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1980/04/21 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 社会労働委員会 第9号
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1980/04/21 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 社会労働委員会 第9号

#1
第094回国会 社会労働委員会 第9号
昭和五十六年四月二十一日(火曜日)
   午前十時十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     丸谷 金保君     対馬 孝且君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         片山 甚市君
    理 事
                遠藤 政夫君
                佐々木 満君
                高杉 廸忠君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                斎藤 十朗君
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                福島 茂夫君
                丸茂 重貞君
                村上 正邦君
                森下  泰君
                対馬 孝且君
                安恒 良一君
                渡部 通子君
                沓脱タケ子君
                柄谷 道一君
                前島英三郎君
                山田耕三郎君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  園田  直君
   政府委員
      厚生大臣官房審
      議官        吉原 健二君
      厚生省公衆衛生
      局長        大谷 藤郎君
      厚生省医務局次
      長         山本 純男君
      厚生省薬務局長   山崎  圭君
      厚生省社会局長   山下 眞臣君
      厚生省児童家庭
      局長        金田 一郎君
      厚生省保険局長   大和田 潔君
      厚生省援護局長   持永 和見君
   事務局側
      常任委員会専門
      員         今藤 省三君
   説明員
      警察庁刑事局保
      安部公害課長    中島 治康君
      文部省体育局審
      議官        遠藤  丞君
      厚生省保険局保
      険課長       川崎 幸雄君
      厚生省保険局医
      療課長       仲村 英一君
      厚生省年金局企
      画課長       長尾 立子君
   参考人
      全国戦災傷害者
      連絡会会長     杉山千佐子君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○社会保障制度等に関する調査
 (一般戦災傷害者の援護に関する件)
 (十全会病院問題に関する件)
 (有料老人ホームに関する件)
 (老人の保健医療問題等に関する件)
 (スモン病及び糖尿病等に関する件)
 (心身障害者対策に関する件)
 (重度身体障害者の介護手当等に関する件)
 (高額療養費の地方自治体負担の軽減に関する
 件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(片山甚市君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十日、丸谷金保君が委員を辞任され、その補欠として対馬孝且君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(片山甚市君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障制度等に関する調査のため、本日の委員会に全国戦災傷害者連絡会会長杉山千佐子君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(片山甚市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(片山甚市君) 社会保障制度等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○高杉廸忠君 私は、去る四月の十四日、本委員会における戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案の審議の際、民間の戦時災害者の方々の問題を取り上げました。政府にその援護の必要性を訴えつつ、質疑を重ねてまいりました。本日は、戦災障害者の方々の生の声を国会の場で表明いただくために、参考人として全国戦災傷害者連絡会の会長の杉山千佐子さんをお呼びいたしました。委員長初め理事、各党の方々に御協力を賜りましたことにこの際お礼を申し上げます。
 早速ですが、参考人として御出席いただきました杉山さんにお尋ねをいたしたいと存じます。
 杉山さんには遠いところ、また大変御不自由なところ御出席いただきまして、敬意を表しつつ、以下質問をいたします。
 まずお尋ねをいたしますが、一般戦災の障害者については、政府並びに自民党は一般の社会保障で対処すればよいと、こう言って、わが党を初め各党が共同で提案しています戦時災害援護法案に耳を傾けようとしていませんけれども、現在どんな御要望をお持ちでありますか、簡単にお話をいただきたいと思います。
#7
○参考人(杉山千佐子君) まず私のことを一例として申し上げさしていただきます。
 私は、昭和二十五年三月二十五日の未明、名古屋のあの大空襲で防空壕に生き埋めになりました。眼帯を外さしていただきます。
 女性としてこんな悲しい姿になりました。顔面に醜い傷跡を残し、左の目は爆弾の破片で眼球破裂し、そして右の目も網膜を痛められ、現在視力は〇・〇四よりも以下になっております。絶えず左手は神経を冒されてけいれんと激痛とに襲われ、三十数年間、ああきょうはよかったと思う日はなく、本当に灰色の人生を過ごしてまいりました。同じ日に、生後わずか七カ月の女の子が生き埋めになり、いまもって大脳障害を起こし、痴呆、本当に物も言えない生きた化石のような人間になっております。
 こうした事例は時間があれば幾らでもお話し申し上げたいのですが、時間の制限もございまして、一つ一つ挙げるわけにいきません。私たちは、太平洋戦争のとき国家総動員法令というもので、安全なところへ逃げることはもちろん許されておりません。お国のためと、火たたきとわずかな水と砂とでもって戦ったのです。空から降ってきた焼夷弾、爆弾、よく雨あられのごとくと申しますが、本当に寸断なく降り注ぎました。もんぺに火がつき、防空ずきんに火がつき、多くの者は泣き叫びながら火の中に消えていったのです。幸い命の助かった者も、こうした醜い姿になって現在、地をはうように生き続けております。軍人軍属には、それぞれに手厚い補償がなされましたが、私ども民間戦災障害者には今日まで何の補償もないのです。
 どうか、この苦しみをお察し下さいませ。
#8
○高杉廸忠君 ありがとうございました。
 続いてお尋ねをいたしますけれども、政府は今次大戦の戦争責任を感じつつ、今日まで戦災障害者に焦点を当てての調査も、残念ながらなされてきませんでした。そういった点について、連絡会として杉山さんの方で何か資料をお持ちでありますか。これが第一のお尋ねであります。
 また、一般の身体障害者調査の中で、戦時災害による障害者の実態を把握し、分析したいと、こう言っておりますけれども、先般の委員会の際にもそういうお答えをいただいておりますが、これらについて、どのように杉山さんの方ではお考えになっておりますか。二つお尋ねをいたします。
#9
○参考人(杉山千佐子君) 実は、五十年のときに愛知県が実態調査を行いました。そのときは名古屋市内では身障者が一万五千四百四十三名おりまして、その中に、戦災によって障害を受けた者が二百七十三名判明いたしました。そして五十四年再び愛知県が実態調査したとき、この障害者の数が二百十名に減っております。そのわずか三、四年の間に、多くの者が年老いて死んでいきました。しかもその障害者のうち百八名の者、一級障害持った者は六名です。二級障害二十一名、三級障害二十七名、四級障害三十三名、五級障害十二名、六級障害九名、この数の中で五十四名だけが、福祉年金が受給できる資格を持っております。つまり一級から三級までなのです。しかもその中には、本人の所得制限とか他の年金をもらっているためにもらえないとか、いろいろなことで、実際にこの福祉年金をもらっている数はぐんと減ってまいります。百二名の者と四級以下の者は何の補償もなくいたしております。
 私はこういう調査を、私の足で調査いたしました。お国がしていただけます御調査はどんなふうかよく存じませんが、私どもの仲間で、調査を受けたという者の申し出が一人もないのです。事実、私もいまだかつて御調査を受けたことはございません。どんな結果が六月に出ますのか、それを楽しみにいたしておりますが、どうかこうした実情をよくお考えくださいまして、この障害者はただ手がなくなったんだ、足がないんだという見かけだけの調査でなく、それがどんな原因で、空襲によって、爆弾によって、焼夷弾によってなくしたのだということを、はっきりお調べしていただきたいと思うのでございます。
 戦後三十年以上たちました。そうした中に、ああ本当におまえたち御苦労だったね、お国のために尽くしたんだねというお言葉を、ただの一度も聞いたことがないのです。おまえら勝手にけがしたんだと、区役所へ行けば、手や足の一本ないぐらいでごたごた言ってくるなど鋭い言葉でしかられたりいたします。女が顔をなくしたとき、人生をなくしたのと同様です。ですから、だんだん年老いて父や母も死にました。多くの保護者を亡くした障害者は、みずからの命を絶つよりほかないのです。一昨年も大阪の会長をしておりましたのがついにガス自殺をいたしました。彼女は顔面ケロイドです。結婚を望みに望んでおりましたが、結婚することができなかったのです。女の幸せ、それすらもいただけない私たち戦災障害者なんです。どうぞ実態調査――どういうことが実態調査なのか、もう一度考え直していただきたいと思います。
#10
○高杉廸忠君 さらに続けさしていただきたいと思いますけれども、政府は、私たちの主張にもかかわらず、一般の社会保障で対処すると答弁をし続けてきました。私の先日の質問でも明らかなように、片目失明、片目が〇・〇八以下でないと障害福祉年金も受給できないのが現状であります。一方、援護法では第四項症で百八十万円を超える年金が受給できるわけであります。こういった実態について、私どもも納得はできませんが、実際の障害の方々にはその感が一層強いと思います。杉山さんはどういうふうにお感じになりますか。
#11
○参考人(杉山千佐子君) 軍人軍属の方には、本当に手厚いと申し上げては悪うございますが、それぞれの補償がなされております。しかし、私たち民間人は国との雇用関係がない、内地は戦場でない、そうした言葉で今日まで、この補償対象に入ってこなかったのです。昨年八月に名古屋の地裁で裁判の判決がありました。皆様方も御承知と思いますけれども、この判決で、ちょっと読まさしていただきますが
 「戦後三〇年以上を経た今日においても、十分な補償を受け得ず、今なお戦争による傷跡に苦しみつつ日々の生活を送っている民間被災者が存在することは」
 「容易にこれを窺い知ることができるのであって、これらの人々に対し、国が国家補償の精神に基づきできるだけ広範囲にわたって援護の措置を講じていくことが望まれる」と言っており、
 「法的には、いかなる補償措置を講じていくかについてはなお、国の立法府たる国会の裁量の範囲に属する」とも言っております。
 ぜひこの国会の場で、何らかの援護措置をお決めくださるようお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。
#12
○高杉廸忠君 もう少しお尋ねをさしていただきますけれども、杉山さん、地方公共団体で単独事業として戦災障害者に対して見舞い金、一時金、手当制度を設けているところもありますが、こういったものに対してどのように杉山さんは評価をされていますか、お聞かせをいただきたいと思います。
#13
○参考人(杉山千佐子君) 主に愛知県内の都市、市区町村なのでございますが、津島市、岡崎市、稲沢市それから清洲町、こうしたところで年金または一時金でございます。ようやく愛知県と名古屋市がことしから、一時金というよりも、国際障害者年だからといううたい文句が入って、県が五万円、市が二万五千円というわずかな見舞い金ですが、一時的に出す。この一時金というのに大変ひっかかります。私たち今後も生きていかなければならない、なぜ一時金なのかと思います。しかし、こうした自治体が私たち戦災障害者の存在を認めてくれた、こういうことは大変評価いたします。
#14
○高杉廸忠君 杉山さん、時間の関係で大変恐縮でありますが、当面具体的な御要望として、どんなことをいまお望みになっておりますか、この機会にぜひお聞かせをいただきたいと思うんです。
#15
○参考人(杉山千佐子君) 具体的な要望としましては、まず戦傷病者戦没者遺族等援護法に準じた援護でございます。同時に、当面少なくとも戦傷病者と同じような医療を公費によって完全な保障をしていただきたいのです。そして国鉄の利用、ただいまはまだ乗車半額だけでございますが、こうしたものが無料化する、この程度のことはぜひとも決めていただきとうございます。完全実施していただきたいと思います。
#16
○高杉廸忠君 時間の関係で杉山さんせっかくおいでいただきましたのに十分なお話も伺えませんでしたが、参考人として御出席をいただき、貴重な御意見をいただきまして、この機会にお礼を申し上げます。
 あの忌まわしい戦争の、戦闘員、非戦闘員の区別なく無差別の空襲そして爆撃、戦後三十五年を経た今日においても十分な保障もなく、いまなお戦争による傷跡に苦しみつつ日々の生活を送っておられる多くの方々を代表して、杉山さんから切実な生の声を聞かしていただきまして、国の責任の重大さを痛感いたしております。
 この際、厚生大臣に特に要請もし、お尋ねをいたしたいと思いますけれども、先ほど来から参考人の方の生の声を聞かれまして、その苦しみ、切実な願いをおわかりいただけたと思います。
 大臣は、先日の本委員会における私の質問に際しても、戦後は終わっていない、援護の具体的施策は前向きの姿勢で取り組むと、こう答えられました。大臣もいまお聞きのように、杉山参考人からは具体的な要望として、一つ、戦傷病者戦没者遺族等の援護法に準じた援護をせめて実現をしていただきたい、これが一つの切実ないま願いとして出されました。
 第二として、当面少なくとも戦傷病者と同様に医療に対しては公費による保障を何とか実現をし、医療に心配のないようにしてほしい。
 三つ目として、国鉄の利用に対する傷痍軍人に準じた取り扱い。
 以上のような切実な願いは、いまお聞きしたとおりであります。私も、当面この程度のものは早急に実現をしていただきたい、こういうふうに思います。この機会に大臣ぜひお約束をいただきたいと存じます。いかがでしょう。
#17
○委員長(片山甚市君) ちょっと待ってください。杉山参考人、手を挙げておられますが、一言……。
#18
○参考人(杉山千佐子君) 実は言い忘れたんですが、ここに参考資料にいろいろと障害者の写真を持ってまいりました。もし回して皆様に見ていただきましたら幸いと存じますので、お願いいたします。
#19
○委員長(片山甚市君) それでは大臣の御答弁をいただきますが、いま資料を各委員の席にお回ししてよろしゅうございますか。――それじゃお願いいたします。
 大臣お願いいたします。
#20
○国務大臣(園田直君) ただいまの御質問並びに参考人のお答え、身にしみるものがあります。お答えもさることながら、開会前に杉山さんが持っていらっしゃった杉山さん自身の被爆前のお写真と今日のお写真を拝見をして、一言も言葉を出すことができませんでした。戦後三十六年たっておりますが、この前の大戦の被害、被災というものは莫大なものでありまして、いまなお各所に切実な問題が残っておりまして、これを完全に実施することができないことはまことに残念でございます。残念であるからと言ってこのままほっておいていいとは決して考えておりません。
 いま杉山さんがおっしゃいました三つの御要望、これは事務当局に言わせれば、現行制度のもとでは、現行制度の規定にかからないわけでありますから、どの問題もむずかしいあるいは大変困難だと。たとえば国鉄の問題でも、運輸省と私の協議になりますけれども、援護法に入っていないからこれはなかなかできにくい。それから医療についても、これは大変むずかしい問題。それは現行制度に規定してないから、その枠の外であるからできないとこういう意味でありまして、だからほっていいとは決して考えておりません。大変むずかしい問題であり、財源その他についてもいろいろ問題がある問題でありますが、これは重要な政策課題として被災者の方々の、失礼ではございますが、生命とか寿命とかを考えながら、一つでも前進するよう今後努力していく所存でございます。
#21
○高杉廸忠君 ぜひひとつその実現に向けても、大臣の一層の御尽力を賜りたいと思っております。
 以上で参考人の杉山さんに、大変時間の関係で十分ではなかったかと思いますけれども、御出席いただきましてありがとうございました。
 次に、十全会の問題について質問をいたしたいと思います。
 私は本年一月の二十七日、医療法人十全会病院に対する勧告を機に、十全会病院の運営、医療内容について大きな転換が見られ改善を見るならば、改めて問題として取り上げる考えはありませんでした。残念ながら病院側の対応はそうではありません。したがって、再度この問題をただしたい、このように思います。
 まず、私は片山先生と同行いたしまして、去る三月十一日、京都十全会病院に行ってまいりました。その際、病院側から、当病院はわが国老人医療の先駆的役割りを果たしてきた、こういうふうに述べられました。また、一月二十七日の行政措置後何が改善されているか、こういうような問いに対しまして、日々医療内容は改善されており何も変わったことはない、こういうふうに答えられまして、私たちからすれば反省の色は見られませんでした。さらに、社会的に取りざたされているが、わが病院はあらゆる行政の調査を受けてきているので問題はない、とも言っておりました。
 こういった病院側の対応に対して、片山委員長はどのような御感想、十全会に対する認識を持っておられますか、異例でありますが、委員長と一緒に私も同行さしていただきましたので、委員長の御感想、御認識をまず伺いたいと思います。
#22
○委員長(片山甚市君) ただいま高杉委員から委員長に質問がありましたから、異例でございますが、お答えいたします。
 三月に十全会病院に参りましたとき、病院の院長、理事長の言葉をかりるならば、行政府からの勧告は私たちとしては受けましたけれども、それによって何ら改善する必要がなかった。こういうお答えでございまして、行政府が行いました改善命令については、この勧告については余り関心を払っておりませんでした。
 特に私たちが行って感心したのは、病院が大変清潔であるということでありました。そうしてそこには一病室に百名なり百二十名程度の八十歳を超える方々がずらりと並んだ、まるで生き仏様が並んでおられるという感じで、老後の人間の最後がこのような状態であっていいのかどうか、こういう感じで背筋が寒くなりました。子供たちが親を養うことなくこういうところにたくさんの人がおられました。その方々のお顔、お姿を見ても、決して生活の程度が低い人でなく、知識も教養も高い方々が多いように見受けられました。わが国におけるところの家族のあり方、家庭のあり方等について深く感ずるとともに、十全会病院が成り立っておる根本的なことについて恐ろしく思ったところでございます。三つの病院ともそれぞれ大同小異でありますが、老人医療について、老人の医療対策について根本的に考えなきゃならぬ、そう思ったところであります。
 非常に抽象的なお答えでありますけれども、高杉委員にお答えします。
#23
○高杉廸忠君 厚生大臣、いま委員長から京都の十全会を見られた率直なお話もいただきました。お聞きのとおりであります。
 この問題に対し、大臣はどのようないままで報告を事務当局から受けておられるのか、また、大臣としてはこの問題についてどういうような御認識をお持ちでありますか、この際、まず伺います。
#24
○国務大臣(園田直君) 私は、すべての医療機関に対して大臣として持っております権限で厳しく対処しておりますが、決して厳しくすることがいいとは思っておりません。しかしながら、医療並びに従事する人、医療機関が医療の本来の精神に立ち戻っていただかなければならぬと思って厳しく対処しているところであります。
 十全会は、経緯は御承知のとおりでありますから省略をいたしますが、勧告を出しました。その後、各位のいろいろな御発言あるいは御指導、その他の人々から――十全会の幹部が記者会見あるいはその他の態度で一番感じますことは、私が一番願っておる医療機関の責任者として一番大事な心構えというか、反省というのは必ずしも私はいってない。これを一番大きく見ておるところでございます。そこで、これについては京都府その他を通じてしばしば注意を促しております。かつまた、そういうことでありますから、勧告は勧告としてこれは十二月までに逐次改善をしてもらわなきゃなりませんが、それ以外に医療法または保険の面から、現在、過去において不正な事件がないか、これは別個の問題でありますから厳しい態度をもってこれを指導し、かつまた注意しながら見ておるところでございます。
 具体的な報告については事務当局からお答えをいたします。
#25
○政府委員(山本純男君) 具体的な改善事項を、私どもただいま報告を受けておるところを要約して申し上げますと、医療法の関係では職員の数が不足しておるということを指摘したわけでございますが、これにつきましては四月二十日現在、私どもが報告を受けておりますところでは、常勤医師三名、常勤看護婦二名の増員が図られたということでございまして、まだ不十分ではございますが、今後なお指導してまいりたいと思っております。
 また、ピネル病院のエックス線防護設備が整備されていなかったという指摘がございましたが、これについては整備を行ったという報告を受けております。
 また、初めに申しましたとおり病院の充足がまだ行き届いておらない段階でございますので、入院患者をセーブしまして、やや入院の患者の数を抑制するという方針をとっておるということを報告を受けております。
 あわせておわびをしなければいかぬと思いますが、先生方御視察の折に、院長その他の医師が若干の行き違いがあったために不適切な発言をしたということを、京都府に対して謝ってきたということを私ども聞いております。
#26
○高杉廸忠君 具体的に伺いますけれども、無資格者の診療について、本委員会において私は去る三月の十七日に指摘をいたしました。その指摘をしてから、厚生省の方では具体的にどのような調査をされましたか。これが一つであります。それからまた、その調査の結果それはどういうように出ておりますか、この際明らかにしていただきたいと思いますが、まず伺います。
#27
○政府委員(山本純男君) 私ども京都府に対しまして、御指摘のありました件についての調査を指示いたしたわけでございますが、これを、具体的な医療監視という手続でやる段階まで至っておりませんで、まだ準備中というふうに承知しておりますが、現在の段階では、京都府が病院の責任者を呼びまして聞き取りを行った結果の報告を受けております。その点について申し上げます。
 まず、医療秘書というものが資格のない医療行為その他を行っておるという御指摘がございましたが、これにつきましては、医療秘書の業務といたしましてはこの三病院では、診療報酬請求事務、福祉事務所、患者家族との連絡事務、病院内における患者の搬送等の看護助手業務を行わせておるということでございまして、診断行為、たとえば心電図、脳波といったようなことはやらせていない。機能訓練の関係では、訓練室までの搬送業務を行わせたけれども、医行為に当たる機能訓練は行わせていない。また、血圧測定の関係では、測定値の告知あるいはカルテ記載その他医行為に及ぶことはやらせていないけれども、患者とのスキンシップを図るためということでございますが、血圧測定自体を、装置を操作させたことは認めております。
 以上が調査の結果でございまして、これらの事項に対しまして京都府では、必ずしも違法な行為と断定すべきものは認められないけれども、不適切なものが認められるので、そのような行為については改めるように三月十七日の日にそのような指導を行ったということを報告を受けております。
#28
○高杉廸忠君 本年一月二十七日の勧告を受けて以来、十全会病院は医療内容、病院運営面で十分改善をしていると、こう言えるかどうか。残念ながら態度を改めたとは言えない節が見られるわけです。いまお答えいただきましたように、私は三月の十七日、本委員会で医療秘書、いわゆるメディカルセクレタリーの無資格診療を指摘しました。指摘をしますと、いま次長から御報告でありますと、十八日ではないかと思うんですが、私が質問した翌日の十八日に、十全会においては医療秘書の人たちを集めて、集合がかけられて、病院側から今後医療秘書の人たちは血圧の測定や検尿や機能訓練に携わらないようにという指示をした、こういうように私は聞いております。次長、そういう事実というものを御報告を得ていませんか、あるいは把握をしておりませんか。
