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1949/12/15 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 人事委員会 第1号
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1949/12/15 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 人事委員会 第1号

#1
第007回国会 人事委員会 第1号
昭和二十四年十二月十五日(水曜日)
   午後二時二十一分開会
  ―――――――――――――
 委員氏名
   委員長     中井 光次君
   理事      木下 源吾君
   理事      小串 清一君
   理事      寺尾  博君
           赤松 常子君
           北村 一男君
           松嶋 喜作君
           大山  安君
           山内 卓郎君
           羽仁 五郎君
           岩男 仁藏君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○調査承認要求の件
○国家公務員法第二十八條の規定によ
 る勧告に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(中井光次君) それでは只今より委員会を開会いたします。先ず調査承認要求を最初の議題にいたしたいと存じます。專門員から御説明を申上げます。お手許に要求書の案が出ておりますから、御覧を願います。
#3
○專門員(川島孝彦君) 最初に調査承認要求書の案を朗読いたします。
   国家公務員の給與問題に関する調査承認要求書
 一、事件の名称 国家公務員の給與問題に関する調査
 一、「国家公務員の給與額及び勤務地手当に関する勧告」が国会に提出されたが、公務の民主的能率的運営を図り以て国家公務員制度の確立を期するためには先ず国家公務員の給與を適正妥当ならしめる必要がある。よつて本委員会は国家公務員の給與に関する諸問題の研究調査を行う。
 一、利益、国家公務員の給與を適正化し、公務の民主的能率的運営に寄與する。
 一、方法、各方面の関係者、学識経験者等より意見及び説明を聴取し、資料を蒐集し、必要に応じて各地における事情を実地調査する。
 一、期間 今期国会開会中右本委員会の決議を経て、参議院規則第三十四條第二項により要求する。
   昭和二十四年十二月十五日
      人事委員長  中井 光次
    参議院議長佐藤尚武殿
 ちよつと御説明申上げます。従来は本委員会では公務員制度に関する一般的の調査承認要求をして参つたのでありまするが、今期の国会におきましてはこの調査承認要求書の案にもありますように、先程給與ベースの改訂、及び勤務地手当に関する勧告も出まして、その外公務員の給與問題が非常に重要となつて参りましたので、範囲を狭めまして、公務員の給與に関する諸問題の調査をするということにいたしたのでございます。この件につきましては昨日委員長理事打合会におきましても、種々御研究なされまして、その結果こういう趣旨で以て調査をいたし、その中へ今回の人事院の勧告の研究も含めて調査をするということが一番適当であろうという結論になりましたので、この調査承認要求を出す運びになつたわけであります。
#4
○委員長(中井光次君) 御異議はございませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
#5
○委員長(中井光次君) 御異議がないようでありますから、只今專門員が御説明申上げましたように、調査承認を認めることにいたします。ではさように決定いたします。
#6
○委員長(中井光次君) 次に先般人事院勧告第一号、昭和二十四年十二月四日人事院総裁から参議院議長宛に、「国家公務員法第二十八條及び政府職員の新給與実施に関する法律第二條第三号及び第五号の規定に基き、国家公務員の給與額及び勤務地手当に関し、別紙の通り報告し、あわせてその改訂に関し勧告する。」という勧告が来ておりますので、本日は人事院のこれに関する御説明を先ずして頂きたいと存じます。
#7
○政府委員(瀧本忠男君) それでは私から人事院の勧告につきまして御説明申上げたいと思います。お手許に差出してありまする資料を御覧になりながら、説明を御聽取願いたいと思います。
 先ず最初にこの勧告の俸給表を作成いたしました経緯というようなものをお話を申上げまして、そうして今回の俸給表が従来の俸給表に比べてどういうふうに変つてやるかというような点も申上げたいと存じます。尚この俸給表を作成したわけでございまするが、これが現在の経済情勢の下で考えた場合に、果してどういうふうに我々は考えているかというような点もお話し申上げたいのであります。
