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1980/05/26 第94回国会 参議院 参議院会議録情報 第094回国会 文教委員会、逓信委員会連合審査会 第1号
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1980/05/26 第94回国会 参議院

参議院会議録情報 第094回国会 文教委員会、逓信委員会連合審査会 第1号

#1
第094回国会 文教委員会、逓信委員会連合審査会 第1号
昭和五十六年五月二十六日(火曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
   文教委員会
    委員長         降矢 敬義君
    理 事
                大島 友治君
                世耕 政隆君
                勝又 武一君
                佐藤 昭夫君
    委 員
                井上  裕君
                山東 昭子君
                田沢 智治君
                内藤誉三郎君
                仲川 幸男君
                松浦  功君
                小野  明君
                粕谷 照美君
                本岡 昭次君
                柏原 ヤス君
                高木健太郎君
                小西 博行君
   逓信委員会
    委員長         福間 知之君
    理 事
                長田 裕二君
                成相 善十君
                長谷川 信君
                大森  昭君
    委 員
                岩崎 純三君
                小澤 太郎君
                志村 愛子君
                新谷寅三郎君
                高橋 圭三君
                西村 尚治君
                藤田  進君
                太田 淳夫君
                白木義一郎君
                山中 郁子君
                中村 鋭一君
                青島 幸男君
        ―――――
       発  議  者  勝又 武一君
       発  議  者  小野  明君
   国務大臣
       文 部 大 臣  田中 龍夫君
       郵 政 大 臣  山内 一郎君
   政府委員
       文部政務次官   石橋 一弥君
       文部大臣官房長  鈴木  勲君
       文部大臣官房会
       計課長      植木  浩君
       文部省大学局長  宮地 貫一君
       文部省体育局長  柳川 覺治君
       郵政省電波監理
       局長       田中眞三郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
       常任委員会専門
       員        酒井 繁次君
   説明員
       行政管理庁行政
       管理局管理官   山下 正秀君
   参考人
       日本放送協会理
       事        田中 武志君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
○放送大学学園法案(第九十三回国会内閣提出、衆
 議院送付)(継続案件)
○放送大学を設置するための国立学校設置法及び
 放送法の一部を改正する法律案(勝又武一君外
 一名発議)
    ―――――――――――――
   〔文教委員長降矢敬義君委員長席に着く〕
#2
○委員長(降矢敬義君) ただいまから文教委員会、逓信委員会連合審査会を開会いたします。
 先例によりまして、私が連合審査会の会議を主宰いたします。
 放送大学学園法案及び放送大学を設置するための国立学校設置法及び放送法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は、お手元に配付の資料により御了承願うこととし、趣旨説明の聴取は省略いたします。
 これより両案について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○大森昭君 放送大学学園法案につきましては、文教委員会を中心といたしまして、多くの議論が今日までされておるわけでありますが、いずれにいたしましても、この大学の構想全体に具体性が欠けていることだとか、あるいは放送大学の管理運営につきまして、大学としての自治、学問の自由への配慮が乏しいとか、優秀な教員の確保に不安があるとかいろいろ言われておりますが、とりわけきょうは連合でありますので、逓信委員の立場で質問を進めたいと思いますが、何よりもこの放送大学学園法案によりまして準国家的な放送局が出現するというようなことがこれからの放送につきましても大変重要な問題でありますので、各項を追って質問をしたいと思います。
 文部省からいただきました資料によりますと、この放送大学の設立は本年七月、それから放送大学の設置は五十七年の十月、学生の受け入れは五十九年の四月、そして当面の実施地域は東京タワーからテレビ、ラジオの電波が到達する範囲、五十九年度から四年間を第一期とするというようなことが書かれておりますが、この計画の実施に要する投資をする総額、運営経費の所要額などについてはどういうふうに見込んであるわけですか。
#4
○政府委員(宮地貫一君) お答え申し上げます。
 放送大学の試みはわが国最初の試みでございまして、しかも全体計画としては大変大きなプロジェクトでもございます。そういうことを受けまして、実施に当たりましては段階的に慎重に進めていく必要がある、かように考えております。
 したがって、放送大学の第一期計画といたしましては、人口が大変多く、かつ人口構成にいたしましても大変多様な構成を持っておるというようなことから、今後の拡大計画を考えていくに際しまして必要な資料を得やすいというようなこと、あるいは広域の送信所といたしまして既存の東京タワーを利用できるというようなことから電波網整備に要する経費が過大にならないというような点、また、放送大学の本部といたしましては千葉の幕張地区を予定しているということなどを受けまして、第一期の計画といたしましては関東地域を対象地域として発足するという考え方でございます。
 そこでお尋ねの、第二期以降の全体計画についてのお尋ねでございますが、将来計画といたしましては、やはり放送衛星の実用化の動向の問題もございますし、最初に申し上げましたように、関東地域におきます実施状況を十分勘案しながら、今後の検討課題ということで考えているわけでございます。その際、全体的な大学の進学人口の問題が絡むわけでございまして、高等教育へ進学する年齢でございます十八歳人口というのが今後増加の方向に向うわけでございます。昭和六十六年ないし七年ごろがピークということになりまして、そのころには現在よりも十八歳人口で申しますと約五十万人多い二百万台を超えるというような状況にございますので、私どもといたしましては昭和六十二年から七十一年ごろまでの間の十年ということで高等教育の整備計画というものを考えていかなければならぬ時期になっておるわけでございます。そういう全体的な動きも見ながら放送大学の対象地域の拡大というようなことについても取り組んでいきたいというぐあいに考えております。
 そこで、どれだけの経費を見積もっているのかというお尋ねでございますが、私ども従来の準備を進めてまいりました段階で、昭和五十年十二月に放送大学の創設準備に関する調査研究会議というものを持ちまして、そこで「放送大学の基本計画に関する報告」というものを取りまとめていただいておるわけでございます。その計画で示されているところに従いますと、資本的な投資額としては約八百七十億、経常費としては約二百九十億ということでございまして、五十四年度価格で申し上げますと、資本的投資額としては約千百億、経常費約三百六十億という経費を試算をいたしておるわけでございます。しかしながら、五十年当時には放送衛星に関する問題についてはまだ具体化していなかったというような事情もございまして、それらの点は当時の試算には対象から外しておることでございますし、将来の課題としてはその問題もございますので、将来の拡大計画については、なおよく関係省庁とも御相談をしながらそれらの点についても具体的な今後の検討をしなければならない課題と、かように考えている次第でございます。
#5
○大森昭君 いまの説明によりますと、いろいろ五十年の話、五十四年の話があるわけでありますが、いずれにいたしましても、この学習センターをそれぞれの地域につくるということが大変金がかかるわけでありますが、いまお話しの千百億の中に学習センターを何ヵ所全国的につくって、大体どの程度の規模で、土地などについても何坪ぐらいだとか、おおよその構想があるんだろうと思うんですが、いまの経費の千百億の中に学習センターなどの計画の金額は入っているんですか。
#6
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の学習センターについての経費についても、もちろん先ほど申し上げた中には、全体的な計画の中でも含まれているわけでございます。
 当面の第一期計画におきます学習センターにつきましては、当面は関東地域ということで六ヵ所を予定いたしておるわけでございますが、具体的な設置計画等につきましては、放送大学の学長といわゆる教学関係者がかたまりまして、それらの方々の御意見に即して今後決められていくということになろうかと思うわけでございますが、従来検討いたしております点で申し上げますと、それぞれ学習センターにつきましては施設の規模を大体二千五百平米程度というようなもので学習センターを考えております。内容的には三十人程度を収容できる講義室なり演習室あるいは実験室を合わせまして十教室程度設けまして、ほかに学生相談室でございますとか、図書室等を設けるということで、一ヵ所建設費としては約四億程度ということを試算としていたしております。
 なお、これらの経費の中には、場所とか取得価格等についてはなお不確定な要素も多いわけでございまして、土地取得費については算入をいたしておりません。先ほど申し上げました基本計画で全国的に整備をするという考え方は、各ブロックに地方事務センターを九ヵ所、各県の学習指導センターとして三十八ヵ所、実習センターとして八十七ヵ所、演習センター百七十ヵ所、ビデオセンター八百七十ヵ所というような、基本計画ではそれぞれそういうようなものを指摘いたしておりまして、それらの点は先ほどの金額の中に含まれているわけでございますが、第一期計画といたしまして関東地区で学習センターを考えておりますものは、六ヵ所程度を当面は考えているというのが現在の計画でございます。
#7
○大森昭君 四億程度の学習センターを当面ということを言われましたけれども、四億程度で学習センターができるのかどうかというのも疑問でありますし、とりわけこの放送大学というのは教育の機会均等でありますから、全国的にこの放送が受信できるようにするんだろうと思うんですが、この全国的なネットワークをやるためにこの中継局などの建設だけでもかなりの費用がかかるし、全国的に放送をするということになりますと、少なくとも、まあ一〇〇%は無理でしょうけれども、八〇%程度カバーされることが必要だろうと思うんです。そうなってきますと、この放送施設、要員に対する経費というようなことを考えますと、これ、いま当面の計画しかないからよくわかりませんが、膨大な金がかかるんじゃないかと思うんでありますが、その辺のことも将来計画は算出されているのかどうなのか。また、何年後になればこれは全国普及というのが実現するのか。その点などはどうですか。
#8
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、教育の機会均等ということが、もちろん私どもとしても大変大事なことでございまして、おっしゃるように、八〇%のカバレージというようなことが一つの目標ということになろうかと思います。先ほど御説明をいたしました「放送大学の基本計画に関する報告」、これは放送大学について一つの具体的な設計図を書いたものということになるわけでございまして、その基本計画においては、先ほども御説明したわけでございますが、地上系によります全国的な放送網の整備ということで試算をいたして、試算の金額としては先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。送信所を百九十六ヵ所ということで、全国各ブロックの世帯数の約八〇%をカバーするという考え方で経費を算出いたしておるわけでございます。
 先ほども最初に御答弁いたしたわけでございますが、そういう計画で試算をいたしておりますけれども、当面第一期の計画として関東地域から実施をいたしまして、さらに将来計画といたしましては放送衛星との組み合わせの問題というような、なお今後検討をしなければならない課題というようなこともございますので、そういう問題点については今後検討を進める課題として残されているわけでございます。しかしながら、この放送大学の問題については、すでに昭和四十四年以来今日まで十年にわたる検討経過を経まして、昭和五十四年度予算に予算計上されて以来御提案を申し上げておりますのは、まず第一期計画として関東地域からスタートをさせていただきまして、さらにその関東地域での学年進行と申しますか、それの完成を見まして全国的に広げる際についての問題点等の検討を踏まえ、いま申しました放送衛星との関連というようなことも踏まえながら将来計画の拡大については考えたいと。時期的には先ほど申し上げましたような時期を想定をいたしているということでございます。
#9
○大森昭君 いや、あなたの答弁ですと、何か放送衛星とのかかわり合いでということを言われますけれども、放送衛星を使うということになれば、いま第一期計画、あるいは第二期計画も入るかもわかりませんが、そういうことをやらずにこれはやることが一番効率的でありましてね、最初に放送衛星を使わない仕組みでやっておいて後で放送衛星を使うというかっこうになるということになると、ますますこれは――十年間やってきたからという気持ちもわからないわけじゃないんですが、放送衛星を使うということなら、それで実施をするという方がいいんじゃないかと、その方がいいんじゃないかと思うんですが。ところで、いま話の出ました放送衛星ですが、郵政省はいろいろ計画をしているようでありまして、これも聞くところによりますと、六十三年から六十四年に放送衛星を打ち上げて、五十九年のやつは二チャンネルのようでありますが、第二世代と言われるものについては少しこのチャンネルもふえるような話もありますが、いまどのような形でこの放送衛星の活用について検討されていますか。
#10
○政府委員(田中眞三郎君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のように、実用衛星計画でございますけれども、通信用、放送用ございまして、五十七年度及び五十八年度に打ち上げるということでございますけれども、それはいま申されましたようにNHKの難視聴解消ということでございますが、六十年度前半にはより大型の実用の衛星、放送衛星のBS−3の打ち上げが必要になるというふうに考えておるわけでございますけれども、これを私ども第二世代というふうに申しておりますが、第二世代の実用衛星、通信用と放送用とございますけれども、その利用のあり方について検討を行うということで、昨年の六月から、省内に部外の学識経験者から成りますところの調査研究会というものを設置したところでございます。昨年度から始めておるわけですけれども、昨年度は主に通信用のCS−3の方の利用のあり方、一方放送衛星BS−3の利用のあり方につきましても従来五回ばかり検討しておるんですけれども、今年度は重点的にその放送衛星の利用のあり方について検討してまいりたいということでございます。いままで五回開催いたしておりますけれども、そのうち放送衛星の関係で検討を行った事項でございますけれども、まずわが国の宇宙通信の開発の現状をどう見るか。諸外国の放送衛星の利用のあり方、それから衛星放送の技術的の可能性、こういうようなところを重点的に検討いたしまして、今後はまず利用分野の検討といたしまして、NHKによる利用のあり方あるいは民放による場合どうか、御指摘の放送大学による利用の場合、専門放送として利用する、そうした利用分野の検討が一面ございます。
 それから、二番目といたしましては、衛星を利用した新方式の放送というようなことで、高品位テレビとかあるいは静止画放送、ファクシミリ放送、音声放送、そういうような面でも精力的にことしじゅうに検討していただくと、そういうような状況になっております。
#11
○大森昭君 ですから、話を聞いていますと、第二期以降の計画もまだ十分じゃないし、いまの郵政省の話を聞きますと、大体第二期の計画の時期ぐらいにこの放送衛星が打ち上がるということになれば、さっきも質問に答弁がないんですけれども、全国的に実施できるのはいつごろかというのは答弁ないんですが、恐らく見当がつかないだろうと思うんですね、全国的にやるのは。だから答弁がないんだろうと思うんですが、放送衛星を上げればこれはもう全国至るところで見えるわけでありますから、ですから、そうあわてずに四年ぐらい待てば全国に全部放送衛星を利用して活用できるわけでありますから、そういうことで一期の工事を進めて中継のネットワークがむだになってというよりかも、どうなんですか、この放送衛星を上げるときにこの放送を使うということにはならないんですか。
#12
○政府委員(宮地貫一君) その点については、先ほど来御答弁申し上げておるわけでございますけれども、放送大学の構想そのものについては今日まで十年余にわたる検討経過を経て、結論といたしまして御提案申し上げておりますように、特殊注入の放送大学学園を設立し、その放送大学学園が大学と放送局とをあわせ持つという形で、放送法制上の問題、大学の学問の自由の確保の問題について、解決策としてそういう方途を、従来の調査結果を踏まえましてそういう結論を出していただいたわけでございます。
 御提案申し上げている点は、それらについて放送を大学教育に使うということについては、すでにテレビ、ラジオについて、それぞれ電波が一つ確保されているわけでございまして、大学教育にそういう放送を利用することが大変有効適切であるということを受けまして、私どもとしては、考え方としては、第一期計画として関東地域から実施に入らしていただきたいということで御提案を申し上げておるわけでございます。
 これから大学づくりを進めていくに当たりましても、やはり具体的には、この放送大学のための教官をどのように確保するかということがやはり非常に重要な点でございまして、そういう具体的な教官の確保というような事柄になりますと、現実に教学の責任者等について、教学の責任者というような方々を定めることが必要でございまして、そういう方々が実際に放送大学の担当する教官スタッフをどのように確保していくかということを進めることが必要なわけでございます。そういう準備といたしましては、これは行政サイドといたしましての準備ということには限界があるわけでございまして、そういう意味からぜひとも放送大学学園を発足さしていただきまして、そういう形での放送大学の実現というものを図りたいということで御提案を申し上げておるわけでございます。
 放送衛星の問題等については、なお今後の検討課題ということであるわけでございまして、それらについては先ほど郵政省からの御答弁もございましたように、第二期以降の際に具体的にどう取り入れていくかということを検討いたしたいということで御説明をしているわけでございます。
 なお、将来計画全体について、いつごろまでにつくるかということについて答弁が明確でないというお尋ねでございますが、私どもといたしましては、先ほど申しました十八歳人口の動き全体を見まして、昭和六十二年から七十一年ぐらいの時期に十八歳人口が非常にふえてくる時期でもございますので、そのときまでには全国ネットを完成させるようにいたしたいということで、第二期以降の計画の目途といたしましては、そういうめどを持って対応をいたしているところでございます。
#13
○大森昭君 私は放送大学をやめちまえと言っているんじゃないですよ。あなたはどういう理解をしているのかわかりませんが。そこで、せっかく大学をつくられるなら、教育の機会均等――あなたは関東関東と言いますけれども、大学いっぱいあるんですよ、関東なんというのは。問題はそういう学びたくても学べない人たちをということになれば、むしろ辺地と言っちゃ失礼ですけれども、そういうところに放送が通じて十分教育ができるということがこの放送大学の一番の目的でしょう。だから、そういう意味で、まああなたが言うように十年以上かかっているからここでという話もありますが、私どもにしますと、十年も待ったんだから、あと三年か四年たてば全国ネットワークでもって放送衛星が上がるわけだから、それを利用してもらえば、しかも第二期の計画もまだ具体化されてないしということで、待ったらどうかという話をしているだけですからね。とりわけいま行政改革で国の財政がという状況ですよね。ですから、そういう意味からいきますと、私なんかもいろいろ話聞いていますと、政府・与党のきょう皆さん方もおられますが、昨今の財政の中で、まあ大学構想もいいということで出発をしたけれどもということで、多少あれじゃないですか、与党の先生方にも、ある程度もうちょっと待った方がいいんじゃないかというように聞いているんですが、文部省としてはそういう意見は聞いていませんか。野党だけだと思っていますか、反対しているのは。
#14
○政府委員(宮地貫一君) 従来の検討経緯については十分先ほど来申し上げた点でございまして、やはり大学教育の機会を広く社会人やあるいは家庭婦人等にも提供するということにもなるわけでございまして、先ほど申しましたように高等学校卒業者も今後ふえてくるということでございます。そういう際に、流動的に大学進学の機会を保障するということが必要でございますし、またわが国の生涯教育の充実ということと高等教育の計画的整備を図るという点で、こういう新しい大学、まあ放送大学としてはもちろん最初の試みでございますし、そういう新しいもので高等教育というものを弾力化しながら対応していくということもぜひとも必要な事柄というぐあいに考えまして、もちろん政府部内の合意をいただきまして、予算としても決定をいただいて御提案を申し上げているということでございます。それらの点については、私どもとしては、ぜひともこの放送大学を御提案申し上げているような形で実現さしていただくように御審議をお願いしたいということで、国会にもすでに五十四年度以来御提案を申し上げて今日まで経過しておりますのが現状でございます。
#15
○大森昭君 いまちょっと答弁の中で、VHFですか、ということが言われましたが、東京でもあれですか、いま東京タワーを使うと、何もしないでこの放送が聞けるようになっているんですか。
#16
○政府委員(田中眞三郎君) お答え申し上げます。
 先ほどから文部省の方からも御説明がありましたように、五十九年度以降四年間の第一期計画におきまして、いろんな利便、教官の協力あるいはいろんな資料をとるために適切だということで、第一期計画としては東京タワーから電波を出しましょうということになっておるわけで、私どもも、すでにある鉄塔などはそのまま使えるわけでございまして、ただ送信機は新しく必要でございます。そういうことですけれども、東京タワー、すでにあるタワーで非常に能率がいいと、そこにはアンテナはつけられると、こういうことでございます。
#17
○大森昭君 受信機はどうなの。
#18
○政府委員(田中眞三郎君) 受信機はそのまま現在普及しておりますUHFの受信機で十分かというふうに考えておるわけでございます。
#19
○大森昭君 だから、家庭の方は機械を改造しなければいけないわけでしょう、それを受けるのには。
#20
○政府委員(田中眞三郎君) 東京の場合、現在のところ東京から出ておりますのは、東京に届いておりますのはVHFの電波でございます。しかし、これで今度計画しておりますのは、神奈川や千葉、埼玉等も目標としておるわけでございまして、こちらにつきましてはすでにUHFの局もございますので、まあ受像機につきましては、最近のものは全部UHFが受かるようになっておるかと思いますけれども、東京の場合、アンテナにつきましてはUHFのアンテナをつける必要のある世帯がまだ幾らかあるんではないかというふうに考えております。
#21
○大森昭君 どうもあんまり、局長も世の中のことを本当にわからないようですな。
 それで、まあいずれにいたしましても、そのような計画でもうこれ進めているわけでありますが、そこで、きょうは行政管理庁も来ていると思うんですがね、けさほどの新聞でもいろいろ行政改革の問題が大見出しで出ていますが、どうなんですか、こういうような新設の特殊法人について行政管理庁というのはどういう態度をとっているんですか。
#22
○説明員(山下正秀君) 御説明いたします。
 特殊法人放送大学学園の設置でございますが、これは行政管理庁といたしましてもよく審査をした結果といたしまして、放送大学の設置主体としてその新設が必要であるということに結論を得ております。
#23
○大森昭君 いや、すべてのプロジェクトが――必要ないという計画はないんだよ。政府だっていったって、みんな必要があるから計画立てているんですよ。だけれども、今日の財政の事情の中で、少なくともそれを一時中止をするとかたな上げするとかいうことが行政管理庁の考え方で、とりわけ総理は政治生命をかけてというようなことで、過般仲裁裁定も出ましたけれども、電電公社のように予算上支出ができるのもストップして議決案件だなんていうことをやっている世の中なんですから。いま聞くように二期以降の計画もできていない。――私は、だからさっきから言っているのは、放送大学やめちゃえって言っているじゃないんですよ。放送衛星が上がる時期には全国的にできるから、そのときまでお待ちになったらどうですか、とりわけ今日国の財政も大変厳しいわけだから、という主張をしているんですがね。行政管理庁は、この放送大学学園というのは大変いい内容だから、幾ら金がかかっても、今日の財政事情の中でも結構だと、こういう見解ですか。
#24
○説明員(山下正秀君) 先ほど来文部省からの御説明にもありましたとおり……
#25
○大森昭君 文部省じゃないんだよ。あなたに聞いているんだよ。行政管理庁に。
#26
○説明員(山下正秀君) 長い経緯をもちまして十分検討を重ねてきたところでございます。
 放送大学は、放送を効果的に利用した大学教育を実施するということによりまして、大学教育の機会に対する国民の広範な要請にこたえるということで、必要な事業であると。その際に、その事業実施の方法として特殊法人という設置形態が適当であるかどうかということにつきまして、行政組織の管理という面から行政管理庁がこれを審査いたしまして、行政機構の膨張を抑制するということも必要でございますので、膨張を抑制しつつ国民の新たなニーズにこたえるということでございますので、そのための手法としてスクラップ・アンド・ビルドという考え方をもちまして、御承知のとおり五十五年の行政改革の閣議決定におきまして、文部省所管の特殊法人一つを縮減するということを同時に決め、この新設を認めたということでございます。
#27