#29
○政府委員(山本純男君) 具体的にどういう指示なり何なりをやったかということは、実は報告受けておりません。しかしながら、ただいま申し上げましたとおり、京都府の衛生部の方から病院に対しましては、たまたま新聞にそういう事実が報道されたことに基づきまして、私どもが事実調査を指示いたした結果といたしまして、そういう不適切な行為についてはこれを改めるように指示をしたというふうに報告を受けておりますので、そのことに当たるかというふうに理解しております。
#30
○高杉廸忠君 たとえばいま申し上げましたような、私が十七日に委員会で指摘をした翌日に、十八日に十全会なりに改善をしようという呼びかけをしたと、こういうような経過から見ると、どうも無資格診療がそれまで行われていたんではないかという疑い、あるいはまた、改善をするというならば、それ以前はそういう診療が行われていたんではないかというふうに考えるんです。それはどうでしょう。
#31
○政府委員(山本純男君) 病院職員の日常の行為自体というものは、なかなか行政庁からは事細かく全部を把握するわけには必ずしもまいりませんので、私どもとしましては、その病院全体に対する指導監督の中で、そういうものの改善を求めていくということで対処をいたしておるわけでございます。
 で、いま御指摘のいろいろな医行為に紛らわしい行為というものが多々あるわけでございますが、たとえば検尿といったようなものは、これは必ずしも医行為ではございませんので、違法ということにはならないと考えておりますが、血圧測定ということになりますと、これはかなり微妙な点がございまして、かつてはこれはすべて医行為であると私ども考えて、厳しい指導を行っておったのでございますが、現在では、いろいろ医療技術その他が変わってまいりますと、非常に機械的な操作でありまして、必ずしも医行為生言えないような補助業務という色も非常に強くなってまいっておる、そういうところから、私どもも指導のあり方をただいま検討をしておる段階である。それからまた、リハビリの関係なんかで申しましても、急性の症状にある患者の場合でございますとか、あるいはリハビリ療法の内容がきわめて患者の心身に直接的な影響のあるような行為、そういうものは、これはきわめて明確な医行為でございますけれども、たとえば老人ホームで老人に体操をさせるとか、それをもうちょっと厳しい訓練をするというようなものは、必ずしも医行為とは考えておらぬわけでございまして、その辺はちょっと限界も微妙でございますので、これはむしろ細かい指導よりも、その病院でその衝に当たる人々、ことに主治医である医師の見識とあるいは心構えの問題であろうかと思いますので、私どもも、今後はそういう点に重点を置きまして、病院の運営のあり方については厳しく指導をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#32
○高杉廸忠君 無資格者が診療に当たって、それに対する報酬として機能訓練手当等が支給されているということは、給料の明細から明らかなんです。この四月四日の毎日新聞ごらんになったと思うんですね。この毎日新聞の報道でも給料の明細がこう出ておるわけですよ。私もここに、幾つかの給料の明細書を持っております。この明細書の中にも機能訓練手当その他、血圧測定の手当、こういうものが医療秘書の人たちに現にいままで手当として出ている。こういう事実、これについてはどうなんですか、そういうことがあったという事実についてもお認めになりませんか。
#33
○政府委員(山本純男君) 実は、新聞に載っておりました手当の全部を私ども確認できたわけではございませんのですが、京都府を通じて照会調査をいたしましたところ、昭和五十五年、昨年の一月以降用いられております給与台帳を私どもも見たわけでございますが、その中では、医療秘書に関連いたしまして、責任者手当、管理手当、機能訓練手当、無事故手当、マーク手当、こういう五種十全手当が支給されているというふうに報告を受けました。
 以上の手当の趣旨につきましては、責任者手当といいますのは、医療事務の責任の明確化ということでございまして月に五千円。管理手当につきましては、病棟における事務管理及び患者とのコミュニケーションの促進ということで月額一万五千円。機能訓練手当につきましては、機能訓練場までの患者移送、月五千円。無事故手当は、診療録からの正確な請求事務を達成するための手当、月五千円。マーク手当は、請求事務の正確化の促進ということで、無事故手当を連続六回達成した場合に一回千円ということで説明を受けております。このうち機能訓練手当につきましては、先生御指摘の時点――ことしの三月でございますが、以降は廃止をいたしまして、これにかえて管理手当の増額を行っておるということの報告を聞いております。
#34
○高杉廸忠君 それは、機能訓練手当については三月十七日以降に手当をなくしたんだというふうに想定できるわけなんです。で、無資格者の血圧の測定とか、検尿とか、機能訓練、こういうのは、現行法律で法律違反であると思うんですけれども、どういう法規に抵触するんですか。
#35
○政府委員(山本純男君) ただいま御指摘の行為と申しますのは、そのうち看護助手的な業務というものにつきましては、これは保助看法というところで、保健婦、助産婦その他資格のある者しかできないということになっておりまして、無資格の者がこれを業として行う場合には問題があるのでございますが、先ほど申し上げましたとおり、検尿といったような単純業務の場合には、これは必ずしも、その周辺ではございますが、医行為そのものではないので違法ではないというふうに解釈しております。また機能訓練の場合には、これは保助看法におきまして保健婦、助産婦、看護婦のほか機能訓練士、OT、PTの資格がなければできない業務でございますけれども、これまた先ほど申し上げましたように、その中には医行為に該当するような訓練内容、それから必ずしも医行為に該当しないような単純な補助的な訓練内容、それぞれございまして、その間はなかなか微妙な、ここからここまでということをきちんと申し上げることはなかなかむずかしいのでございますが、一例として先ほど申し上げましたように、急性症状のある患者に対する機能訓練、あるいは患者の心身に強い影響を与えるような刺激的な内容を持つ訓練、こういうものは医行為に該当するので、これを無資格者が行えば違法であるというふうに考えております。
#36
○高杉廸忠君 非常な微妙な点もわかりましたが、警察庁の方にちょっとお尋ねをしたいと思いますけれども、いまお聞きのように非常に微妙でありますが、一方では医療費として請求をしている訓練ですね、こういうような場合、いま説明をいただきましたように、保健婦助産婦看護婦法、こういうものに触れると思うんですけれども、こういう事実について、警察庁として確認をしたことがありますかどうか、お尋ねをいたします。
#37
○説明員(中島治康君) 警察としては確認したことはございません。
#38
○高杉廸忠君 先ほど来からの私の質疑を聞いていて、微妙であるがやはりそこに法律に抵触する問題もあるということができるわけですが、私は、ぜひ確認に乗り出していくべきだ、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょう。
#39
○説明員(中島治康君) いろいろな問題がございますが、医師法違反になるかならぬかという問題、これは厚生省側の御見解がまとまることがまず前提だと思いますし、それから不正請求の関係、私どもの方は保険請求を見る立場にございませんので、そういった審査の結果について御連絡いただければ、しかるべき措置をとってまいりたい、こう考えております。
#40
○高杉廸忠君 保険請求じゃなくて、要するに、いまあります現行法上の保助看法ですね、実は無資格者が、資格がない者が行った行為、これは現行法に抵触するんではないか、こう言っているわけですから、その疑いがあるとすれば確認にぜひ乗り出すべきではないか、こう申し上げているわけです。
#41
○説明員(中島治康君) 先生の御趣旨わかりましたので、京都府警の方とも十分連絡をとりまして、その方向で努力してまいりたいと思います。
#42
○高杉廸忠君 厚生省の方にお尋ねをするんですけれども、いま申し上げましたような無資格者が行った訓練、検査、この保険の請求というのは私は不正請求の疑いがあると思うんですが、いかがですか。
#43
○政府委員(大和田潔君) まず保険診療の請求につきまして、実は医者が立ち会わないということ自体、医者が立ち会わないで水中機能訓練を行ったと、医者の直接指導監督がなくて、そういったものを保険請求するということ自体、実は架空請求のような明らかな不正でないにしても、これはきわめて不当な行為であるというふうに私ども考えておるわけでございます。その前に、無資格の者がこれに携わったと、その機能訓練自体行えない者がこれを行ったというようなことにつきましては、これはたとえば一時的にそういった者が補助したといったような場合であれば、その医療行為自身が無効に属するようなものとは考えられないわけでありますが、もっぱら無資格者が常時そういう行為を行ったということになれば、やはり非常に問題があるというふうに私ども考えておるわけでございます。
#44
○高杉廸忠君 その無資格者の医療行為による保険の請求、これは非常に微妙でありますが、私は不正請求の疑いがある、すでに受給された部分については調査をして返還させるべきものだと、こういうふうに思うんですが、いかがですか。
#45
○政府委員(大和田潔君) この問題につきましては、すでに私ども京都府に対しまして調査を指示をいたしておるわけでございまして、その結果を待っておるところでございます。
#46
○高杉廸忠君 次に、水治療訓練についてお尋ねをいたしたいと思うんですが、昨年の十一月二十七日本委員会においてその実態についてただしました。厚生省はその時点では、十分調査をしていなくて実態の把握がなされていなかった。そこで、私はどうも不思議に思うんですが、事実は、昨年の十月の三十日、三十一日の厚生省と京都府の調査では、私の質問以前に、すでに医師等の直接指導監督でないまま実施したものについて、保険請求がされたものがあったことを把握していたんではないかと、こういうふうに思われるんですが、こういった不正請求の実態について、私は大臣にこの際特に伺うのは、どういうような報告を受けておられるのか、またその報告を受けられたら、どのように対処するお考えですか、この際明らかにしていただきたいと思うんです。
#47
○国務大臣(園田直君) そういう調査があり、これに基づいて不当な支払いは返すことを命ずる、これに対する対応の処分をすることは必要であると私は考えております。
 そこで、いまの問題は、京都府を通じてそういう事実がどうもあると、そこで金を返せと、こういうことになっておるが、正直に言うと勧告文にそういうことは書いてないと、こういう返答があったというので私は非常に怒っておるところで、勧告文はあの時点の反省を求めるための勧告でありまして、過去の不正事件とは全然別個の問題でありますから、過去、現在におけるいろんな不正、不当な事件があれば、これはほかのものよりも厳しく、私は対応すべきであると考えております。
#48
○高杉廸忠君 大臣、ぜひひとつその強い姿勢で臨んでいただきたいと思うんです。
 水中機能訓練ですね、これについて伺いますけれども、体の不自由な人の機能回復のために通常ハーバードタンクを利用する理学療法であります。一回五十点でありますから五百円。十全会病院ではこのハーバードタンクをほとんど利用しないでポリバスを使いまして、そして無資格者の手で一日に千ないし千二百人に対して行う。これは試算してみますと、月に十二回として年間約七千二百万円、これを仮に四年間と見てみますと約二億八千八百万円程度の請求がなされているはずであります。私の考えによれば、この大部分は医療に名をかりた不正請求の疑いがあると言わざるを得ません。こうした診療費の不正請求の疑いに対して、厳正な措置がなされずしてこれから行われようとする医療費の改定の引き上げ、私は断じて許すことができないと思うんです。こういった解決を迫られている問題の基本について、医療費引き上げの以前の問題として、厳正に私は措置すべきだと思いますけれども、厚生大臣どのようにお考えになっておりますか。
#49
○国務大臣(園田直君) 医療の信頼を回復するためにも、特に当面の医療費改定の問題に関しても、保険外負担の問題とか、あるいはこういう不正事件を厳重にやることがその相談する前提であるということは、御意見と全く同じに考えております。
#50
○高杉廸忠君 先ほども大臣にお願いをいたしましたとおりに、適切な措置がなされずに今日に至っておる。大臣の手で一日も早くぜひひとつ処理をしていただきたい。お願いをしておきます。
 こうした医療の内容に対して、厳正に対処をしチェックをしていくのは、現在の体制では十分とは考えられない。先般以来検討が続けられております医療法について伺いますけれども、医療法人の指導監督、そういう規定の整備の中で医療法人に対する立入検査、これを行うことができるようにしようとしておりますが、この立入検査というのは、具体的にどういうようなものをお考えになっておりますか、この際明らかにしていただきたいと思います。それから医療内容のチェック、こういうところまで検査の対象としているのかどうか、そのお考えも聞きたいと思います。
#51
○政府委員(山本純男君) 私どもが現在、審議会にお諮りする等準備を進めております医療法の改正案の中におきまして、医療法人に対しまして立入検査の条文を整備したい、こう考えておるわけでございますが、これは従来、医療法人につきましては報告を求めることができるだけでございまして、ある意味では話し合いの監督という形をとっておったわけでございますが、これを財務その他につきまして、私どもから立ち入って書類等を検査できるという内容のことを規定したいと考えておるわけでございます。これはあくまでも法人に対する監督でございますので、病院の診療その他ということには、間接的にしか及ばない内容というふうに考えております。
#52
○高杉廸忠君 私は、医療内容のチェックを通じて適切な医療がなされているのかどうか、これを把握することなくして医療における不正行為をなくすことはできないと、こういうふうに思っています。したがって、そのための体制づくりと早急な医療法の改正、これを期待をしているわけでありますが、今回の諮問の案ではそれにこたえられているのかどうか、この際ちょっと伺いたいと思うんです。
#53
○政府委員(山本純男君) 医療の内容のチェックということは大変むずかしい課題でございまして、私ども衛生法規という立場から医療法また医師法という身分制度それぞれ所管しているわけでございますが、現在、そういう法体系の中で私どもが医療機関に対して指導監督を行います場合には、一つは建築物、設備、それからまた定員配置という面についての形式的な内容をチェックすることが一つできます。また、そういう設備の機能という面について、これが十分であるかどうかということをチェックすることはできます。しかしながら、医療の内容と申しますのは、実はその中心は患者と医師とが向かい合いまして、医師がその患者の病状、治療方針というものについて判断をし、方針を決めるということが中心になるわけでございまして、これは現在の私どもの医療全体の法的な体系の中では、あくまでも主治医である医師の判断というものが最優先するということになっておるわけでございます。これを行政庁が外から、その判断が正しいか誤っているかということをチェックをしていくということは大変むずかしいことでございまして、そのためには何らか、たとえば診療報酬の場合には、ある場合には必要な医療であったかどうかということは検討されている例があるわけでございますが、そういうきわめて例外的な場合にしか行われていないわけでございまして、これを一般的に医療内容につきまして検討する、法規制を行う、あるいはそういう機構を設けるということは、大変むずかしい問題であるというふうに考えております。
#54
○高杉廸忠君 聞きますと、必ずしも十分な対応ができる、こういうふうには思いませんですがね。
 そこで大臣に伺うんですけれども、私は昨年の十一月の質問でも、対応するには大臣の直轄のもとに、移動Gメンとも言うべき遊軍を持って、時期を失せず医療内容のチェックを行うような体制を要望いたしました。その際大臣は、「機に適し、時宜に適してあるいは移動し、あるいは急襲的に目標を選んでやることが必要になってきた」と、こういうふうに答弁をされました。そういう移動Gメンのようなものについて具体化される、そういうことについてはどういうふうなお考えを今日お持ちでありますか、大臣に伺います。
#55
○国務大臣(園田直君) まず先ほどの、いま準備しております医療法改正の問題でありますが、私はこの立入検査というのは、どの病院、どの法人についても立ち入りをいたしますという趣旨の立入検査ではなくて、まじめにやっていらっしゃる方のところには医療に対して口を入れてはならぬと、これが原則。ただし、そういう微妙なところを利用してしりをまくってくるような医療機関で、どうも手が出ない、くつの裏からかいているようなかっこうではいけませんので、そういう場合にはこういう権限でやりますよという一つの重みをつけるためにお願いするわけでありまして、なお、医療直接については、厚生省としてはチェックはできませんけれども、保険、あるいは支払い、あるいは常識的な医療については、たとえば注射、検査、治療法が適正であるかどうかということは、私が口を出すべきことではない。出せませんけれども、一カ月に千回も検査したとか千本も注射を打ったとかいうのは、これはもう医療技術を超えた社会常識の問題でありますから、こういう問題はチェックをすべきである。かつまた、医療自体については厚生省が口を出すべきことでないことは、専門のお医者さんやそれぞれの機関と相談をすればわかることでありますから、これもやはりやるべきことである。そのために、いまは都道府県を通じてやっているだけでありまして、十全会もそういうところに問題があるような気がいたしますので、やはり指導、監査の体制を強化をして、今年度の予算でもこれを増強するようにしてございますので、直接本省からそういう最も拒否すべき事態が起きた場合には、出ていって直接検査をしたり指導したりするという体制をつくる準備をいたしております。
#56
○高杉廸忠君 従来行ってきたような事前予告の監視体制では、組織的な金権体質に覆われた医療をなくすことはできないと思います。昨年厚生大臣が提唱されました警察、大蔵省それから国税庁、厚生省、この三者構成のねらいが継続して生かされ、金権体質の医療にメスが入れられなければならない、こう思っています。
 医療法の問題でありますけれども、医療法の不十分な点は改めて、早急に医療法の改正提案を図るべきだと思いますけれども、大臣どうでしょう。
#57
○国務大臣(園田直君) 医療法の改正は、関係方面の御意見を承って調査しているところでございますが、一日も早くこれを国会に提出をして御相談をしたいと考えております。三省の連絡会議、これはいままでやってまいりましたが、どうもこれは警察、国税庁、こういう方々は非常に積極的に御協力を願っておって私は感謝しております。厚生省自体に問題がある。警察が何か調査をして問題が出てくる、あるいは国税庁の方で問題をみつけてきてやられる。その場合に、その後に厚生省が続こう、こういうことではなくて、この三省会議は、厚生省がちゃんと目星をつけて、おかしいところはおかしい。しかし自分の権限ではできないと。厚生省が主体になって警察や国税庁にお願いをすれば効果が十分あるはずでありますが、その点がなかなかいままでは、いま先例がございませんので、私は先例は新しくつくることが先例だ、こう言っているわけでありますが、今後そういうことに特に重点を置いて、厚生省の事務当局にもお願いをして、この三省会議はこのまま続けるばかりでなくて、これが本当に目的を達するようにやりたいと考えております。
#58
○高杉廸忠君 十全会の問題につきましては、私が手がけましてからも約半年を経過しようとしております。残念ながら今日まで、多くの問題が未解決のままに残されておるのが実情であります。これに対し私は、国会の内外を通じて今後とも問題の解決に向けて全力を挙げて取り組む所存でありますが、十全会の不正な医療行為に対し、私はぜひ大臣に期待をする一人でありますし、大臣の在任中に、いま半年かかって私も幾つか指摘をいたしましたこと等を含めて、決着をひとつつけていただきたい。この機会にお約束を願いたいと思うのです。
 同時にまた、私はこういう問題の解決なくしては、今後審議が予定されております老人保健法、この創設、あるいは医療法の改正、また中医協の場で論議されようとしております医療費の改定、医療費の問題等々について、私は医療に対する国民の理解と信頼、これは本問題の解決以外にない。そのことが国民の信頼を回復する医の道であると思います。大臣の在任中に決着をつけていただくお約束と、今後これに対する大臣の決意を伺いまして、私の質問を終わります。
#59
○国務大臣(園田直君) この問題が一年、二年ではなくて相当長期間続いてきたというところには、いろいろ厚生省の反省、制度に穴があるとか、あるいはそのほかにまたいろいろ事情があることは先生御承知のとおりであります。いまようやくこの問題を取り上げて、そして勧告まで持っていったわけでありますが、決して私は心を緩めておるわけではありません。これは十全会を私は目標にしているわけではなくて、全国の医療機関がこれを見て良心と自省に返ってもらうことを願っておるわけでありますから、十全会の方で本来の医療法人の精神に立ち返っていろいろ改善を得ていただくならば、私も進んで十全会に援助をいたしますけれども、そうでない限りは断じて手は緩めない覚悟でございます。
#60
○安恒良一君 私は、向陽会サンメディック倒産問題の事件について、少しきょうは大臣並びに関係局長にいろいろ御意見を承るとともに、善処方をお願いをしたいと思います。
 御承知のように高齢化社会を急速に迎えつつあります。こういう中においてお年寄りの方々の安住の地をどこに求めるかということで、いろいろわが国において問題が出ておりまして、その一つの問題として公的な老人ホームというのがございますが、なかなか急速な高齢化社会を迎える場合に、御希望されるすべての方々をそこで収容できない、こういう中で、最近新しく有料老人ホームというものが建設をされつつあることは御承知のとおりだと思います。どうもこれがまたお年寄りを食い物にする、もしくは営利の目的でこれがやられる、こういう方向に走りつつあるのではないかということを非常に心配をいたします。もちろんわが国は資本主義社会でありますし、自由主義企業のもとでやられますから、全面的にそういうことを禁止をし得ないと思いますが、少なくとも一生懸命人生を過ごされていよいよ安心した老後を送りたいというお年寄りを、いわゆる営利の追求の目的に供するということは私はやっぱりよくないことだと、こういう意味で、たまたま大きく問題になっております向陽会サンメディック事件についてお聞きをしたいと思いますが、まず、この事件の概要と現在問題点、こういうところについてどのように把握をされておりますか、お伺いをしたいと思います。
#61
○政府委員(山下眞臣君) 向陽会サンメディックと申しますのは、株式会社向陽会福祉開発センターというのが経営をしております有料老人ホームでございまして、昭和五十四年の五月に事業を開始いたしたわけでございます。この建物を建設いたします場合の工事代金は入居者からの入会保証金、これを集めてそれをもって工事代金に充てるということを予定いたしまして建設されたわけでございますが、入居者が予想を大幅に下回りましたために、その工事代金の支払いが滞った、こういうことでございます。そのために、その建物を建てました建設会社が、工事代金が支払われていないからということでその支払い訴訟を提起いたしまして、それに伴い仮処分といたしまして空室を封印するというようなことが行われたわけでございます。そういったことから、このサンメディックの経営が非常に資金繰りが困難となりまして、五十五年、昨年の春には銀行取引を停止されてしまいまして、事実上倒産の状態になったということでございます。
 その後も、当初一番多いときで三十五名程度まで入居者があったのでございますが、他のホームに彩られたり入院されたり、あるいは自宅へ帰られたり亡くなられたりという方を除きまして、約二十名程度の方が現在、向陽会サンメディックで日常生活を続けておるわけでございます。
 その間におきまして、その建物の地主、それから建設いたしました建設会社、それから有料老人ホームを管理いたします向陽会サンメディック、三者の間で訴訟合戦で調停が続けられてきておるという状態でございますが、その調停がいまだ解決に至らないというような状態になっておるわけでございます。その間におきまして、入居者の中からも理事長に対しまして強い不信を持つ者が出てまいりまして、率直に申し上げまして二十名の入居者が二つの派に分かれまして、もう理事長に対する不信感がきわめて強いグループ、これは自主管理をするということで、一部の者は依然として向陽会の方に食事等の世話をしてもらって入居しておる状態ですが、自主管理派におきましては、もう管理費を向陽会には払わない、自分たち自身でやっていくということで、みずから金を出し合い、かつまたボランティア等の御協力をいただきながら生活を送っておるという実情にあるわけでございます。
 ごく大ざっぱな概要から申し上げますと、そういった実情に現在ございます。
#62
○安恒良一君 私どもは四月十八日の日に、社会党の衆参の社労の委員三名、それから他の国会議員二名、五名で実はこの状況について実態調査をしたわけです。
 いま局長が言われたこと、きわめて平面的に言われたんですが、大変な問題が起こっておりまして、現代お化け屋敷といいますか、もしくは幽霊地獄のような形に現実になっていますが、そういう問題点については、あなたは報告は受けていないんですか。あなたはいま淡々と言われて、何かいわゆろ倒産事件のようなことを言われていますが、いろいろ問題が起こっておると思うんですが、担当局としていろいろ問題点については把握をされていませんか。