 先ず最初に作成方法でございまするが、人事院の俸給表改訂の勧告案の作成をいたしました場合に、基礎資料といたしましては、本年の四月に人事院で行いました民間給與調査というものがございます。この資料と、それから経済安定本部から出されておりまする食糧需給計画、これは昭和二十四年の七月から昭和二十五年の六月まで、この間における食糧需給計画、並びにそれに基きまする国民一人当りの栄養摂取量、それから本年の五月に総理府の統計局において行われました特別消費者価格調査、この三つが今回の案を作成いたしまする際における主要な資料でございます。次に我々は昨年六千三百円ベースの俸給表を勧告いたしました後におきまして、この勧告案即ち六千三百円べースというものが、その後の経済情勢にどういうふうに適合しているかというようなことを絶えず研究しておつたのであります。そういうことを研究いたしまするためには、我々は一般に信用されておりまする統計、即ち労働省において行なつておりまする毎月勤労統計、それから総理府統計局において行なつております消費者価格調査、いわゆるCPL、その外各種の物価指数というようなものがございまするが、そういうものを長期観察をいたしまして、そうして経済の変動、即ち賃金の変動、物価の変動、生計費の変動というようなものを絶えず観察を続けて来たのであります。併しながら只今も申上げましたように、本年の勧告の基礎資料となつておりまするものは民間給與調査、それから食糧需給計画に基く栄養攝取量、それから特別消費者価格調査、こういうものでありまして、これは大体去年の六千三百円ペースを算出いたしました所に用いました資料とほぼ類似のものであります。我々は六千三百円ペースがこれが本当に現在の民間の賃金状況、或いは物価事情、生計費の事情とどれくらい相違しているものであるかというようなことを的確に判断いたしまするためには、やはりそれと類似の資料がなくてはならない。毎月勤労統計、或いはCPIというようなもので観察しております間は、これは大体の動きとしてそういうようなものであるということは分りましても、なかなかこういう資料からは的確な判断ということはできないのであります。国家公務員法の二十八條に基きますると、人事院が俸給表の額を五%以上げ下げする必要があると認めた場合に、こういうふうに書いてございますので、例えばいわゆるスライデイング・スケール式のような、CPIの五%以上げ下げした場合、或いは毎月勤労統計を五%上げ下げした場合には直ちに俸給表を上げるというふうは書いてないのであります。かくのごときでありまして、我々が給與算定に必要な資料を全部入手し終わりましたのはこれは本年の九月中旬でございます。九月中旬におきまして使用し得る毎月勤労統計の一番新らしい資料は、当時におきましては本年の七月分の資料が一番新らしい資料として使い得たのであります。即ち我々が案を作成……本当に六千三百円ベースというものが現在の経済情勢に合わない、従つてこれは変えなければならないということを的確に判断いたしましたのは、只今も申上げましたように、この算定の基礎になつております三つの資料がほぼ揃いましたときにおいて初めて的確な判断ができたわけでありまして、そのときに毎月勤労統計で使用することができました一番新らしい資料、即ち本年の七月の資料、これを用いて只今申上げましたような民間給與調査でありますとか、その外の資料を七月の基準に調整したのであります。従いまして我々の計算が七月を基準としている、こういうことになるのでございます。
 それで民間給與調査というものはどういうことをやつたかということを簡單にお話し申上げたいと思います。毎月勤労統計というものが、これが單に賃金の動向を長期的に観察して行くという場合の資料としては十分使い得るということは申上げるまでもないのでありまするが、毎月勤労統計に出ておりまする平均賃金というものが、やはり民間長期の平均賃金として受取つていいかという点になりますと、これは多分に疑問があるのであります。即ち毎月勤労統計におきましては、我が国の事業場中百人以上の事業場はこれは全部調べることになつております。それから事業場の規模が三十人以上百人未満というような事業場につきましては、その一割の事業場を調べるということになつておるのであります。そうして三十人以下の事業場はこれは全然調べてございません。ところで現在十分な資料があるわけではございませんが、規模別に事業場の賃金水準というものを見て参りますと、規模の小さい程賃金水準が低くなるという傾向が現われているのでありまして、この傾向はこれは例えば労働省において行いました賃金調査等によりますと、はつきり現われているのでありますが、そういう事情があります際に、百人以上の事業場を全部調べたようなそういう平均賃金というものが、これが民間の賃金の平均の水準であるというふうにはなかなか受取れない。又民間の事業場におきまする労務者の構成、労務者と職員の構成、或いはそういう人々の年齢構成、或いは男女構成、こういうものをいろいろ考えて見まする際に、政府の職員と必ずしも同じでない。