○大森昭君 すべての計画は、閣議の決定があったり、政府の方針があったりしていることは否定しませんけれども、ですからこのこともあなたがいま言ったようなことだろうと思うんでありますが、しかし、先ほどから質問していますように、むだなことをやるよりかもという意味合いで、とりわけむだを省くことが行政管理庁の今日の最大の使命でありますからいまあなたに物を言っているわけでありますが、まあいずれにしても、あなたもここでいろいろ質問されて、まあ多少延ばした方がいいなんて言うような方じゃないでしょうから、行政管理庁長官に、帰ってから、放送大学の学園の中身というのは、決定はしたけれども大変金もかかるし、しかも一回つくった施設がむだになるわけですからね、放送衛星が上がれば――というようなことを伝えて、よくひとつ議論してください。
 そこで、時間がありませんから次へ移りますが、この法案の内容を読みますと、内部的な権限といいますか、主務大臣の監督権限が大変大きいわけでありますし、法人をつくりますと理事長の権限が大変これに集中をするし、管理機構を民主化することがより学問の上では必要だと思うんでありますが、このような内容でいいというふうに文部省は考えているわけですか。
#28
○政府委員(宮地貫一君) 管理機構についてのお尋ねでございますが、放送大学の設置者といたしまして特殊法人である放送大学学園を設置するわけでございますが、文部大臣といたしましては、主管の大臣としてその管理運営について責任を負うという立場に基づいて、必要最小限のものを私どもとしては規定をいたしたものでございます。
 したがって、もちろんこの法律案においても、学問の自由あるいは放送番組編集の自由を侵すことのないように、それらの点については十分配慮をいたしたわけでございまして、理事長の任命は文部大臣が任命をするわけでございますが、具体的な権限の行使に当たりましては、この特殊法人が大学を設置する特殊法人であるという、そういう特性と申しますか、そういう点に着目をいたしまして、大学関係の方々の御意見を伺うというようなことで、具体的な処理としては十分慎重に対応するという考え方を御説明申し上げておるわけでございます。
 そしてまた、理事長は学園を代表し、業務を総括するものでございますが、教職員の任命も従って理事長が行うわけでございますけれども、教員の場合につきましては、職員の任命とは異なる規定の仕方を、この法律の中に規定を起こしておるわけでございまして、大学の教員につきましては、評議会の議に基づいて学長が定める基準によりまして、評議会の議に基づいて候補者が選考される。その候補者について学長が申し出、理事長が任命をするというような仕組みを確保してあるわけでございます。
 したがって、教員の大事について大学の自主性を確保するという点については十分配慮をいたした規定を設けているわけでございます。
 そして、理事長が大学の設置者としての立場で行います管理というものについても、大学の財務、会計なり施設の維持管理というような点に限定をいたしまして、具体的な教育内容なりあるいは教学の面につきましては大学側が自主的に行うというような大学の自主性の確保については十分尊重をした対応をいたしておる次第でございます。
#29
○大森昭君 どうもあんまりすかっとしませんね、答弁が。
 そこで、放送大学の政府案はわが国の放送体制を基本的に変革するんじゃないかという実は考え方を持っておるわけでありますが、そこで、いまもお話がありましたけれども、実際に学問の自由だとか大学の自治の確保というのは、大変疑問であります。
 ところで、四月の十五日に社会党が代案を出されたようでありますが、提案に至るまでの動機といいますか背景といいますか、一の辺で発議者から説明してほしいと思います。
#30
○勝又武一君 ただいま御質問がございましたように、この放送大学におきましては、学問の自由、大学の自治が保障される、国から独立が確保されるということがきわめて重要であると。これをまず第一に考えました。
 次に、放送の本質やその公共性にかんがみまして、国に支配される放送になってはならない、こう思うわけです。
 さらに、学問の自由、大学の自治と放送法上の公共性、公平の原則、つまり教学権と番組編集権とが適切に調整をされ、すぐれた放送番組が製作されることだと思います。
 そして、特に再三御質問者も御指摘されておりましたように、全国的に教育の機会を提供するということがきわめて重要ですし、文化の多様性と地域性を十分に生かしていく放送番組とすることが大切だと思うんです。しかし、そういう点で政府案を検討してみますと、まさにこれらの点についての配慮はきわめて不十分でありまして、とうてい国民のための大学、国民の要請、期待にこたえる大学、開放された大学、こういうところからはきわめてほど遠いと考えるに至ったのでございます。同時に、衆議院におきましても、さらに当参議院におきましても、再三の審議過程の中でこれらの問題点をそれぞれの委員の皆さんが鋭く追及をされてまいったわけでありますが、政府からはこれらの諸点について誠意ある答弁がなされませんでした。
 そこで、私たちはいろいろとこの立法技術上問題も多く大変苦労いたしましたけれど、いま申し上げましたような点を改善すると、こういう意味で考えますと、一部の修正だけではやはりほど遠い、そういう意味で抜本的に対案という形を提出するに至った次第でございます。
#31
○大森昭君 そこで、その大学教育というのは、私が言うまでもないんでありますが、多くの歴史と多くの経過をたどりながら今日の大学制度というものが成り立っているわけでありますが、政府案による放送大学を、この今日ある大学制度及び運営方法とは全く別に、特殊法人として設置をしようとするものでありますが、あえてこのようなことをしなければならない理由は何でありますか。
#32
○政府委員(宮地貫一君) お尋ねの点につきましては、従来放送大学の設置形態についていろいろ検討なり議論を積み重ねてきた中で、あるいは国立大学で設置する方式あるいは私立大学で設置する方式というようなことについていろいろ論議は重ねられてきたわけでございます。それぞれ放送法制上の問題点あるいは私学の自主性との関連というようなことでいずれも難点があると、基本的な点は特に国立大学という方式でいけば、その国立大学が放送局を持つということになりますと、やはり国営放送ということについての放送法制上の基本的な難点があるという点が指摘をされたわけでございます。そういうような点を踏まえまして衆議院の文教委員におきましても放送教育に関する小委員会が設置をされまして、その小委員会の結論といたしまして、最終的に特殊法人の方式で大学と放送局とをあわせ持つ形といたしまして、その御提案を申し上げております特殊法人の方式に落ちついたというのが従来の経緯でございます。その点は、特に学問の自由と放送番組編集の自由との両者の調整というものを同一法人で実施をするという形で調整を図りましたわけでございまして、その点は、特殊法人という新しい形を、学校教育法上にも新たに学校の設置者としてそういう形を起こすということで解決を図ってまいったわけでございます。
 社会党で御提案になっておりますものは、国立大学で放送大学を設置し、放送はNHKで実施をするという案のように伺っておるわけでございますけれども、基本的な点はやはり番組編集の自由と学問の自由との調整の問題で、やっぱり設置者が異なるとなれば、その点の調整について最終的に意見調整が整わなかった場合の点について大変解決困難な点があるんではないかと私どもは考えているところでございます。
#33
○大森昭君 そういうことになりますと、やむを得ず特殊法人でこれがいいんだというような考え方でありますが、代案の方を見ますと、国立大学として設置することがいいと、恐らく特殊法人方式、いま答弁がありましたけれども、そのようなことでやっていくと多くの欠陥が出てくるのではないかという視点だろうと思うんでありますが、代案の発議者はこの点はどういうように考えて代案を出されたわけですか。
#34
○勝又武一君 ただいま大学局長から答弁がありました点で私たちが一番政府案について指摘をしたのも実は逆に言うとその点なのでございまして、番組編集権と教育課程の編成権とが社会党案ではうまくいかないと、こういう言い方であります。しかし、政府案の欠陥も実は一番ここにあるのでございまして、そうだから特殊法人にして、その特殊法人の理事長が学長も任命をし、理事も決めて、すべて文部大臣任命の理事長が最終的にはすべての権限を持っている、だから番組編集権と教育課程編成権とがうまくいくんだと、こういう実は言い方でございまして、全くもってこの点は私たちの考え方と相反し、実は政府案こそきわめて権限の強い理事長のもとですべての大学の自治なり学問の自由の侵害どころか教育課程の編成権なり番組編集権においてもそれぞれの長所が生かされない、こういうように私たちは指摘をせざるを得ません。これが私たちが本案を提案した最大の理由でございます。特に政府案では放送大学の設置主体として特殊法人形式にしていますけれども、さらにこの管理運営は一般の特殊法人の例以上に、実は文部大臣の強い権限強化にございますし、同時に大学の運営についても評議員中心の運営を予定しているのでございます。
 社会党案ではその点でまさに国立大学にするということは実は他の国立大学並みの大学運営ということを考えているのでございまして、提案理由の中で詳しく申し上げておりますから詳細は省きますが、教員全体の意見の反映を確保するという点、学問の自由、大学の自治を守るということ、これらの点については一般の国立大学が教授会中心の運営をしている例等考えてみればよくおわかりのように、このことがまず政府案と違って大きく確保されると考えております。
 さらに、両者の調和がうまくいかないんだという大学局長の指摘でございますが、実は過日文教委員会といたしましてはNHKの現地調査に参りました。そして、NHKのいま大学の実験番組なり高等学校の実施状況なりをつぶさに拝見をいたしました。私たちは、教育課程編成権を持つ大学がそういう意味で決めた教授がテレビ等の主演もいたしますけれど、そのことが何か大学局長の言葉をちょっとかりますと、番組編集権を侵すんじゃないかという意味合いを暗に含んでいるような言い方でございますけれど、私たちは決してそうではない。むしろ教育課程を組んだ大学教授がテレビで講義をいたしましても、その前における放送上の技術的な多くの利点というものが番組編集の中で生かされるということをNHKの調査を見た中で十分見てまいったわけでありまして、そういう放送技術上の長所というものがコースチームの中で大変生かされている。同時に、NHKの担当者の方々のそのときの御意見等を承りますと、いままで番組編集権と大学の教育課程編成権とが両者をまとめていくということはいろいろとむずかしい問題もあるけれど、最終的にはそのことを取りまとめてきておりまして、いままでそのことで一度も困ったことはございませんでしたと、こういう意味のお話もございましたし、同時に私たち社会党案はこのことを法的に担保する意味でそれらの両者の調和を法律に基づいた準則で行っていくということを明記しているところでございます。このことをぜひ御賢察をいただきたいと思います。
#35
○大森昭君 いまNHKの話も出ましたけれども、NHKもかつてみずから放送大学の構想を持ったようなことがあるやに聞いていますし、またそのための実験放送なども実施したというようなことを聞いておりますが、どういう内容だったわけですか。
#36
○参考人(田中武志君) お答え申し上げます。
 いまから十年ちょっと前でございますが、昭和四十四年当時、いわゆる放送大学の問題がいろいろ議論されておりましたときに、私どもの責任者からNHKが新たな免許を得まして放送による大学の放送の部門を受け持とうと、用意があるというような発言をしたことがございます。しかし、これはあくまでNHKが長年の経験と実績の上に立ちまして放送事業者として新たな免許のもとに大学程度の数背番組を編集していき、それがいわゆる放送大学という別の主体によりまして利用されることを期待した構想であったわけでございます。そういった意味合いでは、NHK自身が放送による大学の設立の主体になるというようなことは、考えたことも検討したこともないということでございます。しかし、その後の経緯の中で、大学と放送というものは一体であるべきだというような調査研究会議の答申なども出されておりますので、今日のような状況になったというふうに理解しております。
 次に御質問の実験放送につきましては、そのような経過の中で、文部省の方から放送大学実験番組などの調査研究の実施について委託を受けまして、NHKといたしましては、これを放送法に準じまして受託いたしまして、昭和四十六年度から四十九年度まで四回にわたりまして実験放送をしたという経緯がございます。
#37
○大森昭君 そうしますと、社会党が出しております代案というのは全く突如として出したというんじゃなくて、いまNHKからの御答弁もありましたけれども、そういう経過を踏まえながら代案が出されたということでありますから、余り政府の方も政府案に固執をしないで、この代案を十分検討する必要があると思いますね。とりわけ、またイギリスなどにおけるオープンユニバーシティーなどについてもすでにやられているわけですね。大学がカリキュラムをつくって、放送はBBCがやっているというようなことで問題なく運営されているというようにも聞いておりますが、こういう例などについても政府は調査、検討、勉強をされているんですか。
#38
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、英国におきましてはオープンユニバーシティーが設置されておりますが、放送はBBCが行うという方式で運営をされているわけでございます。したがいまして、イギリスの場合で申しますと、放送事業者と大学側とがそれぞれ独立の組織ということになっておるわけでございまして、その調整問題ということは現実問題として出てくることがあり得るわけでございます。私ども承知をしておりますところでは、オープンユニバーシティーにおきましても、BBCとの調整についてBBCが放送を拒否した実例があるということは伺っているわけでございます。もちろん、それぞれいろいろな形というものは考えられるわけでございますが、私どもといたしましては、先ほど来御説明申し上げましたような検討経過の途中段階においていろいろと大学の設置形態をどうするかということについてはずいぶん議論を煮詰めてきたつもりでございまして、それらの点については、国立大学方式、私立大学方式、いろいろと利害得失、それぞれ放送法制上の問題点というような点について御検討いただいた結論としての特殊法人方式ということで御提案を申し上げておるわけでございます。
#39
○大森昭君 まあ、いろんな視点で検討されたことはわかるんですがね、その視点がピンボケでは困るんですよ。実はいま放送体系といたしましてはNHKと民放とあるわけでありますが、今度は全額政府の出資で、これは運営財源は大部分税金ですわな。それで、全国向けの放送事業体が生まれるわけです。しかも、これは学生だけじゃないんですね。広く社会人や家庭婦人層に生涯教育として教育番組を放送するということになってくるわけですね。で、そうなってきますと、NHKのいま教育教養番組と競合しますし、またNHKは受信料制度で運営をしているわけでありますが、このNHKとの競合あるいはNHKに対する影響などについて郵政省はどのように考えているわけですか。
#40
○政府委員(田中眞三郎君) NHKがただいま行っております教育放送につきましては、国民教育の発展と国民教養の向上に資するという目的で、その放送というものは、学校教育ももちろんですけれども、社会教育あるいは教養番組等非常に広範囲に及んでいるというふうに考えております。
 一方、ただいま御提案申し上げております学園の放送でございますけれども、大学教育の機会に対します広範な国民の要請にこたえるという目的で、学校教育法の規定に基づきます正規の大学教育の一環として行われるものである。したがいまして、生涯教育の面があろうかと思いますけれども、それを直接の目的としているものではない。こういうことで一部において重複する面は確かにあろうかと存じますけれども、ただいま申しましたようなことでNHKの教育放送の目的と放送大学学園の放送というその目的とするところは基本的に違っているというふうに理解しておるわけで、そうしたところからNHKの放送番組、財政等への影響もほとんどないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#41
○大森昭君 いや、NHKがいま放送しているのと放送大学ができたときとその番組が変わることはあたりまえの話であって、いま放送大学じゃないんですから、NHKは。問題はそういうことを聞いているんじゃないんですが、まあ時間が迫ってきましたからあれですがね、大学講座の放送もNHKはやっているんでしょう、高校だけじゃなくて。けさだってやっていましたよ、朝早く起きたらね。だから、そういう形でいまNHKがやっているやつを大学方式にすれば、もちろん番組の編集も変わるし、流す放送内容も変わることは明らかでありますが、問題は、私が質問したのは、いま二本立てのやつが三本立てになるときに一体どういう形でその影響が出てくるかということについて質問しているわけですよ。わかりませんか。
#42
○政府委員(田中眞三郎君) 私どもといたしましては直接的な影響はないと、そうしまして、教育放送としてのそれぞれNHKの特色あるいは大学教育としての特色、それぞれが相切磋琢磨してそれぞれの分野において発展してもらいたいというふうに考えておる次第でございます。
#43
○大森昭君 まあ初めの計画の内容からずうっと質問してきますと全く文部省というのは安易に考えておるんじゃないかと思うんですが、放送を使って一つの教育を実施をしていくというのはなかなか容易なことじゃないんですよ、これ、率直に申し上げましてね。そこで、まあいろいろ紆余曲折があってこういう特殊法人ということなんですけども、文部省は、NHKがいま、大学方式じゃありませんが、いろんな学校教育番組を放送していますが、この点についてはどういうふうに評価されているんですか。
#44
○政府委員(宮地貫一君) NHKではもちろん学校放送ということで学校教育放送、ラジオでは昭和十年から開始し、二十八年にはテレビによります学校教育放送を行っておるわけでございまして、そういう意味では、多年にわたって教育放送について実績なり経験を持って大変すぐれた教育番組を提供してきておるわけでございます。私どもといたしましても、もちろんNHKの持っております経験なり技術なり、そういうようなものについては高く評価をしているわけでございまして、放送大学学園を実施するに当たりましても、NHKが従来持ってきております経験なり技術というものを、私どもとしてもぜひとも放送大学学園の実施に当たっては、協力を仰がなければならない点であるというぐあいに考えております。
 ただ、先ほど御答弁もございましたように、大学を設置すること自身につきましては、NHKについても直接お考えはないというぐあいに伺っておりますし、やはり大学教育と先ほど御指摘の大学講座を、NHKでも大学講座ということで実施をされているわけでございますが、これは大学教育そのものではないわけでございまして、レベルとしてはもちろん内容的には大変レベルの高い内容を実施されていると伺っておりますが、学校教育法上の正規の大学の講義としての中身ではないわけでございまして、その点は御提案申し上げております放送大学が、そういう意味で学校教育法上の正規の大学としての教育としての番組を出すものということで、この放送を聞くことによりまして大学の単位を取得し、そして所定の単位を修得すれば大学卒業の資格が与えられるということになるわけでございます。その辺については役割りというものはおのずと異なるところがあろうかと思いますが、ただいま申し上げましたように、実際の放送の実施に当たっての技術なり経験なりということについては、NHK側にも御協力をいただかなければならない事柄だと、かように考えております。
#45
○大森昭君 あなた、協力をしてもらうとかなんとか言うけれども、その主体がNHKがやるんじゃないのに、協力してくれとかなんとか言ったって、何かの形でNHKが協力するような形にしておかなきゃ、文部省が一々言ったからといったって、すべての人が協力するわけじゃないんですからね、これは。勝手につくっておいて。しかも、文部大臣が最大の権限を持っていて、特殊法人は理事長が権限を持っているわけでしょう。だから、あなたが言うように、NHKにも協力してもらいたい、多くの学者の方々の意見も反映して番組をつくりたいと言うんなら、そういう制度と機構をつくっておかなきゃそんなものは協力するわけないんじゃないですか。だから、あなたの気持ちといま提案されている内容とは全然ちぐはぐなんですよ。
 そこで、あなたが言うように、NHKに任せるといろんなことが起きるというんですけれども、NHKの学校放送というんだって、いま指導要領に準拠して、それで幅広いいろんな委員会があります。放送番組審議会だとか経営委員会だとか、多くの形の中で意見を聞いて制作されているわけですよ。ですから、放送大学の今度の放送も、いまNHKがやっているような、少なくとも教育課程に準拠して、NHKの方々が関係者といろんな協議をして制作していけば、そう大きな間違いは起きないと思うんですが、どうしても支障が出てくるわけですか、NHKにやらせると。
#46
○政府委員(宮地貫一君) 学校教育の番組をNHKが実施をされておるわけでございますけれども、高等学校以下の番組につきましては、これは基準といたしまして学習指導要領というものが、告示でございますが、定められているわけでございます。大学設置基準というものはもちろんございますけれども、大学教育の中身そのものにつきましては、これはそれぞれ大学みずからがお決めになる内容でございます。それらの点につきまして、従来NHKが大学レベルの教養番組を出しておられることは、もちろんそれは内容的に高いものだと存じますけれども、大学教育そのものということになりますと、これはやはり大学がみずから中身をお決めになる事柄でございまして、そういう形で高等学校以下の学校教育放送の場合とその点は異なる点があろうかと、かように考えております。したがいまして、やはり大学と放送局とを同一主体として設置をし、大学が自主的に教育内容については御判断になるわけでございますが、放送を行うという部分に関していえば、それはやはり放送法制上の制約がそこにかぶさってくる。そういう点については放送法制上の、特に放送コードの問題でございますけれども、大学がそういう放送という観点から来る制約についてみずから自制をするという形で調和を図っていこうという形で御提案を申し上げているわけでございまして、そういう意味では、私どもとしてはぜひ放送大学の設置形態といたしましては、御提案申し上げている形で、かつ内容的には学問の自由なり大学の自治の確保のために十分配慮をした規定というものも先ほど来御答弁申し上げたわけでございますけれども、そういう配慮をいたしまして、大学の自治の確保に十分遺憾のないような体制で、こういう特殊法人の形で実現をさしていただきたいということで御提案を申し上げているわけでございます。
#47
○大森昭君 特殊法人ではいまあなたが言うようなことが守れないから、やめたらどうかと言っているんですよね。
 そこで、いずれにしても、時間が来ましたので、私はもともと放送大学自体に反対しているんじゃないんでありまして、放送大学というのは、わが国の教育制度またそして放送制度の基本にかかわる問題でありますから質疑をしているわけですし、同時に国民全体のコンセンサスを得て、そしてスタートする方がよりいいじゃないかという意味合いで言っているわけであります。社会党の修正案を大変いい内容だというふうに私は思いますが、おまえ社会党だからあたりまえだということになるかもわかりませんが、いずれにしても文部大臣、いろいろいま質疑を重ねましたけれども、最後にひとつ大臣の見解を伺って質問をやめたいと思います。
#48
○国務大臣(田中龍夫君) いろいろと慎重な御審議、御検討をいただきましてありがとうございます。
 ただいまお話がるるございましたように、すでにわが国の社会構造というものも、学校教育におきまする大学のみならず、あるいは老齢化いたしました高年齢層の社会教育あるいはまた家庭におきまするいわゆる女性の方々のカルチュアといったようなことで、大変講座も求められておる。こういうふうな一方におきましては広範な社会のニーズに対応してまいるような社会教育も考えたいし、あるいはまた、高卒の方々がさらにスクーリングをいたしまして学習をしようとなさるときの柔軟な対応のできる教育構造もつくりたい。さらに、問題の中心でありまするこの構造が、やはり放送を行う大学ということにいたしませんと、一方におきましては大学教育の教育の自由という問題、他面また放送を行うということから、国家が放送を行うということのできない現行の状態におきましては、NHK、その他の民放やいろんな問題もございまするが、カリキュラムと、一方におきましては営業行為といたしましての放送と、こういうふうな問題の調整から、いろいろと彼此勘案いたしました末、やはりこの制度でなければいけないんだなという結論にまいったわけでございますので、どうぞよろしく御協力のほどをひとえにお願いいたします。
#49
○大森昭君 終わります。
#50
○長田裕二君 放送大学のこの構想は、いまから十年以上も前、昭和四十三年、四年ごろから、文部省、郵政省あるいはわが党などからも打ち出されました。その当時、たまたま大学紛争が非常に盛んでありましたが、もっと基本的な背景としては、全国各地域にわたりまして、経済上の理由あるいは家庭、職場等の、おる場所の制約、あるいはまた大学のない場所に居住することを余儀なくされている向学心に燃えている人たちの進学熱を満たしてやる、そういうような背景があって今日に至っているわけです。
 ただ、その後の十年余りの間に、大学あるいは学部の数が相当全国的にふえている、あるいは置かれている場所も相当広範にわたってきている、進学熱あるいは進学希望率というものもいまは横ばいになったと言われておりますし、あるいはまた学歴社会をぼつぼつ脱却すべきだという声もだんだん聞こえてくる状況ですが、私はこの放送大学の問題について、否定的な立場ではなく、むしろ肯定的な立場からではありますが、そういういまの時点で放送大学を設置する意義といいますか、これをつくっていく積極的な理由、そういうことにつきまして、文部大臣あるいは文部当局のお考えを改めてお聞きをしたいと思います。
#51
○国務大臣(田中龍夫君) 冒頭私から申し上げたいと存じますのは、ただいま先生もおっしゃいましたように、高等教育への進学率は三八%に達しておりまして、近年、社会経済の急激な変化なり自由時間の増大でありますとか、また高齢化社会への移行等に伴いまして、国民各層の間には生涯教育と申しますか、自己啓発、自己修養を行っていこうとする機運も非常に必要性が高まっておるのでございます。放送大学は、このような国民各層の広範な教育需要にこたえまして、生涯教育の中核的な高等教育機関といたしまして、広く社会人や家庭婦人等に大学教育の機会を提供するとともに、今後の高等学校卒業者に対しまして、先ほども申し上げましたごとく、柔軟かつ流動的な大学進学の機会を保障しようといたすものでございまして、わが国の生涯教育の充実と高等教育の計画的な整備を図る上から非常に緊要な課題であると、かようと確信をいたしまして御提案申し上げておる次第でございます。
#52
○長田裕二君 テレビやラジオを主たる教育手段とした放送大学と従来の大学とでは、その教えるやり方等が非常に根本的に異なってきているとも思われるわけですが、そのそれぞれの長短――ただ、キャンパスに近づくことができないとか、そういう余りすぐれないけれどもやむを得ない補完的なものとして放送大学を位置づけるか、あるいはまた一般の大学教育などでは数百人がスピーカーの講義を受けるだけなのに、形の上で見ますと、放送大学の方ではマン・ツー・マンの教育のような、あるいはまた画像、図形等が非常に鮮明にあらわれるとか、教育方法が非常に違うということによります特色、長短というものがあるだろうと思いますが、それらにつきまして文部当局も相当長い間検討、研究を続けられたと思いますが、その特色といいますか、長短といいますか、そういうことにつきましてひとつ御意見を聞かしていただきたいと思います。
#53