#63
○政府委員(山下眞臣君) その間におきまして、支払いが滞ったりいろいろなことがございますために、あるいは電気をとめるとか水道をとめるとかいうような事態が生じかねないような状態になっておりましたのを、東京都当局におきましては、電力会社あるいは地元の水道に話をして、その点については続けてもらうというような折衝等もいたしております。しかしながら、御指摘のとおりそういった状態の中での生活をお年寄りの方が送っておられるわけでございますから、たとえば入浴にいたしましても、自主管理派の方はやや離れた町の老人福祉センターに週二、三回通って入浴をされる状態にあるとか、あるいは食事につきましても、自主管理派の方は向陽会の方でめんどうを見ない状態になっておるものですから、町から店屋物をとって飯を食べるとか、たまに日曜や土曜等に、たまにと言っては大変失礼でございますが、ボランティアの方の善意によりまして、家庭的な食事をいたすというような状態等でございまして、まことに入られたお年寄りの方々にとりましては、当初の期待に反した非常に不満足な、不本意なる生活を送っておられる実情にあるものと思うわけでございます。
 私ども、よく都と連絡をとりながら、できるだけお年寄りの方の御希望、御相談に応じまして、できるだけのことはいたすように努力をいたしてまいりたいと考えておるわけでございますが、十分の状態にはなかろうというふうに認識をいたしておるところでございます。
#64
○安恒良一君 大臣、実は次のようなことが調査で判明したんですが、まず、いま社長をしている森田というのはどうも大変いかがわしい。こんなことを言うのは失礼でありますが、ここをやる前にも一九七四年九月から七五年の十二月に、多摩市域内で老人医療施設をつくるとして株式会社「ゼロトピア」を設立し、社長に就任し、自民党の有力な代議士への架空の政治献金名目で、資金を飲み食いに流用したと、こういう人物なんですね。そして、この人物は入居者から大体一人平均約千六百万ぐらいの入会費を取りまして、それだけでももう五億ぐらいあるんですが、この鉄建の方に払っているのは一億一千九百六十万円しか払わない。残りの金はどこに行っているのかわからぬ。ここに一番問題があるわけです。そういう中で鉄建側がやむを得ず、いま言われたとおりに裁判になったわけですが、これは鉄建側と地主と向陽会の間における問題の裁判なんですが、それに対して老人を、入会費を五億も払っている人を巻き添えにしているというところに、一番大きい問題があるわけですね。一番大きい問題。
 たとえば電気料金なんかは、八一年の一月末現在で東京電力に対する未払いが三百万円ちょっとあります。水道料金も、羽村市に対する水道料金が百三十万円も未払いになっている。にもかかわらずに、これは東京都なり羽村市の御尽力によって、また入居者の要求によって一応電力は供給されている。ところが、電力は供給されているんですが、調べてみますと、こういう森田社長のやり方に大変不満を持ちまして、一月一日以降、入居者十二名は向陽会に対して、
  債務不履行によりサンメディック入居契約を解除し、入会金の返還を請求する。
 民法第五四六条に基づき、右入会金の返済あるまでサンメディック内において生活を続ける。この間に光熱費・施設利用費等向陽会に対する支払分が生じた場合は、入会金返還請求権との間で対等額につき相殺する。
 精神損害による慰謝料も別途請求する。
という通告。私はこれは当然なことだと思うんですね、お金を払っているんだから。
 ところが、この理事長たるものや、自分の方針に違反をしてこのようなことをしたのに対して、食事を供給しないというのですね、食事を供給しない。それから、ふろがあるんですが、ふろには入れない。そこで局長が言ったようにやむを得ず村のいわゆる公衆浴場に週にたった二回だけ老人が入っておられる。食事を供給しませんから、地区の労働組合や社会党を初め、たとえば去年の年末二十日から末日まで六十六名、宿直者が十七名。一月は百六十四名、宿直者五十四名。二月が六十五名、宿直者三十五名。三月は七十二名、宿直者四十二名。計三百六十七名のボランティアの方々が行って給食の世話をする。それから百四十八名の方が宿直をする。こういうことをして老人を守り続けている。そういうことが平気でまかり通っているわけですね。
 そして、なかなかこの森田という男は大変な巧妙な人間でございまして、調べると、なかなか簡単に警察権の介入ができないようなやり方をしている。たとえば鉄建の問題にしましても、いわゆる地主と向陽会に対して森田は単なる保証人にとどまっている。こんなのはいわば知能犯というそういうやり方をしておりまして、しかも、たとえば私ども調査しますと、身体障害者の方がお入りになって介護が必要だと、こういう方がふろに入りますと一回五千円のふろ代を取っていますね、一回五千円のふろ代。それから、同じこのサンメディックの中から隣の診療所に移るとか部屋を移るということで、身体障害者の方の部屋を移すときに一回移転料二十五万円。そういうことが平気で行われておりまして、そしてしかも電力会社に自分の方は払わなくて、今度入った人間に対して自分に抵抗すると、たとえば六百十二号室に日置吉造さん夫婦が住まわれておりましたが、電灯を全面的に切っているわけです。なぜ電灯を切ったのかということで調べてみましたら、いま申し上げたように給食をしない、一切をしませんからボランティアの方々が出てきて給食をしてお年寄りの食事の世話をしなければならぬからしている。それから反対派の人がおるところの廊下の非常灯まで全部消しているんです。真っ暗です。お年寄りは困ると、こういうことで懐中電灯をつけ保ている。こわくてしようがない。こういうようなことから宿直をする。そこで四階のクラブ室に宿直する人々が泊まる。そうすると、まずそこの電気切るわけです。それじゃかなわぬということで、六百十二号のお年寄りの方が自分のところの電気を四階のクラブ室にコードを引いて回すと、勝手に電気を流用したからということで、今度は六百十二号室の日置さんの電気を消してしまう。いまもって消しているわけです。電気を消してしまう。それは電気代を、契約のときに月に約二千円支払う、管理費のほかに二千円支払うという協定があります、それを盾にとる。ところが、自分はすでに一人から千数百万円も預かっておって、その約束を不履行しておきながら、自主管理に入ると途端に給食を打ち切るとか、もしくは自分の意向に沿わない方については電気を切る。ましてや私は、消防法違反だと思うんですが、非常灯等を全部夜は消してしまう。こういうやり方がまかり通っているわけですが、現行のあれではこれは何ともしようがないということで、こういうことがまかり通っていいんでしょうか。大臣、こういう点はどういうふうに思われますか。
#65
○国務大臣(園田直君) そういうことがあってはならぬ、二度とこういうことを起こしてはならぬと思いますけれども、現状はこのままほうっておくと、こういう事件がまだ起こるおそれは十分ある。一方また、御発言のとおりに有料老人ホームというのは、非常にあちらこちらへ出てくる傾向がありますので、そういうことがあってはならぬ。そうすると問題は、向陽会と地主と鉄建ですかの関係は私にはさほどあれはありませんけれども、あり金をはたいて老後を安心しようと思って行かれた老人方が何というか、逆にひどい状態に置かれている。これはこの事件に対して私の職務権限があるなしにかかわらず、厚生大臣の立場としてはこれを見逃すわけにはまいりません。
#66
○安恒良一君 まずお願いをしたいのは、東京電力はお金を払ってもらわないにもかかわらずに、東京都なり村からの要請があって電力を供給しているわけですよね。だから少なくとも私は、反対派であろうと何であろうと廊下における非常灯、廊下の灯を私はともすべきだと思う、自分は金払ってないんですから。それを承知で東京電力は国や東京都の要請に基づいてお年寄りのことだからということで電力は供給しているわけですから、それが気に入らぬからといって、自分の意向に反するからといって個人の電気、しかも大臣、ここは油による暖房をやっておったのですが、これも油代を払いませんから、一月から暖房は一切ないんですよ、暖房はないんです。その上電気も消されたらお年寄りは生活しようがないですよ。こういう点はひとつ、有料老人ホームであっても、厚生行政としてそういうことはやっぱりまかりならぬと、直ちに東京都とも連絡をとって、いわゆる非常灯等はちゃんと消防法に基づいてつけるものはつける。それから電気を、部屋によって気に入らぬからといって消すということはいけない。自分は電力料金払ってないでネコババしておきながら、そんなことがまかり通っている、そういう指導は私はやっぱり間違いだと思う。そういう点は直ちにひとつ是正してもらいたいと思いますが、どうですか。
#67
○政府委員(山下眞臣君) 私どもとしましても、できるだけ速やかに実情調査して、できる限りの善処をいたしたいと存じます。
#68
○安恒良一君 早急にひとつ実態を調べられて、全くそういう無法的なごとがまかり通っておりますから、ひとつやっていただきたい。
 そこで、第二番目に御質問したいんですが、現在有料老人ホームはこれ大臣、届け出制になっております。この場合も東京都に、調べましたら、届け出があったんですが、中身が適切でないから是正勧告をしたのが、そのままにこれはしっぱなしになっているんですね。ですから、届け出制というのはなかなか法的にどうこうできないわけです。ですから私は、やはりこれから恐らくこの種の有料老人ホームというのはふえてくると思いますが、こんなことが再びあってはいけないと思いますから、届け出制だけでは不十分だ、少なくとも私は、認可制にするとか許可制にするとか、何か中身がチェックできることをしないと――これはたまたま一つこういうことで出てきたんですが、どうも私は有料老人ホームというものがいわゆる単なる届け出制だけではいけない。たとえば、世の中では、有料老人ホームというのは一千万とか七百万とかお金を払って行くんだから金持ち老人でいいじゃないか、こういう意見も世の中あるように聞いています。しかし私は、入られた方に聞きますと、一生懸命人生でかせいだなけなしの金をみんなはたいて入られているわけですよ。もしくは、自分の持ち家も全部処分して入っている、こういう方々であって、何か単純に、お金持ち老人などという物の見方は間違っていると思います。でありますから、その意味から言うと、これからの有料老人ホームの問題について何らか私は厚生省として方針をお考えになるべき時期に来ていると思いますが、何らかこの問題について、この事件を契機に懇談会等が持たれているようでありますから、いま申し上げたこと等の懇談会の中身であるとか、これからどうしようとされているのか。私は、単なる届け出制でどんどん有料老人ホームがつくられていくということにはいろんな問題がこれから起こりそうな気がして、大変心配をしている者の一人でありますが、そういう点はどうでしょうか。
#69
○国務大臣(園田直君) 先ほど申し上げましたとおり、老人ホームというのはだんだんふえてくると思うし、ほっておくといまのように、営利専門の方にだんだん流れてくると思わざるを得ません。
 そこでいま、このことも含めて懇談会に検討を相談しておりますけれども、私は、基本的にはなるべく民間の創意と工夫と白制によってやるのが基本であると思いますけれども、しかし、このような現状はやはり今後のことを考えますると、ここに何らか規制を強化せざるを得ません。かつまた、規制強化すべきであるという御意見が各方面から来ておりますので、そういうことを考えながら、どうやるか検討したいと考えます。
#70
○安恒良一君 自由主義社会、資本主義社会の中のこの事業でありますが、たとえばいま問題になっているのは二つあるわけですね。いわゆるお年寄りの有料老人ホームのあり方、いま一つはやっぱりベビーホテルなんですね。ですから私は、子供とか高齢者とかこういう、弱い方々という言葉がいいのかどうかわかりませんが、そういう方々に対する措置というのは、単なる自由主義社会、資本主義社会だから競争の原理においてやればいいということではないと思うんですね。やはり人生の大半を一生懸命働いて、社会の発展に貢献をされ、一定の高齢者になって安住の地をこういうところに求められるという方々については、社会的に考えても弱い立場にある、そういう人を、営利の目的とかもしくは今回の森田のような食い物にするなどというやり方については、私は、自由主義社会であろうと資本主義社会であろうと何らかの規制がされて、そういうベビーホテルの子供であるとか、老人というものがやはり社会的に保護される、これが私は国の厚生行政だと思います。
 そういう意味で、ぜひ大臣、そこのところについて、いま懇談会を持たれていると思いますが、ひとつ前向きにやはり保護していく。いま一つは、やっぱり弱者保護という立場からも保護をこれ考えていかないと、このままでいきますとまた第二、第三の向陽会サンメディックが出てきやしないかということを実態調査に行って、しかも非常に巧妙にこれはつくられておりますから、実は考えるんですが、そういう点を重ねてちょっとお聞きをしたいと思います。
#71
○国務大臣(園田直君) 医療とかあるいは保育所だとか、あるいはこういう老人関係のものが、営業は自由であるという言葉のもとに抜け穴をつくられては、これはたまったものでございません。そこで営業の自由というのも、結局は国民の利益を守ることでありますから、老人、子供、医療、こういうものに関することはある程度の規制があって当然だと私は考えますので、そういう方向で検討をいたします。
#72
○安恒良一君 これはすでに、東京地裁におきまして関係者の間にこの問題解決のためのいわゆる調停工作が行われておりまして、八〇年度中に七回、今年になりまして二回行われまして、次は五月二十一日になっております。
 そこで、入居者中すでに訴訟を起こされている十二名の方々は、もうとってもこんなところにおられない、そこで、自分たちが入居をしたときの入会金を返してもらいたい、そして、他の有料老人ホームなりしかるべきところに移りたい、こういう希望が非常に強いわけです。私、行ってみまして、とてもあんな状況ではお年寄りがあそこにとどまることは不可能だと思います。
 そういうことで、裁判長の御尽力によっていま関係者における調停が進んでいるようでありますが、中身を聞きますと、率直に言って、鉄建建設が入居者の皆さん方に対してどれだけのお金を払うか、というのはなけなしのお金を全部はたいておりますから、入居者の皆さんとしては自分が払った金全額、こういう御希望があることは当然でありますが、そういうことで、かなり中身についていろいろ調停が進んでいるようであります。
 そこで、私は大臣にお願いをしたいのでありますが、一刻も早くこの調停が成功するように、それがためには、鉄建建設に対してひとつ大臣の方からお口添えを願えないか、まあこれは法的にどうこうできることではないのでありますが、私はやはりそういう中で鉄建建設、地主、向陽会、それから請求人、この方々との間に話し合いがつくのじゃないだろうか。そしてこの方々が、やはり一日も早くほかに安住のところが求められるということがきわめて必要だろうと思いますし、また私は鉄建建設の立場から考えても、いまのままで空き室をたくさんつくって封印したままどんどんやったって、何ら得するところはないと思うんですね。でありますから、そういうふうにしていかないと、でなければ結局一番悪い森田というのが公然とのさばって、いま言った不法行為をどんどん、どんどん続けるだけなんです。でありますから、森田の不法行為を断つ意味から言っても、関係者における円満な解決が一日も早く急がれるところだと思います。
 そういう意味におきまして大臣の、円満な解決のために、すでに地裁において調停がされておりますが、ひとつお口添えをぜひお願いをしたいと思いますが、その点いかがでしょうか。
#73
○国務大臣(園田直君) すでに裁判の調停に入っていることでもありまするし、職務権限から言っても非常に微妙な問題でありますけれども、しかし入っている老人の立場を思うと、そのままほっておくわけにまいりませんから、私が動いて少しでも解決に向くなら幸せでございますから、できるだけもっと実情を詳しく調査し承った上で、できる場面があればいかなる努力もしたいと思っております。
#74
○安恒良一君 大変ありがとうございました。私どもが調査をしまして調停の作業の進みぐあいを聞いておりますと、ここで大臣のお口添えがあれば、ある程度私は、円満な調停が次回あたりからできるんじゃないだろうか、こういうふうに実は大臣、その実態を関係の弁護士さんからもいろいろ聞いてまいりましたから、ぜひ大臣のお口添えを強くお願いを申し上げまして、ひとつこの問題についてぜひ、まあ申し上げましたように次回が五月二十一日でございますから、その前に実情調査を大臣していただいて、そして大臣から関係者に対して、ぜひ解決のためのお口添えを心からお願いをしたいと思います。よろしゅうございますか。
#75
○国務大臣(園田直君) はい。
#76
○安恒良一君 それじゃ、大臣から調査をしていただくことと、解決のためのいろいろ関係者に対するお口添えをしていただくことを約束をしていただきましたので、向陽会サンメディック問題は終わりにしたいと思いますが、ぜひ局長、いま申し上げた電気をとめているとか、それからいわゆる入浴をさせないとか、非常灯をつけてないとか、こんなことは、これはいまの調停とは関係なく直ちにできることですから、ひとつ大臣の意を受けて東京都とも十分相談をして早急にそういうむちゃなことを、お金は取っているわけで。すから、電気をつけないとか非常灯をつけないとか、ふろに入れないなんてこんなばかげたことありませんから、それだけは厳重にひとつやっていただきたい。よろしゅうございますね。
#77
○政府委員(山下眞臣君) 承知いたしました。
#78
○安恒良一君 それでは向陽会サンメディック問題についての質問は終わります。
 私の持ち時間が、あと十二時十一分まででありますから次のことに入ってまいりたいと思います。
 第一点の問題は、昨年の健康保険法の臨時国会の中におきまして、大臣からたくさんのいろいろなお約束を制度の改正のためにいただきました。この前のときには薬価問題を取り上げましたが、きょうはその次の問題といたしまして第一点の問題は、いわゆる審査の適正化、こういう問題で、私はコンピューター導入による支払基金の審査の適正化について問題点を提起いたしましたし、同僚の高杉委員が最後の確認の一問一答の中にも、次のようにいわゆる約束がされておりまして、ひとつこの点について、私どもといたしまして若干の日にちが要ると思いますが、その当時議論しましたものとしては、できればぜひ五十七年度からこういうものは実施をしてもらいたい。こういうことでありまして、大臣は、「今日の審査にはコンピューターの導入が当然必要でございます。コンピューターシステムの採用及び適正要員の確保を図ることによって重点審査ができるよう十分検討し、可及的速やかに実施することとしたいと存じます。」と、こういうことを同僚の高杉委員の質問に対して最終的にお答えになっていますが、その後の作業日程がどう進んでいるのか。たとえば支払基金との間にこういう問題についてどのような話がされ、どういうふうにいま現在進行しているのか。
 これはなぜかというと、国会の場においてそういう議論をされておりますが、なかなか第一線で行う支払基金側にも何かいろいろむずかしさがあるなどということで、どうもちょっと私がこれは仄聞するところでありますが、進展が非常におくれているようにも聞きますので、現状はどうなっているのか。またできれば、当時やりとりをしましたように、今年度はいろいろ準備期間ということになりますが、遅くとも五十七年度から実施できるような方向で検討委員会等が設けられて進んでおるのかどうか。そのことについてお聞かせを願いたいと思う。
#79
○説明員(川崎幸雄君) 重点審査にコンピューターを活用することにつきましては、支払基金におきまして本年度千二百万円の検討費を計上いたしまして、本年度におきまして、コンピューター導入による審査に活用いたしますための統計数理的資料の検討、あるいはその活用のための対応策について検討を開始いたしているところでございます。さらに今後、専門家の意見を聞くための検討会を設けるといったような予定になっているところでございまして、本年度におきましては、さらにシステム設計の検討を行う等の検討を進めまして、五十七年度からはこの導入による審査への活用というものを試行的に開始をいたしたいというふうな予定で、現在検討を進めているところでございます。
#80
○安恒良一君 私は、もちろん第一線である支払基金の中に検討委員会が設けられ、それに必要な調査費用等が配備をされて、いま言われたように進んでいることについては当然なことでありますが、私どものこのやりとりの中においては、厚生省の部内にも検討委員会を設置し、そこでこのプログラム導入等々いろいろなことをやはり議論しなければならぬと、こういうやりとりに当時はなっていると思いますが、厚生省の部内においてこれがための寸たとえば厚生省と支払基金との合同とか何かですね、支払基金だけに任しておっても問題だと私は思う。それはなぜかというと、少なくともコンピューターを導入する以上、いまの診療報酬の支払い請求方式にもかかってくることですね。非常にいまの複雑な、私は当時やりとりしておりますが、複雑な請求方式ではなかなかコンピューターにのらない場合もあるだろう。そうすると、請求方式自体についても簡素化をしなければならぬじゃないかと。そういうことになりますと、これは支払基金だけの検討委員会ではやっぱり無理が出てくると思いますが、そういう点はどうなっていますか。
#81
○説明員(川崎幸雄君) この問題につきましては、非常に専門技術的な問題でもございますので、やはり支払基金におきまして十分この実施に向けまして、検討をしていただくということにしているわけでございますが、もちろんいま御指摘ございましたように、厚生省といたしましても、十分私どもと支払基金と相談をいたしまして、協議をいたしまして、その検討につきましても私どもが参画をいたしまして、その速やかな検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
#82
○安恒良一君 大臣にお願いしておきたいんですが、どうも支払基金にほぼ、最初の検討は全面的に、いまのやりとりを聞いていますと任されているようです。もちろん審査、支払い業務を担当しております第一線の支払基金が検討委員会を設けて、あらゆる角度から検討することは当然です。しかし、私はそれだけに征しておったら、とてもとても五十七年度から実施できません。
 やはりこの前の秋、臨時国会で大臣並びに関係者とやりとりをしておりましたように、厚生省部内においても検討委を設けられて、もちろん支払い基金と十分な連携をとりながらぜひひとつ、すでにこの前の国会の中で私は西ドイツのやり方であるとか、隣の韓国のやり方であるとか、そういう実例等も挙げて、いわゆる統計的な審査、コンピューターによる審査、こういうことを大臣には言っておりますから、ひとつぜひその方向で大臣といたしましても、支払基金における検討を命じられると同時に、この部内におけるこれが実施のための検討について少し促進をしていただかないと、いまの答弁だけを聞いておりますと、ちょっとまた支払基金にほぼ任せているということに聞こえてならないし、心配があります。これは私の心配であれば一番いいんですが、その点どうでしょうか。
#83
○国務大臣(園田直君) 部内でも検討しているようでありますが、さらに的確に、関係各局から寄って相談するようにいたします。
 そして、五十七年度から三カ年計画でこれができるように、いま着々進んでおるところでございます。
#84
○安恒良一君 それじゃぜひ大臣、そういう方向でこの支払基金におけるコンピューター導入を中心とする審査、支払いの適正化について、一段と御努力をお願いをしておきたいと思います。
 次の問題は、いま高杉同僚委員からも出ましたように、すでに医療費の引き上げ問題がいわゆる大きい話題になってまいりまして、大臣からの包括的な諮問も近く行われる、こういう状況にあります。
 そういう中で、ひとつやはり私たちは、診療報酬の適正化という問題の中で、この前出しておりましたのは検査点数の適正化についてでありますが、御承知のようにこの検査点数は、病院自体、もしくは診療所自体で行う検査と、これを外注に出す、その場合に特に外注に出した場合の検査点数というものが、いわゆる医療費に、すでに法律で認められています検査点数よりも実態が非常に値引きをされて行われていると。そういうものが検査の乱用を併発をしていると。こういうことで私どもといたしましては、検査点数の適正化についてもこれまた次のようなことを大臣にお願いしてありますが、いわゆる「政府は、所要の予算措置を講じ、毎年委託検査料金の実態調査を実施をして、それにより検査点数を適正化すべきであると考えますが、」ということに対して大臣は、「今国会での臨検法の改正をまって、御趣旨に沿って委託検査料金の実態を調査し、その適正化を図りたいと存じます。」、こういうことになりまして、そして国会の中で大臣が言われました臨検法というのは成立をしたわけであります。
 でありますから、たまたま今回、中医協でいろいろ医療費の引き上げのときに技術料をどうするかということは非常に重要な問題でありますし、また検査料の問題もおのずからそこへ出てくると思うんですが、そういう問題についてこの実態調査をどういうふうにされているのか、もしくは、まだしてなければいつの時期にどういうふうにしてやるのか、どのように準備が進んでいるのか。それと今回の医療費の引き上げの問題等における検査料等の関係等について、どういうお考えをお持ちなのか、この点について考え方を聞かしてください。
#85
○説明員(仲村英一君) ただいま御質問にございましたように、診療報酬の検査料につきましては、委託検査料金の実態を踏まえてその適正化を図るべきではないかという御指摘があったわけでございます。そこで、私ども予算化をすべく努力をしてまいったわけでございますが、本年度金額にいたしまして約百七十万円強の調査費を確保したわけでございます。