民間と均衡が取れたということは一体どういうことであろうかというふうに考えて見まするに、これは政府において行なつておりまする仕事の内容、いわゆる職務の複雑、困難性、責任の程度というようなものと、民間で同じような職務の内容、或いは複雑、困難なる程度、責任の程度、こういつた同じようなものを比較して初めて民間の賃金と官庁の賃金とがどつちが高い低いという比較ができるのであります。只今申上げましたようなわけでありますから、毎月勤労統計の値いそのものを取つて見まして、これで官庁賃金を比較しようとすることは大凡無理があるということは明らかであります。従いまして我々はこのような調査をやりました、即ち官庁の職務と同様の職務内容を有しまする職種をピツク・アップいたしまして、そういうものを民間において調べた。我々は約四千の職員につきまして民間調査をしたのでございまするが、この四千の職員を整理いたしまして、一級乃至十四級、こういうふうに分けたのであります。即ち官庁の職務の一級乃至十四級に該当いたしまする職務の困難性、或いは責任の程度というものとほぼ同様の職務内容並びに責任の程度を有しておりまする民間の作業を調査した、そういう作業においては一体幾らの賃金が取られておるであろうかということを調査いたしました。かくのごとき調査におきまして初めて官庁の一級乃至十四級の賃金というものと、民間のそれと同様の職務の一級乃至十四級の賃金というものが比較できるわけであります。お手許に差出しております資料のうち十六ページに我々がやりました調査の概略が掲げてございまするが、十六ページの一番右の欄に掲げております数字、即ち三千五百九十三円、一級でございます。二級の四千百三円、それからずつと参りまして十四級の二万百九十八円、この数字が我々が人事院において行いました本年四月の民間給與調査の結果からこれを七月の値いに直した、而も民間の給與額というものの中にはいろいろの要素が含まれておりますから、これを官庁の俸給表に掲げてありまする類と比較し得るように調整したものであります。即ち官庁に相当いたしまする家族手当の額を控除し、又特殊勤務手当に相当いたします額を控除し、そうしてこれを補正し、これは四月現在の数字でございまするが、これを毎月勤労統計の上昇率を用いまして七月の値いに直したのであります。その数字が一番右に掲げた数字、こういうことになります。我々はかくのごとくいたしまして、初めて官庁のこの級別の賃金というものと、当時における民間の賃金というものを的確に比較することができるということになるのでございます。
 次に今回の勧告案の基礎になつておりまする基礎数字は、先程も申上げましたように経済安定本部で作つておりまする食糧需給計画に基く国民一人当りの栄養攝収量、即ち千八百九十四カロリー、今度は七ページを御覧願いたい。経済安定本部におきましては、昭和二十四年の七月から昭和二十五年の六月の間におきまして我が国の食糧生産事情はどういうふうであるということ、又輸入食糧がどういうふうに予想されるかというようなことを勘案いたしまして、そうして国民一人当りの食糧需給計画というものを立てておるのでありますが、その食糧需給計画に基きますると、国民一人当り一日千八百九十四カロリー攝取が可能である、こういうことに相成つておるのであります。尤もこの千八百九十四カロリーというものはこれに国民一人当りのカロリーでございまして、この中には大人もおりまするし、子供もおりまするし、或いは老人もおりまするし青年もおる、いろいろの者がおるわけでございます。而もこれはいわゆるグロスのカロリーと申しまして、食糧というものは大凡可食部分と廃棄部分とこうあるわけであります。それは食品によつて違うのでありますが、これを平均して見まするというと、可食部分というものは何割か内輪になるわけであります。この千八百九十四カロリーというものをこの可食部分で計算いたして見ますと、千八百四十九カロリーということになるのでございます。尚千八百四十九カロリーに相当いたしまする六三ベース算定の基礎になりました数字は、その左に書いてありますように、これは千八百五十カロリーでございます。この千八百五十カロリーの可食部分だけを計算いたしますと、いわゆるネツト・カロリーは千八百四十九カロリーということを申上げたのでありますが、これは成年男子一人に換算いたしますればどうなるかと申しますと、二千二百八十五カロリーということになるのであります。昨年の六三ベース算定の際に用いましたこれに相当いたしまする数字は二千二百カロリーでございます。即ち本年度は成年男子が、ネツトのカロリーにおきまして昨年よりも八十五カロリー殖えておるということでございます。即ちこの点は昨年よりも余程食糧事情が好転しておるということであります。この二千二百八十五カロリーは官吏を含めまして国民全部に許された数字であります。ここでこういう問題が起きて参ります。給與ベースを算定する場合、去年と違つた基礎を用いては話にならんじやないかということが起きるのであります。これは一応尤もな御疑問と思うのでありますけれども、併しながら国民全体が許されておりまするならば官吏も又この数字が許されて然るべきではないかというふうに我々は考えております。