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、放送大学は放送を大学教育に使うということで、全く新しい形の大学というものを考えているわけでございます。
 先ほどもお尋ねがあったわけでございますが、もちろん電波を教育のために使うというのが基本的な考え方でございますが、やはり映像が教育的な理解といいますか、そういう点でほかの手段では考えられない、非常に理解を深めるという点で意義を持っているわけでございます。
 そこで問題は、その電波を教育に使うに際しまして、大学教育ということでこの放送大学を御提案申し上げているわけでございますが、一つには従来既存の大学というのは、ややともしますと大変、大学そのものというものはある意味では非常に保守的と申しますか、大学紛争以来、大学の改革というものについて、それぞれ大学自身取り組んでもきておるわけでございますけれども、正直申しまして、大学の改革というようなことについて必ずしも画期的なものを見るというわけにはいかない。それはある意味では、大学というものは非常にそういう意味で保守的な要素を持っている部分もあるわけでございます。そういうものに対しまして、この放送大学で、放送そのものは、もちろん先ほど来申しておりますように大学教育そのものでございますが、やはり放送大学に登録された学生以外に、もちろん広く一般国民が視聴し得るわけでございまして、そういう意味では大学の教育そのものが広く国民に開かれた形になるということが言えるかと思います。
 したがいまして、そういう国民全体の批判に耐えるだけの内容を持った大学教育でなければならないと。そういう意味で、正直申して十年一日のごとき講義をするというようなことなどはもちろん許されるわけでもないわけでございます。そういう点で、この大学が開かれた大学として新しいものを求めていく、それがさらに既存の大学にもいい意味での影響を与えるということも私ども放送大学というものを実施することによって出てくる一つの波及効果というぐあいに考えているわけでございます。そういう意味で、大学の弾力化と申しますか、大学教育といいますか、高等教育の弾力化なり多様化ということもいろいろと推進をいたしておるわけでございます。
 たとえば単位の互換の問題というようなことにつきましてもいろいろと推進もいたしておりますが、なかなか既存の大学――外国との間では比較的単位の互換というようなことも行われておるんでございますが、国内の大学同士の学部間の単位の互換ということになりますと、制度は開かれておりますが、必ずしも十分でない。そういう単位の互換というようなことなどにつきましても、この放送大学などについてはそういうことを積極的に取り上げていこうと。放送大学をつくることによりまして、大学教育全体の弾力化といいますか、多様化を図っていくということもやはり波及効果の一つとして考えられる点でございます。
 いずれにいたしましても、従来の固定観念としての大学像ということではなくて、そういう意味では全く新しい形の大学を求め、かつそれが広く大学教育の機会に恵まれない人たちに対しても機会を提供することになると、勤労者層なり、あるいは家庭婦人なりという人たちに対しても大学教育を開放していく積極的なメリットというものがあるわけでございます。そういうただいま申しましたような事柄を踏まえまして、具体的な実施といたしましては、当面第一期計画からスタートをさしていただくということでございますが、これがわが国の大学教育の機会を広く国民全体に開くことになる一つの大きなよすがになるということから見ましても、私ども大変この放送大学というものの持つ意味というものは大きいものと、かように理解をいたしているところでございます。
#54
○長田裕二君 放送大学には教養学部だけを置くという構想のようですが、これはあれですか、テレビやラジオを通じる教育に教養学部の学科が向いているという観点からですか、それとも教養学部の学生になりたいという需要、そういうものが格別多いというようなことによるものでしょうか、それともあるいは生涯教育ということと関連づけてこの学部ということにしたのでしょうか。いまの教育手法ですね、テレビやラジオを使うということについては、たとえば画像の問題などは、あるいは理工系などにも向いているような感じもしないでもないのですけれども、教養学部だけにしたという事情をひとつ御説明願いたいと思います。
#55
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学の学部として何を考えるかということにつきましても、従来調査会議等で十分検討はいただいてきたわけでございます。一つは、公共の電波を利用して全国的な規模で高等教育を実施するという大学になるわけでございまして、国民の多様な要請にこたえるということがまず第一に必要なわけでございます。
 昭和五十年に放送大学に対する教育需要の予測調査を実施いたしたわけでございますが、その結果を見ますと、やはり多くの方々が、家庭や職場におきまして現実に直面する諸課題に解決の手がかりを得られるような問題、たとえば健康と病気の問題でございますとか、あるいは衣食住に関する生活科学の問題あるいは政治、経済、社会などの分野と人文・自然というようなそういう意味で広い教養の分野を求めているということがその調査の結果明らかになったわけでございます。かつ放送大学に割り当てられております電波が、それぞれテレビ、ラジオ一系列というそういう一つの限定的な要素もあるわけでございまして、そういう調査結果等を考慮いたしまして、多様な要請に応じるという観点から、総合的な学問領域を対象とする学部といたしまして、教養学部を設置して教育課程を編成するという考え方をとったわけでございます。したがって、具体的なコースといたしましては、「生活科学」、「産業・社会」、「人文・自然」というような三コースを置きまして、それぞれのコースには「生活と福祉」、「発達と教育」というような生活科学で言えばそういうような二専攻、あるいは産業・社会コースには「社会と経済」、「産業と技術」というような二つの専攻、人文・自然コースには「人間の探究」、「自然の理解」というような専攻を置きまして、そういう意味では比較的広い学問領域をカバーするというような考え方で、教養学部という一つの学部を設置するという考え方をとったものでございます。
#56
○長田裕二君 第一期計画は主として関東地方に限定すると、若干のあれはありますけれども、これについては一ヵ所から放送してカバーし得る地域、非常に地域が広く人口が多いということもあり、またテレビやラジオを通じての教育という新しい手法を検討し定着させていくということもありましょうし、あるいは学習センターというものを新しくつくり、そこの機能を十分発揮させる、あるいは教育効果というものを検討するというような意味で、私ども現在お考えになっている第一期の計画は妥当ではないかと思うわけですが、第二期以後の計画がはっきりしないということがかねがね非常に問題になっていたわけです。放送大学構想が打ち上げられましてから間もなく、たとえば放送衛星という問題が出てこなかったころは、私どもが仄聞するところでは、全国の約八割をカバーすると、地上のネットをつくっていくというようなことでしたが、そういう構想ですと、大体八割のところまで到達するのにどのくらいの年月とどのくらいの経費がかかることになっておりましたか、お知らせを願いたい。
#57
○政府委員(宮地貫一君) お尋ねのとおり第一期の計画というのは、いろいろの制約なりそういうものを踏まえまして着実に慎重に拡充を図るというようなことで、東京タワーから電波の届く範囲内ということをとりあえず計画をさせていただいたわけでございます。そして、従来「放送大学の基本計画に関する報告」においてまとめられておりますものでは、放送衛星というものが当時まだ具体的な日程に上ってきていなかったということもございまして、地上系で整備をしていくというようなことで第二期以降の計画のことについて考えていたわけでございます。
 それらの第二期以降の計画の具体的な着手なり完成の目途ということについては、先ほどお尋ねもございましたわけでございますが、今後の十八歳人口の動向といいますか、昭和六十二年から七十一年ぐらいにかけまして、約二百万を超える時期が昭和六十六、七年ごろになるわけでございます。
 現在高等教育の計画的整備ということで私ども取り組んでおりますのは、昭和五十一年から六十二年ぐらいまでの十年間の期間を、前期の計画、後期の計画ということで分けまして、高等教育の計画的整備ということで取り組んでおるわけでございますが、基本的には、この時期は十八歳人口というものがほぼ百五十万人台で横ばいで推移をしている時期でございます。したがって、量的な拡大はむしろ抑えて、大学教育の質の充実を図るという観点で取り組んできておるわけでございます。これらの計画に引き続いて、六十二年から七十一年ぐらいの時期にかけまして十八歳人口が二百万を超える時期を迎える、それらの計画をどのように対応していくかということを、私ども六十二年以降の計画については、これから関係者にもお集まりいただいて計画を検討し、具体化を図っていくわけでございます。そういう過程の中で、先ほども申しました高等教育の弾力化といいますか、そういう対応の一つとしてこの放送大学というものも具体的に取り組んでいきたいと、かように考えているわけでございまして、目途といたしましては、そのおおよそ七十一年ごろまでの間の高等教育計画の整備をどうするかというその中で、この放送大学の第二期以降の計画の拡充ということについても取り組んでいきたいと、かように考えているところでございます。もちろんその中には、放送衛星を利用する問題等今後の検討を要する点もあるわけでございまして、それらの点につきましても、第二期以降の計画の際には、具体的に関係省庁ともこれから相談を詰めさせていただくということで考えているわけでございます。
 お尋ねの地上系での整備ということでの試算というものは、一応昭和五十年当時に全体計画として試算をいたしたものがあるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、資本的投資額で申しますと、おおよそ八百六十七億、これを五十四年度価格で申しますと、約千百億というのが全体的な資本的投資価格でございます。
#58
○長田裕二君 放送大学はその使命からいって、辺陬の地にまで行き渡らせるということが非常に大きな任務といいますか、目的だと思うわけでして、八割でとどめるということについては、相当遺憾なことだと思っておりましたが、全体に相当広くこれをカバーするようにやるということになりますと、いまのNHKの第一とかあるいは教育テレビとかと同じようなところまでいくということになると、数千億、一兆に近いんじゃないかというようなことも考えられまして、私どもはもう可能であるならば放送衛星というものを使うべきだと、放送衛星をやれば一挙にもう全国あまねく行き渡る。受信設備の問題などにしましても、いろいろパラボラアンテナ等もNHKが難視聴地域に対してやっているよりも非常に量も多くなって、量産のコストダウンが図られるとかいろいろなことが考えられますので、技術的にとても困難だというなら別ですけれども、放送衛星をぜひ使うべきだと考えておりますが、それにつきまして、科学技術庁あるいは郵政省の方から、まだ宇宙開発計画として固まったものではないと思いますけれども、それぞれ抱いておられる構想というものがおありのようでしたら御披露願いたいと思います。
#59
○政府委員(田中眞三郎君) 先生ただいま申されましたように、放送大学というものが全国地理的な制限を外すということが最もその究極の目的でございますが、そうした意味から放送衛星を使うということは、何分にも空から降らしますと日本全国全部受けられる態勢の電波が届くというようなことでございますので、この辺につきましてはすでに実験で確かめてもおります。そういうことから放送大学学園の放送にはきわめて有効であるというふうに考えておりますので、その具体的な利用につきましては今後とも文部省等あるいは関係科学技術庁等とも密接な連絡をとって積極的に検討を進めてまいりたいというふうに考えておりますが、具体的には五十八年度に打ち上げ予定のBS−2というものは実用の衛星でございますけれども、いまのところ国民的要望のきわめて強いNHKの難視解消用、その二チャンネル用というようなことでございまして、放送大学への利用につきましては、ただいまのところ、私どもとしましては第二世代以降の放送衛星と申しますか、多分六十三年度ごろというようなことで、BS−2の後継機ということを考えますとそのころが考えられるわけでございますけれども、その時点に実際の話が起こってくるであろう。話と申しますか、実用するとすれば、その時点ぐらいから後のことになるというふうに考えておる次第でございます。
#60
○長田裕二君 いまお話の五十八年及び六十年に打ち上げられるいわゆる第一世代の放送衛星、これも正式に決まったのは五十四年の暮れだったと思いますので、第二世代の放送衛星というものを固めるのがいましばらく時間がかかるだろうということは容易に想像されますけれども、先ほどからのお話のように、放送大学の趣旨を貫徹するという面からは、どうしても放送衛星を断念しなければならないような事情があればともかく、しっかりした放送衛星を開発していく。いま民放等にはそんなに放送衛星を利用するという構想もないようですし、当面あるものはNHKの難視聴対策及び放送大学ということになりますから、当面非常に大きな衛星が特に要るということでもないのじゃないかと思いますので、しっかりした第二世代の放送衛星の計画を早く固め、これを取り進めていただきたいと思います。これにつきまして郵政省、科学技術庁等の御見解を伺いたいのが第一。
 それから第二の問題といたしまして、五十八年及び六十年に打ち上げられます放送衛星、ただいまの電波監理局長の御説明でも、これはNHKの難視聴対策として打ち上げられるもので、それぞれ二チャンネルしか持っていない、放送大学用に使うつもりもないというようなことで、それはいままでのいきさつからそういうお答えになるだろうと思います。
 ただ、私考えますのに、非常に貴重な電波ですし、五十八年に打ち上げられるものが二チャンネル、予備衛星的な機能、使命を持って六十年に打ち上げられるものが二チャンネル。これを通常のように単に本当の予備ということにして同じ周波数で打ち上げますと、これはもう二チャンネルだけしか使えない、NHKの難視聴対策でいっぱいということになります。いま日本が国際周波数委員会から割り当てられているテレビ放送衛星用のチャンネルはたしか八チャンネルだと思いました。この五十八年に打ち上げられるものと六十年に打ち上げられるもの――これは予備衛星的なものですけれども、違う周波数を使って四チャンネル分の機能を持った二つの衛星ということにしまして、五十八年の衛星が成功した場合に、試験的にでも六十年に打ち上げられる衛星の方に放送大学の教育内容を全国向けに放送することができるならば、一つは日本に与えられた貴重な、相当の巨額の経費を使ってやる放送衛星、チャンネルの活用にもなりますし、国民の要望にもこたえることになりますし、また経費の一部をNHKの負担からほかの方に転嫁するということも可能になりまして、それでなくても聴取料をときどき何年置きかに値上げしなければならないNHKの負担を軽くすることにもなる。あるいは先ほど申し上げたように、難視聴地域の住民が購入しなければならないパラボラアンテナその他が非常に安くなる。そういうようなことも考えますと、試験的にでも六十年打ち上げる衛星について、放送大学の教育内容を放送できるように心組んでおかれるのがいいんじゃないかと思いますが、これはいまはっきり御返事ができなければこれはやむを得ませんが、私は何か工夫すればそういうことはできるような感じがいたしますので、これにつきまして関係省庁に強く希望を申し上げる次第でございます。
 もし何か御感想があれば承りたいと思います。
#61
○政府委員(田中眞三郎君) ただいま先生が御提議くださいました内容は、非常に私ども何と申しますか、十分考慮すべきことであるということで、まず結論を最初に申し上げてみますと、十分お話の趣旨に沿いまして検討をしてまいりたいということでございますが、ただいま一応の考え方で、試験的に放送大学の放送を予備機が十分働いているときというような内容でございますので十分考えてみたいと思いますけれども、ただいまの態勢といたしましては、一応NHKの難視聴解消も本機と予備機とあるけれども、これは完全に実用ということを目指しておると。そうすると、衛星の現在の信頼度と、それから実用であるということで一刻も中断できないというような立場。それから放送大学の方も空からおろすということになりますと、それもやはり教育を始めた以上実用であると。そういう観点に立ちますと大変むずかしいかと思いますけれども、もう少し申してみますと、御存じのようにBS−2の開発については、五十五年度から進んでおりまして、現段階では実は同じ周波数でやっておりますので、その辺の周波数変更をやるということになりますと、多少スケジュールの遅延あるいは経費の増加も要ることになるだろうというふうに考えております。それから、受像機の方も二チャンネル受ける予定なのが四チャンネルというようなことになりますので、その辺の検討も必要になるということでございます。
 それで、現在あくまでもBS−2は実用ということを考えておりますので、いまの衛星の技術では、現用機及び予備機ということを常に捨てるわけにはいかないと、こういうようなことになっておるわけでございます。
 なお、放送大学の放送を、もし幸いにして六機、予備機が十分働いているときに、その予備のチャンネルを使いまして試験的にでも日本全国に降らしてみたらどうかというようなことにつきましては、先ほどの周波数変更の可能性等含めまして十分検討さしていただきたいと、そのように考えております。
#62
○長田裕二君 終わります。
#63
○委員長(降矢敬義君) この際、答弁する側に申し上げます。もう少し答弁を簡潔にお願いいたします。
#64
○太田淳夫君 それでは、ただいま議題になりました法律案につきまして、最初に大臣に御質問させていただきますが、本年度の予算の審議におきましても財政再建ということが大きな問題になりました。本年度、すなわち五十七年度においては、二兆七千億円の歳入不足が見込まれておるわけです。それをめぐって増税があるいは歳出削減かがいま政治的な課題となっているわけでございますけれども、また行政改革の推進であります第二次臨調も七月には補助金の削減について第一次の答申を出す、こういう予定と言われております。
 そこで、まず最初に、文部大臣は、現下の財政事情についてどのような見解を持たれているのか、またその実行に当たってどのような姿勢で臨まれているのかお尋ねしたいと思います。
#65
○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおりに、今日の日本の財政状況というものは、非常に厳しいものがございます。それに対応いたしまして、政府といたしましても、御案内の第二臨調といったようなものまでつくりまして、そうして厳しい税財政の姿を打ち出しておるわけでございます。そういう中にありましても、いやしくも国家の将来を考え、また当面いたしました問題を処理いたしますに当たりましても、教育というものの重大性、これは私は新たに見直されつつあるのではないかと、かように考える次第でございます。
 御質問にお答えいたすよりも、こちらから勝手なことを申しては恐縮でありますが、いまや戦後三十年にいたしまして、わが日本の文教というものに対しましても新しい観点から見直さなきゃならないと、こういう厳しい世論と批判がありますことも御案内のとおりでございまして、われわれは、国家の内外の情勢が厳しければ厳しいほどに私は教育という問題に対しましては真剣に対応していかなきゃならない。その必要性に対しましては、私はいかに臨調といえども、いかに厳しい財政といえども、やるべきことはやらなきゃならないというけじめだけは持つべきであると、かように考えております。
#66
○太田淳夫君 大臣の教育に対するお考えもお聞きしたわけでございますけれども、やはり国を挙げてこの第二臨調に取り組んでいる状況でございますし、先ほども議論がございましたけども、やはり学園の設立についてもこの第二臨調のいろんな論議を踏まえた後で行うべきじゃないかと、そういう意見もございます。また、現在全体計画が不明確なままでなぜ急いで発足させるのか、そういった問題もあろうかと思うんですが、その点についてはいかがでございますか。
#67
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま申し上げましたように、教育の問題は非常に重大でありますと同時に教育を取り巻く客観情勢というものも非常に変わってまいっております。いまや非常な高度の科学技術の発達とともにラジオ、テレビというふうなものも、これを教育にいかにうまく取り入れ、いかに動員いたしていくかということ、また、他方におきましては、国民のニーズといいますか、構造も非常に変わってまいっております。一方におきましては、家庭その他におきます子女教育という問題あるいはまた幼児の教育、さらに今度は国民老齢化に対します高齢者に対しての生きがいの問題、こういうふうな社会教育的な国民の待望に対しまして、それにこたえる教育の内容といたしまして、私は今回御提案申し上げました放送大学というものが大きな要素を持っておるということ、さらにまた、高卒が九七%というふうな段階におきまして、これらをさらに柔軟性のある、そうして上のグレードを与えていくというような学習に対しましての新しい構想、さらにスクーリングを整えましたりっぱな大学としての構え。私は、この臨調の厳しい中におきましても、放送大学の重要性ということを直接総理に対しまして三回にわたりまして特にお尋ねもし、その推進をいたしますということも申し、同時にまた、激励も賜っておる次第でありまして、本件に関しましては何ら心配なく私は前進をいたしておる次第でございますので、御安心いただきとうございます。
#68
○太田淳夫君 特殊法人に対する政府の方針というのはスクラップ・アンド・ビルドということでいままでまいってきました。一つの特殊法人をつくりますと、他の一つを削減するという原則がここにあるわけですが、放送大学学園をつくることでもやはり特殊法人の廃止を決定されると思いますが、どの法人を廃止するんですか。
#69
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のようにスクラップ・アンド・ビルドというのが一つの基本的な考え方ということでございまして、放送大学学園の設立に伴いまして日本学校給食会と日本学校安全会を統合いたしまして日本学校健康会を設立するという考え方で一つ法人を整理するという点は閣議決定もいただきまして、そういう方向で現に法案も御提案申し上げているところでございます。
#70
○太田淳夫君 日本学校健康会法案というのは今国会で成立する予定があるわけですね。その点とうなっておりますか。
 それから、閣議決定等によりますと、そのほかに一法人を減ずることを義務づけているわけですけれども、これとて文部省としては当然検討し、見通しを立てているはずでありますけれども、この法人名は明らかにできるのかどうか、その日程的なものを明らかにしていただきたいと思います。
#71
○政府委員(宮地貫一君) 日本学校健康会法案は五月十五日、衆議院において可決されまして、参議院に送付されているところでございます。今後、参議院におきます審議を経まして、私どもとしてはぜひその成立が図られるようにと努力をいたしておるところでございます。
 また、お話の閣議決定の第十二項で、さらに一法人を減ずるということが閣議決定されているわけでございまして、文部省としては、すでに昭和五十五年度に、オリンピック記念青少年総合センターを解散するということは、これは法案の成立を見まして、それの実現を図ったわけでございまして、さらに、ただいま申しました日本学校健康会を設立するということでただいま国会の御審議をいただいておるわけでございますが、閣議決定にもございますように、それらの措置の完了後、文部省主管の特殊法人を一法人減ずるということになっておりますので、それらの措置の完了後、結論を得たいということで検討いたしているところでございます。
#72
○太田淳夫君 大臣にお聞きしたいことは、閣議決定に対してどのような姿勢、認識を持っておられるのか。また、成立をしない場合には閣議決定とどういう関係にあるのかということですね。
 また、このことは放送大学学園法案が五十五年度の国会で成立することを見通した上で閣議で決まったことなんですね。ということは、一法人を減ずるのは既定の事実であり、当然、放送大学学園法案を国会に提出すると同時に内部的な作業というのは行われてなきゃならないと思うんです。そうでなければこの閣議決定を軽視したと言われても仕方ないと思うんですが、その点いかがですか。
#73
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま局長からお答えいたしましたスクラップ・アンド・ビルドの問題に関連いたしまして、本法案の御提案並びに関連の法案の問題がございます。本件につきましても、今日までいろいろと御質問を賜ったわけでございますが、私は、いまのその問題に対しましては既定方針のとおりにこれを推進いたしてまいらなけりゃならない、また、まいり得ると、かような確信のもとに御相談を申し上げておる次第でございます。
#74
○太田淳夫君 次に、先ほどの同僚委員の質問の中にもありましたけれども、やはりこの「放送大学の基本計画に関する報告」における全体規模試算の再試算によりますと、五十四年度価格で資本的投資が千二億円と、経常費が三百六十七億円となっておるんですね。千五百億円に近い膨大な経費をつぎ込んで完成を目指す放送大学ですけれども、しかし、六十三年度の第二世代の放送衛星が打ち上げられればもっとわずかな経費で済むんじゃないか。先ほどから申し上げておりますように、いま国を挙げて財政再建あるいは行政改革を断行しようとしているときですから、なぜその流れに逆行するようなことをしようとするのか。その点が私は国民のコンセンサスがなかなか得られない点じゃないかと思うんですが、その点についていかがですか。
#75
○政府委員(宮地貫一君) 放送を教育に使うということの必要性等については、先ほど来御答弁を申し上げたとおりでございまして、当面は第一期の計画ということで御説明を申し上げているわけでございます。
 第一期の計画といたしましては、関東地域を中心にいたしまして、東京タワーからの電波の届く範囲内ということでの計画でございまして、その第一期の計画の資本的経費といたしましては、約九十七億円ということでございます。第二期以降の全体計画の実現につきましては、放送衛星の問題もその一つでございますが、検討を要する課題がいろいろあるわけでございまして、それらを踏まえまして、段階的に対応していきたいと、かように考えているところでございます。
#76
○太田淳夫君 先ほど行管庁の方もお見えになっておりましたけれども、やはり全体的には相当な経費が、これはかかるわけでございますし、行政改革、財政再建という点から、行管庁の見解はどうなのか。あるいは放送大学それ自体が現在の社会的ニーズに対応するような体質であるのかどうか。その点、私たちとしては、第二臨調で検討を加えるべきではないか、そういうことも考えるわけですが、それからでも遅くない、行管庁の考えはいかがでしょうか。
#77
○説明員(山下正秀君) 放送大学につきましては、これは、放送を効果的に利用した大学教育を実施するということによりまして、大学教育の機会に対する国民の広範な要請にこたえるために必要な事業であるということでございます。この必要な事業を実施する方法といたしまして、特殊法人放送大学学園という、そういう特殊法人というものの設置形態をとるということにつきまして、われわれも審査をいたしまして、これが適当であると判断したわけでございます。