 一方、臨検法の施行期日が五十六年の三月六日でございまして、登録につきましては六カ月間の猶予期間が設けられておりますので、現在、その調査の内容につきましては検討中でございますが、登録が全部完了した段階で、それらの全体の像を把握できるわけでございますので、その中からどのような抽出をしたらよいか等を含めまして検討を進めて、調査を実施してまいりたい、このように考えているわけでございます。
 検査料につきましては、ただいまも御指摘ございましたように、病院自体でやるといったてまえで検査の点数が組み立てられておるわけでございますが、近時検査を委託をするということが、地域医療の確保という観点からも普及してまいりまして、その場合には、やはりたとえばオートアナライザーで検査できるようなものにつきましては、スケールメリットと申しますか、非常に効率がよいために、診療報酬請求点数表で定めております点数と委託を受ける料金との差がかなりあるということでございますので、この点につきましても中医協にいろいろ御相談をして善処をしてまいりたい、このように考えておる状態でございます。
#86
○安恒良一君 私は、調査費が百七十万しかつかなかったというのはちょっと、いろいろ御努力をされたんでしょうが、今日の緊縮財政の折からだと。しかし、私はこういうものの調査費というのは、本当に渡辺大蔵大臣とお話になったら、渡辺大蔵大臣の年来の主張から言ってこんなところを調査してはいかぬとか、削られると思いません。渡辺さん自身が、やはり医療問題について厚生大臣の経験者でもありますし、またこういう薬価問題とか検査科の適正化をやらなきゃならぬということを、かねがね大蔵大臣でありますが、自分でいろいろな委員会でしゃべられたり、書かれたりしておりますからね、それにするとちょっと調査費が、いま私聞きまして百七十万ということですから、これ予算が通ってしまったんですが、予算が通過する前に御連絡いただいておれば、私ども予算委員会の中でただしてもよかったところですが、いずれにしましても、これ百七十万しか調査費がついていないということでありますが、私は大臣、いま担当課長が言いましたように、少なくともこの登録が完了しましたら、これはやはりぜひ実態を調査をしてもらわなければ、実態を調査しない限り改正ができないわけですから、そういう問題についてはさらに私は、細かい厚生省の会計の款項目のことはいまここでは手元に資料はありませんからわかりませんが、少なくとも実態調査は約束どおりにやっていただいて、それに基づいて私はやっぱり適正化をやっていただかなきゃいかぬ、こういうふうに思いますが、大臣、この点はどうなんでしょうか。大臣とこの前御議論して約束されたんですが、現実にいまお聞きをして実はびっくりしたんですが、調査費は百七十万しかついていない、こういうことなんですが、そこらはどういうことなんですか。
#87
○説明員(仲村英一君) 金額につきましてはこのようなことでございますが、私ども調査の設計につきまして全数調査ということでなくて、抽出で十分に把握できるということでこの積算をしたわけでございまして、その抽出は先ほども申し上げましたように、検査所の経営形態でございますとか地域のカバー率とか、そういうものからまず標本抽出をいたしまして調査をする、こういうふうな設計になっておるわけでございます。
 それからこの調査につきましては、ただいまもおっしゃいましたように今年度の新規の予算として獲得させていただいたものでございます。
#88
○安恒良一君 そうしますと大体いつごろ調査をされるんですか、何日とか、大目安として。いまあなたが言われた臨検法の成立、それから経過措置等々あって、これは今年度調査費ということでついているんですから、もちろん今年度おやりになることは当然だと思いますが、大体いつごろをめどに調査をされるつもりですか。これはめどで結構ですから。
#89
○説明員(仲村英一君) 本年度秋を目標に、現在作業を進めようと考えておるところでございます。
#90
○安恒良一君 わかりました。じゃ、いま事務当局から今年度秋をめどに調査をしたい、こういうことでありますから、ぜひお約束どおりにひとつ調査をやっていただきまして、それと同時に、医療費の改定はこれは中医協マターの問題でありますから、私たちが国会の中でとやかく申し上げるわけでありませんが、私は医療費の改定に当たって技術料の尊重、技術料を上げていく、このことは賛成なんです。しかし、いま行われている検査点数が、委託をした場合には現行の点数よりもかなり下回った価格で取引されている、この実態はもう調査を待つまでもなくわかっていることですから、そういう点には十分な御配慮をされた中で私は技術料尊重、こういう意味のことをぜひやっていただきたいと思います。大臣よろしゅうございますか。
#91
○国務大臣(園田直君) よくわかりました。
#92
○安恒良一君 これで終わります。
#93
○委員長(片山甚市君) 本調査に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十六分開会
#94
○委員長(片山甚市君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、社会保障制度等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#95
○小平芳平君 私は、老人の抱えている問題を質問したいわけでありますが、主に施設の関係などについて質問いたします。
 まず、厚生省は、昨年の十二月十二日社会保障制度審議会が老人保健医療対策についての中間意見を述べておりますが、その中で、「リハビリテーションを受けられるデイケア施設等について整備する必要がある。また、特別養護老人ホームをさらに拡充・改革するとともに、一定の療養や介護を要する高齢者のための施設(いわゆる中間施設)を早急に設けることを望みたい。」というふうに意見を述べておりますが、こういう点についてはどういうふうに受けとめておられますか。
#96
○政府委員(山本純男君) 社会保障制度審議会からも御意見をいただきましたし、またかねてから、いろいろとそういう御要望が強い状況がございましたので、私どもの関係の国立療養所におきまして五十五年度からモデル的に、通院しながらリハビリテーションを受けることができまして、また、あわせて合併症などをお持ちの場合にはそういう診療も受けられる、そういうようなことを目的にいたしまして、モデル的なデーケアの設備を始めたところでございまして、今後とも逐次その整備を進めたいと考えております。
 また、五十六年度からは自治体、日本赤十字等の公的な病院、そういうところが整備なさいます老人のためのデーケア施設につきましては、ささやかでございますが助成の道を開いたわけでございまして、今後ともその整備を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
 また、中間施設ということで医療機関と社会福祉施設の機能をあわせて持つ、あるいはその機能を部分的にそれぞれ持つ、こういう施設が必要ではないかという御意見も、これもかねてから諸方面から伺っているところでございまして、その御趣旨は十分に理解しておるつもりでございますが、そのような施設が必要とされます御老人の処遇のためには、現在ございます既存の医療機関の機能の中で、老人のための処遇のための機能をより充実していく、また一方では、福祉関係の施設の医療的な機能を強化していく、それと同時に、それぞれ両種類の施設が十分に連携をとりながら老人の処遇に努力をする、そういうことで進めることも、ある程度可能であろうと考えておりますが、それと同時に、別なる体系の施設を研究すべきであるという御意見も私ども十分これを受けとめまして、大変むずかしい課題なのでございますけれども、なお一層研究をしてまいりたいと考えております。
#97
○小平芳平君 それだけの答弁では大変不十分でありますが、一つ一つ項目について質問をしていきます。
 まず、いまもちょっとお話がありましたが、中間病院――デーホスピタルの場合の入院料を定めようという要請が出ております。精神科は診療報酬の中で、精神科デーケアを一日につき幾らというふうに定めておるのですが、一般にはそういう制度ができておりません。この点はいかがでしょう。
#98
○政府委員(大和田潔君) おっしゃいますように、若干そのモデル的なものがあるようでございますが、まだまだ一般的には行われておる段階ではございません。
#99
○小平芳平君 一般的には行われていないので、行いなさいということを要請しているわけです。たとえば、夫婦が共働きだとしますと、老人は日中は一人暮らしになるわけです。ですから寝たきり老人の場合、日中は一人暮らしになる。たとえば脳卒中などで倒れて入院をする、固定してくると退院させられる。ところで機能回復の訓練は寝たきり老人ではできなくなる。そういう場合に昼間病院へ入り、入院して医療と機能回復訓練を受けよう、また、そういう訓練を続けていかなければいままでやった訓練も台なしになってしまう、そういうことで、この中間病院の建設をいましている人があります。ところが、せっかく建設しても経済的な保障がない。現状としては経済的保障がなくてはやっていけなくなる、そういうことについてのお答えを願いたい。
#100
○政府委員(大和田潔君) こういったデーホスピタルあるいはデーケア施設等いわゆる中間施設の問題でございますが、どういったようなものがあるのか、あるいはそういった定義や評価というような問題につきまして、実はまだ関連学会におきまして統一的な見解とか評価がまだ定まってはいないわけでございます。先ほども申しましたように、いま先生おっしゃいましたようなデーホスピタルの例というのは一般的には非常に少ないと、そういったようなことでございますので、なお、関連学会の見解につきまして私ども関心を持っておるわけでございますけれども、そういった見解がまとまりました時点で、診療報酬問題の取り扱いについて慎重にこれは検討してまいりたいというふうに考えておるところであります。
#101
○政府委員(山本純男君) 私ども医務局の関係でも、通院施設というものは昨年度からモデル的に手がけたばかりの段階でございますが、これから、そのできばえを見ながら極力その充実に努めてまいりますが、その過程の中で、また将来とも十分に診療報酬の面でも医務局としての意見を申しまして努力をしてまいりたいと思います。
#102
○小平芳平君 五十六年度予算で、「ねたきり老人短期保護事業」「デイ・サービス事業」の充実、この充実として両事業をやっておられるわけですね。ですから、そういう面が逐次充実されることを望みますが、とともに、経済的保障が一日も早くできるような体制にしていただきたい。
#103
○政府委員(山本純男君) 申しましたとおり、本当にモデル的に始めたというところでございますが、今後ともその事業の拡充、充実ということで大いに努力してまいりたいと思います。
#104
○小平芳平君 それから厚生大臣に伺いますが、老人保険法案、これは中間答申として、先ほど引用したことが述べておられますが、本体の方の老人保健法案はいま審議会で審議中であります。それで、けさあたりの新聞では社会保険審議会では二十四日に審議して答申をまとめようということだそうですし、制度審議会はきょうもいまの時間やっていると思いますが、そういうわけでずいぶん精力的な審議を続けてきましたが、ついに現状のままだと連休前の答申ができるかどうかちょっと様子ではわかりませんけれども、結局、厚生大臣としては今国会に提案し成立を期すということできましたし、いまでもそういうお気持ちは変わっていないでしょうけれども、実際問題、無理になったんじゃないでしょうか。
#105
○国務大臣(園田直君) 審議会の方はいまおっしゃいましたとおりで、大体ここ数日中に答申がいただけると存じております。そこで、連休前にぜひ国会にお願いしたいと思っておりますが、正直言って、連休明け早々になるのではないかと考えております。そうしますと、おっしゃるとおりに期間は少ないぞと、もう望みは捨てたかということでありますが、これは委員会で言うべきことではありませんが、今度の国会の会期がどうなりますかわかりませんけれども、そういうものも考えながら、ぜひ今国会で御審議をお願いしたいと、望みを捨てずに努力をしているところでございます。
#106
○小平芳平君 新しい制度をつくるわけですから、大臣が言われるように今国会の審議は、提案があればもちろん可能でしょうけれども、こういう新しい制度をつくるわけですから、十分に検討し審議を尽くしていかなくちゃならないと思います。
 そこで、まずこの新聞報道ですが、新聞報道で見ますと、厚生省は審議会に提案したような案を提案しておりますが、自治省とは意見が食い違っている、あるいは大蔵省とは、特に一部負担を通じて大蔵省は再診料を三百円とか、そういう再診料を主張しているということになると、厚生省は百円という案を審議会へ出しておりますが、そういう食い違いもあるわけですか。
#107
○政府委員(吉原健二君) ただいま御質問のございました一部負担の考え方につきましては、厚生省としての考え方を審議会に御説明をして、現在御審議をいただいているわけでございます。審議会の答申の中に、一部負担の考え方につきましても、審議会自身のお考え方が示されるというふうに私ども受け取っておりまして、その審議会の御答申を踏まえまして、大蔵省その他関係省庁と意見の調整を図って法案の中に盛り込みたいというふうに思っているわけでございます。
#108
○小平芳平君 そうしますと、やはり厚生省の案として厚生省の案を審議会に諮問しているのであって、大蔵省、自治省とはこれからの折衝いかんということになるわけですね。
#109
○政府委員(吉原健二君) 審議会の答申を踏まえまして、関係省庁と折衝いたしたいと思っておりますけれども、私どもとしては、審議会に御説明いたしました考え方で大蔵省、自治省と意見の調整をつけたいと、つけ得るというふうに思っております。
#110
○小平芳平君 それで、初診料を三百円、それから再診料をずっと百円ちょうだいしますと、入院料も健保本人では一カ月限りという限定がつきましたが、入院料もずっと三百円をいただきますという厚生省の案でありますね。これではいかにも老人を不安に陥れるんではないか。たとえば、そういう面では確かに一部負担がつきますが、実はこういう面で安心していただけるんですという何物もないわけですね。ですから、今回の厚生省の提案では四十歳以上の保健事業というものが始まりますから、それでそういう年代はプラス事項があるわけですが、しかし七十歳以上、あるいは六十歳以上にしてもそうですが、ただいままで無料だった医療が健保本人よりも厳しく一部負担を課せられるということ、それ以外にたとえばデーケア施設とか特養とか、そういう安心できるものがないわけですね。せっかくの老人ホームも、安恒委員の質問がありましたようにとんでもないのができているわけですから、ますます不安になる、そういうことじゃないですか。
#111
○政府委員(吉原健二君) この老人保健制度における一部負担の考え方につきましては、現在の無料化制度の弊害、行き過ぎた受診について御注意、御叱正をいただくという趣旨で、老人の方どなたにも負担をしていただけるような額として三百円、百円、それから入院の際の三百円というものを考えたわけでございますけれども、私どもといたしましては、この新しい制度におきましては、しばしば申し上げておりますように、単に医療だけではなしに、予防でありますとか、あるいは治療後のリハビリテーションでありますとか、あるいは在宅で療養しておられる方に対する保健指導、そういった各種の保健事業というものを総合的に進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
 老人の方につきましても、たとえば家庭で寝たきりの状態にある方に対しましては、現在ホームヘルパーの派遣というような福祉面でのサービスは行われておりますけれども、保健婦さんの訪問等による保健指導というような事業というものがほとんど行われていない状態でございますので、そういった事業というものも、この新しい制度の中で推進をしてまいりたいというようなことで、できるだけ老人の方々が一定の治療の段階が終わりましたならば、家庭で、地域の中で療養を続ける、あるいは生活できると、そういったような条件も整備をしてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
#112
○小平芳平君 そうしますと、保健事業――ヘルスですね、保健事業と医療のほかに何をやるんですか。
#113
○政府委員(吉原健二君) 医療と、いま申し上げましたような保健事業――予防といったようなヘルスの事業というものを一体的に進めていくということを考えているわけでございます。したがいまして、従来老人の方に対するサービスというものが医療に偏重しておりました。医療にむしろ偏っていたというようなことを反省をいたしまして、保健婦の訪問指導といったような事業を充実をしてまいりたいと思っておりますし、またリハビリテーションというものも老人の方に対する保健事業の重要な一つの柱として考えているわけでございます。
 それから先ほど御質問の出ておりましたデーケアでありますとか、あるいはデーホスピタルというような事業も、できるだけ家庭におられたままで治療が受けられるような、サービスが受けられるような仕組み、施設というものも今後つくってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#114
○小平芳平君 そうしますと、先ほど私が前半で質問しました内容を、いま充実しますという、それがこの老人保健制度の一環として充実するということでありますね。それにしては、デーケアとかそういうものはまだ一般化していないという答弁をしていたじゃないですか、さっきは。ですから、一方では一般化していないから時期尚早だと言わぬばかりの答弁をしながら、他方ではそれを充実することが老人保健法案のかなめなんだというふうにもおっしゃっでおられるですね。大臣どうですか、そういう点。
#115
○国務大臣(園田直君) いろいろおくれでおりまして、一般化していないことは事実でありますけれども、しかし、御発言の趣旨は今後急激に必要になってくる問題でございますので、いつまでも検討しているわけにまいりませんから、今度の保健法改正でぜひその一環を出したいと、こういうつもりでございます。
#116
○小平芳平君 それから、これも以前によく出た問題ですが、医療費無料化を自治体で国の基準よりも幅広くやっておられるわけですね。たとえば国の基準より年齢を下げている県は十六都府県というふうに聞いております。こうしたものはもちろんそのままでいかれるわけですね。
#117
○政府委員(吉原健二君) たとえば六十五歳以上の方に対しまして、地方自治体が独自でそういった政策をとっておられるわけでございますけれども、新しい制度ができました段階におきましても、そういった政策につきましては、地方自治体の独自の政策判断としてお考えをいただくということが一番望ましいのではないかというふうに思っておるわけでございます。
#118
○小平芳平君 ですから、一部負担で三百円、百円、三百円というこの一部負担も、地方自治体が負担してあげましょうというような制度が地方でできたらどういたしますか。
#119
○政府委員(吉原健二君) 七十歳以上の方に対する老人医療につきましては、新しい制度、新しい法律におきましては、いまおっしゃいましたような一部負担を国の法律として老人の方にお願いをいたしたいというふうに思っておりますので、その点につきましては、地方が独自でその負担を免除するようなことは、この法律の新しい制度の趣旨から申し上げまして適当ではない、その点につきましては、地方自治体に御理解を得るようにお願いをしてまいりたいというふうに思っております。
#120
○小平芳平君 そういう点では、年齢の場合も同じことですがね、七十歳と決めたのに六十五歳にしちゃうということは。そうじゃないですか、厚生大臣。
#121
○政府委員(吉原健二君) その点は国の法律で、七十歳以上の老人の方にはこういった形で一部負担をお願いしたいということを国の法律として、国の制度としてお願いをするわけでございますので、その点につきましては、地方が独自で一部負担についての肩がわりといいますか、それを免除するというようなことは適当ではないというふうに思っているわけでございます。
 ただ、七十歳以前の方に対する地方自治体の独自の施策につきましては、私どもといたしましては、こういった国の施策と整合性を持つような形でお願いをしたいというふうに思っておりますけれども、それは地方自治体の独自の御判断で、その地域のいろいろな財政の事情等もございますし、そういったことに基づきまして御判断をいただきたいというふうに思っているわけでございます。やはり七十歳以上の一部負担につきましては、これは国の法律、国の制度としてそう決まるわけでございますので、そういった趣旨にのっとってお願いをしたいというふうに思うわけでございます。
#122
○小平芳平君 七十歳以上の方は一部負担を課しますということは、受診抑制以外の何物でもないわけですか。
#123
○政府委員(吉原健二君) 先ほど申し上げましたように、私どもとしましてはこの一部負担というのは、受診についての自制なり御注意をいただくという趣旨でお願いをしたいと思っているわけでございまして、本来その老人の方々が必要な受診というものを妨げる、あるいは抑制するという気持ちは毛頭ございません。また、そういった意味合いにおきまして、この金額等につきましても、そういったことにならないようにという趣旨で申し上げているわけでございます。
#124
○小平芳平君 実際に法案が出てきてからのことになりますが、厚生大臣、こういう点は医療費のむだというものが、どれだけどこにむだがあるかということは非常にむずかしいわけですが、しかし、この七十歳以上のお年寄りにはそういうむだを抑制するために一部負担を課すということは、それと同時に、こういう国のなすべきことも十分にいたしますということがなくてはおかしいじゃないですか。
#125
○国務大臣(園田直君) まず、今度の一部負担でありますが、先ほど懸念されましたように、これが財源上の見地からだんだんふやしていくとか、あるいは老人医療という一つの理想をなし崩しにして壊していこうという考え方は毛頭ございません。無料になりましてから、現実の状態として、一時の現象がどうかわかりませんけれども、無統制にいろいろな弊害が出てきておる、そこで、老人の方に御自制願いたい、こういう趣旨のものでございます。
 そこで、この額については、大体私は妥当だと思いますが、ただ百円、三百円とこれは永久に取るのかということが、一つの御審議を願う場合の問題点になると私考えているわけであります。
 なお地方自治体、これが年齢においても国よりも進んでおる。それからまた、この法律が通りました場合、地方自治体で取らないということは、これは困りますけれども、地方自治体がかわりに出してやる、こういうことは理想から言えば決して逆行するものではございません。したがいまして、いま事務当局から言いましたのと少し感じが違いますけれども、国が、進んだ地方自治体のやっていることに追いつくように努力しなきゃならぬと考えておりますが、現下の状態では、いろいろな関係からこういうふうになっておるものでございます。
#126
○小平芳平君 何か厚生大臣のおしまいの方がちょっと理解しかねるんですが、どういうことでしょうか。
#127
○国務大臣(園田直君) 理想は申し上げたとおりでございますけれども、現下の財政の状態、取り巻く環境等からやむを得ず自治体よりも、自治体に追いつくことができなかった、こういうことを申し上げておるわけでございます。
#128
○小平芳平君 次に、老人ホームについて伺いますが、特養が急激にふえているわけです。厚生省からいただいた資料ですが、五十年以降を見て養護老人ホームは一カ所ないし三カ所くらい年々増加しておりますが、特養の方は四十五年ころからこの十年間急激にふえて毎年四十カ所以上、五十四年には百四カ所もふえている。それで、これはもうそれだけの社会的要請があってふえているには違いありませんけれども、どうしてこう特養がこのようにふえるか。また、公営と私営に分けて私営が多い。公営の一つもない県が十三府県あります。こういうような点を厚生省はどのように考えておられますか。
#129
○政府委員(山下眞臣君) 御指摘のとおりに養護老人ホームにつきましては現在、全国的に見ます場合に、定員に対しまして若干まだ実際に入っておられる方が少のうございまして余裕があるということで、これをふやすという要望は比較的落ちついているわけでございます。ただ、養護老人ホームは御承知のように、生活保護法時代の養老院以来のものがございますものですから、大変老朽して古い物が相当残っておりますので、これにつきましてはできるだけそれを改築いたしまして、新しい内容にしていくという形での重点をとっておるわけでございます。
 それに対しまして特別養護老人ホームにつきましては、非常にまだ需要が多うございまして、不足をしておるというのが実情でございまして、最近におきましては、百カ所を超える数字で年々増加をしてきておる、こういう実情にあるわけでございますが、やはり核家族化あるいは寝たきりであられる状態なものですから、その介護の問題等々に非常に御苦労が多い、そういった実情を反映してそういう状況に相なってきておるものと思うわけでございます。