尚成年男子が軽労働に従事いたしまする場合に一日に必要なカロリーは二千四百カロリーということになつておるのでありまして、この二千二百八十五カロリーという数字はまだまだ我々の標準的な要求には満たない数字であるということを附加えて申上げて置きます。この二千二百八十五カロリーを基礎といたしまして、いわゆるマーケツト・バスケツトというものを作成したということであります。マーケツト・バスケツトとはどんなものかと申しますと、これは二千二百八十五カロリーを攝取いたしまする場合には、具体的にはいろいろな食品を取るわけであります。例えばその食品が持つておりますカロリーを合計して見ると二千二百八十五カロリーになる、こういうわけであります。即ち二千二百八十五カロリーを取るのに必要なような食品の配列と言いますか、量まで考えました食品の分布と言いますか、そういつたものを我々は作らなければならない。而もそれを作ります場合に勝手なことはできないのであります。これは経済安定本部の食糧需給計画に基きまして、例えば米の生産並びに輸入というものはほぼどれくらいである、国民一人当りのカロリーはどのくらいであるかということが決まつております。従いまして、そういう範囲内において我々はマーケツト・バスケツトというものを作らなければならない、こういうことがあるのであります。このマーケツト・バスケツトを作成いたします場合に、我々は厚生省の栄養調査というものを用います。この厚生省の栄養調査というものによりますれば、これはいろいろな世帯がいろいろな食品を取つておるわけでありまするけれども、この調査世帶のうちで五%以上が取つておるような食品だけを選び出しまして、そうしてそれらを適当に食糧需給計画の範囲内で量まで決めまして、そうしてマーケツト・バスケツトというものを作つたのであります。このマーケツト・バスケツトというものができておりまするならば、そのときどきの実効価格を食品別によつて合計いたしますると、所要の金額が出るということになるのでございまするが、そのようなことを我々は東京都の実効価格を用いまして計算したのであります。その数字がその下に書いてございます六十八円十一銭、一日一人当りがこういう数字になるのであります。一日一人当りが六十八円十一銭でございまするが、これを一月に換算いたしまするのにこれを三百六十五倍いたしまして、そうして十二で割る。これは年間の月に長い月と短い月がございまするが、これを平均する意味においてこういうことをいたしたのであります。去年のこれに相当いたしまする数字は千七百四十二円八十二銭という数字でございます。昨年はこの算出の場合に三十一倍いたしました。ところで我々は今東京のマーケツト・バスケツト、七月現在のマーケツト・バスケツトを得たのでございまするけれども、これを実は俸給表算定の基礎にするためには、勤務地手当の附かない地域に換算しなければならないという問題が起きます。ところで我々はこの計算をいたしまする過程におきましていわゆるCPSというものを非常に基礎にして考えておのでありまするから、東京の値をCPSにおけるいわゆる小都市に一度換算するのであります。そうしてそれを更に勤務地手当り附かない地域に換算する。計算の都合上そんな面倒な方法を探つたのでございます。我々が生活して参りまする際に食料費以外に被服費でありますとか住居費、光熱費、雑費、こういうものは当然必要になつて参ります。本当の意味におけるマーケツト・バスケツトというものはこういうものまで勘案したものでなければならないということは申上げるまでもないのであります。併しながらこういうものまで入れたマーケツト・バスケツトというものはなかなか作りにくい。従いまして我々はこの際はこういう被服費、住居費、光熱費、雑費というものにつきましてはCPSにおけるいわゆる小都市の平均価格というものから一人当りの額を計算して出したのであります。その数字がそこに掲げておりまするように、例えば被服費でありますると三百二十六円、住居費二百八十五円、光熱費三十八円、雑費八百九十三円、小計千五百四十二円、こういう数字になります。東京で作りましたマーケツト・バスケツト、CPSの小都市において作りましたこの食料費以外の費用、こういうものを更に小都市に換算いたして見ますると、その合計が三千百五円という数字になるのであります。この三千百五円という数字はこれは生活をして行くためにどうしても手取りで必要な金額ということになります。ところで我々は給與を得まするとその中から共済組合の掛金或いは厚生年金というようなものが出るのは勿論でありまするし、又所得税というものががかつてそういうものが差引かれる。その残りが三千百五円ということになるのでございますが、それではそれが三千百五円になるためには我々のグロスの賃金はどれだけが必要かということになつて参りますとこれは三千六百六円ということになるのであります。勤務地手当の附かない地域におきまして本年七月において成年單身男子が現在の許された食糧需給計画の範囲内において生活いたしまするためには、三千六百六円の賃金が必要である、こういう結論を得たのであります。従いましてこの数字と先程申しました民間給與調査の二つの数字を組合せまして我々は俸給表を作つた、こういう次第に相成るのであります。