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1980/05/14 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 社会労働委員会 第12号
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1980/05/14 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 社会労働委員会 第12号

#1
第094回国会 社会労働委員会 第12号
昭和五十六年五月十四日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     森山 眞弓君     浅野  拡君
 五月十四日
    辞任         補欠選任
     浅野  拡君     田代由紀男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         片山 甚市君
    理 事
                遠藤 政夫君
                佐々木 満君
                高杉 廸忠君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                丸茂 重貞君
                村上 正邦君
                丸谷 金保君
                安恒 良一君
                渡部 通子君
                沓脱タケ子君
                柄谷 道一君
                前島英三郎君
                山田耕三郎君
   委員以外の議員
       発  議  者  田中寿美子君
   国務大臣
       労 働 大 臣  藤尾 正行君
   政府委員
       労働省労働基準
       局長       吉本  実君
       労働省労働基準
       局賃金福祉部長  寺園 成章君
       労働省職業安定
       局長       関  英夫君
       労働省職業訓練
       局長       森  英良君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
   説明員
       大蔵省主税局税
       制第一課長    内海  孚君
       厚生省公衆衛生
       局地域保健課長  北川 定謙君
       厚生省医務局総
       務課長      水田  努君
       厚生省児童家庭
       局企画課長    北郷 勲夫君
       林野庁林政部森
       林組合課長    安橋 隆雄君
       林野庁業務部業
       務課長      田中 恒寿君
       運輸省航空局監
       理部監督課長   近藤 憲輔君
       運輸省航空局技
       術部運航課長   石井 俊一君
       労働省労働基準
       局監督課長    岡部 晃三君
       労働省労働基準
       局補償課長    林  茂喜君
       労働省労働基準
       局安全衛生部労
       働衛生課長    林部  弘君
       自治省行政局公
       務員部福利課長  柳  克樹君
       自治省財政局財
       政課長      津田  正君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査
 (振動病対策に関する件)
 (技術革新に伴う雇用対策に関する件)
 (精神薄弱者の雇用促進等に関する件)
 (日航スチュワーデス、パーサーの労働問題に
 関する件)
 (勤労者財産形成貯蓄制度の改善に関する件)
○雇用における男女の平等取扱いの促進に関する
 法律案(田中寿美子君外二名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(片山甚市君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 労働問題に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○丸谷金保君 林野庁来ておりますか。――前回、四月二十三日の当委員会で、最後に時間がなかったので確認だけしておりますことの続きをひとつ。
 鈴木業務部長から、林野庁の「諸規定、諸法令あるいは労働安全対策、これらを守らないでやるということは、決していいことではないと思っております。」と、これはあたりまえのことなんですが、実は非常に守っていないところが多いので特にこのことを確認したんです。だれが考えたって、いろいろな法令や、それから通達、その他を守らないというのはいいことでないということはあたりまえの話なんです。しかし、これは守らなくてもどうということはないところに実は問題があるんです。これは再三指摘されていることですが、国有林の中で請負に出す部門で、守られていないという事実が随所にございます。こういう守らない業者に対して林野庁として何とか、処罰ということもさることながら、仕事を復させないとか、当然法令やそれから契約の中にもあるんですから、そういう措置をとったことを寡聞にして聞かないんですが、チェーンソーの時間制限というふうなのを守らない業者を、もう二度とおまえには仕事をさせないぞといったような実例はございませんですか。
#4
○説明員(田中恒寿君) チェーンソーの操作時間の規制の遵守状況につきまして、基準監督署長から問題があるということで御指導をいただきまして、その結果により直ちに是正された例は数件ございます。やはり、その違反の態様によりましてこのことは考えなければならないと思いますけれども、私どもが現在把握しておりますところでは、それがすべて是正されておる。したがいまして、そのことの原因で後の契約がなされないという例は現在ございません。
#5
○丸谷金保君 是正されていないような事実の確認ができたらどうでございますか。その場合にはどういたしますか。
#6
○説明員(田中恒寿君) この時間規制を、確かに守ると申しますことは、これはあたりまえのことではございますけれども、私ども発注側といたしましては、そういう時間規制の工程にのっとりました積算をいたしまして、そういう規制を守りながら仕事ができるような積算内容にすることが大事でありますし、また使用主、事業主は労働条件、賃金、時間等をそれにのっとってしっかり決めることが大事だと思いますが、さらに、やはりそれを支えて、この問題の意義を十分理解して、個々に働く労働者の皆さんがそれを守っていただかないと、どうしても林業労働は自立労働でございますから十分な効果は上がらない。したがいまして、守れなかったという実態がもしありました場合に、やはりその原因もよく分析して、それを是正するようにまず努めなければならないと思います。やはり、これからの日本の林業の発展のだめにも、地域にしっかりした林業事業体を育てなければならないと思いますので、その内容を十分調査、把握をいたしまして、その後の措置は考えなければならないと思いますが、やはり問題のある、故意的な悪意のあるものを放置するというようなことは全く考えておりません。問題があるような者につきましては、契約しないことは当然であります。
#7
○丸谷金保君 再三注意しても守られないという具体的な事実があった場合には、そういう業者は、今度は指名から外しますか。
#8
○説明員(田中恒寿君) お話のとおり、再三の注意に従わないような業者は、指名から外すことは当然だと思います。
#9
○丸谷金保君 これはしつこいようなんですが、再三と言う場合に二、三回と理解してよろしゅうございますか。
#10
○説明員(田中恒寿君) まあその内容とあわせ考えるべきで、二回もありましょうし、三回も、やはり内容とあわせて考えるのが至当ではないかと存じます。
#11
○丸谷金保君 大変重ねてお伺いするのは、再三という字は再びと三ですよね。ですから、やっぱり二、三回というふうな意味に理解してよろしゅうございますね。
#12
○説明員(田中恒寿君) そのとおりでございます。
#13
○丸谷金保君 実は、先日帯広の営林支局、それから業界の団体、これはもうよく知っている人たちですからざっくばらんな話を聞きましたし、それから山労の諸君とも話し合いました。それで、現地ではそれぞれの立場では非常に一生懸命に、振動病をなくするためにこういうこともやっている、ああいうこともやっている、ずいぶん説明を聞きました。決してなおざりにしているわけでなく、林災防の人たちにしてもそれなりに努力はしております。チラシなんかも見てまいりましたし、けれどもなくならない。業界でもそういうところへ出てくる人たちは一生懸命なんですが、目の届かないところがたくさんあるわけです。それから、基準監督署へ参りましても、それは監督署の指示に従って注意をすると言っていましても、前回申し上げたように数少ないんですよ、調査できるような。とてもじゃないけれどもそれはもう不可能なことなんです。そうすると、やはりこれは国有林については国有林、道有林とか市町村有林についてはそれぞれの事業主体がよっぽど注意しないと、これは実際問題としては通達もたくさん出していろいろ努力もしていても、現実の問題としては、二時間規制その他守られないし、振動病患者もこれからも発生するということだと思うんです。現在の指導体制でよろしいでしょうか。これでいいんだというふうにお考えかどうか、これは労働省、林野庁それぞれひとつお答えいただきたいと思います。
#14
○政府委員(吉本実君) 労働省といたしましても関係省庁、特に林野庁との連携を密にしながら、この予防対策を講じているわけでございますが、さらにこれらと関連のある省庁等につきまして、なお一層連携を密にしてやっていかなければならないというふうに考えております。
#15
○説明員(安橋隆雄君) ただいま労働省の方からお答えがありましたとおり、私どもといたしましても監督行政をしていただいております労働省との連携を密にしながら、不十分な面は補って、振動障害の発生の減少のために必要な対策を講じていかなければならないと考えております。
#16
○丸谷金保君 課長さん、実際に山へ入って振動病の実態、それから規制が守られているかどうかということで現場を幾つかお歩きになりましたか。
#17
○説明員(安橋隆雄君) チェーンソーの振動がどのようなものであるかということにつきまして、国有林の現場で現実にチェーンソーを操作した経験はございます。しかしながら、民有林の現場でどういう形で発生するかというようなところについて、まだ見たことはございません。
#18
○丸谷金保君 国有林で結構なんですが、実際に直用でなく請負の関係の国有林の現場で、二時間規制が守られているかどうかというような査察あるいは調査、そういうことを課長自身は行ったことはないということですか。
#19
○説明員(安橋隆雄君) 現実に私自身がストップウォッチを持ちまして操作時間を測定したことはございませんけれども、五十四年度に規制を中心とした調査をいたしまして、振動障害関係の調査結果としてまとめたものは持っているわけでございます。それによりますと、これは六百数十人の方々のサンプル調査でございますけれども、半数ぐらいの方が守っていらっしゃる、半数をやや下回る方々が、二時間規制を守られていない面があるというような調査結果が出ておりまして、これはまだ規制が十分徹底していないものであるというふうに私どもは真剣に受けとめて、対策を講じていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#20
○丸谷金保君 それはたとえば五二%というふうな数字も発表されています。それはわかるのですが、そういう現場へ、山へあなた自身が入って、実際に守られているかどうかということをはだで感じたことがあるかないかということを私はお聞きしたかったんです。調査はわかっているんです。それはないということなんで、ひとつ一遍抜き打ち的に何カ所か自分でお入りになってはだで感じると、業者にもずいぶんいろいろな言い分はあります。特に山へ入っていると、もうこれは下請、孫請というふうな業者が実際に受けてやっているんですから、直接、国有林を払い下げをした業者そのものが即現場までやっているというふうなことでないのが多いようです。ですから、その下の方へ行って、下の本当にもう末端で仕事をやっている業者の言い分を聞きますと、これまた違うんですよ。幾つもはねられて、こんなことでやらなきゃならないんだからとても守っちゃいられないと、それじゃ赤字になっちゃうんだと、こういう話はたくさん聞こえますよ。一遍どうですか、身分を隠して――まあ身分を隠すというわけにもいかないかしらぬけれども、はたで感じてこられるとここの答弁も変わってくると思うんです。私たちはやっぱり、それを直接入っていってはだで感じてきているんですよ。どうですか、そういう体験をなさる、近いうちにやるというような意気込みはございませんか。
#21
○説明員(安橋隆雄君) 勉強してみたいと思います。
#22
○丸谷金保君 勉強するということは、現場に入るというふうに理解してよろしゅうございますね。
 それで、実はこれは労働省にお聞きしたいんですが、国有林、特に直用の方の新規発生が非常に減りました。われわれはこれは労働組合が、きわめて激しい抵抗の中で裁判までやって、そのことで規制その他が守られるようになったと、このことが顕著にあらわれてきたというふうに理解しているんですが、労働省側の国有林の直用におけるこの激減、これについてはどのように考えておりますか。
#23
○説明員(林部弘君) この問題につきましては、先生御指摘のように、国有林の労使が努力をした結果であるということは私どもも認めております。
#24
○丸谷金保君 じゃ、それが民間でなぜできないんでしょうか。
#25
○説明員(林部弘君) 民有林の場合には、国有林のような形の労使関係が常に保たれているというようなことがございませんので、もう私がいま、民有林における特殊事情というものをるる申し上げるまでもなく先生よく御承知のとおりでございまして、なかなかこの振動障害の予防対策を、民有林の事業者あるいは労働者の中に浸透させ定着させるということが、現実の問題として、さまざまな特殊性によって阻まれている部分がございまして、私どもとしてもいろいろな施策を講じてきておりますが、その浸透なり定着なりというものに、非常に時間がかかっておるというのが現状でございます。
#26
○丸谷金保君 時間がかかると言いましても、振動病が問題になって労働省が通達を出してから、もう十五年もたっているんですよ。ちょっとかかり過ぎませんか。
#27
○説明員(林部弘君) 確かに私ども四十五年にまず一番最初の通達をお示しをいたしまして、五十年に若干修正をいたしておるということはもう先生御承知のとおりでございますが、実はそういうような四十五年以来の私どもの歩みについても、先生よく御承知でございますからここで特に長々と申し上げませんけれども、四十八年の時点から、まず、すでに振動病にかかっておられる方たちの少しでも発見を進めるということで、私ども応分の負担をいたしまして、巡回委託方式の健康診断というものを現在までやってきているわけでございます。この年々の健診の受診状況というものは、必ずしも十分なものとは思いませ九けれども、四十八年以来今日まで、延べ七万ないし八万ぐらいの方に実施をいたしてきておりまして、その成果と申し上げてよいかどうか議論のあるところでございますが、そういう委託巡回健診を実施することによって、五千人を超えるような患者さんの発見ということが結果として出てきているわけでございますので、そういう面では、相当健診そのものが成果を上げるという所期の目的を達しているんではないかと思っています。
 それからまた、低振動のチェーンソーを使うということが非常に重要なことであるということで、初めは構造規格的なものも定めておりませんでしたが、それも、先生御承知のように構造規格を定めまして、さらにそれについてその促進のために、買いかえ補助というような手だても講じたりいたしまして、少しずつ、私どもが当初にお示しをいたしました通達の内容に向かっていただいているという現状だと思っています。
 確かに、先生おっしゃるように、十年もたってまだこんなに患者がどんどん出ているということは問題であるという御指摘はよくわかるわけでございますが、私どもいろいろと努力をいたしてきた結果が、先生からいま御指摘をいただいたようなことでございまして、私どもとしてはそれでもなおいろいろと手段を講じまして、特に作業管理の徹底ということについて、関係方面ともいろいろ御相談をしながらみんなで知恵を出し合って何とか定着、浸透に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#28
○国務大臣(藤尾正行君) いま、私どもの専門家からいろいろのお答えございましたけれども、まあ、お医者さんでございますし、とにかく病気の発見とその治療ということに全力を挙げておられるわけでございまして、私どもが政治的に考えなきゃなりませんことは、ただいま先生御指摘のとおり、国有林で現実に非常に振動病の患者を減らしておる、その原因が一体何か、何をやったからそういう結果を来したのか。私はやっぱり予防措置だろうと思います。チェーンソーの時間の規制でございますとか、あるいはそういった知識の普及でありますとか、そういったものを含めましたあらゆるたぐいの予防措置、健診もその中にむろん入りますけれども、それ以前の知識の普及あるいは規制の厳守というようなことが非常に大事なことであろう、かように私は考えるわけでございまして、国有林でできますることが、あるいはできたことが、民有林でできないはずはありません。まず、その辺のところを考えてみまして、今後とも予防という、発見をして治療をする、これはもちろん大事でございますけれども、それと並行いたしまして、新しい患者が出ませんように、林野の職場といいまするものが、非常に危険でなり手が少なくなるというようなことでないような、そのような職場にするための積極的な予防、宣伝、工作というようなことをやっていかなければならぬ、さように思います。
#29
○丸谷金保君 大臣お答えのとおりなんです。そのとおりなんですけれども、実際になかなかそれができていない。
 実は私のところに、北海道の町村の議会の議決書が何通も来ております。これによりますと、一つは、振動病をこれ以上出さないために、予防についての法的規制を完全に行い、同時にILO百四十八号条約及び百五十六号勧告を早急に批准することと。これは町村議会が、それぞれの町村は実態をよく知っているわけです。これが法的規制を完全に行うようにという議決書をわれわれのところにまで送付してくる。これはやっぱりちゃんと行われていないということの一つの証拠だと私は思うんです。これは恐らく労働省、大臣のところへも出ていると思うんですが、ごらんになっておりませんか。
#30