 なお、御指摘のとおり、特別養護老人ホームにつきまして、五十四年の定員の状況で申し上げますと、公立は二七・五%程度、いわゆる民間立が七二%程度ということで、圧倒的に民間立が多いというような実情にございます。いろいろな理由があるかと思うんでございますが、私どもいろいろ接触いたしておりまして、一つ特徴的に感じますことは、やはり先ほど来先生の御指摘にもございましたように、社会福祉施設の中で特別養護老人ホームにつきましては、すぐれて医療的要素と申しますか、それに近い施設であるものでございますから、どうしても協力医療機関あるいはそこに配置されるお医者さん、こういったものが必要になるわけでございます。そういったことから、やはり民間立てこれを考えました方が、開業医の先生方でありますとか、お医者さんの協力を含めて設置するのが非常にやりやすいというふうな点が一つあろうかと思うわけでございます。一般的には、一つの基準を決めておりますから、公立てありましても私立てありましても同じなんでございますが、民間の場合は、それに創意工夫をしてある程度自由性があるものですから、効率的だという面もあるかと思います。
 また他方、私どもそうは申しましても、決して公立を抑えているわけじゃないので、公立も御要望があれば積極的に特養については見ていきたいと思うわけですが、一般的に公共用地の確保等が非常に最近困難になっておるというような事情もあるかと思います。民間の場合には、篤志家の方が自分が持っておられる土地を提供して、そして自分でつくられるというふうな事情等もございまして、そういった民間立の方がふえておるということだろうと思うんですが、私どもの考え方といたしましては、公立もぜひ今後とも充実をしていきたい。いずれにしましても、いまの特別養護老人ホーム、養護老人ホームは、福祉事務所による措置という形でお年寄りにお入りいただくわけでございますから、公立てあれ民間立てあれ、その養護されるお年寄りの方に対する処遇の責任というのは、公的に負わなけりゃならぬという性格のものだと理解をいたしておるところでございます。
#130
○小平芳平君 七二%が私立てあるということで、私立ても私営でも結構ですが、任務を果たしてくれることが第一でありますから結構ですが、一カ所も公立がないという府県が十三、現にあるわけですが、こういうのは何か厚生省としての考えがあるわけですか。
#131
○政府委員(山下眞臣君) 厚生省としての考えということではございません。むしろ私どもは、この施設整備に当たりますときには都道府県の御意見を、地域に即していただきます御意見を尊重をするという態度をとっておるわけでございます。地方自治体のおかれるお考え方の方がより多くそういう事情を左右する要因であろうかと思うわけでございます。私どもといたしましては、御指摘のような点もよく、そのない府県につきまして御相談はいたしてみたいと存じます。
#132
○小平芳平君 いや、地方で公立がない県があります、そうするとそれに対する厚生省の考え方があるわけですかということをお尋ねしているわけです。わが県では全部私立てやっておりますということに対する厚生省の考え方。
#133
○政府委員(山下眞臣君) ただいままでのところ、地方に対しまして、私立だけで特養を賄って公立がないのはいかがかというような意味での指導をいたしたことはございませんで、私どもが考えますのは、その都道府県における特養の需要状況に対しまする、その特養の充足状況、それを重点に考えて指導いたしてきております。公立でいくのか私立でいくのかということにつきましては、その都道府県の考え方を尊重する、その自主性を尊重するという態度が従来の態度でございます。
#134
○小平芳平君 先ほど来申しますように、私立ても要するに老人福祉を担っていってくださる方は非常にありがたいわけです。わけですが、特養の不祥事件という一覧表を厚生省からいただきましたが、この特養の不祥事件などを見ますと、理事長がよくないわけですね、理事長が。たとえば横領贈賄で逮捕起訴されたとかですね、特養の理事長が。あるいは、社会福祉法人名義で独断で借金をし、建物を競売されたとかですね、それから二重の給与台帳をつくり、人件費の差額をピンはねしていたことがばれたとかですね、それから、理事長が理事会に語らないで知人に融資し、焦げつかせて破産宣告を受けたとか、こういうことがみんな、厚生省からいただいた資料を拾い出してみるとこういうことになるわけですが、こういう理事長に特養が任せられておりますと、中に入っている方は、とにかくお年寄りでもあり体が不自由でもあるので、非常に迷惑すると思いますがね。いかがですか。
#135
○政府委員(山下眞臣君) 私ども老人福祉を担当する者といたしまして、福祉の充実と前進のためには全力を挙げにゃいかぬわけでございますが、この御指摘の不祥事件が、相当多数量近出てきておるというのは、非常にやはり福祉を私どもが進めてまいります上におきまして、やはり国民全体の信頼、それの事業に対する信用と申しますか、これが一番基本だろうと思うのであります。そういう意味におきまして、まことに御指摘のような事態が出ているのは遺憾に思うわけでございまして、私どもといたしましても、全力を挙げましてこれの絶滅を期したいということで、できるだけの努力はいたしているのでございまして、すでに先生も御承知のとおり、昨年来各種の通知を出し、また地方への指導等も手を尽くしておるところでございますし、今般の全国の部長会議、課長会議におきましてもその点を、相当の時間を割きまして強調いたしているところでございますが、数多くの中にまことに遺憾な実態がありますことは、非常に残念だというふうに思うわけでございます。
#136
○小平芳平君 先ほどの安恒委員の質問に対して答弁しておられましたが、向陽会サンメディックですね、こちらは特養じゃありませんけれども、この場合などはちょっとひどいですね。全くひどい。それで、厚生省は社会局長の通知を再三出しているようですけれども、こうした通知でこういうことが防げますか。こういうことがなくなりますか。
#137
○政府委員(山下眞臣君) 当然、通知一つだけで片づくものじゃないので、いろいろな意味の努力を、私どもとしてもしなければならぬと思っておるところでございます。特養、養護等をつくります場合にはおおむね補助をいたします。その補助の際の国庫補助の審査等を、できるだけ手を尽くして厳正に行おう、あるいは社会福祉法人の設立に当たりましても、単に種類だけじゃなくて、その裏づけもよく調べて認可をするような手を尽くす、私ども自身もやらなければならぬことが多いと思っております。また、すでにできました施設につきましても、やはり法人の理事長あるいは施設長、こういった方々の現任訓練、あるいは資格認定の講習、研修、こういったものも積極的にやっていかなければならぬと思って努力をいたしておるところでございます。
 また、一方におきましては監査指導体制の強化ということがあろうかと思います。社会局、児童局の中の監査体制の強化と同時に、何分にも数が多うございますので、全国都道府県における監査指導体制の強化ということもお願いをしなきゃならぬと思っておるわけでございまして、考えられますあらゆることを動員をいたしまして、こういった事態の根絶に努力さしていただきたいと考えております。
#138
○小平芳平君 一生懸命努力しますからという局長のお答えですが、努力をしていただかなくちゃいけませんけれども、午前中にこれも御指摘があったように、報告を求める、調査、勧告ができるということですね、制度的に。しかし、それだけじゃ足りないじゃないか。つまり事前にチェックができないわけですね。事前にチェックして届け出をしてきます、届け出の内容と実態が相違するから受け付けませんと言ったわけですね、向陽会の場合。けれども、実態としてはどんどんもう七百万円、千何百万円と取ってしまっているわけですね。ですから、出した方は全くひどい目に遭ったわけですね。もう少しそこのところを制度的に保護される、あるいは老後を保障されるものでなくちゃならないじゃないですか。ただ善意に任せて届け出をしてください、届け出が来ましたからそれを審査しましょう、これ実態と違うぞと言ってその届け出を受け付けないぞと言おうとしても、そのときはすでに何百万円、何千万円受け取ってやっているんですからね。そこのところを制度的に直そうという気はありませんか。
#139
○政府委員(山下眞臣君) 失礼いたしました。
 先ほど特養の不祥事件の絡みでの御答弁を申し上げまして、御質問の趣旨が有料老人ホームの規制の問題ということでございます。
 この点につきましては、けさほど安恒先生の御質問に対しまして大臣からお話がございましたようなことでございまして、ただいま有料老人ホーム問題懇談会というのをつくりまして、いろいろな角度からの御検討をお願いいたしております。その中のいろいろな意見といたしましては、やはりそういった面と同時に、自主的に、有料老人ホームというのは民間立が多うございますので、ほとんどそうでございますし、いろいろな形態ありますので、自主的な一つの団体をつくって自主的な規制ということもあわせ実態上考える。それからいろいろな情報の収集、提供に努める。同時にただいま先生が御指摘になりましたような事後届け出がそれでよろしいのかどうかというような問題につきましても、現在御審議をいただいているところでございます。けさほど安恒先生並びにただいま小平先生から御指摘いただきました点踏まえまして、十分懇談会で御審議をいただいて結論を得て、対処いたしてまいりたいと思っております。
#140
○小平芳平君 とにかく静かな老後を求めて、七百四十万円とか千五百二十万円とか払い込んだと。そういう人が安恒委員からるる説明があったような状態に置かれているということは、これはただごとじゃないですね。これはもう入所している方にとっては、一生にただ一つの財産をそこへかけているわけですから。同じような有料老人ホームの不祥事件というのもまた何件がいただきましたが、そういう有料老人ホームの不祥事件が起きたということは、たとえば向陽会など厚生省が調査に行って実情をよく調べる。そうして審議会で検討していただいているのは結構ですけれども、厚生省自体としての取り組みですね、厚生大臣が調査するなり、局長以下に調査させるなり、こういう特異なケースは早速調査して、次の対策を立てるということが必要じゃありませんか。
#141
○国務大臣(園田直君) 先ほどもお答えしたとおり、さように私も考えておりますから、直ちに御発言のとおりにそれぞれ対応いたします。
#142
○小平芳平君 対応するということは、調査に行きますか。
#143
○国務大臣(園田直君) 実情を調査し、これに対してそれぞれの必要なことを処し、今後こういうことが起きないような対応の策も講じます。
#144
○小平芳平君 次に、武蔵野市で老人福祉公社をつくったということですね。これはいろいろ説明すると長くなるから、時間が来ましたので説明はいたしませんけれども、武蔵野市で新しい試みとして老人福祉公社を出発させようとしている。これに対して国はどう考えるか。またお手伝いすることが何かありますかどうか。
#145
○政府委員(山下眞臣君) 行われております事業内容を先生もよく御承知のとおりだと思うわけでございまして、いわば資産を有する階級に対しまして、その資産等を担保にいたしまして、有料のサービスを行うというのが一つの特徴かと思うわけです。非常にユニークな進歩的な考え方だと思うのでございます。老人にもそういった要望もあろうかと思うわけでございます。私どもといたしましては、こういった非常に進歩的な事業がこの後どのように定着していくか、よくひとつ関心を持って武蔵野市とも連絡をとりながら勉強いたしまして、今後の施策に参考にさしていただきたいと思うわけでございますが、とりあえず、いわばそういった階層に対する施策でもございますし、国からの補助とか援助というようなことは当面考えておりません。
#146
○小平芳平君 財政的には公社としてやるわけでしょうからね。国から援助を受けようということじゃないわけでしょうね。ただ、国としてお手伝いすることが何かありますかということをお尋ねしたわけでございます。
#147
○政府委員(山下眞臣君) この事業を始めますにつきましては、武蔵野市は相当長い期間にわたりまして懇談会をつくって研究いたされたわけでございます。その中のメンバーには、私どもの方のたとえば日本社会事業大学の学長をしておられました仲村先生とか、そういう方もお入りいただいて練っていただいているわけでございます。先ほど申し上げましたように、これからの方向の一つを示す非常にユニークな事業だと思いますので、御相談があれば、できますことは私どもとして応援援助をいたしてまいりたいと、かように考えます。
#148
○沓脱タケ子君 それでは、最初にスモンについてお聞きをしておきたいと思います。
 最初に確認をしておきたいんですが、昭和五十四年の九月の十五日にスモン患者、それから厚生大臣、製薬三社の間で確認書が調印をされて、スモン問題解決へ大きく動き出したのでありました。本年三月末現在、四千六百十九人が和解をしております。確認書では、投薬証明のない患者も当然のこととして差別しない、平等に取り扱われるとされております。その後歴代の厚生大臣はこのお立場で繰り返し表明をされておりますし、園田厚生大臣が大変御努力をされていることはよく存じ上げておるわけですけれども、念のためにお聞きをしておきたいと思いますが、平等な取り扱いということの立場、これは変わらないわけですね。
#149
○国務大臣(園田直君) いままでの方針に少しも変わりはございません。
#150
○沓脱タケ子君 で、二月の十九日に厚生大臣が製薬三社をお呼びになったときに会社側から要望が述べられた、これがいわゆる大臣への要望メモとして、きわめて重大だと思いますことは、鑑定団の先生方の手元にこれが渡っている。渡っているということで患者さんの間では非常に神経をとがらされているわけでございます。患者さんたちがこの問題を重視をされるのは当然なんです。なぜなら、早くから提訴をされ、資料も整っている人などは、すでに四千六百人余りは和解が成立をしているわけです。いよいよ今日の段階では、投薬証明のない人など鑑定上も困難な問題を抱えた人たちが大変多くなってきているわけです。こういう状況のときに、何回かの裁判ですでに決着済みの因果関係論が蒸し返されたり、ましてやまたメモによりますと、鑑定に対しては厳正にされることを要望するだとか、あるいは個別企業に対する経済的負担を一定額に限定するなどの立法措置を講じていただきたいなどと、みずからの負担を国に転嫁しようなどとする虫のいいことを言い出してきている。
 こういうメモが鑑定団の先生方に流れたのですから、とり方によりますと、これは鑑定団の先生方に企業側の圧力がかかったというふうにもとれる問題でございます。患者さんたちが問題視されるのも当然なんですが、患者さんたちの中には、厚生省がこれを流したのではないか、こういう不信の念が起こっているわけでございます。まさか厚生省がこういうものをお流しになるということはないと思いますが、念のために、そんなことはないんでしょうね。
#151
○国務大臣(園田直君) この会談は事務当局その他は存じておりません。私が自発的に三社を呼んで、懇談をホテルでしたものでございます。と申しますのは、遅くとも昨年末までにはと申し上げたのがなかなかうまくいきません。それも量後の一点であります。ある程度まで詰めてきた。そこで私は、終始裁判所の勧告に従って和解されるように、投薬証明書のない方に対する態度も一貫しております。そういう趣旨で去年末うまくいかなかったが、これは長くほうっておくわけにいかない。これは単に厚生省ばかりではなくて、あなた方も今後のことを考えると、このままほうっておいていいと思われぬだろうと、そこで、今後三社あるいは一人一人の方々とも御希望があればお会いいたしますと、こういうことで夕食したと考えております。その際、メモとか要望事項は何も出されておりません。ただいままでの主張を繰り返されただけで、私はそういうことはなかなかと言って、いままで言ったこと、これははっきりわかっておりますから、国が立法できないこともわかっておるし、それを、私の知らないうちにメモとして配られたという話は、つい先日私も聞いて、こちらが誠意を尽くしてやるのに、まあ企業者側というものはあの手この手を使われるものだなあと、今度会ったら注意しようと、こういうしとでありますから、このメモというのは何らの妥当性もないし、患者側や鑑定団の方がこれによって何らかの影響をされるものでもないということははっきりしております。
#152
○沓脱タケ子君 大臣のお話で非常にはっきりいたしましたので、患者さんたちも安心すると思いますが、企業の性格からこういった虫のいいやり方、要望というのは繰り返されるおそれもなきにしもあらずだと思うわけでございます。こういった点は今後ともひとつ、厚生省が少なくともそういう不誠意なやり方はしないものだということで、患者さんたちとの信頼関係を確立をしていただくということが非常に大事だと思います。
 で、厚生大臣にお聞きをしたいんですけれども、スモンの患者さんというのは、まあ率直に申し上げて一人一人は何の責任もないわけですね。それで、亡くなられた方あるいは生活が破壊された方、一家や眷族めちゃくちゃになってしまった方、いまだに重い障害でお困りになっておられる方々、全くこの患者さんもう文字どおり被害者だと思うわけです。これに対して私は、いま大臣がおっしゃることが事実であるというふうに信頼をいたしますと、全くこういったメモというものが一人歩きをするというのは企業のエゴが過ぎると思うんですね、実際。そういう点で先ほども確認をしてお願いをしたわけですが、こういった企業の立場でのいろいろな動きがあろうとも、これは最初に厚生省として、あるいは大臣として御確認になっておられるように、差別をしないで被害者は平等に扱うというお立場、こういう立場から見て、この企業側のメモの立場などには絶対にくみしないと思うわけでございますけれども、念のために御答弁だけ伺っておきたいと思うんですね。
#153
○国務大臣(園田直君) 御心配かけることはございません。なおまた、この際には相手はメモをとられたわけでもありません。それからテープをかけられておったことも絶対ございません。なおまた礼儀としても、何か話があったらその話題を人に配るなら、私の了解を得てから話されるべきことであって、こういうことは私は今度厳しく御注意申し上げたいと思っております。
#154
○沓脱タケ子君 それで、スモン患者の全国連絡協議会ですか、通称ス全協とおっしゃっていますが、ス全協のお調べではすでに鑑定が済んだ、あるいは判決済みでまだ和解ができていないという方々が、ことしの三月末で約三百人おられるわけですね。この中には、投薬証明はないけれどもスモンだということの鑑定が出ている方々が約三十人ほどおられます。スモン問題の解決というのは、ある意味ではこれからが正念場だと思うんですね。この三百人の中には、鑑定が済んでからもう一年以上もたっているのにまだ和解ができない。実際、この被害者の皆さん方は生活の保障もありませんし、先の見通しも立たずに一年以上放置されている。これから先いつというめども立たないということになりますと、本当に人道上の問題でもあると思うわけです。少なくともこういうふうにすでに鑑定も済み、あるいは判決も済んでおりながら、和解が成立をしていないという方々には即時和解するように、せめてこの部分ですね、三百人余りのところ、これだけでも大臣、いままでの御苦労実らしていただく意味でもお力添えをいただいて、できるだけ早い機会に和解ができるようにお力添えをいただけないものだろうかというのが、患者さんたちの非常に切なるささやかな願いだと思うわけですので、その点、大臣いかがでございましょう。
#155
○政府委員(山崎圭君) 先生御指摘のように、鑑定が終わりましても和解が留保されているといいますか、そういう患者さんが現在、私どもの調べでは二百五十名前後ではないかと、かように思っております。その中で、一番立証上問題があるというふうに言われております投薬証明のないと言われる方々が、恐らく二、三十人おられると、こういうふうに考えております。
 私どもは何といいましても、鑑定が済んで、そしてそれが和解の軌道に乗っておる人たちでありますから、その辺はいろいろむずかしい法律上の議論もありましょうが、しかし、そのステップは何といってもそれが一番優先順位であるべきであるとそういうふうに考えておりまして、従来からその人たちとの和解に全力を挙げると、こういうことでございまして、いま数として申し上げますと、全体的には九四%の方と和解が済んでおるんです。残り六%がいまの二百五十名前後、三百に近いものになると。三百の中で五十名前後はつい最近鑑定が出た人で、タイムラグが多少あります。そういう意味で、二百五十名前後の方が、先生御指摘のように、中には一年以上たつ方もいらっしゃいます。その辺の人たち、一番心情的にはお察しできる方々でありますので、その人たちとの和解に全力を挙げたいと、かように考えております。
#156
○国務大臣(園田直君) 私からも一言。
 今後とも方針に変わりなく努力をする所存でございます。三月にやったのもその一つのあらわれでございます。
 ただ御承知のとおり、国は、法律的に言えば被告の一人でございまして、それが、厚生大臣の立場から患者の方々の立場を考えて調停に立っているわけで、これも相当長引いてきたわけであります。皆さん方の御協力を得てそれがだんだん詰められてきて、あと一歩というところへ来たわけでありますが、やはり、私も努力をしている関係で、ほめられようと思いませんけれども、年末までやると言いながらやらなかった。大いなる怒りを込めて抗議すると、こういう抗議書をもらったわけでありますが、これではもうかさ屋の小僧みたいに、骨折ってしかられるというようなことでは、私も努力する熱意がなかなか鈍るわけでありますから、その点は、大いなる怒りを込めて抗議するなら、これは三社に対して大いなる怒りを込めて抗議するというのはわかるが、調停に立っている私にそういうことをおっしゃっても、これは調停する人間は調停でありますから、この点は御理解を願いたいと思います。しかし、方針に変わりはありません。
#157
○沓脱タケ子君 これは確かに大臣もおっしゃっているように、長引いているということで関係者はもちろんのこと、やはり国民世論の中でも、これはこのまま長引かして放置できないという立場になっておりますから、いままでの御努力も実らせていただくというために、ひとつぜひあと一押しというところ御協力を賜るようにお願いをしておきたいと思います。
 限られた時間でございますので、次に移りますが、一つは簡単な問題ですけれども、糖尿病治療のインシュリンの問題ですね。これについてちょっとお聞きをしておきたいわけです。糖尿病の治療の中でインシュリンの注射というのは非常に重要な位置を占めているというのは、これは医学関係者だけでなく御承知のとおりだと思います。ところがインシュリンの自己注射というのが、現在健康保険では認められていないんですね。このインシュリンというのは、この治療というのは非常にめんどうでございまして、御承知のように毎日一回以上の注射が必要になるわけですね。少なくとも毎日注射をしなければならないということで、これをやりますと、日曜日も祭日もなしに医者もこれに対応しなければならない、患者さんもこれに毎日行かなきゃならないということで、長い年月大変な負担になるわけです。国際的にもこのごろはインシュリンの自己注射、自分で注射をするということが広がってきておりますけれども、現在、日本の健康保険制度ではこれが認められていないわけですね。だから、どういうことになってきているかと言いますと、ずいぶん医療機関も困っているわけです。患者さんも負担が重くて困っているわけですが、実際に糖尿病患者というのはかなり数がおりますからね。
 どうなっているかというと、たとえば医療機関は全額自費扱いとして健康保険の請求をしない、そういうかっこうになるわけですね。請求のしようがないわけですね、いまの制度では。そうなると、これは健保法からいうと差額徴収になるわけですね。健康保険の患者さんで、それで他の治療は全部保険診療をやって、糖尿病のインシュリンの治療だけが自己負担ということになると、差額徴収という形になって、これはやっぱり適法とは言えないというかっこうになるわけですね。患者さんにしたらこれは自分の負担が、だから非常に重くなると。あるいはもう一つは患者さんの負担を軽くしようということで一カ月に四日ないし五日のインシュリンの注射を請求をしたり、残りの日数は、患者さんの自己負担にしてそうして薬を渡して、自分で注射をしてもらうと、こういうやり方をしている向きもあります。そうなりますと、やっぱりこれも健康保険法では差額徴収になるわけですね。その他ずいぶんいろいろとあるわけです。それじゃ毎日来て、毎日注射をして再診料と注射ということになると、これはまた架空請求ではなかろうかみたいなことにもなって、実際上は大変患者の側でも困りますし、医療機関の側でも扱いに困るというのが今日の姿になっております。
 患者さんの団体である日本糖尿病協会からも要望が厚生大臣あてにかねてから出されているようでございます。これでも非常に切実にそのことが、患者さんの御要望には述べられております。実数が二百万をはるかに超えるという状態、このうちの三分の一、六、七十万はインシュリンの注射が毎日必要だと。生涯を通じて一日も欠かすことができない注射を中断するということはできないわけだ。ところが休みの日も旅行中も常時医師の手を煩わすというのは実際問題として不可能なので、糖尿病患者の注射に限って自己注射が世界的に進められていると。しかし、インシュリンは医師が注射する場合は健康保険が適用されているが、各人が各毎日注射をする場合には全額個人負担として一生継続をしなければならない。薬価負担等は大きな問題になってくるので、何とか制度として確立をしてもらいたいという患者さんの御要望も出ておるわけでございます。こういう簡単な問題なんですけれども、実際上制度の中では大変なんです。
 そこで、大臣は大変この問題にはお詳しいように伺っておりますけれども、いわゆる自己注射と言われております自分で注射をするということを、こういう限られた分野で保険制度化をするということについてはどうなんでしょうか。学会筋でも、ほぼ糖尿病の自己注射についての意見というのは、御見解というのはまとまってきているようでございますが、これは学会等の意見もお聞きになって、早期に実現をしていただくということはできないものだろうか、そういうことをちょっと御見解を伺っておきたいと思います。
#158