 ただ、必要ではございますが、他方、行政機構の膨張を抑制する、できるだけ簡素な行政組織をつくるという観点から、種々この議論をいたしました結果、行政組織の膨張を抑制しながら国民の新たなニーズにこたえるという趣旨から、スクラップ・アンド・ビルドという考え方によりまして、文部省所管の特殊法人を一つ削減するということを同時に決めたということでございまして、これは、特殊注入の大幅な整理合理化を五十五年行政改革閣議決定で決めております、この中にも位置づけられていると同時に、決められているものでございます。
 なお、先生御指摘の臨時行政調査会でございますが、御承知のとおり、臨時行政調査会の検討項目の中に基本的調査審議事項というものを本年四月十七日に開かれました調査会で概定をいたしております。その中に「特殊法人等の在り方の抜本的改善について」という項目があることは私ども十分承知をいたしておるわけでございますが、ただ、本件特殊法人放送大学学園の設置ということにつきましては、先ほど来申し上げましたような考え方をもちまして、その新設は必要であるということで政府としては考えております。臨時行政調査会がこの検討項目のもとにどのように具体的な検討を行われるかということにつきましては、これは、二年間の審議期間の間に臨時行政調査会自身がその検討項目を具体的に自主的にお決めになるということでございますので、いまの段階でわれわれの方から本件に関しということで御意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいということでございます。
#78
○太田淳夫君 次に、NHKの方お見えになっておりますが、NHKは、教育放送として市民大学講座とか、あるいは教養番組、あるいは趣味の番組など、いろいろユニークな番組を取り上げて長年にわたって努力を重ねられてみえましたけれども、この視聴者に対する教育放送の効果というものはどういうものであるか、実態をお示し願いたいと思います。
#79
○参考人(田中武志君) 先生御指摘のように、NHKでは長い間、教育放送充実に努めております。その中には、学校放送とか、大学講座、語学講座、あるいは婦人向けの教育番組等々、多岐にわたる番組を放送してきております。これらの番組は、学校教育とか、あるいは社会教育、そういったような場で、いろいろの面で利用を拡大されておりますけれども、特にここ五年間、私どもの調べたところによりますと、教育テレビの視聴者が漸次ふえてきているというようなデータもございます。たとえば、昨年の十一月に私どもで調べました視聴率調査によりますと、一週間のうちに一回でも教育テレビを見たという人――接触率と申しておりますけれども、これが昨年の十一月には二九・五%と、五年前に比べまして五・七%も上がってきております。
 また、大学講座などにつきましては、いろいろテキストを出しておりますけれども、そういった売れ行きなどから見まして、大学講座の視聴者――推定でございますけれども、いま大体四十万から六十万ぐらいじゃなかろうかというふうに思っております。
 また、最近、生涯教育につきましての関心も非常に高まっておりまして、全国各地の社会教育の学習セミナーといったようなものなどがいろいろNHKの番組を取り上げて利用しているという実態が広まっております。たとえば五十五年度の放送利用をやっております市町村の数は全国で約千二百市町村に上っておりますし、その講座、学級数は三千に上っているというようなことで、「おかあさんの勉強室」とか、あるいは「中学生日記」とか「シルクロード」、「きょうの健康」というようなものが特に利用されているようでございます。
#80
○太田淳夫君 いまいろいろと御説明がありましたが、この放送大学が発足をするとしますと、番組面でかなり競合する面が出てくるんじゃないかと思うんですが、そこで、NHKとしても今後の教育放送のあり方がいろいろ検討されると思うんですが、この取り組み方について説明願えませんか。
#81
○参考人(田中武志君) 私ども、放送大学の放送内容が大学教育そのものを目的として行われるものというふうに理解しております。NHKの教育テレビの教育番組などとどのように競合するかということにつきましては、放送大学の具体的な番組内容がどのようなものになるのか、いまの段階ではややとらえにくい面もございますので、いまここで特に問題点を指摘するわけには若干いかない面がございます。
 いずれにいたしましても、放送大学ができることによりまして、NHKの、先ほど申し上げたような教育番組にいい意味での刺激や影響があるとすれば、私どもとしてはそういった意味では歓迎すべきことだというふうに思っておりますけれども、しかし、競合するということになりますと、これはNHKにとってというよりも、教育放送の秩序そのもの自体の大きな問題は出てくるというふうに理解しております。また、私どもといたしましては、あらかじめこういった面については十分考えておかなければならないというふうに思っております。したがいまして、そのような競合の起こることのないように、ひとつ放送大学の設立の趣旨に沿った内容にしていただきたいというふうに考えております。
 また、今後の私どものNHKの教育放送についてのあり方につきましては、先ほど申し上げたような具体的なそれぞれの教育番組の多岐にわたる番組を、今後とも放送の持っております教育的効果を十分認識しながら、特に生涯教育、学校放送あるいは特定対象の番組といったようなものなどを三本柱に、中心に、開発、充実に努めていきたいというふうに思っておりますし、特に大学講座などを含みます生涯教育に対します多様な要望が、視聴者のニーズがいろいろあろうと思いますので、こういったものには十分こたえていくように努力していきたいというふうに考えております。
#82
○太田淳夫君 いまのNHKの意見に対して文部省としてはどう考えますか。
#83
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、放送大学学園は放送大学の教育に必要な放送を行うということを目的としておりまして、そういう意味ではきわめて限定的な特別な放送事業者ということが言えるかと思います。番組も大学教育のための放送番組に限られるということになるわけでございまして、NHKの教育放送がそういう意味では教育番組のほかに報道なり教養番組を含む幅広いものということで、両者の間におのずからそこには差があり、かつ放送大学の放送というものは大学教育そのものというきわめて限られた範囲ということでございますので、その点についてはただいまNHKから御答弁がござましたような両者の間で競合というようなことで、競合するような面が積極的に出てくるというぐあいには私ども考えておりません。
#84
○太田淳夫君 先ほどNHKの方からありましたように教育放送の秩序に対していろんな影響がないように図っていただきたいと思うんですが、またこの放送大学の出現によりまして、これは無料で見られる放送がふえてくるわけですね、当然、大学講座につきましても。受信料制度によってNHKは財政を賄っているわけですけれども、やはり経営上何らかのこれは影響が出てくるんじゃないかと思うんですが、その点関係省庁、郵政省どのようにお考えでしょうか。
#85
○政府委員(田中眞三郎君) ただいまも御説明がございましたように、NHKの行っている教育放送と放送大学の行おうとしている放送というものはかっきりとした区別があると申しますか、目的は違うように思います。そうした意味で、お話にも出ましたようにお互いにいい意味での刺激になってほしいというふうに私ども考えていることでございまして、そうした面からいたしまして、基本的に視聴者のニーズも異なってくるというような理解のもとで、NHKの受信料制度及び収納に及ぼす影響というものはほとんどないし、またそうあってほしいというふうに考えておる次第でございます。
#86
○太田淳夫君 NHKとしてはどのように考えますか。
#87
○参考人(田中武志君) 先生御存じのようにNHKは受信料を唯一の経営財源として運営されている企業でございます。受信料を財源とするNHK、それと広告費を主な財源といたします民放との中に、先ほどお話のように新たに国費を主な財源といたします放送大学の放送が加わることによりまして、受信料関係、特に契約とかあるいは収納面に影響を与えることにならないかといったことも私どもとしては十分あらかじめ考えておかなければならないというふうに思っております。
 もちろん、放送大学の放送というものがどのような態様になるのかということとも関連はございますけれども、NHKといたしましては、全国民の基盤に立った公共放送として公正な報道あるいは豊かな放送番組の提供に努めるということで、放送大学ができることによります受信料制度への影響を最小限度にひとつとどめていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#88
○太田淳夫君 郵政大臣は所管の大臣としまして、NHKの経営状態についても先ごろの予算の審議でいろいろとよく御承知願っていると思いますが、いまNHKからも話が――NHKとしてもそれは相当に努力されると思いますが、その点、やはり所管の大臣として教育放送に対する秩序あるいは受信料の問題について一言お伺いしたいと思います。
#89
○国務大臣(山内一郎君) NHKの方からはいま説明がありましたように教育の面においても非常に重点を置いてやっておられるわけでございます。
 そこで、今度放送大学ができますとどういうことになるかと、いろいろ御質疑がございましたけれども、放送大学はやはり大学でございますので、一定の計画的なカリキュラムによって三年か四年やっていくということでございますので、ずっと長年にわたって筋が通ってくる。それじゃNHKはもう断片的かというと、それではございませんが、そんなに長く計画的で私はないと思うんです。ある程度の長さをもって一定期間に一つのことを獲得していただくというような点ではあるかと思いますが、そのほか教養番組等も非常に活発におやりになっているわけでございますので、放送大学ができましたからNHKをもう見たくないという人は私はそんなにはいないんじゃないか、やっぱり放送大学は大学で資格も獲得するのでございますから、根気よく放送の聴取をしていただき、NHKの方はやはり従来どおりもっともっと考えてやっていただければ、私はそんなに影響はないというふうに考えているわけでございます。
#90
○太田淳夫君 大臣は影響ないとお考えですけれども、私は逆に影響が出てくるんじゃないかと考えているわけです。
 そこで、昭和三十九年の臨時放送関係法制調査会の答申では、この放送の基本体制についてはNHKと民間放送事業が二本立てになっている現行制度を維持すべきであると、こういう答申をしているわけです。これはもう郵政大臣の諮問機関でございますね。これを放棄することによって混乱が生じることはないんでしょうか。その点いかがですか。
#91
○政府委員(田中眞三郎君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘になりました昭和三十九年の臨時放送関係法制調査会の答申でございますけれども、私ども読んでみますと、教育放送の充実強化の必要性がその中でも指摘されておるというふうに思うわけでございますけれども、私どもとしましては、その中で指摘された教育放送の充実強化の必要性に、この放送大学の構想はそうした答申の趣旨にもかなっておるというふうに実は考えておるわけでございまして、そうした線に沿いまして高等教育の機会に対する国民の今日的な要請にこたえたいというようなこと、それから電波の有効利用にもつながるというふうに実は考えておるわけでございます。
#92
○太田淳夫君 次に放送法の関係について伺いますけれども、放送大学は放送法の第四十四条の三項と五項の、いわゆる放送コードを準用しているわけですが、ところが大学という高度の機関では、たとえば憲法問題のように意見の対立した問題が当然論議されるわけですけれども、片方では放送法の規制があり、また一方では学問の自由なり大学の自治という問題がありまして簡単に答えの出ない問題が内在しているんじゃないかと思うんです。その中で放送大学としての目的を果たしていかなきゃならないわけですけれども、この点はどのように調和されていくのか文部大臣にお伺いしたいと思います。
#93
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学学園の放送は、大学の授業としての実質を持っておるものでございますが、もちろん放送であります以上は放送の中立、公平が守られなければならないのは当然でございまして、そういう意味で御指摘のように放送法第四十四条第三項の規定が準用されているわけでございます。
 そこで、その点は先ほど来御説明をしている点でもございますが、大学と放送局とを一体のものとして設置をし、その間の調整を十分図るという考え方をとっているわけでございます。具体的には、たとえば番組の素材となります具体的な放送教材の制作というようなことについて御説明を申し上げますと、大学関係者によります授業科目の編成のためのコースチームというようなものが具体的にはつくられていくことになろうかと思うわけでございまして、そういうコースチームにもちろん放送の関係者も一緒に加わることになるわけでございます。そういたしまして、放送教材の制作に当たりまして両者が一つのチームをつくって連携協力のもとに適正に進めていくというようなことが具体的に行われていく事柄になろうかと思います。一つの組織体で実施をしていく一つの具体的な進め方としてはそういうことが考えられているわけでございまして、そういう形でもちろん私どもは学問の自由なり教授の自由と申しますか、そういう点はもちろん確保されるわけでございまして、ただ放送コードの上での制約というものについて、放送という手段が使われる以上は、その点に関して大学側みずからの自制のもとに行われるということで、その点の調和は図られるものと、かように考えております。
#94
○太田淳夫君 この放送大学の機能、性格という点から見てみますと、先ほどいろいろと文部省の方のお話では、放送大学自体が現在の学歴中心の社会を打ち破るためにも将来中心となって、国公私立を含めた既存の諸大学と単位の互換制度及び教員の交流を積極的に進めなきゃならない立場であるということでございますが、私たちもそういったこと、国公私立を含めた既存の諸大学との単位の互換制度及び教員の交流を積極的に進めなければならないんじゃないかと思うんですが、その点についていかがですか。
#95
○政府委員(宮地貫一君) 単位の互換というようなことでの高等教育の弾力化と申しますか、そういう点で私どももこの放送大学にも大きな役割りを期待いたしているわけでございまして、具体的には、もちろんこの放送大学が国公私立大学のそれぞれの教官の御協力というようなこともいただかなければ成功を見ることはできないわけでございまして、そういう点で既存の国公私立大学の御協力をいただきながら進めていくことになるわけでございます。そういう考え方を基本といたしまして、他大学との単位の互換あるいは編入学というようなことについても積極的にこの放送大学では取り組んでいく考え方を持っております。
 そしてたとえば、具体的に申せば体育の実技というようなことについても、この放送大学の場合で申しますと、これはそれぞれの地域社会におきます体育の実際の場に参加をするというようなことをもって体育の実技の単位にかえるというようなところまで弾力的に進めるというようなことも考えているわけでございまして、そういう意味でこの放送大学の単位の互換というものについては積極的に取り組んでいただくつもりでございますし、そのことを通じて弾力化を図ってまいりたいと、かように考えております。
#96
○太田淳夫君 この放送大学は、筑波大学と同じ新構想大学であると考えられるんですけれども、共通点と相違点はどういう点になりますか。また、筑波大学というのは国の強いコントロールにある大学になってしまっているという指摘もあるわけですが、その点についてはどのように考えますか。
#97
○政府委員(宮地貫一君) 筑波大学は新構想の大学ということで、従来の学部、学科の枠を超えて弾力的かつ総合的な教育研究を進めるということで、学部にかわる組織として学群とか学系というような制度を、それぞれ教育組織、研究組織として取り込んでいるわけでございます。
 ただ、この放送大学の場合は、先ほども申し上げましたように教養学部ということで単一の学部でございますが、ただ、範囲の対象といたしましては全国にまたがるというようなことで、具体的にはたとえば面接指導を行うための学習センターというようなものを各地に設けるというようなところで、その点はやはりこの放送大学が筑波大学やほかの大学と異なる基本的な点であろうかと思います。
 管理運営組織でございますが、筑波大学は全学的な大学の自治と機能的な運営というようなことで副学長を置き、かつ大学の運営に関する重要事項を審議するために評議会というような仕組みがつくられているわけでございます。そしてまた、教員人事を行うための人事委員会というようなものが設けられ、学群、学系にはそれぞれ教員会議というものが設けられているわけでございます。そして、学外者の意見を聞くための参与会というようなものが筑波大学には設けられているわけでございます。
 放送大学の場合には、先ほども申しましたようにこれは単一学部の大学ではございますが、各地に学習センターが設けられるというようなことで、その教官構成の複雑性というようなことから、評議会を設けまして、大学の運営に関する重要事項は評議会で審議をするというような仕組みにいたしておりますし、また教員の選考等、大事に関する基本的な事柄も評議会が行うという仕組みにいたしているわけでございます。もちろん、この放送大学におきましても、学校教育法五十九条の教授会が置かれまして、教授会が置かれておりますことは当然のことでございまして、その教授会の具体的な組織、構成なり進め方というものは、大学が発足をいたしまして、その構成要素が大変放送大学の場合複雑な仕組みにもなっている、そういう実態に合った教授会の運営というものは、これは大学みずからがお決めになる事柄ではないかと、かように考えている次第でございます。
 そういうことで、評議会の組織でございますとか、副学長を置いているという点では筑波大学も同様でございますけれども、大学の形態そのものはやはり基本的に違う点がある。それぞれそういう違う仕組みに応じたものとして御説明申し上げたような管理運営の組織を設けているところでございます。
#98
○太田淳夫君 いずれにしましても、筑波大学が、従来の国立大学に比べますと、かなり国のコントロールが強いという疑念があるわけですけれども、この放送大学も新構想の大学としまして、大学に強い支配力を持つ理事長を文部大臣が任命するなど、国のコントロールが強過ぎるんじゃないかと思います。この放送大学の民主化を徹底するために、理事長の選任には両院の同意を得て文部大臣が任命するなど、手続の民主化を図るべきじゃないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
#99
○政府委員(宮地貫一君) 理事長の任命につきましては、文部大臣が主管の大臣として任命をするという形をとっているわけでございまして、国会の同意を経て理事長を任命するというような仕組みを――直接同種のものではございませんが、たとえばNHKの経営委員等の場合にはそういう仕組みが放送法で規定をされているかと思いますが、それはやはりNHKが受信料に基盤を持った公共放送というような性格から来ているものかと思うわけでございます。この放送大学学園の場合には、大学の設置と放送局の設置をする主体でございまして、大学を設置する特殊法人という観点からいたしまして、たとえば先ほども御説明をしたわけでございますが、種々大学関係者等の意見を聞くというような具体的な事柄については十分慎重な対応をしなければならないかと思いますけれども、ただ、法文にそれを具体的に規定するとなりますと、大学関係の団体と申しましても各種ございまして、それらについて適宜、適切な対応をするというためには必ずしも法文に規定する――技術的な困難点も確かにあるわけでございますが、実体的に大学を設置する法人としての特性というものを十分配慮いたしまして対応を考えていくということで対処をいたしたいと、かように考えております。
#100
○太田淳夫君 この放送大学は広く国民に高等教育の機会を与える趣旨のものと聞いているわけですが、できるだけ多くの人にわかりやすい内容であるべきでありますし、その反面、大学にふさわしい質の確保ということも要請されるわけですが、この要請の調和はどのようにして図るつもりですか。
#101
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学として大学にふさわしい質をどうして維持するのかというお尋ねでございますが、もちろんこの放送大学の授業の形態といたしましては、放送によりますものがおおむね三分の一、学習センター等におきますスクーリングをほぼ三分の一、そして残りの三分の一を教科書等の学習――これは自宅での学習でございますが、それを三分の一というような、大体授業形態としてはおおよそそういうようなことを目途といたしまして考えているわけでございまして、面接指導を三分の一程度ということで、相当重視もいたしておるわけでございます。そういう点では、もちろん大学教育の実質を十分確保した内容のものをわかりやすく教育をするということを骨子といたしまして、十分私どもとしてはこの放送大学が大学の質を確保されるものと、かように考えております。
#102
○太田淳夫君 広く教育の機会を与えるという見地から考えますと、体の御不自由な方々の便宜も積極的に図ることが必要ではないかと思うんですが、この点の受け入れについてどのように考えているのか。また、そういう皆さん方のためには学習センターでの指導の免除、あるいは自宅での試験の実施など、特別対策があるのかどうか、その点ちょっとお聞きしたいと思います。
#103
○政府委員(宮地貫一君) 障害者の受け入れについて積極的に考えるべきではないかという御趣旨のお尋ねでございまして、もちろんそういうことは高等教育の機会を国民に広く広げるという観点からも必要な事柄であろうかと思います。
 具体的な配慮といたしましては、たとえば学習センターにおきますスクーリング等に際しましてもそういうような配慮というものが必要であろうかと思いますし、また放送そのものについてどうかということもあるわけでございまして、それらの点については今後この学園が発足し、大学自身が具体的な教育の進め方については具体的に検討されていくことになるわけでございまして、そういう点が十分配慮されるようなことを私どもとしても大学側に期待をしているところでございますし、施設の配置その他につきましても、そういうようなことを配慮すべきものと、かように考えております。
#104
○太田淳夫君 この放送大学は教養学部という単一学部の大学なんですが、これは将来にわたっても教養学部以外の学部は設けるお考えはないのか、あるいはこの放送大学の学士号というのは教養学士になるわけですけれども、その他教員免状とか、あるいは実生活に役立つような資格の取得については可能なのかどうか。今日では司法試験あるいは医師免許試験など、そういった免許取得のためにかなりの学習が必要になるわけですが、そういう国民のニーズにこたえる趣旨からも、むしろこういった資格の取得に資するような学部の増設ということも必要じゃないかと思うんですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
#105
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学の学部といたしまして、教養学部ということで計画をいたしております点は先ほどもお尋ねがございまして、お答えをした点でございます。
 さらに、将来もう少し実践的な学部とか、あるいは資格取得というような点での配慮をすべきではないかというような趣旨のお尋ねでございますが、一つには放送利用ということで言いますと、電波にも限りがあるというような具体的な制約もございますし、御指摘の点は将来の検討課題としてはそういう点もあろうかと思いますけれども、当面は私どもといたしましては教養学部ということで発足をし、実施をしまして、さらに国民全体のニーズというものがどういう方向にあるのか、そういうような点も十分動向を踏まえた上で対応を考えるべきことであろうと、かように考えております。
#106
○太田淳夫君 放送大学における図書館の整備ですが、これはどのように考えてみえるのか、あるいは既存の大学の図書館等の施設を放送大学の学生に開放する用意があるのかどうか、その点どうでしょうか。
#107
○政府委員(宮地貫一君) 図書館でございますが、もちろん設置基準の定めるところによって整備をするということが必要なわけでございます。放送大学については、学習センターを各都道府県ごとに置くというような対応をいたしておるわけでございますが、その学習センターにも図書室というようなものについての整備を図るということももちろん必要なことでございます。
 ただ、御指摘のように、既存の、あるいは国立大学の図書館等の活用というようなことについて、放送大学の学生にも利用ができるようにというような御趣旨につきましては、私どもも積極的な姿勢でそれぞれ関係の大学にも御相談を申し上げていくようにいたしたと。もちろん、それらのことについては、これは放送大学が実現を見まして、放送大学側の御当局の働きかけということになるわけでございますけれども、私どもとしては、国立大学の関係者等に対しましてもそういう協力関係を積極的につくっていくように働きかけたいと、かように考えております。
#108
○太田淳夫君 あと、やはり優秀な教育の確保ということが大事になってまいりますが、教育のスタッフですね、この確保ということは見通しがあるのかどうか。あるいは、そのために国大協あるいは学術会議との話し合いが行われているのかどうか、その点について聞きたいと思います。
#109
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学が成功するためにも教官スタッフの確保ということが一番重要なことは御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、それぞれ放送大学の本部なり、あるいは学習センターに所要の教員、専任教員を配置し、さらに学習センター等におきましては、国公私立大学の方々に、非常勤の形で、いろいろと御協力をお願いしなければならないわけでございます。それらの点につきましては、たとえば国立大学協会の関係者等に対しましては、放送大学の実現につきましての状況というようなものについては逐次御連絡も申し上げている点でございまして、国立大学協会に対しましてもそういう面での御協力をぜひお願いをしたいということで、私どもも説明をいたしているところでございます。
#110
○太田淳夫君 それでは社会党さんにちょっと質問させていただきますが、社会党さんの案によりますと、放送大学を国立大学として放送をNHKにやらせるという点に特色があるわけですけれども、番組編集の自由と大学の学問の自由の調整、これは先ほども文部省にも質問しましたが、その点についてはどうでしょうか。
#111
○勝又武一君 先ほど大学局長がこの点再三答弁されておりますが、衆議院の段階、そしてまた参議院で議論をしている段階といろいろと違ってきているような感じを率直に受けるわけですね。それは一つはNHKに協力してもらうという言い方を盛んに強調されてきておりますね。ここが大分私は変わってきている傾向じゃないかというように思っております。
 もう一つは、何かNHKに大学をつくるんだというような言い方をちょっとされましたけれども、そこは確かにお間違えになっているんじゃないか。私たちの方も決してNHKに大学をつくるんじゃなくて、国立大学とNHKとこういう関係なんですから、NHKの中に大学をつくろうなんという意図を提案しているわけでは毛頭ありません。