○国務大臣(藤尾正行君) 私は拝見はいたしておりませんけれども、いま先生御指摘のような、裏にそういう現実があって、町村長あるいは森林組合長その他、非常にその絶滅のために血の出るような叫びを訴えておられる、その事情はよくわかります。しかしながら、これは先生に私は御了解いただきたいと思いますが、そういったことを法律に書いたからそれじゃなくなるかと、あるいは、これは非常に不遜な物の言い方でございますけれども、そういった法的なステップを踏んだからどうというものではないわけでございまして、そういったことも含めて、さらに一層の効果が上がるような実際的な行動をとらなければ、そして効果を上げなければこれは話にならぬわけでございますから、そういった意味ではひとつ、いままで十五年間何をしておったかということになりますけれども、改めてひとつ、私のやっております労働行政といいまするものの中で、それじゃ何ができるかをもう一遍やらしていただいて、そうして、それで減るか減らぬか、一回私にかけさしていただきたい。私はそういった責任を持ちまして、労働行政並びに林野の方にもお願いをして、徹底的なキャンペーンをやってみたい。さように考えておりますから、そのような私の、先生の御努力に打たれ、そして本当に心からそのようなことをやりたい、やらなければならぬ、かように考えております私の意思をひとつお認めをいただいて、もう一遍私どもに機会を与えていただきたい、かように思います。
#31
○丸谷金保君 これは何通も来ておるんですけれども、これは大臣、新しい法的な規制をやれというのではないのです。現在の法的な規制、これを完全に行ってくれということは、行っていないということなんですよ。だから新しい立法をしないでも、現況でいろいろな規制があるんですから、これが完全に行われていないということを、それぞれの地方議会がやっぱり認めているんです、現地に行くとわかりますから。そうして、こういう議決書がわれわれのところへも送られてきたのだと思います。ですから、新しくやらないでも、いまの法令の中で本当に取り組む気になれば、これはできることをやっていないということなんですから。これは、できることをやるということであると、いまの大臣の御答弁をお伺いしておきます。
 それで、今度労働省及び林野庁にそれぞれお聞きしたいのですが、大臣は非常に決意を持ってやると言っているんですが、現場で、たとえば現場監督その他なんかでもいろいろな事情を知っていてもなかなか上げてこない、こういうような事情がたくさんあると思うんです。これらをもう少し何か、法令の規制がきちっと守られるように行わせるための手だてとして何かあとないですか。やっている、やっているとみんな言うし、よくやっているのですが、実際はだめなんですよ。ということは、いまやっているのは、やっていると言っても、結果としてだめならだめなんですからね。何かこういうふうにしたらいいという考えございませんか、具体的にこういうふうにやってみようというような。
#32
○説明員(田中恒寿君) 国有林、特に現場にあります営林局署のこの問題に対しております考え方、態度と申しますのは、いずれの地方におきましても、営林局署はその地域における林業事業体としては最も大きい組織になっておろうと思います。直用によりまして相当量の仕事もしておりますし、したがいまして、そういう業務の実行の中でこういう振動障害を発生しないような機械の開発なり作業仕組みの定着をする、研究するのも使命だと思っておりますし、現にやっておるわけでございますが、さらにこれまでの間にやはり延べ三千五百名にも上る認定者を不幸発生をさしたという苦い実績と申しますか、そういうものがございまして、現在まだ数々の後遺症に、労務管理上も経営上も非常に悩んでおるわけでございまして、そういう私どもの経験と申しますのは、民間事業体の皆様との間にも、非常に先にそういう経験をなめたということで前車の轍を踏まないようなそういう経験の交流とか、自分の貴重な経験に徴した指導とか、そういうことでいろいろ接したい。現場の職員は、大体ほとんどの職員がこの問題についてはいろいろの知識を持っておるということから、製材業界なり、素材生産業界なり、そういう地域の林産業界の方々との業務上の接触とか、あるいはその他こういう関係者の集まるいろいろな協議会もございますけれども、いろいろな場を通じまして、この問題の防止のためのできるだけの努力は払っておると、私はそのように考えております。
#33
○丸谷金保君 すぐ業界と、とこうなるんですよね。しかし、林野の直用の激減した一番大きな理由は労働組合の突き上げでしょう、現場の。おたくの方の対応の方が遅かったんですよね。それは間違いないですね、対応としては。組合の方でうんと騒ぎ出して大きな問題になってきて、それからようやく対応が始まったと、このことは間違いございませんね。どうですか。
#34
○説明員(田中恒寿君) 先ほど業界と申し上げましたのは、やはり労働安全を確保する責任が事業主にありますので、まずはやはりそういう事業主の集まりであります業界に対して物を言うことも大事であるということから申し上げたわけでありますし、いまの先生の御質問に対しましては、やはり深刻な問題提起が労働組合側からもございましたし、私どももその際、この問題についてのその当時の世間一般の知識その他あらゆる手段で当時の知見を網羅いたしまして真剣に対応した。労使対応の結果が協約となりまして、効果を上げてきたというふうに考えております。
#35
○丸谷金保君 結局、労働組合からの強い突き上げがあって、当局側もそれに対応して、そして協定が結ばれて激減してきたと、こういう順序をとってきているわけです。そうすると、国もそういう意味ではあれでしょう、使用者ですね。国の方だって何千人と出してからの話なんですよ。だからおたくたちは、業界なりそういう使用者の責任があるからそこと、と言いますけれども、国自身のそういう責任はそしたらどうなるんです。やっぱり使用者として、国だって責任があったけれども、何言っているんだと業界の連中に言われませんか。労働組合に騒がれたから、国も対応してこういうふうになくなったのだと、国だってそういう点では使用者の責任とらぬかったじゃないかと、われわれにばかりそんな強いこと言ったって守られるかと、こういう理論が出てきたらどうしますか。
#36
○説明員(田中恒寿君) 先生の御質問の趣旨を取り違えたお答えになるかと思いますけれども……
#37
○丸谷金保君 取り違えないでください。
#38
○説明員(田中恒寿君) ええ、いまお答え申し上げますけれども、私、先ほどお答え申し上げましたのは、やはり国有林野事業の実行主体である国といたしまして、あらゆる事態を正面から受けとめまして対応をするという姿勢でこれまで処してきた。そのいろいろな経験を、労働者の安全に責任を持ちます使用者には正しく伝えまして、そういう同業という言葉はいささか語弊があろうかと思いますけれども、同じ事業を一番大きくやっておる、苦い経験もたくさん積んだ国といたしまして、そういうものも、交流の中から有効な手段をぜひ見つけていきたいと、そういう気持ちで申し上げたわけでございます。
#39
○丸谷金保君 どうもすれ違いになるのですけれども、そういう点における労働組合の努力、それが効果を上げたということはお認めになりませんか、なりますか。
#40
○説明員(田中恒寿君) この問題につきましての労働組合の大変な努力につきましては、私どもも認めておるところでございます。
#41
○丸谷金保君 そうしましたら、同じことがいま非常に続発してきている民間にも言えるんではないかと思うんですよ。たとえば林災防ですか、こういう中に、働く現場の人たちが入っていないんですよね。こういうものを、何というか、一方的ないわゆる業界だけでつくっていたのではなかなか私は本当の形ができないと思うんです。林災防の中には、やっぱり労働者の代表を入れていく。この場合で言えば、組織されているのは山労ですね。山林労働者の代表も入れて林災防の中で発言の機会を与え、それをまとめた業界の話もお聞きした中で具体的な方法をとっていくと。
 これは労働省にお伺いしたいんですが、そういうふうな林災防の現在の組織を構成している人員に、本当に働いている労働者も入れていくと、こういう措置はとれないものですか。
#42
○政府委員(吉本実君) 現在の林業の災害防止協会並びにその支部、この構成なり、また生い立ち等を考えた場合には、確かに先生おっしゃるように、業界との関係におきましてそういった点をやってきておるわけです。したがいまして、これの組織自体に、ただいま御指摘のように確かに労働組合のそれだけのいわゆる評価というものがもちろんあるわけでございますが、そういう方々をその中に参画さして、林災防自体の活動をやるというのはなかなかむずかしいと思います。しかしながら、先生おっしゃるようなことでございます。この点については、今後現地におきますいろいろな協議会、そういったような場合に具体的な問題をどうやって処理するかということを目標にしながらやってまいりたいと思いますし、その際にそういった方々にも参画していただいて、いろいろなお知恵も拝借しながら進めてまいりたいというふうに今後考えたいと思っております。
#43
○丸谷金保君 むずかしいというのは、どういうところがむずかしいんですか。
#44
○政府委員(吉本実君) 林災防の生い立ちなり、その後の経過からいたしまして、やはりいわゆる業界との関係におきまして、こういったものが組織化されてきたというような経緯があるわけでございます。
#45
○丸谷金保君 しかし、それはあれでしょう、もう皆さんの側が指導してそういうものをつくらせたんでしょう。自然発生的にできてきたんじゃないんですよ。そして、そこに補助金も出しているでしょう。どういう発生でできてきたからむずかしいんです。あなたたちが指導してつくらしたんですからね、指導するたくさんの通達出しているんだから。今後、林災協のメンバーの中に、それぞれの地域における労働者の代表も入れるということを一言言えば、入れられないとは私は思わないんですよ。どうしてそれが生い立ちから言ってむずかしいんですかね。そこいら辺が非常に大事なところなんですよ。この問題が、一生懸命者やっている、一生懸命やっていても五千人からの患者が出てきていますね。しかも、民間ではそんなに減っていない。やっぱり毎年千人くらいずつ新たな患者が出ているんです。
#46
○政府委員(吉本実君) 林災防自体の組織の中に、いろいろただいまおっしゃるような形で参画するというのは、なかなかむずかしいと思います。しかしながら、先生のそういった御提案もございますので、今後その運用等につきまして、十分検討さしていただきます。
#47
○丸谷金保君 どうしてむずかしいのかと、それを聞きたいんですよ。私はむずかしくないと思うんですよ。どうしてそういう中に労働者も入れて防災の推進を進めることがむずかしいのか。そうむずかしい問題でないですよ。どこのところがむずかしいんですか。
#48
○政府委員(吉本実君) 先ほどから申し上げておりますが、林災防を、いわゆる災害防止団体法に基づいてそれぞれの業界との関連におきながら、そういう業種別の協会をつくってきたことでございますし、また、その運用に当たりましても、そういった業界団体との連携のもとに行ってきております。で、現実に地方の支部等におきましても、それぞれの団体との関連におきまして運営をしておりますので、そこの中にいわゆる組織的に入れて、労働組合の代表の方を参画さしていくという形では、そういう意味でなかなかむずかしいと、こういうことを申し上げたわけでございまして、しかしながら、いま先生がおっしゃるように大変大事なことでございますから、今後そういった関係につきまして、林災防内部についてもそういった点の検討をさせながら、具体的な運用として、どういうふうにしていくかというふうなことを検討さしていただきたいと思います。
#49
○丸谷金保君 その補助団体としての林災防の、何といいますか設置基準、そういうふうな法令上の仕組みの中でむずかしいということでございますか。
#50
○政府委員(吉本実君) 先生おっしゃることは大体わかりますが、趣旨としてはまさにそういう形であろうかということです。
#51
○丸谷金保君 指導してつくらせるときのこの設置基準、こういう人を入れなさいとかいろいろなあれがありますね、森林組合の代表とか、いろいろなことがございますね。その中に労働組合の代表が入っていないからむずかしいということですね。大臣、これはね、やっぱり実際に有効に林災防なら林災防という組織が仕事ができるようにしていくためには、もしむずかしいところがあったら、そちらを直すべきでないですか。どうですか。大臣のひとつ御所見を伺いたいんですが。
#52
○国務大臣(藤尾正行君) 今日、労働問題全般の運営の中で、非常に効果を上げておりますものに産業労働懇話会というものがございまして、これはまあ非常に私は大変な貢献をしておられると思います。これも三者構成になっておるわけでございまして、こういったものが非常に大きな効果を上げておられる実態を考えてみまして、特段と目的が非常に狭い林業災害防止というようなところにおきまして、その関係者の非常に大きな要素といたしまして、働かれる方々というものがあるわけでございますから、そこにそれらの代表の方々が御参画をいただく、あたりまえなことだろうと私は思いますけれども、しかし、これはなかなかお役人さんはいろいろ規則か何か書いておりまして厄介なことを言っておりますから、これは私がよく精査いたしまして、十二分に今後の運用について考えていきたいと、かように考えます。
#53
○丸谷金保君 ひとつ大臣、その点お願いいたします。ここのところが一つのポイントだと思います。被害者の側の者が入っていないんですから。それでずいぶん一生懸命業界の林災防がやっております。やっていてもそれはやっぱり違うんですよ。通達とか規則とか、これは直せるものなんですから。本来、これだけ十何年やってきたんですから。たとえば私はスモンと比べてみましてね、スモンも全国で大体五千人ちょっとですね。それでそのうちもういま四千何ぼ和解して、薬屋さんの方で千何百億という補償を出しております。恐らくこれは全体で千七百億ぐらいになるだろうと言われているんですがね。やっぱり患者は五千人なんです。振動病だって五千人も出ているんです。だから、もっとぼくは労働省や厚生省も、もう少し驚いて取り組んでいいと思うんですよ。ところが厚生省の方は、スモンの方は一生懸命やるけれども、振動病は職業病で労働省の所管だということで、きわめて冷ややかなんです、この問題について。そうすれば、やっぱり労働省がもう少し驚いてくれないと、スモンがあれだけ問題になっているのと同じ。そしてしかもあれは、スモンの方はもう新規発生というのはないですね。これはまだどんどん出てきているんですからね、もっともっと大きな社会問題なんですよ、現に起こっているんですから。これはどうしてなんでしょうね。私もこれを手がけ出して非常に不思議に思う。スモンはあれだけ大きな騒ぎになるけれども、一体、林業その他の振動病というのは同じようなウエートで世間の騒ぎにならない。一つはやはり、振動病の患者も国会を取り巻くぐらい出てきて座り込みでもすれば、これは大変だということになるのかなと、あんまりらちが明かなかったら、やっぱりそこまでやらなきゃしようがないのかなという気もするんですがいかがでしょう。なぜなんでしょうね、どなたでもひとつ。
#54
○国務大臣(藤尾正行君) 私は、専門家ではございませんからわかりませんけれども、しかし考えてみますと、スモン病というのはこれはキノホルムという薬剤を製造した楽会社がいっぱいおりまして、それの販売、認可をいたしました厚生省という政府機関がございまして、そういったものを投与された医師というものがあって、そうしてその医師の指導に従って飲まれた方が、そういった病気にかかられたということでございますから、きわめてその責任が、明確にそこで私は規定できるだろうと思います。
 ところが、この振動病の場合には、それではチェーンソーをつくっておる、チェーンソーのメーカーに一体責任があるのか、あるいはこれを採用した林業界、国有林も含めましてそういったところに一体責任があるのか、それを使わせた国に責任があるのかというようなことに、考えてみればなるのかもしれませんけれども、これが薬のようにぴしゃっといかぬわけですね。そういう点に多少の問題があろうと思います。しかしながら、先生の御指摘のとおり、それが及ぼしておる職業病害といいまするものの広がり、これは非常に大きなものがございますし、御指摘のとおり、薬はそれでとめてしまえばとまるわけでございますけれども、現にチェーンソーを使っているわけでございますから、これが使い方ということに問題はなりましょうけれども、そうかといってチェーンソーのメーカーに責任があるかどうかという訴訟を起こしましても、なかなか私はそれはむずかしい問題になろうという気がいたします。
 でございますから、決して責任がどうこうということでなくて、問題は、やっぱりそういった職業病の根絶にあるわけでございますから、そうしていままでの一つの経験から言いましても、国有林野で、チェーンソーの使用を含めた作業規約といいますか、そういったものが組合との間できちっと決められておる、それによって減ったということでありましたならば、同じようなものを、きちっと民有林の経営者の各位にもお守りをいただけるようなそういった措置をやれば、少なくとも国有林野で減っておるぐらいの減り方は、これはしなければならぬということだと思います。
 これを全部ゼロにしろということになれば、先生の御指摘のように、削岩機もこれから考えていかなきゃなりませんし、オートバイのモーターも考えていかなければならぬ、ミシンもだめだというようなことにこれが広がっていったのでは、これはちょっと私は、問題の運び方といたしましても適切を欠くようなことがあるんじゃないか。その一つの先駆的なこの職業病の問題として、振動病の一番大きな元凶でありますチェーンソーをつかまえて、そしてチェーンソーはこういうことでこうなりましたということを、今後、削岩機でありますとか、あるいはオートバイでありますとか、あるいはミシンでありますとかというところにも参考に資していただいて、今後の改善のために役立ててもらうということをやっていくことが私どもの努めであり、そういった意味において、今日先生を主導としてこうやって御審議をいただいておる社会労働委員会の御審議の結果は、私は非常にありがたいものだ、非常に大きな意義を持っておる、かように考えますし、私どもも、その中において果たすべき役割りを十二分に果たしていかなければならぬ。
 それに、やはりいままでの役所のそういった、林業労働災害防止協会というものがこういうものでありましたというようなことを言っていたのでは、これは話になりませんわけでございまして、とにかくやれることは何でもやっていくというぐらいの意欲が、少なくとも私どもにも林野にも、当然厚生省にもなければならぬ、さように思いますし、おしかりはそういった点では十二分にちょうだいをさしていただいて、そのおしかりがちゃんと生きていくように、これを生かす道を探求していく、そしてそれを実行していくということが、私どもの行政であろう、かように考えます。
#55
○丸谷金保君 大臣、それで実は北海道は国有林が非常に多いんです。そして実際に民間の労働者、請負業者も国有林の仕事をしている人が非常に多いんです。それからまた道有林というのが非常に多いんです、ここで働いている人が。ですから、民間といいましても公有林、道や市町村の持っている山林、大体仕事としてはそういうところで常時やっているわけなんです。それからあと、民有林といいましてもその大半はたとえば農家林というようなもので、これは農家の人が一年のうちに何日か行くというふうなことが多いですし、ですから実際は、労働省あるいは林野庁がその気になれば、自分たちの守備範囲の中で、画用以外で起きているのが一番多いんですから、もうちょっと私はやはり責任を持てばやれるのでないか。そういう状態でございますので、全く民有林というのとは違う把握の仕方ができる。よろしくひとつお願いいたしておきたいと思います。