○国務大臣(園田直君) この問題以前にも御発言がありましたし、それから医療機関の方々からも要望がありましたし、患者の方からも同様であります。これはきわめて簡単ではなくてなかなか問題が多いようではありますが、それ以来実現の方向を目指して、関係学会の御検討等も願ってまいりましたので、近く行う医療費改定の中でこれを入れるように、中医協にも御相談をして実現する方向でおります。
#159
○沓脱タケ子君 これも患者さんの側でも医療機関の側でも、ずいぶん迷惑と混乱もあるわけですので、大臣の御見解のようにできるだけ早く御解決をいただきたいと思います。
 あと、ちょっとお伺いをいたしておきたいと思いますのは、厚生省にちょっとお伺いしたいんですが、障害者の特に肢体不自由児あるいは精神薄弱児等に対する水浴とか水泳とかいうもののいわゆる医学的な効果というのはどういうものですか。どういうふうに位置づけられておられるでしょうか。
#160
○政府委員(金田一郎君) 一般的に申しますと、水の中で緊張をやわらげるということになろうかと思います。で、全身運動ということになりますので、機能訓練としての効果も大きいと思われます。専門的には、肢体不自由児等に対するいわゆる水治訓練の一環の中に位置づけられるのではないかと思います。
#161
○沓脱タケ子君 文部省の方おいでですか。ちょっとお伺いしたいんですが、盲学校、聾学校、精神薄弱者養護学校の指導要領で、体育の内容はこの分野ではどういうふうになっておりますか。
#162
○説明員(遠藤丞君) 体育の目標につきましては、盲学校、聾学校、それと精神薄弱以外の養護学校というものについての体育におきましては、小学校、中学校にそれぞれ準じた教育を行うということに定めておりますし、精神薄弱児を対象とする養護学校におきまする体育につきましては、「適切な運動の経験を通して、健康の増進と体力の向上を図り、楽しく明るい生活を営む態度を育てる。」ということを目標にいたしまして、内容としては小学部におきましては、「歩く、走る、跳ぶなどの運動を楽しく行う。」とか、あるいは簡単な「器具・用具を使った遊び、表現遊び、水遊びなどの運動をする。」というような内容に定めてございます。中学部におきましてもほぼ同様でございますが、「簡単なスポーツやダンスなどの運動」を通して、「健康の増進と体力の向上を図る」というように定めてございます。
#163
○沓脱タケ子君 その特殊学校あるいは聾学校、盲学校あるいは養護学校というようなところでも、指導要領で明らかに水遊びあるいは水泳というようなものが位置づけられているんですけれども、たまたまこの資料を拝見いたしますと、この種の特殊学校のプールの保有状況というのはきわめて少ないんですね。これはプールがある保有率というのは平均では二四・四%、養護学校に至っては一八%なんですね。そういう点では、普通学校もまだないところもございますけれども、文部省あるいは地方自治体の努力によって六三%を超しておるんですね、あるところは。それと比べたら大変大きな差ができています。私もそう思って大阪を調べてみたのですけれども、大阪も大変悪いですね。ほとんどないんです。盲学校なんていうのは大阪市立にプールが一つある。聾学校は府立に二つある。ないところが圧倒的なんですね。特に養護学校には非常にプールの保有率が悪い。これはまあ理屈ではなしに、指導要領にもそういう必要性というものがうたわれている限りは、やっぱりこれはつくらにゃいかぬと思うんですね。プールもないのに一体そんな指導要領をどこで実践するのかということになるわけですから。私はやっぱりこういう状態で置いておきますと、特殊学校全体と普通校との施設上の差別というのが歴然としているわけなんで指摘をされてもやむを得ないと思うわけです。
 そこで、どういうことかと言うと、そんなに保有率の少ない――学校の数というのが知れているんですね、そうでしょう。六百余りつくりゃいいわけでしょう、プールつくるの。六百余りつくるというのは、大体国の負担ではいま一校当たり一千万程度しか補助をしておりませんから、六十億あったら片づくわけですね。三年でつくろう思うたら一年に二十億もあれば片がつくわけですが、これは何とかしなきゃいかぬのではないかと思うんです。特に関係者の意見などを聞いてみますと、養護学校の先生の意見では、これは確かにそういう特殊学校で子供を水遊びをさせる、水泳を教えるというようなことをやりますと、ずいぶん人手がかかる。大変なんだそうですけれども、水の中へ入れてあげますと大変喜ぶんだそうですね。なぜ喜ぶかというと、一つは水の中では浮力があるので陸上では動けない動きができる。そういうことで本人が非常に意欲が出るということの喜び、そういうことでリハビリやあるいは医学的な効果、教育的効果というのが大きいということが歴然とわかるということが先生方の中でも言われています。またボランティアで行っているお母さんたちも、水泳のあるときは人手がかかるからどうしても行くんだそうですけれども、行ったら、もう子供らの喜ぶ姿を見たら感激すると、平素動かぬような手や足も実に微妙な形で動くというんですね。それを見てボランティアのお母さんたちも大変感激をするんだそうです。
 そういうことで、私大臣にちょっとお聞きをしておきたいと思うんですけれども、これは学校の施設だからというだけではなしに、障害者年という立場で考えてまいりますと、いろいろいままでには事情や経過があったといたしましても、客観的にはちょっと御指摘申し上げたように、プールの保有率というのはきわめて少ないわけですから、何とかしてこの教育効果がはっきりわかっているという状況で、障害者年を契機にして建設の推進が必要ではなかろうかと考える。大臣は障害者年推進本部の副本部長ですか、そういうお立場でひとつこれ文部省あたりとも御相談をしていただいて、障害者対策の推進という点での、教育分野での推進方という立場で、ぜひ厚生大臣からも文部大臣ともお話をいただいて、大分おくれ過ぎているんで、この分野を取り戻すために特別の施策をやっていただけないものだろうかと思うわけですが、大臣いかがでしょう。
#164
○国務大臣(園田直君) よく相談をして努力をいたします。
#165
○沓脱タケ子君 たまには早いこともいいと思いますので、いまの問題はひとつよく御相談をいただくことにいたしまして、できるだけ御協力をしようと思って短縮をいたしまして大分余りましたけれども、これで終わります。
#166
○柄谷道一君 心身障害者対策につきましては、ことしが国連で定めた国際障害者年であることにかんがみまして、予算委員会における集中審議、また本委員会でもしばしば取り上げられてまいりました。
 私は、わが国の心身障害者対策の現状をながめてみますと、現行身障者福祉法の抜本的見直しの問題。最も施策のおくれておる精神障害者の生活福祉充実のための整備の問題。身障者雇用率の計画的達成の問題。在宅対策の充実と福祉手当など経済的保障措置の問題。OT、PT、ST等のリハビリテーション従事専門家や手話従事者の計画的充実の問題。所得保障、生活保護、年金の充実問題。移動のための障害者対策。税制面その他公的な負担低減化のための諸施策。身障児発生予防と早期発見対策の充実の問題。さらに心身障害者の的確な実態把握の問題など多くの課題を抱えているというのがわが国の実態であろうと思います。
 特に、その具体的目標であります「完全参加と平等」という面では、残念ながらわが国の現状は途上国であると言っても過言ではないと思います。さらに、残念ながら国民の障害者に対する意識もいまだ十分とは言えません。この点、教育、啓蒙の面でも継続した努力が必要とされる、私はこのように認識をいたしておるわけでございます。
 そこで、推進副本部長でございます厚生大臣に、現在の身障者対策の現状をどのように御認識になっておるのか、総括的な問題でございますが、まず冒頭にお伺いしたいと思います。
#167
○国務大臣(園田直君) 心身障害者の方々に対する対策は、社会福祉の原点の一つであります。従来は二つの問題がありまして、一つはこういう方々に対する哀れみを与える、何とか気の毒だから助けるという考え方、ここに一つの従来の間違いがある。二番目には、政策の問題でやっぱり二の次に置かれてきたおそれがあると。こういうことで一応かっこうだけは水準に達したものの、まだまだいろいろな点では満足すべきものではありません。かつまた、特に身障者の方今の社会参加と、われわれと一緒に仕事をするんだと、社会の役に立ってもらうんだと、そのための身障者対策であるという点については、これは行政の面も国民の方々の理解も、これを機会に切りかえてやらなければならぬ重大なときである、それに伴っていろいろな法律制度等の見直しもやらなければならぬと考えております。
#168
○柄谷道一君 私も同様の認識でございまして、そのようにしなければならぬと思うんですが、私はこの国際障害者年を行事、セレモニー主義に偏向してはならないと思うのでございます。いま大臣も申されましたように、真に障害者の生活と権利が保障される、そして「完全参加と平等」を実現していく、そのためには、残された問題が大変たくさんあるわけです。私は、現状の総点検の上に立ちまして、こうした問題につきましては具体。的、たとえば十カ年計画等の長期計画を策定いたしまして、その到達する目標とこれに達する各段階目標、これを設定しつつ一歩一歩その目標に向かって前進していく、そういう施策の展開が必要である。その意味で、私は障害者年は新しい障害者行政を展開する出発点であろうと、こう考えるわけでございます。
 現在、中央心身障害者対策協議会国際障害者年特別委員会は企画部会、雇用・就業部会、教育・育成部会、福祉・生活環境部会、保健医療部会の五つのプロジェクトチームをつくりまして、主要審議事項を設定しつつこれらに取り組むと聞いておるのでございますけれども、私はこうしたプロジェクトチームの審議の結果は、当然中期計画というものに結びついていかねばならない、こう思うのでございますけれども、大臣いかがでございましょうか。
#169
○国務大臣(園田直君) 御意見のとおりでありまして、特別部会等で長期の計画検討を願っております。これが一番大きな問題と考えております。この御検討を終わりましたならば、政府では直ちにそれを受け継いで、長期の計画を具体的に作成すべきであると、こう考えておりますので、ことしが、そういう新しい意識に切りかえるためにいろいろな行事も必要でありますが、行事週間であってはなりませんので、おっしゃるとおり、これによって政府も自覚、反省をし、国民の方も御理解願って、これから十カ年計画をやっていくべきだと、こう考えております。
#170
○柄谷道一君 大臣のそのような御趣旨だとすれば、現在十四省庁がこの推進本部に参加されているわけですね。縦割り行政の中で、身障者対策を推進するための省庁というのは数多く存在するわけでございます。私は、そういう立場からいたしまして、これを計画的に、しかも整合性を持って遂行していくということになりますならば、現在の推進本部、そして内閣総理大臣官房内に置かれております国際障害者年担当室といったような事務局は、一過性のものとしてこれをとどめるのではなくて、やはり中期計画遂行のための恒常的機関として存置する必要があるのではないか。名称がどう変わるかどうかは別にして、何らかの連絡調整、統合的政策執行のための機構というものは必要ではないかと、こう思うんでございますが、いかがでございましょうか。
#171
○国務大臣(園田直君) ただいま設けられておりまする推進本部及び事務局は、御承知のとおり五十七年の三月までの時限立法でございます。かつまた、目的はこれからやるべきことを決めるのがこの本部の仕事でございます。しかし、問題はそれをどう実行していくかということが一番大事であります。そのためには、いまおっしゃいましたような縦割りの各省にまたがっているものをどうまとめて、年度ごとに目標を立て、どう実行していくかという機関が必要でございます。したがいまして、近々副本部長の総務長官と私が会談をすることにしておりますが、その会談の目的はいまの御発言の趣旨に従って、答申を待たないで実行の機関をどのようにするかということを主に相談をしたいと考えております。
#172
○柄谷道一君 ぜひ、そのような恒常的機関が設置されまして、計画的に中期計画が遂行される体制が整えられますように期待をいたしたいと思います。
 次に、具体的問題に入りたいと思いますが、身体障害者福祉法についてでございます。私は、本法の性格、目的は更生を基本的な性格としているものだと認識をいたします。その更生に必要な限度において、特別な保護を行うことを規定しているにとどまっていると、これは私の認識でございます。私は、そういう現在の身体障害者福祉法から一歩進んで、これを生活保障の立場に立つものにするように、抜本的にこの際見直しをすることが障害者年の一つの課題ではないかと、こう思うんでございますが、その御用意はおありでございましょうか。
#173
○政府委員(山下眞臣君) 御指摘のとおりに、現在の身体障害者福祉法、更生ということを目的にいたしております。ただ、この更生というものの意味、当初立法されましたときは、職業的更生、職能的更生という観点だったのでございます。しかし、その後非常に重度障害者の方の問題等多数生じてきております。解釈並びに数次の改正を経まして、現在の更生という意味は、もう多少でも日常生活能力を回復するというようなことまでも含めて広く更生ということで解釈をし、概念を広げてきておるわけでございます。しかし、御指摘のように、非常に重度障害者の方で更生の見込みと申しますか、それは必ずしもないけれども、やはり援護というような観点も必要じゃないかというような問題等もございます。
 所得保障一般すべてを身体障害者福祉法でというのは、これは各種年金法でありますとか所得保障ございますのでいかがかと思うのでございますが、そういう意味におきまして、身体障害者福祉法につきましてその対象範囲、それから目的概念、そこから始まりまして全般的な検討をしなきゃならぬということで、もう御承知かと思いますが、一昨年来身体障害者福祉審議会で、非常に鋭意熱心に御検討いただいております。遠からず中間的なおまとめをいただけるものと思っておりますが、そういったものも受け、かつまた、先ほどもお話ございました国際障害者年の特別委員会が、長期行動計画的なものを年内には意見を出されるというような段階にもなってきておりますので、それらを受けまして、検討させていただきたいと考えておるところでございます。
#174
○柄谷道一君 私、いま局長が申されましたように、逐次法の内容が改善をされてきた、それはそのとおりでございます。しかし、依然として労働能力を持つ者がその主体といいますか、主眼とされておるきらいがありますために、重度障害者、たとえば遷延性意識障害者、いわゆる植物人間でございますけれども、そうした者は援助の対象になりがたいという問題が現行法では出てくるのではないか、こう思うのでございます。いま鋭意検討中だということでございますけれども、法の目的、性格の見直し、改定とあわせまして、私はこの法の対象すなわち援助対象を拡大するということも、本法見直しの一つの大きな柱になるのではないかと、こう思いますが、その点よろしゅうございますか。
#175
○政府委員(山下眞臣君) 御指摘のとおり、目的から始まりまして、対象、身体障害者の概念の範囲の問題、こういったことも重要な検討課題の一つでございます。大変にむずかしい問題がいろいろございます。難病でありますとか、いま御指摘ありました植物人間的なもの、非常にすぐれて医療的保護が優先すべき分野のものと、こういった福祉法というものの分野をどこでどのように線を引いて整理していくかという問題、大変むずかしい問題でございますが、その点も重要な検討課題の一つとして、いま審議いただいておるところでございます。
#176
○柄谷道一君 また、この法律の中では、医学的リハビリテーション、職業的リハビリテーション等が関係法の中で処理することが決められているにとどまっております。特に、リハビリテーションの流れの出発点であります医学的リハビリテーションが、私は行政的にその地歩が必ずしも確保されているとは言えないと、こう思うのでございます。私は、そういう実態に照らしまして、このリハビリテーションの一貫した体系の確立またリハビリテーション行政の一元化という視点からも、本法改定に当たっては、これも非常にむずかしい問題ではございますけれども、メスを入れなければならない問題点があると、こう思います。いかがでございましょう。
#177
○政府委員(山下眞臣君) まさしく専門家の先生御承知の上で申されましたように、このリハビリという概念は大変広うございます。医学的リハビリ、あるいは教育的リハビリ、あるいは職業的リハビリ、あるいは心理的リハビリ、社会的リハビリ、非常に広い概念でそれぞれの専門分野で行っているわけでございますので、そのすべてを身体障害者福祉法の分野としてこれを取り入れるというのは、必ずしも現実的でない面もあるわけでございますが、御指摘のような点も踏まえて、検討いたしていかなければならぬと思っております。
 なお、御承知のとおり、所沢で国立身体障害者リハビリテーションセンターをつくっております。すぐ隣に、同じ敷地内に労働省の職業リハビリテーションセンターをつくっていただきまして、相互連係プレーをいたしております。そういった意味におきまして、このリハビリの各分野の何といいますか、統合化といいますか、連係といいますか、非常に重要な問題だと意識をいたしております。
#178
○柄谷道一君 これは大臣、やはりこのリハビリテーションは立体的にしかも相互連係を持って組み立てられなければ、私は成果を期待することができないと思うのでございます。なかなか縦割り行政の中でむずかしい面もございますけれども、ひとつこの国際障害者年を契機として、そういったリハビリテーション体系の整備、一元化とこういう問題につきましても、推進副本部長でございますので、ひとつこれからの検討の中で十分に御配慮を願いたいと、これは要望いたしておきたいと思うのでございます。
 さらに本法は、更生のための治療や訓練を目的とした更生援護施設、生活のために訓練を行う授産施設に限られておるわけでございますが、そのたてまえはいずれも一時的な入所を目的とするものでございまして、永久的な施設ではないといったてまえに法律上はなっているわけでございます。しかし、実態面はどうかと言いますと、そうした制約を超えまして長期化して滞留しておるというのがこの実態ではないか、さらに、通達によって設置されております授産工場につきましても、これは通達によって設けられているわけでございまして、法的な裏づけは私はないと、こう思います。このように更生に偏り、実際に実態に合わなくなっているそういう施設体系につきましても、この際、本法の見直しと並行して十分配慮が加えられるべき問題が残っていると、こう思うのでございますが、いかがでしょうか。
#179
○政府委員(山下眞臣君) 御指摘のとおり、身体障害者福祉施設の大宗、授産施設、更生施設、いわゆる通過施設としての位置づけがなされているところでございます。四十六、七年ごろから始まりました療護施設というのがございます。これはある意味で、長期収容を目的とした施設の一つでありますけれども、御指摘のとおりでございます。かつまた、福祉工場につきましても、現在社会局長通達によりまして予算措置を行っているというところでございます。
 御指摘の問題、意識をいたしておりまして、身体障害者福祉審議会の中に、特に施設部会というのを設けて現在審議していただいており、御指摘のような点も踏まえて対処してまいりたいと思います。
#180
○柄谷道一君 次に、本法とは直接の関係はないわけでございますが、所得保障につきましても、たとえば生まれながらの障害者は、大部分拠出制年金に加入できないという仕組みにいまあるわけでございます。もちろん労働ができないわけですから拠出年金に、年金に結びつかない、したがって低い障害福祉年金だけが頼りであるという実態に制度上なっているわけでございますね。また、これが無年金者の発生という問題に結びついてくるという現実的な問題も存在をいたしております。こうした現状に照らしまして、私はこの障害者の所得保障、それから年金の今後のあり方というものにつきましても、従来の経緯を超えてこの隣どうあるべきか、障害者年を契機として真剣に検討され、その施策が打ち出されなければならないのではないだろうか、こう思うのでございます。いかがでございましょう。
#181
○説明員(長尾立子君) お答え申し上げます。
 先生の御指摘は、国民年金に加入されます前にけがをなさいました方、または任意加入の方が加入しておられない間にけがをされまして障害年金を受給されない、または障害福祉年金しか支給されないという方につきまして、こういった方々について年金の上で、また所得保障対策としてどういった対策があるべきかという御質問だと思います。
 先生御承知のように、現在の年金制度の場合には、すべての方が、障害の発生されますかどうかということを、条件を問いませんで皆さん加入していただきまして、あらかじめ一定の保険料を掛けていただきました上で、御不幸にして障害状態になられました場合、障害になられませんでした方々の保険料も加えましてその方に年金をお支払いするというような、いわゆる社会保険の仕組みをとっておるわけでございます。したがいまして、こういった現在の原則の中で、加入されませんでした場合、または加入される前の障害というものを、年金制度の中で同じような処遇をしていくということは、なかなかにむずかしい問題があると思うわけでございます。しかしながら、先生が御指摘になりましたように、障害者御自身の生活の問題、所得保障の問題といいますことは、いまの私が申しましたような技術的な問題を超えまして大変重要な課題であると思っておるわけでございます。先生もお話がございましたように、年金それから手当、関連いたします社会福祉のいろいろな諸施策の相互の関連を組み合わせていきまして、障害者の方の所得保障がいかにあるべきかということにつきましては、総合的な観点から検討させていただきたいと思っております。
#182
○柄谷道一君 いま課長が言われましたように、年金に入っておって途中で障害を受けたという場合もあるんですけれども、生まれながらの障害者というのがあるんですね。これは実態論として、生まれたときからもう障害者ですから、どの年金にも所属しないという方が相当数私はあると思うんです。これは一つの制度だけではすくい上げられないわけです。やはり、これもあらゆる社会保障制度、所得保障の制度というものを組み合わせながら、一体どこで所得を保障していくのか、これは一つ一つの制度の分析ではとうていむずかしいわけでございますから、これはもう少し、大臣、立体的にその実態というものをよくつかんでいただいて、配慮をしていただかなければならぬのではないだろうか。
 その点に対する大臣の御所見とあわせまして、私は、いま時間の関係もございますので数点に限りましたけれども、身体障害者福祉法の抜本的見直しの必要性について指摘をしてきたわけでございます。いま、鋭意関係審議会で検討中であるという事情は十分承知しておるんでございますけれども、やはりその審議を促進いたしまして、少なくてもこの国際障害者年のうちにはそうした法体制の整備が行われる、そういう目標を置いての精力的な努力が必要ではないか、こう私は思うんでございます。この二点に対する、ひとつ大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#183
○国務大臣(園田直君) 現行制度というか、現在の年金の骨組みの中では、御発言のとおりのことはできませんけれども、いま課長から答えましたように、総合的な問題あるいは年金等の問題も、生まれながらですから不可抗力でありますから、こういう点も、何かいい方法はないか御検討願う場合にも、これはさらに追加をして御検討願うつもりでおりますので、努力をいたします。
#184
○柄谷道一君 次に、精神障害者対策について御質問をしたいと思います。
 私の認識が間違っておるかどうか知りませんけれども、わが国の精神障害者に関する法律の趣旨、そして歴史を見てみますと、障害者が正当に医療を受けられる権利を保障するというよりも、むしろ、常に治安対策の一環として制定されたという印象を深くするのでございます。いわば隔離主義が中心に余りにも多くにじみ出ているのではなかろうか。イギリス、フランス、アメリカ等の先進諸国の実例をいろいろ勉強してみますと、精神障害者医療の質的転換が一九六〇年ごろから行われております。
 たとえば、院内救済主義から院外救済主義への転換が行われてきた、その結果、精神病の病床数が六〇年代の二分の一ないし三分の一に減少をしてきておる、この実態から見ましても、大きな質的転換が行われてきたことを物語っていると思うのでございます。
 ところがわが国では逆に、一九六〇年の病床数は、大体人口一万当たり十床程度であったと思うんでございますが、現在では三倍になっております。これは先進国と全く逆行する姿がいま日本においてあらわれてきておる、私はこう思うんでございます。
 これはもちろん、高度成長の過程で都市化、核家族化が進んできた。そこで、障害者を地域や家庭が抱えていくということが困難になってきたという社会事情も確かにその背景にはあると思うんでございますけれども、果たして、現行の精神障害者に対する施策の基本的な方向が正しいものであろうかどうか、私はそこに疑問を最近抱くものでございます。もちろん、自傷他害のおそれがある者、さらには組織的な入院治療、入院措置というものを必要とする者につきましては、入院という方法によりまして保護ないしは治療に努めていかなければならないことは当然でございますけれども、軽度の障害者に対しては、障害に対する医療の改革、生活福祉の充実、雇用対策を含めました地域ケアの体制を整備していく、そういうことによって対応していくという、いわゆる政策の転換が必要なのではないだろうか。精神障害者は、障害度にかかわらず何でも病院に収容と、こういう風潮は先進諸国の実態に照らしましても、また、わが国の実情に照らしましても、この際、基本的な見直しが必要とされるのではなかろうか、こう思いますが、局長の御所見をお伺いいたしたいと思います。
#185
