道があるところが問題でございますから、これは適正なる医療費の効率的な使用、医療保険の健全な運営ということが一番大事でありますから、一方は医療保険面における指導、監査の強化、レセプト審査の充実などと並行して、いまおっしゃいました基礎条件というか、抜け穴を整備するように早急にいたします。
#13
○柄谷道一君 私はその基礎条件の一つにあるのが薬価基準制度であろうと、こう思うのでございます。私はこの薬価基準制度の中に自由競争原理が生かされ、また市場の取引価格が適切に薬価基準に反映されなければならない、これは当然であろうと思うのでございます。また予算委員会において大臣は、このために一八%程度の薬価基準の引き下げを示唆されました。これも現在の薬価基準と実勢価格との乖離の実態を考えれば、そういう数字が出てくることもまた当然であろうと、こう思います。しかし、この薬価調査について、たとえば調査品日、調査客体の選定など調査技術上の問題がしばしば指摘されております。
 また九〇バルクラインによる薬価算定方法につきましても、問題の提起をされているところでございます。厚生省は現在のこうした薬価調査の方法及びこの九〇バルクライン方式について現行の制度が最も望ましいものと認識されているかどうかお伺いをいたします。
#14
○政府委員(山崎圭君) 薬価調査の点につきましてお答え申し上げますが、御案内のように、先般の五十三年の七月時点における調査につきましては、これはいわゆる全数を調査いたしまして、これは自計調査と申しますか、卸売業者あるいは選定された診療機関についてみずから書いていただくという自計的な調査でございました。その欠点なり欠陥なり、それに伴いますマイナス面を除去するために、五十三年六月及び八月、九月におきましていわばサンドイッチ方式と申しまして白計調査の欠点を補うために、私ども職員がみずから行う他計調査を並行して実施したわけであります。そういう関係あるいはその後六回にわたります。その後の経時変動調査というものを私ども職員みずからが行ったわけでありまして、そういう意味で本調査に、それに伴いますいろいろな欠点が従来から指摘されておったわけでありますが、それは十分に排除し得たと、少なくとも今回の二年を通じての調査については、相当程度それが排除し得たと私どもは自信を持っておるわけでありますが、なお今後の調査のあり方につきましては、さらにこの他計的な調査を拡大するとか、とりわけて今回予算において認められておりますが、都道府県職員をそれに充てるとか、そういう工夫をさらに続けてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
#15
○政府委員(大和田潔君) 薬価の算定方式の問題でございます。現行の九〇バルクライン方式につきましては、いろいろと論議が行われておるところでございまして、これにつきまして私どもといたしましては、検討していかにゃならぬと、こう思います。
 これ以外の問題といたしましては、加重平均方式であるとか、あるいは原価計算方式といったようなものもありまして、これらを含めてなお検討してまいりたいと。いろいろとそれぞれに算定方式につきましては長短とございます。これらをどうやって長をとり、短を少なくするというような方式を検討して、これは中医協で十分御審議いただく必要があろうと思いますが、御審議いただきまして、何とかいい方法を考えていきたいというふうに思っておるところでございます。
#16
○柄谷道一君 いまの御答弁からしますと、中医協にその方法について近く諮問すると、こういうお考えと受けとめてよろしゅうございますか。
#17
○政府委員(大和田潔君) 形式的に諮問という行為になるかどうか、これはまだここではっきりいたしませんが、近い段階で中医協にお諮りをしていかにゃならぬと、御相談しなきゃならぬ、つまり審議をお願いせにゃならぬと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#18
○柄谷道一君 どうも諮問というのとお諮りをしたいというそのどこが違うのか、日本語というのは非常にむずかしいのですけれども、それはいいでしょう。いずれにしても中医協で検討の議題となるということは間違いがないとこう思います。
 そこで、私は西欧先進諸国とわが国の薬価の実態についていろいろ調査いたしますと際立った相違があるんですね。たとえば一九七〇年をそれぞれの各国一〇〇としてその後の薬価の傾向がどうなっているか。イギリスの場合は一九七九年二七〇・六を示しております。西ドイツの場合、これは一九七六年時点でございますが一三三・二、アメリカの場合は七八年一三三・八、フランスの場合七九年一三六・四、このように上昇をしておるというのが各国の一般的傾向でございます。これに対して日本の場合を私、調べてみますと、一九七〇年を一〇〇としますと七九年は八五・九程度になるのではないか。このように改正の都度わが国の薬価はいわゆる下降しておるという際立った相違が見えております。私はこの原因について、一つは九〇バルクライン方式によりまして取引価格が高い一〇%分がカットされている。これは一つの理由であろう。第二は製薬企業、医薬品卸業の過当競争というものが実在をしておる。次には医療機関において薬価以上の価格で公示をするということが習慣化しておる。そしてその差額が潜在技術料として医療経営の原資の一つとなっておる、いい悪いは別にしてこれが現実でございます。そして四番目には、この薬価改正の都度薬価がいま言ったような仕組みのために下降していきますので、物価、人件費の上昇を吸収するためにさらに販売を拡大をする、そのことが流通の混乱、さらに過当競争の激化という形になってはね返ってくる。そして第五には、医薬分業がなおわが国において未成熱である。
 このような要因が折り重なってこのような日本の薬価の趨勢といいますか、傾向をもたらしているのではなかろうか、こう思うんでございますが、御所見をお伺いしたいと思います。
#19
○政府委員(大和田潔君) まだ実はそのような分析をしてはいないわけでありますけれども、現在の九〇バルクライン方式、これにつきましてはやはり実勢価格を反映させるということでこの方式で算定をいたしますとやはり下がると、これは実勢価格と薬価基準との乖離というものが出てまいりまして、おっしゃるように下がっていくということがございます。また反面なかなか実勢価格を適正に反映するようなところがちょっとなかなかむずかしいという面もございまして、やはり先ほど申しましたように、この九〇バルクライン方式というものにつきましては反省をしてまいっておるわけでございます。先生がおっしゃいましたようなことにつきましては、なお検討していかにゃならぬと思いますけれども。ただいま反省をしておるというようなことでお答えになるかどうかわかりませんけれども、今後さらに算定方式の検討をしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
#20
○柄谷道一君 ぜひこうした正確な現状分析というものが私はやはり根底にあって、その根底の上に立って、現行の九〇バルク方式というものの問題があるとすればどうこれを改革していくのかというところに問題が発展していかねばならぬと思うんですね。ただ、技術的に小手先だけで薬価基準算定方式をいらうだけで私はいい算定方式が確立されるとは思いませんので、私は私見としていま申し上げたわけでございますけれども、その実態をぜひ深く、しかも正確に客観的に分析を願いたいと要望いたしておきたいと思います。
 問題を進めますが、それでは製薬産業ですね、薬九層倍という伝説があるんですけれども、経常収支の状態は一体どうなっておりますか。
#21
○政府委員(山崎圭君) 五十四年度がまだ出ておりませんが、五十三年度におきます製薬企業全体の、指標としては経常利益率をとってみたいと思いますが、全体で五%でございます。しかし、その中で主要大手十二社と私ども言っております大手の企業について見ますると一二・一%と、かような状況に相なっております。比較的他産業に比べますと好況だと言われておるわけでありまするが、それを若干見てまいりますと、資本金十億円以上の全製造業で見ますると三・五%の経常利益率でありますが、医薬品製造業、同じく資本金十億円以上をとってみますると四・五%と、この程度の差はあるわけであります。そのような状況でございます。
#22