 そして、特にその中でいま私たちが心配しているのは、認定患者の休業補償の問題なんです。これがもう認定される場所に行くころには相当悪くなって能率が落ちているから、もう賃金も基本給も低くなっちゃって、そのために、いま行けばとてもじゃないけれども休業補償じゃ食っていけない。現実にまた、そういう非常に低い休業補償しかもらっていない人たちもいるんです。これがどういう結果になるかというと、とにかく認定に行く前に無理してかせげるだけかせげと、この指が動かなくなったらこっちの指を使えというふうなことで手いっぱいやってかせいで、賃金をよけい取って行くという、こういうことも生まれてくるんですよ。これは非常に残念なことですけれども、やっぱり食っていかなきゃならぬと。
 そこで、この低額の休業補償給付者のこれは一定の何というか、平均賃金というものがございます。これらに比べて非常に少ない者が相当多数おるんですが、これらについて一体どういう措置をするか、このことについていままで検討しておりましたら、その結果をひとつお知らせ願いたいと思うんですが。
#56
○政府委員(吉本実君) 先生ただいま御指摘のように、振動病にかかって稼得能力が低下している期間、それを平均賃金の算定期間とすることの問題でございますが、そのために、健常時と比較して基礎日額が低額になるというお話でございます。しかも、それがそういったことになるために逆に無理して最後の三カ月をいろいろと高賃金を取るような仕組みをする、こういう悪弊も出ているやに聞いております。そういうことで、私どもはそういった健常時におきます稼得能力が適正に反映するように、現在検討中でございます。
#57
○丸谷金保君 労災保険法の施行規則九条四号ですか、これらの基準をつくれば、そうした面の救済ができるんではないかと思うんですが、これは検討中というのは、十年も検討中という場合もありますので、もう相当検討されたのですが、いつごろまでに是正措置がとれるように作業を進めておりますか。
#58
○政府委員(吉本実君) ただいまのように平均賃金に相当する額を基礎日額とすることが不適当ではないかという、こういうことでございまして、それをやり方としまして労災保険法の施行規則九条四号の規定をひとつ発動してはどうか、こういうお話でございますが、そういった点のことも含めまして検討しているわけでございます。現在いろいろ調査をして、その調査の結果に基づいてこれを判断しようということにしておりますので、本年度中には何らかの具体的な方法をつくりたいというふうに思っております。
#59
○丸谷金保君 これを発動してくれれば、これだけでもやっぱり重症患者というのが減るのではないか。ぜひひとつ、早急に努力していただきたいと思います。
 それから、自治省来ておられると思うんですが、実は前回自治大臣にも申し上げたのですが、町村がもう少し一生懸命やるための財源措置を行うべきでないか。町村によっては町の単独事業でやっているところがたくさんあるんです。全然それに対する裏づけはなされていないんです。これはたとえば労働省に話しましても、町村に対する補助は労働省としてはなじまないと、こういうことで、どうしてもこの点については自治省に考えてもらわなきゃならないんです。
 たまたまこれはきのう、労働省の方たちが質問の要綱を取りに私のところへ来ているときの話なんですが、奈良県の十津川、これは私の先祖の出身地でございまして、したがってその十津川の村長なんかも多少遠縁になります。ふらっと私の部屋に入ってきたんです、皆さんいるときに。聞きました、ああいいところへ来たと、あなたのところでは振動病の対策として村自身でやっているかと言ったら、ええ、正確にはわからぬけれども六、七百万。いいですか自治省、六、七百万単独でやはり振動病に対する治療だとかいろいろなことの防止、その他予防を含めてお金を使っているんですよ。こういう村もあるんです。まあ村長ですから正確でないけれども、六、七百万と言ったのだから大体そんな見当だと思いますよ。相当なものを出しているのです。そういうところもあるのです。それからたまたまその皆さんたちがいらっしゃるときに、北海道の新得町の町長が来られた。これも聞いてみたのです。やはりここでも相当なものを出して、町がいろいろめんどう見てますと、これは金額は聞かなかったですけれど、やはりそういうふうに町村でやっています。
 これは自治省、何とかめんどうを見てもらうひとつ補助の柱を立ててもいいんじゃないか。きのうは二人来た町村長が二人ともそういう点では町の単独でお金を出している。ここら辺についてひとつ何か自治省としての考えがありましたらお答え願いたいと思います。
#60
○説明員(津田正君) 地方団体が、地域の実情に即しまして住民の生活の安定なり、健康の保持なり、そういうようなことをやるのは、やはり地方自治の理念から言って重大な責務かと思います。そういう意味におきまして、きょう御議論されております振動病の対策につきまして、その地域の実情に即して地方団体がやった場合の経費等の考え方でございますが、そういうように個々具体的に、その地域の実情に即して地方団体でやる施策というのはいろいろあるのだと思います。予防知識の徹底であるとか、あるいは健診の問題であるとか、あるいは不幸にして患者が出た場合の生活安定対策、さらに生活基盤をどうするかというような問題、それを一々私ども財政措置をするということは、これは地方団体の自主的な活動を、まあこの部分はいい、あるいはこれは悪いというような言い方をすべきものではないのだと思います。それぞれの地域、まあ特に山村なり林業を多く抱えた地域におきます全体としての財政需要、その財政運営というものが支障のないように、私どもとしては努力してまいりたい。しかし、個々の問題、これは予防の健診をするのがいい悪いと言って財源措置をすべきものではないのではないか、かように考えております。
#61
○丸谷金保君 実は、たまたま十津川というのは財政力指数の非常に高いところです、御承知と思うんですが、ダムがございましてね。そういうところだとできるのですよね。しかし、やりたくてもできない山村が非常に多いと思うんです。これは、やっぱり国の立場で何らかの措置をしてあげないと、やれるところはやるけれど、やれないところはやらないと、それはそれぞれの町村で考えると言ったって、相当町の持ち出しになるような仕事をやろうとする場合に、裕福なところだけと限らない、裕福なところはやればいい、困っているところはやらないでもいいじゃないかということになるのですか、この種の問題が。
#62
○説明員(津田正君) 個々の市町村におきます必要な事業を行うのについて、財政運営に支障のないように総合的に考えていくべきものと思います。
#63
○丸谷金保君 この間の大臣の答弁と大分違うんですがね。事務当局と大臣との答弁の食い違いなんというのはこのごろはやるのかもしれませんけれどもね。しかし、とにかく全国で五千人も六千人も出ているし、まだ潜在患者がいるというときに、いやそれは個々で考えればいい。それじゃ全部そうなっちゃうじゃないですか、全部の仕事が。おたくの方で細かくこういうことやりなさい、ああいうことやりなさいと、いろいろな通達で出しているでしょう。それらは、全部おたくの方ではめんどう見ないんですか。そういう全国的に共通した問題で、お金のある町村はやれるし、お金がなくてやれないというところもあるというふうな問題について、みんなそういうふうにしておたくは突っ放していますか。
#64
○説明員(津田正君) 個々の地域の実情によりまして国庫補助事業もあるようでございますが、そのほかの単独事業は一切必要でないということではなくて、私どもは個々の市町村長が、地域の実情に即した具体的な適切な措置は必要と考えます。そういうような措置をした結果、その市町村財政がそれに必要な事業をやって財政運営が困れば、私どもは十分配慮すると、こういうことでございます。個々の具体的な事業がいい悪いというような指導の仕方、あるいはそれの財政の措置の仕方は、地方自治の本旨から言ってもおかしいんじゃないか、こういう趣旨でございます。
#65
○丸谷金保君 大臣、お聞きのようにきわめて冷たいんですよ、自治省は、この振動病については。これじゃ、たとえば労働省は、町村と連絡をとってといろいろ言いますけれどもね、なかなかできる仕掛けでないんですよ、自治省がこういう考えですからね。やりたいところはやればいいということですよ、簡単に詰めればね、わかりやすい言葉にして言えば。たとえば厚生、林野、労働三省庁連絡協議会、これはなぜ自治省を入れなかったのかなと思うんですがね。当然ぼくは、地域の問題として自治省をここに入れておけば、いまのような答えは出てこないですよ。入っていないものですからね、全然われわれのあずかり知らぬことだと、こういうことになっちゃうんです。いかがですか、大臣。これはやはり自治省も入れないと、本当に大臣の言うように、抜本的な対策を立てる場合に町村に協力しなければ、とてもできないと思いますよ、いかがでしょうか。
#66
○国務大臣(藤尾正行君) 御指摘のとおりだと思いますから、早速そのようにひとつ措置をいたしましょう。
#67
○丸谷金保君 それから連絡協議会のこの要綱を見ますと、厚生省の方でやる仕事というのは、認定についての面であって、治療とかそういうことについては余り関係していないみたいなんですが、どうなんでしょうか。
#68
○説明員(水田努君) お答え申し上げます。
 三省庁連絡協議会には、五十一年の末から厚生省は参画したわけでございますが、私どもが参画したゆえんのものは、こういう振動障害の多発しています地域に密着した予防、健診、治療のネットワークに、当然国立病院なりあるいは厚生省が監督いたしておりますところの日赤等の病院もございますし、また保健所等所管いたしておりますので、そのネットワークの形成に協力するという意味合いから、私ども三省庁連絡協議会に参画しているものと考えておりますので、それぞれの面で、私ども今後も十分御協力申し上げていきたいと、このように考えている次第でございます。
#69
○丸谷金保君 保健所という下部の機関がございますね。地域の総合的な健康管理をするこの保健所が振動病の問題等に、たとえば林災防とかそういう中へ入っていっていろいろ意見を言うというふうな形になっていないんですよ。これらもやはりちょっとおかしいんじゃないかと思うんですよ。いかがですか。
#70
○説明員(北川定謙君) 前回四月十六日のこの委員会でもちょっとお答え申し上げさせていただいたわけでありますけれども、保健所は、各地元の市町村長さん等が中心になってその健康診断をなされるときに技術的な面から御協力を申し上げる、人を派遣するとか器材を提供するとか、そういう形で関係をさせていただいておるという状況でございます。
#71
○丸谷金保君 大臣、ここではしなくも市町村が出てくるんです。市町村が動かないと保健所もなかなかこう回るような仕組みになっていないんです。第一、保健所長さんはお医者さんということになっていますね。北海道だけでもいいし、全国でも御記憶にあればですが、お医者さんのいない保健所というのはどれくらいあります。
#72
○説明員(北川定謙君) 現在、全国で保健所八百五十五あるわけでございますけれども、私どもがいまつかんでおる数字では、約五十カ所の保健所で、所長である医師がいないということで近隣の保健所長が兼務をしているというケースがございます。しかし、これも年齢によって変動はございますので、ある時期にあいていてある時期にすぐに補充をすると、そういうことでその期間、ある一定の期間どうしてもあくというケースが出てくるというのが実態でございます。
#73
○丸谷金保君 話としてはそういうことなんですよね、話としては。しかし、たとえば二つの保健所で、いつでも片っ方にいて次の今度転勤したときにはこっちの保健所へ、こっちの保健所はあくんです、二つでね。こっちの保健所が今度所長がかわったら、今度はこっちの保健所で、こっちがいない。これでもいま言った答弁のとおりになりますよね、ある時期欠けているだけで全く欠けているんじゃないと。答弁をそのまま額面どおりとると、こういう裏がわからないわけですよね、あなたたちの答弁というのは。そういう実例はたくさんありますでしょう。それから、五十カ所ぐらいしか欠けていないのなら、北海道に対しては少し冷たいんじゃないだろうか。北海道は大分多いんですよね、その割合から言うと。医師のいない――医師のいないというより、こっちにいなくてこっちにいて、その次のときはこっちにいてこっちにいないというところが大分あるんですがね。どういうわけなんですか、お医者さんが足りないというのは。
#74
○説明員(北川定謙君) こういう予防行政の分野で医師が非常に不足をしておるというのは、保健所だけではなくて、各分野で一般的に言われているわけでございますが、いまの医学教育が臨床中心であるということ、あるいは給与の面でどうしても格差が出てくるというようなことでそういう状態があるわけでございますが、最近はだんだん若い世代の中で、こういう分野に関心を持つ医師が育ってきておりますので、将来的にはだんだん改善されていくと私どもは考えております。
#75
○丸谷金保君 私は、率直に言って医療職給料表は安過ぎると思うんですよ。お医者さんという一つの職業の中で余りにも格差があり過ぎる。それが一番大きな原因でないかと思うのですが、どうですか。
#76
○説明員(北川定謙君) 先生御指摘の点は非常に大きいと思います。
#77
○丸谷金保君 これは厚生大臣に言う話かしりませんけれども、大臣、たとえば町村、保健所、これはもう本当に全体の地域くるめてこれの撲滅運動をやらなきゃならないのに、そういう体制になかなかないんですよ。それだけに、私はこの際はやっぱり労働組合の力も入れないと、行政だけで対応しても対応できないと、こう思うんです。で、特に北海道のように国有林や道有林、公有林が多いところであれば、ほとんどの仕事がそういうところに、直用でない労働者も行くわけですから、対応の仕方を一歩前進させて、そして大臣のおっしゃるように、このほかにまだいろいろあります。一斉健診を洗いざらい思い切ってやる。そして、その予算を何百億か大蔵から大臣にとってもらって、一遍どこかで線を引くというふうなことをやらないと、結局その方が私は得だと思うんですよ。すでに林野だけでも三百億くらいでしょう。全く生産に結びつかないそういう休業補償費とかいろいろな形で出さなきゃならぬわけです。保健会計ももうパンクしそうだと。どこかで思い切って国が、スモンとはこれは違いますけれども、スモンのように林業業界は楽でないですから、なかなか業界に出せと言ったって出ませんよ。国が思い切ってね、そのことが結局トータルで見ると国の財政プラスになることにつながるのではないかと思いますので、そこら辺の決意のほどを承って、きょうは終わりにしたいと思います。
#78
○国務大臣(藤尾正行君) 本当に私どもの行き届きませんところを御指摘をいただいて、非常に目が開かれた思いがいたしますが、十二分にひとつ、いままで御指摘の点を服膺いたしまして、直ちにできることはやります。また、多少時間がかかりますことは、これは時間をかけさせていただくというようなことになるかもしれませんけれども、御指摘の点を改善をすべく全力を挙げてまいります。
#79
○委員長(片山甚市君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#80
○委員長(片山甚市君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、労働問題に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#81
○渡部通子君 最近話題になっておりますマイコン革命あるいはエレクトロニクスの事務部門への導入、これをめぐっての雇用情勢について若干のお尋ねをいたします。
 三月十九日の質疑で小平委員の質問もありましたが、労働省はその際に、日本とヨーロッパとの間の労使慣行の違いを理由に、かなり楽観的な御答弁をなさったように思います。しかし、状況というものは必ずしも安心できるものではないと、こう思うわけでございます。西ドイツあたりではマイコンにより二百万人のタイピストに失職等の危険が生じた、あるいは植字工の三〇%が減少されるのではないかと、こういう報告もございます。日本では、大企業の場合ですと、確かに労働省がおっしゃいますように、企業内でかなりの配置転換等もできるでございましょう。あるいはタイピストの解雇といった事態は避けられるかもしれません。しかしながら、中小企業の場合等には、タイピストとしての地位を失った場合、転職の職種というものは非常に困難ではなかろうか、また植字工あたりでも、現在技能者不足でありますけれども、発注減による単価の下落等こういったものは避けられない情勢ではないかと思いますが、いかがでございますか。
#82
○政府委員(関英夫君) 前回でございましょうか、この当委員会での御質問に対しまして、私マイクロエレクトロニクスの進展に伴います、雇用に及ぼす影響につきまして、雇用慣行の違いということもあって、欧米諸国と日本におけるそのあらわれ方の差があるのではないかということも確かに申し上げましたけれども、いずれにいたしましても、マイクロエレクトロニクスの導入によりまして、従来の技術といったものが変わってくる。したがって、そこに能力開発なり職種転換なり、そういった問題がどうしても起こってくるし、それから、特に中高年になりますと職種転換といったことも非常にむずかしい問題がある。技術進歩といいますもの、これは常にいままでも行われてきたわけでございますが、その技術進歩による新しい雇用の場の創設といいますか、新しい雇用の場がふえてくるという面と、それによる雇用の減と、そして職種転換、こういった問題が非常に複雑に絡み合って雇用面に影響が出てくると思います。いずれにいたしましても、これからますます急速にマイクロエレクトロニクスの発展ということが予想されますだけに、それに対して十分な調査研究、検討を行いまして、雇用問題で遺憾のないように対処していかなければならぬと考えておるところでございます、
#83
○渡部通子君 そういう総論的なお話はわかるのですけれども、特にいまも御答弁の中にあったように、中高年齢者、これが円滑に職業転換ができるかどうかということは、これは大変な問題だと思います。特に、こういうマイコンとかという機械化に対する対応能力というものも、いまの子供たちから比べればぐっと中高年の方が遅いわけでございまして、能力を身につけるあるいは職業転換に対応するということでも、能力開発ということに対してはかなりの力を入れていただかなければならないのではないかと思うわけです。そこで、公共職業訓練校あたりが一体それに対応できるのかどうか、そういう体制がないのではないか、こう考えられるわけです。大企業の場合ですと、企業内で能力開発、たとえばワードプロセッサーの講習等、こういったものも企業内でかなり対応が見られるわけでございますけれども、中小企業では困難でございますから、それを公共訓練がカバーしなきゃならないと思うわけでございますが、一体これはできるのでしょうか。
#84
○政府委員(森英良君) お答えいたします。
 職業訓練の現状を見ますと、やはりその最も大きなものは民間における職業訓練でございまして、それを補完する形で公共職業訓練を行っておるわけでございますが、御指摘のとおり、大企業におきましては非常に精緻な訓練計画を持っておりまして、その訓練計画の中には、マイコン関係とその他エレクトロニクス関係の訓練というものが非常に重視されておりまして、非常に熱心に行われておるように見ております。そういう意味におきまして、大企業の場合はまず民間にお任せして大丈夫だと思うのでございますが、御指摘のとおり中小企業の場合には必ずしも、訓練全般についてそうでございますが、そういう対応が十分できませんので、この点は公共職業訓練も大いに努力してそれを補完するようにしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