 そこで、NHKに協力をしてもらうという言い方の中に、実は、放送は特殊法人である学園が行うという政府案の弱点がみごとにあらわれてきているというように私は思うんですよ。いま御質問の点で端的にお答えしますと、先ほどからおっしゃっていらっしゃるように、何かNHKにやらせることは、この教育課程の編成権と番組編集権とがうまくいかないから、だからNHKに任せられないんですよという言い方をされているんですけれども、じや逆説的にそのことがうまくいくならば、NHKに任じていいのかということになると思うんですね。それが何かNHKに非常に協力してもらうという言い方に大分変わってきつつあるという感じを率直に受けます。
 そこで、私たちは、一番その点が心配でしたから、その番組編集権と教育課程の編成権との調和をどう図っていくかというのが最大の眼目でありまして、そのために放送大学番組の編集に当たって、基準となる準則をNHKと放送大学との協議によって定める、この調整の基準というものをこの準則で法定化をしておくということだと思うんです。そういう意味で、具体的な調整というのはコースチームによって行われることになると思いますけれども、両者間の十分な調整ということはこの中で行われるというように期待をいたしておりますし、特に文教委員会でNHKに調査に参りましたときに、NHKの非常に進んだ、いままでの実績ですね、こういうものを如実に見てきているわけですね。そのことが、教授が行う講義、十分かかって講義するとすれば、二秒か三秒でできるというようなことも、率直にテレビ映像の効果というものを如実に見てきたわけですが、そういうことをコースチームの中でどうするかということが図られていくというように思いますので、私たちはこの準則という中でそのことが達成されることができると。
 同時にもう一つ、何か局長もおっしゃっていらっしゃいましたが、三分の一なんですね、テレビ授業というのは。あと放送大学の教育を主として、そういう意味で三分の一程度放送番組に依存しますけれど、本来それで全部ではございませんので、印刷教材とか、通信指導とか、スクーリングとか、あるいはもっと、特にゼミナールの問題とか、こういうような問題について、両者の協議等がそういうことの中にも十分生かされるし、特に私たちはNHKのいままでの大学実験番組等の成果がこの中に生かされるというように感じている次第です。
#112
○太田淳夫君 先ほど文部省の御答弁の中に、オープンユニバーシティーの放送番組の放送をBBCが拒否をしたということがちょっとございましたけれども、この放送大学とNHKの間にもそのようなおそれがあるんじゃないかというような心配があろうかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
#113
○小野明君 私も発議者の一人ですから、一回ぐらいは立ちませんと…。
 私どもの案は、政府案によりますと非常に拘束された大学になる、こういう毒素を薄めたい。やっぱり国立大学とNHKとの関係でこれを薄めなきゃならぬ。そうせぬと理事長、学長あるいは運営審議会委員、全部政府側が任命することになる。その薄めなきゃならぬという発想から出ておるわけです。
 原爆の問題は、多少私どもNHKをほめ過ぎたきらいもありますけれども、原爆の場合は、これは先生もたしか八月十五日、終戦前後のNHKのテレビをごらんになられたと思いますけれども、これは拒否はなかったですね。これはむしろああいう放送はけしからぬと文句が出たのは政府がどこかの政党から出たというように私は聞いておりますよ。ですから、われわれが提案しておる国立大学とNHKという関係から出るのではなくて、むしろ心配すべきはそちらの方を私は心配しなきゃならぬではないかと、こう思っております。しかし、そういう毒素を薄めるために、こういう提案をしておるんだと、そういう点を私ども考えておりますので、その点こそ心配、それを薄めるのは社会党案だと、こういうふうにひとつ御理解をいただきたいと思います。
#114
○太田淳夫君 終わります。
#115
○山中郁子君 本法案が、きょうの連合審査もそうでございますし、衆議院からまた参議院へ参りまして文教委員会でいろいろ議論された焦点の一つに、大学サイドから言う学問の自由、大学の自治、それから放送サイドから言う放送の中立公正、不偏不党、この二つの理念がどのように統一的に理想的に実現し得るのか。そして、政府提案においてはそこに重大な問題点があるし、解決はされない、そこのところが問題であろうと私は理解しております。そういう観点から、幾つかの面からいろいろただしたいと思うんですけれども、一つは放送大学学園の機構のあり方の問題ですけれども、放送法第一条の放送規律の原則に基づいて、放送番組の自由、それからまた放送コードの適用による意思決定、これを執行するのが理事長であって、番組の編集権や電波の発射権は、一手に文部大臣が任命する理事長に集中しているという理解になりますけれども、この点はそう言わざるを得ないわけですね。確認をしておきたいと思います。
#116
○政府委員(宮地貫一君) この放送大学学園が放送事業者ということになるわけでございますので、放送事業者としての責任者というのは理事長ということになるわけでございます。
   〔委員長退席、文教委員会理事大島友治君着席〕
 ただ、お話のこの放送大学学園は、もちろん大学を設置し、放送大学の教育を行うために放送を用いるということでございまして、考え方といたしましては、放送大学がその教育を行う一つの手段として放送という手段を用いる。放送である以上は放送法制の規制があるということになろうかと思うわけでございます。
 そこで、その調整を一つの法人にするということでございますが、やはり問題は、行われます放送も大学教育のための放送だということが基本でございまして、私どもといたしましてはもちろん学問の自由が確保されることが必要でございます。そういう観点から、放送大学が大学の自治なり学問の自由を確保しているということはもとよりでございますが、ただ放送という手段を用いるという限りにおいて放送法制上の制約をこうむる、そのことについて大学側が自制をするというような形でその点の調和を図っていくという考え方でございますので、考え方の基本といたしましては、やはり大学の自治なり学問の自由を確保する、大学教育を行うこと自身の方がまずは主であるわけでございまして、その手段としての放送であるという点に、考え方といたしましては大学の自主的な判断で自制が行われて調和が行われるものと、かように理解をいたしております。
#117
○山中郁子君 さっき委員長から御注意がありましたけれども、私からもお願いをしますが、端的に質問に答えていただきたい。
 つまり、執行するのが理事長で、番組の編集権、電波の発射権はこの文部大臣が任命する理事長に集中しているんですねということの確認をお願いしたんですが、それはそうなんでしょう。何かもっと違う合議制がたとえばできるとか、そういうふうになっているんですか。それを端的に答えてください。
#118
○政府委員(宮地貫一君) 放送事業者としては放送大学学園でございまして、その責任者は理事長でございます。
#119
○山中郁子君 ですから、幾ら局長がいまそれはいろんな大学の自制とか民主的な運営といったって、法律上の担保がないわけでしょう。そこのところを問題にしています。それがこの委員会審議でも問題になってきているところです。法文上の民主的な運営の保障がないと。これはもう私が申し上げるまでもありませんけれども、戦前NHKが絶対主義的天皇制の護持と侵略戦争遂行の思想動員の道具として利用された。これは、大変苦い経験を私たち日本国民は持っているわけです。この反省の上に立って放送法がNHKの放送、一般放送事業者の放送を問わず、国家の行政権力による干渉、規制を厳しく排除している。これが放送法の基本的な理念ですよね。そういうことから、歴史の教訓に立って、こうした放送法がつくり上げられてきているんです。その上で、きょうNHKの方もお見えになっていますのでちょっとお話を伺いたいんですけれども、こういう放送法上の理念を貫徹するために、NHKは放送番組編集の自由を確保するというためにどういう努力をされ、どういう制度的な保障のもとに行われているか、御紹介いただきたいと思います。簡単で結構ですけれども。
#120
○参考人(田中武志君) 御存じのように、NHKは、放送番組の編集に当たりましては、いま申されような放送法にのっとりまして国内番組基準というものを定めております。これによりまして放送番組の公正確保のための自律的なよりどころというふうにしております。それで、これによりましてまたさらに各年度ごとに国内放送番組編集の基本計画というものに従いまして公正な報道、豊かな放送番組の提供に努めているということでございます。
 さらにもう一、二点申し上げますと、番組の適正を図るために放送法にのっとりまして、中央に番組審議会、それから全国に八つの地域に設けましてそれぞれ毎月一回、番組全体の御意見を伺っている。それからそのほかに視聴者会議というものを開きまして、いろいろ各分野の、広い分野の方々の視聴者の意向の受けとめをしております。
 さらに放送番組モニター制度というものを設けておりまして、全国で公募をいたしました一般モニターの方々、今年度で約七百五十人の方がおられますけれども、そういった方々に常々番組に対する意見とか、あるいは反響とか、そういったものをいただいておりまして、そのほかにも特別の学識経験者とか専門の方にもモニターを依頼いたしまして、番組制作につきましての貴重な意見として参考にさしていただいております。
   〔委員長代理大島友治君退席、委員長着席〕
#121
○山中郁子君 逓信委員会では、NHKの予算、決算に当たりまして、そうした面からもいろいろと意見もあります。私も少なくない意見を持っております。で、議論も行われています。しかし、制度的にそうしたものが置かれ、そしてその上で努力をするということによって初めて放送法で言う理念が貫徹に近づいていけるという、そういうことは当然の前提だと思います。で、意思決定機関である経営委員会が合議制になっていることは、幾つかの理由はもちろんございましょうけれども、当然の問題として適切な意思決定、つまり独断を排し、各種の知識と経験、意見を持ち寄って、民主的な、最も適切な意思決定を行えるようにするという、そういう趣旨をもって合議制になっているものと理解しておりますけれども、この点についての郵政省の見解をお伺いいたします。もちろん、ほかにも理由がいっぱいありましょうけれどもね。これは大事な一つの背景であるということについてです。
#122
○政府委員(田中眞三郎君) NHKの経営委員と申しますか、NHKに置かれておりますのは、放送法の十六条で経営委員等は両議院の同意にかからしめているということで、それは国民的な基盤に立ちます公共放送としてのNHKの性質というものにかんがみまして、国民全体の意思を委員の選出に反映させるという趣旨のものだというふうに考えております。
#123
○山中郁子君 少なくとも放送大学学園において意思決定機関を合議制の理事会として、そして理事長は理事の互選とするということにして不都合な理由がありますか。
#124
○政府委員(宮地貫一君) 理事長の任命については主務大臣が行うというのが通例でございまして、放送大学学園の理事長についてもそういう形で文部大臣が任命をするという形にいたしたものでございます。
 問題は、放送大学学園が大学を設置する特殊法人であるという点が一つの特色があるわけでございまして、そういう意味では大学の自主的な活動を保障するということが基本的に必要なわけでございます。それを受けまして、私どもとしましては大学の責任者としての学長というものがいるわけでございまして、教学なり教育内容に関して申せば学長が責任を持つということが基本的な体制でございます。
 したがいまして、合議制の理事会を設けることになりますと、学長が理事として理事会の構成員になるということで、その理事会の決定に拘束をされるというようなことは、むしろ学長の教学にかかわる事項については学長を最高の責任者として任せるという体制から見ればいかがなものであろうかというようなことで、理事会という合議制の組織というものについて法定をしなかった理由は以上の点でございます。
#125
○山中郁子君 それがどう考えても理解に苦しむんですけれど、教学の内容は大学の問題でしょう、大学の自主性に任せるんでしょう。理事会で教学の問題を決めるんじゃないんでしょう。そこへまず第一の基本的な、あなたのごまかしになるのか、全く理解できない理屈があるんですけれどね。教学の問題については大学の問題なんでしょう、理事会の問題じゃないんでしょう、どうしてそういうふうになるんですか。
#126
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、教学の問題というのは、これは大学自体の問題でございます。
 問題は、学園の最高の意思の決定機関として理事会というようなものが設けられますと、そういうことに、教学面について拘束するような事態が出てきたら困るということを申し上げたわけでございまして、本来的に申せばそういう事柄は理事会が関与することでないから、そのことは心配する必要がないではないかという御指摘でございまして、そういう心配がなければ、私ども何らその点について申し上げる点はないわけでございますけれども、学長を理事会の構成員として、意思決定に参画をさせるというような形で決まることはいかがかと考えたわけでございます。
 それから、学校法人の場合には通例理事会という形が設けられているわけでございますけれども、一つには放送事業者としての決定が優先するというようなことになれば、その点については本来この放送そのものが大学教育のために行われる放送でございます。私どもとしては、むしろ大学自体の自主性といいますか、そのことを確保することが基本的に必要なわけでございまして、そういう意味で、この放送事業者としての理事会の決定が優先をするということになりますと、教学面についての学長の責任といいますか、それを拘束することになりかねない、その点を憂慮して理事会という構成組織をとらなかったわけでございます。
#127
○山中郁子君 あなた、理屈にも何もなってないじゃないですか。まず教学について拘束しないというんでしょう、しないんでしょう、この理事会は。だったら、そこに大学の学長が入っているから理事会の決定があれば学長を拘束する、そういうことの理屈だって成り立たないし、逆にもしそういうおそれがあるというならば、なおさらのこと理事として入っている学長の意見が合議制によって生かされなければ理事長の専決になっちゃうじゃないですか、二重にあなたの理屈はまるっきり理屈になってないですよ。簡単に言えるならばちゃんと簡単に合理的な答弁してください、長々言うんだったらもういいですから。
#128
○政府委員(宮地貫一君) この放送大学学園は大学を設置し、かつ放送局を設置して、その限りでは放送事業者でございます。その放送事業者としての決定が理事会という形で学長を含めた拘束される形で決定されるということになれば、先ほど申しました番組編集の自由の問題と大学の自由の問題とにもかかわってくるわけでございますが、私ども教育の内容といたしましては、従来から御説明しておりますように、一つの組織体としてのこの放送大学学園における放送関係者と大学教育の教官スタッフとがコースチームをつくって、そこで十分議論をして番組をつくっていくということで調整を図っているわけでございます。放送事業なり放送の中身について放送事業者としての決定が理事会という形で拘束されることについては問題があると、かように申し上げている点でございます。
#129
○山中郁子君 大事なことなので確認しておきますけどね、あなたさっきからおっしゃるのは、教学内容にもし理事会のそれが入るようなおそれがある場合に学長が入っていると拘束されるから、そのために合議制にしないで、いわゆる独任制というんですか、理事長のあれに集中していると、こうおっしゃるわけね。だったら一つだけ私ここで確認しておきます。
 そのあなたの御答弁はいろんな問題が出てますけどね、これは当然文教委員会でまた御議論になると思いますけれども、一つだけ確認しておきますけれども、そうすると、あなた方は理事会での決定が教学内容にわたるおそれがあると、こういうふうに認識していらっしゃるわけですね。それは重大な問題ですよ。あなた、そういうおそれがあるから、学長が理事会に入っているから理事会の合議にしなかったと、そう言っているんですもの。(「そうじゃないよ」と呼ぶ者あり)そうじゃなくないですよ、そういうふうにあなたはおっしゃっているんだから。
#130
○政府委員(宮地貫一君) 教学に関する事柄につきましては学長が責任を負うものでございます。問題は、放送を実施するに当たりまして出演者をだれにするかとかそういう事柄について、それが放送事業者としての放送大学学園の意思決定機関が理事会ということで拘束をされることになることは困るということを申し上げているわけでございます。
#131
○山中郁子君 あなたさっきのそれじゃおっしゃったこと取り消されるわけね、撤回するわけね、さっきあなたは明らかにそういうふうにおっしゃったんだから。
 それからもう一つ、いまのことだって、なぜ番組にわたることが、理事長に集中した権限で専決される方がより理想的にできるんですか。学長も含めた合議に基づいて決定された方がより民主的に、よりよいものになるじゃありませんか。全く理屈に合わないじゃないですか。重大な問題です。
 これは申し上げるまでもないけれども、私学法によってたって――ここは簡単に引用いたしますけれども、第三節「管理」のところで、本条は右のごとく理事の人数を増している趣旨は、少数理事による専断的な学校経営の余地を少なくして、学校法人の公共性を確保するためであると、こういうふうになっているわけでしょう。だから一層そういう教育全体の問題から言っても、そうした理事長に番組編集権あるいは電波の発射権が集中していくという事態が重要な問題の中身の一つだということを重ねて指摘をしておきます。これに対する文部省の御見解は余りにもでたらめな理屈だということを言わざるを得ません。
 それから、特殊法人を選んだ理由の一つは、先ほどからの御説明にもありましたけれども、現行法制放送法上の困難という理由でございました。先ほど経営委員会の合議制の問題、それからNHKで国営放送というふうにならないようなさまざまな制度上の保障、その他のことが行われているということについての御紹介もいただいたんですけれども、これはこうした文部省が衆議院での放送教育に関する小委員会報告を法案推進のいろいろ理由にもおっしゃっている模様なんですけれども、この報告でも、「特殊法人方式をとる場合には、特殊法人の組織及び大学の管理運営のあり方について大学の自治が尊重されるよう事前に十分な措置を講ずることが必要であります。」と、述べていますけれども、これで必要で可能な措置というのはどういうところにとられているのか。私は、いまのことも含めてですけれども、これがとられていないというふうにしか認識できないんですが、この点についてちょっと見解をお伺いしておきます。
#132
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の特殊法人方式についての大学の管理運営のあり方について、大学の自治が尊重されるように事前に十分な措置を講ずることが必要であるということについてのお尋ねでございますが、この放送大学学園法案におきまして大学の自治を保障するという見地から、学長の任命方法については、評議会の議に基づいて学長が定める基準により、評議会の議に基づいて候補者が選考され、その候補者について理事長が発令を申し出て、文部大臣が任命をするという仕組みにいたしておるわけでございまして、基本的には教学に関します大事について大学人がみずから選ぶという基本線を、評議会という組織を法定をいたしましてその点を確保するという点が、大学の自主性を尊重するという点での基本的な規定であろうかと、かように考えます。
#133
○山中郁子君 評議会の問題についてはまだ後ほどちょっと触れますけれども、だからいまの問題の観点から言って、その評議会の法定自体に重大な問題があるということを指摘してきておきます。
 それで、文部省がこの二十二日、五十五年度教育白書を発表されまして、生涯学習のための教育環境の整備をうたっておられますし、また、これは三月十四日でしたかしら、発表された中央教育審議会生涯教育に関する小委員会の「生涯教育について」の報告も、大学院を初め学校の開放、多様な学習の機会をつくるなどの提言をされているというふうに理解をしております。しかし、いろんな問題点がやっぱり依然として多いんですけれども、真に放送大学が国民に開かれた大学となるようにするためには、基本的に学生、国民の意見を十分に反映しながら進められる必要があると私は考えておりますけれども、この点の基本的な御見解を伺います。
#134
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学が生涯教育の充実のためにも大変重要な意味を持つということは御指摘のとおりでございまして、問題は、開かれた大学ということから言えば、国民の声をどのように反映するのかというお尋ねでございます。
 もちろん、この放送大学の放送というものは大学の教育そのものでございまして、放送大学の学生からのいろいろ意見というようなものは、学習センターにおけるスクーリングというような場を通じて十分それらの声を反映する配慮というものはなされるかと思うわけでございますが、さらに、もちろん一般の方々がこの放送を視聴するわけでございまして、そういう方々から意見が寄せられるということも十分予想されるわけでございます。ただ、この放送そのものが大学教育そのものであるということでございまして、その声をどのように受けとめて、どう反映させるかということについては、これは大学みずからがお決めになることが適切ではないかと、かように考えております。
 それらについては、やっぱり放送大学みずからが何らかそれらの視聴者の声を受けとめるための委員会というようなものを具体的に設けるというようなことも、具体的な方法としては考えられるかと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、この放送そのものが大学教育そのものであるというようなことも考えまして、私どもとしては、それは大学がみずからお決めになることが適切ではないかと、かように考えております。
#135
○山中郁子君 一つは、文教委員会で、札幌公聴会、広島公聴会、地方公聴会をされました。それで、この報告書も私読ませていただきましたけれども、ここでも、たとえば教育有給休暇の問題、それから地方からのスタート、まず地方を重視してほしいと。これはかなりいろいろ強調されて御意見が出ているように読ませていただきました。それから、学習センターの数をふやしてほしい。幾つかのこうしたいろいろな意見が出て、この提案されている放送大学の発足、それのまずスタートに当たって、国会が聴取した公述人の陳述の中にもそういう問題がたくさん出てきているわけですね。
 こういうものを制度的に吸収して、そういうものを反映させて生かしていくという制度的な保障が、やはり文部省が「放送大学の基本計画に関する報告」ということで出されている中、もちろん法案もそうですけれども、そういうものに何ら制度的保障が示されていないんですね、その方向が。局長はいま、それは大学にお任せするんだと、こういうふうにおっしゃっていますけれども、一番基本的な点での、先ほど私は理事会の非民主的なあり方についても申し上げましたけれども、大学が決めるというならば、さっきお話がありましたけれども、なぜ評議会というものを法制化しているんですか。評議会自身が問題なんですよね。そうしたら評議会を大学が決めるというふうにしたらいいわけでしょう、基本的には大学の問題なんだから。法律でもって評議会を法制化する。これはもう筑波大学の例その他いろいろ出て、文教委員会ではいろいろ御議論があったものだと私は思っておりますから細かいことは申し上げませんけれども、先ほどもお話があった文部省の、まあコントロールという言葉もございましたけれども、要するにそういうことで文部省のまあ足かせですね、足かせということで評議会だけ法制化して、そして基本的に民主的に保障されなければならないさまざまなものについては、全部それは大学の問題です大学の問題ですと言って何ら保障を示そうとしていない。そこに私はやはり基本的な問題があると思いますので、必要があるならば、評議会だってそれじゃ大学が決めるということ以外の何物でもないじゃありませんか。そこは私はあなた方のこの法案の中の本質的な問題にかかわる重大な身勝手な言い方だというように思います。
 国会の訪英議員団がオープン大学の調査をしたときの資料が国会にも報告されておりますけれども、その中でも、かなり学生は、大学評議会や学術協議会、学術理事会、企画理事会、学生及び学位理事会を含む大学の主要運営機関に代表を送っているということも報告されております。こういう運営をなぜこの放送大学において保障するような提起がされていないのか。するべきだと思っていますけれども、その点はどうですか。
#136
○政府委員(宮地貫一君) イギリスのオープンユニバーシティーの場合に、大学の運営に学生を参加させているが、その点についてどうかというお尋ねでございます。
 確かに御指摘のようにオープンユニバーシティーにおいてはいろいろ学外の関係者、もちろんその中には学生の代表者を含めてそういう構成がなされているということは承知をしているわけでございますが、こういうそれぞれの大学の制度なりには、やっぱりそれぞれの国の実情――国情と申しますか、そういうようなものが背景としてはあるわけでございまして、イギリスの近代市民大学では、オープンユニバーシティーに限らず、やはりそういう大学の管理運営が、学内者だけじゃなくて学生や広い範囲の学外者を加えて行われる仕組みということが、これはオープンユニバーシティーの場合だけではなくて一般的な事柄として行われているというぐあいに伺っておるわけでございまして、その点は、わが国の場合においては、そのことを取り入れるということ、それを制度化するということが直ちにふさわしいかどうかということについては、私ども必ずしも適切ではないと、かように考えております。
 しかしながら、もちろんそういう学生を含めまして学外の方々の御意見を聞くための仕組みなりそういうものについては、当然そういう声を反映させる事柄を、考える事柄としては当然のことではないかと、かように考えます。
#137
○山中郁子君 放送大学の計画に当たって、いまのお話だと管理運営への学生参加については検討されていない。まあ日本ではそういう時期になっていないというふうにおっしゃっているようにも聞こえますし、これから考えるんだというふうにおっしゃっているようにも聞こえますので、両方あわせてちょっともう一度はっきりさせたいんですが、先ほどNHKの御紹介にもあったように、放送法の規定を受けて、それを貫徹するためにということで視聴者会議、視聴者懇談会、番組審議会、世論調査機関、さらに直接的にはNHKの場合、集金人がお金をもらいに行って、それで国民の声を聞いてくると、こういうことにもなるわけですけれども、こういうものを、放送法との整合性からいっても、つまり放送法で言う公共性、不偏不党、中立公正、こういう放送法からの整合性の上からも、まあいまの場合私は学生で申し上げますけれども、学生の声を反映する制度を設けるのは当然のことではないかと思っております。そのことをあわせてもう一度お伺いいたしますし、それから先ほど私申しましたけれども、どうしてその評議会だけそれじゃ法定なさったんですか。そのことははっきりしてほしいと思います。大学が決めることだ、大学の自治だとおっしゃるなら、評議会だって大学の教授会の自治で決められたらよろしいことじゃないですか。
#138
○政府委員(宮地貫一君) NHKにはもちろん公共性の確保という観点から、放送法上のいろいろ規定というものがあることは承知をしているわけでございます。基本的な点で申せば、この放送大学学園というのは、やはり大学を設置して、大学教育としての放送を行うという点が一番基本でございます。したがって、私ども一番基本的には、大学の自治なり学間の自由の確保という点がやはり基本的に必要な事柄であろうと、かように考えております。