○柄谷道一君 他の産業の、一般的平均と対比すれば高収益を上げていると、これは事実でございましょう。しかし、製薬企業いうのは、これ二千を超える企業数があるんですね。中小企業の製薬メーカー等は私は経営内容が決していいとも思われないわけでございます。私はいまのような薬価基準をそのまま踏襲いたしますと、これは言葉は適切かどうか知りませんが、アリ地獄といいますか、そういう状態に陥っていくおそれがまた出てくるのではないだろうかと。確かに実勢価格にマッチさせていく、これが政策的に最重要な課題でございますけれども、それと並行して産業政策というものの確立と推進がなければならないと、こう思うんです。私は、薬というものは、まず第一に研究開発力を強化いたしまして有用性の高い新薬の開発を行う社会的責任があると思います。そのことがまた国民の健康と生命を守ることにつながっていくわけでございます。また、高品質の医薬品を製造し、流通段階においても品質を維持するという任務がございます。また第三には、不遍的かつ安定的に医薬品を供給しなければなりません。そして、薬害等が問題になっておりますけれども、医薬品の正しい使用、安全性確保のための適切かつ十分な情報の収集及び情報の提供というものを行うことにより、その安全性を確保するという任務があろうと思います。さらに国際的流通、さらに国際的な寄与という面で、先進国たるわが国が果たさなければならない任務も存在すると思うのでございます。やはり、薬価基準の適正化とあわせてこうした医薬産業の持つ社会的責任、これを阻害するのではなくて、むしろ育成強化する、そういった意味での産業政策が相並行していかなければ、わが国の厚生行政というものは片翼飛行だと言われてもやむを得ないと、こう思うのでございます。
 その点に対する御所見をお伺いいたしますと同時に、時間も参りましたので、もう一点お伺いしたいのは、いま保険局長は、薬価基準の算定方式について中医協で検討すると、こう言われたんですが、中医協の構成メンバーには、製薬関係労使及び医薬品卸業等の流通関係の者は中医協のメンバーに含まれておりません。私は、製薬関係の労使は当然産業政策を持っていると思うのでございます。中医協だけで検討すれば、そこに意見反映、参加という場が全く阻まれるわけでございまして、一方交通的な検討の舞台ということになるのではないか。中医協のメンバーをいま直ちにかえるということはこれはできないとしても、やはりその過程において十分に関係者の意見を反映させるという場は少なくても持たなければならないと、こう思うのでございます。
 以上二点につきまして明確な答弁を求め、時間が参りましたので私の質問を終わります。
#23
○政府委員(山崎圭君) 前段についてお答え申し上げます。
 全く先生御指摘のとおりだと私は率直に受けとめております。製薬企業についての産業政策的な配慮というのは当然必要なことでございまして、とりわけて医薬品の特性から見まして、医薬品の開発なり、あるいはその安定的供給というのが大変大事な社会的使命を製薬企業それ自身が持っていると。その面に即しては私どもも大いに助長、育成をしなければならないと考えるわけであります。
 それで、端的にその点で申し上げたいことは、一つは御指摘のように研究開発投資の問題だろうと思います。幸いに製薬企業は全産業から見まして六%以上の研究開発投資を行っておりまして、これは他産業と比べると非常に高いところを持っておりますが、しかしこれは当然でございまして、さらにこの研究開発投資を活発にしまして、国際的にも孫色のないわが国製薬企業のあり方というものを求めていくべきだと、かように考えておるわけであります。あるいはまた情報伝達という、あるいは情報提供という、単に薬が物としてとらえられるのではなくて、そういう知識、情報が一体となって物品としてとらえるべきだと思いますので、そういう意味合いにおきましても知識集約型産業の典型だろうと思います。そういうものをさらに伸ばしていくということが必要な課題であろうと考えております。
 ただ、よきにつけあしきにつけ、現在はそういう製薬企業の問題というのは大きな意味で医療保険制度の枠組みの中にとらえられているという側面も考えなければならないわけでございまして、そういう意味におきまして、いわゆる薬価基準制度とのかかわりが非常に大事なことになってくるわけであります。そういう意味におきまして、さらに勉強を続けたいと思っております。
#24
○政府委員(大和田潔君) 薬価算定方式の検討に当たりましては、私どもも十分関係団体の意見を聞きますし、あるいは中医協におきましても必要があれば参考人として意見を聞くこともできるわけでございます。したがいまして、この薬価算定方式の審議、検討に当たりましては十分先生の御趣旨も私ども体して進めてまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#25
○柄谷道一君 終わります。
#26
○前島英三郎君 私は、常々障害者対策の将来のあり方について長期的、計画的な取り組みの必要性と、かつ政府が一丸となって総合的、体系的に取り組まなければならないと、こういうことを絶えず繰り返しておるわけでございます。過日の予算委員会でも、この二点につきましては厚生大臣の深い御理解と力強い御答弁をいただいておりまして、大変嬉しく思っているところでございます。しかし、政府全体で取り組むと申しましても、厚生省の持つ役割りが決して軽くなるわけではございません。むしろ、その責任は一層重くなると言わなければならないと思います。
 そこで、重要なことは、厚生省内で各局、各課の間でばらばらになるというようなことがあってはならないということでございます。たとえば、肢体不自由児・者の問題は社会局、それから精薄児・者の問題は児童家庭局、精神障害者の問題は衛生局というぐあいに、客観的に見ますと、若干ばらばらであるというようなことでありますから、その各省庁の範となるような形で、ひとつ総合的、体系的な取り組みをお願いしたいというふうに思うんでございますが、まず厚生大臣に冒頭伺いたいと思うんでございます。
#27
○国務大臣(園田直君) しばしばの御発言で、よく私も心得ております。したがいまして、内閣としてどのように今後、縦割りを連絡するという意味ではなくて、内閣が一本になって身体障害者に溶け込むような社会環境をつくるかということでありますから、これについては、また具体的によく考えます。
 なお、どうなりましても厚生省が中心であることは当然でありまして、そのような場合には、やはり手足を用い、専門的な意見をもって、一番関係の深い厚生省がやはり事務的な担当をしなきゃならぬと考えております。その前提として、厚生省が身体障害者の問題その他、省内で縦割りでいろいろ分化されておる、これでは今後の社会情勢に対応していくことはできません。そこで近く、これを総合をした厚生省全体の企画立案、調整ということを考えておりますが、具体的な発表は、あとしばらくお待ちを願いたいと思います。
#28
○前島英三郎君 そういう意味では、厚生省の中にもその縦割りの部分があるということは、国際障害者年の多角的な、体系的な将来を展望するときに若干不安がございますので、ひとつ大いに検討していただきたいと思うんです。
 昨年の臨時国会の際、私は心身障害児の早期発見の問題に若干触れたわけですが、その中で、胎児チェックといったことを含まない、あるいは劣性遺伝子を持つ者は子を産むなといったある学者の見解に厚生省は賛成しないと、こういう御答弁をいただいたわけなんです。この質問の背景には、実は、心身障害の早期発見とか予防とかという問題につきまして、障害者団体の中にある種の危惧の念が根強くあったからでございます。つまり、その裏には、障害者はこの世にいない方がいいと、こういう論理があるのではないか、そのために胎児の段階で障害が発見されたら抹殺してしまうということに発展してしまうのではないか、そういう心配を持つ人が大変多かったわけでございます。心身障害の予防について、厚生省の明確な姿勢をこの際改めて伺っておきたいというふうに思います。いかがでございましょう。
#29
○政府委員(金田一郎君) 心身障害の発生防止は、母子保健の観点からも、児童福祉推進の上からもきわめて重要な課題であると私ども考えております。そのため、心身障害研究、一般的母子保健教育、妊婦の健康診査、医療サービスなど、広く総合的に各施策を進めることにより、妊婦が良好な健康状態を維持し、安全に出産できる条件の確保に努めているところでございます。
 なお、ただいま先生おっしゃいました胎児チェックの問題でございますが、胎児チェックが障害の発見と人工妊娠中絶の手段として行われることがあってはならないと考えております。
#30
○前島英三郎君 大変安心いたしましたが、昨年、心身障害の早期発見については簡単に伺ったわけですけれども、しかし見つけた後、どのようにリハビリテーションをするかということが大変大切だというふうに私は思います。
 そこで、その母子衛生対策として早期発見、早期療育につきまして、具体的にどのように取り組んでおられるのか、また今後取り組まれるのか、伺っておきたいと思うんですが、いかがでしょう。
#31