 現在、公共職業訓練施設におきましては、コンピューターに関する職業訓練としましては、養成訓練で電子計算機科というのを九科設けております。それから情報処理科が二科ございまして、おおむね四百人程度の定員で訓練をいたしておりますほか、いわゆる機械科、事務科というのがございまして、いずれも定員が八千八百人あるいは事務科の場合三千百人というような規模でございますが、ここにもできる限りコンピューター関係の機器の導入に努めまして、そこでの訓練に努めておるところでございます。また、在職労働者向けの向上訓練といたしましても、約二千人規模でコンピューター関係あるいはMC関係その他の訓練を実施しておりまして、今後とも非常にこれから伸びる分野でございますので、そういう点に配慮して対処してまいりたい、というふうに考えております。
#85
○国務大臣(藤尾正行君) ただいまのマイクロコンピューターの導入、ロボットの導入に伴います技術革新、それによって省力が行われ、その省力による波及でいろいろな雇用の上に重大な影響が出てくるであろうという非常に適切な私は御指摘だと思います。現実に、いろいろなことを申しておりますけれども、そのマイクロコンピューター導入によります技術革新といいまするものが、いま現に進行中でございます。これが一体、いつまでにどのように広がっていくのかという見通しもまだ立っておりません。
 したがいまして、いいかげんなことを言うことになるわけでございますけれども、確かにおっしゃられるとおりマイクロコンピューターの導入自体が、省力ということを一つの大きなねらいにしておるわけでございますから、そこで雇用の変動ということが出てくるということは当然でございまして、私どもは、したがいましてこれに対処する方向をいろいろと考えていかなければならぬということでございますけれども、いま一般に言われておりますのは、大体、そういった大きな技術的革新の進行に伴いまして起こり得る省力度といいまするものは、どれぐらいであろうかという予測が行われておりますが、大体平均して、三割ぐらいではないだろうかということが言われておるわけでございます。したがいまして、その三〇%の一つの省力を雇用に影響させないために、じゃどうするかということが、私どもといたしましてのとりあえずの行政上の課題ではないかと思いますが、これはいまのところでは、ともかくもかなりの程度に残業が行われておりますので、その残業を、ワークシェアリングといいますか、できるだけ少なくいたしまして、そしてそれを雇用に振り向けていくというようなことをやっていけば、ただいま仰せのとおりの、大企業等で行われておる転換が行われ得る、こういうことであろうと思います。
 しかしながら、御指摘のとおり、地域のしかも中小の企業におきましてそれが進んでまいりまして、マイクロコンピューターの導入、大技術革新というような、これは一つの革命にも匹敵することでございますから、そういったことがどんどん進んでまいるということになれは、これは御指摘のとおり、一つの企業内においてその転換を策するというようなことでやっていけるようなしろものではない、かように私は考えます。
 したがいまして、こういったことにつきましては地域的な問題が伴いますので、きわめて困難な面があろうと思いまするけれども、新たにそこで出てまいりますマイクロコンピューター関係の機械産業自体の、また別途の雇用といいまするものも出てき得るわけでございますし、また考えようによりましては、非常に困難なことではございましょうけれども、そういったものの使い方、ソフトウエアの面におきまする雇用といいまするものも十二分に期待できないわけでもない、こういうことでございまして、ただいま訓練局長が申し上げましたように、職業訓練校においても、それぞれの面におきましてその補整をやっていくわけでございますが、なかなかいまの制度、いまの技術のもとでは、いまおっしゃられるような大きな革新といいまするものについていけるかどうか、私は非常に心もとないものがあるであろう、かように考えます。
 しかしながらこれは、技術自体の革新がいま進行中でございますから、その進行を見守りながら、それに置いていかれないような絶えざる訓練のカリキュラム自体の革新を加えていきまして、絶えずそういうことに配慮をしながら、おくれていかないような努力をやっていかなければいかぬのではないか。それは必ずしもやれないと言って決めつけてしまうべきものではないのであって、できるだけ追いついていけるような努力をこれから傾注をいたしまして、そしてどの程度、それがどのようにカバーできていくかということを見きわめをつけてからでないと、私どももそれに対する適応が完全にとれないというのが現実ではなかろうか、かように考えます。
#86
○渡部通子君 そこで訓練局長にもう一点伺っておきますが、問題は公共訓練所における指導者が一体確保できるかどうか、そういう新しい時代に対応できる指導者があるかどうかということが大きな課題ではないかと思うわけですね。あちこち訓練校を見せていただいても、ちょっと時代おくれではないだろうかという感じを免れ得ないわけでありまして、要するに、リーダーをどう確保するかということが一番問題ではなかろうかと思うんですが、それに対する一つの見通しなり計画なり、具体的なものをお持ちかどうか、これを伺っておきます。
#87
○政府委員(森英良君) 指導員の養成につきましては、これはもう先生御承知のとおり職業訓練大学校というものがございまして、そこで新規の養成をやっておりますし、それから同じ職業訓練大学校が、すでに指導員として活躍しておられる方々を集めて、研修を相当規模においてやっておるわけでございます。そういう中で、職業訓練分野でこういうエレクトロニクスの関係の訓練の拡大に従いまして、十分対応できるよう今後とも配慮してまいりたいというふうに考えております。
#88
○渡部通子君 もう少し具体的な回答をいただきたかったのですが、ないようでございますが。
 ともかく、こういう技術革新に伴って中小に働いていた方々で、しかも中高年の方たちが泣くというのが目に見えているふうな気がいたしますので、どうかその辺に、細かな配慮をした対策を早急にお願いをしたい、重ねて申し上げます。
 それから、プログラマー、オペレーターつきコンピューターのリース業、これがございますけれども、これは労働基準法の第六条、いわゆる中間搾取の禁止。あるいは同二十四条、賃金全額払いの原則。あるいは職業安定法の四十四条、労務供給事業の禁止。これに違反する疑いがあると、こういうわけで基準局へ申告等がなされていると聞いています。その実態がどうなっているのか伺いたい。
 それから、労働力需給システム研究会から、今後の労働力需給システムのあり方についての提言というものが行われておりますけれども、その中で、いわゆる労働者派遣事業制度の創設が提言されております。制度創設は違法状態の追認であるとして反対の動きもあるようでございますが、労働省のそれに対する見解なり対応なり、これを伺いたいと思います。
#89
○政府委員(吉本実君) オペレーターつきコンピューター等のリース業が、労働基準法六条あるいは二十四条との関係でどうかという御質問でございますが、御承知のように、労基法の六条が、法律に基づいて許される場合のほかは、業として他人の就業に関して利益を得る行為を中間搾取として禁止している、こういうことは御承知のとおりでございます。それで、本オペレーターつきコンピューター等のリース業がこの六条違反になるかどうかということでございますが、それはやはり個別、具体的な実態に即してそういった事実があるかどうか、そういうことを判断することになるわけでございまして、単にオペレーターつきリース業だからといって法違反になるというわけではございません。たとえば請負として行われるものでございますれば、一般的には六条問題は生じないのではないかというふうに思います。いずれにしましても、個別、具体的な実態でもってその判断をするということになろうかと思います。
 それから二十四条関係につきましても、やはり実際使用者というものが、一体請負であるのかどうかというようなことによって判断をするわけでございまして、使用者たる者が、オペレーターの使用者がその者に賃金を全額払っている限りにおいては、二十四条違反の問題は生じないのではないかというふうに思います。これもいずれにしましても、その業者の実態が一体どういうふうになっているかということを、具体的に判断の上で決めていくということになろうと思います。
#90
○政府委員(関英夫君) 職業安定法違反の問題でございますが、この問題につきましても、その事業が請負事業で行われておるものであれば違反にならないわけでございますが、請負というのは名はかりで、実は単純な、余り専門的、技術的でない仕事に労働者を派遣して、の行った先で使用させているというような労働者供給事業の実態であれば四十四条違反と、こういうことになるわけでございますが、いずれにいたしましても、個別の実態に即して判断すると、こういうことになるわけでございます。
 で、現実には、四十四条違反ということにならないために、請負契約というものをつくりまして、請負形態でやっているというのが大部分というのが恐らく私は現実の姿ではなかろうかと思います。
 そこで、先生から御指摘ありましたように、労働省内で労働力需給システム研究会ということで、学者先生にいろいろ労働力の需給の関係のシステム、これは国のものとしては公共職業安定所、あるいは民営の職業紹介事業あるいは労働組合の行う労働者供給事業、そういったもの全部を含めて、今後のあるべき労働力需給システムについて御研究をいただいた中で、最近こういった情報処理関係とか、あるいはビルメンテナンスあるいは警備その他事務処理等々で、みずから雇用している労働者を他の使用者のもとに派遣して、そこで仕事をさせるという業態が非常にふえてきた。これはビルがふえてくるとか、あるいは非常に情報処理のように自社では処理することが困難な、あるいはまた一時的なニーズ、そういったものに対応するし、それから労働者の方も、一つの会社で日本的な終身雇用慣行のもとで働くよりは、自分の専門技術を生かして働きたいとか、あるいは自分の好きな時間好きなときだけ働きたいとかいうような労働者のニーズにも合っている。いろいろな意味でそういう事業がふえてきている。しかしそこには、常用労働者と違いまして労働者保護に欠ける面があるのではなかろうかと。そこで、むしろ労働者保護を徹底させるために、そういった労働者派遣事業というものを労働大臣の許可制にして、そして派遣元である事業主の雇用者責任というものを明確にさせる、あるいは行った際に、たとえば業務上の事故が起こったときに、一体どちらに責任があるのかといったようなことも明確にさせる、あるいは社会保険の適用というものを徹底させる。そういう意味で労働者派遣事業というものを創設したらどうかと、こういう御提言をいただいたわけでございます。
 ただ、非常に私は学者先生の長い間の御研究でいただいたりっぱな報告だとは思いますが、この問題はあらゆる産業に関連してまいりますし、また労使関係のいろいろな法律について関連してまいりますし、あるいは既存の労働力需給システムである民営職業紹介事業なり労働組合の行う労働者供給事業、こういうものとの競合的な問題もございます。非常に関連するところの大きい、そして労使関係の上でも問題の大きいことでございますので、学者先生のこういう研究報告だけで労働省が直ちに立案し、国会に審議を求めるということでなく、関係者も広く入っていただいた調査会をつくりまして、そこで十分御議論をいただいた上でコンセンサスが得られれば、それに沿った措置をとりたいということで、現在調査会で検討いたしておりますが、こういうふうに非常にむずかしい問題でございますので、頻繁に調査会を開催し、すでに十一回ぐらいやっていると思いますけれども、まだ結論を得るには相当時間がかかるのではなかろうかと思っております。
#91
○渡部通子君 オフィスオートメーションの機械は非常に種類は多くあると思いますけれども、ディスプレイ装置を伴うものが多いと思います。それを長時間見続けると非常に目が痛むという、そういう声が最近多いわけでございまして、眼精疲労となる傾向が強いということで、早目にこの連続時間、一日の許容量の時間限度といいますか、そういったものをある程度ガイドライン的に決めておかなければ、キーパンチャー病のときと同じようにいわゆる職業病という形でこれは多発するおそれがあるのではないか。労働省としても早目に取り組む課題だと思いますけれども、それはいかがでございますか。
#92
○政府委員(吉本実君) 先生御指摘のような問題が、実はコンピューターによるテレビの映像の読み取り作業等におきまして、労働者の健康に及ぼす影響ということで学界におきましても一、二調査結果が発表され、こういうような知見が見られるような状況でございます。ただ、この点につきましては進行の過程ということもございますし、なお学界等の知見の集積を待ちまして私ども対処してまいりたいというふうに思っております。
#93
○渡部通子君 そのお答えは非常に型どおりだと思うのですけれども、これはやっぱり健康にかかわる問題ですし、それから機械化されるのは大変ありがたいけれども、やっぱりそれによって人間が傷を負い、人間が機械に隷属するような形になっていくということでは本末転倒になると思うわけです。したがって、こういう問題こそ、何の答申を待つかわかりませんけれども、それならば督促をしていただいて、事人の今、健康にかかわることでありますから、早目にこの対応策はお願いをしたい。重ねて伺っておきます。
#94
○政府委員(吉本実君) 先生のいろいろな御意見も参考にしながら、今後対処してまいりたいと思います。
#95
○渡部通子君 これは答弁要りませんけれども、大臣もしかとこの点をよろしくお願いをしたいと思います。
 それから、大臣に最低賃金についてお伺いをしておきたいと思います。
 最低賃金の改定につきましては、最近ここ三年ほどは中央最低賃金審議会の答申による目安方式、これが定着してきているようでございます。大臣は、昨年の場合は五月十五日に審議会に諮問をし、七月二十九日に答申をされているようです。今年度の場合、労働大臣の地域別最低賃金の改定の諮問はいつ行う予定でいらっしゃいますか。
#96
○政府委員(吉本実君) ただいま先生御指摘のような形で、現在目安制度をもとにしながら、地方の最低賃金審議会の審議を参考にし、中央最低賃金審議会におきましていろいろ調査、審議に基づいて、その結論を尊重した上で、地方の労働基準局長がこの最低賃金の決定をするという仕組みになっております。本年度のそういった中央最低賃金審議会におきます目安の審議につきましてはあす十五日、地域別最低賃金額改定の目安につきまして諮問を行う予定にしております。
#97
○渡部通子君 昨年の地域最低賃金の改定の平均は七・〇四%、日額にいたしますと二千八百十二円というふうでございました。政府の物価上昇の見通しが御存じのとおりことしは七・八%となったことでまあ大問題ですけれども、労働者の実質賃金が低下したと、こういう実情でございます。最賃法もそのとおりで、これは法一条の定める賃金の低廉な労働者の生活の安定、これが損なわれた、これが昨年度の結果であったと思うわけです。大臣は諮問に際しまして、あしたということでございますけれども、最低賃金の実質、これが低下していることに大変思いをいたしていただきたいと思うわけでございます。その憂慮の心というものを表明して、中央最低賃金審議会の委員の注意をぜひとも喚起をしていただきたい。これをお願いしておきたいと思いますが、大臣の所信を伺います。
#98
○国務大臣(藤尾正行君) 承知をいたしました。
#99
○渡部通子君 では次に、身体障害者雇用促進法附則四条の推進について伺っておきたいと思います。いわゆる精神薄弱者の雇用の問題でございます。ことしは国際障害者年ということでいろいろな、特に雇用をめぐる問題等も当委員会でも審議をされまして、前進もしてきているわけでございますけれども、法定雇用率の対象となっておらない精薄者の雇用保障というものはちょっと置き去りにされているのではないかと、むずかしい問題であることは重々承知でございますが、思うわけでございます。
 そこできょうは、その問題について若干お尋ねをしておきたいと思います。
 現在、労働省所管の精薄者の職業訓練の専門校といいますと、愛知県の春日台、これが一校のみということと聞いております。なお、最近できた京都と静岡の認可身体障害者訓練校、これに精薄者コースというものが一科ずつ設けられているそうですが、精薄の職業訓練で大切な点は、訓練科目と精薄の程度のバランスだと思います。で、職業訓練をして就職可能な精薄の程度、つまり知能指数、これはどの程度に見ていらっしゃるのでしょうか。
#100
○政府委員(森英良君) 一応、職業訓練の対象といたしましては、知能指数について申し上げますと六〇程度というものを目安に考えております。しかしながら、これはかなり個人差もございますので、それ以下でありましても個別に検討いたしまして、いけそうだというものは受け入れを行っておりまして、例外もあるわけでございますが、一応の目安は六〇程度ということを考えております。
#101
○渡部通子君 職業訓練校での現行の精薄者用訓練内容、これはどんなものがあるのか。またそれが、知能指数との関係でどういう実態であるかということを教えてください。
#102
○政府委員(森英良君) 現在、精神薄弱者に対する訓練を実施しておりますのは、先生御指摘のように身体障害者訓練校では愛知県立の春日台、それから京都府立の城陽、静岡県立の身障校と三カ所あるわけでございますが、このうち春日台は入校生全員が精薄者でございまして、機械、縫製、木工、陶磁器、紙器製造というような五科目を設けております。それから、城陽身障校の場合には紙器製造科というのを精薄者用に用意しておりますし、それから静岡の場合には、機械科を精神薄弱者の受け入れ訓練科目というふうにしておるわけでございますが、精神薄弱者を対象にする訓練科におきます訓練内容につきましては、やはり一応は職業訓練法に定めております訓練基準というものを目安にしておりますが、きっちりとそれによるということではございませんで、その能力と適性がかなり違っておりますので、たとえば教科書等については、訓練生の読み書き能力を考慮して改編して使うとか、それから、実技を中心にカリキュラムを組むとか。それから就職先の、一応就職の目安をつけまして、その予定されておる就職先の実態に合わせた訓練カリキュラムを特別に組むとかいうことで、いろいろそういう工夫をこらしてやっておるのが特徴でございます。
 まあ一律に、一般論といたしましてなかなか精神薄弱者の多能工的な訓練ということがむずかしゅうございまして、したがって、職種といたしましても反復作業が多い職種でありますとか、安全衛生の面で危険の少ないものであるとか、いろいろなものを選びまして、さっきのような訓練科を設けたわけでございますが、その中でも、精神薄弱者に向いている作業を中心に教えるという点で特別な配慮を払っておるところでございます。これの一々のIQとの関連ということにつきましてはちょっと説明力はないのでございますが、大体、訓練の実態は以上申し上げたとおうでございます。
#103
○渡部通子君 入所希望者とか、または潜在的にそれを期待しているという実情ですね。数等は厚生省なり労働省なりで大体おわかりなんでしょうか。
#104
○政府委員(関英夫君) 入所希望者という数字とはちょっと違うかもしれませんが、私どもの公共職業安定所に現在登録されている精神薄弱者を申し上げますと、全数で五万六千八百四十七人でございまして、このうち就業中は五万二千百二十七人。現在求職申し込みして職を探している、したがって、この中には訓練を受けて就職したいという方もおられると思うんですが、その者の数が二千八百四十八人ということになっております。うち重度の者が六百一人、こういう数になっております。
#105
○渡部通子君 こういった数は、厚生省の方でもおつかみなんでしょうか。
#106