そこでこの三千六百六円を昨年のこれに相当いたしまする数字、即ち二千四百七十円と比較して見ますると、相当に大巾な増額になつている。この点は非常に注目して頂きたいと思う点であります。ただ問題はこの計算の基礎になつておりまするカロリーというものが昨年と今年は違うということであります。それと同時にこの勤務地手当の附かない地域というものが昨年と今年は違つているのであります。このことは我々はCPSというものからこの地域差指数というものが計算されておりまするが、それをずつと昨年以来観察しておりまして地域差というものが次第に減少しつつあるということを知つておつたのでおりまするが、本年五月の特別CPS、全国三百八十一部市に調査して見たのでありまするが、その結果を得まして、初めて東京に対しまして地方の小都市、町村というようなところの生計費というのもは、非常に東京に近づいておるという事実を確認いたした次第であります。このことは勧告の本文中にも書いてございまするが、輸送が非常に円滑になつたというようなこと、その外いろいろ事情がありましようが、とにかく東京と地方の小都市、町村との生計費が漸次近づきつつある。昨年の現在におきましては、その差が三割が妥当であるというふうに考えられたのでありまするが、本年の七月においてはこの差が二割でよろしいというふうに考えられたのであります。従いましてこの三千六百六円が計算されておりまする地域というものはこれは東京に比べて二割だけ低い、生活費が低くて済むという地域がとつてある。昨年の二千四百七十円の場合におきましては、東京に比べて三割だけ低い地域である。従いまして、二千四百七十円と三千六百六円は対比されるべきものでありまするけれども、その基盤というものは相当違つておる、こういうことをお認め願いたいと思うのであります。
 只今この地域差というものが漸次減少しつつあるということを申上げたのでありまするが、それに関連いたしまして、従来の地域給というものの決め方が如何に不合理であつたかということを本年の五月の資料によりまして我我研究したのでありまするが、その状況を十ページに掲げてございまするからついでに御覧置き願いたいと思うのであります。十一ページの絵図を御覧になりますると、特地、甲地、乙地丙地というものがそれぞれ違つた線で示してございます。若しも従来の地域差というものが的確に現わされておるといたしまするならば、例えばここに示してありまする数字はすべて東京を一〇〇といたしまして、そうしてその都市がどのくらいの東京に対する指数になつておるかということを表示してございます。この絵図の縦の軸は、町村、都市の数、それから右に向いまして、東京を一〇〇とする指数が掲げてございまするが、こういう図面における従来の地域の区分というものがうまくで来ておりまするならば、これは特地という所はこういう右の方にかたまつて出なければならん。それから甲地がかたまつてその次に出る。乙地がかたまつて出る。丙地が左の方にかたまつて出るということでありまするならば、従来の地域区分というものはこれは合理性があつたというふうに一応考られるのでありまするけれども、この絵図を御覧になればお分かりになるように、特地も甲地も乙地も丙地も重なり合つておるのであります。即ち従来の地域区分というものは凡そ出たらめであつたということがこの絵図でお分りになる。理由なくしてあの当時、いわゆる組合の力が強いところがこの高い地域を獲得したということがあるかも知れませんが、これは凡そ生計費とは関係のないことでありまして、地域差というものはやはり生計費が東京に比べてどのくらいあるかということが元になりまして計算されるべきものであります。ところが、その観点から見ますと、凡そ意味のない分類になつておつたということが、この絵図を御覧になるとはつきりお分りになるというように考えるのであります。かくいたしまして、我々は従来の地域給というものをもう一度白紙に返して考え直さなければならない、こういうことを考えておる次第であります。
 以上のごとくいたしまして、三千六百六円という数字とそれから俸給表の基になりまする先程十六ページで御覧願いました一級乃至十四級に相当する民間賃金というものは七月現在においてどういう数字であつたか、こういうことが二つ分つたわけであります。この二つの数字を基礎にいたしまして我々は俸給表を作成いたしまして、二千六百六円という数字がこの十六ページの数字を御覧願いますと、一級の三千五百九十三円、二級の四千百三円、この間にあるということは明らかなことであります。即ち成年單身男子が生活に要しまする賃金三千六百六円というものは一級乃至二級に定めたらいいということが分るのであります。