○国務大臣(園田直君) 先ほどの御質問で、厚生省の基本姿勢だけ申し上げておきたいと思いますが、やはり厚生省は、身体障害者の方々に対する問題を、この際もう一歩積極的に考え方を変える必要があると思っております。それは、身体障害者という方は特別な方であって、これに対応策を講じて、社会参加という考え方からもう一歩進んで、先進諸国で言われておる身体障害者に対する対策は、障害者を変えようというんではなくて、社会がこれに合うように、社会を変えるべきだと、こういうふうに言われておりますが、私も全く同意見でありまして、基本的な考え方はそのように変えていくべきであると考えておりますので、一言だけ申し上げておきます。
#32
○政府委員(金田一郎君) 早期発見、早期療育に関する具体的な取り組み方につきまして御説明申し上げたいと思います。
 心身障害は、先生おっしゃいましたように早期に発見し、その態様に応じて早期治療を行うことによ力、症状を軽減することができますので、乳幼児の発達、発育段階に応じた検診体制を私どもはとっておるわけでございます。
 で、まず第一に、先天性代謝異常検査、クレチン症検査を行うことによりまして、精神薄弱の発生防止等を図っております。
 次に、乳児検診を行うことによりまして、先天異常や運動機能の発達のおくれなどの発見に重点を置いております。
 第三に、一歳六カ月児検診を市町村で行うことによりまして、乳児検診の成果を踏まえて、体の発育はもとより、精神と運動機能のおくれの早期発見を目指しております。
 それから、保健所を中心に行っております三歳児の検診によりまして、乳幼児の幼児期の成長の過程で一つの大きな節目であり、一歳六カ月児では顕在化していなかった異常の発見と慢性疾患の早期発見を目指しております。
 次に、心身障害児の早期療育対策といたしましては、肢体不自由児通園施設、精神薄弱児通園施設及び難聴幼児通園施設等の通園形態の施設の整備を図りますとともに、市町村の行う心身障害児通園事業等に対して助成を行っておるわけでございます。
 また、早期発見、早期療育を一貫して行うため、昭和五十四年度から心身障害児総合通園センターの整備を図っております。
 以上でございます。
#33
○前島英三郎君 一般にリハビリテーションの早期実現ということは大変重要なことだというように思いますし、先ほど厚生大臣言われましたように、障害者に合わせた社会づくり、まさにその障害者に合わせた社会づくりというものは、まあ健常者にとっては何の不便もないわけですから、どうもいままでの健常者志向の社会というものが、どうしてもハンディキャップを持った者に対して大変生活がやりにくい、そういう意味では、大人だけのリハビリテーションに限らず、乳幼児や児童に対するリハビリテーション体制というようなことにも積極的に取り組まなければならないというふうに思います。そういう意味では、大人といわゆる子供との格差みたいなものを私は、この日本でも感じております。リハビリテーションの体系的、総合的な充実強化ということの中でも、これは大変大きな課題であろうというふうに思うのです。
 そこで、先ほどもちょっと御答弁の中にありましたが、総合通園センターとか、総合療育相談センターというものが一部の県で整備されつつありまして、心身障害児の早期リハビリテーションに相当の成果を上げているというふうに聞いております。これにつきまして厚生省はどのように見ておるのか。それからまた、厚生省としても、もっとこれは積極的に助成すべきではないかというふうに思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
#34
○政府委員(金田一郎君) この心身障害児総合通園センターでございますが、これは心身障害児につきましての相談、指導、診断、検査、判定等を行うことによりまして、時宜を失することなく、その障害に応じた療育訓練を行いまして、心身障害の早期発見、早期療育体制の整備を図ることを目的として五十四年度から発足させたものでございます。この施設は相談・検査部門と療育訓練部門の業務に分かれております。相談・検査部門は医療法上の診療所でございます。療育訓練部門は児童福祉法上の肢体不自由児通園施設、精神薄弱児通園施設及び難聴幼児通園施設から成っております。専門職員によりそれぞれの業務を行うこととしているわけでございます。この総合通園センターの整備につきましては、現在北九州市、広島市、福岡市の三市に設置されております。なお、毎年幾つかずつ助成をいたすことにしているわけでございますが、今後各県の実情を勘案しつつ拡充してまいりたいと思っております。
#35
○前島英三郎君 そういう意味では非常にまだわずかしかございませんし、実際そこで実効が上がっているわけですから、今後その乳幼児、児童等のための通園センターの拡充というものを厚生省に積極的に取り組んでほしいということを希望しておきます。
 その早期療育という点では、聴覚・言語障害児の場合も早期に取り組む必要があるというふうに思います。幼い時期に聴覚障害を持った場合、単に聞こえないというだけでなくて、言葉を覚えることがむずかしいという面もあります。周囲の人人とのコミュニケーションができにくいために、広い意味での社会性を身につける面でも困難が伴っているわけなんですが、いろんな意味でのハンディキャップが大きいというふうに思われます。聴覚障害の子供を抱えた母親が病院を右往左往しているというケースもよく耳にするんですけれども、難聴による言語障害児の訓練体制というものが現状はどうなっているか、またその調査はしてあるのかどうか、その辺も伺っておきたいと思うんですが。
#36
○政府委員(金田一郎君) 言語障害には多くの原因がございますので、その原因に応じまして、たとえば強度の難聴による言語障害児に対しましては聾唖児施設を設けております。また、脳性麻痺による言語障害児につきましては、肢体不自由児施設等において必要な療育を行っております。特に難聴による言語障害幼児に対しましては、できるだけ幼少期から適切な指導、訓練を行うことによりまして、残存能力の開発及び言語障害の除去を図り、難聴児の正常な発達を促進する必要がございます。このため昭和五十年度から児童福祉施設の一種といたしまして、新たに難聴幼児通園施設を設けまして、職能訓練担当職員及び言語訓練担当職員とを配置し、早期療育対策の強化を図っているところでございます。なお、昭和五十五年現在、全国で十三カ所、定員は四百四十名でございますが、これが設置されております。
#37
○前島英三郎君 そういう意味ではなかなか地域的な格差が大きいということが言えるだろうと思います。やはり聴覚・言語障害児の訓練体制をもっと整備する必要がおるというふうに考えるんですが、もう一つは、パイロット的、モデル的役割りを果たすセンターが必要ではないかというような気がするんですが、厚生省としての今後の方針というのはいかがでしょうか。
#38
○政府委員(金田一郎君) 聴覚・言語障害児の訓練施設といたしましては、ただいま申し上げましたような聾唖児施設及び難聴幼児通園施設がございますが、地域における実情を考慮しつつ、これからも私ども拡充を図ってまいりたいと思います。
 また、聴覚・言語障害児を含めました心身障害児のためのパイロット的、モデル的センターといたしましては、五十四年度から心身障害児総合通園センターの整備を進めておりますが、今後ともこの整備を推進してまいりたいと思います。
 なお、心身障害児の早期発見、早期療育体制のあり方につきましては、現在厚生省にございます中央児童福祉審議会におきまして御審議いただいているところでございます。したがいまして、その結果を踏まえて早期発見、早期療育体制の確立に努めてまいりたいと存じます。
#39
○前島英三郎君 そういう意味では、リハビリテーションの体系的、総合的な充実強化の中で、リハビリテーションの関係従事者の養成、確保、その身分資格制度の整備という面が当然伴っていかなければならないというふうに思うんですね。いろんなセンターができる。そこに言語治療士とか、あるいはいろんな作業療法士とかということを配置をしてというふうに淡々と局長おっしゃいますけれども、じゃ、そういう方々の身分制度はどうなっているかといいますと、非常に置き去りにされている部分があるわけで促すね。
 そこで伺いたいと思うんですが、聴能言語療法士、いわゆるSTと、こう言いますが、その身分制度について幾つかの報道がなされております。今月三日、検討委員会を開いたと聞くんですけれども、その現状と今後の展望についてお尋ねしたいと思います。
 そこで、聴能言語療法士の検討委員会のメンバーはどういうぐあいになっておるんでしょうか。それからまた、結論はいつごろ出るのか。あるいは、これはもう急ぐべきではないかというような気がするんですが、その辺は資格の問題いかがでございましょうね。
#40