○説明員(北郷勲夫君) 私の方も実は正確な数はつかんでおりません。授産施設の関係で、授産施設の入所希望というような形で関連があるわけでございますが、正確な数は判明いたしておりません。
#107
○渡部通子君 正確な数をつかむということが困難だということは私もよくわかります。必ずしもそれをつかめとも言い切れないわけでございまして、一人一人の、私たちもことしは障害者年だからということで、せめて実態調査をしたいと思いまして、個々にずっと当たってみると、それはなかなか事情がいろいろ困難でございまして、必ずしも正確な数がつかめるかどうかということは、むずかしい問題ということは重々承知しております。ただ、こういう雇用という面を考える上において、ある程度のニードなり、ある程度の実態というものは掌握しておかなければ、これからの方向も出ないわけでございますから、そういった面では、ひとつ労働省も厚生省も努力のできる範囲で実態を把握するという点については、御努力をお願いしたいということを申し上げておきます。
 それから厚生省は、コロニーとか授産施設、更生援護施設等において、精薄者のための広範な内容にわたる職業訓練をある程度行っていらっしゃると思うわけです。こういう点になりますと労働省の施策の方がむしろおくれているのではないかと、こう指摘せざるを得ないわけでございまして、早急に精薄訓練生の訓練施設の充実という面でも、労働省は知能指数に応じた訓練科目の拡充という意味では必要に迫られているのではないか、これを拡充する必要があるのではないかと考えますが、その点の御見解はいかがですか。
#108
○政府委員(森英良君) 精神薄弱者に対します職業訓練もやはり職業訓練でございまして、したがいまして、訓練をすることによって、将来労働市場においてとにもかくにも、一人前の労働力として需要されるということになる見通しのある者を訓練するというのが、実は労働省の職業訓練の内容でございまして、厚生省等で行っていらっしゃいますいわゆる職能訓練的なものとは若干性質が異なっておりまして、それだけまたむずかしい面があるかと思います。しかしながら、精神薄弱者に対する職業訓練につきましても、その訓練機会あるいは適切な訓練内容等今後ますます充実すべきことは、もう先生御指摘のとおりでございますので、私どもも今後その点に十分留意して施策を進めてまいりたいというふうに考えます。
#109
○渡部通子君 公共職業訓練施設の指導員が非常に高齢化をして新技術についていけないという批判が、先ほどの課題でも申し上げましたけれども、ここでもそういう批判を紹介しないわけにはまいりません。労働省の方でもこの批判は重々御存じたとは思いますけれども、なかなか対応が追いついていないというのが実情ではないかと思うわけでございます。やはり指導員の年齢別把握あるいは配置状況、こういったことを十分とらえていただきまして、指導員の体系的な養成、確保のために現行の試験制度等も、見直しも含めて将来の計画を策定する必要があると思いますけれども、その点はどうなっておりますか。
#110
○政府委員(森英良君) 精薄者の職業訓練のための適当な指導員の確保ということにつきましては、御指摘のとおりきわめて重要なことでございますので、これまでも身障校のそういう方面の指導に当たる人につきましては、関連の福祉施設あるいは既存の職業訓練校等におきまして研修を行って、それから採用するというふうな配慮も加えておりまして、それなりに努力はいたしておるつもりでございますが、これからますますこういう分野が拡大するということになります場合には、当然さらに一層の努力が必要となってまいりますので、その点につきましては、指導員全般の配置計画等との関連も考えながら十分考えてまいりたいというふうに考えます。
#111
○渡部通子君 この問題をめぐりましては、職親制度というものを大いに活用していただくということが非常に効果的なことではないか、大事なポイントではないかと思うわけでございます。精薄者の雇用というのはなかなか大変なことですし、全般的な身体障害者対策においてもおくれている状況でございますから、この職親制度という、これの果たす役割りというのは非常に大きい、これを大いに推進していただくということが大事ではないかと思うんです。
 いま、職親というのがどの程度あるのか、この実態をお聞かせいただきたいことと、それから、職親制度というのは福祉法から発足したという、こういう経緯もありまして厚生省が登録を行っているようでございます。労働省では行っておりませんけれども、雇用の促進という点で考えますと、むしろ労働省の方に行っていただくべきではないか、熱心に取り組んでいただくべき問題ではないかと、こう考えますが、これに対する厚生省と労働省の両方の御見解を承りたいと思います。
#112
○説明員(北郷勲夫君) 職親制度のこの数の面でございますが、現在登録されております職親の数が二千二百四十三人でございます。で、実際に委託を受けております職親の数が四百七十一人でございます。それから委託されております精神薄弱者の数は七百二十四人でございます。
#113
○政府委員(関英夫君) 厚生省で現在行っております職親制度というのは、精神薄弱者の自立更生を図るという、そういう目的で、その一環として職親に精神薄弱者を預けて、生活指導、そしてあわせて技能の実習訓練といいますか、そういうものもやっていくということでございます。したがいまして、生活指導ということが非常に重点になり、そういうことで自立を図っていこうと、こういうことでございますので現在厚生省でやっていただいておりますし、私はそれはそれで非常にありがたいことだと思っております。
 労働省の場合は、精神薄弱者の中で生活もでき、あるいは通勤も可能であり、体力なり知能なりいろいろな点で雇用につき得る人、そういう人をお世話する、これは私どもの責務でございます。しかし、その場合にも。一般の方と違いまして、職場環境になれたり、あるいは職場の人々と円滑に勤労生活をともにする、そういったことが非常に重要だと思いますので、これを直ちにいきなり雇用につけるということは無理な場合がございます。そういうときの場合のために、労働省の場合は職場適応訓練制度というものをとっておりまして、これは事業所に、求職者である精神薄弱者を、職場に適応するための訓練をしてくださいという委託契約をいたしまして、事業主に委託に必要な予算を払い、また求職者である精神薄弱者には訓練手当を払いながら、そして重度の場合には特に期間も長くいたしまして、職場にできるだけなれていただく、できればその職場適応訓練期間が終了した後、そこの事業主に雇っていただければ一番ありがたいのですが、しかしそれは強制するわけではございませんで、それを期待して、うまくいくことを願って職場適応訓練をする、こういうような制度をとっております。五十四年度で一千七百六十三人の者にこういう職場適応訓練制度を実施して雇用についていただいております。そういうことで、私どもとしてはこの制度を活用しまして、事業主のもとで同僚の労働者と、あるいは職場環境とうまくなじみながら雇用についていくように努力していきたいと考えております。
#114
○渡部通子君 厚生省に伺いますが、いま登録が二千二百何がしかあって委託されているのが四百七十一、こういうことで大分余っている、余っているというか、かなりまだ余力があるということですが、これがなかなか進めないという実態はどういうところから原因が来ているんでしょうか。宣伝が足りないのか、それともそこまでなかなか精薄というような条件の方たちが他人の職親というところになじめるところまでの状況が事実としてないのか、それとも、もう少し進めば非常に活用していい制度であるのか、その辺はどう把握をしていらっしゃるわけですか。
#115
○説明員(北郷勲夫君) 職親が余り数が行っていないわけでございますが、これは職親の職種が大体農業とか畜産関係でございまして、何といいますか、そういうところでいわば奉仕的にやっていただいているというような面がございまして、なかなかそういうところの希望がないとか、あるいは、いわば住み込みみたいな形でもございますので、何といいましょうか、ちょっとこう、最近のいわゆる一般の就労形態を希望する親御さんも多いわけでございまして、いわば住み込み形態を余り希望されないというふうな面があるというふうに考えております。
#116
○渡部通子君 困難な問題をたくさん抱えていらっしゃるとは思いますけれども、何とかこの制度をもう少し活用できないものか、それによって精薄の方が一人でも生きがいを見出すようなことができたならば、本人一人に限らず、家族全体、親族全体が救われるという場合もたくさんあるわけでございまして、一つ一つごめんどうをかけますけれども、ひとつこの育成に力を入れていただきたいものだと私はお願いをしたいと思います。
 それから、法律上の雇用率の問題についても伺っておきたいと思うんですけれども、精薄者の雇用がなかなか置き去りにされている。実際は困難、だということはわかるけれども、単純作業等においてはお人柄等もよくてそれに適しているというような方もたくさんいるわけで、訓練次第という方もいるわけでございまして、その法律の雇用率の対象に全く入れられていないという点もどうかしらと思うわけでございまして、これを身体障害者の雇用率の中に並べて扱っていただけないものかどうか。西独あたりでは雇用率六%を決めておりまして、その中に身障者、精薄者、精神障害者のすべてを対象としているというようなことでもございますので、日本でも精薄に対しての適用が考えられないかどうか、この点を伺います。
#117
○政府委員(関英夫君) この問題は、五十一年だったと思いますが、現在の身体障害者雇用促進法の抜本的な改正の際にも、関係の審議会等でも非常に御議論のあったところでございますが、その審議の結果といたしましても、まだ精神薄弱者についての職業能力の判定に非常に困難がある、あるいはまた職域の開発とか、あるいは生活指導、社会環境の面でまだまだ不十分さが残っている等々から雇用率としての義務づけはその際には見送られたわけでございますが、いろいろな助成制度あるいは納付金の減額、納付金を納めなくていいとか、そういうような措置がずっととられて、雇用促進の面では身体の障害者と何ら差はないわけでございますが、雇用率として義務づけられるというところに至っていないのは御指摘のとおりでございます。
 先生最初に御指摘ございましたように、附則四条でこういった問題について十分調査研究をし、必要な措置をとれというふうになっております。で、必要な措置というのは結局最終的には雇用率の問題になってくるわけでございますから、私どもも精神薄弱者の職域の開発のための調査研究、こういうものを研究機関等で行っていただいたりいろいろやっておりますが、同時に、この雇用率適用問題につきましても、労働省に置かれております身体障害者雇用審議会におきましてやや長期的な検討課題ということで検討をお願いしておりまして、十分その調査研究、検討と相まって審議会での検討も願って、そういった結論に従って措置していきたいと考えているところでございます。
#118
○渡部通子君 いまの御答弁の中に附則四条の件についてはお話があったとおりでございまして、あえて重ねる必要もありませんけれども、附則四条の中では精神薄弱者の雇用の促進に関して職能的諸条件に配慮して適職に関する調査研究を推進しろと、あるいは事業主その他国民一般の理解を高めることにも努力しろと、それからいまおっしゃいました、その結果に基づいて必要な措置を講ぜよと、この必要な措置とは雇用率を指すと、そこまで局長が御答弁なすったわけです。こういう研究とか、理解を得るための努力とか、こういうことに対しては十分対応しているとお考えでございますか。
#119
○政府委員(関英夫君) 研究につきましては、雇用促進事業団それから身体障害者雇用促進協会、そういうところにおきまして精神薄弱者の社会生活能力と作業、あるいは適職、あるいは雇用管理、そういったことにつきまして調査研究をやっていただいておるわけでございますが、これまでの研究の中では、やはり職場の中におきまして、生活面まで世話をするような人がどうしても必要になってくるとか、あるいは職場適応能力というのは、社会生活能力の程度に負うところが非常に大きいというようなことがいろいろと示されてきております。いずれにいたしましても、こういう研究をさらに進めて、適職というものを開発していかなければならないし、また雇用管理に関しますノーハウといいますか、技法といいますか、そういうものも開発し、それを広めていく、そういうことが必要でございますし、それからさきの法改正の際のいろいろな議論にかんがみまして、事業主あるいは一般国民の理解を深めていくということも非常に重要なことだろうと思います。
 で、毎年の雇用促進月間、そういった際には私どもこういったことにも特に力を入れてきておるところでございまして、最近は、以前とは大分事業主の方や一般国民の方の考え方も変わりつつあるということは言えますけれども、しかし身体障害者とはまた別段のむずかしい問題を抱えておりますだけに、雇用問題ということになりますと、まだまだ事業主の方々も身体障害者に非常に熱意を持っておられるような方におきましても、精神薄弱者の場合には二の足を踏むという事例が現にあるわけでございまして、私どももさらに一層、こういった理解を促進するための努力を続けていかなければならないと思っているところでございます。
#120
○渡部通子君 実態はなかなか困難であるということは私も重々承知をいたしております。
 そこで大臣に最後に伺って終わりたいと思いますけれども、ことしは国際障害者年でありますから、この際一歩進めていただく以外に、チャンスはなかなかまたないと思うものですから、この精薄者の職業訓練、雇用の促進、これは図っていかなければならないことでございまして、少なくとも身障者の雇用促進法附則四条、こういう法律があるわけでございますから、その職親制度の採用あるいは雇用率の問題、職業訓練の充実強化、相談員等の増員措置、こういったものをもってあらゆる角度から、一人でも二人でもいいから救える方向に改善が必要だと考えております。したがって、大臣のこれに対するお取り組みの決意等を伺って、この問題を終わりたいと思います。
#121
○国務大臣(藤尾正行君) 非常にむずかしい問題でございますけれども、国際障害者年という、別にこれにとらわれるわけじゃございませんが、こういった一つの機会でございますから思いをここにいたしまして、先生の御趣旨のあるところを十二分に外しまして、それぞれの分野で一生懸命に促進をしてまいるようにいたします。
#122
○渡部通子君 終わります。
#123
○沓脱タケ子君 それでは、きょうは日本航空の労基法や労働安全衛生法違反の問題。またスチュワーデスに非常に腰痛が多発しているという問題。こういった問題についてお伺いをしたいと思います。
 周知のとおり、日航は日本航空株式会社法によって政府が出資をしている会社でございます。当然政府の監督下にある会社でございますから、法違反などがあってはならないわけでございます。ところが、労働行政の面で見てまいりますと、労基法、労安法の初歩的な違反を行っているということが明らかになっています。
 労基法第三十二条は、一日八時間労働制の原則を定め、原則どおりにできない場合は就業規則でその旨を定めることになっておりますけれども、日本航空のパーサーやスチュワーデスについてはそれが守られていない。
 労基法八十九条は始業や終業時刻あるいは休憩時間を就業規則に明示し、行政官庁に届け出ることが義務づけられているのですけれども、これも守られていない。
 労基法三十五条は休日を特定するしとを義務づけていますけれども、これにも違反している。つまり労働時間の管理というのがきわめてずさんである。
 したがって、労基法百八条は労働者各人別に賃金台帳をつくって、労働時間数などを記載することを求めていますが、これも守っていないということで、成田空港を担当する千葉の佐原労基署は、昨年六月に労基法百八条違反を指摘し、是正勧告を行ったということを聞いておりますけれども、それは事実ですか。
#124
○説明員(岡部晃三君) お尋ねの日航につきましては、千葉の佐原署におきまして監督を実施いたしましたところ、労基法及び安全衛生法関係の問題がございましたので、是正勧告を昨年の六月十七日にいたしたわけでございます。その後会社からは、これらの事項につきまして、一部につきましては是正した旨の報告がございました。で、一部につきましては、その是正の内容についてさらに検討、調整を進めたいという旨の回答があったところでございます。
#125
○沓脱タケ子君 日本航空ともあろう企業が何でこういう初歩的な労基法違反、労安法違反などを行うかということが問題だと思うんですよ。
 一つは、いわゆる有名な不当労働行為日本一だと言われているような労務管理の政策、特に労働組合の分裂工作というのですかね、そういう労務政策が非常に有名であります。
 もう一つは、会社が労基法、航空法についての誤った理解をしているところにあるんではないかと思うわけです。日航の勤労部が発行しております「翼とともに」という機関誌があります、社内報ですね。これを見ますと、乗務員の乗務時間については労基法以上に厳しい規制を持った航空法を守っているから、労基法をはるかに上回る勤務条件が維持されているというふうに書かれていますね。
 そこで、ちょっとお聞きをしたいんですけれども、労基法と航空法というのはそんな関係にある法律ですか。ちょっと運輸省と労働省両方の御意見を聞きたい。
#126
○説明員(岡部晃三君) 法律というのは、それぞれの目的を持ってそれぞれの分野について定めているわけでございまして、労働基準法というのは労働条件の最低について定めるということでございます。それに対しまして航空法の方は、航空の合理的な運航、安全等々の観点から定めているということで、そのそれぞれの分野は違うわけでございます。したがって、この労働条件という点に関しますれば、これは労基法というのが主たる法律というふうに私は理解をしているところでございます。
#127
○説明員(石井俊一君) お答えいたします。
 労働省の方からお答えがあったとおりでございまして、私どもも航空法上は運航乗組員の疲労防止という観点から、公共の運航の安全を確保するという目的でもって航空法上規制してございます。労働者の方のいわゆる労働条件の確保ということにつきましては、これは労働基準法の範疇に属することでございまして、やはり航空法とは独立して運用されるべきものであるというふうに考えております。
#128
○沓脱タケ子君 ちょっと運輸省にお聞きをしたいんですが、航空法施行規則の百五十七条の三の二号ですね、これによりますと、「航空機乗組員の疲労により当該航空機の航行の安全を害さないように乗務時間及び乗務時間以外の労働時間が配分されていること。」という規定がございますね。ここで言う航空機乗組員というのはパーサーやあるいはスチュワーデスですね、これは含まれるんですか。
#129
○説明員(石井俊一君) いわゆるパーサー、スチュワーデス等の客室乗務員はこれには含まれません。
#130
○沓脱タケ子君 そういたしますと、先ほどの御説明もありましたように、航空法と労基法というのは法律の守備範囲が違っているということでございますね。だから、航空法を守っているから労基法を上回るようなことになっているのだなどというのは、これはもう明らかに間違いだと思うんですね。そうですね。どっちに聞きましょう、労働省、どうですか。
#131
○説明員(岡部晃三君) 先ほど申し上げましたとおり、それぞれの法律の守備分野というものがございます。したがいまして、労働者の労働条件ということにつきましては、労働基準法がこれが根幹の法律というふうに考えます。
#132