○政府委員(大谷藤郎君) ただいま先生御指摘のように、確かにわが国の精神衛生対策は、欧米の先進諸国に比べて若干おくれているように感じられます。しかし寸わが国も決して努力してきていないわけではございませんで、明治以来の精神病者監護法、座敷牢の問題から始まりまして、精神病院法、それから戦後の精神衛生法、昭和四十年にはライシャワー事件等を契機といたしまして精神衛生法を画期的に改正いたしまして、趣旨といたしましては、できる限り地域ケアを重視しようということで法律が改正されてきているわけでございます。
 しかし、それではなぜ、先生が御指摘になりましたように欧米では入院患者が三分の一に減少しておるのに、わが国では逆に二倍以上にふえておるではないか、こういうふうな御指摘でございますが、この点につきましては、やはり、わが国の置かれている地域社会の実情といったような問題もございますから、これにつきましてはできる限り、方向といたしまして精神衛生法の新しい考え方に沿いまして地域ケアを重んじていって、できる限り、そういった地域ケアの中で精神障害者を処遇するという方向で努力すべきだと考えております。
 したがいまして、厚生省といたしましては、昭和四十年改正の精神衛生法以来、デーケア施設、あるいはいろいろな中間施設等も設置いたしまして、また最近では職親制度の導入等の検討をいたしております。
 また、地域精神衛生活動といたしまして、保健所や精神衛生センターでも社会復帰の事業を行うというふうに、それなりの努力はいたしておるところでございますが、なお先生御指摘のように、今後一層この障害者年にちなみまして努力をしなければならないというふうに考えているわけでございます。
#186
○政府委員(大和田潔君) 精神病の通院治療、これは先生がおっしゃいますような方向で、実は私どもも診療報酬のあり方につきまして、これはやはり遅まきながらそのような方向で検討しつつあるわけでありまして、昭和四十七年には精神科通院カウンセリングというものを新設いたしまして、一回につき四十点でございますが、それが昭和五十三年までに百十点ということに引き上げてまいっております。また、精神科デーケアにつきまして、これは四十九年に新設をいたしまして、これは六十点でありますが、五十三年に百点ということになっておるわけでございまして、そういうような診療報酬の改定で、何とか先生おっしゃいましたような方向に沿って、私ども努力してまいっておるわけでございますが、なお、これは今後ともそのような方向で、中医協での御審議というものがあるわけでございますが、その結果を踏まえて、私ども努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#187
○柄谷道一君 いま保険局長申されましたけれども、私は一部の精神病院に、これ金権体質と言っては語弊があるかどうか知りませんけれども、やはり数多くの入院精神障害者を抱え込んでおる方がもうかると。そして本来社会復帰をさせるべきような障害度になっても、依然としてその病院に収容しておるという実態が私は絶無だとは言えません。そういったところにも、私は今後厚生省としても積極的なメスを入れていくべきだと思うんです。と同時に、いま局長が言われましたように、確かに努力はされておりますけれども、やはりそういった傾向を是正していくためには、この際、診療報酬体系におきましても、精神障害者の通院時の点数というものが果たして適切なのかどうか、これについても、これはなかなか医師会その他がございましてむずかしい問題だとは思いますけれども、やはり厚生省があるべき方向を示唆して、いま言ったような大きな質的転換というものに適応する体系というものをつくり上げていく、これについてはまだまだ努力の余地が残されていると、こう思うのでございます。それらについて再度お伺いいたします。
#188
○政府委員(大和田潔君) 先ほど申し上げましたように、この外来、通院につきまして重点を置いた診療報酬の改定を行ってまいったわけでございますが、今後ともその方向で私ども努力をしてまいりたい、かように思っております。
#189
○柄谷道一君 大臣、これ北海道議会が地方自治法第九十九条の二項によりまして「要望意見書」を提出をいたしております。簡単ですからちょっと読んでみますと、
  今日の精神障害者対策は、精神衛生法による医療と保護を中心とした施策があるのみで、精神障害者とその家族の立場に立っての福祉対策は、ほとんど講ぜられていない状況にある。
 最近の精神障害者対策の現状は、従来の入院医療主義から通院治療、社会復帰の方向へ変貌しつつあり、また、社会復帰対策については、何らの法律的な規定がないため、強力な施策の推進ができず、これら精神障害者と家族の抱えている悩みは深刻なものがあり、現行の精神衛生行政の枠の中だけでは、とうてい解決することのできない極めて緊急の課題となっている。
 したがって、これら精神障害者の社会生活を円滑に営むための指導、援助、及び自立することの著しく困難な者に対する福祉対策は、現下、焦眉の急となっている。
 よって政府においては、かかる実情を十分賢察され、これらの施策が強力に推進できるよう「精神障害者福祉法」を早急に制定され、精神障害者の福祉に万全を期せられるよう強く要望する。
 これは北海道議会の決議でございます。私は、これはまことに今後の精神障害者対策のあるべき一つの方向を示唆した貴重な「要望意見書」であると、こう評価いたしておるものでございますけれども、この際、精神衛生法の見直しにとどまらず、精神障害者福祉法立法化の検討を、厚生当局としても早急に進められるべきではないかと、こう思考いたしますが大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#190
○政府委員(大谷藤郎君) 大臣がお答えになります前に、私から事務的なことをちょっと一言申し上げたいのでございますが、精神障害につきましては、若干身体障害の場合と異なりまして、いわゆる治癒したと申しましてもこの点が、いわゆる寛解という言葉が医学で使われておりますように、再発の問題あるいはいろいろな不測の事故の問題等、医療と福祉が密接に結びついて実施されなければならない。そういう点が地域対策が非常にむずかしい点でございます。
 したがいまして、厚生省におきましては、従来、先ほど申し上げましたデーケア施設あるいは精神障害の回復者の社会適応施設等数種の実験的な施設を現在実施いたしておりまして、こういった成果を見ながらこの問題に取り組んでまいりたいと、こういうふうな立場をとっておりまして、精神障害者福祉法という問題に直ちにこれが結びつけるかどうか、もうしばらく私どもとしてはその実験の成果というものを見て、考えさしていただきたいというふうに考えている次第でございます。
#191
○国務大臣(園田直君) ただいまの精神病院というのは一部金権とこういう控え目の御発言がありましたけれども、やはり性質上、病院の中では精神病院経営が一番営利につながる率が多いのじゃないか。何か一つ事件が起これば各所に出てくるのじゃないかと非常に心配をいたしております。そのためには、入院から通院へ、通院から社会復帰へ、といういま北海道からの要望書というのは、これは確かに一つの方向を示した案であると私も考えております。
 そういう意味におきまして、やはりいままでの惰性ではこれをやっていけませんので、何か抜本的なことを考えなきゃならぬということで今後十分検討いたします。
#192
○柄谷道一君 私は時間の規制がございましたので、現在の心身障害者対策の主要な問題点、特に福祉法の制定と精神障害者対策に問題をしぼって御質問したわけでございますけれども、これはいずれもむずかしい問題ではございますけれども、しかしあえてその困難に挑戦をして、新しい身障者対策の方向を打ち出さなければならないいま一つの壁にぶち当たっているといいますか、転換期に直面していると言っても過言ではないと思うのでございます。ぜひ、本国際障害者年という年の中に、これらの基本的問題に対してやはり勇気を持ってメスを入れ、そして身障者行政のあるべき今後の方向を明確に打ち出していく、それがまた障害者年に課せられた、また、厚生省に課せられた重大な任務であると思考いたしますので、大臣、ただいまの御答弁にございましたが、ひとつ勇気を持ってこれらの問題に挑戦を願いたいと思うのでございます。
 最後に私は、昭和五十五年、昨年十一月十八日衆議院社会労働委員会の議事録を拝見いたしまして非常に深い感銘を受けました。それは板山説明員――これは厚生課長さんでございますね、実に率直な答弁をしておられるわけでございます。
 ちょっと御紹介しますと、「振り返ってみますと身体障害者の実態調査というものが十年前に行われて以来できなかった。そして一部の障害者の団体あるいは障害者の人たちと厚生省当局との交流もまた、ままならないものがあったのが偽らない経緯であります。そういう行き違いの重なり合う中から、本当に障害者の人たちが何を考え、何を求めているかをとらえることは大変に困難であったわけであります。そういう中で進められます行政というものが、御指摘のように時に現実と遊離し、時に障害者の人たちが願う、その方向と違っておったこともまた否めない事実として存在しただろうと思うのです。そういうものを常に反省し、評価、点検しながら新しい施策を考えていくのが社会福祉行政だと私は考えます。」
 私は、本当に厚生省の担当課長が率直なそのような自己反省の上に立って、この国際障害者年を契機として新しい道に挑戦していこう。この決意を速記録の中でうかがいまして、非常に感銘を受けますと同時に、私は、大臣以下全厚生省の職に携わる者がこうした率直な気持ちに立って、国際障害者年を本当に実りあるスタートの年とするために御努力を賜りたい。このことを強く要請をいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
#193
○国務大臣(園田直君) 心から御礼を申し上げます。
 私が願っておりまする厚生省の公務員の姿は、そういう姿を私が心から熱望しているわけでありまして、こういう転換期には、こうこうこういうことをしたところではあるがとか、そういう発想ではなくて、過去の間違いに対する反省から始まらなければ決して新しい時代は始まらない。そういうことを絶えず願っておりましたが、いまお目にとまりまして厚く御礼を申し上げます。
#194
○柄谷道一君 終わります。
#195
○前島英三郎君 国際障害者年を機会に、法律の改正を含めて福祉のあり方を榎本から見直してみる必要がある。いま柄谷委員もその問題を中心に御討議いただいたわけでありますが、私も同感でございます。
 その際大切なことは、考え方の基本をしっかりと踏まえておくことが必要だというふうに思います。
 その一つは、大臣が常々御答弁しておられるように、障害者を社会に合わせようとするのではなくて、社会を障害者にも合うように変えていく、いわば社会のリハビリテーションだと思います。こういう考え方だと私は思います。この考え方は、障害者が地域で自立して生活できる条件づくりということにつながっていくと思います。この障害者が地域で自立して生活できる条件というものを、私はいろいろな角度から質問をしてきたわけでありますけれども、きょうは特に、重度障害者の生活に欠かせないものの一つであります介護の問題を考えてみたいと思っております。
 介護を必要とする人は、自立てきないという感覚がまだ残っているのではないかと思うんですが、それは間違いだと思います。自分の意思に従って自分の生活を律するということが自立の基本でありまして、その中に介護も位置づけられなければならないというふうに思います。私も極力介護を必要としないように、それなりの訓練は積み重ねておりますが、どうしてもこの社会が、健康な人を中心につくられておりますので、時と場所によっては介護をやむなく願わなければならない、そういう経緯もあるからであります。介護する側の都合で成り立つ介護ということではなくて、介護を必要とする人の主体的な生きる姿勢を支えるものとして、介護が位置づけられなければならないと思います。このような認識を踏まえて御答弁を願いたいと思うのでありますが、そこでまず第一に、在宅の重度障害者の介護のニードについて、厚生省はどのように把握しておられるか伺いたいと思います。
 昨年の二月、厚生省として実態調査を行っているわけなんですが、その中でもかなりニードが大きいことがはっきりしていたように思います。またその大部分が家族によってなされていることも、大いに注意に値すると思われます。介護需要に関する厚生省の認識を、まずお答えいただきたいと思います。
#196
○政府委員(山下眞臣君) 昨年行いました実態調査の中での介護のニードの状況を、数字的に御説明さしていただきますと、調査をいたしましたのは、「食事をする」「トイレを使う」「入浴をする」「衣服の着脱をする」「家の中を移動する」 この五つの基本動作につきまして調査を行ったわけでございます。
 その結果によりますと、まず「食事をする」ということにつきましては、一部介助を必要とする者は全部で二百万のうち八万二千人、約四。二%。それから全部介助を必要とする数は八万三千人、約四・二%。それから「トイレを使う」ということにつきまして一部介助を必要とする者が九万四千人、四・七%、全部介助を必要とする者が十三万八千人、約七%。「入浴をする」につきましては、一部介助を必要とする者が十六万七千人、約八・四%。全部介助を必要とする者が二十二万一千人、約一一・二%。それから「衣服の着脱をする」につきましては一部介助必要が十四万七千人、七・四%。全部介助必要が十八万一千人、九・二%。「家の中を移動する」これにつきまして一部介助を必要とする者が八万一千人、四・一%。全部介助必要が十三万三千人、六・七%。そういった数字でございますが、こういった五つの動作のすべてにつきまして全部介助を必要とするという方が六万七千人、約三。四%の方がそういう状態にあるという状況でございます。
 またその介助者につきましては、先生御指摘のとおり各生活動作とも四〇%以上が配偶者、それから子供が二〇%以上というような形で、おおむね九〇%近くの方が家族の介護を受けておられるという状況が判明いたしております。
#197
○前島英三郎君 そういう形の中で厚生省として、どのようにそれならば施策を講じてきたかと、こういうことになるんですが、調査の結果だけではない。これからやはりそういう意味では介護の施策というものが重要になってくるだろうと思うんですが、伺っておきたいと思うんです。
 で、新年度予算の中で脳性麻痺者等ガイドヘルパー派遣事業を新設したことなどは大変評価するところでありますけれども、それをどのように実施していくおつもりなのかという点も含めて御答弁いただきたいと思います。
#198
○政府委員(山下眞臣君) 現在、在宅重度障害者に対します介護対策といたしましては、一つは、金銭給付という面で特別児童扶養手当あるいは障害福祉年金、福祉手当、生活保護による介護料等があるわけでございますが、片方にその現物給付というふうな形で家庭奉仕員なり、介護人の派遣事業あるいはショートスティ、デーサービスというような事業を行っておるところでございます。また施設面では、療護施設というのがあるのは御承知のとおりでございます。
 五十六年度におきましては、そういったほかに新たに居宅の方に対する訪問サービスということで入浴、給食、洗たくというようなものを寝たきり老人の方と重度障害者の方を対象にして始めるということも新規事業として始めております。
 御指摘ございました「脳性麻痺者等ガイドヘルパー派遣事業」、これも五十六年度新たな事業として考えております。そのやり方いかんということでございますが、単独で外出することが困難な重度脳性麻痺障害者に対しまして、あるいは公的機関に行かなければならない、あるいは医療機関に通院しなければならないというような必要な場合におきまして、あらかじめ障害者の方に御推薦をいただいた方を都道府県に登録をいたしておきまして、その方をガイドヘルパーとして登録しておきます。そうしまして、障害者の方には介護券を差し上げておきまして、それで、その御要請に応じてガイドヘルパーを派遣して、そのガイドヘルパーの方には、介護いただいた場合に障害者の方から介護券を渡していただければ、公的なお支払いを申し上げるというようなやり方を現在考えておるわけでございます。
#199
○前島英三郎君 なかなか手順的にも大変ややこしい部分、これはまあ新規のものにはその点も否めないだろうと思うんですけれども、現在実施されているその介護に関する制度を見ますと、介護そのものを現物で給付するものとして、いまおっしゃった家庭奉仕員、ホームヘルパーの派遣制度ですね、それから介護人の派遣制度、それから社会参加促進事業の中でやっているガイドヘルパー等の派遣事業などがありますし、一方介護に要する費用、介護料として金銭給付する形のものとして、生活保護による介護料の支給、あるいは原爆被爆者特別措置法による介護料の支給、そのほか幾つか類似の制度というものがございます。ところが、現物給付型の制度の場合、たとえば家庭奉仕員の場合週二回というものでありまして、これも大体一、二時間程度で、介護のニードの一部を充足しているにすぎず、日常的に家族またはボランティアの介護に頼っているというケースが大変多いという結果が、先ほどの調査でもそれはもう如実に示しているだろうと思います。また一方、金銭給付の場合では、生活保護を例にとりますと、他人介護の場合月三万九百円まで認められているのですけれども、家族介護の場合には月六千三百四十円と、こういうことになっております。
 この背景には、家族が介護するのは当然であり、それに対して介護料を支給する必要は認められないという考え方があるように私は思えてならないわけで、多分そこは本音だろうと思うんですが、しかもこれは、いずれも低所得者に限られております。こうして見できますと、現在の介護に関する施策というのは、全くの家族依存型と言わざるを得ないと思うんですね。で、厚生省の実態調査でも、介護需要の約九割が家族によって充足されているということはさきにお答えになっておられましたけれども、その家族の負担や疲労が実に大きいことも忘れてはならないと思うんです。労災被災者の生活実態調査にもその点が明確にあらわれておりましたし、脊損連合会が行った調査でも、介護に当たる家族の健康状態が悪いという人が約半数に上っております。つまり介護こけたら車いすもこけると、こういうことになっている部分でございます。
 こうした点を考えますと、家族依存型のあり方を私は改める必要があるんじゃないかというふうに思うんです。また、そのことは障害者本人の主体性を尊重した介護制度のあり方という面からも、大切なことだというふうにも思います。こういう私の考えに対してどのように厚生省はお考えか、伺いたいと思うんですが、いかがでしょう。
#200
○政府委員(山下眞臣君) 先ほど実態調査の数字でも申し上げましたように、非常に多くの方が、九割近くの方が御家族の介護を受けておられるという状況にあるのは事実でございます。私どもといたしまして、御家族の御苦労にもうおんぶしてしまうというつもりではございませんが、御家族の方にも御努力いただくというのはありがたいことだと思うわけでございますが、なかなかそれにも限界がある、非常に大変だという問題があるわけでございまして、この介護というもののあり方、非常に重要な問題の一つだと思っております。先生よく御承知のように、身体障害者福祉審議会でも、現在やっております中央心身協の中でも、この介護の問題は一つのテーマにされているわけでございますが、実は昨年から、特に更生課長のプロジェクトチームという形で、重度障害者の方々にお集まりをいただいた懇談会、検討会というのも現在行っておるところでございます。そういったことを踏まえまして、介護の重要性ということにつきましては、できるだけのことをいたさにゃならぬという認識を持っておるところでございます。
#201
○前島英三郎君 そういう意味では他人介護の問題、家族介護の問題のギャップというものも当然議論の対象になってくると、こう理解してよろしいでしょうか。
#202
○政府委員(山下眞臣君) 検討される事項の一つにはなると思うのですが、ただやはり御家族が介護される場合には、その必要な経費を考えるということで、他人介護料の場合には、やはり人を雇うと申しますと大変言葉があれですが、おいでいただくという形でございますものですから、全く同一にするのは困難かと思いますけれども、勉強さしていただきたいと思います。
#203
○前島英三郎君 ここで確認しておきたいんですが、福祉手当の位置づけとして、厚生省はこれを介護料の一種と考えているかどうか伺っておきたいと思うんですが、いかがでしょう。
#204
○政府委員(山下眞臣君) 福祉手当は、御承知のとおり、日常生活で常時介護を要する特別の重度障害者、この方々に対しまして給付されるわけでございますが、そういった方の、障害のゆえに生じまするいろいろな意味の経費負担、これを軽減する一助として支給されるという考え方でございまして、現在の額では、いわば慰謝激励的な給付というふうに申し上げざるを得ないのではないかというふうに考えております。
#205
○前島英三郎君 大変実はこの福祉手当も、言ってみればお涙的なもので、なかなか実際介護の実態にはそぐわないような気がするんですけれども、介護に関するいろいろな施策を見ますと、対症療法的に実施されてきたという印象は否定できないと思います。私は介護制度としてきちんとしたものを、この国際障害者年を契機としてでも、どういう形でもいいと思うんですが、確立する必要があるというふうに思います。
 そこで介護制度の基本的なあり方というものをこの際考えておきたいという意味も込めまして、先ほども触れましたように、介護を保障する方法として現物給付によるものと、介護料として金銭給付によるものとの二通りのやり方がございますけれども、ところが、冒頭にも述べましたとおり、介護を必要とする障害者の主体性を尊重するあり方にするためには、金銭給付を基本とするあり方が大変望ましいというふうに考えるわけです。で、アメリカで最近注目されている重度障害者の独立生活、つまりインデペンデントリビングを見ましても、介護者を自分で管理するということが大きな眼目になっているわけなんです。そのことが社会的自立につながるからだというふうに私は思います。ですから、介護料として本人に給付することをペースとして、それでカバーし切れない部分、たとえば専門的技術や知識を必要とするようなもの、あるいは何らかの理由で介護の自主管理ができない場合等について、介護の現物給付を配置すると、こういうあり方が望ましいと私は考えるのですが、現状の施策を整理して、いま述べたような方向で介護制度を確立していくべきであると思うんですけれども、この考えに対して、厚生省はどう受けとめられましょうか。
#206
○政府委員(山下眞臣君) インデペンデントリビングと申しますか、障害者の方の自主的な自立意欲と申しますか、そういうことを尊重して物を考えなきゃならぬということは、御意見のとおりだと思っております。先ほど脳性麻痺障害者のガイドヘルパー派遣事業につきまして、まず障害者の方から御推薦いただいた方を登録しておいて、その方の中からというふうなことを申し上げました。あるいは従来からございますデーサービス事業、これは身体障害者福祉センターを拠点として行うわけでございますが、それに、新たに運営委員会みたいなものを設けまして、障害者の方々にもお入りいただいた運営のあり方等も考えるようにいたしておりますのも、そういった考え方に基づいて考えておるわけでございます。
 ただ、この金銭給付によるあり方というものと、現物給付によるサービスによるあり方というものとはやはりバランスをとって物を考えていかなきゃいかぬわけで、いずれか一方だけで処理してしまうというわけにはまいらぬのじゃないかと思うわけでございます。御指摘のとおり、いろいろな施策が現在混在をいたしております。見直しまして、全体としてのそのあり方を考えていかなきゃならぬというふうに考えております。
#207
○前島英三郎君 いろいろな形の見直しの中で、介護という問題は特に取り残されている重度の人たちの切実な訴え毛あると思いますので、ひとつ慎重に検討をしていただきたいというふうに思います。
 で、介護料の水準をどの程度にすべきかということもこの際考えなければならないと思うんです。現在行われているものを見ますと、他人に介護を依頼する場合、月額三万九百円となっております。これは幾つかの制度の横並びで同じになっておりますけれども、介護を受けている人たちの生活実態、特により重度の人たちの生活実態を見ますと、とても三万九百円では十分とは言えないと思います。これで充足できる人もあると思うんですけれども、あるいは充足できない状態にあるという人ほど介護の問題はより切実な問題になっております。そこで生活保護における他人介護料の算定根拠というものは何なのか、ちょっと御説明いただければと思うんですが、いかがですか。
#208
○政府委員(山下眞臣君) 他人介護料月額三万九百円、これは実は四月一日から三万二千百円ということに引き上げられることに相なっております。
 率直に申し上げまして、これは原爆被爆者の介護手当、それから公害健康被害者の介護手当、この生活保護の介護料、同一の額で横並びを考えながら引き上げられてきておるというのが率直な実情でございます。そういった他制度との均衡、あるいは先ほどちょっと触れました介護人派遣事業の手当の額、そういったものを勘案いたしまして、五十六年度におきましては三万二千百円という一応の限度額でお願いをいたしておるところでございます。
#209
○前島英三郎君 現に、生活保護の中でも一般基準で介護が充足できない人の場合、特別基準を設定することができるようになっておりまして、これはたしか月額七万円程度の介護料が認められておりますね。
 また一方、スモンの和解の結果を見ますと、重症の人に対して製薬会社が介護料を支払うことになっておりまして、超重症者――視力を完全に失った人あるいは歩行不能になった人のことでございますけれども、和解当時月額六万円、現在では六万五千円となっております。超々重症の人の場合には、現在十万八千四百円と、こういうことになっております。和解ということなんで、これは算出根拠等ははっきりしないと思うんですけれども、現在の実勢にかなったものという印象がございます。