○政府委員(田中明夫君) 御指摘のように、本月三日にSTの身分法制定に関しまして御検討をいただくために、学識経験者から成る検討会を発足させたわけでございますが、そのメンバーは八名から成っておりまして、東大名誉教授の切替先生、東大教授の沢島先生、これは御両名とも日本音声言語医学会の会員でございます。それから横浜国立大学の笹沼教授、この方は日本聴能言語士協会の会員でございます。それから国立身体障害者リハビリテーションセンターの学院長をしておられる柴田先生、それから同じく国立療養所東京病院附属のリハビリテーション学院の副学長をされている芳賀先生、芳賀先生は日本リハビリテーション医学会の会員でもございます。それから九州大学の教授をされている廣戸先生、この方は日本耳鼻咽喉科学会の会員でございます。あとの二名はそれぞれ文部省、厚生省の担当課長でございまして、三月三日に第一回の会合を開いたわけでございますが、これからこの検討会におきましてSTの資格の法制化につきまして十分専門的な立場から御検討をいただき、成案を得れば厚生省といたしまして法制化に取り組んでまいりたいというふうに思っておりますが、何分第一回目が開かれたところでございますので、来月にも第二回目を開く予定にしておりますが、いつごろまでに結論を得られるということまでは、まだちょっと申し上げられないような段階でございます。
#41
○前島英三郎君 いろんな意味で、体系的なリハビリテーション体制を組むにいたしましても、人材のなさというものが非常にリハビリテーションの将来に対するブレーキをかけているということを考えていきますと、やはり、一応身分制度は保障されなくても、私はSTですというような形で積極的に言語に対する療法に取り組んでいる方々も大ぜいいるわけでありますから、こういう情熱を持った人たちが意気消沈しないためにも、早い検討、そして早い結論ということを特に期待しておきたいというふうに思います。
 で、続いて、厚生大臣は所信表明演説の中で、「障害者が家庭や地域社会で自立して生活できる条件づくり」ということを述べられました。それはまさに「完全参加と平等」という国際障害者年のテーマに沿った中心的な課題であろうと思います。しかし、そのための大前提となるものは、やはり経済的保障の確立ということだというふうに思います。この問題については、特に考えなければならないことは、幼いころから障害を持ち、現状において、働く、稼得能力を持たない人々のことでございます。この人たちが大変取り残されております。昨年の当委員会でもお尋ねし、また同僚の江田議員からも補充質問をしていただいたところなんですが、今回は次の二点についてただしておきたいと思います。
 障害者団体の強い要望として、年金制度と生活保護とを統合した形での所得保障のあり方を検討してほしいという考え方があります。これにつきましては、昨年の委員会で私から問題提起をいたしましたので、引き続き検討をお願いいたしますが、そこで、年金と生活保護のそれぞれについていかに充実、改善を図ろうとしているか伺いたいというふうに思うんです。
 まず、年金について伺うんですが、幼いときからの障害者に対する年金制度について、厚生省はどのように取り組みをしておられるか伺います。
#42
○政府委員(松田正君) 障害福祉年金につきましては、五十六年度で一級障害につきまして月額三万三千八百円から三万六千円に、二級障害につきましては月額二万二千五百円から二万四千円にそれぞれ引き下げたところでございます。
 それから、障害福祉年金の所得制限の限度額につきましては、障害の場合、ハンディキャップを克服をいたしまして収入を上げておられる実情ということを考慮いたしまして、現行二百十六万四千円でございますけれども、これを三百万円に引き上げたところでございます。
 なお、昨秋の臨時国会で御要望のございました、せめて最低保障額について同額にするべきではないかという御意見、予算編成の過程でもいろいろ検討いたしたわけでございますけれども、財政事情その他必ずしも御要望の線にまで引き上げられなかったわけでございます。ただ、所得制限につきましては大幅に緩和をいたしたと、こういうことに相なっております。
#43
○前島英三郎君 最後の質問になりますが、稼得能力のない障害者については最低生活保障としての生活保護が現実的に重要な存在となっておりますが、しかし多くの障害者は、その生活保護というような形で受け取ることは非常に心苦しいという気持ちが非常に強いわけですね。何か障害者になじまない面ということを強く感ずるわけですが、現実的にはまたこの制度が重要な役割りを果たしておるという点も看過できないと思います。年金にいたしましても、生活保護にいたしましても、中央心身協が昨年八月に意見具申をいたしました「生活安定のための諸施策の推進」ということに十分こたえているとは言えないと思うんです。今後一層努力を願いたいということを要望として最後に申したいと思うんでございます。
 最後にひとつ厚生大臣のお言葉をいただきまして、私の質問は時間になりましたので終わらせていただきます。
#44
○国務大臣(園田直君) 御意見はたびたび承っておりまするから、その方向に向かって努力をいたします。
#45
○山田耕三郎君 私は、寡婦に対する福祉の増進を願います立場から、寡婦福祉法の制定に対する厚生省の所信をただしたいと存じます。
 今日、福祉の谷間にありますのが寡婦であります。同じ四十歳の女性でありましても、この方が二十歳以下の子供さんと同居をされる場合には、母子家庭として、お母さんが病気になられても子供さんが病気になられても、公費の負担による医療を受けられる等かなり整った母子福祉の施策を受けることができるようになっておりますけれども、これが一人暮らしすなわち独居の婦人にはそのような施策がございません。そして、この方々は老人福祉の施策の適用を受けられるまでのかなりの長い期間、生活不安にさらされなければならないというのが実態であります。寡婦には、大別して戦争に起因する方々と、病死その他合目的な社会問題に起因する方との二通りの寡婦がおいでになりますが、それぞれに対して今日政府はどのような施策を行っておられますのか、その概要をお答えをいただきますとともに、将来の展望についてもあわせてその所信を承りたいと存じます。
#46
○政府委員(金田一郎君) 寡婦対策といたしましては、年金による所得保障、それから税法上の寡婦控除がございます。それから、寡婦の就労援助、こういったもののほか寡婦に対する福祉の措置といたしまして私ども実施いたしておりますのは、寡婦福祉資金貸付制度が第一にございます。寡婦福祉資金貸付制度につきましては、昭和五十六年度で四十数億の貸付原資を予定しておるわけでございますが、この資金によりましてその経済的自立の助成と生活意欲の助長を図り、安定した生活を営んでもらうようにいたしております。
 次に、寡婦の自立促進事業がございますが、これは婦人に適した職種に必要な知識、技能を習得をさせますため、家庭奉仕員の講習会等を開催しているところでございます。
 なお寡婦につきましては、寡婦一般ということで、特にその原因については、原因別に対策を講じているわけではございません。
#47
○山田耕三郎君 ただいまお答えがありましたように、戦争に起因する寡婦についてはまだまだ見るべき面はありますと思いますけれども、一般的に寡婦福祉施策はきわめて劣悪な状態にありますと思います。
 私はここで、私が当面をいたしてまいりました実際のお話を申し上げさせていただいて、当局の認識を深めていただきたいと思います。
 こういったことから、寡婦の社会的立場をもっと政治が守ってくれるようにということから、各地で寡婦の権利を拡張をしていくための集会が持たれております。私がたまたま参画をいたしました一つの集会で、年のころなれば五十を一、二過ぎたのではないかと思われる方が体験発表をなさいました。その方の話はこういうことでございます。
  私は、結婚をいたしまして三カ月で主人は召されて戦場に参りました。白米、帰らない人となってしまいました。せん方なく私は夫の母と同居をすることになりました。再婚をする機会もなしにこの年を迎えましたし、母も寄る年波には勝てず、すでに他界をされました。そういった私に、最近大家さんから家をあげてほしいというお達してございます。長年お世話になりました、しかも息子さんの嫁をとられるための必要性からの要請でもあります。私はそのことを聞かなければならないと思いまして、借家を探しました。けれども、女の細腕で母を抱えて生活をしてまいりました私には、高い権利金や礼金を支払って借家を借り入れるだけの資力はございませんでした。せめて公営住宅にでもお世話になりだいということから、市役所の窓をたたきました。担当の方のせいではないということがわかりながらも、そのむごい言葉には私はとるべき手段を考えることができませんでした。その担当の方の言葉は次のような言葉でありました。一人暮らしの婦人には公営住宅に入る資格がありませんということであります。抽せんに漏れたのであれば、次の抽せんにまたかかることができるかもしれません。けれども、当初から資格がないであってはどうしてその望みを達することができるのでしょうか。私は好んで一人で暮らしておるのではありません。私の夫をお国が召し上げていったのではございませんか。だれだって人生に生まれてきたら、最愛の夫と子供をはさんで家庭の団らんを楽しむささやかな願いぐらいは味わって人生を終わりたいものです。私にはもうそういう機会もありません。その私のささやかな公営住宅に入れていただきたいという願いも、根底から崩してしまうように資格を取り上げてしまっております。私はどうしたらよろしいのでしょうか。