○沓脱タケ子君 当然のことなんでね、日航がこういう間違った、法の守備範囲の違うものを混同して扱うというようなことをやっている限りは、労基法違反というのはこれはまともに是正されない。だから労働省も運輸省も、日航ともあろう大企業が、しかも政府出資の会社ですね。そういうところがこういう間違った理解をしているということについては改めるように、運輸省は運輸省の立場で、労働省は労働省の立場できちんとやるべきだと思いますが、いかがですか。
#133
○説明員(岡部晃三君) 日本航空の問題につきましていろいろと申告があり、また私どもの定期臨検監督等で、いろいろな問題を把握しているところでございます。労働基準法の規定にのっとりまして、その厳正な適用に努めてまいりたいというように考えております。
#134
○説明員(近藤憲輔君) 私どもの立場といたしましては、労働問題は労使の当事者間同士で解決するのが基本であるということを考えておりまして、運輸省がこれに介入するのは適当でないという考えを持っているわけでございますが、しかしながら航空運送事業の健全な発展を図るという観点から、労使関係の問題につきましては重大な関心を持っておりまして、かねてから同社の労使関係が円満に推移するようにという要望を、会社側に対してしているところでございます。
#135
○沓脱タケ子君 あたりまえのことをあたりまえにやられていないという点では、これは私、一般の民間企業でもあるまじきことだと思うのだけれども、政府出資の日本航空というふうな会社でこんなことがあるというのは重大問題だと思いますよ。これはその点では労働省としてもしっかり御指導を賜りたい。課長が答弁をした通りあたりまえのようなことでしょう、本当に。その程度のことがやられていないということは重大問題だと思いませんか、大臣。法律を知らぬような人が行っているんじゃないんですよ。今度やめられた朝田社長だって、官僚出身でしょう。法律をごちゃごちゃにしか理解できぬような人が幹部になっているのじゃない。それがあえてやっているというようなことを御指摘にならないなんて、どうするんです。はっきりしてくださいよ、労働省。
#136
○政府委員(吉本実君) 私どもとしましても、労働基準法にのっとってその措置を従来もしておりましたし、今後もやっていくつもりでございます。
#137
○沓脱タケ子君 その問題は今後を見てまいりたいと思いますが、労働時間の問題で、内容に立ち至っても質問をしたいと思いますが、時間が限られていますのでこれはまた別のときに譲るといたします。
 労基法違反の是正勧告を行ったときに、労安法違反も是正勧告をされましたね。その点ではどういう行政指導を行ったのか、内容の御説明を簡潔に伺いたい。
#138
○説明員(岡部晃三君) 労働安全衛生関係につきましては、まず一つは衛生管理者の選任あるいはまた産業医の選任等の是正勧告を行ったわけでございます。それからまた、安全委員会の設置につきましても是正の勧告を行っております。これらの問題につきましては、その設置につきましてただいま労働組合とその委員の推薦につきまして協議をしているというふうな報告を受けております。これはいずれ設置されることになると私どもは考えております。
 それから、腰痛の問題につきまして、腰痛対策の点につきまして適切な対策を講ずる。たとえば腰痛予防体操の実施でありますとか、あるいはまた腰痛につきましての健康診断等々の問題につきまして指導をしたところでございます。
 これらにつきましては、指導に沿って行うという会社側からの回答がございます。
 なお一点。腰痛がなぜ起こるかということに関連をいたしまして、何しろ飛行機そのものが外国でできておる。ボーイングにいたしましてもダグラスにいたしましても外国でできているということで、日本人のスチュワーデスの体格に適しているかどうかという問題もございまして、その辺についての勧告もしてございます。ただ、これは飛行機の構造そのものに関係することでございますので、やはり長期的な取り組みというものが必要であるということでございまして、この点につきましては会社の方では、やはり今後の技術革新というものの中で、この機体の構造というものについてさらに検討を加えていきたいというふうな回答でございます。
#139
○沓脱タケ子君 労働省は是正勧告、行政指導というのは一定の期限を切ってやられているんでしょう。いま課長がおっしゃったように、外国製の飛行機だから日本人の体格に合わぬものをつくっているというわけですね。航空機内のギャレというんですか調理室ですね、それが一番規格が日本のスチュワーデスの体格に合わないんですね。こんなにして伸び上がり伸び上がり揺れる飛行機の中で仕事をやらにゃならぬということになるんですね。
 これは、腰痛予防対策として行ったと思いますけれども、こういう機内の設備ですね、規格等の改正については今後の課題ということで会社が言っているというのだけれども、当分そのままほうっておくのですか。その辺はどうなんですか。
#140
○説明員(岡部晃三君) 何しろこれは飛行機の構造そのものに関係をいたしますものでございますので、ただいま現に飛んでいる飛行機につきまして、その飛行機自体を変えるということはなかなか技術的に困難なことであろうというふうに考えます。したがいまして、これは長期的にやはりどのような技術をもって、そういう日本人に合うような規格にすることが可能かということは、やはりお時間をいただく必要があるのではなかろうかというふうに考える次第でございます。
#141
○沓脱タケ子君 しかし、実際にはそういう無理な形での激務をやっているということで、ずいぶん腰痛を中心にした労災や職業病というのが頻発をしていますね。成田を担当している佐原労基署、羽田を担当している大田労基署では、この労災職業病、その中での腰痛、どうなっていますか。
#142
○説明員(林茂喜君) 非災害性の腰痛の認定につきましては、昭和五十一年に専門家の意見に基づきまして認定基準を定めて、これに照らして業務上の認定を行っているところでございます。業務上の認定におきましては、できるだけ早く認定をするよう心がけておりますが、日本航空のスチュワーデスなど、客室乗務員から非災害性腰痛として労災補償の請求がなされているような事案につきましては、航空機機内の業務の実態の把握、それと腰部への負担の認定の問題、さらに医学的に判断すること、これが非常に困難なことが多い事案が多いので、認定に時間を要している点もございますので、御了承願いたいと思います。
 なお昭和五十四年に二件を、非災害性腰痛として業務上疾病として認定したものがございます。
#143
○沓脱タケ子君 成田の佐原監督署管内では、五十三年が認定件数が百三十五件、そのうち腰痛が八十九件ですね、五十四年度が二百二十三件のうち腰痛症が百四十五件。それから大田署の方は五十三年度六十五件中四十八件が腰痛症です。五十四年度が五十六件中四十一件。国際線を担当している成田の管轄では飛躍的にふえているのですね。こういう状況というのはやはり非常に問題なんですね。労災の腰痛については、これは当然腰を打ったとか、飛行機が急に揺れてどこかへ当だったとかという災害性の腰痛というのもありますね。これははっきりしているのだけれども、それ以外の過労性の腰痛というのが非常に問題になっているわけですね。いまも御説明がありましたけれども、日航のスチュワーデスからはこういったいわゆる非災害性の腰痛症が十五件申請をされて、そのうちいま御説明があった五十四年でしたかに二件認定をされた。十三件はまだ認定されてないのですね。中には、ずっと見せてもらいますと、一番古い人は五十四年の五月の三十日に申請して、すでに二年です。まる二年になっている。何でこんなに長いことかかっているのか。これは、労働省を実は信頼していたのです。
 かつて、これは私五十三年の四月に逓信委員会でお聞きをしたことがある。そのときに補償課長においでいただいて、一般の災害性の労災の認定は大体二十日ぐらいだ、しかし職業病の認定についてはいろいろとむずかしい調査をしなければならないので、むずかしい点があるので一般の認定よりは若干おくれるのが実情だと。しかし一カ月以上はかかっているのが実情だけれども、第一の認定の段階では長くても半年以内だということを、これは逓信委員会でお述べをいただいている。だから、労働省はちゃんとやっているのだなと思って私信頼をしていた。ところがこの日航の件では、いま申し上げたようにまる二年たっておるのに、まだ業務上、外の認定がやられていない。いろいろむずかしい点がある、調査の必要があると言ったって二年もほうっておくというのは、これは労働省としてはあるまじきことだと思うのですが、早くやるべきです。どうですか。
#144
○説明員(林茂喜君) 先ほども申し上げましたように、業務上の認定におきましては、できるだけ早く認定するよう心がけておりますが、いま御指摘の日航のスチュワーデスなど客室乗務員の非災害性腰痛の問題につきましては、機内の業務の実態、発生した傷病の症状の程度、発症の経緯、その他の類似疾病との鑑別あるいは素因、既往歴等の調査もございますし、さらに医学的な医証の問題もございますので、事案によっては相当に時間を要しておるのが現状でございますので御了承願いたいと思います。
#145
○沓脱タケ子君 それは労働省が他の省庁に対して、いや労働省ではなんぼそう言っても半年でやりますと言っておいて、自分のところはやらにゃいかぬのに二年もたってやらぬというようなことをやっておったのでは、これは労働省の値打ちがなくなりますよ。その点は厳格にやはり早く結論を出すという努力をするべきだと思います。
 こういう認定に出していない企業内の私病扱いの人がものすごく多いのですね、日航では。これはデータ御存じかと思いますけれども、五十四年度一年間でも二千九百九十六人の人が中心的に腰痛症で、延べですが休んだりしているのですよ、実際には。こういう方々がどうなっているかというと、日航の乗客乗務員組合が行った調査では、十人に一人が腰痛で欠勤やら制限乗務になっているというんですよ。腰痛の患者はどう言っているかというと、きれいなお嬢さんたちですよ。その人たちは、芋虫のようにしてしか着がえもできない。前かがみになると腰に痛みが走るのでストッキングは自分ではけない。床にズボンを広げて芋虫のように床を転がりながらやっとはくのだと、こういう状態になっているんです。一番つらいのはトイレだと言っているんですね。やっと座ったところが今度は立とうと思ったら立ち上がることができない。そういう状態だということが現に言われているわけですからね。これは一日たりともおろそかにすることはできないので、できるだけ早く結論を出す必要があると思います。労安法の御指摘も徹底してやらしていくということが一層大事だと思うんですね。
 この腰痛が多発するという原因ですよね、これも、せっかく是正勧告あるいは行政指導というのをやっておられるのだから、やっぱりはっきりして、こういう一番近代的な華やかな職場で予想もつかないような労働条件を労働者が強いられているというようなことをなくさなきゃならぬと思うんですね。こういう腰痛の多発する原因というのは、空中での勤務という特殊性。それからもう一つは、衆人環視の中で長時間の立ち仕事。私、いつも飛行機でお世話になるとき思いますよ。そんな腰痛などがあろうとはゆめゆめ考えられないほどにこやかに優雅に乗客には対応しておられる姿。何ぼしんどうてもそうしなきゃならぬわけですよ。しかも外国線では、深夜、早朝にかかわらず不規則で長時間な勤務をやらなきゃならぬ。これは聞いてみてちょっと驚きましたけれども、大体人間生活でなくなっているんですね。
 外国線へ乗る場合には、飛行機では寝られないから、乗る前の日、夜遅くまで起きていて、朝から寝て夕方起きるようにして、そうして夜離陸するアンカレッジ行きに乗るわけでしょう。そしてアンカレッジに着いたら日本で言うたら朝ですね、向こうでは昼間に到着する。そこで飛行機をおりてちょっと軽く御飯を食べて疲れを休めて寝る。ところが、数時間後に起きてまた食事をして、次の日にパリ行きに乗るためにちゃんと寝ておかぬと間に合わないから寝る。ところが人間の体というのは、日本の夜に眠るようにサイクルができているから、寝ておかぬとだめだと思ってもなかなか寝られないと、こういう状況になっているわけですね。
 だから、日本の時間での夜に仕事をして乗務をしている日というのは一カ月に平均四日間です。そうすると、一カ月を三十日といたしましても、スチュワーデス、乗務員の人たちの夜というのは一カ月に二十六日、四日間は夜が失われているというところまできているわけですね。だから体がおかしくなるのはあたりまえなんですね。何ぼしんどうてもあれなんですね。私は外国線に乗るときにいつも思うのだけれども、これは大臣もたびたび外国へ行っておられてお気づきだろうと思うんですけれども、あのスチュワーデスやパーサーの皆さん方というのは一体どこでいつ寝たり休憩したりしているのかなといつも思うんですよ。去年コペンハーゲンへ行くときだったか、ちょっと聞いてみたのです。休憩場所はありませんよ。
 一昨年だったか私、日航の飛行機へたまたま乗せてもらっていたら、客席の後ろの方で頭へぬれタオルを当てて休んでおられるスチュワーデスがおられた。どうなさったんですかと言うたら、頭が痛くて気分が悪いんだと言うんですね。休むところはほかにないのかと言うたら、ないと言うんですよ。これでは話にならぬと思うんですね。外国の航空会社では、エールフランスでは必ず一時間半ずつ交代で休むというのですね。場所もちゃんと六席は確保している。ノースウエストの東京―シカゴ便の場合は、ベッド六人分をちゃんと確保して、カーテンで仕切って足を伸ばして休息をとる。パンアメリカンでは、ニューヨーク直行便の場合にはやっぱり六ベッドを設置しているわけです。せめて外国並みのことぐらいは日本航空にもやらしたらどうですか。
 私医者だから、空中勤務というのはどのくらいひどい体の影響を受けるかということを少し申し上げようと思っていたのですけれども、それはちょっといすへ、あいているシートへ座って休憩したぐらいでは、これはとてもじゃないけれども、たまたま乗せてもらう場合でもずいぶん疲れるわけですから、それで仕事をしたらとてももつわけじゃありません。そこで、せめて乗務時間中にでも輪番で休息をし、特に足を伸ばして休息ができるように、外国並みのことぐらいはやらしたらどうかと思うんですが、大臣どうですか。乗ってみて思うでしょうが。どこで休憩してどこで寝ているんだと思うでしょう。せめて外国並みのことぐらいはやらしたらどうですか。
#146
○国務大臣(藤尾正行君) 私もときどきは飛行機に乗りますけれども、先生のような細かい私は御観察をさしていただいたことがないわけでございまして、スチュワーデスさんがどこにおられるかなんて探したこともありませんし、まあ結構しかし、あらわれてくるときにはあらわれてこられるようでございますから、適当におやりになっているんじゃないかというような考えでおりましたけれども、いま御指摘をちょうだいをいたしますと、なるほどそうかなと思うこともございます。しかし、私自体がそういった専門家ではございませんのでわかりませんけれども、外国並みのいま言われたようにベッド六席ちゃんと別にとってあるというようなことをできれば私はやった方がいい。そう思いますけれども、これはどうなんですか、運輸省に聞いてみなければわかりませんけれども、まずそういうものがありましても、もし仮にそのベッドを客のために提供しなければならぬのだというようなときには、スチュワーデスさん用のベッドも客のために提供しておる。そういったことのために足を伸ばすことができない。そういったことが起こっているのじゃないだろうかというような気もいたします。その点は運輸省にいま答えさせますから、どうかひとつそのようなことでお願いをいたします。
#147
○沓脱タケ子君 時間の都合もありますから、大臣よく御承知じゃなかったら、一遍運輸省にも聞いてみてください。日本航空では客席の幾つかはとってあるそうですけれども、お客さんの見えるところではとても休めませんよ、実際には。だからその点は外国並みにカーテンででも仕切りをして、それで職員が短時間でも足を伸ばして休められるようにぜひやらせるべきですよ。客席の三つや五つ減ってもそのくらいのことをやって、乗っている人たちがいつも気持ちよく勤務していてもらわないと、乗せてもらう方も安全性の上から言ったって心配でならぬですよ。大臣そうですよ。その点では労働行政としてしっかりとやっていただきたいと思います。
 最後に、時間がありませんので、もう一つ聞いておきたいのは、これはバンドマン、ミュージシャンの関係のことです。きのうの読売新聞を見てみますと、「ステージで華やかなフットライトを浴びながら、トランペットやドラムを演奏するバンドマンたちの生活」というのは大変だと。年収が百万から二百万未満の方が三四%、三分の一ですね。二百万から三百万未満の方が三分の一、五百万以上の人はわずか〇・〇二%だというわけです。このところ仕事は減る一方で、大半のバンドマンは共かせぎの上で、アルバイトで生活を支えている。アルバイトの内容は、保険の外交員から運転手、レストランのボーイ、それから地下鉄の工事現場で朝までスコップを握るミュージシャンもおるというんですね。何でこんなことになったかというと、その元凶はカセットテープやVTRのはんらん、さらに最近は、外国人のタレントの大量流入。特にギャラの安い東南アジアの方面のバンドの方々だと、こういうわけですよ。
 私はこれを見てちょっとびっくりした。労働省はこんなバンドマンの生活が圧迫をされて、こういった事態になってきているということは御承知でしたか。
#148
○説明員(岡部晃三君) 昨年、バンドマンの組合の方から陳情があり、いろいろ状況を伺ったことがございます。
#149
○沓脱タケ子君 外国人労働者の受け入れについては閣議了解で、これは受け入れないというふうに定めておられますが、これはわが国の労働者を保護する立場からだと思うんですね。まあこのバンドマンの人たちというのは純然たる労働者と理解できないという御見解などもあって問題が起こっているわけですけれども、いずれにしても、実態的に言えばまさに労働者であり、勤労者的な生活の実態なんですが、こういうところは新しい問題で、そこまでちょっと労働省が手を伸ばせぬとおっしゃるかもわからぬのですが、特に一番問題になっているのは、東南アジア方面の特にギャラの安いバンドマンたちがずいぶんたくさん来て、しかも、長時間やられるのでたまらぬと、こういうわけですから、その辺のことで、私は労働省に法律何々に基づいて何をやりなさいということを言うつもりはありませんし、ないですね、該当する法律は。しかし、現実に大変な事態が起こっているというのは新たな現象だと思うんですね。
 そこで、せめて、まあそういう問題というのはもちろん旅券の問題等で法務省の絡みもあるんですね、ありますので簡単にはいかぬと思うんですけれども、呼び屋さんの問題、呼び屋さんの団体というのはあるわけですから、そういう呼び屋さんの団体と、それからこのミュージシャンの組織でありますわが国の日本音楽家労働組合、こういう関係者の方々の話し合いをやって折り合いをつけていって、せめて職場がどんどん侵食されていくというようなあたりをやっぱり調整できるようなことに援助をする必要があるのじゃなかろうかと思うんですが、その点はどうでしょう。
#150
○政府委員(関英夫君) 先生御承知のように、外国の音楽家の方が入国します場合には、演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行を行う者等の芸能人というような方は、外国人労働力ということで労働省に照会はございませんでビザは発給されて入っていらっしゃると、こういうことになりますので、労働省としてその入国についてどうこうということがいま直ちにできるとは思いませんが、一方音楽家労組でございますか、こういう外国人タレントの入国について、一定の基準を設けて制限してほしいと、そのための協議会をつくってほしいというような御要望を持っていらっしゃることは、私ども伺っております。ただ、やはりそれが入国管理の問題に直接かかわる問題でございますので、やはり入国管理をやられるところであっせんの労をとられるのが、私は一番よい道ではないかというふうに考えるわけでございます。