 放送大学学園として学外者の意見を聞くための組織としては、運営審議会というものを置いているわけでございまして、その運営審議会において適切な学外からの関係方面の御意見を反映させるという組織は設けてあるわけでございますが、その運営審議会の構成メンバーとしては、御指摘のような、たとえばその中に視聴者代表と言えるような方々もやはり構成メンバーとして考えるべきことは、事柄としてはそういうことを受け入れて構成を考えていくべきものではないかと、かように考えております。
#139
○山中郁子君 学生は。
#140
○政府委員(宮地貫一君) 学生を運営審議会の委員――まあ学生の立場と申しますか、学生については、その対応は、それぞれまた大学みずからがお考えになりますが、運営審議会というのはむしろ特殊法人側の放送大学学園の諮問機関として広く学外者の意見を聞くための組織として置かれているものでございますので、考え方としては、学生の意見を反映させるための組織ということとは若干事柄は異なるものと、かように考えております。
 それから評議会を法定しているのはなぜかという点でございますが、これは放送大学というものが従来の大学とは全く異なった新しい形の、全国各地に学習センターを設置し、そういう意味では教官組織がきわめて複雑になるというような事柄も受けまして、教官人事全体につきまして大学の自主性を確保するための手だてといたしまして、むしろこの学園法案に法律として規定を積極的にすることによりまして、むしろ教官の選出方法について大学人みずからが行うという仕組みを法制化することが大学の自治の確保のために必要な事柄という考え方に立ちまして規定を設けたものでございます。
#141
○山中郁子君 私は、その学生の意見が反映される制度的な保障がないではないかということを申し上げているんで、それがやっぱりないということなんですね。
 それと、評議会の問題についてはもうこれ以上時間とるわけにいきませんけれども、あなた方が大学の自治で大学が決めることだとおっしゃるならば、当然のことながら評議会の設置いかんだって大学が決めるべきことじゃないですかということを私は申し上げているんです。それでこそ本当に大学の自治が貫徹されると。都合のいいところだけ法制化しておいて、そしてしなきゃいけない問題についてはほおかぶりしているというそのことが、こういうところに端的にあらわれているということを私は申し上げている。
 そうしますと、結局、先ほどもどなたかちょっとお話しになっていらっしゃいましたけれども、大学紛争のさなかに、当時の佐藤総理大臣が、学生のいない、つまりキャンパスのない、紛争のない大学ということで打ち出されたという、そういう歴史的な経過ね、こういうものとのかかわりがやっぱりどうしたって重大な問題として各方面から指摘されるに至っているということは、当然一層明らかになってきているということなんです。
 私はもう一つ、わが党が修正案を提出したいという予定で、文教の理事会の皆さんにはお示しをしているというふうに聞いておりますけれども、その中でも強調しているんですが、異見放送の保障というものが、やはり放送法で言う中立公正を確保する不偏不党ということのために大変重要だと思っております。この異見放送というのは、異なる意見という意味での異見です。以降、私が異見と申しますのは、その異なるの異見ですので、そのようにお聞きいただきたいと思います。
 で、放送大学が一般の大学と違うというのは、まあ簡単に一口で言ってしまえば、放送によって、放送を媒体とするということで、ですからこれは単に学生だけじゃなくて、受講生だけじゃなくて、きわめて広範囲な国民に影響を与えるということになると思います。で、完成時は、放送は全国の八〇%をカバーすると計画されていると認識しておりますけれども、大体そのようになりますか。
#142
○政府委員(宮地貫一君) 従来基本計画で述べられている点で申せば、そういうことでございます。
#143
○山中郁子君 そうしますと、この放送大学の放送によってたくさんの人々が、まあ思想形成の上で大きな影響を受けるというか、与える可能性を持っているわけですね。で、この電波の影響力を考えた場合に、放送大学の放送教育は学説の固定化というようなことを言われる危険は避けなきゃいけないし、多様な立場からの講義がされる必要があるというふうに思うのですけれども、そのためにも、人事の上でいろいろな立場、学説の教員が確保される必要があると思います。
 たとえば一番わかりやすい初歩的な言い方をするならば、経済学で言えば近代経済学とともに、マルクス経済学、それぞれのその分野でのすぐれた教員によって講義がされるということが――その二つだけに限りませんけれども、されなければいけないし、そういう問題について、文部省の考え方、それからそういう点についての保障をお伺いいたします。
#144
○政府委員(宮地貫一君) 先ほど来御答弁申し上げている点でございますけれども、基本的には、これは大学教育の中身としての放送でございます。したがって、大学自身がその教育の内容はすべてをお決めになるわけでございますが、問題は、放送という手段を用います以上は、放送の中立公平が守られるべきことは当然でございまして、そういう意味で放送法四十四条三項の規定が準用されることになるわけでございます。その第四号で、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」ということにされておるわけでございまして、放送という手段を用いる以上は、その規制がかぶってくると。そういう意味で、大学が自律的な規制をするということが期待をされ、そのことが適切であると、かように考えております。
 そうしてもう一つは、放送される以上は、国民一般が視聴するから、いろいろ意見が寄せられるであろうと、それらについてその受けとめをどうするかという問題については、これは大学において適切な委員会というような組織を設けて受けとめる仕組みというようなものも考えなければならないものではないかと、かように考えます。それらの点については、それぞれ放送大学の側において十分配慮をし、検討すべき事柄ではないかと、かように存じます。
#145
○山中郁子君 その点だけから見ても人事が非常に民主的に行われなければならない。それが政府案では、人事権を少数の評議会にゆだねて、実質的には教授会の自治を奪うという形になっていることを先ほど来指摘をしてきたところです。ですから、この評議会の問題も、こういういま申し上げている中身ですね、放送大学の生命にかかわるようなその中身と深い関係があるということを重ねて申し上げておきます。この点は、もう先ほど申し上げましたから、これ以上繰り返しません。
 それで、いまお答えがあったのですけれども、それははっきりした保障というものがされてないのですけれども、それでは結果的に国民の側からすれば、放送大学の放送教育はある問題に関して、まあこのカリキュラムを見れば、もうほとんどそういういろんな異見のある科目ですよね、たくさんありますよね。そういうものについて特定の学説のみが放送されて、その教員の学説が唯一正しいものと一般に受け取られかねない状況になって、こういうことに対して国民が批判をする、視聴者が批判をする、学生もそうですけれども、そういうことに対してはどのように解決がされるという仕組みになっているのか、なっていないのか、お答えはどうなのかをお伺いいたします。
#146
○政府委員(宮地貫一君) 先ほど来の答弁の繰り返しになるわけでございますけれども、この放送そのものは放送大学の教育そのものということになるわけでございまして、そういう意味で、ただ放送という手段を用いる以上は放送法制上の規制が及んでくると、その点は四十四条第三項の規定が準用されているという点で申し上げているわけでございます。しかしながら、これは大学の授業そのものであるわけでございまして、たとえば先生御指摘の点で言えば、いわゆる異見放送を認めるべきではないかというような点で御指摘があったわけでございますが、これは大学の授業そのものでございますので、大学がみずから決めたカリキュラムに従い教官によって実施をされているものでございます。もちろん、その放送法制上の放送コードは守られるべきことは当然でございまして、そういう自律的な規制というものを大学がみずからが行うことになろうかと思います。そして視聴者からのいろいろな意見というようなものについては、先ほど来申し上げているような大学において適切な委員会なりを設けて、その寄せられる意見というものを吸い上げてそれを反映させていく仕組みというものは当然考えるべき事柄であろうかと思いますけれども、事柄としては大学の授業そのものでございますので、それらについて大学みずからがお決めになった事柄、行われます授業をほかの方々が御批判いただくのはもちろん結構なわけでございますけれども、その授業についてさらに別の反対意見の方の説を放送するというような場ではないということは、放送の授業そのものであるという点からそのことは御理解をいただきたいと、かように考えます。
#147
○山中郁子君 そうではなくて、こういうものがあった場合に教授会で当然検討をされる筋合いになるわけですね。教授会で検討された結果一定の条件のもとで異見放送を保障するということは決して学問の自由の侵害というようなものにはならないんだし、むしろそういうことによってこそ放送法で言う不通不党、中立公正が維持されるということで、そのことは放送大学の重要な一つの基準であると、規範にしなきゃいけない問題だと私は思っております。ですから、これが逆にあなたの言う論法に従っていって、学説の固定化なり偏向が生まれた場合に、それはどういうふうに国民の声が保障されるのか、国民の声の反映によって中立公正が保障されるのか、是正されるのか、そこのところが異見放送という形によってこそ保障されるもので、もちろんほかにバランスのとり方もいろいろございましょう。だけど、異見放送というものはどうしたってそのために必要なもので、それは大学の自治を基本的に侵すようなものではなくて、この放送大学の内容を放送法にのっとってよりよいものにしていくというそういう観点から申し上げているということをぜひ、頭から聞かないんじゃなく、もう少しちゃんとフランクにお聞きになってお考えをいただかなければならないと思います。
 もう一つ内容の問題については、先ほどもちょっと指摘しましたけれども、中教審の生涯教育についての報告でも学習の地域性が非常に重要だということで指摘をされているんですが、いま文部省が全国画一の放送教育を計画されていると、この点については地方の学習センターのスクーリングでのあり方だとか、それから放送自身も地域と結びつく、産業、教育、文化、開発、環境などのそういう内容をどういうように取り扱われるおつもりがあるのか、計画を伺いたい。
#148
○政府委員(宮地貫一君) 地域性、それぞれの地域の特性を受けた教育というようなことは、基本的には事柄として大事なことではないかと、かように考えております。電波といたしましては、もちろん全国にテレビ、ラジオについてそれぞれ一波確保されているという事柄でございますが、私ども地域性という観点で申せば、あるいは学習センターにおきますスクーリングというのがやっぱり授業の全体の中ではほぼ三分の一程度を確保すべきものというぐあいに考えているわけでございまして、具体的にはそれぞれの地域の特性を受けた考え方というものはそういうスクーリングの場などにおいて十分生かすべきものとかように考えております。
#149
○山中郁子君 これはあなた方言葉では否定なさらないんだけれども、全大学人の協力、積極的な参加なしにはできないんですよね。いま申し上げましたように、私ども修正案の中でも、だから教員の問題につきましても公私立大学の教員の推薦、推薦の母体は日本学術会議という形で考えられる最も理想的な提起をしているんですけれども、そういうものが保障されなければならないにもかかわらず、具体的な考え方を何にも持っていらっしゃらないで、そしてそのままにこれ提起をされている。そして、これらについては、通信教育関係者もそれから大学人も、それから私学関係者も、みんなかなり深刻な疑問も提起し、積極的な意見もいろいろ出しているんですね。だから、これはもう本当に国民のコンセンサスを得ないままにこうした未成熟なままに拙速でやるなどということについては重大な禍根を残すことになるということで、私はもちろん撤回して十分な国民のコンセンサスを得るための必要な手続をとるべきだということを考えて主張をするわけですけれども、それは放送衛星のお話がありましたけれども、それらの問題、その他も含めてそのことについて、いまお伺いした限りでも、必要なことについて何ら具体的な責任ある中身をお持ちにならないままにごり押しをされるということは一層重大だという認識を新たにいたしましたので、そのことを申し上げておきます。
 時間が少なくなりましたので、最後に社会党の提案による法案について二、三お伺いをしたいと思います。
 社会党の提案を見させていただきました。私どもは、いま私がここで申し上げてまいりました新構想大学の方式によらないで国立大学として設置をされるということによって教授会の人事権など教授会の自治が保障されるという問題点、そういう中身、それからNHKにゆだねられることによって、政府案で見られる理事長への権限の集中によるいわゆる放送の国家統制の危険性、こうした問題についての緩和、それから放送大学の発足に先立っての全大学人の創意の結集という、私どもの修正案でも申し上げている主張が中身としても取り入れられているし、それから国の費用負担による放送の予算、決算は国会の承認事項となるという幾つかの問題で、いままで指摘をしてまいりました政府案から、改善それからより基本的な大きな問題が解決をされていくという、そういう可能性を理解することができます。
 その上に立って二、三の問題についてお尋ねをしたいんですが、一つは番組編集権と教学権との間に学問の自由と放送の自由というか、中立、公正ですね、この問題の解釈上の対立、これがどうしてもついて回るわけですね。この点について、社会党案は準則を設けて両者が協議するという形になっておりますけれども、この準則の中身の細かいことまではよろしいんですけれども、柱ですね、柱をどのようにお考えになっていらっしゃるか、まずお伺いをしたい。
#150
○勝又武一君 私たちはこの点が創設準備委員会の中での一番大きな論点だというふうに思っておりますが、特に予測をされますのは、教育課程の編成権というのは当然大学が持つのでございまして、番組編集権を持つNHK側との協議の問題でありますので、特にこの教育課程の編成に関する基準の問題あるいはテレビ放送を担当する教授の問題、そして同時にまた番組の編集権からくるNHK側の特にノウハウ、放送技術上の利点ですね、これをどう生かすかと。私はやはり先ほどもちょっと御答弁申し上げましたが、教授が十分しゃべるところをやはり五、六秒で済ませることができるというような、きわめてテレビの持つ効果、こういう技術上の効果というものが相当あるというように率直に思います。そういう点などを準則の中に明らかにしてまいりたいと。それからなお、番組編集権と教育課程の編成権とがぶつかった場合にどうそれを調整するかという調整上の基準という問題が幾つか生まれると思いますので、これらにつきまして設立準備委員会の中で十分な検討がなされるというように期待をいたしております。
#151
○山中郁子君 いま私が文部省にお尋ねをしてきたところの一つの重要な問題である異見放送の問題ですね。これは、放送というのは、一方通行性が強い特殊性を持っているわけで、したがってそういう点では異見放送の保障がどうしても必要だと考えておりますけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。
#152
○勝又武一君 御質問者が御指摘になっております異見放送の保障については、私は非常に重要な課題だというように思います。特におっしゃっていらっしゃいますように、テレビ、放送を通じて学生でない多くの国民の目に触れそしてまた耳にするという、閉鎖された大学の教室における講義とは大きく異なるわけでございますので、放送される教官の説がただ一つ正しいというように一般に受け取られかねない危険性を持つという御指摘はまさにそのとおりだと思います。したがいまして、異見放送の機会を保障すべきであるという御質問者の主張につきましては十分に理解できるところでございまして、私たちもこの点を前向きにそういう点で検討すべきだと思いますが、ただ一つ問題だというように思いますのは、具体的に放送というきわめて限定をされた教育手段の中でその異見放送を、御質問者がおっしゃっていらっしゃるような趣旨を十分に生かす実現をどう可能にするか、その条件は何かというような点については十分な検討を要するというようにも思います。
 ただ私は、政府案と社会党案との違いが一つここにあると思います。まさに政府案の場合には異見放送というのは先ほど大学局長答弁のような形で処理されがちだと思いますが一社会党案の場合にはそういう異見放送ということが出ないような十分事前の配慮といいますか、放送された教官の学説が公定の学説視されることのないように、つまり放送番組の制作をする前に放送大学側とNHKとが協議をする。先ほど申し上げました法定化される準則、その中での最大の課題というのが当然ここにあると思います。異見放送ということが出ないような配慮というのを十分この放送大学側とNHKとの協議の中でやってまいるということになると思いますが、これらについての特に異見放送の保障の問題は準備委員会の中での最大の課題だというように確認をしているところでございます。
#153
○山中郁子君 私もそういうことが出ないようにということよりも、前提として十分な理想的な放送がされる教科が組まれるということが必要で、その点に関して先ほど来文部省に質疑をいたしましたように、政府案というのは大変重大な欠陥を持っているという点で、社会党の案がその点の改善ないし将来の実現の可能性ということについて期待できるものであるという点について理解をしている。その上でなおかつ異見放送というのは制度的な保障として欠かせない問題であるということを強調しておきまして、提案者にも御理解いただいていると思います。
 これは最後の問題になるんですが、この社会党の案ですね、私は放送法上のやはりどうしても関連が出てくるのではないかというふうに思うんです。
 この国立学校設置法の一部改正で、三条の五ですね、「放送大学における教育に必要な放送は、日本放送協会が行う。」と、こうなりますわね。そうすると、放送法上、放送大学による放送はNHKの本来業務となっていないわけですよね。もちろん任意業務にもないわけです、新しくできるわけですからね。そうすると、これは放送法の第九条にかかわりますけれども、改正、整備ということが必然的に関連してくるのではないかと思うんですけれど、この点はいかがですか。
#154
○勝又武一君 ただいま御質問のございました放送法の第九条にかかわる問題でございます。特にこの点につきまして、私たちも、この法律作成上の技術的な問題ということが一つ確かに御指摘されるように心配にはなりました。特殊法人をやめて国立大学にするという問題と、それから放送についてはNHKに任せるという問題でございますので、まさにいまの第九条のこの本来業務なり任意業務にそれが入っていないんじゃないかという意味の御質問だと思うんですが、第九条の第一項におきましては、同法第七条に規定をするNHKの目的を達成するために必須業務としての国内放送の種類を明らかにしておりますし、その必須業務としての放送及びその受信の進歩発達に必要な調査研究を行うということを規定をいたしております。またこの第二項の中に、これらの必須業務のほかに十号にわたります任意業務を掲げております。放送法がNHKの必須業務につきまして、標準放送、超短波放送及びテレビジョン放送というNHKの行う国内放送の種類を規定しているだけだというように私はこの第九条を解するのでございまして、放送の内容ではとらえていないというように思います。放送大学におきます教育に必要な放送はラジオ放送及びテレビジョン放送でありますから、そういう意味合いでこの放送法第九条第一項第一号の業務に含まれているというように解するわけでございます。したがいまして、放送大学における教育に必要な放送はNHKの本来の業務に含まれている、放送法第九条の改正はそういう意味で必要がないというように考えている次第でございます。
#155
○山中郁子君 これは私、問題提起にとどめるわけなんですけれども、私はやはりちょっと放送法の改正をしないでということは無理があろうと思います。そういう疑問を持っています。で、それはいま提案者が紹介されました第九条は、つまり「第七条の目的を達成するため、左の業務を行う。」ということで、ラジオそれから超短波それからテレビということで、これが全国あまねくいけばよろしいんだと、こういう限りでございますから、ですから、その面では国がお金を出してそして放送するということが本来業務とは言いがたい。言いがたいって放送法ですね。やっぱり新たな問題が提起されてくることになるし、任意業務の中にもそうした整備が整合性がないという問題がありますので、放送法にかかわるということになれば、またこれは大変一つの大きな問題になって、放送法自体の問題になってまいります。そういう点で、先ほど私は幾つかの点について社会党の案についての改善できる面、期待できる面というものを認識していると申し上げましたけれども、いろいろな点については、さらに細かくは率直に申し上げまして意見もあります。ですから、そういうことはこの社会党案の基本構想についても申し上げましたように、国民的議論を背景にして、全大学人の総意に基づいてもっと時間をかけて論議もしコンセンサスに至るという、そういう手続も必要だし、私どももそういう議論をさらに深めたいという考えも持っているということをあわせて申し上げまして、質問を終わります。
#156
○中村鋭一君 この連合審査で、逓信委員であります私に質問の機会をお与えいただいたことをまず冒頭に感謝申し上げておきたいと思います。
 今回のこの法律案につきまして、これまで文部省は国民に対して説明ないしはPRをおやりになったでしょうか。あるいはまた、国民がどのように考えているかという考え方を吸い上げる努力は、どの程度、どのくらいの期間おやりになったでしょうか。お教え願えますか。
#157
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学の構想の検討につきましては、先ほど来御説明を申し上げておりますように四十四年ぐらいの当時から行ってきておるわけでございまして、たとえば、その途中段階におきまして、放送大学についての需要予測調査と申しますか、そういうものをアンケート調査で実施をしているわけでございます。そのほか、まあ最近の点で申しますと、放送教育開発センターが昭和五十三年度でございますが設立をされまして、そこで放送番組の実験番組を制作をし、これは民間放送に委託をいたしまして実施をいたしておるわけでございまして、そういう際の受講者の応募でございますとか、あるいは具体的に面接授業を実施し、それについての受講者からのアンケートというようなものもとって、そういうものについての希望でございますとか、そういうような事柄について受けとめをいたしておるところでございます。
#158
○中村鋭一君 私、新聞社に友人がおりまして、これはまあ四大紙の一つですけれども、たまたま先般十数人集まる機会がありまして、現在国会で、参議院において放送大学学園法案という法律案が審議中であるがこれを知っているかと聞きましたところ、その十数人の全員が、現在国会で放送大学学園法案が審議中であるということを全く知りませんでした。これは大新聞ですよ、新聞記者ですよ。それは、文部省の方は、言論機関がそれを知らぬのはけしからぬじゃないかと。それは事実なんですから、事ほどさように知らないんです、実は。数日来、私は二、三ヵ所で講演をいたしました。講演の冒頭に、本日のテーマとは違いますけれども皆さんは放送大学というものがいままさにできようとしていることを知っていますか、知っている方は手を挙げてください。数百人の聴衆の中で手を挙げた人は、三回講演をいたしました中でたった一人であります。千人以上の聴衆がいてたった一人です。そのことをまず指摘をしておきたいと思います。
 この放送大学という事実上の国営放送が出現することによって、従来の民放それからNHK、この二本立ての体制が崩れて、いわば放送制度の根幹が改正されることになるわけでありますが、この法案の中で、放送関係が付属的に改正が行われようとしている、このことについて見解をお聞かせ願いたいと思います。
#159
○政府委員(田中眞三郎君) ただいまの御指摘の点については、始終これまでも論議されたところでございますけれども、私どもといたしましては、放送大学学園の放送に関する規律につきましては学園そのものの目的なり業務というものと密接不可分の関係にあるということで、学園の業務を実施するに当たりまして必要な点に限りまして放送大学学園の法案の附則によりまして放送法を改正したという御提案を申し上げているわけで、ひとつ御理解をいただきたいと存じております。
#160
○中村鋭一君 民間放送の意見はこれまでお聞きになったことがありましょうか。民間放送の関係者の方はこの法律案についてどのような見解をこれまでお示しだったのでしょうか。
#161
○政府委員(田中眞三郎君) お答え申し上げます。
 私ども正式に民間の方から御意見なり御要望なりというものをお聞きすることもいたしておりませんけれども、日常いろんな仕事で民間放送の方とお会いすることが大変多いわけでございますけれども、それらの方々から一度もその辺について困るとか影響があるとかというようなお話は私は受けておりません。
#162
○中村鋭一君 私が聞いたところでは、昭和四十五年でございますか、小委員会が衆議院に設けられた当時、民放連としては大変困る、NHKに大きな権力を持たせるようなそういう学校ができることは困ると大反対であったと伺いましたけれども、そのような事実はございませんでしょうか。
#163
○政府委員(田中眞三郎君) ちょっと補足させていただきます。
 この放送大学構想を進めるに当たりましては、いろんな調査研究会議というものも持っておるわけでございますけれども、そうした中には民間放送連盟の専務理事も入っておられますし、また実際問題として、いろいろの実験におきまして民間放送を利用する、広島あるいは宮城、あるいは東京におきましても、民間放送のラジオあるいはテレビを通じまして、直接放送大学を準備するためのいろんな実験にも御協力いただいたということでございます。
 そういう事実があるということでございますが、ただ、私、不聞にしまして、私自身はそういう要望の文書も直接見たことがございませんし、いま先生が申されました、非常に問題があるというような御意見も放送大学に関する限り私自身は聞いておりません。
#164
○中村鋭一君 放送大学は放送に対する対価、授業料といいますか、徴収するわけですけれども、質問が重複すればお許し願いたいと思いますが、NHKの受信料は対価ではない、こうおっしゃるわけですね。この違いの根拠をどのように説明なさいますか。
#165
○政府委員(田中眞三郎君) まずNHKの受信料の性格でございますけれども、これはNHKというものを維持、運営するための経費についてテレビジョン放送の受信機を設置した者から、契約の上、これを御負担していただくという放送法上独特の制度であるということは先生御高承のとおりだと思いますが、放送大学学園の放送の場合には、これは放送大学に登録いたしました学生に限りませんで、だれもが自由に視聴できるという、そういう性質のものでございますので、放送大学の授業料というものを取る予定だそうですけれども、これが放送大学学園の放送の部分に対する対価であるというふうには私ども理解していないわけでございます。
#166
○中村鋭一君 これもすでに各委員が指摘をされている点ですけれども、NHKの第三チャンネル、これと重複する場合が多いわけですね。これむだじゃないんですか。第三チャンネルのいわゆる教育テレビの存在意義が希薄になる。そのことについてはどのようにお考えですか。
#167
○政府委員(田中眞三郎君) NHKの教育放送でございますけれども、御存じのように、従来国民教育の発展と国民教養の向上に資するという目的で、社会教育、教養番組あるいは学校教育も一応幼稚園から高等学校ぐらいまで非常に広範囲に及んでおる内容のものであり、非常に成果を上げているというふうに評価しておるわけでございます。