 ところで、我々は本年この東京にあります各省各庁において、五級以下の職員を全部調べ上げまして、そういう人々の年齢或いは扶養家族を持つておる程度というようなものを調べたのであります。その結果は、二級職というものが満年齢で十八歳、それから扶養家族が殆んどないという事実を発見いたしました。これはこの差上げてありまする資料の中にそういうことが書いてございまするから、又お暇のときに御覧置きを願いたいと思うのでございまするが、二級職はそういうものであります。十八歳と言いますと、労働基準法等によりますると、これは準成人として取扱われる年齢であるのでございます。又現在の二級一号の任用資格というものはどういうものであるかと言いますと、新制中学校を卒業いたしまして一年乃至二年経つた者が任用されるという基準になつておるのであります。このようなことを勘案いたして考えまする際に、我々は三千六百六円を二級一号に押えることが適当であるという結論に到達いたしました。それから十四級職の二万百九十八円、これを七十号に一応想定いたす。これはちよつと無理でございます。十四級職は六号に分けておるのでありますから、七十号と押えることは多少無理があるのでありますけれども、我々は七十号と押えたのであります。この二級一号、即ち通しの号俸で申しますならば三号俸、三号俸を三千六百六円と押え、七十号俸を二万百九十八円と押えまして、そうしてその間を等比級数で結ぶ。そういう言葉はむずかしいのでありますが、お手許に差上げてありまする資料の二十八ページに図表がございますから、それを御覧願いますれば、口で申上げますよりはつきり分るのでありますが、二級一号を三千六百六円、七十一号を二万百九十八円というふうに押えまして、その間を等比級数で結ぶ。何故等比級数で結ぶかと申しますと、職員の昇給というようなことは、従来の統計を解析いたしてみますると、これがほぼ指数函数で結ぶのが一番適しておるということを我々は知つておりました。これを御覧になりますれば、そのことはもうおのずから明らかなのでありまするが、この民間給與の三千五百九十三円、四千百三円から二万百九十八円というものは、これは期せずしてそういうカーヴになつておる。我々はこの三千六百六円から二万百九十八円というものを結ぶ等比級数の線を作つてみますると、これが大体このカーヴの彎曲において民間の実際の状況とほぼ合するのであります。かくのごとくいたしまして、我々は俸級表を作成した。尚そこに図表に書いてございまする下の数字が現在の俸給表の額でございます。これをこのように上げようということが今回の目的である。
 かくのごとくいたしまして、俸級表を作成したのでありまするが、その俸級表が昨年と比べましてどういう状況になつておるかということを掲げておりまするのが二十一ページでございます。二十一ページから二十二ページに亘つて第十四表を掲げてございまするが、ここにおきましては一号乃至七十号俸に相当しまする六三ベースの額と新俸給額とを並べて書きました。そうして一行置きまして、この俸級額から新俸給額がどれくらい増額したかということを数字を掲げておるのでありますが、一号あたりにおきましては四二・七%の増額と相成つております。それからずつと見て頂きますと、その数字は漸次減少いたしまして、例えば三十号俸くらいになりますと、三二・六%というようなこと、これがずつと次のページに亘りまして七十号俸のところになつて参りますると二〇%、こういうふうに今回の従来の俸級額に比べて増加率を見てみますると、号俸の進むに従いまして漸減しておる。こういう事情があるのであります。このことは大変問題があるところであろうというふうには考えまするが、とにかく我々は民間の給與というものを参考にいたしまして、今回の俸給表を作つた結果は、このように相成つておる。これを結果的に見てみますると、今回の改訂におきましては号俸の下の方が随分優遇になつておるということが言い得るというふうに思うのであります。かくのごとくいたしまして我々は俸給表を作つたのでございますが、この俸給表の中で一番基礎になりますものは一般俸給表であります。これは勧告の本文の八ページに一般の俸給表がございますが、このような俸給表ができたわけであります。この一般の俸給表は従来の俸給表に比べますと、少しく形が変つた点がございます。それはどういう点かと申しますと、この一般俸給表におきまして、二級乃至六級のところの号俸が一号乃至十号というふうに相成つておるのであります。古い現行俸給表におきましては二級乃至四級のところが七号まであつたのであります。即ちこの間が延びております。これはどういうことかと申しますと、これは現在二級乃至四級というあたりにおきまして、相当頭打ちの人がおるわけであります。こういう人を救済するために特に号俸が延ばしてある、こういうことになつております。尚六級及び十級というところに、当初の号俸でいいますと飛んでおるところがあります。それは現在の俸級表におきまして、六級の一号から二号というのが当初の号俸でいいますと二十一号から二十三号、それから二号から三号のところが二十三号から二十五号というふうに飛んでおるところがあるのであります。それから十級のところにおきまして、十級の一号が当初の号俸で四十三号、二号のところが四十五号、三号のところが四十七号、ここも又二号ずつ飛んでおるところがあるのであります。このようなことは少しおかしいのでありまして、理由なくしてそこが二号飛んでおりますために大巾の昇給をするということになつております。このことは不公平な点がございますので、今回はそれを改めるという措置をとりました。