 このほか自賠責では、交通事故による後遺障害のある人のうち、いわゆる植物状態患者及びそれに準ずるような重症の人に対しましては一日三千円、月額に直しますと約九万円の介護科が支給されております。
 このように見てみますと、重度の障害者で、切実に介護を必要としている人々の介護ニードを充足するには、現状の介護料の水準では不十分であるということは、数字的に見ましても明らかだというふうに思うんです。現状で充足できる人と充足できない人の実態をよく見ていただきまして、もう一段高い水準で給付できるように考えてほしいというふうに私は思います。
 障害者の所得保障、経済保障のあり方について、厚生省では総合的に検討するためにプロジェクトチームをつくってやっていくということを伺っておりますけれども、所得保障と介護保障の関係について、実はちょっと触れておきたいと思うんですけれども、所得保障は、障害によって十分な所得が得られないという面に着目して考える問題でありますし、これに対して介護制度、介護保障というのは、障害ゆえに生ずる余分な出費、あるいは特別な需要が追加されるという面に着目して考える問題だというふうに思います。したがいまして、必ずしも所得保障制度の中で一括して解決できない要素というものがあるというふうに思います。同時に、所得保障と密接に結びつけて考えた方がよいという面もございます。現在の時点では、今後検討すべき課題を提起するにとどめざるを得ないと思うんですけれども、今後、厚生省としてもどのように検討していくお考えなのか、この問題の締めくくりといたしまして、局長のお言葉並びに大臣からのお言葉もいただければと、こう思っております。
#210
○政府委員(山下眞臣君) 大臣の御答弁の前に、お触れになりましたことにつきまして若干申し上げさせていただきます。
 御指摘のとおり、生活保護におきましては特別基準ということも道が開けております。現在七万六千円という介護料を出しておるケースもございます。これは、本来三万二千六百円という介護で普通できる介護、それをお願いしたい。しかし、その同じ介護をするのに、やはりその状態あるいはその地域の賃金実情等において、どうしても特別基準が必要だというふうな場合に設定をいたしているわけでございまして、七万六千円というのがあるのは事実でございます。
 お話の中で、スモンの超重症者の場合、十万円というようなこと等ございましたが、スモンの場合につきましては、御承知のようないきさつで、製薬会社との間で一種の和解の中身として決められたわけでございまして、生活保護の場合は、実際に介護をされたそのかかる費用という見地で保護をいたすわけでございます。スモンの場合は超重症者だということであれば、その実態ということではなしに十万円差し上げるというような形で、同じ次元で論ずるというのはちょっと困難かと思うわけでございます。
 なお、介護問題と所得保障問題につきましては、大臣からお話いただけるものと思います。
#211
○国務大臣(園田直君) 障害者の介護ニードに対する対応は、御指摘のとおりだと考えております。ただいま厚生省内で検討しておる年金その他の所得の問題と介護料の問題とは、やはり一括しては考えられない問題で、しかし関連性は十分あるわけでありますから、この所得の検討をいたします際には、この介護料の、あるいはこれに対するニードに対応する問題等も関連をして、含めながら検討していきたいと考えます。
#212
○前島英三郎君 そういう意味で、全体的なパーセンテージの中では、介護を必要とする人というのはごく限られた重度の人たちでございますので、そこに温かい厚生行政の光が当たるということが、何よりも大切なことだというふうに私は思いますので、今後引き続きプロジェクトチームの中でも、所得保障と介護料のひとつ兼ね合いの問題は十分慎重に御討議いただきたいということを重ねて申し上げたいと思っております。
 次に、義肢装具士あるいは義肢装具適合士の問題について質問したいと思います。
 最近一人の青年の訪問を受けました。彼は片足切断で義足をつけていたんですが、外から見ると全くわからないというほど非常にうまく合う義足が得られた状態でびっくりいたしました。ところが、そのようにぴったり合う義足を得るまでには、実に大変だったということであります。そしていまの義足が痛んできたので、新しいものをつくってもらったところ、なかなか合うものをつくってもらえないということでございました。彼は、結局自分でつくるほかはないと考えまして、義肢製作者になる道を選びました。そしていま、義足に足を合わせるのではなく、義足を足に合わせるのだと、こういう気持ちで、よい義足づくりに専念しているようでございます。大臣がおっしゃる、障害者に社会を合わせるこの一つの発想が、こうしたいみじくも一人の義肢製作者の青年も同じ感覚を持っていたということを大変うれしく思ったわけでありますが、このエピソードでもはっきりしているように、義肢装具というものは、本人にぴったりと合うものを供給しなければならないと思います。それには義肢装具士あるいは義肢装具適合士、これは呼び方が定着してないんで私はこういう言い方をするんですけれども、この人材の養成ということがきわめて重要であるというふうに考えます。義肢装具に関する専門職の養成計画につきまして、まず伺っておきたいと思うんですが、いかがでしょう。
#213
○政府委員(山下眞臣君) 御指摘のとおり、肢体不自由者のリハビリ実施に当たりまして、義肢装具の適合士は非常に重要な役割りを担うと考えております。国立身体障害者リハビリテーションセンター、ただいま鋭意養成研修棟の建設を行っておりまして、今年度中に完成をいたす予定にいたしております。明年五十七年度からは、新たな職員養成の一つといたしまして、義肢装具の適合士の養成をいたしたいと考えております。現在、リハセンターの総長の諮問機関をつくりまして、そのためのカリキュラム、養成方法等について鋭意詰めておるというのが実情でございます。
#214
○前島英三郎君 そうしますと、五十七年度にはその職員養成ということですけれども、じゃ、その身分・資格制度もこれは相まって検討されていくと、こう理解してよろしいでしょうか。
#215
○政府委員(山本純男君) 先生御指摘の義肢装具適合士の方の身分・資格制度という問題について、五十三年三月ですから、三年前になるわけでございますが、義肢協会から私ども厚生省の医務局の方に資格制度を設けることについて陳情がございました。そういうことでございましたが、この協会の中で、その当時は医療従事者ということで資格制度をと、こういう御意見だったわけでございますが、その後必ずしもそういうことだけではなくて、製作技術の評価をも含めたもう少し幅のあると申しますか、大きな問題としてこの資格制度を考えるべきではないか、こういう御意見が非常に強くなったというふうに伺っておりまして、私どももこの協会あるいはそのほか関係団体の皆様方のこの資格制度についての御意見を、十分固まったところをお伺いいたしまして、その上でひとつ適切に対処してまいりたいと、こう考えております。
#216
○前島英三郎君 日本学術会議等からも提言がありましたし、まあいまおっしゃるように義肢協会からもそういう提言があり、リハビリテーション医学会等からも資格制度についての要望が出されていたというふうに思います。これは薬剤師などの場合とは違いまして、義肢装具の場合というのは製作と適合とは密接不可分の実態にあるというふうに私は思うんです。その実態を考慮に入れたあり方を考えるべきではないかと考えるんですが、この点についてはいかがでございましょうか。そういう方向でというふうに理解してよろしいでしょうか。
#217
○政府委員(山本純男君) 私ども医務局の関係で、リハビリテーションのOT、PTを養成している施設がございまして、そこに大変熱心な整形の先生がおられるんですが、この先生がやはり先生と全く同じ意見を医務局へ来ても私もずいぶん何回もその話を聞かしてもらいまして、やはり製作から適合までというものを責任を持って一体的にやることが大変重要だという話を聞かされております。私どももまた、各団体その他の御意見を伺いながら、ひとつ障害者の方が使いやすい義肢が開発されて、それがまた障害者の方に利用していただける一番いい方法という方向でぜひ考えていきたいと思っております。
#218
○前島英三郎君 いま義肢装具を実際つくっている人たち、いろんな人たちがおりますけれども、その大半がみずから足を切断し、みずから腕を切断しということで、障害を体験をした上でその義足、義手のやっぱり重要性ということからその職業を選んでいるケースというものが大変多いわけです。そういう点では、この人たちがやがて生涯この仕事に情熱を燃やしていく上にも、早期にその身分制度の確立ということがどんなにかまた励みにもなる、こういうふうにも私は思うわけでありますが、その点と同時に、いま現職従事者の人たちの中にも、やっぱりそれにふさわしい再教育ということも当然重要だというふうに考えております。その辺はいかがでございましょうか。
#219
○政府委員(山下眞臣君) 義肢装具製作従事者の再教育、現任訓練、これは所沢に移転します前の旧国立身体障害センター、ここにおきましても昭和三十一年から実施をいたしてきておりまして、五十四年度からはリハビリセンターの方で引き継ぎまして実施をいたしているわけでございます。今後ともこの研修は続けてまいりたいと、かように考えております。
#220
○前島英三郎君 それでは時間も残り少なくなりましたので、最後に国際障害者年記念事業の一つとして建設する、全国身体障害者総合福祉センターの構想につきまして伺っておきたいと思います。
 まず、現在のところどのようなものを計画しておられるのか、旧国立身体障害センターの跡地だろうと思うんですけれども、その概要を承りたいと思います。
#221
○政府委員(山下眞臣君) 全国身体障害者総合福祉センターは、全国の身体障害者の方の自立更生と福祉の増進に寄与するということを目的としまして設置構想されたわけでございますが、まず一つには、身体障害者の方の生活、医療、就職、開業あるいは補装具、生活事情等々の各種相談に応じたいという相談事業を一つの柱に考えております。
 それから二番目には、身体障害者のスポーツ指導員あるいは身体障害者の専門のボランティアの養成、そういった養成、研修、こういった身体障害者関係者の資質向上を図るということを第二の事業として考えておるわけでございます。
 それから、会館的な要素もあるわけでございますので、身体障害者の福利厚生事業、身体障害者の方がお使いになるスポーツ施設あるいは宿泊施設、そういったものを設置をいたしたいというふうに考えております。
 それから四番目の要素といたしましては、御指摘ありましたように、所沢に移転しました跡地でございますし、国立の身体障害者リハビリテーションセンターが所沢で離れておりますので、そこへの入所相談、こういったこともこの会館で行いたいと考えておるわけでございます。
 おおむね土地が三千三百平米、千坪程度でございます。建物の規模といたしましては現在ではおおむね八千三百平米、地下二階、できれば地上五、六階というような形で考えております。建設費につきましては、総額二十四億ということを現在考えておりますが、初年度の五十六年度予算におきましては、八億五千万円ほどが予算化されておるというのが実情でございます。
#222
○前島英三郎君 今後計画を煮詰めるに当たりまして、障害者団体を初めこのセンターを利用するであろう人々の意見や要望を十分に聞く必要があると考えるんですが、そういう方向で検討されているのでしょうか。いかがでしょうか。
#223
○政府委員(山下眞臣君) この構想を立てます段階から、実は二年ほど前から跡地利用検討委員会というのを設けております。身体障害者の方にお入りいただいてやってきておるわけでございます。今後とも御趣旨を体していきたいと考えます。
#224
○前島英三郎君 で、センター建設を機会に総合的な相談窓口をつくるべきだというふうに思います。いま相談事業とかあるいは養成、研修とか福利厚生あるいはいろんな形のメニューを聞いたわけですけれども、縦割り行政の弊害をしばしば指摘されておりますけれども、そこに行けばどのような問題でも受けとめ、相談に乗ってくれるという窓口ができれば、大変いいのではないかというような気がいたします。いろんな問題で障害者自身も、一体この問題はどこへ相談に行ったらいいのかということで非常にたらい回しされるケースというものもございます。そういう意味では、とにかくそのセンターへ行けばすべてのことがわかる、すべてのことがそこでは掌握されていて、いろんな障害者にそのことが伝わるような仕組みになるというような一つの相談の窓口、いわば一一〇番的な窓口になっていただきたいということを心からお願いしたいと思います。
 以上、時間になりましたので、きょうの質問はこれだけにさしていただきます。ありがとうございました。
#225
○山田耕三郎君 私は、高額療養費の公費負担制度を評価をいたしながらも、現状の運用が続けられます限りは制度の存立そのものが心配をされます。特に国サイドからの対応の改善を求める立場から、厚生省の所信をただしたいと存じます。
 特に、零細者の加入の比較的多く、しかもまだ給付内容の低い国民健康保険においては、被保険者であります患者の生活破壊を防止する面において大変大きな効果を発揮をいたしております。反面、それだけに市町村国保の財政運営にきわめて重大な影響を及ぼしております。たとえば今日、人工透析患者は異常な増加をいたしておりますとともに、治療費の伸びも著しいものがございます。人工透析患者の治療費は、平均的に通院の場合で月額六十万ないし七十万、入院の場合では、九十万円ないし百万円程度が常識的になっております。すなわち患者一人に対する年間の国保財政負担額というものは、給付及び高額分を合わせまして約一千万円になります。零細な特に町村国保会計にとっては大変な負担額になります。この他、高額の療養費を必要とする疾病の増加経過とあわせ考えてみました場合に、国保事業の運営を、財政の面から困難にいたしておりますことを否定することはできません。
 これに対し厚生省は、国民健康保険事業に対する財政調整交付金から補助金を交付して、国保事業の円滑な財政運営を助けておられますのでございますけれども、これらは至極適切な施策でありますと思います。ただ、この高額療養費の公費負担制度の発足に当たりましては、府県はそれぞれの市町村に対し、公費負担分の二分の一は国庫が、残り二分の一は市町村が負担することによって、この高額療養費の公費負担制度を行っていく旨説明が行われ、市町村側もその説明を素朴に理解をして発足をいたしました経緯があるように思われます。したがって、ただいまの市町村側の悩みは、国の負担が期待をしておる二分の一からかなり減額されておりますし、しかも国の負担率が年々低下をしております。その分だけ市町村負担が加重をされていく結果になり、保険財政を圧迫することになっておりますという理解があるのですけれども、なぜこのようになっておりますのか、市町村の悩みを解決しようとする方策はありませんのか、これらに対してまずお尋ねをいたします。
#226
○国務大臣(園田直君) 御指摘のとおりでありまして、高額療養費の支出の伸びが財調交付金の伸びよりもだんだん上回ってきておるところにそういう問題が出てくるわけでございます。したがいまして、国保に対する国の補助のあり方については、見直しをするべきときであると考えておりますので、老人保健法案の動向を見た上で、これについては御発言の趣旨を十分踏まえて検討するつもりでございます。
#227
○山田耕三郎君 ただいま大臣からお答えがありましたように、これらの調整交付金として補助金の交付がされます原資は、すなわち予算総額は確かに年々増額をされております。けれども、地方に交付されました場合には、交付の率は年々低下をしてきております。御承知のことと存じますけれども、たとえばごく近年だけをとってみましても、昭和五十三年度では、いわゆる二分の一というものを基準にいたしますと、その額に対して七〇・九%、五十四年度におきましては六四・一七%、そして先日決まりました五十五年度では五六・二七%ということになっております。この五六%でありましては、すなわち四分の一を国が補助金として交付をされ、市町村は四分の三を負担をせなければならない、こういったことになります。ただ、今日の高額療養費の実態を調べてみますと、大体二十万都市で年額負担総額四億円くらいと見て大きな過ちはないと思います。そうしますと、町村が三億円を負担をして、国が財政調整交付金で一億円を補助をしていただく、こういうことになりますと、負担の均衡の面からいっても確かに問題がありますと思います。さらにまた、今日確かに国の方においても財政再建を第一義としております。これは地方とても同様であります。なればこそ地方と国とがそれぞれの持てる力に不公正がなく、あわせて国民生活を守っていくということに対応をしていかなければなりませんと思います。ただいま大臣の御答弁ではそういった矛盾ができておるから、それらは何とかして直していかなければならない旨のお答えでございました。そういった御措置を十分期待をしながら、重ねて御要望を申し上げさせておいていただきます。以上で、高額療養費の問題は終わります。
 その次には、障害を持つ乳幼児対策の強化と拡大を願います立場から要望とお尋ねを申し上げさせていただきます。
 今日、大津方式と言われる言葉で呼ばれております、そして全国の注目を集めております障害児施策について、その特徴を若干御理解をいただくために申し上げさせていただきます。
 それは新生児を、出生後なるべく早い時期に健診を実施をする。しかも、その健診は一〇〇%実施をするというところにございます。具体的には出生後三カ月目に健診を行って、これは一〇〇%捕捉をすることに努めております。この時点で障害の発見に努めるのでございますけれども、これらの制度を実施するまでには、医学的に素人であります母親が、自分の子供さんの異状に気づくことの方が、健診で発見するよりも先行をいたしておりまして、母親が異状に気づかれるのでは、すでにもう時期が遅いということが言われております。それは症状固定が進んでおるからであります。そういったことでこの方式を採用をするようになりましてから、今日では、健診で必ず障害を持たれます子供さんが発見をされる、こういうことになっております。
 ところが、今日までの欠陥は障害児が発見をされましても、その後の対応策がなかったところにございます。大津方式では、障害児が発見をされれば必ず小児科の医師、さらには、われわれはこういった言葉を使っておりますが、心理発達相談員、保健婦、理学療法士及び保母、それらがプロジェクトチームを組んで、この障害を持つ子供さんに対応をいたしてまいります。そして何よりも大切なのは、常時子供さんに接しております母親の教育であります。だから母子通園センターを設置をして、母子分離と母親教育をあわせて行っております。そのような施策を精力的に進めてまいりました結果は、多くの、しかも大きな成果を得ております。
 たとえば一つは、小児麻痺の子供さんでも歩くことのできない子供さんはなくなりました。さらに、学齢に達しても学業にたえられないために就学猶予願いや免除願いを出される子供さんが、ここ数年なくなりました。副次的な産物といたしましては、股関節脱臼の子供さん等はもう見当たらくなってしまいました。このような結果が、県内はもちろんのこと、遠く他府県から障害を持つ子供さんを思う一念から、その親御さんたちは自分の勤めをやめて、さらに自分の事業を閉鎖してまで居を移して来られます。そして障害児施策の恩恵を受けようとしての行動をとられるのでございますが、これらの方がますますふえていく状況にあります。そしてこれは、御本人にとっては大変大きな犠牲だと思います。今日の終身雇用制度の日本の社会の中にあって、いままで勤めておったところをやめて新しい地域へ出て、新しい職を探すということはこれは大変不利なことであります。しかし、それらもあえて行わなければならないというのが、障害児へ対する親の切なる願いの結果だろうと思っております。しかし幸いなことに、そういった方々の感想を求めますと、来てよかった、このようにおっしゃいます。
 昨年もNHKが、障害を持たれます子供さんの訓練についての放映をされました。ぜひその訓練を受けたいということで、二十名余りの方が二十日間ほど大津市で旅館にお泊りになって、集団でその訓練を受けられました。感謝をされました手紙が訓練士のもとに来ておりますけれども、それらは全国各府県からであります。そういうことから考えますと、試行錯誤を重ねながらではありますけれども進めてきたこの大津方式は、やっぱり社会に貢献をしておるのではないか、このように考えておりますのでございますけれども、自分の勤めをやめて、さらには自分の事業をやめてまで移ってこられなくてもよいように、成果がはっきりしておりますのでございますから、国の施策としてそれぞれの府県に一都市でも二都市でも選定をして、モデル的に実施を進めてやっていただくような方策をとっていただければ、大変多くの方が救われるように思えてなりませんのですけれども、そういった面で、厚生省のお考え方をひとつ承りたいと存じます。
#228
○政府委員(金田一郎君) 心身障害の早期発見につきましては、ただいま全国一律に実施いたしております対策といたしまして、乳幼児の発達、発育段階に応じた健康診査を実施いたしております。
 その内容を簡単に申し上げますと、生後五日から七日目までの間に、先天性代謝異常検査あるいはクレチン症検査を行うことによりまして、精神薄弱の発見に大きな効果を挙げております。次に医療機関に委託いたしまして乳児の間に、三カ月から六カ月の間に一回、九カ月から十一カ月の間に一回の合計二回乳児健診を実施いたしております。また保健所におきましては、随時乳児の健診を実施いたしております。次に市町村が実施いたしますものといたしまして、一歳六カ月児の健診をいたしております。また三歳になりました際に保健所で、三歳児健診を実施いたしております。障害の発見は先生ただいまおっしゃいましたように、早ければ早いにこしたことはないわけでございますが、技術的な問題もございますので、歩行や言語の発達状況から見まして、障害についての手がかりが得られやすい一歳六カ月の時点をとらえて、五十二年度から一斉健診を実施しているところでございます。
 大津方式につきましては、ただいま先生から詳しく御紹介あったわけでございますが、私どもも前から、成果を挙げているということは承っております。これを、ただ全国的に普及いたしますことにつきましては、実施体制との問題もございますので現状では困難かと思われますが、国といたしましては、従来の施策をなお充実してまいりたいと思っております。
 なお、脳性麻痺の早期療育につきましては、現在は肢体不自由児施設の外来療育訓練あるいは母子入園もございます。それから総合通園センターでも行っているわけでございます。近年脳性麻痺の療育方法といたしまして、零歳児から実施いたします超早期療法といたしましてボイタ法、ボバース法とかいったものがわが国でも行われておりまして、この効果が顕著であると言われております。この方法はわが国でも一部行われておりますが、まだ専門技術者の数が不足いたしておりますため、一般的には普及いたしておりません。五十六年度にはこれらの方法の専門家の養成事業を行うことといたしているわけでございます。
#229
○山田耕三郎君 ただいまもお答えの中にありましたように、やはりそういった障害を発見をいたしましても、結果的にはその障害児をフォローしていく後の受け入れ体制が肝心だと思います。そういう中で、ただいまもお答えの中にありましたように、専門技術者の不足を訴えておられました。私たちも、特にそういった面からの人材養成は国の力で対応をしていただきたいということを常々願っておりまして、その中でも臨床心理学ですとか、あるいは精神発達等のことについて対応できる専門家は何よりも心要であります。それからもう一つの問題は、ボイタ法のお言葉も出ました、やっぱりこれらを含めて理学療法士の養成は、これは何よりも大切だと思います。そういった専門対応者の養成についての厚生省としてのお考え方を承りたいと存じます。
#230
○政府委員(金田一郎君) 障害児対策を進めるに当たりまして、臨床心理の専門家あるいは理学療法士等の参加を得ることは重要であると考えております。
 まず理学療法士でございますが、昭和五十五年末の免許取得者が二千七百七十八名でございますが、しかしなお不足している状況でございますので、私どもとしては、さらに養成力の増強を図っているところでございます。この点先生も御承知かと思いますが、民間立養成施設整備補助金等につきましては引き続き増強を図っているところでございます。
 また、臨床心理の専門家の養成でございますが、大学の教育学部あるいは文学部等で行われておりますが、毎年の卒業生はかなりの数に上っております。たとえば児童相談所の心理判定員などの募集に当たりましては、応募数は実際の募集数をかなり上回る状況でございます。
 大体概略申し上げた次第でございます。
#231
○山田耕三郎君 ただいま二件についてお尋ねをいたしましたが、それぞれ現時点では満足できる御回答をいただきました。
 最後に、厚生大臣にお願いをいたしておきますけれども、第一点目としてお願いをいたしました高額療養費の問題につきましては、市町村負担をなるべく軽減をしていけるという方途で、新しく考え直していただきたいということ、もう一つ目の、障害を持たれる子供さんたちへの施策といたしましては、一人の人間が寝たきりで介護人を必要として生活されるのと、健常者に互して生活されるのとでは御本人の幸福や生きがいはもちろんのことといたしまして、社会的な利益ははかり知れない大きなものがあります。これからもぜひ、こういった面にお力を入れる国政を進めていただきますことを要望をいたしまして、私の質問を終わります。
#232
○委員長(片山甚市君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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