という訴えでありました。私は帰りまして、私の町にもそういう人がいるのではないかということを調査をいたしました。同じようにおいでになります。政府に公営住宅法の改正を地方の立場からお願いをしてまいりました。それで解決をいたしませんから、いたし方がなしに、それでは町でそういった御婦人の要請にこたえる施策を行おう、予算費目は寡婦福祉住宅というのを起こしまして、わずかに七戸ではありましたけれども、五年前にそれをつくりました。そして今日また新しく十戸が完成をしようといたしております。二十二万の都市で十七戸でその要望にこたえ切れるものではないとは思いますけれども、そういった行政の対応があるということでさえあれば、当たらない方でもまた救われるという期待を持たれるに違いない。そのことが政治なのではないか。こういったことで対応をいたしてまいりました。幸い政府におきましても、建設省所管の公営住宅に関する法律の改正が行われました。そして昨年の十月から、制度の上では公営住宅に独居婦人も入れるようになりました。調べてみましたけれども、多くの町ではそのような条例改正が行われておりましても、実際にその恩恵に浴して入居された方は皆無であります町がほとんどです。なぜそうなりますのか、これは単身の婦人の職業の問題があります。そういったことからして当然通勤条件が必要であります。そのようなことから、一般住宅施策ではとても対応できるものではありません。これは福祉の立場からの住宅施策で対応をしていかないと、この方々の要望にこたえることができない、私はそのように感じ取っております。いまここで厚生省として直ちにどうということの御判断はむずかしいと思いますけれども、以上私が申し述べましたこの実話の中から、政治はどう対応していくべきか、そういったことについての御見解を承りたいと存じます。
#48
○国務大臣(園田直君) とかく母子家庭と寡婦の問題は、共通の悩みと苦しみを持っているというように簡単に判断しがちでありますが、これは全く別物でありまして、子供さんを持ったお母さんというのは、ある面から言えば足手まといになりますが、ある面から言えばそれが生活の一つの目標になるわけで、希望もあるわけであります。寡婦の方はそれが全然ございませずに、母子家庭と違った悲惨な心境にあるわけであります。かつまた、法的に言いまして、老人福祉法と母子福祉法の谷間というかすき間でこぼれている方が寡婦の方で、これは御発言のとおりでございます。したがいまして、いろいろの問題は事務当局からお答えしますが、やはり寡婦福祉法というか、あるいはいまの母子福祉法を一部改正をしてそこに寡婦の問題を個条に入れるか、どちらかにすべきだと私も考えておりますが、これは自由民主党内でもいろいろ研究されているようでありますから、よく相談をして、いまのお話の方のような気持ちの方が全国におられますから、なるべく早くそのお気持ちにこたえるようにしたいと考えております。
 なお、住宅の問題では、大津市が特別の住宅をつくっていると承っておりますが、公営住宅でも、先般の改正で、五十以上の単身者の入居ということは改正されたわけでありますが、それでもなおいまおっしゃいましたような問題等がございますでしょうから、今後私の方でも各省に連絡をとって、そういう方々のためにとりあえず便宜になるように努力をしたいと考えます。
#49
○山田耕三郎君 ただいまも申し上げましたように、私も先般、その町がつくりました寡婦福祉住宅に入居された方と会いました。人間は環境が変わりますと生活も変わってまいります。ふっくら肥えてしわが伸びております。入居なさったときよりもはるかに若く見えます。そういった楽しい生活をしておられます。そのことからいたしまして、体験発表としてこの問題を提起をなさった御婦人はどうなさったであろうかということを調べました。五十三歳で、いまから申し上げまして一昨年亡くなっておいでになります。結果論ではありますけれども、その人の御主人の生命を国が召し上げ、またその御婦人の生命を召し上げていったと言われてもお答えのしようがないのが現実だと思います。
 だから、こういった問題についてはやっぱり先を急がなければなりません。新しい施策を早く何らかの形であらわしていくことによって――戦争は不幸を生み出します。けれども、その不幸を少なくしていくことが政治でありまして、不幸を増幅さすようなことがあっては私はならないと思います。その不幸をできるだけ小さく終わらすためにも施策は必要であります。こういったことから、ぜひひとつお考えおきいただきたいことを重ねてお願いを申し上げ、戦後の後始末の問題を申し上げましたのを機会に、もう一つの問題を申し上げさしていただきたいと思います。
 それは老人福祉年金の問題でございます。
 今日、老人の皆さん方には福祉年金が支給をされておりますことはすでにもう皆さん御承知のとおりであります。ただ、この福祉年金の中に一条の欠格条項が入れられております。すなわち満七十歳からこの年金は支給されますけれども、その時点で日本の国籍を持っておらないと支給をされません。七十を過ぎてから国籍を取得した人に対しては当然のこととして受給の資格がない、こういうことになっております。七十歳でなぜそのような条項をつくっておかなければならないのか。おつくりになったその理由をお示しをいただきたいと思います。
#50
○政府委員(松田正君) 老齢福祉年金の仕組みは、法律を三十六年に創設をいたしました当時、五十歳以上の高齢者につきまして七十歳になりました時点で福祉年金を支給する、こういう仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、どういう方でも七十歳になったときに年金が出ないような方にすべて老齢福祉年金を差し上げるという制度ではございません。これは国民年金法をつくりましたときの全くの経過的な福祉年金として創設をいたしたわけでございます。と同時に、国民年金が現行法上日本国籍を要件といたしております。これは拠出制についても同様でございます。したがいまして、それとのバランスで七十歳時点におきます日本国籍を要求をいたした、こういう仕組みになっているわけでございます。したがいまして、これらの要件に合致をいたしません方、つまりそれ以外の方は何らかのかっこうで拠出制の年金に結びつく、こういういわば非常にきめ細かい仕組みで発足をいたしたわけでございますので、一たん国籍を喪失をいたしまして再取得をいたしましても、七十歳の時点でその要件を満たさない方は差し上げられない、法律の仕組みは現行そうなっているわけでございます。
#51
○山田耕三郎君 これも、理解を深めていただきますために一つの事例を申し上げさせていただきます。
 戦後の混乱の中で政府も一時的には日本国民の生命を保障することができなかった時代があります。国民はそれぞれの知恵を働かしてみずからの命を守るために生き抜く手段を考えました。
 ここで、一人の日本婦人が三人の子供さんを抱えて大変な苦労をなさいましたけれども、たまたま在日中国人と結婚をすることによって、自分を含めて子供三人の生命を維持してまいられたという事実がございます。そういった中で、寄る年波はその日本人婦人と子供三人を育ててきた中国人も他界をされました。そういう時点で日本国籍に戻られたのでありますけれども、そのときには七十一歳でありました。ただいまの法律に従って、この方は現在も老齢福祉年金は支給はされておりません。日本本土も一歩も出ておりません。ああいった社会情勢の中で中国人と結婚をするという道を選択をして生き抜いてきた。そのことが福祉年金を受給するに値しない行為であったのか私は疑わざるを得ません。しかし、現実の法律の体系のもとでは、ただいま申し上げましたようになっております。こういった問題についてはどう考えたらよろしいのか、厚生省のお考え方を承りたいと存じます。
#52
○政府委員(松田正君) いま先生がお示しになりました事例は、まさに老齢福祉年金を受けられないケースでございます。これは、先ほど申し上げましたような、現在の国民年金法の仕組みの中で解決ができない問題でございます。もし仮にそういった問題を解決するとすれば、一定の年齢の方につきましてはすべて何らかのかっこうで年金を支給するとか、現在の国民年金法の仕組み全体を考え直しませんと、個々の御事情に応じた年金の支給制度というのは、現行法では対応できない仕組みになっておるわけでございます。非常に冷ややかなお答えでございますけれども、国民年金法の基本的な仕組みを変えるという時点でないと対応ができないのではないかというふうに考えられます。
#53