号俸はスキツプしないという措置をとりました。今回の勧告の中には特に検察官の俸給というものを新しく作るということになりました。これは検察官は一般職であるから従来四十六号以外の法律で規定されておつたのでありますが、そういうことは無意味である。今後は成るべく俸給表をかためましてやつて行くのが合理的であるという意味におきまして、検察官等の俸給も四十六号法律に含めるのがよろしいということになりまして、新たにそれが加わつた次第であります。かくのごとくして我々は俸給を漸次……その俸給表が持つておる性格というものは概略只今申上げた次第でございまするが、尚お手許に差出してあります資料の二十六ページを御覧頂きますならば、新俸給額によりまして新給與案によります実際の手取りなどはどういうふうになるかというようなことをとびとびに示しております。これも又お暇なときに御覧を願いたいというふうに考えるのであります。以上のごとくいたしまして、我々は俸給表を完成いたした次第であります。一体この七月現在で考えておるものが現在通用するのであるかどうか、又一部の方とは本年の四月以降においては闇物価も相当下落の傾向に向つておるし、すべて生産は順調であるし、昨年ドツジ・ラインが行われまして以来漸く四月以降にその実効を現わし、経済が安定しておるにも拘わらず今こういうことをやるのはおかしいじやないかというような御見解がある向きもあるのであります。我々は長期傾向といたしまして、物価の動向、賃金の動向、或いは生計費の動向というものを見ておりますと、これから約半年間に亘りましていろいろな状況があるのでありまるけれども、そういうものをすべて勘案して考えて見ますると、賃金も先ずそう下ることはない、先ず先ず持合いであろう。これは少しく下るであろうと観察することもできまするし、或いは少しく上るかも知れんという観察もできるのであります。先ず先ず持合いであろうと我々は観察いたしております。それから物価にいたしましても、闇物価が現在下つておるという状況はございまするが、併し今後におきまして各種の補給金が削減せられるというような事情も予想せられまするし、又米価或いは運賃というものの改訂が行われることもまあ今後相当確実に予想し得るところでありまして、こういうことを勘案いたして見ますると、闇物価と雖も必ずしも今の価格の下落の傾向が続いて行くというふうには考えられないのであります。むしろここ数ケ月間は持合いを示すのではないかというふうに考えております。まあ生計費の事情等にいたしましても、これ又余り大きな変化がないという見通しを持つております。現に我々は七月以降における各種の資料を検討しているでありまするけれども、我々が作りました俸給表というものが、七月以降において非常に高過ぎる、或いは安過ぎる、それで工合が悪いというふうには考えておりません。ここ数ケ月間は現在の事情でよく適するものであるというふうに考えておる次第であります。我々は現在の公務員の窮乏の状況を見まする際に、このような給與改訂ということが一日も早く行われるということを希望せざるを得ないという現状にあるわけであります。何とぞ只今申上げましたような点をお酌み取り願いまして、今後もいろいろ御検討を願いたいと考えます。以上を以ちまして御説明を終ります。
#8
○委員長(中井光次君) 何がお尋ねがございますか。今日は御説明を聽くだけにいたして置きますが……。私からちよつと伺いたいのですが、今御説明を伺つておつて、ここ数ケ月の間はということを給與局長が頻りにおつしやいましたが、余りに動きがないという御説明があつて、何か感じが非常に近い間のことしか考えてないという印象を受けたことが一つ。もう一つは、この給與ベースを上げなくとも……実数的に実質賃金の面でもつて上げなくても行けるのだということを一部で言つておりますが、それに対する御見解は……その二つをちよつとおつしやつて頂きたいと思います。
#9
○政府委員(瀧本忠男君) 我々は生計費、賃金物価の動向ということをいろいろ考えておるのであります。只今私が御説明いたしました中に、それが余りに限られた近い将来のことしか考えておらぬような印象を受けたというお話がございましたが、そういうわけではないのでございまして、我々は来年の一月、二月、三月頃までは少くも現在の状況が続くというふうに考えております。それから先になつて参りますると、これはもういろいろな経済事情の変化ということもございましようし、まあ我々は余り自信を持ちましてその経済情勢がどういうふうになるということははつきり申上げられません。で、少くとも半年ぐらいというところが狙いであつたと思うのであります。