 ただいま御提案申し上げております放送大学学園の放送につきましては、やはり大学教育の機会に対する国民の要請にこたえると、そういうかっこうで、内容といたしましては学校教育法の規定に基づいた正規の大学教育の一環として行われるものだと、そういうようなことで、互いに長所をとり刺激を受けて生々発展してもらいたいというふうに思っておるわけでございますけれども、いま申しましたように、基本的に異なっておるというのが私どもの理解でございます。
#168
○中村鋭一君 独自の全国ネットワークをつくるのにお金がかかりますけれども、幾らぐらいと見積もっていますか。いまも全国の難視聴区域の解消に大変努力をしておられるわけですけれども、その点を放送大学ができたらどのように経費がかかるかと予想をしていらっしゃいますか。
#169
○政府委員(田中眞三郎君) あるいは文部省の方からお答え申し上げるのが適当かとも思いますけれども、放送大学創設準備に関する調査研究会議というものが五十年十二月に示しました数字で申し上げますと、その中に「放送大学の基本計画に関する報告」というのがございますが、放送大学学園の放送網を地上の計画でやるということにいたしますと、一応示されている数字といたしましては全国世帯数の八〇%をカバーするという形で、それには約二百の送信所を設置する必要があるということで、それらの建設費といたしましては四百二十億円という数字が出ております。これは五十年ベースでございます。
 なお、現在NHKは実は総合、教育を合わせまして約六千四百の放送局を置きまして放送しているところでございまして、そのカバレージは全国世帯数の九八%と、五十万世帯程度はまだ残っておるというのが地上の放送網の実態でございます。そうしたわけで、こうしたものを目標とするということになると大変な経費がかかるであろうというふうに考えておる次第でございます。
#170
○中村鋭一君 この放送大学の当初予算は幾らぐらいと見積もっておられますか。
#171
○政府委員(宮地貫一君) 当初予算といたしましては、五十六年度予算に計上されている金額で申し上げますと、三億五千二百万でございます。
#172
○中村鋭一君 概算で結構ですが、この放送大学がこれから学生さんをしっかりと教育していくために、そして全国的にカバーをしていくためには最終的に幾らぐらいのお金がかかるんでしょうか。概算で結構です。
#173
○政府委員(宮地貫一君) 当面は第一期の計画といたしまして、東京タワーから電波の届く範囲内での計画を立てているわけでございます。それの概算といたしましては、資本的経費で約九十七億、経常的経費として約四十七億を試算をいたしております。
 なお、御指摘の点は、全国をカバーした完成時の姿についての概算がどうかというお尋ねでございまして、その点については昭和五十年に「放送大学の基本計画に関する報告」をまとめていただきましたその際の地上系を中心にいたしました整備について、先ほど郵政省の方から送信所関係については約四百二十億弱という金額で申し上げましたが、ほかに学習センターの整備等を含めまして、全体的には五十年度価格で約八百七十億、運営費については約二百九十億と、昭和五十年に「放送大学の基本計画に関する報告」をまとめました際の試算といたしましてはそういう試算をつくってございます。
#174
○中村鋭一君 I分のEという言葉があります。インカム分のエフェクト、投下する資本に対してどれだけの効果が期待され得るか。いま概算およそ一千億と伺いましたが、文部省は一千億の資本を投下して十二分にそれを償って余りある大学ができると確信をしておられるわけですね。
#175
○政府委員(宮地貫一君) 私どもといたしましては、放送大学が新しい形の大学として、先ほど来いろいろ御審議をいただいておりますように、いろんな意味で大学教育全体に対して前進をさせていくために非常に大事なものだと、かように考えております。
#176
○中村鋭一君 大臣へ先ほどの委員の質問に対してお答えになっていらっしゃいましたけれども、このお金は決してむだ遣いではないし、そしてまた鈴木首相もこのお金はちゃんと出そうじゃないかというふうにおっしゃっているんですね。
#177
○国務大臣(田中龍夫君) 私も担当者でございますので、あなたも御心配なとおり、なお以上心配をいたしておりまして、三回にわたりまして私は首相に本法案の通過という問題に対して全力を挙げてよろしいかということについてお伺いをいたした次第であります。
 いまの投下資本に対する償却その他の問題、これはまた今日の法案審議の前提となれば言えないことはございませんが、この法案通過それ自体の当面いたしました点で詰めておるわけではございませんことは当然でございます。
#178
○中村鋭一君 電波監理局長、当面は東京タワーから波を出すということなんですが、先ほど監理局長はごく部にU局が見られない受像機があるというふうにおっしゃったと思うんですよ。大体どれぐらい想定しておられるんですか。
#179
○政府委員(田中眞三郎君) お答え申し上げます。
 東京タワーから出る電波が第一期計画であるわけですけれども、その中での世帯数の御質問かと思いますけれども、全国的に申し上げますと、UHFというのが非常に普及しておりますので、かなりの普及はされておると思いますけれども、たまたま東京を中心にいたしますと、U局というものは現在のところございません。したがいまして、東京都内の方につきましては、UHFのアンテナをつけてUHFを見ておられる方というのは、神奈川テレビなりあるいは千葉テレビあるいは埼玉テレビに特に野球などで関心をお持ちの方、あるいはそういう方が多いかと思います。ただ、千葉県あるいは神奈川県、埼玉県につきましては、もうその土地のローカルUHFが出ましてかなりの時間がたっておりますので、相当のパーセンテージではないだろうか。ただ、東京都内の場合で、そうした神奈川なり千葉なりが見えにくいところもございますので、そうしたところにつきましてはアンテナは上がっていないんではないだろうかと。ただ、受像機につきましてはかなりの程度もうUHFも受かるといいますか、店へ行きましても、これはVしか受からないんじゃなくて、UHFも受かるからということで割り増し料金を取られるというようなことは現在のところはないんじゃないかと、そのように考えております。
#180
○中村鋭一君 それ電波監理局長はアイ・サポーズですよね。具体的に統計をおとりになったわけでもなければお調べになったわけでもないんですね。私の理解では、まだまだ東京じゃUの見られるテレビ受像機というのは非常に少ないですし、アンテナを立てなきゃいけないわけですよ。さっきから委員の先生方指摘していらっしゃいますけれども、そういうふうに、いわばテレビを見ようとする人に多額の出費を強いるわけですね。それからまた、さなきだに大森委員も指摘をしておられたように、これだけ大学がたくさんある東京で最初にやらねばならぬ理由というのは、どう考えても私には見つからないと思います。そうして、ほとんどの最近の受像機にはセットされておりますとおっしゃいますけれども、テレビのブラウン管の寿命というのは、私よりも監理局長の方が詳しいと思いますけれども、大体十五年ぐらいは見られるんですよ。ですから、皆さんが最近電気屋さん行って買いかえているわけじゃないんですからね。その辺に対する考察もしっかりしておいてもらわないと、単にこちらで予算がついたと、受像機のセットはみんなもうUが見られるというふうに簡単に解釈されたら迷惑をするわけですから、それは指摘をしておきたいと思いますが、まあ放送衛星が上がればこういう問題は解決をするわけですけれども。
 いまと関連しますけれども、その受信用のアンテナの費用というのは幾らぐらいと見積もっておられますか。
#181
○政府委員(田中眞三郎君) 先ほどちょっとつけ加えますと、放送衛星というものが上がれば、まあNHKが六千四百というような数ですか、そういうもので八〇%から九〇%に地上設備に追いつくためには六千四百というような非常に数の多い送信所を必要とするということでございますが、いま御指摘の放送衛星では送りの側はそういうことは解決するわけでございますけれども、ただ、残念ながらSHFと周波数帯が違うというかっこうになるわけでございまして、したがいまして、放送衛星から降ってまいりますと、日本全国どこでも受かるようになるわけでございますけれども、そうしたSHFの電波を受けるパラボラアンテナというものとアダプターというものが、SHFをいまの受像機UHFなりVHFの周波数に変換するという必要がございますわけですけれども、まず個別アンテナといたしまして、日本のかなりの部分では一メートル程度のパラボラアンテナでよろしいかと思います。それから共同受信用、五、六世帯の家庭による共同受信という受信の形、これですと、一・六メートルとか、多少大きなパラボラアンテナとアダプターはやはり要るわけでございますが、そういうかっこうで価格をはじいてみますと、普及段階と申しますか、年産十万台程度普及の段階に入ったと見ました場合に、個別受信が六ないし八万円。それから五、六世帯で分けました共同受信の場合、世帯当たり回ないし七万円。こういうような数字になっております。
#182
○中村鋭一君 放送衛星はいつ上がって、その寿命はどれくらいで、その信頼性はどうでしょうか。
#183
○政府委員(田中眞三郎君) 実用の放送衛星は、五十八年度に六機を予定しております。それから、六十年度に予備機を打ち上げると。予備機を打ち上げるという形になっておりますけれども、これは、御存じのように、NHKの難視聴対策用ということで、BS−2というふうに申しておりますが、寿命は五年を目標といたしております。したがいまして、実用でございますので、これに引き続く第二世代の実用の放送衛星というものを打ち上げる必要があるわけですけれども、これにつきましては、五年ということになりますと六十三年ごろに後継機を打ち上げる必要があろうか、そういうふうに考えております。
#184
○中村鋭一君 社会党の勝又委員に質問させていただきますが、今回の社会党の案によりますと、放送をNHKが担当するということですね。で、必然的に非常に多額の国のお金がNHKに投入されるということになりますし、またその業務量も飛躍的に増大すると思いますけれども、このことはひいてはNHKの性格そのものにも大きな影響を与えてまいりますね。その辺について社会党案はどういう考察を加えておられるのか、お教え願います。
#185
○勝又武一君 御指摘になっていらっしゃいますように、確かにこの放送大学の放送の具体的な内容を検討いたしますとそういう点があると思います。ただ、私たちはいま御指摘の現象がNHKの国からの独立性に悪影響が絶対あってはならないというふうに思うわけでございまして、そういうことがそのままNHKの国からの独立性を確保するということについて悪影響があるのかないのかということが一番重要な問題だというように思うわけです。
 まあ経費の面で考えてみますと、NHKの五十六年度の事業費が約二千八百億であるのに対しまして、放送大学の第一期の計画は、学園全体の経営費これ全体見ましても約四十七億、完成時におきましても三百七十億。これらはすべて放送だけでなくて大学運営費全般を含んでいる総経費であるわけでありますから、そういう関係でいきますと、NHKの総経費全体に対する点からいきますと、大きな影響を持つということには相ならないというように考えるわけです。
 それから、もう一つの業務内容と業務量の問題でございますが、まあ放送番組は当然に水準の高い大学教育の内容になるわけでございますし、そういう意味では、NHKのその他のいろいろの娯楽番組、一般的教養番組、スポーツ放送等から歌謡番組等と含めて比較をしますと、きわめてそういうものよりはじみな部類に属すると。そういう意味では、通常のいわゆるNHK放送番組というものとは性質が異なっているというように思うわけでございます。そういう意味で、多様な国民の学習の機会を確保する、そういう意味からいきますと、放送時間のうちでの再放送の占める比重というものも大きいと思いますし、放送大学の放送という特色上、NHK内におきまして、この放送に関する組織、運営というものを他の部局とある程度独立性を持たせる、放送大学との協力の確保等、こういう問題につきましても十分な配慮がNHK側においてもされるであろう。放送番組制作上のいろいろな成果というものも広く公開をされますし、関係者の利用の便にも供するということも考えられると思うわけでございます。そういう意味でいきますと、御指摘になります国家資金との関係やあるいは業務量の拡大という問題も生じますけれど、そのことが即NHKの国からの独立性を阻害する、悪影響を与えるというようなことにはならないというように考えている次第です。
#186
○中村鋭一君 いわゆる学問の自由と番組編集権、この問題は社会党案で整合していますか。
#187
○勝又武一君 御質問者がおっしゃっていらっしゃいますように、この問題が私たちは本法案の傘とも言うべき最大の課題だというように思っているわけであります。そういう意味で申しますと、当然大学の開放ということ、それから国民の期待にこたえる放送大学という関係からいきましても、大学のいわゆる教学権とNHKの番組編集権との調整ということが最大の課題になると思いますし、この調整に当たりましてはある程度いろいろの困難もあると思います。NHKに参りまして実態調査のときでございましたが、NHKの担当者の方々からも、その点の苦心談というものはいういろお聞きをいたしました。いろいろの問題点があるのだけれども、最終的にはそういうことで調整が不可能であったということぱございませんでしたというNHK側の御意見も伺ったわけであります。正直に言いまして、政府案で一番問題になると思いますのは、そういうような調整が不可能になる、あるいは調整が困難になるということは政府案においても予測をされるわけですね。そのときに政府案の方では理事長権限がきわめて強い。しかも、これは文部大臣の任命によるわけでありますし、先ほどから各委員の方が御指摘されていらっしゃるようなそういう背景の中で番組編集権が優位に立つ、そういうことが予想をされるわけです。
 そういう点では、社会党案というのは、閉ざされたある特殊法人という形態の中でそのことが処理されるということではなくて、放送大学とNHKというきわめて対等の立場での調整ということ。同時に、そのことは法律上におきましても準則を設けて私たちは担保をしているわけでございまして、何か閉ざされた中での調整ではなくて、テレビで放映をされる、そういう国民のすべてがこのことが目に触れる、そのことを前提にしてのNHKと放送大学側の調整でありますから、これはまさにきわめて真摯な検討がされるということが期待をされますし、同時にそのことは両者の協力によりまして調整が可能である、こういうように思うわけです。同時に、このことは具体的には、調整をするための構成メンバーというのは当然専門家同士でなされますし、特にコースチームの編成なり、そういう作成チームの方々の担当ということにおきましては、NHK側の従来からの放送技術上の長所というものがきわめて大きくこの際役立てられるというように思います。大学の教育課程の編成権という基準に基づいた中で、どれだけこの放送技術上の利点をNHK側で生かしてもらえるかという意味がこの準則の中で最大の課題だというように思うわけですし、私たちはそのことを大きく期待をいたしております。
 同時に、この放送大学というのは放送だけが基準ではございませんで、印刷教材、通信指導、スクーリング、あるいはゼミナール。同時に、これが私たちが言います地域センターの拡充の問題と関連をいたしまして教育の効果を上げるということを期待をいたしております。
 そういう意味で考えますと、NHK側の持っておりますいままでの多くの研究的な事例、こういうものが生かされますし、同時に教材の充実なり、スクーリングというような問題につきましても、むしろこのことが政府案よりは大きく生かされるというように期待をいたしているところであります。
#188
○中村鋭一君 別に私は行司をするわけじゃございませんけれども、いまは社会党案について伺いました。特に学事権と編成権についてですね。ここは政府の特殊法人でなければならぬ。特に学事権と編成権の問題について、特殊法人の方が社会党案よりもいいんだという点について見解をお聞かせ願いたいと思います。
#189
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学の設置形態については、従来、相当長い間、検討されてきた点でございまして、その点が一番基本的に問題になった点でございます。そして、先ほども申し上げたわけでございますが、衆議院の文教委員会におきまして放送教育に関する小委員会というものが設けられまして、もちろんこの小委員会でもいろいろ放送大学構想の概要についてお話をし、参考人も御出席をいただいていろいろ御意見をまとめていただいたわけでございます。
 その眼目だけ、骨子のところだけ……
#190
○中村鋭一君 簡略で結構です。
#191
○政府委員(宮地貫一君) 申し上げますと、検討の結果、結局設置形態については国立大学方式、私立大学方式、いろいろその二つについては問題があると。それから特殊法人方式というのが考えられるが、特殊法人方式でいけば放送法制上の難点は解消されるということが言われておりまして、もちろん、その特殊法人方式の場合に大学の自治が尊重されるように十分配慮しなければならぬということが言われているわけでございます。
 そして設置形態については、以上のほか、イギリスのオープンユニバーシティーのように、大学と放送局を分離する方法もありますが、この方式では大学が放送の主体とならないことになりますということが言われております。そして、以上のように、以上述べた問題点はあるけれども、大学と放送局と一体のものとした放送大学を設置するとすれば、現時点では特殊法人方式しかないのではないかというのが結論でございまして、私どもとしてはその結論を受けて、今日まで、この放送大学学園法案ということで予算を計上し、法律案として御審議をいただいている点でございます。
#192
○中村鋭一君 NHKにお尋ねいたします。
 この社会党の対案ではNHKが担当する分野がもうこれは圧倒的に大きくなるんですけれども、この社会党案についてNHKはどのように評価をしていらっしゃいますか。
#193
○参考人(田中武志君) お答え申し上げます。
 私どもといたしましては現に国会の場で審議されております法案そのものにつきまして賛否を申し上げるような立場にはありませんので、その点については御容赦をいただきたいというように思います。ただ、NHKが現在持っております施設とか、あるいは要員というものにつきましては……
#194
○中村鋭一君 容赦と言うが、それはちゃんと言ってくださいよ、考えていることを。いいですから。
#195
○参考人(田中武志君) NHKが現在持っております施設、要員につきましては、現在テレビ二波、音声三波というようなことで国内放送をやっておりますし、国際放送も短波でやっております。したがいまして、これを実施いたします最小限度の必要なものを持っているわけでございまして、現状において放送大学のためにNHKの施設とか要員を充てる余裕はないという状況にあります。しかし、NHKは番組につきましては、特に教育につきましては長年の経験、実績を持っておりますので、将来放送大学が設立されまして、協力について具体的なお話があれば、その時点において、放送の許す範囲内でどのように役立つことができるのかということにつきましては十分検討してまいりたいというふうに思っております。
#196
○中村鋭一君 放送の許す範囲内とか、検討をしたい、まあ要するに、すべてこれあいまいということで、私にはちょっと理解しがたい。よくわかりませんけれども、どうなんでしょう、受信料に影響が出ませんか。
#197
○参考人(田中武志君) NHKにつきましては受信料が唯一の経営財源でございます。そういった中で、われわれのNHKと、広告費を財源とします民放、その中に新たに国費を財源といたします放送大学の放送が加わるということになりますので、受信料関係、特に契約とか収納面に影響を与えることにならないかといったことも十分あらかじめ考えておかねばならないというふうに思っております。もちろん放送大学というものがどういうような態様になるのかということにも関連いたしますけれども、NHKといたしましては、国民の基盤に立った公共放送として公正な報道、放送番組というものの提供に努めて、放送大学ができることによります受信料制度への影響というものを最小限度にひとつとどめたいというのが真情でございます。
#198
○中村鋭一君 文部省にお尋ねいたします。
 NHKの技術協力並びに人材の異動等は政府案でどれくらいの規模を考えていらっしゃいますか。
#199
○政府委員(宮地貫一君) すでにお尋ねもあったわけでございますが、NHKが多年にわたってそういう実績を持ってきているということについては私どもも評価をしているものでございます。
 具体的に放送大学学園の放送局の開設でございますとか運営ということに当たりまして、NHKを初めとして既存の放送事業者から技術的な面でございますとか、あるいは放送関係の人材その他についてそういう過去の豊富な経験というものを生かした形で対応していく、そういう御協力もいただかなければならない課題ではないかと、かように考えております。具体的な事柄につきましては、放送大学学園が成立をいたしまして、さらに関係者間で十分御協議をいただかなければならぬ事柄でございますが、法案の審議中ではございますが、大臣からもNHKの会長とも御懇談をいただいたりする機会もすでに持ったりしていただいておりまして、私どもとしてはそういう点では、そういう技術面での御協力とかあるいはスタッフの面でもいろいろと御協力をいただかなければならぬ問題は具体的にはあろうかと、かように考えております。
#200
○中村鋭一君 文部省当局のお答えもNHKと同様に先のことはそのときになってみなければわからないというふうにもとり得るわけでございまして、こういうあいまいなことで四年制の大学をつくるという、それが真に国民のニーズに合ったことかどうかについてもう一度私は深い審議をしなければいけない、こう思います。
 少しオリエンテーションをさせていただきます。
 放送大学をつくろうという話が出て文部省の方で最初にこの案を立てられましたときには生涯教育ということがまず第一に挙げられたんではないでしょうか。
#201
○政府委員(宮地貫一君) 御指摘のように、昭和四十二年でございますが、社会教育審議会に対して、「映像放送及びFM放送による教育専門放送のあり方」というようなことについ諮問をいたし答申をいただいたというような経緯はございます。
#202
○中村鋭一君 先ほどからも委員のお尋ねがありましたけれど、日本の大学の進学率はいま何%だったですか。
#203
○政府委員(宮地貫一君) 大学、短期大学を含めましてでございますが、五十五年度で三七・四%でございます。
#204
○中村鋭一君 私考えるんですけれど、いま大学進学率は三七%とおっしゃいましたけれど、一番もとのところへ返って考えるんですよ。どうでしょうね、現在ある既存の大学、専修学校、各種含めて、大学へどうしても行きたいと思っている人はほぼ行っているんじゃないでしょうか。そして進学率はなるほど四〇%に満たないかもわからぬけれども、それは大学へ行きたいと思っていても行けないのじゃなくて、大学へ行きたくないから大学へ行かない、そういう人が実はその六十何%の中に多く含まれているんじゃないでしょうか。文部省は、いま進学率三十数%とおっしゃいましたけれど、大学へ進んでいない人の中でどうしても大学教育を受けたいと思っている人は何%ぐらいいると理解していらっしゃいますか。
#205
○政府委員(宮地貫一君) 十八歳人口の点で申し上げますと、高等学校の新規卒業者の大学、短期大学進学志願率といたしましては四六%ぐらいで最近推移をしているわけでございます。したがって、実際に十八歳人口で申しましてもなお大学へ希望していて入らない者もいるわけでございますが、さらに従来からの調査で申し上げますと、昭和五十年の調査でございますけれども、放送大学に対する教育需要の予測調査をいたしまして、それで放送大学の利用希望者というようなものの数字は、一応当時とりましたものとしては、放送大学に対する教育需要の予測調査では四五・五%という数字を承知しております。
#206
○中村鋭一君 放送大学ができて仮に十五年たったとしましょう。そのときに大学へ進学したい、したいけれども大学が足りないから、だからテレビの画像を通じて放送大学で勉強をしようと思っている人は、たとえば十五年後にもいまおっしゃったように非常に数が多いとお思いですか。
#207
○政府委員(宮地貫一君) 将来大学への進学希望というようなもの、大学の進学率というようなものがどういう推移をたどるか。これについては私どもとしても、たとえば御指摘の十五年ぐらい先はどうかというお尋ねでございますが、十五年後の状況についてここで的確に申し上げる資料は持ち合わせておりません。
 ただ、大学進学という点で申しますと、たとえば専修学校というような制度もつくられまして高等教育への進学の希望が多様化しているということも事実言えるわけでございます。そういう中で、放送大学というような新しい形の大学をつくるということも、やはり高等教育機関の多様化を図っていく一つの手だてといたしまして、もちろんこの放送大学は正規の大学ということで御提案申し上げておるわけでございますが、既存の大学とは大変違った全く新しい形の大学ということで御提案申し上げております。
 そういう意味で、将来十五年ぐらい先の十八歳人口で申せば、約二百万を超えて、それがさらに百七十万ぐらいになっていくというような数字が、これから十年ないし十五年ぐらい先の十八歳人口の数字では以上申し上げた数字になるわけでございまして、全般的にやはり社会全体の構成が老齢化していき、また一方生涯教育ということも大変言われていることを受けますれば、私ども国民の全体の学習意欲に対してこたえるためには、この放送大学というものはやはり一つの大きな意味を持つものではないかとかように考えております。
#208
○中村鋭一君 一つの大きな意味とおっしゃいますけど、私が申し上げたいのは、十五年後には放送大学へ入学を希望する人がほとんどいないんじゃないか、本当に。そう思いますよ。だから、十五年も二十年もしたときに、放送大学が学生募集したってだれも受験しやしません。そういうことになった場合に、絶対にそういうことにはならないという確信をお持ちなのか、それともそうなったときにはそうなったときで、またびほう策を考えればいいと思っていらっしゃるのか、その点をお伺いしたかったんですが、これは将来のことですから答弁の限りにあらずだと思います。
 現実に、いまわが国の教育機関は四年制大学と短大合わせると一千校になんなんとしている、間違いございませんね。それぐらいあると思いますが、およそ二百万人ですね。そのほかにも各種学校、専修学校が数多くありますね。当然ながら在籍者が多数に上っております。文部省が最初この法律をおつくりになるときに、放送大学をつくろうと考えられたときにイギリス人のいわゆるオープンユニバーシティーは念頭にありましたですか。
#209
○政府委員(宮地貫一君) 日本で放送大学の構想が考えられた当初におきましてはまだオープンユニバーシティーは発足はしていなかったんではないか、かように考えます。恐らく、そして検討が進みましてオープンユニバーシティーが開かれましたのが、それらの検討の開始の当初ぐらいとほぼ並行している時期ではないか、かように考えます。
#210
○中村鋭一君 今回の法律をおつくりになるときに文部省の方は外国へは視察、研究には行かれましたか。
#211
○政府委員(宮地貫一君) 文部省の職員もまた外国に調査には行かしていただいております。
#212
○中村鋭一君 その結果、外国を見聞した上でも、なおかつ四年制の放送大学は絶対につくらなければいけない、これが国民のニーズに沿うゆえんだという確信をお深めになりましたか。
#213