○山田耕三郎君 先般は戦争が終わりました時点で、中国に残されました孤児の方々がたくさん里帰りをして親子さんを捜されました。テレビで見ます一こま一こま日本人の涙をそそらないところは一つもありませんでした。こういったことは再び行ってはならないと私は思いまして、さらにまたその成長をした孤児の皆さん方は日本で暮らしたいというのが大部分でありました。このことについてはいま申し上げるものではありませんけれども、この残された孤児よりも、もう一世代古い人たちが終戦のあの時点で中国のその土地にとどまってしまっております人がおります。その人たちはすでに初老の年に達しております。寄る年波に望郷の念にかられて日本へ帰りたいという方々は、あの若い方々でさえそういった気持ちでありますとすれば、一とせいった人たちはさらにその気持ちは濃厚でありますと思います。こういう人たちが帰ってこられた場合のこと等をも考えて、この法律は何らかの形で直しておいていただく必要があるのではないか、私はこのように思いますのですけれども、こういったことに対する御見解をお尋ねをいたします。
#54
○政府委員(松田正君) 先般中国の孤児の方々がお帰りになりまして親捜しをされたわけでございます。特に旧満州地区におられます方々につきましては、多数のそういう方がおられると聞いております。現行の国民年金制度は、御承知のように、二十歳から六十歳まで四十年間のうちで、これが被保険者期間でございますが、老齢年金に結びつく要件といたしましては二十五年の拠出を求めているわけでございます。なぜ二十五年を求めたかということにつきましてはいろいろ議論はございましょうけれども、やはり、ある程度まとまった年金を老後において差し上げるということで、相当長期間にわたっての保険料の拠出期間を要請をいたしたかと考えております。したがいまして、中国から引き揚げてこられた方々は自分の意思のいかんにかかわらず中国に長らくとどまらざるを得なかったという御事情は、私たち心情的には十分に同情いたすわけでございますけれども、二十五年の期間を満たさない方につきまして、現行法は、任意脱退の制度を設けておりまして、制度創設からその点を予測をいたしたわけでございます。これは中国だけじゃございませんで、途中から国民年金制度に加入する方については絶対的な要件を満たさない方についての措置を一応講じておるわけでございまして、ただ、現在の二十五年という長期にわたる拠出期間、あるいは任意脱退制度によって将来年金制度が成熟をしてまいりますと、無年金者が出るということを予想して一応現行法はできているわけでございます。ただ、そういう仕組みが今後よろしいのかどうかということにつきましては、なお検討の余地があろうかと思います。ただいま直ちに二十五年拠出の要件を基本的に変えるということが、きょう、あすの問題としてなし得るかどうか、これは慎重に検討する必要がおろうかと思います。今後、公的年金制度、これは被用者年金制度を含めまして、国民年金制度との整合性その他を当然検討してまいらなければいけない時点に到達をいたしていると思いますので、将来の問題として十分検討をいたしたいと、かように考えます。
#55
○山田耕三郎君 最後にまとめとして、お願いの気持ちを込めまして大臣にお尋ねをいたします。
 ただいま時間の関係もありましたので意は尽くせておりませんけれども、実際の問題を事例として申し述べ、お考え方をただしてまいりました。私は、この寡婦の問題にいたしましても、さきに申し上げました住宅ですとか医療ですとか、さらには各種年金の遺族年金に対する寡婦加算の問題等、制度の改善等につきましてはまだまだ多くの問題があります。で、これらの解決のためにも法律としての寄りどころをつくっておく必要がありますと思います。こういった面から私は寡婦福祉対策の前進のための御施策をお願いをいたしたいということが一つ。
 もう一つは、ただいまの年金の問題であります。御意見を承りました。しかし、その御意見はやっぱり先日同和問題で申し上げましたように、足を踏んでおる側の意見としか私は受けとれません。この人たちは中国に残るか残らないか、選択が自由なもとで残る道を選んだのではありませんのです。そうせざるを得ない極限に置かれた結果の選択でありました。中国人と日本本土で結婚をなさった人たちも、これもやっぱりぎりぎりの選択でありましたと思います。だから、そういう選択をした人であっても戦争犠牲者であるとするなれば、その不幸を増幅させないでやっぱりこれをなくしていくという立場からの政治施策は何よりも大切だと思います。こういったことからして、寡婦福祉法の制定を急いでいただく立場からの御施策をお願いをいたしたいのと、もう一つはいまの年金の問題でございますけれども、よし七十歳を過ぎてからであっても、日本国籍を取得した人たちには平等にこれが支給される法体系への改正をお願いをいたしまして、大臣の所信をお尋ねをして私の質問を終わります。
#56
○国務大臣(園田直君) 寡婦福祉法の問題は先ほどお答えしたと存じますが、御意見のとおりであり、自民党の中でもいろいろ研究されているようでありますから、どのようなかっこうになるかわかりませんが、そういうことに私の方でも全力を挙げてやります。
 次の年金の問題でありますが、これは案外たくさんの悲惨な状態があります。中国だけではなくて、ほかの問題にもいろいろございます。あるいは国内に住んでおった方々でもやむを得ざる事情のためにこれにかからない方がございます。いま年金局長から申し上げましたとおり、いまの法律では、その実情はわかるが何ともやりにくい。しかし、この特別の事情、実際に困っておられることを聞きますと、これはやはり制度そのものはお互いに相助けるという意味から出てきた制度であります。しかし、二十五年という骨組みを変えることは、これは年金制度そのものの存立にも影響すると思いますので、それはなかなか困難だと思いますが、年金法の一部を改正するとか、あるいはこういう方々のために特別な方法を考えるとか、これは十分検討して努力をいたします。
#57
○石本茂君 私は、保育に関しまして若干のお尋ねをしたいと思います。
 近時、特に昨年の秋ごろから非常に大きな社会問題になりました無認可保育所、いわゆる全国的に蔓延しましたベビーホテルにつきまして、その背景などは十分に当局の方で御承知になっているところでございますが、年ごとに増強いたします婦人の就労と、それからその職務の多様化、勢い勤務時間の幅が非常に広がってまいりました。そのために、現在あります認可保育所の体制では、とても全面的に対応することが困難だと、要するに社会の実態との間にひずみができたのではないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
#58
○政府委員(金田一郎君) ベビーホテルが増加いたしました背景には、確かに先生おっしゃいますようなそういったことがございます。婦人の就労の増加あるいは就労形態の多様化とか育児に対する考え方の変化なとたくさんの問題もあろうかと思います。そういったことで、ただいま一斉点検その他を実施しているわけでございますが、また保育所そのものの業務のあり方につきましても、いろいろ私ども検討しているところでございます。
#59
○石本茂君 そこで、目下手をつけられました各都道府県をして無認可保育所、いわゆるベビーホテルヘの立ち入り調査でございますね、それから環境の悪いものには指導すると、これは当然であるし、よいことであったと、ちょっと遅きに失したような気もしますが、よかったと思っている一人でございますが、いま局長申されましたように、認可保育所の現体制をやはり早急に変革していく必要があるんではなかろうかと私は思うわけでございますが、この点なかなか困難な、特に来年度の国家予算も措置されておりますし、大変むずかしいような気もいたしますが、大体次の四点についてちょっとお尋ねをしておきたいと思うんです。
 その一つは、乳児保育でございますが、これはいままでも所得制限といいますか、ABCDの枠がありまして、この枠の拡大については非常な御苦労をされてきておりますことはよく承知しておりますけれども、乳児保育の完全化というんじゃございませんが、ある程度対応しようということになりますと、この枠の全面撤廃といいますか、この撤廃がなければ問題は解決できないというふうに私は一つ思っております。
 それから二つ目は、夜間保育でございますが、これも夜間と一口に言いましても、夜の十時ごろまででございますと、保母さんなどの勤務体制の仕組みを考えれば、保母の増員ということがございますが、これは可能ではないかと思うんですが、十時以降の深夜勤務体制でございます。これはかって、もう七、八年ほど前になりますが、私、質問をいたしましたときに、それは困難であると、好ましくない。これは好ましくないことはよくわかりますが、しかし是が非でも仕方がない場合はどうするのかと言ったときに、保母の深夜勤務は認められておらないんだと、だからだめなんだというような答弁がはね返っているわけでございますが、現在でもなお、労働基準法等におきまして保母の深夜勤務はだめなのかどうなのか、これをこの機会に確かめておきたいと思います。そうして、もしそれが可能なものであるならば、どこまで深夜を含めた夜間の保育体制ができるのかどうか、おおよその見当でございますが、お伺いしたいと思います。