 それから次の問題といたしまして、実質賃金の問題でございますが、実質賃金を上げて行つたらどうかというようなお話でございます。現在一番問題になつておりまする点は、官民の給與が非常に懸隔があるという点が問題であろうというふうに思うのであります。仮に税金を軽減いたしまして、そうして実質賃金を増加するという考えが若しあるといたしまするならば、これはそういう方法によつて官民の格差というものを決して縮めるゆえんではないと考えております。尚税金によりまして操作し得る範囲というものは、本年僅かな範囲でありまして、これを以て実質賃金が充実したというようなことを言える程度のものではないと我我考えております。その外住宅というようなことも言われておるようでありまするけれども、この住宅とても、これは国家公務員が約九十万もおりまするが、それが全部恩惠に浴するというようなことはとても考えられない点であります。凡そ我々が考えておるのは、特定の人が特別の利益を受けるということではないのでありまして、全般が同じような利益を受けるということでなくてはならない。この点から考えますると、住宅といつたような問題も亦拡充されるのは結構でありまするけれども、それで直ちに一般の実質賃金が拡充したというふうには考えられないというふうに思つております。その外いろいろな実質賃金の向上の要素を考えて見ましても、今税金並びに住宅についてお話申上げましたと同様の支障があるのでありまして、いわゆる実質賃金を拡充するという言い方はそれ自身がすでにおかしいのじやないか。我々が実質賃金が上がるということの場合には、相当普遍的な意味を持つていなければならないと思うのでありまするけれども、今考えられておりまする方法というものは、特定の限られた部分の人だけが利益を受けるというような方法でしかないのではないかというふうに思つております。これを要約して申しますると、今考えられておりまするような方法によりまして、いわゆる普遍的な実質賃金の向上というようなことは到底考えられない。こういうふうに考えております。
#10
○委員長(中井光次君) 只今の御説明でよく分りましたが、新聞など拜見しますというと、政府からの相当基礎を以て何かそういう主張……政府といいますか、政府の一部といいますか、主張しておるように見えるのでありますが、それらの点について数字的、或いは資料的にですね、あなた方の御意見に対する主張の明らかになる資料がありますか、ありませんか。又あなたのお話はそれで分りましたが、あなたの方でそういうお調べをなすつておる資料があるかどうか。
#11
○政府委員(瀧本忠男君) 只今のお話でございまするが、政府の一部でそういうことを相当資料的にはお考えになつておるということでございまするが、我々はそういう資料を未だ拜見しておりませんので、これに対しましてはまあ言う程のこともないので、抽象的に申上げましたような程度のことしか我々としては現在言えないと思うのであります。ただ物価と賃金ということを特に取り上げまして、そうして政府職員の給與を上げたならば、これが物価に響いて来る。そうしていわゆる物価と賃金の悪循環が起きるのではないかというようなことがまあ非常に言われておるのでありますけれども、これにつきまして我々の方で調査いたしました結果は、これは絶対に影響がないというふうには申しませんが、大局的に見て大した影響はない。政府職員の給與を上げるということは、これは全購買力のほんの僅かの部分を上げることにしかならない。又政府職員の給與というものは、いわゆる民間の給與と違いまして、直接コストになるものでもない。いろいろのことを勘案いたして見ます際に、これはお手許に資料が差出してありますから、又後程お読みを願いたいと思うのでありますけれども、今回の給與ベース改訂というようなことで考えて見ました際に、この全体の購買力はたかだか国家公務員の……例えば公共企業体の職員、それから地方公務員というようなものを入れましても、たかだか一・七七%にも達しない極く僅かの影響しかないというふうに我々は考えております。これは資料に書いてありまするので、詳しくは資料を御覧願いたいのでありますけれども、かくのごとくでありまして、そうして政府職員の給與を増額するという……この程度増額するということは、殆んど物価には影響がないというふうに我々は考えております。又民間企業との問題でございますが、政府職員の給與水準が高い場合には、これは民間に刺戟をするということも考えられるのでありますけれども、現在のように隔絶した給與水準の下におきましては、やつと民間の水準に届こうとするだけであつて、これが民間の給與に影響するというようなことは到底我々は考えられない次第であります。
#12
○委員長(中井光次君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     中井 光次君
   理事
           木下 源吾君
           小串 清一君
           寺尾  博君
   委員
           北村 一男君
           松嶋 喜作君
  政府委員
   人事院総裁   淺井  清君
   人事院事務官
   (法制局長)  岡部 史朗君
   人事院事務官
   (給與局長)  瀧本 忠男君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       川島 孝彦君
ソース: 国立国会図書館
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