○政府委員(宮地貫一君) その点に関しましては私ども十分検討をしましたこの案で放送大学というものを御提案申し上げておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、この検討しました案が諸外国のものに比べまして決して劣っているものではないと、かように確信をいたしております。
#214
○中村鋭一君 いま申し上げましたように、日本では大学の数がおよそ一千校ですね。当然御研究になったと思いますけれども、イギリスでは大学はたしか四十二校ぐらいですね。その修学人口が根本的に違うわけですね。たった四十二しかないイギリスと、一千もある日本と同日に論じて、それでイギリスのオープンユニバーシティー、これはいいじゃないかと、日本も早くこれをつくらなきゃいけないというふうな発想がもしあったとすれば、これは大きな間違いであると指摘をしておきたいと思います。
 それに、イギリスのいわゆるオープンユニバーシティー構想は金のかからない大学をつくろうじゃないか、機会均等とあわせて、目的だったんです。さっきからお伺いしたり、今度の放送大学は一千億円かかるといっているじゃないですか。二次臨調の答申が七月に出て、来るべき臨時国会でそれが審議されるわけでしょう。大臣は、鈴木首相も私もその衝にある者としてこれは大丈夫だと思うとおっしゃいましたけれども、基本的に今日この行政改革を何としても国民的課題としてやらねばならぬときに、四十二しかないイギリスでオープンユニバーシティーが成功したからといって、それがすべてではないにしても、日本で一千億の金をかけて四年制の大学をつくらなければならぬかどうか、そのことに対する全体の深い考察があってのことかどうかを私はお伺いしておきたい、こう思います。
#215
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまのお話はまことにごもっともな御議論でございます。しかしながら、われわれの申し上げておりまするこの放送学園大学なるものは、御案内のとおりに一千億の経費を含むと申しますけれども、これもやはり当初からすべてそれだけの先行投資をしなきゃならぬという問題ではございません。そういう点では、やはりすでに十年間を経過いたしました世論形成並びにその後のセンターのあり方、そういう問題に基礎を固めてまいりまして、そうしていよいよ発足の段階に立ち至った、こういう問題と、もう一つは、いわゆる大学としての大学という問題と、先生が冒頭申されました生涯教育という社会教育上の大きな教育効果という問題もこれは等閑視できない問題ではないかと存じております。
#216
○中村鋭一君 学校を卒業しますと教養学士ですね。どうでしょうか、現実に就職をする場合に、採用する会社の方は、たとえば早稲田あるいは慶応、東大と放送大学を卒業した放送学士とを全く平等に扱って入社試験を行うと思っておられますか。
#217
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学はこれから新しい大学としてつくり出していくわけでございまして、その放送大学が社会的な評価を受けるような中身にするように私どもとしてはりっぱな大学に仕上げていかなければならない、そのためには、基本的には教官組織の確保というようなことが非常に大事なことであるというようなこともいろいろ御議論をいただいている点でございます。
 そういう意味では、ただいま御指摘の就職に際してどうかというお尋ねでございますが、これは、卒業生がそういう評価を受けるような大学に私どもとしてはつくっていくことが必要だと考えております。そしてまた、学歴偏重社会の社会全体の風潮を打破していくためにも、この放送大学がそういう面で機能していくことを私どもとしては期待をいたしているものでございます。
#218
○中村鋭一君 社会党の小野先生、先ほど勝又委員はたしか山中委員の質問に対してばっとおっしゃったんですが、学校の先生なら十分かかるところをテレビなら七秒で済みますと、これが放送大学の利点の一つでもあるというふうにたしか私おっしゃったと、こう理解しているんですが、それでよろしいんでしょうか、そのように理解をしておられるわけですか。
#219
○小野明君 勝又君ちょっと出ておりまして、そういう御答弁があったかどうか私存じませんが、先生は放送大学には反対、こういう立場で御質問をなさっていると思うんですよ。ただ、私どもは放送大学はこういうテレビの視聴率というのは非常に高い、だから知識を修得するにも、まあ視覚と聴覚あるいは触覚と、いろんな感覚を使って勉強するのが非常に有効であるということは先生も御案内のとおりだと思うんです。そういうことから、恐らく勝又委員もそういうテレビの有効性といいますか、そういうことで――時間は的確であるかどうかそれはわかりませんよ、そういう立場で御答弁をいたしたと思うんであります。
 ですから、私どもとしましては、先生は反対、私どもは放送大学は有益であろうと。この点はいま宮地局長も答弁をいたしましたけれども、やっぱりOECDの学術調査団が報告をいたしておりますように、学歴偏重社会である、これを直す一助にしなければならぬ、こういう立場からも、また各大学に刺激を与えるという立場からも、これは私は必要ではないのか、こう思っております。
#220
○委員長(降矢敬義君) 中村君に申し上げます。時間でございますので御協力をお願いします。
#221
○中村鋭一君 時間が参りましたので、私が指摘をしたかったのは、勝又委員はそのように先生が十分しゃべるところを七秒でテレビならわかるというふうにおっしゃったと私は理解したものですから。そうじゃなくて、勝又委員も先生をしておられたと私お伺いしているんです。私も三十年以前に中学校の英語の教師を一年ばかりやっておりました。それ以後三十年間テレビの仕事をしているわけですね。同窓会がありまして参りましたら、先生が三十年間テレビでやっていたことよりも、先生が英語の先生をしていた一時間の授業の方がわれわれにはよっぽど役に立っていますし、その方がいつでも先生をなつかしく思い出すことができます、こう言うわけですな。
 ですから、私が本委員会で最後に指摘をしておきたいことは、キャンパスライフというものは、学生にとりましては、学校へ行って教授の人格に接し、そうしてその人格的薫陶を受け、キャンパス上あって友情をはぐくみ、その間先生と常に討論を重ねて四年間のキャンパスライフを送る、これが教育の根幹だと思います。私が長年の間テレビをやっていて、テレビの電波、二十四インチの画面から色つきで懇切丁寧な情報を、本人が何の努力もしないのに一方的に雨あられのように頭の上から降り注いたって、そんなものはちっとも身につきはしません。私はそのことが本当に言いたかったんです。教育の根幹に触れる四年制の大学を、しかも国立でつくろうという、こういうときに、一方的に結果として現実に二十四インチの画面から努力もなしに浴びせかけられる情報の洪水というものが真に国民の勉強をしたいというニーズにこたえるものか、その点を十分に私は本委員会においてさらに検討を加えていただきたい、そのことについて重大な懸念を表明いたしまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
#222
○青島幸男君 続けて質問をさしていただきます。
 勝又先生は発案者でおいでなすって、いまの中村さんに対する御答弁で言い足りないところがあって御不満のようでございますので、私の時間の中で差し上げますんで、同じ質問を申し上げますから、ひとつ……。
 私、御質問申し上げるのは全く同様の趣旨でございまして、実際に学問というものは、少なくとも大学の学問というのは、ある種の情熱が支えになっている。実際に知識を授けるというだけならば、それはテレビやラジオでも十分だろうけれども、実際には、先ほどからも議論になっておりますように、放送法とのたてまえから、何か毒にも薬にもならないようなものをいろいろ突き合わせて無色透明と申しますか、だれが見てもおかしくない、そのかわりだれが見てもためにならないというようなものを流して、これが果たして自己研さんの触発になるだろうかと。実際大学に行って何を勉強できたかと言いますと、やっぱり独断とか偏見とか、それから友達に徹底的に理論ずくめでやり込められる、あいつに何とかくやしい思いをしたから言い返してやりたいと思って本を読みますね。あの教授の言っていることはどうも間違いだ、やっぱりあの人の考え方にはどうしてもついていけない、あの先生を一回やり込めてやろう。そういうときに私はやっぱり学問というのは成り立つんだと思います。そういうお互い青春時代を過ごしてまいりまして、そういうことがやっぱり一番実になっていて、うちで引っくり返って見ていればそれが学問になるとはどなたもお考えになっていらっしゃらないと思います。その点がいま中村さんも同じ御意見だと思います。その点を大変疑問に私も思いましたので、重ねてお尋ねいたします。
#223
○勝又武一君 答弁の機会を与えていただきまして心から感謝を申し上げます。
 私たち参議院の文教委員会の方で、実はずいぶん議論もいたしましたが、私ももちろん政府案について質疑をいたしましたが、その中で一番指摘したいのは、いま御指摘になっていらっしゃる点と全く同じなんです。私たちも放送大学の中の最大の欠陥というのはそこにある。つまり放送だけがオールマイティーではない、むしろゼミナールがない大学というのはあり得るのかと。そしてまた、地方学習センターの充実を図るというのもまさにそこにありますし、そういう意味では、約三分の一をスクーリングなりゼミナールなり、そういうことに注いでいく、そしてまた家庭学習をやるためのそれぞれの教材、そういうものについての努力というのは政府案にきわめて薄いということを指摘をしてまいりました。そういう意味で言えば、やはりこの放送大学の放送、テレビ放送の分野というのは三分の一というふうに政府案は言っておりますけれども、むしろ私たち社会党案におきましても、それはもっともっとその範疇というのは少なくなる。そしてむしろ地方学習センターの充実なり、それから夏季休業中、夏休み等を利用した特に地方学習センターにおきますスクーリングですね、これらについて最大の力点を置くべきだということを申してきたわけであります。そのごく限られた一部の放送の中におけるテレビ受像という中で、たまたま私が先ほど言いましたように、五分、十分大学教授がしゃべるよりは、テレビ受像を利用して五秒、十秒でもわかり得るということを言いましたのは、そういう限られた分野の中の一部のことでございまして、特にNHKに行きましたときに、顕微鏡を使っての講義というのをやっておりました。そういうように五分、十分かかって説明するよりは、顕微鏡を使ってそういうテレビ受像を使ってやれば、三秒、五秒でもわかり得るというきわめて限られた分野のことを申し上げたのでございまして、私の真意は、何か三秒、五秒でテレビが大学教育すべてを行い得るなんということを毛頭申し上げているつもりではございませんので、私の申した真意を御理解賜りたいと思います。
#224
○青島幸男君 よく了解いたしましたし、前質問者も了解したと思います。(「了解しました」と呼ぶ者あり)
 実際にNHKでいま教育講座みたいなものが行われておりますけれども、NHKも最初はやっぱり大学卒業資格を与えるところまで考えようかという御趣旨もあったかと思うんですけれども、実際に放送法とのたてまえで、そういうことがやりにくいんじゃないかということで教養講座にとどめているというのは、私はやっぱりNHKの見識だと思うんですね。それ以上のことはちょっとやり得ないだろうということです。
 また、皆さん方NHKの高校向けの放送を実際ごらんになっていらっしゃるかどうかわかりませんが、大変あるものは高度でむずかしいですね。ですから、一般の社会人もしくは家庭に入った主婦の方々にも生涯教育の場として開かれる教育の場というのは確かに有効ですが、しかし、そういう実際に社会人あるいは家庭に入った方々に教育の場を与えるということと、学校卒業程度の資格を与えるということ、これは全く別のことですね。これを一つのことでまとめてやろうとするところに私は間違いがあると思います。
 実際にアンケートなどで調べますと、そういう欲求があることは確かでございます。ただ、テレビで跳んだりはねたり、あるいは音楽番組をながめているというおもしろおかしい時代はもう過ぎましてね。テレビの持っているメディアの力、教育といいますか、あるいは知的好奇心を満たすということ、人を育てるのにこれほどやっぱり大きなものはございません。いまやその時代になりつつありますので、方々で、新聞社などで行いますカルチュアセンターなどにたくさんの方がおいでになります。これはすばらしいことだと思います。そういう方々が、アンケートの結果として、そういう生涯教育の場のような放送があればありがたいなとお思いになるのは当然だと思います。しかし、それはやっぱりNHKで行われているような教養番組程度のことであると思いますね。四年と申しません、一年でも、実際に語学など、数学などの場合特に継続的にきちんと見てまいりませんとわかりません。ついてまいれません。ということは大抵の場合投げ出してしまうんですね。私どもは正月にいつも意を決して何か誓いを立てますように、NHKさん見てもわかりますが、何かこう話学講座なんか開きますと、最初はパンフレットの売れ行きが大変いいんだそうです。三ヵ月、六ヵ月たちますと、半分以下、三分の一になってしまうというように大変興味を持って接しにはなるでしょうけれども、実際にこの大学ができまして、国でやることですから、実際大学卒業程度の資格を持った人が世の中に出たときに、何だ、放送大学というのは何を教えるのだ、ほかの大学で受けてきた教育とまるで違うじゃないか、これじゃ給料も大学卒分はやれない。ほかの大学卒業程度の方と同じように受験資格が与えられないというような結果になりますと、今度は国の威信にもかかわりますね。そのためには相当過酷なカリキュラムを組まなければならないことになりますね。それは、一年のうちはよろしゅうございます。二年、三年、四年となりますと錯綜してまいりますね。そうすると、その時間割りを、その授業を見ようと思うためにはきちんと自分で作成いたしまして、何時何時には私の何の時間があるから見なければならない。飛んで帰って見るようなことにならなきゃなりませんね。その上にスクーリングにも参加しなきゃならないでしょう。体育の授業も受けなきゃならない。しかも、私先ほど申し上げましたように、実際に教授に解れてかんかんがくがく議論をするチャンスもわりあい少ない。しかも通信教育と違いますから本で反すうするわけにはいかない。どなたもがビデオカセットを持っていらっしゃって、自分の受けたい授業をビデオに撮っておいていつでも見られるというような状況になるのはほど遠いことだと思いますし、莫大な経済的な出費を要求することになりますね。それも不可能でしょう。そうなりますと、離島、僻地に実際おいでになる方が実際に大学卒業程度の学力と資格を持つために情熱を費やすとしたら相当過酷なことを強いなきゃなりません。しかし、文部省も言われるように、ただ寝ていれば学問はできるというものではないんだと、そのためにパンフレットも支給するし、教科書も与えるし、お集まりもいただくんだと、それならなぜテレビでやる必要があるんですかということを私はさらに申し上げたいですね。
 それで、もう一つ基本的な問題としてお承りしたいのは、放送大学はラジオ一波とそれからテレビ一波をお持ちになるわけでしょう。そのラジオ一波とテレビ一波と両方お持ちになるということのゆえんはどういうところにあるのですか。
#225
○政府委員(宮地貫一君) 放送大学について基本的なお尋ねがあったわけでございますが、ラジオとテレビとそれぞれ一波を放送大学のために電波が確保されているわけでございまして、そういう電波といいますか、そういうものを教育に使うといいますか、放送を教育に使う必要性といいますか、そういうようなものについては私どもはやはり基本的には有効な手段だと、かように考えているわけでございます。
 そして、お尋ねの点はテレビとラジオとどうして二つやるのかというお尋ねでございますが、それぞれテレビなりラジオにふさわしい特性といいますか、そういうものを備えた番組をそれぞれ考えるということを基本に考えております。そして、私ども、放送教育開発センターで具体的な実験番組もつくりまして研究もいただいておるわけでございまして、そういう従来からの蓄積といいますか、検討を踏まえまして御提案を申し上げているわけでございますので、教育の中身としましては、もちろん先生御指摘のように、それはテレビだけで教育ができるとは決して私どもも考えているわけではございません。全般的な教育形態としては、放送視聴で三分の一、それからスクーリングで三分の一、それから印刷教材。これはもちろん通信教育の場合のような添削というような事柄も考えられるわけでございますが、そういうような内容で、そういう意味でこれからの新しい大学のあり方としてひとつぜひとも実現をさしていきたいということで、過去十年来検討を続けてきたものを受けて御提案を申し上げているわけでございます。
#226
○青島幸男君 お聞きになっている方も十分御理解いただけなかったと思う人ですがね。私も全くわかりませんでした。どうしても放送によって大学を開かれたものにしたいと、こういうお考えでしたら、結論から申しまして私はラジオだけでいいんじゃないかと思いますね。あくまでもこれは補足的な手段なわけですね、テレビを通じて行うにしても。そうすると、ニュース番組を提供するようにその都度違うわけではございませんで、一年間なら一年間、これを四年間積み立てるということを綿密に計画なすって発足なさるわけでしょう。そうなりますと、大体どういう内容でカリキュラムを進めていかれるのかということはもう明白に事前にわかっているわけですね。そうなりますと、ラジオだけで行われても、図形によるものもなければ理解が進まないとかそういうものは十分にパンフレットその他であかないがつくんじゃないですか。私も学校におりまして勤勉な学生だったとは申しませんが、四年間の教養課程の中でどうしても映像とともにやらなければ受けられなかった、あるいは進められなかったという授業は記憶にないんですがね。何ですかね、私はそのテレビをいきなり御採用になったというところの裏には、テレビというものの影響度の大きさはさることながら、何かこう華やかで、すぐ飛びつきそうで、しかも大規模で金がかかりそうで、天下り先も多そうだから、何かはではでしいところにすぐ短絡に結びついていくような感じがして、実際にわが国の大学教育を受けたいという熱意のある人々に十分こたえるためにということではなくて、むしろ文部省の権益拡張と申しますか、はではでしいところに乗り込んでというような底意しか感じられぬような気がしてしようがないんですがな。
 実際に教育を行うんだったら、私、放送による大学の教育はあり得ないとは思いますが、百歩譲って放送による補足的な手段がもし有効であるとするならば、それはラジオで十分なんじゃないか。しかも短波で行えば海外へも通じるくらいで、きわめて小さな手段で小資本で行えるわけでしょう。しかも、実際に繰り返し繰り返し反復、学生さんたちが授業を受けるためには、いまカセットのいいのも少額でありますし、極端な場合ウォークマンなんて便利な機械もありますね。通勤、通学と申しますか、通勤の間あるいは農作業の間、ウォークマンで授業を受けられるということも可能なわけですよ。しかも、そんなに高くないですね、あれは。それで、どなたでもカセットはいまお持ちになれるチャンスがありますし、実際にいいタイムスイッチもございますので、実際には何時何時に飛んで帰らなくともカセットにとっておけますね。それてそのまま授業を受けるということは、ビデオを用意するだとかあるいはパラボラアンテナで実際に宇宙中継を通じて受けようというようなことまでお考えでしたら、もっと軽微な経済的な負担で――あるいは語学なんかの場合、私は絵が実際映るよりは音声だけの方がいいんじゃないかと思いますね。しかも、鉱石ラジオのころからの歴史的な推移を私ここで申し上げるつもりは毛頭ございませんが、まず、鉱石ラジオがあって、それからラジオができました。それと同じように、ラジオのラジオによる受験講座とかラジオによる教育講座というのはずっと歴史を重ねてまいりましたね。いかに視覚に訴えないでラジオで十分な教育がなされるかということは歴史的にずいぶん考察も研究もなされているはずです。いきなりテレビに飛ぶというのもいかがかと思いますね。その点を十分に踏まえて御検討になっているのかとうかというのは実に疑問に思っているわけなんです。
 それからまた、もう一つ申し上げますと、東大生はなぜ珍重されるのか。なぜ早稲田だの慶応だのというところに人々は集中するわけですか。やっぱり東大に入るにはむずかしい試験受けなきゃなりませんね。というのは、あまたの人をけ散らして――その批判はどうあろうと、現在の大学受験制度の問題とは別に、すべての学生さんはやっぱり東大へ入れれば入りたいと思っていらっしゃるんでしょう。一体どこで挫折し、どこで妥協するかですね。やっぱり寝る時間をどれだけ詰めて東大に挑戦できるかということがその人の青春の時期をあるいは決定するのかもしれませんね。ですから、学歴偏重の時代だと言っても悪い点ばかりでは私はないと思います。どの点で妥協するかということが問題だと思いますね。おれはやっぱり東大は無理なんだからこの辺でいいや、早稲田にしよう、これは無理だからもう一ランク下げよう、もう一ランク下げよう、ついには放送大学に下げようということになるわけですよ。狭き門だからこそ東大は意味があるんじゃないですか。大ぜい優秀な学生さんとその苦節をくぐり抜いてきた人々が相接してかんかんがくがく論じ合うんで、ますます切磋琢磨され、あるいは学問的向上心を触発されて、ますます優秀な学生さんが育つんじゃありませんか。だれでもうちで寝ていれば見られるというような――とも申しませんよ、それなりに苦労も強いられるでしょうが、開かれた大学を卒業したからといってだれが社会的に珍重しますか。このためにいまの学歴偏重の社会が本当に根底から覆されるようなりっぱな放送大学ができれば、私はもう言うことはございませんが、とても信じかねるんで、ここで苦言を呈しているわけです。
 なぜラジオを飛び越えていきなりテレビに発想が飛びついたのかというところからまずお尋ねしたいと思います。
#227
○委員長(降矢敬義君) 簡潔にお願いします。
#228
○政府委員(宮地貫一君) 放送を教育に利用するということを基本的に取り入れるということについての御議論が基本にはあるかと思いますが、私どもとしては放送を教育のために使うということはやはり有効適切なことだというぐあいに考えております。もちろん電波というものはラジオ、テレビ両方あるわけでございまして、そのために放送大学のために現に全国ネットとしてテレビ、ラジオいずれも一波それぞれ確保されているわけでございます。それを有効にどのように使うかという使い方につきまして、従来専門家によりまして御検討をいただいてきたわけでございまして、そういう基本的な考え方といたしましては、そういう放送の持つ教育的機能を十分発揮させるために既存の放送事業者とは別個に非営利の教育専門局を考えるというようなことは、私どもは郵政省に置かれております臨時放送関係法制調査会からもそういう答申がなされているということを伺っているわけでございます。そうして、放送大学がその教育のための専門局をみずから持ち放送を実施し、そして大学を持つということでこの放送大学を御提案申し上げているわけでございます。
 なお、私どもといたしましては、もちろんこれを契機といたしまして既存の大学の積極的な改革と申しますか、その一つのよすがにもしたいということを念願として考えているものでございます。
#229
○青島幸男君 全く私の質問にストレートにお答えいただいてないわけです。私はテレビ、ラジオその他の放送媒体を教育に使うということを責めているわけではございません。確かにラジオで聞いたり、テレビで見たりすることは教育に役立つことはまさにそのとおりだと思います。ですから、私は常々NHKの三チャンネルを見せていただいておりまして、勉強させていただいております。これは大変結構なことだと思うんですよ。ですから、教養講座ぐらいにとどめるのがせめて精いっぱいのところだろうと。教育に放送を使うことは、実際有効であろうし、効果のあることだと思いますが、そのことによって大学卒業程度の資格を与えるような四年制の大学をいきなりつくってしまうのは無理があるだろうということをるる申し上げておるわけです。
 大臣にも一言所信をお聞かせいただきたいと思いますが、私、いままで申し上げましたのは大学の卒業程度を与えるということと、一般の方々に生涯教育のチャンスを与えるということは全く別の問題であって、大学ということは実際には自己研さんの場であって知識を流し込むところではないというところから、教育に放送を使うことは一向に差し支えないことですが、そのことによって資格を与える大学をつくるということの基本的な疑問、これを大臣はお考えにならないのかどうか。あるいはお持ちになるとすればどういう問題点をお持ちになっているのか。どういう打開策があるとお考えになってこの法案に取り組んでいらっしゃるのか、その御見解を明確に承りたいと思います。
#230
○国務大臣(田中龍夫君) 青島先生の御意見は、まことにそういう点も貴重な御意見だろうと存じます。しかしながら、いま思いついてどうこうという問題ではなく、十年という経過をたどりまして今日までずっと研究し審議されてまいったものでございまして、確かに先生のお話のような点は十二分に私は貴重な御意見といたしまして拝聴させていただきます。
#231
○青島幸男君 以上申し上げましたように、私は放送を使って大学教育を行って、しかも卒業資格を与えるというようなやり方には基本的についていけないし、あるべき姿のものではないと思います。社会党案も、かなりの点で、政府案の疑点をつまびらかになすったり、あるいは疑点について新たな工夫もなすったりというところもお見受けますし、評価も払いたしますが、このことによって大学卒業資格を与えるという、学問の自由と真っ向から対立するような放送によって事を行うことは基本的には反対だと思います。しかも、るるこの委員会でも論じられましたように、いままでの既成の電波行政あるいは確立した電波の三十年来定着したこの行政のあり方を基本的に混乱させるような大きな問題も秘めておりますし、また多くの先生方御指摘になりましたように、思想統制の問題とかその他の点で、あるいは教育にかかわる問題ですから、実に国家百年の計の上で、ゆゆしき問題をたくさんはらんでおります。で、伺ってみますと、実際やってみなければ、どうなるかわからないという文部省の御答弁もありますね。実際に、この程度のことだろう、やってみなきゃわからないというようなことで、こんな重大な問題を決してしまって見切り発車してしまうということは、実にゆゆしき問題を後に残すんではないかというふうに考えます。いまはいいだろうと言っているうちに、やがてだれにも手のつけられないような怪獣に育ってしまってから、あわてふためいても仕方がないことです。このことは、私はこの委員会のメンバーの一人として、ここに列席をさせていただいていることからも、みずから振り返って、このことだけは明確に申し上げなければならないのは、文部省のこの法案について、賛成多数で、はい、通りましたと言って、通してしまうようなことのないように、もう一度よくよく検討なさって、これ、だれから見ても疑問の余地がないものであるというようなところまで詰めていただきたいということをここで明確に皆さん方に要望いたします。伏してお願いしても結構だと思うぐらいこの点について情熱を持っております。ぜひもう一度御検討ありたいとお願いを申し上げまして質問を終わります。ありがとうございました。
#232
○委員長(降矢敬義君) 他に御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#233
○委員長(降矢敬義君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。
 これにて散会いたします。
   午後六時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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