 それから次は三番目でございますが、日曜とか祝い日ですね、日曜、祝日の保育はやっぱりできるのだろうか。これはしようと思えばできますけれども、これもどの程度のことまでが考えられておりますのか。
 それから四つ目は、年度の途中の入所とか、それから短期間の入所、これは現在のところ全く困難な状態にあるわけでございますが、この四点についてまずお伺いしたいと思います。
#60
○国務大臣(園田直君) いまの問題で、私の基本的な考え方だけ聞いていただきたいと思います。
 保育の問題は、一番最高のものは、特に乳幼児の場合は母親のそばに置くということが最高であります。愛知医科大学だと思いますが、久徳先生の「母原病」、それからアメリカで出されておる「赤ちゃんの愛欠病」、これが成人した後の性格に影響してくる、心と体の形成に影響してくる、こういうことでやはりそばにおって子供を直に見れるという態勢、いわゆる有給育児休暇などということが先決だと思います。
 ベビーホテルの問題でありますが、これは同じ現象がアメリカでもニクソン大統領のときに起きたことがありをする。そこで、アメリカではこの急激にふえた、ベビーホテルというものに助成をして、これを何とか危険がないようにしてやろうということに施策も金も使われましたが、それは非常な失敗でありまして、むしろいろいろな弊害が出てきております。それは当然であって、こういうベビーホテルそのものが赤ちゃんのかわいさから出てきたものではなくて、営利から出てきたものでありますので、現状からお考えになって、こういうところへ助成をしたりこれを育てたりすることは、私はいろいろな問題で弊害があると思いますので、私はこのベビーホテルを育てたり助成したりするつもりはございません。
 そこで、これに対する対応では、厚生省の中でベビーホテル対策本部をつくりまして、特別のチームで対策を考えておりますが、簡単に私の考え方を申し上げますと、いまの消防庁と一緒に立入検査等やりまして、改善命令、ひどいのは停止ということをやっておりますが、これはいろいろな悲惨な状態が毎日ありますからやっていることではありますが、これは大勢の何らの対策にもならぬ。問題は、いまおっしゃるとおりに、政府のいままでやっておりまする育児所だとか保育所だとか乳児院、これを当面対応の臨機応変の対策をとる、将来はいまおっしゃいましたように予算とか人員等もお願いをしてこれをやる。簡単に言えば、いま政府がやっている、あるいは認可している公的な保育所や乳児院というものを、漢字の保育所からかたかなの保育所に移せと。申しますことは、手続の問題、母親の職業の問題、あるいはいろいろな開設の時間の問題、これが非常にかた苦しい。ベビーホテルがふえましたということは、社会の変化に応じて私の方でこれに対応の策がおくれたことが、間違いなしにその原因でございますから、制度やその他に少しぐらい違反しても、いいことならば国会でもおしかりを受けぬと、私こう思いますので、できるだけの範囲で時間を延ばす、あるいは昼夜交代でやる、あるいは手続は簡単にやる、それから期間などでもやかましく言わないでやってもらいたい。そういうことをやりながら、将来の計画をやってもらいたい。これが私の基本的な考え方で、詳細は児童局長からお答えをいたします。
#61
○政府委員(金田一郎君) ただいま先生お尋ねの第一点は、乳児保育におけるABCDの階層の問題でございますが、乳幼児期は成長発達が著しくて、一生を左右するきわめて重要な時期でございます。その意味におきまして母親の愛情のもとで母乳と、母と子のスキンシップにより育てられることが子供の心身両面の発育にとって最も好ましいといいますのが従来から専門家の方々の一致した御意見でございます。このような観点から、母親がやむを得ず働かなければならない低所得階層に限定しまして、従来から乳児保育特別対策ということで実施してきたわけでございます。この点は御承知のとおりでございます。昭和五十六年度におきましては乳児保育特別対策の対象となる所得階層をD2階層年収約二百六十三万円からD4階層年収約三百三十二万円に拡大することといたしておりますが、これ以上に対象を拡大するかどうかにつきましては、今後私ども十分検討してまいりたいと存じます。
 それから次に保、夜間保育の問題でございますが、前にも先生その点も御質問もあったと伺っているわけでございますが、実は昭和四十九年の中央児童福祉審議会の答申におきまして、夜間にまで及ぶような長時間保育は、乳幼児の福祉及び母の育児意識に好ましくない影響を与える可能性があるということが指摘されております。私どもといたしましては、一般の保育所で夜間保育を一般的に実施するような指導は、従来から行っておりません。しかし、病院の看護婦等夜間勤務につく特定の人々のためには院内保育事業を従来から行ってまいりました。しかし、先ほどからお話もございますように、婦人の就労の多様化に伴いまして保育需要も多様化が進んでおります。これらの事情を考慮いたしまして、都市部と一部地域における認可保育所におきましては、児童の発育への影響について十分配慮しながら、モデル的に夜間保育を実施してみたいと考えております。
 もう一つ、先生おっしゃいました保育所の保母の夜間勤務の問題でございますが、労働基準法の規定によりますと、保育所の保母につきましては看護婦の場合と同じように夜間勤務ができることになっております。しかしながら人材確保の点で困難が予想されないわけでもございません。そういうように考えられます。
 それから、長時間保育の問題でございますが、現在も保母の配置基準といたしまして定められております、たとえば四、五歳児については三十対一とか、そういったもの以外にさらに職員の配置をいたしております。ただいま申し上げましたのは通常の保育所開所時間を想定した配置基準でございますが、このほかに、たとえば定員九十名以下の施設におきましては常勤保母一名を確保できる予算を配分いたしております。また九十一名以上の施設につきましては、非常勤保母一名を配置できるような財源措置を講じております。これによりまして、朝夕の一時間程度の開所時間の延長は可能であろうかと考えております。さらにこれ以上保育所の開所時間を延長いたしますことは、現在の財源措置では私は困難であろうかと思いますが、なお実情を十分調査いたしまして、ただいまどのように対応するか、先ほど大臣も言われましたように直ちにできること、あるいは財源措置を伴うこと等いろいろございますので、財政当局との折衝等もございますが、目下検討しているところでございます。
 それから最後に、年度途中の入所についても言われたと思いますが、この点につきましては、御承知のとおり毎年かなりの数の保育所の整備をいたしております。しかしながら、なお一部の地域におきましては施設が不足ぎみであることは事実でございます。このような地域におきましても、特に乳児につきまして年度途中の入所措置が困難な状況にございます。と申しますのは、年度の途中に子供さんが生まれました場合、年度の当初に入ってしまいますと、いっぱい入りますとあと入れることができないと。それから特に乳児につきましては三対一というようなかなりの保母の配置をしなければいけませんので、年度中途に弾力的にどの程度までできるかといったような問題がございます。このため、乳児のための保育設備の増強には努めているところでございますが、どのようにしてこれに対応するか、これは実は金目と関係いたしまして、措置費の支払い方式に非常に影響する問題でございますので、今後の研究課題といたしまして、目下いろいろ検討している状況でございます。
#62
○石本茂君 ただいま大臣のお言葉にもありましたように幼い、特に零歳児などは母親がしっかり抱きかかえて保育をする。これは当然の原則だと思うわけでございますし、それからまた、いまお言葉がありましたように来年度含めまして、どこまで認可保育所が受けて立てるかどうか、これは十分に御検討いただいて、ぜひ二万カ所以上あるわけでございますから、できるところから手をつけてほしいと私は願っております。
 それから無認可保育所の基準を下げるとか、特別な配慮、これは絶対に大臣申されますように私もそれはあってはならないと思うわけでございます。ただ、大臣のお言葉、局長のお言葉などを繰り返すわけじゃございませんが、母親が自分の産んだ子供を――母親という言葉がこのごろのように男女平等ということになりますと、父親も責任があるかと思うのですが、私は今度のこの調査などを見ておりますと、約一万人近い、これも調査漏れがあるかと思うんですが、この収容児の中で約四〇%以上が零歳児でございますね。そういうことから、やはり働く婦人の育児休業法でございますね。現在この法律で守られておりますのは女子教職員と看護職と保母でございますが、この三つの職種にとどめるんじゃなくて、もっともっと幅を拡大してあるいは全勤労婦人がその枠に入れるような休業法というものを、これも長い息はできませんので、早急に制定できないものかと思うのですが、局長さんいかがでございましょうか。