#151
○沓脱タケ子君 もう時間がありませんので、最後にこれはむずかしいというのはわかって言っているんですよ。
 最後に労災の問題なんですね。私ちょっと驚いたんですけれども、俳優さんなんというのは、出演中にけがをして足を折った、ときには足を切断した、頭を打ってそのまま言語障害が起こって死んだとか、そんな事故がいっぱい起こっているのですけれども、いわゆる雇用契約のきっちりした労働者でないという立場で、労災法に適用されていない。そのために大変なひどい状態になっておるんですがね。私は労災法が全通になって、一人親方も含めて建設労働者の場合でも適用するようになってきているわけですから、労働者が申請をしていけば、これらの人たちに対しても個々に、それぞれの判断をして、労働者的な側面が判断ができて強ければ適用するというような形というのはとれないものだろうか。非常にひどいですよ。非常にひどいことが起こっていて何の補償もないですね。足が折れて八カ月休業してわずかに六万円の見舞い金でパアというような、あるいは出演中に死んで、やっといろいろ折衝して百七十万円を、しかも最初二十万円もらって、あと二万五千円ずつの月賦でもらうというような、そこまでひどい状態が起こっているということをひとつ御承知いただいて、御本人が申請をすれば労災適用になるかどうかという点で、これはできるだけ広く適用していくという立場で対応するということが検討できないものかどうか、その点をお伺いして終わりたいと思います。
#152
○政府委員(吉本実君) ただいまの芸能人についての労災法の適用の問題でありますが、やはり芸能人がどういう形でその仕事をしているか、それによるわけでございまして、雇用関係があればもちろんのことでございますけれども、そうでない対応でございますし、しかも、それが一種の独立営業者等のような形でやっている場合もありますし、その辺のところがはっきりしませんと、なかなか現在の労災保険制度のもとではむずかしいのじゃないかと思います。
#153
○柄谷道一君 本日は、勤労者財産形成制度の拡充について御質問いたしたいと思います。
 財形制度は、昭和四十六年の第六十五国会で立法化されて今日に至っております。その間五十三年に大幅改正がございましたが、ことしでちょうど満十年を迎えることになります。しかし、私は率直に財形制度の現状を考えますと、インフレによる実質的な貯蓄の長期的目減り、土地価格の急騰による持ち家取得の困難さ、この中でいま新たな見直しの時期を迎えているのではないだろうかと思います。加えて高齢化社会への対応という視点からもまた見詰めなければならない、こう思うのでございます。現状極言すれば、財形制度というよりも貯蓄減耗制度になっているというのが率直な実態ではないかと認識するものでございますが、労働大臣の認識をまずお伺いいたしたい。
#154
○国務大臣(藤尾正行君) 御指摘のとおり見通しが悪いと言えば見通しが悪いわけでございますけれども、財形制度といいまするものが、発足をいたしました当時から考えてみまして、物価の上昇速度あるいは特段と御指摘の地価の暴騰というようなものを見てみまして、そのような環境の中にお積み立てをいただいた貯蓄といいますものが、同じように価値を持続をしているかどうかということになりますと、私は御指摘のとおりむしろ価値は減耗してきておるのではないかという気がいたします。そういった点で、御指摘のとおりだと思いますけれども、制度発足当時からそういったことを考えて、その運用でありますとか、あるいは制度の硬直性というものについて改めて考え直すべき時期が来ておる、私はさように思っております。
#155
○柄谷道一君 昭和五十六年一月末、これは大蔵省の資料でございますが、契約者数は千百四十六万八千人、貯蓄残高は四兆三千二百七十三億八千八百万円となっております。したがって、この面では確かに財形貯蓄というものはふえておるわけでございますが、その有効活用という点におきましては非常に問題が多い。この立法の際の構想では、当初貯蓄残高の三分の一を持ち家制度など労働者に還元するというのが最初の構想であったと思うのでございます。しかし、五十四年の実績を見てみますと、貯蓄残高が四兆三千億円を超えているにかかわらず貸出枠はわずか千四百五十六億円でございます。また、このうちさらに貸付決定がされました金額は二百二十七億円にしかすぎません。貸付決定件数も四千七百三十九件という実態でございます。
 これは五十四年の実績でございますが、五十五年実績についておわかりであればお示しをいただきたい。
#156
○政府委員(寺園成章君) 五十五年度の財形融資の実績でございますが、トータルで百五十五億の融資決定を見ております。
 内訳を申しますと、持ち家の分譲融資が八十億でございます。それから持ち家の個人融資、これは数字が五十六年二月現在の数字しか把握できておりませんが、これが七十四億、進学融資が一億ということで、五十五年の貸付決定額は百五十五億、件数にいたしまして二千九十四件ということに相なっております。
#157
○柄谷道一君 大臣、いまの数字でもおわかりのように、ほとんど当初の立法目的が有効に機能していないということは数字の上で明らかでございます。しかも貯蓄というのは、インフレによって目減りをしておるわけでございます。こういうことから考えますと、貯蓄残高のシェアを見ますと三〇・七%が信託銀行、二二・一%が都市銀行、一三・六%が証券会社、八・一%が地方銀行と、こうなっておるわけでございますから、私はこの勤労者のための財産形成の制度というよりも、むしろ金融機関が貯蓄をふやすという、いわゆる金融機関のための制度になっておるというのが実態ではないかと、こう受け取らざるを得ません。貸付枠の比率が少ない。そして利用度はさらに少ない。この原因が一体那辺にあると労働省は把握されておりますか。
#158
○政府委員(吉本実君) 本制度は、単に勤労者の貯蓄を奨励援助するということだけではなくて、まさに先生おっしゃるとおり、貯蓄により集積された資金をさらに勤労者の財産形成に役立てるために、その資金の三分の一を限度にいわゆる住宅取得等の促進のための還元融資にしているわけでございます。それが財形貯蓄の普及状況に比べて、財形融資制度の方が必ずしも十分と言えない状況にあるわけでございまして、その原因としましては、一つはやはり周知が十分徹底していなくおくれておるという点、それからさらには、財形貯蓄の個人残高がまだ必ずしも十分ではなく、低い融資を受けられるものに限られておるといったようなこと、あるいは先ほどから先生御指摘のような地価の高騰なり、また、それに添えて最近の相次ぐ金利の変動に伴います貸付利率の上昇、こういったようなことが挙げられると思います。そういったような形が私どもの把握している原因ではないかというふうに思います。
#159
○柄谷道一君 表面的な要因についていま局長から述べられたわけでございますが、私はその第一は、西ドイツにおける第三次勤労者財産形成法、貯蓄割り増し金法、住宅建設割り増し金法の三本柱による財形政策、オランダにおける青少年割り増し金つき貯蓄制度、公務員割り増し金つき貯蓄制度、企業における割り増し金つき貯蓄制度及び利潤分配貯蓄制度、資本形成基金、まあ外国の例を全部言えばこれだけで時間がかかりますけれども、私はこの西欧先進諸国の実態につきましては、労働省も十分その実態を把握しておられると思うのでございます。
 そもそも昭和四十六年にこの財形制度を立法化した際、その参考となりましたのは西ドイツの制度ではなかったかと思います。そこで、これを受けまして、財形制度の中には国及び事業主がこれに対して援助するということが規定されておるのでございますけれども、実態的には給付金や基金に見られますように事業主にこれが押しつけられまして、国としてほとんど援助というものについて見るべきものがないというのが実態ではないかと思います。私はこの際、国家政策としてこの制度の目的を達成するために、国としての基本的な対応の姿勢をどうするのか、これを明らかにし、あわせて先進諸国等で採用いたしております割り増し金、税額控除制度の創設等について積極的な検討を行い、本法の抜本改正を行う必要に迫られているのではないか、この基本的な体質の改善を図らなければ、私はこの法目的を達成することは不可能であると、こう思わざるを得ないのでございます。大臣いかがでございましょう。
#160
○政府委員(寺園成章君) 財形法を制定いたしましたときに一つの参考にいたしましたのは、先生御指摘の西ドイツの財形制度であったかと思います。そのほか諸外国では、それぞれ独自の財形制度を持っておるわけでありますけれども、やはりその制度はそれぞれの国の歴史、風土に適応したものとして成立をしておるものというふうに理解するわけでございます。私どもが財形制度を考えていきます場合に、諸外国の制度を参考にするのは当然のことでございますけれども、やはりわが国で財形制度をつくり上げ、また運用していくに当たりましては、わが国の風土、慣習、労使関係の中で十分フィットするようなものとしてつくり上げていく必要があるだろうというふうに考えておるところでございます。そういう観点から、新しい高齢化社会に適応する形でどのような今後の財形制度のあり方がいいのかということは、現在、審議会等で御検討いただいておるところでございます。
 なお、国の援助が現在の財形制度に余りないではないかという御指摘ではございますけれども、現在の財形制度が勤労者自身の自助努力を基盤としながら、国と事業主との援助ということで勤労者の財産形成を促進をするという基本的な考え方で立てられております。
 具体的には、財形貯蓄をいたしましたときの利子についての非課税措置をとっておりますし、また住宅の建設を目的といたします住宅貯蓄につきましては税額控除制度もとっております。それから、財形の給付金あるいは財形基金につきまして、中小企業等につきましては国から助成金を出すというような形で、国といたしましてはできる限りの勤労者の財産づくりのための援助はやっておるところでございます。
#161
○柄谷道一君 日本の風土にマッチしてフィットするものと。しかし、フィットしていないということは、十年たっていま現実が示しているわけですね。税制の問題は後ほどまた御質問したいと思います。
 私は、この制度がつくられるときに審議会で真剣に検討されたのは割り増し金制度だったと思うんですね。しかし、それができないというのは、日本の風土に合わないということよりもむしろ財政的な要因という、大蔵省も来ておられますが、大蔵省の抵抗が強く、ついに日の目を見なかったというのが私は率直な実態だろうと思うんです。この問題につきましては指摘だけしておきまして、さらに具体的な内容にこれから入っていきたいと思います。
 次に、現在の財形融資の窓口でございますが、雇用促進事業団、住宅金融公庫、各共済組合と、こう分かれております。そして、雇用促進事業団と住宅金融公庫では業務方法書で、各種共済組合では財形持家融資事業実施要綱でそれぞれその実態が定められておるわけでございますが、現実には、この貸付決定金額及び件数を見ましても、共済組合が余りこの問題について積極的でないということは実績が示しているわけでございます。したがって、私は今後の抜本改正に当たりまして、民間労働者、公務員を横断するいわゆる独立した機関を設けまして窓口を一元化するということについて検討を深めろ必要があるのではないかと、こう思いますが、いかがでございましょうか。
#162
○政府委員(寺園成章君) 現在融資を行っております窓口は、先生御指摘のように、分譲融資につきましては雇用促進事業団が実施をいたしております。これは、相当数の企業が従業員の持家援助制度というものを企業内福祉制度として持っておる現状にかんがみまして、そのような制度との調整の問題あるいはそのような制度を通じての従業員の雇用の安定、あるいは福祉の増進ということに寄与するという観点から、雇用促進事業団の事業としてなじみやすいものとして雇用促進事業団が実施をいたしておるわけでございます。まあ、何らかの理由で、転貸という形で事業主の御協力が得られないそういう勤労者に対しましては、直接貸しの制度をとっております。その直接貸しにつきましては、公的な住宅融資として個人貸付を行っております住宅金融公庫を活用をいたしておるところでございます。それから、公務員等につきましては共済組合が融資を行っておるわけでありますけれども、これは公務員等の福祉事業として行っている共済融資とあわせて、このような業務をやることが適当ではないかということで、なじみやすい既存の組織を活用しながら融資業務をやっておるということでございまして、融資条件はそれぞれ同じでございますし、なじみやすさというような点から考えましても、窓口がこのようになっておるから利用者に大変御不便をおかけしているということはないのではないかというふうに思っておるところでございます。
#163
○柄谷道一君 これはもう立法の際、一元化した窓口という議論は出たんですね。ところが、各共済組合の方がおれのところはやるからと、その方がいま言われましたようになじみやすいからということで窓口一元化ができなかったというのが実態なんですね。ところが、なじみやすいからやってくれるかと思ったら、個人融資の場合、共済組合の融資決定額はわずか七億円ですよ、五十四年度。ほとんど熱意なしと言ってもいいのがこの実態でございまして、すでになじみやすいから各共済で責任を持つといった立法当初の主張は、実態的に崩れていると、私はこう思わざるを得ません。次の抜本改正の中で、これは十分に検討を深めていただきたい。従来どおりでいくならば、共済組合がもっと積極的な姿勢を実績で示すことによって、なじみやすいということを立証してもらいたい、このことを指摘いたしておきたいと思います。
 そこで次に、欧米諸国に比べましてわが国で最もおくれているのは、いわゆる住宅ストックでございます。しかも、新築、改造、建て増し等の勤労者の住宅に対する要求は根強いものがございます。そして、財形制度はこの勤労者の要望に沿うことを一つの大きな目的として発足したわけでございますが、利用実態はさきに指摘したところでございます。もちろん財形制度は、これ独自の問題ではなくて、国の住宅、土地政策との連携、整合性、これを保つことがきわめて重要であることは当然でございます。したがって、これはやはり、この財形持家制度というものが国の住宅、土地政策の中にどういう位置づけを行い、どういう役割りを担っていくべきか。これは、国、政府全体の土地・住宅政策の中にもっと明確に位置づけられなければならないのではないか。この点は建設省とも大臣十分にこれからお話し合いを願いたいと要望をいたしておきます。
 同時に、独自の問題としましても、一つは土地先行取得資金、これは現在融資対象の中に含まれておりませんが、これを含める問題。それから、個人所有土地に建設する住宅につきましても、建物だけに対する分譲融資という制度を開くこと。さらに、財形貯蓄期間はいま三年が義務づけられておりまして、施行令附則により五十六年三月三十一日までは特例として一年と定めておるわけでございますけれども、これは三年置いておきましても目減りしていくだけで、そう大きな金額は集まらないわけですから、この特例という一年をやはり本則に改める、そして一年貯蓄をすれば金が借りられる、そしてこれを長期にわたって返還していく、そういう措置が必要ではないか。さらに、マンション等を購入した場合、現在共同担保方式でございますけれども、これを分譲購入者の借入額に応じた個人負担にするということも必要であろう。さらに中古住宅、賃貸住宅、これらについても適用が図られるべきである。その制度、内容について一つ一つ御答弁願いますと時間をとってしまうので、それをあえて求めませんけれども、以上のような新しい発想のもとに、いわゆる勤労者がこの制度を利用しやすいと、そういうふうに改めていくという姿勢が必要ではないかと、こう思うんです。そういう方向に沿っての御検討をいただけますか。
#164
○政府委員(寺園成章君) 財形融資をより利用しやすくするための各種の御提言がございました。私ども、財形制度をより利用しやすくいたしますために、財形法の過去の改正におきましてはその改善を図ってきたところでございます。ただ、先生からも繰り返し御指摘がございますように、財形貯蓄の伸びに比しまして還元融資の実績が伸びておらないのも事実でございますので、各種の要件緩和を通じて、いま以上に利用しやすいものにするための検討というのはしていかなければならないだろうというふうに思っております。これも先生がお述べになりましたように、財形制度はそれ単独で存立しておるものではなくて、各種の金融政策、住宅政策との整合性を保ちながら政策が立てられておるものでございますので、関係省庁あるいは審議会等の御意見も十分承りながら、要件緩和の問題については引き続き検討してまいりたいというふうに思っております。
#165
○柄谷道一君 私は、そのような改善が行われるとすれば、持家促進に活用できる金は一兆四千億円あるんですね、これ。ということですよ、当初の目的からすると。それがわずか分譲融資年四十億、個人融資百八十六億、これでは余りにも当初の決意といいますか、抱負と比べまして、非常に実態はこれにそぐわしいものにはなっていないということでございますから、ここらは大臣、本当にこれは本気になって、せっかく財形制度をつくったのですから、十年たって改むるにはばかることなかれ、初心に戻って果敢なメスを制度の内容に触れていくべきではないか。さらに、私がいま申し上げましたこととあわせて貸付限度、これについてもいまのままでいいのか。しかも、現在は貯蓄残高を基準として融資倍率三倍でございますね。この倍率をさらに引き上げるということも必要ではないか。いまの貸出限度額と三倍倍率というものにとらわれておりますと、こんなものでは住宅買えないですよ。都会だったら何坪か土地買ったらおしまいという状態でございますね。こういうことにも検討の要がある。さらに利率はいま八・三三%ですね。これは市中銀行から借りたよりやや安いということであって、財産形成制度の利率としてはきわめてこれは高いと思うんです。これも他の公的融資制度の利率というものを横にらみしながら、利用しやすい利率に下げていく必要があろう。多くの住宅持家政策についても改善を要する点ありと私は指摘するのでございますけれども、この際実務的な問題ではなくて、いわゆる今後の方向について大臣から姿勢をお示しいただきたいと、こう思うんです。
#166
○国務大臣(藤尾正行君) 冒頭に申し上げましたようなことでございまして、私も、いま現実にあります財形貯蓄の実態といいますものが、これを創設をいたしましたときの趣旨と非常に大きな懸隔がある、これを大いに見直していかなければならぬ時期に来ておるということを申し上げましたけれども、まさに柄谷先生御指摘のとおりでございまして、いまのこういった制度で許容されておるような貸付限度額というようなもので家が建つなどと思ったら大間違いでございまして、こういったところにも、私は考え方自体を根本的に改めなければならぬ非常に大きなものがあろうと思います。特段とこれは勤労者の財産形成に資するための貯蓄がこういう形であらわれてきておるわけでございますから、仮に融資を受けましたときの利率が、片一方住宅金融公庫というような公的な金を借りていけばかなり安い金利である。たとえば五分五厘というような金利があるというようなときに、八分何厘というような金利でこの財産形成制度を発展さしていこうと言ったって、それは私は相当無理があるというような気がいたします。そういったところは根本的に、住宅政策全体との整合、あるいはこれは大蔵当局の、実際にこれは普通の金融機関に預けるわけでございますから、そういった金融機関との間の兼ね合い、金融政策というものとの見合い、いろいろな点で私はかなり大幅に考え直していかなければならぬそういう時期に来ておると思いますし、時期に来ておるのじゃなくて、いまのままでこんなことをやっていれば、私は、とてもじゃありませんけれども、これは名はかりあって、実態がもうすでにどこかへ飛んじゃっておるというようなことになりかねないと思いますので、これは根本的な考え直しと再構築を、先生がおっしゃられるように、大々的にやっていかなければならぬのじゃないかという気がいたします。