#63
○政府委員(高橋久子君) 先生の御指摘にございましたように、働く婦人にとりまして育児休業制度を普及していくということは、仕事をしながら育児の問題ということで両立ができるわけでございまして、私どもといたしましては、こういう制度を普及させたいというふうに考えているところでございます。したがいまして、この制度の普及のために奨励金を交付すると。育児休業制度を導入した事業所に対しましては奨励金を交付するというような奨励措置をとっております。また、いわゆる育児休業法の適用対象になっております看護婦等を雇っております民間の事業所に対しましては、特定職種の育児休業利用助成給付金というような制度も設けまして、この育児休業の利用を容易にするような措置をとっているわけでございます。しかしながら、まだこの育児休業の普及状況を見ますと、大変不十分な状況でございまして、今後とも一層普及を図っていく必要がある。したがいまして、五十五年度からは育児休業制度の普及指導員というものを地方に配置いたしまして、さらに一層普及するような政策もとっているわけでございます。
 で、先生がおっしゃいました育児休業の請求権をもっと全勤労婦人に拡大すべきではないかというような点でございますが、この問題につきましては、実はすでに労働基準法研究会から育児休業が現在請求権が認められている労働者以外の者につきましても、この育児休業の請求権のあり方を検討すべきであるという御指摘をいただいておりまして、現在、婦人少年問題審議会において現在の婦人労働法制全般のあり方を見直しておりますので、その中で審議をし、その審議の結果を踏まえて対処をしていきたいと、このように考えているところでございます。
#64
○石本茂君 いま局長さんのお言葉を聞いていて、確かに勤労婦人福祉法ができまして、そして経営者側に奨励金などを出してずいぶん努力をしていらっしゃいます。しかし、実際に休みをとる人が非常に少ないという現実ですね。これはやっぱり、経営者側と働く者の相談の結果決まるわけでございますから、私はそういう訓辞的なものじゃなくって、やっぱり法的にきちっとした取り締まりができるような体制づくりをするべきじゃないか。いまお話がありましたように検討中であるということでございますが、そう長い間二年も三年も先にというんじゃなくて、いま社会の情勢を御存じだと思うんです。ベビーホテルが随所にできて、いまこんなことを言っているうちにもできているかもわかりません。厳しい調査ができて、そして恐れをなしてということならわかりませんけれど、営業として営利をむさぼるためにできているものがほとんどでございますからですね。これをやっぱりなくするためには、少しでも環境をよくするためには幾つかの法律が必要だと思うんです。
 その第一番に必要なのは、私いま言いましたように、零歳児を育てる母親の育児休業法をつくって、そして経営者側は、雇っている側は休みを与えなければならないというような気持ち、それからまた休む方も安心して次の職場とか何か考えることなく休めるということになりますと、この四〇%預けているうちの約半分がひょっとしたら解消できるかもしれない。もちろん自営業者も預けておりますので一概には言えませんけれども、そういう意味で、私はこれを急いでいただきたい。そのことを心の底から要望したいわけですが、どうでございましょうか、やっぱり三年も四年もかかるものでしょうか、どうでしょうか。
#65
○政府委員(高橋久子君) 先生のお話にもございますように、私どもはこの問題は非常に重要な問題であり、またかつ急いでその結論が得られれば何よりと思うわけでございますけれども、事業主に対しまして非常に長期間の休業を法制化するということになりますと、現在の産後休業が六週間でございますが、育児休業は年単位の休業ということになりますので、代替要員をどうするかと。それを事業主の義務とする場合に、どのような措置が必要であるかという非常にいろいろの問題ございますので、そういう点も十分私どもは議論を尽くした上でこの問題について対処をしていきたい。ただ、急いで結論が早く得られればいいという気持ちには変わりはございませんので、その点を踏まえて今後審議会の審議を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
#66
○石本茂君 最後に、大臣にお願いしたいのでございますが、さっき申されましたように、いま消火運動等にひっかけまして、そして現場の立ち入り調査をしておられるようでございますけれども、何か話がうじゃもじゃしておりますけれども、立ち入りの調査権はないんじゃないかというような声も聞くわけでございますが、私はやはりこういう事業を営む者につきまして営業権というものを認可する、そういう何もその日を出して金を出さないのかというような声もございますが、私は金を出す必要はないと思うんです。だから認可保育所でありましても、ベビーホテルを含めまして、こういうことを業としたい者は、児童福祉法のたてまえもございますので、当局の基準を定めてその基準にはまっているかどうかという認可ぐらいは当然とるべきじゃないかと、認可を与えるべきじゃないか。小さな旅館業ですね、どう言いますか、民宿のようなところでさえもがやはり一つの認許可を得ているわけでございますから、これを野放しにしてきょうまで来たということ、今後野放しにするということは考えられないと思うのですが、認許可基準というものでもつくりまして認許可するというようなことはできないものでございましょうか。
 最後にそのことをお伺いいたしまして私質問を終わりたいと思います。
#67
○政府委員(金田一郎君) 先生よく御承知のように、保育所は保育に欠ける児童を入所させるということで、広い意味における社会福祉事業の一つでございます。原則として、民間の場合ににおきましては社会福祉法人あるいは公共団体が経営するということになっているわけでございます。そういった意味におきまして、ベビーホテルにつきまして、先ほど大臣も言われましたように公認するような方向にする、あるいは誤解を生ずるような形はどうもまずいと思いますので、そういうことではなくして、私どもといたしましてはできるだけ監督、取り締まりを強化いたしまして、乳幼児の健全な育成に阻害がないようにしていきたい。そういう趣旨でただいま一斉点検等もしているわけでございます。
#68
○委員長(片山甚市君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
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#69
○委員長(片山甚市君) 障害に関する用語の整理のための医師法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。園田厚生大臣。
#70
○国務大臣(園田直君) ただいま議題となりました障害に関する用語の整理のための医師法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。
 昨年来、障害者の方々を初め関係方面から、障害に関する法令上の用語のうち不適当なものを改めるべきであるという御意見を多数いただいてきたところであります。このため、政府においては、当面、法令上の「つんぼ」、「おし」、「盲」といという三つの用語を改めることとし、本法律案を提案いたした次第であります。
 改正の内容は、医師法など厚生省所管の九本の法律において用いられているこれらの用語を改めるものであります。
 改正の対象となる九本の法律は、医師法、歯科医師法、保健婦助産婦看護婦法、歯科衛生士法、毒物及び劇物取締法、診療放射線技師及び診療エックス線技師法、歯科技工法、臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律及び優生保護法であります。
 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。
 以上がこの法律案を提案する理由及び内容でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#71
○委員長(片山甚市君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十七分散会
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ソース: 国立国会図書館
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