#167
○柄谷道一君 持家政策につきましては、いま大臣の御答弁がございましたので、根本にメスを入れた制度のあり方をひとつ早急に確立を願いたいと要望いたしておきます。
 あわせまして進学融資でございますけれども、これも五十四年実績を見ましたら、融資枠七十五億に対しまして、実際貸し出しを受けました金額は百六十三件一億円しかないんですね。ほとんど進学融資というものの機能を発揮していないというのが実態だろうと思うんです。私はこの原因は、一つは進学融資の金利が年九・七二%という非常に高い金利であるということ。これは国民金融公庫の九・一%よりも高いわけですね。また償還期間が五年ということになっているわけです。五年のうち、この範囲内で一年に限って返済据え置きが認められている。したがって、一年据え置けば四年間で返さねばならぬと、こういうことですね。大学へ進学すれば、これは在学期間四年間要るんですよ。私は、他の奨学資金等から考えましても、勤労者が子供を大学に入れる、まあそれは少なくとも四年間は据え置いて、子供が卒業してから進学融資を返還していく、これが素直な進学融資の姿ではないかと、こう思うんです。金利及びこの償還期間、据え置き期間について検討される御用意がございますか。
#168
○政府委員(寺園成章君) 現在の進学融資の金利は年九・七二%ということに相なっております。住宅融資も同じでございますけれども、財形問題につきましては、いわば二律背反のの要請があると思うのでございます。
 財形制度は、金融資産とそれから住宅資産の保有を促進しようというものでございますけれども、金融資産の面からいたしますと、預けました金ができるだけ高い利率で回るということが勤労者にとっては好ましいことであります。片やそれを原資といたしまして融資を受ける側から見れば、できるだけ低い金利の方が利用しやすいということで、いわばこの財形貯蓄、それを原資といたします還元融資につきましては、相利害反する要請というものがあるわけでございます。
 現在財形融資につきましては、原資を取り扱い機関から調達をいたしまして、それを基軸にして金利を決めておるところでございます。もちろん事務費等は国で負担をしながら、できるだけ安い金利で利用できるようにという配慮はいたしておるわけでございます。確かに金融公庫が行います進学融資よりも利率が高くなっておりますが、金融公庫が行います進学融資は、原資がいわば財投資金でございますし、所得制限がありましたり、あるいは限度額につきましても財形融資に比べては低いところに決まっておるというような、それぞれ独自のよさを持ちながらこの融資が行われておるというのが現状であろうかと思うわけでございます。
 そこで、お尋ねの金利の問題でございますけれども、確かに金融公庫よりか高いわけでございますが、一般の市中の金利から見ますとやはり当然のことながら安いということにはなっておりますし、また償還期間につきましては五年というふうにいたしておりますけれども、金融公庫の方は最長四年という償還期間に相なっておるわけでございます。これの財形の進学融資の利用がいまだ活発でないというのは御指摘のとおりでございますけれども、これが五十三年の法律改正でできまして、実績としてまだ三年しかたっておらないということで、この周知もまだ十分行き渡っていないのではないか。私どもとしてはそれなりの努力はいたしておるつもりでございますけれども、財形の進学融資が持ちますよさを十分PRしながら、これの利用促進に当たってまいりたいというふうに思っておるところでございます。
#169
○柄谷道一君 これは言い合っておってもしようがありませんが、私は率直に言って、いまの進学融資は勤労者の期待にこたえるものではないという点を指摘いたしておきます。基本問題懇談会でも十分に御検討を煩わしたい。
 そこで大蔵省に、お待たせいたしましたが、時間がございませんので要旨だけ申し上げますが、私は、財形にかかわる税制についてもいろいろメスを入れなければならぬ問題が多いんではないか。たとえば現在転職者については、新勤務先において前勤務先と同一の金融機関に財形貯蓄を行う場合に限って、その勤労者が前の勤務先退職の日から六カ月以内に勤務先異動申告書を提出した場合だけ非課税になると、こういうことですね。こうなっているのですけれども、いまの雇用状態で一つの会社がつぶれたとかやめたとか、そう六カ月以内に次の職場が確保できるほど雇用情勢は甘いものではございません。したがって、この六カ月という点についても再検討の必要があると思いますし、また定年退職者につきましても、定年退職後嘱託として引き続き同一の事業所に適用された場合は引き続き非課税扱いにされると、こういうことです。定年退職をして同一の事業所に嘱託として雇用が続けられるというのは恵まれた人でございます。多くの人々は子会社へ行きましたり、また中小企業に再び職を求めて働いておるというのが高年齢者の雇用の実態であろうと思いますから、こういう同一事業所への雇用というこの限定についても考え直さなければならない。
 時間があれば多くのことを申し上げたいと思うのですが、挙げますと多くの税制上再検討しなければならぬ項目があると思われます。この点に対する大蔵省の御見解を聞き、自治省も来ておられますのですが、あわせてお伺いしますが、現在、雇用促進事業団が財形住宅建設資金を日本勤労者住宅協会に貸し付ける場合、事業団は金融機関から金利七・八%で資金調達をします。そこで、事業団が勤住協に貸し付ける際の金利は五・五%、その利差二・三%につきましては、民間労働者の場合は労働保険特別会計から補てんされております。国家公務員の場合は一般会計から補てんされております。そして、電電、専売の二公社は公社予算から補てんされております。しかし、地方自治体はこれは任意規定でございますから、多くの地方自治体では補てんがございませんので実質、金が借りられません。国鉄の方は金がないということでこの措置がとられておりませんから借りられません。地方公務員及び国鉄については、制度はあっても実質的に住宅分譲を受けられないという制度になっておるわけでございます。この点に対する改善の意思ありやいなや両省にお伺いいたします。
#170
○説明員(内海孚君) お答え申し上げます。
 まず御理解いただきたいのは、現在のきわめて厳しい財政の状況のもとにおきまして、柄谷委員御存じのように、おしなべて租税特別措置につきましては整理あるいは廃止ということが行われてきております。その中にありまして、財産形成に関しましては手つかずで残っておりまして、その意味で大変優遇の措置がとられているという事実でございます。また税制面でこういった優遇をいたしますときには、やはりこれが適正に運用されて乱用されない、あるいは違った目的に使われてしまわないということが非常に重要でございます。これはやはり税金の生命は公平ということでございますので、この点も御理解いただく必要があると思います。そういう前提におきまして、ただいま御質問のありました点が二点ございました。
 一つは再雇用の場合に、六カ月という期間は短過ぎるではないかというお話でございます。ある方が職をやめられたといたします。その方が一体再就職されるのかされないのかというのは、実際客観点にはなかなか決めることがむずかしいわけでございます。したがって、そういう方が引き続き財形が受けられるようなステータスになるのか、それとももう恒久的に給与所得者という立場から離れてしまうのかということの見きわめが、その期間においてできないわけですから、その間に利払いがあったときに、その利払いの利子の税法上の扱いというのが宙に浮いてしまうわけでございます。したがって、そうかといって、必ずすぐ就職しなければならないということは酷でございますので、六カ月というぎりぎりの期間を見まして、その間はまあつながるようにしているということでございますので、これは税の適正な運用を図る上において最大限の配慮であるということを御理解いただきたいというのが第一点でございます。
 それから第二点の御指摘は、同一の事業所に再就職しないとつながらなくなってしまうではないかという御指摘でございます。これは同一事業所以外の事業所でもいいわけですが、ただ、財形法全体の仕組みといたしまして、同一の財形貯蓄というものが新しいところでも扱われていなければ、これはつなぎようがないわけでございます。これはあながち税金の問題だけではなくて、財産形成法全体の問題でございます。
#171
○説明員(柳克樹君) ただいま御指摘のような措置は、地方財政再建促進特別措置法の例外規定といいますか、これに対する特別な規定として設けられておるわけでございまして、雇用促進事業団に対して利差補給ができるということになっておるわけでございます。ただいま申しましたように地方財政再建促進特別措置法との関連もございますし、ただいまのような地方公共団体の自主的な判断によって、このような措置をするということができるというふうにしておる現行が適当であるのではないかというふうに考えておりまして、これを直ちに改めるということは若干問題があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#172
○柄谷道一君 時間が参りましたので私は反論いたしませんけれども、いまの雇用給付金の失業給付は、働く意思と能力のある者にしか支給されないのですよ。新たに職業訓練を受けている者は、再就職の意思があればこそ職業再訓練を公的機関等で受けているわけです。これは労働大臣、一遍大蔵省とやっぱり雇用の実態に合わない制度というのは果たして公正なのかと私は疑問を感じます。
 それから、いまの自治省の御意見ですけれども、しかし同じ公務員、同じ公社で金のあるところはカバーしてあげましょう、赤字の地方自治団体は任意規定なんだからできませんと、そういう差別をつけること自体が果たして公正な労働者、勤労者の財産形成政策かと、私はいまの答弁に対してはうなずけません。改めての機会に質問したいと思います。
 最後に大臣、もう二年基本問題懇談会が議論しておるわけですね。いま言いました点も含めて、いつごろ抜本改正の案がまとまるのか。これはお伺いして私の質問を終わります。
#173
○政府委員(吉本実君) 財形政策の基本的あり方につきまして、勤労者財産形成審議会基本問題懇談会で御検討をお願いしていることは、先生御承知のとおりでございます。現在、鋭意審議を進めておりますが、ことしの夏ごろにはその報告をいただけるものと考えております。
#174
○委員長(片山甚市君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#175
○委員長(片山甚市君) 雇用における男女の平等取扱いの促進に関する法律案を議題といたします。
 発議者田中寿美子君から趣旨説明を聴取いたします。田中寿美子君。
#176
○委員以外の議員(田中寿美子君) ただいま議題となりました雇用における男女の平等取扱いの促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 個人の尊厳と男女の平等は、国連憲章、世界人権宣言にうたわれております人類普遍の原理であります。わが国の憲法におきましても、すべて国民は個人として尊重され、法のもとに平等であって、性別によって政治的、経済的または社会的関係において差別されることがない旨を明定しております。また、一九七九年六月にわが国が批准しました国際人権規約におきましても、A規約及びB規約の双方において、経済的、社会的、文化的、政治的及び市民的権利において男女の平等を保障すべきである旨を規定しております。また、近くは、一昨年十二月に第三十四回国連総会におきまして、婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約を採択しました。
 しかるに、わが国における法制は、雇用の分野を含めて実際に男女の平等を確保する上でいまだ不十分であることは否めません。アメリカでは、一九七二年に雇用機会平等法を、イギリスでは、一九七五年に性差別禁止法を、スウェーデンでは、一九七九年に男女雇用平等法を制定しました。また、その他欧米諸国を初め多くの国でも、雇用の分野における女性の地位の平等化を目指して、各種の法律や制度を設けて国が積極的に対応しております。
 一九七五年の国際婦人年世界会議で採択された世界行動計画及びメキシコ宣言並びに同年のILO総会で採択された行動計画は、いずれも女子の労働における平等の権利を確認し、かつ、強調しておりますし、さらにILOの行動計画は、雇用における男女の機会及び待遇の均等を促進するため、国の制度として女子の参加を含む三者構成の機関を設立すべきことを勧告しております。昨年は、国連婦人の十年の中間年にあたり国連婦人の十年中間年世界会議が開催され、参加国のうちわが国を含め七十五カ国が婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約に署名し、前期五年間の各国における男女平等化の実績についての評価が行われるとともに、後期五年間の取り組みについて各国が努力すべきことを約束したところであります。
 ところで、わが国における女子労働者の地位が、憲法の趣意に照らしおよそ満足すべきものとはほど遠い状況にあり、国際水準に照らしても改善すべき点が数多くあります。近年わが国の女子雇用者の数が、ますます増加の一途をたどり全雇用者の三分の一を占め、日本経済にとって欠くことのできない労働力となりつつあるにもかかわらず、雇用に関する不平等はむしろ増大しつつあります。こうした実情に効果的に対処し、かつ、また前叙のように女子の労働における地位の平等化を目指して活発な努力を示している国際的動向にも対応するため、国は当面の優先的政策課題として、雇用の分野における女子の差別的取り扱いを禁止するとともに、その差別的取り扱いからの救済制度を設けることにより、女子労働者の地位の平等化の促進を図る施策を推進していくべきものと考えます。われわれは、ここに雇用における男女の平等取扱いの促進に関する法律案を提案し、如上の政策課題に対応すべく、われわれの態度を明らかにすべきであるとの結論に達しました。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 まず第一に、この法律案の骨子は、使用者等が女子を差別的に取り扱うことを法律上禁止する旨を明定することと、女子をそうした差別的取り扱いから救済するための制度を設けることの二点であります。なおここで重要でありますことは、この救済制度は、労働基準法において予定されておりますような官憲的保護により労働条件の適正化を図っていこうとするのと異なり、雇用における男女の平等は、女子労働者及び使用者双方のたゆみない自主的な努力によって実現されていくべきことを期待しつつ、それを補う支柱として、女子から申し立てがあった場合には、迅速かつ適正な手続により救済をしていこうとするものであることであります。
 第二に、差別的取り扱いの禁止については、まず労働条件等について「使用者は、労働者が女子であることを理由として、募集若しくは採用又は賃金、昇進、定年、退職その他の労働条件について、男子と差別してはならない。」と規定し、その他職業紹介、職業訓練等についての差別的取り扱いをも禁止する旨を定めております。具体的にどういう行為が差別的取り扱いであるかを判断していく上に必要な指針は、別に中央雇用平等委員会が定める準則において漸次展開されていくことが予定されております。
 第三に、救済機関であります雇用平等委員会は、中央に国家行政組織法第三条の委員会として中央雇用平等委員会を、都道府県に地方雇用平等委員会を設置し、それぞれの雇用平等委員会は、使用者委員、労働者委員及び公益委員の三者構成とし、各側委員の二分の一以上は女子でなければならないこととし、さらに中央雇用平等委員会の公益委員の任命につきましては、両議院の同意を得なければならないことといたしております。現行の労働委員会に類似した組織でありますが、二分の一以上の女子委員を含まねばならないとしている点が大きな特徴であります。
 第四に、差別的取り扱いからの救済手続は、次のとおりであります。
 原則として二審制を採用し、初審は地方雇用平等委員会が、再審査は中央雇用平等委員会が行うことといたしております。手続は、女子労働者から管轄地方雇用平等委員会に救済の申し立てがあったときに開始いたします。以後当事者双方の意見を聞いた上、相当と認められるときは、被申立人に対し、申立人を差別的取り扱いから救済するため適当な措置を勧告することができることとし、当該勧告の内容に相当する合意が当事者間に成立したときは申し立ては取り下げられたものとみなし、迅速な解決を図ることといたしております。それに至らない場合には、当事者の立ち合いのもとに審問を行い、証拠調べ、事実の調査を経て、申し立てに理由があると認められるときは、当該地方雇用平等委員会はその裁量により原職復帰、バック・ペイの支払い等女子労働者を差別的取り扱いから救済するために必要な措置を決定で今すべきことにいたしております。この地方雇用平等委員会の決定に不服がある当事者は、さらに中央雇用平等委員会へ再審査の申し立てができることといたしており、また前述の勧告は、中央雇用平等委員会も行うことができることとしております。なお、初審及び再審査いずれの手続におきましても、使用者委員、労働者委員は審問に参与できることにいたしております。また救済の申し立ての相手方当事者が職業安定機関であります場合には、決定にかえて勧告をすることにいたしております。
 第五に取り消しの訴えとの関係についてでありますが、地方雇用平等委員会の決定に対しては出訴を認めず、ただ中央雇用平等委員会の決定に対してのみ東京高等裁判所へ取り消しの訴えを提起できることといたしました。女子労働者の差別的取り扱いからの救済の制度としては、使用者委員、労働者委員双方の参与のもとの審問手続が予定されている行政委員会方式が合理的であるとの判断から、こうした雇用平等委員会による救済の制度を設けました以上は、地方雇用平等委員会の決定に対し直ちに出訴の道を開くのは妥当でなく、中央雇用平等委員会による再審査を経由させるべきである、との趣意に出るものにほかなりません。
 このほか、中央雇用平等委員会の重要な権限の一つとして、雇用における男女の平等取り扱いの促進に関し講ずべき施策につき労働大臣に建議ができることにいたしております。また、中央雇用平等委員会による国会への事務処理状況の報告、地方雇用平等委員会による苦情相談に関する事務処理の取り扱い、啓発宣伝活動、不利益取り扱いの禁止等に関し所要の規定を整備いたしております。なお、この法律の規定は、国及び地方公共団体の公務員であります女子職員につきましても適用があり、その差別的取り扱いに関しましても、雇用平等委員会の決定により原職復帰等の救済が与えられることといたしております。
 最後に、救済手続の実効性を確保するため罰則を設けております。
 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#177
○委員長(片山甚市君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案の自後審査は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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